>>505 http://ncode.syosetu.com/n8725k/46/ 主観的には長い時間がすぎた。あまりにも長い時間だった。
好きなように刀を突き立てる男の恐怖に揺さぶられていて、時間感覚を喪失しかけているとはいえ、あまりにも長い時間がすぎたのだ。
「あ、あっ。あえっ」
言葉も紡げないキョウコの胸を貫きながら、男は赤い洞穴のような口を笑みの形に歪ませた。
「衛兵は、こないよ」
その言葉の意味が理解されるにつれ、キョウコの頭の中にはわんわんとなる騒音のような疑問に満たされる。それは、ルール違反だ。そんなことは、聞いたことがない。聞いていない。あまりの理不尽な宣告に、キョウコは振り上げた拳を男に突き入れた。
しかしその拳から刀が生える。