【原発】原発情報3682【放射能】

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779地震雷火事名無し(東京都)
(原発再稼働を問う:1)壁は「島崎」、揺れ想定「14」上乗せ
http://www.asahi.com/articles/DA3S11249750.html
原子力規制委員会の審査をクリアした九州電力川内原発(鹿児島県)。再稼働の
一番手に躍り出た裏には、九電が仕掛けたしたたかな駆け引きがあった。
地震学者の島崎邦彦は原子力規制委員会の委員として電力各社の地質調査や
地震想定に繰り返し疑問を投げかけてきた。「このデータで議論するのは本当につらい」「まだち…
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「まだちょっと足りないように思いませんか」。原発直下の断層では廃炉につながる判断もした。
審査が東日本大震災前と大きく変わったのは、電力業界に対抗できる人物が担うようになったことだ。
その象徴が島崎だった。
再稼働を目指す電力会社にとって、この壁をどう越えるかが大きな課題だった。規制委は地震などの
主な論点を最初に乗り越えた原発を優先的に審査する方針を示していた。選ばれなければ、
審査は数カ月単位で後回しになる。3月5日にあった原子力規制委員会の審査会合で九電は賭けに出た。
「エイヤッと大きくした」。九電技術本部の赤司二郎は、島崎を前に約20分間、熱弁をふるった。
想定する揺れの大きさを表す「基準地震動」の値を震災前の540から620に引き上げることを表明。
さらに、計算上は606でも十分なところを上乗せし、安全性を重視する姿勢を強調してみせた。
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基準地震動は、原発の耐震設計の基本になる。原発近くで大きな地震があるたびにこれを上回る揺れが
観測され、問題になってきた。
大きいほど建屋や配管の強度が必要になり、震災後も据え置こうとする電力会社は多い。わずかな
上乗せでも、九電の態度は異例だった。規制委の担当者は「思想的なものは非常によく見え、
大変安心しました」と返し、島崎も受け入れた。川内原発が優先権を得た瞬間だった。
その九電も、実現しやすい範囲での検討結果だったに過ぎない。
川内の2基が1カ月止まると、月200億円の負担増になる。やみくもに想定を上げ、
耐震工事に時間がかかっては元も子もない。どれだけ工事が必要なのかは計算して
みなければわからない。4足して610では増やした感じがせず、630では高い――。
損得勘定の末、数値が決まったのは前日の深夜。14を足した「620」は
「島崎を納得させ、かつ追加工事に無理のない落としどころ」(幹部)だった。

やはり優先審査の有力候補とみられていた大飯原発(福井県)をめぐっても、
関西電力は最低ラインを探る「値踏み」を繰り返した。関電が想定した間近の
震源の深さは4キロ。規制委は3キロにするよう求めていたが、言われた通りに
すると追加の耐震工事に1年近くはかかり、再稼働が遅れるのは確実だった。
うまく審査を通れば、早期再稼働への道は残る。川内と同じ3月5日、関電は
4キロの根拠を並べて自説を主張した。島崎は納得しなかった。「特定の考えを
支持するだけの論文を集めず、反対する論文もぜひ集めてほしい」「常識的にみて深過ぎる」。
食い下がる関電に見直しを促し、審議を打ち切った。
その後、関電は3・3キロを提示したものの認められず、4月23日の審査会合でようやく
3キロに変更した。川内原発の審査が優先されると、関電をはじめ電力各社は、九電の
審査対応を手伝っている。川内の審査が早く終わるほど、再挑戦の機会も早くやってくる。
そんな打算も働いている。