1 :
風吹けば名無し:
サクリ、サクリ、フワリ。20XX年12月24日、北海道を覆う雪はあの男の帰還を歓迎しているかのようだった。
「(少子化に貢献しちゃ)いかんのか?」日ハム小笠原はそう呟くと、道を歩くカップルたちの案内役を買って出た。
どうぞー、こちらでーすと無料での斡旋を行い、付近のホテルが軒並み満室御礼となったのを確認するとニッコリ。
続いて、今年もなにもなかったとばかりにやさぐれている人々のために格安での飲み会やコンパを企画すると、
自身の持つ圧倒的な知名度と人気を活かした集客力のもと、9800組を新たに成立させるという所業を果たした。
孤独を癒すことに満足した彼は、今度はサンタ姿で若夫婦の家にも突撃。持参した料理や名産品を振る舞う一方、
歓待し引きとめる彼らに「僕はみんなのところへ行かなくちゃならないからね」と微笑み、その場を後にした。
街中の人に聖夜をもたらした日ハム小笠原であったが、まだやらねばならないことが残っていた。イチロー一家だ。
「(偉人の遺伝子を残さないと)いかんでしょ」と来訪すると、手始めにレビトラをいつものカレーに混ぜて下準備。
部屋を暗くし酒をやや強引に飲ませると、そのまま盗塁を狙うがごとく弓子の待つ寝室に滑りこんでいった。
かくして日ハム小笠原の大車輪の活躍により日本には夢と希望と笑顔にあふれた。ありがとう、ガッツ――。
「でもまだ世界は平和じゃない」彼はそう話すと姿を消した。来シーズンの出場は見送られる見通し。