>>953 そしてまた、イギリス政府が食料自給率の向上を国策にしない理由を明確に掲げていることを示したうえで、
食料安全保障は食料自給率の問題ではなく、本来的にはリスクマネージメントの問題であり、不作や自然災害、
病気の蔓延や国際紛争など、多様なリスクをどう管理するかという問題として扱うべきであると主張し、
日本政府の自給率向上政策には問題のすり替えがあることを指摘している。
浅川は、農水省が意図的に自給率を低くみせ、政府広報や小中学生が用いる社会科教科書も含めて、国民に食に
対する危機感を抱かせようとさまざまなキャンペーンを張っており、それは実のところ、窮乏化する農民、飢える国民
のイメージを創出しつづけなければならないほどに農水省の果たすべき仕事がなくなっているからだとして、
すべてが予算獲得や天下り先確保など、自己保身的な省益中心の考えから出ているとして批判する。
そして実際には、自給率向上政策は、生産者と消費者との健全な関係のなかに国家を入り込ませて農家の意欲や
向上心を削ぎ、「納税」と「高価格の支払い」という二重の点で一般国民の家計における食のコストも増大させている
ことを指摘している。
そして、民主党政権の進める戸別所得補償制度を農家の思考力を徹底的に奪うものとして厳しく批判し、
実際には日本農業は十分に強いことを示し、さらに強化するための策として「黒字化優遇制度」や「日本農業成長八策」
を提言している。
単著
『日本は世界5位の農業大国 - 大嘘だらけの食料自給率』 講談社〈講談社プラスアルファ新書〉、2010年2月。ISBN 978-4062726382。
『日本の農業が必ず復活する45の理由』 文藝春秋 、2011年6月。ISBN 978-4163740805。
『TPPで日本は世界一の農業大国になる』 ベストセラーズ 、2012年3月。ISBN 978-4584133972。
共著
財部誠一・堺屋太一ほか 著 『どうなる! 日本の景気』 Voice編集部 編、PHP研究所〈Voice select〉、2009年12月。ISBN 978-4569775968。
浅川 芳裕・飯田 泰之著『農業で稼ぐ!経済学』 PHP研究所、2011年6月。ISBN 978-4569793337。