ストライクウィッチーズでレズ百合萌えpart11

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1名無しさん@秘密の花園
守りたいから私は飛ぶ!!パンツじゃないから恥ずかしくないもん!

●スタッフ
監督・アニメキャラデザイン:高村和宏     キャラクターデザイン原案:島田フミカネ
シリーズ構成:ストライカーユニット        助監督:八谷賢一
世界観設定・軍事考証:鈴木貴昭        メカデザイン・メカ総作監:寺尾洋之
キャラクター総作監:山川宏治・平田雄三   美術監督:小倉宏昌(小倉工房)
美術設定:松本浩樹(スタジオイースター)    カラーデザイン:甲斐けいこ・池田ひとみ
3D監督:下山博嗣                  撮影監督:江間常高
編集:三嶋章紀                   音響監督:吉田知弘
音響制作:楽音舎                  音楽:長岡成貢
音楽制作:コロムビアミュージックエンタテインメント
アニメーション制作:GONZO
原作:島田フミカネ&Projekt Kagonish(プロイエクト カーゴニッシュ)

●キャスト
宮藤芳佳(みやふじ よしか):福圓美里     坂本美緒(さかもと みお):千葉紗子
ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ:田中理恵   リネット・ビショップ:名塚佳織
ペリーヌ・クロステルマン:沢城みゆき      エーリカ・ハルトマン:野川さくら
ゲルトルート・バルクホルン:園崎未恵     フランチェスカ・ルッキーニ:斎藤千和
シャーロット・E・イェーガー:小清水亜美    エイラ・イルマタル・ユーティライネン:仲井絵里香
サーニャ・V・リトヴャク:門脇舞以

●放送局
※放送は終了しました

●関連サイト
公式サイト:http://s-witch.cute.or.jp/
まとめwiki:http://www37.atwiki.jp/strike_witches/
人物呼称表:http://www37.atwiki.jp/strike_witches/pages/50.html
百合SSまとめサイト:http://lilystrikewitches.web.fc2.com/

●次スレ
次スレは>>970or480KB超を目安に、臨機応変に立てて下さい。
必要な事前準備等があれば、>>920or450KB超を目安にして下さい。

●前スレ
ストライクウィッチーズでレズ百合萌えpart10
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1226862801/
2名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 03:22:00 ID:S6ZLnOOZ
Q.○○書いたんですけど投下してもいいですか?

A.どうぞ、ぜひ投下してください。
条件は「ストライクウィッチーズ」関連であること、
「百合」であることの二つのみです。
ジャンル、エロの有無、本編にないカップリングなどに関係なく、
このスレの住人はおいしく頂いております。
妄想だとか落書きだとか気にせずとにかく投下してみましょう。

ただし、SS専用スレではないので20レスを超えるような長編は事前に断りがあると吉です。
3名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 03:22:39 ID:S6ZLnOOZ
──リレーSSの手引き──

★基本ルール
○始める時は、リレーSSであることを宣言する。
○続ける人は宣言は不要だが、一行目に継承元の安価をつける。
○ただし、結末を書く場合は「次で終わっていいですか?」と訊いておく。
○継承先は指定できない。誰かが早い者勝ちで続きを書く。
○ただし自分自身の続きは書かない。最低2人は挟んでから。
○2レス以上にまたがらない。1レスでクールに。
○重複したら先に書いた方を優先する。
○作者名は名前欄に入れる。名無し希望は未入力でも可。
○リレー進行中は他のリレーは開始しない。
○もちろん普通のSSは、リレーの状況に関わらずどんどん投下してください。

★本文と書式
○語り手や文調はできるだけ継承する。唐突な視点変更は避ける。
○誤解を招きやすいため、科白にはキャラの名前をつける。(例:芳佳「おっぱい」)
○後に文が続く事を意識して、できるだけ色々な取り方ができる終わり方にする。
○「駄文失礼〜」「お目汚し〜」等の前書きやあとがきはナンセンスなので付けない。

★心構えと方針
○無理して面白くしようとしない。ナチュラルに妄想を爆発させるべし。
○不本意なカプの流れになっても泣かない。むしろ目覚めるべし。
○展開を強要したり口を挟まない。流れに身を委ねるべし。
○なかなか続きが来なくても焦らない。気長に有志を待つべし。
○多少の誤字脱字、設定違反、日本語おかしい文章には目を瞑る。スルーすべし。
○参加者はみな平等。新兵もエースもリレー主も一切特権はない。仲良くすべし。
○男はいらねえんだよ!ふたなりネタも自重すべし。
4名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 09:42:49 ID:vyyYRkVV
乙!
5名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 10:42:09 ID:iKUJrRDZ
おお…乙!
6前スレ639:2008/11/26(水) 11:03:26 ID:njuRVFRs
ごめん、また埋め損ねた
もう1レスあるけど時間ないのであとで
7前スレ639:2008/11/26(水) 11:04:19 ID:njuRVFRs
それと1乙!
8名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 11:25:49 ID:4JO+Mzw3
>>1乙です
9滝川浜田:2008/11/26(水) 11:39:37 ID:iKUJrRDZ
新スレ記念という事でエーゲル投下いたします。
って言うかこのスレやっぱり速度速いwww
10滝川浜田 『願い事、ひとつだけ』:2008/11/26(水) 11:42:01 ID:iKUJrRDZ



「綺麗な夜空だね」
「たまにはこうやって、ゆっくり夜空を眺めるのも良いだろう?エーリカ」

私はトゥルーデに誘われて、夜空を見に来た。
トゥルーデに夜空を眺める趣味があるなんて、ちょっと乙女チックだなと微笑ましく思いながら、私はトゥルーデと夜空を眺める事にした。

「エーリカ、知ってるか?
今夜は数年に一度の流星群の夜なんだ」
「へー、流れ星がたくさん降るんだ。
願い事し放題じゃん」
「フフ、そうだな」
「ねえ、トゥルーデは流れ星が流れたら何を祈るの?」
「エーリカ、そういうのはな、人に言ってしまっては意味が無いんだ。
人に言ったら願いが叶わないという話がある」
「そうなんだ」
「まあ、私も本気で信じているわけじゃないが、こういう行事というのは、形に従うという事が何より大事だからな」
「ね、トゥルーデって星見るの好きなの?」
「ん?そうだな、嫌いでは無いな。なんだか落ちつくんだ。星も月も。
夜空に浮かぶ光るものというのはすべからく美しく、儚い。
…私はそういうものに心惹かれる」

そう話すトゥルーデの横顔は本当にキラキラ輝いていて。
私は思わずドキッと胸の鼓動を高鳴らせる。

11滝川浜田 『願い事、ひとつだけ』:2008/11/26(水) 11:45:00 ID:iKUJrRDZ


「……なんかトゥルーデ、可愛い」
「なっ、なんだいきなりっ…//////」
「だって星や月の事をそんなキラキラした瞳で話しているトゥルーデを見たら、そう言いたくなるよ」
「…ありがとう、と言うべきかな?」
「ここは素直に喜ぶとこだと思うけどな」
「そうか、なら」
「ん?」
「ありがとう」

トゥルーデはそう言いながら、私のおでこにキスをした。

「トゥルーデ…//////」
「あ、あんまり言うな…私だって結構恥ずかしかったんだからな…//////」
「乙女みたいなトゥルーデ、やっぱ可愛い♪」
「バカか…//////」

すると。

「あれ、トゥルーデ、見て!」
「おお…これは、凄いな…!」

12滝川浜田 『願い事、ひとつだけ』:2008/11/26(水) 11:49:01 ID:iKUJrRDZ
私達の目の前には空一面の流星群。

「ほら、トゥルーデ!願い事願い事!」
「おお、そうだったな」

私は手を組んで、心の中で呟く。
隣をチラッと見れば、トゥルーデも何かを願っているようで。

……やっぱ、可愛い。

そんな事を思っていると、星は流れ終えた。

「…トゥルーデ、ちゃんと三回言えた?」
「…ああ、もちろんだ。私を舐めるな?」
「何願ったの?」
「さっきも言っただろう。願いは人に言ってしまっては意味が無いと」
「良いから良いから、ねえ教えてよ♪」

あまりにしつこかったのか、トゥルーデは私のおでこに軽くデコピンを一発。

「あいたっ」
「言わない。
だったら、お前の願いも私に教えなければな」

私はトゥルーデの耳に口を近付ける。

「だったら教えてあげるよ、私の願い」
「エーリカ」
「それはね…?」

この後はきっと、トゥルーデは真っ赤になりながら、私を怒るんだろうな、と思いながら私はトゥルーデに願いを告げた。


だって、なんだか私の願いが叶う予感がしたから。


END


以上です。エーゲルの甘々ものって結構珍しいのかな。
実際自分のエーゲルのストックは全部悲恋もの…
しかしこのスレももう11スレ…
速い!最近ほとんど参加できてなかったので、ちょっと頑張ります。

…では、爺はここら辺で…
13名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 16:39:35 ID:PHP29hvY
>>6
つ…続きを!続きを早く!気になってトイレにいけないじゃないか

>>12
しゃああ!早々に爺さまGJ!
トゥルーデはああ見えて人一倍ロマンティストだといい。乙女ならなおよし。

なんだかエーゲルがキテるな…嬉しい限りだ
14名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 17:09:36 ID:0yhSL8WW
>>12
エーゲルの魅力に最近気付いてきた
15名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 17:28:41 ID:MbBWX/oV
>>1

&じっちゃん久しぶり
エーゲル良いよエーゲル

前スレの埋めネタとj4ntaz3y氏の続きを待ち続けてる
16名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 19:16:46 ID:njuRVFRs
前スレ639の続き ※埋めゲーリカ・絡み的表現あり

それはいつも、本当は胸を支配している感情だ。懸命に理性の鎖で縛っているだけで、ともすれば暴れだしそうに
なっている劣情に繋がる、よこしまな感情だ。
いつもいつもそっけなくするだけだから、おそらく伝わっていないだろうと思ってはいた。けれども心のどこかで、
その気持ちをエーリカが汲んでくれやしないかと願ってもいた。本当はいつだって、ゲルトルートの理性は崩れ
落ちる一歩寸前で踏みとどまっている状態だったのだけれど目の前の小悪魔は全くそれに気付いていなかった
らしい。だから、あの行動が唐突な、気まぐれなものだなんて見当違いの愚痴をこぼすのだ。
けれど、ちがう。ゲルトルートは重ねた。

「他のヤツなんかにするわけないだろ。お前だからだよ、言わせないでくれ」

普段なら口が裂けたって言わない本心を、今日だけは口にしないといけないと思った。だってそうじゃないと説明
できないような行為を、自分はエーリカにしてしまったのだ。ここでいつもどおりに突っぱねたら、彼女はどこかへ
行ってしまうかもしれない。ひどいヤツだと愛想をつかして、例えばあの無駄に懐の大きなリベリアンのところだ
とかに。
それだけはどうしても避けたかった。…いや、シャーロット・E・イェーガーだからではない。いつもいつも自分に
ばかり文句を垂れて、自分だけを見て、自分だけに甘えて、愛情を下さいなと見上げているこのエーリカ・ハルトマンと
言う少女を、本当はどうしても、自分のところから離したくなかったのだ。そう言うことをするのは自分にだけでいい。
他の人間のところになんていって欲しくない。
口が避けても言えないけれど、本当はそれくらいの感情が、ゲルトルートの中にはあったのだ。

「…ほんとう?」
「本当だよ」
「ね、私、可愛かった?」
「…かわいかった、すごく」

ならいいや。ふふふ、と嬉しそうに肩を震わせるエーリカ。首に回した手を更にきつくして、体を密着させる。
あったかいなあ。そんなことをいちいち呟くものだから、先ほどからゲルトルートの顔が羞恥に染まりっぱなし
なのに、エーリカは気付いていながら黙っている。

「それならさあ、謝るよりも言うことがあると思うんだ」
「な、なんだよ」
「…分かりませんか」
「わからん」

じゃあ、分かるまで離してあげない。鳴り響く起床ラッパの音に重ねるように言われてゲルトルートは今度こそ
本当に泣きたくなった。勘弁してくれ、こんなところを誰かに見られたら恥ずかしさで死んでしまう。そう懇願しようと
口を開いた頃にはエーリカはもう再びの夢の中。もしかしたら目を覚ましているのかもしれないけれど、恐らく
お望みの言葉をゲルトルートが口にするまでは眠った振りを決め込むのだろう。

柔らかな肌が、自分の体の前面いっぱいに触れている。昨晩散々触れた場所だ。…拷問だ。触れたいけれど、
昨日のことを思い出したら何もできなくなる。

(さいあくのきぶんだ)

愛してると、言いたかったけれど。
やっぱり恥ずかしさが邪魔をして、言うな言うなと躍起になって顔を熱くしていくのでやめにしておくことにした。

以上
こんな初めてだったらトゥルーデまじへたれ
で、書き直してたらたくさん加筆してしまったのでtxtうp ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org12650.txt

>>前スレ625
いわせてください グ ッ ジ ョ ブ と!つづきwktkまってる!
この話の裏側でいじけてミーナにめそめそ愚痴こぼすゲルトの姿が見えるようだ
こんなときでも結局ゲルトをトゥルーデって呼んじゃうフラウがすごく可愛いと思うんだ。シャーリーマジがんばれ、理性的な意味で

エーゲルなスタートで幸先が良いな。よし昨日考え付いた芳ーニャとリーネイラでも書いてくるか
この際だからさっさと名乗りますね、21X2w2Ibでしたー
17名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 19:45:59 ID:Dmc3d5uj
>>16
GJ!txtもらったよー d
この日ストライカー履いたら魔力上がりまくってるんだろうなあw
18名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 19:59:14 ID:pU/bOsgE
>>16
密かに埋めネタ期待してましたGJ!
そしてリーネイラまだくるのかwもうリーネをそういう目でしか見れないw
19名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 20:05:51 ID:MbBWX/oV
21X2w2Ibさんかw
この埋めネタハンターめw
20名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 20:20:01 ID:fOdrECUT
>>16
トゥルーデかわゆすなぁw エーリカが小悪魔っぽいw
ありがとう梅の人!!
21DlYSXlr+:2008/11/26(水) 20:32:21 ID:i3+0/1dH
>>1
乙っす。早くも11スレ目。
正直、ここまで活気のあるスレになるとは思っても見なかったw。


>>12>>16
GJ!!
みんな、マジ凄いよ。
どんだけCPの組み合わせやネタの範囲が広いんだよw。
そのうち、SS本出せちゃいそうだよ・・・。

自分もエイラーニャネタで3レスほど投下させてもらいますよと。
22あなたが生きている今日は・・・:2008/11/26(水) 20:34:34 ID:i3+0/1dH
ごほ、ごほ、ごほん・・・。
乾いた咳の音が部屋に響きました。
「うぅ〜・・・苦しいナ・・・」
ガラガラの声で呟きながら、エイラさんはダルそうに寝返りを一つ打ちました。
朦朧としたまま、脇に挟んだ体温計を取り出してみると、目盛りは39℃のところまで上がっています。
咳に頭痛に鼻づまりに発熱。
誰がどう見ても風邪の症状です。
「はぁ・・・やっちまったナ・・・」
大きく溜め息を吐いて、エイラさんは枕元に貼ってあるカレンダーに目をやります。
カレンダーの今日の日付のところには赤いペンで大きな○がつけてあります。
今日はスオムスの独立記念日で、国を上げての大きなお祭りが行われる日でした。

コン、コン・・・。
小さなノックの後、静かにドアが開きました。
「エイラ、入るよ?」
「・・・サーニャか?」
ガンガンする頭を押さえながら、エイラさんが顔を上げるとサーニャさんが入ってきました。
手にはほんのりと湯気の立つカップを持っています。
「大丈夫? ちゃんと熱計った?」
「うん。 ちょっと熱があるけど、寝てれば治るヨ・・・」
「そう・・・ホットミルク持ってきたから飲んで」
「あぁ、ありがとナ・・・」
エイラさんは重たい身体を起こしながら、カップを受け取りました。

ミルクを飲み終えると、サーニャさんがそっとエイラさんの頬に手を添えました。
「・・・サーニャ?」
「・・・ホントだ。エイラの身体、熱くなってるね・・・辛そう・・・」
心配そうな顔でサーニャさんは呟きます。
サーニャさんに心配を掛けさせてはいけないと思い、エイラさんはカップを置いて笑顔を作ります。
「サーニャの手、ヒンヤリしてて気持ちイイナ・・・心が暖かい証拠ダナ」
エイラさんはサーニャさんの手を包み込みように握りながら、そう答えました・・・。
23あなたが生きている今日は・・・:2008/11/26(水) 20:36:42 ID:i3+0/1dH
「それよりサーニャ、ごめんナ・・・」
「どうして、謝るの?」
「だって、ホラ。お祭りに連れて行くって約束が守れなかったから・・・」
エイラさんは申し訳なさそうにサーニャさんに頭を下げました。
エイラさんはずっと、生まれ故郷のお祭りを案内してやるとサーニャさんに言っていました。
サーニャさんもエイラさんと一緒にお祭りに行ける事を心待ちにしていました。
だから、自分が風邪で寝込んでしまったせいで、サーニャさんを裏切ってしまった。
サーニャさんに悲しい思いをさせてしまった。
そう思って、エイラさんはサーニャさんに頭を下げたのでした。

「ううん。それはしょうがないよ。エイラが悪いわけじゃないよ」
「いや。風邪を引いたのは私のせいダシ・・・ホントにゴメン」
自分に対して優しい言葉を掛けてくれるサーニャさんに、エイラさんはもう一度、謝ります。
サーニャさんは下を向いたエイラさんをそっと抱きしめました。
「そんな風に謝らないで。顔を上げて、お願い・・・」
サーニャさんの言葉にエイラさんは顔を上げます。
サーニャさんは何も言わずに微笑むと、語りかけるように歌い始めました。

"世界中に定められた どんな記念日なんかより あなたが生きている今日は どんなに素晴らしいだろう"
"世界中に建てられてる どんな記念碑なんかより あなたが生きている今日は どんなに意味があるだろう"

それはエイラさんが今まで聴いたことの無い歌でした。
聴いた事はないけれど、どこか懐かしくて、心が暖かくなるような歌でした。
透き通るような美しい声で、優しく、ゆっくりとサーニャさんはその歌を歌いました。
そして、歌い終わると、サーニャさんはもう一度エイラさんに微笑みました。
「この歌はね、扶桑で流行ってる歌なんだって。芳佳ちゃんに教えてもらったの」
サーニャさんは照れくさそうに言うと、エイラさんの瞳を見つめました。

「私はね、お祭りに行きたかったんじゃないんだよ? エイラと一緒に居たかったんだよ」
「サーニャ・・・」
サーニャさんはエイラさんの肩に回した腕に力を込めて、エイラさんを抱き寄せました。
「だから、エイラが風邪を引いてくれてちょっと嬉しいな。だって、エイラの力になれるんだもの」
耳元で囁くと、サーニャさんは赤く火照ったエイラさんの頬に優しくキスをしました。
「サ、サーニャ! な、何を?!」
突然、キスをされたエイラさんの頬は、嬉しさと恥ずかしさでますます赤くなっていきます。
サーニャさんはその様子見てクスクスと笑いました。
「ふふふ。 エイラ、可愛い・・・」
「バ、バカ!! 風邪がうつるゾ・・・」
「私が風邪を引いたら、エイラが付きっきりで看病してくれるでしょう?」
「そ、それはそうだケド・・・」
恥ずかしそうにモジモジとするエイラさんを見て、サーニャさんはまた笑いました。
24あなたが生きている今日は・・・:2008/11/26(水) 20:39:59 ID:i3+0/1dH
「じゃあ、早く良くなって貰わなきゃね・・・そうだ、私、ボルシチ作るね」
「・・・あんまり食欲が無いナァ」
「ダ〜メ。野菜を沢山入れるから、ちゃんと食べてね」
「・・・うん、ワカッタ」
「出来上がるまでちゃんと寝てなきゃダメだからね」
そう言うとサーニャさんは、部屋を出て行こうとします。
「あっ、サーニャ」
「うん? なに?」
「・・・あ、アリガトナ!」
エイラさんはサーニャさんにお礼を言いました。
サーニャさんはエイラさんの言葉に微笑みながら頷くと、キッチンへと向かっていきました。

一人になったエイラさんはふと、自分達がウィッチーズに居た頃の事を思い出しました。
あの頃、サーニャさんはまだ幼くて、年上だった自分がサーニャさんの面倒見てあげていました。
自分が守ってあげなくちゃ。自分がしっかりしなきゃ。
いつもそんな風に思っていました。
だけど、今は違います。
今ではサーニャさんも私の事を守ってくれます。
自分の事を優しくしっかりと支えてくれています。
それがエイラさんには嬉しくて仕方ありませんでした。

「あの歌、いい歌だったナ・・・」
ぼぉーっとした頭でエイラさんは、サーニャさんに歌ってもらった歌の歌詞を思い浮かべました。
・・・そうだ、私もあの歌をサーニャに歌ってあげよう。
歌ってあげる事で、この嬉しい気持ちをサーニャ伝えよう。
言葉で伝えるのは難しいけれど、歌でならキチンと伝えられるだろうから。
「ごほ、ごほ・・・早く風邪治さなきゃナ」
サーニャさんの優しさを思いながら、エイラさんは布団を被って、静かに目を閉じました・・・。
そして、布団の中で、小さなガラガラ声で歌を口ずさみ始めました。

"世界中に定められた どんな記念日なんかより サーニャが生きている今日は どんなに素晴らしいだろう・・・"
"世界中に建てられてる どんな記念碑なんかより サーニャが生きている今日は どんなに意味があるだろう・・・"
25DlYSXlr+:2008/11/26(水) 20:41:46 ID:i3+0/1dH
おしまいです。
前にエイラスレで出ていたネタを拝借しました。
相関図とか色々あったみたいですが、やっぱりエイラーニャは夫婦だと思います。
26名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 20:44:11 ID:oAg2OM6H
芳エイラもエイラの面倒見のよさがあらわれると思うんだがな
27名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 20:57:52 ID:qNzt6VUo
>>25
なんだこれ…
あったかすぎるぜチクショウ!
やっぱりエイラーニャは最高です!
28名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 21:08:31 ID:n7rMsqmD
>>22-24
GJ
しかしスオムスの独立記念日っていつなんだろう?

さて僕も、なんか投下しようかな…。
29ウィッチーズ劇場シンデレラリーネ:2008/11/26(水) 21:52:04 ID:n7rMsqmD
昔々、
あるところにリネットという可哀想な少女がいました。
リネットのお母さんは、生まれてすぐに死んでしまい。お父さんはミーナというカールスラント人と再婚しました。
ミーナには、トゥールデとエーリカという2人の連れ子がいて、お父さんが生きているうちは仲良くしていましたが。
お父さんが死んだ途端に、ミーナは財産を全て自分達の物にして、
リネットには襤褸を着せて、
まるでメイドの様にこき使っていました…。
そして、トゥールデとエーリカはいつもリネットを虐めていました。


「貴様…なんてけしからん乳をしているんだ!」
「アハハ…どーしてロクな物を食べていないくせにおっぱいが大きいんだろうね…トゥールデ姉さん」

トゥールデとエーリカはいつものようにリネットの胸を、まるでパン生地の様にこねくり回して弄んでいました。
「やめて下さい…トゥールデ義姉さん、エーリカ義姉さん…ああ…あ〜」


「あ、隊ちょ…お母さんが帰ってきた。」
30名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 22:14:15 ID:HxAQH2K7
これ投下しても大丈夫?
31名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 22:19:44 ID:DWpiRk3v
おk
32名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 22:19:56 ID:ZER2pogm
一撃離脱してどっかいったのかな、作者さんw
33名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 22:27:55 ID:HxAQH2K7
エイラ×サーニャ前提のカタヤイネンさんの話。真面目に書いてたら普通にギャグになったから困る。
タイトルはWho is she?

今日もツいてない…。
昨日もツいてなかったけど…
それでも今日はやっぱり一番ツいてない…

あぁ、イッル…その娘は一体誰なんだ?


ブリタニアの義勇軍に参加していたイッルがガリア解放を期にスオムスに帰って
きた。
イッルは私のことなんてほっておいていきなりブリタニアに行ってしまったんだ
った…
あの日もツいてなかったっけ。
私にも言いたいことが色々あったんだぞ!
だからイッルが帰ってきたら絶対にこの気持ちをぶつけてやろうと思っていたの
に…

ーーーーーーーー

「おかえり、イッル。」
列車から降りてくる待ちに待った人影に声をかける。

イッルがブリタニアから帰ってくると知った私はイッルを迎えに駅までいったん
だ。
実は予定日を間違えていて昨日も待ちぼうけたんだけど…本当にツいてない。

「ようニパ、相変わらずツいてないのか?」
「久しぶりに会った相棒への第一声がそれなのか、イッル?」

早速軽口を叩き合う。
私たちの間に恐れていた距離は感じられなかった。
なんだ、今日はツいてるじゃないか。

でも私がツいてるなんておかしいって気付くべきだったんだ…

「ん?」

妙な違和感を感じてイッルを眺める。

「なんだこれ…腕か?」

イッルの腰あたりに腕が見える。
誰かが後ろからイッルを抱きしめてる?
ははっ、まさか…きっと幻覚だ。
朝に食べたキノコが悪かったに違いない。
なんてったって私はツいてないカタヤイネンだからな。

私はイッルの後ろに回り込み現実を確かめる。
34名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 22:29:22 ID:HxAQH2K7
「…………………。」
「…………………。」

OK、イッル、知り合いに有名なゴーストバスターがいるんだ、さあ行こう。
イッルの腰にはなんだか小さくて可愛らしい女の子が眠そうに抱きついていた。
私の視線とその娘の視線が交差する。

「なぁイッル?多分私の幻覚なんだがイッルの腰に女の子が抱きついてるんだ。な
にかとりつかれるようなことしたのか?」
「なに言ってんダ、ニパ?撃墜されすぎてどっかヤラレタカ?」

やっぱりイッルは気付いてないんだ。
そうに決まってる。
ヘタレで純情なイッルがこんな可愛い娘に抱きつかれて平気なはずがないからな


「この娘はサーニャって言うんダ。あっちの部隊で私とロッテを組んでたんダゾ
。」

どうしよう、現実だった。
あれ?でも…

「その娘の服、オラーシャの軍服だよな?そのサーニャ…ちゃん?はなんでここに
いるんだ?」

遊びに来たんだ…
遊びに来たんだと言え!
なぁイッル、すぐに私のとこに帰ってくるんだろ?

「それはダナ…」

おいイッル、どうしてそこで顔を赤くする!
風邪か?風邪だろ?スオムスはブリタニアより寒いからな。

「エイラ…」
「なんだサーニャ、起きてたノカ?」
「ちょっと前から。」
「あぁ、こいつはカタヤイネン、スオムスでの同僚ダゾ。」

同僚?相棒って言ってくれよイッル!

「サーニャのことも今から、しょ、紹介するからナ!仲良くするんダゾ?」
「うん。ありがとうエイラ。」

サーニャちゃんがイッルの胸によりかかる。
おい、そこは私だって未踏のサンクチュアリだ!
35名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 22:30:05 ID:HxAQH2K7
「ニ、ニパ?こここっ、この娘はササ、サーニャって言うんダ。」

それはさっき聞いた。
それよりなんでそんなに動揺してるんだ?
サーニャちゃんが起きたからなのか?
いや、久しぶりの私に緊張してるんだろ?
お願いだからそう言えよ!

「ササ、サササ、サ、サーニャは私のよよ、嫁なンダ!!」

目の前が真っ白になる。
あれ?今なんて言った?
嫁?よめ?ヨメ?…夜目だ、夜目に違いない。
サーニャちゃんは夜間哨戒のパートナーでイッルの夜目なんだろ!?
泣いてない!私は泣いてないぞ!

「サーニャとは1週間前に式をあげたんだ。ホントはスオムスのみんなも呼びたか
ったんだけど。」

そうだよな。私たちもスオムスで戦ってるんだ。呼べないよな。
でも私のことも覚えててくれたんだなイッル?嬉しいよ。
で、式ってなんだ?
あぁ、あれだろ?ガリア解散記念パーティーだろ?

「だからサーニャは私の嫁としてスオムスに転属になったンダ。」

夜目は必要だよな。スオムスには探知能力のある魔女が少ないからな。
えっ、現実を見ろって?
うるさい!私はツいてないカタヤイネン。
プラス思考でいかないと死んじゃうんだよ!

「そうだ、エル姉のとこにも挨拶に行かナキャ。」
「エル、姉?」
「エルマ少佐ダ。私の先輩で大事な家族ナンダ。」

ちょっと待てイッル!
どうして私が同僚であのドジっ娘エルマ少佐が大事な家族なんだ!

「お義母様?」
「いや、血の繋がりはないんダ。どっちかって言うとお姉様かな?」
「お、お姉様…?」

サーニャちゃんが怪訝な顔でイッルを見ている。
私たちはエルマ少佐を知ってるからその冗談が通じるんだ!
アホネンのお姉様隊は悪い意味で有名なんだぞ!
イッルはそういうとこ無頓着だ。

「じゃあエル姉のとこ行こうカ。」
「私が連れてってやるよイッル!」
「そうか、ありがとナ、ニパ。」

イッルがニッと笑う。

あぁ、やっぱり可愛いな…
36名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 22:30:34 ID:HxAQH2K7
ーーーーーーーー

「エル姉っ!いるカ?」

イッルがエルマ少佐の部屋にノックもせずに入る。
あれ?私のときよりも嬉しそうなのはなんで?

「エイラさん!お帰りなさい。よく頑張りましたね。」

エルマ少佐が嬉しそうにイッルを抱きしめた。
おい、それも私の未踏のサンクチュアリだ!

「あら、その娘がスオムスに転属するっていうサーニャさん?」
「そうダゾ、エル姉。わ、私の嫁ダ!」

イッルが太陽みたいに笑う。
そんなに嫁…いや、夜目が嬉しいのか!

「えええー!?そそ、それは私の将来の夢であるお嫁さんですか!?」

エルマ少佐が素っ頓狂な声をあげた。
エルマ少佐の将来の夢ってお嫁さんなんだ…らしいなぁ。
さぁイッル、夜間哨戒のパートナーだって言ってやるんだ!

「そうダゾ!サーニャは私のお嫁さんなんダ!」

YES?YESなのかイッル!?
夜間哨戒のパートナーじゃなくて夜のパートナーじゃないか!!
イッルの隣では色白のサーニャちゃんが茹でダコみたいに真っ赤になっている。
あれ、なにこれ?私失恋なのか?

「どどど、どうして私の周りの人はみんな女の子が好きなんですか!?」

エルマ少佐が狼狽して叫ぶ。
そうだ!イッルは女の子じゃないか!
だからイッルはちゃんと私のお嫁さんになるべきだ!

「いいジャナイカー!ほら見ろエル姉!サーニャはこんなに可愛いんだぞ。それに
優しいんだ。」

イッルが頬を赤らめてサーニャちゃんを誉める。
私はイッルに誉められたことないぞ。
いや、私だって誉められたことぐらいあった!

ーーーーーーーー

あれは何度目の被撃墜をくらったときだったか。
「ニパ、お前がいるとネウロイの攻撃がお前に集中するからすっごく楽ダ。でも
、絶対に死ぬんじゃないゾ!」

イッルはそう言って私に笑いかけたんだ。

ーーーーーーーー

うん、私も誉められたことある。
私の胸に鈍い痛みが走ったのは気のせいだろう。
37名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 22:31:11 ID:HxAQH2K7
思い出に耽っている間にイッルとエルマ少佐の話は進んだらしい。
どうやらサーニャちゃんの可愛さに少佐が撃墜されたようだ。

「本当に可愛いですね。ちっちゃいときのエイラさんもとっても可愛かったです
けど。」

エルマ少佐が目を輝かせてサーニャちゃんをなでなでしていた。
隣ではイッルが「サーニャをなでなでしていいのは私ダケダー!」と叫んでいる。
それなら私はイッルをなでなでする権利が欲しい!

「エイラ…」

サーニャちゃんがエルマ少佐のなでなでから逃げ出して再びイッルの腰にすがり
つく。

あぁやっぱりこの二人は夫婦なんだ…
なんで私ばかりこんな目に…本当にツいてない。

私も覚悟決めるかな。

「なぁ、イッル?話があるんだ。」
「どーしたンダ、ニパ?」
「いや、ここじゃできない話だから少し私の部屋に来てくれないか?」

私はイッルを連れ出すことに決めた。

「ん?それはサーニャも連れてっていーのカ?」
「いや、一人じゃだめか?」
「そうか。エル姉、サーニャを頼む。サーニャもしばらくエル姉と待っててくれ
るか?」
「…うん。」

サーニャちゃんが私を窺う。
ぼんやりと眠そうな目が私の心を透かして見ているんじゃないかと感じる。

イッルを少し借りるよ。
心のなかでそう呟く。
サーニャちゃんは全て分かっているかのように私に微笑んだ。

「じゃあイッル、行こうか。」
38名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 22:31:51 ID:HxAQH2K7
ーーーーーーーー

「ニパの部屋って相変わらず変わってるナ。」
「部屋に変な人面像があるやつに言われたくねーよ!」
「あれは占いグッズだ。変なものじゃない。」
「私のだって開運グッズだ。変なものじゃない。」

くだらない冗談を言い合う。
なんだ、私たちの間は何も変わってないじゃないか。
イッルが私をからかって私が負けじと言い返す。
そんな子供みたいなやりとりがどうしようもなく大切だった。

私たちは変わってないか?

「なぁイッル?お前の中に私はいるか?」
「はぁ!?いきなり何言ってンダ?」
「イッルは私を覚えているか?」
「どうしたニパ?やっぱり撃墜されすぎておかしくなったか?お前はカタヤイネン
。私の相棒で悪友だろ?」

心にかかる靄がスッと消えていく。
私にはその言葉だけで十分だった。

「行くかイッル?あんまりサーニャちゃんを待たせちゃ悪いしな。」
「おいニパ!話はどうしタ?」
「答えはもう貰ったさ。」

イッルが不満でもありげに私を見る。
この気持ちはやっぱ絶対教えてやらないことにしよう。
それにこんなこと伝えたらバカなイッルはバカみたいに悩むんだ。
新婚さんの邪魔してヘラジカに蹴られたくないしな。

「なにニヤニヤしてんダヨ?」
「イッルには秘密だ!」


そう言って私はイッルに笑いかける。

「なんだよソレー!?」
「さぁなんだろな?自分で考えてみろよ、その色惚けた頭を使ってさ!」
「ソンナンジャネーヨ!!」

ここは私だけの場所だ。
まぁ一番欲しかったイッルの隣はサーニャちゃんに持ってかれちゃったけど。
それでも私もいるならそれでいい。
ここをイッルの大切な場所にできればな!

「ほら行くぞ、イッル!」

Fin.
39名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 22:33:25 ID:HxAQH2K7
カタヤイネン→エイラはエイラ→サーニャみたいだと嬉しい。

てかもう1本OK?
40名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 22:34:41 ID:3jN75TS+
どんとこいだ。
Don'tじゃないぞ。
41名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 22:35:09 ID:qNzt6VUo
おお、ニヤニヤがとまらん
もう一本バッチこい
42名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 22:39:10 ID:HxAQH2K7
エイラーニャとシャキーニ前提のエイラとルッキーニいきます。

彼女は、自らの寝床に軽く心地よい振動が伝わったのを確認すると、同僚が脱ぎ散らかしたであろう衣服を整えてやろうとそろそろと寝床から這い出した。

しかし、いつもならそこかしこに散らばっているであろうその衣服は今宵は一着たりとも見つからなかった。

服も脱がずに寝てしまったな、そう思い、彼女が自らの寝床を振り返ると、
そこには愛しくて小さな彼女の待ち人よりもさらに小さく、太陽のような少女が猫のように丸まっていた。

彼女が驚愕し、そして少女を起こしてしまったことは仕方のないことであろう。
なぜなら、彼女にとってその少女は、もちろん何も知らない訳ではないが、決して深い仲ではなかった。

ウジュ、ウジュジュ、と奇妙な鳴き声を発しながら目覚めた少女に彼女は問いただす。

「なんでお前がココにいるんダ?」

少女は問いに答えることもせず、再び目を瞼で覆い始め、ついには寝息をたてはじめた。


眠りに落ちた少女を再び起こせるほど、彼女は優しさに欠けてはおらず、仕方がないといった様子で彼女に布団をかけてやろうとする。
しかし、よくよく見ると彼女はお気に入りらしい毛布を持参しており、既にその毛布をぐるぐると体に巻き付けるように眠っていた。

彼女が、少女には自らよりも寄り添うに値する相手がいるだろうに、と思いをめぐらすとそこで得心に至った。

「あぁ、今日はシャーリーがサーニャのパートナーだったカ。」

しかし、何故私の部屋なのだろう、と彼女は思索する。
少女にとって母の様な存在であるシャーリーを除いたとしても、何故自らが選ばれたかが分からない。
それこそ隊の父母的存在である坂本少佐やミーナ中佐の部屋にでも行けば、彼女たちは少女を暖かく迎えいれてくれるだろう。
43名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 22:40:03 ID:HxAQH2K7
ちと失敗。最初からいく。
44名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 22:40:51 ID:HxAQH2K7
寝る前に戸締まりをする。
彼女はもちろんそんなことを厭う類の人間ではなかった。

ただ彼女は夜の帳の下、
孤独な任務に殉じる小さく愛しい同僚が自らの温もりを求め、寄り添う場に壁を設けたくなかっただけである。

扉が開き、そして閉まる音、彼女はいつもその音で目を覚ます。

彼女は、自らの寝床に軽く心地よい振動が伝わったのを確認すると、同僚が脱ぎ散らかしたであろう衣服を整えてやろうとそろそろと寝床から這い出した。

しかし、いつもならそこかしこに散らばっているであろうその衣服は今宵は一着たりとも見つからなかった。

服も脱がずに寝てしまったな、そう思い、彼女が自らの寝床を振り返ると、
そこには愛しくて小さな彼女の待ち人よりもさらに小さく、太陽のような少女が猫のように丸まっていた。

彼女が驚愕し、そして少女を起こしてしまったことは仕方のないことであろう。
なぜなら、彼女にとってその少女は、もちろん何も知らない訳ではないが、決して深い仲ではなかった。

ウジュ、ウジュジュ、と奇妙な鳴き声を発しながら目覚めた少女に彼女は問いただす。

「なんでお前がココにいるんダ?」

少女は問いに答えることもせず、再び目を瞼で覆い始め、ついには寝息をたてはじめた。


眠りに落ちた少女を再び起こせるほど、彼女は優しさに欠けてはおらず、仕方がないといった様子で彼女に布団をかけてやろうとする。
しかし、よくよく見ると彼女はお気に入りらしい毛布を持参しており、既にその毛布をぐるぐると体に巻き付けるように眠っていた。

彼女が、少女には自らよりも寄り添うに値する相手がいるだろうに、と思いをめぐらすとそこで得心に至った。

「あぁ、今日はシャーリーがサーニャのパートナーだったカ。」

しかし、何故私の部屋なのだろう、と彼女は思索する。
少女にとって母の様な存在であるシャーリーを除いたとしても、何故自らが選ばれたかが分からない。
それこそ隊の父母的存在である坂本少佐やミーナ中佐の部屋にでも行けば、彼女たちは少女を暖かく迎えいれてくれるだろう。
45名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 22:41:51 ID:HxAQH2K7
そこで彼女は再び得心に至る。
少女は度々の悪戯が過ぎ、それこそ幾度となく彼女たちには叱られているのだろう。
ならば少女が彼女たちの部屋を避けたことは納得がいく。

しかし、それでも彼女が選ばれる理由にはならない。
確かに部屋自体が魔窟と化したハルトマンのところや、幼い妹にやたら執着するバルクホルンのところ、
寝床に侵入しようものなら烈火のごとく怒りそうなペリーヌのところを忌避する気持ちは分かる。

だが残りはリーネと宮藤だ。
彼女には宮藤の部屋を忌避する理由もなんとなく感じられたが問題はリーネのことだ。

彼女は自らが少女の立場であったならば、リーネの部屋に行くと断言することができる。

なぜなら、リーネは少しドジなところを持つものの、芯の強い優しい心を持ち、寂しがる少女をほってはおかないだろう。
それに、なによりリーネはシャーリーとどこか似通ったところがある。
それはもちろん、身体的特徴の分もあるものの、
多少ベクトルの差異はあるにしても大勢に於いて彼女たちの、
どちらも他人に深い愛情を持って接する姿が、強く二人の姿をだぶらせるからだ。

まぁ適当に私を選んだのだろう、彼女はそう自らを納得させ再び眠りについた。

彼女は気づいていない。
彼女自身も、ぶっきらぼうではあるものの深い愛情を他人に注ぐことの出来る人間だと。

しかし、なにより少女が彼女の部屋を選んだのには理由がある。
少女は彼女こそシャーリーとひどく似通っていると思っていたのである。

少女は、自らを精一杯の優しさで迎えてくれるシャーリー、そしてサーニャに惜しみない愛情を注ぐ彼女、
この二人に近しいものを感じて彼女の部屋を訪ねたのだ。

二人はまるで、普段、お互いのパートナーと眠るときのように仲睦まじく眠りについた。

ーーーーーーーー

明朝、サーニャと、そして彼女を部屋まで送りについてきたシャーリーが‘彼女’の部屋を覗くと
そこにはまるで彼女たちのパートナーが自らに与えるように寄り添った二つの影があった。彼女たちは微笑み合う。
私たちもここで寝ちまうか、そう話すシャーリーにサーニャは嬉しそうに頷き、二人は互いのパートナーの隣へと戻っていった。

Fin.
46名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 22:46:41 ID:HxAQH2K7
あまりに短かかった。
個人的にエイラーニャは月でシャッキーニは太陽のイメージ。

という訳でタイトルは月と太陽。

てか21X2w2Ibさんとか21X2w2Ib様とか21X2w2Ib殿の影響でエイラーニャ好きからみんながエイラさん大好き好きになってた。

という訳でRU1ZZ/dhでした。
47名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 22:49:24 ID:HxAQH2K7
そういえばエルマさん好きがいて嬉しかった。

あと反応くれた皆さん有難う御座いました。
48名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 22:51:46 ID:ZWaflAyB
>>45
GYAAAAAAAAAAAAAAやろうとしてたエイラ×ルッキーニいいいいい
しかも話の入りがほぼ同じあばばっあばばばばばばばば

うろたえない!うろたえないッ!!
49ウィッチーズ劇場シンデレラリーネ:2008/11/26(水) 22:57:14 ID:n7rMsqmD
ドレスの包みを抱えたミーナが帰ってくると、
トゥールデとエーリカに向かって、
明日、お城で舞踏会があります。
ひょっとすると、芳佳王子の目に留まるかもしれません!
二人とも、頑張っておめかしして舞踏会に備えましょう…。」

「お義母様…ドレスの包みが3つありますが…」
とリネットがミーナに聞くと。
「これは私の分です。
もしかしたら美緒国王の目に留まって側室に…

そうそうリネットさんにはカラス豆を選別して貰います。」
リネットはがっかりしました。

「リネット!さぼったら承知しないからなぁ〜」

「♪けっこう毛だらけ〜リネット灰だらけ〜」
トゥールデとエーリカはリネットに追い討ちをかけるような事を言って包みを抱えて、自分達の部屋に向かいました



そして舞踏会の夜…リネットはカラス豆を選別していました、すると…
50名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 23:01:13 ID:lRoCKqnj
>>46
ニパとエルマさんいいなあ。ニパの語り口とエイラとの悪友ぶりに萌えた。GJ
エイラはルッキーニにもなんだよこいつー、みたいなこといいながら泊めてやりそうですね。和むわー。
愛されてるエイラは大好きだw
51名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 23:02:46 ID:lRoCKqnj
す、すまん。リロ忘れた。
続けてくれ。
52名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 23:16:29 ID:pU/bOsgE
>>49
書きながら投下してるんだろうか?GJなんだができれば最後まで書きあがってから一気に投下して欲しいです。

>>46
みんながエイラさん大好きとかもうエイラさんどこのギャルゲ主人公だよもっとやれ
53名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 23:33:05 ID:3jN75TS+
新スレ初日から盛り上がってるな、出遅れたが>>1
そして>>12 >>16 >>25 >>38&>>46 GJ!!
カタヤイネン視点はなかなか鋭い妄想力がいると思うのだがこのクオリティはすごいな。
私の妄想力では資料不足をカバーできそうにない……。
54名無しさん@秘密の花園:2008/11/26(水) 23:36:06 ID:ZWaflAyB
>>53
ていうかカタヤイネンさんって口調とか一切謎ですよね
それなのにこんだけやれるって凄いとしか言いようがないわけで
口調とか決まってないから好き勝手キャラ付けしていいよって言われるとできないもので、自由って難しいもんです
55名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 00:22:09 ID:17F40xNP
夜になると活発になるな相変わらずw
まだ読んでないけどGj
56名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 00:34:16 ID:Ep5ebM/9
>>48
ネタかぶりどんとこい
57名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 00:36:33 ID:17F40xNP
ネタが被っても書く人が違えば
また別の魅力が出るものだ
58名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 00:53:19 ID:UXtCuFEq
なんだこのSSラッシュwGJが追いつかないじゃないか!
スオムス好きの自分にとってエルマとニパの登場は天国のようでした
ルッキーニとエイラのコンビも…イイ!!エイラさん愛されとかいいぞもっとやれ

なんか投下中のがあるみたいだけど、投下しても大丈夫かな
リーネイラ(&芳ーニャ)です
59そして毎朝味噌汁を 1/4:2008/11/27(木) 00:54:32 ID:UXtCuFEq

独りぼっちの彼女の姿を見かけるのはひどく珍しくて、申し訳ないことに私はいつもその人と一緒にいる
あの子がもしかしてかすんで消えてしまったのではないかと思ってきょろきょろと辺りを見回してしまった。
テラスで一人、ぼんやりと空を見上げている様相の彼女の周りにはどんなに目を凝らしても他の人間
なんていなくて、だから私は吸い寄せられるようにそこにふらふらと歩いていってしまった。

どうしたんですか、エイラさん。

そう、尋ねる前にエイラさんは振り返った。ああ、リーネか。なんて小さく笑って、どうした?なんて聞いて
くる。きっとそうして自分に対する問いをすべて打ち落としてしまう算段なのだろうと思った。けれどもそんな
ものに屈するほどもう私は臆病じゃない。

「ひとりなんですか」

…我ながらひどい言葉だ、と思った。口をついて出た言葉は当初口にしようと思っていたものよりずっと
ずっと残酷だった。ひとり、だなんて見れば分かるのに。実際のところ私の心が欲していたのはイエス・ノー
のその先の、Whyの部分だった。どうしてあなたがこんなところに一人きりでいるんですか。あなたが
付きっ切りで離さない、大切な大切なあの子の世話はどうしたんですか。もしもほっぽり出してきたの
だったら少し怒ってやろうと思っていたからだ。エイラさんはサーニャちゃんと一緒にいればいい。そうして
幸せに笑っていればいいんだから。

ああ、ウン。
エイラさんは曖昧に笑んだ。皮肉なくらいに綺麗な顔立ち。きらきらと、黄味がかった銀髪が太陽の光に
輝いてさらさらとゆれる。落ち着いた蒼い色の瞳が私を捉える。でもきっと、私を移しているわけじゃない。

「ごめんナ、」

呟いたのは、たった一言だけだった。イエスでも、ノーでもなく、私の求めていた答えのひとつも与えること
なく、彼女はただ謝罪の言葉を述べた。何かばつの悪いとき、この人はすぐそうやって安易に逃げて話題を
逸らそうとする節がある。
私は少し口を尖らせた。なんですか、どういう意味の「ごめん」なんですか。ちゃんと言ってくれないと
分からないんですよ、そう言うことは。思うけれどもいつも口にして言わないから、多分この人は知らない。
多分彼女が思うのは「何だか知らないけどリーネが怒ってる。面倒だから関わらないようにしよう」なんて
ことだ。決まってる。

「…ゴメン」

もう一度、エイラさんが言う。だから、一体何に対する謝罪なんですか。私の口はますます尖る。そうやって
謝ってばっかりで、踏み入れさせても、共有させてもくれないで。あなたはひどい。本当にひどい。

エイラさんから目を逸らして、その向こう側にある空を見た。淡いシアンの色をしたエイラさんの衣服が空の
青と同化して、まるで彼女が空の一部になってしまったかのようだ。こんな人物画があったとしたら、私は
何も含まずにはあ、と感嘆の息をついて「綺麗」と感想を述べるのだろうと思った。もう嫉妬する気持ちさえ
浮かばないくらいに、この人と来たら絵になる人なのだ。…それなのに本人は着飾るとか、かわいこぶる
とか、そう言ったことにとんと無頓着なのだからうらめしい。むしろそういったことを気恥ずかしがるという
特異な気風の持ち主だったりするのだ。

ふと、その空を何かが2つ、掠めた。あの動きはストライカーだ。編隊飛行の訓練でもしているのだろうか。
自由にくるくると、楽しげに飛び回っている。あれは…
60そして毎朝味噌汁を 2/4:2008/11/27(木) 00:55:03 ID:UXtCuFEq

「芳佳ちゃんと、サーニャちゃん…?」

見間違えるはずがない。あれは紛れもなく芳佳ちゃんとサーニャちゃんの二人だ。
…でも、なんで?どうして?
ぐるぐると、頭に疑問符ばかりが浮かんでいく。あまりにも物珍しい組み合わせすぎて、どうして二人が
一緒にいるのかがわからないのだ。…だって、ああいった訓練のときは芳佳ちゃんとロッテを組むのは私の
ことが多いし、サーニャちゃんはエイラさんに引っ付いているばかりだ。それはまあ、そればかりじゃ実戦
じゃ何も役に立たないから別の人と組むこともあるけれど…そうだ、そもそもサーニャちゃんをこんな明るい
ときに見かけるのが、珍しいのだ。

ごめんな、と。本日三回目のつぶやきが聞こえた。そろそろ耳にたこが出来ちゃいますよ、エイラさん。
でも今度は、今度ばかりは、彼女の言いたかったことがなんとなく分かる気がした。だから何も言わないで
いてあげることにした。視線を落として彼女をまっすぐに見やって、次の言葉を促す。

「ホントは私が宮藤と一緒だったんだけど、サーニャと変わったんダ」

言いながらくるりと前に向き直って、私に背を向けてしまう。見つめる先にはやっぱり、芳佳ちゃんと
サーニャちゃん。何を話しているのだろうか、近づいて離れては、肩を震わせて微笑みあっているような。
私たちが見ていることも知らないではしゃぐその様を、私は見ていられなくてエイラさんの傍らに行くことに
した。そうして突っ伏して、彼女の服の青を見ていることにした。
エイラさんは身じろぐことなく、やっぱり空を眺めている。…悲しくないの?寂しくないの?自分と仲良しだと
思っていた子が、目の前で別のこと楽しげにしているのに?彼女の横顔を見ながら、届くようにと心の中
から語りかけた。もちろんのこと伝わるはずなんてないから、エイラさんはじっと空を見つめたまま。…その
瞳に涙が浮かんでいないことが、せめてもの救いだった。エイラさんの考えていることは分からない。だって
それを如実に示すはずの口調がいつだって平坦で、感情が入り混じる隙がないんだもの。例えば怒鳴る
とか、どもるとか、そう言う風にひどく変化しない限り、彼女の口調からその感情を汲み取ることなんて
出来ない。少なくとも、私には。

リーネ、あのさ。
ぽつりと尋ねられたから、私もようやっと口を開くことが出来た。なんですか、エイラさん。
「ゴメ」「もういいですよ。謝るのは」
この期に及んでまた謝罪の言葉を述べようとするから、私は強い口調でそれをさえぎることにした。何で
あなたが謝るんですか。どうして私に謝るんですか。そんな必要、全然ないのに。

「…サーニャは、宮藤が、好きダヨ」
「サーニャちゃんがそういったんですか?」
「…違うけど、分かル」

分かるんだよ、もう。付け足す言葉が少し震えているような気がしたのは、多分気のせいなんだろう。どうか
気のせいであってほしい。
ああ、それで、この人は気を回してあげたわけだ。そこでようやく私の頭の中ですべてが繋がった気がした。
何度も何度もこの人が私に謝った理由も。エイラさんは意外に他人に対して気を回す人なのだ。いつも少し
離れたところからみんなを眺めていて、実は隊のみんなの抱いている、いろんな内情を存外に知っている。
だから──だから、エイラさんは私に謝った。私と芳佳ちゃんが仲良しだって、エイラさんはちゃんと知って
いたから。それなのに芳佳ちゃんとサーニャちゃんの仲を取り持つようなことをして、だからごめん、と言う
意味だったのだろう。

…それなら最初からそう言えばいいのに。むしろそんなこと、最初から言わなくてもいいのに。
誰が誰を好きになろうと勝手だ。人の心は誰に求められない。それがわからないほど私も子供じゃない。
誰かが誰かを好きになったとして、純粋な厚意でその仲を取り持とうとした人に恨み言を吐くほど、人間が
出来ていないわけでもないのに。

61そして毎朝味噌汁を 3/4:2008/11/27(木) 00:55:33 ID:UXtCuFEq

「幸せになって欲しいんダ。サーニャには、いちばん。…ホラ、サーニャがこんな昼間の訓練に自分から
出ようとするって、すごいことだと思わないカ?ミヤフジだからだヨ。ミヤフジが一緒だからダ。」
目を細めて、エイラさんは二人の様子を眺めている。…それが涙をこらえてのものなのか、それとも仲睦
まじい二人を見て幸福な気持ちでいるからなのかは、知らない。

でも、私は。

「…いいんですか」
「ナニガ?」
「エイラさんはそれで、いいんですか?」

どちらにしても、とてもとても悲しいことだ、と思った。
当たり前だろ、とエイラさんが私のほうを見て笑う。なんで笑えるんですか、エイラさん。だって大好き
なんでしょう?だからあんなに大事に大事にしてきたんでしょう?なんとも思ってなかったら、あんなふうに
大切にしたりしないでしょう?

「…あのサ、リーネ。誰かのことを好きダ、大切ダ、って思う気持ちと、だから欲しい、自分のものにシタイ、
って気持ちは、違うと思うヨ。違うんだヨ」
その二つは繋がったものじゃないから、だから、自分のものにならなくたっていい。そんな『大切』もある。
…だから、自分は、それでいい。サーニャが幸せに笑ってくれるなら、それで。

思わず私はエイラさんの服の袖をつかんだ。顔がゆがむ。視界がにじむ。目頭が熱くなって、鼻がつん、
と痛くなる。
だってこの人と来たらひどく綺麗な笑顔でそんなことを平然と言ってのけるのだ。あんなに一杯の愛情を
注がれておいて、気付いてもくれないあの子の幸せを平然と祈ることが出来る。それが返って来るのが
自分でなくてもいいという。なんで、なんでそんな風にいえるの?そんなのおかしいよ。

「お、オイ、なんで泣くんだよ、リーネ」

うろたえた声がする。どもっているから、うろたえているのだと分かる。仕方ないじゃないですか。だって
すごくすごく悲しいんです。あの子はなんて幸せで、それでいてわがままなんだろう。本当にあの子は、
さながらのお姫様なのだ。ぽかぽか温かい温室にいるのが普通だから、その快適さを保つために躍起に
なっている人がいることなんて知りもしない。

ねえ、私じゃだめですか、エイラさん。あなたを幸せにするのは、私じゃだめですか。
今の気持ちの高ぶりのままなら、私は彼女にそう告げられるようなきがした。私がこの人にある特別な
感情を抱いてからずっと胸に温めてきた、けれどこの人にはもっともっと大切にする人がいると知っていた
からいえなかった、その言葉を。
けど、いえるはずがない。言ったとしてもたぶん、この人はそれを自分に対する慰めの言葉と受け取るだろ。
ああ、どうもありがとな、嬉しいよ。なんて言って、本心だと思いもしないですり抜ける。先読みなんてしなく
たってこの人はもともと状況判断能力にひどく優れているのだ。


「エイラさん。私さっきシフト表見たんですけど」
「…ゴメン」
「いいですよ。エイラさんがサーニャちゃんのこと大好きなのは良く知ってますから」
好きすぎて、大切すぎて、束縛さえ出来ないんだ、って。その子が自分のことを好いてくれなくたってその
恋を平然と応援してしまうくらい、大事に想っているんだって。幸せになって欲しいと思っているんだって。
それはこの人の悪いところで、たぶん、私の惹かれているところでもある。なんでもないようなひょうひょうと
した顔をして、その実ひどく思い悩んでいたりするから。

62そして毎朝味噌汁を 4/4:2008/11/27(木) 00:57:28 ID:UXtCuFEq

今月のシフト表が書き換えられて、なぜかサーニャちゃんと芳佳ちゃんが同じ日に休暇をとることになって
いた。恐らくエイラさんが自分と芳佳ちゃんのものを書き換えたのだろう、私とエイラさんが同じ日になって
いて。
そう言えば私はそれが不思議で、ミーナ中佐を探していたところだったのだった。

「今週末ですけど…どう過ごすつもりなんですか?」
「アー…そうだったのカ…ドウシヨ」

基地には居づらいしなあ、と情けない顔でぼやいて、私と同じように手すりに突っ伏す。…なんだ、やっぱり
結構気にしてるんじゃないですか。ほっとしたような、寂しいような、複雑な気持ちがわいた。人間だもの、
欲があるもの。やっぱり好きなものは、独り占めしたいんだ。…でも、優しさが邪魔をするから苦しいんだ。

「せっかくだから一緒に出かけます?ご飯食べに行ったり」
「…ブリタニアの料理ってあんまり美味くないんだヨ。それなら私はリーネの料理食べタイ」
「…そう、ですか?」
「うん、リーネの料理は美味いヨ。私好きダ。」

にこ、と子供みたいな無邪気な笑顔と、最上級の殺し文句。
…サーニャちゃんは正直すごいと思う。こんな顔をされてなんとも思わないなんて、私には無理だ。だって
一生懸命気にしないようにしてもどきどきしてしまう。これで何の含みもないというんだから恐ろしい。無傷の
撃墜王の通り名は別の意味もあるんじゃないかと思うくらい。
そこでぴん、と思いつく。ここからすぐ行けて、おいしい料理を出すことが出来て、きっと他の場所に比べたら
くつろげる、うってつけの場所がある。

…問題はそれを、私がうまく伝えられるかだ。

「あ、それなら私の家にきましぇ…私の家に、きませんかっ!」
ああだめだ。途中でかんでしまった舌がひりひり痛い。涙目になりながらエイラさんの返事を待つと、突然
あはははは、と笑われた。リーネって、やっぱりドジだよなあ。そんなところで普通噛むかあ??どこが
ツボに入ったのだろうか。おなかを抱えて、涙が出るまで笑われる。なんだか釈然としなくて口を尖らすと、
ごめんごめん、と頭を撫でられる。…サーニャちゃんにするそれで慣れているのだろう。悲しいくらいに、
優しい動き。

「イイナ、それ。うまいもん食べられるカ?」
「もちろん。腕によりをかけちゃいますよ」
「じゃあ、そうスル!なんか悪いナ」
「いいですよ。誰かさんが暇な休暇にしてくださったおかげですから」
「…う、だから悪かっタって…」

あなたのためなら、毎朝スープを作ってあげてもいいんですよ。あなたがそれで幸せそうに笑うなら。
その言葉を伝えるのはまだ早い。せめて今度、おいしいスープをエイラさんに振舞ってからだ。

―――
以上です。どうすりゃ違和感なくエイラーニャを崩すことが出来るだろうか、と考えた結果こうなりました。
悲しいけれど、こういう展開もありえるかもしれない、と思いながら。エイラはこのくらいサーニャを大切に思っているといいな、なんて思う。

このあとリーネの家に泊まりに行ったエイラが弟妹とすっかり(同レベル的な意味で)仲良くなっちゃったり、
夜間哨戒から帰ってきたらエイラの部屋に誰もいないことに愕然としたサーニャが自分の気持ちに気付き始めたり、
帰ってきたリーネとエイラがあんまり楽しそうにしてるもんだから芳佳がぶーたれたりする妄想をしてにやにやした
タイトル思いつかなかったから適当で申し訳ない

…自分のやってることが他の人に影響を与えていると思うと嬉しいやら恥ずかしいやらです
レス下さる皆さんどうも、21X2w2Ibでした。
63名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 01:24:49 ID:IjEiEE/o
>>62
うああああなんだこりゃ!GJすぐる!
芳ーニャ、エイラが気を回すとこまでは妄想できたんだけどリーネイラと組み合わさると破壊力倍増です!
64名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 02:01:39 ID:UHlgMftZ
>>62
そうか…
とりあえず妄想を…続きを書いてくれ…
ホント頼むよ、
特に(サーニャが自分の気持ちに気付き始めたり)←ここ重視で…
65名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 02:50:34 ID:rwdnoSdW
最終的には元の鞘に戻ってもらいたいものだ・・・
66名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 02:58:27 ID:Ww13h8pf
リーネイラ最高です。でもエイラさんはサーニャ一筋なのでリーネはきっと報われない。だがそこがいい。
67滝川浜田:2008/11/27(木) 03:38:11 ID:ax7QdW6M
みんなGJ!!って事でこんばんは&おはようございます。
こんな時間ではありますが、シャッキーニ投下します。
長い上に内容は死ぬほどバカっぽいですが、お付き合いください。
68滝川浜田 『花嫁狂想曲』:2008/11/27(木) 03:41:04 ID:ax7QdW6M

それはある日いきなり起こった。

「シャーリー見て見てー!」
「お、なんだルッキーニ、ウェディングドレスなんか着て」
「借り物だけどね。それで、シャーリー」
「ん?」
「あたし、結婚するんだ」
「……………へ…?………け、結婚…?」
「そ、結婚」
「けけけけけけ結婚っつったってお前まだ12歳じゃないか…!」
「形だけの結婚だけどね」
「ちょ、あっ、相手は誰なんだ!!」
「じゃあ、他のみんなにも報告してくるね!」
「おっ、おい、人の話聞けよ!
相手は誰なんだよ!おい、ルッキーニ!!!」

そう言い残すと、ルッキーニは走り去って行った。

そしてあたしは部屋に一人取り残された。血の気が引くとはまさにこの事だろう。
一気にあたしから生気が失われていく気がした。

そしてあたしの頭には一気にいろんな事が巡った。

結婚→結婚式→隊を辞める→どっかの男のモノになる→あたしの想いはもう届かない

………………………。

「いっ、嫌だあああああああああああああ!!!!!!!!!」

そんなの耐えられるワケ無いだろ!
なんだそれ!ワケ分かんねえよ!
いや、っていうか相手誰だよ!!

69滝川浜田 『花嫁狂想曲』:2008/11/27(木) 03:44:56 ID:ax7QdW6M
《三日後 食堂にて

「…………………」
「どうしたリベリアン、やけにやつれているな」
「………なあ堅物」
「なんだリベリアン」
「……ルッキーニが結婚するっての、本当なのかな…」
「ああ、その事についてだが、リベリアンは結婚式には来るな、だと。
ルッキーニがお前に伝えといてくれと言っていた」
「………え……なんで……?」
「さあな。お前には見られたくないんじゃないか?」

そう言うと、堅物は席を立つ。
またしてもあたしは一人取り残された。

………あたしからは、魂が抜けた。
…そんな気がした。

あああたしの世界はもう白黒だ。
っていうかもうあたし死んだも同然じゃん…。
さようなら現世…。こんにちは地獄…。


《更に二日後

あたしは必要な時以外、自室に引きこもるようになった。
暗い部屋の隅で、体育座りで丸まっているあたしの姿は他人の目から見ればさぞ滑稽だろう。

でも、今のあたしにはそうする以外無い。
だからってルッキーニの幸せを壊すなんて無粋な真似、あたしには出来ない。

今日もいつものように部屋で丸まっていると、ドアがノックされた。

70滝川浜田 『花嫁狂想曲』:2008/11/27(木) 03:48:08 ID:ax7QdW6M

「おーいシャーリー、生きてるー?」
「シャーリーさーん」

エーリカに宮藤か。

「…なんか用か?オセロならあと五万年後な」
「違います。ミーナ隊長からシャーリーさんを食堂に連れてこいって言われたんです」

ミーナ隊長が…?
あたしのこんな状況を知ってるハズなのに。
あの人は悪魔か?死神か?

「…イヤだよ。今のあたしはサナギだ」

と、そう言い終わると同時にエーリカは無理矢理ドアを蹴破って来た。

「シャーリーはサナギから蝶へと変わる時だ!!さあ舞い上がるんだっ!」
「おい、ちょっと止めろって!あたしは死ぬまでサナギでいいんだってば!!」

エーリカ達はあたしの首根っこを掴んで無理矢理食堂へと連れ出した。

《食堂前

「なんだってんだよ…」

食堂のドアにはやけにド派手な飾りがしてあって。

「シャーリー、はいこれ」
「なんだよこれ」
「いいからいいから、早く着替えてきてよ」

あたしは近くの部屋で、エーリカに手渡された服を着る。

ガチャ

「おっ、カッコいいじゃんシャーリー」
「わあっ、似合ってますよ、シャーリーさん!」
「エーリカ、宮藤。なんだよこれ」
「なんだよってタキシードだよ」
「そんなの見りゃ分かるよ!
あたしが言いたいのはなんであたしがタキシード着なきゃいけないんだって事」
「その答えは、このドアの先にありますよ」
「…?…」

宮藤が開けたドアの先には。

71滝川浜田 『花嫁狂想曲』:2008/11/27(木) 03:52:23 ID:ax7QdW6M
「シャーリー♪」

ウェディングドレス姿のルッキーニがあたしに抱きついてきた。
そしてあたしの視界には、隊のみんな。

「ル、ルッキーニ!?」
「もう、待ってたよ、シャーリー!」
「あ、あれ、お前そのドレス…」
「うん、結婚式用のドレス」
「…そうか…幸せになれよ…ルッキーニ」
「……」

ルッキーニの表情が曇る。
そしてため息をつく。

「…シャーリー、鈍いにもほどがあるよ…」
「は?」
「実力行使!」

すると、ルッキーニはあたしにキスをした。
突然の事にあたしは意識が飛びそうになった。

「…っ…!!!!!!」
「…どう?分かったかな?」
「…え…?…もしかしたら結婚式って…?」
「シャーリーと、に決まってるじゃん♪」
「…………ルッキーニ、お前…」

すると、ルッキーニは最っ高の笑顔で。

「あたしをシャーリーのお嫁さんにして♪」

…そう言い放った。

「……………ああああああああああああああーー……………」
「あ、シャーリーの腰が抜けた」


あああルッキーニその一言はあたしにとって、最強のトドメだっ…!!


「で、答えはどうなのかな…?」
「……よ、喜んで……//////」
「シャーリー、大好きっ♪」

そう言うと、ルッキーニはまたあたしに抱きついてきた。

「アッハッハッ、見せつけてくれるなあ!」
「……でも、なんでこんな事を?」

72滝川浜田 『花嫁狂想曲』:2008/11/27(木) 03:56:51 ID:ax7QdW6M
「ルッキーニさんから相談されたの」
「ルッキーニから…?」
「シャーリーさんがいつまで経っても告白してこないってね。
それでちょっとした嘘をついてみたら?ってアドバイスしたのだけど…」
「いつの間にか結婚するみたいな嘘になってた、と?」
「ええ」
「…はぁ…」
「まあまあいいじゃん、シャーリー♪
あたし達これで両想いなんだし♪」
「……そう、だな」

あたしは笑う。

「ねえ、シャーリー」
「ん?なんだ?」
「もーいっかい、キスしよ?」
「ああ、いいよ」

あたし達はみんなの拍手の中、キスをした。

なんだかよく分からないけど、ルッキーニと一緒になれるならこんなのも悪くない、と思った自分が少し恐くなった。

…そんな、夕方。


《その日の夜

「ねえシャーリー」
「なに?ルッキーニ」
「結婚した二人には“初夜”ってのがあるんだよ」
「…初夜…お前…まさか…」
「…えっち、しましょ? あ・な・た・♪」

ブチッ

あたしの理性が音を立てて切れた。

「ルッキーニィィィィィィ!!!!!!」
「きゃーけだものー♪」

あたし達のこの夜は長く、熱い夜になった。

END

以上です。長々すいませんでした。
ところで調子こいて『シャーリーさん崩壊シリーズ』なるものを書いてしまったんですけど…これ投下していいですかね…?

…眠くなってきたので爺は寝ます。おやすみなさい…
73名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 06:31:25 ID:V3BnEvD5
>>64に同意
74名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 06:48:38 ID:TzNQ5xyg
>>62
とてもいいリーネイラでした!
リーネがとてもけなげで報われてほしいと思った
リーネはエイラと結ばれて幸せになってほしいなあ
75名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 07:05:06 ID:1Yh1qnqT
魔法少女エーリカ 最終話『ストライクウィッチーズ』

「みんな!大変だ!本屋に行ったら、こ、こんなものが!」
「ダディゴェ゙〜? エーリカ・ハルトマン写真集〜?」
「ちょ、ちょっと見せてミロ!」
「…………」
「…………………」
「……誰コレ?」
「ね、猫かぶりすぎだろ…」
「……かわぃぃ」
「詐欺ですわね」
「ベルト姿、意外と似合うんですね。あれ、バルクホルン大尉、顔どうかしたんですか?」
「くっ… い、いや。なんでもない」
「『趣味・読書。休日にはよくオペラを観にいきます』ダッテサ」
「『自室を初公開』、って。コレ、ミーナ中佐の部屋ですわ!」
「なにからなにまで嘘じゃねーか!」
「本を売るため、しかたなかったのよ。お金がないの」
「はっはっは。世間のイメージは可憐で清楚、才色兼備のお嬢様らしいからな」
「はじめは私が出すつもりだったのだけれど……企画のほうがそれでは無理だと」
「あ〜」
「まあ、な〜」
「ムリダナ」
「な!?あ、あなたたちまで!?」

1941年3月。ブリタニア地方でエーリカ・ハルトマンの写真集が発売された。
これを以て、第501統合戦闘航空団、ストライクウィッチーズは解散の危機に瀕した。
76名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 08:07:29 ID:oIjedJ2F
実際、ハルトマンやルーデル御大の写真集はあるよね
77名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 08:58:19 ID:fwLMWOS6
なんでここエイラがみんなにモテるみたいな設定になってるの?
なんかでそんな描写あったっけ?
78名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 09:11:06 ID:InrUhmX5
なにしろここは妄想を語る場だからな。
萌えられればおk
79名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 10:00:19 ID:v85zENOD
>>62
昨晩投下中っぽかったから自重したリーネイラ&&芳ーニャが見事に先を越されたッ!!
しかもなんだこのQuality。たまらん!!GJ!!
素晴らしすぎて自分の鬱展開な芳ーニャなんか投下するのが恐れ多くなってしまった。
なんでこんなに穏やかに書けるんだ……!!

>>72
ま た 結 婚 ネ タ かwww
これ以上シャーリーを壊せるというのなら!やって見せてくれ!!
80名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 10:24:02 ID:rFxj7Z55
皆最高ダー
81名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 14:32:26 ID:UXtCuFEq
|∀・)・・・・・ 誰モイナイ 支援スルナラ今ノウチ

|∀・)つttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org13404.jpg

|彡サッ


こっそり続き待ってます
82名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 14:37:30 ID:KVKmQes8
>>81
エイラがマスターで、サーニャがピアノですか……?
夫婦で喫茶店を開く未来ですね!
たまにエイラが、サーニャにピアノを教えて貰って店で弾いたり
そのエイラが弾く、ちぐはぐなピアノ演奏を聴いてサーニャがクスクスと幸せそうに笑ったり

ダメだ妄想が止まらない……一枚の絵から、ここまで幸せそうな風景が想像できるなんて
83名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 14:37:51 ID:W0KPUNvh
>>81
甘い、俺がいる!
サーニャを軽々と抱き上げるエイラさんかっこいいなー
84名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 15:12:11 ID:1N/Y5dQ+
>>81
なんかふわふわした気持ちになれる…
最高だな やっぱりこの二人には幸せでいてほしい
85名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 15:14:20 ID:E57SRyWE
>>81
一方お姉ちゃんはクリスとエーリカと隊長を持ち上げていた
86名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 15:47:54 ID:Ww13h8pf
>>81
エルマさんが来店したりしたやつか!501メンバー来店の話とかも見てみたいな。
87名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 16:29:17 ID:rwdnoSdW
>>81
やっぱりこの夫婦は最高です
88名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 17:06:44 ID:ctSQqn6B
フラゲできた
ブックレットの表紙が文句の付け所が一切ない
89名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 17:35:30 ID:17F40xNP
>>62
良い凄く良い
是非続きを・・・
どっちとくっついてもいいから続き書いてください・・・

>>72
じっちゃんホントシャッキーニ好きダナ
関係図でよりいっそうラブラブになったしな

>>79

                  マチクタビレタ〜
      ☆ チンチン〃   Λ_Λ   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        ヽ ___\(\・∀・) < 鬱展開な芳ーニャ投下マダー?
マチクタビレタ〜 \_/⊂ ⊂_ )   \____________
          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
       | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|  |   マチクタビレタ〜
90名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 17:46:21 ID:jJWR99TO
>>88秘め声なにか新しい燃料になりそうなネタありますか?
91名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 18:17:49 ID:Z/6BFeUT
ttp://bull.s11.x-beat.com/src/bull54253.jpg



  ,  ´ ̄ ̄ `  、
 /           ヽ
/      /|',   / ヘ
 i .:i  ,' ./ ! ',.  メ、 ハ
ハ | .i ./    ',イ ハ i | |
|ハ |/ ー-- ι ナ\|ノリ
:( ヽリ ●    ● ハ  撃墜されたけど大勝利・・・なんてナ!なんてナ!
| ヘー、 uxx   ' xx }ノ
| |  |i>ト   △ _ノ 
 | | /`ー`ヽ{<ヽ
92名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 18:18:03 ID:z9PCVcY/
93名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 18:29:57 ID:UHlgMftZ
>>92
詳細希望!!
94名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 18:31:24 ID:ctSQqn6B
>>90
スレ住人どころか板住人も納得の本編に
資料集にもちょろちょろと妄想のネタになりそうな設定が載ってたり
秘め声のある人物のインタビューもある人物への想いが全力直球で込められてたり

百合度高すぎてメシがウマい!
95名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 18:34:41 ID:17F40xNP
あぁDVDはレンタルでコピーとか考えててマジすいません
限定版1〜2巻買って来ましたよえぇ
ついてに3巻も注文しましたよ
>>92の威力と収納ボックスの前には欲望を抑えられなかった
96名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 18:43:27 ID:SKZkLttl
抱き枕ねえ・・・もう百合方面への展開はやめるのか
97名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 18:48:16 ID:6E0BemF/
次はエイラも出すのでサーニャと一緒にベッドに寝かせて自分は床で寝てください
という事かと
98名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 18:48:53 ID:qSl+HECs
>>96
エイラ「これは・・・けしからんゾけしからん。早速買い占めナイト・・・。」
99名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 18:49:08 ID:b6BBYQRR
まぁ、『Candy boy』も抱き枕出してたしな。
ちなみに、坂井きゅう太はなのはとフェイトの抱き枕カバーを縫い合わせて、百合抱き枕カバーを作ろうとしてたなw。
100名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 18:50:04 ID:17F40xNP
俺なんかはサーニャの抱き枕なんて怖くて使えません
やはり>>97の使い方が正しいかと

まぁエイラさんには本物居るし・・・
101名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 18:50:43 ID:ctSQqn6B
>>97
それなんのネタだっけ
どっかで見た
102名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 18:54:13 ID:KVKmQes8
>>97
搾取されすぎだろw
合計21,000円だぞ
103名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 19:11:21 ID:zDFYXQXa
秘め声に抱き枕に、百合ヲタにはあまり優しくないアニメだよ何気に
本編が全てだからいいけど
104名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 19:37:41 ID:2lvOsBba
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
以前ちらっと書いた「風呂場で酒盛り」ネタを書いてみました。
皆が集まって扶桑の酒を飲んだらどうなるか。
過去スレで諸氏の予想(シミュレーション)を見た上で書いてみましたが……
なんだか色々な意味で惨憺たるものになってしまいました。すいません。
とりあえず投下しますが、お口に合わなかったらホントに申し訳ないです。
105last witch standing 01/05:2008/11/27(木) 19:38:37 ID:2lvOsBba
ペリーヌが孤軍奮闘し、その後ストライクウィッチーズの総攻撃により終幕した夜間戦闘。
無数に沸いたネウロイは夜間と言う事もあり正確な撃墜数が判別出来ず一同は多少がっかりもしたが、
美緒の「よし、扶桑流の酒席と行くか!」の一言で沸き返った。

大浴場。湯気立ちこめる中、芳佳以外の隊員が全員揃って湯に浸かっていた。
大勢と言う事は有っても全員、と言うのは意外に珍しい光景だ。
「坂本さん、とりあえずこんなもんで良いですか?」
トレーにずらりと並ぶ大量の徳利を抱えて芳佳がやって来た。
「まだまだ少ないぞ宮藤。最低でも一人三本はないとな。もっと持ってこい!」
「は、はい!」
芳佳は慌てて調理場へ走り、扶桑酒の熱燗作りに戻った。豪快に笑う美緒。
既に居並ぶ隊員の前には扶桑から持ち込んだ酒が満たされた徳利、そしてお猪口と軽いつまみが配られていた。
とりあえずは一人二本と言ったところだ。
「へえ、熱いよこの酒」
徳利を触って驚くエーリカ。
「扶桑では酒を加熱して飲むと聞いた事がある」
真面目な顔をして徳利とお猪口を観察するトゥルーデ。
「物知りだなバルクホルン。そう、我が扶桑では扶桑酒を温めて呑む。この熱の加減を変える事で、
味わいや香りに変化をつけて楽しむんだ。今回は分かり易く熱燗にした。温度にして約五十度と言ったところだ」
「五十度? もっと熱いと思うけど」
シャーリーが徳利を指でつんつんつついて言った。
「ああ、摂氏での話しだ。華氏だと……百二十二度位か?」
「随分熱いなあ」
「さあ、皆飲め飲め。冷めると不味くなるぞ。皆頑張った、ペリーヌも頑張った、我らウィッチーズの勝利を祝って」
「乾杯!」
めいめいがちびりちびりと……熱いのと、扶桑酒に対する多少の警戒を含め……お猪口に注ぎ、飲み始めた。
「へえ、結構いけるね」
まっさきに声を上げたのはシャーリーだった。
わっはっは、と笑うと美緒は自分も一杯煽り、シャーリーに注いだ。
「美味いだろう? 湯船に浸かって飲むのがまた良いんだ。ほら、ペリーヌも遠慮せずに飲め飲め」
「は、はい!」
以前の肝油で懲りていたのか、いまいち腰が引けていたペリーヌも美緒に促され、はあっと息をひとつつくと、
覚悟を決めてぐいと一気に飲んだ。喉の奥が胃まで駆け抜けか〜っと熱くなる。味は悪くない。これなら飲めそうだ。
「良い飲みっぷりだペリーヌ! さあどんどん行け! 今日はお前の健闘をたたえる会でもあるんだぞ?」
「は、はい! 喜んで!」
酒の美味さよりも美緒に褒められ酒を勧められる方が嬉しいペリーヌは、またぐいと煽った。
「なんか少しワインに似てる〜」
お猪口を加えて感想を呟くルッキーニ。
「ルッキーニはあんま飲むなよ?」
「なによ〜子供扱いしないでよ。あたしだってウィッチーズなんだから〜」
シャーリーの忠告も聞かずぐいと飲み干すルッキーニ。
「あら、なかなか美味しいわね。妙にフルーティで」
「だろうミーナ? ……お前にはいつも苦労させてすまんな。せめて少しでいい、飲んでくれ」
「ありがとう、坂本少佐」
ミーナはにっこり笑うと、誰かに負けぬとばかりにぐいと飲み干した。
「リーネも隅でちっちゃくなってないでこっち来い! 酒が合わなければワインかウイスキーを持って来させるぞ? 大丈夫か?」
隊員の陰に隠れる様にこそこそと飲んでいるリーネを見つけ、声を掛けた。
「だ、大丈夫です! しっかり頂いてますから」
そんなリーネを見て笑うと、美緒も自分のお猪口に酒を注ぎ、飲み干す。
「……熱い」
少しひりっとする温度の酒を口にして、舌をちろっと出すサーニャ。
「サーニャ、病み上がりなのに大丈夫カ? 無理スンナヨ?」
横についているエイラが気遣う。
「大丈夫。せっかくみんなで楽しむって言うから……」
「私がついてるから、何か有ったらすぐに言うンダゾ?」
「平気」
「それにしても……」
エイラは辺りを見回した。全員が呑んでいるせいか、湯気に加え、既に相当風呂場の中が扶桑酒の臭いで充満している。
「スオムスじゃサウナの中で酒は飲まないゾ。扶桑は風呂の中で飲むのかヨ……」
早くもうつらうつらとし始めたサーニャを心配しながら、エイラは呟いた。
106last witch standing 02/05:2008/11/27(木) 19:39:48 ID:2lvOsBba
小一時間もしないうちに、風呂場は最初の乾杯の頃の緊張感が失せ、宴の場と化した。
「坂本さん、おかわりお持ちしました!」
「まだまだ足りん! もっと持ってこい!」
「は、はいぃ!」
芳佳は完全に熱燗要員になっていた。調理場と風呂場をせわしなく行き来する。
目がぽわわ〜んとしたペリーヌはぐいと酒を煽っては美緒を探した。
「少佐、この扶桑のお酒……」
「うまいか? もし合わないなら無理するなよ? お前の国には沢山素晴らしい酒が有るからな」
「いえ、少佐のお酒は素晴らしいですわ! このお酒なんですけど……」
「うん、どうした?」
「ワインや果実酒に比べてそんなにアルコール強くないですわね?」
「そうか?」
「でも、とても素敵な気分ですわ」
「そうか、良かったなペリーヌ! お前には期待してるぞ!」
美緒に酒を注がれ、一人ほわわと幸せオーラを出すペリーヌ。笑う美緒にばんばんと肩を叩かれ、衝撃でお猪口から酒がこぼれた。
よろけて美緒の胸に飛び込んでしまい、テンションが一気に上がるペリーヌ。
「はっはっは、どうした? 甘えたくなる年頃か?」
頭を撫でられ、眼鏡が曇るペリーヌ。恍惚の表情を浮かべているに違いない。
「おーおー。ペリーヌの奴」
シャーリーとルッキーニは様子をちらりと眺めて、にやけた。横ではカールスラントのエース二人が飲んでいた。
「トゥルーデ、もうお終い?」
「そんな事は無いぞ。どっちが先に潰れるか勝負するか?」
「へえ、私に勝てるとでも?」
「おっ! 面白そうだねぇ、その勝負あたしもいっちょ乗るよ」
「いいだろうリベリアン。お前とはいつか勝負したかったんだ」
「あたしもだよ。望むところだ!」
「いけいけシャーリー! あたしもついてるよ〜」
すでにかなり酔っぱらっているルッキーニはシャーリーの豊満な胸にもたれて応援し始めた。
トゥルーデ、シャーリー、エーリカの三人はお猪口になみなみと酒を注ぐと、ルッキーニの合図と同時にぐいと杯をあけた。
リーネは話し相手を探し湯船の中をそそっと進み、ミーナを見つけた。一人で酒をちびりちびりと呑んでいる。
「あの……皆さん楽しそうですね」
「そうね。これで少しでも皆の気分転換になればいいんだけど……」
少し憂鬱な顔をするミーナ。
「中佐? どうされました?」
「ううん何でもないの。一人で飲む事が多かったから、貴方と話せて楽しいわ」
「ありがとうございます」
ほかの隊員達から少し離れたところで、エイラとサーニャは少し冷めかけた酒をちまちまと飲んでいた。
「ぬるくなるとまた少し味が変わル。不思議な酒ダナ」
「うん」
「眠くないカ?」
「大丈夫」
107last witch standing 03/05:2008/11/27(木) 19:40:53 ID:2lvOsBba
更に小一時間が経過した。
風呂場は完全に乱痴気騒ぎの場と化した。
飲み比べを経てすっかり出来上がったシャーリーとトゥルーデは、お互い勝負している事を完全に忘れ
肩を組んで意味不明言語不明の歌を歌いだした。湯船のへりに頭を寄せ、くか〜といびきをかくルッキーニ。
同じく完全に酔ったエーリカはトゥルーデ達を見ながら、一人湯船のへりに肘をつき、はあ〜と深い溜め息を付いた。
「トゥルーデは私と……どっちが好きなのさ」
ぶつくさと呟くが、酔っぱらいに聞こえる気配なし。
「あんたらはいいよね〜。どうせ私なんか……」
その横ではいつの間にか酔っていたミーナがリーネに愚痴をこぼしていた。
「この隊は本当に規律違反が多くて……何度始末書で頭を抱えた事か……貴方に分かる?
結構胃にも来るのよ? 上層部は戦争屋に政治屋だらけだし、監視所の連中の目は節穴揃い……」
「は、はあ。大変ですよね。お察しします……」
「リーネさんももっと頑張りなさい? ほら、飲みなさい」
「あ、はい……」
慌てて酒を飲むリーネ。
「坂本さん! もうこれで最後です!」
「何ぃ? そうか! 今度また補充しないとなあ」
「そうですね」
「よおし、今までごくろう宮藤! お前も飲め!」
「は、はい……うわぁあああ」
いきなり服を着たまま風呂に引きずり込まれ、酒を呑まされる芳佳。
「坂本さん、顔色変わってませんね。飲んでます?」
「ああ、そこにあるぞ」
指さす先には、徳利が湯船の外に軽く二十本は転がっている。いつの間に空けたのか。
「こういう時は無礼講だ無礼講」
またも豪快に笑う。芳佳も促されるまま酒を飲み、瞬く間に徳利を一本、二本と空けた。
風呂の熱さと相まって、急激にアルコールが身体を駆け巡る。
「良いぞ宮藤! お前はなかなか見所がある! 流石私が見込んだウィッチだ!」
「ありがとーございますぅ」
にへへ、としまりの無い笑いをする芳佳。
「ねえエイラ」
「どうしたサーニャ?」
「みんな楽しそう」
「……サーニャにはそう見えるのカ?」
こくりと頷くサーニャの頬はほんのり紅く、エイラは心ときめいた。しかし周囲の状況を見る限り、そう言ってもいられない。
勧められるままに飲み続け、光の速度で出来上がった芳佳は、真っ赤な顔で美緒の胸に頭を埋めた。
「坂本さぁん」
「おいおいどうした宮藤? まだまだこれからじゃないか」
「坂本さんって……」
「ちょぉっと宮藤さん! 少佐に何言い寄ってるんですの!?」
突然ぶわっと湯船の中から現れるペリーヌに目をやる芳佳。
「あーペリーヌさん、居たんですかぁ」
「失礼な! 大体、出身が同じだからと何でいつもいつもそう少佐に……」
「ペリーヌさん酔ってますぅ?」
「酔ってません!」
「酔っぱらいは大抵『酔ってない』って言うんですよぉ?」
「酔っぱらい!? 酔っぱらいはああ言うのを言うんですわ!」
指さした先では、トゥルーデとシャーリーが何か歌らしきものを大声でがなっては、大笑いしている。
「貴方にはホント辟易してましてよ!? 何が期待の新人ですの? 腐った豆は作る、モップはぶつける、行儀もマナーも何もない野蛮人ですわ!」
「ペリーヌさんごときにそこまで言われる筋合いないですよぉ」
「この高貴なガリア貴族のわたくしに向かって何たる口の訊き方……」
「芳佳ちゃんをいじめないで!」
突然乱入するリーネ。リーネに引っ張られるかたちでミーナもくっついてきた。
「あらあら。楽しそうね」
うふふと笑うミーナを完全に無視したペリーヌは、リーネに向かってがなり立てた。
「リーネさん、貴方こそ何ですの!? 事あるごとに宮藤さんの肩をもつような事を! 役立たず同士傷の舐め合いかしら?」
「そう言うペリーヌさんこそ、役に立ってないじゃないですか!」
108last witch standing 04/05:2008/11/27(木) 19:42:00 ID:2lvOsBba
「なっ! 失敬な! 役立たずはお黙りなさい!」
「黙りません! 大体、夜間訓練の時も怪しい民間伝承の不味いお茶しか出さなかったり、
いっつも要らない蘊蓄並べるだけで、ペリーヌさんの方が全っ然役立たずです!」
それを聞いたペリーヌの頭から勢い良く蒸気が吹き出た様に見えた。
ペリーヌは真っ赤な顔になるなり、身体を巻いていたタオルをぐるっと手に巻き付けると、リーネに向かって投げつけた。
ばしゃ、と湯が周囲に飛び散る。
「もう我慢なりませんわ! 貴方に決闘を申し込みます!」
びっと勢い良く指さし、リーネを挑発するペリーヌ。
「おい見ろリベリアン、向こうで決闘だ、決闘が始まるぞ?」
「おーおー決闘かぁ。あたしの国だと、伝統的にはリボルバー使うんだけどな」
「それじゃ死ぬだろ!?」
「死ぬ死ぬ!」
どっと笑うトゥルーデとシャーリー。笑いのツボが何処にあるのか分からない。
「……今、誰か私を笑った? ……笑いなよ」
状況がまるで見えていないエーリカは一人やさぐれている。
リーネはペリーヌを睨み返すと、言い放った。
「望むところです! その高笑いを二度と出来なくしてやります!」
リーネは湯をかき分け、ざばあとペリーヌに掴みかかった。湯船に躍る二人の身体。
「こっこの胸! 余計な大きさをして!」
「私の勝ちですね!」
「なんですって?」
「もう育ちようが無いじゃないですか!」
「胸で勝ち負けを付けるほどわたくしは愚かじゃありませんわ!」
湯船の中で派手な取っ組み合い掴み合いが始まった。
力をふんばっているうちに使い魔の耳と尻尾が生えてきた。
「決闘ですってよ、美緒。どうするの?」
隙を見てそそっと美緒の横に寄り添ったミーナが美緒に囁く。
「ああ、暫く見ていよう」
平然とした顔で応える美緒。そしてぼそっと言った。
「これが本当のCatfight、なんてな」
突然、豪快に笑う美緒。何だかんだで、やっぱり酔っていた。
「まあ、あれだ。ミーナも酒足りてるか?」
「じゃあ、美緒をいただこうかしら」
ミーナも顔色に変化は無かったが、とうの昔に酔っていた。美緒の頬をそっと両手で触ると、いつもと同じ様に口吻を交わした。
「……おいおい、ここじゃ皆に見られるだろう」
「それがまた良いんじゃない?」
いつの間にか湯船のへりに詰め寄られる。ミーナは美緒をぎゅっと抱きしめると、そのまま濃厚なキスを美緒にした。
「うはははは! 見ろよ大尉殿! あそこで中佐と少佐がチューしてるぞ!」
「あはははは! 見た見たリベリアン! ミーナも見せつけてくれるなあ!」
「……私を笑ったのはトゥルーデ?」
普段では絶対に言わない様な事を平然と口にするシャーリー、トゥルーデ、エーリカ。酒の力は恐ろしい。
ミーナは笑う二人、取っ組み合うペリーヌに向かって挑発的な視線を送ると、されるがままの美緒に唇を這わせた。
「どーしたエーリカ。暗い暗い」
笑いながらエーリカの肩をばんばんと叩くトゥルーデ。力加減があやふやになっている。
「痛いよ……もう一度笑ってよ、トゥルーデ」
「なにぃ? おわぶふっ」
無理矢理湯船に身体を沈められるトゥルーデ。エーリカは一緒に潜るとトゥルーデの顔を両手で掴み、乱暴にキスをした。
「ごぼはぁっ! エーリカ何を……」
「トゥルーデ、私のお姉ちゃんになりなよ」
「な、な、何を言い出すん……」
強引に口吻したまま、湯に沈むエーリカとトゥルーデ。
「なんだよ、こいつらも移ってやんの。これだからカールスラント軍人は」
ひとりになってもなお、だははははと笑うシャーリー。横にあった誰のか分からない徳利を掴むとそのまま酒を一気飲みし、
笑い続けた。
109last witch standing 05/05:2008/11/27(木) 19:43:57 ID:2lvOsBba
「あわわわ……リーネちゃんどこぉ?」
周囲の騒然たる雰囲気に取り残され、おろおろする芳佳。
「芳佳ちゃん! やったよ芳佳ちゃん、私勝ったよ!」
ざばあと湯船に顔を出すリーネ。髪は解け、べったりと額と肩に貼り付いていた。
「え? おめでとぉ!」
何がどうしてどう勝ったのか、よく分からないけど祝福する芳佳。
「芳佳ちゃんのおかげだよ! ありがとう!」
リーネは芳佳をぎゅっと抱きしめ、キスをした。芳佳もリーネを抱くつもりが、リーネの乳房に手が行き、もんでいた。
「んっ……芳佳ちゃん……」
「リーネちゃん……良い匂い」
「芳佳ちゃんも……」
突然ごっ、と音がする。芳佳は頭に衝撃を受けた気がしたが、気にせずリーネといちゃついた。
音の主はペリーヌだった。そこらに転がるお猪口やら徳利などを手にしては投げ、と言う暴挙に出たのだ。
ペリーヌの口からは今まで聞いた事も無い様な笑い声が漏れた。ペリーヌも悪酔いしている……酒に飲まれた一人だ。
「お前そんな宴会芸持ってたのかよ!」
指さして笑うシャーリーの頭にも徳利が飛び、当たって砕け、シャーリーは笑いながら気を失った。
エイラはぐったりしたサーニャを連れ、気配を消しながらそおっと風呂から上がると、
着替えもそこそこに風呂場から脱兎の如く逃げ出した。
「あれ……エイラ、お風呂は?」
「もう、無理ダナ」
背後で稲光が見え悲鳴が上がったように感じたが、多分気のせいだろう。きっとそうに違いない。
「私は何も見てないし聞いてないゾ。そうに違いないンダナ」
サーニャを担いでエイラは遁走した。

朝のミーティング。
隊員が集まる部屋の空気は重かった。何故重いかは、頭にずしりと残る酒気……二日酔いのせいだけではない。
どう言う経緯か分からぬが負傷者が数名出た上、風呂場は今日一日清掃と設備交換の為出入り禁止とされた。
ミーナはいつも通り、訓練とスケジュールの確認を取り、笑顔で
「さあ、今日も一日頑張りましょう」
とは言ったが、目が全然笑っていない。
遅れて医務室から戻ったペリーヌを見かけると、ミーナは言った。
「ちょっとペリーヌさん、あとで私の部屋に来なさいね」
言われたペリーヌは全身震え上がった。無意識のうちに助けを求めて美緒の方を見るも……美緒は何故か目を合わせてくれない。
美緒は美緒で、乱痴気騒ぎの元凶を作った事を内心悔いているのかも知れなかったが。
シャーリーはぞんざいに巻かれた額の包帯を直しつつ、医務室へ向かった。
「シャーリー、どうしたのその傷?」
「気付いたらこうなってた。ルッキーニなんか覚えあるか?」
「わかんな〜い」
ルッキーニがついていく。
エイラはサーニャを連れてそそくさと部屋を後にした。
トゥルーデとエーリカは一応すました顔をしていたが、何処か恥ずかしそうだった。特にトゥルーデが。
一緒に部屋を出た芳佳とリーネは、手を握りあって歩き始めた。
「昨日は色々有ったけど、なんだか楽しかったね」
「ホントだね。またああいうの、したいね」
「私の部屋でなら……いつでもいいんだよ?」
リーネは頬を赤らめた。

end

----
なんかもう、ただひたすらにお詫びするしかない内容ですねorz
スレ汚し失礼しました。
110名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 19:44:36 ID:avBKXJKV
秘め声が百合ヲタに優しくないってどういうことだ?
111名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 19:57:49 ID:E57SRyWE
いや抱き枕は百合展開は関係ねえww
サーニャで出すっていう選択肢は十分に正解だと思うよ。商業的にも眠いキャラ的にも

>>109
乙!人数多いのにキャラの特徴が出てて面白かったwリーネ黒いww
112名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 20:07:38 ID:ctSQqn6B
>>110
「お兄様」とか呼ばれるところらへんか?
まあそれはお約束系だし(キャラの)演技ってことで納得している

本音言うと「お姉さま!」と呼んでは欲しかったがw
113名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 20:13:54 ID:eQcB04Le
ちょっと聞きたいのだが、
保管庫の「ドロップ裏」が携帯からだと前編しか見られないのは自分だけ?
PCからは普通に見れるんだけど。
シャーゲル分が不足してるから寝る時に読み返そうとしたら見れなくて涙目。
114名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 20:26:51 ID:17F40xNP
>>109
続きキター
なんか良い意味でカオスだなw
面白かった
115名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 21:31:16 ID:TWfslo9c
エルマさんとエイラさんの話を2レスほど。タイトルはアナタがくれたもの。

暖かい。本当にアナタは暖かい。

アナタの優しさで私は満たされる。
そして溢れた優しさで、いつか誰かを満たせたらそれはどんなに幸せだろう。

ーーーーーーーー

「もう、エイラさん!またニッカさんと喧嘩しましたね!」
「だってあれはニパが悪いンダ!」

そうだ私は悪くない。
だってニパが私のタロットはハズれるって言うんだもん。

「どっちが悪いかじゃないんです!いくらニッカさんが悪くても叩いたりしちゃダ
メなんですよ。」

ふん、エル姉はニパの味方なんだ!
悪いのはニパなのに、ニパなのに!

「エル姉のバカ!エル姉なんてニパのとこに行っちゃえ!」

エル姉なんて嫌いだ。
もう誰とも会いたくない。私は一人で生きるんだ。

エル姉のお部屋を飛び出して、私は自分の部屋に飛び込んだ。

私は一人でなんでもできる。訓練だって一番だ。
なにさ、エル姉なんて階級が高いだけのドジじゃないか!

布団に潜った私の頭に、浮かんでくるのは悪口ばかり。
胸が痛くなる。

注いでもらった優しさが、穴のあるバケツに入れたみたいにどんどん漏れていく。
一つ悪口が浮かぶ度、私の心はしぼんでいく。
漏れていった優しさの代わりに、胸にのこったのは痛みだけ。

それでも私は強がるんだ。

私は構わず文句を続ける。
出て行った優しさの代わりに私を満たすのは痛みと後悔。

「ホントにニパのとこに行っちゃったのカナ…?」

すっかりしぼんだ私の心が優しさを求めだす。
でもあんなこと言っちゃったんだ、私は一人になっちゃったんだ。

謝れば許してくれるかな?
でもダメだ。
あんなこと言っちゃったのに自分からは謝れない。

ちっぽけな自尊心にすがりついて謝ることもできない惨めな自分。
どうして私はこんなに情けないんだ。
116名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 21:32:06 ID:TWfslo9c
コンコンとノックの音が部屋に響く。

「エイラさん、いますか?」

大好きなエル姉の声に、しぼんだ心が優しさを求める。
涙がでそうなくらい嬉しかったんだ。

それでも私の口は自尊心にすがりついて開くことをしない。

ここにいるよ。本当はそう言いたかった。
傍にいて。行っちゃやだよ。言いたいことはたくさんあった。
でもやっぱり口は閉じたまま。

「エイラさん、入りますよ。」

返事もしなかったのに、エル姉は私がいるのを分かってくれた。

「エイラさん、布団にくるまってないで出てきてくださいよ。」

ひょっこりと顔を出すと、ぽかぽかした太陽みたいに暖かいエル姉の笑顔が私を
迎えてくれた。

「反省、できたみたいですね。そんなに顔中ぐしゃぐしゃにしてしまって…」

そう言ってエル姉が私の顔をハンカチで拭いてくれる。
いつの間にか私、泣いてたみたいだ。
あまりにも胸の痛みが激しくて、
あまりにも優しさがこぼれた心は寂しくて、
自分が泣いていたことなんて気付かなかった。

そんな私をエル姉は黙って抱きしめてくれる。


暖かい。

それはもちろん人肌の温もりもあるけれど、
やっぱりエル姉の笑顔も心も暖かくて、触れた私の心まで優しさで満たしてくれる。

私はエル姉の腕の中で、必死に、ごめんなさい、ごめんなさいと言い続けた。

「ニッカさんにも謝れますか?」

そう諭すエル姉に私は、うん、と大きく頷いた。
エル姉がひときわ強くギュッとしてくれる。

どうしようもないほどエル姉は優しくて、
私を叱ることはあっても怒鳴ったりなんて一度たりともしなかった。

私も、もっとおっきくなったなら、
エル姉みたいな優しさを振りまく人間になりたいと思ったんだ。
いつか自分に大切な人ができたとき、
私はエル姉からもらった優しさで誰かの心を満たしたい。

私の魔法じゃそんなに遠くは見えないけれど、
未来の私の隣に、思いを注げる大事な人がいるならいいな。
エル姉の腕の中、そう思いながら私はまどろみに落ちていった。
117名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 21:40:52 ID:TWfslo9c
皆さんGJです。

という訳でRU1ZZ/dhでした。

昨日のニパさんが想像以上に反響があってうれしかったです。
ニパ可愛いよニパ。

というかスオムス組が皆好きだ。
むしろスオムス軍服が好きだという変人だ。

>>48 ホントスマンかった。投下楽しみにしております。

21X2w2Ibさんに影響されたというかssを書いてみたくなったのが21X2w2Ibさんの話に感動しすぎたからという理由です。

まぁ自分は戦闘も感動話も書けないんでアレなんですが…
118名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 22:12:49 ID:3fkZNFXc
ちょ、すごいスピードだな
余裕できてからゆっくり読むわ。
119名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 22:28:26 ID:Z/6BFeUT
DVDのおかげで今日もスレの流れが速い!スレハヤ状態!
120名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 22:31:16 ID:2lvOsBba
たびたびこんばんは。mxTTnzhmでございます。
今回はリーネ×芳佳メイン、一応オールキャラのSSを投下します。
某映画を見て「これいいなあ」と、ラストから逆算して書いてみました。
要するにインスパイア(ぶっちゃけかなりパクリ)ですが、宜しければどうぞ。
121power play 01/06:2008/11/27(木) 22:32:59 ID:2lvOsBba
ネウロイの襲来。前回の出現から実に九日ぶりだ。
久々の警報が基地中に鳴り響き、すぐさまブリーフィングが開始される。緊張の面持ちで望む隊員達。
「敵、グリッド東09地域に侵入。監視所からの報告によると、今回は高度が相当低いわ」
「奴等もようやく出てきたか……しかし、相変わらず奴等の出撃サイクルにはブレが多いな」
「ええ。そこで今回はフォーメーションを変更します。少佐」
「バルクホルンはペリーヌと、ミーナはリーネとペアを組め。宮藤は私の直衛だ」
「了解」
「残りの人は基地で待機です。油断せず、いつでも出撃できる様準備を」
「了解!」
「よし、すぐに出撃だ! 急げ!」
慌ただしく準備を済ませるとストライカーのアイドリングもそこそこに、第一陣が空へと躍り出た。
会敵ポイントへと急ぎながら、美緒はミーナと会話した。
「先日のネウロイの出現ラッシュは幾らか収まった様だが……ミーナ、今回のネウロイ、どう思う?」
「ネウロイについては分からない事がまだまだ多いわ。今回の敵もどんな事をしてくるか……」
「私もそこが気になる。しかし、何が出て来ても、やるしかないな」
「ええ。いつでも覚悟は出来ているわ」
「頼もしいな。それでこそ我々ウィッチーズの隊長だ」
小さく微笑みを美緒にだけ向けると、すぐに前方に注意を向けた。
美緒も眼帯をめくり、魔眼でネウロイの位置を探す。
見つけた。
距離およそ2500、楕円形のネウロイだ。
ゆっくりと海面すれすれを飛んでいる。余りの低さに、一同は驚いた。
「以前のネウロイにも飛来する高度が低いのは居たが……ここまでとは」
首を傾げる美緒。
「全機、海面との接触や海没に十分注意して。バルクホルン隊、突入開始」
「了解。行くぞペリーヌ」
二人はロールしながら降下し、ネウロイに迫った。
「少佐はコアの探索を。宮藤さんは少佐の援護を」
「了解。守りは任せたぞ宮藤」
扶桑ウィッチペアはミーナ達から少し離れた場所でコアの探索を開始する。
美緒の魔眼が輝きを増す。ネウロイの散発的なビームを、宮藤が強力なシールドで弾く。
ミーナとリーネは上空から状況把握と援護を行う。必要とあればすぐに動けるポジションだ。
トゥルーデは海面との位置に注意しながら、ネウロイの上面を慎重に攻撃した。
先行ペアはそれぞれ手持ちの銃を連射し、反応を見た。
表面装甲……特に上面がいつになく強固だ。いつもなら数発の銃撃で割と簡単に本体に裂孔が開くのに、
今回は銃弾が簡単に弾かれる。ネウロイから撃たれたビームを回避しながら、上昇に転じる。
「中佐、敵の装甲はいつになく強固だ。指示を」
「側面をピンポイントで狙えるかしら? それと、着弾点を一点に集中させて」
「了解。ペリーヌ、私が撃った場所に銃撃を集中させろ。奴に高度を合わせる、行くぞ」
「了解ですわ、大尉」
二人は再度降下し、海面スレスレを飛びながら身体をひねり、側面を銃撃した。
トゥルーデはいとも簡単に連射しながら銃の反動を制御し、銃撃を一点に集中させていく。
ペリーヌもトゥルーデの後を追い狙いを定め、小刻みに撃射を繰り返す。
一定の効果は認められた。側面部分が幾らか砕け、内部が露わになる。
「中佐、銃弾を収束させるとかなり効果が出る」
「何とかいけそうね。少佐、コアの位置は?」
「もう少し待ってくれ……よし、コア発見! ネウロイの中央部だ」
「バルクホルン隊、そのまま中央部を狙ってコアを露出させて。少佐と宮藤さんは援護を」
「よし、ついてこい宮藤」
「はい!」
「リーネさん、中央部を狙って」
「はい!」
ゆっくり降下し、構えて狙う。ネウロイはゆっくりした速度で移動する。特別極端な機動ではなかった為
照準は楽だった。緩い偏差射撃を繰り出し、中央部に見事着弾させる。
トゥルーデとペリーヌはすかさず中央部を狙い撃った。かなり長い銃撃を加え、ようやくコアを掘り当てる。
「全機、ネウロイのコアを破壊」
「了解!」
全員が一丸となり、コアの破壊を目指す。コアさえ砕けば……。
122power play 02/06:2008/11/27(木) 22:34:03 ID:2lvOsBba
しかし様子がおかしい。幾ら銃撃を加えても、コアはヒビが入る気配も見せない。
「どう言う事だ? コアが硬過ぎる」
装甲表面よりも強固なコアを目の当たりにし戸惑うトゥルーデ。ビームが一斉に放たれる。回避上昇し、ひとまず距離を取る。
「中佐、あのコアは本物か? あんなに硬いコアは今まで見た事がない」
「少佐、コアの位置は合ってる?」
確認を求められた美緒は再度魔眼でネウロイをじっくり眺めるが……確かにコアはひとつ、
現在露出しているものしかなかった。
「間違いない。今露出してるのがコアだ」
「と言う事は……今回のネウロイは、コアが異常に硬いと言う事か」
「そんな馬鹿な。どうやって倒せば」
「先程同様、全員の射撃をコアの一点に集中させます。リーネさんのボーイズも有るわ、何とかなるはず」
「なるほど。またも一点集中か」
「バルクホルン隊、少佐と宮藤さんは接近してコアを狙って。突入開始」
「了解」
「リーネさんは遠距離から。いけるわね?」
「は、はい!」
「リーネのボーイズで、コアにとどめをさしてやれ。行くぞ宮藤!」
「はい!」
四人は可能な限り接近してコアに銃撃を加えた。海面近くぎりぎりまで降下しての銃撃は危険が伴う。
トゥルーデは怪力で銃の反動を吸収するので、連射しっぱなしでも照準がブレない。
“カールスラントの電動のこぎり”の面目躍如。
ペリーヌはしっかり狙いつつ、短い連射をひたすら続ける。
美緒と芳佳も接近して、コアの着弾点を探りつつ慎重に銃撃する。
しかし、コアはびくともしなかった。まるで金剛石の如く、傷ひとつつかない。
リーネはそんな状況の中、射撃に集中し、着弾点を見極めた。
一発銃弾を放つ。
見事命中。コアに大きなひびが入る。
「おお! さすがボーイズ、威力の差か。いいぞリーネ、続けろ」
トゥルーデが驚嘆する。
だが、突如としてネウロイの動きが変わった。
ゆるゆると動いていたのはウィッチ達の動きを見極める為だったのか、
接近していたウィッチ達に不規則な動きで急接近し、ビームを乱射した。
「なんだ、急に速度が!」
「回避しながら押してくるなんて」
防御シールドに守られながらもじりじりと押され、後退する。
そして膨大なビームは一点に収束しネウロイの直上で球形になり……
その塊がレーザー宜しく一発で貫くかたちでひとりのウィッチに向けられた。
視界の目の前が赤く染まるリーネ。慌てて回避するも直撃を受け、防御シールドは瞬く間に破壊された。
左のストライカーが激しく損傷する。
リーネは短く悲鳴をあげたが、それっきりだった。
余りの突然な攻撃に、リーネを援護する筈のミーナは隙をつかれた格好になった。
「リーネさん!」
体勢を崩し、そのまま海面に落下するリーネ。
ネウロイはリーネを“標的”に選んだ様だった。落下したリーネ目掛けて、幾筋ものビームが放たれる。
「リーネちゃん!」
激しく動揺した芳佳は猛スピードでリーネのもとへ向かい、落水したリーネを海上に引っ張り上げた。
「リーネちゃん、大丈夫? しっかりして、リーネちゃん!」
リーネは気を失っていた。
容赦なく禍々しいビームが集中する。芳佳はリーネを抱きながら、防御シールドを最大に展開する。
それでも一点集中の攻撃は強烈で、シールドをすり抜けた一筋のビームが芳佳の腕をかすめた。顔を歪める芳佳。
「宮藤! 大丈夫か!」
「宮藤さん、リーネさんを連れて後退して。残りは宮藤さん達をカバーしつつネウロイを攻撃」
ネウロイはウィッチの隊列が一瞬乱れたのを良いことに、今度はビーム攻撃で攪乱しながら退却を始めた。
「どうするミーナ」
「貴重な狙撃手を失う訳にはいかないわ。私達も牽制しつつ一時転進します」
「各機、隊列を崩すな。宮藤とリーネを援護しろ。あのビームの塊には十分注意しろ!」
「了解……っ」
思わぬチームの痛手に悔しさを隠せないトゥルーデ。
やがてネウロイとウィッチ達の距離は開き、双方が撤退するかたちになった。ネウロイは元来た方角へ逃げ延び、
ウィッチ達も基地へと帰還した。
123power play 03/06:2008/11/27(木) 22:35:04 ID:2lvOsBba
ミーナからの連絡で、基地の救護班は既に滑走路上で待機していた。
気を失ったままのリーネからストライカーを外すと、彼女をストレッチャーに乗せてすぐさま医務室へ直行した。
芳佳も基地でストライカーを整備員に預けるなり、自分の怪我も顧みず医務室へ駆け出した。

残った者は、基地待機組を合わせて全員デブリーフィングに参加した。
「コアが硬いのかよ!」
シャーリーが驚きの声を上げた。
「我々の銃では何ともならん。やるとしたら、我々がネウロイの障壁を全て取り払った上で
リーネのボーイズを当てるしかない。なにせ唯一、効果が見られたのがリーネのボーイズだからな」
美緒は戦いを振り返りながら呟いた。
「でも、銃撃を集中させても砕けないコアなんて……それってホントに本物のコアだったの?」
エーリカが疑問を口にする。
「あのコアは間違いなく本物だ。私が確認している」
「少佐が言うなら間違いないだろうけど……」
そう言うと、エーリカはテーブルに肘をついた。
「しかも攻撃は側面からでないと駄目だ。上面は装甲が硬過ぎて話にならない」
トゥルーデは自分の体験を皆に聞かせる。
「それを考えての事か、ネウロイは海面スレスレを飛ぶ」
言葉を続けるトゥルーデ。黒板に簡単な図を書いて示す。
「と言う事は、攻撃するとしてもかなり機動が制約されるって事カ……」
エイラは呟くと、眠そうな目をするサーニャの肩を抱いた。
「今回は、明らかに私のミスよ。リーネさんに、みんなに何と言ったら良いのか……」
ミーナは二番機のリーネを負傷させてしまった事を悔いていた。
「ミーナ、あれは仕方ない……。今回のネウロイのビームの撃ち方は変則的で、今までにほんの数例しか無い。
誰が狙われるかなんて、あの場では咄嗟になんて絶対分からないぞ」
美緒が慰めるも、その声は完全には届いていない様だ。
「中佐、既に起きてしまった事は仕方ない。少佐が言う様に、あれは事故に近いものだった。幸いリーネも命に別状はない」
トゥルーデも彼女なりの言葉で気を遣う。
「でも、私の不注意で起きたのは事実だわ」
「ミーナ……」
思い詰めたミーナを心配したのか、肩にそっと手を置く美緒。ふっと自嘲気味に笑みをこぼすミーナ。
「中佐が悪い訳ではありませんわ。自分で自分の身も守れない様なリーネさんの方こそ、ウィッチとして不適格ですわ」
ミーナのフォローなのかリーネの批判なのか微妙なペリーヌの言葉。だが後半だけ厳しい口調を聞く限りでは
リーネを狙ってなじっているのは明らかだ。隊員達はあえてペリーヌの発言を無視した。
「それで、リーネのストライカーはどうなんだ? かなり酷く損傷していたが」
トゥルーデの問いに、ミーナは更に顔を曇らせた。
「左のストライカーは大破、修理は不可能だそうよ。至急ブリタニア空軍から補充を受ける様手配したけど、数日は掛かるかと」
「それまでの間にまた例のネウロイが来たら、まずいかも」
腕を頭の後ろで組んで、うーんと困り顔を作るシャーリー。
「仕損じたネウロイが連続して現れる確率は極めて高い……」
トゥルーデが指摘する。
「そうね。それまでに何とか対策を考えないと」
ミーナはうつむいたまま両手を机の上で組み、呟いた。
「今回のネウロイは我々をある程度識別出来る様だ。リーネを執拗に狙ったのも恐らくは相当な脅威に感じたからだろう」
美緒が推測を加える。
「しかし、どうしましょう。このままでは」
「ルッキーニ、お前も狙撃は得意な方だろ? リーネのピンチヒッターって言うのはどうよ?」
シャーリーが横で丸くなってごろごろしているルッキーニをつついて問う。
「あたしの銃はリーネのやつほど威力無いよ。それに、リーネのは使い慣れてないからあんま自信ないし」
「そっか……残念」
「サーニャのフリーガーハマーはどうダ?」
「試す価値は有るとは思うが……ネウロイの攻撃パターンを見た限りでは、かなり危険だな」
エイラの提案に美緒が答える。
「そ、それは私がフォローするから大丈夫ダ。サーニャ、いけるカ?」
エイラの問いにこくりと頷くサーニャ。
「ともかく、全員気を抜かないで」
ミーナは椅子から立ち上がると、全員にそう伝えた。まるで自分に言い聞かせるかの様に。
124power play 04/06:2008/11/27(木) 22:36:02 ID:2lvOsBba
医務室では、負傷したリーネを芳佳が治癒魔法を用いて回復を試みていた。
「慌てない。落ち着いて。……リーネちゃん、目を開けて。お願いだから」
自分に言い聞かせ、リーネに呼び掛ける芳佳。
両手から、柔らかく暖かな光がこぼれ、リーネの身体を覆う。
芳佳の想いが届いたのか、やがてリーネはゆっくりと目を開け、周囲を見た。
「……芳佳ちゃん」
「リーネちゃん! 大丈夫?」
ゆっくり上体を起こすと、芳佳に向かって小さく微笑んだ。
「うん。もう平気。芳佳ちゃんの治癒魔法のお陰だね」
「リーネちゃんの為だもの」
「ありがとう。本当にありがとう」
リーネは芳佳に抱きつき感謝するが、やがて顔色に曇りがさす。芳佳から離れ、うつむく。
「どうしたの? 具合よくないの?」
「私……また皆に迷惑掛けちゃった」
ぽつりと呟くリーネ。
突然のリーネの気落ちに、咄嗟にかける言葉が出てこない芳佳。
「私、何なんだろ。ウィッチ失格だよ」
リーネは自分を責めた。
「そ、そんな事ないよ! リーネちゃんは頑張ったよ。今回はたまたま、運が悪かっただけで……」
「芳佳ちゃんも、怪我してる」
「私は……、大した事無いよ。かすっただけだから、気にしないで」
「ごめんね、芳佳ちゃん……私」
涙が溢れるリーネ。芳佳は涙を拭いてあげると、リーネを優しく抱きしめた。
「大丈夫。リーネちゃんだもん。今まで私を助けてくれたじゃない。今度は私が助ける番だよ」
「そんな……」
「大丈夫、私達、大切な仲間……でしょ?」
芳佳は笑顔を作った。正確には“仲間”と言う間柄ではなかったが、それは言葉のあやだ。
「リーネちゃんは部屋でゆっくりしてて。その間に、私達であのネウロイを何とかするから」
「でも」
「大丈夫。私達、絶対負けないよ。それに、離れていても私達、いつも一緒だよ?」
見て思わず安心する、力強く、優しい芳佳の笑顔。
リーネは芳佳の言葉を聞いているうち、はっと気付いた。
「もしかしたら……」
「どうしたの? リーネちゃん」
「芳佳ちゃん。お願いが有るんだけど」
「私に出来る事なら何でもするよ?」
「芳佳ちゃんにしか、出来ない事なんだけど……」
リーネは上半身を起こすと、ベッドから降りた。驚異の回復は、芳佳の魔法によるところが大きい。
「その前に、中佐の所へ行ってくるから……芳佳ちゃん、あとで私の部屋に来て?」
「うん、分かった」
リーネは先に医務室を出た。
芳佳は治癒魔法を使い続けた疲労で少し足元がふらついたが、よろけつつリーネの部屋の前に辿り着き、
座り込み、彼女を待った。
125power play 05/06:2008/11/27(木) 22:37:04 ID:2lvOsBba
小一時間程して、リーネは戻ってきた。外は日も沈み、すっかり暗くなっていた。
「お待たせ、芳佳ちゃん」
「もう用事は良いの?」
「うん。さ、どうぞ」
笑顔で芳佳を招き入れるリーネ。
「お邪魔しま〜す」
リーネの部屋に入る。こざっぱりしているが、所々に飾られた置物やら家族の写真やらぬいぐるみを見ると、
彼女も年頃の女の子なんだと思える。
リーネは後ろ手に部屋の鍵を掛けた。そして不思議な事に、部屋の明かりを付けない。
暗闇の中、彼女の行動を少し疑問に思った芳佳は言った。
「それでリーネちゃん、私にしか出来ない事って、なに?」
「芳佳ちゃん」
リーネは名前こそ呼ぶが、その先を言わない。
「どうしたの?」
恥ずかしそうにもじもじすると、リーネは意を決したかの様に、手を取り、言った。
「私ね。魔法で弾丸に魔力を込める事が出来るんだけど」
「うん、知ってるよ?」
「魔力をもっと高めたいの。芳佳ちゃん、魔力を分けて? 一緒に……」
「うん、いいよ。……って、どうやって?」
「いつも、してることでいいから」
「え」
言葉に詰まる芳佳を、リーネは抱きしめた。そのままぐいと寄り切って、自分のベッドに押し倒した。
「リーネちゃん、もしかして……」
「芳佳ちゃん、お願い」
顔が異常に接近する。二人の吐息が混じり合う。
緊張しているのか、息が少し荒くなる。
リーネは芳佳の唇を塞いだ。目を閉じる。芳佳も同じく目を閉じ、唇を合わせ、リーネを抱きしめた。
長い長い、キス。
やがてリーネは唇を離した。息はまだ少し荒い。身体が熱くなる。
「私にしか出来ない事……、ってこの事だったんだ」
「ごめんね、芳佳ちゃん」
「私は、いつでもいいよ? リーネちゃんが良いなら」
「ありがとう、芳佳ちゃん」
もう一度の口吻。もっと濃ゆいキスを交わす。お互いの舌が絡み合い、貪る様に行為に耽る。
静かな暗闇が覆う部屋の中、二人はベッドの上で交わった。
荒い息をついて、顔を少し離す。
上気してとろんとした目をする芳佳。
リーネも呼吸のリズムから、相当に興奮し、また芳佳と同じく恍惚の表情をしているのが分かる。
「リーネちゃん」
「芳佳ちゃん……好き」
「私も……リーネちゃんの事が、好き」
「嬉しい」
二人はそのまま、朝まで抱き合い、お互いをより深く知った。
126power play 06/06:2008/11/27(木) 22:37:58 ID:2lvOsBba
翌日、早くも現れたネウロイとのリベンジ戦が行われた。
ネウロイは昨日破壊された部分を早くも修復させていたが、ウィッチーズも隊員を総動員して対抗した。
近距離からの一点集中攻撃でコアを露出させ、遠距離からの一撃で仕留める戦法は変わらない。
敵もそれを心得ているのか、鉄壁の守り、鋼の如き硬さを見せながらウィッチ達に襲い掛かる。
やがて彼女達の奮闘でコアがむき出しになった。しかし隊員の銃ではコアが硬過ぎてやはり破壊には至らない。
ネウロイはそれを承知で、あざ笑うかの様にビームを乱射し、隊員達のフォーメーションを攪乱させた上で
ボーイズを構えるウィッチをひたすらに攻撃した。
昨日と同じく、ビームが収束され、ひとりの魔女を執拗に狙う。
迫り来る、膨大で強力過ぎる攻撃。

だが、ネウロイのビームは全てかわされた。
おさげの髪を振り解き、ネウロイの正面に回った。
ボーイズ(の予備分)を担いだウィッチは、にやりと笑ってみせた。
そう、彼女はリーネではない。無傷のエース、エイラ・ユーティライネン。
「この服、私には少し小さいナ。胸はすかすかダケド」
リーネから借りた服の端をつまんで、おどけてみせた。
ネウロイが攻撃相手を迷い、僅かに動きがぴたりと止まったその瞬間、コアが撃ち抜かれた。

一発の弾丸は、何処から来たのか。
それはネウロイの周囲に展開するウィッチ達の横をすり抜け、やや後方に位置したペリーヌの髪をなびかせ、
大空を超え、海面の際を飛び、滑空するトビウオの群の中を行き、飛び立つカモメの群を紙一重でかわし、
木々の隙間を抜け、はらりと落ちる一枚の木の葉をかすめて、“彼女”の部屋の窓際から発射されたものだった。

リーネは“魔弾の射手”。弾丸に絶大な魔力を込め、自在に操る唯一無二のウィッチ。
この一撃で、ウィッチとしての信頼を取り戻し、芳佳との愛を、更に深く強くする。
それは彼女と芳佳が共同で込めた強い魔力と、絆のちから。
ボーイズを構えたリーネは、照準から目を外し、身体にみなぎる魔力を少し和らげた。
そして息を大きく吸い、吐いた。
頬を合わせ、銃とリーネにぴったりと寄り添い魔力を込めていた芳佳に微笑み掛ける。
「芳佳ちゃん、やったよ」
芳佳にははるか遠くの海上でネウロイが爆発し塵と化している事など見える筈もなかった。
でも、リーネの嬉しそうな顔を見て、確信し、笑顔に変わる。
「リーネちゃん」
「芳佳ちゃんのお陰だよ」
そのままボーイズを下ろし、どちらからともなく、唇を重ねた。

end
127名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 22:42:23 ID:2lvOsBba
以上です。
今回はリーネの「魔弾の射手」ネタを書きたかったので突貫工事で。
今日は2本も投下してしまい調子こいてすいませんですorz

前回のSSの感想頂いた方々、誠に有り難う御座いました。
皆様のお気に障るのでは……と、正直ハラハラしてました。

ではたびたびのスレ汚し失礼しました。
128名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 23:08:46 ID:ax7QdW6M
すっ、スゴい!怒涛のSSラッシュ!
GJ以外の言葉が無い!
本当にこのスレはどこまで行くんだwww

…で、そんな自分もSS投下に向けて準備中。
さて、誤字脱字チェックしてくっか…
129名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 23:40:08 ID:yRXYM6Gv
>>127
GJです。
やっぱ芳ーネはいいね。
DVDを受け取れなくて沈んでた私の心が癒された。
130名無しさん@秘密の花園:2008/11/27(木) 23:41:24 ID:17F40xNP
GJ
芳リーネはやっぱいいな
力作2本連続とうかお疲れー

関係ないけど魔弾というとリップヴァーン中尉を思い出す
んでDVD5巻のお姉ちゃんは大尉・・・
131保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/11/28(金) 00:21:09 ID:6xCtb5lk
やあどうも。保管庫管理人です。
DVD3巻を買ってきて早くもスーパーエイラーニャタイム突入寸前です。
戦闘記録集の表紙YABEEEEEEEEE!!!!!!!!!

とか言ってる傍からぶち壊すようであれなのですが、今朝チラッと言った芳ーニャ投下しようと思います。
ホントはSS直後の投下って直前のにGJしにくくなる気がしてあれなのですが、
このラッシュだといつまでたっても投下できないのでそんな事言ってらんないというもうなんだこのスレ。最高だ。

芳ーニャと言いつつエイラ視点です。
もう一度言います。エ イ ラ 視 点 の 芳 佳 × サ ー ニ ャ です。
どんなことになったかはまあ……ご察しください。
やや長、鬱展開、暴力有りのとんでもない代物ですが、よろしければお付き合いください。

エイラ視点の芳佳×サーニャで、「Hulluus Ajaksi Te」です。
132Hulluus Ajaksi Te ◆YFbTwHJXPs :2008/11/28(金) 00:22:42 ID:6xCtb5lk
君があんまり素敵な笑顔で笑うから、私はきっとおかしくなってしまったんだ。
ねえエイラ、と名前を呼んだ君はふわりと寄りかかってきたから、
私はただその肩を肩で受けて、あたまにあたまを乗せて、
ひざを寄せてぴったりと寄り添うことにしたんだ。

「ひとを好きになるってすてきなことだね。」

頬を熟れたリンゴみたいに紅くして呟く言葉は、
心の中にするりと入り込んで幸せに変わっていく。
そうやってあんまり無邪気に笑いかけるから、
だからきっと私は────



サーニャと宮藤が付き合い始めたことを聞いたのは、
翌日の夕方のことだった。

────────

「よぉ、エイラ。ナイト・ウィッチを廃業したらしいじゃないか。」

夕食当番に遅れてやってきたシャーリーのやつが、
開口一番そんなことを抜かした。

「……何のことだよ。」
「何って決まってんだろ。サーニャのことさ。」
「サーニャがどうかしたのか?」
「とぼけんなよ。それともまだ聞いてないのか?」
「…………。」
「さっき宮藤が嬉しそうに話してたんだ。
 私、サーニャちゃんと付き合うことにしたんです、ってな。」
「……はあ?」
「……ホントに聞いてないのか?」
「冗談だろ?」
「あたしがそんな意地悪なやつに見えるかい?全部マジだよ。」
「……っ!」
「あたしはてっきりお前が……おい、待て、エイラ!
 このナベどうすんだよ!?」

宮藤がサーニャと付き合うだって?
そんなはずはない。
だってサーニャは今までずっと私と一緒に過ごしてきたんだ。
こんないきなり、私に何も言わずにいなくなるなんて、
そんなことがあっていいはずないじゃないか。
これは嘘だ。
あの暢気なリベリアンが考えた悪い冗談だ。
でなきゃドッキリでも聞き間違いでもなんでもいい。
サーニャは私だけのものだ。
誰にだって渡してたまるもんか!
133Hulluus Ajaksi Te ◆YFbTwHJXPs :2008/11/28(金) 00:24:24 ID:6xCtb5lk
「サーニャ!!」

ノックもなしにサーニャの部屋のドアをバタンと開けた。
一瞬血が上るあまり出てしまった自分の無神経さを呪ったけど、
中を見渡しても誰もいなかった。
すぐ隣の自分の部屋も同じだった。
ここにいないとなると……。
私はすぐに最悪の解答を導いた。
アイツの部屋だ。

陽が落ちてすっかり暗くなった廊下をただ走った。
一刻も早く本当のことを知りたかった。
でないと気が狂いそうだった。

「きゃっ!」
「わっごめん。急いでるんだ。」

最後の角を曲がる時、リーネにぶつかりそうになった。
リーネは私の顔を見るなりはっと息を呑んで、
それから悲哀だか同情だかに満ちた気まずい視線を送ってきた。
何だよその目は。
何だって言うんだよ。
やめてくれよ。
ちくしょう。

────────

ドアの前に立つと、中から楽しそうな笑い声が漏れてきた。
片方は宮藤で、もう片方は……サーニャ。
乱れた呼吸を無理やり整えて、深呼吸。
確かめてやる。
私とサーニャの絆がホンモノだって教えてやる。
大丈夫だ。今までずっとそうだったんだ。

「はい、どうぞ?」

適当にノックすると宮藤の気の抜けた返事が返ってくる。
私はもう一度だけ深呼吸して、それからノブに手を掛けた。

「ああ、エイラさん。こんばんは。」

宮藤の部屋は私の部屋には似てなかったけど、
私と同じくモノが少なくてかなり綺麗に片付けられている。
その入り口から対角線の向こうに備え付けのベッドが置いてあって、
宮藤とサーニャはその上で一緒に寝転がっていた。

「何やってんだよ、サーニャ……」

自分でもぞっとするほど冷たい声が出た。
二人の表情がみるみる曇っていく。
私が一歩近付く度に、驚きが疑問に、疑問が恐怖に変わっていくのが見てとれた。
きっと私はひどい顔をしてるんだろうな。

「何でサーニャが宮藤と一緒にいるんだよ……!?」
「それはわたしが芳佳ちゃんに───」
「宮藤ッ!!」
「えっ?…っわ!?」
134Hulluus Ajaksi Te ◆YFbTwHJXPs :2008/11/28(金) 00:26:09 ID:6xCtb5lk
ベッドに飛び乗って宮藤の襟首に掴みかかった。
身体が勝手に動いた。サーニャが宮藤のことを名前で呼んだ瞬間、
私の中で何かが切れる音がして感情が言うことを聞かなくなったのだ。

「シャーリーから聞いたぞ。オマエがサーニャに手出したって。」
「……それは」
「何でそんなコトすんだよ!?
 オマエ自分が何したのかわかってんのかよ!?
 私の目の前で、よくも、こんな──!!」

許せなかった。
あたまの中でぐるぐると渦巻く醜い色をした何かが、
私の背中を行ってはいけない方向にドンと突き飛ばしたようだった。
宮藤が憎い。
サーニャを奪おうとしたこの女が憎い。
全身に刻み込んでやる。
サーニャは私のものだ。
オマエなんかに渡すもんか!

「ふざけんな!!」
「エ、エイラさん──」
「絶対許さないからな!許すもんか!!」
「ちょっと……」
「サーニャは私のものだ!!
 今まで私とサーニャはずっと二人でやってきたんだ!!
 サーニャの隣に居ていいのは私だけだ!!
 オマエみたいなヤツに、私のサーニャをとられてたまるかよ!!
 わかったらもう二度とサーニャに手ぇ出すな!!
 いいな!?」

宮藤は怯え切った様子でガクガクと震えている。
掴んでいた服を離してキッと睨むと、
宮藤は短く息を呑んで惨めな声を上げた。
ざまあみろだ。もうこんなヤツに用はない。
フンと冷笑を投げかけてから、私はやっと柔らかい顔を作った。

「ほら、サーニャ。こんなヤツほっといて一緒に───」


ぱんっ!
135Hulluus Ajaksi Te ◆YFbTwHJXPs :2008/11/28(金) 00:28:05 ID:6xCtb5lk
「…………?」

一瞬、何が起きたのかわからなかった。
乾いた音がして、世界が90度回った。
おかしいな。私は今……。

「エイラのばかっ!!!!」

ぱんっ!

もう一度同じ音がした。
脳みそがグラグラ揺れて視界が歪む。
ほっぺたもひりひりする。
痛いよ。
何でだよ。
何でサーニャが私をぶつんだよ。
何で宮藤をかばうようなことしてるんだよ。
何で泣いてんだよ。

「わたしが芳佳ちゃんと一緒にいたいって言ったの!!
 芳佳ちゃんにひどいこと言うエイラなんて、だいっきらい!!」

やめろよ。
やめてくれよ。
私はオマエがそんな顔になるのが嫌だったから、
こうして助けに来たんじゃないか。
何でそんなコト言うんだよ。
泣いたりなんかしないでくれよ。
いつもみたいに笑いかけてくれよ。

「出て行って。」
「サーニャ──」
「出て行って!!」

なんなんだよ。
わかんねーよ。
やめてくれよ。
ちくしょう。

────────
136Hulluus Ajaksi Te ◆YFbTwHJXPs :2008/11/28(金) 00:30:47 ID:6xCtb5lk
自分が夕食当番だったことを思い出したのは、
中途半端に欠けた上弦の月が天頂を通り過ぎた後だった。
空腹なんて感じないけど、
代わりに気持ち悪いドロドロしたものが
胃の底に溜まっているみたいだ。
自分の部屋に戻れる気分じゃないから、
ハンガーの隅っこに小さく座り込んで、
真っ暗な空を雲が行き来するのを見ていた。

冷たい風がゆっくりと私の体温を奪っていく。
このまま凍ってしまえばいい。
氷柱のように冷たく鋭い心を持てば、
きっとこんなに苦しい思いなんてしないんだ。
あるいは本当に───いっそ本当に氷になってしまおうか。
生きる意味を失った私はもう、この世にいても仕方がないんだ。
だったら……。


「ここにいたんですか」

突然、今二番目に聞きたくない声が降ってきた。
私が顔を上げて睨みつけると、ソイツは少しだけ躊躇うように視線を逸らし、
しかしすぐに向き直って睨み返してきた。

「探しましたよ、エイラさん。」
「宮藤……。」

このまま立ち上がって掴みかかって
殴り飛ばして踏み潰して突き刺して
叩き潰して打ち壊して噛み砕いて
切り裂いて引き擦り出して
ただの肉片にしてやろうと思った。

「エイラさんに確認したいことがあって来ました。」
「……何だよ。」
「サーニャちゃんのこと、好きだったんですか?」

宮藤の小さな身体はハンガーの反対側までいとも簡単に吹き飛んだ。
シールドを張る気もなかったのかコイツは。何がしたいんだ。
宮藤は殴られた脇腹の辺りを右手で抱えてよろよろと立ち上がり、
今度はさっきよりずっときつい目で私を睨み抜いた。

「今、全力で殴りましたね。」
「ああ。殺す気で殴ったさ。
 オマエさえいなければサーニャは私と一緒になるはずだったんだ。
 オマエが私のサーニャを奪ったんだ!!」
「……本気で言ってるんですか。」
「それが私の全てだったんだぞ!!本気に決まってるだろ!!」

「だったら──
 だったらどうしてサーニャちゃんにも本気でぶつかってあげなかったんですか!?」

……なんだと?
137Hulluus Ajaksi Te ◆YFbTwHJXPs :2008/11/28(金) 00:33:50 ID:6xCtb5lk
「サーニャちゃんが本当に好きだったのは、エイラさんなんです!!」

「──何を」
「サーニャちゃんは今まで何度もエイラさんに何度もアプローチしてきました。
 それはもちろんエイラさんのことが好きだったからです。
 でもエイラさんはそれをただ受け入れるだけで、
 自分からは全然なにもしてあげなかった!
 同僚として世話を焼くことはあっても、
 恋人として接してあげることなんてなかった!
 全部サーニャちゃんから聞きました!」
「違う!!私はただサーニャがそうするから、
 サーニャが幸せそうに笑っていたからそれでいいと思って──」
「そんなのは言い訳です!!
 エイラさんは今までただの一度でも、
 サーニャちゃんに"好きだ"って言ってあげたんですか!?」
「──それは、……」
「最初に私に相談してきた時、サーニャちゃんは本当に辛そうでした。
 わたしがいくらエイラのために尽くしても、
 エイラは全然応えてくれないって、そう言いました。
 どうして応えてあげなかったんですか?
 たった一言"好きだ"って、どうして言ってやれなかったんですか?
 サーニャちゃんはエイラさんがそう言ってくれるのを、
 ずっと、ずっと待っていたのに!!」



見えないバットで頭をぶん殴られた気分だった。

────────

「なんだよそれ……。」

だって、私たちは通じ合っていたんだ。
言葉なんて交わさなくても、分かり合えていたんだ。
ぎゅっと手を繋いで、見つめ合って、
それだけで幸せだったんだ。

私だけだったって言うのかよ。

「そんなわけ……」

「エイラさんには失望しました。
 あなたのような人に、サーニャちゃんは渡せません。
 もうこれ以上、サーニャちゃんが傷つくところは見たくないんです。」
「……っ」
「だから私はサーニャちゃんに想いを伝えたんです。
 私はあなたのような卑怯者ではありませんから、
 言わなきゃいけないことは全部きちんと言いました。
 本当はあなたとサーニャちゃんの仲を応援するつもりで
 ずっと隠していようと思っていたんですけど……。
 それは無意味になったのでやめました。
 エイラさんには、サーニャちゃんを幸せにする資格がありません。
 私がそう判断しました。」



「私は───」
138Hulluus Ajaksi Te ◆YFbTwHJXPs :2008/11/28(金) 00:38:08 ID:6xCtb5lk
私はサーニャが幸せならそれで良かったんだ。
それだけだったのに、私にはできなかった。
どうして?
決まってる。
私はサーニャのことを、何も知ろうとしなかった。
触れてはいけないところに触れてしまうのが怖くて、
本当に触れて欲しかったところにも気付かなかった。
自分の手で壊してしまうのが怖くて、
まるで箱の中の冷たい宝石にするみたいに接していた。
でもそれは違ったんだ。
サーニャはいつだって私に触りたがったし、
"好き"も"ありがとう"も全部私に伝えてきたんだ。
それなのに私はくだらない羞恥心と勝手な思い込みで、
「一緒にいるだけで幸せ」だなんて身勝手を決め付けて、
笑顔の裏にある本当の気持ちから目を逸らしていたんだ。

私がばかだったんだ。サーニャの言う通りだ。
いくら一番に想っていても、それだけでじゃダメだったんだ。
想いは伝えなきゃ意味がないんだ。
伝え合って、確かめ合って、
それから初めて通じ合えるんだ。
最初のステップを飛ばして心を交わした気になっても、
それで繋がり合えるわけなかったんだ。

「私が───裏切ったのか。
 サーニャの気持ちを。」
「そうです。あなたは卑怯者の裏切り者なんです。
 あなたにサーニャちゃんを幸せにする資格なんてありません。
 だからもう、サーニャちゃんのことは諦めてください。」


私はとんだくずやろうだった。

────────
139Hulluus Ajaksi Te ◆YFbTwHJXPs :2008/11/28(金) 00:40:45 ID:6xCtb5lk
何日か経って、宮藤とサーニャが一緒にいる光景は普通になった。
いつも手を繋いでいた。ハンガーでキスしてるところもたまたま見つけた。
私のベッドにサーニャが転がり込んでくることもなくなったし、
夜間哨戒に宮藤が一緒に出ることも多くなった。

私は全くと言っていいほど、怒りを感じなかった。
憎くてたまらなかったはずの宮藤がサーニャに何をしても、
今やなんの憤りも抱かなくなってしまった。
だって、サーニャは笑っているんだ。
私といた時よりずっと楽しそうに、
幸せで仕方がないんだとでも言いたげに笑うんだ。
怒ったりなんてできるわけないじゃないか。

私の生き甲斐だったその笑顔はもう、
私を必要としていなかった。


「隣、いいですか?」

滑走路の端に座ってぼーっと海を眺めていたら、
どういうわけかリーネが話しかけてきた。

「……好きにしろよ。」
「私、芳佳ちゃんのことが好きだったんです。」
「……。」
「でも、振られちゃいました。というか、付き合ってると思っていたのは私だけでした。
 ばかみたいですよね。いつも一緒にいれば、それだけで充分だと思っていたんです。
 付き合っているのが当たり前過ぎて、一度も想いを確かめ合ったりしませんでした。」
「……。」
「今でも後悔しています。どうしてもっと早く、気持ちを伝えなかったのかって。
 でも、過去を変えることなんてできません。
 芳佳ちゃんはサーニャさんと結ばれてしまったんです。
 でも、だったら私は、新しい恋を探します。
 芳佳ちゃんに、笑って『おめでとう』って言えるように、
 私の幸せを見つけようって、そう思うんです。」
「……。」
「勝手に話しててごめんなさい。
 でもエイラさんにだけは話しておきたかったんです。
 エイラさんもきっと、同じ想いを抱えた仲間だから……。」


「わかってるさ。」


私はもう大丈夫だよ。
だってこんなに穏やかな気持ちなんだ。
全部これで良かったんだ。
私のしたことだって、間違ったことばかりじゃなかったんだ。

私の一番大切な人は、
大好きな人の隣で今もきっと幸せそうに笑っているんだ。
それだけでいい。

それだけで、さ。

「……エイラさんって、優しいんですね。」
「そんなんじゃねーよ、ばか。」


endif;
140保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/11/28(金) 00:43:42 ID:6xCtb5lk
以上です。言い訳はありません。
仮令サーニャと離れ離れになってもエイラならきっと強く逞しく生きて行ける。
サーニャ依存症のエイラを見るたびにそう思う私であった。
いやまあ二人が結ばれるに越したことはないんですけどね。
でも甘々な芳ーニャも書いてみたかったり……。何かネタが降臨したらその時って事で。

最後に>>109 >>117 >>127GJ!!甘々やギャグもたまらんけど、このスレには戦闘分が足りないと思っていたんだ。
百合スレにそれを求めるのは贅沢かもしれませんが……。

あと>>113氏、ファイルに欠損があったので修正しました。ご指摘ありがとうございます。
141名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 00:51:21 ID:z4+tn4GE
リロードするのが怖い作品だったw
暗いけどこれも一つの形だな
しかし甘いのが欲しくなるw
142名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 00:57:27 ID:1GzFUPM9
なんか胸にくるな
力作乙
143名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 00:58:48 ID:q9JneSQP
みんなGJだが、エイラーニャ分が、エイラーニャ分が足りない・・・!
144名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 00:59:14 ID:sRQpLy/e
だからエイラさんこうならないように早く…
145滝川浜田:2008/11/28(金) 01:09:49 ID:Ec2bw3iO
どうもこんばんは。
お前そろそろシャッキーニ以外のSS書けよと思われてそうな者です。
さて、「シャーリーさん崩壊シリーズ」完成しましたので、投下したいと思います。
キャラ崩壊が苦手な人は今すぐターン。

「ねえシャーリー」
「なんだルッキーニ」
「シャーリーってロリコンじゃないよね?」
「なんだよいきなり。そんな質問投げかけるなよ。
っていうか誰が言ってたんだそんな事」
「エイラ」
「……アイツ後でシバいとくか(ボソッ)」
「ん、なんか言った?」
「いや、何にも」
「それでシャーリーはロリコンじゃないの?」
「違う違う。良い機会だからロリコンとはどういうものかルッキーニに教えとくよ」
「うん」
「まずは、小さい女の子を好き。
これだけではロリコンにはならないんだ」
「へー、そうなんだ」
「それだけじゃ単なる子供好きだからな。そうだな、小さい女の子を見たりして欲情するようならそれはもう立派なロリコンかな」
「……欲情…」


〜ルッキーニの回想〜
「なあルッキーニ」
「なに、シャーリー」
「あたしさ、お前に欲情してるんだけどさ、どうすりゃいい?」
「え」
「お前の小さな胸とかさ、その舌っ足らずな所とか。あたし全部全部好きなんだ」
「あ、ありがとう」
「でもさ、なんかお前を思うだけでムラムラするんだ。これはなんだって考えたらさ」
「……」
「あたしお前に欲情してるんだって気付いたんだ。あ、でも安心してくれ、手は出さないからさ。
お前の写真で我慢しとくよ」
「……………そう」
〜回想終了〜



「……」
「あとはやっぱり、小さい女の子の裸とか見て興奮しだしたら、かな」
「…裸……」


〜ルッキーニの回想2(お風呂にて)〜
「…………」
「なにシャーリー、そんなジロジロ見て」
「お前の裸ってさ、キレイだよな…。
本当に見惚れるよ」
「って、シャーリー!鼻血出てる鼻血!」
「いやあ、鼻血なんか出てないよ」
「いや思いっきり出てる!ダルダル出てる!」
「これは鼻血じゃなくて、あたしのオーラだって。
あたしのオーラはお前の裸を見る事でより活性化するんだ」
「絶対ウソ!だってどうみても鼻血だよそれ!
だいたい鼻から出るオーラって!」
〜回想2終了〜


「…………」
「ほら、あたしはロリコンじゃないだろ?実際こうしてお前と普通に接してるわけだしな」
「…シャーリー、また鼻血出てるよ…」
「鼻血じゃないってこれはオーr(ry」
「……ね、ねえシャーリー…」
「なんだルッキーニ」
「……本当に、本当にロリコンじゃないよね……?」
「ハハハ、しつこいなあ。違うって。
………本当は今すぐにでも犯したいけど(ボソッ)」
「…え、なに、なんか言わなかった?」
「うんにゃ、何も言ってない。
ほらそろそろ飯の時間だぞ?行こうか」
「う、うん…………(あたし、食べられるかも………………)」



148名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 01:15:43 ID:vFuINZiR
『書き込みません書くまでは』とか思ってたんだけどカキコせざるを得ないっす
読むのが追いつかない今日この頃です。みなさんGJ過ぎです。

って言うか人生最良の日デスヨ!
帰宅すればDVD3巻とどいてるし、
>>81でまさか支援来るとは!!!
仕事中に見ちゃって嬉しかったり萌えたりでニヤニヤがとまらなくて参りましたw
リーネが芳佳に変態行為してる場合じゃねぇ!
喫茶店続き書かないと!!!
149滝川浜田:2008/11/28(金) 01:17:34 ID:Ec2bw3iO
以上です。
シャーリーはロリコン(断言)!
これだけは譲れないですよ。

あと、シャッキーニばかりで申し訳ない。これからもこのスレのイレギュラーとして頑張ります。
あっ痛い、石投げないでっ…!


…では、爺は寝ます。おやすみなさい…

150名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 01:24:39 ID:E8sr4AAR
ビミョーに亀だけど>>97
それは某HiME4272炊き枕の事かと。
しかし>>132
じっさい可能性のありそうな話なだけに辛いw
エイラかわいそう萌えw

....ばるくほるんの抱き枕出たらきっとわが人生2つめの抱き枕。
その為には本スレの変態紳士達に購入頑張ってもらわないと。
いちおう京大トークショーで2位の人気だったから...だいじょうぶ...だよね?
151名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 01:35:21 ID:vFuINZiR
はぅ、じっちゃんごめん。リロード忘れて挟まった><
かくしてロリコンVSお姉ちゃんの年下キャラの取り合い抗争が始まるんですね
152名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 01:36:24 ID:Qf+7qc/u
俺はこっちが砂糖吐くくらいいちゃいちゃラブラブしてるのが見たいんだ・・・鬱はいらないんだ・・・
仕方ないから自分で描く
153名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 01:48:24 ID:F90A9EXY
俺も久々に頑張ろうかな
ネタはブックレットのおかげで大量に浮かんできたし
1541/2:2008/11/28(金) 02:00:11 ID:7bVL0hFv



 沈丁花 いまだは咲かぬ 葉がくれの

   くれなゐ蕾(つぼみ) 匂ひこぼるる


ねえ、ずっとずっと、伝えたいことがあるんです。
まるで春の穏やかな昼のような、柔らかな色をした背中の水色を見やりながら、私はいつも思うのです。
伝わればいいのにと、願うのです。

私はたぶん臆病で、つぼみのようにきゅっと心を瞑って押し隠しているからあなたはきっと気付いていない
でしょう。でもきちんと見ているんです。あなたの優しさが私を照らして、あなたの言葉が私を潤す。そうして
私は大きくなって、花開く日を今か今かと待ちわびているのです。

ねえ気付いていませんか。あまりにも思いが募るから、私のつぼみは紅く色づいてしまう。伝えたい、
けれど言い表せない気持ちばかりが募って、固く結んだつぼみからも甘い香りが溢れてこぼれてしまう
んです。それでも気のせいだ、なんてあなたがいうからほら、みんなが後ろで笑っている。肩をすくめて
私に手を振る。がんばってね、健闘を祈る、なんて。


昼間の日差しはぽかぽか、穏やか。待機しているブリーフィングルームは、窓際に座るととても温かい
日差しが心地よく差し込んでくるのでした。お昼寝好きのあのロマーニャの猫さんも、よく好き好んで机の
上で丸くなっています。明るい日差しにめっぽう弱い私だけれど、陽だまりでこうして眼を閉じて眠りに
就くのはとてもとても好きなのです。真っ最中に眠ってもらっては困るからと、朝礼の時あなたは決して
そこに私を座らせてくれないけれど。

くてん、と傍らのあなたに体を預けたら、ウワ、と小さな呟きが聞こえました。…先読みの魔法が使える
はずのあなたなのに、それを差し引いても他人の行動を先読みするのが得意で、普段はうろたえることの
少ないあなたなのに、なんで、どうして、こうして私がひとつ行動を起こすたびにいちいち反応するの
でしょう。たぶんきっと、この人の頭の中にあるマニュアルに、私のことは一切記載されていないのに
違いありません。そもそも項目さえなくて、これから増えることもなくて。…このひとは、私が自分に対して
何かをするはずがないと勝手に思い込んでいるのです。良いことも、悪いことも、何ひとつしないだろうと。
要するに自分のことなど何も思っていないだろうと。

ねえ、それはちがうよ。ちがうんだよ。

ほら、こうしてさりげなく手を伸ばして、触れて、きゅっと握って。
そう伝えようとするのに握り返されることなんてなくて。あなたの口から漏れるのは「さーにゃ、」なんていう、
情けない呼びかけだけ。どうしたんだよ、おかしいよ。そういわんばかりの言い分。

ねえあなた、届いていませんか。つぼみのままでもこぼれてしまっている、甘い甘い香りに気付いていませんか。
あなたの優しさが温かすぎるから、あなたの言葉が柔らかすぎるから、つぼみの私は色づいて真っ赤に
なってしまっているのに、あなたは気付いてくれませんか。ほらまたすぐそうやって「しょうがないな」なんて
言って、私の行動すべてをなんでもないことにしようとする。意味がないわけないじゃない。それが伝え
たくて一生懸命になっているのに、あなたはいつもそっぽを向いてしまう。その耳が真っ赤に染まっている
のを見てしまうから、それでも期待してもいいかしらと思うのです。ねえもしかしたら、ベクトルは向かい
合ってはいませんか、って。

まるで一方通行だな、とリベリオンのあの人が、私たちを評してそう言っているのを聞いた。あの時も私は
この人の隣でうとうととしていて、膝の上で心地よく、眠った振りを決め込んでいたのだっけ。
なにしてるんだ、とあなたが尋ねられたから、あなたは「寝ちゃったんだ」と答えて。
「愛されてるねえ」と言われてあなたは「眠かったんだろ」と答えた。だから仕方ないんだ、と。
ねえひどいでしょう?本当にもう、一方通行ばかりなんです。そうとばかり思い込んでいるんです、この人と
来たら。まあせいぜいがんばれよ、と言うその人の残した言葉にあなたは一人きょとんとしていたけれど、
それはきっとたぶん私に向けられたものだったのです。

1552/2:2008/11/28(金) 02:01:01 ID:7bVL0hFv

ねえ、
ねえ、
あのね、
だいすきなんです、ほんとうに。

花開いたら気付いてくれますか。花開くまで気付いてくれませんか。
まだ少し冷たく吹く風におびえて、つぼみのまま想いを縮こませている私。ようやく咲かせたその花を見て、
あなたが笑んでくれるかわからないから綻ばせるのをためらっているんです。
だけど本当は気付いて欲しい。もうすぐ咲きますよ。あなたが懸命に守って、育ててくれたからですよ。
そう伝えたいから頬を染めて、甘い香りをこぼしているのにやっぱりあなたはきづかない。目を薄く開くと、
空色をしたあなたの服がみえる。深く、深く、遠く蒼くてつかみ所のないところはあなたの心にどこか似てる。
どこまでも広がっているようなのに確かに私を包み込んでくれる、優しいところまでもそっくりで。

だいすきだよ。とってもすき。伝えたくて伝えたくて仕方がない。そのくらいすき。
心の中で唱えるだけで、とてもとても幸福な気持ちになれるのはどうしてかしら。けれども同じくらい切ない
気持ちにもなる。伝えられなくてごめんなさい。もうちょっとだけ待ってください。それまでどうか私を温めて
いてください。
伝えきれない気持ちを言葉にして乗せてみる。たくさんたくさん考えたのに、こぼれた言葉は一つだけ。

「えいら」

あなたの名前。愛しい響き。ねえ今この音の響きにも、私は甘い香りを乗せたのです。
けれどあなたは気付かない。あれ、寝ているはずじゃなかったのか?不思議そうに首をかしげて私の顔を
覗き込むだけ。しばらくの沈黙の後、あなたの口がひとつの答えを紡ぐ。

「さーにゃ」

何の変哲もない私の名前が、いとしい響きとなって鼓膜を振るわせていく。やっぱりあなたはとてもひどい人。
私の気持ちなんてぜんぜん気付いてくれないくせに、どうして私の心ばかりを惑わすの。
だから私は仕返しとばかりに、もう一度甘い香りをこぼすのです。あなたの名前に乗せて、今度こそ届き
ますように、と。…結局のところ、あなたが気付いてくれないことなんて分かりきっているのですけれど。

えいら、
さーにゃ、

えいら、
さーにゃ、

えいら…

飽くこともなく何度も、繰り返し、繰り返し。お互いの名前をひたすら呼び合います。伝わらない想いばかりを
乗せて、愛しくて甘い響きだけを抱いて。

起きてるんじゃないか、といまさらのように笑うあなたの声。なんだか少し嬉しそうなのは、勘違いなんか
じゃないと信じてもいいのでしょうか。ねえお願い、信じさせて。もう咲いていいんだよ、待っているんだよ、
っていって欲しいんです。そうしたらきっと、春はすぐにやってくる気がするから。

つぼみは紅に色づきました。甘い香りはすっかりこぼれてしまっています。
ほら、あとは春を待つだけなのです。



156名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 05:52:40 ID:oI0d16nF
エイラーニャGJ!
やっぱりこの夫婦は絶妙な距離をとりながらいちゃついてるのが一番だわ
157名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 06:25:34 ID:7aSQj7GJ
詩的で素敵
早朝GJ
158名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 06:34:00 ID:aEFB0+Cs
>>140
2レス目で見てられなくなった
159名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 07:05:33 ID:q9JneSQP
ところで>>140があまりに悲しくてエイラーニャになるような続きのようなものの妄想が止まらないんですがどうしたらいいですか
160名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 07:13:54 ID:+cP7PlO1
>>159
もちろん形にするしかないだろ?
161名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 07:38:11 ID:z4+tn4GE
>>147
いつからイレギュラーになったんだよw
これからも頑張ってください

>>155
詩的良いね
やっぱエイラーニャ良いわ

>>159
形にしてくれるよね?ね?
しかし>>140なのも嫌いじゃ無い私は精神的マゾなんだろうか
162名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 09:12:04 ID:Eu0KqRT0
職人さんみんなGJ!!!!
まったくもって素晴らしいスレだよ。

この美緒×ミーナ直接的な絡みは無いけど好き
ttp://www2.ranobe.com/test/src/up30331.jpg
163名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 09:21:38 ID:oI0d16nF
>>162
つかこの人は実にいいものを描く・・・エイラーニャはあんま無いけど
164名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 09:27:48 ID:1GzFUPM9
誰かミーナ隊長のがうーって画像持ってない?
165名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 10:38:35 ID:iVhEIlwQ
>>162
その人のシャッキーニ好きだ
和む
1661/2:2008/11/28(金) 11:50:11 ID:7bVL0hFv

ぶるりとひとつ震えて、息を吐いたら部屋の中なのにまっしろ。
着込んだパーカーの首元をつかんで、体を縮めてひとこと。

「さむい」

ねえそれは魔法の言葉になるとおもうよ。


こんなことを言ったら「お前北国出身だろ」なんてシャーリー辺りは笑うのかもしれないけれど、出身なんて
私には関係ない。どんな温度だって寒いと思ったら寒いのだ。そりゃたしかにスオムスの冬に比べたらこちらの
冬なんて恐ろしく穏やかだけれど、けれども寒いことには変わりない。

だってほら、それは私が起き上がったその拍子に目を覚まして、顔をしかめて肩を抱いてるあの子とおんなじ。
…今日も来てたのか、と眠たそうに目をこするその仕草を見やって思う。へへへ、とついこぼれてしまう笑みは
あの子に見つかっちゃいけない。だって、恥ずかしいじゃないか。こうして勝手に部屋に上がりこまれて、ベッドの
半分を占領されてる。普通の人だったら怒って当然なのに何だか嬉しいなんて、正気じゃないんだろう、きっと。

いいよ、まだ寝てていいよ。私は今日昼からだからさ。

そう言って手を伸ばして、その子の額をなでてやる。朝ごはんは…この際どうでもいいや、あとでも。バルク
ホルン大尉に「またか」と怒られるかもしれないけれど、ミーナ中佐はきっと許してくれる。ミーナ中佐の言う
ことなら、バルクホルン大尉はそれ以上何も言わないから。

部屋を見渡すと、ああ、やっぱり。散乱したモノトーンの衣服が部屋の床に置き捨てられている。…こうして
明らかに部屋を間違えているのに、テーブルの上においておいた私の上着をきちんと着込んでいる辺り、
さすがはウィッチと言ったところなんだろうか。寝ぼけた人間なんて今まで生きてりゃそりゃ何度も見たこと
あるけれど、寝ぼけたサーニャのすることはその中でも群を抜いてよくわからない。
けど、それ以上によくわからないのは、それだのに別にいやな気持ちにならない自分だったりする。おかしいな。
どんなことだってサーニャのすることならなんとなく許せちゃうんだ。許せちゃう、って言うのとはなんか違う
かな。なんだか嬉しくて、顔が緩んでしまうんだ。それを隠すために懸命に顔をしかめるから、ルッキーニに
よく「変な顔」とおなかを抱えて笑われたりする。だってしょうがないじゃないか。笑いたいわけじゃないのに
どうしてかにやけてしまうんだもの。

ベッドから下りて、それらを片付けようとする。なんだか一瞬服のすそを摘まれたような気がしたけれど、
ほどけてしまったのか気のせいだったのか、すぐにその感覚は消えてしまった。ぼふ、とサーニャが再び
ベッドに倒れこむ音。私は振り返って、彼女に毛布をかけなおしてやる。さっきまで私の方を向いていてくれた
のに、今はそっぽを向くようにあちら側を向いてしまった。名残惜しくて頭をそっと撫でる。目を覚ましていても
眠っていても、この子の気持ちはつかめない。寝ぼけてでも良いから必要とされたい、示されたい、なんて
切望している自分が少し情けないくらいだ。それだのに口から出る言葉は全然違う、裏腹の言葉だけ。
きょうだけだかんな。突き放すような言葉だけ。本当は明日だって明後日だって、来てくれていいのに。

床に散らばっている衣服を一つ一つ取り上げて、丁寧に折りたたんで。
部屋の冷え込みのせいか、それらにはもうサーニャの温もりなんて残っていない。…残っていたら残って
いたで、なんだか疚しいことを考えてしまいそうだったからむしろありがたかったのだけれど。
私のものと並べてベッドの端に置くと、そのタイミングでサーニャが寝返りを打って私の衣服を下に落として
しまった。あー、と情けない声を上げてもサーニャはそ知らぬ顔。多分ぐっすりと眠りについている。うう、
ひどい。…でも許せてしまう自分が、何だかやっぱり情けない。だって寝ぼけているんだ、仕方がない。

自分のものをもう一度畳んでベッドの上において、私はまたベッドに上がりこむ。真ん中を占拠している
サーニャの邪魔にならないように、彼女が背を向けた端のほうにいく。サーニャときたら毛布までも占有
してしまって、私に掛かるのはほんの少しだ。ねえ、寒いよ。少し分けてよ。思うけれども、やっぱり言えない。
1672/2:2008/11/28(金) 11:53:37 ID:7bVL0hFv

「…さむい」

もう一度、呟いた。締め切られたカーテンの向こうから、冷たい空気がしんしんとやってくる。外はもっと
寒いんだろう。もうすぐ雪も降るかな。一面の白銀世界を夢想すると、なぜか心が安らぐ。視界をいっぱいに
する白と、空の青。私のとても好きな色だ。
…だからこんな、寒いのに雪の降らない、多分どんよりと曇ったような日はあまり好きじゃない。気分まで
暗くなってきてしまう。

(いたずらしてやろうか)

丸まった背中を見やりながら考えた。銀色の髪から覗くかすかなうなじを見ながら、思った。
だって寝ぼけたこの子は私にいつもいじわるばかりしてくるんだ。ちょっとぐらい仕返ししたっていいじゃないか。
数十センチ開けたその向こうから、ほのかに感じる明らかな熱の塊。眠っているせいだろうか、さっきの作業で
冷え込んでしまった私よりもずっと温かに感じる。

触れるか触れないかのところまで手を伸ばす。ああ、やっぱり温かい。
身じろいだ振りをして体を近づける。ゼロ距離からほんの少し離して一度思いとどまる。けれどもやっぱり、
さっきよりもずっと温かい。
どうする?ここで止めるか?…でも、確かに近づいている温かさの誘惑に抗えず、私はそれを実行する
ことにした。

「さむい。」

ぽつりと口にして、後ろから、ぎゅう、と。
サーニャの体を抱きしめた。だってすごく寒いんだ。仕方ないだろ。仕方ないって思うだろ。そりゃちょっとは
恥ずかしいし、何だかすごくどきどきするけど…仕方ないだろ、寒いんだ。寒いんだから仕方ないんだ。

びくり、とサーニャが体を震わせた。やばい、起こしちゃったかな。思うけれどもまあいいか、なんてここまで
きたら諦めだってつく。だって寒いんだ。なら温かさを求めるのは当然だ。そんな魔法の言葉なんだ。
ふう、と息を吐くとサーニャの体に反射して、温かい吐息が返って来る。うん、いい感じだ。あったかい。ちょうど
首筋に掛かったからくすぐったかったのかな、サーニャが再び身じろいだ。ごめんよ。謝らない代わりにまた
ぎゅうと体を近づける。さむい。もう一回呟いて。

とつぜん、腕の中のサーニャがぐるりと寝返りを打った。少しだけ腕を緩めてそれを許すと、サーニャの顔が
こちら側に来る。薄目を開けてこちらをにらみつけるように見上げてる。うわ、やっぱり起こしちゃってた。
…でもいまさら謝ってこの温かさを失うのが嫌だったから、やっぱり何も言わずに抱き寄せることにする。
サーニャの熱い息が私の首辺りにかかってほら、くすぐったいけれども温かい。

エイラ、ずるいよ、ずるい。
ぼそぼそと文句を言われたけれど、私は謝らないことにした。だって寒いんだから、許してくれよ。普段だったら
絶対にしないけれど、今日だけは特別なんだ。きょうだけだかんな、ホントのホントに。…寒い日がこない限り、
だけど。

諦めたように私の背中に手を回してくるサーニャの温かさに満足して、私は呟いた。


「あったかい。」


―――
らぶらぶえいらにゃ支援ふたつめ。眠くて>>154-155名乗り忘れましたが21X2w2Ibです
せっかく休みにしたのにDVD3巻が来なくて拗ねてるわけじゃ決してない
外がとっても寒いですね。寒いのは嫌いです。みなさんもお体に気をつけて
暇なのでもうちょっと頑張ってみる。とりあえずはネタを探さねば
168名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 12:33:05 ID:YSysn+iV
あれから――私はリーネと一緒にいることが多くなった。
同じ失恋をした身として、傷を舐めあって互いを癒しているのだろうか。
あるいは一人でいる寂しさを拭うために求めているのか。
どちらにせよそれでサーニャのことを忘れられるかと言ったら勿論そんなことはなく、ただ虚しさが募るばかりだった。

自由時間は苦痛以外のなにものでもない。
サーニャと過ごした楽しい日々を否が応にも思い出させるから。
任務に没頭していれば何も考えないで済む。
任務といえばサーニャとロッテを組むことはなくなった。
中佐が気遣ってくれているのがすごくわかって、逆にそれが辛い。
いつもはからかってくるシャーリー達も、この頃は何も言わずに慰みの目で私を見てくる。
ほっといてくれればいいのに。
同情も叱責もいらないから、ほっといてくれと思う。

一度、リーネが私を押し倒したことがあった。
そのときのリーネはとても蠱惑的な笑みを浮かべていて、いつもはおとなしい彼女があそこまで艶かしくなれるのが不思議だった。
私の手をとって自分の胸に押し当て、首や頬に何度もキスを落とした。
リーネが遂に唇にキスをしようとしたところで、私は冷めた声で「リーネ」とだけ言った。
彼女の表情が一瞬で凍り付いた。
目の前の相手に焦点があい、醒めたのだろう。
いや、もしかしたら最初から私とわかっていながら手を出してきたのかもしれない。同じ境遇の私なら受け入れてくれると思って。
間違っている。
私が受け入れると考えたことではなく、私を求めたことが。
いくら私を貪っても、リーネが満たされることはない。
満たされぬことからくる失望とさらなる欲望に身を締め付けられるだけだ。
リーネは一言「ごめんなさい」と告げて部屋を後にした。

もしあのときリーネを受け入れていたなら、今はもう届かないサーニャを思って疼くこの体くらいは鎮められたかもしれない。
自らの手で慰めることもできるが、私にはそれすら許されてない気がした。
そんな私を癒してくれるものはただ一つ、サーニャの笑顔だ。
隣にいるのが私ではなくても、その笑顔は私の幸せだ。
同時に、かつてのあの熱い思いが消え失せていることを感じる。
少し前なら、サーニャに他の人が触れるだけでひどく憎らしかったのに。
この虚無感が何より辛かった。
もうサーニャもあの日々もあの思いも戻ってこない。
けど叶うなら、もう一度ラジオを聞きながらサーニャと夜空を飛びたい。
169名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 13:30:56 ID:1GzFUPM9
つっ続きは?
170名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 13:36:00 ID:E8lYvPnK
かわいそうすぎる…
まってろエイラ
今にあまあまエイラーニャSSかいてやるからな…!
171名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 14:22:49 ID:hkhwB8jX
ここにきて職人によるエイラニャ崩しラッシュか
おお、俺の心がどんどん沈んでいく…
172名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 14:43:48 ID:qMvGVgvR
>>171
6話を見て、何とか心を繋ぎ止めておけ!!

大丈夫、きっと最後はエイラーニャに帰結する…そう信じて待つんだ!!
173名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 14:50:59 ID:Cw1MFyvd
ttp://up2.viploader.net/pic2d/src/viploader2d493909.jpg

まあ落ち着いてこれを見るんだ。
174名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 15:07:26 ID:1GzFUPM9
サーニャが悪女(:_;)
175名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 15:08:15 ID:Sv6NM/mC
サーニャの事が大好きだけど、中々、自分の気持ちを伝えられずにいるヘタレエイラ。
エイラの事が大好きで、わざとエイラを困らせるような態度を取って気を引こうとする小悪魔サーニャ。

俺はこんな二人が大好きだ。
176名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 15:19:30 ID:rJ0JgEzx
エイラニャ崩しって...。
嫌なら読まなければ良いし職人さんがGJなのは変わりないからいいよ。
エイラニャはエイラニャで別世界作ってるからこそ出来る技だと信じてる。
177名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 15:28:42 ID:7eSAWSa1
俺はエイラーニャ好きだけど、自分の価値観を好き勝手に語って他人がSSを投下しにくい雰囲気にするのはどうかと思うな
178名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 15:30:36 ID:wKvj6LMH
>>171
二次創作なんだから当たり前
嫌なら本編だけ見てればいい
179名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 15:45:25 ID:1GzFUPM9
まぁこの話はこの辺りで止めようぜ
職人が投下しにくくなる
それにエイラーニャスキーなら自家発電すればいい
そして投下してください
180名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 15:51:17 ID:YSysn+iV
書き忘れたけど>>168>>139の続きを勝手に妄想しただけです
181名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 16:04:23 ID:q9JneSQP
>>160,161
ごめん、見よう見まねで頑張ってみようと思ったけど無理だったorz

芳ーニャとかリーネイラとかの中で描かれる片思いエイラーニャもいいよね。うん。
182名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 16:54:05 ID:qMvGVgvR
>>181
諦めたら、そこで試(ry

(お手手の皺と皺を合わせて〜)な、エイラーニャもいいけど
不幸だからこそ書ける心情、物語もありますしね
ホント職人には、頭が下がるわ
183名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 17:09:47 ID:MjEZca16
初めて、保管庫に収められた自分のSS読んだんだけど、
文の一部分が太字で修飾されてて驚いた。
管理人さん、芸が細かいってばよw。
184名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 18:00:29 ID:7bVL0hFv
遅くなって申し訳ない、一つ一つ感想を言えないのが申し訳ないが、昨日の晩のみなさんGJGJ!
最近スレの流れが本当に速いなw一日5本くらい投下されてるんじゃないか?

そして3巻ついに届いた!映像記録集はSSに活かせそうなネタがたくさんあったよ
これで一ヶ月楽しく戦える気がする
185名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 18:28:52 ID:BrhPC0bD
なんか>>168でエイラと雷電が重なった

とにかくみんなGJ!
186名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 18:49:53 ID:CAG1DvkH
つーか一応公式的にガチキャラはエイラだけなんだからエイラには幸せになってほしいんだよ
187名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 18:51:52 ID:Ec2bw3iO
本当にこのスレの進み具合はスゴい。
そして一体何スレ行くのかw
188名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 18:56:42 ID:E8lYvPnK
あまあまエイラーニャをかいていたらいつのまにか芳ーニャになっていた
な、なにを言っているか分からねーと思うが…
今から軌道修正がんばるぜ
189名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 19:15:01 ID:V7ByXyTR
軌道修正しないで芳ーニャをやってほしいなあ
エイラーニャはいいけど芳ーニャだって良いと思うんだ
190名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 19:16:58 ID:z4+tn4GE
>>21X2w2Ibさん
らぶらぶえいらにゃ支援二つも投下乙です
甘いエイラニャはやっぱ良いなぁ
そして上の方のそして毎朝味噌汁をの
妄想を文書にしてくれたら嬉しいな・・・

>>168
続きを・・・・
管理人さんでも誰でもいいから
これの続きは読みたい
なんかたまには暗いのも刺激があって良い

191名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 20:05:41 ID:4kJKNL3E
素晴らしいSSラッシュwww
もう幸せ過ぎる。
ありがとう、職人さん達。

俺も甘々なのをかこうかな…
192名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 20:26:53 ID:Slsmia6Q
既出だったらすまないんだけど、記録集のエイラが「リトヴャク少尉」になってるところがあってフイタ。
いつの間に結婚してたんだw
193名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 20:36:15 ID:7aSQj7GJ
>>192
自分が思うにあれは記録集編集した人の小さないたずらであり、小さなご褒美かと思っています
194名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 20:37:39 ID:0VKRLAK1
>>192
公式で結婚キタ!?
195名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 20:42:39 ID:sRQpLy/e
やっぱりエイラが嫁側になるのかー
196名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 20:46:14 ID:9cvKfeiE
お父様何か言ってやれ
197名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 20:49:34 ID:z4+tn4GE
>>192
マジかよー
早く見たいな
明日到着だからいまからwktkしてる
198名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 20:51:04 ID:x7O+PWUz
タロットカードを並べるユーティライネン少尉、のところか。

身も蓋もないことを言うとポカミスだろうけどな。
ユーティランネン少尉とかM1919M6みたいな誤植もあったし。
199名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 20:52:52 ID:3ftlntEz
>>196
「かわいい女の子だから許すw」
(娘が決めたことですので見守ってあげたいと思います)
200名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 20:54:47 ID:oWlIQ3Ks
お父様「娘をソンナメデミンナー!!」

俺はご褒美と思っとくよ。ニヨニヨ出来るから。
201名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 21:11:21 ID:z4+tn4GE
まぁホントは誤植だろうけど
ナイスな誤植ダナ
202名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 21:17:07 ID:61ajp4kV
くそっ・・・ユーティライネン中尉じゃないのかww
203名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 21:20:38 ID:DYqTH4ep
>>164
ttp://ranobe.com/up/src/up321528.jpg
これかな? いつもしっかり者のミーナさんだが、このミーナさんは
いたずらっ子ぽくってかわよい。たまには、もっさんを困らせてみて
欲しいな。
204名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 21:42:38 ID:1xWsL3q4
205113:2008/11/28(金) 21:46:29 ID:advBP+gU
>>140
なんという対応の速さ!シャーリー並みwありがとうございます!!

今回の秘め声、シャーリーのリーネ「妹」発言や
ルッキーニのバルクホルン「おねえちゃん」発言を聞くに
シャーゲルは本当にシスコンでロリコンビなんだと実感したw
206名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 21:58:58 ID:9cvKfeiE
>>204
扶桑皇国の守護者描いて
207名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 22:14:51 ID:sRQpLy/e
>>204
ダメだ山岡エーリカがツボに入ったww
208名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 22:16:28 ID:1xWsL3q4
209名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 22:24:58 ID:rjZOvtR4
それは散々既出
210保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/11/28(金) 22:38:28 ID:6xCtb5lk
>>140は正直フルボッコを覚悟していましたがスレが荒れなくてホッとしました。
レスありがとうございます。ここらで暴露すると自分はかなりの悲劇スキーなので、
そのうちシャッキーニでも同じことをやらかすかもしれません。
甘々派の方には申し訳ないけど、失ってからでないと気付けないことって多いですよね。
そんなやり場のないもどかしさみたいなのが伝わってたら嬉しい。

ところでトレフィのBOXを買ったら見事にサーニャだけ出なかったんだけどこれは何かの呪いかな?
これじゃあエイラと並べてニヤニヤできないジャマイカ
211罪を肉んで人を肉まず。 1/5:2008/11/28(金) 22:52:18 ID:Qk1UGU0H
朝起きたら芳佳ちゃんが肉まんになっていた。
とてもほかほかしている。
こういうちょっとした温もりにほっとさせられる季節が来たんだねー。

ほっとしている場合ではなかった。 どう考えても一大事です。
どうして? 魔力の暴走? どんなにうんうん考えても、お馬鹿な私にはちっとも分からない。
そういう難しい話はミーナ中佐に聞くとして、まずは生命反応を確かめた。

とてもほかほかしている。
これだけあったかければ亡くなっているなんて事はないだろう。
とりあえずは一安心。

ほっとしたら途端に芳佳ちゃんが可哀想になってきた。
あれ程くるくる変わってた表情も、いまや蒼白で動きが感じられない。
私をドキドキさせた甘い香りは、食欲を誘う香ばしさに取って変わられていた。

芳佳ちゃんが私の天使だったとすれば、芳佳まん(仮)はさしずめ私の点心……。
坂本少佐のような事を考えて、一人で勝手に恥ずかしくなる私。 よ、芳佳ちゃんのせいだからねっ!

ううん、私が暗い顔してちゃ駄目。 芳佳ちゃんの方がずっとずっと不安なんだから。 リーネ、ファイト!
芳佳ちゃんは肉まんになっても可愛いよ!
どうせなので普段言えないような事をどさくさ紛れに言ってみる。
体から湯気を出す芳佳ちゃん。 はわわ、照れてるのかな。 勢いで言っちゃったけど、こっちまで照れちゃうよぉ……。

はっ! 何やってるのかしら私。 こ、こんな事してないで早く中佐を探しに行かなきゃっ。
冷めないように芳佳ちゃんをタッパーに入れて廊下に駆け出した。

「ちょっと! 廊下は走るものではございませんわよ! まったく貴女、あの豆狸に感化されすぎではなくて?」
うっ。 一番の強敵に一番最初に出会ってしまった。 でも、今の芳佳ちゃんは自分でペリーヌさんとやり合う事ができない。
わ、私が代わりに頑張らなきゃ! ペリーヌさんの視線が私の手元に向く。
212罪を肉んで人を肉まず。 2/5:2008/11/28(金) 22:53:16 ID:Qk1UGU0H
「あら、それ……。」
「これは芳佳ちゃんです!」
「へ? あぁ、宮藤さんのぶんという事ですの……。」
「違います! これは芳佳ちゃんです! 芳佳ちゃん自身なんです!」
勇気を振り絞って叫んだ後、恐る恐るペリーヌさんを見る。 ペリーヌさんがこちらを見る目が、未だかつてないほど気の毒そうだった。
ふだん芳佳ちゃんに厳しい人だけど、事の深刻さを理解してくれたのかな。

「そうですこれは芳佳ちゃんなんです! 朝起きたら芳佳ちゃんが肉まんになっていて……」
「ちょ、ちょっと! あまりそのような事を喧伝するものではありませんわ! おっしゃる事は分かりました。
 仕事の方は私に任せてくださいまし。 貴女は今後の事について、中佐にでもとっくり相談してこられたら如何かしら……。」
あ、ありがとうございます! いつにない優しさと同情の眼差しに、なんだか胸が熱くなる。
ペリーヌさんの生暖かい視線に見送られながら、私は再び走り出した。

執務室。 あれ。 こんな時に限って中佐も少佐もいない。 一体何処に行っちゃったのかな。
はっ、はっ。 一所懸命走ってきたせいか、息が苦しい。 ……はっ! 息と言えば! タッパーは密閉空間。
芳佳ちゃん、ひょっとして今頃酸欠に……! 慌ててタッパーを開けてみると、芳佳ちゃんからむわっと湯気が立ち上った。
あぁっ。 ごめんね芳佳ちゃん。 息苦しかったんだよね。 許して芳佳ちゃん。 そう言って、芳佳ちゃんをいたわるように撫でる。

って。 やっ、やだ私。 これ、私が頭って思ってても、芳佳ちゃんにとっては頭じゃないのかも……。
ごっ、ごめんね芳佳ちゃん! こういうのってもっと段階を踏んで、ムードを作ってから、あーなってこーなって……!
一人イヤンイヤンともじもじしていると、突然横からにゅっと手が伸びてきて。 芳佳ちゃんは私の手元からいなくなった。

「やーやーおはようリーネ。 ザッツ肉まん。 うーん実においしそう。 どーもどーも。 ……いっただっきまーす。」
「きゃあああ! 駄目ですハルトマン中尉! それは肉まんじゃありません! 芳佳ちゃんなんです!!!」
ぴたりと止まるハルトマン中尉。 よかった、分かってくれて……。

「めんご。 ちょっぴりかじっちゃった……。」
「きゃあああああ!!!!!」
確かに、端の方の薄皮がちょっぴり無くなっていた。 うぅ。 芳佳ちゃんの残量が95パーセントになってしまった。
中尉の口が小さかったのがせめてもの救いかしら……。

「これ宮藤なんだ。 随分イメチェンしたねー、うん。 ……これまで気付かなかったけど、宮藤って。 ……美味しそう(はぁと)」
なっ! なんですって! 中尉の言葉に動揺を隠せない私。 ちゅ、中尉が芳佳ちゃんの事をそんな目で見てたなんて……!
これまでノーマークだったからすっかり油断してたけど、これからは中尉の動向にも気を配らないと……。
半ばひったくるように駆け出して、再び芳佳ちゃんをタッパーに押し込める私。 ごめんね芳佳ちゃん、もうちょっとだけ我慢してね。
213罪を肉んで人を肉まず。 3/5:2008/11/28(金) 22:54:18 ID:Qk1UGU0H
「おはようリーネ、早いじゃないか。」
「おはようございます、バルクホルン大尉。 唐突ですけどこれ芳佳ちゃんなんです! どうしたらいいですか!?」
食堂を覗いてみると大尉が朝刊を読んでいた。 佐官の二人が見つからない以上、実務面で一番信頼できるのはこの人だ。

「な!? 宮藤? これが? …………いや。 私の知っている宮藤は、もっと人間味のある奴だったと思うんだが……。」

「何味かだなんて今は問題じゃありません! そりゃ人間じゃなくなっちゃったんだから、人間味のはずがないですよ!
 塩味かもしれません! ケチャップ味かもしれません! でもどっちでも芳佳ちゃんは芳佳ちゃんです! それでいいじゃないですか!
 それとも何ですか!? 大尉もハルトマン中尉みたいに、やっぱり芳佳ちゃんを食べちゃいたいと思ってるんですかー!」

「へっ!? い、いや、そういう意味でなくて……。 と言うか、私が宮藤をたっ、たっ、食べ!?
 ハルトマンも!!? や、と、とにかく落ち着けリーネ! もう、何が何だかさっぱり意味が分からん!!」

言い切った後で自分でも支離滅裂な言動だったと気付く。 お、思わず興奮しちゃった。
だって大尉は要注意人物なんだもん! いつも芳佳ちゃんを目で追っかけてるの知ってるんですから!!
どうすればいいか教えてほしいけど、大尉に芳佳ちゃんポイントを稼いでほしくもないんだもん!!!

「うーむ、にわかには信じがたいが、これが宮藤か。 実地検分してみんと何とも言えんな……。」
そう言うと、大尉は芳佳ちゃんをつまみあげて、舌を出して、ぺろっ。 きゃあああああ!!!!
なっ、なっ、何してるんですかっっ! なな、なめっ、舐めましたね!? 芳佳ちゃんを!
更に、おもむろに芳佳ちゃんを裏返す大尉。 くんくん。 かっ! かっ、かっ、かっ。 今度は嗅いでるぅ!
芳佳ちゃんを仰向けにして、あんな所やそんな所を!!!

「た、大尉っ! こんな公共の場でなんて事をするんですかっ!! ふっっ。 不潔ですっっ!!!」
「な、なんだ。 お前がどうすればいいって聞くから調べたんじゃないか。 ちなみに私の結論を言うとそれは単なる肉まんだ。」
「肉まんじゃありません!! 芳佳ちゃんです!!!!」
馬鹿! 私の馬鹿馬鹿馬鹿!! どうしていっつももっとよく考えてから行動しないのだろう。
心なしか芳佳ちゃんのお肌はしっとりと赤らんでいる。 肉まんなら自然な事よ、と必死に自分に言い聞かせる私。

芳佳ちゃんが大事なお友達だってのは分かってた。 でも。
私以外の誰かに芳佳ちゃんが変えられてしまうこと。 それがこんなに私を落ち込ませるなんて、思ってもみなかった。
私は芳佳ちゃんを優しく包み込んで、ギュッと目を閉じた。

「芳佳ちゃん……。」
「え、なになにリーネちゃん? あ、肉まんだ。 おいしそう!」
214罪を肉んで人を肉まず。 4/5:2008/11/28(金) 22:55:13 ID:Qk1UGU0H
………………。 石鹸の香りが鼻をくすぐる。 頬を冷や汗が伝うのが分かる。
あぁ、目を開くのが怖い。 いつもは鈍い癖に、こういう時だけ大張り切りで仕事する自分の直感が憎い。

「わっはっはっ! どうだ宮藤、懐かしいだろう! 最近冷え込むからな、今朝の朝食は肉まんにしてみた。
 冷めないように厨房であっためてるぞ。 沢山作ってあるから、好きなだけ食べろ!!」
「ほんとですかぁー! わーい!」
………………。 パタパタと厨房へ駆けていく足音が聞こえる。 ああぁ。 現実と向き合いたくない。

「あれ? リーネ、まだ食べてなかったのかー。 せっかく部屋まで届けてあけたのに。 冷めちゃうよん!」
「こら、そういうルッキーニは食べすぎ。 太っちゃってもしらないぞ。」
ルッキーニちゃんとシャーリーさんの無邪気なやり取りが近付いてくるのが分かる。 ハンガーで食べてたのだろうか。
せめて食堂で食べていてくださいよ! そしたら……そしたら、こんな……うぅ。

「リーネちゃん、食べないの? 美味しいよ!」
恐る恐る目を開けてみる。 目の前には、まごう事なき芳佳ちゃん。 私の手には、まごう事なき肉まん。
このまま気絶できたらどんなに嬉しいかしら。

「あれぇ、宮藤がふたり。 もとい、ひとりとひとまんじゅう。 ねぇねぇリーネ。 それただの肉まんじゃない?」
「ちょ、ちょっとハルトマン中尉! もう少し言葉をオブラートに包んだ方がよろしくてよ!」
「リーネ……まさか本気で言っていたのか? す、すまん。 私にイェーガー大尉のようなユーモアがあれば笑い話にできたのだが……。」
「おはようみんな。 ? 何か盛り上がってるじゃない。 私にも聞かせてちょうだい。」
「え、リーネちゃんが……?」
「ブリテンジョークにしちゃパンチが効いてるねぇ……。」

みんなが食堂に集まってきた。 女の子同士のコミュニティって怖いもので。 話は耳から耳へと瞬く間に広がり。
食堂には私に一声かけるのを躊躇わせるようなある種の重苦しい空気が立ち込めていた。
うぅ、何か壁を感じるその目。 なんだか気絶にぐんと近付いたような気がするよ、芳佳ちゃん……。

気まずさにオロオロしていたサーニャちゃんがエイラさんを肘で突っつく。
気が無さそうに少しだけ首を捻って、エイラさんがぼそりと呟いた。

「リーネヲソンナメデミンナー。」
「優しくしないでーーーーーーー!!!!!!!!!」
恥ずかしさの絶頂と同時に何かがプツリと切れる音。 遠のいてゆく意識。
あぁ、願わくば主よ、我らが父よ。 どうか目覚めたら全てが夢になっていますように……。
215罪を肉んで人を肉まず。 5/5:2008/11/28(金) 22:56:09 ID:Qk1UGU0H



「ふぁーーーあ。」

あくびを出して、大きく伸びをする。 んんんー、今日もいい天気!

扶桑無線体操だいいちー! 朝は大きくのびのびと、あくびの運動からー!
なーんちゃって。 えへへ。

さて。 それはともかくどうしようかな。
隣のベッドを横目に考え込む私。

朝起きたらリーネちゃんが肉まんになっていた。
とてもほかほかしている。

そんなに肉まんになってしまうほど昨日の事が恥ずかしかったのだろうか。
私はリーネちゃんらしくて可愛いと思ったんだけどな。

萌えている場合ではなかった。 どう考えても一大事です。
どうして? 魔力の暴走? どんなにうんうん考えても、お馬鹿な私にはちっとも分からない。
そういう難しい話は坂本少佐に聞くとして、まずは生命反応を確かめた。

もみもみ。 もみもみ。

「うん。 いつも通りのリーネちゃんだ!!」
満面の笑顔を浮かべる私。
私はそのまま満ち足りた気持ちで朝稽古へと出かけていった。

                                           おしまい
216名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 23:00:59 ID:7aSQj7GJ
>>215
クソワロタwwww
217名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 23:02:09 ID:sRQpLy/e
>>210
いつもお疲れ様です
俺も悲劇系は結構好きなんだよね。でも苦手なんだwそれでも怖い物見たさみたいな感じで読んでしまう
フィギュアはハルトマンが入ってた場合はサーニャは入ってないらしい。適当に3個買ったらサーニャ引いちゃってごめんなさい

>>215
ここでこのバカ話w
なんか凄いホッとした
218名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 23:08:06 ID:q+7oCQEC
>>215
なんだこれおもしろすぎるww
219名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 23:08:55 ID:q9JneSQP
タイトル見てひどい誤変換だと思ったら一行目で吹いた
220名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 23:22:50 ID:LWqeWTRG
今日家に帰ってるとき雨が降っていたんだが、所々日の光が射していた。
あー狐の嫁入りだー。6話収録のDVD3巻の発売日にめでたいなー。
とか思ってたらエイラーニャ書いてました。

投下してもよいですか?
221名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 23:24:51 ID:MkIRkyK5
わっふるわっふる
222名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 23:25:15 ID:oWlIQ3Ks
>>215 クソワロタwww
文体って全然わかんないけど、もしかしてダイナマイトミーナの人かな。
ひそかに新作待ってたんだが。
223名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 23:27:33 ID:LWqeWTRG
じゃあいきます。
内容はかなりベタです。

カーテンの隙間から漏れた光が、水晶玉に当たり淡く光っている。
見慣れてる自分の部屋なのに幻想的で綺麗だな、とか思ってしまう。
そんな風に思うのはたぶん久しぶりの夜間哨戒のせいだろう。もちろんあの子と一緒だから、と最初につくのだけど。
サーニャと一緒の任務は本当に久しぶりだったから、なんだかウキウキしてしまってぜんぜん眠れる気配がない。
でも眠れないのは私だけじゃないらしく、サーニャはいつものぬいぐるみを抱いて私のベッドの上をコロコロと動いている。

「エイラ」

ふとサーニャが私を呼んだ。

「ン?ナンダ?」
「…。」
「どうしたんダ?」
「…。ふふっ」
「なんダヨー。モウ」

そうして2人してくすくすと笑う。
さっきからこの調子だ。
一緒に眠るのはいつものことなのに、なんだか幸せそうなサーニャ。サーニャも夜が楽しみだと思ってくれているのかな。
224名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 23:29:31 ID:LWqeWTRG

するとコツコツと窓をたたく音。
続いて、ザーッと聞こえてくる水の音。

「ウワ。雨かヨ」
「夜まで降るのかな…」

少し沈んだサーニャの声。
いくら魔力で守られるとはいえ、雨に濡れればさすがに寒い。
「止むといいけどナ」

そう答えて窓の向こう側で降っている雨を隠しているカーテンを見る。

「アレ?」
「どうしたの?」
「外。晴れてル」

カーテンの隙間からは暖かな光が漏れ、水晶玉は今もキラキラと淡く輝いていた。

「ほんとだ」
「天気雨カ。なら夜は大丈夫そうダナ」
「うん」

それから2人で雨の音を聞く。
緩やかに過ぎていく時間。だんだん重くなってきた瞼を感じて、ゆっくりと目をとじる。
225名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 23:31:05 ID:LWqeWTRG

「ねぇ、エイラ」

眠りに落ちようとしたところを呼び止められる。

「ンア?なに?」
「天気雨ってね、扶桑では"狐の嫁入り"って言うんだって」
「へぇ。宮藤から聞いたのカ?」
「うん」
「扶桑って変な言い回しするんだな。狐が嫁入りしてなんで天気雨なんだヨ」
「そうだね」

ちょっと黙るサーニャ。
なんか嫌な予感がする。嫌というか困る気がする。

「エイラって狐…だよね?」
くるぞ。いやこないでクレ
「ア、アア。私の使い魔は黒狐ダ」

「エイラは、どんな人のお嫁さんになりたい…?」

きてしまった。
「ナッ、ナナナニ言い出すんだサーニャ!」
くるとわかってても動揺してしまう。

「エイラの好きな人って…誰なの…?」
「ブーッ!ダ、誰ッテ、言われても…」

やっぱり私の予知能力は本物カ…。

「誰…なの…?」

心なしか、サーニャの頬が紅くなってる気がする。けどどういうことかは考えることができない。
226名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 23:33:00 ID:LWqeWTRG

「う…。そ、それハ…」
「それは?」
「…。」
「それは…?」
「…答えなきゃダメ?」
「答えて」
「うぅ…。」
「ね?お願い」
「…サーニャ」
「なに?」
「だから、サーニャ…」
「私?」
「…ウン」

アア、言ってしまった…。
顔から火がでそうだ…。
今日の夜間哨戒気まずいな…。

とかぐるぐる回りだした思考でいっぱいになっていると、ふわりと甘い香りがして、少ししてサーニャが抱きしめてくれているとわかった。

「ありがと。エイラ。嬉しい…」

「サ、サーニャ?」
何も言わずギュッと抱きしめてくる。

再びぐるぐる回りだした思考によってクラクラしてると今度は唇に柔らかい感触。

「私も、エイラが大好き」
227名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 23:34:43 ID:LWqeWTRG

今度は思考が真っ白になった。

「ナッ、ナナナナナナ…」

「これからもずっと一緒にいてね?」

「ア、アアもちろんダ!当たり前ダロ!」
「ふふ、ありがと。」

反射的に答えると、またギュッと抱きしめられ、それに応えるように私も腕を回しサーニャを抱きしめた。

「さ、夜に備えてもうねよ?」
「ア、ソ、そうダナ!もう寝ないと!」
「おやすみ。エイラ…」
「お休みサーニャ!」

もちろんこの後一睡もできなかった私は、雲一つ無い満天の星空を飛ぶことになったのは言うまでもない。
228名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 23:36:09 ID:LWqeWTRG
以上です。

最後の締めがひどいですが初めてSSを書いたのでお手柔らかにお願い致しますm(_ _)m
タイトルは思い浮かばなかったので、そのまま"狐の嫁入り"にしますw

つかエースはこんなに大変なものをいつも書いてんのかよ…
流石だな…

よし!ROMに戻る!
失礼しましたー
229名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 23:39:00 ID:9cvKfeiE
諺ネタいいね
しかしそれだとサーニャが人の前を横切れなくなっちゃうな・・w
230名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 23:39:47 ID:Sf3+qH/z
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
>>228氏GJ! あまーい!&リリカルで素敵ですよ〜。

さて今回は、数年前に拝読した、某氏の素晴らしい作品をリスペクトして書きました。
オマージュと言えば聞こえは良いですが……、
見る人には完パクと言われるかも知れませんごめんなさいorz
先日の「酒盛り話」のその後、その1として書きます。
ご希望にそえるかどうか分かりませんが、エイラ×サーニャ「midnight assassin」どうぞ。
>>228氏とカプがもろ被りですが空気を読まずに投下します。
231midnight assassin 01/01:2008/11/28(金) 23:40:36 ID:Sf3+qH/z
結果的に二人で遁走した先日の酒宴。
どうなったかは知らないが、後で聞くに負傷者だの風呂場の設備破損だの、色々と良くない事が起きていたから、
あの場は逃げて正解だったナ、とエイラは胸をなで下ろしていた。
サーニャに何か有ったら大変だ。
それにしても。
エイラはサーニャが眠るベッドの横で、本のページをめくりながら思う。
「あの扶桑の酒……」
皆悪酔いしたナ……と。
エイラの予想通り、温かい風呂の中で熱い酒をあんだけしこたま飲めば……それも普段飲み慣れない酒であれば……
悪酔いするのは当たり前とも言えた。
ちびちびと少ししか口にしていなかったサーニャですら、あの後酔いが回ってぐたーと寝込んでしまい、
風邪の治りが遅れる原因になった。そしてまだ、ベッドの上で静かに寝息を立てている。
医務室での治療はもういいでしょうとサーニャは自室のベッドに移されたが
エイラは気が気でなく、最低限必要な用事以外は、サーニャにつきっきりだった。
んん、とサーニャが小さく呻いたのをエイラが聞き漏らす筈もなく、
「サーニャ、大丈夫カ?」
手を握り、顔色を窺う。
別に少佐の酒豪っぷりとか扶桑の酒とか、そう言う事を責めているのではない。
ただサーニャにもう少し気遣ってあげられれば……、とエイラは悔やんでいた。

サーニャはふと目を覚ました。喉が渇いたのだ。
上体を少し起こして周りの様子を見る。
エイラが居る。本を横に置き、うつらうつらと首を傾げている。
起こさないよう、そっと横のコップを取ると、入れてあった水を口にする。
ふう、と息を付く。
早く治さなきゃと思って空回りする自分の身体が許せない。
でも。
横にエイラが居てくれる。
他の皆が一生懸命戦っているのにこんな事を言うのもどうかと思うが、二人の時間をもっとゆっくりと、
たゆたう雲の流れの様に、過ごしてみるのも悪くない……かも。
「ぅわ、サーニャ、起きてたのカ? 具合ドウダ?」
気付いて慌ててサーニャの元に寄り、額に手を当て熱は無いか、お腹空いたか、喉乾いてないか、
と必死に看病してくれるエイラをぼおっと見ている。
エイラはそんなサーニャの気持ちを知ってか知らずか、あたふたとサーニャの身の回りの世話をする。
「汗かいてるナ。少しサッパリシヨウ、濡れタオル持ってきてやるカラナ」
エイラは席を立った。
「ちょっと待ってロヨ」
それだけ言い残して、とたとたと部屋から出ていく。
扉から出る間際、エイラの嬉しそうで、それでいて凄く必死な顔を見ているうちに、
サーニャは自分の中にあるひとつの打算的感情に気付く。
あんなに頑張ってくれて、必死だと言う事は……
誰よりも自分のことを大事に考え、そして大切に思ってくれている。
サーニャはぼおっとする頭で、その感情を反芻した。
うつむく。
涙がこぼれ落ちた。
232midnight assassin 02/02:2008/11/28(金) 23:41:44 ID:Sf3+qH/z
笑顔で濡れタオルを数本持ってきたエイラ。
「サーニャおまたせ。冷たいからヒヤッとして気持ちいイゾ、……!?」
サーニャの異変にいち早く気付く。テーブルにタオルを投げ出すと、サーニャの元へ走った。
「どうしたサーニャ!? どっか悪いのカ? しっかりシロ!」
肩を掴み、顔を覗き込むエイラ。
「何でも……ない」
「何でもないならどうして泣くんダヨ? 私の居ない間に何が有っタカ? 誰かに何か言われたカ?」
「違う。……違うの」
そう言ってサーニャはエイラの手を取ると、肩から下ろした。
エイラはサーニャが何故泣いたか分からず、おろおろした。
「大丈夫だから」
「サーニャ」
「大丈夫、だから」
繰り返すのがやっと。でも、涙が止まらない。エイラは持っていたハンカチを出すと、サーニャの目元を
そっと拭いた。
その優しさが、また鋭い棘となり、サーニャの心をかき乱す。
「な、何でずっと泣いてるんだヨ? 私カ? 私のせいなのカ?」
手で顔を覆って、すすり泣くサーニャ。答えはない。
「サーニャ……」
エイラは呆然とした。
私のせい、なのか。私がおせっかいなばっかりに……サーニャを傷付けたのか?
エイラはサーニャを見た。
涙は止まらない。顔で手を覆っているからどんな顔をしているか分からないが、
サーニャが悲しんでいる事ははっきりと分かる。
それが自分のせいなら……もうここに居てはいけない。
そう思ったエイラは、読みかけの本を手にして、サーニャに声をかけた。
「サーニャ、落ち着いたら、そこにタオルが有るから、使えヨ」
返事がないのは承知だ。エイラはベッドの傍らで、サーニャに告げた。
「私……お節介だったナ。ゴメン。部屋に戻るカラ、後は……」
手を握られる。その手はとても温かく……エイラをベッドのすぐ傍に引き寄せた。
「違うの、エイラ」
「?」
「私ね……、エイラ」
サーニャは震える声で精一杯大事なひとの名前を呼んだ。
手を取り、エイラを自分のもっと傍に寄せて、震える手でエイラを抱きしめた。
エイラも本をどさりと落とし、サーニャの傍らに座ると、彼女の身体を抱いた。
「私……エイラの事考えてた」
「そうカ。私って酷い奴ダロ?」
「そんな事ない」
「じゃあ何で泣くんだヨ」
「それは……」
涙の痕が残る顔で、エイラを見た。寂しさと心配が混じった複雑な表情をしている。
「貴方を見ているうちに……私」
エイラを抱く手に、力が入る。服に皺が出来た。
「私の中の気持ちが……許せなくなって、それで、悲しくなって」
告白がさっきの感情を揺り戻す。ひとすじ、また雫がこぼれる。
「サーニャ……」
エイラはサーニャをそっと抱き寄せると、サーニャの顔を胸に埋めさせた。
「サーニャが何を思ったかは知らナイ。でも、良いンダ。サーニャが幸せであってくれれば」
「その優しさが……」
サーニャの言葉は途切れた。むせび泣きに変わり、エイラの胸の中で、ただひたすらに泣いた。
エイラの服がみるみる涙で染まっていく。
でもエイラはそれで良かった。
『泣く事で感情が穏やかになると聞いた事がある』と、以前トゥルーデが真面目な顔をして
言っていた事を思い出した。
科学的根拠有るのカヨ、とその場では突っ込んで笑ったが……サーニャを見ていると、
科学的とか生理学的にとか、そう言う範疇を超えて、涙は人にとって大切なものなんだと思えてくる。
エイラはサーニャを優しく抱き、時が過ぎるのを待った。時が来れば、サーニャもきっと泣き止む。
涙が枯れたら、その時にまた考えればいい。今はサーニャの好きな様にさせたい。
233midnight assassin 03/03:2008/11/28(金) 23:43:05 ID:Sf3+qH/z
どれくらい時が過ぎただろうか。
サーニャは伏し目がちに、ぽつりぽつりと言葉を口にした。
「私ね、エイラ。貴方の優しい所をみているうちに、なんかエイラに甘えきって、利用してるみたいな気がして……」
「……」
「それがとっても許せなくて、私……」
「ソッカ」
「最低ね。私って」
「サーニャはそんな事を考えていたノカ」
こくりと頷く。
「なら、私も最低の人間ダゾ? サーニャの事ばかり考えてル」
「エイラは、私のどんな事を考えてるの?」
「そ、それは……一番、大事な、世界で一番、大切なひとだから……その」
「……」
「と、とにかくダ。サーニャは、私の事で悩んだりクヨクヨする必要なんて無いンダゾ?」
「エイラ」
「サーニャは……見たければの話しだけど……私を見てくれていれば、それでイイ」
「それって、エイラ……」
「そ、そうダヨ。私だけを見ていればイインダ。……って、なんかキザだし、勝手過ぎるヨナ。ゴメン」
「ううん。私、いつでも貴方を見てた。今も見てる。これからも」
顔を上げるサーニャ。涙はいつしか消えていた。エイラの服に、痕跡が残るだけ。
見つめあう二人。
瞳に見えるのは、お互いの顔。それだけ二人の距離は接近していた。
やがて、接触する。
二人の気持ちを確かめる為の、唇を通したコミュニケーション。
「エイラ、好き」
「私もダ、サーニャ」
ゆっくりと二人の身体が傾き、ベッドに横になる。抱きしめるお互いの力が増す。
離さない。誰が来ても。いつまで経っても。
「愛してる、って事なのかな」
「きっとそうだゾ」
乱れた呼吸と高鳴る胸の鼓動を余所に、お互いの頭はとてもクリアで、冷静だった。
それだけ、お互いをよく知り、もっと気持ちを通じ合わせたいと言う願いか。
今はただ、目の前で自分を愛してくれるひと、それだけを見て、聞いて、感じていたい。
ふたりの共通した想い。
想いは行動となり、夜が明けるまで想いは途切れず、ただひたすらに激しく、くるおしく。
愛しい人の為に。

end

----

以上です。
DVD発売記念っと言う事でエイラ×サーニャを一本書いてみました。
なんかSSタイトルのナンバリング間違えてました。焦ってましたね、すいませんです。

では、お目汚し失礼致しました。
234名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 23:45:21 ID:rjZOvtR4
midnight assassin 01/01
midnight assassin 02/02
midnight assassin 03/03

先生、それ意味あんまり無いです…
235名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 23:47:06 ID:9cvKfeiE
良いエイラーニャをありがとう。待ってたらまだまだ投下されると考えると寝れないな
しかし

>>234
クソ吹いたwwwwwww
236名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 23:50:32 ID:z4+tn4GE
なかなか可愛いミスだなw
というかいきなりの連続投下でびびった
後でちゃんと読んで感想書きます
237名無しさん@秘密の花園:2008/11/28(金) 23:51:55 ID:Sf3+qH/z
>>234
すいません、SS投下した最後に気付きました……。
激しく無意味ですよね。何をやってんだ私はorz
238zet4j65z:2008/11/29(土) 00:01:07 ID:vFuINZiR
帰宅したら>>215GJ!で着替えたり食事とったりして
書き込もうとしてリロードしたら>>228GJ! で、
順番待ちして別の事やってたら>>233GJ!
っていうかいつになったら 書 き 込 め る ん す か ?
何このうれしい順番待ちw
239zet4j65z:2008/11/29(土) 00:02:38 ID:RrHGng5y
●スオムス1946 ピアノのある喫茶店の風景 虹の奏でとFOX2


「雨ダナ〜」
 
 窓際のテーブルに頬杖を付いて、ぼーっと外を見ている。
 夕べから降り出した雨は勢いこそ無いけれど止む気配は無く、ただしとしととカレリアの風景を灰色に染める。
 目の前には自分の為に濃い目に入れたコーヒー。
 お客さんはいない。
 こんな雨の日は、ただでさえ舗装の悪い街道を走りたがる人なんていない。
 ハンターたちもお休みだろうし、近所の人たちだってわざわざこないよなぁ。 
 喫茶ハカリスティ、ただ今開店休業ダ。

「よく降るね」

 ウェイトレス姿のサーニャもカウンターを出て窓際に近づいてくる。
 翠の瞳に淡い灰の景色を写して、雨音が歌を想起する。
 サーニャが瞳を閉じて、雨に霞む世界から優しい響きの欠片を集めるのを感じた。
 それは多分、ずっとサーニャを見てるわたしだから感じられる予兆で、わたし以外にこれに気付けるのはきっとお父様とかお母様とかだけなんだろうな、って思う。
 集められた私たちを包む優しいものたちが、サーニャの胸の奥でメロディにかわるまでの沈黙と程よい緊張感。
 コーヒーが熱を失うに任せて、わたしはそんな無言の空気を味わう。
 今、世界はサーニャのもので、勿論世界の登場人物の一つに過ぎないわたしもサーニャのものなんだって思えることがたまらなく幸せ。
 窓の外に向かって大きく手を広げて、自分の中から新しい世界を作り出そうとするサーニャの横顔を見つめるうちに、なんだかわたしは気恥ずかしくなってサーニャの瞳に映るのと同じ静かな灰色を、私の瞳にも映すようにした。

 ん……。

 ハミングが響こうとしたその時、いいところで邪魔が入った。
 雨音を貫いて、エンジンの響きが届いてくる。
 ちぇ、イイトコロダッタノニナ〜。

「この音だと、バイクかな? 結構でかい奴」
「こんな雨の中、珍しいね」
「無粋な奴ダヨなぁ。すごくいい雨音だったのに」
「エイラ……嬉しい」

 嬉しそうなサーニャの声が背中から降ってきて、椅子に座るわたしを背中から優しく抱きしめてくる。
 エッ!? ナンダヨこの展開はっ!?
 わ、わたしそんなサーニャを喜ばせるような事言ったのか?
 喜んでくれるのは嬉しいけど、不意打ちは……そ、その、幸せすぎて困る。

「サッ、ササササーニャ!?」
「雨音。ううん。それだけじゃなくて、エイラの故郷の風景って、素敵だよね」
「ウ、ウン」
「わたしね、お互いが同じものを見て素敵だって感じられたのが、凄く嬉しくて」

 耳元で優しく響く、嬉しそうな声。
 そんなちょっとした、傍から見たらみたらナンテコトナイ感情の共有が、たまらなく嬉しいんだって伝えてくれるサーニャ。
 わたしにとってはそういう感情を見せてくれることもとっても嬉しいんだけど、さっきまでの恥ずかしさと相まって、サーニャの方を振り返れないままでいる。

「はじめはユウウツだったけど……なんだか、こんな雨ならアリダヨナって思ったんだ」

 サーニャがいるからアリなんだ。

「うん」

 柔らかく頷いてくれるサーニャ。
 お客さんきてくれないと困るけど、ホント、こんな雨もいいな。
240zet4j65z:2008/11/29(土) 00:03:26 ID:vFuINZiR
 と、わたしたちがそんないい空気でいる間にも、さっきの無粋なバイクの音は近づいてきて、止まった。

「あ、目の前で止まったって事は……」
「お客さん、かな?」
 
 本当に無粋な奴ダナァ。……って、お客さんにこんな事思っちゃいけないな。
 外を見ると、荷物を積んだ大きなバイク……ブリタニアのブラフシューペリアから革ツナギのライダースーツの女性が降りたった。
 大して強い降りではないけど、ずっとこの雨の中を走ってきたらしい女性もバイクもずぶぬれ。
 地面がぬかるんでるから、はねた泥でバイクも本人も大分汚れてるみたい。

「エイラ」
「うん、ワカッテル」

 カウンター裏からタオルと雑巾をとりだして、タオルをサーニャに渡す。
 わたしはそのまま表へ出て、女性に向かって呼びかけた。

「お客さん、立派なバイクが雨ざらしじゃ何ダロ。こっちにイレナヨ」

 言ってから裏手のシュトルヒを格納してある納屋を指差す。
 女性の方はゴーグルの向こうから表情の無い、というかつまらなそうな感じの視線でこっちを見てから軽く頷くとバイクを押し始めた。
 私のほうはといえば傘をさしてないんで濡れるに任せてるけど、たいした距離でもないから気にせず進む。
 大き目の納屋の扉を開くと、自家用のシュトルヒとその整備機材とか色々なものが入ってる。

「こっちダヨ」
「ほう」

 女性が軽く感嘆の声を上げる。うんうん、自家用でシュトルヒなんてあんまりいないだろうしなぁ。
 その後は無言のまま手早くバイクを納屋に入れて店に移動。
 入る前に「失礼」とだけ言ってからかがみこんで、足元の目立つ泥だけ雑巾で拭いてやる。

「サービスのいい店だな」

 流暢なクイーンズブリタニッシュ。でもなんだかつまらなそうな口調。

「店内の掃除の手間を省く為ダヨ、キョウダケダカンナ」
「フン」

 鼻を鳴らして応える女性。なんか感じ悪い奴だなぁ。
 店に入ると同時にヘルメットとゴーグルを外すと、わたしやサーニャとはまた雰囲気の違う見事なロングの銀髪が姿を現した。
 なんとなく、見覚えがある気がするな、と思っていると、そこに店内で待っていたサーニャがにこやかに「いらっしゃいませ、どうぞ」とタオルを差し出す。
「ああ」とだけ短く応えて、身体を拭いてから席に着くより前に懐からタバコを取り出した。

「わ、ちょっとたんま。タバコなら向こうの席で頼む」
「なんだ、自由に吸えんのか?」
「アレ見て気にシロヨー」

 と、相変わらず愛想のない客に解らせるよう店内の一角に置かれたグランドピアノを指差した。
 ゆっくりと指先に視線を移す銀髪の客。グランドピアノを見た後に、今度はそのまま店内を見渡す。
 視線はカウンター奥に飾ってあるマンネルハイム十字章とオラーシャ英雄勲章で一瞬止まる。
 ちょっとそれを見つめた後、改めて店内を見渡してから、「フム、確かにな」と納得したように頷いて、喫煙者用の席に座る。
 席に着いたところで、わたしはカウンターに入ってサーニャは水を持ってオーダーを取りに向かう。

241zet4j65z:2008/11/29(土) 00:04:04 ID:RrHGng5y
「あの、ブリタニアからの旅行者ですよね。私も暫くブリタニアにいたことがあって……だから紅茶でしたらセイロンもアッサムも、それなりにこだわったものを……」
「コーヒーを頼む。濃い奴を」

 ちょっ!!! サーニャが折角気を利かせて聞いたってのにっ!
 感じ悪過ぎるゾっ! あの偏屈メッ! 客じゃなかったら今頃フリーガーハマーで木っ端微塵ダゾ!
 しかもなんだよ。遮って言うこともないじゃないか。サーニャの可愛らしい声を最後まで聞けっ!
 と、心の中でヒートアップしていると、悲しそうな表情のサーニャがカウンターに戻ってくる。

「サーニャ……」
「コーヒーは、エイラのお仕事だね」
「ウン」
「銘柄指定無しで、濃い目のコーヒーだって。マスターの腕の見せ所だから、おねがいね」
「ウン」

 一瞬で表情を切り替えて、笑顔で私に仕事をタッチするサーニャ。
 人間が出来すぎてるヨ。
 わたしだったらとてもそんな笑顔でいられない。
 きっとムカムカが収まらなくてお客さんにもひどい態度をしてしまっただろう。
 でも客商売ダモンナ。
 このくらいの事は我慢できるようにしないとナ。
 ……デモ、少しくらいは悪戯しちゃうぞ。
 思いっきりコーヒーを濃く出してヤルカラナ〜、もちろんカス見たいなブレンドでダゾ〜、フヒヒヒヒ。

 で、その首尾はといえば。
 一口飲んでから、「ふぅ……」と吐息を一つ、そしてちょっとだけ幸せそうな表情になる銀髪。
 オイオイ、予想してたのと反応が違うゾ……。
 濃すぎて「苦っ」とかいいながら表情を歪めるかと思いきや……な、なんでそんな優しそうな表情してるんだよ。
 正直ドキッとするくらい絵になる美人なんだって、今更気付いた。
 窓の外の雨に霞むカレリアの風景を、味覚なんてぶち壊しのはずの泥水みたいなコーヒーの入ったカップを傾けながら眺める、銀の長髪、灰色の瞳。

「エイラ、すごいね。なんだか気難しそうだったのに、あんなにいい顔になってる。どんな魔法を使ったの?」
「ソ、ソンナンジャネーヨ」

 カウンターのこちら側で、小声でそんなやり取り。
 こっちも何でそうなってるかなんて全くわかんないし、むしろ凄いのはあそこで自制できた大人なサーニャのほうだと思うんだ。
 暫くそうして風景に溶け込むような銀髪を見ていると、サーニャがピアノへと移動した。
 そして静かに、お父様のくれたサーニャの歌を奏で始める。
 ピアノは途中から、ハミング交じりの聞いた事の無い曲に変わる。
 さっき創奏されかかって、中断されていた曲なんだなって、すぐにわかった。
 静かな雨音を伴奏にして、サーニャのピアノが静かな喜びを孕んだ声で、歌う。
 そんな優しい音に満ちた静かな時間は、雨上がりと共にクライマックスを迎えて、微かな虹の到来と共に、終わりを告げた。

「虹だよサーニャ!」

 なんかピアノだけでかなり感動してたわたしは、雨の終わりと虹の到来に不覚にもウルッと来てしまった。
 そんな顔をサーニャだけでなくあの銀髪の客にも見られたくなかったから、はしゃいでいるのを装って表に飛び出してみた。
 イヤ、実際はしゃいでたんだよな、ワタシ。
 だってさ、サーニャの曲が雨上がりの虹を歌ってたんだ。
 そしたらホントに虹が出たんだよ。
 サーニャが虹を呼んだんだ。こんな素敵な事無いだろう?

「おい、マスター。客をほっぽるな」

242zet4j65z:2008/11/29(土) 00:04:49 ID:RrHGng5y
 銀髪が文句を言いながら、やっぱり虹に惹かれたのか表に出てくる。
 ま、気持ちは解らないでもないし、それに偏屈そうなこいつにも人並みに雨上がりの空を愛でる感性があるんだって事に気付けただけで、なんだかおおらかな気分になった。

「お前のコーヒー、オストマルクで親友と飲んだ、コーヒーとも呼べない泥水の味がしたよ。絶望の中で競い合って、高めあって、そして喪った友が、そこにいるような気になれた。最高の気分に浸れたよ」

 ナンダッテ?
 なんかオマエ、すがすがしい顔でさらっと深刻な事を交えつつ褒めている様でいてかなりひどい事言わなかったか?

「ただ、一応忠告してやるが、あれは私以外の客には出さん方がいい。折角いいピアノを聞かせる店なのにあのコーヒーが原因で潰れ兼ねん」
「よ、余計なお世話ダヨッ」

 あ〜、なんか物憂げな表情に見とれたワタシの綺麗な感情を返せって感じだよ、モウ。
 心の中で文句たれながら納屋を開いて、バイクを用意してやる。

「ホラヨ」
「客に対する態度じゃあないな」
「フンッ」

 そのまま発車の為の準備を始める銀髪。

「ふ……全く、エルマから聞いていた通りだな、エイラ・イルマタル・ユーティライネン」
「え? 何でそこでエル姉の名前が出て来るんダヨ!?」
「くそったれな国だが、友人の故郷でもあるんだ……ブリタニアを護ってくれてありがとうな、スオムスのトップエース」
「え、おいっ」
「オラーシャの英雄にもよろしく伝えてくれ」

 それだけ言うと、呼び止めるのを無視してブラフシューペリアがエンジン音を轟かす。

「おいっオマエ待てよっ」
「エリザベート・ビューリング。今度来た時はエルマの言っていた美味いコーヒーを飲ませてくれ」

 それだけ言うと銀髪、ビューリングは走り出した。
 思い出した。
 ブリタニア出身でスオムスを護った独立義勇飛行中隊の初代メンバーじゃないか!

「アンタこそ、わたしたちのスオムスを護ってくれて、アリガトウナッ!」

243zet4j65z:2008/11/29(土) 00:05:41 ID:RrHGng5y
 慌てて背中に叫ぶ。
 声が届いたのか、片腕を上げるとビューリングはそのまま去っていった。
 なんか、いいように弄ばれたナ。ま、そんなに悪い気はしないからいいか。
 店内に戻ると上機嫌のサーニャ。
 そんなサーニャを見てるだけで胸の奥があったかくなって幸せになれるわたしは、本当に単純だなぁ。

「今日の曲、その……凄くよかったよ、サーニャ」
「エイラが一緒にいてくれたから、優しい曲になったんだよ」
「エ? いや、わたしは別に何もシテナイッテ」
「ちょっと怖い感じだったビューリングさんが、あんなに優しい表情になったからあの曲が降りて来たの。だから今日の演奏はエイラのお陰」
「そ、そんなこといわれると、照れるジャナイカ……わたしが何もしなくたって、きっとサーニャは素敵なピアノを弾けるさ」
「ううん、そんな事無い。今日のステキな時間は、エイラのかけた魔法のお陰」

 きらきらした笑顔で、うれしいことを言ってくれるサーニャ。
 そんなサーニャに気の聞いた返事を返せないわたし。
 なんでわたしには詩人の才能が無いんだろうな。サーニャの事ただひたすら素敵だって褒める事しかできないのが恨めしい。
 色んな言葉で飾れるなら、サーニャの為に詩を捧げるのに。

「そうだ、優しい気持ちになれるエイラの魔法のコーヒー、わたしも飲みたいな」
「ゑっ!?」
「ね、淹れて、エイラ」
「だ、ダメダメダメダメダメッ! アレはダメっ!」
「どうして?」

 お客さんには飲ませてあげるのに、私にはどうしてダメなの?と表情を曇らせるサーニャ。
 ヤバイ、完全に誤解してる!
 普通に美味しいコーヒーを淹れて出すとか、そんな嘘を付くような真似をわたしがサーニャにできるはずない!
 でもでもあんな泥水を飲ませるわけにも行かない!
 だからといって種明かしをしたら、折角サーニャの中に生まれた『優しい気持ちにさせる魔法のコーヒー』っていうステキな幻想が崩れちゃうダロ!
 ど、どうしたらいいんだ!? 考えろ、エイラ・イルマタル・ユーティライネン!

「ねぇエイラ、魔法のコーヒー、淹れて」

 すそを掴んで引っ張られ、上目使いで懇願される。
 このお互いのポジションとかは最高なんだけど、状況自体は大ピンチだ! わたし!!

「エイラ……」
 
 ド、ド、ド、ドウスリャイインダ〜〜〜〜!?
244zet4j65z:2008/11/29(土) 00:10:29 ID:RrHGng5y
以上となります。
喫茶店話を支援されたんでがんばっちゃいましたw

ほかの来客のストックもあるんだけど、
とりあえず自分のためにリネ芳監禁話続き書いてからにします。
っていうか、前スレでレスくれた人アリガトネ^^
245名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 00:17:16 ID:xGbI9wz6
>>244
激しくGJ!
ビューリング姐かっけー。
他の来客も気になりますね。ルーデル閣下とか来るんでしょうかw
ともかく、楽しみにしとります。乙です。
246名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 00:18:53 ID:ocfQ0Fp8
>>244
ビューリングさああああん!

ビューリングさんとエイラさんの遣り取りが最高です
上手く間をとりなすサーニャさんは大人ですねー
にやにやが止まらないわ……
247名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 00:19:35 ID:OLBksgCR
いきなりの連続投下w
GJすぎる
248名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 00:19:59 ID:xGbI9wz6
しかし……スレの勢いが85.5って、この板としては異例ですね。
すごいぞストライクウィッチーズ&職人の方々!
249名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 00:23:06 ID:HcGXGIaN
>>244
GJとしか言いようがない!
クールでマイペースなビューリングさんいいなぁ
なんかこの3人の組み合わせは面白いね。色々考えられてさ

さあエイラさん、ライフカードの準備だ
250名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 00:24:42 ID:nTvrx79N
>>244
すごくあったかい気持ちになれました。GJ!
251滝川浜田:2008/11/29(土) 00:37:51 ID:jUt2aUHx
なんだこのスレの速度は!
けしからん(褒め言葉)!
というわけでこの流れに乗ってエーゲル投下します。

…ですが、悲恋注意!!
252滝川浜田 『滴』:2008/11/29(土) 00:40:43 ID:jUt2aUHx


私だって人間だ。

機嫌が悪い時、気がのらない時。

そんな時はシャーリーじゃないけど、空を無性に飛びたくなる。

でもそんな時は、天すらも私に味方をしてくれない。


「エッ、エーリカっ!お前どうしたんだっ…!」
「…雨に降られた」


……雨のバカ。


――滴――


「とりあえず風呂に入って来い。そのままじゃ風邪をひく」
「や」
「……エーリカ」
「トゥルーデ、拭いて」
「拭いてってお前、子供じゃあるまいし…」
「拭いて」
「……タオル持ってくる」

そう言ってトゥルーデはタオルを取りに部屋に戻っていった。


―――――――――――――――――――
「まったく、こんなにびしょ濡れになるまで何をしていたんだ」
「気晴らしだよ、気晴らし。
私だっていろいろあるのよ」
「まったく、あまり心配をかけるなよ?
風邪なんかひいたら隊の皆にもっと迷惑がかかるからな」
「わかってるわかってる」

タオル越しとは言え、トゥルーデの指の感触が、私の頭に伝わってくる。

そんな事ですら幸せを感じてしまう私は、トゥルーデに“好き”の一言も言えない情けないヘタレなワケで。

髪から滴り落ちる雨の雫は、私の膝に零れ落ちる。

253滝川浜田 『滴』:2008/11/29(土) 00:42:48 ID:jUt2aUHx

「いやあ、なんだかんだ言っても、やっぱりトゥルーデは面倒見いいよね」
「…お前がズボラだから私が面倒を見てやってるだけだ」
「またまた〜♪
そんな事言って意外と世話を焼くの楽しいんじゃないのぉ?」
「……まあ、嫌いでは無いな」
「あれ、今日はなんか素直だね。
いつもならここで『そんな事はない』とか怒鳴るのに」
「…まあ心境の変化というヤツだ」

トゥルーデの声から覇気が消え失せた。
言っちゃいけないんだろうけど、私はトゥルーデに問い掛けてみた。

「……ミーナと上手くいってないの?」
「……」

トゥルーデは答えない。

ミーナとトゥルーデが恋人同士だという事は知っていた。
本人達は自分達の関係を隠していたつもりだろうけど、みんな知ってる。

「…それを知ってどうする」
「別に。
二人の仲を応援する者としては、知っておきたいなって思っただけ」

…嘘。
本当は二人の仲なんか応援してない。
むしろ早く別れたらいいのに。
そう願う自分がいる。

「お前にそこまで報告する義務は無い」

トゥルーデの指の力が強くなる。
トゥルーデは隠すのが下手だ。
すぐ態度に出る。

254滝川浜田 『滴』:2008/11/29(土) 00:44:41 ID:jUt2aUHx
「私はトゥルーデの友達だよ?
トゥルーデの事なら何でも知りたいなあ」
「親しき仲にも礼儀ありという言葉を知らないのか?」
「……」

更にトゥルーデの指の力は強まっていく。

「…トゥルーデ、指に力入れすぎ」
「ああ、スマン」

雨足は更に強くなる。

「…ミーナとなんか別れちゃえばいいのに」

私は心の中で呟いていた言葉をいつの間にか口に出していた。

「……」
「エーリカ」
「………ごめん」

沈黙が痛い。
聞こえるのは、時計の針の耳障りな音と、雨音だけ。

そして、トゥルーデが沈黙を破った。

「…エーリカ、お前が思うほど人と付き合う事は楽じゃないんだ」
「そんな事…分かってるよ」
「……そうか」
「ね、トゥルーデ。キス、して」
「またいきなりだな」
「私トゥルーデとキス出来たら、トゥルーデの事諦めるよ」
「エーリカ」

255滝川浜田 『滴』:2008/11/29(土) 00:49:18 ID:jUt2aUHx


…また、嘘、ついちゃった。

キスくらいで諦められるワケ無いじゃん。

「キスくらいで諦められるのか?」
「神に誓うね。私良い子だもん」
「…そうか。…ならこっちを向け」
「おっ、してくれるんだ」
「断っても無駄だからな。一回くらい許してやる」
「…ありがと」

私は向きを変える。
目の前にはトゥルーデ。

「するよ?いい?いいよね?」
「しつこい。冷めるだろう」
「うん、そうだね。ごめん」


私達は唇を近付ける。

そして、わざとトゥルーデに聞こえるように呟く。


『トゥルーデの、バカ。』


私の髪からは、まだ雫が零れ落ちていた。

雨は、まだ止まない。


END



以上です。
今日たまたま雨が降ってたから、それをモチーフにして速攻で仕上げました。
それにしてもやっぱり悲恋もの…
なんでだろう…?
誰かラブラブエーゲル分を私に下さい!
自分が書くと95パーセント悲恋ものになる…

…では爺は寝ます。おやすみなさい…
256名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 01:24:39 ID:OLBksgCR
おっじっちゃんだ乙
悲恋もたまにはスパイスが効いてていいよね
257名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 01:28:10 ID:GHlBT8dR
ダイナマから来ました
258名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 07:58:35 ID:wZLXYizA
いやあ最高だなこのSSラッシュは
めちゃくちゃ笑ったあとにあまエイニャでニヤニヤしてエーゲルで少し悲しいような、でもいい話と、ほんと最高だよ

ただ問題は電車の中で読んでるってことなんだよな…
一人でニヤニヤしたりしんみりしたり端から見てたら確実に変態認定されそうだ
GJ!
259名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 10:53:35 ID:aYmBUyht
今思ったんだが、
最終話見る限りだとエイラは芳佳にもツンデレ発動しているからエイ芳もありだよね!
260名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 10:54:38 ID:vo+7yvw5
なんだかんだで芳佳の世話焼いちゃいそうだよな
それでサーニャがヤキモチ、と
261名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 10:55:49 ID:VsR6GC70
エイ芳ということはリーニャになるのか
なんかお互いおとなしいタイプだし、会話が続かなさそう
262名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 11:11:25 ID:7xUN1qCe
芳イラか…この2人はなんかイタズラ好きな親友みたいなそんなイメージがあるな
リーニャは2人とも料理好きだしかわいい物好きっぽそうだから結構話は合うかも
263名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 11:12:58 ID:e/ITyDDf
もっニャかもしれないじゃないかヨー
よし書こうと思ってプロットだけ書いてたリーニャかいてくる

昨晩の皆さんほんとGJGJ!他の方のSS読んでると自分もSSかきたくてうずうずしてくるから困るw
そして>>243、喫茶店話の続きキター!何だか急かしてしまったようで申し訳ない、でも本当にありがとう
喫茶店話はエイラがすごく生き生きしてる気がして大好きだったんだw
面白いのにこんなにニヤニヤ出来る話が書けるなんて本当にすごいなあ
264181:2008/11/29(土) 11:49:18 ID:AxC0dSfJ
安西先生に言われたから諦めないでもうちょっとがんばってみた。
スレ進みすぎだけど気にせず投下>>139の後を勝手に妄想(芳佳のモノローグ
265181:2008/11/29(土) 11:51:45 ID:AxC0dSfJ
絶対に、許せないと思った。

私に相談してきたあの子は、本当に辛そうで、見ていられないくらいひどくて。あの子をそんな風にしたあの人を、絶対に許してなるものかと思った。この子を、あんな人へは任せて置けない。私がこの子を笑顔にしてやるんだと、そう思った。
そんな私の思いをあの子も受け入れてくれて、一緒にいるうちに、あの子は本当にたくさんの笑顔を見せてくれるようになった。

だけどあの子は、不意に悲しそうな、寂しそうな顔をすることがある。そんな時はいつも、あの人のことを考えているのだと、分かってしまう。
あの子のそんな顔は見たくなくて、笑ってもらおうと懸命になるけれど、それであの子を笑顔にすることが出来ても、あの子をそんな顔にさせたのがあの人であることが、あの子をそんな顔にさせることが出来るのが、あの人だけであることが、たまらなく悔しくなる。

「サーニャは私のものだ!」
「オマエさえいなければ――」

そう言って掴みかかってきたあの人を、醜いと思った。ふざけるな、あの子をあれだけ傷つけておいて、今更何を言っているんだと。

けれども今はどうだろう。あの人は、本当に優しい目であの子を見つめていて。あれだけの激しい想いを持ちながら、あの子が幸せであるならば、隣にいるのは自分でなくてもいいのだという。―――私は、あの子の中にいるあの人の存在に、これほど嫉妬しているというのに。
266181:2008/11/29(土) 11:52:43 ID:AxC0dSfJ
「――まだ、あの人のことが好き?」

それを訊いたら、あの子はなんと答えるだろう。責められていると思うだろうか。……実際、責めているのかもしれない。そんな権利は私にはないというのに。

あの子は、あの人のことが本当に大好きで。
あの人は、あの子のことが本当に大切で。

そんなことは分かりきったことで、分かりきっていたことだったのに、いったい私は何をしていたのだろうと思う。本当に二人のことを思うのなら、
相談を受けたときにそのまま話し合えばよかったのだ。あの子が悩んでいたことをそのままあの人に伝えれば、あの人はすぐに自分の過ちに気づいただろうに、それをしなかった……。
義憤に酔っていたのだろうか、それとも、密かにあったあの子への想いがそうさせたのか。どちらにせよ、こうなってしまったのは自分勝手な私のせいだ。自分勝手にあの子を傷つけたあの人を許さなかった以上、自分勝手に二人の関係を掻き乱した自分も許すわけにはいかない。
だから―――
267名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 11:56:00 ID:AxC0dSfJ
エイラーニャに落ち着いたらいいなという勝手な妄想だったけど何がやりたかったのかよくわかんない。
はじめに考えてた妄想とだいぶ違うし。文章書くって難しいね!
268名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 12:48:49 ID:OLBksgCR
GJダ
というかいろいろ微妙にリレーっぽくなってるな
だれか続きをー
269名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 12:56:10 ID:3xXOsglt
もうGJ!!皆さんGJ!!GJすぎて誰にGJと言えば良いのか分からないw

そろそろもっさんネタが欲しくなってきたので正座で待つわ。
270名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 13:16:21 ID:J53KIiM1
それでも僕はエイラーニャが好きだ
271名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 13:30:37 ID:MzOKMT5X
ニヤニヤが止まらない位に幸せなペリーヌモノが読みたいんだぜ。
272名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 13:35:50 ID:VsR6GC70
>>269 >>271
つまり、ぺりもっさんということですね
273名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 13:57:56 ID:Jd52U0MD
隊長があっちで羨ましそうに見てるぞ
274名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 14:03:09 ID:4IERU3O4
なかまにしますか?

  はい
にア いいえ
275名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 14:05:43 ID:OLBksgCR
こらw仲間にしてやれよw
276名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 15:21:43 ID:aN9o2SVw
DVD明日かー
遅いな
277ヘリアンサスの歌う空 1/2:2008/11/29(土) 15:55:38 ID:e/ITyDDf
どうも、21X2w2Ibです。
季節外れもはなはだしいですがリーニャ(エイラーニャとリーネ)投下
―――

空高く、大輪の花を咲かせてまっすぐに天を見上げているそれは、私の国を象徴する花なのだと昔お父様に
教えてもらったことがあった。あの頃の私はまだ本当に小さくて、その花びらに触れることさえままならないで。
お父様に肩車をしてもらって、ようやっと眺めることが出来たその花の雄大さにとてもとても感動したことを
覚えている。

こんにちは、私はサーニャです。

そう語りかけたら彼女はちょい上を向いて答えてくれたけれど、本当はきっと、私なんか見ていなかった。



好きなの?
後ろから柔らかな声が降りかかってきて、けれども私はびっくりとして固まってしまった。まさか私を呼びかけて
いるわけではないだろうと思ったのだ。そ知らぬふりをしてそのまま窓の外を見やる。外は眩しいくらいのいい
天気だけれど、こうして屋内にいれば昼間のすごく苦手な私でも何とかしのげる。

あのう。
控えめに声が重ねられた。ああ、もしかしたらやっぱり私を呼んでいるのかしら。そうであれば嬉しいのに、
と思うと同時にそうであったらどうしよう、なんて今から考えて内心おろおろしている自分が情けない。…だって、
一体何を話したらいいの?うまく受け答えできるかな。つまらない思いさせちゃうんじゃないかしら。そんなことを
考えてぐるぐると不安が坩堝の中に溜まっていってしまうんだもの。
こんなときにエイラがいたら。そうやってまたすぐ、エイラに頼ってしまう自分がまた情けない。エイラだったら
どうするか、私は簡単にイメージすることが出来る。なんだ?って言ってすぐに振り返って笑って、どうした
んだ?と話を促すのだ。そうしていとも簡単に自分と相手の間に「会話」という繋がりを作ってしまう。…ううん、
これはもしかしたらエイラに限ったことじゃなくて、もしかしたらみんな、普通に出来ていることなのかもしれない
けれど。けれども一番近くに居るから、私にはエイラが一番すごい人に見える。遠くにあるものを眺めるよりも
ずっと、近くにあるものを見上げるほうが大変だから。だから私は私よりも長身の彼女の顔を、目を細めて
眺めているばかりなのだ。だってきらきらと輝いて眩しく見えるから。眩しいけれど見上げずにはいられないから。

…そんな彼女も今は訓練の真っ最中で、基地を離れてしまっていて。「いってくる」と言ってまだ寝ぼけ眼の
私の頭を撫でたその感触が、まだふんわりと残っている。

私の後ろに立っているらしいその人の気配は、まだ変わらず背後にあった。どうしよう、どうしよう。焦る
けれども焦れば焦るだけ体は動かなくなるばかり。このまま諦めて立ち去ってくれないかな、なんて虫のいい
ことまで考えてしまう。気付いていながら無視して立ち去るのを待つなんて、私はなんてずるい人間だろう。
窓の外の一角に、明るく照らされた一角がある。太陽のような大きな花が、まっすぐ上向きにすっくと立って
いる。威風堂々としているのに驕り高ぶることなく、ただただあるがままに生きている。眩しい。この廊下は
屋内で、陰になった暗がりだというのに眩しくて仕方がない。

ねえ、私もあなたのようになれたならよかった。そうしたらこんなに後ろめたい気持ちで、太陽の光に掻き
消えたいような心地でいることもなかったのに。


「ひまわりが好きなの?サーニャちゃん」


三度目の正直、とはちょっと違うのかもしれないけれど。彼女は今度こそ私に向かって、はっきりと呼びかけて
きた。ああどうしよう。もう逃れることなんて出来ない。せっかく話し掛けて貰って嬉しいのに何も出来ずに
固まってしまう臆病な私が嫌だ。
どくどくと、心臓が急いて体中に血を送り込んでいく。そんなところで急いでも何の意味もないのに。こんな
夏の日差しの中で、体だけが熱くなっていくだけなのに。
278ヘリアンサスの歌う空 2/3:2008/11/29(土) 15:56:54 ID:e/ITyDDf

振り返ってあげなくちゃ。だって私に話し掛けてくれているんだもの。エイラがいなくたって私だって、その
くらいできるんだから。エイラに頼ってばっかりなんてだめなんだから。
そう意を決して振り返ったその瞬間、「えいっ」という掛け声とともに頬に何か冷たいものが触れた。

「ひゃあっ」
私は驚いて飛び上がる。あちらはもっと驚いたようで、取りこぼしそうになった冷たいそれを懸命に支えて
一方後ろに身じろいだ。微妙な距離を開けて、私と彼女が向かい合う。ばつの悪そうな顔をして私を見ている
彼女と目が合って、思わずうつむいて視線を逸らしてしまった。
そうしてしばらく、幕を下ろしたような沈黙が流れた。窓に向かって背を向けてしまったから、目の前には彼女と
壁ばかり。足元を見ても見慣れた廊下と頼りなく地に付いている足ばかり。

「こんにちは、サーニャちゃん」

その沈黙は短いものだったのか、長いものだったのか、私にはもう分からなかった。起き抜けの気だるさに
少々ぼんやりしていたのだろう、私はそんな彼女の一言で、何だか夢から覚めた気持ちになったのだった。
こ、こんにちは。小さい声で私も返す。目の前にいるひとだって相当おとなしい人なのに、きっとこの人は私に
相当気を遣ってくれているんだろう。

私の返答に満足したのか、緊張の面持ちでいた彼女がようやくにこ、と笑った。穏やかな笑顔だ。ふんわりと
包み込むような、温かな笑顔。エイラのするそれとは違う、坂本少佐のものとも違う、どれかというとミーナ
中佐の浮かべる笑みにどことなく似ている、でももう少し柔らかい。そして私にはい、と言って、手に持っていた
何かを手渡した。言われるがままに手を差し出してそれを受け取ると、先ほど感じた冷たい冷たい感覚。

「冷たいレモネードを作ってみたの。水分補給にはちょうどいいと思って」

からん、と氷がグラスの中でゆれる。手の中の透明な液体から、レモン特有のさわやかな香りがする。どうぞ、
と勧められて言われるがままに一口含むと、一杯に広がる酸味と炭酸の刺激。飲み下したら、暑さと緊張で
火照った体にひんやりと染み込んでいった。
「…リネットさん、あの、これ」
ようやく彼女の名前を口にして、自分から呼びかける。私の傍らに来て、先ほどまでの私と同じように窓の外を
眺めながらリネットさんは優しく笑った。手には自分のものらしいレモネードを持っている。私が飲んだのを
確認して自分も口にすると、美味しいね、と続けて一言。

「あちらにいる心配性のスオムスの少尉さんから、サービスだそうです」

訓練中だって言うのに通信機を私用に使ったらまた怒られちゃうよね、なんて肩をすくめて笑っている。言われ
てはっとして私も窓のほうに向き直って眺めていた景色のその向こうに広がる空を見たら、今は遠く遠くに黒い
点がいくつか飛んでいた。模擬戦でもしているのだろうか、片側が打ち込んだ模擬弾を、ひょいひょいと避けて
いるひとつの機影。見間違えるはずがない、あれは──

(エイラ)

声には出さずに口の動きだけで呟いた。気付いてたんだ、と思って恥ずかしくなると同時にちょっぴり情けなく
なる。ほら、またやっぱり心配ばかりかけてる。そんな風にして優しくしてもらってばかりだから、私はあなたが
眩しくて仕方がない。いつかまっすぐに見られなくなってしまいそうなほど。

「ヒマワリが好きなの?サーニャちゃん」

唐突に、もう一度。同じ質問が繰り返される。先ほどと違って傍らにいるリネットさんの表情は柔らかで温かい
笑顔で、何でも包み込んでくれそうなその温かさに私は今度こそすんなりと「うん」と答えることが出来た。遠く
なってまたどこかに消えてしまった機影の代わりに私はもう一度手前へと視線を戻す。こちら側からは太陽は
見えない。けれどその代わりにいつもいつも眩しいくらいの夏の太陽をまっすぐに見上げている、ヒマワリの
花がこちらを向いているのだ。

279ヘリアンサスの歌う空 3/3:2008/11/29(土) 15:59:07 ID:e/ITyDDf

背の高い、大きな、ヒマワリの花。まるで太陽のようなその花がこの基地に植えられているのを初めて見た
とき、とてもとても感動したことを覚えている。それ以来、夏がくるとこの花を、私は暇さえあれば眺めることに
していた。暑さも時間も忘れて私がそうしていることを、エイラはいつの間にかちゃんと知っているのだ。だから、
そう言えば今日出かけるときも「倒れないように気をつけるんだぞ」と私に呼びかけていたっけ。私は半分
寝ぼけていて、たぶん生返事を返したのだろうと思うけれど。

もしかしたらそれは、太陽を見上げる代わりなのかもしれなかった。空にある太陽はまぶしすぎて、熱すぎて、
遠すぎて、とてもとても見やることなんて出来ない。だけどほら、それを見上げて照らされているヒマワリなら、
こんな近くにある。熱くない。目を瞑らなければいけないほど眩しいわけじゃない。そうして私は間接的に太陽を
眺めているのだ、きっと。本当は太陽を、青空を、しっかりと見つめていたいけれど私はヒマワリのようにさえ
なれない。お父様に肩車してもらったあの日から身長だって大分伸びたのに、いまだに手を伸ばしても届かない。

気持ちをごまかすようにまたレモネードに口をつけた。喉を潤す爽やかさは私の暗い気持ちまでも押し流して
くれそうなほどに潔い。おいしいです、ありがとうございます。言葉にしようとしてリネットさんのほうを見やったら、
それに気が付いてかそれとも偶然か、リネットさんもまた私を見て微笑んでいた。

「サーニャちゃんとヒマワリって、ちょっと似てるね」

そしてそんな思っても見ないことを言う。どうして?なんで?あんな堂々として立派な花に、温室で育てられて
ようやくつぼみを作るのが精一杯なくらいの私が?首をかしげて彼女をみていたら、リネットさんはふふふ、
と穏やかに笑ってこういった。

「なんだかいつも、眩しそうに見上げているから」

その誰かさんはそんなことも知らずに勝手に回って、一方的に照らしているだけみたいだけれど。
大変だよね、鈍感な人って困っちゃうね。

「…そ、そんなことっ」

返答に詰まって、ごまかすようにまたレモネードをひとあおり。冷たさは体の暑さを奪っていくけれど、顔の
火照りは治してくれない。だって飲み込んですぐ、下へ下へと下っていくだけだから。舌には爽やかな甘さと、
ちくちくとした痛みだけが残る。甘くて痛い、心も体も。

(好きなの?)

リネットさんの一番最初の問いは、一体何をさして言ったものだったのだろう。ううん、たぶんヒマワリのこと
なんだと分かっているけれど、彼女の笑顔を見ていると何か別のものを指しているような気がしてきてならない。


好きです。だから眩しいけど、見上げてしまうんです。
そんな言葉いえるはずがなくてごまかすようにまた窓の外を眺めたら、ヒマワリのその向こうには蒼い蒼い、
あの人によく似た空があった。遠い遠いものなのに、なんだか寄り添っているようにも見えた。


―――
以上です。こんな寒いのに夏の話かよ、という感じですがいいじゃない、仲良しリーニャが書きたかったんだもの
味噌汁の続きは書けたら頑張ってみます。少なくともサーニャ話はぜひとも書きたいところ
が、どうもサーニャとリーネが頭の中で昼ドラを繰り広げてしまうんだ…

>>281
みんなの憎しみ的な感情がありありと出ていて見てられないぜ…
どんな形でもいい、ハッピーエンドになりますように。自分も支援できるようがんばる

280名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 16:01:36 ID:Jd52U0MD
おおっと>>281にキラーパス
281名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 16:10:00 ID:e/ITyDDf
わー、すみません>>266でした申し訳ない
282名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 16:13:39 ID:VsR6GC70
>>281でうまいこと言えそうにないから書き込みできなかったw

>>279
GJ!
リーニャだとやっぱりリーネから引っ張っていくことになるんだろうけど、やはりこれはリーネとエイラとサーニャと芳佳の四角関係になってしまいそうだな
なかなか難しい…
どうにかみんな幸せになってくれるといいんだけど
283名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 17:30:42 ID:DMqulejK
やっとエイラーニャが書けたので投下します



=========================

ドアがギイッと音を立てて、誰かが入ってきた
もう、足音だけで誰だか分かる
サーニャだ
トテ、トテ ポフッ
いつものように、サーニャはふらふらとベッドに向かい、倒れこんだ
そして、すやすやと安らかな寝息を立てるのだった
「今日だけだかんナー」
隣で寝ている、そのかわいらしい女の子を起こさないように、小さく呼びかけ、優しく毛布を被せてやる
エイラはそろそろとベッドから抜け出し、サーニャの足跡を指し示めすように点々と脱ぎ落とされた、サーニャの衣服を拾い上げ、一つずつ丁寧に畳んでゆく
衣服をすっかり畳み終えると、エイラはまたそろそろとベッドに舞い戻った
サーニャと二人で、ベッドの上で過ごす一時、それはただ隣同士寝るだけのものではあるが、エイラにとってなにものにも代えられない幸せな時間だった
おやすみ、サーニャ
心の中で、そう呟いて、エイラは幸せな眠りに落ちていった

「……う〜ん…」
ごそごそと体を起こし、ぐうっと体を伸ばして、
まさに起き抜けの猫のような仕草で、サーニャは目を醒ました
「ふわ〜ぁ…」
小さな口をしっかりと大きく開けて、空気を胸一杯に吸い込む
欠伸のおかげで潤んだ目を擦りながら、サーニャは辺りを見回した
隣には、エイラが居た
…部屋、また間違えちゃったんだ
サーニャの部屋とエイラの部屋は隣同士で、ドアは同じものだし、外からではネームプレートでしか判別出来ない
間違えやすい、といえば間違えやすいのは確かだ
一応、間違えないようには気を付けているつもりなのだが、
ふと気がつくとエイラの部屋で寝てしまっている
何度か、エイラに謝っているのだが、その度にエイラは、「いいヨ きにすんナッテ」と、笑って返してくれる
そんなエイラの優しさに甘えてしまっているのだろうか
無意識のうちに足はエイラの部屋を目指して進んでしまう
いつも、エイラに迷惑をかけてしまっている、そんな自分が嫌になる
でも、だからこそ、自分をあたたかく迎え入れてくれる、隣ですやすやと寝ているこの人が愛おしいのだ

さて、まだいつもは寝ている時間だ
だからといって、またここで寝なおすというのも、なんだか図々しい気がする
仮にも人の部屋で、勝手に寝ているのだから
…たまには早く起きてみよう
サーニャはエイラを起こさないように、ゆっくりとベッドからおりて、エイラが畳んでくれたのであろう、きちんと折りたたまれいる制服を身につけた
そして、いまだぐっすりと眠っているエイラの側に座って、毛布からはみ出ているエイラに、優しく毛布をかけなおしてやる
「いつもありがとう、エイラ」
たぶん、エイラには聞こえてない
でも、今はこれでいい
もう少し、自分の言葉をうまく紡ぐことができるようになったら―そうしたら、ちゃんと感謝の気持ちを伝えよう
そんなことを考えながら、サーニャはエイラの部屋を後にした
284名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 17:31:42 ID:DMqulejK
とりあえず起きたけれど、これからどうしよう…
そういえば、昼間の基地を歩くのもひさしぶりだな
まずは食堂に行こう、誰かいるかもしれない…
サーニャは頭の中でこれからのことについて整理しながら、ひとまず食堂へ向かった
食堂に到着し、サーニャはおずおずと食堂の扉を少しずつ開く
立て付けが悪いのか、予想外に大きな音がなってしまって少しびっくりした
なんでこんな情けない性格なのかな…
軽く自己嫌悪に陥りながら、サーニャはそっと中を覗いた
「あ、サーニャちゃん! どうしたの? 珍しいね!」
食堂のテーブルから、宮藤芳佳の明るい声が発せられた
「あ、芳佳ちゃん… おはよう」
「朝ご飯まだだよね?今取ってくるから、ここ座ってて!」
宮藤は、そう言って自分の隣の椅子を引くと、台所に向かって駆け出していった
サーニャは、言われた通り、宮藤の隣の椅子に腰かけて宮藤を待つことにした
芳佳ちゃんは、自分の思っていることをまっすぐ人に伝えることができる
時々空回りもしてしまうけれど、すごく純粋で、
ああ、芳佳ちゃんがうらやましいな…
きっと生まれもっての特性のようなもので、どんなに努力したって、芳佳ちゃんと同じようになることなんてできない
それは分かっているけれど、やっぱり、芳佳ちゃんみたいになれたら、もうほんの少しでも、自分の気持ちを素直に伝えられたら―
そんなことを考えている間に、宮藤が食堂に戻ってきた
「サーニャちゃん、お待たせ!」
宮藤の持ってきたお盆には、扶桑食がところせましと並んでいる
「はい、どうぞ召し上がれ!」
「いただきます…」
サーニャは銀色のスプーンを手にとり、みそ汁を掬って、飲んだ
ほわっと、素朴なあたたかさが起き抜けの体に心地よく染み渡っていく
「おいしい…」
宮藤は何も言わず、ただただ優しい表情でサーニャを見つめている
つづいて、大根を漬けて、その上に醤油を少しかけてある、お漬物をひとつつまんで、口に入れた
酸味のある、それでいて少し甘味もある、爽やかな味
これが、あたたかいご飯と良く合うのだった
一口一口、しっかりと噛み締める度に、不思議な味が口いっぱいに広がってゆく
宮藤が基地に来てから、扶桑料理がふるまわれることが増えたが、
サーニャはこの扶桑料理が好きだった
比較的食が細い方サーニャだが、時間はかかったものの、綺麗に完食した
「ごちそうさま…おいしかった…」
ありがとう、芳佳ちゃん
サーニャは、そんな気持ちを込めてそう言った
「こんなに綺麗に食べて貰って、一生懸命作ったかいがあるってもんだよ! ありがとうサーニャちゃん!」
何故か食事を用意した側の宮藤にそんなことを言われて、サーニャは驚いた
やっぱり、芳佳ちゃんはいい人だな
サーニャから、自然と笑みがこぼれた
「ふふっ…芳佳ちゃん…変なの」
「えー?なんでー?」
「だって、私がご飯を作って貰った方なのに、芳佳ちゃんがお礼を言うなんて、なんかおかしくて」
「そーかなー?」
「そうだよ」
フフフ、アハハ
二人の間に笑いが巻き起こった
端から見たらくだらないことかもしれないけれど、
でもそんなくだらないやりとりで、お互いに笑っていられるというのは素敵なことだ
「ありがとう、芳佳ちゃん ごちそうさま」
今度は、しっかりと口に出して言えた
「どういたしまして!」
285名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 17:32:26 ID:DMqulejK
「ウーン…」
「サ、サーニャ!!!」
布団から勢いよく、がばっと起き上がったエイラは、全身に汗をかいていた
「夢…カ…」
あんな夢を見るなんて
サーニャがどこか遠くに行ってしまって、二度と会えなくなる夢なんて
エイラにとって、それはまさに悪夢だった
「ハァ…」
胸に渦巻く嫌なものと、夢でよかったという安心感を、同時に吐き出すような深いため息をしたら、少し頭が落ち着いてきた
あれ?サーニャは?
隣にいるはずのサーニャが、いない
「サーニャ?」
今にも泣いてしまいそうな、情けない声で、サーニャを呼ぶけれども、
返事はない
「サーニャ!?」
半分、錯乱状態に陥っていると言ってもよかった
目覚めてみれば、親がいない、そんな時の子供みたいに、部屋中を探しまわった
居ない―
「どこいっちゃったんだヨ…」
先ほどまで見ていた夢と、今の状況が嫌でもリンクしてしまう
突然、目の前から、一番大切で、一番大好きで、一番側にいてほしい人が消えてしまう、そんな夢だったのだ
まさか…正夢じゃ…
自分の固有魔法である、未来予知
それが夢にも現われているのか、そんなことはわからない
でも、もし、そうだったら…
自然と、我慢していた涙が溢れてくる
「グスッ…」
涙をパーカーの袖で拭いながら、少し冷静になるように努力した
きっとサーニャは基地内のどこかにいるはずだ
遠いどこかに消えてしまうなんてことはあるはずがない
あれは、夢なんだ
「サウナ…それか食堂かナ…」
恐らくサーニャはそのどちらかにいるだろうと当たりをつけ、
エイラはクローゼットから水色の軍服を手にとって、すぐに着替えた
サーニャを探しに、サーニャが一人だと心配だから―
エイラは、部屋を出て行った
286名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 17:34:01 ID:DMqulejK
食堂に向かう途中の廊下で、エイラはサーニャを見つけた
「サー…?」
サーニャと誰かが一緒にいる
宮藤だった
それを見てとるやいなや、エイラは廊下の角に隠れてしまった
サーニャと宮藤は楽しそうに何かを話している
サーニャがあんな風に笑っているところ、最近はあまり見ていないような気がした
「どうして隠れてるんだよワタシハ…」
なぜだろう、なぜかは分からないが、胸がぎゅーっと締め付けられるような、そんな不快感が襲ってくる
おはよう、サーニャ、宮藤
出て行って、ただそういえばいいだけなのに、何故かそれが出来なかった
「サーニャ…」
ぎゅっと袖の裾をつかんで、その場に座り込む
「何やってんだロ…」
自分が急に情けなくなって、もうどうしようもなかった
しばらくして、角から様子を窺うとそこにはもうサーニャも宮藤もいなかった
エイラは、いたたまれないまま、ふらふらと歩きだした
287名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 17:34:59 ID:DMqulejK
ボスンッ
勢いよく自室のベッドに倒れこむと、一気にさきほどまでの暗い気持ちが渦巻いてくる
「なんで宮藤なんかと…」
宮藤はいいやつだ
そんなこと分かってる
でも、だけど、
今までずっと、サーニャの面倒は私が見てきたのだ
今日だって、サーニャの服を畳んで、サーニャに毛布をかけて、
全部私がやったんだ
なのに、最近来たばっかりの宮藤なんかと仲良くして…
「ひどいじゃないか…サーニャ…」
馬鹿みたいだ
枕に強く顔を押しつけて、気を紛らわそうとした
「プハッ…!」
窒息しかけた
これじゃほんとのばかだよ…
「ハァ…」
本日二度目の深いため息をついて、また思考は先ほどまでと同じところに向かってゆく
でも、良く考えてみたら、
サーニャがひどいんじゃない
だって、サーニャが誰と仲良くしたって、それはサーニャの自由じゃないか
サーニャがあんなに楽しそうにしているなんて珍しいのに
サーニャが幸せなら、それでいいはずなのに
私は、宮藤を憎らしく思ってしまった
もちろん宮藤のせいでもないのに
今まで隊のみんなとなかなか仲良くなれなかったサーニャにとって、
宮藤と仲良くするってことは、とても勇気がいるはずだ
もし、宮藤がペリーヌみたいにツンツンしてたら、サーニャが仲良くするのは無理だったかもしれない
宮藤は、いうなればサーニャにチャンスを与えてくれたのだ
これから、サーニャは、宮藤をキッカケにして、今まで以上に隊のみんなと交流できるようになっていくはずだ
全部宮藤のおかげじゃないか?
なのに―なのに私は…
結局私は、サーニャを自分のモノにしたいだけじゃないか…
サーニャを独り占めにしたいだけで、サーニャのことなんか、サーニャのためなんか、なんにも考えてなかったんじゃないか…
サーニャを守っているつもりで、サーニャを皆から遠ざけて…
全て、自分のためでしかなかった…?
最低だ、私
エイラは、もう一度枕に顔を押し付けた
強く、強く
息が苦しい
死にそうだ
ううん、もう死んじゃったほうがいい
私にサーニャに会う資格なんてない
サーニャを一番"ソンナメ"で見ていたのは私じゃないか…
「…プハァッ!!」
あまりにも自分がバカらしくて、情けなかった
エイラはたった一人の自室で、咽び泣いた
288名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 17:35:37 ID:DMqulejK
それからというもの、エイラはサーニャを避けるようになった
サーニャが部屋を間違えないよう、ドアに鍵をかけて
それまでサーニャと一緒になることが多かった夜間哨戒のシフトも、ミーナ中佐に頼んで他の人に代えて貰った
「これでいいんだよナ…これで…」
サーニャは、宮藤と居た方がいいんだ
その方がサーニャのためになるんだ
激しい自己嫌悪と、いつも一緒だったサーニャが傍にいないということで、エイラの心はぽっかりと空白ができてしまった
エイラは、その空白を埋めるように、ネウロイと戦うことだけに日々没頭した
訓練・哨戒・戦闘―
そうやって戦うことで、サーニャのことを少しでも忘れようとした
でも、できなかった どうしてもサーニャを自分の中から消せないのだ
あまりに戦いに執着するエイラに、シャーリーやミーナが心配して何か言ってきても、もうそれはエイラにとって何の意味もない、空虚な言葉にしか感じられなかった
サーニャのことを考えないように、考えないようにすることは、つまりサーニャのことを考えるのと同じで、
頭の中はサーニャのことでいっぱいだった
でもそれは、許されないことだ
独占欲の塊のような自分と、サーニャとは到底釣り合わないのだ
サーニャは本当に純粋で、かわいくて、優しくて
サーニャがこの世に存在してるのは奇跡なんじゃないか、そんなことを大真面目に思えるような女の子なのだ
だからこそ、自分のせいでサーニャが幸せじゃなくなるなんてことはあってほしくなかった
いつでもサーニャには笑っていてほしいから、束縛したくないから
エイラは、サーニャを避け続けた
289名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 17:36:27 ID:DMqulejK
夜、月明かりの下で、静かな空を飛行する二人
それは、サーニャと、そしてエイラの代わりにシフトに入った、宮藤だった
ついこの間出現したばかりのネウロイが、今日も現れるとは思えなかったし、レーダーにもそんな兆候はない
サーニャはここ数日ずっと胸に抱えている悩みを、宮藤に打ち明けることにした
「ねえ…芳佳ちゃん…私、エイラに嫌われちゃったのかな…」
「え?どうして?」
「最近、エイラが私のこと避けてる気がするの…」
「そういえば…、でも、でも、そんなことあるはずないよ! だって、エイラさんは、サーニャちゃんのことを一番大事に思ってるはずだもん!」
宮藤は、強い気持ちを秘めた目で、サーニャの目をしっかりと見つめながら言った
「でも…だったらどうして…」
「それは…分からないけど…何か思い当たるようなことはないの?」
サーニャは、無言で首を横に振った
二人の間に重苦しい空気が漂い始める
「でも…最近は全然顔を合わせてくれないし、部屋にも鍵がかかってて… 夜間哨戒のシフトも…」
だんだんと、消え入りそうになっていくサーニャの声
「わたし…もう…」
サーニャの目からポロポロと涙が零れ落ちた
エイラ、どうして
何か悪いことをしたのなら、謝るから
謝る機会さえくれないなんて、ひどいよ…
戻ってきて…
胸の中の言葉が、どんどん涙に変換されてゆく
とめどなく零れ落ちる涙を前にして、宮藤はただサーニャの背中を優しく叩くことしかできなかった
290名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 17:37:02 ID:DMqulejK
夜間哨戒を終えて、基地の滑走路に着陸体勢に移る二人
もう太陽はすでに顔を出し、清涼感のある空が広がっている
いつもなら、サーニャの隣にはエイラがいたし、そうでなくても、滑走路に迎えに来ているエイラがいた
でも、今は、違う
誰も迎えのない滑走路はやけに無機質で、怖かった
また涙が溢れてくる
「サーニャちゃん…」
今にももらい泣きをしそうな顔をして、宮藤はサーニャを慰めた
「大丈夫、きっと大丈夫だから…」
「…うん…ありがとう…」

二人は滑走路に着陸し、ストライカーを外して、それぞれの部屋に戻った
別れ際、宮藤はサーニャの手を固く握ると、しっかりした目で「大丈夫」と一言、サーニャに励ましの言葉をくれた
それでも、いくら励まされたって、元気にはなれない
自分の部屋に続く廊下、それは、エイラの部屋に続く廊下でもあった
エイラの部屋―
サーニャは淡い期待を胸に、ドアノブに手を伸ばした
やはり、鍵はかかっていた
悲しいぐらい小さな期待すら打ち砕かれて、サーニャは傷心のまま自室のドアを開け、ベッドに倒れこんだ
サーニャは、ネコペンギンのぬいぐるみをギュッと抱きしめた
このぬいぐるみは、エイラとロンドンに買い物に出かけたとき、商店の隅っこにぽつんと転がっていたものだ
エイラと、一緒に行った買い物で買った、思い出の品だった
自分の部屋で寝るときはいつもこのぬいぐるみを抱いて寝た
それは、エイラの、代わりだったのかもしれない
今ならわかる
部屋を間違えて、いつもエイラの部屋に行っていたのは、エイラが恋しかったのだ
いつも優しく、自分を包み込んでくれる
いつも凛としていて、自分を守ってくれる
まるで、騎士のようなエイラを、
それでいて、弱いところもある、エイラを
また涙が出てくる
今まで気がつかなかった
あまりに近すぎて、あまりに優しすぎて
それがいなくなって、初めてそれの大切さに気がつくなんて
なんてばかだったんだろう…
「エイラ…」
サーニャは、ネコペンギンを力いっぱい抱きしめて、嗚咽した
291名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 17:37:36 ID:DMqulejK
ウゥーーン!!!
基地にサイレンが鳴り響く
「ネウロイか!?」
坂本がブリーフィングルームから観測所に連絡を入れる
「敵襲!グリッド08!進路はロンドン!」
「わかったわ、今出られるのは―」
ミーナが隊員の状況を確認しようとしたとき、勢いよくブリーフィングルームの扉が開いた
「ワタシガイク!!」
鬼気迫る表情のエイラに、少し圧倒されながらも、ミーナは冷静に状況を伝える
「いいわ、エイラさん みんなに先行してちょうだい、すぐ私たちも上がるわ」
「ワカッタ!マカセテクレ!」
エイラはそう言うなり、すぐにブリーフィングルームを飛び出して行った
そんなエイラを見て、少し悲しげな表情で坂本は言った
「…エイラに、何かあったのか」
「そうね…最近少し変わった気がするわ」
「ここ数日なんだか様子が変だった 心配だな 早く私達も行こう」
「ええ、そうね」

「あれが、敵カ!」
エイラはネウロイを見つけるやいなや、すぐに銃撃を加える
ネウロイは鋭敏な機動でエイラの弾丸をよけて行く
「クソッ!喰らエ!」
冷静さを欠いたエイラは、闇雲にネウロイに向かって弾丸をまき散らす
だが、全て寸でのところでかわされてしまう
「どうなってるんダ!いつものネウロイと違うのカ!?」
エイラの首筋にひやりと嫌な汗が垂れた
落ち着け、落ち着くんダ!
今度は外さない―
ネウロイを完全に射程距離に加えて、精密な射撃を加える
「イッケエエエ!!!」
ババババババ!!
MG42から勢いよく弾丸が飛び出していく、
曳光弾が吸いつけられるようにネウロイに向かっていった
「ヤッタカ!?」
しかし、しかしネウロイはまたしても弾丸を交わした
この距離で外すなんて、有り得ない!
こんなの、それこそ未来でも読めない限り―
そこまで考えて、ハッとする
前に現れた、サーニャを真似たネウロイ
あれと同じタイプで、もし私の能力を、未来予知を真似出来るネウロイが居たとしたら―
エイラは全身の毛が逆立つような感覚に襲われる
数瞬先の未来が見えた
自分が、撃墜される未来が
「ウワアアアアア!!!」
ネウロイから幾重ものレーザー光線が射出され、エイラに迫って、そして、
292名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 17:39:26 ID:DMqulejK
ぼんやりと白い何かが見える
なんだろう、どこだろうかここは
天国かな?
思ってたより、つまんないんだな、天国って
手足の感覚がない、というか、全身の感覚がない
やはり、死んでしまったのか
ちょうどいいや、自分なんて、生きていてもしょうがなかった
サーニャのためにも、自分はいない方がいいんだ
ああ、でも、死ぬ前にもう一度、もう一度だけ、サーニャと一緒に寝たかったナ…

ん…?何か、あったかい
天国でも、あったかいって感覚はあるんだナ
なんだろうこれ
みず…?

「ラ… イラ… だ… いや… しん…」
なんの音だろう…なんだか懐かしいや
「エイラ…死なないで…いや…!!」
サーニャ!?なんでサーニャが?
これ、涙…?

急激に現実に揺り戻されたかのように、一気に全身の感覚が戻ってくる
白い天井、焼けるように痛む体、そして、涙でくしゃくしゃになった、サーニャの顔
「ウゥ…」
「エイラ!!」
「さ…にゃ…」
自分ではうまくしゃべれているつもりなのに、うまく声が出ない
「エイラ…よかった…ほんとうに…」
ボタボタボタッっと、サーニャの瞳から一気に涙があふれて、顔にかかった
サーニャの涙って、あったかいんだナ…
「しんぱいしたんだから…エイラ…よかった…」
「さー…にゃ」
「エイラ…」
私のために…?サーニャは私のために涙を流しているのか…?
こんな、嫌なやつの、私に…
「サーニャ…」
そういい終わると、私の目からは、涙が溢れてきて
どんなに止めようとしても止まらなくて
情けない、恥ずかしいのに
293支援。:2008/11/29(土) 17:40:45 ID:B17AcTmz
…                                                              …
294俺も支援:2008/11/29(土) 17:45:24 ID:wZLXYizA



.
295名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 17:46:20 ID:OLBksgCR
規制にでもかかったかな?
296名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 17:47:48 ID:ZMnQuyy8
句点が無いと、なんかムズムズするよね…
297名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 17:57:15 ID:B17AcTmz
10連投でアウト?
298名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 17:59:26 ID:wZLXYizA
ばいばいさるさんに引っかかったのかな
299名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 18:02:50 ID:OLBksgCR
続きがこない間に・・・
>>279
GJ
相変わらず言い回しが上手いですね
味噌汁の続き期待してます
300すみません、続きです:2008/11/29(土) 18:05:15 ID:DMqulejK
「エイラッ!」
サーニャはそうさけぶと、エイラの体にがっしと抱きついた
「サーニャ…イタイヨ…」
「あっ…ごめん…」
サーニャをそういうと、すぐ飛びのいて、申し訳なさそうな顔をしている
痛かったけど、あのままでも良かったかナ…
今、きっと泣いているのか笑っているのか、苦しいのか、良くわからない顔になっているんだろうな、私は
「エイラ…エイラが生きててくれて…良かった…」
うつむいていたサーニャは気を取り直したのか、今度は優しく、身体を抱きしめてきた
サーニャは、とても優しく、そして、ほんとにサーニャが話しているのか、疑ってしまうぐらい、力強い声で、エイラに語りかけた
「私ね…エイラが居なくて、すごく寂しかった」
「今までずっと、エイラに甘えるだけで、それが当たり前だって、そう思ってて」
「でも、そうじゃない…当たり前なんかじゃないって、気がついたの」
「エイラが私の傍に居てくれるっていうのは、とっても幸せで、ありがたいことだって」
「サーニャ…」
「だから、そんな一日一日を大切にしなきゃって」
「今までずっとわがままで、迷惑ばっかりかけてごめんね…」
「だから、私のこと嫌いにならないで…!」
「これからも、ずっと一緒にいてほしいの…!」
涙を湛えた、綺麗なエメラルドグリーンの瞳で、力強く見つめてくるサーニャを見て、
いかに自分が馬鹿だったかということを思い知らされる
サーニャに、こんなにつらい思いをさせて、
サーニャに、こんな心配を掛けさせて、
本当に馬鹿だった
でも、もう、馬鹿な私とはお別れしよう
ほかでもない、サーニャがそれに気づかせてくれたのだから
301すみません、続きです:2008/11/29(土) 18:06:34 ID:DMqulejK
「サーニャ」
「サーニャは何も悪くない…悪いのは私ダ」
「辛い思いさせて悪カッタ…許してクレ」
サーニャは、一言一言、しっかりと頷きながら聞いている
「もし、許してくれるなら…」
「これから、私とずっと一緒にいてくれるカ?」
精一杯、今出せる、最高の声でそういった
「うん…!」
サーニャの顔が笑顔に変わる
眼尻に浮かぶ涙と、サーニャのかわいらしい笑顔の織りなすハーモニーは破壊力抜群だ
こんな顔されたら、もう言うしかないじゃないか
ずーっと、ずーっと心の中にしまっていた、あの言葉

「さーにゃ」
「大好きだヨ…」

サーニャは、少し驚いて、眼を見開いて、そして、ふわりとやわらかな表情になった
「私も、大好きだよ…エイラ」
今度は、私から、サーニャを抱き寄せた
これからは、ずっと一緒だ
楽しいことも、苦しいことも、
いろいろあるだろうけど、お互い支えあって生きて行くんだ
「サーニャ」
「エイラ」
「いっしょだよ」
二人は、唇を、軽く、そしてしっかりと重ねあった
いつまでも…いつまでも…
302名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 18:08:33 ID:DMqulejK
数日後 基地内サウナにて

「あ゛ー、やっぱ風呂よりサウナだナ!」
「お風呂の方が気持ちいいと思いますけど…」
「宮藤、お前の意見は聞いてナイ」
「なんですかそれー!」
「サーニャはどっちが好きナンダ?」
「私は…どっちも好きだな」
「そっか、じゃあ私もどっちも好きダ!」
「なんですかそれ… ところで、サーニャちゃんちょっと胸おっきくなったよね?」
「え…」
「ゴルァー!宮藤!どこ見てんだオマエー!」
「ちょっと触ってもいい…?」
「サーニャヲソンナメデ…!!まあサーニャはカワイイからナ そういう目で見るのも仕方ないカ」
「エイラ…何言って…」
「デモナ!宮藤!一つだけ言ってオク!サーニャは私のヨメ!手を出すナヨ!!」
「なんかエイラさん変わったよね…」
「ほんとだね、変なエイラ ふふっ」
「あ〜、さ〜にゃ〜なんで笑うンダヨ〜」
「フフフッ、アハハハハハ」
そこには、いつもの、三人の笑顔と、三人の笑い声がいつまでも絶えることがなかったという…

おわり

すみません、連投規制かかってしまいました。
次から気をつけるようにします。
やっぱりエイラーニャは幸せだといいなと思います。
303名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 18:17:34 ID:jUt2aUHx
>>302
GJ!
規制は気にシナイ!
俺なんか規制どころか…いやなんでも無い…
304名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 18:26:51 ID:OLBksgCR
連投規制かかるほどの大作GJ
305名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 18:39:29 ID:xGbI9wz6
>>302GJ! 規制は仕方ないですよね。私も前に喰らいました……。

と言う訳でこんばんは、mxTTnzhmでございます。
流れを読まずにSS投下します。いつも流れ読んでません。すいません。

先日の「酒盛り話」のその後、その2として書きます。
トゥルーデ×エーリカの「better than new」どうぞ。
>>255御大のご希望に添えるかどうかはわかりませんが……。
306better than new 01/05:2008/11/29(土) 18:40:26 ID:xGbI9wz6
負傷者数名、風呂場の破損と言う惨憺たる結果に終わった先日の酒宴。
美緒も酒宴の発案者として責任をとるべく、酒宴翌日の夜に上官ミーナの部屋を訪れたが
部屋から出てきたのは翌朝も随分と遅くになってからだった。
隊員は何も言わなかった。

そんな中、酒宴の時から妙にぎくしゃくしている隊員がいた。
隊の誇るウルトラエースの一人、ゲルトルート・バルクホルンその人である。
日頃の行いには特に変化が無い様には思えたのだが、何かしら違和感が有る。
訓練をしても、微妙に“のれてない”。
今日もエーリカとロッテ(二機編隊)を組んで飛んでいるが、どうにもいまひとつだ。
地上でその様子を眺めていた美緒とミーナは首を傾げた。
「どうしたんだ、あの動きは。いつものバルクホルンらしくないな」
「最近どこかヘンなのよ」
「うーむ。宮藤がここへ来た時も少し様子がヘンになった事はあったが……今度は何だ?」
「恐らくは……」
「……ああ」
ミーナは下を向いて少し頬を赤く染め、美緒は上を向いて苦笑いした。
美緒はミーナに言った。
「酒の席の事など、忘れるもんだぞ。酒のせいだ、気にするな」
「私の事はともかく……あの子はたまに周りが見えなくなったり、ひきずるタイプだから。心配よ」
「そうか。ならば上官としては、隊員の心のケアも大切だな。よし、もう一回酒でも……」
ミーナの突き刺さる視線に負けて美緒は肩をすくめた。
「冗談だ冗談。傷口を広げてどうする」
豪快に笑う。ミーナもそんな美緒に負けたのか、苦笑した。
「今回の事は、当事者が何とか克服するしかないわ。それは時間が解決するものなのか、
そうでないかは分からないけど」
「うむ。余りプライベートな事に介入するのも良くないな。暫くそっとしておくか」
再びエースの飛行に目をやるふたり。暫く無言が続いたあと、不意に美緒がミーナの脇をつついた。
「ところでミーナ、扶桑の酒はこの前全て飲んでしまったが、蒸留酒なら有るぞ? 試してみないか?」
「蒸留酒?」
「『焼酎』と言うんだがな。ウイスキーに近い飲み方をする。どうだ?」
「……それは何処で誰が誰と試すのかしら、坂本少佐?」
「言ったじゃないか。まずは私とミーナで試してみようと」
「今夜私の部屋で待ってます」

訓練を一通り終えて、一足早くハンガーに戻りストライカーを脱ぎ捨てるトゥルーデ。
普段よりもぞんざいな扱いだ。
整備員に「低速時の挙動がいつもよりナーバスだ」と伝え、シャワールームへと向かう。
シャワーを浴び、ふうと息を付く。
いつもと同じ筈だ。私は何も変わっていない。
トゥルーデは自分に言い聞かせた。シャワールームの壁に両手を付き、下を向く。
シャワーの飛沫が容赦なくトゥルーデの全身を覆い、包み隠す。
しかし、頭の端にこびりつく微かな記憶がトゥルーデの心を揺さぶり、苦しめる。
風呂場で扶桑の酒を飲み、リベリアンと歌って笑ってた事までは覚えている。
だが、その後の事が……。
シャワーの温度を全開で冷たくする。急激に冷水が身体に容赦なく降りかかるが、
全く気にせず、むしろそれで気分が晴れればと願う。
だが、たかが水を浴びたくらいで起きた事と言えば身体が少し震えただけ。
予想以上のダメージを心の内に秘めたまま、訓練の報告を手短に済ませ、自室にこもった。
307better than new 02/05:2008/11/29(土) 18:41:37 ID:xGbI9wz6
コツコツとドアがノックされる。
何も答えずにいると、ドアを最小限に開けてするりと忍び込む影がひとつ。
後ろ手にドアを閉めた。
トゥルーデには誰が来たか分かっていた。
そしてこういう動作をする時には何か“よくない”事を思い付いている証拠だ。
そうだろう? エーリカ・ハルトマン。
トゥルーデは心の中でそう呟きつつ、平静を装い
「何の用だ?」
と声を掛けた。
「食事にも来ないで、どうしたのかと思ってさ」
「ちょっと、具合が悪くてな。問題ない、すぐに治る」
「それ、ホント?」
「嘘をついてどうする……」
ため息混じりに答える。
「じゃあ手元のグラスとワインのボトルは何?」
「……気晴らしだ」
トゥルーデの手元には、前にエーリカの部屋から持ち出したカールスラント産のワイン、
半分程飲み掛けたグラスが置かれていた。
「気晴らしねえ。こんな真っ暗な部屋の中で?」
エーリカの指摘通り、部屋の中は灯りもつけずに外の闇と同化している。
ほのかな月明かりに照らされるトゥルーデとエーリカ。
何も答えないで顔をそむけたままのトゥルーデに、エーリカは言った。
「酒の事を忘れる為に酒を飲む、か。どっかの詩人だか文学の人が言ってたよね」
「悪いか?」
「別に〜。ってこれ私のワインじゃん」
「前にお前から貰ったやつだ」
「このワインもう殆ど無いんだよ? 飲むなら私にも声かけてよ」
「お前の部屋はゴミ置き場同然だが、たまに掘り出し物も有るからな」
「答えになってないよ、トゥルーデ」
エーリカが近付いた。
「どうしたのよ、トゥルーデ。水臭いなあ、ほら」
貸してと言うとトゥルーデの手からワイングラスをひったくり、残りをぐいとあけた。
「やっぱりワインはカールスラントのに限るね。ガリアのは名前ばっかりでイマイチだよ」
「ああ」
エーリカはボトルを手にすると、無節操にグラスに注ぎ、一気に煽った。
「おい、それ私のだぞ! 勝手に飲むな!」
「もとはといえば私のだもん」
「私のグラスだぞ」
「なら私の分は?」
「棚の上」
「暗くてわかんないから、回し飲みでいいよ」
ぐい、とまた一杯煽る。
「ほら、飲んで飲んで」
エーリカに勧められるまま、トゥルーデもぐい、と一杯あける。
ふたりで交互に飲み、ボトルが半分程空いたところで、トゥルーデはベッドの端に寄りかかった。
「あれ? まだ半分も飲んでないよ? もうダウン?」
「違う。今日は違うんだ」
「今日も、じゃなくて?」
「どういうことだ」
「ここ数日、おかしいよ」
「私はいつも普通だ。平然だ。いつもと変わらず、規律正し……」
「ホントかな〜?」
顔を数ミリの所まで近付けるエーリカ。
「な、何だいきなり!」
あとずさるトゥルーデをそのまま追うエーリカ。
いつの間にかベッドの端に“追いやられる”。
308better than new 03/05:2008/11/29(土) 18:42:49 ID:xGbI9wz6
「今日の訓練、低速飛行が随分ナーバスだったね」
整備士に言った事をそのまま返される。さすがエーリカ、僚機の飛行をよく見ている。
「具合が、いまひとつ、だからな」
苦し紛れの答えを聞いて、追及の手を緩めないエーリカ。
「トゥルーデって機動に気持ちがすぐに出るんだよね〜」
「……っ!」
「トゥルーデの事は全部お見通し」
じりじりと追い詰められる。もう後がない。
「何故、寄る」
「じゃあどうしてトゥルーデは私から逃げるのよ」
「それは、お前の顔が近過ぎるからだ」
「近過ぎて何か問題でもある?」
答えに詰まる。
「元気無いよ、トゥルーデ」
「そんな事はない」
「あれ〜。さっきは具合が悪いって自分から言っておいて」
咄嗟に言葉が出てこない。口ごもるトゥルーデ。エーリカは言葉を続けた。
「なんかあの日からさ……トゥルーデ、私の事避けてる気がして」
「あの日?」
トゥルーデにはわかってる。“あの日”の意味が。
「私もちょっと自爆気味のところは有ったよ。酒のせい? でも、やった事を忘れた訳じゃないよ」
エーリカはトゥルーデをぎゅっと抱きしめる。
「後悔はしてないよ。もちろん、反省もしてない」
「エーリカ……」
「いつもと同じ、一見すると確かにかわんないよね、トゥルーデ」
エーリカはトゥルーデを抱いたまま、呟いた。
「でも、あの日から、ヘンだよ」
見抜かれている。ぎくりとする。
「シャーリーと肩組んで笑ってたよね〜。楽しかったんだ」
「エーリカだって酒に飲まれてやさぐれてただろ」
トゥルーデは、エーリカを咎め立てする立場にない事は承知だった。
だが、言わないと、間が持たないし、エーリカに何をされるか……。
「そんなに私が嫌い?」
「そんな事あるか! 大事な仲間だし、家族だし、その……」
言葉に詰まり、うつむくトゥルーデ。
「なによ。続き言ってよ」
「私は、ただ」
「笑ってよ、トゥルーデ」
あの時と同じ言葉。どきりとする。
「笑えって、この状況でどうやって……」
「私のお姉ちゃんになりなよ」
エーリカの言葉が、予想以上のダメージとなる。三半規管が悲鳴を上げ、トゥルーデの足元がふらつく。
心臓を鷲掴みにされた気分になる。額に滲む、汗。
「ねえ、トゥルーデ」
名を呼びながら、そのままベッドへ雪崩れ込んだ。
「お前、悪酔いしてるんじゃないか?」
「酔ってないよ。酔ってるとしたら、トゥルーデに酔ってるのかな」
「随分とキザな物言いだな、エーリカ」
余裕を取り繕うトゥルーデだが、エーリカは全てお見通しとばかりに、力を込めた。
トゥルーデの肩を掴み、動けなくする。
そのまま顔を近付け、口吻をかわす。軽いもので、すぐに唇を離す。
「やっぱりいつもと違うよ、トゥルーデ」
「どうして」
「少し、震えてるもん」
「お前だって」
しばしの沈黙。やがて自嘲するかの様に、エーリカは呟いた。
「トゥルーデと同じなのかもね、私。いつもと同じ筈なのに。トゥルーデの気持ち考えずにさ」
「私は、その」
答えが出せないトゥルーデを前に、力が緩む。
309better than new 04/05:2008/11/29(土) 18:44:03 ID:xGbI9wz6
「そっか。どうせ、私なんて……」
横を向くエーリカ。
すねているのか。それとも。
「やっぱりトゥルーデは誰か他に居るの? ミーナ? ミヤフジ?」
「ちっ違う! お前だ! お前だけだ!」
勢いで言ってから、はっとするトゥルーデ。
頬に雫が垂れる。ひとつ、ふたつ。エーリカの涙。
「何故泣く?」
「トゥルーデの、ばかぁ」
エーリカから力が抜け、トゥルーデの身体にしだれかかる。
迷わず受け止める。抱きしめる。
「力、強いよ、トゥルーデ」
「すまん。つい」
「じゃあ、キスしてよ」
ごく間近で見るエーリカ。とろんとした瞳には、涙の痕が微かに残るだけ。
愛おしさは、変わらない。そっと、唇を重ねる。
試す様な目をして、エーリカは問いかけた。
「次、何して欲しいか、トゥルーデなら分かるよね?」
「……ああ。でも、良いのか?」
「私もトゥルーデと一緒。お互い、身体に聞いて……身体に覚えこませて……刻み込まないと、わかんない、のかも」
「そうかもな」
どちらからともなく、お互いを奪い合う様に、激しく交わる。
名を呼び合い、、まずは聴覚で確かめる。
「エーリカ、私には、お前だけなんだ」
「嬉しいよ。愛してる、トゥルーデ」
「私もだ。愛してる」
熱い吐息が二人の間で交わり、お互いの頬を撫でる。
舌を首筋に這わせ、首筋に口吻の痕を付ける。
指先を舐め、髪の結びを解く。
柔らかなトゥルーデの髪がベッドの上に広がる。
さらっと指に通し、匂いを確かめるエーリカ。
「単に、お互いのキモチ、確かめるだけの事なのにね」
「エーリカの言う通りさ。五感で確かめないと、わかんないんだろ。私達は」
「性格は違うのにね」
「それとこれは別問題だ」
「でも、私達、相性いいのかもね。戦いでも、日々の生活でも」
「こうしてお互いを知る事でもな」
「キザだね、トゥルーデ」
「お前が言うか?」
艶のある笑みを返して、エーリカは囁いた。
「私は、トゥルーデにだけだよ?」
そのままトゥルーデの耳に舌を這わせ、甘く唇で噛み、そのまま唇へともっていく。
エーリカの髪に指を絡め、さらっと流れる様を見、エーリカとのキスを深く濃くする。
つつと滴る雫もそのまま、ふたりは息を荒く弾ませ、お互いの「学習」を続けた。
声も弾み、身体が踊り、心はひとつに。
310better than new 05/05:2008/11/29(土) 18:45:31 ID:xGbI9wz6
夜明け前。
二人はベッドの上でお互いの肩を抱きながら、グラスに残りのワインを注ぐ。
「トゥルーデ」
エーリカが差し出すグラスに口をつける。ゆっくりと、ワインを喉に流す。
「エーリカ」
手を添え、グラスのワインを口に含み、そのままトゥルーデの唇を奪う。
少しずつ流れ込む、エーリカのワイン。飲みきれない僅かなワインが一筋、唇から零れ落ちる。
トゥルーデはそれを指でなぞると、舌に絡ませて余韻を味わう。
「ワイン、もう無いよ」
「また探せば出てくるだろ」
「じゃあ、今度片付けついでによろしく」
「相変わらずだな」
「トゥルーデと同じ。相変わらずよ」
微笑みを見せるトゥルーデ。エーリカもそれを見、ゆったりとした笑顔を見せた。
ふたりに見えるのは、愛しいひとだけ。

end

----

甘々なトゥルーデ×エーリカを書いたつもり……ですが、如何でしょうか。
今度はナンバー振り間違わないように注意しましたがw
ではスレ汚し失礼しました。
311名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 19:35:09 ID:OLBksgCR
激しくGJ
この二人はやはり良い
というかワインが飲みたくなってきた

次は隊長を・・・
312名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 19:38:01 ID:P1L1T2lr
>>310

「……それは何処で誰が誰と試すのかしら、坂本少佐?」
「言ったじゃないか。まずは私とミーナで試してみようと」
「今夜私の部屋で待ってます」



酒宴のその後その3はこの場面ですよねわかりますGJ
313名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 19:38:02 ID:YY45w09z
>>310
エーゲルエロいよエーゲル
314名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 20:13:22 ID:jUt2aUHx
>>310
GJ!!
いやいや十分甘々ですよ!
甘々エーゲルありがとう!
315名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 21:14:39 ID:aN9o2SVw
がうー
いきなりの連続投下で幸福過ぎる
316名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 21:17:13 ID:aPPRD0ON
あまりにもアレなモノが出来ましたが投下します。
タイトルは百合バカエイラさん!

女の子にモテモテになりたい。
そう願ったことも確かにあった。

でも、私はモテモテになるってことがどんなに大変なことか知らなかったんだ。

ーーーーーーーー

「サササ…サーニャ!わわ、私は、サ、サーニャのことが好きなんダ!」

ついに言った!
私はついにサーニャに告白したぞ!

元来のヘタレ魂を抑え込み、
とうとう愛しい少女に告白した彼女の名前はエイラ・イルマタル・ユーティライネン、
正真正銘のガチ百合だ。

告白された少女はサーニャ・V・リトヴャク、
正直言って愛しい人のヘタレっぷりに、そろそろ押し倒してしまおうか、と考えていただけに彼女の告白は嬉しさもひとしおだ。

しかしその嬉しさがまずかった。
湧き上がった感情は、普段ウトウトし、覚醒していない少女の頭を駆け巡り、魔力を暴走させる。

通常時に於いて多少の強弱はあるものの、
決して他人の感情にまで影響を与える代物ではなかった彼女の電波は増幅され、部隊全員の脳に叩き込まれた。

叩き込まれた電波はもちろん少女の感情であり、
その性質は彼女への恋慕の情、簡単に言ってしまえば‘エイラ、大好き!’である。

叩き込まれた感情は、部隊全員の心に入り込み、ある感情を形成する。
その感情はやはり‘エイラさん大好き’であった。

そんなことになっているとは露ともしらず、エイラは告白の返事を今か今かと待っていた。
サーニャが頬を真っ赤に染めて口を開こうとしたまさにその時、エイラの部屋のドアが激しい音をたてて開かれる。

「エイラはいるか!!」

開いたドアの向こうに立つのは、
ジャーマンポインターの耳を備えた上官、ゲルトルート・バルクホルンであった。


バルクホルンの突然の来訪にしばし驚いていたエイラであったが、
ひしひしと怒りが湧いてくる。
取り込み中なんだ、そう文句を言ってやろうとエイラはバルクホルンに近づいた。

しかしバルクホルンの様子がおかしい。
バルクホルンの頬は染まり息遣いが乱れている。
まさか病気なのか、とエイラは心配し、熱でもはかるようにおでこに手をあてる。

それはエイラにとっては意識しない程度の優しさであったが、それが引き金となった。
バルクホルンはある意味本当に病気だったのだ。

「お姉ちゃんは、お姉ちゃんは、もう我慢できん!」

バルクホルンはエイラを抱きしめようとするがエイラにとってはたまったものではない。
バルクホルンの頭では魔力を展開している証であるジャーマンポインターの耳が揺れる。
怪力なんていう固有魔法をもったバルクホルンに思い切り抱きしめられようものなら、二度とサーニャの返事は聞くことが出来ないだろう。
317名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 21:19:18 ID:aPPRD0ON
エイラの頭にも黒狐の耳が顕現する。
バルクホルンの怪力を防ぐことができない以上エイラは抱擁をかわすしかないからだ。

「エイラ…早く、早くお姉ちゃんの腕の中に!!」
「どうしたんだバルクホルン大尉!悪いものでも食べたノカ!?」

エイラが叫ぶ。

「大尉じゃなくて、お、お姉ちゃんと呼んでくれ!!」

バルクホルンの精神に多大な疾患が存在することをエイラは確信した。

「サーニャ!返事は後で聞かせてクレ!」

そう叫ぶとエイラは部屋を飛び出して逃走を開始する。

「エイラは甘えん坊だなぁ。お姉ちゃんと追いかけっこしたいのか。」

気味の悪いことを呟きながらバルクホルンがエイラを追う。

エイラは確信していた。
大尉は慢性的な妹分の枯渇により壊れてしまったのだと。

しばらく逃走を続けると大尉の妄言も足音も聞こえなくなる。

あの変態、まさかサーニャに標的を変えたんじゃ!!

エイラは逃げてきた道を逆走する。

「あっ、エイラ!!」

そこには気を失ったらしいバルクホルンを縛り上げるエーリカ・ハルトマンがいた。

「ハルトマン中尉!大尉が変なんだ!」
「トゥルーデが変なのはいつものことだよ〜。」
あれだけ世話をしているのに変人扱いされる大尉に同情の念が湧いてきた。
まぁ事実変人なので仕方のないことではあるのだが。

「そんなことよりエイラ…フラウって呼んでよ。」

精神疾患は一人だけじゃなかった…
ハルトマンも頬を朱に染め、情念のこもる眼差しをエイラに向ける。

「中尉…中尉も何か変なもの食べたノカ?」
「ひどいよエイラ!私はエイラが好きなだけなのに!!」

こ、告白されてしまった…でも私にはサーニャが。
断るんだ。傷つけないように断るんだ。
勇気をだして告白してくれた以上、女の子に恥をかかせる訳には行かない。
エイラはそう考えるとハルトマンに自らの素直な気持ちを伝えることとしたのだ。

「ハルトマ…「だから私の部屋掃除してよ!」

なんだって!?そ、掃除?

「どういうことダ?」
「そういうことだから私の部屋掃除よっろしっくね〜!」

ハルトマンはスキップで去っていく。
318名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 21:21:15 ID:aPPRD0ON
「はぁ?」

か、からかわれたのか?

エイラは多大な精神の負担のためか深くうなだれた。
しかしエイラは実際はからかわれてなどいない。
ただ、ハルトマンは好きな人には部屋の掃除をしてもらいたいだけなのだ。

ハルトマンが去り、一人うなだれるエイラの背後には新たに2つの影。

ムニュムニュ。

「ウジュジュ、シャーリー!優良物件!」
「ほんとか〜?どれどれ、うわっマジだ!柔らか〜!!」

彼女たちは、フランチェスカ・ルッキーニ。
そしてシャーロット・E・イェーガー。
501部隊の自由奔放二人組がエイラの胸の品定めをする。

「シャーリー…ルッキーニ…お前ら一体なにをしてんダヨ!」

サーニャにだってそんなに揉まれたことないのに…
そう思い、エイラは怒りにわなわなと肩を震わせる。

「なにって、エイラのおっぱいチェックだよな。」
「そうだよね〜。エイラのおっぱいは優良物件だよ!」

しかし二人はエイラの怒りなど全く気にはしなかった。

「どうしてそんなコトをしてるのかって聞いてんダヨ!」
「そりゃなぁ、アタシたちがエイラのことが好きだからに決まってるよな。」
「ウジュ!」

またか…私の知らないところで何か起こっている。
ハルトマンの件から考えるとこいつらも私になにかさせたいんだ。
そう結論づけたエイラは二人に向き直る。

「お前たちは私になにしてほしいんダヨ…」

諦めたようにエイラが尋ねる。

「そりゃセッ…「ワー!!!!」

シャーリーのあまりにも率直なセクハラ発言に、
エイラは思わず鳩尾に膝蹴りを喰らわしてしまった。

というかルッキーニの前で何てこと言おうとしてるんだ…
とりあえずこのロリコンもバルクホルン大尉と一緒に縛っておこう。

そう思いエイラはシャーリーをバルクホルンとともに縛り上げる。

さて…
「おいルッキーニ。お前もなんかしてほしいことがあるんじゃないノカ?」
「ウー、アタシはね〜、エイラとお昼寝したい!」
319名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 21:22:13 ID:aPPRD0ON
ルッキーニは戦闘に於いては天才的ですらある。
しかしそれでもまだ12歳の少女だ。
ルッキーニにとっての恋という概念は、子供が母親に甘えたがる、
そういった感情とさして差はないのだ。

それぐらいならしてあげてもいいか。
エイラは、無理難題ならともかく、少女の願いぐらいなら叶えてやりたい、
そういった優しさを持ち合わせていた。

「じゃー、アタシの部屋に行こーよ!!」

ルッキーニは太陽みたいな笑顔を携え、エイラの手を引っ張って走る。

「おいおい、そんなに急がなくても私は逃げないゾ。」
「だって嬉しーんだもん!!」

少し舌足らずな喋り方でルッキーニが答える。
なんで私との昼寝がそんなに嬉しいんだ、
そういった疑問は持ちつつも、少女の笑顔にエイラは悪い気はしなかった。

「ウジュ、着いたよ!」

そういえばこいつの部屋って初めて入るな。
掃除とかしてないんじゃないか?

エイラは嫌な予感を持ちつつもドアを開ける。

「アレ?」

ルッキーニの部屋は存外に綺麗だった。

「お前以外と掃除とかするんだな。」

エイラはルッキーニに疑問をぶつける。

「ん?掃除なんてしたことないよ!私部屋なんて使わないからね!」

あぁルッキーニは知らないんだろう、部屋ってのは使わない方が汚れるということを。

多分シャーリーが掃除してるんだろうな。

普段自らの部屋ですらあまり掃除などしないシャーリーがルッキーニの部屋だけは常に清潔に保っている。
そんな事実が地に落ちたエイラのシャーリーへの評価を回復させる。

「ただのロリコンじゃなかったんダナ。」
「なにしてんのエイラ?早くお昼寝しよーよ。」
「ソウダナ。」

エイラがベッドに寝そべると、ルッキーニがエイラの胸にうずくまる。

やっぱり甘えたい盛りなんだな。ルッキーニの頭を撫でてやる。
ルッキーニはエイラを見つめ、そのほっぺたにキスをした。
320名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 21:22:59 ID:aPPRD0ON
え?私、今ルッキーニにキスされた?
ほっぺたに残る柔らかく暖かい感触に顔が熱くなる。

「なっ、なにすんダヨ!」
「ウジュ、ちゅーだよ?」
ルッキーニが恥ずかしげもなく発言する。

「だからなんで私に…」
エイラは真っ赤になって問いただす。

「シャーリーが好きな人にはちゅーするものだって教えてくれたの!シャーリーもよくしてくれるよ。」

やっぱりあいつはただのロリコンだ!!
ロリコンのせいで私は、私はキスされてしまった…ごめんなサーニャ。

「なぁルッキーニ?キスはなぁ本当に好きな人にしなきゃダメダ。」
「でもアタシ、エイラのこと好きだよ?」
「一時の気の迷いダ。いつかルッキーニにも本当に大切な人がわかるサ。ほら、寝るぞ?」
「ウジュ〜。」

そうして二人はまどろみに落ちていった。

ーーーーーーーー

「ふぁ〜よく寝た。」

目を覚ますと既にルッキーニはおらず陽もとうに落ちていた。

サーニャのところへ帰ろう。
そう思い部屋をでると、そこにはミーナ・ディートリンデ・ヴィルケと坂本美緒の佐官コンビが待っていた。

「うふふ、エイラさん?私たちの部屋に来なさい?」

ミーナが妖艶な笑みを浮かべ、エイラを誘う。

「なんでダヨ中佐?私はサーニャのとこいきたいんだケド。」

エイラは一刻も早くサーニャに返事を聞きたかった。
それに、すっかり寝てしまったため、サーニャを一人ぼっちにしてしまったことを心苦しく思っていたのだ。

「わっはっは、上官の命令は聞くべきだぞ、エイラ?」

普段は優しい坂本の言葉にも今宵は強制の意が潜んでいた。

「分かったヨ少佐。」

確かに上官の命令とあらば余程のことでなければ従わざるを得ない。
エイラは、おとなしく彼女たちについていくこととした。
321名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 21:25:20 ID:aPPRD0ON
とぼとぼと歩いていくとミーナの部屋へ着いた。

「うふふ、私たちの部屋にようこそ。」

ミーナの言葉に疑問を覚え、エイラは二人へと問いをぶつける。

「なぁ、さっきも思ったんだケド、私たちの部屋ってどういうことなンダ?」
「わっはっは、私の部屋は使えなくなっていてな、今はミーナの所に間借りしてるんだ。」

そういえば少佐の部屋って聞いたことがないと思ったら中佐のとこにいたのか。

エイラがボーっと突っ立っていると、ミーナにベッドに押し倒される。

「なっ、なにすんダヨ!」
「うふふ、私のことお母さんって呼んでいいのよ?」

あまりの事態に思わず体を引いたエイラの頭に柔らかい感触が走る。

「わっはっは、そして私がお父さんだ!」

サーニャの電波が伝わったときこの二人の間には既に恋慕の感情が存在していた。
そこでエイラに向けられたのは母性愛と父性愛。
二人の送るエイラへの愛は正に両親が娘へ贈るものだった。

「エイラさん?アナタにも、もう好きな人ができたのかしら?」

ミーナのいきなりの質問にエイラは狼狽える。
なにしろエイラがサーニャに告白したのはついさっきのことだったのだから。

「どどど、どうだってイイジャナイカ!!」
「わっはっは、エイラはもうキスはしたのかキスは?」

少佐…それは父性愛じゃなくて単なるセクハラです。

「美緒!女の子はそういうこと恥ずかしいものなのよ!」
「スマン、気が回らなかった!わっはっは!」
「それよりもエイラさんの好きな人を聞き出しましょ?」
「うむ、そうだな。で、エイラは誰が好きなんだ?」

坂本とミーナの問いかけに、エイラは真っ赤になって俯く。
エイラは自分がサーニャのことを好きだと誰にも気付かれていないつもりなのだ。

「私はサーニャさんが怪しいと思うの。」
「奇遇だな。私もそう思っていた。」

交わされる二人の言葉にエイラは狼狽する。

「私が誰を好きかなんて分からないジャナイカー!」
叫ぶエイラに二人は答える。

「あらそうなの?でも、サーニャさんはエイラさんのこと好きみたいなのに。」
「そうだな、サーニャはエイラに気があるな。」

上官の思わぬ言葉にエイラは歓喜する。

「ほ、本当カ!?」
「あらあら、やっぱりサーニャさんが好きなんじゃないの。」
「うー、ソンナンジャネーヨ!!!」
恥ずかしさのあまり、エイラはミーナの部屋を飛び出した。
322名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 21:26:31 ID:aPPRD0ON
「エイラさんったら顔をあんなに真っ赤にしちゃって。」
「ふふ、好きな相手ができるというのはいいものだ。私たちが見守ってやらんとな。」
「美緒ったら少し寂しいんでしょ?」
「そ、そんなことはないっ!!」
「私はずっと美緒の側にいてあげるわよ。」
「すまないな、ミーナ。」

ーーーーーーーー

ハァハァと息を切らしながらエイラはブリーフィングルームに逃げてきていた。

「あらエイラさん、どうしたんですの?」
「げっ、ペリーヌ!?」

突然のペリーヌ・クロステルマンの出現に驚くエイラ。
はぁ…また変な目にあうのか、とエイラは考えていた。

「‘げっ’とはなんですの!!エイラさんは私をバカにしているのかしら?」

そうか…みんなおかしくなった訳じゃないんだな。
思ってもみなかった普通の反応に、エイラは安堵する。
そこに新たにもう一つの人影が現れた。

「エイラさん、クッキー焼いたんですけど食べませんか?」
「リーネ!」

そこにはお菓子作りをしていたためであろうか、
可愛いエプロンに身を包んだリネット・ビショップの姿があった。

あぁ、リーネも普通だ。
戻ってきた平穏にエイラは頬を緩めた。

「なにを言ってますのリーネさん?エイラさんは今から私とお茶をするんですの!」
「ペリーヌさんこそなにを言ってるんですか?エイラさんは私とクッキーです!」

エイラの束の間の平穏は脆くも崩れ去り、また波にのまれていく。
どうしてこんなことになってるんだ…

「リーネのクッキーをお茶菓子にすればいいダロ?」

エイラの提案に、二人は渋々納得する。
そして気まずいお茶会が始まった。

「どうですか、私のクッキー美味しいですか、エイラさん?」
「私の紅茶のほうが優美ですわよね?」

二人が競い合う。

「でしゃばっているのはその胸だけで十分ですのよリーネさん?」
「ふふ、二次元から脱却できない胸の人に言われたくはないですよ、ペリーヌさん?」

二人が熱い火花を散らす。
エイラが二人の言い争いを止めようとしたそのとき、いきなり新たな人物が現れた。
323名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 21:27:13 ID:aPPRD0ON
「でも私はエイラさんのおっぱいもリーネちゃんのもペリーヌさんのも大好きですよ!」
「み、宮藤…」

現れた人物は宮藤芳佳。
隊内一のおっぱいマイスターである。
宮藤はしきりに3人のおっぱいを揉み比べ、悦に浸っている。

あぁ、宮藤は変態だけど変わらないな。
エイラはそんな下らないことすら嬉しく感じてきた。

「じゃあ、みんなでエイラさんのおっぱいを揉みましょう!!」

はっ?今宮藤はなんて言った?
私のおっぱいを揉む?なんでそうなるんだ?
エイラの疑問は止まらない。
それはもちろん芳佳が好きな人にしたいことはおっぱいを揉むことだからである。

芳佳の隣ではペリーヌとリーネが激しく頷き、エイラの胸を標的に定める。

あぁ、私の貞操が奪われる。サーニャごめん!
そう思いエイラは恐怖に目をつぶる。しかし、なんの変化もない。
薄目をあけると、そこには愛しい少女、サーニャが立っていた。

「エイラは私のだから盗っちゃダメー!!!!」

普段叫び声などあげないサーニャが声を振り絞る。
エイラを盗られてしまう。その恐怖はサーニャの頭を活性化させ再び魔力の暴走
をおこす。

隊員全員に再び叩き込まれた電波に含まれた情報。
それは命令、‘エイラはサーニャのものだから盗るな!’である。

こうしてエイラさん大好き騒動は幕を閉じる。


そしてエイラは嬉しさのあまりサーニャの唇にキスを落とした。

普段ヘタレなエイラの初めてのキスはサーニャにとっても嬉しさはひとしおだ。

しかしその嬉しさがまずかった。
サーニャの身におこる本日3度目の魔力の暴走。

「エイラ!」
「エイラさん!」
「エイラ?」
「エイラ。」
「エイラっ!!」
「エイラさん。」
「エイラさんっ!」
「エイラ!!」
「エイラさん?」
「…エイラ?」

どうやらエイラの長い夜は始まったばかりのようだ。

Fin.
324名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 21:28:40 ID:9WeHZhiN

                       -──-  _
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           /::::::ヽ:{/::{  >J'´:::::}}`<_ィ ,/\:Y:::::ヽ
            } ::::::/{{::::::`く::::|::::ー={{o:::::|∨:::::::}}\::-ヘ
             {_/::::::::\:::::::ヽ|::::::::::}}=-::j/::::::::/::::::::\:}
           /::::::::::::::::::: ヽ/:l:::::::::::||::::::::l:\_/::::::::::::::::ヽ
            〈::::::::::::::::::::;:イ:::::::l:::::::::::||::::::::l::::::::|\::::::::::::::::〉
325名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 21:34:27 ID:aPPRD0ON
皆様GJです。

てかこのスレ速すぎだろ…遅筆な自分には付いていけないスピードですよ。

特に喫茶店GJ!
楽しみで楽しみでエルマさん来店を数十回読んでしまいましたからウレシスぎです。

あとなぜか甘々なエイラーニャを書こうと思ってたのにこうなった。

とりあえず芳佳もリーネもまとめてエイラさんが面倒見れば皆幸せだと思ってます。


だれか甘いエイラーニャとエルマさん話を書いてほしーです。

というわけでRU1ZZ/dhでした。
326名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 21:35:09 ID:Jd52U0MD
これはひどいwwwwww
めちゃくちゃ面白かったよールッキーニの秘め声聞いたら俺もロリコンになりそうだわ…
しかし二次元から脱却できない胸の人・・リーネひでえw
327名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 21:39:35 ID:aN9o2SVw
なんぞこれw
まえ画像に有ったサーニャが電波でエイラ操るの思い出した
328名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 22:06:17 ID:OLBksgCR
これはwww
もっさんがセクハラ親父でワラタ
329名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 22:12:08 ID:YtR7hAXM
最近キャラクターが偏ってる
330名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 22:26:41 ID:AxC0dSfJ
6話、エイラの「楽しいこと優先したって〜」のところで微笑むサーニャがいい。やっぱりエイラは優しいなぁなんて惚れ直してるんだ間違いない。
331名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 22:27:09 ID:P1L1T2lr
とっさに鳩尾に膝蹴りをかますそのセンスに脱帽
332中学生日記(1/5):2008/11/29(土) 23:00:07 ID:JZY6ZDGP
この流れならたぶん無罪! と信じて投下します。
記録集の誤植を見て発作的に書きました。謝罪はしますが後悔はしません。
強いて言えばエイラーニャのような気がしますが、とことんヘタレなエイラが一人で誤植にでれでれしているだけです。
というわけでエイラが中学生方面に崩壊してますのでご注意ください。
----

「リトヴャク少尉……だと?」

 繰り返す。

「リトヴャク少尉……だと?」

「うう……」

 ……なんて、素晴らしい、響き。
 新しい航空団全記録、広報部からさっき届いたばかりの冊子を、私は胸に抱きしめた。
 昼食時も過ぎて、食堂に今いるのは私一人。幸せをかみ締めるのには絶好のシチュエーションだ。
 しばらく浸った後、もういちどそのページを開ける。私が占いをしている写真。その隣に付けられたキャプションをもう一度読む。

『明かりを閉ざした部屋で、リトヴャク少尉は占いを行った。』

「……リトヴャク、少尉……」

 リトヴャク少尉……
 リトヴャク少尉……
 リトヴャク少尉────!!

 にへら。と顔が緩んだ。何度聞いてもすばらしい。
 訳もなくうれしくて、どうしようか顔が緩んで仕方がない。これじゃまるで、私がサーニャの嫁みたいじゃないか! っていうかこれは嫁に行けって事じゃないか!?
 GJだ書いた人! ありがとう校正の人! お前らのおかげで私は嫁に行きます!

「……しかし、これはまずいゾ」

 ひとしきり脳内で祭りを繰り広げてから、私は冷静さを取り戻した。
 ……こんな素晴らしい、いやけしからんものを、公然と食堂に置いといていいんだろうか?
 OK。私は嫁だ。それはいい。でも落ち着いて考えよう。
 本来ならこの冊子は、みんなが見るものだ。そして読めば誰でも「リトヴャク少尉」に気づくだろう。私が嫁になってることがばれてしまう。
 私も恥ずかしいし、サーニャもからかわれるかもしれない。そんなことになったら……。

 ……でも例えばこれを、私の部屋に隔離したらどうだろうか。

  食堂でみんな見る → サーニャ恥ずかしい。私恥ずかしい。
  私の部屋に隠す  → サーニャ恥ずかしくない。私超うれしい。

「部屋に持って帰ればいいことだらけじゃナイカ!」

 早々に確保、いや隔離しないと!
 記録集を小脇に抱えて私は食堂を飛び出す。

 部屋に向かって全力で走る。今はサーニャもいないし、これから私のゴールデンタイムだ!
333中学生日記(2/5):2008/11/29(土) 23:02:16 ID:JZY6ZDGP
----

「イイナー、コレ……」
 部屋に帰った私はベッドでごろごろしながら、記録集の写真を見ていた。中にはサーニャが一杯だ。あんなサーニャやこんなサーニャ。
 やっぱり持ち帰ってきて良かった。隊の連中に、こんなサーニャはまだ早い。

 というか、ほんとにいつの間に撮ったんだよ。
 カメラマンの首を締めてやりたくなる様な写真もある。でも、許す。サーニャは写真で見ても可愛いし綺麗だし、なんといっても、
「リトヴャク少尉だもんなぁ……」
 言うたびに、ほわんと幸せな気分に包まれる。
 ……サーニャの所に嫁に行ったら、どんな感じだろうな……。

「……………………………………。
 ……はっ」

 いけない。
「大分長い事トリップしていたみたいダナ……」
 新婚生活と嫁姑戦争を経て第一子誕生までいっちゃったよ……。

 窓の外を見ると既に夕方。いつのまにか流れ出ていた鼻血を拭う。
 幸せだー!! と叫びたい気持ちでいっぱいのまま「リトヴャク少尉」の文字を見る。

「フフ……」

 リトヴャク少尉……その文字を見つめながら、ニヤニヤしてるだけじゃなんか足りない! という気になってきた。
 もっと喜びたい! 後になって、この記憶を反芻できるように、この喜びを表現したい!もっとはっきりした形で! なんかないか、なんか!
「……」
 ふと思いついて、私は赤いペンを取る。鼻歌を歌いながらキャップを外して、
「フフン」
 ページの上に、線をゆっくりと引いていく。

「……ヨシ」

 「リトヴャク少尉」の下にまごうことなき下線。私は小さくガッツポーズ。
 後は夕食までこれを見て妄想するんだナー。──そう思って寝転がろうとしたとき、私の予知が働いた。

 ──今すぐそれを隠して逃げろ。

「誰ダ? 誰か来るのカ?」
 人の幸せ邪魔スンナヨー、と部屋を見回して、窓の方を見る。
 そこに何か、人影のようなものがある。
「…………?」
 誰かが、そこに、取り付いている。
「ニン」
 取り付いたそいつが、歯を見せて笑う。

「……ウワァァァアア! ナンダオマエ!!」
「シャーリー! エイラが持ってたよー!」

 心臓をばくばくさせてうろたえる私に構わず、ルッキーニが窓を開けて入ってきて、私から記録集を奪い取った。

「な、ナンダ……何でソコニイルンダ? イツカラ見テタンダヨ!?」
「シャーリー!! 見つけたよー!」
「あー! お、オイ! 返セヨー!」
「おー、あったかールッキーニ!」

 そしてシャーリーがノックもせずに入ってきて、ルッキーニから記録集を受け取った。ルッキーニがうれしそうにシャーリーに抱きつく。

「早く見よ! シャーリー!」
「オ、オイ! 待テッテ!!」
334中学生日記(3/5):2008/11/29(土) 23:03:26 ID:JZY6ZDGP
「……ったく。部屋に持っていくなよなー。私とルッキーニも載ってるんだから」
 ……もう持ってっていいか?、と頭をかきながらシャーリーが諭すように言う。言うことはもっともだけど、良くわかるんだけど。
「……だ、駄目ダッテ! 返せっテバー!!」

「おいおい」
 なんだよそんなムキになって……、とシャーリーは開いたままのページを見て、「ん?」と不思議そうな顔をした。
「何だこれ……?」
 ……私の顔から、血の気が引いていく。
 そしてさらに悪いことに、廊下の向こうから声が聞こえる。

「何だー、エイラが持ってたのかよー……」
「共有の刊行物は食堂で見るのが原則だぞ。全く」
「そうね、みんなもまだ見てないんだから」
「はっはっは! 気持ちは分かるが慌てるな! 記録集は逃げはせん!」
「海の写真たくさんあるといいねー、リーネちゃん」
「……だから私の家にも、ローズマリーが目にいいなんて伝わってないんですよ……」
「見れば分かりますわ。白黒はっきりつけますわよ?」

「おおおおおい! ナナナナ何ダオマエラ!!」

 隊のほとんど全員が、どやどやと部屋になだれ込んで来る。

「? ……どうした、シャーリー」

 部屋に入ってきたみんなは、固まったままのシャーリーと私を見て足を止めた。
 戸口に立ち止まったみんなと、私のちょうど中間に立つシャーリー。そのシャーリーが、肩を震わせていた。
「ふふ……ふふふふ……」
 記録集のページを見ながら、シャーリーが肩を震わせてる。その震え──笑いはだんだんと大きくなり、そして爆発した。

「ぶははははは! 見ろこれー!!」

 シャーリーが記録集を全員に見せる。

「うう……っ」

 全員の視線がそのページに集まる。

「リトヴャク、少尉?」
「……でもこれ、エイラだよね……」
「赤線引いてるよ……?」
「リトヴャク……」
「うわ……」
「……エイラ……?」
「エイラさん……? あなたまさか……」

 ひそひそささやく声。そして一斉に私に向けられる視線。

「……ソ、ソンナメデミンナー!!」
 私はシーツをひっかぶって叫んだ。

「ぶはははは! エイラおまえ、ほんっとかわいーことするな!!」
「シャーリー、見せて見せてー、にゃははははははは!」
「な、何やってますのエイラさん! ほんとに、ほんとに何やってますの!」
「エイラさん……寂しかったのかな……」
「しっ。リーネちゃん駄目だよ、聞こえちゃう」
「……? ただの誤植に何を騒いでいる」
「誤植の訂正は今からじゃ間にあわんぞ! 細かいことを気にするな! はっはっは!」
「いや二人とも、エイラにとってはただの誤植じゃないんだってばー」
「……坂本中佐……坂本中佐……坂本中佐の誤植はないの……!!」
335中学生日記(4/5):2008/11/29(土) 23:04:44 ID:JZY6ZDGP
 がやがやと騒ぎ続けるみんな。シーツをかぶっても聞こえてくる声。
 あの、みなさん、声が耳に痛いです。心に響きます。嫌な感じにこたえます。
 それと出来れば、出てってください。せめて静かにしてください。隣の部屋で寝てる人がいるんです。

「……エイラ? どうしたの?」
「う…………」

 そして恐れていた人の声が聞こえて、私はゆっくりと顔を上げる。

「さ、サーニャ……」
「何してるのエイラ? シーツかぶって」
「うぅっ……」
「変なの」
 サーニャが微笑む。
 そんな無垢な目で見ないで……と、泳いだ私の視線の先、いつの間にかミーナ中佐の手に渡っていた記録集を、サーニャが見つけた。

「あ、届いてたんだ……」

 でもどうしたの? と、みんなが集まってることも不思議に思ったのか、サーニャが首を傾げる。

「あ、サーニャ……それ駄目……っ!!」
 シーツの中から飛び出して手を伸ばす。
 何とかサーニャに知られるのだけは! お願い私の魔法! 何とか見られずにすむ方法を!
「えっとねー、エイラがねー」
「ルッキーニィィィィィィィ!!」
 現実は無情。サーニャがあのページをまじまじと見てる。

「……」

 記録集から顔を上げて、眠たげな視線を私に向けるサーニャ。
 私を指さしながら、その視線をルッキーニに移す。
 ニヒン、と得意そうに笑うルッキーニ。──お前はこれから全食塩漬けニシンの刑だ。
 そしてもう一度、サーニャが私を見る。

「……サ、サーニャ……違うんダッテ……」
「……」
 サーニャは無言で部屋を出て行った。
 ばたんと隣の部屋のドアが閉じる音。頭を抱えて私は叫ぶ。
「あ゙ーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 神様、頼みます。なんとかしてください。急にネウロイが襲ってくるとかそう言うのでもいいです。

 「……サイレン……鳴ラナイカナ……」

 あとは海が大増水して島ごと水没しちゃうとか!
 謎のウィッチが現れて固有魔法できれいに記録集の赤線を消してくれるとか!
 そんな未来はないっすか、といくら予知を働かせても、「外は綺麗な夕焼けだよー」というのんきな未来しか見えなくて、私は頭を抱え続けた。
336中学生日記(5/5):2008/11/29(土) 23:05:21 ID:JZY6ZDGP
うう……っ」
 どれだけシーツをかぶっていただろう。私の肩を、優しく叩く人がいた。
「ナンダヨ……」
 私は顔を上げる。
「ほら」
 涙にぬれた私の顔を見下ろしながら、シャーリーが優しく微笑んで、ハンカチを差し出した。

「……エイラ……その……なんていうかな……」
 シャーリーは私の前にかがんで、しょうがないなこいつは、っていいたそうな顔をしてる。

「うう……シャーリー……慰めてくれんのか?」
 優しいなオマエ……。涙を拭きながら、私の胸に熱いものがこみ上げてくる。

「……こういうのは……なんていうか……」

 涙を拭きながら、シャーリーの言葉を待つ。シャーリーは私を落ち着かせる様に肩を軽く叩いて、

「…………諦めろ……ドンマイ!」

 サムアップしながら、私に止めを刺した。

「オ前ラミンナ出テケーー!!!!」




 ──スオムスのお父様お母様、エイラはここにいます。マジ帰りたいです。

--------
ごめんなさいいいい!
サーニャは許してくれます! 多分! 根拠はないですが! あと間違いなく引いてるでしょうけど!

いろいろなエイラとサーニャを始め怒涛のSS読めてニヤニヤしています。皆さんすごすぎw ほんとGJ。
>>325様便乗すいみません。ペリ芳リーネの危険さが爽快でした。
お久しぶりのrQBwlPEOでした。逃げます。
337名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 23:43:29 ID:HcGXGIaN
>>336
「エイラ…エイラが嫁…ふふ…ふふふ…」
とか同じように部屋でにやけてるサーニャの可能性も…
しかしエイラさんマジ思春期な男子中学生w

今日は特に投下の数が凄いなwww
まだ全部読みきれてないけど職人さん達GJです
338名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 23:44:21 ID:Yb3rouyt
>>325
>>336
gj!!どっちも久々に声をだして笑ってしまったw

しかしss書ける人が羨ましい……今ためしに書いてみようと思ったら、
なんだかよくわからなくなって全然進まなくなってしまったよ……
339名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 23:44:58 ID:YY45w09z
俺は>>337の案を支持するぜ!

つか隊長w
340名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 23:48:21 ID:Aa6Gv15i
>>──スオムスのお父様お母様、エイラはここにいます。マジ帰りたいです。

糞吹いたwwwwwww
GJ!!
341名無しさん@秘密の花園:2008/11/29(土) 23:55:22 ID:Jd52U0MD
男子中学生すぎる…そしてシャーリーのにやにやっぷりに吹くw
あと隊長のがっつきっぷりがww
今日はギャグな流れで楽しいなあ
342名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 00:01:20 ID:wZLXYizA
サーニャはきっと、隣の部屋で一人ドキドキしてるんだよ
何でドキドキしてるかわからなくて、混乱してるの
わたし、変になっちゃったのかな…
みたいな?
タマンネー!(バンバンと机を叩きながら)
それからエイラの気持ちに少しずつ気付いてゆくサーニャが見れるわけだ!
なんだ、最高じゃないか
343名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 00:16:29 ID:3aGxzxic
>>336
坂本中佐のとこで思わず吹いたwミーナさんがんば!
あとになってサーニャがエイラは私のお嫁さんだもんね、とかエイラに囁いているのを妄想した。

うーん…そろそろエーゲルの甘いの書こうかな…
344名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 00:24:05 ID:txCiQia9
>>168の続き
公式設定無視してるからお気に召さないことも多いだろうけど




ガリア地方のネウロイ掃討から三日、昨日はちょっとしたパーティーがあった。
というのも、正式に501解散とあってみんなでお別れ会をしようということになったのだ。
ルッキーニやハルトマンの一発芸は面白かったし、少佐の剣舞や中佐の歌への感動も一入だった。
それでも何か物足りないのは、やっぱりサーニャが隣にいないからだろうか。
もうサーニャのことは好きじゃない――それは自覚できてるし、狂おしいほどの嫉妬心がないのが何よりの証拠だ。
じゃあどうしてこんなに寂しいのか。
もしかしたらサーニャへの気持ちがわずかに残っているのかもしれない。
しこりのように残るこのわだかまりが鬱陶しいと思う反面、いつまでも縋っていたいと考える自分がいるのも事実だ。
だって私がサーニャのことを好きだったと証明できる唯一のものだから。
この愛がなければ今の私はいないから。

中佐から聞いた話では、サーニャはオラーシャに戻って家族を探すらしい。
最初は私と一緒にスオムス戦線に異動する予定だったが、サーニャたっての希望ということで受け入れざるを得なかったとか。
確かにサーニャは両親を溺愛していたし、家族探しを優先するのも無理はない。
けど私にはサーニャが私といることを拒んだようにしか思えなかった。
別に、どうでもいい――そう言いたいところだけどやっぱり悲しかった。
憐憫の表情を浮かべる中佐の手前ポーカーフェイスを気取っていたが、うまく隠し通せたか自信がない。

「こんなところにいたんですね、エイラさん」
背後から呼びかけられだけど振り返らない。
もう誰だかわかっているから。
サーニャを失ってから、私はよく基地で一番高いこの場所で空を見上げるようになった。
そんなときリーネは必ずやってくるのだ――私がそれを望んでいようがいまいが。
「もうそろそろ出発ですよ」
声はまたも少し遠くから聞こえてきて、どうやらまだ入り口に立っているらしい。
いつもはすぐ隣に駆け寄ってくるのに、どうしたんだろう。
怪訝に思い振り向くと、リーネはあのときの中佐と同じような――それ以上に傷ましい表情をしていた。
それで合点がいった。
たぶん、サーニャの転属云々の話を聞いたのだろう。
345名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 00:26:52 ID:txCiQia9
リーネは優しい、優しいから私の体験をまるで自分のことのように考えてしまう。
ときには感極まって涙してしまうほど。
だからリーネには今回のサーニャの件を知ってほしくなかったのだ。
私以上にこのことを悲しむのが目に見えていたから。
そう、今のように。
「誰から聞いたんだ?」
「芳佳ちゃんが……『サーニャちゃんね、家族を見つけたら扶桑に来てくれるんだ』って」
あの二人はもう将来の約束までしているのか。
私はずっと立ち止まってるのに。
けどサーニャが笑うのならそれが一番いいんだ、きっと。
それよりも私はリーネのことが心配だった。
よりによってミヤフジからこのことを聞くなんて。
ミヤフジがリーネの気持ちに気付いてたか知らないが、どちらにせよなんて残酷なことだろうか。
表情から私の考えていることを汲み取ったのか、顔の前で手を振りながらリーネは言う。
「私は大丈夫ですよ。前にも言ったじゃないですか、新しい恋を探すって」
じゃああの間違いは――そう思ったけど黙っておくことにした。
口ではそう言っても私と同じで完全には諦めきれていないのだろう。
視線を空に戻すとリーネが問いかけてきた。
「エイラさんは、いいんですか?」
「いいも悪いもないサ。私が決めることでもないしナ」
嘘は言ってない。
でも心中を全部晒したわけでもない。
どうしようもないのは事実だし、私はそれについてなにも異をはさむ気はないけど、胸が少し痛いのもまた確かなことだ。
「ならいいですけど……エイラさんはこれからどうするんですか?」
全然納得してないようだが、この話を避けたいという私の雰囲気を感じ取ってくれたみたいだ。
「私はスオムスに戻って今までどおりネウロイと闘うだけだヨ」
とっくに知っているはずなのになんでそんなことを聞いてくるのか。
不思議に感じているとリーネが近づいてくる音がして、寄り添うように私の隣に立った。
見つめられているのは気付いてたけど、あえて横を向かなかった。
今リーネの顔を見たら、たぶん折れちゃうから。
「エイラさん、これ」
いつまでも見つめているわけにはいかないと思ったのか、リーネが私に何か手渡す。
彼女の顔を見ないまま手探りのみで受け取ると、それは小さい紙だった。
真ん中に丁寧な字で住所と思しきものが書いてある。
疑問に思う前にリーネが説明する。
「それ、私の連絡先です」
なんで連絡先なんか、なんて野暮な質問はしない。
連絡先を教える理由はただ一つで、それをわからないほど私は馬鹿じゃない。
だから疑問に思ったのはそこじゃなかった。
「なんで私に?」
生真面目なリーネのことだから、案外みんなに配って回ってるのかもしれない。
だとしたら私はただの自意識過剰ということになるが、そうではなかったようだ。
「いつになってもいいので、手紙ください……私、待ってますから」
リーネはまた間違いを犯そうとしているらしい。
この期に及んでまだ私に対する感情が錯覚と自覚していないのか。
それを諭そうとしたとき、リーネが胸に飛び込んできた。
「間違いなんかじゃ、ないです……」
心でも読まれたのかな。
先手をとられた私はとりあえずリーネの背中に手をまわした。
一度嗚咽のような声を漏らしたかと思うと、離れたときには既に華やかな笑顔だった。
「じゃあ私先に行きますね」
そう言ってリーネは階段を降りていき、すぐ見えなくなった。
リーネを抱きしめていた時間は時間にすればたぶん十秒に満たない。
けど渇ききった私の心は、サーニャを失って以来初めての充足を感じていた。
346名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 00:42:36 ID:Bnl3erNN
うぐ、エイラーニャ好きの俺には厳しい
だから読まないようにしようと思ってるんだけど、まるで吸い寄せられるように読んでしまう
この文章力…あなおそろしや
とにかくGJです
347続・本音と建前・第二話1/4 j4ntaz3y:2008/11/30(日) 01:21:54 ID:m1F1oIav
きのうきょうの投下率やばくね…さすが週末
なので自分もなんかタイトルのつけ方を間違った感が否めませんがとりあえず前スレ>>625だったかのつづき
流れぶったぎってすみません


 バルクホルンにとって、エーリカが半歩うしろにいることは当然のことだった。頼んでもいなければ約束をかわした
わけでもなく、それなのに彼女はいつも自分についてまわり、気づかぬうちにそれがゆるぎないものになっていた
のだとバルクホルンは思っていた。にこにこと腹のうちの読めない笑顔をうかべてのん気な鼻歌を奏で、それは空
のうえで安心して背中をまかせられる堅い信頼とは似ているがまったくちがう感覚であり、じわりと胸の奥底があつく
なるくすぐったい事実だった。いや事実のはずだった。

「あ」

 普段のとおりにエーリカはバルクホルンのそばであくびをしていて、バルクホルンはそれをだらしがないと咎めて
いたところだったが、ふと声をあげて少女はかけだしていってしまった。彼女は確かもう十六になったはずなのに、
さり際にふとこぼれた残り香はむかしから変わらぬ幼い女の子のそれにちがいがなく、ぎくりとしてしまったバルク
ホルンはどこへいくんだと呼びとめることもできずに間抜けな顔で背中を見送った。基地内の廊下のすみで呆然と、
停止していく思考にあせってしまう。

「最近なかがいいのね、あのふたり」

 唐突な背後からの呼びかけに、びくりと肩がゆれてしまった。あせってふりむくと、その大げさとも思えるほどの
動揺にバルクホルン本人よりも現れた人物のほうがぎょっとしていた。

「あ……ごめんなさい、気づいていないなんて思わなくて」
「……ミーナ」

 しまった、という表情をかくす余力さえなかった。すぐそこで瞬きをしているミーナを、驚きで見開かれた両目で
凝視する。ひょっとしたら冷や汗までたれていたかもしれない。死角からとはいえ、いつもならばこれほどそばまで
寄られて気配を悟れぬはずもないのに、恐らくミーナのほうもそれを加味したうえでの行動だったのに。決まりが
悪くて、バルクホルンはごほと咳払いをして視線をはずす。

「……だれのなかがいいって?」
「シャーリーさんとフラウよ」

 ためらいがちな発言の返事とは思えないほどに間をおかずにきっぱりと、ことばをにごす気もなくミーナが告げる。
それからすいと視線を送って、それはエーリカがかけていった方向。バルクホルンはぎくりとして、彼女の示すところ
を見たくないと思った。エーリカが急にそばからきえてしまった、どこにいったのかと思えば、ふと見つけた自分でない
だれかのところへいってしまった。すっきりとのびた廊下のずっとあちらにあるつきあたりで、ミーナが指摘したとおり
のなかのよさそうなふたりがなにかしらことばをかわしている。きこえはしないしききたくもなく、バルクホルンはぎっと
こぶしをにぎった。爪はみじかく切りそろえられているからてのひらにくいこむことはないけれど、いまはいっそ血が
でてしまえばいいと思われる。

(そのうちに、どこかのだれかにとられちゃうかもよ)

 すこしまえになげかけられた、宣戦布告ともとれることばが頭のなかで再生される。くだらない、性根のまがった
リベリアンのただの悪ふざけのはずの近い未来の予想は、徐々に正夢のように真実になりかけていた。バルクホルン
は、エーリカが自分の近づけないところにいくことがあるなんて想像だにしておらず、自分のそばからはなれること
などあるはずがないと高をくくってはばからなかった。その確信の理由は、他言できないほどに反吐がでるような、
自分本位でかっこうのつかないものだ。バルクホルンは、エーリカが自分に好意をよせていることをしっていた。

「ふたりとも、まえから気はあうみたいだったし……いいことじゃないかしら。あの子むかしから、自覚があるかは
わからないけれど意外と線をひいてひととつきあうところがあったから」
「……」
348続・本音と建前・第二話2/4 j4ntaz3y:2008/11/30(日) 01:22:47 ID:m1F1oIav
 つまりは、ミーナの見解からいくと、エーリカはそのひいた線より内側にシャーロットを招きいれているということか。
バルクホルンはどくどくと不恰好になりはじめた心臓に顔をしかめた。これ以上余計なことを言われてしまうと身が
もちそうにない。だけれど、ミーナはしっているのかいないのか、だまろうとしない。

「それにしてもいつのまにか、あれほどなかよくなるなんてね。相手がシャーリーさんっていうのは、意外なのか
妥当なのかはわからないけれど」
「意外に決まってる、ただの気まぐれだろう」

 あれほど、というのはどれほどなかがよくなっていると言うのか。バルクホルンはついかっとして荒げた声をあげて
しまった。それからはっとしてみても遅すぎる。反射的に顔をあげれば、ミーナが先程のようにぱちぱちと瞬きをして、
それからすぐに苦笑をこぼした。しかしもうなにも言わないで、彼女は控えめな笑みをうかべたままで視線を滑らせる。
つられて見れば、そこで例のふたりはまだ話していた。

(そんなんじゃ、いつか愛想つかされちゃうと思うな)

 まただ、またシャーロットのふざけた台詞がフラッシュバックする。それというのも、ふたりをながめるミーナの横顔
がまるでおなじことを言っているようだったからだ。ミーナは、相手がわかっているとしっているようなことをわざわざ
指摘するようなことはしない。ただ苦笑して、もうそこには触れようとしない。殊に相手がバルクホルンであればます
ますその性質を色濃くした。それはシャーロットのようにいちいち図星をついて揚げ足をとりひとをいらつかせるよう
なことをこのまないからであり、しかしバルクホルンにしてみればいっそのことあなたはここがだめなのよときっぱり
と言ってくれたほうが苦しくなかった。ミーナの苦笑はまるですべてをわかっているような包容力にあふれていて、
ならばそう言ってくれとわがままなことを考えてしまう。すっきりとしないのだ、同郷のつきあいのながい友人である
彼女は、そうやって計りしれない。

「……ほら、ルッキーニさんがやきもちやいちゃうくらいだもの」

 しばらくだまったあとに、ミーナがつぶやく。バルクホルンはいつのまにかそらしていた顔をなんとかもう一度
エーリカとシャーロットのほうへとうつし、その輪のなかにもうひとりの少女がくわわっていることを認める。ちいさな
エーリカよりももっとちいさなルッキーニが、ほほをふくらませてシャーロットの腕にからまっていた。それからもう
ひとつの腕にはエーリカが密着していて、だいすきなひとをとられそうな少女をからかっているのかにやけ顔で
なにか言っている。間にいる頭のひとつとびでた人物は、突然の争奪戦にきょろきょろと首を動かしていた。

(へらへらした面をしやがって)

 シャーロットをにらみつけ、バルクホルンはつよく唇をかんだ。それは思わず口汚い悪態をこころのなかで
つぶやいてしまうほどにいらだっている証拠であり、しかもそれはとんだ言いがかりだ。実際のシャーロットは、
うんざりとした顔でふたりの少女に反対方向にひっぱられていた。だけれどバルクホルンにとって事実がどうで
あるかはまったくどうでもいいことであった。実に彼女らしくない態度である。自覚のないその異変は、バルクホルン
を徐々に疲弊させていた。トゥルーデ。唐突に、隣人が名を呼ぶ。

「あなたもせめて、やきもちくらいやいてあげたら?」

 ぎょっとした。ミーナはあいかわらずこまった顔で笑っていて、しかし言うことは普段の彼女のものとは思えぬほど
積極的なアドバイスだった。バルクホルンはショックを受ける。それほどまでに、私はどうしようもないような顔をして
いるのだろうか。血の気がひいていく感覚、耳の奥で、さあと音がなっている。

「……そうできたらいいな」

 やっとのことで返答をすれば、驚くほどすなおな声がでてしまった。しかしミーナは当然のことのように受けいれて、
ふとやわらかく笑い一度バルクホルンのかたくにぎられたこぶしにふれてから歩きだす。こつこつと几帳面な足音が、
背後からどんどんと離れていく。

(本当にそれだけの用事だったのか)
349続・本音と建前・第二話3/4 j4ntaz3y:2008/11/30(日) 01:24:14 ID:m1F1oIav
 やきもちなんて、とバルクホルンは思う。実際はいやになるほどにやいているのだ。それどころか、そんなかわい
らしいことばで片づけられるほどの感情のゆれではない。ただそれを、エーリカに見せる気にはなれないだけなのだ。
 かのふたりが接近しはじめた時期を、いつのまにかとミーナは言っていたが、実はバルクホルンは正確に把握
していた。あの日だった。エーリカが、シャーロットの部屋へいった日からだ。彼女はあのときとても怒っていて、バルク
ホルンはそれを理解していなかった。それなのにシャーロットこそがまるで訳知り顔でにやけていて、どういうことだと
こちらだって腹立たしかった。本当はちゃんと謝ろうと思っていた。ちゃんと理由をきいてこちらが悪いと自覚してから、
謝ろうと思っていたのだ。

「……、…」

 むこう側では、三人が喧騒をたてている。声は届かずとも、いつのまにか笑いあって、言いあいを楽しんでいるのが
見てとれた。バルクホルンは急激にむなしさを感じていく。あのあと結局余計に怒らせて、それからまだ謝っていない
のだ。それというのも、その日の夜もまたエーリカはシャーロットの部屋に泊まったようで、あれからまたバルクホルン
のまえに現れた彼女はいつもどおりのエーリカだった。もう怒っていないかのようにバルクホルンに近づいてにこにこ
として、それにこころからほっとしたことをよく覚えている。なんてずるい思考なのか、バルクホルンは、謝らずにすんだ
ことに安心していた、エーリカが、また自分のところへきてくれたことに甘えきっていた。いいかハルトマン、怒られる
うちが華なんだ、怒ってももらえなくなるってことは、すっかりあきらめられたということなんだぞ。普段からいくら言い
きかせてもだらしのない素振りをやめようとしないエーリカに、バルクホルンはいちいちそんな説教をたれていたが、
まさかそれが自分にかえってくるなんて思いもしない。

(そんなんじゃ、いつか愛想つかされちゃうと思うな)

 そのいつかは思いのほか早くきた。バルクホルンは、自分がどうしてエーリカのまえではこんなふうに謝れもしないし
甘えた思考回路でもって行動してしまうのかを、最近になってやっと理解することができるようになってきていたのに。
遅すぎる自覚だった、いや本当はわかっていて、ただそれを認めたくなかっただけだ。かわいいとも言ってやれないし
手だってつないでやれない。その原因は、バルクホルンがエーリカのことをあいしているからであった。

----------

「おい」
「んー、なに」

 一方。エーリカはシャーロットの腕にからみつきながら、ルッキーニの額をひとさし指でおしている。ルッキーニの
ほうも負けじとシャーロットにつかみかかり、エーリカの攻撃を必死になって防ごうとしていた。

「いやね、おたくのろくでなしがしにそうな顔でこっち見てんだけど」
「あ。トゥルーデまだそこにいたの」
「……おーおー。言うじゃないの」

 シャーロットはいい加減はさまれ飽きていたので、両脇から密着しているふたりの頭を同時につかんでぐいと押す。
うにゃ、とルッキーニがかわいらしい悲鳴をあげたので、シャーリーはその子だけをひょいと抱きあげる。

「ほら、もどってあげなよ。そのうちほんとにしぬんじゃないか、あいつ」
「えー、だれがしんじゃうの?」
「おこさまには関係ない話だぞー」

 話についていけないルッキーニがきょとんとした顔で当然の疑問を口にすると、エーリカがけけけと笑ってからかう。
するとせっかくシャーロットに抱えられて機嫌がなおっていたこどもはまたほほをふくらませて、足をばたばたとさせて
暴れだしてしまう。

「だーもう。あんまりルッキーニで遊ぶなよ」
「で、じゃないよ。と、だよ」
「いやルッキーニ半泣きなんだけど……」

 エーリカはそろそろ対策をかえたらしかった。おしてだめならひいてみればいいらしいよ、とまえに耳打ちされた。
その作戦にのっとり、エーリカはいちいちシャーロットの元へとやってきては、バルクホルンに見せつけるように必要
以上になかよくしようとした。
350続・本音と建前・第二話4/4 j4ntaz3y:2008/11/30(日) 01:25:01 ID:m1F1oIav
(だしにつかわれてんなあ)

 シャーロットはわかっていながら、それを邪険にあつかうことができなかった。エーリカは稀に、本当にシャーロット
にこころを開いているかのような素振りを見せた。バルクホルンのいないようなところでわざわざ近寄ってきたり、
本気で眠そうに肩によりかかってきたりと、さも計算されつくしたかのようなしくざで彼女のなかにしのびこんでくる
のだ。それなのにおそろしいほどに無邪気しか感じず、シャーロットはそのたびに自分の心臓がしめつけられること
にこまりはてていた。

(……いやいや。そんなことよりもあれだ、そんなにうまくいくのかなってことだ)

 かすかに幸せな懊悩にふけりそうになったのをなんとかとりはらり、ふと顔をあげてみればバルクホルンはもう
いなくなっていた。エーリカも気づいたのか、ルッキーニをからかうのをやめないにしてもすこしだけ表情を暗くする。
ほらね、と思う。あの直情型のバルクホルンにそんなまわりくどい真似が有効にきくものか。ひょっとしたら、あの
わからずやがこのまま身を引いてしまうということもありえなくはないのだ。エーリカは、それをわかっているのだろうか。

「うわあん! シャーリー!」
「こら、他人にたすけを求めるなんて卑怯だぞ」

 シャーロットがゆっくりとした思考にふけっているうちにすっかり遊ばれたおしたルッキーニが、シャーロットの首に
まとわりついて泣き声をあげる。シャーロットはおーよしよしとルッキーニの頭をなでてから、ふと思いたったように
エーリカの髪も乱暴にかきまわす。

「うわ、なにすんの」
「おまえ、まだ髪のばしてんの?」
「え、うん。でもわたし髪のびるの遅いんだよなあ」
「ふうん……。ま、飽きたらあたしが切ったげるよ」
「飽きないからいらないー」

 ぷい、とエーリカは唇をとがらせて顔をそらして、それからぱっとかけだしてしまう。ほら、そんなに急いできえた
背中をおいかけてしまうなら、最初から離れてはいけないんだよ、と、シャーロットは声にしないであわてる後ろ姿に
言いきかせた。こころから心配していた、それなのにそれをことばで伝えないのはすこしずるいと思いながらも、
シャーロットはただ念を送るばかりだった。

(べつに伝わらなくてもいいんだけどね)

 きれいな髪がちゃんとのびるまで、バルクホルンはこの少女を見つづけることができるのだろうか。シャーロットなど
よりもよほど彼女とのつきあいの長いエーリカが、その危険性を考えられないのはふしぎな話だ。いや、つきあいが
長いからこそ、見えなくなるものもあるのかもしれない。シャーロットはすんすんと鼻をならしているルッキーニを抱え
なおし、かけていった少女とおなじようにくるりとからだのむきをかえて歩きだす。

「……まいったもんだよなあ」
「そうだよ、ハルトマン中尉ひどいよ、いじめっこだよ」
「ん…、ああ。うん、それもそうなんだけど」
「え?」
「いや、なんでもないよ。ハルトマンのあれはさ、多分愛情表現なんだよ」
「ええ、どこがあ?」

 ぽんぽんと不満顔のルッキーニの背中をなでて、それで自分の気をおちつかせようと努力した。そろそろシャーロット
は、自分があのふたりにどうなってほしいのかわからなくなってきており、あわよくばなどという卑怯な思考がどこかに
存在することを否定できない領域まで達しはじめていることを自覚しないではいられないのだった。


つづく

どんどんと まるでだめなゲルト×健気に一生懸命すぎるエーリカ←ロリベリアン になってきているような
エーリカとりあうシャーゲルってのもけっこうありだなと最近思いはじめましたが、ラブいシャーゲル分が足りない気がするのでだれか書いてお願い
ところでシャーリーはロリコンだけど紳士なので無理やり食べちゃったりはしないよたぶん        たぶん
351名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 01:43:13 ID:kT95iYnA
>>345
リーネは良い子だなぁ
というかホントにリレーに成ってるなぁ
続きが有るなら読みたいし
分岐が有るな読みたい作品だ

>>350
続きキター
今後どうなっていくのか非常に楽しみです
続き待ってるよー
352zet4j65z:2008/11/30(日) 01:51:50 ID:cWL4pwJP
>>263
あの絵で喫茶店支援されたときから嬉しくてトグルスイッチバチーンで
それしかか書けなくなっちゃいましたよw
ほかの人も何度も読んでくれたりとか、なんかすごく評価してくれてて凄い嬉しいです。
続きというか、他のキャラの来店エピソードとかも書いていきたいと思います。
もしも自分にとってこれを書いたことに弊害があったとするならば、
ここまで3週間程の間じっとりと淀んだピンクで芯まで染め上げた脳細胞が
カレリアの雨に洗われて清清しくなりすぎたって所でしょうか……。
つまり平たく言うと、「心がきれいになりすぎて病んだエロスが描けねぇ」

それはそうと、投下が怒涛過ぎてGJと打ち込む以外に術が無いデスヨ。
因みに自分は仕事中ににやにやしんみりやってから帰りの電車でもにやにやしんみりしてましたw
353名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 02:21:48 ID:srIyXoZx
>>350
楽しみにしてた続き キ タ !だめだめすぎる、ゲルトがダメダメすぎる。だがそこがいい
実年齢がどうでも見た目がロリならいいじゃないか うっかり食べちゃいそうになってゲルトに怒られてしまえ
シャーゲルでエーリッキーニか、なんと新しい
あと本編関係ないけどロリベリアンに壮絶に吹いたw

以下>>355の続き
―――

途切れるならそれでもいい。ブリタニアは平和になったとはいえ、こちらはまだ戦火の中だ。さして重要でもない
私用の手紙などどこでまぎれてしまってもおかしくない。
返事なんて期待しない。ただ、彼女の元に届いたなら私はついているのだと思って手持ち無沙汰を装って
それを送ったのが、最初。

(ああ、また返ってきた)

今朝の朝礼で手渡されて持ったのはそんな味も素っ気もない感想だった。なんだなんだ、と覗き込んでくる
同僚を無言で押し戻して、裏に書かれた差出人の名前を見やる。見慣れた筆跡がそこにあってほっと息を
つくと同時になぜだかとても切ない気持ちになった。

なにをやってるんだろう、私たちは。こうしてやり取りをすることで一体お互いの何が埋まるというのだろう。
まるで祭りの後、落ちた照明のあとでする道化の踊りみたいだ。ひどく滑稽で情けない。
そうだと分かっているのに、どうせ私は返事を返してしまうんだろう。いつだったか彼女が文中で「思ったよりも
字が綺麗ですね」なんて言ったそのままの筆跡で、きっと今日あったどうでもいいことなんて送ったりするんだ。
意味もなく、進歩もなく、もしかしたら惰性のように。

私がブリタニアを発ってから数ヶ月。交わした手紙は数知れず。だって数えてなんかいないから。
彼女の連絡先なんて、もうそらで言えるくらいに書き慣れてしまった。


今日一日の任務を終えて、自分の部屋に戻ってくる。ブリタニアみたいな特別な基地じゃないから、私の
部屋はどっかのついてない同僚と二人部屋だ。

「なー、誰からだよー」
「ニパにはかんけーない」
「いーじゃん、おしえてくれたってさー」

朝からずっとそんなやり取りばかりを繰り返している。もともとよく私に突っかかってくるやつだったけれど、
私に手紙が来た日は毎回毎回そうして一日中私に質問を浴びせてくるのだった。それはもう、うざったい
くらいに。
「…だからさあ、なんでいちいちそんなの聞いてくんだよ。どうでもいいだろ、手紙の相手なんて」
そう、私にとってこれは惰性そのものなのだ。途切れないから、返って来なくても良いのに返って来るから、
仕方なしに返してやる。それだけのもの。

そのはず、だったのに。

「だって気になるじゃん。イッルがそんな楽しみにしてる手紙の相手」

口を尖らせたニパの一言が、私が信じて疑わなかったその認識をがらがらと打ち崩した。

「楽しみになんかしてない」
「してるよ。長い付き合いだろ、わからないわけない」

「…相手なんてどうでもいいやつだし」
「だってイッルにやけてる」

「返って来なくたって別にいいんだ」
「とか言って返事遅いと落ち込んでるくせに」

354名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 02:23:28 ID:srIyXoZx

私がそっぽを向いて、懸命にしかめ面を浮かべてそう言うのに、その同僚は即座にそんな答えを返してくる
のだった。自覚していなかったのに、思い返してみたら頬が緩んでいる自分に気が付いて愕然とする。
ちがうちがう、と慌てて小さく首を振った。これは…そうだ。今日一日の任務を終えて、サウナに入って水浴び
して汗を流して、さあ明日も頑張るぞ、なんて思いながらベッドに寝転がっているからだ、違いない。

「…ブリタニアから帰ってきてからイッル元気ないけど…手紙が来たときだけはやたらと嬉しそうだからな。
気になるのも仕方ないだろ」
心配してるんだぞ、これでも。ニパの言葉に唇をかむ。ああ、やっぱり勘付かれてたのか。
でも、嬉しそう?手紙が来たときだけ?まさか、そんなはず。

「ブリタニアの友達。それだけ」
「うそだ」
「せっかく人が教えてやったのに勝手に断定すんなよ…」
「コレだろ、コレ!」
「…ちげーよ、ばか」

もういい。こいつの言うことなんて聞くもんか。はあ、とひとつため息をついてベッドに潜り込んでニパに背を
向ける。中の便箋を破らないように慎重に封筒の端をちぎっていった。可愛らしいピンク色の便箋。その辺に
転がっている封筒と紙切れで返事を返す私と違って、彼女から来る手紙はいつも色とりどりでバリエーションに
富んでいる。だから毎回毎回何が楽しいんだか、と肩をすくめてしまう。
…確かにそう言う意味では楽しみにしている部分もあるのかもしれない。

手紙の内容なんて分かりきっていた。なんのことはない、お互いの近況だ。今はペリーヌと一緒にガリア
復興に尽力しているのだという彼女は、今日はどこに行ったとか、何をしたとか、そんなことをつづってくる。
二人で一緒に木を植えたとか、その木に花が咲いたとか。だから私も同じように、どうでもいいことを書いて
送る。今日はネウロイを何機落としたとか、自分の同僚の不運ぶりだとかを。
そのやりとりは全く持って無意味なもので、まるで家に帰った子供が親に今日あったことを報告するような、
そんな感覚で。腫れ物に触るかのようにミヤフジと…サーニャのことを避けて、ブリタニアにいた頃のこと
すべてが美しい思い出であるかのような雰囲気もっていて。だから彼女からの手紙を見ていると私はふと、
『あのこと』を忘れてしまいそうになるのだった。悲しい思い出も、苦しい離別も、あの胸をかきむしりたくなる
ような嫉妬の記憶も。
…もちろんそれはきちんと私の頭の中に残っていて、ふと思い出してはまだ、情けなさにふさぎこんでしまう
のだけれど。

今回の手紙も、いつもと変わらないものだった。ガリアのこと、ペリーヌのこと、人づてに聞いた、カールスラントの
ことや北アフリカ戦線のこと…

(あれ?)

それでは、また。そんな言葉で締めくくられたそれに続きがあるのを読んで、私は驚きに飛び起きた。
行かなくちゃ。寝巻き同然のラフな服を脱ぎ捨てて、いつもの軍服の上に上着を羽織る。季節は移ろい、今は
冬だ。

「あ、おい、どこ行くんだよイッル!」
「ごめん、明日休むから適当にごまかしといて!」

力を込めたらくしゃりと音を立てて便箋がつぶれた。構うことなくポケットに突っ込んで、格納庫に向かう。
飛行機なんて使ってる暇はない。

(追伸 今そちらに向かっています。会いたい)

たったその一言だけでこんなに混乱している自分は、やっぱりおかしいのだと思った。


―――
よくみたら手紙の人の名前だし損ねてた申し訳ない

355353:2008/11/30(日) 02:27:40 ID:srIyXoZx
ポカしたので自分で踏む
上のは>>345の続きです、ダメダメなのは自分だな、ごめんお姉ちゃん
356名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 02:36:31 ID:kT95iYnA
つ続きを・・・・
だれか続きを・・・・
寝れないじゃなないか
357影の人:2008/11/30(日) 02:49:15 ID:3hhRo80j
投下します。
六話のあたり、ペリーヌと酔っ払った少佐のお話。

そんなには長くないです。
358やっペリ犬が好き:2008/11/30(日) 02:51:21 ID:3hhRo80j
 宮藤さんとサーニャさんの誕生日をお祝いしてささやかなパーティーが催された。
 ハーブで香り付けされた七面鳥、ボウルにたっぷり盛られた海鮮サラダ、バルクホルン大尉いちおしのジャーマンポテト、そして豆狸謹製の納豆。さまざまな料理が食卓を彩り、ジュースとお酒でみなさんがそれぞれに楽しんでいるようだった。
 にぎやかな時間は終わり、わたくしたちは一人、また一人と自分たちの部屋へ帰っていく。
 ネウロイの襲撃も数日の間はないだろうとの予報がなされている。しかし、いざというときは体に鞭打ってでも出撃しなければならない。いくらお酒を飲んだとしても意識が飛んでしまうまで酔っぱらうような浅はかなウィッチはいなかった。
 そんな面々のなかでも比較的(意外なことに)酔いがまわっていたあるお方を部屋までお送りすることになった。わたくしの敬愛する上官こと、坂本少佐である。
「すまないな、ペリーヌ」
「そんな、少佐のためでしたらこれくらい朝飯前ですわ」
「すでに晩飯を終えた時分に朝飯前とは、これいかに」
「えっと……日をまたげば晩は朝の前にございます」
「はっはっはっは、愉快だな、じつに愉快だなペリーヌ」
 普段から朗らかな少佐はお酒の勢いもあっていつも以上に上機嫌でいらっしゃった。わたくしはワインを嗜む程度に口にしただけなのでほとんど酔っていない。前後に体をふらつかせる少佐に肩を貸しながら、ようやく目的地にたどりついた。
359やっペリ犬が好き:2008/11/30(日) 02:52:58 ID:3hhRo80j
 少佐の私室は装飾に乏しく、きわめて実務的な部屋だった。
 執務机に一人掛けのソファ、戦術やネウロイ、ストライカーについてまとめられた資料を収めた本棚。壁紙もカーテンも空室のころと変わらず、色気の欠片もないオフホワイトで部屋を殺風景に感じさせる原因となっていた。
 ベッドのそばまで行くと少佐は倒れこむように横になられた。清潔な真白いシーツにうつ伏せとなる。目を閉じられた少佐の横顔はとても心地よさそうだった。麗しいお顔に頬を寄せたい気持ちが芽生え、はしたない自分を胸の内でたしなめた。
「ではごゆっくり、おやすみなさいまし」
 務めは果たした。わたくしも自室に戻って体を休めなければならない。
 いくら祝賀会の翌日とはいえ、明日もまたウィッチとしての一日を過ごさなければならないのだから睡眠不足は禁物だ。少佐の寝顔を拝見していられるチャンスに後ろ髪を引かれる思いではあったが、わたくしは自分の寝床に戻ることにした。
 そのとき、ふと上着の裾にかすかな抵抗をおぼえた。見れば少佐の指先が青の生地をちょこんと摘まんでおり、わたくしの歩みを妨害していた。
「あの、少佐? わたくしもそろそろ眠くなって参りましたので……」
 放してほしいと訴えかけても薄目を開けて今にも寝てしまいそうな少佐には声が届いていないようだ。その恰好はまるで幼い子どもが眠りに落ちるまで親にそばにいてほしいと懇願しているようにも見える。失礼ながら可愛らしいと思ってしまった。
「少佐、名残惜しいのはわたくしも同じですが、明日がありますのでどうかお手を――――」
 と、言いかけたところで思わぬ力が加わった。手首を掴まれてぐい、と引き寄せられ、そのまま横になっている少佐に引きずり倒されてしまった。
360やっペリ犬が好き:2008/11/30(日) 02:57:21 ID:3hhRo80j
「あ、え、し、しょうさ……?」
 首と背中にまわされた腕にぎゅっと抱きしめられ、片脚に少佐のすべすべした足が絡みつく。脚と脚が噛みあうことで密着してしまい、わたくしの思考回路にあったものが片っ端から吹っ飛んでしまった。
 目と鼻の先、その言葉通りの位置にあこがれの少佐のお顔があった。
 エキゾチックな雰囲気を感じさせる艶やかな黒髪、きめ細かい肌。そして揺るぎない大地に背中を預けているような、確かな安らぎをおぼえる優しいにおい。
 いま、わたくしは少佐に抱きしめられて少佐の腕のなかに収まり、少佐のにおいに包まれて少佐とわたくしの二人だけの空間に閉じ込められている。
 この一瞬において、わたくしは世界でもっとも幸せであることを確信した。重なりあった肌から伝わってくる体温にわたくしの胸はどこまでも高鳴っていく。
「あ、あの、少佐……」
「ペリーヌ……、おまえは本当にかわいいな」
 ガンッ、と頭を殴られた気がした。
 "おまえは"おまえとはわたくしのこと、ペリーヌ・クロステルマンのこと。
 "本当に"まさにまさしく、嘘、偽りなく。
 "かわいいな"可憐で愛らしい、と。
 頭のなかで何度も何度も少佐の声が反芻される。ペリーヌおまえはかわいいな、本当にかわいいペリーヌ、かわいい、かわいい。
 思いもよらない事態に冷静に対処しなければならないと分かっていながら、見つめ合った状態で紡がれる甘い言葉がそれこそアルコールのようにわたくしの理性を酔わせてしまう。ふわふわした心地は上等のワインを飲んだときに似ている。
 だからこんな言葉も平気で口をついて出てしまった。
361やっペリ犬が好き:2008/11/30(日) 03:00:05 ID:3hhRo80j
「あ、あの、つまり少佐はわたくしを、その……マ・プティット・ピエレッテ・ア・クロケーと、おっしゃるのですね……?」
「ああ、とにかくお前がかわいくて仕方ないんだ」
「はぅぁ……」
 少佐はわたくしのことを"食べちゃいたいくらいかわいい"と認めてくださった。頭のなかのどこかが蕩けてしまった気分だ。全身から力が抜けてしまう。
 普段なら戯言としか取られないような問いかけにも、いまはわたくしの望むままに答えが返ってくる。
 わたくしは夢でも見ているのではないか、と疑ってすぐに夢なら夢でわざわざ否定する必要もないと割り切ることにした。こんなに都合のいい夢も、たまに見るくらいなら罰は当たらないだろう。
 なんならここで一晩を明かしてしまうのもいいかもしれない。
 日頃のわたくしなら考えられない破廉恥な思考にも今はなんの疑問も抱かず、また潤んだ瞳でいとおしそうに見つめてくる少佐なら受け止めてくださるのではないか、とそんなことさえ考えてしまう自分に自分で驚いてしまう。
 浅ましい思考はやめるべきだと唱える冷静さがこんなにも疎ましく思えるのは初めてだった。
 たとえすべてが夢で幻だとしても、服を通して伝わってくる温もりを今この時だけでも感じていたい。そう思う気持ちが平常心を上回り、わたくしの心身を一色に染め上げるのにたいして時間は掛からなかった。
362やっペリ犬が好き:2008/11/30(日) 03:02:00 ID:3hhRo80j
「あの、少佐はわたくしのこと、す、好いておられますの……?」
 こんな質問ができてしまう自分に、
「当たり前じゃないか。好きだ、大好きだ。かわいいおまえを愛さずして何を愛せばよいと言うのだ」
 こんな返事をしてくださった。
 胸がきゅうぅ、と締めつけられるような感じがする。痛いのではない。幸せなのだ。ただただ嬉しくてわたくしの心の容器から喜びがあふれそうになっている。
 好きという気持ちが膨れあがり、胸がはじけそうな気分になってわたくしは少佐の背中に手をまわした。
 愛されるだけでは物足りない。わたくしからも愛したい。愛していると伝えたい。一秒でも長く笑顔でいてほしい。一秒でも多く支えてあげたい。一秒でも早く苦痛を取り除いてあげたい。一秒でも、永遠に変わらないわたくしの気持ちを感じてほしい。
 腕に力をこめる。少佐のお体はほっそりしているにもかかわらず引き締まっていた。少佐の腕にも力がこもる。わたくしの体を抱き寄せ、離れたくても放さないと言わんばかりに。
363やっペリ犬が好き:2008/11/30(日) 03:04:09 ID:3hhRo80j
 優しく、あたたかい感覚に幼かったころの記憶が思い出される。
 眠れない夜はいつもお母様に抱きしめてもらっていた。お母様の腕のなかで、わたくしもいつか誰かに安らぎを与えられる女性になりたいと願った。その相手を見つけられた幸運を大事にしたいと思う。
 大切な人が傷ついたり、怯えているときには抱きしめて痛みも不安も軽くしてあげたい。好きな人が安心して"帰れる場所"でありたい。
 いつの間にか目を閉じられた少佐の首筋に顔をうずめる。安らかなにおい。未熟なわたくしは少佐に寄りかかってばかりだ。いずれ少佐が安心して寄りかかれるほど強くなれたら、きっとそのころにはガリアの復興も果たせるだろう。
 静かな寝息が聞こえはじめた。わたくしは穏やかな寝顔にそれを近づけ、寸前で思いとどまった。こんなやり方ではなく正々堂々と、少佐から求められたときに凜として答えられるように、いまはおあずけだ。
「少佐」
 わたくしは最愛の人の頬に手を添えて、
「大好き……ですわ」
 深い眠りに落ちていった。
364やっペリ犬が好き:2008/11/30(日) 03:06:51 ID:3hhRo80j
 目を覚ますと少佐のお姿はどこにもなかった。おそらく早朝の訓練をされているのだろう。わたくしは寝ぼけた頭で髪と衣服の乱れを正し、食堂に向かった。
 食堂にはすでにみなさんが集まっており、どうやらわたくし一人だけが遅刻してしまったようだ。
「遅いぞ〜、ペリーヌ。飯が冷えちゃうじゃんか」
「寝ぼすけペリーヌ〜」
「あなたに言われたくありませんわ! この居眠り猫!」
「それではみなさんそろったことですし、朝食にしましょう」
 中佐のひと声で静まり、合図とともに食事となった。
 わたくしはこんがり焼けたトーストにストロベリージャムを塗り、小さくかじった。向かいの列に座っておられる少佐はマーガリンをつけていらっしゃった。
 ふと目が合う。ただそれだけのことなのに、わたくしと少佐のあいだで何か大事なものが通じあった気がした。
 少佐がわざとらしく咳払いなさって視線を外された。何人かの方が不思議そうな顔で少佐を見やる。その咳払いの意味を正確に理解しているのはきっとわたくしだけだった。
 かるい優越感に浸りながら気分よく紅茶をすすっていると、
「ペリーヌ、おまえ昨日とおんなじ服着てナイカ……?」
 隣のエイラさんが不躾なことをおっしゃるので紅茶を噴き出しそうになった。必死で飲み下して落ち着きを取り戻すと、少佐がトーストを喉に詰まらせてむせているのに気付いた。みなさんの視線がわたくしと少佐のあいだを行ったり来たりしている。
「ペリーヌさん、あとでちょっとお訊きしたいことがあるのだけど……よろしいわよね?」
 中佐がにっこりと笑顔でそうおっしゃった。これはお願いされているのではない。命令されている。なぜかその笑顔には妙な迫力があった。きっと恐ろしいことが待っている。居眠り猫が本能的にガクガク震えているのがなによりの証拠だった。
「けほ……まあ待て、ミーナ中佐。ペリーヌは何も悪くない」
「美緒、そういうのは……」
 おそらく中佐にあとでこってり絞られるだろう。しかし、わたくしは嬉しくてたまらなかった。少佐がかばってくれているということは、つまり昨夜のことが嘘ではなかったということだ。
「いったい何がどうなってんダヨ。なあ、教えろヨォ」
 隣からちくちくフォークで刺してくるエイラさんを軽くあしらい、わたくしは心が満たされていくのを感じながら優雅な手付きでティーカップを口に運んだ。
 今朝の紅茶は格別おいしかった。



 おしまい
365名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 03:08:37 ID:X6l9PdKF
この時間で勢い90超えてるのか……。

それは兎も角、SS書きの皆さんGJ!
366名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 03:09:21 ID:3hhRo80j
以上です。読んでくれた人に感謝。
楽しんでもらえたら幸い。

ネタ元のペリーヌスレ>>529あたりからの
みんなに感謝です。
367名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 03:19:11 ID:KFLC0XWA
>>350
悶々とするゲルトさんの駄目振りww あんたって人は…
鷹揚そうだけどかすかに揺れてるロリベリアンさんもぐらつけーぐらつけーと煽りたくなるwww


>>354
二人とも痛ましいな…リーネが健気すぎるだけに切ない。
エイラも癒されればいいよ! 時間かけてでも幸せになっとくれ。


>>364
ペリーヌの可愛い乙女心と愛情の高貴さが伝わってきました。
少佐に惚れちゃったのは大変だろうけど、いい子だよな……。

こんな時間にこの勢いって何事かとww 職人様方GJっす!
368名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 03:32:34 ID:OrPHmtA6
この板で勢い90とか凄すぎwww
たまには他の過疎スレにも目を向けてあげてください…w
369名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 03:38:38 ID:qLhjudTU
安価すべきか否か悩んだがあえてしてみる事にした。
>>279 >>302 >>310 >>325 >>336 >>350 >>364
もう全部GJ!最高!!これがDVD発売の威力か・・・!堪能させていただいた。
なんつうか、GJし損なっても後から感想書けるような場所があればいいんですけどね。
保管庫の人、どうにかなりませんか?

で、>>354 の続きわっふるわっふる
ないと俺が死ぬ
370名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 03:42:37 ID:QtigwAqH
遅くなってもここに書けば良いんじゃない?
昔の作品でも感想があれば書けば良いと思うぞ
そのほうが作者も嬉しいはず
そして俺も続きワッフルワッフル
371『野ばら』 1/3:2008/11/30(日) 03:56:01 ID:x6opQjYy
ずっとROMり続けてたのですが、さっきエーゲルの片思いssかいてたら
反動でだらだらピロートークみたいなのがかきたくなったので、
勢いで投下してみます。はじめての投下ですので不備があったら教えてください。
ちなみにえろありです。えろしかないです。



わーらーべーはみーたーり のなかのばーら
服の一枚も身に着けないで足をぱたぱたさせながら、エーリカがきげんよさそうに民謡を母国語で口ずさんでいる。
「お前、なんでそんなに元気なんだ」
その傍らで、やはり一糸まとわぬ姿でトゥルーデが少しかすれた声で言う。
「トゥルーデはだるそうだね」
「…うるさい」
誰のせいだと思ってるんだ。
「そりゃ、私のせいだよねえ」
あははは、と楽しそうに笑った顔がちょっとだけ憎たらしい。
さっきまでしつこいくらいせめられて、いいように喘がされたこっちの身にもなれ、という抗議をこめて、形のいいおでこを人差指でぴん、とはたいた。
「ひどい、痛いよう、トゥルーデ」
「自業自得だ」
「えー、なんで。私のせいにしたの、トゥルーデじゃない」
いたい、私女の子なのに顔がキズモノになってしまったわ、とわざとらしく言う。
「トゥルーデがキスしてくれないと、私の傷は治らないかもしれないよ」
「傷なんてついてないだろ」
「ついたの、私の心に、深くふかーく」
相手にするのがめんどくさくなってきて、トゥルーデはだるい体をおこしておでこにキスをしてやった。
「これでいいんだろ」
「愛が足りないからもう一回」
言って、エーリカはトゥルーデの唇を奪う。
372『野ばら』 2/3:2008/11/30(日) 03:57:17 ID:x6opQjYy
ちゅ、という触れるだけのキスで満足するのかと思ったら、すぐに舌をしのびこませてきて、トゥルーデの口内を器用に愛撫して、舌をからめてくる。
「ん」
濃いキスをしながら、イったばかりでまだ敏感な体に手をのばして、線をたどるような動きで背中を撫で回しはじめたので、びく、と体をふるわすついでに、唇が離れる。
「お前、まだする気か」
今何時だと思っている。
きわめてトゥルーデらしい反応に、エーリカはちぇ、と舌打ちして、口をとがらす。
「暗くて時計なんて見えないもん」
「屁理屈はよせ」
「トゥルーデは何時に寝ても決まった時間に起きるじゃん。それで私を起こしてくれる。ほら、何の不自由もないじゃない」
だからいいじゃない。言って、エーリカはまた背中をなぞりはじめ、キスを再開する。
やわやわとした動きで背中をなでて、その手が腰のあたりに触れて、また小さくトゥルーデの背が跳ねる。
「おまえ、調子にのるなよ」
「そんなの、のるよ」
耳の輪郭をなぞるように舌を這わせて、下ろした髪が汗で張り付いた首筋にきつく口付ける。
「…首は、よせって、言っただろ」
その感触で、エーリカがわざと体に痕をのこすために強く口付けたのがわかって、あわてて頭をひきはがそうとする。
「大丈夫、見えないところにつけたから」
「お前、前もそういってギリギリのところにつけただろ」
「トゥルーデも、感触でそういうのわかるようになったんだね」
そう言われて、こうしてエーリカと体を重ねることに慣れてきたことを言われているようでカッと顔が熱くなる。
「しるか、もう私は寝るぞ」
ぐるん、と勢いよく体をひきはなして背中をむけ、足元にぐちゃぐちゃに寄せられたブランケットをかきよせる。
「えー、ほんとにそのまま寝ちゃって大丈夫なの?」
「カールスラント軍人たるもの、これぐらいのことに流されてなるものか」
そういって、頭ごとくるまってしまう。
ちぇ。小さくつぶやいて、エーリカは顔にかぶさった髪をかきあげた。
「さっき思ったんだけど『野ばら』の歌詞ってちょっとえっちいよね」
「は?」
誰でも知っている民謡の歌詞を、トゥルーデは頭の中で反芻する。
童は見たり、野なかのばら。あのちょっと幸せそうなメロディのそれが、どうしてそうなる。
「お前、とうとう頭の中がおめでたくなったのか」
「あ、ひどいなあ。だってさあ、薔薇を折ろうとするじゃない。薔薇はイヤだっていうじゃない。でも子供は薔薇を折っちゃうわけよ。残酷だよね」
「まあ、確かにそういう歌詞だな」
エーリカは、勢いよくトゥルーデのまとっているブランケットを剥いで、ベッドに押し付けるようなかたちでのしかかった。
「何をするっ!」
「そうまでしても、こどもは薔薇がほしかったんだよ」
あらわになったトゥルーデの白い胸元に唇をおとす。ちくん、とした痛みが走る。
自分がつけたあとを指で撫でて、エーリカがいう。
「薔薇のはなびらみたい」
373『野ばら』 3/3:2008/11/30(日) 03:58:38 ID:x6opQjYy
そしてそのまま、形のいいふくらみをやわやわと揉みながら、胸の頂を片方は人差指で片方は舌で転がすように愛撫する。
「んッ…」
腰のあたりの甘い疼きと、内股から伝わる、自分のそこがとくんと蜜をこぼす感覚に、さとられまいと反射的に両脚を閉じる。そんなの見つかったら結局このまま流されてしまう。
「いやがらないでよ」
エーリカの手のひらが、胸から腰、腰からふとももへとたどり、閉じた脚の内側まで指をのばそうとしてくる。
「むりやりだって、私はトゥルーデのことがほしいよ」
胸の尖りに軽く歯をたてられて、きつく閉じた太股がゆるむ。その隙をついて、エーリカの指が蜜をこぼすそこをぬるり、と撫でる。羞恥をあおるみたいな、じれったい動きからのがれたくて、体をよじる。
「えっちだなあ、トゥルーデ」
「うるさい」
「ごめんね」
ちゅ、と唇に軽いキスをする。
「私は、すごく嬉しいよ」
そんなふうに言って、花のように笑うので、自分の張っている意地がつまらないもののような錯覚を覚える。いや、どう考えても、自分の言っていることのほうが正論なのだが。
 結局、こんなふうにしてゆるしてしまう。自分はエーリカに甘い。甘すぎる。
「もうちょっと、だけだからな」
「えへへ」
大好き、とまたキスがふってきて、こんどはちゃんとその細い体を抱きしめた。





はい、尻切れトンボぉぉぉ!スレ汚し失礼いたしました!
374名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 05:49:14 ID:wwWZoWRh
janeには容量オーバーを知らせる機能をつけるべきだと思うんだorz
375名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 07:55:53 ID:3aGxzxic
>>373
Niceえろ!トゥルーデかわよいなあ
歌の歌詞だとかそういうのを自然に絡められるのがすげえ

しかし勢いハンパねえ
そしてこの勢いに乗ってみんなssを書く。投下。勢い増し…素晴らしい循環w
376名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 09:05:03 ID:z1C5SWC3
>>373
えろい。GJ!!
やりとりもすごくこの二人らしいなあ。
片想いもすれ違いも好きだが、こういう自然体で甘いのも大好きだ。
377名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 09:29:33 ID:Ttx4U1Og
すげぇ。エーリカ捕らえづらいんだけどものすごく納得できる!
ていうかえろいよあまいよ!!GJ!!

勢いハンパないな。保管庫の管理人さんは大変じゃないだろうか。いつもお疲れ様ですm(_ _)m
378名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 09:29:55 ID:I+2dE9pZ
エイラーニャ派だったが最近エーゲルに目覚めてきた
379名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 09:37:19 ID:3aGxzxic
>>378
ようこそ
380名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 10:13:30 ID:kT95iYnA
最近また勢いが凄くなってきたな
>>378
やぁ兄弟
381名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 10:26:53 ID:J2pQyafr
>>378
俺いつのまに書き込んだんだろう
382名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 10:29:52 ID:3p4wgMLj
今ぼーっとDVDみてて思ったけどOPのとき二人ずつでてくるところのあれ、カップルになってたのか!
今まで気がつかなかった
芳佳
坂本ミーナ
ペリーネ
エーゲル
シャッキーニ
エイラーニャ
なるほど…
383名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 10:34:48 ID:HKZPSmml
GJが追いつかないのでまとめてGJ!
ペリーヌかわいいよおおおおおおおおおおおおおおぺりーぬううううううう
ウィットに富んでるガリア人っぽいやりとりも好きだ

>>378
元よりエイラーニャ国ゲルトマン州クロステルマン市在住の俺に隙は無かった
まあ基本的に皆好きだけどね
384名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 10:59:14 ID:8LH1qBUB
>>383
おいぃ?、坂本市と姉妹都市提携してないけど、お前それでいいのか?
385滝川浜田:2008/11/30(日) 11:15:12 ID:S7yJgfz3
な、なんだこのスレの進みは…!!
ここは俺の荒んだ心を癒やしてくれるぜ…!!
とにかくみんなGJ!!

で、今日はミーナさん崩壊シリーズを投下します。


「美緒!逃避行しましょう!」
「アッハッハッ!!!!!!!!!!!!ミーナはおかしな事を言うなあ。
逃避行という言葉は本来恋人同士に使う言葉だろう?」
「え?それはまさに私達の為にある言葉じゃないの?」
「…もうそろそろ幻覚という名の夢から覚めないか?このやりとりも何回目だ?
私は何回も何回も何回も(中略)お前からのラブコールを拒否してるはずだぞ」
「ミーナがんばる!…それより逃避行よ」
「……だから私達は恋人同士では無いのだから、逃避行とは言わんだろ」
「いえ、『最初はその気すら無かったのに、ミーナと逃げ続けているうちにミーナに対する想いが膨らんで来る美緒…』ならアリだわ!」
「どう考えてもナシだろ!というより誰から逃げるんだ!
ここ(501部隊)は同性の恋愛に関しては世界の何処より寛容だろ」
「というわけで荷物を纏めておいたわ!
さあ、何処行く?」
「私は何処にも行かん」
「そうだわ、まずは扶桑に行きましょう!そして美緒のご両親に挨拶をして…」
「…人の話を聞け。
そして突っ込みたい事が二つほどあるがいいか?」
「どうぞ」
「まず、私の両親には会うな。あと、両親に挨拶するのはもう最早逃避行では無い。…分かるな?」
「ええ、分かるわ」
「よし、賢い子だ。分かったら逃避行なんて止めようか。
こんな事やってる暇があったら、とっとと模擬訓練でもやろうか」
「いいえ断るわ!私は貴女と逃避行したいの!
貴女といろんな所巡ってくんずほぐれつ状態に陥りたいの!」
「それこそ断る!
なんだよくんずほぐれつって!
普通に逃げてそんな状態になるか!」
「何言ってるの!
美緒がその気になるまで待つのだって結構辛いんだから!」
「知るか!お前の妄想なんか知るか!
一生夢の中で待っててくれ!」
「さあ行きましょう!私達の新しい人生は此処から幕を開けるわ!」
「だから行かんっつてるだろうが!
お前、いくら私でもいい加減怒るぞ!
お前本当に軍法会議にかけるぞ!」
「美緒!!それよ!!」
「は」
「それさえあれば、逃避行の理由になるわ!!!!
ほら美緒、今すぐ私を軍法会議にかけて!さあ今すぐ!!!!」
「…………ああああああああああああああああああああああああああああ…………」「坂本さん、ミーナ中佐、大変ですっ!」
「宮藤」
「どうしたの?宮藤さん」
「シャーリーさんの部屋を掃除しようとしたら、こんな置き手紙がっ…!」
「…置き手紙…?」




――隊のみんなへ――

あたしとルッキーニが付き合っている事は、みんな知ってると思う。

あたし達は今でも十分幸せなんだ。
毎日好きな人と一緒に居られる事が何より嬉しくて、楽しくて。

…でも、あたし達は考えた。
もっと自由になりたい、と。

もちろん今の環境にも何ら不満は無いし、満ち足りてる。

…でもあたし達はより自由が欲しくなった。

ごめん、みんな。

あたし達、自由を求めて旅立つよ。

さようなら、みんな。


――シャーリー、ルッキーニ――



「……坂本さん……」
「あら、これが本当の逃避行ね」
「え―――――――――――――――――――――――――――――――――――」


以上です。
朝から(昼?)こんなわけわからんもん投下してごめんなさい。
しかし本当にこのスレは俺の心の寄りどころだよ…

…それでは爺はここら辺で…


389名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 11:27:17 ID:Bnl3erNN
ワロタw
やっぱミーナさんシリーズ好きだわww
本編では凄く落ち着いてた分、はっちゃけてるミーナさんもかわいいなあw
390名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 12:08:00 ID:Ttx4U1Og
なぜだろう……なんか、隊長を本気で応援したくなってこないか……w
はっちゃけミーナさんおもしろいwww
391名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 13:03:03 ID:kT95iYnA
ミーナさん崩壊シリーズというかミーナさん暴走シリーズになってるなw
いいキャラしてる
392名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 14:21:59 ID:SD+QgzMQ
>>364
ペリもっさんキター!!!!やばいこの二人がいちゃいちゃするのは新鮮でいいな!!!
ペリーヌが幸せな作品はこっちまで幸せな気分になれるんだよ、ほんとありがとう!!!

ミーナさん崩壊シリーズwwもうこのシリーズのミーナさん愛しいわwww
ミーナさんのためにもっさんがデレる日がくる事を祈るw
393名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 15:53:41 ID:dBG3ioaE
>>373
GJ!エーゲルはやっぱりいいなぁ
そうそう野ばらの歌詞は無理矢理処女を奪うっていう話の比喩表現なんですよね!
394名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 18:18:53 ID:dBG3ioaE
>>373
GJ!エーゲルはやっぱりいいなぁ
そうそう野ばらの歌詞は無理矢理処女を奪うっていう話の比喩表現なんですよね!
395名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 18:20:30 ID:CFcgk/Og
大事な事なので
396名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 18:26:59 ID:3aGxzxic
そんなに大事だったのかw
397名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 18:28:14 ID:iIcs7thR
処女膜は大事だろ、jk
398名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 18:41:26 ID:M9j6YoAC
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
>>312>>313両氏から有り難くもご希望が有りましたので、
先日の「酒盛り話」のその後その3、ミーナ×美緒いってみます。
話は>>306の、例のくだりからの続きってことでひとつ。

……今までちらちらと書いて(匂わせて)来ておいてこう言うのも何ですけど、
実は正直この二人(の描写)は苦手なんですorz
お口に合えば良いのですが。
399名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 18:43:35 ID:M9j6YoAC
すいません、リク頂いたのは>>311>>312両氏の間違いでした。
気を取り直していきます。
タイトルは「besten dank」、どうぞ。
400besten dank 01/07:2008/11/30(日) 18:44:35 ID:M9j6YoAC
ミーナは各隊員の日報や各種報告書、始末書等に目を通した後、読みかけの本を開いていた。
背筋はしゃんとして椅子にもたれる事無く、両腕の開きも直角。
凛とした表情は、いかにもカールスラントの規律正しき武官、501部隊の最高指揮官と言った雰囲気だ。
時計の短針が九の字を指したちょうどその時、控えめにドアがノックされた。
「どうぞ」
ノックされた方を見ずに、本を両手でぱたんと閉じ、手元にそっと置く。
ドアがゆっくりと開けられる。
「お待ちしていたわ、坂本少佐」
「待たせたな」
「時間ぴったり。貴方らしいわ」
ミーナは椅子から立ち上がると、大きな徳利……にミーナには見えた……を手にした美緒を
部屋の奥に招き入れ、後ろ手にドアを閉め、鍵をしっかりと掛けた。

「しかし今日はすまんな。私の方から無理に誘ってしまって」
どんと大徳利をベッド脇のテーブル隅に置くと、どっかと椅子に座った。
ミーナは部屋の明かりを落とし、ベッドと周りの照明だけ付け、席に着いた。
部屋の一部分がまるで舞台の様に照らされるが、その灯火は柔らかで、二人の顔を包み込んだ。
ふたりきりのステージの幕開けだ。
「良いのよ。貴方の希望通り、準備も万全よ」
「ほう」
美緒はテーブルの上に広げられていたものに驚いた。
きんきんに冷えた氷、透き通る水、お湯、いくつかのつまみ。そしてふたつお揃いのコップにカップ。
「全て用意してくれたんだな」
「勿論。試すからには、とことん試さないと」
「何だかこれから取り調べを受ける感じだ」
苦笑いする美緒をじっと真正面から見つめ、ミーナは言った。
「そうかしら? 私はいつもこんな感じじゃなくて?」
答えに少し迷った美緒は、とりあえず大徳利の栓を抜いてみせた。
「さて、では早速ミーナご希望の味見……テイスティングと行こうか」
「喜んで」
401besten dank 02/07:2008/11/30(日) 18:45:50 ID:M9j6YoAC
「まずはストレートで行こう」
美緒はグラスにとぽとぽと焼酎を注いだ。透き通った水の様な液体がグラスの半分まで注がれる。
「あら、こんなに少ないの?」
「最初は軽く味見だよ」
ミーナはグラスを手に取ると、そっと匂いを嗅いだ。
ほんのり優しく香ばしい、不思議な香り。
感想をそのまま述べると、美緒はうんうんと頷いて言葉を掛けた。
「これは焼酎でも麦から作られたものだ。我が扶桑では麦の他に米やsweet potatoから作られるが、
麦由来のものが一番癖が無くて飲みやすい……と私は思う。個人的な感想だがな」
「なるほど」
「少しだけ、口に含んでみてくれ。やり方はワインのテイスティングと似た要領で構わない」
ミーナは言われた通りグラスを少し傾けた。口に含み、舌に転がし、鼻に抜ける香りを確かめ、
最後に喉越しを慎重に確認する。
反射的に、思わずこほっと咳をするミーナ。
「ああ、これはワインに比べて少々アルコール度数が高いから、慣れないと少しむせるかもな」
「先に言ってよ」
「すまんすまん、ミーナは酒が強いから大丈夫かと思ってた」
「初めてのお酒は飲み慣れないわよ」
「ウォッカ程ではないから安心しろ」
しかし早くも要領を掴んだのか、ミーナはもう一口含むと、すっと飲み干した。むせる事なく、喉を流れ落ちる。
「なかなかさっぱりしてるわね。この前の扶桑のお酒はもっとしっとりした感じだったけど」
「比べると確かにそうかもな。まあ、あれは風呂で飲んだから少し勝手が違う」
「お詳しいのね、坂本少佐?」
「こう見えても私は扶桑では酒に強い方だったからな。酒も文化交流の一環だ。
相手を知るにはまず己を知ること、とは先人の教えだ」
「ありがたい講釈だこと」
「さあ、ストレートの次は何が良い?」
「溶けないうちに、ロックはどうかしら」
「よし、やろう」
グラスに大きくかき割った氷を七分目程入れ、指三本分程焼酎をグラスに入れる。軽くグラスを回して、ミーナに差し出した。
グラスを傾けながら、ミーナが感想を述べる。
「あら、全然違った味ね」
「ああ。飲み方によってがらっと雰囲気が変わるのも焼酎の魅力だ。水割りや湯割りにしても、
水や湯との比率で味が変わるし、飲み易さも変わってくる」
「確かにウイスキーと少し似てるわね。でも、カールスラントのシュナプスにも近いかしら」
そのまま一杯飲み干す。ふうと息をつくと、美緒に言った。
「扶桑のお酒は不思議なものが多いのね」
「そう言って貰えると、わざわざ遠く扶桑から持ってきた甲斐がある」
「それは部隊の為? 私の為?」
「まずはミーナの為、と言わせて頂こう」
美緒はかしこまった言い方をしたあと、笑った。
ミーナもグラスを手に、微笑んだ。
402besten dank 03/07:2008/11/30(日) 18:46:46 ID:M9j6YoAC
ストレートに始まり、ロック、水割り、湯割りと一通り試した結果、ミーナの好みはロックと言う事になった。
「奇遇だな。私もロックが好きだ。前は水割りだったが」
「あら、それは楽しみね」
慣れたらこっちのものとばかりにピッチが上がる。
美緒も負けじと、ぐいと煽る。
「さすがね、美緒。今までどれだけ飲み相手を“撃墜”してきたのかしら?」
「ミーナ程じゃないさ」
気晴らしにつまみのドライソーセージをひとかけかじると、美緒もぐいとグラスを空けた。
にこやかに、あくまでおしとやかに。ミーナの飲み始めはいつもこんな感じだ。
戦闘以外のたくさんの部分……それはひどく退屈で面倒な事が多いが……
例えば他の武官や将官達、政治家との会合だったりする事も有るが、
そういう“ちょっとした”試練の場も、こんな感じでさらっと流す様に“戦って”きたに違いない。
美緒とは違う立ち回りの巧さを見て、ミーナも相当の手練だなと感じる。
ミーナの見えない苦労を察し、まだ年若き乙女なのにな、とグラスを手に呟く美緒。
「やだ、いきなり。何言うのよ」
しっかりと耳に入っていたらしく、ミーナが頬を染め、人差し指を美緒の口に触れた。
「口説くのはまだ少し早いんじゃなくて? 坂本少佐」
「すまん、ちょっと考え事をしていたら、ついな」
「天然ね」
相変わらずさ、と美緒は返した。
403besten dank 04/07:2008/11/30(日) 18:47:42 ID:M9j6YoAC
時計の針が回り、十時も半を過ぎた。
酒が多少回ってきたのか、ミーナは故郷のこと、祖国の先輩や同僚に部下、
そして同じ部隊に所属するトゥルーデとエーリカの事を話し始めた。
ガリア奪還が終わったら、いよいよ祖国カールスラントへ。
撤退直前に見た、燃ゆる故郷の業火が未だ忘れられない事。
トゥルーデと妹クリスの事。エーリカと、その妹ウルスラの事……。
祖国と仲間への思いは慈愛に満ちていて、特に直属の部下はまるで本物の家族かそれ以上に感じる。
ひとつミーナが話すたび、うんうんと聞いて頷く美緒。
実は酒の席のたびしょっちゅう聞いている事なのだが、ミーナからすればとても大切な事に違いない、
だから繰り返すのだと美緒は納得している。
そう言えば美緒はどう? と聞かれ、扶桑の事、芳佳の事、隊の仲間の事を軽く話した。
「そうね。なんだかんだいって、うまくまとまってる気がするわ」
「ああ。色々有ったが、問題ない。皆それぞれ気の合う相棒を見つけて、仲間を見出し、
戦果を上げて……立派じゃないか」
「私も同感だわ」
ミーナは首を少し傾げると、笑みをこぼした。
「あと他に、気になる事は?」
「それは、ミーナも分かってるんじゃないか?」
グラスをことんと置き、美緒をじっくりと見つめるミーナ。美緒はグラスに軽く口をつけると、
同じくグラスを置き、言葉を続けた。
「ミーナも知っての通り、私はウィッチとしての限界を超えつつある。
でも、まだ命有る限り、ウィッチとして、まだまだやらねばならん事は山ほどある。
宮藤の言葉じゃないがな、『守りたい』と言う気持ちに偽りはない」
「前に私が言っても、聞かなかったものね」
「あれは脅迫に近かったぞミーナ。正直、あのまま撃たれたらどうしようかと頭の隅にあった」
苦笑いをする美緒に、ミーナは微笑みかけた。
「本気で撃つとでも?」
「いや。銃より、ミーナの目の方が怖かったよ。美しいドレス姿にはちょっと似合わなかったな」
「あらあら」
ふふ、と笑うとミーナは美緒に焼酎を注いだ。グラスの氷が焼酎に掛かり、少し形を変える。
「おっと、ありがとう。でも、もっと至極単純な理由も有るんだ」
「それは何?」
「この大空を飛びたい。澄んだ青い大空を何処までも飛んでいきたい。
勿論、ストライカーは戦いの為の道具だし、我々も戦いの為に、ここに居る。
でも、たまにふと思う事もあるさ」
「飛びたい、と言う純粋な願いね。私も有るわ。好きな人と空を自由にずっと飛んで回れたらって」
「それは……」
「勿論、美緒よ。他に誰が居て?」
「そう言ってもらえると、嬉しいな」
柔らかな笑みをミーナに向けて、首の後ろを掻いた。ミーナはくすっと笑い、焼酎を口にする。
404besten dank 05/07:2008/11/30(日) 18:48:45 ID:M9j6YoAC
時計は更に時を刻み、日付が変わろうとしていた。
「ミーナ、飲み過ぎじゃないか?」
「そ〜んな事らいわおぉ」
ミーナはろれつが回らなくなっていた。慣れている筈の美緒も、かなり言葉を聞き取りにくい。
残り僅かになった焼酎をグラスに空けるとぎゅーっと飲み干し、ミーナはテーブルにだらりと伸びた。
「……」
ミーナが何かをぶつくさ言っているのは分かるが、聞き取る事は出来なかった。
「大丈夫か。だらしないぞ、それでも“スペードのエース”“フュルスティン(女公爵)”と呼ばれた女か」
ミーナの顔を覗き込む。
「ナズェミデルン……」
返ってきた言葉は、流石の美緒にも理解不能だ。
「ミーナ、もうそろそろやめよう。ストップ。Halt.飲み過ぎだぞ」
ぐてーっとテーブルに突っ伏すミーナの肩をゆする美緒も、眠気に襲われたのか、割とぐだぐだだ。
暫く寝息らしいものが聞こえる。ミーナ、と声を掛けると、唐突にミーナはがばっと上体を起こした。
「…めぇ! 美緒は私の言うこと聞くのぉ! 上官の命令よぉ!」
ミーナはそのまま美緒の胸に飛び込むと、だだをこね始めた。
「私は美緒よりも偉いんだからぁ〜。言う事聞けないのぉ? このっ悪い子ねっ」
(今日はこれか……)
美緒は苦笑いし、ミーナの肩を持つと、脇のベッドに寝かしつける。
ミーナは日頃の鬱憤を晴らすべく愚痴のオンパレードになる事もあれば、自分語りになったり、
妖艶なひとりの女性になる事もあり、そうかと思えば幼女みたいに甘えたり我が儘を言う事も。
その日の気分やテンション、彼女の奥に秘めた何かによって、酔いどれ方が変幻自在。
それもまたミーナの不思議な魅力……なのだろうか? 美緒は心の中で反芻した。
魅力と思っている事は、私はミーナの事を好いているのだろうか?
そもそも、好いていなければこんな事繰り返してはいないか。
自分も扶桑に居る時や、リバウの航空隊で同僚と飲んでいる時も、流石にこんな飲み方、付き合いはしなかった。
彼女はどうなのだろうか。
……もっとも、今の彼女にはそんな事頭に無いだろうけど。と、美緒は少し混濁気味の頭の中でそう締めくくった。
「言う事聞けない悪い子は、おしおきよ〜」
傍らに立つ美緒を引き寄せると、服に手を掛けた。
「ミーナ」
力加減を誤ったのか、それともミーナの趣味か本性か、美緒の服をぶちぶちっと力任せに剥ぎ取った。
幾つかボタンがどこかに飛んだが、二人とも気にする様子はない。
美緒の上着が脱がされた。ミーナはいつもの事とばかりに、美緒の腕をひきずって絡めとると、
そのままベッドに引きずり込み、押し倒した。
上から覆いかぶさって、大きく息を吸い、吐き出すミーナ。美緒は澄ました顔でミーナを見上げている。
不意に抱きしめられる。
いきなり涙を流すミーナに、美緒は少し戸惑う。
「どうした」
「美緒……私が命有る限り、貴方の盾になりたい。貴方を守りたい。失いたくない」
酔いなのか本心か分かりかねた。しかし、言葉はかなりクリアになっている。
「有り難う。でもお前は隊の……」
「そんなの関係ないわ!」
「お前にはお前の使命がある。私にも。お互いそれを尽くすのが……」
「純粋な、私の願いよ」
405besten dank 06/07:2008/11/30(日) 18:50:03 ID:M9j6YoAC
いつになく真剣な目で見つめられる。
「美緒」
「ミーナ」
ぽつりと、ミーナは言った。
「貴方を、抱きたい」
「なら、これも要らんだろう」
美緒も手慣れたもので、ミーナの上着をするっと脱がす。邪魔とばかりに、ミーナは上着をベッドから投げ捨てた。
ついでにズボンも全て脱ぎ捨てる。
美緒のズボンは……ミーナは尻尾と耳をひょこっと出すと、力任せに破って捨てた。
いつもの事とばかりに平然としている美緒。
一糸纏わぬ姿で、ベッドの上で二人は見つめあった。
「手加減なしだけど……いいわね?」
「どうせ聞く耳もたぬ、だろ?」
その回答とばかりに、ミーナはきつく、唇を押し当てた。美緒に覆い被さり、脚を絡ませる。
はあっと熱く吐息を絡ませる。ベッドの上で、淫らにおよぐ身体。
ミーナは美緒の髪しばりを解き、本来の姿の彼女を目の前にさらけ出す。
美緒の頭を抱くと、唇を肌に重ね、首筋からうなじ、鎖骨、胸の膨らみへと舌を転がし、
更にねっとりと美緒の身体を舐った。
僅かに肌に滲む汗の味を確かめる。ぴくりと反応し、灼けつく吐息が漏れる。
首に、乳房に、幾つも吸い痕をつけていく。「これはじぶんのもの」と分かる様に。
美緒もミーナを抱きしめ、肌でお互いを感じ、胸のふくらみを受け、唇で感触を確かめ、
舌を絡ませ、味を確かめる。
垂れる雫もお構いなしに、なおも口吻を交わし、指を絡ませる。
呼吸のリズムが浅く、艶かしく聞こえる。お互いがお互いの吐息に酔い、心惑わされ、ふたりの中へと堕ちていく。
疼く身体を開放する。滴り落ちる蜜の味を指ですくって舐め、貪る様に、何度も唇を重ね、求める。
その姿は、とても淫靡で艶かしく、また少し野性的で……まるで使い魔の本性の如く、
ベッドの上で、二人の逢瀬は続いた。

一体何ラウンド“戦った”のだろう。息も尽きかけ、お互いを抱きしめる力も緩くなる。
ゆるゆると抱いたまま、ミーナは乱れもつれた髪をゆっくりかきあげ、美緒に頬を寄せた。
「美緒……私だけのもの。決して誰にも渡さない」
「それは私を愛している、と言う解釈で良いのか?」
ふふっと笑うと、優しく唇を耳に当て、美緒のストレートの髪を弄んだ。耳元で甘く囁く。
「そうよ。貴方しか居ない。私は貴方だけのもので、貴方は私だけのもの」
美緒もミーナの顔に触れ、頬を優しく撫でた。そうしてつつと顎に手をやり、すっと軽く唇を奪う。
唇が離れた。ミーナは美緒の瞳を見、問う。
「……美緒はどうなの?」
「言うまでもない。分かっているだろう?」
「分かってるからこそ、ことばで欲しいの。ねえ、美緒?」
「ミーナ、好きだ。愛している」
「ストレートね。扶桑の魔女らしいわ」
「ありがとう」
「だから、好きなのかもね」
ミーナはそう言うと目を閉じ、ミーナの胸に顔を預けた。
美緒の呼吸と胸の鼓動がゆったりと肌を通じて伝わる。
ミーナの呼吸も落ち着いてくる。美緒の頬に手をあて、呟いた。
「私も……美緒が居るから、がんばれるの。毎日を」
「これからも一緒に……支え合っていけるといいな」
「ええ」
二人、寄り添い、天井を見る。
「ふと、思うわ。美緒と一緒なら、このまま戦いが続いても構わないかなって。
……だけどそれは自分勝手な妄想で、そんな事絶対にあってはいけないと思う」
「でも、それもミーナの願いだろう?」
「純粋ではない。歪んでるわ」
「実は私もそう思う事がある。同じだな」
「佐官失格ね、私達」
「かもな」
再び、口吻を交わすと、束の間の眠りを二人一緒に味わった。
406besten dank 07/07:2008/11/30(日) 18:51:17 ID:M9j6YoAC
時計の針は更に進み、間もなく夜明けを告げようとしていた。
美緒は普段ならば起床し、早朝の自主的な鍛錬に向かう時間だ。
ミーナは上半身を起こすと、乱れた髪もそのまま、こめかみ、額に手をやる。奥が鈍く重く疼く。
「これだから、扶桑のお酒は……」
酒がまだ少し頭に残っているらしい。産まれたままの姿のまま、ベッドから降りる。
「二日酔いに良い方法を知ってるか?」
ベッドの上でけだるそうにする美緒が、ミーナと同じく一糸纏わぬ姿で、優しく声を掛けた。
「何かしら」
「迎え酒だ。酒には酒をもって制するってな」
笑う美緒の前に、どんとシュナプスのボトルが置かれた。ミーナの部屋の棚に置かれていたものだ。
「早速試しましょうか」
「おいおい、もう朝だぞ。訓練や朝食に、朝のミーティングはどうする」
「どうにでもなるわ。さあ。行くわよ、坂本少佐?」
言い出した手前、断る訳にもいかず……その理由も必要も無かった。
「喜んで」

その日の昼食。
「あれ、坂本さん。上着どうしたんですか?」
「どうかしたか?」
「ボタン幾つか取れてますよ? 私が繕ってあげましょうか?」
「ちょっと乱暴に脱いだからな」
いつもの事だ気にするなと豪快に笑い飛ばすと、ぽかんとする食事当番の芳佳を置いて、美緒は去った。
「少佐……」
同じく食事当番のリーネが、もじもじと芳佳をつついて言った。
「どうしたの、リーネちゃん」
「少佐の身体……」
「うん。なんかちょっと酒臭かったよね。また飲んだのかな」
「それだけじゃなくて……」
「え?」
「あらあら、どうしたの二人とも」
「な、なんでもないですっ」
ミーナの姿をみとめた途端、真っ赤になって食器の後片付けを始めるリーネ。
「??」
「二人とも、当番ごくろうさま」
今日のミーナはいつになく上機嫌だ。軽い鼻歌混じりに、ミーナは去った。
朝、具合が悪いと言ってミーティングをトゥルーデに代行させたのが嘘みたいだ。
「ミーナ中佐、なんか良いことあったのかな。ねえ、リーネちゃん」
「芳佳ちゃん……当番終わったら、あとで私の部屋に来ない?」

end

----

なんか酒の薀蓄話で誤魔化してしまった様な。
「オトナの酒飲み」って難しいですね
……私が精神年齢“お子様”だからかも知れませんが。
てか最近酒絡みの話ばっかりのような気もしますw

スレ汚し失礼しました。
407名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 18:55:42 ID:DfgOIakm
サーニャ!サーニャ!サーニャズ!サーニャァァアアアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!
あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!サーニャサーニャサーニャァアアァアァアアアア!!!
あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん
んはぁっ!サーニャの雪のような銀色のの髪をクンカクンカしたいナ!クンカクンカ!あぁあ!!
間違えタ!モフモフしたいナ!モフモフ!モフモフ!さにゃさにゃモフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!!
ピアノを弾くのサーニャかわいかったヨ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!
ガリアがネウロイから解放されて良かったナサーニャ!あぁあああああ!かわいい!サーニャ!かわいい!あっああぁああ!
いっしょにスオムスに…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!
ぐあああああああああああ!!!サーニャはは家族を捜しに行く!!!!あ…ワタシもよく考えたら…
ガ チ レ ズ 大 尉 が 待 っ て い る !! にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!
そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!ニパァアアアア!!
この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?サーニャがこっちを見てる?
サーニャがワタシを見てるゾ!サーニャがワタシに話があるって言っているゾ!サーニャがワタシに話しかけてるぞ!!
サーニャがまた今度会えるよねだって!!!よかった…いつでも飛んで行くからナ!
いやっほぉおおおおおおお!!!ワタシにはサーニャがいる!!やったよエル姉!!ひとりでできるもん!!!
あ、黒猫のサーニャアアアアアアアアアアアアアア!!いやぁあああああああああああああああ!!!!
あっあんああっああんあサーニャァア!!サ、サーニャ!!サーニャァアアアアアア!!!サーニャァアアアア!!
ううっうぅうう!!ワタシの想いよオラーシャへ届け!!隣の国ののサーニャへ届け!
408名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 19:12:01 ID:JoyIre27
>>406
>「ミーナ中佐、なんか良いことあったのかな。ねえ、リーネちゃん」
>「芳佳ちゃん……当番終わったら、あとで私の部屋に来ない?」


酒宴その後その4はこの場面ですねわか(ry


いやはや希望が叶ってうれしい限りですいやホント
素晴らしいです、ありがとうございます
409名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 20:28:08 ID:kT95iYnA
続きキター
隊長良いなぁ
>「芳佳ちゃん……当番終わったら、あとで私の部屋に来ない?」
wktk
410名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 20:34:13 ID:QtigwAqH
がうー
次は芳一ネですね
わかります
411名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 22:46:39 ID:H/rmW78b
>>406
GJすぎます…ニヤニヤしながら読んでました。たまりません。

便乗して自分も美緒さんミーナさん投下します。非エロで4レスです。
初投稿ですので拙いところがありましたらすみません。
412名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 22:47:46 ID:H/rmW78b
足が地を踏んでいく。右、左、右、左と規則的に、断続的に。
その軽快なリズムは一向に乱れることを覚えそうにない。


今日は、調子がいい。


朝の自主訓練は欠かしたことがないが、今までこれほどに体が軽かったことはない。
普段ならやや息が切れ始めペースもおちてくるころだというのに、今日は小鳥のさえ
ずりにさえ耳を傾ける余裕がある。

ひょっとしてミーナにしてもらったあれが効いているのだろうか。美緒は昨夜のこと
を思い出し少し顔をほころばせる。あのときはミーナにすっかり体をあずけてしまっ
て一人でずいぶんと気分良くなってしまったものだ。途中、みっともない声をあげて
しまってやや恥ずかしかったが、しかしミーナのやつ、油断しているすきにあんなと
ころを触るだなんて、そんな茶目っけがあるとは思っていなかったぞ。

美緒はそんな風にミーナのことを頭に浮かべていると足のはこびがいっそう軽くなっ
ていることにも気付かないで、朝の眩しいほどの日の中を駆けていった。





ふと気付くと、見知らぬ景色の中にいた。いや、正確には見知っているのだがそれは
いつものコースを通っていれば見るはずのない景色だった。しまった、あんまりに調
子がいいものだから、普段折り返す場所をすぎて基地の裏側まで来てしまったのだろ
う。走るのをやめ、耳のうしろあたりを指でひと掻きすると美緒はそのまま体を返し、
来た道を戻ろうとした。

しかしその刹那、風にのって聞こえてきた何かに美緒は思わず足を止めた。
歌だった。それもこの声は、

「ミーナ」

その歌声はかすかにきこえる程度だったが美緒にはそれがミーナの歌だとはっきり分
かる。たとえどんな喧騒の中にいたとしても聞き違うことはない。それほどまでにミ
ーナの歌声を何度も聴いたし、また何度も聴くほど美緒は歌うミーナが好きだった。
413二人きりの演奏会 (2/4):2008/11/30(日) 22:49:46 ID:H/rmW78b
自分の足音でミーナの声が消えてしまわぬように、そして少しでも長く聴けるように、
ゆっくりとその歌の聞こえてくるほうへと歩みを進めていく。この歌は確か数ヶ月ほど
前に夜のテラスに二人で居たときに歌ってくれた歌だ。どこか切なげなメロディーが夜
の落ち着いた雰囲気にぴったりだと思ったが、なるほど朝聴いてもこれはまた違った良
さがある。

段々と歌声が近くなっていくにつれ美緒は心が高鳴っていくのを感じずにいられない。
いつだってそうだ。ミーナの声はすごく穏やかなのに聴いている自分はどうしてか気持
ちのたかぶりを抑えることができない。

昔、自分は歌が好きなのだと勘違いしてミーナに彼女が歌っていた歌の入っているレコ
ードを貸してもらったことがある。レコードの中のおそらくミーナの二倍以上は歳をと
っているであろう女流歌手は間違いなくミーナと同じ歌を歌っていたが、自分はそれに
対して単なる歌以上の感想を抱くことができなかった。

音楽にまったくと言っていいほど教養のない自分でもなんとなくその女流歌手の歌がう
まいらしいことは分かったが、その歌といったら耳に入っては反対のほうから抜けてい
き、心に何も残していってはくれなかった。なんだこれは。よくよくきけば、ミーナの
ほうがずうっと歌が上手いじゃないか。
聞いているうちに段々とむかっぱらが立ってきて、半分も聞かずにミーナにレコードを
突きかえした。きっとあのときの自分はものすごくいらだった顔をしていたに違いない。
もういいの、と不思議そうにこちらを見るミーナの顔は、今でも覚えている。





やがて美緒は、ミーナの姿を視界にとらえた。岬に立つ朝風のドレスをまとう歌姫、
その背後に立ち、少しだって聞き逃してやるものかと耳をすます。ミーナの歌声を今
世界で一番近くで聞いている自分を誰でもいいから自慢してやりたかった。

そうしているうちにミーナは最後の一音を歌にのせおえる。

「あら、聞かれちゃったわね」

余韻に浸っていた美緒に振り向いてミーナは言った。

「すまない、邪魔してしまったか?」
「いいえ、そんなことないわ」

ミーナは耳にかかる髪をさらと撫でる。
414二人きりの演奏会 (3/4):2008/11/30(日) 22:50:47 ID:H/rmW78b
「そうか、なら良いんだ。いやなに、走っていたらききなれた声がしてな」
「走っていたら、って……いつもこんなところまで来るの?」
「まさか。今朝はやけに調子が良かったんだ。
 昨日誰かさんがしてくれたマッサージが効いたのかもしれん」
「あら、それはいいわね。今度私もしてもらおうかしら」

二人は顔を見合わせ、くすくすと微笑いあった。

「ここへはよく来るのか?」
「いいえ、今日はたまたまよ。それで、待っているのもなんだから歌でもって思って、」
「ん、誰か待っていたのか?」

たまたま来たのに待ち人とはどういうことだろうと美緒は不思議に思う。ミーナを見てみ
るとなんだかばつの悪そうな、しまったという風な顔をしていた。

「いいえ、その、待っているっていうのは間違いで、」

傍目にも分かるほど動揺しているミーナを見るのは珍しかったが、それ以上に誤魔化そう
としているのがまる分かりで。美緒は堪えきれずいつものように豪快に笑った。するとミ
ーナは恥ずかしそうに目を伏せ、ため息を一つついた。

「分かったわ、白状します。今日私がここに来たのはね、美緒に会えるような気がした
 からよ。それだけ」

少しだけ口調をはやめミーナはさもなんでもないかのようにさらりと言った。思いがけず
自分の名を呼ばれた美緒はきょとんとした顔をミーナを向けてしまったが、すぐにふふと
小さく息を漏らしたあと、また豪快に笑った。

「はっはっは! 私に会いたいのなら、いつもの訓練場所に来ればいいのに、おかしなや
 つだな、ミーナは!」
「ああもう、だからあなたに言うのは嫌だったんだわ。そういうことじゃないのよ、もう、
 あなたって人は、どうしてそう」

ミーナは呆れた様子で頭を押さえると、むっとした顔で自分に対する文句らしき言葉をほ
とんどひとりごとのように並べていった。美緒はどうしたものかと肩をすくめたが、ミー
ナのその頬が少し赤みがかっていることに気付くとそういえばミーナがこんな表情を見せ
てくれるのは自分と二人きりのときだけだなと急にいとおしい気持ちになる。するとミー
ナが浮かべるふくれっ面も可愛らしいものに思えてきて、美緒は気付かれないようにそっ
と微笑をこぼした。
415二人きりの演奏会 (4/4):2008/11/30(日) 22:51:52 ID:H/rmW78b
「でもね」

不意にそれまでとは違った穏やかな声が聞こえて美緒はあらためてミーナに目をやる。
ミーナはさっきの赤みがかった頬のままでいて、こう言った。

「やっぱり間違ってはいなかったでしょう? あなたは、ちゃんとここにきたもの!」

まるで幼い少女のような顔をして、ミーナは続けた。

「私ね、さっき、あなたがこっちに近づいてきているのが分かったのよ。魔法なんて
 使ってない、それでも、美緒が私のところに来ているんだって感じたの。だから、
 あなたがここにいたことにも驚かなかった。それよりも……きっと嬉しかったのね。
 ふふ、こんなこと言うと、またあなたに笑われてしまうかしら」

そう言いながらも、ミーナはとても楽しそうに笑顔を浮かべていた。もしかするとミーナ
は自分がこれから言うことを分かっているんじゃないのかと思いながら美緒は口を開く。

「笑えるはずないさ」

なぜなら、美緒だってミーナに会えて嬉しいに違いなかったから。そうでなければ、一向
におさまりそうにないこの胸の高鳴りはどう説明すればいいのだろう。毎日顔をあわせて
いるはずなのに、こうしていつもと違う場所で偶然に出会うだけでこんなに心躍るのはな
ぜなのだろう。

それに、ここに来たのだってもとを辿ればミーナのことで頭がいっぱいで道なんてほとん
ど見ちゃいなかったからだ。そっちのほうが、よっぽど笑われても仕方のないことのよう
に思えて、美緒は絶対にこのことは秘密のままにしておこうと決めた。それよりも今は誰
の邪魔も入らないこのひと時をもっとあじわいたい。

「なぁミーナ」

そしてそれはきっと、この目の前の歌姫も同じだろうから、きっと自分たちはあとしばら
くはこうして一緒にいる。朝食の時間がせまっているような気がしたが、かまうもんか、
たまには二人して欠席して、あとで一緒にブランチでも食べるのだって悪くないだろう。

「もう一曲だけ聴かせてくれないか」

二人の間をそよ風が吹き抜けると草木が喝采の音を鳴らして、

美緒とミーナの二人きりの演奏会はもう少しだけ続くようだった。



------
美緒さんミーナさんは執務室で二人きりで資料を見ていて、ふと目があった拍子に
ロマンティックにキスとかしちゃうようなちょっと大人な甘さの関係を妄想して
いるのですが、なんだかこの話だとバカップルみたいになってしまってますね。
途中のマッサージの話も補完したいのでまた妄想を垂れ流しにきたいと思います。

読んでくださったかたありがとうございました。
416名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 23:44:19 ID:SD+QgzMQ
ちょおおおおおお!!!!!!
連続もっミーナ嬉しすぎるーーーーー!!!!!!
>>406,>>415
二つともニヤニヤが止まらんかった、すごい良かった!!
 
この二人のなんとも言えない大人な関係がいいなぁ!!!
落ち着いてる感じが...。pixivとここがあれば全然2期まで待てるわ....。
417名無しさん@秘密の花園:2008/11/30(日) 23:57:43 ID:kT95iYnA
GJ
ミーナさん物が増えて嬉しい

日曜夜はさすがに勢いがなくなるな
418名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 00:00:26 ID:JoyIre27
最近御新規作者さん多くね?すげえありがたいんですけど
419ねこぺん:2008/12/01(月) 00:12:06 ID:HCdWclsJ
人が多い時間には出撃できないヘタレがここに
またビューリングさんの話を書いたので持ってきました
今度は鬱ではないと思ってますが、暗いのは相変わらずかもしれません

ではしばらく後から、7レスほど
420ねこぺん:2008/12/01(月) 00:14:25 ID:HCdWclsJ
自分の気持ちの全てが本物だとどれだけの人が言えるだろう
今抱えてるその想いは夢? 現実? それとも……?


            『Fill』



―――――――っ! はあっ、はあっ。

深夜の静寂に響く荒い吐息。
跳ね起きたのは一人の少女。長い銀髪と憂いを帯びた翡翠の瞳が特に印象的な、まぎれもない美少女だった。
あるいは少女というカテゴライズも適切でないかもしれない、と思わせる端正な顔立ち。
少女の名はエリザベス・ビューリングといった。
ブリタニア軍所属で今はスオムスに派遣されている、通称“いらん子中隊”のメンバー。
今ではその通称が親しみを込めた愛称に変わったのは、カウハバの誰もが認めるところだ。
けど。

 今日も、か……

ビューリングは胸のうちでそう呟くと、そっと周りを見渡した。
視界に映るのはすやすやと眠る中隊の仲間たち。
士官も多いメンバーが揃って一つの部屋で、というのも奇妙な気はするけれど。
とりあえずは他のみんなの眠りを妨げなかったことに彼女は胸をなで下ろした。
窓の外には北欧スオムスのまだ冷たい冬風。
もう一度眠ろうという気にもなれず、ビューリングはベッドから這い出した。
薄いジャケットを羽織り、懐手にラッキーストライクの箱を確かめる。これが無いと落ち着かない。
部屋から出る前にもう一度他の子の様子を見回して、ビューリングはそっと扉を閉めた。


ブリタニアならもう、今時分は春の足音が聞こえているだろうか。
でもそれはスオムスでは春まだ遠い季節だという意味でもある。
宿舎から出たビューリングを凍てつくような空気が包んだ。じっとりとかいた汗が髪の上で結露する。
彼女は“ウィッチ”だ。本来なら魔力でこの寒さも緩衝出来るのだけれど、彼女はそれをしなかった。
薄いジャケット一枚でどうにかなるはずもなく、ビューリングは両手で自分の肩を抱いた。

 こんなことで、許されるなんてはずもないけど。
 
ランウェイの端まで歩いて来て、ビューリングはやっと腰を下ろした。とめどない呟きが風に流れる。
月が綺麗だった。それがたまにちらちらと翳るのもこの季節ならきっと仕方ないのだと思う。
懐からタバコを取り出して吸い込んだけれど、結局落ち着くことはなかった。
気持ちをごまかす様にぐしぐしともみ消す。はき出した煙と一緒にため息がこぼれた。


とんとん。とんとん。
421ねこぺん:2008/12/01(月) 00:15:54 ID:HCdWclsJ

―――――――!

「私が言うのもなんですけど、ちょっと無防備すぎませんか? ビューリングさん」

不意に背中をノックされ、慌てて振り向いたビューリングに聞き馴染んだ声が掛かる。
視線の先に薄い金色の髪と柔らかな表情の美少女。

「……エルマ中尉か」

声の主はエルマだった。
エルマ・レヴィオネン。中隊のスオムス代表。スオムス空軍の落ちこぼれを自認しているが、
それが正しい評価でないことをビューリングは知っている。いや、ビューリングだけではない。
彼女はいくらか臆病なところを除けば、実に優秀なウィッチだった。

「はい。……でも、本当に気づかなかったんですか? さっきからずっと目の前にいたんですけど」
「あ……、ああ。いや、気づかなかった」

ほんと、どうかしてる。

ビューリングはズキズキと痛む頭を押さえて顔を伏せた。
ぐらぐらと揺れる意識の片隅に割り込んだ気配が、つまりエルマのそれがほんのそばまで近づき、
そしてビューリングの細いその身体はふんわりと抱きすくめられた。
背に当たる柔らかな感触。熱。伝わる感覚に思わずビューリングは身を竦める。
その反応がおかしかったのか、エルマはくすくすと声を出していた。

「でもビューリングさんは、どうしてこんなところに?」
「そんな、特に理由はないが……中尉は、どうして」
「私は、ビューリングさんが外に出るのが見えたので」

ちょっと気になって、とエルマは付け加えた。
エルマが声を出す度に、何かを言う度に、もれる吐息がビューリングの首筋を撫でていく。
気づけばエルマの顔はビューリングの肩の所、もうすぐそばに在って。
意識をなんとか逸らそうと、ビューリングは言葉を探した。
422ねこぺん:2008/12/01(月) 00:17:03 ID:HCdWclsJ

「もしかして、起こしてしまったか?」
「いえ、そんなことはありませんけど……」

そう言うと、エルマは腕の拘束を解いてビューリングの横に座りなおした。
薄影の月に照らされるビューリングの横顔は、予想通りと言うべきか、羨ましいくらい綺麗だ。

「でも、ここのところ随分うなされてるみたいで心配だったんです。
 何か悩み事でもあるんですか」
「そういう訳じゃないが……、いつから気づいてた?」

そう聞くビューリングの顔は少し蒼ざめて見えた。
嘘をついても仕方ないように思えてエルマはありのままを答える。

「1週間くらい前でしょうか。部屋も黙って出て行かれるので気づかない振りをしてたんですけど」
「そう……か。他のみんなは」
「みんなは気づいてないと思います。自信は、ありませんけど」

エルマの答えを聞きながら、ビューリングは寒そうに首を震わせた。
両手を口許に運び、白い息をつく。たったそれだけの行為が、この少女では妙に艶めかしく思えた。

「……心配をかけてすまなかったな」
「それはいいんです。……ビューリングさん、私じゃ役には立てないかもしれないけど、
 もし何か悩んでるんなら、言えることがあるなら、教えてはくれませんか」
「ありがとう中尉。でも、悩みというほどのものじゃないんだ。ただ、ほんの少し、」

そこまで言ってビューリングは黙り込む。
長い髪に隠れてエルマにはビューリングの表情は分からなかったけど、
彼女の言うほんの少しがほんの少しにはとても思えなかった。
その意味を確かめたくて、エルマはビューリングの顔を覗き込む。
表情を、何かを押し殺すようなその表情に、言うまいと思っていた言葉が口をついた。

「……好きだったんですか?」

423ねこぺん:2008/12/01(月) 00:18:13 ID:HCdWclsJ

「違う!」

弾かれたようにビューリングは叫んだ。次の瞬間に取り乱したことに気づいたけど、もう遅かった。
エルマの疑問は確信に変わっていた。それが知りたかった。
そのことが目の前の彼女をどれだけ傷つけていたとしても。二人は揃ってゆっくりと息をついた。

「ごめんなさい。話は、トモコ中尉から聞きました。
 私が、ビューリングさんが悩んでそうなことに心当たりはないですか、って聞いたんです。
 トモコ中尉は、勝手に喋っちゃっていいかわからないけど、って前置きして
 ビューリングさんのオストマルクでの話を教えてくれました。
 きっともう自分なりに折り合いはつけてるとは思うけど、って言われましたけど」

「そう、だったらよかったんだけどな」

聞きながら軽く唇をかんだビューリングは、押し出すようにやっと答えた。
一度エルマの方を見やり、また居たたまれないように視線を外す。何回かを数えることはしなかったけど、
それを何度も繰り返したこともおそらく彼女自身は気づいてないだろうとエルマは思う。
その所在無げな仕草に、今度心がぐらつくのはエルマの番だった。
自分はビューリングの心がいつまでも離れられないヒトのことを何も知らない。
知っていたらどうにかなるなんて思えなかった。それでも、知りたいと思うのはおかしいことなのだろうか。

「どんな人、だったんですか」

「……無茶な女だった。自分の技量に絶対の自信を持っていて、一歩も引かないやつだった。
 ライバル……みたいなものか。私も腕には自信があったから、それでケンカになるのもしょっちゅうで。
 私と違ったのは、彼女は戦闘以外にもウィッチ、いや、軍人としてのあらゆる才に恵まれていたことだ。
 士官、指揮官としても彼女の活躍は、将来は約束されているとみんなが思ってた。
 その未来を失わせてしまったのは他ならぬ私だが……」

そこまで言うとビューリングは“彼女”の輪郭を思い起こすように目を伏せた。
何も言えず黙り込んでしまったエルマの気配を感じながら、ビューリングは話を続けた。

「彼女は非の打ち所のないウィッチだったが、陸に戻った時の……
 プライヴェートの彼女もそうというわけではなかった。彼女は性格も生き方もひどく不器用で、
 私のように人付き合いが悪いようなこともないのに、隊に友人らしい友人はいなかった。
 私と仲がよかったのは互いに爪弾き者同士だったからというのもあるんだ。
 それ以上のなにかは……、なければよかったんだろうな」

ビューリングはエルマの方にちらと顔を向けるとなんとか笑ってみせた。
彼女が抱いていた、いや、今も抱くその感情が『好き』でなければなんだというのだろう。
そして、自分が今この少女に抱く感情はなんだというのだろう。
見つめる視線の先に長い睫毛がサラサラと揺れていた。

「スオムスに死にに来たって、死ねればいいって、今も思ってますか?」
424ねこぺん:2008/12/01(月) 00:19:20 ID:HCdWclsJ

冬風にちらちらと降り出した雪が混じり吹雪となる。
それに中てられながら、声を絞り出す喉は乾ききっていた。
エルマの直截な問い掛けにビューリングは一度だけうなづいて、それから慌てて首を横に振った。

「今はもう、死ねればいいなんて思ってない。
 私にも出来ることがあるなら、誰かの、中隊の皆の役に立てるならそうしたいと思ってる」

言葉を切ってビューリングはほうっと息を吐いた。首筋が知らないうちにじっとりと汗ばむ。
彼女の胸元で組んだ手が、肩が小さく震えているようにエルマには思えた。

「でもどれだけ考えても、考えないようにしても、失ったものは戻らない。
 本当ならあの時死ぬのは私だったはずなのにあいつが死ぬ必要なんて全然なかったのに。
 空いてしまった隙間が埋められない。どうすれば埋められるのかが分からない。だから……んっ」

押し込んでいた感情を吐き出すビューリングの口唇が塞がれて、言葉がそこで遮られる。
遮ったのは勿論エルマの口唇。ビューリングはエルマがそれを出来る位置にいたことさえ気づかなかった。
重ねられた口唇が、腕を廻された首が熱い。止めさせようともしたけど
混乱しきったビューリングには何故こうなっているのかも、何が起こっているのかさえ分からなくて、
首から背中へとずらす様に位置を変え抱きしめてくるエルマの両腕に、身を委ねることしか出来なかった。

気づいたら身体が動いていた。目は決して見ないように。見てしまったきっとそこで終わりだ。
重なった口唇の熱さに感情の制御盤が音を立ててショートする。
ぎゅっと腕を廻して、ゼロ距離になった身体の熱はもうどっちのものかも区別できない。
でも、それでもまだ足りなくて、熱を求めて身体に無意識のうちに力がこもっていた。
長い銀髪が吹雪にもてあそばれて自分の頬に絡む感触だけがエルマを現実に留めていた。


永遠のような長い時間だった。
ごくゆっくりと口唇を離した二人は一瞬ぼうっと視線を交わし、思い出したように荒く息をついた。
喘ぐような吐息が風に混じって空間に響く。酸素が回らず頭がくらくらした。
先に視線を外したのはエルマの方だった。そのまま顔も背けてぽつりとごめんなさい、とだけつぶやく。
それが言った相手に聞こえていたかどうかは怪しかったけれど。

「……中尉は、こういうことには否定的な立場だと」

胸に手をやって、収まりきらない心臓の鼓動をなだめるようにビューリングはやっとそう言った。
そこには非難めいた色は感じられなかった。拒絶されたって不思議ではないくらいのに。
いっそ拒絶されてしまえば何も思わなくて済むのだろうかという考えがエルマの脳裏によぎった。
425ねこぺん:2008/12/01(月) 00:20:05 ID:HCdWclsJ

「そうですね。私も女の子好きーの変態さんのようです」

エルマはごまかす様に努めて明るく答えた。ぐっと手に力を込めて振り返って、
そしてもうそれ以上明るくごまかすことなんて出来なかった。視線が、重なった。


「……でも、私がこんな風に思うのもこんなことするのも、ビューリングさんにだけですから」

気圧されそうなほど真っ直ぐな瞳がビューリングを見つめる。

「中尉それは」
「エルマ」
「――――?」
「エルマって呼んでくれませんか? 二人きりの時は」
「……エルマ」
「やっぱりあなたは優しい人ですね」
「そんな風に言われたのは初めてだ」
「なら、私にだけ特別なんだと思うことにします」
「エルマ、私は」
「……私はあなたが、あなたのことが好きなんです」

その言葉にビューリングは息をのんだ。
瞳を一瞬閉じて好きと告げたエルマの目がもう一度ビューリングを見つめ、彼女が何かを言おうとする前に
近づいたエルマはビューリングのその身体を抱きしめて耳元でこう言った。

「私じゃ空いてしまった隙間、埋められませんか?」


そのささやきは誰のもの? 言ったあなたは天使なの? 悪魔なの?


ビューリングは瞬きも出来ずに硬直したままエルマの言葉を聞いていた。
言われた言葉が信じられず、確かめるように心の中で何度もリピートする。
本気とは思えなかった。でも、本気じゃないとも思えなかった。
だから、あんなことを言ってしまったのだ。後悔なんて、どんな時も先にすることなんて出来ない。

「……エルマ。私は、誰かに誰かを埋め合わせてほしいなんて思ってはいないんだ。
 そのつもりで言ったなら、」
「そんなつもりはありません。でも、ただ好きなだけの私をあなたは見てなんてくれないでしょう?」
「その好き、はエルマの優しさがそう思わせてるだけのことだ。
 それ以外に私を……なんて理由がないだろう」

それを聞いたエルマの瞳が驚いたように見開かれた。
肩で息を一つしてエルマはビューリングから身体を離した。その身体が、瞳が、震えていた。
426ねこぺん:2008/12/01(月) 00:21:26 ID:HCdWclsJ

「私……ビューリングさんにそんな風に、思われてたんですね。
 ただの同情で好きって言ったり、ビューリングさんの心の傷に割り込もうとしたり、」
「そんな、つもりは」
「きっと断られるだろうなって思ってました。あなたの心の隙間を埋めることも、そんな簡単じゃないって。
 でも、これじゃあんまりです。私はただの同情でこんなこと出来たりしません。
 さっきの告白だって、なけなしの勇気を精一杯振り絞ったんです」
「エルマ……」
「あなたが好きです。
 そのことに理由がいるなら、あなたの隣りにいる時の嬉しいようなくすぐったいような感じとか、
 話してる時のドキドキして止まらない心臓の音とか、もっと誰よりも近くにいたい気持ちとか。
 それだけで私には十分です」

ビューリングは何も言えなかった。エルマへのちゃんとした答えだとか、謝罪だとか。
言わなければいけないことはいくつもあったはずだけど、それはもう言えなかった。
それを為すべき場所はすでに閉じられていたからだ。エルマの唇によって。

「今夜だけあなたを私に下さい、それ以上は望まないから……」

エルマはビューリングが重ねられた口唇に気づいたのを確かめてからそう言った。
そして、彼女がYesともNoとも言えないうちにもう一度口付ける。今度は、深く、深く。
ビューリングはもう抵抗もしなかった。出来なかったのかもしれないし、出来てもしないのかもしれない。
凍えるような世界の中なのに、身体は灼けるように熱かった。もう、止まらなかった。



私の心がふと戻るのはいつもあの時のことだ。
彼女は私の手がその身体に触れるたびに、普段の彼女からはとても想像さえ出来ないような声を上げた。
その声は溶けるほど高くて、甘くて、切なくて。私はその声がもっと聞きたくてしかたなくて
彼女の身体に何度も手を這わせ、いくつもの痕を付けた。私の身体にぎゅっと腕を廻して耐える
彼女の表情を見てからは、もう私は彼女を壊してしまいたい気持ちを抑えられなくなっていた。
何度も上がる悲鳴のような抗議を私は無視し続けた。
廻されていた腕から力が抜け落ちて、彼女がくったりとその意識を失ってしまうまで。
私はもう分かっていた。自分のしたことの全てが欠片も意味なんて持たないこと。
意識をなくした彼女を抱いて、暖房のある部屋まで運んでいる途中にふと顔を覗き込んで気づいた。
自分の腕の中で眠る彼女の顔がひどく幼く見えることに。
本当はこんなことしたいはずじゃなかった。でも、もう取り返しなんてつかない。
それから、彼女とその時のことについて触れることはついになかった。
彼女はそれまでと変わらず優しかったけれど、普通の友達のように、
あるいは中隊の同僚として振舞えたことさえ奇跡のようなものだった。
それでも、忘れることなんて出来ないから。
部隊が解散して帰る彼女を見送ったこの港で、今日も私はあの夜の出来事を思い返すのだ。    fin.
427ねこぺん:2008/12/01(月) 00:30:37 ID:HCdWclsJ
リーネイラとかの破滅型恋愛が気になってしかたない今日この頃。

というわけで、エルマさんです
すっかりエル姉の愛称も定着してスレの癒し系となった彼女
の失恋話になってしまいました。いや、なんだその……
エルマさん3巻でビューリングさんに気のあるような描写があったようなないような
個人的に一途過ぎて失敗しちゃうタイプではないかと思ってます

次は……、とその前にエーリカかヨシカで一本書きたいかも
こんなでも楽しんでいただけたら幸いです。でわでわ♪
428ねこぺん:2008/12/01(月) 00:41:18 ID:HCdWclsJ
しまった誤植。
×レヴィオネン
○レイヴォネン
頭が沸騰してました。ナニヤッテンダ……
429名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 01:23:54 ID:0RRiHud0
>>364 >>388 >>406 >>415 >>427
まとめて安価で申し訳ない、みんなみんな超GJ…!
今晩はもっみーなが豊作だなあ。大好きな組み合わせだから嬉しい エルマさんも大好きだ!

それと遅レスですが>>352さんマジでごめんなさい
そろそろ忘れられてるんじゃないかと気が気でなくてつい支援してしまった
さらに>>370の提案に勝手に乗っかっていまさらながら感想を述べさせていただくと、
保管庫0400の「ぐるぐる書かれた赤い丸」って言う話がすごく好きです。これ読んだ後6話見たら
サーニャのあの意味深な視線が気になって仕方がないw
言いそびれて申し訳ない、本当にGJでした!!

ところで>>354をそのままがっつりリーネイラルートで続けたいんだけどいいかな
元ネタの管理人氏や>>345氏の意向に添わなければ止めて新規で書くときのネタにする
…味噌汁は続き書くならほのぼのエイラーニャ方向に持っていこうかと
長くなってしまいすみませんでした。最近本当に投下すごいなー
なんかつい焦ってしまうけどのんびり次の話書いてきます
430保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/12/01(月) 01:28:53 ID:kQKuWMHS
自分の作品から二次創作が派生するというのならこれほど名誉なことはない。
>>429、私の代わりにエイラを幸せにしてやってくれ。

あと全SSにGJ!!ノンストップ万歳!!
431善良なるペリーヌを考える委員会:2008/12/01(月) 02:13:35 ID:Tp9px/GJ
>>429>>もっみーなが豊作だなあ。大好きな組み合わせだから嬉しい

それでも我々はペ リ ー ヌ を 幸 せ に し た い ! ! !

善良なるペリーヌを考える委員会では、501関連のトピックス、ガリア周辺地域の復興状況およびその
関連国全般の動向、新カップリング開発などの情報、ガリアの興味深い歴史シリーズ等を時系列をはち
ゃめちゃに、当委員会の活動と共に幅広く紹介する会報「マ・プティット・ピエレッテ」誌を気分で発
刊しています。今回はその内容のごく一端をご紹介すべく、第八号の取材後記より抜粋してここに掲載
させていただく次第です。なお、本文の著作権は(ry
432取材後記:2008/12/01(月) 02:15:26 ID:Tp9px/GJ
サロンから遠く歌声が聴こえる。きっとアンコールに応えたのだろう。

赤城の見送りのあと催された小さなステージ、先ほどと同じく今ミーナの歌うのは、カールスラントの
民謡だと聞く。そういった物事にあまり造詣の無い私にもかの歌はすばらしく、かつ、今宵の彼女の衣
装があまりにも大胆であったので、見惚れていたのだと思う。迂闊だった。

その視線に気づいて振り向いたとき、今まで身を隠していたカーテンの間からひらりと彼女は飛び出し
て、演奏の止んだあとの拍手喝采の中をすり抜け姿をくらました。

私は駆け出していた。その後ろ姿を追って部屋にたどり着くなり、言った。

「どうした?」

物憂げに首を降り、視線をふせるその仕草に、私は言いようのない焦燥を胸の奥に感じる。近づこうと
すれば声を荒げて言うのだった。

「来ないでください!」
「どうして? 私が何をした?」

だがそう言いながらもすでに、悪かったのは自分のせいになるのだろうと、私は諦めはじめていた。彼
女の気まぐれはその国柄とも言うべき情熱に彩られ、ときに見せる理解できないまでの恋への献身ぶり
は、私をひどく疲弊させるものだ。それは彼女が私から、この期に及んで恋を盗む、最上にして唯一の
やり方なのだ。もう何度、くりかえしたか知れないそのやりとり、だが彼女はいつまでたっても飽き足
らない。急に大人しくなる次の台詞が、すべて私の気を惹きたいがためだと、私はよくよく知り抜いて
いる。

「何でもありませんから、早くお戻りになってください。あなたがいらっしゃらなくては、みんな変に思いますわ」
「ペリーヌ、そんなふうでは、一人にできるわけないじゃないか」

そう言う私の声は、苛立っているような、それでいて冷淡な響き方をした。

「よくわかっているだろう。お前がいないところに、どこへだろうと私は…」
「よして!」

彼女はわめいた。小さい体を震わせて、一気に距離をつめた私をこれ以上近づけさせまいとするように
身振りでそのイヤさを強調する。

「そんなことを言うのは、よしてください」

私の伸ばした手を振り切って後ずさりするその体は、窓際にきて行き場を無くした。そこでようやく捕
まえことができるのだ。その腰をそっと抱く、すると頬に、柔らかな彼女の頬が触れた。
433取材後記:2008/12/01(月) 02:16:39 ID:Tp9px/GJ
「よして…」
「ほらほら」

と言って、私は腕の中の彼女をやさしく揺すりはじめる。

「ここに居たいなら、好きにすればいいんだ。何もかもお前の考えた通りにすればいいんだから」
「だから、わたくしは、あなたと居たくないんですの。はなして、もう、はなしてください…」
「嘘だよ、ペリーヌ、そんなこと、信じられるものか。一体、何が気に喰わないって言うんだ」
「はなして…って、言っていますのに…」
「はなすものか」

腕の中で身じろぎする、その度に舞い上がる髪が私の鼻先をくすぐり、彼女はまさに、今咲き誇る花の
ようだ。その美しい花が、すすり泣き、怒気を含んだ震える声で私を非難するのならば、誰が悪いかは
決まっている。こういうときは、やさしく抱きしめ、謝りながらささやき続けることだ。

「ペリーヌ、私の愛しいペリーヌ、お願いだ、泣かないで…何がお前の気に障ったんだろう…」
「話したくありませんわ」
「話すさ」

私は少しずつ腕に力を入れ、物理的な痛みで彼女の気持ちを落ち着かせようとした。ペリーヌはもがき、
私の腕から逃れると、あえぎながら言った。

「あなたが、中佐を見ていらしたこと、わたくし知っていますのよ。それが…だって、あんなに真剣な目つきを…」

彼女の監視の目がひとときも休まらず私をとらえつづけることを、ひょっとして私は知って、わざとあ
あした振舞を自分にさせているのかもしれない、そう思えるほど、嫉妬に身を焦がす彼女の姿を私はい
とおしく感じていた。彼女のあたたかい涙が、私の頬を濡らしていた。火照った肌の体温も、まだ腕に
残っている。

「ね。お前だって聴いたはずだよ。歌さ、あれは素晴らしかったろう? 私は歌に聞き惚れていた、みんなそうだったんだから。
なあに、あんなドレスなんて…わかってるはずじゃないか。ああいうのが私の好みだと思うんなら…」

彼女はまたしゃくり上げた。乱れた髪を頬にはりつかせた姿はあまりにも哀れだ。愛情が、たまらなく
やさしい感情がこみあげてくる。可愛いペリーヌ、だがすがりつくようにしていてそのじつ、たった一
つの言葉のうちに私をとらえてはなさない、ペリーヌ。

「まったくどうかしているよ。鏡をよおく、見てみればわかることだ、誰もお前に敵うはずないって」
434取材後記:2008/12/01(月) 02:17:50 ID:Tp9px/GJ
ばかばかしくて、私は小さな笑いを漏らしながらもう一度手を差し伸ばす。ペリーヌはうなずき、何事
かつぶやきながらそれを取る、私はすかさず口付けしようとした。

「いや、だめ」

と、彼女は逃げるように身をかわした。

「いいえ、違うんですの。だけどやっぱり、もう、戻らなくちゃ…」
「そうしろと言うなら、そうしよう。本当にそうしてほしいと、お前が、言うのなら」
「ええ、そうしてください」

反射的に私はそのうしろに≪後で…≫という約束がされるものと思っていたが、彼女はそこまで言わな
かった。

「後で」

だから私は自分から勝手に約束をとりつけるなり、くるりと背を向けた、彼女がきっと呼び止めるだろ
うことを祈りながら……。

「待って!」

切迫したその声―――ああ、この感動に震える胸のことが、お前にばれないことだけを願う、とても素
晴らしい、お前のわがまま! 私のペリーヌ・クロステルマン!

しかし私は返事もせず背を向けたまま戸口へと歩いた。彼女の細く吐く息が不安に震えるのを聞いてい
た。ドアをしめると施錠した、すべてのものをその外側に締め出すためだった。

「その、ごめんなさい。わたくし…。少佐、怒っていらっしゃるんでしょう?」

怒っている、あるいはそうかもしれない、それが一体どんなものか計り知れない感動が私の心をとらえ
ているのだ。けれども急にしおらしい彼女のその物言いに、私の中でみにくい謀が姿を消す。私は言った。

「いや、」

振り向いて、こわごわと近づいてきたペリーヌを抱き寄せた。彼女は私の頬にさわり、そこにはじめて
自分が先ほど泣いていた事実を発見したようにびっくりした顔をした。

「いいや、ペリーヌ、いつだってお前が可愛くてたまらないよ」
「でも…でも…どうしてそんな顔なさっているの? ねえ、顔をあげてくださいまし」

私は泣いてこそいなかったが、自分の声がどうしようもなく惨めに響くのを聞いていた。さぞ情けない
顔をしていたことだろう。その私を揺すぶって彼女は一変、ひじょうな優しさを見せて私を抱くのだった。
435取材後記:2008/12/01(月) 02:18:52 ID:Tp9px/GJ
「わたくし、あなたにひどいことを言いましたわ…ごめんなさいね…ごめんなさい…」
「いいんだ、お前はちょっと淋しかっただけなんだから」
「ええ、そうよ、そうだわ…ねえ、美緒、わたくしが望んでいることがおわかりになって?」

彼女はまだ忙しなげに言葉を紡いだが、その声には幸福の色がにじんでいた。彼女の望み、私に望んで
いること? そんなものは何もない。望んでいるものはすべてだからだ。私は言った。

「もちろん」

歌はもう聴こえなかった、ペリーヌが腕の中でようやく安心に微笑むのがわかった、彼女が微笑んだか
ら、その声や吐息までもが音楽のようだった。私のシャツの下に、彼女の手がすべり込んだとき、よう
やくすべてが丸くおさまったのを感じる。そのまま彼女は私の手を握り、ベッドへと誘うのだった。

普段のからいばりも、頑固さも、気取りも、私はすべて受け止めよう。だが代わりに愛を、それらの後
ろにお前が隠した淋しがりの愛情をすべてもらう。

「愛している」

そう言うと、彼女も私に永遠の愛を誓ってくれた。いとしいペリーヌのためなら、私は死んでもかまわない。

――――

編集:MIO CLOSTERMANN
436play back 01/02:2008/12/01(月) 03:13:40 ID:QP6Xrzem
>>435GJ! 少佐×ペリーヌもいいですよね〜。

と言う訳でこんばんは。mxTTnzhmでございます。
>>408>>409>>410各氏から有り難くオーダー頂戴しました〜(血涙
と言う訳で、先日の「酒盛り話」のその後その4(でいいのか?)、
芳佳×リーネいきます。相変わらず流れとか全く読んでません。
話は>>406の、例のくだりからの続きってことでひとつ。
タイトルは「play back」で。

----

今日何度目か忘れた、口吻。
んふっと艶めかしく息をつぎ、構わず唇を押しつける。
「り、リーネちゃん……どうしたの」
「芳佳ちゃん……」
食事当番の後片付けが終わり、リーネの部屋に誘い込まれた途端にベッドに押し倒され、
あとはされるがまま。
何を聞いても帰って来るのは芳佳の名前と、ディープなキスの嵐だけ。
服を脱がされ、ズボンまでおろされ、二人は産まれたての姿のまま、肌を重ね、唇を重ねていた。
「り、リーネ、ちゃん……」
リーネの“集中攻撃”に耐えきれず、芳佳はぼおっと、少しうっとりとした表情をする。
唇から雫が一筋、垂れる。
リーネは無意識に舌を舐めると、またしても芳佳の唇を奪った。
そこで芳佳の頭から耳が生え、リーネの身体を、ついでに自分の理性をぐいと押し留めた。
「ぁあん」
無理矢理身体を剥がされ、息を荒くつきながら、リーネは少しむくれた。
「芳佳ちゃん……私の事、嫌い?」
「ち、違うよ。なんかリーネちゃん、その……」
「どうしたの? いつもと一緒だよ?」
「いや、なんか。いつもより、少し……積極的過ぎるかなあって」
「そう?」
「何か、どうかしちゃったのかなって、少し心配しちゃって……ごめんね」
「私の事、心配してくれるんだ。ありがとう」
「私なら、こう言うこと幾らでも好きだからいいけど、リーネちゃん……」
「ちょっと、急に。……駄目?」
「ううん、全然。でもいきなりだから、少しびっくり」
「気にしないで……」
またしても唇を重ねるリーネ。
「もっとこうして、一緒に、ね」
子猫がじゃれるみたいに、リーネは芳佳に抱きついた。
だが、その先は猫科どころか獲物を狩る野獣宜しく、ひたすら芳佳の身体を貪った。
コツコツとドアがノックされる。リーネは一瞬視線を向けた。
芳佳にはリーネがどんな目をしていたかは分からない。
リーネはノックなど構わず無視して、ひたすら芳佳に没頭した。
芳佳はドアがノックされた事すら気付かず、目前のリーネの猛攻に耐えられず、あっけなく陥落した。
身体が絡まり、こころもきつく結ばれた。
ノックはやがて止み、足音も去り、外は静かになった。
部屋の中では、リーネと芳佳の甘い声だけがこだました。
437play back 02/02:2008/12/01(月) 03:14:54 ID:QP6Xrzem
結びが解け、緩いウェーブになったリーネの髪を左手で玩ぶ芳佳。
「ねえ、リーネちゃん」
「なあに、芳佳ちゃん?」
ベッドの上で乱れた呼吸を整えながら、芳佳はリーネに問い掛けた。と言うよりようやく質問の機会を得た。
リーネは芳佳の顔をふくよかな胸に埋めさせ、母親の如き慈愛の目で芳佳を見つめる。
胸に右手が伸びかけるも、すんでのところで自重する芳佳。
「リーネちゃん。食事当番のとき、坂本さんとミーナ中佐見て慌ててたけど、どうしたの?」
もごもごと恥ずかしそうに口ごもるリーネ。
「坂本さん酒臭かったし、ミーナ中佐機嫌良かったし……あ!」
「そ、そう。そうなの芳佳ちゃん」
「朝からあの二人お酒飲んでたんだ!」
じとっとしたリーネの視線に気圧されて、頭をかく芳佳。
「ち、違うのかな」
あはは、と乾いた笑いを出す芳佳を、ぎゅっと抱きしめる。ますます胸の谷間に顔が埋まる。
「芳佳ちゃん、鈍いんだから」
胸に挟まれ声にならない声を出す芳佳。
「少佐の身体……キスマークだらけだったんだよ? 中佐もそう」
「そ、そうなの? 私、坂本さんの服のボタンが欠けてるのしか分からなかった」
「ちょうど胸のところも無くなってたからね……って芳佳ちゃん、どうして胸ばっかり見てるの?」
「ち、違うよリーネちゃん! 誤解、誤解だから。ボタン取れてたのがたまたま胸だっただけで……
ほら、ミーナ中佐の胸のボタンは何ともなかったよ?」
「また胸!」
「ああん、違うよ! リーネちゃん誤解!」
「もういいもん」
ぎゅっと胸と腕で芳佳を窒息させる。苦しい苦しいともがくが、ちょっと嬉しそうにも見える。
暫く戯れた後、芳佳はリーネの上からゆるりと抱きしめた格好で、質問の続きをぶつけた。
「キスマーク……って事は、ミーナ中佐が?」
「やっと気付いた」
「私、そう言うのあんまり見ないから」
「芳佳ちゃんは胸さえあればいいの?」
「とと、とんでもない!」
ヤケになって否定する芳佳で遊んでいる風に見える。リーネは悪戯っぽく笑うと、言葉を続けた。
「私の推理だけど……きっと中佐、少佐とお酒飲んで、お昼まで……ずっとしてたんだと思う」
「えええ?」
「声が大きいよ、芳佳ちゃん」
「ご、ごめん。……二人はそんな事する様には見えないけど」
「芳佳ちゃん、鈍いんだから」
「ごめんね」
「でも、そう言う汚れの無い芳佳ちゃんが、私好き」
「ありがとう。私もリーネちゃんの事好きだよ」
「胸だけじゃなくて?」
「だけじゃないもん」
「じゃあ、証明して」
リーネは芳佳を抱きしめた。
芳佳はそっと、リーネに唇を合わせた。リーネは足りないとばかりに、芳佳の耳を片手でかき分け、
唇を這わせ、首筋をきゅっと吸った。
「リーネちゃん……」
「私も、つけちゃう。芳佳ちゃんもつけて」
笑顔で言うリーネ。少し困った顔をする芳佳に、リーネは言葉を続けた。
「そうすれば、お互い分かるよ。中佐と少佐みたいに」
芳佳はリーネを見つめた。瞳の奥、深く濃い情念が深淵となって芳佳を見つめ返す。
芳佳は言われた通り、リーネの首筋にひとつ、キスマークをつけた。リーネもお返しとばかりに、
鎖骨のまわり、乳房の周りと、次々にマーキングする。
芳佳も同じ事をして返した。
一通りつけたあと、二人して、微笑んだ。
気怠い昼下がり、夕食の準備まで自由時間はあと僅か。
時間を惜しむかの様に、二人は身体を重ね、心をひとつに合わせた。

end
438名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 03:17:07 ID:QP6Xrzem
以上です。
連続投下は色々と枯れてしまいがちで……、今回は短いです。
期待してた方々、誠に申し訳ありませんorz
ではスレ汚し失礼しました。
439名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 06:13:12 ID:75//rnpY
>>429
>>345だけど、俺もリーネイラにするつもりだったから全く問題ない
440名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 06:52:02 ID:SsyD0Ag/
リーネのスオムス旅行記の要点をまとめると
・初日、寒いという名目でエイラに一緒に寝てくださいと頼む
もちろんエイラさんのあの名言炸裂
・ニパからエイラが文通を楽しみにしていることを聞かされる
・別れのときに、エイラに「忘れ物はないカ?」と聞かれ、「忘れ物…一つだけありました」と言ってエイラにキスする
441名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 07:53:28 ID:5vdJlHTq
深夜にGJ
あとで纏めて読みます
442名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 07:58:32 ID:01PIGNa2
>>406,>>415
美緒さんミーナの熟年夫婦大好きなんでよかったw
ミーナさんかわいい。GJだ!

>美緒さんミーナさんは執務室で二人きりで資料を見ていて、ふと目があった拍子に
>ロマンティックにキスとかしちゃうようなちょっと大人な甘さの関係
あとSS以外のところですが、これがたまらねーw 新作楽しみにしてます。
443名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 08:51:35 ID:pdbWlKXw
>>427
GJGJ!ビューリング×エルマが好きなニッチな俺歓喜w
また書いてくれー

今日もSSいっぱいでありがてえありがてえ
444名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 09:52:43 ID:ByYv/xFU
リーネイラルートも読みたいが、分岐してエイラーニャルートも見たいのは俺だけでは無いはず
445名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 10:54:57 ID:LeJ02q3s
446名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 10:55:45 ID:LeJ02q3s
>>435
俺はこういうのを待っていたんだ!!
さぁ、もっとペリーヌを幸せにしてあげるんだ!
447名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 11:51:35 ID:PLsdND/n
>>435
少佐もペリーヌのことをよくわかってるw
さびしがりやでいじらしい乙女なペリーヌがかわいかった
もっと少佐と甘々になっちゃえー
448名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 12:02:37 ID:DbajQ4Oj
>>350
遅レスだけどいま読み返してたら思った
エーリカが髪伸ばしてることに気付かないバルクホルンダメダメすぎる
きっと気付くのずっと後なんだろうなあ、フラウがんばれフラウ

それに気付いたエイラが「なんか女の子っぽくなったな」なんてこぼして
自分も髪を伸ばそうかと思案するサーニャがふいに頭をよぎった
449名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 12:17:08 ID:f0/JaRLk
>>364>>388>>406>>415>>428>>435>>438GJ!GJ!GJ!!!!
良作に対して纏めてGJしてすみません。
作品の感想だけで一つの作品ができそうなので自重しましたw
美緒×ミーナ&美緒×ペリーヌは大好きです!最近は少なかったからかなり嬉しい。
450名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 12:21:21 ID:GcuI2r86
>>448
むしろ髪切るのを面倒臭がってるだけだと思ってカールスラント軍人たるもの身だしなみにはうんぬんかんぬんとKY発言とか
451名無しさん@秘密の花園 :2008/12/01(月) 12:31:38 ID:UNjNc5LI
つぐないのセックス!
452名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 13:05:04 ID:ByYv/xFU
確かに髪切ってないのに気付いて無いのは駄目だな
453名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 13:42:17 ID:88QOm39M
>>429
がっつりリーネイラ、ぜひ見てみたい。
カップリングにしろシチュエーションにしろ、いろんな形の妄想ができるのが二次の醍醐味だと思うんだ!!
454名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 17:08:28 ID:7hkEYZ2G
>>444
実は私モ・・・
455名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 17:40:01 ID:5vdJlHTq
>>444
よう俺
456名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 18:55:22 ID:Ifu1usRc
>>444
職人を過労死させる気かw
俺は読めるならなんでも読みたいなあ。二粒美味しいって感じで

>>453
今日の朝はエイラがリーネに空戦機動を座学で知識をさらに実践して教えてあげる妄想で目が覚めた俺が呼ばれた気がした
ちなみにバレルやインメルマンで激しく揺れる胸にエイラが釘付けになるというものだった
457名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 19:06:32 ID:bIUYvSN8
>>457
いいなそれw
エイラは実践派そうだから飛んだら途端に頼もしく見え出すんだぜ?

俺もリーネイラ楽しみにしてる。傷心エイラがじっくり読めるし、この後も楽しみだ。
職人が焦らず書いてくれるのを待つんだぜ?
458名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 19:14:19 ID:Ifu1usRc
>>457
お前は鏡を見て何を言っているんだ

つかもう411KBか・・・なんというスピード。そしてクオリティ
459名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 19:20:46 ID:Onqc4B0s
もう400KB超えって……一週間経ってないw
460名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 19:21:52 ID:5vdJlHTq
明日には次スレかな?
よく考えると一週間たってないじゃん
これは放送してた時と同じかそれ以上のペース
最近は新規の書き手さんが増えてうれしいことこの上ない

関係ないけど5話のシャーリーのおっぱいアニメであんなに揺れてたっけ?
461名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 19:32:28 ID:yvqhDwN1
扶桑語でおk
462名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 19:59:38 ID:QP6Xrzem
こんばんは。mxTTnzhmでございます。
今回は、色々とアニメ本編の設定(特に日付や時期の面)を無視して書きます。
あと季節柄と言う事でお察し下さい……。
元ネタは昨日某ラジオの電波から受信しました。
イメージ的には、アニメ本編7話の天真爛漫&策士なエーリカをイメージして頂けたらと。
エーリカ×トゥルーデメイン、他オールキャストでお届けします。
「ring」どうぞ。
463ring 01/07:2008/12/01(月) 20:00:34 ID:QP6Xrzem
ネウロイの襲来も無く、珍しく501全隊が休暇を取れる事となった。
幾ら「ブリタニアの砦」とは言え流石に休息は必要で、
当日の(万一の時の)防空はブリタニア空軍が引き受けると言う事になった。

休暇前日。
申し送り事項を書類にまとめたあと、ミーナは美緒に言った。
「久々ね、全員一緒の休暇は」
「ああ。この前の時は一悶着有ったが、ハルトマンの勲章も有ったし
あれはあれでなかなか有意義だったな」
「……まあ、他にも少し有ったけどね」
「少しか?」
苦笑いするふたり。
「さて、今度の休暇はどうする。ミーナ、我々にとっても久々の休暇だ」
「そうね。休暇が取れるなんて考えてもいなかったから、まだ何も。美緒は?」
「そうだなあ……」
二人して貴重な休日をどう使うか考える。
その時、執務室のドアが勢い良く開いた。
「お、どうした?」
その人物は後ろ手にドアを閉めると、笑顔を見せた。

休暇当日。
「……遅い」
トゥルーデはエーリカの部屋でいらついていた。
久々の全隊休暇だと言うのに、トゥルーデを誘った当のエーリカに待たされている。
「クリスと面会する約束も有ると言うのに……っ」
イライラが募る。
それから十分程経って、エーリカが元気良くドアを開けた。
「いやっほー、お待ったせ〜」
「待たせ過ぎだ! 貴重な時間を何だと思っている!」
「いやーちょっと手間取っちゃってさ〜」
「お前はいつもそうだ……」
エーリカはトゥルーデのお説教を出鼻でくじく。
「そうだ、私トゥルーデの部屋に忘れ物しちゃったよ」
「何をやっているんだお前は……早く取ってこい!」
「トゥルーデも一緒に行こう。何処に置いたか忘れたんだ」
「何ぃ?」
殺風景で物らしい物は何もないトゥルーデの部屋に忘れ物。
すぐ見つかるだろうにと頭を抱えながら、エーリカに腕を引っ張られ自室へ向かう。
おもむろにドアを開けると、ベッドの上に大きなぬいぐるみが置かれていた。
最近流行りのものらしい、と言う事は何となく分かる。
サーニャが寝惚けたままぬいぐるみを抱えて部屋から出てくる事がままあり、そこで目にした事がある。
しかし。
トゥルーデはぬいぐるみには興味は無かった。
置かれているぬいぐるみはやたらとでかい。ベッドに腰掛けるエーリカと同じ位背丈がある。
「な、なんだこれは。……これか。と言うかこれだろう」
「そうそう。私からトゥルーデへのプレゼント」
「はあ!?」
時間が無いのに、こんな手の込んだ事を。しかも私に……ぬいぐるみだと?
トゥルーデは小馬鹿にされた様な軽い怒りを覚え、エーリカに何も言わずずかずかとぬいぐるみに近付いた。
ぬいぐるみのつぶらな瞳がトゥルーデを無言でみつめている。
こんなもの私には不要だ、サーニャにでもくれてやれば……と考えかけたところでふと、
ぬいぐるみが手にしているひとつの封筒に目がいく。
464ring 02/07:2008/12/01(月) 20:01:57 ID:QP6Xrzem
封筒を開ける。出て来たのは二枚の紙切れ。
まず、一枚の小さな紙切れに目をやる。
『これにサインすると、幸せになれるかもね♪』
明らかにエーリカの筆跡だ。
もう一枚は、英語で印刷された、妙にかしこまった書類。
内容をつらつらと読んでいるうちに、それがリベリオン合衆国の婚姻届と言う事が分かる。
「なっ! なんだ、これは!」
内容が判った途端、へなへなと腰が抜けるトゥルーデ。
「分からない? 私とトゥルーデのだよ?」
「何故、リベリオンの婚姻届なんだ」
「シャーリー言ってたよ。向こうの国だと、私達結婚できるとこがあるって」
「そ、そうなのか……それは良いとして……で、どうして今なんだ?」
「私達の誕生日にしようかな〜なんて考えたんだけど、まだ先だし、ちょうどもうすぐクリスマスでしょ?
まだ当日じゃないけど、ちょうど今日休暇だから良いかな〜なんて思って」
「なんて適当なんだ……」
呆れ顔をつくる。
「ねえ、トゥルーデ」
エーリカはトゥルーデの横に腰を下ろすと、軽く口吻した。
「エーリカ……」
名を呼ばれた本人は、懐からもう一枚の紙切れを渡し、見る様言った。
「今度は何だ」
簡単な地図。基地からロンドンへ、そして街の一角のとある場所へ行け、と記してある。
そしてもう一言付記されていた。。
『そこへ行くと、大切な人に出会えるかもよ』
「?」
クリスの事か? と咄嗟に思い出す。
「そうだ、今日は面会だったんだ! エーリカ、ぐずぐずしてる暇はない! 行くぞ!」
「あーもうトゥルーデってば。大丈夫だよ」
基地の隅に留められていたキューベルワーゲンに飛び乗ると、一路ロンドンを目指した。
運転はいつもと同じ、エーリカだ。
そこは手慣れたもので、ロンドンの市街に入ると、突然向きを変えた。
「おい、こっちは病院の方向じゃ……」
「はいはい。まずは私の方に付き合って貰うよ」
「何だと!?」
「すぐ終わるからさ。ね、良いでしょトゥルーデ?」
「お前との宝探しごっこに、何故付き合わなきゃ……」
ぶつくさ言いながら、手にしたままの婚姻届をじっと見る。
何処から手に入れたのだろう。
リベリオン合衆国……隊員に出身者がひとりだけ居た。陽気で楽観的過ぎなリベリアン。
あいつか。
でも、なら何故に奴がこんな書類を持っている? 座席で揺られながら考えを巡らせる。
「着いたよ」
ワーゲンを街角に留める。喧噪から少し離れた場所。
大きくはないが、小綺麗なレストランの前。
「ブリタニア料理か? 何が待っているんだ? ハギスか? あれはとても喰えたもんじゃ……」
「いいから、入って入って」
トゥルーデの背中を押すエーリカ。
465ring 03/07:2008/12/01(月) 20:03:09 ID:QP6Xrzem
レストランに入る。
中はがらんとして、席はひとつも埋まってない。無理もない。まだ昼下がり、食事をする時間帯じゃない。
しかし何故……と辺りを見回しているうち、トゥルーデは仰天した。
奥の席でひとり待っていたのは、何と愛すべき実の妹クリスだったからだ。
妙にかしこまった、婚礼の時に着る様な服を身に纏い、じっと待っていた。
トゥルーデの姿をみつけると手を振ってにこっと笑った。大慌てで駆け寄るトゥルーデ。
「クリス! どうしてここに! 体の調子は大丈夫なのか!? 病院は!?」
「もう、お姉ちゃんたら相変わらずなんだから」
クリスは苦笑いした。
「さ、座ってよ、お姉ちゃん」
クリスに勧められるがまま、訳も分からずクリスと向かいの席に着く。
トゥルーデの横にはエーリカが座った。
ウェイターが食器を並べ、注文を取りにエーリカに何か聞いた。エーリカが一言二言呟くと、
かしこまりました、とだけ言ってすぐに席を外した。
「クリス。外出出来る様になるとは、随分元気になったんだな。嬉しいぞ。もっと元気になれよ」
「もうかなり良くなったよ。こうして外でお姉ちゃん達と食事も出来る様になったし」
「そうか……良かった」
微笑むトゥルーデ。
「ちょっとぉ、私の事忘れてない?」
エーリカが少しむくれる。
「ああすまん。何か、休みの日に色々手配して貰ったみたいで……全部エーリカが?」
「もう、ホント鈍いんだから〜」
「お姉ちゃん」
クリスが小さな箱をトゥルーデに見せた。
「これは?」
「エーリカさんから預かってたの。お姉ちゃんにって。開けてみて」
そっと開けると、中に入っていたのはエンゲージリング。
トゥルーデは驚きを通り越して、固まった。
クリスとエーリカ二人の顔をふるふると見る。二人とも笑ってる。
「ほら」
エーリカが自分の指を見せる。彼女の指にも、同じものがはめられていた。
「はめてみて」
トゥルーデは恐る恐る指輪をはめる。サイズはぴったりだ。
「これで決まりだね」
「決まり?」
「お姉ちゃん、エーリカさん、おめでとう」
クリスが満面の笑顔で祝福した。
「これから一緒になるんだから、最初のお祝いは、まずは大事な家族と一緒に。な〜んてね」
「そ、そうか……って待てよ。それじゃあお前の妹のウルスラは?」
「はい」
差し出された紙。電報だった。手短に
「おめでとう。末永くお幸せに。姉をよろしく ウルスラ・ハルトマン」
とだけ書かれていた。
「ウルスラをスオムスからいきなり呼び出すのは流石にちょっと無理だったわ」
苦笑いするエーリカ。
「スオムスの方も結構忙しいらしいからさ。今回は電報で代わりにね。
今度休暇取って、私達の方からスオムスに行こう」
「あ、ああ……」
466ring 04/07:2008/12/01(月) 20:04:26 ID:QP6Xrzem
クリスが何かに気付いて、微笑んだ。
「お姉ちゃん、料理が来たよ」
「お待たせしました〜」
「バルクホルンさん、おめでとうございます!」
「リーネに宮藤! お前ら何やってんだ!?」
「お二人のお祝いに、お食事お運びしたんですよ?」
「ち違う! どうしてここに居るんだと聞いている。まさかレストランのアルバイト……」
「相変わらずだね〜カールスラントの堅物は」
「リベリアン! きっ貴様まで!」
「あたしも居るよ?」
シャーリーの脇からひょっこり顔を出して八重歯を見せて笑うルッキーニ。
「おめでとう、ナンダナ。……先越されたな、サーニャ」
「……おめでとうございます」
「お前らも居たのか……」
「ナア、後であのぬいぐるみサーニャにくれヨ? 人気あってナカナカ手に入らないんダゾ?」
「そうなのか」
「婚礼の席と言えば、このわたくしが……」
ひょっこり現れたペリーヌを遮ってミーナが全員を見渡した。
「はいはい、皆集まったわね?」
「よーし、全員席につけ〜」
いつもとあまり変わらぬ感じで全員に号令を掛ける美緒。
「中佐! 少佐!?」
「いちいち驚くんだね、トゥルーデ。リアクション面白いよ」
「う、うるさい! 何だってこんな……せっかくの休暇なのに、皆をわざわざ呼ぶ必要も無いだろう?」
「だからよ、トゥルーデ」
「ミーナ……」
「まあ、状況が飲み込めないのもわからんではないが、もう少し、いつもらしくどんと構えたらどうだ?」
豪快に笑う美緒。
「隊のみんなは家族でしょう? だったら、皆でお祝いしてあげたいじゃない」
ミーナが優しくトゥルーデに言った。
「そうそう。だからトゥルーデには内緒で、みんなにお願いしたんだ。クリスちゃんにも」
エーリカが分かり易く説明する。
「そうか」
ようやく状況が飲み込めた。
「トゥルーデ、さっきの婚姻届、有ったよね」
「あ、ああ」
「はい。サインして」
「……」
言われるままにサインしてしまうトゥルーデ。エーリカもささっと素早くサインすると、ミーナに渡した。
「では、これは合衆国に……」
「どうしたの、トゥルーデ? うつむいて」
「……」
状況が全て解ったトゥルーデは、言葉が出てこなかった。
何か言おうとすると、それは嗚咽になってしまうから。
勿論悲しいのではなく、嬉しいからだ。
涙が一粒、二粒と、頬を伝って落ちる。エーリカはトゥルーデの頬を優しく拭った。
それが決定打となったのか、トゥルーデは顔を覆うと、人目もはばからず泣いた。
「お姉ちゃん、嬉しいの?」
「堅物でも泣くんだなあ」
「うれし泣きカ。大尉もテレ屋ナンダナ」
「女が泣いて良いのはうれし泣きだけ、と扶桑で言い伝えがあってな」
顔をぐしゃぐしゃにしながら、皆にはやしたてられ、途切れ途切れに言葉を出す。
「エーリカ。お前には……振り回されっぱなし、だ……いつも」
「振り回すよ、これからも。一緒に、ね?」
「ありがとう」
「トゥルーデの為だもん」
467ring 05/07:2008/12/01(月) 20:05:51 ID:QP6Xrzem
周りで二人のやり取りを聞いていた隊員も賑やかさが増す。
「なんだか、私も泣けてきちゃいました」
「しかし手の込んだプロポーズするよね」
「キザだね〜さすがだよ」
「シャーリー、あたしの時にはもっと凄いのして?」
「ぅえ? それは結構難しいぞ?」
エイラはうーむと考えていたが、サーニャが「別にいいから」と耳元で囁き、顔を赤くする。
ぐすん、と涙を止めると、トゥルーデは周りを見回した。
皆、笑顔。トゥルーデとエーリカを祝福している。
エーリカはトゥルーデが泣き止むのを見ると、トゥルーデと肩を組み、立ち上がった。
「今日はみんな、ありがと! 私達、結婚するよ! 先にごめんね!」
「皆、せっかくの休暇なのにすまない。私達の為に」
「水臭いぞ!」
「お幸せに!」
「見せつけるね〜!」
「おめでとうございます!」
「隊のエース同士で結婚だなんて……」
皆から祝福やらはやし立てやら、色々な声が飛んで来た。エーリカはとびっきりの笑顔で、
トゥルーデもエーリカにつられてぎくしゃくした笑顔をつくった。
つつ、と指輪が光るエーリカの手が、トゥルーデの頬に伸びた。
そっと口吻を交わす。
「おめでとう!」
「幸せ者〜!」
またも歓声が上がる。
「よおし、乾杯だ! 皆グラスを持て!」
美緒が威勢良く声を掛ける。酒と言えば美緒だ。
「バルクホルンとハルトマンの結婚を祝して!」
「乾杯!」
宴が始まった。
ふと、トゥルーデは気付いた。時間を過ぎても、レストランには他に客が居ない事に。
今日は501部隊の貸し切り、と言う事にも。
後で解った事だが、レストランはわざわざミーナが手を回したのだった。
468ring 06/07:2008/12/01(月) 20:07:06 ID:QP6Xrzem
宴の最中、トゥルーデは席を立つと、ルッキーニと一緒に酒を飲むシャーリーに近付いた。
「なあ、リベリアン」
「おう、堅物殿。おめでとう。何か用か?」
「お前の国では結婚出来ると聞いたが」
「ああ。出来るとこあるよ?」
余りにもあっさり言ってのけるシャーリー。居酒屋でありがちな「新酒あります」位の軽さだ。
「あの書類、どうして持っていた?」
「あー。まあ、話すと長くなるから。実はまだ何枚か有るんだけどね」
「な、なにぃ?」
二人の会話を聞いていた隊員の数人の耳がぴくり、と動いたが、トゥルーデ達には解らない事だった。
「とにかくおめでとうな。あたしの国の書類でって事は、いずれあたしの国に来て貰うよ」
「そう言う事になるな。当分先になるだろうが」
「ま、歓迎するよ。大尉殿?」
「ありがとう」
あはは、と笑うとシャーリーは言った。
「何処までもカタいんだから。ほら、エーリカのとこに戻ってやれよ」
「すまない」
「今日はあんたに代わって隊の記録係だ。ほら、笑って」
シャーリーはぎこちない様子でカメラを準備すると、エーリカと肩を組ませ、トゥルーデを一枚撮影した。
「記念になるな、大尉殿?」
「ああ。……ありがとう」
エーリカがトゥルーデを窓のところに引っ張った。外を見て、トゥルーデに囁いた。
「今日は冷えるらしいよ。ロンドンでも雪が降るかも、だってさ」
「帰りが面倒だな」
「無粋だね〜。私達のせっかくのお祝いなのに。ロマンチックじゃない?」
「……そうかもな」
トゥルーデはエーリカを抱き寄せると、一緒に窓の外を見た。
ロンドンの空はいつも濁っている。
でも、そんな混濁した空も、今日はどこか優しく包んでくれている気がして。
肩を抱く力が無意識のうちに強くなる。
「トゥルーデ」
「エーリカ」
名を呼び合う。そっと口吻を交わす。
周囲の喧噪も気にせず、今はそれだけで十分だった。
469ring 07/07:2008/12/01(月) 20:08:19 ID:QP6Xrzem
トゥルーデはがばと勢い良く飛び起きた。
辺りを見回す。ここはトゥルーデの自室。ベッドの上。
身体が重い。横を見る。エーリカがぴったりと一糸纏わぬ姿で横になっている。
「……夢、か」
トゥルーデはぽつりと呟いた。
「何のこと?」
エーリカが薄く目を開けた。
「いや……夢を見た。とんでもない夢だ」
「どんな?」
トゥルーデは自分が見た夢を聞かせた。エーリカに散々引っ張り回されて、
クリスまで使って“結婚”のまねごとをさせられた事。
「へえ。面白そうだね」
「何て夢だ……」
「ホントに?」
エーリカは自分の指をトゥルーデに見せた。きらりと光る指輪。
トゥルーデはぎくりとして、自分の指を見る。
確かに自分もはめていた。エーリカとお揃いの、エンゲージリング。
「昨日の夜は、凄い熱かったね、トゥルーデ」
エーリカはそう言うと、とびっきりの口吻をトゥルーデにした。

end

----

電波の受信状況が悪いです。とんでもない事になってしまいましたorz
ラジオ聞いて速攻で書いたせいもあって、暴走っぷりが酷いですね。出直して参ります。
ではたびたびのスレ汚し失礼しました。
470名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 20:28:41 ID:KcqoFk2J
>>469
こういうカップル成就を全員で祝福モノは自分も書いてみたいのですが、中々うまく纏まらなくてですねえ
こういうのをきっちり纏められるのが流石このスレの職人と自分との差といいますか・・・
いやあ手放しに喜べるラブラブものっていいですよね、すごく素晴らしい作品だと思います。お疲れ様でした
471名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 20:42:21 ID:U/AZ/e6d
>>469
えええそんなオチwと思ったらこんなオチ!好きだこういうの
なぜか赤面しちまったじゃないか…見せつけるエーゲルたまらん
とにかくGJ!
472名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 21:14:29 ID:BnxIqaOK
>>427>>435>>438>>469
超GJ!

特にエルマさん可愛いよエルマさん。
でもエルマさんがいつのまにこのスレの癒し系に!?エルマさん好きがいっぱい増えると嬉しいです。

しかし、このスレのエルマさん分は喫茶店と管理人さんのオヘアさんのやつと学園シリーズしかなくて悲しすぎる。
473名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 21:16:27 ID:nRT00amN
エルマさんもエイラちゃんもかわいい
474名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 21:39:33 ID:BnxIqaOK
エイラさん×カタヤイネンさん投下します。2レスなので短いです。

「なぁイッル…どうしてお前がここにいるんだ?」
「ん〜。私もう訓練疲れタ…だからニパんとこ遊びにきたンダ。」

実際にはエイラの目的は少し違う。
エイラの趣味はニッカをからかうこと。もちろん現在の目的もそれだ。

「ふうん、それはそれは嬉しいよイッル…で、もう一度聞くけど本当は何しに来たんだ?」
「だからニパに会いにきたって言ってるじゃないカー!私たち友達ダロ?」

エイラの声には多少の喜色が見られる一方、ニッカのそれには苛立ち、まさにそう形容すべき感情が多分に含まれていた。
それはエイラの言葉と本心には若干の差異が存在するためである。

会いにきた。ただこの一点についてはエイラの言葉は決して正確ではなかったのだ。

「あのダイヤのエースがこんな所まで会いにきてくださるなんて私はなんて幸せ者なんだ。」

言葉とは裏腹に、ニッカの声色には感情は著しく希薄であった。
ニッカはもちろんエイラがなんのためにやってきたのかを知っている。

「なにを言っているんだニパ!お前もスオムスのエースダロ!」

いよいよ嬉しさを押し隠せないといった様子で、エイラは返答をおこなう。
エイラはどうしてもニッカにある事実を答えさせたいのだ。

「生憎私は本日から地上勤務だからな。そんなにここにくるのが楽しいのならイッルも私と二人で掃除のトップエースでも目指すか!!」

ニッカの言葉には既に明確な怒りの感情が見て取れた。
そう、本日よりニッカ・エドワーディン・カタヤイネンの所属は名誉あるスオムス空軍第24戦闘機隊第3中隊ではなく、ハンガーの掃除係であった。
その理由はニッカの持つ固有魔法とはまた違う特性である。
それはニッカが人並みはずれてツいてないということだ。
ニッカはそれこそ数えることすら億劫になるほどの被撃墜、事故、故障などのトラブルに巻き込まれるのだ。
ニッカ自身の空戦の能力は決して低くない、むしろ高いぐらいである。
しかしそれでもニッカは幾度となく撃墜される。
それは無傷の撃墜王であるエイラとは正反対の所業であった。

事故や故障についても同様である。
幾度となく降りかかる不運のため、ニッカは神経質なほど気を使い、ストライカーの調整をおこなっている。
それでもニッカのストライカーは問題を引き起こし壊れてしまうのだ。
度重なる被撃墜や事故で破壊したストライカーは相当数に達し、とうとうニッカは戦闘員からはずされてしまったのだ。

「いや、私はいいヨ。ニッカの新しい門出を邪魔しちゃ悪いシナ。」

求めていた答えを引き出すことに成功したエイラは喜色満面だ。
そう、本日のエイラの目的はエースから掃除係という見事な転身を遂げた戦友をいつも通りからかうことであった。
475名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 21:39:35 ID:wOREdKKG
エルマさんは唯一の「常識人」だと思ってたのに・・・もっとやれ!!
オヘア分くれ!!
476名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 21:41:39 ID:BnxIqaOK
「そうか、それならさっさと私の前から消え失せてくれ。」

ニッカは不機嫌そうに訴える。
ニッカはこのような状態で、エイラにだけは会いたくなかったのだ。

ニッカは空を飛ぶことが好きだ。それは空を飛んでいる時は自らの不運を忘れられる。
まぁ実際にはその空で多くの不運に遭っているのだが。

それに何より空にはエイラがいる。

エイラに自らの背中を預け、自らもその背中を守る。
ニッカはその役目を誰か別の人間に渡したくはなかったのだ。
ニッカにとって、エイラの相棒は自分だけの居場所だった。
しかし今回の異動によってニッカの居場所は無くなってしまった。
たとえエイラが危険な目に遭っても自分にはどうする事もできない。
新しい居場所が与えてくれるのはその冷たい事実だけだった。
実際にはエイラは危険な目になど遭うことなく凱旋してくるだろう。
しかし、ニッカが自らの無力さを痛感するにはその事実だけで十分だった。

「なんだニパ、気にしてたのカ?」

エイラがニッカを抱きしめる。
なにもエイラはニッカをからかうためだけにやってきたわけではない。
エイラはニッカが落ち込んでいることなどお見通しだったのである。
しかしニッカはエイラへと弱さを見せることを嫌う。
なので自らがニッカの痛みを拾ってやらなくてはならない事を知っていた。

「うっ、うるさい!ほっといてくれよ!」

ニッカもまた、エイラが自分を慰めにきたことを知っていた。
しかしニッカが求めるものは慰めなどではない。
慰められてしまったら、与えられることを当然だと思ってしまったなら、自分はエイラと対等ではなくなってしまう。
ニッカにはそれが耐えられなかった。

「ニパ、そんなに俯くナヨ?」

そう言ってエイラはニッカに口づけをおとす。
エイラはニッカがなぜ悩んでいるかを知っている。
それでもなお口づけをおとし続ける。
エイラは自らがニッカに与えているだけとは思っていない。
自分の中に確かに存在する気持ちは、ニッカが与えてくれたものだと分かっているのだ。

「今日だけだからナ?」

エイラがニッカの耳元で囁く。

そう、今日だけ。
エイラから与えられるのは今日だけの優しさ。それは決して当然のものではない。

「ふん!今日の分はいつかまとめて返してやるよ!」

ニッカは自らに言い聞かせるようにそう答えるとエイラの胸に頭を預けた。

Fin.
477名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 21:54:42 ID:BnxIqaOK

エイラさんはニパにジゴロしてるけど別に付き合ってたりしないんだぜ?

それでエイラさんがスオムスに帰ってきたときにエイラさんの取り合いが勃発するとこまで妄想したけどまずニパ需要がなさそうだし昼ドラをかけるほど文章力もないのでキツイです。

>>336
便乗なんてとんでもない。とても良いものを読ませていただきました。
しかも便乗なんていったら自分のエイラ×ルッキーニはアナタ様のねこだまりが可愛すぎたのに影響されましたから自分のほうがアレです。

あと>>324を即座におこなわれて噴いた!そうだよ自分は頭おかしいよ!

あと自分は最近書くようになったので>>370さんと>>429さんに便乗します。

スオムス1942と1943と喫茶店が大好きだー!!これでニパに目覚めた!
あとはmix-turegret が大好きだー!これでエイラさんモテモテに目覚めた。

という訳でRU1ZZ/dh でした。
478名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 21:57:23 ID:BnxIqaOK
あっ、タイトル忘れた。

タイトルは今日だけの優しさでお願いします。
479名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 21:58:53 ID:nRT00amN
GoodJob!
スオムス組み最高です!
480名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 22:00:21 ID:psLcRar0
はあちょっと拗ね屋なニパほんまに可愛い(声優のサンプルボイスを聞き比べて脳内再生用ニパCV探しながら)
481名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 22:02:10 ID:GcuI2r86
カタヤイネンさん需要とかありまくりだと思います!
482滝川浜田:2008/12/01(月) 22:09:43 ID:MKQJMoK1
どうもこんばんは。
もうすぐ次スレか。早いよ!

というワケで今日も投下。
シャッキーニのようなシャーゲルのような、そんな話です。
ちょっと暗いです。
483滝川浜田 『天使と悪魔と、やっぱり悪魔』:2008/12/01(月) 22:12:17 ID:MKQJMoK1


――嫌いになろうと努力した。

努力したのに、あたしは弱い。

ルッキーニを嫌いになる事は出来なかった。

むしろ嫌いになろうとすればする程、想いは募るばかりで。

そんな笑顔でお前が話しかけてくるから。あたしはお前を嫌いになれない。

この際だからはっきり言うよ。


ルッキーニ、お前は悪魔だ。


――天使と悪魔、やっぱり悪魔――


「ルッキーニ、お前なんか嫌いだー!」
「…どうだ?」
「いや、やっぱり無理だよ。今更想いをねじ曲げるなんてバカらしいよやっぱ」
「そうか」
「ああ、あたしどんだけルッキーニが好きなんだよ…」
「自分に正直なのは良い事だと思うがな。」
「はは、ありがとうな、堅物」
「…ふん」

あれ、なんか堅物の顔が赤くなった気がしたけど…気のせいか。

「…お前はよほどルッキーニが好きなんだな」
「好きとかそういう次元じゃないな。なんて言うかな。
……愛してしまったんだよ。ルッキーニを」
「愛してしまった、か」
「こんな恋、許されるハズも無いと分かっていながらの無謀な恋だよ」
「許されない恋など――」
「ん?」
「許されない恋などありはしないぞ。リベリアン」
「なっ、なんだよいきなり」
「人を好きになるのに縛りなど要らない。
好きになってしまったなら、もうその人の事しか見えなくなってしまうはずだろう」

いつもと違う堅物の様子に、あたしは少し戸惑う。
顔をさっきよりも赤らめて、目は若干虚ろで少し潤んでいた。

484滝川浜田 『天使と悪魔と、やっぱり悪魔』:2008/12/01(月) 22:14:52 ID:MKQJMoK1

「な、なんだよ、いきなり…悪いもんでも食ったか?」

すると、堅物はあたしを押し倒した。

「リベリアン」
「……おいおい、つまらない冗談はそこまでにしてくれよ。笑えないって」
「……お前がそう思っていても…私は冗談じゃない。
…お前も私の性格は知っているだろう」
「あんたこそ…あたしがルッキーニの事が好きなのを知っていて、こんな事してるんだろ?」

そう言うと、あたしは堅物をゆっくりと押しのける。

「残念だけど、あたしの気持ちは変わんないよ。
いくらあんたがあたしの事を好きだって…。あたしはルッキーニを愛してしまってるんだから…。
申し訳ないけど…あんたの気持ちは、受け取れない」
「…要するに私には可能性は無い、という事か?」

堅物の瞳に悲しみが宿る。

「平たく言えばそうなる、かな」
「――私はルッキーニには勝てないのか」
「もちろんあんたも大切だよ。
…でもそれ以上にあたしにとってはルッキーニが大きい。
…あまりにも大きくなり過ぎたんだ」

そう言うと、あたしは立ち上がる。

「リベリアン」
「ごめん…やっぱりあたしは…あんたの気持ちを受け入れられない」

485滝川浜田 『天使と悪魔と、やっぱり悪魔』:2008/12/01(月) 22:16:56 ID:MKQJMoK1

あたしは食堂を出る。
後ろには床に座り込んだままの堅物がいた。

立ち去ろうとした瞬間、後ろで堅物が呟く。

「―――すまん―――」

その言葉を聞きながら、食堂を後にした。
…あたしは堅物の顔を見る事は出来なかった。


―――――――――――――――――――

外。青空。


あ――――……。

気分悪ぃ…
これからどんな顔して堅物と会えば良いんだよ、本当に…


「シャーリー、どーしたのー?」
「おわっ、ルッキーニ…!」

空をボケッと見てると、あたしの視界にルッキーニが入ってきた。

「なんか元気ないね」
「まあね…あたしにもいろいろあるんだよ」
「ふーん」

そう言いながら、ルッキーニはあたしの肩に頭を預ける。
たったそれだけの事で、あたしの胸の鼓動はバクバクやかましく鳴り響く。

486滝川浜田 『天使と悪魔と、やっぱり悪魔』:2008/12/01(月) 22:19:12 ID:MKQJMoK1

「…大尉とケンカした、とか?」
「…近からず遠からず…かなあ」
「大変だね」
「…ああ、大変だよ。大変過ぎる」
「ね、シャーリー」
「ん?」
「…もしも、もしもだよ。
あたしに好きな人がいるって知ったら、シャーリーどうする?」

…こんな時にそんな質問かよ…
ルッキーニはいつもの笑顔であたしに問い掛けてくる。

「…別にどうも。良いことなんじゃないの」

自分でも分かる。自分の口調からイライラした感情が出てる。

「…嫉妬、してくれないの…?」
「どうして嫉妬しなきゃいけないんだよ」
「他の誰かにあたし、とられちゃうかも知れないんだよ」


……やっぱり、こいつ悪魔だよ。

ルッキーニの奴、あたしの気持ちに気付いてやがる。

隠してたのに、バレバレだったってワケか?


「…あたしが嫉妬したら、物凄い事になるぞ?」
「どんな風に?」

ルッキーニは少し期待する様な顔で、あたしを見る。
ああ、あたし今、ルッキーニに完全に乗せられてる。

…分かったよルッキーニ。今日はとりあえずお前に乗られてみる。

でも今度からはこうは行かないからな。


そう思いながらあたしは、ルッキーニを抱き寄せる。
そしてあたしは、ルッキーニに唇を寄せる。


「そうだな。こんな感じ、かな」



――ルッキーニ。
あたしお前の事、少し嫌いになれそうな気がするよ。

あたしら、良いバランスだよな?

それでも変わらない想いもある。

ルッキーニ。お前やっぱり…。

…………悪魔、だよ。
487滝川浜田:2008/12/01(月) 22:21:51 ID:MKQJMoK1
以上です。
もう鬱な話は書くまいと思ってたのに、手が勝手に…w

この話は、トゥルーデ視点、ミーナ視点、もっさん視点もありますので、しばしお付き合いくださいませ。

…では、爺はここら辺で…
488名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 22:24:41 ID:HupyEHL2
うp人さんにお礼のレスを頼みます。投下から一時間経ってもお礼がないので、何かお礼頼む。
お礼どころか何の反応もないとうp人さんもやる気なくす。
ストパンじゃないが、百合つながりだからこの際構うまい。

http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/ascii2d/1226138223/619

619 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ[sage] 投稿日:2008/12/01(月) 21:27:00 ID:AzDzrET9
なんか雰囲気が殺伐としだしたので、同人誌でも投下してみる
既出だったらごめん。

ttp://g.e-hentai.org/s/903c8fb2b073cef8d6365075f11a694a31b2c733-190967-1081-1515-jpg/23344-1

489名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 22:25:42 ID:HupyEHL2
>>488のスレでお礼を言ってうpが本格化すれば、そのうちストパンの同人誌とかのうpもある。
みんなの反応というか、お礼が頼りだ。
490名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 22:26:51 ID:Ad+Zba4J
角煮でやれ

ともあれ爺さん乙。この調子で普段のペースを取り戻せればいいんだけど、無理はせずに
491名無しさん@秘密の花園:2008/12/01(月) 22:41:58 ID:5vdJlHTq
みんな乙
492zet4j65z:2008/12/01(月) 23:38:54 ID:tQkADxVi
>>449同感……なので心苦しいけどまとめてGJで勘弁してください。

>>477 大好きとか言ってくれて非常に嬉しいです〜。
っていうか、ニパ需要ってあんまりないか〜と思ってたんだけどそうでもないみたい?
1942書いた後に、
・スオムス方面からネウロイ撤退→ニパ大急ぎでエイラのいるブリタニアに向かう
・ブルーステルで北から回り込みで休憩挟みながら移動中にガリア開放→急いでるんで気づかず
・途中ではぐれネウロイに絡まれる→撃退して何とかドーバーまでたどり着く
・がらんとした501本部でがっくり→そこにネウロイ出現の報が入る
・残ってたエイラのストライカーで出撃→危機一髪でエイラの乗る船を守る
・船のエイラに気づいて喜んで下りたらなんかとなりに色白銀髪翠眼の美少女がいる→orz
な〜んてプロットはあったんだけど、書く時間が無いっすよ><
493名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 00:30:58 ID:UUGoi1qY
最近じっちゃんが復活してくれて嬉しいよ
494名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 00:45:16 ID:Fm2Vv2G/
感想で1作品書けそうワロタwww


でも、あながち冗談じゃないから困るwwそれくらい最近投下多いし
495名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 00:56:48 ID:x2/ZV95D
難しいところだね。
感想書きまくって作者さんらが引いても困るし。
かといって、感想書かなすぎてモチベーション低下も困るしw
496名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 01:07:32 ID:aUB8wONo
そうなんだよな・・・
俺結構最近になってからここ見始めたんだけどなかなか感想書けなくて悔しい。
旧作なんかはホントに多すぎて1作品どころか1スレ埋まる。マジで。

保管庫の人に負担かけるのもなんだし、したらばあたりに感想専用板でも立ててみてもいいかもしれん。
497名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 01:26:52 ID:RCpF9EHY
サーニャがエイラさんと芳佳さんを調教するという妄想がとまらない
たすけてください
498名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 01:31:59 ID:9oVso/+1
>>496
最近今まで以上にスレが作品で埋まってるから気持ちはわかるが、流石にここが作品のみになるというのは寂しいなー。
投下した後にポツポツとレスがつく形式が楽しいってのがあるし。

それにまだ作品と感想を分けるには個々の勢いが足りないと思うんで、
いよいよスレに収まらなくなるほど人が増えた頃にでも別鯖でSS投下も感想もやれる場所を作ったらいいんじゃね。
499名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 02:22:55 ID:m/Lm1J3v
別に今のままでいいだろ
500ACROSS(1/4):2008/12/02(火) 02:40:23 ID:dJRy9W7b
rQBwlPEOです。エイラーニャ投下です。
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「フゥ……」
 何度目かの客を追い返して、私はドアについてる覗き窓をぱたんと閉めた。

「何だか疲れるよナ……。やっぱり貨物列車の方がイイヨ」

 窓の側に座っているサーニャに話しかけた。

「……あの時はなんか楽しかったね」

 サーニャは窓の外を流れる森を見ている。私はその隣に腰をおろした。

 バルトランドを通り抜けて、スオムスへ向かう列車の一等席、木造のコンパートメントの一室。その座席に私達は座っている。
 時間からみて、もうそろそろ国境に近づく頃だ。ずっと会えていなかった人たちへの懐かしい気持ちがこみ上げて来る。

 でもまだ、先は遠い。国境を通ってスオムスを抜けて、私達の向かう基地まで。それまでに限界が来ないかどうかが心配だ。
 主に私の忍耐というか、堪忍袋の。

 コンコン、ドアにノックの音。
 ──マタカヨ。ドアの方を私はじろりと睨む。

「エイラ、誰か来た」
「無視ダ無視」

 腕を組んでもう一歩も動きません、のポーズ。これ以上物好きの相手なんかするもんか。

 もうこれで何度目だろう。バルトランドの軍港を出てから、列車の乗客が何度も私達の客室を覗きに来ていて、私とサーニャはそのあしらいにいい加減疲れ果てていた。

 要はウィッチである私達を生で見たい、って人たちだ。
 報道なんかで顔が知られてるのは知ってるから、驚きはしないけれど、見知らぬ人から黄色い声でうわああかわいいいほんとに小さいいと言われ続けるのは戦闘以上に疲れる。
 せっかく激励してくれる人たちに仏頂面なんかしたくない。でもずっとこうだと、「どこから沸いてくるんだお前ラ」、と荒れた気持ちにもなってくる。

 それにその上、特に困るのは、サーニャ目当てに部屋を覗き込もうとする連中で。

「中にいるのリトヴャク中尉でしょ! 見せて!」

 私はイイノカヨ! っていうよりサーニャはそういうの苦手なんだヨ!
 案の上恥ずかしがってうつむいてしまうサーニャ。そのサーニャを見ようと室内に向けられる視線を、ひきつった笑顔でブロックしながら、謝ったりいいわけしたり。
 そして困りきったサーニャがギャラリーに手を振ると、一気に人数が倍に増えた。
 ──どこに隠れてたんだお前ら。

「ゴメンナ。連れが疲れてるカラ」
「ゴメンナ。連れが寝てるカラ」
「私予知使えるんダケド、すぐ席に戻らないと不幸になるゾー」
「車掌デスガ二人ともさっき降リマシタ。ナカニハイマセン」
「ゴメンナ。中でニシンの缶詰開けてるカラ」
501ACROSS(2/4):2008/12/02(火) 02:40:59 ID:dJRy9W7b
 サイン欲しがったりカメラ持参で写真を一枚と言ってくる連中を、言い訳やら脅しやら小芝居やらを駆使して追い返す。
 激励してくれるのはうれしいし、出来ることなら冷たくしたくはない。だけど、もう、そっとしておいて欲しい。

「ウー…」

 ノックの音はしつこく鳴り続けていたが、やがて間遠くなり、そして途絶えた。
 心の中で謝っとく。……ごめんな知らない人。二度と来んなよ。

「……いいの?」
「ほっとけばいいダロ」

 にしてもばらしたのは誰だ。車掌か? 車内販売のお姉さんか? いずれにしても罪は重い。
 ほんとはもっと静かに列車に揺られてたかったのに。サーニャと二人で。

「……それより、疲れてないか?」
「平気……それより、もうすぐスオムスだね」
「ウン」
「……エイラ、なんかうれしそう」
 にっこり笑ってサーニャは私の方に寄ってくる。
「会えてうれしい? レイヴォネンさん? 達と」
「ウン。そりゃあね。……私たちは、家族みたいなもんだからナ」
「そうなんだ」
 そう言って笑ったまま、私の顔を覗き込んだ。なんだか急に恥ずかしくなる。
「あ、ごめんナ。私のことばっかリ」
「ううん」
「……サーニャは、心配じゃないカ? その、知らないところに来て」
「少しは、うん、あるけど……」
「大丈夫ダッテ」
 ごととん、ごととん、と揺れながら、列車は進む。
「……サーニャが来たらみんなきっと喜ぶゾ。エル姉もニパも」
 ……というかみんなサーニャを猫かわいがりしそうだけど。
 それがエル姉なら許す。ニパには百年早い。
「うん……心配は心配だけどね」
 サーニャはさらに近づいてきて、にっこりと笑って私の顔を見上げた。
「大丈夫だから」
「そ、そうならいいんダケド……」
 腕同士がくっついて、下手をすればサーニャの体温とか感じてしまいそうで、急に言葉があやふやになる。体が勝手に逃げそうになる。
 そ、そういえばもうすぐ国境ダヨナーとか話を逸らそうとしたところで、サーニャが口を開いた。
「……エイラは」
 ……え?


 ぎぎ、ぎいい。


 何か言おうとしたサーニャの言葉を遮るように、耳障りなブレーキの音。随分急なブレーキだったようで、二人とも前のめりに椅子から転げ落ちそうになる。
 慌てて腕を伸ばし、サーニャの体を支える。

 ぎいい、ぎい、と立てて、列車が止まる。

「……だ、大丈夫カ?」
「…………うん、平気」
502ACROSS(3/4):2008/12/02(火) 02:41:53 ID:dJRy9W7b
 サーニャの体を支えて椅子に座り直す。抱きとめたときの体の感触が手に残ってて、サーニャの顔を見られない。
 見慣れてたはずなんだけど、サーニャが白かったり細かったりいい匂いだったりをこういう場で感じると、なんか、心臓が跳ね回ってあああ私はなに考えてんだ! 落ち着け!
 むりやり視線を窓の外に向けた。

「……国境、ダナ……」

 バルトランドと、スオムスの国境。山の中の森を切り開いて設けられた検問所。そこに列車は止まっていた。
 さっきのことを思い出しそうで、うつむいたまま無言で待つ。サーニャも何も言わない。入国管理官がやってくる頃には、ようやく心臓も落ち着いてきた。

 入ってきた管理官に、二人分の身分証と書類を渡す。

「……リトヴャク少尉は、オラーシャ陸軍からの転属ですね?」
「ソウダ。異動の命令書もアルダロ」
「ええ」

 管理官は書類を確かめ、書類にサインをすると、
「良い旅を」
 そう言って出ていく。

 書類を受け取り、私の分を鞄に突っ込む。
 これで入国の手続きはおしまい。あっさりしたもんだ。
「はい、コレ」
 振り返ってサーニャに身分証を差し出した。ようやくサーニャと目を合わせる。

「……ようこそ。スオムスへ」
「うん」

 かしこまった挨拶が何だかおかしくて、二人同時にくすっと笑った。


----

 『ほんとはネウロイ運んでます。黙っててゴメン』

 そう書かれた張り紙をドアの外に張る。

「……これで誰も来なくなるといいんだけどナ」

 『今ネウロイ寝てます。お静かに』とも書いたし。どうかそっとしておいてくれます様に、と祈りながら客室に戻る。

 ごととん、ごととん。
 スオムスの森の中を、列車は走り抜けていく。

 客室の窓の外を、木々が流れ去っていく。さっきと同じ森の中だけど、景色が何だか違う。暖かい、というか、甘い、というか。とにかく優しく柔らかい景色。スオムスに帰ってきた、そう思うと森の向こうに見える空の色まで違うように思える。

 そして、また窓の外を眺めているサーニャ。スオムスの森と空の下にサーニャがいる。そのことがとても不思議で、とてもうれしい。
503ACROSS(4/4):2008/12/02(火) 02:42:24 ID:dJRy9W7b
「──サーニャ」

 残りの旅路ももう少し。いい気分のまま、隣にいるサーニャに声をかけた。

「……早く戦争終わらせて、サーニャの家族探しにいこうな」
「え?」
 外の景色を見ていたサーニャは、驚いた様に振り返る。
「早くお父さんやお母さんに会いたいだろ?」
「うん……」
「だからさ、スオムスとオラーシャのネウロイさえなんとかなれば、きっと探しに行ける。
 ……無事だったら、私も一緒に行くよ。サーニャが生まれた街も見てみたいしさ」

 本当はこの先の事なんて、言うべきじゃないと思うけど。でも、今日ぐらいは、精一杯の約束をしてもいい気がした。

「うん……」
「……私はスオムスに戻ってこれたケド、サーニャも家族に会えなきゃ、幸せじゃないダロ?」
「……」

 でも私の言葉を聞いて、サーニャは黙り込んでしまう。膝に置いた手をにぎにぎと握っている。
 ……あれ、私何か変なこと言ったか。
 えっと、と言おうとしたとき、

「……そんなことないよ、エイラ」

 サーニャはつっと寄ってきて、私の肩に体を預けた。

「お父様とお母様にはとても会いたいけど」
 うん。それはよく分かってる。

「……今うれしくないなんてこと、ないから」
 え?

「……エイラは、どうなの?」
 えーと。

「私と一緒で、うれしくないかな」
 真っ赤な顔で言うサーニャ。

 あー。

 ごめん。そこまで言われてやっと分かった。
 そういえば、解散して出てくるときも、この列車でも、私がどう思ってるか、って言う時間なかったもんな。
 ……ていうか、ほんとダメダナ。私は。

 こわごわと、サーニャの細い手首を取る。
「……うれしいに決まってる、って」
 一度言ってしまえば簡単なもので、言葉が出てくる。

「501が解散すれば離れ離れって、ずっと思ってタシ」
 ああでも駄目だ。恥ずかしい。ここから飛び出したい。でもだめだ。
 サーニャが胸元にしがみついてくる。目をそらすなんてできない。したくない。

 ……覚悟を決めてサーニャに手を回し、今度はちゃんと抱きしめた。

「当たり前だろ。ほんとは、ずっと一緒にいたかったんだから」
504名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 02:44:36 ID:dJRy9W7b
----
以上です。ちょっと軽め。

>>429様感謝の極みです。
手紙っていうリーネらしい距離のつめ方とニパの気遣いというかちょっかいが可愛いです。
気分的にも大変でしょうけれど、続きゆっくり待ってます。リーネどう迫るんだろう、とかw 勝手にw

zet4j65z様のスオムス話は私も大好きです。
というか>>492期待です! がっくりしてるニパは絶対かわいい。お時間あるなら読みたいです。
ニパエイラいいですね。カタヤいねん、私も書いてみたいです。

前回誤字脱字やひどいミスをしでかしてしまい申し訳ありませんでした。
正座しながらハーブティを一気飲みする作業に戻ります。では。
505名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 04:46:09 ID:jPUf+lEs
いいバカップルをありがとう
506名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 06:58:21 ID:Qhpi6DBm
>>504
周りを追い払うエイラの行動がw
本人はいたって真面目にこういうことしてるんだろうな。そりゃ不思議ちゃんって言われるわw
507名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 07:09:33 ID:NTOILhTd
>>437
遅レスですが、GJ!
このスレではエイラ×リーネ、芳佳×サーニャの
流れになってるけど、やっぱ私としてはオーソドックスに
芳佳×リーネ、エイラ×サーニャの方がホッとする。
508名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 08:15:05 ID:HcDPgbrr
>>504
いいエイラーニャだ
スオムスに着いてからの二人もよかったら書いてくれ
509続・味噌汁 1/3:2008/12/02(火) 08:16:15 ID:p6a5OTKS
どうも、21X2w2Ibです
>>59-62「そして毎朝味噌汁を」の続きみたいなのを投下
―――

あなたの心をたとえるとしたら、それはたぶん空だった。私はきっと、深く遠く広いその世界を頼りなく飛び回る
小さな小さな鳥でしかなくて。だからこんなにも目の前に広がっているのに、全然あなたは掴み取れないし、
届かないのだろうと思った。

けれどもあなたは私をいだいてくれているから、それでいいのだと思っていた。
それが当然だと、思っていた。


私の隣室の扉が開かれているのを知ったのは、果たしていつのことだったろう。はじめは本当の本当に間違えて、
たまたま起きていたエイラが寝ぼけてふらふらになっている私を抱きとめてベッドに寝かせてくれた。半分夢の
中で、私は自分に語りかけるぶっきらぼうだけど優しい言葉を聞いたのだ。しかたないな、きょうだけだかんな。
最初私はその言葉を真に受けて、ああ、今日だけはいいんだ、とありがたく床を貸してもらうことにした。服脱が
ないと寝苦しいぞ、と文句を言われたので脱ぎ捨てて、軽くなった体をベッドに預けるとすぐに柔らかくて温かい
毛布に包まれた。今日だけは、いいよね。挨拶もない突然の来訪だというのにこんなにもすんなりと迎えてくれる
ことがとてもとても嬉しかったのを覚えている。

そして私は本当に眠りに就く寸前、『またおいで』という言葉を聞いた気がしたのだった。

10日後、その言葉が夢だったのか本当だったのか、わからなかった私はとりあえず、再び隣室のドアノブを
回してみることにした。…まるで故郷にいた頃お父様がしてくれたようなその行為がひどく嬉しかったのだ、私は。
今日も開いていたらいいな。鍵が掛かっていたならそれも仕方ない。そんな心持ちで扉を引いたら、いとも簡単に
扉は開いた。前回言われたことを思い出して、窮屈な上着を脱いでベッドに横になると、眠っていた彼女が飛び
起きた。なんだなんだ、と叫んだあと、この間と同じ呟きが彼女の声そのままで漏れた。

(…きょうだけだかんな)

そしてやっぱり、丁寧に毛布が掛けられて。私はまた温かい眠りに就いたのだった。
目が覚めたらすでに起きていたエイラが「おはよう」といってくれた。脱ぎ散らかしてしまったはずの制服は丁寧に
折りたたまれてベッドの端にエイラのものと一緒に並べられていて。

…それが、どんなにか嬉しかったことだろう。この気持ちをどう表現したらいいのか分からなくて押し黙ったら、
エイラがゆっくり頭を撫でてくれた。まるで私の行動すべてを許すかのように。

それから、7日後、5日後、3日後…私がエイラの部屋に潜り込む感覚はだんだんと狭まっていった。無償と
いってもいいくらいの彼女の優しさが嬉しかった。どんなときでも、この人は私を受け入れてくれるのだと思った。
そうして許してもらえるたびに嬉しくて、それ以上を求めて。
そうしてきっと私はいつの間にかひどく傲慢になっていたのだろう。それが当たり前なのだと盲目的に思い込んで
いた。エイラが私を拒絶するはずがない。エイラは私の何もかもを許してくれる。それが当然だと。


けれど今朝、いつもどおり握って回したドアノブは微動だにせず。
触れなれたもののはずなのにどうしてかひどくひどく、冷たくて。

ああ、そう言えば今日、エイラは。
それに気付いた瞬間私の中で常識となっていたものが、ガラガラと崩れていく音がした。

510続・味噌汁 2/3:2008/12/02(火) 08:17:06 ID:p6a5OTKS

仕方なしに入った自室は真っ暗闇。制服を脱ぐことも忘れて私はベッドに倒れこむ。手持ち無沙汰だったから
手を伸ばして、お気に入りのぬいぐるみを手に取った。…そう言えば、このぬいぐるみを私に買ってくれたのも
エイラだ。休日に、二人で出かけたロンドンの街の、こじんまりとした商店の片隅に転がっていたこの子に、私は
一瞬で眼を奪われた。あまりものの、はぐれもの。あらゆる人に忘れられて置き捨てられていたその少し不恰好な
ぬいぐるみに、私は一種のシンパシーのようなものを感じたのだった。けれど気がついたときにはすでにお店は
通り過ぎてしまっていて、そんな些細な用事のためにエイラの手を煩わせるわけにはいかないとだんまりを決め
込むことにした。
それなのに、基地に帰り着いて私がいざ部屋に戻るとそのぬいぐるみは平然と、何もない私の部屋の殺風景な
私のベッドの上にちょこんと乗っかっていて。なんで、どうして、と目を丸くしていたらエイラが笑って後ろから私の
頭を撫でてくれたのだっけ。エイラは何も口にしなかったけれど、彼女が私のためにそれをこっそり購入しておいて
くれたことは明白だった。

いつだってそうだった。私が何も言わなくたってエイラは常に私の気持ちを先読みして、私にいいように立ち回って
くれていたのだった。そしてそれに対する見返りを求めなかった。それでも私は彼女の優しさに感謝したけれど、
それも最初だけだった。いつのまにかエイラが私に尽くしてくれることは、私の「当たり前」になっていた。
それなのに私はそのことに全然気が付けていなかったのだ。

一人きりの部屋はひどくがらんどうで、小さな物音さえも私の心臓をびくつかせる。
そんなときには歌でも歌えば?
以前、エイラがそう言って調子はずれの鼻歌を歌ったことがあった。メロディも拍子もめちゃくちゃなそれが
なんだか私にとってはひどく新鮮で、つい顔が緩んでしまったのを良く覚えている。
けれど、今はそんな気分にはなれなかった。気分が乗らなければメロディなんて浮かんでこない。悲しさや
苦しさに胸が詰まったとき、私はいつもいつも黙りこくってそれをやり過ごすのが常だった。そもそも楽しくなる
ために何かをする、というのは私の概念にないものなのだ。それはもともとエイラの持つ精神で、私はいつも
彼女のそんな前向きさに知らず知らずのうちに救われていた。


(あした、リーネと出かけてくるから)


夜間哨戒に出掛ける直前、私を見送りながらエイラはそう言った。リネットさんと?どうして?疑問が募ったけれど
そう問い返す時間はなくて。「いってらっしゃい」と肩を押されるがままに私は夜の空へと飛び出していった。
そして帰って来る頃にはそのことなんてすっかり忘れて、彼女の部屋のドアを開こうとしたのだ。

ミヤフジと仲良くな、と。最後に付け足していたような気がする。…あの人はもしかして、私が宮藤さんに憧れて
いることに気がついたのだろうか。扶桑からこの部隊に配属されたばかりだというのに今はもうすっかりこの場所に
なじんでしまっている彼女に。『戦争は嫌だ』という固い信念を持ちながら、『守りたい』と強い瞳で語りストライカー
を駆る彼女を、つい目で追ってしまっていることを。
おんなじ誕生日、おんなじ考え方、似たような背丈。…共通点がたくさんあるのに全然違う、まっすぐでひたむきな
彼女にどこか惹かれていることに。私もあんなふうになれたらよかったと、強く強く思っていることに。
以前宮藤さんとエイラと3人で夜間哨戒を担当したとき、エイラはすごく楽しそうだった。笑ったり、文句を言ったり、
からかったり。私と一緒にいるときのエイラとは違う、歳相応にはしゃぐ、子供のようなエイラがいた。いつだって
落ち着いていて、常に私の顔色を見て伺っているエイラじゃなかった。そして思ったのだ。ああ、きっとこれが
エイラの本質なんだ、って。

この人は私といて本当に楽しいのかな、義務感で一緒にいてくれるだけじゃないのかな。
考えれば考えるほどに分からなくなった。見上げればすぐ近くにあるのに深くて、遠くて、つかめなくて。それは
さながら彼女の好む、青い蒼い空のようで。
それでもエイラは私を受け入れてくれていたから、それで言いのだと思っていた。それだけでいいやと思っていた。
…そして心のどこかで、それは当然なのだとも思っていた。彼女の本望であるにしろ単なる義務であるにしろ、
彼女は私と一緒にいてくれるのだろう、と。

511続・味噌汁 3/3:2008/12/02(火) 08:17:58 ID:p6a5OTKS

私が哨戒に出掛けてすぐに基地を発ったのかな。それとも帰って来る前に発ったのかな。
後者なら、私が帰って来るまで待ってくれれば良かったのに。一緒にはいられなくても、ただ一言「おかえり」と
いってくれれば私はこんなに寂しい気持ちになることなんてなかった。恨めしいくらいに簡単に、私の心はそう
思えてしまう。だって隣の部屋のエイラの存在は、私にとってそれくらい当然だったから。

今頃どの辺りにいるだろう。二人はどんな話をするんだろうか。私以外の人と二人きりの時のエイラを、私は
知らない。だって私がいたらエイラは当然のように私に付きっ切りになるから。私を放ってなどおかないから。
リネットさんはおとなしい人だけれど、エイラはどんな話をするんだろう。私にするのと同じように頭を撫でたり
するのかな。柔らかく微笑んで、転んだ彼女を助け起こしたりするんだろうか。…ううん、転ぶ前に支えたり
するのかもしれない。エイラはそんなことをいとも簡単に出来てしまう人だ。

心の奥がズキリと痛む。なんで?どうして?…わからない。
エイラの幸せを願うなら、私はエイラを手離さなければいけない。あの人は心根がとても真面目だから、私を
放っておくことが出来ないのだ。でも私の存在はたぶん、自由で奔放なエイラの良さを押して殺してしまうから。
だから宮藤さんのようになりたいと思った。彼女と同じものを見たなら彼女に近づけるかもしれない。そう思って
エイラに頼んで、率先して彼女に関わらせてもらうことにした。エイラは喜んでくれたのだ。よかったな、私も
うれしいよ。変わろうとしている私を、淡い笑顔で応援してくれた。

切ない気持ちばかりが募って腕の中のぬいぐるみを抱きしめる。私がこっそりこのぬいぐるみに『エイラ』と名前を
つけていることを、エイラはきっと知らない。誰にも言ったことがないから、誰が知っているはずもない。エイラが
くれたぬいぐるみ。他に何もないこの部屋の、たったひとつの私の私物。ぎゅう、と腕に力を込めた。ねえ、私も
いつかこうして本当にあなたを抱きしめてみたいよ。与えてもらうばかりじゃなくて、言葉で、行動で、あなたに
感謝を伝えたいの。そうしたら『当然』だなんて驕らないから。そうしたらつかめない、深い遠いばかりのあなたの
心の切れ端に触れることが出来るかもしれないから。

私は本当にだめな子だと、ほとほと思って困り果てる。隣の部屋の鍵が閉まっていて、受け入れてくれるはずの
人がそこにいない。なぜだかよくわからないけれど、それだけでこんなにも打ちのめされている。
本当は分かってる。あなたの優しさは『当然』なんかじゃない。ちゃんと求めないと、返さないと、いつか無くなって
しまう儚いもの。


(早く帰ってきて)


腕の中の『エイラ』に顔をうずめると、弾力性のある綿に跳ね返された。わがままなんていわないから。いい子に
するから。…なんだかずれているような気がするけれど、この胸の痛みがどんな意味を持っているのかわから
ないからそう誓うことしか出来ない。

窓のあるべき場所を見やる。暗幕で閉め切って、目張りまでされたそこから空を見ることは出来ない。あの人の
ような空色は、ここからじゃ見られないものなのだ。すぐ隣のあの部屋なら、薄手のカーテンからでも空を見る
ことが出来るのに。

今、エイラはリネットさんと休暇を楽しんでいるかもしれないのに簡単にそう思ってしまうわがままな私が嫌で嫌で
仕方がない。
でも、そうして幸せそうにしているエイラの姿を想像したらどうしてか、もっともっと胸が痛んで止まらないのだった。





(つづくかもしれない)
51221X2w2Ib:2008/12/02(火) 08:19:12 ID:p6a5OTKS
以上です。
>>254をがっつりリーネイラで幸せにする代わりにこっちはとにかくエイラーニャで行こうと思うので
片方だけすきなんだ、という方には申し訳ありませんがご容赦いただければと思います。

>>504
エイラーニャGJ!エイラの行動が面白すぎてツボに入ったwかわいいなあ、かわいいなあ

ニパ!とかじっちゃん!とか祝福501最高だ!とかもう本当に、感想だけでひとつの作品が出来てしまいそうなほどだな
って言うか作ってみたらどうだろう?501のみんなに感想言わせてSS作るのも面白いかもしれないw
>>2に「SS専用スレじゃない」ってあるし、本来はSSから話題を広げあうのがこのスレの趣旨なんだろうと思うんだ
それにしては投下が多いだろ、って言うのが問題なんだろうけれどw皆さん本当にGJです
せっかくしっかりした保管庫があるので、番号とかで昔の作品でも感想いただけたらいち書き手としてはすごく嬉しいし励みになります
513名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 08:50:28 ID:riTPILMy
>>500
>「ゴメンナ。中でニシンの缶詰開けてるカラ」

   lヽ,,lヽ
  (    ) やめて車内臭くなっちゃう
  と、  ゙i

>>512
乙乙

個人的には今まで通りで良いかと。別に亀でも保管庫のこのSS良かったーみたいな感想も好きに書けばいいと思う
今の所上手く流れてるし変えるほど不都合無いんじゃないかな。あとスレ増えたら追うのめどい
514512:2008/12/02(火) 09:06:19 ID:YFd8/3cD
…また間違えた…
>>254でなく>>354でした。なんかここ最近連続で間違えてる気がする
偉そうなこと言って自分は誤字脱字アンカーミスばかりで申し訳ない
515名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 10:51:59 ID:HcDPgbrr
>>512
ネコペンギンの名前で、思わず吹きだしてしまった…
とりあえずGJ 続き期待して待ってます。
516名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 11:12:00 ID:8lnK0LaQ
>>515
私は鼻血を噴いた。
だって毎晩抱いて寝るんだよこの娘ったら。

>>512GJ サーニャが可愛いくて仕方ない。
517名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 11:39:43 ID:UUGoi1qY
続きが楽しみ
518名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 11:47:35 ID:31Heq3GO
SS職人たちは俺の嫁
519名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 12:06:37 ID:XSui9H4v
>>512
サーニャかわいいのうかわいいのう。街角で雨に打たれている子猫のようだ
リーネの実家での話も楽しみにしてるよー
520名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 12:40:50 ID:ML8poTk8
すれ違い最高すぎる
けどリーネが一番かわいそうなのは気のせいか?
521名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 12:54:31 ID:UUGoi1qY
>>504
いいエイラーニャ
サーニャがスオムス転属って誰の計らいだったんだろ?やっぱミーナ?
 
味噌汁続き来たー
続きを待ち続けてます
522名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 13:10:32 ID:XSui9H4v
オラーシャ軍がどうなってるか分からんけどオラーシャ地方のネウロイがスオムス侵攻してるだろうからそっち回されたんじゃね?
関係ないけどスト魔女のための予備知識程度に近代史の本や軍事本読み直したりしてる。この年このきっかけで勉強する事になるとは・・・
523名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 13:51:24 ID:FwPAEpJp
後からでも感想書けるとこは欲しいなぁ
リアルタイムに追える人ばかりじゃないし、スレの流れ遮ってまで昔のSSの感想言えないし
良SSが感想ひとつふたつで流れていっちゃうの見てるとなんか切ない
524名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 14:41:09 ID:in7WZMvS
そーダナ。保管庫にそれ用の掲示板なりスレッドがあればいいんだろうけどナ
まあそこまでして感想頂けるなんて職人冥利に尽きるってもんだが
525名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 14:43:26 ID:o57IT1Vk
感想書く場所を作るのは簡単だけど
管理するのがかなり手間だったりする。

みんながみんな空気を読んで感想を書いたり
悪意なしに感想を書けるわけじゃないから…
526名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 14:58:27 ID:Qhpi6DBm
空気を読まずに>>512GJ!
ぬいぐるみにエイラって名づけて肌身離さずいるとかもうね。サーニャ可愛いよサーニャ。

ところでなぜかサーニャが酔っ払ってキス魔になるという電波が降ってきた件。
いや待てよ、他の誰かがそうなったのを見て酔っ払った振りしてエイラに……とかのほうが……。ふむ。
527名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 15:07:09 ID:UUGoi1qY
SSスレでも無いし管理も大変だろ
>>370
でいいんじゃない?
昔のも新しい奴と一緒に書けばいい
せっかく頑張って保管してくれてるんだし
それになんでもかんでも分けるといつか過疎るぞ
528保管庫 ◆YFbTwHJXPs :2008/12/02(火) 17:08:03 ID:rtpTGXWk
実は先日のリニューアルの時感想を書くフォームを作ることを全く考えなかったわけではなかったり……
というかむしろ割とやる気だったんですけど、FC2鯖がCGI不可だったので断念しました。

別板を立てるのはさすがに過疎間違いナシなのでやりませんが、
全SSの共通フォームを1個置くくらいなら設置場所にアテがないわけではないので
要望が多ければ検討してみようと思います。
これだけのペースという現状だと必然的に投下直後に過去作の感想を書くようなことになるし、
それはちょっとお互いやりにくいと思うので……。

いずれにしても保管庫自体の話になるので続きは保管庫掲示板でお願いします。
あと450K超えてますね。
529名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 17:17:29 ID:zn4ln9bA
エイラ×芳佳って無いのな

…書こうかな(´・ω・`)
530名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 17:19:16 ID:31Heq3GO
もう俺何でも受け付けられる頭になってしまった
531名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 17:23:25 ID:QaZROqZR
かっこいいエイラに憧れ的感情を覚えるよしか

532名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 17:24:24 ID:v5F4fBU1
>>528
リアルタイムの感想もスレの賑わいのうちですが
保管庫で作品を読んでみて、誰か他の人の感想があると面白いかもしれませんね
沢山のコメントが付いてる作品だと、あれ? と思って読んでしまう事もあるかもしれませんし
533名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 17:35:29 ID:D/ZgBP3u
>>529
リーネに全敗してる芳佳は、ガチで有名なスオムス出身のエイラに教えを請う。
だが、実はエイラはネコ属性だった。サーニャへのアタックがヘタレなのもネコ属性故だったりする。
「このままでは駄目だ」と二人は試行錯誤しながら試し始めるが、やがて本気になってしまう。

・・・ギブアップ(´・ω・`)
534名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 17:40:09 ID:rLC8vlPP
もう470か
テンプレの追加とか追加情報とか無いよな?
535名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 18:19:52 ID:j+u4Wkjb
最近ここしか見てないんだけど、なんか新情報ある?
536名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 18:32:20 ID:9oVso/+1
告知でいいなら今月10日からDSとPS2のゲームが副題を公募するよ
ストーリーの概要とかもその際公開するらしい。まぁテンプレにするほどではないか
537名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 18:51:26 ID:rLC8vlPP
後は本の発売日とかDVDとかの発売日とかか
まぁ特に追加しなくてもいいか
538名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 18:57:03 ID:Qhpi6DBm
そういう情報は本スレでいいだろう
539名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 19:19:41 ID:j+u4Wkjb
ファンブックが出るんだな
百合的にはどうなんだろう・・・
540名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 19:37:15 ID:5GN+VMEp
>>531
かっこいいエイラ....?
541名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 19:43:37 ID:BtICYHxO
突然だけど最終話のEDエイラーニャの水浴びシーンって

「エイラ、ほら、おっぱい大きくなったよ」
「ホントか〜?」

とか言ってたんじゃね?
542名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 19:57:41 ID:Qhpi6DBm
ふと、>>504で乗客に二人のことをばらしたのはエーリカな気がした。
ウルスラに会うため実は同乗してて二人の様子をにやにやしながら見てるんだ…。
543名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 21:29:14 ID:rLC8vlPP
エーリカはホントいいキャラしてるよ
544名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 21:56:54 ID:FPtQg14u
さて、次スレどうすべ
545名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 22:03:49 ID:ZRV9OSfJ
もう次スレの季節か〜
速い、速すぎるwww
素晴らしいょ
職人様ありがとうございます

今回も梅SSに期待
546名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 22:15:41 ID:aUB8wONo
まだ慌てるような時間じゃない(AAry

さて、俺も何かしら書くとするか…
547名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 22:28:11 ID:qzsZC4e1
いまだにオヘア分がない・・・
548名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 22:28:37 ID:p6a5OTKS
「どうしよう、ネタがない」と自分の中の梅担当が申しております

ところでさ、5話サーニャの水着って年齢の割にかなりセクシーなんだよな
一生懸命大人っぽいの選んだのに見せたい相手は「腹減ったなー」なんて言ってるとかどうなんだ
…おとなしく埋めネタ考えてくる
549名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 22:32:30 ID:zn4ln9bA
構想まとまった
タイトルは「エイラ撃墜さる!」

まあ当てにしないで気長に待っててちょ(´・ω・`)
550名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 22:34:07 ID:qmW/OUzH
>>548
さーにゃんはちゃんと資料集で寝巻きが設定されているにも関わらずわざわざ紐ズボンでベッドにダイブするオラーシャ美幼女なんだぜ…
笑いながら服畳んでる場合じゃないだろう
551名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 22:35:33 ID:rLC8vlPP
じゃあ次ぎスレまでの超小ネタ

ドサッ

「うわっ!ってサーニャか・・・・」
彼女は毎回のように夜間哨戒の後サーニャは私の部屋に来る
寝ぼけているのかそれてもワザとか
それでも無意識の内に彼女は私を信用してくれている
そう考えると嬉しくなる

寝ているサーニャはとても可憐で――
その体はとても繊細そうで
その唇はとても柔らかそうで
だから・・・


・襲う
・二度寝する
・悪戯する
→・逃げる

選択肢は4つ
どうするドウスルヨワタシ!?
552名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 22:38:53 ID:qmW/OUzH
矢印固定されてるじゃねえかwww
553名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 22:41:16 ID:rLC8vlPP
>サーニャは私の部屋に来る
このサーニャ要らないわ
確認すればよかった
小ネタでミスって死にたくなった
554名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 22:42:21 ID:YwvkEZk6
>>548
なるほど。
サ「(……一生懸命選んだのに……
   ……でも、これを言えばエイラは間違いなく『大丈夫カー』といって私を見てくれる……!)

サ「…………肌がひりひりする……」
エ「……腹減ったなー」

おまえはああああああ!!!

そこは日焼け止めだろうとエイラをしかりたいよ。
555名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 22:44:42 ID:UUGoi1qY
ミスどんまいw
しかし襲うより
悪戯するのほうがエロいな
556名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 22:53:50 ID:v5F4fBU1
>>551
だから・・・

→二度寝

ワタシはサーニャに対しては誠実でありたい、サーニャが信用してくれるなら・・・
無意識でもワタシの隣が安心できるなら・・・

今日もそうやって自分を納得させ、サーニャとは背中合わせにベッドに身を預ける

目が覚めたら、久しぶりに料理をしてみよう
「エイラ、料理できたんだ?」なんてサーニャが驚く姿を夢想し、ワタシは胸の高鳴りを感じながら、朝の微睡みに身を委ねた
557名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 22:56:50 ID:p6a5OTKS
>>554
あの台詞にそんな意味があったとはw
隊長に次いでセクシーな水着なのに!このためにわざわざ苦手な真昼間に出てきたのに!
エイラおまえはあああああ!

そりゃサーニャも拗ねて来週は別の子と仲良くして気を引こうかなとか思うよ
558名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 22:57:55 ID:BMt2T1/X
泣いた
559名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 22:59:19 ID:v5F4fBU1
>>554
そんな想いが込められてたのかw
560名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 23:06:13 ID:UUGoi1qY
まさかあの水着にそんな意味が・・・・・
561名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 23:12:23 ID:mf23WDgr
海での訓練知らされた時は無関心、というか眠そうにしてたけど内心凄い楽しみだったわけか
かわいいなぁ、もう!

まあでもメガミピンナップだとエイラさん釘付け(恐らく)だしよかったね
562名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 23:16:32 ID:p6a5OTKS
本音と建前のせいでサーニャもまたシャーリーのところに転がり込んできそうで怖いw
どうするロリベリアン!
563名無しさん@秘密の花園:2008/12/02(火) 23:41:06 ID:GrUTb1i3
目からウロコだ
ちょっと5話見てニヤニヤしてくる
564名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 00:17:00 ID:BiUITH3X
エイラと芳佳で思い出したが前本スレかどっかで
芳佳がエイラにキスしようとしててエイラが慌ててるみたいな画像があったな……
あれはいいものだった
565名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 01:03:50 ID:LnTmZWjP
腹減ったなー
後少しで勢いが亡くなってきたから
自分もなんか書くか
566名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 01:44:23 ID:9smw1XZO
これはあれか、埋めネタへの期待が減速させているのか…?

>>554
5話を見る目が変わった。
567Hulluus Ajaksi Te 勝手にリーネイラルート(1/2):2008/12/03(水) 02:26:29 ID:qdtOYpMn
>>354の続き

…ストライカーを装着して、夜の空に飛び出す。イッル!!後ろから呼ぶ声が聞こえたような気がしたけれども、
私はもう、前しか見ていなかった。
真っ暗な空が眼前に広がっている。ネウロイの巣と、基地の間にもう人家はない。すべて襲われて跡形もなく
なってしまったからだ。だから明かりもない。足元にあるのはひたすらの真っ暗闇。どこまでが空中で、どこまでが
陸なのかさえわからずに。

空を見上げると細い月が昇っていた。頼りなく太陽の光を反射して、ひっそりとそこにある。そのせいだろうか、
今日はいつもよりも月が綺麗に見えた。

(…何やってんだ、私)

そこでようやく、はっとした。一体私はこれからどこに行けばいいんだ?手紙に書かれていた文面は今こちらに
向かっているということだけ。いつ、どこに着くのかなんて書かれていなかった。
ゆっくりとスピードを緩めて、空中で静止する。はあ、と大きな大きなため息をついて片手で額を覆って。そうして
少し笑う。別に嬉しかったわけじゃない。何だか自分が馬鹿らしくなってきてしまったのだ。

(会いたい)

それは彼女と交わした手紙の中で、彼女が初めて言葉にした要求の言葉だった。
「元気ですか」で始まって「それでは」なんて言葉で締めた私の最初の手紙に習うように、彼女もまた「私は
元気です」「それでは、また」と返してきた。その間に挟まる言葉なんてお互いの近況を伝えるものでしかなかった
から、実際のところお互いの報告書やら新聞やらを直接送りつけたほうが手っ取り早かったのではないかと思う
ほど事務的なものでしかなかった、と、少なくとも私は認識していた。そう思い込んでいたほうが気が楽だった
からだ。求めたり求められたり、必要としたり拒まれたり。そういったことにはもうほとほと疲れ果てていた。どんな
に大切にしても伝わらないなら誰かを想わないほうがずっと気が楽だし、想われていると過信しないほうが傷
だって浅くて済む。あの夏の経験は私を小汚い大人にさせた。ニパや隊のみんなは「元気がない」と思い込んで
いたみたいだけど、違うんだ。そう言う風になってしまっただけ。だからもう、戻れない。

あいたい。

そんな生活にようやく慣れてきたところで不意に落とされたその爆弾は、私の頭の中で爆発して、私を錯乱させる
ことに見事に成功した。滑稽だな、もう何も欲しくないはずだったのに、こんなにも求められることに執着してる。

(…もどろ。)

かすかな月の光に照らされた夜。あの子と飛んだ、あの懐かしい記憶がよみがえって焼きついて胸が痛くなる。
本当に大切だったんだ。大切に大切にしてたんだ。
気持ち、ってなんで目に見えないんだろう。なんで言葉にしないと意味を持たないんだろう。
私があの子をどうしてあげたかったのか、あの子が私にどうして欲しかったのか。伝え損ねてすれ違っていつか
ずり落ちて、手を伸ばしても届かないところに行っていた。ひきょうものの、うらぎりもの。あの子の望むものを
与えて上げられなかった自分をどう評すればいいのか私にはいまだにわからないけれど、たぶんあの子が
私よりも好きになったあいつがそう言うからには、そう言うことなんだろう。

手紙の相手がどこにいるのか、いつこちらにくるのか──がむしゃらに動いても仕方がない。予測不可能な
事態に陥ったとき、一番大切なのは冷静になることだ。…だからこんなところにいても仕方がない。夜の空は
私の心を蝕んでいくだけで、癒してはくれないから。

よし、と自分で自分を励ますように呟いて身を翻したその瞬間、無意識のうちに耳に取り付けていた通信機から、
けたたましいサイレンの音が鳴り響いた。
(イッル、ネウロイだっ!空にいるんだろ!!)
ニパの声が耳元で響く。ああ、いる。いるとも。短く答える私。

(今行くからそこで、落ちないで待ってろよっ!)
いつになく元気な同僚の声に少し笑む。と言うのも、こいつは私がブリタニアに行く直前ストライカーユニットの
壊しすぎやらなんやらで地上勤務に回されていて、ようやく復帰できたのが私が帰ってきた頃だったからだ。
もう腐れてしまっている縁だとは言えニパのことは良く知っている。ニパだって私だって、空を飛ぶことが好き
なんだ。…だから、嬉しいんだろう。
568Hulluus Ajaksi Te 勝手にリーネイラルート(2/2):2008/12/03(水) 02:28:53 ID:qdtOYpMn

ネウロイの巣のほうを見やると、小型のネウロイが1,2,…5機。ひとりですべて片付けるには多勢が過ぎる
かもしれない。そもそも私は丸腰だ。護身用の拳銃は身につけているけれどそんなもの何の役にも立たない。

脳裏にこちらにまっすぐ伸びてくるいくつもの赤い光線が映る。当たるわけないだろ、ばーか。体を少しずらして
それを次々に避けていく。

「イッル!」
通信機を通したものじゃない、肉声が届いて私は手を伸ばした。扱いなれた機関銃が腕の中に納まっていく
イメージそのままをトレースすると、まさにその通りにそこに相棒が手渡された。サンキュ。癪だけど礼を言って
やる。ストライカーの調子はどうだ?と茶化すことも忘れずに。

「絶好調に決まってるだろ!…何機だ?」
「5機だな」
「10分で増援が来るってよ。それまで持つか?」
「何言ってんだ。増援が来るまでに全部片付ける!…だろ?」
「当然ッ!」

小型であることが幸いしてか、いくつか弾丸を撃ち込めばコアを探すまでも無く撃ち抜いてネウロイは霧消して
いくのだった。ネウロイの攻撃と、たまにこちらに飛んでくるニパの弾丸をひょいひょいと避けながら私はひとつ
ひとつネウロイを撃墜していく。たまにニパの手をぐいと引いて、無理やりに避けさせることも忘れずに。…こうして
いるとニパが私が戻ってくるまで隊に戻ってこられなかった理由が何だか分かる気がする。私がいればこいつが
下手に撃墜されたり不意のトラブルで命を落とす可能性は確かに減るだろう。一歩先を読んで助けてやることが
出来るから。テクニックはあるのになぜか見えない力で弾丸がそれてしまったり、小さなごみがストライカーに
入り込んだりして、こいつはどこまで言っても本当についてない。

「ヨ、お疲れさん!」
「遅かったな」

きっかり10分後、増援にやってきた隊の仲間たちを私たちは悠々と出迎えた。





「おかえりなさい、エイラさん」
「…ハァ?」

そうして、帰投した基地で待っていた人物を見て私は思わず大声をあげることになった。

「なななななんで、ここにいるんだよオマエッ!!」
「向かってるって手紙に書いたと思いますが…」
「んなこと知ってるっ!私が聞きたいのは…」

ストライカーをはずして駆け寄る。そんな格好じゃ風邪をひく、と私は彼女に自分の上着を押し付けた。記憶より
少し大人びた彼女はただただ何が嬉しいのかニコニコしているばかり。隊のみんなはもう眠いのか、不思議
そうな顔をしながらもあくびをして温かい基地の中に戻っていく。ニパだけが興味津々と言った顔で私のすぐ
後ろでにやけていた。

私が聞きたいのは…なんだ?
よくわからない。疲れのせいだろうか体中の力が抜けていく。
もうだめだ、明日にしよう。部屋に戻って…

崩れ落ちたら、何だか柔らかいものに抱きとめられた。大丈夫ですかっ!とひどく慌てた懐かしい声。

ふむ。…また大きくなったろ、リーネ。
そう思ったのは本人には決して言えない秘密だ。

(つづく)
569名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 02:30:34 ID:qdtOYpMn
お察しの通り自分は21X2w2Ibなんだけど、>>168,>>344-345の方とは別人です
自分が完璧に名乗り忘れてしまっていたのが悪いのですが、こういう場合の扱いってどうしたらいいんだろう
今はNo.0430でまとめてくださっているようだけれど…そのままでもいいならいいかなあと思ってたりする
あと空戦云々にはあえて突っ込まないでください。戦闘シーンかける方々は本当にすごい

あ、次スレ立てに行ってきます
570名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 02:36:09 ID:qdtOYpMn
ストライクウィッチーズでレズ百合萌えpart12
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1228239210/

571名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 02:46:06 ID:LWBXSHlx
>>570
乙ですぅ
572名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 07:36:44 ID:LnTmZWjP
乙乙
573名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 08:51:38 ID:Mmz6X7m9
リーネイラ凄く良い
続き期待してます
574名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 09:18:53 ID:DRlbqPG9
>>570
命令無いのに飛び出したら偶然良いタイミングで敵がやってきたってのは元ネタの人のアレかな?
なんにしろ面白かったー。つかあれ以上でかくなったら90cmいってるんじゃw
あと新スレ乙

ちなみに今486KBね


575名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 14:05:34 ID:ElNxXM6R
>>378
遅レスだが

俺がたくさんいるぞ、どうなってるんだ
576名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 14:12:13 ID:7RCwz9e5
俺埋めようか? それともやっぱり次スレ行った方がいい?
577名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 14:25:34 ID:e3Gwj0IT
そんなに長くなければここで構わないかと
578名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 14:34:43 ID:Mmz6X7m9
ここでいいんじゃない?
579名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 14:52:13 ID:7RCwz9e5



まだ窓の外の薄暗い時刻、彼女は目を覚ます。眠たげに目をこすりながら体を起こし、手探りでチェス
トの上に置かれた眼鏡をとると、首をひとふり。軽い金髪がふわっと後ろになびいて覗く耳にモダンを
かけた。大きなあくびを手で隠す。くーっと腕をのばして伸びをしたあと、キリッと見開いた目には清
澄な光が差していた。

彼女は寝台を飛び降りると、窓辺に設置されたシェーレンフェルンロールを覗き込む。レンズごしに現
れたのは、早朝の訓練に励む一人の上官の姿だ。彼女はうっとりと目を細めていたが、次の瞬間、大き
くそれを見開いた。上官に歩み寄る一つの影、あれは先日着任した新人――――名前を、そう――――
いいや、そんなことより。

二人は何やら話し出したようだった。上官が笑うのが見える。しゃんと伸びた背筋に、堂々と胸を張り、
腰に手を当てて豪快に笑う、そんな姿にまたもや見惚れてしまう。しかし、その笑いかける相手という
のが、入隊したばかりの新人とあっては、心はあまり平静ではない。いや、それ以外でももちろんいい
ことはないのだが。

「むうー、あの新人、坂本少佐とあんなに仲良くして…」

ふつふつと沸き起こる怒りに拳を握りしめて言った。興奮のあまりくるっと体を反転させると、髪がふ
わっと舞い上がる。

「何なのっ、一体!!!」

ペリーヌは急いで服を身につけはじめた。



澄んだ朝の空気を斬る素振りの音の合間に、坂本が声を張り上げる。

「腰が入っていない! 引き手の力が足りていない!」

ペリーヌは急いで身に付けた軍服の前を掛け合わせながら走ってやってきた。ひとまず林の陰に隠れて、
身だしなみの確認をする。

「おいおい、どうやら先に基礎体力作りの必要があるな。よし、宮藤、素振りは終わりだ、ついてこい!」
「は、はいっ!」

耳に心地よいその、はきはきとした満点の号令にペリーヌが顔をあげると、上官と新人はもう一方の林
の中へと消えていくところだった。彼女はあとを追いかけようとするも、カフスをとめるのに手間取る
間に二人はどんどん奥へ行ってしまう。

「どうしてあんなちんちくりんの狸娘なんかに、毎朝毎朝、訓練を…っ!」

とがった唇から漏れた呪詛の言葉を聞きつけて、にゅっと木の上からフランチェスカが顔を出した。
580名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 14:53:21 ID:7RCwz9e5
「何見てんのっ、ペリーヌっ」
「わっ、きゃあっ、うわあっ」

その狼狽ぶりに、にひひっと口の端を上げるフランチェスカ。

「また覗きだ〜」
「ち、ち違いますっ! だいたいあなたはこんなところで何をしていらっしゃるんですの!」
「今日はここで寝てたんだよ」

得意げにそう言うと、とうっと彼女は降り立った。

「まったくあなたという方は、基地中に営巣して、暇さえあれば、いいえ、なくったって日がな一日寝
ていらっしゃるんですから。少しは新人を見習って…っ!!! …見習って…」

林の中からは依然、素晴らしい掛け声が聞こえている。ペリーヌは唇を噛んだ。

「う〜、朝から機嫌悪い〜、何かあった〜?」
「…あ、あなたなんかに…お気楽なだけのロマーニャ人には永劫関係のないことですわ!」

ふんっとすまして息をつくと、かちこちに肩を怒らせて彼女は立ち去った。意外にも隙を見せないその
怒りっぷりに、フランチェスカは頬をぷうっと膨らませていたが、やがてまた木によじ登った。太い幹
に足をかけてひょいっと跳躍、枝をつかみ腕の力でリフト、手馴れたものだった。寝床を整えるその木
の下を、走り抜けていく坂本と芳佳を見送る。とたんに納得した顔で一回深くうなずいたが、この表情
はたちまち消え失せ、すぐにしゅんと頭を垂れた。



ペリーヌはふんふんと怒りながら歩いていたが、やがてふっと立ち止まった。そこはおよそブリタニア
らしくないこじんまりとした花壇の前だった。花壇と言うよりは、偶然歩道の端に咲いた花を囲うよう
にして、無理やりレンガで築いただけの不安な城砦。彼女はしゃがみこむと、花のつぼみをそっと撫で
た。掛け声がこだまし、顔をあげると、遠くを走る二人の姿がその目に映った。

「どうしてあの隣を走るのがわたくしではないのかしら、ねえ」

はあっと溜め息をつく。

「いやだわ、わたくしったらまた愚痴を…ごめんなさい、今水を差し上げましょうね」

そう言うと立ち上がり、側に置かれたジョウロに水を汲む。出水口のひじょうに細い真鍮のジョウロは
ブリタニア製だが、その流麗な外観は彼女を満足させるものだった。花壇の上に傾けると、目の細かい
水が吹き出して一面均等にふりそそぐ。ペリーヌはその間も話しかけた。
581名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 14:54:19 ID:7RCwz9e5
「こんなお話ばかりしていたら、あなたが拗ねてしまいますわね。ねえ、もうよすから、きっと今日も
綺麗に咲いてくださいますでしょう? ね。きっと。ほらお水を。たっぷり召し上がれ」

それから座り込み、彼女は待った。マリーゴールドは日が昇ると咲くのだ。その瞬間を、今か今かと待
ち焦がれる。しだいに朝日が征空していくブリタニアの空を仰ぎ、ペリーヌはやさしい声音で語りだす。

「ねえ、わたくしが何を考えているかおわかりになって? いいえ? あら、あなたがはじめてわたく
しの前にその可愛らしい姿を現したときのことですわ。あなたはまだ怒っているかしら、最初にあなた
を捨ててしまったわたくしのことを…」



1940年、突如欧州を襲ったネウロイの大群。必死の攻防も虚しく征服された地を、彼女は空から見下ろ
していた。出身の古城は壊滅、周辺の美しい町並みもが見る影もなく破壊され、土地は瘴気に汚染され
た。カールスラント、ガリア、オストマルク三カ国の、ブリタニアへの国民の一大撤退作戦――ダイナ
モ作戦が決行された九日間を、自由ガリア空軍のパイロットであったペリーヌは、休む間もなく飛び回
った。もうずいぶんと前から召集されっぱなしのウィッチは、自分の家族をかえりみる暇もなく、少な
い戦力で、時間を稼ぐためだけの戦闘をつづけていた。

民間人を乗せた船舶の護衛にあたっていたペリーヌは、ブリタニアにて下船するその中のリストのどこ
にも、自分の家族の名がないことを知っていた。はじめの大規模な侵攻から召集を受けて、家族の安否
を気遣う暇さえなかった。やがてその死を知らされたときも、泣いている暇すらなかった。彼女はいつ
の間にかヒスパニアにいた。

ヨーロッパ本土より逃げ延びた人々の多くはブリタニアに暮したが、彼女の家族は誰一人としてそこに
いなかった。ペリーヌは亡命政府の大部分がしかれることとなったヒスパニアへと渡った。そこで戦地
に赴きながらも、新兵器開発に加わり、積極的にネウロイ根絶に向けて働いた。自分にはそれ以外にや
ることがなかった。ユニットが完成すると、今度のことでブリタニアに集まった優秀なウィッチからな
る先鋭部隊の話を聞かされた。彼女は選ばなかった。いつのまにかここへ来ていたのだ。
582名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 14:55:15 ID:7RCwz9e5
当初、集まったウィッチは9名で、そのほとんどがすでに原隊で多大な戦果をあげている英雄ばかりだ
った。彼女は緊張に気をとがらせ、いっそうツンツンと入隊したが、胸の中は矜持に満ちていた。だか
らそのお気楽ぶりに落胆するまでは、一日とかからなかったのだ。

「あたしはフランチェスカ・ルッキーニ、ロマーニャ空軍少尉」

と、その子供は言った。

「ぺりーぬくろすてるまん? ふうん、それで、ペリーヌは何歳? …うりゃっ!!」

言うなり胸を鷲づかみにされた。悲劇はそこに掴むだけのものがなかった、ということじゃない(もちろ
んそれもなくはない)。初の顔合わせに集まった隊員は声を出して大いに笑った。ガリアを奪還するとい
う名目の下、集まった最前線の部隊でそんなくだらない冗談に笑い興じる軍人の姿は、彼女に不審を抱
かせるには十分だった。気楽なものだ。平和なロマーニャからきたこの子供は、今が戦時中だというこ
とをわかっているのだろうか。

「うにゃ〜ん、残念賞」
「余計なお世話です!」

一人ブリーフィングルームを後にして戸外に出た。基地のある孤島に吹きつける風は湿気を多く含み、
涙を乾かしもしない。不快だった。何もかもが不満だった。故郷を破壊したネウロイも、すべてをこの
肩に押し付ける軍隊も。自分をたった一人残してこの世を去った家族も。ペリーヌは胸元に下げていた
香袋を取り出すと、首から引きむしるように取った。おばあさまが『おまもり』にと言って渡してくれ
たマリーゴールドの種。ぎゅっと握りしめる。その拳に涙が落ちる。『おまもり』なんて勝手だ。自分
たちが守ってもらうために、戦場に送り出しておきながら、こんなものの力で守れるものなんて何もな
い。欺瞞だ。全部自分に押し付けておいて、置き去りにしていくなんて。独りぼっちにしていくなんて。
体がその感情に支配されてわなわなと震えた。香袋を地面に叩きつけると、中身がこぼれて一面に舞っ
た。戦火のような夕焼けの中に、笑う理由なんて、生きる理由なんて一つも見つけられなかった。



孤島全域に広がる基地中に起床ラッパが鳴り響いた。ペリーヌははっとして回想から戻る。その目には
咲き誇るマリーゴールドが映った。思わずにっこりと微笑む。
583名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 14:59:13 ID:7RCwz9e5
今ならその理由がわかる、と彼女は思った。あの気楽さのわけ、その大事さが、彼女にはわかっていた。

「ちょっと言い過ぎましたかしら。ねえ、どう思います?」

問いかけられた美しいマリーゴールドは、明るい笑顔を彼女に向ける。

「あなたもそう思いまして? そう、でしたら…」

そっと手を差し伸ばして花に触れる。

「お願い、少しだけ力を貸してくださいませんこと?」

ペリーヌは言うと、とても悲しそうな顔をしたのち花を一つ、摘み取った。摘みとる瞬間、まるで物理
的な苦痛を受けたような表情が顔に広がったが、ふっと寄せた眉をゆるめ目を開けると、手の中の花は
まだ笑っていた。彼女にはそのように見えた。

「あなたはとっても優しいんですのね。ええ、知っているわ。ありがとう」

そう微笑みかけると、その場を後にした。



先ほどの木のところに戻ってみると、もうフランチェスカの姿はなかった。あたりを見回すと、木から
落っこちたのだろうか、その根元で眠りこける彼女がちゃんとそこにいた。

「まったく、落っこちてまで眠りつづけられるだなんて、一体どういう神経を…」

途中まで言ってやめにした。穏やかなその寝顔に目を奪われたからだった。そっと側にしゃがみ込むと
顔にかかる髪を払ってあげる。

「うにゅにゅ、シャーリー、あたしがっ…」
「まったく」

その寝言に溜め息をつくも、歪められた眉間を指でつつくと、眠りながらフランチェスカはにっこりと
笑う。ぺリーヌは手に持った花を見やった。

「似ていますわ、あなたたちって」

苦笑まじりに言う。

「あら、でも、あなたの方がずっと美人よ。だって彼女はまだ子供ですからね」

ペリーヌはしばらくフランチェスカの寝顔を覗き込んでいたが、やがて立ち去った。相手は一度眠った
なら、なかなか起きないだろうし、無理に起こすにも気が引けたのだ。

昇りゆく太陽が、その美しい歩みに規則的に揺れる髪をきらきらと照らし、通り過ぎる風が隅々まで髪
の間を梳いていく。いつか不快だった風、それが今は、自分に懐いているように感じられ、ペリーヌは
とても愉快だった。
584名無しさん@秘密の花園:2008/12/03(水) 15:00:04 ID:7RCwz9e5


「それさあ」

とっくに規定時間を過ぎた食堂で、わがままを言ってあたためてもらった朝食を食べながら、フランチ
ェスカはしばらく前から感じていた視線の相手が意を決して近づいてくるまでの様子をずっと目で追っ
ていた。相手は側にきてもなかなか口を開かずに、あさっての方向を見ながら人差し指で頬をかく。ず
いぶんと近くに寄っていたが、ずいぶんとそのままでいた。フランチェスカは無関心をよそおって皿に
顔を突っ込んでいた。

「それさあ、どうしたの?」

相手がようやく口を開いたとたんに彼女はびくっとしたが、それでも食べつづけた。味が少し悪くなっ
てきたかと思うと、それが自分の涙だと気づいた。

「じっ、じ ら゛な゛い゛も゛んっ!」

涙声で彼女は言った。

「しらないっ」

もう一度ちゃんと言い直して、食べ終えた皿をどんっとテーブルの上に置いた。スプーンが手をすべっ
て床へ転がり落ちた。持つものが何もなくなって自由になった手を、目の前に持ってきて顔を覆った。

「うっ…うぅ…、うわぁん」

フランチェスカは泣き出していた。我慢できるはずだったのに、そう思うと悔しさにますます涙があふ
れてくる。相手は、シャーロットは驚いたふうもなくそれを眺めていたが、その頭を撫でたくて伸ばし
た手で、空を強く握っていた。彼女の顔もまた痛ましかった。シャーロットは目を伏せようとしたが、
フランチェスカの髪の上で咲いている橙色の可愛い花が、どうしてか彼女を思いとどまらせた。それは
自分の髪の色にそっくりだった。それはフランチェスカの綺麗な黒っぽい髪の色にとってもよく映えて
いた。

「ルッキーニ、お前に、謝りたくて」

シャーロットはやっとそれだけ言うと、握りしめていた手をといて、びくびくしながらフランチェスカ
の方に伸ばした。

「その花、どうしたの? すごく素敵だね。その…お前に…良く似合ってさ」

フランチェスカが急に顔をあげて見せたので、シャーロットはあと少しのところで花や髪に触ることが
できなかった。また、その手を引っ込めることもできなかった。握るものも、何一つなかった。

「起きたら、髪に挿してあったの」
「そうかい。一体誰の仕業だろうね。そんな嬉しい計らい…だってさ…」
585名無しさん@秘密の花園
シャーロットは言いよどんだ。まだ差し伸ばした手のやり場に困っていたのと、本当に言いたいことを
言う用意が万全ではないと思われたからだった。

「シャーリー、あたしね、ストライカーのこと」
「ああ、なんだ、そんなこと。ねえ、それよりも…」

彼女の手の位置はふりだしに戻り、かゆくもない頬をまたかいた。自分から切り出すはずだったことを
言われたのでうろたえたのだ。

二人は先日のことでずっと口を聞いていなかった。フランチェスカがユニットを壊して、勝手にセッテ
ィングし直して、それをそのまま黙っていたことがシャーロットは許せなかった。彼女は他のことなら
ば何だってフランチェスカに許した。二人でどんないたずらもしたし、規律をやぶったり仕事をさぼっ
たりしたことで、彼女が受ける譴責のどんなことも笑いとばしたし庇いもした。でも、譲れないものは
誰にでもあるのだ。

シャーロットがそのことを責めると、はじめてのことにフランチェスカは意地をはり通した。彼女はあ
やまりもしなかった。それから二人の仲は前代未聞の険悪ぶりだ。シャーロットはこれを機に、子供の
お守りなんてもうやめてやる、と思った。ついさっきまでそう思っていたのだ。

「ううん、違うよ。ごめんね。ごめんなさい」

フランチェスカは涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら言う。嗚咽まじりで聞き取りにくいが、その姿に胸
を打たれない人間がいるなら見てみたい。

「あたしが勝手にストライカーをいじったせいで、もしかしたら、シャーリーは、もしかしたら…」
「うん。そうだね。でも無事だったんだ、もういいさ。本当に、もういいんだから、フランチェスカ」
「でもね、でも」
「あたしはね、お前にあたしの大切にしているものがわからないのかと思って、それが嫌だったんだ。
でも、お前はあたしが怒ったことなんてなかったから、ちょっと意地を張ってしまっただけなんだってわかってた。
ね。お前だって、本当はわかっているよね。フランカはすごく優しいし、賢いもんな」
「うん、知ってるよ。あたし知ってるよ。シャーリーがストライカー大事なの知ってるの。だからごめんなさい。ごめんなさい」
「あたしがちゃんと教えてあげればよかったね、フランカ。無視なんかして、お前がどれだけ傷つくか考えもしなかった。ごめんよ」