霊長類の中でも、特に人間に近いとされるサル目は「ヒト上科」に分類される。
チンパンジー、オランウータン、ゴリラ、テナガザルがそうである。
このあたりから、オスとメスの関係がガラっと変わってくる。
まず、テナガザルは一夫一妻であり、子供を含めた4頭程度の群れを形成している。
テナガザルは、ほぼ完璧な一夫一妻制で、しかも、生涯を同じ伴侶とともに暮らす。
子供ができると、両親がそだてて、やがて子供たちは巣立っていくというもので
かつ、その家族というものは、他から完全に独立していて、夫婦と子供からなる家族が
多数あつまって群を作ることはないとされている。
これほど仲むつまじいおしどり夫婦でありながら、交尾をするのは、年に数回と非常に少ない。
オランウータンの場合はというと、単独雄と、母子集団という形をとる。
オスはほぼ完全に単独で独立し(オランウータンには天敵がほとんどいない)
一人であっちこっちうろつき生涯を過ごし、子育ても一切しない。
(ただし、2、3匹のオスが一緒に行動しているケースも見られている)
メスは子供をそだてて、自分の子供とともに数頭で移動し、交尾期になると
単独雄と交尾して、そのまますぐにオスとは別れる。
565 :
ゲノム:2007/02/19(月) 23:40:31
ゴリラには、1頭のオスを中心とし、数頭のメス、そして子供達から群が構成され
配偶したメスとは一生を共に暮らし、家族を愛する習性がある。
ゴリラのハーレム的な社会も、他の生物のものとは違っていて
集団のボスのオスが年老いたり、あるいは死んだりした場合には
その集団で生まれたオスが集団を受け継ぐことになっていて、つまり、ボスにとっては
同じ集団の自分の息子たちがライバルであって、息子がボスになる、というものである。
基本的には息子は次第にボスとの反発関係を強め、群を離れ、単独生活を行う。
が、息子と決定的な敵対関係に陥ることはない。
息子たちは、ボスと共に群を守り、ボスが老齢な場合は
成熟した息子が集団に残り、しだいにボスに代わってリーダーシップをとるようになる。
しかし、息子が群を乗っ取ったり、ボスに対して優位に振る舞うことはないため
ボスがメスの支持を失うこともなく、死ぬまで群の核としての立場を維持できる。
集団で生まれたメスはある程度の年齢になったら、集団から離れて、別の集団に「嫁入り」する。
だから、集団には、ボスである雄と、そのボスの複数の妻、それも、それぞれ異なる集団から
やってきた妻たちと、そして未成熟の子供、さらに、成熟して、集団のボスになることを
ねらっているボスの息子たちが存在することになる。
566 :
ゲノム:2007/02/19(月) 23:41:07
さらに、ヒト上科の中でも特に人間に近いとされるチンパンジーは、複雄複雌であり
食物分配を行なうことが知られている。分配者は優位なオスであることが多い。
20〜100頭程度の複雄複雌からなる社会的集団を形成して生活している。
雄は12〜13歳で性的に成熟するが、社会的に成熟するのはその数年後。
下層の雄もボス猿も、交尾を受け入れるメスがいれば交尾をできる。
チンパンジーは、メスは一般的に出産可能な年齢になると、生まれ育った集団を離れ
他の集団に移りそこで子供を産む一方、オスは出自群に留まり
大人のオス同士の強固な連帯を形成しすることで集団を維持する、複雄複雌の父系集団である。
社会構造は階層制で、各集団に雄のボス猿がいて、すべてのメスはすべてのオスの
支配下に入るため、オスがメスに対して圧倒的に優位である。
オスは集団周辺の地域をパトロールし、他集団の猿は攻撃する。