手から餌やり駄目 酒田・スワンパーク 鳥インフル予防
白鳥飛来数が日本一の山形県酒田市の最上川スワンパークで、今シーズンから一般の餌やりに
新たな規制が加わった。人間への鳥インフルエンザ感染を防ぐため、餌は手で直接与えず投げ
込むなどの内容で、市は衛生管理の徹底を求める。餌付けを禁じた大館市などの例もあるが、
酒田市は「観光客の安全対策を講じながら、将来的な餌付けの在り方を考える契機にしたい」と言う。
市が求める餌やりの変更点は(1)鳥に触れないよう手で与えない(2)川に突き出た堤防には行かず、
川べりで投げ入れる(3)手や靴底を消毒して帰る―など。給湯用だった仮設の観察小屋の蛇口を
手洗い用にし、張り紙で周知徹底を呼び掛ける。
スワンパークでは「酒田市白鳥を愛する会」の会員が常駐し、くず米やパンをバケツに小分けして
一杯100円で提供している。野鳥と触れ合う憩いの場として、30万―40万人が訪れる。
市は昨シーズン、愛する会に一般の餌付け自粛を求めたが、「全国一斉であれば従うが、酒田だけ
禁止になるのは納得できない」と猛反発された経緯があり、今回の規制は折衷案といえる。
カモが群れてフンがにおうなど、餌付けの弊害が目立つことも背景にはある。
スワンパークには近年、1万羽前後が飛来する。愛する会の碇谷啓二会長(77)は「白鳥は環境が
いいからやって来る。給餌は田んぼが雪に覆われる厳冬期に多くやるよう配慮している」と説明。
鳥インフル対策については「あまり心配していないが、市と合意した内容で感染防止に努めたい」と言う。
スワンパーク内の国指定鳥獣保護区を管理する環境省猛禽(もうきん)類保護センター(酒田市)の
田村努自然保護官は「飛来数の増加は生息環境が優れている点に加え、餌付けも一因だろう。
愛護活動を一概に否定することは適切ではないが、野鳥が人間の餌に依存してしまうような安易な
餌付けは良くない。いずれ地域の実情に応じ、適正な給餌方法を探ってほしい」と話している。
2007年11月27日火曜日 河北新報
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