それでも息子を愛してる モトミ 主婦48
「オバハン」。幼い頃はあんなにかわいかったのに、
20歳を前にした息子が最近、私にこんな悲しい物言いをする。
しかし、そんな彼もよそ行きの声で「お母さん」と呼ぶことがある。
次に「お小遣いちょうだい」と続く時だ。
そんな時は、財布を取り出しながら「お母さんのこと、愛してる?」と尋ねることにしている。
彼はきまりが悪そうに下を向き「うん、愛しとる」とぼそりと答えるのだ。
味をしめた私は、小遣いをねだられる度、息子に同じ事を聞く。
最近は「愛してる?」と問いかけると、「お金くれるの?」と答えるようになった。
まるで条件反射、これでは“パブロフの犬”だ。
いつか彼にも、本気で「愛してる」とささやきたくなる女性が現れるのだろうか。
でも、息子よ。
「ウザい」と言われ、心にもない言葉で小遣いを巻き上げられても、
母はあなたのことを愛してるよ。