異常プリオンの検出法を考えるスレ

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333XP
>>332
質問について、1はしりません。
2については、上のほうで誰かが挙げている最近のNatureの論文で、
立体構造変化を利用したPCRのような手法があるので、確認済みと思われます。
あ、確認されているのは 牛⇒牛 だけかも。

根拠は弱いかもしりません。が、私は食べないほうを取ります。

>(いま過去ログ精読中なので、もしログに答えが見つかったらゴメンナサイ)
見つかったら是非ご報告をお願いします。
334332のかたへ:01/11/10 22:52
>>332へのご返答。
一応、私は医師ですが専門外ですので、分かる範囲でお答えします。
1.
まず、マウス、ヒツジ、ヒトでは同一種でもプリオンタンパクにわずかなアミノ酸置換の
あることが知られています。
つまり同一種でも同じプリオンではありません。
そういったなかで、
プリオンのたんぱく質コドンに関して言えば、
感染の種の壁を規定するPrP遺伝子のcentral domain(95〜170番アミノ領域)において、
ヒツジとヒトのアミノ酸は8箇所で異なり、そのうち3箇所はウシはヒトと同一といわれます。

(感染の種差に関係する遺伝子の差)
番号  95 97 112 138 143 155 166 168
ヒト  Thr Ser Met Ile Ser His Met Glu
ウシ  Thr Gly Val Leu Ser His Val Gln
ヒツジ Ser Gly Val Leu Asn Thy Val Arg

上記を見れば、ヒツジからウシへの種の壁さえ越えれば、
ウシからヒトのほうが近いことが分かります。
(76個中5個の違いは「酷似」と言えるかどうか、私には即断できかねます。
なお、central domein以外ではウシはヒツジと7個しか違わず、
ウシとヒトとは30個以上違います。

(以上は、コドンの話ですが、現在、ガスクロマトグラフィーなどにかけて、アミノ酸置換や
化学収縮について研究されてきましたが、いまだその違いは発見できないことから、
感染性プリオンと正常プリオンの違いは立体構造の違いによると考えられています。
つまり「アミノ酸配列について言えば」上記の表のとおりであろうと言うこと)
335332のかたへ:01/11/10 22:53
2.
in vitroでは有力な実験結果が2つあります。

ひとつはPrPcを35Sで標識し、スクレイピー感染ハムスターから抽出した
PrPscに混じたところ、35SPrPcの一部が35SPrPscに変換した実験です。

今ひとつは、
正常ハムスター脳から抽出したPrPcに、90〜145番のH1,H2の疎水性領域を
2箇所に持つ56個の合成ペプチドを in vitro で混合したところ、
PrPcの65%が
繊維形成、プロテイナーゼK耐性、βシート構造増加など、
PrPsc類似の特性を示したことです。

常識的には驚くべき実験結果だと思いますが、
ご質問のようなダイレクトな変化は私は知りません。
ただし、化学的には私には非常に興味深いものだと思っています。

さて最後に私見をひとつ。
2の実験結果のみならず、
PrPscとPrPcには実は中間体のような変異の途中のものの存在が
疑われています。
酵母のプリオンについての話ですが、
簡単に言えば、異常型と正常型が自己の中で変異して、
特殊な酸存在下での発育をスイッチングによって可能にしています。
つまり自然界においてプリオンが変異することは
あまり珍しい事態ではないのかもしれません。
336332のかたへ:01/11/10 23:00
>>334補足
つまりヒツジからヒトへは行きにくいが
ウシからヒトならまだ行けるということ。

なお、御質問はアミノ酸の配列でしたが、
異種間の伝達の可否はアミノ酸配列がいくつ違うかと言う、
数の問題でなく、「種の壁」を越えるためのカギとなる部分が
プリオンタンパクの特定の場所にあり、この場所が保たれているか
どうかによると推測されています。
根拠は、感染実験で種の系統差が大きいほど感染しにくいとは
言い切れなかったからです。