動物の比較行動学というのは、このような感じです。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/487698302X.html このアプローチからよく出される例はヴェルヴェットモンキー(以後、VMと略)
の警戒音です。ワシオキツネザルの例(HPの作成者がこれを最初に発見)ですが、
警戒音についての説明は以下の通り。
http://anthro.zool.kyoto-u.ac.jp/evo_anth/symp9907/oda.html VMは3種の警戒音を確実に弁別しています。@ヒョウ、Aワシ、Bヘビに対する警戒音。
@が発せられると仲間は木に登り、Aだと潅木に身を潜め、Bだと二本足で立ち周囲を見回します。
出典は、Cheney & Seyfarth, How Monkeys See the World. Chicago: Univ. of Chicago Press, 1990.
3分の1ほど読みましたが、ここの記載事項を自己の著書の1章の内容に収めてしまっている日本人
研究者がいます。印欧語の比較音韻論研究では、こうした事態は当たり前なので、抵抗はなかったのですが・・・
動物集団のなかで音声が弁別的であり、さらに意味作用をもちます。
さらに面白い例が。上記英書P.111によると、VMはさらに「未知の人間」に
対する警戒音をもっている由。どうやら、近くに住むマサイ族の子供がVMに
石を投げて遊ぶために警戒した模様。子供がいないと、警戒音は小声になるそうです。
この本の研究班が彼らに近づくと「未知の人間」に対する警戒音を最初は発していたが、
危害をくわえないとわかると、また別の音声に変更したようです。
この成り行きをどう考えますか?