咲-Saki-で百合萌え 14局

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1名無しさん@秘密の花園
ヤングガンガンにて連載中,テレビ東京系列で放映中。
小林立原作の作品、咲-saki-を題材とした
百合SS、百合妄想の為のスレです。尚、H描写の有無も不問です。
<前スレ>咲-Saki-で百合萌え 13局
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1273555040/

1.次スレは970レスor480KB超を目安とし、宣言して立てて下さい。
2.他関連スレ及び関連サイトについては、下記スレ経由でどうぞ。
<原作スレ(現行)> 【小林立】咲-Saki-124巡目【ヤングガンガン】
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/comic/1282633792/401-500
<アニメスレ(現行)> 咲-Saki- 359飜
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anime2/1282635907/101-200

3.苦手なシチュ等については、スルーやNG等でご自衛下さい。
4.SSや妄想を投下して下さる方へ>
両性具有(ふたなり)や道具使用等をネタにしたSSは
NG指定推奨ワードを提示した上で投下して頂けると幸いです。
5.3局の732氏によるまとめwikiが作られました。
http://www12.atwiki.jp/sakiyuriyuri/pages/1.html
2名無しさん@秘密の花園:2010/09/02(木) 23:41:37 ID:AU/hjxTh
3名無しさん@秘密の花園:2010/09/03(金) 22:25:24 ID:h734zu/x
>>1
4名無しさん@秘密の花園:2010/09/04(土) 17:47:08 ID:iSU20gCv
落ちる
5名無しさん@秘密の花園:2010/09/04(土) 20:23:12 ID:riwaVGil
1乙

ここも前スレも落ちそうだ
6名無しさん@秘密の花園:2010/09/05(日) 11:23:17 ID:1XSCfyvl
1乙
何か重複してるが、向こうは何も無いんでこっちを上にしとく
7名無しさん@秘密の花園:2010/09/06(月) 11:54:54 ID:b6cg659e
>>1
前スレ1000 さすがタコスたくましい
8名無しさん@秘密の花園:2010/09/06(月) 19:09:43 ID:QIJIaS7q
いちおつ

ところで前スレのSS保管庫に収録しきってないけど
あっさり埋めちゃって良かったん?
9名無しさん@秘密の花園:2010/09/06(月) 20:09:01 ID:eZD9Qtfl
最近かじゅワハハの方が自然体でいい気がしてきた
10名無しさん@秘密の花園:2010/09/06(月) 21:01:32 ID:PJSiB97G
>>9
SOA!SOAっす!!

検証のための資料提出を要求するっす!
11名無しさん@秘密の花園:2010/09/06(月) 22:42:02 ID:+8hf6lyW
むっきー海王
「私は一向にかまわん!!!」
12名無しさん@秘密の花園:2010/09/07(火) 02:22:25 ID:GEYMBBMF
ヤンデレ和に監禁・調教されて堕ちる咲とか
衣・照に言葉責めと和姦調教される咲とか
気を失って、気がついたらオッドアイの赤ん坊を抱いていた久とかないかな
13名無しさん@秘密の花園:2010/09/07(火) 08:34:15 ID:GCHyqBZF
照姉に憧れる大星淡ちゃんが、照姉の心を独り占めする妹の咲ちゃんを目の敵にする

「照先輩は妹はいないと言ってました。妹ずらして照先輩になれなれしくしないで下さい」

なんて最初は色々意地の悪いことを言ったりするんだけど
そこはかとなく照姉を思わせる咲ちゃんに次第に魅了されていく
そしてとうとうのどっちを含めた三角関係に発展する

そんなSSを書こうと思うんだ
14名無しさん@秘密の花園:2010/09/07(火) 08:43:24 ID:WBqUi8Pf
>>13
全力で待ってる
15名無しさん@秘密の花園:2010/09/07(火) 10:36:21 ID:Wr/UlFbq
最新見て思ったんだがタコス衣池田は悪くなさそうだ
16名無しさん@秘密の花園:2010/09/07(火) 10:50:03 ID:bwsrmLWe
特定条件下で爆発力を発揮する長野ちっこい組
17名無しさん@秘密の花園:2010/09/07(火) 13:02:02 ID:4PBd9PY4
県レベルと全国レベルと学校レベル
18名無しさん@秘密の花園:2010/09/08(水) 01:21:26 ID:ceEYxWC3
全国大会準決勝見る限り東風限定なら一応タコスも全国レベルなんじゃね?
池田は県上位レベル(※単純に全国の経験がないから)
で衣は超高校級ってやつ
19名無しさん@秘密の花園:2010/09/08(水) 07:50:58 ID:8STzCEIo
>>18
三人とも長野県の誇るナイチチってことだろ言わせんな恥ずかしい。
20名無しさん@秘密の花園:2010/09/08(水) 12:21:44 ID:Ckkfft4E
衣「衣は……、衣は『ゆり』じゃないから誕生日を祝ってもらえないんだ。ゆりに不必要なキャラなんだ」

優「そこのかわいいお嬢ちゃん! 咲キャラに限ってそんなことありえないじぇ」

池「いっしょに楽しむし!」

衣「おまえたち……」

池「ところで百合ってなんだ?」

優「我にまかせろ!」

池「にゃアッーー!」

みんななかよし。
21名無しさん@秘密の花園:2010/09/08(水) 14:45:03 ID:n44CHTgF
>>8
問題ない
22名無しさん@秘密の花園:2010/09/08(水) 19:52:25 ID:XLi8D4Ab
衣ちゃんは多分永水では人気者
みんなからなでなでしてもらえる
23名無しさん@秘密の花園:2010/09/08(水) 20:52:27 ID:ceEYxWC3
>>22
霞さんなら道行く人に親子と間違えられても違和感ないな
24名無しさん@秘密の花園:2010/09/09(木) 10:53:22 ID:V6AK/CLz
>>22
皆と一緒に衣を愛でつつも
小さな嫉妬心に芽生えた事に戸惑うハッちゃん
25名無しさん@秘密の花園:2010/09/10(金) 22:27:28 ID:YFGJ/VMn
>>15
その三人なら「拾って下さい」と書いてあるダンボールに入ってもらって
道ばたで一緒に拾ってコールとかして欲しい
面倒見の良い部長か、ロリ村さんあたりが持って帰りそうだ
26名無しさん@秘密の花園:2010/09/11(土) 00:11:41 ID:qVdeBv6K
透華が拾ってメイドにするという選択肢もあるかも
そういや昨日は透華の誕生日だったのか


「一、今日は私の誕生日でしてよ」
「うん。ちゃんと覚えてるよ」
「それならまどろっこしい話はいりませんわね。一…」
「なに?」
「プレゼントにはあなたの初めてが欲しいですわ」
「初めてって…」
「初めてとは…その、初めてですわ!」
「…うん。優しくしてくれるなら、いいよ…」


「なぁ、純」
「どした?」
「初めてってなんだ? 衣の誕生日には誰もくれなかったぞ」
「うーん、その話は衣にはまだ早いかな」
「なんだと、衣が一番お姉さんなんだぞ!」
「早いって言ったら早いんだよ。わかったら向こうに行ってレゴでもやってな」
「な、なんだと! 家出してやる!」


翌日
「拾って下さい」と書いてあるダンボール箱に入った衣の姿が…
27名無しさん@秘密の花園:2010/09/11(土) 00:53:14 ID:7MOQLt8X
>レゴでもやってな
ワラタ
28名無しさん@秘密の花園:2010/09/12(日) 04:13:52 ID:eRlCF0Rs
ともきー「私の初めては純にあげた。」

純「ちょ!おま!!」

純智紀とかもっと増えないかな
29名無しさん@秘密の花園:2010/09/12(日) 08:21:32 ID:t+ypvfrv
>>26
思わず拾って来ちゃった咲が、和と一緒にいけないことを教え込むのを妄想した
30名無しさん@秘密の花園:2010/09/12(日) 14:23:29 ID:rEqX1NLk
咲に拾われた衣が、咲と一緒の布団で寝たり、咲と一緒のお風呂に入ったりして、咲をストーキング(or盗撮)してたhrmrさんが血の涙を流しているのが浮かんだ
衣も隔離された生活から一変して常に咲が隣にいる生活になったことで滅茶苦茶咲に甘えそうだな。そして自然と衣咲へ
31名無しさん@秘密の花園:2010/09/12(日) 14:51:11 ID:jDjU7lv2
優希「あれだなー。集中力がある時って、次にツモる牌がわかったりするんだじぇ」
和「そんなオカルトありえません」
衣「あー、あるなー」
咲「あるよねー、ツモった瞬間ピンと来るっていうか」
優希「ふっ……衣ちゃん、咲ちゃん、向こうでお話しようか」
和「…優…希……?」

オカルトあるあるトークに参加できず孤立する原村さん
32名無しさん@秘密の花園:2010/09/12(日) 19:34:00 ID:5OdRdn9+
>>31
まるで百合ではないですが

和「いくら宮永さんの言うことでも、オカルトなんてありえません」
咲「あるんだってばー」
優希「のどちゃん、相変わらず頭固いじょ」
咲「なんかさ、これは一発で引けるとか、これは裏が乗るとか、あらかじめ分かっちゃうんだよ。自分の理性を疑っちゃうけど」
和「それ以前に人間性を疑いますね」
咲「あっ、ひどい。私、原村さんのイメージ変わっちゃうなあ」
和「そ、それは困りますけど……」
優希「……んっふっふ」
和「なんですか優希」
優希「そんなおっぱいでも出来るオカルト技があるじぇ」
和「おっ……胸のことは関係ないでしょう!」
優希「教えて欲しいか?」
和「ま、まあ、嫌われたくないですし……実在するのでしたら」
優希「よろしい。まず牌をツモる!」
和「はい」
優希「そしたら卓で擦る!」
和「は?」
優希「1万回くらい! ごしごしごし!」
和「あの」
優希「あら不思議! どんな牌でもあっという間にピカピカのおと−ふに!」
和「………」
優希「これで白一色のできあがりだじぇー!」
和「あまりに馬鹿馬鹿しくて口もきけません」

池田ァ「マナー、悪いなあ」

誰でも一度はやる。
33名無しさん@秘密の花園:2010/09/12(日) 20:07:26 ID:tfUVO96T
孤立は可哀相だけど三人におもちゃにされちゃう原村さんは可愛いな
34名無しさん@秘密の花園:2010/09/13(月) 00:40:59 ID:tfdkz9u4
>>28

「智紀って眼鏡を外すと美少女になる典型的なパターンだよな。コンタクトにしようとか思わないのか?」
「そういうことは純だけが知っていればいいから」

淡々話す智紀の姿を横目で見ながら、つくづく敵わないと思う。
普段無口な分、あいつがいざ口を開くと一言一言がとてつもなく重い。
その言葉にはおちゃらけた俺と違って、余分なものなんて少しも混じっていないし、
癖のない黒髪と同じようにどこまでも真っ直ぐだ。

だから、

「純だけが知っていればいいから」

というたったそれだけで、俺はあいつの目をまともに見れないくらいドキドキしてしまう。
嘘のない本物の好意の前では、冗談なんて通じないって教えられた気分。

俺はこんな見た目だから後輩の女の子に告白されることもままあるけど、
そういう子達に言葉を尽くして誉めそやされるより、智紀にたった一言

「純が好き」

と言われる方がよっぽど嬉しい。
それに、そういう子達よりも眼鏡を外した智紀の方が全然綺麗だということもちゃんと知ってるしさ。

雪みたいに白い肌とそれによく映える漆黒の髪、
出るところは出て引っ込むところは引っ込んだ完璧なプロポーション。
智紀のことを知った後では、他の女の子に興味が沸かなくなるのも当然だと思う。

あいつと二人で朝を迎えて、気だるい気分のままベッドに横になっている時間が好きだ。
お互い起きていることを確認して取り留めの無い会話をした後で、智紀がコーヒーを淹れに行く。
やがてカップを二つ手に持って帰ってくれば、生まれたままの姿が朝日に包まれて、息を飲む程美しい。
俺はそんなあいつを見つめながら

「お、智紀さん、今日もパイオツカイデー、コーマンルーユーっすね!」

ドス!!!

軽口を叩き、いつもぶん殴られてる。



おしまい
35名無しさん@秘密の花園:2010/09/13(月) 00:55:14 ID:unfLmE4H
>>34
ま た お ま え か w

グッジョブせずにはいられないな。
いつも途中までイイハナシダナーと思うのに、最後の落ちで噴くw
36名無しさん@秘密の花園:2010/09/13(月) 01:56:35 ID:rPQI5Ut0
>>34
オチwww
純智紀いいよなGJ
37名無しさん@秘密の花園:2010/09/13(月) 02:32:01 ID:jAjP1Axf
>>34
オチの人GJ!超GJww


純も智紀も2人きりの時はノロケ全開だといいな。
38名無しさん@秘密の花園:2010/09/14(火) 00:04:26 ID:EuTy27rY
q
39名無しさん@秘密の花園:2010/09/14(火) 01:14:27 ID:DoRn7PW3
純の誕生日プレゼントは智紀で決定だな
40名無しさん@秘密の花園:2010/09/14(火) 20:11:50 ID:1jphXnJV
久々に部長ハーレムがみたい
全国でも部長モテモテや!!
41名無しさん@秘密の花園:2010/09/15(水) 22:44:42 ID:TH76UJo5
霞さんとはっちゃんも部長に見とれてるだろ
42名無しさん@秘密の花園:2010/09/16(木) 01:22:18 ID:zUriPNgs
見とれてるんじゃなくて目を付けたのかもしれない。
43名無しさん@秘密の花園:2010/09/16(木) 02:28:04 ID:fQqbdD2X
返り討ちにしてくれるわ。
44名無しさん@秘密の花園:2010/09/16(木) 18:14:55 ID:JUzE/ZwD
お姉ちゃんに振られて泣いている咲
京太郎がそっと後ろから近づき
「バカやろう、おれがいる」
咲「京ちゃん・・・グス」
めでたしめでたし
45名無しさん@秘密の花園:2010/09/16(木) 18:29:13 ID:ElRV4+7U
>>44
死んどけ

京太郎の妄想でなく皆さんに真実を伝えます
お姉ちゃんに振られて泣いている咲
和がそっと後ろから近づき
「バカ・・・、私がずっとついてますわ」
咲「原村さん・・・グス」
めでたしめでたし
46名無しさん@秘密の花園:2010/09/16(木) 19:05:32 ID:aYJqmT44
>>45
乳に潰されろ

真実はいつもひとつ
大好きなお姉ちゃんに抱きしめられ嬉し泣きする咲
めでたしめでたし
47名無しさん@秘密の花園:2010/09/16(木) 19:12:10 ID:i53M+6FX
>>46
お前らこっちのおっぱいさんも忘れてんじゃねーぞ

合宿所近くを散策中
モモ「やっぱり全国・・・行きたかったっす。勝って先輩と一緒に」
かじゅ「(手をつなぐ)バカだなモモ。勝てはしなかったが、私はここにいる。それでは不満か?」
モモ「先輩・・・大好きっすー!」
かじゅ「バカ・・・、ここでは(ry」
48名無しさん@秘密の花園:2010/09/16(木) 19:23:10 ID:JUzE/ZwD
京ちゃん好きなんだけど
京咲スレと京太郎ハーレムスレと二つもいるものかと
最近おもう
49名無しさん@秘密の花園:2010/09/16(木) 19:24:55 ID:AFXdUtqx
咲とのカップリングが好きなのか、京ちゃんハーレムが好きなのかで分かれてんじゃねーの
どっちにしろここで語ることじゃないな
50名無しさん@秘密の花園:2010/09/16(木) 19:59:32 ID:8FLK5GXc
スレタイも読めないアレとしか
51名無しさん@秘密の花園:2010/09/16(木) 20:05:38 ID:AK0HsteN
お姉ちゃんと仲直りするために全部倒す咲さんまじぱねぇ
お姉ちゃんと仲直りした咲さんが見れるのは何年後だろうか・・・
52名無しさん@秘密の花園:2010/09/16(木) 20:22:53 ID:4RM6JJwA
流れぶった切ってすいまそん
純と智紀の馴れ初めを妄想してSSにしてみますた
妄想なので悪しからず
53名無しさん@秘密の花園:2010/09/16(木) 20:24:09 ID:4RM6JJwA
<純君視点>

男みたいな格好をしているのは、単に好きだから。
もし期待していたら悪いけど、本当にそれだけ。
特別な理由があるわけじゃないんだ。
王子様になりたいとか、少女革命を起こしたいとかはこれっぽっちも思ってないし、

「それでも男ですの?」

透華が俺の見てくれを指して男扱いしてくれば、その都度

「俺は女だ」

って、ちゃんと否定している。
それもこれも女としての自覚があるから。
服装や言動がちょっと変わっているだけで、あとはどこにでもいる女の子なんだ。

ま、人がどう思うかは人の勝手だから、俺が男に見えたからといって本気で目くじらを立てたりはしないよ。
龍門淵高校には俺が入学して程なく出来た「井上純ファンクラブ」なるものがあって、
女子生徒達が密かにプロマイドを集めてるらしいけど、やりたきゃ勝手にやればいいと思ってる。
そういうファンの子から差し入れがあれば、悪い気はしないしさ。

一度ファンからの差し入れだと勘違いして、清澄のチビのタコスを食っちまったのも、
来るもの拒まずの精神が身についていたからなんだ。
悪気があったわけじゃなくて、言うなれば日頃の習慣というやつ。
何を隠そう、俺は今までファンからのプレゼントを受け取らなかったことなんて一度も無いんだ。
たとえそれがいらないものであっても、突き返して相手を泣かせたりしたら後味が悪いだろ。
勿論チビのタコスを食べたのは俺だし、それについては何の言い訳もしないけれど、
そういう事情があったってことはわかって欲しい。
ファンを大事にしているがゆえってことでさ。
54名無しさん@秘密の花園:2010/09/16(木) 20:25:31 ID:4RM6JJwA
なんだかんだ言って格好つけているけど、チヤホヤされれば素直に嬉しいんだ。
でも、違和感がないわけじゃない。
例えば

「井上さんは誰よりも格好いいです。良ければ私と付き合って下さい」

なんて女の子から告白されれば、

(もし俺がこんな格好をしてなかったら、この子は告白してくれたかな?)

心の隅で否定的にとらえてしまうこともある。
男の子を見る目で俺のことを見ているんじゃないかってさ。

誰かの代わりにされるのは、正直なところ良い気はしない。
男みたいな格好をしているからといって、男になりたいわけじゃないんだ。
ワイシャツの襟ぐりを大胆に開けて、その上にネクタイを引っ掛けるのも、
スカートの下に黒のレギンスを履いてパンツファッションにするのも、単に好きだから。
自分のこれだと思うスタイルが相手の琴線に触れたのなら勿論嬉しいけれど、
でも、好みが変わることだって勿論ある。
半年後、俺が女の子らしい服の趣味に目覚めることだって有り得ない話じゃない。

そうなった時、「井上純ファンクラブ」の子達はどうするだろう。
こっそりプロマイドを集めるなんてこともなくなるんじゃないかな。とはいっても

「私、井上先輩が好きです」
「君は俺のどこが好きなの?」
「格好いいところ、王子様みたいで頼りになるところ」
「じゃあ、もし俺が普通の女の子になったら、君は俺のことが嫌いになる?」

実際にそんな風に聞いてみたりは勿論しないよ。

「俺のどこが好き?」

なんて、いかにも面倒くさい奴が言いそうな台詞だから。
55名無しさん@秘密の花園:2010/09/16(木) 20:27:30 ID:4RM6JJwA
あれは、龍門淵に入って暫く経った夏の初め頃だったと思う。
すでに発足していたファンクラブの女の子に告白されたんだ。
その気がないから断ったんだけれど、それから一週間ほど経った頃、
その女の子が彼氏らしい男の子と連れ立って歩いているのを見かけた。
彼女の顔に浮かんだ楽しそうな表情を見てたら、ふいに虚しくなった。
俺のことを好きになるのも、他の奴を好きになるのもその子自由だけど、
もうちょっと節操を持ってもいいんじゃないかって、心がささくれ立ったったみたい。

(好きって、そういうことだったん…)

新緑の眩しい風薫る季節におよそ似つかわしく気分のまま、龍門淵邸に帰ったよ。
その足で真っ直ぐ麻雀部屋に向ったのは、苛立ち紛れに対局に没頭したかったから。
けれど俺の思いに反して、人がいなかった。
誰もいなかったわけじゃなく、対局に必要な頭数が足りなかった。
そこにいたのは智紀だけだった。

どうして智紀に相談する気になったのか、自分でもよくわからない。
あいつと会ったのは透華のスカウトで龍門淵に入学した後で、会ってからまだそんなに日が経っていなかったし、
正直に言うと地味でパッとしない奴、くらいにしか思っていなかった。
揃った前髪にどこにでもありそうな眼鏡をかけた、無口なパソコン女。
もし龍門淵高校麻雀部という特殊な籠の中におさまっていなかったら、言葉を交わすこともなかったタイプ。
でも、よりによってただのクラスメイトだったら友達にもならなかったであろう智紀に、
俺は心にわだかまった想いを吐き出した。

「ファンクラブの女の子に告白されたんだけど、その子が彼氏と歩いているのを見かけてさ」
「あの子達はみんな、俺を王子様か何かだと思ってるんじゃないかな」
「ただ好きでやってるだけなのに、勝手に好きになって、勝手に離れて」
「もし俺がこういう格好をしなくなったら、どうするんだろう」
「あっさり手の平を返すのかな」

今思い返しても火が出るくらい恥ずかしい。
まったく、面倒くさい奴もいたもんだ。
智紀はというと、そうやって俺が感傷に溺れながら一心不乱に喋り捲った後で、言ったんだ。

「今日の純、面倒くさい」

無愛想に

「でも、純が女の子らしい格好してるところは見てみたい」

って。
56名無しさん@秘密の花園:2010/09/16(木) 20:31:10 ID:4RM6JJwA

「へ?」

そんな風に言われると思ってなくて驚いていた。
言葉が続かなかった。
ぼーっと、智紀が微笑むのを見ていた。

「純は純だから」
「それ、どういうことだ?」
「女の子の格好をしていても、純は純だってこと」

普段無口な分、智紀がいざ口を開くと一言一言がとてつもなく重いと知ったのは、その時が初めてだった。
微笑が消えてもとの無愛想な顔に戻るまで、俺は何も言えずにあいつを見ていた。
智紀はそれ以上言葉を費やさなかったけれど、いつまでも余韻が尾を引いた。

「純は純だから」

あいつの笑顔がなんだか無性に嬉しくて、気付いたら胸の鼓動が早まっていた。

(久々にキレちまったよ……)

智紀を意識するようになったのは、その時からだ。


続く
57名無しさん@秘密の花園:2010/09/16(木) 21:31:12 ID:GlPKcr6S
久々にキレちまったよ……
で吹いた
58名無しさん@秘密の花園:2010/09/16(木) 23:16:14 ID:a+JFM1Xi
>>52-56
乙ー。

ともきー視点期待します。
59名無しさん@秘密の花園:2010/09/17(金) 12:52:42 ID:jR4jsG+n
おい、最後www
60名無しさん@秘密の花園:2010/09/19(日) 00:54:03 ID:f2smLBmJ
<智紀視点>

純と初めて会ったのは、透華のスカウトで龍門淵高校に入学した時。
一見して、私とは違い外向的な人だと思った。
白いYシャツに男物のネクタイなんかしている時点で奇抜だし、
しかもその格好で気後れせずに話しかけてくるから、少し気後れした覚えがある。

「俺は井上純。よろしくな」

一人称は俺……。
開けっ広げな笑いとその男言葉に圧倒されて、純が挨拶がてら差し伸べてきた手を掴み返し損ねてしまった。

この人、苦手。

はっきり言って、純に対する最初の印象は決していいものだった。
麻雀を打ってみて、その苦手意識はもっと確かなものになった。

麻雀を打つ時も純は独特で、まず椅子座る姿から人と違う。
どっかり胡坐をかいて、膝の上に肘を乗せて頬杖なんかついている。
その格好で試すようにこっちを見てくるから、ペースが崩される。

私は牌効率や期待値を考えて打っていく堅い打ち方。
純はというと、対照的に手なりで手牌を作っていく打ち方で、穿った見方をすれば場を荒らすタイプで、
一言で表すならば水と油。
こっちの様子を逐一窺いながら、チーやポンでかき回してくるから、私としてはとてもやりにくい。

やっぱりこの人、苦手。

一緒に全国を目指す仲間には違いないけれど、友達にはなれないタイプだと改めて思った。
61名無しさん@秘密の花園:2010/09/19(日) 00:55:09 ID:f2smLBmJ
それなのに純が好きになってしまったんだから、つくづく不思議。
あんなに苦手だったのに。
きっかけは、一年生の時のインターハイ予選。
準決勝で次鋒として対局に臨んだ私が、散々に放銃してしまったこと。

終了のブザーが鳴った時点で龍門淵のマイナスは3万点で最下位。
全ての元凶である私の目に、控え室に戻るまでの廊下が酷く長く映った。
みんなを窮地に追い込んでしまった責任で足が前に進まず、会場のざわめきも遠くに聞こえる。
帰って早々に透華に怒られ、これで負けたら自分のせいだと後悔で一杯になった。

あの時あの牌を切っていなければ…
リーチにいかずにダマで通していたら…

一つ一つの局面を思い返すごとに鼻の奥がツンとする。
どうしよう…
どうしよう…
涙で視界がぼやけ始めたその時、思いもしないことに純が声を掛けて来た。

「気にすんなよ、智紀」
「お前が対戦相手のデータを集めて万全の準備で試合に臨んでることはみんな知ってるよ」
「それで結果が出なくても責めたりはしないって」
「結果が出ない時のために俺たちがいるんだから、頼ったっていいんだぜ?」
「なんでも背負い込むのはお前の悪い癖だよ」

いつもの饒舌さであれこれ慰めの言葉を言って、純が開けっ広げに笑って見せる。
不安に竦んでいた心がほぐれ、不安が嘘みたいに晴れていく。

「ってことで、あとは俺に任せとけ」

その頃は今と違って一が先鋒で、純が中堅。
立ち上がって、対局室に向うその背中が頼もしかった。
やがてモニターに現れた純がいつものように胡坐をかいて自信満々に笑ったのだけれど、
その姿が初めて格好良く見えた。
62名無しさん@秘密の花園:2010/09/19(日) 00:56:54 ID:v9Au5vrn
視点とか書く必要あんの
63名無しさん@秘密の花園:2010/09/19(日) 00:57:42 ID:f2smLBmJ

「な? 言った通りだろ?」

言葉通り、私が作ったマイナスを帳消しにして戻ってきた純が、こっちを見て笑う。
優しい表情に溶かされて、それまで純に対して抱いた苦手意識が氷解していく。

どうしてそれまで気付かなかったんだろう?
純がこんなにも優しい顔で笑うことに。

白いYシャツに男物のネクタイなんかしている奇抜な格好や、物怖じしない性格、
あるいはその打ち方ばかり苦手に感じて、ずっと純という人から目を背けていたことに、その時初めて気付いた。
単純かも知れないけれど、もっと純のことが知りたいと思った。


以来、龍門淵邸で、学校で、あるいは麻雀部の部室で、純と話す時間が増えていった。
マイペースでともすれば自分の世界にこもりがちな私と違って純は自然体で、
一緒にいるとそれだけで世界が広がるみたいに感じた。
間もなくずぼらな純に私が勉強を教え、代わりに出不精の私を純が外に連れ出すようになり、
そんな風に二人でいる時間はいつもドキドキした。
ドキドキするわけは自分でもなんとなくわかっていた。
知れば知る程、純が好きになる。
友達としてではなく、それ以上に大切な人として。

だから純がファンクラブの子とのことでちょっと感傷的になっていた時は少しでも励ましてあげたくて

「純は純だから」

と言ったのだけれど、そこに込められた私の好意には気付いてないみたい。
純はそういうことには結構鈍感だ。
64名無しさん@秘密の花園:2010/09/19(日) 00:59:03 ID:f2smLBmJ
次の純君視点で終わりにする予定です
65名無しさん@秘密の花園:2010/09/19(日) 01:27:06 ID:ouKwhLEy
乙ですわ。

高校卒業したら純くんからプロポーズするんだろうな
66名無しさん@秘密の花園:2010/09/19(日) 19:20:13 ID:90Hc8/gl
>>64
イイヨイイヨー。

あと、ここまできたら最後まで龍門淵で行くしかないな。
67名無しさん@秘密の花園:2010/09/20(月) 04:07:29 ID:Us+8LnM+
<純君視点>

智紀の素顔を初めて見たのは、龍門淵に入って少し経ってから。
昔も今も眼鏡を外したあいつが飛び切り綺麗なことに変わりはないけど、その時はさして気にも留めなかった。
口数の少ないパソコン少女としか思ってなかったから、別段感動したりもしなかったんだ。

それなのに、今では随分様子が変わってしまった。
ともすれば周囲に埋没しがちな目立たない智紀を、しっかりと見つけることが出来る。
教室中に散らばった制服の群れ中にあっても、校庭で固まったジャージの群れ中にあっても、
あいつは俺にとって特別で、一目でそうとわかるんだ。
理由は簡単。
いつも想っているから。

特別だなんて……
口数の少ないパソコン少女と思っていた頃と比べると、我ながら極端な変わりようだとは思う。
でも、心の真ん中にあいつがいるんだからしょうがない。
いつの間にか智紀が好きになってしまったんだ。


「純は純だから」

あの一言を境に、智紀は気になる存在になった。

(もっとよく知りたい)

そう思って、好きでもない勉強を教えて貰ったリ、出不精を口実に外に連れ出したり、
自分でもちょっと強引だと感じながら距離を縮めた。
68名無しさん@秘密の花園:2010/09/20(月) 04:10:37 ID:Us+8LnM+
智紀は口数が少ない代わりに言葉に嘘がないから

「私もテスト勉強で忙しい」

グサッとくることもあったけれど、

「でも、純が留年したら大変だから付き合ってあげる」

言葉に嘘がないからこそ、本当の優しさを感じることが出来た。

龍門淵邸内に宛がわれている智紀の部屋に行って二人で勉強したり、
帰り途中に買って来たお菓子を一緒に食べたり、
一緒に過ごす時間が増えれば増えるほど、愛しさは増していった。

智紀はいつも黙って俺を部屋に上げ、柔らかい視線を投げてコーヒーを淹れてくれた。
そこは飾り気が無く実用的に整頓され、自分のものとは違う匂いが微かに漂っていた。
間もなく殆ど毎日智紀の部屋を訪れるようになり、雨の日は窓叩く雨粒を数え、夜になれば星を見上げた。
無口な奴だから時折深い沈黙が訪れることもあったけれど、あいつの部屋では気にならなかった。

夜の帳が下りるのにあわせて別れの挨拶をし、部屋を後にする。
一歩外に出ればそこは龍門淵家の豪奢な邸宅内で、絨毯が敷かれた長い廊下にランプの光が揺れている。
なんだか、不思議な感じがした。
自分の部屋へと戻る途中で龍門淵邸の廊下を歩きながら、
俺はいつも、終わらない遠足に来ているような高揚感に包まれていた。
69名無しさん@秘密の花園:2010/09/20(月) 04:11:21 ID:Us+8LnM+
体のあちこちに智紀と過ごした時間の余熱がくすぶっている。
眼鏡の奥の息を飲むほど美しい瞳を思い出す。
目が合うとそれだけで胸が苦しくなるあの感じ。
誰かの隣にいることを芯から心地良いと感じるなんて初めてのことだったし、
芯から切ないと感じることも初めてだった。

智紀に会って本当の恋を知ったような気がする。
一緒にいる喜び、言葉が途切れた瞬間にふと過ぎる寂しさ、別れた後の虚脱感と充足感。
全部智紀が教えてくれたものだ。

幾日も智紀の部屋で過ごすうち、俺はあいつが好きになっていた。
そのことを自覚すればする程、ふとした瞬間に過ぎる寂しさは大きくなった。
目が合う度に、微笑みかけられる度に、同じ想いで俺を見つめてくれたらいいのにと、
そんな風に思えて仕方なかったから。
70名無しさん@秘密の花園:2010/09/20(月) 04:11:56 ID:Us+8LnM+
きっかけはささいなこと。
それでも切なさに押しつぶされるには十分だった。
いつものように部屋を訪れた俺に、コーヒーを渡しながら智紀が言った。

「9月14日は純の誕生日だけど、何か欲しいものはある?」

そんなの、一つに決まってる。
欲しいのは智紀の心。
俺と同じ想いで見つめて欲しい。
その綺麗な瞳に俺を映して、いつものように嘘のない言葉で好きだと言って欲しい。

簡単なことなのに、切なくてたまらなかった。
智紀が俺を好きだなんて思えなかったから。
高望みしてる。
笑おうとしたけれど、上手く笑えなかった。

「どうしたの?」

少ない中にありったけの心配が込められた智紀の声が聞こえた。
綺麗な瞳に映った俺の顔はみっともなく泣き出しそうだ。

「どうもしてない」

ただ好きなだけだよ。
それだけのことがこんなに切ないなんて思わなかったんだ。

「本当にどうしたの?」

ごめん、智紀。

「好きなんだ」
71名無しさん@秘密の花園:2010/09/20(月) 04:20:26 ID:Us+8LnM+
「智紀が欲しい。好きなんだ」

自分の声じゃないみたいに遠くに聞こえた。
こっちを見つめる智紀の顔に驚きの表情が広がった。
言葉が途切れて沈黙が訪れる。
いつもは気にならないのに、押し潰されそうになる。
その永遠にも思える空白の後で智紀が優しく笑うのが見えた。

「私も純が好き」

いつもと同じ、余計なことなんてない真っ直ぐな言葉。
智紀が近づいて来て、額と額をコツンと触れ合わせてからもう一度同じことを言った。

「私も純が好き」

見つめられ、視線を通して気持ちが届く。
恋が報われた嬉しさを俺はその時初めて知った。

(さ…さすがの俺も今のは死ぬかと思った…このフリーザ様が死にかけたんだぞ…!)

あとはもう黙って智紀を抱きしめることしか出来なかった。



終わり
72名無しさん@秘密の花園:2010/09/20(月) 10:39:39 ID:eNs0dv0f
おいw
73名無しさん@秘密の花園:2010/09/20(月) 21:51:21 ID:+D4JEQw7
最後の最後でw
74名無しさん@秘密の花園:2010/09/20(月) 23:06:57 ID:z69/pxSl
>>71
乙w

もっと広がれ純智紀の輪!
75名無しさん@秘密の花園:2010/09/22(水) 06:44:19 ID:OiaBJUb4
ギャグで落とさないと締められないのか
76名無しさん@秘密の花園:2010/09/22(水) 08:10:45 ID:6tdB7Jk6
だがそれがいい
77名無しさん@秘密の花園:2010/09/22(水) 08:30:35 ID:L8sC0RZM
最近いつも投下してる人か
確かに最後の受け狙いは若干寒いきがする
78名無しさん@秘密の花園:2010/09/22(水) 19:05:17 ID:3C6GnTEt
部長が姫様のおっぱい揉む展開まだ〜?
79名無しさん@秘密の花園:2010/09/22(水) 22:18:36 ID:7HbPI5br
>>75
前スレではギャグ締めじゃないふくすこ、姫様×霞とかも書いてました
次は普通に書いてみます

というわけで国広君のお誕生日記念に小ネタをば
80名無しさん@秘密の花園:2010/09/22(水) 22:22:09 ID:7HbPI5br

「一、今日は中秋の名月ですけれど、月見泥棒の風習は知っていて?」

龍門淵邸のバルコニーに出て二人で月を眺めている途中で透華に声をかけられた。
そんな風習聞いたことがないから首を横に振って答えると、透華のちょっと得意そうに笑顔が返ってきた。

「月見泥棒というのは、十五夜の夜に家々の軒先や玄関にお供えされた月見団子を子どもたちが盗み食いする風習ですわ。
 もちろん本当の泥棒ではなくて、各家庭であらかじめ玄関先などにお団子を置いておくんですの。
 団子は多く盗まれた方が縁起がよいとされていますわ」
「そうなんだ。知らなかった」
「ええ。というわけで…」
「!?」

いきなりキスされるなんて思わなかった。
びっくりしてなすがままのボクの唇に、柔らかい透華のそれが触れる。
軽くついばむような仕草をした後で顔を離した透華は、呆気にとられるボクに優しく笑いかけた。

「残念ながら今ここに月見団子はありませんわね。というわけでお団子みたいに柔らかい一の唇で代用しましたわ」
「だ、代用って透華…」
「これでこれからも縁起よく過ごせましてよ」

時々こういうサプライズを用意してくれる透華がたまらなく好きだ。
そのことを改めて実感したボクは、今度は自分からキスをした。

「は、一…」
「お団子は多く盗まれた方が縁起がいいんでしょ? だったら今度はボクが透華の唇を沢山奪ってあげるよ」
「もう、不意打ちすぎますわ…」

ささやかな不平を無視して、それから暫くボクは月明かりに濡れた透華の唇にキスの雨を降らせ続けた。
81名無しさん@秘密の花園:2010/09/23(木) 22:48:49 ID:IlQVvIxf
モンブチ月間も終わりかー
82名無しさん@秘密の花園:2010/09/24(金) 00:00:21 ID:6ISRIlSs
次は清澄だねー
83名無しさん@秘密の花園:2010/09/24(金) 08:33:42 ID:PJ/2Sseq
最後に落ちが無いとものたりない
人もおおいはず…
84名無しさん@秘密の花園:2010/09/24(金) 23:49:10 ID:0ps27IY6
清澄の前に今日は風越キャプテンのお誕生日っす。
キャプテンおめっす。
日付はまたぐけど、後ほどお祝いSS投下するっすよー。
今、まだ書いてる途中なんで… 気持ちだけでも…
85名無しさん@秘密の花園:2010/09/25(土) 00:00:25 ID:v0yEUZBD
待ってるよー
86名無しさん@秘密の花園:2010/09/25(土) 02:23:49 ID:rsE3llKi
今日は最萌に桃子が出てます
支援画像もたくさんあるのでよろしければ投票を

アニメ最萌トーナメント2010 投票スレRound81
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/vote/1285260987/
G22
<<東横桃子@咲-Saki->>
87名無しさん@秘密の花園:2010/09/25(土) 02:30:55 ID:6Ao1SU5J
>>83
あるとイライラするな
88名無しさん@秘密の花園:2010/09/25(土) 03:47:24 ID:R0QbI03A
つ遅くなったけど、キャプテン誕生日おめSS投下するっす。
キャプテンは風越の皆に愛されてるっす。
表現くどいです。苦手な方はスルー願います。
素敵落ちはないっすよ。
89名無しさん@秘密の花園:2010/09/25(土) 03:51:17 ID:R0QbI03A
パーン!パパン!パーン!
「キャプテーン、お誕生日おめでとうございまーす!!!」
美穂子が麻雀部の部室のドアを開けた途端、勢いよくクラッカーが鳴り、風越麻雀部員80名が一斉に声を上げた。

「ええっ、み、皆…」
美穂子は思いもよらないことにただただ驚くばかりで、声も出ない。
「キャプテン!皆からの気持ちですし!」
華菜が満面の笑みでドアを開け放したまま入口で固まっている美穂子の手を取り、部室に招き入れた。

わー!おめでとー!キャプテーンおめでとーございまーす。パチパチパチパチ……
歓声と拍手に包まれた美穂子は、最初のうちは茫然としていたが、直にその両の目からポロポロと涙があふれ出してきた。
「キャプテンの誕生日を皆でお祝いしようって、泣いてるし!」
美穂子を喜ばせようと部員全員での誕生会を企画した華菜が、事情を説明しようとして思わず美穂子に突っ込んだ。

「ち、違うの、違うのよ。華菜…… 私、嬉しくて、それで……」
あふれる涙を両手で拭いながら、「ありがとう、皆、ありがとう……」と美穂子は何度もお礼を繰り返す。
その様子に今度は逆に皆の胸が熱くなった。
「お礼なんていいんですよ…… キャプテン、嬉しいなら笑ってください!」
華菜もうっすらと涙を浮かべながら、美穂子に笑顔の見本を見せるかのように笑いかけた。

「……でも、部室でこんなことをして大丈夫なの?」
泣きやんでいつもの落ち着きを取り戻した美穂子が、ゆっくりと部室を見回す。
いつもはコーチの怒鳴り声が響く部室だが、今日だけは小学生の頃依頼と思われる折り紙のわっかをつなげたチェーンやちり紙で作ったお花ですっかり飾り付けられていた。

「はい。コーチに許可を取ってあります。でも……」
「でも、どうしたの?何か無理なことをしたんじゃないの?」
気真面目な美穂子の疑問に、青ざめた表情の華菜の隣から未春が答える。
が、華菜の表情とちょっと歯切れの悪い未春の答えに美穂子の心配の虫が顔を出す。
「いえ、無理はしていません。というよりこれ以上の無理ができなくてごめんなさい」
未春を先頭に皆が美穂子に向かって一斉に頭を下げた。

きょとんとする美穂子に向かい未春が顔を上げ、話を続ける。
「コーチが仰るには、――福路の誕生日は祝うのは構わん。が、通常通り部室内での飲食は不可。また勉学に不要な物は校内への持ち不可すなわちプレゼント不可。と……」
「ええ…」話を聞く美穂子の顔には納得のいった表情が浮かんでいる。
「折角の誕生会に乾杯やケーキ入刀?、プレゼントの贈呈も無しではキャプテンに申し訳なくて…… それでも、皆の気持ちだけでもキャプテンに伝えたくて……」
未春をはじめ、皆が無念ですというような表情を浮かべた。

「ありがとう。でも、その気持ちが私には何よりのプレゼントだわ」
美穂子が皆の顔を見回して、にっこりとほほ笑む。
「私は本当にいい仲間に恵まれたわ。皆、本当にありがとう」
美穂子のほほ笑みに皆が安堵し、たとえこれだけでもこの誕生会をやって良かったという気持ちになった。

品物としてのプレゼントは用意できなかったものの、星夏の提案により皆で記念撮影をして、その写真を美穂子にプレゼントすることになっていた。
美穂子にしてみればいつの間にか現れた写真部の部員が、美穂子を中心にした記念写真を何枚か撮った。

簡単なものであったが、美穂子にとって嬉しい思い出になった誕生会も終わり、
多くの部員が後片付けで残ることになった。
そんな中、自分も後片付けをしようとする美穂子を華菜、未春、純代と星夏のレギュラー4人がようやく外に連れ出した。
90名無しさん@秘密の花園:2010/09/25(土) 03:52:56 ID:R0QbI03A
「華菜、皆にここまでやって貰って私たちだけ帰るのはいけないわ」
「キャプテン。今日は一緒に帰るのはあたしじゃなくて、あの人ですし」
校門近くに来ても、まだ手伝うと言い張る美穂子に向かい、華菜が何かを堪えるように指さした先。
校門の右手に、清澄高校麻雀部部長、竹井久が手持ちぶさたに立っていた。
が、校舎からやってきた風越の5人の姿を認めるとひらりと右手を軽く上げた。

「ひ、久さん?どうしてここに?」
思いがけないゲストの来訪に美穂子はパニックを起こしかけた。
「どうしても、こうしても私たちが呼んだんですし」
華菜がちょっとムッとしたような口ぶりで説明する。
「な、なんで……」
「何ででもいいですから、早く行ってください!」
ぐうっと華菜に背中を押され、美穂子は久に向かって歩き出した。

が、緊張のあまり思わず久の前を通り過ぎてしまう。
「ちょ、美穂子、待ってよ」
「え、あ、はい……」
久の声に校舎の方を振り返るが、その顔がまともに見れずにうつむいてしまう。
「あなた、今日誕生日なんですってね」
「え?あ、はい。そう、です……」
今度は久の問いに答えるために顔を上げる。
すると、久が少しはにかんで「お誕生日、おめでとう」と美穂子に告げた。

「キャプテーン!」
「清澄部長ーー!」
未春と華菜が声を張り上げる。
「はい?」
「んお?」
呼ばれた方に美穂子がまっすぐ顔を上げ、久が振り向いたその瞬間

カシャッ、カシャッ、カシャッ……

星夏が覗きこんでいるカメラのシャッター音が響いた。
「キャプテーン!これが私たちからの誕生日プレゼントでーす!」
カメラを指さしながら未春がまた大きな声を出す。
しかし、久を前に未だうろたえている美穂子には何がなんだかさっぱり分からない状況が続いている。

「うーん、美穂子…… あなた本当にいい後輩に恵まれたみたいね……」
「えっ?あの…… ええ、そう思います」
美穂子は久の言わんとするところはよく分からなかった。
それでも、いい後輩という一言に反応して、ようやくにっこりとほほ笑みながら返事をした。

(中略)

その後、皆で撮った記念写真は美穂子の部屋を飾り、星夏の撮った写真は、美穂子と久の2人の部屋を飾っている。


〈了〉
91名無しさん@秘密の花園:2010/09/25(土) 03:55:53 ID:R0QbI03A
今回はこれでおしまいです。
コミック7巻のとらさんのおまけ見てて思いついたっす。
部長とは(中略)ですみませんでした。
92名無しさん@秘密の花園:2010/09/25(土) 04:51:08 ID:2byGMbUK
GJであった
93名無しさん@秘密の花園:2010/09/25(土) 06:11:04 ID:c8yOCld+
おもしろかったよ
94名無しさん@秘密の花園:2010/09/25(土) 14:32:45 ID:V9haefn5
(中略) が気になる・・・
95名無しさん@秘密の花園:2010/09/28(火) 15:26:09 ID:18EjjbNZ
3日カキコなしで大丈夫か?
96名無しさん@秘密の花園:2010/09/28(火) 15:35:21 ID:BJAft4Kr
いつでもオッケーっす!
97名無しさん@秘密の花園:2010/09/28(火) 18:45:02 ID:fbkq8EGr
大丈夫だ、問題な……いや、あるな。
98名無しさん@秘密の花園:2010/09/30(木) 02:48:00 ID:rn9dqbdR
投票よろ

アニメ最萌トーナメント2010 投票スレRound89
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/vote/1285767754/
9/30 (木) 本戦Cブロック決勝 
<<原村和@咲-Saki->>
99名無しさん@秘密の花園:2010/09/30(木) 03:20:09 ID:1CSgn3s9
おいタコスも出てるんだから
一応タコスの名前もだしてくれよ
100名無しさん@秘密の花園:2010/10/01(金) 23:48:14 ID:/Hz5Uqgl
咲までもう2週間ですか、そうですか。

時に、Wikiを更新してくださる親切な方はいらっしゃいませんか…
101名無しさん@秘密の花園:2010/10/02(土) 17:30:00 ID:30iadAG3
中略には一体何が!?
キャプテンが部長を誕生日プレゼントとして貰ったのか、部長ケーキを美味しく召し上がったのか、それとも
102名無しさん@秘密の花園:2010/10/03(日) 03:03:12 ID:NkwP4kTu
>>101
部長がキャプテンを美味しく召し上がった一択だ。
103名無しさん@秘密の花園:2010/10/03(日) 12:03:43 ID:RBUdl6L4
>>102
来月の部長の誕生日には二人とも18になる訳で、つまり…
104名無しさん@秘密の花園:2010/10/03(日) 12:52:46 ID:c5c3JqV2
美穂子さんは18歳だから部長を娶ることができるんだよな
でも美穂子さんが夫というのは、ややイメージが違う
養うのは美穂子さんになるだろうし、部長は競艇に足しげく通って貯金を切り崩しそうだし
105名無しさん@秘密の花園:2010/10/04(月) 17:36:36 ID:18g87t7v
プラカードにでっかく希望の誕生日プレゼント書いてる人がいるんだが
106名無しさん@秘密の花園:2010/10/05(火) 23:58:41 ID:SiXHE82K
ちゃちゃのん×愛宕さんってどう?
107名無しさん@秘密の花園:2010/10/07(木) 19:13:29 ID:75BcxAf2
>>106
ちゃちゃのん責めって想像できん
出来れば具体的に
108名無しさん@秘密の花園:2010/10/08(金) 20:46:07 ID:LKzskj7M
衣×池田 衣攻めとか
109名無しさん@秘密の花園:2010/10/09(土) 01:42:57 ID:opOyxuFg
原村さん誕生日だったのに、話題ほとんどないな
110名無しさん@秘密の花園:2010/10/09(土) 06:39:33 ID:YBycC7fN
さきのどスレで愛してもらえたんじゃないの?
111名無しさん@秘密の花園:2010/10/11(月) 14:15:46 ID:JUG99P9l
今度は2日…皆どんどんss投下してくれよ
俺は絶対にせんけど
112名無しさん@秘密の花園:2010/10/11(月) 23:12:40 ID:cxrk2hqg
今思えばキャプテンは3年間、久に会えなかったんだよな
咲も照に会いたがってるし、桃もゆみが消えたら世界中大声で捜しまわると宣言
別離が何らかのフラグってことはないよな
一や和は透華や咲がいなくなったらどんな反応をするのか
113名無しさん@秘密の花園:2010/10/11(月) 23:20:30 ID:b+HsdpUk
和が東京に行ったら
ふさぎ込む咲にとーかがアクション起こすことを期待
114名無しさん@秘密の花園:2010/10/11(月) 23:49:30 ID:LEz+2MNB
115名無しさん@秘密の花園:2010/10/12(火) 10:42:08 ID:n2T9kM49
すずちゃんは緊縛プレイが似合うなw
116名無しさん@秘密の花園:2010/10/13(水) 01:04:14 ID:HGNyg5v7
もしよろしければ衣に投票してやってください

アニメ最萌トーナメント2010 投票スレRound112
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/anime4vip/1286883028/
<<天江衣@咲-Saki->>
コードとコメント必須

規制されてる人はしたらばでも投票できます
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/8440/1286632633/
117名無しさん@秘密の花園:2010/10/13(水) 22:44:17 ID:MdA+0rF5
愛宕姉の総受臭は異常
118名無しさん@秘密の花園:2010/10/14(木) 16:56:03 ID:s6QRKqSN
今日は和の出場日

アニメ最萌トーナメント2010 投票スレRound117
http://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/vote/1287029083/

<<原村和@咲-Saki->>
コードとコメント必須

規制されてる人はしたらばでも投票できます
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/anime/8440/1286632633/
119名無しさん@秘密の花園:2010/10/14(木) 23:06:03 ID:F5iNAFAf
最近部長の片思いから始まるゆみ×久がマイブーム
120名無しさん@秘密の花園:2010/10/15(金) 18:47:34 ID:QDEH31w/
姫様が対局中起きない様に分家の人たちは夜這いすべき
121名無しさん@秘密の花園:2010/10/15(金) 19:51:09 ID:o2Eb2VEv
宮守のメンバーが厨2っぽくてまたあたらしい百合が!
読めなかったなあ。あっという間にオトボケ面子になってしまった
122名無しさん@秘密の花園:2010/10/15(金) 20:24:51 ID:bYfF4Bmd
高貴な姫様かと思いきや可愛いマスコットな姫様とはね
123名無しさん@秘密の花園:2010/10/16(土) 00:02:02 ID:bcxcpWFM
一瞬姉帯さんがデスバレーの墓堀人見えた俺がいる
124名無しさん@秘密の花園:2010/10/16(土) 15:51:56 ID:Px1Gcgg7
シロ×エイリスン期待
125名無しさん@秘密の花園:2010/10/17(日) 01:29:16 ID:36Ji0rff
>>13のSSを書くつもりがちょっとシリアスになってしまいました…
空気読まずに投下しますが苦手な方はスルーして下さい
126名無しさん@秘密の花園:2010/10/17(日) 01:29:41 ID:36Ji0rff
丁度、夕陽がビルの向こうに沈んでいく所だった。
窓から見える街景色が茜色に暮れなずんでいたのを今でもはっきり覚えている。
麻雀部の部室にも西日が差し込み、長い影が落ちていた。
そこかしこに並ぶ雀卓の電源は切られ、
緑色のマットに並んだ牌の山は誰にもツモられないままひっそりと静まっていた。
他の部員達はもう帰った後で、そこにいるのは私と照先輩だけだった。

「照先輩が好きです」

下校時間を告げる校内放送が人気の無い校舎に響く中、
向かい合った照先輩に白糸台高校に入る前から密かに温め続けた想いを告げた。
少し背の高い先輩を見上げると、赤みがかった髪が夕陽に映えて一際眩い輝きを帯びていた。
まるで美しい絵画のようだったが、目を合わせている内に私は胸が苦しくなるのを感じた。
先輩の瞳に何の感情も宿っていないことに、気付いてしまったから。

いつもと同じひんやりと冷たい静寂を湛えたその瞳には、
告白なんて無かったみたいに僅かな細波さえ浮かんでおらず、私は暮れなずむ部室のただの一風景に過ぎなかった。

この恋が叶うことはないと、自分自身随分から薄々わかってはいた。
それでもいざこうして目の当たりにすると、やはり涙がこみ上げて視界が滲んだ。
そのまま滴るような赤い西日の中で照先輩の輪郭があやふやになりかけたが、
それが嫌で私は手の甲で乱暴に涙を拭った。
せめて最後くらいきちんと自分の目で見届けたいと、そう思った。

「淡をそういう目で見ることは出来ない」

照先輩の口調は淡々としており、
私の気持ちに応えられないことに「ごめん」と謝るでもなく、
気持ちを伝えた私に「ありがとう」と労わりを示すでもなく、
ただ事実だけを述べる素っ気無さがいかにも先輩らしかった。
127名無しさん@秘密の花園:2010/10/17(日) 01:30:18 ID:36Ji0rff

「これからも好きでいていいですか?」

震えそうになるのを必死に堪えて声を掛けた私に

「好きにしろ」

と答えて背を向け振り向きもせずに歩き出す姿も、何もかも、宮永照というその人らしかった。

コンクリートの床を踏む固い足音が誰もいない部室で遠ざかってゆくのが、一つ一つはっきりと耳に届き、
部室に取り残された私はいやがおうにも失恋の悲しみを誘われた。
しかし、心は不思議と清々しかった。
憐憫の情など微塵も感じさせない照先輩の後姿を見ている内に、理由がわかった気がした。
私は先輩のひんやりとした冷たさが好きだったのだ。
誰ともなれ合わず、一人孤高を貫くその冷たさが。

とうとう一人きりになってしまった後で、私は憧れが憧れのまま残ったことが嬉しく思った。
恋は叶わなかったが、それでも良い。
ずっと照先輩のことを想い続けられれば、それで。
日が沈み、宵闇に包まれ始めた校舎に一人佇みながら

「好きにしろ」

という最後の言葉を、私はそっと胸の中にしまった。
128名無しさん@秘密の花園:2010/10/17(日) 01:30:57 ID:36Ji0rff


高校進学を考えた時に真っ先に頭に浮かんだのは、白糸台の名前だった。
理由は一つ。
宮永照がいたから。
全国一万人の頂点に君臨するその人に、憧れていた。
私が中学二年の時に当時高校一年生だった宮永照がインターハイで優勝して以来ずっと。

圧倒的な強さで相手を叩き潰し、たとえどんなに大差勝ったとしても決して笑顔を見せない。
ひたすら孤高を貫くその姿に一目で心を奪われ、彼女のようになりたいと思った。
あの頃の私は崇拝に近い感情を宮永照に対して持っていたのかも知れない。
なによりも、彼女は美しかった。
うなじにかかる赤みがかった髪も、冷たく射通すような眼差しも、すらりと伸びた手足も、
全てが美しく頭に焼き付いて離れなかった。

中学三年生で迎えた夏、高校二年生の宮永照がインターハイを二連覇したことでその崇拝の念はますます募り、
そして高校一年生になって白糸台の制服に袖を通して間もなく、狂おしい恋心へと変わった。
宮永照は想像していた通りの人だった。

口数は少なく、詰まらない冗談に愛想笑いすることなど絶対にしない。
滅多に感情を表さないが、心の起伏に乏しいわけでは決して無く、常に内に秘めた強い意思を感じさせる。
だから、その冷たい瞳に見つめられれば、誰もが無意識に目を反らした。
内に秘めた強い意志に気当たりして、深い海の底に連れていかれたような息苦しさを覚えることは、
経験した者なら皆知っている。
私もその一人だ。
129名無しさん@秘密の花園:2010/10/17(日) 01:32:03 ID:36Ji0rff
宮永照には思春期の少女特有の浮ついた危うさも、何かにつけて一喜一憂する弱々しさもなく、大人びていた。
全国有数の強豪校である白糸台の中にあってもその存在感は飛びぬけており、
研ぎ澄まされた抜き身を突きつけられているように、彼女の周りの空気だけは常に張り詰めていた。

私はそんな宮永照に憧れ、彼女のようになりたいと願った。
勿論、そう思う部員は私の他にも沢山いた。
その年の新入生のほとんどが、多かれ少なかれ宮永照に惹かれていたと思う。
無理も無い。彼女は全国一万人の頂点に立つ存在だ。
麻雀を志す者なら誰しも羨望の眼差しを向けざるを得ないし、それに美しかった。
切れ長の涼しい目元と肩口にかからないあたりで短く切られた髪が相まって一見少年のような印象を与えるが、
白い肌とほんのり朱がさした唇は紛れもなく年頃の女性のものに違いない。
二つの異なる特徴が同居して、どこか危うい色気を湛えた宮永照の姿は、
多感な女子雀士が熱を込めて見つめる条件を全て兼ね備えていた。
彼女が部室に姿を見せればそれだけで皆が袖を引き合ったし、
中にはお手製のクッキーやらケーキを焼いて差し入れする子もいた。

しかし、それは長くは続かなかった。
時が経つにつれて、同級生達は次第に宮永照を敬して遠ざけるようになっていった。
一途に想いを寄せるには、宮永照という人は孤高の存在過ぎたのだ。
彼女の目は常に高みに向けられ、取るに足らない私達一年生に優しい眼差しを向けることなど一度としてなかった。
報われない想いを寄せ続けることほど虚しいことはない。
同級生たちは宮永照に惹かれながらもその強烈な個性に屈し、淡い憧れを諦めていった。
130名無しさん@秘密の花園:2010/10/17(日) 01:32:58 ID:36Ji0rff
私もまた想いが報われない日々に疲れてはいたが、宮永照の世界に足を踏み入れたいと思い続けた。
とはいえ、魔物としか形容出来ない不可思議な打ち筋を真似ることは出来ず、いくら憧れようと近づくことは叶わない。
彼女の息遣いを間近に感じれば感じる程、決して縮まることのない心の距離がかえって浮き彫りになるだけだった。
あの頃の私は宮永照を振り向かせることが出来ない自分の弱さに歯噛みばかりしていた。
部活で同じ卓に座る度に、その魔物じみた打ち回しに翻弄される度に、切なくなった。

どうすればこの距離を縮められるのか。
どうすれば彼女の世界に足を踏み入れることが出来るのか。
彼女の瞳に私を映したい。
私のことを心のどこかで気にしていて欲しい。

そればかり考えていたせいで、気付くと

「照先輩」

と呼びかける声が切ない響きを帯びていた。
憧れはいつしか恋へと変わり、宮永照に近づきたい一心で牌を握り続けた私は、白糸台の団体メンバーになっていた。
131名無しさん@秘密の花園:2010/10/17(日) 01:34:08 ID:36Ji0rff


照先輩に告白したのは、西東京の予選が終わった翌日。
想いが実を結ぶことはなかったが、それでも私は清々しかった。
中学二年生の時に一目見て憧れた時のまま、照先輩が孤高を保ち続けていたから。

先輩はやがて迎えるインターハイで3連覇という決して塗り替えられることのない記録を作り、
私はチーム虎姫の一員としてその場に立ち会う。
憧れは憧れとして、不滅の記録と共に私の中で色あせること永遠に生き続け、
先輩のことを思い出す度に切ない息苦しさを覚えるのだろうと、思っていた。
そうやって私の初恋はいつまでも胸に残り続けるのだろうと。

しかしその淡い期待は照先輩の妹、宮永咲の出現によって呆気なく壊れることとなった。
インターハイの決勝戦、大将として試合に臨んだ私は宮永咲に破れ、
白糸台の三連敗の夢も、照先輩の三連覇の夢も潰えてしまった。
対極終了のブザーが聞こえたのと同時に卓に突っ伏した私の両目から涙が流れた。
あれ程憧れ、近づきたいと願っていた大切なものが音を立てて崩れていくことに心が耐えられず、
切なさが嗚咽となって喉から溢れた。

視界を涙で滲ませながら顔を上げると、照先輩と宮永咲が話している姿が見え、私は言葉を失った。
照先輩の顔にはかすかな笑みが浮かんでいたのだ。
それは私が憧れた冷たく大人びた女性ではない、一人の姉の姿だった。
誰にも優しい眼差しを向けず、誰も寄せ付けなかった照先輩が宮永咲を受け入れ、
微笑んでいるという目の前の事実に愕然とした。

どうして私じゃないんですか?
どうして彼女なんですか?

認めたくなかった。
宮永咲に対する憎しみの炎が、その時私の胸の中で燃え上がった。
私が求め続けたものをいともたやすく奪っていった彼女が許せなかった。
照先輩に対する崇拝も恋心も、全て壊した宮永咲という存在が。

私は宮永咲を憎み、彼女の全てを奪ってやりたいと思った。
だからインターハイが終わり、秋学期が始まるのに合わせて清澄高校に転入した。
照先輩という憧れ失った私にはもう何も残っておらず、宮永咲を憎むことしか出来なかった。
132名無しさん@秘密の花園:2010/10/17(日) 01:35:03 ID:36Ji0rff
おしまい
133名無しさん@秘密の花園:2010/10/17(日) 02:56:38 ID:QZqXNinJ
いいよー
134名無しさん@秘密の花園:2010/10/17(日) 14:14:23 ID:La0aDdIP
こわいよー
135名無しさん@秘密の花園:2010/10/17(日) 16:06:02 ID:e3BxcMxL
>>132
GJ
出来れば続いてくれ
136名無しさん@秘密の花園:2010/10/17(日) 21:01:42 ID:ZE2ckOkO
>>132
GJ!むしろここからが本番的なとこあるからよかったら続き頼むね
137名無しさん@秘密の花園:2010/10/18(月) 03:19:38 ID:amHHITNH
姉帯さんと胡桃の身長差百合について如何か
138名無しさん@秘密の花園:2010/10/19(火) 22:32:06 ID:PVeNUWUN
ダル子さんって、百合妄想広げられそうなキャラだよな。ああゆうの好きだわ
139名無しさん@秘密の花園:2010/10/21(木) 08:38:37 ID:jy4xG0jx
140名無しさん@秘密の花園:2010/10/21(木) 13:20:49 ID:dXD2HS+G
咲←和←照←菫←淡
こういう展開希望
141名無しさん@秘密の花園:2010/10/21(木) 20:30:21 ID:fqNlXahJ
なぜ照→和なんだ?
どういうことだってばよ
142名無しさん@秘密の花園:2010/10/21(木) 20:45:26 ID:b1Zmx+16
妹同様おっぱいに惚れたんだろう
143名無しさん@秘密の花園:2010/10/21(木) 21:07:02 ID:MSiTsXO7
それ淫獣の方
144名無しさん@秘密の花園:2010/10/25(月) 01:19:11 ID:9nmVaGUp
照かじゅ、照久の可能性について語ろう
145名無しさん@秘密の花園:2010/10/25(月) 01:36:52 ID:ZMXVvb4/
>>144
照が咲と和解後に清澄に転校してきて麻雀部に入部してからがスタートだナ

まぁ個人的には久照のが好みだが
146名無しさん@秘密の花園:2010/10/25(月) 03:41:03 ID:dOClATUE
美穂子受け。四レス。

タイトル
「長野行きの電車にて」
147名無しさん@秘密の花園:2010/10/25(月) 03:41:14 ID:dOClATUE
初夏もとうに過ぎ去り盛夏と言って差し支えない日差しが容赦なく照りつける八月。
全国大会間近という時期にわたし、福路美穂子は同学年の加治木ゆみ、竹井久と会う約束をしていた。
いつもは長野市に住む加治木さんが飯田に来るという展開が多かったのだが、今回はこちらが出向くという事になっている。
上埜…竹井さんも久しぶりに加治木さんのお宅に上がれるという事で、非常に喜んでおり、わたしもそれは同じであった。

当日、わたしは電車に乗り込み、目的地である所の長野駅へ向かった。
夏休み中という事もあり、電車の中は人でいっぱいだ。
席に座る事も出来ず、わたしは扉近くの棒に捕まり揺れと人波をしのいでいた。

自動扉が開き、人が吐きだされ、それよりも多い人々が波の様に乗り込んできて、また閉まった。

あと何駅くらいだろう。
少なくともあと二時間はこうして立ってなくてはいけないのだろうか。
でも諏訪を過ぎれば少しは空くかもしれない。
などとどうでもいいような事を考えていた。
何か考えてないと、風越で頑張っている他のみんなに申し訳が立たなくて、せっかくのデートだというのに気が落ち込むからだ。

三人で会って何をしよう。
加治木さんの事だから下調べは入念にしてあるだろう。
わたしもそれなりに調べては来ているが、三人で歩く時はいつも加治木さんのリードで進む。
それを竹井さんが思いもしない所で止まったり立ち寄ったり食べたり。
加治木さんは予定が狂ったなどと言って、苦笑いするが、それが楽しいように見えた。
わたしも竹井さんがそのように自分勝手にわたしたちを振り回すのが嬉しくて、楽しくて。
いつまでもこんな時間が終わらなければいいと思う。

でも、と考えてしまう。
いくら楽しい時でも終わりは来る。
別れは来る。
さようならと手を振って、別れる時の物悲しさはいかんともしようがない。
もし高校を卒業したら。もしIHが終わったら。
こんな風に会う事もなくなるのだろうか。

いつしか涙がこぼれていた。

こんなにも弱いわたしなんて、大学生になった上埜さんは見向きもしてくれないかもしれない。
上埜さんが好きなのは、加治木さんのように芯の強い、しっかりした人なのだろう。
それでもいいと、普段は思っているけれども。
やっぱり、心のどこかで上埜さんとつながって居たいと思ってしまう、卑しい自分が居るのは否定できない。

   心だけではなく、せめて何か残るものが欲しい。
   会う事がなくなるのならば、なにか思い出に残るようなものが欲しい。

そんな心の声に気付き、かぶりを振る。
なんと自分はいやらしいのだろう!
三年待ち望んだ再会で満足したのではないのか。
それが上埜さんに対して何か欲しいとおねだりするなどと、おこがましいにもほどがある。
自分の身体を抱きしめて、嫌悪感に浸る。
こんな気持ちを上埜さんに知られたら、きっと軽蔑される。嫌われてしまう。
必死になって、自分の心を内へ、内へと閉じ込めた。


そのように、なんの意味も無い思いに流されていたからだろうか。
わたしは時折自分の背後で接触してくる"モノ"に気付く事が出来なかった。

ぞわり

突如として背筋に悪寒が走る。
なにかが背後で蠢いた。
否。
明らかに指が、わたしの身体を意識して触れていた。
148名無しさん@秘密の花園:2010/10/25(月) 03:41:16 ID:dOClATUE

遠慮がちに一、二本。
しばらくして三本。
こちらが恐怖で声も出せずに居る内に、五本の指全部がわたしの臀部に食い込んだ。
思わず爪先立ちになる。
体中に怖気が走り、夜中じゅうベッドの上に何着も置いて厳選した服が冷や汗で濡れるのが分かる。
棒を持つ手が脈打つのが分かる。
気がつけば心臓が破裂しそうなほどに高鳴っている。
胴の中心から下の部分が急激に重くなり、なんの感覚もなくなる。

助けを呼びたいのに、口が開かない。
顎が力の限り、唇を噛みしめさせている。
棒を握る右手は力が入りすぎて白くなっている。
恥ずかしくて、でもそれすら考えられないほどに、怖い。
鼓動を刻んでいた右手が、今度は激しく振動している。
電車の振動?
違う。
わたし、震えているんだ。
恐怖し、震えてると自覚した瞬間、涙があふれてきた。
うつむいた私の足元に、涙がひと粒、落ちた。

わたしの臀部をまさぐる手は動きを止めず、指はずり上げる様に次第にスカートをたくしあげ始めてすらいた。
あぁ、このままスカートの中に手を入れられるんだな、と妙に冷静に分析してはいるが、身体は一向に動く気配を見せない。
動いてはいるが、これは自律した動きではなく、恐怖によって動かされているだけの、いわば反射にすぎない。
スカートが順調にたくし上げられ、おそらくは中指が直接わたしの体に触れた、その瞬間。
背後の手はわたしの身体を離れた。

たくし上げられていたスカートの裾がストン、と落っこちてすぐさま常の状態に戻る。
なにがどうなったのか訳が分からないが、ひとまず恐怖の楔から解放されたことを素直に喜び、深呼吸をする。
今までどれだけ貯め込んでいたのかと思わんばかりに、息が吐き出される。
同時に緊張の極致であった身体が弛緩し、爪先立ちのままだった足もかかとをつけて安堵する。
身体に残るストレスを取り払おうと息を大きく吸ったその時、わたしの胸がわしづかみにされた。

息が止まる。
鷲づかまされたというが、体勢としては下から持ち上げられたという状態である。
生ぬるい空気が首筋に当たる。
おそらくは今まさに胸をわしづかみにしている人物の吐息であろう。
息が当たった部分に鳥肌が立つのが自分でも分かる。
怖気が走るということばそのままに、肌が粟だって行く。
そんな怖気さとは裏腹に、身体はどうやら歓喜を上げているらしく、それが非常に腹立たしかった。
脳とは別の何か他の器官があるとしか思えない。
自分はこんなにも嫌悪感でいっぱいになっているというのに、なぜ、身体はこのような行為を喜んでいるのか。

 「うあぁ…」

情けない声とともに口が開く。
同時に緊張していた身体が弛緩していく。
すぐさまに、後ろに立つ人間が指を口の中に入れていく。
食いちぎる事も出来ず、指は舌を撫でまわし、わたしは汚らしく唾液を指にまとわりつかせていく。
くちゅくちゅという音がわたしの頭の中で反響する。
左胸がもみくちゃにされていくのも、なんの抵抗も出来ずにされるがままだ。

先程から視界がどうもぼやけている。
口の中に指を突っ込まれているというのに、その感覚ももはやない。
トンネルに入る。
暗闇の中、ドアのガラスにわたしの顔が映った。

そこに居るのは両の瞳の色が違う、淫乱な笑みを浮かべながら涎を垂らす、ひどく厭らしい女だった。
149名無しさん@秘密の花園:2010/10/25(月) 03:41:18 ID:dOClATUE

 (なんて気持ちよさそうな顔をしているんだろう…)

そんな自分の有様を見て、何かが頭の中で壊れた。
もう、内から湧き上がる衝動に抗う力もない。
必死になって唇の内側に潜めていた音を、抑えていた声を、わたしはとうとう口に出していた。

そもそもそれは、声とは到底言えぬ言葉。
ありていに言ってしまえば、そう。

喘ぎ声、なのだろう。

一度外に出てしまった声は止めようがない。
二度三度と漏れ続け、次第に大きくなっていく。
それを危惧したのか、口の中にある指は絶妙に舌を絡め取り、声を漏れだしもしないようにしてしまう。
わたしはもっと喘いでいたいのに。

顎まで伝った唾液がわたしの胸に落ちる。
酷く冷たい。
身体が全体がもう火の様に熱くなっているのだと、実感した。
この熱量をもう内に秘めてはいられない。

わたしの身体は我慢という言葉を忘れてしまっていた。
わたしの脳髄は理性という言葉を失ってしまっていた。

ドアに手をつく。
頬をドアに押し当てる。
ひんやりとした金属質の冷たさが心地いい。
わたしの息がかかって、ドアのガラスが白く曇っていた。

口の中の指を唇をすぼめて吸う。
吸うという行為はなにやら心を落ち着かせるものだ。
そんなわけのわからない事を考えていると、胸をまさぐっていた手はおもむろに下へと向かった。
身体がまたも喜びに蠢く。
だってそこは
スカートを前からたくし上げる。
だってそこは
わたしの太腿があらわになるが、もちろんそんなことはもう私は頓着しない。
だってそこは
太腿の内側から這うように手がどんどんと、その付け根に達する。
だってそこは
そしてついに手は、手は



触れられた途端に、わたしはわたしという存在ではなく、ただのメスとなっていた。
右手を下に、左手を胸に。
自らの身体を他人の手の上に、自らの手を置いて、さらに強く、慰めていた。
快楽だけを求めていた。
快感だけが欲しかった。
この後なんて考えられず、この瞬間だけを考えていた。
否、感じていた。
気持ちいい事だけ感じていたかった。
この先どうなるかなんて考えたくもない。
高校生活が終わって上埜さんとそれっきりになるだなんて想像したくもない。
いわんや、インターハイが終わって離ればなれになるなんて考えたくない。
そんな、いつか来る必然なんて一瞬でもいいから忘れ去りたい。
そんな考えがあったから、なのか。ただ単に私が淫乱な女だからなのか。
ただただ、この破廉恥極まりない行為に没頭したかった。
だが、現実はいつも予想を大きく上回って、わたしに振りかかる。
150名無しさん@秘密の花園:2010/10/25(月) 03:41:21 ID:dOClATUE

 「あら、ずいぶん気持ちよさそうね。やっぱり電車の中って興奮する?」

間違えようのない声だった。
三年間、忘れたくても脳裏から離れない声だった。
三年経って会ったらもう二度と別れたくなくなった声だった。
好きで大好きで愛してい人の声だった。

なぜ指を見た時に気がつかなかったのか。
この指は華奢で細くて白くて長くて、どう考えても男性のそれではなく、女性。
そしてこの指からはじき出される闘牌は、いつも私の心を熱くさせていたではないか。
その指が、声が、顔が、瞳が
わたしの身体に雪崩れ込んで、めちゃくちゃにしていた。

 「上埜さん?!」

素っ頓狂な声が出た。
上埜さんの指は、もう既にわたしの秘所から離れていた。
変わって両腕でくるむように、後ろからわたしを抱きしめてきた。身体の中の熱量がどんどん下がる。

 「いやぁ美穂子があんまりにも可愛いからつい、痴漢したくなっちゃってさぁ」

言い訳とも状況説明とも単なる冗談とも取れぬトーンで私の耳元に呟かれるそれは、いつものように適当一辺倒だ。
わたしの汗ばんだ身体のにおいを確かめるかのように、上埜さんはクンクンと鼻を鳴らす。

 「で、どうだった?気持ち良かった?」
 「しりません!」

思わず語気を荒立てて答えてしまう。
そんな自分にびっくりして、口を抑える。
周りの乗客が迷惑そうに怪訝そうにこちらを見ている。
上埜さんはそれらに手を振って応えた。
ますますわたしに寄りかかりながら、気持ち良くなかったの?なんて淋しそうに言う上埜さんに、
わたしは何と答えたものか返答に窮していると、奇天烈な着信音が聞こえてきた。
上埜さんはため息をつきながら携帯を取り出した。
その為に私は上埜さんから放り出された形だ。
なんとなく、弾き出されたような気がして途端に淋しくなる。
なので私はとりあえず上埜さんの腕にしがみついて、少しでも密着の度合いを高めようと努力した。
上埜さんの身体はとても甘い匂いがして、どんな香水をつけているのか気になったが、お話し中なので当分は聞けない。

 「え、そうなの?残念。えー、そりゃもうもちろんそっち向かってる最中よ。電車代?いいわよ、そんなの。じゃあ、また今度ね」

名残惜しそうに通話を切る上埜さんを、わたしは見上げた。上埜さんは残念そうな顔を隠そうともせずに継げる。

 「加治木さん、東横さんに捕まったんだって。あーぁ、せっかくおめかしして来たのに」

加治木さんの前では上埜さんはやたらと少女的で、可愛らしい。
わたしの前で見せる大人っぽさはなりをひそめる。
わたしはそれを羨ましいとは思うが、でも加治木さんの様にはなれないので、そのような上埜さんを引き出すことをわたしは早々に諦めた。
だからわたしはわたしの方法で、上埜さんと一緒に居ようと決めた。
いつか離ればなれになってしまう時が来るまで、上埜さんともっと一緒により近くに居ようと、それは今、決めた。

 「今日一日空いちゃったけど…どうする?」

携帯を畳ながら気さくに言ってはいるが、このような事は他人の身体をまさぐりながら言うセリフではない。

 「わたしは…さっきの続きがしたいです…」

そんなこんなは全部スルーして、わたしは上埜さんにおねだりした。
上埜さんはにこりと笑うと、数分前までと同様、わたしの身体を蹂躙し始めた。(了)
151名無しさん@秘密の花園:2010/10/25(月) 05:19:40 ID:7mF9y9rp
>>150
GJ!!!!
いやー素晴らしかったです
グイグイと引き込まれる濃厚な心情描写が素敵ですね
大変良い物を読ませていただきました
152名無しさん@秘密の花園:2010/10/25(月) 07:09:57 ID:9nmVaGUp
>>145
もちろん久照もありだけど、部長受けにも非常に興味があるw

>>150
GJ!
さすが部長、自重という言葉を知らない女w
153名無しさん@秘密の花園:2010/10/27(水) 19:22:08 ID:BpzyDxO9
>>150
GJ!!
だが部長自重しろww
154名無しさん@秘密の花園:2010/10/27(水) 22:11:16 ID:x/Ypsblm
流石すぎてたまらんw
155名無しさん@秘密の花園:2010/10/29(金) 07:14:14 ID:HD3JP1SI
>>146-150
状況と心理描写が秀逸すぎるw
アニメの対局中の時のシリアスなBGMが頭の中で流れてきたわ
156明日のガイト 序:2010/10/30(土) 15:21:31 ID:Ep2hUMCi
えーと、お久しぶりです ご無沙汰でした ああ何ヶ月ぶりだろか
コントとか投下してたやつです 生きてたよ 帰ってきたよ
…どうでもいいか 憶えてないよね でもなんかその ごめんね

久々にSS投下です 全国編にトライしました
レスすること自体久々すぎて、少々もたつくかもです 請うご容赦
それでは早速 次レスより5〜6レスほどお付き合いください どぞ
157明日のガイト@:2010/10/30(土) 15:23:39 ID:Ep2hUMCi
出 演:辻垣内智葉、ダヴァン、宮永照、弘瀬菫
百合分:もにょっす エロ:ムリっす ばか度:観測史上最大級
ちょびっとシリアス? 厨2ちっく お姉ちゃんヤンデレ ちっとこわいかもです
まだ露出の少ない面々なので、妄想力全開でお届け ふひひ
捏造とかっ!気にしちゃ駄目だ、だめなんだ! スルー、それは優しさ それでは
↓スタート
******************
「 孤狼の誇り 」

「ふう、式典など……もう少し簡略化できないものか」
化粧室の個室で、ため息をついた。……落ち着け、もうすぐだ。もうすぐ闘える。

全国大会開会式は、つつがなく終了した。年々派手になっていくような気がする。
真夏の祭典、か。きらびやかな演出は、卓上の死闘を嬉々として煽っているようだった。

 ――さあ、選ばれしツワモノどもよ、闘え、踊れ、死に狂え――

「……いいとも、みせてやるさ」

外に人の気配が消えたのを見計らって個室を出たが、まだ一人、洗面所に先客が残っていた。
白糸台の制服……。(! 宮永っ)

「久しぶりだな、宮永照」 問い掛けに、ハンカチをくわえ手を洗っていた少女が振り返った。
調和の取れた美しい顔に、少し怪訝な色を浮かべている。

「去年のようにはいかないぞ。今年は団体戦でも私が……ん?」 「……」
ハンカチをくわえたまま、小首を傾げた。 (まさか、こいつ)

「憶えてない、のか」 「……」 ハンカチを手に取り、少し悲しそうに眉根を寄せる。
ほとんど無表情であるが、此方を見つめる緋色の瞳は深い愁いを帯びているようにも見える。
(あわれみ? くっ、おのれっ!)

「っ……そうか、すまん」 ぎりりと奥歯を噛みしめる。
無言の宮永照から目をそらし、手洗いを済ませ、その場から退出した。

入れ違いに化粧室に入ってきたのは、弘瀬菫である。
「照、済んだか?行くぞ」 「……ん」 照の目線を追って、菫が振り返る。
「今すれ違った奴か?あれは……うん、確か臨海の辻垣内、だったか。何か話したのか?」
「いや……別に」

「去年の個人戦の3位だな。お前も対局しているぞ」 「……そう」
「かなりの打ち手だったと記憶しているが。憶えてないのか?ひどい奴だな」 苦笑する菫。
「相手が誰とか……関係ない。全部倒すのみ、だ」 感情を伴わない声で、ぼそりと呟いた。
「ん、そうだな。お前はそれでいい。さ、行こう」 菫が照の腕を取り、化粧室を後にした。

* *

化粧室を出て、黙々と歩く。あいつ、私を憶えていなかった。忘れられていた。
つまりあいつにとって私は、取るに足らない有象無象のひとつでしかないんだ。

インターハイの象徴、全国高校雀士1万人の頂点、宮永照に贈られる賛辞は様々だ。
しかし表立って口にされることは少ないが、彼女を例える言葉には、もう一つの種類がある。
憧れと、畏れ。その神懸り的な闘牌に魅せられた者共が、まことしやかに噂し合うのだ。

曰く、猛き虎姫、無敵の魔王、全国の魑魅魍魎を統べるもの、……人ならざるもの、宮永照。

……だからなんだ、それがなんだ。
「渡辺綱だって、ヘルシング教授だって、ただの人間だったろうが」
ぐいっと顔を上げ、歩を進める。小さな拳を、ぎゅっと握り締めた。
158名無しさん@秘密の花園:2010/10/30(土) 15:23:41 ID:X54BE6nR
キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!
159明日のガイトA:2010/10/30(土) 15:25:37 ID:Ep2hUMCi
* * *
辻垣内智葉は、反骨の人である。
普段は物静かで、例えば声を荒げたりすることも、まず無い。小柄で清楚な容姿もあいまって
ともすれば大人しく見られがちだが、何かの折にその双眸を覗き見る機会を得た者は、彼女が
内に秘めた灼熱の炎を容易に感じ取ることができるだろう。

智葉が幼いころ、TVで陸上長距離走の国際大会を観戦したときのことだ。
長身の外国人選手に混じった小柄な日本人選手は、ひときわ小さく見えた。足の長さなんて、
半分くらいじゃないかと思った。解説者は、如何に日本人選手が身体的に不利であるかを
必要以上に明朗に語っていた。だから我々は駄目なんだ、とでも言いたげに聞こえた。
「外人さんは大きいからねぇ」 共に観戦していた祖母は、残念そうに嘆息していた。

智葉は違った。彼女は歓喜した。何故か、誇らしかった。
肉体的不利をものともせず、彼女たちが世界を相手に互角以上に闘っているのは何故だ。
圧倒的不利を目の前にしても、怖気ずひるまず果敢に挑み続けるのは何故なのだ。

(強い想いがあるからだ!)

一時の激情ではない。瞬間的な感情の爆発などとは無縁のものだ。そうでありながらも、
高く高くひたすら上を目指そうとする意志は、静かに強く燃え続けるのだ。

その原動力、心のずっと奥にある想い、それを支えるのはきっと「克己心」 だ。
貧困からの脱却や栄光を希求する野心、いずれをも否定したり卑下したりはしない。
(ときにそれらは尊いものですらあるだろう。求むるものなど人の数ほど違いがある)しかし
数多あるそういった心象の中でも、在り様として共通であり、尚且つ智葉がもっとも高潔だと
感じるものが、それだ。火を噴くような情熱を、冷徹な分析で御したとき、勝算は生まれる。

高校進学の際、迷わず世界のトップランカーが集められると噂の臨海女子を選んだ。
一般入試の日本人など臨海麻雀部ではゴミ以下の扱いであったが、全く気にしなかった。
そんなときにとるべき道は二つに一つ。見切りをつけて立ち去るか、実力で黙らせるか、だ。
退却することを卑怯だとは思わない。だが智葉は闘うことを選んだ。平坦な道ではなかった。
素足で荒野を進むような毎日だったが、歩みを止めたりはしなかった。克己心だけを支えに。

おのれにかつ、こころ――。
赤い情熱の火と青い合理の火が交じり合い、紫色の火炎となって静かにゆらゆら揺れている。
それはそういったものなのだ、と、智葉はイメージしている。

そんなようなことを、迂闊にもダヴァンに話してしまったことがある。
「智葉サンは、紫色の炎のプリンセスなのデスネ。かっこいいデス」 「……よしてくれ」
何故か、やだった。だってなんだか、中2病?とか言うやつみたいだし。

* *

宿舎に戻るため、1階大ホールへ向かう階段を下りきったところで、後ろから手を掴まれた。
「ああ、智葉サン!やっと見つけまシタ。ご飯食べに行きまショ」 ぺかっと笑う。
「ダヴァン、開会式後は自由時間だ。勝手に食べに行けって言っといたろ。つか、離せ」

「えー、イッショに食べましょーヨー。そのほうが絶対おいしいデスヨー」
つないだ手を、ぶんぶんと振る。恥ずかしいからやめて欲しい。
まあ、いきなりハグしてこなくなっただけましか。

「……智葉サン、また怖い顔してまス。キンチョー、してまスカ?」
メガン・ダヴァン。カテゴリ的には魔物の一人だが、不思議な奴だ。何故私などに構うのか。

去年の個人戦を思い出す。事実上の決勝卓となった最後の対局で、宮永照と対峙したときだ。
他を寄せ付けぬ圧倒的なオーラと雀力に直接さらされた私は、南2局で気を失いかけた。

(『くうっ、まだ、届かないのか……』) そのとき確かに聞こえたんだ。ダヴァンの声が。
(『立って、立つんデス!智葉サン!』)
160明日のガイトB:2010/10/30(土) 15:27:31 ID:Ep2hUMCi
対局中なのに、思わず本当に立っちゃったじゃないか。恥ずかしかった。ダヴァ子の奴め。
……言いがかりだな。幻聴だったのだろう。しかし何故、ダヴァンの声だったのか。

初めて会ったとき、彫像のように整った顔に猛禽を思わせる鋭い目をして、妙にワイルドな
格好をしてた。ヒャッハーとか言い出すんじゃないかと少しワクワク、じゃなくてハラハラ
したものだ。話してみれば、とても気のいい田舎のオネーチャンという感じだった。

真っ直ぐな奴なのだろう。感じたままを正直に口にする。外国人だからというよりは、コイツ
の個性なのだろう。それでいて、今まで頻繁に目にしてきた外国人特有の強烈な自己主張、
傲慢さのようなものが、ダヴァンからは感じられない。寧ろ周囲に細やかな気遣いを見せたり
もする。その辺の陰険な日本人よりも、余程そうしたことに気を配っているのがわかる。

「お前、他人に気を使いすぎだ。私のことなど放っておいてくれていい」
「”Read the Air” なのデス。私が日本で一番学びたかったコトなのでスヨ」
「……変な奴だな」 何か違うぞ、それ。思わず笑ってしまう。

(ああ、やっと笑ってくれまシタ。智葉サン、また難しいことを考えていたのでスネ。
もう、眉間にしわなんか寄せて……。キュートなおデコが台無しデス)

数ヶ国語を自在に操るこの小柄な才媛は、必要以上には周囲と打ち解けようとしない。
学内リーグ戦で智葉に打ちのめされた他の部員たちは、陰で彼女を”アイスドール”と呼んで
揶揄していた。そんな噂を耳にしても、智葉はどこ吹く風、といった感じで、寧ろダヴァンが
やきもきしてしまう。

学内ランキングでは常にトップ3に入る智葉が、これまで団体戦に出場できなかったのは、
偏に大人の事情というやつだ。大金を使って獲得した外国人選手に活躍の機会を与えないわけ
にはいかないのだ。しかし彼女は特に不平不満を言うでもなく、ただ黙々と日々研鑽に努め
続けていた。今と同じ、瞳を強く輝かせて。

(あなたにとって世の中は、理不尽の嵐が吹き荒れる荒野、それで当たり前なのでしょうネ…
でも智葉サン、この世界はきっと、それだけじゃないんでスヨ。そう、例えば……)

「? グレートマージャンスピリッツ? 宗教はいらん」
「そーゆーんじゃないでスヨー、例えたのでス。えーと、愛でス。おーきなおーきな、愛。
麻雀牌にも、人のココロの中にもある、私の感じるソレを智葉サンにも感じて欲しいのでス」

「いらん。神頼みなど性に合わん」 「お正月、イッショに初詣でに行ったじゃないでスカ」
真剣に手を合わせ、頭を垂れていた。割と長い時間、そうしていたように思う。

「別に、何か祈願してたわけじゃない」 「? じゃあ何を」
「誓ったんだ。全力で闘うと」 きっぱりと言い切った。 「Oh……」

「……勝てまスヨ、私たち!智葉サンは、天才デス!私は知ってまス!」 「よしてくれ」

もし真に天才というものがいるなら(宮永は多分それだ)、私はその対極に位置する人間だ。
現実は時に容赦なくその事実を私の眼前に突きつけた。だがそのこと自体を嘆いたことは無い。
寧ろそれは、厳しい現実であると同時に、私の誇りを醸成するものですらあった。

なぜなら、藤田プロの言う「牌の寵愛」、すなわち生まれ持っての才能、強運を持ち得ないと
いうことは、私の手にした栄光も挫折も歓喜も悲嘆も、屈辱ですらも、全ては私の意志による
闘いの結果、つまりは私の意志による存在の軌跡、証明そのものということになるのだから。

そしてそれらがより純粋に、私という存在の主たる意識である「私」と、ぴたりと折り重なる
ということになるのだから。それは実に、すっきりとしたことであるに違いない。

もし神がいるのであれば、特殊な才能という「ギフト」を私に与え賜わらなかったこと、
そのことにこそ、感謝をしよう。

そう、私は幸せだ。今このとき、挑戦すること、し続けることを許されているのだから。
161明日のガイトC:2010/10/30(土) 15:29:29 ID:Ep2hUMCi
凡庸なる者は、幾度も転んで泥まみれになったって、もがいてあがいて前に進むしかない。
そうやって進むことをあきらめなかったものにこそ、奴と対峙する資格が与えられる。
それは、単に卓を同じくする、ということではない。

十五の春に、遠くか近くか知らないが、一人で野垂れ死ぬことを覚悟した。
全てを捨てて、闘うことに懸けると決めた。宮永照と初めて対決した日の夜のことだ。

燃やす。この命を燃やし尽くす。後に残るのは、雪のように真っ白な灰、それだけだ。
そうしなければ届かない。そうでなければ、アレの足元にさえ近寄れまい。

憶えていない、か。上等だ。誰よりも美しく気高き孤独な魔王、宮永照。
その白い首筋に、私の牙を突き立ててやる。その憂えた瞳に、命の灯をともしてやる。
次に対峙したとき、そのときこそ、私の名を声を姿を、深く深くお前の魂に刻み付けてやる!

―― 熱い闘気が智葉を包み込む。 と、そのとき ―― ちゅっ
いきなりおでこに何か柔らかいものが押し当てられた。

「だっダヴァン、何を!」 「何って、Kiss ですけド?ニホン語で言うなら、ちゅー」
「お、お前!そういうことすんなって前に言ったろ!」 語気を強め、抗議する。
ダヴァンと知り合ってから、極稀にこういうことがある。智葉のこういった姿は大変珍しい。

「だ、だってまた怖い顔してるかラ!おデコ可愛いのに、もったいないでスヨー!」
「うううるさい!このばかっ」 赤面する智葉というのも、めったに見られるものではない。

なんとなくつないだままでいた手を振りほどき、智葉は憤然と歩き出した。

「ああ、智葉サン、待ってくださいヨウ」
「うっさい、ばかっ、こっちくんな、ばかっ!」
「いーじゃないでスカ。私、智葉サンのパートナーなんでスカラ」
「何だそれ、ばかっ、勝手に決めんな、ばかっ!」

「モー、そんなばかばかって連呼しないでくだサイ。確かにばかかも知れませんけドー。
それじゃあ改めましテ、お願いデス。私を智葉サンのパートナーにしてくだサイ。プリーズ」
「? 目の前の団体戦に集中しろ、ばかっ。闘うときは、独りだ!コンビ打ちなど、できん」

会場1階大ホールの雑踏を掻き分けるようにして、小柄な智葉が進む。
まるでその小さな背中を守るように、長身のダヴァンが付き従った。

(む〜、さりげなーくコクハクだったんですけドネー……智葉サン、にぶちんデス。ハァ)
国際レベルの天然なのだった。

* * *

1階大ホール、玄関の正面に当たる奥の壁面に、巨大なトーナメント表が提示されている。
丁度その前を通り掛ったとき、宮永照は立ち止まり、ゆっくりとそれを見上げた。

「運命のラダー、だとさ。なかなか気の利いたことを言うよな」 菫が微笑みながら言った。
(まあ所詮は、照に、魔王に屠られる運命ってことになるんだがな)
驕るつもりはないが、正直なところ、相手が少々気の毒に思えたりもする。

(長野……清澄、……咲……)
「長野の清澄は、勝ち上がれば永水と臨海に当たるな。気になるか?」 照の顔を覗き込む。
「……いや、別に。関係ない」 視線を伏せて、照が呟いた。

「……ふふ、まあいい。さてと、照、何食べたい?」 「オムライス」
照は食が細い。長く一緒にいるが、例えば好物の話などもしたことはない。何でもいいという
返事を予想していた菫は、少し驚いたが、同時に何だか少し嬉しかった。

「好きなのか? オムライス」 「……いや、別に。なんとなく」
162明日のガイトD:2010/10/30(土) 15:31:48 ID:Ep2hUMCi
―― ああ、感じる。咲が近くに来ている。
一週間前、学校の屋上で感知したのと同じ。あれは、咲だ。
あのときは、力強いたくさんの光に包まれて、まっすぐ私に届いてた。

 (『 お姉ちゃん 私 行くよ 』)

今はとても弱々しい。でも、……来たんだね。此処のどこかに、お前はいるんだね。
もしかして、また迷子になって泣いてたりとか、してない? 大丈夫? ふふっ

 ……咲、愛しい咲

 今のお前は、強く、咲けるの?

このラダーを這い上がって来るのは、皆、勝利に餓えた百戦錬磨の狼たちだ。
お前はその群れの中に飛び込んで、立ちふさがる奴、ソイツラの喉笛を、
全部噛み千切らないとイケナインだよ   ゼンブ

 ……おいで おいで お姉ちゃんは 此処にいルよ

 おいで 咲

 全部倒して 私ノ前に

 お前の浴びた返り血ハ 綺麗ニ舐メテアゲルカラ

 思いっきり抱きしメテ 優シク壊シテアゲルカラ

 そしたらきっと 昔みたいに

 ずっと一緒にイラレルよ 

 ずっと ずゥット 一緒ダヨ……

―― 照が俯き、小さく肩を震わせている。哄笑するのを堪えるように。
「? 照、どうした?」 「ん、イヤ……何デもない」

(ふふっ、全国の狼たちと、咲が、フフ……うん?狼?……臨海、ああ、さっきの……)

「……あの、孤狼か」 思い出した。個人戦で、しぶとく食らいつこうとしてきた奴だ。
「痩せ狼が、懲りずに牙を研いでいたらしいな」

「ん? 誰のことだ?」 菫の問いには答えずに、少し口の端を吊り上げて、照が呟く。
「ああいう奴は、嫌いじゃない。少しは……楽シメソウダ」
ほんの一瞬、照から暗黒の波動がほとばしった。

「っ!……照」 菫がじっと照を見つめる。胸が騒ぐ。
味方としては、これ以上ないくらい頼もしいはずなのに、この不安は一体何だ。

「照、お前……むっ?」 そのとき、フロアの彼方此方から送られる複数の視線を感じた。
息を潜め、此方の様子をじっと伺っているようだが、その殺気は隠しきれていない。

「……ふん。照、どうやらその狼の群れが、彼方此方潜んでいるようだぞ」
「……菫、今年の有象無象の餓狼たち、どんな声デ、鳴くんだろうな……」
外へと向かう。二人の進む先で、まるで海の底が割れるように、人波が左右に開いた。

「さあ、真夏の宴の ハ ジ マ リ ダ 」 孤高の虎の、緋色の瞳が ぎらりと輝いた。

*********************
以上  読了感謝
163明日のガイト 蛇足:2010/10/30(土) 15:34:03 ID:Ep2hUMCi
はい、お疲れ様でした ありがとうございました
あまりにも久しぶりでしたが、いかがだったでしょ
やっぱりSS書くのは楽しかったです でも何か勘が戻らない感じ まあぼちぼちと

智葉さんを、見たまんま秀才で、峻烈な努力の人って感じにしようと思って、小難しいことクドクドと
言わせてみたけど、所詮書き手がばかなので何だかもう
ダヴァ子ちゃんと仲が良いといいな もちろん他のメンバーとも
それにしても、照お姉ちゃんの黒ポエムを書くのが妙に楽しかったです
こんなんイメージとちゃうっ! という方は、ごめんなはい 華麗にスルーで万事解決

それにしても全国すげー 姫様かわいい こっそりおやつあげたい しろみちゃんはなんかえろいし、
漫ちゃんはデコといい乳といい、見事だ すばらしい さすが立たん
衣ちゃん相変わらず可愛いし、純のアニキのスタイルの良さときたらもう、くらくらしますな ふへへ
またモンプチーズでお話書きたいです いずれそのうち それでは
164名無しさん@秘密の花園:2010/10/31(日) 00:58:54 ID:svKM54Ju
GJです

アイスドールと聞くと某ヤンデレ女帝を思い出す
165名無しさん@秘密の花園:2010/11/03(水) 03:10:45 ID:HbS3tbfR
>「さあ、真夏の宴の ハ ジ マ リ ダ」


何故か「狩ノ時間ダ」を思い出した
166名無しさん@秘密の花園:2010/11/08(月) 19:10:24 ID:eWNjy1hf
人いねぇ
167名無しさん@秘密の花園:2010/11/09(火) 02:40:10 ID:8TsDlwzP
原作での百合描写が少ないからなー
さきすぺでの収穫はどうだったのかしら
168名無しさん@秘密の花園:2010/11/09(火) 10:08:22 ID:wvh3/NxF
かじゅももは相変わらずおいしい
169名無しさん@秘密の花園:2010/11/09(火) 10:15:17 ID:M7o4g5k/
3年組が総出で久に想いをはせる中堅戦とのど咲が遠い
170名無しさん@秘密の花園:2010/11/10(水) 19:35:30 ID:t2IgZEVS
とりあえずシロの百合カプは姉帯さんなのか胡桃ちゃんなのかを
171名無しさん@秘密の花園:2010/11/10(水) 22:43:41 ID:f9BRgH0u
エイスリンちゃんはそれを覗きながらオナニーするだけとかナニ決め付けてんだよっ!
172名無しさん@秘密の花園:2010/11/10(水) 23:45:51 ID:v1RT0360
エイスリンちゃんは中堅で部長に一目ぼれして試合後控室にサインをもらいに行くんだけど
応援に来ていたキャプテンに追い返されるんだと思うな
173名無しさん@秘密の花園:2010/11/11(木) 01:24:12 ID:loA6xjMN
控室に帰る部長に声をかけようとするエイスリンちゃん
しかし控室前で美穂子さんと楽しげに会話する部長の姿に絶望し
エイスリンちゃんは泣きながら宮守控室に戻るのであった。
174名無しさん@秘密の花園:2010/11/12(金) 01:31:59 ID:aLQWe6o5
シロさん可愛いな・・・受けなんだろうか
175名無しさん@秘密の花園:2010/11/12(金) 17:51:55 ID:C/5tMWF7
むっきー×モモって需要ある?
176名無しさん@秘密の花園:2010/11/12(金) 17:52:37 ID:ljJtCL5W
あるんじゃね
177名無しさん@秘密の花園:2010/11/12(金) 18:13:18 ID:tVcdheQh
モモが会場でたまたま出会ったシロにナンパされて
ちょっとときめいたりしちゃう展開になったりしないものか
178名無しさん@秘密の花園:2010/11/13(土) 02:31:52 ID:3/yCxoXm
霞×久とかどうだろう
悪戯好きな部長すら大人しくさせてしまう圧倒的な包容力を発揮する霞さん
179名無しさん@秘密の花園:2010/11/13(土) 21:44:13 ID:zaruysUJ
>>178
必死な美穂子が見たくて、わざと霞になびいたそぶりを見せる部長。
そんな部長の下心を見抜きつつも、調子を合わせて部長を誘惑する霞。
180名無しさん@秘密の花園:2010/11/14(日) 00:15:27 ID:24y6x5te
なにその頭脳戦w
181名無しさん@秘密の花園:2010/11/14(日) 12:34:06 ID:6xHRJ3wH
部長は誕生日を誰と過ごしたのかな?
182名無しさん@秘密の花園:2010/11/14(日) 14:16:24 ID:vg9IW9ig
各校巡りとか押しかけられて修羅場とか
183名無しさん@秘密の花園:2010/11/14(日) 18:42:00 ID:6xHRJ3wH
>>182
後者良いねw
咲まこ美穂子ゆみ照小蒔霞あたりが俺の脳内候補か
184名無しさん@秘密の花園:2010/11/14(日) 19:32:42 ID:3+KeufJI
俺の脳内では個人的好みにより、そのメンツ+はっちゃん・いちごちゃん・エイスリンも混ざってるw
185名無しさん@秘密の花園:2010/11/15(月) 01:40:07 ID:tOrQkYBG
七巻の折り返し見て、これかじゅの誕生日の日なのかなぁとか思った
「わたし、これから結ばれるんだ…」
そう思いながら、幸せそうに白い息を吐く桃子なのであった。
186名無しさん@秘密の花園:2010/11/15(月) 14:10:00 ID:AnWICxux
あそこだけなんで唐突に冬景色なんだろうと思ったらそういうことか!
187名無しさん@秘密の花園:2010/11/17(水) 18:55:50 ID:FHzsZBIo
>>182-184
せっかく仲直りしたのに部長を巡ってまたぶつかり合う宮永姉妹萌え
188名無しさん@秘密の花園:2010/11/19(金) 10:49:09 ID:5HVjtNzd
>>173
岩手へ帰る夜行列車の中何枚も何枚も部長の絵を描き続けるエイスリンちゃんを想像して泣いた
189名無しさん@秘密の花園:2010/11/19(金) 13:04:48 ID:bJkpanzN
大量の部長の絵を利用してパラパラ漫画を作るエイスリンちゃんを想像して笑った
190名無しさん@秘密の花園:2010/11/19(金) 15:28:16 ID:XhBca9jK
タコスおわったらエイスリンはじまってた
191名無しさん@秘密の花園:2010/11/19(金) 19:00:17 ID:/2Qp73hH
部長「同じ清純派なら外国人の方が色々楽しそうだわ。」
192名無しさん@秘密の花園:2010/11/19(金) 22:09:18 ID:EwKfCpMH
エイスリンは清純派というかオモシロキャラの匂いがw
193名無しさん@秘密の花園:2010/11/20(土) 00:45:04 ID:3lwIEez3
エイスリンちゃんはトシさんにベッタリだと俺得
194名無しさん@秘密の花園:2010/11/20(土) 00:54:56 ID:XcufPm5c
エイスリンちゃんは鬼巫女絵かわいい
195名無しさん@秘密の花園:2010/11/21(日) 02:57:59 ID:5ENLyfUO
>>191
???「ねぇ華菜…外国籍ってどうやって取得すればいいのかしら?」
196名無しさん@秘密の花園:2010/11/21(日) 07:49:48 ID:Q5zneYAz
「上埜さん、私の右眼が青いのは、実はハーフだからなんです!」
197名無しさん@秘密の花園:2010/11/21(日) 13:24:11 ID:XIknnpxP
「アイルランドでは同姓結婚ができるんです///」ということを部長に絵で伝えようとするも
隣で見ていたキャプテンに間違った解釈をされなかなか伝えられないエイスリンちゃん
198名無しさん@秘密の花園:2010/11/21(日) 19:05:23 ID:ioCjbTam
>>196
一粒で二度おいしいわけですね
199名無しさん@秘密の花園:2010/11/21(日) 20:58:27 ID:uaftfpFM
>>196
「なるほど。外人の血があるから声が大きいのね。」
200名無しさん@秘密の花園:2010/11/22(月) 00:52:03 ID:zsP63w/2
霞さん×姫様マダー??
201名無しさん@秘密の花園:2010/11/22(月) 01:12:10 ID:llUcfgTY
代行は末原さんと漫ちゃんのどっちがええのん
202名無しさん@秘密の花園:2010/11/22(月) 19:52:07 ID:wdnGQWN/
菫×姫様、淡×照、代行×末原等々・・・
臨海は予想できないけど全国は妄想のしがいがある
203名無しさん@秘密の花園:2010/11/23(火) 15:48:23 ID:/tK0tWP8
「すえはらちゃん、漫また爆発せんかったなぁ〜〜この責任どないして取ってくれるん?」
「責任って……ちょ、止めて!触らんといてくださいっ!」
「やぁ〜〜ん、その反抗的な目たまらんわぁ〜〜。気の強い子ってむっちゃ好みやねん〜〜」
「変なとこ触らんといてゆうてますやん!いい加減にしないと…」
「そんな態度でええのん〜〜?漫に責任取ってもらってもええんやで〜〜?」
「……っ!!」
「代行権限で退部させてもええんやで〜〜?ま〜〜あの子を推薦したあんたが責任取るんが筋やと思うけどな〜〜?」
「……わかりました……今晩部屋に行くんで、好きにしてくださいっ…だけど…だけど漫にはっ……」
「わかってるって〜〜。漫にはバレへんようにしたるからな〜〜」
204名無しさん@秘密の花園:2010/11/23(火) 23:42:49 ID:hNuzuq9/
興奮したw
205名無しさん@秘密の花園:2010/11/24(水) 17:10:28 ID:HDFSm6GW
いくのんマジ鬼畜ww
206名無しさん@秘密の花園:2010/11/29(月) 22:47:22 ID:qcqj4GQM
総合スレが倦怠期なのにあのひとは部キャプをずっと描いててすごいな。百合超人のひとりだわ
ハイクォリティな自給自足にまさるものはないんだね
207名無しさん@秘密の花園:2010/12/02(木) 04:51:57 ID:KVFiEs1w
末原先輩×愛宕姉でも愛宕妹×愛宕姉でも無さそう
という事は部長×愛宕姉の可能性が
208名無しさん@秘密の花園:2010/12/02(木) 17:29:11 ID:KP4PJHzj
末原先輩はあのメンバーで勝ちあがることにこだわり持ってる感じなのかねぇ
回想の着崩れ方がヤンキーっぽかったからか
ろくでなしの見る夢みたいなキャラに見えて仕方がない
209ポエマー咲 序:2010/12/05(日) 02:06:36 ID:SN0u8ZwR
えー、どうも また来ましたふはははは
>>164 さん >>165 さん レスに感謝です

漫ちゃんはやっぱり弄られキャラだったんですねぇ かわええのう 良いデコ
上重漫 お昼はきっと鰻重上

…いやその、さて またSS投下します
原作が全国大会で盛り上がっているというのに、大会後のお話し
軽く読んでいただければ幸い
では次レスより、6〜7レス程お付き合いください どぞ
210ポエマー咲@:2010/12/05(日) 02:08:19 ID:SN0u8ZwR
出 演:清澄高校麻雀部の皆さん 変則的にゆみ&美穂子、ちらっと虎姫隊の皆さん
百合分:ちっとによによ エロ:思いつかぬ ばか度:縁側で日向ぼっこな感じにアレ
捏造妄想熱暴走、するするスルーで安心ダ! それでは、
↓スタート
*********************
「 ポエムな午後 」


「平和ねぇ〜」 ふわぁあああ 
デッキチェアに寝そべる竹井久が、あくびまじりにそう呟き、ぐっと伸びをした。
ここは清澄高校旧校舎、麻雀部の即席テラスである。とはいえ実態は旧校舎の屋根の上で
テラスというには傾斜があるし、かなり危ない。

「なんじゃ、大口開けてー。もうちっとシャキっとしときんさいよ、部長さん」
まこがベランダの塀にもたれて、笑いながら声を掛けた。
「なによー、いーじゃない。こんな時間は久々なんだから〜」 あふぁあああ
「まあなー。でものんびりできるのも今のうちだけじゃ。これから国麻に選抜合宿、
あんたは受験勉強もあるじゃろ?ゆるめすぎても後がしんどかったりするもんじゃよ」

全国大会でまさに台風の目となった清澄高校麻雀部の面々は、大会後もTVや雑誌の取材、
地元に帰れば慰労会やら何やら引っ張りだこで、残りの休みを食い潰すこととなった。
大会の興奮も冷め遣らぬまま2学期を向かえて、慌しい日々が続いたが、ここに来て
ようやく周囲の興奮も収まりつつあった。

「うあーなによなによう。めんどくさいこと思い出させないで、次期部長さーん」
「う、そりゃまだちっと早いけえ、やめといてくれ」
「あら、スケジュール管理に会計に渉外、もう実質的にまこが仕切ってるようなものでしょ。
ふふっ、私もそろそろ、お邪魔かしらねー」
「何ゆうとるんじゃ、わしがしとるんは雑用じゃろ。それに、あんたには卒業まで目一杯、
ここにいてもらわにゃ」

「あら、まこらしくない。不安?」 ちょっと意地悪に笑う。
「そんなんとちゃうよ。ここは、あんたがつくった、あんたの城じゃけぇの。
最初一人ぼっちだった分も含めて、たっぷり満喫してほしいってだけじゃ。……そんだけ」
ぷいっと横を向き、照れくさそうにまこが言った。ちょっと耳が赤い。

「……ふふっ、ありがとまこ。でもちょっと違うわ。私だけじゃない。まこや優希、和に咲
みんなでつくった場所だもの。でしょ?」 「そりゃそうかもしれんけど、でも」

「それに、大会前にも言ったけど、まこがいなかったら私、とっくの昔に音を上げてたもの」
「いやいや、そりゃないじゃろ」 「あら、こう見えて中身は繊細な女の子なんですからね」
「部長、そいつはちょいと無理があるじぇー」 唐突に部室の中から優希の声が響いた。

「おう、来たんか、優希」
「無理があるって、失礼ね。優希、どういう意味?」 ちょっとおどけて睨んでみる。
「”おんなのこ”ってのは、きっとこういうの書ける子のことを言うんだじょ」
優希が一冊のB5版ノートを、ひらひらとかざした。

「? なーに、それ?」 「ふっふっふ、見たいかい?姐さん」
「ぼちぼち和と咲も来る頃じゃ。お茶でも淹れるけえ、部長、中に入ろう」

* * *

「ポエムノート?誰の?」
「多分、咲ちゃんの。昨日の帰り際に、部室に落ちてたの拾ったんだじぇ」
昨日は優希が最終退出者だった。そのままつい持って帰ってしまったそうだ。

「こら優希! あんた、それ勝手に読んだんか」
「だ、だって、名前書いてなかったし、ちらっと中見たら面白くって、つい。えへへ」
211ポエマー咲A:2010/12/05(日) 02:10:04 ID:SN0u8ZwR
部室にあったのなら、誰のものかはすぐわかりそうなものだが、ちょっと事情があった。
実は2学期が始まってから昨日まで、連日麻雀部に複数の人の出入りがあったのだ。なんと、
入部希望者である。部室はかつてない程の賑わいを見せた。昨日も3名の和ファンの女の子
たちが押しかけて来て、かしましいったらなかった。

とはいえその入部希望者全員、実のところは一躍有名人となった麻雀部メンバー(特に和)
目当ての野次馬みたいなもので、体験対局をしてもらったところ、そのレベルの高さ、真剣さ
に圧倒されてか、正式に入部を申し出る者は皆無だった。期待しただけに、がっくりきた。
新入部員は来年度に期待するしかなさそうだ。

「ふ〜ん、どれどれ」 久がノートを手に取った。「あ、こらあんたまで」
「まま、いーじゃない。本当に咲のか確認しなきゃ。ちょっとだけよん。ね?」
「まったく、仕方ないのう。……ちっとだけじゃぞ」 言いつつまこもノートを覗き込んだ。
ホントのところは、興味津々なのだ。

「あはっ、かわいい」 「おお、こりゃまた。かわいらしいのー」
「へへーん、だしょー?」 何故か優希は得意気である。

少し丸みを帯びた丁寧な字で、詩が綴られていた。ノートの三分の二位が埋まっている。
詩の傍らの余白には、カラフルな蛍光ペンで花や星や月、ハートマークといったイラストが
控えめに描かれていた。

内容はというと、メルヘンというかなんと言うか、「いや〜、乙女ちっくね〜」 ニヤニヤ
な感じだ。何故か読んでいるほうが照れてモジモジしてしまう。
「ふふっ、ピュアじゃのー。しかし咲の字に似てるっちゃ似てるが、ほんまにあの子のか?」
「う〜ん、そうだとは思うけど。ん?……あら、このページ……」
パラパラとノートをめくっていた久の手が、あるページで止まった。

そのページだけ、イラストの類が無い。字も少し流れるように崩れている。細身のボールペン
で、一気に書き上げたように見える。

  冷たい雨 傘に隠れて
  あふれるこころ こぼれる雫

  やさしいひとは 東のかなた
  やわらかな手は つなげない
  あったかい声  聞こえない

  大好きな あの笑顔
  いまは 遠く 東のかなた

  窓の外 篠突く雨
  閉じた部屋に わたしひとり
  あらしの海に わたしひとり

  やさしいひとは やまのむこう
  あの 高い高い やまのむこう

  白い頂 想いながら
  わたしはひとりで 夢を見る

  頂に咲く 花の夢
  おしえてくれた 花の夢

  雪の中 凍えながら
  ひとりで咲いてる 花の夢

余白に小さく染みがある。詩の一部も少しインクが滲んでいる。涙の跡だろうか。
「……間違いないみたいね。咲のだわ」 「お姉さんのこと、かのう」
212ポエマー咲B:2010/12/05(日) 02:11:19 ID:SN0u8ZwR
歴史に残る数々の名勝負が繰り広げられた全国大会、魂を削りあうような激闘の末、照と咲は
和解することができた。卓上で二人の間にどんな心の交流があったのかは知る由もない。だが
対局後にしっかりと抱き合う姉妹の姿は、訳もなく見るものの心を打った。

宮永姉妹の間にどんな確執があったのか、久たちは詮索したりはしなかった。
照と咲が実は姉妹であったことが判明したとき、清澄・白糸台両校の面々は、マスコミの
しつこい取材攻勢から、二人を全力で守った。幸い何かと話題の多い大会であったので、
しばらくしてマスコミの興味も他に移り、事態は沈静化していった。
「麻雀Today」 の西田女史は、比較的早くから宮永姉妹の確執に注目し、綿密な取材を
隠密裏に進めていた(照と咲の両親にまで、突撃取材を敢行したらしい)が、ほぼ核心と
思われる事実を掴んでいたにも関わらず、結局、それを記事にすることはなかった。

咲は、大会前に時折見せていた暗い表情をすることも、今ではほぼ、なくなっている。
たまに、とても嬉しそうに姉の話をする。見ていて実に微笑ましいのだが、そんなときは
和の機嫌が少しだけ悪くなるのが、ちょっと困りものだ。和本人は否定しているが。
当の咲は、そのことに気づいていない。なかなか罪なお子様である。

「……何があったかは知らんけど、ある意味ど派手な姉妹喧嘩じゃったのー。ま、何にせよ、
まるく収まってくれてやれやれじゃ」
「ふふっ、本当、そうね。……優希、やっぱりこの詩で咲のだってわかったの?」
「いんや違うじょ。もっとずっと後のページの端っこに……」 優希が言いかけたところで、
――ガチャッ 部室のドアが開いた。
「……だいじょうぶですよ。きっとすぐに見つかります」 「……うん」

「おう、和、咲、お疲れー」 「のどちゃん、咲ちゃん、ちーっす」
「噂をすれば何とやら、かな? 二人とも、お疲れさま」
和と咲が入ってきた。咲はなにやら落ち込んだ様子だ。

「お疲れさまです。あの、咲さんが大事なノートをなくしてしま…」 「そっ、それ!」
中央の麻雀卓にダッと駆け寄り、久の前に置かれていたノートをひったくって、咲は部屋の
隅っこに立った。なんというか、咲らしくない俊敏な動きに一同びっくり。

「さ、探してたノートってそれですか。良かったですね、咲さん」 「……」
咲はノートを胸に掻き抱き、俯いている。「? 咲さん?どうしました?」
「あ、あの…」 久たちの方におずおずと視線を向け、訊いた。「み、見た?」 顔が赤い。

「や、見たっつーか、誰のかのーってチラッとだけな、な、部長」 (やばい、これは泣く)
「そ、そう、誰の落し物かしらーってチラッとだけね、ね、優希」 (おわっ、早くも涙目)
「ばっちり読ませてもらったじぇ!面白かったじょ、咲ちゃんすごいじょ!」
((だーっ!ゆーきーーっ!!)) 空気読まんかい。…まあ悪気は微塵もないのだろうが。

「優希!そんな、人のものを勝手に読むとか、駄目でしょ!」 和がたしなめた。
「だ、だって名前とかなくて、ちらっと中見たら止まらなくなってその、てへ。ごめんね」
「ふぇ……」 咲の目が潤む。「ああ、咲さん。大丈夫ですか?」 和が咲のそばによる。

久とまこが素早く視線を合わせ、小さくジェスチャーを交わし始めた。この二人はこうして
会話することが可能なのだ。ツーカーとかいうヤツなのだ。無駄にすごいのだ。
(ああやばい、咲が泣いてしまう。部長、何とかしんさい)
(そんなこと言ったって、私だって、詩とかさっぱりだし)
(あわわ、涙、涙こぼれよる!ぶちょうはようっ!なんか気の利いた一言でも!)
(無茶言わないでよ! ああもう……そうだわ!こんなとき、あの二人なら……)

竹井久の、緊急妄想スクランブルー。(もし、この場にゆみがいたら……)
「む、どうした宮永。なぜ泣くんだ?」 「加治木さん、だっ、だって、恥ずかし…」
「何を恥ずかしがることがある?詩作結構、素晴らしいじゃないか」 「……でも」
「私の級友にも何人かいたぞ。そうやってノートにしたためていた」 「ほ、本当ですか?」
「ああ。イラスト描いたり、シールを貼っている者もいたな。小学生の時分はよく見かけた」
「あうっ、う…ぅうう〜、ふぇええええん」 「? ど、どうした宮永!おなか痛いのか?」
……妄想、不時着ー。(……あああ、きつい、キツイわ、ゆみ! ええい、やり直し!)
213ポエマー咲C:2010/12/05(日) 02:12:58 ID:SN0u8ZwR
緊急妄想、リスタートー。 (そうね、やっぱりこういうのは美穂子じゃないと……)
「あらあら宮永さん、泣かないで。だいじょぶよ、いーこいーこ」 頭なでなで。
「ぐすっ、ふぐじざん……」 涙目うるうる。
「ありのままの心を綴るって、すごく素敵なことだと思うわ。イラストもとっても上手だし」
「……ほ、ほんとうに?」 「ええ、本当よ。このワンちゃんの絵なんて、とっても可愛い」
「……そ、それ、猫です……う、ぅう、ふぇえええええん」 「あ、あらあらあら」
……妄想、墜落ー。(……ナ、ナチュラルにえぐるわね、美穂子……っじゃなくて、もー!)

(ええいまったく、二人とも駄目ねえ) いや、あなたの妄想ですから。

(仕方ない、ここは一か八か、優しい美穂子おねえさん風に……)
「だ、だいじょぶよ、咲。チラッと見たけど、とってみょすでっ… すてきだわ」 噛んだ。
「なに片目瞑っとるんじゃ?」 久も人の子、たまにアホの子。

「ふぐっ……ふぇえ……」 「さ、咲さん」 和が優しく咲を抱きしめた。

一方その頃、白糸台高校 ――、

「はっ、咲が、咲が泣いてる!」 廊下を歩く照が、唐突に声をあげた。
「こーら、照、これからミーティングだぞ。後にしろ」
どこかに行こうとする照の腕を、菫がつかまえた。

「む、くっ、離せ、菫! 電話しなきゃならないんだ!」
「お前、このまえもそんなこと言ってサボったろ。もうその手は食わんぞ」

「こ、今度は本当に」 「誠子、尭深、連行しろ」 菫がパチンと指を鳴らす。
それを合図に、名前を呼ばれた二人が、両脇からがしっと照の腕を取った。

「はいはーい照先輩、ちゃっちゃと行きましょー」 「は、離せ、誠子!咲がっ!」
「……先輩、往生際、わるい」 「た、尭深、いや、今度はホントなんだってば!」
そのままズルズルと引き摺られて行く。

「はぁ、な〜んか照先輩、ちょっとキャラ変わりましたよね〜」 淡がしみじみと呟いた。
「ふふっ、もともと照はあんな感じさ。……帰ってきたのさ。戻ってきたんだよ」
「? はあ」 淡はキョトンとしている。菫は優しく微笑んだ。何だかすごく嬉しそうだ。

「さ〜〜きぃ〜〜〜っ!!!」 窓から午後の日差しが柔らかく降り注いでいる。
そんな平和な白糸台の校舎内に、照の哀切な叫び声がこだましたのだった……。

取って返して清澄高校麻雀部 ――、

「あの、ごめんなさい!咲ちゃん。でも、私ホントに素敵だと思ったんだじょ?
あんなにたくさんポエム書けるなんて、本当にすごいじぇ?」
「……」 クスン
「咲さん、優希はこんなときに嘘なんかつきません。悪気もなかったと思います」

「……ホントウ?」 「ホント! 私、すっかり咲ちゃんポエムのファンになっちったじぇ!
んで、私も真似して書いてみた!ポエム!」 優希がひらりとレポート用紙を1枚かざした。

「え、優希が? ポエム、ですか?」 「おう! 私もばっちり女の子だからな!」

「へ、へえ、どんなの」 (チャンス!まこ、この流れに乗るのよ!)
(よっしゃ、心得た!) 「お、おお、ホンマか?見せてくれんか、優希」

「……見せてくれる? ゆーきちゃん……」

「ふっふっふ、そうかい、嬢ちゃんたち、そんなに私のポエムを見たいのかい…よっしゃOK
そこまで言うなら聴かせてやろう! いくじぇ!」
214ポエマー咲D:2010/12/05(日) 02:14:12 ID:SN0u8ZwR
  おおタコス おまえは何故に タコスなの……
  知らんがな(ヘイ!)

  ワカモレ 大盛れ サルサたっぷり
  忘れちゃいけない具材はなーに?

  肉だ! 肉をよこすのだ!
  タコスぢからはパンチりょく!(どーん!)

  あふれるパゥワァー! レッツパーリィ!
  1,2,3Say,Hooooo!(ホー!)
  Hooooo!(ほー!)

  うまいじぇ美味だじぇ おなかいっぱい
  ばっちり栄養トルティーヤ!(ヤー!)

  うなれエイYO! 乳に集中!
  おなかと二の腕ノーサンキュー(まじで!)

  ヘルスメーター? 地獄のメーター?
  私の愛は 止まらない(うらー!)

優希が一気に詩(?)を読み上げた。「…ふぅ〜、傑作だじぇ。自分の才能がこ・わ・ひ」
他の面々は、ぽかーんとしている。 「どうした皆の衆、感動して言葉もないかね?」

「あ、え、えーとその、ラップってヤツ?」 「リ、リズミカル?……です、よね?」
「あんたのそのクソ度胸だけは、ホンマにすごいと思うわ……」

「クス……あはは、楽しい!ゆーきちゃんすごいっ」 ぱちぱちぱち 咲が小さく拍手した。
「へへ〜ん、だしょー?」 優希は得意満面である。
(わ、笑った〜) (やれやれじゃ〜) 久とまこがそっと安堵のため息をついた。

* * *

「そういえば優希、結局何で咲のノートだって分かったの?」 
淹れなおした紅茶を一口飲んでから、唐突に久が尋ねた。咲もすっかり落ち着いて、
笑いながら優希とポエム談義とかしているところだった。

「ああ、それは簡単だじょ。すごく分かりやすいポエムがあったんだじぇ」
「? わかりやすいって、どんな詩じゃ?」 「え? 私、そんなの書いたっけ……」

「うん!私の一番お気に入りのやつだじぇ!憶えてるじょ!えっと、たしか出だしが、
『のどかちゃんは ふかふかふわふわ……』 っむぐぐっ」

「ゆ、ゆーきちゃん!だめっ!」 咲が慌てて優希の口を塞いだ。
「なるほどねー和への想いを綴った詩ってわけねーそりゃー咲のだわねー」 ニヤニヤ

それまで静かにお茶を飲んでいた和が、ゆらりと立ち上がった。
「咲さん……」 上気した顔で、ずずいっと咲にせまる。妙な迫力だ。
「はいっ! ああの、ごめんなさいっ、のどかちゃんあのね」 咲ちゃんパニック。

「……見せてください」 「へ?」
「だから、見せてください、それ」 「ええっ、だ、だめっ」 和ずいずい、咲たじたじ。

「何故です? 私がモチーフなら、私には見せてもらえる権利があるはずです!」
「だ、だって、だめだよう、うう……ダメなんだもんっ!」 「あ、咲さんっ!」
ポエムノートを抱きしめて、ダッと部室を飛び出した咲を、和が追っていった。

「……ま、平和よねえ〜」 「うん、平和じゃの」 「ピンフだじぇ」
215ポエマー咲E:2010/12/05(日) 02:16:01 ID:SN0u8ZwR
* * *

んあぁあああああ テラスに立ち、久が大きく伸びをした。まこが苦笑してそれを見ている。
穏やかに晴れた秋空のもと、眼前にはアルプスの蒼く雄大なパノラマが広がっている。

今は工事がストップしているが、この旧校舎はきっと来年の今頃は解体されてしまっている。
だがしかし、ここで過ごした時間は、刹那であると同時に、永遠でもある。想い出集めなど
する必要も無いくらいだ。かけがえのない仲間との絆は続いていく。決してほつれはしない。

ここで過ごしたという事実、熱い夏を皆と共に闘ったという記憶、それは何より素敵な宝物だ。
それがあるというだけで、私はきっと、ずっと前を向いて……って、ん?……んん!?

「……優希!パソコンデスクの2段目の引き出しの奥!オペラグラスがあるわ!
持ってきて大至急!」 突然、久が早口で指示を出した。

「? わ、わかったじぇ」 「な、なんじゃ、どうした突然」
驚いてまこが尋ね、久の視線の先を見る。眼下に公園として整備された用水路が見えた。
その脇のベンチに、和と咲がぴったりと寄り添って座り、何か話している。
「ほほう、仲良しさんじゃの〜」 ニヤニヤ

「あの雰囲気……、来るわよ、ちゅーっ!」 腕を組み仁王立ちで、久が言い放った。
「な!なに言い出しよるんじゃあんたは!あかん!ほっといてあげんさい!」

「なによう、いーじゃない、まこだって見たいくせにー!」
「あーかーんっ!我慢しい!あんた一番お姉さんで部長で、おまけに学生議会長じゃろが!」

「なによーけちまこー!むっつりまこーっ!」 「ゆーたなこいつっ!とにかく駄目じゃ!」
部室のほうへ久を引っ張るまこと抵抗する久。わやくちゃと二人が騒いでいるところへ、
「持ってきたじぇ!」 テラスに出てきた優希が、そのままオペラグラスを覗き込んだ。
「あ゛っ」

「? どしたの?来た?貸して!」 まこの手をすり抜け、久がグラスをひったくった。
「どれどれ〜♪ ……あ゛」

オペラグラスを覗く目に、いきなり和の顔がアップで飛び込んできた。
思いっきり目が合ってしまった。此方を睨んでいる。「くっ、気づかれたか……」

「のどちゃん、怒るとこわいじぇ……」 「あ、こっちに来よる」
ずんずんと大股で和がこちらに向かって歩いてくる。その後ろにトテトテ咲が続いている。

「……さてと、あーそだ、学生議会の仕事があったんだったー。いやーうっかりうっかり。
んじゃ二人とも、後はよろしくー」 そそくさと立ち去ろうとする久。
「待たんかい、こら!」 「部長ずるいじぇ!」 二人でがしっと久を捕まえた。

「は、離しなさい、部長命令よ!」 「そうはいくかい!」 「逃がさないじょ!」
「ぐはっ、いたタタタ、やめっ、は、離してーーーー!!」

この夏、一躍全国にその名を知らしめた智将・竹井久……。この日は一日アホの子だった。
なんともかしましい、ある秋の日の出来事であった。

全国大会の大活躍で俄然注目を集めた清澄高校麻雀部であるが、その実態は、まあ毎日大体
こんな感じなのだ。

このアホの子たちはこの後、国麻、世界ジュニアと再び旋風を巻き起こすこととなる。久達の
健闘を称え、旧校舎の部室を保存しよう、なんてことになったりするのだが、それはまた、
例によって別のお話ということで。とりあえず、今日のところはめでたしめでたし?

*********************
以上 読了感謝 です
216ポエマー咲 蛇足:2010/12/05(日) 02:18:27 ID:SN0u8ZwR
はい、お疲れ様でした ありがとうございました 序レスsage忘れましたごめんなさい
あれ?何か最後のほうの雰囲気が最終回っぽい?考えすぎ?いやいや終わりまへん
原作、全国後もずっと続くといいな 二期があるといいな OVAもいいな

久をアホの子にしてごぬんなさい きっとこんなこともあるんじゃないかと 割と頻繁に
咲ちゃんのメルヒェン全開ポエムを!タコスですら引くような怒涛のメルヘンを!
って思ったんだけど、やはり無理でした
…黒ポエムのほうは結構楽なのに 何でですかねぇフヒヒ

次は長野勢か若しくは全国勢の話にしよう ではまた
217名無しさん@秘密の花園:2010/12/05(日) 06:42:44 ID:tlknzNYz
白糸台にニュータイプが!
218名無しさん@秘密の花園:2010/12/05(日) 10:50:33 ID:Ravgq9an
和んだw
219名無しさん@秘密の花園:2010/12/05(日) 12:38:20 ID:bXhTSoWX
>>216
GJ

>>217
むしろカテゴリーFとかじゃなかろうかw
220名無しさん@秘密の花園:2010/12/05(日) 13:00:05 ID:UOQQc9c9
お姉ちゃんと部長が馬鹿愛しいw
221名無しさん@秘密の花園:2010/12/06(月) 18:50:55 ID:AWn/88FP
部長まこの同人誌よかった
222名無しさん@秘密の花園:2010/12/14(火) 20:08:45 ID:goLmc8v9
カスガさんのですか?
223名無しさん@秘密の花園:2010/12/17(金) 02:14:06 ID:kkeS0Lh/
「原村さんのいる学校だよー」の姉帯さんがなんかすごく嬉しそう
実はこの人ただの童顔おっぱいさん好きなんじゃ
224名無しさん@秘密の花園:2010/12/17(金) 02:20:00 ID:uQijGtzu
かじゅモモのべったら甘い百合SSに期待
225名無しさん@秘密の花園:2010/12/17(金) 16:08:51 ID:+Y9LODjt
ついに久の正妻で安定だったまこにもしろみーという→が!
ナオンをあげるとフラグが立つ。それが咲
226名無しさん@秘密の花園:2010/12/19(日) 01:32:53 ID:U9zUZ4wq
恋の聴牌
227名無しさん@秘密の花園:2010/12/20(月) 00:20:37 ID:gZiPZtuh
明日はかじゅモモ結婚式か
お幸せに
228名無しさん@秘密の花園:2010/12/21(火) 07:46:23 ID:0JMjrBo1
今日はかじゅ誕

ちなみに昨日は俺誕
229名無しさん@秘密の花園:2010/12/21(火) 18:07:23 ID:7TkZDH27
冬コミが近いが篤見さんは今回も部キャプ本出すんだろうか?
230名無しさん@秘密の花園:2010/12/21(火) 23:17:16 ID:H2KCHcjP
>>229
ホムペ見てみるといい
奴は本気だ…
231名無しさん@秘密の花園:2010/12/22(水) 09:53:30 ID:MDd2um9M
その本気だった1年で

>1093yuiko 部キャプ充
>今年は17冊の咲本を出しました…(うち14冊部キャプ

コンプした猛者はいるかな。いるんだろうなー。
232名無しさん@秘密の花園:2010/12/22(水) 12:35:27 ID:DbnWPVHH
>>231
前に出した本の画像上げてたな
233名無しさん@秘密の花園:2010/12/23(木) 20:55:39 ID:vPioKIyp
>>230
吹き出した
はじとー描くってのは知ってたけどその三倍用意してたか・・

宮守部内の人間関係が気になってもやもやする
234名無しさん@秘密の花園:2010/12/23(木) 23:43:06 ID:meeXIMjz
大迫さんと浅井さん(風越の補欠)がいつもくっついてて手を握り合ったりしてたけど
やっぱりそういう関係なんだろうか。
235名無しさん@秘密の花園:2010/12/24(金) 01:18:10 ID:qVzgTVed
牌譜作ってる最中に眠りそうになったらキスして起こしてた程度だよ
236名無しさん@秘密の花園:2010/12/24(金) 13:20:19 ID:14JVViDG
17冊って立より多いんじゃ…
237名無しさん@秘密の花園:2010/12/24(金) 13:31:02 ID:1YhlSa+V
今年出したのが7巻だけだから連載分含めなければ多いんじゃないかな
238名無しさん@秘密の花園:2010/12/26(日) 03:13:17 ID:jLzdh6hE
みなさんこんにちは
今日は本編を投下する前に予告編的なのを落とします
本編は明日以降投下予定
百合薄めでパロディー色強いです
239名無しさん@秘密の花園:2010/12/26(日) 03:15:57 ID:jLzdh6hE


笑顔―――それは人間が生きていく上で欠かせないもの―――

     ―――人類は常に笑いを求め、また笑いを生みだそうとする―――

―――今宵は笑いを探求し青春をつぎ込んだ女子高生達による熱いバトルが繰り広げられる―――


       
      
         『女子高生M−1グランプリ2010決勝』



アナ「会場が異様な空気に包まれております。」
アナ「みなさんこんばんは。進行を努めます白石です。」
藤田「解説の藤田だ。」
アナ「毎年の事ながら独特の緊張感がありますね」
藤田「当然だ。彼女らはこのステージのために1年間努力してきた、、、
   それに今年は参加者が1万人を超えているから尚更だろう。」
アナ「選手の最高のパフォーマンスを期待しましょう」
藤田「うむ」

アナ「現在スタジオでは最終リハーサルが行われております。」
アナ「選手に少し話を伺ってみましょう。」

アナ「もうすぐ決勝戦開始ですが、今の気持ちはどうですか?」
??「勝つよ。全部楽しませる!!」
??「当然です。優勝しなければならない理由があります。」
アナ「気合十分ですね。」
240名無しさん@秘密の花園:2010/12/26(日) 03:18:22 ID:jLzdh6hE

アナ「競技開始の前にルール説明をしたいと思います。」

アナ「決勝戦はファーストステージと最終決戦の2つから構成されています。」
アナ「まずファーストステージでは敗者復活者を含む8組全てのコンビが1回目のネタを披露します。」
アナ「ネタ時間は2分で、オーバーした場合は減点の対象となります。」
アナ「全てのコンビがネタを披露し終わった後に、ここのスレの住人のコメント内容やコメント数で
   最終決戦に進む3組を決定いたします。」
アナ「最終決戦ではもう一度ネタを披露します。最終決戦のルールは後ほどお知らせします。」

アナ「なお、ファーストステージのネタ披露順は以下の通りです。」


 @エントリーNO.1111『さくら』
 AエントリーNO.0886『馬亭睦月・数絵』
 BエントリーNO.1045『桃果汁120%』
 CエントリーNO.0005『大阪姫松』
 DエントリーNO.1123『Cinderella Story』
 EエントリーNO.0001『いちばん面白くていちばん目立っているコンビ』
 FエントリーNO.0001『ワハハー』
 GエントリーNO.0280『猫だまし』
 H敗者復活組 『???』



アナ「ここでCMです。CMの後遂にファーストステージが始まります!!」

 【予告編終わり】
241名無しさん@秘密の花園:2010/12/26(日) 07:46:53 ID:K7YUb4kS
Mて麻雀のことかと思ったらガチで漫才やるんかいw
242名無しさん@秘密の花園:2010/12/27(月) 11:52:55 ID:5f7cyQtp
>>234
大迫さんと浅井さんてアニメエンディングに名前出てたりした感じ?
243名無しさん@秘密の花園:2010/12/27(月) 14:22:50 ID:hG9HOiOs
>>242
21話の休憩中にキャプテンから名前を呼ばれてたよ
244名無しさん@秘密の花園:2010/12/28(火) 16:12:13 ID:9YCVC1F+
http://adultbody.info/ に別タイトルの同動画があって困ってるんだけど。正しいのどっち?
245名無しさん@秘密の花園:2010/12/28(火) 22:11:03 ID:qnZqaEqT
>>240 6と7ナンバーかぶってるけどいいの?ともあれ期待しとくw
246名無しさん@秘密の花園:2010/12/30(木) 11:30:36 ID:cwbC3ShJ
一日目の収穫はどうだったよ
247名無しさん@秘密の花園:2010/12/30(木) 15:30:35 ID:YavLKF65
>>246
はじとーは可愛い
248名無しさん@秘密の花園:2010/12/30(木) 20:22:11 ID:fo1jsogt
>>246
薄荷も島も部キャプすごくすごくすご〜くかわいい
エイスリンのかわいさは一体なにごとなの……
249名無しさん@秘密の花園:2010/12/31(金) 05:45:50 ID:iRAIbJM5
>>248
薄荷屋はわかるが島ってどこのサークルの人?
250名無しさん@秘密の花園:2010/12/31(金) 18:51:34 ID:X9gSQ3gF
かじゅももの人ならわかるが
251名無しさん@秘密の花園:2010/12/31(金) 21:26:01 ID:4X05dYug
>>249
エイスリンが掛け詞する短い話と部キャプの話で一冊のコピ本になってるとこがあったのよ
部キャプの話はもう少し掘り下げたいテーマだったのか
前のコピ本と同じ本筋を全部描き直したやつだった
252名無しさん@秘密の花園:2010/12/31(金) 22:57:44 ID:9AN2HADi
どこって聞かれてるのに粗筋言われても困るだろ
253名無しさん@秘密の花園:2011/01/02(日) 08:45:25 ID:aCBBlDPs
照お姉ちゃんを見つめる菫さんと淡並みにねっとりした視線を咲に向ける照お姉ちゃんが見たい
254名無しさん@秘密の花園:2011/01/03(月) 02:01:02 ID:BrAxVyLe
照咲分が足りないなぁ
255名無しさん@秘密の花園:2011/01/03(月) 03:50:31 ID:J5J0+x3K
普通に照姉ちゃんは菫さんと淡と付き合ってるかもしれんよ
256名無しさん@秘密の花園:2011/01/03(月) 16:57:39 ID:BrAxVyLe
>>255
ハーレムならハーレムでw
257名無しさん@秘密の花園:2011/01/03(月) 19:37:27 ID:s3JQoxnO
照姉さんはセクトの思信ばりのジゴロイメージ
258名無しさん@秘密の花園:2011/01/04(火) 02:52:50 ID:0pd4r0B2
照ねーちゃんは菫さんと淡の気持ちを知っても以前通りの対応をするようなキャラだと良いな
てか白糸台のあのぎすぎすした雰囲気が大好きw
照ねーちゃんは麻雀と咲位しか興味無さそうだし
後は白糸台の他の4人に気を向ける程度で
259名無しさん@秘密の花園:2011/01/05(水) 17:04:27 ID:6iFqfDmO
新年早々久部長の活躍がみれるのか?
260名無しさん@秘密の花園:2011/01/06(木) 01:56:10 ID:eNjerX82
仲良くじゃれあう咲と衣を見てなごみたい
後、それを見て面白くない気持ちになる和と照お姉様も見たい
261名無しさん@秘密の花園:2011/01/07(金) 16:17:13 ID:H1PBph4i
部長が負けそうと聞いて俄かに色めき立つ某と某と某
(弱ってるとこに突け込む的な意味で)
262名無しさん@秘密の花園:2011/01/07(金) 17:39:54 ID:nixPvGhP
思い出された各校部長と思いきやワハハー
263名無しさん@秘密の花園:2011/01/07(金) 21:40:47 ID:hdCxeVOT
シロ×エイスリンが宮守百合の魁となれるのか
264名無しさん@秘密の花園:2011/01/08(土) 00:33:16 ID:Hb68POq1
姉帯さんがガチレズかつ真性のド変態にしか見えない
265名無しさん@秘密の花園:2011/01/08(土) 03:13:20 ID:0kKx9whx
安定の実況解説
266名無しさん@秘密の花園:2011/01/08(土) 12:13:21 ID:r8ta2dH4
ふくすこは多分もうこーこちゃんの家で半同棲状態
267名無しさん@秘密の花園:2011/01/08(土) 16:09:30 ID:5P0/uD6H
こーこちゃんはすこやんのこと好きすぎるよね

いいぞもっとやれ
268名無しさん@秘密の花園:2011/01/08(土) 22:00:14 ID:yZYnRQGS
単行本派だから詳しく知らないけど、部キャプフラグでも立ったの?
269名無しさん@秘密の花園:2011/01/08(土) 22:08:01 ID:U4KC5sp1
お買いものデートはもう大分前の事だな
270名無しさん@秘密の花園:2011/01/08(土) 22:20:40 ID:NmP4kf+y
部キャプフラグというか部長の負けフラグがひどい。
誰がボドボドの部長を慰めて好感度うpかは現状不明。
雰囲気的にはまこかな…?
271名無しさん@秘密の花園:2011/01/08(土) 22:36:51 ID:0kKx9whx
負けフラグかもしれないけど、越えるために用意した壁かもしれないね
272名無しさん@秘密の花園:2011/01/08(土) 22:54:42 ID:R6SUSSzV
負けを喫した夜、慰めに来た美穂子と合体して超絶パワーをゲット!
2回戦で魔物退治。
ついでに美穂子妊娠。
273名無しさん@秘密の花園:2011/01/08(土) 23:34:47 ID:6k4kdcw1
励まし要員としては、かじゅが恥ずかしい台詞吐いてモモ発狂とかありそうで困る
274名無しさん@秘密の花園:2011/01/09(日) 00:21:08 ID:oXWLdXmB
代行に鬼畜責めされる末原
末原に鬼畜責めされるすずちゃん

てかすずちゃんの総受け臭が凄い
275名無しさん@秘密の花園:2011/01/09(日) 01:12:22 ID:y6za3dwe
>>272
キャプテンとでき婚になる流れか
276名無しさん@秘密の花園:2011/01/09(日) 01:51:07 ID:LuAF+VC5
ふくすこは高校生カップルの希望
277名無しさん@秘密の花園:2011/01/09(日) 20:03:05 ID:lVQfPJZM
煩悩の数の二倍プロットがあるとか御大どんだけなの
278名無しさん@秘密の花園:2011/01/10(月) 00:09:31 ID:v9/r0S+X
照お姉ちゃんが見たい
279虎の休息 序:2011/01/10(月) 15:05:12 ID:doDCmCEM
えー、どうも、来ました 今年もどうぞよろしく
>>217-220 みなさんレスに感謝です やれうれしや

エイスリンちゃんかわええ!綺麗な涙、良い涙!
そしてぶぶぶ部長っ! あわわ繊細じゃのう
美穂子さん出番です 右目開いてLove電波送れ

さておき またSS持ってきました
懲りずにまた全国大会後のゆるいお話し 軽く読み飛ばしていただければ幸い

今度はお姉ちゃんのお話しで、4〜5レスれす どぞ
280虎の休息 @:2011/01/10(月) 15:06:42 ID:doDCmCEM
出 演:チーム虎姫の皆さん ほか
百合分:信じればきっとそこに エロ:ごぬん ばか度:ポイント増量キャンペーン中

来るぞ、捏造だ! 大きいぞ、ギリギリまで引きつけて受け流すんだっ!! せーのっ、

↓スタート
***********************************
「 帰るところ、待っているひと 」


「たーだいまかえりました〜」 げんなりとした様子で、荷物を抱えた淡が部屋に入ってきた。
ここは白糸台高校麻雀部、一軍チーム「虎姫」 専用のミーティングルームである。

押しも押されもしない超名門・白糸台高校麻雀部はその層も厚く、百名を超える部員数を誇る。
正門から見て最も奥にある校舎の一角と、渡り廊下でつながれた3階立ての瀟洒な洋館が、
麻雀部専用の部室棟である。とはいえ単に部室棟というにはそぐわない、かなり立派な外観だ。

白糸台程の強豪ともなると、スカウトによる越境入学者も相当数いる。全国から集まった、
いずれも腕に憶えのある虎児たちが、この部室棟で日々切磋琢磨しているのだ。
いつの間にやらついた呼び名が「虎姫城」 ――、生徒たちの間では、麻雀部の部室棟と言う
よりも、そう呼んだほうが通りがいい。

1階から順に3軍、2軍と続く。階を上がるごとにあからさまに内装が変わる。
清潔感はあるが、事務的な内装に統一された1階の大部屋は3軍のスペースで、最も多くの部員
を抱える。2階の2軍から、簡素ではあるがシャワー・仮眠室等の福利厚生施設が設置される。
3階の1軍ともなると、ちょっとした高級ホテル並みの設備が整う。そこを使用できるのは、
ランキング頂点の5名だけだ。学年は関係ない。徹底した実力主義である。

「お帰り。はじめてのお買い物は楽しかったか?」 菫が微笑み、声をかけた。
「うー、迷いましたー」 中央のテーブルに荷物を置いて、ぺたりとソファーに腰を下ろす。
通常、部の備品などは3軍の部員が買出しにでかけるが、今回は1軍メンバーの個人的な日用品
メインの買い物だったので、気分転換も兼ねて、と、淡がその役を買って出たのだ。

「乙カレー…って、迷うような場所でもなかったでしょうに」
荷物からお目当ての限定チョコ菓子を抜き取りながら、誠子が笑う。
「……もしかして、方向音痴?」 特選玉露の御茶缶をそっと手に取り、尭深が訊いた。

「違いますよー。地図がなんかちょっと、わかりにくくてー」
「地図? 尭深が描いてあげたの?」
「…描いてない。誠子が場所説明すると思ってたから…」 かぶりを振る尭深。
「私してないよ。菫先輩?」 「いや、私も何もしていない……ってまさか」

「皆さんお忙しそうだったから、照先輩にお願いしたんですよー。ほらこれー」
レポート用紙を4つに折りたたんだ紙片をテーブルに置いた。

「照の……地図、だと?」 「ゆ、勇気あるな、淡」 「……チャレンジャー」

「へ? な、何かまずかったですかー?」 3人の反応にちょっとびびりつつ、淡が訊いた。
菫が紙片を手に取り、テーブル上に広げる。「……うむ、なるほど。やはり、か」

レポート用紙一面に、不思議な文様が描かれていた。
枝葉を広げた大樹の様であり、支流の絡む大河の様であり、抽象アートと言えなくも無い。

「おおう、ちょっと分かりにくいってレベルじゃないっすねー。…甘っ」
チョコを一口ほおばりながら、誠子が呟く。

「…相変わらず、斬新」 尭深がため息をついた。あきれてか感嘆か、微妙だ。(多分前者)
「ご苦労だった、淡。よく任務を全うしたな」 菫が心の底から労うように言って、淡の肩に
軽く手を置いた。「えー、いやーそんなー、大げさですよー」 テレテレ。
281虎の休息 A:2011/01/10(月) 15:08:10 ID:doDCmCEM
「でもほら、真ん中の線が多分大通りですよねー。んで、ここが交差点、市道に入ってー…」
淡が地図を読み解きはじめた。普段あまり使われない裏道を示していると思われる。
「おお、凄いなお前」 「……謎解きマニア?」 「ふむ、言われてみれば、そう見えるな」

「へへー。でもー、ここでなんかわかんなくなっちゃってー」 地図の一箇所を指し示した。
複雑に絡み合う幾何学模様の一角に、3本の線がY字形に交錯している。三叉路だろうか。
脇にまるく謎のマークが描いてあり、その下に矢印が引いてあった。

「これは目印?このマークの方向にってことですかね」 「…太陽?ウニ?いや…タコ?」
「そー、そこで迷っちゃったんですよー」 「ふむ、鍵はこの謎のマークと言うことだな」
謎の核心にせまりつつある。実は4人とも、少し楽しくなってきていた。今日は暇なのだ。

そのとき、階下が少し騒がしくなった。「……さまですっ」 「お疲れ様ですっ」
2、3軍の部員たちの声が、ドア越しに漏れ聞こえてくる。
「照先輩だー」 「謎の出所のお出ましだな」

現虎姫城の城主たる、宮永照の登場である。
二人の3軍1年生部員を従えて、照が部屋に入ってきた。1年生は各々照のものと思われる
鞄とコートを持っている。緊張した面持ちだ。

「ありがとう。もういいよ」 軽く微笑んで、照が囁くようにそう言った。
「「は、はいっ」」 1年生たちは部屋の隅の所定の場所に荷物を置いて、退出していった。
「……きゃーっ、ありがとって言われたー!」 「ずるーい、次あたしだかんねー!」
階下からかすかに1年生たちの声が漏れ聞こえてきた。

新入生の頃から、その圧倒的な実力と特異なカリスマ性を以て同校に君臨してきた照であるが、
この夏の全国大会を過ぎてから、少し変わったと噂だった。
麻雀の強さは相変わらずだし(菫の感想では、寧ろ夏前よりも柔軟性というか、懐の深さが
増しているように感じられる、とのことだ。)、基本クールなのは変わらないが、時折先ほど
のように少しの親密さを周囲に表すようになった。殊に1年生に対しては、当たりが柔らかい。

淡によれば、最近は麻雀部員のみならず、全1年生の間で密かに「照さま」 とか呼ばれて
いるらしい。まあ、彼女ほどの有名人ともなれば、もともと憧れをもつ者も多くいたようだが、
ここのところその人気にますます拍車がかかっているようなのだ。

照が動き、一瞬部屋の空気が変わる。存在感というか、オーラのようなものが部屋を満たす。
ただそれも、大会前のような、息苦しくなるような威圧感を伴うものではなくなっている。
例えるのが難しいが、強いて言うなら、――守ってもらえる――、相対する者にそんな安心感
を与えるような感じ、といったところだろうか。

淡曰く、「”魔王のオーラ”から、”お姉ちゃんオーラ”に変わった」 のだそうだ。
「”おねえちゃん”ってきっと、魔王よりかずーっと強いんですよー。いいなー、咲ちゃん」
同学年と言うこともあってか、淡と咲はいつの間にか仲良くなっていたらしい。

「何だ?皆してその顔は。私の顔に何かついているか?」
言いつつソファーの端にふわりと腰掛けた。間を置かずに、尭深がそっとお茶を出した。
照は無言で尭深に向かって微笑む。こういったところも、以前では見られなかった所作だ。
「あ、ああいや、お疲れ、照」 「ちーっす、照先輩」 「…お疲れ様です」

「はいは〜い、照せんぱーい」 淡が手を上げて身を乗り出した。
「ああ、淡、『東京限定コジカのコカジストラップ』、買ってきてくれた?」
小鍛治プロのキャラグッズだ。子鹿の着ぐるみを着た小鍛治プロを模したキャラクターである。
一部に熱狂的なコレクターがいて、入手困難なのだ。当の本人はかなり恥ずかしがっている。
だがしかし、所属チームの困窮を救うため、すこやんは今日も闘うのだ。

「ばっちり!買ってきましたよー。……はい、これ」 小さな包みを取り出し、照に渡す。
「ありがとう。……」 包みから取り出し、掲げて見る。
「咲にか?」 ちょっと微笑み菫が訊いた。「うん、そう。……喜んでくれるかな」
「はーいいなー、咲ちゃん……あ、ってか照先輩、しつも〜ん!」
282虎の休息 B:2011/01/10(月) 15:09:34 ID:doDCmCEM
「? …何?」 「これだよ照。この謎のマーク」 菫が地図を掲げ、謎の文様を指し示した。
「? …それの何処が謎なんだ?」 「いやー、なんというか個性的?過ぎてですね…」
誠子が苦笑しながら言った。「?」 照はいつものポーカーフェイスのまま、小首をかしげる。

「見て分からないのか? 猫ちゃんだ」 「ね、猫?」 「おおう」 「……意外な展開」
「ああ、なるほどー、するとこれが耳で、このとげとげはヒゲかなー」

「ちょっと待て、照。地図になんで猫なんだ」 菫が問いただす。
「ん?目印に決まっているだろう。そこの三叉路に来たら、猫ちゃんのいる塀の方の道を…」
「……照先輩が迷子になる理由、分かった気がする」 尭深が呟いて、お茶を一口すすった。

「で、猫ちゃんの脇の道を行くとだ…」
「待て、照」 菫が照の両肩をつかむ。

「なんだ、菫、さっきから」 ほんの少し、眉根を寄せる。
「いいか、落ち着いて聴くんだ、照……」 真剣な表情だ。

「猫は、動く!」 きっぱりと言い放った。「!!」 はっと照が固まった。

「猫は……猫ちゃんは、動くんだよ、照……」 視線を下にそらし、苦しそうに菫が告げる。
しん、と部屋が静まり返る。なんか悲しいドラマのワンシーンみたいな雰囲気になった。

「……なんだこれ」 誠子が呟いた。なんでしょう。

「……いる」 微かに震えて、俯いた照がぽそっと囁く。
「? 照?」 菫が心配そうに覗き込む。

「猫ちゃんはいる! いつも塀の上にいて、にゃーんって挨拶してくれるんだっ!」
「照……」 
「いるんだ……絶対、いるんだもんっ!」 ダッと照が部室を飛び出した。
「て、照ーーーーーっ!!」

「……だからなんなんだ、これ」 誠子が呟いた。考えたら負けです。

(※えー、念のためお知らせしておきます。照と菫はいたって真剣、大真面目です。)

「誠子、あと頼むぞ」 「あ、はーい。いってらっしゃい」
照と自分のコートをつかむと、菫が足早に部室を出て行った。

「あわわどどどーしよー、照先輩、一体何処へ」 後を追って、淡が部室を出ようとすると、
「淡、待った。照先輩のことは、係に任せておけばいい」 誠子が淡の腕を取り、制止した。
「えー、係って、誠子先輩いけないんだ。照先輩のこと、そんな面倒事みたいに言ってー」

そのとき、淡の目の前に、尭深がスッと一軍の活動日誌を差し出した。「…表紙の裏、見て」
「? 何ですかー?」 「そこに役員一覧があるだろ?見てみな」 誠子が指し示す。

表紙裏の端に、「麻雀部 **年度役員氏名」 という表題で、一覧表が記載してあった。
部長、副部長、書記、会計、渉外、……てる係。「て、てる係!?」

「そ、てる係。何でも照先輩が入学して2ヵ月後くらいに新設されたらしい」
「オ、オフィシャルな役職ですかー」 びっくりである。一体何があったのか。
「…係創設以来、ずっと菫先輩がその役割……」 お茶を淹れ直しつつ、尭深が言った。

「菫先輩、部長とかどうでもいいけど、これだけは譲れないって言ってたなー。ま、ホントの
ところは役職なんて、それこそ関係ねーって感じだろけどね。ふふっ」
少しため息をついて、誠子が笑った。あきれているのか愉快なのか、微妙だ。(多分両方)
「へー…」 なんだかよく分からないけど、妙に感心してしまう淡なのだった。

* * *
283虎の休息 C:2011/01/10(月) 15:10:56 ID:doDCmCEM
夕暮れの三叉路に、悲しげな少女がひとり、佇んでいる。目線の先の塀の上には、何も無い。
その肩に、そっとコートが掛けられた。「照、風邪引くぞ」 
「菫……」 照の肩に手を置いたまま、菫がやさしく微笑んだ。

「……いつもはさ、いつもは、ここの上にいるんだ、猫ちゃん」 「ん、そうか」
「私がいつ来ても、ここで待っててくれてるみたいに」 「きっと照が迷わないようにだな」
「ふふ ……ほんとは只の偶然だって、わかってる。……でも」 「うん」
「なんだか待っててくれてるのかな、って思って……嬉しくて」 「うん」

「私みたいな奴にも、待っててくれる存在があるって思って……どうかしてるな、すまない」
「……照、お前を待ってるのは、猫だけじゃない。誠子も尭深も淡も、…私だって」

「いつも、いつだって、わ(私は)…私たちは、お前のことを、想ってる」 「菫……」
「……それに、今度の連休、長野に帰省するんだろ?きっと首を長くして待ってるぞ、妹」
「咲…うん、菫、ありがとう」 はにかむ様に照が笑う。菫以外には滅多に見せない表情だ。

「菫お義姉ちゃんが、休みの間照をよろしくって言ってたって、伝えてくれ」
「なに言ってるんだ、もう」
木枯らしが吹きぬける三叉路に、二人のあったかい笑い声が広がった。と、そのとき、

「うにゃー」 塀の上から、猫の鳴き声がした。
「! 来てくれたのか…」 照が嬉しそうに顔を上げた。菫もそちらの方を見る。
「おお、お前が照の言ってた……って、ね、猫ちゃ、ん?」
毛玉だ。キジトラ柄の大きな毛玉が塀の上にいる。照がためらい無く手を伸ばし、なでた。

「て、照!これは、何だ!」 「ん?言ってた猫ちゃんだ。よ〜しよし」 「ふにゃ〜ん」
照に喉をなでられ、10キロ以上は余裕でありそうな毛玉が、似つかわしくない甘えた声を
あげた。精悍な面構えだ。左の眉尻に傷があり、右耳の先が少し欠けている。歴戦の証か。
間違いなくこの辺りのボスだろう。大きな目を細め、ゴロゴロ喉を鳴らしている。

「け、毛玉!まるっ! こ、子熊とかじゃないのか?それ」 菫ちょいびびる。
「失礼だぞ、菫。どう見たって猫ちゃんじゃないか。ねー、カテリーナ」 照が微笑む。
「か、カテッ……めめ、メスなのか!?」 「うん、女の子だ。私が名づけた。良い名だろ?」

カテリーナが塀を飛び降り、照の足元に擦り寄った。「うにゅあー」 ゴロゴロ。
「よしよし」 よいしょっと照が抱き上げる。
「でかっ!」 びろーんと伸びた猫の足先は、照の膝下まで届いている。
よく見れば美猫のようだが、とにかくでかい。

「しょっ、と。かわいいだろう?菫も抱いてみるか?」 猫を抱えなおして、照が微笑む。 
「い、いや、いい」 「? なんだ、遠慮するな、菫、猫好きだったろう?」
「いや、……それ、ほんとに猫なのか?山猫とか虎の子が動物園から逃げ出したとか……」
「? 何言ってる、おかしな奴だな。ほら、あったかいぞ」 「いや、だからいーって!」

「? 遠慮するなって、ほら」 「わわ、やめろ、照」 後ずさる菫。
「なでてみろ、モフモフだぞ」 「や、いや、そ、そうだもう戻らねばっ!」 駆け出す菫。
「あ、こらまて菫っ!モフってみろってば!」 「うるるにゃーんっ」 
猫を抱えたまま、照が菫を追っていった。

……この翌週、白糸台高校麻雀部の部員名簿の末席に、「カテリーナ・デ・ウラドラーニャ」
の名が記載されることとなる。同時期、1軍部室の壁にチームの新しい記念写真が加えられた。
でっかい毛玉を膝に乗せ、引きつった笑顔の菫が印象的だ。なんかなつかれたらしい。

ちなみに、チーム虎姫の面々が、照を凌駕する抽象画の巨匠・加治木画伯の存在を知るのは、
照の帰省を経てのち、このもう少しあとのことである。
さて一体何があったのやら、それはまた、やっぱり別のお話なのです。

*********************
以上 読了感謝 なのよー
284虎の休息 蛇足:2011/01/10(月) 15:12:31 ID:doDCmCEM
シャルロッテ・フォン・ウラドラノッテンと、どっちにしようか3日ほど悩みました

はい、というわけでお疲れ様でした ありがとうございました
淡たんたちの話し方とか、こんな感じかなーと…勝手にすんまへん
ちゃうちゃうこんなんちゃうっ!そんなときには華麗にスルー! あ、今日カレーにしよう

お姉ちゃんと菫さんあほの子でごぬんなさい あほの子いとしいのです
つまり、こそこそしている漫ちゃんを見て末原先輩はきゅんきゅんしてたに違いないのです
ふふふ次のターゲットは智葉サンデス!あほデコデス!フフフふはははははっhああ

はっ いかん冷静になろう

えー次あたり、長いのいくかも ちっとシリアスっぽで いややっぱり短めコントかも
ではまた
285名無しさん@秘密の花園:2011/01/10(月) 16:19:48 ID:kdVOKWKT
実に素晴らしい、原作でも白糸台の登場が待ち遠しい
286名無しさん@秘密の花園:2011/01/10(月) 18:13:09 ID:v9/r0S+X
>>284
乙です
照ねーちゃん馬鹿すw
動くもんをランドマークにするとかやっちゃ駄目な事ぶっちぎり1位じゃないか
287名無しさん@秘密の花園:2011/01/11(火) 09:13:58 ID:rNdQo/PN
大きい猫可愛いw
しかし宮永さん家の娘さんは姉妹揃って方向音痴ネタが鉄板ですね


ところで巴ちゃんとハッちゃんって電波が飛んで来たが
巴×ハッちゃんなのかハッちゃん×巴なのか……
288名無しさん@秘密の花園:2011/01/12(水) 23:42:58 ID:JIc9erjL
霞さんのおっぱいに目を奪われる咲
289名無しさん@秘密の花園:2011/01/13(木) 00:03:46 ID:WSgMEVzL
ひさしぶりにSOA
290名無しさん@秘密の花園:2011/01/13(木) 00:27:10 ID:fqw6r9G2
>>289
でも咲はおっぱいが大きい美女、美少女全般に弱そうだよのどっち
291名無しさん@秘密の花園:2011/01/13(木) 03:11:17 ID:7LhCTm12
この流れはSOA
292名無しさん@秘密の花園:2011/01/13(木) 15:35:30 ID:0cdVof4P
宮永さんは、私にだけ興味があるんです
293名無しさん@秘密の花園:2011/01/13(木) 19:21:46 ID:U0du+qXp
咲と淡が照を巡ってキャットファイトするところが見たい
294名無しさん@秘密の花園:2011/01/14(金) 00:47:36 ID:L5XxtdgU
そんな事態になったらのどちゃんのボルテージも上がりまくり
295名無しさん@秘密の花園:2011/01/14(金) 03:36:24 ID:fdAyg8zC
宮永姉妹の仲直り記念旅行とか妄想しようとしたが
方向感覚的な意味でかなりヤバいことになりそうなので挫折したw
296名無しさん@秘密の花園:2011/01/14(金) 04:30:13 ID:qcQj2tQS
>>295
ガイド(かつ咲の警護)の為にのどっちも行くに一票
297名無しさん@秘密の花園:2011/01/14(金) 13:41:34 ID:u3OjsOKQ
3人で旅行か…しかも照と和が火花を散らしながら

…やヴぇ、萌える
298名無しさん@秘密の花園:2011/01/14(金) 14:54:41 ID:AMntyqic
そんな展開になっても、咲は気付かず二人を振り回しそうw
299名無しさん@秘密の花園:2011/01/14(金) 16:39:27 ID:L5XxtdgU
>>297-298
帰りつく頃には照ねーちゃんとのどっちは体力やら精神力やら使い果たしてそうだなw
まぁ、エネルギーを不毛な対立に吸いとられて咲の身の安全は守られそうだが
300名無しさん@秘密の花園:2011/01/14(金) 17:30:50 ID:AeniNDaY
いざ咲を賭けて麻雀ふっかけられても応戦できるよう和はしっかり成長しておかないとね
301名無しさん@秘密の花園:2011/01/14(金) 20:46:14 ID:L5XxtdgU
>>300
咲の感情とかは置いてきぼりだなw
302名無しさん@秘密の花園:2011/01/14(金) 21:44:41 ID:u3OjsOKQ
それがいいところw
照と和は満身創痍なのに咲だけ「?」って顔でにっこりしながら二人に話しかけるとか
303名無しさん@秘密の花園:2011/01/15(土) 00:32:12 ID:7AfrAR35
照「あの淫乱ピンク…マジ倒す」
こうですか?わかりません><
304名無しさん@秘密の花園:2011/01/15(土) 20:06:07 ID:wAemR9VV
咲には和がおる、照には菫さんか淡がおるやろ
あの二人の照を見つめる目は尋常じゃなかったぞ
305名無しさん@秘密の花園:2011/01/15(土) 21:02:42 ID:7AfrAR35
和→咲←照←菫
    ↑
    淡

こうか
306名無しさん@秘密の花園:2011/01/16(日) 00:20:56 ID:Q3qnbmpb
少しずれたな
宮永姉妹モッテモテ
307名無しさん@秘密の花園:2011/01/16(日) 02:10:19 ID:sN6LHUnS
作中のモテキャラはのどっちだけどね
自称ライバルのお嬢様とかストーキングするアホ毛とか変なファン多いけど
308名無しさん@秘密の花園:2011/01/16(日) 02:21:11 ID:fPqx4Tl2
衣とのお付き合いは残念ながらお嬢様がまだ許しておりません
309名無しさん@秘密の花園:2011/01/16(日) 05:01:31 ID:/suyiCel
>>300
それでも1位になっちゃうのが咲ちゃんクオリティ

最近はモンブチで純ハーレムを考えて2828する日々
310名無しさん@秘密の花園:2011/01/16(日) 19:32:57 ID:Ya0lK3cY
代行×末原ちゃん×漫ちゃんがみたい
311名無しさん@秘密の花園:2011/01/17(月) 02:27:29 ID:5uEEo2EZ
最近咲と衣の仲良し百合妄想ばかりしてしまう
312名無しさん@秘密の花園:2011/01/17(月) 03:00:19 ID:2+5Js7pG
このスレSS以外の無駄な書き込みは極力いらないよな
内容がないレスばっかり
313名無しさん@秘密の花園:2011/01/17(月) 04:26:42 ID:Tdob59ZP
過疎るよりは書き込みがある方が嬉しいけどな
314名無しさん@秘密の花園:2011/01/17(月) 06:08:42 ID:GYhKdg5x
>>312
ではまず君自身が率先して書き込みを控えてはどうか?
>>312なんて無駄以外のなにものでもないだろう。
315名無しさん@秘密の花園:2011/01/17(月) 12:42:15 ID:oO/YoJJw
いちどでもSS書いたらそんなこと言えないけどな
叩きまわることにしか身を削ったことのないキチに言っても馬の耳に念仏だが
316名無しさん@秘密の花園:2011/01/17(月) 20:23:30 ID:/nSDDMiU
カナちゃんそんな釣りに振り込まないし!

>>310
代行が裏で末原さんゆすってそうで暗い未来しか見えないがそれがいい
317名無しさん@秘密の花園:2011/01/17(月) 22:02:49 ID:7a9xCyfm
>>311
俺も咲衣は好きだけどこれは百合なんだろうかという気もする
318名無しさん@秘密の花園:2011/01/17(月) 22:29:38 ID:5uEEo2EZ
>>317
レズっ気があんま無くても仲良くてイチャついてるような関係を百合と言うなら多分いけるw
あの二人はエロい下心がなさげなのが逆に良い

>>316
漫をだしにして代行は末原さんにあんな事やこんな事を……
というのも中々素晴らしいね
319名無しさん@秘密の花園:2011/01/18(火) 16:32:29 ID:+pXgydhG
子供っぽすぎるキャラに百合はいまいち・・・
320名無しさん@秘密の花園:2011/01/18(火) 21:52:10 ID:7jOxL9cd
>>319
こども嫌いは熟女スレだかおばあちゃんスレだか立てて篭っててくれ
こどもっぽいなりの百合があるのに、そういう子が注目されたり話題になったりすると
どのアニメでも貴様のような方がいらっしゃるのでうんざりだ
321名無しさん@秘密の花園:2011/01/18(火) 22:49:20 ID:KMlEAPuo
>>311
さあ早くその妄想を披露するのだ
322名無しさん@秘密の花園:2011/01/19(水) 13:05:18 ID:84BlU8K/
子供じゃない。衣だ
323名無しさん@秘密の花園:2011/01/19(水) 20:27:03 ID:vnUxyAd3
>>320 のマジギレぶりにどん引き
324名無しさん@秘密の花園:2011/01/19(水) 22:06:45 ID:OSC3RYch
お姉さんぶろうとして空回りする衣しか見えないw<咲衣
325名無しさん@秘密の花園:2011/01/19(水) 22:19:08 ID:uJ3yRhv5
>>318
なるほど
当分はそういう関係でいてもらって要らん心配をする周囲もひっくるめて楽しむw
326名無しさん@秘密の花園:2011/01/19(水) 22:29:06 ID:4Jqawgx6
咲衣っていうより和衣の方が可能性ない?
エトペンつながりで
327名無しさん@秘密の花園:2011/01/19(水) 22:32:22 ID:I4gshq44
3人が川の字で寝るという方向で
328名無しさん@秘密の花園:2011/01/19(水) 22:37:01 ID:PH7NTJYv
>>324
何それ可愛い

>>325
当人達そっちのけで周囲はゴタゴタかw
329名無しさん@秘密の花園:2011/01/19(水) 23:37:06 ID:GdXel/Le
>>326
二人の子どもってことで
330名無しさん@秘密の花園:2011/01/19(水) 23:59:24 ID:OFLbiwYX
絶対にゆるしませんわよ
331名無しさん@秘密の花園:2011/01/20(木) 01:24:37 ID:pZfpRaLu
>>329
ハイレベルな家庭麻雀になりますなぁ
332名無しさん@秘密の花園:2011/01/20(木) 04:03:43 ID:dumcbhxC
衣は両親を失って新しい咲和という義理の親を得るわけだな
なんというハッピーエンド
のどっちとも親戚になれるわけだし>>330のとーかも許してくれるだろう
ただ家庭麻雀がハイレベルになりすぎてまた咲がプラマイゼロしか打てなくなったりしそうな(
333名無しさん@秘密の花園:2011/01/22(土) 02:08:12 ID:InVOLS+8
宮守良いなw
最新話の口絵の姉帯さんとか胡桃ちゃんの毒舌とか
334名無しさん@秘密の花園:2011/01/24(月) 00:37:39 ID:BEJhmiXe
部長復活は素直に嬉しいが、もうちょっと百合的においしくできなかったのかねぇ…
335名無しさん@秘密の花園:2011/01/24(月) 09:31:56 ID:r2wgPzTJ
状況を楽しめってのはキャプテンの口癖っていうかモットー
つまりはそういう事です
336名無しさん@秘密の花園:2011/01/24(月) 11:55:47 ID:HacXqixt
なるほど…っ!
337名無しさん@秘密の花園:2011/01/24(月) 21:14:53 ID:981coq1E
はじまったな
338名無しさん@秘密の花園:2011/01/25(火) 13:04:00 ID:Gkf0S91T
部長「気持ちは本調子に戻ってきたけどどこかちがうような…」
部長「思い出せ私…美穂子と打ってた時どんな格好だったか…」
部長「あの…脱いでもいいですか?」
339名無しさん@秘密の花園:2011/01/25(火) 17:03:46 ID:kAtAS9cA
キャプテン「う、上埜さん、まさかあの時のこと…!!」
340小ネタをこねた@:2011/01/30(日) 18:32:06 ID:CAHFfE91
やー、どうも、来ました  >>285-287 みなさんレス大感謝ですへへへ

洋榎おねえちゃんの三角おちょぼ口にうへへっとにやけたそこのあなた!
そうさ我らは仲間なんだぜ会えて嬉しいぜ!
ふふふきっと野菜スティックとかぽりぽり食べるんだぜぽりぽりと フフふふふ

部長はやっぱり部長でしたねーやれやれ一安心 でも一体どれだけの人が気づいたのだろうか
コマ間に美穂子さんのLove電波がみょんみょん漂っていたことに…

さておき  SSという程ではないのですが、突発的に小ネタを書いてみたのです
予定外ですが思い立ったが吉日! 衣ちゃんがあわてて言うと「きちじちゅっ!」
任意の組み合わせによる反応と効果の検証(捏造とも言う)、その結果を報告です 

このレスも含めて2レスです  どぞ

その1、 <ハッちゃんと巴ちゃんを、いちゃいちゃさせてみる>

永水の控え室にて――、

「何見てるの? ハッちゃん」
「牌譜ですよー。長野の決勝。大将戦の清澄です」
「ああ、長野って言えばあのちっちゃい子、天江衣ちゃん?去年のあの子すごかったよねー」
「そのちっちゃいけどすごい天江衣選手を倒したのですよー。清澄の大将、一応要注意で…」

「ホントすごかったよねー、ハッちゃんに負けないくらいぺったんこでさ!」 「ぬなっ!」
「あ、でもハッちゃんのほうが年上だし、ハッちゃんのがすごいよ!うん!」 「ぅぐっ…」
「片岡さんとか鹿倉さんも中々だけど、やっぱりハッちゃんが一番ぺったんだよ!うんっ!」
「…………」

「姫様と霞ちゃんになんか吸い取られてんじゃないの?ってくらいだもん、自信持っていいよ!
まさにクイーンオブザぺったんっ!……って、どしたの?ハッちゃん」

「……メガネに指紋ぺったぺたの刑ですよーーーっ!!」
「きゃわーーーっ!!」

実はひんぬー萌えな巴ちゃんなのだった。
だがしかし、彼女は全国一万ぺったんの頂点、吉留みはるんの存在をまだ知らない……。
あれ? いちゃいちゃ……?

その2、 <ともきーと尭深ちゃんを、いちゃいちゃさせてみる>

とある部屋に、二人きり。 「……」 「……」
……妙に響く、時計の音。カチコチカチコチ

「「あ、あのっ……」」

「あ……」 「う……」 もじもじ×2

……お茶コポコポコポコポ  ……ノートPCてしてしてしてし

「……あの、お茶」 「……あ、ありが」 ふと触れ合う指と指
「あ……」 「ん……」
「………」 「………」 ほんのりポッ×2

言葉なんていらないふたりーラララー

……いやその、会話が弾みませんでした。
341小ネタをこねたA:2011/01/30(日) 18:33:43 ID:CAHFfE91
その3、 <咲ちゃんと淡ちゃんで、照お姉ちゃんを取り合ってみる>

照の左右に咲と淡、両名ともがっちり照の腕を抱えている。
「……淡ちゃん、私のお姉ちゃんだよ?」 「……咲ちゃん、私の先輩なんだけどー?」
「あ、あのさ、二人とも」
「おねえちゃんは、黙っててっ!」 「せんぱい、引っ込んでてくださいっ!」
「……はい」

「やー、モテモテっすねー、照先輩」 誠子ニヤニヤ。
「……相変わらず、ポーカーフェイスだけど……」 尭深ふむふむ。
「うん、あれは相当喜んでいるな、照のやつ……」 菫ため息 ふぅ、まったく。

(さ、咲が、咲がヤキモチを……うう、生きててよかった。本当によかった。)
「さきのおねえちゃんだもんっ! さきのだもんっ!!」 半泣き咲ちゃん。
「あわいのせんぱいなのーーーっ!!」 ほっぺたぷくー。
「い、痛たたタタタ(ああ、なんという至福……)」

「な、なんか幼児退行してないすか?あの二人」
「……お子様ふたり。6さいくらい、かな……」
「はっはっは、困ったものだなまったく。わかってないな、咲も淡も」

「? 菫先輩? どうかしたんすか?」
「私の照だというのにまったく。……ちょっとシメてくる」
「わあっ、ちょっ、菫先輩! ちょっと待ったっ! すすストップーッ!!」
「……困った大人が参戦……」

菫さんが暴走しました。


おまけ、<末原先輩、こころの葛藤>

「さー、辰の字、いってみよかー。ほら漫、顔上げ」 キュポッとマジックのふたを取る。
「う、ぅう〜……」 漫ちゃん涙目。
漫のあごに手を添えて、くいっと持ち上げる。ぷるぷる震えながら、漫がそっと目を閉じた。

「っ……」 (くっ、なんやかわええなもう。なんちゅう無防備な……。ちゅーしたろか)
「ううう、つ、強くせんといてください……」 ぷるぷる。
(! た、たまらん。大体なんやねん細くってちんまいくせに乳ぷっくりって、反則やろ。
そういや部の連中にしょっちゅう揉まれとるみたいやな。……許せんな。コレは私のや!)

「……? せんぱい?」 なかなか書き始めないので、漫がそっと薄目を開ける。
「こ、こら、目ぇ閉じ!」 「はっ、はい」
(しっかし肌きれいやな。デコぴちぴちのツヤツヤやんかもう。あーもうちゅーしたい!)

「末原ちゃん、ぼちぼち勘弁したりーな。おデコちゅーくらいでええんちゃうのん?」
洋榎が苦笑しつつ、助け舟を出した。

「!!」 (な! しゅ、主将、私のこころが読めるんか!)
「あ、ちゅ、ちゅうの方がいいです……」 (す、漫! いいんかっ!)

「あら〜ん、ダメよ〜。それじゃご褒美になってまうし〜」 監督代行の無情の声が響く。
「それとも〜、末原ちゃんもちゅーの方がいいのかな〜?」 ニヤニヤ
「な、なにゆうとるんですか! よよよしっ漫、いくよ!」 「あうう〜〜……」

かくして辰の字が書かれたのでした。がんばれ漫ちゃん。爆発すればきっとおデコちゅーだ!

* * *
以上、報告終了ー。 好き勝手しました お気に召さない場合はスルーすればほら大丈夫
…反省なんてするもんかふひひ  ではまた
342名無しさん@秘密の花園:2011/01/31(月) 00:40:20 ID:hTZbXHhn
>>340-341
GJです
巴ちゃんそれは嫌がらせやw
343名無しさん@秘密の花園:2011/01/31(月) 08:00:24 ID:dctIHT8w
>>340-341
GJです
あ〜もうみんな可愛いなぁ(*´Д`)

しかし前回の話もそうだったんだが、この淡の台詞は何故か竹達ボイスで自動再生されてしまうわw
344名無しさん@秘密の花園:2011/02/01(火) 12:08:28 ID:8FD9pZL2
345名無しさん@秘密の花園:2011/02/02(水) 18:17:53 ID:giYKoBOa
淡可愛い
346名無しさん@秘密の花園:2011/02/05(土) 15:09:49 ID:kIT9qm42
347名無しさん@秘密の花園:2011/02/05(土) 21:42:45 ID:9Vs/cQP9
  キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!

◆ ◆ 他スレへの書き込みでばれた亀井妻の正体 ◆ ◆

・2005年夏以来求職中、去年の秋から午前中のみバイト
・実家に両親と弟一家と同居、義妹とかなり仲が悪い
・年齢は30代後半から40代前半
・男性経験なし、女性とも高校生の時の同級生と軽い経験のみ
・その同級生とは傷害沙汰で警察のお世話に(親が示談で解決)
・デートの経験はなし
・花粉症重症、運転免許なし、
・身長は150cm以下、体重は50kg台後半
・自閉症と診断されたことあり(ただし治療は拒否)
・精神病への劣等感からネットで他人をキチガイ呼ばわりすることが快感になる

腐女子で可愛いなんたらかんたら
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/intro/1278326522/
太ってる女って性格悪いよね
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/kageki/1143254702/
付き合う前のデートの仕方
http://kamome.2ch.net/test/read.cgi/pure/1291639788/
348名無しさん@秘密の花園:2011/02/10(木) 16:59:47 ID:gqsvrLpK
てすと
349名無しさん@秘密の花園:2011/02/15(火) 02:20:17 ID:AVUKnt5S
せっかくのバレンタインも何もなしか…
350名無しさん@秘密の花園:2011/02/17(木) 05:27:44 ID:po32HYe+
351名無しさん@秘密の花園:2011/02/18(金) 05:07:42 ID:4+6ML9X4
352名無しさん@秘密の花園:2011/02/18(金) 06:02:13 ID:5Iun/PbV
>>351
「全身のビジュアルは手に入れてからのお楽しみ」
はじめちゃんwww
353名無しさん@秘密の花園:2011/02/18(金) 10:47:14 ID:5ZM9Fcyc
>>351
これはアレですか?
次々号の付録は咲・部長・かじゅ・とーかのしおりがついてて
2号続けて買うと対になるという戦略ですか?
そんな姑息な販促につられクマ!?
354名無しさん@秘密の花園:2011/02/18(金) 12:34:48 ID:BbPax+RQ
バレンタインとホワイトデーの間でもあるし
百合スキー悶絶ものの絵柄になるのは間違いないな
355名無しさん@秘密の花園:2011/02/18(金) 16:18:12 ID:K6MywHcw
部長か池田か それが重要だ
356名無しさん@秘密の花園:2011/02/18(金) 17:54:42 ID:K1EprQ2/
今更池田はないわ
357名無しさん@秘密の花園:2011/02/18(金) 17:57:05 ID:5ZM9Fcyc
池田は自ら身を引いてキャプテンを部長に差し出したしな
358名無しさん@秘密の花園:2011/02/19(土) 02:19:50 ID:u8LsPPpP
取り敢えずこの人選で言えることは…

全員ガチ百合キャラだってことだな

>>353の言うとおり次々号で嫁どもが出てきたら最高だわ
部長と池田で対局してもらうことになるだろうけど
359名無しさん@秘密の花園:2011/02/19(土) 08:26:46 ID:BNgi0Aa+
部長はタラシの彼氏
池田は専属バター猫
360名無しさん@秘密の花園:2011/02/27(日) 18:45:16.51 ID:qqNsinuv
そういやオンリーイベントってどうだったん?
361名無しさん@秘密の花園:2011/03/03(木) 12:48:40.46 ID:ZCm0DmX4
部長は全国でも着々とフラグをたててますなぁ
362渋谷尭深の憂鬱:2011/03/05(土) 04:45:40.90 ID:tQu2yaPS
宮永照が白糸台を去った。
特別ドラマティックな展開があったわけでもない。
ただ卒業して去っただけだ。
まぁその後の白糸台麻雀部には、劇的というか茶番が待っていたわけだが。

白糸台高校はそもそも麻雀名門校ではない。
宮永照が入学し、入部するまでは都内でも平凡な成績しか残せてない、いわゆる二流校だった。
それが彼女が入部した途端、白糸台麻雀部の名は史上最強となった。
三年連続地区代表。
春夏合わせて四回の全国優勝。
個人戦に至っては負けなしの三連覇。
これらは全て宮永照の実績であり、彼女をめぐって集まった人材が起こした奇跡だ。
その奇跡を間近で2年間見られた、ということ自体に感謝せねばならないだろう。
そればかりでなく、宮永照の跡を継げるという幸運を授かった自分は本当に幸せものだと思う。

ところが、だ。
現実はそう簡単にハッピーエンドにいたってくれない。
前述したとおり、白糸台麻雀部は宮永照によって育てられ、偉業を成し遂げた。
それはつまり白糸台麻雀部が宮永照であったに等しい。
要するに、だ。
宮永照無き白糸台麻雀部は最早白糸台麻雀部ではなかった。
求心力そのものが無くなったのだ。
彼女を求めて集まってきていた人間はみな、去った。
あとに残されたのは部長という肩書きのみをぶら下げた愚かな人間ただ一人のみ。

扉を開け、十台以上もの自動雀卓が並ぶ部室を眺める。
やはり、今日も誰一人としていない。
棚から茶臼を取り出し、電子ジャーに水をくんで沸騰させ、急須に茶葉を入れ、お茶を作る。
椅子を引き、雀卓の上に湯のみを置き、椅子に腰掛け、お茶を淹れる。
暖かな湯気がメガネを曇らせる。
ふと窓の外を見ると桜が脳天気に咲き誇っている。
あと一週間もすれば新入生が入ってくるだろう。
だが一年前、入部希望者であふれたこの部室も、今年は誰ひとりとして門を叩くものは居ないだろう。
秋の新人戦や、春の大会すら参加できなかったのだ。
このような部に入ってくるような人間などいるはずもない。

去っていった部員たちも、引きとめようとすれば引き止められたであろう。
だが去っていく部員たちを引き止める気にはなれなかった。
自分も部長という肩書きさえ無かったら、部から離れていただろうからだ。
秋が過ぎ、冬が来て、春になった。
私はその間ずっと独りでお茶をすすっている。

独りは、慣れている。
部室で過ごす時間は人生においてはごく短い。このように無為に時を重ねるのも、時にはいいだろう。
湯のみに湛えられた茶に桜の花びらが舞い散る。
ただそれだけで、ただそれだけのことなのに、この麻雀部で過ごした二年間が走馬灯のように駆け巡る。
濃密な、充実した日々。
ソレに比して今この瞬間の、なんと希薄なことか。

…華は、卑怯だ。
ただのひとひらで私の浅はかな諦観を論破する。
湯のみに雫が落ちる。胸が苦しくてもう前も見えない。

やおら部室の扉がバン!と開かれる。
ふんわりとした金髪。輝く碧い瞳。やや太い眉。美貌は半年前と全く変わらず、そこに仁王立ちしている。

「あー、やっぱてるてるを菫さんから奪えなかったわ!あー、もう!たかみー!お茶入れて!」

ひとしきり叫んでソファーに音を立てて座る淡ちゃんに、わたしは微笑みながらお茶を入れた。
誰かと飲むお茶は、美味しい。
363名無しさん@秘密の花園:2011/03/05(土) 04:46:26.59 ID:tQu2yaPS
終わり。

書いたはいいが、これは百合なのだろうかと思わないでもなかったが投下。
364名無しさん@秘密の花園:2011/03/05(土) 13:55:05.13 ID:6/8NW0VS
白糸台は凄く妄想のしがいがある
365名無しさん@秘密の花園:2011/03/05(土) 18:04:38.82 ID:eTrBJOuE
>>363
GJ!たかみーだったのかw
もっと百合だと良かったな〜
366名無しさん@秘密の花園:2011/03/08(火) 17:33:08.29 ID:6spYa2OV
>>150
部長鬼畜w
367名無しさん@秘密の花園:2011/03/09(水) 19:31:47.96 ID:cwR6XIbT
最近暇だから全国組のキャスティング妄想ばっかりしてるわ
368名無しさん@秘密の花園:2011/03/10(木) 18:38:58.93 ID:P8qX1IjS
>>367
例えば?
369名無しさん@秘密の花園:2011/03/10(木) 19:34:50.70 ID:WYC8MOv+
中堅戦終了後
はるる「黒糖……お気に召した…?」
部長「え?ええ、美味しかったわよ。また食べたくなる味ね」
はるる「…大会終わったら送るから、住所教えて…///」

キャプテン(……その手があったのね……)
370名無しさん@秘密の花園:2011/03/11(金) 19:24:25.24 ID:1dV6o/45
>>368
神代:佐藤利奈
霞:大原さやか
淡:竹達彩奈
愛宕姉:松岡由貴
しろみー:沢城みゆき

とかね
つか全国組はまだ名前が覚えられてねェ…
371名無しさん@秘密の花園:2011/03/11(金) 21:16:27.75 ID:+xCnQSpS
アニメ2期やるのかな?
372名無しさん@秘密の花園:2011/03/15(火) 01:29:35.21 ID:1BXcBH2n
あるでしょ
最終回に全国キャラ出てきたし
373名無しさん@秘密の花園:2011/03/16(水) 22:46:38.74 ID:wX+X6yjF
むしろしてもらわないと困る
374名無しさん@秘密の花園:2011/03/19(土) 03:12:58.40 ID:OH19ohIC
 
375名無しさん@秘密の花園:2011/03/21(月) 17:02:21.12 ID:wbzBrobj
愛宕姉×部長SSマダー?
376名無しさん@秘密の花園:2011/03/21(月) 20:26:13.90 ID:asZnG+yI
そろそろ霞さんの出番だよね
ハッちゃんも
377名無しさん@秘密の花園:2011/03/21(月) 21:01:52.96 ID:2zcP59+F
>>375
私様に犯されっぱなしだったなあ、ずっと体こわばらせて久ちゃんかわいいね
378名無しさん@秘密の花園:2011/03/22(火) 00:46:49.30 ID:DYHloZzx
>>375
愛宕姉×末原先輩が好きなのは俺だけですかそうですか
379名無しさん@秘密の花園:2011/03/22(火) 12:39:22.31 ID:bAfMKRCX
キャプテン=恋人
ゆみちん=親友
愛宕姉さん=ライバル

部長完璧すぎるw
380名無しさん@秘密の花園:2011/03/22(火) 12:56:32.23 ID:bF+grjVH
まこを入れてあげて!
同志枠かなんかで
381名無しさん@秘密の花園:2011/03/22(火) 13:29:16.30 ID:8VmpVCId
>>380
相棒とかね
382名無しさん@秘密の花園:2011/03/22(火) 13:50:39.60 ID:Ty01ofqN
ヒモ久×胡桃
はるる×素直洋榎

これもね!
383名無しさん@秘密の花園:2011/03/23(水) 00:45:35.91 ID:q2HwugUF
部長×はるる

黒糖使ってはるるを堕としますた。
384名無しさん@秘密の花園:2011/03/23(水) 10:53:14.74 ID:S19k/p7U
部長の「モモちゃん」呼びが何気に衝撃だった
嫉妬するモモを可愛いと思いつつも警戒されてしまう微妙な距離感を感じさせる
385おでこの秘密 序:2011/03/26(土) 12:34:52.48 ID:IH7dXLRp
どうも 来ました

とても辛い 本当にひどいことが起きました 皆さん無事でしたか?
被災された方々に、今まさに苦境にある方々に
一日も早く安心して暮らせる日々が戻りますように

>>342 さん、>>343 さん、>>345 さんもかな?
レスに感謝です 嬉しくて涙目です ご無事でしょうか
規制とか今回の事態の影響で間が空きました 亀ですみません

さて、気力を振り絞ってまいります
またSS持って来ました いつものように、おばかなお話です
ほんの少しでも、気晴らしになれば幸いです

次レスより、5〜6レスです どぞ
386おでこの秘密 @:2011/03/26(土) 12:37:58.77 ID:IH7dXLRp
出 演:姫松高校麻雀部の皆さん、ちらっと清澄ーズ&モンプチ団
百合分:によ  エロ:ナッシン  ばか度:生粋のアレ
相変わらずアレな感じですが、その辺のソレはアレってことでひとつ  それでは、

↓スタート
***************************
「 誓いの紋章 」


「あれ? 何で……?」 そっとおデコに手を添える。
中堅戦開始前の休憩時間、上重漫は洗面所の鏡に向かいおデコを見つめ、一人当惑していた。
ここは全国大会会場、姫松高校控室のあるフロアの化粧室である。

くっきりと油性ペンで文字が書かれている。てっきり「辰」 だと思いこんでいたのに、そこに
書かれているのは「未」 の一文字だ。「ひつじ……?」

(先輩、辰やってゆうてへんかったかな? なんで未? えっと、ねーうしとらうーたつみー、
やろ、そんでえっと、うまひつじさるとりいぬい……間三つとばしてはるやん。なんでやろ?
はっ、もしかして私、なんや知らんうちに、でっかい失敗三つもしてたんちゃうやろか?)

「うっ……く」 ぎゅっと拳を握りしめる。きゅっと唇を噛みしめる。
情けない。ふがいない。自分が嫌になる。また期待に応えることができなかった。

応援してくれる部の皆は、私が出場メンバーに選ばれたとき、絶対悔しかったに違いないのに
陰に日向に一生懸命サポートしてくれる。壮行会では、皆、笑顔で送り出してくれた。
皆の気持ちに報いるためにも、どうしても結果が欲しかったのに。そしてなにより、こんな
自分を買ってくれた先輩に、この大会で恩返しをしたかったのに。

末原恭子先輩は、姫松の頭脳だ。その人柄も含めて、全部員の信頼も厚い。先輩の的確な分析に
基づく大胆且つ繊細な作戦は、これまで各選手の力を存分に発揮させて来た。……私、以外の。

「漫ちゃ〜ん、気張りや〜。末原ちゃんが期待しとるよ〜」
先輩は、私には厳しい。期待してるとかも、直接言われたことはない。私が選ばれたのは、末原
先輩の強い推薦があったからだと、後になって監督代行からこっそり教えられた。
「う……先輩……せんぱいっ、ごっ……ごめんなさい」
見る見るうちに瞳が潤み、大粒の涙がぽろぽろと漫の頬を伝い落ちた。

「は〜疲れたのよー」 ぽややんとした声とともに化粧室に入ってきたのは、真瀬由子である。
「? ……って、漫ちゃん! どしたんよー!」 「あ、う、ぐすっ、な、なんれもないれす」
「何でもないて、おもっきし泣いとるやんかー。ああほら、そんな目ぇこすったらあかんよー」
由子が漫の肩を抱き、ぐしぐし目をこする漫の手をそっと抑えた。

「どないしたん、ん? ゆうてみ? 私って頼りないけど、一応先輩よー?」 「そ…んな」
「恭子ちゃん、厳しすぎやもんなあ。デコに油性はやりすぎやんなあ。よし、私が意見したろ」
「ちゃっ、ちゃいます! 末原先輩は悪うないです! わ…わっわたしがぁ〜」 ふぇえええん

「わーったった、ほら泣かない泣かない、よしよしいーこいーこなのよー」 なでなでなでなで
「み、みっつも゛ぉ〜」 うぇえええん 「みっつ? 何が三つなのー?」 よしよしよしよし
「す、すんません、すんまぜんでじだぁ〜」 「漫ちゃん……よしよしだいじょうぶなのよー」
ぴぃぴぃ泣く漫の背中を、由子が優しくぽんぽん叩いた。

* *

「ふ〜むむ、なるほど。うーからひつじ、で三つとばしなのねー」 泣きじゃくる漫をなだめ
て、なんとか話を訊きだした由子であったが、はてさてなんで未なのかは、当然わかりかねる。
「うーん、別にそんな、あほなミスとかしてへんと思うのよー?」 「……で、でも」 グスン

「漫ちゃんはがんばっとるよー。恭子ちゃんかて、それは認めてはるてー。勝敗は時の運って
ゆーやん? 麻雀なんて、特にそーゆーとこあるやろ?」 「……で、でもでも」 グシグシ
387おでこの秘密 A:2011/03/26(土) 12:40:12.07 ID:IH7dXLRp
ふぅ、とため息を一つついて、由子が言った。
「恭子ちゃんはな、漫ちゃん可愛いくてしょうがないんや」 「え……ぇえっ?」
「バレバレよー、ふふ。つい厳しくしてしまうんも、きっと反動やねー。難儀やなー」
「そ、そうですやろか?」 思いも寄らない由子の台詞に、漫が頬を赤らめる。
「そーやー。あ、でも漫ちゃんが選ばれたんは、実力やでー。私ら皆、認めてるよー」
にこっと笑う。由子の笑顔は妙に人を安心させる。「……あ、りがとございます」

「大体私かて大活躍ってわけにはいかんかったしなー。伏兵……清澄の子にしてやられたわー」
「ゆ、ゆーこ先輩は、私のとられた点、取り戻してくれはりました」
「ちっとだけなのよー。なに、だいじょぶや。このあと洋榎ちゃんたちがばっちり取り戻して
くれる。次がんばればええねん。落ち込んでる暇はないのよー、それが姫松魂なのよー!」

「は、はい……」 次……。もし、この準々決勝で敗退すれば、それで終わり。3年生の先輩た
ちの、最後の夏が本当に終わる。大好きな先輩たちとのチームが、終わってしまうのだ。
嫌だ。まだ恩返しも何もできてへん。もっとずっと、先輩たちと、末原先輩と一緒に……。
ふるふると小刻みに、漫の肩が震えた。

その肩をそっと抱えて、由子が優しく語りかける。
「もし、もしもやで、万が一ここで負けたって、私は後悔なんかせえへんよー。皆でそのときや
れる精一杯のことをしてきたんだって、胸張って言える。漫ちゃんかて、そうやろ?」
「……そ、そうですやろか?」 「そうやてー。それに何より……楽しかった」 にっこり。
「た、楽しい……」 そんな風に思える余裕なんて、無かった。

「そうやー。ある意味、いっちゃん大事なことや。漫ちゃんや皆と一緒に闘えて、ほんまに楽し
かったのよー」 「大事な……こと」

「漫ちゃんはな、真面目すぎんねん。そういうとこも可愛いけどなー。そやねー、もちっと洋榎
ちゃんの、お調子モンであほみたいに元気なトコとか、見習った方がええんよー」
「あ、あほみたいて」 思わずくすっと笑ってしまう。
「だってそうやろー? あれはもう、才能やねー」 真剣な表情で、由子がうんうんと頷いた。
「ぷっ、く、あははは」 今泣いたカラスがもう笑った。

「そー、その笑顔よー。辛かったり苦しかったり、いろいろあるわな、闘ってるんやし。でもど
うせやったら楽しい方がいい。とっても難しいことだけど、たとえどないに苦戦してても、それ
をそのまま受け止めて、しっかりと前を向くの。それも姫松魂なのよー」 「……はい」
「受け継ぐんは漫ちゃんたちやで。だから私は心配してへん。姫松は、永遠に不滅なのよー」
「……はいっ!」

「……なーんて、偉そうやったねー。私らしゅうないなー」 テレテレ。
「んなことないです。ゆーこ先輩、ありがとうございます」 二人して顔を見合わせ、照れくさ
そうに、えへへっと笑った。と、そのとき、

「洋榎おねーちゃんはあほの子カワイイっ!」 突然どこかで聞いたことのあるようなフレーズ
とともに、背後に愛宕絹恵が現れた。腕を組んで仁王立ちだ。デデン。

「ひゃっ、き、絹ちゃん! もー、びっくりしたのよー。いつから聞いてたのー?」
「全部です。おねーちゃんは、あほなトコもすっごくカワイイのです。強く主張したいのです」
「や、そ、そうやねー。やーねー悪口じゃないのよー? 寧ろほめたんよー」 アセアセ。

「ええ、わかっとります。ご心配なく」 にこっと笑ってから、漫の方に顔を向けた。
「ま、それはそれとして、コホンッ、上重さん、話は聞かせてもらったで。心配御無用や! 
ふっふっふ、デコ文字の謎は、私が解いたる!」 ふふんっと不敵に笑って、クイッとメガネを
押し上げた。 「は、はぁ」 漫たじたじ。

「ええですか、まず上重さんは大爆発もせーへんかったけど、これという凡ミスもしてへん。
にもかかわらず、デコに書かれたのは順番を三つとばして、「未」 の字やった」
「うん、そうやねー」 「うう……」
「ここで重要なのは、末原先輩が上重さんを大好きやーいうバレバレの事実です」
「ほほう、それでそれで?」 由子が興味深げに頷いた。「ぅええ?」 赤面する漫。
388おでこの秘密 B:2011/03/26(土) 12:43:01.63 ID:IH7dXLRp
「実際、気づいてない上重さんもバレてへんと思てはる末原先輩も、もどかしいっちゅーねん。
おねーちゃんは放っといたりーってゆーけどなー、じれったいねん。大体やね、二人とも……」
「えっえっええ?」 漫たじたじたじ。
「あはは絹ちゃん、気持ちは分かるけど、話それとるよー」 苦笑して由子が軌道修正。

「はっ、いかんいかん私としたことが、失礼。コホンッ、まあ要するに我々は、根本的なところ
で勘違いしてますねん」 「か、勘違い?」
「そや! ええですか、そもそもその字は、「ひつじ」 とちゃう」 「へ? だ、だって」
「それは、末原の「末」 やっ!」 びしっと指さす! (※人を指さしたらあかんのよー)

「ええええええっ?」 「な、なんだってー! なのよー」
「そう、つまりそれは、『漫ちゃんは自分のモンやー!』 っちゅう印やねん!」
「ぇえええっ! そ、あ、あ、あうあうあう」 漫がゆでダコみたいに真っ赤になった。
「なーるほどー、納得なのよー。よかったなあ漫ちゃん」 ぽややん。

「よよよよかったて、ゆーこ先輩、そそそんなん、私なんか、んなわけ」 あわわわわ。
「いーや、そうに決まってます!なんならデコそのままにしといてみ?きっともう挨拶代わり
に乳揉まれることもなくなるでー」 末原先輩に逆らおうなんて度胸のある奴はいないのだ。

「末原先輩はな、素直やないねん。堅物の策略家ってレアなお人や、ちっとひねてんねん。
難儀やわー。ま、その辺のことちゃーんとわかっとらんと、上重さん、この先苦労するでー?」
絹恵がニヤッと笑ってウィンクした。こういう仕草がさまになる。

「ここここの先て」 「あはは、そーやねー。漫ちゃん、覚悟した方がええのよー」
「さ、ぼちぼちおねーちゃんの出番や、もどりましょ。気張って応援するでーー!」
「おおーー! なのよー!」 「……あ、あうう……」
真っ赤っかな漫を二人で引きずるようにして、化粧室を後にした。

* * *

(う〜ん、しもた……) 控室のモニターを眺めつつ、末原恭子が難しい顔をしている。
(辰って書くつもりやったのに、コレは私のや! とか考えてたら、「末」 て書いてもーた)
しゃーない、なんかつっこまれたら「ひつじ」 やゆーて誤魔化すしかないな……。

「なんや難しい顔しとるねぇ〜。末原ちゃんから見て、どうやの戦況は〜?」
監督代行が、やる気があるのかないのか、よくわからない声で訊ねた。
「え? あ、いやうん。そうですね……鍵となるのは清澄でしょうか」 切り替えが早いのだ。
「清澄〜? ポッと出の〜? 確かに次鋒の子ぉは曲者やったけど〜」
「中堅の竹井は変則的な印象が強いですが、相当な地力の持ち主と思われます。主将と同等の
可能性も……いや、評価するには未だデータ不足ですが、警戒するに越したことはありません」

「そんなに〜? そういや1回戦で他校飛ばしてたなあ〜」
「ただしそれも、充分力を発揮できればの話です。清澄は全国どころか大会参加自体が初めて。
圧倒的に経験不足です。1回戦の断トツも、どこか浮ついた感じを受けました」
「ははあ〜、よく見とるねぇ〜。さすが作戦参謀やねぇ〜」
「……こういった場合、自滅してくれるケースも間々あります。主将には、プレッシャーを与え
続けるようにお願いしました」

「盤外戦か口三味線ってこと〜? そないに器用なこと、洋榎ちゃんにできんの〜?」
「いえ、ただいつも通りに、イケイケ乗り乗りで行ってくださいってゆーただけです」
「ああ、そやね〜。あの子天然やもんな〜」 「……絹ちゃんそれ聞いたら怒りますよ?」

「洋榎おねーちゃんは天然カワイイっ!」 いきなりドアが開いて、絹恵たちが入ってきた。
「あら〜お帰り〜、どこ行ってたのん〜」 聞かれていたことを毛ほども気にしていない。
「お手洗いです。おねーちゃんは天然なトコがまたカワイイのです。声高に主張します」
「そ〜お〜? 絹ちゃんの趣味も、変わっとるねぇ〜」 「ぬなっ! ここ、こんのぉ」
「あーほらほら絹ちゃん、試合始まるのよー」 由子が絹江をモニター前へ引っ張っていった。

無表情のまま、恭子はモニターに目を移した。(調子づかせたら危険ですよ、主将……)
389おでこの秘密 C:2011/03/26(土) 12:45:50.07 ID:IH7dXLRp
「うちらが目指すんは日本一やで! あんた以外に誰が大将やれるっちゅーねん!」
大将となることに逡巡していた自分の背中を、主将はぐいっと押してくれた。
見渡せば曲者魔物の博覧会みたいなこの全国大会で、凡人の自分がどこまでやれ……ん?

くいっと袖を引っ張られた。そっちを向くと、漫が上目遣いで見つめている。
「……なんや?」 (び、びっくりしたー。その上目遣いやめ! 抱きしめたくなるやんか)

「あの、先輩、私、がんばります」 「? うん、そか」
「あの、次失敗したら、またデコに油性ですよね?」 「次、か……したらな」
(……やりすぎやったかな。ホンマはこんなキレイなデコに落書きなんて、したないし)

「じゃあ、あの、かかっ、勝ったら、あの」 「? ……なんや?」
真っ赤に上気した顔をぐっと上げて、真剣な表情で漫が言った。

「勝ったらデコに、ち、ちちち、ちゅうっ! してくれますかっ!?」 「!!」

(あらあらあら〜ん?) 代行ニヤニヤ。
(おおー、漫ちゃんいったのよー! よっしゃー!) 由子が小さくガッツポーズ。
(末原先輩どう受けます? 誤魔化したりしたら、しょーちせーへん!) 絹恵メガネキラリ。
モニターでは、今まさに中堅戦が開始されようとしていたが、三人の意識は漫と恭子の方に
こっそり、でもしっかりと向いていた。

「ん、んん゛っ!」 恭子が咳払い。 ジロッ
「お、おねーちゃん、がんばれー」 「ひ、洋榎ちゃん、ふぁいとなのよー」
慌ててそ知らぬふりをする絹恵と由子。
「んっふふ〜ん♪」 代行は変わらずニヤニヤ。

漫は恭子の袖をちょこんとつまみ、頬を朱に染めて上目遣いでじっと見つめている。

 じー (だ、だからその目は……)

ふぅ、とため息一つ、恭子が静かに話し出した。
「……たまにな、麻雀て理不尽な競技やなーって思うんや。何でこんなんしてんのやろーって」
「え?……あ、はぁ」
「……でもな、楽しいな?」
「? はい、あの」 

「見とれ、次につなぐで。もっともっと楽しくしたる。……見とってくれたら、勇気百倍や」

「は、はいっ! 見てます! ずっと見てますっ!」 漫がぱぁっと笑顔になった。

「……で、そのぉ、次勝ったら」
(おお、上重さん引かぬ!) (いけいけごーごーなのよー!) 耳に全神経を集中する二人。

「そ、そんなん……か、かか勝ったら、な」
(よっしゃキターーー!) (よかった、漫ちゃんよかったなぁ〜) 小さくハイタッチ。

「あはは〜、聞いたった〜♪ 私ら証人や。漫ちゃん、気張りや〜」
「ぐっ、だ、代行」 「はいっ、がんばります!」 恭子の腕に、漫がぎゅっと抱きついた。

赤面しつつもムッとした顔の恭子だったが、まあ内心は、
(うぉおっ、お、おっぱ……やわら、か……) 至福のひとときなのだった。

* * *
390おでこの秘密 D:2011/03/26(土) 12:48:12.13 ID:IH7dXLRp
「やれやれ、持ち直してくれたか。うんまあ、原点じゃ。ここからここから」
中堅戦終了直後、緊張が解けてまこが大きくため息をついた。ここは清澄高校控室である。

「部長が苦戦するなんて……びっくりだじぇ」 優希が神妙な面もちで言った。
「さすがに全国、ということでしょうか」 和の声が緊張している。
「一筋縄ではいかんじゃろーけど、思い切って気楽にいきんさい。いつも通りでいいんじゃよ」
「……はいっ」 和がぐっと口元を引き締めた。

(う〜ん、和と咲は次が初戦。固くならんといいが……) しんと静まる室内。
(……いかんなこりゃ、雰囲気変えんと)

「ふふっ」 静かな室内に、唐突に小さな笑い声があがった。「? 咲さん?」
「うふ、格が違う、だって。面白い人だね」 モニターを見つめて咲が微笑んでいる。
「? 名門の矜持っちゅーやつじゃろ。言わせとけばいいんじゃ」

ふぃっと咲が和の方を振り向き、ふわりと笑って言った。「だいじょうぶだよ、のどかちゃん」
「え、……ええ、がんばりましょうね」 何か、様子が……。
「うん。もしのどかちゃんが苦戦しても、わたしがいるからね。心配しないで」

「!? わ、私だって、負けません! 必ず点を取り戻して、咲さんにつなぎ……っ?」
突然、ゴッと強い風が窓を叩いた。部屋の照明が、チカチカと明滅し始める。
「な、なんじゃ?」 「じょじょ?」

「きよすみはまけないよ。ここでまけたら、おねえちゃんにあえなくなってしまうもの。
だからわたし、ぜんぶたおすって、きめたんだもの」

照明が、フッと消えた。
薄暗い室内で咲の瞳だけが、燃え盛る炎を照り返すように、一瞬光って見えた。

「おもしろいひとも、つよいヒトモ、全部ゼンブ、……叩キ潰スンダ 」
「さ……咲、さん?」


「ふふっ、ウフフ、麻雀って…… 楽 シ イ ヨ ネ ? 」


* * *

「だーかーらっ、無理だっつーの! わがまま言うな!」
「ぬぅう〜、なんとかするんだ、じゅん!」
観戦会場の廊下で、衣が純の手を引っ張って騒いでいる。

「咲に、咲に会わねばならぬ!」
「んなこと言ったって、試合中は会えねえってことくらい、知ってんだろ?」

「どしたのさ、二人とも。副将戦始まるよ?」 はじめが呼びに来た。
「あー、急にころもが、咲に会うんだーって言い出してな」
「? 宮永さんに? 試合後じゃだめなの?」
「むう……」 スカートの裾をぎゅっと握りしめて、廊下の窓を仰ぎ見た。

(……咲、さきっ! それじゃ、ダメだ。それでは白糸台には、宮永照には勝てないぞっ!)

ゴゥッと風の吹き荒ぶ音がする。パラパラと雨粒が窓を叩き始めた。

 もうすぐ 嵐がやって来る。

*********************
以上 読了感謝
391おでこの秘密 蛇足:2011/03/26(土) 12:50:55.30 ID:IH7dXLRp
忍法帖って何?

はい、おやっとさーでした ありがとうございました
ゆーこちゃんは、とっても優しい良い先輩に違いないのです だといいな

原作で、しろみちゃんがダルくて胡桃ちゃんがパワフルなのは、
胡桃ちゃんがいろいろ吸い取っていたからだということが判明したわけですが、
胡桃ちゃんを膝に乗せたら、逆に瞬間フル充電してもよさそうなもんです
しろみちゃんは贅沢ですまったく いいなあ
まあ何にせよ、たまりませんな 二人ともかわええなあ はふー

中堅戦の感想を洋榎おねーちゃんに伺いましたところ、
「宮守のちっこい子が、おっかなかったです」 だそうです
この二人の絡みも、もっと見たかったりします 妄想回路が回りそうです

部長フラグ立てまくり! きっと美穂子さんにつねられるな ぎゅーっと
「あいたたたた、なによー」 「なんでもないですっ」 プイッ なんて うへへによによ

さあいよいよぺったん、じゃなくてハッちゃんの出番ですよー 楽しみだー  ではまた
392名無しさん@秘密の花園:2011/03/26(土) 17:19:57.72 ID:apLE3/iY
>>391
乙かれさんさんさんころり〜♪
やはりアレは「末」なんでしょうねー
末原先輩の所々に垣間見える隠れガチ百合具合がたまらないw
393名無しさん@秘密の花園:2011/03/30(水) 06:07:42.97 ID:8cy8LspE
去年の水戸で手に入れたかじゅももカレンダーがあと二日で終わってしまう…
今年のやつはないのかな?
394名無しさん@秘密の花園:2011/04/01(金) 17:56:12.88 ID:VFbXUoMv
部長×のどかはかなり性格的にもビジュアル的にも相性が良さげだと思うけどどうなんでしょ
395名無しさん@秘密の花園:2011/04/01(金) 17:59:06.47 ID:3wR6P6yz
和でいうと、和が主導権にぎれるであろう 和×透華 が一番好きなんだけどね
アイドルとスーパーモデル
意外に性格もあうようで。服を着せたりしてたし
396名無しさん@秘密の花園:2011/04/01(金) 19:30:02.35 ID:7WA2OQ7B
透華の浮かれっぷりは正直たまらないよね
397名無しさん@秘密の花園:2011/04/01(金) 21:25:53.80 ID:kCjf5q9c
>>394
考えたこともなかったがなかなかいい
398名無しさん@秘密の花園:2011/04/03(日) 13:47:39.02 ID:Nwjjybkh
最新話の扉絵が俺得過ぎて生きているのが辛いです
399名無しさん@秘密の花園:2011/04/03(日) 17:40:56.77 ID:4/oNC33x
>>391
GJです、和むw

>>398
素晴らしかったね
400 忍法帖【Lv=1,xxxP】 :2011/04/04(月) 02:03:22.56 ID:REBWZUP9
しかし単行本はマジで2巻同時か3巻同時発売かもなあ
401名無しさん@秘密の花園:2011/04/04(月) 22:55:51.98 ID:R8K0Tk9K
三巻同時だと早くて来年二月になっちゃう!
402名無しさん@秘密の花園:2011/04/04(月) 23:00:21.92 ID:LJjYCs2A
はたして売れるかどうかだな
よっぽど特典潤沢につけないと、売れない気がする
403名無しさん@秘密の花園:2011/04/05(火) 04:43:03.46 ID:FQ50zFqs
最近は4週連続で載せたりしてるから3巻同時でももう少し早そう
404名無しさん@秘密の花園:2011/04/05(火) 09:32:35.73 ID:6cfCTuwY
四号連続がデフォになったとしても
九巻最後のエピソードであろう第94局が掲載されるのは12月第一週
三号掲載だと12月第二週
大して変わらないよ
405名無しさん@秘密の花園:2011/04/08(金) 22:14:15.32 ID:A1PU/RrS
一週間遅れのネタですみません。

『fabricated declaration』

「わたし、新学期から東京の高校に通うことになったの」
その日、通学路のいつもの場所で待っていた咲から、顔を伏せたままそんなことを言われて、
和はまるで塩の柱になったかのように固まってしまった。数秒の硬直の後、ようやく開いた口から
少し震えた声が出てくる。
「……そうですか……やっと……お姉さんと一緒に暮らせるんですね……」
「な〜んて……和ちゃん?」
そして咲が視線を上げた時には、
「おめでとうございますっ!」
横顔に涙の線を曳きながら、和は走り去ってしまった。
「の、和ちゃん!!」
「咲ちゃん、そのネタはまずすぎたじぇ」
「わかってる!今日は遅れるってまこ部長に言っといて」
一部始終を見ていた優希にそう言い残し、咲は和を追いかけた。

川沿いの並木道を走りながら、和の背中に向かって咲は叫んだ。
「和ちゃん、ごめん!話を聞いて!」
何度か「待って」と言われても走り続けていた和だったが、その言葉に足を止め振り返る。
「どうして咲さんが謝らなければならないのですか?」
荒い呼吸のまま、咲は短く答えた。
「今日は、何月何日?」
「4月1日ですけど……まさか、そういうことだったんですか!?」
「和ちゃんが、あんなにショックを受けるとは、思わなくて……本当にごめんなさい!」
わたしに出来ることなら何でもするから、許して!」
深々と頭を下げたものの、和の返事はない。いっそ土下座でもしようかと咲が思い始めたころ。
「……わかりました。次の日曜日までに、何をしてもらうか考えておきます」
どちらかといえば怒っているというより呆れている感じの声に、咲は少し安堵した。
「それと、咲さんにぜひ聞いてほしいことがあります」
咲が顔を上げると、和は微笑んでいた。いつものような無垢な笑顔ではなく、悪巧みを思い付いた時の
前部長のような裏のある笑顔。それでいて恥ずかしそうに頬を染めながら和は言った。
「私は咲さんのことが大嫌いです」
406名無しさん@秘密の花園:2011/04/15(金) 23:56:48.74 ID:GrZQ8puw
>>405
今更だが乙!!


そしてやっと単行本来た
407名無しさん@秘密の花園:2011/04/16(土) 19:09:15.59 ID:KGa/hO4k
6月か〜
楽しみだね
408名無しさん@秘密の花園:2011/04/16(土) 22:44:06.67 ID:6J3EawFk
409名無しさん@秘密の花園:2011/04/16(土) 23:17:26.99 ID:j1NB9G+I
咲のシーズンだというのに6月まですべてストップしてしまうのは寂しいが
410名無しさん@秘密の花園:2011/04/17(日) 17:50:51.46 ID:QQYSQvKt
2号休載だからな
411名無しさん@秘密の花園:2011/04/24(日) 03:12:13.10 ID:c2Bp55wN
412名無しさん@秘密の花園:2011/05/01(日) 06:32:59.02 ID:83ACSFHb
413ぴかぴかてるてる序:2011/05/01(日) 21:39:31.65 ID:NBGZ469A
Sayほー!  ……豪快に過疎ってますなあ びっくり 悲し

あ、どーも 来ました
>>392 さん >>399 さん レスに心より感謝です へへへ

絹ちゃん、ちゃんと謝った! 良い子! 地味にすごく嬉しい
きっとええ子やて信じてたでー うんうん

そして透華さまっ アホ毛も麗しくご健勝のご様子、なによりでございます
ころもちゃんも楽しそうでほっこり 純のアニキたちも傍にいるのでしょうか

「おいおい、この巫女いいのかこれ? 全国放送だろ、これ」
「そう? 別に普通の格好じゃない? 夏だし」 「……見えてる」
はじめちゃんとハッちゃんは、気が合うに違いないのですよー

てなわけでSS投下でございます ……なんだけど、
忍法帖、仕組みがよくわからぬのでござるよ 行規制とかこれまで通りでいいんじゃろか
前回何とかなったので平気かなと思うのですが、なんか規制とかされたら投下中止必至 出直します
かような事態に至った場合、何卒ご容赦賜りたく候
あと連投容量規制がとても厳しいようなので、少々ゆるりと参ります 5分間隔くらいかな

さて、前置きはこの辺で  照お姉ちゃんのお話しの続きで、7〜8レスれす どぞ
414ぴかぴかてるてる@:2011/05/01(日) 21:44:34.37 ID:NBGZ469A
出 演:チーム虎姫の皆さん、白糸台高校麻雀部エキストラの皆さん ほか
百合分:それは青い鳥のように エロ:ないのだ ばか度:安心と信頼のアレなのだ
>>280 「帰るところ、待っているひと」 の続きです
おねえちゃんは一年生! なお話  ぴかぴかてるてる&すみれちん! それでは、

↓スタート
******************************
「 あおい風、想いのかけら 」


「む? ……どこだ、ここは」 弘世菫はある部屋に立っている。見覚えがある。部室……?
いや、細部が何処となく違う。「……ふむ。これは……」 軽く腕を組み、周囲を観察する。
菫は基本的に、常に冷静沈着である。

名門・白糸台高校麻雀部は常態百名を超える全部員の士気も一様に高く、所謂軍隊式の規律など
とは程遠い自由な気風でありながら、ここ数年は一枚岩とも言える鉄壁の状態を保っている。
いかな名門と言えど、そうでなくては全国はおろか強豪ひしめくこの西東京で、団体戦において
近年これほどの戦績を成し遂げることは難しかっただろう。直接戦うのは頂点の5名であるが、
それを支える者たちの力を侮ってはならない。

そういった態勢(寧ろ”チームワーク”と言うべきか)を作り上げ、且つ維持することが可能で
あった要因といえば、やはり 「宮永照」 という巨大なカリスマの存在が第一に挙げられる。
だが同時に、そのことを加味しても尚、これほどまでに見事に統率されている実質的な要因を思
うに 「弘世菫」 の存在は不可欠であり、その手腕によるところはすこぶる大である、と断言
することもできる。学内外を問わず、関係者の中でそのことに異を唱える者はいない。

理知的、聡明、合理的、冷徹、……、外部の彼女に対する評価は、その秀麗な容姿もあってか、
総じてクールビューティーという一言に集約される。しかしただそれだけでは、人は動かない。
彼女の持つ大きな優しさや暖かさ、実はそれこそが多くの部員が彼女を慕い恭順する本当の理由
なのだ。まあ言ってみれば、もう一人のカリスマである。

照の持つ異名の一つ、「猛き虎姫」、それに対となる 「怜悧なる虎姫」 とは菫のことだ。
「恥ずい。いやだ、中2っぽい」 とは本人の弁である。

「! ……照」 いつの間にか、菫の隣に照が佇んでいた。この世でただ一人、菫のこころを
惑わせる存在……。無言で菫を見つめ、にこやかに笑っている。「照、どうし…ぅわっ」

「ふにゃ〜ん」 突然、照が甘えた声を出し、しなだれかかってきた。
「ふにゅ〜ん」 菫の首に手を回し、その頬に情熱的な口づけをし始める。
「わっわっ! て、照! きき急になんだ、どどどどうしたこんなところでっ」

* * *

「こら、やめっ、やめろって照、……うふふっ、もう、ばか、誰か来たらどうす……っん?
む……ぅうおわっ!」 目覚めた菫の目前に、どどーんとアップで猫の鼻面が迫る。

ここは白糸台高校麻雀部部室棟、通称「虎姫城」 の3階、一軍ミーティングルームである。
ソファーに寝そべって優雅な午睡と決め込んでいた菫の上に、部員猫のカテリーナがその大きな
体を横たえていた。 「ふぐぅるる〜、うるるるる〜」
ゴロゴロ喉を鳴らしながら、前足で菫の胸元をもみもみしつつ、ぺろんと頬をなめた。

「カカッ、カテリーナ! こらやめっ、ちょっ、痛たタタイデデデデっ」
舌がザリザリなのだ。続けてそのまま、カプッとほっぺをアマガミ攻撃。「ふみゅるるー♪」
「うううくっ食われる、誰か、取って」 「あははっ、先輩、いい夢見てたみたいっすねー」
笑いながら誠子がよいしょっとカテリーナを抱き上げた。「うにょー」 猫様は不満げである。

「ずるーい、菫先輩ばっかりー。どうして私にはあんまり甘えてくれないのー?」
淡がぷくーっとほっぺを膨らませて抗議した。
「……淡は構い過ぎ」 湯飲みのふたを少し開けて、お茶の香りを嗅ぎながら尭深が呟いた。
415ぴかぴかてるてるA:2011/05/01(日) 21:49:50.48 ID:NBGZ469A
カテリーナが来てから、尭深は部室の湯飲み全てに蓋を揃えた。抜け毛対策である。
でも特に不満というわけでもないらしい。普段はそっけないが、たまに無言で微笑みながら
猫じゃらしでカテリーナと遊ぶ尭深が目撃されている。

「ははは、照ママが留守だから、菫パパにべったりなんだよなー、カテ子」 「うみゃ」
「ちょっと待て誠子、なんで私の方がパパなんだ」 眠たげな目をして菫が言った。
「……そこですか……」 やれやれと尭深がお茶をすする。

もしこの場に蒲原がいたら、「そりゃーおっぱいおっきいからさー、チチだけに。ワハハー」
と、セクハラおやじギャグの一つもかましてくれたことだろう。しかしここは東京なのだ。
残念でならな……ゲフンッ、いやその、さておき、なぜ照が不在かというと、

「照先輩、今どこら辺ですかねー。長野かー、どんな処だろ」 誠子がしみじみと呟く。
「さてな。あいつ自分のこととか昔の話、したがらないしな……」 そう、照は帰省しているの
である。今、学校は休暇期間中なのだ。しかし虎姫城は眠らない。公的には部活動も休みだが、
こんな時でも大抵誰かしら有志が登校し、熱心に活動を続けている。今日も菫たち以外にも、全
部員の約半数が出て来ていた。まあなんというか、練習は厳しくても、楽しいのだ。

「昔のせんぱい! 知りたい、知りたーい!」 淡が食いついた。
「だから、私もよくは知らんのだ」 尭深が差し出したおしぼりで顔を拭きつつ、菫が答える。
ノーメイクなのだ。でもぴちぴちなのだ。唇なんかもう、桜色のつやっつやなのだああもう。

「でも以前のことって、興味あるなあ。新入生の頃の先輩たちってどんなだったんですか?」
「……同意。聴きたいです」 「どんなって、あのなあお前たち……う」
期待に満ちた瞳をきらきらさせて、三人が身を乗り出し、菫を見つめる。きらきら。
カテリーナが菫の膝にひょいっと乗った。「うなっ」 さあ話せ、とでも言っているのか。

「ふぅ、まったく。話ったってなあ、さて何を……ふむ、そうだな……」

* * * * *

「宮永……? 聞かない名だな」 初めて会ったときから、気にはなっていた。
中学の大会などではその名を耳にしたことは無かった。もっともこの女子麻雀界では何故か高校
から飛躍的に伸びる者が、他の競技に比べて圧倒的に多いと言われている。あるいは今まで隠れ
ていた強者が台頭するのが、まさにこの年代からということになるのか。

とりわけこれまで魔物と呼ばれて来た者たちは、15歳前後を境にその能力を開花させている、
と主張する研究者もいる。「麻雀Today」 の特集記事のテーマになったこともあったが、もち
ろん小中と安定して強かった選手もいるわけで、その信憑性は半信半疑といったところだ。

入学して半月が過ぎ、数十名の新一年生の中での格付けも、なんとはなしに付いた感がある。
菫と同様にトップグループに位置する者の中に、宮永照はいた。いや、頭一つ抜きんでている。
正式なランキング戦ではなかったが、ある時余興として急遽組まれた対局で、彼女は二軍筆頭の
3人を相手に、南三局で全員をとばしてのけた。たった一度の対局で評価されることもそうはな
いが、その非凡な打ち筋はその場にいた全員に宮永照の名を強く印象づけることとなった。

ある日の休憩時間、一階3軍部室の窓際にぽつんと一人で佇む照に、菫はそっと近づいた。
「今日も調子いいみたいだな、宮永」 「……べつに」 にこりともしない。無愛想だ。
もしかしたら、試合中に表情を読まれることを警戒して、日頃から意識してポーカーフェイスで
いるのかもしれない。勘ぐり過ぎだろうか。

「……何か、用?」 「用がなきゃ、話しかけちゃだめか?」
「……」 「ふふ……いや、お前ほどの奴が何で今まで無名だったのか、興味があってな」
実はそれだけではない。何故か妙に魅かれるのだ。気が付くと目で追っている。

「……ぬるいんだ」 「ん? 何だって?」

「ここが……ぬるいんだよ」
「は、あははっ、そうかぬるい、か」 名門も形無しだな。こいつ、面白い。
416ぴかぴかてるてるB:2011/05/01(日) 21:54:57.60 ID:NBGZ469A
「おら、それだ! ローンッ!」 突然、部屋の中央付近の卓で大きな声がした。
上級生と思われる4人が卓を囲んでいる。3軍の生徒たちが遠巻きに取り囲み観戦している
ようだが、何か様子がおかしい。全員一様に眉をひそめて、暗い顔をしている。

対局者の一人は、3年生であるが3軍の部員だった。とても面倒見のよい人で、新入生たちの
世話役みたいなことを率先してやっている人だった。あとの3人はあまり見ない顔だが、確か
やはり3年生で、複数ある2軍チームの中でも、末席あたりの連中だ。
3軍の先輩の一人沈みのようだが……。

「コレでアンタ、残りぴったり千点ぽっきりだよん。ど・素・人w」
「残念でした〜ツイてねーなーw、クヒヒッ、おまえ、日頃の行いとか悪いんじゃね?」
「そうそう、私ら見習って、ヒンコーホーセーでなきゃだめなのよ〜ん?w」

ヒャッハーッハハハー、と3人の下卑た笑い声が部屋中に響いた。
「う、くっ……」 3軍の先輩は、悔しそうに俯いている。

「ねぇねぇ、アタシ前からあんたに訊いてみたかったのよね〜」 リーダー格らしい一人が、
3軍の先輩の顔をのぞき込み、ニヤニヤ笑いながら言った。「弱いって、どんな気持ち〜?」
ぶるぶると先輩の肩が震えていた。「おまえってさぁ、ここにいる資格、あんのかぁ〜?」
「! ……わっ、私」 「はぁ〜ん? 何だって〜? 聞こえんなぁ〜?」 ギャハハハハハ

「……なんだ、あいつら」 菫が眉根を寄せる。
「嫌な面だ。気に食わんな……ん? あれ? 宮永……って、おい」
隣にいたはずの照がいない。ふと前に目を戻すと、いつの間にか件の卓の脇に立っている。
3軍の先輩の肩に手を置いて、照がぽそりと言った。「……交代」

「あん? んだてめえ、すっこんでろや1年坊!」 2軍の一人が凄んだが、照は意に介した
様子もなく、3軍の先輩の手を取り席を立たせた。「み、宮永さん、あの……」 「交代」
有無を言わさぬといった感じで、無表情のまま、ふわりと着席した。「おいっ、こらてめ」

「 黙 れ 」

大声を出した訳ではない。透き通るように透明で、静かな声だった。
しかし照が発声した瞬間、ヴンッと何か目に見えない力のようなものが音もなく場を駆け抜け、
部屋全体が凍りついたように、しんと静まり返った。

呆然とする2軍三人のうちの一人が、はっと気づいたように身じろぎした。
陰惨な目つきで醜く顔をゆがませて、吐き捨てるように言った。
「……お、おまえ、確か宮永とか言ったな。調子こいた1年坊がいるって、噂んなってるぜ」
「……ば、バカな奴〜。ここにはね、こわ〜い先輩だって、いーっぱいいるのよ〜ん?」

「……サルだな」 眉一つ動かさずに、照が呟いた。「? ああ?」
「猿山のサルが、無駄口を叩くな。賽を振れ」 「っ! こ、この」

「 賽 を 振 れ 」

照は静かな口調のままである。だがその声は、まるで物理的に大きな圧力を持つかのように、
その場にいた者の胸腔深くに響いた。
(何だ、こいつは……) 親番の2軍生が震える手でおずおずと賽のスイッチを押して、
静まり返った室内に、全自動卓の作動音だけが小さくコトコトと反響した。

配牌が済んで、対局が始まる。そのとき3人の2軍生がチラッと目配せを交わし合ったのを、
菫は見逃さなかった。「……あいつら、まさか……」

「は、ははっ、残り千点でなにができるっつーんだよ。カッコつけてんじゃね〜よw」
一番大柄な下家の2軍部員が、照に向かって身を乗り出し、歯をむき出す。

「……何をしようと、無駄だ。 ……リーチ」 ぴしっと場に最後の千点棒を置いた。
「ダ、ダブリー!?」 「ここ、このやろ」 「ぅええっ?……あ」
417ぴかぴかてるてるC:2011/05/01(日) 22:00:05.07 ID:NBGZ469A
「……ツモ」 ダブリー一発ツモタンピンドラドラ  倍満
2軍三人が青ざめる。照の表情は変わらない。

「さて……私の親だ」 細い腕をするりとのばし、形の良い爪の指先で賽のスイッチを入れる。
「てて、てんめぇ〜」 2軍生が冷や汗をかきつつうなる。

「……何をしても、いい。好きにしろ」 なんともつまらない、といった風情で照が呟く。
「無駄だけど。……お前たちはもう、トンでいる」

あとはもう、一方的な展開だった。駆け引きも何も、あったものではない。そのときの照の闘牌
は、その場で観ていた者たちに、絶対的な強者による圧倒的な暴力を連想させた。
(ああ、あいつ、怒ってるんだ……) 怒れる魔王の無慈悲な鉄槌……。
涼しげな、しかしまだどことなく幼さの残る照の横顔を見つめて、菫は一人納得していた。

わずか数局で、照が2軍の三人を同時に吹き飛ばし、対局は終了した。
呆然とする三人に向かって、照が囁くように語りかける。
「自覚がないようだから、わかるようにしてやったんだが……どうだ?」
「? な、なによ」 リーダー格が虚勢を張るように、顎をあげた。

「貴様、訊いていただろう?……どんな気持ちだ?」
いかにもあきれたといった様子で、つまらなそうに照が言った。

「!、こ、このガキっ!」 三人が勢いよく席を立つ。「てめぇ、こ、ぎゃっ」 照に掴みかか
ろうとした大柄な2軍部員の手を、いつの間にか傍に来ていた菫が捻り上げた。

「まさか天下の白糸台で、サマなんぞを見せられるとはな」 掴んだ手をぐいっと引いて卓の
上で振ると、袖口からコロンッと牌が二つ転がり出た。イカサマだ。

「は、離せっこのっ、あ、いててっ」 「ま、不発だったみたいだけどな」
投げ捨てるように、そいつを残りの二人の方へ押しやる。

「わかってたんだろ? 指摘しろよ」 席に腰掛けたままの照に、菫が訊いた。
「……無駄だと言ったさ」 無表情のまま俯いて、照が答えた。
少し悲しそうに見えるのは、気のせいだろうか。

「て、てめえらこの! な、なめやがってぇーーっ!」
怒りに真っ赤になりながら、大柄な2軍部員が椅子を持ち上げ、二人の方に突進して来た。

 ズドンッ  「ぐぅえっ」 「うわっ」 「きゃあっ」 ガシャガシャンッ

菫のすらりとした長い右足が、まっすぐ正面に伸びていた。
持ち上げた椅子越しに、菫の前蹴りをまともに食らった2軍部員が残りの二人のところに吹っ飛
び、三人まとめてもんどりうって倒れた。

すぃっと右足を戻し、ぱしっとスカートの裾を払って、ずいっと一歩、菫が前に出た。
「立て」 手のひらを上に、クイッと手招く。
「ああそうそう、こわ〜い先輩たちとやらも連れてこい。まとめて畳んでやる」
軽く顎を上げて、三人を見下ろす。長身の菫が仁王立ちで、ひときわ大きく見えた。菫も怒って
いるのだ。その迫力に気圧されて、2軍の三人が縮こまる。

「そこまで」 唐突に、凛とした声がその場に響いた。周囲の3軍生たちの一角が開いて、五人
の上級生が前に出てきた。1軍のお出ましだ。

「……」 菫が軽く身構える。
「ふふ、そう警戒するな。こわ〜い先輩ではないよ」
菫の方へ手をかざし、1軍筆頭でもある部長が笑いかけた。
「なかなかの見物だったが……、そこの三人」 床にヘたり込む2軍生が、びくっと反応する。
「お前たちには色々と訊きたいことがある。……連れて行け」
数名の上級生が、うなだれる三人を立たせて、まとめて部屋から退出していった。
418ぴかぴかてるてるD:2011/05/01(日) 22:05:00.62 ID:NBGZ469A
「さて、宮永と弘世、だったな……ん?」 「あ、おい、宮永」
照が席を立ち、1軍には目もくれずに、初めに対局していた3軍の先輩の前に立った。

「み、宮永さん……」 戸惑う先輩に、静かに照が訊いた。
「ここは、そういうところ?」 「? え……?」
「バレなければ、イカサマでも何でも、アリなところなの?」
「!、ち、違うっ! 違うわ!! ここは、私たちが目指すものは、そんな……っ」

軽く頷いてから、照が続けて訊いた。「……麻雀、好き?」
「え、……す、好きよ、大好き。弱いけど、へたっぴだけど、私は麻雀が好きっ」
「充分だ」 「? あ、あの」

「あるじゃないか。資格」 静かな部室内に、照の透き通った声が染み渡る。
「あ、……っ」 先輩の瞳から、一筋の涙が伝い落ちた。

「つまらない麻雀を打って、気分が悪い。先輩、半荘つきあっていただけますか?」
ほんのかすかに、照が微笑む。
「……はい、よろこんで」 涙を指先で拭い、先輩がふんわりと笑った。

「ぜひとも私も混ぜて欲しいね」 菫が二人に声をかける。
「……」 照が口を開きかけて、少し戸惑うような様子を見せた。
「ふん、どうせ覚えてないんだろ? 弘世だ。ひろせすみれ。すみれって呼んでくれ。
私も照と呼ばせてもらう」 「……好きにしろ」

「私も打たせてもらうぞ」 放っておかれたことを怒るでもなく、部長が進み出て、
「さあ、お前たちもぼーっとしてないで、練習を始めろ」 周囲の3軍生に声をかけた。
はっと3軍生たちが顔を見合わせ、わらわらと周りの卓へ散っていった。
「さて、はじめようか。正々堂々、半荘勝負!」

* *

放課後の校庭を斜光が照らし、運動部員の長い影が伸びている。吹奏楽部の奏でる音色が、
夕暮れの空に吸い込まれていく。部活終了後の軽いざわめきを背に、部室棟の出入り口で、
照と菫、そして部長が佇んでいた。

「良い対局だった。二人とも、噂に違わぬといった感じだな」 部長が満足そうに頷いた。
「ありがとうございます。……ほら、照、なんか言えよ」 「……」
「ふふ、かまわんよ。しかし……猿山のサル、か。さしずめ私はボスザルってところか」

「いや、あれはその、言葉の綾っていうか、なぁ照」 「……」 (なんか言えよ、もう)
「あはは、いいんだ、弘世。実際、名門校の1軍筆頭と粋がったところで意味もない。
昨年はついに全国出場を逃してしまったしな、立つ瀬ないよ」

「失礼します」 ふらりと照が歩き出す。「お、おい、照」 菫が一歩踏み出す。
立ち去ろうとする照の背中に向かって、部長が問いかけた。

「宮永、君はどう思う? 我々はこれから、どうあるべきなのだろう」

「……猿山の、サルではダメ」 足を止めた照が、ぽつりと呟いた。
「ふむ。では、何ならいいんだ?」

半身で振り向き、照が答えた。「虎だ。……虎にナルンダ」 
逆光で影になり、表情は読めない。だがその両の瞳は、ぎらりと強い光を放っていた。

「ふむ。虎、か」 顎に手を添えて、如何にも面白い、といった感じで部長がニヤリと笑った。
(はー、なんか格好いいなー、こいつ) 妙に感心しつつ、菫は照を見つめていた。

(でも一歩間違えれば、かなり痛い子だよなー……って、あ、あれ? あぶ)
「……失礼しまっ……!」 ずりっ、ぺちょ。
419ぴかぴかてるてるE:2011/05/01(日) 22:10:06.98 ID:NBGZ469A
「て、照!」 「宮永! どうした」
照が転んだ。特に足を取られるような障害物など何もないのに。菫が慌てて駆け寄った。
「おい、大丈夫か?」 「へ、平気だ。なんともない」
無表情だが、耳が赤い。あとちょっと涙目。「い、痛くない」 痛かったらしい。

「足! 血、出てるじゃないか!」 「だから平気…って、ぅわっちょ」
がばっと菫が照を抱き上げた。お姫様抱っこだ!

「こ、こら! ばかっお、おろせ菫!」 照が手足をバタつかせる。
「おとなしくしろ! 保健室まで運ぶ。では部長、失礼します!」 
照を抱っこしたまま、菫が駆けだした。

ぽかんと二人を見送る部長。「……ふ、ふふっ、あはははははっ」
「なんです? んな馬鹿笑いして」 1軍の一人が近づいてきた。副部長である。
「あはは、1年に虎のお姫様がいた! これから面白くなるぞっ! 私ら皆、虎になるんだ!」
「? はぁ」 だいじょぶか? この人……。副部長が怪訝な顔をして、ため息をついた。
広義では、白糸台麻雀部員の代名詞ともなる呼称、”虎姫”――、その誕生の瞬間であった。

「痛くない、ホントだぞっ!」 「わかったわかった、照は偉いな、わかったから暴れんな!」

* * * * *

「『……無駄だと言ったさ』 ……うきゃーもぉーかっこいィー!」 「う゛にゃにゃにゃっ」
淡がカテリーナをむぎゅっと抱きしめて、ソファーの上でゴロゴロ転がった。「んに゛ょあー」
「はー、照先輩、最初っから鬼強だったんだー」 半ばあきれたかのように、誠子が呟く。

「そんなことが……サマって……その人たちは?」 ほんの少し眉根を寄せて、尭深が訊いた。
「さすがに退学なんてことにはならなかったが、部にはいられなくなった。卒業前に3軍の先輩
の処へ謝りに来たそうだ」 沢山話してのどが渇いたのか、菫がお茶を一口飲んでから続けた。

「何度か校内で見かけたがな、憑き物が落ちたみたいに、すっきりした顔で笑ってた。ここは厳
しいトコだしな……連中も色々あったんだろうよ」 菫は部員のメンタルケアにさりげなく重点
を置いている。そういった体験が、そうするきっかけとなったのかもしれない。

「『お前はもう、トンでいる……』、くぅ〜、今度言ってみよーっと」 淡は能天気である。
「……公式戦でそれやったら、ほっぺつねるから。おもいっきり」 尭深がさらりと呟いた。
「じゃあ、私はデコピン3連発だ」 「こめかみグリグリがいいっすよ」
「ええー、ひどいー! 体罰はんた〜いっ!!」 ほっぺたぷくー。

「ははは……あ、そだ、前から訊きたかったんすけど、てる係ってなんでできたんですか?」
「ん? ああ、あれはなぁ……」 誠子の問いに、ちょっと言いにくそうにして菫が答える。
「……調理実習室の天井、焦げてるトコあるだろ? あれな、照だ」 「え! そうなんだ!」

「初代校長の胸像、前に首がもげたことあるんだが……」 修繕の跡が首に一筋ついており、少
し小首を傾げた様になっている。見ようによっては、ちょっとお茶目な感じと言えなくもない。
「ま、まさかそれも」 「……照だ」 深いため息をつく菫。

「いや、わざとじゃないんだ。照は悪くないんだ、うん。ただちょっと、不幸な偶然というか、
ドジッ娘というか、危なっかしいっていうか、放っとけないっていうか……うう、察してくれ」
両手で顔を覆って、呻くように菫が言った。一体何があったというのか。
「あー…、なるほど」 「……お疲れさまです。ホントに」

「いいか、これはトップシークレットだ」 真剣な表情で、菫が言い聞かせる。
「えー、照先輩は、ちょっとドジっ娘なとこがカワイイのにー」
淡はちょっと不満そうだ。校内では、割と有名なことなのだ。まあ隠しようもないし。

「ダメだ。もしマスコミに知れてみろ、1万人の頂点が1万人の笑点になりかねん」
「ぶー、もっと人気出ると思うのに〜」 ぷくぅー、とほっぺが膨らむ。
「ダ・メ・だ。照に憧れて入ってくるヤツだって多いんだぞ」
420ぴかぴかてるてるF:2011/05/01(日) 22:15:15.28 ID:NBGZ469A
「あ、私、麻雀Todayの写真見てファンになりましたー。ピースしてるやつー!」
「……それ、照に言うなよ。あのときは、大変だったんだ」 「え〜? なんでですかー?」
「あれ、照は嫌がったんだよ。それを部長が『新入部員獲得のためだ、愛想良く!』 とか何
とか、なだめすかして言いくるめてな。……そのあと一週間、そこの隅っこに涙目で体育座り
して、私以外の誰とも口を利こうとしなかった。照のマスコミ嫌いの発端だな」
「(め、めんどくさっ)そりゃ必要っすね。てる係……」 「……だろ?」

「……でも、係、嫌になったりしないんですか?」 「ん? 何で?」 菫が小首を傾げる。
「ふふ、尭深、愚問だよ、それ」 「……みたいね」
「? なんだよ?」 キョトン。「何でもないっすよ。ごちそうさまですw」 ニヤニヤ。

「あ、もうこんな時間。へへー、照先輩、今頃京都にいたりしてー」 淡が笑いながら言った。
「……ありうる。洒落にならない」 不安そうに尭深が菫の方を見る。
「いや、心配ない。今朝ちゃんと駅で見送った」

「お疲れ様でした。さすがてる係っすね」 くすくす。誠子は楽しそうだ。
「……でも、京都はないにしても……」 やっぱり心配そうな尭深。やさしいのだ。
「手は打った。清澄の竹井に連絡しておいた。フォローしてくれってな」 「妹じゃなくて?」
「あー…、咲はなぁ……、なんというか、照の妹なんだそうだ」 「へ? 当たり前でしょ?」
「いやそうじゃなくてな、なんというか、方向感覚的にそれはもう姉妹だなあって感じらしい」
「あー…、なるほど」 「へー、咲ちゃんそうなんだー」 「……姉妹そろって……(萌え)」

「でも、大丈夫かなぁ。竹井って、確か清澄の部長っすよね」
「そうだが? 何だ、何か気になることでもあるのか?」
「いや、全国大会のとき会場で、長野から観戦に来たって子と、ちょっと話したんすけどね」
「ん? なんでまた?」
「ロビーの柱の影で、長野の応援団の連中と一緒にいる清澄の方を見ながら、何かブツブツ言
ってたんで、ちょっと気になって声かけたんすよ。そしたら『私が見えるんすか!?』 なん
て言って、変わった子だったなぁ」 「何だそれ……で、その子がどうかしたのか?」
「いや、その子が言うにはですね、竹井って地元じゃ有名な女ったらしなんだそうで」
「な……何?」 「へー」 「……やはり」 尭深は何かを感づいていたらしい。

「一言会話したが最後、確実にフラグが立つとか何とか、訳の分からないこと言ってたっけ」
「……」 「ま、気にしすぎかな。照先輩には関係ないっすよねー……って菫先輩?」
やにわに菫が席を立った。ツカツカとドアへと向かう。「菫先輩、どこ行くんすか?」

「……ちょっと長野に行ってくる」 「はぁ、行ってら……って、えええっ!?」
誠子が慌てて菫の腕を取り、引き止めた。「ちょっ、待った待った、先輩ってば!」
「離せ、誠子! 行くったら行くんだ! 照は私が守る!!」
「あー、いいないいなー、私もお供しま〜す! 咲ちゃんにも会いたいしー」
「こらっ、淡! ああもう、大丈夫っすよホラ、照先輩、妹一筋じゃないですか」
「……それも気に食わん。この際、私の照だということをはっきり証明してくれる!」
「あーもう何言ってんですかもうっ! ほら尭深、あんたも止めてよ!」
「……今から向かえば、夜には着けますね。宿の手配をしないと……」 おもむろに携帯を
取り出し、操作し始めた。「ああああんたまでっ!?」

途端に部室が騒がしくなった。「……うにょわ〜」 出窓にひょいっと飛び乗って、やれやれ
とでも言いたげに、くぁあっとあくびをするカテリーナなのだった。

一方その頃、某県某所の、とある喫茶店――、

「ふぇっ、くしゅっ」 「なんじゃ、風邪か?」
「あ゛ー、違うと思うけど。誰か噂でもしてるのかしらねー、美少女は辛いわー」
「いってんさい。……お、そろそろ電車が来る時間じゃね」

もうすぐ 嵐がやって来る。

****************************
以上 読了感謝  ですわっ
421ぴかぴかてるてる蛇足:2011/05/01(日) 22:20:08.65 ID:NBGZ469A
はい、お疲れさまでした ありがとうございました
やー、なんとかなった ひやひやしました

菫さんはきっと、乙女ちっくで漢前 だといいな
いや、照お姉ちゃんと菫さんが大好きなんですよホントですよ
つまり、あほの子なのは愛情表現なのです あほのこやいといとし

あほの子など認めぬっ! そんなときには、ひらりとスルー さあトレアドール、身構えろ

アニメでは強そうで怖そうな虎姫隊だけど、実は仲良しだといいなーという妄想が止まりまへん
もっと原作で見たいですねー ちらっとでも出ないかな  ではまた
422名無しさん@秘密の花園:2011/05/04(水) 18:42:10.90 ID:mlPnEZQX
>>421
亀だがGJ

しかし照はヤンデレかドジっ子かの二極化が定着しちまったねw
たまには普通に格好可愛いイケメンてるてるが見たいわ
423名無しさん@秘密の花園:2011/05/05(木) 20:59:52.94 ID:Fhmj3+iT
424名無しさん@秘密の花園:2011/05/06(金) 22:45:07.44 ID:GbkG83bF
照はイケメンキャラだって信じてる
425名無しさん@秘密の花園:2011/05/07(土) 11:11:00.72 ID:+Zk2fzKe
426名無しさん@秘密の花園:2011/05/08(日) 09:43:51.42 ID:HnWOQSBO
>>424
うむ
実妹どころか部長すらもたらし込むと信じてる
427名無しさん@秘密の花園:2011/05/18(水) 00:36:09.43 ID:VPgLPVwU
hosyu
428名無しさん@秘密の花園:2011/05/18(水) 23:33:31.42 ID:NW8MwuwY
SSネタは五個くらいあるんだが一レス分書いて放置しまくりんぐ
429 忍法帖【Lv=20,xxxPT】 :2011/05/19(木) 07:06:21.22 ID:dnRohc6r
あるある
430名無しさん@秘密の花園:2011/05/19(木) 13:04:43.19 ID:t7xOfKU+
ざーっとプロット書いてみて
あ、これ百合でもレズでもないわ
って気づいて放置する毎日
431名無しさん@秘密の花園:2011/05/19(木) 16:56:49.04 ID:5S5B2nXj
SSは書き始めてもガッツが足らなくなっちゃう
432名無しさん@秘密の花園:2011/05/20(金) 17:08:52.03 ID:ABDoGynS
433 忍法帖【Lv=10,xxxPT】 :2011/05/20(金) 20:28:23.65 ID:A5tiB9nT
ひどいなこれw
434名無しさん@秘密の花園:2011/05/21(土) 01:52:04.33 ID:LWblGInE
>>432
何だったんこれ?
435名無しさん@秘密の花園:2011/05/21(土) 08:57:17.35 ID:HErUqHXu
知らないまんが
436それゆけモンプチ団 序:2011/05/22(日) 16:58:17.50 ID:PA3W2zQG
どーん! やー、来たじぇー!
>>422 さん レス感謝しまう うれしや

えーと、ごぬんなさい 大丈夫、てるてるはきっとイケメンさ!
いやその、対決場面はカッコめんてるてるのつもりだったんですけど
くっ、厨2過ぎたか……

しかし100%イケメンてるてる……いいな 書いてみようかな でも
カッコかわいいイケメンだけどちょっとドジっ娘で、みんな目が離せなくてなんやかやとお世話
したくて、でも本人にはあんまり自覚がなくて、とか考え出したらもう! ああああなんかもうハァハァ
とかって、お姉ちゃんのお話しのときはいつも暴走気味になってしまうのです ばかです

考えてみたらどんな子なのか、まだよくわかんないんですよね カッコイイのは間違いないとしても
原作でがっつり出て来るまでは自重しようかな 我慢できるかなー  ムリポダナ

というわけで、SS投下でございます
軽めおきらく 3〜4レスれす どぞ
437それゆけモンプチ団@:2011/05/22(日) 17:01:13.31 ID:PA3W2zQG
出 演:龍門渕高校麻雀部の皆さん、ほか
百合分:心の目でみるのだ エロ:ないよう ばか度:闇を蹴散らす、ばか
全国大会の幕間、基本に立ち返って龍門渕家ご一行様です それでは

↓スタート
*********************************************
「 モンプチ家の人々 」 〜全国大会観戦編〜


「とーかはさ、やっぱりプロになりたいの?」 はじめがリンゴの皮をむきながら訊いた。
ここは全国大会会場、貸し切り特設観戦ルームである。中堅戦開始前の休み時間だ。

「そうですわね。プロとして目立つのも悪くはありませんわね」
「プロってお前、家の仕事はどうすんだよ」 純が訊いた。透華は次期龍門渕家当主の座が確定
している。イコール龍門渕グループ総帥ということである。決して安穏とした立場ではない。
幼い頃からたたき込まれてきた帝王学は、その重責を担わんが為のものだ。

「とーぜん、両立させますわよ。大龍門渕総帥にして真のアイドルプロ雀士!
ふふんっ、悪くありませんわ」
「素敵だね。うん、とーかならきっと両立できるよ」 はじめが嬉しそうに言った。
「そのときは、僕にもお手伝いさせて欲しいな……」 ちょっと赤くなりながらつぶやく。
「もちのロンですわ。はじめ、頼りにしてますわよ」 ぱあっとはじめが笑顔になった。

「んな上手くいくかー? 真のおっちょこちょい雀士なら確実だけどなー」 ニヤニヤ
「んなんですってぇ!」 透華がう〜っとむくれて身を乗り出した。
「いーじゃんかよ、おっちょこちょいお笑い雀士。きっと人気出るぜー」
へらへら笑って純がからかう。まあこんなやりとりは、いつものことなのだ。

「じゅんっ!」 「まあまあ、ほらリンゴむけたよとーか」
はじめがなだめるのも、いつもの流れだ。

「じゅんくんはどうなのさ? やっぱりなりたい?」
「プロにか? う〜ん、正直言ってどうしてもってほどじゃねえなあ」
「あら、もったいない。純ならきっと立派なプロになれますのに」

「な、何だよ、気持ち悪りぃな。ほめても何にも出ねーぞ」
「何ですの、ひねくれてますわねえ。わたくしの正直な気持ちですわよ。
純ならきっと、立派なプロとしてやっていけますわ」
「とーか、お前……俺のことそんなに」 ちょっと感激している純。割と単純。

「ええ、こうして目を閉じると、はっきりと浮かびますわ。純の勇姿が……。
そう、女子プロ麻雀界唯一にして最強の男、いのうえじゅん! きっと大人気ですわよ」
「おいこらちょっとまてこのアホ毛」 案の定のオチであった。

「もちろん真のアイドルはこのわたくし、龍門渕透華以外にあり得ませんけど。
じゅんはわたくしや原村和とはジャンルが違いますものね。大目に見て差し上げますわ」
「ジャンルってなんだこら! つか無視すんなこら! こっちむけこら!」 ピキピキ
「ふふんのつーんっですわ! さっきのお返しでしてよ! おほほのほーーっ!」 ぷいっ

「くぁー! 俺よりぺったんこなくせにこのやろっ! くらえ!」 むぎゅっ
「ちょっ、うぶぶっもががーーーっ!!」 「こいつめどーだっ、成長著しい俺様の胸はー!」
「あ、またそれっ! もー、ずるいよじゅんくん!」

「ぷはっ! ゼェゼェ、ええい、毎度毎度〜、じゅんのくせに柔らかいとかぷにぷにとかっ!
納得できませんわっ、なんなんですのっ!」 「またくせにっつったなこの!」
「ほんの1年程前はわたくしとさほど変わらなかったでしょうにっ、どーゆーことですの!」
「へへーん、ここんとこまたサイズアップしたからなー。思い知ったか!」
438それゆけモンプチ団A:2011/05/22(日) 17:04:10.31 ID:PA3W2zQG
「む、無駄な脂肪を増量とかっ! ちょっと運動不足じゃありませんこと? そのうちお腹でも
出てくるんじゃなくってっ?」

「失敬な! 出てるかどーか見せてやらぁ!」 バッとシャツを捲り上げる。ほんのりうっすら
と腹筋が見えるほどに引き締まった、流麗なラインを描くお腹がらあらわになった。
「どーだ見やがれ腹筋だー!」 「きゃわー! ち、痴漢、変態ですわーっ!!」

「ち”漢”ってなんだ、漢って!」 「もー、はしたないよ、じゅんくん」
「え……いや、国広くんにだけは言われたくないっつーか……」 「? なんでさ?」

「お取り込み中のところ、失礼いたします」 唐突に、黒衣の執事が現れた。
「ハギヨシ! じゅんのおっぱ…む、無駄な脂肪、すっきりバッサリ取っておしまいなさい!」
「むちゃくちゃゆーな!」

あほな会話にも微笑を崩さず、ハギヨシが言った。
「お嬢様、衣様が少々、むずがっておられます」 「ころもが? 今度は何ですの?」
「あれ? ともきーと売店にお菓子買いに行ったんだよね? なんでむずがるの?」
「この近辺の店舗のお茶菓子が、お気に召さないようで。歩のクッキーをご所望でございます」

一方その頃、会場の近所のお菓子屋さん――、

「……これなんか、おいしそう。シュークリーム、好きでしょ?」 「……やだ」
「……じゃこっちの、”夏季限定・すこやんアイス最中”とか。ほら、かわいい……」

「やだ。ころもはあゆむのクッキーが食べたい」
「……わがまま言わないで……ね? ……ころもはおねえさんでしょう?」
「ぅぐっ! むぅう〜、お、おねえさんだけど、あゆむのクッキーがいいのーっ」
涙目でともきの手を引っ張るころも。

「……はぁ、もう」(……かわいいなぁ、ずるい)

取って返して大会会場観戦ルーム――、

「……もしもしあゆむ? 透華ですわ。…ええ、緊急事態です。いいこと、今からすぐに例の、
なんと言いましたかしらあなたの特製の……そうそれ、”ころもさま満月クッキー”、それを
お作りなさい。……ええ、そう、ころもが食べたがっているの。そちらにヘリを回します。
出来上がったら、それを持ってあなたもこちらにいらっしゃい。よろしいですわね?」
通話を終えて、優雅な手つきで携帯を執事に渡す。
「ハギヨシ、聞いての通りです。至急手配なさい」
「はっ」 恭しく一礼して一言答えると、シュッとその姿が掻き消えた。

「とーかはころもに甘すぎるよなー」
「何をおっしゃいますの? ころもが泣いてるんですのよ!」
「いや、泣いてるかどうかは……」

すぽーんと飛んで、龍門渕家――、

厨房の一角で粉まみれになりながら、あゆむが忙しく動き回っている。
「ううう嬉しいっ……! ころもさま、ころもさまっ! あゆむは、あゆむはがんばります!
ええ、がんばりますとも! 龍門メイドの名に賭けて、最高のクッキーをお作りしますぅっ!」

ゴゴゴと燃えるあゆむを、他のメイドたちが遠巻きに、おそるおそる見つめていた。
「ねえ、杉乃さん何で泣きながらクッキー作ってるのかしら……?」 「……さぁ?」

「ころもさまに喜んでもらったら、すっごく嬉しいし、それにきっと、そしたらきっと……」
439それゆけモンプチ団B:2011/05/22(日) 17:07:33.60 ID:PA3W2zQG
杉乃あゆむの脳内劇場、開幕ー。

「わーい、あゆむのクッキーだー! おいしーい!」
「うふふっ、ころもさま、たくさんありますから、慌てないで大丈夫ですよ」

「あゆむ……」 キラキラきら〜ん。
「はっ、透華お嬢様! あああまぶしいお美しい良い匂いご機嫌麗しゅうございます!」

「ご苦労様でした、あゆむ。さっ、こちらにいらっしゃい。抱きしめてさしあげますわ」
うふふっ、シャラランキラキラキラ〜。 「ああ、とーかお嬢さまあ〜…」 ふらふら〜。

「おっと、そうはいかないぜ、透華。ふっ、あゆむを抱きしめるのは、俺の役目さ」
前髪ふぁっさー、キラリラキラり〜ん。 「じゅんさん! ああ、どうしましょう」

……すっとこ脳内劇場、閉幕ー。

「ああそんな、お嬢さまじゅんさんいけません、私のためにお二人が争うだなんて……うふ、
うふふ、うふふふふふふふフフふふふ、いやんもぉーーーーー!」

「こ、今度は笑いだしたわよ……あ、踊りだした!」
「さ、さすがにお嬢様付きなだけはあるわね。只者じゃないわ。わけわからん」

ひょいっとリターン to The 観戦ルームー、

「ちっとは我慢させなきゃだめだっつーの。わがままな大人になったらどーすんだっ」
「ころもは充分我慢強い子ですわっ。少しくらい言うこときいてあげたって」
「少しどころの騒ぎじゃねーだろ!?」 あーだこーだけんけんがくがく。

「……はぁ、ただいま……って、何事?」
「あ、ともきー、ころも、お帰り。見ての通りだよ。子育て論争」
「ただいまー。とーか、とーか! さっきハギヨシが、あゆむがクッキー持ってくるって!」
「ええ、よかったですわね、ころも。観戦しながら待っていましょうね」 「うん!」

「はあ、まったく。……お、お疲れともき……って、どした? 暗いぞ」 「……」
「? どしたのさ、ともきー。何かあった?」 「……さっき、お店で…」
涙目で俯きながら、ぽそっとともきが呟いた。

「……お店の、おばちゃんが、ころもに、『若くて綺麗なママでいいわねー』 って……」
「ええ? お、お姉ちゃんじゃなくて?」 「あー…、そりゃまた」 「……う」

「と、ともきー元気出して! ほら、ともきー大人っぽいからさ!」 「……うう」
「だ、大丈夫だよ、ほら! 若くて綺麗って言ったんだしさ、ね?」 「……うううう」

「なんですの、ともき。それしきのことで」 「……だって」
「落ち込む必要はありません。ええ、じゅんだったら、きっとパパでしたわっ!」

「ちょっとまてこらこのおっちょこアホ毛ー!!」 きゃんきゃんむぎゅっきゃーどしんばたん
「あーもう、また始まったー」 「あははは、じゅん、ころももー! ころももぎゅーって!」

そのとき、部屋のモニターから実況アナウンサーの声が…。
『中堅戦、決着ーーーーー!! 名門姫松……』

「あ……中堅戦、終わっちゃった」 「あ゛」 「ありゃ……ま、いんじゃね?」 ひど。

**************************
以上 読了感謝 なのよー
440それゆけモンプチ団 蛇足:2011/05/22(日) 17:09:47.72 ID:PA3W2zQG
はい、おやっとさーですよー ありがとうございました

いやー、いかがだったで……、え? あ、お気づきですか
フフフその通り、自重はしても反省はしないのです しないしてないするもんか!
みーんなあほの子にしてやるぁあーー! うおらーふはははははははハハっがはげほっごほ

ハァハァ で、ではまた
441名無しさん@秘密の花園:2011/05/23(月) 22:01:03.02 ID:FVu7N6/n
>>440
GJ
要約すると純がパパでともきーがママで夫婦でイチャイチャするんですね分かります

あと照は原作で出番が少なくキャラ像が固まってない今だからこそ書ける属性もあると思うんだ
つまりは好きにやっちまいなと言いたいw
442名無しさん@秘密の花園:2011/05/26(木) 00:33:59.82 ID:HjTCu+CV
age
443名無しさん@秘密の花園:2011/06/02(木) 03:35:39.82 ID:zo3y0iBI
実写ドラマ化クルー!?
444名無しさん@秘密の花園:2011/06/04(土) 03:20:26.03 ID:viLuis3X
>>443
同じこと考えたが誰得だろ
OVAと再ゲーム化で頼む
445名無しさん@秘密の花園:2011/06/16(木) 04:15:13.92 ID:uaA6uMQR
446名無しさん@秘密の花園:2011/06/17(金) 21:58:32.99 ID:UDW4/J1P
えっとどうなるんだこれ……
447名無しさん@秘密の花園:2011/06/18(土) 04:55:47.71 ID:jXIhceHt
単行本出たら息を吹き返すと信じよう
448名無しさん@秘密の花園:2011/06/19(日) 10:31:35.93 ID:udU0RdqH
色々あってこのスレを離れていたがお姉ちゃん大好きな愛宕妹に萌えて戻ってきた俺
絹江ちゃん可愛いよで埋め尽くされてると期待してたのに・・・
あとSSまとめさいとも死んでるのかな?
449虎の巡回 序:2011/06/19(日) 20:52:19.49 ID:1I6Pb89e
うむむ、なんじゃろねー諸々停滞しとる感じ

あ、どもー、来ました
>>441 さん レスに感謝します …フフフ、いいんですね? 好きにやっちゃってふふフフフ

絹ちゃんはええ子やしハッちゃんは捨て身で(笑)がんばっとるし来週以降は燃料補給が
どんとあるからきっと大丈夫 だといいな

そんなわけで、SS投下でございます 6〜7レスれす どぞ
450虎の巡回 @:2011/06/19(日) 20:56:44.08 ID:1I6Pb89e
出 演:照、菫、龍門渕・姫松・宮守・永水・風越(上京組) 各校の皆さん
百合分:根底に流れる百合萌え魂 エロ:いつもすんません ばか:駆け抜ける、ばか
お姉ちゃんが、もし他校の面々と遭遇していたら、です
※厨2てるてる注意 黒ポエムあります   それでは
↓スタート
*********************
「 迷 宮 」


「あー腹減ったー。とっととホテル戻って、飯食いに行こーぜ」
ぐっと伸びをしながら、じゅんがそう言った。
ここは全国大会会場2F、観戦会場から1階大ホールへと続く通路である。
この日は1回戦のみ行われた。シード校は翌日からの登場となる。

「じゅんくん、もうお腹減ったの?」 はじめが苦笑している。
「あー、昼飯のボリュームが足りなかった。あれで大盛りはないよなー」
「……レディースランチの大盛りなんて、頼むのじゅんくらい……」
ともきが呟く。少し笑いを堪えているようだ。

”乙女のためのカロリー控えめ”がまるっきり台無しな量だったが、じゅんはそれを、清々しい
ほどあっさり、ぺろりと平らげた。最初注文を受けたとき、目を丸くしていたウェイトレスの
お姉さんに大いに受けて、デザートを一品サービスしてもらったくらいだ。

「まったく、あれだけの量で足りないとか。一体どこに入ってるのかしら?」
透華が少しあきれたように、笑いながら言った。

「うるへー、今度は特盛りでいくぜっ」
「そんなのメニューにないよ、じゅんくん。今日は特別サービスじゃない?」
「ぇえ? そうなのか? ……って、あれ、おい、ころもは?」

一緒にいたはずの衣が見あたらない。慌てて周囲を見渡すと、「あ、あんなところに」
通路の突き当たり、1階大ホールをぐるりと回り込むように配置された回廊に交錯する位置に、
衣が立っていた。吹き抜け構造となっているため、ホール全体が見渡せる場所だ。
「ころも、どしたの? 行くよ?」 はじめが駆け寄り、声をかけた。

「虎め……この上更に、威力を充溢とはな……」
衣は不敵な笑みを浮かべているが、同時にその顔は少し青ざめている。
はじめが衣の視線の先を追う。「あ、宮永、照……」

ホールの端を、宮永照が一人で歩いていた。照に気づいた通行人が、慌てて道をあけている。
「観戦、してたのかな?」 「この威圧感……相変わらずですわね」
傍に来た透華の頬を、一筋の汗が伝った。ただ歩いているだけなのに、その周りの空気までが、
強い重力を帯びているように感じられる。思い込みかもしれない。だが、そう感じさせるほど、
昨年の照は強かった。強過ぎた。

「……清澄、勝てる?」 ともきが衣に訊いた。
「わからぬ。ただ、少々見込みが甘かったようだ。虎の力、昨年の比ではない」
厳しい表情で、衣が言った。「あれでは、まるで……」 少し震えている。

「どんな強敵だって、やってみなきゃわかんねーさ。ま、その前に決勝に進まねーとな」
そう言いつつ、純が衣の頭をくしゃっとなでた。
「……うむ。その通りだ」 少し緊張が解れたように、衣が軽くため息をついた。

* * *

「おっしゃ! この調子で日本一、さくっと獲ったるでー!」 愛宕洋榎が吼える。
1回戦を危なげなく突破した姫松の面々は、宿舎に戻るべく通路を意気揚々と闊歩していた。
「本番は明日からです。ここまでは予測と大きなブレはありませんが、油断は禁物ですよ」
「わかっとるて! 末原ちゃんは心配性やなー」 洋榎が振り向いて、ニヤッと笑った。
451虎の巡回 A:2011/06/19(日) 21:01:49.20 ID:1I6Pb89e
「見とれ〜やったるでー! 白糸台永水臨海なんぼのモンじゃい! 姫松魂、見せたらぁー!」
「おおー! なのよー!」 「おねーちゃん! カッコイー!」 由子と絹恵がはやし立てる。
「うう……なんや緊張してきました」 漫が弱音を吐いた。

「こーら、元気出しっ! 漫ちゃんはうちの切り込み隊長やろ!」
洋榎がバシッと漫の背中を叩いた。「あたっ、とと……、あ、わっ」
2、3歩たたらを踏んで前に押し出された漫が、そのとき丁度曲がり角から出てきた人影の
胸のあたりに、ぽふっと顔を押しつける形でぶつかった。
「あわわ、すみませ……っ、わわ! わ、みっみみみみみ」 (み、宮永照!)
照は無言で立っている。姫松勢に緊張が走る。

(うわー宮永照や本物やー! 近っ! べ、べっぴんさんやなー…なんやええ匂いするし…)
照の顔をじっと見たまま、漫が固まった。(な、なんやろ、この人の瞳……きれい、やけど)
無表情のまま、照は漫の目を見つめ返す。緋色の瞳に、漫の姿が映し出されている。

漫は、何故か恐怖を覚えて、軽く身を震わせた。透明度の高い深い深い湖の底……、いや、遙か
彼方何億光年も先の深淵、漆黒の闇でありながら巨大なエネルギーをはらんだ暗黒星雲を覗き込
んだような、吸い込まれるような、恐怖。 だが、魅入られたように目が離せない。

「……平気?」 囁くように、照が呟いた。「? え? あっ、はひっ! すすすんません!」
「……ん」 漫の耳元に、すっと照が手を伸ばした。「あ、……ひゃっ」 漫の首が縮こまる。
少し乱れていた漫の髪を、照が指で軽くすいた。(あ、指、冷た……気持ちええ)
それ以上なにも言わずに、ふらりと照が歩き出した。
照がその場を離れてからたっぷり1分程も、姫松の面々は固まっていた。

「び、び、ビビッてへんぞー!」 洋榎が吼えた。それを合図に、はっと皆の硬直が解けた。
「ひ、洋榎ちゃん、膝カクカクゆーてるのよー」 冷や汗をかきつつ、由子が言った。
「おねーちゃん、カッコわる……でもカワイイ」 洋榎の背中を、絹恵がそっと支えた。

「はぁ〜、び、びっくりしたぁ〜。なんやすごい迫力やったですね」 漫が恭子に声をかける。
「……ポーっとしおってからに」 「へ? あの、先輩?」
「ふん。そないに宮永照が気に入ったんなら、白糸台の子ぉになったらええねん」
ぷいっとそっぽを向く恭子。

「ぇええっ! そ、そんなんちゃいますよ!」 「……どーだかなー」 ムスッ
「えとあの、そう! 末原先輩のがずっとかっこええです!」 「おせじはええねん」 ぷいっ
「そんなぁ、せんぱぁ〜い」 「ふんっ」 スタスタと先を行く恭子を、漫が追って行った。

「あはは、犬も食わないのよー」 「ですね」 クスクス 「びびってへんのやー!」
(しっかし、まさに虎なのよー。決勝行ったら、漫ちゃん、アレと闘うんか……)

* * *

「! ……何か、来る」 最初に気づいたのは、小瀬川白望だった。
通路に設置された自販機の脇のベンチソファーに、宮守のメンバーたちが座っている。
「? 来るって何が?」 白望の膝の上から、鹿倉胡桃が訊いた。充電中なのだ。
「……」 白望は15メートル程離れた通路の先、T字路の突き当たりをじっと凝視している。

「……おー、こりゃこわいねー」 姉帯豊音が台詞とは裏腹の暢気な声で言った。
白望の見つめる先、右側から人影が現れた。少し俯き加減で、ゆっくりと歩いている。
「みやながてるっ!」 身を乗り出し膝からずり落ちそうになった胡桃を、白望が抱え直した。
「な、なんでこんなとこ、一人で」 臼沢塞が慌てて単眼鏡を掛ける。

ふと照が足を止め、チラリとこちら側に目を向けた。瞬間、ギシッとまるで周りの空気ごと固め
られたかのように、宮守の面々が硬直する。
「……」 一瞥をくれた後、通路の向こう側、左方向に照が進み、姿が見えなくなった。

「…うっはぁ〜、さすがの威圧感、こわ」 硬直が解けて、塞が大きくため息をついた。
「の、飲まれてるんじゃないよっ! ただ歩いてただけでねかっ!!」 胡桃ぷんすか。
452虎の巡回 B:2011/06/19(日) 21:06:52.28 ID:1I6Pb89e
「……はぁ」 ため息をつく白望。
(あれで多分、抑えてるんだよなぁ……宮永は先鋒、闘うのは私……きっついなぁ)

「シロ」 トントンと肩を叩かれそっちを向くと、エイスリンがスケッチブックを掲げている。
紙面に二人の女の子が描かれていた。一人は赤い髪で、しゃがんでべそをかいている。白い髪の
もう一人は、どやっとふんぞり返っている。即興で描いたわりには、よく描けていると思う。
「……ん、ま、がんばってみるよ。ダルいけど」 エイスリンがにっこりと笑った。

「やー、遠目に見てもやっぱりめんこいしカッコイイねー、宮永さん」 豊音が暢気に呟いた。
「あんたはもうそんなんばっかり! もっと他に言うことないのっ?」 ぷんすかぷん。

「ほか? んー、わかったことならあるよ。あの宮永さんだって、完璧ってワケじゃないよね」
「えっ、まさか弱点とか!? トヨネ! 何か気づいたのっ!?」

「うん、あれで原村さんとか神代さんくらい胸あったら、パーフェクトなのにねー」
「……バ ッ カ で な い の っ !!」
「……私は、あのくらいが好みだけどなぁ……」 「しろっ!」 ぷんすかぷんぷん。

* * *

「ね、ハッちゃん、あれ」 狩宿巴が薄墨初美の肩を叩く。
「はい? ……おー、虎さんですよー」 ホールの向こう側を宮永照が歩いていた。
ここは1階大ホールである。本日の対局全てが終了して小一時間程も過ぎている。混雑という
程ではないが、まだ宿舎に戻る選手たちや関係者、取材陣などの姿もちらほらと残っており、
ホールはそれなりにざわめいている。

「私たちと同じく観戦かなー、でも一人で?」 「はてさてですねー」
(虎のお姫様、今年の永水は万全ですよー。今度こそ、虎退治と参ります。……よーし)
ニヤリと初美が口の端をつり上げ、懐から人型をした小さな紙片を取り出した。
「ちょ、ちょっとハッちゃん、何を」 「ほんのちょっと、ご挨拶ですよー」
紙片を口の先に掲げ、小さく素早く何事かを呟き、フッと息を吹きかけた。

スーッと真っ直ぐ一直線に、紙片が照に向かって飛んでいった。ホールの正面玄関は一部解放さ
れていて、少し夕刻の風が吹き込んでいたが、全くその影響を受けていないかのようである。
(魔王め、黄泉平坂、覗き見るがいいですよー) 指を二本口先に突き立て、小声で何事かを
囁きながら、初美は照の方を凝視していた。

まさに紙片が到達するかという瞬間、「……っう!!」 突然、照がこちらを振り向いた。
ビシッと縛られたように、動けなくなった。照が緋色の瞳を大きく見開き、こちらを見ている。
「あっ、ぐ……う」 隣の巴も、動けないようだ。(くっ! ……しまっ……た)

照がこちらに向かって歩いてくる。その眼前には紙片が浮いたままだ。一種異様な事態が展開し
ていたが、周囲にそれと気づいた者はいないようだ。ホールは平穏なざわめきに包まれている。

「……」 無言の照が、初美の前に立った。照がその目を細めると同時に、紙片がポッと小さく
燃え上がり、灰も残さず跡形もなく消えた。(お、お、のれ、) 覆い被さるような圧力に対抗
して、初美がぶるぶると震えた。

そのとき、白い和服の両袖が、初美を背後からふわりと包み込んだ。「! ひ、めさま……」
神代小蒔であった。その左に滝見春、右側には巴を抱えるようにして、石戸霞が立っていた。

「身内の者が、大変ご無礼いたしました。陳謝いたします。よく言って聞かせます故、どうか
この場は、お収めくださいませんでしょうか」 初美を抱えたまま、小蒔が頭を下げた。

「……」 照と小蒔が対峙してから数瞬の間をおいて、突然初美の金縛りが解けた。いきなりで
腰が抜けそうになったが、小蒔がしっかりと初美を支えた。同様に霞が巴を抱えている。
「くっ、はぁ……う」 小さく喘いで小蒔の胸にもたれる初美に、照がスッと顔を寄せた。
冷たく燃え盛る緋色の瞳が、間近に迫る。(き、キレイ、ですねー)こんな状況なのに、そんな
言葉が浮かんでくる。心を鷲掴みされたように、初美は目が離せない。
453虎の巡回 C:2011/06/19(日) 21:11:48.67 ID:1I6Pb89e
「悪石の巫女よ、ひとつ、教えてやろう」 静かに囁く。その表情から、感情は読みとれない。
「……地獄というのは、この世のことだ」 そう言うと、ふぃっと離れ、歩き去っていった。

照の姿が見えなくなってから、一つため息をついて、小蒔が初美に優しく語りかけた。
「ふぅー…。ハッちゃん、大丈夫ですか?」 「ひ、姫様、すみません……」
「もうおいたはダメですよ?」 にっこりと笑う。

「う……はい。ゆ、油断しました」
(うう、姫様にかっこわるいとこ、見られましたー。虎め〜、この借り、必ず返しますよー!)
「……」 春がよしよしと初美の頭をなでた。ポリポリ

「小蒔ちゃ…、いえ、姫様、念のため護法陣、敷きますか?」
霞が訊いた。その腕の中の巴は、青い顔でぐったりしている。
「いいえ、その必要はありません。あの方は、猛虎でも暴君でも、魔王でもありません」

(しかし、なんという凄まじい威力。 これは怒り? 悲しみ? 憂い? いや……)
照の去った方角を、小蒔がじっと見つめる。(あの方を救うなど……私にできるのでしょうか)
軽く頭を振って、きゅっと唇をかみしめた。弱気の虫を振り払う。

昨年、決めたのだ。泣きじゃくる緋色の瞳の少女の姿を、一瞬、垣間見たときに。
照から放たれる圧倒的なパワーの奔流の向こう側に、その子は独りで立っていた。
だが声を届けることも、近づくこともできなかった。でもそのとき、あの子を救うと、
きっとそうすると誓ったのだ。あの子は今も、独りぼっちで泣いている。

(待っていてね、必ず、必ずそこに行くからね……この身命を、賭してでも……)

* * *

悪石の巫女、か。相変わらずやんちゃな奴だ。そう言えば、月詠の巫女や龍の眷族の気配
もあったな。奴らは確か、信州長野……。つまり咲、お前はあれらに勝ったのだよね?
麻雀を嫌いなまま、月詠の巫女を倒したの? ふふっ、それは一体どれほどの憎悪なのだろう。
どれほど私を、憎んで恨んでいるのだろう。

両親の破局が決定的となったとき、咲は激しく取り乱した。
余りに幼い咲の心に、大人の事情を分かれなどと、むごいことであったと思う。
まして、もとより優しくて情の厚い子だ。まさに青天の霹靂だったことだろう。

  どうして どうしておねえちゃんやおかあさんと はなればなれにならなきゃいけないの
 咲、仕方ないの お父さんとお母さんは、もう

  さきがいけないの? みんなさきがきらいになったの? おねえちゃんもなの?
 違うよ咲、私がお前を嫌いになんて

  ごめんなさいごめんなさい おねがいおねがい いいこにするから いいこになるから


父と母は、私たちに何の相談もなしに、別居することを決めていた。会話は極端に減ってはいた
が、特に修羅場があったというわけでもなく、突然、家族の終わりを告げられた。具体的に何が
あったのかなんて、知るはずもないし知りたくもなかった。どうでもいい。何があったにせよ、
家族の形を維持できないと、放棄したのが彼ら自身であることに変わりはない。
結局、あの人たちは親である前に、只の男と女だったということなのだろう。
いや、雄と雌、と言った方がしっくりくるのか? フフ。それだけのこと。よくある話。

基本的には分別のある善良な人たちであると思う。愛を語り合うことだって、当然あった筈だ。
だが人は、状況が不幸な形でかみ合えば、どんなものであれ容易にエゴの鬼と化す。簡単だ。
それをあさましいと感じたのは、真にそうであるからなのか、私もまた幼かったからなのか。

一度壊れてしまったならば、完全に元の形に戻ることなどあり得ないのだと、世の理を理解した
のはそのときだ。しかしこれもまた、青臭い皮肉な思考と言えるのだろうか。
454虎の巡回 D:2011/06/19(日) 21:16:50.08 ID:1I6Pb89e
 咲、離れてたって私たちはずっといっしょだよ 咲と私は 永遠に姉妹なんだもの
  いや いやだよ いっしょにいて おねえちゃん さきがすきなら きらいでないなら

 そうだ 咲、麻雀しよっか ねえ約束しよう ふたりで麻雀を続けていれば、きっとまた 
  いや いやだ きらいきらいみんなキライ まーじゃんなんて だいきらい

 咲、さき  ねえきいて おねえちゃんは

  きらいきらいぜんぶキライ おねえちゃんなんて  だ い っ キ ラ イ


「っ……」 胸のあたりをギュッと握りしめ、通路の壁にもたれ掛かる。
なんと情けない。すべて捨て去ると決めた筈だろう。
覇王となって、麻雀そのものも、何もかも、すべてを終わらせると決めたではないか。

「あの、大丈夫ですか?」 優しく声をかけられた。
色素の薄い、何故か片目を瞑った少女が立っていた。
「(か、華菜ちゃん、この人、宮永照だよ)」 「(うにゃ、ホンとだっ、ほ、本物だし)」
少女と一緒にいる二人が、小声で会話をしている。

「気分が悪いのでしたら、医務室にお連れしますけれど」
「平気。なんでもない……ありがとう」 その場を立ち去ろうと、壁に手をつく。
「あ、あの、西東京の宮永照さん、ですよね? 私、長野の福路美穂子と申します」
長野? 清澄か? いや、制服が違う。個人戦の選手か、それとも応援か。

「あの私、清澄の宮永咲さん、妹さんとは……」 美穂子が一歩前に出て、何かを言いかけた。

「 黙 れ 」 ゴッと強い圧力が、風越の3人を打った。
「う! ……くっ」 「(はぅっ、う、動けない……し)」 「(か、華菜ちゃ……)」

照がゆらりと壁から身を起こした。
一瞬厳しい表情で美穂子をにらんだが、すぐさま元の無表情に戻った。

「……関係ないんだ。私に、妹は、……いない」
美穂子の右目が開いていた。瑠璃色の瞳に、照が映っている。赤と青の視線が交錯する。

「……あ、う」 伝えなければ。妹さんの、彼女の想いを。何故か強く、そう感じた。
美穂子は懸命に言葉を繋げようとしたが、声が出ない。そうしているうちに、ほんの一瞬、
悲しそうに顔を歪めて、照は踵を返した。

「……っぷはぁ〜、何だったんだ、今の……。キャ、キャプテン、大丈夫ですか?」
心配そうに、華菜が美穂子の腕を取った。 「え? え、ええ大丈夫よ」

またやってしまったのかしら……。自分には、どうにも気の利かないところがある。空気が読め
ない、ということなのか。うざいと言われたりするのも、その辺りが理由なのかもしれない。
合宿の露天風呂で、西田さんから聞いた話をそのまま伝えて、少なからず宮永咲さんを傷つけて
しまったりもした。以来、あの姉妹のことはずっと気にかかっている。

(私に何か、できることは……) 胸に手を当て、瑠璃の瞳をゆっくりと閉じた。

* * *

「照っ!」 名を呼ばれると同時に、背後から腕を捕まれた。
「すまない、す、少し手間取った」 軽く息を弾ませながら、弘世菫が立っていた。
走ってきたのか。何故お前が謝るんだ。何だろう、不思議な奴だ。

上京してから母と二人暮らしだったが、高校進学と同時に寮に入った。菫とは、その頃からの
つき合いだ。母とは年に1回三者面談のときくらいしか会わない。父とは上京以来、連絡を取
っていない。二人の今の暮らしぶりも知らない。思えば今は、菫と一緒にいる時間が一番長い。
455虎の巡回 E:2011/06/19(日) 21:21:52.35 ID:1I6Pb89e
私に対しては、大抵の者は引いた様子で距離を置く。それはそうだ。私はどこか壊れている。
それでも寄ってくる者の大半は、インハイチャンプ宮永照に用がある。利するところを望んで。
当たり前だ。是非もない。だが菫は、どこかそうした人々とは違う。例えば今のように、私が
不安定なときほど決まって、いつの間にか私の傍に立っている。いつも。

とはいえ、傍に立っているだけだ。あまり過度に干渉しようとはしてこない。
しかし離れようとはしない。離そうとしない。決して。

「迷ったらあまり動かないでいてくれると、助かるんだがな」
小首を傾げて、菫が笑った。ダメだ。優しくするな。
「なんで、お前は」 「ん? 何だ?」

菫、お前は私がなそうとしていることを知ったら、なんと言うだろう。
怒るだろうか。それとも鼻で笑うだろうか。そうして離れていくのだろうか。
いずれにしろ私は、この優しい友人の美しい顔をも、悲しみに歪ませることになるのだろうか。

「……菫、あまり私に構うな。私は多分、」 きっとお前を ウラギルコトニ ナルノダカラ。

「? ……ふむ」 菫がぐっと顔を寄せて、照の瞳を真正面から覗き込んだ。
「どうにも落ち着かん、という感じだな。ふらふらするから迷うんだぞ?」
「……きっと、菫だって……」 「?? ……」
少し困ったような顔をしてから、ふんっと不敵に笑って、菫が言った。

「おい、あんまり私を見くびるなよ。何処にいようと、私は絶対にお前を見つけだす」
静かに笑って、照の腕を掴んだ手に、ぐっと力を込めた。

「いいか、絶対だ。だから安心しろ」 菫の手から、何か暖かいものが流れ込んでくる。

「……ばか」 「? ……何で?」
めちゃくちゃ頭が良くて切れ者のくせに、時々こうして、菫はズレていることがある。

「失敬な奴だな、何で私がバカなんだ?」 「……知らないよ、ばか」

今はまだ、この優しいくびきに身を委ねるのもいいだろう。
いよいよ闘いが始まれば、余計なことに思い煩わされることも無くなるだろう。

 そうして私は、愛するものを、壊してしまう
 捨て去って尚、とわにひとつであるために
 そうして私は、そのまま真っ直ぐ 血塗ラレタ覇道ヲ進ムノダ

  有象無象の餓狼たちよ 愛すべき あさましい我執の鬼たちよ
  お前たちは 終わりの始まりのときに 立ち会うのダ

  赦しを乞う必要はない  それは全く 無駄なコトだ
  抗う機会は与えよう だがソレも全く 無駄ナコトダ

  オマエタチニ 出来ルことは 二つだけ

  タダ 恐怖ニ震エ そして  歓喜セヨ


……押し黙った照を見つめて、菫は思う。ここ最近、強く感じることがある。
こんなことを言ったら叱られそうだが、多分自分は、麻雀の勝ち負けなど割とどうでも
よくなっている。ただ、守る。……一体何から? よくわからない。はっきりしない。

でも、誓う。 強く。 コイツを、照を、守るのだ。

*************************
以上 読了感謝 ですよー
456虎の巡回 蛇足:2011/06/19(日) 21:26:46.86 ID:1I6Pb89e
はい、お疲れさまでした ありがとうございました 早速やらかしました好き勝手♪

いやその、最初はイケメンてるてるのジゴロストーリーにしようと思ってたんですけど
なんでお姉ちゃん怒ってるのかなーとか考え出したら、あれよあれよと話があさっての方向に
…んで結局ヤンデレてるてる… SSって、面白いよネッ
あ、痛い 石は、石はヤメテ投げないで で、でもほら、ある意味モテモテてるてるで、あ痛っ

でもホント何怒ってるんですかねー
大事にとっておいたプリンを咲ちゃんに食べられちゃったから、という説が現在最有力だとか

やばい なんか暗い おまけに厨2全開 でも楽しい黒ポエム……やべえフヒヒ

でも暗くったって大丈夫、このお話の行き着く先は、>>210>>280 なのです
ヒャッハー! 良い子は幸せになるんだぁー! みーんな幸せにしてやらーーーっ!

ではまたー
457名無しさん@秘密の花園:2011/06/19(日) 22:07:29.89 ID:75MBrpAO
>>456
乙です
上手い感想が書けませんがいつも楽しみに読んでますよー
458名無しさん@秘密の花園:2011/06/23(木) 21:12:04.89 ID:6zDU+nr0
>>456
亀だがGJ!
照格好可愛いよ照
459名無しさん@秘密の花園:2011/06/23(木) 23:52:13.10 ID:XNE8DcVe
久しぶりに来たら素晴らしい大作が!
アニメの計画も進行中らしいね
460名無しさん@秘密の花園:2011/06/24(金) 09:56:50.31 ID:HECGQ3jl
これはマジでうれしい
オリ部分も、神社の前で結婚させたスタッフなら期待できる。。。はず。。。
461名無しさん@秘密の花園:2011/06/26(日) 00:07:04.26 ID:ldUqqaJ4
ついに第二期正式発表と新な物語が新連載と聞いて
462名無しさん@秘密の花園:2011/06/26(日) 09:26:08.56 ID:h5QcTaCk
二期とは発表されてない
463名無しさん@秘密の花園:2011/06/26(日) 13:03:13.98 ID:K91BqRfT
http://twitter.com/#!/igarashi_aguri/status/84604427859795968
>@igarashi_aguri 五十嵐あぐり(タヌキ)
>咲阿知賀編のために真っ先に用意した資料 http://twitpic.com/5gmojb

あらあら
464名無しさん@秘密の花園:2011/06/26(日) 15:20:01.95 ID:oss1MMHL
>>456
GJ!


8巻読み終わったけど、咲は本当にシスコンだな
衣の呼び方がちゃん付けからさん付けになっているのは、咲は咲衣のつもりだったのに合宿で実は衣咲だったことを思い知ったからなのか
465名無しさん@秘密の花園:2011/06/26(日) 23:06:07.13 ID:0arl/wwq
アニメだと照→咲っぽいけど原作は咲→照って感じはする
そもそも照の描写がないから、あれだけど
466名無しさん@秘密の花園:2011/06/29(水) 06:41:44.60 ID:DQ/r5cwA
単行本派なんだけど…
池田ってモテモテだよなぁ
本命に報われないタイプか
467名無しさん@秘密の花園:2011/06/29(水) 16:42:06.94 ID:krn8a1cT
みはるん以外にモテてたっけ?
468名無しさん@秘密の花園:2011/06/29(水) 16:53:08.06 ID:tJR5/86Z
かわいがってねーし!!!!
469名無しさん@秘密の花園:2011/07/01(金) 00:49:35.92 ID:GqGE2fgW
コミックに「なまえを呼んで」のシーンってあったっけ?
あのシーンコミックで読んだ記憶がないのに、8巻でのどっちが咲さんって呼んでて違和感があったんだが。
470名無しさん@秘密の花園:2011/07/01(金) 01:15:48.45 ID:mDqedXpG
無いよ
471名無しさん@秘密の花園:2011/07/01(金) 22:22:38.58 ID:HkOxKVQy
回想か何かで補完するでしょ
472名無しさん@秘密の花園:2011/07/01(金) 22:31:24.63 ID:ZKodsnb/
とりあえず「咲さん」はスルーして優希や穏乃や憧みたいに
「咲」って呼び捨てにするイベントがあったら俺得
473名無しさん@秘密の花園:2011/07/03(日) 11:49:40.89 ID:YhRxi/VQ
>>468
コーチ自重w
474名無しさん@秘密の花園:2011/07/04(月) 20:21:05.17 ID:ZZqWZdRC
65局の見開きで咲と衣が抱き合ってる奥でタコスに絡み付かれる池田
同じく65局の朝キャプテンに膝枕してもらう池田
タコス衣とカフェっぽい所に行く池田
66局で衣とイヤホンを半分こする池田
イヤホンを衣と分け合いつつみはるんに肩を貸す 池田

池田よかったな
475名無しさん@秘密の花園:2011/07/04(月) 20:59:27.68 ID:9AjtEvxt
なんて呼んでんだろうな
476名無しさん@秘密の花園:2011/07/04(月) 23:53:30.28 ID:603hE8IX
優希衣が欲しいよ
477名無しさん@秘密の花園:2011/07/07(木) 06:28:59.44 ID:kIT5k9gD
478名無しさん@秘密の花園:2011/07/07(木) 07:41:32.77 ID:xvUAUGxK
>>474
なんのかんのいって皆に好かれてるな、池田w
479名無しさん@秘密の花園:2011/07/07(木) 08:10:35.34 ID:dC1vQ6K6
膝枕の池田を見守るみはるん何を思う
480名無しさん@秘密の花園:2011/07/07(木) 12:00:01.58 ID:rk9iscM4
県決勝前夜みたいに「いいなー」とか言って喜んでるよ
481名無しさん@秘密の花園:2011/07/08(金) 00:41:13.03 ID:MzboV1Ri
>>479
みはるん「池キャプおいしいです」

なんて百合萌えぶってるけど……ほんとは私……。
華菜ちゃんはキャプテンのこと好きだよね。大好きだよね。
敵わないよ、本当に。
好きでいると苦しいから池キャプ萌えなんて言ってごまかしてるんだよ。
キャプテンが卒業したらちょっとは変わるかな、なんてずるいこと考えてた。
だけど……四校合同合宿で華菜ちゃんのよさに沢山の人が気づいちゃったと思うんだよね。
……私、こんなに華菜ちゃんのこと好きなのにな。
482名無しさん@秘密の花園:2011/07/08(金) 01:41:16.45 ID:TIGzc65+
>>481
う、切ない……。
かおみはを忘れてみはかな派になっちゃいそうだからやめてくれw
483名無しさん@秘密の花園:2011/07/08(金) 01:52:36.59 ID:eEkBy8bR
華菜ちゃんはちゃんとみはるんのこと好きだし!
484名無しさん@秘密の花園:2011/07/08(金) 02:34:41.82 ID:A3sZt2P0
アレってキャプテンを羨ましがってるんだと思ってた
485名無しさん@秘密の花園:2011/07/08(金) 06:08:30.85 ID:IIhoNZxV
ただ池田はコーチにツンデレされてるときや
キャプテンに可愛がられてるとき、池田の一途さが垣間見えるとき
がもっとも池田っぽくて輝いている気がする
486名無しさん@秘密の花園:2011/07/08(金) 20:29:14.52 ID:XfylG8fO
>>484
んじゃ文堂がキャプに抱きつかれた時に赤くなってたのはなんなんだ
487名無しさん@秘密の花園:2011/07/08(金) 21:05:36.59 ID:1Viarzz9
うらやましぃし〜クネクネ
488名無しさん@秘密の花園:2011/07/10(日) 19:35:18.63 ID:H5aWZwnW
615 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2011/07/08(金) 06:15:51.99 ID:zRvZF8Lf
ところでまとめサイトが酷い設定な上に更新が管理人しかできないからどうしようもなく糞な件
616 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2011/07/08(金) 20:34:47.26 ID:Hd1doQrw
>>615
百合スレまとめサイトの方に引っ越すか
新着レス 2011/07/10(日) 19:32
617 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2011/07/10(日) 07:49:53.37 ID:aCEk5Nf8
いいね
あっちを乗っ取ろうぜ
618 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2011/07/10(日) 08:41:07.70 ID:IF2eXFYE
>>617
乗っ取るっていうのは
こちらで多くのSSを投稿してもらうってこと?
619 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2011/07/10(日) 14:00:56.87 ID:aCEk5Nf8
こちらのSSを百合スレまとめサイトに登録するってことだ
つかってないみたいだし有効利用しても問題ないだろ?

散々百合消えろ死ねとか言ってて結局やる事は乗っ取りぐらいなのなw
489名無しさん@秘密の花園:2011/07/10(日) 23:08:39.56 ID:1/k7Jewr
ウィキを新たに立ち上げる事すら出来ないのか
490名無しさん@秘密の花園:2011/07/10(日) 23:38:07.64 ID:Ag4ZgKYd
百合作品にいつまでもしがみつく俺嫁豚の末路としては残念でもないし当然
491名無しさん@秘密の花園:2011/07/11(月) 08:36:29.47 ID:MCQhA+Av
んな嫁豚の話題出さなくていいよ喜ぶから
492名無しさん@秘密の花園:2011/07/12(火) 15:04:59.07 ID:bLSF5ryP
全国大会の組み合わせで地元の高校を知らなかった。
探してみたら山奥のド田舎だった。
つまり、仲間の絆と百合か?
493名無しさん@秘密の花園:2011/07/12(火) 20:06:54.32 ID:2IBE0WsV
百合スレ的にも阿知賀編と咲の大将戦は期待?
494 忍法帖【Lv=1,xxxP】 :2011/07/13(水) 18:51:35.70 ID:iVpq0FAi
阿知賀楽しみ
495てるてるランチ序:2011/07/17(日) 18:46:15.67 ID:iL9Q9s5N
お暑つーございますー! 来たじぇー!
>>457 さん、何という嬉しいお言葉 いつもありがとうございます
>>458 さん、感謝です よかった もっと格好可愛いく書きたいです
>>459 さんも、でいいのかな? 嬉しいです 舞い上がっちゃいそうで自重自重
>>464 さん、感謝です 咲ちゃんは透華さまに遠慮したのかも でもシスコンなのは強く同意
皆さんありがとう いつも亀レスになってしまってごめんなさい

塞ちゃんかっこえー モノクルってどんな見え方なんですかねー 
涙目ハッちゃんが可愛すぎてもう ああ頭なでたい
しかしもし胡桃ちゃんが副将だったらどうなっていたことやら
「そこっ、いろいろ見えてる! ちゃんと着る!」 副将戦の面子の平常心はさすがです 見習いたい

観戦する側も大変ですよ大騒ぎです、多分
「だ、大胆だし」 「……(胸のない人が全国にも……よーし!)」 みはるんに希望が

ワハハあたりはスゴく面白がってます、多分
「久ちんの見せ牌に対抗して見せパイかー。ワハハー」
「蒲原、貴様のそういったセクハラ紛いの冗句についてだが」 ゆみちんのお説教は長そうです

で、モンプチ家は相変わらずです、多分
「わっ見えぬ! とーか、何で目隠しするんだっ」 「こ、子供の見るものじゃありませんっ」
「ころもは子供じゃなくておねーさんだぞー! 見るー!!」

「……」 ヌギッ 「ちょちょっ、国広くん! なに布、じゃなくて服! 脱ぎだしてんだよ!」
「……止めないで、じゅんくん! 負けるわけにはいかないんだっ!」 ヌギヌギッ!
「張り合わなくていいから! 負けてねーから! つかもう限界だから逮捕されるからーっ!」
「……脱布麻雀……?」

なにやら観戦ルームが騒がしいようですが、SS投下でございます
前置き長っ いそげいそげええとひーふーみー…、 5〜6レスれすっ どぞ
496てるてるランチ@:2011/07/17(日) 18:51:09.75 ID:iL9Q9s5N
出 演:虎姫隊、白糸台高校・宮永照ファンクラブ連盟エキストラの皆さん、清澄年少組
百合分:あほゆりー エロ:むりぽー ばか:さくれつー
おねえちゃんが好きだ! 大好きだー! なお話。 それでは、
↓スタート
***********************************
「 雲の色、向日葵の色 」


「あ! ねぇねぇほらっ、あっち!」 「ん? なによ……って、ああっ、て、照さまっ!」
ここは白糸台高校学生食堂である。夏休みももう残り少ない後半に入ったある日の正午、純白
の制服に身を包む少女たちが、にわかに色めきたった。

――「 文武両道・質実剛健なる大和撫子を育成する 」――
という何だかよくわからない校訓を掲げ、部活動全般の盛んなここ白糸台女子高等学校は、日々
自己研鑽に励む生徒たちのために、長期休暇中も平日は学食・図書館といった施設を普通に運営
している。丁度昼時ということもあって、かなり広い学食なのだが、学期中程ではないけれども
部活動のために登校していた生徒達でこの日もそれなりに混雑していた。

「わー、ラッキー! いつもはお城でお食事されてるのに」 「だよね。どしたのかな」
お城とは麻雀部の部室棟、通称「虎姫城」 のことである。その一軍専用スペースは高級ホテル
並の設備が整っており、大抵のことは用が足りるようになっていると部外の生徒にも噂だった。

「こないだの全国大会も、かっこ良かったよねー」 「うん、すてきだったぁ……ハフー」
「へへー、あたし放送全部録画した! 照さま中心に編集中!」
「え! いいないいな! ねえ、照さまと弘世先輩のツーショット画像、頂戴っ!」
「ふっふっふ、さぁて、食券か宿題代行で承りましょうかね〜」 「くっ、おのれ越後屋ぁ」
「私、照さまのどアップきぼー!」 「あの、永水女子の薄墨初美選手、お願い」
「私はほら、あの子、妹さん! 咲ちゃんだっけ? 感動の姉妹包容のところ!」
「ああ、咲ちゃんかわいいよねー。ちっこい照さまみたいな感じで」
「だよねー、あー実物見たーい! こっちに遊びに来ないかなー」
かしましいったらない。ちょっとヤバげな子もいるみたいだが、気にしてはいけない。

照ファンの輪は、主に下級生の間で急速に拡大中なのだ。複数のファンクラブまであるらしい。
中でも、「照様見守り隊」(主に文化会系)と、「てるテルFC」(主に体育会系)という二大
派閥が、覇を競っているとかいないとか。しかし当の本人、照はそういったことには全く無関心
で、そうした秘密結社(?)が複数あること自体に、気づいてもいないようだった。

ちなみに麻雀部員の場合、麻雀部そのものが照の親衛隊みたいな感じなので、そうした活動とは
無縁かと思いきや、実はこっそりと参加している者もいたりする。結構な盛り上がり様だが、
まあ特に行き過ぎた行動があるわけでもないので、今のところ、菫は黙認している格好だ。

「……」 食品サンプルのディスプレイの並んだケースをじっと眺めて、照が佇んでいる。

「な、何を注文なさるのかしら」 ゴクリ  「……暑いし、冷やし中華?」
「いや、オムライスじゃない? 大会中はよく召し上がられていたと聞いたわ」
「えー、なにそれカワイイっ!」 もうなんでもカワイイのである。

その場にいた全員が、遠巻きに照を見つめていた。だが照の傍に寄っていく者はいない。気後れ
するということもあるが、各FC間での取り決めの中に、直接的アプローチ、いわゆる抜け駆け
禁止の条項があるのだ。鉄の掟なのだ。

券売機で食券を買って、照が厨房のカウンター前に立った。
「あらー、照ちゃんじゃないの。珍しいねー。今日はこっちなのかい?」
学食のおばちゃんが、明るく笑いかけた。

「……うん。おばちゃんのごはん、食べたくなった」
「おや、嬉しいこと言ってくれるねー、おばちゃんはりきっちゃうよ! で、何にする?」
「……」 照がそっと食券をカウンターの上に置いた。
「! そ、それは……照ちゃん、本気かい?」 「? うん……、カレー、うどん」
497てるてるランチA:2011/07/17(日) 18:56:08.60 ID:iL9Q9s5N
ざわっと、食堂がどよめいた。
「カ、カレーうどんっ!?」 「て、照さま……そんな」 ざわ……ざわ……

カレーうどん、一杯200円(大盛り50円増)――、
特製ガラムマサラ&本格鰹だし、安くておいしいカレーうどんは、人気の定番メニューである。
ところが、まったく売れなくなる特定の時期があった。そう、夏服への衣替えの日から、ぱたり
と注文されなくなるのだ。

白糸台の純白の夏服は、近隣女子小中学生の憧れの的である。スカートの長さはある程度自由だ
が、着崩したりする生徒はほとんどいない。その代わりと言っては何だが、生徒たちは皆、その
白さにこだわる。一点の曇りもなく輝く純白の制服であることに、誇りと歓びを感じるのだ。
そんな彼女たちにとってカレーうどんは、ある意味天敵とも言える存在だった。それは何故か。

 汁 が 飛 ぶ の だ

どんなに注意しても、如何に静かに食べようとも、必ず黄色い飛沫が純白の制服のどこかに付着
していた。香辛料の香りに抗えず注文してしまった生徒は、例外なく泣きを見る羽目になった。
そうした状況をよしとせず、あえて注文するという猛者もいたが、未だ制服を全く汚さずに完食
してのけた者は、いない。

いつしかこの時期のカレーうどんは、誰言うともなく、こう呼ばれるようになっていた。
西方からの刺客、黄色の、魔王――……。

「本当にいいんだね?」 「? うん、おいしそう……カレーうどん」


「ああ、なんてこと!」 「て、照さま! そんな無茶な!」
「ねえ、ヤバくない? 照さまってドジっ……ぅむぐぐっ」
「「こらっ!」」 周りの者が、口を塞ぐ。ドジっ娘は禁句なのだ。これも鉄の掟なのだ。

「写真班を呼んできて! 今すぐっ!」 「はいっ!」
「新聞部が動き出したわ、我が放送部も負けてられない! 動画で記録よっ!」
途端に食堂が騒がしくなった。

「?」 ちらりと照が振り返ったが、すぐに前に向き直り、カウンターの向こうを見据えた。
自分のせいで騒動が起きつつあることに、全く気づいていない。ずば抜けた集中力というか、
この年頃には珍しく自意識が希薄というか、まあこういう子なんです。

「私、見てられない!」 生徒が一人立ち上がり、カウンター脇の券売機の方へ行こうとした。
確か、美術部のホープと噂の子である。くりくりとした瞳が愛くるしい。
「ちょっと待って、何をする気なの?」 三つ編みおさげの小柄な子が引き留める。
この子は確か、文芸部期待の新人だ。ちっこくてカワイイ。

「オムライスを注文して、照さまのカレーうどんと交換してもらう!」
「あ、あなた、自分が犠牲になるつもり!?」
「……」 大きな瞳を輝かせ、真剣な表情でコクリと頷いた。

「お待ち! ふんっ、『見守り隊』 が聞いてあきれるね」
スラリとした二枚目風の生徒が、美術部の子の前に立ちはだかった。バレー部の新エースだ。
「まったくだ。余計なことは、やめときな」
もう一人、凛々しい顔立ちの生徒が立ち上がる。こちらは剣道部の次期主将だ。

「あ、あなたたち、『てるテルFC』 の……、どいて! 私は本気よ! あなたたちみたいな
お遊びじゃないの! 照さまを……本気でお慕いしているの!」

「この、おばかっ!」 ぺちんっ 「あうっ!」
バレー子が美術子の頬を打った。美術子が、よよと床に倒れ込む。
「な、何するのよ! この野蛮人!」 「ひどいわっ、ばかー」 文芸子をはじめ、見守り隊の
仲間と思われる面々が、美術子を庇うように寄り添って、キッと睨み返す。
498てるてるランチB:2011/07/17(日) 19:01:14.22 ID:iL9Q9s5N
「ばかはどっち? あんたたちにはわからないの? 照さまのお心が!」
悲しそうに俯き、自らの右手を押さえながらバレー子が言った。「て、照さまの……こころ?」
「そうよ。あれほどの厳しい闘いを終えてから、まだ日も浅いというのに、今また黄色の魔王に
挑まれようとしている……この意味が、分からないのっ!?」

「私たちはこの夏、一応の結果を出した。どの部も皆がんばったと思う」 剣道子がバレー子の
後を引き継ぎ語りだした。この夏、白糸台は文系も体育系も各方面で大活躍だったのだ。
「でもそれに満足して、最近気が緩んでいやしないか? それじゃダメだ。そう、我らは常に
挑戦者でなければならないんだ。照さまはそれを、身をもって示されようとしているのさっ!」
はっ、と一同が息を飲んで黙った。いつものお昼のBGMが、食堂内に静かに流れていた。

「くっ……わ、私が、間違っていたわ……」 がっくりとうなだれる美術子。
「美術子……」 文芸子が、そっとその肩を抱いた。
(※あ、言い忘れてましたが、仮名でお送りしております)

「ありがと、わかってくれて。ごめん、痛かった?」 バレー子が美術子の手を取り、立ち上が
らせた。パタパタと埃を払ってあげる。清掃が行き届いているので、制服は汚れずに済んだ。
「ん、ちょっと。……私の方こそ、お遊びとか言って、ごめんなさい」
「バレー子でよかったよ。剣道子のチョップだったら、気絶してたかも」
「言ったな卓球子、よ〜し、お前で試してやろう」 「きゃー、暴力反対ー!」
食堂が生徒たちの明るい笑い声で包まれた。「さ、皆で照さまを応援しよう!」「おー!」

この一連の騒動を、少し離れた端っこの席から、ジト目で眺める二人組がいた。誠子と尭深だ。

「……なんだこれ」 誠子が気だるく呟いた。なんでしょう。
「……あつい、ね」 尭深が静かにお茶をすすった。遠い目をしている。

(※えー、念のためお伝えしておきます。白糸台は進学校です。偏差値高いです。いやその)

「しっ、みんな、始まるわ!」 いつの間にか少し離れたテーブルに、照が一人で座っていた。
先程の感動のへっぽこ青春劇場については、自分には関わりのないことと認識しているようだ。
我関せず、といった風情である。照の前には、トレーに乗った湯気の立つどんぶりが一杯。
ほのかに香辛料の芳香が漂ってくる。

一同が固唾をのんで見守る中、おもむろに照が動き出した。「て、照さま……」

パキッ  割り箸を割る音が響く。 「……」 緋色の瞳が、きらりと輝く。
(咲、おねえちゃん、今日はカレーうどんにしたよ。おいしそうだよ……)

一方その頃、清澄高校――、

「タ・コ・ス! どーーんっ!」 「またタコスですか。よく飽きませんね」
今日は登校日、ここは清澄高校の学食である。麻雀部の一年生トリオが、各々注文した品を乗せ
たトレーを持って、テーブルに着こうとしていた。

いつもは和がお弁当を多めに作ってきたりして、天気の良い日は中庭で食事をしたりする。
ちょっとしたピクニック気分も味わえて、皆大好きな時間なのだが、さすがに残暑の厳しい今の
時期は、そうするわけにもいかない。お弁当の鮮度も心配だ。

「ふふんっ、タコスの旨さは年中無休だじぇー!」 優希のハイテンションも年中無休だ。
「あはは、ゆーきちゃんは暑くても元気一杯だね」 咲がふわっと笑った。
「! ……」 何故か和の頬が朱に染まる。(な、なんて無垢な笑顔……ああもう)
大会が終わってから、あの激烈な闘いをくぐり抜けてから、咲はよく笑うようになった。

「おう! タコスパワーで夏バテ知らずだじぇー……っ、おろ? 咲ちゃん、それは」
「咲さんがカレーうどんって、珍しいですね」 いつもは大体定食かおにぎりなのだ。
「う、うん、えへへ、何かおいしそうだなーって……それに」 ちょっと口ごもる。
「それに?」 和が優しく促した。
「えっと、カレーうどんがいいよって、おねえちゃんの声が聞こえたような気がして……」
499てるてるランチC:2011/07/17(日) 19:06:16.64 ID:iL9Q9s5N
「そ、そうですか。照お義姉さんの……」 和の頬が、ぴくっとひきつった。
咲さんが嬉しそうなら、私も嬉しい。咲さんの笑顔を見ると、それだけで幸せな気分になれる。
……はずなのに。何でしょう。私は何をイラついているのでしょうか。

「咲ちゃんは照ねえちゃんがホントに好きなんだなー。私のタコスへの愛といい勝負だじぇ」
「ええっ? そ、……いや、うん……スキ、カモ」 真っ赤になって俯く。
「カ、カレーのシミは落ちにくいですから、気をつけてくださいねっ」 少しツンとした様子で
和が言った。「? う、うん。気をつけるよ」

あああ、違うでしょ私っ! 何でそんな言い方を! ああ、咲さんが少し困り顔です。違うんで
す咲さんそんなつもりじゃああもう、でも困り顔もカワイイです咲さんあああどうしましょう。
「……さ、さあ、いただきましょう。この後、部室に顔を出さなければなりませんし」
「う、うん、そうだね。いただきます」

そのとき、そっと和の耳に口を寄せて、優希が囁いた。
「私はのどちゃんの味方だじぇ?」 ニヤリ。「! な、何を言って……わ、私は、そんな、」
「なぁに? ないしょのおはなし?」 くすくす笑いながら、咲が訊いた。
「い、いえその、何でも」 「咲ちゃんと照ねえちゃんって、お似合いだじぇって話してたー」
「えええっ? そ、……あの、その……えと、アリ、ガト」

「あははは、咲ちゃん真っ赤っかー……ってイデデデデデっ」 和が優希の耳を引っ張った。
(言ったそばからー! ゆーーきーーーっ!!)

「あわわ、のどかちゃんなんで? どしたの?」 「もうっ、知りませんっ」 ぷいっポヨンッ
むくれた様子でそっぽを向いて、パスタをくりくりとフォークに巻き付ける。とても一口では
収まりきらないくらいに、パスタがどんどん巻き取られていくが、止まらない。
(? ど、どしたのかな? ……でも、怒っててもカワイイな、のどかちゃん……ふふっ)

えいやっ、と戻って白糸台高校――、

するすると、上品にうどんをすする音がする。「鳥子、どう?」 (※仮名です)
「一口目、クリア!」 バードウォッチング同好会の子がオペラグラスを覗きながら答えた。
「さ、さすが照さま、鮮やかな一口目だわ」
「油断は禁物よ、リズムに乗ってからが、一番危ないの」 「た、確かに……」
「……それでも、それでも照さまならっ」 「うんっ、きっと照さまならっ!」

(うん、おいしい) 少し微笑んで、照が箸を進める。

「三口目、クリア! 順調です」 「その調子! 照さま……って、あ!」
ふと照の箸が止まった。「ん……ふ」 ちょっと鼻の辺りをひくっとさせた。
「い、いかんっ、あの気配は、くしゃみ!」 香辛料のせいだろうか。

「ふっ……くしっ」 顔を横に逸らして、手で口元を隠し、照がくしゃみした。
割り箸がぴくんっと小さく跳ね上がる。

「!!」 食堂に戦慄が走る。「くしゃみカワイイ!」 「と、鳥子! 状況は!?」
「え、えと、胸元、クリア! 右袖、スカート、クリア! 左袖、……あっ」
「な、何? 左袖は? 鳥子っ、答えなさい!」
「ひ、左袖、……袖口上方およそ3センチ……、2ミリ角、ひ、被弾……っ」 ざわっ

「ああ! 照さまっ!」 「なんてこった!」
「くそっ! 衛生兵……じゃなくて家庭科部! 被服部でもいい! 染み抜きを!」

(何? 騒がしい) 照がちらっと皆の方を見たが、すぐ目線をどんぶりに戻した。
(おいしい。うん) 飛沫が袖口を汚したことに気づいていないようだ。

「待って、誰が行くの? 抜け駆け禁止の掟は?」 「言ってる場合じゃない。ここは私が」
「いや、私が行く!」 「いやいや、私が」 「いやいやいやいや」
どうぞどうぞ、とはならないのである。
500てるてるランチD:2011/07/17(日) 19:11:17.65 ID:iL9Q9s5N
きゃいきゃいもめている集団から、少しはずれた場所にいた子が、誠子と尭深に気がついた。
「あ、亦野さん、渋谷さん、大変よ、照さ……宮永先輩が」
「あー、心配ないない。もうそろそろ来る頃だから」 「? え、何が?」

と、そのとき、キィッと食堂のドアが鳴って、誰か入ってきた。
長身、黒髪ロング、背筋がぴしっと伸びている。颯爽と、弘世菫の登場である。

ぐるりと食堂内を見渡すと、照を見つけて歩み寄る。その途中で菫がちらっと目をやると、あれ
ほど騒いでいたあほの子たちが、ぴたっと静まり返った。「……?」(何だ?)

「弘世先輩が、ご降臨なされた……」 「……お任せしよう」 「菫さま……」

つかつかと照に近寄ると、「照、……ん? カレーうどんか」 一言そういって、ポケットから
大きめの白いハンカチを取り出し、照の後ろから手を回す。
「ん、モグモグ、何?」 「つゆが飛ぶだろう?」 ハンカチを前掛けのように首に巻いた。

「てて、照さまの! 前掛け姿!」 「あうっ、かわいい……」 「……ハァハァハァ」

「左袖、少しはねてるな。後で染み抜きしよう」 「ん? いいよ、このくらい」
「だめだ。お前はうちの顔なんだ。ピシッとしてないとな」
隣に座って頬杖を着き、ほほえみながら菫が照を見つめる。

「……おいしい?」 「……うん」
大会の後、照はきちんと食事を取るようになった。菫はそれがすごく嬉しい。以前は菫が注意し
ていないと、一食や二食平気で抜いていたものだった。

「なんて愛おしそうに……」 あほの子たちが、二人の様子に見とれている。

「照、口の横、ついてる。ああ違う、そっちじゃないよ」 「? 、……ん」

照が菫の方に軽く顎を突き出した。「……まったく」 苦笑しながら菫が手を伸ばし、照の口元
に着いていた小さなうどんの欠片を、ちょいっと摘んでぱくっと食べた。

「ほあぁあ〜〜〜〜〜!!」 「……ハァハァハァハァハァハァ」 「ちょ、文芸子、鼻血、はなぢっ!」
「ああありがたいありがたい」 「ええもん見た〜」 全員によによニヤニヤ。

「……あまい、ね」 遠い目をして、尭深が呟いた。
「……なんだかなぁ」 にやけつつも、げんなりな誠子。

妙なほんわかムードに食堂が包まれたそのとき、バンッとドアが勢いよく開いた。
「あーいたー! もーひどいー、おいてくなんてー!」 大星淡の登場である。かしましい。

「ふんとにもう! ……おろ? 照先輩、カレーうどんですかー。私もそれにしよーっと!」

この10分後、盛大につゆを跳ねた淡が泣き出すが、家庭科部の精鋭染み抜き部隊によって、
事なきを得る。同日の午後、ちょっと大きめの菫のジャージを着て、校内をうろつく照が目撃
されている。その姿は、前掛けスタイルと共に休み明けFC会報第一号のグラビアを飾った。

この日を境に、夏場でもカレーうどんはちらほらと注文されるようになった。

「夏に二人でカレーうどんを食べると、もっと仲良くなれる」
という新たな伝説が生まれたのだ。

”黄色の魔王”が一転して、”幸せのカレーうどん”と呼ばれるようになったとか。

……えー、誤解のないように重ねて申し上げますが、白糸台は進学校です。いやホントに。

*************************
以上 読了感謝  だしっ
501てるてるランチ蛇足:2011/07/17(日) 19:16:18.18 ID:iL9Q9s5N
自分を再発見いたしました 暑いとばかが加速します

はい、そんなわけでお疲れさまでした ありがとうございました

てるてるとすみれちんをいちゃいちゃさせたかった……ただ、ただそれだけなんだ
今は反省 していません ヒャッハー

いやもう、暑いですな なんですかもう 夏っちゃん少しは手加減してください
これじゃ出前で冷やし中華頼んでも、届く頃には煮込みうどんですよ
いつから日本は亜熱帯になったんだと……はっ、そうかつまり姉帯さんは岩手っ娘カワイイのだ!

とはいえこの暑さ そりゃハッちゃんだって豪快にはだけますよ
このままじゃ、のどちゃんの私服とかはじめちゃんの私布とか、ますますえらいことになっ……はっ、
ハッちゃんの私服は……やはり布か、布なのかっ!? 布がヒラリでゴッなのかーー!?

ああなんか愚痴っぽくなりました いかんいかん 福岡の須原先輩(※仮名)、一言お願いします
「カキ氷がおいしくって、すばら! すばらです!」 前向きだなー

続きまして沖縄の銘刈さん、一言お願いします
「あはは、だいじょーぶ、なんくるないさー」 そっかー

めかるんもきっとイイコに違いありません、うむ  ではまた
502名無しさん@秘密の花園:2011/07/18(月) 17:53:06.81 ID:DwTcUCma
>>501
GJ

宮永姉妹可愛すぎて吹いたw
503名無しさん@秘密の花園:2011/07/20(水) 02:42:11.38 ID:5i2ZCfW7
照咲派の身としては2人がもっと露骨にイチャイチャしてるとこが見たい
504名無しさん@秘密の花園:2011/07/20(水) 23:51:07.68 ID:Iqj3/NkK
照咲なんてそんなオカルトありえません
505名無しさん@秘密の花園:2011/07/21(木) 11:55:42.15 ID:FH/OY70C
原村さんオチツイテ
506名無しさん@秘密の花園:2011/07/21(木) 12:06:09.93 ID:AUG8E5qv
ハラムラサン!
507名無しさん@秘密の花園:2011/07/21(木) 14:32:16.33 ID:kciwUE+c
ハラムー
508名無しさん@秘密の花園:2011/07/21(木) 17:39:31.97 ID:pLqjzzFL
ラサンの実
509名無しさん@秘密の花園:2011/07/27(水) 13:11:08.27 ID:0J7g1cyA
エロパロの馬鹿どもがこんなこと言ってるぞ

616 :名無しさん@ピンキー [↓] :2011/07/08(金) 20:34:47.26 ID:Hd1doQrw
>>615
百合スレまとめサイトの方に引っ越すか


617+1 :名無しさん@ピンキー [↓] :2011/07/10(日) 07:49:53.37 ID:aCEk5Nf8 (1/2)
いいね
あっちを乗っ取ろうぜ


618 :名無しさん@ピンキー [↓] :2011/07/10(日) 08:41:07.70 ID:IF2eXFYE
>>617
乗っ取るっていうのは
こちらで多くのSSを投稿してもらうってこと?


619 :名無しさん@ピンキー [↓] :2011/07/10(日) 14:00:56.87 ID:aCEk5Nf8 (2/2)
こちらのSSを百合スレまとめサイトに登録するってことだ
つかってないみたいだし有効利用しても問題ないだろ?

wikiの登録作業やろうず
510名無しさん@秘密の花園:2011/07/27(水) 13:13:20.59 ID:Y1iCKdgs
昨日のモモ誕生日に合わせてつくろうとしたSSが間に合わなかった…
いや、本来はかじゅ誕生日…いやクリスマス合わせだったんだが
511名無しさん@秘密の花園:2011/07/27(水) 15:58:40.49 ID:ITLzAHfk
逆に考えるんだ
今年のクリスマス合せでいいじゃないと
512名無しさん@秘密の花園:2011/07/29(金) 15:39:42.62 ID:1f5SrKjM
>>510
SS待ってるっす!
513名無しさん@秘密の花園:2011/08/03(水) 19:36:17.45 ID:UEk1x71A
514名無しさん@秘密の花園:2011/08/03(水) 20:20:10.46 ID:w+vutuFV
突然すみません。
レズの女の子たちには、フライドチキンを食べながらこの動画を見てください。

http://theync.com/warning.php?redirect=
515名無しさん@秘密の花園:2011/08/06(土) 20:26:37.11 ID:GCrU3ONB
YG読んだがこれはもしかしてトシ×塞なのか
なんという年の差カップル
516名無しさん@秘密の花園:2011/08/06(土) 21:50:04.80 ID:oirSja57
トシ×塞は百合として見てもなぜか違和感が無いw
517名無しさん@秘密の花園:2011/08/06(土) 22:32:50.03 ID:y+wrAbGt
俺には胡桃ちゃんがシロとサエの二股かけてるようにしか…
518名無しさん@秘密の花園:2011/08/06(土) 23:27:19.98 ID:GCrU3ONB
ということは、次鋒戦の後で「私とトヨネがなんとかするからエイちゃん大丈夫!」と塞をスルーしたのは
塞と先生の仲を妬いてるわけですねこのワガママさんめ
519名無しさん@秘密の花園:2011/08/07(日) 00:59:56.34 ID:p/K/oVvY
大好きすぎて素直になれないだけかもしれん
あと胡桃ちゃんはシロとエイの仲をやや警戒していたら俺得
520名無しさん@秘密の花園:2011/08/08(月) 11:54:45.23 ID:RMhqHi4F
咲の嫁さんは衣で本格的に決まりそうだな
521名無しさん@秘密の花園:2011/08/08(月) 12:26:32.28 ID:wxoL7N8G
SOASOASOASOASOASOASOA!!!!!!!
522名無しさん@秘密の花園:2011/08/11(木) 03:48:00.00 ID:tOlGkrZ1
薄い本の季節だ
523名無しさん@秘密の花園:2011/08/11(木) 08:40:00.51 ID:9PND2K48
すっかり同人誌が少なくなった。アニメから3年だもんな
524名無しさん@秘密の花園:2011/08/12(金) 01:38:25.83 ID:q6W2SDrb
薄荷屋が珍しく部キャプ以外の本出すみたい
525名無しさん@秘密の花園:2011/08/12(金) 08:12:24.76 ID:XlSDNcvU
どうせ買えまい
526名無しさん@秘密の花園:2011/08/12(金) 09:38:12.97 ID:nKcRcAtH
>>524
珍しくって部キャプ以外出さない時のほうが珍しいだろ
527名無しさん@秘密の花園:2011/08/12(金) 09:49:56.71 ID:VWrMwsAQ
買えない事も無いと思うけど多分通販あるだろうからやめた
528チラリ大作戦序:2011/08/14(日) 12:50:44.35 ID:mT47OD65
いっまっをーぬけだっそーてっにっふれったー…ハ…ハンフンフンフ〜ン♪

  来た

あづいよ つらいよ イベントとか行った事ないけど、込み毛とか大変なんだろうな
でも楽しいんだろうな 咲の本はいっぱいありましたでしょうか

>>502 さん、ありがとうございます そうなんです、あの姉妹はホント可愛いのです
>>503 さん、拙作でよければいずれ、必ず
>>509 さん、登録作業の仕方がよくわかりまへんすんません 壊しそうでなんか…なさけなや

さておき
咲ちゃん衣ちゃん表紙! デートですかーいやはぁ〜仲良しさんめーうへへへによによ
背景からして地元っぽいですねー どこに行くのかなー

「いこっ、ころもちゃん! はやくはやく!」
「うんっ! あ、さき、走ると危ないんだぞ。お姉さんであるころもの言うことを聞くのだ」
「はいはい、ころもおねーちゃん、ふふっ」 「! ……えへへへ」

そしてきゃっきゃうふふへと続くのです ほっこりほっこり
駄菓子菓子! きっと心配のあまり、モンプチ団やら清澄ーズやら近くに潜んでます 油断大敵

さてさておき
塞ちゃんカッコイー! ハッちゃんカワイイ! のどっちホゥ! 絹ちゃんシスコーン!
もー、誰を応援していいかわからなくなってきました ああ続きが待ち遠しいです立たん

さてさてさておき SS投下でございます
全国大会直前の、ある日の姫松5人組み 4〜5レスれす  どぞ
529チラリ大作戦@:2011/08/14(日) 12:55:31.98 ID:mT47OD65
出 演:姫松高校麻雀部の良い子たち
百合分:ぼくのかんがえたゆり エロ:なくなくなくない? ばか:無限に広がるばか宇宙ー
お姉ちゃんはお姉ちゃんでも、今度は大阪やー! なお話。  それでは、
↓スタート
**************************************
「 姫松繁盛記 〜愛宕洋榎の陰謀〜 」


「……以上が今大会に向けての基本戦略となります。何か質問は?」
プロジェクタースクリーンの前に立った末原恭子が言った。ここは姫松高校視聴覚室である。
全国大会を間近に控え、最終的な方針の確認と意識のすり合わせのため、レギュラーメンバーが
集まっていた。決戦に臨むにあたり、いい感じに緊張感も高まってきた。皆真剣な表情だ。

「うー、いよいよ始まるのねー」
両の拳を握りしめ、ふるるっと武者震いをしつつ、真瀬由子が言った。
「がんばらな……がんばらな、あかん」
真剣な表情で上重漫が呟く。予選に引き続き先鋒を務める彼女の重圧はいかばかりか。

「うち、がんばるよ、おねーちゃん! ……? おねーちゃん? どしたん?」
愛宕絹恵が姉の洋榎をのぞき込む。洋榎は目を閉じて腕を組み、考え込むように俯いていた。
いつもならこんな場面になると、おらーっと気合いを入れる洋榎が黙り込んでいる。

「どうかしましたか、主将。何か気になることでも?」
「お、おねーちゃん、だいじょぶ? おなか痛いん?」 絹恵が心配そうに訊いた。
「いや、ちゃうねん……うん、ちょっとええかな。みんな、コレを見てほしいんや」
一冊の雑誌を取り出し、ぽんっと机の上に置いた。

「? ……『麻雀Today』 やないですか。コレが何か?」
先日発刊されたばかりの最新号である。表紙中央には、あの宮永照を中心に白糸台の虎姫たち、
そしてそれを取り囲むように永水女子の神代や臨海女子のネリー、真嘉比の銘苅など、有名校の
注目選手たちの写真がコラージュされていた。
『インハイ直前! 注目校徹底分析!』 と、大きく活字が踊っている。

「あー、私それ買いそびれてたのよー……ん? この子だれー? かわええねぇー」
由子が雑誌を手に取り、表紙の右下に大きく配置された二人の姿を指さして訊いた。
「広島鹿老渡の佐々野いちごと、長野清澄の原村和やね。原村は去年の全中チャンプや」
恭子がさらりと答えた。彼女は出場選手のほぼ全てを把握している。その戦績も。すご。

「ああ、この子が原村和なのねー。はー……おっきいのよー」
「……乳やったら、絹かて負けてへん」 「お、おねーちゃんっ?」 ちょっと赤くなる絹恵。

「しかるにやっ! この扱いの差ぁはどーゆーこっちゃねんと!」 バンッと机を叩いて、洋榎
が立ち上がる。「表紙はまぁ、百歩譲ってええとしよう。問題は、中身や!」

「な、中身……ですか?」 たじたじしながら漫が訊いた。
「そやっ、見てみい! 白糸台5ページ、永水3ページ、姫松は……っく」 悔しそうだ。

「え〜と、……あ、あったのよー、”古豪姫松、復活なるか” やてー」
ぽややんっとした声で、明るく笑いながら由子が言った。
「笑いごっちゃない、我が姫松はわずかに半ページの囲み記事やでっ! どないやねんっ!」

「どないもこないも、仕方ないのよー。白糸台はアレやし、永水かてシードやし」
「甘いっ、甘いで、ゆーこ! それじゃ臨海がわずか1ページ半の理由にならへん! おまけに
鹿老渡と、あと清澄とかいうのんが、2ページずつも載っとんねやで!」
どちらもチームの戦力分析というより、いちごと和、各々個人の分析特集という感じだ。
推定スリーサイズまで載っている。割と硬派な雑誌の筈なのに、悪のりとは珍しい。

「あー…、ま、佐々野と原村はあの容姿ですからね。そんなもんでしょ」
恭子が嘆息しつつ答えた。どうでもえーやんかって感じだ。
530チラリ大作戦A:2011/08/14(日) 13:00:44.74 ID:mT47OD65
「せやから! 容姿やったらうちの絹かて負けてへんやろ!」 姉バカである。
「脱いだらもっとすごいんやで!」 「おおおおねーちゃんっ!」 耳まで真っ赤になる絹恵。

「実力主義の主将らしくもない……。芸能人やないんですから、そんなん気にせんでも」
半ばあきれつつ、恭子が言った。
「いいーや、ここは気にするとこや。ええか、闘いには勢いっちゅーもんも大事やろ? つまり
観客らーを味方につけて、どーんといったらゴーっときてガーっちゅーこっちゃ! せやろ?」
何だかよくわからない。しかし身振り手振りで熱弁を振るい、情熱だけは伝わってくる。

「そですか。で、どないせーゆうんです?」 恭子は何かもう面倒くさくなってきたようだ。
「ふっふっふ、まずはコレを見てほしい」 ポケットからUSBメモリを取り出し、プロジェク
ターに接続されたノートPCに取り付いて、洋榎がなにやら操作し始めた。

スクリーンに映し出されたのは、永水女子の面々である。
「これはこの雑誌の画像、永水のページや。白糸台に次ぐページ数や。なんか見て気づくことは
ないか?」 洋榎が皆の顔をぐるりと見渡した。

「なんかて……巫女服似合うとるねーかわいいのよー。あ、あとおっぱいさんが多いのねー」
「さすがゆーこ、ええとこに気づいたな。けしからん乳に巫女服、狙っとんのかいって感じや。
しかし、それだけやない……永水の人気の秘密は、コレや!」 ぱっと画面が切り替わった。

「えっと、この子は……」
「薄墨初美、永水のポイントゲッターやね」 まじめな顔で恭子が解説する。
「強いで……エグいほどにな。見てくれにだまされたら、あかん」

「そう、こいつや! バインボインに囲まれたつるぺったん! おまけにこの巫女服!」
特別あしらえと思われるそのミニスカ巫女服は、永水の中でも異彩を放っている。

「き、きわどいのよー」 「うわー…」 由子と漫がため息をもらす。かなり有名な選手だし、
何度か目にはしている筈だが、こうして見ると、改めてそのぎりぎりっぷりに驚かされる。

「このギャップとインパクト、コレこそが奴らの狙いや!」
「別に何かねろーとるわけやないでしょーに。こーゆー生きもんなんでしょ」
恭子がやれやれと呟くが、洋榎の勢いは止まらない。

「うちらも負けてられへん! そこでコレやっ!」 バッと何かを取り出した。
「なんですか、これ? ……布?」 漫がその布切れを手に取って訊いた。
「ふっふっふ、被服部のダチに急遽作ってもろた。スペシャル姫松制服やーーっ!!」

「せ、制服!? この布切れが?」 小さい短い薄っぺらい。ヤバげである。
「ちょちょ、洋榎ちゃん、まさか全員これ着て闘えゆーん?」 由子が慌てて問いただす。
「……いや、それではあかん。大事なんは、インパクトや。コレを着るのんは……」

「わわわ、私はだめなのよー! 無理むりムリーー!!」
「わかっとる。ゆーこや私や末原ちゃんみたく、半端に貧相なんはダメやねん」
「……なんですと?」 ピクッと恭子の頬がひきつる。
「よ、よけーなお世話なのよー! もー!」 由子ぷんすか。珍しい。

「……ええよ」 絹恵がぽそっと呟いた。メガネキラリ。
「うち、おねーちゃんのためなら、平気やもん! ソレ、着るよ!」
力強く宣言した絹恵が、漫の手中の布を掴む。

「ちょっ、ちょーっ、絹恵さん、は、早まったらあかん!」 漫と引っ張り合いになった。
「離して、上重さん! うちは正気や! おねーちゃんのぉ、ためならーーー!」 ぐいぐい。

「待ちぃな。……気持ちは嬉しいがな、絹、ソレを着るんは、あんたやない」
「え……、なんて? うち、平気やよ? うち、おねーちゃんの、皆の役に立ちたいんや!」
「あかん、絹にこの服の組み合わせは、破壊力がありすぎる。……エロ過ぎや。逮捕される」
かなりアレな感じの会話だが、二人とも真剣なのだ。
531チラリ大作戦B:2011/08/14(日) 13:05:45.56 ID:mT47OD65
「……それに、大事な大事な妹に、こんな格好させられるかい」
「お、おねーちゃんっ……」 「……絹」 見つめ合う二人。
「おねーちゃーーーんっ!」 「きぬーーーっ!」 がしっと抱き合う二人。

「……なんですやろか、これ」 漫がジト目で呟いた。
「……知らんがな」 恭子が深くため息をついた。

「えっと、私ら3年がダメなのねー。で、絹ちゃんもNGっちゅーことはー……」
はっ、と身の危険を察した漫が、ダッと部屋の出口へ駆け出す。
「おーっと、どこいくねん。ふっふっふ……そう、漫ちゃん、コレを着るんはあんたやでっ!」
ばっと漫の行く手を阻み、ニヤリと笑って洋榎が言った。悪い顔をしている。

「やややや、やーーですっ! ムリですっ! 何で私なんですか!」
「まぁ聴きーな。これは童顔ロリっ娘のあんたにしかできん仕事や」
「ど、童っ…ろりって何ですかロリって! 気にしてるのにー! 第一絹恵さんはダメで私なら
いいって、ひどいやないですかー!」 漫半泣き。

「加えて漫ちゃん、あんたには薄墨にない武器がある!」 漫の抗議を華麗にスルー。ひどい。
「ロリでありながら、乳ぷっくり! 出場選手ざっと見渡しても、そんなん他におらへんでー!
これぞギャップとインパクトやっ!!」 力強く頷き、ぐっと拳を握りしめた。

「ち、乳ぷっく……ひどっ! こんなん重くて邪魔なだけやのに! 気にしてるのにーっ!」
「……漫ちゃん、それは贅沢というものなのよー」 遠い目をして、ふっ、と由子が呟いた。
「ゆ、ゆーこ先輩! んなことゆーとらんと、た、たすけ……ひっ」
いつの間にか、洋榎が漫を壁際に追いつめていた。じりっじりっと間をつめる。

「ふっふっふ、さぁて、試着の時間や」 ゆらり、と洋榎の魔の手が漫にせまる。
「あわわわわわ、やや、い、いややっ! やーですー! きゃーーーっ!」
「ふはははは、だ〜いじょーぶ、痛くせーへんから〜」 あやうし漫ちゃん!

  とすっ  「うっ」

突然、洋榎がその場にくずおれた。「お、おねーちゃんっ!」 絹恵が慌てて抱き止める。
愛宕姉妹の背後に、恭子が静かに立っていた。胸元の高さに軽く右手を掲げている。
洋榎の首筋に、手刀をたたき込んだのだ。

「おおおおねーちゃん! おねーちゃん、しっかりっ!」 
「安心せぇ、みねうちや」 恭子は無表情だが、なんかものすごい迫力である。ゴゴゴ。
「注目されずに舐めてかかられるってのは、その分有利っちゅーことや……他になんもなければ
今日はここまでにしとこか。何かあるか?」 じろっと見渡す。

「きょ、きょーこちゃん……」 「なんや、ゆーこ。質問か?」 じろっ。
「あ、いえその、なな、何でもないですのよー、あははは……」 こ、こわいのよー。

「せ、先輩、ありがとございました」 ほっとした表情で、漫が恭子に礼を言う。
「……童顔とか、気にしてるんか? ……む、胸とかも」 漫を横目で眺めて、恭子が訊いた。
「え? あ、えと、……やっぱり、大人っぽくスレンダーになりたいなー、なんて……」
恥らうように俯きながら、漫が小声で答えた。

「そんなん、気にせんでええ。漫ちゃんは、そのまんまでええんや。めっちゃ……カワイイカラ」
「え? せんぱい、今なんて?」 「な、何でもない! よし、今日は解散、お疲れっ!」
さっさとノートPCを畳んで、慌てた様子で足早に視聴覚室を後にする。

「あ、先輩、待って! いま、今なんてゆーたんですか!? せんぱーーいっ!」
恭子を追って、漫が小走りに部屋を出ていった。

「あはは、甘酸っぱいのねー」 由子によによ。
「お、おねーちゃん、だいじょぶ?」 「……う〜ん、ろり、おっぱ……ど〜ん」
「……こっちは、にがしょっぱいのよー」 えらい差なのだった。
532チラリ大作戦C:2011/08/14(日) 13:10:49.51 ID:mT47OD65

* * *

「あー、昨日はえらい目におーた」 首筋をさすりながら、洋榎が呟いた。
ここは姫松高校麻雀部部室のある校舎フロアの一角、簡易ラウンジである。
10畳程のスペースに、清涼飲料の自販機とベンチシート、観葉植物が並んでいる。

「あははは、あれはあかんて洋榎ちゃん、自業自得なのよー」 
「そやよ、おねーちゃん。末原先輩の気持ち気づいとるのに、上重さんからかったらアカンよ」
「い、いや、私は真剣に姫松のためを思ってやなぁ、その、なんだ……すんません」
しゅんとする洋榎。大変珍しい光景である。

「グッドアイディアやー! って、思たんやけどなー」
「もー、まだゆーとる。後で二人にちゃんとあやまろ? ね?」 絹ちゃんはええ子です。

と、そのとき、「きゃーーーーーーっ」 フロアのどこかから、悲鳴が聞こえてきた。

「! な、なんや!?」 「こ、この声、漫ちゃん?」 「あっちや! 会議室っ!」
卓の並んだ大部屋の隣、小会議室からだ! いち早く駆け出した絹を先頭に、三人で向かう。

「上重さんっ!! どないして……ん?」 勢いよくドアを開け、小会議室に駆け込んだ三人を
待ち受けていたのは、ある意味驚愕の光景だった。

なんと顔の下半分から胸元までを真っ赤な血に染めた恭子が、床に倒れているのだ。
「先輩! せんぱーいっ!」 涙目の漫が、恭子の上体を抱きかかえているのだが……、  

「う、上重さん、いったい何が……つか、その格好」 例のヤバげ制服を、漫が着込んでいた。

「あーこらあかんわ予想以上や。即逮捕レベルやなー」 洋榎がぺちんとおでこに手を当てた。
「す、漫ちゃん、すごいんやねー…、えっちぃのよー」 感心したかのように、由子が呟いた。

「へ? あっ、やっ! こ、コレは」
慌てて恭子の頭をむぎゅっと抱え、身を隠すようにして漫が縮こまる。
「……ぅぐ」 ぴくんっ、と恭子が痙攣した。

「ああのその、末原先輩がちょっと見てみたかったてゆーから、先輩になら、イイカナッテ……」
涙目真っ赤っかである。なんかますますえろいことに。

「そ、そしたら、先輩、急に鼻血出して倒れて、……そ、そや! きゅ、救急車!」
「ああ、心配いらんて。むしろ元気やろー」 洋榎によによ。
「でもそろそろ離してあげんと、ホンマに昇天してまうんじゃ」 絹恵おろおろ。
「それはそれで、幸せなのかもしれないのねー」 由子ぽややん。

「せんぱいっ、死んじゃイヤやっ」 むぎゅっ 「はぅっ……お、っぱ……」 ビクンビクン


この2時間後、復活した恭子が開口一番に言った台詞は、
「死んだばーちゃんに会うて来た」 だった。 「まだまだ早い、帰れ、言われた」

特製ヤバげ姫松制服は、危険物として厳重に「封印」 されることとなった。
恭子が責任を持って封印すると宣言した。

その真剣な様子に、誰も突っ込むことが出来なかったのだが、あくまで「封印」 である。

「廃棄」 ではないのだ。 ……なんでやねん。

*************************
以上 読了感謝 なのねー
533チラリ大作戦蛇足:2011/08/14(日) 13:15:51.13 ID:mT47OD65
はい、お疲れ様でした ありがとうございました

投下前にざっと読み返して、わしの頭は大丈夫なのかと不安になったりもしたけれど
私は、元気です 多分

抽選会のとき、なんで洋榎おねーちゃん部長をにらんでたんじゃろかーって思ってSS書き出し
たんですけど、それでなんでこうなっちゃうのかさっぱりですよあははははは  はは
……いや、洋榎おねーちゃん大好きなんですよ? ホントでぁ痛っ、あぶっ石はヤメ、痛っ

そういやふと思ったんですけど、咲ちゃんと絹ちゃんがパジャマパーティーやったら、
きっと夜通しお姉ちゃん自慢大会ですな すごく仲良くなりそう ああ妄想の種はつきぬ 
次はどんなんでいきましょかねー  ではまたー
534名無しさん@秘密の花園:2011/08/15(月) 11:05:20.35 ID:npATYORw
>>533
GJ!
姫松ネタ好きですよー
末原ちゃんは全国キャラの中で一番のガチな気がするw
大将戦が楽しみw
535名無しさん@秘密の花園:2011/08/21(日) 17:04:04.03 ID:7iCzYb7X
昨日届いた咲衣本が素晴らしく良かった
536名無しさん@秘密の花園:2011/09/02(金) 19:20:08.93 ID:LrSdNfwQ
ほっす
537名無しさん@秘密の花園:2011/09/17(土) 13:54:28.19 ID:i/lo9gK/
天江咲:宮永衣
宮永咲:宮永照
原村咲:宮永和

咲が嫁いだ方が語感いいな
538名無しさん@秘密の花園:2011/09/17(土) 15:05:14.58 ID:6PSVmTPQ
真ん中ちょっと待てw
539名無しさん@秘密の花園:2011/09/17(土) 19:04:22.06 ID:kUrQCumO
真ん中の違和感なくて良いよね!
姉妹みたい!
540燃えようむ 序 ◆by6Stw9WCY :2011/09/25(日) 13:47:51.40 ID:SQV94wee
こんちわー ばか来たれりー

>>534 さん、レス大感謝です 大将戦wktkですねえ
末原先輩は、きっと漢前に戦い抜くに違いありません
漫ちゃんもバッチリ惚れ直すってなもんですよ うんうん

さて最新号、愛宕姉妹とゆーこちゃん表紙! 仲良し3人どこいくの〜ん?

「えー天気! …おお、飛行船やー! ほれ絹、あれ!」 「おねーちゃん、待ってーなー」
「あはは、祥榎ちゃんは今日もパワフルやねー」 「ゆーこー、はよ来ー! おいてくでー」

んできっと、こっそりデート中の末原先輩と漫ちゃんに遭遇しちゃうのです ふひひ

さておき
副将戦クライマックス! ホゥ! 阿知賀編もぐいぐい来ました! おもち!
双方ゆりんゆりんなエピソードがあるといいなと思いつつ、SS投下でございます 

今度の主役は津山さんちの睦月ちゃん 出番がなくとも大好きさ
最近長野勢お見限りだけど、4コマ咲日和で出てきてワーイですよカワイイなー
でも本編でもちょこちょこチラっと出ないかなーなんて、思ったりするのですが立たん

涼しげな美人さんだと思うんですよむっきー でも何で自信なさげだったりするのかなーとか
考えてたら、スイッチ入りました あと、むっきーは武道をやってそうって意見が多かった
ように思うんですが、そんなようなお話です ちっとシリアスで、好き勝手し放題です
先に謝っておきますごぬんなさい

えらい長くなりまして、前中後編の三回に分けようと思います
連作は投下したことありますが、はっきりとした続きものは、初めてです
で、トリというのをつけてみた だめでしょか?

今日は前編で、8レスくらいれす
お茶でも飲みつつのんびりと読んでいただければ幸いです  では、どぞ
541燃えようむ @ ◆by6Stw9WCY :2011/09/25(日) 13:53:34.56 ID:SQV94wee
出 演:津山睦月、蒲原智美、天江衣、その他エキストラの皆さん
百合分:あるともさ エロ:ありゃしない ばか:揺るぎない、ばか
暴力描写あり&捏造オンパレード おじさんも出るよ 注意ですよ
※完全なフィクションです。実在の人物・団体等には一切無関係です。 それでは
↓スタート
*********************************
「 睦月の剣・壱 櫛風沐雨編 」


「運が悪けりゃ、振るだっけっさ〜♪ っと、ワハハ〜」 お気楽な節回しだ。
蒲原里美は上機嫌で運転中である。ジーンズにシンプルなポロシャツというラフな格好だ。
「先輩、加治木先輩に叱られますよ」 助手席で生真面目にそう言うのは、津山睦月である。
こちらはきっちりと制服を着込んでいる。スカートのプリーツにしわ一つない。

「ん〜? 『蒲原、麻雀は運ではないぞっ』 ってか〜? こわいこわい」 カラカラと笑う。
(まったくもう……) 嘆息しつつ、睦月はこっそりと蒲原の横顔を見つめた。この笑顔に、
今までどれだけ救われてきたことだろう。(うむ……やっぱり好きだな。この人の笑顔)

「さーて、雨も降り出しそうだし、ゆみちん達を待たせちゃ悪いし、ちっと急ぐかー」
「いえあの、安全運転でお願いします」 かなり切実に訴えた。ちょっと乗り物には弱い。

「今日はありがとな、むっきー。助かった。何でもおごるからさ、好きなもん頼めよー?」
今日、睦月は蒲原家の仕事の手伝いに駆り出されたのだ。いつもは佳織が手伝っているのだが、
今回はたまたま都合がつかなかったそうだ。で、このあと、ゆみ、モモ、佳織の3人と、街中の
繁華街で落ち合うことになっている。

「いえそんな、お手当てまでいただいて、それでは申し訳ないです」
「ワハハ、相変わらず堅いな〜。そう言わずにさ、少しは先輩らしいこと、やらせてくれよー」
「いやそんな、先輩は……なんていうか、すごく立派に先輩です。うむ」
「ワハハハ、堅い、堅いぞー。さすがおっぱいも、張りのある堅め美乳なだけはあるなー」

「さ、触ったことないでしょっ!」「見ればわかるさー。でも触ってみたいなー、いーい?」
「だっ、だだっ、駄目です!!」 「ちぇーなんだよー、むっきーのけちー。ぶーぶー」
「何言ってんですかもう、セクハラ。佳織に言いつけますよ」 「ワッハッハそれは勘弁だ」
いつもこんな風にからかわれるが、不思議と全く嫌な感じはしない。

「でもまー、むっきーも大分丸くなったよなー」 「そですか?」
「ああ、最初会ったときは、おお、サムライが来たーって感じだったぞー」 「う、むむ…」

(サムライ、か) 友達にそれっぽいと言われることは時々あった。自分では普通にしているつ
もりなのだが、多分、外見や所作が堅苦しいってことなんだろう。皮肉なものだ。その実、中身
ときたら、常に不安と焦燥で一杯なのだから。特に先輩と出会ったとき、あの頃はいろんな意味
で惑ってた。いや、それは今も同じかな。(こんなんでサムライだなんて、とてもとても……)

実はあながち的外れというわけでもない。睦月の実家は小さな道場を営んでいる。しかも普通
の剣道場とは少々異なり、とある古流剣術を連綿と伝える、伝統ある武術道場なのだそうだ。
地味だが、知る人ぞ知るというやつらしい。しかし、そう言われても睦月にはピンと来ない。
両親は普通のサラリーマンだし、現在師範として道場を営んでいる祖父からして、外見は飄々
とした好々爺という感じで、とてもその道の達人とかには見えない。実際どうなんだろうか。

睦月は、幼い頃から道場で地道に鍛錬を積んだ。もともと体があまり丈夫ではなかったため、
少し鍛えるつもりで続けてきたのだ。伝統を受け継ぐとか、そういう類のものでは無い。事実、
祖父や両親からも、その辺りを期待しているように言われたことは一度も無い。稽古自体は嫌い
ではなかった。寧ろ、道場の凛とした空気や礼儀に則った静謐な雰囲気が、とても好きだった。

ところが、中学3年生の時のある事件をきっかけに、ぱたりと道場に足を運べなくなった。
(確かあの日も、こんな風に雨の降り出しそうな曇り空だったな……) あれから2年が経つ。
でも何もかも鮮明に覚えている。大げさと言われるかもしれないけれど、思い出す度、今後どう
生きていけば良いのか何だか分からなくなるような気さえする……辛い、思い出だった。
542燃えようむ A ◆by6Stw9WCY :2011/09/25(日) 13:59:34.17 ID:SQV94wee
* * * * *

「あの、津山さん……」 中学3年のある日の放課後、同級生に声をかけられた。
普段あまり会話したことのない子だった。何か思いつめたような顔で、声をかけてきた。
「あの、急にごめんなさい。お願いがあって、その」
その子は女子剣道部に所属しており、そのときも剣道着を着ていた。

「あのね、道場に、来てもらえないかしら」
笑顔の似合いそうな愛嬌のある顔を曇らせて、少しおどおどしながらそう言った。
何処から聞きつけたのか、睦月の家が武術の道場であることを知った他の部員達が、
是非、自分達の稽古を睦月に見てもらいたいと言っている、とのことだった。

「いや、私はそういうのは」 「お、お願い! 見るだけ、ちょっと見るだけだから」
様子がおかしい。こういうのには、乗らない方がいい。……だけど……。
「私が行かないと、困るのですか?」 「いえ、あ、あの、その」 もじもじと指を組む。
剣道着からチラリと覗く腕、防具のコテよりも上に当たる部位に、大きな赤黒い痣があった。
「……わかりました。行きましょう」 「え? そ……いえ、あ、ありがとう」

剣道場はそのとき掛かり稽古の最中であったが、睦月が姿を見せた途端、一瞬静まり返った。
「……?」 一礼して入場し、壁際の床に正座する。
「ね、あれが?」 「そうなんじゃない?」 「達人なんだって?」
少し離れた位置で控えていた部員達の声が聞こえてくる。刺すような複数の視線を感じる。

どうにも嫌な雰囲気だが、さて……。 「津山さん、ようこそ」
長身の部員が声をかけてきた。凛々しい顔立ちだが、少し険がある。目が殺気をはらんでいる。

「一度古流の達人とやらに稽古をつけてもらいたくてね。快く受けてくれて、ありがとう」
「うむ? 何の話ですか。私は見学だけと」 「おい! お前の道着と防具、貸してやれ!」
先ほど睦月を案内してきた同級生が、ビクッと反応し、「つ、津山さん、こっちへ」
睦月の手を取り、無理矢理道場の更衣室へと引っ張っていった。

「ご、ごめんなさい。本当にごめんなさい」 更衣室に入るなり、謝られた。
「うむ、ま、こういうことなのかな、とは思わないでもなかった」
しきりに謝る同級生によると、あの長身の部員は3年生の女子剣道部主将であり、睦月を連れて
来るように指図したのも、彼女とのことだった。

先月、3年生にとっては中学校最後の公式戦があり、彼女達は惜しくも決勝で敗れたという。
問題はその後だ。反省会も終わり解散した後、忘れ物を取りに来た部員の一人が、道場で一人
座して嘆息する監督のつぶやきを聞いてしまったのだ。『ふぅ、津山がいてくれたら……』

そういえば入学したての頃、剣道部の監督に熱心に勧誘された。家にまで押しかけてきた。
まだ若い、はつらつとした女性だった。師匠である祖父は、良いとも駄目とも言わなかった。
睦月自身が決めること、と、にこやかに言うだけだった。
乗り気ではなかったし、断った。稽古は好きだが、それだけのことだ。そもそも勝負事自体に
さして興味があるわけでもなかった。そしてもう一つ、引っかかることがあったのだ。

あれは小学校5年生の頃だったか、ある日型稽古を終えた後、諭すように師匠が言った。
「うむ、睦月、これよりお前は無闇に人を打ってはならん。拳でも、もちろん剣でもだ。
もし万が一喧嘩に巻き込まれそうになっても、お前は出来得る限り、そうした事態を避けなけ
ればならない。己の技を使うべきときを、しっかりと見極めなければならないよ」

何故そんなことを言うのか、よくわからない戒めだったが、もとより喧嘩の類は大嫌いだ。
「はいっ」 と元気良く返事した。以来、その戒めを心に堅く誓っている。
そんな訳で、きちんとした指導者のいる部活とはいえ、積極的に打ち合うという場に身を置く
こと、それ自体に抵抗があったのも事実である。

「本当にごめんなさい。私……」 「その腕の痣、わざと打たれたのですか?」
はっとして同級生が腕を隠した。やはり、そうか。まさか私と同級というだけで?
いや、おそらくは私を庇ったとか、そういうことなのだろう。
543燃えようむ B ◆by6Stw9WCY :2011/09/25(日) 14:04:35.53 ID:SQV94wee
「うむ、何、問題ない。一本打たせれば満足するでしょう」 「ううぅ〜……ご、ごめ」
「何、大丈夫」 泣き出してしまった同級生をなだめ、道着と防具に身を包み、道場へ出た。

中央に主将が仁王立ちしていた。周囲の壁に沿って部員がずらりと座している。
「時間が惜しい。始めようか」 主将がビッと片手で竹刀を振った。
アップする時間も与えてくれないらしい。そういえば監督の姿が見えない。
もちろん無断でのことなのだろう。つまりは問答無用というわけだ。
「津山さん、竹刀を……」 「うむ。ありがとう」 同級生から竹刀を受け取った。

「『うむ』 って、達人きどりかよ」 「つけあがってんな」 「中2病だろw」
部員達の一角から睦月を蔑む甲高い声が上がる。続いて「ぎゃはははっ」 と嘲笑が湧いた。
睦月は黙って一礼し、蹲踞しつつ竹刀を抜き合わせ、立ち上がってぴしりと正眼に構えた。

「はじめっ」 ドンっと太鼓の音が鳴る。 「やっちまえ! 主将!」 「ぶったぎれっ!」
うおーっと歓声が響く。どんどんどどどどんっ、一斉に立った部員達が激しく床を踏みならす。

「キェアーッ!」 気合一閃、いきなり打ち込んできた。睦月は足捌きだけでこれをかわす。
主将は追いすがるように間合いをつめ、連続して激しく打ち込んでくる。力強い打ち込みだ。
最小限の動きで竹刀を操り、睦月はその悉くを受け流した。主将なだけあって、よく鍛えられ
ているのがわかる。だが、憤りに任せているためか、大降りで剣筋が粗い。隙がある。

こうした申し合いではない打ち合いは、あまり経験が無かった。しかし、思っていたよりも
スムーズに体が動いた。それに、普段黙々と続けていた型の意味を、実感することもできた。
(うむ、なるほど、あの型はこうさばくための……) 少し楽しくなってきた。
「何を、笑ってやがる!!」 はっとしたところに、主将がどかんっと体当たりをしてきて、
鍔迫り合いになった。「古流が何だ! 馬鹿にしやがって! なめんじゃねえ打って来い!!」

ああ、まずい。変に誤解されてしまった。……なめるもなにも、そもそもどっちが強いかとか、
そんなことは心底どうでもよかった。まして古流と現代剣道の技巧的優劣を比するなど、全く
意味のないことだと思うし、興味も無い。もとは同じものだろうに。

「ちくしょう、なんで監督は、こんな奴っ!」 主将の目に、少し涙が光っていた。
ズキッと胸が痛んだ。(……打たせて、終わりにしよう。うむ、なるべく、自然に、)
「本気で来い! でなきゃアイツ、もっと痣だらけになっちまうぜ!!」 「! ……」

  ぷつんっ と、睦月の中で何かが切れた。

柄を握った両拳で、どすっと主将の胸元を打つ。主将がととっと後ろに後ずさった。
「!? ……のやろう!」 意外な力強さに驚きつつも、即座に反撃して打ち込もうとする。
しかしそのとき、「むっ?」 主将の動きが止まった。睦月の雰囲気が変わっている。
ゆらりと背後の景色が歪む。まるでその細い体から、見えない炎が立ち上がっているようだ。

不可視の炎を纏った睦月が、切れ長の瞳を細める。
「下衆め……」 ぼそっとつぶやいてから、すぅっと竹刀を下段に構えた。

「下段だとぉ? お・の・れどこまでも〜っ、なめんじゃねえーーー!!」
凄まじい勢いで主将が上段から打ち込んできた。と、次の瞬間すっとすり上がった睦月の竹刀
が小さく弧を描き、主将の竹刀を絡めとるようにして、斜め上に跳ね飛ばした。「うおっ!?」

竹刀を手放したりはしなかったが、主将の体が泳いで体勢を崩す。距離を取り立て直そうと、
「くっ!」 だだっと後ろに下がる。しかし睦月は等間隔に間合いを保って追いすがる。
「きぇあっ!」 無理な体勢だったが、主将が思い切り引き面を放った。その刹那――、

 ゴズッ   鈍く、重い音がした。

睦月の竹刀がたわんでいた。その剣先は、主将の喉下にめり込んでいるように見えた。
ずるりと切っ先がずれる。前のめりに崩れ落ちるようにゆっくり、主将がどさりと倒れ込む。

……あれほど騒がしかった道場内が、しんと静まり返った。
544燃えようむ C ◆by6Stw9WCY :2011/09/25(日) 14:09:36.31 ID:SQV94wee
睦月の放った技は「転び突き」 と呼ばれる中目録の奥義の応用であったが、このときの睦月は
それを知らない。睦月にとっては、稽古で幾度となく繰り返した動きを、状況に合わせつつトレ
ースしただけのことだった。と、言うは安いがそう簡単な事ではない。百戦錬磨の剣道有段者を
相手にそれができるというのは、最早、天賦の才というべきだろう。

「しゅ、主将っ!」 数名の部員が駆け寄り、主将を抱え、面を取った。
「う……ぐっ、がはっ」 道場の床に、パタタッっと鮮血が散った。口から出血している。

「こ、この……突き技は、きき、禁止なんだぞ!」 「そ、そうだそうだ! き、きたねえぞ」
興奮した部員達が、睦月に詰め寄ろうとした。 「てめ、何とか言……ひっ」

睦月が静かに顔を上げる。蒼白な顔面は無表情だ。が、重く強く両の瞳が光っている。
無言のまま背筋を伸ばし、竹刀を低く下段に構え、主将の方へずいっと一歩、踏み出した。
「う、うわわわっ」 「ひいっ」 迫力に気圧された部員達が、主将から離れ、後ずさる。
一人になった主将は、「んぐ、うぅ……」 それでも立ち上がろうと、もがいた。

「そ、それまで! それまでっ!! 待って、津山さん! あなたの勝ちよ、お願いっ!」
睦月を連れてきた同級生が、主将を庇うようにその頭を抱きかかえ、叫んだ。

(うむ? 勝ち? 何が? ……え? 何だ、これ……私は一体、何を) そのとき、

「お前ら! 何してるっ!!」 道場に監督の大喝声が響いた。

* *

その後は、ちょっとした騒動になった。主将は監督の車で病院へと運ばれていった。
女子剣道部の顧問と生徒指導の教師に事情を聴取された後、睦月は帰宅した。
ほとんど何も語らない睦月に、教師達は辟易としていたようだった。

その夜、監督と主将の父親が訪ねてきて、祖父と共に応対した。
「……全ては、私の不徳の致すところです」 いきなり監督が土下座した。
「申し訳ありませんっ」 声が震えている。今回の騒動に至った経緯を知ったのだという。
しかしそれを具体的に語ることは無かった。きつく目をつぶり、歯を食いしばっていた。

「ですから監督、あなたが気に病むことはありませんよ」 主将の父親は特に怒ることもなく
そう言って、「なに、あの跳ねっ返りにはいい薬です」 と、にこやかに笑った。
自身も剣道を嗜むとかで、祖父とは知らぬ間柄でも無いらしい。

主将のけがは、思ったよりも大したことは無いということだった。
「ま、当分の間、カラオケは禁止だそうです。わははははっ」
睦月は心の底からほっとしたが、それでも、その心自体が晴れることはなかった。

その後、監督は辞表を提出したらしい。周囲の説得にも耳を貸さない状態だったが、結局祖父が
出張って撤回させたとか、後で聞いて知った。あれから睦月は稽古に出ていない。
睦月にお咎めは無かった。しかし、あの日以来ずっと、心の中には冷たい嵐が吹き荒れている。

……もしも竹刀ではなく木剣だったら、いや、竹刀であっても、もし防具がなかったなら、
いや、もし切っ先が、防具をすり抜けて入っていたら! 私は主将を、きっと彼女を――

  殺 し て い た

瞬間的な怒りに、我を忘れた。自分の中に、思いがけずも荒ぶる修羅が眠っていた。
古く源流は室町の昔に生まれ、数百年に渡り連綿と受け継がれ練られ育まれて来た技は、
恐るべき力を秘めていた。そうした諸々に、全く無自覚であった。
あの瞬間の感触が、手のひらに張り付くように残っている。 『ぐぢゃっ』 と。
生きている肉を、押しつぶす感じ。思い出すと、ぞわっと全身が総毛立つ。

仕方なかったと割り切ることができない。向こうが悪い、と斬って捨てることもできなかった。
竹刀を交えた睦月には分かる。彼女がどれほどの克己心を保ち、修練を積み重ねて来たのか。
545燃えようむ D ◆by6Stw9WCY :2011/09/25(日) 14:14:37.80 ID:SQV94wee
生半可な覚悟では無かった筈だ。……あの騒動はつまり、だからこそ、だったのではないか。
倒せたのは、きっと偶然に過ぎない。打たせて終わろうなどと、なんと傲慢であったことか。

しかし、彼女が睦月の同級生にしたであろうことは、やはり許せない。わからない。どうすれば
よかったのか。他に方法はなかったのか。剣の道に触れたもの同士、もし語り合うことができて
いたなら、友達になれたかも。そんな風に夢想するのは、ぬるいのか。甘いのだろうか。

悩める睦月の脳裏に、一つの言葉が浮かび上がった。(『 活人剣 』 って、何だっけ……)
どこかで聞いたことのある言葉だった。とても大事なことだったような気がする。
しかし、いつどこで聞いたのか、そしてそれが何なのかは、何故か思い出せなかった。

* *

卒業までの数ヶ月は、まるで針のむしろだった。睦月の武勇伝は、あっと言う間に学校中に
広まっていた。しかも尾ひれがついて、あまり好ましくない形で。
それなりに仲の良かった友達からも、距離を置かれた感じがした。特にいじめられたとか、
何かされたわけではないが、まるで周囲に壁ができてしまったようだった。

そんなある日、偶然、自分が陰では、「人斬り津山」 と呼ばれていることを知った。
その頃から、いつの間にか人と接する際に、妙な気後れを感じるようになっていた。
緊張と不安。ひどいときには、カーッとのぼせたようになり、じわりと冷や汗がにじみ出た。

受験を終え、鶴賀学園に進学した。中学卒業まで、とうとう主将と会話することは無かった。
あの同級生とも、何か気まずくて、ゆっくりと話をする機会は得られなかった。
幸い、と言っていいのかどうか、本来中高一貫教育の鶴賀学園に外部受験者は比較的少数で、
同じ中学から進学した者の中に、睦月のことをよく知る人間はいなかった。

入学式の当日、桜の舞い散る中、前庭で早くも部活動の勧誘が行われていた。
睦月はどこにも入るつもりはなかった。剣道部のブース前を、眼を伏せて足早に通り過ぎた。
(今日はもう授業も何もない。早く帰ろう……) 正門に向けて歩きだしたそのとき、

「ワハハ、おー初々しいのがいっぱいだー! みーんなかわいいなー、なあゆみちん!」
何か聞いているとスコーンと肩の力が抜けるような、とぼけた声が耳に入って来た。
そっちを向くと、前庭の一番端っこに机を一つだけ出して、勧誘している二人組がいる。

「蒲原、まじめにやれ」 目つきの鋭い美人さんが言った。
「何言ってんだい、ゆみちんこそもっと笑わないと。ホレ、スマイルスマイル〜♪」
さっきの声は、こっちの小さい方の人か。団栗眼をきらきらさせて、口を開けて笑っている。

机の前に手書きで部の名前が張り出してあった。(麻雀部……)
睦月は何故か立ち止まり、その人たちをじっと見つめていた。小さい方の人と目があった。
睦月の視線に気がつくと、その人は眩しいくらいにぺかーっと笑って、大きな声で言った。

「ワッハッハ、ようこそ! 鶴賀学園麻雀部へ!!」

* * * * *

なんだかんだで麻雀部に入り、今日に至るという訳だ。
(あれから目の回るような日々だったな。蒲原先輩に振り回、じゃなくて引っ張られるように
して、ぐいぐいと進んでいくような毎日だった。それこそ悩んでる暇なんて無かったくらい)

「むっきー、おい、むっきーってば」 「え? あ、はい、すみませんちょっと考えごとを」
「あれ、天江衣じゃないか?」 蒲原が前方を顎で示した。小雨が降り始めていた。

他に人気のない川沿いの道を、幼い少女が一人、傘も差さずにとぼとぼと歩いている。
停車して蒲原が車を降り、声をかけると、少女はゆっくりと振り向いた。
「おー、やっぱり。龍門渕のアリスちゃんじゃないか、ワハハ」
「ふん、鶴賀のチェシャ猫は、ニヤニヤじゃなくてワハハって笑うのか」
衣が不機嫌な様子でそう答えた。長い髪に細かい水滴がつき、きらきらと輝いている。
546燃えようむ E ◆by6Stw9WCY :2011/09/25(日) 14:19:37.11 ID:SQV94wee
だんだん雨足が強くなってきたこともあり、ぐずる衣を車に乗せた。睦月が後部座席に移り、
タオルで衣を拭いてあげた。少し震えていたが、青い顔をして俯いたまま、衣は黙っている。
(しかし小さいな。これで私と同い年……)

合宿でも親しく会話をする機会は無かった。間近でよくよく見るのは、初めてかも知れない。
白磁器のように白く艶やかな肌、豊かな亜麻色の髪、幼く見えるが端正な顔立ちに大きな目。
その瞳は、今にも泣き出しそうに潤んでいる。(お人形さんみたいだな。いや、妖精、かな)
それも違うかもしれない。この美しさを的確に表現する語彙を、睦月は思いつけなかった。

この愛くるしい妖精が、麻雀の際は魔神のように変貌する。人を超えた存在という意味では
同義かも知れない。合宿で一度だけ対局したが、圧倒的だった。あっという間に飛ばされた。
今、その超人は睦月のほうを見ようともせず、下を向いたままだ。
(私のこと、憶えてないのかな。つか、私みたいなへっぽこ雀士は眼中に無し、だな。うむ)

運転をしながら、蒲原が衣に質問をし始めた。
「どーしたんだい?こんなトコひとりで。いつもの愉快な仲間たちはー?」 「………」
「今日はカチューシャしてないんだなー。ウサギの耳みたいの。何でー?」 「………」
「先輩、そう矢継ぎ早に質問されても困りますよ。大丈夫? 寒くない?」 「………」
「えっとその、私達これから食事に行くんだけど、よかったら天江さんも」 「カ……」

「ん、何?」 「カチューシャは、捨てた。あれには発信機が、ついてるから」
「は……、え?」 「皆は、いない。ころもは一人で、龍門渕を出奔したから」
「おや、衝撃の告白だなー」 「先輩、もう。えと天江さん、その、どうして」
「喧嘩でもしたのかなー? ワハハ」

「してない。皆大好き。でもころもは、あそこにいちゃいけないんだ。とーかが、冷たく…」
ぽろぽろと大粒の涙が、衣の頬を伝った。「とーかの側に、い、いちゃだめなっ……んだっ」
「わっわっ、天江さんっ、あの」 「ありゃま、ちっと深刻っぽいなー」
「ああのあの、天江さん、泣かないで」 「うぅー、ひっく、けほっこほっ、ううう〜」 
「どど、どうしましょう、先輩」 睦月が衣の背中をさする。華奢な体が震えている。

「う〜ん……うん、よし! とにかく飯を食おう! ワハハ」 「ひっくっ……いらない」
「だめだぞー、人間って腹が減ってるとな、どんどん考えが悪い方へ傾いてくんだよ。まずは
腹ごしらえだ! その後さ、もしよければゆっくり話を聞かせておくれよー」

「お前達に、ぐすっ、話したところで、どうもならぬ。畢竟、ころもはけい独の宿命なんだ」
「ほらほら〜、それだよそれ。悪い方にグラグラッと来てるぞー。それにさ、宿命云々とか
言うんなら、ここで私らに出会ったのだって、そうかもしれないだろー?」 「………」

「話してみて楽になるってこともあるぞ? ちっとは力になれるかも知れんし」 「………」
「無理にとは言わないけどなー。ま、お腹一杯になってデンと構えてよーく考えてみたらさ、
なんだーどーってことないやーってなるかもだ。てな訳で、飯屋へGOだな! ワッハッハー」

「……ぐすっ、強引な奴だな」 「ふふっ、観念した方がいいですよ。お話云々はともかく、
何か暖かくて美味しいもの、食べに行きましょう。ね?」 衣が初めて睦月の方を見た。
大きな瞳に一杯涙をためながら、少しだけ笑ったように見えた。 と、そのとき、

ギャギキキキーッ!! 突然、車に急制動がかかった。「うわっ」 睦月は咄嗟に衣を抱える。
「うおー、あっぶなー!」 「せ、先輩、何事ですか?」 フロントガラスの向こうを覗く。
1台のセダンが、こちらの車の前を斜めに塞ぐように停車していた。「あ〜ん? 何だ〜?」

車のドアが開き、2人の男が降りてきた。がっしりした体格に黒っぽい背広で、サングラスを
掛けている。滅茶苦茶怪しいおじさんたちだ。はっと衣が息を呑む。
「? 天江さん?」 「……て、敵だ」

黒服の1人が運転席の1メートル程手前まで近づき、言った。
「降りるんだ。その子を渡してもらおうか」

「天江さん、敵って?」 「奴らはころもを、さらおうとしている! とーかを脅すためだ!」
547燃えようむ F ◆by6Stw9WCY :2011/09/25(日) 14:24:36.07 ID:SQV94wee
「先輩っ!!」 「つかまってろっ!!」
蒲原が素早くシフトをバックギアに叩き込み、アクセルを踏み込む。車が急発進で後退する。

「おい、待て!」 黒服が此方に向かって身を乗り出す。一気に20m程も後退し、ワハハカー
はギュキッと止まった。蒲原はシフトをゴンッとローへ、「いっくぞー!」 前方へ急発進!
「おわっ!」 黒服たちが、慌てて前方を塞いでいる車から離れた。

「ワ ハ ハ ターーーン!!」 ギャギャギャキュキキキーーーーーーーーーー!!

タイヤが激しく水飛沫を上げ、車がくるりと180度方向転換、一瞬片輪が浮き上がる。
直後にドンッと接地するやいなや、猛スピードで走り去った。黒服たちがぽかんと見送る。
「おお、やりますな」 「か、感心してる場合か! 追うぞ!」 慌てて車に乗り込んだ。

「先輩! 追ってきます!」 「飛ばすぞ! しっかりつかまってろよー!」
衣がぎゅっと睦月にしがみついた。「うむ、だいじょうぶ」 睦月もしっかりと衣を抱えた。

ワハハカーはタイヤを軋ませコーナーを駆け抜けるが、如何せん性能差はどうしようもない。
追手の車がどんどん近づいてくる。事故の危険を恐れてか、先ほどのように強引に追い越そう
とはしてこなかったが、一定の距離を置いてピタリと張り付いている。

黄色信号の交差点を通過したとき、後続の黒服の車の前に、信号無視の車が飛び出してきた。
危うくぶつかりそうになり停車する2台の車を置いて、ワハハカーが遠ざかって行く。

信号無視の車から、4人の若者が降りてきた。でかい。レスラーみたいにゴツイ連中だ。
「おい、危ねえだろ、おっさん!」 「降りろコラ!」
「……はぁ」 ため息をつき、黒服たちが車を降りた。

* *

「あっぶないなー。でもま、こっちとしちゃラッキーだな。今の内に距離を稼ごう」
バックミラーを眺めながら、蒲原がため息混じりに言った。
「うむ、先輩、このあと」 「うん、このまま警察へ行こう」 「だ、だめっ!」

「天江さん? だめって?」 「け、けーさつは、その、中にやつらの手先がいるんだ」
「てさき? やつら一体、何者なんだい?」 「そ、それは、その、……わかんない、けど」
「ふ〜む。お金持ちってのも大変だなー」 「先輩、どうしますか?」

「お、お前たち……、信じてくれるのか?」 「んー、何がー?」
「子供の戯言だ、とかって笑わないのか?」 「天江さんは私と同い年でしょ?」
「龍門渕は桁違いのお大尽だしなー。そういうこともあるかも知れないよなー、ワハハ」
「うむ、信じますよ」 「……あ…う」

「ありゃトランプの兵隊って感じじゃないしなぁ。怪しさ大爆発だ。ま、何にせよ、あんな
連中にアリスちゃんは渡せないよな、むっきー」 「うむ、当然です」

「あ、ありすじゃない。ころもだ。お前たちは、えっと、か、か……」
「蒲原。かんばらさとみ。さとみでいーよ。そっちは津山睦月。むっきーだ」
「さとみと、むっき……」

「とにかく、援軍が欲しいな。よし、むっきー、そこの鞄に私の携帯が入ってる。龍門渕のお嬢
様の番号が入ってるから、電話してくれ」 「はい!」 睦月が携帯を取り出す。

「だめーーっ!!」 衣が叫んだ瞬間、パキッと音がして、携帯の液晶画面にひびが入った。
「うわ、あれれ」 画面が消えて、電源が入らない。完全に壊れてしまったようだ。
代わりに取り出した睦月の携帯も、同様にお釈迦になっていた。 「こ、これは一体……?」

「だめ、だめなの……もういい、これ以上さとみとむっきに迷惑はかけられぬ。降ろしてくれ」
「何言ってんだい、そんな事できるわけ無いだろー?」
「もういいんだ、も、もう……」 突然ぐらりと傾く衣。慌てて睦月が支える。
548燃えようむ G ◆by6Stw9WCY :2011/09/25(日) 14:29:44.66 ID:SQV94wee
「わ、と……天江さん?」 苦しそうに喘いでいる。睦月が衣の額にそっと手を当てた。
「先輩! 天江さん、すごい熱!」 「おおう、なんてこったい。大ピンチだなー」
ちっともピンチっぽく聞こえない声で、蒲原がつぶやいた。

「せ、先輩……」 「………」 前方を睨みながら押し黙る蒲原。
口元は相変わらず笑っているが、その眼は真剣だ。

手近な連絡手段を失った。頼みの警察には、敵のいる可能性がある。
それほど大掛かりな敵ならば、あいつら……あの黒服の他にも、追っ手がいるかもしれない。
とすると、絶対安全と言い切れるところは限られる。病院ですら危ういと言わざるを得ない。
しかし衣は発熱している。もし見た目よりも重篤な状態であれば、一刻を争う。
さあ、どうする!?

「……当初の予定通り、ゆみちんたちと合流しよう。困ったときの、ゆみちん頼みだ!」

* *

「はい、ええ、十代と思われる女2人組です。一人は制服で」 黒服が電話をしている。
「古いワーゲンのバンです。ナンバーは……」 睦月たちの情報をどこかに伝えている。
「いえ、決してそのような……、はい、はいっ、了解です。では」
通話を終え、少し離れていたもう一人の黒服の元に近寄っていく。

「ご立腹ですか」 もう一人が訊いた。その足下には大きな図体の若者が3人、呻きながら横た
わっている。顔を腫らした残りの一人が、正座をしていた。

「引け、とさ。あの優男が此方に向かってるそうだ」 「おや、お役御免ですか。やれやれ」
「いや、このままじゃ面子丸潰れだ。追うぞ。先刻接触したとき、あの車に発信機を付けた」

「おお、抜かり無いですな。と、コイツらどうします?」 一通り尋問は済ませていた。県外の
大学のラグビー部員とのことだ。練習に嫌気が差して合宿を脱走し、逃げる途中だったらしい。
「あの大学のチンピラバカ学生か。さっきの2人組みとは無関係みたいだな。支援の連中に任せ
よう。あそこの鬼監督に、のし付けて送り返してやればいいだろう」

「おい、おまえら!」 「は、はいっ」 正座をしている学生が居住まいを正す。
「ここらで何か悪さしてみろ、月の裏まで蹴り飛ばされっぞ!」 「はいっ! サーセン!」

「おお、おっかないですな」 もう一人が笑いをかみ殺しながら小声で言った。
「子供騙しのはったりだけどな。……でもうちの女王陛下が本気で怒ったら、その位のことは
あっさりやってのけると思わんか?」
「ははは、違いないですな。剣呑、剣呑」

* *

雨が降っている。車の屋根を、雨粒が叩く音がする。せわしなく左右に動くワイパーの向こうに
目指す街の小さなビル群が見えた。不吉な未来を暗示するように、上空を暗雲が覆っている。

蒲原は黙って運転している。衣は睦月の膝に頭を乗せ、ゼイゼイと苦しそうに喘いでいる。
人形のように整った美しい顔が、青ざめ、苦痛に歪んでいる。

「天江さん……」 辛そうだ。体が熱い。何故もっと早く気づけなかったのか。
(いつも、こうだ。私はどこか、抜けている。そしてうじうじと、悔やむことばかり……)
睦月の手が、微かに震えた。じわりと冷や汗がにじみ出る。

(うむ……守らねば) 衣の額をそっとなでながら、きゅっと唇をかみしめた。

*********************
前編以上 読了感謝  次回、「 睦月の剣・弐 驟雨激闘編 」 へ続く

 むっきー、闘います
549燃えようむ 後書 ◆by6Stw9WCY :2011/09/25(日) 14:34:41.92 ID:SQV94wee
はい、お疲れ様でした ありがとうございました
前編、いかがだったでしょ このくらいだと長すぎますか?
次はもっと短いです

剣道とか、かっちょぇーとは思うものの、やったことないし
詳しい方、色々とお見逃しくだされ

ちなみに、ワハハターンはどうやってやるのか、知っているのはワハハだけですわはは
真似したらあかんのよーって、ゆーこちゃんも言ってます あかんよ?

さて次回中篇、闘いの章です むっきー奮闘です でも根底にあるのは百合萌え魂です
後編に向けて徐々に百合度が上がっていくのです 多分 いやその

ではまた 近いうちに
550鶴賀血風録 序 ◆by6Stw9WCY :2011/10/01(土) 11:06:18.10 ID:EPXOZ42M
や、ども 来ました
はい、SSの続きを投下でございます
誰も読んでないかもだけど せっかく書いたし
平気だし別に 平気だし

あらすじ書いたので、上のお話長くてうざくて読んでねーって人も、
読んでもらえたら嬉しいです

では早速、4〜5レスれす どぞ
551鶴賀血風録 @ ◆by6Stw9WCY :2011/10/01(土) 11:12:01.83 ID:EPXOZ42M
出 演:睦月、智美、衣、ハギヨシ、わるもの風オヤジーズ
百合分:あきらめない エロ:あきらめた ばか:あきらめられた
>>541 の続きです 今回も暴力描写あります

≪前回までのあらすじ≫
津山睦月。女子高生雀士にして剣士である。しかし彼女は過去の辛い経験を引きずり、剣の道か
らは遠ざかっていた。ある日蒲原の車で移動中、一人龍門渕を出奔したという天江衣と出会う。
間を置かずに、怪しい2人組みの男が突如現れ、衣を渡せと迫る。
衣を守らんが為、蒲原と睦月は逃走するが、衣は発熱し倒れてしまう。
状況を打開すべく、鶴賀の仲間と合流しようと街中へ移動する睦月たちだったが……
*********************************
「 睦月の剣・弐 驟雨激闘編 」


車は特定されている。街中に入ったところで乗り捨てた。
降車する際、フロント部、左ライトの脇あたりに、強い粘着質のガムのようなもので、小さな
機械が張り付いているのを発見した。細いアンテナらしきものがあり、発光ダイオードが点滅
している。蒲原が外して、踏みつけて壊した。

「先輩、それ……」 「うん多分、発信機ってやつかな。追って来るってことだな。急ごう」
喘ぐ衣を蒲原が背負い、スピード優先、雨の中を傘も差さずに裏道を走った。雨が強くなって
きている。睦月は上着を脱ぎ、頭の上から覆うようにして衣に掛けた。Yシャツが濡れて下着
が透けるかも、と、ちょっと思ったが、そんなこと気にしている場合じゃない。

(大体、こんな貧相な体を見せたところで、どうこう思う輩もそう居るまい。
私のことを、冗談でも可愛いだの何だの言ってくれるのは、蒲原先輩だけだし。うむ)

できれば人ごみにまぎれたいが、周囲に人影はない。手近な住居にでも駆け込んで匿って貰う
ということも考えたが、もしそこで発見されれば手詰まりな上に、関係ない人を巻き込んでし
まう恐れもある。ここはやはり、一刻も早く我らが軍師、加治木ゆみと合流したい。

「この時間帯で人がいないってのは、ついてないですね。雨のせいかな」
「まーそんな都会ってわけでもないし、仕方ない。ピンチのときってのはこんなもんさー」
このまま何とか追っ手に見つからずに、ゆみ達と合流しなければ。
ゆみ達にまで危害が及ぶようなリスクは、何としても避けなければならない。

「ここまで来たら、ゆみちん達との待ち合わせ場所までもうすぐ……って言ってるそばから!」
見つかった。黒服が二人こちらに走ってくる。先刻の連中だ。
距離はまだ、100m以上離れている。

「そこの路地へ! 大通りへ抜けられるはずです!」
手前の路地へ入った。やはり人気は無い。幅は2m程で、思ったより長く続いている。
大通りへ抜ければ、さすがに人通りがあるだろう。そこまで行けば迂闊に手出しは出来まい。
仮に追っ手がこの道を迂回しようとするなら、大きく回り込まなければならない。
ここだ。ここが分水嶺だ。

路地の中程で立ち止まり、睦月が早口で言った。
「行ってください。時間を稼ぎます」 「え? しかし、むっきー」
「うむ、大丈夫。小太刀と合気に少々心得があります。適当なところで逃げるつもりです」

蒲原の背中でぐったりとして喘ぐ衣の頭を、掛けた上着の上からそっとなでた。
「守ってあげてください」 きっぱりとそう言う睦月の目を、蒲原はじっと見つめた。
「わかった。ゆみちんにこの子を預けたら、すぐ戻る」
「いえ、そのまま加治木先輩達と一緒に安全なところへ。私も逃げますから」

「……む、むっき、だめ」 薄く目を開け、衣が呟いた。(あ、私のこと覚えてくれたのかな)
「うむ、心配ない。大丈夫ですよ。万事、先輩に任せておけば安心ですからね」
「……無理すんなよ、絶対に。約束だぞ!」
そのとき路地の入り口に、二人組の黒服が現れた。こちらに向かって、駆け寄って来る。
552鶴賀血風録 A ◆by6Stw9WCY :2011/10/01(土) 11:16:54.44 ID:EPXOZ42M
「先輩、行って!」 蒲原は一瞬戸惑ったが、すぐさま走り出した。

雑居ビルの裏手、排水パイプの脇に、短い箒とチリトリが置いてあった。
箒を手に取り、穂先を足で踏みつけ、取っ手を引き抜いた。止め釘が綺麗に抜けた。
棒きれを右手に半身になって構え、ビュンッと一振り、路地の真ん中に陣取った。

「止まってください。ここは通しません。手加減もしません」

5m程手前で立ち止まり、2名の黒服は顔を見合わせた。
やれやれ困ったお嬢ちゃんだ、とでも言いたげだ。苦笑するのをこらえているのだろう。
「あのねえ、危ないから」 言いつつ一人が無造作に近寄り、睦月の右手を掴もうとした。

瞬間、棒を持つ手で相手の手首を絡め取り、極めた状態でぐいっと体を前に押し出す。
「おおっ!?」 自らの正中線は保ったまま体を入れ替え、軸を更に突き崩し、
「えぃりゃっ!」 バランスを失った相手の体を、捻る様に思い切り投げ放った。

「うおおっ!」 完全に油断していた黒服は、綺麗に宙を舞った。バシャンッと水しぶきが
あがる。地面に激突する瞬間、空いた手で大地を叩き受身を取っていたが、したたかに腰を
打ったようだ。「ぐうぅ……」

「貴様っ!」 もう一人が突進してきた。容赦ない勢いで左の拳を突き出してくる。
打突ではない。狙いは睦月の右の奥衿だ。速い。

「っぇい、りゃあっ!」 棒で黒服の左手首を打ちつけ、跳ね上げる。ガツンという手応え。
何か堅いものに当たった。そのまま太い腕に沿って棒を滑らせ、ビシッと袈裟に鎖骨を叩き、
続けて棒を持ったままの両拳で胸元をどしっ! と強く打った。目にも留まらぬ三連撃だ。

「ぐあっ!」 怯んだ所を、相手のくるぶしに右足首を引っ掛け、
「せいっ!」 肩から思い切り体当たりをぶちかます。
ずだんっ! 二人目は先の黒服の上に、もんどりうって倒れた。「うぐぐ……」

睦月がすすっと後ろに下がり、間合いを取ったとき、「お見事です」 唐突に声がした。
倒れる黒服の後ろに、これも黒い礼服(?)に身を包んだ若い男が立っていた。
整った顔立ちに、微かに微笑みを浮かべている。
(うむっ!? いつの間に? 気配はなかった。何者!?)

「龍門渕家の執事です。透華お嬢様にお仕えしております。ハギヨシ、とお呼びください」
ハギヨシと名乗る二枚目は、睦月の心を読んだかのようにそう言うと、右手を胸元に当てて、
恭しく礼をした。(龍門渕家? どういうことだ?)

「衣様がどのようにおっしゃったのかは判りかねますが、誤解されていることは間違いない
ように思います。ですが、事は急を要します。ここは引いてはいただけませんか」

「……天江さんは、狙われてるって言ってました。あなた方は龍門渕に敵対するものであり、
自分をさらい、龍門渕透華さんを脅そうとしている、と」

「衣様をお守りしようとしてくださったのですね。感謝に堪えません。
しかし全ては、不運なすれ違いから生まれた誤解なのです。後ほど必ずご説明いたします。
衣様は昨晩より体調を崩されておりました。一刻も早く保護し治療に当たらねばなりません」

「確かに天江さんは発熱していますが、私の先輩がお医者様の処へ連れて行く手筈です。
それに第一、あなた方が龍門渕の人間であると、証明出来るのですか?」

「今すぐ透華お嬢様に連絡を取ります。お話を聞いて頂ければ」 携帯電話を掲げた。
「龍門渕透華さんとは、二言三言、言葉を交わしたことがあるだけです。電話越しの声だけで
は、本当に龍門渕さんかどうか、私には判断できません」

「では、今この場ですぐさま証明することは出来ません。……信じてはいただけませんか?」
「……私は、あの子の、天江さんの言葉を信じると約束しました。裏切ることはできません」
553鶴賀血風録 B ◆by6Stw9WCY :2011/10/01(土) 11:22:03.41 ID:EPXOZ42M
「では、どうあっても」 「はい。通しません」
「……止むを得ません」 ハギヨシは嘆息し、一歩前へ出た。同時に睦月は一歩下がる。 

(こういう駆け引きは苦手だ。先輩なら、もっとうまく時間稼ぎが出来るんだろうな。
うむむ、こんなんで新部長って、何か申し訳ない)

「痛つつっ、いや、今どきこんなお嬢ちゃんがいるとは……たいした気概ですな」
腰をさすりながら、のっそりと黒服が身を起こした。戦闘不能にするほどのダメージを与える
ことはできなかったようだ。(やはり、か……)睦月が身構える。

もう一人の黒服が、こちらを見据えつつ腰を上げ、ハギヨシに言った。
「あたた、ふぅ、ハギヨシさん、この子は何やら使うぞ。やりおる」
「……そのお方は、津山道場の御息女です」

(む!? 私を知ってるのか?)

「おお、津山道場! なるほどですな」 「鶴賀新陰流か! どうりで」
立ち上がった黒服2名が、懐から得物を取り出した。特殊警棒のようだ。
カシャンと一振りして刀身部を伸ばし、腰を落として低く身構えた。

物騒な連中だ。やはり衣を引き渡すわけにはいかない。
正直、怖い。試合でも稽古でもない。実戦などはじめてだ。小刻みに膝が震える。
しかし不思議なことに、気持ちの芯の部分、心持ちは泰然としていた。

禍々しい鉄の棒は、それ自体が殺気をはらんでいるように、鈍く黒光りしている。
重そうだ。打たれれば、ただでは済むまい。当たり所が悪ければ、おそらくは、死……。

(本気にさせてしまったか、うむ、致し方なし。……それにしても、濡れたシャツが肩に張り付
くというのは、どうにも気持ち悪いものなのだな。少し動きづらいかな)
睦月は暢気にそんなことを考えている。小さく肩を回す。充分動く。よし。

なまった体は、既にあちこち悲鳴を上げていた。
舐めて掛かられているという優位も、もう無い。
先程の戦闘は制したが、彼らが特別な訓練を積んだ人間だということもわかる。
しかも黒服の下に防護服のようなものを着込んでいるらしい。そういう手応えだった。

パワー、体格、共に圧倒的に睦月を上回る屈強な大人が武装し、本気で向かってくる。
立ち向かうなど、無謀の極みだ。しかし、……引けない。

(うむ、引かない。先輩たちが少しでも遠くへ、ここから、離れられるように!)

これ以上トップスピードで動き続けることは難しい。出来てもあと一、二撃が限界だ。
おそらくは闘技に通じた男性3名に、同時に力で押し切られれば、ひとたまりもないだろう。

全員にダメージを与え、隙を見て自分は逃げるなど、今の睦月には到底出来そうもない。
今更ながら、長きに渡り鍛錬を怠っていたことが悔やまれる。

今日、色々と過去に想いが至ったというのも、予感といえるものなのか。
話に聞く走馬燈とかと、似た類のものだったのかもしれないな……漠然と詮無いことを思う。

蒲原先輩は加治木先輩達と会えただろうか。天江さんを無事に安全な所まで連れて行けるかな。
うむ、先輩なら大丈夫だ、きっと。 ……先輩、どうやら私は、ここまでのようです。

(うむ……うむ、よし。是非もない。いざ、逝かん)

覚悟を決めた。今ひとたび、修羅となる。
しとどに濡れたシャツが重い。髪が額に張り付き、伝う雨が目に入る。だが、瞬きはしない。
棒きれを正眼に構え、既に息が上がっていることを悟られぬように、静かに気息を整える。
最期の一撃のために、丹田に気を集めた。せめて一人だけでもいい、倒すのだ。
554鶴賀血風録 C ◆by6Stw9WCY :2011/10/01(土) 11:27:03.62 ID:EPXOZ42M
「物騒なものは仕舞ってください」 黒服を押し退けるようにして、ハギヨシが前に出た。
「手出し無用に願います」 こちらを見つめたまま、言った。黙って黒服が下がった。

睦月はハギヨシを見て、とても立ち姿の美しい人だと思った。
どこも力まず、自然体だ。微笑みさえ浮かべているように見える。
だが、睦月を舐めてかかっているというわけでもない。事実、全く隙がない。

(強いな、この人……小手先の技なんて、通用しないな、きっと) ハギヨシは丸腰のまま、
まるで気安い友人に近寄るように歩を進め、無造作に間合いを詰めてくる。

(きれいだな。昔どこかで見たことあるな、これ。あれは……誰だったっけ?)
まただ。たまに何か思い出しそうになる。何かとても大事なこと。大切なこと……。

(うむ、そうだ、これって確か、……無形の位……で)
思考の途中で、ハギヨシが睦月の制空圏に入った。ほとんど反射的に反応した。

「けあっ!」 裂帛の気合いと共に、真正面に打ち込んだ。
奥義でも秘術でも何でもない。最短最速、ただひたすらまっすぐに。
ああ、思い出した、あのときだ。あの人が――。

(『 睦月ちゃん。私はね、活きるため、活かすため、……… 』)

ハギヨシの眉間に睦月の打突が達するかという瞬間、棒は空を切った。
ハギヨシは動いていない……かのように見える。
端から見れば、棒がすり抜けたように見えたかもしれない。

渾身の一ノ太刀をかわされた。とっさに小手を返し、下からすりあげるように二ノ太刀を
繰り出そうとしたとき、睦月の水月(※みぞおちのこと)にハギヨシの掌底があてがわれた。
背筋に戦慄が走る。

瞬間、気を水月に集積し腹圧を上げたと同時に、どすんっと重い一撃が背中まで突き抜けた。
水月を打たれたとき特有の悶絶の苦しみは無かったが、衝撃が波紋のように全身を巡った。

肺の空気が一気に抜け、続けて四肢の力が抜ける。膝が折れ、ぺたりとその場に尻餅をつく。
バシャッと水音がした。「ぅぶっ、がふっ」 胃液が逆流し、吐瀉物が胸元を汚した。

刹那の交錯である。すべては瞬きをする程度の間になされたことだった。

そのとき、かろうじて意識を保っていた睦月の耳に、信じられない声が聞こえてきた。
「むっきーーーーーーーっ!!!」 蒲原だった。
雨と涙で霞む目で、声のする方を見た。蒲原が全速力でこちらに向かってくるのが見えた。

「!!、 グッゲフッ、ゼッ、ハッ、ハァッせ、せんぱ……」
(せ、先輩、来ちゃ、だ、 め……) 声が出ない。動けない。蒲原がどんどん近づいてくる。
(う、動け! と、とめないと……) 歯を食いしばり、ハギヨシを仰ぎ見た。(あ……)

悲しそうな目で、睦月を見つめている。その額から、細く一筋の血が流れていた。

「むっきーーっ!! やいてんめえこのやろーっ!! よくも私の大事な×△○!□*……!」
此方に向かって走りながら、蒲原が何か叫んでいる。よく聞き取れない。視界が揺れている。

( あ れ、せんぱ わらって……ない ) 蒲原の激怒した顔など、初めて見た。

( だ めです よ  せ ぱいは いつも  わら  て  )

直後、スイッチをパチンと切るように、睦月の意識はすとんっと落ちた。

*********************
中編以上 読了感謝  次回、「睦月の剣・参 雨過天晴編」 へ続く  次で完結です
555鶴賀血風録 後書 ◆by6Stw9WCY :2011/10/01(土) 11:32:03.21 ID:EPXOZ42M
はい、お疲れさまでした ありがとうございました
秋ですねえ お腹空きますな おもち食べたいおもち
でもメタボるフォーゼには注意です 自戒  ああそんなことはどうでもよくて

丁々発止の乱闘にしようかと思ったんですけど、
いやいや、達人同士の闘いは、一瞬で決まるにちまいない、うむ キリッ
とか思い直しまして、前回の半分ですみました

さて次回、完結編です 果たしてむっきーの運命や如何に!
ワハハは? ころもちゃんはっ? 百合はーーっ!?

と一人で勝手に盛り上がりつつ、によによニヤけるばかなのであった
んで、胡桃ちゃんに「気持ち悪い」 って言われるのですハァハァ
ああ何言ってんだ  だる

ではまた 近いうちに
556名無しさん@秘密の花園:2011/10/01(土) 21:17:03.42 ID:ysrSrNDV
>>555
忙しくてこの板しばらく見てなかった。
レス付けられなくてすまんね。
続き期待してるよ!
557名無しさん@秘密の花園:2011/10/01(土) 22:34:04.45 ID:/VaODQuT
ちょっとtest
558名無しさん@秘密の花園:2011/10/02(日) 15:17:07.09 ID:28nSKL8E
>>555
乙です
日曜にまとめて読もうと思ってて遅レスすまそ
相変わらず面白いです、続きお待ちしています

にしても人が減って寂しい限り
たまには自分も何か書いてみようかと思ったり思わなかったり
559名無しさん@秘密の花園:2011/10/05(水) 17:37:39.67 ID:l3Ysny7E
アニメ化が斜め上の展開してた
560名無しさん@秘密の花園:2011/10/05(水) 22:39:32.84 ID:/xJzUhOn
単行本待ちだから詳細は知らないが、阿知賀キャラって和の元同級生なのか。
結構面白そうだけど、それを来春アニメ化するのは無茶な気がするなぁ。
最低でも12〜13話のストックなんて確保できるんだろうか。
561名無しさん@秘密の花園:2011/10/05(水) 22:45:29.04 ID:N6sf+CBs
まさかの阿知賀編……
562名無しさん@秘密の花園:2011/10/05(水) 22:46:53.15 ID:ilbjI1eN
アニメ・漫画阿知賀編の終了と本編阿知賀戦の決着を重ねるつもりなんじゃね
563名無しさん@秘密の花園:2011/10/06(木) 01:45:00.29 ID:VOWmfans
>>559
そう?
前号の予告でシズと咲さんが一緒に載ってたからある程度想像はついたけど
564名無しさん@秘密の花園:2011/10/06(木) 19:36:45.45 ID:6dU4syBV
あれほどキャプテンを先頭に四天王で押していくしかないと忠告したのに
需要調査をしたのか疑問だな
565名無しさん@秘密の花園:2011/10/07(金) 08:12:34.13 ID:HHAfotfR
>>560
アニメオリジナルばんばん入れるだろうさ。
漫画版自体アニメありきで企画されてるわけで、
すなわちテキストが原作じゃない。
566名無しさん@秘密の花園:2011/10/07(金) 12:03:36.22 ID:gHgF+sne
2期やるストックがたまらんのでお茶にごしでしょ
立たん描くのは遅いがプロットなら一杯あるっぽいし
567名無しさん@秘密の花園:2011/10/07(金) 13:05:05.94 ID:4VLFQGX0
二回戦まででアニメ化すりゃいいのに
1クール分くらいは来夏までにできるでしょ
568名無しさん@秘密の花園:2011/10/07(金) 13:25:37.08 ID:EKG1X6L3
立を甘くみない方がいい
569名無しさん@秘密の花園:2011/10/07(金) 13:57:34.41 ID:4VLFQGX0
>>568
毎年17話掲載してますな
570名無しさん@秘密の花園:2011/10/07(金) 19:29:00.74 ID:LBG7i6aL
斜め上どころか地の底だよ
ふざけんな、責任者出て来い
571名無しさん@秘密の花園:2011/10/07(金) 19:44:08.12 ID:izMMS9rK
いい加減スレチなんで他行けよ
572名無しさん@秘密の花園:2011/10/07(金) 20:47:34.98 ID:4VLFQGX0
>>570
来週発売のガンガン読んで怒りを鎮めて!
573名無しさん@秘密の花園:2011/10/09(日) 05:14:02.80 ID:vgKpPffN
咲と霞さんが来月くる
なんか妖しい二人みたいな感じで萌える
574名無しさん@秘密の花園:2011/10/09(日) 05:30:56.41 ID:WhvP6May
百花繚乱ね…
575さむらい睦月 序 ◆by6Stw9WCY :2011/10/09(日) 09:31:30.75 ID:0DjmjCeF
このままいったら冬眠だって可能なほどに、食欲の秋ー  やべえまじやべえ
いきなりさておき、おはようございます ばか参上つかまつり

>>556 さん、いやそんな、恐縮です ありがとうございます
>>558 さん、いやホント、恐縮です ありがとうございます SS投下、是非お願いします
wktk期待してますです

阿知賀編がアニメ化とのこと 一期のようにゆりゆりしてるといいな  おもち!
再放送みたんですよ、傑作選 なんじゃろねーこのワクワク感 DVD持ってるのにねえ

さておき、副将戦終了しましたな
絹ちゃんがんばったなぁ きっとおねーちゃんがアメちゃんくれるで うんうんええ子や
ハッちゃん、涙目のあなたは輝いてましたw またの活躍に期待大ですよー
塞ちゃんカッコよかったし、のどちゃんはもう何も言うことありません かわええ ホゥ! 

いよいよ咲ちゃん出陣だ! 大ゴマどーんで「いってきます」 って、うひゃーカワイイ
はい、いっちゃってください咲サンッ いっちょハデにリンシャンかましたってくださいっ!
恐れおののけ全国のつわものどもよーっ! これが宮永さんちの咲ちゃんだーっ!

一方その頃、白糸台の控え室ー、
「照、ほら清澄の大将、映ったぞ」 菫によによ
「べっ、べ別に、かか、関係ない」 指先プルプル、マグカップに角砂糖をポチャン
「……照先輩、それ、日本茶です」 尭深ため息

咲ちゃんのあまりの可愛さに、動揺を隠しきれないてるてるおねえちゃんなのでした

ああ、また前置き長い はいそうです、SS投下でございます
サムライむっきー完結編、7〜8レスにてござ候   どぞ
576さむらい睦月 @ ◆by6Stw9WCY :2011/10/09(日) 09:36:21.46 ID:0DjmjCeF
出 演:むっきー&チームワハハ、ハギヨシ、ちらっとモンプチ団、その他エキストラの皆さん
百合分:負けなーいから エロ:負けなーいよと ばか:笑ふー あははうふふ

≪前回までのあらすじ≫
衣と蒲原を逃がすため、睦月は雨中の決闘に臨んだ。一度は勝利したが、忽然と現れた
3人目の男、ハギヨシに奮闘むなしく敗れてしまう。丁度そこへ蒲原が駆けつける。
驚く睦月。先輩が危ない! しかしそのとき無情にも、睦月の意識は遠退いていった……
********************************
「 睦月の剣・参 雨過天晴編 」


――…… 夢を見ていた。
小さな自分がいる。まだ髪は肩まで届いていない。10歳くらいの頃か。
道着を着ている。いそいそと道場に向かって行く。何だか楽しそうだ。

「おはよう、睦月ちゃん」 「おねえちゃん、おはよう!」
十代の半ばと思われる女性と挨拶を交わす。長い髪を後ろで一つに束ねている。

ああ、懐かしい。この人は、大好きだったお姉ちゃん。名前は……あれ、何だっけ?
ある日突然道場に現れて、よく稽古を共にした。ブレザーの制服がよく似合っていたな。
強くて、優しくて、そしてとても綺麗だった。
そうだ、この人にあこがれて、私は髪を伸ばし始めたんだった。

一度だけ、家に泊まっていったことがある。夜遅くまで、おじいちゃんと話し込んでいた。
「おじいちゃんずるい。お姉ちゃん独り占めしてさ」 一緒にゲームとか、遊びたかったのに。

二人のいる部屋の外で、聞き耳を立てた。微かに声がもれ聞こえてきた。(龍門渕…お役目…)
何か難しい話をしているようだ。「これ睦月、はしたない」 ガラッと襖が開いた。ひゃっ
おじいちゃんが苦笑いしている。お姉ちゃんもくすくす笑ってる。

その後、一緒にお風呂に入って、布団を並べて一緒に寝て……楽しかったな。
「おねえちゃんは、正義のお侍さんになるの?」 「ええ? う〜ん、どうかな……」
「凄く強くて、かっこいいもん! なれるよ! うむ!」 「あはは、ありがと。でもね…」

今度は朝の道場に立っている。次の日の朝だ。そして最後の朝だ。この日を境にお姉ちゃんは
道場に来なくなった。私は竹刀を構えている。正面に制服姿のお姉ちゃんがいる。

「やあっ」 丸腰のお姉ちゃんに向かって、竹刀を打ち込んだ。何やってんの? 私。
次の瞬間、気づくと竹刀がない。お姉ちゃんが竹刀を持って、にこにこ笑ってる。

「あれー?」 「うふふ、ね。まだ全然なってないけど、これが無形の位ってやつ」
「それが、活人剣?」 「う〜ん、そう言う訳じゃなくて、何て言うか……」

そうだ、お姉ちゃんは、活人剣を掴みたいって言ったんだった。それって何?って私が
しつこく訊いたから……。

「昔のお侍さんの書いた本にね、あった言葉なの。多くの善良な人を生かすために悪者を
やっつけるのは、活人の剣である、みたいなことだったかな。その人は戦国時代っていう
修羅の地獄に身を置いていた人だから、その言葉にも重みというか、覚悟や気概を感じるわ。
でも私が掴みたいのは、そういうんじゃなくて……う〜ん」

「何ていうか活力を与え且つ貰い……、いや打ち合うことで高め合うという極意……いやいや」
何だか難しくてぽかんとして聞いていた。お姉ちゃんは、腕を組んで考え込んでしまった。

「ごめん、上手く言えないや。でもね、私は剣を振るとき、決めていることがあるの」
屈んで私の顔を覗き込むようにしてから、にっこり笑って、お姉ちゃんはこう言ったんだ。
「睦月ちゃん。私はね、活きるため、活かすため、そのためにこそ――……」

 ……―― 強く まっすぐに 打ち込むの
577さむらい睦月 A ◆by6Stw9WCY :2011/10/09(日) 09:41:21.15 ID:0DjmjCeF
* * *
「……おねえちゃん……」 ぼんやりとした視界が、徐々に焦点を結んだ。(ここは……)
「むっきー! 気づいたか! だいじょぶか? 私がわかるか?」 蒲原の顔が正面にあった。
「あ、せんぱい……」 (せんぱいわらってる、よかった。あれ、でもちょっと涙……) 
睦月が目覚めた場所は、病室だった。4人部屋のようであったが、他のベットは空いている。
ドアは無く、各々のベットの周りをカーテンで仕切る形である。窓が開いていて、涼しい風が
入ってくる。雨は上がったようだ。

「先輩、ここは……?」 「うん、龍ノ門病院だ。むっきー気を失っちゃったんだぞー」
県内最大の総合病院だ。確か龍門渕系列だった。(ええと、私、何でここに……)
「……っ! せっ先輩、誘拐犯は? あ、天江さんは? 先輩は大丈夫なんですか!?」
「ワハハ、落ち着けむっきー、大丈夫だ。みんな無事だよ。心配ない」
ベットから起き上がろうとした睦月を、優しく抑えて蒲原が笑った。

興奮する睦月を宥めながら、蒲原が事の次第をざっと説明してくれた。
睦月は上半身だけ身を起こして、蒲原の話を聴いた。
まず衣は、別室で治療中ということだった。肺炎を起こしかけていたが、容態は安定している
らしい。一安心だが、数日入院することになりそうだという。

黒服と、そしてハギヨシと名乗る男達は、真実、龍門渕の関係者だった。黒服たちは、
龍門渕セキュリティサービス(RSS) という警備保障会社のエージェントとのことだ。
ハギヨシは、本人の言う通り、龍門渕透華の執事であった。

黒服たちが出奔した衣を保護する目的で探索をしていたところ、丁度蒲原の車に乗り込む場面
に出くわし、すわっ、誘拐か! と慌てて荒っぽいことをしてしまったらしい。
お互いが相手を誘拐犯と思い込んでいたということになる。

衣が行方をくらますのは珍しいことでは無く、その探索と保護は本来ハギヨシの仕事なのだと
いう。衣本人にしてみれば、散歩感覚みたいなものなのだろう。
但し、今回の家出は、そのハギヨシの留守中に決行され、しかもいつもと違って、書置きがある
など、本気っぽかった。龍門渕家は大騒ぎだったそうだ。

「天江さん、嘘ついてたんですね……。でも、あんなに仲が良さそうなのに」
合宿での5人は、単に仲良しの友達というよりも、まるで本当の家族みたいに見えた。
「まー、細かい事情までは、よくわからんがなー。話、聞きそびれちゃったしな。
ま、いろいろあるさ。絆が深いと、余計にそんなもんかもしれないよなー」
(大丈夫かな、天江さん。……早く元気になるといいな)

蒲原がゆみ達と合流したとき、ゆみの対応は冷静だった。蒲原は佳織に衣を押し付けながら、
「ゆーかいはん! むっきー闘ってる! ころもびょーき! お嬢に連絡! たのむっ!!」
一方的にまくし立てて駆け戻って行った。詳しい状況もわからないまま、ゆみはすぐさま
目立ちにくい場所に移動し、透華に連絡を取った。
人探し風の怪しい人間(RSSの別働隊と思われる)が周囲をうろついていたが、そのとき
モモの異能がフルに発揮された。ゆみたちを取り込んで、丸ごとステルスしてみせたのだ。

程なく矢張り衣の探索に出ていた透華たちと接触し、透華がハギヨシに連絡を取り、睦月たち
を回収して、この病院に来たのだという。蒲原はゆみたちが現れるまで、睦月を抱きかかえて
3人の男たちとにらみ合っていたそうだ。「いやー、生きた心地がしなかったぞー、ワハハ」
「……先輩、逃げてくださいって言ったのに、もう」 睦月がむくれた様子で言う。
本当は何だか凄く嬉しかったのだが、そうしていないと、今にも泣いてしまいそうだった。

「こーらむっきー」 いきなり蒲原がベットに腰掛け、睦月をぎゅっと抱きしめた。
「ふむむ、せんぷぁ、苦し…」
「つれないことゆーなよー。ホントに心配だったんだぞー。これでもし、むっきーに何かあった
りしたら、私もこの先、生きていけないよー」

「……ふぁい、ふみませ……」 駄目だ。泣いてしまった。
細くってちっちゃいのに、大きくってあったかい。(先輩、胸、ちゃんとあるじゃないですか)
目覚めてからはじめて、睦月は深く安堵のため息をついた。
578さむらい睦月 B ◆by6Stw9WCY :2011/10/09(日) 09:46:22.22 ID:0DjmjCeF
「おっと、つい話し込んじゃったなー。むっきーホントに大丈夫か? どっか痛いとかない?」
「はい、うむ、少しだるいですけど、他は特に何ともありません」
それを聞いて蒲原はワハハっと笑顔を作り、頷いてから言った。
「よし、もう少し横になって休むんだ。お医者呼んでくる。あ、ゆみちん達も連れてくるよ」

結局食事を抜く羽目になったゆみ達は、睦月が目覚める少し前に病院の食堂へ行っていた。
3人とも睦月の傍に居たいと言い張ったが、それほど心配いらないという医師の診断を受けて
蒲原が半ば強引に行かせたらしい。
「すぐ戻るから、いい子にしてるんだぞー、ワハハ」 そう言うと蒲原は病室を出て行った。

……よかった……みんな無事だった。半身を起こしたまま、睦月はじっと目を閉じた。

あのとき、先輩達を守らなきゃって思ったとき、驚くほど強い気持ちが湧き上がった。
不思議な感覚だった。本当に怖かった。でも怖くなかった。
あれで良かったのかどうかはわからない。結局のところ勘違いだった訳で、無用な争いをして
しまったことになる。だが、あのときは、こうするしかないと思って取った行動だった。

しかし結果としては、自身のみならず蒲原をも危険にさらしてしまった。やはり蛮勇であった
と言わざるを得ない。猛反省しなければならない。でも何故か後悔はしていない。矛盾してる。

うむ、つまるところ、私は自分勝手なのだ。尚且つきっと、あきれるほどに不器用なのだ。
今後も多分、そんなつもりは無くても、先輩や部の皆に迷惑を掛けたりしてしまうのだろう。
……でも先輩、ほんの少しだけ、甘えちゃってもいいですよね?

「お体の具合はいかがですか?」 いきなり声がして、びくっとしてそちらを見た。
少しベットから離れて、ハギヨシが立っていた。額に小さな絆創膏が貼ってある。
「あ、えっと、ハギヨシ…さん」 「……少し、お話ししてもよろしいでしょうか?」
「あ、ええ、はい」 ハギヨシはにっこりと笑い、ベットの脇まで近づいた。
双方しばし無言。なんだか気まずい。

「「申し訳ありませんでした」」 二人同時に頭を下げて、綺麗にハモった。
「ぷっ、ふふっ」 「くすっ」 顔を見合わせて、笑ってしまった。

「あの、何というか大変なご迷惑をお掛けしてしまって」 睦月が詫びた。
「とんでもない。お詫びしなければならないのは此方です。焦っていたとはいえ、なんという
ことをしてしまったのか……どうぞお許しください」
「いえそんな。私こそ、よくお話も聴かずに、他のお二人にもひどいことをしてしまいました。
うむ、謝罪しなければなりません」

「その必要はありません。彼らも武人です。寧ろ二人とも、大変感心しておりました。
さすがは津山道場、鶴賀流である、感服しましたと」 「そそそんな、わ、私は……ただ」
「何より、津山様の意気に感じ入りました、と。そのようにお伝えして欲しいとのことでした」
「夢中だっただけです。うむ、蛮勇です。恥ずかしいです」

「自分の娘に、爪の垢でも煎じて飲ませたい、とも言っていましたね」
ハギヨシがそう言うと、睦月は赤面して俯いてしまった。
「無拍子一ノ太刀、本当にお見事でした。紙一重でした。昔のようには、いかなかったですね」
「? あの……」 むかし?

「大きくなったね、睦月ちゃん」
いきなり、ハギヨシの声が変わった。低いテノールから、柔らかいアルトへ。女性の声へ。
「え?」 はっとしてハギヨシの方を見た。ハギヨシは優しく笑って睦月を見つめている。
この笑顔、……あ、ああ! あああああっ!!

「……は、はっ、萩原の、 お ね え ち ゃ ん っ !?」

「うん、久しぶりね。本当に、立派になって……」 ふわりと笑う。
「え? え? 何で? どどどうして? こ、声とかっ! む、胸だって、その」
「声色を変えるくらいはね、お庭番としては基本スキルよ。胸の方は……」
579さむらい睦月 C ◆by6Stw9WCY :2011/10/09(日) 09:51:20.64 ID:0DjmjCeF
ハギヨシがスッと自身の首元から下を右手でなでおろすと、シャツの前ボタンがはずれて胸元
が露わになった。さらしがきつく巻かれている。「ちょっと苦しいけど、もう慣れちゃった」
「どうして、そんなこと」 「ふふっ、こうしていた方が、何かと都合が良かったりするの」
今度は逆に下から上へ手を滑らせた。シャツのボタンがきちんと止まっていた。手品の様だ。

懐かしさと戸惑いと、いろんな想いがごっちゃになって、睦月の頬をほろほろと涙が伝う。
(何だか私、泣いてばっかりだ)
ハギヨシは屈んで睦月の顔を両手で優しく包み込み、親指でその涙を拭った。

「大きくなっただけじゃないね。うん、綺麗になった」 「う、嘘」
「ほんと。もともとすごく可愛かったけど、最初見たときはあんまり美人さんなんで、
睦月ちゃんって、すぐにわからなかった。ごめんね」 優しくこつんと、おでこをくっつける。

「……どうして私、忘れてたんだろう。私、ひどい奴だ。おねえちゃん、大好きだったのに」
「違うの。私のせいなの。最後の日、睦月ちゃんに少し暗示をかけたの。……私のことなんか
忘れた方がいい、その方がいいって思ったから」 「そ、そんな! そんなのって」

「うん、ごめんね。ひどいことしたのは私のほう。私が馬鹿だったね」
「たまに何か、大切なこと忘れてるような気がしてた。おねえちゃんのことだったんだ……」
優しく頬をなでるハギヨシの手に、自分の手を重ねた。柔らかくて、あったかい。
懐かしい、大好きなお姉ちゃんの手だった。

ハギヨシの正体(?)は、龍門渕でも限られた極少数の者しか知らないとのことだった。
「内緒にしてね? うふふ」 お姉ちゃんはそう言って、悪戯っ子みたいに笑った。

* * *

「ツモ。4000オールです、うむ」 「あちゃー、まくられたー。ワハハ」
ここは鶴賀学園、麻雀部部室である。実は空いている資料室を間借りしているだけだが。
しかし今その部室の中央には、最新型の全自動麻雀卓が、どどんと鎮座ましましていた。
プロのタイトル戦で使用されているのと同タイプのものだ。龍門渕透華からの贈り物である。
せめてもの侘びの印に、ということだった。
……―――

『此度の家中の者の不始末、全てわたくしの不徳の致すところです。どうかお許しください』
病院を出るとき、龍門渕透華は深々と頭を下げた。ちょっと意外だった。
彼女の威風堂々とした態度を傍から見ていて、もっと尊大な人だと勝手に思ってた。
そう言えば以前、本物の上流は得てして腰が低くなるものだ、って、師匠が言っていた。

それから十日程して、学校に突然、井上純と衣が全自動卓を持ってやってきた。
こんな高価なものをほいほい受け取っていいものかどうか、鶴賀の面々が逡巡していると、
困ったように笑いながら、純が言った。

「侘びと言っちゃあ何だけど、受け取ってくれよ。本当にすまなかったと思ってるんだ。
今日も透華本人が来る予定だったんだけど、アイツもいろいろと多忙でね」
ネット麻雀中心だった部活が、これからは実戦形式で行える。有難く受け取ることにした。

衣は純の影に隠れ、純の服の裾を掴んで、ずっと俯いてもじもじしていた。彼女は自分のついた
嘘で、多くの人、取分け蒲原と睦月に迷惑をかけたことを、強く後悔していたのだ。
「ほら、衣」 純に促されて、顔を上げた。「う……、あの、さとみ、むっき」

「天江さん、体調はどうです? もうすっかりいいの?」 「う、うん。もう平気だ。むっき」
「ワハハ、どうだい? いろいろ辛かったみたいだけど、何とかなったかなー?」
「う、うん。とーか達と、いっぱいお話した。……ころもが愚かであった。ごめんなさい!」
ぴょこんと頭を下げた。

「ワッハッハ、なー? 大丈夫だったろー? ちゃーんとご飯食べて、デーンと構えてりゃ」
「うむ、大概の事は、実はどーってことなかったりするんです」 睦月がうんうんと頷いた。
「ワハハこらむっきー、それ私のセリフだー」 小さな部室が、大きな笑い声で一杯になった。
580さむらい睦月 D ◆by6Stw9WCY :2011/10/09(日) 09:56:22.74 ID:0DjmjCeF
* *
「むっき、むっき!」 その日の帰り際、衣が睦月の服の裾を引っ張り、手を口の横に添えて
耳打ちしたいような身振りを示した。「うむ? なんですか?」 睦月が屈んで顔を寄せると、

 ちゅっ

いきなり睦月の頬にキスをした。
「おっ」 純がニヤニヤしてこっちを見ている。「えっあ、あああ天江さんっ?」
「……むっきは、ころものために命懸けで闘ってくれたと、ハギヨシから聞いた」
白磁の頬を朱に染めて、上目使いに潤んだ瞳で睦月を見つめている。ぐはっ、かわいい。

「いや、あああれはその、夢中で」 カーっと睦月の顔に血が上る。
「ありがと、むっき。この恩は、生涯忘れぬ。あ、さとみにも感謝しているぞ」
「なーんか、ついでみたいだなー、ワハハ」 「ん? さとみもちゅーしてほしいのか?」
「ワハ、いいの?」 「「だ、だめっ!」」 何故か佳織とハモってしまう、睦月なのだった。

―――……
「これで、むっきーが連続トップかー」 「津山は一皮むけたな。来年が楽しみだ」
蒲原が笑い、ゆみも微笑んで睦月の勝利をたたえた。
「あ、ありがとうございます。がんばります! うむ」
気休めや適当を絶対に言わない人だ。ゆみに誉められると、蒲原やモモに評価されるのとは
また違った、格別の感慨がある。

「ほんと、むっちゃん先輩急に上達したっすよねー。……でも惜しいっす」 モモが腕を組み、
難しい顔をして言った。「むっちゃん先輩には、まだ足りないものがあるっす」
「む! 何だ、私には何が足りないんだ、モモ」 下級生だが、麻雀ではモモは格上の先輩だ。
「教えてくれモモ! 強くなりたいんだ! うむ!」 その意見は、大いに参考としなければ。
二人のやりとりを見て、蒲原がゆみの方を見た。「?」 ゆみは肩をすくめて、首を傾げた。

「むっちゃん先輩に足りないもの……それは、ズバリ、”愛”っす!!」 「へ?」
「だから、愛っすよ、愛。英語で言うとLOVE、ラヴっす!」 「いや、つかその」
「やっぱり、むっちゃん先輩も、彼女つくるべきっすよー」 「か、彼女って、モモ」
「あれ? 彼氏の方がいいっすか?」 「い、いやそうじゃなくて」
「っすよねー、やっぱ彼女っすよねー!」 「いやだからモモ、そういう」

「いいすか、むっちゃん先輩。厳しい練習、そしてライバルたちとの闘いに明け暮れる日々、
それは高みを目指す我々の宿命っす。でも私達だってホントはいたいけな女の子……ときには
心折れそうになったりもするっすよね」 「はあ」 いたいけだったのか。知らなかった。

モモは身振り手振りを交えて、熱弁を振るう。生まれつき存在感がないとか、絶対嘘だろう。
「そんな傷ついた戦士を癒してくれるのは、いつだって愛するせ 恋人っす!」 「はあ」

「ワハハ、本音が一文字混じったなー」 「……」
ゆみが蒲原の視線を避けて、顔を背けた。耳が真っ赤だ。

「すてき! 賛成!」 佳織が賛同した。「か、佳織! お前まで」
「やっぱり大切な人がいると、すごいパワーが出たりするし、睦月さんにお相手ができれば、
智美ちゃんが睦月さんにちょっかい出すのも減ると思うし」 「一石二鳥ってわけっすね!」

「言われてるぞ、蒲原」 「……ワハハ」
蒲原がゆみの視線を避けて、顔を背けた。その頬に一筋、冷や汗が伝った。

「てなわけで、どうすか? 誰か気になる人とか、いないっすか? あ、先輩はだめっすよ」
鼻息荒くモモが迫る。何だかものすごく楽しそうに見えるのは、気のせいだろうか。

「風越の糸目さんは? カードで盛り上がってたみたいっすけど」
「いや彼女はコレクター仲間だと言うだけで……じゃなくてっ、あのなモモ」
「龍門渕のこどもさんは? こないだのあの熱い視線、あれは恋する乙女のものっすよー!」
「ちゅーもしてもらったしなー」 「せ、せんぱいっ、もう何言ってんですかっ!」
581さむらい睦月 E ◆by6Stw9WCY :2011/10/09(日) 10:01:22.50 ID:0DjmjCeF
「そういえば睦月さん、あの人とか気になるって言ってませんでしたっけ? ほら、平滝高校の
え〜と、南場に強いって……」 佳織もノリノリである。
「ええ? いやあれは打ち筋とかが気になるって意味で……」

「ああ、確か南浦数絵さんって人っすね! ふむ、ポニテカポー……いいかもしれないっす!」
「いやあの、ちょっとモモ、話を聴いて」
「よし、まずはターゲットを絞り込むっすよ! 誰が一番むっちゃん先輩の嫁にふさわしいか、
じっくり検証するっす! 糸目さん、こどもさん、南浦さん、他にはいないっすかね?」
「あの、モモ、いや桃子さん、お願いだから話を」

「早速調査開始するっす! ふっふっふ、ここからは、ステルスモモの独壇場っすよーーっ!」
高らかに宣言し、部室から走り出ていった。

「モ、モモーーっ!!」 行ってしまった。救いを求めて、睦月がゆみに視線を送る。
「……すまん、津山。ああなったらもう止められん」
「ワハハ、まーいーじゃんか、むっきー。何か面白そうって痛っイテテテテ!」
睦月がぎゅーっと蒲原の脇腹辺りをつねった。

「?? 何で!? むっきー? イタタタタッ」 「……知りません!」 ぷいっと横を向く。
「愚か者め。いろいろと、自業自得だ」 あきれた様子で、ゆみが溜息をついた。
「む、睦月さん……?」 ひとり危機感を募らせる佳織なのだった。

「な、何でーー??」 蒲原が涙目で訴える。睦月はふくれっ面でそっぽを向いている。
(ホント、何でだろ) 睦月自身も戸惑っていた。(でも、悪いのは、先輩。うむ)

* * *
「まったくもう、モモの奴……」
黄昏時、睦月はぶつくさ言いながら、一人でいつもと違う帰り道を歩いていた。
参考書を買うために、ちょっと離れた大きな本屋に行ったのだ。結局、あれからモモは
部室に帰ってこなかった。何をしているのやら、かなり気になる。

それとなく注意しておく、と、ゆみは言ってくれたが、何だかんだであの人もモモには甘い
ところがあるし、効果があるのかどうかは怪しい。
蒲原は、佳織にしがみつかれるように腕を組まれて帰って行った。ちょっと佳織に睨まれたよう
な気がするのは、気のせいだろうか。(……何でだろ?)

「ま、なるようにしかならないな、うむ」 周囲の家々から、夕餉の香りが漂ってくる。
あ、お味噌汁のにおい……む、こっちの家はカレーか、いいな。くぅっとお腹が鳴った。
「早く帰って、ご飯食べて、デンとしよう。うむ」 言葉だけ聞くと、何か太りそうだ。
背筋を伸ばし、歩みを速めようとしたそのとき、「津山さん?」 後ろから声をかけられた。

「やっぱり! 津山さん、久しぶり!」
振り向いた睦月のもとへ、制服姿の少女がぱたぱたと駆け寄ってきた。
「元気だった? 私のこと、覚えてますか?」 愛嬌のある笑顔で、明るく語りかけてくる。

「……あ、ああ剣道部の!」 中3のときのあの事件、あのときの同級生だった。
少女はにっこりと笑って頷いた。うむ、やはり笑顔が似合う。少し大人っぽくなったかな?

「ね、ほら、やっぱり津山さんだったよ!」 来た方へ振り向き、辻へ向かって声を掛けた。
辻の角、塀の向こうから、ゆっくりと長身の少女が姿を現した。同じ制服を着ている。
「あ、主将……」 睦月と対決した、女子剣道部の主将だった。肩に竹刀袋を担いでいる。

主将が睦月へ歩み寄り、同級生を挟んで対峙した。
「久しぶりだよねー。2年ぶり? 津山さん、髪伸びた?」 「………」 「………」
「あ、私達、裾花の剣道部なの。津山さんは鶴賀だよね?」 「………」 「………」
「もー、二人とも、何かしゃべってよー」 「あ……えと」 「う……うむ」

「「あのときは、ごめんなさい」」 ハモった。最近多い。
一瞬間をおいて、三人とも笑った。
582さむらい睦月 F ◆by6Stw9WCY :2011/10/09(日) 10:06:20.80 ID:0DjmjCeF
「テレビ、見てた。麻雀の……県大会」 主将がぽつりと呟いた。
「すごかったよね、初出場で決勝戦! やっぱり津山さんはすごいなーって言ってたの」
「え、いや、私など」
「この人なんかね、先輩たちが、どうせ龍門渕か風越だって言ってるのに、絶対鶴賀だって
言い張って譲らなかったのよ。鶴賀には、本物のサムライがいるからって」
「い、いや、結局負けてしまったし。私も先鋒という重責を全うできたとは、思えない」
「……そんなことない。かっこよかった。あんたやっぱ、すごい」
「え、いや、その……ありがと」 顔が熱くなる。

「あ、あの! 喉、平気?」 「ん? ああ、大丈夫」
「平気平気! この間も練習試合の打ち上げで、カラオケ4時間、熱唱余裕でした!」
「そうなんだ。ふふ」 よかった。ほんとに。
「この人の十八番ね、『恋はイーシャンテン』 なのよ。意外とかわいい声出すの」
大分前にリリースされた小鍛治プロのデビューシングルだ。睦月も大好きな歌だ。でも、
小鍛治プロ本人にとっては、黒歴史らしい。時折、福与アナに格好の弄るネタにされている。
「意外とは余計だろ、こいつ!」 主将が同級生の頭をぐいっと押さえた。「きゃーっw」

三人でひとしきり笑った後、主将がまっすぐ睦月の目を見て言った。
「……あのとき、あたしは、一度死んだ。あんたに斬られて」 「! ……」
「驕り高ぶって、つまんないことに引っかかって馬鹿なことしてたあたしを、あんたは
バッサリやってくれた」 「う……む、私は」
「今のあたしが、あたしとして立って居られるのは、あんたのおかげだと思ってる」

にっこりと笑って言った。「ありがとう」
「……う」 ああ、また泣いてしまった。涙腺が緩くなっているのだろうか。俯いて涙を拭く。
ぐしぐし目をこする睦月を見つめて、主将と同級生が優しく笑った。
夕暮れの柔らかな光が辺りを包み、街角に佇む三人を、輝く金色に縁取っていた。
ゆるい坂道に沿って伸びた三つの長い影が、ゆっくりと一つになった。

裾花高校剣道部も、今年は全国出場を逃したとのことだった。来年度のお互いの健闘と、再会
を約して別れた。腕を組んで去って行く主将と同級生の後ろ姿を見つめて、ちょっといいな、
と思った。モモの言いたいことが、何となくわかる。

そのとき何故か、唐突に蒲原の顔が想い浮かんだ。『ワハハー むーっきぃぃー』(エコー)
「い、いやいやいや、ないない! ないから! うむ!」
何故か赤面しつつ独り言を言って、ずんずんと大股で帰路についた。

* * *
早朝。まだ夜が明けきっていない。睦月は道着に身を包み、道場へと続く薄暗い廊下を進む。
背筋を伸ばし、凛とした表情だ。手に木剣を携えている。程なくして到着し、道場の木戸を
静かに開ける。師範が中央奥に座している。
黙礼して入場。神前に一礼。師範の前に正座し、一礼。

「……ふむ」 師範である祖父が、じっと睦月の顔を見つめた。
「10年くらいは掛かるかと思ったがなあ。存外早かったな。うむ」 にっこりと笑った。

悟った訳ではない。いろいろと吹っ切れたというのも、少し違うように思う。やはり内面は
不安や焦燥で一杯だ。でも、これがきっと、私の心の基本形なのだ。それで当たり前のかたち。
不安なら不安のままでもいい、だけど、当たり前のことで悩むのは、もうやめた。

師範が立ち上がる。睦月も立ち上がって、静かに木剣を正眼に構えた。
「なまっとるだろう。軽く行くか。素振り一千本! はじめっ!」

そして、決めたのだ。 私はこの先、ずっとずっと、剣も、牌も―― 「やあっ!!」

 強く、まっすぐに打ち込むんだ! うむ!

********************
以上 「睦月の剣」 三編完結 読了感謝
583さむらい睦月 後書 ◆by6Stw9WCY :2011/10/09(日) 10:11:23.41 ID:0DjmjCeF
はい、お疲れさまでした
長いお話にお付き合いいただきまして、ありがとうございました

不器用だけど真面目で誠実で、自分のことより他の誰かのためにこそ、一生懸命になれる、
そんなむっきーをイメージして書いてみました 前中後編、いかがでしたでしょうか

それから、このスレ的には許される筈、と、思い切ってハギヨシ女性説に踏み込んでみました
びっくりした? フヒヒびっくりしましたかぁー? ふはははははヒャッハーーッ!
……あ、そんなでもないですかそうですか

好き勝手もここまで来たら怒られそうですが、あれだけ謎の人ならアリではないかと
ここだけのお話ってことで、ご容赦賜りたくお願い申し上げ候 よーそろー

さて次はどうしよう やっぱりあほなコントかな 誰を犠牲…ゲフンッ、主役にしましょかねー
みんな魅力的で迷うわい ではまた
584名無しさん@秘密の花園:2011/10/09(日) 17:13:07.43 ID:WhvP6May
>>583
乙ですー
超展開も斬新かつ自然な感じで良かったですよー
阿知賀編のアニメ化は自分も楽しみです
百合分多目になることに期待w
585名無しさん@秘密の花園:2011/10/09(日) 21:10:05.07 ID:/Jx9Txnr
むしろ、阿智賀は百合にしかならないんじゃないか
初回だとちゃんと名前があるキャラは女しかいなかったはずだし

女主人公その他の相手は男じゃなからにゃならん!教徒用キャラの
中学ぐらいからのつきあいのくせに馴れ馴れしい似非幼馴染の福山の無駄遣いくんがいる本編と違って
最初から全力全開だし
586名無しさん@秘密の花園:2011/10/13(木) 06:52:04.43 ID:oRoUAV6Y
阿知賀に龍門渕キャラ登場か
これもいいものだ
587名無しさん@秘密の花園:2011/10/13(木) 13:18:11.28 ID:c7oi5WKl
灼ちゃん絶対デラックスツインでレジェンドと朝までやってるよね
588名無しさん@秘密の花園:2011/10/13(木) 15:44:50.92 ID:txp+KF/n
こーすこ分が欲しい
589名無しさん@秘密の花園:2011/10/13(木) 18:09:39.95 ID:8zLLSRk+
>>587
ハルエに夜這いをかける灼ちゃん
寒いからと玄ちゃんのベッドに潜り込み身体を温めあう宥ちゃん
穏乃を襲いたいけど関係が壊れるのが怖いので眠れない夜を過ごす憧
まったく阿知賀は百合畑だぜ
590名無しさん@秘密の花園:2011/10/15(土) 09:10:36.69 ID:qtzK5oIY
赤土が気軽に誘っちゃう
591小ネタこねった@:2011/10/17(月) 00:55:41.16 ID:2ICa/Vly
よしまいまいまーい こんばんわー こんな時間は久しぶりです

>>584 さん、感謝です ありがとうございます 新アニメおもち編、楽しみですよねぇ

ああそうだ最新号売ってるしって、へろへろ笑いながら購入してですね、このぶ厚すぎるのは何
とかならんのかいと思いつつよっこらせって持って帰ってですね、さーて今月のおもちはって、
いそいそ頁をめくったらですね……

とととーかさまっ! ころもちゃんはじめちゃんともきーっ! じゅんのぉ、アーニキーーっ!
ああなんということでしょうか よもや阿知賀編でモンプチ団に会えるとは! 透華さまの
ご尊顔に拝することができるとは! 夢にも思いませなんだー 麗しのアホ毛キラキラ〜

はっ、つーことは、新アニメでもがっつりモンプチ団が出るっつーこと!? それってつまり、
もしかして、あゆむちゃんも出ちゃったりするですか!? うヒャッハーッ祭りだーっ!!

おおおちつけ、もちつけ自分ハァハァ いやびっくりす じっくり地方予選を描くものとばかり
もったいないなーと思ったりもしますが、晩成の皆さんが気の毒で仕方なかったりしますが、
ちなみに小走先輩がツボだったりしますが、アニメの絡みで色々企んでいるのでございましょ?
隠したってだめですよわかってますともフフふふフ 期待が膨らみまくりですよフフフのふ

スタッフさんは一期の勇者たちとのこと ふははは勝った 確信した すばらなアニメになる!
百合的に大勝利間違いなしだーっ! だらっしゃぁあああああああー! おらーーー!

ハァハァ、ば、ばか急加速ー つける薬もありませんがさておき、咲ちゃ……いえ、咲サン、
いやいや咲様、実に見事な魔王っぷり、さすがは絶対王者てるてるの妹君にあらせられますな

「あれがきっと、天江さんの言ってた嶺上使い……宮永、咲!」 ゴクリ しず冷や汗
「厳しい表情……雰囲気あるね。ただ者じゃないってのは、わかるよ」 憧も緊張の面もち
「……」(あうう〜、ここどこ? お手洗い、どこ? のどかちゃん、どこ〜?)

咲ちゃんは咲ちゃんなのでした……いやまあ、欠かせないお約束ですな

さておき、この変な気持ちを静めるために 変な奴が急遽変な小ネタを投下でございます
阿知賀編アニメ化記念? 軽めばか全開でお届けです ここも含めて2レスだけ  どぞ

******** 「 目指すべきもの 」 ********

「のどかもさ、今ここのどこかにいるんだよね?」 穏乃そわそわキョロキョロ。 
「そらいるでしょ。ちょっと落ち着きなってw」 苦笑する憧。
開会式直後、ここは会場出口付近である。会場からはける選手たちでごった返している。

「……」 (う〜ん、どうしよう。見つけちゃったんだけどなー、のどかちゃん)
玄が悩むには訳がある。式典の最中、遠くの列にのどかの姿を見つけたとき、すぐ穏乃と憧に教
えようとしたのだが、そのとき目に入ってしまったのだ。のどかが後ろに立つショートカットの
女の子と、しっかりと手をつないでいるのが。しかも式典が終わるまで、ずっと。
あれは確か、抽選のとき廊下ですれ違った、すんごいオーラを放っていた子だ。

(あれはやっぱり、なんというか、そうなんだろうなぁ……)
のどかにだって、今の学校で仲の良い友達くらいいるだろう。でもあれは、単に仲良しというよ
りも、もっと親密な間柄だというのがまるわかりな光景だった。

憧はともかく、穏乃ののどかへのこだわりは相当に強い。玄にはそれが、一種恋心に近いように
も感じられる。(……やっぱり、今はまだ……それにしても、のどかちゃん、大きくなって)
「玄さん、どしたん?」 はっと気がつくと、穏乃の顔が目の前にあった。

「ひゃっ? あ、ああううん、なんでもないよ、あははは」 アセアセ。
「? ……でものどか、ホントでっかくなっちゃったよねー(その存在が)」
のどかは今や超有名人だ。前号の麻雀Todayにも、写真がバーンと載っていた。
「そうだねー。本当に、立派になって……(おもち……)」 わきわき。
592小ネタこねったA:2011/10/17(月) 01:00:46.13 ID:2ICa/Vly
「あーでも、のどかに会ったらなんて言おう。なーどーしよー、あこー」
「知らないよ、だから落ち着けっての。どのみち決勝いかなきゃ戦えないんだよ」
「そりゃそーだけどさー」 まったく、二言目にはのどかのどかってコイツは。

そりゃ私だって、のどかに会いたい。小学校の友達が全中チャンプって、衝撃的だった。
一緒に卓を囲んでたひらひらフリルのおっぱい転校生が、いきなり自分の夢見てた頂点に立って
TV画面に現れたのだ。複雑だった。どこで差がついたんだろう。あの子は一体、どんな出会い
をして、どんな日々を過ごしてきたんだろう。

「でもさ、でも、奈良の阿知賀って見てさ、もしかしたら私たちかもって思ったりとかさ!」
「ないでしょ。大体あれから何年経ってると思ってんの。その間に、あんた一度だって連絡取っ
たりしたの? ……私も人のこと、言えないけどさ」 「あうっ、ううー……」

そうだ。コイツは私にさえ一度だってメールの一つもよこさなかった。自分からすればいいと
か、そういう問題じゃないのだ。バカみたいだけど、意地なのだ。のどかが全中で優勝したと
き、穏乃から電話がかかってきて、すごく嬉しかった。けどなんだか、腹も立った。

ホテルで穏乃はこう言った。「向こうが来ないなら、こっちも行かない」
まるで穏乃に対する私だ。ふざけんな。今まで私がどんな思いでいたのかわかってんのか、この
おばか。……わかりゃしないか。コイツはいつだってまっすぐ前を向いて、全力疾走だから。
そういうとこがまた、……好きなんだけど。
(でも、やっぱりなんかむかつく。 惚れた弱み? 冗談じゃないっ!)

バンッと穏乃の背中を叩く。「あいたーっ! な、なんだよー」
「目の前のことに集中しろ。こっちのブロックには千里山に、あの白糸台がいるんだ。他を見た
って、海千山千の強豪ばっかりだ。のどかのことばっか考えてて、勝ち抜けるほど甘かないよ」

「そ、そんなー、そればっかりってわけじゃ……」 きゅ〜ん。 「う……っ」
(くっ、出たな、子犬の目! それでいつも誤魔化されるけど、今回はそうはいかないぞっ!)
「あこ、なんか怒ってる?」 くぅ〜ん。 (ぉあうっ、くっ……や、やめろ、その目ーっ!)
「べべ、別にっ、怒ってなんかないよ! と、とにかく気ぃ抜くなってこと!」
「あはは、そうねー、まずは一回戦、がんばろー」 玄がにっこり笑っていった。

「うん! 一つ一つ勝ち上がって、決勝でのどかと思いっ切り遊んで、掴むぞ! 全国優勝!」
拳をぐっと握りしめる穏乃。
「うん、そうね! この手に掴もうっ! (あのおもちを!)」 わきわきわき。

「……ね、灼さん、何だろう、玄から邪な波動を感じる」 憧ジト目。
「あー…、玄、好きだからね。まるくてふんわりで柔らかいもの」 灼もっとジト目。

「……玄ちゃん、寒いよう」
「おも……はっ、ごめんごめんお姉ちゃん。おなか空いたねー、なに食べよっか?」
「……鍋焼きうどん」 「宥姉ぇ、今8月だよ。勘弁して」
「先生が待ってる。早く行くよ」 灼いそいそ。

「待ってろよー、のどかぁ!」 くるりと振り向いて、穏乃が吼える。
「しず、そっちお手洗いだよ」 いまいち締まらないのであった。いつものことだけど。

一方その頃、その化粧室――、

「ごめんねお待たせ、のどかちゃん……って、どしたの?」
「え? あ、いえ、なんだか今、名前を呼ばれたような気がしたんですが」
(なんだか、懐かしいような声、でしたね……)

****************
以上です はい、ありがとうございました うはは、勢いのままにお届けしました
ろくに推敲もせずにどーーんっとな! ははは サーセン しずちゃんて子犬っぽいっすよね
本編も大将戦始まるし、なんじゃろかこのはじまったーって感じ? 久々じゃのう
やーホントに困ったどうしよう これからどこを誰をネタにしようフヒヒ ではまたー
593名無しさん@秘密の花園:2011/10/19(水) 07:03:44.90 ID:0RkH+mWq
地雷でなけりゃいいけどな
あぐり絵はバンブーのきしょってセリフを思い出す
594名無しさん@秘密の花園:2011/10/19(水) 10:51:49.52 ID:LpiiQhjS
>>592
GJ!
和・穏乃・憧の関係は一見単純そうで
憧あたりがもやもやしてそうなのがいいですな
595名無しさん@秘密の花園:2011/11/01(火) 01:21:13.66 ID:jOv3oVba
レズェンド
596名無しさん@秘密の花園:2011/11/03(木) 02:38:36.38 ID:mXoqZRt+
レジェンドにハァハァしてそうな灼ちゃん可愛い
597名無しさん@秘密の花園:2011/11/03(木) 09:59:23.49 ID:lILCmTBg
抱きしめられて全身の力が抜けちゃう灼ちゃんかわいいよ灼ちゃん
598名無しさん@秘密の花園:2011/11/05(土) 23:45:19.41 ID:HBvhku16
宮永さん!宮永さん!宮永さん!宮永ぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!宮永さん宮永さん宮永さんぅううぁわぁああああ!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!宮永さんのおもらしパンツをクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えた!スリスリしたいお!スリスリ!スリスリ!太股スリスリ!カリカリスリスリ…きゅんきゅんきゅい!!
浴衣宮永さんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
連載再開して良かったね宮永さん!あぁあああああ!かわいい!宮永さん!かわいい!あっああぁああ!
MJ4ともコラボされて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!ネット麻雀なんて現実じゃない!!!!あ…コミックもアニメもよく考えたら…
宮 永 さ ん は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!そんなオカルトありえませんんんんんぅぁああああ!!
この!ちきしょー!やめてやる!!麻雀なんかやめ…て…え!?見…てる?抱きかかえてくれた宮永さんが私を見てる?
宮永さんが私を見てる!宮永さんが私を見てる!宮永さんが私を見ています!!
宮永さんが私に話しかけてる!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ!
いやっほぉおおおおおおお!!!私には宮永さんがいる!!やったよエトペン!!ひとりでできるもん!!!
あ、コミックの宮永さああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
あっあんああっああんあ優希ぃい!!そ、染谷先輩!!部長ぅぅぅぁぁぁああああああ!!!
ううっうぅうう!!私の想いよ宮永さんへ届け!!浴衣宮永さんへ届け!
599むっきーランチ 序:2011/11/06(日) 20:10:01.63 ID:AUniUUgb
フンフン 気ーにしないの 手ーぶらではりはりー♪  …えっ、手ブラ?

……はっ、ああ失礼しました 来ました わしです バッサバッサ

>>594 さん、レスありがとうございます もやもや良いですよねー

イチャイチャ一歩手前の、モジモジやきもき大好物でして 何かもうにやけるのです
あ、もちろんイチャイチャも大好きでして、きゃっきゃうふふでニヤニヤによによ、
それはもう我乍ら気持ち悪いことこの上もなし 死して屍拾うものなし  梨うまー

>>598 あ、hrmrさんちーっす

さておき 良かれと信じて、SS投下でございます
今回のお話は、もう一回サムライむっきー、外伝です
でも、あほの子です ある意味戦いますけど、かっこ良くないです たぶん
5〜6レスにて、推して参る どぞ
600むっきーランチ @:2011/11/06(日) 20:14:50.18 ID:AUniUUgb
出 演:津山睦月とチームワハハ ほか
百合分:楽しいから勝ち エロ:あかんねんへたれんねん ばか:どや
「睦月の剣」 の外伝につかまつる サムライむっきー新たなる冒険? はじまりはじまり

***************************************
「 つるがごはん 〜鶴賀午餐騒動〜 」


「よっこらしょっと、ふぅ」 食材で一杯の荷物をテーブルに置いて、津山睦月が一息ついた。
丁度買い物から帰ってきたところだ。よく晴れた日曜の昼下がり、ここは津山家の台所である。

「うむ、よし。良い鯖が手に入った……って、あああ、違う! なに鯖買ってんだ私ーーっ!」
テーブルに手を突きがっくりとうなだれる。秋晴れの空高く、睦月の声が吸い込まれていった。

* * *

ことのおこりは、先週末の昼休み、麻雀部全員で、部室でお昼をとっていたときのことだった。
「むっちゃん先輩のお弁当って、なんか全体的に茶色いっすよね」 モモが唐突に言ったのだ。

「うむ? そうかな」 昨日の夕飯の残り物を中心に、適当にあり合わせたものだが、それなり
においしそうだと思うのだが。鮭のソテー、きんぴらゴボウ、出汁巻き玉子、ご飯に梅干し。
「っす。おばーちゃんの作ったお弁当みたいっす」 「お、おば……っ」 なにげにショック。
武士だの何だの言われたことはあったが、おばーちゃんは初めてだ。

「こら、モモ」 ゆみがたしなめる。「津山、すまん。気にするな。とても美味しそうだぞ」
「どれどれ〜」 蒲原がひょいっと睦月のお弁当からおかずを摘んで、ぱくっと食べた。
「うん旨いぞーワハハ」 「あ、それは祖母直伝のきんぴらでして、我ながら上手くできたと」

「私はむっちゃん先輩の為を思って言ってるんす! そんなんだから彼女できないんす!」
少しふくれっ面になりながら、モモが言った。 「モ、モモ、それはもういいってば、うむ」
「よくないっす。私はむっちゃん先輩にも、幸せになってほしいんす! いいすか、これは部の
為でもあるっすよっ!」 「ううっ」 よくわからないが、そう言われると弱い。

先月、モモは、睦月の彼女を探すのだー、と息巻いていた。
とりあえず候補として上がったのは、天江衣、文堂星夏、南浦数絵の3名だった。
ステルスモモの調査(何をしていたのかは不明)によれば、残念ながら、どうやら全員脈なしの
結果に終わったようだ。

「南浦さんに至っては、覚えてもいなかったっす」 「そ、そか、えと……すまん、モモ」
がっくりとうなだれるモモに思わず謝ってしまう睦月であったが、何だかほっとしてもいた。
「……考えてみれば、そもそも他校にターゲットを求めるというのが間違いだったかも。遠恋も
いいっすけど、新入部員とか、後輩に期待する方が現実的かもしれないっすね」 ふむふむと、
真剣な様子でモモが考察する。でも部員は随時募集中だが、希望者は今のところ現れていない。

「てなわけで、むっちゃん先輩、総合的女子力を磨いて、魅力的なお姉さまを目指すっすー!」
「? そ、総合的、じょしりょく?」 なんだそれ。
「そっす! 先輩、和風の美形すし、へたれだけど漢前っすから、あとは女子力だけっす!」
「? はぁ、あ、ありがとう?」 なんか誉められてるのだろうか? いや、へたれ?

「おい、モモ」 「まぁまぁ、聞いてみよーよ、ゆみちん。面白そうだぞ、ワハハ」
「たとえば見てください、かおりん先輩のお弁当!」 「ふぇえ? わ、私?」
いきなり話を振られた佳織が、あわわっとビクついた。その手前には、お弁当箱が二つ。

一つはハンバーグとタコさんウィンナーに、ふりかけご飯、もう一つはサラダとフルーツだ。
どちらも、それで足りるのか? と、心配になるくらいにちんまりと小さい。小鳥か。
佳織といいモモといい、何故これしきの量で、そのけしからん乳を維持できるのだ。謎だ。

「うむ……」 でも確かに女の子っぽい。比べると、自分の漆塗りの弁当箱がドカ弁に見える。
何か全体的な彩りも鮮やかだ。
601むっきーランチ A:2011/11/06(日) 20:19:50.52 ID:AUniUUgb
「てなわけで、課題を出すっす。週明けのお弁当、テーマは”彩り鮮やか女子ランチ”っす!」
「ええっと、それを作るのか? 私が?」 睦月おろおろ。
「 当 た り 前 っ す ! 」 腰に手を当て、むんっ、とモモが顔を寄せる。
「わわ、わかった、わかったよモモ」 何かこわいです桃子さん。つか、近い近い。
「ワハハ頑張れーむっきー。そだ、私の分も作ってくれないかなー」 蒲原は楽しそうだ。

「決まりっすね。では、審査委員長は元部長さんっす。カワイイのをよろしくっす!」
「頑張って、睦月さん。お野菜とかデザート増やすといいよ」 佳織が励ます。
「う、むむむむ……」 なし崩しに引けない空気になってしまった。腕を組んで考え込む。
「……ふむ」 そんな睦月を見つめながら、顎に手を添え、ゆみが小さく頷いた。

* * *

「うむ、まだ負けと決まった訳ではない」 何と戦っているのかは、よくわからないが。
何だろう。最近モモに遊ばれているような気がしてならない。いや、彼女も部のことを思って
……なのかな? まあいい、良い機会と思うことにしよう。これまでのお弁当は、少し塩分が多
いような気もするし。それにしても、冷凍食品の一口ハンバーグでも買おうと思っていたのに、
何で鯖を3尾も買うかな、私。……生きが良くて、美味しそうだったし、うむ、致し方なし。
小さく切って、ピカタ風にしてみるか。

彩り……うむ、そぼろご飯でいこう。鳥そぼろと炒り玉子と、そして今買ってきたコレ!
「ふっふっふ、これぞ今回の秘密兵器、桜でんぶ! うむ!」 鮮やかな桜色だ。
実は甘いものは大好きだ。県大会の控え室で食べたチョコパヘは、実に美味であった。うむ。

方針は決まった。三色そぼろご飯に鯖の欧風ピカタ。あとはプチトマトと多めに温野菜サラダ。
デザート……あ、庭の柿が食べごろかな。やれやれ、何とかなりそう。
(……先輩の口に合うかな。喜んでくれるかな、ふふっ) 実はちょっと楽しみなのだ。

しかし魅力的なお姉さま、と言われても。自分には程遠い存在のように感じる。
大体、魅力的というなら、蒲原先輩や加治木先輩だって、各々充分以上に素敵だと思う。でも、
大変失礼な話だが、あのお二人が、すこぶるその女子力?というものが高いようにも思えない。
あえて言うなら、人として既に魅力的なのだ。自分もあんな先輩になれたらな、と思ってはいる
が、ハードルは高い。モモに色々とだめ出しされるのも、仕方ないのかもしれない。

(先輩後輩、か) ああ、そうだ。来年の春には高等部に新たな後輩たちが入ってくるんだ。
それはつまり、大好きな先輩たちが卒業して、あそこからいなくなるってことでもある。
あまり考えたくないことだけど、否応なしにそのときはやってくる。
「……」 私は、良い後輩だっただろうか。

(いかんいかん、私がしんみりしてどうする、しっかりしろ、新部長) ぷるぷると首を振る。
3年生は受験を控えてこれから大変だ。せめて部室にいるときくらい、思いっ切り楽しんでもら
うのだ。そして、しっかりとした自分を見てもらって、安心してもらうのだ。美味しく作ろう。
少し多めに作っていこう。加治木先輩にも、みんなにも食べてもらおう。

でも、蒲原先輩、週に二日は佳織にお弁当作ってもらってるからな。審査は厳しいかも。
『うふっ、はい智美ちゃん、お弁当。今日のは美味しくできたよ』 先輩にお弁当を差し出す
仕草からして、佳織は女の子ーって感じだ。かわいい。私も、あんな感じで行ってみたら……、

津山睦月の脳内シアター、上映開始ー。
「うふっ、はい先輩、お弁当。お口に合うと良いのですが、うむ」
「ワハハありがとう、むっきー。どれどれ〜」 パクッ、モグモグ 「……」 ドキドキ
「……うん、美味い! なんて料理上手なんだ、むっきー! 嫁に来てくれ!」
「ええ! だって先輩には佳織が」 「ふっ、こんな美味いの食べたら、我慢できないぞー」
手をぎゅっと握って団栗眼キラキラワハハ。
「うん、つまりこれは、運命ってやつだなーワハハー」 「そ、そんな、ああどうしようっ」
「……智美ちゃん……」 「はっ、か、佳織! いや違うんだ! こ、これはその、ワハハ」
「智美ちゃんの、浮気者ーーっ!」 包丁でグサーッ! 「ぐぁあああああああワハハあ!」
「せ、せんぱーーーーーいっ!!」
……へっぽこ昼メロサスペンス、終了ー。
602むっきーランチ B:2011/11/06(日) 20:24:50.00 ID:AUniUUgb
(……はっ! な、何だ、今の! 私はいったい、なんてヒドい妄想を……) 冷や汗たらり。

(うう、佳織、ごめん。……でも、うむ、ちょっと、ほんのちょっと練習してみるかな)
「うむっ、は、はははいっ、せんぱい、おびぇんとっ」 噛んだ。

いかん、コレはなかなか難しいぞ。恥ずかしい。カーっと顔が熱くなる。いや負けるな私、
思い出せ、佳織の仕草を! 脇を締めて小首を傾げて、にっこり笑って、まっすぐに打ち込め!
「うむ! はひっ、せんぴゃいっ、おべっ、んと」 噛み噛み。笑顔も何かひきつっている。

はぁあー、だ、ダメだー。うむ、らしくないことはやめておこう。大怪我してしまう。

「おー、鯖か。旨そうだなぁ、うむ」 「ぅわひゃっ! し、師匠っ! いつから!」
いきなり背後に祖父が立っていた。やばい、今の見られたか。

「わし、塩焼きがいいなぁー」 のんきな声でのたまう。
「お、おじーちゃん! 家の中で気配絶つの禁止って、言ったでしょ!」
「んむ? なんのこれしき、修行が足りんぞ、睦月。そんなだから噛むのだ」
「ぅぐっ!」(ぎゃーっ! やっぱ見られてたーーっ!!) むっきー真っ赤っか。

「先輩ってあれか、ワハハちゃんか」 じーちゃんによによ。
「! そ、なっ、どど、どーでもいいでしょっ!」 睦月あわあわ。

「ありゃ大物だぞ、さすがわしの孫、見る目あるな、うむ」 によによによ。
「もう! あっち行ってて!」 真っ赤な顔して、ふきんを投げつける。
「わははは、青春だのー、頑張れよー」 ひょいっと避けて、祖父はすたこら去っていった。

「〜〜っ、まったく」 おのれ師匠め。塩焼き却下、ピカタの味見実験台にしてやる。
……あ、もうこんな時間。いかんいかん、下拵えをはじめねば。取り合えず、三枚におろすか。

袖を少しまくって、まな板の上にどてっと、でっかい鯖を置く。
「うむ、いざ!」 手にした出刃包丁が、キラリと輝いた。

* * *

「ワハハハ、旨いぞ百点! 合格〜!」 蒲原がぺかーっと笑った。
週明けの昼休み、ここは麻雀部の部室である。睦月のお弁当品評会は、概ね好評であった。

「よかった。ありがとうございます。うむ」 ほっとため息。
「うん、彩りもきれいで、美味しそうっす。さすがっす!」 モモに誉められた。
「すごいねー、睦月さん。今度ピカタの作り方、教えてね」 佳織にも誉められた。うれしい。
「うむ、私流でよければ」 ホントによかった、苦労した甲斐があった。

「うん旨い。すごいな、津山。これを自分で作ったのか……」
ゆみがしみじみと言った。少し思い詰めたような表情をしている。

「? どうしたゆみちん、元気ないぞー」
「ん? ああいや、その、……実はな、私も作ってみたんだ、お弁当」
ちょっと赤くなりながら、ゆみが言った。
「え゛」 蒲原が、何故かピクッとひきつった。

「ええっ、先輩の、手作りっすか!」 モモがガバッと身を乗り出す。
「あ、ああ、いつもモモに作ってもらってばかりだからな。たまには私もと思ったんだが……、
津山みたいに上手くは作れなかったよ。どうやら私の方が、女子力とやらに乏しいようだ」 

「見たいっす! 食べたいっすーっ!」 足をバタバタ。文字通り食いつきそうな勢いだ。
「うん……津山のお弁当の後では、正直出しづらいのだが……」
シックな柄のランチクロスに包まれたお弁当箱を、そっとテーブルの上に出した。

「本当に、あまり期待しないでくれよ」 少し赤くなりながら、クロスを開いて蓋を開ける。
603むっきーランチ C:2011/11/06(日) 20:29:50.20 ID:AUniUUgb

  かぱっ

瞬間、お弁当を中心に、ゴッと見えない威風がその場を駆け抜けた。いや、当然幻だろう。
だが睦月には、そのように感じられたのだ。本能が警鐘を鳴らしているのか。
「おおう、さ、さすがだ、ゆみちんワハハ」 「……っす」 「ふぇええ」 「う、む、む」

「? ……どうだろうか。よかったら、味見してみてくれないか」
どうもこうもない。いや、お弁当はお弁当でしかない。ないのだが、この迫力を、何と形容する
べきか。ある意味サイケデリックな彩りが、正体不明の食材から無言のオーラを放っている。

「わ、……わーっ、おいしそーっすー。ささ、むっちゃん新部長、どぞ」
こわばった笑顔のモモが、お弁当を睦月の前にずいっとよこした。「ええっ? 私!?」
「そーっす。今日の主役はむっちゃん先輩っすから。涙を飲んで一口目、お譲りするっす」

(ずるいぞ、モモー!) (私も後で食べるっすからー!) モモと視線で会話を交わす。
と、ゆみの顔が目に入った。少し赤面して、不安そうに睦月を見つめている。何かカワイイ。
(あうっ、か、加治木先輩、そんな顔しないでください) きゅんきゅん。

禍々しい飯の箱は、それ自体が殺気をはらんでいるように、サイケに渦を巻いている。
「……」 ゴゴゴっと、無言の圧力が睦月を圧倒する。

(くっ、これは……つ、強い) ……何が?
「頑張って、睦月さんっ」 佳織……、えっと、何を?
「えーっと、いっこ食べたばっかだし、無理すんな、むっきー」 先輩、そう言われましても。

まて落ち着け、あの加治木先輩だぞ。料理は科学だ運ではないぞ、とか言って、きっちりと研究
しているはずだ、うむ。匂いは美味しそうな感じもするし、多少見た目がどうあれ……、

「あー、ときにゆみちん、味見はしたかね?」 うむ? それはもちろん、してるのでは?
「む? ああいや、実は少々手間取ってしまってな……あまりしてないんだ」 えー……。
「いやしかし、レシピの通りに作ったはずなんだ」 あ、あるのですか、レシピ。これに。

「しかし、ゆみちんの手料理って、久しぶりだな〜」 「ああ、1年のとき以来だ」
「え? あの、調理実習とかは?」 佳織が不安そうに訊いた。
「ん? ああ、同じ班になった連中が、何故か皆親切でな。専ら食べる役だった」
「だったな〜、ワハハ」 ……何だろう、この不安。

(……うむ、うむ、よし。是非もない。いざ、食せん!)
覚悟を決めた。食いしん坊となる。漆塗りの箸が重い。つうっと汗が額を伝い、目に入る。
だが、瞬きはしない。怖じ気付いていることを悟られぬよう、静かに気息を整える。
最初の一箸のために、丹田に気を集めた。せめて一口だけでもいい、食べるのだ。

加治木先輩の笑顔が見たい。だから、にっこり笑っておいしいですって、言うのだ! うむ!
(てぃやあっ!) 心の中で裂帛の気合いを放ち、箸をつけた。そのまま一気に口へと運ぶ。

  ぱくっ!


* * *

開いた窓から、涼しい風が入ってくる。窓の外、秋晴れの空を、加治木ゆみが眺めている。
「……適量って、結局何グラムなんだろうな……」 遠い目をして、ふっと呟いた。
「うんまあ、それはともかく、大さじってのは、おたまのことじゃないぞー、ワハハ」
「なに? そうなのか?」 なかなか不穏な会話である。

「はっ!」 睦月が目を覚ました。額に乗せられた濡れたハンカチが少しずれる。
「あ、睦月さん、大丈夫?」 ハンカチを直しつつ、佳織が心配そうに睦月の顔をのぞき込む。
椅子を並べた上に横になり、佳織に膝枕されていた。どうりで何か柔らかいと思った。
604むっきーランチ D:2011/11/06(日) 20:34:46.96 ID:AUniUUgb
「あ、まだ横になっていたほうがいいよ?」 ここは変わらず麻雀部部室である。
「佳織……いや、大丈夫。ぅぷっ、ええっと、私は一体」 身を起こしつつ、訊いた。
「覚えてない? あはは……えっとね」

ゆみのお弁当を口に入れ、「ぅむっ、お いし 」
そう言ったあと、そのままキューっと倒れたのだそうな。

時間にして5分ほどだが、気絶していたらしい。なんたる不覚。しかし、口にした瞬間、
衝撃的な刺激が口中に広がったような気もするが、よく覚えていない。

「……津山」 「あ、加治木先輩」 ゆみが歩み寄ってきた。

「すまないっ、津山。この通りだ」 ゆみが深々と頭を下げた。
「いえっそ、そんな、だいじょーぶですっ! ほら、元気ですっ!」 むん、とガッツポーズ。
「……昔から、こういったことが苦手でな……自分が嫌になる」 泣きそうな顔をしている。

「え、えと、私こそ何か大げさに。いや、実は少し寝不足だったりしてですね」 アセアセ。
ああ、なんてことだ。加治木先輩にこんな顔をさせてしまうだなんて。

(あれは仕方ないさー。気に病むな、むっきー) 蒲原が睦月の耳元でこそっと囁いた。

「そーっす、大丈夫っすよ、先輩。料理なんて、コツと馴れっす」 「モモ……」
「二人で一緒に練習しましょ? きっと楽しいっす」 にっこり笑って、ゆみの手を握った。
「……ああ、よろしく頼む」 少し笑顔になったゆみを見て、睦月はほっとした。しかし……、

「で、モモは食べたのか?」 ジト目の睦月がモモに訊いた。
「へ? あ、いや〜、あははははー……っすー」 すぅーっと、モモの姿が掻き消えた。
「あ、こらモモ!」(おのれ〜、そうはいかんぞ!)

スっと目を閉じる睦月。(……心の目で見るんだ……)
「??」 他の面々は不思議そうに睦月を眺めている。

「……うむ、そこだっ!」 ばっと睦月が手を伸ばす。

  むにゅっ

(ん? 何だ? 柔らか……)

「……っきゃーーーーーっすーー!」 モモの乳を鷲掴みしていた。
「わわっ、ご、ごめんっ」 「むっちゃん先輩のえっち! セクハラっすーー!」

「ええー? そ、そんな」 「いかんな、むっきー。むふふ、ペナルティだっ!」 むにっ。
「ぅわひゃあっ!」 後ろから、蒲原が睦月の胸を触った。
「ワハハ、うん、良い乳だっ」 「さっ、智美ちゃんっ!」

「せっ、せせせんぱいっ! もーーっ!」 「智美ちゃんの、浮気者ーっ! ばかばかーっ!」
「あたっ痛いイタッ、待て落ち着くんだ佳織! ワハハ無邪気なスキンシップぁ痛イタタやめ」
「むっちゃん先輩のむっつりー! っすー!」 「津山、モモは私のだ。やらんぞ」
「いやだから事故ですから! 誤解ですってば! あああもーーーっ!!」

どこまでも高く澄み渡った秋晴れの天空に、あほの子たちの歓声がこだまする――。

この後、秋季・春季の両大会を経て、津山睦月率いる新生鶴賀学園麻雀部は、県内強豪校として
の地位を盤石のものとする……かもしれない。

頑張れむっきー、鶴賀学園麻雀部の未来は明るい……んじゃないかなー、たぶん。 うむ。

*************************
以上 読了感謝  っすー
605むっきーランチ 後書:2011/11/06(日) 20:39:53.04 ID:AUniUUgb
やはりそうなのだ 私はどこか 壊れている ははは今更?

はい、てなわけでお疲れさまでした ありがとうございました
かじゅファンの方、ごぬんなさい 一見完璧だけど実は苦手があってモジモジとか萌ゆるのです
泳げないとか、そうでしたね 克服しちゃうのがまたかじゅっぽいですが いいなぁモモちん
ギャップ萌えってヤツですか 中の人が良い意味で面白すぎるというのも素敵です 画伯w

にしても、なんてかわし、食べ物のネタが多いですな きっといじきたないのですな
咲日和のお弁当ネタは、あんなにカワイイというのニ いうノニ 拙作ときたら
……そうだ、黒ポエムを書こウ 誰にも見せぬがなフヒヒ

まあ、食べ物ネタはね 楽しいんですけどね
ははは、よけい腹減るっつーの あはははははhイライライライライラ
でも負けません 目の前のコンビニ団子もちだって、半分残すし
鉄の意志は、もちよりも固いのです

さておき、次は全国編でいきます、たぶん  阿智賀かも どないしよ
ではまた
                                  もち  うま
606名無しさん@秘密の花園:2011/11/12(土) 20:39:50.53 ID:GK9GVHPU
ところで孕村さんってさ
宮永さんの子を妊娠したいの?
それとも宮永さんを孕ませたいの?
どっちの欲求が優先してるんだろう
607名無しさん@秘密の花園:2011/11/12(土) 21:48:41.13 ID:8kCtBZiz
ところでまとめwikiってずっと放置されてる?
608名無し:2011/11/13(日) 01:26:28.87 ID:S+9yuyAb
久さん誕生日おめでとう
609名無しさん@秘密の花園:2011/11/13(日) 12:03:59.67 ID:BW/3jdBt
何となくアニメ版を見直していたが、
やはり部キャプブーストと、咲さん和ちゃん呼びは
アニメスタッフGJと言わざるを得ない。
京なんとかの妄想パートは全部いらんけど。
610名無しさん@秘密の花園:2011/11/13(日) 17:44:10.70 ID:clf0J56E
和と美穂子の乳合わせとか最高じゃないですか
611名無しさん@秘密の花園:2011/11/13(日) 23:55:33.77 ID:cW5RWfG3
映像だけ見ればそうかもだけど、あんなのは女優複数のAVで男の前で乳ぶつけてるシーンみたいなもんさ
キャプテンとのどっちの間には関係ないからなあ
612名無しさん@秘密の花園:2011/11/14(月) 15:18:55.86 ID:g69bWC6/
確かに
613名無しさん@秘密の花園:2011/11/15(火) 22:53:15.50 ID:mOiWloVN
個人戦で健闘を称え合うくらいの関係はありそう
614名無しさん@秘密の花園:2011/11/18(金) 03:25:00.13 ID:gT0Aw27I
傑作選を見て改めて確信した
  かじゅモモは正義!!!!!
615名無しさん@秘密の花園:2011/11/18(金) 21:50:30.60 ID:0xrayHYu
阿知賀編の千里山の怜と竜華やべぇ
616名無しさん@秘密の花園:2011/11/19(土) 02:01:05.52 ID:bYH+vO3I
怜、竜華と洋榎、末原ちゃんか
617名無しさん@秘密の花園:2011/11/28(月) 19:47:24.08 ID:mJe9aMsY
止まってそうなのでまとめwikiを途中まで更新してみた。
618名無しさん@秘密の花園:2011/11/28(月) 20:20:32.49 ID:CBvIffJR
>>617
乙〜
619名無しさん@秘密の花園:2011/11/30(水) 02:36:43.45 ID:J8UtM3UP
>>617
おぉ、乙
620名無しさん@秘密の花園:2011/12/02(金) 23:50:43.70 ID:rBqu9p82
どうでもいい話だが妹の同僚に文堂さんに激似の人がいる
621名無しさん@秘密の花園:2011/12/03(土) 00:28:16.78 ID:gF5nvsBG
単にああいう髪型で背が高くて糸目の人ってだけじゃなくて?
せんべいとかトレカとかに詳しいのか
622名無しさん@秘密の花園:2011/12/03(土) 08:39:25.51 ID:dHw06wXN
ああいう髪型で背が高くて糸目なだけでも
文堂似と言っていい気がするが
623名無しさん@秘密の花園:2011/12/13(火) 23:19:24.65 ID:EuUCmLZG
今月の阿知賀編
宥、玄と寺怜、竜華がイチャイチャしてたな
624名無しさん@秘密の花園:2011/12/14(水) 10:18:29.96 ID:WDhljIdJ
「どうやら二人(怜竜)は並大抵の友情で結ばれているわけではないようだ。」
公式認定カップルきたな!
625名無しさん@秘密の花園:2011/12/14(水) 16:59:07.94 ID:PvsnFT0D
怜竜ぐらい人前で自然にいちゃついている百合カプは意外にいないな
玄宥は可愛すぎて泣いた
626名無しさん@秘密の花園:2011/12/22(木) 10:39:02.40 ID:sTww6lL9
627名無しさん@秘密の花園:2011/12/22(木) 19:09:35.93 ID:CEN0y9x0
いたく回りくどい表現だな
628名無しさん@秘密の花園:2011/12/22(木) 21:40:51.17 ID:7ExnPwLw
日本語でおkレベル
629名無しさん@秘密の花園:2011/12/22(木) 23:14:40.91 ID:/lT69ifp
文堂さんはおなじ糸目キャラ「ラブやん」のみのっち同様
じゅうぶん魅力的で萌えキャラ資格ありと思うがな。

ただ、「糸目・長身」というニッチな好みを持つ男を開発し
なければだが。
630名無しさん@秘密の花園:2011/12/23(金) 01:17:14.34 ID:C17ZvkKZ
>>626
おや、愛情を友情に誤植していますな。
631名無しさん@秘密の花園:2011/12/24(土) 08:02:23.86 ID:0gjdHwhK
咲世界の友情はこちらの世界の愛情と同義語のようですな
632名無しさん@秘密の花園:2012/01/14(土) 00:16:40.14 ID:nuXq3cRQ
年明けたな
633名無しさん@秘密の花園:2012/01/14(土) 00:21:54.61 ID:rIK9mUxh
お前は半月寝てたのか
634名無しさん@秘密の花園:2012/01/14(土) 06:11:39.12 ID:GGzOw+nz
暗くなった空気を変えようとラーメンを食べに行きたがる穏乃と
そんな穏乃を「さすが私の旦那様ね」的に見つめる憧がいいわぁ
635名無しさん@秘密の花園:2012/01/14(土) 15:03:55.42 ID:oQPieZzQ
最近、阿智賀や日和のほうが百合成分多いぞ
もっと頑張れ立
636名無しさん@秘密の花園:2012/01/14(土) 23:55:49.25 ID:nuXq3cRQ
大人組の対局と百合が見たいと思うのは俺だけですかそうですか
637名無しさん@秘密の花園:2012/01/15(日) 00:02:32.93 ID:lt/+FjEs
>>636
ふくすこの魅力はお前一人に作用するもんじゃないぜ
638名無しさん@秘密の花園:2012/01/15(日) 09:06:34.72 ID:WXK4bK59
三尋木プロもほしいな
639虎の寓話 序:2012/01/15(日) 17:43:24.63 ID:HuXaZa5u
あけためでたで早二週間、びっくりしつつも今更サラサラ新年初かきこー
えーと、うーん、前回つまらなかったですか…… ごめんなさいっす
あ、>>617 さん、超亀で恐縮ですがホントに乙です カッコイイとはあなたのような人のこと

さておきまして 亀は承知で、ここんとこ2ヶ月分の思いのたけを、どーんっとな

まずは本編、咲ちゃんドカンとリンシャンだー! 照おねえちゃん見てたー?
さあ皆さん、いま万感の思いをこめて、咲ちゃんのテーマを高らかに歌おう!
さんはい、♪ よしカンカンカン ツモロンロンローーン ♪ ヒャッハー

いやー大将戦も目が離せませんな 姉帯さんこわかっこカワイイし でもわしは気づいたのです
豊音ちゃん、霞さんの方をチラチラ見てるでしょ このきょぬー好きめw
まあ気持ちはわかります あれ?ひとり大人が混じって……なんだ霞ちゃんかーって感じじゃな
いですか あれは見ちゃいますよ 凄い色気ですなあ ふんふむけしからん! すばら!

それにしてもですよ、
「ふふっ……うち、この大将戦無事に終わったらな、漫ちゃんにプロポーズするんや……」
なんて言ってそうなくらいに末原先輩ピンチだし! 頑張れー漫ちゃん見てんでー

そしておもち、じゃなくて阿智賀編、待ってましたー! 覇王てるてる降臨だーっ!!
人ならざるもの、超越者の冷たい視線、ああーやっぱ良いわーてるてる 菫ちんは美しいしー
そりゃ後輩の皆さんも、最敬礼しちゃうってなもんです しびれるーハフー

でも営業スマイルって、おねえちゃん大人! 西田女史にはそっけなかったのに
はっ、そうかやっぱり、あのときは迷子で半泣きだったのか! 菫ちんも大変だーニヨニヨ
とにもかくにも、てるてると菫ちんに待望の出番がきて、感慨無量でございます

そしてそしてああ、宥ちゃん玄ちゃん、そっか、おかあさんが……
きっと二人で支え合ってきたのですねぇ ううう、ええ子や ええ子たちやー!
大丈夫やで おかーちゃんは二人ががんばっとるの、絶対見守ってくれとるからな

モンプチ団の次はモモちんとワハハ登場! 妙に嬉しかったりするのは何でじゃろ
おやっ? 蒲原さん、少し太っ……ゲフンッ、いえ何でも。
さては、おばーちゃんに甘えまくりでちっとぷっくり化したな フフフかわええw

ああそだ、埼玉の玉子ちゃん! あなたインハイ・ユーモア部門インパクト賞の最有力候補です
さすが彩の国さいたまw でも岡山の那岐ちゃんもすごいし、どうしよう …何が?

おっと、また長くなり申した 話は尽きねど、さても懲りずにSS投下でございます
新年一発目、これでもかっ、と頭わるーいお話です ある意味おめでたいです
てるてると菫ちんが、マンガではじめてしゃべったよ記念!

>>496 の続きです 読んでないとイミフなところが多いかもしれませんフヒヒ
ずらっと並んだ白糸台麻雀部員の皆さんを見てたら、書きたくなっちったのです
5〜6レスれす どぞ
640虎の寓話 @:2012/01/15(日) 17:48:29.99 ID:HuXaZa5u
出 演:虎姫隊と、宮永照FC連盟エキストラの皆さん
百合分:あほゆりだよ エロ:がんばったよ ばか:どうすればいいのやら
「雲の色、向日葵の色」 の続きです 仮の名前な彼女たちです 白糸台あほの子軍団ふたたび
女子三日会わざれば刮目して見よ! うん、相変わらずで何よりだ
**********************************
「 ゆめの語り部、おとぎばなし 」


純白の制服に身を包んだ小柄な女の子が、早足で廊下を歩いている。ゆるめに編んだおさげが、
ぴょこぴょこ肩の上ではねている。その子がふと、廊下の端に友達の姿を見かけて歩み寄った。
「美術子ー、今度の照さま見守り隊の会合の場所……っとぉ」
美術子(仮名)に声を掛けた文芸子(仮名)がくるりと方向転換して、その場を去ろうとした。

ここは白糸台高校、第二校舎3階の廊下である。今はお昼休みだ。開いた窓から陽光が降り注い
でいる。夏休み気分もようやく抜けて、気候も過ごしやすくなってきたが、時折窓からそよぐ風
の中に、少し冷たさが混じり始めてきたようにも感じられる。

「ちょっと文芸子! 何?」 美術子が大きな目をくりくりさせて、慌てた様子で引き留めた。
「あーいやー、あはははー、おじゃましちゃったかしらん」
壁の角の陰になって気づかなかったが、美術子とおしゃべりしていた人物がいたのだ。
すらりと背の高い、短髪の美しょうね…ゲフンッ、もとい美少女、バレー子(仮名)である。

「あなたね、変な勘違いしないでよねっ」 「勘違い? いやあ、べつにそんなこと〜」
「ばっバレー子さんとは、さっき偶然そこで会って」 美術子真っ赤っか。
「はーぐうぜんですかそぉですかーはいはい、んじゃ後は若いお二人で、ごゆっくり〜」
へらへら笑ってその場を離れようとする文芸子。何か小憎らしい。

「もー! 何ようそれー!」 美術子が文芸子の襟を掴んで、ガクガクと揺さぶった。
「私は照さま一筋なんだからー!」 「あややややめやめやめ、わわかった、わかったから」
「あはは、そーだよ文ちゃん、変に勘ぐらないで」 クスクス笑いながら、バレー子が言った。
「ちょっと近況を報告し合ってただけだよ。照さま情報とかね」
「いや、どうしてどうして」 三人の後ろから、剣道子(仮名)がひょいっと現れた。
「なかなか良い雰囲気だったぞ、うん」 きりっとした顔が、少しによによしている。

「もー剣道子さんまで!」 「はは、こりゃ分が悪い、退散するよ。じゃ美っちゃん、またね」
微笑みつつ、軽やかに歩き去っていった。「はい、また」 美術子の頬がほんのり朱に染まる。

「うーむ、相変わらず無駄に爽やかな奴だなー」 感心したかのように、剣道子が呟いた。
「”美っちゃん”だってー、むふふふふふふー」 文芸子によによ。
「な、なによう、あなただって文ちゃんって呼ばれてたでしょっ! もう、知らないっ!」
むくれた美術子が、スタスタ早足で去って行った。文芸子と剣道子が顔を見合わせて笑った。

「あはは、……さてと、ときに文芸子先生、例のモノはどんな具合かね」
「ああ、ここで剣さんにお会いできるとは僥倖でした。ふふ……出来立てホヤホヤ、ここに」
ニヤリと笑った文芸子が、ポケットからA5版くらいの冊子を取り出した。コピー誌のようだ。
「おお、待ちかねたぞ! ”輝と楓”シリーズ最新巻!」

”輝と楓”シリーズ――。
文芸子の手によるオリジナル同人百合小説である。発行は、既に5巻を数える。とある女子高校
の麻雀部を舞台に繰り広げられる、愛と感動のゆりゆり大冒険スペクタクルだ。何だそれ。

お察しの通り、モデルは照と菫だ。白糸台の生徒なら誰でも、読めばすぐそうと知れるだろう。
もちろん照と菫の許可など取っていようはずもない。さすがに大っぴらにはできずに、宮永照フ
ァンクラブ連盟の中でも、そうした趣向に理解があって、尚且つ秘密を守れる一部の者達の間に
だけ、密かに配布されている。

初めて配布を受ける者は、あくまでもフィクションであることを肝に銘じ、作中の人物と現実を
重ねて、まかり間違っても照と菫に迷惑をかけるようなことがないように、と、念を押される。
少々後ろ暗いが、こうして秘密を共有するのがまた妙に楽しかったりするのだ。困ったもんだ。
641虎の寓話 A:2012/01/15(日) 17:53:31.32 ID:HuXaZa5u
「しっ、お静かに」 周囲に素早く目配せをして、窓辺に剣道子を引っ張っていき、小声で文芸
子が囁いた。「今回のお話は、配布を更に限定します」 「ん? 何で……はっ、まさか!」

「ふっふっふ、そう、今回は初の”18禁”ですっ!」 「おお! ついにやったか、先生!」
「フッ、今回は、お子様に見せるわけには参りません」 (※文芸子は15才です)
「うん、バレー子や美術子には刺激が強すぎるだろな」 (※剣道子は来月17才になります)

――……「あ、」 楓が輝を少し乱暴に押した。輝はそのままベッドにうつ伏せに倒れ込んだ。
 「楓? あ、痛」 そのまま輝の背中に覆い被さり、シュルッと自分のスカーフを解く。
 「……輝、お前がいけないんだ」 輝の耳元で囁きながら、素早くその手を縛り上げた。
 「ん、痛っ……あん」 「もう我慢できない……許してくれとは、言わない」 ……――、

「ぉおおおーー! これは!」 「ふっふっふ、禁断のSでMな要素を取り入れてみました!」

――……「輝……」 静かに囁いてから、楓は輝の耳朶を、少し強く噛んだ。
 「んっ……あ」 ぴくんと輝が震え、桜色の小さな唇から、吐息が漏れる……――、

「わわっ、わー、文っ、これっ、きゃー!」 「ふははは、思い切りましたよー! きゃー!」
まあこのスレの紳士淑女の方々からしてみれば、他愛のない微エロなのでしょうが、彼女たちに
してみれば、大冒険なのです。 「「きゃーーっ!」」 やかましい。

「なに騒いでるの?」 「どわっ!」 「ぅわぁっ!」
二人の背後に、いきなり美術子が現れた。と、慌てて隠そうとした剣道子の手から冊子がポロッ
とこぼれ落ちて、風に舞いながら窓の下へと落ちていった。「「わーーーっ!!」

「しまった! やばいっ!」 剣道子が窓から身を乗り出す。
「? な、何? 何か落とした?」 美術子ちょっとびっくり。

「あ、ああいやその、えっと、何でもないない! それより、何か用?」 文芸子アセアセ。
「ああ、言い忘れてたの。次のお茶会……じゃなくて会合、美術室使えるから」
「そ、そう、ありがと! えと、んじゃ急ぐから!!」 呆気にとられる美術子を置き去りに、
剣道子と文芸子が猛ダッシュ。「? 廊下走っちゃダメよー……、変なの。何あれ?」

* *

「ないっ! ぐぬぬ、文っ、そっちはどうだ?」 葉っぱまみれになりながら、植え込みの中か
らガサッと剣道子が顔を出した。「こっちにもないですー」 文芸子がふらふらと立ち上がる。
「……風で結構飛ばされたとしたら、裏庭の方かもしれん!」 急ぎ向かう。

ダッと裏庭に駆け込むと、ベンチに一人でゆったりと座っている先客の姿があった。
「あ、あのー、ここら辺でこのくらいの冊子を……はっ!」 「! て、ててて、照さまっ!」
照が静かに顔を上げる。「あの、照さ……宮永先輩、このくらいの冊子を……ああ、それっ!」
照の手に、冊子があった。ページの中程を開いている。どうやら読んでいたようだ。

「ああああの、先輩、それは」 剣道子がおずおずと声をかけた。
「……君、名前は?」 いつもの無表情のまま、照が訊いた。
「へ? あ、いや、はひっ、けけ、剣道部二年! 上泉剣道子ですっ!」

「上泉さん……これ、君の?」 照が冊子を掲げる。
「はっ、そうであります! あ、いえ、書いたのは、こっちのちっこいのですっ!」
文芸子を無理矢理前に押し出した。「わわっ、ちょっ、剣さん!」

「君が書いたの?」 「はっ、はは、はいっ! そうですっ」 ピキッときをつけっ。
…ああやばい、照さまきっとお怒りだわ! 勝手にモデルにされてるってだけでもアレなのに、
よりによって、あの冊子にはあんなコトやそんなコトが、てんこ盛りだというのにっ!

「これ……楓ってコ、もしかして、菫?」 「あ、はい、ああいや! あの、そのですね」
「……菫って、すごく優しいんだよ」 「? はぁ……あ、いえ、そ、そうなのですか?」
「うん、そう」 こくっと頷いてから、諭すように照が言った。
642虎の寓話 B:2012/01/15(日) 17:58:29.80 ID:HuXaZa5u
「だからね、こんないじわるなコト、しないと思う。相手の子、ちょっと痛そう」
なんと、”輝”が自分のことであるとは、気づいていないようだ。
「な、なるほど! 申し訳ありません、べ、勉強になります!」 文芸子カッチコチ。
「ん……ね、これ貸してくれる? 読み終わったら、返すから」 剣道子の方へ冊子を掲げる。

「はいっ、どうぞ! 光栄ですっ!」 「ありがと。……じゃ、またね」
ふらりとベンチから立ち上がると、静かにその場から立ち去っていった。残された二人は、ただ
呆然と見送るのみであった。照の姿が見えなくなってから、ゆっくりと顔を見合わせる。
「「……きゃーーーーっ!!」」 とてもやかましい。

「てってっ照さまと、おしゃべりしちゃったー!」 バタバタ足踏み剣道子。
「なんて素敵なお声……ああ、こんなお近くで生声を拝聴できるなんて」 文芸子ぽわわ〜ん。
実は結構やばげな状況なのだが、そんなの消し飛ぶくらいの思わぬ幸運に、酔いしれる二人。
後にまさかあんなコトになるなんて、このときはまだ、夢にも思っていなかったのである。

* * *

「うん、たまには紅茶も良いものだな」 ティーカップを口元に運んで、菫が呟いた。
ここはいつものチーム虎姫専用ルームである。まったり優雅な午後のお茶の時間だ。
「んにょわー」 部員猫のカテリーナが、出窓に寝そべって、あくびをしている。

「ん? 照、何読んでるんだ?」 「ん……小説。剣道部の子に借りた」
「……それ、コピー誌ってやつですよね」 紅茶のポットにお湯を注ぎつつ、尭深が呟く。
「へえ、手作りかー。面白いっすかー?」 棚の資料を整理しながら、誠子が訊いた。

「うん、まあ……でも、よくわからないところがあるんだ。……ねぇ、菫」
「んー?」 微笑みながら紅茶を飲みつつ、返事をする菫。

「あのさ、【自主規制】って、なに?」

菫がブハッと盛大に紅茶を吹いた。誠子がこけそうになって資料がドガラッシャンッと崩れた。
尭深の手元で、ポットからダバーッとお湯が溢れた。猫様びっくり、しっぽがぶわっと膨れた。
「げーっほ、げほっ、ごほっ、ハ、ハァッ、て、ててて、てるっ!?」

「? なに? あ、あと、【自主規制】を【自主規制】して【自主規制】するって、なに?
どういう状況なんだろうか、これ」 ピュアっ娘てるてる。

「ちょっ、せ、先輩、何読んでんすかー!?」 誠子びっくり。
「……実に、興味深い、ですね」 クィッとメガネを押し上げる尭深。
「〜〜っ、てるっ、ちょっとそれ見せろ!」 菫が冊子を引ったくった。「あ、まだ途中……」

パラパラと菫がページをめくる。菫の肩越しに、誠子と尭深も覗き込む。
「……!」 見る見る菫の顔が紅潮してきた。「うわ、何かえっちぃっすねー」 誠子も赤面。
「この登場人物の二人って……ほう、これはなかなか」 尭深メガネキラリン。
「? なんだ? どうしたの? みんな」 照キョトン。

* *

「ふんふん、よしまいまいま〜い♪ っと、淡ちゃん、登場ー! って、ひゃわっ」
淡が部室のドアを開けた途端、ヌッと菫が出てきて、そのままズンズンと歩き去って行った。

「? ど、どしたんですかー菫先輩、怖い顔ー」
「はは……、どうなるかなー。知ーらね」 誠子がため息混じりに呟いた。
「……アレの入手方法は……おそらく先輩のFC絡み……」 尭深ブツブツ。
「まだ途中なのに、……もう」 照がふらりと立ち上がって、部室から出て行った。

「あ、照せんぱ〜い……、行っちゃった。何かあったんですかー?」
「ん? あー、淡にはまだ早いかな」 「……おそらく、既刊もあるはず……ブツブツ」
「えー、ないしょ話ですかー? ずるーいっ!」 ほっぺたぷくー。
643虎の寓話 C:2012/01/15(日) 18:03:31.04 ID:HuXaZa5u
* *

「上泉とは、君か」 剣道場に菫が立っている。道着姿の剣道子が対峙している。
(ううう、美人が怒るとおっかないって、ホントなんだなぁ) 剣道子は直立不動である。

「コレの作者は誰だ?」 例の冊子を掲げて、菫が訊いた。
「うう……くっ」 ダッと道場の端へ駆け、置いてあった竹刀を手に取り、剣道子が構えた。
「……何のつもりだ?」 「い、如何に弘世先輩といえど、友を売るわけには参りません!」

「ふん、見上げた心がけだ。その意気やよし!」 ゆらり、と菫が腕を上げる。
「しからばごめんっ! きぇいりゃあーーっ!」 裂帛の気合と共に、剣道子が打ちかかった。

* *

「ふんふん、なっぞっはパーラレッルーいーみしんパーズルゥー♪ っとー」 文芸子が鼻歌
交じりに、部の月刊誌をホチキス止めしている。ここは旧校舎1階、文芸部の部室である。

突然、ガラリとドアが開いた。戸口に立つ人物を見て、室内にいた数人の部員が全員固まった。
来訪者は、菫であった。「……芥川文芸子、いるか?」 なんと剣道子を脇に抱えている。

「ぶ、文芸子っ、逃げろぉ……」 ぐったりとした剣道子が、苦しげに呻いた。菫のくすぐり
攻撃が、防具をすり抜け炸裂したのである。その威力は、あの照でさえ笑わせる程なのだ。

「わっわわわ!」 ガタッと椅子を鳴らして、文芸子が立ち上がった。「……君か」
「ひぇええっ!」 ぴゃっと逃げ出す文芸子。このとき、美術子をして、”ちょこまか小動物”
と言わしめる文芸子のすばしっこさが発揮された。窓から脱出したのである。1階でよかった。
「待てっ!」 菫が窓に駆け寄って外を確認後、部屋のドアから出て行った。「逃がさん!」

* *

「イチ、ニィ……あれ? 文ちゃんじゃんか。どしたのーそんな慌ててー?」 体育館脇の通路
で素振り練習中の卓球子(仮名)が、息せき切って走ってくる文芸子に気がついた。
「ハァ、ヒィ、た、卓球子さんお願いっ、菫さま、止めてぇ!」 「えー? ……おお!?」
走り去る文芸子を目で追ってから、来た方を振り向いた。ズンズンと菫が早足でやって来る。

「おねが〜〜ぃ……」 「え? え? えええ?」 戸惑う卓球子。怖い顔した菫が迫る。
咄嗟にラケットを握り直し、身構えた。「さ、サーーーッ!」 構えた卓球子の横を、菫が通り
過ぎて行った。「……ま、そりゃそーだよねー」 うははっと笑った。

* *

(やばい、やばいやばい、どうしよう! 菫さま何か怒ってた。府中無双って呼ばれる剣さんが、
あんなにぐったりして……やっぱり、あの噂は本当だったんだ! 菫さまが一年生のとき、麻雀
部にいた悪者三百人を、たった一人でやっつけたって!) ものっそい尾ひれが付いていた。

(でも、なんで……はっ、まさか、輝と楓? お読みになられたのかしら!?) ビンゴ。
(わー感想お聴きした……じゃないっ! どうしよっ……、ぅわっ) ズテッと転んだ。
すばしっこいけど、基本的に運動音痴で、肝心なところでトロいのだ。複雑な乙女なのだ。

いつの間にやら、昼に照と会った裏庭までやって来ていた。
「あいったたたた……」 「大丈夫か?」 すっと手が差し伸べられた。
「あ、どうもありが……ひょわぁあ!!」 はい、お察しの通り、菫ちんなのでした。
「君の書いたこの小説について、二、三問いたいことがある……って、お、おい」

「う、ぅうう〜、ご、ごめ、ごべんなざ〜いっ」 うぇええ〜ん、と文芸子が泣き出した。
「こ、こら泣くな!」 「ひっぐ、ぇぐっ、ぅっく、い、い、いのちばかりは〜」
「なっ、人聞きの悪い! ほら、泣くなっての、ああもう」

「……なに泣かせてるの」 二人の背後に、照が静かに佇んでいた。
644虎の寓話 D:2012/01/15(日) 18:08:29.95 ID:HuXaZa5u
* *

「イヤしかしだな、私たちのことをこんな」 「? 私たち? ……ああ、輝って私なの?」
「そうです……あの、本当にごめんなさい」 消え入らんばかりに縮こまる文芸子。
「ふーん……ね、それって、菫は嫌なの?」 「へ? いや、嫌とか言う以前にだな」

「作り話じゃない。それに楓って、菫のことでしょ? だったら私は、別に嫌じゃないけど?」
「! ……そっ、おま」 あうあう絶句する菫。きゅーっと真っ赤な顔になる。湯気出そう。
「ほら、一年生いじめちゃダメだよ。戻ろう、菫」 照がそっと菫の手を取った。「あ……う」

「……私の妹もね、お話し作るの大好きなんだ。昔、よく話して聞かせてくれたっけ……。
咲がお姫さまで、私が王子さま、とかね。ふふっ」 少し遠い目をして、照が呟いた。
「君と気が合うかも、ね」 ふわっと笑った。「は、はい〜……」 ぽーっとのぼせる文芸子。

全国大会以降、照は下級生、殊に一年生に対して、とても優しくなったように感じられる。
愛する妹と白糸台の一年生達を、重ねて見ているところがあるのかもしれない。ちなみにこの夏
照に新たな異名が付け加えられた。”妹大好き無敵のおねえちゃん”である。シンプルだ。

強くなければ、妹を守れない。優しくなければ、姉である資格はない。だからおねえちゃんは、
優しくって強いのだ。大阪の姉も奈良の姉も、そうした意味で、立派におねえちゃんだった。

「ああ、そうだ、訊こうと思ってたんだ。ね、教えて。【自主規制】って、なに?」
「あ、えと、実はその、私も詳しくは知らないのですが、愛し合う二人がですね、こう……」
「せせ、説明すんなあっ!」 なんかもう、真っ赤な上に涙目になっちゃう菫ちんなのだった。

* *

「やー、よかった。無事に収まったみたい」 桜の大木の枝の上で、双眼鏡を手にした少女が
ほっとため息をついて微笑んだ。バードウォッチング同好会の一年生、鳥子(仮名)である。
文芸子と菫の追いかけっこを、追跡観察していたのだ。「うん、状況、オールグリーン」

「鳥子ー、あんたまたそんなトコ登ってー。降りて来な、見えちゃうぞー」 あきれた先輩が、
下から声をかけた。「ぅえっ? わっあわわ」 危うく転落しかける鳥子なのだった。

* *

件の18禁本は、あえなく発禁処分となった……筈である。
輝と楓シリーズは、反省しきりの文芸子により人物像に手が加えられ、よりフィクションとして
の色を濃くして継続が許可された。しかしながら、姉に恋する輝の妹タキ、タキに恋するほのか
という新キャラ達を加え、カオスな展開となっている。FC連盟内では、概ね好評のようだ。

新展開を迎えるに当たっては、強力なアドバイザーの存在があったらしい。その正体は不明だが
極めて少数の関係者の間では、”レディグリーンティー”と呼ばれている、との噂である。
……誰だろう。謎だ。
実は新聞部の特命取材班が、ある噂を調査中、匿名を条件に彼女との接触に成功している。裏付
けが難しく結局記事になることはなかったが、以下は彼女へのインタビュー記録の一部である。

――特定の生徒をモデルに、えっちなお話しの本が配布されたとの噂があるのですが。
「……さあ、知りませんね。そんなのあっても発禁でしょう。先輩が許す筈もない」

――あなたは、それに関わってはいないと?
「ええ……もしそんなものがあっても、一般に出回ることはないでしょうね」 メガネキラリ。

…… 一連の状況に関して、照は大して興味なさげで、我関せずといった感じだ。
「照が気にしないって言うなら、まぁ……」 いつもの通り、気にしないことにしたものの、
ちょっと複雑。超有名人の辛いところだ。弘世菫の心労の種は尽きない。

***************************
以上 読了感謝  である
645虎の寓話 後書:2012/01/15(日) 18:13:32.64 ID:HuXaZa5u
はい、お疲れ様でした ありがとうございました
身近な人を無断でまんまモデルに創作とか 大体おこられます多分 真似したらあかんです

オリキャラ全開でごぬんなさい

美術子・ちょっと勝気なちゃちゃのん、文芸子・胡桃ちゃんサイズの少し根暗なハッちゃん
バレー子・草食系の純のアニキ、剣道子・気の強いむっきー 卓球子・ぽけーっとしたワハハ
鳥子・おとなしめな池田ァ  …てなイメージで再生していただければ、幸甚に存じます

ああ、ばかだなー… でも気にしない 反省もしない ふへへ
ふふふこの後の投下話のばか具合が薄まって見えるというものよ
計算なのですよ計算、ふははははは  はぁ

次はシリアス? 今年も好き勝手するつもりです ではまた  あ、ことよろ
646名無しさん@秘密の花園:2012/01/17(火) 14:21:09.91 ID:cUhfKczw
照お姉ちゃんまさかの営業スマイルで吹いたよねw
647名無しさん@秘密の花園:2012/01/17(火) 18:44:01.05 ID:YSI4q4ls
なかなか楽しめたYo!
648名無しさん@秘密の花園:2012/01/18(水) 12:01:26.87 ID:9qjRuZBg
前書きと後書きがなければもっと素直に読めるし面白くなるんだがなぁ
649名無しさん@秘密の花園:2012/01/20(金) 23:16:25.99 ID:jivoRD7y
今号のガンガンでのシロを見て、
タラシが呼吸ついでにフラグを立てる、というのはこういう事をいうのかと大変勉強になりました
650名無しさん@秘密の花園:2012/01/20(金) 23:25:59.33 ID:VTuhX3iR
宮守女子校内にシロを陰ながら狙っている女子が数十人はいるとみた
651名無しさん@秘密の花園:2012/01/21(土) 21:30:44.06 ID:0t3uk1Vh
「食事に誘うのではなく自ら持っていく…その手があったか!」
そしてシロの周りに食べ物を持ってかしずくクラスメイト達

塞(ああ…シロがますますズボラな子になっていく…)
652名無しさん@秘密の花園:2012/01/21(土) 23:10:55.69 ID:SHo4KfB1
前後左右から「はい、あーん」されるが、
これはこれでダルいなと感じるシロ
653名無しさん@秘密の花園:2012/02/01(水) 02:52:31.57 ID:CtXKMKvG
||||||||||||||||||||||シ''''""" ........          ..;;illl||||||llii;;,,...   |||||||||||||||||||||
||||||||||||||||||||'" .,,;il||||||||||||lli,.        '""""" ""''ミii,..   ||||||||||||||||||||
|||||||||||||||||||| .,;il|i'""                ..,,,,,,.      il|||||||||||||||||||
|||||||||||||||||||i   .,,,;iツiii''"''''ミi;,.        .,;ilツ'.;ニ;..''' ''ミi,.  il||||||||||||||||||||
|||||||||||||||||||l'  ;'"".;il||||||||ミi;."';,,.    .,;ill|'" .,;l||||||||||ミ;,. "'  i|||||||||||||||||||||
|||||||||||||||||||i  i|' .l|||||●||||ミi; "'   .,i'"   'i||||●|||lツ' i  il|||||||||||||||||||||
|||||||||||||||||||i  'i|ミ;,.'ミi|||||||ツ".,;iil|i'   "''il|l;;,,.. 'ミl||||||lツ..,il|l'  i||||||||||||||||||||
|||||||||||||||||||"  "''iillll|||llllツ''"""       "''ミiill|||||llllツl''"  i||||||||||||||||||||
||||||||||||||||||||              ;;,.   ,.          ill|||||||||||||||||||
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   "'i||||||||||||i;,     "l|||illllllllllllll|iiiiil|liiiiil|lil||||||ツ"      .,;il|||||||||ツ
     "il||||||||||i;;,     "'i||l;i;;,..,,,,,....,,,,;i;;,,iiiツ'",      .,;il||||||||ツ
654名無しさん@秘密の花園:2012/02/10(金) 17:19:03.20 ID:IGiWJJSZ
かじゅももカラーでようやくレズ体位集が役に立ったか…
灼とハルエの会話がなんか夫婦っぽくてニヨニヨ
655名無しさん@秘密の花園:2012/02/10(金) 23:18:44.10 ID:dPGQPtwj
アニメスレで咲ポBestの表紙見たけど咲和いい絡み方だ
656名無しさん@秘密の花園:2012/02/10(金) 23:36:47.48 ID:w6jPLb+E
みっぽとはいい名前だ
きっと部長もそう呼ぶに違いない
657名無しさん@秘密の花園:2012/02/11(土) 07:14:10.37 ID:MY4XrHBV
東海チャンプのヤンデレ臭は異常
658名無しさん@秘密の花園:2012/02/11(土) 23:25:57.05 ID:ybRCZEZu
659名無しさん@秘密の花園:2012/02/13(月) 23:51:21.02 ID:dmPBbfKa
せっかくのバレンタインなので宮守妄想SSなんぞを

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2月14日、土曜日―。
民家がまばらに点在する田舎の国道を、塞はいつものように学校へと向かった。
昨晩の大雪が嘘のように晴れ渡った、気持ちの良い朝だ。
まだ足跡が少ない歩道の雪の上を、慎重に、しかし軽い足取りで歩く。
今日は授業は午前中だけなので、午後からは部活に専念できる。
その事が塞の気持ちを弾ませていた。

数週間前に赴任してきた熊倉トシが、正式に麻雀部の顧問となってからというもの、
宮守女子高校麻雀部の活動は急速に本格化していった。
それまでは部とは名ばかりの同好会のようなものであり、
麻雀が好きではあったが趣味の範囲を超えない程度のものであったのが、
トシの的確な指導により、着実に部員全員の実力が上がっていくのが実感できた。

また、トシの指導は麻雀の技術的な理論に留まらず、
一人ひとりの内に秘められた才能を発掘する事にも長けていた。
これまでは意識する事さえ無かった、いわば超能力とでも呼ぶべき非科学的な力。
トシはそれを当然の如く肯定し、またそれを自身で実証して見せた。

トシの指導は部員の中に眠る潜在能力を気付かせるものであり、
練習を重ねるほどにその力の存在を強く信じられる。
新しい世界が拓けていく、その不思議な感覚が塞には楽しかった。
来週にはトシがさらに新しい部員候補を連れてくるらしい。。
今までの高校生活が大きく変わる―そんな予感に塞は胸を躍らせていた。

学校に近づくにつれ、宮守の制服を着た女子高生の姿が増える。
彼女たちがどこかしら普段より浮き足立っているように見えるのは、
塞と同じように放課後の部活を心待ちにしているからではないだろう。
今日はバレンタイン・デー。女子高生にとっては最大のイベントの一つと言っていい。
宮守は女子校だからバレンタインなどというイベントとは無縁だろう―
―塞がそんな誤った認識を持っていたのは、昨年までの話だ。

校門をくぐり玄関に入ると、予想していた通りの光景に出くわした。
「……おはよう、シロ」
「……ん……おはよ…塞…」
すでに両手に抱えきれないほどのチョコレートの包みを抱え、靴箱の前に立ちすくむ白望。
白望の靴箱からも溢れ出した包みが床に散乱している。
白望は靴を履き替えることも、包みを拾う事もできずにぼんやり突っ立っている。
そうしている間にも1年生らしき女の子が頬を赤らめながら、
「小瀬川先輩っ!これ、受け取ってくださいっ!」と白望の持っている包みの山の上に、
さらに包みを重ねて足早に立ち去っていくのであった。

「シロ………いい加減ちょっとは学習しようよ……」
ため息をつきながら塞がカバンを開け、用意していた紙袋を取り出し、
白望の手に持っている包みをドサドサと入れていく。
大きめの紙袋が2つ、あっという間にいっぱいになった。
昨年は何も用意していなかったので、胡桃も呼んで3人で手分けして部室に運び込むしかなかった。
おかげで1ヶ月は部活中のお菓子に不自由しなかったが。
660名無しさん@秘密の花園:2012/02/13(月) 23:54:10.73 ID:dmPBbfKa
「ほら、シロ。これは部室に運んでおくから、早く教室に行きなよ。そこで突っ立ってたら、
また動けなくなるぐらいチョコを渡されるんだから。あ、これも持ってって」
塞がカバンからさらに3つ、空の紙袋を取り出し白望に渡した。
教室に行けば白望の机には、同じぐらいの量の包みが積まれているに違いなかった。
おそらく休み時間の間も際限なく白望の机の上には包みの山が積まれていくだろう。

「ん…ありがと、塞」
紙袋を受け取り、フラフラと教室に向かう白望を見送る。
よほど学校に来るまでに疲れたのか、いつも以上に気だるそうなのが少し気になった。
塞はカバンを脇に挟んで2つの紙袋を持ち上げ、部室へと歩き出した。
重い。白望は後輩からの方がより人気のあるタイプなのか、昨年よりさらに量が増えている。
――来年は台車でも用意しといた方が良さそうね――
塞はそんな事を考えながら、部室の中に紙袋を置き、自分の教室へと急いだ。

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午前中の授業が終わり、塞が部室に向かうと、すでにトシと胡桃が卓についてそれぞれ弁当を広げていた。
「うわ。やる気満々だね、二人とも」
「当然よ」
胡桃が唐揚げを頬張りながら答える。
トシが監督に就任し部活動の時間が充実していく事を、一番喜んでいるのは胡桃かも知れなかった。
何事も几帳面にやる事が好きな子だ。
これまでの活動も楽しくはあったが、胡桃には物足りない一面もあっただろう。

「ところであれ…例のアレ?」
胡桃が部室の隅に置かれた紙袋を指差し、塞に問いかける。
「うん。本日のシロの収穫……の一部。朝、学校に来るまでだけでアレだよ」
塞も卓の空いている席に座り、自分の弁当を広げながら答える。
「はぁ……相変わらず凄い人気ね、シロは。ばっかみたい。シロなんかにチョコあげても何も返ってきやしないのに」
口は悪いが、胡桃の言葉には塞も同意せざるを得なかった。
白望はおそらくチョコを貰った相手の顔すら覚えていないだろう。
部室に置いたままで、「ダル…」と家に持って帰る事さえ面倒がるのだ。
バレンタインというイベントを、どこまで正確に理解しているのかすら怪しい。

「胡桃は子供だねぇ」
トシがお茶をすすりながら、穏やかに胡桃をたしなめる。
「見返りなんて無くても、相手にプレゼントするだけで嬉しいものなんだよ、女の子は」
「んー…そんなものなのかなぁ…」
トシに子供と言われては、さすがに胡桃も反論できない。
「そんなものさ。シロがモテるのは分かるよ。私も後20年ほど若かったら良い勝負ができるんだけどねぇ…」
どさくさに紛れて随分サバを読んでいるようだったが、ここは突っ込まないのが大人の対応だろう。
塞も黙々と弁当を食べ始める。

3人が丁度弁当を食べ終わる頃、部室のドアが開きようやく白望が現れた。
部室に倒れ込むように入り、そのまま床にへたり込んだ白望の手には、誰にもらったのか、4つの紙袋が握られていた。
「……ダルい……もう、立てない……」
弱々しくつぶやく白望は本当に疲れているようだった。
今日が土曜日だという事が逆に不運だったのか、短い時間の間にチョコを渡してしまおうという、
女子生徒たちの猛攻に今までさらされていたのだろう。

「シロ、遅いよ。もうすぐ部活始めるから、早くお昼ご飯食べちゃって!」
白望の事情などお構いなしに胡桃が無情な言葉を浴びせる。
まあ、白望のこういう態度はいつもの事だ。
いちいち配慮していては部活が進まない。
「……ごめん、胡桃……今日は、ホントにダルい……もう帰ってもいい………?」
「またそんな事言って!ダメだよ、シロ。じっくり練習する時間なんてもう余り無いんだから。でしょ?先生」
「……そうさねぇ……確かに、インターハイの事を考えれば、今は一日でも惜しいのだけれど……」
トシも判断が出来かねているのか、珍しく言葉を濁し、塞に目配せする。
まだ部員たちと付き合って日の浅いトシには、こういう場合無理にでもやらせるか、
止めさせるかの判断は難しいのかも知れない。
661名無しさん@秘密の花園:2012/02/13(月) 23:56:00.17 ID:dmPBbfKa
「……ちょっと待って、胡桃。シロ、本当に具合悪そうだよ?帰らせた方がいいんじゃない?」
それまで白望の様子を注意深く見守っていた塞が口を挟む。
「――また塞はシロを甘やかして…っ――」
胡桃が言いかけて、しまった、というように言葉を飲み込んだ。
塞と胡桃の間に、一瞬緊張が走る。
塞はそれに気付かないフリをして、努めて平静を保ちながら、白望に近寄り額に手を当てた。
触れた瞬間、はっきり分かるほどに熱さが伝わってくる。
「…ほら、やっぱり熱があるよ。胡桃も触ってみて」
胡桃も近寄り、白望の額に手を当ててみる。
「……ホントだ……ごめん、シロ……塞も。先生、シロを帰らせてもいいですか?」
「ええ、もちろん」
トシの優しい眼差しは、まるで最初から部員たちがその選択をする事を知っていて
敢えて選ばせたかのようだった。

とりあえず、胡桃が納得してくれた事に塞は安堵のため息を漏らした。
胡桃と塞とは、白望への対応をめぐって、過去に一度大喧嘩になった事があった。
取っ組み合い、罵声と平手打ちの応酬――思い出したくもない、苦い青春の一ページだ。
それ以来、塞が白望を「甘やかしている」と胡桃に疑われた場合は、
そんな事はないという客観的な根拠を示さなければならない―というのが、二人の間の不文律であった。

「私は、シロを家まで送ってくね。とりあえず様子を見て、戻れそうだったらまた連絡する。
 熊倉先生、用務員室に大きいボブスレーありましたよね?ちょっとお借りしたいんですが…」
以前用務員のおじさんが、ボブスレーで荷物を運んでいた事を思い出した。
子どものソリ遊びにも、荷物の運搬にも使える、ママさんダンプと並んで一家に一台の雪国の必需品である。
白望の家までの道のりは割りと平坦で、距離もそれほどは無い。
白望の体を支えながら歩くよりも、乗せて運んだ方が遥かに楽だ。
「ああ、わかった。用務員さんに連絡を入れておくよ。……塞は良い介護士になりそうだねぇ」
トシの冗談とも本気ともつかない言葉に苦笑を返すと、塞はシロの腕を肩に担ぎ部室を出た。

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白望を校門の前で待たせ、塞が用務員室からボブスレーを借りて戻ると、
白望は校門にもたれ、カバンを座布団がわりにして地面に座り込んでいた。
どうやら立っているのも苦しいらしい。
「ほら、シロ、これに乗って。立たすよ?」
塞が手を掴み、白望を引き起こす。
起き上がった白望の身体は、自分一人では支え切れないのか、そのまま塞に正面からのしかかった。
塞は白望の身体を慌てて抱き止める。
白望の身体の重さと、普段の白望のイメージに反した柔らい女性的な感触に、一瞬塞の胸が高鳴った。
しかしそんな感情に浸る余裕は無い。
白望に押し潰されないように必死に踏ん張りながら、なんとかボブスレーに白望を座らせる。

「それじゃ行くよ。落ちないように気をつけてね」
ボブスレーの先端に付いた紐を腰に回し、塞が歩き始める。
雪質が良いのか、思ったより楽に進む。
しかしシュールな光景だった。
傍から見れば真昼間から女子高生がソリ遊びをしているようにしか見えない。
用が無い生徒はほとんど下校した後だったのが幸いした。
クラスメイトにでも見られたら、かなり恥ずかしい思いをしただろう。
辺りにはまったく人影が無い、静かな午後だった。
日光が雪に反射して眩しい。
一面の銀世界の中を、無言でひたすら歩き続ける。
662名無しさん@秘密の花園:2012/02/13(月) 23:57:02.30 ID:dmPBbfKa
「さえ」
20分ほど歩いただろうか。突然白望が口を開いた。
「ん?何?」
「……お腹すいた……」
少し申し訳無さそうに白望が言う。
「……お弁当は?」
「……今日は持ってきてない……コンビニで買うつもりだったから……」
「……チョコレートは?一つぐらい持ってるでしょ?あれだけ貰ったんだから」
「……いや……全部部室に置いてきた……塞は何か持ってない……?」
塞が少し考えながら辺りを見回すと、ちょうど岩根橋が見えてきたところだった。
あの近くになら腰掛けるベンチもあったはずだ。
「……もう少し歩いたら、休憩しよっか」

岩根橋にたどり着き、塞はベンチの雪を払って腰を下ろした。
思ったよりは楽だとは言っても、やはり慣れない運動はなかなかきつい。
だが、ここまで来れば白望の家までは後わずかだ。
塞はポケットからラッピングしたチョコレートを取り出した。
「はい、これ。あげる。食べていいよ」
塞が放り投げた包みを白望が受け取り、しげしげと眺める。
どう見ても手作りだ。
「……これ、塞が作ったの……?」
「まあね。……一応、部のみんなに。一度試しに作ってはみたかったけど、渡す相手もいないからね」

白望が包みを開け、中のチョコレートを一つ口に含む。
「………どう?」
「……うん……おいしい……」
「そか」
白望の表情はほとんど変わらないが、長い付き合いで嘘を言っていない事はわかる。
それだけで、塞は口元が緩んでくるのを感じた。。
――部のみんなのためにチョコを作ったというのは、嘘だ。
昨年、白望と一緒に大量のチョコレートを処理した経験から、白望の味の好みを何となく塞は知っていた。
それは紛れもなく、塞が白望の好みを考え、白望のために作ったチョコだった。

――私も、あの子たちと同じだ。
白望にチョコを食べてもらったというだけで、こんなにも嬉しい。
今朝、白望にチョコを渡していた女の子たちの姿を思い浮かべながら、自嘲の笑みを浮かべる。
胡桃がそんな自分を見たら「ばかみたい!」と吐き捨てるだろう。

白望がくしゃみをした。
「寒い?」
「……うん……少し……」
塞が着ていたコートを脱いで白望の肩にかける。
「……ありがとう……塞は大丈夫……?」
「ん。今日はそんなに寒くないし、どうせ動いたら汗かくぐらいに暑くなるしね」

『塞がシロを甘やかすから――!』
かつての胡桃の言葉が塞の脳裏をよぎり、胸を刺す。
『塞が甘やかすから、いつまでもシロはダメなままなのよ!!あんたの偽善がシロをダメにしているの!!』
――あの時、私らしくもなく逆上して、思わず胡桃の頬を張り飛ばしてしまったのは、
きっと胡桃の言葉が図星だったからだろう。
白望に対しては、誰もがある程度「これ以上の我侭は聞かない」という線引きをする。
もちろん塞にしても、塞自身は白望の要望を際限無く聞いているつもりは無い。
だが胡桃から見れば、塞のその基準はかなり甘いらしかった。
663名無しさん@秘密の花園:2012/02/13(月) 23:58:25.04 ID:dmPBbfKa
喧嘩の原因は些細なものだった。
1年の夏――ただゲームとしての3人麻雀を繰り返しながら、
インターハイをどこか遠い世界の事のように眺めていた日。
いつも通り、部活中に「ダルい」を連発する白望の態度を、胡桃が注意する。
ただ、その日は今までの鬱憤の積み重ねがあったのだろう。
いつも以上に胡桃は厳しい言葉を白望に浴びせていた。
それを見かねた塞が白望を庇って仲裁に入ったところで、
今度は胡桃の怒りの矛先が塞に向いたというわけだった。

女同士の本気の喧嘩は恐ろしい。
髪を引っ張り合い、殴り合い、お互いに意味の分からない事を喚き合って――
二人が暴れ疲れて嗚咽しながら座り込む頃には、沈む直前の夕日が教室を赤く染めていた。
夕暮れの静かな部室に、二人のしゃくり上げる声だけが響く。
涙を流し尽くして頭が冷静になってくるにつれ、お互いに対しての怒りも憎しみもなく
ただ何故こうなってしまったのか、という後悔と悲しみが残るばかりだった。
明日からどんな顔をして会えば良いのか。
謝りたい、と思いながらも、言葉を発してしまえば僅かな関係修復の可能性すら消えてしまいそうで
塞も胡桃もただ黙って座り続けるしかなかった。

そんな時、それまでどちらに加担するでもなく、喧嘩を止めるでもなく、
ただぼんやりと二人の喧嘩を見守っていた白望が突然口を開いた
「じゃ、帰ろっか」
そのあまりに間の抜けた、しかし的を得た一言に、胡桃と塞は顔を見合わせ思わず吹き出した。
きょとんとしている白望を前に、ひとしきり笑い転げ、部室を片付けて下校する頃には
もういつもの3人に戻っていた。

あんな事があっても―いや、あんな事があったからこそ、胡桃は塞の大切な親友であった。
あの喧嘩の後、胡桃は少しだけ白望に小言を言うことを止め、
白望は少しだけ我侭を言うことを自重し、塞は少しだけ白望に厳しくなった。
そんな風に、少しづつ大人になっていくのかも知れない。

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「……そろそろ行こうか」
あんまり休んでいては身体が冷えて、今度は自分が風邪をひいてしまう。
塞は立ち上がると、先ほどと同じく白望の乗ったボブスレーを引いて歩き始めた。
「……それにしても、風邪をひいているなら学校休めば良かったのに。どうせ土曜日なんだし」
「ん……親にはダルいから休みたいって言ったんだけど……無理矢理追い出された……」
そのやり取りは塞にも容易に想像できた。
白望の家族なら、そんな事は日常茶飯事なのだろう。
「……日頃の行いだね……自業自得ってやつ?……ま、シロもちょっとは反省しなよ」
「ん……でも、塞はどうして風邪だって分かったの……?……誰も信じてくれなかったのに……」
「ん?……ああ、私はほら、アレだよ。モノクル付けたら不思議と人の体温とか分かるから」
「……?……今日は、塞がモノクル付けてるとこ、一度も見ていない………」
――白望は変なところを結構良く見ている。そこは気付いてもスルーするところでしょ。
白望の事をいつも見ているから―などとは口が裂けても言えるわけがなかった。
塞は顔が火照ってくるのが分かって、後ろを振り返れなかった。

「さえ」
「……ん?」
「……いつも、ありがと……感謝してる……」
「…………そか…………」
そんな一言で、白望の全てを許せてしまえる。
――私は、ダメな女だ――多分、シロとは違う方向でダメな女なのだろう。
664名無しさん@秘密の花園:2012/02/14(火) 00:02:24.07 ID:liJQA0Sj
『シロがこのままダメな人間になったら、塞はシロの一生に責任が持てるの!?』
喧嘩の時、胡桃にそんな事も言われたのを思い出した。
何を大袈裟な、とあの時は思ったものだが、白望がこのままろくに自立できない人間になってしまったら、
その責任の一端は、確かに自分にもあるのかも知れなかった。
――だけど、それならそれで、一生シロの面倒を見るのもいい。シロがいつか熊倉先生の年を越えて、
本当に介護が必要になっても――
それもまた、自分にとっては幸せな人生のように塞には思えた。
そんな考えを胡桃に話したら、きっと呆れられ、罵倒されて――
――それでもきっと胡桃は、何があっても最後まで私の味方でいてくれるだろう。
もちろん、白望が他人に迷惑を掛けない程度に、自分の事をやるようになってくれればそれに越した事はないが。

「ねえ、シロ。シロは全国に行きたい?」
全国。一年前の私たちなら考えもしなかった言葉だ。
「……塞は?」
「…私は行きたいかな……やっぱり、どこまで行けるか、試してみたいから……」
「……うん……塞と胡桃が行きたいなら、がんばる……」
白望の予想外の言葉に驚いて振り返る。
「……へぇー…変わったね、シロも」
「……そう……?」
やや消極的な言い方ながらも、白望の口から「がんばる」などという言葉を聞いたのはこれが初めてだった。
トシが来て部活動の内容が変化した事が、白望にも良い影響を与えているのかも知れない。
「一緒に行こうね、全国」
白望が誰にでも優しい事も、白望の面倒を見るのが自分じゃなくても良い事も分かっている。
それでも、きっと何か素敵な事が起こる予感を塞は感じていた。
3年のインターハイ。最初で最後の挑戦。
まだ遠い夏へと思いを馳せながら、塞は白銀の新雪の上を歩き続けた。

―Fin―

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んー、あんまりバレンタインっぽくないですねー。駄文失礼しました。
665名無しさん@秘密の花園:2012/02/14(火) 00:13:41.04 ID:e/a6YjtX
GJ
666名無しさん@秘密の花園:2012/02/14(火) 02:04:53.01 ID:tk53hKPb
いいよいいよ〜
GJですた〜
667名無しさん@秘密の花園:2012/02/17(金) 12:05:32.73 ID:XlJ7llxd
今回もレズばかりでした
エイちゃんが4Pの輪に入れなくてジュン…となってたのが泣ける
668王たま伝 序:2012/02/19(日) 15:41:23.39 ID:D/wfDZBr
>>646 お姉ちゃんは大人なのです でもいつもと違いすぎて菫ちんハラハラです
>>647 嬉しいよかったyo! ホゥ!
>>664 わーい、投下乙です、GJでーす!
>>648 えー なんでー? ……やだし 書くし
SS楽しいけどほんのちょっと疲れるのです 少し遊ばしてお願い 海の如くに広い心で見逃して
具体的に言うと瀬戸内海くらい でも蛸とかおんねん へーちょ

さておーき、豊音ちゃん泣いたった かわええ! ああもう頭なでたいよしよしよしよし
ぬおっ?、と、届かな……すみませんちょっと屈んでください

おもち編ー、すばら先輩だー! ああ、お元気そうで何より なんか大人っぽくなっちゃってもー
ところであの美しいおみ足のお方は、部長さんでしょうか うわーぴっちぴちー すばら!

おねえちゃん出陣ー! てるてる照さまゴーゴー! なぎ払えーっ!
なんか凄いの出たー! 照魔鏡どーんっ! ヒャッハー
ああもうお美しいわお強いわ可愛らしいわでもうハァハァハァ
どうか照さま、手加減抜きでかましたってください
卓を囲んだ戦士たちには、それが至上の喜びとなることでしょう

試合前、何をお読みになられていたのでしょうか?
試合直前だし、小説というよりは詩集かな リルケとか 何かそんな気がします
案外、「気まずくなったあのコとの仲を、もと通りにする賢い10のやり方」 だったりしてw

憩ちゃん、お友達凄すぎっすー 何かこわいす 特にモコちゃん
リボンの位置がこわいす あと何かみょんみょん出しとる人もいるしw 全く引いた様子もなく
普通に接している感じからして、憩ちゃんの人柄がわかりますな ええ子やー 天使やー

それにしても、デザインは立たんなのか、アグリッパてんてーなのか
何にせよ個人戦の行方も激しく気になります
でもまあ、照さまの三連覇に決まってますけどー ハハンふふん

強烈なキャラが出てきたけど、でも……それでも玉子ちゃんなら、王様ならきっとっ!
てなわけで、今度の主役は、さいたま王! SS投下でございます
二回戦敗退後のお話しです 軽めお気楽3〜4レスれす どぞ
669王たま伝@:2012/02/19(日) 15:46:24.97 ID:D/wfDZBr
出 演:宇津木玉子、新免那岐、越谷女子と讃甘高校の麻雀部の皆さん
百合分:ゆー エロ:ノォオオ ばか:である
大会会場の警備員が言いました 「あ、あれが全国区の、色物……」 ゴクリ
はいそうです 只者ではありません
**********************************
「 おうさまとさむらい 」


「あうぅうう〜、である〜」 ぐったりとベッドに突っ伏したまま、宇津木玉子が呻いた。
ここは埼玉県代表・越谷女子の面々が宿泊するホテルの一室である。地理的に言えば全員通いで
大会参加も可能なのだが、万全を期するためにと、あえてレギュラー全員でホテルに泊まり全国
大会に臨むという体勢を執った。その甲斐あってか、念願の一回戦突破を果たしたものの……、

「ううう、余の、余のせいなり〜、ノォオオオオ」 朝からめそめそしっぱなし。
昨日、団体戦二回戦で敗退してから、ずっとこの調子なのである。頭上の王冠?がずれている。
心なしか、いつもの輝きが薄れて、少し曇っているようにも見える。

「大人しくなるのはいいけどなー、コレはコレで、ウザい、ウザすぎる」 十万石ま○じゅ……
ゲフンッ、いやその、げんなりしつつ呟いたのは、浅見花子である。

「やぁ〜ん、玉子ちゃん先輩、元気出して〜? そだ、ネイルしたげるからぁ〜」
水村史織が、くねくねしながら玉子の顔を覗き込む。「……いらぬ」 クスン プィッ

「玉子先輩、らしくないすよ。ほら、お菓子あげるから」 八木原景子がスティックチョコで、
玉子のほっぺをつんつん突っついた。「ぅう〜、いらぬぅ〜、優しくするでない〜」 スンスン

「王様ー、いつまでもへこんでんなってー。ホレ、気晴らしにでもいこうや、よっと」
新井ソフィアが、玉子の両脇に手を突っ込み、ぐいっと持ち上げた。でもぐんにゃりしている。
まるで浜に打ち上げられた海洋軟体生物みたいだ。さいたまに海はないのに。ないというのに。
(あーもー、うぜぇー。……しょーがねーなー)

「ふがいない! それが王たる者の態度か!」 花子が一喝した。ぴくっと玉子の肩が動いた。
「人がその真価を問われるのは敗北したとき、そしてその後だ! まして貴様は王なのだろう?
そんなことで、貴様の臣下に示しがつくと思うのかっ!」 「……う」

「? 臣下って、だれぇ〜?」 史織がキョトンとして、景子に訊いた。
「……私ら後輩部員ってことになるのかなー、やっぱ」 景子は何か嫌そうな表情である。

「おお、そうだぞ! 今こそ立ち上がれっ、王様!」 「……うう」
後輩の二人に目配せをするソフィア。(ほら、おまえらもっ)
「……そ、そーすよ、ここまでこれたのも、玉子先輩のおかげっす」 「……ううう」
(いいぞ、もうひとこえっ!) 「た、玉子ちゃん先輩、マジおうさま〜、すてき〜」

「う……ふ、ふふ、ふははははっアイマキーングッ! 苦しゅうないっ!」 シャキーン!

「あははははっ、玉子王、復活ーっ!」 ソフィアが花子の方へぐっとサムアップ。
(世話焼けんだよなぁ、この単純バカ) やれやれ、と花子が苦笑した。

(でもま、ここまで私ら引っ張ってきたのは、紛れもなくコイツだしなー。……ホント、この
3年間、退屈しなかったよなぁ。おっと、まだ半年あるか……んでも、ありがとよ、王様)

一気に駆け抜けてきたこれまでの思い出が、ふと脳裏をよぎる。楽しくて笑ってしまいそうで、
切なくて泣いてしまいそうで、じわっと視界がにじむ。(おっとぉ)慌てて花子は目を伏せた。

「うははははははー、朕は彩の国家なりーっ! 皆の者ー、よきにーー!!」
「……やっぱ、うぜぇw」
さいたま王・玉子と共にある限り、感傷に浸っている暇などないのであった。

* * *
670王たま伝A:2012/02/19(日) 15:51:26.99 ID:D/wfDZBr
「……無念」 清涼飲料の自販機の前で、一人の少女が小さく呟いた。

ここは大会会場敷地内の中庭である。
ちらほらと行き交う人々が、チラチラ彼女の方に視線を向けて通り過ぎていく。
確かに物憂げな表情を浮かべた、なかなかの美人なのだが、人目を引く理由は寧ろ他にあった。
腰の両脇に、二本の刀を差しているのである。

「修行が足りぬ。……未熟なり」 讃甘高校3年、新免那岐が、ぎゅっと刀の柄を握りしめた。

3年間の集大成として、全力で臨んできた大会だった。地方予選から、楽な試合など一つもなか
った。しかし何があろうと、どんな強敵であろうと、逢うてはただ、ソレを切るのみ――。
そうして前へと進んできた……つもりだった。

勝敗は致し方なし、だ。しかしながら、奈良代表先鋒のドラを駆使した麻雀に、一瞬でも狼狽え
てしまった自分が許せない。(武蔵殿、私は未だ、道半ばです……うん、まだまだ、だ)

”見”も修行のうちである。今大会を最後まで見届けるため、恥を忍んでこうして会場へと足を
運んできた。ちなみに刀は恥ずかしくないのだ。その発想は無いのだ。だって武士の魂だもん。

(ここはスカッと炭酸飲料やな) 小銭を投入して、ド○ターペッパーのボタンをピッと押す。

  ガコンッ  ガコガコンッ

隣の自販機で、同時に購入する者がいた。ちらっとそちらに目を向ける。「っ!?」
宇津木玉子がそこにいた。同じくド○ターペッパーを自販機から取り出しつつ、那岐の方を
チラチラと見ている。腰の刀が気になるようだ。

「(なな、何奴? なんやそれ王冠? 王冠なのか? 王様なんかっ!?)」
「(なな、何者? なんだそれ本物? 本物なのか? お侍なのかっ!?)」

二人はしばし見つめ合い、同時にぷいっと目をそらした。
(( へ、変な奴だっ! )) いやあの、君たち?

(さ、さすがは東京だ。い、いやいや、変な奴など気にせぬっ。明鏡止水、不動心……)
那岐がプシュッと缶のふたを開けて、クピッと一口、口を付ける。「ん……、んんっ?」
玉子がいつの間にか傍に来て、那岐をじっと見つめていた。(なな、なんだ!?)

すると突然、顔の下に両手の平を添え、ぷくっとほっぺを膨らませて、玉子が言った。
「キングス○イム」 「ブフゥオァッ!」 那岐が吹いた。

「げーっほ、げほごほっ、けほっ、はっ、はぁ、……くっ、おのれ」 涙目。
「んっふふ〜ん♪」 玉子は勝ち誇ったようにほくそ笑み、缶を開け、くぃっと飲みだした。

次の瞬間、素早く那岐が刀を一本、シュラッと抜き放った。(※当然竹光です)
左肘をぐいっと上げて、脇の下に刀身をあてがい、真剣な表情で言った。
「ムダ毛処理」 「ブフォオーッ!」 玉子が吹いた。

「げほほっ、げーっほごほっ、けほっ、うぉおにょれ〜」 涙目2。
「ふふんっ」 流れるような動作でパチンと刀を鞘に収めて、満足そうに那岐が頷いた。

「…………」 「…………」 那岐と玉子が、ぐっと胸を張り、対峙してにらみ合う。

つか、とても近い。ちゅーの射程圏内だ、きゃー。だがしかし、ロマンチックには程遠い。
両者の視線が交錯し、バチバチッと火花が散る。

出会ってはいけない二人だったのかも知れない。だが運命の輪は、廻り始めたのである。
西の空に、雲が湧きだしている。 ゴォオン ゴロゴロゴロ ……遠く低く、雷鳴が鳴り響いた。

* * *
671王たま伝B:2012/02/19(日) 15:56:53.90 ID:D/wfDZBr
「玉子のやろー、どこうろついて……うん?」 越谷女子の面々が、中庭を通りかかった。
なにやら騒がしい。「せ、先輩、あれって……」 景子が少し戸惑いつつ、呟いた。

「大体なんだソレ! 王冠? どこに売ってるんだ、そんなん!」
「聞いて驚け、余の手作りである! この世に二つと無い逸品であるぞっ!」

玉子が誰かときゃいきゃい言い争っている。「やぁ〜ん、あの人、刀差してるぅ〜」
史織がソフィアの後ろに、こそっと隠れた。「あれって確か、岡山県代表の……」

「……あー、類は友を呼ぶ、ってヤツかなー」 花子がげんなりとそう言ったそのとき、
「おお、皆の者、遅いではないかっ!」 玉子に気づかれた。

「この桃太郎ざむらいに、余の賢王っぷりを、とくと聞かせてやるがよいっ!」
「言ったなこの痴れ者めが! どうせ”裸の王様”ってところだろうっ! 大体、何で王様なん
だっ!? お姫様とか選ばんか……って、うん?」 那岐の勢いが止まる。玉子の様子が変だ。
手を交差して自らの胸を抱き、ちょっと赤くなっている。

「……えっち」 もじもじ玉子、那岐イラァッ。
「〜〜っ、ええい、そこになおれっ! 備前長船の錆にしてくれる!」
がっと刀(※竹光です)の柄に手を掛ける那岐。

「わー! ちょいまった、待ったー!!」 ソフィアと景子が慌てて止めに入った。
「やぁああん、けんかだめぇ〜、やーめーてぇ〜」 史織が涙目でくねくねしている。

「……あーもー、ん?」 頭を抱える花子の肩が、とんとんっと叩かれた。
振り向くと、那岐と同じ制服を着た少女たちが4人、後ろに立っていた。
「ども。岡山讃甘高校麻雀部です」 「あ、ども。えと、埼玉越谷女子麻雀部っす」

「……なんやろ、うちのあほ侍が、すんません」 讃甘高校の子が、ぺこりと頭を下げた。
「いやいや、そんな。どーせうちのバカ王が、何かちょっかい出したんでしょー」
「しかしまた、見事な王冠ですねぇ」 「あー、あれねぇー。取り上げると、泣くんすよ」
「おや、一緒。うちのも刀取り上げると、泣くんです」 「はー、そうなんすかー……」

「……お互い、苦労しますなぁ」 遠い目。
「……もう慣れちまったっすけどねー、悲しいことに」 遠い目2。
ふと目を合わせた二人が、どちらからともなく手を伸ばし、がしっと固い握手を交わした。

「余の裸はそう簡単には見せぬぞっ! このえっち侍め!」
「お前の裸見たいなんてひとっ言もゆーてへんわーっ! このボケボケ王がーっ!」

* *

この後、勝負と称してボウリングにカラオケと、両校の面々は観戦そっちのけで遊び倒した。
仕上げに入ったスーパー銭湯で、玉子はあっさりと文字通り”裸の王様”となったわけだが、
「ふふん、余の見立ての通り、小さき胸であるな」 「貴様の方が、ぺったんこだろうっ!」
……それはもう、実にむなしい闘いが繰り広げられたという。

ホテルに戻る道すがら、突然、玉子が宣言した。
「花子、次の目標が決まったぞっ! 秋のコクマで、那岐と勝負だ!」

「んだよ、お前夏終わったら、引退して受験勉強するって……」
「みなのものー、決戦だー! 余について参れー!」 「おおー!」 ソフィアはノリがいい。
「あはは、おー」 「がんばりまぁ〜す」 景子と史織も笑ってる。

「はぁー……ぷっ、くくっ」 どうやらまだまだ、退屈は出来そうもない。
ため息をつきつつも、自然とこみ上げてくる笑いを、どうにも抑え切れない花子なのだった。

*************************
以上  読了感謝  よきにー
672王たま伝 後書:2012/02/19(日) 16:01:58.28 ID:D/wfDZBr
はい、お疲れ様でした ありがとうございました

負けて得るものってあるのです
と、いろいろ大体負けっぱなしの自分が偉そうに言ってみる フヒヒ
大丈夫、皆良い子だし、強く優しくなれるのよー
がんばりんさい わしはぼちぼち限界ですが  ではまた
673名無しさん@秘密の花園:2012/02/20(月) 00:39:22.74 ID:JyQc95aw
泉ちんは先輩方の扱いが上手そうやなぁ・・・
674名無しさん@秘密の花園:2012/02/20(月) 20:22:28.86 ID:C8KoFzWX
前書き無くなったら読む
675名無しさん@秘密の花園:2012/02/21(火) 00:50:13.43 ID:Bqsgs6Rh
来月は新刊3冊同時発売なのか。単行本組なので楽しみだ。
阿知賀編も百合的に好評らしいし。
676名無しさん@秘密の花園:2012/02/22(水) 03:10:08.77 ID:JZ+P94eo
>>659
シロモテそうだよなぁ。既に宮守全員コマシてるし……
677名無しさん@秘密の花園:2012/02/22(水) 03:31:25.41 ID:yiqCnp13
絶対モテてるだろ。ダルいダルいと言いつつも押さえる所は押さえるイケメンさがちょー濡れる
俺がもし宮守女子の生徒で同じクラスだったら多分授業中そっちばっか見て集中できない
部長とはまた違ったベクトルのスケコマシさんだな
678名無しさん@秘密の花園:2012/02/26(日) 14:07:52.22 ID:bwtNOrWz
咲の百合を大いに語り合いたいというのに、そういう話題を一番気兼ねなくできそうなここの流れがこんなに遅いのはなんでや・・・
永水もなかなか濃そうだなーと永水スレを覗いてみても、ほんと雄汁臭くて読んでるだけでゲンナリする・・・
679名無しさん@秘密の花園:2012/02/26(日) 17:29:32.41 ID:MwVpGaR3
永水はアニキャラスレにたまに有る系スレの流れだからなw
でも姫松と宮守のスレは落ち着いてていいわ。
伸びないのは、ぶっちゃけ燃料が無いからだろうねぇ。
680名無しさん@秘密の花園:2012/02/26(日) 17:53:55.01 ID:bwtNOrWz
確かに姫松と宮守のスレは良いね。その手の話題出してもまんざらでもない感じで乗ってくれる人もいるし
もうちょっと盛り上がってくれれば巡回しがいもあるんだけど・・・永水みたいな盛り上がり方はノーサンキューだけど!
そういう意味じゃあやっぱりここが一番安全ではある
681名無しさん@秘密の花園:2012/02/27(月) 14:13:48.07 ID:xdAVh9PZ
9巻表紙にエイくるきたー!
まさかのダブルス!
682名無しさん@秘密の花園:2012/02/28(火) 02:28:04.00 ID:PZLLTrGJ
折り返しは当然シロだよね?!
両手に華かぁ!羨ましいぞ、シロ!
683名無しさん@秘密の花園:2012/02/28(火) 13:33:28.38 ID:UL5jBJaK
灼「慣れてるね…ハルちゃん。やっぱりあの人?」
晴絵「ん、妬いてる?」
灼「別にそんなんじゃないけど…」
晴絵「大丈夫、今は灼だけだよ」

こんな感じのSSが読みたいです先生!
684名無しさん@秘密の花園:2012/02/28(火) 20:53:54.22 ID:s3SygKc4
特訓から帰った灼に晴絵が素っ気ないのは
朝ごはんすっぽかされた仕返しだよね
685名無しさん@秘密の花園:2012/03/01(木) 04:12:04.36 ID:VtNnLfIV
小林立×五十嵐あぐりっていうのはやっぱりそういう・・・
そこであの資料ですね!
686名無しさん@秘密の花園:2012/03/06(火) 04:26:51.44 ID:djxkvzAQ
エロくてもかまわんのだよな? 原作が一向に投下されないからちょっと
ちょいエロ話を100行ほど書いてみたんだが
687名無しさん@秘密の花園:2012/03/06(火) 05:23:05.23 ID:neH5ucs7
どうぞどうぞ
688名無しさん@秘密の花園:2012/03/06(火) 15:57:57.77 ID:LQbYA3cA
これはありがたい
689名無しさん@秘密の花園:2012/03/07(水) 01:22:00.13 ID:QjxHHhQD
「宮守麻雀部の熱き青春」
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ジャンル:宮守麻雀部シロ総受け
エロ:ガチエロにしようと思ったのにできなかった悔しいのうR12くらい
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「いよっしゃぁ! ロン! 6400!」
塞の勝ち誇った声が宮守麻雀部部室に響き渡る。うるさいそこ。
トヨネが帰ってしまった後。つまりもうかなり夜遅くの麻雀部部室は妙なハイテンションに満たされていた。
というか、塞がなんか1人で異様に盛り上がっているのだけど。ハァハァ言っててきもちわるっ!
「これで私が1位! シロは4位ね!」
興奮して赤面した顔で勝ち誇る塞。今まで見たことも無いくらい嬉しそうなドヤ顔だった。愛宕姉かあんたは。
「………………………ダルい」
一方シロはいつも以上につまらなそうな顔をしていた。
夜の宮守麻雀部【王さま麻雀】。その結果は1位塞、2位エイスリン、3位私、4位シロという結果に終わった。
まぁ、ぶっちゃけ塞がシロをこれでもかとあからさまに塞いだからなんだけど。
エイスリンにまで勝ってしまうとは驚きだ。今日の塞は塞ぎのキレがハンパじゃなかった。
まぁ、この【王さま麻雀】に対する熱意の違いなのだろう。【王さま麻雀】を知らないエイスリンは思いっきり引いていた。

「そ、それじゃ、仕方無いよねー! 罰ゲームの決まりだもんねー!」
真っ赤な顔の塞が白々しくシロに言う。そもそも【王さま麻雀】を提案した瞬間からシロ狙ってたろあんた……。
「あー……死ぬほどダルい」
死ぬほどダルそうなシロが死ぬほどダルそうな動きでのろのろと隣の卓の上に突っ伏す。アザラシみたい。
「……バツゲームッテナニ?」
未だによくわかっていない無垢なエイスリンが首をかしげる。イマドキのJKならもう大体想像つくだろうに。
「そりゃ、決まってるじゃん」
私は簡潔に答える。
「ビリの人はトップの人に体を好きにしてもらう罰ゲームよ」
690宮守麻雀部の熱き青春:2012/03/07(水) 01:26:44.41 ID:QjxHHhQD

「――ば、罰ゲームなんだからあああああ!」
超白々しい言い訳を叫びながら興奮しきった塞がシロを背後から襲う。
「――ふ、ふあうっ!」
真正直にいきなり胸を揉みまくる塞にたまらずシロが声を上げる。
「ああっ! シロっ! シロぉーっ!」
背中から覆いかぶさりつつ胸を遠慮0%で揉み倒す。なんか早くも感極まっている。相当たまっていたらしい。
「……………ぅー……ダル……」
シロも口ではいつも通りだけどなんだかんだで興奮しているようで、だんだん顔が赤くなって来た。
「だ、ダメでしょっ! シロっ! シロはっ! 奴隷なんだからっ!」
もの凄く息が荒くなっている塞がすごく恥ずかしそうな笑顔で言う。自分の言葉に自分で興奮してるみたいだ。
「だからっ! 『気持ちいい』って言わなきゃダメでしょっ! ほら! シロ! 言ってっ!」
もうなんか理性の歯車がぶっ壊れかけてる塞がシロに命じる。
シロは両手に顔をうずめて隠しながら、ぼそりと言った。
「……………………『気持ちいい』…………」
「――っっ! あっ! あはぁああああっ! シロっ! シロおぉ!」
完全に感極まった塞の動きが急激に早くなる。と同時にシロの喘ぎ声もだんだん熱を帯び始める。
どうやら完全に2人の世界に入ってしまったらしい。
隣を見ると、顔を真っ赤にしたエイスリンが2人を凝視していた。しまった。エイスリンには刺激が強すぎたかもしれない。
……でも、エイスリンもまんざらでも無さそうだよね。
しばらくすると、2人とも満足したようで、塞とシロのお熱いプレイがようやく収まった。
いつのまにかシロは仰向けになって、その上に塞が突っ伏して、2人とも荒い息を整えていた。
こんなに幸せそうな表情してる塞は初めて観た……っつーか血色良っ! お肌が上気しまくってるよ!
「ねーお二人さん。余韻に浸ってるとこ悪いんだけどー」
幸せそうなとこ悪いけど、私は声をかけた。
「確か【王さま麻雀】って、ビリの人を好きにする権利は2位まで有るんだよね?」
「……………え?」
まだ息の荒いシロがもの凄くダルそうな瞳をこっちに向ける。
691名無しさん@秘密の花園:2012/03/07(水) 01:30:01.80 ID:URnGNflQ
ワッフルワッフル
692名無しさん@秘密の花園:2012/03/07(水) 01:34:12.78 ID:QjxHHhQD

《ダヨネ! ジョーシキダヨネ!》

エイスリンがドヤァな笑顔でスケッチブックを掲げる。うん。すばらしい笑顔だ。
「……いや……そんなわけ……ちょっと……塞……」
「はぁ……はぁ……シロぉ……もうだめぇ……」
「いや塞、夢の世界にトリップしてないで、なんか言ってよほら」
塞は最早完全に夢の世界に行ってしまったようで、1人でなんかつぶやきながらくねくねしている。
あの分だとしばらく目を覚ますまい。
「というわけで――第2ラウンド、行ってみようか!」
「おい胡桃ちょっとまああうっ!」
シロが言い終わらないうちにエイスリンがシロに跳びつく。シロの言葉は熱烈なハグで遮られた。
「……シロッ! ……シロッ!」
エイスリンに尻尾が見えた気がした。喜びに高速回転している。飼い主にじゃれつく犬のようだ。
いや、むしろマグロにしゃぶりつく猫だろうか?
愛されてるなぁ。我が宮守のジゴロは。
「……エイスリン……ちょっと……タンmんぐっ!」
シロのちょいタンマが発情エイスリンにさえぎられる。
無垢なエイスリンのこんな素敵な姿を観られるとは私はラッキーだ。と同時に帰ってしまったトヨネは災難だったなぁと思う。
ということで私はケータイのカメラ機能でたわむれるエイスリンとシロの姿を撮影する事にした。
まぁ実は塞の時からずっと撮影していたけど。
もちろん1280×800の大画面撮影だ。明日トヨネも交えて観賞会を開く事にしよう。
乱れまくってる自分の姿を観たエイスリンの反応が楽しみでしょうがなかった。
純粋なエイスリンの事だ。オーバーヒートを起こすかもしれない。
693宮守麻雀部の熱き青春:2012/03/07(水) 01:41:55.83 ID:QjxHHhQD

――その後、子猫とアザラシの(かなり一方的で)濃厚なじゃれあいを、私はたっぷり堪能した。
――数十分後、そこには幸せそうに寝息を立てるエイスリンと、服がズタボロになったシロの姿が有った。
「……ダルい……」
「とかいってシロも大分喘いでたくせに」
「……うっさいなぁ……んん……」
ゴマフアザラシとナマケモノの中間のような動きでシロは身を起こす。
なんだ、やっぱなんだかんだ言って満足した顔してるじゃん。
「ところでさーシロー」
「ん?」
「【王さま麻雀】って、ビリの人を好きにする権利は、3位の人まで有るんじゃなかったっけ?」
「………………………は?」
シロはもの凄く嫌な予感がした顔でこっちを見た。
「……いや胡桃……私さ、汗臭いし……シャワー浴びたいんだけど……」
残念ながらさっきからその汗のにおいに興奮しっぱなしだ。
「問答無用!」
もう私もガマンの限界だった。

明日は、トヨネも交えて楽しもうと思った。当然、みんなでシロを狙い撃ちだ。
岩手県宮守麻雀部は、今日もあったかいです。

694名無しさん@秘密の花園:2012/03/07(水) 03:50:47.58 ID:k0RUO7Nt
ありがたいありがたい…
塞さんが素敵すぎる
695名無しさん@秘密の花園:2012/03/07(水) 21:20:54.11 ID:nGZEO8/4
輪姦過ぎるw
696名無しさん@秘密の花園:2012/03/07(水) 21:25:01.45 ID:URnGNflQ
王様麻雀最高だな
697名無しさん@秘密の花園:2012/03/07(水) 22:53:17.58 ID:UOCfXDJK
シロは何か特別なフェロモンを分泌してそうだ
698名無しさん@秘密の花園:2012/03/07(水) 23:34:09.18 ID:mVMj8d71
アザラシが控え室抜けてまで来てくれるなんてね
699名無しさん@秘密の花園:2012/03/08(木) 00:31:20.55 ID:qmsqpQwO
シロ総受け素晴らしいなw
でも誰かと二人きりになると甲斐性?を発揮して攻めになるんだぜきっと…
700名無しさん@秘密の花園:2012/03/08(木) 03:10:23.34 ID:TiBT7veA
まぁぶっちゃけ夜寝る前にしてた妄想を文字にしただけだけど。
>>659みたいなきれいな塞が書きたかったのにどうして真逆のノリになった
701名無しさん@秘密の花園:2012/03/08(木) 22:23:02.78 ID:qK/XDSo8
欲望剥き出しの野獣と化した宮守というのも、それはそれでw
702名無しさん@秘密の花園:2012/03/09(金) 01:31:56.83 ID:JYuQubDb
>>659見た後>>689観るとギャップがやばいなw
2次創作の醍醐味だな
703名無しさん@秘密の花園:2012/03/09(金) 23:35:30.21 ID:C1asufYU
立っちゃん×あぐり×牛たん・・・そういうのもあるのか!
704名無しさん@秘密の花園:2012/03/12(月) 08:48:34.01 ID:CUjkFLZY
怜と竜華良いな
そして照ねーちゃん強すぎw
705名無しさん@秘密の花園:2012/03/12(月) 11:21:19.61 ID:XEYevOUP
怜竜最高やな
もう怜が元3軍とか立の後出し設定はホンマにもう……泣いてまうやんか……
706名無しさん@秘密の花園:2012/03/12(月) 22:20:01.39 ID:iTuoSEKg
9巻折り返しはシロと塞さん・・・つまり宮守はマルチな組み合わせで楽しめるってことですね!
707名無しさん@秘密の花園:2012/03/12(月) 22:31:34.45 ID:Ah8Fno64
宮守は一夫多妻制
もうみんな仲良く5P乱交でいいんじゃないかとw
708名無しさん@秘密の花園:2012/03/12(月) 22:37:20.63 ID:iTuoSEKg
異論は無い!
誰か一人が抜け駆けしないかと水面下で繰り広げられる熱い鍔迫り合いも捨てがたいけどね
709名無しさん@秘密の花園:2012/03/13(火) 17:29:11.72 ID:TJ6APhuN
憧×穏乃に目覚めそうだ
710名無しさん@秘密の花園:2012/03/13(火) 18:15:53.78 ID:NoW6D+4W
しずあこは良いものだ
今後和を交えての三角関係や咲を巻き込んでの四角関係への発展を期待したい
http://uproda.2ch-library.com/501203iFO/lib501203.jpg
711名無しさん@秘密の花園:2012/03/13(火) 20:35:58.03 ID:IstXf4mY
アニメはきっと百合を盛ってくれると思うと楽しみで仕方ない
しずあこに怜竜に……
712名無しさん@秘密の花園:2012/03/14(水) 04:51:58.84 ID:qgkZR69o
照咲が足りないいいい
もっと照咲に萌えたい…
阿智賀編でもっとしゃべったりしないかなぁ〜
まだいまいちどんなキャラなのかわからない
713名無しさん@秘密の花園:2012/03/14(水) 10:07:38.12 ID:M4vaRwA0
>>712
そればかりは百合にならないと思うが……
「妹なんて居ません」だし……咲は咲で姉にコンプレックスが有るようだし……
714名無しさん@秘密の花園:2012/03/14(水) 10:46:20.49 ID:qgkZR69o
>>713
ええ? 咲はシスコンかと…
照も実はツンデレで妹大好きっていう設定に私の脳内でなってる
715名無しさん@秘密の花園:2012/03/14(水) 10:53:05.49 ID:Ydel+CSQ
菫さんとかхрヘ長らく登場が無かったお陰でいろんなイメージが先行しちゃってるよね
実際が先行したイメージとギャップがあったとしても、妄想できるくらいの余地があれば良いな
いい意味でイメージの斜め上をいってくれることを楽しみにしてる
716名無しさん@秘密の花園:2012/03/14(水) 11:01:55.08 ID:qgkZR69o
そうなんだよねぇ〜
早く照がどんなキャラなのか知りたいなー
717名無しさん@秘密の花園:2012/03/14(水) 11:02:30.20 ID:7/Fxfhab
てるてるは大体イメージ通りかな
菫さんもいまんところは
718名無しさん@秘密の花園:2012/03/14(水) 19:39:48.93 ID:qgkZR69o
照も菫もいまだあんまりしゃべらないしなぁ〜
無口なクールキャラなのかなぁ?
もっと、咲と絡んでるお姉ちゃんが見たいじぇ…
咲の試合とかTVで見たりしないのかな?ww
719名無しさん@秘密の花園:2012/03/14(水) 21:22:32.10 ID:x1eGPfg9
咲さんも照ねえちゃんもTVなんぞ見なくても
お互いどんな闘牌してるか察知出来そうな魔王チックな雰囲気を醸し出してるぞw
720名無しさん@秘密の花園:2012/03/14(水) 21:48:52.37 ID:xvq+hIgE
白糸台絡みは淡ちゃんに期待
小生意気ツンデレキャラで照大好きって設定で頼むj
721名無しさん@秘密の花園:2012/03/15(木) 01:15:04.53 ID:OZggxvz6
淡ちゃん照大好きっ娘だったら本当にすばら
722名無しさん@秘密の花園:2012/03/15(木) 02:15:17.86 ID:ksf51Pgz
>>719
まぁ、確かにww
魔物センサーついてるしなwwww
723名無しさん@秘密の花園:2012/03/15(木) 02:18:43.73 ID:ksf51Pgz
>>721
咲と淡で照取り合ったりしたらほんとすばら
724名無しさん@秘密の花園:2012/03/15(木) 03:59:31.47 ID:ksf51Pgz
でも照に憧れてる子は白糸台にはいっぱいいそうだけどな
725名無しさん@秘密の花園:2012/03/15(木) 10:10:42.88 ID:3eO6/pf5
営業スマイルで儲を増やす照ねえちゃんマジ半端ないっす
726名無しさん@秘密の花園:2012/03/15(木) 12:20:57.54 ID:ksf51Pgz
都会の荒波にもまれたんだろう…
咲はそういうのできなさそうたがなww
727名無しさん@秘密の花園:2012/03/15(木) 15:39:15.28 ID:3eO6/pf5
照ねえちゃんに営業スマイル向けられたら咲さん泣きそう
ある意味見たいが
728名無しさん@秘密の花園:2012/03/15(木) 17:31:23.93 ID:ksf51Pgz
咲泣きそうって、嬉し泣き?それともびびって?ww
729名無しさん@秘密の花園:2012/03/15(木) 18:29:52.07 ID:3eO6/pf5
無論営業スマイルと気付くだろうから哀しんでだよw
正直無表情対応より実姉に営業スマイル対応される方が精神的にキッツいだろう
730名無しさん@秘密の花園:2012/03/15(木) 19:20:34.36 ID:ksf51Pgz
あー、なるほどなー
それは咲悲しむなww
でも、そんな照を咲が変えるんですねわかります
731名無しさん@秘密の花園:2012/03/15(木) 22:44:12.06 ID:5MRnkIXb
みはるん→池田が大好物だと再確認
732名無しさん@秘密の花園:2012/03/16(金) 13:56:35.27 ID:rf+X98Cg
最新話読んだで!
前に出たときは小さくてわかりづらかった「末」の文字がクッキリハッキリと・・・

末原「(どうせ油性で消えへんのやら・・・)」キュキュッ
上重「><;」
真瀬「あれー、次は"辰"じゃないのー?」
末j原「アカン、間違えて"未"って書いてもーた。まー何て書いたところで変わらへんやろ」
上重「うう・・・」
洋榎「・・・あれ、ひつじって上の棒が――」
絹恵「お姉ちゃんそれは気のせいやで」
末原「そう、気のせいや・・・」

こういうことなんやな?こういうことなんやな!?
なんかもうガッチガチな末原先輩が愛くるしくてしゃーないな!
好きな娘に懸想する女の子がこう可愛いのはなんでなんやろーな!
733名無しさん@秘密の花園:2012/03/17(土) 21:21:12.08 ID:SGXN+Z9U
末原ちゃんあんなに分かりやすく書いたらいくら漫ちゃんでも鏡見たら気付いてしまうのでは…
…いや、気付いて欲しいのか…?w
734名無しさん@秘密の花園:2012/03/18(日) 02:22:32.06 ID:ihyOSQ4E
照姉はトップアイドルのポジションを利用して
可愛い女の子をたくさん囲ってるんや
735名無しさん@秘密の花園:2012/03/18(日) 04:58:53.23 ID:9OXBinCG
照のポジションほんとおいしいわ
可愛い女の子たくさん囲ってても、咲じゃないと満足しない照さん見たいです
736名無しさん@秘密の花園:2012/03/20(火) 19:23:23.23 ID:xu4UoU7f
早く照ねぇと淡ちゃんのいちゃいちゃ魅せてくれや
737名無しさん@秘密の花園:2012/03/22(木) 05:22:03.50 ID:R8ZtaXbE
穏乃ともこちゃんって結構いける組み合わせに見える!
738名無しさん@秘密の花園:2012/03/24(土) 14:09:49.97 ID:9RtpqsTb
現インターハイチャンピオン宮永照って紹介のページで
お姉ちゃんを後ろから見つめる、菫さんと淡ちゃんから並々ならぬ感情を感じる
739名無しさん@秘密の花園:2012/03/25(日) 06:13:32.64 ID:IxcghljE
レジェンドと望
シズとアコ

姉はレジェンドを麻雀に誘い、破滅を招いた
妹は麻雀の道を進もうとして、シズに引き寄せられた

運命が円環をなしているのならば、アコとシズの未来は破滅しか待ってない
しかしもしこの運命が螺旋を描いているのならば…

絶対王者・宮永照は二人の破滅を照らし
大星淡は二人の未来を深淵へと誘う

もがき足掻く二人の少女の未来は何処へ
740名無しさん@秘密の花園:2012/03/26(月) 01:06:47.48 ID:2oJuUwdn
最新刊読んだけど、愛宕姉妹は仲いいなぁ…
咲と照もはよ仲直りしてくれや…
741名無しさん@秘密の花園:2012/03/26(月) 01:13:49.70 ID:HT0Y9Nyh
阿智賀編1巻読んだ。
和←穏乃←→憧、憧の姉→赤土コーチ←灼、松実姉妹(玄←→宥)な感じで良かった。
742名無しさん@秘密の花園:2012/03/26(月) 11:18:14.55 ID:2oJuUwdn
穏乃はなんであんなに咲をラスボスみたいに扱ってんだろ
和を取られたとでも思ってんのかな
743名無しさん@秘密の花園:2012/03/26(月) 11:22:11.15 ID:AeHYG1Tx
ガン付けられてんのは自分が元カノだからだって自惚れてるんや
アコが本当に好きなのはシズだってのにも気づいてないけどな!
744名無しさん@秘密の花園:2012/03/26(月) 18:48:24.83 ID:g8yWhRYT
照は咲のことを実は異常なくらい愛してるのが似合うんだけどなぁ
745名無しさん@秘密の花園:2012/03/26(月) 22:40:50.29 ID:9OA7W6vR
照の今のお気に入りは淡ちゃん
746名無しさん@秘密の花園:2012/03/26(月) 23:03:33.49 ID:2lw1Snjx
咲さんと同じ臭いがするとか言ってあわあわを抱き締めてキスしてそう
747名無しさん@秘密の花園:2012/03/27(火) 16:50:36.98 ID:sKySqRvQ
咲日和読んだ
妹尾・津山・東横の三人組に新たな可能性を感じる・・・
748名無しさん@秘密の花園:2012/03/27(火) 22:18:02.73 ID:qhh/pXJC
竜華って取っ付きやすいしモテそうだから、怜は内心穏やかじゃないだろうな
749名無しさん@秘密の花園:2012/03/28(水) 09:23:16.00 ID:Q6NjaKsG
そもそもセーラから奪ってたりするんじゃなかろうか
750名無しさん@秘密の花園:2012/03/28(水) 10:52:12.45 ID:bUbPosh+
怜に竜華を巡るやりとりの中で「ウチ、いやな女や・・・」みたいなセリフ言わせたい。似合いそう
751名無しさん@秘密の花園:2012/03/28(水) 11:31:40.32 ID:mi2nzG84
>>750
似合いそう
期待してる


憧穏はなんとなく憧→→→→→←穏乃って感じで気持ちの大きさに差がありそう
憧の中学生活が気になるところだなぁ
752名無しさん@秘密の花園:2012/03/28(水) 17:24:48.80 ID:2EtQZFfd
>>735
照ねえちゃんは本当に美味しい位置取りしていると思うw
753名無しさん@秘密の花園:2012/03/28(水) 17:42:08.31 ID:Ulr1kVEn
愛にせよ憎にせよ、照と咲の間の激しい感情が早く見たいものだ
754名無しさん@秘密の花園:2012/03/28(水) 23:26:02.82 ID:qCOkRUFX
憧×穏乃、怜×竜華の二大百合に加えて
菫さん、淡ちゃん、咲さんと照をとりまく無限の可能性

阿知賀編最高や!!
755名無しさん@秘密の花園:2012/03/29(木) 01:20:10.51 ID:tTX7T6jH
泉ちんはやっぱり歳の近い浩子先輩が話しやすいんやろか
756名無しさん@秘密の花園:2012/03/29(木) 10:20:46.43 ID:IXlWVENr
>>746
絶対してそうwwww
淡を抱きしめつつ、咲もこんな感じかな…とか思ってそううううー!
757名無しさん@秘密の花園:2012/03/29(木) 10:24:39.39 ID:IXlWVENr
阿智賀に照は出てくるけど、咲との絡みは出てこないだろうなぁ…
本編でやるだろうし
はー、いつになったら照と咲の絡みを見れるのだろうか
758名無しさん@秘密の花園:2012/03/29(木) 13:33:12.04 ID:tHOFTrwa
>>753
愛憎に満ちた宮永姉妹のやり取りが見たいよ
759名無しさん@秘密の花園:2012/03/29(木) 15:14:06.33 ID:L1YpL4GZ
最近今更だけどシロエイがツボった
来日して話す相手がいなくておろおろしてるエイスリンをだるいなぁと感じつつクラスで関わってるうちに、
麻雀ができるということが分かって部活に引っ張たはいいけどそのせいで話すことが少なくなった・・・
なぜかモヤモヤするシロもその気持ちに素直になれなかった

とかいう嫉妬乙的な妄想しちゃった。ごめんなさいね
760名無しさん@秘密の花園:2012/03/29(木) 18:00:47.92 ID:zIjJpYG5
エイちゃんがいつかシロに話しかけようと「オナカスイタ?」と「パンタベル?」だけ
一生懸命練習していたかと思うと萌える
761名無しさん@秘密の花園:2012/03/29(木) 22:52:18.91 ID:KvHulM9U
淡ちゃん生意気っぽいけど、照にだけデレてくれると嬉しいね
762名無しさん@秘密の花園:2012/03/30(金) 01:32:45.11 ID:i7yCATRL
淡は照のこと慕ってそう
763名無しさん@秘密の花園:2012/03/30(金) 12:07:43.87 ID:Mezw0jbG
方言とか出ないんかな
シロのなまり聞きたいわ
764名無しさん@秘密の花園:2012/03/30(金) 12:55:40.69 ID:7GJnbqsc
永水の「おやっとさー」的なものがほしいな
765名無しさん@秘密の花園:2012/03/31(土) 04:18:21.57 ID:G6hcblsw
早く本編進まないかな〜
766名無しさん@秘密の花園:2012/03/31(土) 12:24:08.47 ID:iK9Yv11F
照咲が見れるのはいつになるんや

阿知賀編での、怜竜と淡照に期待や!!
767名無しさん@秘密の花園:2012/03/31(土) 20:16:51.64 ID:us6z7zXT
ちょっとアコシズに燃えてきた
768名無しさん@秘密の花園:2012/04/01(日) 01:16:53.17 ID:cB+2TK7V
アコシズをアニメで超楽しみにしてる
769名無しさん@秘密の花園:2012/04/01(日) 20:48:30.56 ID:wN5G9FZo
アニメはアコシズ、怜竜が安定っぽいな
特に怜竜は描写が増えそうで楽しみだ
770名無しさん@秘密の花園:2012/04/01(日) 23:49:03.75 ID:tOyXw4wK
でもやっぱりマイナーカプでいろいろ妄想するのが楽しいんだよなあ
千里山は怜竜以外の3人がこれからどう絡んでいくか楽しみ
771名無しさん@秘密の花園:2012/04/02(月) 08:57:09.18 ID:ioXj2N2I
渋の竜怜膝枕漫画が非常にええな
772名無しさん@秘密の花園:2012/04/02(月) 18:09:40.41 ID:8fUhMG0G
松実姉妹百合は少数なのだろうか…
精神的支柱的な存在の玄さんが凹んだ時に普段は頼りないおねーちゃんが頑張るとか
笑顔を絶やさない玄さんがおねーちゃんの前だけ弱味を見せるとか
あると思います
773名無しさん@秘密の花園:2012/04/02(月) 19:06:25.18 ID:rBEBA/xU
咲日和って咲和好きが買っても満足できる内容ですか?
774名無しさん@秘密の花園:2012/04/02(月) 19:13:17.61 ID:8fUhMG0G
>>773
ギャグメインだからなぁ
個人的な印象では咲和はあんまりなかった気がする
愛宕姉妹とふくすこが良かった
775名無しさん@秘密の花園:2012/04/02(月) 19:47:10.67 ID:QN1Ritza
今売ってるBGの日和には咲和ちょっとあったがそれ以外はほとんどないな
776名無しさん@秘密の花園:2012/04/02(月) 21:05:39.54 ID:Nlf+T0Jw
照姉ちゃんは東京行って金髪ツンデレ妹を手に入れたんや
咲さんは巨乳美少女を手篭めにしたし

さすが宮永姉妹や
777名無しさん@秘密の花園:2012/04/03(火) 01:40:44.09 ID:6sHxhsot
>>776
手篭めw
778名無しさん@秘密の花園:2012/04/03(火) 06:01:34.95 ID:v/pNnPC7
恐るべし宮永姉妹
779名無しさん@秘密の花園:2012/04/04(水) 12:09:51.05 ID:n40BIahd
>>772
姉のおもちの具合を調べようとする妹、アリですね
780名無しさん@秘密の花園:2012/04/04(水) 21:46:21.71 ID:mBa5WTQo
姫様×霞さん最高や!!
781名無しさん@秘密の花園:2012/04/04(水) 22:22:01.45 ID:vVUdjHrJ
ずっと期待してたので興奮するわい
782名無しさん@秘密の花園:2012/04/05(木) 06:46:47.20 ID:SPNBtAZG
霞さんは当然姫様のお世話をするために一緒にお風呂に入って背中を流したりもするだろうから
念入りに洗ってあげてるうちに「あら?小蒔ちゃん、ここはまだボディーソープ付けてないのにヌルヌルなのねぇ?」
なんて事は日常茶飯事ですよね
783名無しさん@秘密の花園:2012/04/05(木) 07:16:06.94 ID:ZxHxgOHs
姫様が舌を噛んでしまったら傷を舐めてくれる
そんな霞さんが大好きです
784名無しさん@秘密の花園:2012/04/05(木) 20:10:53.63 ID:tr3dk0+5
霞さんのことを年下の姫様は「霞ちゃん」と呼んでいるわけだが、
これだけでもいろいろと妄想できるぜよ
785名無しさん@秘密の花園:2012/04/05(木) 20:20:47.19 ID:iH5B9PY8
早く明日になって早く
786名無しさん@秘密の花園:2012/04/06(金) 21:40:33.16 ID:tHa/DM4G
永水ってそこまで好きなところじゃなかったんだけど・・・
やっぱり姫と従者って関係は良いなぁ
「小蒔ちゃん」に「霞ちゃん」か・・・う・・・うへへ・・・
787名無しさん@秘密の花園:2012/04/06(金) 22:18:14.17 ID:KD+qXAOq
全国舐めてたわ
これは来週の阿知賀編にも期待
白糸台の人間模様とか怜竜とか何でもええで!!
788名無しさん@秘密の花園:2012/04/06(金) 23:56:52.86 ID:W9+eUNgM
何か、阿知賀編とかマホとかタコスとか、
追っかけてくる昔馴染みの女の子が沢山いる和が、
実はすでに何か知らん別の女の子にコロッとタラされて嫁にされてる…

ってすごい興奮するよな
789名無しさん@秘密の花園:2012/04/07(土) 00:27:54.46 ID:XQ9C7iI7
あんな姿見せられないよな
790名無しさん@秘密の花園:2012/04/07(土) 01:27:03.63 ID:Pf2TWqe5
霞ちゃん呼びとか天倪とか妄想が広がるな
791名無しさん@秘密の花園:2012/04/07(土) 12:14:49.47 ID:WsOfnBpv
あのポスターでアコちゃんが宥ちゃんになにをさせたかったのか考えてみたんだが
どうしてもこの板向きの妄想にはならなかったのが残念
792名無しさん@秘密の花園:2012/04/07(土) 16:58:45.10 ID:9zy9nt9p
私、竹井久。

部員の二人だけの麻雀部も今年から凄腕の新入生が入ってくれたおかげで、団体戦に出場出来た。

そして県大会優勝して全国への切符を手に入れた。

何故、今になって県大会のことを思い返しているのかって?

今ね、最大級のオカルト事件が起こってしまったのよね。

こんなこと絶対にあり得ないけど、全国大会二回戦の中堅の私達は。

洋榎「ここどこやねん!!」

いつの間にか、どこぞの一般家庭のリビングみたいな場所?空間?に飛ばされたみたい。

胡桃「ちょっと、叫んでいる暇があったら手伝ってよ!そこ!」

もちろん、現状に理解出来ない私達は、ドアらしきものから無理矢理ドアを引いたり押したり協力するが……。

春「駄目みたい……」

洋榎「せ、せやな……」

胡桃「こ、こんなことって……」

壁のようにビクともしなかった。

久「外部から連絡取れない?」

洋榎「うち、携帯は今持ってないやで!」

久「いや、そこでドヤ顔されても……」

胡桃「バッカみたい」
793名無しさん@秘密の花園:2012/04/07(土) 17:00:42.73 ID:9zy9nt9p
全国大会二回戦の中堅の人達だけでやりとりする話を書こうと思うんだがどうでしょうか?
794名無しさん@秘密の花園:2012/04/07(土) 17:27:38.56 ID:uj8nrwTP
久×はるるなのか久×洋榎なのか胡桃×洋榎なのかが気になるw
795名無しさん@秘密の花園:2012/04/07(土) 23:57:08.37 ID:F/b0TBwL
いいんじゃないかなかな?
796名無しさん@秘密の花園:2012/04/08(日) 00:16:03.79 ID:Gg2ItjqD
是非ともお願い
797名無しさん@秘密の花園:2012/04/08(日) 15:12:30.72 ID:NryRSjiQ
咲で百合の話題が気軽にできるところはいくつかあっても
そういう話題しか出ないようなところっていうのはここくらいしかないんやね
これからアニメも始まって賑わうのはいいけど気が重くなる・・・
798名無しさん@秘密の花園:2012/04/08(日) 16:22:13.20 ID:gECMXF3F
なぜ
799名無しさん@秘密の花園:2012/04/08(日) 16:22:57.88 ID:Jm/NHYa7
イミフ過ぎる…
800名無しさん@秘密の花園:2012/04/08(日) 16:45:30.68 ID:DTk4yyB6
レイプ妄想レスみたいのが見たくないとか?
801名無しさん@秘密の花園:2012/04/08(日) 17:17:51.14 ID:N0ZCOht/
わかるわかる
802名無しさん@秘密の花園:2012/04/08(日) 22:09:40.63 ID:NryRSjiQ
そんなこと気にしてたらネットできないなんてことは分かってるんだけど
俺嫁とか○○に○○したいとか、そういう書き込み見るのと胸がザワザワしてさ
お前のもんじゃねーから!っていちいち突っ込みいれたくなっちゃうんだよね・・・
繊細すぎるな
803名無しさん@秘密の花園:2012/04/08(日) 22:31:50.97 ID:CXkpKAzi
咲は公式が完全に百合推しだからあんま気にしない
804名無しさん@秘密の花園:2012/04/08(日) 22:37:57.42 ID:DTk4yyB6
女が女に冗談で求婚したらIPS細胞がどうのと言い出す漫画だからな
805名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 01:45:01.62 ID:hiam9Zrb
第一話すばら!
OPの怜竜の目立ちっぷり!
806名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 01:54:20.87 ID:VPmNxV5f
シズアコの身長差逆転も個人的においしい
アニメで色々補完してくれることを期待
807名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 02:01:32.56 ID:qm0ohLVd
咲あるある

ほとんどの高校にお前ら結婚しろよ的なカップリングまたは夫婦が存在している。

……どう思う?間違っているかな?
808名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 02:18:06.51 ID:hiam9Zrb
アコシズはあれだ、シズと一緒にいるとアコが昔の自分を出せてるって感じのところがすばら
809名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 03:04:39.98 ID:fnIZH5e/
>>805
竜怜抱きあいまくりだったね!
色が反転してたのは肌色だと放送倫理に反する描写になるからだな!
810名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 03:09:19.38 ID:QHMeIkrn
>802
ネットとか同人とかだけじゃなくて、普通のアニメ雑誌すら百合アニメで
「二人の間に割って入って嫁にする方法」とか書いててもうみるのやめた

咲は麻雀を通しての全国高校百合選手権漫画にしか思えない
811名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 03:24:19.03 ID:5p4CkCrr
>>810
マジかようんざりだな

和って、同年代でさん付け咲だけだっけ?
嫁っぽくていいな。
原作じゃ、名前呼びイベントまだ温存中?
812名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 03:26:59.31 ID:cGOQnUhf
さすがに掲示板とかで俺嫁とか言ってるのはあまり気にならなくなった
百合的には公式押しが強いから安心だってのもあるし、それにまあ、妄想は本人の自由だしね

ただ、雑誌とかが先導しちゃあかんだろ
813名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 03:54:23.78 ID:CaVe2AmE
何かOPにレズカップルいたんだけど
814名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 03:55:27.19 ID:PPnlz70X
メガマガとかは百合ネタ多かった気がする>雑誌
咲は公式サイトに百合タグが固定されてるくらいだし、気にしなくていいと思う
とか言いながらその気持ちはめちゃくちゃ判るw
815名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 03:59:52.38 ID:PPnlz70X
>>813
膝枕シーンもあるよ
アニメではこのCPを推すのかね?
816名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 04:02:21.74 ID:hiam9Zrb
怜は竜華と一緒にいるときはほぼ膝枕されてるよね
ホンマ二人はガッチガチやで
817名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 04:09:12.80 ID:PHnxgXf/
でも千里山たぶん途中で退場だよね…
818名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 04:14:05.10 ID:CaVe2AmE
阿知賀はじゅんけつで終わりだろうから一応終わるまでずっといると思うよ
本編での決勝には出れんだろうけど
819名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 04:31:14.13 ID:QHMeIkrn
純潔のまま終わるにみえた・・・www

メガマガに比べると娘タイプは俺の嫁色が強かった気がする
820名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 08:50:59.12 ID:GzcrJU0M
準決と純潔勘違いネタは阿知賀のお約束
821名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 11:05:02.28 ID:sgaj0ld2
漫画版ではほぼ皆無の穏乃のお色気度が上がってて俺得だった
憧穏・穏和妄想に拍車がかかるぜ
竜怜もなんか抱き合ってるしw
楽しみが増えたw
822名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 15:54:43.32 ID:hiam9Zrb
和の赤面描写がことごとくガチっぽくてテンション上がってくる
823名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 16:51:17.76 ID:mpV9lZSz
シズ達がたまたま咲と和がイチャイチャしていたのを見てしまったらどんな反応するんだろう
824名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 17:14:54.48 ID:P1Cy68g1
友達が見知らぬ彼女とイチャコラしてるのを目撃してしまった俺らみたいな反応
もしくは元カノが(ry
825名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 17:22:09.41 ID:PHnxgXf/
信じて送り出した親友が同性愛者になってたでござるの巻
826名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 17:47:13.64 ID:4L0lYR/n
「宮永咲…やはり私の倒すべき敵だ!」

ぶっちゃけると昔のかわいい友達の尻追っかけて参戦するとか同レベル
827名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 20:20:56.77 ID:qw/pm1GP
どっちがのどっちの事が好きかアピール合戦をする咲とシズか・・・アリだな!
828名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 21:19:56.00 ID:hiam9Zrb
>>827
そこからシズを引き剥がそうとするアコ!とか俺好み
多角形好きゃねん
829名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 22:34:03.01 ID:pka3QYpl
とりあえず怜竜に注目やな
色々描写が増えてそうやで
830名無しさん@秘密の花園:2012/04/09(月) 23:56:26.22 ID:jYGn6uxl
咲さんの色々な意味ですごいラスボス臭
831名無しさん@秘密の花園:2012/04/10(火) 01:25:46.63 ID:8NGMVphU
>>823こういうこと?とある会場の廊下

穏乃「あれはもしかして……和!?」
穏乃「どうしようどうしよう、あたし一人だけ感動の再会を果たしていいのかなぁ……」
穏乃「いや、でも見かけたんだから挨拶するべきだよね。よし、おーい、の」
和「あ、咲さん見つけましたよ」
咲「あ、和ちゃん」
和「まったくもう……また迷子ですか?」
咲「う、うん……トイレ探して見つかったのはいいんだけど、帰り道がわからなくなっちゃって……」
和「もう、咲さんたら……皆さん待っていますので行きましょう」
咲「待って和ちゃん」ギュッ
和「咲さん?」
咲「あのね……いつも迷子になった私を見つけてくれてありがとね」
和「と、とうぜんです……咲さんを見つけることくらい、簡単ですから……」
咲「和ちゃん……」
和「み、皆のところへ戻りますから、離れないようにしっかり繋いでくださいね」
咲「うん!和ちゃんの手、絶対に離さないよ!」
和「はい!」

タッタッタッ

穏乃「…………」
憧「あ、いたいた。もうこんなところにいて、皆探して……どうしたの、ぶるぶる震えて?」
穏「……き…………き」
憧「ねぇ、聞いてる?」
穏「咲!宮永咲!あたしの倒すべき相手!いや、今すぐ倒すべき相手だ!!」
憧「急にどうしたの!?一体何があったか知らないけどって、こら暴れないの!つか聞いてる!?」



832名無しさん@秘密の花園:2012/04/10(火) 19:33:22.70 ID:aDLAN8B3
個人的にシズ憧が萌える
833名無しさん@秘密の花園:2012/04/10(火) 20:03:09.63 ID:GpMBdHiv
>>831
アニメ後につき声付きで再生された
うむ、こんな感じだと理想だな
834名無しさん@秘密の花園:2012/04/10(火) 20:32:38.71 ID:smYmGh79
つじつまが合った
835名無しさん@秘密の花園:2012/04/11(水) 17:47:02.86 ID:xUw3Qbun
age
836名無しさん@秘密の花園:2012/04/12(木) 18:20:32.75 ID:GXCFtPMs
照姉に延々レイプされてるくろちゃんですが、
泣きながら宥おねーちゃんに助けを求めるのは最高ですね

ところで夫婦にしか見えないアーリーモーニングの二人誰だっけ
837名無しさん@秘密の花園:2012/04/12(木) 18:35:59.23 ID:HPwcKcuu
兵庫代表の先鋒と副将
名前が思い出せん…
838名無しさん@秘密の花園:2012/04/12(木) 19:03:56.03 ID:VOCxTTS2
劍谷高校の森垣友香(1年副将)と椿野美幸(3年先鋒)ですね
ちょうど今妄想中だったw

劍谷高校2回戦敗退後―
コンコン
森垣「はいはーい……って…椿野先輩?なんすか、こんな夜中に」
椿野「なによもー。用が無きゃ来ちゃ行けないのー?」
森垣「いや、まぁいいですけど…コーヒーでも飲みます?」
椿野「…紅茶がいい…」
森垣「はいはい。とりあえずそこ座ってくださいねー。えっと紅茶はっと…」
椿野「………」
森垣「はい、できましたんでー」
椿野「ありがと……ってなによもー、アッサムじゃないのー?」
森垣「いや、適当に選んだんで…ってか我儘言わないでくださいよ。本当になんなんですかもう」
椿野「……今日の試合を思い出すと寝付けないのよ…一人で居たくないの…」
森垣「あー…まぁ惜しかったっすからねー。でも健闘した方でしょ。莉子のも事故みたいなもんですし」
椿野「そりゃあんたはいいわよ。1年だし、区間トップだし。私なんて、3年なのに…ぐすっ…」
森垣(あーあ、泣いちゃった…困った先輩だなぁもぅ……可愛いけど…)
椿野「…ぐすっ……あんたと一緒に居られるのもこれが最後だから……良い思い出作りたかったのに…ひっく…」
森垣(……ん?……なんか話が変な方向に進んでない?)
椿野「……今夜はここで寝るからね!もー!!」
森垣「いやいや…一人部屋ですしベッドも一つしかありませんし…」
椿野「なによもー!!いっ、一緒に寝ればいいでしょ!?っていうか一緒に寝なさいよもー!!」
森垣「……先輩……一応確認しておきますけど、それってそういう意味ですか?」
椿野「そっ、そういう意味よ!!何よもー、嫌なの!?」
森垣「いえ、嫌じゃないですけど……本当にいいんですか?先輩」
椿野「もー私がいいって言うんだからいいのよもー!!!」
森垣「はいはい…それじゃ遠慮なく…」
椿野「もー…優しくしなきゃ許さないわよもー……」

そんな事があったに違いない
839名無しさん@秘密の花園:2012/04/12(木) 19:33:26.05 ID:GXCFtPMs
>>838
なるほどなるほど…

pinkにつき続きに突入してもいいのよ
840名無しさん@秘密の花園:2012/04/12(木) 20:56:02.77 ID:thrlwj+5
>>838
すばらっ!
「もー私がいいって言うんだからいいのよもー」
は妄想掻き立てられるセリフやね
841名無しさん@秘密の花園:2012/04/12(木) 21:20:25.48 ID:5D41zxa9
今号の怜ちゃんとか玄ちゃんを見て改めて
美少女が美少女のこと想いながら頑張ってる姿は至高であると認識した
842名無しさん@秘密の花園:2012/04/12(木) 21:22:35.03 ID:5lKFhVqV
そんな美少女を泣かすドSな照姉ちゃん
一体、今まで何人の女の子を泣かせてきたんや
843名無しさん@秘密の花園:2012/04/12(木) 21:24:24.06 ID:kN00wmEq
美少女が美少女(のふともも)を想いながら頑張ってる姿は
ホント素晴らしいですよね
844名無しさん@秘密の花園:2012/04/13(金) 02:23:29.50 ID:eTIcBshL
>>841

それだけで胸がいっぱいになる
845名無しさん@秘密の花園:2012/04/13(金) 02:56:45.92 ID:XZnA8yZi
ネクタイマイスターにふとももマイスター、阿知賀編のポーカーフェイスはむっつり乙女なのでしょうか?
846名無しさん@秘密の花園:2012/04/13(金) 15:20:02.76 ID:VRFXLN7Z
十年一途に恋をする乙女だよ。
847名無しさん@秘密の花園:2012/04/13(金) 17:20:26.01 ID:idFzwesB
シズアコ、しずあこ、シズ憧
どの表記がいいかなぁと悩んでる
848名無しさん@秘密の花園:2012/04/13(金) 19:12:52.99 ID:uY9AJSsO
穏憧で
849名無しさん@秘密の花園:2012/04/13(金) 20:23:38.12 ID:Fp4VqC0r
淡尭が見たい
850名無しさん@秘密の花園:2012/04/13(金) 20:49:57.01 ID:6hHyM/m4
劍谷がまた顔出すとは思わなかった。
851名無しさん@秘密の花園:2012/04/13(金) 22:03:36.71 ID:+imrNYPT
のどっちを昔から嫁にしてウェヒヒだったつもりなのにいつの間にか
他の女のガチ嫁になってたら、そりゃあ倒すべき相手だよな

そしてのどっちの成長段階の胸を狙う野獣なオトメ達
852名無しさん@秘密の花園:2012/04/14(土) 01:30:34.44 ID:ew4+nodv
今週のアニ阿知賀はレジェ灼…!すこしは戻ってくるかな?
853名無しさん@秘密の花園:2012/04/14(土) 02:11:49.74 ID:5Tkp0LbZ
レジェンド灼は、昔はファンとして顔真っ赤にしてネクタイうけとってたのに、
今では「わずらわし…(ズバァ」とか言っちゃう…


そこが萌える
854名無しさん@秘密の花園:2012/04/14(土) 02:38:50.27 ID:9ZbQUuVN
憧れ→関わりが深くなって(幻が滅ぶと書いて)幻滅→そこから本当の愛を築く

お約束ですね
855名無しさん@秘密の花園:2012/04/14(土) 11:47:24.49 ID:vLt3353M
和、和言ってる透華やシズが黒一くんやアコに無理矢理手込めにされるってのも
肝心の和も胡座をかいてたら、いつの間にか衣と咲がいい雰囲気になっていて、気付いたころには照と和解していっそうカオスなことに
856名無しさん@秘密の花園:2012/04/14(土) 12:58:59.11 ID:gBSaHSEP
しずの×ロリっち最高なんじゃ^〜
857名無しさん@秘密の花園:2012/04/14(土) 16:32:22.50 ID:unPzW0rz
>>855
>いつの間にか衣と咲がいい雰囲気になっていて

はいはいSOASOA
858名無しさん@秘密の花園:2012/04/14(土) 16:53:46.41 ID:5V2byrVm
白糸台楽しみだな
照と淡ちゃんで妄想しまくりだで
859名無しさん@秘密の花園:2012/04/14(土) 17:47:13.23 ID:dCdLx+Za
ボクは照と菫さん!
860名無しさん@秘密の花園:2012/04/14(土) 17:54:41.28 ID:aeaThdZ/
菫→照→咲=和←穏←憧
   ↑    |
   淡    衣←藤
        |
      透=一
861名無しさん@秘密の花園
照に片思いの菫はイイ・・・