1 :
名無しさん@秘密の花園:
百合の元祖とされる故吉屋信子さんについて語るスレが無いので
こちらに立ててみたいと思います。
*1は基本的に吉屋さん作品及び年譜的情報は割合持っておりますが鑑賞力という点で弱い者です。
皆様の御感想をお待ちしております。
*sage進行。
*吉屋作品に関する批判も(読んだ上のものでしたら)是非御願い致します。
む落ちない程度のまったり進行で行ければ良いと思います。
2 :
1:2014/01/16(木) 23:03:14.28 ID:ODp2jKfQ
代行さんに立てていただきました。感謝致します。
睡眠薬がわりに寝る前読んでたな
4 :
1:2014/01/16(木) 23:15:28.00 ID:ODp2jKfQ
とりあえず別スレにも書き込んだのですが、
花物語よりは後(大正12年)に書かれた「片瀬心中」の一節を……
仲の良い二人が、片方の結婚話によって引き裂かれそうになったことから
心中を選ぶ話。
> 皆まで言はせず言ひもせず――運命的な或る恐ろしい暗い予感に襲はれて――
>緑は暗然として、しかも身体中の血といふ血が俄に逆流するかと思はれた――
>一種の殺気立つて来たのである。
>「結婚――あゝ、満ちやん、いつかいつか――とその問題が若い美しい貴女の上に落ちかゝるのを
>私はおどおどした気持で思ひ煩ひながらかうしてゐたのよ、けれど今ほんとに
>今こそ、まさしく現実の問題になつてしまつたねえ――絶望的のものねえ……」
>われと我が髪をいきなり掻きむしり度い苛立しさに緑は身ぶるひした、
>声も乱れて息もせはしい胸は破れるばかりに苦しいにちがひない。(……)
>「けれど――あら、いくら満ちやんがさう思つて居ても、
>周囲が――満ちやんの家の方達が許さない――もう絶望、絶望――。」
>緑は、吐き度す様に烈しい語気で――
そして最後は
> ――地にはゆるされぬ二人の処女同志のあえかに清らかな恋を其のまゝに
>かい乗せて沓永遠の彼方――空のかなたの極みまで――
>彼女等のめでにし恋のゆるさるゝ、しぼまぬ花永久に咲き匂ふ天の領土――。
>(……)
>など処女同志にかくばかり熱く清く美しい愛情の炎を与え給ふか神のみこゝろは
>はかり知るべくあまりに高いゆゑか?
と締める作品がございます。
花物語においての心中ものと言えば「燃ゆる花」で、卒業生と少女の一種主従関係を
思わせる展開でしたね。
柳原白蓮がモデルと言われていますが、上の心中は「糸魚川心中事件」に似てます。
吉屋信子入門ならやっぱり花物語からですかね?
花物語から入れば、吉屋文体と吉屋美学のエッセンスがわかるからお薦め
全集だと第一集に花物語と、もう一つの代表作「屋根裏の二処女」が収録されてるから良いかも
安宅家の人々は既婚ものだけど、百合的にハッピーエンドなのでお薦め
少女小説の吉屋信子の入門としては、やはり「花物語」が原点だと思います。
河出文庫上下巻でもよし、
国書刊行会の三巻本でもよし、というところですか。
そのまま百合系列の長篇少女小説でしたら「わすれなぐさ」かと。
もう少し濃い女同士の恋愛ものをお望みなら、「屋根裏の二処女」が現在は手に取りやすいです。
少女小説以外のものでしたら、
歴史物では「徳川の夫人たち」「続徳川の夫人たち」「女人平家」、
メロドラマでしたら「良人の貞操」「女の友情」が基本でしょう。
>>7 全集だと花物語は二篇抜けているのが痛いのですよね……
こだわらない方でしたら入門編としては一冊にまとまっているので良いかも。
色々教えて下さりありがとうございました
全集の一巻をまず買ってみたいと思います
>>10 アマゾンマーケットプレイスが現在1500円で最安値だと思います。
12 :
1:2014/01/19(日) 23:09:49.65 ID:Z2/rAO6S
吉屋さんの少女小説(少年小説もあるけど)だいたいこんな感じ
◎は現在新本で入手可能
▲はマーケットプレイスで入手しやすいもの
*は「日本の古本屋」で入手できるもの(3000円以下基準)
大正 5 花物語 ◎▲*
大正15 三つの花 ◎▲*
昭和 3 暁の聖歌(母の小夜曲) ◎*
白鸚鵡
4 七本椿
5 紅雀 ▲*
6 櫻貝 *
7 わすれなぐさ ◎*
8 からたちの花
9 街の子だち 「少年文学大系」三一書房 少女小説巻に収録
あの道この道 ▲*
10 小さき花々 ◎*
11 司馬家の子供部屋 「少年文学大系」三一書房 少女小説巻に収録
毬子 ◎*
草笛吹く頃
13 伴先生 ◎*
14 乙女手帖 ▲*
15 賛美歌176(乙女の曲に収録)*
小さき花々(二期)
16 少女期(乙女の曲)*「日本児童文学大系(6)」ほるぷ出版* でも読めます*
19 海の喇叭 *
24 少年
青いノート
25 花それぞれ
26 一郎のノート
30 級友物語
あと「返らぬ日」も少女小説の中に入ると思いますし入手しやすいです。
13 :
1:2014/01/19(日) 23:12:53.96 ID:Z2/rAO6S
このうち「三つの花」「わすれなぐさ」「賛美歌176」は思いっきり百合だと思います。
ちなみに「賛美歌176」は宝塚雑誌の「歌劇」に連載された
歌劇団の少女同士の交流がガチで書かれておりますので
木になった方は一度「日本の古本屋」サーチをながめてみて下さいませ。
14 :
1:2014/01/19(日) 23:19:52.40 ID:Z2/rAO6S
……木ではありません。気です。逝ってきます……
15 :
1:2014/01/20(月) 21:50:22.64 ID:I1scFm+w
基本的に古ければ古いほど百合度は高いのですが、
「少女期」はなかなか。
母と弟と三人暮らしの少女が小学校卒業してすぐにデパートのレストランの給仕に。
そこで「……死んだ孫にそっくり!!」と金持ちの老夫妻に引き取られることに。
ただしそれは海外(16年だと蘭印ジャヴァ、23年だとブラジルです)に
出稼ぎに出ている父母に内緒で、ということで主人公は名前も変えて暮らすことに。
行きたくとも行けなかった女学校に通うことができるのですが、
そこには何とずっと仲良しだった友人が!
正体を言う訳にもいかず、切ない気持ちが……
最終的には帰国した父母に見破られていて、友人にも事情を話してハッピーエンドです。
「身代わり」系なんですが、
「一緒に行きたかった女学校に行ける、だけど正体がばれてはいけない」
という辺りの切なさ感がよいかと。
吉屋さんの作品の中でいちばん好きなのは何ですか? 私は「徳川の夫人たち」です。
続編の方で右衛門佐の描かれ方が綺麗でした。
よしながふみの大奥は最初にお万の方が出て、それが次の将軍にも恋されてしまう
ところは同じですけど、綱吉からだんだん変わってきますね。
吉宗からはまるで違うのが面白いです。
吉屋さんは家重からあとは興味が薄いのか、どんどん淡々とした描写になっていくけど、
逆転大奥はこれからでしょうか。
参考文献の最初に吉屋さんが出ているのがおもしろいです。
わすれなぐさ
百合というより信子本人は男感覚を持っていたと思われ
花物語のハードカバー(中原淳一絵のやつ)買ったった
まだ届いてないのん…
吉屋信子を大人向け少女マンガでそのまんまリメイクしたらどんな感じだろうと思ってみる。
女の友情とか良人の貞操とか、映画になった時には結構一般向けに変えられてるんだよな。
良人の貞操なんぞ、映画だと一方的加代が可哀想なラストになってるんだよな。
そういうの一切抜きで展開と台詞そのまんまでやったらどんなんだろうとよく思う。
画力とかあればやってみたいけど残念ながらwww
花物語のコミカライズ版の単行本が発売されるようですよ!
これだね好きな漫画家なので楽しみ
03/25集英社
愛蔵版コミックス
花物語小沢 真理/吉屋 信子980円
あと10日くらいだなあ 密林に注文済の漏れは勝ち組
26 :
1:2014/04/09(水) 02:47:36.95 ID:DYU+R8zl
コミカライズ版買いました。
ほんわかとした絵が良く合っていると思います。
ところで巷では「花子とアン」で村岡花子や「赤毛のアン」ブームが盛り上がってますが、
吉屋作品とアンや若草物語との魅力の違いは何なのでしょうか。
正直言うと、食事や料理の場面が好きな自分としては、あまりものを食べる描写が無い
吉屋作品は時々物足りない気分になるのですが……
27 :
名無しさん@秘密の花園:2014/05/20(火) 14:27:24.57 ID:8igUR6qJ
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吉屋信子の「男性姓」についても触れた文章が興味深かった。
確かに「つんとした冷たい感じのある潔癖美人」萌えの男の感覚に近いと思うことがある。