>>867 実際に、<フェーズA>の「制限的な突然変異」の発生メカニズムに関しては棚上げにしていました。
この部分はKATさんらに下駄を預けてしまいたかったんですが(笑)。
情報処理とは具体的には生物が外部の環境からどのような情報を受け取り、どのように内部でその
情報を処理してるか。つまり、生物は環境との「関係」をどのように「解釈」しているかに関わる部分で
す。生物にとって情報処理とは環境からの情報シャワーから自分にとって意味のあるものを選択して
読み取り、その情報にプラス/マイナスの評価コードを付け加えることだと考えいます。
ここで、<フェーズA>における「環境の撹乱」を考えてみると、つまりこれは生物のシステムと環境か
らの情報との間にある深刻なギャップが生じている状態だとみなします。例えば、嫌気性の細菌が卓越
している場所で徐々に酸素の量が上昇しているようなケースが考えられるのではないでしょうか。
オートポイエーシス的な閉鎖システムでは、このような自らの柔構造の限界付近のギャップを読み取っ
た場合、生物にとって何らかの形で強い「ストレス」が内部で生じると仮定します。
そのストレスが、例えば生物の情報処理システムが同一の要素を産出する<同じDNAコードを産出する>
機能に関与して変異が起こるのではないかと仮定します。これが「補償」です。
つまり、獲得形質の遺伝は起こらず、環境と生物のギャップが生物の情報処理システムにストレスを生み、
そのストレスが生殖細胞の生産環境に何らかの影響力を行使する、です。
具体的には、強いストレス環境で、何らかのホルモン分泌が起こり、そのホルモンの影響で生殖細胞に
「変異が起こりやすくなる」。この場合の詳しいメカニズムは私には想定できませんが、分子レベルでの化学
反応がこの「変異のコントロール」に関与しているという想像は一応できそうです。
■上記を確認するための実験モデル
ある生物をある環境におき安定的に増殖しているケースで、その生物に意図的なストレスをかけるように
環境を変化させる。この安定的な環境とストレス環境の両ケースにおいて遺伝子の変異のパターンに
違いがあるかどうかを観察する。
また、上記の環境からの「撹乱」が、「大きすぎ」れば、種は絶滅し、「小さいすぎ」れば、変異は起こりにくくなると
仮定すると、制限的な突然変異が発生する場は秩序相でもカオス相でもない、まさに「カオスの縁」の出来事出だと考え
ることもできそうです。
さらに<すまそ>、もちろん生物は環境に適応するために「カオスの縁」を志向しているという
ことではなく、生物の独自の仕事、つまり、<フェーズB>の活動によって環境との関係性が変化し、
好むと好まざるに関わらず生物の前に「カオスの縁」が現われる、と考えてもよさそうです。
そして、この<フェーズB>の活動次第ではずっと秩序相にとどまって変異をしない種もあるでしょうし、
行過ぎてカオス相に落ち込んでしまい絶滅する種もいるでしょう。その意味でやはり、「カオスの縁」とは
狭くて危うい尾根のようなものだという例えに共感できるものがあります。
↑ただ、上記は全部仮説ですが・・・
871 :
名無しゲノムのクローンさん:02/05/14 00:12
これで全てでしょう。
856 :みね :02/05/13 01:38
すくなくとも、この件に関しては、きゅりおさんは人間での観察をあまりに
安易に他の動物にもあてはめようとしていると感じる。
これは批判としてちゃんと受け止めてください。
>>842 と言うか、
>>841がみねさんの考えにどれだけ近いのか、はたまた全然違うのか指摘願いたいのですがw。
>>846 >ミームを論じる場合に、
>>840では不十分だと考えます。
確かにミームと考えると不十分極まりないですが、もっと単純化して考える事もできます。
たとえば化学物質に対して走行性を持つバクテリアについて考えます。彼らは、蔗糖と、
仲間が発する匂い物質にある確立で誘引されるとします。
ある個体が麦芽糖を分解する酵素を手に入れ、かつ麦芽糖に誘引される変移を入手しました。
この変移した個体に誘引された個体群は目的地には蔗糖は無く、麦芽糖は捕食する事ができません。
多くの個体は飢餓で失する事になるかも知れませんが、同じく麦芽糖を分解する酵素を作る事が
できる固体も増えて行くかもしれません。
この考え方は総合説が進化を個体に置いている事に対して、個体の変化が種全体に広がる可能性に
重点を置いていると言えますね。ある意味、総合説の補完だとも言えます。
>>867 >交叉とエキソンシャッフリングは、基本的に違う現象です。
混同していました。ご教示有難うございます。
> ここのところ、きゅりおさんのフェーズAのメカニズムが獲得形質の遺伝と同一ではないかと思う
>のは、私だけではないようです。
まぁ、確かにきゅりおさんの説は、理解するのにかなり読み返す必要があるのですがw。
しかし、すくなくとも「獲得形質の遺伝と同一」ではないと思いますよ。<フェースA>のメカニズムは
突然変異と適者生存で現したとしても成立してしまうのだし・・・。私の目的はみねさん、きゅりおさんに
自説の全貌を語らせる事にありますw。その上でKATさんの性選択を重視した説と照らし合わせて、現在の
進化論上にマッピングできたらいいなと。
>>872 >ある個体が麦芽糖を分解する酵素を手に入れ、かつ麦芽糖に誘引される変移を入手しました。
これは要するに突然変異でその形質を獲得したことと同義です。つまり遺伝子の変化が起こっている。
>この変移した個体に誘引された個体群は目的地には蔗糖は無く、麦芽糖(蔗糖の誤り?)は捕食する事ができません。
目的地ってなんですか? そんなものはあるのですか?
結局、ё さんがここで示された考え方は総合説に他なりませんよ?
総合説、きゅりお説、私の考え方をここで要約して示しておきましょう。
○総合説−突然変異によって生じた新しい形質が環境によって選択される
○きゅりお説−環境の擾乱に対して生物が反応して内部の擾乱と合わさって新しい
形質を生み、それが遺伝子の変化をもたらす
○私−遺伝子の変化とも環境の変化とも無関係にw新しい行動を示す個体が出現する。
この個体はいわばパイオニアであって、その行動の有利不利に関わらずある個体群に広がることがある
それが実際に身体の構造のような表現型に有利な形態と不利な形態の差異を生み、
その結果、おもに組換えによって個体群の遺伝子組成が変化する。これを、パイオニア個体進化説wと
名付けよう。
たとえば蔗糖にわずかに有毒物が混入した地帯があったとする。誘引された細菌の一部は
そのことをいわば学習してこの地帯に寄りつかなくなる(この細菌はパイオニアである)が、
彼らにはその知識を他の個体に伝えるすべがなく、また寄りつかなくなったという行動の変化を
キャッチできる他個体も存在しない。従って、総合説の予想するとおりの進化の道筋を
たどる。
しかし、ある程度神経系が発達してきた生物では、遺伝子の変化とも環境の変化とも無関係に
新しい行動を示すパイオニア個体の行動を模倣できるので、私の考えるような進化の道筋が生じる。
ラットにおいても社会性が認められるということは、もしもパイオニア個体が出現したら
この進化の道筋をとりうる可能性がある。おそらくこの進化の道筋は速やかに進行しうる。
これはなにも総合説を否定するのではなく補完するものであって、キリンの首や鳥類の進化などの
急速に進行したと思われる進化を説明しようとするものである。
あるパイオニア個体の行動に端を発して、ある個体群にその行動が行き渡った時、
その行動を助長するような変化(組換えであれ突然変異によるものであれ)は、いわば
その個体群に歓迎されて積極的に保存されていく、と考えられる。もちろんそれが
環境に適応したものであれば願ったりかなったりなんだが、必ずしもそうとは限らない。
さて、きゅりお説のフェーズAのメカニズムは、ますますバクテリアの適応変異と
同一であると思えてきました。これを実証する実験に関しては 700 さんから問題点が
指摘されていますが、大腸菌の適応変異ですでに実証済みです。
つまり、培地にグルコースまたはラクトースのどちらかを含むものを2種類用意し、
ラクトース分解酵素に変異がありラクトースを炭素元として利用できない大腸菌をそれ
らの培地に植えます。
グルコース培地では、グルコースを炭素元として利用できますので、環境からの
ストレスは受けません。
ラクトース培地では、利用できる炭素元が無いので、環境からのストレスを受けま
す。ところが、グルコース分解酵素が活性化型になれば生き残ることが出来ます。
実際に、ラクトース培地ではある一定の頻度で、グルコース分解酵素が活性化型に
なった変異株が得られます。そういった変異株が得られる頻度を、ラクトース培地で
培養した場合とグルコース培地で培養した場合で比較すると、明らかにラクトース培
地で培養した場合のほうが頻度が高いのです。これは、完全にきゅりお説のフェーズA
のメカニズムに合致します。
ただ、厳密な意味で 700 さんから指摘された
>>839 のようなことが起こっている
可能性は、未だ否定できていないと思います。しかしながら、そのメカニズムはとも
かく、ラクトース培地上でラクトース利用型の大腸菌が現れる頻度は、普通に考えう
る頻度よりも高いのは観測事実として明らかであり、ラクトースの有無を何かのメカ
ニズムで感じ取っているのは間違い在りません。
>>842-866 の、みね・きゅりお両氏による議論からきゅりおさんの考えを想像してみ
ると、多細胞生物においては↑のような適応変異的な考え方と少し違っているのでは
と感じるのですが、どうですか?このあたり、未だきゅりおさんの考え方が整理され
ていないように見受けられます。
私が感じたのは、種・ないしは個体レベルにおける変化の方向性が世代を通じて
維持されることが大事なのであり、その変化の方向性は必ずしも良い方向に向かうと
は限らないということです。
ここのところ確認してください。>>きゅりおさん
>>868 >実際に、<フェーズA>の「制限的な突然変異」の発生メカニズムに関しては棚上げにしていました。
>この部分はKATさんらに下駄を預けてしまいたかったんですが(笑)。
分かりました。考えてみます。私からの提案としては、単細胞生物と多細胞生物
(特に、多細胞動物)で分けて考えるべきであるということです。
単細胞生物に関しては、適応変異の存在からきゅりお進化論のフェーズAを変更
することなくそのまま受け入れることが出来ると考えています。
多細胞生物に関しては、適応変異が適用できません。それは、実際に環境の錯乱を
受けるであろう体細胞系列と、次世代に受け継がれる生殖系列が切り離されているから
です。
これが完全に切り離されていない多細胞生物、例えば植物、では適応変異が進化の
原動力になっている可能性を否定しません。しかしながら、我々多細胞動物の場合は
大いに問題ありです。
>>KATさん
一つ質問なんですが、「適応」変異って、言うほど適応的とは限らないんです
よね?っていうのは、例えば抗生物質耐性遺伝子が、抗生物質(例えばそれを
代謝したりと取り扱うような遺伝子が全く存在しないような有害物質)に
曝されたとしても有意に生まれやすくなるということはないんですよね、という
事なんですが。乳糖が多い培地では乳糖代謝酵素が活性化されるために
(この「活性化」というフレーズも、別にDNAが化学的に活性を得たわけでも
ないんだから本当かなぁと思わなくもないですが)変異率が上がるとしても。
それと、単細胞生物だとプラスミドによる遺伝子の水平伝達ってのも進化を
考える上で重要だろうなぁと思わなくもないです。
>>877 >例えば抗生物質耐性遺伝子が、抗生物質(例えばそれを
>代謝したりと取り扱うような遺伝子が全く存在しないような有害物質)に
>曝されたとしても有意に生まれやすくなるということはないんですよね
現在のところ、適応はかなり限られた環境でしか再現できません。
おっしゃるように、抗生物質耐性獲得のメカニズムは異なっている可能性
が大です。ただし、抗生物質耐性獲得に関しては殆どの場合すでに出来上
がっている耐性遺伝子の伝播ということでしか観察できないですから、
実際の進化を反映したものかどうか難しい問題です。
同時に、大腸菌で発見された適応変異が進化を反映しているかどうかに
ついても疑問があることは、おっしゃるとおりです。
当然、プラスミド・ウイルス・トランスポゾン・F因子等による遺伝
子の水平伝達が単細胞生物の進化に大きく関与していることは否定しま
せん。ここで皆さんがそれぞれに語っている進化のメカニズムは、多種
多様な進化のメカニズムのうちの一つであると、私は理解しています。
>>868 >具体的には、強いストレス環境で、何らかのホルモン分泌が起こり、そのホルモンの影響で生殖細胞に
>「変異が起こりやすくなる」。この場合の詳しいメカニズムは私には想定できませんが、分子レベルでの化学
>反応がこの「変異のコントロール」に関与しているという想像は一応できそうです。
ここで、「変異が起こりやすくなる」、この変異率上昇は染色体全体にわたって一様に
上がると考えていますか?ここのところ、確認してください。>>きゅりおさん
>>876 > 私が感じたのは、種・ないしは個体レベルにおける変化の方向性が世代を通じて
>維持されることが大事なのであり、その変化の方向性は必ずしも良い方向に向かうと
>は限らないということです。
そう、これは大事ですね。私が言いたいのは、変化の方向性を世代を通じて維持させる
ものは生体外の環境だけじゃない、生体間の相互作用も同じように有効に働くことがある
ということです。しかも、そのきっかけは遺伝子でも環境でもないことがある。
>>876 >私が感じたのは、種・ないしは個体レベルにおける変化の方向性が世代を通じて
>維持されることが大事なのであり、その変化の方向性は必ずしも良い方向に向かうと
>は限らないということです。
の問いは↓をご参照ください。
>生物は独自の文法で環境を解釈しているのだから、その文法の盲点・欠陥などによって
>いつも「最適」な行動が選ばれるとは限らない。
また、
>多細胞生物に関しては、適応変異が適用できません。それは、実際に環境の錯乱を
>受けるであろう体細胞系列と、次世代に受け継がれる生殖系列が切り離されている
>からです。
に関しましては、
>>868で一応仮説を提出しています。ご参照を。
>>e君へ
総合説と複雑系ベースの進化仮説では進化観がまったく「逆」だと思います。
つまり、総合説(ダーウィニズム)では、
坂の上からバケツで水を撒いたとき、水はいく筋にも散らばりながら坂を流れてゆきます。
この筋の現われようが突然変異に例えられます。水は坂道を流れながら分岐していくので
すから、変異の何かの「力」を想定する必要はありません。
一方、複雑系的な自己組織化の進化観では、
坂の上へ向って水を撒くようなイメージです。もちろん、実際は↑のように水が分岐して広が
る前に水は重力によって坂の下へ向って流れ落ちてしまいます。しかし、この水の分岐のふ
るまいが上と同じように重力に反して坂の上へと登ってゆき、分岐していくと仮定するとすると、
そこには何か「力」が加わっていると仮定せざるを得ません。水をしたからじわじわ押し上げ
ていく「力」、これが自己組織化の「力」のイメージではないかと僕は考えています。
自己組織化は自分が作り出した秩序が飽和状態に達すると相転移を起こして別の生態的位
置を獲得します。
↑
このイメージがカウフマンの考える複雑系ベース進化のイメージだと僕は思います。
e君の発言でたまに進化は坂道を下っているのか、登ってるのか、混同しているような局面が
あるので、せいいっぱい例えを考えてみました(笑)。
↑は
前者がエントロピー増大系
後者がエントロピー減少系での要素のふるまいとも考えられます。
>>873 >目的地ってなんですか? そんなものはあるのですか?
変移した個体が誘引された場所の事です。「目的地」に深い意味は持たせていません。
そこには麦芽糖のみがあり蔗糖は存在しなかった場合について述べています。
>結局、ё さんがここで示された考え方は総合説に他なりませんよ?
総合説は「進化」に対する単位を「個体」に置いている所が非常に重要なのですが・・・
それともみねさんはグールドやマーグリスを飲み込んだ後の「総合説」を前提としているのですか?
>>872はみねさんの「遺伝子の変化を伴わない表現形の変化」の文脈で発言しており、みねさんの
考えはこのような感じかな?とpingを打っている状況です。全然違うのならば別段取り下げても構いません。
>>882 >総合説と複雑系ベースの進化仮説では進化観がまったく「逆」だと思います。
うーん、私は同じモノを別の観点で見ていると考えているのですが・・・
きゅりおさんが「なんらかの蓄積により系が飽和して相転移」すると感じられているようですが、
これのイメージが私にはどうしても沸かないのですよ。
私は複雑系に関してリスム(状態遷移の)
>自己組織化は自分が作り出した秩序が飽和状態に達すると相転移を起こして別の生態的位
>置を獲得します。
これはきゅりおさんの解釈であり、誰でもこのように解釈する訳ではありません。
カウフマンは「自己組織化と進化の論理」の中で非平衡系の頑強さについて述べています。
その上で系が不安定となる条件を二つ挙げています。曰く
・小さな変化が劇的な影響を与えるパターン
・初期条件における小さな変化が後の振る舞いを急激に変えるパターン
いずれもE.N.ローレンツの理論で語られている事です。さらにカウフマンは「頑強な系」に対して
「系の持つ冗長さ」に言求しています。種が安定である為には(実際に種は安定なのですが)系自体が
誤り訂正を行い得る情報系である必要があると解釈しています。でなければ散逸構造により自己組織化
された系であったとしても、エントロピー増大則により、何れ系は失われて行く運命に有るといえますが、
それにしては生命はしぶといw
生物がカウフマンの言う所の構造安定性、つまりきゅりおさんのいう「柔構造」により変化は吸収されて
「系の状態遷移」は「不特定だが、一定の範囲のパターンの中に収まるリズムを刻む」事になります。
これらの事は複雑系では安易に理解され(むしろ新規性は乏しいと思われます。訳出がもっと早ければ
良かったのに・・・)、かつ総合説を真っ向から否定している事になります。
このスレで度々取り上げられる生き物の模様<魚やキリン、ヒョウ、貝>は、きゅりおさんの言うように
何かの蓄積で発生しているのでしょうか?あのような不連続かつ不規則な幾何学模様を描く為には、
微分方程式モデルでは外部からルールの変更を行う必要がありますが、例えばCA法(セルオートマトン法)
では、単純なモデルから不連続性/不規則を持つ幾何学模様を得る事ができます。これは初期条件を変える
事により、劇的に変わってしまいます。これは静的な例ですが、進化におけるプロセスに関して同様に
検討を行っているのがカウフマンだと言えるのでは無いでしょうか?
>e君の発言でたまに進化は坂道を下っているのか、登ってるのか、混同しているような局面が
>あるので、せいいっぱい例えを考えてみました(笑)。
端的に言いましょう。
<前提>
生物は自らが持つ「柔構造」ゆえ、そう簡単には進化しない。進化する時は劇的な変化を伴う。
<予測>
現在進化学者が観測していると言っている変化は進化ではなく、構造に対する攪乱への応答であり、
個体を自然に戻すと世代交代により淘汰もしくは修復されてしまうだろう。
進化におけるメカニズムは種により様々で一般化はできない。
#進化学者の夢を打ち壊すような考え方で、今まで語ることを躊躇っていましたw
>>885は
s/私は複雑系に関してリスム(状態遷移の)//
です。申し訳ありません。
>>885 >うーん、私は同じモノを別の観点で見ていると考えているのですが・・・
↑の根拠は?
カウフマンは視点は、「偶然または必然」、じゃないと思いますよ。
俺は「偶然を伴った必然」(半主体/半客体)、あるいは「必然を伴った偶然」(半客体/半主体)。
つまりは、両方が切り離せない過程だと思います。
>自己組織化は自分が作り出した秩序が飽和状態に達すると相転移を起こして別の生態的位
>置を獲得します。
・・・はカウフマンの生命観のポイントだと読解しました。そのフェーズを分解する場合に<偶然/必然>の相互作用が
出てくる。e君はその両方を「分解」して考えているような気がする。ホワイトヘッドの「出来事」を偶然と必然に
分解できますか? 両方一体となった過程ではありませんか?
細かい引用は後日。現在はノルウェー戦、観戦中w
>>888 >>うーん、私は同じモノを別の観点で見ていると考えているのですが・・・
>↑の根拠は?
得ているデータは同一だからです。私はこのスレで度々「認識の立場により見え方は変わる」と述べています。
>カウフマンは視点は、「偶然または必然」、じゃないと思いますよ。
カウフマンは「原初の生命の発生」も「進化」も必然だと考えているように見えます。
言うまでも無い事ですが、カウフマンが複雑系の代弁者ではありませんし、私と認識はかなり異なります。
>・・・はカウフマンの生命観のポイントだと読解しました。そのフェーズを分解する場合に<偶然/必然>の相互作用が
>出てくる。e君はその両方を「分解」して考えているような気がする。ホワイトヘッドの「出来事」を偶然と必然に
>分解できますか? 両方一体となった過程ではありませんか?
私は特に偶然/必然の対置を行っているつもりは無いのですが・・・
「みねさんの考えはこういう事?」、「カウフマンの解釈、少し違うんじゃない?」と言っているだけなんですけれどね。
主張と言えば、
>>886はそうなのですが、これに関して偶然と必然に分解していると言えますか?
(あえて言えば「進化する事は必然、どのような進化をするかは偶然」と言っているか・・・)
後日、少し整理をしましょう。
俺は
>>882の二つの「OS」が重なり合うとは思えません。視点の混乱のように見えます。
>>881 >に関しましては、
>>868で一応仮説を提出しています。ご参照を。
もう一つの質問(
>>879)はどうですか?これの答えで、そちらの説がほぼ理解できたと
思っているんですが。
>>880 みねさんが考えている一つは、ミームなのでしょう。私のその可能性はむしろ肯定的に
考えたいと思います。
>>882 (ネオ)ダーウィニズムの考え方を坂道での上下、エントロピーの増減で考えることは
非常に危険です。げんに、ダーウィン自体がそのような進化の方向性を否定しています
から。おそらくダーウィンやその他の人たちが考えていることと、生物社会の自己組織化
は同一の現象だと思っています。これら2つの考え方が「2つのOS」(
>>890)だと思え
ません。(ネオ)ダーウィニズムでの考え方は明らかに還元論とは異なります。ёさんが
生物系の人は特に複雑系を意識する必要はないといったのは、こういったことだと解釈
していますが。
>>886 現存の生物は、種の保存のための変異修復能力と、「赤の女王」状態で生き残っていく
ための変異作成能力の二面性があると思います。
大腸菌を例に挙げますが、この生物は非常に精度の高い DNA 複製酵素(proof-reading
or high-fidelity DNA polymerases)と、間違いがちな複製酵素(error-prone DNA polymerases)
を持っています。通常の増殖の場合、当然ながら精度の高い物を利用しており、DNA 障害等
で構造変化を起こした塩基があるとそこで複製を停止し、修復されるのを待ってから再度
複製を開始するというようなメカニズムを持っています。
また、菌がγ線存在下等の状況に置かれた場合、SOS 遺伝子群と呼ばれる一連の DNA 修
復系の酵素が働き、修復を試みます。多くの場合 high-fidelity なメカニズムで修復され
るのですが、塩基が丸々飛んでしまったりで細胞内に該当部分の遺伝情報が一切失われた場合、
polIV,polV といった誤りがち複製酵素が働いて相補鎖が無い状態でも複製してしまいます。
これらの誤りがち複製酵素の活性は通常の状態では抑えられていて、high-fidelity なメカニズ
ムで修復出来ないような傷がある場合にのみ働くようです。従ってここまで述べた DNA 複製
メカニズムはすべて変異修復能力だと考えてください。
ところが、ここで述べた誤りがち複製酵素が、前に述べた適応変異に関与しているのです。
まるで、はじめから変異を起こすための複製酵素を用意してあるかのように。これは、わざと
変異を起こすためのメカニズムが存在すると考える根拠であるとすることも出来ます。
真核多細胞生物の場合、状況が少し異なります。体細胞系列の場合、high-fidelity な
複製を保つことが必要です。もし high-fidelity なメカニズムで修復されない傷が見つかった
場合、バクテリアのような誤りがちなメカニズムで修復することはせず、アポトーシスに
より複製停止・ひいては細胞の死という方に向かいます。これは、発ガンを抑えるメカニズ
ムだと考えられています。
ところが、真核生物も polIV という、誤りがち複製酵素を持っているのです。この辺り
どこまで研究が進んでいるのか私は知りませんが、減数分裂期組換えにおいて変異をわざと
導入するようなメカニズムが存在する可能性があります。
>>889 >>891 の反応に戸惑っています。
「決定論的だが予測不能」という複雑系におけるエージェント同士の関係性を単に機械論的なランダムと
考えているのでしたら、僕の理解とは接点がありません。
また、これは大事なことだと思いますが、<1>複雑系の世界観と<2>複雑系の理論は別の次元の概念です。
複雑系的な世界観をもちながら、還元主義的な理論アプローチすることは可能ですし、大いに実用的だと思います。
ある事象に複雑系的な世界観を適用し<要素同士は階層的な相互作用の関係を持っておる>、
同じ事象に還元主義的な世界観を適用する<要素同士はそれぞれの属性に還元できる>ことは単なる視点の混同といわ
ざるをえないと思います。
>>891 ホルモンなどの化学物資が関与しての変異率のコントロールされるという<仮説>ですが、
この場合はジャコブ、モノーが指摘したように遺伝子の発現を統御する遺伝子に働きかけるのかもしれません。
そう考えると、変異の発生率のコントロールは染色体全体に及ぶ、とは考えられないのではないでしょうか。
とは言え、具体的なメカニズムは想像が難しいです。
整理すると、「ランダムな変異」をフェーズの内部におくか、フェーズの外部におくか、
なんだと思いますが、e君の言説では内か、外か、良く分からないのです。
言うまでのもなく、俺は内部説。カウフマンやホランドもおそらく同じでしょう。
>>894 うーん、その変異率の上昇ってのは、
ランダムな変異のままで率だけが上昇するっていうことでいいんでしょうか?
もしそうなら、あってもおかしくないことだとは思います。
が、進化を促す効果に有意な差が出る程度の大きさかどうかも
また評価されねばなりませんね。
もっとも、きゅりお説の中で以前、カメレオンの体色の
変化機構の獲得についての考察が例として書かれてました。
ここから、きゅりおさんは変異がランダムに生じるとは考えてないものだと思ってました。
ううむ。
>>893 まず確認していただきたいのは、ダーウィン始めとする誰もが、還元論をまったく使ってい
ないことです。現在では、分子生物学的な所までミクロな視点が進んでいますが、
(博物学・化石レベル)←→(生態学レベル)←→(種レベル)←→(個体レベル)←→(細胞レベル)←→(分子レベル)
といった様に情報が双方向で行き来します。むしろ、
(博物学・化石レベル)←→(分子レベル)
のように考えたほうが良いかもしません。ダーウィンの時代ではもっともミクロなレベルは、
個体レベルでしょう。そこで得られた見解は(現在のネオ/ダーウィニズムの見解も)明らかに
還元論とは異なります。こういった考え方は、むしろ<要素同士は階層的な相互作用の関係を
持っておる>に当てはまると思いますよ。
第二に、ダーウィンは坂を下るように進化するとは決して言っていないし、現在の主流の
考え方もそうなっていないことです。むしろ、ラマルクのほうは「進化=進歩」といった
様に考えていたようです。
>>894 そういった場合だと具体的なメカニズムを想像することは、かなり難しいです。
まず、もし遺伝子単位で変異率の調整を行っているとすると、1遺伝子に対し
1ホルモン・1レセプター・1制御因子が必要です。これらのホルモン等を
コードする遺伝子が三つずつ必要だとすると、9個の遺伝子が必要です。1つの
遺伝子の変異制御に9個の遺伝子が必要だという値はかなり無理がある様に感じ
られますし、進化の過程でもし新たな遺伝子を得た場合にはそれを制御するた
めの新たなホルモン/レセプターを作り出す必要があるということも、考えにく
くする理由に挙げられます。
ホルモン/レセプターの遺伝子が、免疫系における多形生成のメカニズムだと
同じだと考えることは出来ます。この場合、ホルモン/レセプター遺伝子は
1つだけで済みます。ただし、それぞれのホルモン(鍵)に対するレセプター(鍵穴)
を対応付ける仕組みが殆ど不可能だと考えざるを得ません。
もっとも、卵から個体形成にいたる発生に関与するような遺伝子(ホメオボック
スとか)に限りこのようなメカニズムがあると考えると、無理なくその仕組みを考
えることが出来る可能性はあるかもしれません。
もっと単純なメカニズムとして、体細胞→生殖細胞の変換が考えられます。こう
いったことが起こるかどうかは現在は知られていませんが、クローン羊・ドーリー
などを見ていると、完全に否定できる状態では在りません。
体細胞系列での変異は、大腸菌の適応変異と同じようなメカニズムで、ストレスの
かかった遺伝子だけに引き起こすことが出来るかもしれません。これらの体細胞が
一定の割合で生殖細胞系列に移行するとすると、多細胞動物でも適応変異が起こり
えます。
(続き)
ただ、一つ否定的な考えにいたる観測事実があります。哺乳類では(少なく
ともヒトでは)、卵細胞形成は胎児の間に終了してるのです。ということは、
メスの場合いくら環境からの錯乱を感じても、卵細胞での変異を制御することが出来
ません。
さらに、一生の間に一度しか卵を産まず、かつ卵を産んだあとそのケアをする
生物が幾つか在りますが、そちらのメカニズムではこういったケアの部分の進化
はサポートしないことになります。
さらに指摘したいのは、環境からの錯乱を受け取った後の変化で間に合うのかと
言う問題です。バクテリアなどは20分に一回世代交代しますから、それで間に合
うかもしれません。適応変異による変化だけで環境の変化についていける可能性が
在ります。
多細胞生物の場合、世代交代が1−2週間から20年とまちまちですが、1週間
だとしてもバクテリアの500倍の時間がかかっています。ヒトのケース(20年)
では、50万倍の時間がかかることになります。環境の変化を感じてから変えよう
としても、間に合わないのではないでしょうか。
私はむしろ、環境変化への対策は、環境の変化が起こる前から始まっていると思
います。例えば、きゅりおさんの考えるような、環境の変化を感じて進化するような
生物の集団があったとしましょう。そのなかに、1種だけですが環境の変化が起
こる前からその対策を行うことが出来る生物がいたとします。このような社会の
中で環境が繰り返し変わっていったとすると、その中で最終的に生き残っているの
は日ごろから常に環境変化対策を行ってきた生物種だと思いませんか?
900ゲット!
901 :
名無しゲノムのクローンさん:02/05/16 16:44
みねさん、お勧めの「複雑系」(ワールドロップ著)のラングトンの章で何度も鳥肌が立ちました。
λパラメータ=制御媒介変数・・・、恐るべし。
>>902 まだそこまで読めてないんですよ(爆)
ところで、私の考えはミームで片が付きそうに思われていますが、ミームを
最初に生みだす仕組みについて考えたことあります?
>>903 ミーム=複製するに「値する」情報、ですよね。最初とは、どんな意味で?
あ、新スレ警報が・・・、KATさん、よろしく!
>>904 ミームが複製に値するかどうかはわからないけれども、それを何がどうやって
生みだすのか、です。
>>906 情報=記号+評価。
これを脳内の階層的にネットワークによって自己産出するのでは?
最初の情報は「常に」環境から与えられる。
与えられた情報を脳が「解釈」する。それが自分生存に+の評価をもって感じられれば「好き」という
コードを、-の評価ならば「嫌い」というコードがその記号に付与されて再び情報となる。
そして、その情報が他人と共通性のコードを持ち、かつその情報を伝達することで自己/他人に+の評価が
発生する場合(伝達先は感謝というコードを伝達元に支払う、伝達元は尊敬、あるいは顧慮というコードを
伝達先から得る)、その市場に取引が発生する。
>>907 複雑系はそう考えるんだけどさ(笑)
キリンの首の延長をもたらすきっかけとなる行動を開始した個体は、ほんとうに
評価なんかしていたんだろうか。鳥類についても。首が長くなりかねない行動や
空を飛ぶことにつながる行動はとんでもないことだったんじゃなかろうか。
空を飛ぶこと自体、大変な犠牲の上に成り立っているんだよ。
>>896 ランダムな変異を否定しているわけではありません。
しかし、ランダムとは「決定論的だが<つまり、ランダムではなく他の要素との相互関係できまってくる>、
予測不可能<相互関係が多階層、多要素とあまりにも複雑なため>だ。」とみます。
>>897 ダーウィンが「実は」還元主義的ではないことは同意。
でもですね、9回2死満塁、3-3同点の場面でいきなりストライクゾーンを広げんで下さい(笑)。
還元主義的アプローチは、
進化論ならダーウィニズム、
経済学なら均衡理論、
物理学なら古典力学、
社会学ならシステム論・・・、と一応色分けができているようです。
されど、それぞれの分野で一見、ランダムに見える要素の振る舞いを制御している
「神の見えざる手」をおけば、それはもう美しい決定論的な世界が拓けてしまいます。
しかし、この「神の見えざる手」を使ってしまうと、
突然変異ではなく必然変異
自然選択でなくて超越者選択
になってしまうという危険があります。
・・・というのが、認識論/存在論的な視点からの問題点です。
>>908 ん!、それはニーチェの「力への意志」、あるいはハイデガーの「現存在の投企」に
通じる観念かもしれません。おもしろい。
<すんません、思想分野で語ります>
つまり、日常を再生産する「意識」が突然、相転移を起こし、日常を大きく超え出でる「意志」となる局面。
そういった感じですか?
えーと、続けるなら新スレ立てましょう。
913 :
名無しゲノムのクローンさん:02/05/17 02:28
空間があれば進化は起こる。
ってのは外出?
914 :
名無しゲノムのクローンさん:02/05/17 02:46
つまりそれは>913
生命は生活環境から独立した「閉鎖した実体」ではなく
むしろ環境と交流を基調とする「解放系」だからきわめて
易変性に富んでいる つまりwerdenってこと?
916 :
名無しゲノムのクローンさん:02/05/17 04:12
そう?
>>909 うーん。よく分かりません。少なくともダーウィンは博物学の立場から
進化を語ったわけであり、個々の生物の構造は「遺伝子」さえ持っていれ
ばどんなものでも良かったわけです。誰がダーウィニズムは還元主義的
アプローチなんて言ってるんでしょうか。
>突然変異ではなく必然変異
>自然選択でなくて超越者選択
おっしゃる意味が、ぜんぜん分かりません。