【後継ぎは】農家の暗部 part137【使い捨て】
俺の大学受験の時は、センター試験で5教科8科目、二次試験で4教科5科目受検だった。
地方の高校ではそこまでやらないから、英語のリスニングは米軍のラジオ放送で
耳を鍛えた。
高校の授業中に別の教科の勉強していて、数学の時にたまたま教師にバレテな、
「私の授業が気にくわないのか!!」って硬い表紙の出席簿で殴られたっけ。
それからは体育の時間は、クラスメイトにボールをパスされなかったり、
不必要なタックルで転ばされて大怪我もしたが、笑ってばかりで誰も助けてはくれなかった。
家庭では本家の叔父に「分家が本家より良くなるとは罰当たりだ」と
地区内に言いふらされ、オヤジの車のタイヤが刃物で切り裂かれたり、
どこからとも無く石を投げられ、座敷のサッシ戸の窓ガラスを度々割られてね。
大学受験の前は本家がワザと農作業を手伝うように言ってきて、
それを断わったら、本家が応援していた政治家を使って、親父が降格人事させられた。
俺が大学に入るときも院に進む時も、都内の親父の同級生が身元保証人になってくれた。
もちろん従兄弟は誰も助けてくれなかった。
それから俺は社会に出て、田舎から離れた都市で、漸く平和な生活が出来るようになった。
田舎の冠婚葬祭に呼ばれることも無くなり、未だに同級会に一度も呼ばれたことはないし、
県人会からの案内も開封せずにゴミに捨てている。
俺には郷土への愛着は何も無い。
俺は田舎を見捨てた事を全く後悔はしていない。