ストライクウィッチーズでレズ百合萌えpart19

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1名無しさん@ローカルルール変更議論中
守りたいから私は飛ぶ!!パンツじゃないから恥ずかしくないもん!

●スタッフ
監督・アニメキャラデザイン:高村和宏     キャラクターデザイン原案:島田フミカネ
シリーズ構成:ストライカーユニット        助監督:八谷賢一
世界観設定・軍事考証:鈴木貴昭        メカデザイン・メカ総作監:寺尾洋之
キャラクター総作監:山川宏治・平田雄三   美術監督:小倉宏昌(小倉工房)
美術設定:松本浩樹(スタジオイースター)    カラーデザイン:甲斐けいこ・池田ひとみ
3D監督:下山博嗣                  撮影監督:江間常高
編集:三嶋章紀                   音響監督:吉田知弘
音響制作:楽音舎                  音楽:長岡成貢
音楽制作:コロムビアミュージックエンタテインメント
アニメーション制作:GONZO
原作:島田フミカネ&Projekt Kagonish(プロイエクト カーゴニッシュ)

●キャスト
宮藤芳佳(みやふじ よしか):福圓美里     坂本美緒(さかもと みお):千葉紗子
ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ:田中理恵   リネット・ビショップ:名塚佳織
ペリーヌ・クロステルマン:沢城みゆき      エーリカ・ハルトマン:野川さくら
ゲルトルート・バルクホルン:園崎未恵     フランチェスカ・ルッキーニ:斎藤千和
シャーロット・E・イェーガー:小清水亜美    エイラ・イルマタル・ユーティライネン:仲井絵里香
サーニャ・V・リトヴャク:門脇舞以

●放送局
※放送は終了しました

●関連サイト
公式サイト:http://s-witch.cute.or.jp/
まとめwiki:http://www37.atwiki.jp/strike_witches/
人物呼称表:http://www37.atwiki.jp/strike_witches/pages/50.html
百合SSまとめサイト:http://lilystrikewitches.web.fc2.com/

●次スレ
次スレは>>970or480KB超を目安に、臨機応変に立てて下さい。
必要な事前準備等があれば、>>920or450KB超を目安にして下さい。

●前スレ
ストライクウィッチーズでレズ百合萌えpart18
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1232190766/
2名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/29(木) 18:10:40 ID:dQflEljG
Q.○○書いたんですけど投下してもいいですか?

A.どうぞ、ぜひ投下してください。
条件は「ストライクウィッチーズ」関連であること、
「百合」であることの二つのみです。
ジャンル、エロの有無、本編にないカップリングなどに関係なく、
このスレの住人はおいしく頂いております。
妄想だとか落書きだとか気にせずとにかく投下してみましょう。

ただし、SS専用スレではないので20レスを超えるような長編は事前に断りがあると吉です。
3名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/29(木) 18:11:11 ID:dQflEljG
──リレーSSの手引き──

★基本ルール
○始める時は、リレーSSであることを宣言する。
○続ける人は宣言は不要だが、一行目に継承元の安価をつける。
○ただし、結末を書く場合は「次で終わっていいですか?」と訊いておく。
○継承先は指定できない。誰かが早い者勝ちで続きを書く。
○ただし自分自身の続きは書かない。最低2人は挟んでから。
○2レス以上にまたがらない。1レスでクールに。
○重複したら先に書いた方を優先する。
○作者名は名前欄に入れる。名無し希望は未入力でも可。
○リレー進行中は他のリレーは開始しない。
○もちろん普通のSSは、リレーの状況に関わらずどんどん投下してください。

★本文と書式
○語り手や文調はできるだけ継承する。唐突な視点変更は避ける。
○誤解を招きやすいため、科白にはキャラの名前をつける。(例:芳佳「おっぱい」)
○後に文が続く事を意識して、できるだけ色々な取り方ができる終わり方にする。
○「駄文失礼〜」「お目汚し〜」等の前書きやあとがきはナンセンスなので付けない。

★心構えと方針
○無理して面白くしようとしない。ナチュラルに妄想を爆発させるべし。
○不本意なカプの流れになっても泣かない。むしろ目覚めるべし。
○展開を強要したり口を挟まない。流れに身を委ねるべし。
○なかなか続きが来なくても焦らない。気長に有志を待つべし。
○多少の誤字脱字、設定違反、日本語おかしい文章には目を瞑る。スルーすべし。
○参加者はみな平等。新兵もエースもリレー主も一切特権はない。仲良くすべし。
○男はいらねえんだよ!ふたなりネタも自重すべし。
4名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/29(木) 18:14:58 ID:wKTxNNyS
乙!
>>1ヲモットホメロー
5名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/29(木) 18:18:34 ID:QZDKeNDs
>>1
ここだけが俺のオアシス
6名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/29(木) 18:42:16 ID:s+jjnokm
第1手 手をつなぐ
第2手 夜が怖くて飛べないから手を繋ぐ
第3手 運命線重ねる
第4手 指をからめる
第5手 腕を組む
第6手 膝枕
第7手 膝枕・顔の向きが逆
第8手 耳かき
第9手 乳を揉む
第10手 ハグ・通常
第11手 ハグ・後ろから抱きしめる
第12手 ハグ・胸の中に頭を抱え込む
第13手 お姫様抱っこ
第14手 おんぶ
第15手 おんぶ・背中へ一方的にのしかかる
第16手 目隠しだーれだ?
第17手 熱いまなざし・じっと見つめる
第18手 熱いまなざし・お互いに見つめあう
第19手 ほおずり
第20手 耳はむはむ
第21手 キス・唇に
第22手 キス・おでこに
第23手 キス・頬に
第24手 キス・ふとももに
第25手 キス・首に
第26手 キス・手に
第27手 くっつく・背中に寄り添う
第28手 くっつく・二人用ストライカーで
第29手 肩にもたれる
第30手 睦言・近距離で
第31手 睦言・遠距離で
第32手 頭をなでる
第33手 髪をいじる
第34手 手料理
第35手 「はい、あーん」年上から年下へ
第36手 「はい、あーん」 上官から部下へ
第37手 両端から食べる
第38手 ラブレター
第39手 プレゼント
第40手 ネクタイを結ぶ
第41手 二人で夜間哨戒
第42手 お買い物
第43手 浜辺でおいかけっこ
第44手 いっしょにお風呂
第45手 添い寝
第46手 くすぐる
第47手 のろける
第48手 やきもち

7名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/29(木) 18:44:28 ID:s+jjnokm
>>1おつダナ
8名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/29(木) 19:53:47 ID:yVaTrkFx
9名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/29(木) 20:31:50 ID:byMbuBii
  ____/ ̄ ̄  
          / │ ̄\__     ゴゴゴ・・・
            /  
  
  
        ..     、      ,_    
        ̄\_/ ̄ ̄\/ ̄     ゴゴゴゴゴゴ・・・
    ___/ ̄へ√⌒l⌒´ ̄ ̄\_ 
    ´        /   \ 


          ,' ./ ! ',.  メ、
         | .i ./    ',イ ハ i    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      __  / ー-- ι ナ\|   <  1乙ダナ
        \| ●    ● ハ rへ,ノ \_____
   __>-へ/ uxx   ' xx }ノ-ト ヽ :.\_ 
      .:/从 ト   △ _ノ。 /:.ノ从rーヘ_ ゴゴゴゴゴゴ・・
    _::ノ    :ノ`⌒Y⌒´::  \ 
          .::┘   :│   ゚ 
10名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/29(木) 20:34:05 ID:byMbuBii
まさかの安価失敗……
あらためて>>1
11名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/29(木) 20:35:21 ID:GfRlqm15
          __
       ,.=, ´:::::::::::`::>=、- 、
     ,ィ´;;;;ノ:::::::::::::::::::::!:::::::ヽ;;!
    /;;;;;;;;/::/:::::::;イ::/ハ!;:::::::ヘ;!
.  /;;;;;;;;;;;/::/:;イ:/ ,イ::l! ! V:::::!;;l
   |;;;;;;;;;;<::イ:/j/Tt- Vl ィTVV;;;!
   ヽ ノ .Y|ハ Vリ  `' lリ lノ `
       ゝ=-、  _   ノ
      , ィノ _ヘ>- <
     //  ハ: :ゝ-Y-'^.i
     ヾ=-' l: : i:. ̄ハ:):l
      _((┃))  _i | キュッキュッ
   .. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄(,,ノ \
   /  /______ヽ..  \
   . ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.      ヾニハ: : : :A: : :.!
        l! !: : /L!V: :!
        l  l :/  ', ヽ:l
        l  レ   ',. `!
        L /.     ',=.l
        ヒ/       Vリ


          __
       ,.=, ´:::::::::::`::>=、- 、
     ,ィ´;;;;ノ:::::::::::::::::::::!:::::::ヽ;;!
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   ヽ ノ .Y|ハ Vリ  `' lリ lノ `
       ゝ=-、  _   ノ
      , ィノ _ヘ>- <
     //  ハ: :ゝ-Y-'^.i
     ヾ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |  トン
     (,,)   >>1     (,,)_
   .. /|    にちゃ   |\
   /  |________|  \
   . ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
.      ヾニハ: : : :A: : :.!
        l! !: : /L!V: :!
        l  l :/  ', ヽ:l
        l  レ   ',. `!
        L /.     ',=.l
        ヒ/       Vリ
12名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/29(木) 20:47:42 ID:F+pPu9FV
>>9
なんじゃこのAAは
13名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/29(木) 20:54:56 ID:9P248IyU
      ,▲ -―▲ 、__
    /  /     ヽ 
   / , /ィ人  /ヽヽ  ヽー-、ノ
  _ヽヽ{ ┰-ヽ ┰-、! :ハ〉 、ヽ_     ドジュウウウ
 /三 と人"" -  "" レ'__スヽヘノ}¨ヽ
 囮ヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱヱ囮
 囮災炎災炎炙災炒炎災灸災炭囮
 ◎┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴◎

いちおつです・・・
14名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/29(木) 21:18:25 ID:Zi6oq92B
焼きサニャ座…ッ!
15名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 06:37:22 ID:lgC+1UpB
美味しそう
16名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 07:02:02 ID:i7VPOfVo
>>1


>>14
自分はサーニャのやきもちと解釈した
17名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 08:40:54 ID:8uFzvmV0
それだ!
18名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 08:58:36 ID:zHbZfrEe
だれうま
19名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 09:31:47 ID:wftJ6uj1
本当に今日だけいう気持ちで胸がいっぱいなら、どこであれキョウダケダカンナーはできる。
20名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 10:47:58 ID:heMl7cfg
どう見てもエイラは今日だけと思っていません、本当にありがとうございました。
21名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 11:21:59 ID:Qj5qA4oA
サーニャが物影から見てるゾ!サーニャがこっそりついてくるゾ!
22名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 11:26:00 ID:cVd3UHh1
>>1
スレ立て乙です。
48手の第33手「髪をいじる」いきます。
ペリ支援でエーリカ×ペリーヌです。8話のミーナの歌の前あたり。
ちょい長いです。本当は前スレの埋めにと思ってたんですが。
5レスの予定。


「おい、棘だらけ」
 鏡台の前にある椅子の背もたれをぽんぽんと叩きながら、ハルトマン中尉は言った。
 呼ばれている――そう理解しながらもわたくしは無視を決めこむ。
 わたくしの名前のどこにも“棘だらけ”なんて言葉は入っていない。
 だから、返事をするいわれなんてない。
「棘だらけってば」
「…………」
「棘だらけ、おーい」
「…………」
「聞こえてないのか棘だらけ」
「なんですの!?」
 なんなのです、さっきから。人を棘だらけ棘だらけと。
 呼んでいるなら、ちゃんと名前を言いなさい。あまりに無礼ではありませんこと。
 だいいち、別にわたくしは棘だらけなんかじゃありません。決して。
 早口にそうまくしたててやりそうになった。
「なんだ聞こえてるんじゃん」
 が、そうするより前にハルトマン中尉がぽつりつぶやく。
 そこで気がそがれてしまった。
 返事をしたということはつまり、自分が棘だらけだということを認めてしまったということではないのか。
 わたくしは苦虫を噛み潰した。
「座って、ペリーヌ」
 ハルトマン中尉はわたくしの名前を呼んで、言った。
 “棘だらけ”ではなくて。
 当分の間、延々と呼ばれ続けると思っていただけに、かるく拍子抜けのようなものを感じてしまう。
 もう飽きたのか。あるいは逆に、今回の方が気まぐれなのかもしれない。
 思案するも、なぜ変わったのかはわからない。まあどうでもいい。
 彼女の頭のなかなんてわかるわけがない。
 ぽんぽん、とハルトマン中尉は急かすように椅子の背もたれを叩いた。
 座って、と言うのはその椅子にということなのだろう。
「わたくしが? どうして?」
 まあ今回は名前で呼ばれたのだから、応じても問題はない。
「髪の毛ぼさぼさでしょ。私が直したげる」
23名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 11:28:48 ID:cVd3UHh1
「お断りですわ」
 わたくしは一音一音を区切るようにはっきり言い切った。
 断固として拒否。遠慮とかそういう風に受け取られてはかなわない。
 たしかに先ほどの戦闘で電撃を使ったせいで、今わたくしの髪は乱れている。
 けれど、女の命である髪を軽々しく人に触らせるなんてとんでもない。
 しかもその相手がハルトマン中尉とあれば、ロマーニャのガキンチョやスオムスのアイツと並ぶ要注意人物ではないか。
 なにかたくらんでいるように思えるし、そうでなくてもありがた迷惑だ。
 空でならいざ知らず、地面の上のハルトマン中尉に任せるなんて気になろうはずがない。
「えー、なんで?」
 心底不思議そうにハルトマン中尉は訊いてくる。
「当たり前でしょ。そんなこと」
「わかんない。なんで?」
「あなたになんて任せられるはずないでしょう」
 わたくしは言った。言ってやった。
 ――けれど、彼女は意に介さず、なおもわからないといった表情をわたくしに見せる。
「とにかく、お断りですわ」
 わたくしは言い終わらぬうちにきびすを返し、とにかく彼女から離れることにした。
 離れようとしたのだった。
 けれど、わたくしの手首を掴む手がそれをさせてくれなかった。
 その手はハルトマン中尉だ。ぐい、と強く引っ張られる。
「棘だらけ」
 ハルトマン中尉はそう一言。また“棘だらけ”に戻っている。
 そして強引に手を引かれるまま、わたくしは無理矢理椅子に座らされた。
 立ち上がろうにもわたくしの肩に彼女は手をのせ、それに力をこめてくる。
 後ろに立つハルトマン中尉が満足そうに笑ったのが、鏡に映って見えた。

 ハルトマン中尉はブラシを手に取り、わたくしの髪を梳いていった。
 もし少しでも髪を粗野にでも扱おうものなら暴れてやる。
 そう心に決めていたわたくしだけど、どうやらその必要はないようだった。
 大切にされているのが伝わってくる。
 ブラシをかける動きの一回一回が丁寧で、髪を取る手もなんだかやさしい。
 なんだかそれは手慣れているようにさえ思える。
 非常に不可解なことだが、あのハルトマン中尉がだ。
 伸びた前髪が目に入ってきてうざいからと、鏡も見ずに自分で切ってしまうような、
 その結果どう見ても失敗してしまってるのに、本人はまったく気にしなかったという逸話のある、
(それ以来、彼女の髪はバルクホルン大尉が切ることになった)
 そんな身だしなみなんて概念とは無縁のハルトマン中尉が、である。
24名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 11:31:08 ID:cVd3UHh1
「どうかした?」
 怪訝な視線を鏡に映る彼女に向けていたわたくしに気づき、ハルトマン中尉は訊いてくる。
 鏡像の彼女と目と目があい、わたくしは顔をそむけてしまった。
「慣れていらっしゃるようなので」
「意外?」
「ええ。とっても」
 皮肉をこめて言ってやる。
 最初は髪に手を触れられるというだけで強い拒絶感を覚えたけれど、今はそんなことはない。
 どうやらそれはすっかり杞憂だったようだ。

「私、妹がいてね、昔はよくこうして髪をいじりあいっこしたんだ」
 ハルトマン中尉は手を動かしながら、そう話しかけてくる。
「妹が?」
「そ。双子の妹」
 その表情は昔を懐かしんでいるようで、なんだかそれはわたくしの目に儚く映った。
 わたくしの髪を直すなんて言い出したのも、そこからきたものなのかもしれない。
 しかしそれはしばらくすると、口元をぎゅっと結んだむずかしいものに変わった。
 髪を梳く手が止まった。
 そうしてハルトマン中尉はそのまま押し黙ってしまう。
 その妹さんは――?
 わたくしはそう訊いてみたい衝動にかられた。
 でも、と思う。
 それはわたくしの踏み入っていい領域でない。そんな風に思われた。
 だからわたくしには、推し量ることしかできない。
 他になにか、わたくしから言うべきなのだろうか。たとえば話題を変えるような話を。
 けれど、それは浮かんではこない。そんな言葉をわたくしは持っていない。
 共に無言の、静かな時間だった。
 わたくしは息苦しさを感じた。

「まあウーシュはこんなに髪が長くないけどね」
 先に口を開いたのはハルトマン中尉だった。でもその表情は已然としてむずかしいままだ。
「あー、またウーシュの髪の毛いじくりたいなぁ」
 そう言ってまた、髪を梳くのに戻った。
 それを聞いてわたくしは胸を撫で下ろした。
 うつむいていた顔をあげると、鏡に映るハルトマン中尉と視線が結ばれた。
「生きてるよ」
 と彼女は言った。
 わたくしの考えていたことが察せられていたのだ。
「でもね、いろいろむつかしいんだ私たち」
 なんだか長い話を聞かされるはめになりそうだ。そんな予感がした。
 でもわたくしには愚痴なんて聞いてやる趣味はない。
 髪を触らせてあげているのだ。その上、そんなことまでしてやる義理もない。
 だから言ってやるのだ。
「生きていれば、また髪なんていくらでもできるでしょ」
 それだけ言うのが精一杯だった。
 そしてまたわたくしは、鏡から顔をそむけてしまう。
「ありがと、ペリーヌ」
 視界の片隅のハルトマン中尉は言った。その表情ははにかんでいる。
25名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 11:33:46 ID:cVd3UHh1
「ほら、前見て」
 ハルトマン中尉はそううながすものの、わたくしは鏡を見ることができない。
 今の自分の顔がどうなっているかなんて鏡を見なくたってわかる。
 そんなもの、わざわざ見たくはない。
 わたくしは頑として無視。けれど彼女はしつこく同じことを何度も繰り返してくる。
「どうして前見ないの?」
「……別になんでもありません」
「顔が真っ赤だから?」
「そ、そんなことはありませんわ!」
 そんなことはない。断じてないのだ。
「じゃあ前見てよ」
「わたくしがどこを向いていようと関係ないでしょう」
「お。そんなこと言うならこうしてやる」
 するとハルトマン中尉はてきぱきと手を動かしていって、わたくしの髪になにかをやりだす。
「目だけでいいから鏡見て」
 しばらくしてその手が止まり、彼女は言った。
 気になりもしたのでしぶしぶながら、言われたとおり鏡を見やった。
「なんですの、これは!?」
 わたくしの髪が一本の三つ編みになっていた。
 これではまるで――
「気にいらない? リーネとおそろいなのに」
「元に戻しなさい!」
 言い切るとハルトマン中尉は意外に素直に髪をほどく――かと思いきや、またなにか手を動かしはじめる。
「ひ、人の髪の毛でなにをなさいますの!」
「あんまり暴れると髪の毛抜けるよ」
 声を荒げるもむなしく、彼女は冷淡に告げてくる。
 わたくしはちらちら視線だけを鏡にやった。耳の上に集めた髪をリボンでくくって、同じく反対側も。
 今度はツインテールだった。
「どう? ルッキーニとおそろい」
「だから、元に戻しなさい!」
「じゃあ今度はこうだ」
 高く結っていた髪をそのまま下ろしてくると、先ほどと同じくふたつにくくった。
「どう? トゥルーデとおそろい」
「だーかーらー! 元に戻しなさい!」
「これもダメ? 可愛いのに」
「ダメです!」
「わがままなヤツ。この棘だらけ」
 わたくしのどこがわがままなんですの!?
 それにまた人を“棘だらけ”と。
「髪が長いといろいろできて面白いよね」
 なんてことを彼女は嬉々とした声で言う。
 じゃあ自分の髪でなさればよいでしょう。髪を伸ばして。
 そうこうしている間にも、ハルトマン中尉の手はよどみなく動く。
 くくっていた2本をほどかれると、今度は頭の後ろで1本に束ねられた。
 こ、これは――
「これならどう?」
「どうって、それは……」
 わたくしはまじまじと鏡を見つめた。鏡のなかの自分に魅入ってしまう。
 なんだか自分が自分でない、そんな錯覚に襲われる。
 椅子から立ち上がって、鏡の前でくるっと一回まわってみる。
 束ねた髪がそれにあわせて踊った。
「気に入った? 坂本少佐とおそろい」
「べっ、別に……」
「この棘だらけ」
 ハルトマン中尉はわたくしの頭を、ばんっと平手で叩いた。
「痛いじゃないの!」
「ばか」
 吐き捨てるように彼女は言うと、わたくしの髪を束ねていたリボンをすーっと引っ張る。
 ばらばらと髪がひらいて揺れ、やがてそれは落ち着いた。
26名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 11:37:15 ID:cVd3UHh1
「さ、行くよ。ミーナの歌が始まっちゃう」
 ハルトマン中尉はわたくしに背を向けると、さっさと歩き出す。
 使ったブラシは床に放り投げられている。こんなところはいかにもらしい。
 わたくしはそれを拾いあげようとして、そこで手が止まった。
 髪を人にしてもらうなんてどれくらい振りだろう――ふと、そんなことを思った。
 そういえばここに来るより前は、髪を人にしてもらうことが多かった。
 お母様やお祖母様、世話係のメイドや第602飛行隊のみんなに。
 この基地に来て以来、自分の髪は常に自分でするようになった。
 もう慣れてしまったので今では苦にならないけれど。
 でもたまにはこういうのも悪くはないな、なんてことを思う。
 誰かに髪をしてもらうのも。鏡越しに顔を合わせあって。おしゃべりをして。

「ほら、早く。棘だらけ」
 ドアの前に立ち止まったてハルトマン中尉が、わたくしを呼ぶ。
「だから、そう呼ぶのはやめなさいと――」
 わたくしは鏡台に手に持ったブラシを置くと、彼女の方に足を踏み出す。
「気に入らないの、棘だらけ」
「気に入るはずがないでしょ」
「えー、誉めてるのに」
「どこがですの!?」
「まだ気づかないの?」
 気づくってなにが……
 ハルトマン中尉はやれやれとでも言いたげな顔をする。
 答えあぐねるわたくしに、彼女は問いかけをした。

「棘があるのはどんな花でしょう?」



以上。
個人的にはペリーヌはおだんごにして、チャイナ服きてアチョーとかしてくれたら、
もうそれだけでご飯3杯はいけるんだぜ。

つか外出したいのに一向に尼から届かん('A`)
27名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 13:56:00 ID:PKclJicy
やっとアマゾンから届いた、仕事行くまでに間に合ってよかった……
聞いてたとおり、秘め声がやばい、
「エイラは……とっても大切な人です」
この一言が聞けただけでもう…俺は……俺はっ!!
28名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 16:10:58 ID:heMl7cfg
エイラは大切な人です、なんでも言うことをきいてくれる的な意味で。
芳香ちゃんも大切な人です、愛する人的な意味で。

だったらどうするよ。
29名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 16:32:04 ID:SscZXiZ5
26>>
GJ、GJ!!なかなかいいな、この二人!!!
無邪気で優しいエーリカお姉ちゃん良いよ!!
 
ところでペリーヌのもふもふ髪の毛はもっと評価されるべきだ。
30名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 16:35:55 ID:/irCIbM4
正直スタッフはここ見てるんじゃないかってぐらい秘声が良いな
エイラは他の人の時にもサーニャのこと言い過ぎw
サーニャがこれだけ喋るとなんか不思議だw
後同じ所で収録してるっぽいけど、最後の大好きだ−!は公開告白?
まぁとにかくネタの宝庫だ
31名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 16:51:01 ID:i7VPOfVo
前スレの流れとサーニャの秘め声で自分もエイラーニャの中身入れ代わりネタを
(パヤパヤ→入れ代わる、なんてこったい→仕方ないからそのまま生活
→エイラが他の娘と仲いい、ちょっかい出しまくりとわかってサニャ嫉妬→サニャが他にも仲いい娘が結構いることがわかってエイラ焦る、みたいな流れ)思い付いたけど

どうしてもなーんか結び付きにくいというか話を展開させていくと百合どころか余計ギクシャクしていって結局考えるのをやめた

ただのSSのネタとしては書きやすいけど百合系SSのネタとしてはあんましよろしくないもののような気がしないでもない
あとどうやって戻るかもなんかいまいち思い付かないし
32名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 16:55:36 ID:cVd3UHh1
やっと尼から届いたぜ。
エイラ胸の話しかしてねえwwwサーニャのこと話しすぎwww
でもいざサーニャのこととなると口下手なのな。もうさすがとしか言いようがない。
33名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 16:56:04 ID:Wj5QuhrR
秘め声初めて全部聞いたけど良かった
特にサーニャ→エイラのとこ
エイラーニャごちそうさまです
34名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 17:20:17 ID:1eXOH9ae
エイラの秘め声聞いてるとなんかドキドキしてくるな…。
なんかこう、少年の淡い、無垢な恋心を生ざらしで見ているような…。
しかも本人はそれが恋だって気づいてないんだぜ。(Tr.14でなんでだろう?とか言ってるし)
でも一旦気付いちゃったら「大好きだー!」とか簡単に言えなくなっちゃうんだろうなとか妄想すると、もうね、もうね…!!
35名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 17:28:01 ID:nHs8S8mr
どんなもんか不安だったが、このスレ的にも満足のいくものだったのかね?>秘め声
36名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 17:29:44 ID:8uFzvmV0
秘め声テラキキタス('・ω・`)
37名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 17:43:34 ID:0MAUWyi8
>>35
4巻までの秘め声は微百合だが今回は大ガチ
思わずガッツポーズしたくなる、ってか俺はした
38名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 17:57:48 ID:kOZ8PS9F
サーニャの芳佳に対する評価がそれほどでもなかったことが意外だった
聴いてる限りだとむしろシャーリーのが評価高い感じが
39名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 17:58:07 ID:ubf1a/1L
>>34
ストシェ二巻のランランみたいだなw
40名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 17:58:21 ID:9xmnvyAw
神でしょ今回の秘声…100回死んだ

41名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 18:08:54 ID:bvha++fq
>>38
相関図の線とか、思いのほかサーニャ→芳佳が強調されちゃったから、
ここで補正をかけにきたのかもしれん。
42名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 18:12:40 ID:lcEEUYTD
秘め声聞いたけど死ぬ
エイラについてはマジでやばい。それまで敬語だったのにいきなりタメ語で半ギレ吹いたw
つか秘め声でかけあいすんなおまいらw
あとは明るくて社交的な人に憧れてて自分もそうなりたいみたい
個人的にはペリーヌについてが好きだ

43名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 18:45:08 ID:OQ8DrcKd
保管庫の人埋め乙ッス!!
サーニャさん崩壊シリーズ久々に見れてよかった・・・!
44名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 18:48:47 ID:3RwXlHAz
>あとは明るくて社交的な人に憧れてて自分もそうなりたいみたい
これかな、サーニャ→芳佳って
45名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 18:48:53 ID:50/+HHRb
もうやだ。こんな苦しい思いをするのはもう嫌だ。
駄目だ。買うしかない。聞くしかない。
形振りなんて構ってられるか。聞いてやる、聞いてやる
46名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 18:56:49 ID:Qj5qA4oA
ブルレイ待ちなんだけどナー、参っちゃったナ
47名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 19:01:23 ID:eqiq3xEe

今まで指導してくださった方々、ありがとうございます。

保管庫No697の続き投下します。かなり長いです。
48名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 19:02:23 ID:eqiq3xEe
たった独りでいるような錯覚を覚えながらゲルトルートは夜空を飛行していた。
実際には彼女はカールスラント空軍第52戦闘航空団第2飛行隊指令であり、11人の部下を束ねる立場にあった。
当然、他にも魔法少女と、護衛対象のHe177及びその搭乗員がいる筈だった。
しかし、暗闇と電子妨害による通信障害のため、その存在を感じることも的確な指示を下すことも出来ない。
ネウロイとの電子戦はすでに1939年の時点から始まっていた。特に夜間の戦闘の際には電子線の勝敗が空戦の帰趨を決するため、
暗闇でも周囲の状況を把握出来るネウロイと戦う魔法少女にとって特殊な能力を持つ魔法少女の存在の有無は切実な問題だった。
彼女等の多くは、電子妨害を行なっているネウロイを特定し、補足する能力を持っていたからだ。
幸い、今回の戦闘には視覚に頼らずとも周囲の状況を把握出来る、第3戦闘航空団指令のミーナと言う少女が参加しているらしかった。
とはいえ、現時点では敵情について僅かな情報しか得られていないようだった。無線からは騒音だけが聞こえてきた。

そのような状況にあっても部隊の全員が皆自分のなすべきことを理解し、目的地に向かって飛んでいた。
高級将校のみならず兵卒に到るまで参加する戦闘の目的や戦略的位置づけを理解しているところこそカールスラント軍の強みなのだ。
それは魔法少女部隊でも変わらず、それ故、皆憂鬱な気分を多かれ少なかれ抱えていた。
今夜の任務は、ベルリンに飛来しつつあるネウロイの掃蕩であった。
このことを聞かされた彼女等ははじめ信じることが出来なかった。
彼女等を含め誰もがネウロイの航続距離では、現時点ではベルリンまで到達することは不可能だと考えていたためで、観察結果も概ね
それを支持していた。水に弱いネウロイは、巣から少なくとも500kmも離れた場所まで進出しそして定着することはないと考えら
れていた。

それはネウロイの進歩の力を見くびった妄想でしかなかった。
現実には既にネウロイ1000機以上がないに等しい抵抗を制圧し、避難訓練を行なったことはあるが当分実行することにはならない
と高をくくっていた市民のうち生まれつき瘴気に耐性のある、療養中もしくは未だに見出されていないか、あるいは幼すぎる魔法少女
以外を殺害し、その犠牲者の数は避難民を含めると数百万単位で済めばよいほうだとされている。
政府のゲルマニア計画によって建造された石造りの建造物は、設計者の望みどおり偉大なる廃墟と化し、林立する鉄筋コンクリートの
ビルは格好の餌としてネウロイに貪り喰われた。
空港では離陸することも出来ないまま航空機や複座の練成用ストライカーが炎上するか餌となっていた。対空火器や設置途中の電探も
同じ運命を辿っていた。
難民によるスラムは、ちょっとした火種のために消滅した。
焔に照らされる凱旋門に続く大通りには逃げ出そうとする生き残りが死体に足を捉われながら必死に逃走していた。ネウロイの目的は
金属の獲得と、それによる増殖であったため、彼女等は特に妨害を受けることはなかったものの、ベルリンを離れようとする判断は、
正しかった。
留まれば仮にネウロイによって殺害されずとも、味方が採用した戦法によってネウロイ共々高温度焼夷弾によって焼き払われてしまう
蓋然性が大きかったからだ。

49名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 19:03:23 ID:eqiq3xEe
制圧された都市にネウロイが舞い降り、増殖に勤しんでいるときを見計らい、全域を高温度焼夷弾の毀害半径に収めて殲滅するという、
街の焔でネウロイを照らし出し、捕捉するという戦法の発展型であるこの戦法こそが、魔法少女達の憂鬱の原因だった。
云うまでもなくこの戦法は、ネウロイの進撃を遅らせる以上の効果を持たず、巣で新たに生産されたネウロイがまた飛来すればその時
に攻略されてしまうし、勝利の代償として社会の崩壊すらありえた。
だが、それでも時間を稼ぐべき時、つまり大陸からの脱出が確実視されるほど戦況は悪化していた。
このような状況ではそんな勝利も、所謂「ピュロス王の勝利」とは一線を画する。つまり撤退できることこそが目標なのだ。
ネウロイ側の損害も多く、ゆえに制圧後すぐに定着する筈で、この戦法は確実に機能するだろう。
また、魔法少女の生存の確率も高かった。
炎上する都市は光源になり、焔の作り出す乱流は、特別な制御装置を、敵と違って装備する魔法少女に利する。
黒煙により視界は限定されるし、編隊は崩壊気味になるだろうが、それによる損害は多くの魔法少女が対処出来得ない暗闇や、その状
況での戦闘によるそれとは、比べ物にならないほど軽微だ。

目的地の様子は、遥か遠方からでも、ぼおっと赤く染まった夜空を見ることで察知できた。
赤く染まった空を視認できるようになった瞬間、地上すれすれの位置から何本もの赤い火箭が、魔法少女達目掛け延びてきた。
とにかく怖かった。
ゲルトルートは、その火箭が本物の光線とは違って視認可能な程度には低速だったため回避できたものの、夜空に悲鳴が木霊し、
花火のような幾つもの爆発が発生して、ガソリンの燃える臭いがした。
必ず守り抜くべきとされたHe177や、魔法少女のうち護衛対象のJu87装備の者が撃墜されたに違いなかった。

編隊は大いに乱れゲルトルートは悔しいと思う間もなく編隊の再編を試みたが皆にまだ年少者である彼女は信頼されず、というよりは、
先述した理由で指揮を執ることは、ミーナが妨害者を殺害しない限りにおいてなし得なかった。
敵は完璧に魔法少女の心を読んでいた・・・のであれば状況は絶望的だが、実際にはこのネウロイははぐれたものであり、改造された
He177による電子妨害を受けていて通信不能だったため、それ以上のことは出来ず、ミーナによって殺害された。
部隊も次第に落ち着きが戻り、特に焼夷弾による攻撃を任されたHe177は、事前の訓練のためか、一糸乱れぬ飛行を続けていた。
元気付けられたゲルトルートは、先ほど無意識のうちに流した涙をそっと拭いた。
魔法少女の編隊はいまだに崩れがちだった。
50名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 19:04:08 ID:eqiq3xEe
一旦は収束に向かった混乱はベルリンに近づいた時点で拡大した。
既に先ほどの混乱で編隊が崩れていたうえに吹き上げる黒煙が視界を遮り、特別な能力のない者が編隊を維持することは困難だった。
ゲルトルートは今度こそ本当に独りになったのだった。
仕方がないので彼女は護衛対象のすぐ傍で行動することにした。
空気は乾燥していて、様々なものの焼ける悪臭や高温度焼夷弾のゲル化ガソリン臭、そして何の肉が焼けているか、を考慮しなければ、
好ましい感じのにおいが濃厚に混じっていた。黒煙がしばしば降りかかり、咽るし、鬱陶しいことこのうえない。
He177は、乱流に煽られてだいぶ難儀していたが、攻撃は成功し、焼かれて、分解することなく白金色になった夥しい数のネウロイが、
建物の上や路上に停止していた。紅蓮の焔に照らされたそれらは赤く輝き、まるで勝ち誇ったかのように黄金にも勝る美しさを見せ付
けていた。聖杯聖堂の上で事切れた一体の300m級など、これまでにない見事な眺めを創りだしている。
そんなことはどうでもよくなった。黒煙に隠れていた一体のネウロイが突然火箭を浴びせてきたからだった。
乱流に煽られながらのその射撃は正確さに欠けていたが、接近されればどうなるか判らなかった。
ゲルトルートは即座に上昇すると、黒煙からその姿を現したネウロイに背面急降下で接近した。そして射撃の段階になって機銃が両方
とも発射不能なことに気付いた。
その瞬間、体当たりという語句が脳裡を掠めたが、軍人としての普段の決意とは裏腹に、恐怖に支配された彼女はネウロイを避けた。
結果的にはその判断は正しかった。彼女ははっとして安全装置を解除するともう一度攻撃を仕掛けて、ふらふらと飛ぶそのネウロイを
殺害した。
しかし、先ほどの失敗のため、黒煙の中へ逃げ遅れた二機のHe177が目の前で撃墜された。
ゲルトルートは、言葉を失った。もはや何といえば今の感情を表現できるか判らなかった。とにかく仲間や、そして、今まで意識的に
忘れていた、この街に住み、今回の襲撃に遭った妹の顔の様子が思い出された。恐怖や罪悪感を覚える一方で理不尽にすぎると思った。
だが、任務を放棄することは、ネウロイを除けば誰のためにもならなかった。彼女は護衛対象を探し彷徨った。
突然彼女は巨大な下降気流に捕らえられ、ほとんど叩きつけられそうになった。それほどまでにその下降気流は巨大だった。
そのわけは直ぐに判った。その一角だけはネウロイが降りてこなかったため奇跡的に攻撃を免れたのだった。
同時にゲルトルートは発見した、
「クリス!」
最愛の妹を。
その叫びは燃焼の音に掻き消され、クリスには聞こえなかった筈だ。しかし彼女のほうも姉に気付いたようで、泣き止んで手を振った。
ゲルトルートは周囲をすばやく見渡すと、避難場所となりうる候補のうち、最も近くにある凱旋門のほうを指差し、超低空まで舞い降
り、そのことを妹であるクリスに理解させた。そこからならば市街の外の農園や林野に避難できるし、事前に避難場所とされ、たとえ
ネウロイがいても、そこに関しては魔法少女による精密な銃撃によってのみ撃退されることになっておりそしてその命令は完璧に遵守
されていた。
クリスは頷くとゲルトルートから水筒のうちの一つを受け取って飲み干した。
もっとも、このような行為は禁じられていたがゲルトルートははっきりとそのことを認識しながら止めなかった。
何もかも厭になりかけていて、軍規違犯などもはやどうでもよかった。
その時、クリスが上空の一点を指差した。
51名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 19:04:34 ID:eqiq3xEe
ゲルトルートは既に気配を感じていて、防護用魔方陣を展開させて火箭を跳ね返せた。ネウロイが上空に占位していたのだった。
彼女は半ば復讐心に駆られながら標的目掛けて突進した。戦い慣れた型と似ていたためコアの位置に当たりをつけて射撃すると、その
予測は正しく、ネウロイは撃破され、しかし哄笑するようにぎらぎらと光りながら砕け散った。
地上を見ても、もはやクリスがどうなったかは判らなかった。彼女を探そうとして、ゲルトルートははっとした。
無線から騒音が消えていたからだった。彼女は最後の敵妨害機を殺害したのだった。
同時にお互いにそれまで気付かなかったが、エーリカと、ミーナと思しき人物がすぐ近くにいることに気付かされた。ゲルトルートは
軍人としての自覚を、何とか取り戻した。クリスのことは、決して忘れられないが、そのために軍に背くことは許されないし、また、その為の名目も既に消えていた。護るべきものもまた目の前にいた。
ゲルトルート以外は皆、ネウロイの奇襲を受けていたため、彼女を見つけてとても嬉しがった。ミーナは5体もの妨害機を相手にして
疲れきっていたのだった。彼女は恥ずかしそうにして、インカムを指し示して電源を入れるように促し、戦闘が終結し、全てのネウロ
イが死滅したことを告げた。
ゲルトルートは即座に応答して、ずっと電源を入れたまま戦っていたことを知ったミーナもエーリカもたいそう驚いた様子だった。
何度呼びかけても攻撃隊総指揮官は、機上戦死を遂げたがゆえに応答することはなかった。
He177の編隊は既に統制の取れた動きで離脱したようだった。

実在する希望の存在に惹かれてエーリカと、階級が上のミーナまでもがゲルトルートに近寄ってくると、ごく自然な感じで彼女に抱き
ついてきた。
さっきまでとは違う、乾ききった空気とは違ってしっとりとして滑滑の肌とやわらかい感触がゲルトルートの体を包み込み、制服には
戦場の悪臭が染み付いていたが、彼女等に顔を近づけ、吐息を吸い込めば、みずみずしくてかぐわしい、ミーナとエーリカの匂いが感
じられた。それはネウロイとの絶望的な戦いにおいて、希望と幸福を思い起こさせる、生きていくのに欠かせない要素となった。
そして同時にゲルトルートにとって、その後の部下達とJu87装備の魔法少女を護衛した経験と共に自らのなすべきこと、あるべき姿
を思い起こさせるものにもなった。彼女が多くの指揮官を喪った空軍にとって必要とされ、皆に慕われていると言う事実が自らの無力
ゆえ(幸い最終的に後遺症はなかったが)妹に重傷を負わせることになった彼女にとって正気を保つために必要で、全てを克服しうる
力を与えてくれるものと、当時は思われたのだった。
ゆえに、毎日自分を戒め、立ち直らせるため、彼女はあの夜の記憶を毎晩反芻し続けた。
しかし、それは不完全な力しか持たないことを、数年後に思い知るのだった。
52名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 19:05:04 ID:eqiq3xEe
なんとなく目覚めかけている状態で、ゲルトルートは幾つか昨日と状況が変わったことに気付いた。
先ずエーリカの抱きつき方が、昨日とは違い不機嫌な時によくするように顔をゲルトルートのそれと向かい合うようにするのではなく、
ゲルトルートの胸の辺りにうずめるようなふうになっていた。
一応本人はそっぽを向いているつもりらしい。ゲルトルートは昨日彼女に愚痴の類を並べ立てたことを思い出して反省した。
どうやら彼女は昨日のところは我慢して優しくしてくれていたようだった。後で謝罪した方が良さそうだ。
また、エーリカ以外にももう1人の少女がゲルトルートに覆いかぶさるようにして寝ていた。
眼をあけるまでもなくミーナに違いなかった。ゲルトルートは、基地指令が寝坊してはまずいと起こしに掛かることに決めた。
もっと寝たいにせよ、ゲルトルートもエーリカもすぐに起き、他の隊員に全身キスマークだらけで唾液その他で濡れた姿を見られる前
に浴場で体を洗う必要があった。
この習慣のおかげでろくに他の隊員と入浴したことがないが、エーリカと違い二度寝しないミーナやゲルトルートは早く起きることが
出来るので好都合だと思っているし、ゲルトルートは個人的にシャーリーにからかわれるとどうなるか判らないので、彼女と裸の時に
鉢合わせしたくなかった。
ミーナは既に起きていて、目覚めたゲルトルートの眼を優しくなめ、いつもどおりキスをして挨拶した。
キスはいつもよりかなり短く、ミーナはすぐにゲルトルートに努めて明るく話しかけてきた。
「おはようトゥルーデ。調子はどうかしら。」
そんなことを言うために急いでいるわけではなかった。
「それで、そのことについて改めて話したいことがあるの。フラウから一応話は聞いたわ。」
ゲルトルートは意外に思った。
「それじゃあ、あいつは起きていてくれたのか。」
「いいえ、違うわ。ただ気になったからつい起きてもらったのよ。後で謝っておくわ。」
ゲルトルートはエーリカの不機嫌の理由を知って拍子抜けしたが、昨日の自分の態度に問題があったように思ったので、寝ていたがる
エーリカをなだめながら、抱き抱えて浴室へ連れて行った。

はやくも脱衣所でうつらうつらしはじめたエーリカを自室に寝かせるとゲルトルートはミーナの部屋に向かった。
その雰囲気は、ゲルトルートの部屋と似ても似つかない感じだが、可愛らしく快適で、緊張をほぐせそうな感じだった。
ミーナの勧めに従ってベッドに並んで座ると大きく沈み込むような感覚を覚えた。相変わらずやわらかい寝具が好きなようだ。
先に喋りはじめたのはゲルトルートのほうだった。
「フラウに話したことについてだが、それだけではないと思う。きっと芳香、新人にクリスの姿を見出しているからあんなに取り乱し
ているのだと思う。結局のところ、何もかも割り切ることが出来ないことがいけないのだと思う。
それと、どうすれば良いか判らない。これまで当てにしてきた方法がまるで効かないから、出来れば導いて欲しい。」
ミーナも同様の意見を持っているらしかった。
53名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 19:06:08 ID:eqiq3xEe
「自信をなくしてはいけないわ。あなたもまだ若いし、力が衰えるのはずっと先のことよ。それに、自制心だって健在の筈で、実際に
これまできちんとやっていけたじゃない、感情に流されて、幻に惑わされてはいけないわ。
あなたの今の考えは不当に悲観的だわ。
それと、この部隊にいるのはあなただけではない。宮藤さんは勿論あなたのことを見ているけれど、それだけじゃなくて、他の隊員
と助け合っているところも見ていると思う。一度仲間を頼ってみてはどうかしら。
本来頼りにされるべき私がトゥルーデに頼っている現状では伝わりにくいかもしれないけれど、部下が上官を補佐するのも任務だから。
時間がかかっても構わないわ。ロマーニャの極楽オラーシャの地獄、生きては還れぬブリタニア、なんて唄われた頃に比べればずっと
戦況もましでしょう。」
ミーナは自分の言葉を完全には信じられないようだった。
確かに、賞賛されるべき果敢さで、たった10機で濃密な霧の立ち込めるスカパ・フローに突入し、最終的に900以上の子や孫を霧
や海水、雨水によって失いながらも、数を25倍に増やしたネウロイによってブリタニアが蹂躙されていた頃には、数百万人を喪い、
工業を停滞するほど船舶や工場、港湾を喰われる結果となったが、今では何とかそれらは撃退され農業生産の拡大もあって国民の精神
状態は寧ろ高揚していた。
しかしそれはブリタニアでの話であり、大陸ではネウロイが留まることを知らないかのような大攻勢を展開していた。
1944年初頭における包囲突破戦で、展開していた部隊が装備の全てと、この戦いで手腕を発揮して、にわかにその名を知らしめた
ヴィルヘルム・シュテンマーマン大将を含む二万余人の将兵を喪った結果を受け、フリードリヒW世は死守命令を撤回し、戦線の維持
に努めさせた。
しかし、ネウロイの進路をカールスラント陸軍が読み誤ったため、手薄になった中央軍集団に敵が突入する結果となり、30の師団と
35万の将兵が失われ、もはや機動防御の天才ヴァルター・モーデル上級大将や、伸びきった補給の弱点を突かせ1943年に奇跡的
勝利を成し遂げたエーリッヒ・フォン・マンシュタイン元帥ですらこれには対処できなかった。
彼らは嘗てなく強大な魔法少女部隊を手駒として使えたが、敵も大きな進歩を遂げ、特にその稚拙で非効率だが入念に準備された作戦
は効果的だった。
攻勢は8月まで続き、前年の教訓からネウロイは補給にゆとりのあるうちに停止したのだった。
希望は、一旦はカレリア地峡で屈したスオムスが敵の攻勢を跳ね返し、進撃を停止させたことと、冬季及び泥濘期にはこちらが攻勢を
仕掛けられることだが、今の戦力では来年の4月には撃退されるかもしれなかった。
実際にアルデンヌ攻勢も頓挫し、ダイナモ作戦のための時間稼ぎになったハインツ・グデーリアン元帥とその靡下軍の偉大なる勝利は
再現されないことになる。
そのため、今年中にガリアが開放され、501空が大陸の戦線に登場することが望まれ、一時的な、しかし重大な危機を除外した事も
あり、このほとんど非現実的な期待がなされ、特にブリタニア空軍からの圧力は高まった。
54名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 19:06:40 ID:eqiq3xEe
ミーナは溜息をついた。これまでこの欲求が満たされえないことを何度説明しなければならなかったか判らない。
彼女は、空軍が本当に501空に期待しているというよりも、失脚を狙って国民に無責任な宣伝をしていることを察していた。
暗い気持ちはゲルトルートにも伝染してしまったようだった。空気を変えるためにミーナはまた話し始めた。
「宮藤さんのことだけれど、前までは試射すら躊躇うほど兵器や軍にたいして嫌悪感があったけれど、最近では平和を維持することと
軍備の増強は必ずしも矛盾しないことを判ってくれたみたいだわ。
美緒はあなたのおかげだと言っていたけれど、なんて言ってくれたのかしら。」
ゲルトルートは複雑な表情を浮かべた。
「取敢えず軍に属することを誇りに思って欲しくて国民に管理されている限り政府しか戦争を起こせるものがないことや、危機が迫っ
ているのに漠然と戦争を恐れるとガリアのように破滅すること、軍さえなければ戦争がおきないと考えるような国は長続きしにくいこ
とについて説教した。
もしも判ってくれたなら嬉しいが、自分でもより上手なやり方があったと思うし演説調になっていたりして思い出すと結構恥ずかしい。
坂本少佐も同じようなことは言っただろうし、そう思うと赤の他人の私が同じ事を言ってもあまり効果がなかったような気もする。
あと嫌われたかも。」
ミーナはゲルトルートのあまりに否定的な思考回路に驚いたようだった。
「そんなことはないわ。沢山の人に同じ事を言われた方が説得力を増すし、美緒より細かいことについて延々と説教する点も個人とし
てよく気にかけてくれているからだと皆わかってくれている筈よ。
普段愛想は良くないけれど、誰にも誠実に対応するように気を付けているでしょう。
宮藤さんもきっと他の隊員と同じようにあなたのこと、好きだと思うわ。お姉ちゃんみたいだから。」
「そう・・・なのかな。」
ゲルトルートは急に口調を変えた。
「そうだといいな。」
彼女が明るい表情に変わったので、彼女が彼女の悩みについて考え始める前にもう一押しした。
「きっとそうよ。・・・お姉ちゃん大好き、愛してる。」
「愛しているというのは」
「あながち冗談じゃないかもしれないわよ。」
ミーナはゲルトルートの耳元に口を寄せた。
「愛しているわトゥルーデ・・・お姉ちゃん。」
「うん・・・。」
思考力が鈍っている今ならもうひとつ決定的な効果を持つ一言がある。
「あらやだもう六時半じゃない、皆を起こしにいきましょう。でないと、皆寝坊してしまうわ。」
「そうか、しまったもう起床時刻を遥かに過ぎているではないか!急ごうミーナ。」
ゲルトルートに笑顔を向けながらもミーナは全く明るい気持ちにはなれずにいた。
先ほどまでの会話は全く問題の解決の糸口になっていなかったからだ。
実際のところこれは彼女の生き方にすら関わることだったので、彼女自身でないミーナがあれこれ語ったところでどうにもならないし、
ミーナも解決よりも彼女を元気付けることを目的としていて、これが完全に果たされた唯一の気が楽になる要素だった。
但し、誤魔化したような気がして個人的には後味が悪かった。
(過去の失敗を補完出来ないことについて諦めること、誰かしらに苦労を共有してもらうこと、どちらもいつかしなければならなくて、
それが出来るかどうかが苦しさに屈してこの世を去るか否かの分かれ目になるわ、トゥルーデ。そして、その選択の時はいつ来るかも
判らない・・・間に合えば良いけれど。)
その時は、既に数時間後に迫っていた。
55名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 19:07:57 ID:eqiq3xEe
美緒から今回の出撃に関する説明と激励をうけた6人の魔法少女は、めいめいのストライカーに向かってわらわらと駆けていった。
自分が何番目に出撃できるかに皆競争意識を持っていて、特に位の高いものがもたついた場合隊全体の戦意消失に繋がるからである。
そんな背景もあり別に自分の問題なら何番でもいいと思っているゲルトルートも大急ぎでストライカーの検査等を行なっていたのだが、
いきなりミーナに手を掴まれた。
「どうしたミーナ。」
一番先に口を開いたのは今回の攻撃隊総指揮官の美緒だった。
「この攻撃隊の標的に妨害機が含まれているらしいの。追跡しているモスキートから連絡があったわ。
今はサーニャさんを出撃させられないから私が行きます。いつもどおりなら第二波の邀撃にサーニャさんの魔力回復が間に合うはずよ。
その時にはトゥルーデ、あなたが指揮を執ってね。」
「判った。」
「私が替わらなくていいのか。」
「仕方ないわ、第一波には必ず偽者が含まれているから、必要だわ。漸く妨害を免れたモスキートに拠れば数は50以上でしかも本物
も半分はいるはずよ。」
「そうか、最新の情報に基づくのならばそうしよう。」
他の隊員は緊張を増したようだった。当初の報告よりも敵は強大なようだ。
しかし、これまで第一波の捕捉に失敗した過去はなく、皆自信を持っていたのだった。



56名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 19:08:37 ID:eqiq3xEe
「繋がらないナ。」
エイラが不安そうに呟いた。
全くその通り、ミーナは妨害機を始末しきれていないようで、邀撃第一波との交信は途絶したままだった。
交戦の開始が確認されて20分が経っている。敵情に大きな変化があってもおかしくはなかった。
「そうだな、突破されたりしていればもうそろそろ木製漁船部隊から通報があるはずだ。まあ、その場合真っ先に突破するのは存在を
秘匿できる非妨害機だろうがな。」
その時、隊内電話が鳴り響いた。
ゲルトルートはろくでもない内容の報告であることを確信した。
その予測は的中したようで、敵攻撃隊第一波から離脱したと思しき人型4、高速型1、高度100を300ノットで進撃しつつ南東より
貴方へ向かう、とのことだった。
慣例を全く無視した報告の仕方だったが、それだけ向こうも慌てているらしかった。
ゲルトルートもほとんど同様だった。普通ここで邀撃に出せるのは練成の完了した者だけだ。
「基地全体に地下壕への退避を下命する。それとエイラ、サーニャは、」
「夜間哨戒で魔力を使い果たしている、ムリダナ。」
「そうか、それでは新人とリーネを呼び出せ。邀撃に参加してもらおう。」
「正気か大尉、まともに戦わせたら万が一にも還って来ないゾ。」
「勿論、戦わせはしない。だが防護用魔方陣が張れるから、お前の盾となり、かつ生き残れる。
直衛隊は全て私が殺る。空戦の基本から程遠いが仕方あるまい。
お前は好きなように飛び、兎に角敵攻撃隊主力を殺れ。何をするか判らない高速型に一人で対処出来るのは、魔力を集中したお前を置
いて他にはいない。他のことは考えるな。リーネは防護用魔方陣を張るだけならお前に追随しながら出来るし、新人も普段は無駄な、
防護用魔方陣の大きさを今日は活用出来る。
敵は我々を個人単位で把握している。予想外の戦力の登場で意表をつけるし、自慢ではないが真っ先に私に戦力を集中するだろう。
好きな装備を使え。私は零戦の予備を使う。お前も好きな武器があれば遠慮なくとっていけ。」
エイラは無言で頷いた。彼女も、この基地が破壊されればストライカーの整備能力のある施設がブリタニアからなくなること、そして
そうなれば自分達が活動できない間、定着を試みるネウロイと戦うのは、普段劣悪な環境で暮らし、俸給も会社員並みの歩兵や工兵で、
彼らの擲弾筒や収束爆雷による攻撃は、万に一つも生還の見込みがなく、戦線の崩壊した東部戦線では、魔法少女の不足を補うために
投入され一度の会戦で戦果の代償として数十万の損害が発生していることを知っていた。
ならば、俸給も暮らしも良い自分達が危険を顧みないことなどあってはならなかった。
とはいえ、ゲルトルートにとってこの、新人まで出撃させるという方法をとらなければならない現状に敗北感を感じていた。
同時に、今こそがミーナの言うその時なのであるとも思った。
敵攻撃隊主力の撃破は部下に全面的に頼りきり、自分は劣勢と高い確率での部下と自分の損耗を覚悟しなければならない、はじめから
負けの決定しかけた戦い、しかし
(仕方ないじゃないか。ここで挫ければ皆死んでしまう。完全な勝利など望むべくもない。
新人まで駆り出し、私は完璧主義を貫き通せなかった。それは一種の敗北だろう。
だが、今回私は自分のために戦っているのではない。ならばネウロイさえ殺せばそれで、我々の勝ちだ。諦めることは今までの生き方
に反するが、それはそれできっと逡巡に対する勝利だと思おう、そして、仮に自分自身を否定することであっても)
ゲルトルートは出撃の準備の整った周囲を見渡した。発進の命令を出しながら思う。
(それでいい。そうならば、今までの自分がたいしたことのない証明になるだろう。兎に角大事なのは周囲だ、自分ではない。)

57名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 19:09:06 ID:eqiq3xEe
「敵発見!」「見っけたゾ!」
ゲルトルート達は上昇しつつある敵に対して正対する進路をとりつつ降下を開始した。
所謂シュバルムではなくより容易に方向転換できる全機が一直線斜めに並ぶ編隊の種類であり、本来は劣勢の時に格闘戦の生起を狙い
組む編隊だったが、これを採用したのには訳があった。
敵はゲルトルートが考えたのと同じ理由で混乱していた。混乱はさらに、魔法少女の予想外の動きによって拡大した。
彼女等は1人を残して全員が爆弾の破片のような勢いで攻撃隊主力へと向かっていったのだった。
ゲルトルートはその様子を見て不敵な笑みを浮かべた。全て計画通りだ。
彼女が操っているのは予備の零戦で、低空域において無類の性能を発揮するからで、特に今回は敵をひきつけるため必要があるので、
一撃航過戦法を使えず、この選択が望ましかった。
幸い、魔道機は気合次第で、整備員に迷惑をかけるが大体公称出力の倍は出せ、そうであるからこそ美緒達も他の機種を装備した者達
と共に行動できるのだ。つまり、低空では普段以上に出力が高い。
ゲルトルートはすれ違いざまに、通常当たらない射撃で一番機を、その後失速反転をして降下する敵を追撃し三番機を殺害した。
しかし、一方的な殺戮はここまでだった。
敵は動きが鈍いなりに射撃の技量を高めていた。
たとえ横滑りをしている状態でも適切な射撃をしてくるので防護用魔方陣を常に敵に向ける必要があり、機動の選択肢は時間の経過と
共に減った。だが、死の恐怖はなかった。後方でフリガーハマーの発射音が轟き、歓声があがったからだった。
エイラの兵装の選択は正しく、実質的な長機としてサーニャを毎晩護ってきた経験の豊富さを示したのだった。
ゲルトルートは劣勢であることを悟って退却の機会を狙う敵を牽制しつつ、エイラ達と合流すべく、タイミングに注意しながら離脱し
た。
敵はこれを好機と捉えた。彼らもまたゲルトルートに追い詰められていたのであり、静止して正確かつ強力な射撃を行なう機会を得た
と考えたのだった。
彼らは、二機ごとの編隊を組みより高空と、より低空に散開している魔法少女のうち、より高空に展開しているエイラとリーネに照準
を合わせた。
しかし、さっさと逃げなかったのは下策だった。標的のうちリーネは、今までになかった自信を、ゲルトルートすらもが射撃技量のみ
優れた相手に追い詰められている様子を見て得ていたのだった。重圧もない。勝利は確定済みでその大きさだけが変わるのだ。
ゆえに、通常では射程の範囲外からの攻撃も、初速と射程を増大させられるリーネの能力によって有り得なかった。
エイラはリーネのために防護用魔方陣を張った。おかげでリーネは射撃に専念し、初戦果を得られた。
残る一機は効果によってのみ離脱しえたが、低空で、しかも上昇したゲルトルートと芳香に高度の優越を奪われてはどうしようもなく
撃墜されるしかなかった。ゲルトルートは今日だけで三機目の撃墜を果たした。
この後、ミーナ達も勝利し、敵は全滅という結果を踏まえ第二波の編成を中止、魔法少女は作戦的、戦術的勝利を遂げた。(損害なし)
しかし、ゲルトルートはこの日の自分を許すことはないだろうと思った。
充分に訓練されていない者を駆り出したことには変わらないし、完璧主義を完全に放棄するのはどうかと思った。
しかし彼女が変われたのも確かだった。
彼女は勝利の実感も自信も取り戻し、自分が万能でないことを受け入れ、また後悔もしていなかった。
58名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 19:12:51 ID:haFlxlkM
支援
59名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 19:19:23 ID:eqiq3xEe
続きます
後日談とタイトルなどつぎの機会に
当分DION規制に巻き込まれないようなので今までよりもゆっくり推敲などできそうで嬉しい
60名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 19:21:35 ID:tzF7rty5
サルにかかった後に支援しても効果はないよん
どうやらこの板の設定は直近10または11レスが全て同一だった場合にサルられちゃうみたいだね
長編の人は注意!上の投稿者は多分20:00〜2030の間くらいに解けるでしょう
61名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 19:23:07 ID:tzF7rty5
あれっサルられてない
俺恥ずかしすぎるw
62名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 19:39:08 ID:haFlxlkM
いや俺が一番恥ずかしい
63名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 19:44:58 ID:bvha++fq
キモオタ童貞ガリメガネの漏れだろ…
常識的に考えて…
64名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 20:22:02 ID:wftJ6uj1
>>26
文章読みやすいし、面白いし、雰囲気も良いし、情景が浮かぶようです。
良い物を読ませてもらいました。
65名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 20:42:21 ID:uywslsE/
良いものを観たり読んだりしたときは、つい一呼吸置いてから拍手をしがちだ
何が言いたいかって言うと>>26オモスレー ということです
ペリーヌの一人称は難しいとは言われてるけど、色々気をつければこんなにいいものが出来上がって読めるンダナ…
66名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 20:53:58 ID:S5r5DO0C
エイラの「キョウダケダカンナー」を聞いたサーニャが、「うん……分かった。ごめんね、迷惑だったよね、嫌だったよね」
と消え入るような声で言い、もう次の日からサーニャが間違えてエイラの部屋に来る事が無くなったらどうするんだろ。
67名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 20:55:43 ID:RyWUUxUP
多分死ぬ
68名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 20:58:57 ID:OQ8DrcKd
いま秘め声聞いてきた。
エイラのサーニャと胸に対する思いの丈がよ〜く理解できた
69名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 21:30:33 ID:8uFzvmV0
>>45
同士よ…!俺もみんなの話を聞いて我慢できなくなってAmazonで予約しちまったぜ!金ないのに!
ひゃっほい!!!
70名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 21:36:19 ID:pR9ta2cU
こんばんは。LWqeWTRGです。
やっと秘め声がエイラーニャですよ。長かった…。
というかみなぎってきたwwエイラwww
これさえあればどこまででも飛べそうだ!
さて、観察日記です。6レスです。
71名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 21:37:29 ID:pR9ta2cU
―――観察3日目―――
えーっと…、3ページ目です…ごめんなさい。

ひとまず近況をまとめると、あの日以来ところかまわずアタックをするようになったエイラだけど、ミーナ中佐による〇〇〇によりみんなの前では控えるようになっていた。
逆に言えば2人きりの時は…っていうことなんだけど。

うーん…。日記のことを思い出しちゃったからなにか楽しいこと書きたいな。
とはいってもここは雲の上。
まんまるより少し欠けたお月様の光が降りそそぐ空の中をエイラと2人飛んでいる。
ネウロイの気配は微塵も感じられないけど、この状況からだといたずらしにくいじゃないか。

とりあえず観察日記なんだからエイラの今をお届け。

エイラ 少尉
E:MG42
E:Bf109Gー2
E:スオムス軍服
E:白ズボン

いつも通りです。

間違った。
今の状態は私と手をつなぎ、結構な大音量でなにか歌っている。どうやらかなりご機嫌な様子。

観察終了。
あれ?終わっちゃった。
やっぱりなにかするしかないよね…。

空だとなにができるだろう…?

逆に空でしかできないことはなんだろう。


…そうだ。一度やってみたかったこと。

72名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 21:38:34 ID:pR9ta2cU
繋いでいた手をいきなりふりほどいて加速。
驚き戸惑っているエイラをおいて12時方向に進む。

どんどん飛んで、もういいかな、と思って振りかえるとエイラがお星さまぐらい小さく見えるとこまで来てた。
エイラは驚いて動けていないようだ。

「エイラ――――っ!!」

大きく手を振ってみたけどやっぱりムリかな?
大きな声ださなきゃいけないし。

こんなときはインカムです。

「エイラ、聞こえる?」
『さ、サーニャ?急にどうしたんダヨ…?』
「ごめんね。それで早速なんだけど、おいかけっこしよ?」
『ハァ?おいかけっこ?ナンデいきなり?』
「いいからいいから。私を捕まえて」
『捕まえてっテ…』
「…ダメ?」
『ダメじゃナイ!ダメじゃナイゾ!待ってろサーニャ!すぐ捕まえてやるカンナー!』

ふふふ…、一度やってみたかったこと。
それは、よくあるお花畑で恋人たちのおいかけっこのシーン。
ここはお花畑じゃないけど星空の下っていうのも素敵だと思う。

おっと、エイラったらスタート速い。
本気だね。目が血走ってそう。

うふふ、私を捕まえてごらん…。



73名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 21:39:34 ID:pR9ta2cU
『待てー!サーァニャー!!」

インカムからの声と普通の声が聞こえる。本当に速い。

まっすぐ突進してくるエイラをひらりとかわしつつ上昇。
その後能力を使ってエイラの位置を把握しながら緩やかに降下。スピードを上げつつ離れていく。
高度は私の方が上にあるから多少有利ではあるけど、未来予知の能力を活かすためにエイラは攻撃だけでなく速度にも魔力を割り振っている。そのためかこちらも加速してるのにだんだん追いつかれる。
まあウィッチの力は気持ちの力でもあるから、それだけ必死になってくれてもいるんだろう。だったら嬉しいな。

っとと、もうこんな近くまで。
体を下に向け急降下をすると見せかけ、そのまま半円を描きながら6時方向へ向くスプリットS。

エイラは……上!動きを予知したのか私とは逆の上方に回るインメルマンターンで反転、そして狙いをつけて降下を始めている!
まずい。さすがスオムスのエースだ。思うように逃げられない。

とっさに横に逃げたけど加速したエイラのスピードではすぐ追いつかれてしまった。
横に並ばれ、ニヤリとされた。しぶしぶスピードを落とす。

「捕まえタゾー!サーニャー!」

ああ、捕まってしまったわ…。

74名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 21:40:35 ID:pR9ta2cU
ゆるゆると減速して空中で止まると後ろから抱きついてきた。

「サーニャー。つっかまーえたー」
「もう!エイラってば本気出しすぎ」
「うぅぇ、ご、ゴメン」
「ふぅ…。ううん、もういいよ!楽しかった!」

どこか間違ってる気がしてきたけど気にしない。

「それでナンデいきなりおいかけっこだったンダ?」
「ん、な・い・しょ」
「エー?教えてくれてもいいじゃんかヨー」
「だめ。恥ずかしいし…」
「ちぇ…しょーがないナー」

そう言って久しぶりのドッグファイトで火照った身体を、同じく体温が上がっているエイラが優しく包んでくれる。
ただでさえ熱くなっている身体をギュッと抱きしめてくるものだから、だんだん頭がとろけそうになってくる。
気づいたら口が勝手に動いていた。

「私がね、やってみたかったの」
「ンー?なにが?」
「おいかけっこ」
「へぇ、そうだったのカ。じゃあまたやろうナ。今度は2人じゃなくてみんなも誘ってやろう」
「ううん、2人じゃないとダメなの」
「ヘ?ナンデ?」
「ほら、よくあるでしょ。辺り一面お花畑の中で恋人たちがおいかけっこをするシーン」
「アァ…あるナァ…。…って恋人ォ?」
「うん、恋人…」

75名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 21:41:35 ID:pR9ta2cU
恋人……いい響き…。

「恋人って…私たちの事になるのカ?」
「…他に誰かいる?」
「ダヨナ…。恋人…コイビトかぁ」
「なぁにエイラ。私が恋人じゃ嫌なの…?」
「そんなわけないダロ!むしろこちらからお願いシマス!!」
「ふふふ、こちらこそよろしくお願いします」

唐突に繰り出されるガッツポーズ。盛大なおたけび。

「エイラうるさいよ。うふふ」
「サーニャが恋人ダゾ!?これが落ち着いてなんかいられるカ!」

いまさらだと思うんだけどな…。

「いまさらでも意識の問題があるんダヨ!するかしないかでシャーリーとツンツンメガネぐらい違うんダ!」
「…?ってそうかなー?」
「ソウダヨー」



「ねぇ、エイラ…。キス、しよ」
「き、きキキ、キスだって!キスだって!」
「いいでしょ…?だって…恋人…だし…」

いつもと変わらないはずなのになんか恥ずかしいのはさっきの意識の問題なのかな?

「ソウダナ…。よし、頑張ル!」
「うん…私も頑張る…」
「サーニャ…。目つむって」
「……はい…」


「…だいすきダ。サーニャ」
「私も。だいすきだよ、エイラ」




76名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 21:42:55 ID:pR9ta2cU
――――――
あああああ恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい…。

やっぱりだいすきって言葉にするとものすごく恥ずかしいんですね…。

あああこうやって書くのもダメだ…。

落ち着け、私…。落ち着いて…。



ええと、晴れてカップルです。嬉しいです。
その事をみんなに伝えると「今まではなんだったの!?」と驚かれましたが…。

それはまあいいとして、これからはもっと遠慮なくエイラと遊べるんだね…。
まずはなにしてもらおうかなー。
かっこいいエイラが見られるからまたドッグファイトもしたいし、お揃いの物を買ってみんなに自慢もしてみたい。
あとは…そうだ、今度ミーナ中佐に恋人にするいたずらの極意でも聞いてみようかな。なんか凄そうだし。
うん。今からエイラの反応が楽しみだ。


さてと、エイラが呼んでいるし眠ろうと思います。
ゆっくり休んでからまた考えよう。



最後にもう一度……エイラ、だいすき!


END

77名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 21:43:56 ID:pR9ta2cU
以上です。
タイトルは「エイラ観察日記〜天空の魔女エイラ〜」で。
おいかけっこです。書いてる途中に出てきた48手の中にあって驚きました。
48手用にこうやって空戦みたいに書いてる人がいるかもしれんな…すいません。
後半は難産の上、前回と同じようなパターンになってます…。どうすればワンパターン回避できるんだろうかorz

観察日記はもともとエイラさんがヘタレなかったらこうかな、と妄想したものなんですが、どんどん変態化してなにがなんだかわからなくなってきた…。コレ書いて大丈夫ナノカー…?


こんな変なSSを読んでくださった方に感謝。
それでは失礼します。
78名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 21:48:46 ID:GWjDEfnB
>>77
超GJ
なんて幸せそうな人たちなんだ
79名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 21:49:42 ID:DU9iGO2I
随分にぎわってるな
80名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 21:59:55 ID:MtiDGMvS
>>38
うあああああああ、芳ーニャ薄いのか……orz
あのアンテナを染めたのは何だったんだーーーーーー!?



よし!ちょっと練炭買ってくるわ!
81名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 22:03:18 ID:CSGjV2NP
>>77
GJ!ミーナ中佐の役どころに吹いたw

>>80
ハヤマルナ!!それを妄想で補うのが俺らの仕事だろ!
82名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 22:10:55 ID:uywslsE/
>>77GJ

ってインカムの音声って普通に考えて本部に筒抜けじゃあ……
マ、イッカ
83名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 22:20:02 ID:DU9iGO2I
>>77
素晴らしいバカップルだよ全く
84名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 22:24:51 ID:/QYXl++Q
お前ら大事な事忘れてる
エイラがもっさんにラブコールしたじゃないk(ズドーン)

すまない通りすがりのロケット弾に右腕を飛ばされた。スティムパックをくれ
85名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 22:47:12 ID:SscZXiZ5
>>80
芳ーニャが薄いというかエイラ→サーニャが濃すぎると言うか...。
86名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 22:49:15 ID:RyWUUxUP
芳佳はエイラ以外に親しく接してくれた新しいお友達って感覚なのかね?
だがそこからry
87名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 22:50:33 ID:/QYXl++Q
さらに言うならサーニャ→お姉ちゃんもかなり濃いよね
二人とも本編だと余り喋らなかったからいい加減なコメント無くて楽しい
サーニャとか殆ど夜間哨戒サンキューだし・・・

そしてエイラについてはいいよもう。こっちが恥ずかしいわ!
88名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 22:55:27 ID:DU9iGO2I
この二人にはまだ次の段階を考えてあるらしいがどこまで行くんだろうな
89名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 22:59:56 ID:/QYXl++Q
佐伯「ワシのエイラーニャは108式まであるぞ」
90名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 23:13:03 ID:/irCIbM4
サーニャとエーリカは周りが聞いても分からなくて自分でも思い出せない話ってなんだよw
91名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 23:14:59 ID:MtiDGMvS
>>81
妄想は最大の武器ですね!
しかしこの二人大好きなのに妄想難しい…
92名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 23:21:18 ID:Ahq122ds
>>90
ヘタレをその気にさせるには、という議題について話し合う中で
二人で色々と『実験』をしているうちに……。そして以降の記憶がry
93名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 23:22:09 ID:kOZ8PS9F
「5時間」というのが重要
つまりサーニャは寝てた
94名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 23:23:24 ID:/QYXl++Q
>>93
んで夢の中でハルトマンと喋ってたけど夢だからよく覚えてない・・と
そしてハルトマンは寝言だと思わず一人で喋り続けてたという事か?w
95名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/30(金) 23:40:42 ID:i7VPOfVo
エーリカ本当にいい娘すぎて泣けてきた
96名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 00:01:28 ID:wO1PDnWN
姫声聞いてるとエイラ→サーニャよりサーニャ→エイラの方が想いが強い気がしてきた
あの一言のトーンはただの親友へのものじゃないwおかしいw
97名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 00:07:47 ID:bvha++fq
私以外の女の子にはさわっちゃだめ。

サーニャ…
98名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 00:09:01 ID:t/xcZZno
トラック68の後も詰問されてるよね絶対
で、エイラがガクガクし出して逃げる
99名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 00:10:06 ID:t/xcZZno
63だった
100名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 00:10:46 ID:rh6Ia6tr
他の子にさわっちゃだめだよ

エイラ監禁フラグ

  ,イ __ ト、
  レ'´   `ヽ
  ! イル'ヽメ))
  | !リ ;ヮ;ノ''タスケテー
101名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 00:16:54 ID:tr1egJzO
>>96
そうか?どう聞いてもエイラ→サーニャの方が強い気が...。
個人的にはサーニャはまだ愛だの恋だのの感情に疎くて宮藤やシャーリーにただ憧れてる感じがした。
そして最終的にはなんやかんやでエイラの大きさに気付く、って感じがry
102名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 00:18:24 ID:rThRUR1o
前スレ>>695の埋めssのスオムス語とオラーシャ語の意味を
こっそり教えてくれまいか
103保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2009/01/31(土) 00:35:07 ID:gDFDuz/5
>>26>>59>>77GJ!!新スレ早々忙しいぜ

>>102
大体こんな感じのはず、ウムラウト出ないのは勘弁してくださひ

Ты нужна мне→私にはオマエが必要なんだ
Я не могу жить без вас→オマエがいなくちゃ生きてけないんだ
Minulla on teita hyvin tarkea kertoa→(オマエに)大事な話があるんだ
Tulkaa minun kanssani, jos te haluatte→オマエがよければ、私と一緒に来て欲しい
Mita te pidatte minusta?→オマエは私のこと、どう思ってるんだ?
Я ЛЮБЛЮ ТЕБЯ!!!!→私はオマエが好きだーッ!!!!
вруша→嘘つき(女)、裏切者
104名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 02:10:51 ID:WA/40Mov
素顔のままでを弾くサーニャ
105名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 02:28:36 ID:W8olv6dt
>>100
いや、エイラ的には大勝利

のはず
106名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 02:33:00 ID:24+q+vHb
素直になりなよエイラ、素直なエイラかわいいよ。逃げてばっかいると本当に捕まっちゃうぜ。
107名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 03:18:28 ID:rh6Ia6tr
フミカネブログで紹介されたウィッチ内での人気の差があまりにも激し過ぎるよ
ニパはエイラと元気にいちゃこらしてるのに黒江さんは部屋の隅っこで体育座りしてるよ!みなさん!
108名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 04:00:38 ID:zl2rSfe8
>>1乙です。
秘め声聞いてエイラーニャで興奮して興奮してたら
どういう訳かゲル芳SSを書いていたので投下。

ただ物凄く長くなってしまったので
前編、後編で分けます。
109ゲル芳前編1:2009/01/31(土) 04:03:10 ID:zl2rSfe8
銃を向ける恐怖が無くなったわけじゃない。
むしろ恐怖が無くなることは、怖い事のように思えた。この感覚を無くしたくはない。失いたいとは思わない。
だけれどもネウロイを撃つ、という行為は大分スマートに出来るようになってきた。
ネウロイだから――なんて考えが良いのか悪いのかは、新米軍人である宮藤芳香には分からない。
だが日々確実な進歩や技術の向上はみられるらしい。

「うむ、ようやく様になってきたな」
「は、はい……あ、ありがとうございます!」

訓練を終えた後、上官でもあり教官でもある坂本美緒にそう言われる。
西日がまぶしいのか微笑んでいるのか判別つかないが、彼女目は穏やかだった。

「初めの頃は凄い飛び方だと思ったが……」
「あはは……その、すいません」
「でも、訓練ナシで行き成り飛ぶのだって、凄い事なんだよ」
「リーネちゃん」

リーネとは、芳香と同じく新米ウィッチのリネット・ビショップの事である。
彼女はひょこっと顔を出したかと思うと、彼女らしい優しい笑顔を見せてから芳香の肩を叩いた。
訓練なしに飛んだ――彼女には好意的にも、ちょっと複雑な感情を含ませた感じにも言われた言葉だが、
そんなに凄い事なのかは芳香にはいまいち分からなかったりする。
だがいろんな人が驚いた表情をする以上、なかなか珍しい事ではあるらしい。
 
「まあなんだ」

ゲフンと一度咳払いをしてから、坂本はしっかりと芳香を見詰める。

「初めの頃よりぐんと良くなったのもホントだし、正直短期でここまで伸びたのは驚いた。頑張ってるな、宮藤」

坂本の笑顔はふしぎだと思った。
何かこう、変な力が湧いてくるというか。認められた、と純粋に思える何かがある。
それは坂本自身が芳香より数段格上のウィッチだからとか、そういうのもあるのだろうが。
彼女が酷く真っ直ぐで、誰かを褒める時は嘘偽りないからだろう、と最近では思っている。
坂本の気持ちを真っ直ぐ受け取ると、自分でも制御できないほど嬉しい気持ちになる。
お礼を言おうとしたその時、ふと坂本の視線が自分から外れた事に気がついた。

「あれ? バルクホルン大尉、どうかしたんですか?」

隣でそう言うリーネも、坂本と同じ場所を見詰めているようであった。
そこでようやく振り返って二人の視線をたどってみると、何だか落ち着かない様子のゲルトルート・バルクホルンがそこにいた。
110ゲル芳前編2:2009/01/31(土) 04:04:38 ID:zl2rSfe8
「何かあったのか、バルクホルン」

規律規律と言うだけあって、バルクホルンは時間厳守の人である。
物事は手際よく、要領よく。自分にも他人にも厳しいまさに軍人気質な人である。
もっともそれだけではなく、本当に優しい笑顔が作れる事も、芳香は知っているけれども。
 
「もしかしてさっきの飛行訓練みてて、何か言いたいことでもあるのか?」
「え?」 
「いやな、今宮藤の上達について話していたところなんだ」

坂本とバルクホルンのやり取りに、一人芳香は動揺していた。

『死にたくなければ帰れ』

何故か、昔に言われた言葉が蘇る。
この言葉が、自分の事を思って言ってくれた言葉だという事は、よく分かっている。
本当に危なっかしい飛行だったのは、先ほどまでの坂本やリーネの会話からでも分かる。
でもこの言葉には、心配の他にもウィッチとして認められていない部分もあったのは、事実なんじゃないだろうかと思う。
 
――今はどうなんだろう。バルクホルンさん的に。

技術が向上したのか、自分自身では判らない。やっと半人前かのところまで、こぎつけたんじゃないだろうか。それとも。
いやまて、弱気になっていては駄目だ。
先ほど坂本もリーネも褒めてくれたじゃないか。毎日の訓練だってしてる、だから――。
何故か、自分に言い聞かせていた。
よほど切に迫る表情でもしていたのだろうか。
バルクホルンは少しだけ視線を逸らして何か思案した後、先ほどの坂本と同じく、しっかりと芳香を見据えた。
 
「魔力の制御に集中して、少し周りが見えてない時があるな。構え方はそれなりになってきている。だが――」

そこまで言いかけて、彼女は何かに気づいたかのようにはっとした。

「いえ、私からはこれくらいで」

慌てて付け足したかのようにいうバルクホルンは、芳香から視線を外していた。

――だが、ってなんだろ。

遠ざかっていく背中と比例して、ざわざわと胸の中が落ち着かない。
バルクホルンは何を言いかけたのだろうか。
心配してくれるリーネや坂本の声が届かないほど、芳香はそればかり考えていた。

111ゲル芳前編3:2009/01/31(土) 04:08:58 ID:zl2rSfe8
**

「トゥルーーーデ」
「なんだ、ハルトマン」

後ろでまだ話している坂本とリネット、そして宮藤を残して歩いていたところ、
かなり不機嫌な声がバルクホルンの耳に届く。
声の主は、考えなくても分かる。同郷のエーリカ・ハルトマンである。

「さっきと言ってる事が違う」
「な、何の話だ」
「トゥルーデ興奮すると独り言うっせーもん。声に出てた」
「……」

以後気をつけよう。

――ていうかこいつは、聞き耳をわざわざ立ててたのか。

色々思うバルクホルンの腕を、気づけばハルトマンはぎゅーっと引っ張っていた。

「もう、ほらもう一度言いに行きなよ!」
「うわっ! こ、こらハルトマン! よせ!」

慌ててその手を振り払うと、ハルトマンの表情が露骨なほど不機嫌になった。
日常生活の駄目っぷりからよく叱る事が多いが、彼女はその時もよく不機嫌そうな表情を見せる。
だが、こうも「不機嫌さ」が顕著なのは、珍しかった。

「あのさ、あれじゃわかんないよ」
「事実を分かりやすく伝えただけだ、私は」
「違うね。絶対に違う」

真っ直ぐな瞳で此方を射抜くハルトマン。
普段のだらけた姿は吹っ飛んで、そこには敵と戦う勇ましい時のハルトマンがいた。
この意思の強い目をみると、どうにも落ち着かず目線を逸らしてしまう。
負けたも同然だった。

112ゲル芳前編4:2009/01/31(土) 04:12:35 ID:zl2rSfe8
「な、なんでそんなに構うんだ」

泣くように吠えて、バルクホルン。
確かにハルトマンの言う通り、先ほどの言葉は言おうと思っていたことではなかった。
本当はもっと他に、宮藤に言ってやりたい言葉があったのは事実だ。

「お、お前には関係ないこと、だろ」

そう、それは彼女には関係ないことのはずなのだ。
なまじ色々と思うところがあるだけに、ハルトマンの強い目が、まるで自分を責めるように思えてしかたがない。
事実、ちょっと後ずさっていた。

「関係ないよ、勿論」

バルクホルンが放つ、少し重い場の空気を無視して、さらりと彼女は言った。

「でもさ、気にはなる。だってトゥルーデ、変な言い方で帰ってきちゃうんだもん。
あれじゃ誰だって勘違いしちゃうっつーの」
「うぐっ……」

ついに声に出して狼狽してしまう。
今のバルクホルンをネウロイ的に言えば、コアが露出してしまった状態と同じ。
あとは撃ち抜かれれば、撃墜完了だった。

「この話題自体には、確かに関係ないんだけど。……宮藤もトゥルーデも、あたしには大事なんだよ。
だからさ、変な勘違いでギクシャクしてほしくないんだ」

ハルトマンはコアを撃ち抜かない。
優しく微笑んだ後、くるりと反転して立ち去ろうとする。
バルクホルンは思わず、その背中を呼び止めた。

「なあ! どうしたら、いいと思う?」

変にやめるんじゃなくて、いっそ撃ち抜いて欲しかった。
そう思うバルクホルンに、ハルトマンは呆れたように笑った。

「言おうとしたこと、言えばいいんじゃないかな?」

彼女の笑顔は最後まで、いたずらっ子の様な意地悪さがあった。


*前編終わり
113名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 04:14:53 ID:zl2rSfe8
前編以上です。
もう少しいけそうなんですが
不思議で仕方がないところで切れてしまうのでここで一区切り。

また後で後半上げます、申し訳ないです
114名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 04:29:46 ID:AF1NjLqr
>>113
GJ
だがキャラ名くらいは正確に・・・
115名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 08:47:10 ID:HF7Tu4/T
明け方、いつもの様に間違ってエイラさんのベッドに入ってきたサーニャさん。
ドキドキしながら、今日こそは、と思いつつ、相変わらず指一本触れられないエイラさん。
そんな時、寝返りを打って、そのままエイラさんに抱きついてくるサーニャさん。
サーニャさんの柔らかい感触と甘い髪の香りに悶々としながら、今日も眠れぬ夜を過ごすエイラさん・・・。


帰省中で秘め声が聞けないせいか、こんな幻覚症状が出てくるんダナ。
ちなみにサーニャさんは、実は起きてて、困ってるエイラさんを見て、楽しんでるんダナ。
116名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 09:19:17 ID:b+qLOoNn
本スレの情報によると限定版DVD第5巻の「第五〇一統合戦闘航空団 作戦予定表」に
いらん子キャラの誕生日も載ってて、エルマ中尉の誕生日がルーッカネンと同じ6月4日らしい。

ということは、エルマ=エイッカがほぼ確定でむろさん大勝利?
117名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 12:05:05 ID:5KFQUptJ
>>116
落ち着いて、日本語でよろしく。
118名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 12:08:44 ID:24+q+vHb
和訳「DVD買ってきたゾ、一緒に見ようナ」
119名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 12:33:03 ID:hRHG/rGh
>>116
とりあえず個人名だけは出すな
あと落ち着け
120名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 12:57:03 ID:n51FQhvQ
>>116を落ち着かせるためにはSSが良いと思うぞ!
121名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 13:12:22 ID:b+qLOoNn
落ち着いた。こういうこと。

1. 限定版DVD第5巻が発売
2. それには「第五〇一統合戦闘航空団 作戦予定表」が付属
3. 「第五〇一統合戦闘航空団 作戦予定表」とはカレンダー
4. このカレンダーに第501統合戦闘航空団やいらん子中隊のウィッチの誕生日が記載
5. ストライクウィッチーズでは原則としてウィッチの誕生日はイメージモデルの人と同じ
6. エルマ・レイヴォネンの誕生日が6月4日の模様
7. エイノ・アンテロ・ルーッカネンの誕生日は6月4日
8. エルマ・レイヴォネンのイメージモデルはエイノ・アンテロ・ルーッカネンでほぼ確定
122名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 13:51:39 ID:hCpojWjW
ところでいらん子っていつだっけ
123名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 14:39:14 ID:5pO/ruX+
>>122
2009初春とかいてあるけど詳しくはわからん。
124名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 15:28:35 ID:R+c+fdxF
戦闘記録集P23のエーリカのストライカーに書いてある文字って
よく見えないんだけど何て書いてあるの?
元ネタ通りならウルスラなんだろうけど

その上のトゥルーデのストライカーにクリスって書いてあるのは
元ネタ通りだよね
125名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 15:32:56 ID:2Z+Zsjd/
>>121
しかしそうするとルーッカネン分遣隊が謎になってしまう
126名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 16:32:30 ID:NbXLZzvX
今さらだが前スレ>>696GJ
私も芳ーニャ派だが、エイラーニャには幸せになってもらいたいとも思ってしまう。
いつか甘々な芳ーニャとか書いてください!
127名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 16:37:44 ID:oREY38N+
>124
元ネタ通りだったら、エーリカもああ見えて妹ラブなのか
128名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 16:43:20 ID:hRHG/rGh
エーリカが妹ラブならアニメ版ウィッチーズは偶数で大団円
129名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 17:01:59 ID:kYyEoI0z
その場合
ゲルト×ミーナ
もっさん×ペリーヌが自然か?
130名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 17:25:22 ID:knFa6HVm
     _____________
   /|:: ┌──────┐ ::|
  /.  |:: |          | ::|
  |.... |:: |         | ::|
  |.... |:: |         | ::|
  |.... |:: └──────┘ ::|       ___
  \_|    ┌────┐   .|    マ´  `マ
      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     !. i    |   わたくしがハブられることで
             / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄旦 ̄リ .!|    |
            /            ((i(   )))
           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|、_)
             ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄| ̄

     |           .( ( | |\
     | )    ___      ) ) | | .|
     |__マ´  `マ___(__| .\|    わたくしの代わりにだれか一人、パートナーを持てる
    /―  .! !   li j   ――-\≒   
  /     ((i(   )))        \
  | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |
  |______________|

    __
  マ´  `マ
  ! ill i! i! ! )
  .リ !| ゚ ー゚ノ|
  ((i! ⊃/(___
/ └-(____/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                       わたくしはそういうことに幸せを感じるのですわ
  <⌒/ヽ-、___
/<_/____/


131名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 17:26:05 ID:zWBnU9f5
>>125
元ネタのエイノさんを可愛くして名前もそれらしく変えるとエルマさんで、
そのまま格好いい感じにすると分遣隊隊長のエイッカさんになるんでしょ

ありがたく両方いただいときますね
132名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 17:38:54 ID:gDFDuz/5
大きいネタは出切ったようなのでここらで記録集・秘め声より百合関係の情報抜粋。
・クリスの本名はクリスティアーネ・バルクホルン(Christiane Barkhorn)。
・基地にいた看護婦の本名はウィステリア・ピース(Wisteria Peace)。クリスの病院にいた人とは別人。
・ロスマン氏はやっぱりハルトマンの教官だった。当時は曹長だったらしい。
・リーネの射撃は母親譲り。
・44年8月中旬の芳佳が夜間哨戒に出てた期間、リーネはトゥルーデとロッテを組んで午後番だった。
 午前はエーリカとペリーヌが担当。何この組み合わせ。

エイラ
・解散後はサーニャと一緒にオラーシャに行って両親を一緒に探すつもりらしい。本編で一緒の列車に乗ってたのはやはりそういうことかと。
・「サーニャのこと考えると、なんか切なくなるんだ。」
・サーニャに「地下室には本物の幽霊がいる」と言ったら泣かれた。ペリーヌのせいらしい。

サーニャ
・全体的に「もっとお話してみたい」。エイラと一緒にいるのは「当たり前」。ていうかインタビューもエイラ同伴。
・芳ーニャよりシャーニャのほうが可能性ありげ。だがそれらを全部足しても「エイラがほかの女の子の体に触るのは良くない」に勝てる気がしない。
・料理は得意。ウィーンの料理もそれなりにできる。

とりあえずエイラのシステムボイスがサーニャ専用になっててワロタ。ていうか「サーニャ、好きだーッ!!」って名指しかよ!!
あと作戦予定表で誕生日が色々判明。明日は諏訪五色とみっちゃんの誕生日。こ、これは「やれ」という天からの声か……!?

以上報告です。長文失礼、これより任務に戻ります。
133名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 18:00:58 ID:rh6Ia6tr
>>130
泣いた
しかしこのAAペリーヌの髪の表現がうまい


>>132
お疲れ様です
基地の看護婦さんはどうでもいいからクリスの部屋担当の看護婦さんの名前が欲しかった
未だに忘れてませんし大好きです看護婦さん×クリス
134名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 18:07:33 ID:Gc7z4LkF
ピース看護婦はファンブックの時点で判明してたはず
135名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 18:14:44 ID:2Z+Zsjd/
隊長をも攻略したエイラさんがなぜシャーリー未攻略なのか

「これは私のだからダメ!」
「じゃ、じゃあお前もサーニャには手を出すなよ!」
「ウジュ、サーニャはエイラのなの?」
「くぁwせdrftgyふじこlp;

こうですかわかりません。
そういえば何気にリーネイラ的にもおいしかった気がするしほんと今回の秘め声は最高だった…
136名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 18:22:47 ID:4A56cRbL
てすと
137名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 18:31:30 ID:hCpojWjW
>>132
>エイラのシステムボイスがサーニャ専用

これはマジですか!?
エイラがサーニャ以外に好きなんていうのは聞きたくないっていうのが秘め声唯一の不安要素だったんだが・・・
138名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 18:37:16 ID:B//ue51K
エイラの秘め声はサーニャとおっぱいで構成されています。
139名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 19:09:49 ID:INmrfZ1S
>>128
しかしそこにクリス登場で再び奇数ry
おっと、ペリーヌ…すまなかった
140名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 19:16:21 ID:5pO/ruX+
>>132
エイラさんほんまもんすぐる…。
141名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 19:19:10 ID:rh6Ia6tr

  ,イ __ ト、
  レ'´   `ヽ
  ! イル'ヽメ))
  | !リ `ヮ´ノ ワタシノヒメゴエヲソンナメデミンナー
142名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 19:21:05 ID:KCVMBO/2
頑張れとすら言ってもらえないエイラスキーの僕ですがサーニャの励ましで頑張ろうと思います
143名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 19:28:52 ID:oREY38N+
「サーニャをそんな目で見んなー!」というがエイラはサーニャをどんな目で見ているのさ
144名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 19:33:17 ID:24+q+vHb
>リーネイラ的にもおいしかった
なんとなーく、エイラの好みのタイプがわかったような。ニパ……。
145名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 20:10:23 ID:W5bTAQPT
今回の秘め声破壊力高すぎる
というかエイラは自分の気持ちに気付いてないのかよ
146名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 20:42:49 ID:a/1BjBXb
ペリーヌに相棒(運命の人)がいないのは
二期への伏線な気がしてきた
147名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 20:46:01 ID:rh6Ia6tr
>>146
フミカネがブログでさえもペリーヌの相方になれそうなガリアの新ウィッチを描いてくれないのは
二期に向けてたくさんキャラを溜め込んでいるものと信じています
148名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 20:47:40 ID:tr1egJzO
もっさんがいる。もっさんにだけデレッデレなのがかわいいんじゃないか。
戦闘記録集4巻の表紙のあの表情はもっさん以外に向けて欲しくない...。

ただもっさん×ミーナも好きだけどね。
149名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 20:58:27 ID:NKo9oKi5
>>137
マジ 聞く前は脳内補完でなんとかしようと思ってたけどそんな必要すらなかったぜ!
サーニャ、大好きだー!だもんなw
150名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 21:00:23 ID:24+q+vHb
「頑張れ、頑張れ↑サーニャ!」もよくない?
ちょっと耳にこびりついて離れない。
151名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 21:05:57 ID:RZTfcNe9
エイラの秘め声はここをスタッフが見てるんじゃないかってくらい素晴らしい出来だったな
152名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 21:13:01 ID:rh6Ia6tr
正直言うと、今までの姫声はその他ボイスとシステムボイスは聞いてこなかったし嫌いだった、特にリーネの奴とか

理由は言わずもがな


だが今回のその他ボイスやシステムボイスはマジで話が違うぜ
153名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 21:14:03 ID:zYyn4NMQ
サーニャのペリーヌについても好きだ
154名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 21:17:20 ID:KCVMBO/2
>>150
素直でいいよねあれ。好きでたまらんのだなぁ、微笑ましい
だめよってお姉さんぶってるサーニャも可愛いなー
でも「空飛ぶ鉄槌です?」はちょっと怖くないかw
155名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 21:17:52 ID:KCVMBO/2
?→はぁと ね。文字化けた
156名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 21:18:42 ID:y3ahfm/M
みんな秘め声に食いついとるが表紙のもっさん×ミーナにニヤニヤなのは俺だけ?この2人顔赤く染まっとる気が…
157名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 21:23:57 ID:oREY38N+
>156
窓から差し込む西日でそう見えるだけジャマイカ?
しかしあの表紙がいい夫婦すぎる
158名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 21:31:03 ID:LtX2BjTq
公式で固定されると他のカプ妄想しづらくなるからもうちょい控えめにしてほしかったわ
それかエイラーニャこんくらいやるんだったらリーネと芳佳もおんなじくらい百合百合させてほしかった
159名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 21:32:39 ID:I1F9tu3h
>>151
逆に考えるんだ。
漏れともまえ以外のスレ住人は、スタッフと声優、
そう考えるんだ。
160名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 21:36:23 ID:rh6Ia6tr
>>158
それは股間が許さなかったと予想
割とマジで
マジで
161名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 21:41:05 ID:knFa6HVm
基地探訪で「いい匂い」とかやってんのに何を今更
162名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 21:49:11 ID:3CVXFgYi
>>124
↓で照らし合わせてるけど一文字目からして…違うorz 英語だとulsuraだっけか
ttp://japan.wipgroup.com/useful-information/reference-material-data/world-languages/german_alphabet.html
163名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 21:49:57 ID:MUMFxvmv
基地探訪は股間の息がかかってないようだから

リーネちゃんの秘め声は明らかに股間の願望が混じってる(お嫁さんとかお兄様とか)
それでも芳佳ちゃん発言連発してたから百合度は高い方な気がするけど
164名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 21:58:08 ID:INmrfZ1S
>>162
元ネタの人の機体にはUrsrl.って書いてあるな
その下にコールサインのKaraya
165名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 22:08:25 ID:RZTfcNe9
俺は公式重視なんでこのくらいガンガンやってくれた方がいい
166名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 22:12:15 ID:Vz8wlJ7C
公式で固められても妄想ならば関係ない

そういうものだろう?
167名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 22:14:50 ID:DDje3k6c
なにげにポイント高かったのは、エイラのゲルトんとこだな
タロットではからかっても面白くないってなってて、おいおいそれは違うだろって唯一公式にケチつけてただけに
168名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 22:15:31 ID:HF7Tu4/T
>>146
ガリアの復興作業に励むペリーヌは、ある日戦火で両親を亡くした一人の少女に出会う。
ウィッチであるペリーヌに憧れ、ペリーヌに熱烈なラブコールを送る少女。
最初はうっとしいと思っていたペリーヌもいつしか少女の事が気になり始めて・・・。

みたいな展開を個人的に期待してたりする。
ウィッチ×一般人のCPって無いよね?
169124:2009/01/31(土) 22:19:21 ID:R+c+fdxF
>>162 >>164
サンクス!謎が解けたよ
どうやらカラヤ中隊のカラヤみたいだな

ウルスラだったらかなり萌えたんだが…

170名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 22:37:10 ID:3CVXFgYi
>>169
エーリカ「わ、私はトゥルーデみたいに姉バカじゃないもん!(本当は描いてみたいけど恥ずかしい…)」

と脳内補完で自分を慰めておくぜ!
171名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 22:43:07 ID:gt0Vkjb9
>>129俺はもっぺりを(脳内)結婚させるため精神安定剤としてウルスラを服用してる

でもここはもっミーナ押しが多く、言うにはばかられる気もするよ
ここのssも純粋に祝福されてる相思相愛な内容はおそらく一つもないし、
下手に幸せにしちゃうとキャラ崩壊を招いて色々理屈とか技術を要求される気がして難点多し

それに高貴すぎてエロ妄想はできないンダナ
もちろんする気もないゾ
172名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 22:43:21 ID:R+c+fdxF
>>170
実はエーリカのストライカーには何度も塗りつぶしたあとが

ここまで妄想した
173名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 22:48:11 ID:3CVXFgYi
>>172
ゲ「む。おいエーリカ、ストライカーの塗装はもう少し綺麗にやれ。仕方がない。手伝ってやるか」
ガリガリ
エ「ちょ! トゥルーデやめてよ!」
削った塗装の下には……

その頃、スオムスの空の下でエーリカはくしゃみをした

まで妄(ry
174名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 23:00:46 ID:8C0uZqyZ
みんな盛り上がってるな〜。早く戦闘記録集読んだり秘め声聞いたりしたいぜ…!
まだ届かないかな〜。
エイラーニャ書いてみました。48手の「ハグ・通常」(たぶん)です。
175名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 23:01:17 ID:8C0uZqyZ
時は1944年。ガリアを解放することに成功した連合国第501統合戦闘航空団はその任務をもって解散。
わたし、エイラ・イルマタル・ユーティライネンもスオムスに戻ることになった。
となりには、スオムス転属になったサーニャ・V・リトヴャクがいる。501にいる間、ずっと一緒だったわたしたちはこれからも一緒にいられるのだ。
みんなとの別れは寂しいものだった。リネット・ビショップなんか大泣きしていたし、あの、堅物ゲルトルート・バルクホルンまで涙ぐんでいた。
だから、わたしは本当に幸運だと思う。一番大切な彼女と別れなくてよかったのだから。

「いや〜、訓練の後サウナに入ってから水浴びするのは気持ちいいナ。」
「そうだね。」

わたしとサーニャはスオムスの湖にいた。滅多に、というかわたしたちウィッチしか人は来ないだろう秘境。
ふたりで水に浸りながらのんびりするのは501のころからの日課みたいなものだった。

「…ねぇ、エイラ。みんなどうしてるかな。」サーニャがぽつりとつぶやくように言う。
「みんなって501のか。まぁ、アイツらなら元気でやってるダロ、きっと。」たまに届く手紙からは問題があるような様子はうかがえなかったし、悪いニュースも聞かない。
「うん、そうだよね…。」そういってサーニャは膝を抱えた。

寂しいのだろう。宮藤芳佳のおかげでせっかく隊のみんなとも仲良くなれたというのに、そのあとすぐに解散となってしまった。

「芳佳ちゃんとかともっとお話したかったな。」そのセリフは解散が決まってから何度も聞いたよ。

正直、宮藤にはかるく嫉妬を覚える。

アイツも大事な仲間だというのは当然なのだが、わたしと一緒では叶わなかったサーニャの「みんなと仲良くなりたい」という願いはアイツが叶えたようなもんだから。
それに、サーニャは宮藤のことをとても慕っているし。手紙にしても、宮藤からのを一番楽しみにしているような節がある。

だから、わたしは「…そうダナ。」とぶっきらぼうに答えることしかできなかった。

「エイラは寂しくないの?」

それはない。寂しかったに決まってるじゃないか。本当は解散の日、リーネと同じくらいわんわん泣きたかったぐらいだ。

でも、そうしなかったのは君がとなりで必至に涙を堪えているのがわかったから。

宮藤やリーネ、意外と仲が良かったエーリカ・ハルトマンと手紙を書く約束をして「また会おうね。」と話しているの見て、泣いてる場合じゃないと思ったんだ。だから、み

んなの胸を触ろうとしたりして最後までふざけて、みんなを、君を笑わせようとしたんだよ。
176名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 23:02:22 ID:8C0uZqyZ
「んー、強いていうならもっと胸を堪能すれば良かったカナ、と。」リーネとかシャーリーとか…とおどけて答える。
「…ほんとにエイラって女の子を触るの好きだよね。わたしには何もしないけど…。」どうせ私は胸ないもん、とすねた声で言うサーニャ。

…おっと雲行きが怪しくなってきたゾ。

「いや、そんなに好きってわけじゃ、いや好きだけど、そもそもサーニャに何もしないのは別にサーニャに胸がないとかそんなのは関係なくて…」

やばい、我ながら苦しい言い訳だ。胸の話なんてするんじゃなかった。
サーニャは自分に胸の大きさを気にしているようで、よく「もっと大きければいいのに…」とか言う。
14才という年齢を考えれば、サーニャのそれは別に普通だし、確実に成長しているのは確かなんだけどなぁ。
サーニャの胸関してはオーソリティのわたしが言うんだから間違いない。

あ、そっぽを向いてしまった。もうどうすっかナァ。

「…えいっ。」「うわっぷ。」

いきなり顔に冷たい水が浴びせかけられた。
目の前のサーニャはしてやったりというニコニコ笑顔だ。…演技だったのか。

「コノー。」わたしもサーニャに水をかけ返す。

きゃっとか言っちゃってかわいいナーもう。とか、思ってたらまた顔面に水が直撃。鼻に水が入って、ツーンとする…。
もう、許さないゾー。さっきよりも盛大に水を浴びせる。数回そんな水のかけ合いの応酬をしたあと、わたしたちは笑いあった。

「エ〜イラ!」

突然だった。サーニャがわたしに抱きついてきた。さっきも確認したけどここは湖だ。で、水浴びしてんだよ、わたしたち。

つまり、わたしもサーニャも一糸纏わぬ状態。

ていうか本当に突然過ぎるだろ一体どうしたんだサーニャ何してんだサーニャかわいいサーニャやわらかいサーニャ…もうナニが何だかわからないよ。

「さ、さーにゃ!?」とりあえず開いた口から出てきたのは情けない、慌てた声だった。

「わたしね」サーニャの声が耳元でする。「501のメンバーで本当によかった。仲間の大事さを知ることができたから。」
そう言った後、顔を話してわたしの顔を見ながら続ける。「それに、エイラに出会えたから。仲間は大事だけど、一番大切なのはエイラだよ。」

だから、これからもよろしくね。

その笑顔を見ながら思う。サーニャは強くなった。初めて会ったときのすぐに壊れてしまいそうな儚い印象はだいぶ薄れ、よく笑うようになった。

彼女を変えたのは。わたしか、宮藤か。

そんなのはどうでもいいじゃないか。どっちにしたって彼女が笑っているという事実は変わらない。それに、一番大切だって言ってくれた。それで十分だ。
「もー、ナニ恥ずかしいこと言ってんダヨ…。」と言ってその髪をなでてやった。





177名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 23:03:16 ID:8C0uZqyZ
「…お前ら何やってんだ。」急に聴き慣れた不機嫌な声がした。
そちらを見るとそこにはニパことニッカ・エドワーディン・カタヤイネンが立っていた。どうやら彼女も訓練を終えて水浴びに来たらしい。

「まぁ、なんだ。スキンシップってやつダヨ。」
「へー、ブリタニアだかオラーシャだかには裸同士で抱き合うようなスキンシップがあるのかよ。」

なにいらついてんだコイツ。また訓練で事故ったか。

「うらやましいんですか、カタヤイネン曹長。」
「な、なに言ってんだ、リトヴャク!」

あ〜、始まったよ。サーニャはなぜかニパに対しては強気だ。
かと言って、仲が悪いわけではなく、二人してわたしを困らせるような状況をつくりだしてくれちゃったりする。
なんにせよ、こうやって誰かと言い争いするサーニャというのは、501では見られなかった。これも彼女の成長の結果なのだと思うことにしておこう。

わたしは、悲しい過去を持つサーニャに元気を与えるため彼女の側にいることを決めた。
今では彼女の周りにはわたし以外の人も大勢いて、みんなサーニャの味方だ。そんな人たちに囲まれてサーニャは成長している。
もう、わたしはいらないのかもしれないとも思ったりするときもある。

でも、サーニャはわたしが一番大切だと言ってくれた。

だから、わたしもサーニャを大切にして、これからもずっと守っていこう。そう心に決めた。

「エイラ、どうしたの。」
何も話さなくなったわたしを不自然に思ったのかサーニャが声をかけてきた。
2人はいつの間にか言い争いをやめてわたしのほうを見ていた。

「いや、サーニャも成長してるナァ、と思って。」

一瞬の沈黙。

そしてサーニャは顔を赤くし、ニパは怒りだした。

「イッルはそんなとこしか見てないのか!このドスケベ!」

なにを言ってんだ。墜ち過ぎて頭おかしくなったか。
しかし、サーニャも変だ。なんか自分の胸をやたら見てる…。ってまさか。

「ち、違うゾ!成長てのはやらしい意味じゃなくて」

あぁ、もうどうしてこうなるかな。わたしってこんな役回りだっけ。
ついた溜息は心のなか。口からは本日2度目の必至の弁明。
ふとサーニャの顔を見ると、彼女は笑っていた。まぁ、サーニャが笑ってるならいいや。彼女の笑顔がわたしにとって一番大切なものだから。








178名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 23:04:48 ID:8C0uZqyZ
以上です。
投稿してから、誤字とか改行ミスに気づいたorz
スルーしてあげてください…。
179名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 23:12:53 ID:gDFDuz/5
>>178
リアルタイムで悶え死にそうになった、GJ!!
>サーニャかわいいサーニャやわらかいサーニャ…
この一文の破壊力が凄まじ過ぎる。

>>171 そんなことはない、もっぺり派は結構いるよ。というかトゥルミーナ派は大体繰り上がってもっぺり派になる。私のようにな!!
     百合である限り言うのが憚られるなんてことは無いと思いたい。
>>173 先生、エーリカが分身してます!
180名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 23:24:08 ID:3CVXFgYi
>>177ニパには強気なリトヴャクさん、最高です

>>179しまったw
181名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 23:38:42 ID:WA/40Mov
公式に忠実になる必要はないだろ
楽器だって決められたコードやスケールに従って弾く必要がないのと同じ
182名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 23:50:05 ID:rh6Ia6tr
エーリカ「残像だ」
183名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/01/31(土) 23:54:34 ID:24+q+vHb
>>178
しあわせ時空に立ち向かうニパ。君の勇気に、ペリーヌと乾杯。
今後はいっそう激戦になるけど、頑張れ!頑張れニパ!(声真似)
184名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 00:08:16 ID:5fhie2vZ
>>181
しかしそれを言うと公式で百合でもそれを無視していいということに
185名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 00:13:18 ID:MJBNlsUn
おっと論争はここでストップー
深呼吸してースオムスでハーレムやってるエイラを思い浮かべてー
はい落ち着きましょう
186名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 00:17:47 ID:M51Mjkb6
駄目だニヤニヤして落ち着かない!
187名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 00:20:15 ID:A3hb7VLO
今日も一日芳リカ妄想で一日が終わってしまったぜ
この二人にはまだ秘めたる可能性があるな!!!
188名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 00:26:55 ID:9YrtnDy8
エーリカって芳佳やサーニャは兎も角、ペリーヌやエイラよりも年上だったのか
てっきりルッキーニの次にロリだと思ってたんダナ
189名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 00:31:24 ID:0JxiHomi
見た目はロリでも腕はベテランだよね
武勲が相当ある
190名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 00:41:41 ID:MJBNlsUn
フミカネが最強宣言しちゃったからな、単純な撃墜数だけで言うなら空戦ウィッチでエーリカ以上はいないって


501ってあの世界内の全世界で見ても、トップクラスのウィッチ部隊な気がしてきた

容姿も、武勲も、百合分も
191名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 00:53:54 ID:I6sU1JxN
もっさんが部隊のお父さん的ポジションなのが良いと思うんだ。
今回の秘め声でサーニャからもお父様みたいって言われてたし、記録集のペリーヌも
父親と重ねてる所があるって書いてあったし。
192名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 00:55:26 ID:BWPPqmAy
へー、結構みんな合法ロリに見えてたんだ。
お姉ちゃんがそんなつもりなかったって、これじゃ誰も信じちゃくれないな。にやにや。
193名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 00:55:44 ID:wAn1u308
>>190
第501統合戦闘航空団は世界一チィィィィ!!
>>191
お母さんはミーナさんですね、わかります。
194名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 01:00:10 ID:MJBNlsUn
エーリカってそんなに若く見えるかね?
単純な見た目ならまだしも設定や言動を見た今では歳相応かそれ以上に見えるけどなあ
単純な見た目だけでもせいぜい15歳くらいだと思ってたんだけど…おかしいかな
195名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 01:29:22 ID:qcs5rWvX
秘め声きいて、エイラもエイラーニャも最高!

と思ったんだが、なぜかどうしようもなく
サーゲル(もしくはゲルーニャ)が見たくなってしまった…
それでエイラがあたふたするところも込みで
196名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 01:31:48 ID:5fhie2vZ
変態お姉ちゃんがハァハァ言いながら迫ってるところしか想像できない
197名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 01:41:52 ID:MJBNlsUn
ゲル「くんくん!寝てるサーニャの銀色の髪くんくん!!モフモフ!!モフモフ!髪髪モフモフ!!さにゃああああ!!」

エーリカ「トゥルーデ〜クリスが遊びに…き……」
クリス「お姉ちゃん久しぶ…あれエーリカさんどうし…」

ドサッ
198名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 02:21:48 ID:ZDsU+spz
誕生日一覧更新完了したよー
諏訪五色&&山川美千子誕生日おめ!脇役でもきっと希望はあるはず!!

さて、エイラーニャラッシュを待ちつつ五色の誕生日SSでも書くか……。
199名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 03:04:29 ID:U2AIveai
>>198
乙。

見させてもらってようやく横川和美のモデルが誰か分かったよ。
200名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 03:11:42 ID:DHkDmy36
apsV9PCZです。前スレ後半で智子×ビューリングを2つ書かせて頂きました。
気付くと保管庫に自分のSSがあったのでびっくりなのと、照れくささが…w
管理人さん、更新お疲れ様です。

秘め声の流れでエイラーニャ祭りなのをぶった切って、自分は智ビューを投下します。
ビューリングはビューリングが名前じゃなかったのか!? という自分の恥をSSにしてみました。
1レスの簡単なものです。
201apsV9PCZ:2009/02/01(日) 03:12:25 ID:DHkDmy36
「そういえば」
と突然前置きして智子はビューリングを見ながら続けた。
「私、ビューリングのことはずっとビューリング、って呼んでるけれど、それはその、…どうなの?」
途中まではちゃんと目を見て言えた智子だったが、クールで真っ直ぐな眼差しを受けて思わず目を

逸らしてしまった。
それも慣れたこと、と質問を受けたビューリングは応える。
「確かに私のビューリングとは扶桑で言う名字だ。名前で呼んで貰えたら嬉しいことに違いは無い

んだが…。どうも慣れなくてな」
「エリザベス、だったわよね?」
「そうだ。…ほら、なんというか、高貴すぎる気はしないか? 私は此の通り煙草も吸うし紅茶でな

くコーヒー派だ。高貴な名前ほど割に合わないとは思わないか?」
問うて、煙草の灰を灰皿へ一振り。
「私も、何となくだけどエリザベスは少しイメージ出来ないわね…。でも、初対面のときのツンケン

してたビューリングはまさに誰も近寄らない雰囲気で、まさしくエリザベスって感じだったわ」
「だろう? 別に私はどう呼ばれようとも構わないさ。智子に呼ばれるのなら、例えシルバーフォッ

クスでも構わない」
「シルバーフォックス?」
「話してなかったか? 昔のコールサインだ」
少し遠い目をして語るビューリングに、智子は眉を寄せた。
「長いから却下。…じゃあ、愛称は無いの? 呼びやすい言い方」
「エリザベスの愛称か。…ベス、ベティ、リズ、リサとか色々あるが…」
言い終わってコーヒーを啜った。
「…んー」
ミーティングルームに僅かだけ沈黙が下りて、智子はその間腕を組んだり頬に人差し指を突いたり

していた。
「リズか、リサね」
熟考の末二択になったようだ。
ビューリングはとりあえず無言でそれを聞き流した。
そして智子は立ち上がり、ソファの後ろへと歩いていったようだ。
あとはビューリングが視界を動かさなければ智子の動向は追えない。
煙草を灰皿の凹みに置いてから振り返ろうとした直後、背後から抱きすくめられた。
「リズ」
耳元で智子の柔らかい声。温かさに言葉も出ない。
背後から肩を通って首元に回る腕。その腕をビューリングが触ろうとすると、その温かみは去って

しまった。
非難を含む視線で振り返ったビューリングに智子のしかめっ面が映った。忽ち呆れてしまう。
「何だ、人をその気にさせて自分は考え事か、智子」
「リサ、今晩私のベッドに忍び込んできて?」
「はぁ? いきなり何を言い出すんだお前はっ!?」
しかも呼び方が変わっている。こうなるとビューリングにも智子のやりたいことが分かった。
どっちがしっくり来るのか試してみたのだろう。
「んー、やっぱりすぐには決められないわねー」
と、呟いてさらに続けた。
「あ、此の後飛行訓練だったわね、ちょっと行ってくるわ」
「え?」
言うが早いか、智子は早歩きに扉から出て行ってしまった。
呆然として、我に返って、壁に掛かっているスケジュールボードを見ると確かに今から智子は訓練

が入っている。レズコンビと、エルマの訓練らしい。
はう、と溜息を吐き、肩を落してソファに座り直した。
その後短時間で灰皿の中の煙草が驚異的に増えたのは言うまでもない。
202apsV9PCZ:2009/02/01(日) 03:13:34 ID:DHkDmy36
('A`)
これがメモ帳バグか……orz
見苦しくなりましたごめんなさいです
203apsV9PCZ:2009/02/01(日) 03:24:14 ID:DHkDmy36
―おまけ―

ウルスラは落ち着いて本の読めるミーティングルームへと廊下を歩いていた。
智子やハルカは訓練中でいない。
扉を開けると、見るからに異常な量の紫煙が噴き出してきた。
「…ッ!」
ウルスラの本が落ちた。

――

やっぱりウルスラ落ちは必要だと思ったので…
204名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 03:26:58 ID:/lEbsAL3
これだから扶桑のウィッチは……!
GJですとも! いつものクールさを出せず盛大にうろたえてしまえビューリングさん。
205名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 07:25:44 ID:DlUkvBQk
>>177
さすが中尉だ!
曹長ごときに少尉はわたさない、と。
マジパネェっす
206名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 09:17:15 ID:WlZe25rw
>>203
ビューリング最高だよビューリング
もっとあたふたさせられてしまえ!
ウルスラ落ち、かなり好きですw
207名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 10:14:48 ID:LNA6gUE4
>>206
ウルスラが駆け落ちに見えた
オヘアさんとか…
208名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 10:49:18 ID:ZDsU+spz
フミカネ先生の更新がきたぞー、今回は智子さんだった。
>扶桑でももっとも有名なウィッチの一人で、特に
>同性のからの人気が高く、少尉をモデルにした扶桑
>人形は、年頃の少女への贈り物として喜ばれた。

つまり艦長は宮藤が百合娘だと知った上であれを贈ったってことか……侮れんな。
そして女の子にモテモテなのは公式かよ。いいぞもっとやれ。

>>203GJ!!受け受けしいビューリングさんたまらん。
lizとlezは紙一重だからlisaを推したい所だけど個人的にしっくり来るのはbethなんだよなあ。どうでもいいけど。
209名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 11:26:05 ID:xpH9pvxm
智子によって扶桑に百合文化が芽生えるというわけか
210名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 12:02:59 ID:1TXcwDBB
流れにのって結局帰ってきました
前作「アキストゼネコ」の続きです
もうしばらくお付き合いください
いらん子、ビューリングxウルスラで5レス
211アキストゼネコU @:2009/02/01(日) 12:03:59 ID:1TXcwDBB
 あの大騒動からはや二ヶ月―――
 雪女ハッキネンにこってり絞られた義勇独立飛行中隊は持ち前のタフさで日常を謳歌し、一人の脱落者を出すこともなくスオムスの空を守り続けていた。相変わらず気温は低くて寒さは否めないが、雪が消えただけでも僥倖である。
 窓から芝がのぞく中庭を眺め、なにげないふうにビューリングが口を開く。
「で、ウルスラ……お前はいつまで私の部屋に居座る気だ?」
 開けた窓からタバコの煙を吐き出し、ビューリングは首を捻じ曲げて室内を見やった。
 ベッドに寝転がって本を読んでいた少女は顔を向けて瞬きし、言っている意味がわからないと首を傾げる。
「大分寒さも緩んできた。改修した部屋だってある。わざわざタバコくさい部屋で過ごさなくてもいいんじゃないか?」
 少ない忍耐力をかき集め、噛んで含めるように並べるビューリング。
 ウルスラは自室を爆発で吹き飛ばしてからずっと、ビューリングの部屋に居候している。二人は『純愛』カップルであるというデマにより半ば強制的に相部屋にされ、その誤解を解く努力を放棄した結果がこれだった。
「私と一緒は、嫌?」
 質問に質問で返すウルスラ。眼鏡の奥からじっと見つめられ、ビューリングの心臓はらしくなく跳ねた。
 ウルスラは答えを待ち黙りこむ。同室になってからしばらくして、ヘビースモーカーは必ず窓を開けるか部屋の外に出てタバコを吸うようになった。タバコを嫌う自分と一緒の部屋ですごすのは息が詰まるのかもしれない。
「あーその、そうじゃないんだが…お前が、だな…望んでここにいると、も…思えんから」
 しどろもどろになったビューリングは窓の外に顔を戻す。手に持ったタバコを深く吸って吐いた。
 体をこすり付けて裏返るダックスフント。ウルスラは体毛に覆われた柔らかな腹部を撫でてやり、ぽつりと一言。
「考えさせて」
「……わかった」
 淡々とした短いやりとりに紛らわせた感情をもてあまし、双方ともに自分だけの世界に舞い戻る。形だけのふりをして、ちらちらと相手の様子を窺いながら。
 使い魔は腹を撫でられて御満悦。空気を欠片も読まず、キューンと気の抜ける声を上げた。
212アキストゼネコU A:2009/02/01(日) 12:05:13 ID:1TXcwDBB
 ウルスラが詰め所のドアを押し開けると、幾つかあるテーブルにオヘアとエルマ。二人ともウルスラに気づくと顔を上げてにっこり微笑む。
「ハーイ、ウルスラ! 相変わらず小難しい顔をしてるねー。ユーも笑えばきっと可愛いですよー」
「ふふっそうですよね。今のままでも十分可愛いと思いますけど、表情豊かな方が感情が伝わりやすいですし」
 語りかけてくる二人の横を無言で通り過ぎ、ウルスラは窓際の席に腰を下ろす。いつものように本は開かず、窓の外に目をやって小さな溜め息をついた。
「どうしましたかウルスラ? いつになくアンニュイですねー」
「あのっ何か悩み事でも? 私たちで相談にのれることなら」
 面倒見の良い二人はさっさと席を移動してウルスラの対面に陣取る。
 ウルスラは正面に並んで身を乗り出してくる仲間を検分するようにじろじろ。納得のいく説明を聞くまで動くまじという意気込みが見て取れた。
「……ビューリングの部屋を出るべきか、考えてる」
 根比べに飽きたのか、内心誰かに相談したかったのか、ウルスラは考えていた事を小さな声で口に出す。
 足がかりを得たオヘアとエルマは顔を見合わせ、急にそんな事を言い出した理由を思いつけずに首を傾げた。
「え〜とつまり、ウルスラはやっぱり一人部屋の方がいいんですかー?」
 先に口火を切って尋ねるオヘア。カウハバ基地は元々そんなに豪華な造りではなく個室もそう広くはない。それに片時も本を手放さないウルスラだから、プライベートな部屋は一人で使う方が性に合うのかもしれない。
 オヘアの問いかけに首を横に振り、ウルスラは少し言葉を探すように視線を泳がせた。
「……そうじゃない。だけど、今のままだと迷惑になる」
「ねえウルスラ曹長、迷惑だってビューリング少尉が言ったんですか?」
 誰とでも仲良くしたいエルマには理解できないジョンブル魂とやらで、ビューリングは馴れ合いを良しとせず一歩離れた外周のポジションを好む。発端はそこにあるのかと、とても根本的な事をエルマは確認した。
 ウルスラはまた首を振り、今度は即座に否定する。
「ビューリングはそんなこと言わない。ただ、これから先どうするのかは聞かれた」
 そう言って黙り込んでしまった少女を前に、オヘアとエルマは見開いた目をぱちぱち。中尉がどうぞーいえいえそんな私なんてという無言のやりとりの後、オヘアの押しに負けたエルマが口を開いた。
「えっと、ですね…迷惑云々はちょっと置いておきまして、ウルスラ曹長はどうしたいんですか?」
「どう?」
「つまりウルスラはビューリングと一緒がいいのかどうかってことねー」
 スムーズにいかない流れに我慢できず、結局オヘアも口を挟む。後は手に持ったコーラをちびちび含んで気長に答えを待った。
 やっと聞かれている事項を理解したのだろうウルスラは、じっと本の表紙を見つめている。
「…………わからない」
 長い時間かけて導かれた答え。
 自分の心がわからないならどうしたらいいのか、年上二人も腕組みしてう〜んと考え込んだ。
213アキストゼネコU B:2009/02/01(日) 12:05:58 ID:1TXcwDBB
 本国から手紙が届いているとの知らせを受け、ビューリングは面倒と思いつつも司令部へ。どこの部隊であっても他国からの手紙には検閲がかかる。仕方ないと諦めるより他ないが、内容を逐一読まれるのは正直気分の良いものではなかった。
 手近にいた職員に声をかけ、出向いた要件を告げる。待ち時間に差出人について思いをめぐらせるが、こんな自分に手紙をしたためる人物など思いつかない。しばらくして手紙を持ってやってきたのは意外な人物だった。
「ハッキネン少佐…どうしてあなたが?」
 カウハバ基地司令が使いっぱしりじみた真似をして。含まれた意図を読み取っても尚、ハッキネンは氷のような無表情を崩さない。
「ブリタニア空軍から私宛の手紙と一緒に送られてきました。失礼ながら私が中を検めさせていただきました」
 ハッキネンは手にしたものをビューリングに示す。そうして初めてビューリングは手紙が二通あることに気づいた。
「空軍? もしかして403ですか?」
「その通りです。ブリタニア403飛行隊、あなたの原隊ですね」
 嫌そうな顔と声に構わずハッキネンは告げる。すでに中を読んだ彼女は内容を把握しているのだが、詳しいことは何も語らず一通をビューリングに渡した。
「…ここで言えないような内容ですか?」
「いいえ。しかし余計な憶測が先走っても困ります。とある人物が名代として来られるそうですので、詳細はその方にお聞きください」
 用は済んだとばかりに踵を返して去っていくハッキネンを見送り、ビューリングは受け取った手紙に視線を落とす。几帳面な宛名文字はどこかで確かに見た憶えがあり、顎をつまんで首を捻りながら裏を返した。
「ウィルマ?」
 そこにはファラウェイランドの飛行学校をでたばかりの僚友、ウィルマ・ビショップの名があった。

 くわえタバコで小道を急ぐ。司令部の建物で立ち読みするのもどうかと思い、ビューリングは中隊の隊舎へ戻ることにした。
 玄関まできたところでふと足を止め、方向を変えて中庭へ進む。あたりに人影が全くないのを確認し、木製のベンチに腰を下ろして封筒を取り出した。
「なんであいつが…」
 訝しげに呟き、開いた手紙の字面を目で追う。たった数行のメッセージはすぐに読み終わり、認識力が追いつかなかったビューリングは眉間の真ん中を指でとんとん。そしてタバコをスーハー。さればもう一度と最初に戻り、すぐに最後まで読み終え、とんとんスーハー。
 傍から見れば面白い行動を繰り返し、ついには頭を抱えたビューリングが呻き声を上げた。
「会いに行ってやるから飛行場まで迎えにこい〜? 一体何の冗談だ……」
 しかも指定しているのは明後日、なんとも急すぎる話である。来なかったら殴るとも書かれていた。
 よほど無視してやろうかと思ったが、わざわざこんな遠方まで出向いてくる理由が気になる。仕方がないかと手紙をポケットにしまって溜め息をつき、ビューリングは重い腰を上げた。
214アキストゼネコU C:2009/02/01(日) 12:07:02 ID:1TXcwDBB
 ビューリングが詰め所のドアを押し開けると、いつもは何かとうるさい室内が妙に静かである。突然の訓練にでも駆り出されたかと思い、ドアをくぐった先でそれが間違いであることに気づいた。
「どうかしたのか? いつもはあれだけ騒々しいくせに」
 すたすたと歩を進め、ビューリングは1つのテーブルを囲んでいる三人に声をかける。ウルスラは除外として、キャサリンとエルマが静かだと気味が悪い。
「オー、ビューリング…ミーたちは今、悩める乙女なのねー」
 いつになく難しい顔をしたオヘアは肩を竦めてお手上げポーズ。ふるふると頭を振ってせつない声を出す。
 ポケットに手を突っ込んだビューリングは片方の眉を上げて呆れ顔。
「乙女という表現には大いに異論があるな。それはそうと悩みとは」
「ビューリングには関係ない」
 ずっと本の表紙を凝視していたウルスラが硬い声で遮る。その強すぎる拒否に室内が凍った。
「ちょ、ちょっとウルスラ曹長ったら、なにもそんな言い方しなくても」
 こういった緊迫感に弱いエルマは必死に場をとりなそうとして半泣き。どうして突然こんなふうになってしまうのか。
「そうか。首を突っ込んで悪かった」
 同じく硬い声で応じ、ビューリングはくるりと踵を返して扉へ向かう。オヘアとエルマは更に状況を悪くすることを恐れ、二人の間でおろおろ。ウルスラは爪が食い込むほどに拳を握り、俯いたまま小さく唇を噛んだ。
「あっビューリング、あんたどこ行ってたのよ。訓練の相手してもらおうと思って探してたのに」
「…トモコ、話がある。ちょっと顔を貸せ」
 ぴりぴりした空気を纏ったビューリングは扉で鉢合わせした智子を拉致して引っ張っていく。智子の両脇に引っついていたジュゼッピーナとハルカは、あまりな迫力に気圧されて何も言えずそれを見送った。
「えっ? えっ?」
 智子は妙な期待感に胸を高鳴らせ、同じ言葉を繰り返すばかり。固有スキルである流されやすさを発揮し、一度は凍結したエンジンにフルスロットルをかけた。
「なっなんですか、あの銀髪狐! はやく智子中尉をお助けしないとまた有耶無耶のうちにライバルがっ。そんなことっそんなこと許せません…智子中尉をライオンみたくさせていいのは私だけなんですからっ!」
 ぎゃーぎゃー騒ぐハルカも一人で突撃するほど命知らずではない。ビューリングが腰に携帯するグルカナイフの切れ味、その腕前は相当のもの。渡り合えるだろう智子が捕らわれた以上どうしようもないのだった。
「ほんとにどうしたんですぅ? 図太くて能天気なみなさんがそんなに困りきった顔をしているなんて」
 さらりとひどい事を言い、ジュゼッピーナはおかしな雰囲気になっているあたりに声をかける。
 顔を見合わせたオヘアとエルマは同時に背後をちらり。黙り込むウルスラに気を遣いながら、事の経緯をぽつぽつ話していった。

 どかんと自室のドアをビューリングは蹴り開ける。ぐいぐいと力任せに引っ張ってきた手を放せば、荷物は足でも縺れさせたのかよろめいてベッドにぽすん。
 乱暴な行為に烈火の如く怒るだろうと思われた智子は、グーにした両手を口元に当てて頬を染めている。
「トモコ…いいか?」
「えっ? えっ? いいかだなんてそんなっ?! 強引に連れ込んだくせに」
 エンジンが空回りしまくっている智子は頭から湯気を出してショート寸前。桃色回路に直結したコードが暴力的な熱量にさらされて悲鳴を上げる。
「強引だったのは謝る。頭に血が上ってたからな…すまない」
「えっ? えっ? やめてよ、頭を下げるだなんてあんたらしくない」
 急に素直に出られて智子は慌てふためく。キュキュキュ〜ンという切ない音が胸の奥に木霊した。
「それで明後日なんだが休みをもらえないか? 野暮用があってな、外に出たい」
「へっ? あっああ、なんだそんなことね。ネウロイも来たばかりだし別にいいんじゃない」
 ビューリングの珍しい休日申請に正気づき、智子は隊長の顔になって答える。昨日警報が鳴ったばかりなので、おそらく大丈夫なはず。ただ一応、非常事態を想定してインカムは携帯するように念を押した。
「悪いな。そういえばお前さっき何か言ってたが、相手をしろとかどうとか…ここでやるか?」
「えっ? えっ? や、やややヤるって何をかしら私は相撲の相手をしてほしいなんて一言も」
 よくわからない受け答えをする智子に溜め息をつき、ビューリングは懐を探りながら部屋の窓に近づく。煙を外に吐き出してから習慣づいてしまったその行為に気づき、抜けるほどの青空を見上げて一人苦笑した。
215アキストゼネコU D:2009/02/01(日) 12:08:03 ID:1TXcwDBB
「へぇ〜早くも破局の危機なんですかぁ。あ〜でも二ヶ月もっただけですごいかも」
「何を感心してるんですパスタ准尉っ。あなただって二人の仲を応援してたじゃありませんか!」
 あっけらかんと述べるロマーニャ娘に憤ったハルカが詰め寄る。お国柄なのかジュゼッピーナは気ままな性質であり、その時々で意見を変えてしまう。対するハルカは意外と温情厚く、自分の利権に関わらない部分では寛大だった。
「そうは言われてもねぇ…自分の心がわからないなら所詮その程度だったってことだし」
「ウルスラ曹長はまだ10歳なんですよ?! あなたみたいなアバズレとは違うんですっ」
「言ったわね、このビン底眼鏡っ! ぶっさいくっ!!」
「きいいぃィーーー言ってはならないことをおおおぉォっ!」
 掴みあいの喧嘩を始めた二人を放置し、オヘアとエルマはウルスラの対面に座りなおす。
 テーブルの向こうで強く握られる拳に気づき、エルマはちょっとだけ微笑む。ここは自分がしっかりしなければと、お節介にも奮起した。
「確かめてみませんかウルスラ曹長? あなたの心を」
「…確かめる?」
「ええ。今日と明日、そして明後日、それぞれ別の部屋で寝てみましょう」
 提案者であるエルマは指を立てて説明する。今日と明日はエルマかキャサリンの部屋ですごし、最後は一人部屋に戻ってみるというもの。その他の面々がハブられているのは、ウルスラの身の危険を勘案した結果であった。
「オー、ナイスアイディーアっ! それなら一目瞭然ねー。ウルスラ、今夜はミーと一緒にオールナイトよー」
 オヘアが諸手を上げて賛成する。パーティー好きな彼女は言葉どおり一晩中騒ぎまくるかもしれない。そう一抹の不安を覚えたエルマが釘を刺す。
「夜更かししたらメッですからね、キャサリン少尉。それでは私が明日ということで。それで構いませんかウルスラ曹長?」
 反応を窺う二対の視線。提案に反対する理由も浮かばず、顔を上げたウルスラはこくんと頷いた。

「あれから20分…微妙です。微妙すぎます」
 ハンカチを握り締めるハルカの口元がわなわな。その圧力に耐え切れなかった生地が断末魔の悲鳴をあげる。
 そんな様子を面白そうに見ていたオヘアが、大きな瞳をぱちぱちして問いかけた。
「ホワーィ? 20分がどうして微妙ねー?」
「平均からすると短めですが、智子中尉の体を知りつくした私なら二回は可能です」
「あ〜らら二回だけなの?ロマーニャ娘の私だったら軽く三回はいけるけどなぁ」
 据わった目で断言するハルカ、無意味な対抗心をだすジュゼッピーナ。二人の間に盛大な火花が散る。
「やめてっやめてくださいぃィーっ皆さんなんという話をされてるんですかあぁー!」
 免疫のないエルマは真っ赤になってウルスラの耳を塞ぐ。地獄に落ちますよっ地獄に落ちますよっ地獄に落ちなさいっと、ひたすら呪文の如く唱える。
 そんなカオス渦巻く詰め所の扉を開け、ふらふらと誰かが入ってきた。
「智子中尉っ! 大丈夫ですか?! まさか…まさか乱暴されたりなんか」
「トモコ中尉、髪が乱れてますよ。なんだか激しい行為の後みたい…な〜んて」
 ぽややんとして立つ智子にハルカとジュゼッピーナが駆け寄る。何かあったのは一目瞭然、固唾を呑んで反応を待つ。
「……ふっ…うっふ…っふふ………相撲…」
 思い出し笑いが痛々しい。最初の頃はこんなじゃなかったのに。
 目を逸らしたり首を傾げる異人たちをよそに、一人しっかと意味を捉えたハルカはライオンの調教を開始した。
216名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 12:09:52 ID:1TXcwDBB
以上です 続きはぼちぼちと
読みづらくて申し訳ない
無口なカプを動かすのって大変ですね
テーマは純愛なんですが、こっちへ傾くといらん子らしさがなくなるというジレンマ
217名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 13:14:26 ID:JIff5sYx
GJ!
ウィルマさん参戦(?)でこの後も楽しみです!
そして智子自重ww
218名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 13:18:17 ID:D84UO3Gu
やったー続ききたー!今日は良い休日だ
ビューリング18なのに10歳の女の子をもやもやさせるとかヘタレな上甲斐性が無いwそこがいいけど
智子さんが相変わらず一人で騒がしくて吹くw
ほんとにいらん子らしいSSを書かれてて凄いなあ。随所随所で笑わせてくれるし
219名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 13:19:13 ID:C50ZzXw7
そういやキャラソンってどうなったの?
百合的においしいといいんだけど
220名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 13:22:15 ID:1CbIsteP
>>216
新作キター!!
相変わらずキャラの立ち方がパネエっす
いらん子のサイドストーリ−を読んでる気分になっちゃうね
続き超期待
>>保管庫管理人さーん
感想フォームの設置をぜひぜひお願いします
「ゲシュペンくん」のひととか、「ゲルマげ」のひととか、
「はつまうで」のひととか、単発投稿の職人にも感謝とエールを送りたい
そんで、新作書いてもらうという下心を持つROM専ですw
221名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 14:21:48 ID:+Orf+o45
小説版は何も持ってないんだけど、買うべき?
222名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 14:41:23 ID:zgyK+G7J
>>216こう……。食い入るように読んでしまった。巧い、そして美味い。ウィルマさん参戦キタコレ

>>221興味が出たのならば、買うべき。買えば分かるさアリガトー! 1,2,3ダ(ry
223名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 14:45:52 ID:zSBGtUkT
>>221
買うべき
224名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 15:01:34 ID:MJBNlsUn
智子さんの服がいつの間にか黒江さんっぽくなってる
225名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 15:06:45 ID:VQgMBXpn
四十八手って先に誰か書いた人がいても重複してかいてもおk?
226名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 15:08:23 ID:GJX1T2s/
重ならないに越した事は無いと思う
まだまだ埋まってないし
227名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 15:11:27 ID:C50ZzXw7
いいネタがあるならなんでも構わない
228名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 15:39:08 ID:/lEbsAL3
>224
映画用コスチュームらしい。

……まあ画面の見栄え的に派手な方がいいというのは映像のお約束だけど、
(おそらく)国策映画で嫁入り前の娘にあの格好はいいんかいと思わざるをえない。
カラーフィルムじゃないしそんなに扇情的な絵にはならんだろうが。
229名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 15:46:23 ID:lk/BS0n+
>>228
ふむ、確かにこれならなんてこたーないな
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org11445.jpg
230名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 16:01:03 ID:3p0xwc3L
みっちゃん×芳佳でSS投下します。
一話の前の話。内容ないのにちょい長いです。5レスの予定。
タイトルは一応最後に(まあ、途中で気づくでしょうが)。
231名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 16:02:13 ID:3p0xwc3L
 夏はもうすぐそこという、そんなある日のこと。
 私は芳佳ちゃんのおうちにスイカを2つ持って行った。

「芳佳ちゃーん! いるー?」
 私は裏口にまわって、芳佳ちゃんを呼んだ。
 芳佳ちゃんのおうちは診療所をしているので、私はいつも裏口から入る。
「どうしたの、みっちゃん」
 と、姿は見せねど芳佳ちゃんの声がした。
 芳佳ちゃんは見もしなければ誰何もなしに、声だけで私だってわかってくれる。
 私たちはそういう関係。幼なじみ。いつもいっしょ。とっても仲良し。
 しばらく待つと芳佳ちゃんはあらわれた。今日の芳佳ちゃんもとってもかわいい。
「一緒に宿題しようと思って」
「うん、いいよ」
「あと、これ。芳佳ちゃんといっしょに食べようと思って」
 私は持っていたスイカを掲げて言った。
 ついでということを強調しつつも、実は今日私がここに来た一番の理由でもある。
 私の家のスイカ畑で採れたものだ。それが2つ。
 おじいちゃんに無理を言って、収穫前なのに特別にもらったのだ。
 叩いて音を確かめて、選りすぐりのを持ってきた。
 芳佳ちゃん、私が夏を届けに来たよ。

「わあ。ありがとう、みっちゃん」
 と、芳佳ちゃんは差し出したスイカを受け取った。
「畑仕事手伝ってくれたから、そのお礼にね」
 芳佳ちゃんはこころよく、苗を植えたり、水をやったりするのを手伝ってくれた。
 だからそのせめてものお礼に、このくらいは当然なのだ。
 芳佳ちゃんが喜んでくれているようで、それで私もとっても嬉しい。
「でも、2つもいいの? なんだか悪いよ」
「ううん、気にしないで」
 1つじゃダメなの。3つでもダメ。2つじゃなきゃダメだったの。

「みっちゃん、私の部屋で待ってて」
 冷やしてあとで食べるために、芳佳ちゃんはスイカを台所に持っていった。
 私は言われたとおり、芳佳ちゃんの部屋に行った。
 芳佳ちゃんの部屋には一向に慣れない。いつ来ても、そわそわとしてなんだか落ち着かない。
 私は畳にちょこんと座って芳佳ちゃんを待った。
 手を見ると、くっきりと縄の跡がついていた。
「おまたせ」
 と、芳佳ちゃんがようやく登場。もう、この数分の時間、どれだけ私が寂しい思いをしたか。
「じゃあ宿題しよっか」
 うん、と私はうなずいた。本当はそっちは建前なんだけど。
 まあもうすぐ期末試験もあることだし、ちゃんと勉強もしておかなくちゃ。

 そうして私たちは勉強をはじめた。
「それじゃあ単語テストするよ」
 私はそう切り出した。
 芳佳ちゃんの成績は中の中。こと勉強に関しては、私が芳佳ちゃんを教えてあげることが多い。
「じゃあ、リンゴ」
「apple」
「正解。イチゴ」
「strawberry」
「正解。ぶどう」
「grape」
「正解。それじゃあ、スイカ」
「えっ、スイカ? えーっと、なんだっけ……?」
 芳佳ちゃん、頑張って! 一番大事なところなんだよ!
 ほら、スイカはブリタニア語で……
232名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 16:03:50 ID:3p0xwc3L
 そうして宿題を終えて、待ちに待った時がやってきた。
 私は今か今かとそわそわしてしまう。
 けれど、芳佳ちゃんはなにをするでもなく、ただぼーっとしている。
 下敷きをぱたぱたとウチワの代わりにして扇いでたりする。
 もしかして芳佳ちゃんは、スイカのことを忘れているのかな……?
 それじゃあ困る。……でも私からは、なんだか言い出しづらい。
 それとなく芳佳ちゃんが思い出してくれるように、なんとかしなくちゃ。

「ねぇ、芳佳ちゃん。しりとりしよ」
「え、しりとり?」
「私からね。『り』だから『リス』。『す』だよ、芳佳ちゃん」
 よし、自然な流れ。芳佳ちゃん、気づいて。『す』からはじまる言葉といえば……
「えっと、『すもう』」
 ずこー。でもこれは、私とがっぷり四つに組みあいたいってこと? やだ、芳佳ちゃんったら。
「じゃあ『うす』。『す』だよ、芳佳ちゃん」
「『す』? えーっと、『すもも』」
 ずこー。でもこれは、私のお尻がまるですもものようだってこと? やだ、芳佳ちゃんったら。
「『モデルハウス』。『す』だよ、芳佳ちゃん」
「『す』? えーっと……『酢醤油』」
 ずこー。でもこれは、酢醤油をかけて私を食べちゃいたいってこと? やだ、芳佳ちゃんったら。
「『有機ガラス』。『す』だよ、芳佳ちゃん」
「また『す』? えーっと…………『スキムミルク』」

 す、好き!? 今芳佳ちゃんが、たしかに好きって……

「どうかしたの? 『く』だよ」
「ううん、なんでもないよ。『クリトリス』。『す』だよ、芳佳ちゃん」
「また『す』? えーっと…………『すきま風』」

 す、好き!? 今芳佳ちゃんが、私のことを大好きだって……

「どうかしたの? 『ぜ』だよ」
「ううん、なんでもないよ。『ゼクス・マーキス』。『す』だよ、芳佳ちゃん」
「また『す』? えーっと…………『スキー』」

 す、好き!? 今芳佳ちゃんが、生涯をかけて私を愛すって……

「どうかしたの? 『い』だよ」
「ううん、なんでもないよ。『イエス!アマゾネス!』。『す』だよ、芳佳ちゃん」
「また『す』? もうないよ」
「そんなことないよ! まだそんなに、回す うをこなしたわけじゃないし」
 私は「回すう」と言う時に、「す」と「う」をちょっと空けて言った。
 「かいす」を逆から読むと「すいか」。芳佳ちゃんはちゃんと気づいてくれたかな?
「なんで『す』ばっかり。みっちゃんのいじわる」
 ダメだった。私の絶妙のヒントだったのに。
 でも、そう言ってむくれる芳佳ちゃんもやっぱりかわいいから、まあよしとしよう。
233名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 16:05:08 ID:3p0xwc3L
「まだあるよ、『す』から始まる言葉。ほら、台所にある……」
「ああ、わかった!」
 やった! ようやくわかってくれたんだね、芳佳ちゃん!
「『スパイス』」
 ずこー。でもこれは、私といると刺激的だよってこと? やだ、芳佳ちゃんったら。
「みっちゃん、『す』だよ」
「『す』?」
「そう、『す』」
 そんな、口に出すのは恥ずかしいよ……でも、『す』から始まる言葉といえば、これしかないよね。
「芳佳ちゃん……す、好き」
「『すすき』? き、き、『鱚』」
「キス!? そんなまだ心の準備が……でも芳佳ちゃんがどうしてもって言うなら……」
「えっ? どうしたのみっちゃん、『す』だよ?」
「あ、いや、なんでもないから気にしないで――えっと、『素敵探偵☆ラビリンス』」
 私の恋の幻夢事件をバッチリ解決して、芳佳ちゃん!
「また『す』? あーもう降参」
 芳佳ちゃんがお手上げのポーズをして、もうおしまいってなりかけたその時――

「スイカ切ってきたの。食べるでしょう」

 と、芳佳ちゃんのお母さん(つまり私にとってはお義母さん)はそう言って、部屋に入ってきた。
 手にはお盆、その上には切られたスイカが皿に並べられていた。
「うわぁ、お母さんありがとう。みっちゃん、食べよう!」と、芳佳ちゃんはとても嬉しそう。
「うん」と私はうなずいた。
 しりとりは結局、私の負けだ。
234名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 16:06:33 ID:3p0xwc3L
 縁側にふたり並んで、足を投げ出し座った。
 いただきます、とスイカを手にする芳佳ちゃん。
 遅れて私もいただきますをする。
「あまぁい」
 一口かじって、芳佳ちゃんは感嘆の声を出した。
「みっちゃん、ありがとう」
 と、満面の笑みを私に向けて言う。そんなことを言われたら照れてしまう。
 そして芳佳ちゃんはまた一口、さらにもう一口――
 芳佳ちゃんは本当においしそうにスイカを食べてくれる。
 私はその笑顔を見ているだけで、もう胸のなかはいっぱいだった。

「どうしたのみっちゃん? 食べないの?」
 すっかり見惚れていた私に、芳佳ちゃんが言ってくる。
「ごめん、ちょっとぼーっとしてて」
 私は手にしたスイカに塩をふった。
 その実は鮮やかな赤い色。
 一口かじり、口に入ると、あとは噛まなくたって口のなかで自然と溶けていく。
 よぅく冷やしただけあって、とっても甘くって、みずみずしかった。

 ぷっ、と芳佳ちゃんは口に含んだ種を飛ばした。
 あの種はどうなるんだろう。ふと、そんなことを思った。
 私も真似して種を飛ばす。
 そうしてふたりで、種を飛ばしっこした。

「あ、芳佳ちゃん」
 私はそれに気づいて、思わず声を出した。
 どうかしたの、と芳佳ちゃんは私に顔を向ける。
「ほっぺたのとこ、種がついてる」
 私は左手を伸ばして、その種を取ってあげた。
 えへへ、と芳佳ちゃんから笑みがこぼれる。
 なんだかその種が、私には愛おしいものに思えた。
 その種は庭には捨てずに、手のなかに包みこむようそっと握った。

「それじゃあまた明日」
 芳佳ちゃんは手を振って別れを告げる。
「うん、また明日」
 心惜しくも私はそれに背を向けて、家路をいそいそと歩いていく。
 日はもう暮れようとしている。私の目に映る世界を赤々と染め上げている。
 私はふと立ち止まって、芳佳ちゃんのことを思った。
 芳佳ちゃんはちゃんと気づいてくれたかな?
 どうして私がスイカを2つ持っていったのか。

 スイカはブリタニア語でwatermelon、
 それが2つでメロンメロン、
 つまり私が芳佳ちゃんにめろんめろん、ってことなんだよ。
235名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 16:08:26 ID:3p0xwc3L
おまけ。芳佳が旅立ったあと。


 芳佳ちゃんはブリタニアに行ってしまった。私を残して。
 寂しくないなんてそんなこと、嘘でだって言えるわけない。
 それでも私は、笑顔で見送ることを決めた。
 だってこれは芳佳ちゃんが自分で決めたことだから。
 芳佳ちゃんがお父さん(つまり私にとってはお義父さん)のことをどれだけ思っているか、
 それは私だってよく知っている。
 どれだけ強く、会いたいと思っているのか。
 だから私は後ろ髪を引くようなことをしちゃいけない。
 そうじゃなくって、背中を押してあげないといけないのだ。

 見送りを終えて家に帰ると、私は庭先にあのスイカの種を埋めることにした。
 芳佳ちゃんが帰ってくる頃には、きっと大きな実が成るはず。
 そうしてまた縁側で、ふたり並んでスイカを食べよう。
 たしかに今は、酸いかもしれない。
 でも私は信じている。この種がいつか、甘い実を結ぶことを。

 夏の空も次第に暮れ、もう一番星を見つけることができる。
 私は流れ星を待っていた。
 芳佳ちゃんは水火も辞せずつっこんでしまう無鉄砲なところがあるから、とっても心配。
 だから、お星さまにお願いをする。

「どうか、芳佳ちゃんが無事に帰ってきますように」

 ――と、私の足元にあらわれた、一匹の子猫。
「どうかしたの、紅染」
 私が話しかけると紅染は、さきほど私が種を埋めたところを掘り起こそうとする。
「だあめ」
 私はそうはさせまいと紅染を抱き上げる。そうしてその黒い毛並みを撫でてあげる。
 みゃあ、と紅染は甘えるような声で鳴いた。
 それにしても黒猫なんて……不吉なっ。
 そうだ、お星さまにこうもお願いしておかなくちゃ。

「どうか、芳佳ちゃんに泥棒猫がつきませんように」



以上。
みっちゃん誕生日おめ!こんなんで本当に申し訳ない!
>>123見て思い出して、前に書いたまま放置してたのにちょこっと手を加えただけです。
あとタイトルは「めろんめろん」です。ただの駄洒落です。ごめんなさい。
236名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 16:13:23 ID:Y6pZ3S1D
最後の最後で黒いみっちゃん黒い

みっちゃんが震電型ストライカーを履いて皇都防空隊で芳佳の留守を守る二期マダー?
237名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 16:15:36 ID:WlZe25rw
>>235
みっちゃんきたあああああああっ!!
最高におもしろかったwしりとりの突っ込みどころ多すぎるw
みっちゃん、それ言っちゃらめぇ!…だめだ腹筋崩壊
238名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 16:17:52 ID:ZtBXoAlA
その後、みっちゃんとリネットさんによる芳佳ちゃんをかけた凄まじい
戦いが繰り広げられんですね^^
239名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 16:26:07 ID:p5aogxXI
>>235
久々のみっちゃん来た!
クリ○リスはまずいよみっちゃんw
240名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 16:26:21 ID:MJBNlsUn
>芳佳ちゃん、私が夏を届けに来たよ。
   、_ _  ,
   ,!ソ  `ヾ|  。o
  ノ イ(ィハ从)i、 ゚
.  "ヾ(! "ヮ゙ノ`゙わあ、みっちゃんかわいい


>「ううん、なんでもないよ。『クリトリス』。『す』だよ、芳佳ちゃん」

 , ´ o-oヽ
  ノ イ(ィハ从)i、
.  "ヾ(!´    ノ゙`
241名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 16:28:02 ID:uLgcPXAz
>>221
>>216氏の作品がほんとにいらん子の雰囲気をよく表してると思うのでこれに抵抗なければいらん子は買うべきかと
乙女の巻は可もなく不可もなくといった所。501のエピソードに餓えているならどうぞ

そして職人さんたちみんなGJ!
242名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 16:37:23 ID:+Orf+o45
>>222
>>223
>>241
答えてくれてサンクス
>>216氏のを読んで購入決定!
やっといらん子SSを飛ばさずに読める…!

>>235
みっちゃんGJです
2期にも是非登場願いたい
243名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 16:56:51 ID:DHkDmy36
>>216
やっと前作から読んで読み終わりました
仕草も情景も全部容易に想像できる文章で尊敬するばかりです
このビューリング可愛すぎる…
続き待ってます、GJ

>>235
みっちゃんの妄想力に脱帽ですw
笑わせて頂きましたGJ
244名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 17:05:18 ID:LNA6gUE4
乙女はサーニャが芳佳を餌付けしようとしていたりは楽しめるのだが、シャーリーがちょい不安……
もうあいつでてこないでほしいわ
245名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 17:18:58 ID:LNA6gUE4
連投すまん
なんかあの書き方だとシャーリーがでなくていいみたいだからさ
シャーリーじゃなくてなんかシャーリーと話してたキャラね

シャーリーにはもっとルッキーニと百合百合してほしい
246名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 17:29:56 ID:7dQe/UYH
そういうキャラじゃないんじゃいんだろうシャーリーは
247名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 17:40:12 ID:ZDsU+spz
>>216 まさかの続きキター!!いやあビュースラたまらんな。ビュー智派だけどちょっと揺らいできた。GJ
>>235 GJ!!みっちゃん自重ww宮藤は気付いてスルーしてるのか……?

>>224
変なこと言うからカッとなってやっちゃったじゃないか。
ttp://2d.moe.hm/sw/img/sw0136.jpg
248名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 17:40:16 ID:SgoZBGFA
>>221
ノボルが書いてるスオムスの方は買うべき。

アニメのノベライズはスルーしておk
百合的なみどころは皆無。
249<she said - 02> (1/3):2009/02/01(日) 17:51:04 ID:kVTtU4WA
こんばんわ、じゅういちじゅうにです。
保管庫No.0727の続き、ペリーネを投下しますー


#she said - 02

 鏡台の前で、リーネはそっと頬に手を宛ててみる。腫れたそこは熱を持って、彼女に昨晩の出来事が真に自ら
の身に起こったのだと訴えていた。
(だって、本当のことだ)
 リーネはペリーヌが嫌いではなかった。知り合いのまったくいない地では唯一の過去を一時は共有した相手
であるし、気位が高いせいで感情を素直に表に出せない損な性分だとも知ることが出来た――ガリアに来てから。
 けれども彼女を好きか、と聞かれれば疑問が残る。つまるところ、501においてのペリーヌの芳佳に対する
態度をリーネはまだ許せていないのだろう。
 鏡の中の少女は、寝起きのくせっ毛をそのままに情けなさそうな顔をしていた。深い青色をした瞳、うっすら
と隈が見え隠れする肌。暫く見つめたのち、リーネは鏡台に置かれていたブラシを手に取った。久しぶりに、
丁寧に髪を整えようと思った。
 日常的に訓練もあるとは言え、結局はネウロイの来襲によって左右されていたころとは違い、今のリーネには
毎日が息の詰まるものだった。復興への道のりは長く、ときには先が見えないように思えてしまう。だがその度
に、リーネは努めて自らがガリアへ渡ったきっかけを思い出すことにしていた。
 芳佳の活躍によりストライクウィッチーズがその役割を果たして解散されたのち、リーネははじめ、家族の待
つ故郷へ帰るつもりだった。しかしひとまず手に入れたロンドン行きの切符を彼女が結局ミーナを通して払い戻
したのは、突然の衝動に起因する。
 リーネが「帰ります」、と手紙に記し、投函しようと部屋を飛び出したその日の窓際で、ペリーヌはひとり、
ぼんやりと外を眺めていた。何かを求めているような瞳、見えないものを必死に捉えようとしている瞳で。
いつもの(坂本を見ているとき以外の)彼女が纏う、固有魔法よりもリーネには激しく思える拒絶のオーラは
そこにはなく、だからこそ、声をかけてしまったのだろう。
『あの、ペリーヌさん、』
 振り向いたペリーヌはいまだ惚けたままだったが、なんとか返事はもらえた。
『リーネさん』
『えっと、……どうかしましたか?』
『それはこちらの台詞よ。あなたこそ突然、どうしたんですの。わたくしに何か用でも?』
 そんなもの、ないに決まっている。自然、リーネは自らの手元に目を落とした。既にいつもの調子を取り戻し
たらしいペリーヌがその視線を追う。ブリタニア語で書かれた宛名の最後は、父の名前。
『ええと、お手紙、なんです』
 そこで、しまった、と思った。
 息を詰めたリーネは反射的に俯いて、だけれども手紙を今更隠すこともわざとらしく思え、結局そのまま動き
を止めた。ペリーヌの表情は、もう見えなくなった。
『ご家族に?』
 それでも耳に入ってきた、尋ねたペリーヌの声の響きを何に例えればよかったのだろう。
 リーネは必死に考えた。帰郷すれば、どうせまた仕事を探さなければならなくなるだろう。学校に通い直す
という選択肢もあるが、勉強ならば自分ひとりでも出来る。それに、折角だからガリア語を学んでみるのもいい
かもしれない。何にしろ、ガリアへ渡ることに問題はない。そうして復興のお手伝いを、芳佳ちゃんの口癖みた
いに「わたしに出来ること」をしよう。
 つまりリーネはペリーヌを哀れんだのだ。
 だからいいえ、と首を横に振り、手紙を手の中で握りつぶしながら部屋に戻り、その手で細かくちぎりくずか
ごへ落とし、新たな文面に書き直し、ミーナに切符を託し、最後にペリーヌに告げたのだ。が、哀れんだことは
口に出来なかった。住み慣れた501の宿舎を離れるまでの短い日々の中でも、軍用の飛行機に乗せてもらい
ドーバーを越えた間も、復興の作業をこなしていく今も言うことが出来ていない。
 そして今も、その償いをしている。
250<she said - 02> (2/3) :2009/02/01(日) 17:51:46 ID:kVTtU4WA

*

 休日の朝食は、各自で用意することになっている。ひとのためならば兎も角、自分ひとりのことならばリーネ
はいつも手軽な食パンとジャムと牛乳で済ますことにしていた。で、今日も同じメニューを手にして席についた
ところで、食堂のドアについたベルが再び鳴らされた。
「おはようございます、リーネさん」
 思わず身を硬くしたリーネの隣り、欠伸などしながらネグリジェ姿のままのペリーヌが平然と通り過ぎていく。
裾から伸びるほっそりとした白い足にどうしてか罪悪感のようなものを抱いて、リーネは「おはようございます
……」と蚊の鳴くような声で答えるに止めた。
 ――氷の欠片のような一言か、射るような一瞥をもらうつもりでいたのに。
 兎にも角にも、リーネがひとりでまごついているうちに、カフェオレボウルを右手に、クロワッサンとバター
の乗った皿を左手に、あろうことかペリーヌは細長いテーブルの、リーネの真ん前の席に腰かけていた。すわ
新手の嫌がらせ(というより報復)か、と思いながら周りを何気なく見回してみるものの、休日にしても流石に
遅い時間帯だったから、助けを求められそうな人物もいない。それ程広い食堂でもないのに、ふたりきりでいる
せいで、やけに静まって、へんに空間が有り余って落ち着かない気がする。
「ところでリーネさん、あなた、その髪型は?」
 普通、の口調だった。
「は、はい。あの、今日は折角のお休みだから、気分変えてみようかなって」
 それはもう、驚く程に。
 ちなみにリーネの髪は、今はガリアに来てから伸びたウェーブがかったそれをそのまま背中に垂らし、片側
だけを編み込みにしている。特に凝ったものでもないが、普段ならば邪魔になる長い髪をきちんとブラッシング
して下ろしているだけでも気分転換には十分だ。
 そんなリーネをペリーヌは一瞥して、自らの髪に手を触れつつぽつりと一言、
「そうね、たまにはいいかもしれないわ」
「あ、ならペリーヌさんも?」
「近頃は忙しさにかまけて、わたくしも身仕度を疎かにしがちだったところですから」
 このままではいけませんわ、呟いた声に、いつの間にかリーネは顔を上げていた。空になった自分の皿を横に
除け、少々行儀は悪かったものの、テーブルの上を身を乗り出すようにして、ペリーヌに顔を近付ける。
「なら、わたしにやらせて下さいっ」
「……はい?」
 クロワッサンにバターを塗っていた手を止め、ペリーヌが眉根を寄せてリーネを見つめた。その彼女にもう少
し近付こうとリーネはついに肘をテーブルにつき、訳が分かりませんわとか、何を言っているんですのとか言わ
れる前に言葉を続けた。
「ペリーヌさんの髪って綺麗だなって、わたし、羨ましいな、ってずっと思ってたんです。だからいつも、触ら
せてもらえたらなあ、って……あっ」
 いくらなんでも近過ぎた。そしていくらなんでも馴々しくし過ぎた。
 長くて陽に透ける、ふんわりとした細い髪は、確かにリーネの憧れではあったのだけれど、と、一気に頬が朱
に染まっていくのを感じながら、リーネは椅子に縮こまった。
「ごごご、ごめんなさいっ。あの、いくらなんでも馴々し過ぎましたよね、えっと、ペリーヌさんが嫌なら、
いっそ忘れてもらっても、それにわたしはむしろ、忘れてもらったほうが、」
「……別にリーネさんのためではありませんが、わたくしは構いませんわ。丁度手間が省けますし」
「はぇ?」
 思いがけない台詞に、ぴたり、胸の前で意味もなく振られていた手が止まる。リーネが息を詰めてちらちらと
伺う中、視線を逸したペリーヌは、かすかに頬を染めて言い放ったのだった。
「ですから、あなたがそうしたいのなら、させて上げても構わなくってよ」
251<she said - 02> (3/3):2009/02/01(日) 17:52:48 ID:kVTtU4WA

*

 絹糸のような、という表現がそのまま当てはまる髪だった。
(まるで、お日様の光を梳かしてるみたい)
「リーネさん、手が止まってますわよ」
「あ、ごめんなさい」
 その後。
 ペリーヌが食事を済ませて着替える間、リーネは皿を洗い、ペリーヌの部屋へと向かった。
 各部屋にある鏡台は備え付けのもので、だからリーネが今朝方向き合ったそれと全く同じデザインだったが、
ペリーヌ持参のお姫様が使うような天蓋付きのベッドや豪奢な紋様が彫られたクローゼットとは調和していなく
て、それがなんとなくおかしい。
 そしてリーネはペリーヌのブラシを借りて、綺麗な髪を切れないように、痛めないようにゆっくりと梳いて
いたのだが。
「ペリーヌさん、シャンプーは、わたしたち同じものを使ってるんですよね?」
「ええ、浴室にある、白いボトルのシリーズでしょう」
「なのに、こんなに違うんだ……」
 頬に触れる髪を、そっと頭を振って整える。リーネの髪はといえば、決して扱いにくくはないものの、職業柄
「綺麗な髪」とも無縁だった。ウェーブがかってはいるものの、あまり様になるような形でもないし、色だって
地味なベージュだ。それも、年を重ねるごとにくすんできている。
「ペリーヌさんは、何か特別なお手入れはしてるんですか?」
「特には何も。ああ、ただ、寝る前には必ず、百回はブラッシングをするようにしてますわ」
「ひゃっかい!」
 再び止まったリーネの手に、ペリーヌはふん、と鼻を鳴らして、
「ガリア令嬢として、当然の嗜みですわ」
 どこか得意げに言った。
「百回……」
「まあ、あなたのやり方自体ははまずくはないでしょう。そうなると、量の問題になりますわ」
 明日から、いや今日の夜からだ。ペリーヌの言葉に密かに決意して、リーネはひとり頷いてみた。それから次
にリーネが口を開くまでは沈黙が続いたが、嫌な沈黙ではなかった。きっと、ペリーヌにも嫌ではなかったはず
だ、とリーネは推測した。
 やがて。
「あの、ペリーヌさん」
「なんですの?」
「やっぱり、こんなに綺麗な髪を結ってしまうのは勿体ないような気がしてきたんですけど……」
 かくん、とペリーヌの首が前に傾ぐ。
「リネット・ビショップ……あなた、だんだんあの豆狸に似てきましたわね」
「そうでしょうか?」
 その髪からブラシを外しながら、磨き上げられた鏡に向かって、リーネは曖昧に微笑んでみせた。


(続)


お読みくださってありがとうございました
意外に話が進まなくて焦ってます……
252名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 18:26:24 ID:QSk03cZ9
>>220
全部同じ人じゃないか
253名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 18:30:00 ID:+Orf+o45
>>248
さんくす
いらん子だけ買ってくるわ
254名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 19:06:04 ID:p5aogxXI
>>251
続き待ってました!
ペリーネは難度が高いと思いますが焦らずに頑張ってください
255名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 19:54:04 ID:jitp1N/v
保管庫に完全外野なしのもっぺりが一つあるけど(もっとあるかもしれないけど)住人的にはあれは飛躍?
やっぱり「ぺ→も」の心酔にいたった経緯を解明してかつ「も→ぺ」の過程を講じないうちにラブラブを書けるほどもっぺりは開拓されてない?
256名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 20:00:42 ID:uLgcPXAz
「ぺ→も」は必要ないけどできれば「も→ぺ」は簡単で良いから説明欲しい
257名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 20:28:50 ID:V088TCZU
>>255
ぶっちゃけ過程よりも結果派だからしっかり百合ってればいらないと思う
258名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 20:31:04 ID:BWPPqmAy
経緯は不可欠じゃないな、個人的には。頭の悪いやつもありです。
259名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 20:37:26 ID:0RzPdWfa
萌えればもしくは面白ければなんでもよし
なんでもよし
260名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 20:45:26 ID:t/bhkSnT
今までの秘め声は一回聞いたらもういいやって感じだったが、エイラのは何回聞いても悶えるな
サーニャ相手ってのが実にいい
261名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 20:46:02 ID:QSk03cZ9
話折るけど>>216の文はちょっとどこかで書いていてもおかしくないくらい配慮があるね
びっくりしちゃったよ
262名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 21:21:39 ID:GJX1T2s/
>>251
GJ!続き期待してます
263名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 22:00:24 ID:ikFzBhFa
>>255
本編だともっさんは色恋なんかとは程遠いって感じの描かれ方されてるからなあ
もっぺりだけじゃなく他のキャラとのカップリングでももっさんがその人を好きになるっていう
心情の移り変わりをしっかり描写しないと不自然さが拭えないと個人的には思う
264名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 22:33:49 ID:UOafoWe3
>>112のゲル芳の続きです
あと言われるまで宮藤芳「香」だと本気で思ってました
ご指摘本当に有難う御座いました。
という訳で続きです。
265ゲル芳後編1:2009/02/01(日) 22:34:41 ID:UOafoWe3
**

隣に座るバルクホルンの表情は硬い。
訓練帰りの彼女を無理に引き止めたから、怒っているのではと不安で不安でしょうがなくなる。怖くてなんでもない、と逃げ出したくなる。
それでは駄目だ、と。
あるかないか判らない勇気を振り絞って尋ねよう。そうするために彼女を引き止めたのだ。勇気を出せ、宮藤芳佳。
自分を奮い立たせようとする気持ちとは裏腹に、頑なに閉ざしたままの口に嫌気が差したころ。

「悪かったな」
 
先に口を開いたのはバルクホルンだった。

「私は戦う事以外は、自分が思っているより不得手みたいだ。お前がそんな顔して俯いているのに、勇気が出せない」
「バルクホルンさん……」

勇気が出せない、とまさかバルクホルンが言うものだから、内心ぎょっとする。
誰よりも前でネウロイと戦う彼女が、頼もしい姿ばかりが思い出される彼女が。勇気が出ないと頭を垂れている。
驚く以外にどうしろというのだ。
だが同じく勇気が出せない芳香と違うところといえば、彼女は自分を奮い立たせる事ができた事だろう。
先に口を開いた事が、何よりの証拠だった。

「昨日の、会話を思い出してるんだろ?」
「はい……」

素直に頷くと、バルクホルンは「やっぱりか」と呟いた。

「その……怒られたよ。あれじゃ分かんないって」
「?」
「困らせたかったわけじゃないんだぞ? 私だって、その為に……。いやでも、うーん」
「あの、バルクホルンさん?」
「もうちょっと早くに……。でもそんな勇気がって、ああ。これは違う違う。とにかく」

バチンと膝を叩くバルクホルン。
辺りに響き渡るほど凄い音がしただけあって、本人もかなり痛かったらしい。
少し悶絶したあと、小さく咳払いをしていた。
266ゲル芳後編2:2009/02/01(日) 22:36:28 ID:UOafoWe3
「別にあの時は、その、お前に文句言いに行ったわけじゃないんだ。それだけは分かってほしい」

赤くなってきた膝を摩りながらバルクホルン。
普通なら面白いその姿は面白いのだが、それ以上に妙なじれったさばかりを感じていた。

「だったら――」声が擦れる。「だったら何を言いに来たんですか」

そうだ。文句を言いに行ったわけじゃないのなら、あの時バルクホルンは何をしに来たのだろうか。
文句じゃないのなら、何が言いたかったのか。
言葉で説明できない恐怖ばかりが胸を渦巻く。
怖い。
何が怖いのか分からないぐらい怖い。
でも意味もなく怖いわけがないのだから、怖いには何か理由があるはずなのだ。

――私は、何が怖いんだろう。

答えるのをためらっているバルクホルンを見ながら自問する。
人に銃を向けるのも戦争するのも怖い。でもこの恐怖とバルクホルンは関係ないはずである。
いや、関係はあっても直接的な原因ではない。
じゃあ、他になんだっていうのだ。
この恐怖は。

『死にたくなければ帰れ』

ふいに出てきた言葉に、体がビクリと反応する。体が萎縮する。
だが胸にじわりと、何か納得のようなものが広がっていく気がした。

「な、何を言いにって……その……私は……」

思考を遮るように、バルクホルンから声が聞こえてくる。
モジモジとよく分からない動きをした後、彼女中にある何かが何かの臨界点を突破したらしく、
言語なのかわからない事を言いながら立ち上がった。

「私は! 褒めに行ったんだ! 初めの頃に比べれば! 随分良くなったって!」

爆音とも言える声で、バルクホルンは叫ぶ。そんな大声で言わなくたって聞こえるのに、むしろ五月蝿いぐらいなのに、バルクホルンは構わず叫んでいた。
だがそんな大声で言われたのに、芳佳の頭にバルクホルンの言葉が入ってこない。
急な事態に、頭が完全フリーズしているのだ。
だがバルクホルンはそれを何か別の意味に捉えたらしく、「笑うなら笑え!」と一人で勝手に自棄になっていた。

「どうせ私は、銃ぐらいしか満足に扱えないさ! あと妹のクリスを愛でる事、それぐらい! 褒める文章すら満足に作れない! このカールスラント軍人の檻を笑うがいい!」
「ちょっちょっとだけ待ってください! なんで笑うんですか!? どうしてバルクホルンさんを笑う必要があるんですか!?」

ようやくバルクホルンに負けないぐらいの声で反論する。
言っている事の意味が、本格的に判らなくなってきた。これも軍人としてのステータスの差なのだろうか。それとも国が違えば口論の仕方も異なるのか。
もう訳が判らない。違った意味で泣きたくなってきた。
しかしここで泣くわけにも行かず、芳佳は懸命にバルクホルンと対話を試みるのだった。

「申し訳ないんですが、言ってる事がわかりません!」
「だから、同じだろ!」
「何がですか!」
「同じこと言ってるだろ!」
「だから、それじゃわかりません!」

267ゲル芳後編3:2009/02/01(日) 22:37:40 ID:UOafoWe3
何か決定的な主語が抜けている。
そしてそれは、今問いたださなければ永遠に判らない気がした。
だから芳佳は、懸命に手繰り寄せた。

「誰と何が同じなんですか!」
「だから!」

ふいに言葉をなくした後、バルクホルンは首の辺りまで顔を真っ赤にしながら、
耳を澄まさないと聞こえないくらいの小さな声で言った。

「さ、坂本少佐と同じこと言ってるだろ……」

やっと掴んだ答えに、真面目な話拍子抜けする。
今、この人は何て言ったのだろうか。

「な、なんだその顔は……」
「いえ。あの、バルクホルンさんは、その……」
「あーもういい。言うな。お前の口から言われると、情けなさが増す」

何だか凄く失礼な事を言われた気がしたけれど、これも彼女のプライドを守るため、と言われたとおり黙る。
少し沈黙が訪れたが、いい感じにバルクホルンのテンションを下げる事ができたようだ。
彼女は荒い息を整えてから、再び芳佳の隣に着席した。

「出て行ったのは良かったんだ。そしたら言おうと思ってたことを、
目の前で言われてしまって……別に少佐が悪いとか、言うつもりはないぞ?」

「ただなぁ……」とバルクホルンは深く深く溜息をついた。

「情けないというか。行き成り現れて会話を中断させた挙句、満足に褒める事もできなかった」

そう言って地面を睨みつけるバルクホルンの表情は先ほどより赤い。
今まで見たことのない表情だった。

「変、だよな。もしくは馬鹿者か……。どっちにしろ、お前には悪い事をしたよ」

自嘲気味に笑うバルクホルンの姿が、妙に滲む。
もう駄目だ。つくづく思った。
この人、本当にどうしようもない。改めて思った。
思うのと涙がこぼれるのが殆ど同時だった。
268ゲル芳後編4:2009/02/01(日) 22:38:57 ID:UOafoWe3
「み、宮藤!?」

泣くのは予想外だったのか、バルクホルンがぎょっとしてまた立ち上がる。
そして申し訳ないと再三謝っていた。

「あああ、あの。その! 謝って済むとは思って――」
「違うんです、怒ってるわけでも悲しいわけでもないんです!」

むしろ安堵が大きかった。俯いて、涙を流し続ける。
芳佳は本当に、安心していた。

――認められてないわけじゃ、なかった。

今なら何がそこまで怖かったのか、手に取るように分かる。
認められないことが、また心配されて『帰れ』と言われるのが怖かったのだ。
その事が何よりも、どんな事よりも怖くて怖くて仕方がなかった。
理由すら判らなくなるほど怖かったのだ。

「わ、たし……また帰れって言われたらどうしようって……」
「帰れ?」
「私、まだ……役に立たないって……」

一瞬分からないと言う声を出したバルクホルンだが、すぐに見当がついたらしい。

「あいつの言うとおりになってしまったな」

何のことだろうか。
バルクホルンは自嘲気味に呟く。
だがすぐに、息を吸う声が聞こえてきて、いつも通りの力強い声が届いた。

「お前は帰っちゃ駄目だ」

頭に重さが加わる。
暖かい重さだった。

「あ、いや。駄目って言うか、うん。帰るべきじゃない……そうでもないな」

重さが髪の毛をわしゃわしゃしているのが、感覚で分かる。
何だろうと思って顔を上げると、バルクホルンの顔が近くて驚く。
同時に、彼女が頭を撫でていることに気づいた。

「帰って欲しくない」

近距離から真っ直ぐ言われた言葉に、胸が高鳴る。
涙が一瞬引っ込んだ。

「私だって、お前がどれだけ努力しているか知ってる。
努力だけじゃなくって、ちゃんと結果だって出し始めているじゃないか」

「それに」頭から手を離し、バルクホルンは芳佳の両肩に手を置いた。

「ウィッチーズは家族みたいなものだって。お前もその一人だよ」

引っ込んだくせに、また涙があふれ出してくる。
269ゲル芳後編4:2009/02/01(日) 22:40:11 ID:UOafoWe3
「なな、なん、なんで泣くんだ!?」

だが安心で流す涙も、この人を慌てさせるのには十分であったらしい。
何とか泣かないでほしいと頑張るバルクホルンがおかしくて、つい泣きながらも笑顔がこぼれてしまう。
でも、もう涙を拭わなければならない。
この人がこれ以上困らないように。自分は笑っていたほうが良さそうであるから。
芳佳がそう思って微笑むと、バルクホルンは少し驚いたようだったが――すぐに硬い表情を崩して、ようやく微笑んだ。

「まったく……。泣いたり笑ったり、忙しい奴だな」

もう一度頭を撫でられる。
ずっとこうしていられたらいいな、と芳佳は思った。



****

いつも通りの時間にバルクホルンが部屋を出ると、何のタイミングのよさか、偶然宮藤と遭遇した。

「あ、あの……」

どうも不自然な動きで宮藤。
そわそわと落ち着かない様子で動いていたのだが、
急に此方が驚くほどピタリと動きを停止させ、バルクホルンを見上げてきた。

「おは、おはようございます!」

挨拶にそこまで気合入れなくてもいいのにと思うが、
昨日の話し合いあっての今日と思えば仕方がないのかもしれない。
270ゲル芳後編5:2009/02/01(日) 22:41:47 ID:UOafoWe3
バルクホルンは一つ呼吸をしてから、口を開いた。

「おはよう、宮藤」

自然と頬が緩む。そういえば、微笑むなんて久しぶりだった。
バルクホルンの笑顔に安心したのか、宮藤も釣られて笑顔になっていくのが分かった。

「ふひ」

和む空間に無粋な形で割り込んできたのは、ドアから此方を見ていたハルトマンの笑顔である。

「エーリカ・ハルトマン中尉。なんだその笑いは。あと自分で起きれたのなら、さっさと着替えて食堂にだな――」

何となく見られたのが気恥ずかしくて、つい厳しい口調で注意してしまう。
だがハルトマンは全く気にした様子もなく、ただニヤニヤ笑っていただけだった。

「嬉しいから笑うのは普通だよ。今の二人みたいにね」
「お前のは、笑うっていうかニヤけてただけで――」
「あーあーあー。あんまり説教すると、まーた宮藤と喧嘩しちゃうぞー」

「もう取り持ってやんねーもん」と言い捨てるようにして自室に逃げ込むハルトマン。
ああ、目の前で言い逃げされると、物凄くむかつくのだなと心底思う。。
あとで絶対たたき起こすと誓うバルクホルンの服の裾を、宮藤が引っ張っていた。

「あの取り持つって?」

心底不思議そうな顔で此方を見てくる宮藤に、なんと説明したらいいのか。
確かにハルトマンのおかげでなんとかなった部分はあるけれど。
彼女には感謝してもしたりないぐらいなんだけれども。
どうしても腑に落ちなくてむかついている自分は、
まだまだ子供なのだろうかと考え込みたくなってきていた。
271ゲル芳後編6:2009/02/01(日) 22:42:39 ID:UOafoWe3
「それは……その、秘密だ」
「えー!?」
「文句を言うな。というか、さっさと食堂行くぞ」

戸惑う宮藤を置いて一歩前を歩き出す。
少し距離が離れると、後ろからパタパタと走る音が聞こえてきた。

「なんですか、凄い気になります!」
「気になっても分からないことなら忘れろ。忘れるのも大事だ」
「教えてください! 教えてくれるまで訊きます! 頑固さは取り得ですから!」
「奇遇だな。私もよく頭が固いと言われる。固さ比べでもするか?」

後ろを一生懸命ついてくる宮藤に向けて笑いかけると、
彼女も負けないぐらい満面の笑みを返してくれた。

「もちろんです!」

きゃっきゃと笑う彼女の顔が、窓から差し込む朝日のせいか妙に眩しい。
けれど、目を細めてでも見ていたくなる。

――ずっとこうしていられたらいいのに。

ここが戦場である事も、自分が軍人であるという事実すら遠い場所で、
バルクホルンは小さく思うのだった。


The end.

272名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 22:46:21 ID:ZDsU+spz
>>271GJ!!ただの姉バカじゃない、上司としてのトゥルーデの姿を真剣に描いたゲル芳は貴重なんだ。
ああ……ゲル芳大好きだ。認め合う二人っていいよな……。
273名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 22:59:22 ID:LNA6gUE4
>>271
壊れてないキレイなゲル芳! すばらしいね!!! 凄くニヤニヤさせてもらったよ!
274名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 23:02:57 ID:t/bhkSnT
なんという綺麗なトゥルーデ
275名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/01(日) 23:42:40 ID:YemrEyfP
このスレはおかしい

なぜこうも良作が続くのか

なぜこうも巧いSSばかりなのか

というかみんなGJ
276名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 00:35:03 ID:BP2XqXXE
もっともっとマイナーなカップリングの話がしたいです…
277名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 00:43:02 ID:M4+VNOLX
はいはいはい!私もするー!!
シャーニャとかもっーニャとかゲルエイラとか……
あー、クロウカシスの続きはまだか
278名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 00:48:12 ID:vnAcbUZI
芳イラもいいと思うんだ。
279名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 00:54:30 ID:BP2XqXXE
>>277まだ秘め声聞いてないけどシャーニャもけっこうありだと聞いたね!!!
前に見た絵がけっこう絶妙だったわ

>>278
八話あたりけっこう仲良さそうだよね!
なんか姉妹みたいでけっこう好きだわ
280名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 00:59:02 ID:2s0bOeoe
秘め声だとルッキーニとエイラもいけると思う
エイラの部屋によく遊びに行くみたいだし
趣味の方向性も合うらしいし
281名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 01:06:35 ID:Sk1mt+SP
サーニャ×エーリカよくない?
282名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 01:11:09 ID:2q4BD5nb
芳佳×エーリカもいいと思う
甘えてくるエーリカをついつい甘やかしてしまう芳佳とか
283名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 01:19:19 ID:CfA0rcDX
お前ら貪欲だなw
素敵だ。
284名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 01:26:04 ID:lu6WFM5a
俺もマイナー暖めてるぞ。シャーペリ、ツンツン娘ぜんぶ包む的な。
若干力技だけど。
285名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 01:32:51 ID:Sk1mt+SP
でも本当に気になるマイナーカプは心の中にとっといてんだろ…?
いつの日かSSにしたいって思ってんだろ…?


出しな…てめーらの正真正銘のマイナーカプを……




俺はチュインニ×ルッキーニ!!
286apsV9PCZ:2009/02/02(月) 01:35:40 ID:D4rJYfUh
深夜ですね。
マイナーでは無いと思いますがスレ的にはマイナーらしい(?)智子とビューリングを持ってきました。
深夜なので少し張り切りました。もう月曜日だよ?('A`)
3レスで行けます。
287名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 01:36:18 ID:D4rJYfUh
「…不味いな」
珍しくコーヒーの煮出す時間を計り間違え、かなり渋めのものが出来上がってしまった。
寝起きでもないのにこんなもの、と悪態を心内だけで吐いて、仕方無く砂糖を入れることにした。
「ベシィ〜」
後ろから何か聞こえる。響きから誰かを呼ぶ声だと思うがしかし、いらん子中隊にはベシィなんて居ない。
アホネンの第一中隊にそんな人は居ただろうか、と考えを巡らせて気付いた。
ベシィはエリザベスの愛称の一つだ…。
こめかみが震えた。左手に煙草、右手にマグカップでは頭を抱えることも出来そうにない。
硬直した身体に、背後の声は近付いてくる。
声の正体は分かる。智子だ。先日、ビューリングの呼称について話して以来、どこから仕入れるのか、新しい呼び名を見つけては呼んでからかっている。
きっとウルスラ辺りにでも聞いているのだろうが…、口止めは出来そうにないな。
「聞こえてるんでしょ−? ベシぃ〜」
まるでハルカが智子を呼ぶように妙に甘い音色でそう呼んでくる。
徐々に足音が近くなり、背後で立ち止まった。気配を背中に感じながら、断固として反応はしない、とエセクールを発動させるビューリング。
内心はいつ抱きしめられるか、次はどんな行為を迫ってくるのかなどと慌ただしいが、それは臆面にも出さなかった。
熱いが不味いコーヒーを口に含んで嚥下したその時、耳に、ふっ…と息を掛けられた。
「んぐっ!」
げほっ、ごほっ、と噎せ返るビューリング。智子の子供のような悪戯にしてやられた。
「何で無視するのよー」
拗ねたように頬を膨らませる智子。その顔を視界に入れつつも、気管は暴れて咳が止まらない。
少しは心配してくれ…そう思うビューリングだが、それすら言葉に出せなかった。
完全にオフの日だったので、服装はラフだ。セーターの袖で口元を押えて収まるのを待った。
そして、そんなビューリングの本気で噎せている様子に、やっと事の重大さに気付いた智子が慌てて背中を摩り始めた。
「ご、ごめんビューリング! まさかそんなに噎せるなんて思わなくて…!」
大丈夫? と背後から顔を覗き込まれる。
呼吸も落ち着いてきたので、返事をした。
「あ、ああ…なんとか…。はぁ…、酷い目に、遭ったな…」
「ごめんなさい、私の責任だわ。…好きにして良いから!」
そう言って胸元をはだけさせ、戦闘服である袴の胸元の合せを両手で開く智子。
乙女の恥じらいなど既に捨てているのか、とビューリングは冷めた目を智子に送った。
だが、その冷めた目も、ほんの一瞬で熱を帯びてしまい、智子の晒された胸元に釘付けになった。
(…待て、待ってくれ私の理性。止まれ、こんな昼間からそんなことはいけないぞ…)
ビューリングは普段はクールであることに違いない。智子との関係だって自分なりに対処している。
しかし、智子よりはマシだが、雰囲気に流されやすい点があることも分かっている。
智子はビューリングに対しては常に攻めの姿勢を取ろうとする。
ビューリングは自分を律しながら智子に対して若干の受け姿勢を取っている。
(智子の悪ふざけでいつも調子を崩されてばかりだ。…なら、偶には私が智子を手玉に取るというのも……いいな)
ニヤリと口元を袖で隠して笑う。智子は依然として頬を赤らめている。責任は身体で払う、と智子の暴走した思考回路の出した結論なのだろう。後戻りも出来まい。
ビューリングは意識を切り替え、智子に対して完全な攻め体勢を取ることにした。
そして、初撃。先制は攻める上では最も重要だ。
288名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 01:36:52 ID:D4rJYfUh
「…"ともちゃん"」
「へ?」
今まで散々私を愛称で弄ってきた罰だ。中隊の中では誰も呼ぶことがなかった呼称を使ってやる。
「ぇ、え…何言ってるのビューリング、そんな呼び方されたら…っ?!」
智子に歩み寄って左腕を首の後ろに回し、抱きすくめる。
顔が至近にやってきて、互いに見つめ合う。
口付けが来るものとでも思ったのか、智子は目を瞑った。しかしビューリングはここで口付けはしなかった。
「ともちゃん、私、ともちゃんを滅茶苦茶にしたい」
わざと口調も普段と変え、一々彼女を刺激するように言う。
五センチの身長差。智子はビューリングの左腕で小さく丸まっていた。
依然訳が分からないながらも何となく身体が反応してしまっている様子の智子。
(あぁ、気分を入れ替えるとこうまで智子が可愛く見えてくるとは…。今すぐにでも口付けをしてやりたい…が、我慢だ)
今日のビューリングはひと味違う。いつも智子に遊ばれるビューリングではないことを、教えてやる。
その所為で今後の関係が逆転したとしても全く構わない。今までだってどっちがどっちでもないような関係であったわけだし。
(いっそこの際白黒付けてしまおうか。…いやしかし智子の稚拙で乱暴な攻めも私は好きなんだこれが…)
そんな葛藤など無かったように、普段と様子が変わらないほど冷静なビューリングは智子の胸に顔を近づけ…舐めた。
「ひゃぁぅ!」
智子が途端に高い声を上げてビューリングの胸元を掴む。か弱い力に抵抗は見られない。
(そうだ、失念していたが、私の方が年上だったな。…ふっ、偶には年上らしさを見せてもいいだろうか)
「レズコンビに散々舐められたりしているんだろうな、こういうところは…。少し嫉妬するが、今は…私だけのものだ」
午前の訓練で汗でも掻いたのか少々刺激ある味。だが、これも智子らしい。
開いている右手を服の中に差し込み、右の柔らかみを持ち上げ、露わにする。
「ん…びゅーりん」
最後まで言わせない。先端を口に含んで舌先で弄る。
「はぁあ――っ!」
(ハルカの言う通りか。胸はすぐに反応するな)
智子の身体に関する知識はそのほぼ全てがあのコンビの口走る内容から仕入れたものであることが最高に腹立たしい気がするが、今は感謝しておこう。
「ともちゃんどうした? もう固くなってるぞ?」
「びゅーりんぐが…いじるからぁ……」
息を荒げて潤んだ目でビューリングを見つめる智子。その視線を期待だと受け取り、ビューリングは攻める手を緩めず続ける。
右足を股下に滑り込ませて智子の腰が砕けても倒れないようにする。
ビューリングはそのように支えるつもりで足を挿し入れたのだが、智子にとってはそれは攻められる行為でしかない。
「んはあ! ちょ、ちょっと待ってびゅーりんぐ…そこは」
「どうしたんだ? まさか足が触れるだけで感じるほど"その気"になっているのか?」
ビューリングも智子を攻めることに若干喜びを感じてきていた。
もっと可愛い智子を見たい、そう思う内心は暴走していく。
「そんな…だってぇ、びゅーりん」
またもその非難を途中で遮るように、膝で局部を刺激してみた。
「きゃぁぅう!!」
熱も感じられるし、湿気もあるように足の感覚はそれを伝えてきた。
蕩けてきた智子の目を見つめ、ビューリングも身体が熱を持ち始めていることに気付く。
堪らなくなって、立ったままではやりにくいと考え、ビューリングは智子を引っ張り、寝室まで運ぶのは興が冷める、と手近にあった大きいソファに横たえた。
289apsV9PCZ:2009/02/02(月) 01:38:33 ID:D4rJYfUh
―おまけ―

「うわぁー、ビューリングもかなりケモノだネ」
二人が情事に耽るミーティングルームの扉を僅かだけ開け、そこからオヘエとエルマが顔を覗かせていた。背後には本を読むウルスラの姿もある。
「うわぁ、うわぁ…激しいですね……すごいです……」
真っ赤な顔で釘付けにされているエルマも実は興味があるのではないかと疑ってしまう。
「ハルカやジュゼッピーナと遜色ない攻めネ−。ビューリング、恐るべしダヨ」
「"ともちゃん"は新しいですねぇ…」
「そう呼ばれてスイッチ入るトモコもどうかと思うけどネ」
「スイッチの入った智子さんをあそこまで手玉に取れるのはあの二人だけかと思っていました…」
「だから、トモコの可愛さに影響されてビューリングの本能にもスイッチが入ったのネ」
とここで、背後のウルスラが自らの沈黙を破って突然言い放った。
「…犬の、発情期」
「あんたも言うようになったネー」

――
>>285
じゃあ自分は智子とビューリング一貫だ! どっちが受けでも攻めでも構いません!
290名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 01:38:48 ID:exUbHdW7
ルッキーニ×ミーナが見たいな
291名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 01:46:39 ID:2q4BD5nb
>>285
どんな時も全部本気!
四話見た後から芳リカにはまってたわ



しかし他にも誰にも理解されないハルカ×ジュゼというのも好き
ライバル百合もいいよね

>>289
智ビューの人書くの速いw
ビューリン攻めは新鮮だね!!!
292名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 01:49:38 ID:qEXHP/Ur
最近ssの印象も全体的にレベル上がってる気するけど、草創期の職人はもうスレ見てないのかな
巧い人はもともと書いてる人だろうし、鞍替えしたら二度と戻ってこないんだろうな
293名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 02:14:31 ID:D4rJYfUh
>>291
休日でしたし暇とネタがあれば書いてましたw
書いたのは昼間なので昼から何やっているんでしょうね、自分…

>>292
最近このスレに参加したので作品群はまだ到底読み切れそうにないですが、
いくつもプロと見紛うような作品があるので驚きです。全盛期に居たかった…
294名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 02:25:14 ID:uI9fD4E3
t26gFAxTです。
一時期の沈静期は嘘のようにスレは今夜もフィーバーって感じでニヤニヤ。
逆に、今年は張り切っていきますみたいな事書いた矢先のペースダウンに自分で自分を殴りたい今日この頃。
エーリカを分身させてる場合じゃないよ、まったく……
と愚痴りつつ……あくせくしてるうちに月も替わってしまいましたが、学園ウィッチーズと48手「キス・唇に」続けて投下します。
295学園ウィッチーズ 第21話  傲慢と擁護の差:2009/02/02(月) 02:25:54 ID:uI9fD4E3
 鋭いようでいて、実は限りないほどのやわらかさを持っている。
 多分そんな表情は、ファラウェイランドに残してきたという親友――本人は隠しきれていない照れをにじませながら否定してる――にしか、めったには見せてくれないのだろうけど。
 そんな瞳を持つ彼女にひどく惹かれていたと気づいたのは――

「エルマ……お前の気遣いは嬉しい。だがな、"あいつ"の死すら、私の一部なんだ。もし、私と本気で向き合いたいなら、そこからは目をそむけさせないでくれ」

 その言葉を、銀髪の間から覗く瞳に射抜かれながら投げかけられたあの瞬間。
 彼女は、自分をはねつける気なんて、さらさらなかっただろう。
 ただ、自分が良かれと思って放った"言葉"を、きっぱりと否定したかった。
 それだけだ。
 だからこそ、今だってこうして同僚として、平穏無事に過ごしている。
 けれども、気づいた時には見えない壁が形成されて、前のように彼女――ビューリングに接することはできなくなっていた。
 周りの仲間にも気づかれない、些細なようでいて途方もないぐらい深い溝。

 起床したエルマが食堂で目にした光景はとても珍しいものだった。
 目を大きく見開きながら、洗い場に居るビューリングの背後に立って覗き込む。
 ビューリングは、昨夜ウルスラが持っていたカップを洗っている。
 食い入るように手元を見つめるエルマをビューリングは一瞥する。
「なんだ?」
「いえ、なにも」
 そう言って、エルマはビューリングの陰にいる人物にも目を丸くする。
 ウルスラがパンをナイフで切ってサンドウィッチを作っていた。量からいって、一人分ではなさそうだ。
 ナイフ片手に、ウルスラがエルマをちらりと見る。
「なに?」
「いえ、なにも」
 エルマはむずむずするものでも感じているかのようなすっきりしない表情で後ろ歩きでその場から退く。

 食堂に集まった教官たちは、特に話すでもなく、黙々と朝食を平らげていく。が、エルマは落ち着かなさげに、目の前に並んで座っているビューリングとウルスラを交互に見やる。
 ウルスラは皿の中のじゃがいもを平らげると、大皿を見つめるが、視線を外しスープを一口。
「もう少し食べるか?」
 そのひどく優しい口調に一同の手が止まり、一斉にビューリングが注目の的となる。
 その息の合いっぷりに、ビューリングはほんの少しだけ動揺した。
「なんだお前たち……」
「今日は雪が降るかもしれないネー」とエルマの隣に座っているオヘアが大げさなポーズを作って首を振る。
 アホネンはコーヒーカップを片手にしたまま、隣のウルスラの頭越しにビューリングを怪訝そうに見つめた。
「クールそうに見せてる人に限って、いろいろなところでフラグを立てているのよね」
「というか、二人はすでにそういう仲じゃないんですかぁ?」
 そう言いながらアホネンの隣のチュインニが猫なで声でずいっと体を前に出して、同じ列のビューリングに白い歯を見せたものだから、ビューリングは持っていたフォークを皿にぶつけ、きっと睨み返した。
 チュインニはちろと舌を出し、体を引っ込める。
 ビューリングはチュインニ以外のものにもきつい視線を向け、反論がないと見ると、ふんと鼻を鳴らして、隣で平然としているウルスラと同時にカップを口につけ傾けた。
 教官たちは互いに目配せをして、ウルスラとビューリングの様子を興味津々といった表情で眺める。
 エルマを除いて。
296学園ウィッチーズ 第21話  傲慢と擁護の差:2009/02/02(月) 02:27:33 ID:uI9fD4E3
 エイラはサーニャの部屋の前でうろうろと円を描きながら歩き回る。
 時たま、静止してドアに向け拳を作るがため息と共に下ろして、また円を描く。
「なにをやってるんだ……」呆れた口調で言いながら、坂本がエイラの前に現れた。
「な、なかなか起きてこないからさ…」
「ふむ。もうそんな時間か。サーニャ、入るぞ」
 エイラとは裏腹に坂本はあっさりとノックをしてドアノブを回すと、サーニャの部屋へ入る。
 エイラは背伸びして坂本越しに部屋を見ようとするが、閉めてくださいとサーニャの、珍しく通った声が響き、坂本はすまんなとエイラを見つめながらドアを閉じる。
 ドアの木目を瞳に映しながら、エイラは唇を尖らせた。
「なんだよ……それ」

 坂本は厚めのカーテンで外からの光を遮断したサーニャの薄暗い部屋を見回し、ベッドの上で背を向けている彼女に近づいた。
「具合が悪いのか?」
 返事はなく、サーニャはブランケットの下で体を縮ませる。
 坂本は仕方がないなと言いたげな顔で腕を組み、ちらと背後のドアを見る。
「エイラと……ケンカでもしたのか?」
 かなりの間を置いて、サーニャがくるりと坂本に向き直る。
「してません」
「そう、か?」
 坂本はサーニャの回答にはそぐわない現状を頭に浮かべると、指で頬をかいた。
「はい。ケンカはしていません……」頬を膨らませる勢いで、珍しく頑固に言い切るサーニャ。
 坂本はベッドに腰掛けると、サーニャの銀髪を少しばかり乱暴に撫でる。
 サーニャは目をつむりながらも、それを受け入れる。
「そうだな、エイラにサーニャとケンカをする度胸があるとは思えん」
「どうして」
 問いかけるでもなく、ただ頭に浮かんだと言わんばかりの言葉。
 はたとサーニャを撫でる手が止まる。サーニャはぽつんと言い放った。
「……ひとりごとです」
 坂本は足を組み、両手を握り合わせて天井を仰いだ。
「本当に……大切な人だと傷つけたくないばっかりに臆病になりすぎて手も足も出せなくなる。
 無論、本人に悪気はこれっぽっちもない。むしろ傷つけないため、守るためだと言い聞かせている節さえある。
 けれど、それでは何も解決はしないんだろうな」
 そう言い切って、坂本は両手を解いて後ろに手をついて自分をじいっと見つめているサーニャにささやいた。
「ひとりごとだ」

「サーニャちゃん、今日お休みなんですか?」
 エイラの隣を歩きながら、混じりけなしの疑問をぶつけるリーネ。
「悪乗りして意地悪が過ぎたんでしょ」
 と、同じくエイラの隣を歩くペリーヌがぴしゃりと付け加えた。
「何もしてない」
 エイラは言葉に反して不機嫌にそう返してずんずんと二人を追い抜いて学園へと向かう。
 ペリーヌとリーネはエイラの言葉を真に受けるはずもなく、なにかあったなと顔を見合わせ、少しだけ歩調を早めて追いかけた。

 準備室で作業をしていたエルマはふと手を止めて中空に視線を漂わせる。
 頭に浮かぶのはビューリングとウルスラの姿。
 朝食後も、どちらかが必ずどちらかのそばに居て。
 いや、基本的にあの二人はよくつるんでいた。
 互いにあまり言葉を必要としない人たちだから、居心地がいいんだろう。
 それが――それがもう一歩近づいただけ。
「想い人に恋人が出来てそんなにショック?」
 ふいにとんできた言葉に、エルマは椅子をがたつかせるほど、肩を跳ね上げた。
「ショ……ショックじゃありません! ていうか、想い人って……」
「あら? 見当違いだったかしら」
 アホネンは髪をかきあげ、少し意地悪そうに口角を引き上げた。
 何か言葉を接ごうにも、胸が詰まったのかのように押し黙るエルマの深刻さを気取って、アホネンは準備室のドアを開けた。
「あのワンちゃん、本当に罪作りね……」
 始業のベルが学園内に響き渡る。
297学園ウィッチーズ 第21話  傲慢と擁護の差:2009/02/02(月) 02:28:04 ID:uI9fD4E3
 エーリカは散らかった部屋の中で唯一スペースのあるベッドの真ん中で小さく体を丸めて、何度も目をつぶっては開けるを繰り返す。
 せっかくの休み――というか停学なのに。
 エーリカとシャーリーに言い渡されたのは、一週間の停学そして反省文提出というものだった。
 自室禁固とも言われた気がするが、外から錠がかけられた形跡はない。
 が、外に出る気はまったく起きず、何度も何度もブランケットの中で体を動かしてはまた目をつぶる。
 しばらくそれを繰り返した後、むっくりと起き上がり、ありったけの息を吐き出した。
 眠れないなんて何年振りだろう。
 最後にこうなったのは――
 初めての出撃のときでも、終戦を迎えた日でもなく、戦中にお互いの転属によりウルスラと離れ離れになることが決まったその日の夜だ。
 涙こそ流さなかったが、ただ冷えていく心を体の内に感じて、乾いた瞳で明けていく空を眺めていた。
 おかしいな、あの頃よりうんと近くにいるのに。
 エーリカは不用意に湧き出してくる笑いをこらえながら、散らかった服からズボンを取り出し、上着と一緒に身につけると、部屋を出てキッチンへと向かった。

「よぉ」
 自作したホットドックにかぶりつこうとした矢先に、やって来たエーリカと目が合ったシャーリーは、声をかけ手招きをした。
 エーリカは軽いとは言いがたい足取りでシャーリーの隣に並んだ。
「自室禁固なのにこんなに盛大に散らかしちゃって……」
「だって鍵かかってないしなあ。綺麗に片付ければばれないだろ。ほれ」
 エーリカの眼前にホットドックが差し出される。
 しかし、食欲がまったくわかないエーリカはただまばたきを繰り返し、シャーリーがもう一度促すことでようやく手に取り、端っこをかじるにいたった。
 そのあまりにもしおらしい食べっぷりに、シャーリーはエーリカの顔を覗きこみ、目の下にうっすら浮かんだクマを見つける。
「……眠ってないのか」
 エーリカは、今度は大きくかぶりついて、盛大に口をもぐもぐと動かし、踵を返した。
 シャーリーの長い腕が離れようとするエーリカの肩を捕らえる。
 エーリカはまたホットドックを口に詰め込んで、黙秘を貫いた。
 シャーリーはいったん手を外したかと思うと、ひょいと片脇にエーリカを抱え込んだ。
「子守唄ぐらいなら、歌ってやるよ」
 
 昼休みとなり、リーネはペリーヌとエイラに歩み寄る。
「今日はどこで食べますか?」
「天気もいいし、今日は木陰のほうが…」
「私パス」
 言いかけたペリーヌをさえぎって、エイラはさっさと教室を出て行くと、廊下を駆け出した。
 ペリーヌは額に手を当てて、息を吐く。
「本当に分かりやすい人だこと……」
「……ですね」と、さすがのリーネも困ったように眉を下げた。
298学園ウィッチーズ 第21話  傲慢と擁護の差:2009/02/02(月) 02:28:46 ID:uI9fD4E3
 準備室のドアを叩いたエイラは、相手の合図も待たずドアを開ける。
 お弁当を広げようとしていたエルマは手を止めて、顔を上げた。
「エイラさん、どうしたの?」
「その……ちょっと……相談」
 平時以上に途切れがちなその言葉に、エルマはわずかに背筋を伸ばして、笑顔を向けた。
 エイラはその笑顔に昨夜からすっかり凝り固まっていた気持ちを軟化させるきっかけを見出したのか、いかつかせていた肩をゆるめ、ポケットに手を突っ込むと、空いた椅子に手をかけた。
「それで、どんな相談?」
「あのな……」
 と、話し始めたかと思うと、大股で部屋中を歩き回り、またエルマの前へと舞い戻る。
「……ど、どうしたの?」
「いや、アホネンのやつが隠れてんじゃないかと思って」
「大丈夫だよ」
 エルマは苦笑しながらそう言って、小さく首をかしげるとエイラの言葉を待った。
 エイラは指で頬をかいたり、後ろ頭をぐしぐしとかいてみたりともったいぶりながら、ぼそぼそと口を開き始めた。
「あの、さ」
「うん」
「エル姉は……」
「ちょっと待って」
「なに?」
「エルマ先生、でしょ?」
「……ごめん。エルマ先生は、その……生徒の経歴は全部見てるんだろ?」
「仔細には見ないけど、ざっとは……」
「そっか……」
 訝しげなエルマの表情から逃げるように、エイラは床を蹴って、椅子を回転させ、エルマに背を向ける形で止まる。
 微妙な間が空いて、エルマはささやくように、しかしながら的確にエイラの考えを射抜いた。
「サーニャさんの過去のこと?」
 半呼吸置いて、エルマの首が縦に揺れた。
「……もちろん、他人に聞き出そうなんて思ってない。けど、知りたいんだ」
「なら本人に…」
「昨夜サーニャは話そうとしてくれたみたいなんだ」
「みたい?」
「つらい思い出を甦らせてまで話すことなんてないだろ?」
「……もしかして、断ったの?」
 深刻さが紛れ込んだその口調に、エイラはエルマに振り向き、瞳を伏せた。
「サーニャを……傷つけたくないから」
 漂う空気にふてくされたか、また背を向けるエイラにエルマは過去の自分自身をだぶらせる。
 あの時の、銀髪の間から覗いた瞳が突き刺さる。
 エルマは無意識に胸に置いた手を握り締めた。
「それって……一種の傲慢なんだよね」
 エイラはエルマらしからぬ言葉にぴくりと肩で反応する。
 エルマは髪を耳にかけ、過去の自分自身に問いかけるように遠くを見ながら話し始めた。
「傲慢じゃ、ちょっと言いすぎかな……。けど、本人が話し出そうとしていて、向き合おうとしていて、それでひとつの救いを求めているのかもしれないんだったら――その相手に選ばれたのだとしたら、受け入れるのも大切なんだと思う」
「……そうなのかな?」
「だって、傷つけたくないからって何でもかんでも封じ込めたら、まるで牢屋に閉じ込めてるみたいでしょ。サーニャさんはそんなこと望んでるのかな?」
 エルマの大きな瞳がエイラに問いかける。
 エイラは短く、う、とだけ言いじっくり考えた後、口をぱくつかせ、ようやく発音にいたった。
「サーニャを傷つけたくはない。そんなの決まってるじゃないか。けど、どうしてもそうなる選択をしなければいけないんなら、一緒に……」
 すっかり真っ赤になったエイラはうつむいてしまう。
 エルマは椅子の背もたれに体を預けるとにっこりと今日一番の笑顔で後輩の成長を喜んだ。
「まだ間に合うよ」
「え?」
「ううん、一人ごと。お弁当、一緒に食べようか?」
 準備室のドアのすぐそばにもたれかかっていたアホネンは、部屋から聞こえてくる和気藹々とした同郷の二人の声にやれやれといわんばかりに、にっと笑うとその場を後にした。

 
第21話 終
299第21手 キス・唇に:2009/02/02(月) 02:30:31 ID:uI9fD4E3
 ブリタニアにて新たな職務についていたビューリングは、初めての休暇をもらったものの、特に用事もなく、まだ開いていない荷物の多いアパートで部屋の真ん中にすえた古ぼけたひとりがけのリクライニングソファにマグカップ片手に読書する。
 時折、何もないサイドテーブルに無意識に手を伸ばしては、言い訳をする相手もいないのに、ふんと鼻を鳴らした。
 何回かそんなことを繰り返し、太陽が真上に達しかけていた頃、薄いドアの向こうから階段を駆け上がり、廊下を走る足音が聞こえる。
 隣人だろうか?
 ぽすんと本を胸に置き、ちょうど投げ出した足の向こうにある玄関ドアを見つめると、躊躇もノックもなくドアノブが回り、ばんと開け放たれた。
 大急ぎでやって来たのか、乱れた栗色の髪とその持ち主の少女を認識して、ビューリングは目を丸くした。
「ウィル、マ?」
 腰を折り、ぜえぜえと息を切らしたウィルマは、ようやく顔を上げ、笑顔を差し向ける。
「暇でしょ」
 疑問ではなく断定して、ウィルマはつかつかとブーツを鳴らしてビューリングに近づいて膝をつき、彼女が肘掛に押し付けた腕に手を重ね、今にも、彼女の使い魔であるスコティッシュフィールドの耳と尻尾が伸びだしそうなほどの愛らしさで上目遣いに見上げた。
 ウィルマのアッシュブルーに近いその瞳の色に映る自分自身を見つけ、ビューリングは頬に温もりが集まり始めている事に気がついて、胸元に置いた本を閉じ椅子から起き上がった。
「……いきなり来たかと思えばなんだ急に」
「だって、私たちって次会う約束してないし。突発的に会いたくなったらこういう形になっちゃうわよ」
 ウィルマには珍しく、歯切れ悪くかつ照れくさそうに言葉を接ぐものだから、ビューリングはカップの中のコーヒーをすべて飲み下すとキッチンで水洗いし、蛇口を閉じた。
「今日は、非番なのか?」
「……昨日出撃したからね。万一ってことがあればすぐ戻らなきゃいけないけど」
 ゆっくりと振り返ったビューリングはウィルマの向こうの窓から漏れる太陽の光をしばらく見据えた後、カウンターに置いた鍵束を握り締め、玄関ドアそばにかけた革のジャケットを手に取った。
「一緒に来るか?」
 
 銀色の髪と栗色の髪を風に乱しながら、ビューリングが運転するバイクは街の中心部を離れていき、次第に舗装されていない道ががたがたと車体を揺らし、目に入る風景にも緑が占める割合が増え始めた。
 ウィルマはビューリングの革ジャケットを握る指先に力を込め、背中に頬を押し付けた。

 アパートを出てどれぐらい経っただろうか。
 バイクは少しずつスピードを落としたかと思うと停車して、バイクを降りたビューリングはゴーグルを外して髪を手ぐしで整える。
 ウィルマはバイクに跨ったまま、岬の向こうに広がる海を遠望した。
 ウィルマの足のそばにある添えつけのバッグを開けて、街で調達したサンドイッチとボトルに詰めたコーヒーそしてレジャーシートを引っ張り出して敷いた。
「……街をぶらついたほうが良かったか?」
「ううん、そんなことないわ」
 ウィルマは慌てて笑顔を作って寄越す。
 ビューリングはその作り笑顔に即座に気がついたが、特に咎めるでもなく腰を下ろして、コーヒーを注ぎ、紙袋から取り出したサンドイッチにかぶりついた。
 ウィルマはいびつになり始めた空気を察知し、バッグに入れておいたお気に入りのキャップとゴーグルを付け替えると、ビューリングの隣に座って、同じようにしてサンドイッチにかじりついた。
 一緒に出かけられて嬉しいのに、なんであんな中途半端な笑顔作っちゃうかな――
 ウィルマは思わず吐き出しそうになる息を噛み殺して、コーヒーの注がれた容器に手を伸ばす。
「ウィルマ」
 声がかかった時には、コーヒーがウィルマの舌を軽く焼きつかせた。
 ビューリングは声にならない短い悲鳴を上げるウィルマの手から滑り落ちそうになった容器をキャッチし、更なる悲劇を防ぐ。
「猫舌なのだから、気をつけろと言おうとしたのだが……」
 早く言ってよと叫びだしたいけども、しびれた舌が言うことが聞かず、ウィルマは瞳一杯に浮かんだ涙をこぼさないよう努める。
300第21手 キス・唇に:2009/02/02(月) 02:32:04 ID:uI9fD4E3
 火傷で痛む舌でサンドイッチを平らげたウィルマは、隣でじっと海を眺めるビューリングの横顔を見つめる。
 ウィルマにとっては珍しく映るその光景が、口を滑らさせる。
「禁煙、してるの?」
 ビューリングは視線を移動するだけでウィルマを見、また戻す。
「新居に移ったし、別にそこまで必要なものではなかったからな」
「……ヘビースモーカーだった癖に」
「お前だってやめろと言ってただろう」
「あ、もしかして私のため?」
 本気と冗談を曖昧に入り交わらせながら、ウィルマはにやりと笑ってみせる。
 胸を跳ねつかせながら。
 ウィルマのその言葉にビューリングは虚をつかれたような表情を浮かばせるが、コーヒーを口に運んで、何とかごまかしてみせる。
 物足りないのか、ボトルを傾けてみるが今飲みきったもので最後だったのか、しずくが何滴か落ちるに留まった。
 ニコチン切れのせいかのか、そわそわしているビューリング。
 ウィルマは真意が聞き出せなかったことに落胆しつつも、ようやく調子を取り戻し始めたのか、ポケットの中を探り、ビューリングの目の前で手を広げる。
「なんだ?」
「ハッカ飴。扶桑のだから結構良い品質よ」
「さすが商人の娘だな。扶桑か……」
 飴を口に放りながら、思索顔のビューリングに、ウィルマは肩を押し付けた。
「スオムスの上官が扶桑の人だったんだっけ」
「まあ、な……」
「ねえ、どんな人なの?」
 その言葉に記憶の糸を手繰り寄せたのか、ビューリングは口の中でくくくと笑う。
「流されやすいやつだった」
「なにそれ?」
「言葉のままさ。無論、空では優秀だったがな」
 かつての上官に想いを馳せる様にビューリングは空を見上げた。
 スオムスの寒空の中を飛ぶ彼女はどんなだったんだろう。
 彼女とともに戦い、そして、オストマルクで負った傷を癒してくれた少女たちはそれぞれどんな人だったんだろう。
 私は、彼女にとってそんな存在になりえるのかしら――
 そう考えながら、いつまでも見ていたくなる様な横顔をウィルマは大きな瞳を瞬かせながら、収め続けた。
 ウィルマの視線に気づいたのか、ビューリングは顎を引いて彼女を見つめ返した。
 ウィルマ自身でも気づいていなさそうな切ない表情に、ビューリングは考えるよりも先に、彼女の手に自分の手を重ねた。
 ビューリングにはウィルマが感じるおぼろげな不安まではわからなかったが、ただ、「大丈夫気にするな」ということを伝えずにはいられなかった。
 しかし、言葉としては出てこず、頬が上気し、絡み合った視線がほどける。
 ウィルマは意気地なしと心の中でつぶやいた。
「飴……もうないのか」と、苦し紛れにつぶやくビューリング。
 ウィルマはポケットを探る。
「ごめん。さっきので最……あ、あった」
「じゃあ、もら…」
 開きかけた唇に、ウィルマのそれが重なり、薄荷の香りがビューリングの口の中に広がった。

終わり


人間、たまにはバカップル書きたくなるときがあるんだよ!

えー、以上です。チカレタ…
301名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 02:36:06 ID:iYUZ2O5x
このスレの神っぷりは異常
302名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 04:49:59 ID:AAyRlcbO
>>293
1スレから見てきたものの印象として

第一期 スレ発足期→10話放送まで(1スレから4スレくらい)
第二期 キャラの二次設定確立期→放送終了(5スレから6スレくらい)
第三期 ss大杉読みきれないレス散見期→オンリー(6スレから8スレ)
第四期 エースと管理人いい仕事しすぎ、感想で一作品書けそう期(9スレから13スレ)
第五期 新規入隊者急増期(14スレから17スレ)
第六期 若干の低迷を経て最近……まだまだイケる期がする(18スレから) 

って感じダナ
あくまで雰囲気という観点で分けたから割と小刻みに変動があるしスレ番は雑な目安

個人的な感想だと、三期は現在もいるエースが初登場したころなんで特に印象深い
なので全盛期と言うかこのスレが神化したのが6スレ以降、あえて区切るなら13スレまでダナ
303名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 05:23:32 ID:DjlfIClA
きっと試験期間のせいだよって一夜漬け中の俺が言ってみる

ところで本スレで話題になってる秘め声でのエイラの愛称についてだけど、
呼ばれ方が急に変わった気恥ずかしさをごまかしてるようにも取れるし、
イッルって呼んでくれなくてちょっと不満なようにも取れるから困る。妄想の幅が広がる的な意味で。
サーニャもサーニャって呼んでほしいって言ってたけどたまにはアレクサンドラとか呼ばれちゃっても良いんじゃないかな。
304名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 05:35:18 ID:q8TL5ZgR
>>294
1ヶ月ぶりの学園キター
そして口移しとな。相変わらずうまいなぁ

>>292
1スレ目からいる人だけどまだいますよノシ
また最近ちょろちょろ48手とか書いて投下してるんだけど、ID書いとくのすっかり忘れてて、
リストのとこがダッチワイフで止まっているという……
305名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 06:34:09 ID:UUcT6AFH
>>302
僕も一応保管庫ができる前からいますよ…つか、携帯からは毎日見てる
日によって突然速くなったり遅くなったりするよな
なんかこのスレはまだまだPowerを秘めてそうで怖いw(いい意味で)
306名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 06:47:21 ID:ggUNcnoi
>>294
待ってた。信じてた続きがくるのを
エルマ参戦でますます人間関係カオスに
続き楽しみにしてます
あとウィルビューもいいよね
307名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 12:13:25 ID:5zs+fLwT
俺も一スレ目からいるがまさかここまで賑わうとは思ってなかった
SS職人だけじゃなく絵師もいるのがすごいぜ
308名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 12:43:43 ID:CM6TOu1m
ふう…秘め声五巻の各キャラだけ聞いた
エイラはやっぱヘタレだなホントwwエイラーニャ度は本当に高かったわ
そして本当に芳ーニャうっすぃー、憧れはほとんどシャーリーに向いてるなー
まあこれはこれでシャーニャもありってことだね!!!
309名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 13:25:42 ID:vnAcbUZI
>>304
あなたかwwwダッチワイフのSS、笑わせてもらいましたwww
310名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 14:18:13 ID:M4+VNOLX
>>289
もうこのシリーズの破壊力やばすぎる。悶え過ぎてキーボードがうまく打てないジャマイカ。
chan付けなんてどこで覚えたんですかビューリングさん。穴拭中尉が萌え死んでも知りませんよ。

>>294
待ちくたびれたぜ、GJ!!頼りになるエルマってのはなかなか他にはない良さがあるよね。
ウィルビューもデレデレでたまりませんなあ。あえて薄荷を選ぶセンスがぐっと来る。

>>304
当時からずっとファンなんだ、生存確認できて嬉しいよ。SSで見抜けないとは、私としたことが……。

なんか初期メンバー結構残ってるというより、初期からいた人がこのスレに感化されてSSを書き始めたとかありそうだから困る。いや、困らない。
自分もpart1からずっといるけどこのスレの安定感は何度読み返しても素晴らしい。
311名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 14:40:37 ID:3iQOsN5w
>>308
各キャラだけなんてもったいない!
5巻の(というかエイラの)秘め声の本領はシステムボイスに有り。
その他のセリフ、お約束系2なんか聞いてると流血するよ。
312名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 14:46:36 ID:2q4BD5nb
今日もしかして公式更新するのかな?
楽しみだが何故だか不安を感じる…
313名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 14:54:37 ID:sMbhuwoo
俺としてはクロウカシスともうひとつのリーネイラの続きが気になる
314名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 14:55:31 ID:qEXHP/Ur
>>277
本編でまともな絡みのひとつもないCPで巧妙に理屈用いて真面目にくっつけようとしてる野心的な作品て他にはないんダナって気づいた
315名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 16:08:13 ID:RLsEj1Dr
百合フィルターを外しても百合色だと言うのか!?
今日聴かないと。
316名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 16:29:32 ID:q8TL5ZgR
クロウカシスもだが、未だに温泉の続きを待ってるのはきっと俺だけじゃないはず
0035の芳佳になったゲルトの続き待ってるのは流石に俺だけ。でもめげずに待ってる
317名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 16:31:39 ID:wOFmbJWN
シャッキーニSSを見ないと死んじゃう病にかかった
318名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 17:10:20 ID:+EAyIcRm
ある場所で芳佳とエイラの漫才風の掛け合いを見て、
芳佳とエイラが仲良くしてる話が書きたくなった・・・。
それをサーニャが嫉妬して、遠くから見てる、みたいな。
319名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 17:39:41 ID:Sk1mt+SP
智ビューの方と学園の方相変わらず最高です最高です
智ビューにあてられてオヘアとエルマも…なんて新しいアレを…
そういえば、学園の話数と48手が21で被ってるのは狙われたんっすかねww


>>317
確かに滝川御大の消息不明と5巻秘め声大フィーバーが重なったせいで今絶望的にシャッキーニ分が無いっすねえ
シャーリーが出てきたりシャーリーの別カップリングならそれなりにあるけど
ルッキーニ分に至ってはもうホント絶望的に少ない気がする
320名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 17:43:20 ID:lu6WFM5a
>>318
起きたら落ちてた
321名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 17:45:07 ID:q8TL5ZgR
最近のマイブームはスプラッタリーネちゃん。
シャーリーのおっぱいをサバイバルナイフで切り取ろうとしたり(もう芳佳がかどわかれることがないように)、
ゲルトの目玉をスプーンでえぐり取ろうとしたり(もう芳佳をいやらしい目で見ないように)、
丑の刻まいりをしてもっさん呪い殺そうとしたり(フラグが立たないように)、
毎食ごとに微量の毒薬を盛って、みんなが弱っていく様を日記につけてニヤニヤしたり(誰ともフラグが立たないように)、
「芳佳ちゃんどいて! そいつ殺せない!」だったり、
まあだいたいそんな感じの妄想。
誰か書いてくれないかなー。

あとシャッキーニ不足に禿げ同。
じっちゃん早く帰ってきて!
322名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 17:52:42 ID:RLsEj1Dr
毎回必死にリーネを止める宮藤しか思い浮かばない
ギャグ調の絵柄で
323名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 18:01:49 ID:UUcT6AFH
>>316
やっぱいるもんだなあ同志よ
クロウカシスの人は書くとは言ってたよね
個人的に温泉の人の文はかなり好みなんだ…
じっちゃんはまじでシャッキーニのパイオニア

時も人も流れていくもんだから仕方ないが…、皆さんちょこっと戻ってきてくんないかな
324名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 18:04:06 ID:eKXOslIs
4巻の鑑賞会はどうなるかね
基地探訪担当の人ならどうにでもしてくれそうだけど
325名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 18:05:34 ID:MIxrl6te
俺もクロウカシスずっと待ってる。なんか癖になる文体なんだよな。
326名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 18:58:35 ID:Sk1mt+SP
クロウカシスみたいに誰からも続きを望まれるような長編を書くのが夢だ
I have a dream
327名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 19:14:45 ID:psgyc9yx
個人的には、味噌汁の続きが読みたいな
続き、書かないのかな……
328名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 19:18:10 ID:pnNUVcAR
俺は歌の人のネタが読みたいよ。
ピアノの話は微笑ましくてジーンときた。
329名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 20:17:58 ID:DMiITGfV
どもお久しぶりです、ゆりたまごです。
同窓会な雰囲気に誘われて私も参加したいななんて、でも先輩方を前に同窓を名乗るのもおこがましい話ですね。

ストックがあるので、毎日ここに何本かづつ投下させて貰ってもよろしいでしょうか?
ギャク多めですが……
そして携帯オンリー房でtxtは無理なんです。

お手数ですが、どなたかGo or NoGo下さい……って言うかGo下さいお願いします。
330名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 20:18:56 ID:uGFIT49L
GOに決まってるだろう
いくらでも投下してくれ
331名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 20:22:48 ID:Sk1mt+SP
>>329
出しな……てめーの百合SSを…


楽しみ
332名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 20:25:14 ID:UUcT6AFH

G O !
333名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 20:29:24 ID:MIxrl6te
Go!!
334ゆりたまご:2009/02/02(月) 20:29:35 ID:DMiITGfV
>>330-332さんありがとう!

シリーズ作品リンク一覧を活用してのアドベンチャーゲームちっくなマルチノベルです。
全話投下後にアンカー集作ります、スレ内ではそちらを利用して読み進めて下さい。

エイラ主観でエイラ×サーニャ(オールキャラ)です。
全体的に変な話です。
バッドエンドも仕込んでいます、苦手な方はこのレスのメル欄にネタバレしておくので回避お願いします。
それと基地内には隊員以外の整備兵などはいない(少なくともエイラの目には映らない)事を前提に書いています。

全38話で規制手前の9レスくらいづつの投下になると思います。
迷惑をおかけしますが連投規制に引っ掛かったら無視してスレ進めて下さい。

そして保管庫さんへ、お礼遅くなりましたがリレー勲章実現化ありがとうごさいます。
リレー活性化!しませんねごめんなさいリレーしんどいもんね(涙)でも四十八手が盛り上がって新しい書き手の方が増えればイイナ!
それから先にお詫び申し上げますが√28「魔女裁判」でリレー文やらアレやらをまるっとお借りました。
トリビュートだから恥ずかしくないもん!と言いたい所ですが差し障りがありましたら削除します。
御足労ですがチェックお願い致します。
335ifシリーズ√01「はじまりの詩」:2009/02/02(月) 20:33:20 ID:DMiITGfV
>>333さんもありがとう!
ifシリーズ√01
「はじまりの詩」

※このお話は主人公エイラの行動により結末が大きく変化するマルチエンディングです。
一話終了ごとに提示される選択肢を選び、提示された話数へとジャンプしながら読み進めて下さい。
果たしてエイラは愛しのヒロイン、サーニャと結ばれる事が出来るのか?はたまた……
その運命はあなたが握っているのです。


〜プロローグ〜
未来はまるでわたぐものよう
ふわふわしていて心地よく
ぼんやりとして触れることは叶わない
でもね ながめているだけでは置いていかれるもの
だからあなたはとびつづけるの この広い空を

あなたに出会うその日のために……
愛しのあなたへ捧ぐ詩

〜起床〜
私は目覚める、なにやら夢をみていた気もするけどはっきりとした記憶はない。
私はふと考える。あの夢はどこから来て、どこへ消えていくんだろう。
そして私は考える。私の存在について。
今ここに在る私はひょっとして誰かがみている夢なんじゃないか。
たとえこれが現実だとして私は何者なのか?何故ここに在る?
ん?以前にもこんな事を考えた気もする……デジャヴ?
まぁよくある事なんだな。
私は頭に靄がかかった時、その身をカードに委ねる。
テーブルからタロットを持ち帰るとその中から22枚の大アルカナを抜き出しベットの上に広げた。
ゆっくりと両手でのの字にシャッフルすると、その混沌とした運命の渦から一枚を引き出した。

私は真ん中から数えて……

★一枚目のカードを引いたんダナ。
→√20へ
★二枚目のカードを引いたんダナ。
→√16へ
★三枚目のカードを引いたんダナ。
→√17へ
★四枚目のカードを引いたんダナ。
→√13へ
336ifシリーズ√02「蕃茄紅色の食卓」:2009/02/02(月) 20:35:15 ID:DMiITGfV
ifシリーズ√02
「蕃茄紅色の食卓」

私は朝食をとるためダイニングに向った。

〜ダイニング〜
そこには朝食とは思えない光景が広がっていた。なんなんだこのテーブル一面の紅白模様は。
マルガリータにボロネーゼ、それに加えてトマトジュースと牛乳、トマトづくしじゃないか。

「おはよー、あたしの力作なの〜じゃんじゃんたべてね〜」
「ウッ、ウン」
うぅルッキーニは嬉しそうにそう言ってるけどさ……朝からこれはないだろ。

「ねぇシャーリー、マルガリータとボロネーゼどっちがすき〜?」
「ん〜どっちも好きだけど、あたしはやっぱりトマトジュースかな」
それ答えになってないよシャーリー大尉、ほらルッキーニが困惑……してない。「やっぱりシャーリーも!あたしもあたしも〜」
「あーわたしも断然トマトジュースだなぁ〜」
「無論だ」

二人の会話にハルトマンとバルクホルン大尉が加わる、なんだこいつらの会話。でもこの中じゃトマトジュースが一番まともかもな。
その割に四人ともマルガリータもボロネーゼも美味そうに食べてるな。
みんな朝からこんなヘビーな物食べれるよ……
うわーハルトマンなんか口の回り真っ赤っかだよ。
それに耐えられずにバルクホルン大尉がハルトマンの口の回り拭きだした。ハルトマン……こいつわざとやってたな。

「朝からこんな重いものなんて常識知らずでしてよ」
おっ珍しくいい事言うなペリーヌ、私も同感だよ。
「私も朝からこれはちょっとね……別に年だからとかそんなんじゃないのよ」
いや誰もそんな事言ってないよミーナ隊長。

「すいませんリクエストがあったので私がルッキーニちゃんにお手伝い頼んだんです」
朝食当番のリーネが申し訳なさそうな顔をする。誰だよ!朝からこんなトマト祭りをリクエストした奴は!トマトをぶつけてやりたい気分だな。

「まぁそう言うなトマトは生理不順にいいんたぞ、我々もいずれ母になるやもしれん、その時に備えでだな」
坂本少佐がそう言うとペリーヌとミーナ隊長はがっつき出した。
坂本少佐はあれだ、保健体育の先生になったら恥ずかしげもなく赤ちゃんのつくり方を指導するタイプだな。

「それにだ、朝から紅白とは縁起がいいじゃないか、わっはっはっは」
それは扶桑での話だろ、縁起と食欲は関係ないと思うよ坂本少佐。
でも縁起か……
私は今朝の占いの結果を思い出す。

私の引いたカードは……

★【]V】だったんダナ。
→√03へ
★【]]】だったんダナ。
→√10へ
337ifシリーズ√03「ラベンダーピンク」1/2:2009/02/02(月) 20:40:17 ID:DMiITGfV
ifシリーズ√03
「ラベンダーピンク」

私が引いたカードは【]V 死神】だったな。

私は占いの結果を思い出していた。縁起でもない結果だった。
そんな私にとって目の前の食卓に広がる光景は、縁起がいいどころか血溜りを暗示して他ならなかった。

「エイラ……だいじょうぶ?顔色が……それともトマト嫌い?」
隣に座っていたサーニャが心配そうに私の顔を覘う。なにやってるんだ私、この娘の笑顔を守るのが私の使命だろ、その私がこの娘の顔を曇らせてどうする。
たかが占いだ、そんなものに左右されてどうするよ。

「そんなコトナイ大丈夫だサーニャ、ほら食欲だって……ムグゥ、ゲホゲホ」
私は無理矢理にマルガリータを頬張り咳き込んだ。
それを察して宮藤が水差しを抱えてやって来る。それにつられて他のみんなの視線も私に注がれた。

「大丈夫ですかエイラさん、顔色も悪いですし」
「困ったわね、今日は出撃の予定もあるのだけど」
「大丈夫だっテ、平気平気」
「そうはいかんだろエイラ今日は休養していろ、代わりは……宮藤、出来るな」
「はい坂本さん!私頑張ります!だからエイラさん、私に任せて下さい!」
「チョットマテ」
「いいえ待ちません、もしもの事を考えて休養するのも大事な仕事よ、それに宮藤さんだって成長しているわ」

結局私は病人扱いされ今日の出撃は坂本少佐、バルクホルン大尉、ペリーヌと宮藤が行なう事になった。
確かにミーナ隊長の言う事にも一理ある。こういう日はおとなしくしてるに限るからな。

〜病室〜
日も傾きかけた頃になり警報が鳴った、今頃宮藤達は戦闘の最中だろう。
私は具合なんて悪くもないのに一日中ベットの上にいた。果たしてこれでいいのか?
私がこうしてるせいで宮藤達にもしもの事があったらどうやって責任を取れるというのか。
まだ間に合うかもしれない、私はハンガーへと向った。

〜ハンガー〜
ハンガーへ向うと既に宮藤達は帰還していた。
私は人影を確認する。一、二、三、四、大丈夫みんな無事だ。私は胸を撫で下ろす。

「ありがとナ宮藤、代わりに出撃してくれテ、ワタシはもう平気ダヨ風呂行こうゼ」
「体調回復したんですねエイラさん!もちろん行きますよ(涎)」
視線の先が気になるが……せめて背中でも流して労わないと私の気持ちがおさまらないからな。
「そうですわね、背中でも流して頂かなければですわね」
うぅペリーヌ、おまえはまだ誘ってないだろ!っていうか先に言われると労いの気持ちも失せるな。
338√03 「ラベンダーピンク」2/2:2009/02/02(月) 20:42:13 ID:DMiITGfV
〜浴室〜
風呂場には私と宮藤、ペリーヌ、バルクホルン大尉が来ていた。
坂本少佐はストライカーの脱着に手間取ってた。風呂好きの少佐の事だ、後からやって来るだろう。
バルクホルン大尉は遠慮していたが私が無理に誘った。
愛しの妹(仮)の裸でも拝んで戦闘の疲れを癒して欲しいという私なりの気配りだ。
ペリーヌは誘ってもいないのについて来ている。

「本当に凄かったんですよ!ネウロイを海中に誘き込んで!」
私の背中を流しながら宮藤は嬉しそうに先程の戦闘の話を続ける。
「海上に現れた時の少佐の凛々しさと言ったら、あっエイラさんもう少し右でしてよ」
なぜか私は宮藤ではなくペリーヌの背中を流している。全く綺麗な肌しやがって、可愛い……くない奴だな。
「ああネウロイは水を嫌う習性があるからな、流石少佐と言った戦法だなあれは」
今まで浴槽の中から宮藤の裸体を凝視していたであろうバルクホルン大尉も話に加わる。

その浴槽はラベンダーピンクに染まっていた。浮かんでいるのはサーニャが愛用しているラベンダーのポプリだ。
「ヘェ〜大尉もアロマ好きなんダナ」
「悪いか!」
「以外ですわ……あら失礼しました」
「以外で悪かったな!」
「そんな事ないです素敵ですよ!まるでお花畑に舞い降りた妖精さんみたいです!」
「!!!……わっ、私は先にでるからな!」

バルクホルン大尉は逃げるように風呂場を後にする。鼻血が吹き出していた、たぶん変な妄想が爆発したんだな。
扶桑の魔女ときたら……宮藤、こいつも天然タラシだ。
サーニャに近づかないよう気を付ける前に、私自身落とされないようにしないといけないな。

〜キッチン〜
私と宮藤は風呂からあがりキッチンへと移動していた。
風呂あがりのアレいっとくぅ〜?いっときますかぁ〜?なんて会話が交されたからだ。
腰に手をあて牛乳瓶に口を付ける宮藤の仕草は凛々しくも可愛ゆく、そして何よりエロかった。
私の目は宮藤に釘付けとなった。宮藤の口の端からは牛乳がたらりと滴れ落ちて行く。
そんな宮藤を見つめながら

私は溢れ出るリビドーを……

★爆発させたんダナ。
→√32へ
★押さえ込んだんダナ。
→√05へ
339ifシリーズ√4「ダンスのお相手」1/2:2009/02/02(月) 20:45:11 ID:DMiITGfV
ifシリーズ√4
「ダンスのお相手」

私はバルクホルン大尉とロッテを組む事になった。

「隊列を確認するバルクホルンとエイラは前衛、私とペリーヌが後衛だ以後柔軟に対応せよ」
『了解!』

ペリーヌが坂本少佐の後ろにつく、機嫌はようやく治ったようだ。
っとペリーヌの心配なんてしている場合じゃないんだな、私は先行するバルクホルン大尉を追った。

「敵機確認、敵は超小型ネウロイと判明、小型だからと油断するな」
『了解!』
「ペリーヌは私がコアを確認するまで敵を近づけさせるな」
「了解しました」
「バルクホルン隊突撃開始っ!敵を撹乱せよ」
『了解!』

私達は突撃する。流石はバルクホルン大尉だ既に敵の動きに合わせている。
ところがネウロイは突然進路を変えた。私達を無視して坂本隊へと目標を定めたのだ。

「どうやら私達は、奴のダンスのお相手としてお気に召さなかったらしいな」
「まっ確かにワタシはダンス得意じゃないケドナッ」

バルクホルン大尉もなかなか洒落た事を言うな、それだけ余裕があるんだ。
私達が急速転換するとネウロイは既にペリーヌをやり過ごして坂本少佐に接近していた。
賢い奴だ、誰がこのシュバルムの核なのか一瞬で見極めたんだ。
これは確かに小型だからといって油断ならない相手だな、余裕なんて言ってる場合じゃないぞ。
その上信じられない事が起きた、ネウロイが次第にその姿を変貌させていく……人型だ!
そこに私達四人に加えもう一人の黒い魔女が現れたのだ。

「ナッ、ナンナンダ!」
「こんな事が……ありえまして……」
「これでは迂闊に割り込めんな」

右手にあたる部分はビーム状の扶桑刀へと化し坂本少佐と剣を交えていた。
ネウロイの変貌は加速する、こいつは……坂本少佐を真似ているんだ!
このままじゃ擬態は完成へと向かい坂本少佐との区別がつかなくなってしまう。
早めに手を打たないと……痺れを切らしたのはペリーヌだった。

「トネール!」

坂本少佐の偽物が許せなかったんだろう。だがこの行為は彼女のピンチを招いた。
ネウロイの頭部がペリーヌへと向けられる。その右目に当る部分からビームが発射された。

「まずい、ペリーヌ避けろ」
「え、なんですって」
「間に合エッ!」

私はペリーヌを抱えその場を離脱する、間に合った。ビームは私達の横を霞め海中に没する。
ペリーヌを助けたものの私は大きなミスをした。全身に電気が走る、文字通りの意味だ。
ペリーヌは帯電していた、トネール直後だという事をすっかり忘れていたんだ。
私達はきりもみをしながら墜落する、そして私は意識を失った。
340ifシリーズ√4「ダンスのお相手」2/2:2009/02/02(月) 20:47:33 ID:DMiITGfV
〜起床〜
私は目覚める、なにやら夢をみていた気もするけどはっきりとした記憶はない。
頭がズキズキする、体がぐにゃ〜っとよじれたみたいな感覚だ。私はバルクホルン大尉に抱かれたまま海上を飛んでいた。

「気付いたか、気分はどうだエイラ?」
「あれ?ここは……そうだ戦闘ハ?ネウロイはどうなったンダ?」
「安心しろ無事片付いた、それからじっとしていろ基地まで運んでやる」

なんか今日の大尉は優しいな、甘えてみるのもたまにはいいか。
そのバルクホルン大尉の話によるとペリーヌが作り上げた隙をついて坂本少佐がネウロイを一刀両断したらしい。
落下したペリーヌと私はバルクホルン大尉に受け止められた。
流石に二人分を支えるには相当の魔力を消費したとの事だ。
でそのペリーヌは坂本少佐に抱えられ幸せそうにしている。

「腹減っタナ〜」
「あぁ出撃準備で昼食抜きだったからな」
「こっちなんて朝食も碌にだったシナ」
「わたくしもですわ」
「だから言っただろう?好き嫌いは良くないと」
「食べれる時には食べておく、これもパイロットの仕事だ、二人供しっかり肝に命じておくんだな」

「そうは言ってもサ……朝からマルガリータとボロネーゼじゃナ」

私の発言に対し、ペリーヌは言った……

★「確かに、朝からあんな重いものなんて耐えられませんわ」
→√11へ
★「おかしな事を仰いますわね?今朝のメニューも……」
→√6へ
341ifシリーズ√05「かまいたちの夜」1/2:2009/02/02(月) 20:50:25 ID:DMiITGfV
ifシリーズ√05
「かまいたちの夜」

私は溢れ出るリビドーを押さえ込んだ。

ちょっと待て私、先程の誓いをもう忘れるなよ!私は呼吸を整える。
そしてリーネは現れた。

「うわわぁリーネ!誤解ダ、未遂ダ、マダ何もしてないからナ!」
「そんな……エイラさんが犯人だったなんて……」
「エ?犯人?」

〜談話室〜
リーネからの知らせを受け私達が談話室に向うと他のみんなも集まっていた。上級士官は不在で、その場を指揮していたのはシャーリー大尉だった。
「全員集まったな、じゃあ確認している状況を率直に述べる」
いつになく険しい表情のシャーリー大尉から語られた内容は以下の事だった。

・ミーナ隊長が首から血を流し作戦室内で倒れていた事。
・事件当時の目撃者も痕跡もなく原因は不明である事。
・第一発見者はルッキーニで、私と宮藤がキッチンにいた時刻である事。
・危篤状態の為、坂本少佐とバルクホルン大尉が病室へと運び、現在付き添っている事。
・追って連絡があるまで待機命令である、以上の事だった。

そしてハルトマンの一言が重い沈黙を破った。
「もしかしてさ……この中に犯人がいるんじゃない?」
全員が顔を見合わせる。
考えてもいなかった、この中の誰かが犯人だなんて。
私は宮藤と一緒だったから一応アリバイがある、だけど他のみんなの行動については不明だ。

「わたくしは嫌ですわ!この中に殺人犯が潜んでいるかも知れないのに、そんな方々と一夜を共にするなんて!自分の部屋に帰ります!」
「取り乱すなペリーヌ、命令違反だぞ」
シャーリー大尉の制止を振り払い、ペリーヌは自室へと消えていった。

それから犯人捜しの流れとなるのは当然の事だった。
この中の誰かが怪しいとなると、まず疑いが向けられたのは第一発見者のルッキーニだ。
「あたしじゃないよ!あたしじゃないかんね!」
ルッキーニはお仕置きを受ける為に作戦室に向ったらしい。
夕食当番をさぼった事が理由だ、確かにキッチンには夕食の準備がされていなかった。
朝食を手伝ったからすっかり忘れていたなどと言い訳が続くと、責任を感じたのかリーネが口を開く。
「カマイタチです、カマイタチの仕業なんですきっと」
「リーネちゃんかまいたちって両腕が鎌のお化けの事?」
宮藤はリーネ以上に意味不明な言動で返した。
「いいえお化けとかじゃなくて、カマイタチってたぶん真空の刃物が……」
サーニャが語るとみんなの視線がハルトマンに集まる、風使いの魔女だからだ。
「わ、わたし〜!?なんでさ〜シュトルムは人殺しの道具なんかじゃないって〜」
「そういえば……聞いた事がある!」
『知っているのか?シャーリー!』
「ああカマイタチは真空の刃、それ故その傷口から出血はしない、つまりこいつはシロだ」
ゲェェェーッ流石はリベリオンの魔女、無駄に博識だ。ただのおっぱい超人なんかじゃなかった。
今日のシャーリー大尉は頼もしい、普段は楽天家だけど責任を負う立場になれば毅然とするタイプだったんだ。

結局犯人捜しは中断された。
これ以上続けたら疑心暗鬼によりお互いの身を滅ぼすとのシャーリー大尉の意向によるものだ。
無意味な不安は消し去り、仲間を信頼して各自の寝室で休養を取るという結論に達した。
傷付け合って疲れきっていた全員がこの結論に納得した。
342名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 21:10:57 ID:fCU32ohi
sien
343√05「かまいたちの夜」2/2:2009/02/02(月) 21:25:13 ID:DMiITGfV
ごめんなさい連投規制に引っ掛かりました。
まえがきをカウントしていませんでした。
三十分以内?に10レス目を投下するとアウトみたいですね。
投下終了時には名前欄に【投下一時終了】と明記しますのでお願いします。
本当にごめんなさい。

>>341続き)
〜サーニャの寝室前〜
ミーナ隊長の治療を行なうため病室へと向った宮藤を除き、私達は自室へと引き返す。私はサーニャを部屋へと送ると扉の前で立ち止まった。

「サーニャ、あのナ……なっなんでもナイ、じゃあ良い夢ヲ」
「うん……エイラもね、おやすみなさい」

おやすみ……、そう応える前にサーニャは自室に消えていった。
なぜ私の部屋で一緒に寝ようと言えないのか。わかっているよ、私がヘタレだからだろ。
現に今も「やっぱりエイラと一緒にいたいの」なんてサーニャが飛び出して来る事を期待しているんだから。
扉の向うからサーニャが飛び出して来る様子は感じられない。私は自室へと引き返した。

〜自室〜
ベッドに向う私を迎えてくれたのはタロットカード達だった、今朝の状態のままだ。
ベットの上に横たわった【死神】のカードにはドクロが描かれている。その漆黒の瞳が私を見つめていた。
占いは当った、これはミーナ隊長の事を暗示していたんだ。だけど待てよ、このカード正位置だったっけ?逆位置だったっけ?

私は記憶を辿る、確かカードは……

★正位置だったんダナ。
→07へ
★逆位置だったんダナ。
→08へ
344ifシリーズ√06 「見馴れない風景」1/4:2009/02/02(月) 21:28:07 ID:DMiITGfV
ifシリーズ√06
「見馴れない風景」

ペリーヌは不思議そうな顔つきでこう言う。
「おかしな事を仰いますわ、今朝のメニューも……」

「ああ蒸かしたじゃがいもだったはずだが」
「エッ!?マルガリータとボロネーゼじゃなかっタカ?」
「金曜日は朝昼晩三食カレー、それ以外の朝食はじゃがいもを蒸かしたものと相場が決まっているだろ」

何がどうなってるんだ?
みんな嘘をついている素振りじゃないし、私の記憶違いかな……
あれ?やっぱり何かおかしい!

「バルクホルン大尉その髪型!ポニーテール!?」
「にっ似合ってないのか?可愛くないのか!?そうならはっきり言ってくれ!」
「そっ、そんなコトないヨ似合ってル、似合ってル」

私が寝てる間に束ねたのかな?寝てる間といえばまだ頭がズキズキするな。
でもなんだろうこの漠然とした違和感は……
その謎は解けねまま、私達は基地へと帰還した。

〜自室〜
私とペリーヌの墜落の報せは基地へと届いていた。頭痛を訴えた私はサーニャに心配され、無理矢理ベッドに押し込まれていた。
そのサーニャはベッドの横に椅子をつけてリンゴを剥いてくれている。

「エイラ、あ〜んして!はい、あ〜ん!」
「チョッチョット!サーニャ!」

サーニャは淋しげな顔をする。
何やってんだ!夢にまで見たシュチエーションじゃないか!ビビってどーする!

「たっ、食べる食べる折角サーニャが剥いてくれたんだシナ」
「はい!じゃぁ〜あ〜ん!」
「あっ、あ〜ン……モグモグ」
「もう一つ、あ〜ん!」
「あ〜ン……モグモグ」
「うふっ、美味しい?」
「ウン、おいちィーッッォ〜」

舌を噛んだ……
サーニャが微笑む、私も照れ隠しに笑った。
あ〜んサーニャ可愛いな〜何なの?ねえ何なのこれ、毎朝幸福を呼ぶ藍色の頭像にお祈りしていた御利益か何か?
それとも何かの御褒美なわけ?うんうん、ずっとサーニャだけを見つめて来たんだもんな。
そのサーニャがこっちを……見つめてるよ!あ〜どーしよぉ〜も〜。

「あれ?エイラやっぱり顔赤いよ、熱……あるのかな?」

そう言ってサーニャはおでこを私のおでこにあてた。目の前にはサーニャの顔が迫る。
近い!近いよ!こんなに近くで見たのはサーニャが部屋を間違えて来た時、そっと寝顔を覗いた時以来だ。
私の吐息が加速している、ドキドキしてるのサーニャにバレちゃうかな?
あれ?気のせいかサーニャの吐息も荒い。あぁ私の頬にサーニャの吐息がかかって、ふぅ〜んってかかって来るぅ。
なんだかサーニャの顔も真っ赤だし、目がとろ〜んとして、目蓋が次第に閉じられて、唇が唇が……唇!?
こっこっこれって、もっもっもしかして、キッキッキキキキッ、キス!?
キス5秒前って事!!!
どーしよーして……いいのかな……
でももし勘違いでした、なんて事になったらサーニャに一生口聞いて貰えなくなっちゃう。
どうする!どうする?どうする……
345√06 「見馴れない風景」2/4:2009/02/02(月) 21:29:50 ID:DMiITGfV
〜ザ・クイズショー〜
あなたの選択があなたの運命を決める!さぁ今日も始まりました、人生の岐路ザ・クイズショー
司会進行はヘタレでお馴染みこの私、エイラ・イルマタル・ユーティライネンがお贈り致します。
そして本日の回答者はスオムスからお越しの公務員エイラ・イルマタル・ユーティライネンさんで〜す。こんにちは

こっこんにちハ

あれ〜少し緊張していますね〜意気込みの程は?

がっ頑張りマス

ここは是非とも頑張って欲しい!さて現在エイラさんはセカンドステージまでクリア。
サーニャさんの好感度を50%獲得しているわけですが、次のサードステージの問題に正解すれば好感度が75%に!
現在のお友達から、なんと!一気に恋人になれるチャンスです!
だがしか〜し!不正解の場合は今まで獲得して来た好感度がすべて水の泡!これぞ人生の縮図ザ・クイズショー。
ではエイラさんサードステージに挑戦しますか?ませんか?

……ちょっ挑戦しマス!

挑戦します出ました!そうでしょう挑戦するでしょう。
なんせ恋人になればあんな事やこんな事が出来ちゃうわけです、夢のウエディングベルも目直に迫って来ますからね〜。
ではエイラさん準備はよろしいですか?

ハッハイ!

元気な声だ!それじゃ〜いきますよ〜問題!
今あなたの目の前に愛しのサーニャさんの唇があります。ここであなたが取るべき行動は?

A.キスする
B.キスしない
さぁどっち!?

……

さぁどうする?答えて!

→A.キスする
 B.キスしない

そっちでいいのかぁ〜?

 A.キスする
→B.キスしない

本当にそっちでいいのか〜?さぁどうする!時間がないぞ〜さぁさぁ早く!
残念、時間切れだぁ〜!!!
346√06「見馴れない風景」3/4:2009/02/02(月) 21:33:06 ID:DMiITGfV
〜自室〜
どうする!どうする?どうする……
無限回廊から抜け出せずにいた私に、サーニャがそっと囁く。

「ねぇいつもみたいに早くしてよ……キス、誰も視てないよ」
「あわわわわっ、キスってサーニャ、キスっテ!」
「ふふっ可笑しなエイラ、もしかして風邪?でもエイラのなら染っても平気、だって私達……恋人同士なんだもん!」

恋人同士!?第一いつもみたいにっていつキスしたんだっけ?
この私がサーニャとの思い出を忘れるはずないし……
無意識で告白とかしちゃったのかな?

「恋人同士って、あの……いつから私達付き合ってるんだッケ?」
「そんな……ひどいよエイラ!あの日の事を忘れるなんて」
「アノ日???」
「うん私がわざと部屋を間違えたあの日、そのままエイラに押し倒されて……(ポッ)」

サーニャはシーツにのの字を書いている、顔はさらに赤く染まっていく。
サーニャを押し倒しただって!いったい何処のどいつだ……って私なのか???
確かにあの日の事は覚えている、一晩中悶々として一睡も出来なかったんだから。
たけど押し倒してなんかいないぞ、そっと寝顔を覗いただけで何も出来なかったんだ。
やっぱり何かおかしい!私の記憶や経験と、周りの人のそれとが食い違っているのは確かだ。
どうする私?

……まっいっか、こうしてサーニャと恋人同士になれたわけだしさ♪

……よくねーよ!
何考えてるんだ私!確かにサーニャと恋人同士になりたいよ、なれて確かに嬉しいよ。
だけど幸せってものは……サーニャの気持ちだけは自分の手で掴み取らなくちゃ駄目なんだ!
偶然の産物なんかで与えられていいはずがない。そんなものに何の意味がある?そうだよなダニエル!

私は本棚横にある藍色の頭像を見つめる、ダニエルはサーニャの次に大切な私の親友だ。
人には言えない悩みを顔色一つ変えずに聞いてくれるダニエル、嬉しい時も悲しい時もいつも傍にいてくれるダニエル。
‘おまえの言う通りだ’
そのダニエルが私の心に語りかけて来る、私は決心を固めた。

「サーニャこれからみんなのとこに行く一緒に来てクレ」
「どうしたのエイラ!?」
「訳は後で話すけど……たぶんワタシはサーニャの知ってるエイラじゃナインダ!」
347√06「見馴れない風景」4/4:2009/02/02(月) 21:34:59 ID:DMiITGfV
〜ダイニング〜
ダイニングには他のみんながいて、昼食兼三時のお茶の最中だった。
そして予想以上に深刻な事態を目撃する。

「坂本少佐眼帯が右目じゃなくて左目になってル!」
「いや私の眼帯は元々左目だが」

「ペリーヌ眼鏡はどうした!」
「そんな物必要ありませんわ、わたくしの視力は2.0ですもの」

「バルクホルン大尉その髪型!おだんごヘアー!?」
「にっ似合ってないのか?可愛くないのか!?だからいつもみたいにトゥルーデ姉ちゃんと呼んでくれないのか?」

トゥルーデ姉ちゃんって何の事だよ!もしかして……ここはお姉ちゃんワールドなのか?
これは小一時間前よりも記憶の誤差が開いている。頭痛による一時的な記憶障害なら誤差は縮まるはずなのに。
たぶん何処かに時空の歪みが存在して、その歪みは現在も拡大している。
歪みが拡大するにつれ別の時空に飛ばされて、時空認識能力のある私だけが記憶と経験を維持しているんだ。
やはりサーニャと恋人同士になれたなんて浮かれてる場合じゃない。

「ワタシはこの世界の人間じゃない、別世界の人間なンダ」
「エイラあんた宇宙人だったの!」
「そーじゃナイ、私はパラレルワールドから来たエイラなンダ」
『パラレルワールド!?』「でも仮にそんな世界が存在したとして世界間を移動できるのかしら」

みんなが訝しげな表情で見つめ合う、私だって状況を把握しきれていないからこれ以上説明のしようがなかった。
だけどその時思わぬ認識者が口を開いた。

「そういえば……聞いた事がある!」
『知っているのか?シャーリー!』
「あたしは音速の壁を超えた女だぜ、いずれは時空の壁をも超える為に超光速タキオンエンジンの研究をしているからな」
『お〜流石シャーリー!ただのメカマニアじゃなかったか!』

全員が羨望の眼差しでシャーリー大尉を見上げる。
そして彼女は嬉々として解説し出した。

そして私達はその解説を……

★聞いたんダナ。
→√18へ
★聞き流したんダナ。
→√19へ

※この選択によるフラグチェックはありません。
・量子的多重世界間移動に抵抗を感じる方は√18へ。
・設定よりテンポを重視する方は√19へ進んで下さい。
348ifシリーズ√07「これからの出来事」:2009/02/02(月) 21:36:43 ID:DMiITGfV
ifシリーズ√07
「これからの出来事」

確かにカードは正位置だった。

とすると現場は確認してはいないけどミーナ隊長の身に何かあった事は事実なんだろう。待機命令を遵守している場合じゃないな。
私は宮藤の話を思い出す「腕が鎌のお化け」紛れもない死神の事じゃないか。これは悲劇の序章にすぎない。まだこの闇の中に何者かが蠢いているんだ。
私はベッドの上から【死神】のカードを拾い出し、ビジョンを巡らせた。
人影が見える、誰かの後ろ姿、私だ……私が血を流しうなだれている姿が目蓋の底に映しだされた。

これはとびきっきりの悲劇だな。だけど幕をひくのは死神なんかじゃない、私自身だ!
私は覚悟を決め引き出しから短銃を取出し、安全装置を確認すると腰に携えた。
もちろん自殺なんてするつもりじゃない、この命に替えても犯人を突き止めてやる!
サーニャのその身が血に染まる光景でない以上は、私にとって十分過ぎるくらい希望の残されたビジョンなのだから。
そして私は考える、談話室での出来事を。

そして私は思い付いた……

★間違いない、一人だけ怪しい行動を取った奴がいるんダナ。
→√09へ
★まだ何も手掛かりは獲られないんダナ。
→√12へ
349ifシリーズ√08「彼女のいない部屋」:2009/02/02(月) 21:38:33 ID:DMiITGfV
ifシリーズ√08
「彼女のいない部屋」

確かカードは逆位置だった。

【死神】の逆位置は死と再生を暗示している。なにかしら状況が大きく変化するという事だ。
たぶん‘死’はミーナ隊長の事件について、じゃあ‘再生’は?
ミーナ隊長の容体が回復に向うというのかな。それともまだこれから何か起るのか。
用心しておくに超した事はないか。まだ死の暗示が終わったとは限らないし。
サーニャを失うなんて事になったら……そんな事ありえない、あってたまるか。
私は不安に駆られる。サーニャは無事だろうか。私はサーニャの部屋へとむかった。

〜サーニャの寝室〜
ドアをノックしてみたけど返事はなかった。もう寝たのかな。
でももしサーニャの身に何か起きていたらどうする。
下心なんかないんだかんな!誰に聞かせるでもなく呟きながらドアノブを回す。

《ガチャ》
鍵がかかっていない。

「サーニャ、ゴメンもう寝たノカ?」
私は申し訳なさそうにそう言いながら部屋に入った。
部屋は静まり返っていた。
当りを見回すが人影はない。ベットの上にも凹凸はない、毛布は床に落ちていた。

サーニャが……いない!
いったいどこにいるんだサーニャは。
恐くて眠れないから私の部屋になんて事も考えたけどそれはなかった。ここに来る途中サーニャどころか誰にも出会わなかったんだから。
とにかくサーニャを探さないと、

私は……

★サーニャの行方を追うんダナ。
→√15へ
★部屋をもっとよく調べてみるんダナ。
→√28へ
350ifシリーズ√09「最後の約束」1/2:2009/02/02(月) 21:42:17 ID:DMiITGfV
(ネタバレできていなかったのでこのスレのあそこに)

ifシリーズ√09
「最後の約束」

間違いない、一人だけ怪しい行動を取った奴がいる。

私の手で奴を止めなきゃいけない。私は自室を後にした。

〜サーニャの寝室〜
ドアをノックすると声が返って来る。サーニャはまだ起きていた。
私が名を告げると彼女は部屋に引き入れてくれた。
もちろんサーニャが犯人だなんて言うつもりじゃない。ただちょっと、もう一度だけ……彼女の顔を見たかっただけだ。

「いいかサーニャ、ワタシが戻って来るまで絶対にここから動くんじゃないゾ。それからドアには鍵をかけてナ」
「どうしたのエイラ、急にそんな事……戻って来るまでって、私も一緒じゃだめなの……」
「心配するナちょっと忘れ物を取りに行くだけダ、もし無事に帰って来たらその時は……ううん何でもナイ……」

私はそう言い残しドアノブに手をかける。

「エイラ!必ず戻って来て!約束だよ!」
「うん、戻って来るサ!ワタシがサーニャとの約束を破った事なんてないダロ?」
「うん私信じてる……私エイラの事信じて待っているから!」
「約束……ダカンナ!」

私は振り返らずにドアを閉めた。
最後に見るサーニャの顔が泣き顔だなんてそんなの嫌だ、最後に見せる私の顔が泣き顔だなんてそんなの嫌だからだ。

ゴメンナ、サーニャ……
初めて約束、破る事になるんだ。
そしてゴメンナ、サーニャ……
また一つ嘘ついちゃったよ。
でもさ、これまでサーニャにも自分の気持ちにもたくさんの嘘ついて来たんだからさ。
一つくらい嘘が増えても、サーニャは許してくれるよな……

もう思い残す事はない、私は奴の部屋へと向う。
死神の正体、ペリーヌの部屋だ。
〜ペリーヌの寝室〜
「いるんだろペリーヌ」

私は扉を開き暗闇へと問い掛ける。部屋の明かりはなかった。
問い掛けの返事もない、私はベッドに向って闇の中を一歩づつ踏み進んだ。

何かが闇を切り裂く音が聞える、後ろだ。私は直ぐ様振り返る。
それは私の頬をかすめ、切り落とされた横髪は宙を舞った。これはレイピア、やはりペリーヌなのか。
そしてドアの影から何者かが現れた。

「イヤァーァァァこないで」

ペリーヌの声だ、間違いない。
窓から差し込んだ月明かりがその輪郭を露にしていく。

「なぜダ、なぜあんな事したンダ」
「イヤァーァァァ」

ペリーヌの返事はない、奇声と共にレイピアの剣先が私の心臓を狙う。このままじゃ殺られる。
流石はガリア流剣術の使い手、確実に私の急所を突いてくる。性格が剣に表れているな。
私が水月を開き隙を作ると予想通りの踏み込みが来た。そして私がダッキングでかわすとレイピアは壁へと突き刺さった。

私は思った……

★殺るなら今しかないんダナ。
→√14へ
★これは悪夢に違いないんダナ。
→√01へ
352名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 21:52:42 ID:pNk0FE5l
少し時間が厳しいので連続してしまいすみませんがニパエイラです。あぁホントにすみません。
秘め声ネタがあるので注意。
タイトルは秘めたる思いのむかう先。
353名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 21:53:22 ID:pNk0FE5l
扶桑からの秘密の荷物が届いた。

私はそれはもう、存在を知ったときからこれを取り寄せるためだけに尽力していて、
とうとうそのブツが届いたと聞いたときには、小さくガッツポーズなんかしたりしてしまうほどには舞い上がっていた。

これは一人で楽しむのだ!!
もしも誰かにこれを見られたら、実は競争率の高いアイツのことだ…きっと奪い合いがはじまってしまう。
そろりそろりと廊下を忍び足で通り抜ける。
気づかれないように…見つからないように…。

「あれ?ニッカさん、そんなとこでなにしてるんですか?」

ビクッと背中に電流が流れ、嫌な汗がダラダラと溢れ出すのを感じた…落ち着いてやり過ごすのだ。

「あっ、エルマショウサ…おつかれさまデス。ワタシはいそいでいるノデヘヤにモドッテもよろしいデスカ?」

よし、なんだか心なしか声が固まってしまったが、きっとこれで大丈夫だ。

「いったいその変な…エイラさんみたいな喋り方はどうしたんですか!?なにかありましたか?」

恐ろしい…意外とこの人は恐ろしい人だ!
まさか私のパーフェクツな平常心の演技が見破られてしまうだなんて…どうにかしてやり過ごさなくては例のブツを奪われてしまうに違いない。

「体調が優れないだけなノデ気にしないでクダサイ。」

そう言ってニコリと微笑んでおいた。
これだけやればきっと解放してくれるだろう…ミッションコンプリート。

「それは大変ですねえ。ところで、先程から気になっていたのですが、その箱はなんですか?…konozama?」

どこまでツいていないんだ私は…もう実は全てがバレているのではないかと勘ぐってしまうよ。
だが、しかし、これは聖戦だ!!
絶対に負けられやしない!!

「これは実家からの仕送りで、開運グッズですヨ。なので、もう行ってもよろしいでしょうカ?」
「な、なんでそんなに私と話すのを嫌がるんですか〜!?わ、私、なにかしたでしょうか?」

すっかりと誤解されてしまった…。
私は誰とも話したくない…早く部屋に帰りたいだけなのだ。

「き、今日はほっといてください〜!!!」

これ以上付き合ってはいられない。私は早くアレを堪能したいのだ!!
ふぇ〜ん、なんで逃げるんですか〜!!という叫び声が聞こえたような気がしないでもないが、私はそんな些細なことにこだわってはいられないのだ。
もうなりふり構ってなどいられず、私はただ、部屋までの道を駆け抜けた。

バタンっと部屋のドアを勢いよく閉めると、頬が緩む。
なんだ、多少の障害はあったものの、結局はこのブツを守り抜いて帰ってくることができたではないか。
私は今日はツいている!!
これからさらに幸福も待っているしな。
きっと私は一生分のツいていないを使い切って、既にツいているカタヤイネンになったのだ!!
もう誰も私の幸せを止められはしないさ!!
354名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 21:54:02 ID:pNk0FE5l
ーーーーーーーー

ぽろりぽろりと頬を涙が零れ落ちる。
しかし、私にはそんなことを気にしているほど精神に余裕などなかった。
あぁ、心のどこかでは分かっていた…私がツいていることなど自然の摂理からしておかしいのだ。

「サーニャって誰…?」

私はこの、秘め声CDというモノを手に入れれば、
イッルが「おやすみ」とか「いってらっしゃい」とか、あまつさえ「好き」だと言ってくれると聞いて積み立て貯金をしていたのだ。
それに、もしかしたら私のことについてなにか言ってくれるのではないかと、それだけを期待して毎日毎日、一日千秋の思いで待っていた。
それなのに、届いたCDに収録されていたのは、誰だか知らないサーニャという娘の話ばかりするイッルの声であった。

覚えている。ちゃんとスオムスの皆はイッルのことを覚えている。
忘れてなどいないし、私は決してお前のことを忘れはしない!!
しかし…CDの中のお前は、私が覚えているイッルとは決定的に違うのだ。
私の覚えているお前は、確かに抑揚のない口調で、誰かの胸を揉むことを至上の喜びとするようなやつだったけれども、
どこか色恋沙汰には冷めていて、愛を叫ぶようなやつでも、誰かに執着するようなやつでもなかった。
それが今のお前ときたらなんだ…全く関係のない時であろうがサーニャサーニャと喚きたて、こともあろうに収録開始20秒でサーニャの話がしたいと文句を言う。

一体サーニャってなんなのさ?

戦いに勝つにはまず相手を知ることが最善の手段だ。
幸いと言ってよいことなのか、このCDにはそのサーニャという娘の情報も封入されているらしい。
いざ情報収集…彼女を知り己を知れば百戦して殆うからずだ!!
355名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 21:55:38 ID:pNk0FE5l
ーーーーーーーー

世の中にはさ…知らない方がいいことがある。敵を知ったからこそ追い詰められることもあるのだ。
いや、なにも竹槍でネウロイに挑むといった具合ではないのだが…下手したらそれよりも性質が悪い。

「サーニャちゃん…すごくいい娘だった!!」

あぁ、なんなのだろうかこれは…ほら、なんかいい娘すぎて戦えない。偏見かもしれないけれども、きっと見た目も可愛いよ…。

それに比べて私ときたら男みたいだって言われるし、イッルに対してすぐに怒ってしまう…それになによりツいてない。
勝ち目などないのではなかろうか…胸だっていつだったからか急に揉んでこなくなったしなぁ。

そんなことばかり考えていたら、目尻にはすっかり涙がたまって、視界までボンヤリとしてきた。

ヒクッ、ヒクッとしゃっくりが止まらなくて、嗚咽が漏れる…私は苦しいんだ、悲しいんだ、どうしてもイッルが誰かのものになってしまうのが辛いんだ。
あんないい娘を見つけたイッルに本当はおめでとうと言ってやらなければ嘘なのに、私はわがままでどうしようもないのだ。
どうして私はアイツが501に行く前に繋ぎとめなかったのだろうか…物理的には不可能でも、もしかしたら心を繋ぎとめることはできたのかもしれないのに。
なにもかも遅かったの。全ては一重に臆病な私が悪かったのだ。
こんなコトになるのならば喉が枯れ果てるまで思いを叫べばよかったのだ。しかし私はそれをしなかった。チャンスを活かさなかったのだ。
ツいてないのではなく、全て自分のせいで失って、そして泣く…子供みたいだな、と自虐的に呟くことだけが私にできることであった。

「ニッカさん…泣いてるんですか?」

いきなり声が頭に響いて、振り返る。そこにはポツリと人影が立っていて、なんだかとても悲しそうな顔をしていた。

「エルマ少佐…。」

ポツリと喉から声が漏れると、また一層、涙が零れ落ちて、恥ずかしいのにそれでもとまりはしなかった。
涙が溢れ出したのは、寂しかったから。一人では支えきれなくなったこの身体を誰かに支えてほしかったのだ。

「そんなに畏まらなくても…エイラさんみたいに呼んでもいいんですよ?」

そういって彼女は私を抱きしめて、頭を撫でてくれた。
暖かい…イッルがいつも甘えている理由も分かる気がする。

「なにがあったか知ってるんですか…?」
「いいえ。なんだかニッカさんが少しおかしかったから…。」

それはあんまりな言い草だったけれども、やっぱり暖かくて優しくて、こんな人になりたいな、と自然と思えた。

「ありがとう…エル姉。」

少しだけ、少しだけ甘えさせてください。
どんなに打ちのめされてもさ、私はしぶとくて、やはりイッルのことが諦められないから、もう少し頑張ってみます。
だからもう少しだけ…

がちゃり。

顔を上げると入り口にはハッセがいて…

「わ、私はなにも見ていないから…邪魔して悪かった。」

なぜか目に涙をためてそういって走り去った。

あぁ、ハッセ、これは違うんだ。誤解なんだ。
やっぱり私はツいていない…でも、もう、明日から頑張ればいいか。
そう思って私は目を閉じた。

Fin.
356名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 21:59:38 ID:pNk0FE5l
皆様GJです。本当に連続ですみません。
あぁ、自分もいつか続きを待たれるようなSSを書きたいです。
でもどうしても短編ばっかになるし感動できる話がかけないことに気付いたのでムリダナ。
自分は投下は10スレからなのですが新人ではないし古参ではないし…悩みます。

最近ニパが可愛くて可愛くて仕方ない。でも秘め声は最高でした。
でもたぶんニパについて触れてくれないかなと期待してがっかりしたのは自分だけ。ルーッカネン分遣隊までいったなら少しぐらい語ってもいいじゃないか。
少し忙しくないうちにもう一本ぐらい投下できればいいなぁ。
では、22本しか書いてないのにカップリングのエイラ関係が36個で1SSあたり1.63エイラでびっくりしたRU1ZZ/dhでした。
では出かけてきます。
357名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 22:03:57 ID:0Pt0c+cX
>>355
カタヤイネンンンン!! おめえってやつは……
私の事話さないかなとwktkしていたのがだんだんうなだれていくのが目に浮かぶようだw
konozama箱を守り通すニパも泣き崩れるニパも可愛いよ可愛いよ

>>351は規制かな。待とう
358名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 22:07:12 ID:yS/EVxwz
何だかとっても新参が入りにくいふいんき…(´Д`)
359名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 22:07:50 ID:pMdnSgUJ
しかしこれだけの大作を2chで使っちまうなんて勿体無いな
絵描きと組んでゲームにすれば金取れるのに
360名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 22:08:05 ID:yS/EVxwz
うわああああごめんなさいsage忘れました吊ってきますorz
361名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 22:11:27 ID:gfa06PlU
力作すぎんだろjk
362名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 22:12:28 ID:UUcT6AFH
>>360
吊る前にいっちょカモン、新参さん
363名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 22:13:24 ID:pZMyosnq
>>355

>偏見かもしれないけれども、きっと見た目も可愛いよ…。

クソワロタwww
364√10「ロッテ」:2009/02/02(月) 22:22:41 ID:DMiITGfV
こちらこそすみません。
あのみなさん気にせずに投下して下さい。

保管庫さんへ、他の方の投下の妨げになり申し訳ないので最終話投下後に保管して下さいお願いします。

ifシリーズ√10
「ロッテ」

私が引いたカードは【]] 審判】だったな。

私は占いの結果を思い出していた。審判は変化を暗示するカードだ。
確かに目の前の食卓に広がる光景は、普段とは違っていた。
いつもの蒸かしたじゃがいもに比べたら相当なごちそうなんだから。
我が隊の食料事情もリーネが入隊して以来だいぶマシにはなったんだけど、だらかってこれはないよな。
私がそんな不機嫌な顔をしているとそのリーネが寄って来た。

「あのエイラさん、お料理お口に合わなかったですか?」
「いやそうじゃないんだケド、だだちょっとトマト苦手でナ」
最近トマトを見るとなぜだか嫌な予感がするんだよな。根拠はないんだけどさ。

「そう言わずに食え好き嫌いは体に良くないぞ、今日は出撃予定なんだからな紅白で景気づけだ」
だから坂本少佐、縁起と食欲は関係ないんだって。

〜警報〜
警報は正午過ぎに鳴った、予定よりも早いものだった。
出撃準備のため、昼食はお預けとなってしまった。
こんな事なら無理してでも朝食食べておくんだったな。

「監視所より入電、敵はガリア方面より進攻、グリット東47地区高度一万二千」
「今日の搭乗割はバルクホルン、エイラ、ペリーヌと私だったな各自準備はいいか!」
『はい!』
「その他の人は基地にて待機して、いいわね」
『はい!』

「みんなしっかりね、おいしい紅茶を入れて待ってるわ」
「ああ楽しみにしてる」
ミーナ隊長と坂本少佐の会話を無視してペリーヌは足早にハンガーへと向う。私もそれを追った。

「早く済ませてお茶でも飲もうゼ」
「そんなの当然ですわよ」
やばいなんかよけい怒らせた、今のは私が悪かったかな。
ペリーヌも朝食あんま食べてなかったしな空腹で怒りっぽいのも当然か。

〜出撃〜
坂本少佐、バルクホルン大尉、ペリーヌ、私達四人はドーバー海峡に向け飛び立つた。

「坂本少佐、少佐の御背中はわたくしがお守り致します!」
「ちょっと待てヨ、ペリーヌおまえが勝手に隊列決めんナ」
「でっですけどこのメンバーならわたくしは後衛かとてっきり……」
「確かにそうだが、それで少佐どうする」
「そうだな……」

そして私は……

★バルクホルン大尉とロッテを組む事になったんダナ。
→√4へ
365名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 22:23:38 ID:JGhzgrsf
なんか、エイラーニャが大勝利すぎてSSもニパ、ドンマイ!ってのが増えてきたなw
頑張れニパ超頑張れ。
366√11「11人いる!」1/2:2009/02/02(月) 22:24:56 ID:DMiITGfV
ifシリーズ√11
「11人いる!」

「確かに、朝からあんな重いものなんて耐えられませんわ」
ペリーヌは私の意見に賛同してそう言った。

「そうだヨナ、朝からアレはひどかったヨナ」
「まあそう言うな、腹が満たされればお前達の苛々も治まるさ」

仲間達がお茶の準備して待っている。早く基地に帰還しよう。
そんな時、一人の魔女が私達を出迎えてくれた。こいつは……宮藤?そう宮藤だ。

「私も加勢します!ネウロイはどこですか!」
「とっくにあの世に送って来たさ」
「じゃあ……坂本さん!坂本さんは無事なんですね」
「何を言っているんだ宮藤?私はここにいるぞ、私を見縊らないでくれ」
「まったく!失礼にも程がありましてよ」
「えへへ……ごめんなさい、でも……本当にみなさんが無事でよかったです」
「ホント変な奴ダナ、ワタシ達はハラへってんだかンナ!ほら早く基地に帰るゾ」

〜ダイニング〜
私達が基地に帰還しダイニングに直行すると、そこにはおぞましい光景が広がっていた。
なんなんだこのテーブル一面の真っ赤っかは。
トマトタルトにトマトパイ、それに加えてトマトジュースと紅茶、トマトづくしじゃないか。

「おつかれー、あたしの力作なんだ、がつがつ食ってくれ」
「ウッ、ウン」
うぅシャーリー大尉は嬉しそうにそう言ってるけどさ……朝昼続けてこれはないだろ。

「なぁルッキーニ、トマトタルトとトマトパイどっちがすき〜?」
「ん〜どっちもすきだけど、あたしやっぱトマトジュース」
それ答えになってないよルッキーニ、ほらシャーリー大尉が困惑……してない。「やっぱりそうか!あたしもだ」
「あーわたしも断然トマトジュースだなぁ〜」
「無論だ」

二人の会話にハルトマンとバルクホルン大尉が加わる、なんだこいつらの会話。でもこの中じゃトマトジュースが一番まともかもな。
その割に四人ともトマトタルトもトマトパイも美味そうに食べてるな。
みんなこんな物よく食べれるよ……
うわーハルトマンなんか口の回り真っ赤っかだよ。
わざとやってるんだろうけど……バルクホルン大尉、無視してるな。
367√11「11人いる!」2/2:2009/02/02(月) 22:26:57 ID:DMiITGfV
「こんな下手物スイーツなんて常識知らずでしてよ」
おっ珍しくいい事言うなペリーヌ、私も同感だよ。
「私もこれはちょっとね……別に年だからとかそんなんじゃないのよ」
いや誰もそんな事言ってないよミーナ隊長。

「すいません食材の余り物が勿体なかったんで私がシャーリーさんのお手伝いしたんです」
「ごめんね芳佳ちゃん私のせいで」
朝食当番だったリーネが申し訳なさそうな顔をする。
宮藤余計な事するなよな、出迎えに来る暇があったらもう少しマシなおやつ作っておけよ。
それともこれはあれか?扶桑魂か?扶桑魂って奴か?勿体ないを世界に広げようとは御苦労な事だな!

「流石は宮藤!私が見込んだだけの事はある、お前こそ扶桑娘の鏡だ、きっといい嫁さんになるぞ」
坂本少佐がそう言うとペリーヌとミーナ隊長はがっつき出した。
坂本少佐はあれだ、天然タラシだ、身に覚えのない現地妻を何人もつくってしまうタイプだな。

「エイラ……だいじょうぶ?顔色が……」
「ウン大丈夫だサーニャ……」

隣に座っていたサーニャが心配そうに私の顔を覘う。
あれ?何かおかしい!なんだろうこの漠然とした違和感は……
そうだ!この501部隊のメンバーは10人で全員のはずなのに、今この場には……

「11人イル!」

私は大声で叫んでいた。みんなの視線が私に集まる。

「どうしたんだエイラ急に大声なんか出して」
「イヤ……アノ……」
「どうかしたのか?」
「アノ……一応確かめるけどサ……この501部隊って10人だヨナ?」
「ええそうよ、それがどうかしたのエイラさん?」
「あのサ……11人いないカ?」
「何を馬鹿な事を、そんなはず……」

『11人いる!』

誰か一人、この場にいるべきではない人物がいる。
でもいったい誰なんだ?私が感じているのは単なる違和感でしかない。
皆いて当然と思える面々だ、そうずっと昔から長い間……
昔から?私は記憶を遡り朝食時の光景を思い出す。
朝食時いなかった人物が今ここにいる、席をはずしていたとかなんかじゃない確かにいなかった。

朝食時、あの場にいなかったのは……

★宮藤ダ!
→√37へ
★サーニャダ!
→√31へ
368ifシリーズ√12「今日の出来事」:2009/02/02(月) 22:29:18 ID:DMiITGfV
ifシリーズ√12
「今日の出来事」

まだ何も手掛かりは獲られないな。

私は談話室での出来事を思い出していたけど、シャーリー大尉の言う通り益々疑心暗鬼に陥るばかりだった。
混乱を作り上げたハルトマン、その場から消え去ったペリーヌ、第一発見者のルッキーニ、話をそらせたリーネとサーニャ、解散を決定したシャーリー大尉。
みんながみんな怪しく思える。
アリバイがあると言え私と宮藤だって例外じゃないはずだ、他のみんなからは共犯と思われている可能性もあるな。

そもそも私達が現場を確認していない事にも原因がある、手にしている情報があまりにも少な過ぎるんだ。
本当にミーナ隊長は危篤なのか?サプライズパーティーでしたなんて可能性は本当にないのか?
それに坂本少佐とバルクホルン大尉はどうか、待機命令を出したのは上級士官だ。
事件発覚後この三人には会っていない。原因を突き止める根拠は何一つ出てはこなかった。やっぱり情報が不足しているんだ。

私は時間を遡り一日の出来事を振り返る。病室で過ごした空白の時間が悔やまれるがしかたない、夕方以降変わった事はなかったか?

記憶回路の中の最も優先順位の高い項目が次々に羅列されていく。
牛乳を飲む宮藤の口元があまりにエロティックだった事を。
鼻血を滴れ流すバルクホルン大尉があまりにエロティックだった事を。
すべすべお肌のペリーヌがあまりにエロティックだった事を。
……我ながら優秀な頭脳だな!
とりあえずこれらの記憶をお気に入りフォルダに登録し、別のファイルにアクセスする。

そして私は思い付いた……

★今度こそ間違いない、怪しい行動を取った奴がいるんダナ。
→√36へ
★まだまだ何も手掛かりは獲られないんダナ。
→√22へ
369ifシリーズ√13「]V 死神」:2009/02/02(月) 22:32:34 ID:DMiITGfV
ifシリーズ√13
「]V 死神」

私は真ん中から数えて四枚目のカードを引いた。
ゴクリと唾を飲み込みゆっくりとそれを捲る。
うわっ!
そのカードは私の手から離れるとはらりと落ちてベットの上に横たわった。

それは【]V 死神】のカードだった。

カードに描かれたドクロの漆黒の瞳が私を見つめている。
うわ〜朝からこれだよ、本当にもう!とほほ。

私は……

★まぁ朝食でも食べて気を紛らわすんダナ。
→√02へ
ifシリーズ√14
「破られた約束と守られた約束」

殺るなら今しかない。
私は短銃を引き抜くと銃口をペリーヌへと向けた。

……できない、できないよペリーヌ、そんな事。
ついさっきまでは風呂場で背中を流した仲じゃないか。憎たらしい奴だなんていつも言って、あれは全部嘘なんだ。
何か訳があっての事なんだろ?なぁ答えてくれよペリーヌ。

レイピアは無情にも私に向う。
私だって戦場では無情であらねばと知っていたはずなのに。一瞬の迷いか私の本質なのか、その行動が運命の末路へと導いていた。
おそらく次で終わりだ。ブスリと音をたてレイピアは突き刺さる。

……私は生きている。
レイピアは私じゃない‘何か’に突き刺さった。そしてその‘何か’が私の胸に倒れ込んで来た。
これは……‘何か’なんかじゃないサーニャだ、紛れもないサーニャのか細い肉体だ。
私の思考は止まった。

「キャァーァァァ!サーニャさんが血を、血を流して、わたくしが、わたくしが、なぜなの……」
「なぜっテ、それはおまえガ……殺人鬼だからダロォォォッッッ!」

引き金を引く、一発二発三発、銃装が空になっても引き続ける。
私の思考を再開させたのはペリーヌに対する怒りであり、ペリーヌが床へと崩れる音を聞いてようやく私は我にかえった。
なんでサーニャがここにいるんだ、なんでサーニャが倒れているんだ。

「サーニャなんで約束破って着いて来たりしたんダ!」
「ごめんね、でもこれでエイラは私の所に戻って来てくれた、約束……したでしょ」
「約束ッテ……」
「だってエイラには私との約束破って欲しく……なかったんだもん……」
「サーニャァァァーー!!!」

私の腕の中でサーニャはゆっくり目を閉じる。サーニャの温りがしだいに消えていくのがわかった、私はただサーニャを抱き締め温めた。

私は無力だ、何か他にサーニャを救う方法はないのか。もはや私は他人にすがるしかなった。神でも悪魔でも何でもいい誰か私の下に訪れてくれ。
そしてその者は訪れた。闇に真っ赤な一つ目が浮かび上がる。

「あなたは!サーニャが大変なン……ゥグゥ、なっナゼ……」

私の下に訪れたのは神でも悪魔でもなく死神だった。腕の曲刀が私の背中を切り裂く。
そして私は思い出す占いのビジョンを、あの傷はレイピアによる刺し傷じゃない切り傷だった。
そうなのか、そうだったのか、あんたが死神の正体だったんだな。

私はサーニャを覆うようにうなだれる。
サーニャの……サーニャの所へ帰らなきゃ……
約束だもんな……

エンディンクNo.01「破られた約束と守られた約束」
〜END〜
ifシリーズ√15
「マルガリータとボロネーゼ」

私は一目散にサーニャの行方を追った。

廊下は静寂と暗闇に包まれていた。
いったい何処へ行ったというんだサーニャは。
あぁ可愛そうなサーニャ。きっと暗闇の中一人で怯えてるに違いないんだ。
なんとしても、なんとしても私がサーニャを守るんだ。
私は闇雲に廊下を駆けずり回った。

《キャァァァー》
静寂が打ち消される。誰かの悲鳴、この声は……ペリーヌだ。
私はドアを蹴破りペリーヌの寝室へと突入した。

〜ペリーヌの寝室〜
寝室の中では家具は散らかり、ペリーヌと何者かがもみ合っていた。長い髪の女、その制服はミーナ隊長なのか。

「ペリーヌ無事カ?」
「エイラさん……早く逃げ……」

ペリーヌ!ペリーヌはそう言い残すと首から血を流しその場にうなだれた。
ミーナ隊長は視線を私に向けるとこう問い質して来た。

「マルガリータとボロネーゼ、あなたはどちらがお好き?」
「隊長何をわけのわからないコトヲ、そんな事より何をしてるンダ、何故あなたがココにイル?」
「ふっふっふ、エイラさんあなたも‘まだ’のようね。早く‘こちら’にいらっしゃい」

そう言いながら私の方へと歩み寄って来る。
明らかに言動がおかしい、いやおかしいのは言動だけじゃなかった。
ミーナ隊長の赤毛は銀色へと染めあがり、その両目は赤く輝いていた。その変貌に怯えている最中、リーネとサーニャが部屋へと駆け付けた。

「何があったんですかエイラさん」
「わからない、わからないケド犯人はミーナ隊長だったんダ」
当然リーネは目の前の光景を前に困惑する、私だって状況を判断しきれていないのだから。
被害者自身が犯人など推理小説ではよくある事だけど、現実に起きてもそう納得出来る物でもなかった。

「エイラ……あのね……」
サーニャが私に話かけて来る。リーネと一緒にやって来た事を私が誤解してると気をつかってくれてるんだろうな。
だけど私もそんなに馬鹿じゃないよ、このままじゃ私達の身も危ないんだ。
「ここから逃げなきゃナ、早くみんなに知らせないとナ」
「う、うん……」

目前にはミーナ隊長が迫り来る。
そしてミーナ隊長の動きが止まった。ペリーヌだペリーヌが最後の力を振り絞ってミーナ隊長の足にしがみ付いていた。
ペリーヌ……
372√15「マルガリータとボロネーゼ」2/2:2009/02/02(月) 22:37:13 ID:DMiITGfV
〜廊下〜
ペリーヌの寝室から飛び出すと今度は宮藤とバルクホルン大尉に出くわした。
おもむろに宮藤がリーネに問い質す。

「ねぇリーネちゃん、リーネちゃんはマルガリータとボロネーゼどっちが好き?」
「私はマルガリータが好きかな、でもどっどうしたの芳佳ちゃん?いったい急にそんな事聞いてきて」
「やっふふ〜、リーネちゃんは‘まだ’なんだね。リーネちゃんも早く‘こっち’においでよ」

そう言い放つと宮藤の髪が銀色に染まり目は赤く輝き出す。次の瞬間、宮藤はリーネに飛び付きその首元に噛み付いた。
うなだれたリーネを余所に今度はバルクホルン大尉が私に問い掛ける。

「クックック、さぁ早くエイラおまえも我が妹となれ!マルガリータとボロネーゼどっちが好きだ!?」

私は……

★ボロネーゼが好きなんダナ。
→√21へ
★トマトジュースが好きなんダナ。
→√23へ
373【投下一時終了】√16「]Y 塔」:2009/02/02(月) 22:39:31 ID:DMiITGfV
ifシリーズ√16
「]Y 塔」

私は真ん中から数えて二枚目のカードを引いた。
【]Y 塔】逆位置だった。

うぅ……縁起でもないな……
【塔】はもともと悪い暗示のカードだ。
悲嘆や破壊などを意味している。
それの逆位置なんだから希望や再生を意味するかといえば、そうではない。
正位置であろうが、逆位置であろうがろくな事が起こらないカードだ。
逃れようのない災いが降り掛かって来る予兆なんだ。
私は憂欝な気分でベットを後にして、整えたタロットカードを先程の位置へと戻す。
出所の知れない不安が私を襲う。
もしかして……サーニャとの関係が、これで終わりなんて……うぎゃ〜!

私は……

★部屋を飛び出したんダナ。
→√24へ
374名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 22:45:33 ID:71LiZ8qp
皆さんGJ!
今日は保管庫の先輩方が戻って来て、何て良い日だ!

>>356
ニパかわいいよニパw
積み立て貯金してたとか、ぶたさん貯金箱に少しずつお金を入れて、「結構重たくなってきたな。あと少しだ」って一人ニコニコするニパが浮かんだ

>>373
お疲れ様です!
AVG形式とは新しいw
完結の折りにはゆっくり楽しまさせて頂きます
375名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 22:47:15 ID:Sk1mt+SP
>>351
携帯房ですってことはこれガチでこれだけの量を携帯で書き終えたってことなのか?信じられんwwww
そらここしばらく見ないわけだwwwお疲れ様

ウィッチ死亡とかBAD展開はマジでキツイから、ネタバレの意味をはっきり教えていただけるとありがたい。正直ネタバレがよくわからない


>>356
やっぱ同じこと考える人いたかwwwあの秘め声はニパ涙目っすよねえww
たまにはニパとエイラがラブラブなあれも欲しい感じですねえ
376名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 22:49:55 ID:/sxB4Ja4
>>356
すごい展開に笑った。面白かったです。
377名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 22:52:00 ID:pZMyosnq
「ニパ、がんばれ、がんばれ、ニパ!」
378名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 23:04:07 ID:gfa06PlU
正直公式の方針とかで一時期ストパン熱が冷めてたが、また再燃してしまった
それもエイラの秘め声のせいだ
379√17「]Z 星」:2009/02/02(月) 23:12:20 ID:DMiITGfV
ifシリーズ√17
「]Z 星」

私は真ん中から数えて三枚目のカードを引いた。
【]Z 星】正位置だった。

カードには星々を背に水を汲む女神が描かれている。
ふふ〜ん♪
知らず知らずの内に鼻歌が漏れていた。
なんたって希望と明るい見通しを明示するカードなんだから。
もっ!もしかして!今日こそは愛しのサーニャと……むふふぅ♪
手っ……手を……繋いじゃったりするんだな!
ほらこうやって待っていれば扉の向こうからサーニャがやって……こないな、
ちょっと浮かれ過ぎたかな、でも今日はいつものヘタレな私なんかじゃない。

私は……

★浮足立ちがら部屋を飛び出したんダナ。
→√24へ
ifシリーズ√18
「チャイルドユニバース」

私達はシャーリー大尉の解説を聞いた。

〜平行世界と平行宇宙〜
「みんなもあの時、こうしとけば良かったな〜って経験あるだろ?」
『あるある!』
「幼稚園の時ベスじゃなくてステフと付き合っとけばとか、小学校の時イライザじゃなくイボンヌと付き合っとけばとかそーゆー経験」
『ねーよ!』
「まあとにかくあたし達は人生の中でいろんな選択をして、それは樹系図の様に広かっていく」
「朝ご飯にトマトを食べたか、じゃがいもを食べたかとか?」
「キスしたか、キスしなかったかとか?」
「そう今日あたしは朝じゃがいもを食べ、その後ルッキーニとキスしたんだけど……」
『したのか!いつのまに!』
「例え話だ、で朝トマトを食べてキスはしなかった隣の隣の私の世界もあるわけ、これがパラレルワールド」

うん、それはなんとなくわかる。

「だからサ、ワタシは朝食にトマトを食べた隣の世界から来たんダロ?」
「それは違うんだよ、隊長の言う様にパラレルワールド間の移動は無理なんだ」
『結局出来ないのか!』
「ああどっちのエイラも同位体のエイラだからな、この物理的な壁を突破する方法はないんだ」

ここはパラレルワールドではないらしい。
仮にパラレルワールドであったとしても、それを認識する事は出来ない。
認識出来なければそれは本人にとっての本来の世界となる。
よってパラレルワールド間の移動は出来ないとの事だ。

「チョット!じゃワタシは何者なンダヨ!」
「ん〜わかり易く言えば……宇宙人だな」
『宇宙人!』
「ほら〜わたしの言った通りじゃんか〜」
「結論から言うと別の宇宙、こことよく似た世界からやって来たエイラって事になるな」
『こことよく似た世界ってどこだ!』

〜超弦理論と超お姉ちゃん理論〜
「パラレルワールド間の壁は魔法力でも超えられないけどさ時空の壁なら超えられるわけよ」
『時空?』
「多くの星が宇宙に浮かんでいる様にさ、多くの宇宙という空間世界は時空に浮かんでるわけ」
『それで』
「時空の壁を超えたら別の宇宙空間つまり別の世界へ行ける、でエイラを別世界に飛ばした原因をつくったのは……」
『つくったのは?』

「姉貴の仕業って事さ」
『お姉ちゃんが原因!』

「チョット待ッタ!姉貴ッテお姉ちゃんッテもしかしてバルクホルン大尉の事……ダヨナ?」
「姉貴と言えば姉貴に決まっているだろ?」
「やっぱりトゥルーデ姉ちゃんと呼んでくれないんだなエイラ……お姉ちゃんは悲しいぞ」

間違いない、ここはパラレルワールドなんかじゃなくて……お姉ちゃんワールドだ……
381√18「チャイルドユニバース」2/2:2009/02/02(月) 23:15:28 ID:DMiITGfV
「真空のゆらぎが……相転移で……インフレーションが……トンネル効果で……」
『うおぉ〜!』
「10次元にもう一つの次元を加えた11次元が最も美しい数式で」
『へぇ〜!』

シャーリー大尉は時空理論について解説を続けていたけど、私は何一つ聞いていない。
いいや、聞きたくても私は聞けなかった。

「心のトキメキが……相思相愛で……ジェネレーションが……年の差効果で……」
「ウギャー!」
「10人の妹に一人のお姉ちゃんを加えた11人姉妹が最も美しい愛の形で」
「ウェ〜!」

私はバルクホルン大尉の個人授業を受けていた。
サーニャと恋人同士になれたのは嬉しいけどさ……
やっぱりやだよこんな世界、早くお家に帰りたい。

「いいかげんにして下さい姉さま!エイラが嫌がってます」
「サーニャ!妹同士の結婚なんて、お姉ちゃんは、お姉ちゃんは絶対認めないんだからな!」

サーニャとバルクホルン大尉は口喧嘩を始めた。
助かった……お姉ちゃん地獄から解放してくれたのは愛しのサーニャだった。
でもさ妹同士も姉妹なんだからさ、お姉ちゃんと妹の結婚ももちろん駄目って事気付いて……ないな。


サーニャがバルクホルン大尉の相手をしてくれている隙にシャーリー大尉からから聞いた話をまとめるとこんな感じだった。

・墜落した私とペリーヌをバルクホルン大尉が受け止めた時が事の始まりだった。
・その時バルクホルン大尉は魔法力で多大な重力を発生させた。
・私達の位置エネルギーと多大な重力の衝突は行き場を失い、ポテンシャル障壁を乗り越え空間から時空へと流れだす。
・時空に流れ出たエネルギーは急速に膨張し新たな宇宙、よく似た世界が誕生した。

・重力は時空へと流れだす性質があり余剰に流れ出た重力は時空間に流れ続ける。
私は重力に流され共に空間から時空へと弾き出された。
・電磁気力は時空の壁を超えられないため電磁気力操作能力を持つペリーヌは亀裂への落下を免れた。
・よく似たこの世界でも同様の事が起こっていて、こちらのエイラもあちらの世界に弾き出された。

・私達二人のエイラの整合性を保つために空間と空間は直結し時空間に亀裂を発生させた。
・流れ出る重力により亀裂は拡大を続けているから、時間が経過する度に新たなよく似た世界が誕生する。
・新たなよく似た世界が誕生する度によく似たエイラにも同様の事は起きる。
・その度に時空間の修復作用は働き私は別のよく似た世界へと弾き出される。
・元々の亀裂の原因は私の時空間移動によるものなので、私が時空の亀裂を通過すれば亀裂は塞がり私も元の世界へ帰れる。

……という事らしい。私は頭痛を抑えなんとか理解した。

とすれば亀裂は今も拡大している、もたもたしていれば私は元の世界へ帰れなくなってしまう。手を打つなら早い方が良い。
時空間の亀裂はネウロイと遭遇したポイントに存在する。

私達は……

★時空間の亀裂へと向ったんダナ。
→√25へ
382ifシリーズ√19「パラレルワールド」:2009/02/02(月) 23:17:29 ID:DMiITGfV
ifシリーズ√19
「パラレルワールド」

シャーリー大尉の推論をまとめると以下の通りだ。
・すべての原因は時空間の亀裂による事。
・出撃時の私の墜落が亀裂を生み出した原因であった事。
・亀裂の内部に私が飛び込めば亀裂は塞がれ、私も本来いた世界へと帰れる事。

解決策は示され私は一安心した。
そして私がパラレルワールドからやって来た人間だと確証すると、みんなの関心はあちらの自分に及んだ。

「あたしの事だからさ、超光速タキオンエンジンの一つや二つとっくに開発してるんだろ?」
「たぶんシテナイ」
「ねぇ〜あっちのあたしはシャーリーみたくないすばでぃ?」
「ペッタンコ」

「私はちゃんと皆さんのお役に立ててますか?」
「十分過ぎるくらいニナ」
「じゃあ私は坂本さんみたいに強くなってます?」
「ナッテナイ」

「わたくしと坂本少佐は……あの……やっぱりこんな事聞けませんわ」
「ナッテナイ」
「そっ、それならエイラさん私と美……」
「ナッテナイ」

「当然向こうの私も妹達に囲まれて幸せに暮しているよな!」
「囲まれてないしサ……あっちの大尉はもっと凜々しクテ格好良かっタゾ」
「凜々しい!?そうか凜々しいお姉ちゃんもありだな、ありだ!可愛い妹がそう言うなら努力しよう」
「シナクテイイ!」

私はみんなからの質問の嵐を適当に受け流していた。
質問の内容から考えて元の世界とあまり変わらないみたいだな、バルクホルン大尉と……サーニャを除いては。

「ねぇエイラ……」
「サーニャ……」
「あっちの私達は……」
「ウン……恋人同士じゃナインダ、でも……サーニャはワタシにとって一番大切な人、それは同んなじナンダ」
「うん……私不安だったけど……それが聞けて本当に良かった」

私にとって一番大切な人。
今まで伝えたくてたらなかった一言が言えた。彼女の真剣な眼差しが私の心を軽くしてくれたんだ。
まさかこんな形になるとは思ってもなかったけど……これって告白しちゃった事になるのかな?
私は自分のやらかした事に気付いて話を反らした。

「アレ?そういえばハルトマンと坂本少佐は何も聞かなくてイイノカ?」
「なんかね〜興味失せた〜」
「さっき迄はあったノカ……?んで坂本少佐は何か聞かナイノカ??」
「どこの世界の私も私には変わらん、その位の自信は持ち合わせているからな。」
「流石坂本少佐ダナ……その通りダヨ」
「それよりこんな事をしている余裕などないのではないか?早く亀裂に向わねば」

そうだ亀裂は今も拡大している、もたもたしていれば私は元の世界へ帰れなくなってしまう。手を打つなら早い方が良い。
時空間の亀裂はネウロイと遭遇したポイントに存在する。

私達は……

★時空間の亀裂へと向ったんダナ。
→√25へ
383ifシリーズ√20「]] 審判」:2009/02/02(月) 23:19:16 ID:DMiITGfV
ifシリーズ√20
「]] 審判」

私は真ん中から数えて一枚目のカードを引いた。
【]] 審判】正位置だった。

ん〜どういった事なんだろう。
このカードは位置の変化や更新を意味するカードだ。
だからといって今の私に急な配置転換や昇進の話が訪れるとも思えないしな〜。
誰か他の娘を好きになるとか?
まさかね……ありえない話だな。
ん〜考えていても仕方ないっか。
私は本棚横にある幸福を呼ぶ藍色の頭像にお祈りをする。

「今日もいい日でありますよーニ!留守番たのんだゾ、んじゃいってきまース」

そして私は……

★お腹も空いたし朝食をとるんダナ。
→√02へ
384ifシリーズ√21「選択の余地」:2009/02/02(月) 23:21:25 ID:DMiITGfV
ifシリーズ√21
「選択の余地」

「ボロネーゼが好きなんダナ」

私はそう叫んだ。リーネはマルガリータと答えてやられた、ならば答えは一つだ。

「そうか、エイラも‘まだ’我が妹達の軍門には降っていなかったか。ならばこの私自ら」

失敗ったか……バルクホルン大尉の髪が銀色に染まり、両目は赤く輝き出す。
この姿はもしかしてバンパイア!だから最初に風呂の誘いを断って、ハーブで浄化した浴槽に浸かってやり過ごしたのか。
この事件の元凶はミーナ隊長ではない、黒幕はバルクホルン大尉だったんだ。
そう気付いてももう遅い、私に残された最後の選択はこの身を呈してサーニャを逃がす事だけだった。
サーニャ、愛しのサーニャ無事逃げ延びて……サーニャは逃げようとしなかった。

「おやめなさい!エイラへの手出しは許しません」
「もう遅いのですよサーニャ様、この者は私との契約を承認したのですから」

何を言ってるんだこの二人は、サーニャ……様?契約?
呆然と立ち尽くす私の肢体をバルクホルン大尉の怪力が締め上げる。
「さぁ早く‘お姉ちゃん’と呼んでおくれ」
バルクホルン大尉はそう言いながら私の首に噛み付いた。

そして私は……

★意識を失ったんダナ。
→√33へ
385ifシリーズ√22「月夜の宴」:2009/02/02(月) 23:23:20 ID:DMiITGfV
ifシリーズ√22
「月夜の宴」

まだまだ何も手掛かりは獲られないな。

やはり病室で過ごした空白の時間が悔やまれる。もしかしたらこの時に私の知らない何かが起きていたのかも。

考えていても仕方ない、何か手掛かりを探さないとな。私は作戦室へと向った。

〜作戦室前廊下〜
作戦室へと向うと先客がいるようだった。私と同様に手掛かりを求めてやって来たのだろうか、それとも。
犯人は現場に戻って来るというしな。私は影から中の様子を伺った。

ルッキーニの後ろ姿が見える、やはり第一発見者が犯人だったのか。
いやルッキーニ一人じゃない、バルクホルン大尉もいる。この二人の共犯だっだのだろうか。
そして二人は予想外の行動を取った……キスしている!キスはキスでも大人のキスだ!
バルクホルン大尉の舌はルッキーニの首元を這いずりり回り、それに合わせてルッキーニは淫らな声を発している。

とんでもない物を見ちゃった、事件の手掛かり以上の物だ。私は気が動転し口から言葉が漏れ出した。
「このコト、シャーリー大尉とハルトマンは知っているノカ」
「ああ当然さ」
「もちろん知ってるよ」
私の背後に二人の影が現れた。
「ふふっ姉貴へのいい手土産が出来たな、まさか獲物のほうからのこのこやって来るとは」
「夜遊びしてる悪い子にはお仕置きが必要だね〜」

〜作戦室〜
私は作戦室内へと連行され四肢は拘束されていた。そんな私を四人が取り囲む。

「オマエ達いったい何やってるンダ」
「準備だよ宴の準備だよ、今夜は月夜だこれから宴が始まるのさ」
そう言いながらシャーリー大尉は私の上着のボタンを外し始めた。

「つまりエイラ、あんたも一足先に仲間入りさせてあげようって事なんだよね〜」
ハルトマンは私の足の付け根に指を這わし、ズボンの裾に手をかけた。私は思わず声をあげる。

「ひゃんッ」
「エイラってそんなかわいい声だすんだ、もっときかせてくんないかな〜」
ルッキーニが上着の隙間に手を潜り込ませる。

「こんなの嫌ッ……あふッ……嫌ッお願い許し……」
「いつものボーイッシュなお前も魅力的だが、しおらしいお前もなかなかそそるな」
バルクホルン大尉は私の涙を拭うと首元に舌を這わせる。
私の瞳からは涙が流れ続けた、もはや目が霞んで何も見えない。
ただ薄らと銀色の髪が見の前を過る、脳裏に浮かぶのは清らかなサーニャの姿だった。

「らめぇぇぇ〜そんなコト……まだサーニャにも……ワタシ汚れちゃ……もうサーニャと一緒にいられな……あぁン」
「クックック、恐いのは最初だけだ、お前もすぐに快楽の虜になるさ」
バルクホルン大尉はそう言いながら私の首に噛み付いた。

そして私は……

★意識を失ったんダナ。
→√33へ
ifシリーズ√23
「月下の告白」

「トマトジュースが好きなんダナ」

私は朝食時の大尉達の会話を思い出し、そう叫んだ。

「良い月夜をなエイラ」
「大尉も、よっ良い月夜ヲ……」

そう言い残すとバルクホルン大尉と宮藤は闇の中へ消えていった。
賭けだった、おそらくこれは彼女達の間にだけ通じる合い言葉なのだろう。
私の感が正しければもうすぐリーネも‘あっち’に行ってしまう。
もはや基地内に安全な場所などないと悟る。そして私はサーニャを展望台へと誘った。

〜展望台〜
「ほらサーニャ、月が綺麗ダゾ」
「う、うんそうだね……でも早……」
私はサーニャの言葉を遮って話を続ける。
「初めて会ったあの日もここに来たっけ、夜じゃなかったけどサ」
「うん!……そっ、それより早く逃げないと……」
「その必要はないヨ、サーニャも‘あっち’の住人なんダロ?」
「!!!……知ってたの!エイラ」
「なんとなくナ、大尉も宮藤もなぜかサーニャには質問しなかったからナ」
しばらく沈黙が続いた。
そしてサーニャは必死に声を搾りだし打ち明けてくれた。

「ごめんねエイラ今まで隠していて、実は私……バンパイアなの……」

私は驚かなかった、例えサーニャが何者であろうが覚悟は出来ていた。
それどころかなぜ日差しに弱いのか銀色の髪をしているのか、その理由に納得した。
そしてサーニャは語ってくれた、彼女の本当の生い立ちと今基地内で起きている事について。

ある夜サーニャはバルクホルン大尉達が淫らな事を催す様を偶然目撃してしまったらしい。
口封じのため彼女達はサーニャを襲ったが、サーニャはバンパイアの能力を使い逃れたという。
その能力とは相手を自らの下僕にし従属させる力だそうだ。
だが今夜は満月だ、サーニャの制御も効かず理性を失った下僕達が乙女の血を求め暴走し出したのだ。
そして下僕は新たな下僕を生み出し、もはや無事でいるのは私一人だけとなっていた。

ならば私が取るべき最良の方法は……

★サーニャのしもべになるんダナ。
→√27へ
★サーニャをしもべにするんダナ。
→√26へ
387名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 23:29:54 ID:2q4BD5nb
>>386
お疲れ様です!
しかしかなり容量増えたなw
388名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 23:37:03 ID:q8TL5ZgR
ゆり先生キター
わっふる!わっふる!
因みに俺は√26を選んだ
ifシリーズ√24
「不揃いのカップとお揃いのカップル」

私は部屋を飛び出した。

〜パントリー〜
パントリーへ向うと朝食当番のペリーヌが後片付けをしている最中だった。

「オハヨーペリーヌ、サーニャはまだ起きてこないノカ?」
「サーニャ?どなたですの、起きてこないのはあなたでしてよ。全くあなたと言いハルトマン中尉と言いお寝坊さんにも程がありましてよ」

ペリーヌはそう言い放つと朝食のプレートを叩きつけてきた。クロックムッシュが宙を舞う。
ダイニングを覗くと人影はなく、外のみんなは朝食を終えた後の様だ。
それにしても朝から御機嫌斜めとは低血圧か?それともアノ日なのか?これ以上怒らせても碌な事がないな。
早く朝食を済ませよう、私は牛乳を注ぐためのマグカップを探す。
……ない、私のマグカップがない。

「ペリーヌ、ワタシのマグカップ知らないカ?トランプ柄の奴ダヨ」
「私のって……エイラさんそんな物持ってらっしゃらないじゃないですの」
「サーニャと一緒に買ったあのマグカップダヨ!」
「だから先程から気になっているんですけどサーニャさんってどなたですの?」
「あぁもういいよ自分で探すからナ」

なんなんだ朝から、嫌味な奴だけど嘘をつくような奴だとは思ってなかったよ。
パントリー中をかき回してみたけどマグカップはみつからなかった。それどころかサーニャのマグカップも見当たらない。

あれ?何で見当たらないんだろう。
あの日一日の出来事は‘ついさっき’経験したかの様にはっきりと記憶が甦って来るのに……
サーニャと二人で買いに行ってお互いにお似合いのカップを選びあったんだ。
本当はペアカップにしたかったんだけど、できなかったんだよな……
あの日の出来事は嘘なんかじゃない!私は記憶を巡らした。

〜お買い物の記憶〜
私とサーニャは‘馴染みの’雑貨屋にいた。
そして私は目的の場所に直行した。

「サッ、サーニャはこれなんかいいんじゃねーカ」
「あ……うん……かわいい……」

無愛想な表情で私は陳列棚の中から猫の模様の付いた黒いマグカップを選んだ。
‘前々から’目を付けていた物だ。
それはペアカップとして作られた物らしく、その隣には犬の模様の付いたマグカップが並べられていた。

「そ……そうダロ(じゃ〜ワタシはこのお揃いのわんこの奴デ♪)」
「じゃあ……エイラは……、……、これなんてどうかな……ダメ?」
「バ、バカヤローどうせ茶飲むだけだロ(サーニャが選んだモノなら)どれだって一緒ダ」

サーニャが私に選んでくれた物はお揃いの犬模様の物ではなくトランプ柄のマグカップだった。
アテは外れたけれど何故だか私はサーニャがそれを選ぶ予感があった。
占い好きの私にお似合いだってサーニャが選んでくれた物なんだ。
それは私にとってこの上なくお揃いのマグカップに違いなかった。

買い物はマグカップだけじゃない。
浮かれた私はカップを選んでくれたお礼にと訳のわからない理由で、サーニャに陶器でできた黒猫のオブジェをプレゼントしたんだ。
浮かれてた?ううん受け取って貰う自信があったんだ。
そしてサーニャはそのお返しにと私に白猫のオブジェをプレゼントしてくれたんだよな。
「なんかあったの?…今日のエイラ……なんか……嬉しそう……」
「そっ、そんなんじゃネーヨ、ほら早く帰るゾ」

そうそう、帰り路にはこんな会話も交したっけな。

〜再びパントリー〜
……確かに間違いない。
そう、この日はとても幸せな一日だったんだ。
そうだ、猫のオブジェ!猫のオブジェなら間違いなくサーニャの寝室に置いてある。
朝食なんて食べてる場合じゃないんだな、確かめにいかなきゃ。
サーニャも寝室に戻っているかもしれないしさ。

「ペリーヌごちそうサマ、美味かッタ」
「美味ったって……一口も手を付けてないなんて、あんまりじゃないですの!」

ペリーヌの罵声を背にしてパントリーから駆け出すと、その出会い頭にハルトマン中尉とすれ違う。
私は眠そうに欠伸をかくハルトマン中尉に一応質問してみた。

「ここに来る途中サーニャに会わなかったデスカ?」
「何それ?スオムス料理かなんかぁ〜?」

駄目だこの人、まだ寝惚けるな……
私はハルトマン中尉をほったらかしにしてサーニャの寝室に向った。

〜サーニャの寝室〜
ドアをノックしてみたけど返事はなかった。もう出かけたのかな。
ちょっと確認するだけだかんな!誰に聞かせるでもなく呟きながらドアノブを回す。

《ガチャ》
鍵がかかっていない。

「サーニャ、ゴメンもう出かけたノカ?」
私は申し訳なさそうにそう言いながら部屋に入った。
部屋は静まり返っていた。
当りを見回すが人影はない。
いやそれ所の話じゃない、備え付けの家具以外なにもない。
部屋はただがらんとしていた。

いけね、部屋間違えちゃったよ。
私は一旦廊下に出て確認し直す……ここであってる。
もう一度部屋に入ってみたけど、やっぱりその場所に猫のオブジェ所かサーニャの面影は何一つ残ってなかった。

サーニャが……いない!
いったいどういう事なんだ!

【運命のタロットチェック】
今朝のタロット占いでエイラが引いたカードは?

★【]Y 塔】逆位置
→√29へ
★【]Z 星】正位置
→√38へ
391名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/02(月) 23:53:52 ID:lu6WFM5a
うおっ!凄い賑わい!

>>378
これだから公式カプも捨てたもんじゃないな。否定的なあれもあったけど。
392名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 00:02:32 ID:Cec7564f
久しぶりに来たら凄い事になってる
今から全部読むのは大変そうだけど、読んでくる
393ifシリーズ√25「あなたのかえる場所」:2009/02/03(火) 00:04:04 ID:sjvaNibG
(ごめんなさい規制に引っ掛かりました)

ifシリーズ√25
「あなたのかえる場所」

私達は時空間の亀裂へと向った。

〜ドーバー海峡上空〜
ポイントへ到着したが目に見える異変はない。
この押し寄せる圧迫感を感じ取っているのは私だけだろうな。

「エイラ何か感じるんだな?私の肩に手を置いてみろ」

坂本少佐は私に示唆すると、その魔眼を開いた。
肩に手をかざすと少佐の魔眼を通してのビジョンが私にも流れ込んで来た。
それは亀裂と言うより重力場の渦、ブラックホールに似ていた。
ただ一つブラックホールとの大きな違いは時間反転かあり重力が吹き出していた事だ。
あの時バルクホルン大尉が放出した重力の余波が傾れ込んで来ているんだ。
近づいてみると確かに肌に感じるくらいの衝撃が伝わって来た。

「あれか、でかいな……大丈夫なのかエイラ?」
「ああダイジョブ、覚悟は出来てるサ」
「待って!エイラ……」

突入を決意した私を誰かが引き止める、サーニャだ。サーニャが私に抱きついて来た。
他のみんなはわざとらしく方々に散る、坂本少佐だけはミーナ隊長に引き摺られて飛んでいった。

「お別れ……なんだね……」
「ウン……」
「でもエイラは帰れらなくちゃ……こうしなきゃいけないんだよね……」
「ウン……」
「あのねエイラ……お別れの前に……キスして!」

サーニャが私を見つめている。
どうする!どうする?どうする……

〜ザ・クイズショー〜
あなたの選択があなたの運命を決める!さぁ本日二回目となりました、人生の岐路ザ・クイズショー
司会進行はヘタレでお馴染みこの私、エイラ・イルマタル・ユーティライネンがお贈り致します。
そして回答者は前回残念ながら時間切れのエイラ・イルマタル・ユーティライネンさんで〜す。こんにちは

前置きはいいから早く出題シロ!

これは失礼しました、お急ぎの様ですね、それじゃ〜いきますよ〜問題!
今あなたの目の前に愛しのサーニャさんの唇があります。ここであなたが取るべき行動は?

A.キスする
B.キスしない
さぁどっち!?

私は……

★キスする。
→√35へ
★キスしない。
→√30へ
ifシリーズ√26
「夢のオールスター編」

私が取るべき最良の方法はこれしかない!

「サーニャ!よく見るんダ!これが……ワタシの正体ダ!」
「エイ……ラ?」

サーニャの正体がバンパイアだとわかった以上、こちらも遠慮する必要なんてない。
私は妖力を解放した。私の上着は引き裂かれ背中からは蝙の羽が生えてくる。
これが私の正体、サキュバスとしての本来の姿だ。
これだけは使いたくなかったんだけど仕方ないな。
テンプテーションでサーニャの心を操るしか方法はないんだ。

「サーニャ!ワタシの虜になるんダナ!テンプテーショ……ゲフゥ」

いきなり何者かのドロップキックが飛んで来た。
誰だ?誰だよいったい!邪魔してくれちゃってさ!

「よおっ!なんだおまえ等こんな所にいたのかよ」
「なぁ〜んだエイラもあたしたちとおんなじ妖怪だったんだね〜」

そこにはルッキーニと、ルッキーニを肩車するシャーリー大尉がいた。
ちょっと待て、あたしたちとおんなじ?

「ッテ事ハ……」
「おっす!あたしサスカッチ!」
「あたしはね〜、けっとしーなのぉ〜」

そう言うと二人の体に体毛が生えだす。
もふもふしていてちょっとかわいい。

「ナンナンダ!この部隊四人も妖怪が潜んでいたノカ?」
「ちょ〜っと待った、四人だけではない!」

バルクホルン大尉と宮藤が現れた。
先程の銀色の髪の毛に加え、次第に二人の体には銀色の体毛が生えだす。
もふもふしていてちょっとかわいい。

「私は誇り高きワーウルフだ」
「実は私、扶桑の妖怪かまいたちなんです」

誇り高き者がイタチなんかと戯れ合うなよ。
あ〜宮藤のお尻をクンカクンカし出しちゃった、もはや威厳の欠片もないね。
宮藤も宮藤だ実はとか言っておまえ、さっきさり気なく正体ばらしてただろ。

「芳佳ちゃんが……私以外の人と戯れ合ってるだなんて……シクシク」
「うわぁリーネ!急に現れるナヨ、そして泣くナ」
「仕方ないじゃないですか!だって私バンシーなんですもん」

もしかして……この流れは、すごく嫌な予感がする。ハルトマンがドリブルしながら駆けて来る、ほら言ってる傍からこれだもん。

「わたしグレムリンだよ、悪戯大好き〜だからこんな事もしちゃう〜」
「ちょっと!わたくしの首はサッカーボールじゃありません!」
「ウワッ!」
「おっエイラ、ナイスヘディングぅ〜」
「ウワァ〜ごめんペリーヌ条件反射ダ」
「ごめんでは済みませんわ!あ〜どなたかお止めになってぇぇぇ〜……」
395√26「夢のオールスター編」2/3:2009/02/03(火) 00:08:09 ID:sjvaNibG
原因不明のストライカーの故障は、ハルトマンおまえの仕業だったんだな。
そしてペリーヌ、こいつはたぶんデュラハンだな。
ペリーヌの生首はどこかへ転がって行って、首なしの体が必死に追い掛けている。
その数秒後ペリーヌの首は坂本少佐に抱かれて帰って来た。
その坂本少佐に外見上の変化はなかった。

「坂本少佐ハ、侍の生霊かなんかなノカ?」
「ん?私か?私は、妖怪女たらしだ」
「流石ですわ!坂本少佐!」

それ妖怪じゃねーよ!
どこが流石なんだよ!
わけわかんねーよ!

「あらあら、みんな楽しそうね私も交ぜて貰えるかしら?」
「じゃあミーナ隊長の正体ッテ?」
「あらエイラさん知りたいの?そんなに知りたいのなら教えてあげるわ、覚悟はよろしいかしら♪」

そう言うとミーナ隊長の銀色に染まった髪の一本一本が蛇へと変容していく。
この姿はゴルゴンか。

「御満足頂けたかしら?うふふ……でもね……この私の最終形態を目撃したからには、生きて帰すわけにはいかないわよ?」
「アレ?ミーナ隊長……目が、笑ってないんダナ……」
「あら〜?だから前以て聞いたのに‘覚悟はよろしいかしら’って、お馬鹿さんね」
「チョット!なんでワタシだけ、ミンナだって見て……」
「食らいなさい!ゴルゴン・ア〜イ♪」

その赤く輝く両目から不可思議な光線が放たれる。
私の体は石になった……
その石像の周りをみんなが取り囲む。

「うんわ〜すんげ〜不細工!」
「寧ろ間抜け顔に見えませんか?」
「困ったわね恐怖に怯えた顔が良かったのに、これじゃ失敗作ね」

みんなの声が聞えてくる。
すごい言われようだ、みんな勝手な事言いやがって!
失敗作って、あんたがこんなにしたんだろ!早く戻してよ隊長。

「んでさ、この粗大ゴミどうすんだ」
「邪魔ですわよね」
「ここは一つサーニャに決めて貰うとするか」

助かった!サーニャ!早く助けて!

「で、どうするんだサーニャ?」
「捨てましょう……」

!!!

「ポイってかんじで〜?」「はい、ポイって感じで……」

サーニャ!何言ってんだよ!
私だよ、エイラだよ、ゴミじゃないんだよ!助けてよ!
396√26「夢のオールスター編」3/3:2009/02/03(火) 00:09:45 ID:sjvaNibG
「それでは宮藤手伝ってくれ、おまえはそちら側を頼む」
「こうですね!バルクホルンさん?」

宮藤!そこ胸!胸だって!どさくさに胸触んな!
ひゃん、大尉そこ触っちゃダメっ、おしっこ今ぴょろって、ぴょろってでちゃうよ。

「それではいくぞ」
『お〜け〜』

うわ〜なんて言ってる隙に展望台の縁まで運ばれて来ちゃったよ。

「せ〜の」

本気?ねぇ本気なの?胸触ってもいいからさ、許してよ〜。

『い〜ち』

あっ今ミシって、今ミシって変な音しなかった?

『にぃ〜の』

ちょっとちょっと高いって超高いって!ほら下見てみてよ、高過ぎるでしょ。

『さぁぁぁ〜ん』

本当にもうっ、あーやめてぇぇぇ〜!

あれ!?私、飛んでいる!この広い空を飛んでいる!
まるでわたぐもの様にふわふわ……なんてしない!

落ちてる、落ちてる、落ちていくぅぅぅ……

「ハッ……」

〜起床〜
私は目覚める、なにやら悪い夢をみていた気もするけどはっきりとした記憶はない。
私はふと考える。あれは予知夢なんじゃないかって。
そして私は考える。予知夢だとしたら未然に防がなくっちゃ駄目だよなって。
そう!こういう時はやっぱりタロット占いに限るよな。

私はテーブルからタロットを持ち帰るとその中から22枚の大アルカナを抜き出しベットの上に広げた。
ゆっくりと両手でのの字にシャッフルすると、その混沌とした運命の渦から一枚を引き出す。

私はゴクリと唾を飲み込みゆっくりとそれを捲る。
うわっ!
そのカードは私の手から離れるとはらりと落ちてベットの上に横たわった。

それは【]V 死神】のカードだった。

カードに描かれたドクロの漆黒の瞳が私を見つめている。
うわ〜以前にもこんな事かあった気もする……デジャヴ?まぁよくある事なんだな。
はっ!……よく考えたらそんな事より、早急に済ませなきゃならない最重要課題に気付いた。

私は……

★トイレに直行してから、キッチンに向ったんダナ。
→√02へ
397√27「たったひとつの冴えたやりかた」1/2:2009/02/03(火) 00:11:40 ID:sjvaNibG
ifシリーズ√27
「たったひとつの冴えたやりかた」

私が取るべき最良の方法はこれしかない……

「サーニャ、ワタシの血を吸ってくれないカ、どうせ吸われるのならサーニャに吸って欲しいんダナ」
「それだけはできないよ……血を吸ってしまったらエイラがエイラじゃなくちゃうもの……」
「かまわないさサーニャのしもべとして生きて生けるならナ、もう他に方法はないんダ」
「まだ……方法はあるわ……」

そう言うとサーニャはベルトをたくし上げる。目を背けあたふたしだす私を余所にサーニャはベルトの中へ手を差し入れるのだった。
そしてスボンに添えらえたガーターから銀色に輝くナイフを引き抜くと、それを私に手渡した。

「私が死ねば彼女達は解放される……エイラ私を殺して!」
「サーニャ!!!」

なんて事言うんだサーニャ!私がサーニャを殺すなんて、そんな事出来るはずないだろ!
だけど……そうしないと隊のみんなは永遠に……どうすればいいんだ。

私は……

★サーニャの胸に銀のナイフを突き刺したんダナ。

なんて……そんな選択肢、選べっこないよ!
……私は自分の胸に銀のナイフを突き刺した。

「エイラ!!!」
「これで……サーニャに……血を吸って貰えるカナ……」
「エイラは馬鹿だよ……こんな私のために……馬鹿よ……」

そう言いながらサーニャは私に抱きついて来た。
そしてサーニャの唇が私の唇に触れる。
あぁ私は幸せだ。私は死ぬのか、サーニャのしもべとして生きて行くのか。
そのどちらだとしてもこの私の最後の記憶が、夢にまで見たこんなに素敵な結末なのだから。
そして私は意識を失った。
398√27「たったひとつの冴えたやりかた」2/2:2009/02/03(火) 00:13:19 ID:sjvaNibG
〜起床〜
私は目覚める、なにやら夢をみていた気もするけどあれは夢なんかじゃない。
全身に温かく心地良い温もりが伝わって来る。私は愛しのサーニャに抱かれたまま眠っていたようだ。
私は生きている、記憶もはっきりしている。サーニャのしもべとなったわけでもないらしい。

「気分はどうエイラ?」
「とっても幸せダヨ、だってワタシのファーストキス……サーニャに捧げたんダカンナ」
「!!!あっあれはキスじゃないもん……最初のキスはエイラからって……そう決め……!!!」

私は唇でサーニャの唇を塞いだ。私にとって二度目のファーストキスだった。
夜の静けさの中、私達は抱き合い続けた。空に浮かぶ金色の満月だけがそっと私達を見つめていた。

しばらくしてサーニャは語ってくれた、あの時のキスについて。
あの時私の命は尽きようとしていた、その私にサーニャはバンパイアとしての不死身の命を分け与えてくれたのだと言う。
だがその事でサーニャはバンパイアとしての全ての能力を失ってしまったのだ、その不死身の肉体さえも。

「本当に良かったノカ?私なんかのためにサ」
「うん……たとえ永遠でもエイラのいない人生なんて」

そして私達はまたキスをした。それは私にとって誓いを意味するキスだった。
サーニャは永遠の命と引き替えに、普通の人間として私との刹那な寿命を選んでくれた。
限られたその日々を、私は一生サーニャに捧げる誓いをした。

〜翌日〜
基地は普段と変わらぬ朝を迎えていた。サーニャがバンパイアとしての能力を失った事で隊員みんなの呪縛も解かれたからだ。
結果的にサーニャが普通の人間として生まれ変わる事こそが、私達にとってたったひとつの冴えたやりかただったんだ。

そして私とサーニャはキッチンにいた。
今朝の朝食当番が私達二人だったからだけど、私にとってはちょっとした新婚夫婦イベントだ。
鼻歌なんて歌いながら私が野菜を刻んでいるとサーニャが話しかけて来た。
もしかして朝一番のキスのおねだりとか?もうサーニャったら果てしなく可愛いなぁ!

「あのねエイラ……実は私……もう一つエイラに隠していた事があるの……」
「!!!」

なんだんだ隠し事って!まさか‘実は男でした!’とか言うんじゃないよな!
私は考え得る最悪の告白を想定したが、今の私にはなんの問題もなかった。
たとえサーニャが男だってかまわない、彼女のすべてを受け入れる!その自信があった。
なぜならこの身を一生サーニャに捧げると、そう誓ったのだから!

「あのね……」
「ウン」
「実はね……」
「ウ、ウン」
「昨日の朝食でトマト料理をリクエストしたのは……私なの……」
「……」

……許せなかった。
私はサーニャにトマトをぶつけた。

エンディンクNo.02「たったひとつの冴えたやりかた」
〜おしまい〜
399√28「魔女裁判」1/3:2009/02/03(火) 00:15:26 ID:sjvaNibG
ifシリーズ√28
「魔女裁判」

私は部屋をもっとよく調べてみる事にした。

何か手がかりがあるかも知れない。私は辺りを見回す、テーブルの上には厚い革張りの本が一冊佇んでいる。
へぇサーニャこんな本読んでいるんだ。

私はその本を手に取った。おそらく題名なのだろう表紙には「if」と書かれている。
そして私は適当にページを捲って読んでみた。
【▲は3……十の位を意味する】
最初の一行を読んだだけで頭が痛くなった。何について書かれているのか私にはさっぱり理解できない。
サーニャこんな難しい勉強してたんだな。そこには私の知らないサーニャがいてちょっぴり悔しかった。

だけど今はこんな事に気を奪われている場合じゃないな。
私は次にベッドを調べる、まだ温かい。
こっこれは!

ハァハァ……こ、これがさーにゃの……!!
ん……さーにゃの匂いが……

「サーニャ!サーニャ!サーニャ!サーニャァァアアアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
あぁああああ……ああ……あっあっー!あぁああああああ!!!サーニャサーニャサーニャァアアァアァアアアア!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ……くんくん
んはぁっ!サーニャの雪のような銀色のの髪をクンカクンカしたいナ!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えタ!モフモフしたいナ!モフモフ!モフモフ!さにゃさにゃモフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
見えない殺人犯に怯えるサーニャかわいかったヨ!!あぁぁああ……あああ……あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
基地内であんな事があって恐かったナサーニャ!あぁあああああ!かわいい!サーニャ!かわいい!あっああぁああ!
ここから逃げよう!いっしょにスオムスに……いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!サーニャはは家族を捜しに行く!!!!あ……ワタシもよく考えたら……
ガ チ レ ズ 大 尉 が 待 っ て い る !! にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!ニパァアアアア!!
この!ちきしょー!やめてやる!!兵隊なんか辞め……て……」

え!?見……てる?ミーナ隊長がこっちを見てる?
死んだはずのミーナ隊長がワタシを見てるゾ!隊長がワタシに話があるって言っているゾ!幽霊がワタシに話しかけてるぞ!!
「兵隊を辞めたいのならさっさとお辞めなさい」
だって!!!よかった……いつでも飛んで行くからナ!サーニャ!

「いやっほぉおおおおおおお!!!ワタシにはサーニャがいる!!やったよエル姉!!ひとりでできるもん!!!
黒猫のサーニャアアアアアアアアアアアアアア!!いやぁあああああああああああああああ!!!!あっあんああっああんあサーニャァア!!サ、サーニャ!!サーニャァアアアアアア!!!サーニャァアアアア!!
ううっうぅうう!!ワタシの想いよオラーシャへ届け!!隣の国のサーニャへ届け!」
400√28「魔女裁判」2/3:2009/02/03(火) 00:17:35 ID:sjvaNibG
「何をしてるんですか!」
「おわああああ!!」

私はようやく我に返った。
私は無意識のうちにサーニャのベッドの上で転げまわっていたようだ。
というか布団に顔を擦り付けながら匂いを嗅ぎ回っていた。
ミーナ隊長の幽霊は思わず後ずさったが、私はそれ以上に動揺していた。

「あの隊長、死んだはずじゃ!?」
「死んでいません、生きています!」
「へっ?どゆコト?」
「これは非常時にあなた達隊員がどのような行動を取るかを試すテスト、つまりそういう事です」

テストだって?て事はつまり、ルッキーニが見たって言う血はトマトジュースかなんかで、ミーナ隊長は死んでなくて、
私は大声で兵隊なんか辞めてやると叫んでて……それを全部聞かれてて!
まずいよ何か言い訳しないと。

「ち、違うんだコレは!その、べ、ベッドメイキングを……」
「よぉーくわかりました、この事は全て報告書に記載してスオムス軍本部に届けます、おわかり?」

うぎゃ〜隊長わかってないよ、わかられても困るよ。
もっとリアリティーのある言い訳をしないといけないな。

「ベッドの下に殺人犯が逃げ込んデ……ワタシは犯人を取り押さえようとシテ!」
「エイラ……ここ私の部屋なんだけど……」

今度はベットの下から突然サーニャが音もなく現れた。
サーニャだって?て事はつまり、私が部屋に入って来てからずっ〜とサーニャはベットの下に隠れていて、
私はクンカクンカしたいとかモフモフしたいとか叫んでて……それを全部聞かれてて!

いゃあああああああああああああん!!うぎぁああああああああああ!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!サーニャァアアアア!!

「ですから殺人犯なんて最初からいません!おって通達が来るまで自室謹慎を命じます!」
もはやにミーナ隊長のその言葉は私の耳には届いていなかった。
401【投下一時終了】√28「魔女裁判」3/3:2009/02/03(火) 00:19:10 ID:sjvaNibG
〜一週間後〜
私の自室謹慎は解かれた。スオムス軍本部からの通達が来たんだろう。
それは今日が私に対する審判の日である事を意味していた。
軍法会議へと向かう私を連行しに来たのはシャーリー大尉だった。

「まさかね、おまえがあんな度胸のある奴だったとはね、あたしは見直したよ」
「だから違うんダッテ、誤解なんダッテ」
「弁明ならここじゃなくて証言台でしろって、まあ結果的にサーニャに想いは伝わったんだ文通でも頼んでみたらどうだ?」

私の除隊を確定事項で話すな!それよりどんな顔して会えばいいんだろう。
サーニャは自分のベッドでのたうち回っていた女とどんな顔で会ってくれるというんだろう。
私は軍人としてではなく女としてのキャリアに大きな傷を残す事について悔いていた。

やがて法廷へと到着する。軍法会議は作戦室ではなく、広場で行われるらしい。壇上にはミーナ隊長が、その周りには隊員全員が集まっていた。
その中にはサーニャもいたけど、うつむいていてその表情までは読み取れなかった。

これじゃまるで公開処刑だな。ミーナ隊長に呼ばれ私は死刑台を登る。
仲間の冷たい視線が背中に突き刺さるように思われる。これは錯覚だろうか。
目の前のミーナ隊長の顔は心なしかひきつっているように思える、当然だな。
そして私の罪状が読み上げられる。

「貴君は緊迫した状況下に於いて……えぇ……」
ミーナ隊長は言い淀み、一呼吸置くと頭を抱えながら一気に続きを読み上げた。
「‘スオムス軍人’として誇るべき行動を取った事をここに賞し、スオムス名誉百合勲章を授与するものとする」
「ホヘ?」

スオムスの魔女って……などと仲間の呆れた視線が背中に突き刺さるように思われる。これは錯覚じゃないだろうな。
パチパチと乾いた拍手が響いてるんだから。

「つまりエイラ・イルマタル・ユーティライネン少尉、これからもよろしく頼むわね」
ミーナ隊長の言葉で私もみんなも事態の結末にようやく気付いた。

「じゃあ……じゃあワタシはまだココにいてもいいってコト?」
「ええ」
「またミンナと一緒に戦えるってコト?」
「ええそうよ」

私が後ろを振り返ると壇上に仲間のみんなが駆け上がって来てくれていた。
そして私は揉みくちゃにされたあげく壇上から叩き落とされた。
起き上がるとその先にポツンと一人サーニャが立っていた。
どんな顔して会えばいいんだろう、どんな顔で会ってくれるというんだろう。
そんな事を考えていたけど私とサーニャは二人揃ってくちゃくちゃに泣いていた。

「あのナ、サーニャこの前のアレはナ……え〜っと」
「うんいいのわかってるよ、あのねエイラ、またベッドメイキングして……くれる?」

私はこくりと頷いた。
仲間のニヤニヤした視線が背中に突き刺さるように思われる。たぶんこれも錯覚じゃないんだろうな。

エンディンクNo.03「魔女裁判」
〜おしまい〜
402名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 00:35:18 ID:G5QvpqXU
あまりに大作すぎて読みきれん
403名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 00:39:08 ID:X8xXIvU/
乙乙、連投支援
続きが投下されるまで眠れんじゃないかああああエイラああああ
404名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 00:41:33 ID:z1LwtX6U
html化してくれる人が来るのを待とう
405名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 00:43:53 ID:+feQ31xP
ディプトリー・Jrか
406名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 00:49:47 ID:BQ0rKV3O
この速さなら言える
ゲル芳ぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーーーー!!!
エイラの秘め声で、芳佳公式でゲルトの妹扱いおめでとおおおお!!!!!!
ゲル芳ぃぃぃぃぃぅぅぅぉぉぉぉおおおおぁぁぁあああ!!!
407√29「終焉の淵」1/2:2009/02/03(火) 00:54:36 ID:sjvaNibG
ifシリーズ√29
「終焉の淵」

サーニャが……いない!
いったいどういう事なんだ!

私はもう一度部屋の中を見回す。
するとテーブルの上には厚い革張りの本が一冊佇んでいた。
……あれ?
さっき部屋を調べた時、こんな本あったかな?第一サーニャこんな本持っていたっけ?
とにかく今は何かしらの手がかりが欲しい、私はその本を手に取った。
おそらく題名なのだろう表紙には「if」と書かれている。

私は適当にページを捲って読んでみた。
【■は4……一の位を意味する】
何について書かれているのか私にはさっぱり理解できない。それも当然か、こういうのは最初から読まなきゃ駄目だよな。
最初のページを捲るとそこには一編の詩が綴られていた。

〜プロローグ〜
未来はまるでわたぐものよう
ふわふわしていて心地よく
ぼんやりとして触れることは叶わない
でもね、ながめているだけでは置いていかれるもの
だからあなたはとびつづけるの、この広い空を

あなたに出会うその日のために……
愛しのあなたへ捧ぐ詩


私は知っている……この詩を。
何処で聴いたのかまでは覚えてないけど確かに知っているんだ。
私は好奇心に駆られ更に読み進める。
408√29「終焉の淵」2/2:2009/02/03(火) 01:07:56 ID:sjvaNibG
(すみません連投規制でした)

それはある少女の物語だった。
描写される少女の容姿が自分に似ている事から私は彼女に親近感を抱いていた。
本の中の少女は起床する、そしておもむろにタロット占いを始めたのだ。
益々私そっくりだな。
少女は引き当てる「塔」のカードを、逆位置だ。
……偶然だよね。

そして少女はパントリーで新たな登場人物と出会う。
説明によると、どうやら一番の親友らしい。

「オハヨーペリーヌ、サーニャはまだ起きてこないノカ?」

少女はそんな台詞を口にする。
ペリーヌ?ペリーヌだって!なんでペリーヌなんかが一番の親友なんだよ!
……あれ?なぜ登場人物にペリーヌの名前が付いてるんだ?
それにサーニャの名前まで!?
この本は何かがおかしい、そもそも印刷ではなく、見覚えのある誰かの肉筆で書かれているんだから。
私の不安は恐怖へと変わりつつあった。けれどもページを捲る私の手は止まらない。

それからいきなり少女の惚気た回想シーンが始まった。
何やってんだよこいつ……
そして得体の識れない生物と遭遇したと思ったら、少女はある場所へと向っていた。

もしかして……私は震える手でページを捲る。
私の予想通り少女はその本を見つけるのだった。

本の中の少女は手にした本を読み始めた。
やがて少女の心理描写が綴られ始める。好奇心、親近感、喜びと不安そして恐怖。
その感情はどれも私がこの本を読んで抱いた感情そのものを辿っていた。
恐怖に耐えかねた少女はその本を閉じ、辺りを見回してはははっと笑った。

つられて私も本を閉じる。もはや私の恐怖も限界に達していたんだ。
その後あの少女はどうなったんだろう?そんなの私の知ったとこじゃない。

そんな事を考えている最中だった。
何者かの視線を感じる、その者の感情までがこちらに伝わってくる。
敵意じゃない恐怖だ、ひどく怯えている者の視線だ。
はははっ、まるで今の私みたいだな……私みたい?

……!

私はこれから起こる数秒後の未来に気付いた。
私は急いで「if」という名の本へと手を延ばす。
間に合わない、わかっていた事だった。
本を開くその刹那、深い闇が訪れた。

エンディンクNo.04「終焉の淵」
〜END〜
ifシリーズ√30
「わたしのかえる場所」

私はキスする代りに首を横に振った。迷いはなかった。

「ダイジョブ、もうすぐサーニャの大好きなエイラが帰ってくるサ」
「そっか、そうだよね……エイラにもあっちの私が待ってるんだもんね、あなたの唇はあの娘の物なんだ」
「ちょっ!ワタシとサッあっちのサーニャはまだ何モ……」
「うふ、あなたのファーストキス貰っちゃったらあの娘に失礼だね……じゃあ握手……してくれる?」
「ウン……」

私とサーニャは握手をしながら暫く見つめ合った。
小悪魔なサーニャもちょっぴり可愛いななんて思ってしまう。
本当はサーニャと手を繋ぐのすら初めてなんだけど……このくらいの浮気、許してくれるよなサーニャ?
そしてどちらからともなく、私達は絡めた指をほどいていった。
サーニャとの、こっちのサーニャとの別れの時は迫っていた。

「アイツと、こっちのエイラと幸せニナ!」
「うん……あなたたちもね!」

〜突入〜
私は渦の中心座標に進路を向け飛び込んだ。中心に近付くごとに潮汐力は強くなっていった。
これじゃシールドを形成していても、亀裂を越える前に体が砕かれそうだ。
もう駄目だ、あきらめかけたその瞬間、体が自然と軽くなりストライカーが加速した。

「大事な妹を傷つける訳にはいかんのでな、最後くらいお姉ちゃんらしい所発揮させてくれ!」

バルクホルン大尉が魔法力を発動してくれていた。胸のボリュームに伴い増加した質量が重力を生み出す。
新に形成された重力場が、亀裂から流れ出る重力を打ち消してくれていた。

「サンキュー!トゥルーデ姉ちゃん!」

私は照れながら親指を立て、バルクホルン大尉も親指で返してくれた。
その向う側にはみんなの顔が見える、心配そうに見つめるサーニャの顔が見える。
元気でな、サーニャ。こっちのエイラもサーニャだけをずっと見つめているはずさ。
それからサーニャが剥いてくれたリンゴ、美味しいかったよ。

私の体は次第によじれだす、どうやら亀裂に到達したようだ。
そして私は意識を失った。

〜起床〜
私は目覚める、なにやら夢をみていた気もするけど、たぶん夢なんかじゃない。
全身に温かく心地良い温もりが伝わって来る。私は愛しのサーニャにおんぶしてもらいながら海上を飛んでいた。
記憶がはっきりしてくる。頭痛はないが体がぐにゃ〜っとよじれたみたいな感覚はまだあった。

「気分はどうエイラ?」
「ダイジョブ、それより此処ハ?」

心配そうにサーニャが私の方へ振り返る。私は笑顔で答えて、それから辺りを見渡した。
他のみんなもいる。そしてみんなの顔を確認した。
410√30「わたしのかえる場所」2/3:2009/02/03(火) 01:13:10 ID:sjvaNibG
「坂本少佐、眼帯が右目に戻ってル」
「ああ紛れもない、私の眼帯は右目だ」

「ペリーヌ、眼鏡かけテル」
「眼鏡のないわたくしなんて考えられまして?」

「トゥルーデ姉ちゃん、その髪型!」
「ねねねねっ姉ちゃんだと!エイラ!もう一度言ってみてくれ!」
「あっ……間違えタ、バルクホルン大尉、いつもの大尉ダナ」

見馴れた光景だ。
帰って来た……帰って来たんだ私の世界に!

『おかえり!エイラ』
「タダイマ!ミンナ」

隊員みんながここで迎えてくれたのには理由があった。
どうやらこちらでもあちらと同じ事が起きていたらしい。
この世界が整合性を保つため私の代わりにあっちのエイラが飛ばされて来ていた。
そしてこちらでも同じ結論に達し、たった今あっちのエイラを送り届けた所だったそうだ。
こちらは亀裂の入り口にあたる訳だから、重力に導かれ無事帰れた事だろう。
きっと今頃あちらでもエイラとサーニャは抱き合っているに違いない、その上キスまでしてるんだろうな。
頭痛がない所をみると時空の亀裂も完全に塞がれたのだろう。
すべてが元の鞘に納まった、私とサーニャの関係以外は……

〜一時間後〜
私とサーニャは束の間の空中散歩を楽しんでいた。
魔眼を通して私と坂本少佐が亀裂の消滅を確認すると、ミーナ隊長は基地への帰還命令を出した。
みんなが『ごゆっくり〜』などと気をきかせて帰ってしまい、私達二人だけ海上に取り残されたからだ。
そして私達はお互いの出来事について語り合った。

「エイラ……あっちの私と……キスとか……してないよね?」
「!……してナイ、してナイヨ!なんでソンナ事聞くンダ」
「私……されそうになった……あっちのエイラに……」
「サッ、サーニャになんて事しゃがるンダ!」
「でも、でもしてないよ!……握手はしたけど……ごめんねエイラ」
「実はワタシも……あくしゅしちゃいましたゴメンナサイ!でもおアイコダナ」
「……」
「ん?サーニャどうしたンダ?」
「……許さない……浮気なんて絶対許さないんだから!エイラのばかぁ!もう知らない」

がぁ〜ん!サーニャが今、ばかって、私の事ばかって言った……
そんな馬鹿な私、付き合ってもいないのに、なんか尻に敷かれている!
ちょっと待て……付き合ってない?がぁ〜ん!がぁ〜ん!
そうだったあっちの世界に行ってて勘違いしてたけど、私とサーニャはただのお友達なんだった。

え?……じゃあなんでサーニャは怒ってるの?浮気?あっちのサーニャに嫉妬してくれてるって……事なのかな?
そう言えば、あっちのサーニャはわざと部屋を間違えたって言ってたっけ……それってつまり!
言わなくちゃ、ちゃんと自分の口で!一番大切な事、私はまだサーニャに伝えてない!

「サッ、サーニャ!」
「……何言っても許さないから……」
「ワタシは!」
「……」
「サーニャが大好きダァァァ!一番大切な人ナンダァァァ!」
「……!!!」
411√30「わたしのかえる場所」3/3:2009/02/03(火) 01:15:03 ID:sjvaNibG
沈黙が流れる。
暫くしてサーニャが何かを納得したらしく首をコクコク傾げる。これは告白された事に対してだ。
もう暫くしてまた首をコクコク傾げる。これは私達がまだ付き合ってなかった事に対してだろう。
そしてサーニャの顔が熟したトマトの様に赤く染まって行く。
たぶん決死の告白直後の、今の私の顔より真っ赤だと思うよ。

「エイラはエイラだよね……?」
「ウン?」
「あっちのエイラじゃないよね……?」
「ウン」
「私の……私のエイラだよね!」
「ウン!」
「私もエイラが大好き!」

そう言ってサーニャは抱きついて来た。
抱き合いながら私達は顔を近付ける。見つめ合って、二人して笑い出した。
涙なんてこれっぽっちも似合わない告白だった、お互い長年の想いを遂げたというのに。
だけどやっぱり私は泣いていた。それは今迄の苦難の道程を思っての事じゃない。
サーニャも私と同じく、もう一人のエイラに揺らぐ心と必死に戦っていた、その様を思っての事だった。

「アノナ」
「うん……」
「キス……してもイイカナ」
「……うん」

私はサーニャのほっぺにキスをした。
たとえそれがもう一人の自分だとしても、大切なこの娘の心が他の誰かに奪われてしまわないように……
私は願いを込めてキスをした。
そしてサーニャが何も言わずに私のほっぺたにキスしてくれた。

「これでおあいこだね」
「おアイコダナ」

気付くと辺り一面は茜色に染まっていた。
空も、空を漂う雲も、それを映す海さえも、世界の全てが照れている様だった。

「サーニャ、もうそろそろ帰らなきゃナ」
「うん……わたしたちの帰る場所にね」

私達は基地の方角へと進路を取った。
私達は手を繋ぎ、夕日に向って飛び続けた。

私は夕日に照らされたサーニャの横顔をそっと見つめる。
夕日に染められたサーニャの唇はまるでルージュを引いた様に潤しく、キス……唇にしとけば良かったかななんて思ってしまう。
あっちの世界で私達二人の別の可能性を見たものだから、私ちょっと欲張りになっているのかな。
今日三回目のクイズショーに出場し、ひたすら悩んだ挙句「C.ほっぺにちゅー」を選択したなんて事は人には言えない秘密だ。

今こうして手を繋いでいるだけで私どきどきしちゃってる、やっぱりこれが私達には丁度良い速度なんだ。
私達には私達が紡いで来た時間がある、それをこれからも大切にしていこう。
私達の時間の流れで、この世界に時を刻んていこう。

基地が視界に迫る頃、空には明星が輝き出した。

エンディンクNo.5「わたしのかえる場所」
〜おしまい〜
412名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 01:16:44 ID:SnpZXw31
ごちゃっとしてて読む気が起きない…
ifシリーズ√31
「これからのわたしたち」

朝食時、あの場にいなかったのはサーニャだ!

この501部隊のメンバーは10人、だけどここには11人いる。
誰か一人、この場にいるべきではない人物がいる。
だからってサーニャが存在しない世界なんてありえるはずがない。
なんなんだ、こんなの私の世界じゃない!

「気付いちゃったんだね、私の存在に……ついに来たんだねこの日が……やっと逢えたねエイラ」

サーニャがそう言った瞬間周りの風景が一瞬で消えた。
背景だけじゃない今迄お茶を楽しんでいた隊員みんな含めて、全て真っ白になってしまった。
その純白の世界の中に私とサーニャだけがポツンと存在していた。

「サーニャ?いったいどういう事ナンダ!サーニャ!」

「ここは私が創った空想の世界、私が描いた物語の中の世界なの。
そしてエイラ……あなたはその物語の中の登場人物。

私は孤独だった。家族と離れこの隊に配属されてからもずっと、私は独りぼっちだったわ。
ある日私は考えたの、ならばお友達をつくろうって。
私のなりたい自分、もしもこんなお友達がいたらいいなっていう願望を形にして。
私は書き始めたわ、そんな女の子が活躍するこの物語を。
そしてその女の子こそが、エイラ……あなたよ。

でももう私が書き綴るこの物語はここでおしまい。
ついにあなたは私のペンを離れ、自分の意志でこの世界に私を登場させた。
もうあなたはただの登場人物なんかじゃない、命を持った存在なのよ。

お別れだねエイラ……
いいえこれからはあなた自身がこの世界を創っていくんだもの、あなたの世界のあなたのサーニャとはいつでも会えるわ。
その世界であなたとサーニャがどうなっていくのかはあなた次第。
あなたの生きた人生がこの本に書き綴られていくんだもの。
私はこれからもあなたを見ているわ、だからさよなら……愛しのエイラ」

「サーニャ……サーニャ!ワタシはサヨナラなんてしたくないヨ!」
414√31「これからのわたしたち」2/2:2009/02/03(火) 01:18:38 ID:sjvaNibG
〜Rebirth〜
私は目覚める、なにやら夢をみていた気もするけどはっきりとした記憶はない。
私はふと考える。あの夢はどこから来て、どこへ消えていくんだろう。
そして私は考える。私の存在について。
今ここに在る私はひょっとして誰かがみている夢なんじゃないか。
たとえこれが現実だとして私は何者なのか?何故ここに在る?
ん?以前にもこんな事を考えた気もする……デジャヴ?
まぁよくある事なんだな。

そんな事を考え寝返りをうつと目の前にサーニャの寝顔が現れた。
あわわわわっサーニャ!なんでこんなとこにいるんだ!もしかして部屋間違えたのか?
うぅ〜そっそんな油断しきった顔しちゃって……

「うぅ〜キョ、キョウダケ…ダカンナ」

今日だけ……そんな今日だけが365日続けばいいななんて思いながら、私は眠れぬ夜を明かした。

エンディンクNo.06「これからのわたしたち」
〜おしまい〜







そして……

→√▲■へ

※どこかのパラグラフで、エイラは二回「if」という題名の本を発見します。
その本の中で【▲と■】が何を意味するのかは語られています。
その手がかりをヒントにして、次のパラグラフの√に進んで下さい。
415√32「スオムスに架かる友情の橋」1/2:2009/02/03(火) 01:20:02 ID:sjvaNibG
ifシリーズ√32
「スオムスに架かる友情の橋」

私は溢れ出るリビドーを爆発させたんダナ。

「みっ宮藤!牛乳が、牛乳が口から滴れてルゾ」
私はそう言いながら宮藤の口元に手を添えた。
……はっ何やってるんだ私、これは私の意志じゃない体が勝手に動いただけだかんな!

「ちっ違うんだ宮藤、これはそういう意味じゃなくテ」
「エイラさんも牛乳好きなんですね、でも私は牛のお乳よりもエイラさんの……おっぱいの方がも〜っと好きです!」
「ちょっちょっと待てっテ、違っ……ひゃんッ」
「実はお風呂で背中を流していたあの時も、ずっとエイラさんのおっぱいの事だけ考えていたんですよ、ふふっ」

弁解虚しく私は押し倒された。
挙句に上着とブラは同時に剥ぎ取られ露となった胸は既に舐めずり揉みしだかれていた。この間僅か0.3秒。
こいつはプロだ!単なる耳年増でヘタレで経験ゼロの私なんかが適う相手じゃない。
このままじゃ私が喰うわれる早く逃……ゲェェェーッッッ足のロックが完璧に極まっている!これじゃ逃げられない!

「ふふふっ無駄ですよ、私の必殺技‘桜花☆五芒星’から逃れるすべなんて存在しないんですから」
「オッ、オウカゴボウセイ!?」

両足で相手の動きを封じ込め、それでいて両腕と舌を自在に操り三点同時に相手の胸を攻める。なんて完成された形、つまりパーフェクトフォームなんだ!
獲物を捕獲する海星の如く相手を薄紅色に染め上げ快楽の桜花を乱れ咲かす。その名通りの必殺技だ。
このままじゃ私の意識が危うい誰か助け……誰か来たリーネだ助かった。

「何やってるんですかエイラさん!お風呂上がりにそうして貰うのは私の特権なのに!」
「おまえ達、風呂上がりに毎回こんな事してたのカヨ!それより宮藤を早くなんとかしてクレ!」
「早くどいて下さい!」
「いやだからリーネ、宮藤を早くどかしてくれッテ!」

この騒ぎを聞き付け他のみんなも集まって来た。助かった、今度こそ助かったぞ。

「ミンナ助け……」
「助けて下さい!私エイラさんに無理矢理押し倒されて」
「なっ何言ってるンダ宮藤!押し倒されたのは私の方ダロ」
「その態勢でそう言われても……なぁ」
「説得りょくが……ねぇ〜」
「こっ、これは正しくブロッサム・ペンタゴン!まさかこんな所に幻と言われたこの技の使い手が実在していたとは!」
「エッ!?エーッッッ!」

気付くと私と宮藤の体位は入れ替わっていた。ご丁寧に私の手の掌は宮藤の胸元に添えられている始末だ。
うぎゃ〜宮藤、こいつは鬼だ!悪魔だ!死神だ!間違いない占いの【死神】は紛れもなくこいつの事だ。
こんな可愛い顔してるくせに平然と私に罪を擦り付けようとしていやがる。
よく見ると目に薄らと涙まで浮かべて、おまけに演技派かよ!
「リーネ、おまえは見てたダロ?なんか言ってクレ」
「犯人はエイラさんです!間違いありません」
「私、もうお嫁にいけない……」
「芳佳ちゃんは私のお嫁さん、いいえ私が芳佳ちゃんのお嫁さんになるから泣かないで!」
「ちょ……ナンダヨ!」

宮藤とリーネは抱き合って泣き出す。なんだよ宮藤その涙は!どっから出てんだよ。
それからリーネ、犯人はないなだろ犯人は!そしてさり気なくプロポーズするな!

「前々から怪しいとは思ってたんだよな〜ルッキーニこの変態に近寄るんじゃないぞ」
「あ〜んシャーリーあたしこわいよぉ〜むふふぅん」

そう言いながらルッキーニはシャーリー大尉の胸に顔を埋める。
おまえ達には言われたくないよ!

「こんな変態な方に背中を流されていたと思うとぞっとしますわ、わたくしもう一度お風呂に行って身を清めて参ります」
「あ〜そういえばさ〜わたしもお風呂覗かれた事あったな〜」
『やっぱり!』
「ちょっと、あれは単に私が風呂入ろうとしたら先にハルトマンがいただけの話ダロ!」

ペリーヌの事については言い訳しないけどさ。
なんなんだこの雰囲気は!そんなに普段の私は信用なかったのか?日頃の私の行動は怪しかったのか!?
自己嫌悪で頭が痛い、なんだか私が宮藤を押し倒したような気にすらなって来た。

「たっ確かに誘ったのは私からかも知れないケド、少なくとも共犯扱いにしてクレ」
「そうなんだエイラが押し倒したんだ……私、信じてたのに……女の子なら誰でもいいんだね……不潔よ」
「ちょっ、違っ、サーニャ!誤解だッテ!今の嘘ダカンナ!」
「あぁ〜エイラがサーニャ泣かした〜」
「変態の上に嘘つきでいじめっ娘とはもはや鬼畜だね、鬼畜だよ鬼畜」

みんなの煽りがサーニャの涙を加速させる。
うぎゃぁぁぁ〜サーニャが、サーニャが泣いているぅぅぅ。
これは悪夢に違いないんだな。頼むから悪い夢なら早く覚めてくれ……

〜一ヵ月後〜
夢じゃなかった……
あの後、サーニャは一言も口を聞いてくれなかった。
なにか汚らわしいものを見るかのような彼女の視線に耐え切れず、私はここスオムスへと帰って来ていた。

だがしかし、このスオムスも私にとって安息の地とは言えなかった。
人の噂というのは音速も時には光速をも超えるもの、同僚を押し倒し部隊を追われた不幸な魔女の噂はスオムスにも伝わり広まっていた。
ユーティライネン少尉に触れると不幸が染ると、今やスオムス一有名人の私に誰も近寄ろうとはしなかった、一人を除いては。

そんな私に以前と変わらなく接してくれたのは親友のニパだけだった。人間不信となった私の心を彼女は優しく包んでくれた。
暗闇のどん底にいた私にとって彼女はとても輝いて見え、以前の様に卑屈な影は不思議と見えなかった。
501部隊の連中とのあんな嘘臭い友情なんて糞食らえだ、私にはニパがいる私はニパと共にに生きて行くんだ!

「ニパが親友で本当に良かった、アリガトナ」
「お礼を言うのはこっちの方ダヨ、イッル‘ついてないユーティライネン’が親友で本当に良かっタヨ」

……え?

‘ついてないネン・コンビ’の伝説が今、幕を開けようとしていた。

エンディンクNo.07「スオムスに架かる友情の橋」
〜おしまい〜
417名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 01:31:29 ID:LJDZoRnS
この量が毎日くるの?
すげえ妄想力…というか根気
418t26gFAxT:2009/02/03(火) 01:37:37 ID:LjdxBbK1
昨夜といい、今晩といい、何事……
昨晩投下分にレスをしていただきありがとうございます。
一部、これレスしておいたほうがいいんかなー、というものがあったのでレスだけ
SSは……このあともう一度眠気が戻ってきてくれるまでに書き上げてみせる!
>>306
いいですよね!
ウィーリング、ウィルビュー、ウィルザベスetc...
呼び方は様々なようですが、色々なところで散見 できるといいなあ(願望)

>>310
薄荷はですね
調べたところ、過去に日本ではそれなりのシェアを持っていたらしいということと話の展開上使えるかなと思ったので採用しました
おそらく自分のセンスはこれぽっちも関わっていないと思われます。はい
ただまあ、ザベスさんはいちご飴しゃぶるようなタイプではないので最大公約数的な選択としてもおそらくは薄荷がベストなのです
スースーします

>>319
本当だ! 狙う? そんな賢くありません…… 賢く、なりたいな
ifシリーズ√33
「お姉ちゃんとバンパイア」

〜起床〜
私は目覚める、なにやら夢をみていた気もするけどはっきりとした記憶はない。
全身に冷たくも心地良い温もりが伝わって来る。私は愛しのトゥルーデ姉ちゃんに抱かれたまま眠っていたようだ。

「気分はどうだエイラ?」
「ソンナ気分だナンテ、トゥルーデ姉ちゃんに抱かれて幸せじゃないワケないダロ〜」
「クックック、可愛い奴め」

私の胸は幸福で満たされていた。知らなかった、夜がこんなに明るかったなんて。
夜の闇もトゥルーデ姉ちゃんも、この世のすべてが輝いて見えた。まるで新たな自分に生まれ変わった様だ。

「エイラ……」
「姉ちゃん……」
「エイラ……」
「姉ちゃん……」
「エイラ……」
「姉ちゃん……」
私とトゥルーデ姉ちゃんは時間を忘れただただ見つめ合う。

「やっふふ〜エイラさんばかりずるいです!私もお姉ちゃんとハグハグしたいもん!」

そして私の幸福な一時を打ち破る邪魔者は突如として現れた。げっ宮藤だ、今いいとこなのに邪魔するなよ。

「ちょ〜っとあんたたち、待ちなさい!」
誰かが窓をぶっ壊して飛び込んで来た。ルッキーニだ。
「あ〜ん愛しのトゥルーデお姉さまぁ〜ん」
そう言いながら宮藤の顔面を踏み潰し、踏み潰された宮藤は床にめり込んだ。

「そうよねぇ〜」
今度は坂本少佐が音もなく現れた。
「少佐どうしたンダ、いきなり現れテ」
「いろいろ……いろいろあったのよね……」
いろいろあったんだろうな坂本少佐……口調まで変わっちゃってるよ。
「じゃあ私はこれで……」
いったい何しに出て来たんだよ坂本少佐は!

「お姉さまぁ……んぐぅーぅぅぅげぼっ」
「いい気にならないでよねルッキーニちゃん、お姉ちゃんは私‘だけ’のものなんだからね!」
少佐に気を取られている隙に宮藤は二次元の世界から帰還していた。ライバル達は押し退きながら愛しの姉ちゃんに擦り寄っている。
私だって負けてられないんだな。私も姉ちゃんに駆け寄り、問い質す。

「いったいダレが一番好きナンダ!?」
「私が一番好きなのはエイラ……おまえ達の、その血だよ!カプッちゅぅぅぅ〜♪」

あぁぁぁぁ〜トゥルーデ姉ちゃんが、トゥルーデ姉ちゃんがぁぁぁ、私の血を吸っているぅぅぅ〜。
私は幸せです、私はトゥルーデ姉ちゃんの妹でいられて幸せですぅ〜。
エイラは、エイラは一生トゥルーデ姉ちゃんの愛奴ですぅ。

貧血を起しかけた私の脳裏に一人の少女の顔が過る、サーニャだ。なぜ彼女の顔が思い浮かぶ?
そんな事もうどうでもいい、なぜなら今の私にとってトゥルーデ姉ちゃん以上に大切な者など存在しないのだから……

エンディンクNo.08「お姉ちゃんとバンパイア」
〜おしまいでちゅー〜
420名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 01:57:54 ID:F2IuV0/Z
なんという超大作・・・・・
これだけのものを考えるのにどれほどの時間を費やしたか想像するだけで、
あなたの神がかり的センスに敬礼せざるを得ない・・・

あなたに最高のGJを!!
421ifシリーズ√34「さよならの詩」:2009/02/03(火) 01:59:48 ID:sjvaNibG
ifシリーズ√34
「さよならの詩」

新に書き綴られたページを読み終えると‘私’はその「if」という題名の本を閉じた。
それはちょっと不思議な物語。
エイラというとても素敵な女の子の物語。

ねぇエイラ、エイラはあなたの未来を手にいれたんだね。
自分の人生を生きて、もう‘私’なんかのものじゃないんだね。
‘私’も飛び立たなきゃだめだよね。

‘私’はそう決心しでキッチンに向う。キッチンには宮藤さんがいて朝ご飯の準備をしていた。
でもどうやって声かければいいの?エイラならこんな時どうしてたかな?

‘ほら早く行けヨ、オハヨウってさ、簡単ダロ?’

あれ?今の声……エイラ!
うんエイラ、私もう一人でも平気だよ、頑張れるよ。

「おは……ようっごさいます」
「あっ!おはよーサーニャちゃん」
「あの……トマト洗うの……手伝います」
「うんありがとう!トマトは体にいいんだよ〜生理不順とか特に、なぁ〜んて私ぃ生理まだなんだけどね、えへへっ」
「私も……私もまだだよ……芳佳ちゃん」
「サーニャちゃん……今芳佳ちゃんって?芳佳ちゃんって!初めて名前で読んでくれたね!」
「あの……ごめんなさい」
「そんな事ないよ、ありがとう!サーニャちゃん、私達きっと素敵なお友達になれるよ」
「うん……私も……そうなれたら嬉しいな……芳佳ちゃん!」

ねえエイラ、私もう一人じゃないよ、だから頑張れるよ。

〜エピローグ〜
未来はまるでわたぐものよう
ふわふわしていて心地よく
ぼんやりとして触れることは叶わない
でもね ながめているだけでは置いていかれるもの
だからわたしはとびつづけるの この広い空を

あなたとすごしたあの日を胸に……
愛しのエイラへ捧ぐ詩

エンディンクNo.00「さよならの詩」
〜おしまい〜
422√35「おのぞみの結末」1/4:2009/02/03(火) 02:02:19 ID:sjvaNibG
ifシリーズ√35
「おのぞみの結末」

私は悩んだ挙句、サーニャにキスをしようとした。

「イデッ」
「いたっ……」

おでこがぶつかった……
どこまでヘタレなんだ私!
キスなんて……するのはじめてだもんな。しかもストライカー履きながらなんて。
ほらサーニャが笑ってるじゃんか、と言うより微笑んでる?

「ごめんワタシ……した事ないンダ……キス」
「うふ、こうやるの……」

サーニャがその腕を私の首元に絡めてきた。サーニャが首を傾けそっと唇を寄せる。

……
天使の祝福を受ける時ってこんな感じなのかな。
そこからの記憶が抜け落ちていた。

「ごめんねエイラ……無理させちゃって」
「ごめんなサーニャ上手くできなクテ」
「ううん、そういう意味じゃないの……あなたが好きなのは私じゃなくてあっちの世界のサーニャなんだもんね」
「そんなコトないサ!どこの世界なんかじゃナイ!ワタシか好きなのはサーニャ、そのコトには変わりないヨ」
「うん」

この気持ちに嘘はない、私にとってサーニャはサーニャだ、それ以外の何者でもないんだから。
そしてサーニャの腕が解けるのを確認すると、今迄様子を覘っていた仲間達が集まって来る。
こっちのみんなとのお別れの時間がやって来た。

「それじゃ達者でな」
「頼んだわよ」
「ハイ!」

「あっあなたがどうしてもと仰るなら眼鏡……かけて差し上げてもよろしくてよ、伊達ですけどね」
「あぁ似合うと思うナ」

「まさか時空の壁突破一番乗りをエイラに奪われるとわな、まぁお前だったら仕方ねーか」
「あっちのあたしによろしくね〜ん‘先にないすばでぃになるのはあたしの方だかんね’って」
「伝えるヨ」

「おまえは何処に行っても私の妹には変わりない、憶えておいてくれ」
「あっちでもエロい事ばっかすんな〜」
「しねーヨ」

「私のおっぱいは何処に行ってもエイラさんの物ですから!」
「エイラさんのおっぱいは何処に行っても私の物ですから!」
「ちょっとリーネ何の事ダ!宮藤胸を揉むナ!」

帰る直前になり重大な事実が発覚した、時空間のズレが知らない間にまた進んでいた。
こっちのエイラはかなりエロいらしい。何やっちゃってくれてるんだ、こっちの私!
これはどうりで……サーニャもこれだけ積極的になるわけだ。

「エイラ……」
「サーニャ……」

そして私とサーニャはもう一度キスをした。こっちのサーニャとの二度目で最後のキスだった。
423名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 02:02:38 ID:jvseXrOO
とりあえず一旦自重してもらいたい
何がなんだかわからない上に他に投下したい人が投下できないだろこれじゃ
424√35「おのぞみの結末」2/4:2009/02/03(火) 02:03:53 ID:sjvaNibG
〜突入〜
私は渦の中心座標に進路を向け飛び込んだ。中心に近付くごとに潮汐力は強くなっていった。
到着時よりも亀裂は拡大している、そうかキスするかしないか葛藤してる隙に時間が経過していたんだ。
これじゃシールドを形成していても、亀裂を越える前に体が砕かれそうだ。
もう駄目だ、あきらめかけたその瞬間、私の体は加速を始めた。
何故だかズボンに温もりを感じる。

「エイラには私がついているよ……」
「サーニャ!」

サーニャが直結して私を後押してくれていた。
四機の魔導エンジンが唸りを上げる。

「サーニャ!早く戻るンダ!」
「いやっエイラを無事に送り届けるまで……私、平気だから」

私の体は次第によじれだす、どうやら亀裂に到達したようだ。
サーニャは?サーニャは無事なのか?

「エイラ!あなたに逢えて思い出したの……あの頃の気持ち、私……あなたが好き!離れたくな……」

次第にサーニャの体が引き剥がされて行く。
そして私は意識を失った。

〜ドーバー海峡上空〜
私は落下していた、目の前に海面が迫る寸前でなんとか姿勢を保った。
辺りを見回したがさっきまでいた仲間のみんながいない。
どうやら無事に元の世界に戻れたようだな。でも亀裂は?亀裂は塞がったのか?
私は頭上を確認する、何かが落ちてくる、人だ!私は慌てて救助に向った。

「大丈夫カ?しっかりし……サーニャ!」
「ごめんねエイラ……来ちゃった」
「来ちゃったッテもしかして……あっちのサーニャ!?」
「うん」
「エェェェー!」

どうする?どうする?どうする?
そうだ亀裂は?時空の歪みは感じない。私の頭痛は続いていたけどこれは別の原因だ。
どうやら亀裂は無事消滅したらしい……って事は、ここにいるサーニャはあっちの世界に帰れないって事だ。
問題はそれだけじゃない、時空間の修復作用が働くはずだ。
つまりあっちのサーニャがここにいるって事はこの世界のサーニャの存在が消えてしまう事を意味している。
先程まで感じていた幸福の副作用は思わぬ所に生じていた。この世に旨い話など存在しないんだ。
別世界のサーニャに恋してしまったばっかりに、私は二人のサーニャの運命を大きく変えてしまったんだ。

「やっぱり私……来ちゃいけなかったんだね」
「ソンナコトナイ!ワタシがサーニャを好きだって気持ちは本当ダヨ」
「ありがとうエイラ……」

サーニャは私に抱きつき泣き出した。たぶんサーニャも気付いてしまったんだな私の顔色の意味を。
あの時私はこの娘の気持ちを受けとめた、そしてこの娘は自分の世界を捨てて私を選んでくれたんだ。
私はこの娘を幸せにしなきゃいけない義務がある。いや義務じゃない願望だ!

「サーニャ、ここはあっちでもこっちでもナイ今生まれたばかりの……私達の世界ダ!」
「私達の……世界?」
「ソウサ!これから二人で創ってくンダ」
「うん!」
425√35「おのぞみの結末」3/4:2009/02/03(火) 02:06:13 ID:sjvaNibG
〜ハンガー〜
基地に到着すると隊員みんながハンガーまで出迎えてくれた。
みんなこんなに心配してくれてたんだ、私の目は潤んだ。

「ミンナ!タダイ……ゲフゥ」
「テメーどの面下げて此処にいやがる!(ズコーン)」

おかえりの言葉もなく、いきなりシャーリー大尉のドロップキックが飛んで来る。
私に弁明の余地はなく他のみんなを加えた矢継ぎ早の攻めが続いた。

「シャーリー!エイラなんかやっつけちゃえ〜(がし〜ん)」
「私にあんな事して、その上芳佳ちゃんを誘惑するだなんてヒドイです(バシン)」
「エイラさん逃がしませんよ!エイラさんのおっぱいは私の物です!(むぎゅ)」
「お姉ちゃんと呼べば何をやらかしても許されると思うな(ドス)」
「揉み逃げは卑怯だよね〜倍返しさせて貰うよ〜(むぎゅむぎゅ)」
「坂本少佐にだってあんな事、あんな事(げしげし)」
「覚悟は出来ているだろうな(ザクリ)」
「おわかりよね?(♪♪♪)」

なんなんだ!いきなりタコ殴りって!熱烈歓迎?愛情の裏返し?そーじゃねーよ!
奴だ、もう一人のエイラがこっちで何かやらかしたんだ。
私がこの世界に戻って来て入れ代わりに消えたもんだから、その矛先が私に向いているんだ。
頼む、サーニャからも説明してくれ!

「あなた……誰?」
「サーニャ!それはないダロ!エイラダヨ!」
「そうじゃなくてエイラの……後ろ」
「あの……サーニャです……」
「そうそう私の後ろにいるのはサーニャに決まってんダロ、何言ってンダ?サーニャ……サーニャ?」

え?後ろにいるのがサーニャで、じゃあ私が最初に話かけたのは?え〜!

「サーニャガ……」
『二人いる!』
「あの……はじめまして」
「はじめまして……」

隊員みんなに半殺しにされ薄れ行く意識の中で、私は残りの命を削りながら今迄の事について説明した。
時空の歪みの事、あっちの世界の事、もう一人のエイラの事について。
みんなは二人のサーニャを目の前に否応なしに納得し私の冤罪も無事晴れた。
その後の記憶はない、私の命は尽きる寸前だった。

〜自室〜
「私なんかもうキスしてるんだからね二回も!それも唇に!」
「キスくらいでいい気にならないで!私なんてエイラが寝てる隙にもう×××しちゃってるんだから」
「×××だなんてそんな!まだ私だってしてないのに!」
「だって仕方ないじゃない!こっちのエイラは私が誘っても何もしてくれないんだもん!」
「そこがキュンとくるんじゃない!淫乱雌豚はおっぱい魔神の家畜にでもなったらどうかしら?ぶひぶひ」
「うっさい!泥棒猫は黙ってて!私のエイラに変な臭いつけないでよ!」

……
「ハッ!?」
『ZZZ……』
426√35「おのぞみの結末」4/4:2009/02/03(火) 02:07:59 ID:sjvaNibG
〜起床〜
私は目覚める。私は夢をみていた。
何故かサーニャが双子になっていて、二人が言い争っている。確かそんな夢だった。
サーニャが出てくるんだから吉夢に違いないんだけど悪夢だったような……まあ双子って時点で変な夢だったな。

寝返りをうつと目の前にサーニャの寝顔が現れた。
あわわわわっサーニャ!なんでこんなとこにいるんだ!また部屋間違えたのか?
うぅ〜そっそんな油断しきった顔しちゃってると私だって……
だめだ!だめだ!サーニャにそんな事出来ないだろ!
私はもう一度寝返りをうってサーニャに背を向ける。
目の前にサーニャの寝顔が現れた……あわわわわっ。
もう一度寝返りをうつ、サーニャの寝顔が現れる。
サーニャが……二人いる!

私達三人は川の字になって寝ていた。どうしていいのかわからずに私は天井を見つめた。
夢の続きなの?違う身体中がズキズキ痛むんだから。そうか、あの後私はここに運ばれてそのまま寝ちゃったんだ。
じゃあサーニャが二人いるってのもやっぱり現実なんだな。
あ〜私って世界一幸福な美少女ぉ〜♪
あっ世界一の美少女はサーニャとサーニャだから、私は世界一幸福で世界で三番目の美少女だな♪

でもどうして二人のサーニャが同じ世界に存在できるんだろう?
私がこっちに来てもう一人のエイラは消えた。同じ様にどちらかのサーニャが消えなければこの世界のバランスは崩壊するというのに。
何か別の方法でバランスを保っているのかな。

それよりも今考えなきゃいけないのは私自身の事だ。
もう一人のエイラは、はてしなくエロかった。奴は他人じゃないもう一人の私だ。
自分でもわかってるんだ、あれは私自身にも潜んでいる闇の人格だって事が。

「うぅ〜んエイラぁ〜……むにゃむにゃ」
「ちょっとサーニャ……」

右側のサーニャが寝惚けたふりして抱きついて来た。震える子供の様に私の右腕にしがみついている。
今度は左側のサーニャがそっと手を握って来た。合わされた手に力がこめられる。
起きてたんだな二人とも寝たふり続けてるけどさ。なんかいじらしい……

そうだ世界一幸福な美少女だなんてうかれていられないんだ。
欲望に流された結果、私はこの世界のサーニャを失いかけたばかりじゃないか。
そしてもう一人のエイラは一番大切な人を失った。まぁこいつにとって本当にサーニャが一番大切な人だったかは怪しい所だけど。
私はこの娘達に対して誠実じゃなければいけない、そうでなければ私も報いを受けるんだろうな。
他の娘への浮気だけじゃない、いずれはどちらか一人のサーニャを選ばなきゃならない、そういう意味だ。

でも……どっちのサーニャも大好きだなんてやっぱり駄目かな……えへへ駄目じゃないよね、ねえどう思うダニエル?
‘おまえの言う通りだ’
やっぱり!やっぱりダニエルもそう思うか、親友のおまえがそう言うんだから間違いないな!
私は枕越しに本棚横にある藍色の頭像を見つめ……いない、サーニャの次に大切な、親友ダニエルがいない!
人には言えない悩みを顔色一つ変えずに聞いてくたダニエル、嬉しい時も悲しい時もいつも傍にいてくれたダニエル。
そのダニエルがいない!ダニエルが家出した!まさか誘拐されたなんて事は!?
あぁどこへ行ってしまったんだ!帰って来ておくれ、私の親友、愛しのダニエル!

審判は既に下されていた。

エンディンクNo.09「おのぞみの結末」
〜おしまい〜
ifシリーズ√36
「イノセント・デイズ」

今度こそ間違いない、怪しい行動を取った奴がいるんダナ。

私は風呂場での情景を思い浮かべた。やっぱりおかしい、あの場にいるべき人物がいない。
だけどこんな物じゃまだ確証とは言えないな。何か証拠を摘まないと。
サーニャの事も気掛かりだけどサーニャを巻き込むわけにはいかないな。
私は心当たりのある場所へと直行した。

〜ハンガー〜
私は隊員のストライカーを確認する。
やっぱりあの人のストライカーだけない!とするとあの人は……あの時点で既に。
そしてルッキーニがミーナ隊長を発見した時には何か別の物に擬態してやり過ごしたんだろう。
これは予想を上回る深刻な事態になりそうだ急がなきゃ。私はあの人、いやあの人と入れ替わったモノがいると思われる病室へと向った。
428名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 02:11:36 ID:j8B0+fDY
支援
429√36「イノセント・デイズ」2/3:2009/02/03(火) 02:11:51 ID:sjvaNibG
〜病室〜
病室に入るとベッドの上にはミーナ隊長が、それに付き添い坂本少佐と宮藤がいた。

「宮藤、バルクホルン大尉ハ?」
「えっとミーナさんの容体が安定したんでみんなに知らせに行きましたけど、どうしたんですエイラさん」
バルクホルン大尉は不在か……計算が狂ったな、なら私達でなんとかしないと。

「宮藤、少佐から離レロ!そいつは少佐じゃナイ、おそらく……擬態したネウロイダ!そうですヨネ‘少佐’?」
坂本少佐からの返事はない。
「何言ってるんですエイラさん、どういう事なんですか!?」
「こういう事ダ!」

私は短銃に魔力を込め解放つ。
着弾点が歪み、ヘキサゴンを型取った少佐の偽りの皮膚が剥がれ落ちる。中からはハニカム構造をした漆黒の肉体が現れた。

「どうしたんですか?坂本さん!坂本さん!」
「宮藤ソイツは敵ダ、ソイツから離レロ!」

早まったか、宮藤が状況を把握してから仕掛けるべきだったな。宮藤はなおも坂本少佐の偽物へ語り続ける。
ネウロイの右腕がビーム状の扶桑刀へと変貌し、宮藤へと振り下ろされようとしていた。
「アブナイ、宮藤!」
呆然と立ち尽くす宮藤を庇ったはいいが扶桑刀が私の肩口を焼き切る。
私の傷口を見て少しは現状を把握したのか宮藤がシールドを形成した。

「坂本さん!こんな事もうやめて下さい!」
だが未だに宮藤は現実を受け入れようとはしない、シールド越しに偽物への問い掛けは続けられた。
私は弾を撃ち続けるが短銃に込められる魔力などたかが知れている、その上傷の痛みが追い打ちをかけていた。
それ以上に問題なのは奴の胸部・腹部・脳天、狙撃部のどれもが偽りの急所でしかないという事だった。
手立てはないのか……

「はい、はい、でも……わかりました!」
「宮藤?宮藤ドウシタ!ダレと話てル?」
「坂本さんが、坂本さんが!真実を見極めろって、自分のその目で見極めろって私に!」

宮藤が何を言っているのか信じられなかったが、それ以上に信じざるをえない光景を目にした。
魔眼だ、魔眼が宮藤の右目に宿っていた。あれはおそらく坂本少佐の魔眼だ。

「エイラさん、コアは右目です!右目を狙って下さい!」
「了解ダ、宮藤!」
私は偽物の眼帯目がけて引き金を引く……くそっ弾切れだ。こんな時に!
宮藤の想いが、坂本少佐の意志が無になる。

《パーン》
その時、乾いた銃声が響いた。ミーナ隊長がベッドから起き上がっていた。
ミーナ隊長の放った一撃は的確にコアを貫き、坂本少佐の幻影を消し去った。

「助かったヨ、ミーナ隊長」
「でも大丈夫なんですかミーナさん?起き上がったりして」
「ええ私にも聞こえたのよ……美緒の声が、そして怒られちやったわ‘何寝てるんだ’ってね」

「でも私わからないんです何でネウロイはミーナさんを狙ったんですか、基地に潜り込んでまで」
「たぶん坂本少佐の記憶からこの隊の中枢、つまり何がコアなのかを読み取ったんダナ」
「そうですね、私達……いいえ坂本さんにとってミーナさんは特別な存在ですもんね」
「美緒……あなたって人は……」

そう言いながらミーナ隊長はその場に泣き崩れた。
それにつられて宮藤も泣き出し、私は涙を堪えてそっと宮藤の肩を抱いた。
430【投下一時終了】√363/3:2009/02/03(火) 02:16:31 ID:sjvaNibG
〜一年後〜
私はあの日の出来事を振り返っていた。一人展望台に登り空を眺めていたら自然とそんな気分になったからだ。
あの後捜索が行なわれたが結局坂本少佐は帰って来なかった。
私は自分を責め立てた、私が出撃しなかったばかりにと。いいや私だけじゃない誰もが自分を責め、誰もが他を責めなかった。

そしてあれから私達もいろいろ変わった。
ミーナ隊長は現役を退いたが戦う事は辞めなかった。軍の中枢に入り彼女の戦いを続けている。

新たな隊長にはバルクホルン中佐が、そして副官にはシャーリー少佐が任命された。
二人は前任に負けない名コンビだと私の目には映る。
喧嘩の目撃回数は前任者達の比じゃないけど、私は少し羨ましく思う。

ペリーヌは宮藤との朝連を毎日欠かしていない。坂本大佐を救えなかった自分が許せていないのか、別の理由があるのかまでは知らないが。
その宮藤の成長は凄まじい、特に著しいのはその天然タラシっぷりだ。笑い方まで坂本大佐に似て来た事だけは頂けない。
ルッキーニは宮藤にロックオンされている、理由は当然その胸だ。僅か一年で私すら追い抜かれた、ロマーニャ魔女の恐ろしさを知った。
リーネは思わぬ伏兵の出現に困惑気味だ。サーニャと二人でいる事も多く見かける。
問い詰めると「恋愛相談に付き合って貰っているだけですけど、内容までは教えられません」と笑顔で言われた。
相談相手が恋愛対象になんて……ないよな!?

サーニャは。
サーニャは自然とみんなの輪に溶け込むようになった。
私にもエースとしての責任が増え、自ずとサーニャと一緒にいる時間が減っていった頃からだ。
私は気付いてしまった、皮肉にも今まで私の独占欲がサーニャを孤独にしていた事を。

ある日サーニャが語ってくれた「私……負けたくないから……私も強くなるね」と。
具体的な意味はよくはわからないけど、たぶんサーニャは新しい一歩を踏み出しているんだ。

そして私はヘタレのままだ、サーニャに見合う私を求めて今も頭を悩ませている最中なんだから。
ただこれだけは言えるサーニャの笑顔を守る事こそが私の使命だ、その気持ちは今もそしてこれからも決して変わる事はない。

「なぁ〜に考えてんの?」
「うわっナンダ!?エーリカかよ、別に何もナ」

寝そべりながら見上げていたその空を、エーリカの無邪気な顔が覆った。
一人忘れてた……エーリカこいつだけは何一つ変わってない、そう振る舞っているだけかも知れないが昔のままだ。
二枚看板のエースとなり、こいつとロッテを組む事も増えたが未だに謎の多い奴だ。

「何考えてたか当ててみせようか……昔の事でしょ?」
「なっ何でわかんダヨ!」
「なんとなくねぇ〜なんてね、今日は久々にミーナが基地に来るからさ〜みんなも同じ事考えてるかもね」
「あぁそうダナ」

本当は半分当り、半分外れなんだけどな。
今私は大人と子供の境界線を漂っている、これから私達はどう変わっていくんだろう。
モラトリアムに彩られた日々を懐かしく思いながらも私はそんな事を考えていた。
見上げた空には雲がその形を変えながら流れて行き、そしてまた新しい雲が流れて来ては消えて行った。

「そうそう、そんでそのミーナが新しい教官連れて来るんだってさ」
「教官!?私達本部から信用されてないって事カヨ、どんな奴ナンダ?」
「さぁ〜現役引退した元魔女らしいけど詳しくはわたしもわかんない」

「へぇ〜ドコ出身なんだろナ」
「え〜っとね〜確かね……扶桑……だったかな?」

エンディンクNo.10「イノセント・デイズ」
431名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 02:20:21 ID:tw8hfDvU
長すぎて読む着なくした
432名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 02:35:13 ID:X8xXIvU/
38話まで後2話分か、頑張ってくれ。
容量50k越えとか間違いなくナンバーワンだよこれ。

目がチカチカしてきた人はリーネスレからの支援物資でも見て心を休めるべし

377 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/02/03(火) 02:05:20 ID:E88/DyQM
ようやくできた… 眠い…


リーネちゃんのないしょの基地探訪2 第13話追加
元ネタは百合スレの企画
キャラ紹介に尺を割きすぎたせいでリーネちゃんの発言がいつもより少なくて申し訳ない…

http://www2.age2.tv/rd2/src/age0819.zip.html
pass:ヨシカ
433名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 02:48:47 ID:RrCABPHW
>>432
あら、投下ラッシュが終わってから投稿しようとしたら先に貼られちゃいましたね。

イレギュラーな形式なので扱いが微妙かもしれませんが、今回は第1、9、28、32、42、48手です。
434√37「11人目の魔女」1/3:2009/02/03(火) 02:56:59 ID:sjvaNibG
(未完です)
ifシリーズ√37
「11人目の魔女」

「宮藤ダ!」
私は大声で叫んでいた。

みんなの視線が私と宮藤を行き来する。

「宮藤がどうかしたのか?」
「朝食の時、宮藤だけいなかったナと思ってッテ」
『そう言われればそんな気がするような、しないような』
「どうなんだ宮藤?」

坂本少佐がそう質問すると、今度は宮藤にみんなの視線が集中する。

「……やっぱりエイラさんにはわかっちゃうんですね……私がここにいちゃいけない人間だって事が」
『どういう事だ!?』
「私は未来、正確には明日から来た宮藤芳佳みたいなんです、でもそれ以外は私にもわかりません……」
『未来!?』

〜明日から来た魔女〜
「はい、さっきまで私は夜間哨戒……をしていたんです、そしたら何か穴に落ちるような感覚がして。
気付いたらみんないなくなっていて、お昼になっていて。
基地に戻ったらキッチンにシャーリーさんがいて、そこで今が昨日だって知ったんですけど。
ちょっとおかしいんです!私の知ってる昨日、つまり今日の出撃は夕方のはずだったのに坂本さん達は出撃しちゃってて。
それで慌てて私も出撃したんですけど……後はみなさんご存じの通りです。」

少しづつだけどわかって来た。私が感じた違和感は時空認識能力の為だ。
時空間の修復作用でみんなは宮藤という魔女が昔からいたかの様に錯覚している。私も例外じゃない。
だけど目の前にいる宮藤がこの時空の人間でない事は確かだろうな。
そして未来と言ったけれど私達の501部隊と宮藤のいた501部隊は別の時間の流れにあるみたいだ。
そもそもこの501部隊は10人で全員なんだから当然なんだけど。
たぶん宮藤は時空の亀裂に落っこちてこの世界にやって来たんだ。

〜解決策〜
「あの……私ここにいちゃ駄目ですか?坂本さん!ねぇリーネちゃん!」
「私に言われてもな……私にはおまえがいて当り前の様に思えるから質問そのものがな」
「ここは芳佳ちゃんのいる場所だよ、この世界は愛に満ちているんだよ!」

リーネは意味不明な言葉を発していたけど気持ちだけはわかった。
とにかく宮藤はここに残る事を必死に訴えかけているんだから。
でもなんでだろう?他のみんなはともかく宮藤自身はこの世界の人間じゃないって事気付いているのに。
何か帰りたくない訳でもあるのか。

「そんな事が許されるなんてありえませんわ、さっさとあなたのお家にお帰りなさい」
「え〜11にんでいいじゃん〜芳佳がいないとつまんないぃ〜」
「わっ私もその意見に賛成だ!なっなにかと都合がいいからな!」

「ん〜どうなのかしらね、エイラさん?そもそも宮藤さんの言っている事は確かなの?」
「ウン確かに宮藤は、この時空の人間じゃナイのは確かダナ、たぶん時空の亀裂に落っこちて来たンダ……デモナ……」
『でも?』
「宮藤がやって来た時空の亀裂はたぶんもう塞がってイル、何も感じないからナ。
それにその亀裂の原因は別の時空に存在しているみたいダカンナ。
つまり……どっちみち帰る方法がないンダ」
『!!!』
435√37「11人目の魔女」2/3:2009/02/03(火) 02:58:26 ID:sjvaNibG
宮藤が帰るかどうかとの倫理的な問題以前に、帰れるかどうかとの物理的問題が答えを出していた。
……と思われたその時!

「ちよーっと待った!帰る方法ならあるぜ、ここにな!」
『シャーリー!それはまさか!』
「そのまさかだ!こんな事もあろうかと秘かに開発しておいた超光速タキオンエンジン!こいつがあれば時空の壁を突破できるぜ!」
『お〜流石シャーリー!音速の壁を超えた女だけの事はある!』
「ただちょっと……」
『ただちょっと?』
「問題があってな……」
『問題?』

「こいつは試作品だから……一度も光速に達していない」
『ダメじゃん』
「最後まで聞け!こいつは二組ある、あたしがブースターになって宮藤を加速させればどうだ?」
「つまり切り離し式ロケットだと言いたいのだな、リベリアン?」
「流石だね〜カールスラントの英雄様は鋭い!だけど……」
『だけど?』
「もう一つ問題があってね……」
『もう一つ?』

「こいつを使うにしても宮藤がいた時間の流れと年代を特定しなきゃ駄目だ、流れは少佐とエイラの魔法力で特定出来るが年代までは無理、そうだよなエイラ?」
「ソウダナ、ワタシが少佐の魔眼を通せば流れは見えル、けど年代はムリダナ」
『なんで?』
「私から説明する、おまえ達の両目と同じ事だ二つ揃って距離感を認識出来るだろ?だが私の魔眼は片目にしかないからな」
「そーゆー事さ、つまり宮藤が元の世界に帰れても百年後か二百年後かも知れないって危険の伴う旅になるわけ」
「では宮藤さんが帰るのは実質的に不可能という事になるわね……」

沈黙が続いた。まさかそんな危険な旅をさせる訳にはいかない、私ならどうだろう……たぶん嫌だな。
ここは宮藤のいた世界とたいしてかわらない世界らしい。
その今を捨ててまでいつの時代かもわからぬ元の世界に拘る必要があるのか。
それに宮藤には帰りたくない理由があるみたいだしな……
どうする宮藤?

「魔眼なら……ここにもあります!」

宮藤の右目が赤く輝く。魔眼だ、魔眼が宮藤の右目に輝いていた。
宮藤も魔眼の魔法力を持つ魔女だったんだ。
436√37「11人目の魔女」3/3:2009/02/03(火) 03:01:12 ID:sjvaNibG
〜明かされた事実〜
「宮藤おまえも魔眼の使い手だったのか」
「違います……違うんです!……私の魔法は治癒能力で……これは……坂本さんの形見なんです……」
「!!!」

その場に動揺が走る、当然だ。別の世界だといえ今私達は坂本少佐の死を告げられたんだから。
まさかこの中から殉職者がでるとは、いや覚悟はしていたつもりだったのに震えが止まらなかった。
皆同じ様な表情をしている、私なんかマシな方かも知れない。
ただ坂本少佐だけは違っていた。宮藤の言葉を受け入れてないのではなく、とっくに覚悟は決まっていたかの表情だ。
そしてその表情はしだいに和み、母性のそれへと変化していた。

「宮藤、落ち着いて話してみてくれないか?」
「本当は夜間哨戒なんかじゃないんです、坂本さんの捜索をしていたんです。
今日出撃した坂本さんはネウロイにやられて……帰って来なかったんてす。
エイラさんの代わりに、私が出撃したばっかりに……私のせいなんです!私が、私が、私が……」
「それで私達を出迎えて……そして帰りたがらなった訳か……」
「はい……私が、私が……」

宮藤はただ泣きながら同じ言葉を繰り返す。
そして坂本少佐の表情はしだいに険しく、父性のそれへと変化していた。

「宮藤ぃぃぃーっ!」
「はっ、はい!」
「おまえは元と世界へ帰れ、何としてでもだ!
それが私の意志であり、向うの私の意志だ。
向うの私がおまえに魔眼を託した事が、元の世界へと帰って来いと言っている何よりの証拠だ。」
「でも私、守りたいんです!元の世界の坂本さんを守れなかった分も、この世界の坂本さんだけは私の手で守りたいんです!」

「甘ったれるな宮藤!現実から自分から逃げるな!
宮藤、向うの私を守ってやってくれ、おまえのその手でだ。
なぜならこれだけは言える、向うの私はまたお前達の前に現れる。
どこの世界だろうとそれが私である限り、私はおまえ達の前から黙って消え去ったりはしない、確信があるからな!
おまえは、おまえの世界でおまえの人生を全うしろ、それが私達の願いだ。」
「坂本さん……(ゴシゴシ、パンパン)……はい!宮藤芳佳これより一生を懸けて、この任務遂行致します!」
「わっはっはっは、宮藤ぃ〜いい声だ、頼んだぞ」
「はいっ!私頑張ります、約束します!」

私達は遠くから二人をただ見守っていた。
どうやら宮藤の決心は固まったらしい。
そして私達は宮藤が元の世界へ帰るための作業に取り掛かった。

(つづきます)
437√38「エチュード」1/3:2009/02/03(火) 03:04:05 ID:sjvaNibG
ifシリーズ√38
「エチュード」

サーニャが……いない!
いったいどういう事なんだ!

私はもう一度戸棚の上を確認する。
黒猫も白猫もいなかった。
独りぼっちじゃかわいそうだからって、私の白猫もサーニャの黒猫の隣に住まわせてあげようって、二人でそう決めたんだ。
名前はそのうち決めようねってサーニャは言ってたけど、私は密かにこの娘達をサーニャとエイラって名付けたんだ。
私達二人の、そんな大切な想い出の証拠がないなんて!

私はサーニャの寝室を飛び出し基地中駆けずり回った。
サーニャを探して、サーニャの面影を探し求めて。
サーニャはどこにもいなかった。
それよりも虚しかったのはサーニャとの想い出の場所など、この基地内に数える程度しか存在しない事だった。

〜ハンガー〜
私は仕方なしにハンガーにいた。
ここでのサーニャとの想い出なんて何一つなかったけど、もうやる事なんてサーニャのストライカーを確認する事しか残ってなかったのだから。

ストライカーの整備中だったシャーリー大尉がその手を止める。
ゴーグルを外しながら私に叫ぶ。

「どうしたエイラ?出撃か!」
「イヤ……そうじゃナクテ……」

私があまりにも慌ててハンガーに飛び込んで来たものだから、勘違いさせたんだ。

「サーニャの……ストライカー知りませンカ?」
「サーニャって誰だよ」

やっぱり……予想通りの答えだ。
私は泣き出す寸前だ、みんなで私をからかってるんじゃないよね。
サプライズパーティーだとしたら悪い冗談だよ、私の誕生日まだまだ先なんだから。
私は泣き出していた。

私の泣き顔を目の当りにして、シャーリー大尉は親身になって私の話を聞いてくれた。
気さくなだけじゃなくて面倒見も良い先輩だ。
よく悪戯を仕掛けられるけど周りを不快にさせる様な事はしない人だ。
やっぱり私……みんなにからかわれている訳じゃないんだな。

「そんじゃ詳しく教えてくれ、そのサーニャって奴のストライカーは何色だ?武装は何だ?」
「サーニャのストライカーハ……、……」

思い出せない。
サーニャがどんな機関銃を構えていたのか覚えていない。サーニャが飛んでいる姿が何も見えない。
なんで?なんで何も浮かんでこないのさ。
サーニャは……サーニャは確かにいたんだ!
だって初めて会った日の事だって鮮明に覚えて……

ない……出会った時の事、覚えてない。

私達……どこで逢ったんだっけ……いつ……逢ったんだっけ。
私はサーニャの事、何一つ知ってやしない。
じゃあいったい何なんだ!私達の想い出は何だったのさ!

私は大声で泣き叫んでいた。
訳もわからずだろうに、シャーリー大尉はそんな私をあやしてくれている。
大尉の胸に包まれる中、外から凄まじいプロペラ音が鳴り響いて来た。
438√38「エチュード」2/3:2009/02/03(火) 03:06:04 ID:sjvaNibG
〜滑走路〜
私とシャーリー大尉は外に出てその音の正体を確かめた。
上空に大型の輸送ヘリが滞空していた。
滑走路には私達より先にミーナ隊長とバルクホルン大尉が来ていた。
どうやらこの二人はこの輸送ヘリが何者なのか知っているらしかった。
シャーリー大尉がバルクホルン大尉に詰め寄る。

「こいつ、なんなんだ?」
「秘密兵器の到着だ、これで我々の戦いも大夫楽になる」

秘密兵器ってなんだろうな?ちょっぴり興味がわく。
輸送ヘリが着陸目前になるとハルトマン中尉とペリーヌもやって来た。

「いったい何を積んでいますの?」
「秘密兵器だっテサ」
「どんな機能を兼備えているんですの?」
「さぁわかんナイ」
「うふふっ、あなた達もきっとびっくりするわよ」

ミーナ隊長は悪戯に笑う。そして輸送ヘリの扉が開いて中から一人の少女が降りてきた。
体に似合わぬ大きなトランクを両手で抱えた様はとても弱々しく見える。
実際こっちにやって来るまで何度かよろめいていたんだからあまり丈夫な娘じゃないんだろうな。
ミーナ隊長が出迎えると、少女はトランクを地面に置き頭に乗せていた麦わら帽子を膝へと移動させた。
風に揺られプリーツベルトと銀色の綺麗な髪がふわりとなびく。
……!

「ではみんなに紹介するわね、今日からこの501部隊に配属となるサーニャ・V・リトヴャクさん階級は中尉よ、ではサーニャさん挨拶よろしくね」
「あの……よろしくおねがい……します」

「サーニャ!」

私は思わず叫んでいた。
周りのみんなは騒ぎ出す。少女は、サーニャはきょとんとしていた。

「わたくしサーニャって名前に、どこかで聞き覚えが……」
「そういえば……聞いた事がある!」
『知っているのか?シャーリー!』
「ああ、さっきエイラに聞かされた名前だ」
「あらエイラさん、二人は以前からの知り合い?だったらエイラさんにサーニャさんのエスコートを頼んじゃおうかしら」

〜展望台〜
サーニャ……サーニャ中尉が荷物を自室に置くと、私は基地内を案内して回っていた。
途中ハンガーで両大尉がこの娘のストライカーの搬入をしている所を見かけたけど、その黒いストライカーは初めて見る物だった。
武装は機関銃ではなくロケット砲だった、トランク一つまともに持てないこんな娘に扱える代物とは思えなかった。

ここ展望台に到着した頃になり、私はようやく理解していた。この娘とは今日初めて会う、その事に間違いはない。
この娘と一緒に買い物に行った一日の出来事、あれは今朝夢でみた記憶だったんだ。
でも何故会った事もないこの娘が夢に出て来たんだろう?
予知夢?私は未来予測の魔法力を持っているけどこんな事は初めてだった。

現実に戻るとさっきまで騒ぎ立てていた自分が馬鹿らしく思えてきた。
本当にこんな娘が、私にとって大切な存在なんかになりえるとは到底思えなかったからだ。
何を言っても碌に返事も返してこないし、私の方を見向きもしない。全く何考えているのかわからない奴だ。
ペリーヌとは真逆のタイプだな、苛立つのには変りないけどさ。
その苛立ちが私を夢から現実に引き戻した大きな要因でもあった。
でもよく考えてみたらこの微妙な距離感の原因は私にあった。
この娘は私より年下なのに私の上官にあたる存在で、どう接すればいいか判断しかねていた。
私ですらこんな状態なのに、配属初日のか弱い娘に何を要求してるんだ。
私が苛立ちを現していたら、この娘も畏縮して当然じゃないか。

そうこの娘は……単に夢に出て来ただけで、私に現実を見失なせる存在……なんだよな。
まだ何もはじまっちゃいない。飛び立たってみなきゃ結果なんてわかんないよな。

「実はサ……今朝の夢にサーニャ中尉が出て来たんダ、ゴメン変なコト言ってるナ、ワタシ」

笑われるかもと思いながら私は今朝の夢について打ち明けてみた。
この娘は私の魔法力が何かをまだ知らない、馬鹿にされるのがオチだ。
だけど彼女は私の言葉を信じるでも信じないでもなく予想外の反応を示した。
さっきまで陰湿だった彼女の顔に笑顔が灯る。
そしてやさしく呟いた。

「ねぇエイラさん……私思うんです……未来ってわたぐものみたいだなって」

その笑顔が私の瞳を見つめている。
その言霊が私の体を透過していった。

《キュン》

何?今の音?生まれて初めて聞いた音だ。
何かが私の中を流れて、何かが私の心を震わせたんだ。
どどどどっ、どうしちゃったんだ私!?
なんなの?なんなのこれぇ〜!
あたふたしている私を彼女は不思議そうに見つめ続ける。
なっ、何か喋らなきゃだな、何?何?何喋ればいいんだ?え〜っとえ〜っと……

「ジジジジ時間が出来たら買い物行コウ、イロイイロイロ必要ダロ?イイィ雑貨屋知ってるんダ」

「うふっ……はい……お願いします」


〜はじまりの詩〜
未来はまるでわたぐものよう
ふわふわしていて心地よく
ぼんやりとして触れることは叶わない
でもね ながめているだけでは置いていかれるもの
だからあなたはとびつづけるの この広い空を

あなたに出会うその日のために……
愛しのあなたへ捧ぐ詩


それはいつも誰かが夢の中で語りかけてくる詩だった。

そして新な物語は書き綴られていく……

エンディンクNo.12「エチュード」
〜おしまい〜
440名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 03:34:41 ID:LJDZoRnS
おつかれさまなんだけど、正直ちょっと参った

投下前に許可を取ったとは言え、ここまでくるとあまり親切じゃない印象を受ける
構造上いっぺんに出したい意図はくめるが、公共の場ということを踏んではどうか

「読む気が起きない」と、率直に書くもの不躾だが、卿はずいぶんとスレの時間を
私有されていた印象を受ける、あまりいい印象ではない
今後もこうした巨編を画しているならば投稿方法について再検討する必要を感じる
と、一意見として申し上げる
441名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 03:40:29 ID:fWfqABnY
>>440
そうは感じなかった。
長いのは仕方がなくない?
442名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 03:40:55 ID:z1LwtX6U
>ストックがあるので、毎日ここに何本かづつ投下させて貰ってもよろしいでしょうか?

って事から了承を得たのに、1夜で全38話一気に投下するとはなw
それともこれが毎日続くってことなのかしら?
だとしたら一考の余地がある。読む方も読まれる方も最善の策とは言い難いからね。
443名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 03:46:58 ID:EnNFlExi
もうサイト作ったほうがいいんじゃねーの?
毎日見に行くぞ。
444名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 03:54:26 ID:sgoQmZva
まとめさんがメンドクセって言ったら俺がまとめようか?
445名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 04:00:23 ID:sjvaNibG
(アンカーが多すぎたらしく規制にあってました、二分割になり申し訳ない)
★ifシリーズ一覧
※√1から読み進めて下さい。

√01>>335 「はじまりの詩」
√02>>336 「蕃茄紅色の食卓」
√03>>337-338「ラベンダーピンク」
√04>>339-340「ダンスのお相手」
√05>>341-343「かまいたちの夜」
√06>>344-347「見馴れない風景」
√07>>348 「これからの出来事」
√08>>349 「彼女のいない部屋」
√09>>350-351「最後の約束」
√10>>364 「ロッテ」
√11>>366-367「11人いる!」
√12>>368 「今日の出来事」
√13>>369 「]V 死神」
√14>>370 「破られた約束と守られた約束」
√15>>371-372「マルガリータとボロネーゼ」
√16>>373 「]Y 塔」
√17>>379 「]Z 星」
√18>>380-381「チャイルドユニバース」
√19>>382 「パラレルワールド」
√20>>383 「]] 審判」
√21>>384 「選択の余地」
√22>>385 「月夜の宴」
√23>>386 「月下の告白」
√24>>389-390「不揃いのカップとお揃いのカップル」
√25>>393 「あなたのかえる場所」
√26>>394-396「夢のオールスター編」

以後√27〜√38まで続く

※√10からの分岐パラグラフは削除しました。結末を書き上げる自信がないのであらすじで。
★ペリーヌとロッテを組む事になったんダナ。
→√39へ

ifシリーズ√39
「白と黒」
ペリーヌとロッテを組んで出撃し、ネウロイと遭遇したんダナ。
ネウロイがペリーヌに化けたけど戦わずにお友達になったんダナ。
黒ペリーヌはいい娘なんダナ、そして白ペリーヌがツンデレ発動したんダナ……自分の分身に惚れるナヨ。
黒ペリーヌを通して普段気付かなかった白ペリーヌの長所に気付き坂本少佐と私までがドキドキしだしちゃったんダナ。
でも愛情って未知の感情を知った黒ペリーヌは暴走し出して……
そして私は……

こんなお話です。以後ペリーヌ好きのあなたの妄想力による脳内補完で!
それから、ここで活躍しているので他では貧乏挫引いて貰っててペリーヌファンの方々ごめんなさい。
√3のお風呂など、こことリンクする伏線が未消化のまま残っていますが気にしないで下さい。
446【全投下終了です】:2009/02/03(火) 04:07:09 ID:sjvaNibG
※アンカー後半
√27>>397-398「たったひとつの冴えたやりかた」
√28>>399-401「魔女裁判」
√29>>407-408「終焉の淵」
√30>>409-411「わたしのかえる場所」
√31>>413-414「これからのわたしたち」
√32>>415-416「スオムスに架かる友情の橋」
√33>>419 「お姉ちゃんとバンパイア」
√34>>421 「さよならの詩」
√35>>422-426「おのぞみの結末」
√36>>427-430「イノセント・デイズ」
√37>>434-436「11人目の魔女」(未完)
√38>>437-439「エチュード」

※以上で全部です√37の未完を除いてもう続きません。

〜あとがき〜
しばらくぶりになりますが前回に続き読んで頂いた方々、レス頂いた方々、そして支援して頂いた方々ありがとうございます。

PCないんであくまでゲームちっくですが、本物のゲーム発売までの暇つぶしにして頂けたらとつくったので遊んでみて下さい。
読みにくい場合は単純な分岐しかないので、樹系図を書いてみて下さい。

バッドエンドについてですがデッドエンドです。バレバレな流れにしてありますが回避される方は>>350のメル欄を読んで下さい。

今日全話投下するとは思ってなかったので一部未完なり削除なりありますが許して下さい。
不愉快にお思いの方申し訳ありません、明日からは平和なスレに戻ります。
又二度と同じ迷惑はおかけしません。
続きを待っていてくれた方お疲れの中ありがとうございます。
電池切れと規制に怯えながらここまでこれたのもあなたのおかげです。

以下個別弁明
√37の結末は数日中に投下します。しばらくお待ち下さい。
√28は前記の通り保管庫さんのリレー文とアレです。ごめんなさい。
√18で便宜的に5次元を時空と表現、ゲルトの魔法力を過大解釈、箇条書きで済ませたりなど結局こんなんでごめんなさい。
√24の一部は大昔にエイラスレに投下した小ネタのリサイクルです。御記憶にある方がおられたら嬉しいです。
√11と√24は叙述トリックです。わかりにくくてすみません。

最後にみなさんにご迷惑をおかけした事、お詫び申し上げます。
それではたいへん長くなりましたがこの辺で失礼致します、ゆりたまごでした。
447名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 07:04:25 ID:y0l0xwbM
お疲れさんでした
帰ってからゆっくり読むよ
448y4wjvOwX:2009/02/03(火) 07:42:23 ID:jHJ6n8Yp
5レス投下します
第37手「両端から食べる」をペリーヌと少佐で

×××

「エホウマキ?」
「はい、恵方巻きです。しいたけ、キュウリ、卵、かんぴょう、穴子、高野豆腐、でんぶ。七種類の具が入っています」
 テーブルの上にドン! と置かれた十一本の黒い丸太、もとい恵方巻き。隊員達が訝しげにこの物体を眺める。朝から宮藤さんがキッチンで何やらやっていたのは、これを作っていたらしい。作るにあたって扶桑から食材を取り寄せたとのこと。わざわざご苦労な事ですわ。
「皆、席に着いたようだな」
 坂本少佐が立ち上がり、辺りを見渡す。ちなみに私ペリーヌ、今日は少佐の隣を確保出来ました。
「これから、この恵方巻きを食する際の作法を説明しようと思う」

 少佐によると、扶桑では今日の事を節分と呼び、一年間の無病息災を願って炒った豆を撒くらしい。
「へー。何だか面白そうだね、トゥルーデ」
「食べ物を粗末に扱うのは感心しないがな」
「撒いた豆は後で歳の数だけ食べるのよ。そうでしょ、美緒」
「ああ。だが正確には歳の数プラス一個だな」
「……何よフラウその目は。言っておくけど、私はまだ十八よ」
 中佐、誰も何も申しておりませんわ。

 そして
449名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 07:45:32 ID:jHJ6n8Yp
この恵方巻きを恵方に向かって、願い事を思い浮かべながら頂くらしい。

「恵方って何? 芳佳ちゃん」
「え〜っと恵方っていうのはね、その年の神様がいる方角なんだよ。毎年違うんだけどね、今年は──確か東北東かな」
「そういえば扶桑の神道は多神教でしたわね」
「ああそうだペリーヌ。よく知っているな」
 少佐にお褒め頂いてしまいました。

「ねえシャーリー、後で豆まきしようよー」
「いいねえ、ルッキーニ。エイラの奴に当ててやろうな」
「ムッ、それはムリダナ。全部避けて、三倍にして返してヤル」
「エイラ、人に向けて投げたらダメだよ」
 こちらではまだ豆まき談議に花を咲かせている。そこ! 少佐のお話はもっときちんと聞くべきですわ。

「皆、聞いてくれ。今から、最も重要な決まりを説明する」
 少佐が真面目な表情で口を開いた。隊員達はみな話を止めて押し黙る。流石、坂本少佐ですわ。
「恵方巻きを食べている間は、口から離してはいけないし、一言も喋ってはいけない。何があってもだ」
 皆、一様に無言だった。
「喋ったりしたらどうなるの?」
 ハルトマン中尉が質問する。
450名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 07:47:03 ID:jHJ6n8Yp
「それはだな……一年間、想像を絶する災厄を被るという」
 誰もがゴクリと唾を飲み込む。
「よ、芳佳ちゃん。節分って怖いんだね」
「アハハ……。そんな事はないんだけどね」
「な、何だハルトマンその目は! 何か企んでいるな! 企んでいるのだろう!?」
「フフ〜ン。べっつに〜?」
「さ、サーニャ! 絶対に喋っちゃだめダゾ!」
 皆さん、様々な感想をお持ちになったようで。かくいう私も少し不安になったので、少佐にお伺いした。
「坂本少佐、それは本当に……?」
「わっはっは。まあ、冗談だな。本当は喋ったりしたら福が逃げるとか、食べ切る事が出来たら、どんな願いも叶うと言われている」
 それを聞いて安心した。
 節分。
 どんな願いも。
 素晴らしいイベントですこと。流石、少佐の出身国。

「願い事ねぇ。ルッキーニ、どんなのにしよっか?」
「えーとねぇ、いつまでもシャーリーと一緒に居たい!」
「願い事……。お父さま、お母さま。お会いしたいです」
「願い事……。フフフ、美緒とあんな事やこんな事……」
 中佐、聞き捨てならないですわね。全部漏れてましてよ。

「ではそろそろ食べよう」
 その声を合図に、恵方巻きの皿が時計回りに渡される。席順の関係上、私は少佐から皿を承った。少し嬉しい。
 それにしてもこの黒い丸太、見た目の割にズシリと重い。この分なら食べ終わる前に脱落者が出てもおかしくはない。具体的に言うと子供のルッキーニさんや、一波乱ありそうなバルクホルン大尉辺りが。

「東北東は……あっちね」
 中佐が指差した方向を見る。それは私にとっては奇しくも、少佐の背中を眺めながら、という形になった。
「みんな、言った事は分かっているな?」
と少佐。
「ああ。願い事を思い浮かべながら、喋らない、口から離さない、人に迷惑を掛けない、だろう」
とバルクホルン大尉。大尉、余計なものが一つ混じっていますわ。
「みんなで一斉に食べ始めましょうか」
と中佐。皆、ゴソゴソと東北東を向く。

 中佐がテーブルを見渡す。
「準備はいい?」
 私の願い事……。願わくば、いつまでも坂本少佐のお側で──。
「せーの」
 パクリ。
 ムグムグ。
 501の隊員全員が同じ方向を向きながら一言も喋らず食べる光景は、ちょっと異様かも知れないと思った。
451名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 07:48:42 ID:jHJ6n8Yp
 それにしても、この恵方巻きとやらの食べにくい事。
 まず太い。口を限界まで開けないと入らない。そして噛みにくい。ふやけた海苔が歯で切れなくて、中身が口の中に押し出される。何度も吐き出しそうになった。

 みんなの様子は。
「! ……っ、〜〜〜ッッッ! ──ブハっ! エ、エーリカ! 何て事をしてくれる! 人に迷惑を掛けるなとあれ程言っただろう何だその顔は! 何故こっちを向く!?」
 どうやらハルトマン中尉が面白い顔をしたようで。
 バルクホルン大尉、呆気なく撃墜。
「ッッ──ブっ! ははは! ハルトマンに堅物、その顔面白すぎ!」
 シャーリー大尉、誘爆、そして撃墜。リベリオン、陥落。

 これは危ない。うかうかしていると、いつどんな危険に襲われるか分からない。私も早く食べませんと。
 しかし恵方巻きはまだ三分の一以上は残っている。他の方はどうだろうと見回してみると、誰も似たり寄った──
 いや違う、中佐が。中佐がとんでもないスピードで恵方巻きを食べていた。もう半分もないだろう。
 やりますわね。私も負けてはいられませんわ。少佐はこの私が!

「エーリカ……。覚悟は出来ているのだろうな? ──こうしてくれるッ!」
「ブハハっ、ぎゃははは! トゥルーデ、くすぐるのは反則だよ!」
 一方その頃ハルトマン中尉、味方の手により撃墜。これで501の二大エースが堕ちた。
 そして。
「! サーニャ、危ナイ!」
 エイラさんが持ち前の予知能力を発揮して、ハルトマン中尉の口から飛んだ恵方巻きの軌道上にいたサーニャさんを押しのけた。恵方巻きは二人に当たる事なくそのまま床に落ちる。サーニャさんが驚いた顔でエイラさんを見つめた。
「いいンダ、サーニャ。私に構わずそのまま食べ続けてクレ。サーニャの願いが叶うのなら、私はそれデ……」
 エイラ機、友軍機を庇って撃墜。スオムス、陥落。

 食べ始めて一分も経たない内に次々と堕ちてゆく各国の歴戦のエース達。それが、この恵方巻きという敵がいかに手強いかという事を物語っている。
……今までに脱落した四人はご自身も含め、全てハルトマン中尉が原因のような気もしますが。

 そうこうしている内に、
「……ゴクン。──やった。やったわ、美緒! ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐、一番に食べ切ったわ! これで美緒は私のものよ!」
 中佐が食べ終わっていた。
452名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 07:50:17 ID:jHJ6n8Yp
 でも中佐! これには速さなど関係ありませんわ! とにかく、食べ切る事が重要なはず。
「ミーナ、なかなかやるな。わっはっは。私の負けだ」
 いつの間にか、少佐も完食なさっていた。少佐の願い事が気になるところですが、私も食べなければ。

「り、リネット・ビショップ軍曹、食べ終わりました!」
 ここで、意外な伏兵登場。しかし彼女の狙いは恐らく宮藤さん。私とは利害関係にない。
「芳佳ちゃん! わたし、やったよ! やり遂げたよ!」
 案の定、リーネさんは宮藤さんの頭を自分の胸にギュッと抱き締めた。
「ぶッッ! り、リーネちゃん!? ああ、わたしのおっぱいマイスターの夢が……。あ、でもこれはこれでなかなか……」
 ついでに宮藤さん、撃墜。
「わっはっは。リーネ、成長したな。偉いぞ。それに比べて宮藤、まだまだ訓練が足りんな」
「は、ハイ! 済みません、坂本さん」
 あの豆狸、少佐からお声を……! いい気味ですわ。

「ハイハ〜イ、あたしも食べ終わったよ!」
 ついにはルッキーニさんまで。
「やったな、ルッキーニ! 最高だ!」
「これでいつまでも一緒だね。シャーリー、もっと褒めて褒めて!」
 つまり、残るは私とサーニャさん。流石に、彼女よりも遅いというのは嫌ですわ。私はペースを上げる。
「サーニャ、急がなくてもいいからナ。よく噛んで食べるんダゾ?」
 エイラさんの言葉に、こっくり頷くサーニャさん。まるで私への当て付けに感じられたので、エイラさんをキッと横目で睨んだ。

 その時。私の体に異変が起きた。
 胸が苦しい。喉の奥が灼ける。私は吐きそうになりながら、胸元を抑えた。
 このグニャッとした感触は恐らくかんぴょう。かんぴょうが喉に詰まったのだ。
「あんな風になるカラ」
 こっちを見て、再び頷くサーニャさん。どうやらエイラさんは、私がこうなるという事を知っていたようだ。
「ンっ、ン〜〜〜っっ!」
 涙目になりながら、私は胸をドンドンと叩く。
 くっ、かんぴょう! このかんぴょうさえ無かったら!
 何か助けになるようなものはないかと辺りを見渡すと、気付いた。未だに恍惚そうな表情を浮かべている宮藤さんを除いた、撃墜された四人のエースプラス中佐。彼女達がニヤニヤと、まるでお前も堕ちろ、とでも言いたそうな顔で私を見ている事に。
 ま、負けませんわ! ガリアと少佐はこの私が守ってみせます!
453名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 07:51:47 ID:jHJ6n8Yp
「どうした、ペリーヌ。喉に詰まったのか?」
 少佐も私の異変にお気付きになったようで。私は首をブンブンと勢い良く横に振る。
 私はまだ堕ちていない。まだ闘える。願いを叶えるために、ここで脱落する訳にはいかないのだ。

 だけど。
 冗談抜きで苦しくなってきた。本当に、諦めないと危ないのかも知れない。
 ああ、少佐。私の願いは叶う事はないようです。私が堕ちてもどうか、いつまでもお元気で。そしていつの日か、あんな部下もいたなあ、と思い出して頂けるのなら、それだけで私は幸せです。
 バルクホルン大尉、シャーリー大尉、ハルトマン中尉、エイラさん、宮藤さん。心残りがないと言ったら嘘ですが、私も今からそちらに参りますわ。
 私が死を覚悟した人間の心境に似たものを味わっていたその時。
 少佐が動いた。

「わっはっは。ペリーヌ、仕方のない奴だな。そんなに詰め込み過ぎるからだ。どれ、一つ手伝おう」
 近づく少佐。不思議そうな表情の皆さん。高まる私の心臓。見開かれる中佐の瞳。そして、私の視界を覆い尽くした少佐のかんばせ。
 少佐の手が置かれた私の肩は、とうに感覚が麻痺して。この後に起こるであろう事を察した脳が、フルスロットルで全身に血液を送る。
 ほんの一瞬の事だった。
 少佐は私が口にしている恵方巻きを、反対側から食べ始めた。
 私は何も出来ず、ただ立っていた。当然、二人の距離は縮まる。二センチ、一センチ、──ゼロ。
 唇が、重なった。暖かくて、甘くて。離れる時を思うと、少しだけ切なくなった。

「美ィぃぃい緒ぉぉォオ!」
「お、オイ暴れるなミーナ! エーリカ、リベリアン! ボサッと突っ立ってないで抑えるのを手伝え!」
「わ、分かった」

 外の世界で起きている事も、気にならなかった。私の脳は、正常な機能を失っていた。
 やがて唇が離れる。
「今度からは気を付けろよ、ペリーヌ。──と、大丈夫か?」
 私はその場にへたり込んでしまった。少佐に抱えられる形で、その顔を見上げる。
「は、はい大丈夫ですわ」

「ペリィィヌさぁぁぁん、離れなさぁぁあい!」
「ち、中佐。落ち着くんダナ」
「ははは。ミーナ、もっとやれー」
「リーネちゃんの胸……。至福……」

 私の顔は真っ赤で、胸は恋する乙女のようにときめいていた。
 少佐、どうやら私もあなたに撃墜されてしまったみたいです。

おわり
454名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 08:05:52 ID:Cec7564f
お疲れ様
455名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 08:21:30 ID:z1LwtX6U
大人気無い中佐ダナ
456名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 08:32:42 ID:68C8BzZV
GJ!この手のドタバタが好きすぎて困る
隊長マジ大人気ないw犬は役得だなw
あと秘め声にあったようなだめよエイラ的な所に悶えた
457名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 09:25:10 ID:8fStXOKB
>>446GJ!
 て言うか1本(一つの話)で90レス近く使った作品はコレだけか…
 これを携帯だけで一気に出せる(書き溜めていたとはいえ)猛者が出るとは…恐るべしSW百合スレw

>>453
ペリーヌよかったねペリーヌ

  >ああ、わたしのおっぱいマイスターの夢が……。あ、でもこれはこれでなかなか…
 芳佳wwリーネだけにしておけw

 ということで、48手に「両端から食べる」というのがあったとは…もっとよく読むべきダナw
 て言うか、自分の「こんにゃん物語」がそれに該当しているジャナイカーw
 …企画が出る前のものはノーカウントですよねそうだよね。

 新人時代の続きが出てこないので他のネタでも考えておこう。
458名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 09:56:35 ID:RfuNCdZa
ニパあああぁぁぁぁ------!!!
459名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 10:16:51 ID:cGC+EWdV
フミカネ更新
隊長キラー竹井さんご登場。年下だったのね
460名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 12:42:31 ID:S4cXl5ZS
うん、竹井さんの言う事は素直に聞くもっさんとかそれだけで色々妄想出来るな。
ミーナさんとペリーヌに新たな強力ライバル出現か...ゴクリ...
461名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 12:49:05 ID:u5+ApMnl
何か、もっさんが思信さまに見えてきたw。
まーやがペリーヌ、竹井さんが麒麟、隊長が内藤ちゃんで。
462名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 12:54:23 ID:S4cXl5ZS
貴婦人と女公爵だしあらあら、うふふ、とか笑顔でお互い威嚇し合いそうな感じだなw
463名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 17:24:37 ID:yHQR3Asx
>>446
ゆり先生超GJ!つか超大作すぎて吹いたwww
まあクリスマスイブに3万字投下した人間が言えることではありませんが。
タイトル見ただけでニヤニヤしてしまうのは俺だけか。
たったひとつの冴えたやりかたとか11人いる!とか。

>>453
これまたGJ!しかも48手でもっペリとな。
エイラのかっこよさに惚れた!もっさんのやさしさにときめいた!

そんなわけでOsqVefuYです。書いたまますっかり放置してたSS投下します。
こんな流れのなか恐縮ですが、もっさんの虐待ネタ。軽いエロとグロ、酷い不条理です。
あと長いです。すいません。9レスの予定。
タイトルは「さかもと!乙女塾」です。
464名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 17:26:02 ID:yHQR3Asx
「はっはっは! 私が乙女塾塾長・坂本美緒だ」
 そう高らかに笑い声を響かせるのは、乙女塾塾長・坂本美緒だ。階級は少佐である。
「さて、これはなんだ?」
 そう言うと坂本は手にした“それ”を掲げてみせる。
 するとその相好は一変、鬼の形相になった。
 その場に並んだ芳佳、リーネ、ペリーヌの三人は、
 せめて目だけでもそれから逃れようと、視線を落としてうつむいてしまう。
「私はこれはなんだと訊いているッ!」
 坂本は厳しい口調でもう一度問いただす。
 が、その場の三人は已然として重く口を閉ざしたままだ。

「おい、宮藤」
「…………ラジャーです」
「聞こえん」
「……ブラジャーですっ!」
「そうだ! これは侮裸邪(ぶらじゃー)だッ!」
 普段の豪放磊落ぶりからは考えられぬ怒髪天を衝かんばかりの面持ちで、坂本は三人を一喝した。
 手にした竹刀を振りあげると――
「それがなぜこんなところにあるッ!」
 それをおもいきり地面に打ちつけた。
 バシイッ、という激しい音が響きわたる。
 三人はそれを耳にすると、本当に自分が打たれでもしたように顔をゆがめた。

「……誰かが、落としたのではないでしょうか」
 おずおずとようやく口を開いたのは、一号生筆頭のペリーヌだった。階級は中尉である。
「ほう。とするとこれは、誰かの持ち物であるということだな?」
 その“誰か”とはいったい誰のことであるのか見極めようと、
 坂本は畜生を蔑みでもするような冷たい視線を、ゆっくりと右から左に移していく。
 芳佳、リーネ、ペリーヌ。
 その眼光に一瞥されただけで三人は、蛇ににらまれたカエルのごとく、
 ありとあらゆる自由を奪われてしまっていた。
 自分のじゃありません、そう大きな声で叫びたい衝動さえも。
 ようやく一瞥し終えると、ゴホンと一度大きく咳ばらいし、坂本は言った。
「乙女たるもの、胸はさらしを捲くもの。そうではないか!」

「そのとおりです!」と芳佳。
「ええ、坂本少佐のおっしゃるとおりですわ!」とペリーヌ。
「………………」とリーネ。

「それが侮裸邪(ぶらじゃー)だと!? こんなもの、鬼畜米英の装束ではないかッ!」
 坂本は一気にがなりたてると、竹刀を振りあげ――
 バシイッ!
 再び地面に激しく打ちつけた。
 いっそ清々しいばかりの音を立てて、ポッキリと竹刀は折れてしまった。

「「「ヒイッ!!!」」」

 三人の悲鳴が協和する。
 なおも腹の虫の収まらぬ坂本は、折れた竹刀を投げ捨て、怒号を発した。
「貴様らそれでも扶桑の撫子かッ!」
「いえ、坂本少佐。わたくしはガリア、リーネさんはブリタニアの出身で……」
「わけのわからぬことを言うなッ!」
 パアァァン!
 ペリーヌの頬を、坂本は平手で打った。
 自分はなにもおかしなことは言っていないはず……
 ペリーヌは真っ赤に腫れあがった自らの頬をさすった。
 一向に釈然としないながらも、その表情がどこか嬉しそうなものであったりするのだが、
 その理由がいかなるものであるかは定かではない。
465名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 17:27:37 ID:yHQR3Asx
「目を閉じろ」
 坂本に命ぜられるまま、三人はぎゅっと目をつむった。
「この侮裸邪(ぶらじゃー)の持ち主は手を上げろ」
 坂本の言葉に、これは自分から名乗り出ろってことなんだと三人は悟った。
 でもどうして目をつぶらせたんだろう?
 あとで二人にないしょでこっそり返してくれるかもしれない……
 いや、あの坂本少佐のこと、そんなことがあるはずがない。
 でもこういう状況ってことは、ここは素直に手を上げれば、
 お仕置きだって少しは容赦してくれるかもしれない……
 そんな淡い期待を芽生えるのには充分な、静かな時間が流れた。
 ――のだが。
「なぜ誰も手を上げない?」
 やはり、誰として手を上げる人間はいなかった。
 だって平手打ちなんてもんじゃ済まないことが、さっきまでの様子で容易に想像できたのだから。
「このままだんまりを決め込むつもりか」
 三人はごくりと唾を呑みこんだ。持ち主以外の二人には無関係なことなのだが。

「困ったことになってしまったな」
 坂本はつぶやくように静かに言った。
 が、それは本当に困りはてたといったふうではない。
 そうではなくて、その声にはわずかながら、嬉々としたものをにじませていた。
 怒りは治まったのではなく、それを通りすぎてしまったのだ。
 坂本の怒りの炎は赤から青へ、より温度を上昇させていた。
 目を閉じていようと、三人にはわかった。坂本少佐は今、たしかに笑んでいる。
「このままでは、三人にきつい罰を与えねばなるまい」
 坂本の嬉々とした一言に、今まで一切の微動だにをしなかったリーネの右手が動いた。
 手を上げる――かと思いきや、そうではなく――
 こっちです。
 と、リーネは人差し指で向かって右をさした。

「ペリーヌ!!」
「はいッ!」
 反射的に返事をするペリーヌ。そのうかつさに気づくにはもうしばらくの時間を要した。
「……わたくし…………ですか?」
 ペリーヌはまぶたを開き、おずおずと坂本を確認した。
「ああ、そうだ」
 そうして坂本は、チィ、と短く舌打ちをした。
 坂本はこの憤慨を三人まとめてぶちまけるつもりだったのだ。
 が、さすがに犯人が分かってしまっては、無関係の二人を巻きこむわけにもいかない。
 青々と怒りの炎を燃やす坂本でも、まだそれくらいの良識は残っている。
(まあいい)
 坂本は思いなおすことにした。
(ペリーヌ一人に三人分の仕置きをしてやればいいだけのこと――)
466名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 17:30:04 ID:yHQR3Asx
「なぜわたくしなのですか? わたくし、手はずっと太ももにひっつけておりました」
 必死の弁明をペリーヌは試みるも、坂本には通じそうにない。
 それでも、ペリーヌは口を動かさずにはいられない。
「だいいち、口にはしませんでしたが、サイズ的にそれはどう見てもリーネさんの……」
 ペリーヌは坂本に向けられていた視線をリーネに移した。
 なにを言っているんだろう?
 とでも言いたげな、不思議そうな顔をリーネは見せる。
 已然として事態を呑みこめぬペリーヌの前に、坂本はすっとにじり寄った。
「人のせいにするなッ!」
 坂本は再び、ペリーヌの頬を平手で打った。
 ペリーヌは釈然としないものを感じながらも、その表情はどこか嬉しそうだったりするのだが、
 その理由がいかなるものであるかは以下略。
「と、とにかく、本当にわたくしのものでは――」
「まだ言うかッ!」
 坂本はさらに、ペリーヌの頬を平手で打った。
 ペリーヌは釈然としないものを感じながらも、その表情はどこか嬉しそうだったりするのだが、
 その理由が以下略。
「恥を知れッ! ペリーヌッ!」
 坂本の一喝にペリーヌはガタガタと小刻みに体を震わせる。
「女々しい……あまりに女々しすぎる。乙女の風上にもおけぬ奴だ」
 坂本は嘆いた。
 しかし、誤った道に踏みこんだ教え子を救ってやるのが塾長としての役目……。
「今からその腐った性根を叩き直してやる」
 言うと坂本はしゃがみ込んだ。
 そしてペリーヌのズボンに手をかけると、それを一気に足首までずり下ろした。
「な、な、な、な、な、なにをなさるおつもりですの?」
 おろおろと狼狽するばかりのペリーヌは坂本に問いかけた。
「ただいまより乙女塾名物『逝け罵弄(いけばな)』を行う!」

 『逝け罵弄(いけばな)』
  平安時代後期、その栄華を極めた平家の遊びとして人気を誇ったのが「逝け罵弄」である。
  下半身を晒した女性を逆さづりにした上で開脚させ、その陰部に季節の花や果実を刺してゆき、
  そのたびにもだえてゆくさまを観劇して愉悦に浸ったとされる。
  のちにそれはバナナの伝来と普及により「逝けバナナ」とその呼び名を変え、
  現代の「生け花」はそれに語義を発する。
                        (民明書房刊『忘れられた扶桑の遊び』より)

「しかし、坂本少佐。たとえ果物の方とはいえど、バナナを用いるのは……」
 すっかりズボンを剥かれ、開脚され逆さまに吊り上げられたペリーヌは言った。
「なに案ずるな。今回は別の物を使う」
 ペリーヌのすぐ傍らに立つ坂本は答えた。
 その“別の物”がなんであるのかペリーヌは確認しようとするが、
 縄で拘束された不自由な身であるために、完全に視界の外であった。
 そのかわり、驚愕の表情を浮かべる芳佳とリーネが、ペリーヌの目に映った。
 さらに首を上に向けると、自分の真上になにやら大きな鍋があるのがわかった。
 いったいこれはなにかしら?
 ペリーヌは気になりながらも、あまり深くは考えないことにした。
 そんなことより今は、自分の股になにを入れられるかなのだ。
 やはり、どうしても確認はできない。目に入るのは坂本の顔だけだ。
 ハアハア、とペリーヌの息が荒い。
 こんなにも間近にいる坂本に興奮を覚えていた。
「もっとも――」
 ニヤリ、と笑みを浮かべる坂本はつけ加えた。
「これはバナナのような生易しいものではないがな」
467名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 17:31:29 ID:yHQR3Asx
 ブスッ!

 坂本はペリーヌの股の間に、その“別の物”を一輪、逝けた。
 その“別の物”はペリーヌの処女膜をやすやすと貫通する。
 割れ目からはしたたる鮮血。まるで股の間が血涙を流しているよう。
 目の前に惨劇に、芳佳とリーネは手のひらで目を覆っている。
 口からはとても文字では再現できない、はりさけんばかりの阿鼻叫喚。
(なぜわたくしがこんな目に……)
 ペリーヌは滂沱の涙を流した。
 ぼたぼたとこぼした涙が地面を濡らす。
 それはなにも、この激痛によるものだけではない。
 下半身を衆目にさらすという羞恥、敬愛する坂本少佐からの罵詈雑言、
 しかもその理由が自分には未だに理解できぬものであるということ……。
(お父様……お母様……)
 ペリーヌの心でも泣いていた。
 あふれんばかりの涙を流し、けれど、その涙は一向に枯れてはくれない。
 いっそ悶絶してしまえば、この苦しみから逃れられる。
 朦朧とするなか、ペリーヌはそう思った。そうなることを切に願った。
 そうして、やがてペリーヌの意識は遠のいていった。

 ――が、そうはならなかった。

 股の間から襲ってくるもののなかに、激痛とはまた別に、
 なにか他のものが入り混じっていることにペリーヌは気づく。
(かっ、かっ、か……)
 咄嗟にペリーヌはそれに向けて手を伸ばそうとする。
 が、手足は縄で縛りあげられているため、それはかなわない。
 次第にそれはより鮮明に、より強く、ペリーヌの体中を駆けめぐった。
(掻きむしりたいっ……!)
 その正体は“かゆみ”であった。
 朦朧としていた意識は一転、覚醒し、せきを切ったように押し寄せてくる痛痒の津波に、
 もうこのままやすらかに、というペリーヌのささやかな願いは打ち砕かれた。
 ペリーヌは少佐の言葉を思い出す。
『これはバナナのような生易しいものではないがな』
 ペリーヌのなかに、消えかけていた疑問が再び湧き出てくる。
 ではいったい、自分の股の間にはなにが刺さっているんだろう?
「しょ、しょしょしょうさ……こ、これはッ……!?」
 嗚咽混じりの声をようやく絞り出し訊ねるペリーヌに、坂本は冷淡に答えた。

「山芋だ」
468名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 17:33:17 ID:yHQR3Asx
(やややややややや山芋っ……!?)
 ペリーヌは驚嘆し、おののく。
 一度自覚してしまえば、そのかゆみはより一層激しさを増した。
 ただ一人、芋の子を洗うように身をよじらせるペリーヌ。
「どうしたペリーヌ? かゆいか? 掻きたいか? 掻きむしりたいか?」
 坂本の問いかけに、ペリーヌはこくこくと何度でもうなずき返した。
 掻きたいです。掻けぬというなら、誰かが代わりに……
 ペリーヌは何度だってうなずく。うなずいて、懇願する。
 もはや絞り出す声さえ出ない。だから、うなずくことでしかもう伝えようがない。

 もう許してください、坂本少佐。わたくしが間違っていました。
 わたくしがすべて悪かったのです。
 ブラジャーを所有していたこと……
 それを素直に認めずに、手をあげなかったこと……
 すべてこれはわたくしの過ちだったのです。
 きっとそのときわたくしは頭のなかが混乱して、
 よく事情が呑みこめていなかったのです(今でも心のどこかではそうですけれど)。
 でも、本当です。今ではすっかり悔い改めました。本当です。
 自分の犯した罪をすっかり認めますから。
 だからお願いします、坂本少佐っ……!

「しかし、私はそうしてやることができない」
 が、待っていたのは素気ない坂本の言葉だけであった。
 ペリーヌの頭が真っ白になった。
 もはやうなずくこともできない。そんな力は残されていない。
 だらん、と首を力なく地面に垂らす。
「ただし――」
 しばらくの間をおいてから、坂本はつけ加えた。
「そんなにかゆいのならば、お前自身が掻くことを許そう」
 その言葉はペリーヌにとって暁光だった。
 ペリーヌは思った。地獄に仏とはまさにこのことだと。
 ペリーヌの目には坂本がまるで聖母のように映った。

 坂本はペリーヌの手を縛りあげていた縄をほどいてやる。
 拘束をとかれるとすぐさま、ペリーヌの手は伸びた。
 ――が、しかし、その手が股の間へと届くことはなかった。
 坂本がペリーヌの手首を握り、抑えたのだ。
「しょ、しょうさ……?」
 消え入りそうな力ない声のペリーヌ。
 果てのない暗闇に差しこんだ一筋の光明であっただけに、ペリーヌは坂本にすがったのだ。
 坂本は掻いていいと言った。縄もほどいてくれた。
 けれど、それと今の言動はあきらかに矛盾している。
 坂本はぎゅっと、ペリーヌの手首を掴む手に力をこめた。
 ペリーヌは坂本が何を考えているのかわからない。
 さきほどまで聖母のように映った坂本が、別のなにかに変わって見えた。
「まあ、焦るな」
 そう言うと坂本は制服のポケットに手をつっこんだ。
 そうして取り出してきたのは、さきほどのブラジャーである。
 ペリーヌの目が点になった。
469名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 17:34:39 ID:yHQR3Asx
 坂本はブラジャーをペリーヌの手にくくりつけると、それを伸ばし、
 もう一方をペリーヌの頭上――ではなく、股上(またじょう)にあった鍋にくくりつけた。
 そういえばたしか、そんなものがあったことをペリーヌは思い出す。
 その手は再び拘束されてしまった。
 ペリーヌは絶望した。その落胆たるや、尋常ではなかった。
(なんでこんなことにっ……)
 苦しまぎれにペリーヌは手を動かしてみる。
 すると、かなりの重量があるものの、手が動かせないわけではない。
(こ、これは……!)
 これは少佐のおやさしさに違いない、とペリーヌは思った。
 ペリーヌはほんの少しでも坂本を疑った自分を恥じた。
 さらにペリーヌは手に力を込める。
 ぐぐぐ、と己の股に向けて、手を伸ばす。
 すると――

 ボトリ。

 と、なにかが鍋からこぼれてきて、ペリーヌのすぐ近くの地面に落ちた。
 それは黒い液体だった。

「肝油だ」
 坂本はペリーヌに告げた。
(かんゆ……?)
 その言葉の意味が、ペリーヌはとっさには呑みこめなかった。
「ヤツメウナギの肝油を鍋いっぱいに満たしている」
 さらに坂本は言葉をついだ。
 ペリーヌはようやくすべてを理解した。
 つまり、こういうことだ。
 ペリーヌが股を掻こうとすれば、より手を動かさねばならない。
 しかしその度に鍋は傾き、肝油を容赦なく降らせてくる。
 鍋いっぱいの肝油。それはもはや毒薬と言って過言ではない。

 もはやさきほどまでとは事情が違う。
 さきほどは掻こうと思っても掻くことができなかった。だから耐えるしかできなかった。
 しかし、今は違うのだ。
 掻こうと思えば掻くことはできる。股上の大鍋にたっぷりの肝油を浴びるのなら。
 掻くも地獄、掻かぬも地獄。なんというジレンマか。
 ペリーヌは気づいた。いや、元来ならとっくに知っていたことではあるのだが。
 この方は聖母などではない。
 そうではなく、この方は鬼畜なのだ、と。
 ペリーヌはこの時はじめて知った。
 鬼はやさしい。悪魔はやさしいのだ、と。
470名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 17:36:54 ID:yHQR3Asx
「それではこれより試練を課す」
 坂本は言ったが、それがペリーヌの耳に入ったかどうかは定かではない。
「私がお前の股の山芋をすっかりとろろにしてしまうまで耐えられれば、今日のところは許してやる」
 坂本は言い終わると、おろし金を手に取る。
 まるまる一本の山芋を、とろろにしてしまうのにいったいどれくらい時間を要するだろうか?
 5分? 10分? 20分? それとももっと?
 ペリーヌはその間、ただじっと耐え続けるしかない。
 坂本はペリーヌに寄り、おろし金で山芋を擦っていった。
 けして焦らず、ゆっくり、ゆっくりと。
 まるで亀の歩みのように。
 ぴくり、またぴくりと、ペリーヌの手が股へと向けて動く。
 その度に自制し、またその手を引っ込める。 
 じらすように、坂本は山芋を擦りおろしていく。その時間が少しでも長く続くように。
 ペリーヌにはその時間が永劫に続くとさえ思えた。

 もはやペリーヌには、まぶたを持ち上げるだけの力も残されていない。
 感覚のすべては麻痺していた。
 意識は朦朧とし、もう頭は働かなかった。
「…………れ」
 そんなペリーヌの耳に、なにかが入ってくる。
 幻聴? それとも天使のお迎えだろうか?
「……ばれ」
 また聞こえた。さっきよりはっきりと聞こえてくる。
 そして、さらにもう一度。

「がんばれ!」

(この声は、宮藤さんとリーネさん……?)
 消えかけだったペリーヌの意識が、再びはっきりとしてくる。
(まったく。わたくしがあんな子たちに励まされるなんて……)
 普段の彼女であれば、それを侮辱と受け取ったかもしれない。
 しかし、なんだろう。今は決して嫌じゃない。
 彼女たちが自分の窮地を救ってくれるわけではない。
 それでも――
 なんだか胸に熱いものがこみ上げてくるのをペリーヌは感じた。
「…………んなもの……」
 ペリーヌは声を振り絞り、精一杯の強がりを言ってみせた。
「……こんなもの、痛くもかゆくもありませんわ……」
471名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 17:38:52 ID:yHQR3Asx
「そうか」
 その言葉に応じたのは、ずっと押し黙ったままだった坂本であった。
 坂本の額にだらり、汗がつたう。
 まさかペリーヌがここまで奮闘しようとは、坂本自身も驚きであった。
(しかしなぜこれほどの乙女が侮裸邪(ぶらじゃー)など……?)
 坂本は首をかしげた。
(――まあいい)
 すぅ、と息を吸い込む坂本。
 
「なんだこのメガネはッ!」

 そして、一喝。

「この視力弱者がッ!」

 さらに、もう一喝。
 そして罵詈讒謗を際限なく坂本は浴びせかける。
 やれ不人気だ、やれ口調が書きにくいだ、エトセトラエトセトラ。
 思わず耳を覆いたくなるような、誹謗中傷の数々。
 それが事実であるかどうかなどは、もはや関係ない。
 己のわだかまりをぶつけでもするように、坂本は口汚くペリーヌを罵り続けた。

 ――が、そんなもの、ペリーヌには無意味だった。
 坂本はここで大きな失策を犯してしまった。
 つまり、ペリーヌの性癖である。
 ペリーヌの口元は今、微笑みを浮かべていた。
 この状況を彼女は今たしかに、喜んでいたのだ。
 坂本は罵倒という雨を降らせた。
 しかしそれは、乾いた砂漠にであったのだ。
 ペリーヌの心は今、うるおいに満ちあふれていた。
 彼女は苦痛を快楽へ、虐待をそういうプレイへと昇華されてしまったのだ。
 ただ静かに、ペリーヌは耐え忍んだ。坂本の叱咤を激励に変えて。

「む……」
 と、坂本はいぶかしげな声をあげた。
 それまで純白であったとろろに、赤々としたものが混じったのだ。
 それは血であった。
 ペリーヌの肌をおろし金で引っ掻いてしまったらしい。
 つまり、股の間の山芋はもはやすっかりとろろに代わってしまったのだ。
「まさか最後まで耐えてみせるとは……」
 と、感心する坂本はぼそりつぶやく。
 乙女に二言はない。今は素直に彼女を認めよう。
 逆さづりにされたペリーヌの顔を見下ろし、坂本は言った。
「試練は終わりだ! よくやった、ペリーヌ」
472名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 17:40:12 ID:yHQR3Asx
「ペリーヌさん!」
 拘束をとかれ、地面に横たえられたペリーヌの元へと、芳佳たちが駆け寄ってくる。
「私が今すぐ治癒魔法で治してあげるから」
「処女膜はちゃんと治るのかしら」
「わかりません」
 涙とよだれと鼻水で顔をぐっしょり濡らしたペリーヌ。
 しかしその表情はどこか晴れやかなものであった。
「私のために……本当にありがとう」
 と、ぺこりと頭をさげてリーネは言った。
 なにを言っているのかしらという表情をペリーヌは見せる。
「……別に、あなたのためなんかじゃなくってよ」
 ツンとした声で、ペリーヌはそう答える。
 そうしてこと切れる前の最期となる言葉を、ペリーヌはリーネに言った。
「ただ、自分でもなにがなにやらわからぬうちに……」

(乙女を上げたな、ペリーヌ)
 教え子の雄姿を遠目に、坂本は満足そうにうなずいた。
 ペリーヌを讃えでもするように、高らかな笑い声とともに坂本は言った。

「はっはっは! 私が乙女塾塾長・坂本美緒だ」



以上。
読んでくれた方にありがとうとごめんなさいを。
基本こんなんしか書けないんです。
言わずもがな男塾のパロです。キン肉マンがあるなら男塾があったっていいはず。
ペリーヌがんばれ超がんばれ。
473名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 17:54:36 ID:zBFcdmiN
これはひどい
いい意味でも悪い意味でもなw
474名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 18:02:13 ID:z1LwtX6U
オ、オチは?
475名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 18:11:02 ID:84dDsZqi
保管庫No.737の続きとタイトル投下

「サーニャ!今すぐ起きるんダナ、サウナへ行こうよ。ほら、ほら」

エイラは珍しく焦った感じでサーニャを揺さぶった。

「どうかしたの、エイラ。敵襲なの」
「違うんダナ、今日は久々のお茶会だからあと二時間しかサーニャだけとの時間がないゾ」

サーニャは飛び起き、寝間着のままエイラの腕を掴んで引っ張った。

「あら大変、エイラ急ぎましょう」
「ま、先ず制服を着るんダナ」
「どうしてなの、エイラ。言ってみて」
「それは、ダナ」
「なあに」
「それは・・・サーニャがそんな眼で見られちゃうからに決まってんダローッ」

期待通りの答えにサーニャは嬉しそうに頬に両手を当てくねくねと身を捩った。
喜色満面のサーニャに対し、思わず前述の内容を叫んでしまったエイラは顔を真っ赤にして、掴まれた方の腕を強く前へ突き出した。

「わ、判ったらさっさと行くぞ」
「はあい、いきましょう」

サーニャはエイラの腕にそっと身を寄せた。
伝わってくるのは暖かくて柔らかな感触、敵が第二波を出し渋ったために長期間の警戒を余儀なくされ、ここ数日どんなに欲しくても得られなかったものだ。さっきまでの間も泥のように寝ていた関係でこれといったことは出来ていない。
独りでにやついているとサーニャが控えめに、構って欲しそうな感じで腕を引っ張ってきた。

「ね、いこうよ」

少し顔を赤らめてそっぽを向いているのが可愛らしい。
エイラは強くサーニャを抱きしめた。

「サーニャ」
「なあに」
「抱っこしてヤル」
「嬉しい。でもどうして」
「それはす、サーニャだからに決まってんダロー」

今度は上手くいかなかったようだが、いつものことなのでサーニャは気にしなかった。

「でも、疲れているでしょう」
「そうだナ、でも階段以外を通る時は大丈夫」
「ふうん、それじゃお願い」
「ふふ、お任せ」

「エイラ」
「ナンダヨ」
「美しいのね」
「サーニャもナ」
「嬉しい」

「エイラ」
「ナンダヨ」
「優しいのね」
「サーニャもナー」
「嬉しい。」

476名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 18:11:43 ID:84dDsZqi
「ねえエイラ」
「どうかしたカ」
「わたしのこと、す」
「サーニャ、一寸降りてクレ」
「いやよ。どうして」
「仕方ないダロー。ほら、あんなところに大尉」
「まあ、あんなところにお姉さま」
「ナンダヨお姉さまって」
「ゲルトルート・バルクホルン大尉です。それより具合でも悪いのかな」
「知らないナ、でも倒れテルからには放っていくわけには行かないナ」

「どう、エイラ」
「きっとミーナたちにされすぎただけダナ」
「なにを、かしら」
「見れば判るんダナ」
「まあ、凄いキスマーク、ももにまで付けられてしまって・・・甘い匂いがする」
「何でおっぱいに集中してんだろうナ・・・少なくとも三人分ダナ。そのうち1人だけ判んないナ。誰だろうナ」
「エイラじゃなければいいよ。それより、ええと、これ、お姉さま自身のも相手のも“女性の証”から出るのよね・・・・・・
どうして全身が濡れているの」
「そ、そういう楽しみ方もあるんダロー」
「じゃあ今度、その、」
「さっきから聞こえにくいゾ。でも恥じらいを忘れないのは良いことダナ。偉いなサーニャ」
「嬉しい」
「さて、早く風呂へ連れてって洗ってあげないとナ。ルッキーニーたちに見つかったら可哀相、ダカンナ」
「そうね。急ぎましょう、さっさと済ませないと時間無くなっちゃう。エイラは右側抱えてね」
「うん・・・どっこいしょっと。良い匂い、ダナ。勿論サーニャも良い匂いだゾ」
「エイラも。そして、嬉しい」
「美しいナ。勿論サーニャも美しいゾ」
「エイラも。そして、嬉しい」
「服までしっとり湿ってるナ。やわらかくて気持ち良い、ナ。勿論サーニャもしっとりしててやわらかくて気持ち良いんダナ」
「エイラも。そして、嬉しい。でも、お姉さまのおっぱいを愛撫しちゃ駄目よ」
「そ、そんな恥ずかしくなるような言い方するなヨナー」
「うふふ、エイラ、可愛いのね」
「サーニャも、ナ」
「嬉しい」

風呂には先客がいるらしかった。
ゲルトルートを待っているらしい声の主はミーナ、エーリカそして―

「エイラの言ってたもう一人、宮藤さんみたいね」
「ナンダヨモー。どうやったらこんなにモテルンダヨ大尉は。あれから何日も経ってないんだゾ」
「聞き捨てならないことを言うのね、エイラ」
「ただの知的好奇心、ダカンナ」
「冗談よ。判っているわ」
「それじゃ、脱がすゾ」

ゲルトルートはその一言で眼が覚めたようだった。

「いやん、やめて!あ、ごめん・・・なさい」
「ん?声可愛いな大尉、どうかしたカ。勿論サーニャも」
「あ、それね、トゥルーデの地声だよ。似合っているけど、歳の割には可愛いから親しい人以外には隠しているんだよ。誰かt
な、なんだよミーナ・・・あと、トゥルーデを運んできてくれてありがとう」
「どういたしまして」

お決まりのやり取りを脱衣所に現れたエーリカに阻害されて少し不満だが、ゲルトルートの秘密を得たエイラはニヤニヤした。
サーニャはそんなエイラを見てそわそわし始めた。

477名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 18:12:51 ID:84dDsZqi
「それでは、お姉さまのことはお任せします。エイラ、サウナへいこうよ」
「ふーん、サウナで何するの」
「カ、関係無いダロ。サーニャを苛めんナー」
「いえないことです」
「ふーん、それじゃあとで参加しに行くよ」
「駄目ですお嬢様!私だけのものですよ」

サーニャはエイラを連れて一気に走り去った。
エイラは、漸くお姉さまというゲルトルートの呼称が、エーリカとサーニャの会話で使われていることを察した。
エーリカに対しては大胆なサーニャが普段何を話しているかについては尋常ではないほど興味があるが、今はもっと気にするべき事が
あった。
つまり、私のものということは、つまりサーニャのもので、何がそうなのかというと、私?きっと私だ!と思うとエイラはにやつくの
を止められないのである。

「行ってしまったな、礼も言っていないし謝罪もしていないのに。きっと彼女等からの尊敬を失ってしまっただろうな。」
「元気出してよトゥルーデ。
何か言ってたよねええと「失敗した状態は元に戻せない。しかし本来の姿とは違う風にでも事態をよい方向に持っていければそれでよ
くて、そのことは決して不可能でない。今まで私はどうしようもない状況にあまりにも少ない回数しか直面していなかった。
甘やかされてきた。だから今回の戦闘までそんな簡単な事にすら気付けなかったのだろうな。
いや、そんな簡単な回答には満足できなかっただけかもしれない。やっぱり甘ったれていただけなのかもしれない」とか「思わしくな
い事態も、将来のある時点から振り向いた時の後悔が少なくなっていればそれでよいと思うべきで、時にはそうなっていることを無条
件に信じるしかない時もある事に気付いた」とかいろいろ」
「あんまり繰り返すなよ。恥ずかしいじゃないか」
「宮藤におねえちゃん、て言われる方が恥ずかしいと思うけど」
「仕方が無いだろ、芳佳がそう呼びたがっているのだもの」
「勉強見たり一緒に寝たりおっぱい触らせたからね。あ、はいはい今まで冷たくした埋め合わせね、聞き飽きたよその言い訳。
そんなことより」
「なんだ」
「あと一時間ほどあります。もう一度しましょうよ」
「何をだ」
「知ってるくせに」

上機嫌のリーネが主催するお茶会の間ずっと、ゲルトルートはなぜか不自然なまでに脚を閉じ続けていた。


(第一話「記憶」完)
478名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 18:18:23 ID:2CSlNAi5
うぃっちーじゅの更新が来てた。

悶え死んだ。
479保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2009/02/03(火) 18:26:44 ID:X8xXIvU/
ttp://lilystrikewitches.web.fc2.com/ss/0747.html
ゆりたまご氏のまとめできたよー
昨日>>439まで粘って断念したけどあと1時間待てば良かったorz
とりあえず乙&GJ!!あとでじっくり読ませていただきますね。

あと途中にさりげなく紛れてる>>356もGJ!!
新人とか古参とか関係ない、大事なのは愛よ、愛。

>>472
もっさん鬼畜過ぎるwwこれはひどい(褒め言葉)
がんばるペリーヌの図を想像すると涙出てくる、元ネタ読んだことないがGJ!!

>>477
GJ!!だ、第一話でありますか!続きwktkして待ってる
480名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 18:28:17 ID:F2IuV0/Z
今音速で見てきた。
ニヤニヤが止まらないぜ・・・・・!
481名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 19:01:13 ID:wt9VSjeV
>>477
独特の会話テンポがいいね
482名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 19:02:09 ID:yWWjbl5B
ゆりたまご氏のSSのおかげでアドベンチャーブックをワクワクしながらやっていた子どものころを思い出した。
483試作ネコ型ロボット:2009/02/03(火) 19:03:22 ID:Zm0FQJo3
久しぶりに投下します。
イマイチ良く分からないものになっていますが
一応48手の「第14手 おんぶ」です。
484試作ネコ型ロボット:2009/02/03(火) 19:03:48 ID:Zm0FQJo3
空は晴天、心地好い風、あたしは基地の裏庭の木陰で寝そべっていた。
微かな風音と小鳥の鳴き声に耳を傾ける。
いつもストライカーユニットを弄って、エンジンを吹かす音ばかり
聴いているあたしだけど、たまにはこうするのも好いものだ。
しかし、災いというのは何の前触れも無くやってくるもの。
あたしがうとうとして眠り始めようとしたときにそれは起こった。
グラグラグラグラグラ・・・・・。
突然、地面が大きく揺れ始めた。あたしはびっくりして飛び起きた。
「じ、地震か!?」
眠気は一気に覚め、すぐに地震が起きていると判断した。しかも結構大きい。
あたしはそのまま座った状態で揺れが収まるのを待った。その時──。
「フギャャーーーッッ!!!」
庭の林の方からルッキーニの叫び声が聞こえた。
「ルッキーニ!!」
あたしは慌てて声のした方に向かおうとしたけど
揺れが酷くて上手く立ち上がれない。
それでも何とか立ち上がろうとした時、揺れが収まった。
あたしは一目散にルッキーニと所に向う。

「ウジュウジュルル……」
あたしが駆けつけるとルッキーニは座り込んで目に少し涙を浮かべていた。
「どうした、大丈夫か!?」
ルッキーニは左足首を両手で押さえていた。
「フゥフゥニュルルニャヌー」
「ふむふむ、それで?」
「ニャスルッーシュルルー」
「ほう…」
「キュルキュルヌフグー!」
つまり、木の上で寝ていたら突然地震が起きて木から落ちたとき、
咄嗟に、上手く体を回転させて足から着地しようとしたところまでは
良かったのだけど着地のときに誤って左足を捻ったらしい。
「足、見せてごらん」
手を退けて左足首を見ると紫色に変色していた。
見ているだけで痛々しい…。
それでも、頭から落ちて大怪我するよりは遥かにマシなのは確か。
他に傷らしい傷は見当たらない。不幸中の幸いだったのかもしれない。
「医務室に行って手当てしないとな」
あたしはそう言ってしゃがんだままルッキーニに背を向ける。
「ほら、つかまって」
「……うん…」
肩につかまると軽いルッキーニの体を持ち上げておんぶした。
「あ…、いい匂い…」
「ん、何か言った?」
「ううん、別に」
あたしはルッキーニをおんぶして基地の方に向かった。
485試作ネコ型ロボット:2009/02/03(火) 19:04:22 ID:Zm0FQJo3
途中、坂本少佐に遇った。
どうやら少佐は基地内の被害を調べているらしい。
当然少佐はおんぶしているルッキーニの足の状態も見た。
「これだとしばらくは出撃できそうもないな」
少佐は厳しい表情でそう言った。
「私は他に怪我人がいないか見てくる。引き止めて悪かったな」
これ以上怪我人がいたら大変だ。
ネウロイとの戦闘にも支障をきたす恐れもある。
宮藤が治療魔法を完全に制御できればさほど心配しなくてもいいんだけど。
「みんな無事かなー」
ルッキーニが心配そうにそう言う。
「大丈夫。ルッキーニみたいに木の上で寝たりするやつは居ないから」
「ウジュー…」
「ははは、冗談だよ。そんなに気にしなくてもみんな
やわじゃないし、きっと大丈夫さ」
…とは言ったもののあたしも少し心配はしている。
他の隊員たちが無事なのを祈るばかりだ。

医務室の近くまで来たところで余震が起こった。
揺れはさっきとは違って小さい。
これなら踏ん張って立ってられそうだ。
「うう…シャーリー…」
あたしの肩を強く握り、背中に顔を埋めるルッキーニ。
さっき木から落ちたせいか小さい揺れでも妙に怖がる。
「ルッキーニはあたしが守るから、──だから安心してて?」
ルッキーニは何も言わなかったが背中越しに頷いてくれた。
しばらくして揺れが収まり、あたしは医務室へ急いだ。
486試作ネコ型ロボット:2009/02/03(火) 19:04:52 ID:Zm0FQJo3
医務室に入ると誰も居なかった。
普段は専属の医者と看護婦が居るのだが
どうやら基地の様子を見に行ったらしい。
こういう時こそ、動かずにここに居てくれないと困るんだけどな。
ルッキーニをベットに座らせ辺りを見回す。
机の上や薬品棚の中が散乱している。あの揺れなら当然か。
むしろ、棚が倒れで足の踏み場がなくなるよりは
そうならなかっただけよかったかもしれない。
あたしは棚の上に置いてある救急箱を取り、手当てを始める。
不慣れな手つきで湿布をして包帯を巻く。
上手く出来たかは分からない。こういうのは宮藤が専門だからな。
「ありがとう、シャーリー」
やっとルッキーニに笑顔が戻った。それを見てあたしも安心した。

その後、他の隊員達にも怪我は無く、宮藤の治療魔法の
効果もあって、ルッキーニの足は数日で完治した。

─完─
487試作ネコ型ロボット:2009/02/03(火) 19:05:25 ID:Zm0FQJo3
以上です。
これだけ書くのに何日も掛かってしまった…。
488名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 19:55:38 ID:y0l0xwbM
>>487
GJ!最近少ないシャッキーニ分をありがとう
書く速度なんて気にしなくていいんだぜ、俺なんて何ヵ月もかけたくせに結局書き上げられないのがしょっちゅうだ…
489名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 20:02:51 ID:JHcTWKMo
>>472
ひでえなコレ
490名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 20:22:43 ID:xuP0OMNT
>>478
あいつ某所でエロ絵描いてたらしいからもう信じない
491名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 20:24:07 ID:bvaw3c7X
>>490
これはきもい
お前みたいなのがいるから百合厨ってひとくくりにされるんだよカス
492名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 20:39:36 ID:BQ0rKV3O
最近ストライクが変なのに目つけられてるみたいだからスルーで
493名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 20:40:15 ID:rwahLWqj
そんな時の為の専用ブラウザですよ
494名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 20:59:48 ID:wt9VSjeV
まぁ俺もあそこのは大して好きじゃないがそれはそれこれはこれ
495第31手 睦言・遠距離で(?):2009/02/03(火) 21:06:16 ID:eRM3QyaY
エイラ「サーニャ。やっぱり私・・・ニパじゃないと駄目だ」
ニパ「えっ!な、何言ってるんだよイッル!サーニャちゃんの前で!」
エルマ「ハサミだとゲート跡がえぐれちゃいますからねー。プラモにニッパーは欠かせませんよ」
サーニャ「ザクレロ・・・かわいい・・・・・・(ポッ)」
ニパ「・・・・・・」

ニパ「イッルのアホ!変態!ニブチン!」
エイラ「なんだよ。何怒ってるのか知らないけれど、私のニパへの愛は変わらないからな」
ニパ「えっ!あ、愛って!ささサーニャちゃんが聞いてるだろイッル!」
エルマ「本やタウンさんのおかげで地方でも安心ですよー。ニッパン様々です」
サーニャ「演説集のノッチ・・・かわいい・・・・・・(ポッ)」
ニパ「・・・・・・・・・・・・」

エイラ「ニパ好きだ!」
ニパ「あーそうかい!今度はなんだ?バネか?ウイルスか?ニッカポッカかこんちくしょー!」
エイラ「そ・・・そんな私はただ純粋に・・・・・・うあーん!(脱兎)」
ニパ「えっあれ?お、おいイッル?・・・・・・え?う、うそ?ま、待ってくれー!」
エルマ「あーあ泣いちゃった。エイラさん好きですからね。ニポポ人形」
サーニャ「コロポックル・・・ハァ〜、イヨマンテ、イヨマンテ・・・・・・(ポッ)」
ニパ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・うっがー!!」

エイラ「ワ!」
エルマ「わ!」
サーニャ「きゃ!」
ニパ「てめーらいい加減にしろ!!!そんなに私をからかって楽しいか!よござんしたね!どうせ私は単純だよ!」
エイラ「ま、そんな所が好きなんだけどナ。(ボソッ)」
ニパ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へ?」

- Fin -
496名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 21:10:01 ID:h1IVfu4e
>>495
遠距離っていうか回り道すぎるだろwGJw
エルマさんとサーニャのノリのよさに吹いた
497名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 21:16:24 ID:JdySz3Xg
>>495
やたらなごんだ
スオムスにゆる系は合うかもしれんね
498名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 21:38:01 ID:QFC5KC95
第13手 お姫様抱っこ でニパエイラ。
甘いものを書いてるつもりだったけどニパどんまいが多いと言われたのでムキになってやった。

国境沿いを哨戒していると、エンジンが異音を発し、ストライカーから煙があがる。
あぁ、またいつものアレだ。
保っていた高度はみるみると下がっていき、私はできるだけ重力に逆らうようにストライカーへと魔力を込めた。
しかし、もうすっかりと使い物にならなくなったストライカーにいくら魔力を流し込んでも、
骨折り損のくたびれもうけで、それはまるで穴のあいたバケツに水を流し込むような行為であった。
仕方ない。私はもう、とうに慣れた行動をとる。
できるだけストライカーに魔力を送って重力加速度に逆らい、地面にむかってできるだけ強固な障壁を張った。
これだけやっていれば相当運の悪い場合を除けば死ぬことはない。
それはつまり、私が死んでいない以上、死ぬことはないということであろう。
そのような慣れのためであろうか、刻々と近づく地面に対し、私は冷静以外のなにものでもなかった。

ドスンと激しい落下音が私を中心に巻き起こり、身体に鈍痛がはしる。
衝撃は身体を巡り、血管を破裂させていく。
それでも私はそんなことは慣れっこで、魔力を解放して傷を埋める。
痛みはみるみるとひいていき、すっかりと身体は元通りに回復した。
そう、身体はだ。
人体にはしっかりと自己回復機能が備わっているが、
私の両足を包み込んだこの無機物には、そのような機能が備わっているわけもなく、ただの足枷と化していた。
あぁ、これでは飛行どころか脱ぐことさえできやしない。
しかたない…救援を頼むか。
インカムを繋げようと試みるが、それは、落下の衝撃のためか、はたまた不幸のためかザーザーと壊れた機械特有の異音を奏でていた。
自らの身体が強固なのか機械が脆いのか…

しかし自らの身体の強靭さを喜んでいる場合ではない。
身動きがとれず、おまけに、ここは偶然に誰かが通るような場所ではないのだ。
ネウロイの方が幾分か多く通るであろうそのような場所では、救助の可能性は限りなく低い。
そろそろ年貢の納め時というやつであろうか…まぁ悪運も随分と続いたと喜ぶべきであるのかもしれない。

墜落から十分ほど経ってもネウロイの編隊どころか陸戦ネウロイの一体も現れはしない。
てっきり衝突音に誘われて襲い掛かってくるものと思われたがどうやらそうではないらしい。
ネウロイがでないだけまだ悪運は続いているのかもしれないな。
スオムスの寒い冬には流石にネウロイも堪えるようで、この時期は随分と戦闘も億劫だったことを思い出す。
ひょっとしたらそろそろ救助が来るまでもつかもしれないな。

「ニパー!!いるかぁー!!いたら返事シロー!!」

耳に入ってきた声はよく知っているアイツのもので、しかしそれはあまりにも早すぎるものであった。
墜落してすぐに出発したとしても間に合うものではない。
499名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 21:38:45 ID:QFC5KC95
「イッルーー!!ここだぁ〜!!」

押し出した声は寒さのためか、もしかしたら恐怖の為だったかもしれないが、少し震えていたが、胸には確かな安堵の情がこもっていた。

「おう、生きてるカ?」

イッルの緊張感の無い声が耳に響いて、それだけで何故か胸が熱くなった。
にやりと笑うその顔を見るだけで、私はなにが起こってももう大丈夫だと感じるのだ。

「随分と早いじゃないか。なんで分かったんだ?」

それはあまりにも当たり前の疑問だからこそやはり不可思議で仕方がなかった。
イッルのニヤリとした笑みが更に一段と増して、得意気な顔を見せる。

「なんとなくナ。お前が消えちゃうような気がしたから思わず追っかけたら案の定でサ。」

バカじゃないのかコイツ。いくら未来予知の能力を持ってるからって確信もないのにストライカーの手続きまでして…
でも、それがどんなにか嬉しくて、ポロリと涙が溢れた。

見つけてくれてありがとう。心配してくれてありがとう。

言いたいことはたくさんあったけれども喉から声が出なくて、心配そうに覗き込むイッルの肩に頭をもたれかけた。

「ほら、帰ろウ。なんか暖かいもの食おうヨ。」

でも、私のストライカーはすっかりと役立たずになっていて動くことはできなかった。

「なんだ?完全におしゃかになっちまってるのカ?しかたねーナ。」

めんどくさそうにイッルはそう呟くと、私の背中と膝に手を回すとひょいっと持ち上げた。
ぐらりと視界が揺れて、目線が高くなる。
いきなりの出来事に、吃驚してしまい、私はギュッとイッルの胸元に顔を寄せた。
500名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 21:39:31 ID:QFC5KC95
「ン?怖かったカ?意外と可愛いなお前。」

頬に血流が巡るのが分かった。多分、今、私の顔は真っ赤になってるのだろう。
でもそれも、全て変なことを言うイッルが悪いのだ。

「バ、バカなことを言うなー!!は、恥ずかしいじゃないか!!」

それでも、実は嬉しかったけれども、なぜだか目じりには涙がたまった。
いきなりそんなことを言われたので、心臓も身体も全てが変なことになってしまったのだ。

「知ってるかニパ?この体勢さ、扶桑ではお姫様抱っこって言うんだゾ?よっ、お姫様、基地までエスコートさせていただきますヨ。」

ボッと再び顔に血が上って、頭がくらくらとして、もう倒れてしまうのではなかろうか。
からかわれているのに、なぜだか怒る気にもなれなくて、朱に染まっているであろう顔を隠す為にイッルの胸へと顔を埋めた。

「私は、お、お姫様なんて柄じゃない!!男みたいだって言われるし…。」

それでも悔しかったから胸の中でそう叫んでやった。
そう、私はお姫様なんて柄じゃないのだ。王子様にしてもカッコ悪すぎるけれども、
どちらかといえばそっちの部類で、王子様みたいな人に対する憧れなんて恥ずかしくてしまいこんでしまった。
あぁ、それでもどこかで王子様が来てくれるのではないかと信じていたのかもしれない…
そう、なぜだか胸が高鳴ったのはイッルがまるで話に聞く王子様みたいで、恥ずかしかったからなのだ。

「ニパはさ…自分で思ってるよりきっと、ずっと、か、可愛いヨ。
だ、だからさ、たまにはお姫様でもいいんだ!!わ、私がそれをバカにするようなヤツはぶん殴ってやるから…」

あぁ、もう、今日のお前はどうしたのか…。
私の顔をこれ以上赤くしたとしてもなにも出やしないのだ。
それでも、嬉しくないわけなんてなくって、それこそ顔から火がでそうだったけれども、更に深く顔を埋めた。

「あ、ありがと…イ、イッルもお、王子様みたいでカッコよかった…」

柄でもない。どう考えても柄でもないことを言ってしまって、また顔を赤く染めてしまう。
笑ってくれたならば、怒る事もできるのに、イッルの顔もまた真っ赤で、二人して熟れたリンゴみたいになってしまっているのだ。
あぁ、もう、私の頭はどうにかなってしまいそうです。
私は、これ以上は耐えられないとばかりに、襲ってくる疲れに身を任せて、イッルの胸の中で意識を手放した。

Fin.
501名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 21:47:48 ID:QFC5KC95

皆様GJです!!
どうも、忙しい忙しいと言ってるくせに度々やってきているのは詐欺ではないのです。
人間朝の3時半に起きれば一本ぐらい短編ならかけるのです。

自分はエイラーニャもえるまいらも好きだけど、エイラはきっとニパ相手が一番自然体だと思うのです。
なにが言いたいのかというと、ニパ可愛いよニパと叫びたいのだ!!
でも甘いのが書けたかどうかはわからない。なぜなら執筆中ずっと青いベンチを流していたからなんだか泣けてきてしまったからだ。
甘いものが描きたいのなら甘い曲を聞こうが今日の教訓です。
では一人ニパ祭りは少し寂しいので誰か一緒に踊りませんか…なRU1ZZ/dhでした。
502名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 21:50:35 ID:QFC5KC95
あっどうでも良い事だけど前スレ599がニパなら落雷にも打たれるよなと思ったのは多分自分だけ。
そうですよね、心理的なものですよね…。
503名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 21:55:54 ID:33VB06LW
GJ×2
エイラもサーニャもニパもエルマさんも可愛い
スオムス組+サーニャ大好き
504名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 22:15:11 ID:JdySz3Xg
一人祭りバレって悲しいですよね。ちょいニパ好きとしてはわっふるしてるんで、諦めないでください。
だもんで、前スレ599とやらが気になってひとっ飛び行ってみた。……なんだ、文才がないと思ったら、ただの俺の妄想か。
広大なようでニパ界は案外狭いナ。やはり次は、作戦道理の甘いやつをぜひ。
505名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 22:20:56 ID:yzmfi0Kv
GJです
最近ニパにクラクラしてるので幸せだ〜

流れ切って悪いのだけど、投下して大丈夫?容量平気?
携帯だからわからんくて…
506名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 22:22:54 ID:z1LwtX6U
あと70Kは大丈夫
507kK2NO0Bq:2009/02/03(火) 22:32:22 ID:yzmfi0Kv
>>560ありがとう!
改めましてトゥルーデ撃墜部隊kK2NO0Bqです
DVD見て触発されたのでエーゲル投下します
508名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 22:34:09 ID:yzmfi0Kv
朝、みんなが集まった食堂で。
私はいつも隣に行く人物じゃなく、いろんなとこがでっかいリベリオン人に飛び付いた。

「シャーリーシャーリー♪」
「んー?…おっと、なんだなんだ?」
「ふーむ、相変わらずすごいおっぱいだね〜」
「なんだよー、珍しいなぁハルトマン」

後ろから隊一の巨乳をもみもみしていると、一方からちょっと痛い視線が突き刺さる。
その視線とは別の方向から、ぱたぱたとルッキーニが走ってきた。

「だーめだめー!シャーリーのおっぱいはアタシのー!」
「いーじゃん、ちょっとくらい」
「だめだめだーめっ!!」

ルッキーニがうにゃうにゃと騒ぎ出し、ミーナが怖い顔を向けてきたから、私は手を離した。

そのまま何もなかったかのようにいつもの席に座る。
ちくちくした視線を送ってくる、トゥルーデの隣に。

「じゃあ、いただきまーす!」



―――

「朝から何をやっているんだ貴様は!」

ご飯の後。
トゥルーデに引っ張られて部屋に入れられ、お説教を開始された。

…まぁ、想像はしてたけどね。
509名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 22:35:19 ID:yzmfi0Kv
「何って、シャーリーのおっぱいを揉んだけど」
「へっ…平然と言うな!!朝っぱらからそんな、全員がいる前で破廉恥な行動を…」
「サーニャとエイラはいなかったよ」
「屁理屈をこねるなッ!!」

トゥルーデは顔を真っ赤にしてまくしたてる。
その理由が怒ってるだけじゃない事、ばっちり気付いてますけど。

「いいじゃん、シャーリーのおっぱい気持ちいいんだもん」

そう言うと、トゥルーデはちょっとムッとした。

「そ…そういう事を言ってるんじゃない!それに、相手にも迷惑がかかるだろう」
「じゃあ、トゥルーデならいいの?」
「…は?」

間の抜けた返答をしてる隙に、トゥルーデに飛び付いた。

「シャーリーには迷惑かからないでしょ」
「…私にはかかるが」
「えー、嫌?」

ふに、とトゥルーデの胸に触れながら見つめる。
ひゅっと息を飲んだトゥルーデは、少し瞳を潤ませた。

「っ…誰にもやらなければいいだろう!」
「なんか手持ちぶさたでさ〜」
「そんな事理由に…あっ…」

だんだん揉む力を強くしていったら、トゥルーデの声に覇気がなくなってきた。
かわりに色っぽさが混ざってくる。
510名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 22:37:17 ID:yzmfi0Kv
「あれー?どったの〜トゥルーデ?」
「っ…ば、か…ん…」

ぎゅっと目を閉じて快感に耐えるトゥルーデ。
ふふ、可愛いんだから。

力が抜けてきてるトゥルーデをトン、と押すと、後ろにあったベッドに腰が落ちた。
私はすぐさま膝の上に跨がって、トゥルーデの熱いほっぺにキスをする。

「妬いてた?」
「は…ぁっ、な…にが…」

片手で胸を揉みながら、空いた手で服を脱がせていく。
下着が簡易的なのは、こういう時脱がせやすくて便利。って前に言ったら怒られたけど。

「私がシャーリーのを触ってるの、ちょっと妬いてただろ」
「…!な、何故そんな事で妬いたりなんか…」
「私を愛してるからー」
「…っ…!」

にっ、と笑うとトゥルーデはますます赤くなって口をパクパクさせる。

「わかりやすい返答どうもね」

前述の通り、簡単にくいっと下着をずらして胸に触れる。

「はぅっ…」

びく、と小さく震えたトゥルーデは、既にとろんとしちゃって可愛かった。

「うん、色良し張り良し。やっぱ私トゥルーデのおっぱいが一番好き」
「は…恥ずかしいこと、言うなぁっ…」

緩急をつけて揉んであげると、トゥルーデは私の肩に頭を預けてきた。
511名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 22:38:28 ID:yzmfi0Kv
胸が見えないようになのか、体が支えきれないのかわからないけど…
いつものトゥルーデとは真逆の幼い可愛らしさに、こっちとしては逆効果だ。

「トゥルーデ、耳出して」
「ぅ…えっ…?」
「ほらほら、早く」
「あっ!んんっ…!」

促すように胸の先を弄ると、軽く仰け反ったトゥルーデの頭からぴょこんと使い魔の耳が現れた。

「首絞めたりしないでね」

一応そう言って、ぽてっとした垂れ耳に頬擦りする。
トゥルーデの耳って、ふにふにで柔らかくてすごく気持ちいいんだよね。

「っふ…ぁ、くすぐったい…」
「こら、逃げるな」
「あっ、ぁん!くぅん…」

はむっと耳を甘噛みすると、トゥルーデは鼻にかかった声を漏らした。

「ふぁ、っ…ん、んっ…」

そのままときどきぴくんって動く耳を唇と舌で遊んでたら、甘えるように擦り寄ってきた。
ほんとに犬みたいで可愛い…

「気持ちいい?」
「んぅ……い、ぃ…エーリカぁ…」
「ずいぶん素直だな、いい子いい子」
「あ…んん…」

頭を撫でたら、ふにゃって無防備に笑ったりして。

「エーリカ…もっと…」

なんだなんだ、発情期か?トゥルーデの使い魔。
512名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 22:39:41 ID:yzmfi0Kv
要望通り、胸を揉む力を強くしたら、トゥルーデは肩にしがみついてきた。

「あっ…んあぁっ」
「っつ…トゥルーデ、ちょっと痛い…」

力を緩めたら、いやいやと首振ってねだったりして…可愛くてやめられなくなる。
でも、刺激するほどギリギリと肩の手に力がこもってくる。

「エーリカ…エーリカぁ、はうっ…」
「いたた、トゥルーデってば…」

ヤバい、このままじゃ私の肩が砕かれそうだ。

「ちょっとごめん、トゥルーデ」

一旦体を離して、トゥルーデをベッドにうつ伏せにさせた。
後ろから胸を掴んで、ついでに項をぺろぺろ舐める。

「やあぁっ、だめ、んん…!」

トゥルーデは腕をバタバタさせて、触れたベッドの柱を掴んだ。

「いくよ、トゥルーデ」
「あっ!や、エーリカッ、あぁ…!」

胸の突起をくりくり捻って、仕上げに尻尾の根元をきゅっと引っ張った。

「ふあっああぁん…!」

バキィッ!

トゥルーデが仰け反って絶頂を迎えると同時に、ベッドの柱が折れた。
…もし体勢変えなかったら、私の肩が……ぞー。

「はぁ…エーリカ…」

トゥルーデが上気した顔のままこっちを見た。

「もう…私以外の奴の胸、触るなよ…」
「はーい」

えへへ、可愛いんだから。

約束する代わりに、今までの倍はトゥルーデにセクハラしちゃおう。
513kK2NO0Bq:2009/02/03(火) 22:40:57 ID:yzmfi0Kv
終わりです。
トゥルーデの誕生日にストパンイベがあって嬉しいよ

お目汚し失礼しました
514名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 22:44:13 ID:ydBGif8d
>>500
gjgj
このバカップルめwww
515名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 22:51:21 ID:b7joI7FT
>>446保管されてから読もうと思ったら俺の携帯が古いからか読めない…。
シリーズと書いてあるから作者さんもそのつもりだと勝手な思い込みだけど管理人さん一話ごとに保管してくれないものか。
516第3手 運命線重ねる:2009/02/03(火) 23:03:40 ID:TrnhUqZw
まだ投下できるかな…
48手で人様が埋めなそうなところに挑んでみました。
3手『運命線重ねる』です。もっさん×ミーナです。
挑んでなんですがこの題難しっ…


「赤い糸ってどうして見えないのに赤い糸なのかしら」 

 ことの後の甘くけだるい余韻に汗ばんだ坂本の腕の中で、ミーナがふと思い出したように言った。
 緩やかな動きで坂本の腰にまわしていた自分腕を持ち上げて、小指をしげしげと眺める。

「どうしたんだ、急に」
「そんな事を、今日みんなが食堂で話していたから」

 こうして戦争をしていても、みんな年頃の女の子だものね。楽しげにくすくすと笑う。

「お前だってそうだろう」

 言うと、ああそういえば、といったふうに「それもそうよね」と返ってくる。

「運命の赤い糸だなんて、私には似合わないかしらと思って」
 もし、この指と、あなたの指が繋がっていたらすてきでしょうね。

「見えないものは、さすがにわからないな」

 ミーナの言う意図が読めなくて、坂本は少し困ったように言った。

「あら、ここは少し気のきいたことでも言ってくれてもいいんじゃないかしら?」
「生憎と歯の浮くような言い回しには縁がなくてな」
 言って、坂本はふいにミーナの手をとった。

「そういえば、東洋には手相っていう占いがあるんだ」

 指先でミーナの手のひらの上を示す。

517第3手 運命線重ねる:2009/02/03(火) 23:05:07 ID:TrnhUqZw


「これが生命線、これが頭脳線、あと、確かこれが恋愛線、
 それから…たぶんこれが運命線だ。
 この線を見て、その人間の運命とか運勢とかが分かるらしい」
「それで、どうなの?」
「さあ。私にはさっぱりわからん。
 ただ、生命線が長いから長生きすると言われたことがある」
「あなたらしいわね」
 ミーナはふふ、と笑った。

「そう言うな」

 坂本は、手のひらを重ね、指をからめてぎゅっと握った。
 手のひらの上の二枚の運命縮図が重なる。

「こうなると、さしずめ私の運命はあなたの手の中といったところかしら」
「それなら、私のもそうだろう」
「なら、私たち運命共同体ね」
「もともと、そんなところだろ」
「そうよね」


「ねえ、美緒。あなたは運命を信じる?」
 ミーナは、坂本の答えを待たずに言う。
「私は信じるわ。だってあなたと出会えて、こうしていられるのだから」

 絡めた手に、ぎゅっと力がこもる。

「運命か」

 重ねた手のひらの中に刻まれている、ふたりぶんの運命線を思う。
そこに記された意味が分からなくとも、赤い糸なんて見えなくとも、こうしてたまたま、いくつもの戦場を生き抜いてきて、同じ時にブリタニアへ派遣になって、そして惹かれて。
確かに運命の数奇とでも言うべきか。

「そうかもしれないな」


 坂本はミーナの手を、きつく、握りかえした。
 


Fin.
518名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 23:06:44 ID:TrnhUqZw
そんなわけでなんだか苦しいかんじですが、x6opQjYyでした。
カールスラントに手相があったらマジすいません。
519名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 23:23:35 ID:GXGJYbYP
手相は世界にあるだろ
プラトンのころからある
520名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 23:43:02 ID:S4cXl5ZS
>>517
なんというか...もう、本当にGJ、もう有り難うと言いたい!
しかもなかなか難しい題なのに雰囲気があっていいな!
アダルティーなこの二人は久しぶりに読んだ気がする。
やっぱもっさんとミーナいいわ。
521名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/03(火) 23:57:20 ID:2CSlNAi5
RU1ZZ/dhさんの文章は読んでてニヨニヨさせられるのばっかだぜ…!マジリスペクト。
エイラーニャ大好きなんだけど、ニパも大好きな自分はどうすればいいのか悩む日々です…。
522名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 00:11:20 ID:AMZF+mDB
そこ
523名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 00:13:43 ID:AMZF+mDB
今のはミスです、失礼

心待ちにしていたラブラブニパエイラが来て心の中で歓喜の雄叫びをあげました
いつもかわいそうなニパなのでたまにはツイててもいいよね!!
524名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 00:18:01 ID:guKYxve2
ツイてるのは同人だけで懲り懲りです。虎馬です。
525保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2009/02/04(水) 00:18:45 ID:Z5NZxAFD
>>515という意見が出たのでライトユーザー向けに別ページ版作りました。
ttp://lilystrikewitches.web.fc2.com/ss/m0747.html
正規表現でテキトーに変換したのを貼り別けただけなので、バグがあったらご一報ください。
しかし読めば読むほどよく仕組まれてるなコレ……この構成力には脱帽せざるを得ない

>>487>>495>>500>>513>>517もGJ!!にやにやしちゃって作業が進まない進まないw
526名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 00:31:50 ID:5B+IEVOs
>>525
作業が速いw
本当にいつもご苦労様です。
携帯ユーザーとして心から御礼申し上げます。

でも今から投下させてもらおうかと…すいませんw

改めましてこんばんは。LWqeWTRGです。
今日すごいですね。投下タイミングはかるの初めて…。
さて、秘め声からきました、48手の第12手・ハグ・胸の中に頭を抱え込む、になるのか?を投下させてもらおうと思います。
エイラーニャ+シャーリー、3レスです。

527名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 00:32:56 ID:5B+IEVOs
うーんと…。お、今日の運勢は女帝の正位置じゃん。あとでリーネのとこ行こーっと。

「お前飯食ってんのかと思ったらまたタロットかー?たまには訓練でもしたらどうだ」
「んあ?なんだシャーリーかー。…私には訓練してる暇なんかねーんダヨー」
「んー、ああそうか。サーニャの面倒みなきゃなんないもんなぁ?」
「!?サーニャは関係な!…くはないケドさぁ…」
「ふふん、じゃあ言っとくけどサーニャ危ないぞ?」

え?と思って隣に座っているサーニャを見るとものすごい勢いで船をこいでいる…。

「うわわサーニャ!」
「…え?…なぁにえいら…。…Zz」
「わ!マテ!部屋行くゾ!ちゃんと横にならなきゃダメだって!」
「うん…わかった……あれ?ぼるしちがぴあのひいてる…」
「寝ぼけてないでサッサと行くゾ!」
「くっく…お前らほんっと仲いいよな」
「そ、そんなんじゃネーヨ」

椅子から立ち上がってサーニャを引き上げる。
立たせた途端にぐらりと体が揺れて…。

「サーニャ!」
「危ない!」

ぽむっ

…なんか、変な擬音が付いたぞ?

528名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 00:34:00 ID:5B+IEVOs
「っておいコラ!なにシテんだ!」
「なにって…抱き止めただけじゃん」
「ズッケーゾ、このー!私だってしたことナイのに!」

あれ…なんだろう…。シャーリーの目がおかしいぞ…。

「ふっふーん。したことないってーのはこれのことかぁ?」

パフパフ

「ちょ、な!コラマテ!」
「これ…、やわらかい…」
「オイサーニャ!」
「ほれほれ〜」
「うぅ…!チョットうらやま…」
「エイラ…?」
「おぉ?起きた?」
「また女の子の体を触るつもりなの…?」

う!…そういえばこの前その事について怒られたんだった…。

「ん〜?なんだ痴話喧嘩か?」
「ち、ちげーヨ!」
「照れない照れない。ほら慰めてやるからここ来るか?」
「…ゴクリ」
「…エイラ」
「うぅっ!」
「くくっ、じゃああたしにする?サーニャにする?」
「ナンダソレ!?くっ!どっちが…」
「エイラ…?」

ヤバいヤバいヤバい。どうしよう。
これはチャンスだ、と思う…。両方の意味で。
おっきなマシュマロをとるか…怒った顔も可愛い天使をとるか…。

「うりうり〜」パフパフ
「……。」

大事なチャンスだけど…やっぱり、私は…!



529名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 00:34:58 ID:5B+IEVOs
「…サーニャだ!サーニャにする!」

「あらら…ざーんねん。ほら行きな、サーニャ」トンッ
「あ…」
「オイバカサーニャを放るな!」
「エイラ…」
フニッ
「うわっわ!」

「しっかりサーニャを気持ちよくさせるんだぞー」
「ヘンナコトイッテンジャネー!」
「これ…ドキドキいってる…」
「邪魔者は帰るから、ほら頑張れよー」
「ちょっ、私たちをソンナメデミンナー!」


「…オイ、サーニャ?」
「…すぅ…すぅ……」
「ここで寝るナヨー…。くすぐったいジャナイカ…」
「…むにゃ…エイラ……」
「…たくぅ、今日だけダカンナ…」


「ふふ…、まったく世話の焼ける奴らだねぇ」

END

530名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 00:35:52 ID:5B+IEVOs
以上です。
シャーリーのを触ってみたいエイラと、他の女の子に触ってほしくないサーニャから降ってきました。
シャーリーは見えないところでお姉ちゃんしてもらいたい。
これ一応胸の中にハグだよね?

では失礼します。
531名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 00:47:52 ID:VflZ6dPT
ところでサーニャにはエイラの体を触りたいって願望はないの?
なんとなく頭撫でたらはにゃ〜んってなりそうなキャラだけど
532名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 00:53:49 ID:VTRYI8Ev
サーニャは誘い受けなんです
533名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 00:58:38 ID:/9cZHf4t
エイラはヘタレ攻めなんです
534名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 01:02:04 ID:guKYxve2
サーニャには、誘い攻めというマイナー属性も秘められておるぞ!
535名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 01:09:35 ID:rjxij8jw
誘い攻めって、それただの攻めじゃね?
536名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 01:12:53 ID:atCMVkIt
先に手を出したのはエイラの方だからね……みたいな
537名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 01:20:37 ID:AMZF+mDB
エイラ「ササササササーニャわわわっわたしに全部任せてくれてかまっかまかまかま構わないからナ」
サーニャ「エイラ…お願い…来て…」

数分後↓

エイラ「ひあっ!あっ!」
サーニャ「うふふ……こんなエイラもかわいい…」


みたいなことかと思ってました
538名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 01:22:40 ID:lESSkM7l
t26gFAxTです。
ミートゥル書きたかったのでネタを探していたら丁度良いお題があったので。つい。
なんか中途半端な長さになってしまったけど
第36手 「はい、あーん」年上から年下へ
投下します。
539第36手 「はい、あーん」年上から年下へ:2009/02/04(水) 01:23:16 ID:lESSkM7l
 1941年3月19日未明、床についたゲルトルート・バルクホルンは夢を見る。

 士官学校を出、正規士官として軍への正式採用が決まった頃。
 自分専用にあつらえたはずなのにまだ着慣れない軍服に戸惑い、新たな門出に緊張と高揚が複雑に絡む。
 笑顔のクリスが語りかけ、抱擁をする。
 誕生日おめでとう――
 ゲルトルートも笑顔で応える。
 それ以外の選択肢なんてないのだから。

 弛緩した頬が部屋の冷気にさらされて、ゲルトルートは夢から覚めたことを認識する。
 静かに起き上がり、薄暗がりの中で、倒された写真立てに目を側めて、小さく小さく息を吐き出した。

 起床時間を知らせるホーンの音が鳴り響く。
 ミーナは毎朝同じ時間に各隊員の部屋に面した廊下を横切るが、いつもは聞こえてくるはずのゲルトルートのストレッチ中のかけ声が聞こえないことに気づき、足を止めると、彼女の部屋のドアをノックする。
 しばらく待ってみるが、返事がないため、一声かけてからゆっくりとドアを開けた。
 服の着方でも忘れてしまったのか、ゲルトルートはシャツを羽織っただけでベッドの端に腰をかけ、足元に転がるブーツに視線を落としていた。
 初めて見るその様子にミーナは激しくもないが、些細とも言いがたい動揺を覚え、足早にゲルトルートに近づいて、手を伸ばす。
「トゥルーデ、具合が悪いの?」
 ゲルトルートの肩先が小さく揺れて、今目覚めたような顔でミーナを見上げた。
「ミーナ、どうかしたのか?」
 こっちの台詞なんだけど――
 そう思いながらも、ミーナは困ったような笑い顔を見せるにとどめ、そばにあるゲルトルートのジャケットを手に取るとぼうっとしている彼女の肩にかける。
「もう起床時間よ」
 ゲルトルートはその言葉にようやく我にでも返ったのか、シャツのボタン、ジャケットのボタンを留め、ブーツを履き駆け出した。
「トゥルーデ」
「なんだ?」
「タイを忘れてるわ」
 ミーナははっとするゲルトルートの首の後ろに手を回し、タイを締める。
「ねえ、どうかしたの?」
「……いや、なんでもない。少し考え事をしていただけだ」
「本当に?」
「ああ、何も問題はない」
 部屋を出て行くゲルトルートを見送って、ミーナは彼女の部屋を一望し、倒れた写真立てに寂しげな表情を向ける。

 午後のティータイムが終わり、格納庫に座り込んだエーリカがうつらうつらし始める。
 隣で腕組みをし、じっと待機をするゲルトルートはじろりとエーリカの頭頂を見つめた。
「おい、ハルトマン」
「あーい……」
 ゲルトルートの膝にしなだれかかるエーリカ。
 限りなく寝言に近い相槌に首根っこを引っつかんでやろうかと思った矢先、背後から声がかかり振り返った。
「ミーナ、何か問題でも起きたか?」
 ミーナの登場を深刻そうに迎えるゲルトルートにミーナは慌てて手を振った。
「いいえ。様子を見に来ただけよ」
「そうか。問題ない。いつでも行ける。ようやくMG42の二丁装備にも慣れてきた」
 あくまでも生真面目に、一歩間違えれば機械のように返すゲルトルートにミーナはつい寂しげに見つめ返してしまいそうになりながらも、それを悟られぬよう隣に並び、口を開いた。
「明日……」
「……何か予定があったか?」
 ゲルトルートのその言葉にミーナはふためくが、サイレンが鳴り響き、エーリカはぱっと起き上がり、美緒とペリーヌがやって来る。
 ミーナがインカムのスイッチを入れる。
「ガリア方面から敵が侵攻中。小型のようだけど、六機以上の反応があるそうよ。みんな、気をつけて」
「「了解」」
 ミーナを残し、ゲルトルート、エーリカ、ペリーヌ、美緒は直ちに空へと舞い上がっていった。
540名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 01:24:16 ID:guKYxve2
んー、意識してないんだ。でも、「サーニャ、するよ?」って行為になると覚醒するという。
そんな、説明も難しい高等テクニックなのだ。
541第36手 「はい、あーん」年上から年下へ:2009/02/04(水) 01:24:21 ID:lESSkM7l
 出撃組は眼下に高速で直進してくる敵機編隊を発見する。
 数は十機。
 前衛のゲルトルート、エーリカはくるりと身を翻すと、エーリカから急降下して狙いをつけた敵機に初弾を食らわせる。
 敵機の装甲が爆ぜ飛び、エーリカは上昇をする。
 すかさず、ゲルトルートが二丁のMG42で装甲が修復する前に敵機内部に弾を叩き込み、さっそく一機を墜とした。
 後衛の美緒は安全装置をはずし、叫ぶ。
「ペリーヌ、我々も行くぞ」
「はい!」
 堅実に、確実に、ウィッチ達は敵機を次々とドーバー海峡へと散らせていく。
 残り二機。
 エーリカが放たれるビームを最小限のシールドで弾き返しながら、一気に距離を詰めた。
「いただき!」
 天性の勘でコアの位置を予測し、少し多めに弾を撃つ。
 が、すんでのところで回避され、コアを破壊するには至らず、上空のゲルトルートを見つめる。
 ゲルトルートは止めを刺そうと急降下をするが、一方のストライカーが煙を吹き、バランスを崩す。
 別の一機を墜とした美緒が異変に気づき、叫ぶ。
「ハルトマン、ペリーヌ、バルクホルンを頼む!」
 美緒は背負った刀を抜くと、最後の一機をコアごと両断した。
 散っていく破片を眺めながら、刀を納め、エーリカとペリーヌに両脇から抱えられたゲルトルートへ近づいた。
「バルクホルン、怪我はないか?」
「ああ……」
「整備ミスかな?」
「おそらくそうだと思いますわ」
 美緒は基地のミーナに語りかける。
「ミーナ、敵機を殲滅した。これより帰投する」

 ミーナは戻ってきたウィッチ達を出迎えるが、エーリカとペリーヌに抱えられたゲルトルートを見て、駆け寄った。
「被弾したの?」
「まさか。ストライカーが火吹いたんだよ」
 エーリカはそう言いながら、ゲルトルートのストライカーをハンガーに納める。
 ゲルトルートは、装備を戻し、ストライカーを脱ぐとブーツを履いて基地へと戻っていく。
 使い魔の耳と尻尾を出したまま。
 その姿に一同は目を丸くし、ミーナは後を追った。
「トゥルーデ!」
「……なんだ?」
「あなた魔力が……」
 ミーナの言葉にゲルトルートははっとして伸びたままの尻尾と耳に気がつき、制御できず湧き上がってくる力に慄く。
「ねえ、トゥルーデ、あまり抱え込まないで。いくらでも力になるから」
 ミーナは手を伸ばしかけるが、ゲルトルートは咄嗟に避ける。
「よせ! この状態じゃ大怪我させてしまうかもしれないだろ……」
「けど、このままにしておけないわ!」
「一時的なものだ! 時間が経てば……治る」
 ゲルトルートは、今日初めて感情を露にすると、逃げるようにその場を去った。
「精神的なもの……かもしれんな。思い当たる節はあるか?」
 美緒の言葉にミーナは振り返り、しばしの間を置いた後、うなづく。
「そうか……。バルクホルンが言うとおり、時間が解決してくれるかもしれないが。最近のあいつを見ていると早急な解決はあまり期待は出来ないな」

 少しばかり遅くなった夕食の時間が終わり、ミーナは誰も座っていない椅子に視線を移す。
 不意に、夕食が載ったトレイが差し出されて顔を上げる。
 笑顔のエーリカ。
 しかし、呆けているミーナにやれやれとため息をつき、
「中佐、この夕食を姉バカ大尉のところに持ってっていただけますか?」
 と、付け加えた。
 ようやくエーリカの真意を汲んで、ミーナは自信なさげに小さく笑いながら、トレイを手に取った。
 エーリカはミーナの背後に回りこんで背を押した。
「隊員のケアも隊長のお仕事!」
542第36手 「はい、あーん」年上から年下へ:2009/02/04(水) 01:25:31 ID:lESSkM7l
 ミーナはゲルトルートの部屋の前に立ち、ドアノブがあらぬ方向に向いていることに気がついて苦笑する。
 そっと背でドアを押し、中へと入る。
 薄暗闇の中、ベッドの上でゲルトルートが起き上がる。
「誰だ?」
「私よ」
 ミーナはまっすぐ進み、机にトレイを置くと、スタンドの明かりをつけ、ゲルトルートの着衣の惨状を見てのけぞりかける。
 ボタンはすべて飛び、付近も引き裂かれたようにほつれている。
「これでも精一杯力を抜いたんだが……」
 ミーナはベッドに座ると、そっとゲルトルートのタイに手を伸ばして引き、ぼろぼろになっている服も慎重に脱がせ、スポーツブラとズボンだけの楽な姿にする。
 ゲルトルートは照れくさそうに頭をかく。
「すまない。世話をかけて……あと、さっきは……怒鳴って悪かった」
「気にしてないわ。お腹すいたでしょう?」
 目を細め、いたわるようにそうささやきかけた。
 ゲルトルートはかすかに頬を赤らめながら、こくんとうなづく。
 ミーナはトレイを自分とゲルトルートの間に置く。
 ゲルトルートはパンに手を伸ばすが、ミーナが手を重ねて静止したかと思うと、パンを一口サイズにちぎりゲルトルートの口元に近づけた。
 先ほどよりもうんと頬を赤くするゲルトルート。
「パンぐらい、さすがに自分で……」
「口、開けて」
 上官だからなのか、それとも別の理由からなのか、逆らうという選択ができないゲルトルートはミーナが寄せたパンを口に入れるともぐもぐとよく噛んで飲み下す。
「美味しい?」
「……ああ」
 ミーナは、久々に見たゲルトルートの照れ顔に満足を覚え、くすりと微笑んだ。

 トレイの食物がすべてゲルトルートの胃に収まった頃、恥ずかしさのせいなのか、ゲルトルートはぐったりしたように肩を落とす。
 が、その頭と尾てい骨の辺りからは、使い魔の耳と尻尾が垂れ、まだ魔力がコントロールし切れていないことを表していた。
 ミーナは足元にトレイを置いて、話し始めた。
「休暇、なかなか取らせてあげられなくて、ごめんなさい。クリスに会えないのは、つらいわよね……」
 ゲルトルートは顔を上げ、倒れた写真立てに目を向け、ミーナの横顔を見つめた。
「休暇が取れないのは仕方がないさ。それに……会えないことよりも、クリスを守れなかった。その事実が……つらいんだ」
「あなたのせいじゃない」
「何度も、そう言い聞かせているさ。クリスを失いかけて、ミーナがそう言ってくれたときから……。けど、なかなか簡単にはいかなくて。私は……器用なほうではないから。感情を押し殺すことでなんとか保ってる」
 ミーナはぴくりと肩を震わせた。
 沈着冷静。
 それが彼女にとっての普通だと思っていた。
 思い込んでいた。
 けど、本当は――
「私、まだまだね。あなたのこと知った気になってて、まだ何も分かっていなかった。ここにいるみんなの中では一番長くいる人なのに」
「一番長く……。そういえば、そうだったな……。目まぐるしすぎて数える暇もなかった。誕生日だって、フラウに言われて……思い出してしまう有様だった」
「仕方がないわ。ここは曲がりなりにも前線基地なのだから……」
「だが、親友の誕生日を忘れてしまうのは……。プレゼントも、用意できなかった……」
 次第にゲルトルートは口数が多くなり、表情も活き始める。
 ミーナは口角を頬に埋め、ゲルトルートに向けて両手を広げた。
「なら、今ちょうだい」
「今、か?」
「ええ、抱いてちょうだい」
「……な!」
 なにやらいらぬ誤解をしている風のゲルトルートに、ミーナはすかさず近づいて、彼女の背中に手を回した。
「うわわ。ミーナ、よせ。まだ力の調節が出来ない……」
「大丈夫よ。落ち着いて、深呼吸して……」
 離れようとしないミーナに観念したのか、ゲルトルートは言われたとおり、深く息を吸って、吐いてミーナの背中に手を回す。
「ほら、大丈夫じゃない」
「あ、ああ……」
 ゲルトルートは恐る恐るながらもミーナの背中を抱き寄せた。
 ミーナもゲルトルートを抱き寄せ、彼女の肩に頬を乗せる。

543第36手 「はい、あーん」年上から年下へ:2009/02/04(水) 01:26:30 ID:lESSkM7l
 魔力をコントロールできなかったためか、すっかり疲弊しきっていたゲルトルートはミーナと抱きしめあった数分後には眠り込んでいた。
 ミーナは、使い魔の耳が消えた彼女の頭を穏やかになでた。
 部屋の時計に目を向け、日付が変わっていることに気がつき、そっとゲルトルートの頬に唇を寄せ、離した。
「お誕生日おめでとう、トゥルーデ」

 終わり


 以上です。
 9日間限定のミーナお姉ちゃんもいいよね、なんて思ったり思わなかったり。
544名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 01:29:17 ID:VTRYI8Ev
>>537
その手のシチュは大好物です
545名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 01:36:03 ID:lr6iQN5I
apsV9PCZですこんばんは。
飽きもせず智子とビューリングのどっちも攻めどっちも受けカップルSS、持ってきました。
初投下のものからずっと続いている二人を書いていますが、全てが『無題』だと分かりにくいことこの上ないですね。
タイトルを考えたいのですがタイトルセンスが壊滅的なので結局決められずにいます。
『T for E. E for T.』なんてなんのひねりもないつまらない題しか浮かびません('A`)
何か良い意見はありませんか?

以降4レス。ちょっと張り切った(・ω・´)
546apsV9PCZ:2009/02/04(水) 01:37:42 ID:lr6iQN5I
「ビューリング、ちょっと待って」
ビューリングが廊下で食堂を目指して歩いていたところに背後から小走りの足音と智子の声が届いた。立ち止まって、智子の到着を待つと同時に手近にあった花瓶の中に今まで吸っていた煙草をそっと落とした。
「ビューリング、ねぇ」
右肩を叩かれ、僅かの痛みを感じながら顔だけで右後ろに振り返った。すると直ぐにまた痛みが頬に突き刺さった。
「…どういうつもりだ智子」
智子の人差し指がビューリングの頬肉を押していた。
「ん? えー、そう、扶桑の一種の愛情表現よ。深くは考えないで頂戴」
智子はビューリングがもう少しあたふたしてくれると期待していたのだが、冷めた反応をされてしまったら大人しく引き下がるしかなかった。
「愛情…」
ビューリングは智子には聞こえないようモゴモゴ呟いていた。何気ない一言だったがそれは銀狐の胸に反響した。
智子の指は頬を離れ、痛かった? と尋ねられた。
「…いや、別に」
ところで、とビューリングは言葉を続ける。
「何か用か?」
「あー、うん。此の後飛行訓練でもしない? 偶にはビューリングと二人というのもいいわと思って」
「そうだな、そう言えば最近は訓練もあまりやっていなかった気がする」
右手で口元を押えて記憶を探るビューリング。
「…ふむ。確かに最近は訓練を怠っているな。まあ、熱血なんてほど遠い私には進んでやろうなんて気は起きないんだが」
皮肉げに笑うビューリング。智子はその笑みを隠しもせずに再び智子に言葉を放つ。
「久々に、タイマンでもするか」
内心で、智子からの誘いを断るわけがあるまい、とビューリングは一人笑う。
智子とはいいライバルであり、いい仲間であり、関係も持つほど良い仲なのだ。
「それもいいわね、久しぶりに腕が鳴るわ」
「二十分後に空で会おう。互いの姿を確認したら即ゲーム開始だ。もちろん初撃で勝負が付いても気付かなかった、は言い訳にならない。これでいいか?」
中々シビアなルールだが、久しぶりのタイマン訓練でお互いに腕が鳴っている。
接近に気が付かないということはエンジン音が鳴り響くためまず無いが、万が一ということもある。
「空域は?」
「スオムス全上空」
「模擬武器は?」
「好きなのを使え。銃でも刀でも構わない」
「勝利条件は?」
「ペイントの着弾、及び近接武器の当たり」
智子が右手を差し出し、ビューリングもそれを握り返した。

――
547apsV9PCZ:2009/02/04(水) 01:38:47 ID:lr6iQN5I
――

二人の勝負は大々的に発表されたものではないため、以前ハルカとジュゼッピーナが決闘したときのような騒ぎにはならない。
しかし、刻一刻と心地よい緊張をする心臓に、ビューリングは煙草を吹かした。
寒空に紫煙が舞うが、雪景色に紛れ直ぐに見えなくなる。
整備兵に智子は、と聞くと先に出ていますと答えた。
「訓練ですか」
無言で頷くと、模擬刀――智子が接近戦の訓練のためと用意していたもの――を腰に差し、ペイント弾を装填されたブラウニングを手に取る。
日本刀のような細く長い刃物は扱いに慣れていないがまあいい。
模擬刀は刃が、とてもじゃないが切れるような細さではないように作られているため、本物よりも重い。いわゆる本物の峰の部分を両刃に備える刀と思ってくれればいい。
智子相手なら最終的にはこれを使うことになるのだろう、と一度腰の鞘から抜いて手応えを確かめる。
二三度、智子の見様見真似で素振りをしてみる。そう、心頭滅却中の智子の素振りの真似だった。
手に掛かる重さは、振れば案外軽く感じられた。なるほど、日本刀とは確かに優れた刃物であるようだ。
切れない切っ先を見つめてビューリングは煙草を最後の最後まで吸いきる。
それを吐き出しながら鞘に小気味よい音と共に仕舞う。
飛行脚を装着し、ビューリングは空で待つ智子を、約束の五分遅れの出発。
上昇を果たし、全方位に警戒をしながらビューリングは上空で銀髪を揺らしていた。
このスオムスの上空で、同じように智子も自分を探しているはずだ。
フィールドはスオムス全上空と広いが、辺境まで行ってしまえば途端に勝負は成り立たなくなってしまうことはお互い分かっている。
まずは、お互い視認しなければ、勝負は成立しないからだ。
基地から飛び立って上がれるだけ上がってきたが、さて。
智子の行動を読んでみる限り、基地からそう離れては居ないはずなのだ。
勝負を成立させるために。いち早く相手を視認するために。
考えを巡らせていたビューリングの視界が突如白い靄に覆われた。
「雲か…!」
雲の移動速度は想像以上に速い。車並みの速度で巻き込まれれば、雲から脱出するには下に行くか上に行くかのみだ。これ以上上空には行けないため、下に行くしか無くなる。
ビューリングは急降下を始め直ぐに雲から脱出した。
見上げる雲はかなりの大きさだった。智子の姿ばかりに注意をしていて、雲の接近に気が付かなかったとは、不覚だった。
そして続く"智子"の行動もビューリングの不覚の内だったのだ。
低く響くエンジン音、それをビューリングの耳が捉えた頃には、智子はビューリングの正面に居た。
降下するビューリングは丁度、頭上の雲を見上げている。
ビューリングは直ぐに驚愕を持って音のする方向に顔を向け、智子の模擬刀が煌めいていることを、視認。
視認が遅すぎた。智子のある意味セコい戦法に、まんまとやられた。
しかし、ビューリングもこの初撃だけで終わるわけがない。
模擬刀であれ顔面に向けての攻撃というのは避けなくてはならない。
それは智子も重々承知で、自分のことに気が付いたビューリングが体勢を整えようとし、胴体をこちらに見せたときに決めるつもりだった。
――だから、こそ。
ビューリングはそのまま智子の胸に飛び込んだのだ――!
548apsV9PCZ:2009/02/04(水) 01:41:15 ID:lr6iQN5I
肉弾戦のカウントはされない。よってこれはビューリングの初撃とはならないが、智子の初撃を回避したのだから、充分だ。
智子には事故に遭ったような衝撃が襲った。しかしそれはハルカによくやられている感覚とまるで同じだった。
まさか胸に飛び込んでくるなど思いもしなかった。ビューリングがそんな戦法に出るなど、全くの予想外で――。
「なるほど、こうして顔を埋めてみると、良さが分かるな」
落下しながらのそんな余裕ある言葉も、智子には思い掛けない言葉であって。
見上げるビューリングの視線は、じっと智子を見つめる。
仮にも年上であるビューリング。そんな彼女が智子の胸に居て上目遣い…。
しかも本当に珍しいことであるが、ビューリングの至福の表情。若干頬を染めて微細な笑みを浮かべた。
「な、ななななにを試合中にぃいい?!」
やっと口を突いて出た言葉は動揺しっぱなしで、模擬刀を手放してしまった。
「可愛いとかそんなんじゃないわ! 危険! 危険よビューリングあなた、あな、あなた…!!」
背中に回ったビューリングの両手で智子は身動きが取れない。両手はわたわたして稀にビューリングを叩くが、勝利条件はあくまで"近接武器の当たり"である。拳は含まれない。
少なくともビューリングは、智子の胸に飛び込むまでは、真面目に戦闘しようと考えていた。
だが、以前抱いた智子の身体を思い出し、スイッチが入ってしまった。
「そうか危険か。…その危険を器用に扱うかまんまと飲み込まれるかは智子次第だがな」
ビューリングはわざわざペイント弾を撃つようなことはせず、腰の鞘から刀を抜き出して智子の両足の間に差し入れた。
太ももをなで上げるその冷たい感触に智子は身震いした。
この時点でビューリングの勝利が決まったわけだが、二人とも既に勝負のことなど吹き飛んでしまっている。
上空の甘い続きは、降下した森の一角で行われた。

――
549apsV9PCZ:2009/02/04(水) 01:43:32 ID:lr6iQN5I
―おまけ―

「智子ちゅぅいいい〜〜〜! どこにいっだんでずかぁああああ〜〜〜〜〜!!」
ハルカが大泣きで基地の廊下を徘徊していた。宛ら悪霊だが誰も声を掛けることができない。
「ハルカ待って! そっちには居なかったよ!」
ジュゼッピーナだけがその状態のハルカに声を掛けることが出来るのだった。
「本当ですかパスタ准尉ぃ…? 私を差し置いて中尉といいことなんて許さないですから!」
「本当よ。少しぐらい信じてくれても良いじゃないの。変態海軍娘」
大体、と続けてジュゼッピーナは言う。
「トモコ中尉を見つけたら真っ先に抱きついていちゃいちゃするわよ。それぐらい分かりなさいよ」
「それもそうですね…ごめんなさい」
ハルカは目元に残っていた涙を拭ってジュゼッピーナに向き直る。
何だかんだでお互い智子のことを想っているだけあり、智子に関しては仲良くもあり恋敵でありと忙しい。
そしていまは智子のために団結して智子を見つけてあんなことこんなことをしようという魂胆だった。
「いいわ、いつものことだし。…それより、どうやら訓練に出てるみたいよ。行き先が分からないから追えないわ」
ジュゼッピーナは一時休戦という意味でハルカに言った。
「そうなんですか…。帰ってきたらお仕置きしましょうね!」
「ええもちろんよ! また何回撃墜出来るか勝負ね」
ニヤニヤと二人で目線を交わし合って、ジュゼッピーナが言った。
「そうだ、トモコ中尉が帰ってくるまでおやつでも食べましょうよ。ラザニア作ったの」
「わー! 本当ですか、いただきまぁす!」
食堂に二人駆けていった。
そして一時間後、夕食すら食べることを許されずその後一晩を過ごすことになるとは、智子は考えもせずにビューリングと唇を重ねていた…。

――

自分も書いていて、ビューリングが空に発つまで真面目でしたが、やはりこうでなきゃね! みたいな!
序盤の微妙なシリアスが空回りしてますがこういうのも偶にはいいですよね。
ではまた
550名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 04:02:04 ID:V7wEbree
>>479
仕事速ええ・・・GJ!
管理人氏×ゆりたまご氏の百合愛の結晶だなこれは
間違いないスレ史上最高傑作だわ、これだけで特別最上名誉勲章に値するんじゃないか?
いっそ表紙に特設会場作ってサイトの宣伝にするべきだ
それとゆりたまご氏は連投気にして投下自重するなど言わないでくれよ
じっちゃんが大作投下した時も妬んで叩く奴はいたんだからさ・・・
ここを去ってしまってからでは遅いから全力で応援する!
551名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 05:14:48 ID:RzHT1c56
>>501
自分もニパの続きは書いているんだが……なかなか書きあがらんす。

っていうかスレのこの加速についていけない自分がいる……。
書く時間だけじゃなくて読む時間も欲しいよ〜。
552名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 05:43:49 ID:TratY2i7
元6Qn3fxtlです。
エースパイロットの皆様の実力が段違いで、新兵としては縮み上がる思いがします。
特にゆりたまご氏の仕事はGJすぐる……。

ところで、 >>531 を見てスイッチが入ってしまったので、
サーニャ×エイラで、「第32手 頭を撫でる」を投下します。
ちょっと>>531の意味するところとは違うけど……。

2レス使います。
553第32手 頭を撫でる 1/2:2009/02/04(水) 05:45:17 ID:TratY2i7
第32手 頭を撫でる

「ん〜、なぜシャーリーの胸はこんなに大きいのに垂れないのだろう……」
「エイラ、私の胸を揉みながらカッコつけるのはやめないか?」
「ニ゛ャー!?シャーリーのおっぱいはわたしのなの〜!!!」
さっきまで一緒にお茶を飲んでたと思ったのに、エイラったら……。
ルッキーニちゃんが泣きそうだから、もうやめたほうがいいよ?

お母さんシャーリーに甘える子供みたいな二人を見ながら
私はちいさくため息をついた。
エイラって本当に女の子の身体を触るのが好きだ。
何度注意しても、その場では「ワカッタ、ワカッタ」っていうだけ。
そのくせ、私のことは全然触ろうとしてこないし……。
私って、そんなに魅力がないのかな。ちょっと寂しくなる。
占いも未来予測の魔法も使えるんだから、少しぐらい私の気持ちに
気付いてくれてもいいのにな……。

ちょっと冷めはじめた紅茶を一口飲んで、
2つめのクッキーに手を伸ばそうとしたとき――。
「おやぁ〜、リトヴャク中尉、やきもちですか〜?」
「――っ!!」
いきなり後ろから声を掛けられて、思わずカップを落としそうになった。
びっくりした顔のままの私を、ハルトマンさんはニヤニヤしながら見ていた。
「旦那が浮気症だと大変だねぇ、サーニャも」
「エイラとは、そんなのじゃ、ありません……」
もちろん、エイラとそういう関係にはなりたいけど……。
自分の顔が赤くなるのがわかる。
「ふ〜ん、ま、いいけどね」
ハルトマンさんは私の横に座ってクッキーをぼりぼり。
それ、エイラの分です、ハルトマンさん。

「ねぇ、サーニャ、知ってる?」
ごっくんと音を立ててクッキーを飲み込むと、ハルトマンさんは
私にそっと耳打ちしてきた。
「エイラみたいなのは、実はすっごい寂しがりやだってこと」
「そうなんですか?」
「ああ見えて一人ぼっちだと死んじゃうタイプだね、あれは」
「へぇ……」
「だから、エイラ攻略の鍵は『お母さん分』。これだよ」
「こっ、攻略!?」
私の顔は、きっとタコみたいに赤かったんじゃないかって思う。
ハルトマンさんは何だかすごく嬉しそうな顔をしている。
「そ。エイラも結構赤ちゃんだからさ〜。ママの愛情に飢えてるんだよ」
「ママの愛情……」
ママか……。それじゃあ、私には勝目がないってことだよね。
「でも、私はエイラより年下だから……。」
「そんなの関係ないよ。大事なのは気持ちだよ、気持ち。
  サーニャ・リトヴャク中尉! 今こそあのヘタレスオムス人に
  オラーシャ流母の愛を見せつけてやれぃ!」
「母の愛……」
「んじゃ、頑張ってね。後で報告よろしく♪」
そう言い残して、ハルトマンさんは踊るようなステップを踏んで
どこかにいってしまった。
私はすっかり冷えてしまった紅茶を飲み干して、
また一つ、小さくため息をついた。
554第32手 頭を撫でる 2/2:2009/02/04(水) 05:46:32 ID:TratY2i7
自分の部屋に戻りながら、私はハルトマンさんの言う「母の愛」について考えていた。
私のお母さまはいつも優しくて、おいしい料理を作ってくれて、小さいときには
よく絵本を読んでくれて……。
でも、エイラに絵本を読んであげたってエイラは喜ばないよね。
それにオラーシャのお母さんとスオムスのお母さんって同じなのかな、違うのかな。
私はスオムスに行ったことがないからよくわからないけど。
そんなことを考えながら歩いていたら、自分の部屋の前を通りすぎて、
エイラの部屋の前まで来てしまっていた。
元々ぼんやりしてるほうだけど、ちょっとぼんやりしすぎてるかな、と反省して、
自分の部屋へと引き返そうとしたちょうどその時、エイラの部屋のドアが開いた。
「わっ、サーニャ。こんなところでドウシタんダ?」
「部屋に戻ろうとしただけだよ。エイラはこれから任務?」
「うん。これからバルクホルン大尉と哨戒任務なんダ」
そう答えたエイラは、優しい顔をしていても目だけはすごく真剣で、
やっぱりエイラはかっこいいな、なんてことを思った。
エイラ、頑張ってね。でも、怪我なんてしちゃ嫌だよ。
格納庫に歩いていこうとするエイラの背中を見て、
私はあるおまじないを思いだした。
それはお母様が毎朝してくれた、大切なおまじない――。

「エイラ」
私の声に振り向いたエイラを私はそっと抱きしめた。
そして、右手をエイラの頭において、その頭をそっとそっと撫でた。
お母様が私にしてくれたように。優しく、そっと。
「サッ、サーニャぁ……」
エイラの顔が真っ赤になっている。心臓がドキドキ言っている音が聞こえる。
いつもなら私も顔が真っ赤になって恥ずかしくてしょうがないけど、
今はなぜだが、すごく優しくて、落ち着いた気持ちになっている。
「いってらっしゃい、エイラ。早く帰ってきてね」
お母様が毎日してくれたおまじない。
そっと抱きしめて、頭をなでて、「いってらっしゃい」って言ってくれること。
それだけで、なんだかその日一日がすごく素敵な日になった。
難しいお稽古も、お勉強も、うまくできるような気がした。
それが、私の覚えているお母様の魔法――。

「じゃ、じゃあ、行ってくるかンナ! すぐ戻ってくるかンナ!!」
エイラは顔を真っ赤にしたまま格納庫へ走っていった。
そんなエイラが、そのときの私にはすごくかわいくて、愛おしく思えた。


その後、エイラはものすごい勢いで任務を済ませて、
息を切らしながら私のところにかけこんできた。
ミーナ中佐から聞いたんだけど、その日エイラはネウロイを3機も撃墜して、
皆目を丸くしてたんだって。

Fin.
5556Qn3fxtl:2009/02/04(水) 05:49:30 ID:TratY2i7
以上です。

サーニャのキャラがちょっとリーネっぽくなってしまったのが、
少々気にはなってるんですが、どうでしょうか。
556名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 06:27:38 ID:oM8Bl+03
>>555
GJ!これで今日も一日頑張れる!
あまりのいちゃいちゃに悶絶した。それにエーリニャもいいなぁ。

それはそうともう480ダナ。
スレ立てて来ようか?
557名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 13:10:42 ID:wrmQjTpS
>>555
ニヤニヤさせて頂きました。本当にありがとうございました。
>>556
いいんじゃないんですかね?そろそろ立てた方がいいみたいですし
558名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 13:19:49 ID:yU5jXQh8
くそ…早い…早すぎる…
俺が書いていた…運命線も…エーリニャも…
全部…全部持ってかれた…くそ…くそ…!

みなさん本当にGJ!

559名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 13:32:22 ID:cJXVugk+
被ってもいいから投下するんだ!
560名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 13:36:11 ID:hmyjXyRO
この前過去ログ見ていると・・・

 760 名前:名無しさん@秘密の花園:2008/09/29(月) 03:03:15 ID:YNPpSW0N
 百合スレ、Part20くらいは行こうぜ

のを見つけた
もう目の前じゃないか!
今ならpart30は目指せるぜ
561名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 13:52:33 ID:VTRYI8Ev
何気にもう次スレとか
562名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 14:17:29 ID:xByKPmF4
シャーリーも満足のスレ速度
「目指すはマッハだね!」って言ってた
563名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 14:24:16 ID:cJXVugk+
時速1226レスかあ・・・w
564名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 15:43:01 ID:wrmQjTpS
>>563
もし二期があったらこのスレで時速1226レスも可能かもしれない…
565名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 15:51:47 ID:cJXVugk+
>>564
二期決定記念企画〜目指せ百合SSで勢い音速突破〜があった時のためのSSをストックする作業してくる
566名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 15:55:32 ID:JnnLe88G
567名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 15:57:42 ID:xByKPmF4
次スレ立てたよ

mjd?んじゃ移るべ

ちょwwwwおまwwwもう950レスwwwww次スレも立ってるしwww
しゃあない、このスレ保存して次行くか

ちょwww待てwwwその次のスレもwww

以下略
568名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 16:53:55 ID:lMn9gGLj
>>565
応援してます!!頑張って!!w
569名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 17:13:58 ID:Z5NZxAFD
重複投下間違いナシだからやめれww
SS番号4桁突入はもはや目前だけどな……。

ところで>>556からだいぶ経ってるみたいだけど大丈夫なのかな?
570名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 17:17:31 ID:lMn9gGLj
>>569
まぁ5時間近くレスつかなかったからしょうがないんじゃないかな?
今の状態じゃss一つで埋まりそうな予感・・・
571名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 17:20:06 ID:cJXVugk+
ならば5分レス無しで俺が立ててこよう
572名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 17:22:01 ID:7MKLbuLm
なんとなく阻止してみる
573名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 17:22:05 ID:lMn9gGLj
>>571
レスつけちゃうけど誰も立てる人居ないしいいんじゃないですか?
574名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 17:25:51 ID:0X073aGi
なんでまた急に活気が戻ってきたんだろうな
望むところだけど
575名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 17:28:41 ID:cJXVugk+
絶対規制に引っかかると思ってふざけた名前でやったら立てれたという。そんなわけで次スレだよー
ストライクウィッチーズでレズ百合萌えpart20
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1233735979
576名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 17:31:58 ID:lMn9gGLj
>>575
乙ズボン!!
577名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 17:33:51 ID:guKYxve2
>>575
乙ダナ

>>574
改編が落ち着き、新鮮な気持ちがなくなる→魅力的な百合作品に巡り逢えなかった→秘め声
→コスモ復活
578名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 17:45:00 ID:AMZF+mDB
>>575


ここ最近48手、秘め声、フミカネブログ、ゆりたまさんのぶっ飛び大量投下とまあ燃料が山のごとしですからねえ
盛り上がって当然でしょうwww
579名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 17:51:10 ID:HFqHMEKk
埋めます 保管庫No.737の続き
580第2話 絶滅戦争:2009/02/04(水) 17:52:33 ID:HFqHMEKk
長大な流氷を浮かべたドン河のほとりに燃え盛る民家、サイロその他多数が並び、周囲に吹雪の中でも判るほどの灰を降らせていた。
それは、長年隷属と慢性的な人口の飢餓に置かれてきたオラーシャ農民の精一杯の抵抗の結果であった。
彼らは、まだ略奪を受けたわけではなかったが、そのことが確実な未来となった瞬間、自らの運命に見切りをつけたのだった。
その抵抗は焦土戦法だけには止まらなかった。
彼らが抵抗しているのはこちらへ迫り来るネウロイの侵略から逃れ来た、彼らの憎むべき支配階層だった。
ゆえに、どうせ巻き上げられるからと収穫を焼き払う普段の抵抗とはわけが違う。彼らは何もせずとも遠からずネウロイによって滅ぶ
自らの破滅を代償に、捨て身の報復を決意した。
その結果もまた、凍てついたステップにぶちまけられていた。
蜂起した農民軍は避難民に止まることを知らぬ略奪と暴行を開始、制圧に現れた幾種類かの怒れるカザーキは彼らを嘗て無い程殺し、
投降した老若男女の掲げられた両手までも、無意味に汚れた雪の上に転げ落ちた。
カザーキはしかし、敗北しつつあることが明らかになった。
直後、それらの頭上で152o「カノン榴弾砲」弾が炸裂、凍った地面の硬さによって増強された鋼鉄の嵐が吹き荒れ、人と名のつく
全てを薙ぎ倒し始めた。
「戦場の神」たるオラーシャ砲兵が(オラーシャ帝国にとっての)恐ろしい裏切り者と蔑むべき敗北者に裁きを下したのだった。
制圧のために駆り出されたのはそれらだけではなかった。
暗くなるほどに曇り、吹雪き烈風吹き荒れるオラーシャの冬空に数多の爆音が遥か彼方より轟き聞こえてきた。

例によって今回の任務が何かすらろくに知らされぬまま魔法少女たちは進撃を続けていたが、うすうすそれを悟っていた。
故に、敵が居ることを示す電波妨害がありがたかった。
空を飛ぶ彼女等は、視界の悪い現状では無線の交信によってしか命令を受けることができず、無線から雑音が聞こえているうちは気の
進まないどころではない農民軍の掃蕩をやらなくて良いからだ。そして、敵が居ようが居まいが、魔力を使い果たせば合法的に帰還で
きるという、魔法少女の特権があるため必ずしも戦わなくとも良いからだ。
勿論任務の内容が明白だからといって自主的に行動すれば、この軍では死の代償を支払うことになる。
だが、彼女等が両親の呵責から逃れていられるのも時間の問題かもしれないことを彼女等は知っていた。
今回の任務にはアレクサンドラ・ウラジミーロヴナ・リトヴャク中尉、通称サーニャが参加しており、これまでの彼女の戦いぶりから
すると妨害機は遠からず始末される筈だった。
電波妨害がされた状況で彼女は敵襲を知らせることが出来る唯一人の者でもあったため、彼女等の注目を浴びていた。
目的地上空に近づくにつれ、不幸にして彼女らの、今回の任無に関する悪い予感は肯定された。
しかし彼女等は任務に対して専ら強い不快感を持ちながら大叫喚地獄のごとき眼下の光景にそこまでは衝撃を受けることなく、最年少
のサーニャですら普段どおり綺麗な声で歌い続けていた。
彼女等はまともではないのだろうか?否!皆この国で多くを見、経験してしまったのだ。
581第2話 絶滅戦争:2009/02/04(水) 17:54:36 ID:HFqHMEKk
「嬉しい」

エーリカは興味深げにエイラとサーニャを見た。

「いつもそんなことばかり言ってるよねー」
「文句あんのカヨ」
「邪険にしちゃ駄目よエイラ」
「そうだナ、優しくしなきゃナ」
「言いなりだね、もはや。サーニャ、水浴びしにいこうよ暑くないないか」
「エイラはまだ暖まってないから」
「イインダゾサーニャ、サーニャを抱っこすれば暖かいんダナ」
「エイラも暖かいわ。私、エイラのこと大好きだから。エイラはどうしてそう思うの」
「それはす、サーニャを抱っこしてるからに決まってんダロー」
「うふふ、面白いなー色々と。それじゃ、私は水浴びしてくるよ」
「元気でナ」
「今日も楽しかったです。勿論エイラとの時間もこの上なく楽しいわ」
「サーニャとの時間もナ」
「嬉しい」

エーリカは濡れないように高いところに掛けておいた、蒸気で少し湿り、熱気で暖まったタオルを体に巻きつけた。サウナから出たば
かりに感じる外の空気の冷たさは心地よく感じられた。
エイラとサーニャのやり取りを聞いて、エーリカはどうしてサーニャが自分の戦歴のことを話さないのか判った気がした。
あの、楽しそうな空気は絶対に変えたくはないだろうし、近いうちにエイラがスオムスへ戻れるならば彼女が一生見、体験することの
ない内容だからだ。
脱衣所を通っていく間も、サウナの方からエイラとサーニャの会話が響いてきた。

「なあサーニャ、あいつとはどんなこと喋ってんダ」
「エイラには判らないし、判らずに済めば幸せなことよ。でも」

でも、何だというのだろうか、エーリカはにわかに立ち止まった。彼女自身の聴覚を研ぎ澄ませ、サーニャの言葉を聴く。

「いずれ、判るわ。故郷に帰らず、長いことここに居るのならば、おそらくは」

エーリカは身震いし、瞑目して溜息をついた。
彼女が失望し、見放さざるを得なかったのは、帝国によって歪んだオラーシャの社会だけではなかったのか。
エーリカは真夏にも拘らず寒気を感じ、無性に暖かいココアが恋しくなった。

つづく
582第2話 絶滅戦争:2009/02/04(水) 17:55:55 ID:HFqHMEKk
しくじった!
最初と最後の部分しか投下できてない・・・
583名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 17:56:27 ID:cJXVugk+
次スレと投下にごっちゃになってるなw
584第2話 絶滅戦争:2009/02/04(水) 17:59:23 ID:HFqHMEKk
ええと580の続き
「頭を動かさないで下さいな」

サーニャはサウナの熱気と湯気に心地よく汗を流しながら、彼女らしい丁寧さでエーリカの髪を梳っていた。
エーリカの金髪に香気のする油を垂らすと異様にめの細かい櫛で頭皮まで浸透させ、何度か繰り返した後にゆっくりとそれを洗い流し、
今度は髪形を整えるために改めて梳るのだ。
エーリカは覇気の無い感じで、しかし気持ちよさそうな表情ではーい、と答えると姿勢を正した。

「やっぱりサーニャに梳かしてもらうのがいいなー。頭がすっきりする気がするよ」
「貴女のお姉さまは、相変わらずこういうこと、なさらないのですか」
「うん、清潔になれば良いとしか考えてないから。専用の油を使って、なんて言ったら贅沢だ!とか言いそうだよ」
「贅沢ではなく蚤を追い払うためなのですが」
「だめだめ、私達日常的に蚤に対応しなければならないような暮らし、少なくとも軍に入ってからしたこと無いもん」
「でしたら、サーニャの方からお願いいたしましょうか」
「それはいや」

自分が頼んでもゲルトルートが効きいれてくれなかったことを、サーニャが頼んで聞きいれられたら嫌だからだ。

「何故嫌なのですか」
「ひみつー」
「そう、秘密・・・」
「そういえばさ、なんか居るんじゃない?ここ」
「そうでしょうか」
「アンテナ出してみてよ、アンテナ」
「魔法の私用はなるべく避けています」
「うへー、トゥルーデみたいなこと言うんだ」
「そんなことおっしゃって、お姉さまのこと、好きなのでしょう」
「トゥルーデは大好き。でも小言は、小言もトゥルーデのなら良いや」

サーニャはおかしそうにくすくすと笑った。エーリカも座ったまま脚をなんとなくぱたぱたと動かし、照れ笑いした。

「動かないでくださいな、もうすぐ終わりますから」
「はいはーい」

エーリカの頭に石鹸をつけ、泡立てたサーニャは小さい手の細い指でごしごしと洗い始めた。
エーリカはサーニャが懸命に頭を洗っている様子を思い浮かべて、少しでも良いから見てみたいと思った。
暫くしてサーニャはたっぷりとぬるま湯を桶に汲んできた。
エーリカは戻ってきたサーニャにそっくり返ってもたれ掛かった。一瞬痛いほどの視線を感じたが、気のせいだろう。
サーニャの方は何事も無いように丹念に石鹸を洗い流し、再度エーリカの髪を梳った。
585名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 17:59:30 ID:Z5NZxAFD
>>575
48手の盛り上がりぶりは異常、今数えたら26/48が埋まってやがる。あと22種類って半分切っとるがな!!
重複してもいいとはいえ、やはり一番乗りー!!したいという人は急がねば。

>>582
新スレとこのスレで重複投稿ハジマタかと思ったら同一人物だったwドンマイ&GJ!!
エイラーニャをかき乱してくれるぜエーリカ……。
586第2話 絶滅戦争:2009/02/04(水) 18:00:09 ID:HFqHMEKk
「はい、終わりましたよ」
「ソ、ソウカじゃあ入ってもいいんダナ?」
「!」

エーリカの予感は正しかった。吃驚するくらい狭い物陰からエイラが現れたのだった。

「どうした、うん?覗きかな」
「違うゾ、サーニャの裸なら毎ば、毎日見てるんダナ」
「私のはどうなのさ。スーパーセクシー魔法少女を無視するなー」

「どうして隠れていたのエイラ」
「気が散るといけないから、ダナ」
「そう、優しいのね」
「サーニャもナ」
「嬉しい」

サーニャは笑顔で手招きして彼女の隣へエイラに来てもらった。
エーリカは何かを企んで、ふっふっふーと笑った。

「サーニャ、ご褒美のちゅーして」
「なっ、オマエ」
「今日は大人しかったから特別ですよ」

サーニャはどうということない感じでエーリカの頬に軽く唇で触れただけだった。エイラは少し恥ずかしかった。
サーニャが浮気する筈が無かったし、自分が普段リーネ達の胸等を触っていることの方がいやらしい目的を含んでいる分だけ、恥ずべ
きことに思えたからだ。

「あれ、ほっぺただけなの」
「これでも額にするのよりは、サーニャもどっきどきでしたのよ」
「サーニャのけち」
「けちでは・・・」
「けち」
「サーニャヲイジメンナー!!!」
「苛めてませんよーだ。いいなーサーニャもエイラにならこんなことするんだ」

“そんな眼”でエーリカに“女性の証”を見られたサーニャとエイラは大急ぎで脚を閉じた。
いつもはサウナにはエイラとサーニャしかいないのでどうしてもここでは無防備になりがちだ。
その様子を見てエーリカも自分の“女性の証”を見られるのが恥ずかしくなったのか、こっそり、といった感じで脚を閉じごめんなさ
ーいと小声で呟いた。

「ナンダヨモー私だってやるときはやるんダカンナー。それとサーニャをソンナ眼でミンナ」
「エイラかっこいい」
「サーニャもナ」
587第2話 絶滅戦争:2009/02/04(水) 18:01:09 ID:HFqHMEKk
そして581へ、
588名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 18:07:25 ID:JcMxD6Lk
これなんかネタなの?
サーニャの古典趣味な口調がなんか…
589名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 18:26:15 ID:5XLd0bC0
>>560
確かそれ書き込んだの俺だw
そうかもう20まできたか…
590名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 18:38:17 ID:R8p2L+6c
埋め要員いたらGO
一応今は書いてはいるけど、数時間は掛かるから予備みたいなもんだ
591名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 18:42:45 ID:M25VIw3q
生め
592名無しさん@ローカルルール変更議論中:2009/02/04(水) 18:49:47 ID:AMZF+mDB
このくらいならAAでパパっと埋めていいんじゃないですかね
593うめます 1/2:2009/02/04(水) 19:00:30 ID:atCMVkIt

いつからだろう。空を飛ぶことにこんなに不安を感じるようになったのは。
いつからだろう。夜の空がこんなに霞んで見えるようになったのは。

その思考に、魔力が形作るアンテナに微かなノイズが乗るのを少女は感じる。
少女の名はサーニャ・V・リトヴャク。オラーシャ出身で夜間行動のスペシャリスト、
今日もルーティンの夜間哨戒を終えたところだ。
ハンガーでストライカーユニットを外して、サーニャは大きくため息をついた。
手にじっとりと汗をかいているのに気づく。
夜間飛行は緊張を強いることではあるけれど、こんな風になることなんてなかった、とサーニャは思う。
確かに日々押し込められる戦線に感じる不安もあったけれど、
その原因は、少女の胸のうちを占めるのはもっと、別の何かだ。

「……エイラ」

サーニャはそっと呟いた。それだけで、チリチリとしたものが胸を凪いでいく。
それこそが、自分の心を今占めている、あるいは思考を狂わせているものだ、とサーニャは確信する。

 エイラ・イルマタル・ユーティライネン。

北欧スオムスから来た、自分より2つ年上の少女。来たというのは正確でないかもしれない。
自分がこの部隊に派遣された時、彼女はもうここにいたのだから。
オラーシャにいたころから、全くの引っ込み思案だった自分。
ここに来る時も不安ばかり募らせていたことを思い出す。
幸い、と言うべきか、501の人たちはみんな優しかった。そして、その中で当時一番年少だったのがエイラだ。
一番年の近い存在、とも言えた。

その少女の存在が、自分の中でウェイトを増してゆく。

実際、話したことなんて殆どなかった。ここに着任した時、案内を兼ねて通り一遍の自己紹介、
後は時折顔を合わせた時に交わす「オハヨウ」「お疲れナ」という挨拶くらい。
それも、自分の方は殆ど押し黙ったまま頷くくらいなのだから、会話になんてなりようがなかった。

汗に濡れていたのは手だけではなかった。服が汗を吸っているのか、少し重い気がする。
なにか、このまま部屋に戻ろうという気にはなれなかった。少し悩んで、サーニャは食堂へと歩を向けた。
ここはきっと人は今日もいないけど、明かりだけはいつもついているから。
ブリタニアに来てからおぼえたホットウイスキーを入れて、サーニャは手近な椅子に腰掛けた。
温めたアルコールが思考の糸が絡んだ頭に廻ってゆく。このまま酔ってしまおうか、とも思う。

この何かが、届くなんてことはきっとないから。

エイラは魅力的な少女だ。この疎い自分がそう思うくらいなのだから、と心の中でサーニャは付け加えた。
スオムスのそれを連想させる空色の長い髪も、光まで透き通る肌も、
年齢以上に整った綺麗な顔の輪郭も、それに似つかわしくないような屈託のない笑顔も。
ダイヤのエース。故郷のスオムスではすごく人気だったことだろう。
もしかしたら……いや、恋人がいたって、全然、おかしくない。
自分に向けてくれる優しくて、少しくすぐったくなるような柔らかい視線、
自分の心をひどくかき乱すそれも、きっと特別なものじゃないのだろう。サーニャはそう、思う。
行き場のない感情だけが降り積もってゆく。だからと言って……どうすることも、出来そうにはなかった。

ウイスキーの最後の一雫を飲みほして、サーニャは立ち上がった。少し酔いが廻っている。
さすがにもう、部屋に戻ろうか。このままここに居たって仕方がない。
月の綺麗な夜だった。もし月が、こんなにも綺麗な光を映していなければ、
そして自分が答えの出ない思索を放棄していなければ、あんなことは起こらなかったのかもしれない。
594うめます 2/2

自分の部屋まであと少しという途中で、サーニャは一部屋の扉の隙間から月光が漏れていることに気づいた。
それが自分の部屋でないことをもう一度確かめて、それが誰の部屋なのかを考える。
いや、本当は考える必要もなかった。この通路に面した部屋は、自分のともう一人のしかないのだから。

エイラ、の、部屋……。

そのまま通り過ぎる、という選択肢もあったけれど。そうでない選択肢を選びたい気持ちがサーニャの中で
無意識に膨らむ。形を成した好奇心に抗う術はきっとなかった。サーニャはその扉に静かに近づいていく。
トイレやどこかに行っているとか。きっと、そんなことならよかったハズなのに。
また明日から、今までと変わりない同じ言葉を交わせたハズなのに。

ついに辿り着いた扉にそっと手を添えて、サーニャは開いた隙間から中を覗き見た。
漏れていた光は確かにその部屋からのもので、

「エイ、ラ……」

差し込む月の光の下にエイラの伸びやかなシルエットが浮かび上がった。
こわばった肩の辺りが熱くなるのをサーニャは感じる。まるで、現実とは思えなかった。
エイラは眠っているのだろうか、それともまだ起きているのだろうか。それすらも判然としない。
サーニャはなんとかそれを確かめようと身体を摺り込ませる。距離がほんの少し縮まりかけていた。

「……ん、ん……あっ……んっ」

……!

一瞬正常な思考回路が麻痺する。いや、元からそんなのは麻痺していたのかもしれないけれど。
まさか、そんなことがあるのだろうか。でも。
サーニャは自分がまだほんの子供だということを否定する気はなかった。だけどそんな自分にも、分かる。
エイラが年頃の少女が誰でも持つどうしようもない衝動に身を委ねているのだと。
しかし、サーニャは次に起こるそれは全く予想してはいなかった。

「……あ……にゃ……」

エイラの口から漏れた微かなものにサーニャは耳を疑う。

今、なん、て、

「んっ……ふぁっ、サー……ニャ……っ」

―――――――!

頭の芯まで揺さぶられるかのように、その声が、
必死に押し殺してるのがわかるエイラの声がはっきりと響いて、サーニャの心臓の鼓動が大きく跳ねた。
張りつめたまま息さえも止めていて、カラカラになった喉の奥がコクンと鳴るのがはっきり聴こえる。

もう、我慢なんて出来なかった。

サーニャは釘付けになっていた視線を外すと、扉のそばの壁にへと背を預けた。
理性の糸を失った身体がそのまま床に滑り落ちる。
サーニャは制服の裾から手を入れるとそれを自分の、膨らみきらないのが少し恨めしいその胸へと重ねた。
手の伝ったラインが灼けるように熱を帯び、その感覚にサーニャは小さく声を上げて喘ぐ。
残した左手は脚に沿わせて大事な、そして最も求めている場所へと動かそうとしたけれど、
重ね履きした脚の全てにまとうズボンに遮られてそれが叶わない。
サーニャはもどかしい思いでそれを脱ごうと試みるが、既に自分の制御下から離れてしまった
手が、指が、ふるふると震えて上手く脱ぐことも出来ない。わずか数十秒が無限のようで。
やっとのことでズボンを外して、サーニャは焦がれたように左手をもう一枚のズボンの中へと差し入れていた。