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506名無しゲノムのクローンさん
山城哲さん(微生物学者/長崎大学熱帯医学研究所・教授)

感染症の制圧に ベトナムでの研究から貢献したい

プロフィール
山城哲 やましろてつ
1960年、沖縄県生まれ。琉球大学医学部医学科卒業。医学博士。学生時代に「熱帯医学研究会」を友人
たちと立ち上げて以来、感染症の分野での研究に携わる。大分大学の助教授職などを経て、長崎大学
熱帯医学研究所の教授に。2006年に来越し、ハノイにおいて『新興再興感染症臨床疫学研究拠点・ベトナ
ムにおける長崎大学感染症プロジェクト』に従事。

 ベトナム戦争に医師として志願したベトナム人女性、ダン・トゥイー・チャム(Dang Thuy Tram)。25歳当時
の1968年から戦死する2日前までの約2年間、彼女が日々の生活をはじめ、仲間や恋人、家族への想いな
どを綴った「トゥイーの日記/Nhat Ky Dang Thuy Tram」は2005年にベトナムで出版され、大反響を呼んだ。

 鳥インフルエンザやSARS(サーズ)、デング熱など、現在、地球規模で感染症の流行が次々と報告され
ている。このような感染症の実態を解明するため、文部科学省が行う新興感染症研究ネットワーク事業の
一環として、長崎大学熱帯医学研究所がベトナム国立衛生疫学研究所(NIHE)と協力し、感染症研究の
ためのプロジェクトを立ち上げた。長崎大学からは研究者6名と事務官1名がベトナムに滞在して参加して
おり、山城教授はそのリーダーを務めている。

 同プロジェクトでは、鳥インフルエンザのような人間と動物の間で感染する人獣共通感染症や、下痢など
の腸管感染症研究の他、複数のテーマの研究が同時に進められている。長崎大学がこれらの研究のため
のフィールドとしてベトナムを選んだのは、すでに25年近く続いてきた協力関係の実績や、日本に比べて
豊富な臨床数ということ以外に、ベトナムの文化的・生物学的要因もあるという。

「ベトナムは生物学的に多様であるばかりでなく、財産として住居の近くに豚を飼う習慣があったり、豚や鶏、
アヒルなどの異なる種類の動物を一緒に飼育する混合飼育が盛んだったりと、動物と人、異種動物間の
距離が近いんです。あくまでも仮説の域は出ませんが、人獣共通感染症をはじめとする、私たちの感染症
研究に適したフィールドなのではと考えています」。