【シンチレーション】HORIBA PA-1000 Radi Part3

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205地震雷火事名無し(東京都)
>>204
4−1 緊急時のためのSr-90 迅速分析法
ストロンチウムの分離、測定試料の調製が容易な液体シンチレーションカウンタによ
る迅速分析法(チェレンコフ光測定)を以下に示す。
この方法は牛乳、海産生物、穀類、野菜などに適用される。
1 分析操作
(1) 食品の「灰」試料1g をビーカーにとり、イットリウム担体10mg、ストロンチウム担体
10mg を加え、王水で分解する。蒸発乾固後、塩酸を加え残留物を溶解する。
(2) ろ紙(5B)を用いてろ過し、ろ液を分液漏斗に移し、ビス−(2-エチルヘキシル)リン
酸(HDEHP)‐トルエン溶液(2:1 容積比)と塩酸(1+11)を加え、1 分間振とうする。
10 分間静置した後、水層を除く(ミルキング時刻記入)*18。
(3) 新たに塩酸(1+11)を加え、1 分間振とうする。10 分間静置した後、水層を除く。
(4) 塩酸(2+1)を加え、1 分間振とうする。10 分間静置し、水層を別の分液漏斗に移す。
(5) 残った有機層に対し、残った有機層に対し、操作(4)を繰り返す。
(6) 水層を操作(5)の水層に合わせ、トルエンを加えて 1 分間振とう後、静置する。
(7) 水層をビーカーに移し、アンモニア水(1+1)を加え、水酸化イットリウムを沈殿さ
せ、これをろ別する。
(8) 塩酸に溶解し、これにシュウ酸2g を加え、アンモニア水でpH1.0〜1.5 に調整し、
シュウ酸イットリウムを沈殿させ、これをろ別する。
(9) 沈殿を塩酸(1+1)に溶解し、100mL ポリエチレン(又はテフロン)瓶に移し、100mL
になるまで水を加え測定試料とする。
2 Y-90 標準線源の作製
(1) ストロンチウム担体(50mg)、イットリウム担体(10mg)及び塩化アンモニウム10g
を加えた100mL 遠沈管に、Y-90 とSr-90 が放射平衡にあるSr-90 標準溶液の約100Bq
を正確に分取して加える。
(2) 塩化アンモニウム 10g、アンモニア水でpH8 にし、水酸化イットリウムの沈殿を生
成させる。
(3) 5 分間遠心分離する。
(4) 沈殿を塩酸(1+1)に溶解し、100mL ポリエチレン(又はテフロン)瓶に移し、100mL
になるまで水を加え測定試料とする。
上記の手順でバックグラウンド用測定試料を作製する。3 検出感度
ドライミルク等の灰試料1g を処理した時、100 分間測定でおよそ40mBq/g のSr-90 が
測定できる。
*18:原子力発電所等の事故によりSr-90(半減期:28.8 年)が放出された場合には、Sr-90 よ
りむしろSr-89(半減期:50.5 日)の放射能が強い。このため、ストロンチウムをクラウン
エーテル系の試薬(例:固相抽出ディスク)により他の妨害核種、元素から抽出分離し、水
溶液の状態でSr-89、Sr-90、Y-90 の3核種をチェレンコフ光測定により2 回測定し、
Sr-89、Sr-90 の放射能を決定することができる。ただし、牛乳や葉菜類等ジュース状・液状の
試料からストロンチウムを固相抽出ディスクに抽出する方法については、今後の検討課題の一つである。