丹羽 仁史 様
「STAP現象の検証の実施について(スライド)」PDFのp.9の記述
http://www3.riken.jp/stap/j/b9document1.pdf http://www3.riken.jp/stap/j/b9document1.pdf >1週令マウス脾臓由来CD45陽性血液細胞の10−20%がT細胞で、
>そのうち10−20%がT細胞受容体遺伝子再構成を持つ。
>(全CD45陽性細胞の1−4%がT細胞受容体遺伝子再構成を持つ)
に疑義があります。
まず、標準的なT細胞の定義ではT細胞とはT細胞受容体を持った
リンパ球でポジティブセレクションとネガティブセレクションを
経た細胞を意味します。よって標準的なT細胞の定義では、T細胞の
全てがT細胞受容体遺伝子再構成をしているはずです。
仮にあなたのT細胞の定義が、通常のT細胞の定義と異なり、胸腺(注)に
移動してきた直後のT前駆細胞をも含むとしても、成熟できなかった
T前駆細胞はアポトーシスするため胸腺(注)の外には出てこないはずで、
仮にあなたが未成熟のT前駆細胞をT細胞と呼んでも、結合組織系の臓器で
あって上皮系臓器ではない脾臓では成熟T細胞の方が未成熟のT前駆細胞
(仮にあなたの定義ではこれもT細胞と呼ぶと仮定しても)より多いはずです。
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(注)T細胞は主に上皮系の臓器である胸腺で分化するが、一部は腸管上皮や
上皮系臓器の肝臓でも分化するが、T細胞分化の場所は上皮組織に限定されている。
(『免疫学辞典(第2版)』東京化学同人の「T細胞分化」項目 及び
下記のNature Japan特集記事参照)
http://www.natureasia.com/ja-jp/jobs/tokushu/detail/229