魔法少女まどか☆マギカで百合萌え 27

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146名無しさん@秘密の花園
数える事すら諦める程の時が過ぎた。この世界に、もはや私以外の人類の姿はない。
魔獣も姿を消し。ソウルジェムを回復させる手段もない。

…最期の時は刻々と近付いてきている。

…「かなめまどか」が存在した記憶を守る。それこそがこの世界における私の存在理由だ。
だが、元々私の持つ「かなめまどか」の記憶はわずか一ヶ月とその変奏曲でしかなかった。
彼女の姿も声も次第に薄れていき、今となってはもう「かなめまどか」の6音と、それが示す人物が
私の友人だったという記録しか残っていない。

この世界では、結局友達と言える物は作れなかった。当然だ、私にはこの世界の記憶がない。
アルバムは「本来まどかが居るべき場所に私がいる写真」で埋め尽くされていた。
悪意のコラージュとしか思えない。少し迷ったが、全て捨てた。

「この世界の記憶」で生きている巴さんや杏子と話が合う…合わせられる筈もなかった。
二人とも次第に疎遠になり、少し経ってから二人とも死んだと風の噂で聞いた。もう顔も思い出せない。

時折聞こえる幻聴、それすら魔法少女にとっては特別な物ではないと知って、興味が失せた。
…結局のところ、私は彼女にとって「大勢の一人」に過ぎなかったのだ。

…美樹さやか、貴女は大筋において正しく、一つだけ間違っていた。
まず最初に消すべきは、心の痛みだったのだ。


約束だけを頼りに生きるのも疲れてきた。でも、それももう終わる。


『悪意の実(イーブルナッツ)』


…インキュベーターの置き土産。「魔女ではない」が故にまどかの盲点となった、私と同じ過去の時間軸の残滓。
これを使えば、残り少ない魔力でもこの星が終わるまでなら生き永らえる事ができるだろう。「かなめまどか」の名前と共に。

萎えた腕でなんとか『悪意の実』を飲み下す。意識が消えて…否、澄み渡っていく。「かなめまどか」以外の情報が消えていく。



まどか、これで私も「まどかのたった一人」になれるんだよ…「まどかが救えなかった、たった一人の魔法少女」に



…誰かが泣き叫ぶ声が聞こえたような気がした

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…おかしい、前向きな話になる筈だったのにどうしてこんな事に。