◎勉強方法
電験3種の試験範囲は工業高校の電気科3年分の知識と言われていますが、
この言い方は誤解を招く可能性があります。
電験3種で使われる基本知識は確かに工業高校の電気科3年分かもしれませんが、
電験3種特有の知識と応用力も求められますので、工業高校の電気科3年分の
知識のみだと合格しない可能性もあります。
さらに「工業高校の電気科3年分」と言いますが、高校で習ったことを完全に
マスターして卒業する人は工業高校に限らず普通の高校でも少数派でしょう。
ですから、「高卒レベル」というイメージよりはかなり難しい試験だと思ってください。
実際に工業高校に在籍している生徒で電験3種に合格する人は少なく、
大卒でも合格できない人の方が多い試験なのです。
基本的な勉強手順は以下のようになります。
1.数学の勉強(三角関数、ベクトルなど)
2.理論をテキストで体系的に学習
3.電力、機械、法規をテキストで体系的に学習(ここは好きな順番で良い)
4.過去問題集を7月中旬頃まで続ける
5.7月下旬から公式の暗記を確実にしておく。どんなに簡単な問題でも公式を忘れては何も出来ない。
6.時間があれば過去問題をさらに繰り返して解いても良い
7.試験日は8月下旬(申し込みは5月頃になります)
誰もが1から始める必要はなく自分の実力に合ったところから始めればいいと思います。
最初から強電知識の豊富な人は7月頃に4から始めても合格するでしょう。
逆に1から始める人は1年で受かるのは難しいでしょう。
大半の人は2から始めると思います。
◎勉強方法補足
a)物理数学の計算が大半なので最低でも中学程度の数学,物理の知識がないと
問題の解説も何が書いてあるか意味不明。その場合は、中学の数学,物理から
もう一回やり直して下さい。
このレベルから始める人は勉強期間の長期化が必至なので相当な覚悟が必要です。
b)中学程度の数学,物理の知識があっても高校レベルの数学,物理の知識がない人は
理論(数学含む)の勉強を丁寧にしてください。
理論は知識問題で点数を稼ぐことがほとんどできないので長い時間をかけて理解かつ
身に付けることが必要です。
さらに他の科目は理論を理解していることが前提になっているため、理論を理解しないと
他の科目も理解しにくくなります。
理論をいい加減に勉強していると、他の科目は何とか合格しても理論を二年連続で落選し
科目別合格が全て取り消しという最悪の事態に陥ることもあります。
c)電力は比較的合格しやすい科目です。
前述の方法で勉強すれば必ず合格します。
d)機械は、範囲が広いので予め十分時間を取っておかないと間に合わなくなるので注意。
テキストに載っていない知識も要求されるため、実務経験のない人には最も難しい科目
と言われています。
その反面、知識問題で点数を稼げるため強電の実務経験のある人には意外と楽に
取れたりもするようです。
e)法規の条文を覚えるのは、試験日近くになってからのが忘れなくてよいです。
(とは言ってもある程度時間的余裕を持って着手したいところ)
f)過去問中心の勉強はある程度実力がある場合にだけ有効と思え。
実力がないのに苦手科目のテキストを通読しない人は基礎がないので、過去問を解いても
非体系的かつ断片的な知識しか身に付かない。このような状況をだらだらと続けると、
科目別合格の有効期間内に苦手科目に合格できず科目別合格が取り消しになって、何度も
受験を繰り返すことになる。
g)しかし、過去問を解かずに電験三種に受かることは絶対にありません。
基礎だけでは応用力が付きません。過去問を大量に解けば応用力が付きます。
f)と同じことを言いますが、基礎がない状態で過去問を解いても応用力は付きません。
h)平成8年〜平成13年の電験三種は問題のレベルが非常に低下していました。
この時期の問題は基本的な公式を暗記して、試験問題に合った公式を当てて解くだけで合格しました。
平成15年以降の電験三種は公式の暗記は当然としてさらに応用力と+αの知識が必要です。
i)受験日までに全4科目の勉強が終われるようにしましょう。
最初から科目別合格を狙うと、科目別合格制度の罠に入ります。
科目別合格制度は3年で合格できる人には楽な制度ですが、3年で合格できない人には
科目別合格と科目別合格取り消しを永久に続ける無限ループが待っています。
j)平日全く勉強しないで週末にのみ10時間よりも、毎日1〜2時間の方が大事です。
毎日どんな事があっても勉強が出来る環境をいかに持続させる事が出来るかどうかだと思います。