昨日のトメ
夫実家から自宅に帰るのに最寄り駅まで送ってもらった。
そこでトメは
息子の荷物を持つ→息子が切符を買う
→息子ちゃんのお手伝いをした私、何もしない嫁
みたいな妄想をしていたらしい。
実際は
息子の荷物にしがみつく→振り払われる→駆け寄った息子の指示で嫁が切符を買う
→なんだか足手まといで居場所のない私・・・
という状態に。
泣きそうな顔で「じゃあねっ!」と吐き捨てるように言った姿がちょっと笑えた。
意味はわかるが、激しく下手な文章だな
では激しく上手な文章に書き換えてみてください。
トメ子は横目で息子の荷物を見た。
(まだ誰も触れていない!)
チャンスだ。
トメ子は閃光の如く荷物に駆け寄った。
彼女の脳裏に、昨夜のシュミレーションがイメージとなって涌き出る。
重い荷物を自分が運び、息子は切符を買う。
その間…ヨメ子は何もせずにブラブラしているではないか!
私を思い、いたらないヨメ子に怒る息子。
泣いてワタシに土下座するヨメ子。
良いのよ、ホホホ… 満面の笑みをこぼす聖母なワタシ。
尊敬の眼差しで母を崇拝する息子。
気づけば、周囲はギャラリーで一杯、偉大な母に拍手喝さいの嵐!
うつむいて毒づくヨメ子に、投石の嵐!
刹那、トメ子の差し出した右手は荷物をかすめて行き場を失う。
しまった!
息子が自分で荷物を持ち上げてしまったではないか。
荷物を奪おうとしがみつくトメ子。シュミレーション通りに戻さなくては!
しかし、成人した息子の力はトメ子の想像をはるかに超え、彼が
体の向きを変えただけで、トメ子はぶぅんと風を切って荷物から引き離された。
息子「おーい、ヨメ子。切符買ってきて」
ヨメ子「はぁい」
(嗚呼! そんな…)
息子が振り返ると、そこには見事なスライディングポーズを披露している
トメ子の姿があった。
12月も半ばの駅前では、冬とも思えぬ拍手喝さいの熱に沸いていた。