★台風の日には「コロッケ」という伝統

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14ななしのいるせいかつ
東京の杉並区、荻窪駅前の教会通りに佐藤コロッケ店があった。

塩味がほどよいおいしいコロッケが評判の、遠方から買いに来る
客も多い店だった。店長は心優しく、施設の身よりの無い子供を
引き取って何人もの里親になっていた。そのため、お店は繁盛していた
ものの、佐藤コロッケ店の夫婦は貧乏所帯をやりくり。

ところがあの年の台風で、お店は半壊。貯金もない夫婦には、店を
立て直す資金もなく、里子達をかかえ、途方に暮れるしかなかった。

他に収入のあてもなく、半壊したお店の片隅で、なんとか無事だった
フライヤーを使い、夫婦はコロッケの販売を再開した。

やがて、お店の窮状を聞いた常連達が、続々とお店に詰めかけた。
朝から晩まで、コロッケ店の前に客が並んだ。忙しいお店を手伝う
里子の息子達。

やがて店は立ち直り、それから、台風が来ると、佐藤コロッケ店の前には
いつも行列が出来るようになった。