レズ声優出張所Part12

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971 ◆bVl3UIA/Z2
>>548の続き。ちょっと長い。

「ごめんね、せっかくアーサーんち来たのに、あたしもうダメ」
「いいよ。遊ぶのはまた今度で、いつでもうちにおいで」
それほど飲んだ訳じゃないけれど、今日ははしゃいで疲れてしまった。
アッキーと二人で体を支え合って、どうにか部屋へ転がり込む。
靴も蹴散らかし、上着をポイっとベッドに投げ捨てると、そのまま体を横たえた。
アッキーも床にへたり込んでしまった。

「あはは、あたしなんかもう汗臭い」
アッキーが四つん這いになって、襟の所をパタパタさせるのだけど、
そのたびに胸のあたりがチラチラと見えてしまう。ナイスバディなんだよなあ。
そういう魅力に自覚がないところが、またアッキーらしいんだけども。

「いいよ。先にシャワー使ってよ……先にシャワー、浴びてきな」
途中で言葉を打ち切って上半身を起こし、ぴしっとポーズを決めて言い直した。
「今夜は、寝かせないぜ」
「ばかぁ(笑)」


「もう大丈夫?落ち着いた?タオルと下着、ここにおいとくね」
ドア越しに尋ねる。しかし返事がない。
「アッキー?……入るね」
「え?あ、ちょっと待って。もう上がるから」
「じゃあタオル、手だけ出して」
カチャリとドアが開き、隙間から白い湯気とともに手が伸びる。
これ一枚隔てた向こうに、全裸のアッキーがいるんだよなあ。うほほほほ。
おっといかん、何考えてるんだあたしは。

そんなに酔ってるわけじゃないけれど。
あえて言うなら雰囲気に酔ったというか。
自分に酔ったというか。
恋人役の自分に酔ったというか。

ベッドに戻り、伸びをする。そのまま腕を頭の後ろで組み足を絡ませ、
バスルームから出てくる恋人を待つシチュエーションに酔う。
972 ◆bVl3UIA/Z2 :2009/06/24(水) 23:55:16 ID:T4B1MsCC
扉が開いた。
「じゃーん。どう?あたしセクシー?」
「おおー!うわーっははぁw、せくしーぃ」
思わず吹き出して、それからテンションは急上昇。出てきたのは
バスタオル一枚だけ巻き付けた姿のアッキーだった。

「えーっ、それって下ハダカ?下着そこにあるよね。うわー、やっぱ
裸なんだ。はぁーん」
「いい匂いもするでしょー」
「そうきたか、あはっ、『磯くせー!』」
「でもほら?ちゃんと石けんで体洗ってきたから」
しゃなりしゃなりと歩いてきてベッドのそばへ。
「ちょ、ちょっとアッキー、近いよ」
「アーサー」
上半身を傾け、肩に手をかけてきた。

「冗談はなしにしてさ、寝よう、もうほら」
たじたじとなってそっぽを向こうとするも、思いも寄らない力で引き戻される。
「そうよ。あたし今日はアーサーと寝る」
「いやそうじゃなくて、アッキーも酔ってるから」
「もう酔いも覚めたもん。あたし本気だから」
「ええー!アッキーって、ほんと本気か嘘かわからないってばさ」
「本気ですー。ひっどーい。じゃあアーサーあたしが本気か嘘かわからないの?
あたしアーサーがいつも嫁って言ってくれてるの本気だと思ってるのに、嘘だったの?うえーんシクシク」
「ちょっとアッキー。もう……」
泣き真似を始めた。駄々っ子だ。

しかし、イヤイヤと肩を振っていた動作はやがて静かになり、
シクシクという声は、いつしか本当の嗚咽になっていった。
「あたし、あたし、繪里子さんみたいにずっとかわされ続けるの嫌なの」
973 ◆bVl3UIA/Z2 :2009/06/24(水) 23:56:34 ID:T4B1MsCC
アッキーは不安なようだった。寂しいようだった。とりあえず言葉をかける。
「大丈夫だって。別に逃げたりしないから。それに今井さんたちだって、
あんまり表に出さないだけできっとうまくやってるって。あたしなんか、
表でもちゃんとアッキーのこと好きだよって言ってるよ」
「でも実際あたしに何もしてくれないじゃない」

う わ 、マ ジ で す か 。
もんのすごく失礼ながら、その衝撃を言葉にすると、そんな一言だった。

弄んだつもりはないし、もちろん嫌いじゃない。アッキーのことは大好きだ。
デートにも行き、愛を語り、人前でそれを公言した。アッキーは私の恋人、
ある意味一方的な宣言に、ついにアッキーも応えてくれた。
満願成就、少女漫画のような展開、ままごとのような恋愛。
それがいま、この目前のリアリティに行き着いてしまった。

アッキーは本気だ。アッキーはいつも「本気で言ってるの?」と言っていた。
「もちろん本気だよ」ずっとそう答えた。アッキーは本気になった。私は――


「しょうがないなあ。ほらこっちおいで」
ベッドの縁に腰掛けて、優しくアッキーの頭を抱き寄せる。
柔らかく頭を撫で、撫で、撫でて、、、
974 ◆bVl3UIA/Z2 :2009/06/24(水) 23:57:26 ID:T4B1MsCC
「アーサー」
「ん?」
「あたしにキスできる?」
「う、マジで?」
「むぅ〜っ」
かるくふくれっ面になる。

「できる、と思う」
「じゃあ、して」
チュッとついばむようなキス。
すると次の瞬間アッキーの方から襲いかかるように唇を求めてきた。


私はそのまま押し倒された。
キス、キス、キス、そしてキス。キスの嵐だった。
アッキーの手が私のブラウスのボタンに伸びる。
それは、先に手をかけていた私の指にぶつかった。
一瞬、目が合う。

(大丈夫、すべて受け止めてあげる)
そんな会話をした。したと思う。

私の手は離れ、代わりにアッキーの手がぎこちなく、
そしてやや強引にボタンを外していった。
既にはだけつつあったバスタオルをアッキーが自ら
放り捨てると、ついに私たちは抱き合った。


「アーサー」
アッキーが呼びかける。体を触れあわせていながら、
なおも互いの存在を確かめるように。
「アーサー、好き」
アッキーが繰り返す。心にあるものすべてが、
このたった二つの言葉に凝縮されたかのように
「アーサーの胸、柔らかい」
アッキーがうっとりする。私の胸を存分に揉みしだき、
頬ずりし、その心地良さに没頭して。
「アーサーのここ、濡れてる」
アッキーの手が触る。私の身体が、いや私が、反応している。
抱き合いっこじゃなく、セックスをしている。
私はアッキーとセックスをしてる。
その事実が津波のように頭の中身全体を押し流そうと
ぐわぁっと駆け巡った刹那、
「あたし、アーサーのなら舐めれる」
「!」
975 ◆bVl3UIA/Z2
「まって」
私のもので濡れた指をくわえようとする腕を慌てて押しとどめた。
(――まだ体洗ってないから)
(――恥ずかしいから)
(――まだ初めてだし)
理由にならない理由が浮かんでは消える。
(だめだ)

眉毛を曲げて困惑したようなアッキー。でもヘタレな私を
見透かしたようにも、この状況を面白がってるようにも見える。
よく分からない。この口元は謎の微笑というやつだろうか。
(――小悪魔アッキー)
心の中でつぶやいてみたとき、なんだか楽になった。
(なんだ、私は小悪魔を口説いてたのか。それじゃしょうがないな)
アッキーの腕を掴んだ手から力が抜けた。
二、三度、フーッと深呼吸をする。アッキーはそんな私の姿を
静かに見守る。

そしてゆっくりとアッキーの空いた方の手が動き、私の手を下ろさせた。
再び胸に顔を寄せ、息が吹きかからんばかりの距離を保ったまま、
焦らすように下へ降りていく。

「アッキー……」
こんどは私が呼びかける番だった。
「あああ、アッキー」
呼びかけるというものではない。漏れ出るというやつだ。
胸から腹部のくすぐったさが、耐え難い焦れったさに変わり、
秘部に鮮烈のような快感を受けたときまで、私は“アッキー”以外の言葉を
知らなかった。

「アッキ…、アッキイ」
「気持ちいい?」
「気持ち……いい……気持ちいい」
「私のこと好き?」
「好き」
次々と新しい言葉を教えられていくけれども、
アッキーの舌が与える快感が片っ端から吹き飛ばしてしまう。
もはや私は“あ”しか言えなくなってしまった。
「あっ、あっ、あっ、あああ、あああああ!」
アッキーも最後のクライマックスに向けて言葉を捨てた。
「んー!んんんん!」
「あああああああああああっ!」