>>55 IBM特約店の社員でございます。IBMの考えはこんなところでしょう。
1.SunやMSからの「IBMはメインフレーム、AS/400、UNIX、PCという
ふうに互換性の無いプラットフォームばっかりで、基幹業務から
エンド業務まで全てサポートするH/W、OSがない」という批判に
全プラットフォームでLinuxを動かすことで対抗している。
2.利益率の高いメインフレームやオフコンが、最近「レガシー・
システム」のレッテルを貼られてユーザー離れが進んでいるので
それを引き止めたい。
3.アプリ開発者がWin、Linux、Solarisに集中して、IBM独自OS向けに
アプリをなかなか開発してくれないので、
Linuxを使うことで豊富なオープンソースを取り込むとともに
開発者の関心を引き寄せたい。
4.ひと昔前は、「時代遅れ、独占企業、悪役」といえばIBMだったので、
Linuxをかつぐことで過去のイメージを払拭し、
新しい悪役のMicrosoftやJavaをかつぐSunに対抗するための
イメージ戦略商品としてLinuxを採用した。
5.米国系企業による支配を嫌う欧州各国で
「政府のシステム構築の際に、実現できる機能が同じ場合には
オープンソースのS/WをメーカーS/Wより優先する」
という通達が出たため、政府関係の仕事が多いIBMとしてはLinuxを
使う必要がある。
今のところこの戦略は大当たりで、従来のIBMユーザーを引き止め
新しい選択肢を提供したり、新しいユーザー獲得に役立っています。
また、LinuxはオープンソースでPC中心であるため、採用するユーザーも
お金を出し渋りやすくて利益率の薄かったLinux関係の仕事を、
大企業のIBMが積極的に手がけることで「金に成る仕事」に変えることが
できて、Linuxを手がける中小のソフトハウスからも感謝されています。
問題点としては、IBMの支配が強大になりすぎてオープンソース・コミュニティの
反発を食らう可能性があることや、
Linuxに「IBMのOS」としてのイメージを定着させる恐れがあることでしょうか。
実際、資金難のTurboやSuSEといったディスリビューターはIBMの資金援助の
てこ入れがなければつぶれていたところですし、Linuxコミュニティの
一部にもIBMの資金を当てにする姿勢が現れつつあるという現状を
考えると、Linuxの将来に一抹の不安が・・・。
Linuxブームを単にブームに終わらせないためにも、ライバルのHP/COMPAQや
Linuxコミュニティの奮起を期待したいところです。