政府は「無許可で出国する者は罰する」と明言した
http://www.amnesty.or.jp/news/images/nkorea-border_21.06.13.JPG 悲惨な人権状況が報告されている朝鮮民主主義人民共和国政府が最近、国から脱出する人びとに
対する厳罰化を明らかにした。この脅迫的声明は人びとの移動の自由を奪う新たな懸念を呼ぶ。
同国の国営通信社は6月19日に、許可なく出国しようとする人びとを国家への反逆とみなし、
「卑しむべき人間のくずを物理的に排除するため実効性のある方策をとる」という人民保安部の
声明を発表した。さらに声明は「あさましき人間のくずは、今後空を仰ぐことも、死後の埋葬の
場所さえも見いだすことはないだろう」と続いている。
国を離れるという単に移動の自由権を行使したために、拘束や訴追あるいは処罰されることが
あってはならない。
このような声明は、国から脱出を試みて捕らえられた人びとに厳罰を科す方針を継続する政府の
明白な意思を示す。つまり、こうした人びとが恣意的拘禁、拷問や虐待といった危険にさらされ
ることを意味する。命も落としかねない。
同国では国の許可を得ずに外国へ渡航することは禁止されており、最近の取り締り強化で、国境
を越えて中国へ行くことや、ラオスやタイなどの第三国経由の脱出がますます難しくなってい
る。
中国は、無許可で入国した同国の人びとをすべて経済移民とみなし、捕らえた場合は送還してい
る。ラオスでは、不法に入国した同国の人びとを見つけた場合、通常は拘束し、最近までは大韓
民国への移動を許可していた。
今回の公式声明発表は、脱出した10代の若者9人がラオスで逮捕され強制送還された数週間後の
ことだった。14歳から19歳の若者たちは中国からラオスに不法入国して拘束され、5月28日に朝
鮮民主義人民共和国当局に伴われて首都平壌に送還されたと伝えられる。
ラオス政府が9人の若者たちに国際的な保護を与えることなく、処罰の危険性がある故国に強制
送還したことは、国際法および国際基準の違反である。
アムネスティは、9人の若者たちに危害を加えず、また人びとの国外脱出防止のためのプロパガ
ンダに利用しないよう朝鮮民主主義人民共和国当局に強く要望する。国としての人権義務に従う
べきであり、国内の移動および国外渡航許可の必要条件を撤廃すべきである。
最高指導者の金正恩が2012年1月に国境警備を強化し、脱北して捕らえられた人びとを厳罰で脅
迫したと報じられている。
韓国政府によれば、脱北して韓国に逃れた人数は、2011年は2706人だったのに対し、昨年は1509
人だったという。
アムネスティ国際ニュース
2013年6月21日
ソース アムネスティ 2013年07月03日
http://www.amnesty.or.jp/news/2013/0703_4042.html