ちょっと遅れたっぽいけど、
時代は伊藤静さんみたいなので、カップリング話ではないけど、ついついおふざけで書いてしまった。
タイトルは「声優裁判」
「これより開廷します」
井上麻里奈裁判官の声が法廷に響き渡った。
緊張の面持ちで被告人席に座っているのは、百合声優四天王との呼び声も高い伊藤静被告人。
そして、その弁護に当たるのが、百合声優四天王の一人である生天目仁美弁護士。
原告席に座っているのは、これまた百合声優四天王の一人である松来未祐検察官。
被告人の度重なる乳揉みセクハラを見聞きし、被害者のためを思って公訴を決断したという。
あくまでも、被害者のためを思っての公訴ということである。
百合声優四天王同士の対決とあって、傍聴人席はすでに満席となっていた。
「検察としては、裁判官の交替を要求します。井上麻里奈裁判官が、伊藤静被告人の膝の上で
目を瞑って寝ていたという情報があります。被告人と利害関係のある人が裁判官を務めるのは
好ましくありません」
検察官の初っ端の要求に、どよめく傍聴人席。
百合声優四天王同士の対決だけあって、興味があるのか、傍聴人席には女性声優の姿が目立った。
その中に、藤田咲と井ノ上奈々の姿もあった。
藤田咲「うそ、そんな」
井ノ上奈々「麻里奈だからね」
「静粛に」
裁判官の一声で、傍聴人席は静まり返った。
「その要求を却下します。たとえそれが事実であったとしても、
被告人と利害関係があるとは言えません。利害関係があるというのは、
裁判官が被告人の家族である場合などです。よって、当てはまりません」
傍聴人席で小声で言葉を交わす女性声優2人。
藤 田「よかった。肯定してないってことは、そんなことなかったんだよね」
井ノ上「肯定してないけど、否定もしてないよね。咲、現実に目を向けよう?」
藤 田「・・・」
井ノ上「これからは私が咲を――」
咲の両手をとる奈々。見つめ合う2人。その後ろの後ろの列の席で2人を見つめる人物が一人。
酒井香奈子「(奈々ちゃん・・・)」
裁判官「そこの傍聴人2人、神聖な裁判の場で、イチャつかないように」
結局、裁判官の交替は認められず、井上麻里奈裁判官のままで進行することになった。
証人尋問の順番になり、被告人に証人が見えないよう、仕切りが設置された。
証言台に立つのは、はたまた百合声優四天王の一人である能登麻美子証人。
もちろん、被告人には証人が誰なのかは知らされていない。
弁護士「あなたは、静に胸を揉まれたことがありますね?」
証 人「はい」
弁護士「では、あなたは、静に胸を揉まれて、本当はイヤでしたか?」
証 人「イヤではなかったです」
弁護士「質問を終わります」
検察官「先ほど、胸を揉まれてイヤではなかったと答えていましたね」
証 人「はい」
検察官「では、胸を揉まれたいと被告人にはっきりと言いましたか?」
証 人「で、でも、イヤではなかったんです」
検察官「質問にだけお答えください。被告人に胸を揉まれたいとはっきりと言いましたか?」
証 人「・・・言っていません」
検察官「では、最後に、もうひとつ質問します」
証 人「はい」
検察官「同じ事務所に、一緒に旅行に行ったりするほど仲のよい女性声優がいますね」
弁護士「異議あり。本件とは関係がありません」
裁判官「本件と関係があるのですか?」
検察官「重要なことです」
裁判官「では続けてください」
検察官「その方には胸を揉まれたことがありますか?」
弁護士「異議あり。本件との関係性が見えません」
裁判官「異議を却下します。証人は検察官の質問に答えてください」
証 人「綾ちゃん・・・川澄綾子さんに揉まれたことはありません」
検察官「では逆に、その人の胸を揉みたいと思ったことはありますか?」
弁護士「異議あり。私の麻・・・証人に変な質問をしないでください」
裁判官「私情を挟まないように。検察官、続けてください」
検察官「これは重要な質問ですので、正直に答えてください」
証 人「思ったことはありません」
検察官「つまり、かなり親しい仲にあっても、胸を揉みたいとは思わないということですね」
証 人「・・・」
検察官「これで質問を終わりにします」
ついに求刑の段階に入った。
伊藤静被告人の背中に手をかけて励ましている生天目仁美弁護士。
自信の面持ちの松来未祐検察官。
検察官
「伊藤静被告人の供述は、『合意の上』、『ホントはやられて喜んでるはず』
などと、全く反省の色が見られません。また、証人の『かなり親しい仲にあっても、
胸を揉みたいとは思わない』旨の証言は、女性として当然であり、被告人の行為は
とうてい正当化できません。よって、被告人に、乳揉み生涯禁止を求刑します」
「そんな」
被告人席から声が漏れる。このとき、よく耳をすませば、聞こえていたかもしれない。
被告人席以外からも、同じ声が発せられていた。
弁護士
「静は無罪です。静が女性の胸を揉むのは、自分にはない感触を味わいたいからなんです。
特に、おっきなやわらかい胸の感触を味わいたいだけなんです。静は、嫌がる子の胸を
揉むようなことはしません。見ず知らずの女性であれば、触りたいとは思っても我慢するんです。
無差別に手を出してるわけではないんです。静は、女の子の胸には夢が詰まってると
本気で信じているだけなんです」
裁判官
「判決は午後に言い渡します」
井上麻里奈裁判官の下した判決は、乳揉み1週間禁止、執行猶予1週間であった。
検察官の求刑した乳揉み生涯禁止からすれば、執行猶予もつき、被告人側の大勝利といえるだろう。
「仁美さん、ありがとう。仁美さんのおかげだよ」
判決を聞いてすぐに抱き合う2人。裁判官はそれを制止しようとせず、淡々と理由を述べていく。
「どういたしまして。これでしばらくは他の女の子には浮気しない?」
「どうだろう。乳さえ揉まなきゃいいんでしょ? でも、今夜は仁美さんだけのものになるね」
「え、なんで?」
「弁護してくれたお礼」
「そっか。うんうん。お礼か。しょげてる静さん、なかなか可愛かったよ」
「それは言わないでよ」
松来未祐検察官は控訴はしないとのことなので、これで判決が確定した。
松来未祐検察官が控訴を断念したのには、生天目仁美弁護士からの働きかけがあったとの噂もあるが、
真相は不明である。
<HAPPY END>
声優裁判というのが思い浮かんでしまったんです。
今ではけっこう反省しています。