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風吹けば名無し:
かつての活躍は見る影もなく、大正義のお荷物と化したキンタマカッス。試合後も声をかけるチームメイトは一人もいない。
涙をこらえ一人寂しく球場を後にした巨人小笠原は、ふらりと小さな居酒屋ののれんをくぐった。
適当に注文をし寂しくちびちびと酒をやっていると、近くの席の野球談義が聞こえてきた。
「金本は本当に使えへんわ!」「落合のグスマンの贔屓起用にはあきれるぎゃ!」「石川はいつまでスタメンなんだろうなあ」
他球団の選手が罵倒されるたびにニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべていたが、直後に飛んできた言葉に衝撃を受けた。
「まあどいつも小笠原よりはマシだろ」「あいつは本当にひどいけえのうwwwww」「大正義もあいつのせいでボロクソやwwww」
まるでキンタマをおかわりくんに真芯でとらえられたような気分だった。握っていたグラスとイチモツを思わず落としてしまうほどに。
こんなところにはいられないと店を出ようとした巨人小笠原。レジで一万円を投げつけ、釣りはいらないというと店員に声をかけられた。
「豪快ですねお客さん、このくらい気前よく俺の投げる試合で打点をあげてくださいよ」
驚いて顔を上げると、そこには5勝8敗防御率2,24の畜生(23)が汚物でも見るような目で巨人小笠原を見ていた。
巨人小笠原は思わず悲鳴をあげ、店を逃げ出した。もう何もできない、する精力がない。キンタマはそのまま公園のベンチで眠りについた。
翌朝起きた巨人小笠原は不思議な気持ちだった。世界が澄んで見えるのだ。剃り忘れたひげに手を当てると、意識を失った。