ちょっと早いが、スレ埋め立てついでにエイラーニャでお誕生日SS?を投下させてください。
誕生日会の数日後の設定で。
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目を覚ますと、見慣れた景色がそこにあった。
水晶玉やタロットカード、ちょっと怪しい石像や難しそうな本。
ここが自分の部屋ではなく、エイラのだと気づくのにそう時間はかからなかった。
自分が寝ていたベッドを見渡し、部屋の主を探すが見当たらない。
枕元には自分の脱ぎ散らかした服が綺麗に畳んでおいてあった。
シーツを手でさぐってみても、そこには冷たい感触が残っているだけだった。
「エイラ・・・?」
いつものように夜間哨戒を終え、また無意識にエイラのベッドにもぐりこんだのが明け方。
今は・・・時計を見ると11時。確か今日のエイラはオフ日だったはず。
暇なときは昼まで寝てる自分につきあってよく隣で二度寝したりするのに。
おもむろに立ち上がり、着替えることにする。
エイラ、どこ行っちゃったんだろう。
(2/4)
たった一人食堂で遅い朝食をとり、シャワーを浴びて一息ついた。
食堂で会った宮藤さん達や、お風呂であったイェーガーさん達に勇気を出してエイラの
行方を尋ねてみたが、みんな知らないとのことだった。
いつもだったら隣で寝ていなくても、こんなに探さなくてもいつのまにか「おはよう、サーニャ」
と言いながら隣に来てくれていた。
なんだか落ち着かない。なんでだろう。
サウナ室やハンガーも覗いてみた。
外に出て、辺りを歩いてみた。
でもどこにもいない。
この前ネウロイの襲撃を防いだばかりだから、予報ではしばらくネウロイは来ないことに
なっている。
だから定期巡回やトレーニングなどの予定は入っているけれど、そのあい間の時間は好きなことを
して過ごすことが出来る。
トレーニングに励む人、趣味を楽しむ人、お風呂で日々の疲れを癒す人・・・
こうして色々なところを見回ってみると、皆いろんな過ごし方をしていることに気がつく。
私は、私はいつもこういう時何してたんだろう。
エイラが占いをしてくれたり、私の昔の話を聞いてくれたり、一緒にサウナの後水浴びしたり。
いつも、エイラが一緒にいてくれた。
私が鬱陶しくなって、離れていってしまったんだろうか。
胸に浮かんだ考えを、首を振ってあわてて打ち消す。
もうちょっと、探してみよう。
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「サーニャ!」
遠くの方で、自分を呼ぶ声がした。
一瞬、幻聴かと思った。だって、その人のことを考えていたから。
もういつの間にか夕暮れ時で、辺りはオレンジに染められていた。
「やっぱりサーニャだ。こんなところで何してるんだ?散歩?」
駆け寄ってきてくれたのはやっぱりエイラだった。
やっと会えた。
私の顔を見たエイラが、なぜかびっくりしたような顔をしている。
「どうしたサーニャ?誰かに嫌なこと言われたのか?それともどっか痛いのか?」
「ううん、どうして?」
「だって、何だか泣きそうな顔してるぞ」
エイラにやっと会えて、嬉しくて、自分では笑ってるつもりだったのに。
心配そうに顔を覗き込むエイラをみてると、なんだか涙がこぼれそうになる。
泣き顔をみられるのは恥ずかしくて、あまり心配かけたくなくてエイラの肩の辺りに顔をうずめた。
「サ、サーニャ?」
顔は見えないけど、声からすごくびっくりしてることがわかる。
でもなんとなく離れたくなくて、少しだけそのままでいさせてもらうことにした。
「どこ行ってたの?」
「あ、今日予定はいってなかったから隊長に許可もらって外出してたんだ」
「そうなんだ・・・」
あんなに探し回って馬鹿みたいだ。外出することなんて少し考えたらわかることなのに。
でももういいや。今はエイラがここにいてくれる。
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「で、あのな・・・」
「?」
顔を上げてみると、夕日の中にいるせいかエイラが顔を真っ赤にさせている。
エイラが後ろ手にもっていた小包を渡された。
「今日、たまたまでかけたら、前サーニャが可愛いって言ってたやつ、たまたま見つけたから・・・、
誕生日プレゼントまだ渡してなかったし、遅くなっちゃったけど」
小包を開くとそこには、以前エイラと買い物に出かけたときに見つけた写真立てが入っていた。
「この前誕生日に皆で写真撮っただろ?そういうのに使えるかな、って」
エイラが自分が言ったことを覚えていてくれたことも、わざわざ許可をとって買って来てくれたことも、
照れくさそうにぶっきらぼうな口調で話してくれることも皆すごく嬉しくて、
でもこんな気持ちをどうやって伝えたらいいのかわからない。
「・・・ありがとう、嬉しい」
「そ、そうか、よかった」
お礼は言えたけど、何だか足りない感じがする。
遅くなると怒られるから帰ろう、と歩き始めたエイラの背中を見つめながら、何だかもどかしい
ような、そんな変な感じがする。
もっとこの気持ちを伝えたい。
エイラと会えて嬉しい、一緒に帰れて嬉しい、プレゼントくれて嬉しい、エイラが私のことを
考えてくれたことが嬉しい。
口で言うのは恥ずかしいから、先を歩くエイラの手に自分の指をからませた。
驚いたように振り向くエイラ。
「サーニャ?」
「・・・駄目?」
「・・・駄目じゃないけど」
握り返してくれた手が嬉しくて、エイラとの距離を縮めて並んで歩き始める。
もう夕飯の時間が迫っていて、急いで戻らなければならないはずなのに、なぜか私たちは
ゆっくり、ゆっくりと浜辺を歩いていった。
今度頑張って、口に出してこの想いを伝えてみよう。
エイラ、またびっくりしちゃうかな。困らせちゃうかな。
隣を見上げると目があって、すぐ逸らされてしまったけど、その代わり握る手に少し
力がこもった気がして、それが嬉しかった。
空を見上げると、ちょうど一番星が顔を出したところのようだった。
以上です。
サーニャ→エイラが観たくて自給自足してみた。
サーニャお誕生日おめでとう。