【ネギま!】近衛木乃香・桜咲刹那百合専用スレ(13)
[各種データ]
麻帆良学園中等部3年A組13番 近衛 木乃香
1989年3月18日生 (巳年・うお座) AB型
好きなもの:占い&オカルト、料理
嫌いなもの:あんまりない
所属:占い研究会、図書館探検部
備考:学園長(関東魔法協会会長)の孫、
関西呪術協会会長(近衛詠春)の娘(オヤジは元「悠久の風」のパーティ「赤き翼」のメンバー)
声優:野中 藍
麻帆良学園中等部3年A組15番 桜咲 刹那
1989年1月17日生(巳年・山羊座) A型
好きな物: 剣の修行。木乃香お嬢様(?
嫌いな物: 曲がったこと おしゃべり
所属: 剣道部
備考:京都に伝わる神鳴流の使い手にして、陰陽道にも通じる剣士・烏族ハーフ
声優:小林 ゆう
1乙!前スレ落ちててビックリした。
>>1乙!
前スレは980越えてて書き込みが少なかったから落ちたのかな?
忘年会の幹事なんだが
店の宴会メニューに『夕凪コース』というのを見つけて
(≧▽≦)ゞ
いい店だとイイナ・・・。
>>1 GJ〜!
どうでもいいけど、今やっとこのちゃんとせっちゃんが自分と同じ学年だと気付いた。
……ってことは、リアルに年取ってたら大学3年で20歳なのか。連載長いなあ。
>>9 20歳のこのちゃんとせっちゃん…
色々と妄想してしまった。
飴玉で大人化したこのちゃんは巨乳だったが、
きっとせっちゃんは…
身長 178
B 77
W 62
H 79
と見た
・・・少し華奢すぎるかな
ともかく身長は木乃香より大きくなってほしい
このか誘い受け!!
と、言ってみる
雪降ってんなー
木乃香と刹那でマフラーを一緒巻きする妄想をしよう
マフラーを差し出したのは…
このつく人かと妄想
耳まで真っ赤にしながら刹那から誘うってのも
あ
どっちから誘っても刹那は真っ赤になる法則ですね
クリスマスのこのせつはきっと・・・
「はいせっちゃん、ウチからのクリスマスプレゼントやえ」
って言ってほっぺちゅー・・・
なんて妄想が働いた
何で今さらほっぺちゅーなのか自分でも分からないが、とにかくほっぺちゅーが良かった
クリスマスのこのせつはきっと・・・
「はいせっちゃん、ウチからのクリスマスプレゼントやえ」
って言ってほっぺちゅー・・・
なんて妄想が働いた
何で今さらほっぺちゅーなのか自分でも分からないが、とにかくほっぺちゅーが良かった
うわ二重書き込み
これは失敬
大事な事だから二度書いたんですね、分かります。
ちゅーもいいけど、ほっぺちゅーもいいですよね。
分かります。
今週号!今週号!
スカッと解説よろ
木「せっちゃん!」「ぁんっ」「いやん」
刹「愚か者め貴様のような者が軽々しく触れて良いお方ではない」
木乃香を抱えたまま百花繚乱
せっちゃんかっこよすぎや
「お嬢様、お餅を食べましょう」
「せやな。あむっ」
「ひゃっ」
「ああごめん、せっちゃん。
あんまりにも白くて綺麗で、
美味しそうなほっぺやったから
お餅と間違えてしもたわ。」
なんてやり取りをするのか・・・!?
新年保守
俺のブログに「桜咲刹那 変態」と言う検索ワードでの訪問があった。
失礼な。
刹那は変態なんかじゃない。
百合なだけだ
初夢がこのせつだった
いまだにその時の余韻が・・・
なんて羨ましい!!ぜひ内容を教えてください。
32 :
名無しさん@秘密の花園:2010/01/11(月) 23:43:15 ID:/n0kfbL3
や、まあ大したことではないんだけど
二人でおせち食べてて、「はい、あーん」とか言いながら刹那に食べさせようとする木乃香と
それを恥じらってなかなか口に入れようとしない刹那とそのせいで全く減らないおせちと
っていう感じ
やばいsage忘れた サーセン
>>32 グッジョブだオマイの脳!!
堪能させていただきました。
同感!!素晴らしい初夢だ。願わくば本編でもそんなシーンが描かれるように。
ついに明日か・・・
結構長くなってしまいましたので、何度かに分けて投下いたします。
仮契約後の出来事です。
単行本派故、もしかしたら現状のストーリーと食い違うかもしれせん。
駄文の書き連ね程度のものですので、他にも諸処に至らぬところがあるやもしれませんが、
ひらにご容赦いただくと恐悦至極にございます。
※性愛の描写が中心ですので、苦手なお人はスルーを推奨いたします。
38 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 04:39:26 ID:4NdTSHHo
世界中の恋人というものは、やはり毎日このような痛みに耐えているのだろうか。
――愛おしすぎて、胸が痛い。
仮契約を為した後も、刹那には実感が希薄だった。
これで正真正銘パートナーやな、と頭の中にリフレインする言葉。
木乃香の声で鮮明によみがえる記憶が、なおも刹那の心を鷲づかみにして責め苛む。
パートナー、そう、その言葉に内包された意味の差異。
刹那は時間が経つに連れ、そのずれを感じざるを得なかった。
即ち、木乃香の言う「パートナー」と自分が思う「パートナー」との違いだった。
この魔法界にあっても、いや、この魔法界だからこそ、と言うべきなのだろう。
パートナーという言葉は、恋人同士あるいはそれ以上の関係のニュアンスを含む。
私のいう所のパートナーはまさしくそれにあたる。しかしお嬢様は?
そんな疑問が刹那の心に芽生えたのは、仮契約から初めての夜が明けた朝のことだった。
恋人同士やそれ以上の関係など、きっとお嬢様は想定していないだろう。
お嬢様の言うパートナーとは、きっと親友の延長線上にあるものなのだ。
私とお嬢様には決定的な想いの違いがある。
お嬢様が私に向けてくださるのは、穏やかな親愛に近い好意。
けれど、私の中に巣くう想いはそんな生易しい、清らかなものではないのだ。
お嬢様の全てを奪って、支配して、辱めてしまいたい。
身を焦がすような愛欲に、刹那は反射的に嫌悪感を覚えた。
思わず握りしめた拳で、自分の顔を思い切り殴りつけたくなる。
お嬢様と親しくなれただけでも、この身に余る幸福だというのに。
まだそれ以上を望むというのか、私は。
なんて愚かしい。
39 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 04:42:44 ID:4NdTSHHo
自己嫌悪に吐き気すら感じた刹那は、けれども同時に、その嫌悪した自分が本当の自分なのだと、ひどく冷静に感じていた。
契約の時の深いキス、戸惑って頭は真っ白になっていたけど、心が、体が、それ以上を望んでいた。
貪るようにあの唇を奪って、犯してしまいたい。
あるいは、何も考えられなくなるまで、嬲り倒してほしい。
けれど、そんなことはあり得ない。
お嬢様がそんなことを思うはずなどないのだから。
それならば、いっそ――
――いっそ近づき過ぎないでほしい。
痛いのだ。お嬢様の好意は。
私に十分すぎる程の「好き」を与えてくれて。
そして、けっして満足はさせてくれないから。
内に潜む激情に向き合う度、刹那は木乃香の前から姿を消してしまいたくなった。
けれど、現状では私にそんな選択肢はない。
だったらせめてお嬢様から最低限の距離を置こう。
急激に近づき過ぎたのだ。
だから戸惑うことになる。
しばらくあるべき距離を保てば、あるいはこの痛みにも慣れるかもしれない。
心が慣れるまで、少しだけ距離を置かせていただこう。
そうしたら、またお嬢様は悲しそうな顔をするだろうか?
それでも私には、この近すぎる距離が……つらい。
今は誰もいない部屋、その窓際で刹那は夜空を見上げた。
曇った空に星は隠れ、月も今はこの都を照らす気はないようだった。
いずれ木乃香がやってくるだろう扉を見つめ、やがて刹那は目を伏せた。
40 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 04:44:06 ID:4NdTSHHo
こんなことならば仮契約などしなければ良かったのではないだろうか。
そうすれば、私はお嬢様のお側で、決して交われぬ距離を保ちながら、ただお控え出来たのに。
多くを望むことなく、諦めるべきことを諦めながら、それでもここまで苦しむことなくお仕え出来たのに。
こんな近しい心の距離では、私はどうしようもなくお嬢様の全てがほしいと思ってしまう。
……けれどそれはお互いを傷つけるだけ。
お嬢様が望まぬことに決まっているから。
私は……。
気がつくと、視界が霞んでいた。
刹那の瞳から零れた滴が、床を微かに濡らした。
「くそ……弱い自分が嫌になる……」
涙とともに零れた言葉は、空しく一人の部屋に響いた。
そんな弱音を掻き消すように、勢いよく涙を手で拭った。
そうしなければ、愛しい人を守ることを忘れて崩れ落ちてしまいそうだった。
「ただいま〜」
不意に明るい声が響いた。アスナと街で行われている祭りの様子を見て回っていた木乃香が帰ってきたのだ。
慌ててもう一度目を拭った刹那は、泣いていたことをごまかしながら返事を返す。
「お帰りなさいませ」
なんとか笑顔を取り繕う。
どうしてもぎこちなくなってしまいそうだったので、何も悟られる前に離れようと、刹那は自らの荷物からシャワーの用意を取り出した。
「あれ、せっちゃん、目、」
「私、ちょっとシャワー浴びて来ますね」
「あ、うん……」
41 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 04:45:28 ID:4NdTSHHo
何か言いたげな木乃香を残し、刹那は足早に脱衣室へと向かった。
鍵をかけてようやくひと心地つく。
一方部屋の中では、先ほどまで刹那が腰掛けていた窓枠の近くに木乃香が佇んでいた。
窓際の床のある一点を見つけて木乃香がかがみ込む。
そっと触れた指先に、かすかな水気。
「せっちゃん、泣いてたん……?」
********************************************************
シャワーを浴びて気持ちを切り替えた刹那が、部屋に戻ったのは十数分後のことだった。
鏡で顔を確認して、どこにも先ほどの気配がないことは確かめてある。
脱衣室から出るなり、何気ない風を装って木乃香に話しかけた。
「お嬢様、いかがでした外の……」
と、言いかけたところで、刹那は口を噤んだ。
ベッドの上に座った木乃香が、悲しそうな表情で鋭い視線を投げかけていた。
「せっちゃん、なんで泣いてたん?」
「……いえ、そんなことは」
とっさにごまかそうと、刹那の口をついて出た言葉を聞いて、より一層木乃香の表情は悲しさの色を増した。
「なんで嘘つくん?」
「……いえ、あの、その……」
どう答えてよいものか分からない刹那は、しどろもどろになった。
言い訳を考えようにも思いつかない。
42 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 04:47:20 ID:4NdTSHHo
「…………」
「…………」
そこにいるだけで苦しくなるような沈黙が降りた。
刹那はどうしていいか分からずに、ただ立っているだけだ。
「……泣いてたのは事実なんやろ?」
長い沈黙を破った木乃香の声は、ほんの僅かに震えていた。
「……はい」
ごまかすのは不可能だと悟った刹那は、気まずそうにそれだけ答えた。
木乃香が見上げた、その視線から逃れるように目を伏せる。
「泣いてたんは、ウチが原因なん?」
「いえ! 違います! そんな、お嬢様が……」
「けど、今他にせっちゃんが泣くようなことあらへんもん」
「…………」
「ねぇ、せっちゃん。ウチせっちゃんのパートナーやろ?
せっちゃんが泣いてる理由も教えてもらえへんほど、頼りないん?」
「違います。……お嬢様だからです」
「……え?」
「お嬢様だから、お教え出来ません」
他にどう答えれば良かった?
真実をありのままに告げて、木乃香に軽蔑されたくない。
そんな刹那の心理が、感情の吐露を阻害する。
刹那がふと顔を上げると、木乃香の瞳いっぱいにたまった涙が目に入った。
どうして良いか当惑する刹那の前で、その滴がこぼれ落ちる。
43 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 04:48:30 ID:4NdTSHHo
「……せっちゃん……ウチな、やっとせっちゃんと仲良うなれてな、パクテオもできてすごいうれしかったんよ。
せやから……ぅっく……うかれっとんかな?
せっちゃん、ウチの知らんとこで泣かして……。
ごめんな、ウチパートナー失格やえ」
ぽろぽろと零れ落ちる涙は留まることなく、木乃香の頬を伝ってベッドに吸い込まれていった。
刹那は慌てて駆け寄って跪き、木乃香の顔のぞき込む。
「お嬢様、違います! 私が悪いんです。
お嬢様は全然悪くないんです!」
「……ほな、なんで理由を教えてくれへんの?」
「その、お嬢様に嫌われたくなかったんです。だって……」
そこまで言って、刹那の口が止まった。
木乃香が泣いて少しだけ腫れた目でまっすぐ見つめてくる。
一瞬目を伏せて、今度は刹那もその瞳を見つめ返す。
「私は、その……お嬢様が好きなんです。
でも普通の好きじゃなくて、つまりその……恋愛感情っていうか、それ以上なんです……」
「そやったら、なんで、」
言いかけた木乃香の唇を、刹那が強引に奪った。
驚いて反射的に開いた目を閉じて、木乃香は口付けを受け入れた。
一旦唇を僅かに離して互いに見つめ合う。
再び、刹那がその唇を塞いだ。
今度は舌を絡める長いキス。
零れそうになる唾液を刹那の舌が絡め取って、木乃香の舌に塗りつける。
「……ん……」
熱のこもった苦しそうな声を木乃香があげても、まだ刹那の愛撫は続いた。
今までで一番長いキスを終えると、刹那が木乃香の隣に腰を下ろした。
44 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 04:49:15 ID:4NdTSHHo
「私が望むのはこれ以上のことなんです……。
私は親友としてよりも、一人の想い人としてお嬢様のことが好きなんです
けれどお嬢様はそんなことはお望みではないでしょう?
だから、その切なくて。つい泣いてしまって……」
自らの行為を恥じてか、刹那は不安そうな表情で俯いていた。
こんな自分を受け入れてもらえるはずがないと、心の中で後悔していた。
「……なんや」
だから心底うれしそうな顔で木乃香がそう呟いたときの、刹那の驚きは筆舌に尽くしがたいものだった。
なぜ木乃香がそんな満ち足りた表情をするのか、刹那は当惑して木乃香の瞳を見つめる。
「せっちゃん、ウチもな、そう思ってたんえ」
木乃香の言葉に、刹那の体は硬直した。
「……嘘でしょう?」
「ううん、せやからウチ、ネギ君との仮契約でも、せっちゃんとしたみたいなキスせえへんかったもん。
ウチもせっちゃんのこと、そういう意味で大好きなんやえ」
木乃香の言葉を聞いて、目を見開いた刹那の表情から不安が消えた。
たちまち照れて赤くなった顔を隠そうと、視線を真下へそらす。
「せやから、両思いなら遠慮はいらへんな」
木乃香の手が、刹那の顎を優しくつかんで、強制的に顔を上げさせた。
今度は木乃香から、刹那の濡れた唇を奪う。
舌をねじ込んで、戸惑う刹那の舌を絡め取る。
反射的に逃れようとする刹那の体を、そっと抱くように押さえ込んで。
口の中を犯すように、かき回し、刹那の唾液を吸い上げる。
長いキスを終えると、刹那の顔はすっかり火照っていた。
45 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 04:54:01 ID:4NdTSHHo
「せっちゃん、可愛いえ」
熱に浮かされたような木乃香の言葉が終わらぬ内に、刹那はベッドに押し倒された。
刹那の唇の端に残った唾液を啄んだ木乃香は、さらに真っ白な喉元にキスをして舐めあげる。
「ぁ……!」
か細い刹那の嬌声を楽しみながら、首周りからうなじへと、口付けては、優しく啄み、舐めて辱める。
弱い刺激は、けれどもひどく官能的で、刹那は己の内側からゾクゾクとわき上がる快楽を感じていた。
「せっちゃんはウチのものやからな」
「……はい、お嬢様」
「ふふ、これからその意味を体で教えてあげるえ」
その一言で、刹那の体は小さく震えた。
顔が熱くなるのを感じて、木乃香から視線をそらす。
ベッドの上で無防備に組み敷かれる刹那は、唇もうなじも木乃香の口付けに濡れていて、
桜色に染まった肌は、普段の凛々しさからは想像も出来ないくらい扇情的だった。
ゆっくりと刹那のシャツのボタンを外していく木乃香。
刹那はその手の動きをじっと見つめるだけで、抵抗する様子はさほどもない。
全てのボタンを外すと、木乃香の手は下半身を覆うパンツに伸びた。
ベルトを緩めてそれを剥ぎ取ると、刹那の薄青色の下着が露出する。
シャツを開かれ、上下の下着を晒された刹那のあられもない姿が、無作為に木乃香の情感を煽る。
しばらく腰や胸の下あたりを指で優しく愛撫しながら、刹那の体を眺める木乃香。
やがて触れるか触れないか程度に、下着の上からスリットに指を這わせた。
しっとりとした気配に満足そうな表情を浮かべた木乃香は、くいっと指を押し込んだ。
46 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 04:54:34 ID:4NdTSHHo
「……っあぅ……!」
「せっちゃん、少し濡らしてるんやな。可愛ええよ」
その状態に、刹那はもうどうして良いかまるで分からなかった。
それらしい行為はまだ始まったばかりなのに、体が先走るように感じてしまっている。
ただ戸惑う気持ちを抱えて、赤面するくらいしか出来ることはない。
木乃香は刹那の上に覆い被さって、再び優しくキスをした。
小鳥が啄むような浅いキスを二、三度繰り返し、両手を刹那の後ろに回す。
抱きしめるように回した手でホックを外し、上の下着をずらすと、まだ未成熟な刹那の胸が外気に晒される。
その頂点はピンと勃って自己主張していた。
木乃香は優しく胸に手を這わせて、やんわりと何回も揉みしだく。
桜色の頂点には触れられていないが、刹那は胸全体からじんわりとした快楽を感じていた。
木乃香に両手で撫で回された胸から来る快感が、頭に直接響くような錯覚。
知らずに呼吸が微かに乱れていた。
木乃香の細い指がようやく刹那の乳首を捉える。
けれど、直接触れることはなく、ただその周りを軽く摘むように刺激するだけだ。
刹那にとってはもう痛いくらいに勃っているそこの疼きを、早く鎮めてほしいのに、木乃香は優しく愛撫するだけ。
なんと言って良いか分からないまま、黙って木乃香を見つめる。
切なそうな刹那の様子を楽しむように、木乃香は舌を胸に這わせる。
優しい、粘つく愛撫。
双丘の頂点の周りを何度も舐めあげ、しかしそこには決して触れない。
生まれて初めての焦らされるという快楽が、刹那の思考を確実に蝕んでいた。
「……ぁ……お嬢様……」
「ん?」
「……いえ……その……」
47 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 05:56:42 ID:4NdTSHHo
素直になれなくて口を噤む。
不意に木乃香が、自身の唾液でたっぷり濡れた柔らかい唇で、優しく刹那の乳首を咥えた。甘噛みよりもささやかなそれは、しかし刹那を喘がせるのに十分すぎる程の刺激だった。
「ぁうっ……!」
「ちゃんと言わんと、これ以上してあげへんよ」
少しだけ憮然としたふりを見せる木乃香。
刹那は怯えたような眼差しで木乃香を見つめて口を開いた。
「お嬢様……胸が切ないです……」
口に出した瞬間、刹那は恥ずかしくてたまらず視線を逸らした。
しかし顎に手を添えられて、強引にキスをされると、木乃香の熱っぽい視線を見返さないわけにはいかなくなる。
「どうして欲しいん?」
刹那は木乃香が自分の心まで徹底的に辱めるつもりだと直感した。
どうしてほしいか、など分かっていながら、あえて言葉に出させて愉しんでいるのだ。
逃れることなど出来るはずもない。
「体で教えてあげるえ」なんて言葉が頭の隅で残響した。
まさにその通りだ。
与えられた快楽を拒むことなど出来ず、ただそれに翻弄されるだけ。
けれど本当はそんなこと、教えてもらわなくても分かっていた。
――この体も、心も、もとよりお嬢様のもの。
「体をお嬢様の好きにしてください。
私をお嬢様のものにしてください」
「ええよ」
今度はどちらともなくキスを交わす。
口付けては、そっと離れて、再び息が詰まるようなキスが続く。
刹那はあまりにもその瞬間が愛おしくて、意味もなく泣き出してしまいそうだった。
幸福だと人は泣くのだということを、改めて実感する。
48 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 05:57:41 ID:4NdTSHHo
けれどその穏やかな時間は、不意に終わりを告げた。
木乃香が刹那の胸の蕾を口に含んで転がした瞬間、部屋にくぐもった喘ぎ声が響いた。
ずっと押さえつけてきた快楽に火をつけるようなその行為で、刹那の体は瞬く間に火照りを取り戻した。
木乃香の執拗な愛撫は続く。
敏感になった乳首に吸いつき、時に唇で挟んで扱きあげる。
口に含まれていない方は、木乃香の指に摘み上げられ、くりくりと転がされていた。
先ほどまで焦らされた分、余計に感じてしまう刹那の口からは、必死に押し殺そうする艶かしい声が絶えず零れ落ちる。
「……ぁ……はぅっ……! ……あ……あっ!」
木乃香はその旋律を楽しみながら、巧みに刺激を与えていた。
両方の胸の先端をたっぷりと口で可愛がった後には、唾液でべとべとになったそこを指で摘みあげる。
きゅっと鋭くつみ取って、あるいは弄ぶように転がして。
すっかり堅くなった双丘の頂点を、唾液を潤滑油に擦って扱くと、刹那から一際大きな喘ぎが漏れた。
「あぅ! ……ゃ……いっ……や……んぅ……っん!」
刹那のショーツは愛液に濡れて僅かに変色していた。
木乃香は片手で刹那の胸を弄びながら、舌でへそを舐め、そして秘所に手を添えた。
中指を下着の上からスリットに押し込ませると、チュプリと水音を立てて沈み込んだ。
びくっと刹那の体跳ねて、その手が木乃香の腕を反射的に掴む。
「……お嬢様、そこは……」
乱れた呼吸を整え、刹那が恥ずかしげに視線で懇願する。
今まで一度として経験したことない快楽を、本能的に避けようと。
「あかん。せっちゃんはウチのものやもん。手、離して」
けれどそんな刹那をたしなめるように、にべもなく答える木乃香。
刹那の力の入らない両腕を握って、肩より少し上の位置に押しつけた。
49 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 07:33:17 ID:4NdTSHHo
「肩から下に手をだすのは禁止。手はこの位置に固定や」
「そんな……!」
「口答えもダメやえ。せっちゃんは誰のものなん?」
「……お嬢様のものです」
「せやったら逆らったらあかんやろ?」
「……はい」
「素直でええなぁ。約束破ったら、お仕置きやで?」
「お、お仕置きですか?」
「せやな。ウチの指でせっちゃんが泣いて許しを請うくらい可愛がってあげる」
にこにこと笑う木乃香。
お仕置きで可愛がられるという言葉に、刹那は無意識に不穏な気配と淫靡な期待を覚えてしまう。
下着越しに刹那の秘所に当てられた指が、ゆっくりスリットを撫でた。
愛液でべとべとになった下着で、クリトリスを擦られる形になり、思わず体が仰け反る。
「敏感やな。可愛いえ、せっちゃん」
「ダメっ……です。お嬢様、やめ……ん……っく……あぁっ!」
制止をかけようとした刹那の陰部を、木乃香の手がさらにまさぐった。
粘液とざらざらした布で、断続的に肉芽を責め立てられた刹那は、声を押さえることもできなかった。
繊細で柔らかな甘い官能が、直接脳に響いて思考を蕩けさせる。
両脚の間には木乃香の体が割って入っていて、その細い太股を閉じることも出来ず、手は先ほどの制約で、ベッドに張り付けになったまま。
刹那には何の抵抗も出来はしない。
「あ……やだ……んんっ! ……あ……あ……んっ……あああっ!」
50 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 07:34:40 ID:4NdTSHHo
漏れる嬌声を手で押さえようとして、木乃香に見咎められた。
慌てて手を元の位置に戻すと、木乃香は機嫌良く淫行を再開する。
もはや刹那は完全に無抵抗であるにもかかわらず、木乃香の責めには容赦がなかった。
下着をずらして秘所から指で愛液を掬い取り、クリトリスにたっぷりと塗りつけると、
布越しにも分かるほど勃起したそれを幾度も擦って刺激した。
数十回も指が往復する頃には、呼吸はすっかり乱れ、刹那の体はじっとりと汗ばんで、時折小さく痙攣するように震えだした。
「も……ダメ……です……! そこ……ばっかり……っく……あ……あぅぅ」
刹那の下着は、秘所からあふれたものと木乃香の指ついたもので愛液まみれになっていた。
お尻のあたりまですっかりぬるぬるになっている。
息も絶え絶えになっている刹那、木乃香はその一番敏感な肉芽の周りを指でなぞって、一旦責めを中断した。
「ぁ……はー……はー……もう……このちゃん……やめ――ひぅ!」
「やめへんよ。こんな可愛らしいせっちゃん、ウチが逃がすと思っとん?」
一息つけると思った刹那の心を弄ぶように責めが始まる。
左手の指で刹那の秘所を広げながら、下着の上からクリトリスを指で軽く叩く。
そのまま指で押しつけるようにぐりぐりと刺激される。
刹那の喘ぎがだんだんと短い間隔になっていく。
両側から押さえるように肉芽を摘むと、一際大きな嬌声があがった。
腰が跳ねて、とろりと愛液が流れ出た。
絶頂が近いのだろう。刹那の目は虚ろで、荒い息づかいが木乃香の耳をくすぐる。
指でクリトリスを擦りながら、木乃香は秘所に顔を近づけ、下着に口付けた。
木乃香の唇が、愛液でしっとりと濡れる。
クリトリスの上をちろちろと舐めて繊細な刺激を与える。
刹那はその光景を見ただけで達してしまいそうになって、何とかこらえようとした。
しかしさらに、木乃香が舌でぐりぐりと肉芽を押しつぶしては転がし、吸いつかれた時には、もうとても耐えられるものではなくなっていた。
51 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 07:35:58 ID:4NdTSHHo
「あ、あっ! んあ! やっ、……い……っく! ああ!」
「……まだイっちゃあかんえ」
達する寸前のところで、木乃香の愛撫が途切れる。
が、すぐに再開され、しかもその責め自体はまったく緩められることはなかった。
徹底的にクリトリスを責められる。
下着をつけたままとはいえ、舐められ、吸い付かれ、舌でいたぶり倒された刹那はすぐに絶頂近くまでたどり着き、
「あ、も……だめ……や……ッッ――!!!」
限界まで我慢した快楽が一気に解放され、声をあげることも出来ずに絶頂を迎えた。
びくびくと体が痙攣している。
木乃香は、あまりの刺激にぐったりしてまだ息の乱れている刹那を、ぎゅっと抱きしめた。
唇を拭って優しくキスをすると、刹那が潤んだ瞳で見つめる。
「……やだ、私、」
「気持ちよかった?」
「う……はい」
恥ずかしそうに頷いて、木乃香の唇を塞いだ。
とりあえず、キスしている間だけは目を閉じていられるので、それが唯一の刹那の逃げ場だった。
「ほな、再開やな」
「……え?」
「まだダメゆーたのに我慢できひんかった罰や。下着、脱いで」
抵抗かしようかという逡巡、はすぐさま消えた。
もはや無駄だと悟ったのである。
諦めてショーツを脱ぐと、秘所から愛液が糸を引いた。
刹那が顔を赤らめると、愛おしそうに木乃香が頭を撫でる。
52 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 07:37:09 ID:4NdTSHHo
「まだたっぷり可愛がるえ」
「……ほどほどにお願いします」
木乃香は秘所を優しく刺激しながら、ぬるぬるした愛液を指に絡める。
さきほどさんざん嬲られて敏感になっているクリトリスを直接触られると、刹那の中でずくりと官能が首をもたげた。
体の準備はとうに出来ている。
木乃香の指がスリットを這い、中に入った。
「んっ……」
微かな痛みと快楽が同時に刹那を責めるが、すぐに快楽が勝り始める。
木乃香の細い中指を根本まで入れられ、中で折り曲げられた指がひだを撫でると、ずくずくと快楽が広がる。
クリトリスよりも緩やかで、じわじわと溜まっていくような官能に、刹那は軽く恐怖を覚えた。
このまま機械的に指で刺激されるだけでも達してしまいそうだと、本能的に感じた。
実際ゆっくりピストン運動しているだけの木乃香の指で、体は自然と反応してしまっていた。
愛液は徐々にあふれ、息が少ずつ乱れ始めている。
指の往復運動がだんだん早くなっていく。
「……ん……ぁ……あ……」
鼻から抜けるような小さな喘ぎが漏れ始めた。
こうなってしまえば、後は快楽の坂を転がり落ちるだけだ。
一度絶頂を覚えてしまった体は、その刺激に抗うこともできない。
折り曲げた指で、クリトリスの裏側あたりをひたすら重点的に責められる。
「っふ……ん……いぅ、なんでこれ……こんな……ぁんん!」
快感がどんどん蓄積されていく感覚に、思わず刹那は身悶えした。
クリトリスの快楽が瞬間的なのに対し、この刺激は鈍痛のように徐々に体を侵していく。
さらに木乃香はピストンの速度を上げた。
初め、歩くようにゆっくりと犯していた指は、今やちゅぽちゅぽと水音が立つくらい激しく刹那の膣を責めていた。
「んっ……! ぁん……うそ……もぅ……ぁ……あっ! っはー……っん!」
53 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 07:38:44 ID:4NdTSHHo
途切れ途切れの喘ぎが、刹那がかなり追い込まれていることを端的に示していた。
「なんや、もうイきそうなん?」
「はい、はっ……んぅ……」
「まだあかんよ、我慢せえへんと」
「だって……ぁ……いゃ……指が……このちゃんの……」
「ん?」
「指……あ……や……ダメ……いっ――」
話しながらも責め続けられていた刹那の腰が跳ねる。
その寸前、木乃香の責めも中断されていた。
達する手前で止められた快楽に、刹那がとまどいの表情を見せると、まだ膣の中にあった木乃香の指が再び小さく動いた。
「あぅ……っくぅ……」
微かな指の蠢動に、信じられないくらい大きな刺激を受けて、刹那が可愛らしい悲鳴を上げた。
中を細かく振動するように指で刺激されると、ゾクゾクとした快感が刹那の体中に広がっていく。
ちょうど肉芽の裏側にある一点に触れられると、鋭角的な刺激が、体に突き刺すような快楽をもたらした。
「はぅっ! ぁ……はー……」
「ここがええんやね」
「ちがっ、っんん……!」
くっと木乃香の指が曲げられて、そこを柔らかに圧迫され、押し殺された嬌声が響いた。
自分では全く制御できない木乃香の与える肉の快楽に、ただ従うしかない。
ゆっくりとした前後運動でそこを嬲られると、抵抗する意欲すら失われてしまう。
さらに木乃香の指は、そこを強弱をつけて押さえたり、振動させたり、
前後に、あるいは小さな円を描くように擦りあげて、けっして刹那をその快楽に慣れさせない。
緩急のある責めはたやすく刹那の理性を蕩けさせた。
弱い圧迫、前後に擦る運動、一旦休んで、小さく振動させられ、耐えきれずに声を上げたところで、
緩慢に円を描いて擦られ、徐々に激しいピストン運動にかわっていく。
「あっ……ぁあ……あっ! ……ぅ……ぃやあ! ……あ……あっ……」
「もう完全にウチの為すままやね。可愛ええよ、せっちゃん」
54 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 07:40:35 ID:4NdTSHHo
刹那を絡め取る快楽の波は、しかしけっして満足させることはない。
達しそうになる度、木乃香はその責めを緩めて、僅かに時間をおいて再度責め始める。
無限に続くような極上の快感で、刹那の意識は徐々に希薄になっていった。
指を動かされれば、嬌声を上げて鳴き、息を乱し、体を反らせ、秘所はクチュクチュと水音をあげる。
木乃香の与える刺激に翻弄されるまま、ただ女の悦びを貪る。
刹那はまるで木乃香に従順な性の奴隷のようだった。
「ぃや……ああっ! っい……もっ……やめ……やぁっ! ……また……イきそ」
「まだ、ダメ」
木乃香に甘く囁かれて、思わず刹那は達してしまいそうになった。
いや木乃香が責めさえ緩めなければ、確実に絶頂を迎えていただろう。
ぞくりとするほど艶やかな木乃香の声音が、刹那の被虐的な官能を炙って、体が意志とは関係なく反応してしまうのだ。
「せっちゃん」
なおも膣の敏感な部分を緩やかに刺激され続け、息も絶え絶えになっている刹那の口元に木乃香の指が置かれた。
その意図を汲んで、伏し目がちに中指にキスをして、口に含んだ。
「ん……」
木乃香の唇から甘い吐息が漏れる。
指を舐めさせるという行為は、何故かとても支配的に感じられて、無性に嗜虐的な快楽を覚えたのだ。
刹那の少しひんやりした唇と、熱い吐息が彩る口内を指で味わっていると、指にねっとりとした愛撫が加えられた。
クチュリと淫らな音が響く。
刹那が一生懸命丹念に愛撫する姿を見て、木乃香の中に愛しさと嗜虐欲が同時に沸き起こった。
無論木乃香には、そんなサディスティックな悦びを感じている自覚などない。
ただ刹那の可愛い姿を見ていたい、もっと可愛い声を聞かして欲しいというだけなのだが。
一心に木乃香への愛撫を続けていた刹那の体が、不意にぴくりと震えた。
それまでやんわりとしていた木乃香の責めが、再び激しくなってきたのだ。
55 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 07:42:24 ID:4NdTSHHo
「んぅ……ん……う……っん! ……っんん!!」
恥ずかしくて声を抑えたいのに、それすらままならない。
敏感な場所をぐいぐい押され、ピストンの要領で何度も擦られる。
さらに柔らかくなぞるように中を撫で回したかと思うと、指を回転させて膣の入り口をかき回された。
溢れる愛液を潤滑油に、再びピストン運動が始まる。
さきほど十分に体を弄んで学習した木乃香の責めは的確で、しかも何度も絶頂を寸止めされた刹那に、
その責め苦に抗う術などあるはずもなかった。
酸素を求めて喘いだ口から、自然と熱の籠もった声が漏れる。
「っはぁ……ぁ……あ……ん……あっ……あ!」
「ふふ、気持ちええ?」
木乃香の手は刹那の愛液ですっかりべとべとになっていた。
ほんの数十回の往復で達しそうになる刹那への責めを一旦完全に止める。
「はぁ……はぁ……」
「どうなん?」
息を整えるので精一杯の刹那に、急かすような質問。
刹那の口から、唾液でべとべとになった指を引き抜くと、唇から糸が引いた。
「……気持ちいい、というか、ぞくぞく……します」
「ん、素直でええね」
刹那の答えに満足げに頷いた木乃香は、再度ゆっくりと膣の中を撫でた。
敏感に反応する箇所を責め、クチュクチュと音を上げて擦ると、心地の良い刹那の悲鳴が聞こえた。
さらに先ほど刹那に舐めさせた中指を、クリトリスに押し当てる。
「あぅ……」
「まだ触っただけなのにどうしたん?」
56 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 07:45:50 ID:4NdTSHHo
挿入された指がやわやわと刹那の内壁を刺激する。
一時も休まぬ淫らな責めは、極上の快楽で刹那を絡め取りながら、、まだぎりぎりの理性を残していた。
いや残されていた、と言った方が正しいだろう。
木乃香は本能的に、そうやって刹那を追い込んでいた。
壊してしまいたい程愛おしい、そんな激情にも似た木乃香の愛情を、刹那は一心に受け止める。
「もう……無理です……我慢、っん……出来ません」
ふるふると怯えたような表情の刹那の哀願に、木乃香は見惚れて意図せず硬直した。
愛しさが膨れ上がって、一瞬処理できなくなっていた。
「ふふ、せっちゃんにそんなこと言われたウチも我慢できひんなぁ」
あくまで余裕のある素振りを貫いて、木乃香は止まっていた指を動かした。
中は先ほど同じようにゆっくりと、敏感なクリトリスの裏側を円を描くように犯し、
クリトリスに当てた指は、細かく震えるようにそこを嬲った。
すでに限界近くまで追い込まれていた刹那の体が、びくびくと小さく跳ねた。
「っんん! あ……ああ……いや……あああっ!」
刹那の嬌声を楽しみながら、しばらく思うまま体を弄ぶ木乃香。
とろとろと溢れるように滴ってきた愛液を確認して、徐々に膣に入れた指をピストン運動にしていく。
変わらないピッチのまま、クリトリスと膣に執拗な愛撫を続けていくと、刹那が苦しそうな顔で木乃香を見つめていた。
人生で初めての快楽責めに、刹那は消耗しきっていた。
57 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 07:47:03 ID:4NdTSHHo
「ああっ! いやっ……! もぅ……ムリ……っっ!」
肉芽を責めていた指に、垂れ流されている愛液を絡め、再び肉芽を摘んだ。
大きく跳ねた体に追い打ちをかけるように、ピストンを早めていくと、刹那の嬌声の間隔がだんだんと短くなっていく。
クリトリスを摘まれ、優しく扱かれ、少し押されて、軽く指で叩かれた刹那は、体の内側からやってくる感覚に体を震わせた。
ぐちょぐちょにかき混ぜられる秘所の刺激に、もはや到底抗えるはずもなく、
「ゃ……ああああ――ッ!」
艶めいた鳴き声を上げて、刹那は果てた。
快楽に反らせた体を、くたりとベッドに寝かせる。
細かく体を震わせて余韻に浸る刹那から指を引き抜くと、ぬるぬるの白く濁った愛液が絡んでいた。
「んふふ、あっけないなぁ」
「……ムリですよ、あんなの……」
全身が弛緩しきった刹那に覆い被さって、木乃香はその耳元で囁いた。
「せやけど、まだ終わらへんえ」
「え? ぁ……んっ!」
絶頂の直後で敏感になっている刹那のスリットに、木乃香の指が這った。
先ほどの粘度の高い愛液を、肉芽に塗りつけられる。
そのまま指の腹で擦りあげられると、刹那の体は自然に反応してしまう。
「んぅ……ダメ……少し……休ませてください……っくぅ」
「あかん、今日はたっぷり可愛がらせて」
58 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 07:48:39 ID:4NdTSHHo
刹那の耳元を木乃香の吐息と囁きがくすぐった。
不意に木乃香に耳を甘噛みされる。
柔らかな唇に挟まれ、耳のへりや付け根のあたりを丹念に舌で愛撫されると、
刹那の中にくすぐったいような、性快楽のような感覚が広がった
「ひゃっ……ぅ……ぁ……」
同時に木乃香の指は刹那の秘所を責め、そこから再び蜜が零れ始めていた
「せっちゃん、また濡れてきてる」
「……お嬢様のせいです」
「おかげやろ?」
「…………」
「ん?」
「……んっ! ……ぁ……ん……ずる、い……あっ……」
クリトリスを嬲られて、刹那の声にどんどん艶が混じっていく。
刹那の前髪を掻き上げて、おでこにキスすると、木乃香はいたずらっぽく笑った。
ぬちぬちと淫靡な水音を上げて、木乃香の指は刹那の急所を責めながら、
舌での愛撫は頬、唇、顎、首筋、胸、へそと順に下腹部へと下がっていく。
体の様々な所にキスされ、舐めあげられ、さらに最も敏感な部分まで弄ばれている刹那は、ただその刺激に翻弄されるだけだった。
「お嬢様……私……おかしくなってしまいます……」
「これからやのに?」
小首をかしげて微笑む木乃香。
木乃香は右手の指を二本口元に中て、たっぷりと唾液を絡ませてねぶり始めた。
そんな光景が、刹那には無意味に妖艶に思えた。
ただぞくりと、体の中の何かが蠢いたのだけはわかった。
ぅぉぉ連投規制か?支援
60 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 12:49:19 ID:4NdTSHHo
「痛かったらゆーてな」
「え、あ、はい」
刹那の秘所にあてがわれた二本の細い指が、ぬるりと中に挿れられた。
先ほどまで散々嬲り倒されていたせいか、刹那は思ったほど痛みは感じなかった。
むしろ、中で折り曲げられた指が蠢動する快楽に、おそれるように体を丸めた。
木乃香が気を遣って、緩慢な動作で刺激するので、なんとも言えない官能が身に蓄積されていく。
やわやわと確かめるような愛撫は、だんだんと二本の指が与える快楽を刹那に覚えさせ始めた。
膣を圧迫されながら、中で敏感な箇所を撫でられ、徐々に思考が快楽に蕩けていく。
「ぅ……ぁ……くぅ……っ……」
「ええ声やね、ウチせっちゃんの声好きやわ」
木乃香の甘い囁きが、さらに刹那の思考を麻痺させる。
しだいに往復運動が大きくなっていく指の動きに比例して、刹那に性の快楽が流れ込んでいく。
くちゅ、くちゅ、と緩慢な動作でありながら、徐々に大きな動きになっていく木乃香の責め、
それに耐えきれなくなって、刹那が艶めいた声を零しだす。
「はぅ……あ……あぅ……ぁ、ああっ!」
そのタイミングを見計らって、木乃香が刹那の秘所に口付けた。
「ひゃうっ! このちゃん……ダメ……きたない……!」
「そんなことあらへんよ、せっちゃん、お風呂入ったばっかやんか」
「でも……うっ……あ……くぅ……っやぁ……」
61 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 12:51:02 ID:4NdTSHHo
淫靡な水音が刹那の秘所と木乃香の口内から響いた。
二度の絶頂と焦らしですっかり体力を消耗している刹那は、懸命に木乃香に抗おうとしても、
主人に強く出ることも出来ずに為すがままにされていた。
木乃香は唾液と愛液を絡めて舌でクリトリスに塗布し、執拗にそこを責めている。
ちろちろとクリトリスの付け根を舐めていると、愛液が溢れてどんどん指がスムーズに動かせるようになっていく。
木乃香の指が、先ほどから責められている膣の敏感な箇所、Gスポットに当てられた。
十分な量の愛液は、そこへの責めをより苛烈にする。
ぬちゅぬちゅと卑猥な音を上げて、容赦ないピストン責めが行われる。
「ぁんっ……っんん!! ……ぅ、っく! ……んああ!!」
Gスポット責めながら、さらに木乃香の唇は優しく刹那のクリトリスを吸った。
たまらず刹那の悲鳴のような嬌声があがる。
それを愉しむように、吸い付いては、ちゅぽんと音のするように唇を離し、再度吸い付く。
無論その間も、秘所は木乃香の二本の指によって辱められ続けている。
「やめっ……って! あぁっ! ……ん! ……やぁ! この、ちゃん……!」
「んちゅ……ん?」
「やめ、……やめてください……、また……」
「またせっちゃんの可愛ええところみせてな」
「そん、……な……ぁ……ひぅ……あああっ!」
62 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 12:52:20 ID:4NdTSHHo
秘所への指の往復はますます激しくなり、刹那の蜜は少し泡だっていた。
苛烈な責めに容赦はなく、木乃香は刹那の肉芽を口に含んだ。
唇で柔らかく挟んでは離しを数回繰り返し、さらに吸い付いて、尖らせた舌で肉芽を撫で回す。
愛液と唾液でどろどろになったクリトリスへの刺激で、刹那の頭はただでさえ快楽に飽和している。
さらにその状態で、Gスポットを擦りあげられていた。
クリトリスへの責めに集中するせいで、単調化しているその機械的な動きが、返って刹那を能率的に快楽漬けにしていく。
ずちゅ、くちゅ、と水音をあげて、一定の刺激はたやすく刹那を追い詰め、
「――あぁ」
か細い声が漏れた。
「ああああっ――!!!」
体を大きく仰け反らせて、刹那が絶頂を迎えた。
木乃香の指を、痛いくらいの締め付けが襲う。
ゆっくり指を引き抜くと、刹那がびくりと体を震わせた。
とろりとベッドの上に刹那の蜜が滴る。
「ぁ……はー……はー」
三度もの絶頂を迎えた刹那は、ぐったりとベッドに横たわって、荒い呼吸をしていた。
木乃香が寄り添うようにその隣に寝て、顔を覗き込む。
「うぅ……もう……」
刹那は木乃香の首に腕を絡めて、浅く口付けた。
木乃香が優しく笑う。
「ちょっとやりすぎてもうたかな?」
「ちょっとじゃないですよ……」
拗ねるように刹那は答える。
愛しい人の温もりを抱いて、目を閉じると、静かな部屋で息づかいだけが聞こえた。
わけの分からない感情――大好き――が膨れ上がって、木乃香をぎゅっと抱いた。
63 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 12:53:59 ID:4NdTSHHo
「えへへ、せっちゃん大好きやよ」
「……私もです」
しばらくだまって木乃香を抱いた。
それだけで、どうしようもなく幸せだった。
不意にくるりと姿勢を変えて、刹那が木乃香の上に覆い被さった。
ちょうどベッドで木乃香を押し倒した形になる。
「今度は私の番ですね」
刹那はやんわり微笑んだ。
「今日はもうええよ」
「いいえ。ご奉仕させて下さい」
上目遣いに言われて、木乃香は続く言葉を飲み込んだ。
刹那の妙に色っぽい表情が、断りの言葉を頭から掻き消してしまっていた。
木乃香の無言を肯定と受け取って、一枚ずつ木乃香の衣服を取り去っていく。
「せっちゃん、ちょい立ってもええ? 脱ぎづらい」
「あ、はい、すいません、気が付かなくて」
「ええよ、気にせんで」
木乃香は赤らめた顔をごまかすように微笑んで、刹那の頭を撫でた。
ショーツ一枚の格好になると、胸を手で覆い、先ほどとは打って変わって体を小さくさせている。
まだ触れられていないはずの木乃香の下着は、じっとりと愛液に濡れていた。
ショーツに手をあてて、木乃香の性器全体を手のひらで包むように触れた。
「私を弄んで興奮していたんですか?」
指を一本、陰唇の中に沈ませると、はっきりと水気が感じられた。
意地悪をするように、クリトリスのあたりを擦ると、木乃香は目を閉じて小さく体を震わせた。
64 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 12:55:37 ID:4NdTSHHo
「……うん、せやな」
すこし仕返するつもりが、あっさり認められてしまい、刹那は肩すかしを喰らった気分になった。
「せっちゃん……」
「はい」
「して……」
ぞくりとするほど甘やかな木乃香の声音は、刹那の思考を灼き切るのに十分過ぎた。
「分かりました、私のお嬢様」
刹那の指は優しく木乃香スリットを撫でて、僅かに堅く隆起している箇所を探した。
ぬるぬるになったショーツの上から、手触りだけでクリトリスを見つけると、そこを軽く圧迫する。
そのまま指の腹で微かに擦っただけで、木乃香がびくりと震えた。
「ん……」
「ここ、感じますか」
「う、うん……」
「ふふ、お顔が真っ赤ですよ」
「あかん……なんや、されるだけやと、えらい恥ずかしいわぁ……」
木乃香がたまらなくなったように、顔を背ける。
そんな木乃香の様子がますます愛おしくて、刹那は両手で優しく木乃香を抱いた。
互いに肌で触れると、蕩けるような温もりを感じた。
「膝立ちにさせたままでしたね。座ってください」
木乃香をベッドに座らせると、刹那はその脚を手に取って、足の甲を顔の前に持ってきた。
愛おしそうに、そこに軽くキスをする。
65 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 12:57:24 ID:4NdTSHHo
「せっちゃん……!? ウチさっき外から帰ってきたばっかりやから、」
「でも出て行く前に、一度お風呂はお召しになったじゃありませんか」
「せやけど、きたないかもしれへんし」
「それならば私が綺麗にして差し上げます。お嬢様に不浄な場所などありませんが」
木乃香の小さな足の指に舌を這わせ、丹念に舐めていく。
ときおり、ちゅく、と粘ついた水音が部屋に響いた。
くすぐったいような、けれども確かに官能的な感覚が木乃香を戸惑わせる。
両足を綺麗に舐め終えると、刹那は木乃香の脚に何度も口付けた。
足から徐々に秘所に近づいていくキスに、羞恥心を煽られた木乃香の顔は紅潮している。
脚の付け根にキスをされ、そのまま下着越しに秘所にもキスをされると、木乃香の情感は一気に高まった。
「ん……」
二、三度クリトリスのあたりにキスをされて、木乃香が悩ましげな吐息をつく。
「ここはまた後ほどいたしますね」
木乃香が下着をじっとりと濡らしていることに、すっかり気を良くした刹那が、いたずらっぽく微笑んだ。
上気した木乃香の表情は、年齢に似つかわしくないほどに色っぽくて、ますます刹那を魅入らせる。
愛しい木乃香の体を愛撫する愉悦に酔っていた刹那は、さらにその感覚に呑まれていった。
自らの興奮を自覚し、木乃香以上に秘所を濡らしていることさえ分かっていた。
それでも刹那は、恥ずかしさに己を抑制することはない。
それほど木乃香との時間は甘美で、その快楽は刹那を耽溺させるものだった。
そんな一種の狂気に気が付かぬように、二人は体を重ねて愛し合う。
あるいはそんな狂気を、愛などと呼ぶのかもしれない。
66 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 12:59:57 ID:4NdTSHHo
「お嬢様、お手を」
刹那に告げられるまま、右手を差し出すと、足と同じように甲にキスをされた。
そのまま指を咥えようとした刹那が、一瞬静止する。
「どないしたん?」
「あ……いえ……その、」
木乃香が差し出した手の指には、先ほど刹那の体を愛した時の蜜が、乾ききらずに残っていた。
刹那は申し訳なさそうな、恥ずかしそうな表情のまま、指を咥えて、それを丹念に舐め取った。
「すいません、私がお嬢様を汚してしまって」
「何言うてるん。きたなあらへんやろ」
木乃香が優しく笑った。連られて、刹那も少し微笑む。
両手を舌で丁寧に愛撫し、そのまま細い腕、華奢な肩と思うままにキスをしていく。
そんな愛撫に、木乃香の体は確実に熱に侵されていった。
性の快楽ではない。
幸福の、愛しさの快楽。
それに心も体も満たされていく。
全てを刹那に溶かされそうで、それはある意味で木乃香には恐怖だった。
一切を信頼しているからこそ、何もかもさらけ出すのは怖い。恐い。
まだ少し、時間が欲しい。
あの子の全てを奪おうと思えるまで。
強くなるまで。
そんな決意にも似た願いのために、木乃香はほんの少しだけ、刹那から逃げた。
「せっちゃん、お水飲んでもええ?」
首筋にキスをしようとした刹那を制止して、木乃香は訊ねた。
「あ、ごめんな。こんな時に」
「いえ、構いません」
67 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 13:01:26 ID:4NdTSHHo
本当になんの不満もなさそうに、刹那は水を取りに行こうとした。
自分が裸なのに気が付いて、慌てて手で体を隠す。
「あはは、可笑しいなぁ。さっきまで散々見られてたやん」
「そ、そうですけど……」
「ほら、行ってき。せっちゃんの体は見られても恥ずかしいもんやないで」
「……そういう問題ではないのですが」
渋々そのまま洗面所へ行く刹那。
コップに水を入れて帰ってくると、改めてあられもない木乃香の格好を見つめてしまう。
しっとりと汗ばんで桃色に色づいた体、その秘所を覆う下着は、先ほどまでの愛撫に粘液を絡ませている。
上気した表情に、とろんとした瞳は微かに潤んでいて、どうにも扇情的だった。
そんな興奮のせいか、刹那も自分ののどが乾いていたことに気が付いた。
とりあえず先に木乃香にコップを手渡す。
「ありがとなー」
「飲み終わったら一口いただけますか?」
「ん〜」
飲みながら返事をする木乃香。
こくんこくんとのどならして飲む姿は、いつもの、年齢相応に無邪気で可憐な女の子のものだった。
その様子を微笑ましく眺めていると、刹那は木乃香に手招きされた。
ベッドの上を四つんばいで進んでいくと、木乃香に手を掴まれ引き倒された。
木乃香の柔らかな胸に受け止められ、顎を持ち上げられてキスされる。
「ん……」
そのまま、木乃香の飲んだ水を口移しされる。
少しずつ時間をかけて水を飲まされ、触れ合った肌からも、だんだんと体の疼きが戻ってきた。
飲み終わって一度唇を離し、すぐに互いに貪るような長いキスが始まった。
「ん……む……」
「ぁ……」
68 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 13:03:00 ID:4NdTSHHo
艶めいた吐息がこぼれ落ちていく。
水を取ってきてもらう間の僅かな時間に、心を整理させた木乃香。
また理性は置き去りにされそうになっているが、先とは少し感覚が違った。
木乃香には今はそれで良かった。体の疼きを鎮めてほしかった。
口付けで熱に浮かされた刹那に、木乃香は押し倒された。
喉元に食らいつくようにキスをされ、舌で撫でられる。
そのまま耳元まで愛撫は続き、さらに耳を甘噛みされた。
「ぁ……ぅ……」
たっぷりと耳を舐められ、木乃香が小さく声を上げた。
頬や唇、顎にキスされながら、優しく胸を揉まれると、じんわりと快楽が広がっていく。
体中を愛撫された木乃香の胸の蕾は、すでに痛いくらい勃っていた。
刹那がそっと桜色の頂点を摘む。
「あ……」
鋭い快楽が体を駆け抜けた。
ずくずくと体に響く快楽が、木乃香の思考を蝕んでいく。
木乃香の反応を見ながら、刹那の指が両方の乳首を微妙な強弱をつけて摘み、くりくりと転がした。
「ん……」
「お嬢様、気持ち良い……ですか?」
「せやな……うん、不思議な感じ……」
「そうですか。それでは――こうされるのと、」
胸の頂点を指で転がされる木乃香。
「こうされるのと、」
「っんん……」
今度は少し引っ張られた。
69 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 13:04:14 ID:4NdTSHHo
「どっちが良いですか?」
「……せっちゃんちょっと楽しんでるやろ?」
「……少し」
「むぅ」
「すいません、お嬢様があまりに可愛らしかったので。
それに先ほどは私が一方的にされていましたし」
「せやけどな、」
「ああ、そういえばこんなこともされましたね」
まるで今思い出したかのように、刹那が木乃香の乳首を咥えた。
暖かい口内での粘つく舌の愛撫は、木乃香の予想よりも遙かに刺激的だった。
未知の快楽に、知らず背を反らしてしまう。
もう片方の頂点も、くいっくいっと断続的に摘み上げられて可愛がられている。
「っふ……あ……」
木乃香の唇から甘い声が零れた。
刹那は唇をすぼめて乳首に吸い付き、それを扱くように弄ぶ。
もう片方も指で扱いて刺激する。
両方の胸の頂点を、片方はぬるぬるの淫靡な刺激に苛まれ、もう片方は摩擦によって犯されるように責められていた。
「どうです?」
勃った乳首を指で挟み込んで、弄びながら刹那が訊ねた。
「ウチ、おかしなりそ……」
「感じます?」
「……うん……」
消え入るような声で囁くと、木乃香は潤んだ瞳で刹那を見つめた。
その顔があまりに可愛らしくて、木乃香をぐちゃぐちゃにしたい衝動を刹那は必死に押さえ込んだ。
支援
71 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 14:12:35 ID:4NdTSHHo
まだ口で可愛がっていない方の木乃香の胸に口付け、敏感な所を口に含んで、先ほど同じように刺激する。
愛撫をうけて、唾液でべとべとになっている方は、指を絡めて弄ぶ。
また先とは違った刺激に、木乃香の口からか細い嬌声が漏れた。
「ん……ゃ……」
余っている手を木乃香の秘所に伸ばすと、下着が透けそうなほど濡れていた。
秘所のクレバスを指で撫でようとすると、ぬるりと沈みこむ。
「お嬢様、結構感じてらっしゃいますね」
「う……もう、口に出さんくたってええやんか……」
「いえいえ、嬉しいんですよ。剣を握る私の腕でも、お嬢様を愛することが出来て」
刹那が心の底から幸せそうに微笑んだ。
そんな表情を見せられて、何も言えなくなっている木乃香の頭を、刹那が愛しそうに撫でた。
「それはそうと」
「なん?」
刹那の指が、木乃香の秘所を下着越しに軽く擦って刺激する。
「ここ、どうやってお慰めいたしましょう?」
「ど、どうって……?」
「指か、それとも……口か。他にもお望みならどのようにでも」
「え……あ……せ、せっちゃんの好きなように」
「分かりました」
刹那は木乃香の下着をずらして直接秘所に触れ、指でとろとろとあふれ出している愛液を掬った。
左手で木乃香の秘所を開き、余った手で木乃香の陰核に塗りつけていく。
そうやって蜜を絡めるように指で触れる度、木乃香の体は小さく震え、口からは切なそうな甘い吐息が零れた。
下着を元の位置に戻し、布越しに指をクリトリスに押しつける。
72 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 14:14:04 ID:4NdTSHHo
「あ……んぁ……いやや、これ……」
「先ほど、お嬢様が私になされたことじゃないですか」
そう言って、刹那の指が小さく抉るように、下着越しにクリトリスを擦る。
「さっきされて分かったんですけど、ここを下着越しにされると、布のざらざらで刺激されて、感じちゃうんですよね」
「ん……うん……ぁ……」
緩慢な動きで指を上下されている木乃香は、声を押し殺して快楽に耐えていた。
どこか陶酔した表情の刹那は、責めを休めないまま、木乃香に言葉をかけていく。
「特にこうやって擦ると、」
「……っんん! や……あ……あ……んんぅ」
刹那の指が、細かく陰核を擦りあげた。
刹那の長い愛撫に先ほどから勃ちっぱなし、さらに愛液でべとべとになったクリトリスを、
下着の布の、ざらざらとぬるぬるの感触で集中的に責め立てられていた。
「あ……ゃ……アカン、ってぇ……あああ!」
木乃香の体がびくびくと何度も震えた。
木乃香の声に、絶頂が近いことを感じながら、けれど刹那は一定の間隔で陰核を嬲り続けた。
ちゅぷちゅぷと下着から溢れる蜜が、刹那の指に絡みついていく。
「あ、ああっ! ひぅ……ぁんん! やめ……もう」
「もうイキそうですか? いいですよ」
「やぁ……まだ……あっ……ああっ……あああああ――!!」
木乃香が体を大きく反らせて果てた。
刹那が木乃香を余韻に浸らせるように、優しく体を撫でる。
しばらくして木乃香の息が落ち着いた頃、刹那がそっと抱きしめた。
浅く口付けて、木乃香に笑いかける。
「イキました?」
「……うん、多分……」
「また新しいお嬢様の可愛らしいところが見れてしまいました」
「……なんやちょっとくやしいなぁ」
73 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 14:16:23 ID:4NdTSHHo
あまりにも刹那が充足した表情で微笑むので、木乃香は少し恨みがましそうな視線を送った。
「それにしてもお嬢様は敏感ですね、すぐに果ててしまわれて」
「……し、仕方ないやんか!
ウチせっちゃん可愛ごうとる間もずっと、その……興奮、してた、っていうか……。
それにせっちゃんのえっち、なんややらしいねん」
「ふふ、まぁとりあえず悦んでいただけたようで何よりです。
では下着を失礼しますね」
「……え? だってもうウチ、」
「何言ってるんです? まだ一度じゃないですか」
「え? ……え?」
「それにさっき、私の好きなようにしろとおっしゃったじゃありませんか」
「ちゃうて、あれはそういう意味やのーて」
木乃香の制止の声を無視して、やや強引に刹那が木乃香の下着を取り払った。
一度絶頂した秘所は、今も自身の愛液に蕩けたままだ。
木乃香の脚を開かせて、刹那はその秘所に顔を近づける。
「や……恥ずかしいって……」
「脚、もう少し広げていただけませんか?」
「う……今日のせっちゃん、えらい積極的や……」
「お嬢様のせいですよ。こんな可愛いらしいお嬢様に誘惑されては、私には抗う術がありません」
「せやかて、ぁ……」
刹那の舌が木乃香の秘所を優しく撫でた。
陰唇を這う生暖かい舌の感触に、木乃香の体は甘美な快楽を覚えてしまう。
クリトリスに吸い付かれ、そこを口内で舌に転がされると、木乃香の口から甲高い嬌声が上がった。
「ああっ……や……んんんっ!」
74 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 14:18:38 ID:4NdTSHHo
唾液と愛液を掻き混ぜる舌が、淫靡な水音を部屋中に響かせる。
その度に木乃香の体は反り返り、艶めいた声が残響した。
悲鳴のような声で「やめて」と懇願する木乃香の声が聞こえないかのように、
刹那は木乃香の秘所を舌で抉ってほぐしていく。
溢れ出る蜜を、わざと音をたてて吸って木乃香の羞恥心を煽り、
恥ずかしそうに口に手をあてて声を抑えたところで、激しく責めた。
手に押さえられてくぐもった嬌声は、刹那には通常のそれより返って淫らに聞こえた。
瞳いっぱいに涙を貯めて、快楽に耐えようとする木乃香が愛おし過ぎて、刹那の思考が次第に焦げていく。
「さて、それじゃあ指も使いますね」
「はぁ……はぁ……待って……少し……休憩……」
「はい、分かりました」
刹那はそう言って頷くと、木乃香の秘所に指を潜らせた。
舌で十分ほぐされた膣は、ぬるりと僅かな抵抗で指を飲み込む。
「ってわかってへんやんか! せっちゃ……! ぅ……あっ……ああ……」
刹那に抵抗してツッコミをいれようとした木乃香だったが、思わぬ不意打ちに声がかすれた。
一度絶頂を迎えて敏感になった蜜壺を指で責められ、体を駆け抜ける快感はあまりに甘美で激しく言葉すら紡げない。
気を抜けばまたすぐに果ててしまいそうだった。
いや、一定のリズムで擦りあげるその動きだけで、あと何分持つかも分からなかった。
規則的に弄られるのに合わせて、「あっ……」と色っぽい声が零れていく。
何の抵抗も出来ずに、木乃香は刹那の指に弄ばれるままだ。
くちゅっくちゅっと卑猥な音が断続的に部屋に響いて、その音に酔うように刹那は木乃香を責め立てた。
次第に木乃香の声に余裕がなくなっていく。
「や……ス、トップ……やめ……ああああ!」
75 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 14:20:54 ID:4NdTSHHo
刹那の指を木乃香の中がきゅっと絞める。
一瞬頭の中が白くなったような気がして、木乃香はぎゅっと目を閉じた。
しかし不思議と木乃香に絶頂感はない。
瞬間的な快楽は、突風のように木乃香の頭の中を駆けめぐっただけのようだった。
木乃香の様子をうかがうように一度中断された刹那の責めが、再び始まった。
「どうやら少しイッたみたいですね」
「わ、わかんな……うぁ……あぁ……」
寸止め以上、絶頂未満という未知の快楽に翻弄されたまま、さらに木乃香は責められ続けた。
蠢く指の感触が体を強制的に快楽漬けにしていく。
絶頂感がなかったせいか、体はすぐに果てる寸前の状況に追い込まれた。
「あ、ああっ……はぁ……ぁんんっ! やめ……いやぁ……」
木乃香は目尻に涙を零して懇願するが、その蕩けるような甘い声では逆効果だ。
刹那の指が容赦なく秘所をピストン責めする。
が、木乃香が体を震わせて絶頂の兆しを見せると、すぐにぴたりとやめてしまった。
「あ……あぅ……なんで……?」
「いえ、そういえばさきほどこんなことされたな、と思いまして」
微笑んで答える刹那だが、その指は木乃香を一瞬でも休ませないようにすでに蠢きだしていた。
「ぅ……ぁ……寸止め……いややぁ……」
「お嫌いですか?」
「ぅあ……ちゃう、けど……」
「そうですか」
今にも果ててしまいそうな木乃香の膣から、不意に指が引き抜かれた。
予想外の行動に、木乃香が少し驚いて刹那を見つめた。
その表情に一瞬切なさのようなモノを読み取った刹那は、含みのある笑顔で木乃香に手を差し出した。
76 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 14:23:06 ID:4NdTSHHo
「ここで終わってしまったら嫌ですよね? 姿勢を変えたいのでお手を」
「う、うん」
刹那はベッドの上で膝立ちになっている。
木乃香の手を掴むと、そのくたくたの上半身を起こして抱き止めた。
抱かれた半身の温もりが、愛しすぎて痛いようだった。
「せっちゃん、キス――、」
木乃香が口付けをねだろうとした時には、すでに刹那の唇が近づいていた。
目を閉じて、温もりを与え合うように舌を絡めた深いキスをする。
木乃香が支えを求めるように刹那の首に手を絡めると、いっそう強く抱きしめられた。
「はぅ……」
「ん……」
息をするのも忘れるくらい、互いの唇を貪りあって、ゆっくり離れた。
でもいつでも唇を重ねられるくらい、近く。
抱きしめる、首に絡む、互いの腕がそれ以上の距離を許さない。
「せっちゃん……」
「はい」
「……続き……」
消え入りそうな声でも、この距離なら十分だった。
もう一度ぎゅっと木乃香を抱くと、刹那は今度は慈しむように可愛がり始めた。
優しく、愛しさを丁寧に織り為すように。
77 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 14:28:18 ID:4NdTSHHo
********************************************************
それより数時間前。
木乃香と明日菜は二人で街の祭りの様子を見に来ていた。
というより、木乃香が明日菜を誘って連れ出していたのだ。
だから今日は珍しく二人きりだった。
寮のルームメイトの二人なのだが、魔法世界に来てからは二人だけというのは本当に久しぶりだった。
傾斜した陽光が、街を鮮やかな緋に染めていた。
木乃香の長い艶髪も、紅蓮に灼けているかのような暗赤色に煌めいている。
けれどいつもの木乃香と様子が違うのは、そのせいだけではないことを、明日菜は本能的に感じ取っていた。
何気ない仕草や表情に、不安や、焦燥や、そして決意が見える気がしたのだ。
やがて大通りに面する路地の一角、人気が疎らになった露店の前で明日菜は脚を止めた。
「わぁ! たこ棒ってなんだろ? っていうかこの世界にもたこいるんだ」
「食べてく?」
「うん、買ってくる。ちょっと待ってて」
「せやったら、そこで食べてかへん?」
ちょうど夕日を避けるように、露店の前には長椅子が置かれていた。
日本の茶店にあるような、背もたれのない長方形の箱に、赤い布が掛けてある。
たこ棒を買いに行く明日菜は随分ご機嫌だった。
「木乃香もなんか食べる?」
「ほなオスティアティーお願い」
「ん〜」
にこにこ笑顔で戻って明日菜の手にはたこ棒というらしき串にささった練り物と、紙コップが握られている。
たこ棒にはすでに一口囓られた跡があった。
78 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 14:29:25 ID:4NdTSHHo
「はい」
「ありがとー、お金、」
「ん、いいよ。今度なんかおごって」
「了解〜」
受け取った紙コップから湯気と共に良い香りが立ち上った。
口に含むと、柔らかで上品な渋みと、ほんの微かなお茶独特の甘みが広がった。
露店だというのに、意外と侮れない品質である。
「うまー」
「それってお茶? 紅茶?」
「う〜ん……どっちかというとお茶やなぁ」
「ほえー、ちょっと交換しようか」
「ええよ」
たこ棒は思ったよりもおいしかった。こりこりしているたこの食感と塩加減が絶妙な味わいだ。
明日菜は一口飲んで、何とも言えない表情をしていた。
「おいしい?」
「……うん、多分。そんな気がする」
「あはは、明日菜らしいなぁ」
思わず微笑むと、明日菜が少しだけ拗ねたように顔を背けた。
背けた先で、ごまかすようにたこ棒を囓っている。
「そう言えば、普通に外に出てても平気かな? 私たち一応指名手配犯だし」
「大丈夫やと思うえ。一応楓にも護衛してもらとるし」
「あ、そうなんだ。だから妙な気配が」
明日菜が得心したように頷いた。そして再びたこ棒を一囓り。
79 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 14:30:41 ID:4NdTSHHo
「ふぉれで? ふぁんほふぁふぁひ?」
「明日菜、食べてからしゃべりや」
「んむっ……ごめんごめん、で何の話? 何かあるんでしょ?」
「うん。あれ? 気づとったん?」
「いや、なんとなくね」
「そか。明日菜には敵わへんな」
「だてに何年も一緒にいないって」
「ふふ、せやね」
木乃香は唇をオスティアティーで湿らせて、ゆっくり口を開いた。
「話、いうか、相談みたいなものなんやけどな」
「うん」
「明日菜、ウチがせっちゃんのこと、友達としてじゃなく好きって言うたら、やっぱ気持ち悪い?」
「……え?」
一瞬、木乃香の言っている意味が理解できなかった明日菜は、きょとんとした顔で聞き返した。
木乃香の表情に、不安と緊張が滲んでいく。
「あんな……やから、つまり、その……ウチ、せっちゃんのこと、こ、恋人いうか……」
「あ、え、そうなんだ。……そっか仮契約もしたしね」
うんうん、と一人納得したように頷く明日菜。
「うん、私は気にしないよ。そういうことは。刹那さんも木乃香も大事な友達だし」
「……良かった、明日菜ならそう言うてくれる思てた」
木乃香の顔がほっとしたように緩んだ。心の底から安心した時の微笑みだった。
その瞳が、少し潤んでいた。
それを見た瞬間。明日菜は今の質問の大きさを知った。
ずっと木乃香は不安だったのだろう。
自分が同姓に好意を寄せていることも、友達――親友と言っても良いと思う――が受け入れてくれるかも、回りの目だって。
そういう不安をずっと堪えてきたんだろう。
80 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 14:31:46 ID:4NdTSHHo
「せやけどな、明日菜」
そう切り出した木乃香の顔は、普段あれほどおっとりしていて優しい少女のものではなかった。
「ウチとせっちゃんは本当に恋人なんやろか?」
「……どうして?」
孤高、そんな言葉にも似た凛々しさを木乃香は纏っていた。
それがなぜだか異様に馴染んでいて。
その雰囲気に呑まれるように、聞き返した明日菜の声は微かに震えた。
「せっちゃんはな、ウチ、と言うより、魔術師として優秀な近衛の巫女の護衛として、
子供の頃からずっと桜咲の御家で育てられてる。
護衛対象のウチに、ある程度の好意を持つように躾けられてる。
せやから、ウチに対する好意も、そんな主従関係めいたものからかもしれへん。
なぁ明日菜、それから始まった関係って、それホンマの恋人なん?」
射るような木乃香の眼差し、けれどまるで見返すように、明日菜はまっすぐ彼女を見据えた。
別にそこに彼女の信念や何かがあったわけではない。
ただそうしなければならないと、そう思っただけ。
それが神楽坂明日菜という存在であり、彼女が木乃香の親友たる所以なのかもしれない。
「……そうなんじゃないかな」
「…………」
「木乃香は刹那さんのことが好きなんだよね?」
「うん」
「それで、刹那さんは木乃香のことが好き」
「……うん」
「じゃあそれはもう、本物とかどうかじゃなく、恋人なんじゃないかな」
だからそう言った明日菜の言葉はどこまでも透き通った真実で、そして真摯だった。
そこには微塵も木乃香が持ちうる疑念の余地はなく、
木乃香はただ頷き、そして彼女の一切の懐疑は消失へと向かうだけだった。
それが、泣き出しそうなほど嬉しい事実。
親友の言葉に、なんて救われているんだろう、と。
SHIEN
82 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 15:55:49 ID:4NdTSHHo
「ありがとな、明日菜。今の言葉で、もうなんの迷いもあらへんよ」
「……うん、良かった」
「明日菜、少し聞いて欲しいことがあんねん」
「何?」
木乃香はすっと息を吸った。
その瞳に、少女とは思えぬ力強い決意の色。
「ウチは世界中の人をいっぱい救える力がある。せやからマギステル・マギを目指す」
「うん」
「けどな、それってたくさんの危険が付き纏うと思う。
現に、ウチの力は一回利用されてもうた。
それでな、これからは、ううん、これからもきっとせっちゃんはウチのことを守ってくれる。
でもなそれってウチと同じくらい、もしかしたらもっと危険なことや。
せやから、ウチのマギステル・マギになるゆう決断は、同時にあの子を危険に引きづり込むゆうのを決めたのと同じや」
木乃香の言わんとしていることを見定めるように、明日菜はじっと聞き入っている。
木乃香の表情は相変わらず厳しそうな表情のまま。
「ウチがどんなにあの子のことを想っても、逆にあの子がどんなに想ってくれても、
きっとせっちゃんは、究極的にはウチのためなら簡単に命を投げ出すと思う。
なぁ明日菜、それってめちゃめちゃ虚しい関係やない?
やってウチらの関係が深くなるほど、時間が経つほど、ウチらの関係は危険の中に埋もれて、より脆くなっていくんや。
もちろん、全てを切り抜けられるかも知れへん。
せやけど、さっきゆうたみたいにウチの道にはやっぱり危険が付きまとう。
でもせっちゃんは好き好んでついて来てしまうんや。
だからウチは本当は逃げ出したい。全部全部投げ出して、二人で幸せな生活を送る」
「……でも木乃香、それは……」
「……うん、分かってる。そんなんアカン。
救う力があんのに、それを投げ出して自分らだけが幸せになるなんて、きっと罪や。
だからウチらは、そんな脆い関係になるように運命付けられたみたいやと思ってな」
83 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 15:56:48 ID:4NdTSHHo
明日菜はふと気付く。
あんなに想い合っていたのに、それでも仮契約を為した後の木乃香に、どこか影の差す表情があった理由。
ちゃんと考えていた、誰よりもずっと深く。
己にとってのパートナーという存在について。
そして自分自身について。
「せやからな、ウチはもちろんたくさんの人を救いたくて、この道を行くけど、
それは究極的には本当の理由やない。
ウチがマギステル・マギになる理由は、全部せっちゃんのためや。
多分それは悪やと思う。人を救うゆうて、一人のことしか考えとらんのやから。
そんなん偽善ゆうにもおこがましい。
けど、ウチはウチの悪を為す。それだけ明日菜に知っておいて欲しかってん」
木乃香の言葉をじっと聞いていた明日菜は、一瞬目を伏せた。
けれどすぐに視線を戻して呟く。
「……分かった、うん。木乃香、それでもね、私は木乃香と親友だよ」
明日菜が優しく笑う。その笑顔に、どうしようもなく救われているような気がして。
マギステル・マギというのはもしかしたらこんな風に笑って人を救うのかもしれない、木乃香はぼんやりそう思った。
「明日菜、せっちゃんと仲良うしてな」
「え? うん、当然!」
「うん、そうやってあの子の中に大事なもんをいっぱい増やしてくんや。
そしたら、だんだんせっちゃんも自分のこと大事にするよおになって、
ウチらは脆く虚しい関係から遠のく可能性もあるし」
「……本当に木乃香はそのためにマギステル・マギになるんだね」
「その途中で世界で一番たくさん人助けるで!
ついでに世界くらい救うんや。そうでも思わへんと、やってられへんやろ?」
屈託なく笑う木乃香の顔は、本当に誰も彼も救ってしまえそうなほど眩しかった。
84 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 15:58:08 ID:4NdTSHHo
***************************************************
朝日が差す。反射的に刹那の意識は覚醒してしまう。が、体が必死に逆らう。
まだ疲れが残っている。休ませろと要求されるままに、目を閉じた。
ふと違和感。妙にすーすーする。布団の中、全裸であることに気付く。
一瞬の思考停止、後に再覚醒。今度は何もかもはっきりと思い出す。昨夜の情事も。
ふっと顔が赤くなる。あ、私はお嬢様にお嬢様にお嬢様にあああああああああ……。
頭を抱える刹那、隣でもぞもぞと木乃香が動いた。
「……せっちゃん……何しとるん……?」
「あ、いえ! あの! その……」
寝ぼけ眼のお嬢様可愛い!! などと思うも束の間、昨夜のことを鮮明に思い出して思考が焼き切れる。
「どうしたん……?」
「いえ……あのただ、昨日は、私が出過ぎたことを、」
言いかけた言葉を唇に指を当てられ制止される。
「せっちゃん」
木乃香に名前を呼ばれて、優しく抱き寄せられて、たまらなく良い匂いがして、そして暖かくって。
「大好きやよ」
囁かれて、くすぐったくて、うれしくて、どうしようもなく愛しくて。
「私もです」
抱きしめ返す。
泣き出してしまいそうなほど、幸せだった。
85 :
犯言幻夜:2010/01/17(日) 15:58:50 ID:4NdTSHHo
***************************************************
全てを投げ出せば、常人のように愛し合えるのに。
けれどそれは彼女には選べぬ道だから。
それでも愛しい人を守りたいと思うのは彼女の傲慢だろうか?
それすら、彼女には咎になるのだろうか?
想い人の全てを奪ってしまいたいと、彼女は願った。
けれどそれは叶わぬことだから。
せめてあの子だけは守れるようにと、彼女は願った。
けれどそれすらまだ力の及ばぬことだから。
今はまだ仮初めの契約。
――まだ少し、時間が欲しい。
あの子の全てを奪おうと思えるまで。
強くなるまで――
いつか守られるだけから、守れるようにもなるのだろうか?
そうしたら、不可能と分かっていても、あの子の全てを奪おうと思えるのだろうか?
まだ分からない。答えは出ない。
けれど、もしその問いに答えを――応えを――得たら、その時は本当の契りを交わそう。
犯言幻夜 fin.
ようやく終わりました。長文、お目汚しご無礼致しました。
もしもこの駄文に最後までお付き合い頂けましたら、それに勝る喜びはございません。
身に余る幸福を願うなら、一言感想なぞを頂戴できればと思います。
>>86 乙です
すごく盛り沢山と言った感じでリバ好きの私にはたまりませんでした…ごちそうさまです
これしか言えない。GJ!!!
うおおおおおおGJJJJJJJ!!!!!!
神光臨!!
真面目に木乃香の想いがなるほどと思ってしまいました。
GJです!
何この超大作
40レスオーバーとか超GJなんですけど
数日ぶりにリロードしたら一気にスレが進んでて、新年早々何事かと思ってしまった
ぶっちゃけいうともっと書いt(
いや是非書いてください超お願いします
おおおお
久しぶりに見に来たら…!
GJです!!!
携帯寄生虫で書き込めなかった。
遅ればせながらGJです。久しぶりに必死で読んだ。
本誌読んでないけど,どんな展開になってるんだろう。
いろいろと「このせつ」的に気になるが。
率直に言うと、このせつ?何それおいしいの?的展開
単行本組へのネタバレになるのでこれ以上は自重しておきます
率直に言うと、このせつ?これからおいしくなるよ的展開
このせつファミリーが再び降ってきたので投下。
子供の名前は勝手に決めたので苦手な人はスルー推奨です。
刹那似が那由多(なゆた)、木乃香似が京(きょう)、刹那と同じく数の単位です。
しんと静まりかえった深夜遅く。
麻帆良近くのこじんまりとした純和風な家に、仕事を終えた刹那が帰ってきた。
音を出さないように引き戸を開け、夕凪を部屋に置いて風呂に入る。
外見に反して中身は意外とハイテクな風呂で、追い焚き機能を使って湯を温めている間に軽くシャワーを浴びた。
帰りに酒を飲んだからか、熱い湯を浴びるとそのまま熱が回るような気さえする。
慣れない酒に手を出したのは、仕事後どうにも気分が収まらなかったからだ。
妙に気のつくところがある龍宮に誘われて焼け付くような液体をいくらか流し込み、思考が上手く纏まらなくなった辺りで解放され帰路についたが、成る程これは良いかもしれない、と刹那は思った。
何も考えられないから、後ろ向きな考えができない。
刹那が何故気が立っていたのか、龍宮はちゃんとわかっていた。
どんなに皆に認められても、刹那はたまに不安になる。
長きにわたるコンプレックスはそう簡単に解消されるものではない。
自分は“ちゃんと”人間だ
子供の頃、そう思っていたのを思い出して苦笑が漏れた。
背中の翼が呪いのような気さえして、出てくるたびに躍起になって羽根を毟り取っていた。
白い翼のせいで鳥族でやっていけず、人間にもなれない。
その後、木乃香たちのおかげでそれ自体はもうどうでも良くなったのだが、それでも時折ふと心をえぐることがある。
結局自分の半分は“あちら側”で、この行為は同胞殺しに変わりない。
返り血にまみれて、奪い続けて、この手に何が残るのだろう。
怖い。
汚い自分。
昔より増えた大事なもの。
いつか奪われるかもしれない。
ノズルを握る手が震えた。
風呂から上がると、寝室に行かず台所へ向かった。
冷蔵庫を開けて中を見ると刹那も木乃香も普段はあまり飲まないビールが数本入っていた。
何かの機会に貰ったものだが、酒は強いが日本酒派の木乃香と酒に弱い刹那では消費しきれていない。
しばらく見つめて、麦茶に手を伸ばす。
コップに注ぐのが面倒で、普段なら絶対にしないような事だが酔っているからと自分に言い訳して、直接口を付けた。
「あー、母上あかんのやー」
突然幼い声がして、含んでいた麦茶を吹いてしまった。
慌てて口を離して見ると、双子の娘たちがそれぞれ自分を指さしている。
丑三つ時も近い深夜二時半、子供が起きているような時間ではない。
「コップで飲んでへん、母様に怒られる」
双子は刹那を母上、木乃香を母様と呼ぶ。
躾た木乃香曰く『せっちゃんは女の子やねんから、父親扱いすんのは嫌』らしい。
「な…、二人とも、何でこんな時間に起きてるんだ」
「きょうちゃんがトイレ行きたいけどお化け怖いって」
刹那似の方、那由多が答えた。
「ちゃんと出来た?」
「うん」
どうやら平均から見るとそろそろおねしょが治っていい頃で、したりしなかったりの双子を木乃香は心配していたが、今夜は大丈夫そうだ。
「母上、寝る前にお茶飲んだらおねしょしーひん?」
「大人だから大丈夫」
「母上、母様に怒られへん?」
「…内緒にしといて」
知られたとしても一言二言で済むだろうが、教育上ここで怒られないとは言えない。内緒が一番楽だ。
刹那は麦茶を冷蔵庫へしまうと、娘たちと寝室へ上がった。
川の字に並んだ布団の端で木乃香が眠っている。穏やかな寝顔にほっと吐息が漏れた。
娘たちを真ん中に寝かせ、自身も布団へ入る。
ぽん、ぽん、と胸辺りに掌でゆっくりリズムを刻んでやると二人はすぐに瞼を下ろして寝息をたて始めたが、その手が仲良く繋がれていて苦笑が漏れた。
小さい頃の自分たちみたいだ。
もぞ、と視界の端で布団が動いた。
「せっちゃん…?」
「お嬢様?すみません、起こしてしまいましたか?」
「んーん、へいき…」
おかえりーなどとは言うものの、目元を擦る木乃香は眠そうだ。
その眠い顔のまま半身を起こして、刹那の額に口づけた。
「…せっちゃん、なんやお酒くさい」
「あ…すみません、少し飲んできました…」
「龍宮さんと?」
「はい」
「めずらしーなぁ、せっちゃんがお酒飲んでくるなんて。
……なんかあったん?」
声のトーンが少しだけ下がった。
木乃香は刹那の機微に聡い。
どうせ隠し立てはできないので、刹那は正直に答えた。
「…少し、不安になって」
「不安?」
「大切なものが増えたので、なくすのが怖いんです」
あなたを守ると言って、何度危険な目に合わせたかわからない。
あの頃より強くなったとはいえ、大事にしたいのにどうやって守ればいいのか見当もつかなかった。
刹那はいつも、肝心なところで不器用になる。
「せっちゃんの大事なもんは、うちも大事にしたい。
せやからこうやってー」
木乃香は唄うように言うと、眠る京の手を刹那に握らせた。
京のもう片方は那由多のそれと繋がっている。
最後に木乃香は、空いている方の那由多の手を取って、もう片方で刹那と手を繋いだ。
「これで大丈夫。
せっちゃんはもう手ぇ放せへん」
にっこり、花が綻ぶように笑った。
『放せへん』が、「放さない」なのか「放せない」なのかは方言の妙でわからなかったが、『放せへん』のは確かだった。
「そう…ですね。放せる気がしません」
「やろー?」
悪戯っ子のように笑う木乃香に胸の奥が熱くなり、刹那は不意に涙ぐんだ。
それに気付いた木乃香は、手を繋いだまま指の腹で刹那の掌を撫で、幼子をあやすように「大丈夫、なんもこわない」と繰り返す。
その手の温度が、声色が、あまりに優しすぎて、刹那はますます泣きそうになった。
「かーさま…?」
突然、二人の間の子が揃って目を覚ました。
うにうに唸って目を擦り、大きな欠伸。
どうやら眠りが浅かったのを会話で起こしてしまったようだった。
「母上、なんかこわいん?」
「お化け?ピーマン?母様?」
「ま、なゆちゃんたら母様をそんなんと同列にするんやね」
よよよ、と泣くふりをする母を中身は木乃香寄りな娘たちは特に気にするでもなく、木乃香もさらっと切り替えて普通へ戻る。
「母上なぁ、みんながいなくなんの怖いねんて。
やからみんなでぎゅってしたげよ」
「はーい」
言うが早いか、妙に素直な娘二人は刹那に飛び掛かった。
近い京が刹那の腹の上によじ登り、続いて那由多も腕ににじり寄る。
子供特有の高い体温に、溢れた涙が一筋頬を伝った。
「ちゃんとおるよ?」
そう言う木乃香に何も言うことができなくて、刹那は子供を抱えたまま木乃香と唇を重ねる。
それは誓いと請願に似ていた。
以上です。
本編のこのせつ的おいしい展開が楽しみだ
GJです。ああ、二人の子供か、ほんとに見てみたいな。
せつなとかなゆたとか、フレッ○ュ○リ○ュアっすかw
激しくGJ
いい夫婦ですね
ほんとそろそろ本編で2人をみたいなぁ
木乃香が学園長に渡すのと間違えてせっちゃんにお酒入りのチョコを渡すバレンタインデーの夜ー
せっちゃんご乱心
乱心したせっちゃんにあんなことやこんなことをされてしまうこのちゃん。
普段精神的に優位に立っていたため、急な変化に対応できず思いっきり弄ばれる。
あぁ、このせつ欠乏症。
今週は「みょんみょん」があったじゃないか!!!
うpろだのパスワードってkonosetuじゃないの?
_
,.'´ `ヽ
i Lllノリリ)」〉 みょん みょん
| l - _-ノ| 〜〜〜〜〜〜〜〜
ノ⊂||卯リつ 〜〜〜〜〜〜〜〜
ーく/_|〉┘ まりょくー
し'ノ
最近保管庫行って過去のこのせつに浸って寝るのが習慣
115 :
勝田一:2010/03/19(金) 00:14:02 ID:osxvQ70i
かっこよすな〜。せっちゃんは。
GJ!出来たら専用ロダにもあげてください。
久しぶりに片ポニテせっちゃんが見たい
と木乃香さんが言ってました
久しぶりに
かっこいい格好したかっこいいせっちゃんが見たい
メイド着物は可愛いけど戦闘シーンでは浮いてると思う
と木乃香さんがry
久々に漫画読み直すと実はだいぶ初めの頃から木乃香が刹那にアプローチ掛けまくってたってことに気付いた
木乃香は単に刹那のこと親友程度にしか思ってなくて、刹那の思いが一人空回りしてる印象あったんだけど、細かい描写までチェックしてると木乃香って何よりも刹那優先に動いてたんだな
武闘会で長年友達やってたアスナより先に刹那の怪我の心配をしたこのちゃんにちょっとぐっと来たw
あーやっぱこのせつええわあ
思えば最初はこの→→→→せつだったんだよな
木乃香があんなにも消極的だったのが印象的
そういう初期の頃を思うと今のこのせつはすごい成長したよな
色んな意味でw
またこのせつの夢見た!
ってことしか覚えてない!
過疎ってるなぁ
規制が頻繁にされるからかな
123 :
名無しさん@秘密の花園:2010/04/06(火) 04:15:03 ID:G/aTn/ae
支援age
麻帆良祭が終わって少し経った、ある休日の昼下がり。
外出して寮の部屋に戻ってきた私のところに、木乃香お嬢様が訪ねてきた。
「こんにちは、せっちゃん。あれ、一人なん?」
「ええ、龍宮はまだ仕事から戻っていませんが。どうぞ、お入りください……おや、それは?」
お嬢様の脇に台車があり、大きめのダンボール箱がひとつ載っていた。
「うん。学園祭でお化け屋敷やったやろ。あれでまだ使ってない衣装が入ってるんよ、これ」
中に入れて開けてみると、箱いっぱいにつまった種類も色も様々な衣装たち。
「いいんちょが、もしほしい人がおったらどうぞって。人気のありそうなんは、まき絵ちゃん達が持ってったしな。うちらの部屋でも見たけど、明日菜もネギ君もいらないって言うんよー」
「そうでしょうね……」
と、私は衣装を引っ張り出しながら呟いた。
どう見ても表面積が小さくて際どいものや、向こうが透けて見える薄いのもが多い。祭であっても着るのは恥ずかしいだろう。
いかにも3−Aらしいなあ、と改めてクラスメート達の感性に慄いていると、
「なあなあ、せっちゃん。これどうや?」
「なっ」
顔を上げた私は、思わず絶句した。
お嬢様が着けていたのは、銀色の首輪。人の首回りよりも大きめの輪で、鎖も途中までしかないおもちゃだ。しかし、
「お、お嬢様! お嬢様がそのような物を着けてはいけませんっ!」
慌ててお嬢様の首から外していく。
……ほんの少し、ほんの少しだけ妙な気分になったのはここだけの話だ。
「せっちゃんは真面目やなあ。じゃあ、他には……うん、ウサ耳は定番やな。犬耳ー、トラ耳ーと……ん、せっちゃん。こういうのはどう?」
今度取り出したのは、小さな三角形の猫耳がついたカチューシャとふわふわの猫の手袋、同じ色の尻尾のセットだった。
「こんなんて、メイドカフェの店員さんがつけてそうやね」
そう言いながら猫耳のカチューシャを被り、スカートに尻尾を着ける。細身なので、まるで上品な猫のようだ。
「ほらっ、せっちゃんもやってみてな」
「は、はい」
渡されたもう一式を、私も戸惑いながら着けてみた。ついでに手に持っていたままの首輪も嵌めてみる。
「いかがでしょうか、お嬢様」
「うん、よう似合うとるよ!」
笑って、髪を直してくれる。
「でも、この首輪が赤だったらまだいいのになー」
「猫でしたら、リボンのイメージですよね」
猫の手も肉球まで可愛らしく作られている。人間の手の様には動かないが、暖かくて気持ちがいい。
「……にゃんにゃん」
手首を曲げて猫のフリ。すると、
「せ、せっちゃん! それ、もう一回やって!」
「え? あ、はい。にゃんにゃんっ」
今度はおどけてお嬢様の顔の前でやってみせる。するとお嬢様は、顔を真っ赤にして床に転げまわった。
「あかん、せっちゃんは可愛すぎや……」
「いえ、そ、そんな」
ここまで反応されると、さすがに照れてしまう。
そんなこんなで遊ぶことしばらく。
「はあ……――楽しかったなー。仮装なんて学園祭とかでしかやらんもんなあ」
「ふふ、なりきって遊ぶというのも面白いですね」
遊び疲れた私達は、ふたり並んで床に寝転んでいた。
「ほんまやな。せっちゃん、いつもはこんな格好してくれんし」
「そ、それは、さすがに普段は。そろそろ夕飯の時間ですし、収めて次の部屋に回しましょうか。龍宮は、こういうのには興味がないでしょうから」
「そうしよっか。あー、おもろかったえ」
「ええ、お嬢様とにゃんにゃんできて楽しかったです」
するとお嬢様が固まり、ぎこちなくこちらを向いた。
「え?」
どうしたのだろう、お嬢様の顔がまた真っ赤だ。
「あのな、せっちゃん? 今のセリフ、もう一回!」
「今のって、夕飯の時間だから……」
「ちゃう、その後や!」
「お嬢様とにゃんにゃんして楽しいです、のところですか?」
うわーっと顔を押さえて身を震わせるお嬢様。
「お、お嬢様?」
「そうか、せっちゃんはウチとニャンニャンするのがええんか……」
「え? ええ」
「遊んでる最中から思ってたんやけど、せっちゃん、いい感じのネコやもんなあ……」
猫の格好なのは、お嬢様も同じなのだが。そんなに私の猫っぷりが気にいって戴けたのかと考えたが、何かが違うような気もする。
と、お嬢様が低く笑ってこちらを向いた。そして
「ふ、ふふ、うふふふ。せっちゃん、せっちゃあああんっ!!」
「わ、わあっ!?」
いきなり抱きついてきたお嬢様を、私はとっさに避けて逃げた。
「あーんもう、なんで逃げるん」
「す、すいませっ……でも」
身の危険を感じて、とは口に出せなかった。なぜだろう、今のお嬢様には何か危険な雰囲気が漂っている。
「うふふっ」
めげずに再び飛び掛るお嬢様に、跳んで逃げる私。部屋の中で私達は、まるで本物の猫のように追いかけっこを繰り返した。
「ほらほら、おいでおいでー。ウチがたっぷり可愛がってあげるからなー」
猫の手で手招きされるが、とても近づけたものじゃない。私は震えながら、必死で頭を働かせた。……そうだ!
さきほど猫セットを取り出した箱を引き寄せ、今度は犬耳と犬脚の手袋、尻尾を取り出した。慌てる手で耳を取り替えながら、
「お嬢様落ち着いて!……わん、わんわん、わんっ。ほらっ今の私は子犬ですよ、子犬です、ワン」
お嬢様から目を離さないまま、犬の手に取り替える。後から思えばとんでもないことだったのだが、やはり私も冷静ではなかったのだろう。
「子犬かあ、子犬さんもかわええなあ」
これはいける、お嬢様から危険な雰囲気が薄れてきたように見える!
「そうでしょう。わん、わん、わんわんっ」
「でも、そんなに吠える子犬ちゃんにはお尻ペンペンやな」
「ええっ!?」
「痛くせえへんからおいでー、優しくしつけてあげるえ」
ふふっと笑って、じりじりとお嬢様が近づいてくる。効果がないどころか、余計に煽ってしまったようだ。ベッドサイドの奥で、
震えるようにして逃げる機会をうかがっていると……。
バンッといきなり扉が開いて、龍宮が入ってきた。
「今、間違いなくこの部屋から子犬の鳴き声が聴こえてきたが……って、お前達何をやってるんだ」
「龍宮! 助かった」
ほっと胸をなでおろしたのも束の間、
「刹那、お前なんて可愛い格好をしてるんだ……!」
龍宮がとんでもないことを言い出した。立ちつくしたまま、こちらを凝視している。
「そうか、私が子犬好きなのを知っていて、お前自身が子犬に扮するとはな」
そして小さく顔を振る。みるみるうちに相好が崩れたかと思うと、
「それは私に可愛がってほしいということだな? 首輪まで着けているということは」
「お、お前もかっ!?」
「あーん、龍宮さん、せっちゃんはウチのやで!」
「いやいや、あれは私の好みを理解しての格好だ。ならば、同室の私へのプレゼントに違いない」
この状況から何をどう解釈すれば、そういう結果が出るのだろう。
「いや、待て龍宮。私はだな」
「皆まで言うな、刹那。今そちらへ行くぞ!」
「あかん! それはダメやで、龍宮さんってば!」
そこへ、お嬢様が通せんぼの格好で立ちふさがった。
「む。近衛、私と刹那の邪魔をしようというのか? お前といえど、私達の邪魔しようとするなら眠っていてもらおう」
「ま、待て!」
お嬢様を守るべく、私は思わずベッドサイドから飛び出した。
「おお、刹那! 可愛いなあ……!」
龍宮はするりと嬢様の脇を抜けたかと思うと、いきなり私を抱きしめた。
「いや、ちょっと、むぐっ……」
背丈が違うので、ちょうど彼女の胸に顔が挟まれている。離れようとするが、力が入らない。
「ダメやー! 龍宮さん、せっちゃんはウチのやて! せっちゃんも離れてやー!」
後ろからぐいぐいとお嬢様が私を引っ張っている。
ああ、なんでこんなことになったんだろう……。
息苦しくなり、ぼんやりとしてきた頭で考える。
結局、騒ぎを聞きつけてやってきた明日菜さんと楓に助けられて、その場は何とか収まった。
その後しばらくの間、猫耳を被せようとするお嬢様と隙あらば犬耳を被せてくる龍宮のおかげで落ち着かない日々が続くのだった……。
前書き入れ忘れました。
時期は麻帆良祭のあと、ギャグというかドタバタ劇というか。
少々冗長すぎなので、このスレの先人を見習いたいですね。
いや、面白かった。ニヤニヤした。GJだ。
GJ!
刹那がにゃんにゃんて…鼻血出そうw
>>127 いやいや凄く面白かったですわ。
刹那が木乃香とにゃんにゃんするのが楽しいなんて出欠多量で死にそうです
そろそろせっちゃんの季節やんなぁ
ゲームの2時間目って面白い?(主にknst的な意味で)
聖なるー空の下でー
あなたーとー 再び出会ーえた
135 :
名無しさん@秘密の花園:2010/05/11(火) 23:59:35 ID:d/cK5FQU
明日菜が刹那の羽を洗うシーンがあったのだから、
木乃香が刹那の羽を洗うシーンもそのうちある・・・・はず・・・・
@浴場
木乃香「せっちゃん、せっちゃん」
刹那「なんでしょう?」
木乃香「背中流してげるー」
刹那「いえ、そんな……、申し訳ないです」
木乃香「えー……」
刹那「ああ、分かりました。分かりましたから、そんな悲しそうな顔をしないで下さい」
木乃香「えへへー。せやったらあっち向いててなー」
刹那(ああ、またこの笑顔に負けてしまう……)
木乃香「〜〜♪」 ←ご機嫌な木乃香さんは何の唄かを口ずさんでいます。
刹那「っ!」
木乃香「ん?」
刹那「い、いえ、なんでもありません……」
木乃香「? そう? なんかあってらゆーてな」
刹那(なぜ背中を手洗いっ!? そこに洗うためのタオルがあるのになぜ手洗い!?)
木乃香「〜〜♪」
刹那「――ひゃあ!」
木乃香「あ、ごめんな、くすぐったかった?」
刹那「ななな、なんでもありません。ええ、気にしないでください」
木乃香「んー? 変なせっちゃんやなー」
刹那(あたっています。お嬢様? あたっていますよ! ああでもそんなことを意識しているとしれたら……)
ザパー……
木乃香「終わったえー」
刹那「ありがとうございました」
木乃香「あ」
刹那「どうかなさいましたか?」
木乃香「そう言えばせっちゃんのハネってどうしてるん?」
刹那「どうしてると、とおっしゃいますと?」
木乃香「洗わんでええの?」
刹那「ああ、アレは水浴びの時に適当に流していますから」
木乃香「せやったら、せっかくやし、今洗うえ?」
刹那「あ、いえ、あれは……」
木乃香「いやなん?」
刹那「そうではないのですが、その、普段人に触れられるものではないので、少々感覚が」
木乃香「そっかー、でも明日菜は触ったらモフモフしてて気持ちええってゆってたえ?」
刹那(明日菜さん、余計なことをっ!)
木乃香「ええなー、明日菜ええなー」
刹那「……分かりました、でもあんまり長く触らないでくださいね」
木乃香「ええの? やったぁ!」
刹那「はぁ……またそんな嬉しそうな顔で。私が嫌なわけないじゃないですか」
ばさばさ……
木乃香「ホンマに綺麗な翼やね」
刹那「そう言ってもらえると嬉しいです」
刹那「お願いします」
木乃香「うーん、どうやって洗うかわからへんし、手で洗うえ」
刹那「は、はい……」
木乃香「ほな、始めるえ」
刹那(あああ、変な声とか出ないだろうか……)
木乃香「〜〜♪」
刹那(あ、そんな、手で一枚一枚撫でられてる……!)
木乃香「痛ない?」
刹那「は、はい、全く」
木乃香「そかそか」
刹那(あっ……ちょっと……その触り方はっ……!)
木乃香「ん〜♪ 気持ちええな〜」 ←ご機嫌な木乃香さんはハネにほおずりしています
刹那「……んっ……ゃ……」
木乃香「えへへ、せっちゃん可愛えし、綺麗やし、理想のお嫁さんやな」
刹那(あああああああ、こんな時に変なことをおっしゃらないでください!)
刹那「そ、そうですか? しかし私の付き合いのある殿方などいらっしゃらないですよ?」
木乃香「そんなんこれからやないの。それに、誰もおれへんかったら、ウチんとこに来や」
刹那「な、いえ、ですが……!」
木乃香「まぁせっちゃんに言い寄る男は、全部ウチがなぎ払うんやけどな」
刹那「ええっ!?」
木乃香「あはは、冗談やって」
刹那(言っても良いのだろうか? それでも構わないと言っても良いのだろうか!?)
木乃香「〜〜♪」
刹那「……ぁ……ん……」
木乃香「〜〜〜♪」
刹那(お嬢様ぁ……そんなにゆっくり丁寧に触らないでください……私、変な声が……)
木乃香「気持ちええ?」
刹那「く、くすぐったいです」
木乃香「あ、そうなんや。もうちょっと撫でるみたいにした方がええんかな?」
刹那「いえ、それは――っひゃあ」
木乃香「あれ、あかんかった?」
刹那「え、ええ、そうですね。先ほどのようにゆっくりお願いします」
木乃香「了解やっ!」
刹那(危なかった……凄くゾクゾクきた……)
「……ん……」
「〜〜♪」 (あたまぼんやりしてきた……)
「んぁ……」
「えへへ、楽しいなこれ」
「……ぁ……お嬢様……」
(可愛えな〜) 「ん〜?」
「そろそろ、よろしいですか……?」
「ん? 両方やるえ」 (せっちゃん、色っぽいなぁ)
(そうですか、断定ですか……私に選択の余地はないのですね) 「〜〜♪」
(押しきってみたえ、えへへ)
「……ちょ……あ……」
「付け根洗うからちょっと髪あげてくれへん?」
「……ん……はい」
(きれーなうなじやなー)
(……? 手が止まってる……?)
「っ!!!!!!」 (あ、しもた……ついキスしてもうた)
(え? 今……え……??)
(……ま、ええか。何もなかったことにしよう)
「〜〜♪」
(あ、あれ……? え……?)
「ほな、残り半分やな」
「……あ、お願いします」
(ふぁ……やだ……そこ撫でられると声出そう……)
「あぅ……」
「ゃ……ん……」 「〜〜♪」
「はぅ……ぁ……あ……」
「そこ、だめです……」
「ん? うん」
(やぁぁ……ダメって言ってるのに……!)
「ひゃぅぅ……」
「気持ちええ?」
「う、はい……」
「えへへー」
「せっちゃん……」
「……なんですか?」
「……呼んだだけ」
(うわあああああ、そんな可愛い声で切なく呼ばないくださいー!!)
(ほんまに可愛えなぁ)
「くすくす……」
「お嬢様……?」
「ううん、なんでもないえ」
(弄ばれているのだろうか……? このちゃんになら弄ばれてもいいけど)
「〜〜♪」
※どうみても翼を洗っているだけですね。
木乃香「終わったえ!」
刹那「あ、ありがとうございました。私も、お背中お流しいたします」
木乃香「お願いな」
刹那(……って、こんな精神的に疲れた状態で、お嬢様の背中を流すなんて……)
木乃香「どないしたん?」
刹那「なんでもありませんよ」
木乃香「そうなん」
刹那「ええ」
刹那(色即是空! 煩悩退散! 心頭滅却!) せつなは どうよう している!
木乃香(ウチもハネとかほしいなー……)
こうですか、わかりません><
ところで、高校くらいでシリアス暗い感じのknstに需要はありますか?
何を言ってるんだカモンベイベー!!
こんなGJ!な書き込みしといてそりゃ無いぜ。
この萌えるこのせつ熱をどうしてくれるんだだだだだだ!
何この今までにない斬新な
>>138とかwww
GJ!
(^o^)/~~ナギハラエー
Good job!!
30巻読んだ!せっちゃんはやっぱええなぁ。
OAD見たら
>>137-139が動画で再生された。
>>141に禿同
>>138の展開が新しすぎるwwwwwww
>>139 何はともあれぐっじょぶ、需要なんてあるに決まってるんだろ、早く投下しr(斬岩剣
いえ、是非してくださいお願いします
じゃあかなり先になりそうですが気長に楽しみにしてくれるとうれしいです。
あと前に投げた犯幻の感想下さった方、ありがとうございました。嬉しかったです。
最近のマガジン内でのこのせつどうなってんだろう
少年誌に出せない感じじゃね?
最近やっと28、29、30巻を購入出来たんだけど、このせつが最高のパートナー(もちろん人生の的な意味で)
過ぎてなけた
実写にこのせつってあるの?
まあ、あっても見るかどうかはまた別問題だけど
あるよー凄まじいこのせつが
今思ってもあれはすごかったなーwww
>>152 たどえば何話か、よければ教えてくれなイカ
4話だったっけ?リアルキスシーンは強烈すぎた。
全編通して,ネギま?!っぽいこのせつだっように感じたよ。
この板的には賛否両論だったんだっけ?
キスシーンがあるらしいことは聞いてたけど、やっぱりほんとなのか
でもさすがに、リアルキッスはしなくね?と思うんだけど
してたらネギ役の女の子があまりにもかわいそすぎるwww
まあ、百聞は一見にしかずだぞなw
確か木乃香役がめちゃくちゃ緊張したんだけど
刹那役はそれほどでもなく、エスコートしたらしい
あと10話だっけか、デート話も感動したな
OAD4巻購入全員サービスで新刹那パクティオーカード“も”ついてくるとか・・・
全員サービスに気付いた時既にOAD3巻で前2巻の応募券なんて気付かずに捨ててしまってたよ・・・
新刹那カードは絶対手に入れんと
なんせ木乃香との仮契約なんだからな
マジで?!
何気なくとっておいた俺は勝ち組だな。
DVD買ってまでみたいというわけではないが、動画共有サイトにあるわけでもない
自分はどうやって見ようかな
俺には実写の刺激が強すぎたwww
このせつ結婚SS書こうとして、刹那のネクタイ結び直す木乃香とか書きたかったけど、
シチュエーション的にはよくても、何か刹那にはあんまり似合ってないなぁと思い、断念した
二人にお揃いの寝間着を着せたい
寝間着萌えの俺の想像がひろがりんぐ
木乃香スレでも刹那スレでもこのせつの話題が時折出てくる
このせつ的には嬉しいけど、単独スレなのにそれはどうかなぁ、とも思ったりする
>>169 このかなしには刹那のことは語れないし
刹那なしにはこのかのことは語れないんだから
仕方ないじゃないか
愛するキャラの愛する人を語るのは必然
管理人さん いつも乙です。トンです!
28巻読みなおしたけど、やっぱええなぁ
174 :
名無しさん@秘密の花園:2010/06/27(日) 21:26:38 ID:neg51Hg+
支援age
とりあえず実写の10話だけ見ておこうと思って何だか刹那に違和感を感じた
違和感の正体は明日菜に対する口調だった
>>176 見てみればわかると思うけど
原作だと「明日菜さん」ななのが呼び捨てだったり、
色んなところで口調が荒かったり
ドラマの細かいとこはもう忘れたな。
キスシーンとオープニング除いて。
確か設定がアニメ第2期に近かったような…
とにかく原作とは違った設定だから仕方ないのでは
>>179 でも、ま!?でも、刹那は明日菜に対して敬語だったと思うよ
ああ、あと別に、「敬語じゃないからダメだ」とか、そんなんじゃなくて
ただ単に違和感があるな〜、とそんだけの話
ほしゅ
中の人ネタだけどあいぽんのブログにこのせつ〜。
このせつなつい
初めて百合とかSSとかの存在を知ったのもこのせつだったな
夏の海でこのせつ
も良いけど浴衣も
このちゃん!
せっちゃん!
近衛刹那!
ふとハルナは日頃から疑問に思っていることを訊いてみた。
「木乃香さぁ」
「うん?」
「刹那さんのこと、カッコイイと思う?」
「う〜ん……せっちゃんはいざという時はカッコええよ」
「あ〜……うんうん、それはもちろんなんだけどさ。そういう戦闘とかの非常時じゃなくて」
「普段のせっちゃん?」
「そうそう、特に木乃香の前だと、ほら、よく照れたりしてて、凄く女の子らしいじゃない? なんかこう、その姿を間近で見ている木乃香としてはどう思ってるのかなぁと」
「あー、なるほど。うん、アレは可愛えなぁ。もじもじしてるところもとっても可愛えんよ。
剣持ってる時のせっちゃんからは想像出来ひんもん」
「ほう、ということはやはり木乃香的に刹那さんは可愛いってイメージなのかな」
「どっちかっていうとそやね〜」
「恋人としては、二人きりでもちょっと凛々しい所も見せてもらいたいんじゃないのかい?」
「ううん、それは勘弁やなぁ」
「へ〜、意外だね。どうしてさ?」
「せやね、状況を説明した方がわかりやすいと思うんよ。ちょっと想像してみてや――」
* *
木乃香が宿の部屋に入ると、涼やかな微笑みを浮かべた刹那が立っていた。表情には戦場での険しさはなく、凛々しさを保ちながらも、切れ長の瞳は穏やかに木乃香を見つめていた。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「あ、うん」
いつもと様子が違う刹那に少しだけ戸惑いながらも、木乃香は気にしない素振りで部屋に入った。しかしベッドと小さな机しかない安宿では、特に気を紛らわせる物もない。
「どうかなさいましたか?」
「いや、なんでもないんよ」
つい刹那の方を見てしまった。刹那は少し可笑しそうにクスリと笑い、窓に視線を逸らせた。しなやかな体だが、少女の丸みを帯びた体に自然と目を奪われる。
木乃香がベッドに腰を下ろすと、刹那がゆっくり近づいて、木乃香の正面に立った。
「お嬢様、お疲れですか?」
「そやね、少し」
「今夜は早くおやすみにならないといけませんね」
そう言って、刹那は労るように木乃香の頭を頭を撫でた。くしゃりと髪を撫でられる感触に、木乃香がくすぐったそうに目を細める。安らぎと胸の高鳴りが同時に芽生えた。
「髪を撫でられるのは、お好きですか?」
「う、うん」
「それは良かったです」
そう言ってしばらく優しく撫でていた刹那は、不意に木乃香の頬に手を当てた。
「こちらはいかがでしょう?」
「あ、うん、好き……かも」
次第に胸の高鳴りが大きくなってくる。刹那の凛とした、けれども優しそうな表情を見つめて、急に顔が熱くなるのを感じた。一心に木乃香を見つめる刹那の顔を思うと、胸を鷲づかみにされたように感じるのはなぜか。
その気恥ずかしさに耐えきれなくなって、木乃香は視線を下に逸らした。
「いかがなさいました?」
刹那が膝を折って、木乃香の顔を覗き込んだ。あと少し近づけば、口付けてしまえそうな距離に。
「ちょ、せっちゃん、近いって……」
鼓動が早まる。渇いた口唇でなんとかそれだけを絞り出したが、刹那は気にもせずに木乃香の瞳を覗いている。木乃香が顔を逸らそうとすると、
「……こちらを向いてください」
顎を人差し指と親指で優しく挟まれ、木乃香は顔を固定されてしまった。早鐘を打つ胸が、痛いくらいに感じる。
刹那は余裕たっぷりの微笑みで、どこか嗜虐的な風にも見える。
「お嬢様」
「……なに?」
「口付けてもよろしいですか?」
「…………」
木乃香は恥ずかしくて何も応えずにいたら、刹那はふっと微笑んで顔を近づけた。木乃香も反射的に目を閉じる。
触れるか触れないかの、ささやかなキスが交わされる。ここまで雰囲気を作られた後での、少し物足りないキス。「もっと……」と言いたくなるような衝動に駆られる。
そんな木乃香の切なげな表情を楽しみながら、刹那は顎に添えた手を離さずに見つめた。木乃香もそれをどうにかするつもりもない。
「せっちゃん」
「なんでしょう?」
「あの……」
「はい」
「……もう、終わり?」
「そうですね、私は十分させて頂けましたから、そう致しましょうか」
「……いじわる」
「ふふ、可愛らしいですよ、お嬢様」
ふっと肩を押され、木乃香はベッドに押し倒された。起き上がる間もなく、刹那が木乃香の上に四つんばいになる。木乃香は手首をベッドに押しつけられ、軽く拘束された。
そのまま、刹那にキスを迫られ、木乃香は目を閉じるが、いつまで経っても望んだ感触が得られない。我慢できずに、目を開けると、刹那が意地悪そうな笑みを浮かべていた。
「ごめんなさい、すこしお嬢様のお顔を見ていたくなって」
悪びれもせずにそんなことを言う。キスの寸止めをされ、一人だけ目を閉じてしまっていた木乃香が拗ねた表情を浮かべる。
「もー、ウチ今絶対キスされるんかと思って!」
「それは失礼しました。ところで、されたい、ですか?」
「…………」
「言って欲しいんです。私だけがお嬢様を求めているような気がして、不安なんです」
真剣な刹那の声音に、思わず木乃香の心が捉えられる。今の言葉に感情が押し流されてしまいそうだ。少し遠回しに、刹那が木乃香を欲していると告げたのだから。
「……うん、して欲しい」
だから、恥ずかしかったが、素直に言葉に出してみた。
それを聞くや否や、刹那に口付けられる。
啄むような浅いキスを二、三度重ね、少しだけ離れる。
「ん、もっと……」
「はい、仰せのままに」
「と、こんな感じで、ウチがメロメロにされてしまうんやね」
「どうもごちそうさまでした。お腹いっぱいです。ふぅ……。で、それってダメなの?」
「アカンって! こんなんせっちゃんやないし! こんな格好良かったら疲れる!」
「疲れるって……w」
「いやいや、やっぱりせっちゃんは今くらいの可愛らしさ、乙女っぽさがウチにはちょうどいいんよ」
「はぁ、さいですか。とりあえず、刹那さんに、こんど木乃香の堕とし方講座を受講させるわ」
「なんやそれ!?」
「講師は私、エヴァちゃん(ネタ用)、しずな先生、ダークのどかでお送りします。ちなみに月額4980円」
「絶対ろくなことにならへん……!」
「まぁそれもまた一興ですよ」
* *
刹那は校内掲示板を見て、眉をひそめた。
「新規入会員募集。……近衛木乃香の堕とし方……?」
しばし見つめて、その張り紙をはがし、誰も見ていないことを確認して、こっそりとその張り紙をポケットにしまった。
いきなり何だこれはww
ハルナGJ!
ダークのどか講座が気になるww
ごめん、むしゃくしゃしてやった。たまにはちょっとSなせっっちゃんが見てみてみたいって、脳内木乃香国会が決議したのだから仕方ないと思う。反省はしてない。ちなみに続かない。
ワロタwww
ザジのAFで初期の関係の刹那と木乃香が見れたのはいいけど
やっぱこう、何か切ない
禿同
それぞれ幸せに思ってる時期違うんだなって
や、あれはザジが見せた幻想じゃないの?
それに、刹那としても、現状を幸せだと思ってると思うんだけど
「私、今幸せなんだ・・・」みたいなことも、いつだったか言ってたし
OAD4でうりんうりんchuchuがアニメ化されるのな。(情報遅くてスマソ)
PVみて久しぶりにこのせつ分補った。
>>188-191 GJ!潤った。
>>201 エロパロSSのまとめのやつだな。
久しぶり〜に読んだ!トンクス!
でもこれ、いいとこで止まってるんだよな〜。誰か続き書いてくれないかな〜なんてw
完全なる世界www刹那www
なになにww
気になるから読んできた
くそわろたwwww
>>204 望まれた世界の幻想、刹那と木乃香の同棲、裸エプロンの木乃香
まあどっちの幻想かはわからないけどね
皆の幻想の中に幼少期のこのせつの幻想があったあたり、
前者は木乃香っぽいような気もするけど、
如何せん裸エプロンのは寝惚けてたからなぁ
訂正
裸エプロンの木乃香は、ね
あの幻想ってやろうと思えば実現できそうだよね
裸エプロンも含め
SS期待
刹那「そんな妄想してません!は,破廉恥な・・・。」
んー?何も着けん方がええん?
いそいそ
刹那「ちょっ、お嬢様!何んで服脱でるんですか!」
空気読まなくて悪い
ネギパの木乃香と刹那ってどんな風に描かれてんのかね
ちょっとだけ気になる
てす
216 :
名無しさん@秘密の花園:2010/08/05(木) 10:21:46 ID:bv3FuuDH
二人がバクテイオーするのって何巻?
217 :
名無しさん@秘密の花園:2010/08/05(木) 10:31:14 ID:Nqd3iquq
>216
28巻だったと思われる
ええええええ
そなんに引っ張るのかよおお
その過程が素晴らしいのさww
一流の剣士様ゆうのに、ウチの奇襲は避けられんのやなぁ、せっちゃん
OADのパッケに少し癒されました。
公式サイトに癒された
公式サイト&パッケ絵いいよなー。
なかなか良かったよ。OADこのせつ。オーディオコメンタリーが藍ゆうなのは知らなかった。
あー、ほのぼのげろあまエッチなこのせつ読みてーよー。
揚げ出し豆腐
せっちゃん…うちのこと、ど〜おもっとるん?
す
、
これはss投下とかおkなのか?
せっちゃんが恥ずかしがって続きを言わないので
229ドゾー
wktk
大したもんじゃないぞ
どんとこい!
とさっ...
静かな音を立てて木乃香は刹那に押し倒される。
「せっ...」
声を上げる間もなく重なる唇。
「んっ.....」
そして
「んっ!?」
割り込んで来る舌。
「せっちゃ...んっ..ちょっ...」
木乃香は必死に抵抗するが、刹那の力には敵わない。
「んっ....」
ゆっくりと刹那が離れれば、そこには銀色の橋。
「せっちゃん...いつもこんなことしたいん?」
「お嬢様...」
いつになく哀愁を帯びた刹那の目に、木乃香は吸い込まれる。
「お嬢様...」
刹那の手が、ゆっくりと木乃香の服にかかる。
「せっちゃん...やん、恥ずかしい....」
木乃香の体があらわになる。
「綺麗です...お嬢様...」
「せっちゃん...あんま見んで...」
「いつも大浴場で見てますよ」
恥ずかしそうに身をよじる木乃香に、刹那は覆いかぶさる。
刹那はきめ細やかな木乃香の肌に唇を落として行く。
「んっ...やんっ...」
刹那の唇が当たる度に、木乃香の口から桃色の吐息がこぼれる。
「せっ....あんっ!せっちゃ...」
「お嬢様....」
刹那は、木乃香を壊れ物のように優しく、優しく扱う
「せっちゃんの....えっち....」
「先に誘ってきたのは貴女です」
「せやけどっ...せっちゃんがっ...こんなことっ...あんっ...すると...思わんやんっ....」
「はぁ....誰でも自制が効かなくなりますよ...あんな貴女に誘われたら...」
続く
234の続き。
今日。刹那が仕事から帰ると、同居人の龍宮がいなかった。
「龍宮ー?ん?」
刹那は机の上に置かれたメモを見つけ、手に取る。
「何?今日は楓のところに泊まる。近衛を呼んでおいたから癒してもらえ」
「はぁ?」
そう独りごちながら、刹那が夕飯の支度を始めると。
コンコン
控えめなノック。
「はい」
「せっちゃん...?来てもた、開けて?」
カチャ...
刹那がドアを開けた先にいたのは...
「お、おじょ....」
猫耳に猫尻尾を付けた木乃香だった。
「お仕事、お疲れさま...今日はウチがせっちゃんを癒すえ...///」
赤くなりながらそう言う木乃香。
「ど、どうしたんですかそれ」
「んー龍宮さんが、せっちゃんが疲れてるからそれ付けて行ってくれって」
(龍宮....)
「そうですか...でどうやって私を癒してくれるんですか?」
少し意地悪く聞くと、お嬢様は顔を真っ赤にさせて、
「あんな...ウチ..............たい」
そう言った。
その言葉を聞いた瞬間、私の理性は崩壊した。
そして、今に至る。
続く。
235の続き。
刹那の手が、木乃香の服ににかかる。手際よくブラのホックを外し、 刹那はその中身を大事そうに揉みしだき始める。
「んっ..あんっ...やんっ...ちょっ...」
木乃香の口から、また声が漏れ始める。
「綺麗ですよお嬢様...もっと、その声を聞かせてください....」
「せっちゃ...ああああっ!!」
刹那が尖った先端に口をつける。木乃香から、大きな声が漏れた。
「お嬢様...気持ち...いいんですね...ここも...固くなってますよ...」
「ひゃん...せっちゃ...んんっ...」
「この下も、見せていただきますが、よろしいですか?」
「んっ...」
刹那が、愛撫の手をゆっくりと下に下げて行く。
そして、刹那の手が木乃香のズボンにかかった。
「いきますよ...?」
木乃香のズボンとショーツが勢いよく下ろされる。
「んんっ...やぁっ....」
木乃香が微かに抵抗の色を見せる。しかしその抵抗の色も、
「大好きです...このちゃん...だから、見せてください...」
刹那の言葉によって、ほぐされた。
「はぁっ...このちゃん...すごい....」
木乃香の秘所を眼前に捕らえ、刹那は吐息を漏らす。
「せっちゃん...恥ずかしいわ....」
「綺麗です。これから貴女を...奪います」
「ひゃああああんっ!んっ!ああああんっ!!」
刹那の舌が、木乃香の陰核を舐める。
「もっと...感じてください...貴女は....私だけのものです
木乃香の首筋には、刹那の残した赤い星。
「お嬢様...痛かったら言ってくださいね」
刹那の指が、木乃香の中に入る。
「んっ...」
「痛い...ですか?」
「大丈夫...大丈夫やせっちゃん...」
「では...いきますよ....?」
続く
236の続き
恐る恐ると言った感じで、刹那が手を動かし始める。
「ひゃん!!ああんっ!!」
木乃香の口から、いっそう大きな声が漏れる。
「お嬢様...感じてくださっているんですね」
刹那の手が、木乃香の膣内をゆっくりと探り始める。
あるポイントで、
「ひゃあああんっ!」
木乃香が大きな反応を見せた。
「ここが...いいのですね...?」
強弱を付けてゆっくりとそこをほぐす刹那。
もちろん、口で陰核を刺激する事も忘れない。
「あんっ!なんかっ!!くるっ...!!ああああああんん!!」
木乃香の中がきゅっと締まった同時に、木乃香は絶頂に達した。
そんな木乃香を刹那は優しく抱きしめ、一番優しいキスをする。
「...せっちゃん...」
「すいませんでした...」
「ううん、ええよ、ウチから言ったんやし...けど...」
「はい?」
「せっちゃん、激しいわぁ....///」
「す、すみません///」
先程までの勢いはどこへやら、真っ赤になる刹那。
「また、しよな?」
「はははははい!」
まだしんどそうな木乃香を優しく抱きしめ、刹那は
「少し眠られた方がいいですよ」
と声をかける。
「ん...せっちゃん...このままで...」
「はい...」
抱き合ったまま、2人は眠りについた。
ヲワル。
遅くなって申し訳ない。
んでもって駄文で申し訳ない。
長レス失礼しました!
……ふぅ。
何かサーバ不調なの?
読めないし書き込めなかった。
>>238 乙です!ケモノ木乃香テラカワユスww
やべえよネタかぶったよ
このせつって本当に良いものですね!
244 :
名無しさん@秘密の花園:2010/09/16(木) 02:39:24 ID:wDgdP0w3
このせつはお世話になりました。
このせつにはお世話になりました。
意味が全然違う! ふしぎ!
過疎っているようなのでひそかに保守。
11,12スレからの超長編の続きです。
マガジンも月詠編で盛り上がってるみたいですね。
自分は単行本派ですが,がっつり楽しみたいと思いますよー!
誤字脱字,ご容赦(笑)
◇◆◇
「お父様。木乃香です。ただいま戻りました。」
「お入り。木乃香。」
お父様の声に従ってうちは部屋の中へ入る。母さまは中へ入らず,そのまますっと障子が閉じられた。
和室の静寂に包まれる。うちとお父様だけ。この落ち着いた空間がうちは昔から好きやったな。
何や「お父様」って感じがして……。くるりと部屋の様子を伺う。昔とあまり変わっていないさっぱりとした
広い部屋の中で,お父様は静かに座している。
うちの知ってる記憶に新しいお父様の姿があるはずだったけど,そこにいたお父様の姿はずっとやつれて見えた。
お父様が示したところまで行ってうちも座った。お父様は刀の手入れをしているところのようだ。
手には真剣独特の鈍い輝きを帯びた刀が握られていた。
それは……うちが見間違うはずがない。あれは夕凪……。
「大変な目に遭わせてしまったね。いろいろと面倒なことをまかせてしまった。」
刀にうちとお父様の姿が映る。お父様はそっと刀を鞘に収めうちとお父様の間においた。
「そんなことありまへん。ずいぶんとうちの好きにやらせてもらいましたから。」
向こうでの事後処理はほとんどうちが取り仕切っていたから,あの事件以降のことは把握している。
でもそれ以前のことはせっちゃんから聞いた以上には知らない。結局おじいさまもお父様もうちにはなにも教えてはくれんかった。
「それに,せっちゃんがうちのこと守ってくれたから,うちはこうして無事でいてます。」
うちが無事で今ここにいられるのは,お父様やおじいさまが奔走してくれたから。
そしてなによりせっちゃんが命がけでうちを守ってくれたから。そう。せっちゃんがそばにおってくれたから……。
でも今はもう……。せっちゃんはうちに一緒にいることすら許してくれない。
それでもうちは……せっちゃんと一緒にいたいって,そばにいたい,そばにいてほしいって思ってるんえ。
「それで,お話って?」
お父様は黙ったまま,うちのことを見ていた。いつもの優しいお父様の顔は少しこわばっていた。
何かを迷ってるみたいに。
「これ……せっちゃんの刀やね。」
そのまま沈黙を守るのもつらかったから,うちは刀の話題に触れた。
「そうだね。刹那君の太刀だ。昔私が使っていて,お前の護衛に刹那君が志願してくれたときに渡したものだよ。」
「せっちゃん,ここにきてたんやってね。」
お父様は,うちに申し訳なさそうな顔を見せたまま,なにも答えようとはしなかった。
「話ってせっちゃんのこと?」
「いや。お前のことだよ,木乃香。」
「うち……のこと?」
「……それから刹那君のこともだ。」
予想と違う展開にうちは戸惑った。けど,お父様の真摯な表情にうちも居住まいを正す。
「話さないでいられればいいと思っていたんだ。知らなければお前を危険にさらすこともないだろうと。
結果として安易な考えだった。お前を危険にさらして本当にすまない。」
「そんなこと,もう覚悟してます。お父様がネギ君のお父さんの仲間だったこと,
それにうちの潜在的な魔力のこと,それにAL ALBAの活動に協力すると決めたときから。でもうちの覚悟,足らんようでした。」
あの人にもつらい思いさせてしまった。せっちゃんにも龍宮さんにも,おじいさまにもお父様にも……。
うちも……苦しかった。うちが……甘かった。お父様の姿を見てこんなこと思っても,遅い。
「お前が中等部を卒業するとき,刹那君が私に会いに来たんだ。」
「お前の護衛の任を解いてほしいと言いにね。」
汗ばんだ手をぎゅっと握りしめて,うちはお父様の話を黙って聞いていた。
お父様は目の前に置いた夕凪を再び手にして,そっと目を細めた。
「やはり私の責任なのだろうな。」
細めた目を開き,お父様はうちの方に視線を向けた。
「お前にそんな強大な魔力を授けてしまったことも,結果,刹那君を苦しませてしまっていることも……。」
お父様の言葉がうちに届く。お父様の一言一言がうちの中に入ってきてその言葉の意味を理解するのに,ものすごく時間がかかった気がした。
お父様は何を言ってるん?
「なんの……お話……なん?お父様,うち……よくわからん。」
うちはそんな言葉しか口にできなかった。お父様の言葉に困惑するばかりで……。でもなんだろう。
胸がドキドキする。こんな緊張,今まで感じたこと無い。
「お前の魔力について話そう。それから,刹那君のことも……。私が知っている限りのことを。」
お父様は,再び目をつむって言葉を選びながらも,ゆっくりと静かにうちに語りかけてくれた。
ぴんと張りつめた空気だった。だけど,そんな中でも時折そっとお父様の視線がうちに向かう。いつもの優しいお父様の目が映る。
「お前ももう18か。」
感慨深げにそう言うお父様の目尻にはいくつものしわが深く刻まれていた。
◇◆◇
人里離れた山奥に刹那は生まれた。
人を寄せ付けぬその村は,烏族の者たちによって営まれていた。
その村の中の,そのまた片隅に刹那たち家族は暮らしていた。
今ではそこは命の息吹も感じられない。時の流れと共に廃墟となり,
人が立ち寄ることのない烏族のみが生きた世界は,かつて盛んだった彼らの気配も全く感じられない場所へと変貌しいていた。
その中で,たった一人,村はずれのとある場所へと向かっていく人影があった。
里からも遠く,ほんの集落跡の片隅。そこはかつて刹那が家族と暮らし,そして生き分かれた場所だった。
もうそこに残っているのは思い出だけ。生活の痕跡などかけらもなく,刹那の中に生きる記憶だけが当時を語る。
家族の愛と,生きることの苦しさ,自分の運命を呪いながら,得体の知れない何かと闘う日々。
刹那の幼き日のすべてがそこに刻まれていた。
何もない場所にただ一人立ちすくむ。
優しい微笑みを浮かべ,記憶の中の母は刹那を迎えた。
その傍らには烏族の装束に身を包む父の姿があった。
刹那は彼らに問いかけようとするが,乾いた風がそれをかき消す。
何もない,今はもう何もない。
思い出の中に伸ばしかけた手を戻して,刹那はその手を強く握りしめた。
「母上,あなたはどうして私をお生みになったのか。」
「父上,なぜあなたは種族を越えてまで,母を望んだのか。」
二人が健在なら,いつかは尋ね,そして回答を得たかもしれない。
しかし,二人は記憶の中にしかいない。何度尋ねてもほほえみ返すばかり。
静かに3人で暮らしたほんの少しの間の記憶だけが,刹那に語りかけるのだった。
◇◆◇
刹那はしばらく里があったところを歩いた。何もない,ここは人間が入り込める場所ではない。
自然だけがこの場所を知っているのか,たくましく生い茂った草木は厳しい寒さに耐える為に冬支度をしていた。
たった一人で刹那はあたりをさまよう。何かを求めて,でも何を求めているのか,おそらく自分でもわからないのだろう。
宛もなくただ歩みを進める。時折天を仰ぎ澄み切った空の青さを感じた。
皮肉なくらい澄み切った空の青さが目にしみる。爽快な空は刹那を諭すように冷たい風をまたぶつけてくる。
風に乗って,記憶の中から優しい声が響く。
『……おいで……』
誰かの声が聞こえる。耳を澄ますと風に乗って,また耳に届いた。
『……おいで……刹那……』
その声はこの村から連れ出し,刹那に生きる道を切り開いた。
空を仰ぎ,刹那は湿った目尻を指先で拭った。
始まりはここからだった。あの声が刹那を導いてくれた。
生きる術と意味を刹那に授けた。
詠春との出会いが,刹那を変えた。そしてそれは木乃香との出会いに繋がっていた。
「お嬢さま……。」
刹那は今一度,自分に問いかける。自分の選ぼうとしていることに本当に迷いはないのか,と。
まだ……答えることはできなかった。
◇◆◇
木乃香は一人で山を歩いていた。そこは昔,刹那と遊んだ庭のような場所だった。
詠春との話は終わったのだろうか。表情はやや曇っていた。
遠くの方から木乃香を探す声が聞こえてきた。近衛の家の者だろうか。
木乃香はその声から逃れるように,山の奥へと進んでいった。しばらくして主らしき男と数人の家人が現れた。
「木乃香お嬢さまー。木乃香お嬢さまはどちらにおいでですかー。」
家人が声を張り上げても,木乃香の返事が返ってくるわけではない。
「まずいな。奴がねらわないとも限らない。すまないが,もう少し奥まで木乃香を探してもらえますか?
私は屋敷に戻って奴の捜索に当たります。それが最も肝心なことでしょうしね。」
「必ずや,木乃香お嬢さまをお連れいたします。ではっ。」
家人は再び木乃香を捜しにそれぞれ山へ入っていった。
「なんとタイミングが悪いことだろうか。」
詠春は無表情のまま,踵を返した。冷や汗が流れ落ちる。取り乱してはいないものの,普段の冷静さはみられない。
話の途中で取り乱した木乃香が屋敷を飛び出すのと入れ替わりでやってきた緊急連絡は,確保したはずの主犯の脱走だった。
隙をみて逃げ出したのを確保しきれず,逃走を許してしまった。
追走を試みるも,逃げた先は木乃香が入り込んだと思われる方角との報告があったばかりだった。
今回の事件も真相を暴いたのは刹那たちだった。詠春も近右衛門も今回ばかりは気付けなかった。
自分の無能さを呪い,木乃香の安全を祈る。一刻も早く奴を確保すること。それだけが詠春がとれる唯一の対策だった。
◇◆◇
刹那はふらふらと川辺にたどり着いた。そこはごつごつした岩が多くみられ,水量の豊かな急流だった。
人を寄せ付けぬ空気は自然の地形からも守られ,その川はおよそ天然の堀の役割を担っていた。
そっと川面に姿を映す。流れが早いので刹那の姿は流れとともに揺らいで見えた。
がさがさっと草を分けいって歩くような音が聞こえ,刹那はとっさに音のする方に向き直った。
このような場所に獣以外姿を現すはずがない。
そう思う刹那だったが,確かに草を押し分ける音は人が歩くときのものだ。
下草をかき分けて,姿を見せたのはやはり人だった。
「っ何者だ。」
「おっと………おまえは………。」
刹那は無意識に背中に手を伸ばす。しかし,そこに愛刀夕凪の姿はない。
伸ばした手に気を込めて,静かに相手に構えた。
「桜咲刹那か。」
男はそう言うと,川縁に走り寄り,両手で掬いとった水を顔にぶつけるように掛け洗った。
一息ついたのか,両手を後ろについて大きく深呼吸していた。
その様子に刹那は呆気にとられたまま,身動きがとれずにいた。
「その装束……近衛家の者か。」
「……まぁそうだな。」
「何故こんなところまで,常人ではここへはたどり着けぬはず。」
刹那は警戒したまま,男の様子を探る。男は無防備な姿で川縁に座り込み息を整えているようだった。
見れば,あちこちに打撲や捕縛跡らしきものがついていた。
「まあそういうことだ。…主こそなぜこのような場へ………ああ,烏族の里か……。」
男は空を見上げ,そのまま大の字に寝そべりながらひとり言のようにそう言った。
「お主……何者か。」
殺気を抑え,刹那は言う。男は微動だにせず,刹那に視線を移すこともなく言った。
「自分で言ったではないか。そういうことだ。」
上空では寒風が粗ぶっているのか,ずんずんと雲が流れていくのに,刹那たちがいる川岸はひどく穏やかな風が流れた。
「……烏族のお姫さんは,今更何のためにここへ来たんだ?」
男は上半身を起こして徐にそう言った。他に誰もいるはずがない場所だ。
言葉をかけた相手は刹那しかいなかった。
聞き流すには,無理のある謎めいた言葉が刹那の脳裏をかすめる。
「お主……今なんと……。」
「何しにここへ来たのかと尋ねたのだ。」
「いやその前だ。私のことを何と呼んだのだ。」
男の胸ぐらをつかむ勢いで刹那は男に詰め寄った。
自分さえ知らない刹那の出自を,この男は知っているかもしれないのだ。
男は初めて刹那と顔を合わせた。
「烏族の姫……そなたは可能性なのだと,そう聞いた。我々半妖はそなたの持つ可能性とやらのために生まれてきたのだ。
しかし,半妖は所詮半妖。そなたのように一族の命運を左右する可能性を持つ者もいれば,そうでないものもいるのだ。」
男は刹那につかまれた襟から刹那の手を振りほどいた。
「私が……可能性の子……だと?」
呆然とする刹那を横目に,男はすっくと立ち上がると,対岸に向けて一発の気弾を放った。
「きゃっっ。」
遠くで小さな悲鳴がするのがわかった。刹那はその悲鳴で我に返る。
急いで振り返ると,確かに聞き覚えのある声の主がいた。
「お嬢さま!なぜこのような場に!」
叫ぶと同時に,男は二発目の気弾を放った。木乃香のすぐ隣の木がえぐれるように倒れた。
「何をする!!貴様!!」
そう刹那が言うより先に,3発目の気弾が放たれた。
対岸の崖に着弾した。気弾が埋まった穴から放射状にひびが走った。
「我々を踏みにじる近衛を許すことはできん。去らばだ,桜咲刹那。」
「まて,逃がすか。」
男を追おうと,崖に背を向けたが,背後からは瓦礫が崩れる音が増す。
男は刹那に何かを言いかけたが,崖の破壊音によってそれはかき消されてしまった。
「せっちゃぁーん。せっちゃぁーん。」
木乃香の刹那を呼ぶ声が響く。木乃香が逃げる間もなく,足元の崖は崩壊を始めた。
木乃香の足元が崩れ,ひときわ大きい悲鳴が響く。
「お嬢さまー!お嬢さまー!」
木乃香は,水面に落下する瓦礫とともに川へ落下した。
刹那は自分の動揺を恥じた。木乃香の救出が一歩遅れたことを悔やんでも悔やみきれなかった。
いつかの記憶が脳裏をよぎる。子供のころ,目の前で流される木乃香を助けることができなかった。
自らの非力さゆえに,彼女を助けられなった自分を恥じた。もう二度と,目の前でそのようなまねは
許さないと誓ったはずだった。刹那はためらうこともなく,木乃香を追いかけ,川面へ飛び込んだ。
いくつもの瓦礫と競り合いながら,急流にさらわれる木乃香を追いかけた。
真冬の川水を甘く見てはいけない。一刻も早く助けなければ。
よぎる悪夢を振り払い,刹那は渾身の力を込めて,木乃香を抱きかかえた。
◇◆◇
川岸から水滴が続く。ひときわ大きな水たまりの中で,腕の中の木乃香に刹那は呼びかけていた。
「ぁ………せっ………ちゃん。」
青ざめた顔色に,岩石の破片で擦り切れた傷が赤くにじむ。
刹那は一瞬ほっとすると,急いで木乃香を抱き上げた。
「お嬢さま,一刻も早くお屋敷へ。」
しかし,弱々しくも,木乃香はそれを拒絶した。
「今,お屋敷には帰れへん。だめ,いやや。」
「しかし,このままでは!」
きゅっと,刹那の袖をつかむと,木乃香は言葉もなく刹那に懇願するのだった。
事態は一刻を争う。しかし,この様子では木乃香を屋敷へ連れて行くのは難しいだろう。
まして,空を飛ぶことさえ,今は体温を失うことに拍車をかけるだけだ。
まずは,体を温めなければ。刹那は舞い上がるのをやめ,木乃香を抱えて山の中へと駈け出した。
そのまま木乃香は刹那に身を預けたまま,気を失ってしまった。
どれ位進んだのだろう。次に木乃香が気がつくと,小さな山小屋に寝かされていた。
ぱちぱちという火の音と,暖かい炎の色が目に入った。
自分を包むのは白い羽と……。
「んぁ……せっちゃん?」
「お目覚めですか?」
「ここ……どこ?」
木乃香の湿った髪に刹那は手櫛を通す。重なった素肌を通して暖かい温もりが伝う。
「急いで暖をとれる場所が,ここくらいしか思いつかなかったので。」
そう言って刹那はそばで温めていた毛皮を木乃香にかけ,薪をくべにそっと立った。
木乃香はかけられた毛皮を近くに手繰り寄せる。横になっていた木乃香は座りなおしてもう一度刹那に尋ねた。
「ここ……どこなん?」
「山にこもる時に時々使用する小屋ですよ。」
そうは言うものの,しばらくの間,人が過ごした形跡があった。簡素ではあるもののいくらかの衣食住の備えはある様子だ。
近衛の屋敷を後にしてから刹那はここにいたのだろうか。
刹那は手慣れた様子で薪をくべていた。一呼吸おいて,今度は刹那が尋ねる。
「お嬢さまこそ,なぜあのような所にいらっしゃったんですか?とてもお嬢さま一人でたどり着ける場所ではない筈ですが。」
人でないものが住まう場所は,人を寄せ付けぬ空間に守られている。あの渓谷は世界を分ける砦の一つだ。
決して人が近づけぬわけではないが,木乃香が一人でたどり着くにはやや険しすぎる道のりだろう。
「せっちゃんがいるような気がしてな……そないに危険な道でもなかったえ。」
「自然さえも,味方にしてしまわれたのですか?」
「でもな……まさか本当にせっちゃんがいるなんて思わんかったわ。」
刹那に笑みを向けた木乃香の頬はほんのり赤みがさしていた。
「ねぇ,せっちゃん。そっち……行っていい?」
毛皮を抱き寄せ,刹那を呼ぶ。木乃香が目覚めてから刹那は木乃香と距離をとり,火を絶やさぬよう薪をくべていた。
木乃香の訴えに耐えかね,刹那はこくんと肯く。
木乃香はいそいそと寄り添い,刹那と肩を並べた。刹那の冷たい肩と触れる。
「せっちゃんも温めんとあかんえ。」
そう言うと木乃香は華奢な刹那の肩を包み込むように毛皮をかけた。
大きめの毛皮は二人を包んで余りあった。
「……お屋敷で何かあったのですか?」
「ん,……なんで?」
「お屋敷に帰りたくないっておっしゃっていたから。」
「そうやねぇ。」
「いつこちらへ?」
ぱちぱちと音を立てる薪の位置を変えながら,刹那は火の管理をする。
二人の顔が赤々と照らされる。
二人の視線は炎を見つめたままだった。
「今日帰ってきたんよ……それで,母さまが,せっちゃんのことが好きならお父様のお話を聞きなさいって言うんよ。
それで,お父様にあいさつに行ったら,せっちゃんの夕凪があったん。」
「夕凪は……もとは長の太刀で……。」
「お父様やって,せっちゃんのやって言うてはったえ。それにせっちゃんこそ,いつからこっちにおるん。」
「……あなたのもとを去ってから……じきです……。」
言葉少なに,刹那は答えた。
炎が揺れる。二人の心を映し出すように。ぱちぱちと踊る炎を映した木乃香の瞳が刹那に向けられた。
刹那に身を寄せ,木乃香は囁く。
「せっちゃん,寒い。」
「あっ,すみません。もう少し火強くしますね。」
「そやない。さっきみたいにうちのこと温めて。」
木乃香が目覚めた時,そばにあったのは,刹那の温もりと,大きな白い翼。
刹那の愛情に包まれて木乃香は目覚めたのだった。刹那に再びそれを求める。
今度は木乃香の抱擁とともに,ふれあう素肌の温もりは優しくて刹那の白い翼は二人を大きく包み込んだ。
「立派な翼……綺麗……。」
「……もう……寒くないですか?」
「ううん。寒いえ。」
木乃香は刹那にむずがるように鼻を擦り寄せる。
刹那は,まだ濡れた木乃香の髪を広げ,優しくその頭を撫でていた。
「……お屋敷で何があったんですか?」
答える代りに,ギュッと木乃香は抱きしめ返した。そして,その手を緩めると,一呼吸息を吸う。
ほぅっと吐いた息とともに木乃香は元気な表情を取り戻した。
「これから離れてく相手をそないに心配してどうするん?」
びくっと身を震わす刹那を上目遣いで見つめる。
「……どう…して……。」
「お父様のところで夕凪を見た時から何となく感じてた。」
戸惑いを隠せない刹那だったが,もう二度と会わないはずの木乃香に
再び出会ってしまったことに言い知れない縁を感じていた。
「…でも,まさかこんな所でお嬢さまにまた会えるなんて思ってもいませんでした。」
「うちも。だって,誰もせっちゃんの居場所知らへんかったよ。龍宮さんかてずいぶん元気なくしてたもん。」
木乃香の髪をなでながら,そっと引き寄せ刹那は軽く口付ける。
「あんなふうに逃げ出したのに,今更どんな顔してあなたに会えるんですか?」
「こーんな顔しとるやん。」
刹那のほっぺたをつつきながら木乃香は楽しそうに微笑んでいた。
「そんなこと言っても,うちのことちゃんと助けてくれた。」
「あなたを守れるくらい……強くなると決めましたから。」
「せっちゃん,真面目すぎや。ちっさいころのことやもん,仕方あらへんやんか。」
「でも……今度は間に合ってよかったです。」
心から嬉しそうに微笑む刹那に,木乃香はお礼のキスを一つ捧げる。
そして,ありったけの思いを込めて,再び刹那と向き合った。
「うちは……もうせっちゃんやないと……だめなんよ。」
「うちのこと,せっちゃんの全てだってあの時言うたんえ。だったら,せっちゃんかてうちの全てや。
せっちゃんの苦しみ,一人で抱えんで。うちにも抱えさせて。」
「……えっ…な…。」
木乃香は,動揺する刹那の胸で強く訴えた。刹那が以前に口にした理由は信じられるものではなかった。
しかし本当の理由はわからないまま。今日,父詠春の話を聞くまで確証はまったく持てなかった。
でも,もうたぶん間違いない。刹那の様子から木乃香は父の憶測が間違いではなかったことを感じ取っていた。
◇◆◇
「近衛の力の話は刹那君が伝えてくれたのだったかな。」
「はい。事件があったあの日,最後にうちに教えてくれました。」
「ずっとお前に黙っていたのは申し訳がなかったとは思うが……」
「わかってます。知らなかった時には納得はいきませんでした。でも今ならその理由もわかる気がします。」
何でいつも自分だけがカヤの外だったのか。ずっとやるせない思いで一杯だった。でも今ならわかる気がする。
言わないこと,伝えないこと,それが,両親や祖父にとっての自分に対する思いやりだったのだ。
まさかそんな大それたことが自分の身に起きているなんて思ってもいなかったから,そこまで思いを巡らすなどうちにできるわけはなかった。
「脈々と受け継がれた力,またこれからも終わらせるわけにはいかぬ。」
お父様は静かに続けた。
「世界がその力を求めた時,強大な可能性が授かる。お前が極東最強の魔力を持つというなら,
それは世界がお前の力を求めているということだ。」
「強大な可能性?」
「そう。もし,その可能性を生かせぬ場合は次の世代へとその可能性を受け継いでいく。
そうした歴史が今回の”18歳の契り”を生んだのかもしれないな。」
可能性の伝承?力だけでは何にもならない言うこと?
じゃあうちはどうなん?もうその可能性も生かせないなら,この力も無駄になってしまうん?
「じゃぁ,うちはどうなん?」
思いが口から出てしまった。でもお父様は,ゆっくりと,静かに答えてくれた。
「まだお前に力がある間は,お前に可能性が託されているということだろう。」
「うちの可能性……。」
「近衛の力は,お前が思っているより謎めいたことが多い。もっと早くに話さなければならなかったのかもしれないな。」
ふぅっと一息つき,木乃香を眺めると,詠春は優しく木乃香に言った。
「余り会わなかったせいかな?まだ幼いと思ってたのに,いつの間にか大人になってしまうんだな。刹那君も木乃香も。」
詠春は再び夕凪を手に持つ。刹那とともにいくつもの戦いをくぐりぬけてきたその太刀は
もう詠春の手に馴染んだ懐かしい感覚は失われていた。
「あの子には,この太刀は重すぎるかと思ったんだ。でも,彼女はこれを手にして,
まっすぐな目で私の期待以上の活躍を見せてくれた。」
詠春はそっと立ち上がり,障子をあける。
「あの子に,私は何をしてやれるだろう。」
遠くにそびえる山並を眺めながら,詠春は呟くように言った。
「せっちゃん……どうかしたん?お父様!」
詠春が言わんとすることを察してか,木乃香は父に詰め寄る。ただでさえやつれた詠春の顔に,さらに影が差す。
「これまでも……何人も見てきた。関西呪術協会員にも何人かいる。程度の軽いものも強いものもいた。」
「何のこと?」
「これは,数年後の小太郎君にも言えるだろうね。」
「それ……まさか……。」
「半人妖には成長の過程で人の属性が強く出るか,妖の属性が強く出るかアンバランスになる時期が来るようなんだ。
人の属性が強くなり,力がなくなるものもあれば,妖の属性が強くなり,そのまま妖になってしまう者さえいる。」
「せっちゃん……も……。」
「おそらく例外ではないだろう。彼女が直接言ったわけではないからわからないが,兆候はあるとみている。」
「そんな,お父様,何とかならへんの?」
連投支援
木乃香の方を見ると,詠春は力なく首を横に振った。
「こればかりは,私にもわからないんだ。」
刹那だけではない。
同じ思いを,刹那と同じようにつらい思いをしている者たちもまだ他にもいるのだ。
「うち……。」
何となく気付いていたことはあった。刹那の傷が異常に治りが早かったこと。
それにどの程度の影響かわからないが,成長速度が遅くなっている気がした。そして詠春の言葉を思い出す。
”……人の属性が強くなり,力がなくなるものもあれば,妖の属性が強くなり,そのまま妖になってしまう者さえいるそうだ……”
人に近づくことを望めば力を失い,力を求めて烏族に傾けば人ではなくなってしまう。
そんな狭間で,木乃香のために,一重に木乃香のために文字通り人生を賭して守ってくれた刹那。
その思いをくみ取ることも,彼女の苦しみを和らげることもできなかった木乃香は,もういてもたってもいられなくなっていた。
「あっ,木乃香!待ちなさい!」
思案する詠春の前を駆け抜け,一目散に走り出した。屋敷を抜け,一刻も早く刹那に会いたくて。
しかし,刹那の居所は誰も知らない。それでも,何の手の施しようもなく,
刹那の真実も分からないまま屋敷でじっとしているわけにはいかなかった。
風が囁く。山へ向かえと。木乃香は自分の直感と,風の啓示に身を委ねた。
今回は以上でーす。連投支援ありがとうございます!
感想welcomeです。強くなったんで,多分何言われても大丈夫だと思います。
でもお手柔らかにお願いします。
ホント,このせつにはお世話になっておりますww
>>266 レスd 誘導thnx
長々とおじゃましてすみません。空気読めてないのかな?>自分
個人的には,◆AIo1qlmVDI さんの続きも気になってるんですが,
もう来てはくれないかなぁ。
このせつパクティオー以来燃え尽きた感が漂ってしまって……。
どなたかいれば,萌えるこのせつを補充にご協力を。
このせつがスクリーンデビューする前に末期このせつ欠乏症になりそうです。
久々にきましたなぁ、せっちゃんかっこいい!
>>267GJ
最近どうしてもお嬢様の言動に反応してしまう。
影から見守らないといけない刀の存在なのに。あ、また!
「ひゃあ!」
「と、危ないなぁ、もう!それやめたら?」
神楽坂さんがバランスを崩したお嬢様を受け止めた。
「一緒に登校したいから、絶対やめへんて何度も言うてるやろ!」
「……全くもう」
やれやれといった感じで、神楽坂さんは照れくさそうにお嬢様の手を握りしめ走り出した。
「アスナ、は、速い!」
「遅刻するわよー!」
小さくなっていく二つの背中を見つめ、私は刀を握りしめた。
何が護衛だ。今お嬢様を一番お守りしているのは神楽坂さんじゃないか。
何度も巡る嫉妬を打ち消すように頭をふり、私も学校へむかった。
――――
「木乃香、今日はけがあらへんよな?な?」
「アスナが助けてくれたからな、大丈夫やえ」
同じ関西弁を操る保健委員とお嬢様のやりとりは、朝の定番になっていた。
私はというと、自分の席で居眠りをするふりをして、隣の席へ聞き耳を立てる。
護衛の為、護衛の為。
少し前は二人とも涙目だったりしたが、今は神楽坂さんが助けることに慣れてき
たのか、お嬢様に新たな絆創膏は見当たらない。
「なぁ、なんでこんなけがするまでローラースケート乗ろうとするん?光源氏目
指してるとか?」
「インラインスケートや!それと光源氏って誰?」
光源氏、私も知らない。同じ思考を持っているようで嬉しかった。でもインライ
ンスケートを必死に練習する理由は、痛いほど知っている。
「光源氏ってのはな……って、それはどうでもええねん。理由教えてや」
「えーっとな」
お嬢様は恥ずかしそうに言葉をつむいで打ち明けていった。
「足の速いアスナと一緒に登校したいんよ。でも、アスナ新聞配達のバイトある
やろ?少しでも長く寝させてあげたいなぁと思ってな」
だから神楽坂さんと共に、お嬢様は毎日インラインスケートの練習をしている。
夕刊を一緒に配ったり、そのあと広場で猛特訓など、怪我とアザだらけで見てい
られない。こっそり護衛する側にとってはいいめいわくだ。
このイライラする感情は、神楽坂さんへの嫉妬が大半だ。しっかりお嬢様を受け止めてく
れ!
「あー、お二人さんお熱いこって。でもさ、授業中寝てるから意味ないんじゃない?ほら、今も。先生くるよ」
「あや……頑張って起こしてくる」
「キスしたら起きるんとちゃう?ふひひ」
「そ、そういう関係じゃないもん!」
すっかり顔を赤くしたお嬢様は私の前を通り過ぎ、神楽坂さんのもとへ向かった。
「せっちゃんおはよう」という言葉をのこして。
ほんわかした声色の余韻に浸っていると、スパーン!!と、どこから出したのか
はりせんの音が教室にこだました。
教室中の視線が集まるのは言うまでもない。
「いった〜!痛いじゃないの!恩人は優しーく起こすものでしょーが!」
「何度も起こしたやんか。うち特製はりせんでホームラ〜ン!リボンが可愛いやろ?」
私の刀についている紐と同じものがついていた。偶然だろう、木刀に刀子先生も
刀につけているし。
「なんてもん作ってんのよ。普通に起こせ!」
「愛しの先生が来る時間やえ?そんなんでええのん?」
「え?」
「よ・だ・れ♪」
じゅるりと音をたてた神楽坂さんは、一目散に教室から出ていった。
クラスメイトから賞賛の拍手と笑いを受け取ったお嬢様は、輝かしい笑顔をばら
まき、私なんかにまで手を振ってきた……と、危ない。反応してしまうところだ
った。寝たふりを続行せねば、な…。
――
はりせんが活躍した本日はあっという間にすぎ、ときは放課後。
「ヘルメットよし!防具よし!インラインスケートよし!完璧や!」
お嬢様、今日は帰りもスケート靴をお履きになられるのですか。それにしても厳
重装備だ。いつも隣にいる護衛がいないからなのか?
玄関外へ消えたお嬢様の姿を確認し、私は急いで靴箱に向かった。早くしないと
お嬢様を見失ってしまう。
急いでいるときに限ってうまく靴を履けない。
爪先をトントンしながら玄関へかけ出すと、急に荷物が(詳しくは守護刀、名は
夕凪が)重くなった。
「捕まえた♪せっちゃん一緒に帰ろう!」
「……ぇ?」
恐る恐る振り返る。そこには、してやったり笑顔の木乃香お嬢様が夕凪を握りし
めていた。
(し、しくじった!!)
肩に背負っている夕凪をゆさぶっても、お嬢様の手は離れない。
こうなったら振り切るしか……!私はおもいっきり走り出した。
「せっちゃんアスナより速いな!体育測定ちゃんと走らないとあかんえ」
簡単に外れない。夕凪を握りしめていたお嬢様は、インラインスケートで滑ってついてきていた。
先には階段がある。しめた、階段は流石についてこれない
だろう。と思ったら
(……!お嬢様素晴らしいです!)
手すりをうまく使って滑り落ちて華麗に着地。黒髪がフワリと舞いあがり、懐かしい匂い
が漂ってきた。このまま、一緒に帰れたらなんて思わずにはいられない……何言ってるんだ私は。
何か、他にお嬢様を引き離す方法は、方法は!?
「あはは〜!やっぱりウチの考えは正しかったな。今まさに、せっちゃんと下校してる!練習したかいがあったわぁ」
「……っ」
身震いがした。まさか、まさか何回も転んで流血してまでインラインスケートを
乗りこなせるように頑張ったのは、私の為?私と一緒に……登下校する為?
「せっちゃんほんま速いなー。今は後ろ前やけど、行くとこも帰るとこも同じなんやから、いつか隣走って学校行こう?な?」
今日だけは、特別。走る速度を少し落とした。少しでも長くお嬢様の声を聞いていたかったからだ。
「ウチな、せっちゃんと登下校するのが夢やったんやえ。今はまだ、おっとと…練習が足りひん」
私なんかと登下校するのが夢だなんて、なんで些細な……私は嬉しさのあまり、いつも身を隠す木の中へ飛び込んだ。
その拍子にお嬢様の手は夕凪から離れ、轟音をあげていたインラインスケートは
木に向かって一直線――。
「危険が危ない!」
危機一髪、木の幹を蹴り引き返し、がしっとお嬢様の体を抱き止めた。
「ほぇ〜ぶつかるかと思った……せっちゃんありがとな」
直接お守りすることができた嬉しさと、あまりにも近いお嬢様の体温にときめいてしまった私は、そそくさと木の裏に隠れた。
「ほんま、危険が危なかったな。ふふ。危険が危ないってなんや?」
「こ、言葉のあやってやつで。あの、お気持ちは嬉しいのですが、こういう危険な行為は今後一切辞めていただけませんか?」
言った。声が震えてしまったけれど、言ってやった。怪我が増えていくお嬢様を見るのは、もういやだ。
――沈黙。そよ風が体に当たっていく。心臓静まれ。久々の会話だ。お嬢様の気配が木にもたれかかったのを感じた。
背中ごし。木がなければいいのに。
「うちな、せっちゃんが同じ学校に来てくれてホンマに嬉しかったんやえ。せっちゃん何があったん?」
「……」
再び沈黙。言えるわけがない。実は半妖なんです、だなんて。
「インラインスケートの件は一緒に登下校してくれるんなら考える。せっちゃん、今日はほんまにありがとな!また明日!」
「あ……」
もう少し、話していたかったな。
特訓なんてしなくていい。一緒に帰りましょうと言えたならどれだけ幸せだろうか。
尻餅をついたお嬢様の後ろ姿を見ながら、温もりが残る湿った部分の夕凪を握りしめた。
おわり
眠れなかったのでとっさに書いてしまいました。運動オンチのこのちゃんがインラインスケートを華麗に乗りこなす理由。
「せっちゃんの為。占い研に入ったのもせっちゃんとの今後を占う為」
ずっとせっちゃんのために動いて行けばいいと思うよ。
>>275 GJ!でございます。せっちゃん切ない。
料理は言わずもがな,せっちゃんにおいしく食わせるため。
髪を長くしているのも……。
このちゃんの中心はせっちゃんなんですね,わかります。
>>275 G、GJ!!!!
せっちゃん...切ないっす...涙が...
無邪気なこのちゃんとシリアスなせっちゃんの温度差がたまらないです。
GJ!!!です!
ごちそうさまでした。
278 :
名無しさん@秘密の花園:2010/10/22(金) 12:28:54 ID:mw2A+GZ0
「危険は危ない」に吹いた
279 :
名無しさん@秘密の花園:2010/10/28(木) 20:23:08 ID:afYHaI/t
このちゃんの口からせっちゃんという単語が出るだけでにやけてしまうのは、このせつ欠乏症ですよね。
>279
私も同じだぞ
281 :
名無しさん@秘密の花園:2010/11/01(月) 00:59:41 ID:bcFHj2/1
両思いなのに、そのことに全く気付かずにすれ違う二人・・・みたいな甘く切ない感じのss読んでみたいなぁ
それは朝と夜の寒暖差が激しくなってきたころ。
うとうとと気持ちいい睡魔が訪ねてきているとき、突然脳内に鳴き声が響いた。
『せっちゃん、起きとる?お願い起きて!』
私は急いで起き上がり、パクティオーカードを取り出した。このカードを手にと
るたびあの日のことを思い出し、赤面して動揺してしまうが、今はそれどころではない。
相変わらず頭に響く音声は泣きじゃくっている。
「こちら刹那です!どうかなされましたか?」
『ネズミや』
「へ?」
『ネズミが出たんよ!今アスナもネギ君も修行中でおらんなったから、どうしようもできなくてぇ』
「ネズ…ミ…?ふふっ」
思わず笑ってしまった。敵が現れたとかそんなの想像していたのだけれど、ネズミときたか。
『今笑ったやろ。ウチにとっては敵なんよ!今も台所でカリカリやっとるみたいや』
「いえ、笑ってなど。退治いたしますのでそちらに向かいますね」
『召喚するから待ってて。40秒で支度しな』
「ぶふっ」
なんだ、ギャグ言える余裕あるじゃないか。
私は急いで髪を整え、服にシワができていないか確認した。念のため夕凪をにぎると、視界が白く光っていった。
「せっちゃあああん!」
「うわああ!」
召喚されたと同時に、飛び付かれた。それはもう猫かと思うくらいに。
でもこれはもう慣れっこで、倒れないように踏ん張った。召喚されるたびに飛び付かれているからだ。
心臓は慣れてくれないけど。
「ネズミお願い。ちゅうちゅううるさいねん」
日頃ちゅうちゅううるさいのは誰でしたっけ。それは今おいといて。
「ではちょっと行ってきますので、離れていてください」
「無理や。離れたない。怖い」
「はい?」
お嬢様は時々無茶なことをおっしゃる。抱きつかれた状態で倒せと。心臓もつだろうか。
とりあえず二人で台所へ向かった。確かにカリカリ音が聞こえる。炊飯器の裏か?
「さっきから米粒かじっとるみたいなんよ。もうだめや。米捨てんと」
「勿体無いですよ」
「せやかてな、ネズミっちゅうのは病原菌たくさんもっとるんやえ?」
ぶつぶつ言っているお嬢様を静止し、音の先へ向かった。
お嬢様は怖くて台所に入れないようだ。するりと離れていった。ざんね……いやいや。
気を引き締め、炊飯器が乗っているスライド棚をそっと引き出した。
いた。
小さいハツカネズミだ。これなら米粒で倒せそうだ。神明流は武器を選ばない。
即座に落ちている米粒を拾い、ネズミめがけ発射した。
ピシッと当たり、ネズミは倒れた。殺してはいない。
「ネズミどうなった?」
顔だけ覗かせているお嬢様へ笑顔をみせ、答えた。
「峰打ちです。殺してはいません。気絶させました。安心してください」
ほっとした表情に変わったお嬢様。でもまだ近づいてこない。
そうか、まだネズミが動き出すかもしれないから……。
キッチンペーパーを頂き、新聞とビニール袋も用意してネズミを包装した。
拾い場所へ移動し、中のネズミだけを刀で切り裂く技をみせると、賞賛の拍手がおこった。
でもまだお嬢様は固まったまま近づいてこない。病原菌を気にしているのだろうか?
寒い中急いでゴミだしの場所へ向かい、生ゴミとして捨てた。
一仕事終えてお嬢様のもとへ帰ると、ニコニコしながらバスタオルを手渡された。そして離れていく。
やはり病原菌のことを気にしているようだ。
少し傷ついた私は、おずおずとシャワーを浴びてお嬢様のもとへ向かった。
「終わりまし―」
「せっちゃあああん!ありがとな!」
「どういたしまして」
この熱い抱擁は最高のご褒美だ。頬擦りまでされては、幸せすぎてどこか飛んでいきそうな気がする。
羽ついてますからね。天使のような、羽が……。
「なぁ、せっちゃん、今日うちに泊まっていかへん?まだひそんでいそうで怖いんよ」
「喜んで!」
かしこまりましたと言うつもりが、心の声が先に出てしまった。
「えへへ〜ありがとな。ちゅー」
今頬にキスいただきました。ネズミさんありがとう。またきてね。
願いが叶ったのか、ネズミとの戦いは、それから一週間続いた。
もちろんその間ずっとお泊まり。犬のしっぽがはえていたら、ぶんぶん振りっぱなしの日々だったことだろう。
おわり
とあるかたにツイッターでりくもらい即効で書きました。
私ネズミで悩まされてるんです。せっちゃん助けてw
>>285 GJ!ねずみを怖がる木乃香かわいい!せっちゃんも幸せそうで何よりですね
GJ!ひさびさいいわこれ!
刹那「米粒で峰打ちじゃ」
木乃香「ねずっちはとどめさして生ゴミね。」
保健衛生のキャンペーンポスターになりそう。
「米粒とかけましてせっちゃんとときます」
「そのこころは?」
「どちらも主食です。どうも、ねずっちです」
まさかのねずっち
せつこの→40%
このせつ→65%
3-A一番のラブラブコンビ(?)ww
何ゆえ相性占いかと思ったらこれがやりたかったんだな。
今回の百合姫でネギまが紹介されてて吹いたw
このせすのキスシーン付きで。
>>267 亀レスだが、俺もあの長編の続きが気になってしょうがない
児ポが法制化されたらこのせつはもう見られなくなるんですかね
エロはダメかもよ、イチャイチャまでは規制させん!
てか、百合は児ポとは関係ないのにな。冗談じゃないにょ!
このせつは名作だから規制対象外ですね。(百合だけど)
これ以上道徳的で奥ゆかしい作品はありません。(エロくたって)子供たちに見せたいマジで推薦作品!(友情とか愛情とか義理人情とかボケ突っ込みとか)
前スレで満月の夜にこのせつがメールでいちゃいちゃするSSもどきを書いたものですが
約束を思い出した刹那がクラスの皆がいる前で月見の話を出してしまったばかりに
二人きりでなくなったことですねた木乃香を刹那がお月見中に連れ出して
二人屋根の上でいちゃこらするSSをだれか書いてくれないかなぁと思ったので来ました
それは多分あなたが書くのが一番いいと思うのだけどどう?
もともと上手くないうえにしばらく書いてなかったら見事に書けなくなってたので……orz
折角だからプロット書いてみようよ!
書き手さんも閃き来るかもよ!
上のじゃ駄目かな?
聖なる空の下であったというのに、木乃香と刹那は僕たちの見えないとこでほどけた赤い糸が強い絆に変わっていたわけですか
↑マルチらしいねイラネ
刹那「お嬢様。この間の月蝕、見れなくて残念でしたね。」
木乃香「せやな〜。うち、赤いお月さまも見てみたかったわ〜。」
刹那「それにしても一緒に見たこの間の満月はほんとに綺麗で・・・。」
双子「何ー?お月見ー?二人でお月見したの?いいなー!いいなー!おー!みんなでお月見しようぜー!イェーイ!お月見!お月見!」
(向こうの方で委員長がネギとの妄想でくねくね。そこへあすかが飛びげり突っ込み!)
刹那「あ・・・。」
木乃香「(ボソ)・・・二人の秘密って言うたのに・・・せっちゃんのアホ。」
こんな出だしから二人の絆が結ばれるまでを妄想したりしなかったり。
このせつはあけおめ
月詠に木乃香のアーティファクト出したら
「お嬢様が、大切な人がいるから、私はもっと強くなれる!」
くらいはやってほしいわ
1日遅れた。
せっちゃん誕生日おめでとう。
このちゃんが「ウチがプレゼントやで」って部屋に乗り込むっていう妄想をしたオレは末期だろうか
いいえ、初期症状です
せっちゃんが活躍する回はまだですか?
312 :
名無しさん@秘密の花園:2011/02/11(金) 23:36:10 ID:pjEXl9/A
せっちゃん血だらけでした
保守
血だらけって、まんこから出血?
あれ1コマしかなかったが、一体刹那になにがあったんだ?お嬢様、って呟いていて萌えたが
え?せっちゃん死にそうなの?
とりあえず重傷なのは確実
スクリーンでこのせつやるなら何がなんでも見に行くよ
前売り券特典でこのせつあれば何がなんでも買い占めるよ
319 :
名無しさん@秘密の花園:2011/02/18(金) 04:27:27 ID:r5Nzx4i9
最近このせつスレが過疎っているのは、絶対けいおんのせいだと思う。
律澪!唯梓!唯澪!唯憂!って紬みたいに皆叫んでるんだろ?分かってるんだよ!私も唯梓派だから !
巣にこもってろ唯梓厨
33巻待ってた甲斐あったわ
322 :
名無しさん@秘密の花園:2011/02/18(金) 12:31:05 ID:vjB4r7nQ
東北けいおん!線、
的な路線が東京にあったよね。
京都このせつ線の話なら歓迎だが。
二人が京都案内やってくれるんだな。
アナウンスがこのせつなんだな。
新パクティオカード届いたぞ!
曲がってたけどorz
ついこの間まで暖かかったのに今日は寒いなってわけで
一個このせつを思い付いたんだが文章力がないのととせっちゃんの言葉遣いがわからなくて形にできないorz
愛があれば言葉なんて・・・。
と言うわけでドゾー!
せっちゃんは、基本ですます調でいいんでは。
ただお嬢様の京都弁の方が時々書きにくいように思う。
どっかで間違ってそうでなあ。
そうなんだよなぁ
どうしても大阪弁っぽくなってしまう
>>330 それはそれでま?!ぽくなって面白いかも
皆さん無事ですか?
333 :
名無しさん@秘密の花園:2011/03/19(土) 05:00:26.92 ID:/bNx2g0e
このせつ分が不足しています。至急援助を。
エロいやつなら書けるかなー?
335 :
名無しさん@秘密の花園:2011/04/03(日) 20:24:38.11 ID:uiaH8zb1
おーい!誰かSS投稿する人いませんか?
また活気あった頃の板に戻そうよ!
336 :
誕生日の翌日に:2011/04/04(月) 03:26:03.53 ID:Exu2o+4j
>>355です!
私がSS投下します。初めてで多分糞だと思いますが
見てくれる方は是非感想宜しくお願いします!
名前は題名です
これに触発されてまた皆さんが戻ってくるのを待っております!
>>309さんのアイデアを参考にしました
エロはないです。
337 :
誕生日の翌日に:2011/04/04(月) 03:27:15.79 ID:Exu2o+4j
「ふぅ〜こんなもんか?龍宮」
私は足元に横たわる妖怪が消えたのを確認して龍宮を見る。
辺りの妖怪はすべて還り静寂に包まれていた。
「今日は数が多かったな。30いや40はいたか?」
龍宮に訪ねるが無言。私に背を向けている。
「おい龍宮!どうした!」
つい声を荒げてしまう、私は龍宮へと歩みを進める。
少し歩を進めた後龍宮が私の方を向き…銃を構えた。
静寂に轟音が響く、放たれた弾は私の頬を掠め
後ろにとんでいった。
「何のマネだ龍宮」
「わからないか?」
龍宮が顎で後ろを見ろと合図する。そこには横たわる妖怪の姿。
私を襲おうとしてたのか?それに気づかなかったのか私は。
「まあ最後の最後まで油断はするなって事さ。あと今日の
妖怪の数は50だ」
「すまない龍宮私とした事が」
自分に腹が立った。
「前のお前に比べたらよっぽどマシだ。協力ってのを
覚えたんだからな」
銃の手入れをしながら龍宮が言う。確かに協力は覚えた。
しかし最近自分個人の力が落ちたような気がしていた。
エヴァンジェリンさんに幸せも剣もどちらも手に入れると誓ったのに
やはり駄目なのか?これではお嬢様も守れやしない。
「私は」
「気負いすぎるな。それより早く戻るぞ日をまたいだ」
「ああ」
日をまたいだか。今何時なのだろうか?龍宮は知っているようだが
今は聞かなくてもいいだろう。最近はさらに寒さも増してきている
今の気温は5℃もないだろう。
寮に戻ったら早く暖まろう。
338 :
誕生日の翌日に:2011/04/04(月) 03:28:31.21 ID:Exu2o+4j
寮の中に入り部屋を目指す。
部屋の手前まで来た所でお嬢様の姿があった。
「お嬢様!何故こんな夜遅くまで起きてらっしゃるのですか!?」
お嬢様は無言で私を見つめている。
「あのー怒ってらっしゃるのですか?」
無言で見つめられ続けてはそう思うほかなかった。
「せっちゃん…気づいてへんの?」
「何がですか?」
思いあたる事はなにもない。少し考えても浮かばなかった。
すると隣にいた龍宮が肩に手を乗せてきた。
「お前も大変だな私は先にねてるぞ」
そう言い残し龍宮は部屋に入った。
私はお嬢様の鋭い視線に気づいた。
「本当に今日ううん昨日がなんの日かわからんの?」
いつも私を癒やしてくれる笑顔が消えていた。
「すいません」
私がそう言うとお嬢様は溜め息をついた。
「そうか。あんなせっちゃん、私を大切にしてくれるんは
嬉しい。けど自分の事ももっと大切にした方が良いえ?」
そういってお嬢様は自分の部屋に戻った。扉を閉める時
の音がとても大きく怒りに満ちている事が分かった。
私はその事が気になりながらベッドに入った。
明日は休日。修行をしよう。一人で…
私はその日お嬢様の態度と自分の弱さの事で頭が一杯になり
ほとんど寝付けなかった。
339 :
誕生日の翌日に:2011/04/04(月) 03:30:02.17 ID:Exu2o+4j
それでも朝は待ってはくれない。ほとんど寝付けず
眠い目をこすりながらまだ疲労感の残る体を無理やり起こす。
部屋内を見渡すと龍宮の姿はなく新しい依頼にでも行ったのだろう
と勝手に解釈した。不意に腹がなる。そういえば昨日の夜なにも食べて
いなかった。私は微かな希望を抱いて冷蔵庫を開ける。
そこにはバナナという救世主。バナナは栄養価も高く腹持ちもいい。
いつの間に買ったのかはわからないがそんな疑問はすぐに頭の
片隅へと消えていった。私はバナナ二本を平らげて服を着替えて
修行に向かう為に部屋を出る。
出た瞬間お嬢様と鉢合わせした。
「あのお嬢様!私がなにかしましたでしょうか?」
必死の問いかけも届いているのかわからない。
「自分を大切にできない人と話す事はないえ!」
そのままそっぽを向いて歩いて行ってしまった。
私は心が沈みながらもどうする事も出来ずにこの気持ちを
紛らわそうとエヴァンジェリンさんの別荘へ向かった。
今は誰もエヴァンジェリンさんの別荘には来ておらず
私とエヴァンジェリンさんだけだった。
「ふん。今日は久し振りに二人切りだなぁ
密度の濃い修行ができそうだ」
「よろしくお願いします」
私は精一杯の声を出しお嬢様の事は今は忘れようとした。
340 :
誕生日の翌日に:2011/04/04(月) 03:30:41.26 ID:Exu2o+4j
みっちりとほぼ丸1日。休憩を挟みながら10時間以上もの
修行も終わりを迎えようとしている。最後にやる事は組み手。
「貴様もつかれてるだろうが私もつかれてるこれで
いいだろう?」
「はいよろしくお願いします」
私とエヴァンジェリンさんは構えて動きだす。
組み手の最中もお嬢様の事が頭から離れなかったが
私は何も考えずにただ剣を振るった。
気づいた時地に膝をついていたのはエヴァンジェリンさんだった。
「うっ!どうした刹那?今日は動きがいいな私に一撃入れるとはな
よし今日の修行は終わりだ」
違うこんなんじゃない。私は何が起こっているか分からないまま
剣をふるっていた。剣士としてそれは自殺行為である。
今回は運が良かっただけで本気で私を殺しにかかってきていたら
ひとたまりもなかったと思う。
「エヴァンジェリンさん」
「ああ?」
「私が言った事なんですが剣と幸せはどちらも手に入るのでしょうか?」
私は明らかに迷走していた自分が言った事に自信が持てずに他人に答えを
訊くなんて最低だ。
「そんなの知らん、でも貴様はできるしてみせるって言ったよな?
貴様の決意はそんなものだったのか?もしそうなら私は今後
一切修行はつけんぞ?」
そう言って別荘の奥へ行ってしまった。今は夜の10時頃。
私の心にすっぽりと空いた風穴を埋めてくれるものは何もなかった。
341 :
誕生日の翌日に:2011/04/04(月) 03:33:03.34 ID:Exu2o+4j
その空いた心のまま部屋へ戻りシャワーを浴びて
ただただボーっと空虚な時を過ごした。
龍宮も仕事で今日は帰ってこないだろう。
「11時…か」
時間も無駄に過ぎていきまた明日から学校だ。勉強もしなくては。
結局自分はなにも出来ずに中途半端に生きている
自分に腹が立った。しかしそれをぶつける物はない。
そう思うと涙が頬を伝った。
その時部屋の扉をノックする音が聞こえた。
私はあわてて涙を拭き必死に枯れそうな声をだした。
「誰ですか?」
その人は無言で扉を開けた。お嬢様だった。
「せっちゃん目…」
「なんでもないですただゴミが入っただけで」
信じてもらえないかもしれないでもこれしか言えなかった。
「せっちゃんまだわからん?」
「はい」
「じゃあヒントだしたる。カレンダーみて。
今日は何日や?」
私はお嬢様のことが通り壁にあるカレンダーに目を向ける。
「1月18日です…あっもしかして」
1月18日その1日前つまり1月17日は
私の誕生日だった。
「気づいた?」
「えっと昨日は私の…誕生日ですか?」
これで違ったら本当に分からない。お嬢様の表情を確認すると
いつもの笑顔があった。
342 :
誕生日の翌日に:2011/04/04(月) 03:34:25.22 ID:Exu2o+4j
「やっと気づいてくれたんやね。15歳のお誕生日おめでとう!」
そうだったのかお嬢様は私の事で。だから自分を大切にしろと。
「ウチの事ばっかり考えてくれるんは本当に嬉しいえ?
でもな自分の事を第一に思って欲しくて。冷たい事
してごめんな」
今は感謝するしかない。私の事をこんなにも真剣に考えてくれて。
お嬢様は部屋の出口へ向かって何か持ってきた。
「はいプレゼント!」
まただ私はいつもお嬢様に救われている。さっきまであった
空虚感も今はない。
「ありがとうございます!…本当に、えっと開けてもいいですか?」
「ええけどなんや恥ずかしいな///」
「失礼します」
私は丁寧に包装されている箱を少しずつ開けていく。
中身は私の顔を模したようなクッキー。本当によくできて
いる。私は耐えきれずに手をのばした。
そこでクッキーは没収された。
「ダメですか?」
「いや昨日作ったやつやから大丈夫かなおもて」
「大丈夫です!お嬢様が作ってくれたものならなんでも食べます!」
「ホンマに?マズいかもしれんよ?」
「はい食べてはダメですか?」
少し沈黙があってからお嬢様は笑顔を見せてくれた。
「そうやな!じゃあ、あーん」
お嬢様がクッキーを手にとり食べさせようとしている。
「いやいやいやいやいやいや!無理ですよ!そんなの!」
「なして?ウチの事嫌いなん?そんなに拒むゆう事は」
お嬢様は目がウルウルしながら私の顔をじっと見る。
この時点で理性が飛びそうだ。
「いえそういう訳ではなく…」
「じゃあどういう意味?」
えっとどう答えればいいか分からない。頬が熱い。
「その嬉しくて恥ずかしくてなんと言うかその」
「つまり食べさせてもらいたいんやな?本心は」
ああー何でこんな時ばかり鋭いんですか!お嬢様は!
私が考えているうちにお嬢様の手は間近に迫っていた。
343 :
誕生日の翌日に:2011/04/04(月) 03:36:31.41 ID:Exu2o+4j
「ほらあーん」
うぅもう逆らえない。
「では宜しくお願いします!」
私は恐る恐る口を開けるそこにお嬢様の手とクッキーが侵入してきて
クッキーだけを落とした。その味を噛み締める。ほんのり効いた
バターが最高に美味しい。それよりも私を包み込んでくれるような暖かいものを
感じる。気づいたらまた頬を涙が伝った。
「そんなにマズかった!?ウチのクッキー」
そんなはずないじゃないですか最高に美味しい。
「美味しいです…美味しすぎて」
「本当?そんなに喜んでくれんやったらもっと作ればよかったわ」
また優しい笑顔を向けてくれる。
「せっちゃん…こっち向いて」
言われた通りお嬢様の方を向く。すると後頭部に手を回され一気に顔
が近づく。
「ちょっお嬢さ…まっ!んっ!」
そのまま私とお嬢様の唇は零距離になる。30秒程
の濃密なキスをした。もうなにが起きたか分からなかった。
顔を離す。
「これが本当の誕生日プレゼントや///」
「このちゃん…」
私は自然にこのちゃんと呼んでしまった。と同時に最大の幸せを感じた。
この日感じた事は忘れない。
私はこの日、剣と幸せどちらも諦めないとまた心に誓った。
今度こそ守り通す。この誓いと
今目の前で無邪気に笑っている私のご主人であり最高の親友。
このちゃんを…
誕生日の翌日に fin
344 :
誕生日の翌日に あとがき:2011/04/04(月) 03:44:52.65 ID:Exu2o+4j
こんな駄文を最後まで見て下さった方!
本当にありがとうございます!できれば感想アドバイスが欲しいです!
時期は気にしないで下さい。あくまでSSなので。
うーん刹那視点でしたね全て。迷いが吹っ切れるみたいの書きたくて。
皆さんでこのスレを復活させませんか?皆さんのレスが
復活させる鍵です!自分は少しでもその足がかりになればと思いまして。
皆さんも気軽にSSを投稿していいと思います。
その一つ一つがこのスレを復活させる為の近道だと思います!
宜しくお願いします!
最後にやっぱりこのせつはいいなーーーー
>>344 GJです。最高です。もっと書いて下さい。
このせつは初めて好きになった百合カプなんで、このスレが復活してくれたら嬉しい限り。
あと、このスレでなんも触れられてなったけど最新刊のせっちゃんヤバかった。やっぱりああいう生活望んでるんだな。
>>344 未来人乙!所々わからない日本語があった気がしたけど、久々に悶えるこのせつでした!
このせつはごちそうさまです!
裸エプロンか・・・。
刹那「ち、違います!あれは私の妄想では決して!」
347 :
名無しさん@秘密の花園:2011/04/04(月) 12:41:31.46 ID:Exu2o+4j
色々と矛盾があったけど始めてなのでそこは
多めにみていただけるとありがたい。
一人で修行してないですね。すいません。
ともかく読んで頂きありがとうございます!
皆さんで頑張っていきましょう!
348 :
名無しさん@秘密の花園:2011/04/04(月) 12:42:11.49 ID:Exu2o+4j
色々と矛盾があったけど始めてなのでそこは
多めにみていただけるとありがたい。
一人で修行してないですね。すいません。
ともかく読んで頂きありがとうございます!
皆さんで頑張っていきましょう!
大事なことだから二回言ったんだな!
ミスッただけですww
すいません。
351 :
ぶつかり合いの彼方に見える物:2011/04/05(火) 03:38:52.62 ID:dCSwFwfb
うーん。続けてですがSSを投下します!
序盤はアスナとかが沢山でます。
設定の時期は気にしないで下さい。グチャグチャですけどww
二回目なので一応がんばりました。三人称でいきます!
では投下します!
今日も木乃香はアスナと共に下校していた。既に日は落ちて辺りは静まり返って
いた。聞こえるのは二人の話し声だけだった。
「うん分かったからアスナ」
アスナの必死の問いかけに今日は計三時間程つき合わされていた木乃香は
微笑みながらもどこか呆れたような表情で、捌き続けた。
「本当に分かってんの〜?高畑先生の気を引くにはどうしたらいいかな?」
うきうきした表情で必死に高畑の事を語り気に入られようと努力するアスナの
姿は微笑ましかった。自分にもそういう人はいないか?と木乃香は頭の中の
引き出しを開けて回るが、結局の所心当たりはなかった。
自分は自分を捧げても良いと思える相手がいない、その事で少し悲しくなりながらアスナを羨ましいとも思った。
「ちょっと木乃香!」
アスナは一人で考え事をしているような木乃香の肩を叩く。すると体が一瞬
ビクンと脈打ち、アスナに微笑んだ。
「ああ悪い。で何やったっけ?高畑先生に気に入られる方法やろ?うーん」
木乃香はまず二人の特徴から探っていった。共通点はほとんど無く、手は見つからなかった。しかしそこで木乃香の脳が閃いた。
「おお!そや!ええ事思いついたえ!」
大根役者の用にポンと手を叩く木乃香、わざとやっているのかそれとも天然で
やっているのか分からなくなる。アスナは微かな希望を抱き、微笑んでいる
木乃香を見る。
「フフフ…それはなぁアスナ、話すゆう事やえ」
その微かな希望は一瞬にして打ち砕かれた。話すという事なんて初歩的な事で
最初に誰もがやる事のはずだった。
「うん木乃香…とりあえず総合病院行く?」
「なんでや!アスナ酷いなぁウチもちゃんと考えたんよ?」
アスナはそれでちゃんとか!と言いたくなったがなんとかこらえる事ができた。
アスナの返答も待たずに木乃香が話しだす。
「まず話すゆう事は初歩的でコミュニケーションとるためや。アスナは自分が
会話できとると思うとるん?」
アスナにとってその質問はかなり的を射ていた。普段のアスナは明るいが
高畑を目にすると、途端に人格が変わりのどかの様になるのは誰もが知っている
事実だった。
「会話できてへんやろ?だ・か・らそこを利用するんや!普段あんま話さへん
アスナが積極的になったら高畑先生も気になる事間違いないえ!これは続に言うぎゃっぷゆう奴や!」
木乃香が人差し指を立てながら力説した、内容は確かに間違ってはいないが
アスナにできるかと言うと話は別だった。
「木乃香ぁ〜もっと私にできそうな奴!無理だって!」
「うーん今の駄目やったらウチには打つ手ないえ?」
「そんなぁ」
アスナはがっくりと肩を落とすもその後も高畑への想いは止まらずに話し続けた。
木乃香は時々相槌を入れながら殆どの話を聞き流した。
かれこれ20分程たった時二人は桜通りを歩いていた。夜の桜は綺麗かつ幻想的で、
それに満月の光も合わさりなんとも言えぬような妖しさも含まれていた。
アスナは喋り疲れたのか無言で歩みを進める。
「なぁアスナ綺麗やなぁ」
「そうね。何かいいことあるかも!」
その言葉に木乃香は微笑みまた満月を見る。本当に大きくて見ているだけで心が安らいだ。ふと木乃香がアスナを見ると立ち止まって前方を見ていた。
「前から誰か来る。誰だろ?うーんあっ刹那さんかも」
アスナのその言葉に木乃香は思わず視線を向ける。そこには確かに夕凪を背に歩いてくる刹那の姿。
刹那もこちらに気づいて立ち止まる。木乃香とアスナは二人で刹那の近くまで歩く。
「せっちゃん!なしてこないな所におるん?」
木乃香の問いかけに刹那の答えは簡潔だった。
「修行の為です」
「ウチも行くよー」
木乃香が刹那の手を掴む。しかし刹那は木乃香の手を優しくどけた。
「お嬢様には関係ない事ですから、それより早くお戻り下さい。夜は冷えますから。アスナさん宜しくお願いします」
刹那はそう言い放ちそそくさとその場を立ち去ろうとするが突然アスナが声を荒げた。
「関係無いって事はないでしょ!木乃香は刹那さんを心配して!ってちょっと待ちなさいよー刹那さん」
刹那はアスナの言葉を聞こえない振りをして全て無視した。
「ええってアスナ」
木乃香のその声はとても小さく、微笑みも無理をしているのが分かった。
「関係ないっか…ウチにはあるんよ?せっちゃん」
アスナは木乃香の独り言をわざと聞こえないふりをした。何故か自分は触れては
いけないと、漠然と感じた。
「木乃香あなたこそ会話できてないんじゃない?まずは逃げないで目の前の問題にぶち当たる事が大事なんじゃない?
刹那さんの事好きなんでしょ?」
この言葉はアスナが今木乃香に言える最高の言葉だった。
「せやけど!!話もしようとしてくれん相手にどうやって話せばいいん!!ウチには分からんよ。」
「はぁ馬鹿ねぇ木乃香。私達友達でしょ?頼っていいんだって!私なんか
常に頼りまくってるしね!」
「大丈夫!私に考えがある!大船にのったつもりでいろい!」
「アスナ…」
自然と木乃香は微笑みが漏れ、アスナはそれに満面の笑みで応えた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ここにみんなを集めたのは他でもない!オッホン!諸君良く聞きたまえ」
みんなと言ってもこの場にはネギと楓と木乃香とアスナ。
「なぜ拙者とネギ坊主が?」
アスナ以外の三人は混乱を隠せずにお互いを見合っている。
「これより木乃香と刹那さんを仲良くさせよう!作戦を説明する」
「アスナ?急にどうしたん?」
アスナは今日あった事を洗いざらい話した。楓とネギは頷きながら話を真剣に聞いていた。
「それで木乃香殿と刹那殿を仲良くさせたいという事でござるか?」
「うんそゆ事!」
木乃香が恥ずかしいからと言って何度か止めさせようとしたが全て無視して、話を続けた。
「作戦は?」
その言葉にアスナが不敵な笑みを見せる。
「よくぞ訊いてくれました!それでは作戦を。まず木乃香と刹那さんはじっくりねっとりと
話してもらいたいんだけど機会がない。だったら私達でその機会を作ればいいの!」
おお!と言った様子で三人は手をポンと叩く。
「それでねどうするかって言うと、まず龍宮さんも刹那さんもいない留守の部屋に木乃香が待機」
疑問を持った様子の楓が口を開く。
「鍵はどうするでござるか?」
「そこはネギの出番。魔法でなんとかして!」
ネギが反論するもまったく相手にしないアスナを見て木乃香は苦笑いしかできなかった。
「それで刹那さん一人だけ帰ってくる時を狙って木乃香が悲鳴を上げる。
そして刹那さんは飛び込むだろうから、ネギが魔法で閉じ込めて、あら不思議話すスペースの完成!」
またネギが反論するもそこは力で勝るアスナが勝利した。
「でもアスナ?その叫ぶタイミングはどうするん?部屋にいてちゃ分からんえ?」
木乃香が疑問をぶつける。普段のアスナならここで崩れるだろうが今日は完璧だった。
「大丈夫!ここは楓さんの出番。忍法かなんかでかくれていて刹那さんが
通りかかったらメール送信!これで大丈夫でしょ」
驚愕だった。今日のアスナは完璧すぎて怖い位だった。全員がその作戦を承諾した。
「明日は土曜日でござるが龍宮殿は仕事で1日いないようでござるし、刹那殿は
決まって午前は修行してるでござるから、帰ってくる午後一時を目標にすればいいでござる!!」
これで全ての作戦会議は終了した。
「木乃香できる?」
不安そうな表情の木乃香にアスナは声を掛ける。
「大丈夫やえ。みんなが私の為に頑張ってくれとるんやから無駄にはできんえ」
木乃香から不安な表情は抜けないがその中に決意の表情が加わっていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
午後12時半。作戦開始。
「ほらネギ鍵あけて!」
ネギはしぶしぶながらも魔法で鍵を解除する。木乃香は深呼吸をして踏み出した。
「頑張って木乃香!」
その言葉に木乃香は少しの微笑みを見せドアを閉めた。
「私達はそこの角から見てるわよ!準備いい?」
「はい」
楓は隠れみの術を使用して気配を完全に消していた。これでは刹那にも気づかれる事はない。
「本当に来るであろうか?心配でござる」
楓は独り言を呟きながら時を待った。そして遂に時は来た。
修行から戻ってきたであろう刹那の姿が見える。汗も少し書いているようだった。
楓は送信ボタンを準備する。そして部屋に近づいた所でボタンを押す。
それと同時にあらかじめ打ち合わせされていた木乃香のセリフが叫ばれる。
「いっいや!嫌だ!来ないで!せっちゃん!せっちゃーーん」
「お嬢様!?」
その瞬間刹那は風となり一瞬で部屋へと飛び込んだ。
「迫真の演技アッパレでござる。拙者ができるのはここまででござる。後は自分との戦いでござるよ木乃香殿。」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「ネギ!」
刹那が飛び込んだ瞬間。ネギは魔法を唱える。
「成功しました」
その言葉にアスナは胸をなでおろした。しかし最後は手助けできない。これだけは自分で乗り越えなければならない事なのだ。
「木乃香…頑張って」
その呟きは心の奥底からの思いだった。
「お嬢様!お嬢様!?大丈夫ですか?」
しかし刹那の目の前には木乃香がいるだけでなにも変わったものはなかった。
「お嬢様何かあったのですか?」
「うん?いやー幻覚やったみたい」
笑う木乃香に刹那は腰が抜けた用になった。
「本当に良かったです。何事かと思いましたよ!でも無事で何よりです、少し外の様子を見てきます」
刹那はドアを開けようとするが無駄だった。ネギが思い切り魔法をかけたのだ。
破れる事はまずない。
「あれ?あきませんね。あれ?そういえば何故お嬢様がここに…鍵は閉めた筈」
刹那がぶつぶつと独り言を言うのに対して木乃香はその場に立ち尽くしていた。
いつバラせばいいのかわからない。しかし立ち止まってはいられなかった。決意は固まった。
「せっちゃん…ウチとお話してくれへん?」
「私なんかがお話する権利はありません。それより開かないんです。すいません」
刹那が話を逸らすようにした事についてもう木乃香は我慢できなかった。
「なして!?なんでなん?せっちゃん…どうしてウチを拒絶するん?近くに来て!」
激昂だった。刹那に初めてみせた怒り。木乃香の負の部分が爆発した。
刹那は言葉を失って木乃香の下へ行くしかなかった。
「ウチ入学してからせっちゃんとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと話したかった!」
「お嬢様…」
「ウチかてせっちゃんと馬鹿な話しながら登下校したいんよ!!
一緒にお弁当も食べたいんよ!!!でもなんでなん?話してもくれへん教えてせっちゃん!!!!」
刹那は言葉を失った。自分は護っているつもりだったでも護れていなかった。
目の前で涙を流しながら取り乱している木乃香がそれを表していた。
「そんなつもりではなく…」
「でも!ウチを避けてたんに変わりはないえ!」
確かに刹那は反射的に木乃香を見ると避けてしまっていた。過去という物が刹那を縛り付けていた。
「なんも言わないゆう事は…ウチの事嫌いなんやね」
これが木乃香の心からの叫び。これが刹那に届くかはわからない。
しかしこの言葉が刹那の心を突き動かした。
「嫌い…?ふざけないでください!!私がお嬢様の事嫌いな筈ないじゃないですか!」
「ふざけとるんはそっちや!!父様に無理やり護衛やらされとるんやろ?嫌ならいいえ?ウチから話をつけとくえ!」
「私は…」
刹那の声が途端に小さくなる。二人の間に沈黙が走る。
「私は…長に自分から頼んだんです。護衛をやらせて欲しいと。」
木乃香の表情が驚きに満ちた。
「でもなんで話してくれへんの?近くにいてくれへんの?」
「自分は相応しくないからです。あの日川に溺れたお嬢様を助けられなかった。それから決めたんです。陰からお嬢様を守り通す、全世界の全てから。」
それが刹那の思う事全てだった。いつの間にか刹那の目にも涙が溢れていた。
「相応しくなくてもいいえ。ウチは…せっちゃんがおればええ!せっちゃんが好きや!大好きだえ!」
二人の顔は涙でぐしゃぐしゃになり静寂な部屋に声が響く。魔法の効果で外には聞こえていない。
「お嬢様…私も好きです!大好きです!」
二人はお互いを求めあうように抱き合った。それは二人とも封じ込められていた思いが爆発した結果だった。
「これからは登下校も一緒にしてくれる?お弁当も一緒でええ?」
「はい!…はい!」
「ずっと一緒や!」
それから二人は一時間程語りあった。勉強の事部活の事、全て全て話した。自分を分かってほしいと、知ってほしいと。
「せっちゃんとこんな話すの久し振りや!なぁせっちゃん?これからはウチら友達やよね?」
刹那は少し間を置きこう訪ねた。
「親友では駄目ですか?」
木乃香は微笑む。それで答えは分かった。
「ウチの事このちゃんっ呼んだら良いえ」
刹那は深呼吸をする、過去の感覚を取り戻すかのように。
「このちゃんっ!ウチら親友?」
「当たりまえや!」
今日という1日で距離はほぼなくなった。
「せっちゃん。今やなくてもええ。でもいつかパクテオーして?仮契約。そしていつか本契約もせっちゃんがええ」
そこまでは考えていなかった。木乃香は微笑みを見せる。
「このちゃん本当にありがとう!」
「お礼を言うのはこっちや!せっちゃん…ありがとうな」
この日二人は打ち解けた。いつの日かわからない仮契約、本契約の事も約束した。
いつになるかなんてわからない。でも気持ちは変わらないだろう。ある人を護りたい。
ある人と一緒にいたい。 二人で永遠を共にしたい。この想いは果てしない空の
ように広がっていく。気持ちと気持ちがぶつかり合いうまれるものもある。
答えがでたという訳でもない。答えを焦る必要もない。しかしこれだけは二人は言えるだろう。
この想いを二人が持っている、その事実だけで十分だ。
その想いが二人を未来へ導いてゆく
想いがぶつかるその先へ…
fin
358 :
ぶつかり合いの彼方に見える物 あとがき:2011/04/05(火) 03:55:36.54 ID:dCSwFwfb
お目汚し失礼しました。
>>345さんのリクエストにお応えして新たな作品書きました!
前よりボリュームUPしたつもりですが、どうでしょうか?
これ書くのに四時間もかかりましたww
喧嘩みたいの書きたかったんですよ!
誤字脱字は脳内修正をお願いします!
このスレが復活するまで何度でもSSを書こうと思います!
しかし2日連続でSS書いて投下したので、ネタ切れです(泣)
近いうちにエロも書こうとは思っています。
アイデアを上げてもらえたら書けたら書きます。
ネタ切れの時限定ですけど。
他の人も出されたアイデアを見て閃くかもしれませんし!
アイデアを上げる事もお願いします!
それと感想お願いします!悪い所は直したいので。
昔あったネタだけど翼をお手入れ
>>358 乙。
つまりこのせつへの思いが爆発したんだな?
>>360 昔から爆発してますよ。
皆さんが何故このせつから遠ざかって行ってるか不思議です。
えらく伸びてると思ったらw
なんと言うか熱意は伝わったよ、うん
こういう場に書き込みするの自体始めてなんですけど…
SS投稿します!
この板好きなんで!
“は”が“ゎ”になってるんですけど
気にしないで頂けるとありがたいです
すみません…
緊張するっ(>_<)
ちょっとシリアスなのかな…
2人が仲直りする前の設定です
「あ…。せっちゃん」
たまたま教室で2人きりになった時、お嬢様に話し掛けられたことがある。
それゎまだ、お嬢様と仲直りをしていない時だったため、私ゎいつものように、お嬢様を避けるように、した。
今教室から出るのゎ流石に避け過ぎだし、何か事務的な用だと困るため、席に座ったまま黙ってお嬢様に顔を向ける。
お嬢様が嬉しそうに微笑むと、私ゎ自分の欲に負けそうになるのを感じ、再び目を逸らしてしまった。
「みんな、行ってしもうたね」
何やら廊下で騒ぎがあり、騒ぎ事が大好きなこのクラスの人たちゎ皆廊下に出てしまった。
龍宮ゎ仕事のため今日ゎいない。
こういった騒ぎに参加しないのゎ私と、龍宮も同じで、いつもなら残るのゎ私たちだった。
たまに他に参加しない人もいるが、今回ゎ皆行ったようだ。
だからもちろん、お嬢様も行こうとしたのだけれど、私がここに1人で座り、残っているのを見てか、ここにいることにしたらしい。
無反応な私を少し気にしているようだったけれど、かまわず話しを続ける。
「せっちゃんと2人なんて久々やなぁ。なんや嬉しいわ」
事務的な話しでゎ、ないようだ。
そもそもお嬢様と事務的な話しをすることなんてないような気もするけれど。
まぁ、学校についての何かゎあるかもしれない。
「あんな、せっちゃん、うち‥」
「すみません」
これ以上ゎ無理だ、と判断した。
事務的内容でなかったとわかった時点で、お嬢様の話しを聞いてゎいけないと、咄嗟に思った。
これで聞いてしまえば、私が今まで我慢して避けてきた意味がなくなってしまうし、何らかの弾みで、私ゎ何かを喋ってしまいそうだったから。
もっと仲良くなりたいと、そう思ってしまうのが、怖かった。
一礼して、逃げるように教室から出ようと、ドアの前まで歩く。
「うち、せっちゃんに何か悪いことしたん?したんなら謝る!許して‥せっちゃん」
出て行こうとした私に、お嬢様ゎそう叫んだ。
何も、悪いことなどしてゎない。
しているはずもない。
むしろ貴方ゎ…。
身分も、何もかもが違うあなたと、私ゎ軽々しく喋ってゎいけないと思うから。
でもそんなことすら、言えない。
「いいえ、お嬢様ゎ、何も。‥失礼します」
「待って!せっちゃん!!せやったら‥せやったら何でうちを避けるん?」
何も答えずに出て行った私を、あの時お嬢様ゎどう思ったのだろう?
例え私がお嬢様に嫌われたとしても、私ゎかまわない。
お嬢様を守ることさえできれば、それでいい。
そう思った。
思おうと、した。
ドアを開け廊下に出ると、遠くから、戻って来るクラスメイト達が見え、半分くらいが教室に入るのを見送ってから、私も教室に戻った。
その時、お嬢様と目が合い、悲しげな表情を見せた彼女ゎ、答えを知りたいと、せがんでいるようだった。
淡々と過ぎていく時間。
授業中、何度かこちらを見る視線を感じたけれど、そちらに目を向けることなく、学校を終えた。
その日仕事から帰ったのゎ夜の10時過ぎだった。
仕事を終えたばかりだというのに、簡単なものだったのか、疲れた表情のない龍宮と、仕事内容について話し合っていた。
ドアがノックされる。
帰ってきたばかりの私を気遣ってか、龍宮がドアのほうへ行く。
「来客なんて珍しいな」
ソファに腰掛け、独り言を呟いていると、龍宮が戻って来た。
「誰だったんだ?」
「お前に来客だ」
私の質問に答えず、ただそれだけ伝えると、元いたところに座る。
龍宮ゎ私よりも交友関係が多少なりとも広かったからまだわかるが、交友関係が全くと言っていいほどなかった自分に来客だと聞き、相当驚いたのを覚えている。
そして足早に閉められていたドアを開けると、そこにゎ少し俯いたお嬢様がいた。
「お、嬢様…」
「堪忍な、急に来たりして…」
部屋まで来られると、流石にあまり逃げ場がない。
どうしようか悩んでいると、お嬢様ゎそのまま話し続けた。
「うち、何でせっちゃんがうちのこと避けるんか、知りたいんよ…。うち、本当ゎ何かやったんやない?気ぃ遣わんといて…。話してぇな、せっちゃん…」
「すみません。お教えすることゎ、できません」
「ほな、やっぱりうち何や悪いこと‥」
「いえ、そういうことでゎありません」
「せやったら何で?」
「お教え、できません」
「やっぱりうち、何かやったんや…」
「ですから‥」
違うのだと、そうでゎなく、ただ教えられないだけなのだと、何度言えばわかってくれるのだろう、とため息をつく。
お嬢様ゎ知らなくていいこと、だから。
「せっちゃんと仲直りしたい」
そう言われても尚、私ゎ何も話せないでいた。
お嬢様が望むことだったのに、私ゎそれを叶えようなどと、思いもしなかった。
思えなかった。
その時、私ゎ一体どんな表情をしていたのか、自分でゎわからない。
少なくともお嬢様にとって、決して良い表情とゎ、言えなかったのだろう。
「うちのこと、嫌い?」
今にも泣き出しそうな声で、そう言われた。
心が何かに刺されたように痛む。
しかし胸を見ても、当たり前ながら何も刺さってなどいない。
ならばこの痛みゎ何なのか…。
その意味を知るのに、だいぶ時間がかかってしまったように思う。
「いいえ」
小さな声で否定した。
“いいえ、大好きです。何よりも大切です”と、そう言ってしまいそうになったのを、必死で堪える。
しかし、私の小さすぎた否定の声ゎ、お嬢様にゎ否定にゎ聞こえなかったようだった。
むしろ、小さすぎるそれゎ、肯定を表したようにも、聞こえたかもしれない。
床を捉えていた視界を上げると、お嬢様の目からゎ涙がこぼれ落ちていた。
さらに心をえぐられる。
目が合うと、袖で涙を拭い、笑顔をみせるお嬢様。
「あはは、堪忍な。ほな‥また明日」
そう言って、長かったように思えた数分間のお嬢様との会話ゎあっという間に終わった。
これで、よかったんだ。
ずきずきと痛む胸を押し殺すかのように、自分の服を掴み、握りしめた。
走り去るお嬢様の背中を見送ることさえできずに、私ゎそっとドアを閉めた。
部屋に戻ると、無表情な龍宮が、話しを聞いていたのか、それとも私を見て悟ったのか、「すまない」と謝ってきた。
「何故謝る?」
手にゎ銃があり、いつものように手入れをしているようだった。
「近衛だと、言ったほうがよかったのかもしれないと思ってな」
無表情なそれからゎ、心から謝っているようにゎ見えなかったが、それでも私ゎ何も言えずにいた。
お嬢様だと知らされていたら、きっと私ゎ扉を開けなかっただろう。
そして、こうして胸が痛むことも、きっとなかった。
「顔でも洗え」
そう言われて初めて気づく。
いつの間にか自分の目からゎ涙が溢れていた。
それがどういう意味なのか、わからずに戸惑う。
「ふ‥ふふ…」
涙を流しながら何故か私ゎ笑っていた。
声にならずに、息だけで、笑っていた。
「どうした?」
私にもわからなかった。
何故私の胸が痛むのか。
何故私の目から涙がこぼれたのか。
何故私が、笑っているのか。
もう何もかもがわからずに、余計、笑った。
「刹那…」
涙で視界ゎぼやけていたけれど、先程まで無表情だった龍宮の顔ゎ、どこか悲しげだった気がする。
するとそれを見た私ゎ、どこか、落ち着いた気も、した。
洗面所に行き、冷たい水で顔を洗う。
目を瞑ると、お嬢様が張り付いたように思い浮かぶ。
お嬢様の、泣いている姿が。
そうして、再び痛み出す心を癒したいと願うかのように、少しでも和らげたいと、ずっと笑顔でいて欲しい大切な人の涙を、洗い流してしまいたいと、そう思って、さらに冷たくした水を顔につける。
息すら出来ないくらいに、勢いよく水を顔につける。
苦しくなって止めると、そこら中に水が飛び散っていることに気づき、勢いよくやり過ぎたと、タオルを手にとってそれらを拭く。
ふと見た鏡に映っていた私ゎ、それゎそれゎ醜かった。
「私ゎ何を、やっているんだろう…」
顔についていた水が一気に首をつたい、服の中へ流れていく。
しばらくそこに突っ立ったまま、私ゎ自分の過ちに気づけずに、ただ無意味に自分に問う。
お嬢様の側にいないことが正しいのだという過ちに気づけずに、1人でゎ到底答えがわかりそうにないことを、問う。
翌日、お嬢様をさりげなく見ていたけれど、何ら変わった様子もなく過ごしていたようで、ホッとした。
いつもと変わらない、お嬢様の、笑顔。
しかし明日菜さんゎ言う。
「木乃香、前よりも幸せそう」
「え?」
「刹那さんといられるのがよっぽと嬉しいのねー、まったく」
呆れたように言う明日菜さんゎ、それでも私よりお嬢様をちゃんと見ているようで、私がまだまだ未熟だということを思い知らされる。
今なら言えるよ、このちゃん。
「せっちゃん、うちのこと好き?」
「は‥はい。好k‥大好き、です」
そう言うと嬉しそうに笑顔を見せる貴方をもっと見たくて、恥ずかしくて、格好よくゎ言えないけれど、ちゃんと、言うよ。
「何よりも、大切です」
駄文ですみません…
緊張しすぎて手汗がハンパないや…
いやホント、すみませんでした…
やっと違う作者さんが!!
自分なんかより相当うまいですね!!!
>>376 おお、別な人が来てる!
あんまり人の書き方に口を出す気はないんだけど、SSも文章なわけだから「は」は「は」で書いた方がいい。
あと最後何か飛ばしてない? 俺の読解力がないだけかもしれんが、最後の繋がりがちょっと。
このスレが活性化するのは嬉しいことなので、また書いて下さい。
というか分かってるなら直せよと
SSで「ゎ」はないだろw
そりゃそうだけども、中々良かったよ、内容は。
ただ「ゎ」がなー。読みにくかった。携帯だと一括置換とかできないしなー。
それと最後繋がりが俺もよくわからなかった。
連投スマソ
「は」が「ゎ」になってて、折角シリアスなSSだったのに、吹き出し笑ったのは自分だけではないはず
と書き忘れた。
だって龍宮&せっちゃんマジ泣きなのにギャル語でしゃべってるみたいで可笑しかったんだもん。
>>363-376です
携帯で打つと癖で“ゎ”になってしまうんですよね。
これ、だいぶ前に書いたやつで1つ1つなおすのもちょっと面倒で…。
すみません。
あと
最後のとこは
翌日木乃香が笑顔で刹那は安心したけど
明日菜によると、今のほうがずっと幸せそうだっていう繋がりなんです。汗
で、仲直りする前は言えなかったけど、今は言える
みたいな…。
説明下手なのと駄文でほんとすみませんでした…
誤)これ、だいぶ前に書いたやつで1つ1つなおすのもちょっと面倒で…。
訂)これ、だいぶ前に書いたやつで、コピーしただけなので、1つ1つなおすのもちょっと面倒で…。
すみません
>>383 あぁ、なる。
刹那の決意的なものなのだね。
読みが浅かった、解説トン。
携帯は一括変換できないから面倒だよね。
こう言っちゃ申し訳ないけど、「ゎ」だけで読む気になれない
>>383 停滞した雰囲気のスレに投下してくれた事にはホントにGJを贈りたいけど、「ゎ」のせいで俺も読む気が失せてしまった
上でも出てるけどSSだって文章なんだし、携帯だから、癖だから、は免罪符にならないと思う
こんな場末の18禁スレに投下するよりもっと練習のためになるやり方があると思うけどなあw
いや、過疎りまくってたスレに燃料投下してくれたのは本当にありがたいと思うけど
場末・・・。
>>363 気にしないのは無理です。ごめんなさい
今回投下してくれたのは読んでないけど
投下自体は嬉しいぜ
ありがとう!
次投下することがあったら「ゎ」じゃなく「は」でおねがいします
ちょっと書いてみた。今から投下してみる。なにぶん慣れないので駄文だったら失礼。
桜咲刹那は決意を固めた。
思えば、私はずっとお嬢様から逃げてばかりだったのではないか。
積極的に近づいてくれるのはいつもお嬢様の方。私はずっと受け身だった。
もちろん、それはとても居心地の良いポジションで、このまま甘えてしまいたい気持ちは正直、ある。
でも、受け取るばかりでこちらからは気持ちを返せないというのは、悪いという以前になんだか情けない気もする。
ここはひとつ――お嬢様が時折なさるように――今度は、私の方から抱きついたりするのはどうだろう。
厭がられるだろうか。
気味悪く思われるだろうか。
従者の身で、そんなことをしてもよいものだろうか。
―――不安に震える自分の手を見つめながら、ふと思う。
もしかすると、お嬢様だってこういう不安と毎回戦っていたのかもしれない。
お嬢様がいくらおおらかで明るいお方とはいえ、僅かもこうした不安を覚えないなんてことはない筈だ。
そして、いったんそうじゃないかと疑ってしまうと、我が身の情けなさがますます痛切に感じられた。
「………よし」
こんなことを考えたのは、昼間お嬢様と買い物に出かけている最中だったが、
さすがに白昼堂々と抱きつく勇気はまだない。というか、誰であれ人前では無理だ。
だから待った。この時間になるのを待った。
いまなら、夜なら、お嬢様は隣の部屋にいるだろう。……寝ていたら諦めるしかないけれど。
妙な高揚感を覚えている。間違いなく、普段の私なら考えもしないことだ。
ひょっとすると、相次ぐ過酷な戦いや、めまぐるしく変わり続ける状況に、
少し浮ついた気分になっているのかもしれない。
「あれ、せっちゃん? どうぞー」
「あ、は、は、あは、はい、すいません、あのー、夜分遅くに。特に用、ええと、えと、はい!」
「? とりあえず入っといで〜」
「おおおおお邪魔します……!」
―――うん。のっけから完全に失敗した。それは認めよう。
お嬢様は、ついさきほどバスルームから出てきたばかりのようで、タオルで長い髪をまとめている。
湯気とともにふんわりとボディソープとシャンプーの香りがただよっている。
お嬢様はいつだって綺麗だ。
「そうそう、そこの冷蔵庫にジュースがあるから、ウチの分と一緒に二本とって〜」
「わかりました。えーっと、これですね」
「うん、おおきにー」
お嬢様はベッドに腰掛けたままペットボトルを受け取ると、きりり、と蓋をねじって開け、
――ずいぶん喉が渇いていたのか――そのまま半分ほど飲んだ。ぷはあ、と豪快な笑顔を見せる。
「は〜、やっぱり、お風呂上がりは冷たい飲み物がおいしいえ……」
「私もいただきますね」
私はべつに水分が不足しているわけではなかったが、別の理由で喉がからからに乾いていた。
先ほどのように噛み倒すことがないよう、十分に舌と喉を潤わせておかなくてはならない。
「……で、せっちゃん、こんな時間にどしたん?」
お嬢様はくりっとした黒瞳をまっすぐこちらに向けると、そう訊いてきた。
「―――――――」
「? せっちゃん? なんか深刻なこと?」
「いえ……… その」
どうしよう。言葉が出ない。
一応、用意してきた台詞は「なんとなく、お嬢様の顔が見たくて」だったのだけれど、
今こうして状況に直面してみると、少し、いや、かなり気障ったらしいような。言うべきではないような。
「んーーーーー?」
そのまま30秒ほど固まってしまい、お嬢様はそんな私を不審そうに見ている。
いま私はどんな顔をしているんだろう。自分ではもうまったくわからない。
「せっちゃん…… もしかして」
「………!?」
待ちきれなくなったのか、お嬢様の方から話し出した。
もしかして、もしかして…何なのだろう。まさかちょっと様子を見ただけで、
お嬢様には私の目的がわかったのだろうか。
「もしかして―――なんか、………えっちなことでもお願いしにきたん?」
お嬢様は真面目そうな表情のまま、言った。
「ぶはっ!?」
「わ。図星の顔や。やらしーなーせっちゃんは〜〜」
「ち、ちちがっ……!」
思わずジュースをすこし吹いてしまった私に、お嬢様は歌うようにそう言って、いじわるく笑った。
長く溜めた後にそんなことを言われたら、誰だってびっくりすると思いますお嬢様…じゃなくって、
早急に誤解を解かないとたぶん酷いことになる…!
「違うんです、お嬢様、それほどエッチなことではなく……!」
「…………………それほど?」
「間違えました、それほどっていうか、ぜんぜん、ぜんぜんでした。ぜんぜんそうじゃなくて」
「それほど? それほど〜?」
ああ、もう駄目だ。私の言葉尻を捕まえたお嬢様は、ものすごく楽しそうだった。
どうしてこうも上手くいかないんだろうか。
「はい。せっちゃん、観念して、ウチの隣に座ってな。じーっくり聞かせてもらうえ」
「ううう…… はい……」
「ふふっ、素直なええ子やね」
おとなしく、指示通りにお嬢様の隣に座る。
お嬢様は私が座ったのを確認すると、そのまま私の方にしなだれかかって――――
「……っ! いけません、お嬢様…!」
「へ……?」
つい反射的に、お嬢様を押しのけてしまった。お嬢様はすこし呆然として、すぐに悲しそうに眉をひそめた。
「いいえっ、厭なわけじゃないんです、ただ」
「………ただ?」
さっきの笑顔から一転して、お嬢様は不安な面持ちで私の言葉を待っている。
「その――――」
もうここで時間をかけるわけにはいかない。自責の念にかられている暇もない。
元より私に細かい策略など向いていないんだ。
「……いつも、お嬢様の方から、抱きしめられてばかりなので、たまには、というか、これからはなるべくと言いますか、
私の方からも、同じことがしたいな、と……」
「せっちゃん………」
しばらくお嬢様は、受け取った言葉を咀嚼するようにひとり頷くと、
「……ええよ」といつものように言った。
「で、ではっ、失礼します……!」
「失礼ではないんやけど、ふふっ、おいでやす、せっちゃん」
腕を広げてくれたので、私はまだすこしためらいながらも、ゆっくりとお嬢様を抱きしめる。
出来る限り強く力をこめたい気持ちを抑えながら、そっと。
そして気付かれないように祈りながら、そのまま頭を肩に乗せる振りをして、自分の唇をお嬢様の首筋にあてた。
背筋に快感が走った。もし首尾良く抱きしめることができたなら、と密かに妄想していたことだった。
「ああもう、ほんまにかわええなあ、せっちゃんは……」
「そんなことは…… うう、なんだかすごく、恥ずかしいです」
それにしても、お嬢様は毎回こんなふうに恥ずかしかったのだろうか。
これを普段から何気なくやっていたのだとしたら、その勇気はすさまじいと言う他ない。
現に私の心臓は破裂しそうで、顔もおそらくは真っ赤だろう。
でも、柔らかくて、いい匂いがして、落ち着くような、それがかえって落ち着かないような、
なんだかとても捉えどころのない――良い気分だった。
「………お嬢様は、いつもこんな感じだったんですか…?」
「うん? ――えっと、そやねえ」
だから、つい訊いてしまった。
お嬢様は私の頭をなでながら、「んー」と考え込んだ。説明がちょっと足りなかったかもしれない。
たしかに、この言い方では伝わらなくても無理はない。
が、私の心配は杞憂だったようだ。
「意味がぜんぜんちゃうから、いまのせっちゃんほど普段のウチは、勇気だしてへんえ?」
「………意味?」
意味とは何だろう。こうやって、抱きついている意味?
私がするのと、お嬢様がするのとでは、違うのだろうか。それはもちろん、立場が違うけれど。
「そうやないよ。――ふふっ、せっちゃん、わざわざ夜に、二人きりで、抱きつきたいって訪ねてくる、
もうこれ、いろいろと一線超えてるえ? 少なくとも、もう友達同士のスキンシップってわけにはいかんやろ〜」
「ふぇ……?」
お嬢様は頭をなでる手を休めずに続ける。
「もっと言うと、さっきからちょっと首のとこがくすぐったい……かも」
「………っ!?」
「あはは、ええよええよ、そのままで。せっちゃんのしたいように。でももう、ごまかしは効かへんな〜」
「ごまかしては……いません」
「そう? ならせっちゃん、――楽しい楽しいつづきに入る前に、ウチに言っとかんとあかんことがあるんやない?」
鈍いと言われる私でも、さすがにわかった。
それは意外にもさらりと、ちゃんと、しっかり言えた。
「…………好きです、お嬢様」
「ふふっ、ウチも好きよ、せっちゃん」
実質的には部屋に入った時点で告白していたようなものだったのか。
私は、どうしても会いたくて、明日になるまで待てなくて、来たんだ。
「じゃあ………」
お嬢様はゆっくりと頭からタオルを外した。ばらりと長い黒髪が流れるように落ちる。まだつややかに濡れている。
その程度のことにどきりと心臓が脈打った。
それから再度私の背中に腕を回して、その体勢のまま後ろに倒れていく。
ごく僅かな浮遊感のあと、一緒になってベッドの上に崩れ落ちた。
「っ…! あの、お嬢様?」
必然的に、なんだか私がお嬢様をベッドに押し倒している形になる。
息がかかるほどに顔が近くにある。
「さあて、せっちゃんはするんかな、せえへんのかな……今やったらウチ、何をされても」
「それは―――えっと――」
挑むような目をしたお嬢様に、すこしためらう。
「すいません。目標達成して満足したので帰ります」などと言えば、ものすごく失望させてしまうだろう。
とはいえ、一体何から何をどうしたらいいのか全くわからなかった。
「するんやったら、ウチは最初にキスしてほしいかなー………」
考え込む私にじれったくなったのか、お嬢様は助け船を出してくれた。
「いいのですか? その、私なんかで。お嬢様にふさわしいかどうか……」
不安になって訊いた私に、お嬢様は呆れた様子でため息をつくと、
「……さっきの告白イベントはなんやったん……」と言った。確かにそうだった。
意を決して、「失礼します」と一声かけてから、そろそろと顔を近づけていく。
でも、なんだか妙な違和感があった。―――原因はすぐにわかった。
「………あの、お嬢様?」
「なに?」
「できればその、目は、閉じて欲しいのですが」
目が全開だった。
それはもうこの歴史的瞬間を見逃してなるものかとばかりに、ぱっちりと開いている。
私のお願いに、ちょっとだけ不満そうに口を尖らせると、お嬢様は意外とすんなり目を閉じてくれた。
「…………これでええ?」
「は、はいっ、では、失礼しますっ……!」
自分もギュッと目を閉じて、ゆっくりと顔を近づけていく。唇より先にお互いの鼻先がこすれた。
そのまま押しつけるようにして、唇と唇を重ねる。柔らかなお嬢様のそれを感じながら、
私は、こういうのって、どのくらいの間つづけるものだろう、なんてことを考えた。
しばらくして、唇を離そうとすると、背中にあったお嬢様の手が私の頭に伸びてきた。
私は引けなくなった。強く押しつけられた唇が、溶けるように混ざり合う。
「んんんっ………!」
呼吸が続かなくなってきた。
少し苦しいです、とお嬢様の肩を叩くも、固定を外してくれる気はないようで、
そればかりか私の閉じられた歯列を舌先でつついてくる。どういう意味かわからなかった。
私が混乱したままでいると、後ろから、ざり、という音がした。頭に爪を立てられたのだった。
――――怒ってる?
それは普段の戦いに比べれば、痛みのうちにすら入らなかったが、瞬間的に驚いて、口を開けてしまった。
生じた僅かな隙間にお嬢様の舌が侵入してくる。
それは生き物のようにうごめいて、唾液の水音をたてながら、私の口内で暴れた。
「ん……ちゅ、んんんっ、ふあぁっ………」
「おじょう、……んむ、あ、ああ、……さまっ……」
どれだけそうしていたのか分からない。
お嬢様がやっと私を解放してくれたときには、二人ともすっかり息があがっていた。
――そのうえ私はこの間お嬢様を押し潰さないようにずっと四つん這いだったから、
ついに腕にも足にも力が入らなくなってしまい、お嬢様の上に倒れ込んでしまった。
「……ふふっ、すっかり力抜けてもうたなあ……」
「…重たい、ですか? でも、ごめんなさい、もう動けそうにありません……」
動けない理由のひとつは疲労したから。そしてもうひとつは、離れたくないからだった。
お嬢様は独り言のように「しゃあないなあ」と呟くと、上にのった私と身体を入れ替えた。
「お嬢様…………?」
お嬢様は私のお腹の上で腰をおろし、その後、両太腿でしっかりと私の腰を挟んだ。
背中はまっすぐに伸びていたから、必然、私は高所から見下ろされる形になった。
テーブルランプがお嬢様の顔を照らす。
それは艶然と微笑んでいて、まさに獲物を捕らえた肉食獣そのものの様子だった。
「ねえ、せっちゃん。―――もう、このまま、ええよね……?
んん、アカンって言われても、たぶん止まられへんけど……」
返事をしようと口を開きかけたが、お嬢様の手が私の胸に伸びてくるのを見て、
喉まで出かかった言葉が止まってしまった。もちろん、だからといって手の方は止まってくれない。
左胸がお嬢様の手のひらの中で変形する。抵抗の余地はなさそうだった。
「脱がすえ………」
「…………はい」
ひとつずつ上着のボタンが外されていく。
―――ああ、そういえば、もう少し可愛らしい下着にしておけばよかったかもしれない。
ここまでの状況になるなんて考えもしなかったから、ちょっと油断していた。いま反省しても無意味だけれど。
「ほらせっちゃん、袖から手ぇ抜いて。……あとちょっと、腰浮かせて…ってああ、うちが座ってるんやった」
どうやら、お嬢様も緊張はしているらしかった。バツが悪そうに一瞬、いつもの笑顔に戻った。
ちょっとだけ安心する。お嬢様が横に除いたのを確認してから、腰を浮かせた。
ん…… それにしても、人に脱がされるのはけっこう恥ずかしい。幼い子供にでもなった気分だった。
そして、そう考えるとなぜか背筋がぞくりと粟立った。ひょっとしたら私は変なのだろうか。
どこか現実感に欠けたまま、お嬢様にされるがままでいるのが、心地良いなんて。
「からだ、起こして」
素直に腕をあげて、お嬢様の邪魔にならないようにする。するり、と残る二つのうち一つも私から離れた。
もちろん、お嬢様に見られるのは初めてではないけれど、さすがにお風呂や更衣室とはわけが違う。
「隠したらあかんよ……そのままにしといてな?」
「あう……… はい…」
そして最後の一枚に手がかけられた。
これはお嬢様もさすがに気を遣ってくれているのか、目で良いのかと尋ねてくる。
こくりとひとつ頷いて返す。私はベッドの上で、生まれたままの姿になった。
お嬢様は満足げに私の全身に視線を這わせた。恥ずかしさで、身体が熱くなる。
でも私は何も隠せなかった。―――それはお嬢様に隠すなと言われたこともあるが、
さっきから身体を駆け巡っている妙な心地良さも原因だった。
「ふふっ、せっちゃんを裸にしてもうた……ウチはまだ何も脱いでへんのに」
「あ………」
言われてみれば、そうだった。
私はされるがままに任せていたから当然といえば当然だったが、
お嬢様の服はすべて手つかずで残っている。
―――いったん意識すると、どんどん恥ずかしくなってきて、さらにそれに呼応するかのように、
ますます痺れるような感覚も強くなっていった。顔が上気していくのがわかる。
思わず、自分で自分の身体をぎゅっと抱きしめる。
「……? あれ、不思議やなあ、せっちゃん。言われても隠さへんの?
さすがに隠してまうかなって思っててんけど……まさかお腹見られるんが一番嫌なん?」
しかし、私の腕が交差したのは、上でも下でもなく真ん中だった。
私自身、なぜそうしてしまったのかわからなかった。言葉も出なくて黙り込んでしまう。
「もしかして――――― ん。わかったえ。そういうんがええんやね」
お嬢様はひとり合点した様子で、ゆっくりと近づいてくると、私の耳元で囁くように言った。
「……見てあげるえ。今晩中に、せっちゃんの身体で、うちが見てないとこはないようにしたる」
私の腕がお嬢様に引かれ、ベッドの中央で膝立ちにさせられる。
両膝が離された。両腕はうしろに回された。自分の呼吸がさらに荒くなった。
首筋にそっと指があてられて、ゆっくりと下へ。
胸の先で少し止まり、もどかしくてじれったい感触を与えてくる。それはほんの少しの間だったけれど、
そこが張りつめて尖るのには十分な時間だった。私はうつむくしかなかった。
さらにお腹の方へ指が動いてゆく。臍を引っ掻かれてびくりとお腹が収縮する。
「あら………、もう、こんなに?」
お嬢様の視線はまっすぐにそこに注がれていた。
薄暗い中でもわかるくらい、濡れてしまっている。
「……あんまり、その、見ないで下さい……」
懇願はもちろん聞き届けられることはなく、私の秘裂をそっとお嬢様の指が押さえた。
なぞるように、何度も往復して、そのたびに頭が真っ白になりそうになる。
ぐいと強く押し込まれる。かと思えばすぐ離れる。
あるいは下から持ち上げるように、柔らかくほぐすように動きつづける。
「んんっ……あ……っ、ひゃっ…!」
「声、我慢せんでもええよ… もっとせっちゃんの声、聞かせて」
そこに指を置いたまま、お嬢様は私の胸の前に顔を寄せ、赤い舌をちろりと覗かせてから、
既に硬くなった先端を口に含んだ。思わず仰け反りそうになるも、お嬢様のあまった左腕がそれを許さない。
「両方、…んんっ、あああっ、…同時は…お嬢さま…・・っ! やめ、その、わたし、もう…!」
もうダメだ、と思った瞬間―――唐突に責めがゆるやかになった。
破裂しかけた快楽が、徐々にしぼんでいく。お嬢様の目が悪戯っぽく光る。
「まだあかんよ? せっかくなんやから、もっと我慢して、我慢して、我慢せんと」
「うう……」
「でも、そろそろそのポーズは辛い、かな? じゃあ……」
そう言うと、お嬢様は後ろに回って、自分の足の間に私を座らせる。
背中からギュッと抱きしめられた。
「そうそう、せっちゃんには色々と、前から訊きたかったことがあるんやけど、答えてくれる?」
「えっと、………はい、なんでしょう…? ―――ひぅ!?」
また胸と足の間にお嬢様の手が伸びてきた。また身体の熱が膨らんでいく。
「ひとつめー。せっちゃん、いつからウチのこと好きって思ってたん?」
「あのっ……指っ…! んんっ、指を、止めてもらうわけには……やあっ…」
「ぜんぶちゃんと答えるまで、止まれへんし、イかせもせえへんえ? あ、質問は三つ…の予定」
お嬢様は私の反応を見ながら、微妙に緩急をつけて、私が気をやってしまわないようにしている。
首筋に舌が這わされて肩がすくんだ。
「いつから……っ、えっと、えっと、ええっと……」
なんとか頭を動かす。いつからだったのだろう。
気がついたら、というか、そういう境目をちゃんと認識したことなんてなかった。
「わかりませ……わかりません、けど……っ! んんっ! ……一年とか、半年とか…!」
「ほんまに? んー、でも確かにようわからんかもしれんし……」
思案しながらも、お嬢様は手を休めない。
「それでええってことにしとくえ。二つ目。ウチのこと考えながら、やらしい妄想しはじめたんはいつ?」
「ふぇ……?」
あまりの質問に、一瞬何を言っているのかわからなかった。
お嬢様で、妄想、それは………
「ふふっ、わかるやろ?」
「したこと、ないで―――」
「それは、ウソや」
反射的に返した答えはすげなく却下され、罰とばかりに責めを強くされる。
「そんなんありえへんやろ? 一度もないなんて。そんで一度でもあるんやったら、
……日付まで細かくはわかれへんやろうけど……なんとなーくは覚えてると思うんやけどなー」
「ううっ……」
――いつだろう? あれは確か―――
「…………年前です」
なんとかそれだけ絞りだして、下を向いた。
お嬢様は後ろにいるのだから、顔の向きは関係なかったけれど、そうせざるを得なかった。
「あれ? でもそれ―――」
気がつけば、お嬢様の手は胸と敏感な部分から離れ、太腿やお腹や胸の間を撫でるようになっていた。
私の息は完全にあがっていて、もはや自重も支えられなくて、お嬢様にもたれかかっている。
「そう……ですね、はい」
「好きやなかったのに、してたん?」
「いえ、そうではなくて……」
あの頃は、お嬢様に対して恋愛感情はなかった、と思う。
ただ、お嬢様のことを考えながらすると、妙に興奮して、いけないことだとは知りつつも、
そして罪悪感を覚えながらも、夢中になってしまった。
「ふうん………じゃ、最後の質問」
「はい……んんっ…!」
とっさに身構えたものの、さっきの以上に恥ずかしい質問は、もうないだろう。
一番知られてほしくないことを、一番しられてほしくない人に知られてしまった。
けれどそこには恥ずかしさに加えて、抱え込んでいた秘密を明かしたことによる解放感があった。
―――しかし、これ以上はないはずだという、予想は外れた。
お嬢様は一呼吸置いてから、とんでもないことを訊いてきた。
「………ウチ以外では、誰でやらしい妄想してた?」
完全に虚を突かれて、げほげほと咳き込んでしまう。
お嬢様の手は完全に止まっている。それが逆に怖かった。
「え―――う―――、それは―――その―――お嬢様?」
「ウチ以外では、誰で、やらしい、妄想してた?」
「それは………」
「あ、べつに怒れへんよ? 誰かて一人だけってわけにはいかへんやろうし……」
そうは言われても、これ以上に答えにくいことはないと思う。
もちろん、それは、答えようと思えば答えられる。私だってそこまで清廉潔白ではなかった。
ばくばくと早鐘を打つ心臓をなんとか御しながら、名前を言っても良いものか、悩む。
「あの―――――」
「ふふっ、誰かなあ」
「いえっ、その前に……もうしませんから、とだけ……」
お嬢様だけです、なんて見え透いた話は通じないだろうから、
せめて先にフォローだけはしておきたかった。
「それに、そんなに頻繁じゃなくって、もちろん、一番はお嬢様ですから――」
「だから気にせんでもええのに……。で、誰なん?」
「――――――く、クラスメイトの――」
直前まで悩みに悩んで、ぽつ、ぽつ、ぽつと、何人かの名前を挙げた。
最初は一人だけにしておこうかと思ったけれど、一人だけだとかえってその一人に重い意味を与えてしまう気がして、
結局、思いついた分をみんな言ってしまった。
「………ふぅん」
言い終わると、お嬢様は黙り込んだ。
「あの、怒らないんですよね、そういう話でしたよね……?」
「怒ってへんよ? ……ただ、ちょっと嫉妬してるだけで」
「それ、わりと怒ってるのでは―――んぐ・・…!」
心配して振り返った瞬間、強引に唇が重ねられ、深く舌が絡んだ。
一瞬遅れて、ああ、やっぱり怒ってる、と思った。
でも怒るなら、最初から訊かなければ良かったのではと思う私は間違っているのだろうか?
「んちゅ……んん、ふう、……ウチな……わりと、嫉妬する方なんよ」
長い口づけからやっと解放されて、お嬢様の顔を見ると、
どこか遠くを見ているような、怒っているような、喜んでいるような、分類しがたい表情をしていた。
「あ――う…… でしたら、なおさら……」
そう言いかけると、すぐに押し倒されて、またお嬢様は私に馬乗りの姿勢になった。
服を乱暴に脱いで白い裸身を露わにする。そのまま覆い被さってきた。
私の胸とお嬢様の胸が密着する。
「だからね……せっちゃん、……もっと、もっとよう聞かせて。その子らで、どんなこと考えてたん?
真面目そうな顔して、ふふっ、……ウチのこと好きやって言ったばっかりの口で、聞かせて……?」
「……お嬢様……?」
「せっちゃんのやらしい妄想きいてしまったから、ウチも言うけど、ウチはね、せっちゃん。
せっちゃんが誰かにとられてしまうとこを想像してたんよ……変やと思う?
……でもなあ、なんかそれ考えると、胸とお腹の奥の方がきゅうってなって、すごく―――」
一気にそこまで捲し立てて、お嬢様は私の耳に噛みついた。鋭い痛みが走った。
そのまま、今度はいま傷付けた部分をいたわるように舌で愛撫してくる。
「――――すごく、ええんよ」
「……ん―――! ああっ、んんんっ、ひゃぅ、あ……あ…!」
お嬢様は言いながら、もう様子見も焦らしもせず、私の身体中に手を伸ばし、指を使い、
もどかしそうに身体をこすりあわせて、責めたててくる。
「ねえ――はよう聞かせて。ふふっ、そう、……の話がええなあ、ウチ――」
「・・あうぅっ…・・はあ、はあんんっ…! それは…っ…」
それは快楽だけではなく、ときおり先ほどのような痛みさえ伴っていて、
いつのまにか肩口や首筋にも歯形がつけられていた。
お嬢様が、私の知らない顔をしている。ほとんどの事は知っているつもりになっていた幼馴染み。
でも私はいままで一体何を見てきたんだろうかと、白くかすむ頭で考えた。
「あ――――――」
そして、私はあっけなく、身体を弓なりに反らせ、ついに果ててしまった。
「ん……せっちゃん、イッってもうた?」
「は、はい…………」
体内を巡る快楽がまだ収まっていなくても、もちろん、このまま終わるわけにはいかない。
―――なにしろ今晩ここに来たのは、お嬢様に任せてばかりなのを申し訳なく思ったからなんだ。
あれから一時間も経っていないはずなのに、ずいぶん昔のことのように感じられた。
「お嬢様……次は、私が」
「……そう? だいじょう――ひゃんっ!?」
「あんまり、力は入りませんけど、…鍛えてますし、それに――」
お嬢様の足を、お腹を、胸を、首を、肩を、そしてもっとも敏感な部分を撫でる。
そのたびにお嬢様の身体が跳ね、愛おしい声が聞こえる。
「それに、――こうして、一回落ち着いてからじゃないと、話せませんから……」
「ふえ……? …あん、やぁ…っ!」
「…んんっ、…まだちょっと、口が上手くまわらないかもしれませんが、聞きたいん、ですよね?」
すごく面食らったし、いまでも驚いてはいるが、それがお嬢様の望みであれば、
何でも叶えてあげたい気分になっていた。恥ずかしいけれど、それを言うなら、お嬢様だってそうだった筈だ。
「うん…はぁっ…んん…! 聞かせて、お願い……」
「最初はですね―――」
私の浅ましい妄想を語る。お嬢様の耳元で、なるべく細部に至るまで忠実に語る。
優しく刺激する指を止めず、でもあんまり早く終わってしまわないように気をつけながら、
嫉妬に身を焦がすお嬢様を高くところに追いやっていく。
「はあ―――んん――っ……ひゃ、あんっ、……!」
びくり、とお嬢様が私の腕の中で痙攣する。気持ち良くなってくれたのだと思うと嬉しくなる。
しかし――ああ、なんだか、私はもう少しだけ意地悪がしたい気分だった。
「あと一度くらい、大丈夫ですよね……? 次は――」
「あ――――」
絶頂した直後のお嬢様は、ぼんやりした目をしていて、意識も曖昧なようだったが、
それでも口の端が悦びで曲がったのを私は見逃さない。続けてもいいという意味だと受け取った。
「………好きですよ、お嬢様」
「ん―――、ウチも…………」
――――翌朝
目を覚ますと、お嬢様がいなかった。
あれ、もう起きて出て行ってしまったのかなと、寝起きの頭でなんとなく周囲を見渡すと、
お嬢様はちゃんと部屋にいた。――――部屋の隅っこにいた。
「あの……お嬢様?」
「うううううう……………」
なんだかとてつもなく落ち込んでいるようだ。
その証拠――と言えるかどうかわからないけど――体育座りをして完全に下を向いている。
「あの、とりあえずお嬢様、立ちませんか?」
「あかん。無理。立たれへん」
やはり落ち込んでいる。身体が不調で、というわけではないだろう。
服もちゃんと着替えているし、つまりお風呂にも入ったのだろうし、少なくともあそこまでは歩いたはずだ。
「私ならその―――気にしていませんから」
「……そんなんウソやもん。絶対ウチのこと変態やと思ってる……」
重症のようだった。
だから何とか慰めようと、しばし言葉を選んだのち、言った。
「えっと、その〜、……変態か普通かでいえば、やっぱり前者ってことにはなってしまうと思いますが、
私はそれでも全然気にしませんし、それにちょっとくらい、…いやさすがにアレをちょっととは表現しにくいところもありますけど…
とにかく変態気味であっても、私の主君であり恋人であることには変わりませんから!」
よし。さりげなく恋人という単語を入れられた。私も進歩している。
これならお嬢様も……あ、すごい目で睨んでる。持ってた枕を構えてる。え、まさか投げられる?
「ちょっとは気い遣うてよ! せっちゃんのあほんだらー!」
「ふべっ!」
―――うん。完全に失敗したようだ。それは認めよう。
[了]
以上で終わりです。
長文、失礼いたしました。
変態このちゃんGJ!
お付き合いしてしまう、せっちゃんも間違いなく変態ですww
ゴッドじょぶ!!
次巻にはきっとせっちゃんの見せ場が来ると期待してます。
てことは今回はなかったってことか……
まどか
このか☆マギカ
このか☆せつな
や
何年たってもこのせつが好き
近衛木乃香の座右の銘は
「生が一番うまい」
桜咲刹那の座右の銘は
「やられたらまず謝る」
by座右の銘メーカー
地味にワロタw
へー
ウチの熱・・・冷ましてくれへん?
とせっちゃんに上目遣いで迫るこのちゃんの夢を見て目覚めたのを思い出した。
これから続き見れないかな。wktkして寝てみる。
それにしてもこのせつはエロくても良い百合だのう。
このせつをこよなく愛してるのに
SSは書けないし、小ネタも出てこねえ。
これこそ末期症状なのか・・・。
このちゃん治して。
418 :
名無しさん@秘密の花園:2011/07/06(水) 21:41:21.40 ID:wisrJrD2
連載も終わってないのにこの過疎
過疎のうちに聞くけど、ここってなんでこんなにコテハン多いの?
みんな人気作家だから(笑)
過疎ってるから相対的にそう見えるだけ
人気作家(笑)
劇場版ネギまが絶望的な件
ふう……。
424 :
名無しさん@秘密の花園:2011/07/22(金) 09:45:56.21 ID:N402vPkj
頼むからアニメみたいな作画は勘弁してくれ
OADみたいなクオリティなら嬉しい
誰か映画行ってないのか?
このせつについてレポない?
映画、このせつあったよ
427 :
忍法帖【Lv=6,xxxP】 :2011/08/29(月) 23:56:36.62 ID:mv73IM2L
プールでイチャイチャ
同じ布団でくっついて寝る
ならあった
!!!
429 :
名無しさん@秘密の花園:2011/09/01(木) 06:07:34.53 ID:37waWXph
映画はこのせつのためだけに見に行ったわ
限定版のDVDで悶えたのは自分だけではないはず。
声つきパクテオよかった。
431 :
名無しさん@秘密の花園:2011/09/03(土) 23:38:58.69 ID:C407TOSu
DVDのコマアフレコ、まさかのパクテオ回で死にかけたわ
映画見てきた。このせつは良かったよー。一瞬だったけど。
今日見てきた。相変わらずのイチャチャぶりで良かった。あと世界樹に全員集まったシーンで隣同士で並んた時に、お互いの服の柄が合わさってハートマークっぽくなってて思わずにやけた
436 :
名無しさん@秘密の花園:2011/09/25(日) 04:22:29.19 ID:oAEpN7j8
>>435 あーあれなー。
なんか超絶百合っぷるだったよね。
せっちゃん、いい妄想するようになったね。
あわててるせっちゃんは可愛いなぁ
あれをマジだと思ってwktkした五秒を返して
ほす
PC整理してたら昔書いたSSやら書きかけのSSやら出てきてスゲー懐かしかった。
書きかけは仕上げてあげたいなーと思いつつ、
昔書いたやつは羞恥プレーになるけど支部にでもうpろうかと検討中。
ここのすっかり過疎っちゃったけど、このせつ好きは永遠だよね。このせつはやっぱいいなー。
このせつもとうとう完成したな…涙が止まんねえよ
これはそういうことでいいんだよね?
同年に結婚だもんな。
公式で結婚したと風の噂で聞いたので、おめでとうを言いに来た。
448 :
名無しさん@秘密の花園:2012/03/14(水) 16:15:17.57 ID:/mAFYUUp
せつながネギの本命で結婚かよ
大勝利だな
結婚式の会場はここですか。
良かった…
もう本編でこの二人のイチャイチャが見られず、同士たちと語り合えないのかと
思っていたが最後にちゃんと燃料が来て
できればスピンオフで二人の結婚前後の話とか読みたい
特に初体験とか新婚初夜とか
このスレなら言える
いい最終回だった
結婚おめでとう
が、画像は?画像はまだなの?
あんなにボカさないと描けないものなのかの
少年誌ゆえか
色んな可能性を持たせちゃったキャラだから
全てのファンに考慮した結果なのか
公式で結婚おめでとう!
木乃香の読んだあと刹那の二度見してしまったw
が、画像は?画像キボンヌ!!!!
稀覯本じゃないんだからコンビニなり書店に行って買えよ
よかったーネギと結婚じゃなくて
まさか最後にこのせつが公式化とは嬉しい
月詠からせつなを守るこのかマジ旦那
おめでとう
素直に嬉しい
二度見して万歳三唱しちゃったよ…同年結婚と言うことはそうなんだよね!!!
このせつ結婚おめでとう!!!!!
OH YEAHHH!!!!!!!!! こんなにめでたいことはない!!!!
これは結婚までは刹那から切り出せそうだけど初体験はどうするんだ…?
あーここは素直に祝福できる…
このせつ新婚初夜はどちらが三つ指つく役になるんだろう…わくわく。
結婚は木乃香切り出しが萌えるなー。
「なーせっちゃん」
「はい、お嬢様」
「うちら、いつも一緒やね」
「は、はい…」
「ネギ君の村も助かったし…そろそろ結婚しよか?うちら」
「は…ええっ!!」
で説得に数週間かかると。
このちゃん、誕生日おめでとうだね
結婚も確定したし、めでたい!!!
まあああああじか!!!
1年ぶりくらいにたまたまスレのぞいてみたらなんてこった!!!???
今から買ってくる!!!!
ネギまってマガジンだっけ?
ふぅ
ドタバタから結婚までを番外編で描いてくれたら
単行本10冊買うわ
どうせなら初夜まで
間接的に、アサチュンみたいにそういうことがあったと思わせる描写でもいいので
このちゃんはせっちゃんの潜在的なエロエロさを受け止めきれるのかな
寝てる間にアスナの乳をじっくり揉んでたり妄想が基本お嬢様とらぶらぶエッチな願望ダダ漏れだったり作中一、二を争うくらいスケベなんじゃね?
てすとん
473 :
名無しさん@秘密の花園:2012/07/08(日) 22:29:31.63 ID:wgOfgJ25
ようやく全巻読破
このせつ最高
今さらはまりました
475 :
名無しさん@秘密の花園:2012/08/19(日) 00:10:46.07 ID:tW1/qzPL
>>471 このかも相当な好き者っぽいから大丈夫だろ
好きな相手に対しては自分から積極的に誘惑するようなタイプに見える。
つまりこの二人が一線超えたらもうエロエロだよ。いやらしーなおい!
せっちゃんの将来は宇宙を股にかける凄腕操縦士にして剣士で傍には最愛のお姫様がいてえろえろ三昧な性生活か……
これなんてエロゲ?
ふたりとも中学生なんだからえろえろも仕方ないと僕は思います
でも大人になってセックスレスというのも想像できない
やっぱえろえろだな
やっぱこのせつっていいよね〜
479 :
名無しさん@秘密の花園:2013/08/02(金) NY:AN:NY.AN ID:vhUQ8A1y
二人が結婚したという証拠が見たいなぁ
480 :
名無しさん@秘密の花園:2013/08/03(土) NY:AN:NY.AN ID:mDrpvs0K
結婚したという証拠は見たいけど
正直ネギまの続編はやって欲しくない。
最悪の場合このちゃんの旦那やせっちゃんの旦那ってのが
出てくる可能性があるから。
2世の話ならその可能性は結構高そうだし…
それやるぐらいなら未来戻った超の話でええ
482 :
名無しさん@秘密の花園:2013/08/27(火) NY:AN:NY.AN ID:zN4tnjPw
ネギま続編きた!!主人公の姓が近衛でじいちゃんがネギって、どういうことだ
このちゃんとせっちゃんの息子とネギと誰かの娘が結婚ってことでいいのか?
ネギの子供の一人を養子にもらったんじゃね
で、その息子なのだろう・・・って思いたいなあ
魔法世界だからな、女同士で子供が出来てもなんら不思議な事はない
第一あの画像だけじゃネギの相手が誰かなんて何も分からないだろう
このせつの子が新主人公のかーちゃんで
ネギはその戸籍上の親役とかでどーだろう
そうすると近衛の父方もこのちゃんの子供で刀太は近親相姦の子になるのか…w
女同士はともかく生まれてくる子が男だと違和感がすごいんだよな…否定的ではあるけど
何らかの理由でこのせつの子供が生まれて、お互いそれ以上の相手はいなかった
ていうのがもちろんベストなんだけど…
487 :
名無しさん@秘密の花園:
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