かわいらしいのう
なんか貧乏姉妹物語思い出した
>>865 あれは素晴らしい姉妹愛だよな
俺も好きだ
そういう意味では華菜ちんの妹三人娘は華菜ちんに依存しまくったり
華菜ちんを少しでも楽にしてあげるために小学生なのにバイトしたがったり
麻雀がそこらの雀荘のおっちゃんより強くなったりするんだろうか
何故最近皆最後にタイトルを付け加えるんだ?
>>833 ワハハが良い感じだったし和むし面白かった
次にも期待する
>>862 確かに池田の出番少なかったけどこれは良い
衣とタコスっていう意外な組み合わせも良いと思う
続編はないのかな
>>848 GJ
かなり良かったよ
咲も照も良い感じでなんかすごく良いと思う
後半にも期待してるよ
>>848 GJ!菫→照→咲を書いてる者だが、自分以外にも咲照ものを書いてくれる人が嬉しいよ!咲と照が大好きなので。
自分も今こないだの続き書いているとこなんで、タイミングを見て投下しますね
ごめんなさい、
>>848さんとかぶりますが、菫→照咲の続編を完成させたので投下します。
以前に要望があったので、今回はエロなしです。
最初は菫視点。次に照視点になります
では、8レスと長めですが失礼します
872 :
菫→照咲1:2009/10/22(木) 08:56:28 ID:znTOmos9
全国大会が終わり、肌寒くなってきた今日この頃。
「三萬は河に二枚出ているから、そこは二萬を切った方が――」
「今のはドラ切りより、白を捨てた方が待ちが広いよ。あと――」
向こうの卓から照の声が聞こえる。
同じ大学に進学が決まっている私達。将来はお互いプロを目指している。
顧問から直々に頼まれたこともあり、週に一度、授業が終わったあとの放課後に、私と照はこうして部に顔を出し、後輩たちに指導を行っているのだ。
今までは、物事に対していつもどこか冷めたような目で見ていた彼女。
麻雀に対してもそうだった…
だから、ある日突然
「菫、私もプロを目指すことにしたよ」
と言われた時は本当に驚いたな。
妹と再会してから照は変わった。
今では麻雀を心の底から愛しているようだし、なにより表情が柔らかくなった。
良いことだ。
照には以前振られてしまったものの、実は、しつこい私はまだ彼女のことを諦めてはいない。
大学に行ってからでもチャンスはあるだろう。
そして、部の活動時間が終わり帰宅することに。
靴を履き変え、校門まで向かう途中、私はそっと制服のポケットに手を忍ばせ、事前に買っておいたプレゼントの香水が入った小さな箱を指でなでる。
そう。
今日は彼女の誕生日なのだ。
これをいつ渡そうかな、と私は頭を悩ませる。
873 :
菫→照咲2:2009/10/22(木) 09:01:29 ID:znTOmos9
「菫?難しい顔してるみたいだけど…どうかしたの?」
隣にいる私の想い人が尋ねてくる。
「ああ、いや何でもないよ。」
と答え、私は考える。
今しか無いかな…。
そして、私は話を切り出す事に。
「なあ、照――」
と、言い掛けたその時
「あっ電話だ。ごめん、菫」
「ああ、どうぞ」
残念。邪魔が入ってしまった…。
「もしもしっ、咲?どうしたの?」
嬉しそうに声を弾ませる彼女。妹からか…
「えっ?嘘っ、今こっちに来てるの?」
…なんだって?こっちに来てるだと?
「お姉ちゃん!」
「咲…!」
驚いた。校門をくぐり抜けた途端、ぱっと目の前に妹が現われ、照に抱きついた。
なんというタイミング…
「菫さん、こんにちは」
「あ、ああ。こんにちは。妹さん」
私にも挨拶をしてくれた。なかなか礼儀正しい子だな。
しかし、挨拶が終わった後はすぐに照の方へ顔を向け直し、ニコニコと話し掛け始める。
「えへへっ。お姉ちゃん…来ちゃった」
「もう、急にこっちに来るなんて、びっくりしたよ。どうかしたの?学校は?」
「学校は今日、開校記念日でお休みだったんだよ。っていうか、やっぱり…お姉ちゃん、今日が何の日だか忘れてるでしょ…」
そう――今日は、照の…
「え?ごめん、何かあったっけ…」
おいおい…。今日一日、いつもと何も様子が変わっていないとは思っていたが、普通自分の誕生日を忘れるか?
874 :
菫→照咲3:2009/10/22(木) 09:05:42 ID:znTOmos9
ごそごそと妹が鞄からラッピングされた包みを取り出し、照に渡す。
「これって…」
「今日はお姉ちゃんの誕生日だよっ。おめでとう。お姉ちゃんっ♪」
「あ、そういえば…すっかり忘れてたよ」
「もう、お姉ちゃんったら…」
あははっと二人から笑い声が上がる。
笑顔でありがとう、と言い妹の頭を撫でる照。
本当に幸せそうだ。
私は今、二人の視界から完全に消えているに違いない…
そう考えるとかなり複雑だが…
しかし、この妹には勝てないな…
私はふぅ、と二人には聞こえないようにため息をつき、口を開けた。
「照、黙ってはいたが、私も知っていたぞ。おめでとう。」
「ありがとう。菫」
「じゃあ、私はここで失礼する。妹さんと楽しんでおいで」
「あっ、うん。また来週ね。菫」
「菫さん、さようならっ」
「はい、さようなら」
別れの挨拶を交わし、私は二人に背を向ける。
「まったく…とんだサプライズだったな…まさか会いに来るなんて」
ボソッと独り言を呟く。
やれやれ…。すっかり、プレゼントを渡しそこねてしまった。
それにしても――
あいつ、凄く幸せそうだったな。
悔しいが、まぁ、あの笑顔が見れただけでも良しとするか…
今日は金曜だ。
プレゼントは来週、また学校で会ってから渡そう。
うん、そうしよう。
待ってろよ、妹。大学ではきっと照を取り返して見せるからな…
875 :
菫→照咲4:2009/10/22(木) 09:07:06 ID:znTOmos9
「三萬は河に二枚出ているから、そこは二萬を切った方が――」
「今のはドラ切りより、白を捨てた方が待ちが広いよ。あと――」
とある金曜日の放課後。
私は菫と一緒に、麻雀部で後輩達に指導をしていた。
これは、お世話になった顧問に頼まれたもので先月から始まった。
引退した三年生が二人ずつペアになり、週に一度、それぞれ決められた曜日に部に顔を出しているのだ。
そして、私は一番仲が良い菫とペアになることに。
時には後輩たちと卓に混じり、牌に触れることが出来るので私にとってもこれは、貴重な時間の一つだった。
ふと、何気なくホワイトボードに書かれている日付に目をやると、何かが頭の中で引っ掛かかった。
うーん。なんだろう
今日何かあったっけ…
次に菫の方に顔を向けるとなんだか、ボーッとしながら制服のポケットに手を入れたり出したりしている。
何してるんだろう…
夕方――
日も暮れてきて、部の活動が終わり、菫と一緒に校門まで向かって歩く。
あっ…まただ。
菫がなんだか難しい顔をして、ポケットに手を入れている。
「菫?難しい顔してるみたいだけど…どうかしたの?」
「ああ、いや何でもないよ。」
そう。なら良いけど…
私はまた前を向き直して歩いた。それから
「なあ、照――」
と菫に言われかけたその時、私のケータイが震え始めた。
この震動パターンは電話の着信だ。
「あっ電話だ。ごめん、菫」
「ああ、どうぞ」
菫に謝り、ケータイを開くと画面には「咲」と、名前が表示されている。
876 :
菫→照咲5:2009/10/22(木) 09:08:26 ID:znTOmos9
大好きな妹からの電話にふわっと心が弾み、自然と顔がほころぶ。
「もしもしっ。どうしたの?」
「えっ?こっちに来てるの?」
突然の出来事に心底驚いた。校門をくぐり抜けた途端、ひょっこりと目の前に咲が現われたのだ。
そして、何が何だか分からないうちに
「今日はお姉ちゃんの誕生日だよっ。おめでとう!」と、言われプレゼントを受け取った。
ああ、そっか…。今日は私の誕生日だったっけ。
すっかり忘れていた。
さっき頭に引っ掛かっていたのはこの事だったんだ。
それにしても――
わざわざ誕生日を祝いに東京まで来てくれるなんて。
すごく嬉しいよ、咲。
「咲、ありがとう。」
私はプレゼントを抱えながら、咲の頭を撫でた。
「えへへっ」
ニコニコしながら笑う咲。
その笑顔を見ると、心がぽかぽかと暖かくなり、私も自然と口元が緩くなる。
このまま、思いっきり抱き締めてあげたいなと思ったけれど、さすがに菫が見ているからこれ以上の事はお預けだな…
そんなことを考えていると、菫も私を祝ってくれた
「照、黙ってはいたが、私も知っていたぞ。おめでとう。」
「ありがとう。菫」
「じゃあ、私はここで失礼する。」
またね、と菫を見送り私達もとりあえず家に向かって歩き始めた。
「あの…お姉ちゃん。急に来てこんなこと言うのもなんだけど――」
「ふふっ。」
言わなくてもその大きな荷物を見れば分かるよ
「今日は、うちに止まっていくんでしょ?」
「う、うんっ!大丈夫かな?」
「もちろん」
私は再度、咲の頭を撫でてからそのまま、手を繋いだ。
「お、お姉ちゃん?いつもは外で手を繋がないんじゃ…」
顔を赤くした咲がこちらを見上げてもじもじしている
「ん…。今日だけは、特別なの」
咲につられて、私も顔が熱くなる。
「お姉ちゃん、顔が真っ赤だよっ…」
「咲だって…」
あははっ――
二人で笑い合う。とても幸せな一時だ。
877 :
菫→照咲6:2009/10/22(木) 09:09:53 ID:znTOmos9
家に着き、私の部屋に荷物を置いてから居間へ移動し、食卓テーブルに目をやるとメモ置いてあった。
「照へ。誕生日おめでとう。冷蔵庫にケーキが入ってあるから、後で食べなさい。それじゃ、留守番お願いね」
お母さん…
今日は夜勤だって言っていたのに、仕事前に買いに行ってくれたんだ…
ありがとう。
明日帰ってきて咲が来てるのを見たら驚くだろうな。
「お母さん、今日いないんだね」
咲が私が持ってるメモを見て呟く
「そうだね。残念だった?」
ううん、と横に首を振る咲。
「お姉ちゃんと、二人きりになれて嬉しい…」
そう言い、腕を後ろに組み、チラッとこちらを見た。
うわ…
その余りの可愛さに胸がキューッと締め付けられ、気が付いたら私は咲を抱き締めていた。
腰に回した両手で、咲の手を握りながら…
「お姉ちゃん…大好きだよっ」
「ん…。私も。今日は来てくれて本当にありがとう」
「うんっ」
もっと、こうしていたかったけれど制服にシワが付いたらいけないと思い、私は渋々咲からそっと離れた。
続きはまた後で…。
制服を着替え終え、咲に尋ねる
「晩ご飯、何か食べたいものある?」
「うーん。特にないけど…」「うん」
「私が作っても良い?」
「ふふっ。作ってくれるの?ありがとう。咲の手料理食べるのって初めてだね」
「うん!私、いっつも学校のお弁当は自分で作ってるんだよっ。だから任せて!」
と、得意げに言う咲。
そっか、自分で作ってるんだ。
「偉いね。じゃあ、お願いしようかな」
878 :
菫→照咲7:2009/10/22(木) 09:11:18 ID:znTOmos9
早速、台所に立ち料理を開始する咲。
トントンと、まな板が鳴る音や、ジュウジュウと何かを炒めているような音が聞こえてくる。
始まってから20分程経った頃。
様子が気になって、何つくってるの?と、覗こうと台所まで行ったら、出来てからのお楽しみだよっ!と言われ、追い出されてしまった。
残念。
あっ、そう言えば…
プレゼントまだ開けてなかったな、と思い出し部屋に戻り包みを開けてみた。
「スケジュール帳かぁ…」
シンプルなデザインで、私にとって、需要のあるそれは、とても丁度良いプレゼントだった。
「お姉ちゃん!出来たよっ」
タタタッと、駆け足で咲が部屋に入ってくる。
「咲。これ、ありがとうね。早速明日から使わせてもらうね」
手帳を咲に見せながら、私は言った。
喜んでもらえたみたいで良かった、と笑う咲。
居間に戻ると、良い匂いが漂ってくる。
テーブルの上に並んでいたのはオムライスだった。
サイドメニューにサラダまで…
879 :
菫→照咲8:2009/10/22(木) 09:12:23 ID:znTOmos9
一口食べて、私は感動した。
「んっ、凄い美味しい…」
半熟に焼かれている卵が、口の中でフワッと溶けてゆく。
「えへへっ。頑張ったよ」
「うん。本当に上手。卵も綺麗に包んであるね」
お母さんは、いつも仕事の帰りが遅いから、家でご飯を食べる時は一人のことが多い。
だから私にとって、今日は久しぶりに楽しい食卓となった。
ご飯を食べおわった後は、お母さんが買ってきてくれたケーキを二人で食べた。
それから、お風呂に入り、パジャマに着替え、歯を磨き、私の部屋に戻って二人でベッドの上に座り、しばらく雑笑を楽しんだ。
「それにしても…」
「うん」
「今日は本当にびっくりしたよ。学校を出たら咲が居たんだもの。」
「えへへっ…。実は、朝早く家を出て、駅に着いたのはお昼過ぎだったんだけど、お姉ちゃんを驚かせようと思って、最初は学校の近くのお店で授業が終わるまで待つつもりだったんだ」
「うん」
「でも、学校に行く途中で道に迷っちゃって…」
「え…」
「で、地図見たり人に聞いたりしてひたすら歩いて、やっと着いた頃にはもう夕方になっちゃって…。でも、お姉ちゃんに電話したらまだ学校に居るみたいだったから、ホッとしたよぅ…」
「もう…咲ったら」
880 :
菫→照咲9:2009/10/22(木) 09:13:46 ID:znTOmos9
私に会いに来るために、わざわざ早起きして、道にまで迷って。
それでも諦めずに一生懸命歩いて、学校まで来てくれたんだ。
道に迷った時はどれだけ不安だったことだろう…
そう思うと、本当にこの子が愛しくて仕方がない。
私は咲の背中に手を回して、こちらに寄せ、ぎゅっと抱き締めた。
「わっお姉ちゃん」
「ふふっ」
咲の肩に頭をとんっと、置く
あっ…良い香り。シャンプーかな。
その匂いに包まれて、私はとても心地が良くなった。
「今日は本当にありがとうね。咲」
「いえいえっ…」
「じゃあ、もう遅いし、そろそろ寝よっか」
「うんっ」
そうして、二人で布団に潜り「おやすみ」と言い、私は咲のおでこにキスをした。
えへへっ…と照れる咲。
「お姉ちゃん。手、繋いでも良い?」
「うん…」
私達は手をキュッと握り合いながら、そのまま眠りについていった―――
以上です。最初8レスと書きましたが9レスになってしまいました。すみません。
もしかしたら咲視点も書くかもしれません。
最後までお付き合い頂いた方は、ありがとうございます。
あと、自分が書くとどうしても菫さんが報われません(^ω^;)
>>881 GJ!こういうの、好きwもっと菫さんがみたいです。
それとは関係無いんだけど国広君の一人称は僕の方が良いかな
なんかボクだとカタカナが五月蝿い気がしてきた・・・
>>882 ありがとうございます。
菫さんはどちらかと言うと好きなキャラの一人なので、また書いてみますね。
私は国広くんは「僕」のほうがしっくりきます!
連続投下で申し訳ないのですが、コーチと藤田プロの話を思い付き、ばっと書き上げたの投稿します。
誰得かもしれませんが、割と面白く書けたと思います。
エロは無しで、4レス借ります
885 :
靖子・貴子1:2009/10/22(木) 11:20:09 ID:znTOmos9
「ああ…またやってしまったな」
深夜11時。長野にある、とあるバーで名門風越女子麻雀部でコーチをしている久保貴子は、一人寂しくウィスキーをちびちびと口に流し込んでいた。
また、今日もやってしまった。
私は、短気な性格のためすぐにカッとなっては部員を怒鳴り、平手打ちをしてしまう。
そして、先程あった出来事を思い出す
「池田!ちょっと来い!」
「はっ、はいぃっ」
「てめえ、何でさっき二萬二萬・四萬・五萬・白白白・中中中・発発の手から、発を切ったんだ!」
「あ…あれはっ、吉留さんが発を一枚切ったので、多分もう発をツモることは無いと思って…中はドラで五萬は赤なので、あの手でも十分な得点…」
「ふざけるなァ!!」
「ひゃああああっい!!」
「14順目とは言え、あそこは大三元を狙うところだろうが!この根性なしがっ!!結局、あのあと16順に分堂にチートイツを上がられたんじゃねえかよ!」
バシッ!
「ひぃっ…すっ、すみません…ぅう」
886 :
靖子・貴子2:2009/10/22(木) 11:21:05 ID:znTOmos9
「池田…すまないことをしたな」
ギュウっとこぶしを握り締める
その時、突然横から誰かに話し掛けられた。
「よぉ。なーに落ち込んでるんだ?」
「っ!!あなたはっ、藤田プロ!」
「やぁ。なんだか知っている顔が見えたと思ったから来てみたんだが。やっぱり、風越の人だったか」
「あ、私はコーチの久保貴子と申します…」
彼女はふぅーっと、キセルから口を離して白い煙を吐き出した
「ん、久保さんね。よろしく」
突然の有名人の登場に、私は緊張してガチガチになる
「おいおい、そんなに堅くなるなよ」
「ああっ、すみません…」
「…で?」
「はい?」
「何を落ち込んでいたんだ?」
「あの…実は」
普段はあまりベラベラと自分のことを喋らない私だが、今は酒が入っていることもあり、今日あった出来事を洗い浚い全て話してしまった。
「なるほどね…。そういうことか」
「はい…。本当は部員を叩きたくないんですが。カッとなるとつい…」
「まぁ、暴力はあまり良くないと思うが…」
「はい…」
「お前にとって、それは愛のムチなんだろう?」
「まぁ…」
「お前なりに一生懸命にやっていることなんだから、あんまり自分を責めることも無いんじゃないの?」
「そうですか…」
「ああ。それに部員達だってきっと、お前の考えや指導の仕方を理解してくれてると思うよ」
「だと良いんですが…」
「さっ、落ち込むのはそこまでだ。今から飲み直そう。付き合ってやるよ。なっ?」
「はい。そうですね…」
887 :
靖子・貴子3:2009/10/22(木) 11:22:12 ID:znTOmos9
カチン。とグラスの音を立て、藤田プロと乾杯をした。
話を聞いてもらい、気持ちが少し楽になったこともあり、私はそこからどんどんと酒が進んだ。
そして―――
「ふじたさぁぁさ〜ん!もぅ、わたし歩けませ〜ん」
「おいおい…しっかりしてくれよ…」
「無理れす!」
「全く…酒弱いんなら最初から言えよ…。で、お前の家はどっちだ?」
「こっちれ〜す!」
「おい、着いたぞ」
「たっだいまぁ〜!私のおうち!」
「やれやれ…おい、水飲むか?」
「はぁい」
「じゃあ台所借りるぞ」
「どうぞ〜!」
「ほら、飲め」
水を飲んで、頭はまだまだボーッとしているものの、少し、正気に戻ってきた私。
ああ…何をやっているんだ…
「どうだ?少しは落ち着いたか?」
「はい…」
「そうか、なら私はこれで…」
「待って下さい!」
「なんだ?」
何で、あの時あんなことを言ってしまったのかは分からない。が、私はとんでもない事を口走ってしまった
「寂しいんです…今夜は帰らないで下さい」
「は?…正気か?」
「はい」
「やれやれ…お前、彼氏は?」
「居ません、そんなの」
「まぁ、私もそうだが。でも寂しくはないぞ」
「私は寂しいんですよ……」
「まったく。どれ…」
「んんっ!」
少々乱暴に唇を奪われた。荒々しいものの、体に快感が走る。
そして、体が熱い
そこからの事は、全く覚えていないが、次の日に目が覚めたらテーブルの上に置き手紙が。
「昨日は熱い夜だったな。まぁ、お前は覚えていないかもしれないが。気が向いたら連絡してくれ」
その文字の下にはケータイの番号と、アドレスが続いていた。
「………」
本当に、昨日のことはキスしたところまでしか覚えていないけど…
私は抱かれてしまったのか?
でも、不思議と嫌な気分はしなかった。むしろ嬉しい…。いやいや待て、しかし相手は女性だ…
私にはそんな趣味はないはずだ
でも…連絡先を残してくれたということは、とりあえず嫌われた訳ではないのだろう。
少しホッとした
888 :
靖子・貴子4:2009/10/22(木) 11:23:16 ID:znTOmos9
そして、その日の風越麻雀部では
「池田!」
「ひゃああっい!」
「お前!さっきの、昆一色、凄かったぞ!その調子だな!」
「えっ?あっ、はい…ありがとうございますっ」
「分堂!」
「はっ、はいっ」
「さっきのチートイツ、無駄な引きヅモがなくて良かったぞ!」
「あ、えっ?ありがとうございます…」
「吉留!」
「はい…!」
「相変わらず、お前の河は綺麗だな!」
「えっ…あ、ありがとうございます…」
そこには、妙にテンションの高い久保コーチの姿があった。
ヒソヒソ
「今日の久保コーチ、なんか変だし…」
「だよねぇ…。私、何で河のことなんて誉められたんだろ…」
「私なんて引きヅモに無駄がないとか、そんなのたまたまなのに、意味不明ですよ…」
「やっぱ変だし…豆腐の角に頭でも打ったのか?」
「華菜ちゃん、それは…」
―――――――――――――――
後日談。
先日、迷惑をかけてしまったことを謝罪しようと藤田プロに電話をかけた久保コーチ。
「先日はすみませんでした…」
「ああ、気にするな。それとだな…」
「はい?」
「熱い夜だったなって、書いたの。あれ嘘だから」
「ええっ?嘘だったんですかっ?」
「はははっ。残念だったか?まぁ、私はこれからそうゆう関係になっても構わないが?」
「かっ、からかわないで下さい!」
「はははっ」
藤田プロにいじられまくる、久保コーチであった。
以上です。
お目汚し失礼しました…
もし好評でしたら、次は大人の恋愛な靖子さんと貴子さんを書いてみます。
新鮮で良かった 受コーチも良いなぁ…
あ、ぶんぶんは文堂なのん。間違えないであげてw
5枚目の発で大三元狙わせるコーチ理不尽すぎww
変わった組み合わせで面白かったです
皆さんありがとうございます!
てか、文堂さん間違えてた…すみません(^ω^;)
あ、ちなみに文堂さんが上がったチートイは池田が捨てた発じゃなくて別の牌でツモらせたつもりだったんですが、麻雀の描写は書くのが苦手なんで分かりにくいですよね。
すみません。
今晩にでも続き書いてみますね
>>894 中がドラ→ドラ表示牌は発
レス返しは基本的に嫌われるのでやめた方が無難だと思いますよ
そろそろ埋まりそうですね
帰ったら埋め用のもので埋めちゃいたいので、誰かたててくれるとありがたいです
携帯じゃたてられそうにないので…
必要最低限は構わないと思うけどね
>>889 GJ!池田、コーチ好きの自分には堪らない内容でしたw
そうでしたか。気を付けます。
靖子貴子の続き作ったので投下します
中盤微エロなのでご注意下さい。
898 :
靖子・貴子5:2009/10/22(木) 19:06:22 ID:znTOmos9
ある日の夜、久保貴子の自宅にて。
コトッ
「はい、どうぞ」
「おおおっ。これはこれは…」
「おかわりもありますので、好きなだけ食べてください」
「では、遠慮なく。…おかわりっ」
「は、早いですね…」
私は、先日のお詫びを兼ね、藤田さんを家に招き、手作りのカツ丼をご馳走した。
私はこう見えても、料理はそれなりに作れるのだ。
「いやぁー。美味いな。ほんとに。もう一杯おかわり…」
「ま、まだ食べれるんですか?」
「自慢じゃないが、早食いと大食いは得意だぞ」
「そうなんですか…凄いですね…」
目の前で黙々とカツ丼を食べる藤田さん。その、あまりの食べっぷりに驚きつつも、自分が作った料理を美味しいと誉めてもらえて、とても嬉しかった。
「ごちっ!」
「あ、はい。今お茶出しますね。」
「ああ、お願いするよ」
二人でお茶をすする。
「で?」
「はい…?」
「今日、私を此処に呼んだ理由は?」
「…!それは、先日もお話したように、お詫びとカツ丼をご馳走するため…」
「本当にそれだけかな?」
「うっ…」
言葉に詰まる…
そんな私を見て、満足そうにニヤリと笑う彼女。
「ふっ。さては本当に私に抱かれたくなったか?」
耳元でそう囁かれた。
「…!」
いきなり彼女との距離が近くなり、ドキリと心臓が跳ね上がる。
899 :
靖子・貴子6:2009/10/22(木) 19:09:08 ID:znTOmos9
「くすっ。耳まで真っ赤になってるぞ?」
「か、からかわないで下さい!!」
「はははっ。悪い悪い」
「……」
「で?どうするんだ。何もしないならもう帰るぞ」
「…。あの件以来、あなたのことが気になって気になってしょうがないんです。気付いたら、いつもあなたのことを考えてしまいます…」
「ほう。嬉しいことを言ってくれるじゃないか。」
「つまり、私のことが好きだと」
「ええ」
「そうみたいです…」
「よし、分かった。なら問題は無いな。電気消すぞ」
パッと部屋の明かりが落ちる。
「わっ!そんな、急に…」
「何か問題でも?」
「い、いえ…」
駄目だ。普段強気な私でも、この人だけにはどうにも逆らえる気がしない。
「おいで、貴子」
「はい…」
急に下の名前で呼ばれ、なんだか嬉しいような、恥ずかしいような…
「ふわぁっ…」
耳をくわえられて、恥ずかしい声が漏れてしまう…
「なかなか可愛い声だな」
ふふふ、と彼女は笑い、更に首筋から耳元まで舌で舐められる
「ふわぁ…っ」
そして、されるがままに服を脱がされ体を凝視された。
「あ、あんまり見ないで下さい…」
「いや…。意外に胸が大きいと思ってね」
こりゃ驚いたと言わんばかりに、胸を突かれたり揉まれたりと、遊ばれる。
「くぅっ…」
「んはぁっ」
上半身ばかり攻められて、私の下腹部は早く構ってもらいたいと、うずき始める。
900 :
靖子・貴子7:2009/10/22(木) 19:11:26 ID:znTOmos9
「っ、藤田さん…そろそろ…」
「ん?何がそろそろなんだ?ちゃんと言わないと分からないなぁ。」
うっ。さすが女王様タイプ…。焦らす気ですか…
「っ…。わ、私をイかせて下さい…」
「はい、よく言えました〜」
いいだろう、と言い彼女の手が下腹部へと侵入してくる。
やがて、私は果てた。
「くすっ。楽しかったな」
じゃあ、またな。そう言い残して彼女は家から出ていった。
「ふぅ…」
まだ、体が火照っている。あんなに熱い夜は久しぶりだった…
翌日の風越麻雀部
「池田ぁ…」
「はいっ」
「部活、楽しいか?」
「た、楽しいです!」
「そっか。私も楽しいぞぉ!池田ぁぁぁ!」
「おい、深堀」
「はい…」
「世の中には、ふくよかな体系を好むヤツも居る。お前も諦めずに頑張れ。応援するぞぉおお!!」
「はぁ…」
「吉留…」
「はい、なんでしょうコーチ…」
「これからは眼鏡の時代だ!だから頑張れぇええ!!」
「ええっ?はい、ありがとうございます…」
ヒソヒソ
「今日も何だかコーチの様子が変だし…」
「眼鏡の時代とか、急にどうしたんだろう…」
「私、さりげなく酷いことを言われた気がする」
終わり
1日に何度もすみませんが、池田と国広くんを書いたので投下。
エロなしで3レス使います
加治木先輩と蒲鉾のニッチ産業ss。二年生時の話なのでモモとかおりんはでません。
百合未満な雰囲気かも。苦手な人はNGしてください。
基本的にはかじゅモモ好きですが、愛情一辺倒な感じのかじゅモモと比べて、多分に友情的な要素を含むこの二人も大好きです。
タイトルは弓張月は蒲鉾型。弓がかじゅ。月がむっきー。蒲鉾は蒲鉾。
三人は仲良しだといいですね。
麻雀卓すらなくて。部員だって全然足りなくて。
部活だと胸を張って言えるようなところなんて何一つなかった。
キミと私と可愛い後輩。
貸してもらったボロボロのパソコンをネットに繋げて、かわりばんこに麻雀をした。
たったそれだけ。
それだけが私たちのちっぽけな麻雀部だった。
ーーーーーーーー
「うーっ。今年も大会には出られそうにないなぁ。」
いつもみたいにワハハと笑う元気などなくて、私はぐでーっと机に突っ伏した。
けれどそれでも、一年前はたったの二人きりだった麻雀部にも、やっとこさ可愛い後輩ができたのだ。。
いや、私たちが二年にならなければ後輩なんてできるはずもないのだから、やっとこさというのもおかしな話なのだけれど。
「腐るなよ蒲原。出たいのなら個人戦にでても構わないぞ?」
何度やったか分からないやりとり。
答えはいつも決まっていて、もしかしたらユミちんもそれを分かってて確認しているのかもしれない。
「連れないこと言うなよなぁ。一年一緒にやってきたってのに…大会に出るのは一緒に団体戦にって約束しただろー?」
頬を膨らませて、少しだけ怒った顔をつくると、ユミちんは満足そうにふふっと笑った。
むーっ!!やっぱり私を試してたなぁ!!
ぷいっとそっぽをむいてやると、ユミちんはあわあわと謝ってくる。
そこまで合わせていつものやりとり。
この後は私が寛大にユミちんを許してあげるのだ。
「あーっ!!また振り込んだ…。」
しかし、今回はいつもとは勝手が違った。
知らず知らずのうちに、私もユミちんも頬を緩めて彼女に目をやってしまう。
まだぴかぴかのブレザーに身を包んだ、ポニーテールの女の子。
一週間前にやっと手に入れた新入部員。
私は彼女のことをむっきーと、ユミちんは睦月と呼んでいた。
ルールすら知らなくて、この一週間でなんとか役だけは詰め込んだ。
平和なんかは大雑把に教えたから、実際とは少し違ったりもするのだけれど…。
それでも頑張りやさんのむっきーは、一通りの役は覚えきった。
というわけで、むっきーも今日からめでたくネット麻雀デビュー。
ビギナーズラックで、もしかしたら勝っちゃうかも、と期待していたりしたのだ
けれど、ちらりと覗き見た成績は4位率がまた少しだけ上がっていた。
「先輩…助けてくださぁい。」
むっきーが涙目で助けを求める声。
とてとてと駆け寄った先は、やっぱりユミちんの方。
ユミちんもなんだか緊張しているみたいで、カチカチになりながら指導をしている。
けど、まだむっきーには少し早いんじゃないかなぁ?
私としては最初は伸び伸び打って、麻雀を楽しんでくれたらいいなと思っている。
それはユミちんも同じ考えらしくて、まずは自由に打ってみろ、と笑うのだった。
905 :
華菜・一 1:2009/10/22(木) 21:55:48 ID:znTOmos9
あたし、池田華菜。高校二年生。
今日は部活が休みなので、両親の代わりに保育園に妹達を迎えに行くことに。
家に帰る途中には小さな公園がある。
その公園の横を通過しようとしたその時…
「公園だし!」
「ブランコ空いてるし!」
「おねーちゃん、遊びたいし!」
「ええー?ちょっとだけだぞ?」
「うわーい!」
「やったし!」
「ブランコ乗るし!」
ああ…やれやれ…。
遊び盛りの妹達は公園の遊具が大好きみたいで、私が了承の返事をした途端に、タタタッと走って行ってそれぞれ遊び始めた。
「はぁ…ちょっとだけとは言ったものの、あの様子じゃ一時間はかかりそうだなあ…」
制服を着たままだから、あたしは早く帰りたいのに…
「ついてないし…」
ガックリと、ため息をつきベンチに腰をかけ、ぼーっとする。
そしてふと、先日行われた県予選のことを思い出す
2年連続で名門風越の伝統に泥を塗ってしまったあのことを。
「みんなの全国への夢があたしのせいで…」
「はぁ…」
あれこれ思い出せば思い出すほど、どんどん辛くなってくる…
あ、やばい。また涙が出てきそうだし…
「うう…」
そんな時、突然誰かに声をかけられた
「おいっ!お前は風越の大将ではないか」
「にゃ…?」
顔を上げると、つい先日戦ったばかりの人物が…
「あっ、龍門渕の天江衣!」
それともう一人。
ええ、とこの人は…
「やぁ、久しぶり。僕は中堅の国広一だよ。よろしくね池田さん」
「あ、そうそう国広さんだ!よろしくっ」
けれど、多分の話だけど、むっきーはユミちんと話したかったんじゃないかなぁ。
むっきーの頬は僅かに桜色に染まっていて、まるで逆上せたみたいだった。
ユミちんは本当によくモテる。
表情なんてキリッとしていて、背丈だってちんちくりんの私と違ってすらっとしている。
帰宅するときなど、すれ違った後輩たちがキャーキャーと黄色い歓声をあげるし…。
それに悔しいことに、あれでいてでているとこはでているのだ。
なんだこれ。不公平じゃないか…少し揉ませろ!!
「不公平じゃないかぁ!!」
叫びながら立ち上がった私に、二人から視線が突き刺さる。
いや、これは…
「私も!むっきー!欲しい!独占!ダメ、絶対!!」
絞り出した言葉はなぜだか片言になった。
少しだけの誤魔化しと、少しだけの本音。
先ほどまで考えていたことと、口にだしたことは違ったけれど、それもまた本音だった。
初めての後輩。ピカピカの一年生。
可愛くないはずがなくて、私もユミちんもほんとは猫かわいがりしたいのだ。
はぁ、と困ったような表情をむっきーがつくる。
ユミちんも呆れたようにポリポリと鼻の頭をかいていた。
「蒲原…睦月が怖がるだろう。」
ぽんぽんと子供でもあやすように頭を撫でられて、私はムッとした顔を作るのだけれど、気を抜くとふにゃあと力が抜けてしまう。
だってだってと反論しようと思ったのに、言葉は出てこなかった。
せめてもの抵抗として、顔をぷいっとそらして無視をするけれど、ユミちんたちにはそんなこと関係ないみたいだった。
ーーーーーーーー
「お疲れ様でしたー!!」
「ワハハ。おつかれー。」
「お疲れ様。」
むっきーの元気な声が響く。
夕日が空をオレンジ色に染め上げるころ。
それぐらいには部活は終わらせて、むっきーを帰宅させることにしている。
だからほら。これからはまた二人きり…
「ほんとにそろそろパソコンほしいねー。せめてあと一台はないと…。」
というのも、我が部の逼迫さが原因だった。
今までは二人だったから、パソコン一台でもなんとかなった。
けれど、さすがに3人で回すのにパソコン一台では時間が足りなすぎる。
それにむっきーには今はできるだけ打ってもらいたいしね。
だから、私たちは部活が終わったあと、居残ってパソコンを使うことにしたのだった。
「あぁ。校内ランで勧誘をするならばあと2台は必要だ…パソコン教室を借りてもいいが、そう毎日だとパソコン部に煙たがられるだろうしな。」
うーん、とユミちんも難しそうな顔をしている。
パソコンは高すぎる。雀の涙ほどの部費では手が届くはずもなかった。
「一台ならなんとか融通がきくかもしれないが…もう一台となると。」
バイトでもするか?
ユミちんはそうつなげて言葉をしめた。
被ったorz
908 :
華菜・一 2:2009/10/22(木) 21:57:04 ID:znTOmos9
「おおっ!あそこで遊んでるのはお前の妹かっ?衣も遊ぶぞーっ」
「ちょっとだけだよー、衣」「うむっ」
にゃ…?
天江が妹達に交ざって、キャッキャと遊び始めたしっ
驚いてそのまま天江の様子を観察する。
あいつ、お子様だし…
「あははっ。衣は僕たちと同じ高校二年生だけど、中身はあの子たちと同じくらい幼いからね。」
と、国広が言う。
「隣、良いかな?」
「あっどうぞ…」
あたしは、少し体をずらして隣にスペースをつくってあげた。
「君は今日何してたの?」
国広が尋ねる。
「今日は部活が休みだったから保育園に妹を迎えに行って、今はその帰り」
「そっか、妹さんの面倒を見てあげてるんだね。偉いなぁ」
「いやいやぁ。そんなことないし…国広さんは?」
「僕は、衣が急に外に遊びに行きたいって言いだしたから、その付き添いだよ」
「んっ?天江とは一緒に住んでるのかっ?」
「ああ、実はそうなんだ。僕は透華の専属メイドとして、龍門渕家に住み込みで働いてるんだ。衣も一緒に住んでいるから、それで今日は一緒についてきたわけ」
にゃ、にゃんだって?
住み込み?メイドっ?!
あまりにも未知な世界過ぎて、あたしの脳内はハテナマークでいっぱいに…
「あははっ」
という国広の声にハッとして我に返る。
「まぁ、急にこんな話をしても驚くよねっ」
「う、うん…何がなんだかさっぱり…」
「僕はね…」
そこから色々な話を聞いた。中学生の時に龍門渕家に引き取られ、天江と麻雀で戦わされて、負けてそのままメイドになったことや、普段はお屋敷でそのメイドの仕事をしていること。
天江のお世話も仕事の一つだということ…
「な、なんだか凄いな…」
「そんなことないよ」
いやいや…
まだ中学生なのに、家族と離れて住み込みで働くとか、あたしには絶対に考えられないし…
とても同い年とは思えない、芯の強い子だなと思った
「そういえば君…」
「んっ?」
「僕にはさっき、君が落ち込んでいたように見えたけど気のせいかな…?」
「あ…それは」
909 :
華菜・一3:2009/10/22(木) 22:01:51 ID:znTOmos9
私にとってこの子は敵だけど、何だかこの子には話を聞いてもらいたくなり、落ち込んでいた理由を全て話してしまった。
「そっかぁ」
「うん…」
「まぁ、敵だった僕が言うのもなんだけど、衣は不思議な力を持っているからね」
「確かに…」
あのハイテイの出現数は異常だった。
「でも、衣も麻雀の時は少し性格が悪くなることもあるけれど普段はあんな感じに無邪気に遊ぶ、普通の女の子なんだ」
「子供みたいだし…」
「あははっ、そうだね」
あたし達は笑い合った。
その時、すっと手に温かい何かが触れる。
「にゃっ?!」
見ると、国広が私の手の上に手を重ねていた。
そして、少し上目遣いになりこう言う。
「だから、元気だしてっ。ね?」
「ひゃっはいっっ!!」
見事に声が裏返った。
にゅあああっ!こいつ、可愛いしっ…
そして心臓がばくばくうるさいし…!
止まってくれえ…
にゃはははは…
今の華菜ちゃんは放心状態だにゃあ…
「おい、風越!」
にゃっ?
呼ばれて我に返る。
「衣は、この妹達と友達になった。また遊ばせてもらえるか?」
「お姉ちゃん!」
「この人とお友達になったしっ」
「また遊ぶしっ」
「あははっ。いつの間にかすっかり仲良くなったみたいだね。迷惑じゃなかったら、また遊ばせてもらえるかな?」
「お、お安いごようだし!」
「そっか、ありがとう。じゃあ君の連絡先、教えてもらっても良い?」
「よっ喜んで!」
「またなー!風越ーっ」
「またね、池田さん」
あたし達はあの二人と別れの挨拶をし、再び家に向かって歩きだした。
そして、国広とお喋りをしていたら、一時間はあっという間に過ぎていた。
楽しかったなぁー
自然と顔がほころぶ
「お姉ちゃん何笑ってるの」
「変だし」
「気持ち悪いしっ」
いつもなら、言われたらカチンとくる言葉だけど、今の華菜ちゃんは何を言われても平気だしっ
「家に着いたら国広にメール送ってみようかな」
きゃうう。楽しみになってきたし!
「おい、おまえらっ家まで競争するぞ!」
よーい、どん!
「ええぇー?」
「待ってよお姉ちゃん!」
「早いし!」
にゃはははっ
あたしは夢中で走りまくった。
910 :
名無しさん@秘密の花園:2009/10/22(木) 22:09:06 ID:znTOmos9
以上です。
>>907 すみません、被っちゃいましたね…
リアルタイムで読ませてもらってますが、面白いです!
スレの終盤、連続ですみませんが、かなりマイナーな南浦さん×むっきーを投下します。
この二人はなんとなく似ている気がするので個人的に好きな組み合わせです。
お互いが、どきまぎとして慌てふためく姿を書いてみたくなりました
912 :
数絵・睦月1:2009/10/23(金) 00:21:32 ID:pZrmx+Lf
学校の授業が終わり、帰宅途中の電車の中で私は本を読んでいた。
それは、よくある単純なラブストーリーだ。
でも、単純な話だからこそ物語の中にすんなりと深く入り込んでいける。
ふぅ…本を閉じ、感傷に浸った。
こんな恋がしてみたいな。
生まれてから、一度も恋というものを体験したことが無い私。
きっと本に書いてあるように、ほろ苦くて心がくすぐったくなり、辛くもあり楽しいものなのだろう。
正面の電車の窓ガラスを見ると、ぽぅっと頬が赤くなている自分が映っていた。
私が降りる駅の六つ前の駅に着き、ガラガラと電車のドアが開かれ、乗客が出入りし、電車はまたゆっくりと動きだす
さてと…続きを読もうかな。そう思い再び本を開こうとしたその時、私を呼ぶ声が聞こえた。
「南浦さん…?」
ふと顔を上げると、艶やかな髪色。そして私と同じくポニーテールに結っている、高校生が私の目の前に立っていた。
あれ、この方…どこかで見たことあるような…
だが、急には思い出せない。
「あの…失礼ですが、どなたでしょうか?」
「あっ、すみません。麻雀の個人戦で一度だけ対局したのですが…。津山睦月と申します」
「ああ、そういえば…お会いしましたね。お久しぶりです。」
「こちらこそ。隣、宜しいですか?」
「ええ、どうぞ」
チラッと目線を横に向ける。
うわ…肌も白いし、美人さんですね…。
「…?どうかしましたか」
「あっ、いいえ。何でもありません」
「そうですか」
はぁ…駄目だなぁ。
どうにも人を話をするのが苦手です。会話が全く続きません…
「南浦さんは、麻雀は毎日打っているんですか?」
「いいえ。私が通っている学校には麻雀部は無いんですよ。なので、時々家でお爺様とその友人達と一緒に打つくらいなんです」
「そうなんですか…南浦さん、お強いのに毎日出来ないのは勿体ないですね」
「お強いだなんて、そんな…」
「いやいや。とても強かったですよ。個人戦では途中、二位までランキングを上げていたじゃないですか!」
バッと、勢い良くこちらを向き私の目をしっかりと捕らえながら熱心な顔で、そういう彼女。
「…!」
913 :
数絵・睦月2:
その、あまりにも真剣な表情を見て、言葉に詰まる。彼女の言ったことはお世辞なんかじゃない。
そう考えると、凄く嬉しくなった。
そして、何故だか胸がトクンと高鳴る
「ありがとうございますっ」自然と笑顔になれた私は素直にお礼を言うことが出来た。
「…!あっ、いや…その…」
?
どうしたんでしょう…。
さっきまでとは違い、急に口籠もる津山さん。
しかも、何故かそっぽを向いてしまった。
「あの…どうかされましたか?」
「いや、何でも無いです…っ」
そう言うと、顔を正面に戻してくれた。
気のせいだろうか、少し顔が赤くなっているようにも見えますが…
「南浦さんは、ネット麻雀はやりますか?」
「ネットですか…」
「ええ」
「家にパソコンはあるのですが、使い方がちょっと分からなくて…。やってみたいなとは思うんですが…」
「そうなんですかっ」
「え…はい…」
また、勢い良くこちらを向く彼女に圧倒される
「私、こう見えてもパソコン操作は得意なんですよ!良かったら、今度一緒に練習しましょうよっ。だいたいのことは教えられると思いますし!」
「え…良いんですか?」
「もちろんっ」
思いもよらない返答に戸惑いつつも、じゃあお願いしますと、私達は連絡先を交換した。
そして、気が付いたら電車は私が降りる駅に到着してしまった。
今別れるのは少し名残惜しいですが、仕方がないですね…
「では、私はここで失礼します。今日はありがとうございました」
「こちらこそ。近いうちに連絡しますねっ」
「はい」
ガラガラ――
電車から降り、ゆっくりと動きだすのを横目で見送った。
「津山睦月さん、か」
ボソッと彼女の名前を口に出してみる。
こんな無愛想な私に気さくに話し掛けてくれるなんて。
「優しい人ですね…」
今日は何だか良い日だったな。
私は胸を弾ませながら、家と向かい歩きだした――