【三期は】絶望先生で百合【アリですか】

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1名無しさん@秘密の花園
まったりとお願いします。


初代スレ
【久米田】絶望先生で百合【サンデー】
http://sakura02.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1167612676/

前スレ
【第二期】絶望先生で百合〜第二話〜【一月から】
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1197563824/


保管庫
http://despairlily.blog28.fc2.com/

2名無しさん@秘密の花園:2008/04/20(日) 10:44:07 ID:ZkWSMUM1
2年へ組 女子生徒

風浦 可符香
木津 千里
音無 芽留
常月 まとい
日塔 奈美
藤吉 晴美
小森 霧
小節 あびる
加賀 愛
木村 カエレ
関内・マリア・太郎
三珠 真夜
大草 麻菜実
糸色 倫
ことのん
3名無しさん@秘密の花園:2008/04/20(日) 10:48:45 ID:ZkWSMUM1
SS投下のお約束(前スレで出てた暫定版)

・書き始めにカップリングとか傾向(ほのぼの、エロ、パロ等)を書く。
・名前欄にタイトルを記入。
・長編などで投下が切れる場合は、締めのレスのにその旨を書く。
・再開するときはアンカーを付ける。
(でもなるべく書き上げてからの投下が好ましい)
・新スレは容量が480kを超えたら立てる。


他に意見があれば、どんどん追加していって下さい。
前スレでROMだった人や初めて投下する人、遠慮せずにじゃんじゃんどうぞ。

4名無しさん@秘密の花園:2008/04/20(日) 16:57:11 ID:cspqcoqH
ttp://up2.viploader.net/upphp/src/vlphp186017.jpg
めがねめがね


↑角煮でみつけた。萌え。
5スキンシップ?:2008/04/20(日) 22:37:23 ID:5m8rJzAv
>>1乙です。
さて、前スレ688でまと×霧書いた主です。
前スレのまといラッシュに感化され書きなぐった短編です。今回は微エロな展開で。
新スレ1発目で投下しようか迷いましたが、やらせて頂きますね…

それでは、どうぞ。
6スキンシップ?1/3:2008/04/20(日) 22:39:04 ID:5m8rJzAv
宿直室、眠っていた霧はふっと目を覚ました。
「……?」
もうそんな時間になったのだろうか、それにしてはカーテンから零れる日差しは無い。
夜目で壁の時計を見上げる。針は丁度3時の辺りを指していた。
「眠れないしなぁ」
霧は一人ぼやく。TVを見て時間を潰そうにも、この部屋には望や交も眠っている。
汗でへばり付いたTシャツが邪魔くさい。
「…そうだ」
霧は閃いた。そうして毛布を一枚被り、宿直室を後にした。

やって来たのは体育倉庫。
寝汗を洗い落とすために、霧は行水することに決めた。
室内には湯の張ってある桶が、湯気を立てながらその場を占めている。
頃合を見計らい、着物に手を掛ける霧。自然に鼻歌が出る。
やがて、真っ白な全身が露になった。
―ガラガラッ
その時、倉庫の扉が開く音がした。霧は慌てて振り向いた。
7スキンシップ?2/3:2008/04/20(日) 22:39:54 ID:5m8rJzAv
「お背中、流しましょうか」
そこにはまといが、微笑みながら佇んでいた。
この突然の来訪者に内心ほっとしたのもつかの間、
今の自分の姿に気付き、慌てて足元の毛布を羽織る霧。
「あけないでよ、…どうしてここに?」
「夜中に物音がしたから目を覚ましたの。そうしたら、あなたったら部屋から出て行くんだもの。
 だから、後を追ってきたの」
「…それじゃあ、部屋にずっといたのね」
「ええ、ずっと」
相変わらずだなぁと霧は思う。まぁ友達として付き合っている今では、悪い気はしないのだが。
一方のまといは、気付けば既に一糸纏わぬ状態となっていた。
「それじゃあ、一緒に入っても良い?」
霧は少々どもりながら答える。
「別に、構わないけど…」
「フフ、照れちゃって。可愛いんだから」
8スキンシップ?3/3:2008/04/20(日) 22:41:11 ID:5m8rJzAv
こうして湯桶に身体を沈める二人。
しかし桶は、一人が入るのが精一杯かという大きさである。
その結果かどうか、まといは霧の背中に抱き付く形で、その身をぴったりと密着させている。
「霧の肌、すべすべして気持ち良い…」
「んぁ…もう、恥ずかしいよ、まとい…」
霧は恥ずかしそうに訴えるが、まといはそれには応じない。
「それに雪みたいにとっても白い…お湯に触れたら融けちゃいそうね…」
そう言ってまといは、霧の首筋に舌を這わせた。
「はぁ、ん…やめてよ…汗を流しにここに来たのに、これじゃあ意味がないじゃない」
霧は顔を真っ赤に染め上げながら、少し怒り気味に言い放った。
「フフフ、ごめんね。…霧ったら、汗掻いちゃうほど興奮していたんだ…」
「…!」
まといの突っ込みを受け、霧は後悔した。しかし時既に遅く、
「それじゃあ上がったら、さっきの続きをしましょうね」
そう言われ、まといに唇を奪われた。
瞬間、驚く霧だったが、それをすぐに受け入れた。

互いの舌が絡まり合う。淫靡な音色が、湯気で曇った倉庫内に響き渡る。
暫らくして唇は離れるが、唾液の橋が名残惜しそうに後を引いた。
「…まといったら意地悪ね」
霧はまたも怒り口調。しかし今度は軽い調子で、笑顔ではにかみながら。
9あとがき:2008/04/20(日) 22:42:47 ID:5m8rJzAv
お粗末さまでした。
中途半端な所で切れているのは仕様です。申し訳ありません…。
そして書いてる最中、「これアニメ1期5話っぽくね?」と思ってしまった次第…。
2番煎じな感が否めないですが、お楽しみいただけたのなら幸いです。
これからもちょくちょく投下したいなぁと考えてもいますので、どうか生暖かく見守っていて下さい。

それでは、失礼致します。
10名無しさん@秘密の花園:2008/04/21(月) 02:23:23 ID:N67v++7V
スレ立て、新スレ最初のSS乙です。

このまときりの仲の進展は恋人としてか、友人としてか。
11名無しさん@秘密の花園:2008/04/21(月) 10:53:11 ID:ht/m3tte
1さん乙です、まと霧GJです。大好きだ!
まといと霧は色々な点で対照的だよね。
12名無しさん@秘密の花園:2008/04/22(火) 06:29:35 ID:DGbzXR50
新スレ立ててみたものの
タイトル部分に第三話入れるの忘れてました…
ほんと申し訳ないです、大地に接吻します、がっつりと。

そのお詫びの代わりと言ってはなんですが
ちょろっと小ネタを投下させてもらおうかなと。
前スレ埋める用にと思ったんですが
容量が微妙な感じだったのでこっちでいきます。

自身久々のハルチリです(と言ってもブログの方で1度上げてしまってますが)
よろしければしばしお付き合い下さい。

13smack:2008/04/22(火) 06:33:21 ID:DGbzXR50
自分達以外いなくなった教室を忙しなく動き回り
教室の片付けや戸締まりをする千里を
晴美は机に肘を突きながらぼんやりと眺めていた。

あっちをいったりこっちをきたりする度に長い髪が揺れる。
その黒くて艶のある長い髪も、力を込めれば折れそうな細い身体も
少し吊り目がちなその瞳も、どれも興味深いものなのだが
見つめていたのはそのどれにも該当しない。

「何?」
「ん?」
「どうしてさっきからずっと顔見てるの?」
顔をずっと見られてる事に違和感を感じたらしい千里が
怪訝そうな表情で尋ねてくる。

「なんでもないよ?」
「何でもないなら見つめたりはしないでしょう」
そう言って千里はむっと表情を変えた。

いや…まぁ…
ここで正直に言うのもいいと思うけど
言ったら言ったで怒るんだろうな、なんて事を思いながら
晴美は苦い笑いを浮かべた。

「正確には顔じゃなくて唇見てたんだよ」
「くち、びる?」
意外な答えに千里はきょとんと目を丸くした。

「キス、したいなーって思いながら見てた」
晴美がにっこりと笑うと千里はだんだんと顔を赤くする。
「な、何言ってんのよ…」
「ほらね」
予想通りの反応に晴美の口を突いて出た言葉に千里が不思議そうな顔をした。

「何が、よ」
「ん?やっぱしてくれないんだって思っただけ」
晴美の言葉に千里は赤い顔のまま唸る。
その反応が可愛らしくて、ついつい吹き出しそうになった。

「嘘、冗談だってば」
少しからかい過ぎたと晴美は千里を慰める。
すると千里の口から意外な言葉が出て来た。
14smack:2008/04/22(火) 06:36:59 ID:DGbzXR50
「なら、しなくていいのね?」
「え?」
今度は逆に千里の言葉に驚かされた晴美がきょとんとする番だ。

「そりゃしないよりはする方がいいかなと思うけど…」
「するかしないか、きっちりしなさいよ」
晴美の言葉に千里は腕組みをしながらお決まりのセリフを言い放つ。
千里のその言葉の意図を感じ取った晴美は
目を細めてにやにやと笑みを浮かべる。

「それって、千里がしたいんじゃないの?」
どうやら図星だったらしく、あっ、とした表情を見せる。

「当たりだね」
そう言って笑うと、千里がつかつかと側に寄って来た。
近付いてきた千里を見上げると
まだ赤みが残る顔をゆっくりと近付けてくる。

「…バカ」
言葉と一緒に押しつけられる唇。
ふわりと香るシャンプーの匂いが鼻をくすぐる。
ほんの数秒だけの軽いキスだけど、甘くて、幸せな時間。

離れる唇に少し名残惜しさを感じながら
閉じた目をゆっくり開けて、千里の顔をその目に捕らえる。
恥ずかしそうに照れたような表情が見えた。

「素直じゃないなぁ」
そう言って笑うと、千里は真っ赤になって俯いた。
「ほんと可愛いね」
「…そういう事言わないでよ」
ぽかっと肩をグーで叩かれる。
その手を捕まえて止めさせると、今度は晴美が千里に唇を寄せた。

「はる、み?」
「これはお返し」
囁くように言って、千里の唇にちゅっと口付ける。


大好きだって意味を込めて貴女に贈る口付け。
どうか、これからもずっと受け取ってください。




―END―

15あとがき。:2008/04/22(火) 06:39:04 ID:DGbzXR50
相変わらず甘いハルチリでしたがいかがだったでしょうか。
ハルチリ書きさんの人口が多いのであまり偏らないようにと
ハルチリの投下は控えめにしてたのですが
たまにはいいかなと思い投下させてもらいました。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
次はGWのちょっと前くらいに何か投下できたらなと。

16名無しさん@秘密の花園:2008/04/22(火) 23:38:03 ID:S6PyqIeX
GJ。
ハルチリはいいですね〜
17名無しさん@秘密の花園:2008/04/23(水) 00:36:19 ID:qFGy00nr
GJ
ハルチリに偏るのは仕方ないですね
もう材料になる量が違う
18やさしい動物(下):2008/04/23(水) 22:37:39 ID:qUeq29ka
「で、いったいどうしたんですか?」
 私は保健室のベッドの晴美さんに訪ねた。
あの後、晴美さんはすぐに保健室に連れて行かれた。
放課後になってやっと目を覚ましたけど、少し記憶が曖昧になっていて、何故自分が倒れたのか覚えていなかったそうです。
やっぱり誰も真夜さんの犯行とは思わないんでしょうか・・・

「ここ最近、千里が私に構ってくれないの・・・」
頭をしきりに気にしながら晴美さんは言った。
「一度、放課後に2人で一緒にいたところを見たの。
その後から私が話しかけても全然相手してくれないのよ・・・」
「もしかしたら千里さんが晴美さんに愛想をつかしたとか」
すると晴美さんの目がうるうると。
「やっぱり私が悪いのかな・・・」
「す、すいません!私、軽率なことを言ってしまって・・・」
それからだんだんと晴美さんの表情は暗くなっていった。

「な、何が原因なのかな・・・私、千里にいっつも優しくしてたとは思うんだけど・・・」
「例えば、どんなことですか?」
「毎日キスしたり、コスプレさせていろんなことさせたり・・・
 あっ!同人誌作るとき、キャラと一緒のポーズさせてデッサンしたりとかも・・・」
だんだん千里さんが可愛そうに思えてきた。

「告白しそう、っていうのはどういうことなんですか?」
「今日お弁当食べてるとき、何だか2人だけで話しがしたいとか言ってたの・・・
 今日の千里は何だかずっとあびるちゃんの方、ばっかり見てたし・・・
 絶対何かあると思うの!!」
あまりの迫力に、私は少し仰け反った。
「だ、大丈夫ですよ!まだ本当に好きかなんてわからないですし・・・
 もし告白するならもうとっくにしてますよ」
すると一瞬気まずい空気が流れた。
「え・・・今何時・・・」
「ええっと・・・四時半で・・・もう放課後ですけど」
晴美さんの顔色がみるみると変わっていく。
「な、なんで言ってくれないの!そういう大事な事を!!!」
「す、すいません!すいません!すいません!」
するとすぐに晴美さんはベッドから飛び出し、保健室から自慢の脚力で出て行った。
だ、大丈夫でしょうか・・・
19やさしい動物(下):2008/04/23(水) 22:38:41 ID:qUeq29ka
 すぐさま私は保健室から飛び出したのはいいが、肝心の2人が何処にいるのかもわからなかった。
私は一生懸命考えた。
まず告白するところにいいところは何処だろう。
まず人気のあるところはない。まだクラブ活動の生徒達がグラウンドにいるから外は無いだろう。
だったら教室?うーん、考えられなくも無いけどわざわざ教室から人がいなくなるまで待つていうのもね・・・
それなら後は一つしかない。屋上だ。屋上なら人の目にもつかない。
現に私も千里と屋上で色んな・・・って、そんなことを思い出している時間じゃない!
待っててよ、千里!私の嫁!!

 私は今、あびるちゃんと屋上にいる。
ここなら人目にもつかないし、二人だけで話すには最適な場所だろう。
今日一日中、ずっと考えていたけどやっぱり本人に直接話すのが一番、というのが私の考え。
やっぱりこういことはきっちり言って止めさせなければいけないと思う。
それが何より彼女のためだと思う。

「で、話って何かな?」
「じ、実はそのことなんだけど・・・」
いつもはズバズバと言う千里ちゃんだけど、今日は何故か歯切れが悪い。
これはもしかして、もしかしてとはやし立てる自分自身が憎い。
何を根拠に私はこう思っているかはわからない。
確証も無いのに・・・けど何も無かったらこんな所に呼び出さないよね。
やっぱりもしかし「あびるちゃん!!」

「な、何!?」
「そ、その・・・とても言いにくいことなんだけれど・・・」
いやに夕日が眩しい。体が熱い。自分が不安定になる。
それは数秒だったかもしれない。けれど私にとっては何十分にも感じられた。
そして千里ちゃんは私の目を見ていった。
20やさしい動物(下):2008/04/23(水) 22:39:50 ID:qUeq29ka
「あ、あびるちゃん!もうリストカットなんて駄目よ!」
「えぇ・・・へぇ?」
何とも間の抜けた返事をしてしまった。予想外の言葉。
私の期待していた言葉ではなく、意味もわからない言葉だった。
「り、リストカットって、私、そんなの・・・」
「とぼけないで!」
私は彼女の言葉に驚いて背筋が伸びた。
「この前、あなたの手首の傷跡を見たわ。それは何よりもリストカットの傷跡じゃない!」
「ええっと・・・この傷は・・・」
千里ちゃんは私の手を握りながら言った。
「多分家の事情とかでつらいことがあるかもしれない・・・
 けれど生きていくことがつらいなんて思わないで!
 私・・・何かあなたの為にしてあげたいの・・・」
彼女のそう言われるのはとても嬉しいんだけど、何分勘違いをしている。
私はそれから事情を説明した。

「へ?動物に引っ掛かれた傷跡!?」
「そうよ。だから私が別に自傷癖があるとかじゃないの」
私はその言葉を聞いて安心した反面、とても恥ずかしい思い違いをしていたことが恥ずかしくなった。
それはあびるちゃんはしっかりしている子だけれど、あんな傷を見せられたら誰でも勘違いをしてしまうわよね。
まあ何はともあれ、何も無くてよかったと胸を撫で下ろした。
21やさしい動物(下):2008/04/23(水) 22:41:16 ID:qUeq29ka
「なんだ、私の思い違いだったの・・・」
「けど、千里ちゃんがそこまで私のことを考えてくれたことを知れて私はとても嬉しいよ」
千里ちゃんはすこし赤くなった。
「それじゃあ私、帰るわよ。晴美の様子も気になるし」
その言葉に私は少しむっとした。何も今ここで晴美ちゃんの名前を出さなくてもいいじゃない。
その時、私はさっきの千里ちゃんの言葉を思い出した。
「ねえ千里ちゃん」
「何?」

「さっき私に何かしてあげたいって言ったくれたよね」
「ま、まあね」
「一つだけお願いがあるの」
そう言うと彼女は私に近づいていった。
「キスしてほしい」
「え・・・」
予想外の台詞だった。彼女の為に何かしてあげたいと思っていたの本心だったけど、
まさかキスを要求されるとは思っていなかった。
「だ!駄目よ!そんなの、だって・・・私たち・・・」
「晴美ちゃんとはいつもしてるのに?」
な、何で知ってるのよ!そんなこと!
「一度だけ・・・ね・・・」
「ちょ、ちょっと待って!」
あびるちゃんの力は予想以上に強く、私は抱きつかれたまま逃げられなかった。
「千里ちゃん〜」
「う、うそ・・・」

私が屋上の扉を開けたとき、2人は抱き合ってキスしてた。
長い間じゃなかったと思うけど、私にとっては長く感じられた。
頭が真っ白になるっていうのはこういう感じなんだな。
22やさしい動物(下):2008/04/23(水) 22:41:47 ID:qUeq29ka
「千里!!」
私たちはその言葉に飛び上がりそうになった。扉の前には怖い顔をした晴美ちゃんが立っていた。
そうして力強く一歩ずつずかずかと歩いてきた。
「2人で何してたの・・・」
「い、いや・・・そ、その・・・これは・・・あびるちゃんが・・・」
それから晴美ちゃんの目から一つ、一つと涙がこぼれてきた。
「やっぱり私よりもあびるちゃんが・・・」
「ち、違うのよ!これには深い訳があって・・・
 って、あびるちゃんも何とか言って!」
私は晴美ちゃんが不憫にも感じながら、少しだけ優越感を覚えてしまった。
それから私は2人を後にして立ち去っていった。
「ちょっと、あびるちゃん!何処いくの!」
「じゃあ、また明日ね」
「ま、待って!って、晴美!離しなさい!」
「千里は私のことが嫌いに・・・」
「だから違うって!!」
騒がしくなった屋上を後にする。ああ夕日は眩しいな・・・
23名無しさん@秘密の花園:2008/04/23(水) 22:44:54 ID:qUeq29ka
ちょっと上下で時間が空いてしまいました。
う〜ん、予想以上にあびるが黒くなってしまった。
前のまとハルもそうですけれど、もっとやわらかくしたかったんですけど
どっちも略奪愛みたいな感じになってしまいました・・・
う〜ん・・・難点・・・
24名無しさん@秘密の花園:2008/04/23(水) 23:27:12 ID:qFGy00nr
下、まだかなあと思ってたら別の書いてたんですかw
贅沢な話ですがまた続きが欲しくなる終わり方ですGJ
25名無しさん@秘密の花園:2008/04/24(木) 02:07:58 ID:KkjkOhk5
前スレで容量オーバーしたので重複して投下します。
すみません。
26普通の出来事1:2008/04/24(木) 02:08:36 ID:KkjkOhk5
「あれ、奈美ちゃん?」
 コンビニの店内の雑誌棚の前、私が漫画雑誌を立ち読みしていると突然聞き
覚えのある声がした。学校ではいつものように先生を原因とした大騒ぎがあり、
ちょっと疲れて家に帰る途中、一人でのんびり寄り道するのもいつもの楽しみ
だった。
 かなり慌てて手にしていた雑誌を棚に戻した。心の準備ができていなかった上
に、はっきり人に言ったことはないけれど、声の主がクラスの友達の中では一番
苦手としている風浦さんだったからだ。
 「風浦さん? 帰り道ってこっちの方だったっけ?」
 「ちょっと買うものがあってこっちにきたんだよ」
 風浦さんの手にはちょっと大き目の紙袋が握られている。何が入っているのか
良くわからなかったし、何を買ったか聞くのも怖い気がした。
 「良かったお茶でも飲んでいこっか」
 「うん、いいよ」
 口ではこう答えたものの、内心はかなり億劫だった。誰か他に友達がいればそう
でもないのだが、二人きりで話すのはなんだか気が進まなかった。
 風浦さんとは、今のクラスでは一番古い友達ということになる。と言っても幼稚
園が一緒だっただけで、小学校・中学校と別々に来て、高校でまた一緒になったの
で、ずいぶん間が空いた「古い友達」ではあるのだけれど。さらに高校での彼女か
つて幼稚園の時に一緒だった赤木さんと同一人物であることに気づくのにも時間が
掛かった。何故名前が違っているのかも調べていないし、理由を聞いたこともない。
 避けているのだ。否定しようもなく。あの幼稚園の一件があった後に。仲が悪い
というわけでもないし、クラスでは普通に話す。でも私の中ではどこか警戒する対
象であり、誰かを交えず、二人で話すことはほとんどなかった。
27普通の出来事2:2008/04/24(木) 02:09:15 ID:KkjkOhk5
 小石川区のこの辺りは、まだ古い商店街が生き残っている。小さい頃から知って
いる喫茶店に入り、ミルクティーを飲みながらおしゃべりをした。
 「奈美ちゃんはどうして登校拒否だったの?」
 「えっ」
 クラスのことや先生のことについて他愛無い話をしばらくしたあと、突然風浦さ
んが聞いてきた。

 ずいぶん言いづらいことを聞いてくれるなあ、そう思った。このことはクラスのみ
んなも触れないでいてくれていることなのだ。絶望先生のクラスとしては珍しく、と
でもいうのか、そういう気遣いをみんながしてくれているのが確かに感じられる。そ
れには感謝しているところがあった。
 一瞬言葉に詰まったが、風浦さんの表情には困らせてやろうとか、意地悪をするよ
うなところはまったく見られなかった。本当に純粋に知りたがっているようにしか見
えない。きっと悪意はないんだろう。天然だもんね、しょうがない。仕方なく話しだ
した。
 「高校一年の頃はなんとか学校に来ていたんだけど、クラスも担任も合わなくて、
  春休みが開けてから急に学校に行きたくなくなったのよね」
 誰もかまってくれなかったし、という言葉が喉まで出かかったが、なんとか押さえ
込んだ。それはちょっとみじめ過ぎる。誰も心配して家に来てくれないことについて
文句を言いに行ったのも今ではかなり恥ずかしい思い出だ。
 「でも奈美ちゃんは自分から登校するようになったんだよね、偉いよね」
 「うん、まあ」
28普通の出来事3:2008/04/24(木) 02:09:45 ID:KkjkOhk5
 正直言って自分から登校した日は、登校する気になったどころか、逆にうちのめさ
れて家に逃げ帰るはめになったのだ。あれで登校する気になったのが不思議だが、と
にかくその後学校に来るようになったのは確かだった。
 「不思議よね。先生もみんなも(特に風浦さんだ)サポートしてるというより、怖
がらされた気さえするけど、学校には来る気になったんだよなあ」
 正直に喋ってしまった。正直すぎるのかもしれないけど。
 「そうねえ、奈美ちゃんが偉いのもあるし、きっと先生も先生なりに奈美ちゃんが
学校に来やすいように考えてくれたんだと思うよ」
 「そうかなあ?」
 そうは言ったものの、確かに風浦さんの言う通りかもしれないとは思う。今でも先
生には良くからかわれるけど、こっちも言いかえせるような、友達みたいな楽しいと
ころがある。
 「まあ、確かに今は学校来るのは楽しいわね。風浦さんたちと一緒のクラスは楽し
  いし」
 これは本心のつもりだ。でも風浦さんは私の目をじっと見つめて言った。
 「でも奈美ちゃん、私のこと避けているときないかなあ」
 「え、そんなことないよ。いつも仲良くしてるじゃない?
 ぎくりとしたが、何とか平静を装って答えた。そんな態度を見せたことはないはず
だが、それにもしそんな態度が現れていたとしても、そんな風に言う必要はないんじ
ゃないか・・・。
 「うーん、私の考えすぎかなあ」
 風浦さんの目からさっき一瞬浮かんだ奇妙な色が消えて、またいつもの純真そうな、
悪意の感じられない表情に戻った。
 「私ってほら、人見知り激しいし、そう思わせちゃうところがあったのかも」
 おかしいと思いながらも、なんだか言い訳がましいことを言ってしまう。
 「こんど奈美ちゃんの家に遊びに行っていい?」
 「え、いいけど。私の家に来て面白いかな? 散らかってるし」
 「それは別にいいよ」
 「うん、じゃあいいよ、いつにする?」
 「土曜日とかどうかな?」
 土曜日は家族もちょうど出かけている日だ。そっちの方がなんか気楽だ。
 「いいよ、土曜日で、家の場所わかる?」
 とうとう彼女が遊びにくることになってしまった。

つづく
29名無しさん@秘密の花園:2008/04/24(木) 12:16:12 ID:K8UUjpQ2
お、普通キターw
これは続き楽しみだなぁ。
期待してます。
30名無しさん@秘密の花園:2008/04/24(木) 20:14:45 ID:Jp9lwl4/
逃げてー!なみへい 逃げてー!やっぱ逃げないでー!
あびちりはる様もGJ
31名無しさん@秘密の花園:2008/04/25(金) 16:25:36 ID:kJuPCvrL
何をどう間違えたらこんなカップリングになるかわかりませんが
出来てしまったので、投下いかせてもらいます。

今回はこのスレでもまだ出ていないかと思う
ハルチリ前提のあびる→晴美×あびるのえろです。
(あび晴はちらほら聞くんですけどね…)
お昼間っからはれんちな!と自分でも思いますが
そこまで露骨な表現はしてないはずので…

よろしければしばしお付き合い下さい。

32Bleeding Luv:2008/04/25(金) 16:31:11 ID:kJuPCvrL
正直なところを言うと『嫌い』な人だった。
飄々とした態度といい、どこか圧迫感を与えてくる態度といい
苦手、というレベルは超えているなと自覚もしていた。

だが実のところは違っていたのだ。


チャイムが鳴り、生徒達が帰っていく中
晴美は席を立たずに、文庫本を真剣に読み耽っている。
そんな晴美を遠くからあびるが睨み付けた。
今日は自分が日直なので最後の戸締りをしなくてはならなかったのだが
晴美が教室に居座ってるせいで、それも叶わない。

しばらくの間様子を伺っていたが
それでも動こうとしない晴美にしびれを切らして
あびるはつかつかと晴美の席へ詰め寄った。

「ねぇ」
少し威圧を含んだ低い声に、晴美はふいと顔を上げる。
「まだ終わらないの?」
そう言ってあびるは晴美の読んでる本を指差した。

「あぁ…邪魔だった?」
さもわざとらしく答える晴美にあびるは心を苛立たせる。

「うん、早く出てって欲しいとは思う」
あびるのストレートな言葉に晴美はぱたりと本を閉じた。
「あびるちゃんてさ」
何?と顔を向けると、晴美はにっこりと笑った。


「綺麗だよね」


もっと攻撃的な言葉でも飛んでくるのじゃないかと思っていただけに
何の脈絡もない言葉にあびるは拍子抜けしてしまった。
と思えれば何の問題もなかったはずなのだ。

「それはどうも」
あびるが目を合わさずに言ってのけると
晴美はふむと1人頷きがたん、と椅子を立った。

ようやく帰るのかと思いきや
晴美は荷物をまとめる事をせずに、あびるとの距離を詰める。
そしてあびるの顔を覗き込むようにして眺めた。
その行動に恐怖というよりも、どこか恥ずかしさを感じて
あびるはその場から一歩退く。
33Bleeding Luv:2008/04/25(金) 16:36:38 ID:kJuPCvrL
「動揺した?」
「…どうして?」
なるべく身体を離しながら答える。
晴美は何かを知っているような表情をしていた。

「あくまで知らない振りするんだね」
そう言うとあびるの肩をぐっと掴まえて引いた。
「っ…!?」
そのせいでバランスを崩し
倒れそうになったあびるを晴美が受け止める。
そしてゆっくりと抱きしめた。

「何、してるの、よ」
「あびるちゃんが望んでる事してあげようかなって」
晴美の声が頭へと響く。

「何、言って…」
急いで身体を離して、体勢を整えようとしたが
身体を離した瞬間、今度は目の前が暗くなる。
正確には暗くなったのではなくて、視界を遮られたという方が正しかった。

遮られた視界と引き換えに唇に濡れた感触。
冷静に考えなくても、答えはひとつ。
突然の事に固まるしか出来ないあびるを良い事に
晴美は下唇をちゅっと吸い上げた。

ぴくりとあびるの身体が強張ったかと思えば
どんという衝撃が晴美の身体に伝わってくる。
晴美を弾いたあびるはきっ、と晴美を睨み付けた。

「な、にするの」
「あびるちゃんが素直じゃないからさ」
そう言って晴美はあびるの腕を掴まえた。

「…離して」
「嫌だと言ったら?」
まるで嫌がらせだとあびるは思った。
相手にせずにさっさとここを離れた方がよさそうだと思ったが
晴美の腕は振ってほどけるものでもなさそうだ。

「何がしたいの」
「何がと言われても色々あるからね」
晴美の言葉の意味がわからずに、あびるは眉間に皺を寄せる。

にやりと笑った晴美の次の言葉が
あびるの頭に、心に、身体に大きな衝撃を与えた。
34Bleeding Luv:2008/04/25(金) 16:41:54 ID:kJuPCvrL
「あびるちゃんってさ」


好きな人いるの?


その言葉があびるの動き、思考、言葉、全てを止めた。
どうしてだろう、胸がずきりと痛む感覚に息が苦しい。

「…いないけど」
そう言って足元を見つめると
晴美はにやにやと笑みを浮かべ、あびるの顔を覗き込むように見た。

「へぇー、そうなんだー?」
「・・・何が言いたいの?」
「べっつにー」
晴美の態度が癪に障って仕方ない。
イライラが胸を支配していく感覚の片隅で、どこか妙な違和感を感じていた。

「あびるちゃんてさ、ポーカーフェイスだと思ってたけどそうでもないね」
「どういう意味?」
あ、気付いてないんだ。と言ってから
晴美が掴まえていた腕を離すと素早く手首を掴み直す。
その行動に気をとられていると、再び唇が重ねられた。

「ん…っ!」
先程のキスはまだ遠慮が多少含まれていたが
今回は無理矢理奪うようなものだった。
口の中を這い回る感覚に、背筋がぞくぞくとする。
中をひとしきり味わわれた後、ようやく開放されたが
手首は相変わらず捕まれたままだった。

「今度は突き飛ばさなかったね」
ぺろりと舌を出した晴美は目を細めながらあびるを見た。
まぁ突き飛ばしても手首は離さないけどさ。
しれっと言ってのける晴美を目の前に
はぁ、と深い溜め息を吐いたあびるだが目線を合わせようとはしない。

「何の、つもりな、の」
「さぁね」
ぐいと手首を引っ張るとあびるの身体は晴美へ吸い寄せられる。

「やめ、てよ」
「言葉の割には、そうでもなさそうだけどなぁ?」
晴美の言葉に、あびるは胸がずきりと痛むのを感じる。
35Bleeding Luv:2008/04/25(金) 16:44:46 ID:kJuPCvrL
「な、にを」
あびるの言葉を待たずして、晴美がスカーフを抜き取った。
しゅるりと音を立てて外されたスカーフを片手に晴美は笑みを浮かべる。

その視線にあびるの背筋が凍りついた。
直感的というか、本能的というか、
あびるは自分の身に危機が迫っている事を感じ取った。

その場から逃げ出す事は可能だった、と思う。
しかし身体がそれを許さなかった。
晴美のその笑みを見つめたまま、凍ったように動けなかったから。

「どうしたの?」
くつくつと笑う晴美に息を呑む。
あ、と小さく声を上げたが、それは否定でも拒否でもなかった。

「ねぇ、あびるちゃん」
眼鏡の奥で細められた目にぎらぎらした光が宿っている。
顔が近付いてもう一度口付けられた時、頭の中の回路がぷつりと切れた。
晴美が手首を開放したにも関わらず、あびるは逃げようとしなかった。

「本当は、そうなんでしょ」

自分の中に侵入してくる舌に快感を覚え
囁かれる言葉に身体を震わせ
這い回る指に身体の芯を熱くさせて

もう自我は取り去られてしまい
残ったのは、心の奥深くにしまった感情。

「…っ…あ…」
晴美の指は的確にあびるを溺れさせていく。
身体の上を行ったり来たりする指は優しくて
今まで晴美に抱いていた嫌悪なんてものを全く感じなかった。

「あびるちゃん」
晴美が名前を呼ぶ度に、身体が熱くなる。
彼女の声ですら自分を高ぶらせる手段へと変わっていた。
するり、と撫で上げられる感覚がたまらなく心地良い。

「だ、め…あな、たには…ち、りちゃ、んが…」
「じゃあここでやめちゃう?」
晴美の細い指が、快楽を欲しがっているそこに触れて
あびるの身体がびくんと跳ねた。
36Bleeding Luv:2008/04/25(金) 16:48:44 ID:kJuPCvrL
「やぁっ…」
「それはどっちのやだ?」
反応を楽しむように晴美の指はあびるを焦らしていく。

「ど、して…こんな…ぁ…」
「それをわかってるのはあびるちゃんの方だと思うんだけど?」
くちくち、と鳴る音がぎりぎりを保っている自分を狂わせていく。


あたしはこの人が嫌いだったはずなのに。
どうしてこんな事されて、喜んでるの?


「な、ん…っあ…ん…」
「だって、あびるちゃん、あたしの事」
ぐっと押し拡げられたそこが晴美の指を飲み込んだ。

「っあ!?」
ゆっくりと確実に奥まで進む指。
確かめるように内壁を擦る感覚にあびるはどうにかなってしまいそうだった。

「力抜いて」
窮屈そうに晴美の指を飲み込んだそこを少しずつほぐしていく。
「んんっ!…やぁ…っ…」
ふるふると首を振って拒否を示してみるももう遅かった。
身体は確実に晴美を受け入れ、今更止めるなんて出来ない。


あびるちゃんは あたしの事 好きなんでしょ?


その言葉を聞いてあびるは晴美を見た。
晴美はふっと微笑みながら、指を更に奥へと進める。
進められた指にびくりと身体を震わせると、晴美が顔を近付けてくる。

「ねぇ?」
「んんっ…あ…ぁ…」
近付いてきた顔にあびるは自ら求めるように唇を重ねた。
晴美の首に腕を回して、その身体にぎゅうとしがみ付く。

何度も何度も
角度を変えて繰り返す口付けに、更に意識は朦朧としてきた。
37Bleeding Luv:2008/04/25(金) 16:55:11 ID:kJuPCvrL
「ねぇ、あたしの事好き?」
「ぁ…すき…っ…ん…」
今まで抱いていた感情とは全く別の感情が言葉になる。

「ほらやっぱり」
好きなんじゃない、と言って晴美は耳たぶに軽く噛み付く。
中で動かされる指があびるをどうしようもない気持ちにさせる。
快楽と開放感が入り混じった感覚に、あびるは完全に理性を手放した。

「もっ、だ、め…っ!」
限界の近いあびるの声を聞いて晴美は顔を上げると
あびるの顔をじっと見つめた。
「いいよ、ちゃんと見てるから」
自分の最後の瞬間を見られる恥ずかしさはあったのかもしれないが
この際そんな事はどうでもよかった。

掻き回される指に支配された身体はすっかり晴美の言い成りになり
導かれるままに上り詰めさせられて、そのままがくりと力が抜けた。
まだ余韻の残る身体はその場所を軽くなぞられて、ぴくりと跳ねる。

「やっぱり、綺麗だ」
うっすらと目を開けると、どこか嬉しそうに微笑む晴美の姿が見える。
「な、に…?」
熱を帯びた身体が思考回路を焦がしているみたいで
意識が朦朧としていた。

「あびるちゃん、すごく綺麗だよ」
そう言って笑う晴美をぼんやりと眺めながら
不道徳な行為だと思ったが
それ以上に自分の中で組み直された晴美への想いが
それをかき消してしまっていた。

晴美を好きだと思っていた気持ちを
どうにかして押し殺そうとしまい込んでいたはずなのに
いとも簡単に引っ張り出され、白日の下に晒されてしまった。
暴かれた自分の本心と、晴美の彼女である千里に対する罪悪感がせめぎ合い
あびるの頭と心がいっぱいになった。
しかしふわりと頭を撫でられる感覚がそれをも緩和していく。

あぁ、どうやっても、私はこの人には敵わない。
晴美に優しく抱かれながら、そんな事を思い浮かべ意識を手放した。



―END―

38あとがき。:2008/04/25(金) 17:02:18 ID:kJuPCvrL
大人の時間に投下すべきものをお昼の時間に投下した自分を
どうぞ罵ってやってください!ええ、がんがんに。

ええと、いつもならハルチリ前提のあび千里とか書く事が多かったんですが
もしも千里ではなく藤吉の方を好きだったとしたら?というパターンの三角関係です。
こっちの方が心理描写的にあびるの苦悩が書きやすいなと思いました。
(あび千里の場合のあびるは藤吉に遠慮ないところがあるので…)

このカプを書くのは実は2本目だったりするのですが正直1本目と被ってる気がします。
が、ここはスルーライフします、自分の中で。

こんなトンでもマイナーカップリングでしたが
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
次回もまたよろしくお願いします。
39名無しさん@秘密の花園:2008/04/25(金) 19:20:41 ID:ljj4gs/C
新作GJ!
マイナーなだけに逆に新鮮でした。
個人的にはカフカエ並に来そう。

ていうかタイトルw
よりによってそれですかw
40名無しさん@秘密の花園:2008/04/25(金) 20:40:32 ID:BeXMO709
晴美さんの色狂い!
これは千里との関係に刺激を与えようとしてるんでしょうか
むしろ千里を守るための牽制だったりするんでしょうか
それともただの欲でしょうか、藤吉さん?
千里がかわいそう、バレちゃえ
41名無しさん@秘密の花園:2008/04/27(日) 16:13:32 ID:hzpZPVQ9
倫×千里
(はしりだけ)


「ちょ、ちょっと倫ちゃん。どこ触ってるんですか?
人の胸を触らないで下さい。」
「ほう、これがおっぱいだと申すか。
あまりにも膨らみがないので洗濯板かと思いましたわ。」
「…なっ、確に倫ちゃんに比べたら、膨らみはありませんけど。
洗濯板じゃないことが判ったんなら、その手をどけて下さい…、
…ちょ、…ちょっとどういう…つも…り…」
「ふむ、どういうつもりかとな?
それはお主が一番知っておろう。
普段からおにいさまをだぶらかす売女に
お仕置きをと思うてのう。」
42名無しさん@秘密の花園:2008/04/27(日) 16:35:15 ID:C+wEDKMO
千里の敬語も倫の古風過ぎる話し方も不自然だ
がんばれ
43名無しさん@秘密の花園:2008/04/27(日) 19:04:09 ID:OndUCxwg
倫に喋らすのって難しいよね
生徒になってからも基本的に先生と話してて、同世代の会話のサンプルが少ないから

このシチュエーションは好み、できれば続けて欲しい
44名無しさん@秘密の花園:2008/04/27(日) 19:05:21 ID:5mZVptDT
オールキャラ。ジャンルは・・・なんだ、ほのぼの?
よく出ているカップリングを集めました。
そんなにマニアックなのはないと思いますが、真夜愛は趣味ですよ!
っていうかもっと普及しないかな・・・本当に。
45名無しさん@秘密の花園:2008/04/27(日) 19:06:13 ID:5mZVptDT
 今日何度目かのチャイムの音を聞く。
窓の外は晴天、空は真っ青。豊かな時間、穏やかな日。
本当に当たり前のような一日で、普通の・・・って普通って言うな!

 授業が終わった後の休憩時間。勉強が好きではない私にとって、休み時間は至福の時。
皆くだらない話をしあったり、眠ったり、本を読んだり。
それが普通の休み時間で、普通の学校風景。
だけど最近、どうも私たちのクラス、2のへ組は少しおかしい。
 一年生のときはクラスにカップルというものが2,3組はあった。
彼らは自由な時間になると2人で大衆の目もはばからずにいちゃつきだした。
それは仕方ないと思いつつも、うっとおしく見えて、ちょっぴり羨ましかったり。

 さて今この状況をどう説明しようか。
確かに前に比べてカップルは増えている。
だけど肝心なのはそこではない。皆「女の子同士」ということである。
46名無しさん@秘密の花園:2008/04/27(日) 19:06:38 ID:5mZVptDT
「千里ぃ〜寂しかったよ〜」
「何よ、うっとおしいわね」
あそこに見えるのは木津千里ちゃんと藤吉晴美ちゃん。
2人共幼馴染で仲がいいのは知っている。
けどここ最近の2人の仲がどうにも怪しい。
まるで恋人のようだ。

「寂しいって、同じクラスじゃない」
「私は常に千里に触れていなくちゃ駄目なの・・・」
そう言いながら晴美は千里の首下に抱きつく。
(おい、おい、顔が近いぞ二人とも・・・)

「まったく、何バカなこと言ってるのよ・・・」
「とか何とか言って、千里も寂しかったんじゃない?」
「なっ!ば、バカ・・・!」
千里ちゃんは耳の先まで赤くなった。
「あれ?図星・・・?」
「う、うるさいっ!とっとと離れなさいよ!」
「ふふふ・・・やっぱり千里は可愛いね〜」
(まったく、2人ともお熱いことで・・・)
47名無しさん@秘密の花園:2008/04/27(日) 19:07:01 ID:5mZVptDT
 あっちにいるのは風浦可符香ちゃんと木村カエレちゃん。
何だか2人でいるところをよく見かける。
う〜ん、怪しい・・・

「い、痛い・・・」
「どうしたの、いったい?」
可符香には珍しく困ったような顔をしている。
「いや〜さっき舌を噛んじゃいまして・・・」
「まったく。何してるのよ」
あきれたような顔をするカエレ。
・ ・・・・・・・・・・
「あれ?こういう時は私が怪我したところ舐めてあげる、とか言ってくれないんですか?」
「な・・な・・・何言ってるのよ!う、訴えるわよ!!」
「またまた〜そんなこと言って〜。私は全然構わないですよ。さあ早く!」
そういいながら可符香は目を瞑りカエレを待った。
恥ずかしさのあまり、赤面のカエレは教室から出て行こうとした。
「もう相手にしてられないわよっ!」
「ま、待ってください〜カエレちゃん〜」
(何だか見てる方が恥ずかしくなってきた・・・)
48私は一人で考え中:2008/04/27(日) 19:07:58 ID:5mZVptDT
ふう、何だか説明するのにも疲れてきた。
・ ・・であそこには小森霧ちゃんと常月まといちゃん。
霧ちゃんは保健室にいたし、まといちゃんはいつも先生にべったりだった。
だけど最近になって2人とも教室にいることが多い。
2人とも!先生のことはどうした!

「霧ちゃん・・・手、冷たいね・・・」
「そう?」
まといは後ろから絡ませるように霧の手をとって握っている。
「まといちゃんは、温かいね」
「そう?ありがとう」
すると霧は振り返ってまといに抱きついた。
「じゃあ・・・私の全部温めて・・・」
「ふふふ・・・いいわよ、ずっと抱きしめてあげる」
2人とも満面の笑みで抱き合ったいる。
(見ている方が熱くなりそうだ)
49私は一人で考え中:2008/04/27(日) 19:11:56 ID:5mZVptDT
えっと、次は誰だ。
そうそう小節あびるちゃんと音無芽留ちゃんだ。
基本的に2人とも静かだ。

あびるは芽留の可愛らしいツインテールをぐりぐりと動かしている。
あびるは楽しそうだが、芽留は迷惑そうな表情をしている。
『おい、止めろ』
軽くメールの目を通すが、その後は何も無かったようにスルー。
『止めろつってんだろうが!ボケ!』
またもやスルーするあびる。
『しつこいぞ コラ』
その時、あびるはあることを考え付いた。
「もし今メールの電源を切ったら、私たちの会話は成り立たなくなるのね」
突然の言葉に芽留はその質問の意図を読みきれなかった。
ピッ、という電子音と共にあびるの携帯は沈黙した。
そして芽留の顔に近づいてあびるは不適に笑った。
「もし今キスしても芽留ちゃんは嫌とは言えないのね」
青ざめた芽留は教室からすばやく立ち去った。
「あ、待って!」
あびるもすばやく後を追うために教室から出て行った。
(何があったんだろう・・・?)
50私は一人で考え中:2008/04/27(日) 19:12:23 ID:5mZVptDT
 ええっと・・・それから・・・
あっちの2人は加賀愛ちゃんと三珠真夜ちゃん。
完全に2人とも性格が違うんですけど、仲がいいです。
う〜ん、合わないと思ってたんだけど・・・

「どうしたの・・・それ・・・」
「えっ?ああ、これですか?」
真夜は愛の指に巻かれた絆創膏を指差した。
「昨日、料理している時に切ってしまいまして・・・」
愛は最近毎日、真夜の為にお弁当を作っている。
「私の・・・せい・・?」
「ち、違います!違います!私がただドジなだけで、全然真夜さんのせいじゃ・・・」
それから真夜は愛の手を持ち、絆創膏を剥がした。
「な、何をするんですか・・・」
「私のせいで・・・愛にばい菌が入ったら・・・大変・・・」
そういって、愛の指をパクリ。
「ま・・・真夜さん!な、何をするんですか!」
「動かないで・・・」
それから愛の顔を沸騰寸前で、なおかつ放心状態だった。
真夜は愛に構わず、指をなめ続けた。
(愛ちゃん、愛ちゃん・・・顔真っ赤っ赤だよ!)
51私は一人で考え中:2008/04/27(日) 19:13:57 ID:5mZVptDT
がくっ。私は机に突っ伏した。
さて、この教室の異質は何て説明しようか。
普通おかしいよ、女の子同士でいちゃつくなんて。
それはスキンシップくらいならわかるけど、皆いきすぎじゃないの?
何だか一人だけの私が異質な気がしてきた・・・
まてまてまて、私はいたって普通だぞ!って、普通って言ったら駄目じゃん。
・・・・皆ちょっとうらやましいな・・・

「オイ、どうした!暗い顔シテ」
「ああ、マ太郎・・・」
私の目の前にいるのは関内・マリア・太郎。通称マ太郎。
本当に元気一杯な子だ。
「いや・・・ねえ、マ太郎、私って普通だよね?」
「そうだヨ!奈美は至って普通だヨ!」
いや・・・そんなにはっきり言われると・・・
「何だか皆、2人っきりでいるからさ。
 私が一人でいるのが、変に思えてきたというか、寂しいというか・・・」
すると珍しくマ太郎が頭を悩ました表情をした。
そして大きな豆電球。
「ナルホド!奈美も結婚したいんダナ!」
「け、結婚って・・・どこで聞いたのよ、そんなこと・・・」
「可符香ダヨ!」
まったく、いらないことばっかり教えて・・・
「仕方がなイ!マリアと結婚スル!」
「ち、ちょっと・・・何をいきなり」
「奈美は嫌なのか・・・マリアと結婚するノ・・・」
マ太郎は寂しそうな顔をした。
滅多に見ないそんな表情・・・か、可愛い・・・
「わかった、わかった。いいわよ、結婚でもなんでも」
「ソウカ!ヨカッタ、ヨカッタ!」
そういうと、マ太郎の顔がぱーっと明るくなった。
やっぱり彼女はそういう表情が良く似合う。
「それじゃあ、結婚するゾ!」
「はいはい、どうぞどうぞ」
そう言うと、マ太郎の顔が私に近づいて、唇を・・・・
私は反射的にマ太郎のキスを避けた。
「ちょ、ちょっと!待って!何でキスなんか」
「だって結婚するときはキスをするって可符香が言ってたヨ!」
「だからって・・・それは駄目!」
そういうって、私はマ太郎から逃げた。
後ろを振り向くと凄い速さでマ太郎が追いかけてきた。
「奈美〜待テ〜」
追いかけられながら、こんなことも楽しいなと思ってしまう私であった。
おわり。


って、止めろ〜マ太郎!本当に駄目だってぇ・・・うっ!
52名無しさん@秘密の花園:2008/04/27(日) 19:16:55 ID:5mZVptDT
タイトルを入れ忘れた箇所がありました。すいません。
もっとCP入れたかったんですが・・・・
倫、大草さん、ごめん!
53名無しさん@秘密の花園:2008/04/27(日) 19:38:24 ID:wkpBeywG
すごい空間だw
面白かったです!GJ!
54名無しさん@秘密の花園:2008/04/27(日) 22:55:00 ID:OndUCxwg
無法地帯w
男子の方が耐えられませんね、この空気
55名無しさん@秘密の花園:2008/04/28(月) 20:33:49 ID:GHbsW/tj
GWまで投下しないつもりだったんですが
個人的に嬉しい事があったので、勢いで書いてしまいました。
(その嬉しい事とSSは正直関係ない気がしますが、スルーライフで。
タイトルでわかる人はわかるかも、常駐万歳!)

今回はハルチリの甘えろです。
えろ2連続投下とかなんてはれんちな自分自重。
それでもよろしければしばしの間お付き合いください。

56UNLIMITED:2008/04/28(月) 20:38:32 ID:GHbsW/tj
理由もなく無性に会いたくなる時ってあるよね。
そういう時我慢するか、会いに行っちゃうかはその人の性格にもよるけど
やっぱ会いたいって思った気持ちを無しにしちゃうのは勿体ないって思うんだよね。


そう笑いながら言ってのける晴美を千里がじぃと睨み付けた。

「…で?」
「だから会いに来ちゃいましたー」
あははは、と笑いながら言う晴美を見て、千里は眉間に皺を寄せる。

「…何しに来たのよ」
「だーかーらー、千里に会いたかったからだってばー」
そう言って晴美はにこやかに笑った。

「会いたかったって、今何時だと思ってんのよ」
携帯の表示はもうすぐ日付の変わりを告げようとしている。
「…ごめん」
しゅんとうなだれる姿が可愛くて思わずどきっとしてしまった。
「まぁ、そんな風に思ってくれるのは嬉しいんだけど」
たまにちょっと強引だったりするのは少し考えものだと思う。

「ごめんね?」
ふわりと頭を撫でられる。
優しい手。
そんな風に言われたら許すしかないでしょう。
いっつも、いっつもそうやってごまかして本当にずるい。

頭を撫でていた手が徐々に下りてきて、頬の辺りに添えられた。
ん、と声を上げると嬉しそうに目を細める。
そのまま顔が近付いて…って、何しようとしてるのよ。
はっと我に返って手を振り払う。

「何しようとしてるのよ」
「え?キス、とか?」
いくら夜といっても、ここ外なんだけど。
しかもとかって何よ、とかって。
そんな事を思いながら千里が晴美を睨む。
しかし晴美の方は全く気にしていないようだった。
57UNLIMITED:2008/04/28(月) 20:42:37 ID:GHbsW/tj
「なんで嫌がるのー」
むしろ拒否された事に少々不機嫌になってるらしい。

「ここどこだと思ってるのよ!」
「ん?千里のマンションの下」
確かにその通りなのだがそういう問題ではない。

「外でそういう事して、誰かが見てたらどうするのよ!」
こんな時間だから人はほとんど通らないが
それでも見られる可能性はあるわけで。
その言葉に晴美は少し考え込んだ後、千里の手を掴まえた。

「晴美?」
不思議に思う千里にお構いなしに晴美はその手を引いて歩き出した。

「ちょっと!どこ行くのよ!」
千里が声を上げるが晴美は全く聞こえないかのように千里を連れて歩いていく。
迷うことなくエレベーターを使い、屋上へと千里を連れて行った。
そのまま千里の手を引いて、重い鉄の扉を開く。
夜の風が少し上昇した体温を冷やしていく。

「ちょっと!」
ようやく千里が晴美から腕を振り払う事が出来た。
その動きに晴美はお、と声を上げて振り払われた手を見つめる。

「こんなところに連れてきてどういうつもりよ!」
「だって千里が人に見られるかもしれないって言うから」
しれっと言ってのける晴美に千里はものすごく嫌な予感を感じた。

まさか…

「ここなら誰も来ないよね」
「っ!?」
千里の嫌な予感は見事に的中した。
特に悪びれた様子もない晴美は目の前でにっこりと笑っている。

「誰も見てないならいいんでしょ?」
「そういう問題じゃな」
抗議の言葉を言い終わる前に晴美が千里を壁へと押し付けた。
58UNLIMITED:2008/04/28(月) 20:49:37 ID:GHbsW/tj
「ちょっ…」
「ダメ、もう止まんない」
不意に晴美の顔が近付いて唇を強引に奪われる。

「ん…!」
いきなり入ってくる舌に良いように口の中を撫で回された。
「んっ、は…」
だんだんと忙しなく動く舌に息が苦しくなってくる。

ぎゅうと晴美の服を掴まえて何とか解放してもらおうとするも
その動きに逆に火を点けてしまい
激しさの中にも優しさの在るその動きに千里はすっかりと翻弄されてしまった。

「は…っ…」
口端から漏れる苦しそうな吐息に気付いて晴美はようやく千里を解放する。
はぁはぁと肩で息をしながら千里は晴美へともたれ掛かった。

「こん、なの…っ…」
「誰も来ない場所ならいーんでしょ?」
そう言って晴美は耳たぶを軽く噛む。
びくんと千里の身体が震えた。

「やっ…うち、に寄って、けば…」
「家の人に迷惑かかるでしょ?」
だって、千里えっちな声いっぱい出しちゃうもんねぇ。
なんてからかうように言われて、千里の身体が熱くなる。

「だから…ってこ、んな…とこ、で…」
「ここならちょっとくらいおっきい声出ても大丈夫だから」
そう言って千里の服の裾から手を入れた。
そのひやりとした手に驚き、千里が身を捩って逃れようとしたが晴美はそれを許さない。

「じっとしてて」
「だっ、て…やっ…」
ふるふると首を振る千里の頬にゆっくりと口付ける。

「いい子だから、ね?」
とろけそうな声で囁かれたら身体に力なんて入るはずもない。
晴美の言葉通り千里は大人しくなった。
59UNLIMITED:2008/04/28(月) 20:52:50 ID:GHbsW/tj
「ん、よく出来ました」
にっこりと笑う晴美に千里は反論すら出来ない。

「いい子にはご褒美あげないとね」
そう言って晴美がすっと千里の髪を撫でた。
そしてゆっくりと確かめるみたいに首筋に唇を這わせる。

あ、と上がる小さな声は拒否には聞こえなくて
むしろ期待しているように晴美を誘った。
それに気を良くしたのか、再び服に手を入れて身体に触れる。

「…っん…ぁ…」
ここが外だという事を理解しているのか
声を押し殺しながら必死に耐える千里をどうにかして開放したい衝動に駆られた。

「いいんだよ?我慢しなくても」

だってこの空間にはあたし達しかいないんだもん。
切り取られた2人だけの世界。
いくらでも、求めて声を上げればいい。

耳元で囁かれる言葉が千里の頭をくらくらさせる。
どきどきが止まらなくて身体がどんどん熱くなる。


―もっともっと欲しくなる。


「…っ…ぁあ…はる、み…」
「千里のいいようにしてあげるから」

断続的に上がる千里の声が晴美にも熱を与える。
時折吹く夜風ではその熱を治めることなんてもう出来ない。


―もっと聞かせて。


その熱い、熱い想いを―。



60UNLIMITED:2008/04/28(月) 20:55:23 ID:GHbsW/tj
ぐったりした千里の身体を支えて、抱き起こす。
大きく呼吸を繰り返す千里をよしよしと撫でると
千里はむすっとした表情で晴美を見ている。

「あれ?ご機嫌ナナメ?」
「…最低」
そう言って晴美の頬をむぎゅっと掴んで引っ張った。

「いたたた、ごめんごめん」
「謝って済む問題じゃないわよ!」
ばっと晴美から身体を離して千里が叫ふ。
が、まだ身体はふらつくらしく、よろよろと晴美へ倒れ込んだ。

「ほら、まだ身体が冷めてないよ」
ぎゅうと抱きしめられて、返す言葉もなく千里は黙り込む。

「そりゃ確かにちょっと強引だったとは思うけどさ」
「…ちょっとなんかじゃ済まないわよ」
晴美に抱かれたままの千里がぶつぶつと文句を垂れる。

「第一、会いたいからって言いながらこういう事したかっただけでしょ!」
「まぁ…でもそれだけじゃないよ」
純粋に千里に会いたかったんだって。
で、会ったらいろいろ止まらなくなっただけだよ。

「でも、千里だって嫌がらなかったし」
「だって嫌がったら、あなたはすぐ拗ねるでしょう」
現に最初ちょっと拒んだら機嫌損ねそうになってたし。

「んー、じゃあおあいこって事で」
「納得できないわよ!」
ぎゃーぎゃーと喚く千里を落ち着けようと晴美はある提案をした。

「じゃあお詫びになんか1つ言う事聞くよ」
それでチャラにしてくれない?
その言葉に千里はぴくりと身体を震わせた。
61UNLIMITED:2008/04/28(月) 20:58:13 ID:GHbsW/tj
「何でもいいのね?」
「出来る事ならね」
晴美がそう言うと千里は咳払いを1つ。
そして晴美の服をぎゅむと掴んだ。

「じゃあ今日はうちに泊まっていきなさい」
「へ?」
意外な要望に晴美は間抜けな声を上げる。
「それから一緒に寝なさい」
そう言いながら千里は俯いてしまった。

「お願いが1つじゃなくて2つになってるんだけど」
晴美が笑うと千里は照れをごまかすように晴美に身を寄せた。

「これだけの事をしたんだから、それくらいはおまけしなさいよ」
「はいはい」
まぁ確かにこっちにも発言の責任はあるしね。
なんて事を思いながらそんな千里が可愛くて仕方無かった。

だから会いたくなるんだって。
言ってもはぐらかされちゃうんだろうな。
なんて事を思いながら1人にんまりと笑う。

「何笑ってんのよ」
「ん、何でもなーい」
そう言って晴美はもう一度、ぎゅうと千里を抱きしめる。
腕の中に閉じ込められた千里はどこか嬉しそうだったが
何かに気付いたらしく、すぐに顔を上げた。

「でもヘンな事したらすぐに追い出すからね!」
「ヘンな事って?」
とぼけたみたいな晴美の言葉に千里は真っ赤になる。
「バカ!」


腕の中で暴れる千里をなだめながら
晴美は下で煌く明かりたちを見下ろして
今この瞬間が限りなく続けばいい、なんて事を思った。




―END―

62あとがき。:2008/04/28(月) 21:03:03 ID:GHbsW/tj
こんな感じのハルチリの甘えろでしたがいかがだったでしょうか?

ハルチリでしかえろを書かないと決めているので
えろ書きたいと思ったらハルチリばっかりになってしまい
気付けばハルチリのえろが山程HDに保存されてます…
なので今回肉体的描写よりも、精神的描写を重視で書いてみました。
(えろ書くと話が捻れなくていつも同じになっちゃうんでね…)

最近書き溜めてる物の数が膨れ上がっているので
ややペースの速い投下になっております、申し訳ない…
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。


あ、あとこのスペースを借りて一言。
保管庫の中の人、まとめお疲れ様です!いつも助かっております!
63名無しさん@秘密の花園:2008/04/28(月) 23:57:07 ID:SWipEgFM
GJすぎる
お前さんのハルチリ好きだわ
64名無しさん@秘密の花園:2008/04/29(火) 02:01:09 ID:Y8tjV3kH
同じく

サイコーです、GJすぎる
65名無しさん@秘密の花園:2008/04/29(火) 11:33:52 ID:sgpzHIYW
甘えるなあ藤吉さん、千里も晴美も可愛すぎる
でも、千里の家って一戸建てじゃなかった?
6662:2008/04/29(火) 12:03:09 ID:B++qKE3i
GJありがとうございます。
よくよく考えなくてもこれはえろじゃないなと今更に気付きました、よ…

>>65
見えないところで繰り広げられるバトルかなんかの時に
戸の内側にお札びっしり貼り付けた智恵先生?と同じコマに
千里らしき生徒の後ろ姿があったので
それを参考にマンション住まいと勝手に決め付けてました。
(しかも前の桜ネタからマンション住まいという設定にしてた…)
もし違ったら資料調べ不足です、すいませんorz

67名無しさん@秘密の花園:2008/04/29(火) 18:49:24 ID:yzk3OYX3
千里初登場話によれば、一軒家だね。
実は犬も飼ってたりする。
68名無しさん@秘密の花園:2008/04/29(火) 18:52:04 ID:zNLuBi2w
久米田はキャラ設定は作り込んでいるわけではないとコメントしているし、そこらへんは曖昧なのかもしれない。
6962:2008/04/29(火) 19:08:23 ID:B++qKE3i
>>67
ふおおおお><
絶望した!
調べが足らずに執筆した自分に絶望したぁああ!
すいませんでした…orz

しかし犬も飼ってるとは…

70名無しさん@秘密の花園:2008/04/29(火) 19:38:27 ID:C6NBAWR4
設定を作り込んではいないが、どうでもいい展開や読者は忘れてそうなネタを引っ張るのが久米田
71名無しさん@秘密の花園:2008/04/29(火) 20:08:38 ID:sgpzHIYW
124話、マガジンで言うと8号の方でも一軒家
まあ、おいしけりゃいいんじゃないですかね
27才のときはマンション暮らしっぽいし
72名無しさん@秘密の花園:2008/04/29(火) 20:12:30 ID:2ReQUZIW
千里がマンション暮らしでもアリアリです
職人さんGJでした
千里と藤吉に死角なしですね
73名無しさん@秘密の花園:2008/04/29(火) 21:56:58 ID:0OJ9JJtP
>>71
> 27才のときはマンション暮らしっぽいし
あれは就職後だよね。
エロパロ板に就職後をテーマにしたSSが2本くらいあったけど、どちらも
なかなか幸せを掴みきれないといった感じで、そういうイメージなのかな、
と思った。
74名無しさん@秘密の花園:2008/04/29(火) 22:10:35 ID:buM4DBj4
まてまて、27歳じゃなくて28歳じゃなかったか?
75名無しさん@秘密の花園:2008/04/29(火) 22:45:24 ID:sgpzHIYW
今度はこっちが間違えたよと
76名無しさん@秘密の花園:2008/04/30(水) 17:43:34 ID:chdzgkY4
千里の飼ってる犬って晴美のことですよね?
77名無しさん@秘密の花園:2008/04/30(水) 18:48:49 ID:dmJcphWV
>>76
あれ、自分がいるぞ…w

実はそんなパラレルSSを書いてる最中だと言ってみるテスト
飼い犬、ってニュアンスとはちょっと違うかもですが…
78名無しさん@秘密の花園:2008/04/30(水) 22:19:03 ID:chdzgkY4
そのハルチリ(チリハル)には期待してしまいます
79名無しさん@秘密の花園:2008/04/30(水) 22:40:24 ID:pXCJhX6O
>>76
先生救出作戦の時は、行け、とか命令していたくらいだもんね。
一瞬嫌な顔をするものの、次のコマでは嬉々としてしたがっていたし。
実は忠犬。
80名無しさん@秘密の花園:2008/05/01(木) 19:09:44 ID:UdXli1by
あとでご褒美がもらえるからだ、と考えると
一瞬で忠犬からバカ犬、いやエロ犬に
81名無しさん@秘密の花園:2008/05/01(木) 23:37:20 ID:vHzlVEsX
久々に来たら傑作がたくさん来てて感動した
奈美受けが好きなので 普通の出来事 の続きを楽しみにしています
82名無しさん@秘密の花園:2008/05/02(金) 22:55:05 ID:fErRT3q9
千里に犬こきつかわれ、御褒美に猫かわいがられる晴美がみたい
83名無しさん@秘密の花園:2008/05/05(月) 14:38:24 ID:FxirnbDT
まといスレでちょこっとだけ男装のまといの話が出てたけど、アニメの絶望探偵の助手のまといは一期で百合属性が追加された霧にお持ち帰りされてもおかしくない可愛さだった。
84名無しさん@秘密の花園:2008/05/05(月) 20:48:21 ID:nG/EhzSo
ゴールデンウィークも佳境へ入ったので
ここでいっちょ、投下させてもらいます。

ちょろっと前から宣言してた可符香×カエレの話です。
GW終わった後の投下にするか迷いましたが
スレの動きがあまり活発でないようなので、早めに投下させてもらう事にしました。
よろしければしばらくの間お付き合い下さい。

85in the sky:2008/05/05(月) 20:54:31 ID:nG/EhzSo
新学期が始まって早1ヶ月。
もうすぐ待望のゴールデンウィークがやってくる。
今年の休みは飛び石連休だとか、土日と被って短いだとか
いろんな不満はあるのだろうけど、それでも休みは休み。
うだうだ文句を言っても仕方ない。
ここはぱーっと遊ぶに限る。

2週間ほど前、みんなでお弁当を食べていた時に
クラスメイトの奈美が提案した
『ゴールデンウィークにみんなでどこかに遊びに行く』という約束を
可符香は密かに楽しみにしていた。

みんなでどこかへ遊びに行く事も少なかったから、という理由もあったが
それよりもカエレと一緒に遊びに行ける事が何より嬉しかった。
普段は一緒に帰ったり、学校帰りに少し寄り道する程度だったので
他のみんなと一緒とはいえ本格的に遊びに行くという事は初めてだったからだ。


「ねぇねぇ、千里ちゃん」
にこにこと笑いながら可符香が千里の制服の袖をくいくと引っ張る。
「明後日の事なんですけどね」
そう切り出すと千里はあぁ、と頷いた。

「カエレちゃんにはもう言いましたか?」
言ってないのなら私が言いますよ?と
早くも喜びを隠し切れない可符香だったが
次の瞬間その喜びがガラガラと音を立てて崩れ去る事になる。

「あぁ、その事なんだけどね。木村さんに確認したらゴールデンウィークには帰国するって」
千里の言葉に可符香はぴたりと思考が停止した。

「え…?」
「昨日発つって聞いたけど」
だから明後日も無理ね、と千里が呟くと可符香はがたんと席を立った。
86in the sky:2008/05/05(月) 20:57:48 ID:nG/EhzSo
「可符香さん?」
「そうなんですか、残念だなぁ」
そう言ってにっこりと笑う。

無理矢理でも笑顔を作らないと、絶望的な表情しか作れないと思ったからだ。
しかしその顔が本当に笑っているのかは自分でもわからなかった。


カエレちゃんが帰国?

やだなぁ、そんな事…
教室から離れて、人があまり通らない場所で
可符香は携帯を取り出し素早くカエレの番号を呼び出した。
ボタンを押して携帯を耳にくっつけるが
いつまでたっても呼び出し音が鳴り止む事はなかった。

「うそ、ですよね…」
携帯を握り締めたまま、可符香の腕がだらりと力なく下ろされる。

自分はそんな話を微塵も聞いていない。
今日が休みの理由も知らなかった。
お別れの挨拶も言ってないのに。

「どうして…」
携帯をぎゅっと握り締めて、可符香はカエレの事を思い浮かべたが
どんどんと霞が掛かっていって、とうとう姿が消えてしまった。


楽しいはずのゴールデンウィークへどんよりとした気持ちで突入した。
どんよりなんてレベルじゃない、もう人生が終わったと言っても過言ではないほどだ。
結局カエレを除いたメンバーで遊びには行ったものの、こんな気持ちでは微塵も楽しめなかった。
それでもなんとか笑顔を作り、楽しいフリを演じた。


生まれてきて、一番楽しくなかったゴールデンウィークだった。


そんなゴールデンウィークも明けて
それぞれの形で休みを満喫した生徒達は再び学校へと舞い戻ってきた。
あちらこちらで休日はどうだったかなんて話題が聞こえてくる。
旅行へ行った人もいれば、ずっと家で引きこもっていた人…
それぞれのゴールデンウィークは過ぎ去った思い出となる。
87in the sky:2008/05/05(月) 21:00:32 ID:nG/EhzSo
しかし可符香の時間は止まったままだった。
あの日カエレが帰国と聞いてから、可符香の心にはぽっかり穴が開いて
何もかもがそこを吹き抜け、すり抜けていくのだ。

ちらりと窓際の席を見る。
ぽっかり空いた席は、カエレが居ない事を再認識させた。
あの場所で肘を突きながら退屈そうに授業を受けるカエレへ
時々視線を送っては笑いかけて
それを見たカエレは呆れながらも、軽く手を動かして合図してくれる。

そのやり取りがたまらなく嬉しかった。
でももう、それも二度と出来なくなったのだ。


全く耳に入らない授業が終わってから
可符香は思い出したかのようにふらりと立ち上がり
のろのろと教室を出て行った。

行き先は校舎の外れ。屋上へと続く階段。

重い鉄の扉を開くと、薄汚れたアスファルトが見える。
反射する太陽の光が眩しくて、少し目を細めた。


屋上のど真ん中に立って見上げる空は、雲一つない快晴だった。
その青い、蒼い空は彼女の瞳の色を思い出させる。
空を見上げている内に目がしばしばとしてきて涙が零れた。

「あれ…やだなぁ、なんで涙なんか…」
次から次へと溢れていく涙がアスファルトを染めていく

「これ、は、太陽が眩しいから流して、る涙です、よ?」
カエレちゃんがいなくなったからって…

「大丈夫!大丈夫だから!」
自分を励ますみたいに言って、頬をばちんと叩く。

それと同時に後ろでギィ、と錆びた扉の開く音がした。
誰が来たのだろう、なんて思いながら可符香はゆっくりと振り返る。
88in the sky:2008/05/05(月) 21:02:27 ID:nG/EhzSo
「こんなところで何やってるのよ」
毎日のように聞いていた、呆れを含んだハスキーな声。

振り返った可符香が見た人物は
この学校の制服であるはずのセーラー服ではなくブレザーを着ている。
綺麗に手入れされたブロンドの髪を風になびかせながらコツコツと足音が近付いた。

「教室にいないから休んでるのかと思ったわ」

そう、目の前にいた人物はもう会う事もないと思っていたはずの人物。
帰国したはずのカエレが目の前にいる、これは夢…?

「何ぼーっとしてるのよ?」
目の前でひらひらと手を振られ、可符香ははっと我に返った。

「どうして…帰国したんじゃないんですか…?」
「…何でその事知ってるの?」
「千里ちゃんから聞いたんです」
可符香の言葉にカエレはふぅ、と溜め息を吐いた。

「あぁ、黙っておいてもらえばよかったかしらね」
目を細め、少し不機嫌そうに言うカエレにほんの少し苛立ちを感じた。
今までカエレに対してそんな気持ちを抱いたことがなかったのに
今回ばかりは可符香も感情的にならざるを得なかった。

「どうして!?」
可符香が声を張り上げた。
いつもと様子の違う可符香にカエレは少し驚いているようだ。
それでも構わず可符香は言葉を続ける。

「どうして、私には帰国を黙ってたんですか!
見送る事くらいはしたかったですよ!もう二度と会えないと思って…」
声を荒げる可符香をカエレはきょとんと見つめる。
再び溜め息を吐くと、やっぱりねと呟いた。
89in the sky:2008/05/05(月) 21:06:07 ID:nG/EhzSo
「帰国って連休だけだったから…里帰りってやつ?」
「…へ?」
カエレの言葉に今度は可符香がきょとんとした。
「ちょっと事情があって、連休だけだし帰国しますなんて大層に言うのもあれだったから…」
そう説明を受けると、可符香はぐっとカエレに詰め寄った。

「じゃあどうして今日は朝から学校来なかったんですか?」
「トラブルで飛行機の到着が遅れたの」
ちゃんと朝から学校に行くはずだったんだけどね。
そう言ってカエレが可符香へ視線を向ける。
しかし可符香は俯いたままだった。

「…心配」
「え?」
「心配してたんですよ…」
可符香の手がぐっと握り締められる。

「お別れの、挨拶も出来なくて、何もわからなくて、カエレちゃんいなくなって…淋しくて、悲しくて」
だんだんと可符香の声が震えていく。
「もう二度と会えな、っく、いって、そんなのいや、だって…っ、おもっ、っく…て…ふぇっ…」
言いたい事を最後まで言えずに可符香は泣き出してしまった。
子供のように大声を上げて、わんわんと泣いた。
普段から想像出来ない可符香の姿を見たカエレは驚き、同時に心を痛めた。

「そんなつもりじゃなかったのよ」
大げさに言う必要も無いと思ってたから。
そう言って目の前で泣きじゃくる可符香をぎゅっと抱きしめた。
その行動に驚き、一瞬可符香は泣きやんだが
カエレが目の前にいる事を再認識するとまたすぐにぽろぽろと涙を零す。

「カエレちゃ、んが、いな、くなっ、て、っく、ずっ、と胸がいた、くてっ…」
「そう…」
よしよしと可符香の頭を撫でていたカエレがふっと身体を離した。
「ごめんね」
「カ、エレちゃ…?」
悲しそうな顔のカエレがそっと顔を寄せて、可符香の頬に唇を当てる。

「私も、あなたの声が聞けなくて淋しかったわ」
カエレの言葉に可符香は涙を流す事を忘れた。
「やっ、ぱり、いっしょ、がいい、ですね」
そう言って可符香はようやく笑顔を取り戻す事が出来た。
90in the sky:2008/05/05(月) 21:10:08 ID:nG/EhzSo
「…カエレちゃん」
「何?」
「もうどこにも行かないでください」
ずっとそばにいてくれなきゃ嫌です。
その言葉にカエレはふと微笑った。

「まぁ、極力努力はするわ」
「じゃあ約束です」
そう言って可符香はぐっとカエレを引き寄せる。
「え…?」

カエレの首に可符香の腕が回されて、下からゆっくりと可符香の顔が近付く。
あぁ、いつもよりも背が高くなったのは背伸びをしているからか。

なんて事を思いながら、近付く顔に自然とカエレの瞼が落ちる。
いつもなら逃げたり、誤魔化したりしていたのだが
今日は、今日なら素直に可符香を受け入れる事が出来る。


本当はいつだって、可符香を受け入れたい気持ちはあった。
よくわからなくて、とらえどころのない彼女が苦手だったはずなのに
いつも嬉しそうに笑う可符香を見ているうちに
気付けば可符香の存在が心を占める割合が大きく、大きくなっていたのだ。

瞼が落ちたと同時に唇に触れるやわらかな感触。
ほんの数秒の出来事だった。

唇が離れたのを合図にカエレがゆっくりと目を開けると
いつも見ている可符香の笑顔が視界に入る。


「…約束しましたから」
一方的な約束だと思ったが
今回は自分にも責任があると思っているので、敢えて何も言わないでおこう。
…それに、それも悪くない。
そんな事を考えていると、カエレの身体がぎゅうと抱きしめられる。


「…カエレちゃん、だいすきです」
それと同時に小さく呟かれた言葉は青い、蒼い空へと舞い上がった。



―END―

91名無しさん@秘密の花園:2008/05/05(月) 21:14:01 ID:X9qtB8b2
可・符・香!可・符・香!
92あとがき。:2008/05/05(月) 21:17:20 ID:nG/EhzSo
と、いう感じの可符香×カエレいかがだったでしょうか?

本当は中盤をも少し長いものにしようかと思ったのですが
あまり長いものを書くとgdgdになってしまうのが目に見えていたので
この長さで落ち着きました(ちょっと心理描写の書き込みが足らないかな…)

今までいろいろ回り道をしてきた2人ですが、今回でようやく両想い?になれました。
最初はマイナーもマイナーの2人でしたが
SSを投下する事に少しずつ、気に入ってくださる方が増えて嬉しかったです。
この2人を見守ってくださった皆様には大変、大変感謝をしております。
今後は恋人同士、になった2人で話を書いていけたらなと思ってます。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
次はあび芽留辺りをこの2人のようにしていってあげたいなと思っております。
あと、ハルチリでわんこ、にゃんこパラレルなんかも…←無謀すぎる
93名無しさん@秘密の花園:2008/05/05(月) 23:44:52 ID:CcUuFV0J
お待ちしておりました。
なんだか感慨深いです。
それにしてもわんこにゃんこ…楽しみ…
94名無しさん@秘密の花園:2008/05/06(火) 04:21:46 ID:ZPKYI9Ji
やっぱりカフカエは最高です!
よい作品、ご馳走になりました!
95名無しさん@秘密の花園:2008/05/06(火) 11:35:05 ID:WAox/Fe5
長い道のりじゃった…ようやく二人がラブラブカップルにー!ひゃっほう!
切なさの後にハッピーエンドがあって最高でした。次回作も楽しみにしております。
96名無しさん@秘密の花園:2008/05/06(火) 22:01:15 ID:/JTv9OUG
id:nG/EhzSo氏はいつもカフカエ書いてくれる人だと思うが
初期の可符香を思わせるかわいさでいいな
いまの黒い可符香も好きは好きだけどw
97名無しさん@秘密の花園:2008/05/07(水) 09:45:20 ID:iIuERzwA
可符香のキャラがかなり意外で新鮮だった
原作とイメージ違ってても、こういうのなら全然いいね!
9892:2008/05/07(水) 10:52:38 ID:qGSAobTg
可符香×カエレにコメントくださってありがとうございます!
予想を上回る反響にびっくりしております、以前ならこんな事なかったのにねw
両想いになっても今までと変わらない関係が続くんだろうなぁ…
カエレが今以上に振り回される毎日になるのが目に見えるようです。

>>96-97
うちの可符香は白さに定評がありますからw
SS書く時は原作通りのキャラを心掛けているつもりなのですが
カフカエを思い付いた時から、可符香の性格が白い方に固定されてしまってました。
うん、可符香は本当はいい子だと思うんだ。

…でも泣かせたのはちょっと捏造しすぎたかもしれないと反省orz
(正直な所、泣かせるのは最後の最後まで迷いました)

99名無しさん@秘密の花園:2008/05/07(水) 15:58:53 ID:f37tvPwI
館ひろしは「泣かないで」の他に「泣いていいよ」という歌も歌っている。

何が言いたいのかって?
どっちでも大丈夫ってこと。
100名無しさん@秘密の花園:2008/05/08(木) 09:48:57 ID:LnLBEn0H
泣いちゃダメなのか泣いていいのか、
どっちなの! きっちりしなさい!

あと来週、第13集が発売ですよ。
101名無しさん@秘密の花園:2008/05/09(金) 16:48:58 ID:pPY2inGF
新スレ立ってから前スレの職人さんがまだ光臨されてないので
誰もいない、投下するなら今のうち精神で、自重せずにがんがん投下してすいません。
しょ、職人さんが来るまでの繋ぎなんだからね!><

という訳でもう大分前にリクエスト?されていた
「Smile」をベースにしたあびる×芽留の投下させてもらいます。
よければしばしの間お付き合いください。

102Smile:2008/05/09(金) 16:52:17 ID:pPY2inGF
私は変わった。と思う。
自分で言うのも変な感じだけど
以前よりも笑う回数が増えたような気がする。


どうしてだろう?


昔っから感情を面に出すのは苦手だった。
嬉しかったり、悲しかったりを素直に表現したいと思っても
うまく表情が作れなくて
周りの人からはいつでもクールだとかポーカーフェイスだとか言われてた。
悪い言い方だと何を考えてるのかよくわからない人だと言われる事も多々ある。

その言葉すら否定するのが面倒で
それが拍車をかけて自分はクールで他に興味を示さない人間だと
みんなの中でのイメージが作り上げられた。

そんな自分が笑うようになったきっかけは
言葉を出さない、その子を好きになったから、かもしれない。
以前にこんな事を聞いた事をふと思い出す。


似たもの同士は惹かれ合うのかな?どう思う?
そしたら彼女はむっとした顔でこちらを睨んでいた。

『オレとオマエは違う、一緒にするな』

素っ気ない文字を並べた彼女はふいとそっぽを向いた。
そう、と言って視線を逸らしたら彼女は携帯に目を向けて
こちらには興味を示さなかった。
思えばそれも照れ隠しだったのかもしれない。


桜と入れ替わるようにして芽吹く緑が眩しいこの季節。
ここしばらく雨が降った覚えがないほど、毎日が快晴だ。

「いい天気だね」
並んで歩く芽留に話し掛けると芽留はちらりとあびるを見てこくりと頷いた。
晴れ渡る空の青さが眩しくて、思わず目が細くなる。
でもどこか落ち着かない。
103Smile:2008/05/09(金) 16:55:12 ID:pPY2inGF
天気がいいと悪いとではいい方が好まれるとは思うけど
ここまで空が澄み渡っていると理由もなく不安が胸を覆ってくる。
まるで快晴が雨雲のように思える。

どうしてこんなに落ち着かないのだろうか。
踏み出す足取りがほんの少し重さを増す。

こんな気持ちの時、担任である糸色望なら
不安定になるとか喚くのだろう。
あの人はとてもわかりやすいから、前兆だってすぐに表に出てくるし、口にも出す。

でも自分は口に出す事もないし、そもそも感情を表に出すなんて以ての外。
ずっと感情を閉じ込めてきた自分にはそれはあまりにも難しい事なのだ。


―だって方法がわからないのだから。


俯き加減で黙り込んだあびるを、隣にいた芽留がちらりと見る。
会話がない事はよくあるのだが
それがあまりにも不自然だったからか、つい視線を送ってしまう。


また何か余計な事考えてるな…

あびると過ごす様になってからの芽留は少しずつ人を理解することを覚えた。
…と、言っても今はあびるに対してだけだが。

以前可符香が言った「目を見れば思ってる事は伝わる」という言葉が
芽留にはどうにも信じられなかった。

だがいつも隣に、傍にいてくれるあびるには少なからず心を開いていたのだ。
彼女はいつも片目を覆っているが
それでもその右目だけで自分を見つめ、理解してくれる。
それが芽留にとってはこの上なく嬉しい事だったのだ。

今までそうやってこんな自分を理解しようとする人間もいなかったし
自分をさらけ出す事は自分自身が暴かれるような気がして
人との関わりを避けていたのも理由だった。
素直に嬉しいと言えない自分を少し恨む。
104Smile:2008/05/09(金) 16:58:15 ID:pPY2inGF
芽留が少し先を歩くあびるの制服を掴まえた。
くん、と制服が伸びた感覚を感じてあびるが立ち止まる。
そしてゆっくりと掴まれた部分へ視線を向けると
芽留が少し悲しそうな表情でこちらを見上げていた。

「どうしたの?」
『何かあったのか?』
予め打ってあった文字列があびるの目に映る。
芽留の言いたい事を理解したあびるはふっと目を細めた。

「どうしてそう思うの?」
あびるの言葉に明確な答えが導き出せない。
やたらと悲しそうな表情が芽留の胸を締め付けた。

ただ「なんとなく」じゃ駄目なのか?
そんな悲しい目で見つめるのはやめろ。
そんなに心を痛めなくていいんだ。

言いたい言葉が胸でつかえる。
何か気の利いた言葉が欲しい、何か…

「どうしたの、そんな悲しそうな顔して」
あびるの包帯だらけの指がすっと芽留の頬をなぞった。
何言ってんだ、悲しそうな顔してるのはオマエだろう。

悲しいと思う事も
空しいと思う事も
嬉しいと思う事も
楽しいと思う事も
全部オマエがくれた。

手を握る事も
頭を撫でる事も
優しい言葉をかけてくれる事も
励ましてくれる事も

全部、全部
その全てが自分を満たす。

きっとこんな風に思う感情が多くなったのは
オマエがオレに沢山の笑顔を見せてくれたからだ。
他の奴にはあまり見せないけどオレには沢山の笑顔をくれた。


だったら…


105Smile:2008/05/09(金) 17:01:55 ID:pPY2inGF
『笑えよ、もっと笑えばいいだろ』
ディスプレイに浮かぶ文字を見て、あびるの動きが止まる。

『オマエがそんな悲しそうな顔してんのは見たくないんだよ』
続けて浮かぶ文字にあびるの目が少し潤んだ。

『オレにも分けてくれるあの笑顔で笑えばいいだろ』
忙しなく動く指が次々と文字列を作り上げていく。
その姿を見ながら、あびるはぼんやりと思う。

あぁ、この子は気付かない内にこんなにも感情的になっていたんだ。
出会った頃は昔の自分によく似ていた。
もしかしたら自分よりも素っ気なくて、取っ付きにくかったかもしれない。

そんな彼女が、私を、他人を心配してると思うと、驚かない訳がない。
一言では表せない気持ちが込み上げてくる。

『これでもオマエには感謝してるんだ』
オレの事を理解ろうとしてくれる事。
すごく嬉しいんだからな。

芽留が制服をぎゅっと引っぱってじっとあびるを見つめた。
あびるもじっと芽留を見つめる。
ほんの少しだけ時間が止まった。


いつも、一緒に笑ってたいんだ。


ほんの少しだけ、小首を傾げた芽留がにこっと笑った。
その笑顔にあびるもゆっくりと笑う。


そう、いつだって君と笑っていたいから
もっと、もっと楽しい時間を
もっと、もっと君の笑顔が見たいよ。


だから。


ずっと一緒に笑いあいたい。
それだけで僕らとても幸せな気持ちでいれるはずだよ。




―END―

106あとがき。:2008/05/09(金) 17:09:03 ID:pPY2inGF
という感じのあびる×芽留でしたがいかがだったでしょうか?
歌詞をベースにやるのは2回目だったのですが
前回のよりもハードルが高く歌詞はすごい素敵なのですが
自分の文章力では魅力の半分も伝えれていない気がします…
リクエスト?されてから大分過ぎておりますが
待っててくださった方にはいろんな意味で申し訳ないです、うう。

あび芽留もっと流行れー(心の声)


今後の予定としてはとりあえず書き溜めてるものが山ほどあるので
メジャーカプ、マイナーカプ、甘々、パラレル、えろとどれが来るかは自分にもわかりませんw
それでもまぁ、楽しみに待ってくださる方がいればこれ幸いでございます。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
いつも長い言い訳ですいません、次回投下時もよろしくお願いします。
107名無しさん@秘密の花園:2008/05/09(金) 22:58:20 ID:ZukN8UBR
GJ!
めるめるかわいいよめるめあびる
108名無しさん@秘密の花園:2008/05/09(金) 23:37:00 ID:46WR9Ype
ああ……ありがてえありがてえ。
これは我が家の宝物じゃ……
109名無しさん@秘密の花園:2008/05/10(土) 21:17:22 ID:TeKONwSi
スレの動きが少し穏やかなので、さざなみ程度ですが助力させていただきたいと思います。
「ヒバリのこころ」(晴美×千里)王道です。
110ヒバリのこころ:2008/05/10(土) 21:18:14 ID:TeKONwSi
 人生というものは大半が平凡な日常で構成されている。
大半の人間には毎日起伏のあるハードボイルドな日常は送れない。
それはよく一般的に言われる「青春」という時期でもだ。
この時期、人々はよく恋に落ちたりする。
好きな人が出来て、告白をし、お互いの気持ちを確かめ合うことができれば
それからの人生は薔薇色、と思う人もいるだろうがそういうわけではない。
確かにその時期は他の時期とは違う、輝きや若さがある。
しかしそれが毎日のようにある訳ではない。
恋焦がれるような感情で包まれる日もあれば、
ただ2人でいるだけで心地のよいという日もある。
さて今この部屋にいる彼女達は今どういう日を送っているのであろうか。

 彼女の部屋。それは藤吉晴美の部屋ということだ。
本棚にはBL漫画がぎっしりと詰まっている。
テレビのあちらこちらにフィギアが存在していて、
壁には大きなポスターが張られていた。
だがそんな品が多数存在していながらも、部屋自体はとても綺麗だった。
それはもう一人の彼女、木津千里がいるからである。
彼女の性格上、汚い部屋は耐えられなく不快で
不要と思ったものは所持者の有無を言わずに破棄されてしまう。
そのやっかいな性格に晴美はよく泣かされているが、部屋は清潔そのものである。
 さて今は休日。別に何処へ行く予定もない二人は部屋でのんびりとしていた。
ベッドの上で漫画を読む晴美、椅子に座って本を読む千里。
2人に会話はない。必要ない。ただ2人でいればお互い満足であった。
だが晴美の様子は少し違った。前々から決心していたことを実行しようと思っていた。
少し漫画から目を離して言った。
「ねえ、千里」
「ん、なに?」
千里の方は本の方に目線を向けていた。
「ねえキスしない?」
「はあっ!?」
目線がぐるりと動いた。
111ヒバリのこころ:2008/05/10(土) 21:18:57 ID:TeKONwSi
「何言ってるのよ、いきなり」
「いきなりじゃないよ。
 …ねえ千里が告白してからどれくらい経ったっけ?」
「こ、告白って…今日で56日目だけど…」
少し顔を赤らめた。実質千里が放課後の学校で告白した。
だがそれはまた別の機会で。
「もう二ヶ月くらいでしょ。恋人同士だったらキスの一つや二つあってもいいんじゃない?」
「だ…だからって….」
珍しく千里の目が泳いだ。それから晴美は後ろから彼女を抱きしめて、耳元で囁いた。
「ねえ…千里は私の事嫌い…?」
「そ、そんなわけないでしょ!」
「だったら…ねえ千里….」
悲しいような甘えるような声に千里はパニックになった。
「ねえ、ちぃり〜」
「あああ!!うるさいっ!!!」
晴美の腕を跳ね除けて叫んだ。
そして赤い顔の千里はビシッ!と晴美に指差した。
「そんなに言うならやってやろうじゃないの!!」
その時晴美は彼女の視線から見えないところで非常に悪い顔で笑った。
112ヒバリのこころ:2008/05/10(土) 21:19:25 ID:TeKONwSi
「じゃあ…いくよ…」
「う…うん….」
ベッドの上で2人とも座っていた。
晴美は千里の肩を持ってじっと目を見つめていた。
「そ…そんなに見ないでよ….」
「ご、ごめん….」
どちらもまだ初めてなことで、うつむき加減でぎこちなかった。
そして晴美の方から少しずつキスのため顔を近づけていった。
10p…8cm…5cm…2cm……..
「ちょ、ちょっと待って!」
そういうと千里は思いっきり晴美を突き飛ばした。
一瞬のことに晴美は目を白黒させて驚いた。
「ど、どうしたの!いったい!」
「ええっと…一つ聞くことを忘れてたんだけど…」
千里はぐん、と顔を近づけた。
「ねえ晴美!あなたファーストキスはしたの!」
「ええええ!い、いや…..そ、そんなことはどうでも…」
「いいからキッチリさせなさい!さあ、どうなの!!」
千里の凄みに後ずさりをしたしまった晴美。
歯切れの悪い言葉でちいさく言った。
「い、一度だけ….」
プチッ!千里の中で何かが切れた。
「誰よ!小さい頃から一緒にいるけど
 そんなこと聞いてないわよ!!はっきりとしゃべりなさいぃぃぃ!!」
「ち、千里さん!く、苦しい・・・」
千里は無意識のうちに首を絞めていた。
「早くいいなさぁぁぁい〜!」
「だ、だから!違う人じゃないって!!」
そう言うと晴美の指が千里を差した。
「え、私….?」
「そ、その….中学生の時に千里の寝顔が可愛かったんで…一回だけ….」
千里は口元を押さえるとみるみる赤くなった。
それから彼女は顔を伏せて動かなかった。
113ヒバリのこころ:2008/05/10(土) 21:19:57 ID:TeKONwSi
「あ…あの….千里ぃ…怒ってる?」
一向に動く気配は無かった。
「ねえ…千里….」
「怒ってないわよ」
するとやっと顔を上げた。
「晴美…償いにキスして!」
「ええっ!?」
「いいから!」
それからゆっくり晴美の手が千里の体を捕まえた。
「ほ、本当にいいの?」
「いいから!早くしなさいよ」
千里は目を瞑って待った。
そして数秒後、二つのシルエットが重なった。
唇が触れ合った瞬間、2人の頭は沸騰寸前だった。
だがどこか気持ちよさを覚えた。
数秒後だっただろうか。晴美の舌がだんだん千里の口内に侵入してきた。
だが千里は拒まず受け入れた。
絡み合い、2人は愛し合った。

やっと二つの影が離れた。
2人の間に糸が光っていった。
「舌なんて聞いてないわよ…」
「ファーストキスよりも進まなくちゃね」
2人とも心のそこからの笑顔が出てきた。
どちらも愛おしいという気持ちで一杯だった。
「ねえ、もう一回してもいい?」
「馬鹿….」
そしてまた二つの影が重なった。
 2人の穏やかな日々が今日少し、波を打った。





「もうこのままHにいっても…..」
「調子に…乗るな!」
小気味のよいスナップが聞いた千里の拳が晴美の頭を捕らえた。
114名無しさん@秘密の花園:2008/05/10(土) 21:23:48 ID:TeKONwSi
基本的にCPは雑食で何でも好きですけど
一番って言われたらやっぱりこの2人ですかね。
2人とも個性があって書きやすいです。

今まで晴美は攻っていうイメージを持ってたんですけど
最近は受けでもいい気がしてきた。
何だかんだ言ってペースを崩されたら弱いような・・・
う〜ん、あびる辺りと絡ませてみようかな(ブツブツ
115名無しさん@秘密の花園:2008/05/10(土) 21:44:43 ID:ykXaQG/2
超GJです。
タイトルはスピッツのデビュー曲かな?
なんとなくこのスレの作品にはスピッツ合う気がするw
さわやかで切なくて、甘くて苦くて、ちょっぴりエッチで変態な感じがw 
116名無しさん@秘密の花園:2008/05/11(日) 07:51:38 ID:vSX2U3Qc
良い…
告白したのは千里からで、昔から好きだったのは晴美のほうで、とここに至るまでに色々あったんでしょう
しかし、ここの藤吉さんは千里が寝ているとすぐ唇を奪いにかかるなあw
117名無しさん@秘密の花園:2008/05/11(日) 11:50:42 ID:+v39Xsl0
そりゃあ目の前に無防備な千里ちゃんがいたらね…
>>115
なんかニコ動のスピッツ萌えの音源使ってハル×チリMADとか作りたくなってきたw
118名無しさん@秘密の花園:2008/05/11(日) 17:07:10 ID:tfaKhX2W
是 非 お 願 い し ま す
119名無しさん@秘密の花園:2008/05/11(日) 20:30:09 ID:0zzT2n9L
そういや絶望の百合MADって見た覚えないな
まぁ映像の素材が智恵×霧くらいしか無いからねぇ…
120名無しさん@秘密の花園:2008/05/12(月) 16:13:18 ID:A5JMOF2Y
>>117
とうとうこのスレでMADが作られるのか!と期待せざるを得ません。

最近スレの動きが緩やかなので
短めのネタを3、4本(しかもあまり見かけないマイナーカップリング)を
毎日か、もしくは1日おきくらいに投下しようと思ってるんですが、迷惑にならないですかね…
とりあえず現時点で藤吉×奈美、倫×千里は確定してます。
あとはまぁ様子を見て、自分が書いたことのない&見かけないカプをつらつらと投下しようかなと、思ってたり…。
121名無しさん@秘密の花園:2008/05/12(月) 19:10:22 ID:0WNqd/13
>>120
超期待
122名無しさん@秘密の花園:2008/05/12(月) 19:38:41 ID:8cgKppoh
迷惑にはならないでしょ
どうしても気になるなら、一日おきの、誰かが投下した日はお休み、で
自分は月に一本、最速でも二週間に一本くらいしか書けないのが辛いところ
123名無しさん@秘密の花園:2008/05/12(月) 20:59:53 ID:sxXgfg5O
>>120ですが、とりあえず様子見ということでひとつ投下いきます。
手始めに上でも宣言してます倫×千里を(倫→千里っぽいかも)
よければしばしお付き合い下さい。

124困惑:2008/05/12(月) 21:04:25 ID:sxXgfg5O
誰もいなくなった教室に、2のへ担任の糸色望の妹であり
このクラスの生徒でもある、糸色倫が独り居残る。
特に意味などはない。ただ退屈だから、だ。
それは此処に居たって変わらない事だと思いつつも
何かが起こる事を期待しているのかもしれない。


例えば―。


夕日の差し込む窓辺に立ち、オレンジに染まる景色を何気なく見やった。
さらっと流すように見た景色の中、視線の端に捕らえた2つの人影。
一度見過ごした後、すぐに視線を戻す。
それは同じクラスである藤吉晴美と木津千里だった。
どうやら2人仲良く下校中らしい。

その姿にちっ、と無意識に舌打ちをする。
楽しそうに笑い合う2人を目を細めて見つめていると
何かに気付いたらしい千里が足を止めた。
晴美の方に事情を説明して校舎の方へ戻って来るのが見える。

忘れ物でもしたのだろうか…
そんな考えがもうすぐこの教室に千里が来るのかもしれないという期待を抱かせる。
千里が忘れ物をした、なんて考えは自分にとって都合のいい考えであって
そうと決まっている訳ではないのだ。
そんな自分自身に腹を立て、再び小さく舌打ちをした。

しかしぱたぱたと近付く足音で、千里がここへ来ることを確信する。
足音が扉の前で止まり、その直後がらり、と開いた扉へと視線を向けた。


「あれ、倫ちゃん?」
教室に戻った千里が見たのは窓辺に独り佇む倫だった。
今まで見られていた事には気付いていないらしい。
何も言わずふいと顔を背ける倫を千里は大して気には止めなかった。
それがいつも通りの倫の対応だからだ。
同じへ組とはいえ、全くと言っていいほど他の人間に興味を寄せることはない。
だからそれ以上は言葉を交わさず
自分の目的である用事を済ませるために、千里は自分の席へと近付いた。
机の中からノートを取り出し、鞄へとしまう千里を倫がちらりと見る。

「忘れ物とは珍しいな」
その言葉に千里が顔を上げた。
どこか冷ややかな目を向ける倫と視線がぶつかる。
125困惑:2008/05/12(月) 21:07:47 ID:sxXgfg5O
「まぁ…私だってたまにはこんな事もあるわ」
じゃあね。
そう言って千里が倫に背を向ける。
その背中をじぃ、と見つめていた倫が不意に口を開いた。

「お前」
倫の言葉に教室を出て行こうとした千里が振り返る。
「藤吉が好きなのか?」
間髪を入れずに出て来た言葉に千里は呆然とした。

「そりゃ、幼なじみだし、付き合いも長いから…」
その言葉に千里が顔を背ける。
「何故顔を背ける?」
倫の言葉に千里はどきりと胸が鳴るのを感じた。

「何か後ろめたいことでもあるのか?」
くつくつと笑う倫が千里を苛立たせる。
「…倫ちゃんには関係ないでしょう」
その言葉に倫が不機嫌そうに顔をしかめた。

「関係はある」
冷たく言い放たれる言葉に千里は身体を固くした。
倫の顔を見るのが怖くて顔を上げることが出来ない。

「…関係あるわけないじゃない」
千里の言葉が引き金になったらしい、倫が千里へ向かって足を進める。
そんな倫に千里は怯えるように更に身体を強張らせた。
しかし倫は表情1つ変えず、音もなく近付いてくる。

あと一歩の所まで近付いた倫がふいと手を上げた。
びくりと、身を震わせると、細い指が千里の頬へ触れる。
冷たい指先が頬をくすぐった。


「私がお前を好きだからだ」


耳に入った言葉が信じられなくて、千里はゆっくりと倫を見る。
どこか哀しそうな困ったような表情が胸を刺すのを感じた。

「そんな…冗談…」
「私が冗談を言っているように見えるか?」
倫の言葉通り、冗談を言っているような目には到底見えない。

「私がこんなことを口にするなんて相当だぞ?」
嘲るように笑う表情は痛々しくさえ見える。
いつもの人を馬鹿にしたような、強気の態度は欠片も見えなかった。
その見たこともない倫の態度に千里が困惑する。
126困惑:2008/05/12(月) 21:15:12 ID:sxXgfg5O
「お前が藤吉を見ているほど、長くお前を見ているわけじゃないが」
それでも私はずっとお前を見ている。
あまりにも突然すぎる告白に、千里の頭を混乱するばかりだった。

不意に頬をなぞっていた指が離れる。
途端に金縛りが解けたように、ふっと力が抜けた。
それでも倫はじっと千里を見つめ続ける。
その目を、見つめ続ければ、何かが壊れそうな気がして
自分の気持ちを確かに持つようにという意味合いも込めて千里が顔を逸らした。

「…晴美を、待たせてあるから」
搾り出すような声で言って、顔色を伺うように倫を見る。
そんな千里に倫は多少の苛立ちを感じたが
くるりと向きを変え、千里に背中を見せた。


「…行け」
精一杯の不服を表して発するのがせめてもの足掻きだった。
その言葉に千里は若干後ろ髪を引かれる思いだったが
扉に手を掛けてその場を立ち去る。
ぴしゃ、と閉じられた扉の音がやけに大きく聞こえた。

再び独りになった教室で、苛立ちをぶつけるように傍の机を蹴り付ける。
独りの教室にはその音が良く響いた。
その音に対して自分で立てたにも関わらず、ちっ、と舌打ちをした。

深く溜め息を吐き、気持ちを落ち着かせる。
再び窓から外を見ると、先程教室を出た千里が晴美と合流していた。
晴美が戻ってくるのに時間がかかった千里を心配しているようだ。
二言三言喋った後に、2人は並んで歩き出した。
2人が少し行ったところで、倫がぽつりと呟く。


「…だから、色恋沙汰は嫌なんだ」


その言葉に合わせるかのように千里が窓を見上げるのが見えた。
どこか心配そうな表情が浮かべる千里を晴美が気に掛けている。
そんな晴美に促されて再び千里はゆるゆると歩き出す。

そんな2人を姿が見えなくなるまで意味もなく見送った。
辺りは大分暗くなっていて、ひんやりとした風がカーテンを揺らす。
それでも何故かその場所を動くことが出来なくて
頭の中ではさまざまな気持ちがせめぎ合っていた。


抱いてしまった恋心は困惑以外の言葉が出てこない、何とも苦い気持ちだった。
そんな気持ちに対し、ちっ、という舌打ちが、小さく独りの教室に響いた。




―END―

127あとがき。:2008/05/12(月) 21:21:47 ID:sxXgfg5O
という、倫→千里でしたがいかがだったでしょうか。
ずっと倫をどうにか絡めたいなと思ってずっと考えた結果がこんな感じです…orz
喋り方とか全然わからなくて、キャラを壊してる気がしてびくびくが止まりません。
いろいろすいませんでした、こんなのでも気に入ってくれる方がいればこれ幸いです。

>>122
他に投下したい方がいたら…と思ったのですが
様子を見ながら毎日か、1日おきかは考えたいと思います。
あと、誰かが投下した日は問答無用で休みます…
時間を掛けた方がいいものが出来ると思いつつも
がーっと書き上げてしまうのが悪い癖です…
(今回のも今日思い立って勢いだけで書きました、他のも大概そうですorz)

ここまでお付き合いありがとうございました。
えーっと、今週1週間程よろしくおねがいします。

128名無しさん@秘密の花園:2008/05/12(月) 23:26:40 ID:8cgKppoh
倫千里GJでした
倫のしゃべり方は、ほんと難しいですよね。特に対生徒となるともう…
では、一週間楽しませて頂きますw
129名無しさん@秘密の花園:2008/05/12(月) 23:53:15 ID:9WS4IReT
GJ
まずは倫千里、次が晴美×奈美ですか

見かけないカプっていうと
千里が晴美以外に攻め、とか・・・ああ想像できない
130名無しさん@秘密の花園:2008/05/13(火) 01:05:23 ID:CvX6bgK9
お疲れさまですGJ
倫ちゃんいいですね
原作だと過保護にしてる写真を拝借したり、自分晒しの旅でバス停に放置したりと、晴美にちょっと意地悪なので、倫×晴美も見てみたいかもです
無論、次の作品も期待しております
131名無しさん@秘密の花園:2008/05/13(火) 09:48:13 ID:o8EYcLNr
世情に疎いお姫様の倫に
晴美がBLどーじんしの味を覚えさせる
ところから始まる恋ですね分かります
132127:2008/05/13(火) 12:37:14 ID:8rsx7LUm
まさか倫千里にこんなに感想頂けるとは思ってもなかったです。
恥ずかしいやら嬉しいやら…ありがとうございます!

>>129
千里が晴美以外を攻めるってのは自分の文章力ではハードルが高過ぎます!w
もしいけるとしたら奈美くらいかな…?

>>130
倫×晴美と言うよりは2人で千里を取り合ってばちばちするイメージが浮かんじゃいますね…
いや、晴美にだけ意地悪な倫様をツンデレだと解釈する手もあるかもw


今日も様子見ながら投下の方準備させてもらいますね。

133名無しさん@秘密の花園:2008/05/13(火) 16:55:47 ID:ZkyXIhBQ
倫が藤吉に意地悪するのは千里を狙ってるから、とか
たとえ奈美が相手でも、千里に攻めれるかどうか
マリアならなんとかいけるかもしれないけど、それでもしかけるのはマリアっぽい
千里よわっw
134名無しさん@秘密の花園:2008/05/13(火) 17:26:59 ID:8rsx7LUm
>>133
マリアなら攻めれるかとは自分も考えましたが
気付いたらひっくり返されてた、みたいなのが目に浮かんだので
あぁ、やっぱり千里は受けだなと…w


そんな千里(千里ちゃん)が大好き!by2のへ

みたいな事が浮かびました。もう末期な自分の頭w

135名無しさん@秘密の花園:2008/05/13(火) 18:14:32 ID:7v9S3IOK
>>127
いちいちそんなの聞かなくていいよ誘い受けみたいだし
それよりも「誰かが投下したら問答無用で休む」とか言われたら
他の職人さんが投下しづらくなるじゃないか。
あと自分語りも余り多いとイラっと来るかな。職人は作品で語ればいい。
あ、言っておくけどあなたの作品は好きだよ。
136名無しさん@秘密の花園:2008/05/13(火) 18:27:17 ID:y8sZlvkn
>>135
確かに言い方はまずいなと思いました、すいません。
あと自分語りはそろそろウザいと言われそうな感じだったんで自重します。
職人は作品で語れ、って言葉、正にその通りです。
自分の事はどうであれ、作品を愛して頂けるのはこれ以上無い幸せです。

とりあえず、流れ悪くしちゃったまま去るのもあれなので本日分の投下いっときます。
カップリングは晴美×奈美で、よければ見てやって下さい。

137誘惑:2008/05/13(火) 18:33:11 ID:y8sZlvkn
「藤吉さんってさ」

黒板を消していた晴美に向かって投げ掛けられた言葉。
ん?と振り向いた晴美が捕らえたのは
机に肘を突きながらじっとこちらを見つめていた奈美だった。

「女子に人気あるって知ってる?」
その言葉に晴美が黒板消しを手から離した。
「へぇ」
奈美の言葉に生返事を返して
ぱんぱん、と手をはたいて両手を見る晴美は
さしてそんな事には興味が無さそうだ。
その様子を見た奈美があっ、という表情を浮かべる。

「女の子に人気あるって言われても嬉しくないか」
へへ、とはにかむように笑った奈美を見て、晴美がにっ、と笑った。
そしてすたすたと奈美の席の前に移動して、奈美の顔を覗き込むように見つめる。

「奈美ちゃんはどう思う?」
「へ?」
晴美の質問の意味がわからずに間抜けな声が上がった。
そんな奈美に晴美が優しく笑いかける。

「奈美ちゃんもあたしをそういう風に思ってるのかなって」
そう言った晴美に奈美はぱちぱちと瞬きをしてみせた。
「え?う、うーんと…」
戸惑う奈美に晴美の顔が少し近付いた。
あまり顔を近くで見る事がなかったのでついその顔に見入ってしまう。

眼鏡の奥の目は意外にも強い光を宿していて
いつもにこやかに笑いを浮かべる表情とは別物に見える。
まるで何かを射抜くような目だ。
そんな晴美の目にごくり、と息を飲んだ奈美は目線を外した。

「ま、まぁ…カッコいいかなって思う事はあるよ…」
華奢な身体なのに運動神経抜群で、どことなく穏やかな雰囲気の晴美を
ついつい目が追いかけるなんて事も確かにあるにはあるのだ。
そんな奈美の言葉に晴美が目を細める。

「へー、そうなんだ」
その言葉にふと晴美へと視線を戻す。
それと同時に晴美の手が奈美へと伸びた。
138誘惑:2008/05/13(火) 18:37:33 ID:y8sZlvkn
あれ、と思った瞬間、揃えた指で顎を持ち上げられる。
きょとんとした顔で晴美を見ると、うっすらと笑みを浮かべていた。

「奈美ちゃんもそんな風に思ってくれてるんだ」
「え、あ、あのっ…」
普段見せる顔とは全く別の晴美の顔に奈美がたじろぐ。

その表情は、なんというか…大人っぽいというか色気があると言うか…
どきん、どきんと胸が鳴る度に身体が少しずつ熱くなる。


―どうしてこんなに動揺してるんだろう。


くっ、と指先に力が込められ更に上を向かせられた。
んっ、と小さく声を上げると晴美が嬉しそうに微笑む。

「奈美ちゃんも普通に可愛いよ?」
「なっ…普通って…!」
そう言い掛けた瞬間に晴美の顔が近付いた。
びくっ、と身体を震わせるとその反応に晴美がますます嬉しそうに笑う。

「ね」
顎を持ち上げていた手がするりと首筋をなぞる。
「ひぁっ…!」
予想していなかった動きに奈美が声を上げたが慌てて口を塞ぐ。

「あ、反応は普通よりも可愛いかな」
「なっ…!」
反論しようとした奈美の口に人差し指を当てた。
その行動に加え、にっこりと微笑みかけられて奈美はくっ、と言葉を飲み込む。
その様子を見た晴美がふっ、と吹き出した。

「え…?」
「いやぁ、ちょっとからかいすぎたかなって」
今までのは冗談でからかわれていただけ…?
奈美の緊張が一気に解ける。
そしてほんの少し恥ずかしく思った。

「ごめんごめん」
笑いながら頭を撫でる晴美は先程の鋭い光を宿した目を
どこかへ置き去りにしたように穏やかな光を呼び戻していた。

「ひどいよ、からかうなんてー」
言葉とは裏腹に奈美の胸はまだ落ち着きなくどきどきと鳴っている。
そのどきどきを悟られたくなくてぷう、と頬を膨らませて拗ねてみせた。
139誘惑:2008/05/13(火) 18:44:18 ID:y8sZlvkn
「いやぁ、奈美ちゃん可愛いからつい…」
笑いを堪えきれない晴美が、奈美を見ながらくすくすと笑った。
その笑顔さえ胸のどきどきに拍車をかける。
なんだか顔をも少し熱い。
ふるふると小さく首を振って、熱を分散させる。
その様子を見ていた晴美が、奈美に気付かれないようににぃ、と笑った。

「奈美ちゃん」
呼びかけに、うん?と顔を向けると
間髪入れずに頬に温かい感触。
小さく音を立てて離れたそれ、って…?

一瞬何が起きたか分からずにきょとんとした目を晴美に向けると
晴美は楽しそうに、にやにやと笑みを浮かべていた。

「あの…今…」
「んー?」
満面の笑みを見せた晴美に
何が起こったかを理解した奈美は一気に熱が頬に集中した。

「…っ…!?」
「どしたのー?」
全てを見透かしたような態度の晴美が憎らしく思える。
先程以上にふるふると首を振って、はぁと溜め息を吐いた。

「奈美ちゃんがあたしのことカッコいいって言ってくれたお礼ー」
そう言って晴美が自分の唇をちょん、と指で触れる。
それを見てまた奈美は頬に熱が集中した。

「…た、確かにカッコいいけど、今ので見方変わったよ…」
「え、どんな風に?」
誘導尋問されてるみたいに、どんどんと言葉が導かれていく。

「そ、れは…」
答えを待ち望むように、にやにやと笑う晴美をちらりと見て奈美は俯いてしまった。
「ごめんごめん、もうおしまい、聞かないよ」
再びふわりと頭を撫でられて、ほっと胸を撫で下ろす。
もう少し、粘られたら危なかった、かもしれない。


だって…ほんの少しだけど
藤吉さんのその誘惑に負けてもいいかなって、思っちゃったんだもん…。




―END―

140あとがき。:2008/05/13(火) 18:46:49 ID:y8sZlvkn
以上です、お粗末さまで、したっ!
あーだこーだと自分勝手で無礼な事やってしまいましたが
気にせずさらっと流してもらえれば幸いです。
いろいろすいませんでした、またよろしくお願いします。

141名無しさん@秘密の花園:2008/05/13(火) 22:39:47 ID:ZkyXIhBQ
>>135
他の人が投下しにくくなるから、誰かがしたい日は休むって言ってるわけで
でも逆にそれに気をつかって出来なくなるタイプも居るわけで
数日に渡って投下するなら、その点は仕方ない
あと、職人は作品で語れば良いってのが、そういう意味ではないんでしょうが
タイミング的に>>134にもかかってるように見えるのがちょっと…
投下してないときは、書き手もただのイチ住人だ、と言いたくなる

>>140
出た、藤吉は女子にモテる設定w
なんか年下キラーくさい匂いがたまりません
でもまあ、こういう場所で度を越えた謙遜と、気の使いすぎは程々に
142名無しさん@秘密の花園:2008/05/13(火) 22:57:34 ID:CvX6bgK9
職人さんの作品外のコメントも自由だと思います
我々が職人さんの作品に大して拍手レスする・しない自由と同じように
語りが嫌なら読み飛ばせばいいだけし、作品で語れってのもあんまりです


>>140
晴美はモテモテですねw
奈美の受け気質も中々です
今後も期待しております
143名無しさん@秘密の花園:2008/05/13(火) 23:40:17 ID:jZQBRFKD
GJ!
たぶん、どっかで千里が見てますよw

個人ページなら別として、共有してる場に何か送り出すときにネガティブ発言は、ノーマナーだからしない方がいい
だからって、職人は作品で語れ、はなぁ……
それって、聞こえは良いけど、黙って投下だけしてろってのに近いわけで
144名無しさん@秘密の花園:2008/05/14(水) 01:11:31 ID:gNaTMkhw
まあまあ、さらっと流しましょうよ。さらっと。
145140:2008/05/14(水) 18:20:45 ID:xh8/PEoN
藤吉×奈美にGJ下さった方々、ありがとうございます!
誰も投下を考えていなければ
今日もまた投下させてもらおうと思ってますんで
もう少し様子見てから投下いきますね。

146名無しさん@秘密の花園:2008/05/14(水) 18:26:34 ID:pE4xhncw
>>145
だからそういう前フリはいらないんだってば
147名無しさん@秘密の花園:2008/05/14(水) 18:46:28 ID:xh8/PEoN
昨日の今日で前フリに取られても仕方ないと思って迷ったんですが
「いや、今日は自分が投下したい!」思ってる方が居れば言ってもらいたいと思ってるもので…
こういう場合はどうしたらいいんですかね…
なりふり構わずがんがん落とすやり方で構わないのなら
その方法でいかせてもらおうとは思ってますが。

148名無しさん@秘密の花園:2008/05/14(水) 19:02:56 ID:pE4xhncw
ん・・何かめんどくさくなってきた・・好きにしてください・・・
149名無しさん@秘密の花園:2008/05/14(水) 19:25:46 ID:27ADMPrD
二日に一回投下にしたらいいんです
そうすりゃ自然にスペースも開きます
150名無しさん@秘密の花園:2008/05/14(水) 19:39:13 ID:77Qh8Chj
>>149
やはりそれがよさそうですね…
毎日投下なんて身勝手言ってすいませんでした。
スレの活性化を狙ったつもりだったんですが
悪い方向へ引っ掻き回しただけで、ほんっと申し訳ないです。


とりあえず、本日分いってしまいます。明日以降は2、3日おきってことで。
今回は可符香×カエレで、あまり見かけないというカップリングからは外れているのですが
黒い可符香が好きだという方がいらっしゃったので、それを意識して可符香を黒くしてます。
あとほんの少しえっちぃかもしれないので、苦手な方はご注意を。

よろしければしばしお付き合いください。

151思惑:2008/05/14(水) 19:42:54 ID:77Qh8Chj
2人以外誰もいなくなった教室にがたがた、という音が時折聞こえる。
その音の正体は椅子に縛り付けられたカエレが身を捩る度に立てられる音だった。


「…何やってんの、よ」
縛り付けられながらもきっ、と睨みをきかせるカエレに可符香が嬉しそうに微笑む。

「やだなぁ、カエレちゃん。そんな顔しないで下さいよ」
すっと頬をなぞり、そのまま顎へと指を這わせた。
ぴく、とカエレの身体が跳ねる。
その反応に嬉しそうに可符香が目を細めると
ポケットから取り出した小さなプラスチックのケースをカエレの目の前にちらつかせた。

「これ、何だかわかります?」
傾けられたケースの中に、無色透明の液体が見える。
怪訝そうな表情のカエレを見た可符香が嬉しそうに笑った。

「これを飲んじゃうとえっちな気分になるんですって」
くすくすと笑う姿はどこか恐怖を感じさせる。
ごくり、と息を飲み、カエレは可符香を見上げた。

その得体の知れない薬は
さっき手渡されたジュースの中に入れられていたらしい。
そんなものが入っているなんて、疑う訳もない。
何の躊躇いもなく飲んだそれが
まさかこんな事態を引き起こすなんて、誰が想像できるだろうか?

「最初は眠たくなるらしいので、カエレちゃんが眠っている間にちょっと縛らせてもらいました」
にっこり、と笑って説明する可符香は
いつもと変わらない笑顔のはずなのに、どこか黒さを滲ませていた。

「じわじわと効いてくるタイプらしいですから」
そう言ってちらりと可符香が時計を見やる。
「もうそろそろ、ですかね」
その言葉が引き金になったかのように、途端カエレの胸が大きく鳴った。

「…っあ!?」
「だんだん効いてきましたね」
胸のどきどきと早くなり、身体に熱を帯びていく。
頭もくらくらして、呼吸が苦しい。
152思惑:2008/05/14(水) 19:47:25 ID:77Qh8Chj
カエレがはっ、と息を吐いて可符香を見ると嬉しそうに目を細める。
にこりと笑うと椅子に縛り付けたカエレの両脚へ可符香が跨がった。
そして両腕を伸ばしカエレを腕の中へ閉じこめる。

「本当はずっとこんな風にしたかったんですよ」
耳元で囁かれる言葉にびく、と身体が震えた。
吐息混じりの可符香の声がぞわぞわと背筋を震わせる。

「だか、らって…こんな…っ!」
言葉を言い終わる前に耳に噛み付かれて、言葉を遮られる。
「じっとしてたらすぐ終わります」
それに身体もだんだん我慢できなくなってるでしょ?
そんな可符香をただ睨み付けるしか出来ないが
その睨みにすら凄みが薄くなり、熱を含んだ視線へと変わっていく。

「もう少し素直になってくれればいいのに」
首筋に顔を埋めて、ちろりと舐めると、やだっ、と小さく声が上がった。
自分でも信じられない声が上がり、慌ててふるふると首を振った。
「もっと聞かせて下さいよ」
にこりと笑う可符香からふいと目を逸らす。

「あれ、そんな態度取っちゃっていいんですか?」
くすくすと笑い混じりに言って、カエレのネクタイを解きに掛かった。
両手が縛られているせいで抵抗が出来ずなすがままにされる。
ネクタイを抜き取り、シャツのボタンを2つ程外すと
浮いた鎖骨をなぞるように指を這わせる。

「綺麗ですね」
うっとりとした目で可符香がカエレを見つめた。
その表情にカエレの胸が更に高鳴る。

これは、薬のせいだ。
そうじゃなかったら…こんな…こんな事…
そこまででカエレの思考にノイズが入る。

ボタンが更に外されて、前を肌蹴させられると
クラスの中でも特に大きい部類に入るその胸に手を添えられた。

「んっ…!」
可符香の手が遠慮を知らずに、やわやわと動かされる。
「…ちょっ…ぁ…や…」
直接ではないのに触れられた場所が熱い。
布越しの不確かな感覚ですら、身体が悦ぶように反応する。

頭が、身体が揺さぶられ
もうどうでもいいと理性を離そうとした瞬間、その手の動きが不意に止まる。
不思議に思ったカエレがちらと可符香を見ると、にこりと笑った。


「どうして欲しいかちゃんと言ってくれないと、あげれませんよ?」

153思惑:2008/05/14(水) 19:52:38 ID:77Qh8Chj
「そしたら、カエレちゃんが『お願いだから焦らさな』」「…もういいから黙りなさい」
嬉しそうに語っていた可符香の言葉がぴたりと止まる。
そしてまだ語り足りないとばかりに残念そうな表情を浮かべた。

「えー、これからがいいところなのに…」
「いいも悪いもないわよ!」
頬を赤らめたカエレが声を上げる。
ぶーぶーと拗ねる可符香に、深く溜め息を吐いて
髪を掻き上げると、じっと可符香を睨んだ。

「あなたは私をどうしたいのよ…」
「どうもこうも、夢ですから」
しれっと放たれた可符香の言葉にカエレは顔をしかめて視線を外す。

「夢は夢よ!実際こんなことある訳ないじゃない!」
その言葉にふむ、と頷いた可符香は
素早くカエレの後ろに回り込むと
身体に腕を回してぴたりと身を寄せる。

ぎゅっと力が込められて、一瞬だけ時が止まったように思えたのは
可符香がいつもと違う雰囲気を発していたからだろうか。
どくん、と胸が高鳴ったと同時に耳を通り抜ける声。


「じゃあ、試してみますか?」


耳元で囁かれた言葉がカエレの身体を震わせた。
「…ね?」
「…っ!」
その言葉に加え、ふっと耳に息を吹きかけられた事に驚いたカエレは
すぐに可符香から身を離して、慌てた様子を見せる。

「何バカな事いってるのよ!」
「怒ったカエレちゃんも可愛いですね」
んふふ、と笑う可符香にカエレが額に手をやった。
「…もう、いいわ」
そう言ってカエレがすたすたと先を歩いていく。


「あ、待ってくださいー」

ぱたぱたとその後ろ姿を追いかける可符香のポケットの中に
無色透明の液体が入った小さなプラスチックケースが忍んでいる事に
カエレが気付くはずはなかった。




―END―

154あとがき。:2008/05/14(水) 19:55:40 ID:77Qh8Chj
以上、ちょっと黒い可符香とカエレでした。
夢オチは手○先生が禁止して以来最大のタブーは
マズいと思ったので二段オチで。(オチテナイヨ!)

えーっと、とにかくいろいろすいませんでした。
ここまでお付き合いいただきありがとうございます、ではこれにて。
155名無しさん@秘密の花園:2008/05/15(木) 02:26:31 ID:zHJTYjcU
黒…いや、悪可符香…
156名無しさん@秘密の花園:2008/05/15(木) 04:22:15 ID:xLcrIxJJ
前から気にはなってたけど、可符香って敬語がデフォなのか?
157名無しさん@秘密の花園:2008/05/15(木) 09:22:40 ID:qBNMT7zg
クラスメートに対してはタメじゃなかったっけ
158名無しさん@秘密の花園:2008/05/15(木) 09:27:55 ID:udgG6+oO
黒可符香キター
同級生には「〜だよ」、望には「〜ですね」みたいな
159154:2008/05/15(木) 10:05:12 ID:wgz7p+iE
あわわわ…ものすごい今更なミスですね<敬語
個人的に可符香は敬語の方がしっくり来るというか
(おそらく望と絡むことが多いからかと思いますが)
これから可符香を書くときはその辺り注意して書いていこうと思います。
ご指摘&回答ありがとうございました。

あと、今週のマガジン見ると千里は一軒家で犬も飼ってまし、た…。

160名無しさん@秘密の花園:2008/05/15(木) 17:15:30 ID:a+anXFS8
>>159
どんまいどんまい。また次の投下楽しみにしてるぜ!
161名無しさん@秘密の花園:2008/05/15(木) 22:27:12 ID:q9kT2t/W
私は敬語使ってる可符香好きだけどな
次の作品も期待しておりますので頑張って
162名無しさん@秘密の花園:2008/05/16(金) 00:12:23 ID:ZymLfy4+
クラスメートに対して敬語を使うこともある
モノローグも敬語
163名無しさん@秘密の花園:2008/05/16(金) 18:33:43 ID:Lj1iE9OC
えーっと、投下の方いかせてもらいます。
今回は晴美×千里ですが、いつもの甘々を期待してる方がいらしたらごめんなさい。
藤吉がどうしようもないくらい病んでます。
そこまで露骨なえろ描写はないですが
別の意味でキツいかなと思う部分があるので読まれる方は注意してください。
それではいきます。

164狂惑:2008/05/16(金) 18:39:50 ID:Lj1iE9OC
ばたんと閉められたドアに、がちゃりと鍵がかかった。
その音に千里がびくりと身を震わせると晴美がゆっくりと近付いて来る。

「あ…」
ぴりぴりと与えられる重圧に、千里の身体ががたがたと震え出す。
そんな千里を見つめる晴美がにぃ、と笑みを浮かべた。

「どうしたの?そんな顔して」
表情とは裏腹な冷たい声。
ひたり、ひたりと近付く足音が、怖い。

「違う!違うの!」
ぶんぶんと首を振って、ひたすら謝罪を繰り返す千里の肩に晴美の手が置かれた。
「わかってるよ、千里が一番好きなのは」
そこまでで景色が一転する。
気付けば天井が見えて、ベッドの上に押し倒されていた。


「あたしだもんね」


にっこりと笑う表情は影がかかっていて、表情を読み取れない。
がっ、と肩が押さえ付けられて、スカーフが抜き取られる。
ベッドの下へ投げ捨てると、両手で制服を開いた。

「やだっ…!やめ…!」
「大人しくしてないと、後で酷いよ」
低く、冷たい言葉に、千里は抵抗を止める。

「初めからそうすればいいんだよ」
機嫌を直した晴美がほんの少し口端を上げた。
しかしすぐに笑みは消える。

「で、何やってたの?」
晴美の質問に千里が再び首を振る。
「違う!あれはあなたの勘違いなのよ!」
必死に叫んでみるも晴美に睨み付けられると、千里は黙らざるを得ない。

「言い訳は千里らしくないなぁ」
言い訳なんてレベルでもない。
ただ真実を伝えようとしているだけなのに。

晴美が怒っている原因は、放課後の教室での出来事だった。
同じクラスの生徒と談笑している所を見られた。
ただ、それだけなのだ。
しかし晴美にとってはそれだけなんて言葉では済まない。

晴美は千里に異常なほど執着していた。
今回みたいに、ただ他の人と話しているだけでも半端ではない苛立ちを露にする。


晴美との関係がいつからこんな関係に変化したかは覚えていない。

一番最初は恋人同士だった。
普通に一緒に帰ったり、手を繋いだり、甘酸っぱい時を共有していた。
165狂惑:2008/05/16(金) 18:42:54 ID:Lj1iE9OC
しばらく経つと、晴美の心に変化が表れ始める。
事ある毎に「淋しい」「嫌だ」と泣きじゃくる晴美を慰める為に
身体を重ねることを繰り返した。
何かあれば晴美がすぐに千里を求める。千里がそれに応える、そんな繰り返しだった。

それが少しずつ、少しずつエスカレートしていって
今では「淋しい」や「嫌だ」の代わりが
「支配することで手に入る何か」を求める事へ変化していったのだ。

初めのうちは嫌だと精一杯抵抗していたが
繰り返し与えられる、どこか歪んだ愛に抵抗する力を奪われた。
今は成すがままの、まるで遊び道具の人形だ。

「千里」
先程とは変わって、泣き出そうな晴美の表情が見えた。
「あたしは千里が好きだよ?」
覆い被さって、抱きしめてくる腕にはまだ温かみが残っているのだ。

だから、つい、許してしまう。

「晴美…」
でもこのままじゃ、駄目だという事もわかっていた。

「ねぇ、もう止めましょう」
このままじゃ、お互いの為にならないの。
あなただってわかってるでしょう?

千里の言葉に、晴美はぴたりと動きを止めた。
そして額に手を当てて、ふと目を細める

「ほんっと」
その言葉と共に乱暴に下着を剥ぎ取られた。
声にならない声を上げて、千里が身体を丸めようとしたが
晴美の腕に遮られて、それも叶わない。

「まだ、あたしの気持ちわかってくれないんだね」
くつくつという笑い声が千里の耳をぞわぞわとなぞった。
ぞくり、と身体が震え、危険を知らせる。

だが、知らされたところでどうにもならないのだ。

「や、だ…!」
ぐっと握り締められた手首を振り払おうとするが
がっちりと掴まれた腕は解く事が出来ない。

「もっとわかってもらう必要があるね」
そう言って晴美が千里をうつ伏せにして押さえ込んだ。

うつ伏せられたその状態のままぐっと頭を押さえられて、顔がシーツに擦り付けられる。
顔を上げようとしても押さえ付けられる強さが大きく、醜くもがく事しか出来ない。
166狂惑:2008/05/16(金) 18:49:24 ID:Lj1iE9OC
「はるっ…み…!」
この体勢になると、何をされるのかはもうわかっている。
身体を低く保った晴美が千里の背中に口付けた。


次の瞬間―。


「いっ…!」
肩甲骨辺りに鈍い痛みを感じる。
晴美がそこへ噛付いたのだ。
手加減無しの噛み付きに白い肌が傷付き、血が零れた。
しかし千里は声を押し殺してそれに耐えようとする。

「…んっ…っ…!」
更に傷口を舌で突かれるように舐められる。
ぎゅっとシーツを握り締めて千里がひたすらその痛みに耐える。
目からは涙が零れ、シーツを色濃く染めていく。

千里の白くて狭い背中には
たった今新しく付けられた傷以外にも治り掛けの傷や
ここ2、3日で付いたと思われる傷が背中のあちらこちらに見えた。

傷口を貪っていた晴美が、ふいと顔を上げる。
背中に付いた傷をじい、と見つめて、にやりと笑った。

「こんなに傷だらけになっちゃ、お嫁に行けないよ」
くつくつと笑いながら、千里の身体を仰向けにさせる。
涙でぼろぼろになった顔が晴美の視界に飛び込んでくる。

「そんなに泣くほどあたしが好きなんだね」
嬉しそうに歪められた表情に千里の背筋が凍る。
ゆっくりと顔を近付けた晴美が頬を伝った千里の涙を舌で拭った。

んん、と声が漏れる。
快楽とは違う、苦痛と言うにもまた違う
微弱な毒のように少しずつ、でも確かに身体が侵食されていく感覚。
抵抗する力はすっかりと姿を消した。
いや、もう初めから諦めているのだ。


「あ、千里はあたしのお嫁さんになるから、いっぱい傷だらけになってもいいか」

あたしはそんな千里でも大好きだから。
そんな千里でも愛してあげれるよ。

そう言って晴美が千里の唇を乱暴に奪った。
息も出来ないほどの深く、何もかもを奪いつくす口付けに頭がくらくらとする。


―その口付けは、微かに自分の血の味が、した。




―END―

167あとがき。:2008/05/16(金) 18:54:32 ID:Lj1iE9OC
す い ま せ ん 、我 慢 で き ま せ ん で し た 。

前回の可符香×カエレもそうですが
あまり書いたことのないシチュエーションに挑戦しよう!
と思ったらこんな事になってしまいました…。
絶望大殺界の千里のあまりのえろさに
ものすごい甘いえろが書きたくなったので近いうちに書きます、それで勘弁してください。

「惑」シリーズ(勝手に今命名)はまだまだネタがありますので
このスレでは初のカップリングなんかも飛び出す予定です。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました、またよろしくお願いします。
168名無しさん@秘密の花園:2008/05/16(金) 20:02:28 ID:u6mIWyIg
ノリノリじゃないですか
この方向性のハルチリも広げて欲しいな、と
169名無しさん@秘密の花園:2008/05/16(金) 20:17:36 ID:acd+cWv2
やばいたまらんです。
甘いのも好きですが、こういうヤンデレも大好きです。
ご馳走様になりました。

ええっと自分も貼りたいと思います。
「YOUNG GIRL 17 SEXUALLY KNOWING」CPが難しいです。あびる受け?
こっちでも晴美が病んでいます。むしろ性格悪いです。すいません。
170YOUNG GIRL 17 SEXUALLY KNOWING:2008/05/16(金) 20:18:29 ID:acd+cWv2
 誰もいない放課後の教室。2人。
さっきまで騒がしかったこの場所は、今はとても静か。
窓から見えるのは大きな大きな夕焼け。
赤いそれが私と彼女を照らす。
そして長い影を作る。

「ごめんなさい」
その言葉は私が期待していた言葉ではなかった。
千里。私の愛した人。
思えば彼女との付き合いは長い。
その長さが私の心を揺さぶってしまった。
始まりはいつだったかわからない。淡い恋心を抱いたまま私は今までいた。
告白しよう。同姓だけど彼女は私を受け入れてくれる。
そんな少女漫画の1シーンを思い浮かべていた私は見事に打ち砕かれた。
これだから現実はイヤ。

「私…確かに晴美のことは好きよ…
 けどそれは恋愛感情とかじゃなくて…それは…」
彼女は必死で私を傷つけないように心配してくれてる。
けど私の耳には殆ど入っちゃいない。
「ふられた」それが私の心を空洞にして、何も考えられない。
どんな言葉も、どんな行動も全て通り過ぎていく。虚無。
ただただ思考が白く染まっていくだけ。

「ねえ、晴美…」
そんな心配そうな顔をしないでよ。
「晴美ぃ….」
そんな泣きそうな顔をしないでよ。
「何か言ってよ…..」

「ご….ごめんね。こんなこと突然言っちゃって。
 そうでよね….やっぱり気持ち悪いよね….こんなの….」
違うと言って欲しい言い草。
「そ…そんなこと….けど、ごめんなさい….」
残念。
「い、いいよ!私、気にしてないから。
 私こそごめんね!そんな気を使わせちゃって….」
口から出任せ。嘘。本当はすぐにでも撤回して欲しかった。
さっきのは嘘で本当は好きなの、と言って欲しかった。
揺るがない現実が私の前に突きつけられる。
イヤ!やっぱりイヤ!
今すぐ襲って私のものになってほしい。そんな邪な考えが私の心を汚していく。
171YOUNG GIRL 17 SEXUALLY KNOWING:2008/05/16(金) 20:19:02 ID:acd+cWv2
「晴美….」
「えっ….」
「何故泣いてるの…?」
えっ?
気付かないうちに私の目から涙がこぼれていた。
こんな姿を見られたら千里が困ってしまう。
「えっ!い、いや…これは….千里……ごめんね….」

 私は逃げた。彼女の前から。
彼女が後ろで私を呼び止めようとした声が聞こえた。
だが止まらなかった。彼女をつらく思わせたくない。

 嘘。やっぱり嘘。
私は私自身が傷つけられたくなかった。
彼女と同じ場所にいることが耐えられなくなった。
それが真実。卑怯者。
それがもっと彼女を傷つけるとしっているのに。

 下駄箱から靴を取り出した。
早く帰ろう。忘れてしまおう。これが夢でありますように。
今は何も考えたくない。そんな時だった。
「は….晴美ちゃん….」
歯切れの悪い言葉が後ろから聞こえた。声でわかったあびるちゃんだ。
今は誰とも話したくなかった。消えて欲しい、そうも思った。
「ご、ごめんね!今は早く帰らなくちゃいけない用事が」
「お願い…..少しだけ私の話を聞いて….」
そう言って彼女は私を後ろからゆっくり抱きついた。
少しの無言。静寂。
172YOUNG GIRL 17 SEXUALLY KNOWING:2008/05/16(金) 20:19:33 ID:acd+cWv2
「前から言おうと思ってたことがあるの….」
「何?」
張り詰めた空気がその場を支配した。
「私、あなたのことが好きなの…..」
やめてくれ、そんな言葉が浮かんできた。
たったさっきふられた私にすぐさま告白?
勘弁して欲しい。私の隣にいて欲しかったのは彼女じゃなくて、千里なのに。
怒りにも似た感情が浮かんできた。悪くはないのはわかっているが。
「前から言おうと思ってたんだけど….2人っきりになる時がなかったから….」
「そう….」
何て言ってやろう。
私には好きな人がいました。けどさっきふられちゃいました。
だから今、私は傷ついてるの。そんな私を慰めて….馬鹿げてる。
それからまた無言。彼女は私の言葉に期待しているのだろう。
さっきの私みたいに。するとぱっと、彼女は手を離した。
「ごめんね….やっぱり、そんなの変だよね…..」
声が微かに震えてるのが分かった。
その時、私は彼女がとても可哀想に思えてきた。
同情に近い感情。このまま突き放してあげてもいい。
けれど救ってあげてもいい、という選択者の思考。

「やっぱり私、帰るね….」
「待って」
そう言って私は振り向いた。彼女は案の定、泣いていた。
私の目には涙は無かった。哀しみを超えた、もってどんよりとした感情が私にはあった。
精一杯の作り笑顔。
「私も…あびるちゃんのこと、前から好きだよ」
「えっ….」
嘘。
「本当に…?」
「うん!」
嘘。
「あ…..ありがとう….」
彼女は更に涙を流した。私は彼女をそっと抱きしめた。
私の心の中の同情と加虐心が私の中で蠢いた。
173YOUNG GIRL 17 SEXUALLY KNOWING:2008/05/16(金) 20:20:21 ID:acd+cWv2
それから私達は人気のない所へ移動した。
そこで私は彼女を陵辱した。
彼女は愛されていると思っていたのかもしれない。
だが私は愛していなかった。
だから陵辱。

「い….っは….んんっ!」
何度も何度も舌を絡めせてキスをした。
キスに耐えるあびるちゃんは心底可愛かった。
苛めてやりたい。そんな心が私の中にあった。
「可愛いよ…あびるちゃん….」
「は…晴美ちゃん….」
私は彼女の髪を撫でながら言った。
それから私は彼女の恥部にまで指をのばした。
「晴美ちゃん….そ、そんなところは…..」
「だって、あびるちゃん。私のこと好きなんでしょ?
 だったら大丈夫だよね」
彼女は小さくうなずいた。断れない見えない鎖で彼女を縛っていたのが分かった。
いやらしい水音を立てて、私の指が彼女に侵入した。
「んっ….!」
必死で耐えようとして、顔を赤らめる彼女は可愛かった。
そしてもう片方の手は制服にしたから彼女の胸に触れた。
小振りな彼女の胸を撫でた。
「気持ちいい?」
「うんっ…気持ちいいっ…!」
彼女はその後、絶頂に達した。
それは一度だけでなく、二度、三度。私の心が晴れるまで何度も続けられた。

「じゃああびるちゃん。また、明日ね」
「うん。また明日」
頬を染めたあびるちゃんは家路に帰っていった。
だが分かれたと思っていたら、あびるちゃんの声がまたすぐ聞こえた。
「晴美ちゃん…」
「ん?」
彼女は私の後ろにいて、不意に頬にキスされた。
「それじゃあ…またね」
彼女は笑顔のまま帰っていった。
キスされたところを撫でながら私はその姿を見送った。

 いつもの帰り道を私一人。
あの後、すぐにあびるちゃんと付き合ったって聞いたら
千里はどういう風に思うかな。やっぱり侮蔑するかな。
私は千里を傷つけ、そしてあびるちゃんに嘘をついた。
最低だ。私はそう自分の言いつけた。

真っ黒の私は家路に帰る。夕焼けに照らされ影は伸びる。
その影はただただ黒かった。
174名無しさん@秘密の花園:2008/05/16(金) 20:23:04 ID:acd+cWv2
晴美の主観SSですが、読みにくいかも。
そしてかなり正確が歪んでます。すいませんでした。

若干自分の中のブームのハルあびですが、愛が無いです。
これで好きといえるのかはわからないですが・・・

次はもっとキャラを苛めたいな・・・(悪
175名無しさん@秘密の花園:2008/05/16(金) 23:19:12 ID:xzNjunGS
GJ!
でも、あびるの胸が・・・小ぶり?
本筋以外のところが気になって、気になって・・・。
176名無しさん@秘密の花園:2008/05/16(金) 23:27:22 ID:u6mIWyIg
はるあびGJでした
まったく交わっていない想いが良い…何もわかってないあびるがほんとかわいい
でも、あびるの胸は小振りどころか大きい方なんじゃないかな?
177名無しさん@秘密の花園:2008/05/17(土) 15:50:38 ID:j0ElTxhc
すいません、ミスりました(汗
その場の勢いで書いたので・・・スルーしていただけたら幸いです・・
178名無しさん@秘密の花園:2008/05/17(土) 17:39:48 ID:wDoXZEy5
多分包帯でデチューンされてたんだと思います
絶望先生的にはあびるは巨乳でしょう
ともかく職人さんGJです
黒晴美と純あびる
意外とイケますねぇ
179名無しさん@秘密の花園:2008/05/17(土) 17:46:53 ID:KwcfHnUF
晴美視点ということを考慮すれば、「あびるは晴美的には小ぶり」なのかもしれない

さて、実際どっちのほうが大きいんだろうか
180名無しさん@秘密の花園:2008/05/17(土) 19:02:09 ID:wDoXZEy5
晴美的に見ても巨乳でしょう、あびるは
まぁ絶望少女の中ではカエレ、晴美、あびるが巨乳TOP3ですかね
2期アニメだと、晴美が一番大きく見えたけど
181名無しさん@秘密の花園:2008/05/18(日) 15:06:58 ID:vr0OXMcO

投下いきます。
今回は久々にあびる×千里です。(好きなんですが書く機会があんまりないんですよ…)
晴美と千里が付き合っている設定でのあびる×千里なのでやっぱり切ない感じです。
よければしばしお付き合いください。

182眩惑:2008/05/18(日) 15:13:25 ID:vr0OXMcO
その日は、いろいろおかしな日だった。
だって、いつも真面目に授業を受ける彼女が
授業中も授業が終わっても机に伏せ眠っているなんて
彼女の性格を考えればありえなかったからだ。

―だから、つまり、今日はそういうおかしな日だったんだ。


授業が終わり、生徒達が教室を出て行っても
やはり眠ったままの千里にあびるがそっと近付くと
その前の席にゆっくりと腰を据える。
ちらりと千里を見ると、頬に涙の跡が見えた。


泣いて、いた…?


千里の涙の原因がはっきりと断定は出来ないが
あびるの頭にはおそらく原因である人物の姿がはっきりと浮かび上がった。
その人物に苛立ちを感じたところで、結局何の意味も成さない事もわかっている。

すっと人差し指で千里の涙の跡をなぞった。
その動きに千里が小さく声を上げる。
慌てて手を離したが、千里の目はゆっくりと開かれた。

「あれ…?」
ぼんやりとした目で周りを見た後、あびると目が合う。
「あびるちゃん…?」
「…もう授業終わったよ」
起こしてしまった事に申し訳なさを感じたのか
ふいと視線を外しながらのあびるの言葉に千里が慌てて立ち上がった。

「もう帰っちゃったわよね」
その言葉に再び視線を千里へと戻す。
「わ、私も帰ろうっと」
鞄を掴まえ、席を離れようとする千里に合わせてあびるが立ち上がる。
そしてその腕を捕まえた。

「あびるちゃん?」
きょとんと見つめる千里に何も言わずにあびるが腕を引っ張ってきた。
ぐいと、強く引かれたせいで千里がバランスを崩す。
「っ!?」
どすん、とあびるの身体と千里がぶつかった。

「ちょっ…」
慌てて体勢を立て直そうとしようとした千里だったが
あびるの腕によってそれが拒まれる。
ぎゅうと身体が抱きしめられて、空気がぴしっと張り詰めた。

どくん、どくんと鳴る鼓動は、転びそうになったせいで動揺しているのか
抱き止められた身体は急速に熱を帯びていく。
そんな力がどこにあるのかと、疑うくらい力強くあびるが千里を抱きしめた。
183眩惑:2008/05/18(日) 15:16:52 ID:vr0OXMcO
「どう、したの…?」
震える千里の声への返事はない。
ねぇ、どうして何も言ってくれないの?
ねぇ、どうしてそんなに強く抱きしめるの?

だって、こんなのおかしいわよ…。

触れ合う場所が熱い。
身体に刻まれる鼓動が、どんどんと大きくなる。

「ねぇ、千里ちゃん」
しばらくの沈黙の後、口を開いたのはあびるの方だった。
呼びかけられても返事をすることが出来ないのはどうしてだろう。

返事をすれば、張り詰めた空気が破れるのはわかっていた。
しかし何も言わなくたっていずれこの空気は破られる。

返事をしないでいるともう一度抱きしめ直されて、千里の身体が固く張り詰めた。
別にあびるが怖いわけじゃない。
むしろ彼女の腕は気持ちを落ち着けてくれるのだ。

じゃあ、何に対して恐怖を感じているのか…?

「千里ちゃんが悲しむ顔、見てらんないよ」
その言葉にずきり、と胸が痛む。
何を、何のことを言っているの…?

「何の話…?」
ぽつりと呟かれた言葉があびるを動かす。
腕が解かれたと思ったのも束の間、すぐに向かい合うように身体を引き寄せられた。

再び腕の中に閉じ込められるが、逃げようという気にはならなかった。
どきん、どきんと更に鼓動が速くなる。
背中に回された手が徐々に上がっていき、千里の髪を撫でた。
ほんの少し身を竦めると、それに遠慮を感じたのか慌てて手が離れる。

身を竦めたのは嫌だったからじゃないのに
こういう部分にまで細やかな神経を通わせるあびるはあの人とはまた違う。
その優しさが、気遣いが、嬉しい。

でも、甘えるわけにはいかないのだ。
早くこの腕を解いてしまわないといけない。
嫌だ、やめて、と言えばあびるの性格から腕はすぐに解かれるだろう。

それとも、ここであびるの背中に腕を回して
好きにしていいよ。と言えばあびるの本性が見えたりするのだろうか。
その本性はあの人と同じなのだろうか?

今まで何度もそんな兆候はあったのだ。
あびるが千里を好きだということはわかっていた。
しかし既に千里には付き合っている人がいる。
それを知ってもあびるがその気持ちを諦めることはなかった。

千里自身も気持ちの迷いは駄目だと思っていたのだが
今の恋人である藤吉晴美とはまた違う、その優しさに惹かれつつあった。
184眩惑:2008/05/18(日) 15:24:20 ID:vr0OXMcO
背中に回されていた手が震えているのに気付く。
あびるなりの精一杯らしい。
そんなところにまで心をときめかせてくれるあびるが本当に愛おしいと思った。

でも、今の恋人のことを思えば
そんな気持ちに応えることなど出来るはずもない。
やんわりとあびるの身体を押し返して、様子を伺うように視線を向ける。

「ね、あびるちゃん」
やっぱり、こういうのは駄目だと思う。
その言葉にほんの少しだけあびるが哀しそうな様子を見せた。
「こればっかりは仕方ないのよ」
だって、私にはもう…
そう言って俯く千里の頭の上から、ゆっくりと声が聞こえる。

「千里ちゃんの事を考えたら、これ以上我儘は言えないって思ってた」
その声にふと顔を上げる。
すぐ傍にあびるの顔が見えた。
あ、と声を上げると、その顔が近付く。


駄目。それ以上近付いちゃ―

―じゃあ、どうして逃げないの?


ふと気付けば、唇は重ねられていて
背中に回ったあびるの手の震えは無くなっていた。
―覚悟を、決めたんだ。

軽く重ねられた唇が少しずつこじ開けられて中へ舌が入ってくる。
確かめるようなその動きはやはりどこか遠慮がちで彼女らしいと思った。

時間にすればほんの少しの間の事なのに
その口付け1つで、千里の気持ちがぷつんと解き放たれた。
唇が離れ、あびるの申し訳なさそうな表情が見える。

「…ごめんね」
背中に回された手が再び震え出していた。
「…謝らなくていいわ」
そう言ってゆっくりとあびるの首の後ろに手を回す。

「千里ちゃ、ん?」
「謝るのは私の方よ」
ぐいと腕を引き寄せると、あびるの顔が近付いた。
物事にあまり動じないあびるの表情にほんの少し動揺の色が見えた。


これは悪いことだとわかっていたけど
あなたがそんな風にしちゃうから
私は、惑わされていいと思ってしまったの。

だって惑わされたのは、あなただって、同じでしょう?



―END―

185あとがき。:2008/05/18(日) 15:26:00 ID:vr0OXMcO
という感じのあびる×千里でしたがいかがだったでしょうか?
オチがちょっと強引だったかなと思い、ますが…。
(今回のシリーズは必ず3レスで収めようという変なこだわりのせいです)
あとこの話にだけ関して、続きがあるのでそれもまた後日投下します。(多分、いや間違いなくえろ…)
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
またよろしくお願いします。
186名無しさん@秘密の花園:2008/05/18(日) 23:36:30 ID:QrkGojR5
ぞくぞく来るね
続きも楽しみです
187名無しさん@秘密の花園:2008/05/19(月) 20:51:31 ID:akPOznKO
あび千里はやっぱりいいですね〜
甘くなさすぎないように見えて、エロいです(笑)
続きも楽しみにしています。

えっと電車内で携帯に叩き込んだ作品。
二時間くらいで結構な量を書けました。
ちょっと黒い感じです。珍しいあびる×愛です。
188黒目がちな少女:2008/05/19(月) 20:52:28 ID:akPOznKO
 何故か心が清々しい。理由はわからない。
今から私は彼女に酷いことをするかもしれない。
けど罪悪感は無い、背徳感も無い。
あるのは只の好奇心だけ。
その好奇心が私の背中を悪い方向に押していく。
ゆっくりと確実に。

 今私はベッドに座って可愛い寝息をたてる彼女、加賀愛の寝顔を見ている。
穢れない彼女はとても気持ちよさそうに眠っていた。
私は彼女の頬をそって撫でた。
すべすべとした肌を触りながら、私は心底彼女に愛おしさを覚えた。
ああ、彼女に耳と尻尾をつけたらどれだけ素晴らしいだろうか。
そんな他愛のない妄想に浸っている間に彼女の目蓋がうっすらと開いた。
眠りから覚めたばかりで目に光が慣れていなく、眩しそうだった。

「….あ、あれ…私…..」
「おはよう、愛ちゃん」
彼女はまだ現状を理解していなかったようだった。
それからゆっくりと周りを見渡し、私の部屋のベッドで寝ていたことを理解したようだ。
「ジュース飲んだら眠ったわよ」
すると直ぐに彼女の顔色がみるみると変化していった。
「す、すいません!すいません!私、お家に及ばれされて寝てしまうなんて…
 め、迷惑でしたよね!?直ぐに帰りますから!」
まあ彼女の眠りの原因は私のせいなんだけど。
私がジュースに薬を盛ったことにもつゆ知らず、彼女は自分の責任だと思っていただろう。
彼女は体を起こそうとした。
189黒目がちな少女:2008/05/19(月) 20:52:57 ID:akPOznKO
「えっ!?」
体がベッドから起き上がることは無かった。
何故なら私は彼女の手足を縛っている紐をベッドの四隅に括りつけ動けないようにしたからだ。
なので彼女は少し足を開いて万歳しているような格好だった。
「あ、あの….小節さん…これはいったい…..」
「ごめんね、愛ちゃん。眠っている間に縛らせてもらったよ」
私はにっこりと笑って、彼女を見下ろしていった。
「縛るのは何でも良かったんだけどね。
 まあ家には沢山包帯があるからそれで代用….」
「あ、あの….どうして…」
私は彼女の短く縛った後ろ髪とうなじを優しく撫でた。
突然のことに彼女は驚いて短く声をあげた。
「だって愛ちゃんが可愛いから….食べてみたいなあって思って」
「そ、そんな….」
私は彼女に覆い被さるような体勢になった。
怯えながら目を潤ませる愛ちゃんはとても可愛かった。
そんな顔をするから食べてみたくなのに、と思った。

 今ならやり直せる、そんな心の声が聞こえてきた。
だがそれよりも彼女を支配したい心が強かった。
私は自分の性格がわからなくなってきた。
いつもの私ではないような気がしていた。
まるで獲物を狙うオオカミのような。
「ねえ、キスしてもいい?」
「え…?」
信じられないといった様な表情だった、
彼女は大きく首を横に振った。
「こ、小節さん!わ、私なんかよりももっと素敵な人が….」
「駄目。私は愛ちゃんがいい」
私はぐっと顔を近づけた。
「もしかして私のことが嫌い?」
「そ、そんな!嫌いだなんて!!けど私には…」
「好きな人でもいるの?」
その質問に彼女は言葉を失った。
「もしかして真夜ちゃん?」
彼女は目を丸くした。
「ど、どうして真夜さんが….」
「いや、仲がいいからそういう関係なのかなあって思って」
すると頬が少し赤くなった。
そして歯切れの悪い口調で言った。
「真夜さんには一度怖い人から守ってもらったことがあって…
そ、その時から、仲良くしたいなって思って…..」
そう言うと、更に顔を赤くした。
今まで誰にもそのようなことを言ったことが無いのか、
とても恥ずかしがっているのが目に取れた。
190黒目がちな少女:2008/05/19(月) 20:53:44 ID:akPOznKO
 淡い初恋、彼女が真夜ちゃんに好意を抱いているのが一目瞭然だった。
ここで私の心の中の二人が戦っていた。
単純に彼女の恋を応援してあげたい私。
そしてその恋を奪ってあげたいという酷い私。
さて今の私はどちらでしょう。
「愛ちゃんが恋してるなんて知らなかったなあ」
彼女の頬を撫でながら言った。
「お、お願いです….小節さん….どうか離してください….」
私は笑みがこぼれた。
必死で懇願する愛ちゃんがとても可愛らしかった。
頭の中では大きく何かが疼いていた。
「私としては愛ちゃんを応援したいけど…」
満面の笑みで浮かべて私は言う。
「けどもう一人の私が駄目だって」

 彼女の声が出る前に私の唇が彼女を奪った。
短い悲鳴にもならない声は私には届かなかった。
甘い。
彼女の唇はとても柔らかく甘かった。
私はそんな彼女を乱暴に侵入していった。
彼女の目からは少し涙がこぼれて、必死に耐えているのが見えた。
その姿は愛らしく、私の加虐心を逆撫でした。
更に奥へ、濃密に。
私はひたすら彼女と交じり合った。

 やっと一区切りが終わったのは、五分くらい経っていたと思う。
ファーストキスには十分すぎる時間だ。
愛ちゃんは茫然自失といったような表情だった。
私はとてもニコニコしていた。
「どう、良かった?」
「わ…わかりません…..」
悲しそうな彼女を見ていた。
今彼女は何を考えているのだろうか。
全く非がないのに、無理やりファーストキスを奪われたことに憤りを感じているのだろうか。
それともまた性格上自分の非として考えているのだろうか。
そんな気持ちが読み取れない表情だった。
191黒目がちな少女:2008/05/19(月) 20:54:07 ID:akPOznKO
今誤れば許してくれるだろうか。
ごめんね愛ちゃん、今までのほんの気の迷いだったの。
もしかしたら彼女は許してくれるかもしれない。
それならまだ彼女とは友達でいれるかもしれない。
しかし心の中で燃えている火は一向に消える気配は無かった。
「小節さん…お願いします…も、もう…これ以上許してください….」
彼女には申し訳ない気持ちで一杯である。
だが心の奥底にあるこの気持ちはなんだろう。
もっと彼女を欲しい。
もっと、もっと。
「ごめんね愛ちゃん、こんな酷いことをして….」
「い、いえ….そんな….私が….」
「でもね」
ああ堕ちていく。
黒い水の中を堕ちていく感じがした。
静かに、黒く、黒く。
「もう私、引き返そうない」
怯える少女はただ私を見つめているだけだった。
「こ、小節さん….」
「ごめんね….」
私の最後の謝罪の後、私はまた彼女を悲しませることになった。
ある日のことだった。
192名無しさん@秘密の花園:2008/05/19(月) 20:57:37 ID:akPOznKO
結構書いたと思いきや、スレで見るとそうでもないなあ・・・
ええっとあび愛です。
スレのあび愛リレーを見たときから書きたいなあって思ってましたけど、
う〜ん黒いというより重い。
ちょっと愛が可愛そうでした・・・
次はちょっと甘いの書きたいと思います。
(ここでも真夜愛を押すのは許してください(笑))
193名無しさん@秘密の花園:2008/05/19(月) 21:53:51 ID:XV38aLjZ
たまらんなあ〜という感じです。
愛ちゃんはSの心をくすぐりますね!

もう全然違和感ないし、真夜×愛は公式設定でいいと思うw
194名無しさん@秘密の花園:2008/05/20(火) 16:46:19 ID:E8g5fZB3
このスレであまり見かけないので新鮮でした…!
切なくて、黒くて、独特の関係がしっかり表現されてて素敵です…

便乗して投下行っときます。
>>143で多分千里がどこかで見てるというのを砕いた解釈で書いてみた晴美×千里です。
よろしければお付き合いください

195疑惑:2008/05/20(火) 16:48:17 ID:E8g5fZB3

「どうしてあなたは誰にでもいい顔するのよ!」


千里の怒りの声が耳をつんざく。
完全には腹を立てている千里の怒りはちょっとやそっとでは治まらないようだ。
部屋が汚いだとか、時間を守らないとか
いろいろな事で腹を立てる事が多い千里だが、一番気に入らないのがどうやらこれらしい。

「あなたのその八方美人なところが気にいらないの!」
「あたし八方美人かなぁ?」
そんなつもりは全くないんだけどさ。
苦笑いしながら晴美が呟くように言ったのを千里が聞き逃すはずもない。
その言葉にまた千里が声を上げた。

「どう見たって八方美人でしょう!」
誰にでも優しくて、誰にでもいい顔して…

「そんなのだから、他の子にも…」
言いにくそうに語尾を濁して
怒っていた顔は徐々に暗くなっていき、淋しそうな顔へ変わる。
とうとう千里が俯いてしまった。

「…あなたが本当に私を好きなのか、って思ったりもするのよ」

くぐもった千里の声にちらりと視線を向ける。
少し泣きそうな声に晴美の表情から薄ら笑いが消えた。

「えー、まぁ、要するにさ」
千里の言いたいことはわかる、うん。
「つまり、もっと私に構ってよ、って事でいいの?」
晴美の言葉に千里がばっと顔を上げる。
図星なのか、その顔は少し赤かった。

「違うわよ!…ちが、うわ…よ…」
なんてわかりやすいと晴美が微笑む。
同じことで腹を立てるから、同じ方法で機嫌を取るのがお決まりになっていた。
ばつの悪そうに視線を泳がせる千里の頭にぽんと手を置く。

「うん、千里の気持ちはよくわかった」
よしよし、と頭を撫でると途端に大人しくなる。
「だから…ちが、う…から…」
「違わないと思うけどなぁ」
頭を撫でていた手がするりと髪を滑った。
そのまま耳を撫で、頬を伝って顎の辺りでぴたりと止まる。
それがくすぐったかったのか、千里は少し身をすくめた。
196疑惑:2008/05/20(火) 16:50:39 ID:E8g5fZB3

そんな千里の反応を楽しむかのように目を細めていた晴美が
くいと顎を持ち上げて、頬に口付ける。
小さく上がった声に遠慮はせず、そのまま唇を重ねた。
ん、と甘い声が耳に入ってくる。
その声が可愛くて、心地良くて、晴美の胸にじんわりと沁みていく。

添えた手の親指でほんの少しだけ唇を開かせると軽く中をなぞった。
求めるような声が短く、2度3度上がりぎゅっと制服を掴まえられる。
もっと深く、という合図なのだろうけど
今はそれには応じずにゆっくりと唇を離した。

名残惜しそうな表情を浮かべていた千里がはっと何かに気付く。
求めてしまったことが恥ずかしかったのか、晴美の肩口に顔を埋めた。
それから察するに照れているところを見られたくないらしい。

普段強気な態度の割に
こういう部分では途端にしおらしくなるこのギャップ。
本当に同一人物かとある意味疑いたくもなる。

「ちーり」
顔を見られまいと晴美に張り付いていた千里を
ゆっくりと引き剥がして顔を覗き込むと、むっとした赤い顔が見えた。

「まぁ確かにあたしは八方美人かもしれないけど」
そこまで言って、千里の耳元にゆっくりと唇を寄せる。


「こーゆー事するのは千里にだけだよ?」


その言葉に千里の胸が大きく、大きく高鳴った。
恥ずかしくて、返す言葉もない。
恥ずかしくて、顔を見ることも出来ない。

「こーゆー事するのは千里だけの特権だからね」
耳元で囁かれる言葉が更に全身へと熱を運ぶ。
なんでこんな事をさらっと言ってのけるんだ、この人は。

まぁこんな事を言われるのは1度や2度じゃない。
そして、その度にどきどきする自分も自分だけど。
心の中で若干の悔しさを抱きながら千里が晴美の制服をぎゅっと握った。

「…よく恥ずかしげもなくそんな事が言えるわね」
どきどきと高鳴る胸が言葉を邪魔するように鳴り響く。
ちらりと晴美の顔色を伺うと、にっと笑いながら手を千里の背中へと回した。
その手にぴく、と身体が反応する。
それが嬉しかったのか晴美がくすくすと笑った。
197疑惑:2008/05/20(火) 16:55:02 ID:E8g5fZB3

「いつまで経ってもこんな初々しい反応見せてくれるんだねー」
「なっ…」
反論しようとした千里だったが、再びぎゅむと抱きしめられて言葉が止まる。


「千里が1番好きだよ」


晴美の言葉に一瞬息が止まったような気がした。
優しいけど、曇りのない凛とした声。

はっきりと、強い言葉をくれたそのせいで
胸はうるさく鳴るし、身体も熱い。
でも、その言葉が、行動が
どうしようもなく自分を嬉しい気持ちにさせるのだ。

自分の事を好きかどうか不安になる度
自分の事を愛してくれているかどうか気になる度に
欲しいものを与えてくれる。

何度も何度も疑いを抱いても、その度にそれを取り払ってくれる。


「他の子にも同じこと…」
「言う訳ないでしょ」
確かに誰にでもいい顔してるかもしれないけど、嘘は吐かない。
千里以外の人間に言うなんて、考えられないよ。
晴美の言葉に、胸が苦しくなる。
愛されてるってこういうことを言うのだろうか…?

「…きっちり責任取ってよ」
「あたしでよければ」
そう言ってにっこりと笑う晴美に身を預けた。
お、と声を上げて驚いた様子を見せたが、すぐに背中を撫でてくれる。
千里は甘えんぼだね、なんて声が聞こえた気がしたけど
あえて聞こえない振りをして晴美へ擦り寄った。


八方美人で、誰にでもいい顔して
他の人へ勘違いされるくらい優しさを振り撒いて
いつも気持ちをやきもきさせてくれるけど
私は、あなたじゃないと駄目なのよ。


あなたが私を好きだという、疑いのない事実を与え続ける事。


それはこれからもずっと絶対条件だからね。





―END―

198あとがき。:2008/05/20(火) 16:56:29 ID:E8g5fZB3

以上です。お粗末さまでした。
千里はわかりやすいヤキモチを妬くと信じているので
うちの千里は大変嫉妬深いです。
気を引く為に晴美の傍でいろいろやってればいいよ。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
次回もまたよろしくお願いします(次こそはまとい×霧を…!)
199名無しさん@秘密の花園:2008/05/20(火) 19:01:58 ID:LJuNuqiJ
久しぶりのハル×チリ、大変美味しゅうございました。
最近晴美、千里の別カップリングの作品が多くて少しヤキモチを妬いてたので…w
もちろんどれも素晴らしい出来だからこそですが…
これからもヤキモチ妬かせて下さいましw>職人様方

でもやっぱりハル×チリはええなぁ…なんか和む…
200名無しさん@秘密の花園:2008/05/20(火) 19:03:27 ID:o7j8XHAj
ハルチリ最高〜!
ヤキモチネタは本当に好きです。
千里がツンデレ未満のデレデレに見えてきた(笑
201名無しさん@秘密の花園:2008/05/20(火) 23:08:44 ID:K/y5cuvD
これは、いつもの二人ですねw
GJでした

>>192
あびる攻めいいですねー、坦々と熱く攻めてくれそうで
202名無しさん@秘密の花園:2008/05/20(火) 23:12:11 ID:IEMeRhKv
Gjです!
嫉妬モノ好きだわあw

関係ないけど燃料投下
http://redshine.sakura.ne.jp/pict/zetubou/zetubou_07.html
203名無しさん@秘密の花園:2008/05/20(火) 23:21:24 ID:K/y5cuvD
個人サイトのアドレス張るのはよろしくない
204名無しさん@秘密の花園:2008/05/21(水) 14:14:53 ID:1da7s8Bn
ここで保健室ってたまに舞台になるけどその間知恵先生はどうしているんだろうか?
まさか生徒たちの情事を覗いてたりして。
205名無しさん@秘密の花園:2008/05/21(水) 16:41:10 ID:yJMenk62

>>204を見て、即興でネタを考えてみました。
晴美×千里+智恵先生で、短い話をひとつ投下させてもらおうかと思います。
206昼下がりの常時事情。:2008/05/21(水) 16:46:01 ID:yJMenk62
しっかりと握られた手を引かれてずかずかと廊下を進む。
その有無を言わせぬ力に千里の身体は簡単に引っ張られて導かれていく。


行き着いた先は、保健室。


千里の手を引いていた晴美が空いている方の手を扉に掛けてがらりと開く。
確認するようにきょろきょろと中を見回したがどうやら誰もいないらしい。
その事に晴美がにぃ、と嬉しそうに笑った。
素早く扉に鍵を掛けると更に千里の手を引き
奥にある真っ白なカーテンで仕切られたベッドへと向かう。

そしてそのまま千里をベッドへ投げ出した。
黒い髪がはらりと白いシーツに散らばる。
突然の出来事に千里はただただ驚くばかりだ。

「ね、晴美…?」
不安げな表情を浮かべながら晴美へと視線を送ると
晴美はにこやかに笑った。
「なーに?」
その笑顔がある意味怖い。

「こ、これはどういう…」
未だ状況が把握出来ない千里が晴美を見上げるとふわりと頭を撫でられた。
「いやぁ、さっきの時間寝てたら、すっごい夢見ちゃってー」
へらへらと締まりのない顔は趣味の同人誌を見ている時とまるで同じ表情だった。

「その夢とこの状況とどういう関係があ」
最後まで言い切る前に晴美が千里の唇を塞いでしまう。
しかもいきなりの深いキスにいいようにされてしまった。

「んっ!…ん…」
深いけども優しくて、そしてほんの少し感情的な口付けが千里を翻弄する。
無意識に腕が晴美を求めて彷徨った。

「ふっ…んむ…」
口の中を掻き回す晴美の舌に合わせて、千里が自分の舌を絡める。
ひとしきり堪能した後唇が離れると透明な糸が二人を繋ぎ、そしてすぐに消えた。
207昼下がりの常時事情。:2008/05/21(水) 16:51:55 ID:yJMenk62

「夢の中の千里がものすごくえっちだったんだよねぇ」
先程見たという夢を思い返しにやにやと笑う晴美に千里が抗議の声を上げる。
「夢は夢でしょう!」
現実と空想を混合しないで、と叫ぶが手首をしっかりと押さえられてしまう。

「ね、千里」
覆いかぶさった晴美が耳元で囁くと、くすぐったいのか千里が身を捩った。
返事代わりに小さく喘ぐと晴美がスカーフに手を掛ける。
ゆっくりと抜き取られて、前をはだけさせられると千里がふるふると首を振った。

「や」
そんな千里を安心させるかの様に晴美が頬に口付ける。
「大丈夫だから」
穏やかな声になだめられて、千里はこくりと頷いた。
それを見た晴美がにこりと笑いながら千里の肌に口付けた、その瞬間―。



「何が大丈夫なのかしらね」

その声にぴたりと晴美の動きが止まる。
身体に集中していた熱が一気に引くのを感じて
恐る恐る振り返ると、そこには腕組みをした
この学校のスクールカウンセラーである新井智恵が立っていた。

「…こんにちは、智恵先生」
ぱくぱくと口を動かし混乱した晴美は挨拶が口を突き
組み敷かれた千里は呆然とするばかりだった。

「仲がいいのは良い事だけど、時と場合と場所を選ぶ事ね」
溜め息混じりの智恵の言葉に2人はぎこちなく頷くだけだった。
「今度見つけた時には注意せずにこっそり隠し撮りでもしようかしらね」
目を細めた智恵に晴美は慌てて千里の上から退いた。

「それとも私も混ぜてもらおうかしら」
にっこりと笑う智恵に晴美が千里を抱き起こすと
スカーフも一緒に引っ掴んでベッドから一目散に逃げ出した。

「失礼しましたぁ!」
「ちょっ…!まだ制服きっちり着れてないのよ!?」
空いている方の手でひらひらなびく制服を押さえながら
晴美に引っ張られた千里も保健室を飛び出した。


そんな2人の背中を見送りながら、智恵は溜め息を1つ吐いた。


「…若いっていいわね」

その言葉が何に対してなのか、意図は智恵本人しかわからない。




―END―

208あとがき。:2008/05/21(水) 16:56:58 ID:yJMenk62

何か意図していたのよりも全然甘い(ツメ的な意味で)話でした。
ただのバカっぽいハルチリじゃないか…orz
3人で…とかはハードルが高すぎますので、誰か他の方にたすきをつなぎますね。
おそまつさまでした。

これもまた原作の見落としかもしれないんですけど
スクールカウンセラーの先生の部屋って保健室と=ではないですよね…?
209208:2008/05/21(水) 17:26:25 ID:yJMenk62
しかもタイトル間違えた…常時ってなんだよorz
「昼下がりの情事事情」です。
まぁ常時でもある意味伝わる気がしますが。
210名無しさん@秘密の花園:2008/05/21(水) 19:35:54 ID:nGsIgkvl
晴美は常時が情事ですもの
ここはもう、智恵先生は若い情動をたしなめたりなんかしないで
このまま幼い百合カップルに色々レクチャーしてあげればいいのになー、なんて
211名無しさん@秘密の花園:2008/05/21(水) 20:30:00 ID:6Sp3YTZn
百合CPが毎日イチャつくのを見て、
自分が悶々として霧を襲うんですね!わかりました。
212名無しさん@秘密の花園:2008/05/21(水) 23:18:16 ID:suDqAdt8
むしろまといも入れて3Pですね、わかります。

>>208
うああああすみません!
カウンセラー=保険の先生だと勘違いしてましたorz
213名無しさん@秘密の花園:2008/05/22(木) 00:09:32 ID:YbaekF39

>>210-212
これらのネタを拝借してまた新たな話が書けそうです。
感想に加えて、違う捉え方の意見はネタ製造にずいぶん助かっておりますw


今週のマガジン…すげぇ。
4人で並んでシャワーとかどんなシチュエーションなんだろう…
後ろ姿のえろす。隣同士のハルチリ、あび奈美とかの妄想が止まらない…
214名無しさん@秘密の花園:2008/05/23(金) 16:39:16 ID:17RTsJBJ

突然(自分の中で)可符香×カエレ分とあびる×芽留分が足りないと思い立って勢いで書きました。
短い話の2本立てです、他の職人さんがもうそろそろ現れる予感がしているので
それまでの場繋ぎと思ってさらっと読み流してもらえればいいかなと思ってます。
215ネガティブマインド・アウェイ:2008/05/23(金) 16:42:47 ID:17RTsJBJ

ずっとずっと片想いでした。
出来る限り傍にいれるように、一言でも多く話せるように
毎日毎日見つめていました。

そうこうしているうちに
絶望的だと思われていた恋は(私は叶うと信じてましたけど)
念願叶って両想いになりました。

両想いになりましたが、想いが通じる前と何ら変わりのない毎日です。
相変わらずそっけない感じだし
何かアプローチを掛けても上手く交わされてしまいます。

せっかく両想いになったのに何だか淋しくて、切なくて
今までと変わらない関係にほんの少しだけ苛立ちを感じたりします。


そんな事をぼんやりと考えているとその様子に気付いたカエレが声を掛ける。

「どうしたのよ」
顔が適度な距離に近付けられて、様子を伺う様に視線が向けられた。
「え、ううん、何でもないよ」
その言葉に笑顔で返事を返すが、やっぱり気持ちは複雑で
好きってベクトルは未だに片想いな気がして仕方無い。
自分だけが一方的に好きなんじゃないかと思う。

「ねぇカエレちゃん」
堪らなくなって名前を呼ぶと、青い瞳が可符香を捕らえた。
「何?」
不思議そうと言うには少し違う、いぶかしげな表情が向けられる。
その表情に遠慮して可符香は言おうとした言葉を飲み込んだ。

「なん、でもない」
「…何なのよ」
ほんの少し苛立ちを見せたカエレが目を細めて可符香を見る。
本当の事を言いたいけど、苛立つ姿は見たくないからぐっと我慢した。

勢いに負けたから、いいよって言ってくれたのかな。
あまりにも粘るから、いいよって言ってくれたのかな。

心のもやもやがどんどん大きくなる。
ポジティブな自分はどこへ行ったのだろうと自分の心を探した。

そこに辛うじて残っていたポジティブの端っこを捕まえて
決心したように可符香が息を吸い込む。
216ネガティブマインド・アウェイ:2008/05/23(金) 16:46:06 ID:17RTsJBJ

「手を」
不意に発せられた言葉にカエレが横目で可符香を見た。
視線が絡まったら、可符香がにこりと笑う。

「手を繋いでもいいですか?」
その言葉に驚いたようなカエレは表情を見せた。
「…どうしてそんな事聞くのよ」
いい、か嫌、かのどっちかの返事だと思っていたから
今度は逆に可符香が驚く番だった。

「どうして、って…」
「付き合ってるなら、そんな事いちいち聞かなくていいでしょ」
あなたらしくもないわね。
そう言ったカエレはほんの少し照れているようだった。
その言葉にまた驚いた可符香だったが、すぐににっこりと笑った。

「そうだよね」
見失った心の中のポジティブを完全に捕まえた。
カエレのおかげで気持ちが随分と楽になった気がする。

「あ、じゃあ」
思い付いたように声を上げて、可符香がカエレへと顔を近付ける。
何をするつもりだろうと、様子を伺っていたカエレだったが
その顔があまりにも近付きすぎたので思わず身を引いた。

「ちょっと…近いから!」
何するつもりよ、と声を荒げるカエレに可符香がにこりと笑う。
「え、だって付き合ってるなら聞かなくてもいいんでしょ?」
しれっと言ってのける可符香にカエレが反論しようとして息を吸い込んだが
それは言葉にならずに溜め息へと変わった。

「そういうのは状況によりけりでしょう!」
「えー、さっきと言ってる事違うー」
ぶーぶーと文句を言う可符香にカエレが頭を抱える。

「じゃあ、明日ならいい?」
「そういう問題でもないわよ!」
口調こそはいつも通りだったけど
その表情には付き合う前の尖った部分は見られなかったから
それが嬉しくて可符香はえへへ、と笑った。


自分が気付いていなかっただけで
私達の関係は僅かだけど、確かに変化していると気付いたから
自分の中のネガティブは、もう姿を現すことはないでしょう。


バイバイ、ネガティブな心。




―END―

217名無しさん@秘密の花園:2008/05/23(金) 16:47:50 ID:17RTsJBJ

ちょっとネガティブ可符香×カエレでした。
お次はあびる×芽留です。

218サイレント・ボイス:2008/05/23(金) 16:53:18 ID:17RTsJBJ

家族ともほとんど音声の会話を交わさない。
会話の手段は専らメール。
血縁である家族ともそんな感じなのだから
クラスメイトに対してもその姿勢は変わらない。
内気で恥ずかしがり屋故に、と言えばまぁ可愛らしいものだけど
メールとなれば一変、毒のある文字を送信し散らかす、毒舌メール少女の音無芽留。

そんな彼女をいつでも傍でじっと見ているクラスメイトがいる。


『オレなんかと一緒に居てもつまらないだろ』
ずいと突きつけられたディスプレイに浮かぶ文字。
その画面をあびるがじっと見つめる。
内容をさらっと流すように読むと、首を傾げた。

「どうしてそんな事聞くの?」
あびるから返ってきたのは答えではなく質問だった。
おいおい、質問しているのはこっちなんだぞと言わんばかりの表情が芽留に浮かんだ。
「はいはい、そんな顔しないで」
ちゃんと質問には答えるから。
なだめる様に言ってから、ふむと答えを考える。

「別につまらなくないよ」
その言葉に芽留はほんの少し安心したような表情を浮かべたがすぐに携帯を打ち込んだ。
『気を使わなくていいんだからな』
強気な文面とは裏腹にこちらの様子を伺うような視線であびるを見ている。

「気なんか使ってないよ」
別に使う必要も無いでしょ。
その言葉に芽留はほんの少し苦そうな表情を浮かべた。

『オマエも物好きだよな』
「そう、かなぁ」
あびるの言葉に芽留はこくこくと頷いた。

「芽留ちゃんは見てて飽きないから」
にっこりと微笑みながらの言葉だが
何故か素直に喜べなくて、芽留はあびるを睨んだ。

「あ、もちろんいい意味でだよ?」
なんだよいい意味で、って。
携帯に打ち込もうとしたが、何だか面倒になって手を止めた。
219サイレント・ボイス:2008/05/23(金) 16:57:18 ID:17RTsJBJ

「怒った?」
反論を止めたのを見て、あびるが口を開く。
あびるの言葉に芽留はふるふると首を振って見せた。

たまにちょっとむっとする言葉もあるけど
あびるの発する言葉が好きだった。
落ち着き払った声、的確な単語。
必要以上でもなく、必要以下でもない意味のある言葉達が好きだ。
自分の事を上辺だけじゃなく、ちゃんとわかってくれているのを感じる。


だからこそ、自分みたいなろくに会話も成立しないやつと
一緒に居て楽しいのかと疑問も感じるのだ。


文字を打ち込もうと芽留が携帯を握り締めたと同時に
あびるの手が頭の上にかざされた。
視線だけを上に向けると、手がゆっくりと下ろされる。

「また、悪いこと考えてたでしょう」
その言葉にどきり、と胸が鳴った。

1つは図星だったから。そしてもう1つは―。

頭を撫でる手が鼓動を煽るように思える。
そう意識したせいもあってやはり早くなる鼓動が頬にまで熱を運んだ。


「あたしが一緒に居たいから居てるんだよ」
その言葉にあびるを見つめる。
「芽留ちゃんが迷惑だと思っているなら…」
あびるの言葉に勢いよく首を左右に振った。

コイツが傍を離れるなんて、考えられない。

最初の頃はうざったいと思っていたはずなのに、何だこの心境の変化は。
そう思うと何だか可笑しくなって思わず笑みが零れた。

その様子も一瞬たりとも見逃さないあびるに気付き
ちらりと視線を送ると、あびるが微笑んだ。


「やっぱり、見てて飽きないね」


優しく微笑みかける表情と
静かだけど、確かな影響を与える声にまた胸が鳴った。




―END―

220あとがき。:2008/05/23(金) 16:59:23 ID:17RTsJBJ

以上あびる×芽留、可符香×カエレでした。
いつも以上に短いのでさらっと、さらっと読んでいただけるといいかと思います。
お付き合いありがとうございました。
221名無しさん@秘密の花園:2008/05/23(金) 21:55:58 ID:G2WO+GLl
カフカエやっぱり良いなぁ…もちろんあびメルも!
ツンデレ可愛くてたまりませんな
222名無しさん@秘密の花園:2008/05/23(金) 23:56:26 ID:/hjieqNx
可符香の微笑がえへへとは、よく読みこんでますね。
223名無しさん@秘密の花園:2008/05/24(土) 18:01:49 ID:FtupfmFk
少しぎこちないカフカエはいいですね〜
あびメルも2人の不思議な距離感もいいですね。
遠すぎず近すぎず。

しがない短編です。夢ネタです。ハルチリです。
224名無しさん@秘密の花園:2008/05/24(土) 18:02:33 ID:FtupfmFk
「千里〜そろそろ起きないと遅刻しちゃうよ」
「いい…あと五分で起きるから…」
「そんなこと言って起きたためしないじゃない。早く起きた、起きた」
私は千里の体をベッドから引きずり出すも一向に体が動かなかったので、
結局私がテーブルまで運ぶことになった。

「さあ朝ごはんだから早く食べてね」
「うん…わかった…」
しかし千里は机に突っ伏したまま動かなかった。
「晴美…」
「なに?」
「食べさせて…」
まったくこの子は。
仕方なしに千里の口までトーストをもっていった。
一口一口ゆっくりと頬張る千里。
か、可愛い…

「まったく…こんな調子じゃ社会人になれないよ」
「いいわよ…」
千里は私の目を見てにっこり笑った。
「私、大人になったら晴美のお嫁さんになるから大丈夫よ」
ほ、本当にこの子は……
私は衝動のあまり千里を抱きしめた。
「もう、千里はほんっとうに可愛い!!
 大丈夫、私がちゃんと養ってあげるからね!」
「晴美ぃ…大好き…」
私は朝っぱらから強く抱きしめあった。
・ ・・・・・
・ ・・・・
・ ・・

無機質なアラーム音が聞こえてきた。
目が覚めて、自分の部屋だった。
何だ夢だったのか。
私はぼんやりと夢を思い出して、千里の可愛さのベッドの上でのた打ち回った。

「えへへへ」
「何人の顔を見てわらってるのよ…気持ち悪いわね」
「大丈夫!ちゃんと私がお嫁に貰ってあげてるからね!」
「はあ?朝から何言ってるのよ?」
「千里〜」
「ああ!朝っぱらからくっつくな!」
(ある朝の一幕)
225名無しさん@秘密の花園:2008/05/24(土) 18:04:21 ID:FtupfmFk
夢ネタで千里を書いてみたかったんですが
こういう千里も悪くない気がしますね。

そういえば夢の中の晴美はどういう性格なんだろう・・・百合好き?
226名無しさん@秘密の花園:2008/05/24(土) 23:25:42 ID:iQBqh8Eq
GJ!!!
夢千里かわい過ぎるよ夢千里
227名無しさん@秘密の花園:2008/05/25(日) 01:14:02 ID:7hN/Uvqy
自分設定では、現実の千里も時々夢オチ千里みたいになるんです
228名無しさん@秘密の花園:2008/05/25(日) 17:41:04 ID:u8qJDJBS
まと霧書こうと思ったら、上手くいかなかったので地味なマイブーム書きました。
需要はあるかは知らないですが(笑)

(カフカエ前提)可符香×あびる「群青と黄金の月」
そんなに長くないです。
229名無しさん@秘密の花園:2008/05/25(日) 17:41:38 ID:u8qJDJBS
 涼しい夜風が窓から流れていく。
大きな満月の光が真夜中の世界を照らす。
太陽を失くした世界と月明かりが混ざり怪しげな青で染め上げていく。

 月明かりが彼女の顔を照らす。
いつもの愛嬌ある彼女とは何かが違う。
表情はにっこりと笑っていても、それは悦への喜び。
怪しげに笑う彼女を私はただじっと見ていた。

「可愛いね、あびるちゃん」
「ありがとう。じゃあ離してくれる?」
彼女は上から私の腕を押さえつけて身動きが取れない。
「あれ、イヤなの?あびるちゃん」
「どちらかといえば」
「嘘だよ、それ」

 私は抵抗できずに彼女に唇を奪われた。
優しさなどない、ただ彼女が望むようなだけのキス。
それを心の中で嫌がる私と喜ぶ私がいる。
今、その大部分が後者のようだけど。

 彼女の気が済むようにさせた。
一区切りが終わると、また彼女は私を見た。
そしてまた怪しくにっこりと笑った。

「風浦さん、私のことを何とも思ってないんでしょ?」
「どうしてそう思うの?」
「木村さんと付き合ってるのを知ってるから」
彼女が木村さんを好きなことはずっと前から知っていた。
だけど私を思う心はどう頑張っても捨てられなかった。

「そうだよ、私はあびるちゃんを好きじゃないよ」
「じゃあどうしてこんなことするの」
「それはあびるちゃんが私のことを好きなのを知ってるから」
見透かされていた。そしてそんな心を弄ばれていた。
だが私は怒りより、彼女と肌を触れ合わせていることの喜びで支配されていた。
230名無しさん@秘密の花園:2008/05/25(日) 17:42:50 ID:u8qJDJBS
 ペロッと私は首元を舐められた。
そして彼女が歯を立て、私の首元に噛み付いた。
「いっ!」
痛みが首元に走った。歯形が付くだろう、とにかく痛かった。
しかしそれは痛みだけではなかった。

 血が私の首元を流れるのを感じた。
彼女の口元に血が光るのが見えた。

「あびるちゃんは私のこと好きだから、これくらい耐えられますよね」

 彼女に愛されたい。
無駄だとわかっていながらも、私はただ願っていた。
その為なら彼女の望むことは全て受け入れてあげたい。

「うん…」
「そうですよね」
彼女はすっと私を抱きしめ、耳元で囁いた。

「あびるちゃんが望むように遊んであげますからね」
私はただ、彼女の悦に溺れていった。
231名無しさん@秘密の花園:2008/05/25(日) 17:44:48 ID:u8qJDJBS
台詞多いな・・・

イジメブームという訳のわからないブーム。
カフカとか晴美とかは黒いのも好きです。
もっとバンバン苛めたらいいと思うよ
232名無しさん@秘密の花園:2008/05/25(日) 22:47:34 ID:Yzm4E5wS
なぜあびるは片思いの設定が多いんだろうw
233名無しさん@秘密の花園:2008/05/26(月) 00:38:42 ID:uLHlUDI/
あびるって横恋慕キャラが似合いますね
職人さんGJです!
234名無しさん@秘密の花園:2008/05/26(月) 03:03:35 ID:SmGRLDBp
あびるに横恋慕とかが似合うのは、しっぽとか好きなものに対しては押さえが効かない性格だからです。たぶん。
235名無しさん@秘密の花園:2008/05/27(火) 19:54:54 ID:/PiIU8zU
横恋慕のあびるさんや片想いのあびるさん話が多いので
ならここは幸せ両想いにさせてあげよう!
てな訳であびる×千里の甘々を1本いきます。
よければどうぞ。

236LOVE for YOU:2008/05/27(火) 19:58:23 ID:/PiIU8zU

「ねぇ、千里ちゃん」
呼び掛けにふいと振り向いた千里が不思議そうに首を傾げた。
「何?」
少し低い位置から見上げるようにあびるを見る。

「私で、よかったの?」
その質問が何のことかわからずに
千里は一瞬怪訝そうな表情を浮かべたがすぐにあぁ、と頷いた。
「うん」
たった2文字の返事にあびるが少し苛立ちを見せる。

「本当に?」
念を押すように再び問い掛けると千里がこくりと頷いた。
それでもまだ信じられなくて目を細めると、千里も同じように目を細める。
「何度も同じこと言わせないで」
ぴりっと張り詰めた声で言われて、言い掛けた思わず言葉を飲み込んだ。


あなたはそう言うけど
本当に好きなのはあの幼なじみじゃないかと思う。


千里があびるが過ごした時間よりも
幼馴染である晴美と過ごしてきた時間の方が断然長い。
昔からずっと傍に居たのだから
そこに特別な感情が生まれてもおかしくない訳で。
現に晴美は少なからず千里に好意を寄せているような雰囲気もあった。

だから尚更
千里があびるを好きだと気持ちを打ち明けた時は
嬉しさよりも疑いの気持ちの方が大きかったのだ。

「千里ちゃんは、本当に藤吉さんのこと…」
「晴美は関係ないから」
ぴしゃりと言い放たれてもあびるは食い下がった。

「だって…!」
「いいから」
「でも」
そこで言葉を一旦切って再び口を開こうとした瞬間
唇にぴたりと添えられる指。
それに驚いてあびるが一瞬言葉を詰まらせた。
237LOVE for YOU:2008/05/27(火) 20:01:38 ID:/PiIU8zU

「それ以上言ったら怒るわよ」
だから、もう言わないで。
千里の言葉にあびるはこくりと頷くと満足そうに千里が笑いかける。

「心配しなくてもいいから、ね」
その言葉にあびるは心の重荷が少し取れた気がした。
完全に悩みの元が解消されたかというと嘘になるけど
今はこの言葉でも十分に心は救われた。

唇に指を押し当てたままの千里をじぃと見つめて
それからにやりと笑みを浮かべる。
その表情を不思議そうに眺める千里のその指にぱくりと噛み付いた。

「なっ…!」
驚いた千里だったが指を離そうとはしない。
それをいいことにちゅ、と吸い付くとぴくりと身体を震わせた。
その反応が可愛くて、舐めたり吸い付いたりを繰り返す。

「や、くすぐったいっ…てば」
「うん、そういう風にしてるから」
とぼけることもせずからかうこともせず
正直に、素直に、思うことを伝える。

「でも、嫌じゃないでしょ?」
あびるの言葉に千里の顔が赤く染まった。
「何言って…!」
言い掛けた言葉は指に吸い付く感覚によってかき消された。

「素直な気持ち、聞かせてよ」

だってもう、遠慮することはないでしょ?
今まで抑えていた感情が少しずつ溢れ出す。
欲しくて堪らなかった人が目の前にいるのに
大人しくしてられる訳が無いでしょう。

「その言葉信じるよ」
ぐいと腕を引くと、その華奢な身体を抱きとめた。
少し驚いた様子だったが、素直にあびるの腕に収まる。

「…いいわよ」
照れたような声に胸が締め付けられる。
じんわりと広がる幸せと嬉しさに
千里の身体をぎゅうと抱きしめた。
238LOVE for YOU:2008/05/27(火) 20:06:13 ID:/PiIU8zU

この溢れる気持ちをどう表現していいのかわからくて
ただただ頷き、抱きしめる事しか出来なかった。
しかし千里にはそれでも十分に伝わっているようだ。
抱きしめ返された手の強さを背中に感じて
あびるはまた幸せな気持ちになった。

すっと身体を離すとじぃと千里を見つめる。
千里も同じようにあびるを見つめ返したが
不意にあびるが千里に顔を近づけた。

その動きに千里一瞬戸惑ったような表情を見せたが
そのままゆっくりと目を閉じる。
閉じた目の向こうであびるがふっと微笑った。

そしてそのまま顔を近付けると
待ち望んでいると思われている唇ではなく額に口付けた。

「んっ?」
千里の期待を裏切った唇に若干の抗議を含んだように思える声が上がる。
「どうしたの?」
上から聞こえるくすくすと笑い混じりの声に
千里がぎゅうとあびるの制服を握り締めた。

「…なんでもない」
唇へ期待を寄せていた千里の顔がかぁっと赤くなる。
そんな千里の頭に手を置き、2、3度ゆっくりと撫でた。

「焦らなくても、これからだよ」
今まで寄せていた想いを一度にぶつけちゃうのは重すぎるから
これからゆっくり、ゆっくり少しずつ渡していくよ。
その言葉に千里が今以上にあびるに身体を寄せ、ぴったりとくっついた。

「…うん」
顔を埋めているせいで千里の声は若干くぐもってはいたが
小さく返ってきた返事にあびるの心はまた満たされた。



―END―


239あとがき。:2008/05/27(火) 20:07:44 ID:/PiIU8zU
以上、あびる×千里のお話でした。
ハルチリとは違う控えめな甘さ意識させて書いてみましたが
その辺りが上手く表現できていたらいいなと思う次第です。
まぁたまにはあびるさんにも幸せになってもらわないとね。てな感じで。
お付き合いありがとうございました。
240名無しさん@秘密の花園:2008/05/27(火) 20:59:08 ID:S+m9CqvJ
>>239
GJです。禿しく萌えた
あびるが幸せそうで何より
241名無しさん@秘密の花園:2008/05/27(火) 23:54:56 ID:5oCSAmDP
あびるが報われて何よりです、GJ!
242名無しさん@秘密の花園:2008/05/28(水) 18:18:42 ID:E9Ol6FEy
GJでした
そんな描写もないのに、勝手に晴美かわいそうとか思う俺はきっともう駄目w
243名無しさん@秘密の花園:2008/05/28(水) 20:56:18 ID:Zv8CEU7C
いつも切ないあび千里を見てきましたから
こういう甘い2人もとてもいいです。GJ!
244名無しさん@秘密の花園:2008/05/28(水) 21:57:21 ID:Zv8CEU7C
書きました。馬鹿っぽいのを目指しました。
ハルチリメインでおまけにカフカエ。

「Chocolate Panic & Strawberry Shortcakes」
245Chocolate Panic & Strawberry Shortcakes:2008/05/28(水) 21:58:00 ID:Zv8CEU7C
「ねえ風浦さん、一つ聞きたいことがあるんだけど…」
「ん、千里ちゃんどうしたの?」
休み時間、可符香の所まで来た千里はいつもと様子が違っていた。
いつも堂々としている千里は何だか、今日に限って
どこかよそよそしいものがあったからである。
らしくない千里に可符香の頭に「?」マークが浮かんだ。

「そ、そのね…好きな人にプレゼントをあげるなら
 どういうものがいいかな、って思って…」
なるほどそういうことか。
可符香はすぐに千里の心境を理解した。
「それはね、こういうのをあげればいいんだよ」
千里の耳元で囁く可符香の笑顔には何やら裏がありそうだった。

それから三日後、千里は晴美の部屋にいた。
千里のたどたどしい様子にも関わらず、
晴美は呑気にお気に入りの同人誌を読んでいた。
お互い無言だったが、今千里にとって、それは耐え難いものだった。
決心を決めたのか痺れを切らしたのかはわからないが、
口火を切ったのは千里の方だった。

「晴美…今日ってあなたの誕生日よね…」
「え、なに!?千里もプレゼントをくれる気になったの!?」
晴美は嬉しそうに千里に尋ねた。
その表情には理由があった。
この日、晴美は誕生日ということで同級生からプレゼントを貰っていった。
だが女子から人気のある晴美は、他のクラスや下級生の女子からも
たくさんプレゼントを貰っていった。
それが千里にとっては気に入らなかったのか、すっかり拗ねてしまった。
今年は貰えずじまいだろうと、晴美はあきらめていたからだ。

「まあ…そうだけど…」
「なに!?私、千里のプレゼントなら何でも嬉しいよ!」
意気揚々とする晴美とは対照的に千里は気乗りしていそうではなく
思いつめた表情をしていた。

246Chocolate Panic & Strawberry Shortcakes:2008/05/28(水) 21:58:38 ID:Zv8CEU7C
千里は自分の鞄から何かを取り出した。
それはプレゼントを包むときのラッピング用の赤い紐だった。
紐?と思う晴美をよそに、千里は淡々と作業を進めていた。
自分の首にきつくなりすぐ無いように蝶々結びで結んだ。
その一連の動作の中でお互いは何も言葉を発しなかった。
少しの静寂。
千里は大きく息を吸い込んで、上ずった声で言った。


「プ、プレゼントは…私よ〜!」


ピシッと言う音を立てて、空気が凍りついた。
晴美は千里の突飛な行動に動けなくなってしまった。
千里のほうは、自分の発言の恥ずかしさを感じ、顔がみるみると赤くなっていった。

「ち、千里…今何て言ったの…?」
「だ、だから…わ、私が…プ、プレゼントって…」
声がだんだん小さくなっていき、顔が俯いていった。

恥ずかしさのあまり小さくなる千里がとても可愛く感じられた。
このまま抱きしめてあげてもいいのだが、
晴美の中で悪戯心が湧き上がってきた。

「へぇ〜千里はそんなこと考えてたんだ〜」
「ち、違うわよ!た、ただ…風浦さんがやった方が晴美が喜ぶだろうからって…」
可符香ちゃんありがとう!と晴美は心の中で思った。

「けど千里がそんなことを言う子だったとはね〜」
「だ、だからそれは…」
「プ、プレゼントは私よ!…なんてね〜」
千里の口調を真似して晴美が煽るように言った。
さっきの事を思い出し、千里は恥ずかしさのあまり泣き出しそうになっていった。
247Chocolate Panic & Strawberry Shortcakes:2008/05/28(水) 21:59:20 ID:Zv8CEU7C
「お、お願い…さっきのことは忘れて…晴美ぃ…」
千里はうずくまりながらそう言って、晴美の裾を掴んだ。
「そう言ってもね〜」
「お願い……お願いよ……」
千里は顔を上げて晴美を見た。
真っ赤の顔に目を涙で潤ませる千里の顔がとても可愛かった。
ずっと親友の晴美でさえ、こんな可愛い千里の顔を見たことが無かった。

「ごめんね千里〜!!プレゼントは私がちゃんと貰ってあげるからね〜!!」
そう言って晴美は千里を抱きしめた。
「だから…その話は…」
「いいの、いいのよ!こんな可愛い千里を貰って嬉しくないわけないじゃない!」
晴美はまた強く千里を抱きしめた。

「えへへへ」
「何笑ってるのよ、気持ち悪いわね…」
カエレの部屋で可符香はにこにこしていた。
可符香は今日の千里へのアドバイスが上手く言っているかどうかを
考えたら、自然と笑みがこぼれてきたからである。
だがその理由を知らないカエレは白い目で可符香を見ていた。

「ねえカエレちゃん」
「何?」
「カエレちゃんがいいのなら…いつもで私を貰ってくださいね…」
カエレが可符香のおでこに手を当てた。
「あなた、熱でもあるんじゃないの?」
すると可符香はまたにこにこと笑い出した。
そしてカエレに抱きついた。
「カエレちゃん!大好きだよ〜!」
「い、いきなり急にひっつくな!」
「カエレちゃ〜ん!」
「へ、変なとこ触るな〜!」

そうして少女達の一日は過ぎていくのであった。
248名無しさん@秘密の花園:2008/05/28(水) 23:28:59 ID:ng7d19tr
あ、あんた何ちゅうもんを…(ry


ニヤけてしょうがないですがGJ!
249名無しさん@秘密の花園:2008/05/29(木) 00:12:04 ID:+Y/FDPzP
今週の読んでると、やはり奈美はカフカのことカチンと来るところがあるみたいだな。
250名無しさん@秘密の花園:2008/05/29(木) 13:11:54 ID:kwGE8Ig/
なんて恥ずかしかわいい千里
251名無しさん@秘密の花園:2008/05/29(木) 23:36:39 ID:ccjemqub
晴美モテすぎ、可符香悪戯好きすぎ、千里かわいすぎ、GJすぎ
252名無しさん@秘密の花園:2008/05/31(土) 20:06:53 ID:wjXzXeP5
1つ投下いきます。
スレでは意外と見かけない?まとい×霧です。
どっちかってと霧→まといみたいな感じかもしれませんが
よろしければ見てやってください。
253戸惑:2008/05/31(土) 20:11:44 ID:wjXzXeP5

気配を殺しながら、時折首を伸ばし宿直室の様子を伺っている人物がいる。
それは2のへの生徒である、常月まといだった。


―あの引きこもりの弱点を探らなくちゃ。


引きこもりとは一応同じクラスである、小森霧の事だ。

彼女とはクラスの担任である糸色望を巡っては
見えないところで争いを繰り返していた。
たまに顔に貼られている絆創膏や湿布はその時に付いた傷のせいだったりする。

そんな不登校の経緯があるライバルは
望の説得で学校に来るようになったものの
今度は学校へ引きこもってしまい不下校となった。
そんな彼女が寝泊りしているのが、この宿直室である。

恋のライバルである霧の行動パターンや
弱点なんかを知ることが出来たらと思い立ったまといは
ここ最近、この宿直室の周りをうろうろと歩き回っては
中の様子を確認するのが日課となっていた。

我ながら狡い事をしていると心の端では思っているものの
「愛する望の為ならどんな女だって蹴落としてやる」
という信念のまといにとってはこれくらいのことは大した問題でもない。

さぁ、あの女の弱みを―。

そんな事を思いながら宿直室の外壁に張り付き、こっそりと窓から様子を伺う。
と同時にがらり、と窓が開かれた。
突然の事にまとい身体がびくりと跳ね、その場に硬直してしまう。

窓に手を掛けて、きょとんとした表情を浮かべているのは
この部屋の住人である霧だった。

「何してるの?」
不思議そうな顔で霧がまといを見つめる。
「あなたこそ、なんで…」
「さっき窓の外見たら、あなたがそこでうろうろしてたから…」
まといの偵察はとっくに見破られていたようだ。
その言葉にまといはがくりと肩を落とし、ふらふらとその場を離れようとする。
254戸惑:2008/05/31(土) 20:15:53 ID:wjXzXeP5

「あ、待って」
背中に飛んできた霧の言葉に、まといが振り返った。
「新しいお茶の葉が手に入ったんだけど、飲んでいかない?」
意外なライバルの言葉に、まといの方が呆気に取られてしまう。
「1人で飲むのもなんだか、淋しいし」
そう言って霧が淋しそうな表情を見せた。

霧の悲しそうな表情を見た以上
このまま断って退散してしまうのもなんとなく後味が悪い。
そう思ったまといはしぶしぶ了承して、宿直室へとお邪魔することにした。


「…ねぇ」
正面に霧を見ながら向かい合うように座っていたまといが声を上げる。
「何?」
ずずっ、とお茶をすすり、ほっと息を吐く霧は完全にリラックスモードだった。

「あの、さ…あたし達ってライバルじゃないの?」
まといの言葉に霧がきょとんとした表情を見せた。
「うーん、ライバルっていうか、クラスメイト?」
その言葉にまといが少し居心地悪そうに目線を逸らす。
霧の持っていた湯飲みがことん、と机の上に置かれた。

「お茶、冷めるよ」
まといの前に置かれた湯飲みが指差されて
ばつの悪そうな表情を浮かべながら、まといが湯飲みを手に取る。

「…いた、だきます」
小さく呟かれた言葉に霧が嬉しそうな表情を見せた。
「おいしく淹れれたつもりなんだけど」
霧の言葉通り、飲んだお茶はとても美味しいものだった。

「あ、美味しい」
思わず口を突いて出た言葉に霧が嬉しそうに笑う。
「ほんとに?良かった」
その笑顔に視線が奪われる。


そういえばこの子の笑った顔ってあんまり見ないな…。


いつも牽制し合ってばちばちと火花を飛ばしていたので
きっ、と睨んだ顔しか印象に残っていなかったまといにとって
霧の見せた笑顔は意外だった。
…しかも、ちょっと可愛いし。
頭に浮かんだ余計な事にはっと我に返った。

あたしが好きなのは先生で
この子はそのライバルなのに…
そんな事を思うなんてどうかしてる。

「ねぇ」
霧の呼び掛けに、びくりと身体を強張らせた。
「え、ああ…な、何?」
「あなたは、あたしをライバルとしてしか見ていないの?」
霧の言葉にまといが一瞬言葉を失う。
呆気に取られているまといに気付いて慌てて霧が湯飲みを掴まえる。
255戸惑:2008/05/31(土) 20:19:53 ID:wjXzXeP5

「な、なんでもない、変な事聞いてごめん…」
「え…う、うん…」
釣られてまといも湯飲みを手に取る。
そして2人でずずずっと啜った。

2人してほっ、と息を吐き、2人の間に流れた妙な空気を一旦切る。

「また、お茶飲みに来てよ」
独りは淋しいから。
そう言って霧は少し恥ずかしそうに俯いた。
その姿を見たまといも釣られて恥ずかしくなる。

「ま、まぁ暇ならね…」
そう言ってちらりと霧の様子を伺うと
霧はとても嬉しそうに笑っていた。

先程の「お茶がおいしい」と言った時よりも
また少し違った笑顔だった。
今までのイメージが覆され
霧に対する苦手意識も少しは薄れたように思う。


今まで同じ人を巡って争っていたせいで
霧のことは敵だとしか思えなかったが
今回の件で、ほんの少し霧への見方を変えることが出来た。
好きになったら、その相手の事しか見えていない
猪突猛進な自分の性格をこの時ばかりは少し恨んだ。


「…あ、ありがとう」
目線を逸らしながら、なんとか搾り出せた言葉に
霧がきょとんとした表情を見せた。
それを見たまといが慌てたように言葉を訂正する。

「お、お茶入れてくれたお礼よ!」
まといの慌てぶりに、霧がふふ、と吹き出した。
「うん、わかってる」
わかってるけど、
霧の言葉にふいと顔を向ける。

「あなたがそんな顔見せてくれるなんて思ってなかったもん」
そう言ってとびきりの笑顔を見せた霧に
まといは思わず言葉を失い、胸がきゅっと締め付けられた。

「…それは、こっちのセリフよ」
「え、何か言った?」
「ううん、なんでもないわ」


不思議そうに見つめる霧の瞳にまといの心はまたくらくらと、揺れた。




―END―

256名無しさん@秘密の花園:2008/05/31(土) 20:21:40 ID:wjXzXeP5
以上です。
初めてこのカップリング書いてみましたが
今までに書いてきたカップリングと違った雰囲気が出せたかなと。
お付き合いありがとうございました、お粗末さまです。
257名無しさん@秘密の花園:2008/05/31(土) 20:36:31 ID:itRfpLtR
GJ!
和みました。
袴姿と毛布被りな二人には静かな雰囲気が似合いますねぇ。
258名無しさん@秘密の花園:2008/06/01(日) 12:30:02 ID:dgtUBmrK
実はあまり好きではなかったCPでしたが
書いてみて変わりました。
この二人もアリアリアリです。

あびる×芽留 「雨のマーチ」
259雨のマーチ:2008/06/01(日) 12:32:32 ID:dgtUBmrK
 芽留が目を覚ましたとき、外は激しい雨だった。
まだはっきりとしていない頭で、窓から見える雨を見ていた。
どんよりとした雲に轟々と降り続く雨。

風情も無いその雨に芽留はすっかりと気分を落とした。
それはただ単に雨が嫌いなだけでなく、もう一つ、
雨の日には嫌な事が起こりそうな気がするからだ。
理由もなにもないのだけれど、芽留は何か嫌な胸騒ぎがした。

 学校に着いてからさっそく朝の予感が的中した。
教室にあびるがいなかったのだ。
いつも教室に早くからいて、芽留が来るとニコニコしながら抱きついてきたあびる。
鬱陶しくも嬉しく感じていた抱擁が無いことに寂しさを覚えた。

 恐らく遅刻か何かだろう。
朝の事は忘れることにして、あびるにメールを送った。
『今日は珍しく遅ぇじゃねえか お前がいないと暇だから早く来い!』

その後時間を持て余していた芽留は、隣で可符香とじゃれていたカエレにメールを送った。
『朝からうっとおしいもん見せんな パンツ女』
「へぇ…メールだったら、えらい強気ね…」
メールを見たカエレが鬼気迫る様な表所で芽留に近づいてきた。
『お前らの馬鹿面見てたら ムカついてきたんだよ』
「あんたねぇ…一発ぶん殴らなきゃわからないようね…」
カエレは指の骨をコキコキと鳴らした。

 「まあまあカエレちゃん。今芽留ちゃんは寂しいんですよ!」
カエレの後ろからいつものにこにこ顔の可符香が現れた。
『寂しいって何だよ…』
「今日はあびるちゃんがいないから寂しいんだよね」
『違う!違う! 適当なこと言うな!』
反論はしたつもりが、本当のところは図星であった。
260雨のマーチ:2008/06/01(日) 12:33:10 ID:dgtUBmrK
 「なに?本当は寂しさを紛らわせたいだけなの?」
「そうです。本当は芽留ちゃんはツンデレなんですよ!」
2人の間で勝手な芽留像が立てられていくのを見て、
芽留はだんだん相手にするのが嫌になって顔を背けた。
「あ!すねた」
「やっぱり図星なんだね〜」
『死ね』
そうこうしている内に朝礼を鳴らすチャイムが鳴った。
あびるはまだ現れなかった。

 ガラっという音を立てて、担任の望が教室に入ってきた。
その表情はどこか陰りが見えた。
教台に立つと咳払いを一つして、言った。
「ええ、ついさっき小節あびるさんが交通事故に合い
 病院に搬送されたと連絡が入りました」
生徒達が各自でざわざわとし始めた。
皆あびるの心配をしていた。

 芽留はその言葉を聞いて、まず耳を疑った。
あびるの怪我には慣れたつもりだったが、交通事故と言えば話は別だ。
朝の嫌な予感はこれだったのか。芽留はいてもたってもいられなくなった。

『あいつは今どこにいる』
望の携帯にメールが受信した。
「ああ、○×病院に搬送されたそうです。
 けれど思っているより彼女の様態は…」
それだけ聞くと十分だった。芽留はすぐさま立ち上がってた。
「お、音無さん!」
望や生徒の制止を振り切って、芽留は駆け出した。

 外はどしゃ降りの雨が降っていた。
芽留は傘も差すことを忘れて、外に飛び出した。
何やってんだよ、あいつ、事故なんかにあいやがって。
バカ野郎!バカ野郎!バカ野郎!
心の中で悪態をつき、そしてあびるの無事を祈った。
その後、芽留は雨の中をどれくらい走っていったのかは覚えていなかった。
261雨のマーチ:2008/06/01(日) 12:33:41 ID:dgtUBmrK
 病院に着いたとき、芽留はずぶ濡れであった。
看護婦にあびるの場所を聞くと、すぐさまそこへ走り出した。
そこは病室で[403号室 小節あびる]という札が掛けられていた。
芽留はすぐさま病室の扉を開けた。

 そこにはベッドの上に座って、雨を見ていたあびるがいた。
姿はいつものあびると何ら変わりは無かった。
だが左手にギブスをはめているのが気になった。

 扉が開く音に気がついたあびるは芽留を見ると目を円くした。
「め、芽留ちゃん、どうしたの…!?」
驚くのも無理はない。いつもの芽留とは違って全身びしょびしょになっていたからだ。
芽留はすぐにメールを送ろうと携帯を出した。
だが携帯はうんともすんとも言わなかった。
激しい雨のせいで壊れてしまったのであろう。
仕方なしに芽留はあびるのギブスを指差した。

 あびるは何故芽留がここに来たのか理解した。
病院の見舞いにすぐ来てくれたことに。
あびるは何てことの無いように話し始めた。
「今日ね、朝学校に行こうと思ったら車道に猫がいたの。
 危ないなあって思って見てたら、車が猛スピード走ってくるのが見えて
 猫が轢かれそうになったから、走って猫を掴んで車から避けようと思ったの。
 危機一髪の所で車から避けたら、私バランス崩しちゃって。
 左手で地面に手をついたら、その拍子に折れちゃって…」

 あびるが話し終えると芽留は俯いたままだった。
その姿にあびるは慌てた。
「ほ、本当に私は大丈夫だから!
 ご、ごめんね!心配させて!」
だが一向に芽留は動かなかった。
「は、早く体拭かないと風邪ひいちゃうよ!
 タオル、タオル…」
262雨のマーチ:2008/06/01(日) 12:34:18 ID:dgtUBmrK
 あびるは芽留に背を向けてタオルを探し始めた。
すると芽留はつかつかと歩み寄っていき、あびるの背中にもたれこんだ。
急のことにあびるは動けなくなった。
「ふ…ふざけんな……」
あびるは驚いた。芽留が喋りだしたからだ。
聞きなれない高い声で芽留は震えるように言った。
「いっつも、いっつも、体中に傷増やしやがって…
 俺がどれだけ心配してると思ってんだ……」
「め、芽留ちゃん…」
「今日だってそうだ…運動音痴のくせに無理して…
 死んだら…どうすんだよ…」

 あびるはゆっくり振り返った。
芽留はぼろぼろと涙を零していた。
今まで自分の傷が芽留に負担を与えていたのだ。
「ごめん…ごめんね…芽留ちゃん…」
あびるはそっと芽留を抱きしめた。
それはいつもの抱擁とは少し違っていた。
「今度からは…お前を思っている奴のことも考えろよ…」
「うん…ありがとう…」
あびるの目からも一筋の涙が流れた。

 外では雨が降っていた。
雨は軽快な雨音を奏でながら、2人を包み込んでいった。
雨のマーチはまだまだ終わりそうにない。
263名無しさん@秘密の花園:2008/06/01(日) 13:06:57 ID:a78BSxAF
今ホーマックにいるのにニヤニヤしちゃったよ!
264名無しさん@秘密の花園:2008/06/03(火) 04:11:04 ID:xuf+6LyN
一月ぶりに書いてみようと思ってから、なぜか長くもないのに出来るまで2週間以上かかってしまう不思議。
きっと書いたことない人より遅いですね。

さて、千里→晴美、気が向いた方はどうぞ。
265名無しさん@秘密の花園:2008/06/03(火) 04:16:04 ID:xuf+6LyN
ああ、タイトル考えてなかった…ちょっと中断。
266抱え続けたこの想い:2008/06/03(火) 04:25:58 ID:xuf+6LyN
「晴美?ねえ?」
声をかけても返事はなし。
机に座ったままで、自分の両手を枕に晴美は深く眠っていた。

「はぁ……いいかげん起きなさい」
「う…………んぅ?」
晴美の体をゆさゆさと揺り動かすと、さすがに目を覚ましたようで、顔を上げて寝ぼけた目を私に向けた。
「ふぁぁ……おはよう……千里」
「おはよう、じゃないでしょ。ほら、帰るわよ」
「もうそんな時間?うん、わかった」
軽く目をこすった後、晴美は眼鏡をかけなおして、下校の準備を始めた。
267抱え続けたこの想い:2008/06/03(火) 04:28:03 ID:xuf+6LyN
「昨日、寝てなくてね」
「また同人誌?」
「うん」
「それで、また徹夜?」
「うん」

ふぅ、とため息をついた。
おかげで今日の晴美は、ずいぶんな遅刻をしてきたうえに授業のほとんども寝ていた、ということらしい。
まったく、何のために学校に来たんだろう。

「懲りないわね」
「だって楽しいんだもん。千里もどう?」
にぃっと笑いながら晴美が言う。
このやりとり、いったいこれで何度目だろう。
「私には、男同士なんて何がいいんだか……」
「わかってないなー、だから良いんじゃない」
目を閉じて、あごを突き出し、ふふん、とどこか勝ち誇ったような顔で言う晴美。

「ま、それはそれとしてね?」
特に何を言うでもなく、晴美は笑顔で私の目を見つめる。
その後に続く台詞なんて、言われなくたって通じてしまう。
「わかってるわよ……手伝ってあげる」
「ふふっ、ありがと」
ちょうど明日は学校も休み……というか、だから晴美もこんなことを言ってくるのだろうけど。

268抱え続けたこの想い:2008/06/03(火) 04:29:52 ID:xuf+6LyN
「じゃ、着いたら起こしてね〜」
電車の座席に着くや、晴美はそう言って返事を聞きもせずに目を閉じる。
まだまだ寝たりなかったのか、体を軽く私に預けて、晴美はさっさと寝てしまう。

穏やかに眠る晴美。
その顔を見ていると、つい顔が緩んでしまう。
「……ん…うっ……」
「っ!」
晴美の小さな寝言に驚いて、反射的に顔を背け、別に見たくもない外の景色を眺める。
しばらくした後、ちらちらと周囲の様子をうかがってから、もう一度晴美の顔を見る。
「……はぁ……わかんないわよ……何がいいんだか」
そりゃあ、晴美の言っていることとは違うんだろう。
だけど、やっぱり私には理解できそうにない。
こんなの、苦しいだけじゃないの……

269抱え続けたこの想い:2008/06/03(火) 04:31:09 ID:xuf+6LyN
「おわっ……たぁ〜」
ぐっと伸びをして、晴美が大きく息を吐いた。
「ありがとー、ちりー」
ごろんと寝転がり、にこにこと笑顔で言う晴美。
寝不足のせいか、達成感のせいか、少し妙なテンションになっている。

予定では、適当なところで切り上げて、また午後にでも続きをするつもりだった。
けれど、今日の晴美は調子が良かったようで、その勢いに任せていたらずいぶんと時間が過ぎてしまっていた。
ふと窓の外を見てみると、空が少し白み始めていた。

「はい、お疲れ様」
「ん、ありがと」
晴美にグラスに注いだジュースを手渡す。
喉が渇いていたのか、晴美はそれを一気に飲み干した。
「ぷあっ……やっぱり千里が手伝ってくれるとはかどるなぁー」
ふふっと笑って、晴美が私の目を見た。
「ちーり、ありがとっ」
そう言いながら、晴美は私の首に手を回して、その唇を私の唇に重ねた。
その瞬間、触れ合った唇の感触に、私の頭は完全に動きを止めてしまった。
270抱え続けたこの想い:2008/06/03(火) 04:32:47 ID:xuf+6LyN
「んっ……もう千里のことお嫁さんにしちゃいたいね」
唇を離して、晴美が無邪気に笑う。
「え……ぅ」
声が出ない。
このキスは、高揚から来るただの軽い冗談だってことくらい、わかってるのに。
そんな気がないからこそだって、わかってるのに。

「ん?あれ?どうしたのかな?」
「ふぇ?」
晴美が、少しうつむいていた私の表情を覗き込む。
「千里ったら顔真っ赤、もしかして……私の事が好き……だったり?」
また無邪気に笑う。
「だったら面白いんだけどな〜」
それが、ひどく腹立たしい。
271抱え続けたこの想い:2008/06/03(火) 04:33:56 ID:xuf+6LyN
「……そんなわけ、ないでしょ」
「そっか。まあ、そうそうないよね、現実にそうそう…………千里?」
「何よ?」
「あの……怒ってる?」

やり場のない憤りを気取られてしまったのか、先ほどとは打って変わって晴美が申し訳なさそうな顔をする。

「別に……怒ってないから」
未だ頭は回らず、私の口からはそんな台詞しか出てこなかった。
272抱え続けたこの想い:2008/06/03(火) 04:35:29 ID:xuf+6LyN
「う……ごめん…………嫌だった、よね?」
嫌じゃない、嬉しかった。だけど、そんな事言えはしない。

「でもほら、女の子同士なんかノーカンだよ、うん」
晴美の見当違いのフォローが、むしろ私の心を深くえぐる。

「あー、何言ってるんだろ私……うぅ、とにかくごめん」
どうして謝るの……それじゃ私が……


「……晴美」
「え、うん?」
「聞いて……」
震えそうになる体を抑え付けて、声を絞り出した。
273抱え続けたこの想い:2008/06/03(火) 04:37:32 ID:xuf+6LyN
「嫌じゃない。嫌じゃなかった。嬉しかった。だから……」
私の意図が掴めないのか、晴美が小首をかしげる。
「さっきあなたが言ったとおり……私、晴美のことが好き……なの」
晴美の顔を見ていられず、私の視線はどんどん下がっていった。

ああ、言ってしまった。
ずっとずっと、いつか自然に消えてしまうまで隠しておこうと思っていたのに。
今、晴美はいったいどんな顔をしているんだろう。
何を思っているんだろう。
数秒もないはずの静寂が耐えれなくて、私の視界が涙で滲んだ。
こぼれ落ちそうになった涙を指で拭って、ぐっと目を閉じる。
そのまま晴美の返事を待っていた私の背中に手が回されて、体をぐいと引っ張られた。
274抱え続けたこの想い:2008/06/03(火) 04:39:19 ID:xuf+6LyN
「なーんだ、そーだったんだ」
私の顔を自身の胸に押し付けるように抱き寄せながら、やけに軽い声を晴美があげる。
「千里に嫌われちゃったんじゃないか、って……あーよかった〜」
腕の中から私を解放して、晴美が私にとても楽しそうな顔を向けた。
「はる、み?」
「ちーり」
また、晴美が唇を重ねてきた。
今度のキスは、先ほどのキスより明らかに長かった。

「ふぅ……ん?嬉しいんじゃないの?」
唇を離した晴美が、少し意地悪なことを言う。
自分の顔が熱く火照っているのを感じながら、口が上手く回らない私は、こくこくと首を縦に振る。
そんな私の反応に晴美がとても嬉しそうに笑う。

「ふあぁ……あー、安心したら急に……眠く、なっちゃった」
晴美が大きくあくびをした。
「んー、よいしょっと」
「わ、ちょ、ちょっと?」
晴美が私を抱えあげてベッドまで運んで寝転ばせ、その隣で晴美もまた横になる。
「じゃ、おやすみ〜」
「へ?え、っん?」
また軽くキスをした後、晴美は私を抱き寄せて目を閉じ、すぐに眠りについてしまった。

275抱え続けたこの想い:2008/06/03(火) 04:40:48 ID:xuf+6LyN
――太陽がとうに昇りきったころ、晴美は目を覚ました。

「ん?うー……ああ、なんだろ?すっごい楽しい夢見てた気がする……」
寝ぼけ眼をこすりながら言う。

「まさか、それで済ますつもりじゃないでしょうね?」
晴美の胸元から、私が言う。

「冗談よ。じょーだん」
「気持ちよさそうに寝ちゃって……あなたが半端なところで寝たりするから、私なんて全然……」
「ごめんごめん。うん、千里の気持ちはよーくわかったよ」
「……で……その……?」
「あーもう、かわい〜。ほんとにいいの?こんなのもらっちゃって」
私を抱きしめながら、晴美がはしゃぐ。
276抱え続けたこの想い:2008/06/03(火) 04:42:24 ID:xuf+6LyN
「なんでそんな、軽いのよ……これじゃ、悩んでたあたしがバカみたいじゃない……」
「そーだよ。もー、千里のバカ。なーんでもっと早く言ってくれないの」
「だって、こんなのどうしたらいいのって……っん」
晴美が私の首筋に舌を這わせた。
「や、ちょっと……って……はぅ……ん」
続いて、晴美が耳に唇を移した。
私の反応を楽しみながら、晴美は、かぷかぷと私の耳を甘く噛む。

湿った感触に包まれた耳に、ふっと息を吹きかけて晴美が囁いた。
「でも、言ってくれてありがと……もしかしたら、私も千里のこと好きだったのかな?
 んー、よくわかんないや……でもね、千里が私のこと好きだって言ってくれたとき、思っちゃったんだ」
こつん、と晴美が額を私の額にひっつけた。
「逃がしたくないな、って……だって、すっごくかわいかったんだもん」
「う……」
急速に顔が熱くなるのを感じた。
それをごまかすように晴美にキスをすると、晴美はそんな私をぎゅっと抱きしめてくれた。
277抱え続けたこの想い:2008/06/03(火) 04:44:14 ID:xuf+6LyN
短いキスを終えて、まだ熱の治まらない顔を隠すように、私は晴美の胸に顔をうずめて抱きついた。
「なんかずるい……ずっと晴美のペースじゃない」
「そう?」
晴美が私の頭をなでる。
まるで子供みたいに扱われているこの状況が、恥ずかしいけどとても心地良い。

「ふっふっふ、覚悟しといてね、千里」
「……何を?」
「知ってると思うけど……私、結構えっちだよ?」
「うなっ!?」
「千里に興味津々」
「……」
「嫌?」
「……」
それには答えず、ぎゅっと目を閉じて寝たふりをする。
「寝てる?いたずらしちゃうよ?…………ま、いいか。私も寝たりないし」

晴美が喋らなくなり、辺りが静かになった。
一睡もしていなかった私を強烈な睡魔が襲う。
そして……たぶん恋人になった晴美の腕に抱かれながら、私は眠りについた。
278名無しさん@秘密の花園:2008/06/03(火) 04:46:11 ID:xuf+6LyN
真剣な千里に対して、とにかく晴美の方は軽く軽く、とそんな感じ。
雛形は、前スレの終わりのほうで言ってたやつですね。
振ったのも自分なわけですが、イメージしやすくしてくれた前>>762様に感謝。
279名無しさん@秘密の花園:2008/06/03(火) 05:26:06 ID:LTNPFYtP
「うなっ!?」
ってトコがとても気に入りました。
下心があったらそこで驚かないはずから、千里の純粋さが出ている気がします。
280名無しさん@秘密の花園:2008/06/03(火) 13:35:24 ID:sotzpCqB
投下です。まとい×霧(霧×まとい)です。エロスは程ほど。
しかし一ヶ月も前のマガジン掲載分が元ネタとなっております。
ネタの鮮度が低いため、読んでない方には色々と?な出来かもしれません。
あらかじめご了承下さいませ。

それでは、どうぞ
281ヨクキククスリ:2008/06/03(火) 13:36:04 ID:sotzpCqB
常月まといは上機嫌だった。
硬く締めた右手を開き、そこに収められた飴玉のようなものを見る度に、にやついた笑みが止まらない。
「惚」と分かりやすいまでに大きく書かれていたその飴玉のようなものは、正しくホレ薬というものであった。

なかなか自分に振り向いてくれない望に対し、まといは焦りを感じていた。
思えば、あの包帯女が台頭し始めた頃から碌なことが無かった。
包帯に邪魔され望の後を追うことも出来ず、
突然に現れた某国の女狐が望を誘惑、
キッチリ女の猟奇沙汰は激しさを増し、
つい先日には隣の校舎の一年生の告白なんていう一大事まであった。
なんとかして彼女達を引き剥がそうにも、
それをするにはまといはある意味で「まとも」過ぎるところがあった。
故に、常に後手に廻らざるを得なかったのだ。

…でも

まといは右手を握り締める。今の彼女には究極の切り札があった。
このホレ薬をもってすれば、優柔不断な彼も私を愛してやまなくなるだろう。
あの後出しジャンケン女達に、遅れをとる事態も無くなるのだ。
いや、むしろ突き放せるといっても良い―そう、まといは確信した。
だとすれば実践あるのみ。
そうして彼女は自らの通う学校の校舎へとやって来た。
最近望が、糸色医院に通っていることをまといは当然のように知っていた。
そろそろ医院から戻り、授業に復帰する頃合である。
その時にこのホレ薬を飲ませることが出来る。
まといは緊張と興奮を隠せないでいた。もうすぐ先生と結ばれる―。
その第一歩を踏み出そうとした瞬間、まといの脳裏に一人の人物が浮かび上がった。
282ヨクキククスリ:2008/06/03(火) 13:37:00 ID:sotzpCqB
その人物はまといにとって最も因縁深い恋敵、引きこもり少女でもある小森霧であった。
まといは自らが呼び起こした突然の出来事に、戸惑いを隠せなかった。
「わたしったら、なんであの女のことなんて…」
霧とは、彼女が宿直室に住み込んでいることから、
そこを利用し時には寝泊りする望に付き従うまといにとって、
必然的に最も関わり合いが大きくなる間柄であり、
他の女達とは一線を引くライバルとも呼べる関係でもあった。
当然、見えないところで取っ組み合いの喧嘩になることも度々あった。
しかし最近では、傍らに霧がいることに対し特に疎ましさを感じることが少なくなってきた。
むしろ傍に霧がいなかったら、なんだか物足りないようにも思えてくるようにも感じていた。

そういえば、この前、あの子風邪を引いてたっけ。
あんな状態じゃあ、張り合いがないじゃない。先生達にも心配かけて。
軽い風邪だから良かったものの、全く。
引きこもりなんだから体調管理くらいしっかりしなさいよ。

そこまで考えて、まといは自らが、行動を起こすことを躊躇していることに気が付いた。
右手に力が入る。
何故、霧のことが頭から離れないのかが、まといには理解出来なかった。

何を自分は馬鹿なことを考えているの。
所詮は、只の恋敵じゃない。遠慮をする必要なんて無いじゃないか。
こんなことしている暇なんてない。早く先生の所へ行かないと。

そう頭では考えようとも、それでも、何故か心が納得をしない。
「わたしは…」
まといは何をすれば良いのかは分からなかったが、ここは自分に正直になろうと考えた。
そして、戸惑いを胸に宿直室へと向かった。
283ヨクキククスリ:2008/06/03(火) 13:37:57 ID:sotzpCqB
「どうしたの?」
宿直室の扉を開けたまといを見て、霧は珍しげな顔をした。
「え、えっと、上がっても良いかしら?」
「うん、良いよ」
霧の了承を得ると、まといはぎこちない動きで中に入った。
まといは心臓の高鳴りを隠せなかった。

わたしったら、凄い緊張してる…

扉を開けたは良いものの、霧の顔を見るなりまといは固まってしまっていた。

今まで特別意識しなかったけど、やっぱり霧ちゃんって可愛いな…

本来であれば、嫉妬を覚える筈のライバルの美貌にさえも、
今のまといは純粋に感動していた。

やばい。

同時に、今自分が抱いている感情に戸惑いを隠せない。
まといのアイデンティと言ってもこの感情。

だってこれは、まるで恋じゃないか。

そんなまといの姿を見て、霧は顔を曇らせた。
「何かあって来たんじゃないの?」
霧の言葉で、まといは現実に引き戻された。
「え!あ、あそ、そうなんだけど、え、えと」
「それって、先生についてのこと?」
「っ!…そ、そうなんだけど」
霧の核心を付いた問いに、まといは驚いた。
しかし互いの関係を良く考えてみれば、そういう話題に行き着くのが自然だな、と納得もした。
まといは少し肩の力が抜けていくのを感じ、そのまま続けた。
284ヨクキククスリ:2008/06/03(火) 13:38:57 ID:sotzpCqB
「わたしね、このホレ薬を先生に飲ませようと思っていたの」
まといは右手をゆっくりと開き、飴玉のようなそれを霧に見せた。
「ホレ薬…」
霧はまといの掌に転がるそれをまじまじと見つめた。
「こんなのがあったら、あなたならすぐに先生に飲ませてると思うんだけど」
霧は率直な疑問を投げかけた。
「ええ、私もそのつもりだったわ。でもね、そうしたら、何故かあなたの姿が頭に浮かんできて…」
「 ……わたしが?」

霧が静かに呟いた。
「もしかしてまといちゃんって、わたしのこと、どう思ってるの?」
霧の突然の不意打ちに、まといは思わず噴出した。
「な、何よいきなり!」
「だって、わたしの顔が浮かんだなんて言うから」
「た、確かにそれはそうだけど」
「どうしたの、顔が真っ赤だよ」
「う、うううるさいぃぃ!!」
まといは喚く事しか出来なかった。

こっちの気持ちも知らないで…!

まといがそう思った時であった。

「わたしはね、まといちゃんのこと、嫌いじゃないよ」
「え?」
霧の突然の告白に、まといは面食らってしまった。
「でもね、まといちゃんの持ってるそれを使えば、もっと素直になれると思うんだ」
霧はまといの右手を指差した。そこにはまといの持ち込んだホレ薬がある。
「もし、まといちゃんがその薬を先生に使えないのであれば、
その、わたしに対して使ってもらいたいなぁって」
285ヨクキククスリ:2008/06/03(火) 13:39:55 ID:sotzpCqB
まといは一瞬、霧の話している内容が理解できなかったが、
徐々に把握していった。
「え…っと、それってつまり」
まといが確かめるように尋ねると、霧は初めて恥ずかしそうな表情を見せた。
「まといちゃんだって、わたしの気持ち、分かるでしょ」
胸がきゅんと締め付けられ、まといは確信した。

ああ、わたし達、ずっと好き合っていたんだ。

「いいわよ、これあなたにあげる」
まといはそう言って、霧にホレ薬を手渡した。
霧はパァーッと笑顔を輝かせ、それを受け取った。
「それと」
まといが霧の耳元で囁いた。
「…わたしも、舐めてみたいなぁ…」
「ふふっ、分かったよ」
霧は口の中でそれを転がすと、まといに顔を近づける。そして―。
「まといちゃん、好きだよ」
薬の効果、ということだろうか。直前にそう囁いて、霧はまといにキスをした。
「んちゅ…はぁ、はむぅ…ちゅ…」
霧の舌がそれをたっぷりの唾液で包み込んで、まといの口内へと送り届ける。
まといの舌がそれを受け入れ、ゆっくりと絡め取ってゆく。
「ふぅ、んぁあ、ちゅ…ぁあん…」
霧が唇を離すと、まといは名残惜しそうな声を上げた。そして
うっとりとした表情でそれを味わった。
「わたしも好きよ、霧ちゃん…」
今度はまといが霧の唇を貼り付けると、中で霧の舌に吸い付いた。
「ん…ふっ…んちゃあ…」
霧はまといに抱き付いた。まといも同じように霧の背中に腕をまわす。

それは徐々に小さくなり、遂には溶け尽きてしまった後でも、二人は舌を絡め続けた。
286ヨクキククスリ:2008/06/03(火) 13:40:34 ID:sotzpCqB
「わたし、ファーストキスだったんだよ」
長いキスを終えた後も、二人は抱き合いながら寝転がっていた。
霧はまといの胸に顔を埋めながらそう呟いた。
「そうなの、上手だったよ。凄く気持ちよかった」
そう言ってまといは霧の頭を撫でる。
「このままエッチもしちゃおっか?」
興奮げに語るまといに対して、霧は恥ずかしげに呟いた。
「…もうちょっとこのままでいたいな」
「…そうね、わたしもそうしてたい」

「わたし達が恋人になったって事知ったら、先生どういう反応するかな」
霧の素朴な疑問に、まといが望を真似て答えた。
「きっと『絶望した!あまりに自由すぎる高校生の恋愛に絶望した!』とか言うんじゃないかしら」
「あ、その口調そっくり」
「ふっ、伊達に先生と一緒にいないわよ」
そう話しながら、まといは内心で望のことを思った。

先生のお陰で、こうして大切な人に気付くことができました。
ありがとうございます。

「先生にはいっぱいお礼をしてあげないとね」
そんなことを言う霧も、考えていることはやはり同じらしい。
まといはそんなシンクロニシティを幸せに感じた。
287あとがき:2008/06/03(火) 13:41:07 ID:sotzpCqB
以上です。
以前にもまと霧で載せて頂いたんですが、
やっぱりまと霧難しいです。以前よりは書けているとは思うのですが。
シチュエーションを模索次第、また投下できればいいなと考えております。
ここまで読んで頂けたのであれば幸いです。

それでは、失礼致します。
288名無しさん@秘密の花園:2008/06/03(火) 15:26:12 ID:KJ02AiM4
ヤバい…ハルチリもまと霧も神すぎます!!
289名無しさん@秘密の花園:2008/06/04(水) 16:22:05 ID:ZpvLcaiq
投下行きます。
今回も短めの話を2本。個人的に普及して欲しいカップリングをチョイスしました。
まずは可符香×奈美、ちょっと切ない感じの話です。
よろしければどうぞ。
290It notices.:2008/06/04(水) 16:25:17 ID:ZpvLcaiq

「私、奈美ちゃんの事好きだよ」

また、いつものからかいだと思っていた。
でも明らかに空気が違っていたから
その言葉に冷たい汗が背を伝った気がした。


「あ、ありがとう…」
とりあえず好きに対しての返事を返す。
すぐにふいと視線を足元へ向けると可符香が一歩距離を詰めた。
その動きに奈美の身体がびくりと震える。

自身ではそうでもないと思うようにはしているが
どうも苦手意識のある可符香の言動の、行動の1つ1つに
奈美はいちいち身体を固くせざるを得ない。

「返事がちがうー」
むすっと拗ねる可符香に奈美が苦い作り笑いを浮かべた。
「ち、違うって言われても…」
こういう時どういう返事をするべきなのか見当もつかない。
可符香が望む言葉なんて尚更だ。

「嘘だと思ってるでしょ?」
可符香の言葉に再び奈美が身を強張らせる。
むしろ嘘だと思いたかった。

「だ、だってほら!可符香ちゃんいろんな人と仲良しだし!」
奈美の言う通り可符香はクラスでいろんな人の側にくっついては
好きだなんて言葉を連呼しているのはよく見ていた。

「うん、みんな好きだからね」
否定しないその返事に奈美はますます不安になる。
その言葉に奈美は自分に向けられた好きが
その他大勢と一緒であってほしいと願った。
だがしかし先程の言葉の言い方といい
この空気といい、明らかに何かが違うのだ。

「それをどう思う?」
思い出したように呟かれた言葉。
しかし奈美が思い浮かべた考えに対応するような
可符香の問い掛けに視線を上げた。
291It notices.:2008/06/04(水) 16:29:54 ID:ZpvLcaiq

「え…?」
「他の人に好きって言ってるのをどう思うの?」
可符香は奈美へと微笑みを向けていたが
作られたような笑顔の中には切なさが見え隠れしている気がした。

…あまり、見ない顔、だ。

「え、あ、その…」
可符香の表情に奈美が動揺の色を見せる。
いいや、動揺は最初から、可符香に話しかけられる度に感じていた。
自分は勘が鋭い方ではないとは思っていたが
今回ばかりは勘が鈍くなくても、気付いてしまうような、そんな空気を感じる。

戸惑いと、不安と、予測出来ないこの先に
奈美の頭はぐるぐると回り、収拾がつかない。

「奈美ちゃんは他の人に向けられてる好きと一緒だと思いたいんだよね」
そこへ更に追加される可符香の言葉。
まるで心の中をわかっているかのように
それが的確だったから余計に奈美の動揺が大きくなる。
何か弁解の言葉を、そう思って何かを言おうとしても
言葉が出てこないもどかしさもそこへ加わった。

「別に私はそう思われても構わないんだけどね」

ぽつりと淋しそうに呟かれた言葉が奈美にほんの少し冷静を取り戻させた。
ちらりと様子を伺うとやはり淋しそうに笑う可符香がいる。

「まぁ一方的でも気持ちが伝わってるならそれでいいの」
半ば投げやりに聞こえるのは気のせいではない。
珍しく苛立っているようだった。

「変な事言って困らせちゃったね」
ごめんね、と笑いながら言って奈美の返事も聞かず
その様子もすらも伺わず部屋を出ていった。


独り残されたその場所で奈美は、可符香も感じていたであろう
どこか淋しげで切ない気持ちが少しだけ胸にこみ上げる。

先程見せた、悲痛な可符香の気持ちをほんの少し共有した気がした。



―END―
292あとがき:2008/06/04(水) 16:31:34 ID:ZpvLcaiq
以上、可符香×奈美でした。
いつものコミカルさよりも、切なさ重視で。
見ようによっては可符香がちょっと病んでる風にも見える、かな…
次はあびる×芽留です、続けてどうぞ。
293You worry.:2008/06/04(水) 16:39:26 ID:ZpvLcaiq

廊下を歩いていると後ろから足音が付いてきた。
それに気付いてあびるが足を止める。
と、同時に後ろの足音も一歩遅れて止まった。
ゆっくりと後ろを振り返ると、予想通りの人の姿が見える。


「どうしたの?」
その人物にあびるがふわりと微笑みを向けると
後ろに立っていた芽留が恥ずかしそうに俯いてしまう。

「何か用事があるんだよね?」
そう聞いてみても俯いたまま何のアクションも見せない。
理由もなしに後を付いてくる事は考えられなかったのだが
芽留のその姿を見てあびるは詮索を止めた。
自分よりも随分低い位置にある芽留の頭を見ながら
動きを見せるまで何もしないと決める。

あまり詮索される事は快く思わない事を知っているから、だ。

黙ったままの芽留がちらりと上目遣いにあびるの様子を伺う。
視線が絡まればあびるが首を傾げた。
その動きに芽留がぴくりと身体を震わせると、慌ててすぐに俯いてしまう。


その行動にはあびるも少しばかりの違和感を感じた。
芽留とはそれなりの時間を過ごしてきたから
喋らなくても何となく言いたい事は分かるつもりでいたのだが
今回はいつもとどこか違う芽留の行動に疑問を感じずにはいられなかった。

何かを言いたそうに、でも躊躇うその様子に
先程は詮索をしまいと決めたあびるは芽留への距離を詰める。

詰まった距離にびくりと身体が跳ねたが
あびるがゆっくりと手を伸ばすと
その手の行方がわかっているのか
芽留が少しだけ安心したような様子を見せた。
そのままあびるの手が芽留の頭へと置かれる。

「どうしたの?」
2度3度撫でると更に落ち着きを取り戻す。
しばらくすると芽留がふいと顔を上げてあびるの目をじっと見つめた。
294You worry.:2008/06/04(水) 16:46:09 ID:ZpvLcaiq

「ゆっくり、気持ちを整理してからでいいよ」
様子を伺うように見つめていた芽留に言葉を掛け、あびるがゆっくりと頷く。
それを見て決心したのか芽留がスカートのポケットから白い封筒を取り出した。
少しだけ皺の寄ったそれをあびるに差し出す。
その封筒をじっと見つめてから再び視線を芽留へ移した。

「見てもいいの?」
あびるの問い掛けに芽留がこくこくと何度も首を振って許可の意を表す。
封筒を受け取り、中身を見ると映画のチケットが2枚入っていた。

「これ、は…?」
あびるが芽留に視線を送った時には、携帯を取り出して文字を打ち込んでいた。
ようやく、今日初めての『会話』だ。

『クソ親父が貰って帰ってきたんだ』
ディスプレイを突き付けながらどこか居心地悪そうに視線を泳がせる。
『それで、もし…もし、予定が空いてるなら』


そこまでで文章が止まっていた。
続きを打つ事もしない、これで文章は終わりなのだ。
続きは打たなくてもわかる。

「あたしでよければ一緒に行くよ」
その言葉に芽留がはっと顔を上げる。
「あたしが行ってもいいのなら」
補足された言葉と共に微笑を向けると、芽留がむ、と顔をしかめた。

『行ってほしくなければ、わざわざここまでしないだろ』
なるほど。
それもそうかとあびるが吹き出すと
芽留は苦そうな表情を見せたが
それには嫌悪が含まれている様子は全く見えなかった。

それなりに長い時間付き合っていたが
相変わらず言葉のトゲは抜けないなぁ、なんて事を思い浮かべたら
また笑いがこみ上げてきた。

そんなあびるの様子を伺う芽留に優しく微笑みかけると
照れたような表情を見せながらもほんの僅かだけ芽留も嬉しそうに笑った。




―END―
295あとがき。:2008/06/04(水) 16:49:23 ID:ZpvLcaiq
以上、あびる×芽留でした。
やはり芽留はツンデレじゃないと!という
妙なこだわりのせいで書く度に芽留がツンデレです。
そのせいで話がパターン化してる感があります、ね…

個人の趣味で、普及したいカップリングを書いてみましたが
気に入っていただける方がいればこれ幸いです。
お付き合いありがとうございました、お粗末さまです。
296名無しさん@秘密の花園:2008/06/04(水) 18:44:22 ID:uZbQuQVa
>>295
GJです。可符香がさびしそうで、せつないです。
個人的には奈美のセリフがもっとあってもいいと思いました。

それにしても、やっぱり奈美は受けが似合いますね。
というか、攻めが考えられない。
総受け気質は千里にあり、と言われてますが、奈美も受け以外、考えられません。
というか原作だと、よく千里に襲われますね・・・・・・・・

あび芽留はあびるの優しさが、萌えました。
相変わらずツンデレ可愛いです。





297名無しさん@秘密の花園:2008/06/04(水) 21:30:09 ID:bWl5i2QD
うわ〜少し見ない間にたくさんの作品が投下されてて嬉しい限りです。
>ハルチリ
千里がすっごく可愛いですね〜いつもの強気な感じじゃなくて
すこし乙女チックというか。ごちそうさまです。
>まと霧
短い間に結構珍しいCPが続きましたね。
珍しいですけど私的にはど真ん中でした。
もっと流行ったらいいなあ・・・
>カフ奈美
切ない...カフカは普段こういうキャラじゃないから
一層こういうシチュエーションが際立ちますね。
奈美受けは結構見ないって言うのが意外だな〜
凄い受け気質っぽいと思ってます。
>あび芽留
やっぱり芽留はツンデレですね。
あまり甘い感じのCPじゃないんですけど
こういうのもいいですね〜
298名無しさん@秘密の花園:2008/06/04(水) 21:31:56 ID:wPbBuIMY
295
GJ!どっちも良い!
可苻奈美大好きなので非常に萌えさせて頂きました
299名無しさん@秘密の花園:2008/06/05(木) 05:24:43 ID:/ueuNNER
ちょっとキャラ崩壊しすぎ
300名無しさん@秘密の花園:2008/06/06(金) 08:15:33 ID:Py3M2a+e
こんな朝っぱらからですが投下いきます。
晴美×千里で、甘くて短い話を1つ。
よければどうぞご覧ください。

301素直じゃない、君:2008/06/06(金) 08:20:14 ID:Py3M2a+e

後ろから伸びてきた手がひょいと本を取り上げる。
あ、と小さく声を上げて晴美が本の行方を追い掛けると
視線の先には千里の呆れ顔が見えた。

「…またこんなの読んで」
お決まりの台詞に返す言葉は決まっている。
「まぁ、好きだからねぇ…」
晴美の言葉に千里がぴくりと肩を震わせた。

いつもと違うその反応を不思議に思って、晴美が視線を向けると千里が目を細める。
座っているその体勢のまま晴美は千里の腕の中へと閉じ込められてしまった。

「ち、り…?」
首の後ろに回った腕が晴美を引き寄せて、離してはくれない。
どうしたものかと考え始めたら頭の上から声が聞こえた。

「私とどっちが好き?」

質問の意味がわからなくて、いや、意味はわかるけども
あまりにも意外な言葉に晴美は呆気に取られて言葉を失った。
しばらくして身体が離されたら自然と晴美の視線が千里へと向けられる。

「…へ?」

答えの代わりに出た間抜けな声。
それを聞いた千里が晴美を睨んだ。

「…それは答えになってないんだけど」
いつもよりも強気な千里を見て
晴美は戸惑った表情を浮かべたがすぐに吹き出した。
その表情に今度は千里が不思議そうな表情を見せる。

「…びっくりしたなぁ」
眼鏡を指で押し上げてふふ、と笑うと
様子を伺う千里の腕をきゅっと掴まえた。

「そんな事聞かれるなんて思ってなかったから」
その言葉に千里の強気な態度が少しばかり和らぐ。

「もしかして拗ねた、とか?」
そう言ってくすくすと笑うと千里がふいとそっぽを向いた。
「自分から聞いといてそれはないでしょー」
ぐいと腕を引き寄せると先程と同じように晴美と千里の身体がくっつく。

「別に、そんなんじゃないわよ…」
語尾に行くに連れて小さくなる声に晴美が背中へ手を回し、顔を擦り寄せる。
「ほんと可愛いなぁ」
顔を上げて千里を見ると拗ねたような照れたような表情を浮かべていた。
302素直じゃない、君:2008/06/06(金) 08:30:11 ID:Py3M2a+e

「構ってほしいなら素直に言えばいいのに」
その言葉に千里がぎゅうと晴美を抱きしめる。
「ん?」
そのまま顔が近付いて額に唇が当てられた。
その後ゆっくりと離れる千里は視線合わせようとはせずに
なるだけ顔を見られないようにしているらしい。

離れようとする身体を掴まえると長い髪を除けてその表情を確かめる。
視線が絡めば恥ずかしそうに目を逸らした。

「ん、っと…」
少し考えたような声を上げてから、晴美がぐっと顔を近付ける。
「これ、返事」
そしてそのまま千里の唇へと唇を押し当てた。

「これでわかってもらえた?」
にぃ、と笑う晴美に千里はただただ俯くばかりだった。

「…知らないわよ」
しばらくの沈黙の後、言葉とは裏腹の嬉しさを含む言葉が返ってくる。
「ほんとに素直じゃないなぁ」
そう言って晴美が千里の頭へと手を置いた。

「誰も見てない時くらいは甘えたっていいんだよ」
そう言って晴美がにこりと微笑むと千里が晴美を睨んだ。
しかしその表情に凄みはなく完全に晴美の言葉に押し負かされてしまっている。

「…そういうの結構悔しいんだけど」
その言葉に晴美がきょとんとした表情を見せると、千里の腕が晴美を掴まえた。

そのまま引き寄せられてぎゅっと抱きしめられた事に
びっくりした晴美だったがすぐに声を出して笑う。

「…何よ」
「んー、千里はあたしの事好きだなぁって、思ってさ」
その言葉に千里が晴美から身体を離して、勝ち誇ったように笑う頬をつまんだ。

「そういうのが悔しいって言ってるのよ」
ぎゅっと力を込めると、晴美が片目を閉じて困った表情を浮かべる。
「ごめんごめん」
拗ねる千里に笑いながら晴美が謝罪の言葉を述べると
相変わらず拗ねた表情の千里だったが、すぐに晴美に身体を預けた。

「ん?」
「…甘えてもいいって言ったじゃない」
ぼそぼそと恥ずかしそうに千里が呟く。

やっぱりどこか素直じゃないと思いながらも晴美は嬉しそうに笑った。



―END―
303あとがき。:2008/06/06(金) 08:32:18 ID:Py3M2a+e
いつもどおりべったべたの砂糖ざらざらの甘い晴美×千里でした。
あまりにも糖分の高い甘さゆえにキャラ崩壊していないかがとても心配ですが
楽しんでいただけたならこれ幸いです。お付き合いありがとうございました。
304名無しさん@秘密の花園:2008/06/06(金) 21:14:13 ID:AHayDLaV
ハルチリ甘いですねー
こんなにベタベタしてるCPも他に無い(笑
ご馳走様でした
305名無しさん@秘密の花園:2008/06/07(土) 00:41:28 ID:jmCD7mDS
もっともっとべたべたしてください
306名無しさん@秘密の花園:2008/06/07(土) 18:42:16 ID:Td1doLzI
百合スレではハルチリが偏るな〜と思いつつも自分もハルチリです。
甘くても切なくても黒くても何でも料理しやすいからかな?

「OMOIDE IN MY HEAD」
307OMOIDE IN MY HEAD:2008/06/07(土) 18:43:13 ID:Td1doLzI
 シャープペンシルを持つ手が幾度も止まった。
いつもなら簡単に出来るはずの数学問題が今日に限っては上手く解けない。
千里は頭を抱えて問題をじっくりとよく読みなおした。
しかし心はどこか上の空、集中しようとしてもある人の顔を思い浮かべてしまい
勉強どころではなくなってしまうのであった。

千里は一旦休憩をとることにして、窓を開けて夜風に当たった。
昼間の気温は日に日に上がっていくことから、夏が近づいてきているのが容易にわかった。
しかし夜はまだまだ気温が低く、肌寒さを感じるくらいだった。

 千里は外を眺めながらため息を一つついた。
最近、何をしようにもあることが気がかりでため息が多くなった。
それもこれも元凶は晴美だった。
いつもいつも彼女の姿を思い浮かべてしまうのだった。

「晴美ぃ….」
ふと愛するその名前を呼んでみた。
藤吉晴美、幼少からの長い付き合いの彼女。
楽しかったとき、悲しかったとき、つらかったとき、
いつどんなときも隣には晴美がいた。
隣で晴美が笑いかけてくれれば、それだけで千里は幸せだった。

 いつからは覚えていない。
千里の中である感情が生まれだしたのは。
それは友達という関係以上のことを望む心。
それは恋心だった。

 いつも晴美と目を合わせていたい、触れ合いたい、キスをしたい。
そんな彼女を愛する気持ちが日に日に膨れ上がり、今耐え切れなくなっていた。
だがもう一方、憂鬱感情も膨れていった。

 長年の親友といっても、同性同士である。
晴美が二次元の男性同士の馴れ合いを好むといっても
晴美自身同性愛に興味があるとは思えなかった。
 もし自分が告白をして、受け入れてくれなければ二人の関係はどうなるのだろう。
そんなこと考えたくもなかった。

 千里は机に顔を伏せた。
そしてまた晴美を思い描いた。
「晴美ぃ….好きよ….」
小さくつぶやいた後、涙がこぼれた。
308OMOIDE IN MY HEAD:2008/06/07(土) 18:43:47 ID:Td1doLzI
「駄目、全然描けない…」
晴美のペンを持つ手が止まった。
ここ最近、絵を描いても一向に調子が上がらなかった。
しかたなく晴美は一旦絵を描くのをやめて、
録画してあったアニメを見ることにした。
しかしどうもこうも内容が頭に入ってこなかった。
今日はもう寝てしまおう、そういってベッドに倒れた。
しかし寝付こうにもあることが頭の中でぐるぐると回っていた。
木津千里のことだった。

 晴美は世間一般で言うオタクであった。
漫画やアニメのキャラクターを好きになり、自分勝手に妄想したりすることが好きだった。
そういう趣味から、現実の人物で初恋の人、と問われると晴美は頭を悩ませた。
友人、好きな人と言うような人ならいくらでも思い浮かぶ。
しかし恋愛感情といったものが絡んでくると、途端に晴美は苦手になるのであった。
そして今、問題なのがその恋愛感情のことだった。

 早い話、晴美は千里が好きだった。
ずっと長い間一緒にいたせいか、千里がそばにいなければ虚しくなるのに気付いた。
しかしそれが恋ということに気付くのには時間がかかった。

 晴美にとって恋とは空想上の恋愛しか知らなかった。
恋なんてどうするの?
恋なんて何するの?
愛してるってどういうの?
晴美は自分の愛情を表現できなかった。

「千里ぃ….」
ベッドに仰向けになる晴美が言った。
このもやもやをどうすればいいんだろう。
晴美の心がきゅっと締め付けられのを感じた。
「恋ってつらいものなんだ…」
小さく小さく呟いた。
309OMOIDE IN MY HEAD:2008/06/07(土) 18:44:13 ID:Td1doLzI
 朝、2人で登校するため千里は晴美の家の前で待った。
今日始めて見る晴美はどこか元気がなさそうだったが、
それは千里も同じだった。
「おはよー、千里」
「おはよう、晴美」
何気ない朝の挨拶はどことなくぎこちなかった。

 二人は並んで通学路を歩いた。
いつもなら楽しくおしゃべりをしながら登校するはずだったが、
今日は二、三言話して、後はお互いだんまりだった。

 千里は晴美を見た。
いつもの見慣れた姿。
しかしそれが全て愛おしく感じた。
こんなに近くにいるのに、こんなに仲がいいのに。
その距離感が心を苦しめた。

 晴美は千里を見た。
いつも私を叱って、そして何でもしてくれる千里。
自分のためにしてくれることを喜びつつも、
それ以上踏み込んでくれないことに切なさを覚えた。

 二人は黙って歩いた。
お互いどちらからというわけでもなく、自然に手が触れそうな距離にいた。
何も話さなかったが想っていることは同じだった。


        ((早く気付いてよ、私の気持ち…))
310名無しさん@秘密の花園:2008/06/07(土) 23:48:07 ID:ve1/qgiC
ハルチリだけはガチ
311名無しさん@秘密の花園:2008/06/07(土) 23:50:23 ID:jmCD7mDS
いいよー、百合の醍醐味ですねw

でも、最後にあとがき付けたりして、終わってるのがわかるようにしといて欲しい
終わってるのか、書き込めなくなってるだけなのかわからなくて判断に困ります
312名無しさん@秘密の花園:2008/06/08(日) 05:30:53 ID:YhEpOwAC
>>296の書きこみを受けて、
たまには千里が(晴美以外に対して)攻めのSSがあってもいいじゃないかと思い、
千里+あびる→奈美のSS書きました。
千里だけでもよかったんですが、奈美が2人にレイプされる展開が書きたかったんです。
なぜ相方が晴美じゃないんだ。。。と思われるかもしれませんが、
なんとなく、奈美をレイプするんだったら、あびるがいいんじゃないか・・・と思ったからです。
注意点は
・キャラ崩壊あり
・エロあり

徹夜で書いてたんで、いろいろ・・・・ツッコミどころ満載ですがよろしくお願いします。
313普通以上 :2008/06/08(日) 05:37:21 ID:YhEpOwAC

放課後、日塔奈美は仲の良いクラスメイトである小節あびると木津千里のもとに真剣な顔をして、相談をもちかけた。
事前に昼休みに、相談があるから、放課後残っていて欲しいと2人に依頼していたのだ。
この日、週に4回ほどいれている、動物園のアルバイトがなかったあびると、委員長気質で仲間思いの強い千里は快く承諾してくれた。
「あのね・・・・・前からず―――っと嫌だったんだけど・・・・・2人も知っての通り、私、何かあるたびに
みんなからフツーって言われるでしょ・・・・・・あれ嫌で嫌で仕方ないんだよね・・・・・・
私はこれでも一生懸命、学校生活送ってるんだよ!勉強だって、人並みにがんばっているし、
行儀だって、クラスのためになろうと精一杯がんばっているつもりだった。
たしかに部活はやってないけど、これでも自分の将来をちゃんと考えて、自分に向いてることを探して、真面目に日常生活を送ってるつもりよ
なのに、みんな私が何かするたびに「フツー、フツー」って・・・・・・・・
どうして私だけこんな扱いを受けなきゃならないかなぁ!?」
「普通ってそんなに悪い言葉かなぁ?・・・そんなに普通って言われるのがイヤ?」
あびるは冷静な顔で奈美に聞く。
「イヤだよ!!・・・・・・私はみんなと自然に会話したいだけなのに、みんなの意見を聞いたり、共感を得たり、情報を交換したり、
自然にコミュニケーションしたいだけなのに、何で、何を話しても、「普通」って返答しか返ってこないのよ!!」
「そこまで、ひどいわけじゃないわよ・・・・あなたが話すと確かにみんな、最初はフツーって言うけどその後はちゃんと反応してるじゃない・・・
気持ちはわかるけど、ちょっと自意識過剰すぎない・・・?」
千里も冷静な顔で聞いてくる。
「確かに、みんなちゃんと意見をくれるけど・・・・・・・」
「で・・・奈美ちゃんは「普通」っていうのをやめてほしいのね・・・。」
「でも、私は普通こそが奈美ちゃんのいいところだと思うんだけど・・・・・・。」
「私もそう思う・・・・・・。奈美ちゃんから普通を取ったら、何が残るんだっていう・・・・・。」
「な―――――――――っ、私は普通の代名詞ですか・・・・・?
っていうか、私から普通をとったら何も残らないっていうの―――――――――。」
「うん・・・・・・・」
2人は声をあわせて答えた。
314普通以上:2008/06/08(日) 05:39:01 ID:YhEpOwAC

奈美はもう我慢の限界だった。
(私が真剣に相談してるっていうのに、この2人は・・・・・・・・)
「みんな、私のこと何だと思ってるのよ―――――――――――!!」
大声で叫ぶと、奈美は顔に手をあて、泣き出してしまった。
「うっ・・・・えぐっ・・・・・うわああああああああああああああああああああああん」
「な・・・・・・・奈美ちゃん・・・・・・・」
「あーあ、・・・・・・・・泣かしちゃったか・・・・・・」
千里とあびるはちょっといじめすぎた、という顔をして困惑した・・・・・
思えば、今まで自分たちはこの娘の気持ちを親身になって考えたことがあっただろうか・・・・
いつも、いつも何かをするたびに「普通」と言われる少女・・・
その気持ちを言われる立場になって考えてみると非常にせつないものがある。
たしかに「普通」は「異常」や「普通以下」よりはよっぽどいい語句である・・・・・・・
しかし「普通」は決して、「普通以上」にはなれないのだ・・・・・・・・・
人間誰だって、他人からほめられたり、喜ばれたりする方がうれしいに決まっている。
この少女だって、そんな、人として生まれたからには誰もがもつ願望をもっているに過ぎないのだ・・・・・・
それを自分たちは・・・・・・・・
あびると千里は顔を見合わせた。そして、あびるが千里の耳元に何かを吹きこんだ。
千里はそれを聞くと小さく頷き、
「よし、それでいこうか」
小さく返事した。
(私は「普通」の代名詞に過ぎないんだ・・・・・・何をやっても普通としか言われない、誰からもほめられない・・・)
奈美が自分の存在を嘆いていると・・・・・・後ろから腕が伸びてきて、急に体を抱きかかえられた。
(えっ・・・・・・・・・・・・・・・・・)
奈美が自分を抱く腕の感触に驚いていると、顔を覆っていた両手をつかまれた。
そして、あらわになった泣き顔に千里の顔が接近してきた。
(・・・・・え――――――――――――っ・・・・)
ふいに唇に熱い感触を感じた。
315普通以上:2008/06/08(日) 05:40:56 ID:YhEpOwAC
千里が自分の唇を奪ったのだ。
「んっ・・・・・んんっ・・・・・・・・・・」
千里は唇を奈美の唇にしばらく押し付けると、さらに舌を口内に侵入させてきた。
「んちゅ・・・・・んんんっ・・・・・・・」
千里の舌は歯茎を蹂躙すると・・・・・奈美の舌に触れてきた・・・・・
奈美はあまりのショックで、千里の舌を拒むことすら忘れていた・・・・
「んんみゅっ・・・・・・ぅぅ・・・・・」
しばらく、奈美の口内を蹂躙すると、千里は唇を離した。
舌から唾液が糸を引いていく。
さらに休むひまもなく、今度は後ろから自分を抱くあびるの手が、自分の胸を鷲づかみにしてきたのだ・・・・・・・
「ひぁうんんんっ・・・・・・・・・」
奈美は思わず、嬌声をあげる・・・・・・
「奈美ちゃん・・・・・・大きい胸してるわね・・・・・・ナイスバディじゃない・・・・・・」
あびるは奈美の胸を両手の手の平全体で大胆に揉み始める・・・・・・
奈美の比較的、大きな胸があびるの手の平で滑らかに形を変える・・・・・・・・
「あ・・・・・・ああん・・・・・・っっ・・・・何・・・・するのよ・・・・・・」
ようやく奈美から抗議の声が出た。
「奈美ちゃん・・・・・さっきはごめんなさい・・・・・
あなたの気持ちも考えず、無責任なこと言ってしまって・・・・・
自分が何か言うたびに普通って言われたら、私だって嫌で、嫌でしょうがないわ・・・・
それを奈美ちゃんはいつも体験していたんだと思うと・・・・・
今まで、私たちがしていたことってホントにヒドイことだったんだなって・・・・・
私たちが間違っていたわ・・・・奈美ちゃんは魅力的な女の子よ
だから・・・・・今までのお詫びをこめて、
今日は奈美ちゃんに『普通じゃない体験』をしてもらおうと思うの・・・・・」
千里は優しそうな笑顔で答える。
「普通じゃない体験って・・・・い・・いきなりこ・・・きゃぁぁん・・」
奈美が台詞を言い終わらないうちに、あびるが奈美のうなじに吸い付いたきた・・・・・
「あ・・・・・・・・ああ・・・・・・・」
「・・・・・きれいなうなじね・・・・」
さらに、あびるは奈美の顔を横に向けると、千里がやったように唇を重ねてきた。
「んんん・・・・・んんっ・・・」
そしてあびるが手を胸から肩に移したのを見はからって、千里は奈美のセーラー服の下から手をいれ、
乳房にブラ越しに触れてきた。
「こんなに、大きな胸をもってて・・・・・ちょっと嫉妬してきた・・・・・・」
あびるがやったのと同じように手の平全体でこね回すように愛撫する・・・・・
あびるは千里と同じように今度は舌を口内に侵入させ始めた。
「んん・・・・・ちゅぅ・・・・・・んんっっ・・・・」
316普通以上:2008/06/08(日) 05:42:04 ID:YhEpOwAC
やがて、奈美も無意識の内に、快感を求め、あびるの舌に自分の舌を絡める・・・・・・
互いの唾液が混じりあう卑猥な音が湧き出す。
胸への愛撫と、濃厚な接吻で奈美の意識は段々と希薄になっていった。
あびるの唇が離れ、千里の時と同じように、2人の舌の間に唾液のアーチがかかる・・・・
奈美の顔はとろん・・・としていた。
しかし、その顔も長くは続かなかった。千里が背中に手を回し、ブラのホックを外してきたのだ・・・・・
「な・・・・・・・・千里ちゃん・・・」
奈美が戸惑う隙に、千里はセーラー服を捲り上げ、なんと、右の乳首に吸いついてきたのだ・・・・。」
「ひゃうん――――――――――っっっっっっっ」
あまりの急な攻勢に奈美は背筋を反らして、甲高い声で喘ぐ。
千里は左の乳房を揉み続けながら、今度は乳首に軽く歯をたてた。
「きゃあんっ」
そして、今度は舌でれろれろ・・・と乳首を転がす。
「ち・・・・・・千里ちゃ・・・・・ん・・・・・」
「ずるーい、千里ちゃん、私にもやらせて・・・・・・」
あびるは奈美の左手を握ると、前に回り込んで、奈美の左乳首に吸いついた。
「あああぁぁん」
奈美はさらなる快感に再び、背筋を丸める。
左右の乳首を攻められ、奈美はくすぐったさのあまり、膝を折り曲げ、崩れ落ちる・・・・・
それでも2人は愛撫をやめない。・・・・・・・・2人とも奈美の背中に腕を回し、奈美の体を支える。
「んぁ・・・・ふぁぁぁぁぁ・・・・・・・・ああんっ・・・・」
奈美は絶え間ない快感に、飛びそうになる意識を必死で繋ぎとめていた。
しばらくして、愛撫がとまった。
「はぁ・・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・」
奈美は乱れた息を整える。
「あはは・・・・奈美ちゃん・・・カワイイ・・・・」
「やっぱり奈美ちゃんは魅力的よ・・・・」
「はぁ・・・・・はぁ・・・・・・・2人とも・・・イキナリなによぉ・・・・」
「女の子にこんなことされるなんて・・・・普通じゃ体験できないことよ」
あびるが目を細めて、奈美に顔を近づける。
「だからって・・・・いきなり・・・・こんな・・・・・・」
「でも・・・・・まだよ・・・・・・・奈美ちゃん!!
ここまできたからには、きっちり最後までイッてもらうわよ・・・・・・・」
「へ・・・・・・・・・・・・・」
奈美がその言葉に口をポカンとさせていると
千里の右手が奈美のスカートの中にもぐりこんで来た・・・・・・
317普通以上:2008/06/08(日) 05:43:37 ID:YhEpOwAC
「きゃうんっっっっ」
「胸への愛撫だけで、こんなに濡れてるわよ・・・・・・」
奈美の秘所が今まで触れてもいないのに、愛液でびしょびしょになっていることは下着越しからもはっきりと感じられた。
「あはは・・・・・・奈美ちゃんのエッチ」
あびるがあざけるように言う。
「それをあなたが言うかぁ・・・・ひゃぁぁぁぁん」
千里の指が秘裂を下着越しになでる。
さらに後ろに回ったあびるがセーラー服の下から奈美の胸を再び揉み出す。
「ふ・・・・・ふぁああん・・・・・」
千里は指の動きを早めていく。やがて、下着をずらし、直接秘裂に触れだした。
「ふふ・・・・奈美ちゃんのここ、もうこんなになってるよ・・・」
「やだぁ・・・・・・ああ・・・・・・んんっ」
奈美は羞恥で顔を真っ赤に染める・・・・・・
普段、自分でもめったに触れないこの場所を他人に触られるのは初めてだった。
「ああ、下着がじゃまね・・・・・・・取ってしまいましょう。」
そう言うと千里は、下着に手をかけ、左足を上げさせて器用に通し、右足首まで下ろした。
「これで、思い切りカワいがれるわね。」
うれしそうな声をあげて、奈美の秘所に吸い付いた。
「ひ・・・・ひぁう・・・・・んん・・・・ああんっ・・・」
ひくつく秘裂に唇をあて愛液をすする。
「んちゅ・・・・・・ちゅうぅ・・・・んん・・・・・」
あびるは手の平で勃起した奈美の乳首を転がす。
「奈美ちゃん・・・・・・顔真っ赤よ・・・・・・トマトみたい。」
カワイくて仕方ないといった様子で奈美の額に口付けた。
千里は自分が先ほど触れるまで、まだ誰の手にも触れられていなかった奈美の秘所を唇と舌で丁寧に開発していく。
「ひゃ・・・・・ひぁう・・・・・ひゃうん・・・っっっっ」
千里の舌がなまめかしく動くたびに、奈美は快感に震える。
「奈美ちゃん・・・・・私たちが、奈美ちゃんが何かするたびに「普通」って言ってからかってしまっていたのは
あなたの反応がカワイくて仕方がなかったからよ・・・・・・本心から、あなたが何をやっても普通の、つまらない人だなんて思ってないわよ。
何を言っても、反応しない人なら、からかったりもしないよ・・・・・・。あなたが嫌がって反応するのがカワイイからみんな、からかっていたのよ
奈美ちゃんはみんなから愛されてのよ・・・・・・。私も千里ちゃんも、このクラスのみんな・・・先生だってそう、みんな奈美ちゃんが大好きよ・・・・・・
あなたの優しさも真面目なところもちゃんとみんな認めてるわ。」
あびるが優しくなだめるように奈美に語りかける。
318普通以上:2008/06/08(日) 05:44:41 ID:YhEpOwAC

「そうよ、奈美ちゃん。あなたの頑張りはみんな、認めてるわ・・・・・・あなたは決して、普通のつまらない人間なんかじゃない
優しくて、強くて、こんなにも魅力にあふれてる可愛い女の子なのよ」
千里は顔をあげて、奈美に優しい視線を投げる。
奈美は赤い目を大きく見開いて千里の顔を見上げた
「はぁ・・・・はぁ・・・・・・千里ちゃん、あびるちゃん・・・・・・・・・ありがとう・・・・・・・・・」
その幸せそうな顔を見ると、千里は奈美の秘豆を親指と人指し指でつまみあげた・・・・
「ひゃあんん〜〜〜〜〜〜んんんんッッッッッッッ」
奈美は背筋を仰け反らせて、絶頂を迎えた。
「はぁ・・・・・・・・・・はぁ・・・・・・はあ・・・・・・はぁ・・・・・・・・」
初めて、他人の手によって迎える絶頂に、奈美の意識は少しの間、途絶えていたが、しばらくして、正常に頭が働くようになった。
「今日は急に襲ったりして、ごめんね・・・・・・。」
「あなたを泣かしてしまったお詫びがしたくて・・・・・・。
今まで、何かするたびに『普通』って言われてた奈美ちゃんの気持ちなんて、考えてなかった。
それで奈美ちゃんの立場になって考えてみたら、それはとてもつらいことだって気づいたの・・・・・・・
今まで、ごめんね、奈美ちゃん。これからは、なるべく言わないよう、気をつけるわ・・・・・・・・」
「いいんだよ・・・・・・・私こそ、自分から相談をもちかけておきながら、勝手に泣き出したりして・・・・・・・
それにさっきのあびるちゃんの話聞いて、フツーって言われて、からかわれるのも、そんなに悪いことじゃないって・・・・思えるようになった。」
奈美は幸せそうな笑顔で、あびると千里を交互に見つめる。
「奈美ちゃん・・・・・・この後、ごはん食べにいかない。」
「いいわね・・・・・商店街に新しくオープンしたスイーツの店なんか、どうかしら?」
「ああ、いいね・・・・・・私あそこ、この前行ったんだけど、値段もちょうどいいくらいだし、おいしかったよ。」
「それはよかった・・・・・・・じゃあ、さっそく行きましょう。」
「ところで、奈美ちゃん・・・・・、その店で何がオススメなの・・・・・・・」
「メロンパフェだな・・・・・・値段も450円と高くなく、甘すぎなくて、ちょうどいい舌触りなのよ・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・フツー・・・・・・・・・・」
2人は声をそろえて、言い放つ。
「ふ・・・・・・フツーって言うな―――――――――。たしかにそんなに悪いことじゃない気がするって言ったけど、早すぎるだろ」
「ぷっ・・・・・・・あは・・・・あははははははははははははははははははははははははははははは」
2人は予想通りの奈美の反応に、顔を見合わせて、大笑いする。
奈美も2人につられて、笑い出す。
「あはははははははははははははっ」

3人の笑い声が夕焼けに照らされた放課後の教室にこだましていた・・・・・。
319名無しさん@秘密の花園:2008/06/08(日) 05:54:36 ID:YhEpOwAC
徹夜で考えたわりに、稚拙な文ですみません。
そして、読みにくくなってしまいました。
おかしなところに補正をいれると、
・奈美が泣いている間に、教室の鍵をしめたので、誰も入ってこれません。
・晴美は打ち合わせで、同人仲間のもとに行ってます。

自分の中では、千里も晴美以外に対して、普通に攻めることができるキャラだと思ってます。
読んでいただいた方、スルーしていただいた方、本当にありがとうございました。
320名無しさん@秘密の花園:2008/06/08(日) 12:35:36 ID:RXP4iG+t
奈美大好きですねw
奈美も千里もあびるもかわいいかわいい、GJでしたー
321名無しさん@秘密の花園:2008/06/09(月) 19:59:50 ID:1h+3ZVSC
投下いきます。
今回は可符香×カエレで、やっぱり甘い話を1つ。
だんだんと可符香のキャラが掴めなくて崩れつつありますが
それでもよければ、どうぞお付き合いください。
322Special Relation.:2008/06/09(月) 20:04:15 ID:1h+3ZVSC

「カエレちゃんはもう少し自覚を持つべきだと思う」
ばん、と机に手を突いて立ち上がった可符香をカエレが怪訝そうに見る。
少し間を置いて座るように言うと可符香はいそいそと席についた。

「で、何を自覚しろって?」
腕を組んで反り返ったカエレが可符香を睨む。
「だーかーらー、カエレちゃんはモテるって事」
ぷう、と頬を膨らませながら拗ねる可符香にカエレはやれやれと溜め息を吐いた。

「何の根拠があってそういう事を思」
「今朝男子が言ってた話」
カエレの言葉を遮るように可符香が言葉を重ねる。
「木村さんはスタイルいいし、綺麗な顔してるしって」
そう言って可符香が苦そうな表情を浮かべた。
ここまで不満げな表情も珍しい。

「…それだけでモテると判断するのもどうかと思うんだけど」
「だってこういう話を聞くのは1度や2度じゃないんだもん」
カエレが廊下を歩くとその端麗な姿に皆が少しざわつく事はよくわかる。
横に並んで歩けば、視線は痛いほどカエレへ注がれるのも知っていた。

「外人が珍しいからでしょ」
日本人はミーハーなんだから、と言うと可符香はむう、と唸った。
「でも私もみんなと同じ立場ならカエレちゃん見てるとドキドキすると思うな」
と言ったがすぐに言葉を訂正する。
「あ、今もか」
「…余計な事言わないの」
むに、と頬を掴まえると可符香は嬉しそうな表情を見せた。

「カエレひゃん、痛い痛い」
「わざとよ」
その言葉に可符香はにやにやと笑い出す。
「何よ、気持ち悪いわね」
この状況での可符香の笑顔が少し気味悪くて、カエレは頬から手を離した。
その部分をさすりながら可符香はやはりへらへらと笑っている。

「なんか嬉しいなって」
何が?と聞く前に可符香が言葉を続けた。
「いくら周りがカエレちゃんに想いを寄せていても
こういうことしてもらえるのは自分だけなんですよねー」
にこにこと笑う顔は先程までの不満顔はどこへ行ったのかと突っ込みを入れたくなる。

「はいはい…」
急に恥ずかしくなってふいと顔を逸らすと可符香がくいくいと袖を引っ張ってきた。
その手に目を落としてから、可符香へと視線を向ける。
「カエレちゃんはこういうの嫌い?」
顔色を伺うような表情。
しかしその質問の意味がわからない。
323Special Relation.:2008/06/09(月) 20:07:21 ID:1h+3ZVSC

「こういうのって?」
「あ、えっと…こんな風な言葉を言われる事が嫌いなのかなーって思っ、て」
語尾を少し濁した可符香が苦笑いを浮かべる。

「…別に嫌いではないけど」
と言ってはみたものの何という答えにくい質問だろうと思った。
迷惑だと言えばまた落ち込むだろうし
かと言っていいわよ、なんて言うのも恥ずかしい。

「あー…やっぱり迷惑だったりする?」
上目遣いで尋ねてくる可符香にカエレは言葉を詰まらせる。
「迷惑とかじゃないから…気にしなくてもいいわ」
そう言うと可符香はにへらと笑った。

「なんだか今も信じられなくて」
主語が無い可符香の言葉だが何を指しているかはわかる。
それは自分も同じように思っていたからだ。

「本当に夢じゃないんだよね…」
ほう、と溜め息を吐きながら可符香が笑った。
くすぐったそうに笑う可符香を見てるとこっちまで恥ずかしくなる。
思わず顔を逸らすと可符香が不思議そうに顔を覗き込んできた。

「カエレちゃん?」
どうしたの、顔赤いよ?なんて言われて頬に指が這わされる。
そのままふにふにとつつかれた。

「何やってんのよ」
「カエレちゃんのほっぺた気持ちいいなーって」
嬉しそうにつつく可符香をじっと見てからその手を掴まえる。

「んっ?」
その行動が意外だったのか可符香が目を丸くした。
そのまま可符香の頬をむに、とつまむ。
「あなたの方がやわらかくて気持ちいいと思うけど?」
そう言って頬をぴん、と弾くと可符香はにへ、と笑った。

「じゃあ、じゃあ」
「何よ」
ちょいちょいと自分の頬をつついてみせる。
「キスしてもいいよ?」
その言葉にカエレはみるみるうちに表情を変えた。

「こ、こんなところで出来る訳ないでしょう…!」
教室で、もちろん生徒もたくさんいるこの場所で
頬にとはいえ、そんな事を出来るはずもない。

「じゃあ誰もいない場所ならいいんだ?」
ずいと迫る可符香にカエレが慌てふためく。
「そういう問題じゃないわよ!」
「カエレちゃんのいじわるー」
ぶーぶーと文句を垂れる可符香が恨めしそうにカエレを睨んだ。
324Special Relation.:2008/06/09(月) 20:14:20 ID:1h+3ZVSC

「意地悪だなんて心外ね」
私は正論を言ってるじゃない。
カエレの言葉に可符香が何かを思い付いたらしくぽん、と手を打った。

「いいこと思いついたから、耳貸して」
ぐいと腕を引き寄せて内緒話をするみたいに可符香がカエレの耳元へ唇を寄せる。
可符香が何を言いたいのかその言葉を待っていると耳たぶをぺろりと舐められた。

「っ!?」
声にならない声を上げてカエレは可符香から身を離す。
「ちょっ、何やってんのよ!」
「え、カエレちゃんの耳を舐」
そう言いかけた可符香の唇にカエレが慌てて指を置いた。
「やっぱり言わないで」
照れた顔のカエレを見ながら、可符香は嬉しそうに笑う。

「やだなぁ、そんなに照れなくても」
だって私たち恋人同士になったんですから。
「…バカね」
額を指で押し返すと可符香がやはり嬉しそうに笑った。

「キスは今度までお預けだね」
少し残念そうに呟く可符香をカエレがちらりと横目で見る。
それに合わせるように可符香が視線を絡めた。
その行動にカエレがむ、と顔をしかめると可符香が小首を傾げて微笑む。

「私はいつでもいいですからね」
「な…!」
可符香の言葉に反論をしようと声を上げたがすぐに飲み込んだ。
そんなカエレの様子を見た可符香が不思議そうな表情を見せる。
可符香からふいと視線逸らしたカエレがぽつりと呟いた。

「…まぁ、気が向けばね」
その言葉ににこっと笑った可符香と
呆れたような恥ずかしそうな表情を見せたカエレだったが
その表情は穏やかなものだった。

「んー、今はまぁそれでもいいですよ」
そう言って可符香が内緒話をするみたいに口の横に手のひらを立てるとこそこそと囁く。

「…カエレちゃんにはもっと私を好きになってもらいますから」


その言葉に熱くなる頬を悟られまいと、カエレは必死に堪えた。



―END―

325あとがき。:2008/06/09(月) 20:15:50 ID:1h+3ZVSC

やっぱり甘い方向にしか進まない、可符香×カエレでした。
どうもうちのカエレさんは可符香の頬を掴むのが好きらしいです。
そして掴まれるのが嬉しいらしい可符香さん。なんだこのバカップル。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
326名無しさん@秘密の花園:2008/06/09(月) 20:59:08 ID:Lc6oF4H0
GJです。カエレのツンツンいいですね。
ところで、前から気になっていたんですが・・・・・
カエレは帰国子女であって、
外国人ではないと思いますが。
327名無しさん@秘密の花園:2008/06/09(月) 21:01:36 ID:8Y57JWpZ
いい感じで2人ともデレデレしてるのがいいですね。
カフカエの可符香に黒い性格は似合わないな〜

要するにGJ!っていうことです。

328名無しさん@秘密の花園:2008/06/10(火) 07:20:47 ID:0uWuz051
カエカフあまあま最高!!
なんと言いますか…読んでるこちらまで頬が緩みますな。
更にバカップル化希望!と叫びつつ続編をお待ちしてます。

>>326
金髪碧眼だから「見た目」は外国人なんじゃ?
329名無しさん@秘密の花園:2008/06/10(火) 08:44:55 ID:iqjnUJ1V
Hな家庭教師がカフカに特別授業マダー
330名無しさん@秘密の花園:2008/06/11(水) 21:05:58 ID:SONEYLfT
投下いきます。
前回意外にも?好評だった両想いのあびる×千里をもう一丁。
どう頑張っても甘くしかならないので、今回もやっぱり甘いです。
それでもよければどうぞ。
331Are you ready?:2008/06/11(水) 21:08:51 ID:SONEYLfT

口数も少なくて、あまり感情的にならなくて
どうしても冷めているような印象を感じさせる。
何を言っても、うん、という2文字の返事とこくりと振られる首。

別にそれが嫌な訳ではなくて
それもまた彼女らしいなと思っているし
以前から見ていた姿はこの部分しか知らなかったから
むしろギャップに驚かされたものだ。

しかもそれは、前触れも無く突然やってくる。
まるでぱちりと何かのスイッチが入ったかの様な切り替わり。
突然だから、もちろんびっくりする。
その時に見せる動揺が彼女にとっては楽しいらしい。
…そういう部分で楽しまれてもね。


「千里ちゃん」
そんな事をぼんやりと考えていると
落ち着いたトーンの声が千里の名前を呼んだ。
呼び掛けに、ふと顔を向けると
隙を与えずに重ねられる唇。

突然の事に千里の身体がびくりと身体が跳ねた。
しかし嫌がる素振りを見せることはない。
純粋に突然の事に驚いただけだった。
ほんの僅かな時間であびるの唇が離される。

「びっくりした?」
ふふ、と少し得意気に微笑むあびるに千里が俯く。
「…そりゃあびっくりするわよ」
少しだけ拗ねたような言葉にあびるが千里の頭に手を置いた。
そのまますぐになだめる様に手が動かされる。

「でも千里ちゃん恥ずかしがりだから、聞いたら余計に身構えるでしょ?」
あびるの言葉に千里がむ、と唸った。
確かに改めて聞かれてからとなるとそれはそれで恥ずかしい。
そういう部分も知っているから、あえて聞かない事もそれなりに納得は出来る。

「それでもこれ、は…」
不鮮明な千里の言葉にあびるが千里の頬を包み込んだ。
「嫌だった?」
言葉と共に送られるそのあびるの視線に千里の身体を熱が駆け巡る。
鼓動がだんだんと速度を上げるのを感じた。
332Are you ready?:2008/06/11(水) 21:12:40 ID:SONEYLfT

「べ、つに嫌って訳じゃ、ない、けど…」
千里の視線が宙を彷徨う。
そういう事はあまり聞かないで欲しいと内心で思った。

嫌なわけがない。
好きな人に触れてもらうのが嫌な人なんていないでしょう。

「じゃあ、もう1回してもいい?」
「え…?」
問われた言葉が聞き間違いじゃないかと思った瞬間には
再びあびるの唇が重ねられていた。
先程よりも少しだけ長いその時間に熱がまた上がる。

「今度はちゃんと聞いたから」
「…返事してないんだけど」
千里の抗議の声にあびるがあぁ、と頷いた。

「でも嫌がらなかったし」
その言葉に千里がかくりと肩を落とす。
落胆の意味ではない、むしろ幸せの証拠だった。

「あびるちゃんって時々大胆ね」
千里の言葉にあびるがきょとんとした表情を見せた。
「そう、かなぁ?」
「…うん、ものすごく」
たまに見せる、ほんの少し大胆で強引な手口。

普段見せる姿とは結びつかないその行動に
ある意味裏切られ、ある意味ときめかされる。

「千里ちゃんが思うよりもあたしはクールじゃないと思う」
その言葉に千里があびるへと視線を向ける。
「あと千里ちゃんが可愛いからつい我慢できなくなっちゃうのもあるかも」
そう言ってにっこりと微笑むあびるに千里が慌てた様子を見せた。

「な、何言って…」
「ほら、そういう所が、ね」
千里の頬に熱が集まっていく。
きっと顔は真っ赤になってる、そう思うと急に恥ずかしくなった。

顔に集まる熱が消える前にあびるが千里に顔を近付ける。
今度は頬に唇が押し当てられた。
顔が離れると少しだけ勝ち誇ったような微笑みが見える。
こんな表情を見せる事を知ったのも、つい最近だった。



クールで無口のあなたが見せる少し強気で、大胆な姿。


私は、どっちも…



―END―
333あとがき。:2008/06/11(水) 21:16:35 ID:SONEYLfT
以上です。
この2人は表向き静かだけど
内には熱い想いを秘めてるんじゃないかなぁと思ってたり。
ハルチリとはまた違った関係を書けるこの組み合わせも密かに好きです。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。


>>326
えーっと、そうですね…完全に自分の勘違いですorz
大変申し訳ない、あの風貌は外国人だと完全に思い込んでまし、た…
スルーライフしてやってください…
334名無しさん@秘密の花園:2008/06/11(水) 21:19:59 ID:qQVrRqj1
おおおおお!甘いです!最高です!
335名無しさん@秘密の花園:2008/06/12(木) 06:10:11 ID:naB8xYjU
あびちりもいいですよね、甘い甘い。


さて、晴美×千里。
でも、千里が惚れてるのは先生なんで、ほんの少しだけ苦めです。
336ベルベットの祈り:2008/06/12(木) 06:11:26 ID:naB8xYjU
散らかった部屋を片付ける、千里。
そこは彼女の部屋ではなく、その親友である藤吉晴美の暮らす部屋である。

「まったく、もう少し綺麗にしときなさいよ」
文句を言いながら、千里はベッドの周りに散乱する晴美の漫画を整理する。

本日、千里は晴美と一緒に下校して、そのまま彼女の家に寄った。
お茶とお菓子を用意してくる、と部屋から出て行った晴美を最初はおとなしく待っていた千里だったが、
次第に晴美の部屋の猥雑さにイライラし始め、勝手に掃除を始めてしまった。
とはいえ、さすがに本格的な掃除を始めるつもりはない。
千里にとって、捨てるべきと判断されるものは山とあったが、それで晴美に泣きつかれても困る。
それに、これは晴美が戻ってくる間までの暇つぶしだ。
あくまで整頓、その範囲に押しとどめる。
337ベルベットの祈り:2008/06/12(木) 06:12:46 ID:naB8xYjU
「ん?」
枕元の本を一つ取り上げたとき、そこに引っ付いていたのだろうか、はらりと一枚の小さな紙が落ちた。
また何かのアニメのキャラクターのカードやらであろうか。
そう思って、千里はその紙を裏返してみる。

「……へ?」
千里が間抜けな声をあげた。
その紙は一枚の写真であり、そこに写っていたのは自分の、制服姿の木津千里の姿だった。
「私?」
疑問符を浮かべながら、ぱちぱちと目をしばたかせる千里の視界に、また一つ別の小さな紙が映った。
敷き布団の下から、ちょこっと端だけを出すその紙を掴んで引っ張ってみる。
やはり、それもまた自分の、私服の千里の写真だった。
一つの考えが千里の頭をよぎる。
ぐっと息を呑んで、千里が晴美の敷き布団をめくりあげると、そこにもう一枚、千里の写真があった。
千里の寝顔。
いつの間に撮られていたのか、覚えはないが、恐らく晴美の家に泊まりに来たときだろう。

「これ……って」
ぐるぐると目を回しながら、千里の中では、ある考えが確信へと徐々に近づいていった。
まるで現実の彼女自身の恋愛には、興味のあるような素振りを見せもしない晴美。
そんな晴美が想いを寄せる人物、それは木津千里なのではないだろうか…と。

頭を抱えて思い悩む千里の後ろから、小さな声が聞こえた。
その小さな声に驚いて、びくっと背筋を伸ばし、千里がゆっくり顔をそちらに向けると、
そこには、顔を薄く朱に染めた晴美が立っていた。
338ベルベットの祈り:2008/06/12(木) 06:14:46 ID:naB8xYjU
「え…………っと……」
晴美から目を逸らしながら、ぎぎぎとぎこちない動きで、千里が手に持った写真を晴美の布団の下に隠す。
だが、その動きは隠しようもなく、千里のその姿は晴美の目にしっかりと映っていた。
それでもなんとか誤魔化そうと千里が口を開いた。
「ほら、いつまで立ってるのよ、座りなさい」
どうにか口調だけは、なんでもないように振舞えた。
しかし、火照った顔の紅潮はどうしようもなく、今や千里の顔は晴美と比べてもずっとずっと赤い。

「…うん」
晴美が頷いて、千里の前に座り、手に持った盆の上に乗せていた紅茶のカップを千里と自身の前に置いた。
いつもどおり振舞おうと思う千里だが、もはやその体は緊張しきって動かない。
対する晴美は、何を考えているのか、動こうとはしなかった。
少しばかりの静寂の後、晴美がカップを手にして紅茶を口にする。

「飲まないの?」
「へ?」
「冷めちゃうよ?」
「の、飲むわよ」

晴美に促され、千里もまた紅茶を口にする。
そんな千里の様子を見て、晴美がため息を吐いた。
339ベルベットの祈り:2008/06/12(木) 06:16:21 ID:naB8xYjU
「……見られちゃったね……」
呟かれた晴美の言葉に、千里はカップを置き、しばらく動きを止めた後、こくりと頷いた。

「…………なんで千里の方が照れてるのよ」
頭を垂れて晴美から視線を外し、床をじっと見つめている千里を見ながら、晴美がくすくすと笑う。
「そんな…照れて、なんか……」
か細い声で強がりながらも、千里の視線はさらに下がっていった。

「…ねぇ千里……隣、座ってもいい?」
ひとつ、軽く深呼吸をして晴美が尋ねると、千里がちょっとだけ顔を上げて晴美の顔を見た。
「うん…」
「ありがと」
晴美が千里のすぐ隣に座る。
少し動けば肌が触れ合いそうなほどに、二人の距離は近い。
340ベルベットの祈り:2008/06/12(木) 06:17:24 ID:naB8xYjU
「もう、バレちゃってるよね?」
「……」
「私が、千里のこと…好きだって」
「やっぱり……そうなんだ」
「あははは、さすがにあんなところに写真隠してるの見つかったら、わかっちゃうよねー」
「まあ、ね」
ふい、と千里が顔を晴美とは反対の方へ少し逸らしながら言う。

「なーに?千里もそんな経験アリ?やっぱり…先生?」
「…………ん」
「あははは……私だったらハッピーエンドだったんだけど、それは虫が良すぎるか……」
自嘲気味に笑いながら、晴美が千里の体に手を回して背後からぎゅうっと抱きついた。
「そうだよね……千里」
「晴美…」
どうすればいいかわからず、千里は晴美を拒むことも、そして受け入れることも出来ずにいた。
341ベルベットの祈り:2008/06/12(木) 06:18:30 ID:naB8xYjU
「はぁ……もう、この際だから言っちゃうね。中途半端な事言って、千里を困らせたくないし」
「うん……何?」
「私ね、千里が好き。友達としてじゃなくて、恋人になりたいっていう、好き」
「うん」
「キスしたいし、エッチなこともしたい……だからね、だから……ごめん……
 私、ときどき千里のこと……千里で、ね……しちゃってたり、するの」
「……言わなくてもいいわよ、そんなことまで」
晴美の腕の中で、千里が困り顔をする。

「ふふ……ね、千里は?」
「私が…何?」
「だからー、千里も先生のこと考えて、そんなことしちゃう?」
「な!?」
「私はちゃんと正直に言ったよ?」
「それはあなたが聞いてもいないのに勝手に……」
「ずるいよ千里、教えてくれないの?」
「だから…」
「ずるい」
「…………ぅ……ん」
恥ずかしさから、それまで以上に顔を紅潮させて、千里が答えた。
342ベルベットの祈り:2008/06/12(木) 06:19:37 ID:naB8xYjU
「そっか……寂しいんだね…千里も」
晴美が、さらに強く千里を抱きしめて、その白い首筋にくちづけた。

「やっ!?ちょ……と」
驚き、声を上げる千里を解放して、晴美が千里の正面へと回る。
「千里」
じっ、と千里の目を見て晴美が語りかける。
「千里が、好きなのは先生だって、ちゃんとわかってるよ……愛して欲しいなんて言わない。
 私は、先生の代わりでいいから……千里の寂しさを紛らわせるための道具で、いいから……」
再び千里に抱きついて、少し涙の混じった声で晴美が続ける。
「だから、お願い……ちょっとだけ…慰めて…」

343ベルベットの祈り:2008/06/12(木) 06:20:44 ID:naB8xYjU
いつからか、窓の外では、ざあざあと音を立てて雨が降っていた。
カーテンの隙間から少しだけ覗く外の景色を眺めて、晴美が言う。
「ずるいよね……まるで千里のためみたいな言い方して…私、千里の優しさに甘えただけだ」
そう自嘲する晴美の髪を千里が後ろから優しく撫でる。
「晴美、こっち向いて」

ころりと転がって千里に体を向ける晴美を、千里が抱き寄せた。
直に触れ合う肌には、まだ熱が残っている。

「そんな言い方しないで……それに、私も同じだから……ありがとう、きもちよかったよ」
「……うん」

二人の少女は憂いを込めた瞳で見つめ合い、そして唇を重ね、またお互いを慰めあった。
344名無しさん@秘密の花園:2008/06/12(木) 06:21:45 ID:naB8xYjU
おしまい。
スレがハルチリに偏ってもハルチリしか出ません。
345名無しさん@秘密の花園:2008/06/12(木) 07:47:02 ID:RsEI+/Cb
…GJ
ビターさ加減が素敵過ぎてため息が出た…
346名無しさん@秘密の花園:2008/06/12(木) 21:43:35 ID:4icPlt+L
皆さんハルチリ大好きですね。私も大好きです。
今回は霧×まとで投下です。短編、甘々風味です。

それでは、どうぞ。
347宿直室は今日も平和だった:2008/06/12(木) 21:44:30 ID:4icPlt+L
―とある日の出来事。


「ねぇ」
霧は、後ろから彼女に抱きつくまといに聞いた。
「なに?」
「まといちゃんって、いつもそういう体勢でいるから、ちょっと気になって」
まといはふふっ、とほとんど息だけの笑いを立てた。
「こうしているのが好きだから」
そう言ってまといは、霧の耳たぶにかぶりついた。
「!っん…」
「ほら、こういう可愛い声だって、いっぱい聴けるんだもの」
「…なんだかずるいなぁ…」
恨めしげに霧は呟いた。
「私も、やってみたい」
「? どういうこと?」
「私も、後ろからぎゅってしたいなぁ」
霧は潤んだ瞳でまといに訴えかけた。
「…そんな目をしなくても、大丈夫なのに、もう」
顔を紅く染めながら、まといが答えた。
348宿直室は今日も平和だった:2008/06/12(木) 21:45:00 ID:4icPlt+L
「こうでいいのかな」
霧は慣れない様子で、まといの背後にしがみ付くように抱きついた。
「もっと深く、腕をまわしても大丈夫だよ」
「こ、こう?」
「うん、そういう風に…霧ちゃんにこうされるなんて、なんだか不思議…」
まといは、いつもとは違う感触に、若干戸惑いながらも酔いしれていた。
「すごい、あったかいんだ…」
まといの体温を直に感じ取る霧。同時に、レースの半襟から覗くまといの首筋に釘付けになった。
「うなじ、とっても綺麗だね」
そう言って霧は、まといのうなじにキスをする。
「!ぁっ…」
「へへ、さっきのお返しだよ」
「…今日はこのまま、霧ちゃんにいじめられちゃうのかしら」
「…うん、頑張っていじめちゃうんだから」


結局、いつもと違う触れ合いも、いつもと同じカタチに収束していった―
349名無しさん@秘密の花園:2008/06/12(木) 21:45:36 ID:4icPlt+L
以上です。どうでもいい話が書きたかったのですが、
本当にどうでもいいような話になってしまいました。

それでは、失礼いたします。
350名無しさん@秘密の花園:2008/06/13(金) 08:15:47 ID:OwhbgXTR
さすが生活空間が同じな二人
351名無しさん@秘密の花園:2008/06/13(金) 18:14:17 ID:o0XeQA9L
ほのぼのとした雰囲気が良かったです。
原作でもこれぐらい仲良しだといいのにw
352名無しさん@秘密の花園:2008/06/13(金) 21:54:50 ID:pHBVVNmi
音的?にはそれなりに聞くけど、実際話を見たことがなかったので
ちょっと書いてみようと思った可符香×千里です。
よろしければどうぞ。
353きみにつたえたいこと。:2008/06/13(金) 21:57:34 ID:pHBVVNmi

「千里ちゃんは晴美ちゃんの事が好きなんだよね?」

そう言ってにっこりと笑った可符香に
千里の手からかたん、とシャープペンシルが転がり落ちた。


「幼なじみに想いを寄せる、ってドラマなんかではよくある話だけど」
さらりと言ってのけた可符香の言葉が徐々に頬に熱を運ぶ。
かぁっと頬に集まる熱を自覚したときに、ようやく千里の口が開いた。

「なんで!?」
大きな声を上げた千里に大して驚いた表情を見せる事もなく
可符香はいつもの笑顔を見せる。

「そんなに興奮しなくても」
晴美ちゃんの名前が出たのがそんなに嬉しい?
そう言って可符香がくすくすと笑った。
可符香の言葉に千里が一瞬食い下がったがすぐに反論する。


「興奮なんかしてないわよ!ってどうしてその事知っ」
「千里ちゃん見てたらわかるよ」
その言葉に千里の顔の熱は冷めることがない。
困ったような照れたような表情を浮かべた千里が机に伏せると
そのままじっと動かなくなった。

伏せたままの千里の頭を可符香がちょんちょんとつつく。
反応はない。
そんなに落ち込まなくてもと思っていると
ゆるゆると千里が顔を上げた後
再び机に顎を乗せ、可符香を見上げた。


「…そんなに態度に出てる?」
心配そうに尋ねる千里に可符香がうーんと考え込む。
「うーん、まぁそれなりには」
可符香から見た様子を正直に千里に告げる。
どうやら千里はその事をものすごく心配しているようだ。
354きみにつたえたいこと。:2008/06/13(金) 22:01:00 ID:pHBVVNmi

「ええっと、2人は付き合ってる、んだよね?」
その言葉に千里の顔が真っ赤になる。
「千里ちゃんってわかりやすいなぁ」
落ち着かない様子の千里を見ながら可符香が笑った。

「やっぱり、そういう一歩進んだ関係とかだったりするの?」
容赦ない可符香の質問に、千里は慌てふためく。
「いやっ、それは…その…」
千里の頭の中に晴美とのいろいろな事が思い浮かんだ。
考えようにしなくてはと意識する心とは反対に
次々と浮かんでくる2人しか知らない出来事。

「晴美ちゃんは意外に独占欲強そうだよね」
この場所にはいない晴美の事を指摘した言葉に
千里は困ったように俯いた。

2人の関係を見破られた恥ずかしさもあるが
実際可符香の指摘することが当たっているからのせいもある。
頭に浮かべた事がまるで見えているかのような可符香に
千里はただただ俯くばかりだった。

「ごめんごめん、困らせちゃったね」
くすくすと笑う可符香を千里がちらりと横目で伺う。
目が合ったら可符香がまた笑った。

「千里ちゃんって本当に可愛いね」
意外な言葉に千里がきょとんとした目を向けると
すっと可符香の手が伸びてきた。
そのまま千里の頭の上に持っていかれる。

「うん、やっぱり可愛い」
よしよしと頭を撫でられるのが恥ずかしくて千里が再び俯いてしまった。
晴美以外の人に触られる事が少ないのもあってか
何だか妙に照れくささを感じる。

不意に頭を撫でる手が止まり
不思議に思った千里が可符香の顔を見た。
嬉しそうとも、悲しそうとも取れないその表情に
千里の視線が釘付けられる。
355きみにつたえたいこと。:2008/06/13(金) 22:04:06 ID:pHBVVNmi

「実はね、私も千里ちゃんの事好きなんですよ」
えへへ、という音が似合うかのような可符香の表情に千里が一瞬固まった。
「突然でびっくりしたよね、ごめんね」
千里の見せた表情に可符香が少しだけ淋しそうな表情を見せたが、すぐに笑顔を戻す。

「千里ちゃんと晴美ちゃんはお似合いだよね」
千里ちゃんが嬉しそうなのを見てればわかるよ。
笑顔を絶やさずに紡がれる可符香の言葉に
千里はただただ驚くばかりだったがじっと可符香を見つめ続ける。
向けられた視線を意識しながら可符香はゆっくりと言葉を続けていた。
やはりどこか淋しそうな気持ちが見え隠れしている。

「そんな晴美ちゃんが羨ましいって思う」
にっこりと笑った可符香に千里が申し訳なさそうに目を逸らした。
「困らせるつもりじゃなかったんだよ?」
千里の表情に気付いた可符香がふるふると首を振る。

「別に千里ちゃんの気持ちがどうであっても構わなくて
両想いとかそういうのを望んでいる訳じゃないんです」
可符香の言葉に千里が視線を戻す。

「片想いでも幸せだから」
やわらかく笑った可符香に何かを言おうと
千里が口を開こうとしたがそれより早く可符香が言葉を続ける。

「あ、こんなところ晴美ちゃんに見られたら大変だね」
そう言って可符香は千里の頭から手を離した。
離れる可符香を思わず掴もうと動きかけた手を千里がぐっと堪える。

「大丈夫だよ、2人の邪魔はしたりしないから」
「そんな事…」
「でも、ひとつだけ我儘言ってもいい?」
可符香の言葉に千里との視線が絡まる。


「今日は一緒に帰ってもいいですか?」
それだけで十分だから。

そう言って笑った可符香にどうしてだろうか
千里の胸がずきりと痛んだ。




―END―
356あとがき。:2008/06/13(金) 22:07:22 ID:pHBVVNmi
以上です。
ハルチリを前提とした部分があるので、可符香→千里っぽいかもしれません。
しかし可符香は書けば書くほどキャラが壊れる…使いやすいようで使いにくいですorz

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
357名無しさん@秘密の花園:2008/06/14(土) 02:16:00 ID:kcMGD3RF
最近スランプ気味で中々話が進まないです。
本当に量産できる人は尊敬しますね。

「changes」(可符香×奈美)
358名無しさん@秘密の花園:2008/06/14(土) 02:18:24 ID:kcMGD3RF
奈美が教室に着くと、やはりそこには誰もいなかった。
やっぱりか、と奈美が言葉を漏らすとその言葉は静かな教室に響いた。
現在朝の七時。通常生徒は来るはずのない時間であった。
奈美は約束の人が来るまで自分の席でぼんやりとしていた。

本当に彼女に相談していいものなのだろうか。
奈美はぼんやりと考えた。
今、奈美を悩ませる「あること」。
誰かに相談をして打開策を見つけたかったが、
果てしてそれは彼女が適任だったのだろうか?
彼女の性格上笑ってすまされる、ということも無きにしも非ずだった。
しかし事の発端は彼女のせいだとも言えるのだ。
やはり彼女に面倒を見てもらおう、奈美はそう覚悟した。

すると教室の扉がガラッと開いた。
そこには見慣れたお友達、風浦可符香が現れた。
「おはよう、奈美ちゃん。言われたとおりに来たよ」
「あ、ありがとう…可符香ちゃん…」
昨日、誰もいない時に聞いて欲しい話があるといって呼び出したのだ。

「それで話ってなあに?大事はことなんでしょ」
「…その話なんだけど」
少々言うのを躊躇った。
しかしここまで来て臆するのは情けない。
奈美は少し間を空けて言った。
359名無しさん@秘密の花園:2008/06/14(土) 02:19:01 ID:kcMGD3RF
「可符香ちゃんはさ、私の性格をどう思う?」
「どうって、『普通』の奈美ちゃんじゃないの?」
普通、今まで何度も言われ続けるその悪魔のような言葉が奈美の心に突き刺さった。
「わ、私は…もう普通って言われるのはイヤなの…」
「え?どういうこと?」


「私は!可符香ちゃんみたいな個性的になりたいの!」

     
奈美の声が教室に響いた。
今までずっとつきまとっていた「普通」という二文字。
何とかしてそのイメージを払拭したい。
奈美がずっと思い続けたいたことだった。

「なーんだ!」
可符香は明るい声で言った。
「奈美ちゃん、そんなことで悩んでたの?」
「そ、そんなことって…」
奈美の真剣な悩みが一言で亡き者にされてしまった。
「私は奈美ちゃんの友達だよ。
 言ってくれれば力になるのは当然じゃない」
「か、可符香ちゃん…」
可符香の力強い一言が奈美の心を打った。
私に任せなさい、と可符香は胸を叩いた。

「う〜ん…個性的…かあ…」
可符香は頭を抱えて考え込んだ。
個性的な生徒達が集まるクラスだ。
中途半端な性格では太刀打ちできない。
だからまだこのクラスにはいないような個性さが必要だった。

すると可符香に豆電球が浮かんだ。
「百合なんてどう?」
「ゆ、百合….?」
奈美はその単語に聞き覚えが無かった。
「…百合って…何?」
「百合っていうのはね、女の同士で好きになることだよ」
へえ、と相槌を打ったものの、言葉がきちんと理解すると奈美は驚いた。
「女の子同士!?」
「そうだよ、これなら誰とも被らないし、十分個性的だよ」
確かにクラスメイトにそのような趣味を持っている人はいないと思った。
しかし・・・
360名無しさん@秘密の花園:2008/06/14(土) 02:20:04 ID:kcMGD3RF
「えーっと…考えてくれたことは嬉しいんだけど
 私は同性に恋愛感情は持ち合わせて無いんだけど…」
「大丈夫、大丈夫。そういう振りだけでいいんだよ」
なるほど、振りだけなら自分でも出来そうだ、と奈美は思った。
せっかく可符香が自分の為に考えてくれたことだ、無駄にはできない。
「まあ試しに一回くらいなら…」
「やる気になってくれたんだね!」
可符香の顔がいやに活き活きしていることが少し気になった。

「それで、初めはどうすればいいの?」
「まずは相手を抱きしめることからね」
抱きしめる、同性にそのような感情を持ち合わせていない奈美にとっては少し抵抗があった。
しかし新たな個性のためだ、と奈美は決意を固めた。
「わかったけど…誰にすれば」
「私なら全然構わないよ」
可符香は笑顔で答えた。
「可符香ちゃん…何だか楽しんでない?」
「えへへ…どうだろう?」
曖昧な返事に少し疑いを持ったが、ここ純粋に練習相手になってくれる
可符香の優しさに甘えることにした。

「それじゃあいつでもいいよ」
可符香は手を広げて奈美が抱きしめるのを待った。
しかしいざ本番、というとなると奈美は緊張した。
改めて可符香を見ると何故か心がどきどきした。
(可符香ちゃん可愛いな…って、女の子だぞ!落ち着け私…)

奈美は可符香の背中に手を回し、ゆっくりと抱きしめた。
服越しから伝わる可符香の体温が、奈美の体を熱くさせた。
「駄目、駄目。もっと強くギュッとしなくちゃ」
「う、うん…」
可符香の言うとおりに更に力を込めると、胸越しに鼓動が伝わってきた。
(可符香ちゃん、すごくいい匂いがする…)
「どうしたの?顔が真っ赤だよ」
「そう!?お、おかしいなあ…」
奈美は思わず声が裏返ってしまった。
その様子を可符香は笑顔で観察していた。
361changes:2008/06/14(土) 02:20:44 ID:kcMGD3RF
「もう…いいんじゃない…?」
「まだまだ。今度は次のステップだよ」
次のステップ?と奈美が考えていると、可符香はそっと耳元に顔を近づけた。

「キスするんだよ…」

き、キス!?と奈美はすっかり慌ててしまった。
「だから私はそういう趣味が無いんだって!」
「けどこのままだったら変われないよ」
奈美にとっては痛いところを突かれてしまった。
確かに普通のままなのは嫌だった。
変わるためには自分から進んで行動を起こしていくしかなかった。
しかしそれだけではなく可符香の言葉を聞いていると
全てを見に任せてもいいような気がしてきたのも事実だ。

「大丈夫だよ、少し触れるだけでいいから」
「す、少しだけだよ!」
奈美はずるずると可符香のペースに引き込まれていった。

奈美はゆっくりゆっくりと唇を可符香の唇に近づけていった。
興奮、緊張、いろんな感情が混ざり合って、正常な判断ができなくなっていた。
これまで意識していなかった可符香が、今はどうしようもなく愛おしく感じてしまうのだ。
今はただ流れに任せよう、と奈美は思った。
お互い目を閉じて、そして触れ合う・・・

瞬間のことだった。
急に教室の扉が開いた音が聞こえて、体が固まってしまったのだ。
やってきたのはクラスメイトの千里だったのだが、千里もまた固まってしまった。
それはそうだろう。
早朝学校にきたら、同級生2人が抱きしめあいキスをしようとしていたのだ。
千里は理性が吹き飛んだ。
「あ、あ、あ!あなた達っ!こ…こんなところで何してるのよ!」
奈美は自分が言い逃れできない状況に立たされていることを理解した。
(見られた…キスしようとしてるところを見られた…)
362changes:2008/06/14(土) 02:21:59 ID:kcMGD3RF
奈美は可符香を抱きしめていた手を離した。
「ち、違うの!これは…その…可符香ちゃんが…」
必死に弁解しようにも焦ってしまい上手く言葉出てこなかった。
「だから…これは…」
「これは!?きっちり話してもらうわよ!」
千里の怖い顔が近づいてきて、奈美の頭は真っ白になった。
その時脳裏に浮かんだ言葉は『逃走』だった。

「本当に…これは違うんだってば!」
そう言葉を残して、奈美は全速力で教室を後にした。
「こ、こら!ちゃんと話しなさいよ!」
千里は奈美を止めようにも、もう手の届かないところまで行ってしまった。

可符香は千里の聞こえないくらいの声で小さくもらした。
「残念だったなあ…次は上手くしなくちゃ…」
可符香は笑っていたが、それは純粋な笑顔ではなくどこか裏を感じさせる笑顔だった。

〜後日談〜
(キスまではいかなかったけど、これで私も百合になれたよね!)
生まれ変わった自分を見てもらいたく、奈美はわくわくしながら教室の扉を開けた。
「おっはよう!みんな大好きだよ!」
しかし大きな挨拶も虚しく反応が無かった。
あれ?と思いながら奈美は教室を見渡した。

「千里〜大好きよ〜」
「こ、こら!学校で引っ付くな!」

「芽留ちゃん…いつになったら尻尾姿を見せてくれるの?」
『尻尾なんてつけたら、いつ襲い掛かられるかわかんないだろうが!』

「霧ちゃん…可愛い…」
「あの…まといちゃん、お願いだから離れてくれない…?」

「ま、真夜さん…そのバッドをどうするんですか…」
「好きなものにはイタズラしたくなるの」

「あ、あれ…皆こんなに仲良かったっけ…?」
すると可符香が奈美の後ろで嬉しそうに言った。
「おめでとう奈美ちゃん!これで立派な『普通』の百合になれたね」
奈美はため息をついて、がっくりと肩を落とした。
363名無しさん@秘密の花園:2008/06/14(土) 02:27:23 ID:kcMGD3RF
途中タイトル付け忘れました、すいません。

ちょっと話が軽いな〜と書いてて思いました。
今度は黒かったり、シリアスっぽい話を書きたいですね。
けどスレ的には甘い方がいいのかな?
まあ気にしないで書きますが(笑

カフ奈美は始めて書きましたけど楽しく書けましたね。
また書いてみたいな〜
364名無しさん@秘密の花園:2008/06/14(土) 18:58:08 ID:8F66DhmQ
実際のとこコミケとかいくとハルチリ本とかいっぱいあるんですか?
詳しくないもんで。
365名無しさん@秘密の花園:2008/06/14(土) 20:12:51 ID:9JsL3h7C
>>364
絶望百合は今でこそオンラインでそこそこ見れるけど
オフラインで本が発行されてるかというとほとんど見ない。
女子メインの本もちょこちょこあるくらいで、やっぱりBLが圧倒的だよ…
366名無しさん@秘密の花園:2008/06/14(土) 21:42:13 ID:3hR22CsG
>>363
GJです。激しく萌えますた。
「みんな、大好きだよ」が新鮮だった。
367名無しさん@秘密の花園:2008/06/14(土) 23:17:47 ID:8F66DhmQ
>>365
サンクス。
需要ないんですかね。
368名無しさん@秘密の花園:2008/06/15(日) 00:05:54 ID:LzHIkWvq
>>363
奈美はちょっとかわいそうな子になってるときが一番かわいい
百合キャラでいく事を決めたのに、よく見れば周りには百合カップル、自分は相手なし…とかw
369名無しさん@秘密の花園:2008/06/15(日) 14:32:11 ID:jgkIcjxP BE:1092399449-2BP(1)
>>363
可符香が誘い受けっぽくてすごくいいね。GJです!

これは既出かな?
http://imepita.jp/20080615/516730
370名無しさん@秘密の花園:2008/06/15(日) 14:36:55 ID:FVvyPlOd
とっくの昔に。
371名無しさん@秘密の花園:2008/06/15(日) 18:12:37 ID:OeiqDhTW
そうか!流行らなければ自分で書けばいいのか!と、いう考えで書きました。
需要があろうがなかろうが自分が好きだから書くんです。

「Thank you,my twilight」(真夜×愛)
連投になりますがすいません!すいません!
372Thank you,my twilight:2008/06/15(日) 18:13:44 ID:OeiqDhTW
帰り道、美しい夕日に照らされて一つの人影が揺れていた。
セーラー服を着た、イヤに目つきの悪い少女。
三珠真夜は一人てくてくと歩きながら物思いにふけっていた。

ここ最近、真夜はある人物に心を強く揺さぶられていた。
何をするにもその人の顔が頭に思い浮かぶ。
この様な感情は初めてであり、いったいどう対処すればいいのか。
真夜はそれが分からず、もやもやを抱え続けていた。


何なのだろう、この気持ちは。
そんなこと考えているとき、にゃーという間の抜けた泣き声が
どこからともなく聞こえてきた。
泣き声の発生源まで歩いてみると、そこには小さな可愛らしい野良猫がいた。

真夜は猫と遊んでやろうと思い、近づいていった。
これで少しは気を紛らわせられるだろう。
だが真夜の遊びは動物にとって大変な被害を被ることが殆どだった。
そんな気配を察したのか、無表情で近づく少女に恐れをなしたか
猫はすぐさま逃げ出した。

「…….待って」
真夜は猫を追いかけるため駆け出した。
だが猫の逃げ足は速く、なかなか捕まえるとことが出来なかった。
猫は行き先なく走り続け、真夜の知らない裏路地に着いた。
路地は暗く、薄気味悪いような印象を受けた。

おっかけっこの結末は呆気のないものだった。
猫は行き止まりに捕まってしまい動けなかった。
後ろから真夜はじりじりと距離をつめていった。
手を伸ばしたとき、猫は俊敏の動きでその手を逃れ
真夜の脇を通り過ぎていった。
373Thank you,my twilight:2008/06/15(日) 18:14:36 ID:OeiqDhTW
振り返ったが、猫は遠くの方にまで逃げ出してしまっていた。
「猫…」
真夜は残念そうにつぶやいた。

目的を失った真夜がこんな所に長い間いる意味が無かった。
帰ろうと思い表通りのところに行こうとしたとき、角の向こうから声が聞こえてきた。
「それで、どう落とし前つけてくれんの?」
「本当にごめんなさい、ごめんなさい!」
「何回、謝ってもらってもね……行動で示してもらわなくちゃ」
二種類の男の声と今にも泣きそうな少女の声。
穏やかではない様子だったが、少女の声に聞き覚えがあり物陰からこっそりと見た。
四人の男達が少女を囲んでいた。
男達の隙間から見えた少女の顔に真夜ははっ、とした。
少女は加賀愛。今真夜の悩みの原因の相手だった。


真夜は自分の気持ちを相手に伝えることが苦手だった。
言葉では上手く伝えられない、だから行動で示した。
その行動は傍から見ると、奇妙だったのかもしれない。
だが真夜にとってそれは精一杯の愛情表現だった。

しかし真夜の意思は伝わることは無かった。
しかしも自分が行ったとも伝わらなかった。
それが真夜にとってはもどかしかった。

だが愛だけは違った。
唯一、自分の行動を理解してくれた。
それが自分の非を認めているだけだといっても、
真夜にとってはとても嬉しかった。

それから真夜は愛ともっと親密になりたかった。
一緒にいて話をしたい。もっと彼女を知りたい。
だがその方法がわからず、悩み続けていた。


いったい愛が男達とどういった関係なのかは知らない。
だが知り合いでは無さそうだった。
恐らくからまれているのだろう。
愛のやっかいな性格に付け入ろうとしているのだと、予想した。
確証はなかった、だがそんなことは関係なかった。
374Thank you,my twilight:2008/06/15(日) 18:15:03 ID:OeiqDhTW
「行動って…いったいどうすれば…」
「どうって、俺らを楽しませてくれればいいよ」
男達は下品に笑った。
愛は涙目でただただ怯えていた。
「まずは」
そう言うと男に一人が愛の肩に触れた。

真夜の中で何かが切れた。
鞄に挟んであった金属バッドを引き出して走り出した。
男達が足音に気付き後ろを振り返ったときにはもう遅かった。

振り上げたバッドは一人の男の後頭部に一撃をお見舞いした。
どっさ、と男は倒れ、他の人は一瞬のことで動けなくなった。
「だ、誰だよ!お前!」
男達が驚くのも無理はない、小柄な少女が金属バッドを持ち
成人の男を倒したのだ。

「み、三珠さん…」
愛も驚いていた。クラスメイトの真夜が突然現れたのだ。
「愛に……」
静かな声だったが凄みがあり恐ろしく、路地に響いた。


「……愛に触るな」


バッドが綺麗に弧を描き、一人の男の顎を捕らえて吹き飛ばした。
そしてもう一人の男の腹にバッドを振ると、苦悶の表情を浮かべて崩れた。
瞬く間に二人が倒れた。
真夜はジロっともう一人の男を睨んだ。
「ヒィッ!」
情けない声を出して逃げていった。
375Thank you,my twilight:2008/06/15(日) 18:15:33 ID:OeiqDhTW
茫然自失としている愛に真夜は声をかけた。
「大丈夫…?」
すると愛の目から涙がこぼれた。
「あ、ありがとうございます!三珠さん!」
愛は真夜を感情のあまり抱きしめてしまった。
真夜はいきなりのことで驚いたが、その後照れくささを感じた。
「だ…大丈夫なら…よかった…」
「本当に、本当に、ありがとうございます…」
嗚咽を出して倒れる男達と抱き合う少女達。
なんとも奇妙な光景だった。


「私がいけなかったんです」
夕焼けが照らす帰り道、2人並んで歩いていた。
「肩が当たってしまって、相手を脱臼させてしまったからあんなことに…」
思ったとおり、愛は相手の口車に乗せられていた。
「あなたは悪くない」
「け、けど…私がいけないから、三珠さんにも迷惑をかけてしまって…」
「気にしないで」
「しかし…」

愛は何かを思いついたような顔をした。
「私でよければ何でもします!何か三珠さんの為にさせてください!」
真夜は困った。
愛は自分の責任の恩返しをしたいのだろが、
真夜はただ彼女と隣にいれるだけで嬉しかった。
それなのにこれ以上何かをしてもらうというのは…
376Thank you,my twilight:2008/06/15(日) 18:15:59 ID:OeiqDhTW
すると真夜は閃いた。
「それじゃあ、一つだけ…」
「なんでしょうか!」
歩くのを止め、真夜は愛の手を握って言った。


「私の友達になってほしい」


一瞬、烏の鳴き声が聞こえてくるほど静かになった。
「そ、そんな!私みたいなのが友達だなんて、ただ迷惑になるだけじゃあ…」
「あなたと一緒にいると、私はとても嬉しい」
真夜は静かに言うと、顔を赤らめた。
こんなことを他の人に行ったことがなく、恥ずかしさを感じたからだ。
「嫌…?」
「そんなイヤだなんて!そんな…私が…」
愛が顔に熱を帯びていくのがわかった。

「私なんかで、いいんですか?」
愛は自信なさげに聞くと、真夜は頷いた。

もし断られたどうしよう、そんな不安が真夜を襲った。
今まで愛には嫌がらせと思われるような行為をしてきた。
もしかして私のことが嫌いなのかもしれない、と珍しくネガティブな考えをした。
2人の間に沈黙が流れた。

愛は悩んだ。
自分のせいで今日みたいなことが起こった。
もしかしたら真夜は怪我を負っていたかもしれないところだった。
だがそんな自分でも友達になってほしいと聞いたとき、素直に嬉しかった。

「わ、わたし…」
愛は緊張なのか恥ずかしさなのか、言葉で言い表せない感情が入り混じり
中々うまく話すことが出来なかった。
一度、息を吸い込んで落ち着きを取り戻した。
顔は真っ赤にしながら、お辞儀するような形になって言った。
「わ、私なんかでよければ、よろしくお願いします!」

真夜は胸が熱くなるのを感じた。
初めて自分の意思が相手に伝わったのだ。
ただ嬉しい、それだけだった。

「ありがとう」
嬉しさのあまり今度は真夜が愛を抱きしめた。
愛も真夜を静かに抱きしめた。
「よろしくお願いします……三珠さん……」
「…うん」

静かな時間が2人の間に流れた。
二つの伸びた影が一つに重り、動かなくなくなり、
ただただ喜びを感じあった。
そんな彼女達の姿を大きな夕焼けだけが見ていた。
377名無しさん@秘密の花園:2008/06/15(日) 18:19:15 ID:OeiqDhTW
男達は一応死んでないので気にしないでください(気にする人はいるのか?)
しかし二行でやられてしまう彼らは非常になさけないです。
まあ悪いのは自分の文章力が乏しさのせいなのですが・・・

余談ですがタイトルのもう一つの候補は
「あの娘に1ミリでもちょっかいかけたら殺す」です。
あながち間違いはないですけどね(笑)
378名無しさん@秘密の花園:2008/06/15(日) 19:14:57 ID:BkbF3+/e
加賀愛がメインの百合話って少なくね?


というわけで、自分で作ってしまいました。
初投稿ですが、その辺は暖かく見守ってもらえたら幸いです。
かなり長くなってしまいましたが、その辺こそ暖かく見守ってもらえたらと思います。
「小節あびる×加賀愛」をラブラブでお送りします。それではどうぞ。
379名無しさん@秘密の花園:2008/06/15(日) 19:24:32 ID:BkbF3+/e
……と思いましたが、
前の方の作品の直後の投稿になってしまうので、
もう少し時間を置いてからにします。申し訳ないです。
380名無しさん@秘密の花園:2008/06/15(日) 19:34:48 ID:Gk2ywiFo
投下お待ちしています!


ところでこのスレは基本sage進行なんですか?
人によってageたりsageたりしてるから気になりまして…
381名無しさん@秘密の花園:2008/06/15(日) 20:37:24 ID:z0yjHfne
GJ!
真夜かわいい
382名無しさん@秘密の花園:2008/06/15(日) 21:43:08 ID:P3+8Etin
神スレ
383379:2008/06/15(日) 22:13:03 ID:BkbF3+/e
お待たせしました。
スレの進行状況については、僕もあまり詳しくないですね…
とにかく「思いついたら書く!」を信条にすれば良いかなぁと思います。

前に書いた通り「あびる×愛」でラブラブにしたものです。
(一応エロ注意と言っておきます)
それでは、今度こそどうぞ。
384特別な触れ合い:2008/06/15(日) 22:14:39 ID:BkbF3+/e
とある日常の放課後。夕日に照らされた二のへ組の教室。
クラスの大半は帰宅しているか部活動をしているかで不在である。
黄昏色の静寂の中、たまたま教室で自習をしていた小節あびるを除いて。
二のへ組だけではなく、ほぼ全校のクラスが留守の状態になっているので、
普段では気にも留めないような物音でも敏感に感じ取れる。
廊下の足音などがその最たるものであろう。

その足音の主が、何やら独特の独り言を呟きながら二のへの教室に近づいてくる。
「いけません、私のような者が忘れ物なんて……
 早く下校しないと学校の方にご迷惑をお掛けしてしまいます……」

どうやら教室に何か忘れ物をしたらしい加賀愛が、二のへの教室の前までやって来たようだ。
そして、教室のドアをそろそろと開けると、教室の真ん中で静かに座っていたあびると目が合った。
「あら、愛ちゃん」
「あ、小節さん……」
「どうしたの?」
「いえ、その、教室に体操着を忘れてしまって……」
と、途中までは普通の会話をしていた愛だが、ふと、あびるの机に並べてある勉強道具に気づく。
「あの、もしかして自習中でしたか?」
「うん、なんとなく今日はそんな気分だったから」
「もしかして私、お邪魔ですか……?」
「え?」
「す、すいませんすいません!私が忘れ物をしたばっかりに、小節さんのお勉強の邪魔をしてしまい…!」
「いや、別にそんな……」

そんな中あびるは、愛の席が自分のすぐ後ろであったことを思い出す。
「忘れ物を取ったら、すぐに出ていきますから!」
「そんな気遣わなくても……体操着取りにきたんだよね?はい」
あびるが気を利かせて体操着を取ってあげると、愛はますます顔を真っ青にする。
「い、いけません!もとはと言えば私がいけないのに、わざわざ自習中の小節さんに取っていただくなんて!
 しかも私の汗が滲んだ汚らわしい体操着の入った袋を触ったら、小節さんの手が汚れてしまいます!」
「そんなこと言わないで。ほら」
「すいませんすいません!すぐにでも……きゃっ…!」
慌ててあびるのもとへと駆け出そうとした愛だが、足元の机に足を取られ、派手にこけてしまった。
385特別な触れ合い:2008/06/15(日) 22:15:43 ID:BkbF3+/e
「うう…」
「だ、大丈夫?そんなに慌てるから……」
あびるは心配して愛のもとへ駆け寄り、うつ伏せていた華奢な体を抱える。
「いけません、私……ただでさえ体たらくなことをしたのに、こうやって何度も小節さんにご迷惑を……」
「だから、気にしなくていいってば。ほら、立てる?」
「はい、でも……こんなことしてもらったら、私の体臭が小節さんの体に……」
「………」
彼女が加害妄想を抱えていることはあびるも知っていたが、ここまで謙遜されると流石にいたたまれなくなる。
涙目になって、おそらく自分の足の痛みも我慢して、必死に相手に気を遣おうとする愛。
そんな健気すぎる少女の震える体を、あびるはそっと抱きしめてあげた。

「あ………」
「私は全然平気だよ。勉強の途中で愛ちゃんとお話するのも、こうやって愛ちゃんの体に触れるのも」
「でも、私は……」
「愛ちゃんは何も悪くない。汚くなんかもない。
 私は…ううん、きっとクラスのみんなも、愛ちゃんのことを迷惑だなんて思ってないよ」
愛の髪の毛を優しく撫でながら、あびるはそう諭す。
「そんな……私、みなさんに………ごめいわ…く…………う…っ……うう………ひっく………」
「あ、愛ちゃん……」
自分のことを思いやるあびるの優しさに胸を打たれたからか、自分に対する不甲斐無さからか。
愛はとうとう本気で泣き出してしまった。
「私……っく……本当に、小さい頃から…こんなんで………ほんとうに………ひく……」
「大丈夫。大丈夫だから……」
「はひ……でも、やっぱり駄目なんです……!うくっ…どうしても……こんなに、優しくしてもらってるのに―――」
途切れ途切れになりながらも、愛は続ける。
「心の中では、やっぱり周りへの不安が…消せなくて……うくっ……そんな自分が、嫌で……!」
あびるの胸の中で、今まで人に打ち明けることが無かったであろう胸の内を打ち明けた愛。
「うっ……ぐす………ひ…っく…………」
ひとしきり自分の思いを打ち明けると、それ以上の言葉が浮かび上がらず、ひたすらすすり泣く。

そんな彼女の心境を察したあびるは、自ら深く詮索することなく、愛を抱きしめる腕の力を少しだけ強めた。
それと同時に、彼女に向けられる感情のベクトルが変化してきていることを、あびるは感じていた。
今までの感情―――一種の同情や思いやりとは明らかに違う何か。
自分の腕の中で肩を震わせて、自分だけに対して本当の気持ちを打ち明けてくれた彼女に―――


愛おしさを感じていた。
386特別な触れ合い:2008/06/15(日) 22:16:32 ID:BkbF3+/e
あびる自身、その感情が禁忌なものであることは薄々わかっていた。
しかし、これは決してドロドロと汚れた感情ではない。
本気で純粋に相手を愛しいと思える。本当に守ってあげたいと思える。
抱きしめるだけでは伝えきれない、今までにないほど抑えきれない気持ちの高揚。
普段は気にしない心臓の鼓動が、今だけは強く意識されるほど高鳴っている。
「愛ちゃん?」
「はい……」
「そんなに、不安なの?」
「はい………」
少しは落ち着いたものの、やはりその声は弱々しく震えている。
その可憐な声が耳に伝わる度、あびるの中の特別な感情は熱を増してゆく。
「じゃあ………」
あびるは抱きしめる腕の力を緩め、変わりに愛の頬にそっと手を添える。
「私が愛ちゃんのこと、安心させてあげる……」
「え……?」
愛がその言葉の意味を理解しないうちに、あびるの上気した顔がゆっくりと近づき、そして―――


「ん……」
二人の唇が、密着した。
「あ……」
優しく触れた後、唇はそっと放される。その時間はほんの数秒だった。
「え……あ……」
流石の愛も、「私の唇に触れたら、小節さんの唇が汚れてしまいます!」などとは咄嗟に言えなかった。
というよりは、それ以前に自分が何をされたのか冷静に理解出来ないでいたようだ。
「ふふ……キスしちゃった……」
普段のように冷静な口調で、それでいて今までよりも熱の籠った声で、あびるが囁く。
その一言で愛はようやく自分がたった今されたことを理解し、顔を真っ青にするのではなく、真っ赤にする。
「え……あ、あの……ええっ?」
「言ったでしょ?安心させてあげるって。私、愛ちゃんとならキスだって平気だよ……ちゅっ」
「あ…」
再び、唇の上に優しくキスされる。
「こうやって特別な形で触れ合えば、きっと今までの不安だって忘れられるよ…?」
「………でも……」
高揚と戸惑いの入り混じった表情を見せる愛の耳元に、あびるは顔を近づける。
「安心して……愛ちゃんの心も体も………私がいっぱい暖めてあげる……」
「………!」
ドクン――― 
耳元で囁かれたその言葉に、愛の胸の鼓動が一気に跳ね上がる。
その言葉には単なる慰めの意味を超えた―――特別な感情がはたらいていることに気付いたからだ。
387特別な触れ合い:2008/06/15(日) 22:17:52 ID:BkbF3+/e
「ねえ愛ちゃん。もっと…してもいい?」
「………(こくん)」
愛は恥ずかしげに首を縦に振る。
そして、あびるは優しく微笑んで、愛の唇に自分の唇を重ねる。何度も……何度も。
「ん……ちゅ…ちゅっ……はふ……ちゅむ」
「んん……ふあ…ちゅ……」
あびるは両手を愛の頬に添えて、押しつけるように、ついばむように触れるだけのキスを続ける。
「んむ……ちゅぅ…はむっ……」
「んふあ……む……」
柔らかく、想像していた以上に甘美な唇の感触。
あびるはそれに酔いしれ、息が荒くなってゆくのも構わずに、愛の唇に様々な快感を与えようと試みる。
閉じられた唇の全体にまぶすようなキスから、上唇と下唇を交互についばむようなキスにしたり、
更には唇に舌を這わせて、じっくりと何周も舐めたりした。
「んんふ…!ふあ……んん」
そんな新しいキスの度に、愛は敏感に反応してくれて、体を小さく震わせる。
彼女の可愛らしい反応に、あびるはたまらなくなる。

「ちゅ…んはあ……愛ちゃん、口開けて……」
「は…はい……」
言われるまま薄っすらと開かれた唇に、あびるも少し大きく口を開けて、吸いつく。
「んんっ……」
「愛ちゃん、じっとして………くちゅっ」
「んぅっ……!?」
あびるの舌が、愛の口の中に差し入れられた。

そして、あびるはすぐさま愛の舌を探り当て、ねっとりと自分の舌を絡め合わせる。
「ん…くちゅ……ちゅぷっ……れろ…」
「ああ……んちゅ……ふああ………」
初めは舌先を舐め合う程度だったが、次第にその動きは激しさを増し、口内や舌の根元までをも蹂躙し始める。
「は…ん……ちゅく、ちゅくっ、ちゅぱ…」
「んう……ちゅぱっ、んちゅ…ふああ……」
艶めかしい息遣いで、あびるは愛の口内の隅々まで舐めまわすように舌を動かし、
愛はそんなあびるの舌の動きに合わせて舌を絡ませるのに必死になっていた。
「はむちゅっ、ちゅるる……ん…くちゅっ……ちゅむぅ」
「んふう……!ふあ……ん」
「ぷはっ………」
淫媚な水音をしばらく教室に漏らした後、お互いの唇と舌が離れる。
懸命に舌を絡め合った末、二人の舌の間にはとろりと唾液の糸が掛かっている。
「ふあ……んはぁっ………あは……すごい………」
それは2、3秒で垂れ落ちてしまったが、あびるはそれさえも恍惚とした表情で見守っていた。
「愛ちゃん、見えた……?私たちの舌、唾液で繋がってた……」
「はあ………はあっ…………はひ……」
388特別な触れ合い:2008/06/15(日) 22:18:54 ID:BkbF3+/e
半開きの口から唾液が垂れるのも構わず、うっとりと滲んだ瞳であびるの唇を見つめる愛。
その艶やかな唇が自分に甘美なキスを与えていたと思うと、愛の中で二次的な興奮が湧き上がった。
「今のは、ディープキス……恋人同士でするキスなのよ…」
「こ……こ…こいびと……?」
たったその一言で、愛の顔はますます赤く染まってゆく。
「可愛い……ちゅう…」
「ん……」
唾液で濡れた口元を、キスで優しく拭う。
「ちゅ……ん…ちゅふ……ちゅむ…ん」
「んふあ……んんっ……」
柔らかく滑らかな感触が、愛の唇とその周辺に何度も押し付けられる。
「ふふ…愛ちゃん、唇柔らかいのね。気持ちよくて何度もキスしちゃった……それに……」
愛の体をもう一度抱き寄せる。
「愛ちゃんの体も、柔らかくて、とてもいい匂い……」
「あ……ああ……」
あびるの熱っぽい吐息がわかるほどに、暖かく柔らかい魅惑的な体が密着している。
そして甘い囁きと、頭がくらくらしそうなほどに甘いあびるの芳香。
その魅力にぼんやりと酔いしれながらも、胸の鼓動は収まることを知らない。
「そ、そんな、私なんか……小節さんに比べたら胸も小さいし……そんな……」
「ううん、愛ちゃんは私にはすごく魅力的だよ。もうこうしてるだけで自分が抑えられない……」
 
すでに破裂しそうなほど強く脈打っている愛の心臓が、更に強くバクバクと高鳴る。
「本当に、肌も透けるように真っ白で……ちゅ…」
「ひあ……!」
ほっそりとした愛の首筋に、優しくキスされる。
同時に、愛の体が一瞬ぴくっと震える。
「ずっと、こうしていたいくらい……ちゅ、ちゅっ……」
「ひうっ……小節さ……」
首筋にキスをしながら、あびるの左手は愛の頬から首筋に、そして胸元へと這い……
「ひゃん……!」
「胸だって…んちゅっ……小振りでも柔らかくて……触ってるだけでドキドキしちゃう……」
「ああ……そんな……んっ…」
「んふ……愛ちゃん、胸がすごくドキドキいってるよ…?れろ…」
「ひゃうっ…!」
ぺろっ、とあびるの舌が愛の首筋をなぞり、愛の体が跳ね上がる。
「ふふ………可愛いなぁもう……」
やがて、あびるの顔が愛の首筋から離れ、両手で愛の胸を服の上から揉みしだく。
「んふぅ……」
「気持ちいい?愛ちゃん」
「は、はい……」
優しくマッサージするように、ゆっくりと両手を円の形にスライドさせる。
その度に愛の華奢な肩がゆさゆさと緩やかに揺さぶられ、愛はあびるの愛撫を噛み締めるかのように瞼を伏せる。
「愛ちゃん。服の上からだけじゃなくて、直接触ってもいい……?」
「はい………」
389特別な触れ合い:2008/06/15(日) 22:20:00 ID:BkbF3+/e
あびるはそっと愛の制服に両手を潜らせ、愛の胸元まで捲りあげる。
すると、純白の下着に覆われた小振りで愛らしい胸が顔を見せた。
「あ、あの……」
「なあに?」
ブラを露出したままでの状態で、愛は恥ずかしげに俯いて言う。
「やっぱり、恥ずかしいです……こ、こうやって直接見せるなんて……」
「そんなに恥ずかしいの?」
「はい…だって……」
「だって?…教室で胸を見せているから?それとも私が見てるからかなぁ…?」
「うう……」
ますます恥ずかしそうに困惑する愛の反応を楽しみつつ、あびるはその隙にブラのホックを外してしまった。
「きゃあっ…!」
するり、とブラが落ち、隠すものが無くなった愛の乳房が露わになった。
「ほら、こうしないと直接見たことにならないし」
「そ…そんな―――」
「それに、愛ちゃんだって本当は期待してるんでしょ…?だってほら、ここも……」
――くりっ
「ひいんっ…!」
愛の左の乳房の先端に、あびるの指が添えられる。
「ちょっと揉んだだけで、乳首固くしちゃってる……」
「んあっ……す、すいませ―――」
――きゅっ
「きゃうっ!」
指先で擦っていた乳首を、親指と人差し指でつねる。
その部分から上半身へピリピリと電流が走り、愛の体がびくっと大きく震える。
「ごめん、ちょっと強すぎたかな?」
「い、いえ……その……すいません、びっくりして……」
「いいの。今度はもう少し優しくするから……」
そう囁き、あびるの顔が愛の胸の前まで近づいてくる。その荒く紅潮した吐息が伝わるほどに。
390特別な触れ合い:2008/06/15(日) 22:21:18 ID:BkbF3+/e
「え…ええっ……?」
「愛ちゃん……ちゅっ」
「あっ……」
白く薄い愛の胸板に、あびるはそっとキスを落とした。
「こうやって……気持ちよくしてあげる………ん…ふちゅっ……」
「あ…あ……小節さ…ん」
胸の中心から、未成熟ながらも心地よい柔らかさをもつ左右の乳房へとキスの範囲を広げてゆく。
「んふあ……ちゅっ、ちゅっ……んむ……ふふ……ちゅぷ…」
「あう……んん……!」
小さく震えながら、これ以上大きい声が漏れないように歯を食いしばろうとする愛。
しかし、じっくりと快楽を与えるあびるの愛撫は、それをやんわりと崩してしまう。
「愛ちゃん……声、聞かせて……」
いつの間にか左の乳首の前まで唇を近付けていたあびるが、まるで胸の乳房に話しかけるように囁く。
「可愛い乳首………ちゅうぅ」
「ひゃあんっっ!」
ピンと上を向いた乳首に、あびるのしっとりとした唇がぴったりと吸いついた。
「はむちゅっ……んむっちゅ……ちゅぱっ」
「んひぃっ…!そ…そんな……んふぅ…!」
穏急をつけて、あびるは愛の乳首を吸引し、揉みほぐす。
「いいよ、もっともっと声だして……ちゅうう」
「や…ああんっ!」
(ああ……吸ってる……小節さんが、私の胸を……)
「ん……くちゅ…あむ…………ちゅぱっ……」
一旦あびるの愛撫が終わり、唾液で濡れ光る唇が離された。
口淫を受けた愛の乳首は、唾液で薄っすらとぬめ光り、充血してカチカチに凝り固まっている。
「はぁ…はぁ……愛ちゃんのおっぱい、ちょっとだけ甘くて、いい匂いがするのね……ほら、反対側も…」 
391特別な触れ合い:2008/06/15(日) 22:22:10 ID:BkbF3+/e
あびるは据わった瞳で、愛撫を与えていない右の乳首に舌を這わせた。
「ふあっ……!」
「んはぁ……れろ……んちゅ……んん、ちゅぴっ……」
「ひ……くぅん…!小節さぁん……」
唇で乳首をそっくり包み込み、下で先端をねっとり転がす。
愛の肩を抱きよせ、ひたすらその胸を愛撫していたあびるだが……
(いけない……始めは愛ちゃんを慰めてあげるつもりだったのに……私まで……)
愛の反応にあてられ、そのうち自分の肉体も快楽を欲するようになり……
右手を自分の胸元まで運び、自ら揉みしだき始めた。
「くちゅっ……んむふ…!ちゅぷ……ふはぁ……!」
「あ…ああ……!そん…な、強く……んひぃっ!」
あびるは自らの興奮に合わせて、
あびるの舌が愛の乳首から離される。舌と胸との間に生成された唾液の糸がほどけないように、ゆっくりと。
「気持ちよかった……?愛ちゃん……」
「んは…は、はい……溶けちゃいそうでした………」
「見て、最初よりももっとビンビンになってる……」
――くりゅっ、くりゅっ……
「あひっ!ん…!」
あびるはもう一度指を添えて、薄くヌメった乳首をこりこりとこね回す。
「んふ……こりこりの乳首が、私の唾液でヌルヌルになって……いやらしい………んはぁ……」
あびるの左手は愛の胸をいじくり、右手は………自らの股間をスカート越しに押さえつけていた。

「んふぅ……あ…んん……」
「あ……こ…小節さん……?」
今までの色っぽい表情とはまた違う―――さらに扇情的に紅潮した表情で、自分のスカートを擦るあびる。
愛もまたその艶姿に見とれ、全身が熱を帯び、興奮が高まる。
そして、今まではひたすらあびるの愛情を受け入れていた愛にも、次第に感情の変化が訪れる。
(小節さんのことも……気持ちよくしてあげたい………小節さんが私にしてくれたみたいに………私が……)
「あ…あの……」
「ん……ごめんね……?私が愛ちゃんのこと慰めてあげる…はずだったのに………んふ……
 私の方まで、感じてきちゃった………」
「す、すいません、私……小節さんにしてもらってばかりで、自分ばかりが気持よくなってしまい……」
「え……?」
「だ…だから……その………………わ……私にも……………小節さんのこと………」
緊張しながら、自分の思いを打ち明けようと震えていた唇に、あびるの指がそっと添えられた。
「………あびるって、呼んで」
「…………え?」
唐突にあびるの口から出てきたその言葉に、愛は一瞬きょとんとする。
「二人きりのときは、私のこと「あびる」って呼んでほしいの」
「……は、はい…………」
相手を下の名前で呼ぶ。それだけのことなのに、愛は自分が緊張していることがわかったいた。
「……あ………あびる……ちゃん」
「ふふ。うれしい」
初めて自分の下の名前を呼んでくれた可愛らしい唇に、あびるは優しくキスしてあげた。
「こうやって照れる愛ちゃんも可愛いな……」
「うう……」
392特別な触れ合い:2008/06/15(日) 22:22:57 ID:BkbF3+/e
「それで……私のことも気持ち良くしてくれるの…?」
「は……い……」
「でもね……愛ちゃん」
そっと愛の体を抱きよせ、耳元で囁く。
「私、愛ちゃんと一緒に気持ち良くなりたいな……」
愛が「え…?」と聞き返すよりも速く、あびるの右腕がするりと愛のスカートの内側へ潜り込んだ。
「きゃあ…!?」
「わあ……愛ちゃん、もう下着が濡れてるよ……?」
「え…ええ……!?ひああんっ!」
あびるがスカートの中で指を動かすと、そこからじゅくじゅくと粘っこい水音が漏れ出す。
「い、いけません……!私の、こんな…一番汚いところを……ふああぅっ!」
「もう……そんなことないってば」
あびるは自分の思いを念押しするかのように、下着越しの愛撫を続ける。
「すごぉい……下着越しでも、私の指がべとべとになっちゃうくらい………」
「んああ……!あ…あびるちゃ…は、恥ずかし……あんっ…!」
「じゃあ愛ちゃん、私のも触ってみて………」
あびるはもう片方の腕で愛の右腕を掴み、自分のスカートの中へと誘う。
「え…え、えええっ……!?」
「いや……?汚そう……?」
そう聞かれて、愛は慌てて首を横に振る。
「私だって、愛ちゃんのことは全然そんな風に思ってない。むしろこんなにドキドキしてる……愛ちゃんも…?」
「はい………すごくドキドキしてます………」
「ね……一緒に気持ち良くなろ………?」
愛は火照った頬で頷き、あびるのスカートの中の下着へと手を伸ばす。
その時の愛の指には、自分と同じくぐっしょりと湿った下着の感触があった。
「ん……どう……?私も、すごく濡れてるでしょ……?んふぁ…」
「あ……ああ………なんか……こうしてるだけで……」
「私も…………ねえ、直接…触っちゃおうか……?」
393特別な触れ合い:2008/06/15(日) 22:23:54 ID:BkbF3+/e
これ以上ないほどの緊張と興奮を孕んだ表情で、ついにお互いの下着の中へと指を差し入れる。
そこには、二人が最も欲していた大切な花びらが、甘い蜜を蓄えている。
「うあ……愛ちゃん……中、すごいことになってる………」
「ひうぅっ!あ…あびるちゃんも………んあ……!」
下着と秘部の密着した部分は、おびただしい量の愛液でネバネバと糸を引いている。
そこに指を潜らせると、ぐちゅぐちゅと熱気の籠った卑猥な音が絡みつくように響き渡る。
あびるは人差し指と中指で、愛の秘部をリズミカルに愛撫する。
「くああっ!んひぃ……!こ、こんな…のぉ……!」
「あ、愛ちゃんも、私の真似してみて……んあ……!」
あびるに言われるまま、愛もあびるの下着の中で同じように指を動かしてみる。
「あぅん……!そ…そう、そうやって中でくちゅくちゅ掻き回すの……あんっ…!」
「はっ…はひ……ひいんっ!」
「ああ…愛ちゃん、愛ちゃん………ねえ、キスして………んちゅう…!」
「ん……!ふ…ぁ……ちゅっ、んあん!んんふぅ……!」
互いに唇を重ね合わせ、熱いキスを交わす。
「んちゅっ…ふむぅ……!ちゅく……あふぅっ……!」
それが興奮剤となり、二人の指の動きも徐々に加速してゆく。
「んっ、ちゅぷ……!んあっ、ちゅ…ぷは……!ああっ!」
「あ、愛ちゃん……ここ、クリちゃんも…んふぁ…!勃起しちゃってる……」
「ひっ…きゃああんっっ!」
唇が離れたと思うと、あびるは愛の最も敏感な部分を重点的に刺激し始めた。
愛の体は大きく震え、秘部からはまるで洪水のように愛液が分泌される。
「あ…ああ…!だめ、ダメですぅ……!そ…んんんっ!」
「んあはぁ……!あ、愛ちゃんだって……私の一番弱いところを―――きゃうぅ…!」
互いに相手に性的快楽を与え会う二人。愛撫する指はびしょびしょに濡れてしまっているが、
二人はその感触にむしろ至福さえも感じている。
「ああっ!あびるちゃん……!わ、私……わたし、もう………!」
「んん…!愛ちゃん、私も……もういっちゃう……!!あふっくぅ……!」
そして、激しい手淫により快感を貪っていた二人の体は限界に近づき、何か大きな疼きが駆け上がってくる。
「ああっ!愛ちゃん…好き……!大好きよ……!ん…あああああああああああああっっっ!」
「んくぅっ…!あ……あびるちゃん……!私も……大好きぃ…!!ひあああああああああああああんっっっ!」
二人の嬌声が教室に大きく響き渡り、同時に一際大きく体が跳ね上がった。
その拍子に、じゅわっ、と一気にあふれ出した愛液が、二人の手のひらに心地よい生温かさを与えた。
394特別な触れ合い:2008/06/15(日) 22:25:11 ID:BkbF3+/e
「はあ……っはあ………はっ…………愛…ちゃん………」
「ふああ………っ…はあ………んはぁ……………」
ひとしきり快感の波が過ぎ去り、二人は大きく肩を揺らして余韻に浸る。
「一緒に………イッちゃったね………」
あびるは呼吸を整えながらも恍惚とした表情で、愛の下着からゆっくりと手を引き抜く。
さっきまで愛の秘部を慰めていたその指は、愛液でねっとりと覆い尽くされている。
「はあ……あは………すごい……こんなにネバネバしちゃってる………
 愛ちゃんって本当はすごくエッチなのかなぁ……?」
「や……やだ………」
恥ずかしがる愛の目の前で、指先の間で糸を引くそれを、あびるは舐めとった。
「ん……ちゅぱ………はあ……おいし………」
その淫美な光景を、半ば放心したようにうっとりと見つめる愛。
「ねえ、愛ちゃんのほうも見せて……」
あびるはそう言って、自分の下着に入れっぱなしになっていた愛の腕を、そっと引き抜く。
あびるの下着の内側から愛の指先にかけて、愛液がとろりと長い糸を引いた。
「うわ……私、こんなに濡らしてたんだ………」
「は…はい……すごい……です…………」
「愛ちゃん、私が舐めとってあげるね………あむっ」
「あ………」
あびるは愛の指を口の前まで運び、自分の愛液が纏わりついた指を口に含んだ。
「は…む、ちゅ……れろ…ちゅぷ……」
「あ……あびる……ちゃん………」
自分の指に絡みつく、あびるの唇の柔らかさ、舌の艶めかしい感触。
それに気を取られていた愛の口元に、あびるの右手が差し出される。
「愛ちゃんは、こっち」
「………はい……ん、む………ちゅ……」
自分の愛液とあびるの唾液が混じったそれを、愛はためらうことなく、むしろすすんで舌を這わせる。
「んあむ……ちゅく……れる………はぷ…ちゅ……んは………」
「はあ………れろ………ちゅ……ちゅぷ………ん……」
やがて、二人は互いの全ての指を舐めとり、恍惚の表情で向き合う。
「愛ちゃん……好きよ………」
「私も…………あびるちゃんのこと………好き…です……」
「もしもまた不安になったら、いつでも私に言って。誰よりも愛ちゃんを好きな人がいるって、安心させてあげる」
「はい………」
そして、二人は当然のように―――互いに全てを理解しあっているように、唇を重ねた。
395特別な触れ合い・エピローグ:2008/06/15(日) 22:34:24 ID:BkbF3+/e
二人が服装を整え、すっかり落ち着いた頃には、夕日はほとんど沈みかけていた。
黄昏色に染まっていた教室も、どちらかと言えば薄暗さが目立つようになってきている。
「そろそろ帰ろうか。だいぶ遅くなってきちゃったし」
「はい、そうですね」
二人が帰りの支度をしようとしていた時、あびるは自分の机に置いてあったものを思い出した。
「あ、そういえば私、自習してたんだっけ」
「そ、そうでした……!すいませんすいません!私のせいで!」
「え…いや別に謝らなくても……」
我に帰ったかのか、逆に気が動転したのか、愛はいつものような加害妄想ぶりを発揮していた。
「いいえ、やっぱり私が悪いんです!私が未熟なばかりに、小節さんが―――」
「………もう」
苦笑いで溜息をつくと、愛の言葉をキスで軽く塞いだ。
「あ……」
「そういうのはナシって約束して。あと、「すいません」もなるべく言わないって」
「はい……すいません………はっ!私ったらどうして……すいませんすいませ(ry」
「…………まあいっか」
あびるはもう一度溜息をついて、ふと振り返ってみた。
自分が愛にここまで惹かれたのは、愛がこういう女の子だったからだと。

人間誰しも短所はあるが、そこには変えるべき部分と愛すべき部分が入り混じっているのではないだろうか。
愛の加害妄想はなかなか収まりそうに無いが、無論、あびるはそれを無理やり捻じ曲げようなんて思わない。
愛が特別な存在になってからは、今の彼女の全てを受け止められる。あびるはそんな気がしていた。
「愛ちゃん、やっぱりそのままでいいかも」
「すいま……へ……?」
「そりゃあちょっとは自分に自信持ってほしいけど、やっぱり………今の愛ちゃんが好き」
「え………あ……あう」
愛は顔を真赤にして俯く。
「もう、照れ屋さんなんだから。そこがまた可愛いけど」
愛がここまで照れ屋になるのは、言うまでもなく相手があびるだからだ。
そして帰り道の途中に、愛は「こんなに好きになってしまってすいません」と小さく言ったそうだ。
396名無しさん@秘密の花園:2008/06/15(日) 22:37:58 ID:ymUpPyfm
連投支援
sage書き込みのほうがいいよ
397名無しさん@秘密の花園:2008/06/15(日) 22:39:28 ID:ymUpPyfm
連投支援
398後書き:2008/06/15(日) 22:42:08 ID:BkbF3+/e
以上です。
かなり長くなってしまいましたね………
最後まで読んでくれた方、本当にありがとうございます。
そして、お疲れ様でした。

どうしても加賀ちゃんメインの百合が見たくなったので、いっそのこと自分で書くことにしました。
最初に(エロ注意)なんてことを念押しで書いておきましたが、
あびると愛の内面というか、
普段の触れ合いのシーンもないがしろにしたくないなぁと思って書いたら、
思いのほか時間をかけるハメになりましたね。
それでもまだまだ至らない部分は出てくるかもしれませんが……
とにかく、個人的に記念すべき初投稿が無事終了してよかったです。
それでは。
399名無しさん@秘密の花園:2008/06/15(日) 22:44:59 ID:ymUpPyfm
400名無しさん@秘密の花園:2008/06/16(月) 01:16:31 ID:N7L/jcjV
>>384-398
GJ!!
401名無しさん@秘密の花園:2008/06/16(月) 02:16:56 ID:i1qJKIK2
初登校とは思えないくらいディープなのは何故(笑)
402名無しさん@秘密の花園:2008/06/16(月) 16:33:18 ID:nnvyKa/v
ハルチリの投下が多いとはわかって大分抑えてるんですが
やっぱりこの2人じゃないと書けないものがたくさんあるんですよね。

という訳で今回はハルチリです。そして自身久々にえろをね…。
いつもどおりただひたすら甘いです。よければどうぞ。
403I'm In Love Again:2008/06/16(月) 16:38:03 ID:nnvyKa/v

学校帰りいつものように晴美の家で暗くなるまでのんびりと過ごす。
そんな時でも晴美は大抵本に集中していて
読み始めると千里が隣で退屈そうにしている事も気付かない。
そんな晴美が憎らしくて、千里は少々不機嫌だった。


「ね」
くいと服が引っ張られて
晴美が千里の方へ顔を向けると、ちゅっと唇が重ねられた。
触れるだけのそれはすぐに離れて、千里はじぃとこちらを見つめている。

「どしたの?」
千里の方からしてくるなんて珍しいよね。
なんて事を言いながら、晴美が千里の髪を梳いてやると
少しだけ切なそうな顔をする。

「だって、ずっと本ばっかり読んでるから。」
晴美の意識が本にかかりっきりになっている事が面白くなかったようで
どうやら千里は自分の方へと興味を持ってもらいたかったらしい。

「ああ、ごめんごめん」
ぱたりと本を閉じて片付けると、晴美は千里の身体をベッドへと沈めた。
ゆっくりと沈む千里の両サイドに手を突いて、千里の顔をじっと見つめる。
恥ずかしそうだけど、どこか嬉しそうに千里が笑った。

「さて、ご期待に応えましょうか?」
そう言って千里の上に覆い被さり、首筋の辺りに軽く噛み付く。
小さく喘ぐ声と共に千里の身体がぴくりと震えた。
そのまま鎖骨の辺りでちゅう、とそこを強く吸い上げる。
押し殺したような声が聞こえて千里の腕が晴美の背中へ回された。

「あたしが本読み終わるまで我慢できなかったんだ?」
晴美の言葉が千里の身体の温度を上昇させる。
「せっかくの2人の時間なのに、本にばっかり構うのはひどいんじゃない?」
千里の言葉に、晴美はごめんごめんと笑った。

「じゃあ、きっちり構ってあげる」
そう言って晴美がスカーフを緩め
ゆっくりと制服の前を開くと、白い肌に薄桃色の下着が露になる。
ふわりと撫でる手が千里の身体の上を踊った。
下着の上から2度3度触れた後に、それをゆっくりと捲り上げた。
そして小さいけど、柔らかなそこを包み込むようにして触れてみる。
404I'm In Love Again:2008/06/16(月) 16:43:42 ID:nnvyKa/v

「あ…」
消えそうな、甘い声が漏れた。
拒否の言葉には聞こえないその音が晴美の頭を支配していく。
優しく、ゆっくりと揉んでいくと、声が断続的に上がった。

「…ぁ…や…」
潤んだ目と紅の差す頬がまた艶っぽさを醸し出す。
そんな千里をずっと見ていたいと思った晴美は
出来るだけ優しく、そして焦らすように愛撫を続けた。

「ん…ね、晴美…」
手だけでは我慢できなくなった千里がぽつりと呟く。
「もちょっとだけ」
千里には悪いと思ったが、晴美はもう少しこの感覚に酔いたくて
その懇願をやんわりと拒否した。
その言葉にしょうがないわね、という表情を浮かべた千里も
もう少し我儘に付き合ってくれるようだ。

「なんかねー、勿体無い気がするの」
ゆっくりと手を動かしながら、晴美が笑いかけた。
その言葉に千里はきょとんとするが
手の動きがすぐにその表情を変えさせる。

「んっ…なに、が…?」
「んー、もっといっぱい千里の事感じたいって思うんだ」
すっと手が離して、ぽすっと覆い被さるとそのまま動かなくなった。

「はる、み?」
「こうやってくっついてるとなんか幸せだなーって」
そう言って晴美はぴったりと千里に身体を寄せた。
とくん、とくんと少し早めの鼓動が伝わってくる。
それがまた晴美を幸せな気分にさせた。

「…晴美」
いつまでそうしているの?と言いたげな千里の声色に
晴美がゆっくりと身体を離すと、ごめんごめんと笑う。

「さっきの続き?」
再び千里の身体に手を触れると、ぴくんと千里の身体が震えた。
ん、と小さく声を上げた千里が待ち望むその部分を
確かめるように2、3度なぞった後、ゆっくりと口に含む。
その瞬間あ、という声が聞こえてからは、先程よりも甘い声が聞こえ始めた。
405I'm In Love Again:2008/06/16(月) 16:47:32 ID:nnvyKa/v

「ん、ぁ…っく…」
緩急をつけた舌の動きに千里の意識がぼやけていく。
不意に唇が離れ、名残惜しそうにそうに晴美を見上げると
晴美が嬉しそうに微笑むのが見えた。

「は、るみ…?」
不思議に思った千里が晴美の名前を呼ぶと
先程まで口に含まれていたその場所を親指でなぞられる。

「やっ…」
濡れたその部分を親指が滑るように刺激を与えた。
その動きが千里の身体をどんどんと昂ぶらせていく。

「千里、すごい可愛い」
ほぅ、と溜め息を吐きながら、晴美が千里の顔をじっと見つめた。
うっすらと目を開ける千里の視線が晴美とぶつかり、千里は顔を背ける。

「や…見ちゃ、や、だ…」
「あたしだけには見せてくれても良いでしょ?」

千里の全部を見せてよ。
それはあたしだけの特権でしょ?

「ぁ…や…」
とうとう我慢が効かなくなったのか、腰をもぞもぞと動かし始めた。
「ん?こっちも?」
晴美の言葉に千里は恥ずかしそうにこくりと頷く。
千里の要望に応えてスカートを取り払うと、上とお揃いの薄桃色が見えた。

「ちゃんと開いててね?」
言い聞かせるように言って下着の上から、指を這わせる。
そこは随分と濡れていて、指で触れるとちゅ、と小さく音を立てた。

「今日いつもより濡れてる」
晴美の言葉に千里はふるふると首を振る。
「いつもより気持ちいいのかな?」
くすくすと笑いながら、その場所を丁寧になぞっていく。
触れるたびに甘い声が漏れて、その声がたまらなく心地良かった。

「ぁ…はる、み…」
晴美へ向かって手を伸ばす千里を見た晴美は千里の身体を抱き起こす。
抱き起こされた千里はその腕は晴美の背中へと回した。
晴美の指が千里を昂ぶらせるのに合わせて
千里も晴美に回した腕に力を込める。
それを合図に布越しからの刺激から、直接への刺激へ切り替える。
406I'm In Love Again:2008/06/16(月) 16:51:28 ID:nnvyKa/v

「…っ!」
声にならない声が千里から漏れた。
ゆっくりと指を動かすと、千里の身体がびくびくと震える。
ふるふると首を振る千里を見ながら、晴美はくすくすと笑った。

「これ嫌?」
ほんの少し入れられた指がゆっくりと動かされて、千里が小さく声を上げる。
ぎゅっと晴美の腕を掴まえて、潤んだ目を向けられた。
そんな千里の表情を見て晴美は一旦指を抜く。
ひくり、と千里の身体が震えた。

「それともこれじゃあ足りない?」
晴美の言葉に千里がむっとした表情を浮かべる。
「…バカ」
そう言って千里は頬を染めながら、晴美の肩をぽこっと叩いた。

「…そういう事は聞くものじゃないでしょう」
そう言って千里は恥ずかしそうに晴美の肩口へと顔を当てた。
照れている表情を悟られないように懸命に隠しているようだ。

そんな千里をゆっくりと引き剥がして、晴美が顔を覗き込んだ。
頬を染めて、困ったような照れたような顔で
上目遣いにちらちらと晴美の様子を伺っている。


「その顔好き」
そう言って晴美嬉しそうに笑うと千里の頬に唇を当てた。


快楽に歪む顔も、甘えるように求める声も好きだけど
そうやって拗ねたような顔を見せるのが好き。
だって何か一気に子供みたいに見えるんだもん。
いつも凛々しくて、キツい目線とは程遠いその表情。
新たな一面というには何度も見てるけどまた好きになる。

「その顔見ると、何か嬉しいなーって思うんだよね」
するりと内腿を撫でながら、耳元で囁くと千里がまた頬を染める。

「それが見たいが為に私が恥ずかしい思いをするのは納得出来ないんだけど」
困った人ね、と呆れ顔を見せた千里だったが
晴美の手の動きに身体は敏感に反応してしまう。
ん、と甘い声が洩れると晴美は手を止めた。
407I'm In Love Again:2008/06/16(月) 16:54:16 ID:nnvyKa/v

「で、さっきのはどっち?」
晴美の言葉に千里が苦そうな顔をして、口をつぐむ。
「言わないと止めちゃうよ?」
そう言って焦らされるとどうしようもなくどきどきする。

それだけじゃない。
ちょっと触れられただけでも、好きと囁かれるだけでも
身体が、心が痛いくらいに晴美を求めるのだ。

「…だ」
「ん?」
「…焦らしちゃやだ」
そう言って千里はぎゅっと晴美の服を掴まえて
うっすら染まった頬に潤んだ目を向ける。
その姿に晴美も照れたように視線を泳がせた。

「それ、ずるい」
「なに、がよ」
晴美の言葉に千里が眉をひそめた。

「だって可愛すぎるんだもん」
そう言った晴美の顔は焦らしが成功したとか
意地悪な笑みではなく、純粋に嬉しそうな顔だった。
くしゃっと笑う顔に千里の胸が鳴る。
こうやって時折見せる子供みたいな顔がたまらなく愛しい。

「もうその言葉は聞き飽きたわよ…」
「何回言っても足りないのー」
こつんと当てられた額と、嬉しそうに笑う晴美に
千里の体温と鼓動は更に高まっていく。


長く付き合ってると、マンネリだとか
テンションが下がってくるとか
それのせいで2人の仲が冷めちゃったりってよく聞く話だけど
全然そんな気配も無くて
むしろ付き合いが長くなれば長くなるほど
新たな一面を見つけては、どきどきする。


あたしは、
私は、

その表情、仕草、声、君(あなた)という人に



―再び恋をする。



―END―

408あとがき。:2008/06/16(月) 16:58:07 ID:nnvyKa/v

以上です。
えろの流れに便乗させてもらいました。
千里がデレデレなのが書きたいと思ったらこんな感じに。
毎度毎度しつこいくらいに甘い話ばかりで申し訳ないです。
シリアスなのは書き手のキャラに合わないので…w

しかしえろは疲れる…またしばらくえろは充電ですw
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
409名無しさん@秘密の花園:2008/06/16(月) 19:37:58 ID:GueHmNaY
甘くてえろくていいんです
410名無しさん@秘密の花園:2008/06/16(月) 22:20:09 ID:l1vN3OSE
まさか便乗していただけるとは……光栄です。
確かにえろパートは疲れる……
物語の雰囲気に合わせるのは特に苦労しますよね。
どこまで行けばいいんだ(どの辺で止めておくべきなんだ)みたいな(笑
411名無しさん@秘密の花園:2008/06/18(水) 06:23:28 ID:IioQlT97
5、6月辺りはイベント行事が少ないので
イベントネタスキーとしては大変歯痒かったので
ならば「梅雨」「雨」ネタで書いてみようと思い立って書いてみました。
まずは可符香×カエレの梅雨ネタです。よろしければどうぞ。
412Aqua fusion.:2008/06/18(水) 06:27:00 ID:IioQlT97

この苛々は梅雨のせいだ。
それ以外に何がある?
じめじめとした陰湿な空気とばらばら降り注ぐ音は不愉快以外の何でもない。

窓の外を見れば小さな水溜まりが校庭の至る所に出来ていて
降り注ぐ雨が個々の水溜まりを繋げて拡げていく。
その様子がどこか似ていたからカエレは校庭から視線を外した。

…余計に苛立つ。

今度は教室に視線を戻してみれば
いつも自分の傍を離れないクラスメイトが楽しそうに笑っているのが見えた。
その姿を見るとまた苛々と気持ちが落ち着かない。

…どうして?

理由らしい理由は全て雨のせいだ。
雨がこんなにも気持ちを苛立たせる。

…正直面倒だ。

クラスメイトと仲良さげに話す可符香をじいと見る。
屈託のない笑顔が今日はとても憎らしい。
じぃと睨みを効かせると、まるでそれに合わせる様に可符香がふいと視線を向けた。
当然カエレと視線が絡まる。
あ、と気付いた時にはもう遅くて
にこにこと笑って可符香がぱたぱたと近付いて来た。

「どうかした?」
自分を見つめていたカエレが気になって可符香が首を傾げる。
しかしカエレはすぐに視線を逸らした。

「別に」
理由はわからないが拗ねているのは間違ないらしい。
逸した視線の先に回り込む可符香が妙に苛立って
カエレはまた可符香とは逆に視線を逸した。
不機嫌の理由がわからない可符香はきょとんとカエレを見つめるが
機嫌が損ねられた理由はわからないままだった。
413Aqua fusion.:2008/06/18(水) 06:34:04 ID:IioQlT97

前の席の椅子を引っ張って可符香がそこへ腰を下ろすと
ちらりとカエレへと視線を送る。
やはりこちらを見ようとはしないカエレに可符香がふむ、と考え込む。
しばらく黙ったままカエレの様子を伺っていたが
特に変化がないのを見て可符香が口を開いた。

「なんで怒ってるの?」
目線は合わせずに独り言みたいに呟かれた声にカエレがぴくりと反応する。
「…別に怒ってないわよ」
三呼吸くらいの間を空けてぽつりとカエレが呟いた。
言葉とは正反対の態度に可符香も少々苛立った気持ちになる。

「怒ってるじゃないですか」
「…うるさいわね」
可符香の言葉にだんだんとカエレも感情が高まる。

そんなカエレの態度に
更に言葉を投げようとした可符香はその言葉を飲み込んだ。
そしてすぐに言葉をすり替える。

「やだなぁ、カエレちゃんてば」
先程とは打って変わって落ち着いた声の可符香だったが
それでもカエレは相変わらず可符香を見ようとはしない。
そんなカエレに可符香がくすくすと笑いながら言った。


「私がいないとそんなに淋しいんですか?」

その言葉にカエレはばっ、と可符香を見た。
苦そうな、照れたような表情が可符香に向けられると
可符香はにっこりと笑顔を見せる。

「やっと目合わせてくれたね」
その言葉にカエレの顔から苦さが消えて、照れだけが残った。
「な、に言って…」
再びふいと視線を逸したカエレに可符香がくすくすと笑う。
414Aqua fusion.:2008/06/18(水) 06:39:15 ID:IioQlT97

「…何がおかしいのよ」
「もしかして図星だったのかなって思って」
可符香はカエレの気持ちを読んでいた訳では無かったのだ。
どうやらカマを掛けたらしい。
可符香はカエレがどうして拗ねているかなんて理由を本当に知らなかったのだ。

…やられた。

可符香の罠にカエレは深く深く溜め息を吐いたが、はっ、と我に返る。
今ならまだ誤魔化しが効くと思ったからだ。

「そんな訳ないでしょ、雨が降ってるから頭が痛いのよ」
そう言ってカエレが可符香を睨む。
睨まれた可符香はじっとカエレの顔を見つめた後、にっこりと笑った。

「淋しそうに見えたのは私の勘違いだったんだね」

こんな風に誰の心にでも入ってくるのに
捕まえようとすればさらさらとこぼれていく水のようで
降り注ぐ雨が水溜まりを作り、周りを取り込むのに似ている。

「…雨が嫌だって言っているでしょう」
「でも独りも嫌なんでしょ」
ああ言えばこう言う可符香にカエレは溜め息を吐いた。
その様子を見た可符香が申し訳なさそうに笑う。

「ごめんね」
ぽつりと呟かれた言葉にカエレが可符香へと視線を向けた。
「…何が?」
「んー、淋しくさせて悪かったなぁって」
そう言って可符香はふわりと笑う。

「…だから違うって言ってるでしょう」
「強がらなくてもいいってばー」
その言葉に可符香から顔を逸らして窓を見ると
雨は止む事も強まる事もなく降り続いていた。
この様子だと帰る時にまでに止む事もないだろう。


…だから雨は嫌いなのよ。
嫌でもあなたを連想してしまうから。



―END―

415あとがき。:2008/06/18(水) 06:40:44 ID:IioQlT97
梅雨ネタの可符香×カエレでした。
今回はデレ無しのカエレが書きたかったんですけど
最後の方微妙にデレてるっぽいですね…

今後このネタでハルチリ、あび芽留も予定しています。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
416名無しさん@秘密の花園:2008/06/18(水) 06:43:17 ID:06oSiiYl
可・符・香!可・符・香!
417名無しさん@秘密の花園:2008/06/20(金) 16:26:09 ID:1Zg+A3Zi
投下いきます。
梅雨、雨ネタを使った第2弾、あびる×芽留です。
よければお付き合いください。
418紫陽花:2008/06/20(金) 16:27:47 ID:1Zg+A3Zi

連日の雨で、毎日空はどんよりと曇っていた。
梅雨時期だからと言えばそれまでだがやはりこの空は、雨は気が滅入る。

そんな事を考えながらぼんやり窓から外を眺めていたあびるだったが
不意に制服を引っ張られる感覚に気付いてそちらに視線を向ける。
視線の先では芽留が携帯を片手にあびるの様子を伺っていた。

「どうかした?」
あびるの問い掛けに、持っていた携帯をずいと差し出す。
そこには雨に濡れた紫陽花の花が写っていた。

「あ、紫陽花」
青い花を付けた紫陽花がぎゅうぎゅうと詰まった写真にあびるが目を細める。
「家の近くで咲いてるの?」
あびるの問い掛けに芽留はこくりと頷いた。

「へぇ、綺麗だね」
元々口数の少ない2人だから芽留が提供する携帯で撮影した写真は
話題作りの為に一役買うことも少なくはない。
そんな画面に映った写真を見ながらあびるがぽつりと呟いた。


「紫陽花の花言葉って知ってる?」
もちろんその言葉を知らない芽留はきょとんとあびるを見つめる。
芽留の視線を受けて、あびるがゆっくりと言った。

「紫陽花の花言葉ってね『移り気』とか『浮気』なんだよ」
その意味を知った芽留は少しばかり驚いた。
紫陽花にそんな意味が込められてたなんて思いもよらなかったからだ。

「もちろんそれだけじゃないんだけど、どっちかというと紫陽花の花言葉ってマイナスなのが多いんだよね」
苦笑いしながらのあびるの言葉に芽留も少し複雑な気分になった。

「いつか芽留ちゃんも気持ちが移っちゃうかな」
あびるの言葉に芽留がばっとあびるを見直す。
『何の話だ!』
素早く文字を打ち込んだ携帯を見せると、あびるがふふ、と微笑んだ。

「いやまぁ、そのまんまの意味?」
『そもそも浮気とかってなんだよ!何恋人みたいな事言ってんだ!?』
「あれ、芽留ちゃんの好きな人って」
そこまで言いかけたあびるに芽留がふるふると首を振った。
芽留の様子にあびるは言葉を言い切らずに止める。
419紫陽花:2008/06/20(金) 16:31:12 ID:1Zg+A3Zi

「そんなに照れなくてもさぁ」
『照れてねーよ!!』
しかしその顔は赤く染まり、動揺の色も隠せていない。
携帯を握り締めながら俯く芽留を見たあびるは少しばかりやり過ぎたと反省する。

「ごめんごめん、からかいすぎたね」
そう言って微笑うあびるを芽留がじっと睨む。
その表情から見るに、やはり気を悪くしたようだった。
意味もなく携帯を手の中で遊ばせて、ばつの悪そうな表情を見せている。
そんな芽留に申し訳ないと思ったあびるが再び口を開いた。

「でもね、いい意味でも花言葉もあるんだよ?」
芽留の手の中の携帯がぴたりと止まる。
ゆっくりと顔を上げてあびるの顔を見た。
目を合せた芽留ににっこりと微笑むと、その答えを明かし始める。

「『ひたむきな愛情』とか『辛抱強い愛情』とかね」
あびるの言葉に芽留はきょとんとした表情を浮かべる。
「そういう風に取ると健気な感じがするよね」
そう言ってあびるがふわりと芽留の頭を撫でた。

『…お前、また勘違いしてるんじゃないだろうな』
「え、何が?」
芽留の打った文面の意味がわからなくてあびるが首を傾げる。
じぃっと顔を見つめてくる芽留は何かを疑っているようだった。
しかし本当にあびるが何の意図もなく言った言葉だと判断した芽留はふいと視線を逸らした。

『ならいい』
そうとだけ打ってから、ぱらぱらと降る雨へと視線を向ける。
もう少ししたら本降りになりそうな雨達を静かにじっと見つめていた。


そんな芽留の横顔を見ながら、あびるは芽留の言葉の意味を考えていた。
もちろん芽留の指摘した意味での事を思って言ったのだ。
元々気持ちを口に出来ない割には案外わかりやすい性格だから
これだけ一緒に過ごせば大体の事はわかってくる。
ましてや自分から、なんて事は以ての外だろう。

気持ちが聞けるのはまだ先になるだろうね。
辛抱強く待つのもいいけど
もうそろそろ言ってくれてもいいんじゃないかな、
なんて事を思ったあびるだったが
口には出さずにまだもう少し心に仕舞っておくことにした。



―END―

420あとがき。:2008/06/20(金) 16:33:18 ID:1Zg+A3Zi
以上雨ネタでのあびる×芽留でした。
1度書いてみたかった花言葉に関するネタも織り交ぜてみました。
そして残るはやっぱり王道?のハルチリです。これも近いうちに投下しようかと…
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
421名無しさん@秘密の花園:2008/06/20(金) 18:19:52 ID:bayIxKoK
エロパロ板のほうはハルチリとか百合系の作品あるの?
保管庫の量があまりに莫大でチェックし切れん。
422名無しさん@秘密の花園:2008/06/20(金) 18:41:50 ID:eCBus4XF
カフチリは見たことがある
423名無しさん@秘密の花園:2008/06/20(金) 19:50:54 ID:cuK5xE0y
基本的にこのスレがあるから、百合は敬遠されているが
望×千里×晴美はホイホイある。大体は先生と晴美が攻めで千里が受け。
424名無しさん@秘密の花園:2008/06/20(金) 20:36:30 ID:iJ+oOZQn
短いです。やおいです。

「桃」(ハルチリ」
425:2008/06/20(金) 20:37:01 ID:iJ+oOZQn
いたって代わり映えのしないお昼休みのことだった。

「晴美」
晴美は呼ばれたことに気付き、視線をお弁当から千里へと向けた。
千里は眉をひそめて晴美を見ていた。
「なに?」
「頬にご飯粒ついてるわよ」
だらしがないと言っているような表情に晴美は恥ずかしさを覚えた。
早く取ろうと手を頬に持っていったとき
晴美は急に面白い遊びが思い浮かび、にゃまりと笑みを浮かべた。

「千里」
「なによ?」
「千里がさ、口で取ってくれない?」
千里は、はあ?といった表情の次に意味を理解し顔を赤らめた。
「な、何言ってるのよ!バカッ!」
「いいじゃない、キスなんていつもしてるんだからさ。
 ちょっとした遊びだよ」
当たり前のようにキスをねだる晴美に千里はため息をついたが
してあげてもいいという心も無きにしも非ずだった。

千里は恥ずかしそうに晴美を見た。
「い、一度だけよ・・・」
「はいはい、わかってますよ」
見事に思惑にはまってくれる千里は可愛いなあ、と笑顔の晴美は思った。

千里はスッと晴美の頬に近づいた。
ご飯粒をとる、という名目だったが傍から見ると
どう見てもキスをしているようにしか見えなかった。
いつもの唇の感触は、いつ感じても新鮮で甘美であった。
千里の赤い顔は恥ずかしさが入り混じった何とも可愛らしい表情だった。

「私は取ってほしいと言っただけで、キスしてとは言ってないよ」
「たまたま触れただけよ・・・」
「本当に?」
晴美は意地悪く笑いからかったが、千里はすねてしまった。
「な、何よ…私もう晴美のことなんか知らない!」
そう言ってぷいっと顔を背けた。
ごめんごめんと言いながら千里の頭を撫でたが千里は怒ったままだった。
426:2008/06/20(金) 20:37:24 ID:iJ+oOZQn
「千里、そんなにすねないでよ」
「すねてないわよ!晴美がいけないんじゃないの!」
「はいはい」
すると晴美は手で千里をグイとこちら側へ向けた。
「なによ」
「千里に機嫌を直してもらおうと思って」
千里は息つく暇もなく晴美からキスをされた。
「んっ…」
晴美の唇は柔らかく甘かった。

数秒間の短いキスだったが、千里の不機嫌が吹き飛ぶには十分だった。
「これでおあいこだね」
「・・・バカ」
お互い恥ずかしそうに笑った。
2人が今いる幸せを確かめ合うように。



「あびるちゃん、あびるちゃん」
「何?」
「あの2人、どうにかしないでいいの?」
奈美が指差す方にはデレデレし合っている晴美と千里がいた。
だがあびるはいつものようにクールだった。
「別に私が2人の間に首を突っ込む気はないわよ」
「本当にそう思ってる?」
「うん」
平静を装っているあびるだったが奈美は見ていた。
あびるの硬く握り締めた拳がわなわなと震えているのに…
427あとがき:2008/06/20(金) 20:39:59 ID:iJ+oOZQn
甘いというよりただののろけです。
以上。
428名無しさん@秘密の花園:2008/06/20(金) 23:33:39 ID:Eaj8hlnO
乙です
やっぱハルチリいいなぁ
この二人は本当にかわいい
429名無しさん@秘密の花園:2008/06/21(土) 00:08:09 ID:C3v7h4Wn
>>420
>>427
微糖と過糖とGJ
ハルチリ梅雨ネタが楽しみです
>>421
百合要素入り的なものならちょこちょこあるけど、純粋に百合ってのはあんまないね
ちょっと女同士で触れただけでも、百合スレ行けと過剰反応されてやりにくいから、あっちじゃ百合要素すら避けがち
でも、ttp://red.ribbon.to/~eroparo/sslibrary/z/zetubousensei134.htmlなんかは、こっちでもおかしくないかな
430名無しさん@秘密の花園:2008/06/21(土) 03:24:34 ID:8jSROLn+
マ太郎とその友人の少女の関係が気になるところ。
431注意:2008/06/21(土) 19:13:52 ID:/cK2D8TQ
暗い、というより黒い。電波、というよりヤンデレです。
苦手な方もいるかもしれませんが、よろしくお願いします。

やっぱり甘い方が受け入れられるのかな〜とか思いつつも
自分は暗い作品も結構好きなので書いてみました。

「可符香の日記」(可符香×カエレ)
432可符香の日記:2008/06/21(土) 19:16:06 ID:/cK2D8TQ

『今日はカエレちゃんと一緒にお弁当を食べた。
カエレちゃんが作ったサンドイッチを一つ貰った。
おいしいのは当たり前だった。

いつもと何ら変わらない日だったけど、
カエレちゃんと一緒なら毎日が楽しい。
ずっとこんな日が続いたらいいな。』


『今日、カエレちゃんが居眠りをしていた。
チャイムの音にも気付かずにすやすやと眠っていた。
その寝顔を携帯で写真を撮った。
カエレちゃんの寝顔は可愛くて、ほっぺに軽くキスをした。
多分気付かれなかったと思う。

これでカエレちゃんの写真は380枚。
もっともっとカエレちゃんの写真が欲しいな。』


『今日、カエレちゃんに怒られた。
人前でベタベタするなって。
けど学校くらいでしか一緒にいる機会が少ないから
しょうがないのに。

けど私は怒るときのカエレちゃんも好きだ。
後で言い過ぎたと思って、私に優しくしてくれるからだ。
そんな所も全部大好きだよ、カエレちゃん。』


『カエレちゃんが風邪をひいたのでお見舞いに行った。
いつもはカッコいいカエレちゃんも今日は弱弱しかった。
そんな姿がとても可愛かった。

あと汗をかいててパジャマを脱がすのを手伝った。
その時胸が触れてしまった。
柔らかかった。今日は眠れそうにない。』


『今日はお休みでカエレちゃんとお買い物に行った。
久しぶりだったのでとても楽しかった。
カエレちゃんが似合うと言ってくれたワンピースは大切にしようと思った。

帰り際、カエレちゃんは私のほっぺにキスをしてくれた。
思い出すだけで胸がドキドキする。
カエレちゃん、大好き。』
433可符香の日記:2008/06/21(土) 19:16:39 ID:/cK2D8TQ

『今日、カエレちゃんが私の知らない子と話をしていた。
楽しそうで、少し腹が立った。
相手にあの素敵な笑顔を向けていると思うといらいらした。
カエレちゃんは私の恋人なのに、知らない人にそんな顔をしてほしくない
私だけをずっと見てほしいのに。』


『今日、カエレちゃんの靴箱に男子からの手紙が入っていた。
中身を読んだらラブレターだった。
カエレちゃんが読まなくてよかった。

私は手紙を出した男子のところへ行き、手紙を突っ返した。
そして二度としないようにと念を押した。
もうこれで四度目。
本当に迷惑な話だ。』


『カエレちゃんが告白されている所を見てしまった。
この前、手紙を出した奴だ。
図々しくも直接思いを伝えにきたのだ。

けどカエレちゃんはすぐに断らず、返事を待って欲しいといった。
意味がわからない、理解できない。
どうして?
私がいるのに何故すぐに断ってくれなかったの、カエレちゃん。

無性に腹が立つ。
相手が憎い、殺したい。』


『今日、相手を殺してやろうと思い
帰り道に鉄パイプで殴り殺してやろうと思った。
けどすれすれのところで避けられて。
あいつは情けない声を出して逃げした。
これでカエレちゃんに近寄らないだろう。いい様だ。

けどカエレちゃんにその現場を見られてしまった。
カエレちゃんは涙を流して、私をひっぱたいた。
理解が出来なかった。
カエレちゃんに近づく害虫を退治してやろうと思っただけなのに。

もう二度と近寄らないで、って言われた。
頭が変になりそうだった。
カエレちゃんと一緒にいられない生活など
私には考えられない。

またいつもみたいに私に優しくしてくれるんだよね、カエレちゃん?』
434可符香の日記:2008/06/21(土) 19:17:20 ID:/cK2D8TQ

『挨拶をしても目を合わせてくれず、話しかけても無視された。
お昼ごはんも一緒に食べてくれなかった。
こんなに楽しくない一日は初めてだった。

カエレちゃんの為を思ってしたことなのに。
どうして?どうして?
私を愛してくれてないの?』


『今日も昨日と変わらなかった。
いつもと様子が違う私達にみんな気を使ってくれた。
私は笑顔で返したが、心では泣いていた。
寂しい。』


『話をしてほしい。笑ってほしい。
怒られたい。呆れられたい。
優しくしてほしい。愛おしく思われたい。
触れてほしい。キスをしてほしい。』


『カエレちゃん。カエレちゃん。カエレちゃん。カエレちゃん。
カエレちゃん。カエレちゃん。カエレちゃん。カエレちゃん。
カエレちゃん。カエレちゃん。カエレちゃん。カエレちゃん。
カエレちゃん。カエレちゃん。カエレちゃん。カエレちゃん。
カエレちゃん。カエレちゃん。カエレちゃん。カエレちゃん。
カエレちゃん。カエレちゃん。カエレちゃ…………………………』
435可符香の日記:2008/06/21(土) 19:18:05 ID:/cK2D8TQ
『悩んでいるなんて私らしくなかった。
長い間悩んだけどようやく答えが見つかった。

多分私の愛がちゃんとカエレちゃんに伝わってなかったんだと思う。
もともとキスくらいしかしていなかったのがいけなかった。
もっともっと私を知ってもらえば、カエレちゃんはもっと私を好きなる。
今日から準備をしよう。
楽しみだ。』


『縛るロープを買ってきた。
これで身動きを取れなくなる。

作戦のための必要な睡眠薬を通販で頼んだ。
今は便利な世の中だなあと、思った。

今日もカエレちゃんとお話はしなかった。
今は寂しいけど、もう少し待っててね、カエレちゃん。』


『今日、カエレちゃんと久しぶりにお話した。
私から話しかけたけど、最初は無視された。
けど私が泣く演技をしたら、カエレちゃんは驚いて話しかけてくれた。
思ったとおりだ。私に優しくしてくれるところは変わっていない。

私はきちんと話をして謝りたいといって、
明日の休みに家に来てくれるようにお願いした。
カエレちゃんは渋々だけど承知してくれた。

今日、睡眠薬が届いた。明日だ。
これでカエレちゃんは私のもの。』
436可符香の日記:2008/06/21(土) 19:18:38 ID:/cK2D8TQ
「な….なによ….これ….」
カエレの手から日記が落ちた。そして恐怖に襲われた。


カエレは可符香の部屋でしばらくの間、待たされた。
謝りたいといきたのに来たのに、部屋で待てとはおかしな話だとは思ったものに、
おとなしく待つことにした。

ここ最近の可符香は見ているだけでつらかった。
友達の前では笑顔だったが、誰もいないところでは悲しそうにうなだれていたのだ。
カエレはその表情に心苦しいものを感じていた。
前の事件で二人の仲は疎遠になっていたものの
やはり心のどこかでは可符香は忘れられなかった。

今日、きちんと謝って事情を話すのならカエレはきちんとよりを戻そうと考えていた。
同性同士、ということで自分の恋愛感情に疑問を持ってしまい
男性に心を許そうかと思ったこともあった。
それが許せなく、行き過ぎていたとはいえあんな行動を取ってしまった可符香も
理解できないわけではなかった。
一時的な感情に流されてしまい、あんなことを言ってしまったことカエレも負い目をずっと感じていたのだ。

可符香の部屋で五分、十分と時間が流れた。
一向に可符香は来ないので呼び出しつけてたやろうともカエレは思ったが、どこか気が引けた。
退屈だなあと思い、部屋を見渡すと机に上にぽつんと日記が置かれていた。
本来ならば見てはいけないとわかりつつも、少しだけ興味がわいてしまい中身を少し読んでしまった。
437可符香の日記:2008/06/21(土) 19:19:26 ID:/cK2D8TQ
初めの方の内容はカエレを思う心や告白したときの緊張と喜びなどが
赤裸々に知らされていった。
カエレはその内容に少し気恥ずかしくも思った。
だがページを捲るにつれて内容がおかしくなった。

異常とも思えるカエレへの執着。
カエレに近づくものへの嫉妬、敵対心、そして攻撃。
その内容にカエレは背筋が凍るような感覚に陥った。


早く逃げなければ、と体をドアの方へ向けるとそこには可符香が立っていた。
満面の笑みが今のカエレにとっては恐ろしくしか感じられなかった。
「あ〜あ、見ちゃったんですか」
嬉しそうな声が更に恐怖心を煽った。
「駄目ですよ、人の日記を勝手に読んじゃあ」
そう言って、可符香は一歩一歩歩み寄ってきた。

カエレは一歩ずつ後ずさりしてしまった。
「なっ…な…なんなのよ…..このっ…日記は….」
声が上ずってしまい上手く話すことが出来なかった。
「私のカエレちゃんへの愛を綴った日記ですよ。気に入ってもらえました?」
表情も声も明るかった。だから尚怖いのだ。

いよいよカエレは壁の方に追い詰められてしまった。
「なに…を…するつも…りなのよ!」
「もう察しはついてるんじゃないんですか?」
いよいよ可符香もカエレの真正面まで近づいた。
可符香はそっとカエレの頬に手を伸ばした。
「私がいけなかったんです。カエレちゃんへの愛が足りなかったから。
けど、もう大丈夫ですよ。今度は二度と離しませんからね」
438可符香の日記:2008/06/21(土) 19:20:21 ID:/cK2D8TQ
カエレは床にへたり込んだしまった。
ただただ可符香が恐ろしく感じてしまい、腰が抜けてしまったからだ。
「お…お願い….やめて…..」
「そんなにおびえないでくださいよ」
カエレの目には涙を浮かばせ、体を震わしていた。
「大丈夫ですよ。優しくしてあげますから」
「い....いやぁ….」
カエレは最後の抵抗をしようと逃げ出そうとした。
だが手を持たれてしまい、それっきり恐怖で動けなくなった。

「ふふふ….」
可符香の笑い声が部屋に響いた。
本当に嬉しそうなその声。
これから怒ることをさも楽しみにしているかのように。



「カエレちゃん、大好きですよ」



可符香はポケットからハンカチを取り出してカエレの口元に当てた。
そのハンカチには睡眠薬を染み込ませていて、すぐさまカエレの眠気に襲われた。
眠ってしまっては、とカエレは耐えようとしたものの薬の効力には適わなかった。
カエレの意識がなくなる寸前、どうして二人の歯車が狂ってしまったのであろうと考えた。







『これでカエレちゃんは私のもの。ずっと、ずっと一緒だよ』


439あとがき:2008/06/21(土) 19:23:14 ID:/cK2D8TQ
『』は可符香の日記内容、ということを書くのを忘れていました。
しかし可符香の性格がえらいことになってます。
これでキャラ崩壊といわれても何にも言えませんね。

しかし可符香っていうキャラはいろんな方面で使えるな、と思いました。
もっともっと面白くなるかも。
まあその度にカエレには被害を受けてしまうかもしれませんが
そのときはそのときで(笑)
440名無しさん@秘密の花園:2008/06/21(土) 21:44:42 ID:KTCcfBdw
可・符・香!可・符・・・香!?
441名無しさん@秘密の花園:2008/06/21(土) 22:11:39 ID:tA9awdk6
可符香は白くても黒くてもイケるな
GJ!


このスレでは
可符香×カエレ
ハル×チリ
あび×める
真夜×愛
はガチみたいだな

倫や大草さんにもパートナーをっ!!!
442名無しさん@秘密の花園:2008/06/21(土) 22:15:07 ID:KTCcfBdw
可符香はあびるとかカエレとか、ちょっと喋らないくらいの相手が似合うな。
藤吉さんとは相性が悪そう。
443名無しさん@秘密の花園:2008/06/22(日) 00:52:40 ID:KFijFyPt
可符香×奈美の話がもっと見たいなぁ
(可符香×奈美)屋上で叫んだがばっかりに とか、すごくいいし続きが読みたい・・・
444名無しさん@秘密の花園:2008/06/22(日) 17:42:16 ID:VmidmBJO
奈美はいいよね
振り回されてる奈美が見たいな
445名無しさん@秘密の花園:2008/06/22(日) 19:18:53 ID:/W8utecZ
奈美受けの流れに便乗させてもらいます。
あまり見かけないあびる×奈美ですが…。
よければどうぞ。
446Psychology war:2008/06/22(日) 19:21:53 ID:/W8utecZ

「奈美ちゃん綺麗になったよね」

目の前にいたあびるがが急にそんなことを言うものだから
奈美の動きがぴたりと止まった。
表情ひとつ変えずにしれっと言ってのけるその意図はなんなのだろうか。

「…どうしたの?」
怪訝そうな表情で奈美があびるを見ると、ああと言って言葉を訂正した。

「奈美ちゃんって、好きな人出来た?」
意味そのものは簡単なのだけど
意図としては更に難解な質問へと変わったので
奈美はますます怪訝そうな表情を向けた。

「いや、なんか最近可愛いなぁって」
そう言ってじいと奈美の顔を見つめた。
「そんなにじっと見つめられたら照れるよ…」
恥ずかしそうに俯く奈美を見てあびるが微笑む。

「うん、ごめん」
でも可愛いから目が離せないんだよね。
その言葉に奈美はばっと顔を上げた。
何て事を言うんだという表情であびるを見る。

「そりゃ、可愛いって言ってくれるのは嬉しいけどさ…」
可愛いと言われて嫌な気分になる人はいないだろうけど
いきなり不意打ちみたいに言われるのはちょっと…ね。
…しかも同性だし。

「最近綺麗になったから恋でもしたのかと思ったんだけど」
そう言ってあびるが机に肘を突いて目を細めた。
「うーん、特にないなぁ…」
好きな人どころか気になる人もいない。
特にこのクラスは個性派ばっかりだから。
447Psychology war:2008/06/22(日) 19:27:18 ID:/W8utecZ

「確かにこのクラスじゃねぇ」
奈美の言葉にあびるが深く頷く。
その言葉に奈美が苦笑いすると逆にあびるはにっと微笑んだ。
そのままそっと手を伸ばして奈美の頬に触れる。

「あびるちゃ、ん…?」
触れた指先がすっと頬の上をなぞり
奈美がくすぐったそうに身を竦めた。
その様子を見てあびるが嬉しそうに微笑む。

「じゃあ、あたしと恋愛してみる?」
あびるの言葉に奈美はきょとんとあびるを見つめた。
そしてぱちぱちと2度3度瞬きをすると表情がみるみるうちに変わっていく。

「えっ!?い、いやそれは…」
予想もしなかった言葉に、奈美が慌てふためいた。
「奈美ちゃん、あたしのこと嫌い?」
追い打ちをかけるようなあびるの言葉に
奈美の頭はぐるぐるとかき回される。

「え、えっと、嫌いじゃないけど、でもそれとこれとは…!」
頬を染めて泣きそうな表情で奈美がおろおろとうろたえる。
「あたしと付き合ったら普通じゃない恋愛だよ?」
にやにやと笑うあびるに、奈美が泣きついた。

「もー、そんなこと言わないでよぉ」
「ごめんごめん」
反応が可愛くてついついエスカレートしてしまったやりとりを謝る。
まだ少し赤い顔をしている奈美はやはり機嫌を損ねているようだった。


…まぁあんなこと言われたら、困るのも無理はないか。
しかしあびるは確信犯で奈美をからかっていた部分があったので
その部分は反省すべきだと感じた。
448Psychology war:2008/06/22(日) 19:31:21 ID:/W8utecZ

「ね、帰りにアイス奢るから」
ほら、この間新作出たって言ってたでしょ?
その言葉に奈美がぴっと背筋を伸ばす。
そしてあびるの顔をじっと見つめて様子を伺った。

「ほんとに?いいの?」
「うん、いいよ」
あびるの言葉に機嫌を直した奈美は嬉しそうに笑う。
奈美ちゃんって単純だね、と言いかけた言葉を飲み込んだ。
また機嫌を損ねると思ったからだ。

そんなことは露知らず、上機嫌な奈美の後ろ姿を見ながら
あびるがその背後にそっと近付く。
肩に手を置いてそっと引き寄せると耳元で囁いた。

「…これってデートかもね」
その言葉に奈美がばっと振り返った。
また困ったような、慌てたような表情が見える。
むー、っと唸ると、あびるを睨んだ。

「冗談だよ」
そう言って奈美に微笑みかけると
奈美は恥ずかしそうに俯いた。

「あびるちゃんが言うと冗談に聞こえないよ…」
うん、だってほんのちょっと本気だもん。
と、いう言葉は飲み込んであびるが誤魔化すみたいに微笑う。

「あたしだって冗談くらいは言うよ」
心外だね、と言うと奈美が困ったような表情を見せた。
「まぁ、そりゃわかってるけどー…」
からかわれっぱなしの奈美はごにょごにょと言葉を濁す。

「ほら、機嫌直して、直して」
まだ納得の行かない表情を浮かべる奈美を促して、教室を出た。


嘘なのか、本気なのかわからない。
帰り道でもこっそり繰り広げられる
内緒の心と、まさかの心の心理戦。


さぁさぁ、あなたはいつ気付くかしら?




―END―
449あとがき。:2008/06/22(日) 19:32:32 ID:/W8utecZ
以上です。
原作でもそれなりに絡みがある割に
SSはあまり見かけないのでついつい書いてしまいました。
奈美受けいいですよね、個人的にも最近ブームだったりします。
また違うキャラとの話も書けたらいいなと思ってます。
450名無しさん@秘密の花園:2008/06/22(日) 21:34:33 ID:2WU7DloD
ああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああ
 
私、あび奈美大好き人間なんで、興奮して、鼻血出ました。
超々GJです。ありがとうございました
感謝の気持ちがとまりません。

原作でも一緒にいることやツーショット多いですよね!!
この2人
攻めのあびると受けの奈美・・・・・・超お似合いだと思います。
451名無しさん@秘密の花園:2008/06/23(月) 00:12:02 ID:rMA5iMi6
奈美は誰とでもいけるな!普通だから
ある意味オールマイティ
452名無しさん@秘密の花園:2008/06/23(月) 18:41:08 ID:Sv/pGdaE
奈美ネタは未完が多くて残念
奈美に限ったことじゃないけど、書けた分だけ投下って避けた方がいい
全部書き終わってからの方が絶対楽だと思う
453名無しさん@秘密の花園:2008/06/23(月) 19:07:08 ID:igLiUNCc
>>452
禿同
確かにその方が読み手にとっても書き手にとってもいいかと思う。
ずっと楽しみにして結局完結しないとか淋しいしな…
454名無しさん@秘密の花園:2008/06/23(月) 19:18:46 ID:UrJRUBWt
SSの通過儀礼→楽しみにしていたのに完結しない
455名無しさん@秘密の花園:2008/06/25(水) 20:46:29 ID:83hjmcN6
投下いきます。
梅雨、雨ネタの締めはやっぱりこの人たちです。
晴美×千里で、相変わらずべたべた甘い話になりました。
よろしければどうぞ。
456雨音を聴きながら:2008/06/25(水) 20:52:02 ID:83hjmcN6
雨の日の過ごし方は大抵家で大人しくする事だ。
だってわざわざ雨の中出掛けたくは無い。
しかし晴美の家にだけは特別だった。

学校帰りでも、休日でも雨が降っても家に遊びにいく。
それは日課になっているからと言えばそれまでだが
雨の鬱陶しさよりも会いたい気持ちが上回るからだろう。

雨の日でなくてもどちらかの家で過ごす事が多くて
雨が降ればそれは確定になる。
今日も降り続く雨の為に家で静かに時間を過ごしていた。


「雨、止まないね」
ベッドの上で寝転びながら雑誌をめくる晴美をちらりと見てから
千里が窓へと視線を向ける。
ざぁざぁという音からも雨が止んでいない事は明確だった。
「梅雨時期だから仕方無いか」
そう言って晴美が雑誌を閉じる。

「梅雨時期は気分が滅入るわ」
その言葉に晴美がふいと千里を見た。
「雨ならいつも一緒にいれるのに?」
にっと笑った晴美に千里が呆れた顔をする。

「…雨じゃなくても毎日どっちかの家には来てるでしょう」
「千里が淋しがるからねー」
にやにやと笑う晴美に千里が視線を逸した。
457雨音を聴きながら:2008/06/25(水) 20:54:39 ID:83hjmcN6

「…それはあなただって一緒でしょう」
「千里が望むから応えちゃうの」
そう言って晴美がベッドから身体を起こすと、ぽんぽんとシーツを叩く。
その様子をいぶかしげな表情を浮かべながら見つめた。

「何?」
「こっちこっち」
言葉と共にシーツを叩く間隔が短くなる。
仕方無いわね、と溜め息を吐いて千里がベッドへと近付いた。

傍まで近付くと、満足そうな表情を浮かべた晴美が手を伸ばす。
特に抵抗もせずに、大人しくしていると伸びてきた腕が千里の手首を捕まえた。
優しく引き寄せられると、そのままベッドへと片膝を付くような姿勢になる。

「もっと近くに来て」
まだ開いている2人の距離にまだ不満らしい晴美が小さく囁いた。
晴美の言う通りに更に距離を詰める。
身体が触れるくらいまで近付くと、晴美が嬉しそうに笑った。
そのまま千里の背中に腕が回り、ぎゅうと抱きしめられる。
晴美の身体の熱が千里に伝わってきて、繋がったところが温かくなった。

「…眠いんでしょ」
「んー」
千里の質問を誤魔化すように晴美が顔をすり寄せる。
「また寝るつもりなのね」
溜め息混じりの千里の声に晴美がふるふると首を振った。

「んー、だい…じょぶだか、ら」
語尾がうにゃうにゃと濁される。
もう既に片足を夢の世界へ突っ込んでいるのは明確だった。
だんだんと晴美の身体が重くなってくる。
千里に寄り掛かるようにして、そのまま晴美がベッドへと身体を預けた。
458雨音を聴きながら:2008/06/25(水) 20:56:27 ID:83hjmcN6

「晴美、晴美ってば」
晴美に押し倒されるような形で組み伏せられた千里が
背中を叩きながら声を掛けるが晴美の身体は重さを増すだけだった。

「雨の、おと…聞いて、ると…ねむ、くなる…」
途切れ途切れの言葉が耳元で囁かれる。
かかる息がくすぐったくて、千里は思わず身をすくめた。

「…あのねぇ」
いい加減にしなさい、と言いかけたが声に出さずに喉の辺りで止める。
晴美と体温を共有した千里もまただんだんと睡魔に襲われていたのだ。

気付けば晴美の方はすっかり眠ってしまったようだ。
規則正しく上下するその背中を優しく撫でる。
掛かる圧力と温かさが心地よくて、どうも押し退ける気にはならない。
すっかり諦めた千里もまたゆっくりと目を閉じた。


雨の日は必ずこういう事になる。
本当はいろんな事話したりしたいのに。
もっと構って欲しいのに。
どうしてあなたはいつもいつも…


「早く、梅雨が明けないかしら…」
小さく呟いた千里の言葉は、雨の音にかき消された。



―END―

459あとがき。:2008/06/25(水) 20:58:27 ID:83hjmcN6

雨ネタの晴美×千里でした。
甘える藤吉さんが書きたかったので、こんな感じになりました。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
460名無しさん@秘密の花園:2008/06/26(木) 01:29:13 ID:MKHdYtSM
藤吉さんが赤ちゃんみたいで…かわいいぃぃ
なんか無防備過ぎる藤吉さんに千里が我慢できず…みたいなのを妄想してしまった
逆はかなりあるけど、こっちはないよね
461名無しさん@秘密の花園:2008/06/26(木) 12:56:39 ID:lJJp1Xje
百合スレだから仕方ないのかもしれないけど先生の出番少ないね
たまには先生が絡んだのも読んでみたいな 
あくまでも百合前提でだけど
462名無しさん@秘密の花園:2008/06/26(木) 14:16:42 ID:vKzNt/dj
今週号読んで真奈美ママ×晴美もアリかなと思った
463名無しさん@秘密の花園:2008/06/26(木) 14:19:52 ID:vKzNt/dj
↑漢字間違い
麻菜美でした
464名無しさん@秘密の花園:2008/06/26(木) 22:16:57 ID:j1qMwKtg
>>459
藤吉さんの可愛さと千里の悶々っぷりが良すぎます。
もう最高。


さあ、だらだらしてるうちに、えろブームがとっくの昔に終わってしまっていた…
でも投下しちゃいます。可符香×千里+晴美で。
465evocation:2008/06/26(木) 22:18:00 ID:j1qMwKtg
ぺたっ…ぺたっ…
鬱蒼とした森の中、千里はこんもりと盛られた土を手のひらで固めていた。
その土の下には、例によって例のごとく、千里のクラスの担任教師、糸色望が埋まっている。

「う……ぐすっ…なんでよ、先生のバカぁ……っすん…」
土を固めながら、今日の望のことを思い出し千里が涙を流した。
力なく丸まった背中、乱れた前髪、今の千里は普段の彼女とは程遠く、ひどく弱弱しい。
それは、千里がけして他人には見せようとしない姿……だが一人、そんな千里を知っている少女がいた。

「千里ちゃん」
突然の呼びかけに、ぴくっと反応した千里が手の甲で涙を拭い、顔を上げてみると、
千里からほんの少し離れた場所に、彼女と同じクラスの少女、風浦可符香が居た。
「何か用?」
なんでもない風に千里が答えると、可符香は何も言わず、てくてくと歩き、千里の前に屈んだ。
「大丈夫?」
「……別に何も」
「そうかな…千里ちゃん辛そうだよ?」
首をかしげて、可符香が千里の顔を覗き込んだ。
「いつものことよ、こんなの……先生が期待させるようなこと言うだけ言って……逃げちゃうのなんか…」
心を見透かすようなその瞳に、千里は少したじろいだが強がりをやめようとしない。
それでも、その言葉の端々からは気弱な千里が顔を見せていた。
466evocation:2008/06/26(木) 22:18:48 ID:j1qMwKtg
可符香が千里から視線を逸らし、その目を盛られた土へと向けて、ふっとため息を吐いた。
「でも、泣いてたよね……さっき」
千里の瞳にまた涙が浮かんできた。
その涙を見られまいとしたのか、はたまた弱りきった心がそうさせたのか、千里は膝を抱えて顔を隠した。
「……………………魅力……ないのかなぁ……やっぱり……」
重く沈んだ声で千里が呟くと、可符香の腕が千里を優しく包んだ。

「そんなことないよ。千里ちゃんはすっごく可愛い」
千里の耳元で、可符香が囁いた。
「……」
「ほんとだよ?」
ぎゅっと強く、可符香が千里の体を抱きしめる。

「ありがとう……」
ぐいと腕で涙を拭って顔を上げた千里が、はにかみながら笑顔を可符香に向ける。
すると、可符香もまた千里に微笑み返し、そっと千里のほほを撫でた。
「うん。やっぱり可愛い」
そして、その唇を千里の唇に重ね、ちゅうっと軽く吸い付いた。
467evocation:2008/06/26(木) 22:19:44 ID:j1qMwKtg
「ふぇ?」
唇はすぐに離されたが、千里が何かを言う間もなく、再び重ね合わされた。
そうして、何度も角度を変えて小鳥がついばむようなキスを可符香が続ける。

(あ…………きもち……いい……)
憔悴しきった心に触れる可符香の体温は、今の千里にはとても心地の良いものだった。
この状況に理解も納得も出来ない。
それでも千里は、その心地よさに身を任せてしまった。
それを感じ取ったのか、可符香が舌を千里の口内へと侵入させた。
口内をくすぐる可符香に抵抗の色など見せず、むしろ千里は可符香の舌にその舌を絡ませた。
ちゅくちゅくと音を立てて、唾液を絡ませあっているうちに、しゃがんだままの姿勢が辛くなったのか、
千里が土の上に尻餅をついてしまう。
可符香はそんな千里を押し倒すと、千里の頬を両手で挟んで、さらに激しく千里の舌に吸い付いた。

「はぁ…はぁ…あ……」
可符香が千里から唇を離し、上体を起こすと、二人の交じり合った唾液がつうっと糸を引いた。
その光景をうっとりとした顔で見ていた千里の唇を、可符香がちょん、と指でつつく。
「千里ちゃん、キス弱いね」
「はぅ……」
上気した顔で、恥ずかしそうに可符香から視線を外す千里に、可符香がくすくすと笑った。

「制服汚しちゃってごめんね……でも良かった、千里ちゃんも気持ちよかったみたいで」
千里に顔を近づけると同時に、可符香が千里のブラウスに手を入れて、肌に触れた。
「ひゃっ!?」
「もっとしてあげるね。千里ちゃん」
ぺろっと、千里の唇をなめながら、可符香はその手を千里の胸へと近づけていった。

468evocation:2008/06/26(木) 22:20:43 ID:j1qMwKtg
晴美が、ふと手元の本から目を離して辺りを見回した。
漫画を読んでいる間にHRは終わっていたらしく、既に教室に残っている生徒は半分程になっていた。
本を鞄にしまって帰り支度を終え、晴美は千里の机に顔を向ける。
そこには千里と、もう一人、千里と話をしている可符香の姿があった。

(なんか最近……仲良い?)
几帳面で神経質な千里、奔放な可符香、どちらかというと二人の相性は悪いだろうと晴美は思っていた。
実際、千里が可符香に振り回されて、イライラしているのは何度も見ている。
(ま、それくらい違うほうがうまくいくのかもね。私もきっちりなんてしてないし)
ほんの少し、大事なものを盗られたような気持ちにもなったが、そう気にすることもなく晴美が二人に近づく。

「ちりー、帰ろー」
「お、晴美ちゃん。それじゃ千里ちゃん、晴美ちゃん、またね」
手を振って二人から離れていく可符香に、晴美もまた手を振り返す。

「帰ろ」
「……ごめんね。今日、部活あるのよ。だから、一人で帰って」
「あー、そうなんだ…ちょっと付き合ってほしいところあったんだけどなぁ……仕方ないか」
じゃあ先帰るね、と晴美は千里と別れの挨拶を済ませ、教室を後にした。


学校を出て、駅までの道を一人で歩いていた晴美だったが、その途中で晴美はある女生徒を見かけた。
(あれ……あの子?)
彼女も千里と同様に茶道部であったはずだ。
ただ単に行かなかっただけ…それは十分ありえることだ。
しかし、なぜだかそれだけのことがひどく気にかかる。嫌な予感がする。
その胸のもやもやを取り払おうと、晴美は踵を返し、学校へと戻っていった。

469evocation:2008/06/26(木) 22:22:15 ID:j1qMwKtg
茶道部の部室。
畳の上には、二組の制服と下着が脱ぎ散らかされていて、そのすぐ横で千里と可符香が肌を寄せ合っていた。
畳に寝転んだ千里の上にいつかのように覆いかぶさった可符香が、千里の肌に幾度もキスの雨を降らす。
同時に左手は千里の足の付け根へと伸ばされていて、千里の秘部を優しく愛撫していた。

「あ……んんっ…………可符香ちゃぁん……」
「気持ち良い?」
「うんっ……う……ん」
千里の返答に満足そうに微笑むと、可符香は千里の中を指で掻き回しながら乳首に吸い付いた。
「はあっっ……やあ……ん」
「今日もいっぱいしてあげるね」
そう言うと、可符香が千里の愛液でべとべとになった指を千里の口元へと近づける。
すると千里は、口を開けて可符香の指を咥え、ちゅうちゅうとそれに吸い付いた。
二人はうっとりと目を細め、その行為に溺れていた。
その瞬間、ガラっと音を立てて扉が開かれる。
扉の向こうから姿を現した晴美は、放心したようにぼんやりとした様子で千里と可符香を見ていた。
そんな晴美を見た千里は、目を見開き絶句していた。
千里は、確かに鍵を閉めたはずだ。
それなのに目の前に晴美が立っている。鍵をこじ開けたような様子もない。

「な……にを」
沈黙を破ったのは晴美だった。
千里と可符香を怒りの篭った瞳できつく睨み付ける。
「何……してんのよ……」
見たことのない晴美の顔に、千里が恐怖を覚えて縮こまった。
しかし、可符香の方は普段となんら変わることのない、いつも通りの笑顔を崩さない。
470evocation:2008/06/26(木) 22:23:46 ID:j1qMwKtg
「千里ちゃんね、寂しいんだって」
口を開いた可符香に、晴美がぴくりと反応した。
「だからね、こうやって……慰めてあげてたの」
「やぁっ!?だめ……晴美……が…」
ぺろっと千里の首筋を舐めながら、可符香が晴美に見えるように、千里の中をくちゅくちゅと掻き回した。
その光景を見せつけられた晴美は、下唇を噛み、ぐっと握った拳をわなわなと震わせている。

「何よそれ……千里は慰めてくれるなら、別に女の子でも良かったってわけ?」
後ろ手で扉を閉めて鍵を掛け、ふらふらとした足取りで晴美が千里に近づいていく。
そんな晴美に道を譲るように、可符香は千里の上から退き、千里の横に座った。
「やめ…て、ごめん……ごめんなさい」
尋常でない晴美の様子に怯え、訳もわからず千里は晴美に謝った。
しかし晴美は止まることはなく、千里に馬乗りになってその顔を見下ろす。
「じゃあさ……じゃあなんで……私じゃなくて可符香ちゃんなのよ」
がしと両手で千里の頭をつかみ、晴美が千里に乱暴にキスをした。
「っんぅぅ〜!?」
「っはぁ……そんなの、私でもねぇ……」
晴美は唇を離すと、呆けたような千里を見下ろして右手を伸ばし、ぎゅっと千里の胸を掴んだ。
「いたっ!」
「っえ?ご、ごめん……」
頭に血が昇って、力が入りすぎてしまったのか、晴美に胸をもまれた千里が悲鳴を上げた。
その声に驚き、晴美は千里から手を離す。

けして、千里を傷つけようと思っていたわけではないのだ。
可符香のしていることくらい自分でも出来る、という証明がしたかった。
可符香のときはあれほど気持ちよさそうにしていたのに……と晴美は千里の反応に悲しくなる。
そんな晴美の手を可符香が掴んで、珍しく不満げな顔を向ける。
「駄目だよ、晴美ちゃん」
「…………ごめん……出てくね……ごめん……」
涙がこぼれそうになるのを堪えて、晴美が小さな小さな声で言った。
だが、可符香はそんな晴美にふるふると首を振る。
471evocation:2008/06/26(木) 22:24:43 ID:j1qMwKtg
「そうじゃないよ、晴美ちゃん」
可符香が、掴んだ晴美の手を千里の胸へと導き、触れさせた。
「……え?」
「そうじゃなくてね…千里ちゃんは、おっぱいすごく敏感だから、もっと優しくしてあげて」
可符香は晴美の手の上にその手を重ねると、ゆっくり指を曲げて晴美に千里の胸を揉むように促した。
「やっ……ん」
その刺激に千里が甘い吐息を漏らすと、晴美の顔がかぁっと赤くなった。

「ほら、気持ち良いって。千里ちゃんはおっぱい敏感な分、ちゃんと触ってあげるとすっごく喜ぶんだよ」
こっちもね、と晴美の左手をもう一つの千里の胸に導く可符香。
晴美は、ごくっと口内に溜まった唾を飲み込むと、可符香に言われたとおり優しく千里の胸を刺激する。
「あんっ……だめ……はる……みぃ…」
(千里が……感じてくれてる……)
胸への愛撫に没頭していく二人。
そんな二人の間に可符香が手を伸ばして、千里の胸のピンクの突起を二本の指できゅっと摘んだ。
「あっ!はぁぁ……」
「晴美ちゃん。ここも可愛がってあげて、優しく…ね」
ぺろっと可符香が舌を出すと、その意図を理解した晴美が千里の胸に顔を近づけた。
晴美が千里の顔を見ると、一瞬目が合ったがすぐに千里は恥ずかしさから目を閉じてしまう。
(千里、かわいい……)
可符香の指に摘まれた乳首にぺろぺろと舌を這わすと、千里が甘い声を漏らした。
「千里ちゃん可愛いなぁ……じゃあ、私はこっちだ」
と、可符香が晴美とは反対側の胸に回り、千里のもう片方の乳首を口に含んでコロコロと転がした。
472evocation:2008/06/26(木) 22:25:48 ID:j1qMwKtg
「はあっ…はあっ……んぅ……ちゅ」
二人がかりで胸を攻められ続けた千里は、畳に沈みこむようにぐったりと脱力する。
可符香は、そんな千里の乳首を指の腹でぐりぐりと押しこみながら、舌に吸い付き千里の唾液をすすっている。
対して晴美は、千里の胸からは離れて足の間へと移っていた。

「すごい……びちゃびちゃだ……」
畳に大きなシミを作るほどに蜜を溢れさせる千里の秘部に、晴美は吸い寄せられるように指を伸ばしていく。
割れ目に触れさせた指を、つぷと千里の中に侵入させると千里が小さな声で鳴いた。
「あったかい……」
「あ、だめ!や……ぁ……ん」
晴美が千里の中を掻き回すたびに千里が熱く艶のある声を上げる。
静かな部室内に響く、千里の声と、くちゅくちゅという水音が晴美の思考力を奪い、狂わせていく。
「ちり……」
「ん……あぁぁ………」
指で千里のクレバスを左右に開き、舌で千里の中を晴美が舐め回し、吸い付いた。
堪えようもない快感に千里は身をぶるぶると震わせて、目尻に涙を浮かべる。
小刻みに震える千里の頬を撫で、可符香は千里の目尻にちゅっとキスをして、涙を拭った。

「なんだか嫉妬しちゃうなあ…千里ちゃん、私としてるときより気持ち良さそう」
千里は答える余裕もないのか、ただただ晴美から与えられる快感に身を悶えさせていた。
また、晴美は可符香のその言葉が嬉しくて、千里の秘部への愛撫をさらに激しくしていく。
同時に晴美自身もまた我慢できなくなってきたようで、右手を自身の下着の中へと潜り込ませた。
だが、その手を可符香が掴み、制止する。
「だめだよ、そんなもったいないことしちゃ。それは、私がしてあげる」
そう言うと可符香は、晴美が何かを言う間も与えずに、さっと晴美のスカートを外し、下着を脱がせた。
473evocation:2008/06/26(木) 22:27:04 ID:j1qMwKtg
「晴美ちゃんも濡れてるね」
「あっ……」
可符香が晴美の入り口を、すりすりと指を前後に動かしてなぞった。
それは快感というよりくすぐったいと言ったほうが近い感覚だった。
だが、その後に続くであろう行為を思い、晴美の興奮はどんどん高まっていく。
「えいっ」
「ひゃぁ……ん」
しばらくそうしていた可符香だったが、晴美が我慢できなくなるタイミングを見計らい、指をその中へ入れた。
じゅぷじゅぷと音を立て、晴美の中で可符香の指が前後に動く。
晴美は、初めて他人に秘部を触れられる感覚に、はじめは戸惑ったがすぐにそれは快感に変わっていった。

「あふ……は……ちゅ……ん」
まるで可符香から与えられる快感を千里に伝えるように、晴美は千里の敏感な部分を指と舌で刺激する。
可符香に触れられて特に気持ちの良かった部分を、千里に試してみると千里は面白いように反応した。
それは、可符香のほうが千里のことをよく理解しているような気がして少し悔しくもあった。
だが、それ以上に千里が感じてくれていることが嬉しく、晴美はその行為に溺れていく。

「あっ……んぅっ!」
一際大きく千里の体が跳ね、背筋をピンと伸ばしたかと思うと、目に見えてぐったりと脱力する。
「千里…………イっちゃった?」
絶頂を迎えた千里の内ももに、晴美がちゅっちゅっとキスをする。
そうしていると、可符香が晴美の中に入れた指を抜いた。
「…可符香ちゃん、私……まだ……」
後ろを振り返り、晴美が不満を漏らしたが、可符香はそれに笑顔で答えた。
「晴美ちゃんも千里ちゃんにして欲しいでしょ?」
「え……それは……うん」
「だよね……じゃあ」
可符香が晴美を後ろから抱いて自分の前に座らせて、千里に向けて足を開かせた。
「ほら、千里ちゃん。晴美ちゃんにしてあげて……いつも私にしてくれるみたいに、ね」
千里はこくりと頷き、ふらふらと晴美の前に来ると、挨拶をするように晴美にちゅっとキスをした。
474名無しさん@秘密の花園:2008/06/26(木) 22:44:34 ID:+jZ76lOD
エロきたー
支援
475evocation:2008/06/26(木) 23:04:47 ID:j1qMwKtg
「はっ……ん……千里が…私…の……んっっ」
「そうだね。気持ちいい?」
「うんっ!あ、千里……あんっ…」
「熱いでしょ、上も脱ごっか?」
千里に秘部を舐められ、全身がとろけてしまいそうな快感の中で、可符香に服を脱がされる。
ブラを外して露になった晴美の胸は、三人の中で最も大きく、晴美の動きにあわせてぷるぷると揺れていた。

「おおー……おっきいね、晴美ちゃんの」
可符香がふにゅふにゅと晴美の胸を揉みながら、晴美の首にキスをした。
晴美の胸からじんじんと心地良い痺れが広がり、体が熱く火照っていく。
指一本動かすことすら億劫になってきた晴美は、その身を完全に千里と可符香に委ねてしまった。
脱力しきった晴美は、肩で息をしながら、時折二人から受ける刺激にびくっと反応していた。
「はぁ…………はぁ…………」
「ふふ。晴美ちゃん良い顔してる……千里ちゃん」
と、可符香が千里に呼びかけると、千里が口を晴美の陰核へと移して吸い付いた。
「っっひゃぁぁぁ!」
強烈な快感が晴美の全身に電流となって走る。
千里はさらに、晴美の中を指でくちゅくちゅと掻き回しながら、舌で陰核を攻める。
「だめっ……っああ……」
絶頂を迎えた晴美が、可符香に抱かれながらぶるぶると体を震わせながら、大粒の涙をこぼす。
晴美の奥から溢れるほどにこぼれ出る生暖かい蜜を、千里は愛しげに舐めとっていった。

476evocation:2008/06/26(木) 23:09:07 ID:j1qMwKtg
「ふぅ……ふ……ん」
畳の上にぺたりと座った千里は、その隣に座った晴美と抱き合い舌を絡ませあう。
晴美とは反対側の位置に居る可符香は、そんな二人を見ながら千里の胸と秘部に手を伸ばしていた。
「っん……」
何度目かの絶頂を迎えた千里は急に体に力が入らなくなり、かくっと崩れるように晴美にもたれかかった。
そのまま、ずりずりと下がっていき、畳の上に寝転がると千里のまぶたはゆっくりと下がっていった。

「千里ちゃん限界かな。ちょっと、やりすぎちゃったかも」
そう言うと、可符香は指についた愛液を舐めとり、千里の上に彼女たちが脱ぎ捨てたブラウスをそっと掛けた。
(私……千里としちゃったんだ)
千里の顔を見ながら、晴美は先ほどまでの熱い行為を思い出す。
あまりに突然で、どこか現実味を感じられないが確かに事実なのだ。

「晴美ちゃん」
ぼーっとしていた晴美に、可符香が声をかけた。
「……なに?」
「えへへ。私、晴美ちゃんとも仲良くしたいなあ…って」
「やっぱりそう来るんだ……」
「嫌?」
首を傾げて尋ねる可符香を前にして、晴美がぽりぽりと頭を掻いた。
「まあここまでやっといて……今さらだよね」
そう言うと、晴美は可符香を抱き寄せてキスをした。
477evocation:2008/06/26(木) 23:12:15 ID:j1qMwKtg
「……ねぇ、可符香ちゃん?」
「ん……どうしたの?」
可符香に上に覆いかぶさった晴美が、可符香の胸から口を離して尋ねる。
「よかったの?」
「何が?」
「だから、千里のこと好きなんじゃないの?なんであんな……」

今になって思い返してみれば、可符香の行動は、晴美と千里を引っ付けようとしていたようにも取れる。
その行動の意図が晴美には理解できなかった。
愛しているなら、あんなに簡単に千里を明け渡すこともないだろうし。
ましてや、二人のキューピッドというには彼女自身も楽しみすぎだろう。
それでいて、千里に対する好意は本物であるように思えた。

「うん。大好きだよ、だって千里ちゃん可愛いから。晴美ちゃんならわかるでしょ?」
「まあ…ね」
「それでね……千里ちゃんが一番可愛いのっていつだと思う?」
「一番……?」
「それはね……晴美ちゃんと居るとき」
ぴっと伸ばした指を晴美の唇に触れさせながら言う可符香。
あまりに予想外な返答に晴美は絶句してしまう。
「それと、晴美ちゃんもね。千里ちゃんと一緒に居るときが一番可愛い」
「…………可符香ちゃん、贅沢……」
くすくすと楽しそうに可符香が笑う。
そんな可符香を見て晴美は一つため息をついた後、呆れたような困ったような笑顔を返した。

478evocation:2008/06/26(木) 23:13:45 ID:j1qMwKtg
「…う……ん」
「あ、起きたよ」
目を覚ました千里は、きょろきょろと辺りを見回し、自分の姿を確認して赤面した。
気を失う前と違い、千里は脱いでいたはずの制服を着ている。
「千里がなかなか起きないから、私と可符香ちゃんで着せてあげたんだよ」
「……うん……その、ありがと………………あのね、晴美……」
恥ずかしそうに礼を言う千里が、続けて何かを晴美に言おうとする。
だが、その唇を晴美の唇が塞いで中断させた。
唇を離し、千里に喋らせる間を与えずに晴美が千里に尋ねる。
「きもちよかった?」
「え……うん……」
「そう。じゃあ、またしてあげるね」
「私も一緒に、ですよ」
「わかってるって。じゃあ、帰ろっか」
晴美が伸ばした手を、戸惑いながらも千里は手に取った。

(きっとこれって…可符香ちゃんの思惑通り、なんだろうなあ…)
それでも、晴美は可符香によって用意されたこの関係を受け入れることにした。
なんとなく、わかってしまったのだ。
さっき千里が言おうとしたことは、けして晴美が望む様なものではないであろうことに。
だから、今の状態に甘えることにしたのだ。
(でもいつか……いつかきっと……)
とりあえず、今はこれでいい……晴美は自分にそう言い聞かせて、千里の手を引いた。
479名無しさん@秘密の花園:2008/06/26(木) 23:15:33 ID:j1qMwKtg
えろやってるときに連投規制とか死にたくなります。


あんまり百合スレでえろやっても喜ばれないと思うんですけどね。
でも、やりたかったんで仕方ないのです。
480名無しさん@秘密の花園:2008/06/27(金) 00:41:07 ID:yKLWz/+b
GJ!
カフカさん何考えてんだw もっとやれ
481名無しさん@秘密の花園:2008/06/27(金) 21:19:59 ID:ViJuxJ2U
カフカの手の上で転がされるハル×チリ…ある意味理想形ですな。
482名無しさん@秘密の花園:2008/06/28(土) 13:23:13 ID:mDhOTyuK
晴美と千里に可符香ですか。
凄くいいと思う
483名無しさん@秘密の花園:2008/06/28(土) 22:57:53 ID:ohfPOt6F
愛ちゃん総受けor大草さん総攻めが見たい。
484名無しさん@秘密の花園:2008/06/29(日) 10:14:45 ID:KdFe4aaI
愛総受けは予想がつくが、大草さん総攻めは予想がつかない(笑
485名無しさん@秘密の花園:2008/07/01(火) 07:46:37 ID:BykdzhlJ
投下いきます。
今回はちょっと路線変更、可符香×あびるで内容も甘さ控えめ、ビターな話です。
よければどうぞ。
486その瞳の向こう側にあるもの:2008/07/01(火) 07:49:53 ID:BykdzhlJ

「私がいなくなったら悲しい?」

ふと呟かれた言葉に、あびるがぴたりと動きを止める。
ゆっくりと言葉の主へ視線を送ると、その先で可符香が笑っていた。

「どうしてそんな事聞くの?」
「んー、なんとなく」
これは彼女の気まぐれだとわかっているのに
どうしても心理が気になる。

「…なんとなく、ね」
「うん、なんとなく」
こっちから尋ねたはずなのに返答に困って言葉を濁しても
深く追及しないのはいつものことだ。
可符香の突飛な発言にも慣れたと思っていたが
やはりまだ慣れない部分もある事に気付かされる。

「何かを期待しているんじゃないの?」
「何かって?」
真っ黒い瞳があびるに向けられる。
たまに何も映していないように見えるその瞳の奥は
一体何を望んでいるのだろうか…?

「…何でもない」
あびるがふいと視線を逸らす。
そんなあびるの横顔を可符香が不思議そうに眺める。

「変なあびるちゃん」
そう言って可符香もあびるから視線を外した。
そして別に何を見るわけでもなく
あびると同じ方向へと目を向けた。

「でもね、人はいつか人を置いて消えちゃうんだよ」
その言葉に弾かれたようにあびるの身体が跳ねる。
ゆっくりと視線を可符香と向けたが
今度の可符香はあびるとは目を合わせようとはしなかった。
487その瞳の向こう側にあるもの:2008/07/01(火) 07:53:31 ID:BykdzhlJ

「…何、それ」
「さぁ?」
とぼけるみたいに言った言葉が妙に気持ちを苛立たせる。
しかしその奥からわき上がる感情はもっと違う何かだった。

「まるであなたがどこかへ行くみたいね」
「怖い?」
やはりあびるとは目を合わせずに言ってのける可符香に対して
あびるも可符香を見ることを止めた。

「それを答えたら、あなたはあたしを怖がらせるんでしょ」
「やだなぁ、そんなことするはずないじゃないですか」
くすくすと笑う声だけが耳へ入る。
それでもあびるは表情を見ることはしなかった。
目を合わせれば思うつぼだと言うことはわかっているのだ。

俯き、視線を足下へ向けるあびるに対して
可符香がゆっくりと手を伸ばす。
頬に触れた指先がつつ、と確かめるみたいに頬をなぞり
そして顎へと辿り着く。
それでもあびるは顔を上げることをせずに視線を落としたままだった。

次の瞬間には指先に力が込められて
ぐっと顔を引き上げさせられる。
その動きにあびるは抵抗することなく可符香へと顔を向けた。

「ねぇ、あびるちゃん」
甘えるような声。頭が痺れる。
そんな声出さないでよ。…心が、乱れる。

「顔、見せて」
見られたくないのに、見て欲しくないのに
その言葉に導かれるままにあびるが可符香と視線を絡める。
目が合った瞬間、黒い瞳がきらりと輝いた。

「あびるちゃんの哀しそうな顔を見るとドキドキする」
顎に添えられた手が離れ、人差し指だけを再び顎へと立てる。
そのままゆっくりと顎の下をなぞり、喉をなぞり、鎖骨の間をなぞっていく。
更に指が下がりスカーフの結び目辺りで止まった。
488その瞳の向こう側にあるもの:2008/07/01(火) 07:58:31 ID:BykdzhlJ

「ここが傷付いてる時の顔が好き、かな」
そう言って可符香がとんとんと結び目を叩く。
「…それって結構酷いよね」
溜め息混じりのあびるの言葉に可符香が指を止めた。

「だってね、あびるちゃんがそれを望むからだよ」
望んでなんかない、と言う前に可符香があびるの唇を塞ぐ。
酷く甘いそれが、身体をじわりと満たす。

これじゃあ言葉と相反するじゃないかと思うのにどうしても逆らえない。
小さく漏れる声が自己嫌悪を引き起こすのに
でも、それでも逆らえないのは、どうしてなのか。

唇が離れたのを確認してからあびるがうっすらと目を開けると
随分な余裕を浮かべた可符香の顔が見えた。

「ね」
僅かに首を傾けて、にっこりと笑う。
「…何が?」
恥ずかしさと自己嫌悪で視線を逸らしながらあびるが呟く。
そんなあびるの頭を可符香がぽん、と叩いた。

「哀しそうな顔が、嬉しくなる瞬間が見れるから」
その言葉にあびるがきょとんとした表情を浮かべる。
それに気付いた可符香がまた笑った。

「そんな理由で…」
頭を抱えるあびるに今度は可符香がきょとんとする。
「えー、そんな、じゃないよ」
そう言って可符香があびるの制服を掴まえる。


「その時のあびるちゃんが素敵だから」


そう言った可符香の瞳は真っ黒なガラス玉の様に
ただ静かにあびるの姿だけを映し込んでいた。



―END―

489あとがき。:2008/07/01(火) 08:00:23 ID:BykdzhlJ
以上です。
最近自分の中でブームな可符香×あびるが投下という形にまで行き着きました。
これを機に興味を持ってくれる方がいればいいな、なんて思ってます。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
490名無しさん@秘密の花園:2008/07/01(火) 08:03:18 ID:8oeJSrzo
可・符・香!可・符・香!
491名無しさん@秘密の花園:2008/07/03(木) 06:59:27 ID:nwS4I5yk
投下行きます。
1レスで収まる長さのハルチリ小ネタです。
よければどうぞ。
492痴話喧嘩:2008/07/03(木) 07:03:42 ID:nwS4I5yk

「イチゴ味だったよ」
「違うわよ、オレンジ味だったわ」
教室の端で晴美と千里ぎゃあぎゃあと喚いている。

「千里が間違ってるんだって」
「あなたの勘違いよ」
両者一歩も譲らないやり取りを奈美が少し離れた場所から不思議そうに見つめる。

「珍しいね」
「何が?」
ぽつりと呟いた言葉を聞いていた可符香が奈美の言葉に答えた。

「いや、あの2人がお互いここまで引かないのもあんまり見ないから」
「んー、きっとお互いが譲れない理由があるんだろうねぇ」
そう言って可符香がへらへらと笑う。

「理由気にならない?」
「じゃあ聞きましょうか」
「え」
奈美の言葉に可符香が口論中の2人へてくてくと歩いていく。
2人の間に割って入った可符香が両者の言い分を聞き
2度3度頷くと再び奈美の元へと戻ってきた。

まさか聞きに行くとは思っていなかった奈美が苦笑いを浮かべながら可符香を見た。
そんな奈美にお構いなしに可符香がしれっと言ってのける。

「初めてのキスの味で喧嘩してたみたいだよ」
「は?」

「あの時千里はイチゴ味の飴食べてたじゃん」
「だから違うって言ってるでしょう!飴はオレンジ味だったわ」


「…そんなのどっちだっていいじゃない」
ぽつりと呟かれた奈美の言葉は当然ながら2人には届かなかった。



―END―
493あとがき。:2008/07/03(木) 07:05:55 ID:nwS4I5yk
以上です。
たまにはこんなバカップル全開なハルチリもいいかなと思って即興で書いてみました。
気に入ってもらえればこれ幸いです。
494名無しさん@秘密の花園:2008/07/03(木) 12:29:54 ID:YvBOB7DB
晴美と千里は、思い出をいつまでも大事にするんですね。
GJです!
495名無しさん@秘密の花園:2008/07/04(金) 00:24:19 ID:ZcHXaV/e
飴舐めてるときにちゅーするとか萌えるんですけど
496名無しさん@秘密の花園:2008/07/07(月) 19:10:54 ID:LoTWEQsE
本日は七夕ですね。
駆け込みで書いたハルチリの七夕なお話。
よければどうぞ。
4977月7日・星天:2008/07/07(月) 19:14:15 ID:LoTWEQsE

「今日の夜暇?」

昼休みにお弁当を食べていた時の事。
向かい合って座っていた晴美が千里の態度を伺うように言った。

「え、夜って」
「んー、大体9時前とかかな」
普段は学校帰りに家に遊びに行ったとしても
その時間まで居る事は滅多になかった。
そんな時間になにがあるのだろうか。

「や、まぁ予定が空いてないならいーんだけど…」
そう言って晴美が箸の先を口に付ける。
「空いてないとは言ってないでしょう」
千里の言葉に晴美がちらちらと視線を送った。

「じゃあ8時半に千里の家に迎えに行く」
「迎えって…どこに行くつもりなのよ」
時間はともかくとして場所を知らされていない千里が晴美を睨む。
「今言うと面白くないもん」
そう言って晴美が卵焼きを口に放り込んだ。

恐らく今この場ではいくら聞いても答える事はしないだろう。
変なところで強情な晴美の性格を知っている千里は
晴美が何を考えているのかがとても気にはなったが敢えて追求するのを止めた。
黙ってても時間が来ればわかる事だ。

「わかったわ、じゃあ8時半に家の前で待ってるから」
「ん」
晴美が小さく返事をしたっきりこの話題は姿を消した。

この日も一緒に2人で下校したが、特にその話題に触れる事はなく
別れ際に「じゃあ後で」と一言確認をした程度だった。

晴美の考えている事が全く予想のつかない千里だったが
夜に会うのは久々だったのでほんの少し気持ちは浮かれていた。
約束の時間までに夕飯を食べて、入浴も済ませておき、あとは晴美が来るのを待つだけだ。
4987月7日・星天:2008/07/07(月) 19:16:37 ID:LoTWEQsE

約束の時間が近付き、もうそろそろかと時計に目をやると
キィ、とブレーキの音が窓の外から聞こえた。
それを合図に階段を降りて、玄関の扉を開く。
外では晴美が携帯を片手に自転車の傍に立っていた。

「あ、今電話しようとしたんだけど…」
「音でわかったわ」
千里の言葉に晴美が嬉しそうに笑う。

「何よその顔」
「ううん、なんでもない」
そう言って晴美が自転車へと跨る。
「どうする?乗る?それとも自分の自転車で行く?」
後ろにいる千里を見やりながら、晴美が尋ねた。

晴美の問い掛けに何も答えなかった千里だったが
つかつかと晴美の自転車に寄ると、後ろの荷台へと座る。
千里が後ろに乗ったのを確認してから、晴美が前を見据えた。

「じゃあ行くよ」
ゆっくりと漕ぎ出される自転車がゆらゆらと不安定に揺れる。
思わず晴美の服をぎゅっと掴まえた。
その感覚が晴美にも伝わり、心配した晴美が千里を気遣う。

「大丈夫?」
「うん」
なるだけゆっくりと漕ぎ進む自転車に千里の長い髪がそよそよとなびいた。

見慣れた景色が流れていく中
どこへ行かなくてもこのまま夜のドライブを楽しむのも悪くないとどこかで思う。

しばらくの後、漕ぎ続けられた自転車が止まった。
どうやら目的地に着いたらしい。
目の前には背の高い木々達が並び、道はそこで途切れていた。
4997月7日・星天:2008/07/07(月) 19:19:31 ID:LoTWEQsE

「ここって…」
「ここからは歩かないとね」
そう言って晴美が自転車を停めて、歩き出した。
晴美の後を追いかける千里の頭の中には昔の記憶がふつふつと蘇る。
茂みを抜けると、狭いコンクリートの階段が見えた。

「足元気をつけてね」
後ろの千里を気にしながら晴美が階段を昇り始める。
狭い割に長いその階段を昇り詰めると
打ちっぱなしのコンクリートのフロアへと辿り着く。

「今日雨が降らなくてよかった」
フロアのど真ん中に立ちながら晴美が安心したかの様に呟いた。
「え」
「だって今日は」
そう言って晴美が空を指差す。
ゆっくりと顔を上げると空にきらきらと星が輝いている。
そこで初めて千里が意味を理解した。

「今日って…七夕…?」
「そうだよ」
そう言ってにっこりと晴美が笑う。
「流石に流れ星とかは見れないと思ったけど、星は見えるかなって」
この場所を選んだのは昔によく遊びに来たからだそうだ。

「昔はもう少しよく見えたのにね」
空を見ながら晴美が目を細めた。
「…何を」
小さく呟いた千里に晴美がふと視線を向ける。

「何をお願いするの?」
「んー…」
千里の言葉に晴美がしばし考え込んだ。
その様子を千里が隣で伺う。

「ベタなお願いしか浮ばないなぁ」
そう言って照れた様に晴美が笑った。
5007月7日・星天:2008/07/07(月) 19:24:26 ID:LoTWEQsE

「いいから教えてよ」
「えー、えっとね…」
晴美が千里の耳元に手を添えて、願い事を囁く。
その言葉を聞いた千里がぱしんと晴美の手を叩いた。

「いて」
叩かれた手を振りながら、晴美が千里を見つめる。
「何で叩くのー?」
「そ、ういう事言うからでしょう…」
「だって本当の事なんだもん」
そう言って晴美がじぃと千里を睨んだ。

「聞くんじゃなかったわ…」
ふいと顔を逸らす千里を自分に向けさせた晴美がにっ、と笑う。
「じゃー、千里のお願い事は?」
晴美の質問に思わず千里がきょとんとした表情を見せる。
にやにやと笑う晴美に気付いた千里がふるふると頭を振った。

「わ、私のは別にいいでしょ!」
「その慌てっぷりは言えない様な事考えてたた、とか?」
からかう晴美にむ、と小さく唸って俯いてしまう。

「ごめんごめん」
拗ねる千里に謝りながら晴美が頭をよしよしと撫でる。

さっきまでからかわれていたのにふわりと頭を撫でられただけで
こんなにも嬉しい気持ちにさせてくれる。


…私も、あなたと一緒の事を願うわ。
口には出さずに、心の中で強く強く願い想った。


夜空に瞬く星達に届け、この願い。


7月7日、本日は星天なり。



―END―
501あとがき。:2008/07/07(月) 19:25:58 ID:LoTWEQsE

以上です。
イベント事には大抵ネタを考えていたのに
今回に限って前日まですっかり忘れてました。
本当は他のカップリングでも書きたかったんですが時間切れです…orz
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
502名無しさん@秘密の花園:2008/07/08(火) 01:18:16 ID:WkaCTDUi
恥ずかしいw
ハルチリは今に至るまでのイベントがいっぱいありそうで良いです
まだ友人だったころに行った場所で恋人としていちゃつくとか、いつから恋人だったんだみたいな感じで
503名無しさん@秘密の花園:2008/07/11(金) 16:46:57 ID:YRO5Kact
海でもないのにみんな水着ってなんかえろいね
やる気なさそうな晴美とか特に
504名無しさん@秘密の花園:2008/07/12(土) 15:01:49 ID:fkMqH1Ir
晴美がかわいい
ハルチリは安定感ありますね、GJです!
505名無しさん@秘密の花園:2008/07/12(土) 16:06:50 ID:u25LEM3x
投下です。
あび千里ですが片思い要素なしで甘甘な感じで。
このCPで甘い要素が少ないのですが、案外書いてみると面白かったです。

あと保管庫のある作品と軽く被るのですが、気にしないで読んでください。

「犬と猫」(あびる×千里)
506犬と猫:2008/07/12(土) 16:07:49 ID:u25LEM3x
「風浦さん、一つ聞きたいことがあるんだけど…」
「ん?どうしたの、千里ちゃん?」

昼休み、可符香の元へやってきた千里はどこかたどたどしかった。
それに何か思いつめている、といった表情でもあった。

言おうか言うまいか、そんな葛藤が千里の中で交差していた。
質問をしたにも関わらず、中々次に出てくる言葉が出てこなかった。
恥ずかしくて言うのを迷っていたが、一呼吸をいて決心を着けた。



「す、好きな人にプレゼントをあげるならどんなものがいいかなあって…」
「ああ、あびるちゃんへのプレゼントですか」



さらっと言った可符香の言葉に、千里は凍りついた。
あびると千里が恋仲なのはずっと隠していたことだった。
なのにあっさりと二人の秘密を吐露されてしまったのだ。

「ど、どうしてわかったのよ!ずっと内緒にしてたのに…」
「私だけじゃなくて皆知っていると思いますよ。
 多分そのことを知らなかったのは千里ちゃんくらいじゃないですか?」

涼しげな顔で言う可符香とは対照的に、千里は顔を真っ赤にしていた。
まさかバレていたなんて、と思う一方、おかしかった面も多々あったことに気付いた。

二人で歩いているとクラスメイトからにやついた目で見られたし、
急におめでとうなんて声もかけられたし、
晴美がここ最近魂が抜けたようになっていたことにも理由がついた。
全てばれていたのだ。

その時あびるの無表情な顔が頭に浮かんだ。
言ってくれればよかったのにと攻めるのも変だが、今はただただ恨むばかりだった。


「大丈夫だよ、千里ちゃん!私はずっと応援するからね!」
「あ、ありがとう…」
可符香は千里の悩みなど気にも留めず、笑顔で千里の肩を叩いた。
507犬と猫:2008/07/12(土) 16:08:32 ID:u25LEM3x

ばれてしまったのはしょうがないと、千里は割り切ることにした。
この件についてあびるに問いただすのは後の話だ。

「それで…さっきの話なんだけど…」
「プレゼントの話だね、大丈夫!いいのがあるから」

そういうと可符香は千里の耳元に顔を近づけ、ごにょごにょと囁いた。




「う、うなあああっ!!」




「それで、話って何?」
「ま、まあ少し待ってよ…」

その日はたまたまの休日で、あびるは千里の家に来るように呼ばれた。
今日はあびるの誕生日な訳で否応にも何かを期待をしてしまった。

しかし家に着いたものの千里は話をしたりするだけで一向に行動を起こさなかった。
だがどこかいつもと様子が違う千里をあびるは見逃さなかった。

「なんだか今日は落ち着きがないね、どうかしたの?」
「ええっ!何もないわよ!本当に…」
あわてて首を横に振る千里。怪しい、とあびるは疑わざるおえなかった。


「今から、あびるちゃんに見せたいものがあるの。
 だから部屋で待っててくれない?」
「うん、わかった」
急に話を持ち出した千里はそそくさと部屋を後にした。

508犬と猫:2008/07/12(土) 16:09:01 ID:u25LEM3x

あびるは腕を組み考えた。
今までの様子を見ると、今日何かをしてくれるのだろうと。
だが何をしてくれるのだろうか。
早く行動をしなかったのは準備に時間がかかるからだろうか。
それとも何かをするのに決意がいるからだろうか。

見せたいもの、という言葉があびるにはひっかかった。
もしかして体をテープで装飾して「プレゼントは私!」など言ってくるのではないだろうか。
あびるは馬鹿げた妄想を頭の中で思い描いた。
本当にそうだったらなあ、と少し悦に浸ってしまった。
だが真面目な千里がそんなことをするはずがないだろう。
だったら何だろう。
あびるは誰もいない部屋でじっと千里が帰ってくるのを待った。


千里は部屋の外にいた。
やるかやらないか、決断のときが近づいていた。
ここまで来てやらないというのはあきらかに馬鹿げている。
これを買うのにも死ぬほど恥ずかしい思いをしたというのに。

だが本当にあびるが喜んで貰えるかはわからなかった。
あびるの趣味はもちろんしっているのだが、自分がやっても喜んでもらえるのだろうか。
可符香は太鼓判を押していたが、真偽はわからない。
千里が考えること数分、頬を叩き気合を入れた。
やるしかないのだ、と自分を励まし準備を始めた。


「あびるちゃん!」
急に聞こえた千里の声と突然開いた扉。
あびるは驚いて少し身をすくめた。

部屋に入ってきたのは千里だった。
そこにはなんら変わりない千里が…と思うと少し様子が違った。
509犬と猫:2008/07/12(土) 16:09:29 ID:u25LEM3x

動物の耳のカチューシャと尻尾のアクセサリーを着けた千里がいた。
そして顔は真っ赤になっていた。

突然のことにあびるは声が出なかった。
少し嫌に静かな時間が流れた。そしてぽつりと声を漏らした。

「猫耳…?」

そう、そこには猫のコスプレをした千里が立っていたのだ。
だが耳と尻尾をつけるだけの簡単な格好だった。
しかしあびるの心を奪うには十分な格好だった。
尻尾フェチのあびるが恋人の千里に望む最高の姿をしているであった。

か、かわいいっ!
あびるは思わず声に出してしまいそうになった。
鼓動も早くなり、顔に熱を帯びていくのを感じた。

「風浦さんがこの格好をすればあびるちゃんが喜ぶだろうって…」
恥ずかしげに千里は言った。
風浦さん、ありがとう!とあびるは心の中で叫んだ。


「ち、千里ちゃん…こっちに来てくれない…?」
千里は黙ってあびるに近づいていったが、息の荒いあびるに千里は疑問に思った。

あびるは座っていたので、千里も腰を下ろした。
「ど、どう…かな?」
「とてもかわいいよ、千里ちゃん」
好きな人に目の前で言われて、千里は少し照れた。
その照れる姿もあびるは愛おしさを感じた。

ああ、抱きしめて食べてみたい。
あびるは体の奥底から聞こえる悪魔の声が聞こえてきた。
そして次の瞬間、体は勝手に動いていた。


あびるが千里の体をぎゅっと抱きしめ、床に押し倒した。
「な、何するのよ!あびるちゃん!」
慌ててあびるを離そうとしたが、あびるは動かなかった。

「千里ちゃん、可愛いっ!」
いつもクールなあびるとは似ても似つかない甘い声を出した。
そして頬をすりすりと寄せ付けた。
510犬と猫:2008/07/12(土) 16:09:51 ID:u25LEM3x

「ちょっと!離さないと怒るわよっ!」
千里は抵抗をしていたが、あびるの耳には届かなかった。
そしてにっこりと怪しげな笑みをあびるはこぼした。

「こんな素敵な格好をした千里ちゃんがいけないんだよ…」
目だけが笑っていないあびるに千里は嫌な予感がした。
そしてそれは恐らく現実のものになるだろうという予感もした。

「う…嘘よね…あびるちゃん…何にもしないわよね…?」
だがあびるは笑ったまま動かなかった。
そして一言。


「千里ちゃん……」




「いたただきまーす」




千里は最後に声を上げようとしたが、あびるの唇によって塞がれてしまった。
そしてその時、にこにこと笑う可符香の姿が脳裏に浮かんだのであった。

511あとがき:2008/07/12(土) 16:12:13 ID:u25LEM3x
今回は改行を意識しました。
SSってだらだら書くだけでは読みにくさを感じるので
なるべく離せるときは離すようにしました。
(最後の台詞はもっと離したほうがよかったなあ...)

あびるちゃん、キャラが変になりました。
けどいいじゃない!キャラ崩壊でも!
512名無しさん@秘密の花園:2008/07/12(土) 18:26:18 ID:0Ep7w6Rh
GJです。
猫千里カワイイです。

ですが、1つだけ言わせてくれ
「プレゼントは私」・・・・・・・・
千里ならやると思うよ・・・・・・
513名無しさん@秘密の花園:2008/07/12(土) 18:31:12 ID:rMyFEfEA
「千里ちゃん、今日はにゃーしか言っちゃだめだよ」
とかね

あびるちゃんは好きなものを前にすると変になるキャラだからキャラ崩壊じゃないよ!
514名無しさん@秘密の花園:2008/07/13(日) 04:39:03 ID:dsBs5/ih
これは新境地w これもギャップ萌えの一種でしょうか?
ふと思ったんだけど燃え尽きた晴美には誰が手を差し伸べるんだろうか……w
千里は晴美以外とのCPもあるけど晴海は千里とあびるぐらいしかないからねえw
515名無しさん@秘密の花園:2008/07/13(日) 10:10:33 ID:ID6L1PQb
倫ちゃんで
世間知らずの箱入り娘に、腐女子の百合っ子が面白くない訳がない、なんて
516名無しさん@秘密の花園:2008/07/13(日) 13:41:36 ID:zzT6XKGJ
奈美とどうでしょう。
意外とありそうな感じが。

投下です。
カフカエっていまいち人気があるのか無いのかがわからないです。
基本CPみたいな感じで認知されてるのかな?
まあ自分は大好きなんですけど。

酒ネタです。「無理やりすぎるだろ!」とかいうのは目を瞑ってやってください。
好きなんです、酒ネタ。

「DRUNKEN HEARTED」(可符香×カエレ)
517DRUNKEN HEARTED:2008/07/13(日) 13:42:27 ID:zzT6XKGJ
「ねえ、あなた顔赤いわよ」
「えへへ、そうですか〜」




可符香とカエレが付き合い始めて一ヶ月。
ここのところのカエレの態度に可符香に不満を持っていた。

一ヶ月前、可符香はカエレに告白をした。
そこでOKを貰ったとき、可符香は心の底から喜んだ。
これから二人でずっと愛を育んでいこう、とばら色の未来予想図を思い描いていた。

だが現実は非常で、意気込んだもののどうも発展らしい発展は見られなかった。
通常の学校生活に毎日の他愛も無い談話。
当初は恋人同士というだけで楽しんでいたものの、進展の無い生活に可符香はすっかり意気消沈してしまった。
しかしそれでは可符香らしくない。
彼女はこの状況を打破するために自分から行動を取った。


朝、教室に入ってきた可符香は真っ先にカエレのもとへ飛んできた。
「カエレちゃん!今度のお休み暇ですか!?」
「な、なによ!いきなり…」
目をキラキラさせながらいきなり迫ってきた可符香に、カエレは驚いた。

「いや〜カエレちゃんのお宅に一度行ってみたいと思って〜」
ニコニコ笑いながら頭をかく可符香に、どうもきな臭さを感じてしまうのであった。
「そんな急に言われてもね…こっちにも用事があるから大丈夫かわからないわよ」

すると思いがけない言葉に可符香の顔が、急に影を落とした。
「へぇ…私は好きな人のお家にもいけないんですか…
 結局カエレちゃんは私のことをどうでもいいと思ってるんですね…」
いつものポジティブな可符香とは思えない声のトーンにカエレは慌てた。
「そ、そんなわけないじゃない!」
「本当ですか…?」
悲しげに見つめる可符香の目がカエレにとっては耐えられなかった。

カエレは仕方ないといった表情で可符香をなだめた。
「わかった、わかった!次の休みに家へ来なさい。空けておくから」
「本当!カエレちゃんだ〜いすき!!」
そう言って、嬉しそうに可符香はカエレに抱きついた。
カエレは、我ながら甘いな、と思いながらよしよしと可符香の頭を撫でた。
一方、可符香はカエレの見えない位置でニヤリと笑みを浮かべた。


518DRUNKEN HEARTED:2008/07/13(日) 13:42:50 ID:zzT6XKGJ

そして休みがきて、可符香はカエレの家に行った。
可符香の思惑ではカエレと更に深い関係まで進展するつもりだったが、
取り分け2人の間に何か起こらなかった。
そのことに可符香は深いため息をついた。

「がっかりだよ…カエレちゃん…」
「いったい何ががっかりなの?」
「私たち今2人きりなんですよ!」
「それがどうしたのよ…」
「2人きりなら私を急に押し倒したりしてくれると思ってたのに…」
「あんた私を何者だと思ってるのよ!」


「何か飲む?」
「カエレちゃんがくれるものなら何でも飲みますよ!」
「その一言が余計」
カエレは冷蔵庫から缶ジュースを二本持ってきた。
2人はそれをグビッと飲んだ。
カエレは少し味に違和感を感じたが何も言わなかった。
それが事件の発端だったとは...カエレは予想もしていなかった。


「ねえ、顔赤いわよ」
「えへへ、そうですか〜」
ジュースを飲んでからどうも可符香の様子がおかしかった。
顔に赤みがかかり、常にへらへらと笑っているのだ。
だが可符香が変なのはいつものことと思い、カエレはあまり気にはしなかった。

この時に可符香の変化の現況に気付いておくべきだった。
カエレが冷蔵庫から適当に持ってきた缶ジュース。
これが缶チューハイであったことにカエレは気付いていなかった。
アルコール度が低いながらもグビグビと飲んでしまった可符香に酔いが回ってきたのだった。

519DRUNKEN HEARTED:2008/07/13(日) 13:43:35 ID:zzT6XKGJ

 カエレは可符香のじぃっという視線が当たるのを感じた。
「何見てるのよ…」
可符香のうつろな目が顔から胸へと視線を下げた。
「いや、カエレちゃんの胸は大きいなって思いまして…」

カエレはかぁっと頬を赤く染めた。
確かにカエレの胸は同級生に比べてみたら大きい。
しかしそれを目の前で言われるとは思ってもいなかった。

「な、何いきなり言ってるのよっ!訴えるわよ!」
だが可符香は自分が悪いことを言ったとは思っていなく、限りなく真面目なトーンで言った。
「触ってもいいですか?」
「だ、駄目に決まってるでしょ!」
するとすっかりしょげた様子で可符香は缶ジュースを飲み干した。


2人の間に気まずい空気が流れた。
そんな状況を打破しようとしたのかはわからないが、最初に声を発したのは可符香だった。
「カエレちゃん」
「何…」
「さっき私、カエレちゃんに押し倒して欲しいって言ったの覚えてます?」
「お、覚えてるけど…それがどうしたのよ…」
「カエレちゃんがしてくれないんだったら、私からいきますね」
「へっ?」
突然の言葉にカエレが驚き、可符香に視線をうつした。
そこには飛び掛ってきた可符香がいた。
声を上げるまでもなく、押し倒されカエレの視線は天井へと向いた。

520DRUNKEN HEARTED:2008/07/13(日) 13:43:57 ID:zzT6XKGJ

可符香はニヤニヤと笑いながらカエレを見下ろした。
カエレに馬乗りになる形で、膝で痛くない程度に腕を押さえつけ抵抗できないようにした。
「な、何するのよ!いったい!!」
いきなりの事態にカエレは混乱した。
「カエレちゃんが何もしてくれないからですよ。だから私からカエレちゃんにしてあげますね」
にっこりと笑う可符香に、カエレは嫌な予感を感じた。

「いったい何を…」
「まずはこれですね」
そう言うと笑顔の可符香はためらいも無くカエレの胸を鷲?みにした。
「なぁっ…!」
思わずカエレは声を漏らしてしまった。
その反応に可符香は喜んだ。

「や、止めなさい!これ以上やったら後でどうなるか知らないわよ!」
「やっぱり大きくて柔らかいですね〜」
可符香はまったく聞き耳を持たなかった。
そしてゆっくりゆっくりと柔らかい胸を揉んでいった。

こんなことをされているとはいえ、可符香は恋人である。
好きな人に胸を揉まれている事に、カエレは恥ずかしさを覚えた。
「あれ?カエレちゃん、耳まで真っ赤になってるよ」
「早く...止めなさいよ…」
力なくカエレは言った。だがその態度に可符香の行動に拍車をかけた。
「本当に可愛いね〜大好きだよ!」


可符香は手を動かすのを止めて、唇をすっとカエレの方に近づけた。
「んっ…!」
カエレが声を出す前に可符香の唇で塞がれてしまった。
可符香の舌はカエレの口内を侵食し、舌を絡み合わせていった。
お互い恥ずかしさと嬉しさと気持ちよさで、頭がぼーっとしていった。
長い間、二人はキスを続けた。

キスを止めてお互いの赤い顔を見つめあった。
「もっともっと、カエレちゃんのことが知りたいよ…」
そう言うと可符香の手がカエレのスカート内に侵入してこようとした。

521DRUNKEN HEARTED:2008/07/13(日) 13:44:16 ID:zzT6XKGJ

流石にカエレは身の危険を感じた。
どうしよう、と考えているとき可符香の拘束が甘くなっていることに気がついた。
押さえつけている膝からすっと腕を抜いて、その手で可符香を力強く押した。

「えっ!?」
突然のことに可符香はなすすべなく、背中から床に倒れてしまった。
カエレはすぐさま体勢を立て直して、今度は反対に可符香の上乗りに乗った。

「こ、これで、立場は逆転したわよ!今度は私が…」
しかしカエレが話しかけても可符香からの反応は無かった。
何故なら可符香はすやすやと寝息を立てて眠ってしまったのであった。

「なんで寝てるのよ…」
カエレは気持ちよさそうに眠る可符香を見下ろしながら呟いた。
そして高鳴った自分の気持ちだけが残った。


「一人で好き勝手にして……」



「私の気持ちも考えなさいよ……」


反応が無い可符香にそっと呟いた。


後の話だが、起きた後可符香はカエレからこっ酷くしかられたという。
しかしもの原因はカエレにあったので、それを元にまたキスをねだられたとか…
522あとがき:2008/07/13(日) 13:46:59 ID:zzT6XKGJ
いつもあとがきに書くのを忘れるんですけれど
保管庫の管理人様、本当に毎度毎度ありがとうございます。
読む文にも書く文にも頼りにしてるので感謝感謝です。
523名無しさん@秘密の花園:2008/07/13(日) 18:56:09 ID:MlomC4Ub
カエカフぐっじょぶ!!
マイナーなのかもしれないけど、自分はカエカフが一番好きです。
ツンデレと甘えっこのベタベタはイイ。
藍ゆうなのもまたイイ。
524名無しさん@秘密の花園:2008/07/13(日) 20:35:13 ID:lzgTGVWL
酔っ払い可符香も振り回されるカエレも可愛い…
最近カフカエ増えて、いろんな作風のが読めて嬉しいです。


>>514
燃え尽きた晴美には誰が手を差し伸べるんだろうか?という言葉で
小ネタを思い付いたので短いですが投下します。
千里に片想い前提のハルチリ+可符香な感じです。
525Tell Me:2008/07/13(日) 20:39:11 ID:lzgTGVWL
「千里ちゃんと他の人が仲良しだと辛くなる?」

にっこりと笑いながら言ったその言葉がざくりと晴美の心へ刺さる。
悪気があるのかないのかわからないその言葉に晴美が可符香を睨む様に見た。
視線の向こうの可符香は首を傾げて、晴美の反応を伺っている。

「別に千里が幸せならそれでいいよ」
吐き捨てる様に言った言葉が口の中に苦味を引き起こした。
思わず顔が歪みそうになるのをどうにか堪えたが
可符香がその変化を見逃すはずがない。

「晴美ちゃんは千里ちゃんの事になると嘘を吐くのが下手だね」
可符香の指摘に晴美が俯く。
それは自分でも分かってる事だ。

千里の事となると自分では平静を装っているつもりが
どこか尾を引く様な嫉妬を含んでいるらしい。
千里の嫉妬をわかりやすいね、なんて笑える自分ではないのだ。

「哀しい?」
「まぁ哀しくないと言えば嘘かな」
そう言って晴美が席を立つ。
鞄を掴まえると、可符香へ背を向けて教室を出て行こうと歩き出した。

「ねぇ、晴美ちゃん」
背中に飛んで来た可符香の声に立ち止まった晴美だったが
後ろを振り返ろうとはしなかった。
それでも可符香は晴美の背中に向かって言葉を続ける。

「辛いときは素直に辛いって言えばいいんだよ」

可符香の言葉に思わず振り返りそうになった晴美だったが
ぎゅっと手を握るとほんの少し息を吸い込んだ。

「…ありがとう」
そう言って晴美は足早に教室を出ていく。
晴美を見送った後独り教室に残った可符香がぽつりと呟いた。


「…だってそうじゃないと、これからもっと辛くなるだけだよ」



―END―
526あとがき:2008/07/13(日) 20:43:15 ID:lzgTGVWL
手を差し伸べる、といった意味合いとは少し違うかもしれませんが
あびると千里が好き同士でいる事にもやもやを感じる晴美と
それを指摘する可符香のお話でした。
マイナーで需要はないだろうけどついつい手が…
藤吉さんが右側(受け的な意味で)の話って少ないなぁ…。
527名無しさん@秘密の花園:2008/07/13(日) 22:47:23 ID:zzT6XKGJ
晴美さん受けはアリアリだと思いますけどね。
攻めのイメージが強いので、弱々しい晴美とか可愛いです。
私的にはあび晴を押しますけど、カフ晴もいいですね〜グッジョブ!
528名無しさん@秘密の花園:2008/07/14(月) 12:56:36 ID:i9ceJtX3
晴美ちゃんは千里に比べてずっとえっちな子なので、あるイベントを境に逆転してしまいます
529始めに:2008/07/15(火) 03:13:49 ID:YQvhaw6f
中途半端に下書きしてしまい、どうせなら早いとこ書き上げようと思って書いたSS。
まさかこんな時間までかかってしまうとは・・・

これまた微妙にマイナー。CP的にはメジャーですが、量はさほど見かけませんね。
「愛のしるし」(まとい×霧)
530愛のしるし:2008/07/15(火) 03:14:37 ID:YQvhaw6f

ある晴れた昼下がりのことだった。
その日は真っ白い太陽が晴れ晴れと輝いていた日だった。

昼間、主婦達は忙しげに家事に右往左往させられる。
晩御飯の下ごしらえの匂い、掃除機の音、洗濯物を干す人。
その何でもないような日常の一部が、町の平和さを物語っていた。
しかし住宅地の一軒、糸色望が住む家はどこかようすが違っていた。


「こ、この!ストーカー女!」
「うるさい、引きこもり!」
穏やかな昼間には似合わない、若い女性二人の大声。
その声のトーンからして穏やかなムードではなかった。
そしてその声と合わせて聞こえる家財道具や何やらが壊れる音も聞こえてきた。


ガシャァン!ゴトッ!バキッ!


声の主の正体は小森霧と常月まとい。
どちらも担任の糸色望の家に半ば強引に住み込んでいた。
だが望自身はその奇妙な生活に慣れてしまっていて、そのことについて特別意識をしていなかった。
しかし望が知らないところで、彼女達は同じ屋根の下で火花を散らしあっていた。

しかし彼女達が今日のような喧嘩をよくしているわけではない。
いつもなら同級生、同クラスということで彼女達なりに仲良くはしていた。
だがお互いある悩みを抱え込んでいて、そのせいでお互いにストレスが溜まっていた。

それは両方とも望に好意を抱いているということだ。
当の望自身は生徒ということで相手にはしていなかった。
だが彼女達は彼女達なりで本気であった。

そんな2人が同じ屋根の下に住むということは、お互いどこかしら敵対してしまっていた。
ことの発端と呼べるものは無く、自然にお互いのたまりに溜まった感情が爆発してしまったのだった。
531愛のしるし:2008/07/15(火) 03:14:58 ID:YQvhaw6f

「前から言おうと思ってたんだけど…..
まといちゃんが先生の隣にいるのって凄い先生に迷惑を掛けてると思うんだよね….」
「そういう小森さんも、家から出て行ってくれるんだったら
 先生も喜ぶと思うけどね…..」
互いに笑顔で両手を掴んで取っ組み合っていた。
状況に適さない笑顔には、何か殺気のようなものまでも感じられた。

2人の周りには争ったのが原因で、家財道具や何やらが散乱していた。
霧の方はジャージ姿で長い髪がぼさぼさになり、
まといの方も、来ている着物は肌蹴ていた。

「小森さんって、運動してないから力ないんじゃない….?」
「まといちゃんはつきまとってよく動いてるから、無駄に力ついてるね…」
お互い一歩も譲らなかった。


殺るか殺られるか。そんな空気が充満していた。
そんな時、先に動いたのはまといの方だった。

掴んでいた手をぱっと離し、空いた方の手で霧の頬をつねった。
「いっ!痛い、痛い!!まといちゃん、本当に痛い!」
痛がる霧に、まといは満足そうに笑みを浮かべた。
「ふふふ….離して欲しかったら先生のことは諦めることね…..」

すると霧の頬はみるみる赤みがかかってきた。
霧はまといの手を払いのけようとしたが、離れなかった。
「い、いひゃい!いひゃいっよ!」
「どう、観念する気になった?」

もうそろそろ止めてやろうか、そんなことを思っていたとき
霧の目から一筋の涙がこぼれた。
突然の涙にまといはとっさに手を離してしまった。
532愛のしるし:2008/07/15(火) 03:15:20 ID:YQvhaw6f
霧は顔を伏せ、泣き出してしまったのであった。
泣かせる気が無かったまといはあたふたと慌てた。
「うぅ….ひどいよ、まといちゃん….本当に痛かったんだから…..」
泣かせる気など無かったまといは慌てて霧をなだめようとした。
「ご、ごめんね、小森さん!そんな泣くほど痛かったとは思ってなかったから…..」
だが霧は顔を上げなかった。
「うぅ….うぅ….ひぃっく…..うぁ…..」
「お願い、小森さん….泣き止んでよ…..私が謝るから…..」
うずくまった霧の肩を揺らした。


その時だった。うずくまっていた霧は唐突に起き上がって、まといを押し倒した。
「え!?な、何?」
突然のことにまといはうまく状況を飲み込めなかった。
まといに覆いかぶさった霧はニヤリと影を落とす笑い方をした。

「女の武器は涙って言うでしょう….」
「….嘘泣きにしては、目が赤いようだけど….」
「う、うるさい!まったく!」
霧は赤くなった目をゴシゴシと擦った。

「さて、まといちゃん…この後どうしてくれようか…」
霧が怪しく笑ったが、まといは何てことも無いような表情をした。
「どうぞご自由に。私は小森さんに負ける気は無いから」
「へへへ、観念するなら今のうちだよ…」

そう言うと霧の手がまといのわき腹に侵入した。
「ちょ、ちょっと!何を….」
すると霧の手が服の上から小刻みに動いてまといをくすぐり始めた。
「ん….んっ…..いぃ……」
「耐えようったってそうはいかないよ、まといちゃん」
するとぎゅっと締まったまといの唇がぴくぴくと動き出した。

「だ…だめ….本当に…..」
「止めて欲しかったら負けを認めるのね」
「そっ….そんな…あぁ!」
まといは体をくねらせて必死に快感を堪えた。
「ん…あっ…」
533愛のしるし:2008/07/15(火) 03:15:37 ID:YQvhaw6f

だがいよいよ霧の攻撃に体が屈してしまった。
「あ…アッハハハハ!だ、駄目!ほ、ほんとに…!や、止めてえ!小森さん!」
涙目ながら笑いを止めることができなかった。

「さっきのお返しだからね!」
そういうと霧はくすぐるスピードを上げた。
「アハッ!アハハハハハッ!!し、死んじゃうって…!」
さっきの優位なまといはどこへやら。
快感に身を捩じらすだけであった。

しかしこのままで終わるわけにはいかなかった。
まといはくすぐる霧の腕を持つと横に引っ張って、霧を倒した。
「いっ!」
すぐさま、まといは霧の上に乗っかるとさっきのお返しを食らわした。

「これがさっきのお返しだから!」
そういうと今度はまといがくすぐりを始めた。
「や、止めてえ!ま、まといちゃ….アハハハハッ!」
次は霧が笑いながら身を捩じらせることになった。
「さっきのこんなものじゃなかったんだから、覚悟しなさいよ!」


こんなくすぐり合いのループか何回か続いたころ
さっきまでの険悪なムードがどこへやら、二人は楽しげにじゃれあっていた。

「な…なんで、私たち喧嘩してたんだっけ…?」
「本当に…どうしてだろう。わかんないや…」
二人ともくすぐりあいのせいで息を絶え絶えしながら話していた。
お互い満面の笑みだった。

「こんなに楽しいことは無かったわよ。ありがとう小森さん」
「こちらこそ、ありがとう、まといちゃん」
今の自分の正直な気持ちを言葉にした。
すると何故か霧の方が急に顔を赤くした。
534愛のしるし:2008/07/15(火) 03:16:01 ID:YQvhaw6f

「わ、私。ひきこもってばかりいたから友達なんていなかったの…
 けど今日みたいにじゃれあえることができる人ができて本当に嬉しいの。
 まといちゃん、これからも私の友達でいてね!」
霧はそう言うと、まといの体をぎゅっと抱きしめた。
いきなりのことにまといは顔を赤くしながら、固まってしまった。

「わ…私からも…ずっと友達でいてね」
「うん!ずっとだよ!」
まといは何か心に高鳴りを覚えた。
この何かを愛おしいと思う気持ち。
今まで何度か体感したこの感情をまといは知っていた。

私も小森さんを抱きしめよう、そんなことを思っていたとき
玄関の戸が開いた音が聞こえてきた。
「ただいま帰りましたよ」
帰宅した望の声が聞こえてきた。
「あ、先生だ!」

すると霧はまといの手をするりと抜け玄関に駆け出した。
「先生、お帰りなさい!」
一人残されたまといは走る霧の背中を見ていた。
そして再び胸が熱くなるのを感じた。



その夜、霧は自分たちが壊した家財道具も片付け眠ろうとしたときのことだった。
すっと、ふすまが開く音が聞こえた。
こんな夜中に誰だろう、と思っていると、月明かりでまといの顔が見えた。
その顔はどこか嬉しそうだった。

「まといちゃん…どうしたの、こんな夜中に?」
「霧ちゃ〜ん!!」
するといきなりまといが霧に抱きついてきたのだ。
535愛のしるし:2008/07/15(火) 03:16:20 ID:YQvhaw6f

「な、何!一体どうしたの!?」
まといは霧に顔を近づけてにっこりと笑った。
「今日のことでわかったの!私は霧ちゃんのことが好きなんだってことに」
霧は思わず「えっ?」と洩らしてしまった。
まといは先生が好きなはずだ。しかし何故急に自分なのかと。

「あの…それって何の冗談で」
「冗談じゃないわよ!私はずっと霧ちゃんの恋人でいるからね」
霧は友達で、とは言ったものの、恋人としてはなどと言っていないと突っ込みたかった。
「私は先生が好きなの!」
「それでも構わない。ずっと私がそばにいて変えてあげるから…」
そうしてまといは霧に幸せそうによりかかっていった。

霧はまといの厄介な性格に巻き込まれたことを感じた。
そうして大きくため息をついた。
「だから…そんなことを言われても、私の気は変わらないと思うけどなあ…」
「だったらすぐにその気にさせる方法があるわよ」

そう言うとまといは霧にキスを迫った。
「だ、駄目だって!まといちゃん!ファーストキスは先生が…」
「大丈夫、優しくしてあげるから…」
「って、人の話を聞けっ!」
霧はまといを近づけさせないようにするだけで精一杯だった。
しかし二分後、霧のファーストキスプランはまといに奪われてしまうこととなった。

霧の受難はまたこれから続くのであった。
536あとがき:2008/07/15(火) 03:19:51 ID:YQvhaw6f
後半文章的に甘いところがあるかもしれませんが多めに見てやってください。
うつらうつらしながら書いたもので...

このCPは自分の中では結構な浮気性なCPです。
霧なら智恵だし、まといに限ってはオールマイティです。
けど最終的に帰ってくるのはこのCPです。

書き溜めしてたSSが無くなってしまいました。
これからは一から...ひえー大変だ!
537名無しさん@秘密の花園:2008/07/15(火) 16:43:55 ID:rLEmN1wc
そんなに義務感に駆られなくても、暇なとき、気の向いたときに投下してくれればオケー
538名無しさん@秘密の花園:2008/07/16(水) 12:25:05 ID:CSjywEj0
霧ちゃんはひきこもりなので逃げ場がありません
539名無しさん@秘密の花園:2008/07/16(水) 16:06:35 ID:N+VcYcMi
投下いきます。
もうすぐ夏休み、ってことで夏休みの計画を練るハルチリのお話。
よければどうぞ。
540夏計画(藤吉さんと木津さんの場合):2008/07/16(水) 16:08:17 ID:N+VcYcMi

「今年の夏は海かプール行かないの?」

晴美の問い掛けに千里がまたその話?と言いたげに顔をしかめる。
ねぇ、と首を傾げた晴美に気付いた千里がふるふると頭を振った。

「…行かない」

む、っと不機嫌を前面に押し出して拒絶する千里に
晴美が頭に疑問符を浮かべる。

このやりとりは今に始まった事ではない。

1週間ほど前から、夏休みの計画をどうするかという話をするのだが
海やプールに行く事だけはこれでもかというほど嫌がった。
千里に聞いてもその理由も教えてくれないのだ。

「何で行きたくないの?」
「何でもいいでしょう」
そう言ってベッドの上の千里は傍にあったクッションを抱え込むと
体育座りをして、クッションに顔を埋めた。

よくわからないがどうやら機嫌を損ねているらしい。

そんな千里を見て、ベッドから少し離れた椅子に座っていた晴美が溜め息を吐いた。

「何か理由があるなら、別に無理に誘ったりはしないからさー」
その言葉に千里の身体がぴくりと動く。
「そこまで頑固に拒否されると理由も気になるよ」
晴美の言葉に千里がゆっくりと顔を上げて拗ねたような表情を見せた。

「…理由言ったら笑うでしょう」
「笑わないよ」
そう言った晴美が真剣な表情をしていたのを見た千里が
仕方ないと観念して、ぽつりぽつりと理由を話し始める。

「…だって、水着着なきゃいけないから」
「そりゃ、海だからね」
晴美の返答に千里が再びむっとした表情を見せた。
541夏計画(藤吉さんと木津さんの場合):2008/07/16(水) 16:11:24 ID:N+VcYcMi

「…だから嫌なの」
「え、何、どういう事?」
それは理由になっていないと思った晴美がその理由の説明を求める。

「だから水着着るのが嫌なのよ!」
何かがぷっつり切れたかのように叫び出した千里に
晴美がびっくりしてびくりと身体を跳ねさせた。

「え、や、だから…」
「これ以上は言わないわ、絶対に!」
そう言って千里がキッ、と晴美を睨み威嚇する。
その態度を見た晴美は理由を探るのを止めた。

…まぁなんとなく理由はわかるんだけど。
スタイルの事をコンプレックスに持っているからとかそんなところだろう。
別に気にするほどの事でもないと思うけどそれはあくまで晴美の主観である。
千里にとってはそれが苦痛だというのなら、それは仕方ないと晴美は思った。

「じゃー、海もプールも無しだ」
そう言って晴美が笑う。
「え…?」
「千里がしたくない事を無理強いさせるのは良くないと思うからね」
うんうんと1人納得するように頷く晴美を千里がじっと見つめると
その視線に気付いた晴美が再び口を開く

「千里は何がしたい?」
言ってる事の意味がわからなくて、不思議そうに晴美を見る千里に
晴美があぁ、とその言葉へ補足を入れる。

「夏休み、何かしたい事ある?」
言いたい事はわかったけど、改まってそんな質問をされるとは思ってなかったので
千里が浮かべた不思議そうな表情は少し戸惑った表情へと変化した。

「急に言われても…」
「いいよ、ゆっくり考えて」
まだ夏休みは来てないんだし。
そう言って晴美がベッドへ近付き、千里の隣に座り直す。
ぴたりとくっついた肩が気持ちを落ち着かせた。

部屋に風を送るクーラーのモーター音だけが部屋に響く。
会話が止まる事なんてもう慣れっこなのに、何故か心が焦りを覚える。
千里の頭は夏休みにしたい事の答えを導くのに必死だった。
542夏計画(藤吉さんと木津さんの場合):2008/07/16(水) 16:15:21 ID:N+VcYcMi

晴美が今この場で答えを求めている訳ではない事も十分わかっている。
しかしやりたい事を伝える機会というのは実はそんなに多くなくて
自分から「あれがしたい」とか「これがしたい」と言う事は何だか照れてしまうからだ。


「花火、とか…?」
しばらくの沈黙の後、呟かれた千里の答えに晴美がなるほどと頷く。

「海やプールもいいけど、夏行事として花火も外せないよね」
ぶつぶつと独り言のように呟く晴美に千里が視線を送ったが
千里の視線には気付かずに晴美の言葉が1人先を行く。

「花火なら、お祭りの花火大会とかあるしねー」
「そ、うじゃなくて…」
晴美の言葉に千里が言いにくそうに口を挟んだ。

「ん?」
「そういう花火もいいんだけど…」
俯き加減で、言葉のはっきりしない千里の顔を
晴美がそっと覗き込むようにして見ようとしたが
それに気付いた千里がふいと視線を逸らした。

「店で売ってるような手持ち花火とかを、2人でやりたい、なとか…」
ごにょごにょと呟かれた言葉に、晴美がにやりと笑う。

「なるほどねー」
そう言って並ぶ千里の肩へ腕を回して
頭を抱えるようにして自分の肩へと抱き寄せた。

「っ…!?」
驚いた千里が小さく声を上げる。
それと同時に晴美が千里の耳元へと顔を近付けた。
晴美の吐息が耳をくすぐるその感覚に千里が身を竦ませた。

「千里がしたいなら、あたしは何だって付き合うよ?」
「…っ…」
少し悔しそうに唸る千里と対照的に晴美はにっこりと笑っている。


今年の夏休みにどんな思い出が作れるのかと
今から夏休みが待ち遠しくなったのは
晴美だけでない、千里も同じ気持ちになったんじゃないかなと
嬉しさを抑えられない笑顔を千里へと向けた。



―END―
543あとがき。:2008/07/16(水) 16:16:41 ID:N+VcYcMi

以上です。
本編では水着とかよく着てるんでネタ的にはイマイチなのかもしれない…
ミスチョイスだったかorz
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
544名無しさん@秘密の花園:2008/07/16(水) 22:35:31 ID:2AcF/DoL
千里も年頃の女の子っぽい悩みがあったのですね
スタイル抜群の晴美と比べるのが嫌なのか
よかったです
545名無しさん@秘密の花園:2008/07/17(木) 00:01:14 ID:CSjywEj0
この後、水着買ってきたからやっぱり海行こうとか言う千里、なんてデレイベントが
546名無しさん@秘密の花園:2008/07/17(木) 07:57:14 ID:FkAyBylH
朝っぱらからまと×霧で投下です。うーん霧×まとでもあるのかな。エロは無しです。

それでは、どうぞ。
547Happy Sailor:2008/07/17(木) 08:00:20 ID:FkAyBylH

校内にトロイメライが流れる頃になると、辺りは夕陽にすっかりと包まれた。
生徒達も早々に家路へとついており、残っているのは、校庭で片付け作業に勤しむ運動部くらいなものである。

2のへ組も例外ではなく、その教室には誰一人もいなかった。
が、突如として扉が開かれ、黒い長髪の少女が姿を現した。


小森 霧であった。
彼女は普段過ごしているようなジャージ姿ではなく、他の女生徒のものと変わりはないセーラー服を着て、この教室を訪れた。

霧が窓辺まで歩み寄り、そこから校庭を見下ろす。
既に帰り支度を済ませた運動部員らしき生徒達が、ふざけ合いながら校門へと向かっていく姿が見えた。

霧は視線を、自分が右手を預けている机へと移した。そこは窓際の一番奥に位置する席である。
机に備えられた椅子の背もたれには、『小森』と書かれたネームシールが貼られていた。

「ここが、私の席なんだ…」

霧が感慨深げに、机を撫でるように右手をすべらした。

548Happy Sailor:2008/07/17(木) 08:01:54 ID:FkAyBylH


その右手の上に、彼女とは別の左手が被せられた。


「―――まといちゃん?」

霧が少々驚きながら右側を振り向くと、そこには彼女の予想通り、常月まといの姿があった。

「ふふ、驚かせちゃった?」


あまり悪びれることもなく意地悪そうに微笑むまといを見て、霧はホッと心を落ち着けた。
そして、まといが自分と同じ様に、普段殆ど身に着けないセーラー服姿でいることに気が付いた。
そんな霧の視線を受けて、まといはどこか自慢げに言った。


「霧ちゃんがセーラー服を引っ張り出して、着ようとしているのを見ていたから。
 だったら私も着なきゃなってね…どう、似合ってる?」

「うん…、新鮮な感じがするけど、凄く似合ってるよ。なんだか、普通の女子高生って感じだね」

「霧ちゃんの方こそ、普通の女子高生みたいね。ジャージ姿も良いけど、こういう格好も可愛いな」

人並みが取り柄のどこかの女生徒ならばツッコミを入れるような会話をしながら、二人は笑い合った。


549Happy Sailor:2008/07/17(木) 08:02:54 ID:FkAyBylH


「たまにね、羨ましくなる時があるの」

笑いがおさまってから、霧はまといに話しかけるように言った。


「友達と楽しくしゃべりあったり、一緒にお弁当を食べたりって、どんなに楽しいことなんだろうなぁって…だからこうして、セーラー服着て、教室に来てみたんだ…」

霧が少し憂いを帯びた表情を浮かべる。

「分かるよ、そういう気持ち…」

まといも同じような面持ちで、霧の告白に静かに頷いた。



「それでもね」

霧が呟いた。



「まといちゃんと一緒にいられる今の生活が、幸せだよ」


霧は言葉とともに、笑顔でまといの左手に指を絡めた。



「…うん…私もよ」


まといはそれに応じるように、笑顔で霧の右手を強く握り返した。




教室に差し込む夕陽は、二人の頬と同じ様に、セーラー服を真っ赤に染め上げた。



550あとがき:2008/07/17(木) 08:04:56 ID:FkAyBylH

以上です。
セーラー服姿の二人が書きたかったのです。やっぱり色々と中途半端なのはご容赦下さい。
まと×霧は出てくるシチュエーションが限られてしまうので非常に厄介ですが、
それでもこればっか書いています。他のCPにも挑戦してみようかしら…。
ここまで読んでいただけたのであれば、幸いです。

それでは、失礼致します。
551名無しさん@秘密の花園:2008/07/17(木) 21:43:04 ID:Eq0Bsjnb
雰囲気が綺麗で良い!
ぜひぜひ他のCPもw
552名無しさん@秘密の花園:2008/07/17(木) 22:21:50 ID:B6UNoc6J
まと霧GJ!
この二人の絡み大好きだから、嬉しかった。
553名無しさん@秘密の花園:2008/07/17(木) 22:22:34 ID:p1p/ldnT
投下いきます。
可符香とカエレの夏休みの計画ネタです。
若干可符香が壊れ気味かも?よければどうぞ。
554夏計画(風浦さんと木村さんの場合):2008/07/17(木) 22:28:27 ID:p1p/ldnT

夏休みにカエレちゃんと思い出が作りたい。

可符香が改まってそんな事を言ったのは昼休み。
昼食を食べ終わった後の事だった。

「駄目かな?」
不安そうに様子を伺う可符香を特に断る理由も無かったので、カエレはその願いを聞く事にする。
「別に、いいけど…」
その言葉に可符香の目がきらきらと輝いた。

「やったぁ、じゃあ何がいいかな?」
「…思い出作りたいって言ってる割に自分では何も考えてないの?」
呆れたようなカエレに可符香がへらへらと笑顔を見せた。

「笑って誤魔化さないでよ…」
「いやぁ、ここはやっぱりカエレちゃんの意見を優先するって事で」
その理由はどこか見当違いだと思ったが何も言わずに
夏ならではのイベントを考え始める。

「夏祭りとかあるでしょう、花火とか」
「あ、それいいね、お祭り」
そう言ってカエレの意見に同意した可符香だったがすぐに表情を曇らせた。

「あ、だめだ」
1度は同意した可符香がすぐに意見を変える。
「どうして?」
最初は喜んでいた可符香が賛成を取り下げた理由がわからなくて
カエレは怪訝そうな表情を浮かべる可符香の様子を伺った。

「だってお祭りには浴衣を着るでしょう?」
「いや、まだ着ていくとは決まってないけど…」
そう言ったカエレに可符香が人差し指を立てて突き出す。

「お祭りといえば浴衣!浴衣といえばお祭りでしょう?」
「はぁ…」
可符香の勢いにカエレが無理矢理同意させられる。
555夏計画(風浦さんと木村さんの場合):2008/07/17(木) 22:33:28 ID:p1p/ldnT

「カエレちゃんが浴衣を着たら確実に悪い虫が寄ってきます…!」
「…は?」
可符香の言葉の意味がわからずに、カエレが間抜けた声を上げた。
「あんな綺麗な浴衣姿を世の男性が放っておくはずがない!」
そう言って可符香が机をばしん、と叩いた。

「だからお祭りはよくないと思う」
「…何よそれ」
そんな事ないわよ、とカエレが口を挟むより先に再び可符香が口を開く。

「だからお祭り以外の場所!」
「え、えーっと…」
可符香の勢いに圧倒されて、カエレの意見は口から出る事はなかった。

「じゃあ海とかプールは?」
「それもだめだよ!」
続けて出た提案にまたもや可符香が首を振る。

「ど、どうしてよ?」
「だってカエレちゃんの水着姿に世の男性はおかしな気を起こすかもしれない…!」
「…は?」
さっきと同じような理由にカエレが再び間抜けな声を上げる。
そんなカエレにお構い無しに可符香がぶつぶつと呟き始めた。

「…カエレちゃんの事そういう目で見る人間は全員生肉花に食べられてしまえばいいと思う」
「え、ちょっと何よそれ!?」
とんでもない言葉が聞こえた気がしたカエレが慌てて可符香を問いただす。

「え?どうかした?」
「や、今なんか生肉花がどうとか…」
「やだなぁ、そんな事言ってないよー」
若干青い顔をしているカエレに可符香がにっこりと笑いかける。

「いや、今間違いなく聞こえ」
「でー、夏休みどうしよう?」


夏休みが来るのが少しだけ不安になったカエレだった。


―END―
556あとがき。:2008/07/17(木) 22:35:00 ID:p1p/ldnT

以上です。
カエレの前で可符香がちょっとだけ本音を出すのが書きたかったのと
あとちょっとコミカルなおバカな話を書きたかったのもあってこうなりました。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
557名無しさん@秘密の花園:2008/07/18(金) 18:59:16 ID:RL9YC6Np
家が良いよ
558名無しさん@秘密の花園:2008/07/19(土) 03:55:41 ID:wfp1JtN3
>まと霧
穏やかで、しっとりとしてて好きです。
とても百合っぽい感じがして素敵です。

>カフカエ
可符香の変に黒い所が可愛いです。
それに振り回されるカエレも可愛い!
後、結局家になって可符香に食べられてりするんでしょうか?
可符香ならやりかねないと思って(笑)

投下です。
もしかしたら怒られるかもしれませんが・・・

「Bad Dreams」(愛×真夜)
559名無しさん@秘密の花園:2008/07/19(土) 03:56:19 ID:wfp1JtN3

キーン、コーン、カーンコーン!

授業を終えるチャイムが鳴った。
今日一日なすべき事を終え、生徒達が各々帰り支度をしていた。

加賀愛も帰宅のため、帰る用意をしているときに気づいた。
「あれ?」
机の中に入れておいたはずの財布が無いのだ。

もしやだれかに盗まれたのでは。
愛は真っ先にそう考えた。
だとしたら、いったい誰が。
愛は考えるまでもなく、ゆっくりとある生徒へと近づいていった。


「三珠さん」
真夜は後ろから急に聞こえた声に驚き、ビクッっと肩を揺らした。
恐る恐る後ろを振り返ると、そこには愛がこちらを見下ろしていた。
その目は冷たく、恐ろしいものを感じた。

「三珠さん、私の財布を見かけませんでしたか」
「し…知らない」
勿論真夜にはまったく身に覚えが無かった。
だが真夜は、はっきりと否定できず、思わず目をそらしてしまった。

「嘘ですよね。本当は三珠さんが盗んだんですよね」
「本当に…私は」
「だったらどうして目をそらしたんですか?」
それは愛の冷たい目が怖いから、とは言えず真夜はただ黙って俯いていた。

「そうだ!嘘か本当かを確かめるために、今から身体検査をしましょう。
 それで白黒はっきりすればいいんですよ」
愛は手を叩くとにっこり笑った。
そうして真夜の手をとり、教室の外へ出て行った。
「い、いやっ!」
真夜は抵抗しようにも、力強い愛の手になすがまま引っ張られていった。
560Bad Dreams:2008/07/19(土) 03:57:01 ID:wfp1JtN3

三珠真夜は何かと誤解されやすい。
クラス内に事件が起こると真っ先に疑われるのが真夜である。
証拠など無いのに、何故か見た目だけで決め付けられてしまうのだ。

そんな真夜を真っ先に疑うのは、被害妄想の強い加賀愛だ。
愛は、何かと真夜のせいにしたがる。
そして証拠探しという名目で、真夜で遊ぶのだ。
今日もまたそうである。


「んっ…ぁっ!」
人気の無い廊下に響き渡る水音と喘ぎ声。
そこには愛が涙目の真夜の唇を強引に奪っていた。
両手首を持たれて抵抗できない真夜は、ただただ愛の遊びに耐えていた。

「真夜さん、早く白状しないと、もっと酷い目にあわせますよ」
無邪気に笑みから発せられる、残酷な言葉は真夜を怯えさせた。
「け、けど…私は…知らない…」
「まだ白を切るんですか。だったら仕方ないですね」

愛は片方の手を真夜の制服の中を入れると、ブラジャーを押しのけ胸に触れた。
小さい真夜の胸を、愛は優しく撫ぜていった。

「愛っ!や…止めてっ!」
「駄目ですよ。真夜さんが罪を認めるまで止めませんから」
愛はそう言って、にっこりと笑った。

「こんな所、人に見られたら大変ですね」
耳元で囁かれた愛の一言に、真夜は体を凍らせた。
早くこの場から逃げないと、そう思い抵抗を強めたが愛の拘束は緩まなかった。

「もう…止めて…」
真夜は悲しげにそう呟いた。
その言葉が、愛のサディスティックな感情に火をつけた。

「本当に、真夜さんは可愛いんだから」
そう言って、愛は再び真夜の唇を奪った。
激しく、甘く、とろけていった。
561Bad Dreams:2008/07/19(土) 03:57:29 ID:wfp1JtN3

さて、ここで今回の話は終えるとする。
何故かって?それは今までの話はただの夢だからである。

窓から差す光と朝を告げる雀の鳴き声で真夜は目を覚ました。
真夜はぼんやりする頭でさっきまでの夢を回想していた。
嫌な夢を見た、真夜は朝から憂鬱な気持ちになった。

教室に着いたときだった。
「真夜さん、おはようございます」
いつものように愛が真夜に向かって挨拶をしてきた。

いつもと何も変わらないはずなのに、真夜は愛に恐ろしさを感じた。
あのことは夢だと知っていながらも、素直に返事ができなかった。

すると返事の無いことに愛は疑問を持ち真夜に近づいていった。
「真夜さん、どうしたんですか?顔色が優れませんけど…」
真夜は知らないうちに顔を真っ青にしていたようだ。

真夜の気持ちも知らずに、愛はどんどんと近づいていった。
「真夜さん」
その姿が夢の愛とダブってしまい、真夜は恐ろしさのあまり後ずさった。
「い、いや…」
そう言うと、真夜は思わず逃げてしまった。

愛の制止を振り切って、真夜はひたすら逃げた。
おそらくは今日一日は愛の影に怯えながら学校生活を送らなければならないだろう。
だが逃げられた理由がわからない愛は、
自分のせいで真夜に嫌われたと思い込んで
一日中悩み続けることになることは真夜も知らなかった。

だがそれはまた別の機会に。
562あとがき:2008/07/19(土) 04:01:34 ID:wfp1JtN3
@夢ネタを書きたかった
A真夜受けを書きたかった
そういう不純な気持ちでやってしまったキャラ捏造です。
性格を反転にすると愛って凄く嫌なキャラだな、とか思いました。
どっちも原型を留めてないです、ごめんなさい。

う〜ん、書いてて楽しかったです。
また書きたいなあ・・・・
563名無しさん@秘密の花園:2008/07/19(土) 07:28:59 ID:0R/N3lcU
比嘉愛かわいいよ比嘉愛
564名無しさん@秘密の花園:2008/07/19(土) 20:20:31 ID:2p3bdnOQ
投下いきます。
夏休みの計画を持ちかける小節さんとその話を聞く音無さんの話。
よければどうぞ。
565夏計画(小節さんと音無さんの場合):2008/07/19(土) 20:22:46 ID:2p3bdnOQ

「芽留ちゃんは夏休みどうするの?」

あびるの質問にちらりとだけ視線を送った後
芽留は再び携帯へと視線を落とした。

『別に何も』
そうとだけ打たれたディスプレイにあびるがふむと頷いた。
「どこにも行かないんだ?」
あびるの言葉に芽留が興味なさげに携帯を触り続ける。

『面倒だからだ』
「面倒?」
芽留の打つ文字を繰り返したあびるに芽留がむ、と唸った。

『暑い中わざわざ出掛ける理由がわからない』
芽留の意見になるほどと再びあびるが頷く。
そんなあびるの事は気にせずに、芽留は携帯へ視線を固定し続けていた。
「じゃあ外じゃない場所とかは?」
あびるの言葉に芽留の手が止まった。

『何だそれ』
「暑いのが嫌なら建物の中とかさ」
あびるの提案に芽留が携帯から目を離しきょとんとした視線を送る。

「せっかくの夏休みなんだし、少しくらいは楽しみたいじゃない?」
そう言ってあびるがにっ、と微笑った。
『オマエの言うこともわからなくはない』
だがどこへ行くつもりなのか、あびるの考えている事が見えない。

「暑くなくて、癒される場所があるよ」
まぁ人はちょっと多いかもしれないけど。
そう言ってあびるが芽留を得意気な表情で見た。
あびるの思わせぶりな言い方に興味のなかった芽留も何となく気になってしまう。
動きを止め、視線を合わせるとあびるはにっこりと微笑んだ。
566夏計画(小節さんと音無さんの場合):2008/07/19(土) 20:27:45 ID:2p3bdnOQ

「水族館はどう?」
少しばかり得意気に言う姿があびるにしては珍しかった。

確かに建物の中だ、日差しは凌げる。
夏休みだから人は多いだろうが、それはどこへ行っても同じ事だろう。

「水族館なら涼しいし」
場所によっては寒いくらいかもしれないしね。
あびるの言葉を聞きながら芽留が携帯へ再び文字を打ち始める。

『まぁ、水族館くらいなら』
しっぽのある魚は少ないし、間違っても引っ張るなんて事は出来ないからだ。
しかしそんな事は建前で、本音としては悪くない、むしろいいんじゃないかと思っていた。

「じゃあ、一緒に行こうか」
そう言ってあびるがにっこりと微笑む。
『予定が空いてればな』
そんな文字を打って見せるが、本当は嬉しいのだ。


自分から誘うのはどうにも癪で
せっかくだしどこかへ行きたいという気持ちはあるのに
心にもない事を言ってしまう。

そんな態度が本当の気持ちではないという事を
わかってくれているあびるの対してだけ出来る事なのだ。

「予定が空いてれば、ね」
そう言ってあびるがちらりと芽留を見て微笑む。
わかっているにも関わらず、少しだけ試すような態度。
その態度はやっぱり癪だけど、でもやっぱり嬉しい事には変わりない。

む、と顔をしかめながらも
携帯のメモへ『夏休みは水族館に行く』と打ち込んで、ぱちりと携帯を閉じた。


夏は暑くて、嫌いだ。
そう思って過ごしていたが
今年の夏は少しだけ、ほんの少しだけ待ち遠しく思えた。



―END―
567あとがき。:2008/07/19(土) 20:28:57 ID:2p3bdnOQ

以上です。
あび芽留がマイナーでも少数派でも気にしない。
(自分も書いたの久しぶりですけど…)
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
568名無しさん@秘密の花園:2008/07/20(日) 23:44:19 ID:HAYFAnoG
>>562
ガン攻めの愛ちゃんに受け気質の三珠さんとかドキドキします
夢じゃなくてもテンションあがって反転してもらいたいものです

>>567
GJ!相変わらず小道具としての携帯の使い方がうまいです
569名無しさん@秘密の花園:2008/07/22(火) 18:25:06 ID:PmKJnyPD
投下行きます。
ハルチリで切なさと甘さの混合にチャレンジしてみました。
よければどうぞ。
570Dearest:2008/07/22(火) 18:27:31 ID:PmKJnyPD
「ねぇ」

千里の呼び掛けにふいと晴美の頭が上がる。
不思議そうにこちらを見つめた後、ふわりと笑った。
その表情がとても愛しくて、とても憎い。
何も言わずに手首を掴まえると、晴美の表情が少しだけ驚いたものへと変わる。
ぎゅっと強く握って、引っ張れば目が細まるのが見えた。

「どうしたの」
掴まえた手がやんわりと外される。
離れる事が気に入らなくてふるふると首を振ると
晴美は再び千里の手を自分の手首に掴まえさせた。

「どうしたの」
再び同じことを聞かれたが、千里は黙ったまま手首を強く握る。
「あまり強く掴まえたら痛いよ」
苦笑いした晴美をちらりとだけ見て、再び俯いた。


―自分は一体どうしたいんだろう。


自分に問い掛けても答えなんて何も出ない。
この気持ちをどう表現していいのかわからなくて
でも何とか伝えたくて、気持ちだけが先を行ってどうしようもない。

ゆるゆると顔を上げると、視線の先には晴美がいて
何も聞かずに、にっこりと微笑みながら千里を見つめていた。
そうしたら何だか急に恥ずかしくなって、思わず手首から手を離した。

「もういいの?」
ひらひらと手を振って見せる晴美にこくりと頷く。
「…それは、もういい」
ぽつりと呟かれた言葉。
それを確認するかの様に晴美が千里のへと視線を向けた。

「え?」
きょとんとした晴美の表情を見たら、一気に熱が顔へと集まった。
ふいと視線を逸らすと、今度は晴美が千里の手首を掴まえる。
571Dearest:2008/07/22(火) 18:31:27 ID:PmKJnyPD

「今なんて言った?」
にやりと浮かべられた笑みに千里が苦い顔を見せる。
「…どうせ聞こえてるくせに」
そう言って晴美の手を払おうとしたが
振り払う事が出来ずにそのままだらりと下ろされた。

「うん、聞こえてる」
晴美の言葉にむ、と千里が唸る。
「じゃあいちいち聞かないでくれる?」
照れのせいで声が上擦ってしまう。

しかし晴美はその声の変化も見逃さない。
にやにやと笑いながら千里を見つめるだけだ。

「な、によ…」
「別にぃ?」
余裕たっぷりの態度に千里が少しだけ腹を立てる。

「…気に入らないわね、その態度」
「えー、ほんとに?」
わざとらしくとぼけた様な声に千里が晴美を睨んだ。

「その言葉の割には嫌がってない気がするんだけど?」
晴美の言葉に千里のと眉がぴくりと動く。
「嫌よ嫌よも好きのうちー、ってね」

へらへらと笑うその顔が苛立って、癪に触る。
なのに、どこか違和感を感じてしまうのはどうしてだろうか。

「千里?」
晴美の声ではっと我に返った後、千里が苦い顔をした。

「怒った?」
「…別に」
ふいと視線を逸らしながらの言葉の効力は薄い。
少しばかり淋しそうな表情を浮かべた晴美がしゅんとうな垂れた。

「だから怒ってないって言っているでしょう」
ころころと変わる表情に今度は千里がフォローを入れなければならなくなる。
572Dearest:2008/07/22(火) 18:33:58 ID:PmKJnyPD

…そう怒っている訳ではない。
自分に湧く怒りの感情に違和感を感じているくらいなのだ。
その答えがわからなくて、胸がもやもやする。
いや、きっと答えはわかっているはず、なのだ。

それはつまり…

「…恋は盲目とはよく言ったものよね」
「え?」

怒り、苛立ち、憎らしさ…。
これらの負の感情が違和感にしかならない理由はひとつ。


それ以上に晴美を好きだから、だ。


好きの感情が大き過ぎてそれらの感情は異物にしかならない。
盲目的に晴美を好いて…いや愛している事をはっきりと証明しているのだ。

きょとんとする晴美に千里がじとっとした視線を送る。
その視線の意味がわからなくて晴美は目をぱちぱちとさせた。

「な、何?」
「何でもないわよ…バカ」
ふいと視線を逸らすと晴美は
ますます意味のわからないといった表情を見せたが
すぐににっこりと笑う。

「はいはい」
そう言って晴美はくしゃくしゃと千里の頭を撫でる。
その行動に千里は唸って俯くしか出来なかった。


自分だけがこんなに好き過ぎる事に時々情けなくなる。
でもどうしようもないくらいに好きなのだ。
どうして?と聞かれてもわからない。

1つはっきりしている事は、どう転んでも引っくり返っても晴美が好きだという事だけだ。



―END―
573あとがき。:2008/07/22(火) 18:35:41 ID:PmKJnyPD
以上です。
前半で切なさ、後半で甘さと思い書きましたが
結局いつもと変わらない話になりましたね…。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
574名無しさん@秘密の花園:2008/07/22(火) 22:29:13 ID:m9E84Qp7
お互いに好きで好きで仕方ない感じが伝わって来ました
GJです
575名無しさん@秘密の花園:2008/07/23(水) 02:21:18 ID:pD+mNLLL
晴美的には惚れた千里が悪い
千里的には惚れさせた晴美が悪い
みたいな
576名無しさん@秘密の花園:2008/07/24(木) 18:15:28 ID:BlX2Gskb
今週の婦警コス晴美かわいすぎ
ぜひ千里に職質プレイを
577名無しさん@秘密の花園:2008/07/24(木) 23:00:23 ID:qdK2zzGG
愛×千里ないの?
578名無しさん@秘密の花園:2008/07/24(木) 23:27:17 ID:2EiUk0TR
個人的には好きだけど、とてもマイナーだと思うよ。
579名無しさん@秘密の花園:2008/07/24(木) 23:52:21 ID:jOTo6XwS
ふと思ったけど、単行本巻末のイラストで、ハルチリ絵って見たこと無い気がする
ネットではよく見るのに
580名無しさん@秘密の花園:2008/07/26(土) 17:28:30 ID:vzrcPW1M
じゃあ次の巻に載るのを目指してみんなで投稿しようぜ
そんなに一気にハルチリ絵来たら、クメタンコーナー作ってくれるかもしれんしw
581名無しさん@秘密の花園:2008/07/26(土) 19:55:29 ID:L3nWXpwy
難易度の高い振りだw
582名無しさん@秘密の花園:2008/07/28(月) 21:58:16 ID:R4KFnlDl
一斉投稿いいな
他にも参加者いるなら俺も支援するよ
一般人の目に触れても支障のない程度にw

ここを見てる人って何人くらいだろう
ROMも含めたら100人位いたりするのかな
583名無しさん@秘密の花園:2008/07/30(水) 01:43:12 ID:wwPYhoMe
このスレに触発されて一本書いてみたら、長さが30KBを越えた…。
さすがにここに貼るには長すぎるので、下記のURLに置いておきます。
よろしければどうぞ。
ttp://sky.geocities.jp/kahunami11/index.html

カフ奈美です。
584名無しさん@秘密の花園:2008/07/30(水) 03:29:57 ID:AFJ2Tyv4
上の愛×千里で話はないかと考えていたところ、
全く出てこない自分の頭に絶望した!

ってか何かないだろうか・・・

>>カフ奈美
凄く原作を意識して書いていらっしゃるなあと。
可符香と奈美のキャラクターがとてもよく出てて素敵でした。
やっぱりこのカプはいいよ!


ええ、私も書きました。微マイナーです。
「SILENT YARITORI」(あびる×芽留)
585SILENT YARITORI:2008/07/30(水) 03:30:53 ID:AFJ2Tyv4

外は夏で溢れている。
強い日差し、狂ったように騒ぐ蝉の鳴き声、はしゃぐ子供の声。
全ての風景、音、色などの要素が各々の持つ夏のイメージを刺激する。

だがそんなもの、窓を閉めて冷房を効かせればどこへやら。
一気に私の部屋は夏の世界から孤立し、独立し、消失する。
そして私達二人だけが、別世界で存在することとなる。


人々が絶えず進行する中、全く動かない私達。
本来恋人同士ならば海やプール、遊園地など遊ぶ場所はどこへでもあるのだ。
夏休みという素敵な響きが、そんな定番の未来予想図を思い描かせるはずである。

だが私は暑いのが苦手だ。
彼女のプランが全てこの猛暑の中に行われることがわかると
私は正直に首を横に振ってしまった。
わがままだろうと思ったかはわからない。
けど彼女はいつもの優しい顔でしょうがないなあと言ったように笑った。


汗をかくのは嫌だが、時間を無駄にするのも嫌である。
せっかくの夏休み。
どちらから話をつけたわけでもなく、私の家で遊ぶこととなった。
だが「遊ぶ」とは何なのだろうか。
目的も無く、ただ私達は部屋でごろごろしていた。
ただごろごろしていたのである。
それが名目上の「遊ぶ」である。


「芽留ちゃん」

私の目の前で彼女は呼んだ。
見慣れた彼女の姿。
端正な顔立ちに優れたプロポーション。
そして体中に巻かれて大量の包帯。
そのたくさんの要素が形成され、「小節あびる」という人間が出来ていた。
586SILENT YARITORI:2008/07/30(水) 03:31:11 ID:AFJ2Tyv4

『なんだよ』
「呼んでみただけ」
そう言って彼女は笑みを浮かべた。

他人が見たら何ていうだろうか。
[こんなことして楽しいの?]
あまりにも何も無い二人のやり取り。
奇妙と思う人もいるだろうが、これが私達の「いつも」であった。

元々会話の少ない私達である。
彼女もあまり積極的に話すタイプでは無いし、私なんて特にである。
そんな私達は言葉ではなく、体で触れ合い、コミュニケーションを取る。
だが「触れ合い」という言葉にセクシャルな意味は込められていない。
字の通りである。


「ねえ、抱きしめてもいい?」
二人きりになると決まって彼女はこう言う。
断ったら断ったで後々うるさいので、何も言わないことにした。
その沈黙を好意的に受け取ったのであろう。
嬉しそうに近づいてきた。

後ろの方から私に手を回して、ギュっと抱きしめた。
その時に触れてしまう胸に少し嫉妬を感じてしまう。
うらやましい。
海に行きたくない理由の一つはこれであるのを彼女は知らないのだろうか。


冷房を効かせすぎたせいか、今日ははっきり彼女の体温を感じた。
温かく、柔らかく。
何度もこの感触を味わったが、未だに恥ずかしく感じてしまう。
そして幸せも。

何も話さず、部屋は静寂で包まれていた。
そこには二人の呼吸の音だけがあった。
587SILENT YARITORI:2008/07/30(水) 03:31:29 ID:AFJ2Tyv4

徐々に胸の高鳴りが静まってくると、次は考え込んでしまう。
怠惰な二人の関係。
発展も進展もなく、ただただ一緒にいるだけ。
それでいいのだろうか、それで大丈夫だろうか。
今は幸せな恋も飽きられてしまうのではないのだろうか。
そんなことを考えてしまい、怖かった。

ただただ平行線の進展を幸せに思うだけでは行けないのだろうか?
しかしそれに終わりが来るのが人間なのだ。


『いつもこんなことをして飽きないのか?』
「芽留ちゃんは嫌なの?」
『質問を質問で返すな』


すると彼女はふっと笑ったの。
「芽留ちゃんが望む限り、私はずっと一緒にいるよ」


短い言葉だった。
しかしそれは私の心に強く残った。
真偽なんてわからないはずなのに、ただただ嬉しかった。


抱きしめる彼女の手を外し、今度は私から彼女に抱きついた。
すると彼女もゆっくりと私を抱きしめてくれた。

今はまだこのぬるま湯に漬かっていよう。
そんなことを、私は考えていた。
588あとがき:2008/07/30(水) 03:33:46 ID:AFJ2Tyv4
あび芽留でエロって書けないな、って思って書きました。
「恋と退屈」がテーマですが。

あと文体が読みづらいかもしれませんが、そのときはごめんなさい。
589名無しさん@秘密の花園:2008/07/30(水) 03:56:21 ID:gUI6UasL
>>580-582
ハルチリに限定じゃなくても百合絵を一斉投稿ってのはどうだろう…?
うまくいけばコーナー化も夢じゃないかも?
実現したら面白いのになぁ…

>>583
長編お疲れ様でした。
なのにキャラが沢山出ててもごちゃごちゃしてなくて
原作のネタもふんだんに盛り込まれて
それでいてメインのカフ奈美が丁寧に書かれていて
奈美がすごく可愛かったです。
590名無しさん@秘密の花園:2008/07/30(水) 19:22:51 ID:a5vZDUd1
糸色 望は推理エンジンの老朽化により、
エンジンをDMF14HZAに換装し、
変速機を直結2段式のDW16に交換された。

DMF14HZAは直噴射エンジンであり、
小型軽量のエンジンながらも、DML30HSD並みの
パワーが出せるため、経済面、軽量化にもすぐれており、
直結多段式の変速機に交換したことにより、
結果として推理力の性能は向上している。
591名無しさん@秘密の花園:2008/07/30(水) 20:13:31 ID:/cz6RGlQ
>>590
先生に何が起こったんだww
誤爆?
592名無しさん@秘密の花園:2008/07/30(水) 20:19:09 ID:/3nbrL6v
最近、各絶望スレに出没する荒らしですよ
ついに百合スレにも現れたか・・・
593名無しさん@秘密の花園:2008/07/30(水) 20:52:39 ID:J/iLB6hM
>>583
キャラ設定をうまく使っていて凄く良いです
奈美がカフカの心の闇に振り回されながらも惹かれあっていったりしたらいいな
>>588
あびめるの落ち着いた感じと、それゆえの不安が良いです
不安ならえっちしちゃえ、めるの誘い受けでw
594名無しさん@秘密の花園:2008/07/31(木) 06:21:39 ID:IF3K5R51
ギンコ
「あーあ、私のスペアポケットをこんなに汚しちゃって・・・。
また洗わなくてはいけないよ。」

洗濯機を回した。
糸色 望「ああ〜!!うっう〜!!眼がまわ〜る!やめてぇ〜!!」

ギンコ「ん?木箱がガタガタと言っている。ウロかな?
うわっ!」ドーンキュキュキュールルルキューンキューンキューン!
ギンコの木箱からずぶ濡れになった糸色 望が出てきてギンコはびっくりしてしまった。

実はスペアポケットの中に隠れていて、ギンコはそれを知らずに洗濯機で洗ったため、
全身ずぶ濡れになった上に、ぐるぐると回されて眼を回してしまった。
595名無しさん@秘密の花園:2008/07/31(木) 13:28:47 ID:ZCOYCxdd
文章が精神分裂病っぽくて怖い
596名無しさん@秘密の花園:2008/08/01(金) 07:47:40 ID:t2iJi0CM
流れがいろいろあれですけど、投下行きます。
可符香×カエレ、暑い時期に熱い話です。
597HEAT,HEAT UP:2008/08/01(金) 07:50:06 ID:t2iJi0CM

後ろから脇腹の横を通って伸びて来た腕がカエレの胸の下辺りで組まれる。
背中にぴったりとくっつくのはただひとりの心当たりしかない。
その真後ろに張り付いている人物に向けて
大きく溜め息を吐いてから、少し低目の威嚇するような声を出した。

「…離れなさい」
しかし腕が緩むことはなく、返ってきたのは疑問を含んだ言葉だった。
「どうして?」
顔が見えなくとも不思議そうな表情でも浮かべているが脳裏にちらつく。
「暑苦しいからよ」
そう言ってカエレが可符香の腕を掴まえた。
可符香の体温が手に伝わる。


…熱い。


「暑いのは苦手?」
背中から聞こえる可符香の問い掛けに
何も答えずに自分の身体に回った腕を離す。

「あ」
外された腕に少々残念そうな声が上がった。
「ただでさえ暑いんだから、くっつくのは止めなさい」
そう言ってカエレが歩き出した。

遅れて後ろからぱたぱたという足音が聞こえてくる。
その足音はカエレの横を少しすり抜けて、2、3メートルほど先で止まった。
くるりと振り返った可符香がにこりと笑う。

「…何よ」
「カエレちゃんは案外回りくどい言い方をするんだなぁと思って」
可符香の言葉にカエレがぴくりと片眉を上げる。
598HEAT,HEAT UP:2008/08/01(金) 07:53:23 ID:t2iJi0CM

「…何が言いたいの?」
「え、何って」
そう言ってまた可符香が笑みを浮かべた。
そうしてカエレの方へ1歩、また1歩踏み出す。

「暑いからなんて言い訳じゃないですか」
そう言って可符香がカエレの間近まで迫った。
「ちょっと…近っ…」
身体を反らそうとしたカエレより一足早く可符香が唇を重ねた。
カエレに抱きつく事もなく、身体に触れる事もなく唇だけを触れさせる。
離れる間際、ぺろりとカエレの唇を舐めてから可符香が身を引いた。

「っ…!」
その動きにぴくりとカエレの身体が跳ねる。
「これなら暑くはないよね?」
そう言って可符香が手のひらをひらひらと振りながらにっこりと笑った。

そんな可符香を睨みながら何か言おうとしたが全く言葉にならず
カエレは額に手を当ててゆっくりと首を振る。

「…あのねぇ」
「ん?何?」
だって触ってないよ?と言いたげに可符香が小首を傾げた。
そんな可符香をちらりと見た後カエレは再び溜め息を吐く。

「触ったとか触ってないとかそういうんじゃないの」
その言葉に可符香がきょとんとした表情を見せた。
「…ここどこだと思ってるのよ」
「学校だよ?」
「わかってるなら尚更」
不機嫌そうに呟くと、キッと可符香を睨み付ける。

「学校とわかってるんならこういう事は止めなさい」
「じゃあ学校以外ならいいの?」
「…あのね」
揚げ足を取る様な可符香の言葉が頭痛を引き起こしそうになる。
599HEAT,HEAT UP:2008/08/01(金) 07:56:12 ID:t2iJi0CM

「カエレちゃんももうそろそろ素直になってくれたらいいのに」
ぽつりと呟かれた言葉にカエレがぴくりと身体を震わせた。
ゆっくりと可符香へと視線を向けると
それに気付いた可符香がにっこりと笑顔を返す。

「今、何て…?」
「え?そろそろ素直になってくれたらいいのにって」
先程の言葉をためらいなく繰り返した可符香を睨むが
同時に頬に熱が集まるのも感じる。
ふるふると頭を振って熱を逃がしたカエレが目の前の可符香の横をすり抜けた。

「…バッカじゃないの」
捨てセリフのように呟いてみるも、可符香には堪えないだろう。
しばらく進むと、後ろから背中に向かって言葉が飛んできた。

「カエレちゃん、やっぱり可愛いよ」
その言葉にカエレがぴたりと足を止めたかと思えば
その足ですぐに可符香の目の前まで戻ってくる。

「余計な事言わないで」
「だって事実だし」
しれっと言ってのける可符香にカエレが言葉を詰まらせた。
「いいから、しばらく黙ってなさい」
そう言ってカエレが可符香の手を掴まえる。

「え」
流石の可符香もこれは予想していなかったらしく少々間抜けな声を上げた。
戸惑う可符香をそのままぐいぐいと引っ張り廊下を歩いていく。

「暑くないの?」
「…熱いわよ」
でも放っておけば何をするかわからないのだから仕方ない。

そうこれは仕方ない。
熱さが止まらないのも仕方ない。


…そう思わないとこの熱さはやってられないのよ。



―END―
600名無しさん@秘密の花園:2008/08/01(金) 07:58:24 ID:t2iJi0CM

以上です。
夏休みに入る前に投下したかったなぁと少し後悔。
デレ分多めのカエレ、のつもりでしたが、惨敗。難しい…。
601名無しさん@秘密の花園:2008/08/01(金) 20:47:31 ID:lJvKf7dq
糸色 望、蟲師のギンコは身体の構造上、
夏の暑さには非常に弱い。
602名無しさん@秘密の花園:2008/08/01(金) 21:49:37 ID:f7zFt4NM
遅レスすまん
>>583今読んですごい良かった!
百合スレは短編多いけど長編もいいな
カフ奈美可愛いよカフ奈美
603名無しさん@秘密の花園:2008/08/02(土) 00:17:38 ID:uOp0t4Yk
>>600
GJ
カエレのデレって良いですよね
604名無しさん@秘密の花園:2008/08/02(土) 01:43:42 ID:wDEiWJYW
カエレはデレる時が一番可愛いです。
いつもツンツンしてるから尚更。
>>600 GJ!
605名無しさん@秘密の花園:2008/08/05(火) 23:34:16 ID:0RX1psfr
こないだの日曜日に大阪であったオンリーイベントで加賀霧の百合本出してるサークル見つけたけど
これからのコミケや9月のオンリーに百合サークルは出たりするのかな?
606名無しさん@秘密の花園:2008/08/08(金) 19:42:17 ID:/tApTF60
投下いきます。
常月さんと小森さんのお話です。
×よりは→な話かも、よければどうぞ。
607Summer Break Time.:2008/08/08(金) 19:45:11 ID:/tApTF60

夏休みに入り、学校へ来る生徒というのは
部活動だとかで登校するごく一部の生徒だけになる。

そんな中でも担任の糸色望が学校へと来る日には
その後ろにぴたりとついて回る女生徒がいた。
望の教え子の常月まといだ。
夏休みになっても、望の後を追い掛けるのは日課になっているようである。


この日もやはり望の後を追い掛けてきたらしいが
職員達で話し合いがあるとの事で、職員室から追い出されてしまった。

仕方がないので校内をぶらつく事にしたが、当然ながら生徒の1人も見当たらない。
廊下を歩いている内にふと、生徒がいるであろう心当たりの場所が思い浮かんだので
まといはいそいそとその場所へと足を運んだ。

校内からでなく、外へ出て、外からその場所の窓の傍に立つ。
その部屋の窓は開けっ放しにされていた。
戸締まりをしていないということは中に誰かがいるということになる。

ひょっこりと中を覗くとやはり、宿直室には霧が籠もっていた。
夏休みにも関わらず、学校に引き籠もることはやめないらしい。
そんな事、まといにとってはどうでも良かったのだが
物好きだと思いながら妙に気になってしまう。
じっと霧を見つめると、その視線に気付いた霧がふとまといの方を見た。

「あれ、どうしたの?」
夏休みにも関わらず、まといがここにいる事に驚いた霧がきょとんとした目を向ける。
「先生に着いてきて、暇だったから見に来ただけよ」
そう言ってまといがふいと視線を逸らした。
その態度にも霧は表情を変えることなく、まといへと視線を向け続けていた。

「そう」
納得した様に頷いて、この季節でも手放さない毛布を引き寄せる。
その様子を見たまといがぽつりと呟いた。
608Summer Break Time.:2008/08/08(金) 19:48:11 ID:/tApTF60

「夏休みもずっとここに籠もるの?」
「うん」
そう言って霧がこくりと頷く。

「独りって淋しくない?」
「さぁ、どうかな」
はぐらかすような霧の言葉にまといが窓から部屋を覗き込んだ。

「さぁ、って自分のことじゃない」
少々苛立った様子が声からもわかる。
「だって、ずっとこうだったんだもん」
他の生徒が授業をしていようと、下校してしまっても霧はずっとここにいるのだ。
平日だって、日曜日だって、祝日だって、それは変わらない。

「こんな言い方変だけど、慣れちゃったんだ」
「…独りでいることに?」
まといの言葉にこくりと頷いて見せる。
「案外独りも悪くないよ」
そう言って霧が笑った。

まるで自分とは正反対だと思う。

好きになった相手の事が気になって気になって
四六時中、相手を見ていないと不安で仕方ないまといには
相手の姿か確認できない状況で、じっとしているなど考えられなかった。
霧が学校に篭る以前、自宅に篭っていた頃もまといのような考えは一切無かったのだろう。

そんな事を考えながら、まといが俯いた。
ジワジワと煩いくらいに鳴く蝉の声すらも耳に届かない。

「あなたは夏休みも先生を追いかけるんだね」
霧の言葉にまといがはっと顔を上げる。
視線の向こうで霧が念を押す様に首を傾げていた。

「あ、当たり前でしょ」
「そうだよね」
そう言って霧がくすくすと笑う。
609Summer Break Time.:2008/08/08(金) 19:53:59 ID:/tApTF60

「何がおかしいの?」
「当たり前のことをいちいち聞く自分が変だなって」
その笑いが自分自身へのものだと説明した霧だったが
まといのもやもやとした気持ちはそんな事に対してではなかった。
ぎゅっと手を握り締めて、意を決したように言葉を紡ぐ。

「でも」
緊張から少し擦れ気味の声に、霧がふと顔を上げる。
霧が見つめたまといは眉間に皺を寄せて
困惑したような照れたような表情を浮かべていた。

「先生にだって登校日とかあるから学校には来るわよ」
先生が学校に来る事は今、何の関係があるのだろうか。
まといの言葉の意味がわからなくて、霧がきょとんとした表情で固まる。
そんな霧に気付いたまといが慌てて手を振った。

「い、今のは忘れて」
「え?」
「いいから!」
まといの勢いに霧が押し黙ったが、すぐに笑顔を見せた。

「うん、わかった」
納得したような様子の霧だったが
まといはばつの悪そうな表情を浮かべる。

「じゃ、もう行くから…!」
そう言ってまといが宿直室に背を向けて歩き出した。
「またね」という霧の声が聞こえたような気がしたが、後ろを振り返る事はしない。


しばらく歩いて、宿直室が見えなくなる頃
ほっと息を吐くと、じわじわと汗が滲んでくる。
まるで今までの暑さを忘れていたかのように思えた。
また煩いくらいの蝉の声が再び耳へと戻ってくる。
それほどまでにまといの気持ちは霧へと集中していたのか。
それに気付いたまといは何とも言いがたい表情で足を早める。


照り付ける太陽が眩しい、夏休み中の出来事だった。



―END―

610あとがき。:2008/08/08(金) 19:56:25 ID:/tApTF60

以上です。
普段あまり書かないカップリングなのでどうもキャラが掴めない…。
時は7月下旬くらいの頃だと思ってください。
ちょっと投下が遅かったです…。
611名無しさん@秘密の花園:2008/08/09(土) 22:08:26 ID:+RWxzfNq
GJ
まと霧は形にするの難しいですね
久米田せんせがもう少し燃料くれたらなー
612名無しさん@秘密の花園:2008/08/10(日) 01:37:22 ID:wZ5xnNYE
二人とも先生に惚れているっていうところから
恋愛対象の矛先が知らず知らずに変わっていっているっていうのが
まと霧の好きなところです。
好きになったらまといは凄そうだ。
ごちそうさまでした!
613名無しさん@秘密の花園:2008/08/11(月) 01:27:46 ID:YB4X0jpV
>>583
読みました。面白かったです。
以前にエロパロ板の方で、心のスキマというのを書いたことがあって、そのときにも
ちょっと触れたんですけど、絶望キャラの中でも一番内面が想像しやすいキャラと、
想像しづらいキャラって感じで組み合わせると面白いんですよね。
614名無しさん@秘密の花園:2008/08/13(水) 19:31:58 ID:4oeK7Xoy

投下いきます。
今回の話はこのスレの初期の方に書いた「Bleeding Luv」の続編です。
晴美×あびるで、今回もえろ描写が入ってるので苦手な方はご注意を。
615Luv of the Truth:2008/08/13(水) 19:35:44 ID:4oeK7Xoy

放課後、生徒達が帰った教室から内緒話のように小さく囁かれる声。
良く聞けばどうやら普通の会話ではない。
時折混ざる甘い吐息は普通の会話からは考えられない雰囲気を醸し出している。


「…ねぇ」
はっ、と息を吐きながらあびるが晴美の肩に手を置いた。
「なに?」
制服をはだけさせ、更に下着も捲り上げた状態にしたそこに晴美が口付けを繰り返す。
敏感な場所に触れられるとあびるはぴくりと身体を震わせた。
そんな様子を可愛いと晴美が呟く。

「ど、してこんな事…する、の…?」
「じゃあどうしてそんな事されてるの?」
胸を包み込まれてゆっくりと撫でられるとあびるは深く溜め息を吐いた。

「それ、はどう、いう…っ…」
反論しようと思っても身体に触れる唇がそれを阻止する。
「意味も何もそのまんまだよ」
ちゅう、と吸い上げられる感覚に快感を覚える身体が憎い。

「んっ…どう、せ…ただの気紛、れでしょ…」
その言葉に晴美は唇を離した。
そしてじっとあびるの顔を見る。

「そういう口聞くならお仕置しちゃうよ?」
そう言ってくつくつと笑う晴美が見える。
離された唇を名残惜しく感じて、思わずきゅっと唇を噛み締めた。

「何?その顔」
晴美の勝ち誇ったような顔がとても憎いが
あびるの身体は晴美無しでは我慢が利かなくなっていた。
ぐっと晴美を睨むがその熱っぽい視線ではいまいち凄味が出ない。
その目を見ながら晴美がにぃと笑った。

「いいね、その目」
千里とは違うきつさがあるから。
その言葉にあびるは晴美を突き飛ばす。
っと、と小さく声を上げて晴美が一歩引き、ちらりとあびるを見やった。
晴美と目が合ったあびるはとても悲痛そうな面持ちで俯いてしまう。
そんなあびるを晴美がそっと抱き寄せた。
616Luv of the Truth:2008/08/13(水) 19:38:25 ID:4oeK7Xoy

「千里に対してすごく罪悪感感じてるんだね」
晴美の言葉にあびるの身体がぴくりと震える。
表情は見えないが恐らく辛いものだろう。

「千里とあたしの間で揺れ動いてるあびるちゃんを見てると、たまんなくなるんだよね」
耳元で囁かれる言葉が胸に突き刺さる。
しかし身体を撫でる感覚にはしっかりと反応してしまうのだ。

「んっ…ね、もう…やめ、て…」
「身体もそういうなら止めてもいいよ」
でも身体が嫌がらないんだもの。

「それに千里は多分気付いてるよ」
晴美の言葉にあびるは固まるしか出来なかった。
「気付い、てて…どうし、て…」
「怖いんでしょ」

確信はあるけど、どこかでそれを信じたくない気持ちがジレンマ起こしてるんだと思うよ。
そう言ってあびるのスカートへと手を伸ばす。

「やっ」
スカートを押さえ、抵抗を見せたが、その手にやわらかく晴美の手が重なった。
「本当に嫌なら、しないよ」
眼鏡の奥の目が細められる。
試すようなその目があびるの身体に熱を込めていく。
ちゅ、と頬に唇が当てられるとあびるの手は抵抗を止めた。

「あびるちゃん」
名前を呼ばれて、ふいと顔を上げると
にこりと笑う晴美の顔が見えた。
「あたしはさ、あびるちゃんの事好きだよ」
嘘の言葉にすら胸が高鳴る。

「…どうしてそんな事言えるの…?」
ふいと顔を逸したあびるの顎に手を添えてこちらを向かせる。
あびるの目は少し潤んでいた。
617Luv of the Truth:2008/08/13(水) 19:41:21 ID:4oeK7Xoy

「泣きそう?」
「…あなたが悪いのよ」
そう言って瞼を伏せると涙が一筋伝う。
その涙を指でなぞるとあびるはゆっくりと目を開いた。
「あなたを好きになった自分が情けないわ」
その言葉に晴美がぎゅうとあびるを抱きしめる。

「実はさ」
耳元で囁かれる声がくすぐったい。
しかし次の言葉があびるの動きを停止させた。
ゆっくりと顔を上げて晴美を見る。

「…嘘でしょう?」
「嘘じゃないよ、って言っても信用してくれないか」
そう言って晴美は嘲るように笑う。

「うーん、どうしたら信用してくれるのかな」
そう言ってあびるのスカートへと手を入れた。
ぴくりと身体を震わせたが、抵抗はしない。

「まぁ嘘吐きだと思われても仕方ないけど」
口ではそう言いながらも晴美は徐々に手を進めていく。
熱を持つその場所へ指が直接触れた。

「んっ」
堪え切れず大きな声が出てしまう。
それが嬉しかったのか晴美の指が更に動き回る。

「ん…っん、ね、さっ、きの…」
「なに?」
ほんの少し笑みが浮かぶその表情はいつもの鋭さが感じられなかった。

「ほんっ、とに…そう、なの…?」
あびるの言葉に更に晴美の表情はやわらかさを増す。
「うん」
返事と共に挿し込まれる指にあびるが身体を強張らせた。
618Luv of the Truth:2008/08/13(水) 19:44:33 ID:4oeK7Xoy

「…ぁっ!」
「本当だよ」
耳元で囁かれた言葉が身体をゆっくりと回っていく。
全身に力が入らないのは挿し込まれた指のせいじゃない。
彼女の言葉があびるに安堵を与えたから。
まだ100%信じてるわけじゃないけど、晴美が嘘を吐いてるようには見えなかったのだ。
力が抜けた身体でも一身に腕を伸ばして晴美にしがみついた。

「あびるちゃん?」
「嘘じゃないなら、これが本当だっ、て…確かめさせてよ…」
ぎゅうと晴美を抱きしめて囁くと、晴美は挿し込んだ指をゆっくりと動かす。

「…っあ…っ!」
断続的に上がる声が心地良いらしく、晴美の指の動きが早められていく。
「…も、う…っんん!」
限界に達した身体がびくびくと震えた。
力の抜け切った身体を上下させながら晴美にしがみつく。
そんなあびるを晴美はそっと抱きしめた。

「いろいろごめんね」
晴美の意外な言葉にあびるはゆっくりと顔を上げた。
「あびるちゃんには悪い事しちゃったから」
悲しそうな表情を浮かべ、自分を責めるみたいに嘲る。
そんな晴美にあびるがゆっくりと顔を寄せた。

「あび、るちゃ…?」
「いいよ」
ちゅ、と頬に唇を当てると晴美はきょとんと目を丸くする。

「さっきのが本当なら許してあげる」
そう言って微笑むと照れたような申し訳なさそうな表情が見えた。
「あなた不器用なんだもの」
「だから、ごめんってば」
むう、と唸る晴美がやけに幼く見える。
これが本当の姿なのかなと思うとあびるは笑いを堪えられなかった。


「でもまさか千里ちゃんと何ともないとはね」
「あたし付き合ってるって言った記憶ないんだけど」

確かにそう聞いた記憶は1度もなかったかもしれない。
2人の仲良しさは本当にただの幼馴染の仲良しだったのだ。
619Luv of the Truth:2008/08/13(水) 19:49:15 ID:4oeK7Xoy

「まぁ、もしかしたら千里はあたしの事好きなのかもしれないけど…」
晴美の言葉にあびるがにやりと微笑みを浮かべる。
「もし、千里ちゃんが告白してきたらどうするの?」
「えっ…!そ、そりゃあ…断るでしょ…普通に」
そう言って晴美は困ったように俯いた。

「ちょっとからかい過ぎたかな」
でも、これでおあいこだよ。
そう言ってあびるは再び晴美の身体をぎゅっと抱きしめる。

今でもまだ信じられなくて、身体が少し震えていた。
そんな身体の震えを治めようとするみたいに、晴美が背中を撫で続けてくれる。

「でも、いきなりあんな事しちゃ普通は逃げられるよ」
「あびるちゃん逃げなかったもん」
…そりゃあ、あなたの事が結果的に好きだったからね。
そう言って少しだけ照れた表情を見せると晴美は嬉しそうに笑った。

「何?そこ笑うところ?」
「え、ああ、ごめん」
少し声のトーンを落とすとしゅんと頭を下げた晴美をよしよしと慰める。

「ほんとに別人みたいだね」
「え?」
「ああいう事してる時と全然違うんだもん」
その言葉に晴美はまた照れたような表情を浮かべた。

「あ、その…えっと…」
少し頬を染めてきょろきょろと落ち着かない晴美の頬に、あびるが唇を寄せる。
そしてそのままぎゅうと抱きついて、耳元で囁いた。

「でも、そういう時のあなたも好きだよ?」
にっ!?と何語かわからない言葉で唸った晴美は
どうやら恥ずかしかったらしく、そのままあびるの身体を預けた。


始まりはあまりよくなかったかもしれないけど
これからはもっとお互いを知っていけたらいいよね。


ゆっくり時間をかけて、不器用なあなたの本当を教えてよ。



―END―
620あとがき。:2008/08/13(水) 19:50:20 ID:4oeK7Xoy

以上です。
ハルチリでもなくあび千里でもなく
晴あびというまたマイナーなカップリングですが
(書き手が如何に節操なしかがよくわかりますね…)
気に入っていただける方がいればこれ幸いです。
621名無しさん@秘密の花園:2008/08/14(木) 02:40:15 ID:DnpQmtpu
晴あび、キター!
マイナーだろうがなんだろうが、大好きです!
本当にこのまんがめがねさん、エロいです。
622名無しさん@秘密の花園:2008/08/14(木) 07:17:05 ID:qbB+gCac
GJ!
まさか両想いエンドとは予想外
ここまでいっといて実は騙してた晴美とかいうエロ展開もいいですがw
623名無しさん@秘密の花園:2008/08/14(木) 07:28:57 ID:xsLlCnkG
GJです!
まさか続きが読めるとは…

でも萌えてしまった事になんだか罪悪感を感じてしまう俺はどうしようもないハルチリ中毒w
ごめんよ千里…(´・ω・`)

なんかハルチリネタ書こうかなw
624名無しさん@秘密の花園:2008/08/14(木) 14:57:09 ID:JQziRcIF
是非書いて下さい、待ってますww
625名無しさん@秘密の花園:2008/08/14(木) 14:59:43 ID:JQziRcIF
上げてしまった…すみませんorz
626名無しさん@秘密の花園:2008/08/14(木) 19:34:07 ID:9Lq/ACHv
GJ!下げておく!

<<623 ハルチリも期待しているぜ兄弟
627名無しさん@秘密の花園:2008/08/15(金) 17:47:33 ID:lWwoVjSl
霧×愛を誰か!
628名無しさん@秘密の花園:2008/08/15(金) 18:41:28 ID:l2Dmr+rZ
>>627
まずはネタを提供してくれ、話はそれからだ。
629名無しさん@秘密の花園:2008/08/15(金) 19:17:49 ID:lWwoVjSl
いや、七巻のイラストをみて衝動的に…
630名無しさん@秘密の花園:2008/08/16(土) 23:37:36 ID:DKDEdC0r
「加賀さんのために篭ったんじゃないんだからね!」
631名無しさん@秘密の花園:2008/08/17(日) 15:17:16 ID:in2rRPh7
>>623です。上での宣言通りハルチリ投下させて頂きます。
原作の「例の写真」に絡ませたお話です。
では↓
632真夏の帰り道〜The camera was seen〜:2008/08/17(日) 15:19:06 ID:in2rRPh7
「ぷっ」

夏休み、クラスのみんなとプールに行った帰り、
私は晴美とアイスを食べながら歩いていた。
そんな折、突然晴美が私を見て吹き出す様に笑いだしたものだから、ついムッとしてしまう。
「な、なによ、人の顔見て笑い出して…失礼ね。」
「だ、だってさ〜」
そう言ってなおも笑う晴美。
「だから何なのよ!」
「あはは、顔だよ顔」
「…へ?」
「千里の顔、今すんご〜くゆるゆるの顔してたよ〜」
「嘘!?」
「ホント、そんなにプール上がりのアイスおいしかったの〜?」
ニヤニヤした顔で晴美が私の顔を覗き込んでくる。
「…そ、そんなに酷い顔してた?」
私とした事が…、そう心配になって聞いてみる。
633真夏の帰り道〜The camera was seen〜:2008/08/17(日) 15:22:11 ID:in2rRPh7
「ううん、そんな事ないよ、というかすっごく可愛かった!写真撮っておけばよかったな〜」
「な、何をっ」
「学校じゃいつもあんなにキリッてしてるのにねぇ」
「別に…、今更晴美の前で気を張ってもしょうがないじゃない…」
何故だか照れ臭くなって顔を背けてしまう。
「そっか、それだけ私には心を許してくれてるんだ〜」
「……」
そう言われて私の頬は少し熱くなった気がした。
「うりゃっ!」
「うなっ!?」
突然後ろから晴美が抱き着いてくる。
「ちょっ…何よいきなりっ」
「んふふー、千里は可愛いなぁって」
「やめ…へ、変なとこ触るな!」
「いいじゃん別に〜」
そんな風にじゃれ合いながら私は笑っていた。心の底から、子供みたいに無邪気に。
晴美は他の誰よりも、私を私で居させてくれる存在。
ふとそんな事を感じた、真夏の帰り道。
634名無しさん@秘密の花園:2008/08/17(日) 15:27:41 ID:in2rRPh7
以上です。短くて失礼します…
今回はあまり恋愛感情は無しで、仲の良い親友な感じを書きたいなぁと思ったのですが、
後半はついつい甘々な感じに…

皆さんに少しでもニヤニヤして頂いたら、これ幸いです…
635名無しさん@秘密の花園:2008/08/17(日) 20:35:36 ID:q1LFkUPF
>>634
GJ!!
友情以上恋人未満のような感じもいいですね
636名無しさん@秘密の花園:2008/08/17(日) 21:05:52 ID:IxlE2gcR
ネタがなくなったころの「フレンズ」の脚本みたいに、登場人物を順列組み合わせで
くっつけて、話は似たよーなものってのはもう飽きました。
637名無しさん@秘密の花園:2008/08/17(日) 21:40:22 ID:kkvS/FJZ
>>636
よし。オリジナリティあふれる文章を考えて
みんなを喜ばせる作業を開始するんだ。
638名無しさん@秘密の花園:2008/08/18(月) 19:28:48 ID:Ndlsqqmf
ハルチリの流れに便乗して、投下いきます。
と、言いつつハルチリ連続で申し訳ないですが…。
以前に書いた夏休みの計画の本編?です。
639夏休みの想い出〜FireFlower〜:2008/08/18(月) 19:31:50 ID:Ndlsqqmf

「今日やろっか」
主語のない言葉に千里が怪訝そうな表情を浮かべた。

「え…?」
「だから今日しよっか」
真っ直ぐな晴美の目に千里が思わずたじろぐ。

何の事を言っているのかは大体予想がついた。
しかしまぁなんと脈絡のない流れと遠慮のない誘いだろうと少し憤慨する。

「わ、私は別に構わないけど…その、もうちょっとどうにかならないの?」
「何が?」
きょとんと不思議そうに千里を見つめる晴美と目を合わせるのも恥ずかしい。

「何って…そういう誘い方もありだとは思うけど…」
「じゃあ別にいいじゃない」
そう言ってすっと晴美が立ち上がる。
その動きに千里がびくりと身体を強張らせた。

ゆっくりと近付く晴美に、千里の鼓動が速くなる。
近付いてきた晴美が千里へと手を伸ばし
その手を優しく握ると同時に千里がぎゅっと目を瞑った。

「じゃ、行こっか」
「…へ?」
優しく掴まれた手と晴美の顔を交互に見る。
その動きに晴美が不思議そうな表情を見せた。

「どしたの?変な顔して」
「え、いや、だってするって言ったから」
お互いの話が全く噛み合わなくて、2人共が頭に?マークを浮かべる。

「や、こないだ花火したいって言ってたから、今日しよっかなって…」
晴美の言葉が千里の頭に少し前のやり取りを思い出させる。


―今年は2人で花火がしたい―


そう願ったのは紛れもない千里だった。
640夏休みの想い出〜FireFlower〜:2008/08/18(月) 19:34:24 ID:Ndlsqqmf

「あ、あぁ…花火…」
気の抜けた言葉と、そして追い掛けてくるような熱が身体に回る。
何を考えてたんだと、自分自身に嫌悪した。

「今日は風も無いし、天気もいいから…って何で顔赤いの?」
頬を染める千里に気付いた晴美が不思議そうに千里を見つめる。
「な、何でもないわよ」
「え、でも」
「いいから!で、どこに行くって?」
顔の赤い理由を悟られたくなくて、千里がどうにかして話題を切り替えた。

「ああ、花火買いに行こうかなと思って」
家に買い置きの花火なんて置いてないから。
そう言って晴美が千里の腕を引く。
「一緒に買いに行こ?」
首を傾げて様子を伺う晴美に千里がこくりと頷いた。



この季節、花火なんてコンビニでも売っているくらいだから探すのに手間はかからない。
近くのコンビニに出向いて、20本ほど花火の入った袋を買った。

「この花火が好きなんだよね」
そう言って晴美が袋の上から花火を指差す。
「途中で色の変わるのが好きなのよね」
「あー、綺麗だもんね、これとかがそうかな?」
袋の入った花火を見ながら、夜が待ちきれないといった様子で2人がはしゃぐ。

「夜、楽しみだね」
「そうね」
オレンジに染められたアスファルトに夕焼けが長い影を作る。
夜はもうそこまで迫ってきていた。


晴美の家に戻り、夕食を一緒に食べてくつろいでいると
時計はあっという間に20時を差した。
641夏休みの想い出〜FireFlower〜:2008/08/18(月) 19:36:30 ID:Ndlsqqmf


「そろそろかな」
そう言って晴美が花火の袋を持って立ち上がる。
「場所はどうするの?」
「近くの公園でいいんじゃない?」
晴美の家から歩いてもそんなに時間のかからない場所にある公園の事を言っているのだろう。
その提案に異論がなかったので、千里は晴美の後を着いていく。

日中よりも温度は下がったがそれでも少し蒸し暑い。
風がないのも相俟ってだろうか。
しかしその方が花火にとっては都合がいい。
目的の公園に辿り着くと晴美は早速袋の封を切った。

「どれにしようか迷うなぁ」
そう言って晴美が花火達とにらめっこを始める。
「別に悩まなくてもいいじゃない、端から順番にやってけば」
横から伸びてきた千里の手が一番端の花火を手に取った。
「わかってないなぁ、こういうのも楽しみなんだから」
そう言って指を振る晴美をちらりと見て、千里はすぐに花火に火をつけた。

「え、ちょっと話聞いてくれてないの?」
「はいはい、聞いてるわよ」
千里の持つ花火から赤い炎が上がる。
眩しいくらいのそれは燃えるに連れて緑の炎へ変わった。
その火の色に千里の目が釘付けになる。

「綺麗…」
溜め息にも似た言葉が千里の口を吐いた。
「じゃああたしも」
そう言って晴美が花火に火を点ける。
晴美の花火からも火が上がり、目が眩むような光を放った。

火が消え、光が消える度に新たな花火に火を点ける。
色とりどりの光が夜の公園を照らしては消えを繰り返す。
次から次へと火を点けていくと、みるみるうちに花火の数が減っていった。
手持ち花火が全て無くなり、もう終わってしまうのかと少し悲しい気持ちにさえなる。
642夏休みの想い出〜FireFlower〜:2008/08/18(月) 19:39:40 ID:Ndlsqqmf

「最後はやっぱりコレでしょー」
そう言って晴美が線香花火を取り出した。
「上手く最後まで燃えるかな?」
花火の先に火をちらつかせて、点火するとすぐに火の玉が作り出される。
ぱちぱちと音を立てながら、火花が散っていく。
どんどんと短くなる花火に淋しさを感じながらも、その小さな光をじっと見つめる。
とうとう耐えきれなくなった火の玉がぽとりと地面に落ちて、花火は終わってしまった。

「…何だか切なくなるわね」
そう言って千里が淋しそうな表情を浮かべる。
「そんな顔しないでよ」
「え」
表情を曇らせた自覚が無かったのか千里が慌てた様子を見せた。
足下へ視線を落とす千里に、晴美が尋ねる。

「楽しかった?」
「…うん」
少し顔を上げた千里がふわりと笑った。
「よかった、千里が喜んでくれて」
そう言って晴美がにっこりと笑うと、同じように千里も笑う。

「また2人で出来たらいいね」
「そうね」
答えると同時に千里が晴美へと寄り添う。

「ありがとう」
私の我儘聞いてくれて。
「千里の頼みなら何だって聞くよ」
だって千里が喜ぶ顔が見たいから。

そう言って晴美が千里の手をぎゅっと握る。
同じように千里もその手を握り返した。


目に焼き付く花火の光と、鼻に残る火薬独特の匂い。
楽しそうにはしゃぐ姿。そして嬉しそうに笑った顔。

ずっとずっと記憶に残るであろう、夏の想い出。



―END―

643あとがき。:2008/08/18(月) 19:40:54 ID:Ndlsqqmf
以上です。
書きやすい&ネタが浮かびやすいので、ハルチリに偏りがちになっちゃいますね。
次は他のカップリングも書こう…。
644名無しさん@秘密の花園:2008/08/18(月) 22:35:48 ID:ASrTz38T
このスレは長編ってないの?
645名無しさん@秘密の花園:2008/08/18(月) 22:38:36 ID:0CYI/2h2
無いよ
646名無しさん@秘密の花園:2008/08/19(火) 10:05:52 ID:hwys4uWn
>>583は長編って言ってもいいんじゃないだろうか

>>643
GJでした 二人とも可愛いw
647名無しさん@秘密の花園:2008/08/20(水) 02:20:13 ID:9B7XCRGt
今週の読んだら、カエあびは公式設定のように思えてきた
648名無しさん@秘密の花園:2008/08/20(水) 07:03:18 ID:Ktiq+4KI
恩着せの話とかでも仲良く二人で傘さしてたしね
あの話はどうしても晴美と千里の相合い傘(&パピコ)に目が行ってしまうけどw

そういやカエレの初登場の時、「帰れコール」の引き金を引いたのはあびるだったりするんだよなぁw
649名無しさん@秘密の花園:2008/08/20(水) 18:16:06 ID:y+OCIxPC
晴チリ
まと霧
あびカエ
650名無しさん@秘密の花園:2008/08/20(水) 19:20:23 ID:q3paVL7o
ついにカエあびの時代始まった
長身お色気コンビ大好きだ
651名無しさん@秘密の花園:2008/08/21(木) 00:35:16 ID:/CtNBB5H
とりあえず今週のカエレはさりげなく可愛すぎた
652名無しさん@秘密の花園:2008/08/21(木) 00:38:48 ID:l9RSRR40
千里vs愛ちゃん
653名無しさん@秘密の花園:2008/08/23(土) 02:14:30 ID:TibQ4VZj
やっと規制が解除されて書けます。とても時間がかかりました...

最近はカエあびブームなのでしょうか。
ちらほら見かけるのですが...波に乗れていなくて、申し訳ないです。

あびる中心で三本書きました。後になるにつれ短くなっています(笑)
少しおバカですが見逃してください。
ジャンルはギャグなのか?よくわからないです。

「小節あびるの恋愛事情」(あび受け?)
654小節あびるの恋愛事情〜愛編〜:2008/08/23(土) 02:18:45 ID:TibQ4VZj

「おはよう、愛ちゃん」
「こ、小節さん…!私みたいなものの挨拶で時間を取らせてしまうなんて、
 すいません!すいません!すいません!!」
「い、いや…別に何にも気にしてないから」
「ああ!こんな所にいては小節さんの目を汚してしまいます!
 すいません!いますぐ、消えますから!」

そう言うと、愛ちゃんは教室から出て行った。
後ろ髪をぴょこぴょこ揺らしながら走るあの後ろ姿。

ああ、なんて可愛いんだろう……

あの今にも泣きそうな表情、守ってあげたくなるような華奢な体。
何もかもを自分のせいにする性格にも愛らしさを感じていた。
すぐにでも抱きしめてあげたい、そんな気持ちが膨れ上がっていた。

だが今のところ、私は脅えられているようだ。
愛ちゃんともっと親密になるにはどうすればいいだろう。
そんなことを考えていると、知らず知らずのうちに妄想の世界に浸っていた。

『愛ちゃん。私、あなたのせいで胸が痛むの…』
『わ、私のせいで、小節さんに怪我をさせてしまったんですか!?
 す、すいません!』
『違うの、違うのよ。これは怪我とかそういうことではないのよ』
『それはどういう…』
『これは私が愛ちゃんを好きになってしまったから、胸が痛むの』
『小節さん…』
『愛ちゃん…私を癒して…これからもずっと…』
『私…で、よければ…』

知らず知らずのうちに、顔がにやけてしまっていた。
他愛の無い妄想だったが、時間が経つにつれ、この告白はいけるのではないかと思い始めていた。
愛ちゃんの性格上、拒否するということが出来なさそうだ。
そんなことを考えているうちに、私の中で何か確信的なものまで生まれてきていた。
私は思わず晴美ちゃんのようなにゃまりとした笑みを浮かべた。
655小節あびるの恋愛事情〜愛編〜:2008/08/23(土) 02:19:16 ID:TibQ4VZj
次の日、私はこの作戦を実行することにした。
いつも通りの平常心を装って、愛ちゃんに近づいていった。
「おはよう、愛ちゃん」
「あ、おはようございます。小節さん」

私は告白の前に、一度深呼吸をした。
大丈夫、絶対にいける。そう自分に言い聞かし、決意を固めた。

「私…愛ちゃんのせいで胸が痛むの…」
「はあ…どうして痛むんですか?」
少々思っていた反応と違っているが、なりふり構わず進めることにした。

「それはね…私は愛ちゃんのことが好きだから、胸が痛むの!」

完全に言い切った。
自分では完璧に演じきった、と自画自賛していた。
だが私の目の前にいたのは、完全に冷め切って、目が死んでいる愛ちゃんだった。


「いや、私は小節さんのことは好きじゃないですから」


ピシッ!という音を立てて、私の何かにヒビが入ったのがわかった。
「え…ええ…..!?ど、どういう」
「その通り、好きじゃないってことです」

愛ちゃんは続けざまに言った。
「それに胸が痛い、なんて台詞、ここ最近聞いたこと無いですよ。
 それが恋愛感情のせい、だなんて笑っちゃいますよね。
 痛むのは、いつもみたいに大型動物に踏み潰されて肋骨でも折れてるからじゃないでしょうか?
 そう言う寒い台詞を言う前に、病院に行った方がいいと思います」

それじゃあ、という捨て台詞で愛ちゃんは教室を後にした。

私は茫然自失になり、膝が地面にがっくりと折れ、両手が地面ついた。
「そんなに…言わなくても……」
そう呟き、私はただただ地面を叩き続けた。
その後、私はクラスメイトに立たされるまでその場から動けなかった。
656小節あびるの恋愛事情〜愛編〜:2008/08/23(土) 02:19:58 ID:TibQ4VZj
(裏話)
「愛ちゃんはちゃんとツンデレになっていますか?」
「一応…意識はしているつもりですが…」
「じゃあ、ちょっとテストしてみましょうか。愛ちゃん、おはようございます」
「べ、別に挨拶したくてしたあげてるわけじゃないんだからね!
 …どうでしょうか…?」
「う〜ん、まだまだ弱いですね」
「弱い…というのは?」
「それじゃあ、その反応を喜んで近づいてくる人が増えますね。
 もっと相手を立ち直らせないくらいなことを言わないと」
「ど、どうすれば、いいでしょうか!?」
「まずね…ごにょごにょごにょ…」

「あ、加賀さん!加賀さん!」
「ああ、日塔さん」
「ごめん、来週のテストの範囲を教えてくれない?先生に聞くの忘れちゃって」
「え?日塔さん、勉強するんですか?」
「うん。それはするけど…」

「別に日塔さんは勉強などしなくてもいいじゃないでしょうか。
 いくら努力をしても、いつもきっちり平均点になるから無意味ではないでしょうか。
 それに今から頑張って頭がいいキャラクターに見られようと思っても
 肝心の個性がまったくといっていいほど無いから無駄ではないでしょうか。
 まあ、それを聞いて頑張るのは日塔さん自身の問題ですが」


「あ、あの…風浦さん…日塔さんが全く動かないのですが。
 言われた通りに言いましたが…私、また何かしてしまったのでしょうか…」
「全然大丈夫ですよ!今のでいいから。
これがいわゆるツンデレのツンの部分だからね。
 次はデレの方ですよ。だから次に奈美ちゃんには…ごにょごにょ…」



「おはよう、愛ちゃん」
「あ、おはようございます。小節さん」


「私…愛ちゃんのせいで胸が痛むの…」
657小節あびるの恋愛事情〜千里編〜:2008/08/23(土) 02:21:10 ID:TibQ4VZj
「あびるちゃん、ちょっと待って」
「え?」

急に千里ちゃんに呼び止められて、立ち止まった。
後ろを振り返ると、小走りで向かってくる千里ちゃんが見えた。
千里ちゃんは私の目の前まで来ると、私の右腕を指差した。
右腕を見ると知らず知らずのうちに包帯がほつれていた。
直そうと思い手を伸ばすより、千里ちゃんのほうが早かった。

「いいよ、自分でできるから」
「私がした方が早いわ。それにこういうきっちりしてないのを見るのが嫌いなの」

やっぱり千里ちゃんは優しいな、と嬉しく思った。
両手はてきぱきと動き、すぐに包帯は綺麗な状態になっていた。

「ありがとう。千里ちゃんは優しいね」
「べ、別にこれくらいなんともないわよ…」

少し照れたのだろうか、顔を赤らめた目を背けた。
こういう素直ではない性格も、とても可愛らしかった。
だが、あるものを見るとすぐに表情が苦い顔になった。

「どうしたの?」
「左腕」

千里ちゃんが言う私の左腕には、昨日怪我をして新しく巻いた包帯があった。
原因はいつもの通り、動物のせいだが。

「ああ、ちょっと昨日ね」
「ちょっとね、じゃないわよ!」

千里ちゃんは眉をしかめて、ぐいと私に迫った。
いきなりの千里ちゃんのアップに思わずどきっとしてしまった。

「毎日毎日、当たり前のように傷を増やしてるけど、
もっと自分の体を大切にしなさいよ!
そうじゃないと……もし何かあったら心配じゃない……」

悲しそうに言う千里ちゃんの表情が印象に残った。
申し訳ないような、嬉しいような複雑な感情が私の中で入り混じった。

「うん…今度から気をつけるから…」
「約束よ、大事にしてね」

そう言って千里ちゃんはその場を後にした。
一人になると、鼓動が高鳴っていることに気がついた。
千里ちゃんが私を心配してくれている、
そんな単純なことが私にとってとても嬉しかった。

私は千里ちゃんに恋している。
これは紛れもない事実だった。
前からほのかに思っていたことだったが、今改めて気づかされた。
658小節あびるの恋愛事情〜晴美編〜:2008/08/23(土) 02:22:34 ID:TibQ4VZj

常月さんは好きな人ができると、その人の趣味に自分も合わせるということを聞いた。
晴美ちゃんが好きなものといえば漫画で、男の子同士の恋愛沙汰が
好きなことは前から知っていた。

私も常月さんに習って、晴美ちゃんと趣味を合わせるため、その手の本を読んでみたが
好意的に慣れず、気持ち悪さのほうが勝ってしまい断念してしまった。

「どうしよう…」

ネットでいろんなサイトを見て回ったが
やはり一向にBLという物が好きになれそうだった。
やはり私には向かいないのだろうか。
諦めそうになったとき、私はとあるサイトに行き着いた。

「こ、これだ…」

思わず、そう言葉を漏らした。
私の趣味にもあって、晴美ちゃんにも合う。
完全に利害が一致したそれを見つけると、私は笑顔になった。


「ねえ、晴美ちゃん。私もあなたが好きそうな漫画を最近読んでいるの」
「ええ!あびるちゃんが!?」

晴美ちゃんはとてもびっくりしたようだった。
あまり私にそういう印象は無いのだろうか。

「ど、どんなのを読んでいるの?」
「これなんだけど」

私は鞄から先日買ったある漫画を取り出して、晴美ちゃんに渡した。

「これ…?」
「うん、そうだよ」

それはこの前、ネットで見つけたものを通販で購入したものだ。
「ケモホモ」と呼ばれるジャンルらしく
獣人のオス同士が愛し合うと言ったようなものだった。
そう、尻尾同士が愛し合うのである。
こんな私にうってつけのものがあったのだろうか。
これを機にもっと晴美ちゃんと仲良くなれると思うと嬉しくなった。

「やっぱりお互い尻尾同士っていうのが、いいよね」
「う、うん…そうだね……」

そう言う晴美ちゃんの顔はどこか青ざめていた。

「ごめん…私には、ちょっと無理かな…」

そう言って私に本を返すと、申し訳なさそうな顔をして
その場から逃げるように去っていった。

私は一人になった。変態漫画を持ちながら…
その日のうちに、その漫画は処分した。
一枚一枚、晴美ちゃんの脅えたような表情を思い出しながら破っていった。
次の日、晴美ちゃんが少し私を避けていたのは言うまでもない。
659小節あびるの恋愛事情〜千里編〜:2008/08/23(土) 02:26:52 ID:TibQ4VZj
すいません、千里編抜けました。


それからというもの、私は無意識に目で千里ちゃんを追っていることに気がついた。
目が合うと、軽くはにかむ姿に心をときめかせていた。

千里ちゃんともっともっと仲良くなれないだろうか。
そんなことをずっと考え続けていた。
できれば友達ではなく、恋仲のような。

そのためには障害となる大きな壁が二つあることに気づいた。
そう、先生と晴美ちゃんだ。

先生に対しては、少なからず好意を持っていることは明らかだったし、
晴美ちゃんにしては幼馴染だ。
二人っきりで楽しくしているとき、千里ちゃんが晴美ちゃんを見て
切なげに見つめていたのを何度か見たことがある。
そんな所を見るたび、好意的があるのではないか、と疑ってしまうのだった。

私はこの牙城を崩す前に、二人の共通点について考えた。
千里ちゃんの心を捕らえる何かが二人には備わっていてるのではないか。
そしてそれがわかれば、私も千里ちゃんに好意を持たれるのではないかと。

私はじっくり二人を観察していた。
外見、性格、行動。いろんな所を見ていて、共通点を一つだけ見つけた。
これだ!これしかない!と、私は確信した。
これ以外あり得ない、といった要素を見つけたのだ。

そして私は準備のために、あるお店を直行した。
そして「もの」を手に入れると、にやまりと笑みをこぼした。


660小節あびるの恋愛事情〜千里編〜:2008/08/23(土) 02:27:56 ID:TibQ4VZj

次の日のことである。
私はある「もの」をつけて、千里ちゃんのもとへ近づいた。
「千里ちゃん、おはよう」
「おはよう、あびるちゃん。……どうしたの?それ」
「ああ、これ?」

そう、私がつけていたのは「眼鏡」である。
先生と晴美ちゃんの共通点は眼鏡であり、千里ちゃんは「眼鏡フェチ」なのだ。
この結果を発見したとき、私は心の中でガッツポーズをとった。
人それぞれフェチズムを持っていて、それは千里ちゃんにも例外ではなかったのだ。

「最近、視力が落ちちゃって。…どうかな?」
「似合うじゃない」

好印象だ、私はこのままいける!と喜んだ。

が!


「そう、それじゃあね」


そう言うと千里ちゃんはすっとその場を後にした。
私は目が点になって、その場で立ち尽くした。
まったく意図した反応が返ってこなかったのだ。
そうして私の理論が思いっきり外れてしまっていたことに気づくのに
そう時間はかからなかった。

その日、眼鏡のことは皆から言われたが
肝心の千里ちゃんとの発展は無かった。

その夜、私は枕を涙で濡らした。
そして役に立たなかった伊達眼鏡8000円分のことを考え、再び泣いた。
661あとがき:2008/08/23(土) 02:30:42 ID:TibQ4VZj
規制、連投、入れ忘れ、改行大杉などがあり文章の構成が
不細工になったしまい申し訳ございませんでした。
662名無しさん@秘密の花園:2008/08/23(土) 14:24:12 ID:zuDLRxCa
あびちりがいいねえ
663名無しさん@秘密の花園:2008/08/23(土) 15:52:12 ID:+xCGobCJ
あびる三連敗www
664名無しさん@秘密の花園:2008/08/23(土) 23:16:06 ID:d0pk5j4F
好きな物に注ぐパワーを惜しまない娘だから
しっぽへの情熱が女子に向けば
こうなるだろうなあw
665名無しさん@秘密の花園:2008/08/24(日) 15:09:02 ID:wrlrgjP8
ようやくマガジンが読めたので、勢いでカエレ×あびるを書いてみた。
(厳密に言うとあびる×カエレ×あびるな感じです)
本編の2人のやりとりの途中から捏造してるので
突っ込みどころがいろいろあるかもしれないですが、よければどうぞ。
666say love,for me.:2008/08/24(日) 15:11:53 ID:wrlrgjP8

どこぞの有名な予言士が予言した地震のせいで
来るかどうかもわからない地震に振り回される担任を尻目に
あびるが通学途中に買ってきた雑誌をぱらりと捲ると偶然にもその予言が掲載されていた。
記事の内容にさして興味がなかったし、信じてもいなかったので
ページを進めようと紙端をつまみ上げると頭の上で呆れたような声が聞こえてきた。

「こんなの当たる訳ないわよね」
ふいと顔を上げると雑誌を見下ろしながら腕組みをしたカエレが立っている。
「こんなものに振り回されて、バカじゃないの」
呆れたような表情と声色を確認するように
ちらりとカエレへ視線を向けたあびるが再び雑誌へと視線を戻す。
「まぁ…ね」
摘み上げたままのページをようやく捲ったあびるにカエレが片眉を上げた。

「アナタ、もしかしてこれ信じてるんじゃないでしょうね?」
カエレの言葉にあびるがふ、と微笑う。
「まさか」
やんわりとそれを否定したあびるにちらりと視線を送ったカエレが空いている隣の席へと座った。

「こういうのが防災グッズの売り上げとかに関連するのかしらね」
「こんなのに踊らされるのも情けない話だけどね」
カエレの話にそこそこの返事をしながらぱらぱらと雑誌を捲り
面白そうな記事を探すが、特に見当たらないので
あびるは雑誌を閉じて鞄へとしまい込んだ。
その様子を机に肘を突いていたカエレがじっと見つめる。
その視線に気付いたあびるが同じようにカエレを見ると、ふいと視線を逸らした。

「でもさ」
ぽつりと呟いたあびるにカエレが再び視線を送る。
カエレと視線を絡めると、ほんの少しだけ微笑い言葉を続けた。
「もし地球が滅亡するとかそんな予言が出て、それが当たるとしたらどうする?」
あびるの提供した質問にカエレがきょとんと呆気に取られたような表情を見せる。
カエレの表情を見たあびるが、不思議そうに首を傾げた。
667say love,for me.:2008/08/24(日) 15:14:30 ID:wrlrgjP8

「どうかしたの?」
「何だかアナタらしくない話題だと思って、ね」
「そう?」
あびるの意外な質問に少々驚いたカエレだったが
その質問に答えようと少しばかり思考を巡らせる。

「それは模範的答えを望んでるの?」
「模範的考えって?」
あびるの様子からしてそのつもりは無さそうだ。
「例えば、とりあえずやりたいことやってしまうとか…」
「あぁ、確かに模範的だね」
そう言ってあびるが頷いたが、すぐに言葉を続ける。

「じゃあさ、あなたのやりたい事は?」
今日は珍しくやけに食い付くな、なんて事を考えながら
カエレがどんな回答を出そうかと考えたが、そんな大した事は思い付かない。
目の前で回答を待ち望んでるあびるに、ふう、と溜め息を吐いて視線を逸らした。

「…その時にならないとわからないわよ」
「そう」
カエレの答えに小さく呟いた後、何か思う事があるのだろうか
笑みを浮かべながらあびるがカエレへと視線を向ける。
「…何よ、その顔」
「いや、好きな人と一緒に過ごすとかって選択肢は無いのかなーって」
目を細めたあびるの言葉にカエレが言葉を詰まらせた。
表情にも動揺の色が伺える。

「な、によ、それ」
「例えばの話だけど?」
例えば、なんて事を言いつつもそれが例え話だと思うには少々無理がある。
これは例えば、じゃなく実際はどうなのかを聞いているのと同じ事なのだ。
「…例えば、ね」
苦そうな表情を浮かべたカエレがあびるを睨む。
あびるは相変わらずにやにやと笑みを浮かべて見ていた。
668say love,for me.:2008/08/24(日) 15:18:46 ID:wrlrgjP8

普段嘘の1つも吐きそうにないのに
たまにこうやって人をからかう様な素振りを見せる。
からかっている事くらいわかっているから、かわす事も出来るのだけど
敢えてそれをしないのは、このやりとりにそれなりの愉しさを感じているからだろうか。

ぼんやりとそんな事を考えていると、あびるがちょんと腕に触れてきた。

「で、どうなの?」
答えを促すようにあびるがカエレの顔を覗き込むように見つめる。
身体を低くしながら、目を細め顔色を伺うような姿は
まるで構って欲しそうな猫の姿のように思える。
その瞳の力に押し負かされたカエレが諦めたようにうな垂れた。

「…何を言ってほしいのよ、アナタは」
「そこは察するところでしょ」
察するも何も、と言い掛けたがこの状況では言ってもどうしようもないと判断してその言葉を飲み込んだ。
目の前のあびるは小首を傾げながら、先程とは違うふわりとした微笑みを見せる。

「言ってくれないの?」
甘えるような声に、カエレの心が揺れた。
しかしあびるの要望に応えるのはどうも癪だったので、ふいと視線を逸らす。
「…絶対言わない」
「そう」
少しだけ残念そうに呟いたあびるが顔を逸らした。
その淋しそうな横顔を見たカエレがあびるの肩を掴まえる。
そして素早くあびるの耳元に口を寄せると、小さく、早口で囁いた。


ほんの一瞬の出来事はおそらく当事者達にしかわからなかっただろう。
すぐに何事もなかったかのように、先程までの時間が戻る。


時が進んだ証拠は
ほんの少しだけ得意気な表情へと変わったカエレと
ほんの僅かにあびるの頬に朱が差した事。


―END―

669あとがき。:2008/08/24(日) 15:22:53 ID:wrlrgjP8

以上です。
2人が既に付き合ってる話になってしまった…orz
本当は片思い的な話を書きたかったんですが、惨敗。
もうすぐ容量いっぱいになるスレの埋め話程度と思ってもらえたらなと。
670名無しさん@秘密の花園:2008/08/24(日) 15:36:40 ID:wrlrgjP8
ついでなので立てておいた。

【2.5期は】絶望先生で百合〜第四話〜【OAD】
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1219559517/

埋まったら移動どうぞ。
671名無しさん@秘密の花園:2008/08/24(日) 19:28:21 ID:2t19Xq6t
>>670
スレ立て乙!!あといつもSSありがとう!
>>661
こういうギャグっぽいの好きだ
このスレにはギャグ少ないから、こういうの増えるといいな
672名無しさん@秘密の花園
>>666
他のCPとは違って、とてもクールです。
けどそんな所も良かったでした。GJ!