独放射線防護委員会による日本における放射線リスク最小化のための提言
2011年3月20日 ドイツ放射線防護協会 www.strahlentelex.de
ttp://icbuw-hiroshima.org/wp-content/uploads/2011/04/322838a309529f3382702b3a6c5441a31.pdf (PDF 4ページ)
考察と算定 抜粋 1/2
日本では、ほうれん草1kgあたり54,000Bqのヨウ素131が検出されたが、
これを100g摂取しただけで、甲状腺の器官線量は次のとおりとなる。
甲状腺線量
乳児 (1 歳未満) 20 mSv
幼児 (1〜2 歳未満) 19.4mSv
子ども (2〜7 歳未満) 11.3mSv
子ども (7〜12 歳未満) 5.4mSv
青少年(12〜17 歳未満) 3.7mSv
大人 (17 歳以上) 2.3mSv
これは、2001年ドイツ放射線防護令第47条による原発平時の甲状腺線量の限界値である年間0.9mSvを、
たった一食で何倍も超える。
原発事故時の甲状腺線量は150mSvまで許容されるが、これはいわゆる実効線量7.5mSvに相当する。
それゆえ日本国内居住者は、当面、汚染の可能性のある野菜類の摂取を断念することが推奨される。
ヨウ素131の半減期は8.06日である。ヨウ素131が当初の量の1%以下にまで低減するには7半減期かかる。
福島原発の燃焼と放射性物質の環境への放出が止まった後、さらに2ヶ月弱かかることになる。
54,000Bqのヨウ素131は、2ヵ月弱後なお約422Bq残存し、16半減期(4.3ヶ月)後にようやく1Bq以下になる。
独放射線防護委員会による日本における放射線リスク最小化のための提言
2011年3月20日 ドイツ放射線防護協会 www.strahlentelex.de
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考察と算定 抜粋 2/2
長期間残存する放射性核種
長期的に特に注意を要するのは、セシウム134(半減期2.06年)、セシウム137(半減期30.2年)、
ストロンチウム90(半減期28.9年)、プルトニウム239(半減期2万4,400年)などである。
通常、2年間の燃焼期間の後の燃料棒内の割合は、
セシウム137:セシウム134:ストロンチウム90:プルトニウム239=100:25:75:0.5 である。
チェルノブイリなど過去の原発事故での経験、公表された日本の測定結果、
科学的考察などにより、今回の日本のケースに関する以下の計算では、割合を
セシウム137:セシウム134:ストロンチウム90:プルトニウム239=100:100:50:0.5 と仮定し、
1kgあたり
セシウム137 100Bq
セシウム134 100Bq
ストロンチウム90 50Bq
プルトニウム239 0.5Bq
で汚染された飲食物を摂取した場合を想定すると、2001年版ドイツ放射線防護令の
付属文書VII表1にもとづく平均的な摂取比率として、以下のような年間実効線量となる。
実効線量
乳児 (1 歳未満) 6.0mSv/年
幼児 (1〜2 歳未満) 2.8mSv/年
子ども (2〜7 歳未満) 2.6mSv/年
子ども (7〜12 歳未満) 3.6mSv/年
青少年(12〜17 歳未満) 5.3mSv/年
大人 (17 歳以上) 3.9mSv/年
現行のドイツ放射線防護令第47条によれば、原発平時の空気・水の
排出による住民1人あたりの被ばく線量の限界値は年間0.3mSvである。
この限界値は、1kgあたり100Bqのセシウム137を含む飲食物を摂取するだけで既に超過
するため、年間0.3mSvの限界値以内にするためには、次の量まで減らさなければならない。
セシウム137被ばく線量
乳児 (1 歳未満) 5.0Bq/kg
幼児 (1〜2 歳未満) 10.7Bq/kg
子ども (2〜7 歳未満) 11.5Bq/kg
子ども (7〜12 歳未満) 8.3Bq/kg
青少年(12〜17 歳未満) 5.7Bq/kg
大人 (17 歳以上) 7.7Bq/kg
評価の根拠に不確実性があるため、乳児〜青少年に対しては汚染飲食物1kgあたり4Bq以上、
成人は汚染飲食物1kgあたり8Bq以上の基準核種セシウム137を含む飲食物を摂取しないことが
推奨されるべきである。
国際放射線防護委員会(ICRP)は、そのような被ばくを年間0.3mSv受けた場合、
後年、10万人につき毎年1〜2人がガンで死亡すると算出している。
しかし、広島と長崎のデータを独自に解析した結果によれば、その10倍以上、
すなわち0.3mSvの被ばくを受けた10万人のうち、毎年およそ15人がガンで死亡する可能性がある。