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風吹けば名無し:
ここのところ巨人小笠原は妙な夢を見ていた。
落合、清原、江藤、広沢、この4人が大正義巨人軍への移籍会見をしている姿が繰り返し繰り返し浮かび上がってくるのだ。
打席の中でカッスは考えた。なぜ俺はこんな夢を見るのか…、ただ外様の選手が移籍してくるだけのことだというのに…
そもそも自分は大正義の「生え抜き」で移籍など縁のないことだ。
だが同時に巨人小笠原は首をかしげた。ではなぜ自分には4人とプレーした記憶がないのか?
生え抜きでベテランのカッスにとってそれはとても不自然なことだった。
考えを巡らせ行くと日ハムのユニフォームを着て引退を迎える落合とそれを間近で見る若い自分の姿が懐かしい郷愁と共に浮かび上がってきた...
だが思索はそこまでだった。
突如今村のビーンボールがキンタマを砕き、カッスは絶命した。死に顔にはうっすらと髭が生えていた。
最後の瞬間、巨人小笠原は北の大地で喝采を浴びる一人の侍の夢を見、そこで意識は途絶えた。