冬ヌポのアスリートについて語るスレです
・sage厳守
・嵐はスルーで
※人物やレス中での名前表記、固有名詞などは平仮名、片仮名や半角スペース、スラッシュ等
使うなど皆様の判断でお願いします
※ここに書かれているSSは妄想の産物で、全てフィクションです
実在の人物・事柄とは関係ありません
マターリ進行で行きましょう
前スレ
>>815のつづき
ヨシオ達が買い物から戻ってきて…。
恩「ただいまー!お酒買って来たで〜♪」
荒「ご機嫌ねぇ〜なんかいい事あった?(ニヤ)」
恩「べっつに〜wwwなぁ?」
中「うん///」
村「(さっきのキスの余韻に浸ってる)」
恩「スグリさん?」
村「え?」
恩「どうしたん?ぼーっとして」
村「ん…な、何でもないわ///」
荒「ねぇ?何か小腹空かない?」
恩「え?しーちゃんが作ってくれるん?」
荒「別にいいけど〜。誰か手伝ってよ」
中「あ…じゃあ私やります?」
荒「え…っと、じゃお願いしようかな」
恩「え〜ユカリン行っちゃうの〜(´・ω・`)」
中「すぐ戻って来るから。ねっ?」
恩「うん(デレデレ)」
村「(よっちゃんデレデレしてるぅ〜w)」
恩「じゃ、ウチラは飲み直して待ってるとしますか!」
村「うん。そうね」
手伝いに立候補したユカリンは、さっきのシズカとのキスを思い出していた。
キッチンで隣りに立つシズカにドキドキしているユカリン…。
荒「ユカリン顔赤いけど大丈夫?」
中「あ…大丈夫です///」
荒「さっき…ヨシオと何かあった?(ニヤ)」
中「べべべべべつに///何もないですよぉ〜!」
荒「そ、?でも、ヨシオはすぐ顔に出るからな〜(ニヤ)」
中「(ギク!)」
荒「買い物にしては遅かったような〜(ニヤ)」
中「しーちゃん達は私達がいない間、何してたんですか〜?」
荒「(ギク!)え〜?飲んでただけよ///」
中「(怪しい…)」
荒「フミエさんって意外に強いんだよね〜ははっ!」
中「フミエさん…って呼んでるの初めて聞いたなぁ(ニヤ)」
荒「え!!そそそそそんなこと…」
中「いつも〜スグリさんって呼んでませんでしたっけ?」
荒「そ、そうだっけ?(汗)」
中「怪しいな〜。ちゃんと私の目を見て下さいw」
荒「え?これで良い?(ユカリンに向き合った)」
中「(ドキっ!)」
荒「(こうして見るとユカリンも小さくて可愛いよな〜w)」
中「あ〜…///もう、わかったんで…いいです///」
荒「??(ユカリン真っ赤…)」
中「これ、向こうに運んで来ます///」
シズカとユカリンがキッチンから戻ってきた。
荒「ちょ…先飲んでるし〜!」
恩「そりゃ〜飲んどるよwなぁ?スグリさん♪」
村「あはは〜!」
恩「今盛り上がってたとこやのに〜なぁ?w」
村「よっちゃんって本当面白いよねぇ〜」
荒中「!?(またイチャイチャして…(怒)」
荒「二人して…何の話してたのよ〜」
恩「恋バナwwwwスグリさんって意外と―」
村「キャーキャー!よっちゃん恥ずかしいからぁ〜言わないでよぉ///」
恩「ぐふふ〜ッw」
荒「…。」
中「私も聞きたいな〜。スグリさんって今付き合ってる人いるんですか?」
荒村「(ギクッ!!)」
村「え〜っと〜…そのぉ〜…///」
恩「さっきの話しぶりやと…いるんちゃうの〜(ニヤ)」
中「どんな話だったの〜?ねぇ、よっちゃん教えて(ユカリンSmile)」
恩「おっ…ユカリンにそんな可愛い顔されたらなぁ〜(デレデレ)」
村「よっちゃんダメだよぉ!!本当お願い!」
荒「…。(フミエさんどんな話したんだろ〜気になるなぁ)」
村「私の話なんて面白くないからぁ…(汗)」
恩「いやぁ〜あたしは話聞いてなぁ、スグリさんメッチャ可愛いと思ったよ。
ずーっと片想いやってん。な?」
村「よっちゃん言わないでよ…///」
中「え…ずっと片想いだったんだぁ〜?で、今はうまくいったんですか?」
村「えぇ〜///(モジモジ)」
恩「何かなぁ〜いきなりキスしてきたらしいで!その人w」
荒「(ギクっ!)」
中「何でいきなり?っていうか積極的な人だねw」
村「違うのよ〜///いきなりっていうか…///」
中「っていうか〜?」
村「もう私の話はいいよぉ〜恥ずかしいし///」
中「え〜最後まで聞きたいですよ〜(ニヤ)」
恩「しーちゃんも聞きたいよなぁ?(ニヤ)」
荒「え!!あぁ…でも…フミエさん嫌がってるし…(ボソッ)」
恩「え?何?はっきり言わんとw」
荒「いや…だから…(汗)」
中「ねぇ?相手はどんな人なんですか〜?」
恩「そうそう!それはあたしも聞いてないわ。年上?年下?」
村「え〜///」
荒「…。(私なんだから年下よ)」
中「当てちゃおうかな〜(ニヤ)」
荒村「(ビクっ!)」
中「年下だけど〜結構リードしてくれそう?みたいなw」
恩「あ〜そんな感じかも(ニヤ)」
中「スグリさん、当たり?」
村「…う、うん。(まさかシズカちゃんが相手とは思わないわよね)」
中「やっぱり(ニヤ)ねっ?」
恩「うんwww」
【つづく】
>>1 スレたれ乙!なんだかんだと続いているこのスレが好きですw
ダブルデート…長らく続きを放置してスマソ…orz
またつづきは気長に待っててくだされ( ´・ω・`)_且~~
前に職場にシズゥ似ミセスがいるといったが、やっぱりソックリだ!!
何かSSネタになるような事があればいいんだけどw
ダブルデエトキタ━━━━。゚+.ヽ(´∀`*)ノ ゚+.゚━━━━!!
職人様GJですぅぅ〜!
なんかonちゃんには話しちゃって後で照れまくるフミィがかわゆすぐる!!!
早く続きが見たいっす!
早速の投下ありがとー!
私もここのマターリ感じが好きです!
これからもマターリ萌えていきましょ('-^*)
新年早々シズゥいいとも来るね!
お友達誰か楽しみだw
遅くなりましたがシズゥたんじょーびオメ!
そして早すぎるけどフミィもたんじょーびオメ!
今日は二人が一年のうち同い年になれる一日だねえ
七夕みたいだ…ってちがうか!
ぜんぬっぽんは相変わらずdkdkさせられます
幹ちゃんとフミィが接触するアクシデントもあり、そんな中2人の頑張りに感動したり
ユカリソも…きっとこのことを糧にしていくのだろうな、と…
ホントみんなオリソピツク行けたらええのになあ〜
もう一つのぜんぬっぽんヌプリソト
ホームリソクの開催で姐さん入れこみすぎたのかしら…
姐さんの転倒なんてほんとーに珍しいことだそうで
そうなると明日はものすごく気を張って出てくるだろうから
dkdkしながら祈ってます
ちなみにフヅテレビで30日の深夜に放送ありますね
学園とダブルデートかなり楽しみマッタリと待ってます!
18 :
氷園天国58:2009/01/05(月) 01:08:35 ID:CIXOHFsn
皆様明けお目!
まだまだツーズソもつづく氷園天国もつづきます!
次の早朝、2人は岡/崎の部屋に来ていた。
「昨日、荒/川さんと話をしたけどだいぶ心配していたよ。うちに居るってわかったから少し安心したみたいだけどね」
「はい…あの…ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
シ/ズ/カの名前を聞くとミ/キは一層神妙な顔で頭を下げた。
「……少しの間だけうちであずかることで荒/川さんにも話つけといたから」
「ちょっと待ってください!こいつをしばらくうちであずかるって?!」
大/菅が驚いて声を上げた。
「もちろんだたのお客様になってもらっちゃ困るよ。大/菅についてこの学園の手伝いをしてもらうから」
「はい、ありがとうございます」
「おいっ!おまえも何のん気にお礼言ってんだよ!マジすか姐さん〜!!」
「当分試合もないし、私は生徒会長連絡会議とかいろいろ忙しいしね〜。こいつは口は悪いけど面倒見はいいから大丈夫だよ、ミ/キちゃん」
「はい、よろしくお願いします、サ/ユ/リお姉様」
「……う…(〃¬_¬〃;」
ミ/キの愛くるしい大きな瞳で見つめられ大/菅はたじたじして何も言えなかった。
19 :
氷園天国59:2009/01/05(月) 01:09:27 ID:CIXOHFsn
ミ/キが先に部屋に戻り、岡/崎と2人きりになると途端に大/菅は唇を尖らせた。
「ちょっとどーするんですか姐さん、なんで私にあいつの子守なんか…」
「大/菅、あの子を子供扱いするな」
机の上でペンを走らせていた岡/崎が急に真顔になって大/菅を見た。
「……」
「あの子は…自分で、自分の足で歩き出してみたいのさ。殻を破って外へ出たいんだよ」
「……でもそういうサポートをするのはうちじゃなくて芬牛亜学院の方だと思いますっ
特にあいつは女王様に可愛がられてるんでしょ、だったら荒/川/シ/ズ/カが面倒見りゃいいんですよっ!」
大/菅はまたぷっと頬っぺたを膨らませた。
20 :
氷園天国60:2009/01/05(月) 01:10:34 ID:CIXOHFsn
「……クィーンはクィーンでいろいろあるみたいだからな…」
岡/崎はそうつぶやいてまた書類を書き始めた。
「……」
「はいっ、これ今日のトレーニングの訂正事項。後でコピーして配布。安/藤のことは朝食時におまえから皆に紹介すること。頼むよ」
岡/崎は立ち上がって書類を渡し、大/菅の肩をぽんぽんと叩いた。
「……」
「……ふふふ…それともご褒美が欲しいのか?それならあの子が眠った後この部屋においで」
まだふくれっつらをしている大/菅の耳元に息を吹きかけるように囁いてニヤリと笑った。
「…!なっ…!わ、私はそんなことっっ!もうっ!そんなんでごまかされませんからねっ!」
ぼっと火が吹き出たように一気に真っ赤になると、大/菅は慌てて部屋を出た。
背中越しに岡/崎の笑い声が聞こえた。
(つーか『生徒会長連絡会議』なんてもん初めて聞いたぞ!もうっ!)
鼻息も荒く、廊下をずんずん歩く大/菅の耳は熱かった。
21 :
氷園天国61:2009/01/05(月) 01:11:41 ID:CIXOHFsn
部屋に入るとミ/キが下着姿で着替えていた。
「わわっ!ご、ごめんな!ノックもしないで」
すらりと伸びた足とふくよかな胸が目に飛び込んできて大/菅はドキッとして目を逸らした。
(やっべ、あん時の色っぽい姿想像しちゃうよ、やっぱ…)
「あ…でも大丈夫です」
ミ/キも恥ずかしそうに部屋の隅に行き、そそくさとスカートを履いてブラウスを着た。
「…も、もういい?」
「はい」
振り返ると芬牛亜学院の制服姿のミ/キが立っている。
「え、えーとおまえ着替え持ってきたか?」
「はい…でも制服と下着とパジャマくらいです」
「う〜んそーだなぁ〜その制服じゃ浮くよな〜、あっちょっと待って」
大/菅はクローゼットの引き出しをごそごそして何枚かの服を引っ張り出してミ/キにほうり投げた。
「これは…?」
「私が前に使ってたジャージ。そんなに身長変わらないみたいだし履いてみな」
ミ/キが頷いてそれに着替えている間、大/菅はまた照れくさそうに横を向いていた。
22 :
氷園天国62:2009/01/05(月) 01:12:55 ID:CIXOHFsn
「着替えました」
「どう?」
「えーとズボンはゆるゆるですけど、上着の胸の辺りはきついです」
ミ/キはズボンのウエストを引っ張りながら答えた。
「……(くそ意外とはっきり言うな)まあ、当分はそれで我慢しな。私達はこれから朝練があるけど…そうだなぁ、おまえは食堂でお手伝いして待ってな」
「わかりました、サ/ユ/リお姉様」
「あ〜…とそのお姉様つーのはなんだかくすぐったいからやめてくれよ、先輩でいいから」
大/菅は鼻をぽりぽりかきながら言った。
「それなら私のことは安/藤って呼んでください」
「うんわかったよ、安/藤。じゃあぐずぐずしてないで、言われたことをさっさとやってくれ」
「はいっ、大/菅先輩」
まぶしすぎる明るい声でミ/キは返事をした。
23 :
氷園天国63:2009/01/05(月) 01:14:08 ID:CIXOHFsn
――――朝食の時間。寮の食堂。
「――――と言うわけで〜、今日からちょっと、ほんのちょーっとの間だけ芬牛亜学院からうちに来た安/藤/ミ/キだ。
客人だからって遠慮したり甘やかしたりする必要ないっ!ビシバシ鍛えてやるよーに。わかったなー!」
大/菅が皆の前で隣にいるミ/キの背中を叩いた。
「あの…今日からお世話になります安/藤/ミ/キです。皆さんよろしくお願いいたします」
ミ/キが深々と頭を下げると生徒達からははーいと元気な返事がした。
「じゃあ安/藤、吉/井の隣に席空いてるから」
ミ/キは吉/井に丁寧にお辞儀をして緊張した顔でちょこんと座った。
「私吉/井/サ/ユ/リって言うんだ〜、よろしくねぇ」
「はい、よろしくお願いします。先輩」
にこにことしたやわらかい笑顔を見て、ミ/キも少し笑顔になった。
24 :
氷園天国64:2009/01/05(月) 01:16:39 ID:CIXOHFsn
「それでは皆さん揃っていただきまーっす!」
当番のかけ声とともに賑やかな朝食が始まった。
ミ/キの目の前のご飯も山盛りである。
「私○○って言うの、よろしくね。ねえすっごく睫毛長いけどどんな化粧品使ってるの?」
「ねえねえ、芬牛亜学院ではどんな曲が流行ってるの?」
「クィーン荒/川さんってどんな人?怖い?優しい?」
「男子の選手とかも仲いいの?高/橋君ってどんなタイプの子が好き?」
「織/田君ってやっぱりすぐ泣くの?ナ/ウ/シ/カ見ても泣いちゃう?」
「ねえ高/橋君っていつも鏡見てるの?それなのになんであんなに髪ぼさぼさなの?」
「男子の衣装ってなんか変なの多くない?近くで見てる同じ選手としてはどーなの?」
わっと生徒達が寄ってきて興味津々な顔でミ/キを取り囲んだ。
25 :
氷園天国65:2009/01/05(月) 01:17:13 ID:CIXOHFsn
「え、え、えーっとえっとぉ…」
答えづらい質問と皆のパワーに押されてミキは困った顔で小さくなった。
「ぐぉるぁぁ〜ヾ(`Д´)ノ、そこの奴ら!ちゃんと席について飯を食え〜!」
大/菅がご飯つぶを飛ばしながら怒鳴ると皆慌ててこそこそと戻り、ミ/キにそっとウィンクをした。
「あははは、安/藤さんびっくりしたぁ?大/菅先輩いつもああだから気にしないでねぇ」
隣の吉/井もニコニコしながら大きな口を開けてぱくぱくと食事を続ける。
ちょっと言葉は乱暴だったりするけど、怒っていても怒られていても皆元気で明るい。
女の子ばかりの生活でも学院とはまったく空気が違う。
それでもミ/キはこの学園の新鮮で温かい雰囲気を感じていた。
26 :
氷園天国66:2009/01/05(月) 01:18:11 ID:CIXOHFsn
――――時間は戻って前日の深夜、芬牛亜学院女子寮。
「はい、はい…ありがとうございます。本当に…ええ、わかりました。どうぞよろしくお願いいたします」
シ/ズ/カは受話器を置き、ほうっと大きく息をついた。
「どや、やっぱりいてたんか?」
ヨ/シ/エの心配そうな顔にシ/ズ/カは無言で頷いた。
「あ〜よかったなぁ」
「本当に…。ともかく居場所がわかってホッとしたわね」
そばに居たフ/ミ/エも胸をなでおろして息をついた。
「じゃあこれから私がタクシーで迎えに…」
フ/ミ/エが言うとシ/ズ/カはその手をさっと握って止めた。
「…?」
「ミ/キ…しばらくあちらの学園にお世話になることになったの」
『ええ〜?!』
フ/ミ/エとヨ/シ/エは顔を見合わせてきょとんとした後、一緒に声を上げた。
「ど、どーいうことやねん、シ/ズ/カお姉はん」
「そうよ、ミ/キはクィーンのお世話役なのよ。
学院の規則を破って夜間外出をして更に係りを放り出してあんな学園にお世話になるなんて…」
「……でも…ミ/キは帰りたくないって言ってるらしいの…」
『……』
肩を落とすシ/ズ/カの姿に2人もなんと声をかけたらいいのかわからなかった。
27 :
氷園天国67:2009/01/05(月) 01:19:31 ID:CIXOHFsn
「…まさか…ミ/キ…ス/ケ/ー/トやめたくなったんじゃ…」
ヨ/シ/エの言葉にうなだれたシ/ズ/カの身体がビクンと動いた。
「そんなことあるわけないわ!ミ/キはフ/ィ/ギ/ュ/ア/ス/ケ/ー/トを誰よりも愛してる子なのよ!(私の次に)
きっと…きっと…魔がさしただけよ。なにか理由があるはずよ」
「そう、そうやな。ごめんシ/ズ/カお姉はん変なこと言って…あのミ/キがス/ケ/ートをやめるなんて考えられへんもんな…」
「……ありがとう、ヨ/シ/エ、フ/ミ/エ。きっと…ミ/キにもなにか考えることがあるのかもしれない。
私もしばらく岡/崎さん達にミ/キをお願いしてみようと思うの」
シ/ズ/カは髪をかき上げ笑顔を見せたが、それはどうしても無理に作ったもので頷く2人にも胸が痛くなるほどだった。
部屋から出て廊下を歩いていたヨ/シ/エとフ/ミエはふと足を止め、シ/ズ/カの部屋のドアを振り返った。
「……シ/ズ/カお姉はん…だいじょうぶやろか…」
「……ミ/キのこと…妹みたいにあんなに可愛がっていたから…妹が急にいなくなるなんて…すごく悲しいことよね…」
フ/ミ/エは胸に手を当てて目に涙を浮かべた。
(つづく…!)
更新乙です!!
つづきがどうなるのかwktk
今日のイイトモ録画してたのに…失敗してたぁぁぁ〜orz
書き忘れ!テレフォンのお友達は誰だったの?
投下ありがと〜!
何気にフミィの小ネタが入ってて笑えるw
>>29 お友達は筋メダリヌ卜つながりのレスリソグのヨシ田さおりんですた。
し〜友つながりを期待してたんですけど残念だゎ〜
姐さんだけじゃなくふゅヌホの皆さん゚は今シーズン真っ最中なので難しいだろうなとは思ってました。
照ホンだけじゃなくてシズゥは番組の最後までいましたよ。
にちよーびを要チェックです!!
>>30 d!増刊号は録画失敗せぬようガンガりますw
32 :
氷園天国68:2009/01/08(木) 12:31:20 ID:9DQSyTC0
一人部屋に残ったシ/ズ/カはそっと立ち上がり隣の部屋のドアを開けた。
その部屋はクィーンのお世話役の部屋であり、クィーンの個室とは鍵のないドア一枚で隔たれた続き部屋だ。
ベッドの上に大きなス/ヌ/ー/ピ/ーのぬいぐるみが帰らない主を待っているようにちょこんと座っていた。
チェストにはミ/キと学院の友人達の写真が沢山飾られている。
その中でも一番大きな写真立てにはミ/キと腕を組んで微笑む自分の姿がある。
見慣れたはず部屋なのにどこか違う場所のようだ。
思えば2人ともだいたいどちらかの部屋にいる事が多かった気がする。
シ/ズ/カがクィーンになる前からもミキは慕ってくれたし、クィーンになって一目置かれるようになってもミ/キは変わらず自分のそばに居た。
励まし合い時には競い合いながらス/ケ/ー/トを続けてきた2人…。
33 :
氷園天国69:2009/01/08(木) 12:31:55 ID:9DQSyTC0
ミ/キはその愛らしいルックスとスタイルで外の世界ではアイドルのように扱われていた。
もちろん才能もあり努力も人一倍するが、世間はそんなことより表面的な所しか見てはくれない。
明るく素直だがその分傷つきやすく、もろくて透明でガラス細工のような心…。
……ミ/キは…私が守ってあげなくては…。
そう思い始めたのはいつからだろう。
そしてそんなミ/キの存在はいつしか自分の心の支えにもなっていた。
(でも……それは自分が一方的にミ/キのことを好きなだけかもしれない…もしかしたら私はミ/キにとって重荷になっていたのかも…)
冷たいベッドに座り、シ/ズ/カはス/ヌ/ー/ピ/ーをぎゅっと抱きしめて顔をうずめた。
34 :
氷園天国70:2009/01/08(木) 12:32:46 ID:9DQSyTC0
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
――――話はまた戻って素被威度学園。
ミ/キが来てから何日かが過ぎた。
ミ/キは学園の生徒達に教わりながら雑用を嫌な顔ひとつせずこなし、忙しい日々を送っていた。
「……意外とよくやるなあ…」
遠くからその姿を見ながら大/菅が腕を組んでつぶやいた。
「あっ、先輩ミ/キちゃんのことでしょ」
吉/井がひょいと顔を出して隣に並んだ。
「ミ/キちゃんなんて甘っちょろく呼ぶな、安/藤だよ安/藤!」
「ふふ…その安/藤ですけどね、私達も芬牛亜学院の子なんてただのアイドルっぽいお嬢様だと思ってましたけど、なかなか根性ありますよぉ。
……どうですか?いっそうちに転校させちゃったら?股関節は柔らかいしバネもあるから結構いいとこまでいくんじゃないかなあ」
「馬鹿言うなよ、うちの学園とス/ピ/ス/ケをなめてもらっちゃあ困るぜ!」
「うふふふ冗談ですよ〜でも…きっと安/藤には不思議な魅力があるんでしょうね。
あの子がいると場が明るくなるって言うか華があるって言うのか…フ/ィ/ギ/ュ/アをやめるのはもったいないと私も思います」
2人の視線の先には汗をぬぐいながら一生懸命荷物をかかえて歩くミ/キの姿があった。
35 :
氷園天国71:2009/01/08(木) 12:33:33 ID:9DQSyTC0
「……でも彼女もいつかあっちの学院に帰っちゃうんじゃ先輩も寂しいですねぇ。ずっと同部屋だし」
「なぁに言ってんだよ、私は早く出ていってほしいくらいだぜ」
「まあ、寂しくなったらいつものあの方に慰めてもらえばいいですもんねっ!」
「ばっ、おい!おまえまで何言ってんだよ!わ、私はそんな甘ったれじゃねーぞ!こらっ練習に戻れっ!れんしゅーにぃっ!!!!」
真っ赤になって怒り出した大/菅から吉/井はニヤニヤしながら手を振り走っていった。
36 :
氷園天国72:2009/01/08(木) 12:34:23 ID:9DQSyTC0
――――夜。就寝時間も近づいた時刻。
大/菅がミーティングから部屋に戻るとミ/キがベッドに座って待っていた。
慣れない重労働に愚痴をこぼさず、学園の生徒達にも明るく親しく従うミ/キに大/菅も少しずつ愛着がわいてきていた。
「あ〜今日は遅くなるから先寝てろって言っただろ」
「ごめんなさい…でも先輩が帰ってくるのを待っていたくて」
大きな瞳は眠そうにこすりながら見せるミ/キのけなげな笑顔につい/大菅の胸もキューンとなってその後鼓動が急にドキドキしてきた。
(…確か一緒に風呂に入った後輩達がこいつのスタイルの良さに驚いていたっけ…。
こんなガキみたいな顔してんのに、時々出てくる色気はなんなんだ!なんか目がチカチカするぜ…)
37 :
氷園天国73:2009/01/08(木) 12:35:17 ID:9DQSyTC0
「いいから寝ろよ。私はちょっとストレッチをしてから寝るから。部屋の明かりは暗くしていいからな」
「……」
「明日も早いんだ、寝坊したら千段神社の階段を10往復だぞ!」
「……はい、わかりました。おやすみなさい」
ミ/キはきつい言葉にも微笑んで頷くと、布団に潜り込んで目を閉じた。
余程疲れていたのか3分もたたずにかわいい寝息をたてて眠ってしまった。
(…あ〜ヤバイ、寝顔見てると手を出しちまいそうだ…ちょっと部屋を出て頭冷やしてこよ)
廊下に出るとすぐ隣にある岡/崎の部屋のドアが目に入った。
風/林/火/山の幟が立ててある。この幟がある時は入室禁止と言う意味だ。
(最近、夜中に姐さんとつるんで出る事もないなあ…まあ安/藤がいるからしょうがないけど)
大/菅はため息をつき、かなり寝相の悪い岡/崎の癖を思い出しながらくすっと笑った。
(つづく…!)
38 :
氷園天国74:2009/01/13(火) 01:58:18 ID:2RjwoFL/
その日の深夜。
轟音を立てて峠を疾走していた2台のバイクは展望台の駐車場に止まりレーシングスーツの女性が2人降り立った。
岡/崎はメットを外し、頬に夜風を受けながらそこから遠くに見える街の夜景を見下ろした。
「…久しぶりだね」
「……もう…忘れてると思ってた…」
後から降りたその女性はゆっくりとメットを外すと、大きく首を振った。
美しく長い巻き毛がふわっと舞い、それを丁寧に指でかきあげると月の光に端正な横顔が白く浮かび上がる。
「それは私の方だよ。私のことなんかすっかり忘れ去られてると思ってたけどね」
岡/崎は自分よりやや長身のその顔を見上げて笑うと、また夜景の方を向いた。
「…忘れられるわけないじゃない…」
風になびく髪を押さえながらうつむき加減で彼女も隣に並んだ。
「…覚えてくれていてうれしかった。2人だけの秘密の合図を」
「でも秘密で会うには少し明るい過ぎるかもね、こんな月の夜は」
空には冴え冴えと満月が輝き、駐車場の灯りよりくっきりと2つの影を落としていた。
39 :
氷園天国75:2009/01/13(火) 01:59:02 ID:2RjwoFL/
「どう?クィーンの生活は?もう慣れたかしら荒/川さん」
「…やだな、岡/崎さんからそんな風に呼ばれるなんて」
「だってもうあなたは今を時めく芬牛亜学院の立派なクィーンじゃない」
「……でも…あなたと2人きりの時は…そう呼ばれたくない…」
シ/ズ/カは寂しそうに目を逸らし、街の灯りをじっと見つめた。
「……2人だけの時は…あの時のように呼んでほしいの、シ/ズ/カって…」
「……」
「クィーンでもなんでもなかった頃のように呼んでほしいのよ」
「……じゃあ…私のこともあの頃のように呼んでよ、ト/モ/ミって」
「……ト/モ/ミ…」
2人は見つめ合い、どちらからともなく抱き合い唇を重ねた。
涼しい夜風がふと止んでお互いの体温が一層近く感じられた。
長い間触れることのなかった懐かしい熱。
40 :
氷園天国76:2009/01/13(火) 01:59:43 ID:2RjwoFL/
しかし岡/崎は断ち切るようにふっと唇を離してシ/ズ/カの瞳を見た。
「……やっぱり…シ/ズ/カは大人になったね」
「…え…」
「昔はもっとがっついたキスしてたじゃない」
「!なっ、なに言ってるのよ!ト/モ/ミったら!私そんなことしてないってば!」
ニヤニヤする岡/崎から慌てて身を引いてシ/ズ/カは真っ赤になりながら胸をポカポカ叩いた。
「はははは、ごめんごめん。でも本当に大人になったよシ/ズ/カは…」
今度は真面目な顔で見つめられてシ/ズ/カはどう反応していいかわからなくて振り上げた手を力なく落とした。
41 :
氷園天国77:2009/01/13(火) 02:00:23 ID:2RjwoFL/
「……」
「昔…あなたは荒れていた。まるで激流が行き先を失ったように、ぶつかって傷つきながらそれでも走っていた。
そんな時、私達は出会った…」
「……」
「後であなたのことを芬牛亜学院の生徒だって知って驚いたけど……でもほってはおけなかったよ。
私達は住む世界も戦う世界も違う。だから良くわからなかったけれどあなたの瞳は何かを探し求めて燃えていた。
それを見つけられなくて迷走していた。そんなあなたを私はほっておけなかったんだよ」
「……」
「私はそんなシ/ズ/カがたまらなく可愛くて愛おしくて…腕の中で壊してしまいたいほどだった…」
「多分…きっと…私も…そう思ってた。ト/モ/ミに壊されてしまいたかったのかもしれない」
「………」
…あの頃……私はス/ケ/ー/トから逃げたかった。
外の世界に触れたくて寮を抜け出し夜の街で遊んだりもした。でも満たされることはなかった。
そんな時私達は出会い、愛し合うようになった。どこまでも堕ちてもいいと思うくらいに。
42 :
氷園天国78:2009/01/13(火) 02:00:59 ID:2RjwoFL/
「……私ね、ずっとト/モ/ミに振られたんだと思っていたの。ちょっぴり恨んだりもしたのよ。
だけど…今ならわかるわ。どうしてト/モ/ミが私から離れていったのかが」
「……」
「ううん…離れていったんじゃない。……ト/モ/ミは遠くからずっと私のことを見ていてくれたのね」
「…シ/ズ/カ…」
シ/ズ/カの手が壊れ物を触るように岡/崎の頬に触れた。
「今夜はずっと一緒にいて…お願い…」
再び唇が重なると2人はさっきよりきつく抱き合い、影は銀のアスファルトの上で1つになった。
43 :
氷園天国79:2009/01/13(火) 02:01:49 ID:2RjwoFL/
――――朝。
岡/崎が寮に戻ると部屋の前には風/林/火/山の幟を抱えた大/菅が胡坐をかいてすわりこんでいた。
「お、大/菅なにやってんだ、こんな所で」
「姐さんこそ、なにやってたんですか!朝帰りじゃないすか!」
てこでも動かないむすっとした目で見つめられてさすがの岡/崎もたじたじになった。
「…あ〜、いやその…ちょっと夜中に1人でふらっと走りに行きたくなって…」
「もう!だったらどーして誘ってくれなかったんですか!」
「だっておまえの部屋には安/藤がいるし、いろいろ気を使わせて疲れてるんじゃないかと思ってさ」
「姐さんと一緒なら疲れなんかかんけーありませんよ!」
「あ、そういや安/藤は?」
「今日は休日だからもうみんなとっくに出かけちゃってますよ!安/藤も下級生の子達と一緒に行っちゃいましたっ!」
ふんっと鼻息を荒くしながら大/菅は幟をぶんぶん振った。
44 :
氷園天国80:2009/01/13(火) 02:03:33 ID:2RjwoFL/
「おまえは今日はどうするんだ?」
時計を見るともう朝食もとっくに終わっている時間だ。
「……」
大/菅はなにか言いたそうにじ〜〜〜っと岡/崎の顔を見ていた。
「……ふっ、わかったよ。今日はおまえに付き合うよ。どこでも好きな所に行こう」
「ほんとですか?!」
途端に大菅/の顔がぱっと明るくなり立ち上がるとぴょんぴょん飛び跳ねた。
「…あ〜〜でもちょっと寝不足なんだ。部屋でひと休みしてからだよ」
「いいですいいです!今日一緒にいられるならちゃんと待ちますって!」
岡/崎がドアを開け部屋に入ると大/菅はうれしそうに後に続いた。
「あ〜〜、疲れたぁぁぁ!」
岡/崎は大きく手を広げ大の字になってバタンとベッドに倒れこんだ。
「あっ、良かったら肩もみしますよ!マッサージだって!」
「馬鹿、よせってばくすぐったい!いいからちょっと寝かせてくれよ」
大/菅がマッサージだと言いながらじゃれるように抱きついてきたのを岡/崎は笑いながら受け止めた。
45 :
氷園天国81:2009/01/13(火) 02:04:11 ID:2RjwoFL/
「じゃあ11時頃起こしに来ますね〜!」
「ん、わかった」
ご機嫌になった大/菅は手を振りながら岡/崎の部屋から出て行った。
「……?」
ドアを閉めた後、大/菅は立ち止まって振り返った。
(……なんかこの香り……)
ふと岡/崎の身体からいつもとは違う香りがしていたのに気がついた。
(……姐さんこんな甘い匂いの香水してたかな…どこかで嗅いだ気がするけど…どこでだっけ…)
(…つづく!)
おおおお、こう来ますか!!
何やらフクザツに絡み合ってきましたなw
続きがいっそう楽しみです!
姐さんとシズゥの絡みキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
荒岡好きなのでドキドキしますたwww
ミ キちゃんのとこの「私の次に好き」とはシズゥらしい
急展開ですな!ミ キちゃんとのこれからや姐さんとの事も楽しみ
お久しぶりです『光の庭』です
年末にバタバタしてたらスレが落ちててあせりました
見つかってよかったw
ガクエンものもダブルデートものも面白くてニヤニヤdkdkしながら読んでました
どちらの職人様も続き楽しみにしてます!
で、自分はと言うとちょっと話がこんがらがりつつ書いております
でもだんだん書いているうちに黒いというか重いというか、、、っぽい展開になっちゃって、、、
好みもあると思うので続きはろーだーの方に上げてみました
tp://www1.axfc.net/uploader/He/so/183085
初めてあぷしたのでいろいろと不備はあるかもしれませんがよろしくです
もし読めない方がいらっしゃったらこちらにおっしゃってください
ちょっと再考してみます
なおまだ完結してませんのでまた少しずつあぷすることになると思いますが
それとも時間かかるけど完結してからあぷする方がいいかな?
>>49 光の庭さんお久しぶりです!つづき待ってましたよ
うpされたものも読んできますた。重いとは思いませんでしたよ〜
小説を読んでいるみたいで、いつも惹き込まれてしまいます
うpでも良いと思いますが、全然ここに投下してもおkじゃ…?
>>50 読んでいただきありがとうございます
うぷしたのはまだ途中なんですけど段々重い展開になりそうなんです、、、
読み飛ばしていただければいいんだけど
悲しいのは嫌って方も多いかもしれないので、、、
悩みどころです
光の庭さんこんにちはです〜。
残念ながら、私は読めなかったのですが……どうしたらいいでしょう?
光の庭さん乙です!
私もこのくらいなら投下おkと思いまつが
この刷れも特別流れが早いわけでもないし
でもこれからツリ了ス展開になるのかな〜
ドキドキしながら待ってます
>>52 普通のテキストで上げたんですが読めませんでしたか?
それともダウンロードできなかったのかな?
内容は7KB弱で軽いと思いますが、、、うーん
うp初心者ですみませぬ
光の庭さんこんばんは!
前スレを偶然見つけて拝見いたしました。
ぐんぐん引き込まれちゃって3日くらい寝不足でした(汗)。
現在PCが使えない環境下な為、携帯で拝見している私はこのままでは蛇の生殺しだす(号泣)。
前スレ読めないだけでも(T_T)。
我が儘ですが携帯から読めるようお願いいたします<(_ _)>
>>55さん
前スレ読んでくださってありがとう
多分前の話が読めないとわかりにくい所もあるので
完結したらまとめてうpしようかと思ってます
携帯用のろだはちょっとわかりませんでした、、、、orz
シリアス×の方には注釈つけてここに投下してもいいかな
シリアス嫌な人は最初から読んでないんじゃないかな?
続きものだし。
ある程度まとめて投下していただいてるので、読まない人にとってスルーしやすいようになってるし
そんなに神経質に考えなくてもいいと思います。
あ、でも自分はとても楽しみに読んでいますよ。
ロダに上げられた分も読みました!GJです!さらにドロドロを期待したりなんかしてw
58 :
『光の庭』:2009/01/18(日) 15:59:42 ID:NUqCkVZb
いろいろとレスありがとうございます
大丈夫そうなのでここで投下しますね
重いのシリアスなのが苦手という方は
『光の庭』のタイトルのレスを読み飛ばしてください、すみませぬ
59 :
『光の庭』:2009/01/18(日) 16:02:46 ID:NUqCkVZb
前スレ802の続き
「村 主さん自身はanotherFumieの存在を知らない。、、、おそらくアナザープロジェクトのことも覚えてはいないんだろう。
一緒に来ていた恩 田さんにはanotherはない。どうしてanotherFumieだけが生まれたのかは私にもわからない」
岡 崎さんは肩を落とし、唇を結んだ。
「、、、大 菅さんは、、、なにか知っているんでしょうか」
「、、、なかなか私にも話をしてくれなくてね。ただ、anotherFumieはまだあの中庭にいると大 菅は言っていた。
そして今度フィギュアの選手達がここへ来ると聞いた時、何か起こるんじゃないかと私達は心配していた」
「岡 崎さん、それは違います。あの、私の前に現れたanotherFumieちゃんは決してトラブルになる悪いことをしていません。
、、、あの、、むしろ、、私を、、励まそうとしたり、その、、なぐさめてくれて、、、」
あのフミエちゃんが人に害するようなことは絶対にない、そう言いたくて声をあげた。
きっと私に何かを伝えようとしている。だから、現れたんだ。
そして、、、抱きしめてくれて、、、キスをしてくれた、、、。
そのことを思い出し、私は頬が熱くなって口ごもった。
60 :
『光の庭』:2009/01/18(日) 16:03:41 ID:NUqCkVZb
「わかるよ、彼女には邪念はない。、、私にもそれは感じてる。
切ないくらい純粋で子供のようにひたむきな、、、そんな気配を感じるよ。見た人は誰も不思議と嫌な感じはしなかったと聞いているし。
だから、私も知りたい。どうしてトラブルが起きるのか、どうして事故は起こったのか、なぜ、、anotherFumieは生まれたのか」
岡 崎さんは落ち着いた声で言った。
月の明かりが射し込んで、時折雲がかかるのかラウンジが暗くなったり明るくなったりした。
大 菅さんも吉 井さんもどこかに行って、フミエちゃんは静かに眠っている。
私たちのいるここだけが隔絶された空間にあるみたいだった。
「、、、今日のこと、、、、」
「、、、、、」
「、、、、、きっと彼女は、、何かを伝えようとしてるんだと思います。
彼女は私がアナザープロジェクトに参加する前から私の前に現れた、、、」
静かな空間で私の声が響く。岡 崎さんがゆっくりと顔を上げた。
「そう、きっと何かあるんです。私にできること、、、」
「荒 川さん」
近づいて座り直し、大きな瞳は諭すように私を見据えた。
61 :
『光の庭』:2009/01/18(日) 16:04:23 ID:NUqCkVZb
「あなたがこの事に関心があるのはよくわかるけれど、あまり無茶はしない方がいい。
この研究所は、私にもわからないことが沢山ある。それにanotherはあくまでもただのデータだ。
実際、当の村 主さんは全くと言っていいほど気づいてはいない。、、、荒 川さん、anotherFumieは村 主さんではないんだよ」
はっきりと自覚できるくらい頬を紅潮させている私に、あくまで冷静な声で岡 崎さんは言った。
分っているけど、その言葉が胸に突き刺さる。
、、、、現実のフミエちゃんとanotherFumieは違う。
だけど、胸が熱くなって自分でもどうしようもなかった。
フミエちゃんの知らないところで存在するanotherは、フミエちゃんとは全く別のものだ。
それでも、フミエちゃんの姿をして、フミエちゃんの声をしたものに私はどうしても惹かれてしまう。
じっとしていると涙が溢れそうになってくる。私は俯いて自分の手をぎゅっと握りしめていた。
62 :
『光の庭』:2009/01/18(日) 16:04:50 ID:NUqCkVZb
「、、荒 川さん、、あなたはやっぱり優しすぎる」
岡 崎さんはそっと肩を抱きしめ、胸元へと私を引き寄せた。
「 、、、、人はみんな弱くて儚い。ほんの小さな事で挫けそうになって折れそうになる。
でも、人はみんな誰もが希望を持って立ち上がる強さも持っている。、、、、、だから好きだよ」
そう言って親鳥のように優しくしっかりと抱きしめ、愛おしそうに髪を撫でてくれた。
岡 崎さんの心そのままの温かさに包まれて私は涙を流し、深く呼吸した。
63 :
『光の庭』:2009/01/18(日) 16:05:29 ID:NUqCkVZb
「、、、あなたが自分を見失わなければ、、、何かがきっとわかるはず。大 菅もそれと戦ってる」
腕の中で見上げた瞳には意志のこもった強くて、遠い恒星のような輝きがあった。
私も、、、何かに向かい合わなくてはいけない。きっと避けて通れない何かに、、、。
「、、、、私の、、今度の測定は、、ト リノの時のメンタルを再現させるための実験です。
、、、すでに出来ている試作品のanotherに私のあの時のメンタルを同調させるような、、測定だと言われました」
こんなこと、たとえ同じアナザープロジェクトの選手にも口外するべきではないだろう。
確かそんな約束をさせられたはずだった。
でもそれを知っているはずの岡 崎さんは黙って私を抱いたままだった。
64 :
『光の庭』:2009/01/18(日) 16:06:12 ID:NUqCkVZb
「でも、、私は怖いんです、、、。前に行った測定でも、私は自分自身をコントロールできなくてただ泣くことしかできなかった。
ト リノの時は、、、その時は気がつかなかったけれど、ミキやフミエちゃんや、、、みんながいるから強くいられたんです。
本当に、、一人になって、、私は、、何ができるのかわからない、、、自分のanotherと正面から向き合って、、あの時のように強くいられるのか、、、」
「、、、、、」
「岡 崎さんは自分のanotherと同走したことがあるって言ったでしょう。いったいその時あなたは、、、」
それほど強い精神力を持っているあなたが3日間も部屋に閉じこもって一人で考え込んでいた、、、。
自分のanotherと真正面から向き合い、何を見て、何を感じたのか、、そしてその勝負の行方は、、、。
聞きたかったけれど、、聞くことはできない。
65 :
『光の庭』:2009/01/18(日) 16:07:08 ID:NUqCkVZb
「、、、、前にも言ったけれど、anotherは精密なデータで出来たモノだ。私達は何年もかけて、分析されて、それを作った。
でも、、ただ、、それだけだよ。anotherに感情や意思があるように見えてもそれはデータに似せてつくられたもの、、」
「、、、、、」
「、、、だから、たとえ自分のanotherが崩れ折れても、他の人のanotherに何が起ころうとしても、、、
それを客観的に見つめ続けなくてはいけない、、、、。もし、そうでなければ、、、心が迷うことになる、、、」
「、、、、、、、」
「、、荒 川さん」
「はい」
あらたまって名を呼ばれた気がして、私は腕の中から離れて彼女を見つめた。
「どうか、、、村 主さんから離れないで」
「、、、、、、」
「、、、世間ではライバルだの、確執があるだの言われたかもしれないけど、、あなたたち二人はもっと強い絆で繋がっている。
確かに、、anotherFumieは私のanotherや他のanotherとは違う。
でも幻であるはずのanotherのせいで、あなたたちの間に何かが起こってしまいそうな気がして心配なんだ。
大 菅には私がついている。
そしてあなたには村 主さんが、、、村 主さんにはあなたがついていてあげて」
66 :
『光の庭』:2009/01/18(日) 16:09:34 ID:NUqCkVZb
岡 崎さんは私の肩をもう一度強く抱きしめると、身体を起こし窓に顔を向けた。
「ああ、風が出ててきたようだね、、、明日は雨かな?山の天気は変わりやすいから、、、。
、、、あなたにもわかるでしょう、気圧が少し下がっているのが。
ここにいるとつい実験や測定に集中してしまって、外の気配を感じるのを忘れてしまう。
でも、、どんな時も地球は回って、季節は変わっていくってことだね」
窓の向こうは揺れる森の木々と流れる雲がまるで無声映画のように広がっている。
言われると確かに私の肌にも感じる。
現役の頃、競技前はいろいろな感覚が過剰なくらい敏感だった。
私の中にあの張り詰めた日々が蘇る。
でももっと重大な、何かが起きそうな不穏な予感、、、、。
私は守らなくてはいけない。この気持ちを。そしてフミエちゃんを。
岡 崎さんを見ると、彼女は何も言わず微笑んで頷いてくれた。
67 :
『光の庭』:2009/01/18(日) 16:11:27 ID:NUqCkVZb
一人で部屋に帰っても眠れないかもしれないと思ったが、ベッドに入ると程なく私は眠りに落ちていった。
夢を見た―――。
何をも頑なに拒む氷の心を持つ姫、燃え上がる愛情で姫の心を溶かす王子、そして王子の為に自らの命を投げ出す女召使。
どれもが私でどれもが彼女だった。
開会式で歌われたと言う、ト ゥーラ ンドット。
まるでそれは運命に導かれたような、、、。大げさな考えかもしれないけど、私はすべて良い方向になるように受け止めていた。
冷たい風の中で、熱気と興奮の中で、岡 崎さんや大 菅さんもそれを聞いたのだろう。
聖 火の炎が渦を巻いて空へと上っていく、、、、。
いないはずの私達もそこに居てフミエちゃんやミキと一緒に手を繋ぎながらそれを見ている、、、。
↑
ろだに上げたのはここまででした
話は変わって今世界ヌプリントという大きヌピヌケの大会中なんですね
新聞に姐さんが椅子に座って足上げてストレッチやってる姿がかっこよかったです〜
やっぱヌピヌケのせんしゅも体やわらかいんだなー
ロツアでやってるんで上位に入るとまとりょーしかもらえるらすぃ〜
69 :
『光の庭』:2009/01/22(木) 21:51:53 ID:fGfbhQpi
>>67の続き
朝が来て、私は起床時間の前に目が覚めた。
窓を見ると岡 崎さんの予想通り、空は雲に覆われ、森には銀の雨が降り注いでいた。
昨日はめまぐるしく展開する長い長い夢のような一日だった。
まだ身体の中に鉛のように重い余韻が残っていて、胸の中で言葉が繰り返されている。
『あなたは何も知らない、何もわかろうとしないから』
『私はフミエちゃんのことが好き』
『あなたには村 主さんが、村 主さんにはあなたがついていてあげて』
『たとえ自分のanotherが崩れ折れても、他の人のanotherに何が起ころうとしても』
でもこれは私が受け止めなくてはいけないこと。
このアナザープロジェクトが終わったら、、、フミエちゃんに私の心を伝えよう。
anotherではない本当のフミエちゃんに。
どう思われようとも、フミエちゃんを愛していることは私の誇りだから。
私がこうして今いられることもそんな想いがずっとあったから。
70 :
『光の庭』:2009/01/22(木) 21:53:16 ID:fGfbhQpi
私はずっと怖かったのかもしれない。
フミエちゃんに拒絶されることが。
もし嫌われてもライバルなんだから当り前のことだと、最初から諦めていたのかもしれない。
『どうして4回転なんて飛べるの?』
『んー、よくわからない。でもミキは自分の心の空に向かって飛ぶ。
雨の日でも嵐の日でもその上には青空があるでしょ。心にもきっと青空がある。だからそれに向かって飛んでる』
『なんだ、それじゃ答えになってないじゃん』
『ス ケートに答えなんかないよ、そうでしょう?』
あの時、私にはミキの笑顔がまぶしすぎた。私にはない彼女の魅力。
窓から見える空の色はだんだん暗くなっていく。でもあの無心の勇気を私も持たなくっちゃ、、、、。
71 :
『光の庭』:2009/01/22(木) 21:54:14 ID:fGfbhQpi
内線電話が鳴り、私は受話器を取った。
十河さんが私の体調を尋ね、大丈夫だと言うと8時に朝食を取り八重樫さんが来るのを部屋で待つように指示があった。
廊下に出た私は下の階が気になって、ライトコートのガラスに張り付いた。
「おはようシズカちゃん」
ドキッとして振り返るとフミエちゃんがこっちへ歩いてきた。
「、、、、お、、はよう、、」
本物、、、だよね、、なんだか胸が苦しくて真っ直ぐに顔を見られない。
「昨日、なんかシステムのトラブルがあったんだってね。私ちっとも知らずに眠ってしまってたわ」
「そ、そう、、。私も詳しくは知らないんだけど」
フミエちゃんがすぐ近くに来て、私の心拍数がぐんと高くなった。
ちらっと横目で見た様子に変わったところはなさそうだった。
そのことには安心したけど、胸のドキドキはおさまらない。
「今日は呼び出されるまで部屋で待ってて言われたけど、、せめてトレーニング室でも使えないかなあ」
練習熱心な彼女らしい考えだ。フミエちゃんはため息をついてガラスに手をついた。
72 :
『光の庭』:2009/01/22(木) 21:54:53 ID:fGfbhQpi
食堂に行くと、岡 崎さんと吉 井さんが既に朝食を食べていた。
大 菅さんの姿がない、、、。
一瞬足がすくんだが、岡 崎さんがおはようと手を振ってくれてフミエちゃんと私もそのテーブルについた。
「あれ、サユリちゃんは?」
フミエちゃんがそう言って、私の手がビクンと震えた。
「ああ、大 菅は昨日は遅い計測だったからまだ休んでいるよ」
間を置かずに岡 崎さんが答えた。
「大 菅さんもいろいろと長い計測が続いてお忙しいんですよね」
岡 崎さんも吉 井さんも何事もないように穏やかに朝食を食べていた。
73 :
『光の庭』:2009/01/22(木) 21:55:43 ID:fGfbhQpi
岡 崎さんがおどけて口を尖らせ、皆で笑った。
「岡 崎さん達の今日の予定は?」
「取りあえず部屋で待機。まあ中途半端になってやり直しよりはいいかもね」
「私、、また低酸素やり直しならもう動けないですよお」
「慣れだよ慣れ!気合が足りないよっ!吉 井は今度ヒマラヤで特訓しなさい」
笑う声の中、ふと岡 崎さんと目が合った。
私が目で頷くと彼女もそれを小さく返してくれた。
74 :
『光の庭』:2009/01/22(木) 21:56:59 ID:fGfbhQpi
食事をほぼ済ませ、皆がコーヒーや紅茶を飲んでいると、珍しく八重樫さんが食堂にやって来た。
「お食事中失礼します。昨日はいろいろとご迷惑をかけてしまって申し訳ありませんでした」
「いいえ、それより今日の予定はどうなるんでしょう?システムは直ったんですか?」
岡 崎さんが代表して質問をした。
「はい、ほぼ回復していますので、これから調整をして皆さんに計測を続けてもらう予定です」
「村 主さんも荒 川さんも吉 井も今回初めて参加している選手です。慣れない緊張もあるし、不安もある。
不測のトラブルは仕方のないことでしょうけど、細心の注意を払って安全には十分気を使ってくださるよう、所長にもお伝えください」
「わかりました。所長にも他のスタッフ全員にも伝えておきます。
後ほど改めてお部屋に伺いますので、それまでお休みになってお待ちください」
毅然とした態度で岡 崎さんが言うと、八重樫さんは深々と頭を下げて去っていった。
75 :
『光の庭』:2009/01/22(木) 21:58:53 ID:fGfbhQpi
「、、、まあ、なんとか一日くらいの延長で大丈夫だろう。あせらずに待っていよう」
厳しい顔つきから岡 崎さんはいつもの笑顔に戻り、にっこりと私達を見渡した。
「うん、そうね。私も部屋でストレッチでもして待ってるわ。
それにしてもさすがは主将って感じね、今の岡 崎さんすごーくかっこ良かったー」
「そーお?村 主さんだって副将じゃない。ト リノの時みたいに村 主さんがいてくれて私も心強いなぁ」
岡 崎さんは明るく振舞い、でもさり気なく皆に気を配るのはすごいと改めて感心した。
私なんて自分のことで精一杯なのに、、、。
76 :
『光の庭』:2009/01/22(木) 22:03:27 ID:fGfbhQpi
「、、、シズカちゃん、、疲れてるんじゃない?」
部屋に帰る途中フミエちゃんが心配そうに私に寄り添った。
「え?私?ううん、平気よ」
「そう、、なんかいつもよりちょっと元気がない気がして」
「うーん、そうかな、、アイスクリームが好きなだけ食べられないからちょっとエネルギー切れ気味かも」
「あはは、シズカちゃんらしい」
フミエちゃんはほっとして眉を下げ、妹を見守るような視線を送ってから部屋に入っていった。
、、、私がフミエちゃんのこと気遣ってあげなくちゃいけないのに、、逆になっちゃった、、、。
フミエちゃんの前で情けない顔をしていられない、自分で頭をコツンと叩いた。
77 :
『光の庭』:2009/01/22(木) 22:04:25 ID:fGfbhQpi
部屋で一人になるとベッドに仰向けになって深呼吸をしてみた。
心を落ち着かせよう。
岡 崎さんの言うとおり自分を見失わなければ、大丈夫。
どんな時もフミエちゃんと見えない手を繋いでいる、瞼を閉じてそうイメージすれば私はもっと強くなれる。
待っていてフミエちゃん、、、anotherFumieが伝えたいこと、私が絶対受けとめるから、、、、。
ノックの音で飛び起きた。
ドアを開けると十河さんが立っていた。
「おはようございます、荒 川さん。昨夜は本当にご迷惑をおかけしました」
八重樫さんと同じく十河さんも神妙な顔で頭を下げた。
「いいえ、むしろ間があいて私も気持ちが少し落ち着きました」
78 :
『光の庭』:2009/01/22(木) 22:08:10 ID:fGfbhQpi
「、、、、そうですか、それは良かったです。さあこれからご案内しましょう」
にっこりと穏やかに微笑み、優しく包み込むような声で私の肩に手を掛けた。
目が合うと、十河さんの瞳の色が急に変わった気がした。
一瞬、その奥に吸い込まれそうになって頭がぐらりと揺れた。
「、、、、、」
返事をしようと思ったのに、重心がずれた様に身体がふらつき、空間が歪む。
、、、寝不足、、?それとも貧血のような、、、こんな時に、、、。
予期せぬ身体の変調に私はあせって、手のひらが汗ばんだ。
「、、大丈夫ですか、荒川さん?」
十河さんが私の背中を支えると、はっと我に返った。
「、、ええ、大丈夫です」
目の前が急に明るくなった。
「、、、では、、アナザープロジェクトを継続します。よろしいですか?」
さっきの変調が嘘のように身体が軽くなって元に戻った。
さっきのはいったいなんだったんだろう。でももう平気だ。
目の前の十河さんも優しい目で頷いている。
さっきの眩暈を思い返すこともなく、私は差し出された手を握った。
『光の庭』はここまでです
いよいよ冬ヌポも後半戦ですね
ふぃぎゅあは4鯛陸、世界センツュ権いろいろまでなんかdkdkが続きそうだなあ
ヌピヌケもW力ップもう今週末みたいですね
もぐーるもあのタエさん復帰ですよ!!!I子ちゃんと久しぶりに会うのかな〜
いろいろもーそーしてしまう、、、w
光の庭さん、続きがこんなに!ありがとうございます。
私はこの「光の庭」は普通に小説として読んでます。というのも、登場人物の半分くらいしか把握してないので(汗)。
姐さんとあらかーさんは好きですが他はあまりよくわかってないという…。
しがないカーラーなもんで、かつてはあ ゆ み えさんで萌え萌えしてました。
そんな私ですが、光の庭は楽しく読ませていただいてます。
他の職人さんの小説も更に理解を深める為に顔だけは把握した方がもっと萌えるのかしら?
>>80 読んでくださりありがとーございます!
私も鳥野伍厘までヌピヌケもフィギアも、、、というか冬ヌポ全体もよく知らなくて
センツュも姐さんとシズゥとフミィと幹ちゃんくらいしか知らなかったけど
鳥野で感動していろいろ調べていくうちにモーソーが広がって萌え対象になってしまいましたw
カーソングもいいですよね!鮎三重はけつこんしたけど二人の絆は永遠と思ってます!!
確か過去ログにもカーソングものもあったと思いますよ!
私が書いている人物像はいろんな記事を参考にイメージしているだけなので
よく知った方には違和感あるかもしれませんが、あくまでモーソーなんで許してください
他の職人さんのもいろいろあって楽しいですよね!
真面目そうなフミィが暴走気味とかっていうのも好きですw
お顔とかちょっとした戦績?ライバル関係とかを知ってみるともっと楽しめると思いますよ
82 :
『光の庭』:2009/01/24(土) 02:14:06 ID:Ajw14Sln
今レスを読み返したら抜けている所がありました
>>72と73の間に
「岡 崎さん達は昨日のトラブルのこと知ってる?」
「うん、八重樫さんから直接聞いたよ。まあ詳しく聞いたって私は機械のことなんてさっぱりだけど。
ただ予定が狂っちゃうのがちょっとね、、」
「そうですよね、せっかく体内時計も合わせてここまでやってきたのに、、、、」
「こうなったら時差ボケの実験になるかもね。後でお詫びに所長に焼肉でもおごってもらおう」
を入れてください
話が合ってませんよね、、、スマソ
投下ありがとうございます!!
私もふぃぎゅあすけーとのこと詳しくわからないけど
普通に小説として楽しんでます。
なんかミステリアスでドロドロ展開になるのかな〜ドキドキしながら読んでます。
シズゥはほんと百合似あうよね!
あと解説のやぎぬまさんも似合いそう!
この2人が絡むのはすっごく綺麗で絵になりそうなんだなあ
ここを拝見してから、荒×岡が萌え要素になってしまった。
岡/崎さんのオヤジキャラってどっからきたんですか?
さっぱりしてて男の子みたいなイメージが姐さんにはあるけどね。
姐さんに膝枕してもらったら気持ち良さそう:*:・( ̄∀ ̄)・:*:
>>84 姐さんは
大型バイク乗り、車好き(いわゆるスピード狂らしい。姐さんの読む雑誌は車関係ばっかりだとか)
酒好き(おそらく強いと思う…)
現役の中で最年長(ヌケーター達は皆姉さんと呼ぶ。鳥乃のプロフィールには尊敬選手する選手の欄に『姉さん』と書いた男子選手もいる)
という感じでオヤジというか姉御というか漢キャラなんじゃないかな?
性格もさっぱりして明るくてちょっと体育系入ってるみたいなイメージっす
86 :
氷園天国82:2009/01/28(水) 00:16:10 ID:EAFAC0Nw
豚切りスマソ
氷園天国の続きでっす!!どぞー!↓
――――同じ頃の朝。
その日の芬牛亜学院の女子寮はしんとして静かだった。
シ/ズ/カが抜き足差し足で部屋に向かうとドアの前でフ/ミ/エが五段重ねの座布団の上できちんと正座をして待っていた。
「……心配したわ」
フ/ミ/エがシ/ズ/カを見上げて言った。
「……ごめんなさい…みんなは?」
「今日は衣装の打ち合わせにみんな行ったわ。シ/ズ/カのことは私がなんとかごまかしたけど…」
「ああそうだったわね、ごめん…」
シ/ズ/カは疲れた顔でうつむいた。
「でも私も本当に心配していたのよ。寮の裏に隠してあるバイクもなくなってたから…」
「大丈夫、昔のように無茶をしたりしないわ」
「……シ/ズ/カ…」
87 :
氷園天国83:2009/01/28(水) 00:17:14 ID:EAFAC0Nw
自室に入るとシ/ズ/カは身を投げ出すように猫足のソファに座りため息をついた。
「……あの頃…私がス/ケ/ー/トをやめたいと言って本気で怒ってくれたのはフ/ミ/エだけだったわね」
「……まさか…シ/ズ/カ、クィーンを…」
フ/ミ/エははっと青ざめて慌ててシ/ズ/カに寄り添った。
「そうじゃないわ……岡/崎さんに会っていたのよ」
「…岡/崎さんって素被威度学園の?何かあったの?ミ/キのことでなんか脅されたの?なにか理不尽な要求とか…
それにしてもそんな真夜中に呼び出すなんて!やっぱり素被威度学園の人は不良よ!」
言葉の途中で興奮したフ/ミ/エは握りこぶしをブンブン振って、鼻息を荒くして立ち上がった。
88 :
氷園天国84:2009/01/28(水) 00:18:38 ID:EAFAC0Nw
「ちがうの。私の方から会いたいって言ったのよ」
「……?」
「私と岡/崎さんと昔からの知り合い…なのよ。岡/崎さんも素被威度学園の人も決して悪い人じゃないわ。
ミ/キが素被威度学園に行ったのもわかる気がするの…」
「……」
物思いにふける横顔を見て、フ/ミ/エはそっとシ/ズ/カにケープをかけた。
「それでミ/キはどうしているの?元気で居るの?ちゃんとご飯を食べさせてもらっているの?」
「ええ、慣れないことも沢山あって大変そうだけど、みんなとなかよく元気に過ごしているそうよ」
「そう…いつ帰ってくるのかしら…」
「………」
89 :
氷園天国85:2009/01/28(水) 00:19:29 ID:EAFAC0Nw
2人は窓から見えるサンルームを見た。
シ/ズ/カとミ/キを囲んでみんなでよくお茶の時間を過ごしたものだ。
たわいのないおしゃべり、持ち寄った手作りのお菓子…。
練習に明け暮れる日々の中でそれは楽しい貴重な時間だった。
そして薔薇園で仲良く歩いている2人の姿は大輪の薔薇と蝶が戯れているようで、生徒達は皆微笑ましい気持ちでそれを見守っていた。
口には出さないけれど、ミ/キが居なくなって一番落ち込んでいるのはシ/ズ/カだと皆わかっている。
「ミ/キが帰ってきたら大好きなチーズケーキを焼いてあげましょ、食べきれないくらいにねっ」
「そうね…」
わざと明るく振舞うフ/ミ/エの提案にシ/ズ/カは頷きながら遠い目をした。
90 :
氷園天国86:2009/01/28(水) 00:21:06 ID:EAFAC0Nw
――――その日の夜。素被威度学園女子寮の食堂。
「へっへっへ〜お土産だよん(o⌒∇⌒o)♪」
夕食後みんながまったりしていると、ニコニコ顔の大/菅が上機嫌で温泉饅頭を配りはじめた。
「ご馳走様です先輩。あ、もしかして今日はト/モ/ミ姐さんとひょっとこ温泉に行かれたんですか?」
饅頭の焼印を見て吉/井が言った。
「まーなー♪温泉っていいよなー体も心も温まるしさー( ̄∇ ̄*)ウシシ」
大/菅は鼻歌交じりで他の生徒にも配り続けていた。
(……大/菅先輩ったら朝はあんなに機嫌が悪かったのに…単純なんだから…┐(´ー`)┌)
吉/井はぱくっと一口でそれを食べると他の後輩達と顔を見合わせてくすくす笑った。
「あれ?安/藤は?」
ミ/キの姿が見えないのに気づいた大/菅はきょろきょろと辺りを見回した。
「あ、安/藤はちょっと、とか言ってリンクの方に行きましたよ」
「も〜〜せっかく安/藤の分まで買ってきてやったのにぃ〜食っちまうぞ〜!!」
箱に残った1個の饅頭を見て大/菅は頬っぺたを膨らませた。
91 :
氷園天国87:2009/01/28(水) 00:22:07 ID:EAFAC0Nw
なかなか姿を見せないミ/キに心配になった大/菅はリンクに寄ってみた。
誰も居ない広くて暗いリンク。
向こうの非常灯の灯りに誰かが佇んでいるのが見えた。
(…安/藤…!)
大きな声で呼ぼうとしたが、いつもとちがうミ/キの様子に声がかけられなかった。
ミ/キの顔は寂しそうに思い詰めた表情でリンクの氷をじっと見つめていた。
92 :
氷園天国88:2009/01/28(水) 00:23:05 ID:EAFAC0Nw
「大/菅」
不意に背後から声をかけられ驚いた大/菅が振り向くと岡/崎が立っていた。
「姐さん…」
「安/藤にス/ケ/ー/トを教えてやりなよ」
「へ?私が安/藤にス/ケ/ートを??」
有名なフ/ィ/ギ/ュ/ア/ス/ケ/ー/ターにス/ケ/ー/トを教えるなんて冗談かと思ったが、岡/崎は真顔で頷いて微笑んでいた。
「確か奥に予備の靴があっただろう。あれを貸してやれ」
大/菅は訳のわからないまま靴を持ってミ/キの方へ降りていった。
93 :
氷園天国89:2009/01/28(水) 00:41:12 ID:EAFAC0Nw
「安/藤」
ミ/キがはっとして驚いた顔で振り返り、慌てて頭を下げた。
「あ、大/菅先輩…すみません、ぼーっとしちゃってて…今行きます」
「……ちょっと滑ってみるか?」
「え…?」
大/菅の言葉にミ/キはさらに驚いて瞳を大きくして、それからなんと言っていいかわからない顔で目を伏せた。
「……もう何日も氷に乗ってないだろ。ス/ケ/ー/トが恋しくなったんじゃないのか?」
「……」
ミ/キはうつむいたまま返事をしなかった。
「ほら、これ履いてみろって。まあうちはスピード用しかないけどさ」
大/菅はとまどうミ/キに半ば強制的にシューズを履かせた。
94 :
氷園天国90:2009/01/28(水) 00:42:18 ID:EAFAC0Nw
スピード用は足首が固定されてなくていつもと全然違う。
大/菅がリンクに「これから初めて安/藤が滑ります!よろしくお願いしまっす!」と礼をしてからすーっと滑りだした。
「ほら、安/藤もこっちへおいで」
ミ/キは戸惑いながらリンクに深々とお辞儀をして差し出された手の方へそっと足を入れた。
「あ…あれ?…どうして?」
靴は全然軽いのに足が一歩さえ出ることができなくて初めて滑る子供のように動けない。
いくら何日もス/ケ/ー/トをしてないからって信じられない。
ふらふらして立つのがやっとだった。
(な、なんで〜?初めてスキーをした時だってこんなじゃなかったよ〜!!(泣))
95 :
氷園天国91:2009/01/28(水) 00:43:17 ID:EAFAC0Nw
「あ…あの先輩ちょっと待ってください」
ほんの少しの距離なのに思うように前に進むのさえできないなんて…。
体と手足がうまく動いてくれなくてミ/キの頭もパニくって真っ白になってしまった。
「あのぉ〜全然滑れないんです〜(> <;)」
「おい、マジかよ。なんでおまえが滑れないのさ」
「あ〜あれれれぇ??ちょっとやだぁ〜!!」
「おいっ!こら!ちょっと止まれって!安/藤!」
「きゃああ〜せんぱ〜い!止まれないんですごめんなさーい!!!ヽ(≧Д≦)ノ 」
やっと前に滑り出したかと思うとうまくコントロールできずにミキはそのまま大/菅にぶつかってしまった。
ドシーン!!!!!((((@_@) Σ(>。☆)
大/菅が尻餅をつき、ミ/キがその上に覆いかぶさるようにして転んでしまった。
96 :
氷園天国92:2009/01/28(水) 00:43:58 ID:EAFAC0Nw
「…ぃって〜」
大/菅が目を開けるとすぐ目の前にミ/キの顔があった。
ミ/キも目を開けると鼻先と睫毛がお互い触れそうなくらい近い距離だった。
「あっ…!す、すみませんっ!」
慌ててミ/キが身体を起こしたが、息遣い、胸の膨らみ、体温…重なっていた余韻が残って2人ともドキドキした。
「おい大丈夫かよ。ケガしなかったか?」
「は、はい…先輩こそ…」
「わ、私は、だだ大丈夫さっ」
照れ隠しのように大/菅はすばやく立ち上がり、パンパンと氷のかけらをはらった。
「立てるか?」
「あ、ありがとうございます」
手を引かれてミ/キもなんとか立ち上がった。
97 :
氷園天国93:2009/01/28(水) 00:44:51 ID:EAFAC0Nw
「はははは、安/藤もうス/ケ/ートを忘れたか?」
「岡/崎先輩…」
岡/崎がにこにこしながらリンクの脇へ降りてきた。
「スピードとフ/ィ/ギ/ュ/アじゃ靴も刃もちがうから面食らっただろう。
たぶん芬牛亜学院に行ったら逆に大/菅が生まれたての子馬みたいになっちまうだろうね」
「……」「……」
2人は手をつないだまま狐につままれたような顔をしてお互いの顔と足元を見た。
「もうス/ケ/ー/トはこりごりしたかい?」
「いいえ、もう少しスピードの靴で滑りたいです」
ミ/キは首を振り、白い息を吐きながら笑顔を2人に見せた。
98 :
氷園天国94:2009/01/28(水) 00:45:38 ID:EAFAC0Nw
1時間もするとさすがはトップス/ケ/ー/タ/ー、ミ/キも少しずつ滑れるようになってきた。
「よーし、今日はこれくらいにしよう」
「はい、ありがとうございました」
「あれ?姐さんったらもう居なくなっちまった」
リンクを見回すともう岡/崎の姿はなかった。
「まあいいや。そうだ、安/藤疲れただろ。いいもん持ってきてやったぞっ♪」
大/菅はニコニコしながらベンチに置いてあった温泉饅頭の箱を持ってきた。
「疲れた時には甘いもんがいいからな〜、ほれ!ひょっとこ温泉名物の…」
「……?」
99 :
氷園天国95:2009/01/28(水) 00:46:45 ID:EAFAC0Nw
しかし大/菅が蓋を開けると中は空っぽだった。
「……」
「あ、あのぅ〜どーしたんですか、大/菅先輩」
ミ/キは心配して話しかけたが、大/菅はぼーぜんと口を開けたままだった。
(くっそ〜〜姐さんったらこっそりツマミ食いしやがったな!)
「ほ、ほら、ひょっとこ、ひょっとこって面白い顔してるよな〜、あは、あは、あはは…はは…(^3^;)」
「……(ど、どう反応すればいいのかな…(^.^;))」
慌ててひょっとこの顔まねをする大/菅だったが2人の間にはリンクより冷たい空気が通り過ぎていくだけだった。
(…つづく!)
ちょw安菅フラグキター!
次回楽しみに待ってますww
学園ものさんも北ーーー!
つまみ食い姐さんワロタ
荒岡も気になるし楽しみにしてます!
102 :
『光の庭』:2009/02/02(月) 22:50:58 ID:iLftlLIA
>>78の続き
「では参りましょう」
「はい」
十河さんの手は柔らかく温かかった。それはとても懐かしい気がして安心する。
身体が軽くなったというより今度はふわふわと雲の上を歩いている気分になった。
手を引かれている私は小さな子供のようで、お母さんのように十河さんを見ている。
行く先は真っ白な鳥籠のフロア。もうそこに行くことに違和感はない。
「システムは復調しています。私達はあなたの力を必要としています。
あなたはきっと自分自身の中から生まれる不安を乗り越えられるはずです」
103 :
『光の庭』:2009/02/02(月) 22:52:18 ID:iLftlLIA
そうだ、私は今度は負けるわけにはいかない。私を飲み込もうとしたあの暗闇、、、。
でもあの闇を振り払って、そして会ってちゃんと話をするんだ、anotherFumieちゃんに、、、、。
私は多分、十河さんに指示されてあの時のように鳥籠にフロアに行き、あの時のように着替えて、あの部屋に辿り着いた。
途中、誰かとすれ違った気がする、、、。大 菅さんか岡 崎さんかな、、、、。
白い姿が目に入ったが、お互い気に留めることもなく素通りしてしまった。
なぜだろう、、、十河さんの声ははっきり聞こえるのに、頭に霞がかかったようにぼんやりしているみたいだ、、、。
104 :
『光の庭』:2009/02/02(月) 22:53:03 ID:iLftlLIA
私はまたコードを繋がれて、ベッドに横たわった。
あのハーブのようないい香りがする。これもなんだか懐かしい匂いだ。
今度は十河さんが傍について、スイッチの代わりに私の手を握ってくれていた。
「、、、思い出してください。あなたはフ ィギュアで金メ ダリストになった方です。、、、あの時のあなたは世界中に感動を与えたのです。
そう、、、光が見えるでしょう、、、、あなたは心の闇を打ち負かすことができるはずです」
あの時よりも肉声の十河さんの声は近くに聞こえる。直接頭の中に囁きかけられているみたいに、、、。
あまりにもすんなりと私は目を閉じた。
意識がゆっくりと倒れこむように沈んでいく。
暗く深い眠りの底へ、、、、その一番深い所に光が見える。
105 :
『光の庭』:2009/02/02(月) 22:54:53 ID:iLftlLIA
―――私はリンクに入ろうとしていた。既に何人かの選手たちが滑っている、、、。
ああ、競技前の練習か、、、私は今競技前の6分間 練習にいるんだ。
あれ?何を滑るんだっけ、、、?
さっきまで聞いていたのはト ゥーランドットのア リア、そうだ、この曲。
でもト リノの時と衣装が違う、、、私は自分の身体に張り付いた黒いコスチュームを確認した。
これはド ルトムントの時の、、、。
周りを見まわした、、客席、選手達、、ここはやはりド ルトムントの世界 選手権のようだ。
私は2004年の世界 選手権のリンクに居る。
演技前の調整、、、身体が自然に動き出し、風が起こって足や指先に巻きつく。
冷たいが熱気を帯びた試合前の独特の空気だ。
106 :
『光の庭』:2009/02/02(月) 22:55:54 ID:iLftlLIA
他の選手たちは幻のように時々霞んだり、透明になったりして私の周りを滑っている。
、、、やっぱり夢なんだ、、。
でもアナザープロジェクトはト リノの時を再現させるはずだったのに、、、。
誰か近づいてくる気配がして私は後ろを振り返った。
フミエちゃん、、、、?
それは小さな可愛い子供だった。なんだかフミエちゃんに似ている気がする。
女の子は楽しそうに笑顔で私の傍に滑ってきて手を握った。
フミエちゃんが小さい頃にス ケートを始めていたらこんな感じなのかな。
なんだか彼女のお姉さんになった気がして照れくさい。
瞬間、微笑ましいと思って女の子を見ていた私の足元が凍りつく。
女の子はいつしかあの時と同じ黒い闇を纏い、尾を引きながら手を強く握り、私の周りを回り始めた。
107 :
『光の庭』:2009/02/02(月) 22:56:54 ID:iLftlLIA
―――嫌!
離れようと踏み出した足が疲れ果ててしまったように重い。
それでも私は必死に振り払って逃れようとした。
女の子の姿は闇に飲まれ、墨が一気に広がるように、私を飲み込もうと迫ってきた。
心臓が恐怖で早鐘を打つ。
胸から飛び出してしまいそうに苦しかったが、懸命に私は滑った。
『負けてはいけない、闇を破り勝利するのはあなたです』
誰かの声がどこからか響く。割れ鐘を叩かれたように、頭の中一杯に反響してガンガンする。
そうだ、負けてはいけない。
張り裂けそうな痛みの中で、私はぐっと歯を食いしばり、足に力を込めた。
『そう、あなたは倒れても必ず立ち上がる、、』
私はエッジを立て、ブレーキをかけてリンクの中央に止まり顔を上げた。見据えた真正面に闇が迫ってくる。
108 :
『光の庭』:2009/02/02(月) 22:58:17 ID:iLftlLIA
『たとえ闇が私を飲み込もうと私は大丈夫。
anotherFumieの気持ちを知るために、そして私の気持ちを伝えるために、私は負けるわけにはいかない』
anotherFumieの姿が脳裏に浮び、祈るように呟くと、心の炎が一気に燃え上がった。
全身の産毛が逆立って、競技生活に戻ったかのような闘争心が沸き起こってくる。
闇は目の前いっぱいに広がって私を飲みこもうとした。
それを真正面から受け止めてやる。もう、逃げることはしない。
私は腕を伸ばし、渾身の力を込めて引き裂こうとした。
109 :
『光の庭』:2009/02/02(月) 22:59:30 ID:iLftlLIA
「だめ―――!」
誰かの叫び声が銛のように私の身体を貫いた。
その声に息が止まり、一瞬の硬直の後、振り下ろした手に鈍く重い感触が伝わった。
、、、これは、、、!
身体が石のように動かなくなった、、、でも手だけが震えている。
時間が凍りつき、私の全身から血の気が引いた。
110 :
『光の庭』:2009/02/02(月) 23:00:09 ID:iLftlLIA
リンクに誰かが倒れている。
細く華奢な身体がぐったりと白い氷の上に横たわっている。
コスチュームは破れ、胸には大きな傷、、、そこからじわじわと広がる鮮やかな赤い血、、、。
その衣装には見覚えがある。
氷よりも冷たくなっていく身体、、、、。
あの手に伝わった感触は、、、柔らかく温かい肉のような感触だった。
白い氷が見る間に赤く染められていく。
その中心にあるのは、、、、、
111 :
『光の庭』:2009/02/02(月) 23:00:58 ID:iLftlLIA
「―――フミエちゃん!」
私の絶叫はもはや声にならない。
私が夢中で抱き起こしても、横顔は唇も頬も青白く、瞳は閉じられている。
腕の中の身体は何も反応をせず、人形のようにだらりと手足を投げ出していた。
「フミエちゃんフミエちゃん!しっかりして!」
私は狂ったように叫び、その身体を抱きしめた。
左胸の大きな傷、、、、ざっくりと闇を切り裂いた私の手、、、。
フミエちゃんを抱いた自分の手の先には鋭い銀の爪が刃のように光っていた。
、、、、私が、、やったの、、?
腕の中で彼女はみるみる冷たくなっていった。
うぉ!何だかドキドキな展開になってきたー!!
ミステリー小説を読んでいるみたいで続きが気になります
おお、展開が読めなくてどきどきです!
作者タンありがとうございます。がんばてくだしあ
ども光の庭です
なんかアク禁で切れてしましました
ちょっと重っぽくなりましたが、もうしばらくお付き合いください
レスもありがとうございます!!
ふぃぎゅあも4たいりくってことで私もひそかにシズゥのフミィに対する※ント
楽しみにしております
みんないい演技ができますように!!
115 :
『光の庭』:2009/02/07(土) 01:20:14 ID:w3I+c6+W
>>111の続き
嘘だ、、、こんなこと、、、、!
私がフミエちゃんを傷つけるなんて、、、。
何も考えられなくなって、目の前が真っ赤に染まった。
「フミエちゃん、目を開けて!お願い、、」
どんなに揺すってもフミエちゃんは眠るように目を閉じたまま睫毛ひとつさえ動かない。
嫌、嫌、こんなの嫌だ!
私がフミエちゃんの命を奪うなんて!
何度も何度も私は名前を呼んだ。
喉が枯れ、血を吐くくらい私が叫んでも声は虚空に吸い込まれ、返事は返ってこない。
フミエちゃんが死んでしまうのなら、、私も、、、!
116 :
『光の庭』:2009/02/07(土) 01:21:05 ID:w3I+c6+W
―――はっと気づいて目を精一杯開いた。暗い天井が見える。
それでも私は叫び続けていた。
「早く早く、私をフミエちゃんのそばに行かせて!お願いここから出して!」
「落ち着いてください、荒 川さん、ここは研究所のベッドの上です」
ばたつく腕をつかみ、起き上がろうとする私の肩を誰かが押さえ込もうとしていた。
「放して!お願い!私行かなくちゃ!嫌、やめて放して!」
私は力を振り絞って激しく抵抗をした。
髪が頬を打ち、顔に纏わりついた。身体を揺すると白衣の胸元がはだけた。
ベッドがガタガタと揺れ、さらにもう一人が駆けつけて、私の足をぐっと押さえつけた。
「鎮静剤をお願いします」
突然目の前をアイマスクのようなもので覆われた。針が私の腕に刺さり、薬らしき液体が入ってくる。
途端に全身に力が入らなくなり、動けなくなった。
私の身体はくたりとベッドに貼り付けられた。
117 :
『光の庭』:2009/02/07(土) 01:21:40 ID:w3I+c6+W
荒い呼吸だけはなかなか収まらずに、喉が苦しくて、はあはあと息を切らせていた。
騒がしかった部屋は急に静かになり、ピッ、ピッ、と機械音だけが響いた。
多分、繋げられたコードの先のモニター音、、、。
その間隔は少しずつ長くなり、鼓動も合わせてだんだんゆっくりになった。
酸素マスクが当てられて、やっと肺に空気が入ってくる気がする。
忙しなく上下していた胸も、やがてゆったりと落ち着いた動きになった。
霧の中でもがいていた様に混乱していた意識も徐々に晴れてきた。
118 :
『光の庭』:2009/02/07(土) 01:22:07 ID:w3I+c6+W
「気がつかれましたか、荒 川さん」
アイマスクを外されると十河さんが私を見下ろしていた。
全身をだるさが支配していた。身体はほとんど動けない。
私は目だけを向け、呆然と彼女の顔を見ていた。
「、、、、おそらく、、あなたは緊張のあまり恐ろしい夢を見たのでしょう」
「、、、夢、、、」
部屋はまだ薄暗く、ベッドの脇の照明だけがついていた。
「、、私、、大変なことを、、、」
仄暗い部屋の中で私はぼんやりと思い出す。
119 :
『光の庭』:2009/02/07(土) 01:22:40 ID:w3I+c6+W
「、、、どうしたのですか」
「私、、、恐ろしいことをしてしまいました、、、。私はこの手で、、、人を、、傷つけて、、その命を、、、」
「、、、人を、、、?」
「同じ、、ス ケート選手です。でも、私はその人のことを憎いとも消し去りたいとも思ったことはありません」
「、、、、、」
「でも、、あの時、冷たい底なし沼みたいな暗闇が近づいてきて、、私は怖くて、、とても怖くて、、、
必死に抵抗しようとしました。、、、、それで、、!」
あの時の光景が目の前に浮かんで、私は目を瞑り、首を振った。
身体はまだ言うことをきかない。少しだけベッドがきしんだ。
120 :
『光の庭』:2009/02/07(土) 01:23:48 ID:w3I+c6+W
「、、、落ち着いてください、荒 川さん、それは夢です。あなたが考えていることではありません」
「いつだって、ライバルと言われていました。でも私はその人が居なくなればいいなんてちっとも思ったことはないんです。
、、でも、、私は、、無意識のうちにもしかしたら、、、!」
「、、荒 川さん、、夢で誰かを殺したり、自分が死んだりすることは、、珍しいことではありません。
、、現状を乗り越えようとしたり、自分を変えたいと思った時にそういう夢を見ると聞いたことがあります」
十河さんは冷静に私の髪を整えながら、私に言った。
「、、、、あなたはト リノを競技選手として最後の試合にすると、心に決めていたのでしょう。
強い決心の表れが深層意識の中から出てきたのかもしれません」
「、、、、」
本当に、、、夢だったの、、、?
まだ手に残る生々しい感覚、、、。
思い出すと私の身体はまた震えてしまいそうだった。
121 :
『光の庭』:2009/02/07(土) 01:24:29 ID:w3I+c6+W
すると、十河さんはあの優しい保護者のような眼差しで私の髪を撫でながら言った。
「、、、今回は、、以前お話した荒 川さんのモデルanotherに意識を合わせる為の測定実験でした。
正確に言えば睡眠状態の夢とは違います。しかし脳が眠りに近い状態だったので、夢という感覚で感じたのでしょう。
この実験では良くあることです。、、、この間の件もそうだと思います。
大丈夫、過去に実際にあった事でもあなたが考えている事でもありません。様々な要素が組み合わさって感じてしまうものなのです」
この実験での難しい意味はわからないけれど、彼女の理知的で冷静な話しぶりは私を次第に落ち着かせてくれた。
私は深呼吸をして、身体の力を抜いた。
確かに、、私は、、anotherFumieのこと、anotherShizukaのことを考えすぎてしまったのかもしれない、、、。
部屋の天井に映し出された十河さんの影を見てから、そっと目を閉じた。
122 :
『光の庭』:2009/02/07(土) 01:27:32 ID:w3I+c6+W
「、、、でも、、今回見た夢は、、、ト リノではなくド ルトムントの時の夢でした、、、。ト リノと同じ曲でしたけど、内容は少し違います」
「2004年の大会ですね。あの時、荒川さんは優勝したのですよね」
「はい、、私はそれまでの総てを出しきって、もう思い残すことはないと思うくらいでした」
「、、、、ト リノオリ ンピックへ臨む意識の中でそのことが残っていたのかもしれませんね。
本来なら、充分時間をかけてanotherに同調させるようにしたいのですが、、、荒 川さんに無理をさせてしまったようですね、、、」
髪を撫でる手は柔らかくて心地いい。
心の不安が溶けてなくなっていくような安心感がある。
不思議なくらい十河さんの声に私はじっと耳を傾けていた。
123 :
『光の庭』:2009/02/07(土) 01:28:45 ID:w3I+c6+W
「、、、前に、、お話しました私達がデータとして残すanotherというもの、、、。
それには荒 川さんの様々な身体的なデータは組み込まれていますが、
アスリートの皆さんの集中力や精神力は時として私達が考えている以上の結果を出すことがあります。
、、それを記録に残すなんて、、、本当に難しいことかもしれません」
「、、、、」
「、、、以前、、、他のアスリートの方からも言われたことがあります。
anotherなんて自分の目指しているものでもなんでもない、架空の空間でどんなに結果を残そうともそれは意味のないことだと」
「、、、、」
「、、、もちろん私達もそれは承知しています。、、ご本人が存在していなければそれは良く出来たただの人形です。
けれども、私達は出会ったアスリートの皆さんの素晴らしさを少しでも後世に残したい、ご自身にもお伝えしたい、
、、、そう考えているんです。、、、、研究所という狭い世界の中だけに居る科学者の浅はかさでしょうけどね、、、」
「、、、、、」
「、、、過去の経験で、辛いことや苦しいことは悪いことではなかった、と荒 川さんがおっしゃったと所長から聞きました。
、、、、それを乗り越えてきた荒 川さんの気持ちを言葉や形だけでなく、心を未来に残せたら素晴らしいでしょうね。
私は、、あなたのanotherShizukaの演技を見ながらいつも考えてしまうんですよ」
124 :
『光の庭』:2009/02/07(土) 01:29:28 ID:w3I+c6+W
、、何故だろう、、、十河さんの言葉を聞いていたら自然に涙が出て来てしまった。
競技者として滑る気持ちと表現者として滑る気持ち。
でも、心の奥にはいつも彼女への想いがあるような気がしてならなかった。
言葉や形に出来ない、、それは祈るような透明な想い。
私はいろいろな想いを抱えてリンクに臨んでいた。
そしてそれが雲の切れ間から光が射してくるような、クリアな心になると良い結果になることも知っている。
なのに、どうしてanotherの実験ではあんなに怖ろしい思いが浮かんでしまうのだろう。
フミエちゃんを思うと暗闇が近づいてきて、私を飲み込もうとする、、、。
125 :
『光の庭』:2009/02/07(土) 01:30:08 ID:w3I+c6+W
「荒 川さん、、、あなたは既に心の闇に打ち勝っているはずです。迷わずに、その不安を断ち切ることが出来るはずですよ」
はっとして十河さんの顔を見た。
この声、、、、夢の時に聞いた声と似ている、、、!
「、、、お疲れのようですから、どうぞ眠ってください。大丈夫、、、もう怖い夢を見ることはありません、、、
おやすみなさい。また、、目覚めたら続きを始めましょう、、、」
もしかしたら、、、!
尋ねようとした時、額に手を置かれ瞼を閉じられると、私はまるで催眠術がかかったようにすうっと意識がまた深い眠りの底に落ちていった。
126 :
『光の庭』:2009/02/09(月) 23:38:21 ID:aYW7zCOJ
―――「たとえ自分のanotherが崩れ折れても、他の人のanotherに何が起ころうとしても、それを客観的に見つめ続けなくてはいけない。
そうでなければ心が迷うことになる」
私の手で息絶えたフミエちゃん、闇に飲み込まれようとした自分。
それはやはりanotherの姿なんだろうか。
頂点に立つということは、誰かを倒さなければならない。それが競争だから。
だけど、、その相手を愛することは許されるのだろうか。そして愛されることも、、。
同じように彼女が冷たい銀の刃を振り下ろして、私の命を奪う、、そんな夢を見ることがあるのだろうか。
127 :
『光の庭』:2009/02/09(月) 23:39:08 ID:aYW7zCOJ
―――やはり―――早急に―――しないと―――
―――強すぎて―――意識の―――制御を―――
―――しかし疲弊が―――範囲外のことが―――多少のリスクは―――、、、
眠っている私の耳元で大勢の人の話し声が途切れ途切れに聞こえる。
まるでなにかの符号みたいに、、、。
私が目を覚ますと、そこは真っ白な何もない部屋だった。
時計も窓もない。四角い白い箱の中のような部屋の中で私はたった一人ベッドに寝かされていた。
128 :
『光の庭』:2009/02/09(月) 23:39:42 ID:aYW7zCOJ
「、、、やっぱり、、あなただった、、、」
不意に声がして、私は驚いて起き上がった。
「、、金のオリーブをくわえて鳥籠に戻ってきた可愛い小鳥、、、」
少し離れた所で、白衣姿の大 菅さんが私を見下ろしていた。
頭と首と手首に白いバンドを巻かれ、彼女は無表情で立っている。
その高さは少し床から浮いているような不思議な位置だった。
白い部屋に溶け込んでしまいそうな姿にアスリート特有の勝気さや血気が感じられない。
それはanotherよりも儚く見えた。
129 :
『光の庭』:2009/02/09(月) 23:40:23 ID:aYW7zCOJ
「、、、大 菅さん、何故あなたは私を戻ってきた小鳥と言うの?」
ベッドに座り、私は彼女を見上げた。
「あなたは忘れている、、、と言うより忘れさせられているんだ」
「、、、忘れ、、させられている、、?」
「、、、、あなたはずっと前にここに来たことがある。、、、フミエちゃんや恩 田さん達よりもずっと前に」
「私が、、、?」
「そう、、私も、、忘れかけてた。でも、、思い出した、、、」
「、、、待ってください、それはいつですか?私ここへ来たのは今回が初めてなんです」
私はあの手前のトレーニングセンターには何度か来たことはあるけど、こんな研究所には来た記憶がない。
ここの存在すら、私は知らなかったのだ。
130 :
『光の庭』:2009/02/09(月) 23:41:04 ID:aYW7zCOJ
彼女はドアを開け、私を招いた。
部屋を出ると、そこは夜の中庭だった。
足元に露に濡れた草の葉が触れ、木々には四角く開いた空から青白い月の光が降り注いでいた。
「、、、この水、、すごく澄んでいてきれいでしょう」
彼女はおもむろに池の前に行き、静かに湧き上がる水に手を浸した。
「この水、、、地下の深い所から、湧き上がっている自然の泉なんです。
雨や雪が何年もかけて深い幾つもの地層で濾過されて、こんなに透明できれいな水になって、地上へ溢れてくる、、、。
昔はここにこんな泉はなかった、、、この研究所がある事故で壊れた時に自然にこの泉が湧いてきたんですって。
それで、、真ん中にこの中庭を作って建て直しされたんです」
大 菅さんは、泉の水を掬い、手のひらから少しずつこぼしながら私に言った。
ある、、事故、、、。
それは、きっと岡 崎さんの言っていた例の爆発事故のことだ、、、。
私はただ、彼女の指先から、きらきらとこぼれ落ちる水晶のような雫を見つめていた。
↑今回はここまでです
4たいりく皆さんお疲れ様でした!
ワーノレドまで少し間が開きますが、しっかりモーソーに励もうとがんがっております
シズゥはちらっと※ントしただけだったのね
どーしてもフミィに対するものがちょっと型どおりでぎこちなく感じてしまうのは
そういう萌え要素を探そうとするゆえでしょうか?ww
でもシズゥの※ントはセンツュの立場を考えたやさしさ、丁寧さが感じられて素敵です
本当に同性としても憧れてしまいますね〜(*´ェ`*)
132 :
『光の庭』:2009/02/15(日) 13:14:43 ID:cwrl4sra
>>130の続き
「、、、私達がまだ中学生で、オリン ピックが遠い存在だった頃、、、でも、いつかその舞台に立つことを夢見てここへ来た」
「、、、、、」
大 菅さんは落ちる雫をじっと見つめながら少しかすれた声で話し始めた。
「、、、昔、、ジュニアエリートシステムと言うのがあって、トレーニングセンターに選ばれたアスリートの卵達が集められた。
ス ケートだけじゃない、ス キー、陸 上、バ レー、卓 球、ボ ート、競 泳、柔 道、、、。
様々な競技から選抜された子供達が、様々な分野の一流の指導者から講義やトレーニングを受ける為に合宿をしていたんです。
これに選ばれたことはとても誇らしくて、私達はいつか世界の頂点を目指そうと、お互い励ましあって希望に燃えていた」
「、、、、、」
「合宿のうち何日か、私達は研究所でメンタルトレーニングやカウンセリングを受けていた。
でも、そんな私達とは別にここにやって来た一人の女の子がいた」
「、、、、、」
133 :
『光の庭』:2009/02/15(日) 13:16:20 ID:cwrl4sra
「、、その子は、、、大切に宝物が守られるように大人達に囲まれて、この研究所にやって来た。
私はちらっと見ただけだったけど、遠目にもわかる色が白くてすらりとした涼しい目をしている印象的な綺麗な子だった。
けれども、、、その顔はどこか人形のようだった。練習や研修に明け暮れて、泣いて笑っていた私達とはまるで違って」
「、、、、、」
「後でその子はノベヤマから来たのだと私は知った。でもそれ以上誰も名前さえ知らなかったし、会うこともなかった。
見たのだって一瞬のことだったから、忙しかった私達の記憶からもすぐにその子は忘れられていった。
だけど、、、私は思い出したんだ。あの時ここに来たのは荒 川シズカ、あなただって、、、」
最後の一滴が指から離れ、彼女の瞳は私に向けられた。
けれども、私にはそんな記憶が全くない。
「、、、確かに、私はノベヤマでフ ィギュアの合宿に参加したことはあるけど、ここへ来た記憶は全然ないんです。
きっとそれは誰かの間違いでは、、、?」
「だから、、あなたは忘れさせられているのよ、記憶を封印されているんだ」
「、、、封印、、?」
134 :
『光の庭』:2009/02/15(日) 13:17:00 ID:cwrl4sra
記憶を封印されている、、?
眉をひそめたと同時に急に鼓動が高ぶった。彼女の言葉には不穏な予感の匂いがする。
彼女の話を聞いてはだめだ、、、頭の中で何かが警告を発する。
、、、私がここに来たことがある?他の皆とは別に一人だけで、、?
でもそんな話は先生にも聞いたことはないし、練習記録にも書いてはいなかった。
なによりそういう記憶が私自身にない。
、、、だけど、何故か胸騒ぎがして勝手に身体が震えてくる。
思い出してはいけない、、、!
135 :
『光の庭』:2009/02/15(日) 13:17:36 ID:cwrl4sra
ズキンと大きく脈打つ頭痛がしてバランスを失った。
目を閉じ頭を抱え込んだ時、私はまだ白い部屋のベッドに寝かされたままだと気がついた。
「、、、また、、夢、、、、」
さすがに何時間もこんな状態が続くと、夢と現実の区別がつかなくて、どうにかなってしまいそうだった。
特になんにもない真っ白なこの部屋に居ると、、、。
私はベッドから降りて部屋の外の様子を見ようとした。
驚いたことにロックもかかっていなくてドアはすんなりと開いた。
136 :
『光の庭』:2009/02/15(日) 13:18:35 ID:cwrl4sra
、、、白い通路があるだけだ。さっきのは夢だったんだ、、、。
でも廊下は、なんとなくいつもと違う、落ち着きのない空気が感じられた。
無機質なフロアに何か起こった気がして、私がきょろきょろしていると、見慣れないスタッフの一人が走り寄って来た。
「あ、荒 川選手、もうお目覚めですか?」
「あ、あの、、私が眠っている間に何かありませんでしたか?トラブルかなにか、、」
「えっ?いえ、それは、、、」
「荒 川さん、お加減は大丈夫ですか」
「八重樫主任、、、」
後ろから八重樫さんがやってきて、彼女はほっとした顔をした。
「あの、、八重樫さん、私が眠っている間にここで、何かありませんでしたか?」
「大丈夫ですよ、荒 川さん。小糸さん、荒 川さんは私がお連れするからあなたは戻ってもいいですよ」
彼女は失礼します、と言って足早に去っていった。
137 :
『光の庭』:2009/02/15(日) 13:19:24 ID:cwrl4sra
「、、、実は今、外は天候が悪くて雷雲が発生しているんです。そこでもしもの為にバックアップの確認作業をしているんですよ」
八重樫さんは落ち着いた声で状況を伝えてくれた。
「、、、雷、、、」
そう言えば、ここのフロアにはとても繊細な機械があると岡 崎さんが言っていたっけ、、、。
言われれば、廊下の照明も少し暗くなっている気がする。
「荒 川さんが心配する事はありません。直接ここに落ちたとしても避雷針もありますし、建物の中に居れば安全です。
しかし、電力が不安定になるとこちらのシステムにも影響が出てしまうかもしれません」
「停電するかもしれないってことですか?」
「ええ、でも仮に停電が起きても、ここは自動的に発電装置が作動しますから、ご心配なさらないで下さい。
通常ですと復旧にはそうかからないでしょうし、、、。ただ、選手の皆さんには安全の為にしばらく部屋でお待ちいただいています」
138 :
『光の庭』:2009/02/15(日) 13:20:02 ID:cwrl4sra
地下のせいか外が停電が起こりそうな嵐なんて実感がない。
「お目覚めになったのなら、荒 川さんも上のお部屋に戻られた方がいいでしょう。どうぞ、お着替えになってお部屋でお待ちください」
「、、、あの、、私、、まだ実験中で、、、」
その時、八重樫さんの背中越しに十河さんが、こっちへ歩いてくるのが見えた。
「十河さん!」
「ああ、荒 川さん、、目が覚めたんですね。起きても大丈夫ですか?」
「はい、、」
彼女の目を見ると、さっきのことを思い出してしまいそうで、私はとっさに目を逸らしてしまった。
139 :
『光の庭』:2009/02/15(日) 13:20:40 ID:cwrl4sra
「今、荒 川さんに状況を説明していた所です。先ほどの連絡通り、お部屋に戻るようにお伝えしましたが」
「そう、、ですね、、、仕方がないでしょう。本当ならもう少し荒 川さんに私が付いていてあげたいのですが、、、」
十河さんが心配そうに息をついた。多分、彼女はそんな状況でここから離れることはできないだろう。
「あの、私、、もう平気です。一人で部屋にいても大丈夫です。身体と心を休めるように気をつけて待っていますから」
思わず十河さんと目が合ってしまった。
十河さんは私を見つめてゆっくり頷くと、八重樫さんに声をかけた。
「、、それでは八重樫さん、お部屋まで荒 川さんをお願いします。
荒 川さん、温かいミルクでも飲んでゆっくりお休みください。雷雲はすぐに過ぎてしまうでしょう」
手で優しく私の肩に触れ、彼女は穏やかに微笑んで廊下の向こうへ歩いていった。
140 :
『光の庭』:2009/02/15(日) 13:21:19 ID:cwrl4sra
着替えを済ませ、私と八重樫さんはエレベーターに乗って5階に向かった。
まだエレベーターも通常通りに動いていた。
「、、、お食事はどうなさいますか?」
階数を示すデジタルの数字を見ていると、八重樫さんが声をかけてくれた。
「あの、、今何時でしょう?」
「もうすぐ、、12時になります」
八重樫さんは腕時計を見てそう言った。
そう言えば、リストバンドには時刻が表示されるのだった。
私は自分の手首のそれを見た。11時53分、、。まだお昼前だったのか。
141 :
『光の庭』:2009/02/15(日) 13:21:58 ID:cwrl4sra
「、、でもまだ、、お腹が空いていないんです」
「では、、いつでも食べられるように食堂には伝えておきます。
温かい飲み物はいつでもお出しできます。どうぞ食堂へいらしてくださいね。サーバーより美味しいですよ」
八重樫さんは忠実にホットミルクのことを気にかけてくれているようで、私にそう言った。
エレベーターのドアが開き、5階に降りると辺りは暗く、昼間だというのに照明が点いていた。
窓の外の森は大きく風にゆれていて、大粒の雨が断続的に激しくガラスに叩きつけられていた。
中庭の天窓は閉じられていたが、雨の吹き込んだ跡が残っていた。
遠い空で響くドラムような音と、雲間に青白い稲妻が走るのが見えた。
更新乙です!
衝撃の事実に怪しげな空気・・・ドキドキしっぱなしです
大 菅さんの台詞が伏線だったとは・・・
続きを楽しみにしております!
光の庭様投下ありがとうございまつ!
いよいよ核心に来たのかな?
ドキドキしながら続きが待ちどおしいです!
話は変わってこの間フミィの妹の地下ちゃんがテレビに出てて
相変わらず可愛かったな〜
ちょっと誘惑したくなるタイプだねw
144 :
『光の庭』:2009/02/18(水) 00:42:05 ID:xRwyXtAs
>>141の続き
「すごい嵐になってたんですね」
「ええ、急に天候が悪くなりまして、、、でもすぐに過ぎるとの予報が出ていますから」
「そうですか」
「それでは、また連絡があるまでお待ちください。失礼致します」
窓の外を何度か心配そうに横目で見ながら、私を部屋まで送り届け、八重樫さんは去っていった。
、、みんな、どうしているかな、、、。
部屋に入る前にぼんやりと外を眺めていた時、
ぱっと閃光が目の前を走り、強いフラッシュのように一面が真っ白な光に包まれた。
145 :
『光の庭』:2009/02/18(水) 00:42:49 ID:xRwyXtAs
灼熱の太陽より、リンクを照らすスポットライトより、強い光は残像を残す。
私の胸のネガに強く焼きつけれたフミエちゃんの姿。
彼女はリンクの上で、時々私を圧倒する光を放つ。それは私を惹きつけてやまない光。
そして強い欲望を私の中から呼び覚ます。彼女を私は欲している。
この熱い喉の渇きは、彼女でなければ潤うことはない。
ジェラシーよりも激しい私の心。
でも、それに触れてはいけない。彼女に触れた瞬間、私は総てを彼女に委ねてしまうだろう。
それはだめ、、彼女は私の戦う相手なのだから、、、!
146 :
『光の庭』:2009/02/18(水) 00:43:38 ID:xRwyXtAs
中庭に面したガラスに頬を押し付けている自分に気がついた。
、、、いったい、、私はどうしてしまったのだろう。
とっくに鳥籠のフロアから出ているのに、まだ夢と現実を行ったりきたりしているみたいな、、、。
身体と心の感覚が微妙にずれて、時間の流れさえ奇妙な錯覚を起こしそうだ。
どうしてあんな風に意識してしまうんだろう。もう私は、競技から離れたプロなのだ。
フミエちゃんと争うこともない、、愛することだけを想えばいいのに。
今まで静かに秘めていた感情が、何故だかここへ来てから、激しく強く揺さぶられる。
フミエちゃんを好きだと言う大 菅さんが現れたから、、、?
それとも、、あの鳥籠で見た夢のせい、、、?
雷鳴が私の感情を煽るように、鳴り響いている。
147 :
『光の庭』:2009/02/18(水) 00:44:28 ID:xRwyXtAs
今度は、真上から強い光が降ってきて、床に私の影を作った。
強い衝撃とガシャンと大きな物が壊れる音が響いた。
「きゃあ!」
私は頭を押さえてその場に座り込んだ。
ガラガラと何かが遠くへ飛ばされる音がして、中庭に一斉に物凄い風と雨が吹き込んでくるのが見えた。
ガラス越しに上を見上げると、中庭の上の天蓋の枠がぐにゃりと曲がり、覆いもなくなっていた。
中庭の木の枝は渦を巻くように風に煽られて、葉が雨に叩きつけられていた。
立ち上がる間もなく、また強い閃光と共に空を真っ二つに切り裂く物凄い音がして研究所全体が地震のように揺れた。
直後にバシッとショートする音がして、館内がすうっと真っ暗になった。
下の階が慌しく、暗闇に人が行き交う気配がする。
雷が落ちたんだ、停電、、、?そうだ、フミエちゃん達は大丈夫だろうか。
148 :
『光の庭』:2009/02/18(水) 00:45:13 ID:xRwyXtAs
ガラスの壁に寄りかかりながら、私はそろそろと立ち上がった。
なんとかしてみんなの所へ行かなくちゃ。
雷の一瞬だけの光を手がかりに私は廊下を慎重に歩いた。
その時、はるか下の中庭に佇んでいる人影が視界の隅に見えた。
こんな時にあんな場所に居るなんて、、、!
見間違いにしては鮮明に木々の間にそれは浮かび上がっていた。
、、、まだあの中庭に、、、、―――anotherFumieちゃんが私を呼んでいる、、!
自分の直感を、疑う余地はなかった。
149 :
『光の庭』:2009/02/18(水) 00:46:11 ID:xRwyXtAs
心が焦るけれども、照明の消えた暗闇では行き先がおぼつかなくて走れない。
確か、この辺りに階段が、、、と思った時、ぽっと非常灯の灯りだけが館内に点いた。
私はそれを頼りに夢中で階段を駆け下りた。
1階につくと何人かのスタッフが声を掛け合い、廊下を走っていた。
誰も私を振り返らない。私はガラスのドアへと一直線に走り、中庭に飛び込んだ。
中庭に入ると一斉に雨を含んだ風が私の顔を打った。外気が直接吹き込んで来ていた。
木のお陰で雨はそれほど強くないが、風は複雑な動きをして上から横から叩きつけて、何歩も歩かないうちに全身がびしょびしょになった。
足は泥水を跳ね上げて、ちぎれた木の葉が身体に張り付く。
「フミエちゃん、フミエちゃん、そこにいるの?」
顔にかかる髪を拭いながら、雷の音にかき消されないように必死に彼女を呼びながら走った。
150 :
『光の庭』:2009/02/18(水) 00:49:06 ID:xRwyXtAs
やがて開けた泉の場所に辿り着いた。
泉の前に立っている人影を見て、私は目を疑った。
そこには、ずぶ濡れになった大 菅さんが微動だにせずに立っていた。
感情のない空虚な顔。生気のない彫刻のように立ち尽くしている。
そして稲妻が天窓を駆け抜け、光が消え去った後も、彼女は淡く青白い光に包まれたままだった。
あまりに異様な光景に私は息を飲んだ。
「どうしてあなたなの?、、、何故、あなたじゃなきゃだめなの?」
私を見つけた瞳にたちまち憎悪に似た炎が宿った。
その冷たく熱い火に身がすくんだ。
「荒 川さん、、あなたはいつもフミエちゃんの心の中にいた。いつも一番近くにいたんでしょう?
、、、それならば、このフミエちゃんを私がもらってもいいでしょう?」
溢れた涙はすぐに雨に流されていっても、瞳の奥にある炎は揺るがない。
恐ろしさよりもむき出しの切なさが胸に伝わり、何も言えなかった。
151 :
『光の庭』:2009/02/18(水) 00:49:52 ID:xRwyXtAs
「フミエちゃんの心が、あなたに向いているのは知ってる。だから、、、影だけでもいい。
欲しいなんて言わない。だた、そこに居てくれるだけで私はいいんです。
お願いだから、このフミエちゃんを消さないで。
たとえ、フミエちゃんが私のことをわからなくてもいいんです、ただ、居てくれるだけで、、、!」
彼女は頭を垂れ、私の足元にすがるように崩れ折れた。
これは夢の続きなのか。
意味を問うのを忘れるほど、彼女の想いは切実で一途で真っ直ぐに迫ってくる。
152 :
『光の庭』:2009/02/18(水) 00:54:54 ID:xRwyXtAs
「、、、私は、、フミエちゃんを消すなんてことはしないわ。そんなこと、、出来るわけないもの。
、、、、、、、私も、、フミエちゃんが好きなの。愛しているの。
たとえ、それがanotherでも、、この手で消すことなんてできない、、、、」
私も、もう自分の気持ちを隠すことはできない。後に引くことも後悔することもしない。
私は本当の気持ちを伝えたかった。
「、、、嘘だ、、、」
ぎっと音がしそうなくらい私を見上げた大 菅さんの瞳は激しい怒りに満ちていた。
「、、、あなたがフミエちゃんを愛しているなんて、、それは嘘だ!」
「嘘じゃないわ!」
気持ちを振り絞って真摯に伝えた言葉を否定されて、私は声を荒げて首を振った。
かっと火をつけられたように身体が熱くなった。
153 :
『光の庭』:2009/02/18(水) 00:55:38 ID:xRwyXtAs
「私はずっとフミエちゃんが好きだった。この気持ちに嘘はないわ!」
思わず彼女の肩につかみかかって私は叫んだ。
彼女は立ち上がり、私の腕を掴んでねめつけた。
「、、、、ちがう、それは嘘だ。、、、あなたが何も知らないだけだ。その気持ちは作られたものだからだ」
何を、、、言っているの、、、、。
その言葉の意図がわからなくて、唇をかみしめて私は硬直した。
ふおおおぉぉぉ…!!!
グイグイ惹き込まれます!!
やばー、まじやばー
続き楽しみに待ってます
うわー!意外な展開!てか作者さん天才?
投下が続いて幸せですw
鳥肌立ちますた!!この先の展開が気になる…
作者さん長編オツです
つづき楽しみにしてますね
157 :
『光の庭』:2009/02/20(金) 22:47:27 ID:T6Y2R9vg
>>153の続き
再び落雷の轟音が響き、空気がびりびりと振動した。
ガラスの砕ける音と枝の引きちぎれる音がした。
でも、耳は大 菅さんの言葉だけを繰り返した。
それは、、どういう、、こと、、。
混乱している心の底から何か恐ろしいものがじわじわと這い上がってくる。
考えてはだめだ。感じてもいけない、、、!
知らないもうひとつの意識が強く警告を発する。
158 :
『光の庭』:2009/02/20(金) 22:48:00 ID:T6Y2R9vg
「荒 川さん、、あなたが昔、、ここに来たこと、、そして、、、フミエちゃんにしたこと、、」
嫌、、!思い出してはいけない、、!
私は反射的に大 菅さんから身を引いた。
考えようとすると、頭が割れそうに痛んで、心臓は滅茶苦茶な鼓動を打った。
リストバンドのデジタルが狂ったようにめまぐるしく表示され、手首に電流の痺れが走った。
「、、、、!」
全身がぎしぎしと拘束されたように痛い。
軋む苦しさで膝をつき、腕で必死に身体を支えながら私は空を見て喘いだ。
彼女はそんな私をじっと見下ろして呟くように静かに語りだした。
159 :
『光の庭』:2009/02/20(金) 22:48:45 ID:T6Y2R9vg
「、、、、あるフ ィギュアス ケート選手が居た。彼女は幼い頃から才能がずば抜けていて、すぐに人の目に止まった。
骨格も申し分なく、練習も熱心で技術の吸収も目覚しいものがあった。、、連盟も将来に大きな期待をかけていた、、、」
「、、、、、」
「 、、、、でも、、彼女には足りないものがあった。それは、、闘争心。世界と戦う為にはあまりに大らかで優しすぎた。
それでいて繊細で戦い続けるには傷つきやすく、他人の為に心を痛めることが多かった。
、、、自国のオリン ピック開催の前に、異才と言われた研究者がここに入ってきて、新しい実験が試されようとしていた。
その選手は、、その実験の対象になった、、、、」
眩む閃光に大 菅さんの影と重なって、何かが浮かび上がる、、、。大きく黒い手のひらのような影、、、。
私は心を守ろうと目を固く瞑って耳を覆った。でも、彼女の声が防ぎきれない。
160 :
『光の庭』:2009/02/20(金) 22:50:04 ID:T6Y2R9vg
「、、、彼女には、、競い合う為の身近な好敵手を作ることが必要とされた。
できれば年齢が近く、相応の実力があって、脱落することのない相手、、、。
、、、新しい実験は、長期的に深層意識を本人にわからないように操作する目的があった。
心理学者による特殊な暗示、、、。相手を強く意識し、それに負けないように競争心を煽る暗示をその選手にかけたんだ、、、」
「、、、、、」
「植えつけられた意識は強くあなたに印象を与える。
その強い暗示の裏返しで、あなたはフミエちゃんを愛しているとすり替えているだけなんだ」
ち、がう、、、!
私は必死に耳から彼女の言葉を振り払おうとした。
「、、、だけど、、、何も知らないフミエちゃんは、あなたに惹かれていった、、、それが歓迎されない作られた関係だとも知らずに」
「、、、、、」
「、、、ずっとずっと思い悩んで、、彼女はあなたに想いを打ち明けた。飾りも嘘もない裸の心。
だけどあなたは残酷に拒み、それを切り捨てた。
、、、フミエちゃんは心の中だけで好きでいると決心をして、あなたを遠くから見つめるだけにした、、、」
161 :
『光の庭』:2009/02/20(金) 22:51:23 ID:T6Y2R9vg
―――『私のことが好き?それは、私を惑わす為の嘘でしょう?あなたと私を繋ぐのはス ケートだけ。
そして私とあなたは永遠にわかり合うことはないわ。決して』
満点の星空の下で、私の唇は冷酷に目の前のフミエちゃんに言い放った。
黒く潤んだ瞳からは涙が溢れ零れ落ちた。彼女は何も言わずに、何度も何度も頷いて去っていった。
『好きになってごめんなさい』
その後の手紙にはそんな内容が書いてあった。でも私はそれを最後まで読むこともなく破り捨てた。
私にとって、便箋をちぎって捨てる、その行為でさえわずらわしいだけだった。
そして、それをすぐに記憶から消し去ってしまったのだ。
162 :
『光の庭』:2009/02/20(金) 22:52:05 ID:T6Y2R9vg
私の脳裏に過去の場面が過ぎる。
これは本当にあった過去、、、?今まで思い出したこともない。
恐ろしく冷酷な無慈悲な横顔。あれが私?
嘘だ、、、大 菅さんの言っていることは総て彼女の妄想なのだ、、、話を聞いてはいけない!
163 :
『光の庭』:2009/02/20(金) 22:53:23 ID:T6Y2R9vg
「数年経ってフミエちゃんがこの研究所に来た時、、、心にしまってあるはずの強い想いがanotherFumieを生み出した。
、、、それは研究所ではありえない予想外の事だった。フミエちゃん自身にもわからなかった。
、、、行く所がない彼女は彷徨っていた。、、、ス ケートを愛し、あなたを想う純粋で一途な心。
そして研究所を彷徨ううちに彼女は、知ってしまった。
想いを伝えようとすればシステムは破壊されて、あなたの心も混乱させてしまう。
だから、ここに自らを封印してしまったんだ。あなたへの想いもanotherFumieの自身存在も、、、、」
「、、another、、Fumieの、心、、、」
「anotherFumieが自分を閉じ込めたあの爆発事故の時、、、その場に居た私の中に、研究所で起こった様々な場面が洪水みたいに流れ込んだ。
彼女が見たこと、感じたこと、私が知り得ない過去のこと、、、。
私は、、、フミエちゃんの気持ちを知ってしまった。でもanotherFumieは何も話してはくれない。
anotherFumieには私のことが見えていないから。それでも私は、、、anotherFumieを守りたかった、、、」
―――大きな爆発音と衝撃波、飛び散るガラス、焦げたコンクリートの塊、焼けた金属片。
私の頭の中にも、そのイメージが流れ込んでくる。
高温の炎と爆風を受けながら、必死に中心の方へ腕を伸ばす大 菅さんの後姿、、、。
164 :
『光の庭』:2009/02/20(金) 22:54:06 ID:T6Y2R9vg
「、、、だけど、、それすらあなた達は許さなかった。
anotherFumieがイレギュラーで、不具合の要因になると考えたここの人達は、anotherFumieを完全に消去しようとした。
anotherShizuka、あなたのanotherを使って、、、」
違う!anotherShizukaはそんなことをする為じゃない、、、!
私は心の中で叫んでいた。
でも、私の心象に浮かんだanotherShizukaは人形のような横顔で闇に対峙して、その時を待っている。
「何故そんなことをするの?フミエちゃんはあなたを愛しているだけなのに。
、、、ここで一人で密かに想い続けているだけなのに、寄ってたかってフミエちゃんの心を踏みにじろうとしている、、、みんなで、、!」
空に向かって叫ぶと、彼女は顔を覆い、泣き崩れた。
遠い空から落ちる雨が私達を責めるように激しく叩きつける。
跳ね上がった水煙がスクリーンみたいに私の前に過去の出来事を映し出す。
165 :
『光の庭』:2009/02/20(金) 22:54:57 ID:T6Y2R9vg
―――合宿から一人呼び出され、トレーニングセンターへ車で連れてこられた。
でもトレーニングセンターを通り越し、その先の一本道を進んだ。着いたのは少しくすんだ白い建物、、、、。
白い床、白い壁、白衣の大人達、遠い廊下の向こうを歩くジャージ姿の女の子達、、。
何もない白い部屋に入る私は一人だ。ふわふわの椅子に寝かされて、私は知らない女の人に髪を撫でられた。
覗き込む顔、、、、その中に知った面影がある、、、まだ若い所長と学生のような十河さん、、、、!
所長が十河さんと目で合図をすると灯りが落ちて暗くなった。私の額にそっと手が置かれ、瞼を閉じた。
温かい春のような光の中で私はまどろんでいた。
柔らかく心地よい温もり、、、懐かしい匂い、、、私は母親に抱かれた幼い子どものように安心しきって、声を聞いた。
―――荒 川シズカさん、、、あなたは今、、とても気持ちの良い光の中に居ます。
でも、、これからお話することは、あなたの心の一番深い所にしまっておく大事な宝箱です。
誰も、触れることはできません、、、、、目が覚めた時、、あなたはそれを忘れてしまっているでしょう。
でも、、、心の中にその宝石は、、いつまでもあるのです、、―――
166 :
『光の庭』:2009/02/20(金) 23:41:25 ID:T6Y2R9vg
「あ、あ、あ、ああああ、、、、!」
、、、、私は、、、なんて、、ことを、、、、!
全身を雷に打たれたような衝撃が駆け巡った。
頭の中に怒涛のようにフラッシュバックする。暗闇の中から呼び覚まされた過去。
大 菅さんの言っていることは本当だった。
あの闇の底にあるものの正体、、、、。
、、、フミエちゃんの心を引き裂いたのは私。
それでもanotherFumieは待っていた。この中庭で、、、ずっと一人ぼっちで、、、、。
現実のフミエちゃんは傷を隠して、付かず離れず私の傍にいてくれた。
そして私はanotherFumieを握りつぶそうとしている。
この手で、、、、。
恐る恐る開いた手のひらは真っ赤な血に染まって、雨に打たれても流れ落ちない。
私は言葉にならない叫び声を上げて夢中で中庭から飛び出した。
167 :
『光の庭』:2009/02/20(金) 23:42:07 ID:T6Y2R9vg
冷たく痛い雨粒は氷の弾丸のように私を貫く。
頬を打つ風が大気を切る音。真冬のように寒い。
ここは、、、どこ、、、?
真上に紫色に光る雷雲が渦巻いていた。
髪が後ろへと強くなびいて、風が私を押し倒そうとしても、倒れることさえできない。
私の周りの森の樹木が、嵐の海のように波打っていた。
、、、ここは、、外、、、。
私は狂ったように走り続けて、いつの間にか屋上に来ていた。
↑今回はここまでです
ヌケートの大きな大会は少し間がありますね
みんながんがってほしいです!
その間にモーグノレのI子ちゃんがまた優勝です!
1年後が本当に楽しみだな〜
う〜ん佳境に入ってきたのかな。
続きが気になります。
なんか心理的な操作って、旧東ドイツや旧ソ連なんかでやってたんじゃないかってイメージがあるなー(私の勝手なイメージだけど)。
人間の脳って完全じゃなくて記憶なんて刷り込まれたり、間違いなんてしょっちゅう起こす訳だから可能そうですよね。
170 :
『光の庭』:2009/03/16(月) 00:55:35 ID:2aK/eSAx
>>167の続き
目の前にぽっかりと口を開いた闇が待っている。
頭の上には曲がった鉄骨が恐竜の化石のように揺れている。
私は誰も居ないコンクリートの荒野に立っていた。
、、、ごめんね、、フミエちゃん、、あなたにずっと悲しい思いをさせていた。
―――ずっと、、待ってた、、、
ごめんね、、、、どんなに謝っても許されないかもしれない、、でも、、私もすぐそこに行くから、、、
行く先は中庭の泉の中、、、落ちても落ちてもどこにも辿り着かないかもしれない深淵。
私は鉄柵に手を掛けた。
中庭の木々が私を誘うように揺れている。きっとそこにはanotherFumieが微笑んで手を広げて待っている。
目を閉じ、ゆっくりとワインを注ぐように身体を中庭へと傾けた。
重力に導かれ、私は落ちていく。
171 :
『光の庭』:2009/03/16(月) 00:56:29 ID:2aK/eSAx
ふわりと宙に身体が投げ出されたと思った瞬間、ガクン、とものすごい衝撃が肩に走って、壁に叩きつけられた。
「何やってるんだ、落ちたら死ぬぞ!」
恐る恐る目を開け、空を見ると、ずぶ濡れの岡 崎さんの顔があった。
髪から水を滴らせながら、彼女は怒鳴った。
「早く、そっちの手も出すんだ、早く!」
岡 崎さんは私の左手首を掴んでいた。
私の身体は腕一本で中庭の上にぶら下がっていた。
肩に全体重がかかって引きつられて痛い、、、。
手首は今までに受けたことがないくらい強い力で掴まれていた。
172 :
『光の庭』:2009/03/16(月) 00:57:12 ID:2aK/eSAx
「このままじゃ、滑って落ちる、、早く右手を、、、!」
岡 崎さんは自分の身も乗り出して、もう片方の手も差し出した。
声も手も、私にはひどく遠く感じた。
、、、、私は首を振った。
「、、、お願いですから、、このままフミエちゃんの、、所へ、、行かせて、、、」
岡 崎さんはかっと目を見開いて、さらに私の腕を強く掴み、雷よりも物凄い声で怒鳴った。
「馬鹿!何言ってるんだ!早く手を!」
「、、、私、、フミエちゃんに、、ひどいことを、、、。お願いです、、手を離して、、、」
「目を覚ませ!馬鹿なことを考えるな!」
岡 崎さんは知らない、、私の罪深さを、、、そして私がしようとした罪の重さを。
173 :
『光の庭』:2009/03/16(月) 00:57:55 ID:2aK/eSAx
「、、く、、そ、、なんで、、こんなに、、重いんだ、、、」
彼女は歯を食いしばり、必死に私を引き上げようとした。
指が白くなり、私の手首に食い込む。
「、、手を、、離してください、、お願い、、」
、、、彼女の力を持ってしても、、私をこの闇から引き上げることはできない、、、私にはわかる。
「お願いですから、、手を離してください、、でないと岡 崎さんまで落ちてしまう、、、」
「いやだ、絶対に、、!」
冷たい雨が、少しずつに私達の手の間に入り込んでくる。
岡 崎さんからどんどん熱を奪っていくのがわかる。食いしばった唇から苦しそうに息が漏れ始めた。
このままでは岡 崎さんまで巻き添えにしてしまう。
「だめです、、!早く離して、、!」
私は必死に訴えたが、岡 崎さんは頑として首を振った。
彼女の上半身はもう半分以上こちらに傾いていた。
174 :
『光の庭』:2009/03/16(月) 00:58:43 ID:2aK/eSAx
激しい雨音の中、水を撥ねる音が近づいてくる。
「きゃああああああ!」
切り裂くような悲鳴が聞こえ、柵にぶつかる音がした。
「、、、大 菅!」
岡 崎さんが苦しそうに振り返った。
「荒 川さん、嫌!、、私、私、、そんな、、つもりじゃ、、私、、、こんなこと、、、!」
大 菅さんは真っ青な顔で柵を握りしめ、膝をついていた。
全身がわななき、唇がガクガクと震えていた。
「、、大 菅!早く荒 川さんを、、!」
よろよろと立ち上がった大 菅さんは青ざめた顔のまま、岡 崎さんと一緒に私の手を掴んだ。
懸命に引き上げようとする力と、押さえきれない震えが私にも伝わってくる。
でも、私の身体が上がることはない。
175 :
『光の庭』:2009/03/16(月) 00:59:13 ID:2aK/eSAx
「あ、あ、あ、、、、!」
突然、大 菅さんが声を上げた。
「どうした!」
「、、何か、、いる、!何かが、、荒 川さんの傍に、、!」
、、、そう、、私は闇によって引き込まれているのだ。あの深く果てしない奈落へと。
それが人の力ではどうにもならないことをわかっている、、、。
「お願いやめて!私こんなこと望んでなんかいない!」
大 菅さんは絶叫しながら、必死に私の手を手繰り寄せた。
二人の力に私の肩が抜けてちぎれてしまいそうだ。
176 :
『光の庭』:2009/03/16(月) 00:59:57 ID:2aK/eSAx
「お願い、荒 川さんを連れて行かないで!だったら代わりに私を、、!」
大 菅さんは泣きながら中庭に叫ぶと、柵を越えようと自分の腕を伸ばした。
「馬鹿っ!おまえまで何を言ってるんだ、大 菅!しっかり気を持て!」
「、、あ、ああ、、」
大 菅さんは顔を覆い、声を上げて座り込んだ。
「そうだ、誰もこんなこと望んじゃいない、誰も!、、、早くもう一度、荒 川さんを引き上げるんだ」
岡 崎さんの声に頷きながら顔をくしゃくしゃにして涙を拭い、大 菅さんは再び私の手を掴んだ。
「、、岡 崎さん、、おかしい、、荒 川さんが全然、、動かない、、、」
「、、もう一度、、力を合わせろ、、!」
177 :
『光の庭』:2009/03/16(月) 01:00:27 ID:2aK/eSAx
ぐっと息を飲み込んだ二人の懸命の力が私の手に伝わってくる。
でも、私にはわかっている。誰にも助けることはできない、救うことはできないのだ。
全身が重い、、。手足の感覚もなくなって身体が自分のものじゃないみたい、、。
「、、手を、、離して、、、」
岡 崎さんの手もだんだんと疲弊してきているのがわかる。
大 菅さんの手も重なり、一緒に掴んでいても徐々に力を失っていく。
、、、二人を私とともに闇の中へ引きずり込むわけにはいかない。
「、、、ごめんなさい、、ありがとう、、、でも、、もう、、」
言葉もなく、苦痛に耐えながら、必死に私を助けようとする二人の息づかいだけが返ってくる。
それを思うと涙が溢れた。
178 :
『光の庭』:2009/03/16(月) 01:01:11 ID:2aK/eSAx
「、、、お、、おす、、が、、村 主、、さんを、、呼んでき、、て、、くれ、、」
岡 崎さんが呻きながら言った。
「、、お、岡 崎さん!」
「早く、、、村 主さんを、、」
「でも私が離れたら、岡 崎さんも、、!」
「大丈夫、、、私は、、絶対に落ちやしない、、、手も離さない、、、早く、、村 主さんを、、」
「、、、、、」
大 菅さんは震える唇を結び、岡 崎さんを見つめた。
そしてもう一度ぐっと手を握り、思い定めたように頷くと、後は振り返らずに一心不乱に駆け出していった。
水音が物凄いスピードで遠ざかっていく。
179 :
『光の庭』:2009/03/16(月) 01:02:48 ID:2aK/eSAx
途端に岡 崎さんの腕がガクンと落ち、更に上体が鉄柵に強く食い込んだ。
指先はほとんど動かない。冷たくなって血の気が引き、もう感覚もないのかもしれない。
でも、彼女の気力だけが私を繋ぎ止めていた。
「、、、もう、、すぐ、、村 主さんが、、来る、、それまで、、、」
岡 崎さんは懸命に私に声をかけた。
、、、フミエちゃん、、、、ああ、、せめて、一言だけでも、私の過ちを償いたい、、。
でも、、あんなに酷い仕打ちをした彼女に、、なんて言ったらいいのだろう、、、。
私はもう、、彼女に会うことができない、、、。
私は首を振り続けた。
一瞬、最後に顔を見たいと思ったけれど、私にはそれも許されない、、、。
目を閉じて何も考えず、ただ雨とともに流れ落ちていきたかった。
180 :
『光の庭』:2009/03/16(月) 01:06:30 ID:2aK/eSAx
「しっかりしろ!荒 川シズカ!おまえは未来の為にここへ来たんじゃないのか!」
雨音を切り裂いて、岡 崎さんの振り絞った絶叫が私の頬を叩く。
はっと見上げた彼女の瞳には、まだ炎のような光があった。
「後輩達や、自分の未来の為にここに来たんじゃないのか!」
ミキ、ユカリちゃん、マオちゃん、マイちゃん、よっちゃん、、、
他にも練習で試合で一緒だった選手達、、、今まで出会った未来を夢見るちびっ子スケーター達、、、、
、、、そして、、フミエちゃん、、、。
みんな笑顔しか思い出せない。
だけど、、私にはもう返せる笑顔がない、、、。
身体は既に氷のように冷え切っていたのに、とめどなく溢れてくる涙は熱く頬を伝っていった。
続きキテターーーー!!
あああ・・・どうなるんですか一体!?
めっちゃドキドキです。
でも、洗脳、というか心理操作から解けた直後ってこういう危険があるらしいですね。
そういう部分もリアルです。
182 :
『光の庭』:2009/03/25(水) 01:24:10 ID:nSwXWnRT
>>180の続き
「私、、、ずっと、、フミエちゃんを傷つけていたんです。
、、、フミエちゃんだけじゃない、、、私はanotherFumieまで、、消そうとしている、、。
私は、、そんな自分を、、許すことができない、、、」
「anotherに捕らわれてはだめだ、、、しっかりしろ、、、!」
「、、、本当のことを知ってしまった私にはもう、、、行く所がないんです、、、」
、、、、私の行くべき所は、、anotherFumieちゃんの待っている所、、、
あの清らかな泉の中へ、深く深く沈んでいこう、二人で、、、。
183 :
『光の庭』:2009/03/25(水) 01:27:46 ID:nSwXWnRT
「、、、馬鹿なことを、、考え、、るな、、、本当の、、村 主さんを、、あな、、たは、、、」
雷鳴が空を駆け、突風が私達を揺さぶった。
岡 崎さんは奥歯を食いしばって、離れそうになる私の手をもう一度握りなおした。
でもその力はもう弱くて、細い糸のように今にもぷっつりと切れそうなのがわかる。
けれども彼女は指先で必死に私を繋ぎ止めようとする。
そのせいで岡 崎さんの上体がじわじわと柵からずり落ちようとしていた。
「岡 崎さん、手を離してください、、あなたまで、巻き込みたくない、、」
見上げた瞬間、空一面が目を開けていられないくらい真っ白な強い光に覆われた。
一拍置いて、落雷の轟音が矢のように鼓膜を突き抜けた。
身体中に大気の振動が反響する。
余韻が薄らいでゆくと、しばらく周りがしんとした静寂に包まれた。
、、、、再び、私が目を開けるとそこにはフミエちゃんの姿があった。
これは、、夢、、、、。
強い風に髪をなびかせ、雨に打たれながらフミエちゃんが鉄柵を握り締め、私を見つめていた。
184 :
『光の庭』:2009/03/25(水) 01:28:38 ID:nSwXWnRT
「シズカちゃん!」
今にも飛び込んできそうにフミエちゃんは私に向かって手を広げた。
「早く、私の手につかまって!」
彼女の声が私の胸を叩く。
フミエちゃん、、、夢を見ているみたい。
あなたの顔を見ただけで、心が震えて言葉が出てこない。
こんなにも誰かを求める気持ちがあったなんて。
フミエちゃんの澄んだ瞳を見つめながら、涙で視界が水の中に溺れた。
185 :
『光の庭』:2009/03/25(水) 01:29:08 ID:nSwXWnRT
、、、だけど、、私の耳元で黒い影が囁く。
―――早くここにおいで。もう、あなたは私と離れることはできない、、、。
ずっと一人で淋しかった、、、シズカ、いつまでも私たちは一緒だよ、、、。
その囁きは痛みもなく私の中に根をはるようにじわじわと入り込んでくる。
、、ごめんね、フミエちゃん、、、やっぱり私は、、、
目を閉じると総ての力が抜けて、気が遠くなっていった。
186 :
『光の庭』:2009/03/25(水) 01:30:13 ID:nSwXWnRT
「離れなさい!私のシズカちゃんを連れて行かないで!」
フミエちゃんの叫びが中庭に響いた。
フミエちゃんの声に反応して、闇に溶けかけた私の意識が戻ろうとする。
「しっかりして、シズカちゃん!私を置いていかないで!」
「、、、フミエちゃん、、」
「私は、、、あなたのことが好き。
シズカちゃんがいなければ私は光を失ってしまう。
あなたがいなければ、スケートをすることも、生きていくこともできない。
私は、、今でもシズカちゃんのことを愛しているの!」
嵐の音に混じっても、フミエちゃんの声が真っ直ぐに私の耳へと届いた。
それはリンクに舞う彼女の情熱に感動した時に似ていた。
、、、でも、、やっぱり夢なのだろうか、、、
フミエちゃんが、、私のことを愛していると言ってくれるなんて、、、
きっと、、私の願望が作り出した幻、、、、。
187 :
『光の庭』:2009/03/25(水) 01:31:01 ID:nSwXWnRT
「、、私、、フミエちゃんのこと、、、傷つけて、、いたの、、、消し去ろうとも、、していたの、、。
私は、、フミエちゃんの心をずっと裏切ってきた、、、、」
「なぜ、そんな風に思うの?
私は、あなたに傷つけられたとも、裏切られたとも思ってない。
私、、、今まで、シズカちゃんを好きになって、それを悔やんだことは一度もないわ」
黒い瞳いっぱいに私の姿が映る。私もあなたを映してる。
フミエちゃんの指先が私の頬に触れた気がした。
まるで、命のエネルギーを吹き込まれたようにそれは熱く、私の中に流れ込んでくる。
それまで力が入らなかった右手を、私は懸命に鈍色に渦巻く空へと高く伸ばした。
私も、、、あなたのことが好き、、、、あなたと一緒にいたい、、、、
フミエちゃんの差し出した腕が光り輝く翼に変わって、目の前の嵐をさえぎった。
そして、私はその大きな羽の中にふわりと優しく包みこまれていった、、、。
188 :
『光の庭』:2009/03/25(水) 01:31:37 ID:nSwXWnRT
――――――
、、、、気がつくと、私は屋上のコンクリートの上に引き上げられ、フミエちゃんに抱きしめられていた。
「、、、荒 川、、さん、、大丈夫か、、」
すぐ横で右腕を抱えながら、岡 崎さんも息を切って倒れこんでいた。
「、、、おか、、ざき、、さん、、、、」
フミエちゃんの胸は温かかったけれど、私の身体は冷え切って、全身が疲労困憊して唇も手足も動けなかった。
「、、お、お、、すが、、おまえ、、荒 川さんを抱いて歩けるか、、?」
振り返ると大 菅さんも私の傍らで、泣きじゃくりながら岡 崎さんの言葉に頷いていた。
「ここじゃ、、寒い、、。部屋に帰ろう、、、。村 主さん、、、、私に肩を貸してくれる?」
大 菅さんが私を抱き上げ、フミエちゃんはよろよろと立ち上がった岡 崎さんの身体を支えて歩き出した。
189 :
『光の庭』:2009/03/25(水) 01:32:09 ID:nSwXWnRT
大 菅さんは私を抱きしめながら、俯いて泣いていた。
ぎゅっと瞑った目からは涙がぽたぽたと流れ落ちて、私の胸や頬を温かく濡らした。
「、、、お、、おすが、、さん、、ありがとう、、ごめん、、ね、、」
うまく口が動かせなくて、やっとそれだけ言えた。
大 菅さんは、もう一度、私を強く抱きしめ、声を詰まらせたまま首を振った。
そして決して離さないよう、一歩一歩宝物を抱えるように、階段を降りていった。
『光の庭』です
ヌピヌケは今ツーズンしゅーりょーしたのかな?
お疲れ様でした
しばしの休息を楽しんでほしいなあ
そしていよいよワーノレドですね
世界里予王求古典も盛り上がりましたが
沸取りとかプレッシャーとかいろいろあるんでしょうけど
みんな良い締めくくりを迎えられるといいですね
シズゥの解説にまたまた萌えたいところです!!
ふぅぅぅやっと規制がなくなった
SSネ申の皆さんお元気ですか??
気長に待っておりますよ!!!
フミィわーるどの時骨折してたんだね…
どこまでがんばり屋さんなんだ
GWのショーは無理かなあ…(´・ω・`)
192 :
『光の庭』:2009/04/16(木) 12:17:00 ID:mY8ygAl0
>>189の続き
5階の廊下に戻ると、照明が点いていた。
「、、、良かった、、どうやら電気系統が戻ったみたいだ」
岡 崎さんは館内を見渡し、笑顔で振り返った。
私達は階段のすぐ傍の部屋の前に来た。
「皆さん、どちらへ行ってらしたんですか!私一人じゃ心細くて、、、」
吉 井さんが私達を見つけて、ほっとした声で駆け寄ってきた。
でも抱きかかえられている私や皆のずぶ濡れの姿に気がつくと絶句した後、慌てふためいて手をバタバタさせた。
「あああっ!!、荒 川さんも岡 崎さんもどうなさったんですか!!お怪我は?大丈夫ですか?医務室に行きますか?
それと、早く着替えないと!!」
「、、、吉 井、、悪いけどリネン室にいって着替えとタオルをたくさん持ってきて。
、、、私達は、、この部屋にいるから、、、」
落ち着かせようと岡 崎さんは静かに指示して目の前のドアを指差した。
わかりましたっ、とぴんと背筋を伸ばし、踵を返すと吉 井さんは急いで廊下の向こうへと走っていった。
193 :
『光の庭』:2009/04/16(木) 12:18:08 ID:mY8ygAl0
空いていたその部屋は私達の部屋より、かなり広い空間だった。
大 菅さんがそっと私をバスタブに降ろし、手で温度を確かめながら、ゆっくりとお湯を入れ始めた。
湯気が立ち込め、足元から少しずつお湯に浸される。
凍えていた私の身体にはそれが皮膚を通して痛いくらい熱く感じた。
でもその熱さに、ああ、生きていたんだという実感がこみ上げてくる。
「、、、ここ、大柄なアスリート向けの部屋なんだ。バスタブもベッドもすごく大きいでしょ。前から入ってみたかったんだ」
フミエちゃんの肩から離れ、岡 崎さんはいたずらっぽくうっすら微笑んだ。
彼女の顔にも少しずつ血の気が戻っていた。
フミエちゃんもようやく安堵した表情で私を見つめていた。
194 :
『光の庭』:2009/04/16(木) 12:20:35 ID:mY8ygAl0
コンコン、とドアを叩く音がした。
「し、失礼します!あの、タオル、こっ、こっ、これくらいでいいでしょうか?!」
律儀にノックをして、顔が見えないくらい沢山タオルを抱えた吉 井さんが入ってきた。
「、、、、ありがとう、吉 井。タオルや着替えはベッドに置いておいて。
荒 川さん、、、このままゆっくりとお風呂に入るんだよ。ここの人には私が適当に話をしておくから大丈夫。
、、、どうか、、、身体の芯まで温かくなるまでここにいなさい、何も心配しないで」
そう言って岡 崎さん達は部屋を出ようとした。
「、、、あ、あの、待って、、ください、岡 崎さん」
私は、まだ言わなくてはいけないことがいっぱいある。
「私、まだ何もお話してません、、私は、、、」
「荒 川さん、私達もお風呂に入ってあったまったら、もう一度顔を出すよ。今はこの子も冷え切っているから。
、、、、村 主さん、、後は頼むね」
岡 崎さんは髪から雫を滴らせながら、私達にウインクをした。
そして、真っ赤な目で泣いている大 菅さんの肩をぐっと抱き寄せて、3人は部屋を出て行った。
195 :
『光の庭』:2009/04/16(木) 12:21:24 ID:mY8ygAl0
バスルームに二人きりになっても、私達はしばらく黙ったままだった。
震えながら岡 崎さんに抱かれていた大 菅さんの姿が頭から離れなかった。
「あ、、、、」
しばらくしてお湯が溢れてきて、フミエちゃんがやっと気づいたみたいにきゅっと蛇口を止めた。
大きなバスタブの中で私の身体はゆらゆらと揺れた。
「あの、、、寒くない、、、?」
フミエちゃんが優しく気遣う声で私の腕に触れた。
「ううん、、もう大丈夫、、、でも、、服を着たままだから、、なんか変な感じかも、、」
私の身体には服が海草みたいにまとわりついていた。
196 :
『光の庭』:2009/04/16(木) 12:22:18 ID:mY8ygAl0
「じゃあ、服を脱いでゆっくりつかるといいよ。私、、外で待ってるね」
「待って」
私は立ち上がろうとするフミエちゃんの手を反射的に掴んだ。
「、、、シズカちゃん、大丈夫?まだ一人は怖い?」
「ううん、違うの、フミエちゃんだって、そんなに濡れてるじゃない、、だから、、その、、」
一人になることが、、不安にならないわけじゃない。
それと、、私にはフミエちゃんに真っ先に言いたいことがある、、、、。
でも、ここは明るいバスルームで、なんだか恥ずかしくて言いづらくなってしまった。
「私は平気よ、雨に濡れたのもほんのちょっとだし、シズカちゃんの方がうんと身体が冷えているでしょ」
フミエちゃんはにっこりと笑って、子供にするように私の髪を撫でた。
「、、、あの、、今、一緒にいて欲しいの。ここに一緒に、、、」
思い切って私はフミエちゃんの瞳を見上げた。
かなり甘えんぼな言い分に自分でも相当恥ずかしかったのか、私は結構強い力でフミエちゃんの手をぎゅっと握り締めていた。
197 :
『光の庭』:2009/04/16(木) 12:23:06 ID:mY8ygAl0
フミエちゃんは一瞬はにかんだような顔して微笑むと、私の身体にまとわりつく布を丁寧に脱がし始めた。
そして、自分も濡れた服を床に脱ぎ捨てて、一緒に湯船に入った。
私達は透明なお湯にゆったりと身をまかせた。
大きなバスタブは二人で入っても充分余裕のある広さだった。
満たされたお湯は時々縁から溢れ、温かく柔らかに肌を撫で、浮力に身体がふわりと持ち上がる。
私達は自然に腕を伸ばし、お互いの身体を包み込むように抱き合った。
重なり合う2つの胸の奥にある鼓動。
黙っているせいか、それは大きく耳元でとくんとくんと永遠の時を刻むように響く、、、。
198 :
『光の庭』:2009/04/16(木) 12:24:00 ID:mY8ygAl0
「、、、、あのね、私、、あの時、フミエちゃんに助けられた時、フミエちゃんが天使に見えたんだ、、、」
「天使、、?私が?、、シズカちゃんを助けたのは岡 崎さんと大 菅さんよ。私じゃないわ」
「ん、、、もちろん、そうなんだけど、、、。でも私を底なし沼みたいな真っ暗闇から救い出してくれたのは、、フミエちゃんなの。
そう、、フミエちゃんと、、もう一人の、、、」
何故、私があんなことになったのか、フミエちゃんは理由を聞くことはしなかった。
ただフミエちゃんは私の腕の中で、気恥ずかしくなるくらいまじっとこっちを見つめていた。
「、、、え、、と、うまく言えないんだけど、とにかくフミエちゃんは私の天使なの」
「ふふふ、、大げさだなぁ」
「大げさじゃあないってば。、、本当に、、そうなの。
、、、、私、、あんなに暗くて恐ろしい闇を見たことがなかった。でも、、その中で光を見つけたのよ」
クリーム色に明るく照らされたバスルームでフミエちゃんの顔を見ながら、今、あの闇に思い出すのは難しく思えるくらいだ。
199 :
『光の庭』:2009/04/16(木) 12:25:04 ID:mY8ygAl0
「、、、、それは、私も同じよ。、、、私、、シズカちゃんがいなくなるかもしれないなんて、あんなに怖いことなかった。
、、シズカちゃんこそ、私にとっての天使なのよ」
「、、、、、」
息がつまりそうになって、私達はまた黙って見つめ合って、うんと近づいた。
温かくて優しい熱が、胸から脚から腕から唇から伝わる。大切な人がここにいるっていう確かな証拠。
私達は透明な揺らぎの中でふわふわしながら重なり合った。
もっとどこか触れ合える場所を捜し求めるみたいに夢中で抱き合いながら。
愛しさに涙も傷も心の軛も私の中から溶けて消えていく。
200 :
『光の庭』:2009/04/16(木) 12:26:07 ID:mY8ygAl0
バスルームから出ると、身体は温まったけどまだ肩や足が痛くて、うまく動かせなかった。
おぼつかない足取りを心配したフミエちゃんが、ベッドで横になっていて、と言ったので私も素直に従った。
どこかちがう天井を見渡し、私はほうっと息をついた。
「少し、眠った方がいいんじゃない?」
「うん、、、でも、、身体は疲れているのに、なんだか眠くないの、、、」
この部屋のベッドは大の字になったって全然スペースの余る大きさだった。
だけどお相撲さんやバスケットの選手ならこれくらいは必要なのかもしれないなあ、とぼんやり思った。
「このベッド、、、海外のより大きいよね。一人で寝るには広すぎるくらい。特注なのかなあ」
「うん、私達なら二人で寝てもまだ余裕があるみたいね」
「、、、、、」
「ふふふ、、、添い寝しようか?シズカちゃん」
「え?そんな、そこまで、、、」
私、そんな顔してたんだろうか。
思わず目をぱちぱちさせて、とぼけたふりをした。
でもフミエちゃんは、わかっているよ、という顔でにっこり笑っていた。
さっきまで裸で抱き合って、すべてを許し合うキスまでした私達。
二人とも可笑しくて照れくさくて、この部屋に来て初めて声を出して笑ってしまった。
笑うとまだ肋骨が軋む。でもそっと絡めた指の心強さ。
また涙が出てきそうなくらい幸せな気持ち、、、。
規制やら仕事やらでうpが途切れておりました。
気長に読んでくれている方ありがとうございます!
あともう少しかな?もう少しお付き合いくださいw
学園さんとかダブルデートさんとかも待ってますよーーー!
今日から邦別対抗ですね
シズゥのじょすぃセンツュへの萌え解説に期待してます
それから今度冬ヌポの教科センツュの皆さんが一緒に合宿する機会があるんですね
ヌケート、ヌキー、カーソング、、、みんな集まるのかなあ
ちょっと妄想してきます!!!w
202 :
氷園天国96:2009/04/22(水) 00:07:47 ID:QlY7DOct
光の庭様投下乙です!!!!
ドキドキしながら読んだけどハッピーエンドになりそうでよかった!!
シズゥがフミィに助けられるところでは目から汁がこぼれました!
まだ続きがあるのかな?待ってます!!
同じく規制やら私事で止まってた氷園天国もまた投下しちゃいます!!
良かったら読んでくださいね〜〜!!↓
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「また姐さん一人でお出かけか……」
深夜、岡崎の部屋の前で大菅はため息をついた。
あれ以来頻繁…と言うほどではないにしろ、寮からふらりと出て行くことがあった。
バイクもないから一人で走りに行っているのだろう。
昔からそんなことはあるけど、どうもこちらを気にしつつ部屋を抜け出しているようで大菅は気になっていた。
(そりゃ確かに安藤を一人にしておくわけにはいかないけどさ…)
自分の部屋に戻り、向かいのベッドで布団に包まるミキを見つめた。
「ぅうん…ん…」
寝返りを打ってミキが寝顔をこっちに向けた。
長い睫毛とふっくらとした柔らかい唇。ちらっと覗く鎖骨と胸元の膨らみ。
あどけない昼の顔に比べて眠っているミキの姿はどこか憂いを秘めていて色っぽい。
203 :
氷園天国97:2009/04/22(水) 00:09:05 ID:QlY7DOct
(ん〜〜キスしたらすごく気持ち良さそうな唇だなあ…体も柔らかそうで胸もあるし…)
学院のリンクで見たあのしなやかで色っぽい動きを思い出しドキドキした。
(……この状況で私が男なら間違いなく襲っちゃってるよ…それにすごくいい反応しそうだし…)
無意識のうちにミキのベッドに近寄り、顔がキスしそうな位置になっているのに気づいた大菅は慌てて飛び上がった。
(だあああああ、いかん、いかん!なんつーことを考えてるんだ、私はああああ!これじゃあ姐さんと一緒じゃないか!
私は誰でもいいってわけじゃないんだぞ!だって、私は…私は……)
「もうっ、何言ってんだ私は…」
はっと我に返って、大菅は顔から耳の先まで真っ赤になった。
204 :
氷園天国98:2009/04/22(水) 00:16:27 ID:QlY7DOct
(……ああ〜こんなに悶々とするのもこいつがここに来てからだよ、まったくぅ〜)
大/菅はふーっと自分を落ち着かせるために深呼吸して、ミ/キの額にかかる髪をすくってやった。
「…ん…ちゃ…ん…」
ミ/キが小さな声で呟いた。
(まずい!起こしちゃったかな)
そう思った時、ミ/キはぎゅっと大/菅の袖をつかんだ。
「…ちゃん…し/ー…ちゃん…ごめんね…」
(…!…安/藤…?)
閉じられたままのミ/キの目からつーっと涙がこぼれて大/菅はあせった。
205 :
氷園天国99:2009/04/22(水) 00:17:34 ID:QlY7DOct
「し/ー/ち/ゃ/ん…ミ/キ…し/ー/ち/ゃ/んのこと…」
ぽとりと何かが床に転がり、大/菅はそれを手に取った。
(……なんだろうこれ…ペンダントかな…)
銀色のロケットみたいなそれは薔薇のつぼみがデザインされていて中から何かいい匂いがする。
さっきの拍子にミ/キの手からこぼれ落ちたに違いない。
裏を見ると『 S to M 』と彫られてあった。
(S、ねえ…きっと誰かからもらったものなんだろうな…)
大/菅はミ/キの手にそっとそれを返して握らせた。
「し/ー/ち/ゃ/ん…」
ミ/キはくすんと鼻声でそう呟いてまた一筋涙で頬を濡らした。
悲しい夢を見ているかもしれない。
たった一人でこの学園に飛び込んできた夜を思い出し、なんだかミ/キが可哀想に思えて仕方なかった。
(し/ー/ち/ゃ/ん…し/ー/ち/ゃ/んって誰だろう。そいつのせいで安/藤は家出してきたのかな…)
暗いリンクをたった一人見つめていたミ/キ。ス/ケ/ー/トのことだけじゃなさそうなもっと思い詰めた表情…。
(あの芬牛亜学院でも可愛がられていたみたいだし…考えてみりゃどうして飛び出してきたのか理由を聞いてなかったよな…)
学園に馴染んでくれるのはうれしいが、なんだか複雑な気持ちだった。
(……やっぱり安/藤はあの芬牛亜学院のリンクが似合うよ。あの薔薇の花園みたいな華やかな…)
「……!!」
はっとなって大/菅は自分の手のひらに移った香りにもう一度鼻に近づけた。
「この薔薇の香り…あの時も…そうだ、これ荒/川/シ/ズ/カの匂いだ!
じゃあ…し/ー/ち/ゃ/んって言うのは荒/川/シ/ズ/カ…。それにこの匂い……」
再び深い眠りについたミ/キの顔を大/菅は呆然と見下ろしていた。
だああああああ!///をつけ忘れたとこがあるううううううorz
許してくださいませ〜!!
あ!そう言えば姐さんはなんか旅番組出てましたね
ちょっと意外な感じがしましたがオフの時はそういうこともするんですね〜
でもナレーションがシズゥよりも帽…読みでしたね
……ニゲロ!!
おおお!氷園天国さまお久しぶりです〜!!
首を長くして待っておりました。
大 菅タソついに「あの人」の影に気づいちゃいましたね。
移り香で気づくって結構ダメージでかいようなw
次回も楽しみにしてます!
気がつけば100を越えてましたw
続いちゃいます!!
――――
「とんだ『生徒会長連絡会議』ですね」
「……大/菅…」
時刻は2時を過ぎていた。
帰ってきた岡/崎は部屋の前で腕を組みじっとドアに寄りかかっている大/菅を見つけた。
たんなるご機嫌ナナメではなくいつもと様子がちがう。
「私にも内緒で2人っきりで会うなんて水くさいじゃないですか。
それとも言えないようなことをしてたんじゃないんですか?薔薇の匂いが移るくらいに」
低く抑えた口振りが余計に感情の激しさを表していた。
(……薔薇……気づいたのか…)
「……悪かったよ。おまえに内緒にしてたことは謝るよ」
「私は姐さんに謝ってほしくなんかないっ!」
観念したように素直に頭を下げる岡/崎の姿に大/菅は苛立って声をあげた。
「とりあえず部屋に入ろう」
「いやだっ!ごまかさずに話してください!」
「……まだ真夜中だ。ここで騒ぐと安/藤が起きる。きちんと話すから部屋においで」
「……」
冷静にさせようとする岡/崎の様子がますます気に入らない大/菅だったが、仕方なく部屋に入った。
岡/崎がベッドにすとんと座ると大/菅はその正面の床にペタンと座りむすっとした顔で岡/崎を見上げた。
「私と…荒/川さんは…ずっと昔から知り合いなんだよ。おまえがここに来る前よりずっと」
大きく息をついた後、岡/崎は静かに話し始めた。
「……知り合い…?ただの?」
「そうだな…ただの、と言えばそうじゃないな。私達は…特別な仲だった」
「……」
特別な仲……それがどういうものはなんとなく大/菅にもわかるが、その相手がシ/ズ/カだというのにはピンとこなかった。
「昔…シ/ズ/カは天才少女と言われてクィーンになるために英才教育を受けていた女の子だった」
「……」
「でも…その責任感とプレッシャーに悩んで学院を抜け出して夜遊びまわったり、
酒を浴びるように飲んだりして荒れた生活を送っていたんだよ」
「……あの荒/川/シ/ズ/カが…」
プライドが高そうで上品で優雅なシ/ズ/カにそんな過去があるなんて大/菅には想像できなかった。
「私と出会った時だって酔っ払って言い寄ってきた男と大ゲンカしている時だった。
その時は名前も知らなかったけど、私達はすぐに意気投合してお互い寮を抜け出してこっそり会うようになったんだ。
シ/ズ/カは悪ぶって荒れているように見せていたけど、純粋で、悪い事が出来る子じゃないってすぐわかったよ。
でも他の人に弱音を吐くことができないくらい繊細で…私はそんなシ/ズ/カがほっておけないくらい可愛かった」
「……それで……好きだったの?愛して…いたの?」
「……ん…今思うとね…そう…恥ずかしいくらい…愛してた…」
「………」
誰にだって過去はある。
わかっているつもりでも本人の口からそれを語られると胸が痛い。
大/菅は思わず視線をそらしてしまった。
「でもね、このままじゃいけないと思ったんだ。このままずるずるとつきあってちゃ絶対後悔するって。
シ/ズ/カは本当はス/ケ/ー/トが好きなんだ。私とのことはいつか思い出にもなるだろう。
でもス/ケ/ー/トをやめたらシ/ズ/カは一生後悔する。だから私はそっと彼女から離れたんだ。何も言わずに」
「姐さん…」
「だから……あの時のことは遊びだったんだ、きっと今でも私のことをそう恨んでるだろうなって思ってた。
……でも彼女はわかってくれていた。……また会えてよかったと私も思ってる…」
岡/崎は遠い目をして自分を慰めるような微笑みを浮かべた。
愛おしい気持ちのまま抱きしめたものを手放す気持ちはどんなだったろう…。
「………優しいんですね、とことん」
しばらく考え込んだ後大/菅はふっと肩を落としため息をついた。
「大/菅…」
「……申し訳ありません。私が口出しする事ではありませんでした。…真夜中に失礼しました。部屋に戻ります」
大/菅は立ち上がりポンポンと膝をはらって深々と頭を下げた。
そしてドアの方へと歩き出し、ふと取っ手に手をかけて立ち止まった。
「……でも…約束してください。リンクの上では私だけだと」
「……」
「私はあなたに優しくされたいなんて思ってない。でも…せめてリンクの上では…私に勝つことだけを私のことだけを考えてください。
……私は…あなたのことだけを考えています。あなたに勝つことだけを。そしてそれができるのは私だけだと」
「……」
「……私はそう思っています、これからもずっと。
……ありがとうございます。あなたの大切な思い出を聞かせてくれて。……おやすみなさい」
大/菅は振り返らずに部屋を出て行った。
パタンと力なくドアが閉まり岡/崎はしばらくそれを見つめたままだった。
部屋に帰るとまだぎゅっとペンダントを握りしめているミ/キの寝顔が目に入った。
その頬には涙の跡が残っている。
(……迷子の子猫ちゃん、おまえはどこに行きたいんだい?)
大/菅はベッドの傍に座り、小さな寝息をたてて眠るミ/キの髪を撫でていた。
学園ものさん長編乙です!
とうとう姐さんの過去がO菅タンに…。ドキドキw
残り香が移るくらい一緒にいるって、何かエロイっすな
O菅タソがちょっと悪い子注意です↓
同じ日の深夜。
シ/ズ/カは肩をすぼめながらそっと自室に向かった。
この頃はフ/ミ/エも無理に問い詰めたりしない。
――――行き先は尋ねない。でも絶対に無茶はしないで体には充分気をつけて。
そんな風に見守ってくれて、周りには気づかれないように注意を払っていてくれる。
シ/ズ/カの部屋のテーブルにはポットとティーカップ、クッキーが置いてあった。
『シ/ズ/カお姉様へ みんなで作りました。良かったら召し上がってください』
シ/ズ/カ好みの可愛いワンコの形のクッキーに笑みがこぼれる。
マ/オやユ/カ/リたち下級生が作り、フ/ミ/エがセッティングしたのだろう。
みんなの心遣いが胸に沁みた。
……あの日以来、何度かト/モ/ミと密会をした。
彼女はそっと抱きしめてはくれるがそれ以上のことはしない。
でも取り留めのない話に何時間でも付き合ってくれる。
ト/モ/ミはさりげなく学園でのミ/キの様子を話してくれた。
でもミ/キがどうして学院から出て、今何を考えているのか…シ/ズ/カはそれを尋ねたかったができずにいた。
ト/モ/ミの顔を見るとミキ/の話を自分からするのをためらってしまう。
あの頃とはもう違う。
それはト/モ/ミだってわかっているはず。
だからこそ彼女は今の自分との距離を置こうとしているのだ。
確かにミ/キが自分のそばにいないのは寂しい…でもミ/キの話をすればト/モ/ミとの関係はもう完全に過去のものになる。
(……私ってずるい女だわ。ミ/キのこと、こんなに愛しているのにト/モ/ミのこともまだ…)
シ/ズ/カはミ/キが素被威度学園に行ったのも何か運命めいた気がしてため息をつき、サテンの枕に顔を埋めた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
次の日の夜。素被威度学園の寮。
消灯時間を過ぎているのに大/菅はまだ部屋に戻ってきていなかった。
ベッドの上でぽつんと座りミ/キは手のひらのペンダントをじっと見つめていた。
「し/ー/ち/ゃ/ん…」
口にすると今にも涙がこぼれそうだ。
遠征や合宿でシ/ズ/カと離れたことはたびたびある。
でもそんな時はメールや電話でほとんど毎日連絡を取りあっていた。
みんなの前とは違うお茶目な絵文字や甘えたような受話器の向こうの声…。
寂しくてもそれは一日のうちのとても幸せな時間だった。
でもここへ来てからはシ/ズ/カの気配に触れることはない。
(……し/ー/ち/ゃ/ん心配してるかな…それとも怒ってるかな…)
自分から電話をかけようと思えばできる。
でもし/ー/ち/ゃ/んの声が聞こえたらなんて言ったらいいのかわからない…。
「あ〜〜安/藤〜」
ガチャリとドアが開き転がり込むように大/菅が入ってきた。
「あの…大丈夫ですか、大/菅先輩」
ミ/キが慌てて駆け寄ると、顔は真っ赤で息は強いアルコールの匂いがした。
「ふっ、この私がこんくらいの酒で酔っ払うわけねーよ」
大/菅はミ/キの手を振り払うとベッドにどすんと座り込んだ。
口ではそう言うが、目はとろんとして頭を垂れて上半身をふらふらさせていた。
「あの、お水持ってきますね」
「待てよ、あん時のお礼まだもらってなかったなあ〜」
ミ/キが立ち上がると、大/菅はぱしっと腕をつかんだ。
「あの…」
「ほら、あん時…あのナンパ野郎どもから助けてやったろ」
「ああ、はい、あの時は本当にありがとうございました」
「……おまえさぁ…なんであの時あんな奴らについて行ったんだ?その後どうなるかくらいわかってただろ?」
「……すみません…あの時…私…すごく悩んでたんです。学院から離れたかった…。
街をぼんやり歩いていたら、男の人がここは女の子一人じゃ危ないよ、送っていってあげるって言って…
でも…帰りたくないって言ったら…しばらく知り合いのお店に居なよって…そこで多分お酒飲んじゃって…
その後の事…よく覚えてないんです」
ミ/キは素直にあの時のことを言った。
「ふ〜ん、でも男と遊びたいって気持ちも少しはあったんじゃない?」
しかし大/菅は赤い目でジロリと見上げて鼻をならした。
「ちがいます!私、知らない男の人と遊びたいなんて思ったことありません!」
酔っ払っているからからんでいるだけなんだ、と思いながらミ/キは真剣に否定した。
「でも…男の方はそうは思わないよ。おまえは…そうすごく魅力的だから。
男はおまえみたいな可愛くて色っぽい女の子が好きなんだから」
「私、そんな可愛くも色っぽくもないです」
「自分ではわからないだけさ。知らない間におまえは誘惑してるんだ」
「私そんなことしてません!」
「そう男だけじゃない、女にだって…」
大/菅はいきなりミ/キの腕を強く引き、ベッドに押し倒した。
「お、大/菅先輩?!な、何を…」
「……可愛がってほしいんだろ。だったらそうしてあげるよ」
「先輩…どうしちゃったんですか!やっ…」
驚いて抵抗するミ/キの手はぐっと捕まれやすやすとシーツに押し付けられた。
とてもかなう力ではない。
いつもと違う大/菅の様子にミ/キは怯えて言葉を失った。
「……荒/川/シ/ズ/カはどうやって可愛がった?」
「……」
突然出てきたシ/ズ/カの名前にミ/キの体がびくんと固まった。
「……あの白くて細い指で…おまえをうんと可愛がったんだろう?」
赤く暗い目が据わり、じっとこちらを見下ろしている。
「そんなこと…ちがいます。お願いです、手を離してください」
「正直に言えよ、どうだ?おまえの女王様は優しくしてくれたか?」
「先輩、こんなことやめてください!」
「そう…こんな風に…」
影がわっと覆いかぶさり首筋に顔が近づいた。
「ちがいます!あっ…!」
喉元がかっと熱くなる。
噛みつくような強い口づけにミ/キの身体が驚いてびくんと跳ねた。
「お願いやめて!…嫌!」
必死に身をくねらせても逃れることはできない。
強引なキスは徐々に胸元に降りていった。
「嫌!」
パジャマがちぎれそうに開かれ、胸が手のひらに覆われる。
ミ/キは目を瞑り夢中で首を振って叫んだ。
「やめて!嫌!……助けて!…し/ー/ち/ゃ/ん…!」
し/ー/ち/ゃ/ん、の言葉に大/菅の手がびくんと反応して止まった。
「……あ…」
はっとして我に返った。
自分の下には涙を浮かべ怯えた目でこちらを見つめるミ/キの姿があった。
身を強張らせ小鳥のように震えているのが伝わってくる。
「…あ、あたし…」
頭から水を被せられたように酔いがさめていく。
いったい私は…安/藤に何をしようとしてたんだ…。
大/菅は呆然とした顔でミ/キの身体から離れていった。
「……あの…」
「……さわるな!」
ミ/キが近づこうとすると今度は大/菅の方がさっと身を引いて縮めた。
それでもミ/キはこちらを見て心配そうな顔をしていた。
乱れたパジャマと細い首筋に散らばる赤い跡が目に入り大/菅は顔を背け部屋を飛び出していった。
「先輩!」
ミ/キは慌てて追いかけた。
廊下の向こうでザーザーと水道の音がする。
「先輩…!」
洗面台に頭を突っ込み、水をかぶっている大/菅の姿があった。
ミ/キは慌てて部屋に戻りタオルを手にして駆け寄った。
「……ごめん、安/藤…」
髪から水を滴らせながら大/菅は手を突き、うつむいたままだった。
投下沢山ありがとー!
今回の学園モノはちょっとドキドキしてしまった!!
続きもドキドキです〜〜!
今日は華○かふぇは幹ちゃんだったですね
録画して見たけど触れん度ぱーく楽しかったみたいですね〜
まおちゃんとキャーキャーしてるのが早く見たい!!
フミィは明日なんと赤絨毯のゲスト!
どんな米ントするか楽しみ
O菅タソと内規のお店で会ったみたいですが
O菅タソはフミィは呼び捨てみたいですね(同い年だからか?)
フミィもそうなのかしら?だとしたらなんか体育会っちくで萌えですわw
フミィの赤絨毯見逃したああああ!
お笑いにはしゃぐフミィ見たかったのにorzorzorz
フレパは見ました!幹ちゃんかわいすぎ!
さりげにみんなをリードしてあげてたよね
以前SSでふぃぎあじょすぃのフレパものかいてらっしゃった作家さんいたけど
あれ面白かったなあ
思い出しながらニヤニヤしてしまいました!
今ふゅ競技のみなさんは合宿中とのことでじょすぃ同士でうんと親密になるといいな
ヌピヌケとふぃぎあは同室みたいですね
だんすぃは大部屋だそうですがじょすぃもそうかな?
姐さん辺りがごそごそしてユカリソとかに手を出して思いっきり怒られるのをちょっと想像しましたww
227 :
『光の庭』:2009/05/14(木) 17:24:29 ID:Gih8Oy3D
>>200の続き
トントンと、確かめるような静かな音でドアがノックされた。
フミエちゃんが返事をすると、岡 崎さんがゆっくりとドアを開けて顔を覗かせた。
「あ、、岡 崎さん、、」
フミエちゃんが立ち上がり、私もベッドから起き上がろうとすると、
「いいんだよ荒 川さん、横になっていて。まだあちこち痛いでしょう」
岡 崎さんはそっと毛布をかけ直してくれた。
後から大 菅さんと吉 井さんが入ってきた。
温まって顔の血色も戻っていたが、大 菅さんの目はまだ真っ赤だった。
彼女は私の顔を見ると、搾り出すような声で頭を下げた。
228 :
『光の庭』:2009/05/14(木) 17:25:23 ID:Gih8Oy3D
「、、、荒 川さん、本当にごめんなさい、、、。
私、、、あなたにひどいことをしてしまった、、、、私は、、私は、、、」
ベッドの横に跪き、彼女はまた涙を流して俯きながら、シーツをぎゅっと握りしめた。
「、、、大 菅さん、、あなたが私に謝ることなんか何もないんです、、、。
ずっと辛い思いをしていたのはあなたの方だから。私こそ何も気づかなくてごめんなさい。
それに、、私を助けてくれたのはあなたでしょう、、?」
大 菅さんは顔を伏せたまま、私の言葉に首を振った。
彼女の姿はいじらしくて、胸が痛かった。
大 菅さんにだけじゃない、私はみんなに伝えなくてはいけないことがある、、、。
229 :
『光の庭』:2009/05/14(木) 17:25:49 ID:Gih8Oy3D
「、、、、、私は、、あの時、、、自分からあの中庭の森に落ちるつもりでした。
私のせいでanotherFumieがたった一人ぼっちで淋しくて悲しい思いをしているのなら、私はそこに永遠に取り込まれてもいいと思っていました。
anotherFumieと一緒にあの闇の中に落ちようと思っていたんです。
、、、でも、、彼女は私を連れて行こうとはしなかった。
そう、違うんです、、anotherFumieは落ちていこうとする私を必死に支えてくれていた。
、、、、何かが私の傍で囁いて、奈落の闇に引きずりこもうとしていた。抗うことはできないと思っていました。
、、、、それは、、、私自身の心の闇だったんです。
いつか、、私がここへ来て、過去の記憶を知った時、絶望して闇に落ちることをanotherFumieは知っていた。
だから、、、ずっとこの中庭で待っていてくれたんです、たった一人で。、、、私を助ける為に灯りを灯していてくれたんです、、、、」
あ、あ、あ、、と声を漏らし、大 菅さんは私の傍で祈るような姿勢で崩れ折れた。
230 :
『光の庭』:2009/05/14(木) 17:26:33 ID:Gih8Oy3D
「、、、ありがとう、大 菅さん、、anotherFumieはちゃんとあなたをわかっていた。ただ伝え方を知らなかっただけ。
彷徨うanotherは誰かがその存在を認めてくれなければ、消えてしまう。あの爆発事故の時、あなたがanotherFumieを助けてくれた。
そして、中庭であなたが見守ってくれたから存在していられた、、、。
あなたがいなければ、私もanotherFumieも救われることはなかったの、、、、本当にありがとう、、」
大 菅さんの手に私の手を重ねると、彼女は震えながらぎゅっと両手で握り返してくれた。
岡 崎さんも吉 井さんもフミエちゃんも、、、何も言わずに佇んで涙ぐんでいた。
雲の隙間から遠い稜線にかかった陽の光が、部屋中金色にして私達を照らしていた。
鼻をすすりながら誰からともなくみんなの顔に微笑みが浮かんだ。
231 :
『光の庭』:2009/05/14(木) 17:27:34 ID:Gih8Oy3D
夕方になって、所長と十河さんが、部屋に来て、いろいろと話をしてくれた。
二人は深々と頭を下げ、真摯にお詫びの言葉を言った。
でも、私達に責める気持ちはない。
アスリートも科学者もスタッフも、皆、未来の為にここにいるのだ。私達にはわかっている。
、、、、フ ィギュアのアナザープロジェクトは見直しをされることになったらしい。
嵐が過ぎ去った後の館内は、所々ガラスが割れたり、物が散乱していたりしていたけど、
すぐに片付けられて、ぱっと見たかぎりはあまり支障がないように思われた。
私達は全員、念のため身体の診断を受けた。
幸い私は軽い打撲ですみ、簡単な治療を受けて元気になった。
232 :
『光の庭』:2009/05/14(木) 17:28:33 ID:Gih8Oy3D
陽が落ちて、窓の森がオレンジ色から群青色に染められた頃、私達は食堂で夕食をとっていた。
食堂の電気系統はまだ回復していなくて、ガスで調理された簡単な夕食を食べた。
暗いテーブルに非常用の蝋燭が置かれ、私達は肩を寄せ合ってテーブルを囲んだ。
「なんだか、、、キャンプみたいですね」
厨房の方を気にしながら吉 井さんがくすりと笑った。
「ははは、まさか最先端の施設の中で蝋燭の灯りでご飯を食べるとは思わなかったよね」
コンロを使いお鍋で炊かれたというご飯をスプーンで口に放り込んで岡 崎さんが笑った。
「さっき八重樫さんが心配なら部屋で食べてもいいって言ってましたよ」
「いや、こんなこと、めったにないからさ、私はちょっとわくわくしてるんだ。子供に戻ったみたいでなんだか楽しいじゃない」
「ははは、相変わらず岡 崎さんはポジティブシンキングですねえ」
「いやいや、いろんな経験をすると度胸がつくんだよ、本当に」
「、、、、本当に、、今回のことは一生忘れることができないでしょうね、、、、」
誰かがつぶやいた言葉は同じ気持ちで皆の胸に静かに響いた。
私達はしばらく揺らぐ蝋燭の炎を黙って見つめていた。
233 :
『光の庭』:2009/05/14(木) 17:29:55 ID:Gih8Oy3D
「、、、、荒 川さん、、」
「はい、、」
「、、、あなたはいつか私にanotherTomomiと同走した時のことを聞いたでしょう」
「、、、、、」
「、、、8戦8勝。私はanotherTomomiに負けたことはない」
「ホントですか!」
私より先に大 菅さんが声をあげた。
「本当だよ。anotherは私達にいろいろなことを気づかせてくれる。でもその影に怯えることはないんだよ。
、、、私達のハートにはいつも光があるんだから。、、、たとえどんなに辛い時でも」
炎に浮かび上がる4つの顔が近づいてにっこり笑った。
テーブルの下で私とフミエちゃんはぎゅっと手を握った。
234 :
『光の庭』:2009/05/14(木) 22:26:33 ID:77t0emnb
―――翌朝、私達は東京に戻ることになった。
「ス ピードの皆さんはまだ残るんですか?」
集合場所のロビーにはTシャツとスパッツ姿の3人のスピードス ケータ ー達に姿があった。
「うん、スタッフの『懸命』な復旧作業のおかげでねえ、どうやら私達の実験は続けられるみたいだから」
「少しお休み貰えるかと思ったんですけどね」
「そうなんですか、、、」
「まあ、スピ スケには容赦なく無茶な要求をしてくるとこだよ、ここは、、、」
岡 崎さんは館内を見回して、苦笑いをした。でもその表情は明るい。
大 菅さんも吉 井さんもアスリートらしいさっぱりとした顔で笑っていた。
235 :
『光の庭』:2009/05/14(木) 22:27:25 ID:77t0emnb
やがて所長以下スタッフも見送りの為に玄関まで来てくれた。
「、、、お二人には、、ご迷惑と本当に辛い思いをさせてしまいました、、、。私達も深く反省しています。
改めてお詫びさせていただきたいと思っています」
所長と十河さんは私達の前に来て深々と頭を下げた。
「、、もう、私達は大丈夫です。これからも未来のアスリート達を支えてあげてください。
それが私達にとっても心の支えです。また来ます」
私達が握手を求めると、二人とも握り返してくれた。
所長の瞳が潤んで私を見つめた。幼い頃、試合に送り出してくれた時の母のように。
236 :
『光の庭』:2009/05/14(木) 22:30:00 ID:77t0emnb
バスに乗り、私達は子供みたいに窓から身を乗り出して手を振った。
「また一緒に会おうね!みんなでケーキも食べに行こうね、またね!!」
フミエちゃんが大きな声で叫ぶと、ス ピードス ケーターの3人もぴょんぴょん跳ねながら大きく手を振って見送ってくれた。
アスファルトの水溜りを跳ね上げ、バスはロータリーを大きく回って研究所を離れていった。
玄関で手を振る皆の姿が小さくなっていく。
私達は見えなくなってもしばらく窓から研究所の方を見つめていた。
バスは緑の中を来た時の道を辿り、走っていった。
やがて巨大なトレーニングセンターの建物が見えてきて、私達はようやく息をついて窓を閉めた。
大型バスの広い車内で、私達は隣同士肩をくっつけて座った。
237 :
『光の庭』:2009/05/14(木) 22:32:50 ID:77t0emnb
「フミエちゃん、見て!」
ふと見ると、遠くの雲の隙間からいくつかの光の柱が射しているのが見えた。
まるでそれは大きな古い宗教画のように広がる美しい風景だった。
私は子供みたいに声を上げた。
「あれね、天使の梯子って言うんだって。あの光の梯子で天使が天国と地上を行き来してるんだって」
「小さい頃は良く見てた気がするけど、、、大人になると案外気づかないものだよね、、、」
天使の梯子か、、、フミエちゃんの言葉に頷きながら、私はその光景に見とれていた。
「そうね、、、でもこうしてシズカちゃんと一緒に見ているといつもよりもっと素敵に見える、何もかも」
その言葉にドキッとしてフミエちゃんを振り返ると、彼女は何事もなかったように小さく欠伸をした。
「、、、なんだか眠くなっちゃった、、、痛くない方の肩に寄りかかってもいい?」
「う、うん、、だ、だ、大丈夫だよ、左だってもう全然痛くないし、、」
238 :
『光の庭』:2009/05/14(木) 22:33:48 ID:77t0emnb
まだドキドキしている私の肩にフミエちゃんはそっと頭をのせて目を閉じた。
自分の肩にかかる重みと温もりが愛おしかった。
私も寄り添いながら目を閉じた。
絡めた指とバスの心地よい揺れ。
あの研究所を遠く離れて、私達は同じ氷の上を、違う氷の上をまた滑り続けるのだろう。
濡れたアスファルトは朝陽を反射しながら銀色に輝いて、彼方へと伸びている。
、、、どこまでも、、、一緒に、、、。
幸せな眠りに落ちながら、私達は光の降る道を走り続けていった。
239 :
『光の庭』:2009/05/14(木) 22:36:10 ID:77t0emnb
―――
「、、、いって、、しまいましたね」
「、、、、うん、、でも、消えたわけじゃない」
「、、そうですよね、、」
「、、、、、」
「、、私、、今でもフミエちゃんのことが好きです。きっと、ずっと、、、」
「うん、嫌いになんかなることはないさ。、、、私達は繋がっているんだよ、見えなくてもみんな、、」
「はい」
大 菅は雨上がりの空気を大きく息を吸い、岡 崎の方へにっこりと笑った。
「そー言えば、岡 崎先輩も大菅 先輩もいったい昨日何があったんですか?
あの後、私もいろいろ聞かれたのに、ちっともわからなくて、、、なんか仲間はずれみたいで悲しいですよお」
吉 井が頬を膨らまして、カクンと肩を落とした。
240 :
『光の庭』:2009/05/14(木) 22:36:37 ID:77t0emnb
「まあまあ、吉 井ももう少し低酸素頑張れば教えてあげる」
「えー!なんなんですか、それはー!」
「そう言えば、岡 崎さん、anotherTomomiに負けたことないってホントですか?」
今度は大 菅が顔を覗き込んで来た。
「ほんとほんと」
「でも、この間のリンク計測の後、ちょっと泣いてたの見ましたよ!」
「あれは泣いてないの!目にゴミが入っただけだよ」
「じゃあ、今度同走する時、見学させてもらおっかなー」
「ダメダメ、あれは個人情報だから!超一級国家機密だよ、マル秘!」
「あ〜やしいいいい!」「ね〜、あ〜やしいいいい!」
3人のス ピードス ケーター達はけらけらと明るく笑いながら、研究所の建物に消えていった。
誰もいない中庭にも空から光が降り注ぎ、天使の梯子が泉の水面をきらきらと照らしていた。
以上 『光の庭』
これで終わりです
読んでいただいた方、長い間ありがとうございました
なんのかんのでストーリーも変わり、こんなにかかってしまいました、、、、
読み直すと誤字脱字があったりして、書き直したいので
まとまったらどこぞのローダーにでも上げたいと思います
ふゅ組のJ○Cの合宿あったみたいでちょうどSSの最後を書いていたりしたので
ちょっとドキドキしながらヌース見てましたw
でもお互いの親睦を深めたりするものでなかなか楽しそうでしたね
TVではユカリソと姐さんがちらっと写っていました
てぃーむじゃパンとしてバンクー場ーではぜひ頑張って欲しいものです
「光の庭」さん、完結お疲れ様andありがとうございます!!
まさかスケーターを使ってこういう展開・・・着眼点が新鮮で
一つの読み物としてもとても面白かったです。
ミステリーの面白さもあり、萌えwもありw
作者さんは長編書き上げるのは大変だったと思いますが、読み手として
毎回ワクワクと待ってましたよ。
ほんとうにありがとうございました。
光の庭様、長い間ありがとうございました!
いつもハラハラdkdkの展開で次のうpが待ち遠しかったです!
シズゥとフミィがはぴエンドで良かったーーーーカンドーですぅぅぅぅ
姐さんやO菅タソ幹ちゃんONちゃんユカリソよすぃーちゃんみんな良かったです!
後半O菅タソが可哀想かなと思ったけど爽やか?に終わってヨカタ
長編でもなくていいのでまたうpしてくださいね!
光の庭です
レスをいただきうれしいです
こちらこそありがとうです
でも長編は難しいですね〜
最初はアナザーフミィに振り回されるシズゥとO菅タンの恋のバトル?、、みたいな軽いのを考えていたんですが
O菅タンの経歴が調べたらなかなか興味深かったので、鍵を握る重い役どころにしてしまいました。
確かにちょっとかわいそうな設定だったですね、、、
と言うわけでっ
長編の合間に書いた大×岡で、O菅タン視点のを投下してみます
設定はにゃがの後の話です
ス ケーター達はいなくなり、氷の上は製氷車が回り始めていた。
先輩達の荷物を運び終え、私はもう一度リンクを見渡した。
日本でオリン ピックが行われ、その時に出来たというこのリンク。
私はあの時、まだ高校生で、天才と言われていた先輩が彼女に敗れるのを学校のシアタールームで見ていた。
学校に飾られた沢山の優勝カップ、賞状、盾、写真。
そんな数々の功績より、私は先輩のあの真摯な瞳が忘れられない。
卒業した後も、よく学校のリンクで一人で走っていたあの姿を。
同い年の先輩と彼女は良く比べられていて対照的だと評されていた。
努力家の彼女と天才肌の先輩。
いつも笑顔の彼女と無愛想に見える先輩。
でもそれは表面しか見ていない人が語ったことだ。
世間の報道ってそんなもんだ。
皆は知らない。
天才と呼ばれた人が、歯を食いしばりながら何度もリンクで倒れ、その度に立ち上がる姿を。
何かに追い詰められ、追いつこうとするあの姿を。
オリンピックが終わった後、先輩はリンクを去り、メダリストの彼女は残った。
先輩に追いつきたくて、やっと同じ舞台に立てると思った時、
先輩はこの世界から退いてしまうという話を聞いた。
どうしてやめてしまうんですか、先輩にあこがれて私はここまで来たのに。
そう詰め寄る私に先輩は静かな声で言った。
「おまえには違う目標ができる。私にはできなかったことがおまえにはできるよ」
、、、、納得なんてできる訳なかった。
でも、向けられた微笑みは胸が痛くなるくらい穏やかで、私は何も言えなかった。
寮の鍵を渡す先輩の手はひんやりとして柔らかかった。
それから程なくして、私は日 本代表として、世界と彼女と戦うことになった。
無我夢中で走ったリンクで私は次々とレコードを塗り替えていった。
まだ未成年の私の記録はジュニアとしてだけ残る。
でもメダリストの彼女にですら、直ぐに追いつけると思っていた。
彼女はオリンピックの後、精彩を欠いていたし、年齢的にもピークを越えているはずだ。
そして、私はまだ若い。これからどんどん伸びるはず。
、、、彼女に負けるわけにはいかない。彼女に勝つことが使命だ。
それが、先輩の名誉にも繋がる。そして、それが先輩への尊敬の証。
違うチームに所属している彼女とは試合以外ではあまり接することはなかった。
年齢も離れていたし、私は一番年下で雑用をすることも多くて忙しかった。
ふとある日、彼女が私を遠くから見つめているのに気がついた。
試合中の殺気立った瞳を忘れそうなくらい、優しい笑顔。
でも、騙されるもんか。そしていつかそんな余裕など失くしてやる。
歯噛みして私を睨むくらい悔しがらせてやるんだ。
――――
ずいぶんと長い時間、ぼーっとしていた気がする。
慌てて時計を見ると、そんなに経ってはいなかったけど、遅れたら大変だ。
重い荷物を肩に掛け、早足で駐車場に向かっていると、一台の車がすうっと私に近づいた。
「大 菅」
それはメダリストの彼女、、、岡 崎朋 美だった。
「、、、、」
「寮まで送ってあげるよ。乗っていかない?」
「、、、申し訳ありません。でも、向こうでコーチが待っていますから、、、」
「大丈夫大丈夫、もう君のコーチには言ってあるんだ。さ、乗って乗って」
彼女はあっけに取られてる私を半ば強引に助手席に座らせた。
しばらく車内で、彼女はスケートとは関係のない取り留めのない話をした。
訝しい気分で私は、ただ相槌だけを打っていた。
「このまま少しドライブしない?」
彼女は私の返事も聞かず、寮とは反対の方向にハンドルを切った。
「これって未成年略取誘拐ですよ」
私がぼそっと言うと
「はっはっは、そうね。君はまだジュニアだったもんね」
白い歯を見せて、大きな声で笑った。
「お付き合いします」
なんだかひどく子供扱いされた気がして、私はムッとして返事をした。
車は街を過ぎ、やがて緑の山の方へと向かって走った。
「あ、、っときちんとシートベルトつけて。飛ばすから」
「それって、スピード違反、、、」
「まあまあ、いいじゃない。君も飛ばすのは好きでしょ」
急なカーブの続く坂道を車はかなりのスピードを出して登って行った。
車内は右へ左へと大きく揺れたが、彼女は鼻歌を歌いながら、楽しそうにハンドルを握っている。
こんなことで、怖がらせてるつもりなんだろうか。
私はわざと平然とした顔で揺れに身を任せていた。
車は峠の展望台の駐車場に止まった。
いつのまにか日は落ちて、夕焼けの名残の朱色が山の縁取りを浮かび上がらせていた。
柵の向こうに街の灯りが少しずつ輝き始めていた。
遠くに少し大きな建物が、目立つ。
さっきまで私達のいたリンクだ。
運転席の彼女はしばらく黙り込んで、フロントグラスから見える景色を見つめていた。
私も同じ方向を黙って見ていた。
「、、、、ここ、、よく、、来たんだ。シマと、、」
どきっとして私は振り返った。
「私はフラレたんだ。シマに」
「、、、、、」
「ずっと一緒だと思ってたのに、あいつはリンクを降りたんだ。私を置いて」
「、、、、、」
「、、自分の後輩で面白い子が来るって、、、言ってた。
、、、でも、、シマの代わりになんかならない、誰も。
シマはもう、私との勝負を終わったつもりでいるんだ、、、」
暗くなった車内で大きな目が泣きそうな子供のように揺れていた。
「私、、、認めてませんから」
私は息を呑み、ぐっと助手席のシートを掴んだ。
「島 崎先輩があなたに負けたなんてこと認めてませんから。
、、、それを、、私が証明して見せます」
大先輩に対して、ずいぶんと生意気な言い分だった。
だけど、彼女はゆっくりと、虚ろな表情から焦点を合わせるようにこちらへ顔を向け、真っ直ぐに私を見つめた。
それでも私は続けて言った。
「私はあなたを追い抜いて見せます。近い内に必ず。そして世界記録も」
「、、、ふふふ、、本当に、君は面白いことを言うね。世界と戦い始めてまだ一年じゃない」
「私の強さは怖いもの知らずからきてるって言われました。
でも、こうも言われました。怖いものを知ってこそ本当の強さになるって、、、」
「怖いもの、、、」
ふっと想いをめぐらすように彼女はつぶやいて、それから私に近づいた。
「どう?怖い?私は怖いかな」
「怖くありませんよ」
「、、、、そう、、?こんなことをしても、、、?」
黒い影が目の前を覆う。
熱く柔らかい感触が唇に触れて、私を求めてくる。
かかる吐息が私の脳髄を麻痺させていく。でも身体の芯は、火をつけられた様に熱くなった。
驚いて拒絶したいのに、抵抗できない。
自分でもどうなって、これからどうなるのか、わからない、、、。
「、、、ゴメンゴメン。私としたことが子供相手に大人気ないことをしちゃったな」
ようやく唇を離し、彼女はいたずらっぽく笑った。
「なんで、、、こんな、、、」
「君がかわいかったからだよ」
「私は子供なんかじゃない」
私は唇を血が出るくらいごしごしと拭いた。
――――北海道を離れる時、つきあってた男の子と初めて寝た。
つきあうって言ったってお互いの部活は男女交際禁止だったから
誰にも見つからないように、二人っきりで話をするくらい、そのくらいの仲だった。
卒業したら、二人は遠く離れることが決まっていた。
ずっと会えなくなる事も。
だから、、、最後に記憶に残したくって、したんだ。
それまでちゃんとしたキスだって3回しかしてないのに。
免許取立ての彼のバイクに乗って、行ったことのない遠い道を走った。
ちょっと色あせた部屋に大きなテレビ、大きなベッド。
こーゆーホテルって意外と普通の部屋なんだ、、、、妙に平常心だったのを覚えてる。
そしてやたらとふかふかなベッドの上で、私は彼に物凄いいきおいで抱きすくめられた。
シャイな彼の不器用で、でも強く荒々しい力。
息もできなくて、肋骨が折れるかと思った。
私はもうどこにも逃げやしないのに。
なんだか訳のわからないまま、お互い必死で夢中で滑稽だった。
ロマンチックとは程遠い、汗と涙と痛みにまみれた時間。
子供を卒業するためにしたのに、ガキな自分を思い知っただけだった。
――――何故だろう、この人と一緒にいると、そのかっこわるさがひどくなつかしい。
痛くて、苦しくて、辛くて、悲しくて、情けなくて、一生懸命で、、、、愛おしい。
捨てたいと思っていたものを全部この手にかき集めて抱きしめたくなる。
「かわいいね、キスしただけで泣くなんて」
「キスしたから泣いたんじゃない」
気づいたら目からは涙が溢れていて、私は慌ててそれをぬぐった。
「私は、、、これから何度でも君を泣かせるよ、きっと」
彼女はそう言ってハンドルに手をかけ、フロントグラスの彼方に目を向けた。
私はその時、運命なんてものを感じたんだ。
自分はきっとこの人と一緒にずっと走り続ける運命なんだ、ゴールの見えない氷の上を。
そんな予感を感じたんだ。
多分、、、泣いたのは、そのせいだ。
「私だって、泣かせてやりますよ。あなたが一生私のことを忘れられないくらいに」
涙を拭いて、うんと挑発的に睨んでやったつもりだった。
でも彼女は微笑んでいた。
静かで穏やかな懐かしい不思議な微笑み。
私達はもう一度キスをした。
彼女の腕に抱かれながら、約束を遠く置き去りにした気がして、私はまた泣いていた。
光の庭さん長編オツでした!
大変楽しませてもらいましたよ〜
新作も読んでいて惹き込まれました。つづき楽しみにしてます
>>263さん
微笑みの行方の作者です
実は微笑みの行方はここで終わりなのです
エンドマーク入れるの忘れてしまったのでした〜w
ところでジャソクでフミィの和歌ちこが可愛かった!!
萌ころがりましたよ!
TV見ながら一緒にやってたりするんでしょーか
>>264 つづきなかったんですかw
微妙にイイ感じで終わっていたので…。残念!
光の庭様、新作の投下ありがとうです!
大×岡…胸がきゅぅぅぅんとしますね〜萌えころがりましたよぉ
姐さんの「君は〜」って言う言い方がなんかかっこええですぅ
呼ばれてみたい…(*^・^*)
さて氷園も続きます↓
「………」
ポタポタと落ちる雫の冷たい音が深夜の寮に響く。
「……ごめんな…」
「……いいんです」
ミ/キは首を振った。
「………」
「大丈夫です。…あれが先輩の本気の言葉だなんて私思ってません」
大/菅はじっとそのまま動かなかったがミ/キは寄り添いそっとタオルで髪を拭いてくれた。
「……ぶっとばしてくれよ。その方がいい……酔っ払ってたなんて言い訳だ。
あんな…おまえや荒/川さんを侮辱するような事を言うなんてあたしは最低だ…」
「…先輩…」
「ごめんな……モヤモヤしてた気持ちをおまえにぶつけてひどい事して…」
……荒/川/シ/ズ/カに愛されて大切にされていたというミ/キ。
その女の子らしくて無邪気で無防備な姿を見ていたら、行き所のない気持ちをぶつけたくなってしまった。
「私は平気です。……それより部屋に帰りましょう。風邪をひいたら大変ですから」
あんな乱暴をしたのにミ/キの目は本気で心配してくれている。
一瞬でもめちゃくちゃにしてしまいたいと思った自分にひどい自己嫌悪をおぼえる。
「先輩、ちゃんと髪を拭いてくださいね。…行きましょう」
ミ/キはにっこり笑って手をさし出した。
タオルをかぶったまま大/菅はミ/キに手を引かれ歩きだした。
「うぅ…安/藤…」
泣きそうになりながら迷子の子供みたいに手をぎゅっと握った。
タオルを頭からかぶったまま大/菅は布団に潜り込んでまるくなった。
ミ/キは何も言わずに電気を消して自分も横になった。
しばらくして大/菅はそーっと布団から顔を出した。
すると暗がりの中でまだ起きているミ/キと目が合い、ドキンとした。
「……あ、…安/藤…」
「はい」
「……い、痛くなかったか?」
大/菅の手にはまだミ/キの手首の感触が残っていた。
あんなに細い手首を容赦なくぎゅっと押さえつけていたなんて…。
大/菅は喧嘩っ早いが女の子相手にそんなことしたことは一度もない。
ましてや年下でなんの落ち度もない相手に。
「本当に大丈夫です。ちょっとびっくりしただけですから」
ミ/キは安心させるようにはっきりした声で返事をした。
「……あのさ…」
大/菅は息をこくんと飲んで話を切り出した。
「……さっきさ、おまえ、し/ー/ち/ゃ/んって言ってただろ」
「!……」
し/ー/ち/ゃ/ん、その言葉を聞くとミ/キはびくんと肩を震わせ戸惑いながら布団に半分顔を隠した。
「……し/ー/ち/ゃ/んってもしかして荒/川/シ/ズ/カのことか?」
「……」
「……おまえは昨日もその名前を呼んで眠りながら泣いてた。
もしかして、学院を出てきたのもクィーンの荒/川/シ/ズ/カのせいなんじゃないのか?」
「……」
「……あんなことした私が言うのも変だけど…おまえはあの時無意識に荒/川/シ/ズ/カに助けを求めてた。
……帰りたくないっておまえは言うけど……本当は帰りたいんだろ?荒/川/シ/ズ/カの所に」
「……」
「……私さ、素直で女の子らしくて誰からも愛されてるおまえに嫉妬してたんだ。
自分と違いすぎるおまえに…。
だからあんなこと……でももう絶対乱暴しないって約束する。
それにもし、荒/川/シ/ズ/カと喧嘩してるなら加勢してやるよ。
おまえが直接言えない様なことがあるなら私が代わりに言ってやるからさ」
「あの、ミ/キ、し/ー/ち/ゃ/んと喧嘩してるわけじゃありません!」
ミ/キは布団からがばっと飛び起きた。
「…じゃあ、なんかちょっといじめられちゃったとか……?」
「ちがいます!し/ー/ち/ゃ/んも誰もそんなことしません!」
ミ/キはぷるぷると大きく首を振って唇をきゅっと結んでうつむいた。
「……し/ー/ち/ゃ/んの…せいじゃない。…ミ/キが勝手に飛び出してきたんです…」
布団を握りしめ、目をうるうるさせたミ/キの姿に大/菅が慌てて駆け寄った。
「わわわわわ!こら、泣くなよ、な、な、な?私はおまえや荒/川/シ/ズ/カを責めてる訳じゃないんだ」
「……」
ミ/キは涙をぬぐってこくんとうなづいた。
「……すみません…ミ/キ…みんなに心配かけてる…」
「んなこと言うなよ。人に心配かけてない奴なんて世の中一人もいないって。
今日は私もおまえに迷惑かけたしさ…なあ、また落ち着いたら話をしよう」
もう一度うなづいて、ミ/キは布団に入り目を閉じた。
(……どんなに辛い雑用したって泣かないのに『し/ー/ち/ゃ/ん』って言葉だけでこいつは泣いちゃうんだな…)
大/菅は布団を軽くポンポンと叩いて、ミキの寝顔を見つめた。
『もっとミ/キのこと知りたいの…いい?私のことももっと知って…』
しばらくして…キスよりもっと深い関係になることにも少しもためらいはなかった。
求められているということがうれしかった。
シ/ズ/カの指や唇が自分でも知らない自分を呼び覚ます。
……シ/ズ/カがこんな風に求めるのは自分が初めてではないだろう…
抱かれながらそんな気はしたけど、過去のことはどうでもよかった。
(……でも……)
……未来のことを考えると怖かった。
(…つづく!)
ミ/キは大/菅が眠りについた気配がした後、暗がりの中でそっと自分の胸に触れた。
『荒/川/シ/ズ/カはどうやって可愛がった?優しくしてくれたか?』
大/菅に押し倒されたことよりその言葉の方が胸につきささっていた。
――――
『ミ/キのこと…好きになってしまったの。どうしようもないくらい』
お世話役になってしばらくしたある夜、2人っきりになった部屋でシ/ズ/カはミ/キの前にひざまずいて告白した。
それは自分の中でもいつからか芽生えていた気持ちだった。
だけど、自分はあくまでお世話役。
クィーンであるシ/ズ/カを憧れる生徒の一人にしか過ぎないのだと自分の気持ちをセーブしていた。
でもそれが両想いであると知った時…ミ/キの心は天にも昇るような心地だった。
『……し/ー/ち/ゃ/ん…し/ー/ち/ゃ/ん…夢みたいです。私もし/ー/ち/ゃ/んのことずっとずっと好きでした』
ミ/キは涙をぽろぽろ流し、シ/ズ/カの胸に飛び込んだ。
そして白く柔らかな腕に抱きしめられ、キスをかわしたあの日……。
ミ/キは一生忘れることはないだろう。
氷園天国ぅ〜
上の順番がちょっと逆になってしまったorz
122の前に121,5を入れてください。
読みにくくてすんませんっっ!!
微笑みの行方ktkr!イイ(・∀・)!
氷上学園ウッハーたまんねえッス(//▽//)シズゥとミ キのベッドタイムが気になります
2人の絡みはsexyですね
シ/ズ/カのことを知れば知るほど、近くなれば近くなるほどどんどん好きになる。
お世話役に任命された時は本当に信じられなくて夢を見ているような気持ちだった。
でももう憧れだけじゃない。
シ/ズ/カのいない生活など考えられなかった。
だからこそ怖くなる。
こんなに好きでいいのか、こんなに愛してしまってもいいのだろうか…これからもずっと…。
どんどんと湧き上がってくるシ/ズ/カへの愛情にミ/キは戸惑っていた。
(もう何日もし/ー/ち/ゃ/んに会ってないのにやっぱりこんなに好きだよ。ミ/キはどうしたらいいの…)
泣きそうになったけど泣いちゃいけない。
ミ/キは溢れそうになる涙をこらえてぎゅっと目をつぶった。
――――次の日。
素被威度学園の午後は練習が休みで夕食時までフリーだった。
「お〜い安/藤、大/菅見なかったか?」
ミ/キが廊下を歩いていると岡/崎が声をかけた。
「大/菅先輩ですか?そう言えば今日の昼食はものすごい勢いで食べちゃってすぐに食堂を出て行きましたけど…」
「……そっか〜安/藤も知らないのか。寮にも居ないみたいだし…来週の予定を話し合おうと思ってたのに困った奴だな」
「ああ、姐さん!」
パタパタと他の生徒が駆け寄ってきた。
「どうやら大/菅先輩、校外に出かけちゃってるみたいですよ。バイクもないみたいですし」
「…バイクが?珍しいなぁ、私に声をかけずに出て行っちまうなんて。
まあしょうがないや夜にでも話をするから。教えてくれてサンキューね」
岡/崎は頭をぽりぽりかいて下級生に手を振った。
「安/藤も呼び止めちゃって悪かったね。それじゃ」
「あ、あの…!」
ミキ/の声に岡/崎の足が止まり振り向いた。
「……大/菅先輩が1人で出かけちゃうって珍しいことですか?」
「う〜ん、そうだねえ…1人で外に行く時はだいたい私か誰かに一声かけてから出て行くね。
ああ見えても律儀なとこあるんだよ、あいつは」
「……」
「どうしたんだい?」
「……もしかしたら……先輩、芬牛亜学院に行っちゃったのかもしれない…」
「……?芬牛亜学院に?」
岡/崎は目をぱちぱちさせて、困惑しているミ/キを見つめた。
――――その頃。
ドルルルル…
大きな音を立てて芬牛亜学院の門にバイクが乗り込んできた。
降り立ったのは大/菅である。
大/菅はメットを脱ぎ学院の立派な建物をちらりと見てからそのままずんずんと前へ歩いていった。
すると玄関に沢山の本を抱えたフ/ミ/エがいた。
「まあ、貴方は」
「お、ちょうど良かった、監督生のハマグリ!」
「ハマグリではありません!す・ぐ・りです!…と、突然いらしていったいなんのご用件ですの?」
少し頬を赤くしながらフ/ミ/エは本の上からちょこんと顔を出した。
「あー、あのさー、あんたらの女王様の荒/川/シ/ズ/カにちょっと話があるんだけど」
「……まあ、シ/ズ/カに…?それにしても当学院は前にもお話したとおりバイク乗り入れ禁止ですよ!」
シ/ズ/カに用があると聞いたフ/ミ/エは途端に唇を尖らせて言った。
「んな固いことゆーなって。とにかく荒/川/シ/ズ/カに会いたいんだ」
「…そんなこと急におっしゃられても……貴方はお約束をしてあるのですか?」
「約束?そんなのしてないよ」
「シ/ズ/カはいろいろと忙しいのよ。あなたの都合で勝手に来られても迷惑ですっ」
「んだよぉ、ちょっと話をしたいだけなんだってば」
「用件なら私が承ります。後で返事を差し上げますから」
「おまえに話したってしょうがないんだ。私はあいつに直接話したいんだからさ」
「……それならば、きちんとお約束してから来るのが礼儀でしょう。
素被威度学園の番長…失礼、生徒会長である岡/崎さんはこの無礼な振る舞いをご存知なのですか」
フ/ミ/エはムッとして大/菅の前に立ちはだかった。
「あ〜もう、ごちゃごちゃとうるせーな、勝手に探させてもらうぜ!」
大/菅はぱっとフ/ミ/エの脇をすり抜け、風のように走っていった。
「きゃあ!」
フ/ミ/エは驚いて本をバラバラと落として声をあげた。
「待ちなさい!誰か、その人を捕まえて〜!」
大/菅は廊下をきょろきょろしながら走っていた。
途中で何人かの生徒達に会って尋ねたが、突然の訪問者に皆ビックリして首を振るだけだった。
「待ちなさい!その人は不法侵入者よ〜!」
「やべっ!」
後からフ/ミ/エが追いかけてきて大/菅は慌ててまた走り出した。
(……そうだ!もしかしたらあの薔薇いっぱいのサンルームにいるかも)
時計を見るともうすぐ3時のティータイムの時間だ。
くるりと方向転換して前に招待されたことのあるサンルームへ向かった。
「待ちなさい!そっちへ行ってはいけません!ナ/ナ、その人を捕まえて!」
大/菅が走るその先に1人の大柄な生徒が立っていた。
「ええ〜?フ/ミ/エお姉様ぁこの人ですかぁ?」
ナ/ナは名/鉄/ナ/ナちゃんよろしく大きな手足を広げて通せんぼしようとした。
「おっと!」
しかし大/菅はすばやくジャンプしてナ/ナの肩に手をつき跳び箱のようにひらりと飛んでいってしまった。
「きゃははは!すごーい!ナ/ナを飛び越えて行っちゃいましたぁ〜!」
(〜〜も〜何喜んじゃってるのよ!!まったくお気楽な子ねえ!!)
ナ/ナは相変わらずまぶしすぎる7色の笑顔だった。
サンルームが近づきガラス越しにすらりとした薔薇色の人影が見えた。
(いた!荒/川/シ/ズ/カだ!)
「うわっぷ!」
突然顔面に何かが投げつけられ、衝撃とともに目の前が真っ暗になった大/菅はびっくりしてこけてしまった。
「……いって〜なんだこれはっ!」
見るとそれはぬいぐるみだった。
目の前にはユ/カ/リが仁王立ちで立ちはだかっていた。
「無礼者はこの私が許しませんよ!(`・ω・´)」
ユ/カ/リはまた眼光鋭く大/菅を睨みつけていた。
(わ、出た!こいつはいつかのお茶会にも居たちっこいけどなんだか怖えぇ…そうだっ浮き輪女…!(;゚Д゚))
「どうしたの?ユ/カ/リ誰かいらっしゃったの?」」
サンルームから薔薇の花束を抱えたシ/ズ/カが現れた。
「シ/ズ/カお姉様、どうやらこの方は勝手に学院に忍び込んできた不届き者のようですわ。
お姉様が相手になさることはありません」
ユ/カ/リはバールのような物で大/菅をつんつんしながら言った。
「なななな、なにすんだよお!」
「……まあ大/菅さん…いったいどうなさったの?」
「はぁはぁ…シ、シ、シ/ズ/カ…その人は不法侵入者よ…相手にしちゃダメ…はぁはぁ」
後から息を切らしながらフ/ミ/エも追いついてきた。
「私は…あんたに話があるんだ、荒/川/シ/ズ/カ」
「待ちなさいっ!!シ/ズ/カに勝手にお約束もなしにそんなこと…」
「安/藤のことだ」
――――ミ/キの?
みんなはどきっとして一斉に大/菅を見つめた。
「あの、ミ/キが…ミ/キがどうかしたの?」
シ/ズ/カは花束を落とし慌てて大/菅に近づいた。
「私にもよくわからないんだ。だからあんたと話がしたいんだよ」
「……」
「2人っきりで…サシで話がしたい」
「……わかりました。それではこちらで伺いましょう」
「待ってシ/ズ/カ。2人っきりなんて…もしこれ以上無礼なことをされたら…!」
フ/ミ/エはシ/ズ/カの前に出てかばうように手を広げた。
「大丈夫よ。…ごめんなさい。皆さん申し訳ないけど今日のお茶会は中止にしてくださる?」
みんなは心配そうな顔をしながら、それでもシ/ズ/カに従いうなづいた。
(…つづく!)
学園ものキテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
暴走気味のO菅タンいいわ〜w
他のキャラも想像してて楽しい!!投下dでした
O菅タン男らしくてカコイイ!続きが楽しみで仕方ない
7や床りんのキャラが出てるw7の天然にワロタ
番Qooバーに向けての2回目のがっすくも終わったみたいですね
ふゅヌポのおんにゃのこ達はたくさん交流したのかな?
それでは続きです↓
「いい?シ/ズ/カ、もし乱暴されそうになったらこの呼び鈴を鳴らしてね」
フ/ミ/エは耳打ちをしてから何度も振り返りながら去っていった。
柔らかな日差しのサンルームでシ/ズ/カと大/菅は向かい合わせて2人っきりになった。
「……あ、あの…ミ/キが…何か…」
しばらくの沈黙の後、シ/ズ/カが心配そうに切り出した。
「……なんで迎えに来ないのさ。安/藤は待ってる。あんたが来るのを」
大/菅は腕を組んでシ/ズ/カをじっと見つめた。
「……」
「もちろんあいつが直接言ったわけじゃないよ。
あいつはうちの学園であんたのことを口にしないし弱音も吐かない。でもわかるんだ」
「……」
「あいつ…どんなに大変なことだっていつもニコニコして嫌がらずにやるんだぜ。
でもし/ー/ち/ゃ/んって…あんたの名前を聞いただけで泣いちまう。
それだけあんたのことが好きなんだよ」
「ミ/キが…泣いてる?…私のことを思って…?」
シ/ズ/カがはっと顔を上げた。
それがあまりにも切なそうな目をしていて大/菅は内心どきんとしたが話を続けた。
「…ああ、そうだよ。いつもこっそり隠れて泣いてる。
最初はフ/ィ/ギ/ュ/アが嫌になって家出したのかと思ってた。でもそうじゃない。
だとしたらきっと原因はあんたに関係あると思う」
「………」
シ/ズ/カは目を伏せしばらく何も言わないでいたが、ふわりと音も無く立ち上がり寂しそうに窓際に飾られた薔薇の花びらを撫でた。
「……私は…もしかしたらミ/キを縛りすぎたのかもしれない…」
「…縛りすぎたって…?」
「私……ミ/キを妹みたいに…いいえ、それ以上に…大切に思っています。
でも私の思いは一方的でミ/キを束縛してしまっているのかもしれない…」
「……束縛ねぇ…でも安/藤はそんな風には思ってなさそうだけどな」
「……でも出て行く前にミ/キはお世話役をやめたいって言っていましたから…」
「それでも安/藤はあんたのことを嫌いになったとは思えねえけどな。
だって寝る時、あんたからもらった薔薇のペンダントを大事そうにぎゅっと握りしめてるんだから」
「あのペンダントを…?」
ぱっと一瞬シ/ズ/カの表情が明るくなった気がするが、すぐに視線を下に落としてしまった。
今のシ/ズ/カは前に会った時よりも幾分細くなり、あの威圧感さえあったオーラも感じられない。
ミ/キが居なくなってシ/ズ/カの心が消沈して、落ち込んでいるのをひしひしと感じる。
「……姐さんには会えて、なんで安/藤に会えないのさ」
シ/ズ/カの指がびくんと震えた。
「……姐さんとあんたの過去の話は聞いたよ。今でもお互い大切に思ってるってことも。
……まさかあんたは姐さんと安/藤を天秤にかけるようなことを…」
「それは…!」
巻き毛がひらりと翻ってシ/ズ/カは振り返った。
「確かに…今でも…ト/モ/ミは…岡/崎さんは私にとって大切な方です。
再び会うことができて私の心に迷いはあったかもしれません。
でも…ミ/キの話を聞いたら…ミ/キが私を思って泣いているって聞いたら……
私…やっぱりいてもたってもいられない。
私の心の中はミ/キでいっぱいになってしまうんです。
私はミ/キを失いたくない。でもミ/キは私のもとから出て行ってしまった。
自分でもどうしたら…いいのか…わからないんです」
シ/ズ/カの声は消えそうに小さくなり、涼しげだった目からは涙がわっと溢れてきて手で顔を覆ってしまった。
いつもの美しく気高く凛とした誇りある芬牛亜学院のクィーンとは全く違う。
薔薇の香りも女王の証であるケープも今のシ/ズ/カには全く関係のない物のようだった。
そこに居るのは好きな人を想い、不安で心が揺れている一人の女の子……。
「わわわわ!あんたまで泣くなよっ!あんたは芬牛亜学院の女王様だろ!」
大/菅は慌てて立ち上がり肩を震わせて泣いているシ/ズ/カのもとへ駆け寄った。
(……まいったな〜安/藤のことで張り切って会いには来たけど、この女王様までこんな風に泣かれちゃあ…
これじゃ安/藤と一緒だよ…)
「シ/ズ/カ?そろそろお茶でもいかがかし…きゃあ大変!」
フ/ミ/エが裏からそーっと顔を覗かせ2人の様子を見た瞬間、悲鳴を上げて物凄い勢いでボーリング大の謎の玉を大/菅に投げつけた。
−−−●☆(@_@)ゴッ!
「!…(o_ _)o」
玉は思いっきり大/菅の後頭部を直撃して、大/菅は物も言えずにバッタリと倒れてしまった。
「シ、シ、シ/ズ/カ大丈夫!この狼藉者に何かされたの?怪我をしたの?それとも罵詈雑言でも言われたの?」
フ/ミ/エは心配そうに走ってきて大/菅を踏みつけシ/ズ/カに駆け寄った。
「いいいいいいいいいえ、な、な、ななんでもないのよ。(きゃーす/ぐ/り/んったら夢中になると怖いわんっ(°m°;))
それより大/菅さん、大丈夫ですか?」
「ダメよシ/ズ/カ。この人はうかつに触ったら何をするかわからない乱暴者よ!!」
フ/ミ/エは助けようとするシ/ズ/カの手を止めた。
「……おいっっ!突然わけのわからないピカピカの変な玉をぶつけやがってどっちが乱暴者なんだよっ!!」
大/菅はむっくりと起き上がりもっともな言い分でフ/ミ/エに怒鳴りつけた。
「まあ!シ/ズ/カを泣かせておいてなんて言い草ですの!」
フ/ミ/エも負けずに言い返した。
「私が泣かせたわけじゃねえっての!今私が泣かせてやりたいのはおまえの方だっ!!」
「ちょっちょっと…2人とも…」
「まあ、こわ〜〜い!( V∇V)フッこの私がそんな脅しで泣くと思っているの!
やっぱり素被威度学園は野蛮な方の集団ですわ!早くミ/キを返しなさい!」
「あの…フ/ミ/エも冷静に…」
「おまえらの方が野蛮じゃねーか!そんな所に安/藤を返せるか!」
「あの…私の話を…」
「それではあなた方は誘拐したも同然です!こうなったら正式に素被威度学園に抗議します!」
「フフフ/ミ/エ…?」
「そんなまどろっこしいことしないで今すぐ勝負してやるぜ!かかってきな!」
「あのおお大/菅さんも…」
「望むところですわ!!!」
2人はおでこをぎゅ〜〜っとくっつけて鼻息も荒く闘牛のようににらみ合っていた。
シ/ズ/カが一生懸命仲裁をしようとしてもまったく聞く耳を持たない2人だった。
(…つづく!)
ここのSS良作ばっかで萌えました!
過去スレ見たいんだけど見れないのがなんとも残念
自分はトリノからフィギュア見たんだけど
しーちゃんとミキティに姉妹愛?を越えたものを感じてしまいます
2人はセクシーだったり子供みたいな所もあって
そんな絡みを想像したりするとたまりません!!
でも最近2人の絡みがなくて寂しい
シーズンになればまた萌え映像がでてくるかな???
姐さんに続いてI子ちゃんもかあああああ
ちょっと残念だけど幸せそうだからオメ!
I子ちゃんも姐さんと同じく旧姓で続行なんだな
I子ちゃんも妙姉御の憧れてモグール始めたんだよね
妙姉御にどんどん開発されるI子ちゃんみたいなもーそーも膨らむのだが…
妙姉御と同じ色の目樽目指してがんがれ!!!
>>292 2人が絡むとリアリティもあるし自分もドキドキしてしまう
学園ものの続きが楽しみです!
I子タソはしばらくシソコソネタが続きそうだよなぁ〜
妙姐さんとのモーソーを描いていた私…乙orz
学園ものは続きまっせ〜↓
――――
ドゥルンドゥルン…
素被威度学園の校門を岡/崎の乗ったバイクが出ようとしていた。
「待ってください、岡/崎先輩!!」
排気音を掻き分けるように岡/崎の耳にミ/キの声が届いた。
「安/藤…!」
「お願いします、ミ/キも一緒に連れて行ってください」
ミ/キは息を切らして駆け寄ってきた。
「……私はおまえから芬牛亜学院に帰るっていう台詞を待っていたけど……こんな風に連れて行くのは少々不本意なんだ」
岡/崎はメットを脱ぎ、少し困惑した顔を見せた。
「…でも…ミ/キのことで大/菅先輩が行ってしまったのなら私が行かないと……お願いです、連れて行ってください」
「……学院に行けば荒/川さんに会うことになる。おまえの気持ちの整理はついているのかい?」
「……」
「それにまあ、あいつが芬牛亜学院に行ってるかどうかもわからないし。とりあえず私が様子を見てくるから…」
2人が話をしていると、なにやらへろへろした物体が近づいてくる気配がする。
それはカクンカクンと情けない音を立てながら学園の入り口になんとか辿り着くとバッタリと倒れてしまった。
「大/菅!」「大/菅先輩!」
その正体はボロボロになった大/菅だった。
――――
「…んん〜〜」
保健室のベッドの上で大/菅は目を覚ました。
「……あ〜…私は…素被威度学園に帰ってきたのか…?」
「大丈夫ですか先輩…」
ミ/キと岡/崎が心配そうに覗き込んでいるのを見つけて、大/菅は慌てて飛び起きようとした。
「!姐さん!安/藤!っっいてて…!」
「大人しく寝てろって。おまえ、後頭部に物凄く大きなタンコブできてるぞ」
「…ちぇっ」
大/菅は頭を押さえながらバタンとベッドに横になった。
「いったいなにがあったんだ?」
「…どーもこーもないっすよぉ〜」
大/菅は頬っぺたを膨らませて話しはじめた。
「私…荒/川/シ/ズ/カと直談判するために芬牛亜学院に乗り込んでいっちまったんです。
安/藤がどんなに悩んでるのか知らせたかったし、あいつはどう思ってるか知りたくって」
「……」
「でっ…なんとか2人で話をしてたら急にあの頭の固い監督生がいちゃもんつけてきやがって…
私もつい売り言葉に買い言葉で、睨みあってたところにわ〜っと他の生徒が一斉に飛びかかって来たんですよ。
も〜ダンベルや唐傘を投げつけられるわ、ほっぺたむにむにされるわ、太股をすりすりっと触られるわ、
挙句の果てにはトイプードルやらミニチュアダックスまで飛びついて来るし…ったくとんだ目に合いましたよ」
「ははははは、それでボロボロになって逃げ帰ってきたってわけか」
「姐さん!私は尻尾巻いて逃げてきた訳じゃないですからねっ!(`×´)
あのまんまじゃ埒があかねえからとりあえずいったん退避しただけですよっ!」
「はいはい、わかりました」
「ああ安/藤、言っておくけどな、私は学院の奴らに指一本手を出しちゃいねえからな」
大/菅は心配そうな顔をしているミ/キにウインクした。
「くっくっく…よくもまあおまえがやられっぱなしで我慢したもんだな」
「先輩すみません、ミ/キのせいで…」
ミ/キは大/菅のほっぺたに油性マジックでデカデカと書かれた『あ/さ/だ/ま/お ノーミス!(*^∇゜)v』のサインを見ながら
小さくなって頭を下げた。
「でも相談もせずに1人で無謀な行動を起こしたことには問題があるな」
岡/崎は腕を組んで大/菅を睨んだ。
「姐さん!」
「しばらくの間私の許可があるまで謹慎すること。いいな」
「……」
「あの岡/崎先輩、待ってください。大/菅先輩は…」
「安/藤。これはおまえや大/菅だけの問題じゃないんだよ。
勝手に芬牛亜学院に乗り込んでコトを起こしたのなら、素被威度学園に非があるのは明らかだ。わかるな、大/菅」
「……わかりました」
大/菅は神妙な顔でこくんと頭を下げた。
「夕食は私が持ってきてやるからしばらくここで大人しくしてろよ。行くぞ安/藤」
「……」
ミ/キは大/菅を気にしながら、岡/崎の後を追って保健室を出た。
「あの…岡/崎先輩」
「……」
廊下で岡/崎の後ろを歩きながら、思い切ってミ/キが言った。
「大/菅先輩の謹慎…ミ/キが代わってはダメですか?」
「……」
「元はと言えばミ/キのせいですから…」
「……」
ミ/キを振り返りもせずに難しい顔で歩いていた岡/崎はピタッと止まり、突然くすっと笑った。
「…岡/崎先輩?」
「わかってるよ安/藤。あいつはコトを荒立てようと芬牛亜学院に乗り込んだわけじゃない。
ただあの直情バカにはちょっと頭を冷やしてもらいたいだけさ。それに…」
「…それに?」
「あんなズタボロの姿、芬牛亜学院の子たちにやられたなんてあいつのプライドにかけて知られたくないだろう?
はははは、芬牛亜学院もなかなかやるねえ」
岡/崎は大笑いしながら、目を丸くしているミ/キの頭をポンポンと撫でた。
「まっ、あの程度の怪我ならいつものことだし心配する事もないさ。明日にはあいつもけろっとしてるだろ」
……でもな、安/藤」
「……」
「私はあいつのことを直情バカとは言ったけど…うらやましいなって思うこともあるんだ」
「……」
「世の中しがらみやら遠慮やらでストレートにぶつかり合うってことができなくなることがあるだろう。
でもあいつは時々それをすっとばしてドーンと自分の気持ちを真っ直ぐにぶつけてくるんだ。
……確かにポカやることもあるけど、見ていて胸がすくって言うのかなぁ」
「……」
「そしてはっとすることがある。知らないうちに迷っていた心に平手打ちを食らったようにね。
……だから私はあいつが可愛いんだよ」
「岡/崎先輩…」
「シ/ズ/カの心にもそれが届くといいなって私は思ってるよ」
もう一度ポンポンとミ/キの肩を叩くと岡/崎は手を振りながら去っていった。
(……自分の気持ちを真っ直ぐに……)
ミ/キは岡/崎の後姿を見つめながら廊下に立ち尽くしていた。
(…つづく!)
これまた展開が気になりますな!
ふぃギャー学園でフルボッコルにされてるO菅タンが目に浮かぶw魔王ワロタ
土居も始まりましたね
土居のおさしん見ただけど幹ちゃんチョーエロいっす!!!
キュートなポリヌ姿見たばっかだから
余計におおお〜っとおさしん釘付けになりましたよ!
スタイル良くて笑顔キュートでほんに小悪魔ですなあ
シズゥとの絡みもいいが同じ土居でセクスィーなガーター姿のフミィお姉たまとの絡みも
妄想したくなる今日この頃です
ジャソクO菅タソとさほりんのやり取りが面白かった!
カラ〒がほっかいどー一とはO菅タソすごかったんだね
怒らせたらコワソーです!!
さほりんはカソトクの奥様の初○を頂いちゃうとは…!ww
ジャソクはらいしゅーユカリソの料理対決だ!エプロン姿がカワエエ!
楽しみぃ〜!!
氷園天国の続きです↓
――――芬牛亜学院女子寮、ヨ/シ/エの部屋。
あの騒動に関わったヨ/シ/エ、マ/イ、マ/オ、ナ/ナが集まりシ/ズ/カの部屋へ行ったユ/カ/リが帰ってくるのを待っていた。
騒動に加担したこの4人には反省文提出と3日間の練習禁止、
そしてこの騒動の元になったフ/ミ/エは当分懺悔室で謹慎することがシ/ズ/カから告げられていた。
(ちなみにユ/カ/リは自室での/だ/めのDVD鑑賞中でこの騒動には入っていなかったのだ)
しかしなんとかフ/ミ/エの謹慎を解いてもらおうとユ/カ/リがシ/ズ/カの部屋に交渉に行ったのだった。
「ユ/カ/リお姉様なかなか帰ってこないわね」
「話が長引いとるようやな」
「ねえお姉ちゃん、にくきゅうって漢字どう書くの?」
「も〜マ/オったらこんな時に何を書いてるの?」
「えーっとねこれはねエ/ア/ロの分の反省文だよっU^ェ^Uテ/ィ/ア/ラと小/町の分も書かなくちゃ!」
「わーいいなーナ/ナもテ/ィ/ア/ラの反省文書きたーい!犬の気持ちになりたいもんワンワン!U^ェ^U」
「マ/オ、犬の気持ちわかるよワンワン!U^ェ^U」
「じゃあ、犬語で反省文書こう!ワンワン!U^ェ^U」
「それいいかもー!ワンワン!U^ェ^U」
「………」「………」
しばらくしてドアがカチャリと開きユ/カ/リが帰ってくるとみんなが一斉に集まった。
「ユ/カ/リお姉様!」
「どうやったん?」
「…やっぱりフ/ミ/エお姉様は当分懺悔室に入ることになったらしいわ」
ユ/カ/リは申し訳なさそうにそう言った。
「そうか…今回はあかんかったなぁ〜うちもてっきりフ/ミ/エお姉はんが素被威度学園の人にやられそうって思い込んで
やりすぎてもうたからなー…(-_-)ヾ」(←トレーニング中のダンベル投げた人)
「ナ/ナもいっしょになっていろいろやらせていただきました!(*^▽^*)」(←7色の笑顔で大/菅の背中の上で3/Tかましていた人)
「マ/オも一生懸命参加しちゃったもんね (*^∇゜)v」(←どさくさにまぎれてとにかくいろいろやった人)
「事実関係も確認せずにしてしまったのはいけないことだったわ」(←雰囲気的にとりあえず騒動に参加した人)
「でもフ/ミ/エお姉様だけそんな罰を受けるんじゃ可哀想だよ、なんとかならないの?」
マ/オがしゃがみこんで小柄なユ/カ/リの顔を覗きこんだ。
「……私もシ/ズ/カお姉様にフ/ミ/エお姉様の謹慎をなんとか減刑してもらおうとお願いしたんだけど…
どうやらフ/ミ/エお姉様が自分から懺悔室に閉じこもっちゃったらしいのよ」
「……あの後チ/カちゃんにめっちゃ怒られてたからなぁ〜フ/ミ/エお姉はんとしては何よりそれがショックやったんやろなあ…」
みんなは大きなため息をつき肩を落とした。
――――
その頃懺悔室ではフ/ミ/エが机に向かい一心不乱に祈りを捧げていた。
祭壇のマリア像が慈悲深い瞳でフ/ミ/エを見守っている。
(ああ神様、チ/カ、あいらびゅー…私はなんということをしてしまったのでしょう。
思い違いとはいえあんなに暴力を奮ってしまって久しぶりにすっきり…いいえ、ものすごく後悔していますわ。
このままではリ/ン/クに来てくださるお客様に顔向けできません。
いっそ髪を落として修道院へ行こうかしら…でも坊主頭ではリ/ン/クで風邪をひいてしまうし…
それとも大/菅さんにぶって下さいって言ってみようかしら…ああそれではあぶない趣味と勘違いされそうだし…
神様、チ/カ…私はどうしたら良いのでしょう…罪深い私をお許しください…暴力反対世界平和らぶ&ぴーす…)
懺悔の言葉は止まることなくまるで何かの呪文のように延々と続いていた。
――――シ/ズ/カの私室。
ユ/カ/リが出て行き、ぽつんとまた1人になったシ/ズ/カは長いため息をついてミ/キの部屋に歩いていった。
(「し/ー/ち/ゃ/んって…あんたの名前を聞いただけで泣いちまう。それだけあんたのことが好きなんだよ」)
大/菅の言った言葉が耳から離れない。
ミ/キのベッドに座っているス/ヌ/ー/ピーをシ/ズ/カにそっと触れた。
(私は久しぶりにト/モ/ミに会えて懐かしくて心が揺れ動いた…ト/モ/ミの優しさに甘えたかったんだ)
でもミ/キが泣いてると聞いた時、シ/ズ/カの胸はミ/キのことでいっぱいになって苦しかった。
…ミ/キとの愛を知らない頃には戻れない。時計の針は逆に進むことはない…。
彼女はそれを知っていたのだ。
(あの時のキスはきっと…あの頃の恋を卒業するためのキスだったのね…)
シ/ズ/カは立ち上がり頬をつたう涙をそっとぬぐった。
名門の誇りある聖・芬牛亜学院の頂点であるクィーン。
その重責と不安で押しつぶされそうになる私を支えてくれたのはト/モ/ミだった。
今はクィーンとしての自覚も誇りもある。
トップス/ケ/ー/ターとして世界で認められた喜びも…
みんながいるから私はこうしてス/ケ/ー/トをしていられるとひしひしと感じる。
でも…一番そばに居てほしいのはやっぱりミ/キ。
そして一番幸せになってほしいのもミ/キ…。
(「安/藤は待ってる。あんたが来るのを」)
もう一度大/菅の言った言葉がシ/ズ/カの胸の奥で響いた。
――――
(……神様、CO2削減ストップザ温暖化でリ/ン/クの氷が溶けませんように。
それから世界経済が回復して世界中にス/ケ/ー/ト/リ/ン/クが建設されますように。
それからチ/カがお姉ちゃんといると恥ずかしいっ!もぉ嫌!なんて言いませんように。それから…)
夜が深まってきてもフ/ミ/エは祈り続けていた。
しかしそれは懺悔の言葉と言うより神様へのお願いが多くなってきたようである。
トントン!
不意にノックの音がしてドアがギーッと開いた。
「……シ/ズ/カ!」
中に入ってきたのは確かにシ/ズ/カだったがフ/ミ/エはその姿を見て驚いた。
ボディラインがくっきりとわかる黒い革のライダースーツ。
そしてそれには背中からわき腹にかけて天下御免国士無双荒/川参上の金文字が流れるように描かれている。
長い髪をさっとかき上げてすらりと立つその姿は……昔クィーンになる前のあの頃のシ/ズ/カの姿だった。
「どうしたの?!いったいこれは…」
フ/ミ/エは目を丸くして声を上げた。
「……フ/ミ/エ、私…これからミ/キの所に行くわ」
「その姿で?!」
「ん……ミ/キに今までの私のことも話そうと思うの。私のことも知ってもらって私もミ/キのことをもっと知りたいの」
シ/ズ/カは少しはにかみながら、でもはっきりとした声でフ/ミ/エに言った。
「…シ/ズ/カ…」
「フ/ミ/エもこんな所に篭っていないできちんと大/菅さんにあやまるのよ。素直にあやまれば彼女もきっと許してくれるわ」
「わわわわ私はべべべ別にあんな素被威度学園のふふふ不良の人に許してもらおうなんておおおお思ってないわっっ!」
フ/ミ/エは頬をぱーっと赤くして手をパタパタして必死に首を振った。
「いい?きちんとあやまってね。それが監督生としてのフ/ミ/エの使命よ。それじゃあ私、ミ/キを迎えに行って来るわ」
シ/ズ/カは涼しげに微笑むとウインクを投げてふわりと髪をなびかせて手を振った。
「……シ/ズ/カ…」
シ/ズ/カが颯爽と去った後には甘い薔薇の残り香が懺悔室に残っていた。
(…つづく!)
学園様投下ありがとー
シズゥが乗り込んでいくのね!ドキドキです
フミィの天然ぶりもいいっす!w
ジャソクみますた!ユカリソ勝利オメ!
マィほーちょーマィえぷろんが名前入りでかわえかった〜
あんなおいしそーな料理作れるなら
シズゥが嫁に来いって言いそうだなw
シズゥはまず食い気だからw
料理で釣るのはかなりいい手かもww
幹タンも料理でシズゥにラブラブ攻撃してましたね
シズゥがいよいよ学園に乗り込んで幹タンを奪い返し?に行くのですね!
楽しみで仕方ない
スレ途中から来た者です
ここはSSいろいろ読めてうれしいです
自分はフィギャ萌えですが前スレ読めなくてorz
光の庭とか最初から読みたいな〜と思ってまして
作者様がろだにあげるかもとかおっしゃってたみたいですけど
どこかにあがってますか?
ヒントだけでよいので教えてくださる方がいましたらお願いします
>>314 いい2ショだね〜!!
ほんのり恥じらいの感じられる幹ちゃんがええわぁ
好きな人と2ショってなんか照れくさいのかもしれんわ
ではつづきを↓
――――
ドッドッドルゥン…
けたたましい音を立て、深夜の素被威度学園の女子寮の前にバイクに乗った女性が現れた。
岡/崎が上着をはおり玄関に出て行くと、その女性はメットを脱ぎ真っ直ぐに歩いてきた。
門灯の光に黒い革のシルエットと白く輝く肌が浮かび上がる。
すらりとしたその女性は長い影を引きながら、岡/崎の前で立ち止まった。
その姿は懐かしいあの頃のシズカだった。
「今日は…あなたでなくミ/キに会いに来たの」
「シ/ズ/カ…」
岡/崎は一瞬驚いたような顔をしたが、すぐににっこりと微笑んでシ/ズ/カを見上げた。
涼しい夜風が2人の間をふわりと流れていった。
「姐さん、誰か来たんですか?こんな夜中に…」
「大/菅先輩待ってください。まだ寝ていた方が…」
「安/藤、私はもう大丈夫だって!それよりバイクの音が…」
後から寮の中から誰かがバタバタと駆け寄ってくる足音がする。
「お……!おまえは…荒/川/シ/ズ/カ!?」
「……!」
玄関に飛び出した大/菅はシ/ズ/カの姿を見るなりびっくりしてかたまった。
追いかけてきたミ/キはシ/ズ/カの姿を見つけると、信じられないという顔で立ちすくんだ。
「……」
し/ー/ち/ゃ/んという言葉すら出てこない。息をのんで夢にまで見た愛しいその人をただ見つめるだけだった。
「…ミ/キ…」
シ/ズ/カの方も突然現れたミ/キになんと言っていいかわからない。
「…遅くなってごめん…」
ようやくそう言ってミ/キの顔をしみじみと見つめた。
するとミ/キの大きな瞳がふるふると震えて、波のように涙が盛り上がってくる。
ミ/キはくすんと鼻を鳴らし、泣き出しそうになる自分をなんとかこらえて首を振った。
「……私…ミ/キの気持ち…よく知らなかった…。
好きって言う自分の気持ちだけでミ/キが悩んでることがわからなかったの。ごめんね」
シ/ズ/カの言葉にミ/キは涙をこぼしながら激しく首を振った。
「……ちがう…ちがうの。し/ー/ち/ゃ/んのせいじゃない…し/ー/ち/ゃ/んのせいじゃないよ!」
ミ/キは振り絞るような声をあげうつむいた。
「ミ/キ…一緒に来て。私のことも知って欲しい」
シ/ズ/カがミキ/の手を取ると、ミ/キは岡/崎の方へ振り返った。
「安/藤、行っておいで。そして自分の気持ちを素直に話すんだよ。
自分の気持ちを押し殺したままじゃいい女になれないよ。
惚れた相手には本音を言ってこそ芯の通ったいい女になるのさ、シ/ズ/カのようにね」
岡/崎はそう言ってミ/キの方へ持ってきたヘルメットをぽんと投げた。
「……」
ミ/キはそれを受け取り涙を拭いてこくんとうなづいた。
そしてメットを被り、シ/ズ/カのバイクの後ろに乗った。
「しっかり捕まって行きな。シ/ズ/カの走りは荒っぽいからね。振り落とされるなよ」
ミ/キは背中にぴったりと顔をつけぎゅっとシズカにしがみついた。
「……ト/モ/ミ、大/菅さん、ありがとう。また改めて御礼に伺うわ。ミ/キ、行くわよ」
シ/ズ/カは2人へ礼を言い、背中の温もりを確かめるように視線を投げてからバイクのハンドルを握りなおした。
大きな排気音を立てて2人の乗ったバイクは学園の門を抜けてあっという間に夜の闇へと遠ざかっていった。
テールランプが見えなくなるまで見送るとあっけに取られていた大/菅がようやく口を開いた。
「……姐さん、あの荒/川/シ/ズ/カの格好はいったい…」
「あとはあの2人に任せておこう。明日も早いしさあ寝るよ、大/菅」
岡/崎は大あくびをして手を伸ばし何事もなかったかのように寮の方へ歩き出した。
「…あ、安/藤ちゃんと帰ってくるかなあ…ス/ヌ/ー/ピーだって部屋にまだあるのに…」
「野暮な心配すんなって。あーそうかー安/藤いなくなっちゃって寂しいんだな。久しぶりに一緒に寝るか?」
「ななななな、何言ってんですかあ!!私はそんなガキじゃないですよぉっ!」
「ふーん、じゃあちゃんとタンコブ冷やして1人できちんと寝るんだよ」
しらっと岡/崎が背を向けて歩き出したのを見て大/菅はちょっと唇を尖らせ、
ちらちら視線を送りながらわざと聞こえるか聞こえないかくらいの声でつぶやいた。
「……あ…えーっと…もしかしたら…私夜…急に頭痛くなるかも…しれない……かなぁ〜
1人だと…困る…かも…なんて…」
「素直じゃないねえ!いい女になるには素直になれよ!」
岡/崎はニヤッと笑って大菅/を引き寄せ、髪をくしゃくしゃとかき混ぜながら部屋へ戻っていった。
ミ/キを乗せたシ/ズ/カは繁華街を抜けるとますますスピードを上げて夜の闇を走っていった。
シ/ズ/カの背中にぎゅっとしがみつきながらミ/キは流れ去る街灯を見ていた。
涙で少し滲んだ光が尾を引きながら後方へ次から次へと流れていく。
まるで2人は遠い宇宙を旅するほうき星のよう…
どんどん加速する感覚にミ/キは何もかも忘れそうになる。
でもシ/ズ/カの温もりだけはしっかりと全身で感じられる。
学院のある丘も越え、バイクは街で一番高い山へと向かっていった。
車がやっとすれ違えるくらいの細い道路の急カーブもシ/ズ/カはなんなく走り抜ける。
右に左に激しく揺さぶられてもミ/キはちっとも怖くはなかった。
バイクが止まり、ふと空を見上げると満天の星が手に届きそうなくらい近く感じた。
ここは山の峠。
辺りは何もなくて風と虫の声が星空に吸い込まれて行くみたいだった。
真夜中で1人で来たら怖くて泣き出しそうな寂しい所だけど、こうして2人きりでいられることにミ/キは胸がドキドキしてはち切れそうだった。
シ/ズ/カの手を借りて無言のままバイクから降りた。
メットを脱ぐとシ/ズ/カの顔が現れ、ミ/キは改めて懐かしくて恋しくて涙が出そうになってしまった。
「ミ/キ……こんな格好で驚いた?」
シ/ズ/カは顔にまとわりつく髪をかきあげミ/キにやさしく微笑んだ。
ミ/キは小さく首を振った。
「私ね、昔…こうしてバイクに乗って真夜中に走り回ったり、繁華街で遊び歩いたりもしてたのよ。
周りは私にすごい期待していたけど私はそれが嫌で嫌でたまらなくて…ス/ケ/ー/トからも学院からも逃げ出したかった。
いっそ退学処分にしてくれたらいいのにってずっと思っていたわ」
「……し/ー/ち/ゃ/ん…」
「あの真面目なフ/ミ/エにもずいぶん迷惑をかけてしまったわ。……それに…ト/モ/ミにも…」
「…ト/モ/ミ…?ト/モ/ミって岡/崎先輩のこと…?」
「そう……私たち……ずうっと昔…愛し合っていたの」
「……!」
ぎゅっと心臓がきしんだ。こんなに魅力的なシ/ズ/カに過去の恋人がいてもおかしくはない。
でも素被威度学園の生徒会長で自分より遥かに大人な岡/崎を思い出し、胸がズキンと痛んだ。
自分と岡/崎とではあまりにも違いすぎる。
シ/ズ/カに会えてうれしくてドキドキしていた気持ちがしぼんで胸の奥に落ち込みそうだった。
(…つづく!)
氷園天国様、投下ありがとー
やっとシズゥきたーーーーーって感じですかね
続きも楽しみにしてます!
>>315 過去スレ見られないのかな
光の庭は長編で前々スレから続いていたんだっけ
確か作者様がまとめてどこかの炉だに上げるかもっとおっしゃってたけど
上げたっていうカキコがないからまだじゃないかな?
気長に待たれよ
保守
学園モノの職人様
続きを楽しみに首を長くして待ってます
続きが楽しみでWKTK続行中
お久しぶりです光の庭の者です
>>315 興味を持っていただいてありがとうございます
光の庭は途中から、当初考えてたストーリーをかなり変えているので
違和感の有る部分などを書き直したりしています
出来たらろだに上げようと思ってますがいつも使ってるろだ(おのですが)
がどうやら携帯だとうまく見られないみたいなんです
どこか上げられるいい所があると良いのですが、、、
もうしばらくお待ちを!
話は変わって今日F○Iのテレビを見てました
鷹箸選手とシズゥとの絆を中心にした番組だったけど
シズゥの優しさが伝わってきて、見ているこっちもじーんときました
多分他の後輩達にもすごく慕われるんでしょうね〜
百合燃えとしては幹ちゃんや他の女の子達との絆もぜひ特集してほしいな〜
光の庭様、お久しぶりですっっ!
光の庭改訂版あるのですね!リアルタイムでwktkして読んでおりましたょ!
ぜひ完成したお披露目してくださいな!
>>328さん
氷園天国もがんがります!
続きをどーぞー↓
「……あの頃の私は周りに振り回されてばかりで1人で悩んでいるだけだった…そしてト/モ/ミに出会ったの。
ト/モ/ミはわがままな私に付き合ってくれて優しくて…私たちは自然に愛し合うようになったわ。
そして…2人っきりでいるとス/ケ/ー/トのことも学院のことも忘れられることができた。
…でも…私…素被威度学園でト/モ/ミがリ/ン/クで滑っている姿を見に行ったことがあるの。
2人のことは秘密だったからお互いの学校には行かない約束だったけど…会いたくて我慢できなくてついこっそりとね。
…リ/ン/クで滑るト/モ/ミは私が見たこともない真剣で厳しくて…それでとっても生き生きとした顔だった…。
そうしたら、なぜだか私の胸にも火をつけられたようにス/ケ/ー/トをすごく恋しいって思う気持ちが芽生えたの。
ス/ピ/ー/ドとフ/ィ/ギ/ュ/アなんて全然違うのにね。
それから程なくト/モ/ミは私から離れていった…最初はふられたんだって落ち込んだし、ト/モ/ミのことも恨んだりした。
でも…彼女はわかっていたのよ。私がやっぱりス/ケ/ー/トから離れられないってことが。
そしてもう…自分が近くにいるべきではないってことも…」
「…し/ー/ち/ゃ/ん…」
「…でも…私はみんなが思うほど強い人間じゃない。そしてミ/キに知ってもらいたいの。私がどんなに弱くて情けなくて
…1人ぼっちでは倒れそうになるくらい小さな存在だってことを」
「……」
「それからの私はすごく落ち込んだけれど、前よりもずっとス/ケ/ー/トに真剣に向き合おうという気持ちになった。
……そんな時…ミ/キ、あなたに出会った…。あなたはとても一生懸命でかわいらしくて…本当に天使みたいな存在だった。
ああ、生まれ変わった私にス/ケ/ー/トの神様がきっとめぐり合わせてくれたんだって思ったの。
私はそれからも何度もスランプになったり迷ったりしたけど、そのたびにミ/キの笑顔とひたむきさに励まされてきたわ」
「……そんな…!ミ/キはなんにもしてないよ!ミ/キの方こそし/ー/ち/ゃ/んは憧れの人で優しくて…大好きだったからス/ケ/ー/ト続けてこれたんだよ」
「ううん、ミ/キがいてくれるだけで私がどんなに勇気づけられたことか…。
そしてミ/キはどんどん大人っぽく女っぽくなってまぶしすぎる存在になった…
ミ/キがどんどん成長していくのはうれしかったけど、みんなから注目されて愛されて…なんだかジェラシーも感じてた。
私だけのミ/キじゃなくなっちゃうんだなって…」
「ミ/キ…し/ー/ち/ゃ/んみたいになりたいって一生懸命だったけど、それは注目されたいとかちやほやされたいってことじゃなかったよ。
……いろんな試合にし/ー/ち/ゃ/んと一緒に出られて一緒に表彰台に乗れて…し/ー/ち/ゃ/んと一緒にいられるから頑張った。
ミ/キは…マスコミとか…お偉いさんとか…本当は苦手…だけど…し/ー/ち/ゃ/んがいてくれたから…」
ミ/キは濡れた睫毛を震わせながらじっとシ/ズ/カをみつめている。
その瞳の中にいるのは自分だけ…そう思うとたまらなく愛おしくなってシ/ズ/カはミ/キを抱きしめたくなる。
二度と離したくないくらいに…。
シ/ズ/カはその気持ちをぐっと抑えて肩に手を置いた。
「……私…いつのまにかミ/キのこと…妹みたいに思うより…それ以上に愛してしまった…。
ミ/キをお世話役にして、いつもそばに居てもらって…思うままに自分のものにしようとしてしまったのよ…」
シ/ズ/カは苦しそうにうつむいた。
知らないうちに肩を掴む手に力が入った。
でも身じろぎせずにミ/キはシ/ズ/カを見つめているだけだった。
シ/ズ/カは手を離し、自分の胸の前で苦しそうにぎゅっと握りしめた。
「……し/ー/ち/ゃ/ん…」
「私は…きっとうんとわがままね……ミ/キがいなくちゃダメだなんて言って…ミ/キの心を縛りつけてる…。
愛してる…これは本当のことよ。ミ/キのことを誰よりも愛してる…だから…もう私…ミ/キが私から離れたとしても…きっと…大…丈夫…」
「し/ー/ち/ゃ/ん!?」
「……ミ/キには…自由でいてほしい…お世話役やめたって…たとえ学院から離れても…私はずっとあなたのことを……」
そう言いながらシ/ズ/カの顔は子供のようにくちゃっとつぶれ、涙がポロポロと頬を流れた。
「し/ー/ち/ゃ/ん!」
ミ/キはそんなシ/ズ/カを抱きしめて、頬に流れる涙を吸い取るようにキスをした。
「し/ー/ち/ゃ/ん、ちがうの。ミ/キはし/ー/ち/ゃ/んから離れたかったんじゃない。離れたくなくて怖かったの」
「ミ/キ…?」
「ミ/キは…し/ー/ち/ゃ/んにずっとずっと憧れてた。
学院に入って…し/ー/ち/ゃ/んのそばに居られて、お世話役にも選ばれて…本当にうれしかった。
し/ー/ち/ゃ/んは近くに居れば居るほど素敵で…どんどん好きになっていった。
し/ー/ち/ゃ/んもすごく可愛がってくれて、本当に夢を見ているような毎日だった。
でも…し/ー/ち/ゃ/んのことを好きになればなるほど、ミ/キは怖くなったの。
し/ー/ち/ゃ/んのことが大好き……愛してる…でもミ/キはふさわしい女の子じゃないような気がして…。
ミ/キはし/ー/ち/ゃ/んみたいに素敵な人になれるか自信がない…ス/ケ/ー/トだってみんなが期待しているようなことできる自信もない。
ミ/キが何の才能もない女の子だって知ったらし/ー/ち/ゃ/んに嫌われるんじゃないかって…すっごく不安だったの」
「ミ/キ…」
ミ/キがそんなことを思っていたなんて…どんなことがあっても私がミ/キのことを嫌いになるわけがない。
シ/ズ/カはそう叫びたかった。
でもそういう不安に駆られる気持ちもわかる。
自分もかつてはそうだったから。
「ミ/キ…どんな時も私がついているわ。ミ/キは誰の真似でもなくミキのス/ケ/ー/トをすればいい。
それに私は…ミ/キのままのミ/キが好きだから…」
「し/ー/ち/ゃ/ん!」
ミ/キは顔を伏せたまま、シ/ズ/カの胸に飛び込んで子供みたいにぎゅっと抱きついた。
「…ミ/キもやっぱりス/ケ/ー/トから離れられない。そしてミ/キはずっとし/ー/ち/ゃ/んのそばにいたい。
ミ/キは縛られてるなんて思ってないよ。ううん、ミ/キのこといなくちゃダメなんて言ってくれてすごくうれしい。
し/ー/ち/ゃ/んはわがままでミ/キを自分のものにしようとしたんじゃない。
ミ/キの方がもっともっとし/ーち/ゃ/んのものになりたかったの。
し/ー/ち/ゃ/んが辛い時はミ/キがなんでもしてあげる。し/ー/ち/ゃ/んが望むならミ/キはなんでもできるよ」
「ミ/キ…」
手でミ/キの頬をはさむとミ/キの瞳は涙でいっぱいだった。長い睫毛は宝石のような雫で濡れていた。
シ/ズ/カも同じ気持ちだった。
ミ/キが望むなら全てを捧げてもいい…。
シ/ズ/カはそんな思いをこめてミ/キの唇にキスをした。
一ヶ月足らず会えなかっただけなのに、もう何年も会っていないくらい強く求め合った。
キスは2人の涙でほんの少ししょっぱかった。
でも腕の中のミ/キの熱い吐息はとろけるように甘い。
「…ミ/キ…愛してる。これからもずっと一緒よ」
「し/ー/ち/ゃ/ん…ミ/キもし/ー/ち/ゃ/んとずっと…」
ミ/キの言葉が終わらないうちに2人はもう一度キスをした。
空いっぱいに散りばめられた星の光がライスシャワーのように2人に降りそそいでいた。
(…つづく!)
長かった氷園天国もラストです!
今日はシズゥのぬーよくシーンが見られるのかな?
一緒のおのこ2人は要りませぬがw
シズゥとほっこり温泉なんてエエなぁ…
んなのも書いてみたいと思ったりw
――――深夜遅く。シ/ズ/カに送られて素被威度学園にミ/キは戻ってきた。
ミキはバイクを降りるとシ/ズ/カのメット越しにキスをした。
そしてバイクが見えなくなるまで校門の所で見送った。
寮を振り返ると岡/崎の部屋にはまだ明かりがついている。
ミ/キは自分の部屋に入る前に岡/崎の部屋に行き、ためらいがちにドアをノックした。
「…お帰り、安/藤」
ミ/キがドアを開けると机に向かっていた岡/崎は椅子をくるりと回し、やさしい声で迎えた。
「…岡/崎先輩…もしかして待っていてくださったのですか」
「いやいや、あの後目がさえちゃってね、少し資料を読んだりして時間をつぶしていたんだ。
もうそろそろ寝ようと思っていたんだよ」
机にはテーブルランプが灯り、確かに書類らしきものが広がっていた。
でも多分岡/崎は心配して帰ってくるまで待ってくれていたんだろうとミ/キは思った。
「……あの…し/ー/ち/ゃ/ん…あ、荒/川さんのことなんですけど」
「ちゃんと自分の気持ちを伝えたかい?」
「はい…ミ/キ…し/ー/ち/ゃ/んのこと好きなんです。でも自信がなかったんです…ス/ケ/ー/トのことも自分の気持ちにも…
だから…し/ー/ち/ゃ/んのそばには居られないって思ってしまったんです」
「……」
「でも…し/ー/ち/ゃ/んはミ/キのままでいいって言ってくれました。…うれしかった。
あんなに落ち込んでいたのがバカみたいに思えるくらいに。
そしてミ/キもわかったんです。ミ/キはし/ー/ち/ゃ/んを世界で1番愛してるって…」
「……」
「…それから…し/ー/ち/ゃ/んと先輩の過去のことも聞きました」
「そう」
岡/崎はひとこと言って目を伏せた。
(…し/ー/ち/ゃ/んの昔の恋人…)
あんな宣言をした後でもその人が目の前にいると思うと胸が切なくてキュンとした。
「……」
そんなミ/キにおとぎ話でもするように岡/崎はやさしい声で言った。
「…シ/ズ/カのこと…思い出すと…今でも私はすぐに飛んでいってぎゅっと抱きしめたくなるよ。
それは別れた後も変わらない」
「……岡/崎先輩…」
「でも…この間久しぶりに会えてわかったんだ。シ/ズ/カは大人になった。
まあ、他の人には隠してる甘えん坊な所もまだあるけど。
……でもきっともっともっと大切なものを自分で見つけたんだろうな、と思ったよ。
それが何かはもう…安/藤も気づいてるだろう?」
「……」
ミ/キの瞳から大粒の涙が溢れてきた。
「今までよく頑張ったね。それから私からもお礼を言いたんだ、ほんとうにありがとう」
岡/崎は泣いているミ/キを優しく腕の中で抱きしめた。
部屋に戻ると真っ暗で隣のベッドには誰もいる気配がなかった。
(…大/菅先輩…?)
部屋はしーんとして何もかもひんやりしていた。
着替えや荷物をバッグに詰めながらミ/キは待っていたが、大/菅はその夜帰ってこなかった。
――――翌朝。
荷物を手にミ/キは芬牛亜学院に帰ることになった。
素被威度学園の生徒たちが見送りに玄関へ出てきてくれていた。
「安/藤、またいつでも遊びに来てね!」
「街で会ったらお茶でもしようよ!」
みんなは名残惜しそうにしながらも、明るく声をかけてくれた。
「…あの…大/菅先輩は、まだ謹慎してるんですか?」
部屋でも朝食の時の食堂でも、まだ大/菅の姿が見えなくてミ/キは岡/崎に心配そうに尋ねた。
「いいや、謹慎なんてとっくに解いてるよ。大/菅の奴、荒/川さんが来たからおまえがすぐに帰っちゃうのがわかったのさ。
昨日の夜、私の部屋から出て行ったきり姿を見せてないんだよ」
「そんな…」
「ははは、心配しなさんな。あいつはあれでとっても泣き虫なくせにえらく意地っ張りなんだよ。
おまえが帰るのがうれしいのと寂しいのが半分ずつで泣いてる顔を見せたくないんだろうよ」
(大/菅先輩…)
ミ/キはまた涙が込みあげてきて懐かしそうに寮を見上げた。
「安/藤、バス停まで送ろうか」
「いいえ、大丈夫です。1人で帰れます。岡/崎先輩をはじめ他の先輩方、本当にお世話になりました」
ミキはもう一度学園に向かって深々と頭を下げた。
「お〜〜い!安/藤〜!!」
その時、寮の中から大/菅がものすごい早さで飛び出してきてミ/キの所へ駆け寄ってきた。
「大/菅先輩!」
「…あ、あのさ…こいつも良かったら連れて行ってくれよ」
赤い目のままで息を切らし、照れくさそうに手に持ったぬいぐるみを差し出した。
「…これは…」
「私が初めて海外で優勝した時に買ったス/ヌ/ー/ピ/ーなんだ。ずっとお守り代わりにしてたんだ。おまえにやるよ」
「そんな…大事なもの…」
「いいんだよ、おまえが少しでも私たちといた記念だから」
「先輩…」
「いろいろあったけど安/藤が来てくれて、楽しかったぜ。ありがとな」
ミ/キは目を潤ませてぎゅっとそれを抱きしめると、今度は自分のバッグからス/ヌー/ピ/ーのぬいぐるみを取り出し大菅に手渡した。
「これ…ミ/キがジュニアで優勝した時、お母さんが買ってくれたス/ヌ/ー/ピ/ーです。これを先輩に」
「安/藤!」
「私も素被威度学園に来て、いろんなことを教えてもらいました。一生忘れません、ありがとうございました」
「う…安/藤〜〜…」
大/菅はス/ヌ/ー/ピーを抱きしめ、鼻を真っ赤にして今にも大泣きしそうだった。
「安/藤、あんまり大/菅をいじめないでくれよ。こいついったん泣き始めると半日泣き止まないんだから」
岡/崎がにやにやしながら大/菅の肩に手をかけた。
「姐さん!私はそんなガキんちょみたいにいつまでも泣いたりしませんよぉ!」
「へーどうだかねぇ。だいたい昨日は学園を飛び出してどこ行ってたんだ?」
「わ、私だって、た、たまには1人になりたい時だってありますよっ」
「あ、そう。この間頭いた〜い!なでなでして〜って甘えてきた人は誰だったっけね」
「えーい、黙っててください、もうっ!」
涙がひっこんだ大/菅と岡/崎のやり取りを見ながらミ/キはくすっと笑った。
「…安/藤また会おう、バ/ン/ク/ーバ/ーで」
校門の所で岡/崎が目を輝かせながら手を差し伸べた。
「はい、絶対に行きます。皆さんに会えるのを励みに頑張ります」
「わ、私も行くからな。そしてこいつも連れて行ってやるんだ、バ/ン/ク/ー/バ/ーへ」
大/菅もミ/キからもらったス/ヌ/ー/ピ/ーの手をバンザイさせながら声を弾ませた。
ミ/キは2人と固い握手を交わして、ペコリとお辞儀をするとひらりとスカートをなびかせて走っていった。
バス停までの道。空気が澄んでいて街路樹が風に揺れている。
しばらく行くと、時刻表に隠れて照れくさそうに立つ人影を見つけた。
「し/ー/ち/ゃ/ん!」
ミ/キはぱっと顔を輝かせ、シ/ズ/カの胸へ飛び込んでいった。
「待ちきれなくて来てしまったの。ミ/キ、おかえり」
シ/ズ/カは春風のように飛んで来たミ/キをやさしく受け止めて抱きしめた。
ミ/キ…ずっとし/ー/ち/ゃ/んといっしょだよ、愛してる…
甘い薔薇の匂いと懐かしいかすかな氷の匂い。
次のバスが来るまであと5分。
2人は永遠を誓い合うキスをした。
(おわり)
氷園天国の作者様、長編オツでした!
大変たのしく読ませていただきました〜。
思いついたら、ほっこり温泉物も是非!楽しみにしてますw
氷園天国作者様ありがとーございました!
終わっちゃってなんか寂しいけど無事はぴエンドでよかったっす
その後のシズゥミキの続編なども書いてみてはいかがですか?w
バソクーばーに向けてふゅヌポのヌースもちらほら出てきましたね
どーやらシズゥは姐さんと対談したりI子ちゃんの取材したりしたみたいですなあ
芬牛亜も当然取材するだろうから放送が楽しみ
そういえば幹ちゃんはシズゥと同じ色のメダノレが欲しいっていってたな
あこがれの先輩への一途な思いがいいっすねえ
そうえいば姐さんもせーこさんと同じ色のメダノレでうれしいなんて言ってましたな
今思えば初々しいですねw
もう10月になりましたね
ふゅヌポーツも本格的に競技が始まりました!!
ヌースやテレビで見る機会も多くなってうれしいけど
なんか5厘ツーズンはドキドキしてしまいます!!
でっ氷園天国番外編を書いてみました〜↓
夕方の繁華街。
ミ/キが芬牛亜学院に帰って何日かが過ぎた頃、大/菅は1人で裏通りをぶらぶらしていた。
「ちぇっ、ついてねーな〜」
愚痴りながら唇を尖らせた。
今日は学園のリンクが調整の為、急に休みになってしまった。
一緒に出かけようと思っていた岡/崎は途中で理事長に呼ばれて行ってしまったし、
他の生徒たちもみんなそれぞれ予定を立ててとっとと出かけて行ってしまった。
仕方なく1人でバイクに乗り、芬牛亜学院の見える町外れの丘で昼寝をした。
そして日も落ちてきた頃ここへ足が向いたのだった。
「もう用はないし1人で歩いててもつまんねーな…そろそろ学園に帰るか」
灯りの点きはじめた路地裏でふと足が止まった。
前にフ/ミ/エとぶつかった曲がり角だ。
(そーいやあのクソ真面目な監督生どうしてるかな…ま、こんな所で会うことなんてもうないだろうけど)
しかし誰かの気配を感じて顔を上げるとそこにはなんと、大きな包みを持った制服姿のフ/ミ/エが立っていた。
フ/ミ/エの方も突然のことで目を丸くして口を開けたまま立ちすくんでいた。
「おまえは芬牛亜学院のアマグリ!」
「ああああああなたは素被威度学園のおおお大/菅さん!」
「な、なんでこんな所にいるんだよ!」
「べべべ別に来たくて来たわけじゃないですわ!それに私はアマグリではありません!す・ぐ・りです!」
鼻息を荒くしてフ/ミ/エは大/菅ににじり寄ったが、はっとして身を引いた。
「まままさかその包みを私にぶつける気じゃねーだろうな!」
この間の後頭部直撃を思い出し、大/菅の方も慌てて身を引いた。
「こここれはちがいますっ!」
後ろに隠そうとした包みをじーっと見て大/菅があー!と声を上げた。
「なんだー!おまえだったのかよ!そんなにたこ焼買い占めたっていう奴は!
さっきばーさんの店に行ったら20箱も買った客がいたって言って売れ切れになってたんだぞ!
せっかく食いに来たのに!」
「そそそんなこと私が知ったことではありませんわ!」
「……ま、そーだよな。別にそんなの私が怒る義理もないしなっ」
大/菅はため息をつき、あっさりと言い放った。
てっきり言いがかりをつけられると思っていたのに意外な反応が返ってきて
横を向いていたフ/ミ/エは片目を開けてそーっと向き直った。
「へへへ、どーだいアマグリ、そのたこ焼絶品だろ♪安/藤や女王様にも食わせてやれよ。
あの頑固ばーさん込みで私はあの店結構気に入ってるんだ」
「……」
人懐っこそうな笑顔をする大/菅を見て、フ/ミ/エはなぜだかドキドキして頬が熱くなった。
「あ、あのぅ…」
「あんたらみたいなお嬢様でもあのたこ焼好きになってくれてなんだかうれしいよ。
そうだ、安/藤元気か?またフ/ィ/ギ/ュ/ア始めたんだろ。うちへ来てた間ほとんど氷に乗ってないから心配なんだ、どうしてる?」
「え、ええミ/キは元気ですわ。すぐに勘も取り戻しましたし…」
「そっかー良かった。お世話役もまた元通りなんだろ。女王様と仲良くやってんのかなぁ」
「ご心配なさらずに。シ/ズ/カも今まで以上にミ/キに信頼をよせてますわ」
「……そうなのか…本当に良かったなあ。あ、そのたこ焼ちゃんと安/藤の分残しといてやれよ。
案外おまえらの女王様は大食いだからな、20箱あれば20箱とも食っちまうぞ」
「まあ、シ/ズ/カはそんなことしませんわ。ちゃんとミ/キと仲良く分け合うはずですわ。
(アイスクリームだったらわからないけど)」
いつのまにか並んで歩いているフ/ミ/エだったが、大/菅がミ/キの話ばかりすることが気になって仕方がなかった。
「私はこちらへ帰ります。それではごきげんよ…」
コホンと咳をしてフ/ミ/エは大通りへ向かう角でピタリと止まり、お辞儀をして大/菅と反対方向へ帰ろうとした。
「あ、ちょっと待てよ。送っていってやるよ」
「けけ結構です。以前もお話したとおり芬牛亜学院はバイク乗り入れ禁止ですっ」
「大丈夫だって。ばれないようにちょこっと前で降ろしてやるからさ」
「で、でも他校の生徒のバイクに無断で同乗するなんてそんなことできませんっ」
フ/ミ/エは頑なに首を振って走り出した。
「きゃっ!」
細い路地裏をさっさと通り抜けようと慌てていたフ/ミ/エはどん!と誰かにぶつかった。
「…も、申し訳ありません」
フ/ミ/エが謝り、頭を上げると軽薄そうなにやついた男の顔が目に入った。
「へ〜こりゃまた可愛い芬牛亜学院のお嬢さんだ」
「ごめんなさい、急いでいたものでしたから」
「ぶつかっておいてそのまま行っちまうつもりか?ちょっとぐらい付き合えよ」
「なにをなさるんですか!」
いきなり腕をつかまれ、フ/ミ/エが声を上げた。
「いいじゃん、いい店知ってんだ。一緒に行こうぜ」
後ろからもう2人男が出てきてフ/ミ/エは囲まれてしまった。
(…つづく!)
続編ktkr
O菅タンとフミィに進展があるのか…?!
wktkしながらつづき待ってますw
〒レビ中でしか見られないけど5厘ツーズンはみんな気合入ってて
こっちもdkdkしながら見てます!
なんか衣装がみんな大人っぽいよね
あと5ヶ月dkdkしっぱなしなんだろーなー
でっ番外編のつづきです↓
「おいっ!またてめーらか!」
大/菅が追いついてナンパ男達を見つけると大声で怒鳴りつけた。
「げ!おまえは素被威度学園の…」
「ったくこりねえ奴だな!そいつは私の連れだ。さっさと手を放しな!」
「なんだよ、またおまえか。そういやもう1人の相棒はどうした?」
「うるせー、おまえらなんか私1人で充分だよ。痛い目に合いたくなかったらそっこー散れっ!」
「へっ1人か。まあいいや、今日もおまえにゃ用はないぜ。用があるのはこっちのカワイ子ちゃんだからねえ」
男はフ/ミ/エを引き寄せ、いやらしく口を曲げて笑った。
「私は用はありません!放して下さい!」
フ/ミ/エは男の腕を振り払おうともがいていたが、瞳は怯えた色をしていた。
「こら!そいつを放せ!」
「しつこい女だな、おい、坊!ちょうどいい。相手してやってくれや」
リーダー格の男が裏道の奥に声をかけた。
すると薄暗い道からのっそりと強大な何かが出てきて、壁のように大/菅を見下ろした。
(ななななんなんだ、こいつは…)
その男は2mをはるかに越え、横幅もあり体重は150kgはありそうな大男だった。
しかし丸坊主で顔はぬぼーっとしていて、ガリガリくんを口にくわえ、さらにコーラ味とソーダ味とガリ子ちゃん3本を片手にぶら下げていた。
「お〜〜こいつがキーちゃんが前にゆってた女かよぉ」
声までも洞窟の中で響くようなぬぼーっとした声だった。
「そうだ、こいつをぶっつぶせば女を紹介してやるからよ」
「あ〜あ〜あブリキュアとかぁメロンバンナちゃんみたいな可愛い女の子じゃないとダメだぉ〜」
「わかったわかった、いいから早くやっちまえよ」
(…こいつ、ナリはデカイけどちょっと頭の回転とろそうな…それになんだっけ、なんかに似てるぞ。
えーとえーと大きい妖怪みたいな…えーっと、そーだっ!ぬりかべっ!)
「きゃあ、大/菅さんっ!」
フ/ミ/エの叫び声に我に返った大/菅の目にその大男がつかみかかってくるのが見えた。
ぎりぎりで身をかわしてすり抜けると、勢い余った手がトタンの塀を突き破った。
大男はちっとも気にせず、腕に絡みついたトタンをアルミホイルのように簡単にくしゃっと丸め、道の隅に放り投げた。
(!やばっ、こいつ図体のわりに素早い…それにあの力でつかまれたら)
大/菅の顔がさっと青ざめた。
「さ、あんなスケ番は坊にまかせてお嬢ちゃんはこっちで遊ぼうよ」
「いやですっ手を放しなさい!」
3人の男たちは嫌がるフ/ミ/エを抱えて裏道の奥へ連れていこうとした。
「そいつに手を出すな!」
大/菅は慌てて振り返り、男たちの方へ走り出した。
「わわっ!」
フ/ミ/エを抱え込んでいた2人の首根っこをガシッと捕まえて引きはがすと豪快に空中へ投げ飛ばした。
ガラガラと大きな音を立て空き缶の山に男たちは突っ込んだ。
「バカ!突っ立ってないで早く逃げろって!」
解放されたフ/ミ/エはたこ焼の包みを落として立ちすくんでいた。
「早く!私は大丈夫だ、そのまま真っ直ぐ走れ!」
フ/ミ/エは震えながら頷くと声に押されるように明るい方へ走っていった。
「おい、こら待て!女!」
追いかけようとしたもう1人の男の手を大/菅ががっちりとつかんだ。
「おまえもぶっとばしてやる!」
フ/ミ/エの後姿を見届けながら手首を捻ろうとした時、視界の隅に大きな影が近寄ってくる気配がした。
「――っ!」
影に覆われて気づいた時には避ける間もなく横からの強烈な衝撃に体ごと宙に飛んだ。
一瞬気を失いそうになりながら背中が地面に叩きつけられた。
「く…」
起き上がろうとした途端にさっきの大男が馬乗りになって覆いかぶさり、ものすごい力で両手も押さえつけた。
手首はぎりぎりと締め上げられ巨大な体重で体が圧迫されてつぶされそうだった。
「ちっ…お嬢の方を逃がしたか。おい、おまえら足も押さえつけてろよ」
リーダー格の男が土をはらいながら立ち上がり、大/菅の方へ近づいた。
どうやら2人の男が両足を押さえつけてたらしく、首以外身動きがとれなくなってしまった。
「さすがの素被威度学園の大/菅も自慢の足を封じられたんじゃ何にもできねえだろ」
薄笑いを浮かべ男は大/菅の頭をつま先でこつんと蹴って見下ろした。
「いてっ!か弱い乙女に男4人が寄ってたかってやることかよ!」
「か弱い?よくゆーぜ。まあそんな口をきけるのも今のうちだ。これからじっくり楽しませてもらうぜ」
大/菅は卑下た表情の男を睨みつけぐっと唇を結んだ。
「へへへ…たまにはこういう生きのいい奴も悪くないな」
足首の方からさわさわと触る見えない男の声がした。
「やめろ、バカ!さわんな!」
「1人逃がした分、たっぷりと可愛がってやるよ。2度と俺たちに大口が叩けないようにな」
「キーちゃん、おれが捕まえたからおれがうんと可愛がりたいなァ」
ぬりかべ男がなめるかと思うくらい顔を近づけた。
どろんとした目と怪力のギャップが不気味で寒気が走った。
「坊、こいつは犬や猫と違うんだぞ。まあ可愛がり方を教えてやってもいいけどな」
「うん、これ可愛い。早く可愛がりたい」
「待てよ坊、まずは俺たちが見本を見せてやるからさ」
「〜〜〜〜!」
(…つづく!)
氷園天国ktkr!
なにやらO菅タンがあぶないじゃないの!
どうなるかdkdkしながら待ってます!
そういやグラソプリツリーズも始まるね!
こっちもdkdk!
久しぶりです
規制解除になったかな?
今回はほんとーーに長かった、、、、
でももうツーズン突入
百合萌え探しに萌えております
学園ものさんも続き待ってます
フミィ残念だったけどだんだん良くなってる感じするね!
全ぬほんでまた神演技見せて欲しいなあ
シズゥの解説もどことなくぎこちなさを感じさせながら落ち着いてて良かったw
幹ちゃんのファイナノレも楽しみだけど
いろいろシズゥとの絡み晩組もあるみたいだからそっちの方が余計楽しみです
え〜、もう質問された方も見てないかもしれないけど、、、
『光の庭』の改訂版を糖化してみました
携帯から見られるろだって言うのがいまいち見つからなくて
思い切って?HPめいかーでサイト作ってみました
クリスマスくらいまでは置いとこうかと思ってます
まだ糖化途中だしHPめいかーの仕様がよくわからないのですが
携帯からも読めると、思います、、、たぶん
tp://hp41.0zero.jp/694/icesnow2010/でパスは前回と一緒
よろしくお願いします
お久しぶりですっ光の庭様!!!!
改訂版あるのですね
うちはPCからですけどさっそく読みたひ〜〜と思ったんですけど
どうやら書庫の先からはパスワード入れないと読めないんですね(; ;)
メ欄にもありませんよね…
ヒントだけでも良いので教えてください
お待たせしました????氷園天国番外編ですぅ〜
あシズゥとさほり姐さんのフレソドぱーく見ますた!!
姉貴キャラかと思ってたシズゥが意外にさほり姐さんペースで引っ張られてましたよね〜
まあさほり姐さんが物凄く押しがつよそーでしたケドww
フミィも意外とそういうキャラっぽいのでほんとにつきあったら
シズゥの方がはいはいって感じでおとなしくついていくかも…なんてもーそーしてしまいましたょ
それでは規制も解けたので続きっっ!↓
(くそ、こりゃ隙を見てなんとかしないとヤバイぜ…)
大/菅が押さえられた足を振りほどく隙をうかがっていると、突然ぬりかべ男の背後から叫び声が聞こえた。
「わああああぁぁぁ〜〜〜!」「ひえええぇぇぇ〜〜!」
それは情けない声の尾を引きながら空の彼方へ遠ざかっていった。
と同時に大/菅の足の拘束がなくなり、急に軽くなった。
「な、何があったんだ?坊、ちょっとどけ!」
ただならぬ気配にリーダー格の男も慌ててぬりかべ男の後ろを確認しようとした。
ぬりかべ男ものそりと大/菅の体から離れ後ろを振り返った。
「おまえは!」
そこにはくるくると華麗にス/ピ/ンするフ/ミ/エの姿があった。
やがてピタリと正面で止まると両手を合わせ「神様ごめんなさい」のお祈りポーズでフィニッシュした。
どうやら大/菅の足を押さえていた2人はフ/ミ/エの竜巻のような高速ス/ピ/ンではじき飛ばされてしまったらしい。
「おー〜すごいおぉぉ!」
ぬりかべ男は単純に喜んでいる。
「バカ、坊、喜んでる場合か!こいつも早く…」
「させるかよっ!」
ぬりかべ男が立ち上がる前に、大/菅が目にも止まらぬ早さの回し蹴りを後頭部にお見舞いした。
「ぐおっ…!」
さすがのぬりかべ男も強靭な太股で繰り出されたパワーの蹴りに唸り声をあげて四つんばいになった。
「ふんっ!ゲ/ゲ/ゲ/の/鬼/太/郎のぬりかべはいい奴なんだぜ!か弱い乙女を痛めつけるなんておまえは最低だ!」
頭をブルブル振り、再び熊のように両手を広げて襲いかかってきたぬりかべ男の股間を大/菅はありったけの力で蹴り上げた。
「ぉぉぉぉぉぉ〜!」
底なし沼から聞こえてくるような悲鳴をあげ、男は股間を押さえたまま大木が倒れるように顔面から突っ伏した。
ガラガラガシャーン!
まわりのゴミを巻き込みながら男は倒れ、泡を吹いて動かなくなった。
「あ、あ、あ…」
残されたナンパ男は足をガクガクさせながらその場にへたりこんだ。
「おい」
「ひぃぃっ!」
鋭い目つきでずいっと近づいた大/菅に男は情けない声を上げて縮みあがった。
「私を可愛がってくれるはずじゃなかったのか」
「そそそんなめめめっそうもございませんっ!」
「…2度と私らに手をだすんじゃねえぞ」
「ははははい」
「こいつは今日のお駄賃だっ」
大/菅は男の襟首を捕まえ、ガッと股間に膝蹴りを入れた。
男は声も出さずに目を回して倒れてしまった。
「へっ、加減してやったのにオーバーな奴だな」
「……」
フミエは一部始終を呆然と見つめ固まっていた。
向き直った大/菅はすうっと大きく息を吸った。
「バカヤロー!なんで戻ってきたんだよ!」
吐き出された雷のような怒鳴り声にフ/ミ/エはビクンと肩をすくめた。
「逃げろって言ったのになんで戻ってきたんだよ!あぶねーじゃねーか!」
更に怒鳴られ、口を開けて硬直していたフ/ミ/エも真っ赤になって言い返した。
「何をおっしゃっているんですか!危なかったのは貴方の方ではないですか!
あんな男たちにたった1人で立ち向かうなんて…!」
「ふん、あんな奴ら私1人で充分だったんだ!」
「そんなことをおっしゃっても、かなり劣勢でしたわ。貴方があんな風に…あんな……」
大/菅が男たちに押さえつけられていた姿を思い出すと、言葉が途切れフミエの唇はがくがく震えだしてしまった。
「……とても…怖かった…たった1人で…貴方が…ひどいことされてるんじゃないかと思ったら…私…私…」
「アマグリ…」
フ/ミ/エは全身を震わせながら、わっと泣き出し手で顔を覆った。
「おい、誰かそこで倒れてるぞ」
「なんだ酔っぱらいかぁ?」
「ケンカじゃねえの?」
騒ぎをかぎつけたのか人が近づいてくる気配がする。
ファンファンファン…
大通りの方からサイレンの音まで聞こえてきた。
「やべっ、ずらかるぜ!」
大/菅はしゃくりあげているフ/ミ/エの手をつかんで走り出した。
(…つづく!)
あああ光の庭様、改訂版私も読みたいですぅぅぅぅ!
私もぱすがわかりません〜
前回がよくわからないのです…
私にもヒントでよいので教えてくださいませ
氷園天国の作者様!お待ちしてました!
O菅タンのピンチを助けるフミィがかわいい!!
続きも期待しちゃいます
光の庭の携帯サイト
ぱすのヒントはれす49番辺りをご覧下さいませ
メ欄がそのまま書庫のぱすになります
大量の為まだ途中ですが随時あっぷしていく予定です
いよいよぐらんぷりφなるですね〜
男子も女子も応援してますよ!!
幹ちゃん、かっこよかった〜〜
また明日もドキドキだなあ
382は光の庭の作者でしたっ
光の庭様ありがとおおおおおお!
読めましたよん!!
一度読んだとはいえ微妙に違ったりしてまた楽しめましたぉ(〃^∇^)ノ
続きもヨロシクですm(_ _ )m
光の庭の者です
改訂版すべてup終わりました
良かったら読んでみてくださいね
ヌピヌケ陣は帰国したようですね
フィギアもヌピヌケも年末の千行会に向けて頑張ってほしいです
ホントもっと枠が欲しいくらいですよね〜
後1ヶ月でここも4年目ですね!
ここもまた盛り上がればいいな〜
もうすぐだね
いろいろ代表センツュが決まってきてdkdkですぅ
ヌピヌケの鷹義三保タンはまだちうがくせいなのでここで話題に出すのはなんだが
ボーイッシュでかわええね
姐さん残念だったね。
今回は種目を見てても萌えをまだ感じられないんだが皆さんはどうすか?
すぐりんとO菅タン朝のニュースに解説かなんかででてるよね
今回の伍厘は姐さんらしからぬ成績だったな
でもヌピヌケの子平なおちゃんと姐さんがちょっぴり萌え
テレビでやってたケシダン式の様子
緊張していた子平ちゃんの襟を姐さんがかいがいしく直してあげてた
ポンとやさしく叩かれるととたんに子平ちゃんがにこーっと笑顔になるのが萌えでした
セソツュむらでも同室だそうでいろいろ妄想しちゃいます
391 :
名無しさん@秘密の花園:2010/02/28(日) 08:23:36 ID:wvd0pcdm
ほしゅ
ほしゅ
394 :
名無しさん@秘密の花園:2010/04/19(月) 07:56:22 ID:Y5HrQkXD
あげ
396 :
名無しさん@秘密の花園:2010/08/12(木) 02:32:42 ID:HQlcmMPH
ほしゅあげ
ともみ姐さん妊娠!!
398 :
名無しさん@秘密の花園:2010/08/13(金) 01:22:14 ID:qKWPmmpm
朋美姐さんは以前「子供は欲しいけど旦那はいらない」って言ってたよね
無事目的を達成したのであとは百合道を進んでくださいw
399 :
名無しさん@秘密の花園:2010/08/13(金) 21:55:38 ID:KS0/2w1J
あげ
今発売中(9/4号)の週刊現代にふ み えさんのグラビア載ってるよ。
401 :
名無しさん@秘密の花園:2010/10/17(日) 22:42:56 ID:aU1NE5HW
age
フィギュア百合
403 :
名無しさん@秘密の花園:2010/11/07(日) 01:35:04 ID:3VGSed7f
あんどーみきは女から見てもけっこうムラムラくる
405 :
名無しさん@秘密の花園:2011/01/27(木) 14:34:20 ID:FytzhiN4
あんどうみきのからだエロい
こーちとうわさあるみたいだけど女同士にも興味ありそう
実際にはチンチン大好きだけどね
407 :
名無しさん@秘密の花園:2011/01/31(月) 04:47:08 ID:88gdKXWr
↑亀井静香君……やっぱり君ってガチホモニートなんだね
408 :
亀井静香:2011/01/31(月) 05:07:58 ID:RWX2a2fH