東電がばら撒いた放射性物質は『無主物』です

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13地震雷火事名無し(家)
プロメテウスの罠 無主物の責任 1 だれのものでもない 11月24日

放射能はだれのものか。 この夏、それが裁判所で争われた。
8月、福島第一原発から約45キロ離れた二本松市の「サンフィールド二本松ゴルフクラブ」が東京電力に、
汚染の除去を求めて仮処分を東京地裁に申し立てた。 
 ―事故のあと、ゴルフコースからは毎時2〜3マイクロシーベルトの高い放射線量が検出されるようになり、
  営業に障害がでている。 責任者の東電が除染をすべきである。

対する東電は、こう主張した。
 ―原発から飛び散った放射性物質は東電の所有物ではない。 したがって東電は除染に責任をもたない。

答弁書で東電は「放射性物質をもともと無主物であったと考えるのが実態に即している」としている。
無主物とは、ただよう霧や、海で泳ぐ魚のように、だれのものでもない、という意味だ。
つまり、東電としては、飛び散った放射性物質を所有しているとは考えていない。 したがって検出された
放射性物質は責任者がいない、と主張する。

さらに答弁書は続ける。
 「所有権を観念し得るとしても、既にその放射性物質はゴルフ場の土地に附合しているはずである。
  つまり、債務者(東電)が放射性物質を所有しているわけではない」

飛び散ってしまった放射性物質は、もう他人の土地にくっついたのだから、自分たちのものではない。
そんな主張だ。

決定は10月31日に下された。 裁判所は東電に除染を求めたゴルフ場の訴えを退けた。
ゴルフ場の代表取締役、山根勉(61)は、東電の「無主物」という言葉に腹がおさまらない。
「そんな理屈が世間で通りますか。 無責任きわまりない。 従業員は全員、耳を疑いました」
7月に開催予定だった「福島オープンゴルフ」の予選会もなくなってしまった。 通常は年間3万人の
お客でにぎわっているはずだった。 地元の従業員17人全員も9月いっぱいで退職してもらった。
「東北地方でも3本の指に入るコースといわれているんです。 本当に悔しい。 除染さえして
 もらえれば、いつでも営業できるのに」

東電は「個別の事業には回答できない」(広報部)と取材に応じていない。