【第二期】絶望先生で百合〜第二話〜【一月から】

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1名無しさん@秘密の花園
まったりとお願いします。

前スレ
【久米田】絶望先生で百合【サンデー】
http://sakura02.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1167612676/

あと、保管庫作ってくれる方、募集中です。
2名無しさん@秘密の花園:2007/12/14(金) 01:38:04 ID:Q1nJiKaj
2年へ組 女子生徒

風浦 可符香
木津 千里
音無 芽留
常月 まとい
日塔 奈美
藤吉 晴美
小森 霧
小節 あびる
加賀 愛
木村 カエレ
関内・マリア・太郎
三珠 真夜
ことのん
3名無しさん@秘密の花園:2007/12/14(金) 01:56:04 ID:EfJoXwTf
SS投下のお約束(前スレで出てた暫定版)

・書き始めにカップリングとか傾向(ほのぼの、エロ、パロ等)を書く。
・名前欄にタイトルを記入。
・長編などで投下が切れる場合は、締めのレスのにその旨を書く。
・再開するときはアンカーを付ける。

他に意見があれば、どんどん追加していって下さい。
前スレでROMだった人や初めて投下する人、遠慮せずにじゃんじゃんどうぞ。
4名無しさん@秘密の花園:2007/12/14(金) 01:59:35 ID:EfJoXwTf
>>1

立てて24時間以内に50レス付かないと落ちるんだっけ?
sageでも大丈夫かな?
規制やらで過疎ってる今の状態で50レス持つかな・・・
SSのネタ考えてくる。
5名無しさん@秘密の花園:2007/12/14(金) 02:00:34 ID:sTvH5Jp8
>>4
mjsk、支援
6名無しさん@秘密の花園:2007/12/14(金) 02:47:19 ID:vHSj+Hsq
皆様、本スレでも和をもって良しとしましょう。

・・・中の人好み保守。
7名無しさん@秘密の花園:2007/12/14(金) 05:41:07 ID:w/ks9p6Y
>>1乙です
8名無しさん@秘密の花園:2007/12/14(金) 12:26:29 ID:FkgyndYP
保守。
>>4について調べてみたけど
24時間以内にレスが無いと落ちるような感じだったから50レスは関係ないっぽいね。
まぁでも何か書き込みがあった方がいい事には違いないだろうけど。

11巻の発売は17日発売予定らしいね。
自分はコミックス派なので隅々まで読み尽くして
少しでも百合妄想に繋がるカットを探すとしますかww
9名無しさん@秘密の花園:2007/12/14(金) 19:52:24 ID:Hbh5B7XK
>>1乙です、
で、保守代わりのSSを投下させていただきます。基本的には晴美×千里です。
少しエロで少しほのぼの、って言うか訳判らない話です。
いろいろすいません!
10みんなで美味しく食べましょう:2007/12/14(金) 19:53:55 ID:Hbh5B7XK
「千里、ほら、早くして、ほら、脱いで、脱いで」
「な、な、な、何してるの、ちょっと止めて!晴美!ちょっと!」
爛々と眼を輝かせて、両手を差し上げてその指をワキワキと動かしながら、藤吉晴美が同級生で幼なじみ、そして愛しい子猫の木津千里にせまる。
その晴美の突然の行動に訳が判らず抵抗しようとした千里の両手を不意に姿を現した風浦可符香が押さえる。
「ちょっと!可符香さん!何するのよ!」
「だめですよぉ、千里ちゃん、これはお祝いなんだから!」
「お祝いって何よ!訳わかんないこと言わないで!」
自由を奪われた両手を何とかしようとジタバタとする千里。
「新スレが立ったんですからお祝いしないと!」と可符香は笑顔で答える。
「そうそう、新スレだよ、お祝いだよ」
同じく嬉しそうな声で言うと、動きを封じられた千里の制服の胸を開いてしまう晴美。

「な、何よそれ!新スレって何のことよ!ちょっと、いやあ、ここ教室なのに!やだあ!」

11みんなで美味しく食べましょう:2007/12/14(金) 19:54:56 ID:Hbh5B7XK
ガララ、廊下に続く引き戸が軽い音を立てて開き、小節あびる、音無 芽留、 常月 まとい、 木村 カエレ、 関内・マリア・太郎 がぞろぞろと入ってくる。
「あっ!みんな助けて!晴美と可符香さんが変なのよ!ちょっと、晴美!スカート外さないでぇ!」
「千里ちゃん、仕方ないのよ、お祝いだから」と、冷静な声でいうあびる。
「そうそう、千里ちゃんお祝いしなければ」と、まといは素早いスピードで千里の背後に回り、ブラのホックを外してしまう。
「お祝いはちゃんとするね」といい千里の太ももに抱きつくマ太郎。
メルメル、
ブンバブンバと音を立てて首を振り、あらがう千里の眼前に突きだされた音無芽留の携帯の画面には「観念して脱ぎやがれ、真ん中分けが!」とあった。
「つまり、千里ちゃんは祝宴の羊ということね、私の国ではよくあることよ」と、すまして言うカエレ。
「な、何ですって!それって生贄のことじゃないの!やめてー!」

暴れ泣き叫ぶ千里の身体からマ太郎が最後にショーツを引き下ろしてしまうと、何本もの手が千里の裸の胸に、腰に、ワキワキと伸びて来た。
その間中自分以外の全員が「お祝いだ!新スレだ!」と、呪文のように低く高く繰り返す。その異常な状況、教室で何人もの同級生に裸に向かれていじくり回される千里。
「ああん、だめぇ!そこは、あん、やだー!誰か助けて!先生!おかあさーん!そ、そんなところ触らないでぇ!」」

「いやああ!」
全身汗にまみれた千里が悲鳴ともに跳ね起きた。そこは教室ではなく自室のベッドのうえだった。
12みんなで美味しく食べましょう:2007/12/14(金) 19:56:27 ID:Hbh5B7XK
「夢!夢なの!?なんであんな夢… 」
汗にまみれ上気した顔を両手で包むようにして「な、なんて夢… 私… やだもう… てっ、あれ?」
夢と同じように自分が裸であることに気付いた千里、そしてその裸の腰に絡まる二本の腕。
恐る恐るその腕の方を見ると、そこに千里と同じく裸のまま幸せそうに眠る藤吉晴美がいた。
そして彼女のだらしなくゆるんだ唇が何事か呟く。
「う〜ん、千里ぃ、ほらぁ、早く脱いでぇ、もう、恥ずかしがッちゃってぇ…むにゃむにゃ、みんなおまちかねだよう…」

カッ!

「こいつか!」
千里の顔が瞬間、黒い影に覆われてその眼光が稲光のようにぎらりと輝く、相変わらず無邪気な寝顔で、
無意識に千里の裸の腰に腕を絡ませて「お祝いだぁ、千里をみんなで食べましょう」と訳の判らない寝言を繰り返す晴美。


その顔にいきなり千里が枕を全力で振り下ろした。
ボフ!
「馬鹿!」
ボフ!
「馬鹿!」
ボフ!
「馬鹿!」
ボフボフ!
「え、な、何!ぐわ!ちょ、ち、千里」
「馬鹿!馬鹿!馬鹿!バカバカバカバカバカ!」
ボフボフボフボフボフボフボフぼふん!!
「ちょ、千里、や、やめ、痛い、痛いから、いくら枕でも、グハ!」
「何がみんなで食べましょうよ!バカバカバカバカバカ!晴美のバカぁ!」
興奮して自分をドツキまわす千里を落ち着かせようとした晴美は、千里が横殴りに繰り出した枕をもろに顔面で受け、もんどり打ってベッドから転げ落ちてしまった。
13みんなで美味しく食べましょう:2007/12/14(金) 19:57:57 ID:Hbh5B7XK
「いたた、千里、何するのよ? …ち、あの、千里さん? ちょっと、止めて、千里、話を… ちょっ、ぎゃあああ」

翌日顔に絆創膏を貼った晴美が千里の鞄を抱えながら、颯爽として歩く彼女の後ろに続く。
「ねえ、もう機嫌直してよ」
「いや」
「なんで、夢の中のことまで責任取らなければならないのよぉ」
「あなたのせいだから当然よ、私が眠っている間にベッドに潜り込んだ挙げ句、酷いわ!」
「だってあんなに早く寝ているなんて思わなかったんだもの」
「人間は夜8時には寝るの!」
「子供じゃあるまいし… でも、眠ってても千里って感度抜群だったなあ…ふふふ」

藤吉晴美は二つの鞄を持って学校の方向に全力疾走していた。
そしてその後にはスコップを持ち怪鳥のような奇声を上げて晴美を追う木津千里の姿があった。

その二人に追い抜かれざま、小節あびるは「相変わらず仲の良いこと」と、いつもの冷静な声でそういうと
「放課後のお祝いもあるし、千里ちゃんが元気なのはいいことね」とぽつりと呟いた。

「これ、どこまで夢だ?」

あびるのすぐ後ろでマ太郎が誰にともなくそう言って笑った。
14名無しさん@秘密の花園:2007/12/14(金) 19:59:13 ID:Hbh5B7XK
以上でした。せっかくの新スレを台無しにした気もしますが、ほんとに色々すんません。
15名無しさん@秘密の花園:2007/12/14(金) 22:54:34 ID:F2BWYEZH
いやいや乙です
どうか正夢…w
16名無しさん@秘密の花園:2007/12/15(土) 10:22:13 ID:vUFGJeeG
スピッツかw
17名無しさん@秘密の花園:2007/12/15(土) 22:40:13 ID:vtFEWocV
>>14素晴らしいお祝いSS乙!
まさか新スレ立って早々千里を百合輪姦する話が読めるとは夢にもおもわなかったぜ
18名無しさん@秘密の花園:2007/12/18(火) 19:13:19 ID:wP2EQlz1
>>14 乙!
と言うか、千里と晴海は何をしていたんだ!w

あと、新スレ乙です
19名無しさん@秘密の花園:2007/12/18(火) 19:52:20 ID:7ssIsrdJ
新スレ立ってからすぐ投下しようと思いながら
時間が取れなくて伸ばし伸ばしになってましたが
ようやく時間が取れたので、投下させてもらいます。

例によって晴美×千里、でも前半はちょっと千里×晴美っぽいかも。
あとやっぱり個人的な趣味でちょこっと可符香×カエレとあびる×芽留も入れてます。
20One More Lovely:2007/12/18(火) 19:56:07 ID:7ssIsrdJ
いつもと変わらない休み時間。
千里が晴美の席に来て、他愛の無い話をする。


「…ってことがあってね、って聞いてる?」
「聞いてるよ?」
本から少しだけ目を離して、晴美は千里を見た。

「嘘」
そう言うと千里は読んでいた本を取り上げる。

「あ。」
ぱたんと閉じられた本が千里の腕の中に収まった。

「きちんと話聞いてくれるまで返さない」
拗ねたような顔で言う千里。

「はいはい、ごめんごめん」
「返事は1回ずつでいいの」

そんな会話をしていると、誰かが晴美の席に近づいてくるのを感じた。

「木津さん」
2人して声のする方を向く。

そこには同じクラスの久藤准が立っていた。

「お客さんが来てるみたいだよ」

そう言って准は教室の扉を指差す。
そこには見慣れない生徒が立っていた。
21One More Lovely:2007/12/18(火) 19:58:55 ID:7ssIsrdJ
「ありがとう、久藤君」

そう言って千里は席を立つと
腕に収めていた本を机に置いて、ぱたぱたと扉に向かった。
そんな千里の後ろ姿を、じっと見つめる。

扉付近で訪ねてきた生徒と談笑するのが晴美の目に映り込んだ。


「その本面白い?」
准が机の本を指差して尋ねる。
ちらりとその本に目をやってから、晴美は苦笑いを浮かべた。

「さっきまではね」
そう言うと准は一瞬きょとんとした表情をした後、ふっと笑みをこぼす。

「そっか、それは残念」
そうとだけ言って、准はその場から離れた。


―自分の知らない誰かと喋ってるだけ。
ただそれだけなのに、白と黒が反転したみたいに、一気に世界が変わる。
そこまで言うのは大げさかもしれないけど。
でも。
自分の心がじわじわと何かに蝕まれるような気がした。


…あ、また、くだらないこと考えてる。

冷静を失いかけた自分を取り戻すように、晴美はふるふると頭を振った。
それと同時に授業開始を告げるチャイムが校内に鳴り響く。
そのまま千里は晴美の席に戻ることなく、自分の席へと着いた。
22One More Lovely:2007/12/18(火) 20:02:24 ID:7ssIsrdJ

「さっきの、誰?」

見知らぬ誰かが訪ねてきてから、少し時間は経過したが
どうしても気になって仕方ない晴美は、廊下を歩きながらそれとなしに聞いてみる。

「あぁ、茶道部の後輩よ」
千里はこちらを見ずに進行方向だけを見て、さらっと言ってのけた。

「…そ」
「晴美?」

珍しく態度に出てしまったせいで、千里に不審がられたようだ。

「んー?」
「何か怒ってる?」
「なんで?」
「や、別に私の勘違いならいいのよ」

…らしくないなぁ、いつもならこっちが主導権握る立場なのに。

ただ、会話してる時の彼女の表情が
自分と会話してる時のそれと同じだった事に苛立ってるなんて。
我ながら情けない話だと、千里には気付かれないように晴美は苦い顔をした。


「まさかとは思うけども、後輩の事気になってるんじゃないでしょうね」

…こういう時の千里は鋭い。
いや、ここまで露骨なら誰でもわかるか。

自分を嘲るように笑ってから、晴美は目を細めた。
23One More Lovely:2007/12/18(火) 20:05:33 ID:7ssIsrdJ
「例えば後輩の何を気にするの?」
「え…」

千里が困り顔になる。
ほら、いつものペースに持ち込めた。

なんら変わりない、少し余計な感情が過ぎっただけ。といつもの自分を取り戻す。

「具体例をきっちりとお願いしますよ」
わざとからかうみたいな言い方をすると、千里はほんのり頬を染めて俯く。

いつもと同じ行動。


だったはずなのに。

がしっと手を掴まれるとそのまま引っ張られる。

「わっ!?」
油断していたのもあって、晴美はバランスを崩して倒れそうになる。
とっさに空いてる手を壁に突いてなんとか耐えた。
そして壁と晴美の間には、千里が閉じ込められるみたいな形になっていた。

「あっぶないなぁ…」
そう言って晴美は俯いたまま、ふぅと溜め息を吐いた。
自分の反射神経が鋭くなければ倒れたか、もしくは千里に手を突くところだったのだから。
まだ背筋にヒヤヒヤした感覚が残っているのがわかる。
24One More Lovely:2007/12/18(火) 20:11:58 ID:7ssIsrdJ

「あなたが」

その声に顔を上げる。

「あなたが、あまりにも強情だから」
「強情?」

とぼけるみたいに言うと、制服のスカーフを引っ張られた。
2人の距離が更に詰まる。
突然の立場逆転に、晴美は驚きを隠せずにいた。
きっと焦った表情をしているであろうと思いながらも
今のこの状況をほんの少しだけ嬉しくも思っていた。

今彼女の瞳に映ってるのは、間違いなく自分だから。
そんな考えがぐるぐると頭を巡っているのが、千里の声でふと止まる。

「あなた的に攻め?としての定義があるのかもしれないけど」
そこまで言ってから一息ついて、また千里は言葉を続けた。

「変なところで強がらないでよ」

その千里の言葉に晴美は思わず呆気に取られてしまった。
真っ直ぐ晴美を見つめる目に強い光が込められている。
そんな千里から目を逸らせなかった。

しばらくそのまま見つめあっていたが、千里の強い目の光が少しずつ褪せて
彼女自身も何を言ったのかに気付いたらしく、落ち着かない様子で目を伏せたり、俯いたりしていた。

おそらく、いや確実に照れているのだろう。
そんな彼女がとても愛しく感じて、ようやく晴美に喜びが戻った。
スカーフを掴まえている手をそっと外させて、そのまま千里の手を握る。
25One More Lovely:2007/12/18(火) 20:13:47 ID:7ssIsrdJ

「千里がそこまで言うなら仕方ないね」
「べ、別に…そういう意味じゃ…」

必死に反論する千里に耳元に唇を寄せる。

「じゃあどういう意味?」
囁くみたいに言うと、千里はぴくんと身体を震わせた。

「ちょ、っと…」
そう言って千里は握られている手をほどこうとする。

しかし晴美はそれを許さない。
それどころか千里が逃げれないように、しっかりと押さえ込んだ。

「誰か来るかもしれないのに…」
「別にいいよ」
そう言って晴美が千里の顎に手を添えて、軽く上を向かせる。

困ったような、切ないような、千里の表情が目に入った。

「その顔はあたしにしか見せないでね」
「何の話?」
「ん、こっちの話」

そう言って晴美がゆっくりと距離が縮め、それに合わせるように千里が目を閉じた。
26One More Lovely:2007/12/18(火) 20:20:41 ID:7ssIsrdJ

「へくちっ!」

2人の唇が重なろうとしたその瞬間、少し離れた場所から何かが聞こえた。
その音に2人は動きを止めて顔を見合わせる。
そして同時に音のする方へと顔を向けた。

「あ、気付かれた」
『気付くに決まってんだろバカ』

そこには同じクラスの風浦可符香と音無芽留がこっそり隠れていたのだ。

「あ、あなた達いつから…」
「んーとね」
『あなたがあまりにも強情だから』

可符香が言うより先に芽留の携帯のディスプレイに映される文字。

「うなっ!?」
その文章に驚いたのか、恥ずかしいのか千里は素っ頓狂な声を上げた。

「そんな驚かなくても、自分で言ったんじゃない」
「あなたは黙ってなさい!」

冷静な突っ込みを入れる晴美を一喝する千里。

「別に見るつもりはなかったんだよ?たまたま通りかかったら、ね」
そう言って可符香は芽留にちらりと目をやった。

『通りかかったらなんか楽しいことになってたんだからな』
めるめる、という擬音がぴったりに、芽留はひたすらメールで会話に参加している。
27One More Lovely:2007/12/18(火) 20:24:30 ID:7ssIsrdJ
「いいなぁ、千里ちゃん。あたしもカエレちゃんと…」
うっとりした目でどこか遠いところを見つめる可符香の横で、芽留が文字を打つ。
そしてそのディスプレイを可符香に突き付けた。

『あんな女のどこがいいのか、オレにはわからんな』
「そんな事言うとあびるちゃんに言いつけるよ?」

その言葉に芽留の動きが止まる。

『ちょ、おま、なんで知って…』
「やだなぁ、私は何も知らないよ?ただあびるちゃんの名前を出しただけなんだけどな」

そう言ってにんまりと笑う可符香。
その言葉と態度に芽留はあたふたしてしまって、メールを打つ手が止まってしまった。

「何、どういう事なの?」
「え、だから芽留ちゃんの好きな人が」
意味が理解できない千里に、晴美がそう言いかけると、芽留はものすごい早さでまたメールを打ち出した。

『それ以上言うな!バカメガネ!』
「バカメガネって…それはちょっと酷いよ…」
「あ、また。そんな悪い言葉遣いをする子はあびるちゃんに…」
『だから止めろバカ!』

先程までの雰囲気は見事ぶち壊され、ポジティブ少女と毒舌メール少女のバトルが繰り広げられる。

「もう、全く何だってのよ…」
「キス出来なかったのが残念?」
「ち、違うわよ!」

そしてこちらでも軽くバトルが始まりそうな雰囲気になる。
28One More Lovely:2007/12/18(火) 20:27:33 ID:7ssIsrdJ
―その頃、教室では

「「へっくしゅん!」」

包帯少女と帰国子女様が同時にくしゃみをしていた。
そしてその後、2人して顔を見合わせる。

「風邪?」
「違うと思うわ。これは風邪なんかよりもっと凶悪な気がするの…」
ただならない電波を受信した帰国子女様は、そう言って頭を抱えた。

「あなたは風邪?」
「どうかな」
そう言って包帯少女はふわりと笑った。そして言葉を続ける。

「あなたと同じかも」
「…それはご愁傷様ね」

同情に似た言葉をかける彼女に、包帯少女はふわりと笑って、こう続けた。


「ううん、幸せの知らせだよ、きっと」



−END−
29あとがき。:2007/12/18(火) 20:30:49 ID:7ssIsrdJ
以上です。お付き合いありがとうございました。
久々の投下でブランク気味だったせいか、投下ギリギリで手直しが多い多い。
相変わらず甘いだけで、ごめんなさい。
ドタバタラブコメちっくに書きたかったんですが、なんだこりゃ。
次はクリスマスに合わせてこの3つのカップリングでそれぞれ話が書けたらなと思ってます。

今回のスレでもお世話になると思いますが、どうぞよろしくお願いします。
30名無しさん@秘密の花園:2007/12/19(水) 15:30:52 ID:vZxQYi8z
初めて書き込みさせて頂く者ですが、SSの投下についてちょっと気になる事が……。


今、千里×晴美でSSを書いていますが、内容が少し特殊なんです。

他の漫画の設定を借りたパロ物なのですが……そういう物も投下大丈夫なのでしょうか…?


少し不安なので、皆さんの意見を聞いてみたくて書き込みました。
よろしければ御意見、お願い致します。
31名無しさん@秘密の花園:2007/12/19(水) 15:42:06 ID:wc7YQUC8
アール子さんGJ!!!!!!!!!!!!!
32名無しさん@秘密の花園:2007/12/19(水) 16:06:09 ID:P4EP74s2
>>29
やり返そうとしてさらにカウンター食らう千里はたまりません、GJ!
>>30
おとぎ話パロディとかみたいにシチュエーション拝借くらいなら別にいいと思うけど
もしかして久米田作品関係無しの他キャラ出たりする?
33名無しさん@秘密の花園:2007/12/19(水) 16:11:04 ID:vZxQYi8z
>>32


キャラは絶望先生キャラのみです。
設定とキャラの立ち位置を御借りした形になります。
34名無しさん@秘密の花園:2007/12/19(水) 20:31:15 ID:SJkGv49K
ホレ ノシ
http://4server.sakura.ne.jp/newcomics/pc/img.php?src=../src/724-9.jpg
11集の意外な…もあったぞ
35名無しさん@秘密の花園:2007/12/20(木) 04:26:26 ID:GUKDugHj
エロパロ保管庫にあったカフカ×千里
ttp://red.ribbon.to/~eroparo/sslibrary/z/zetubousensei142.html
こっちのスレ向きだよね、こういうのは。
36名無しさん@秘密の花園:2007/12/22(土) 11:13:19 ID:SFuVnTtf
前スレ落ちたな
37名無しさん@秘密の花園:2007/12/22(土) 12:20:42 ID:ig/3+8WR
誰かいるかい?
38名無しさん@秘密の花園:2007/12/22(土) 14:50:32 ID:iXeyW2d3
参考までに皆様のご意見をお聞きしたいなと。

クリスマスをネタにしたSSを投下したいなと思ってるんですが、3本あるんですよね。
1日1本落とすにしろ、1日にまとめて落とすにしろ
同じ人間が短期間に連投するのって、見てる人にも職人さん的にもどうなのかなと。
いっそのことレンタル垢にうpしてからh抜きでアドレス貼った方がいいのかとか
テキスト形式でうpろだに上げた方がいいのかとか色々迷ってます…

長文失礼しました。
39名無しさん@秘密の花園:2007/12/22(土) 15:51:04 ID:U8/CmBo8
>>38

わたしも長いのを、しかも切れ切れに投下したりして、迷惑に思っている人もいるんじゃないかと気にしてますが、
個人的には始めから終わりまで一挙に投下するならその方が読みやすいんじゃないかと思います。


投下と言えば前のスレ、落ちたんでしょうか。霧と可符香の話の続きどうしよう、長いし
40名無しさん@秘密の花園:2007/12/23(日) 22:41:34 ID:C2Zk7/kP
保守がてらここに書き込んでいただいて構いません。
感想のみでこのスレの継続は・・・。
41名無しさん@秘密の花園:2007/12/24(月) 00:46:19 ID:BcN4qY+I
では、どさくさに紛れて前のスレッドで途中まで投下した可符香と霧の話を終わりまで投下します。
長いですが保守がわりということでお許しを… それと今更ですがタイトルを付けておきます。
では
42棘(いばら)の中の眠り:2007/12/24(月) 00:52:00 ID:BcN4qY+I

再び霧の唇に可符香の唇が重なる、だがそれはさっきの優しいそれから一転した情熱を込めたものに変わり、同時に霧の狭い肩に可符香の両腕が回された。

「… う、う…ん…」

霧の唇が可符香の唇に応えて少し開き、覗いた白い歯を可符香の舌がなぞる。
その行為に霧は身体をピクリと振るわせると更に唇を開き、そのまま熱心に自分に口付ける可符香の舌を受け入れた。

そうしてお互いに舌を絡ませ合躊躇せずにお互いの唾液をむさぼるように吸い合った。
霧は可符香の可符香は霧に熱心な舌と唇の愛撫を飽くことなく繰り返す。

「はあ、はあ、ああっ!」
「か、可符香… そこ、だめ… 」
「ふふふ、霧ちゃんのここ、熱い… 」
「可符香のだって… こんなに… 」

可符香の右手が霧のジャージの下に差し込まれて、そのままショーツの中にゆっくりと伸びていった。
そして霧の手も可符香の捲れ上がってしまったスカートから露わになった下着の中にもぐっていく。

「そこ、いい… 気持ち… もっと… 」
「ふふふ、こんなに濡れてる… 霧ちゃんって… ああん… き、霧… 」

そしてお互いの愛撫で濡れた指をいったん離すと、霧は可符香のそれを、可符香は霧のそれを口に含み、ピチャピチャと音を立てて自分が濡らした指をしゃぶり合い、
ひとしきりお互いの指を味わった二人は上半身を起こすと、また自然に抱き合いキスを交わした。
43棘(いばら)の中の眠り:2007/12/24(月) 00:56:21 ID:BcN4qY+I
可符香が霧のTシャツを捲り上げると、透き通るように白く柔らかそうな彼女の両の乳房が目の前にこぼれ出た。

霧はそのまま両腕を上げて可符香が自分のTシャツを脱がせるのを助ける。
引き下ろされたジャージとショーツはとうに可符香に取り払われていたので、愛用の毛布の上に横座りした彼女は生まれたままの姿だった。

「霧ちゃん、真っ白… すごく綺麗!おっぱいも大きくて柔らかい… 」
「そんな、大きな声で… あん、可符香… ああ!」

恥ずかしそうに胸を隠そうとした霧の手を可符香は優しく、しかし断固として除くと、スベスベした背中に両腕を回してそのまま目の前のふくらみに顔を寄せると、中心の淡いピンク色の突起に唇を付けて少し強く吸った。

「あー! だ、だめぇ! そんなに強く! ああっ!」

快感に顎を仰け反らせて霧は悲鳴にも似た喘ぎ声を漏らす、可符香はお構いなしに右に左に顔を動かしてその柔らかく大きな霧の乳房を味わう。
そして背中に回された彼女の腕もまた上下に滑り動く。

「いやあ、だめぇ! ああん、はあ、はっ! そこ! あっ、ああ!」

たっぷりと霧の白い滑らかな背中、汗を浮かべているそれを味わった可符香の右手は今度は、再び熱く濡れそぼった霧の股間に滑り込む。
44棘(いばら)の中の眠り:2007/12/24(月) 00:58:51 ID:BcN4qY+I
細い指がゆっくりと中へともぐっていく。その間も相変わらず繰り返される乳房への愛撫、霧の両方の乳房に雪の上に落ちる薄紅の花片のような後が一つ二つと増えていった。

「ああー!いやあ! う、うん… お、お願い… もっと優しく… くっ!くうん… 」

可符香の執拗で巧みな愛撫に霧はいまや、その白い身体を朱に染めてただ喘ぎ身悶えるだけ、
そして 完全に霧の身体も心も組み敷いてしまった可符香は、不意に愛撫を止めると霧の白い腹の上に跨るようにして膝立ちになる。

「あっ… ハアハア… か、可符香? 」

赤く染まった頬を涙と汗で濡らした霧は、自分を見下ろす同級生をぼうっとした表情で見ている。

その表情は明らかに上り詰めかけて途中で放り出された不安と不満、そしてねだるような表情が浮かんでいた。
そんな霧の様子に可符香は瞬間、錯乱した霧の首を絞めかけたときのような残忍な笑みを浮かべた。
同時にそれはとても満足そうな顔でもあった。
45棘(いばら)の中の眠り:2007/12/24(月) 01:02:41 ID:BcN4qY+I
赤い花片のように両の乳房や喉に、腹に散った可符香の口づけの後を隠すことも、開いた両足を閉じることも出来ず、霧は荒い呼吸を繰り返していた。
そんな彼女に可符香はまたニッコリと微笑むと「霧ちゃん… もっとしてほしい?」と、優しい声で尋ねる。

「だったらちゃんとお願いしてほしいな… ふふふ」

だらしなく襟が乱れたセーラー服をまとい、自分自身も上気した顔で可符香はわざとらしく尋ねる。
その振る舞いに霧は「意地悪…」と、小声で呟きながら両手の平で顔を被った。

「もっとして… 可符香… 」
「えっ? 何ですか、そんな蚊の鳴くような声では判らないじゃないですか」
「もっとして!私、もっと愛してほしい!寂しさを感じなくなるまで… 可符香に私をメチャクチャにしてほしい!」

可符香の眼がキラリと光り唇が微笑むかたちに歪む。

「よく言えました… 」

そう言う可符香の声にはほんの少し残忍な響きが隠れていた。

可符香は霧の言葉に心底満足そうに頷き立ち上がると、跨いでいた横たわる白い身体から外れて、
手早く解け掛かったスカーフを外し皺の浮いたセーラー服を脱ぎ捨てる。

そして後ろ手になりブラのホックを外したその時、それまで力なく横たわっていた霧が不意に起き上がると、
飛び付くようにして可符香のスカートを脱がし、露わになった薄水色のショーツを引き下ろした。
46棘(いばら)の中の眠り:2007/12/24(月) 01:13:28 ID:BcN4qY+I
「えっ!き、霧ちゃん」

霧は驚く可符香にお構いなしに目の前の裸の腰に抱きついた。
両手で左右のお尻を掴むと先ほどの行為で濡れている可符香の股間に顔を潜り込ませる。

「あっ!そんなっ! き、霧ちゃん、だめ、まず私が… ああん!貴方を… 」
「いかせてあげるよ、可符香! だから私もたくさんいかせて!」
「あっ!ああ! だめ、舌入れたらだめぇ!」

霧の様子にさしもの可符香もたじろいでしまい、しかも予想に反した彼女の手慣れた愛撫が不意打ちのように可符香を翻弄した。

「ひっ!き、霧、そんなとこ! ああっ、そんな、吸っちゃだめ! 」

先ほどまでの余裕は何処へやら、あっという間に逆に毛布の上に押し倒される格好になった可符香。

彼女の股間におおい被さった霧は、身動ぎする可符香の動きを差し込んだ舌の動きと溢れ出る愛液を啜り込んで封じる。

「だ、だめ! ああっ あー! い、いく、いっちゃう! 」

霧の顔の下で可符香の腰が震え、両の腕で押さえ込んだ太ももが一瞬激しく動いた。
そうして可符香が叫び声とともにグッタリと全身の力を抜いた。

「はあ、はあ、はあ、き、霧ちゃん… もう、ひ、ひどい… わ… 」

額に汗を浮かべて上気した眼で霧を軽く睨む可符香。もう完全に自分のペースでことを運べると、そう思っていた彼女には予想外の出来事だった。
しかし、それも可符香が人一倍敏感なせいもあるのだが。
47棘(いばら)の中の眠り:2007/12/24(月) 01:17:54 ID:BcN4qY+I
霧がその顔を上げると可符香からあふれ出し、霧の唇とその周りをビッショリと濡らしたものが、一瞬お互いの間に糸を引いて落ちる 。

ペロリと舌を出して口の周りを拭うようにすると、霧は可符香にニッコリと微笑んで「お返し」といった。

「もう… 意地悪… 」

可符香がさっきの霧の口まねをして拗ねたようにそう言うと、それまで余裕を見せていた霧の顔が赤く染まり
「こらー!」と笑い声混じりで叫び横たわる可符香に抱きついた。

「はあ、はあ、うん、うむむ… あむ… 」

毛布の上で全裸で抱きあう可符香と霧、激しく相手の唇を舌を貪りながら、その両腕はお互いの濡れた股間に伸びて激しく動く。
ぴたりと重ねられ柔らかくひしゃげた二人の乳房が尖りきった乳首をこすりあわせる。

「ああ、いい! 可符香… ステキ… あん… もっと… 」
「霧ちゃんのここ… 熱い… あふ… く、くう、 もっと深く… ふう! 」

あれから霧と可符香は何度も飽くことなく求め合い達しあい、飢えと乾きをどん欲に満たす獣のごとく貪りあった。
霧の白い身体に可符香の愛撫の花が咲き、可符香の柔らかな肌には霧が花片をこぼしていく。

やがて4本の足が絡み合ってお互いの股間を密着させると、充分に湿り気を帯びた柔らかいものを擦りあいこね合わせる音が宿直室に低く響く。

「霧、ああっ!霧… いい! 私、もう、もう! 」
「うくぅっ! あんっ!うん、可符香ぁ! 一緒に… 私… 一緒に… 」

汗にまみれてぬめるように輝く二つの裸身、霧がしがみつくように掴んだ可符香のふくらはぎに、堪えきれずに歯を立てると可符香の体がビクンと大きく震え叫んだ。
そして瞬間で霧もまた絶頂の声を上げる。

48棘(いばら)の中の眠り:2007/12/24(月) 01:23:27 ID:BcN4qY+I
「いい!霧… あー!あー!」
「…あああっ!いくぅ!可符香ぁ! 私!あー! 」

霧と可符香はしばらくの間、その裸の身体を隠そうともしないで、ただ荒い呼吸を繰り返してグッタリと横たわったままだった。
そして霧の方はいつしか本当に寝息を立てていた。

ただ、眠る霧の顔は満足そうだった。少なくとも無人の校舎を亡霊のようにさ迷い、可符香に孤独と不安を訴えた彼女はもうそこにはいないようだった。

取りあえず今のところは… 



回想の中と同じように、穏やかな顔で眠る霧を可符香はじっと見つめてた。

それまでは誰にも見せたことのない自分の顔。仮面の下の本当の自分… 誰かに見られたら最後もう今までの自分ではいられない、
はがれた仮面を再び付けることは出来ない。もし誰かに知られたらこの身を置く場所も失うかも知れない。

そしてそれを考えると押さえ込んだものがゆっくりと起き上がり、そして… 

でも、あの日泣き喚く霧に、自分の下で哀願する霧に、弱々しい自分の鏡像を見た可符香は、
彼女が自分と同じような不安を抱えてさ迷っていることを知った。

そうして残酷な慰めを得た可符香と、すがりつく相手を見いだした霧はお互いを求め合うことになったのだ。

「自分の場所なんて、本当は誰も持っていない… ねぇ霧ちゃん… みんなそれをずっと探し続けるの… ずっと… 」

「うん… 」

49棘(いばら)の中の眠り:2007/12/24(月) 01:26:50 ID:BcN4qY+I
小さく呻いた霧の光るように白い右手が、毛布の中からはみ出してまるで彼女を見つめる可符香を呼ぶように伸びる。
その様子に可符香は今度は心底からの優しさをたたえた微笑を浮かべ、羽織った毛布を霧のそれに重ねると潜り込んで、
眠る美しくそして自分と同じく風変わりな同級生を抱きしめた。


「…だから探しに行きましょう。いつかまた、新しい場所を見つけなければいけなくなったときは… 今度は二人で… 」

しばらくの霧の長い黒髪を撫でていた可符香も、やがて夜の深淵に落ちて行く。
学校という一つ世界に、今夜は彼女たち二人だけだった。

永遠の棘の城に眠る存在のように…

50名無しさん@秘密の花園:2007/12/24(月) 01:32:44 ID:BcN4qY+I
と、いうところで終わりです。また見逃してもらえるなら、
今度はもう少し短いのを投下しますね。そしてもう少し明るいのをw
ではおやすみなさい
51名無しさん@秘密の花園:2007/12/25(火) 00:21:55 ID:rbafG8lp
>>41-50 激しくGJです!!!!

楽しめの短編期待しながら待ってますよ♪
52名無しさん@秘密の花園:2007/12/25(火) 20:36:26 ID:TgjZHzIp
今日はクリスマスですね。
…どんな風にすごしているのかは置いといて。
完成したクリスマスSS投下させてもらいます。
内容はいつものノリの晴美×千里。
で、今回はえろ、です…、なんとかかんとか甘い方向には持って行きましたが…
ちょっとプレイちっくな事もさせてるので、苦手な方は要注意。
では、行きます。
53Double Loving Heart -Melt-:2007/12/25(火) 20:39:19 ID:TgjZHzIp

「メリークリスマス!」


ドアを開けた瞬間、いきなり目の前の人物が叫びだしたので
ドアノブを握ったまま千里は固まる。
目の前にいたのは、クラスメートでもあり、幼馴染でもあり
そして、まぁ、一応恋人でもある、藤吉晴美だった。

「あれ、反応薄いな」
千里の予想外の反応に晴美は首を傾げる。
「…何しに来たのよ」
「そんな言い方しなくても、せっかくのクリスマスなんだしー」
へへっと笑いながら、晴美は手に持った箱を上げて見せた。

「ほら、ちゃんと買ってきたよ?」
「別に頼んだ覚えはないけど?」
「またそんな風に言って、ほんとは嬉しいくせに」
そう言って晴美はにやにやと笑みを浮かべた。

「なっ…」
「外寒いから、家入れてー」
千里の口から反論の言葉が出る前に、晴美はさっさと家に上がり込んだ。
「別に嬉しくないから!」
その後姿に千里が言葉を投げ付けたが、晴美はひらひらと手を振って余裕たっぷりのサインを見せている。
54Double Loving Heart -Melt-:2007/12/25(火) 20:41:55 ID:TgjZHzIp

「外ほんとに寒くてさ、雪でも降るんじゃないかって思ったよ」
マフラーを外し、コートを脱ぎながら晴美が言った。
「どうせならホワイトクリスマスがいいのにね」
晴美から受け取った箱を持ち、台所の方へ消えた千里の声だけが聞こえる。

「ホワイトクリスマスねぇ、そういうロマンチックなのがいい?」
「どうせ降るなら特別な日な方がいいと思っただけよ」
「なるほどね」
そう言って、先に千里の部屋に入った晴美は小さなテーブルの前に座った。

相変わらずきちんと整頓されている部屋は
余計なものが一切なく、部屋の大きさ以上に広く感じられる。
自分の部屋とは正反対のこの部屋は、少し落ち着かない感じがする。
クリスマスが終われば、嫌でも千里が大掃除してくれるはずだ。
…何もかもを。
なんて事を考えていると、ケーキと飲み物を持って千里が部屋に戻ってくる。

「コーヒーでよかったわよね?」
「ん」

昔からの付き合いもあってか、2人共にお互いの好みは熟知し合っている。
と思いきや、未だに良くわからない趣味やら趣向やらがあったりして
…特に晴美の方に。
その趣向は千里には理解し難いものが多くあり、たまにケンカの原因になったりする事もある。
それでもここまでやってこれたのは、多分晴美の丸め方が上手いからだろうか。
そんな事を考えながら、千里がトレイからテーブルへとケーキを移す。
55Double Loving Heart -Melt-:2007/12/25(火) 20:45:08 ID:TgjZHzIp

真っ白いクリームが、上に乗っている苺の赤さを更に際立たせている。

「やっぱりケーキはシンプルなのがいいよね」
嬉しそうな顔でケーキを眺める晴美。
その顔の無邪気さに、思わずきゅっと千里の胸が鳴った。
そのすぐ後に顔を上げた晴美と目が合う。
千里は反射的に目を逸らしてしまった。

「どうかした?」
「な、なんでもない」

フォークを差し出しながら、ほんの少し頬を染める千里。
何故顔を赤くしているのか、晴美にはわからない。
…よくわからないけど、まぁいっか。
そう一言心の中で呟いて、この件を片付ける。

千里からフォークを受け取ると、早速ケーキにそれを通す。
一口分だけ切って、口へと運んだ。
その甘さに、晴美の顔がほころぶ。

「やっぱここのケーキはおいしいね」
その言葉に千里も同じように、ケーキを口へ運ぶ。
甘さが口いっぱいに広がる。
ちょっと甘いんだけどな、とも思ったけど、あえて言わないことにした。
目の前の人は、幸せそうに食べてるのだから。

ちらっと晴美の顔を見ると、口元にクリームが付いているのに気付く。
56Double Loving Heart -Melt-:2007/12/25(火) 20:47:13 ID:TgjZHzIp

「ほら、付いてるわよ」
「ん?」

口元に付いているクリームを、指で掬い取る。

「ほんと、だらしないんだから」
呆れる千里の腕が離れていくのを、晴美がそっと捕まえた。

「何?」
「ん、何も?」
そう言って掬い取ったクリームが付いた千里の指をぺろりと舐める。

「なっ!?」

驚く千里に構わず、晴美はちゅう、と指を吸い上げた。
千里の身体がぴくりと跳ねる。

「な、何してるのよ!」
「んー?」
「んー?じゃなくて…っ!」

舌先で指に触れてやると、一気に大人しくなる。

「指だけで感じちゃうんだ?」
「あなたが、変な風にするからでしょ…!」
「ほんとにそれだけの理由?」

にやりと笑って、晴美は握っていたフォークを机の上のケーキ皿に置いた。
そして、そのまま皿の上のケーキに直接触れる。
晴美の指先が真っ白なクリームに包まれた。
その行動を怪訝そうに見つめる千里。
57Double Loving Heart -Melt-:2007/12/25(火) 20:49:36 ID:TgjZHzIp

「晴美?」
千里が呼ぶ声と同時に顔を上げると、その指で千里の頬に触れる。
「ちょっ!?」
慌てる千里にお構い無しに、晴美は千里の頬に指を伝わせる。
そのまま千里の頬に口付けた。
そしてぺろりと、頬を舐める。

「やっ…」
困惑している千里にお構い無しに、晴美は頬に付けたクリームを綺麗に舐め取った。

「うん、なかなか」
「何がよっ…!」
「甘い」
「こ、こんなことしなくても、元々甘いでしょ!」

頬を赤らめて、千里が反論する。

「んじゃ、もうちょっと試す」
「なっ!?」
またクリームを掬い取ると、今度は首筋の辺りをなぞった
「ちょ、やだ…っ」
首筋のひやりとした感覚に、千里が身を捩る。

「ダメだよ、千里。じっとしてて」
「だってっ…こんなの…」
「じゃあ、止める?」
「それはっ…!」

その言葉に千里が困ったような表情を見せる。
さっきよりも更に頬を染めて、俯いてしまった。
58Double Loving Heart -Melt-:2007/12/25(火) 20:54:02 ID:TgjZHzIp

「千里」
晴美の呼びかけに千里はゆっくりと顔を上げる。
千里がこちらを見てるのを確認してから、晴美は自分自身の唇にクリームを塗り付ける。

「なら、千里もしてくれる?」
うっすらと笑みを浮かべながら、目を細め千里を誘うように見る。

うー、っと小さく唸ると千里は頭を抱え、再び俯く。
頭の上でいろんな感情が戦っているのが、具現化して見えるような気がした。
そんな葛藤と格闘しながらしばらく唸っていた千里だが、覚悟を決めたようにゆっくりと顔を上げる。
その顔は真っ赤に染まっていた。

「こ、今回だけだからね、絶対、今回だけ…」
自分にも言い聞かせるように、ぼそっと呟いてから。
晴美の肩に手を置いて、顔を寄せた。
恐る恐る差し出した舌が、ゆっくりと晴美の唇に付いたクリームを舐める。
ぎこちなく、それでも一生懸命に頑張る姿がとても可愛く思えて、晴美は千里の背中に手を回した。
唇がら舌が少し離れた合間を見て、晴美が口を開く。

「甘い?」
「…うん」
「もうちょっとしてもいい?」
「…ん」

クリームの甘さだけじゃない、雰囲気も手伝って
最初は否定だった千里もその気になったようだった。
また少しクリームを掬って、今度は千里の唇に付ける。
そしてそれを舐め取るように、口付けた。
59Double Loving Heart -Melt-:2007/12/25(火) 20:56:51 ID:TgjZHzIp

「ん…っ…」
口の中に甘さが広がる。
いつも以上に気分に拍車をかけている様で
千里の方も幾分積極的になっていた。

「千里、口開けて」
言われるがままに、千里が少し口を開くと
そこに舌を入れて中の甘さもじっくりと味わう。

「…っふ…ん…」
口付けたまま、服の裾から手を入れて、器用に中のブラだけを取る。
胸の圧迫が開放されたせいか、千里は少しだけ身震いをした。

「はる…み…っ…」
「ん?どうしたの?」
「やぁ…わかっ…ってる…くせにっ…」
潤んだ目がこちらに向けられて、晴美の背筋がぞくっとした。

「今日は、すごい可愛いよ」
いつもこんなだったらいいのに、と意地悪っぽく言ってみせた。
おそらくその言葉は千里には届いてないだろうけども。

「どうして欲しいか、ちゃんと言って?」
耳元で囁いて、ふうっと息を吹きかけるとぴくんと身体が跳ねた。

「ちゃん、と…触っ…て…」
「ん」
そう言って、服の裾を捲り上げる。
いつもなら、全てを脱がさずに続きを行うのだが
晴美の頭にとある考えがふと過ぎる。
60Double Loving Heart -Melt-:2007/12/25(火) 21:00:37 ID:TgjZHzIp

「これ、邪魔だから脱いで」
「…?」
いつもと違う流れに千里は疑問を抱いたが、言われるがままに服を脱ぐ。

「はる、み…?」
どうしていつもと違うのかがわからないでいる千里が見たのは
さっきと同じように指先にクリームを塗り、にやりと笑みを浮かべる晴美だった。

「こっちもやってみたい」
そう言うと、その指で少し立ち上がっている場所に触れた。

「ひゃん!」
突然の刺激に思わず大きな声を上げてしまう。
しかし、晴美はそんな事にはお構い無しに、その場所に指を這わせる。

「や…ぁん…」
ぬるっとした感覚が胸の辺りを行き来するのに耐えれなくなった千里はびくびくと身体を震わせた。

「まだだよ」
指の動きを止めて、完全に立ち上がったそこを口に含む。
「っあ!?」
与えられた刺激に、千里は一際大きな声を上げた。
その反応を楽しむように、あるいは甘さを感じながら晴美は丁寧にそこを舐める。
舐め取ったクリームの甘さが口の中を支配した。

「ん、あ、まいね」
「や、しゃべ、らないで…」
「気持ちいいんでしょ?」
喋る度にその振動がそこを刺激させて、千里から甘い声が漏れる。
61Double Loving Heart -Melt-:2007/12/25(火) 21:03:49 ID:TgjZHzIp

「最初は嫌がってたのに、こんなにしちゃって…」
「やぁだ…言わ…ないで…ぁん…」
「言われる方が感じるのに?」
ぎゅっと目を閉じて、ふるふると首を振る千里。

「素直じゃないんなら、お仕置きしないとね」
突起への刺激は休めずに、そのままスカートに手をかける
ふわふわとした手つきで、太ももの辺りまで捲り上げるとそのまま動きを止めた。
「…?」
恍惚とした表情のまま、千里は晴美の様子を伺うが、晴美は動こうとしない。

「どうしたの?」
にやりと笑う晴美に、千里はようやく意味がわかった。
お仕置きと称して、試されてるのだという事に。

「や…だ…」
「何が嫌なの?」
「意地悪しなっ、いで…」
「じゃあ、素直に出来る?」
耳元で囁かれ、そのまま耳たぶに噛付かれると身体を震わせながら懇願した。

「できるっ、からっ、止めないで…っ!」
「はい、よく出来ました」
千里の望む通り、捲り上げたスカートのすぐ側でじんわりと熱を持っているそこを指で触れる。
まだ触れていないはずのそこは、もう慣らさなくていいほどに濡れてしまっていた。

「触ってないのに、こんなになっちゃってる」
くすくすと笑うと、千里は恥ずかしそうに俯いてしまった。
「やっぱり、気持ちよかったんだ?」
こくりと控えめに頷く姿を見て、晴美は千里をぎゅうと抱きしめた。
62Double Loving Heart -Melt-:2007/12/25(火) 21:05:30 ID:TgjZHzIp
「千里」
「…っ…?」

「大好きだよ」


千里は意識が朦朧としているせいで、その言葉は何かの間違いだと思った。
だって普段彼女は好きだなんて口に出す事はないのだから
身も心も晴美を求めている、という感覚がそんな風な言葉を聞こえさせたのかもしれない。
ギリギリの部分だけで理性を保っていたと思っていたが、こんな幻聴が聞こえてしまった以上
もうどうなってもいいという意識が千里を突き動かしているのだと感じた。

千里が背中を抱きしめ返したのを合図に、晴美は十分に濡れたそこに指を侵入させる。

「んんっ!」
何の抵抗も無くそこは晴美の指を受け入れた。
ゆっくりと指を進めると、首に回された手に力がこもるのがわかる。

「ここがいいの?」
「んぁっ…そこ、きもち、い…」
「じゃあ動かすよ」
そう言って入れていた指を抜き差しすると、びくびくと身体が跳ねる。

「んんっ!ぁあ…はるっ、あぁ!」
「我慢しなくていいから、可愛いところ見せて?」
千里を頂点へ導くように、動きを早めた。

「もっ、っあ…!」
しがみついていた手にぎゅうと力がこめられたかと思うと、ふっと力が抜けそのまま晴美に寄りかかる。
達した千里は全身で息をしながら、快楽の余韻に浸っていた。
63Double Loving Heart -Melt-:2007/12/25(火) 21:07:42 ID:TgjZHzIp

そんな千里を優しく抱きしめると、晴美は額にキスをひとつ落とす。

「気持ちよかった?」
晴美の質問には答えずに、代わりにぽかっと顎の下を殴る千里。
「いて」
「…最低」
声と表情で不機嫌さを最大にアピールする千里。

「こっちは最高だったよ?」
「っ…!」
声にならない叫びが千里の口からこぼれる。

「可愛かった、うん」
その言葉が嬉しいやら、恥ずかしいやらで
真っ赤になった千里は俯いてしまった。
が、さっきの事を思い出して顔を上げる。


「あなた、さっき大好きだって言わなかった?」
「ん?」
その言葉に、一瞬だけ晴美の顔に動揺が見られた。

「どうだろ?」
「誤魔化さないで、今『あっ』って顔したでしょ?」
そう言って千里はぎゅうと晴美に抱きついて、その胸に顔を埋める。
そしてそのままの体勢で呟いた。
64Double Loving Heart -Melt-:2007/12/25(火) 21:17:03 ID:TgjZHzIp

「…うれし、かったんだから」
「!」

その言葉に晴美はゆっくりと千里を引き離す。
そしてまた真っ赤になった千里の顔をじっと見つめた。

「それなら、何回だって言うよ」
「…じゃあ、もう一回言って?」
その言葉に晴美は千里の耳元に唇を寄せた。
そして、はっきりと千里が望んでいる言葉を紡ぐ。


「大好きだよ、千里」
来年も、再来年も、ずっとずっと一緒にいたい。

「来年のクリスマスは、ちゃんとしたデートしようね」
「…うん」

「でも、締めはこれになっちゃうかな?」
「なっ!?」

来年はチョコレートケーキなんかどう?と提案する晴美の身体に
千里はボディーブローを一発食らわせる。

「がっ!?」
「私からのクリスマスプレゼント、ありがたく受け取りなさい」
そう言って、千里はべっ、と舌を出して見せた。



―END―
65あとがき。:2007/12/25(火) 21:21:27 ID:TgjZHzIp
はい、お付き合いありがとうございました。
もう何も言うことはありません、言うなら一言。
「 す い ま せ ん で し た 」

晴美×千里以外も読みたいぞ!という奇特な方はこちらもどうぞ。
Double Loving Heart -Thank you-(あびる×芽留)
ttp://sky.geocities.jp/gk_luck/novel/xmas-am.htm

Double Loving Heart -Illumination-(可符香×カエレ)
ttp://sky.geocities.jp/gk_luck/novel/xmas-kk.htm

結局3パターン書いちゃったんですよね…
全部落とすとえらいことになるので、こちらに上げさせてもらいました。

お目汚し失礼しました×3本分
66名無しさん@秘密の花園:2007/12/26(水) 01:00:19 ID:ByYcNJU6
「 あ り が と う ご ざ い ま し た 」
やっぱハルチリいいよおー
67名無しさん@秘密の花園:2007/12/26(水) 02:35:43 ID:MfTgqvFN
GJ!!!!
ストラップハート以外の伸びてる部分が
マニアックじゃない尻尾とかだとよりあびるっぽかったりして。
フツータイミングおいしすぎwwwwwwwwwww

カエレがマトモに長く会話してるのって実は本編だとないんだよねぇwww?
だからこんなにカッコよくカエレを描ける貴方がほんとにスバラシイ!!!
68名無しさん@秘密の花園:2007/12/26(水) 03:04:11 ID:ax7lnLxK
えがったえがった
やっぱハルチリはいいもんですなあ
外部の2作品もGJ

千里はなんだかんだ言ってコミケに様子見にくるし、晴美がオタ友達とケンカする時もそばにいるし、コスプレはするし、
あと今週のマガジン読むと普段から枠線引きとかベタくらいは手伝ってそうなふいんきだし、
某かがみん某瑞樹みたいに晴美のせいで少しずつオタ方面に染まっていってるのかもね。
晴美のサークルで売り子をやらされて、腐女子時空に巻き込まれて疲弊する話とか見てみたい。
晴美は開会とともにどこぞの壁サークルの行列の波の中へ。
ぽつねんと残された千里は「こんなこと千里にしか頼めないんだから。お願いよ?」と釘を刺されて暴走も出来ず、ジリジリと。
みたいな。
69名無しさん@秘密の花園:2007/12/26(水) 22:55:06 ID:ZbD4Sdjd
多分今まで2、3回でしかもGJの書き込みしかした事がない者ですが、
思い切ってSSを投下させて頂きます。
ちなみに昨日はクリスマスでしたが、
このSSはクリスマスと全く関係ありません。

それではいきます。
70名無しさん@秘密の花園:2007/12/26(水) 23:02:01 ID:ZbD4Sdjd
「早く終わらないかなぁ…」


ノートの隅にある小さな落書き。
その落書きも一段落すると、何気なく窓の外を眺めた。

窓枠にくり抜かれた四角い空。
ただ青い。
そこに大小の雲がいくつか浮かんでいる。
そんな景色が、向こう側、遠くまでずっと続いている。

さっきからずっと、授業に集中できない。
しかし、そんな事は今に始まった事ではない。
何かを考えたり、落書きしたり、昼寝したり。
ある意味では、一番自由な時間かもしれない。


「そんなだから留年するのよ」

いつだったか、千里にそんな事を言われたような気がする。


71名無しさん@秘密の花園:2007/12/26(水) 23:02:32 ID:ZbD4Sdjd


そう言うあんたもきっちり留年してんじゃない…

そう思ったが、口にはしない。
余計な事は言わない。

千里の性格だから、そんな事言ったら多分しつこく言い返されるんだろうな、なんて事は、
もう長い付き合いだからよくわかっている。

それから…


ふと、千里の方に目が向く。

自分が今何を考えているかなんて、きっと彼女は知る由もない。


「あなたって、本当に何考えてるのかわからないわ」


何気ない日常のほんの小さな隙間にあるもの。
今、自分の顔は少しだけ緩んでいるかもしれない。
俯瞰から冷静に自分を見ている自分自身に思わず苦笑してしまう。
72名無しさん@秘密の花園:2007/12/26(水) 23:03:03 ID:ZbD4Sdjd


「つかみどころがないのよ」


そう、多分気付かない。
でも、今はそれでいいよ。

余計な事は言わない。
言いたい事は、本当に言いたい事はきっとそんな事じゃないから。

留年した事だって、別に嫌ではない。


再び窓の外に目を向ける。

時にはモヤモヤしたり、切なくもなったり。
そういう時にこそ、改めて思い知る事。

好きなんだなぁ、ほんと。


「それは違うよ、千里」


もっと近くに、手の届くところにある。
気付かないだけで。

73名無しさん@秘密の花園:2007/12/26(水) 23:04:35 ID:ZbD4Sdjd


ノートの隅にある小さな落書き。
そこには笑顔の千里がいた。


私はここにいるよ



いつもこんな事考えてるんだもんなぁ。


ただ青い、そんな空に向けて小さく呟く。

あの時、言いたかった事は。
今、言いたい事は。

「嬉しいんだよ」

そこに千里もいるから

74名無しさん@秘密の花園:2007/12/26(水) 23:05:05 ID:ZbD4Sdjd


遠くまで続いている空、
でも、ずっと近くにある。
吸い込まれるように消えていった言葉。


妙に恥ずかしくなってきて、
机に突っ伏して寝る事にした。


授業中で良かったな…

なんて、苦笑してしまう。


何気ない日常のほんの小さな隙間にあるもの。
彼女にとって、それが私と同じものであったら。
そんな期待をしてみたりするけど。

どうかな。
今は、でもいつか。


時計を見て、まだ授業が終わらない事を確認すると、
少しだけ安心した。


-END-

75名無しさん@秘密の花園:2007/12/26(水) 23:14:17 ID:ZbD4Sdjd
あとがきというか言い訳というか。

えろくなくてすみません。
えろ書けないので…。
よく見直してみたらタイトルつけてなかったので無題という事で…
タイトル考えるのが苦手なんです、すみません。
書きながら思いついた事をがーっと書いてしまうせいか、結構めちゃくちゃでありますが…
すみません。
誤字脱字等は目をつぶって頂けると…すみません。
すみませんしか言ってませんね自分。

まだまだ未熟者ですが、
今後の参考にしたいので、何か思う事があればどんどん言って頂けるとありがたいです。
失礼致しました!
76名無しさん@秘密の花園:2007/12/26(水) 23:40:59 ID:UomcrPQ0
>>75
GJ!
これからもどんどん投下していきましょう!

遅ればせながらクリスマスSS3本に、GJくださった方々ありがとうございました。
Web拍手で感想を送ってくれた方もたくさんいて、嬉しい限りです。
拍手レスを自分の日記でやっても意味がないと思ったので
この場をお借りしてお礼を言いたいと思います。
拍手だけの方も含めて、本当にありがとうございました。
晴美×千里以外はかなりマイナーなカップリングですが、今後も推していきますんでw
これからも、どうぞよろしくお願いします。
77名無しさん@秘密の花園:2007/12/27(木) 15:46:44 ID:FyhcljkQ
とりあえずの保管庫つくっておきました。
http://despairlily.blog28.fc2.com/
78名無しさん@秘密の花園:2007/12/27(木) 21:35:01 ID:pGcKXi0y
超乙
79名無しさん@秘密の花園:2007/12/28(金) 08:51:34 ID:a5Afxj9C
>>77
GJ!!!
80名無しさん@秘密の花園:2007/12/29(土) 01:10:40 ID:d20ufrlZ
>>77
ついに作ってくれる人が出てきてくれた
ありがたい
81名無しさん@秘密の花園:2007/12/29(土) 08:55:35 ID:N8DnuYEM
>>75
GJ!
空気みたいにサラッとした表現がとても素敵ですね
これからも期待してます!
>>77
神乙
改めて読み返すとやっぱレベル高いなぁ

82名無しさん@秘密の花園:2007/12/29(土) 21:13:19 ID:1Y/XTtoQ
>>77
GJ!

絶望百合をメインで扱ってるサイトってやっぱ少ないのかな
ググってもアニメの知恵霧の百合シーンの事しか出てこない…
83名無しさん@秘密の花園:2007/12/30(日) 20:25:04 ID:kOBiQV9m
おっ保管庫スゲー俺の短いやつもちゃんと入ってる
GJ
84仮まとめのかんりにん:2007/12/31(月) 11:37:57 ID:YRGjXoWg
>>65さんのSS三本、サイトにあげたものみたいなんですが、
まとめに保管しておいてもいいんでしょうか?
8565:2007/12/31(月) 11:48:00 ID:CKpdeZlb
>>84
あ、まとめに入れてもらっておkですよ

ならこちらからも、質問を。
保管庫にリンク貼らせてもらうのはおkでしょうか?
86仮まとめのかんりにん:2007/12/31(月) 17:17:05 ID:YRGjXoWg
>>85
じゃあ保管させていただきます。
リンクはどうぞどうぞ。
87名無しさん@秘密の花園:2007/12/31(月) 17:17:38 ID:YRGjXoWg
sage忘れたすいません
88名無しさん@秘密の花園:2008/01/04(金) 02:06:43 ID:ShmObScD
あけました。おめでとうございます。
1月から二期も始まることですし、絶望百合がちょっとでも広まればいいなぁ…
なんて淡い期待を抱いてみたりして。

では、新年一発目のSS投下行きます。
今回はちょっと趣向を変えてあびる×千里なんかを書いてみました。
甘くないです、えろくないです、ちょっと苦いお話です。
89Five Regrets:2008/01/04(金) 02:08:58 ID:ShmObScD

最初は、そんなつもりなんて無かった。

ただ、彼女の嬉しそうに笑う顔を見たら
自分でも抑えられない気持ちが湧き上がってしまったのだ。

これは不可効力だと、自分に無理矢理言い聞かせる。


「ちょっと」
呼びかけられる声でふと我に返った。
気が付けば目の前の彼女、木津千里は心配そうな眼差しをこちらに向けている。

「え、あぁ、ごめん」
「呼び掛けても返事しないんだもの」
そう言って千里は、何冊かのノートをあびるに差し出す。

「はい、休んでた分のノート」
「ありがとう」

動物とじゃれているときに
また骨を折ってしまったあびるは、1週間ほど病院に入院していた。
そのせいで授業が少し遅れてしまい、抜け分のノートを千里に借りる事になったのだ。
千里から受け取ったノートを片手で鞄にしまう。

折れてからしばらく経ってるとはいえ、片手が完全でないのは不便なものだ。
そんな事を思いつつも、慣れっこになってしまった片手作業。
両手を使うのと変わらないスムーズさで、あびるはノートを鞄にしまい込んだ。
ノートを鞄に入れたのを見た千里が、不意に声を上げる。
90Five Regrets:2008/01/04(金) 02:10:29 ID:ShmObScD
「曲がってるわよ」
そう言って千里は自分のスカーフをとんとんと叩く。
その動きに、あびるは自分のスカーフを見た。
確かに、少し曲がっているそれは、自分的には全然気にならない範囲だけど
乱れているものが大嫌いな千里にとっては、許し難かったようだ。

「ああ、腕がこれだからね」
そう言って、自分の腕を見てふっと笑うあびる。
腕にはしっかりと固定するように包帯が巻かれていた。


「大分治ってはいるんだけど」
まだかばっちゃうから、あんまり上手く動かせなくて。
その言葉に千里は、すっとあびるに近付く。

「…千里ちゃん?」
「あなたはいいかもしれないけど、私は放っておけないのよ」
そう言って、あびるのスカーフを捕まえる。

「あぁ…」
なるほど、そういうこと。
彼女の完璧主義は、自分だけじゃなく人にも求めるって事ね。
心の中でそう呟いた後、あびるは自分自身を少し戒めた。

彼女が、千里が距離を詰めた時
心は動揺した?何を想った?
彼女が、千里が自分のスカーフを掴んだ時
心は何を望んだ?何を期待した?
91Five Regrets:2008/01/04(金) 02:13:12 ID:ShmObScD

「藤吉さんにもこんな風に世話を焼くの?」

ぽんと、放たれた言葉。
その言葉に千里が固まる。
同時にあびるも固まってしまった。
口に出すまいと思っていた気持ちが
意思とは関係なく外に出て、彼女にぶつかってしまったのだから。

「えっ…あぁ、うん、まぁ…」
明らかに動揺しているのがわかる。
今の言葉で彼女は何を思ったのだろう。
彼女の心は、誰かでいっぱいになったのだろうか。

その言葉で千里の胸をいっぱいにしたあびるは多少の苛立ちを覚えた。
約8割は自分に対して。残りの2割は…?

スカーフを直す手が少しぎこちない。
動揺しているのだろうか。

忙しなくスカーフの上で動く手に、あびるは自分の手を重ねた。

「…っ!?」
「そんな、焦らなくてもいいから」

そう言って頬を染めた千里に笑いかける。
その言葉に落ち着きを取り戻したのか
スカーフを掴んだ千里の手には動揺は見られなくなった。
素早くスカーフを直すと、満足そうにそれを見つめて頷く。
92Five Regrets:2008/01/04(金) 02:15:42 ID:ShmObScD

「はい、出来たわ」
「ありがとう」

目的が済んで離れようとする千里の制服をあびるがきゅっと掴む。

「ちょっとだけ、いい?」
あびるの言葉に、きょとんとする千里。
そんな千里をあびるはぐいと引き寄せた。

「!?」
よろけて倒れそうになる千里を、身体で受け止める。

「ちょっ…ど、どうしたの?いきなり…」
胸の中で裏返った声が聞こえる。
「ん?千里ちゃんがあんまりにも可愛かったから」
そう言って、怪我をしていない方の手で千里の首筋に触れる。

「っ…!?」
首筋をなぞる指に、びくりと身体を震わせる千里。
「ここ、痕付いてる」
そう言ってあびるは、赤い印が付いた場所を軽く押した。
その動きに身をすくめる千里。

「仲良しなんだね」
その言葉に千里の顔がまた赤くなった。
そんな千里の顎に手をかけて、軽くこちらを向かせる。

「そんな赤い顔して、何を思い出したの?」
「な、なんでそんな…事…」
そう言って、千里は目を逸らそうとする。
93Five Regrets:2008/01/04(金) 02:17:55 ID:ShmObScD

「たまには、世話を焼いてもらいたいなって思ったんだ」
あびるは目を細めながら言った。
「…?」
その言葉に、ゆっくりと千里の視線があびるに戻った。

「最初で最後だと思うから」
ぽつりと呟いたあびるの言葉は千里の耳の奥にまで、すうっと通った。
いつも冷静で、クールな彼女の中に
とても熱い何かが沸きあがってるのだと、千里の頭がそれを知らせた。
目の前の彼女は「いつもの彼女」ではない。

千里の思考回路が、何とかして今の状況を整理して理解しようと動く。
しかし答えを導くまで、あびるは待ってくれない。
ゆっくりとあびるの顔が千里の耳元に近付く。

「いろいろ悪いと思ってるの。千里ちゃんにも、藤吉さんにも」
耳元で囁かれた声が、くすぐったくて、千里は思わず身を捩る。
その行動にあびるがくすり、と笑った。

「耳、弱いんだ?」
わざと息を吹きかけるみたいに囁くと、千里の背筋を何かが走り抜ける。
声にならない声が、千里の口から漏れた。
顔を耳元から離して、千里の顔を見る。

うっすらと上気した顔と、少し潤んだ目が扇情的で
あびるの胸に何ともいえない感情が溢れた。
94Five Regrets:2008/01/04(金) 02:19:45 ID:ShmObScD

「誰にでもそんな顔しちゃ、襲われちゃうよ?」
くすくすと笑うあびるに、更に顔を赤くする千里。

「だ、だって、いきなりっ…こんな…」
「いきなりされても、拒否はするでしょ?」
あびるがそう言うと、千里はバツの悪そうに目を伏せた。

「でもそれでも、いいと思うよ」
そう言って、また千里の顔に近付く。

「少しだけだから」
その声に顔を上げた千里の唇に、あびるは自分の唇を重ねた。
びくりと身体が強張ったが、千里は拒絶しなかった。

触れるだけの、キス。
それでも、あびるには十分だった。
これ以上を望んではいけない。
彼女を忘れるのに、これ以上は…。
95Five Regrets:2008/01/04(金) 02:21:34 ID:ShmObScD

「んっ…」
小さく漏れた吐息にあびるは我に返り、唇を離す。

「苦しかった?」
あびるの言葉にふるふると首を振る千里。
「そう」
その声色はもう、いつものあびるに戻っていた。

「ごめんね」
そう言って淋しく笑うあびるに
何か出来ることはないかと千里は無意識に手を伸ばした。
「ダメだよ」
伸びてくる手に向かって、あびるが言葉を投げる。

「優しくされちゃ、後戻りできないから」
精一杯の笑顔を作る。
それが逆に痛々しく見えて、千里は胸を痛めた。

「これからも、友達でいてくれたら嬉しい」
それだけが願いだよ、と言ってあびるは千里から離れた。

遠のいていくあびるの気配を、背中で感じながら
千里は呆然とその場に立ち尽くすしか出来なかった。
96Five Regrets:2008/01/04(金) 02:24:24 ID:ShmObScD


早く、その場を離れたくて、自然と足が早足になる。
彼女はどんな顔で立ち尽くしているのか
彼女の心にはどんな気持ちが渦巻いているのか
気になることは山程あったけど、何もかもが今更過ぎるのだ。

足早に校舎を出て、夕日が染める通学路へと出た。
そこで一度だけ立ち止まったが、後ろを振り返ることは出来なかった。
振り返ってしまえば、やっぱり彼女を求めてしまうだろうから、振り向かないと決めた。
それが、完全なエゴだとわかっていても、だ。


君に出会ったこと。
君に出会うのが遅すぎたこと。
君がとても優しかったこと。
君が恋をしていたこと。

そして、君に恋をしたこと。


その5つの後悔だけが、あびるの胸を満たしていた。



―END―
97あとがき。:2008/01/04(金) 02:29:30 ID:ShmObScD
はい、という事で、終わりです。
初めて書いたあびる×千里でしたが、どうでしたでしょうか?
普段は晴千里、あび芽留を軸に話を進めてますが
たまには違う組み合わせもいいかなと思って書いてみました。

新年早々苦い話ですいません。
本当は晴千里の思い出話を書こうかと思ったんですが
スレの流れ的に晴千里分が多すぎるかなと思って、今回ワンクッション置きました。
次はこの話を甘々でお送りする予定です。
ここまでお付き合いありがとうございました。
98名無しさん@秘密の花園:2008/01/04(金) 13:19:59 ID:P9RP7GFV
GJ、良い雰囲気。自分の百合のイメージそのものでした
多いですよねハルチリ、千里が百合的に強すぎるからなあ、いつもやられる側だけど
でもやっぱりハルチリを期待してしまう私
99名無しさん@秘密の花園:2008/01/04(金) 17:39:35 ID:kvfLhB0g
カエレのツンがデレになったらメチャメチャ可愛いんだけどなあ…
カフカエを切に希望します!職人さんお願いしまする〜orz
100名無しさん@秘密の花園:2008/01/04(金) 18:00:48 ID:f5TpoteK
GJ!今年も職人さんに感謝
あびるさん切ないよ…
でもそうゆう話によく映える気もする
幸せな話も好きだけどね
101名無しさん@秘密の花園:2008/01/05(土) 23:23:14 ID:JGhrcP4u
GJ!
あび千里ってこのスレじゃ初めてかな? 画像は結構あるけど
102名無しさん@秘密の花園:2008/01/08(火) 14:02:55 ID:WaQ1qB8l
>>77
もうほとんど保管できましたな、乙です!

にしてもハル×チリ、というか千里受け圧倒的に多いなw
103名無しさん@秘密の花園:2008/01/08(火) 19:39:28 ID:R1ao1fYK
このスレの作品を読んでると、段々と千里が可愛く見えてきました
いいスレですね
104名無しさん@秘密の花園:2008/01/08(火) 21:46:01 ID:IfxYniUg
確かに
ここの千里は本当に可愛いなw
105名無しさん@秘密の花園:2008/01/09(水) 14:27:22 ID:dNxpAVIb
保管庫GJです

カフカ×あびる書いた者ですがタイトルつけてなかったんで…
「しっぽに罠」でよろしくです
106仮まとめのかんりにん:2008/01/09(水) 17:42:13 ID:laNFp4jo
>>105
おkです。修正しておきました。
107名無しさん@秘密の花園:2008/01/09(水) 18:22:12 ID:W62iZ4qC
どもです。>>105です。
ついでにゆる〜いのを置き逃げ。
108脱・普通 最初の感情:2008/01/09(水) 18:26:46 ID:W62iZ4qC
奈美は不機嫌だった。
みんなで海に行った日から。

またか…

この教室に蔓延する「教師愛」にはうんざりする。
何でこんなにも次々とみんなして糸色先生のことを好きになっちゃうんだろう。
残ったのはマ太郎と、木津さんとカップリングのことしか頭に無い藤吉さん、既婚の大草さんくらいかなぁ。
芽留ちゃんと加賀さんはよくわかんないけど。

クールにマイペースなように見えていたあびるちゃんまで…

それは自分が大多数に入れていない不安感なのか、特定の誰かにしている嫉妬なのかは奈美にはわからなかった。
でも…なんだかあびるちゃんってのが意外だな。
なんか…以外って言うか…なんだろう、この気分は…


自分でも気づかないうちにジロジロと見ていたらしい。
昼休みの談笑の中に居たあびるが近づいてきた。

「何?しっぽの話?」
いつものクールな声。
しっぽ関連になるとテンションも声も高くなるけど、先生のことに関してもそうなるのかな?
「いや、しっぽじゃないけど…」
「じゃあ何?」
無表情で何を考えているかわからない。
カフカちゃんみたいにずっとニヤニヤしててもわかんないけど。
109脱・普通 最初の感情:2008/01/09(水) 18:28:10 ID:W62iZ4qC
「いや…なんだか私ってこの教室で孤立しているような気がして…考え方とか…」
「そう?」
高校生だというのに小首を傾げる仕草はとても大人びている。
「そんなことないんじゃない?私はそうは思わないけど」
「…そうだね。変なこと言ってごめん」
だってあなたはそっち側だから。

そんな大人びた仕草で先生を誘ったりするのかな。
ふいにあびるが笑い出した。
「な、何?」
「いや、ごめん。悩みも高校生らしい普通な悩みだなぁって…」
「普通って言うな!」
はっとする。つい大声を出してしまった。
「あ、ごめん…」
あびるは気にしていない様子だ。
「ううん、私のほうこそごめん。でもそれって良いんじゃない?」
「何が?」
「孤立って言うとなんだか寂しい感じだけどさ、奈美ちゃんは一般的に言う「普通」からちょっと抜けてきたんじゃないの?」
「あ…」

そういう考え方もあるのか。
みんなが先生を好きになるのが「普通」で、私が先生を好きにならないことが「普通」じゃない。
「そうだね…」
あびるは何も言わず微笑んだ。

奈美はふっと俯いた。
顔が火照るのがわかる。
そう、あなたにこんな感情を持ってしまう私は「普通」じゃないんだ…

END
110名無しさん@秘密の花園:2008/01/09(水) 21:55:51 ID:dvM/5LkS
>>107-109 フツーにGJ!!!!
短いのに二人にキッチリと萌えた♪
111名無しさん@秘密の花園:2008/01/10(木) 19:46:34 ID:UF6fRqGf
ハルチリ濃度が濃いので、しばらく投下を見合わせていましたが
話の内容がとっくに時期を過ぎているので、そろそろ投下させてもらいます。
時期はさかのぼって、大晦日のお話です。
ハルチリで思い出話を、糖分たっぷりでお送りします。
よろしければお付き合いください。
112111:2008/01/10(木) 19:58:40 ID:l4xh82aB
と思ったのに、何故かPCからの書き込みが出来なくなった…orz
後日もっかい出直して来ます、ほんとに申し訳ないです。
113名無しさん@秘密の花園:2008/01/10(木) 20:23:41 ID:rSyTt7eD
絶望した!
新シリーズなのに
1話から霧智恵分が無かったことに絶望した!
114名無しさん@秘密の花園:2008/01/10(木) 20:30:40 ID:K+LJ7jEL
原作通りだとするとこれからも無いよ
代わりに霧×並っぽかったし我慢せい
115名無しさん@秘密の花園:2008/01/11(金) 16:42:08 ID:RYX6+ZLu
>>113
気の毒だけどあの展開はアニメだけのスピンオフみたいなもだしなあ。
まあ、シャフトだしこの先どうなるか判らんけどね。
116名無しさん@秘密の花園:2008/01/11(金) 17:24:45 ID:ZKlRqDII
どうもでございます。
保管庫で言うなら智恵霧の人でございます。
今年の1発目として『晴海×千里』で行かせて貰います。
ショートのつもりですが、思いのほか長くなってます(謝
途中で投稿失敗しないように気をつけながら、いざ!
117Naughty Girls:2008/01/11(金) 17:26:29 ID:ZKlRqDII
 高校生の最も楽しみなイベント、夏休み。
その夏休みももう後半、日数もあと2週間となった。
藤吉晴海はその中でも最も楽しみなイベント、コミックマーケット(通称コミケ)
も終え、次のイベントに向けての同人誌のアイディア出しをしていた頃だった。

「ん?」

 家のインターホンが鳴る。
今現在、両親や上の兄達は外出中である。
クーラーの効いた部屋を出るのは嫌ではあったが、客人を迎えない訳にはいかな
ず、晴海は椅子から腰を上げ玄関の方へと向かう。

「はぁ〜い……っと!」

 ドアを開けると、そこにはクラスメイトの几帳面少女――木津千里が立っていた。
頭には麦藁帽子を被り、涼しそうな服とスカートを着用し、両手には何やら荷物を下げていた。

「突然で悪いわね、お邪魔させてもらっても?」
「別にいいけど…」

 千里を家に招きいれ、クーラーの効いた自室へと素早く招く。
自室に着くとすぐに部屋の扉を閉め、クーラーの冷風が逃げないようにする。
千里は晴海の部屋に着くと麦藁帽子を脱ぎ、晴海のベッドの上にそっと置く。
 扉を閉めた晴海は原稿とノートが広げられた机に座り、友人にも座るように促す。

「急に来たからびっくりしたよ。今日は確か、可符香ちゃん達と水着の新調に行くんじゃなかったの?」
「…それは行ってきたんだけどね…」

 千里は荷物を脇に置き、机に手を置く。
心なし、目に生気が感じられない。
118Naughty Girls:2008/01/11(金) 17:27:30 ID:ZKlRqDII
いつもなら、全ての物をきっちりしなければ気がすまない彼女は整っていない物が無いか
をいつも眼をギラギラさせている。
以前晴海もその瞳に散らかったデスクを捕捉され、机の上を強制的に片付けさせられた事
が何度かあった。
現在はイベントが終わった事もあって散らかっていないのだが…。

「晴海!!」
「ひぃ!?」

 急に机を両手で叩き一喝。
突然の事で驚いた晴海は間抜けな声を上げながら(この際、驚いて膝を机にぶつけた)千里
に視線を向けた。
 当の千里は右手をゆっくりとあげ、高く掲げたかと思うとその手を勢いよく振り下ろし、
人差し指を晴海に向ける。

「え?」

 急に指差され、晴海も自分の左手で自分を指差す。
よくわからず混乱している晴海に、千里は指差したまま晴海にどんどん近づいてくる。
その表情があまりに尋常でなかった故、晴海は恐怖のあまり後ろに下がる。
が、当然四方を壁で囲われる構造で部屋と呼べる物なので晴海は壁にぶつかり、それ以上
動けなくなる。
 さながら、蛇に睨まれた蛙のように動けなくなった晴海は恐怖の表情を浮かべながら威圧
感のある千里の接近に震えていた。
そして、先程から晴海に向けられたままの千里の指がゆっくりと――晴海の程よい大きさの
胸に向けられた。

「その胸!! どうしてなの!?」
「ど、どうしてって…」
「中学時代の頃は、晴海だって大体私と同じぐらいだったじゃない!?」
119Naughty Girls:2008/01/11(金) 17:28:30 ID:ZKlRqDII
 何故急に胸の話になる!?
晴海はそう思ったが、ふと千里の今日の行動を想像してみた。
可符香達と水着の新調――

「もしかして……」

 晴海が察したのに気付いた瞬間であった。
千里はいつもの『うなぁあああああああ!!』と言う奇声を発しながら半狂乱になり、女性
とは思えない程の力で暴れ始めた。
『千里の暴走』と言う名の台風はしばらくの間、晴海の部屋の中で吹き荒れた。

***************

「…その…」
「別にいいわよ…」

 暴走と言う名の台風の止んだ自室を晴海は片付けながら千里にそう言った。
部屋は荒れ、あちらこちらにまだ真っ白な原稿用紙が散っている。
幸いにして同人誌を収納してある本棚や、まだ読んでいない同人誌は無事であった。
 当の千里はベッドの上で申し訳なさそうに腰掛けている。
千里自身も片付けを手伝うと言い出したのだが、晴海はそれを断って黙々と片付けをしている。
部屋が大体元通りになった頃に晴海は床に腰を下ろし、千里に視線を向ける。

「で? やっぱり…」

 そう言った瞬間、千里は俯いてしまう。

「別にいいじゃない。まだ私達17歳なんだし、これから大きくなるわよ」
「でも……その…悔しいというか…」
120Naughty Girls:2008/01/11(金) 17:29:31 ID:ZKlRqDII
 晴海は知っている。
千里は自分の体――特に胸――にコップレックスを持っている事を。
高校生ともなれば体はそれなりに成長してくるものだが、千里のクラスメート――特に木村
カエレや小節あびる――はクラスの中でも胸が大きい側に入る。
普段は制服を着ている為そんな目立たないが、千里の胸はクラス内でもかなり小さい方だ。
 普段は普通普通と言われている日塔奈美すら、千里よりもあるのだから。

「それで…なんで私に相談って事になるの?」

 千里から話の大体の内容を聞いた晴海は千里に質問を投げかける。

「晴海って中学生ぐらいの頃は私と大体同じぐらいの体型だったでしょ?」
「ああ……そうだったかな?」
「なのに、高校生になった頃から急に…その…大人びたというか…」

 千里の発言に晴海はふと視線を外して昔の事を振り返ってみた。
確かに晴海は中学生の頃は周りの女子と比べても大体同じ、今の千里と同じぐらいの体型をし
ていた。
それが高校に上がる頃になって急に胸が大きくなっていると千里に指摘され気付いた。
晴海自身も何故ここまでなったのか、当時はあまり検討がつかなかった。
 しかし、ふと中学2年の頃からの事を振り返りながら気付いた。

(ああ…あれ…かなぁ…)

 思い出し、晴海の顔が青ざめる。
その晴海の表情の変化を千里は見逃さなかった。

「どうしたの? 大丈夫?」
「ああ…いや、別に…」
121Naughty Girls:2008/01/11(金) 17:30:44 ID:ZKlRqDII
 「そう…」と呟いてから千里はベッドから立ち上がり、机をはさんで晴海と向かい合うよ
うに千里は床に腰を下ろした。

「とにかく、今すぐに…とは言わないけど、お願い! 胸を大きくするコツ…みたいな物を
教えてほしいの!」
「ええ!?」

 千里は両手を合わせ、まるで神に祈るように晴海に懇願する。
親友の頼みとは言え、晴海は意識してそんな事をやったわけではないし、先程思い当たった節
を自分の口から言うのは少し恥かしい物である。
 しかし、千里の眼は本気である。
今ならばどんな馬鹿な方法を提案したとしても実行するだろう。
ましてや、この勢いでは妙な勧誘にも引っ掛かってしまいそうである。
それだけは何としても避けよう。
 晴海は深呼吸をして千里に提案を持ちかける。

「とりあえず、そう言う方法があるって言う情報はあるんだけど…」
「ほんとっ!?」

 机から乗り出し、晴海の眼前に自分の顔を近づける千里――眼が輝いている。

「あー…。でも…信憑性は…その…あまり無いかもしれないけど…」
「それでもいいのッ!!」

 とりあえず方法が見つかったという事に髪を振り乱しながら喜びを表す千里。
さながら躍動感のあるアニメにおける髪の毛の動きを見ているようなものだ。
 千里がノリノリである事を確認し、再度晴海は深呼吸をする。
122Naughty Girls:2008/01/11(金) 17:31:51 ID:ZKlRqDII
「……じゃあ、教えるから耳貸してくれる?」
「いいわよ!」

 鼻息を荒くさせながら千里は親友の口元に耳を近づける。
晴海は口の中の唾液を飲み込み、そして意を決して千里の耳にその『方法』をゆっくりと告げる。

「……胸を……」

 聞いた瞬間、千里の顔が一瞬で青ざめる。
全て聞き終わって千里は顔の両側を手で抱え込みながら晴海に視線を移す。
当の晴海自身も『言ってしまった』という感じで顔を赤くしながら千里から視線を逸らしていた。
 クーラーの効いた部屋の中にしばらくの沈黙が流れる。
そして最初に口を開いたの千里の方だった。

「……ほ、本当なの?」
「……もう一度言わせる気?」

 青ざめていた千里の表情が今度は朱色に染まる。
またしばらく沈黙が続く事を恐れた晴海は一旦立ち上がり、一階に飲み物を取りに行こうとする。
が、ドアに手を掛けようとした瞬間、『するんぱし』とスカートの裾を千里に掴まれた。

「な!? ちょっ…」
「逃がさないわよ…こうなったら晴海、とことんまで付き合ってもらうからね…」

 晴海は思った。
自分は何もしていないだろう…と。

***************
123Naughty Girls:2008/01/11(金) 17:32:49 ID:ZKlRqDII
「まずは雰囲気が大事よね…」

 そういって千里は部屋の窓をカーテンで全て覆い隠す。
緊張で暑くなった為、クーラーの温度を若干下げる。
置いてあった机も脚を畳んで部屋の脇に退ける。
 準備を整え、晴海を一旦視界に捉えた後、ゆっくりと服の裾を上げ、ブラジャー(パッド入り)
をつけたままの小ぶりな胸を外気にさらす。
衣擦れの音が頼んでもいないのに場の雰囲気を怪しくする。
 その控えめな胸を眼にした晴海は思わず、ごくりと生唾を飲み込む。
その嚥下音に千里が晴海を睨む。

「やましい事なんて考えないでよね…」
「か、考えていないから…」

 そう力強く釘を刺す千里の顔は既に真っ赤である。

「やっぱり、直に触れる方が…効果は…その…あるの?」
「し、知らないけど…」

 晴海は返事をしながら、そっと右の手で千里の胸の布に覆われていない部分に触れる。

「ひゃう!?」
「!!」

 突然の奇声。
一瞬晴海は理性がすっ飛びそうになった。
ギャグ漫画だったらおそらく晴海の眼鏡にヒビが入っていただろう。
 即座に晴海は右手を引っ込めた。
124Naughty Girls:2008/01/11(金) 17:33:57 ID:ZKlRqDII
「へ、変な声上げないでよ!!?」
「そ、そっちこそ、変なところ触らないでよ!!」

 お互いが同時に驚いた事により、互いの間に不思議な間隔が開いた。

「も、もう一回! ほら、はやく!!」
「痛い! 痛いってば!わ、わかったから手を掴まないでよ!」

 強引に晴海の右手を捕まえ、千里はその手を自分の左の胸に触れさせる。
千里は一瞬ピクリと反応するが、それでもお構いなく晴海のもう一方の手を捕らえる。
それも同じように自分の右の胸に触れさせる。
 晴海の両手が自分の胸に触れた事を確認すると晴海に対して視線で合図を送る。
その表情が怒りと羞恥の入り混じった表情であった為、晴海は恐怖を一瞬感じながらも言われた
通り、ゆっくりと優しい手つきで千里の胸を揉み始める。

「ん! …っく…は…」

 慣れない行為に、千里は口から漏れ出る嬌声を隠そうと下唇をぎゅっと噛む。
それでも、どんどん大胆になってくる晴海の手の動きによる刺激に千里が耐えるのは難しいだろう。

「ふ…あ…は、はる…みぃ…」
「す、すこしは…がまん…してよ…私まで…変になるでしょ…」

 下から上へ、あるいは優しく包み込むようにして千里の胸をブラの上から刺激する。
手つきが大胆になるにつれて千里の頭の真ん中分けが解け、髪が乱れてくる。
晴海はこれが千里の精神状態の異変を表しているのは知っているが、顔を朱色に染め、息を荒く
しながら髪を乱す千里はどこかセクシーであった。

(ああ…あの堅物の千里がこんなに…)
125Naughty Girls:2008/01/11(金) 17:35:03 ID:ZKlRqDII
 心の端でそんな事を考えていると、不意に手の平に何か硬い感触が触れる。

「んん!?」
「…千里、もしかして…感じてるの?」
「はぁ…あ…っく……ば、ばかなこと…ん…いわないでよ…」

 そんな声を上げながら言っても、もはや説得力は無い。
晴海は千里の言葉を無視して、そっと右手の人差し指と親指で胸の突起をきゅっと摘む。
その瞬間であった。

「ひ!? ふゃあああぁぁ!」

 堪え切れなかったのか、千里の口から甘い嬌声が溢れる。
同時にその瞬間から、晴海の理性も吹き飛んだ。
 息を荒げ、呼吸を激しくする千里を見ながら舌なめずりをすると、胸から手を離し、ドンと千里
を床に押し倒す。
力が入らず受身を取る事の出来なかった千里は後頭部を床にぶつけてしまうが、そんな事今の晴海
には些細な事であった。
獲物を狙う肉食動物のようにゆっくりと千里に近づく。
 そして晴海が上になるようなかたちで床に倒れた千里をじっと見つめる。

「は…はる…み?」

 千里のその言葉を合図に、晴海は右手で強引に千里の胸を覆い隠すブラジャーをぶちっと剥ぎ取
ってしまった。
突然の事に驚き隠せなかった千里であったが、体に力が入らず、抵抗する事もできなかった。
追い討ちを掛けるように露になった胸に晴海の左手がそっと掛けられると同時にその胸を揉み始め
た。
126Naughty Girls:2008/01/11(金) 17:35:44 ID:ZKlRqDII
「あ…ふ…ひぅ…」
「ち、ちりがわるいんだからね…へ、へんなこえ…だすから…」

 薄くても多少弾力のある胸が晴海の左手で蹂躙される。
泣いて嫌がる子供のように艶のある声をあげる千里であるが、その声が晴海の理性をさらに削って
いく。
晴海は姿勢を低くし、千里の胸の間にキスをする。
強く吸った為、その部分が赤く染まる。
それを確認すると今度は、千里の残った胸の方の先端――乳首を舌先で刺激する。
 突然の事に、千里の身体が大きくはねる。

「や、ああ! は…るみ……そこ…」
「んちゅ……こういう事に疎くても…んん…身体はきっちり反応してるね…」

 口の中の唾液を舌に纏わせ、千里の左胸を丹念に舐め、時には赤子のように口に含み吸う。
敏感な千里はただただ晴海の為すがままになっていく。
なんとか千里は晴海を引き剥がそうとするが力が入らず、逆に晴海の凄い力で押さえ込まれてしま
っている為、抵抗はもはや無理である。

「んん…ちりのおっぱい…ちっちゃいけど、おいひぃ…」
「や、やだ…はずかし…ふひゃ!?」

 突如、千里に違う感覚が走った。
右胸を揉んでいた手がいつの間にかスカートの中に潜り込んでいた。
代わりに今度は背中から回した晴海の右腕が右胸を愛撫する。
 左手がスカートの中の下着に達すると、晴海はその指をつつっと下着の上から千里の大事な部分を
なぞる。
127Naughty Girls:2008/01/11(金) 17:36:46 ID:ZKlRqDII
「ふふ…千里のここ…もうぐしゃぐしゃ…」
「や、はる…み…そこ……だ…めぇ…」

 人差し指を左右させながら割れ目の入り口の部分をなぞる。
先程までの行為で十分といえるほど、下着の上からもよくわかるほどそこは濡れていた。

「これなら…いいよね?」
「へ?」

 千里の答えも待たず、晴海の人差し指が下着を掻き分けて千里の割れ目に挿入された。

「はあ、あっ…っうああああ!? 」

 指はしばらく動く事はなかったが、晴海は千里が声を止めたのを確認するとゆっくりと指を入れた
まま前後させ、さらに両の胸を刺激する。

「ちゅぷ……千里のここ…ん…いっぽんでもう…いっぱいなのね…」
「やぁああ!? や、はるみ! これ…いや! へ、へんになりそ…うああ!」

 胸と秘部の3点責めに千里は自分がどんどんおかしくなっていくのを感じていた。
普段は温厚な親友の同年代とは思えない激しい指使いや舌使いに脳の中まで掻き回されているような
気分であった。
でもそれに不思議と不快感は無く、どんどんそれが快楽へと変わっていく。
身体が熱くなり、クーラーが聞いているにも関わらず全身から狂ったように汗が出てくる。
 定まらない視点でよく見ると、いつの間にかスカートを脱がされていた。
意識が飛びそうになった瞬間であった。
秘部に入れられていた晴海の指が抜かれ、晴海が千里の身体から離れていった。
128Naughty Girls:2008/01/11(金) 17:38:21 ID:ZKlRqDII
「え? …はるみ?」

 眼鏡の親友は千里の愛液に塗れた左人差し指を口に含み、頬を朱に染めながら右手でスカートの上
から自分自身を刺激していた。
人差し指を舐め終え、唾液と愛液の糸を引きながら人差し指と舌が離れる。

「千里が感じてるの見てたら私も感じちゃったの…だから…」

 床に横たわる千里をお姫様抱っこの要領で抱えると、晴海は自分のベッドに千里を横たわらせる。
そして自分もベッドに座ると、愛液で濡れた千里のパンツを脱がせる。
脱がされた事により、千里の大事な秘所が露になる。

「や!? ちょっと、晴海!?」
「大丈夫、ちょっと待ってて…」

 そう言うと、晴海は一旦ベッドから降り、スカートのチャックを開ける。
するりと衣擦れの音と共にスカートが床に落ちる。
そして今度は先程千里にしたように自分のパンツもゆっくりと手で降ろす。
 晴海のそこも千里ほどではないが、愛液で濡れていた。
下着を脱ぎ終わるともう一度ベッドの上に戻り、千里の露になった秘所をじっと見つめる。

「千里…まだ生えてないんだ…」
「な、何よ…いきなり…」

 そう言うと晴海はいきなり自分の秘所を千里の眼前に向けた。
ちょうどお互い秘所を見せ合う形となった。

「は、はるみ?!」
「大丈夫…。千里のここ、私が舐めてあげるから…千里もおねがい…」

 有無を言わさず、千里が答える前に晴海が千里の秘所に口をつける。
129Naughty Girls:2008/01/11(金) 17:39:18 ID:ZKlRqDII
「ひう!」
「ほら…はやくぅ…んちゅ…」

 言われたとおり、千里は晴海の秘所に恐る恐る口をつける。
一瞬晴海の身体がピクリと反応したが、千里は先程のお返しとばかりに晴海の秘所を舐める。

「んぷ…ここが…はるみの……ちゅむ…」
「あはぁ…いいよぉ…ちりぃ……もっと…して…」

 求めるように晴海の腰が下げられ、千里の口と密着する。
同時に晴海も両手を使って千里の秘所を拡げ内側も舐める。

「はぁ…はひゅ…み…あ!」
「ん…ちり……ゆびで……もっと、おくまで…いじって…」

 言われたとおり、千里は指を晴海の秘所に挿入し、前後に動かす。
端から溢れてくる愛液を丁寧に舐め取りながら刺激する。
時折舐め取れなかった愛液が雫となって千里の顔に零れるがそれでも構わず晴海の秘所を
刺激し続ける。
 かたや晴海の方は千里の秘所を拡げ、奥にまで舌を差し入れ舐める。
はねる愛液が眼鏡に掛かるがそれでもまだ求めるように千里の秘所を舐める。

「ちり……そろそろ…いっしょに…ん…」
「ひうぅ!?」

 晴海が千里の秘所にぷっくりとした陰核にキスをすると、秘所に指を出し入れしながらそ
の敏感な部分を舐める。
陰核を直接刺激され、千里は頭を狂ったようにぶんぶんと左右に振る。
130Naughty Girls:2008/01/11(金) 17:40:13 ID:ZKlRqDII
「あ…ああ…はゆ…み…」
「ちり…ちりぃ…」

 消え入りそうになった意識の中でも千里は必死にしがみつき、晴海の秘所のクリトリスを
見つけると自分がされているように舐める。

「ふ…っく…ああ! ちり…あ…いいのぉ…そこ…あ!」
「はひゅみぃ…んむ…ちゅう…こうれ、いいのぉ?」
「んは、はぁあ…っく…うん…そこがぁ……んちゅ…」

 喘ぎながらも晴海も千里のクリトリスを指と口で刺激する。
部屋の中にはもはや二人の愛液を啜り、敏感な部分を舐めしゃぶる音と喘ぎ声以外何も聞こ
えない。

「はる…みぃ! あ、もう…だめぇ…わたひ…へんに…なり…ほう……ひう!」
「いいよ、いっひょに……いっしょに…イって…ちりぃ…」

 二人の快感が同時に頂点に達した瞬間であった。

「はぁあああああああ!! はるみぃいいいいいい!」
「ちりぃいいいいいいいい!!」 

 晴海も千里もほぼ同時に嬌声を発し、絶頂に達した。

***************

「最ッ低!!」

 晴海の家のバスルームでシャワーを浴びながら千里はそう言った。
汗と愛液で汚れた服と下着と身体を綺麗にするの兼ねて、晴海と千里は一緒にシャワーを浴び
ていた。
131Naughty Girls:2008/01/11(金) 17:42:00 ID:ZKlRqDII
「ごめんごめんって」
「ごめんで済まされる問題じゃないでしょう!」
 千里の長い髪を流しながら晴海は謝る。

「でも、千里だって結構ノリノリだったじゃない?」
「当初の目的と全然違うでしょ!?」
「千里があんなエッチな声出すから悪いんだよ?」
「責任転嫁しないでよ!」
 流し終え、シャワーの湯を止める。
直後、晴海は油断していた千里を両手で抱きしめる。

「うりゃー!」
「ちょ!?」
「普段はあ〜んなに硬いのに、ベッドの上じゃ凄い可愛いのねぇ〜」
「な、何言ってんのよ!? ひう…む、胸触らないでよ!」
 千里を抱きしめながら晴海は千里の耳元にそっと囁きかける。

「ね、私も水着の新調に行っていい?」
「え?」
「千里が行くって言ってたプール、私も行ってみようかなって」
「…いいけど…服とかどうするのよ…」
「大丈夫〜! 私の貸してあげるから」
 その光景はさながら仲の良い姉妹のように見えた。
先程まで嫌な顔をしていた千里であったが、観念したように頬を緩ませる。

「しょうがないわね…付き合ってあげるわ…」
「決まり〜! そうと決まったら、ほら!」
 晴海は急かすように千里と同時にバスルームから出た。
そして素早く着替えを済ませ、二人は手を繋ぎながら目的地を目指した。

―了―
132Naughty Girls:あとがき:2008/01/11(金) 17:49:23 ID:ZKlRqDII
タイトルが内容とかすりもしてねぇ〜!(挨拶

新年一発目からこんなハルチリでごめん。
ネタ考えるのは良いんだけど、アニメから漫画に入った逆流の私はどうしても智恵霧がメインになりがち。
さらに生来の堅物さから、マリアや芽留をつかったネタはタブーと自分に言い聞かせている身としては、もうホント…。
ごめんね、絶望少女達(特に小節あびる)
最後だけ(>>131)改行を減らしてますので、保管の際は(>>117>>130)に合わせてください。

>保管庫の人
『智恵霧』『奈美受け3P』の保管、ありがとうございます。

今回はここでおさらばです。
では!
133名無しさん@秘密の花園:2008/01/11(金) 23:45:28 ID:Ex5PZHU/
GJ!

…なんだけどこれだけは言わせてくれ!
晴海じゃなくて晴美だぞ!

でもGJw
134111:2008/01/12(土) 09:08:29 ID:O6uCsnTk
先日書き込もうとしたら何故か書き込めなかったハルチリリベンジ行きます。
もう今の流れじゃないと投下できない悪寒がしたので、勢いで行かせてもらいます。
内容は>>111を参照してください。
135Happy Wedding:2008/01/12(土) 09:19:59 ID:O6uCsnTk
今日で今年も終わるという、12月31日。
新年を迎える準備なんて毎年適当だから
今年もなんだかどたばたで、新年を迎えるんだなぁ。
なんて考えていると、チャイムが鳴った。

「はいはーい」
がちゃっとドアを開けると、そこには千里の姿。

「あ゙」
忘 れ て た 。

「何よその顔」
ものすごく苦い顔をした晴美を怪訝そうな顔で見る千里。

「やー、だって、こんな年末も年末の日に千里ちゃんに会えるのはー…」
「何よ、ちゃんなんか付けちゃって」
そんな事言ってもごまかされないとばかりに
苦笑いで固まる晴美の横をすり抜けて、家に上がり込む千里。

「わっ!?ダメだってばぁ!」
一直線に晴美の部屋へと向かう千里を後ろから捕まえる。
「どうせ掃除終わってないんでしょ?」
身体に回された手をぺちっと叩きながら、千里が言う。

「やー…確かに終わってないけども…」
そう言って千里の身体に回した手を、ゆっくりと顎へと持っていく。

「掃除よりも、ね?」
耳元で囁かれる甘い声。
その声に千里はぴくりと身体を反応させる。
136Happy Wedding?:2008/01/12(土) 09:21:32 ID:O6uCsnTk
何が何でも掃除だけは阻止しないと。
そんな晴美の思いが千里をなんとかしてあっちの方へ誘い入れようと働く。

「晴美…」
照れたような、甘えるような声。
よし、このまま一気に!

と思った瞬間、千里の身体が晴美の腕からするりと抜ける。

「…あれ?」
「掃除終わるまで、我慢してね?」

そう言って千里はにっこりと微笑んだ。


…だめだ、止められない。
でも、ちょっと可愛いからいっか。
って!よくないだろ!
心の中で1人ノリツッコミをしてみるも、千里の大掃除は中止にはならない。

そうこうしている間に、千里は晴美の部屋へと入っていった。

…仕方ない、覚悟決めるか。後でこっそり回収しよう。
千里にとっていらないものでも、あたしには必要なものだし…。

そう決心した途端に廊下には無数の同人誌が放り出されていた。

「あああ!?」
137Happy Wedding?:2008/01/12(土) 09:25:27 ID:O6uCsnTk
千里の大掃除は、とにかく徹底している。
いらないものは迷うことなく捨てる。
いるかいらないかの二択。微妙なものは全部捨て。

物が捨てられない人にはいいのかもしれないが
世の中のみんながそういう訳でもない。
ましてや、本人しか知り得ない必要と不必要を考慮せずに捨てるのだから
大掃除というよりは、大処分と言うのが正しいんじゃないかな、この場合。

「これはいらないわ」
ぽいっ。
あぁっ!ヂャンプのカラーページの切り抜きアルバムがっ!

「これもいらないかな」
ぽいっ。
あぁっ!応募者全員サービスの特大ポスターがっ!

「ちょっと、見切り早くない?」
「そうかしら?いらないものじゃない」
そう言って、千里は机の奥にしまっていた木の箱を手に取る。
蓋を開き、その中身を確認を確認していた千里の動きがはたと止まった。

「ん?どうかした?」
「な、なんでもないわ。これも捨てね」
ぽーん。
「うわっ!?」
千里が中身の入った箱を放り投げる。
中には某アニメショップで買った、キャラクターが身につけている
アクセサリーのレプリカがたくさん入っていた。
138Happy Wedding?:2008/01/12(土) 09:27:27 ID:O6uCsnTk
「なんか今年は例年以上にモノが捨てられていく気がする…」
「それだけ、あなたが余計なモノを増やしているって事よ」
…確かに。そう言われると反論は出来ない。

そんな事を思いながら(強制的に)綺麗になっていく机の上を
ぼんやりと眺めていると、何かがキラリと光るのが目に入った。

「ん?」
千里が本棚の辺りを片付けている間に
そっと机に近付き、光を放っていたそれに手を伸ばす。

「指…輪?」

指輪といっても、ダイヤだとかエメラルドとか本物の宝石が付いている訳ではなくて
プラスチックで出来た飾りの付いた、おもちゃの指輪だった。
青い飾りをじっと見つめて、晴美はふっと笑みをこぼす。

「千里ぃ?」
本棚の本を全部引っ張り出している千里に向かって声を掛ける。
くるりと振り返った千里は晴美の手にある指輪を見て、みるみるうちに表情を変えた。

「あ!?ちょっと、それ!」
「さっき動きが止まったのはこれがあったからなんだね?」
晴美がにやにやと笑うと、千里は俯いてしまった。


この指輪にまつわる話は、2人が幼稚園の頃まで遡る。
この頃から千里と晴美は仲が良く、幼稚園でも常に行動を共にしていた。
139Happy Wedding?:2008/01/12(土) 09:30:19 ID:O6uCsnTk
「ねぇ、はるみ」
「なに?」
「おとなになったら、あたしたちは『けっこん』するのよ」
そう言って千里は嬉しそうに笑う。

「けっこん?」
『けっこん』という聞きなれない言葉に晴美は首を傾げた。

「そう、けっこん」
「けっこんってなに?」
「けっこんっていうのは、いちばんすきなひととするんだって」

おとうさんやおかあさんも、すきだからけっこんしたのよ。
千里は得意気に胸を張ってそう言って見せた。
「けっこんするとどうなるの?」
一番好きな人とする、という『けっこん』に興味を示した晴美は千里の話を真剣に聞き直す。

「まいにちずっといっしょにいられるのよ」
キラキラした笑顔で答える千里を見て、つられて晴美も笑顔になる。
「そっかぁ、たのしみだね」
「でもね、けっこんするにはそのまえにこんやくっていうのがあって」
更に聞きなれない言葉が出てきて、晴美の頭は『けっこん』と『こんやく』でいっぱいになった。

「こんやくはね、ゆびわをわたすのよ」
「ゆびわ?」
「そう」
そう言って千里は自分の幼稚園着のポケットから指輪を取り出した。
赤い飾りの付いたものと、青い飾りが付いたものの2つが千里の小さな手の上に乗っている。
140Happy Wedding?:2008/01/12(土) 09:32:32 ID:O6uCsnTk
「わぁ、きれいだね」
「これがこんやくゆびわよ」
千里は赤い飾りの付いた方を晴美に渡した。

「これがあたしのゆびわ?」
「ちがうわ、いまからこうかんするのよ」
そう言って千里は、晴美の左手を掴んだ。

「これを、こうやって…」
千里が持っていた青い飾りの付いた指輪は晴美の左手の薬指へと嵌められる。
晴美の左手の薬指に指輪が輝いた。

「おー」
「じゃあ、こんどははるみのばん」
千里が差し出した左手を握り締めて、晴美は赤い飾りのついた指輪を千里の指へと嵌めた。

「はい、できたよ」
晴美に嵌めてもらった指輪をじっと見つめて、千里は嬉しそうに笑う。
「けっこんはいつになったらできるの?」
「もっともっとおとなになってからだわ」
そう言って千里は晴美をじっと見る。

「ぜったい、けっこんするんだからね!」
「うん」
「ゆびきりげんまんするわよ」
千里の小指が立てられた。
それに晴美は自分の小指を絡める。
141Happy Wedding?:2008/01/12(土) 09:34:25 ID:O6uCsnTk
「「ゆびきりげんまん、うそついたら…」」
そこではたと2人の動きが止まった。
「どうするの?」
「そうね…」
小指を繋いだまま、うーんと考え込む千里。
小指を繋いだまま、それを見守る晴美。
何かをひらめいた千里が大きな声を上げる。

「ばつとして、けっこんすること!」



「そんなにあたしと結婚したかったんだ?」
「あ、あの時はあの時よ…」
からかう様に言う晴美に、千里は頭を抱えた。

「千里もまだ持ってるの?指輪」
晴美の問い掛けに、千里はむーっと唸る。
「…あ、当たり前でしょ…」
そっか、と一言言って晴美がくすくす笑った。

「な、何がおかしいのよ!」
「いや、あの頃と変わらなかったんだなって思ってさ」
指輪を机に置きながら言う。

「どういう意味?」
「ん?」
千里の問い掛けに、晴美はにっこりと笑った。
142Happy Wedding?:2008/01/12(土) 09:38:21 ID:O6uCsnTk
「もう、結婚できる歳だよ?あたし達」
そう言って晴美は本棚辺りで思いに耽る千里との距離を詰める。
「そうね」
思い出を懐かしむような目をした千里をきゅっと抱きしめた。

「年が明けたら、ちゃんとしたの買いに行こっか?」
「え?」
「指輪だよ」
ふっと笑う晴美に、少々面食らいながらも千里は小さく頷いた。

「でも」
「ん?」
「あなただって、あの時…」


「ばつとして、けっこんすること!」

大きな声で案を叫んだ千里を、きょとんと見つめる晴美。
その言葉に少し考え込んだが、すぐに口を開いた。

「それはばつにならないよ」
「どうして?」
今度は逆に千里がきょとんとした顔で晴美を見つめる。

「だってあたし、ぜったいにちりとけっこんするもん。」
そう言って晴美はにっこりと笑った。

そんな昔の思い出話。


―END―
143あとがき。:2008/01/12(土) 09:46:02 ID:O6uCsnTk
なんとかリベンジ成功で書き込むことが出来ました。
(最初また書き込めなくてかなり焦りましたが…どうやら頭に空白行あるとダメっぽいですね)
2人が幼稚園から幼馴染だったか定かじゃない設定無視の話ですいません。
(↑中学は一緒だったってのはわかってたんですが)
あと時期もズレてるし…
幼稚園の時ってこんな約束するよなぁ、ってな感じで書かせてもらいました。
一部ひらがなで読みにくい点があるのはご理解下さい。

次は可符香×カエレ話か、意外に好評だったあび×千里(+藤吉)とかを書けたらなぁと。
(あび千里にGJくれた方々、ありがとうございました!)
毎回長いあとがきですいません、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
144名無しさん@秘密の花園:2008/01/12(土) 23:14:16 ID:TaboPoIW
投下して下さった方々ありがとうございます。
しかし、ハルチリの供給は異常w
晴美好きとしては凄い嬉しいです。
145名無しさん@秘密の花園:2008/01/13(日) 00:08:16 ID:CxBV9lID
GJ! ほほえましくてニヤニヤニヤニヤしてしまった
146名無しさん@秘密の花園:2008/01/13(日) 14:18:19 ID:7Btcyvme
良かった!とにかくニヤニヤした!

ネコから怪しまれた!どうしようorz
147仮まとめのかんりにん:2008/01/13(日) 19:34:36 ID:3Bkf+k6e
仮まとめなんですが、携帯からも見られるように文章を分割してまとめてきました。
でもそれじゃあパソコンから見たら、終わりの文章から読んでしまう形になってしまうんですよね。
最近の携帯は多少大容量でも読み込めるみたいなので、全てひとつにまとめてしまおうと思います。
まだ全てまとめ終わっていませんがとりあえず報告だけ。
携帯から見て何か不具合などあったら報告お願いします。
148名無しさん@秘密の花園:2008/01/13(日) 20:48:43 ID:lgCoqyqw
>>147
いつも乙です。
携帯から何本かにはアクセスしてみましたが、問題なく表示されてますよー
(最初途中で切れたんですが、ウェブの文字サイズを小さくすれば全部表示されました)

あと、迷惑ついでにもうふたつ。
ttp://despairlily.blog28.fc2.com/blog-entry-13.html
の分のタイトルが抜けているので「彼女と私の諸事情」でお願いします。

それと昨日投下したHappy Wedding?なんですが
ここのレス番で言うと>>141>>142の間に↓の分が入るはずだったのですが
投下時に消えてしまってた事に今、今更気付いたのでもしお時間あれば修正お願いします…


「昔も今も、千里はあたしの事大好きなんだなって」
「なっ!?」
その言葉に一気に赤くなる千里。

「それはあなただって一緒でしょ!」
「うん、大好きだよ?」
しれっと言う晴美に、またもや唸ってしまう千里。
149携帯かんりにん:2008/01/13(日) 21:47:36 ID:xplf1S+8
>>148
うわぁ申し訳ないです。明日治しておきます、すいません。
150名無しさん@秘密の花園:2008/01/14(月) 00:38:45 ID:ybdUz4X1
>>149
管理人さんホント乙ですw
自分もちょいと気付いた事が…
12月27日付けで保管された演習室(?)でのハル×チリネタには、少し離れた所に続きがあったような…
151携帯かんりにん:2008/01/14(月) 00:47:33 ID:FTHEZSOR
>>150
/(^o^)\
明日まとめてチェックしておきます。
管理不行き届きでホントに申し訳ない。
他にも変な所とかあったらびしばし報告お願いします。
152名無しさん@秘密の花園:2008/01/15(火) 17:00:14 ID:6M3xRsDk
>>151
変なところというか、パソコンから見た場合だとカテゴリが表示されるからいいんだけど
携帯からだとタイトル一覧しか見れないから、飛ぶまで何のカップリングかがわからなくて
一部()書きで書いてるのもあるけど、読みたいジャンルを探すときに不便だから
タイトルの横にカップリング書いててもらえるとありがたい、かな。

もし余裕があればお願いしたいです。
153仮まとめのかんりにん:2008/01/16(水) 18:41:59 ID:iUXveNSD
>>152
おkです、直しておきました。
右側に書くと携帯からじゃ見えなくなってしまうかな、と思ったので左側に書きました。
そのかわりタイトルが見えなくなってしまうかもしれないです。
あと、カップリングがよくわからないものは記載していませんが、作者さんから報告あったら直します。
154名無しさん@秘密の花園:2008/01/16(水) 21:50:57 ID:ItUTc4pD
>>153毎度ありがとうございます勿論ブクマしときましたよ


さてこの流れに割り込んですいません
以前倫と可符香の話とか投下した者なんですが
予告通り千里と羽美の話を投下させていただきます
このカプなので皆様のチョコレートパフェの様に甘いSSとは間逆の激辛カレーの様な話です

一応お互いの存在はなんとなく知ってるとゆう事で御了承下さい
155久米田ヒロインとスコップ 前編 壹/拾:2008/01/16(水) 21:53:34 ID:ItUTc4pD
「千里悪いわね
BL本買うのに付き合わせちゃって」

「別に良いのよ、いつもの事じゃない。」


授業も終わり下校途中に千里は晴美の買物に付き合ってあげていた、
制服姿にもかかわらず平然とふしだらな本を買う親友。
正直彼女の趣味には理解しがたいとこがあったが彼女の醜い面を許す事で自分の醜い面を許してもらえるかもと心の奥底で期待していたのも確かだった。


「・・ねえ晴美、私の買物にも付き合ってほしいんだけど。」

「えっ良いわよ何?物差しならこの本屋にもあるわよ」

「本屋にはないわスコップよ、
去年は随分刺したり切ったり叩いたりして歯がこぼれて使いづらくなったからそろそろ買い替えたいの。」

そう言うと晴美の顔にさっきまでの嬉々とした笑顔は失せ、
一気に青ざめ固まってしまった。


「・・あ!そういえば私原稿の締切明日だった!!」

「何言ってるの次のコミケまでまだ時間あるじゃない、
きちんと付き合ってよ。」

「いや明日なの!!あと打ち合わせとか法事とか結婚式とか予定沢山なのそれじゃ!!」

そう言うと大慌てで晴美は百メートル十二秒の駿足で逃げ去ってしまった。
156久米田ヒロインとスコップ 前編 貳/拾:2008/01/16(水) 21:56:10 ID:ItUTc4pD
「ちょっと晴美!?」


あらかさまな嘘をついて逃げ去る晴美の姿はあっという間に見えなくなってしまった、
自分は晴美のはずかしい買物に同行したのに彼女は自分の買物に付き合ってはくれなかった。

思えば自分は親友の漫画執筆を手伝ったのに彼女は決して自分の猟奇に付き合ってくれない。

おぞましいとはいえあくまで漫画と、
本当におぞましい猟奇を同じ土俵に上げる事自体おかしいが千里は不満で仕方がなかった、


先生に自分と同じ様なアプローチをする三珠真夜にこの話題を持ち掛けた事があったが無口な彼女と盛り上がれる訳もなかった、

明らかに自分のセカンドオピニオンを殺し迎合した萌えキャラを埋めたりしてた常月まといは

「私は猟奇なんかじゃない!愛が濃いだけよ!!」
と怒りだしてしまった。

モヤモヤと心のしこりを抱えたまま千里はスコップを買いにいきつけのホームセンターに一人で行く事にした、

駐車場も完備してある大きなその店は家庭用から業務用まで品揃えが豊富、
ガーデニング用のかわいらしいデザインのものやアウトドア用の折りたたみ式のものには目もくれず、
千里は奥にある土木作業コーナーに足を運ばせた。
157久米田ヒロインとスコップ 前編 參/拾:2008/01/16(水) 21:59:18 ID:ItUTc4pD
ガーデニング用のスコップは女性向けにかわいらしいデザインが目を引くが千里のハードな使い方に耐えきる事は出来ない、
アウトドア用の折りたたみ式スコップは携帯には便利だがやはり強度に難がある。
なので千里は飾り気もなく持ち運ぶには不便だが頑丈な土木作業用のスコップを愛用している。

「あっ、一本だけ残ってた♪やっぱりコレじゃないときっちり出来ないのよね。」

一つだけ残ってたスコップ、
さっきまでのモヤモヤがすっかり晴れる幸運、
嬉々とその無骨な掘るための道具の柄に手を伸ばしたその時、

同じくスコップに伸びた手と当たってしまった。その手は細く小さく女の手の様だ、
その手の主に眼をやると制服こそ違うが自分と同じ女子高生であった。

前髪がぱっつんで倫に似ていたが髪は自分と同じく真っすぐ長いストレート、
眼は大きくまつげも長く美少女である事は間違いない。
だがその瞳の奥には奇妙な残虐性が感じられてそう簡単には払えぬ陰惨な血の匂いがしている。

あぁそういえば思い出した、
かってに改蔵のヒロインで自分とよく比較対象にされる猟奇ヒロイン、
名取羽美だ。
158久米田ヒロインとスコップ 前編 肆/拾:2008/01/16(水) 22:02:24 ID:ItUTc4pD
とはいえたった一つしかないスコップを渡す訳にはいかない、
千里はぐっと羽美を睨んだ。
「これは私が買うのよ、前ヒロインだかなんだか知らないけど渡さないわよ。」

すると羽美もムキになっていいがかりをつけてきた、
「何よ私はアンタより遥かに沢山埋めなきゃいけないのよ!
この真ん中分け女!!」


弟にいいがかり姉さんと恐れられるだけあり、
理不尽ないいがかりをつけると物凄い速さでスコップを掴んでしまった、
負けじと千里もスコップを掴み眉を吊り上げながら叫び出す。


「ちょ、空気読まないわね!!せめてきちんと話を聞きなさいよ。!!」

「嫌よ!スコップが私を求めてるの!!」


二人の可憐な女子高生が無骨な一本のスコップを両手で掴み合い、
まるで綱引きの様に必死に引き合う、
そのシュールな光景が他の客の視線を集めるのには充分だった。


しかし徐々に集まるやじうま達の視線など二人にとってどうでも良い、
ただ目の前のおかしな女からスコップを奪う事のみ考え千里と羽美は引き合っているのだ。


とはいえ相手はかなりの粘着質、
しびれを切らした羽美は何処からともなく取り出した鎌を千里に斬りつけた。
159久米田ヒロインとスコップ 前編 伍/拾:2008/01/16(水) 22:06:12 ID:ItUTc4pD
しかし響いたのはガキィィンという金属音、
羽美の鎌を千里はやはり何処からともなく取り出した包丁で凌いだのだ。

「なんで鎌なんか持ってるのよ、危ないわね。!!」
「包丁持ち歩いてるアンタに言われたくなんかないわよ!!」


そう叫んだスキに千里は鎌をはじき包丁でスコップを握る羽美の指目掛け振り降ろした、

だが羽美はそれより一瞬速く千里の体を蹴り飛ばしてそれを防ぐ。
しかし反射的な行動だったためお互いスコップから手を離してしまったのだ。
カランカランカラン

地面に落ちた音を響かせるスコップ、
お互いの間に距離ができたが殺意は先程の比ではない。
「いきなり蹴るだなんて酷いじゃない。!」

「指を斬ろうとしたアンタが全部悪いのよ!!」

「な ん で す っ て 、! ?アンタきっちり殺すわよ。!!」


「殺れるものなら殺ってみなさい!このスコップで埋める第一号にしてやる!!」

売り言葉に買い言葉、
千里と羽美はスコップを挟んでとうとうホームセンターで殺し合いを初めてしまった、
ガキィンガキィィンと
包丁と鎌は孤を描き中国の剣術演舞の様にぶつけ合う、
しかし速度と殺気はそれを遥かに凌駕していた。
160久米田ヒロインとスコップ 前編 陸/拾:2008/01/16(水) 22:10:02 ID:ItUTc4pD
刃物とはいえ鎌は作物を刈り取る農具だし、
包丁は食材を切る調理器具だ。
しかしこの二人の女子高生が振り回すと本来人を傷つけるために特化した剣や刀以上の切れ味と殺傷力を秘めた凶器と化す。
いや・・
「二人の女子高生が振り回す」
のではない
「女子高生の姿をした二匹の修羅が殺し合う」
のだ。

「その真ん中分けの様に真っ二つにしてやるわあぁああ!!!!!!」


「アンタの前髪の様にぱっつん斬り裂いてやるうぅうう!!!!!!」


二人の絶叫と刃物をぶつけあう豪音、
そして吐き気をもたらす様な殺気はホームセンター中に響き渡りそれまでの明るい楽しい雰囲気はかき消された。


二人を好奇で眺めていたやじうま達も今は恐怖に怯えている、
家族連れだろうか最初興味深々にみていた少年は泣きだしなんとか父親はあやそうとしていた、
母親はその少年の妹らしき幼子に見せてはいけないとばかりに眼を覆って抱きしめていた。


千里と羽美が短いスカートをはためかせあらわになるふとももを凝視し
パンチラを最初期待していた中学生は
「これは悪夢に違いない」と現実逃避し始め

老婆はただただ震え数珠をかけてお経を唱えるしかなかった。
161久米田ヒロインとスコップ 前編 漆/拾:2008/01/16(水) 22:12:29 ID:ItUTc4pD
二匹の修羅は凶器を凄まじい速度でぶつけ合わせ本当に火花散り、
周囲に陳列された商品や棚は斬り刻まれる。
それでも一向にこの死闘が終わる気配はない
決着をつけんと羽美は大きく鎌を振り降ろした。

「く た ば れ―――――ッ!!!!!!」

ガチイィインと大きな音が響き千里は鎌を包丁で再び凌いだだが今度は防御するだけではない、
地球を真ん中分けしかけた怪力で押し返した。


「うなあぁああああああああああ――――ッ!!!!!!!!」


すると刃の分厚さで勝る包丁は鎌をバキンと叩き割った、
羽美が驚いたその隙に千里は下に置いてあったスコップを素早く奪い勝ち誇った様に呟いた。


「ふふふこのスコップはもう私のモノ、
あんたは指くわえてスコップが買われていくのを見てなさい。」


そうしてレジへ行こうとした、
しかし途端になにやら寒気がしてきたのだ
羽美の方を振り向くと悔しさのあまりか一層凄まじい憤努の姿になっている。

「スコップは絶対絶対絶対絶対渡さない!!!!!」

すると再び何処からともなく凶器を取り出した、今度は鎌の様な小さな物ではない、
モーニングスターだ。
162久米田ヒロインとスコップ 前編 捌/拾:2008/01/16(水) 22:16:08 ID:ItUTc4pD
モーニングスター
その爽やかな名を聞くと一見武器には思えない、だが黒鉄色のそれは長い鎖の先に人間の頭程の鉄球がついており更に凶悪なのは鋭い刺がびっしりついてる点だろう・・


「あんたを叩き潰す!!!!」


ブウンブウンと羽美は頭上でモーニングスターを回転させる、
その速度は次第にヒュウンヒュウンと鋭い音に変わり鉄球は見えなくなってしまった。


ドガアッ!!


充分に勢いがついた鉄球部は千里目掛けて投げつけられた、
なんとか千里はかわしたが床には大きなクレーターが生まれてしまった。

「そう・・おとなしく買わせてくれないのね。」


千里は左手にスコップ右手に包丁と二刀流が如く構え額の千里眼を開く、
一方羽美もモーニングスターをヘリコプターの如く頭上で回転させその風でなびいた前髪から第三の眼を開いていた。

まるで宮本武蔵と宍戸梅軒の対決、
お互い心眼を開き気迫で一分の隙もない、
数秒後片方がホームセンターに骸を晒し、
片方がスコップをレジへと運ばせるのだ。


だが一触即発の雰囲気も怯える客も掻き分け店長らしき中年男が現れた。
「君達やめなさい!そのスコップなら在庫がまだあるから!!」
163久米田ヒロインとスコップ 前編 玖/拾:2008/01/16(水) 22:18:53 ID:ItUTc4pD
――スコップは残り一つではなかった。
そのあまりに唐突な一報に千里と羽美は構えを解き修羅から女子高生に戻ってしまった、


その後二人は奥の店員室で店長にこっぴどく叱られた後、
在庫分のスコップを一本ずつ渡されレジで何事もなかったかの様に購入した。


殺す事も死ぬ事も覚悟していたと言うのに誰も死ぬ事なく手に入れられたスコップ、
包装され大事に持ちながら店を出た。
しかし帰り道が同じなのだろうか、
中々別れられず気まずい空気が二人を包んでいた。
何か話さなくてはと思ってもさっきまで殺し合った相手に何を話せば良いのか?
千里が迷っていると天性の空気読めなさのためか羽美が先に話し掛けて来た。

「ねえさっき貴女の額に第三の眼がついてた様な気がしたんだけど・・・」

「・・あぁアレは第三の眼って言うの?
私は自分の名前にちなんで千里眼て呼んでるわよ。」

「千里眼!?フフフなにそれ面白いわね
名前が千里でまさに千里眼だなんて♪」


「名付けたのは私じゃないけどね、でも驚いたわ自分以外に額に眼を持ってる人初めて見たもの。」
164久米田ヒロインとスコップ 前編 拾/拾:2008/01/16(水) 22:21:28 ID:ItUTc4pD
額の第三の眼とゆう天津飯か三つ目とおる位にしか共感出来ない様な話題、
つのる思いを吐き出せて驚く程盛り上がれた。


「この眼は普通の眼では見れない事が見れて便利よね。」

「そうそう、以前地丹に目隠しされた時とかこの眼のおかげで殺る事が出来たわ♪」

第三者が聞けば耳を疑うだろう、
歩きながらも喋りづらいので二人は公園のベンチに座って喋る事にした。

「殺すと言えば口にスコップ突っ込んだ時思ったけど歯って結構硬くない?」

「あ、わかるわそれ。確か歯って何回も噛むから骨の中で一番硬いらしいわよ。」

「やっぱそうなんだ!道理で肋骨は簡単に割れても歯は逆にスコップが傷ついちゃうんだあ〜」


誰にも共感出来ない二人だけの話題、
晴美が絶対乗ってくれない猟奇で盛り上がれる日が来るだなんて、
千里はまるで生き別れた双子と再会したかの様に思えた。


「スコップ突っ込むのも包丁で肉を斬るみたいにうまくやらないと道具が痛んじゃうわよね、
フフこんな話題普通の友達に言ったら引かれちゃうなあ。」


「友達・・・・」


千里が何気なくその単語を発した途端、
それまで笑っていた羽美が急に顔を青ざめた。
165名無しさん@秘密の花園:2008/01/16(水) 22:24:39 ID:ItUTc4pD
今まで凄惨な話ばかり書いてきましたが今回は特に・・・・・

今回は猟奇>>>>[越えられない壁]>>>>>>>百合
でしたが
次回は
猟奇>>>百合くらいにしときますので勘弁して下さい
166名無しさん@秘密の花園:2008/01/17(木) 00:25:43 ID:7BU6tU1t
まあ、なんと言うか、これは千里ではないよな。
167名無しさん@秘密の花園:2008/01/17(木) 08:52:33 ID:jTL5T5DX
確かにちょっと広げすぎた感じが…
168名無しさん@秘密の花園:2008/01/18(金) 06:59:25 ID:vy3qMTZf
前に投下したときに可符香×カエレ希望との声があったので、ちょろっと書いてみました。
このカップリングは特にキャラの捏造が激しくなってますが
それでも気にしないで読んでいただけるとありがたいな、と思っております。
…しかしカエレがデレてるかどうかは微妙です。
169エブリデイ・ラブリデイ:2008/01/18(金) 07:01:38 ID:vy3qMTZf
昼休みを告げるチャイムが校内に響き渡る。
みんながお待ちかねの、昼食タイムが始まった。

個々それぞれが、仲の良い友達と食べるために場所を移動し始め
一気に教室が賑やかになる。

カエレの元にも当然のように可符香が来るはずなのだが
今日は何故だか自分の席から動こうとしない。
いつもならチャイムが鳴った瞬間に飛んでくるのにも関わらず、だ。

何かあったのかとほんの少しだけ
心配を含んだ眼差しを可符香へ向けると
その視線に気付いたらしい可符香が、のっそりと自分の席を立った。
重い足取りでこちらへと向かってくる。

前の席の椅子をカエレの机へ向け
そこに座り込んだかと思うと、腕を組んで机へと突っ伏した。
いつもポジティブな可符香から
どんよりと暗いオーラが出ているのがカエレから見てもわかる。

「ど、どうしたのよ?」
ただならぬ空気にカエレが理由を尋ねる。
その声に可符香はゆっくりと身体を起こし、両手を上げてひらひらと振った。
170エブリデイ・ラブリデイ:2008/01/18(金) 07:03:40 ID:vy3qMTZf
「今日、お弁当忘れて…」
あはは、と笑いながら、可符香が照れたような困ったような表情を見せた。
「ちょっと寝坊しちゃったから、急いでて忘れちゃいました」
笑いながら言ってみせるものの、相当落ち込んでいるらしい。

「せっかくのカエレちゃんとのお昼なのに…」
「そんなことよりも、身体が持つかどうかでしょ」
呆れながら言うカエレに対して、可符香は
「一食くらい食べなくても平気ですよ」と笑顔を見せる。

しかし、身体の方はそれを許さない。
きゅるっ、という音がはっきりとカエレの耳にも聞こえた。

「あ、あはははは…」
笑ってごまかそうとする可符香だが、全くごまかし切れていない。
そんな可符香を見て、カエレは溜息をひとつ。
そして鞄の中から弁当箱を取り出して、可符香の目の前に突き出した。

「?」
「私の半分あげるから」
その言葉に可符香の目が輝き出した。

「い、いいんですか!?」
「授業中にお腹鳴るの恥ずかしいでしょ?」
カエレの言葉にこくこくと頷く可符香。

机の上へと弁当箱を置いて、包みを解く。
白い四角い箱の蓋を開けると
中にはサンドイッチが綺麗に詰められていた。
171エブリデイ・ラブリデイ:2008/01/18(金) 07:05:40 ID:vy3qMTZf
「おおー」
「そんな大したものじゃないわよ」
感動の声を上げる可符香を見て、カエレが言う。

「これ、カエレちゃんが作ったんですか?」
「…そうよ」
今日は少し時間があったから。と付け加えて蓋の上にサンドイッチを乗せた。

「はい」
カエレから差し出されたサンドイッチをじっと見つめていた可符香が
嬉しそうにふにゃっと笑い出した。

「何よ、いきなり笑ったりして」
「いやぁ、カエレちゃんの手料理が食べれるなんて幸せだなぁって」
「…褒めても何も出ないわよ」
そう言って、カエレは少し照れたような表情を見せた。

「本当にそう思ったんですよ?」
「いいから、黙って食べなさい」
カエレの言葉に、手を合わせて『いただきます』をする可符香。
そして蓋に乗せられたうちの1つを掴んで、口へと運んだ。
そんな可符香の動きを、じっと見つめるカエレ。

もぐもぐと口を動かした後、口の中を空にした可符香がにっこりと笑う。
「美味しいです」
その言葉にカエレは、ほっとした表情を見せた。
「そう、ならよかったわ」
可符香の反応が良いものだった事にカエレも満足したようだった。
172エブリデイ・ラブリデイ:2008/01/18(金) 07:10:53 ID:vy3qMTZf
「しかし本当に美味しそうに食べるわね…」
ぱくぱくと、リズミカルにサンドイッチを頬張る可符香を見て、カエレは少し呆気に取られる。

「りっしゃい、おいひぃんふぇすお」
「口を空にしてから喋りなさい」
何言ってるかわかんないわよ、と言うと
可符香はむぐむぐと動かしていた口を止めて、ごくりと中のものを飲み込んだ。

「実際、美味しいんですよ」
サンドイッチを掴んだままの可符香が、先程言っていたであろう言葉を繰り返す。

「美味しそうに食べてくれるのはいいんだけど」
そう言って、可符香の顔へと手を伸ばす。
「ふぇ?」
その行動に少し驚いた可符香の口元に人差し指を沿わせた。

「付いてる」
イチゴジャムのサンドイッチを食べたときに付いたであろうジャムを指で拭き取った。
「ほら」
そう言って、指を可符香に見せる。
その行動に、きょとんとした可符香だったが、すぐに笑顔を見せた。

「んふふー」
「何よ、変な声出して」
「いやぁ、だって」

なんだか恋人みたいですから。

心底嬉しそうな顔を見せながら可符香が言った。
173エブリデイ・ラブリデイ:2008/01/18(金) 07:15:55 ID:vy3qMTZf
「なっ…」
思いもよらない可符香の言葉に、口をぱくぱくとさせながらカエレは頬を赤らめる。
しかしぶんぶんと頭を振って自分を取り戻し、可符香にさっさと食事を済ませるように言った。



蓋に乗せられた分を完食した可符香は、手を合わせて食事の終了を告げる。
その後にふむと考え込む様子を見せた。

「このお礼をしなくちゃいけませんね」
ぽつりと呟いた可符香の一言に、カエレは言葉を続ける。

「別にいいわよ、そんな大したものじゃなかったし」
「ダメですよ、ちゃんとお礼をしないと」
人差し指を立てて、それを左右に振りながら可符香が言った。

「たかだか、お弁当くらいで大げさなんだから…」
ぽつりと呟いた言葉は、可符香には届かなかったらしい。

ああでもない、こうでもないと、お礼について考え出したせいで
意識が完全にそっちへと飛んでしまっているようだった。
どうしたものかと、あれこれ考えていた可符香の動きがはたと止まる。
嬉しそうな表情からして、どうやらいい案が思い付いたようだ。
そして、カエレの顔をじっと見る。
174エブリデイ・ラブリデイ:2008/01/18(金) 07:20:13 ID:vy3qMTZf
「今度の日曜日って空いてますか?」
「多分空いてると思うけど?」
「じゃあ、私とデートしてください!」
…は?


突然の可符香の提案に、カエレは言葉を失った。
と言うか「お礼」の話なのに、何故にデート?

「それって、あなたがまたおいしい思いするってことじゃないの?」
「大丈夫ですよ。ちゃんとプラン立てますから」
いや、何が大丈夫なんだ何が。

「おいしいお店をリサーチします!」
そう言って笑う可符香を見ると、突っ込む気も無くなった。

「まぁ、予定も無いし、あなたがそこまで言うなら…」
「じゃあ、日曜日はデートですね!」
「あんまり大きな声で言わないでよ、周りに聞こえるでしょ」
幸い教室は生徒達の賑わいの声が響いていたので
可符香の声はそこまで通らなかった。

「だって嬉しかったんですよ」
「そこまで喜んでもらえるとはね」
机に肘を突き、可符香のいる方とは違う方向を向いて、苦笑い交じりにカエレが言った。
175エブリデイ・ラブリデイ:2008/01/18(金) 07:26:20 ID:vy3qMTZf
「好きな人とデートできるなんて幸せじゃないですか」


少し真剣さを含んで降って来た可符香の言葉に、カエレは一瞬真顔になった。
そして、ふっと笑みを浮かべる。
ゆっくりと可符香の方を向くと、微笑んでいる可符香と視線を絡めた。

「あなたって、本当に私の事好きよね」
「もちろんです!」
ピースサインを作った手を前に突き出して、にっこりと笑う可符香。

「褒めてないし、自慢することでもないわよ」
そう言ってカエレはこつんと、可符香の頭を小突いた。
その動きにすら、嬉しそうな表情を浮かべている。

こんな事で喜べる彼女を幸せだなと思いつつも
彼女と関わる事で、自分も以前よりも心のゆとりが生まれている事は自覚していた。
心が不安定になる事も少なくなったし、日々も楽しくなった。


こういう毎日も悪くない。

目の前で笑う可符香を見ながら、可符香には気付かれないようにこっそりと微笑んだ。
176エブリデイ・ラブリデイ:2008/01/18(金) 07:30:39 ID:vy3qMTZf
「っていうか、お店リサーチするの構わないけどマトモな店にしてよね」
とんでもない店をチョイスされるのは御免だとカエレは苦い表情を浮かべる。
そんなカエレを見て、可符香はぐっと親指を立てた。

「大丈夫です、最後の最後の締めのキスのシチュエーションまでばっちり予定立てます!」

どーん、と言う効果音が付いてくるような勢いで、可符香はばっちんとウィンクまで付けて見せる。


「はぁ!?そこまで考えなくていいから!」
自信たっぷりの可符香に抗議の声を上げるカエレ。
「だって、デートですから!」
しかし可符香の様子から効果は全く無いようだった。



…やっぱりOKするんじゃなかった、かな…


先程までの穏やかな気持ちは、一瞬にして不安へと変わってしまった。



―END―
177名無しさん@秘密の花園:2008/01/18(金) 07:35:19 ID:GD/ZHDBk
更新しまくりでwリアルタイムで読ませて貰いましたー!
イチャあまで最高にラブリーですね。微笑ましい二人だ…
朝から素敵な癒しをありがとうございました!
178あとがき。:2008/01/18(金) 07:35:43 ID:vy3qMTZf
という感じの、可符香×カエレ落とさせてもらいました。
投下し始めた頃は、マイナーもマイナーなカップリングだったんですが
意地でこれでもかと投下しているうちに、すこーしずつ浸透しているかな?と勝手な思い込みをしています。

ここでも、ブログの方でも「カエレをデレさせてくれ」という要望が多いんですが
今回のカエレはデレてますか…?正直デレってよくわかりません、ほんとに。

可符香×カエレネタはちらほらあるので、様子を見てまた投下させてもらいます。
ここまでお付き合いありがとうございました。
179名無しさん@秘密の花園:2008/01/18(金) 07:52:54 ID:GD/ZHDBk
割り込み陳謝致します…orz
180名無しさん@秘密の花園:2008/01/18(金) 20:16:29 ID:7jMtgXK4
前の人がカエレ受けネタだったので投下するなら今かな?
前回は『Naughty Girls』書いた人です。
と言うか、前回から1週間しか経っていないのか…。

テーマは『芽留×カエレ』です。
そう、自分では禁断にしている芽留ネタです。
極力、芽留を脱がせないと言う事を誓いにして書きました。
今回も投稿ミスしないようにびくびくしながら行きます。
181Quiet Payment:2008/01/18(金) 20:17:25 ID:7jMtgXK4
 ××月▲▲日
 金髪のパンツ女に大事なケータイを破壊された。
俺の唯一の会話手段であるにも関わらず、だ。
幸い親は別のケータイを用意してくれたが、前のケータイを壊された事はまだ恨ん
でいる。
 そもそも、悪いのはあの金髪のパンツ女であり、俺はただホントの事を言っただ
けであって何も非は無い。
しかしケータイを壊されたのはかなりキた。
 これは俺も本格的な報復に出るべきかもしれない…。


――『音無芽留の日記』より

**********************

某日、放課後。

「ちょっと…これはどういうことよ!?」

 薄暗い教室の中、日本人とは違う特徴的な金髪の長髪をした女子生徒――木村カエレが怒鳴る。
怒鳴り声の先には、この教室に備えてあったのだろう若干ボロボロの椅子に腰を下ろして黙々とケ
ータイに文字を打ち込んでいる少女――音無芽留がいる。
芽留は、そんなカエレの怒鳴り声を気にも止めてはいなかったが、言いたい事をケータイに打ち込
み終わったらしく、椅子から腰を上げてカエレに近づく。
そして自分のケータイのディスプレイををカエレの眼前に近づける。
182Quiet Payment:2008/01/18(金) 20:18:30 ID:7jMtgXK4
 普段は恥ずかしがり屋で口で喋る事の無いこの少女の会話手段はこのケータイだけである。
そんな事を続けるうちに彼女自身もメールの早打ちと言う特技を持ったのである。
メールの文面はこうである。

『お似合いの格好だな、パンツ女!
 この間はよくも俺のケータイぶっ壊してくれたな!
 あれには流石の俺も結構頭にキてな、今回めでたく
 なリベンジって訳だ!
 ちなみに見りゃわかるが、お前と俺の体格差だから
 お前の体の自由はあらかじめ奪わせてもらう、そう
 でなきゃ不公平だからな!  』

 外見に反してかなりの毒舌の芽留。
いつもならばこんな毒舌メールを向けられれば芽留に向かって怒鳴り散らすカエレであるが、メー
ルにもあるように今のカエレは両手を頭の上で縛られ、両足はモップの柄に縛り付けられている。
おまけに両足が開かれた状態である為、カエレが抵抗すればするほどスカートが捲れ、彼女の桃色
の下着が見えてしまう。

「ようやく決着をつけるとか言ってこんな教室に呼び出して不意打ちなんて卑怯なのよ!」

 カエレの罵声に素早くメールに文字をを打ち込む芽留。

『卑怯も糞もあるか!
 そもそもテメェと体格差のあるこの俺がまともにや
 りあうとでも思っていたお前が悪いんだろが!  』

 カエレの言う不意打ちには少し説明が必要である。
 事は本日の授業の終了後の話である。
183Quiet Payment:2008/01/18(金) 20:19:16 ID:7jMtgXK4
本日の授業が全て終わり、クラスメートの友達と何気ない会話を交わしていたカエレのケータイに
ふと、見覚えのあるメールアドレスからメールが来たからである。
そのメールには

『果たし状
 本日、4階の空き教室にて待つ。
 逃げんなよ、パンツ女!

 音無芽留  』

と書いてあった。
 メールを読み終わり、4階の空き教室まで駆け足で向かったカエレ。
教室の扉を開け、そこで待っていたのは……

「…いきなり睡眠薬で眠らせる事は明らかに卑怯でしょうが!」

 そう。
横開きのドアのすぐ横にあった、丁度芽留が乗ればカエレの身長に届くぐらいの脚立に腰掛けた芽
留が入ってきたカエレに睡眠薬を含ませたハンカチを押し付け……現在に至る訳である。

『メールには正々堂々なんて一言も書いてねーだろが!
 そもそも空き教室に呼ばれた時点で俺が策を弄する事
 ぐらい考えておけっつーの!  』

 圧倒的なスピードでケータイに文を打ち込む芽留。
そのあまりにも真っ当なご意見にカエレも言葉を詰まらせる。
手を縛られ、両足の動きも封じられ、状況は圧倒的にカエレが不利である。
さらに悪い事に、4階のこの教室は教師ですらここ最近来る事が無いと言う場所である。
決着をつける――と言っても、ずっと芽留のターンであるが――には持って来いの場所である。
184Quiet Payment:2008/01/18(金) 20:20:04 ID:7jMtgXK4
 勝利を確信してか、勝ち誇った薄笑いを浮かべる芽留はまたケータイに文字を打ち込み、その文
面をカエレに見せる。

『お前はこの間、俺のケータイを壊した。
 つまり、俺の会話手段を奪ったっつー事だ。
 会話手段を奪われるっつーの辛いよなぁ?
 よって!  』

 文はここで途切れる。
すると芽留がポケットの中から薬を入れるケースのような物を取り出した。
そのケースをから薬を一錠取り出すと同時にケータイに文字を打ち込む。
薬を歯で咥え、またケータイのディスプレイをカエレに見せる。

『お前からも大事な物を奪う!』

 ケータイを閉じポケットにしまい、身動きの出来ないカエレに近づく。
その小さな身体がカエレのお腹の上に跨ると、両手でカエレの頭を固定し、口を開かせる。
そして芽留がカエレに顔を近づけたかと思うと……。

「…んむ!?」

 開いた口に薬を放り込まれ、そのまま芽留はキスをしてきた。
突然の事に驚いたカエレは眼を丸くするが、息つく間もなく芽留の舌が口内で動き始めた。

「む…んぅ……んん!」

 これまた外見とは裏腹に大胆に舌を絡ませてくる芽留。
なんとか振りほどこうとするカエレであるが、両手で顔を固定されている為振りほどく事ができな
い。
185Quiet Payment:2008/01/18(金) 20:21:01 ID:7jMtgXK4
そうこうしている内に、先程口内に放り込まれた薬をカエレはごくりと飲み込んでしまう。
その嚥下音を確認すると、芽留はカエレの唇から自分の唇をそっと離す。
唾液の糸がつぅっと空中に浮かび、一瞬で途切れる。
 互いの唾液に濡れた唇を舌で舐めると満足そうにニヤリと笑い、ポケットからケータイを取り出
して文字を打ち込み、カエレに見せる。

『まずはファーストキスだな。
 女にキスされるなんて思ってなかっただろ?
 それからさっき飲ませた薬だけどな、じきに
 効果が出て来――  』

 途中まで読んで、突然カエレの視界がぼやけた。
同時に、カエレは自分の身体が狂ったように熱くなるのを感じた。

「は…あっ…くっ!? んん!」

 体の内側が熱くなり、顔が熱り紅潮する。
思考することさえままならず、狂ったようにあえぐカエレを見ながら芽留はただ薄笑いを浮かべる。
ケータイに再度文字を打ち込みカエレに見せる。

『特注の媚薬が効いてきたみたいだな。
気分はどうだ?
気が狂うくらい気持いいだろ? 』

そんな芽留の打ち込んだ文字すら読めていないかもしれないカエレは、ただただ呼吸を荒げ悶え
ている。

「はぁ…んっ!…っく、はぁ…」
186Quiet Payment:2008/01/18(金) 20:21:51 ID:7jMtgXK4
カエレが抗おうとすればするほど、動悸と心臓の鼓動が早くなる。
このまま壊れてしまうのでは、と思ったカエレであったが、不意に両足の感覚が戻って来た。
よく見れば、芽留がカエレの両足を縛る縄をほどいていた。
おそらく芽留はカエレが抵抗出来なくなったのを察したのであろう。
それでも、両手だけは縛ったままである。
両足の縄をほどき終えると芽留はカエレのお腹の上に跨る。
何をするのかカエレが不思議そうな顔をすると、芽留がカエレの制服のネクタイの結び目を解き始
めた。
解いたネクタイを傍に放り投げる。

「な、何を…」

 頬を染めながらそう問うカエレを見ながら一瞬ニヤリと笑い、右手をカエレに見えるように見せ
ながら握ったり広げたりして見せる。
次の瞬間、その右手が制服の上からカエレの左胸を乱暴に鷲づかみにした。

「ひ!? うあ!」

 間をおかず、芽留の残りの手がカエレの右胸を鷲づかみにする。
そのまま乱暴にカエレの両胸を揉みしだく。
先程投与された媚薬のせいで全身の感覚が敏感になっている為、胸を触られただけでも声が出てし
まう。

「あ、ああ! んん…」

 芽留の手つきが激しくなるにつれ、カエレの口から零れ出る甘い声も量を増す。
カエレが感じている事を確認すると一旦芽留は両手をカエレの胸からそっと離した。
そして右手でケータイを操作し文字を打ち込みながら左手でカエレの制服の前のボタンをゆっくり
と一つずつ外していく。
187Quiet Payment:2008/01/18(金) 20:22:34 ID:7jMtgXK4
 両手は相変わらず縛られたままである為、抵抗もできないカエレは呼吸を荒くしながら芽留の行
動をただ見ていることしか出来なかった。
不意に、カエレの視界に文字を打ち終わった芽留のケータイのディスプレイが入ってくる。

『媚薬は効果抜群だな
 胸弄られて馬鹿みたいに感じている
 なんてとんだ変態だな! 』

 文字を読み終わり、カエレの中に悔しさがこみ上げてくるが抵抗できないのでどうしようもない。
やがてカエレの制服のボタンを解き終わると、芽留はケータイをポケットにしまい両手でその制服
の前を全開にさせる。
それにより桃色のブラジャーをつけたカエレの豊満な胸が露になる。
続けざまにカエレのブラジャーの前ホックを外し、その大きな胸を外気にさらす。

「はぁ…ああ…」

 突然カエレが甘い声を上げる。
媚薬で敏感になったカエレの肌が少し冷えた教室の空気に反応したのだ。
そんな事はお構いなしに、芽留はまたカエレの胸を両手で揉み始める。
先程よりは優しく、しかし敏感な部分をわざと刺激するように揉む。

「ひぅ…ん! はぁ…ああ!」

 五本の指を胸に食い込ませるように握ったかと思うと、乳首を手のひらの上で転がしたり、そう
かと思うと人差し指と親指で乳首を掴み引っ張る。
自慢の胸を芽留に弄ばれる毎に嬌声を上げるカエレを満足そうに見ながら手の動きを早める。

「はぁあああ! っく…だ、めぇ…そんな…らんぼうに…うぁあ!?」
188Quiet Payment:2008/01/18(金) 20:23:20 ID:7jMtgXK4
 抵抗の言葉を述べようとしたカエレを、芽留はカエレの左胸の乳首に吸い付くことで阻止する。
右胸を弄びながら舌先で左胸を舐める。
時には舌先でつついたり、赤子がするように強く吸う。
カエレと芽留の身長差もあって、さながら母親の母乳を吸う赤子のように見える。
 しばらくして、芽留がカエレの胸から口を離すと、芽留の唾液で濡れたカエレの胸と芽留の舌が
糸を引いて離れる。
舌なめずりをしながらニヤリと芽留は意地悪な笑いを浮かべる。
芽留も一連の行為で興奮しているのか、若干汗ばみ、顔がほんのり紅い。

「…も、もう…これ以上は……」

 そんなカエレの静止の言葉も聴かず、今度は両手でカエレの胸を寄せる。
更に芽留は寄せられた両胸の乳首に同時に吸い付く。

「ふぁあああああ! ひぁあ…」

 芽留の口内でカエレの両方の乳首が合わさり、さらに芽留の舌が先程のように両方の乳首を刺激
する。
加えて、それを適度なタイミングで歯で甘噛みしてみせたり、吸ったりする。
 そんな芽留の絶技に、媚薬で敏感になったカエレが耐えられる訳も無く――

「ひっ…ぐぅ! あああああああああああああぁぁ!!?」

 一際高い嬌声を上げてカエレが絶頂に達した。
口端から自身の唾液がだらしなく零れ、床に広がる。
 カエレが絶頂に達したの認めた芽留は、カエレの腹上から一旦離れ、傍に置いてあった椅子に腰
を下ろし、ポケットからケータイを取り出し文字を打ち込む。
カエレの方はと言うと、先程の絶頂でまともに思考する事もできず、ただただ呼吸を激しく繰り返
すだけであった。
189Quiet Payment:2008/01/18(金) 20:24:18 ID:7jMtgXK4
 ふとケータイに文字を打っていた芽留が何かに気付いたのか、ケータイを一旦閉じ、またカエレ
の方に近づいてくる。
芽留がカエレの下半身の方に近づくと、芽留はカエレの短いスカートを捲る。

「あ…そこは…」

 そこには、先程の絶頂により自身の秘部から溢れ出た精液により濡れたカエレのパンツがあった。
それを見た芽留は先程まで書いていた文章を消し、新たにケータイに文章を書き込むと同時に、カ
エレのスカートのジッパーを下ろしていく。
文字を打ち終わると、片腕では上手く行かなかったのか両手であっさりとジッパーを下ろしてカエ
レのスカートを脱がせる。
 脱がせたスカートをぽいっとネクタイのように傍に放ると、芽留の予想通り、カエレのパンツは
下の方がぐっしょりと濡れていた。
それを隠すかのように両足を閉じるカエレであったが、先程の余韻が残るカエレの抵抗はむなしく、
芽留の手により強引に股を開かされる。
 以前にもこんな事があったなぁ、と虚ろな頭でカエレは過去の事を思い出していた。
そんなカエレを尻目に芽留が下着の濡れた部分を指で触れると、一瞬ピクリとカエレが反応する。
 カエレのその様子を見た芽留は先程打った文章をカエレに見せる。

『胸弄られただけでこんなにぐしゃぐしゃになって
 いるぜ?
 あの媚薬があったにしても、普通じゃこんなには
 ならないからな〜…。
 もしかしてMなんじゃねーのか?  』

 見せられた文章にカエレは内心カチンときたが、まだ身体が言う事をきかない。
身体がまともに動いたならばその足で芽留を蹴飛ばしてやろうとしていたのだが…。
 ケータイを閉じてまたポケットにしまうと、芽留はカエレの濡れたパンツを脱がしにかかった。
190Quiet Payment:2008/01/18(金) 20:25:14 ID:7jMtgXK4
身体の自由がきかないカエレはあっさりと濡れたパンツを脱がされ、女性として大事な部分を露
にされてしまう。

「や!? だめっ!」

 両手を拘束されている為、静止の言葉をぶつける事しか出来ないカエレであったが、そんな事
は無論、無駄である。
カエレの太腿を掴み、強引に押し開け、芽留はカエレの秘所を凝視する。
 濡れそぼったそこを見ながら芽留はごくりと喉を鳴らす。
そして目を瞑り、舌を出しながら、そっとカエレの秘所に舌を近づかせる。

「ひっ!?」

 芽留の舌がカエレの秘部に触れた瞬間、カエレの口から声が零れ出た。
しかし、芽留は構う事無く、今度はカエレの秘所に直接口をつける。
そのままカエレの濡れた秘所の周囲を舐める。

「ふっ…っく……っあああ!!」

 媚薬のせいとはいえ、胸を弄られただけであそこまで感じたカエレであるため秘部への直接の
刺激に耐えられるわけが無い。
そんなカエレの気も知らず、芽留はカエレの秘部の入り口を親指で押し広げ、小さな舌を奥へと
差し入れ、内壁を丹念に舐める。

「ひうぅ……ふあ…や…ら…も、う…んん!!」

 一心不乱にカエレの秘部を舐めていた芽留であったが、ふと何かを思いついたようにカエレの
秘部から口を離す。
191Quiet Payment:2008/01/18(金) 20:25:52 ID:7jMtgXK4
つぅ、と芽留の舌からカエレの精液が糸を引いて離れる。
 秘部への刺激が止んだ事に不思議そうな顔をするカエレ。
 丁度カエレの下半身の前の位置まで先程座っていた椅子を持ってくると、芽留はその椅子に腰
を下ろす。
そして自分の両足の靴下を右から左と順番に脱ぐ。
芽留の白い生足の美しさに一瞬カエレは見とれていたが、その足が自分の秘部にそっと近づいて
きた瞬間、カエレは危機感を覚えた。
が、時既に遅かった。
 芽留の右足がカエレの下腹部をぐっ、と押さえつけ左足の親指をカエレの秘部に挿入した。

「や、ああああああああああぁああ!?」

 舌や唇とは比べようの無い刺激がカエレの脳を掻き回した。
やがてカエレの悲鳴が止むと挿入された芽留の左足の親指がゆっくりと動き出す。
 身長の小ささから芽留の足の親指はそれほど大きい物ではない。
しかし、今のカエレにとってその足の指の大きさだけでも悲鳴を上げるに値する物だった。
 それほど奥深くまでは入らないにしても、足を前後させ、指を上下させるだけでカエレは艶の
ある声を出しながら悶え、喘ぐ。
全身を震わせ、口を大きく開け、呼吸を激しくする。
開け放たれた豊満な胸が身体の動きに合わせて揺れる。

「ひぃ…う、ぐぅ…っあああ!」

 徐々に足の前後の動きを早めていく芽留。
ふと何かを見つけニヤリと口角を吊り上げると、カエレの下腹部を押さえていた足を退け、代わ
りにカエレの秘部にあるクリトリスに右足の親指の腹を這わせる。
そこに触れただけで、途端にカエレの秘部が収縮し芽留の足の親指を締め付ける。
 不意に走った痛みに表情を曇らせる芽留であったが、お構いなしに指を上下させる。
192Quiet Payment:2008/01/18(金) 20:26:47 ID:7jMtgXK4
そのまま右足親指の腹で続けざまにカエレのクリトリスを転がす。

「や! だめぇ! …ふぁあああああああああ!!」

 一際高い嬌声と共にカエレが絶頂に達する。
血が出るのではないかと思われるぐらい縛られた両手を握り締め、押し寄せる刺激を受ける。
カエレの絶頂が落ち着くと、芽留は挿入した左足親指をゆっくりとカエレの秘部から引き抜く。
入れたまま絶頂に達した為、芽留の左足親指はカエレの精液で濡れていた。
 芽留は背中を折り曲げ、足も器用に使いながらその左足親指を口に含み、足に纏わりついた粘
液を丹念に舐め取る。
あらかた舐め終わると椅子から腰を上げ、呼吸を激しくするカエレに近づく。
 するとカエレの両手を縛る縄をそっと解く。

「…え?」

 不意に両手が自由になり頓狂な声を出してしまうカエレ。
先程まで両手が自由になったら仕返しをしてやろうと思っていたのに、あまりに急な事だったの
で完全にタイミングを逃す。
 呆けているカエレを前にして芽留は制服を着たまま裸身のカエレに抱きつく。
そのまま芽留はカエレの唇を強引に奪う。

「んむ!?」

 最初は唇を合わせるだけであったが、自然とお互い口を開けて舌を絡める。
芽留の小さな舌がカエレの唾液に濡れた舌を口内で絡め、一旦離すとお互いの舌の間に唾液の糸
がつうっと引かれ、一瞬で切れる。
そうかと思うと、再度唇を重ね合わせ、今度はカエレが芽留の舌を絡める。
 カエレの瞳が不意に潤み、求めるように何度も何度も激しく芽留とキスをする。
193Quiet Payment:2008/01/18(金) 20:27:31 ID:7jMtgXK4
「ちゅ…っはぁ…んむぅ……っぷあ!」

 ここで芽留が一旦カエレの身体から離れる。
芽留の頭がカエレの胸に達すると、身体を動かし自身の秘部をカエレの左太腿にくっつけた。

「……ッ!!」

 声を上げる事無く、眼を瞑って堪える。
さらに自分の左太腿をカエレの秘部に同様に擦り付ける。

「はぁ…ああ! ちょ…っと…!」

 カエレの言葉も聞かず、すぐに芽留は身体を前後し始める。
動くたびに自分の秘部が擦れ、同時にカエレの秘部に這わせた太腿も動く。
それに加えて、芽留は自分の目の前にあるカエレの胸を両手で揉み始めた。
 片方は全体を包み込むように、もう片方は乳首を親指と人差し指で摘み転がす。
そしてその大きな胸に唇をつけ、強く吸う。
するとカエレの胸に紅い花が咲く。
それを2度3度繰り返す。

「ッ!!?」

 不意に芽留の秘部を擦り付けていたカエレの太腿が動き出した。
さらに自由になったカエレの両手が芽留の背中を抱きしめる。
胸に埋もれながらカエレの方を見てみれば、うっすらと笑みを浮かべながら芽留の方を見ていた。

「もっと…んん! …してくれる? …芽留…」
194Quiet Payment:2008/01/18(金) 20:28:18 ID:7jMtgXK4
 愛おしげに芽留の名を呼ぶカエレ。
あまりに優しそうな顔をしていた事から、芽留は『楓』になったのではと思った。
が、そんな些細な事は考えず、芽留は身体を前後させながらカエレの胸を愛撫する。
 カエレも芽留の太腿に自分の秘部を擦り付けるように腰を上下させる。

「ふあ…んん……めるの、ここ…したぎの…うえから…でも…わかるくらい…ぬれて…」
「……ッ………ハァ……ハァ………!!」

 互いの動きが速くなり、太腿を伝って互いの愛液が床に零れる。
そして芽留がカエレのぷっくりとした乳首を人差し指と親指で強く摘んだ瞬間であった。

「ひ、う! ふああああああぁぁああああああああ!!」

 カエレが絶頂に達した。
それと同時に芽留の秘部の硬い一点がカエレの太腿に擦れ…

「……ッ!!!?」

 声は出さないまま芽留自身も涙を流しながら絶頂に達した。


**********************
195Quiet Payment:2008/01/18(金) 20:28:53 ID:7jMtgXK4
「この間の事は……その…ごめんなさい…」

 珍しく人に謝罪をする木村カエレ。
あれから時間が過ぎ、今は周囲も暗くなりつつある。
 教室の壁に背中を預け、窓の外の夕日を見ながらそう言った。
それを聞いた芽留は椅子に腰掛け、カエレに背中を向けたままケータイに文字を打ち込む。

〜♪

 カエレのケータイから着信音が流れる。
開いてみればメール着信のお知らせ。
送信者は勿論、音無芽留、とあった。

「……」

 相変わらず無言のままの芽留であったが、送られてきたメールをカエレは何も言わずに開く。
最初はまたいつもの毒舌メールかと思ったが、普段とは違うメール内容に一瞬言葉を失った。
そして芽留の方を見れば背中を見せたまま、手を振りながら教室から出て行く芽留の姿があった。

「……ふふ。素直じゃないのね…」

 まるで洋画に出てくるクールな主人公のように去っていく芽留を見ながらカエレはそう思った。
メールには以下の事が書かれていた。
196Quiet Payment:2008/01/18(金) 20:29:18 ID:7jMtgXK4
『この間の事はこれで無しにしてやる。
 その代わり俺ももうお前の事あまりパンツ女って言うのはやめてやる。
 だからお前も俺の事子ども扱いすんなよ!
 今回の事で俺がどれぐらい大人か分かったろうからな!
 それからあの時のキスは本気だからな!
 そりゃ最初は仕返しのつもりだったけどな…。
 いいか!
 この俺がこんなメール送ってきてるんだからありがたく思えよ!』

 そのメールを読んでカエレは「ふぅ」と息を吐き出す。

「返事を書くのに時間が掛かりそうね…」

 ―了―
197Quiet Payment:あとがき:2008/01/18(金) 20:42:42 ID:7jMtgXK4
オチに悩んだ(挨拶

さて前回から1週間ぐらいで書いた作品って事になるんだけど…。
まぁ、予想通りの長さと言うか、そんな感じ。
元々芽留を『あまり喋らせない・脱がせない・受けにさせない』
を目指して書いていたんだけど、皆さん的にはどう写っているのだろう。

>保管庫の人へ
私の書く文章にありがちですが、文章が途中で切れて次の行に行っているのは
個人的な書き方の問題です。
ですので載せる際はお手数ですが、そういう所は戻してから掲載してくださる
と幸いです。
自分の文章を保管庫で読んでみても、そこが逆に読みにくくなっているので…。

あと、修正を2点お願いしたいのです。
・保管庫では『智恵×霧』の記されている作品ですが、タイトルを
 『隣の知恵先生』に修正お願いします。
・前回の『Naughty Girls』において、私のミスで『晴美』が『晴海』になって
 しまっています。
 訂正お願いします。

余談ですが、今回一番書きたかったのは足の所です(笑
198仮まとめかんりにん:2008/01/18(金) 21:15:37 ID:qOAzrMJB
>>197
了解しました。直しておきます
199名無しさん@秘密の花園:2008/01/19(土) 10:41:43 ID:ru5eOM/l
カエレ受けでエロス!しかも最後はあまあま(?)…最高です!
200名無しさん@秘密の花園:2008/01/19(土) 20:25:39 ID:sVd3nnpa
普段キツい子ほどデレると可愛いなぁ、カエレに目覚めちゃった
201名無しさん@秘密の花園:2008/01/20(日) 03:08:03 ID:pu/1IDO/
まとめさん、いつも乙です。

とりあえず自分の分で
恋のはじまりは可符香×カエレ
One More Lovelyは晴美×千里中心と書いてもらえればありがたいです。
あと、>>148の抜け分が入ってないようなので、お時間のあるときにでもお願いします。

なんだかいろいろすいません…
202名無しさん@秘密の花園:2008/01/21(月) 02:23:36 ID:UKYEsXNJ
955 名前:名無したん(;´Д`)ハァハァ[sage] 投稿日:2008/01/19(土) 03:00:11 ID:utQWti33
まと霧かいてみた もう眠いのでラフまで・・・
ttp://akm.cx/2d/src/1200679039477.jpg
203名無しさん@秘密の花園:2008/01/21(月) 02:33:01 ID:FZFQ4ceK
霧なら下にいつも持ってる毛布を広げて、まといなら和服を広げて
この二人は脱がしたときが絵的に綺麗でいいよね
204名無しさん@秘密の花園:2008/01/21(月) 12:40:44 ID:Ug6Jcdt1
すごい萌えたww
205仮まとめのかんりにん:2008/01/21(月) 16:49:47 ID:4L9iSqQv
>>201
直し忘れすいませんでした。直しておきました。
206名無しさん@秘密の花園:2008/01/22(火) 19:32:25 ID:A7b/afpz
>>205
いつもご苦労様です。
修正ありがとうございます。
なんだか催促したみたいで申し訳ないです(って実際催促してますが)

これだけじゃあれなんで、SS投下行かせてもらいますね。
今日は満月?らしいので、月にちなんだハルチリを。
ちょっとシリアスな感じで、千里の誘い受けを狙ってみました。
207月光〜狂想曲風〜:2008/01/22(火) 19:34:51 ID:A7b/afpz
今日は待ちに待った週末。
明日は学校もないので、千里の家に泊まる約束をしていた。
1週間ほど前から決めていた約束。

でもそれよりもっと前から決まっていたのは

―今日が満月だという事―


これは誰がどう頑張っても変えれない、決定事項だった。



「今日は月が綺麗よ」

窓辺に手を掛けていた、千里がくるりと振り返った。
その拍子に揺れた黒い髪がさらりと音を立てる。

「そう」
さほど興味がないと主張した晴美はぼんやりと天井を見つめていた。

満月は、あまり好きじゃない。
だって、彼女が釘付けになるから。
彼女の興味がそちらへ移れば、自分はしばしほったらかしになる。
この時間が何とも言えないほど歯痒い。
208月光〜狂想曲風〜:2008/01/22(火) 19:37:18 ID:A7b/afpz
「窓閉めなよ」
風邪引くから。
後で付けた言葉は口実で、本当は千里を満月から引き離したかった。

「もう少しだけ」
晴美の作戦も、千里の一言で散ってしまう。
じっと空の青白い光を見つめる千里が憎らしく思えてくる。
本当は大好きなのに。
好きで好きで、仕方ないのに。

「だから」なのだ。

実体のない月なんぞに、奪われる事はどう考えても有り得ないのに
彼女が振り向かない事は、気持ちを苛立たせる。
窓の側から動こうとしない千里に痺れを切らした晴美は
ベッドに沈めていた身を起こして、そっと窓に近付いた。

「いつまで見てるの」
晴美の言葉に、千里が目だけを向ける。

「いいじゃない」
そうとだけ言ってまた、視線を月に戻す。
その態度がどうしても気に入らなくて、晴美は千里の肩を掴んだ。

「晴美?」
千里の呼び掛けにわずかの反応も示さずに、晴美は千里を床へと押し倒した。
クリーム色のカーペットの上に黒い髪が散る。
209月光〜狂想曲風〜:2008/01/22(火) 19:42:21 ID:A7b/afpz
「どうしたのよ」
押し倒された姿勢のまま、しかし同様は見られない声で千里が問い掛ける。
「別に」
千里とは対照的に低く、拗ねたような晴美の声色。

平静を装おうとした結果がこれかと、晴美は自分自身にがっかりした。
そんな晴美に気付いたのか溜息をひとつついて、千里はゆっくりと身体を起こす。
そして晴美の頭を2、3度撫でた。

「満月の日って、人を狂わせたりするのかしら」
「…さぁ、どうだろうね」
「目の前の狼さんは今にも食べたくて仕方ないって顔してるけど?」

くすくすと笑う千里に、ほんの少しだけ落ち着きを取り戻した晴美は
バツの悪そうにむっと顔をしかめる。
晴美の様子を見て、千里はふっと目を細めた。

「私の事、食べたい?」
その妙に色っぽい声に、晴美の胸がどくん、と鳴った。
「え…?」
とぼけた声を出してみるも、落ち着いた気持ちはまた揺らぎ
だんだんと勢いを増して心臓が暴れ回る。

千里の言葉に晴美は思わず目を背けてしまったが、俯きながら首をゆっくりと縦に振った。
その晴美の態度に、千里がその手で両頬を挟んで上を向かせた。

「ダメ」
艶を含んだ微笑が見える。
210月光〜狂想曲風〜:2008/01/22(火) 19:45:10 ID:A7b/afpz
「きっちり、言ってよ」
じゃないとあげない。

仕掛けた悪戯が上手くいったかのような
そんな表情を浮かべて、千里は晴美をじっと見つめた。
じっと見つめられて、喉に言葉が詰まって、上手く声が出せない。
晴美がもごもごと口を動かして見せると、すっと千里の顔が近付く。

「言えないの?」
「いえ、るよ」
すぅ、と息を吸い込むと、晴美はありったけの気持ちを込めて言葉を紡いだ。

「千里の事、食べたい」
頭の先から、足の先まで、全部全部欲しい。

ようやく紡ぎだした言葉に、ふっと笑みをこぼした千里は
自分自身から晴美に口付けた。

「よく出来ました」
唇が離れる瞬間に、囁かれる声。
その声すらも逃がしたくない。
そんな気持ちが晴美の身体を支配する。
離れる千里の身体を捕まえて、今度は晴美の方から口付ける。

「んっ…」
微かに漏れる声も、背中に回される腕も
全てが愛しくて、たまらない。
211月光〜狂想曲風〜:2008/01/22(火) 19:49:59 ID:A7b/afpz
「ベッド行く…?」
「…ここじゃダメ?」
そう言って、千里はちらりと窓の外を見やった。
窓の外には真ん丸の月が煌いている。

「そんなに月が気になるの?」
「べっつにー…」
「怒らないでよ」
どうしても拗ねてしまう晴美を落ち着かせるように、千里が一言。

「心配しなくても、私はあなただけだから」
真剣な眼差しでそう言われたら、嫉妬している自分が馬鹿みたいじゃないかと晴美は思った。
「ちゃんとした理由教えてあげようか?」
思わぬ千里の言葉に、晴美の動きが一瞬止まる。
ゆっくりと千里の顔を見ると、ふわりと微笑んだ。

「なんとなくね、あなたに似てるなって」
「似てる?」
千里の回答が自分の斜め上を行く答えだったので、晴美は思わず顔をしかめた。

「理由言ってもそんな顔するんだから」
どうして欲しいのよ、と千里が笑う。
「いや、だって意味わかんないんだもん」
むぅ、と唸りながら千里を見る。
212月光〜狂想曲風〜:2008/01/22(火) 19:53:50 ID:A7b/afpz
「まぁ確かに、これじゃ理由不足ね」
顔をしかめた晴美をよしよしと撫でてやる千里。

「傍にいるとなんとなく落ち着くのよ」
だから好きなの。

「あなたと月って似てるのかもね」
「それが理由?」
「そうよ」
その理由に晴美は少し拍子抜けしたような気分になった。

毎日学校で会ってても、一緒に帰っても
そこから先、一緒に食事したり、くつろげる時間を共有したり
一緒に寝れる訳じゃないから、夜は少し淋しくなる、のだと。

「だから、月を見てるとあなたが傍にいるみたいで安心するのよね」
そう言って千里は、ぽすっと晴美の胸に顔を埋めた。
「照れてるの?」
「…少し」
さっきまでの艶っぽさはどこへやら。
すっかり艶の抜けた千里は、いつもの千里に戻っていた。

「満月はいろんなものを狂わすね、いい意味で」
「何それ」
「千里のこんな一面も見れたから、なんだか得した気分」
さっきの千里の顔を思い浮かべたら、少しだけ顔に熱が集まった。

「なんか別人みたいだったもん、さっきの」
「あ、あれはちょっと、雰囲気出しすぎたわ…」
晴美の指摘に顔を赤らめる千里。
213月光〜狂想曲風〜:2008/01/22(火) 19:59:59 ID:A7b/afpz
「でも」
小さく言って、千里の顎に手を添えた。
「きっちり言ったんだから、食べさせてくれるよね?」
ニヤリと笑う晴美の顔に今度は千里の胸が鳴る。

「あ…えっと…」
「ちゃんと言ったんだから、取り消しはなしだよ?」
千里の顔はもう真っ赤になってて
きょろきょろと宙を彷徨う目が居場所を探す。

「目はこっち」
顎に添えた手を上げると、2人の視線がぶつかる。
そしてまだ少し戸惑う千里の唇に口付けた。

触れるだけの軽いものだったけど
お互いなんだか恥ずかしかったり
嬉しかったりで妙な初々しさを感じる。
唇が離れた後、晴美は千里をじっと見つめた。

「今日はホンモノがここにいるんだから、ね?」
「っ…!」

―この後の2人の秘密を知ってるのは、空の上で見つめる、満月だけ。



―END―
214あとがき。:2008/01/22(火) 20:07:40 ID:A7b/afpz
という感じでハルチリ落とさせてもらいました。
えろ描写無しで、えろい雰囲気を出すのが課題でしたが、だめだこりゃ。
千里の誘い受けという、なかなか珍しいシチュエーションに
キャラが崩壊したんじゃなかろうかと、内心びくびく。
こんなつたない文ですが、気に入っていただければこれ幸いです。

ちなみにタイトルはピアノソナタ第14番からの引用です。
「月光」の方が有名ですが、もうひとつのタイトルである「幻想曲風ソナタ」をもじってます。

ここまでお付き合いいただいてありがとうございました。
215名無しさん@秘密の花園:2008/01/22(火) 22:28:58 ID:MUoLd4Zh
>>214
何だか人恋しくなるSS。素敵です。
千里ちゃん艶っぽいし、晴美ちゃん少年のよう
良い夜をありがとう。
216名無しさん@秘密の花園:2008/01/23(水) 17:00:56 ID:0evWFZ51
晴美と千里は見ていて安心感がある
職人さんGJです
217名無しさん@秘密の花園:2008/01/23(水) 21:06:25 ID:LAyChnY8
GJ!子供のように拗ねる晴美が可愛い
千里が(精神的な)主導権を握るっていうのもいいですね
包容力があるというか
しかし受けは外せないw
218名無しさん@秘密の花園:2008/01/24(木) 02:00:40 ID:R9U2qv5T
かわええー
やっぱ千里はいざ攻められると脆いなぁw
219名無しさん@秘密の花園:2008/01/24(木) 20:13:03 ID:mgn5YIqY
GJ!
千里ちゃん誘い受けってのもなかなか新鮮ですね。
艶のある雰囲気も素敵です。
220214:2008/01/25(金) 07:39:39 ID:VEsdOuI3
>>215->>219
GJありがとうございました!
正直こんなに好評だとは予想外ww
みなさんハルチリ大好きですね!

ハルチリももちろん好きなんですが、偏りすぎるのもよくないと思ってるので
今後もいろんなカップリング、シチュエーションで投下していきたいと思ってます。

次はバレンタイン話かなぁ…
221名無しさん@秘密の花園:2008/01/27(日) 00:13:34 ID:eciDqvG2
可符奈美書いてみたいな
需要ありますか?
222名無しさん@秘密の花園:2008/01/27(日) 00:34:39 ID:kZytFlnJ
>>221
究極の普通少女と究極の電波少女のカップルの話読みたい。
223名無しさん@秘密の花園:2008/01/27(日) 11:36:44 ID:D1w3e4sQ
>>221
早く投下する作業に戻るんだ
224名無しさん@秘密の花園:2008/01/27(日) 20:14:08 ID:eciDqvG2
これから頑張って話し考えます
225名無しさん@秘密の花園:2008/01/27(日) 23:37:18 ID:l8UPrKKX
鬱系はあんまり好ましくないでしょうかね…?
なんだかチャレンジしてみたくなったんですが
みなさんの反応が気になる次第です…
226名無しさん@秘密の花園:2008/01/28(月) 00:16:56 ID:Ytji0Bhi
まだきっちりした規定も前例も無さげだし投下してみては?
すくなくとも期待している俺ガイル。
ちょっとぐらい鬱なのも百合の醍醐味・・・だと思う多分。
227名無しさん@秘密の花園:2008/01/28(月) 00:45:02 ID:AjfMd5ZG
鬱は大好物だw
エロパロの方では何となく鬱自重のような雰囲気になってしまって残念に思っていたので
こちらでの鬱を期待
228名無しさん@秘密の花園:2008/01/28(月) 00:49:58 ID:4aOA/ZJl
奈美は今まで投下されたSSのほかにもいろいろなキャラと絡ませられると思う。
むしろ総受けとかもいけると思うw

アニメ第一期のお見合いの話で、カエレが奈美に話しかけたのに萌えた俺は末期ですか?
229名無しさん@秘密の花園:2008/01/28(月) 01:00:37 ID:UWJokYSg
エロパロスレの鬱マンセー・原作スーパーレイプ・超大作路線が耐えられなくてこっちに亡命してきた俺の居場所がなくなっちゃうよ(´・ω・`)

いろんな好みがあるのは承知してるからやるなとは言わないけど
どうかほどほどにお願いします

鬱自重な感じになってきたのならまた向こうも覗いてみるかな
230名無しさん@秘密の花園:2008/01/28(月) 01:01:02 ID:INCtxRUx
>>228
「帰るわよ、奈美」って、名指しで呼んだところは確かに萌えた。
え、名指しで呼ぶの!?みたいな。
231名無しさん@秘密の花園:2008/01/28(月) 01:30:21 ID:INCtxRUx
連カキすいません。
鬱に関しては賛否両論あるみたいですね。
自分も書いた事無いジャンルなので頓挫の可能性大です。
なので、まぁゆっくりじっくり考えていこうかなと。
とりあえずまずはバレンタインですね。イベント大スキーとしては外せないんでww
232名無しさん@秘密の花園:2008/01/28(月) 01:34:35 ID:Vfv3dpY1
アニメ1期で、やたら藤吉さんと奈美が絡むのを見て
ちょっぴりジェラシーを感じた俺はハル×チリ中毒者
233名無しさん@秘密の花園:2008/01/28(月) 02:10:41 ID:Hk77wlAQ
鬱ってのもイロイロ、レイプなり失恋なりいじめなり死んだり?そこまではいかないか
ただ、どれにしても、というか何にしても最初に大まかな傾向だけは書いておいてほしい
>>229
自分も気楽に楽しみたい性質なんで一時期のあっちの雰囲気には辟易したなぁ、今はそうでもないよ
でも百合スレのが居心地良いw
234名無しさん@秘密の花園:2008/01/28(月) 02:30:38 ID:AjfMd5ZG
そっかーいろんな人がいるんだなー
自分はしっかりした話が好きだったからああいうの好きだったけど
このスレはそういうのが駄目で逃げてきた人が多いっぽいから余計そうなのかもしれないね
235名無しさん@秘密の花園:2008/01/28(月) 06:26:56 ID:Y/tUW2h/
このところあっちはエロパロなのにエロがオマケ状態だからなんとも言い難い
百合なら生ぬるくても良いんだけど
236名無しさん@秘密の花園:2008/01/28(月) 10:01:10 ID:OnyeqIbd
結局は個人の嗜好だよね
全ての人を満足させるSSなんてありえないから、それを言い始めたら何も投下できなくなっちゃう
鬱とかエロなしとかは始めに注意書きをつけてもらって嫌な人はスルーすればいいってルールが
エロパロでは何度か指摘されているよ

まあ何を言いたいかというとエロパロの話はスレ違いだし
こーゆー議論は職人を遠ざけるもとなのでそろそろSSが欲しいということだ
237名無しさん@秘密の花園:2008/01/28(月) 10:46:38 ID:Qh72pcpp
藤吉さん曰く
『他人に合わせて描きたくない物描いてもしょうがない』って言うのでしょうね
自分が書いて良いと思えたなら、きっと他の人も良いと言ってくれる……と思う

まぁ、まずは書いてみないと始まりませんので頑張ってください
238名無しさん@秘密の花園:2008/01/28(月) 17:13:52 ID:INCtxRUx
>>237
それ聞いてなんかすごく納得してしまった。
やっぱり自分に合った、自分らしさを出せる方がいいですよね。

っつー事で即席ですが、今1番書きたいと思ったあびる×芽留の投下行きます。
小ネタなのでちょっと短めですが、読んでいただければ幸いです。
糖分は高めで、いちゃいちゃしてます。
239YOU MAKE ME:2008/01/28(月) 17:15:56 ID:INCtxRUx
手を繋ぐタイミングって、どうするものなんだろう。


頭にふと浮かんだ疑問。
そもそも自分はメールでしか会話をしないので
「手を繋ぎたい」なんて口に出して言う事もないし
なによりそんな言葉メールですら恥ずかしい。

横を歩く、自分より少し大きな彼女を見やる。
元々彼女も饒舌な方ではないから
一緒に帰宅していても、会話らしい会話はほとんどない。
自分にとってはあまりぎゃーぎゃー騒がれるよりも
会話が無いくらいが落ち着いて丁度いいと思っている。
でも、多分それも彼女の配慮なんじゃないかなと思うこともある。


「どうかしたの?」

芽留の視線に気付いた彼女、小節あびるが落ち着いたトーンで語りかける。
芽留の頭を巡っていた色々な思考がぴたりと止まった。
ふるふると芽留が首を横に振ると、あびるはそう、と一言だけ言って視線を前へと戻す。
240YOU MAKE ME:2008/01/28(月) 17:19:22 ID:INCtxRUx
彼女は自分の事になると敏感に動いてくれるんじゃないかと思っている。
何故そう思うのかと言う理由としては
自分の言いたい事とか思っている事をさらりとやってくれる事が多いからだ。
自分でも驚くほどに正確に。
目を見ればわかる、なんて電波女が言っていたけど
そんなのは有り得ないと思っていた。

―だが、こいつだけは例外なのかもしれない。


ひゅうっと、風が帰り道を駆け抜ける。
いつしか空も暗くなって、一気に気温が下がったのを実感する。
今までこんなに寒かったっけ?
考え事のせいで、寒さや空の暗さなんて全く目に入っていなかったのだ。
自分はそこまで深く考えてたのかと思うと、なんだか馬鹿らしくなった。

はっ、と吐く息が白くもやを作る。
それが芽留には自分の心のもやの様な気がして
ちょっぴり自分自身に自己嫌悪してしまう。

そんな風にあれこれ思考を巡らせている様子を、もちろんあびるが見逃す訳は無い。
241YOU MAKE ME:2008/01/28(月) 17:22:36 ID:INCtxRUx
「寒いから、手つなごっか?」

落ち着いたトーンのそれがはっきりと耳に届く。
その言葉に芽留はあびるの顔をじっと見た。

「別に寒くない?」
あびるの言葉に芽留はふるふると首を横に振った。

確かに手袋をしない手は随分と冷たくなっていたが
そんな事よりもやはり彼女が自分の気持ちを見透かしている事に
恥ずかしさと、若干の悔しさと、少しの嬉しさが混ざって
やっぱり芽留は自己嫌悪してしまう。
しかしあびるはそれもわかっているだろうか
戸惑う芽留の手にちょんと触れた。

「じゃあ、はい」
そのまま自然に握られた手は、とてもやわらかくてあたたかく思えた。

「随分冷えちゃったね」
あびるの言葉もその手の感触で飛んでしまいそうになる。


少し憎らしいと思うくらい自分を理解っているあびるに
もう少し素直になれればいいな、と頭の隅で思ったが
どちらかと言えばまだ自己嫌悪の方が強くて、やっぱり胸の中はもやもやしていた。

―そんな思いを抱く、夕暮れの帰り道。



―END―
242あとがき。:2008/01/28(月) 17:27:18 ID:INCtxRUx
という感じのあびる×芽留落とさせてもらいました。
多分ものすごくマイナーなカップリングなんだと思うんですけど、自分は大好きです
なかなか書く機会が無かったので、今のこの気持ちなら書ける!と
ついさっき、恐ろしいほど短時間で書き上げたので、少々おかしな点もあるかもですが…
お付き合いいただきありがとうございました。

やっぱり自分には糖分高めの話が合ってるなと再認識。
鬱とか向いてないんだろうな…
243屋上で叫んだがばっかりに:2008/01/28(月) 22:39:48 ID:GQxpDRO9
以前予告した可符×奈美を途中まで書いたのですが長くなってしまったので
一回投下して好評だったら続編書きます。身勝手ですいません
244屋上で叫んだがばっかりに:2008/01/28(月) 22:40:46 ID:GQxpDRO9
普通少女、日塔奈美の一日は普通の列車から始まる。奈美の住む家の最寄り駅から快速や
特急に乗ると学校のある駅に止まらないのだ。
たまにクラスの担任の糸色望と乗り合わせるが彼はつり革に手錠で手をつなぐという到底普通とは言えない乗り方をしている。それを見て奈美は顔に縦線を入れて呆れつつも、
その異常さを内心羨んでいたりする。
非一般に憧れるという心情は普通の女子高生らしいものだがこの奈美の普通っぷりは常軌を逸脱している。ある意味普通ではない。
まず登校時間はホームルームの5分前。国語の授業で望に愛読書は?と聞かれて「恋空」と答える。跳び箱で飛べるのは8段まで。弁当のおかずはウインナー、卵焼き、ミートボール、ミックスベジタブル。5時間目に居眠りで注意される。
一日のうちにこれだけの普通行為を繰り返すのだから驚きである。
しかしそれらの行為を人に「普通・・・」といわれると「普通っていうなぁ」いきり立って反発するのだ。
245屋上で叫んだがばっかりに:2008/01/28(月) 22:41:16 ID:GQxpDRO9
そしてある日のこと奈美は少し普通のありがたさを実感することになる。
その日の昼休み奈美は四時間目までに7回「普通・・・」と言われかなり気落ちして
屋上に来ていた。そしてすぅと深呼吸をして青空に向かって「みんな、みんな、みんな、普通っていうなぁあああああああああ」と叫んだ。
その後奈美ははぁと軽く息を吐くと少し憂いのはれた顔で後ろを振り返った。
するとヘアピンの少女が笑顔でポツンと立っていた。
「可符香ちゃん、いるなら言ってよぉ、びっくりするし、恥ずかしいじゃんハハ」
このヘアピンの少女、風浦可符香は奈美と親しい友人であるので奈美の口調も気軽な
親しげなものである。
「邪魔しちゃ悪いと思ってwそれにしても屋上で叫ぶって普通の青春だね」
「だから普通っていうなぁ!」
仲のいい二人だが立場は対の立場でこの風浦可符香はすこぶる変人である。
いわゆる電波ちゃんであった。
「そうだ!」突然奈美はある案をおもいついた。「可符香ちゃん!相談に乗って
!私の普通じゃないところを探して!そしてないならつっくてよ」
どうやら普通じゃない可符香に教えを乞えば脱普通もいささか無理ではないと悟ったらしい。
「えぇ?奈美ちゃんの普通じゃないところ?う〜ん?」可符香はしばらく考えてから、
「そうだ!奈美ちゃんの普通じゃないところ一つあるよ」と人差し指をぴんと立てて言った。
「え?何?何処?」すかさず奈美が詰め寄った。

246屋上で叫んだがばっかりに:2008/01/28(月) 22:54:24 ID:GQxpDRO9
「胸が、おっぱいが普通より大きい!」可符香は笑顔で詰め寄ってきた奈美に答えた。
「え!?なっ何!?私のおっぱいがっ?」いきなりの問題発言に動揺する奈美。
「そう!奈美ちゃんのおっぱいは普通よりちょっと大きいよ!たしかめる?」
そういった可符香は奈美の制服の裾から手をいれお腹のくびれをなぞりながら奥へと突っ込んでいった。「なにしてんの!?くすぐったいって!恥ずかしい!」
あせる奈美を無視して可符香は普通より豊かな奈美の持ち物を手で包んだ

「やっぱり、普通より大きい!奈美ちゃん着やせするんだね。思っていたより豪華だ!」
赤面し動揺する奈美に可符香は楽しそうにいった。
さらにあまりの驚きにほぼ無抵抗の奈美の制服のスカーフを取り金具を外し、ジッパーを下げ上着を脱がせてしまい
紺のいかにも普通な下着まで剥ぎ取り、完全に半裸の姿にしてしまった。この一連の出来事に沈黙を守っていた奈美もとうとう、


「やめてぇ!ホンとに恥ずかしいからぁぁぁぁ!」と叫んだが昼休みの屋上には二人以外誰もいないし誰も来ない。
247屋上で叫んだがばっかりに:2008/01/28(月) 22:57:16 ID:GQxpDRO9
可符香は露になっている奈美の胸をしげしげと眺め、「乳首の色も普通より綺麗」と呟いた。
恥の極地に達した奈美は「もう見ないで!」と叫んで手で胸を覆い隠そうとしたが
哀れにも両手を可符香に掴まれてしまった。可符香は笑顔で首を振りながら
、「だめだよ、奈美ちゃん。もうここまで来たら」と明るい声で言うとスカートのポッケトからビニール紐を出し、奈美の手を後ろで縛ってしまった

そして再び黙った奈美に「やっぱり奈美ちゃんのおっぱいは普通より豪華だよ。」というと自分の制服のスカーフに手を掛け
「比べてみる?そうしようか!」と小声でささやき、制服の上着を自ら脱ぎ始めた。
248名無しさん@秘密の花園:2008/01/29(火) 03:17:03 ID:NuE/wxoY
期待!好きなカプだ!期待してるぜ!
249屋上で叫んだがばっかりに:2008/01/29(火) 07:34:34 ID:h6usIMuS
訂正
スカートのポッケトになってました
ポケットに脳内変換してください
250名無しさん@秘密の花園:2008/01/29(火) 09:56:34 ID:A6ph4uXL
可符香はずるいって言いたくなるくらい自由に動くなあw
続きが来るの、期待させてもらいます
251名無しさん@秘密の花園:2008/01/29(火) 12:19:41 ID:MDrqtOc2
>>242
あびる×芽留はほんわかした気持ちになりますな
考えてること筒抜けなのが何とも微笑ましいw
職人さんGJです
>>243
続き楽しみに待ってます
252名無しさん@秘密の花園:2008/01/29(火) 17:49:52 ID:VmikDYfV
作品は良いがお前の態度が気に入らない
253名無しさん@秘密の花園:2008/01/29(火) 18:42:47 ID:XdgE9Nzh
乙です。続編お待ちしております。

奈美は以前このスレに投下されたSSの中で
3回ほど縛られた「前科」がありますが、今回もですね。
というか奈美は縛られるのがなんか似合いますw
254名無しさん@秘密の花園:2008/01/29(火) 19:16:18 ID:uK5JKeCV
なかなか面白いです。
続編はかなり期待できると個人的にも思います。
むしろ、私が書いた物よりも文章の表現が豊かで羨ましいですw
255名無しさん@秘密の花園:2008/01/30(水) 09:29:22 ID:r+Gsu2gR
先生奈美藤吉さんは三大被害者ですから
256名無しさん@秘密の花園:2008/01/30(水) 21:53:47 ID:UqfwYKIY
257名無しさん@秘密の花園:2008/01/31(木) 00:20:57 ID:xNSAE9O0
原作通りに書くのが一番難しい
誰を書こうかと検討中です。
258名無しさん@秘密の花園:2008/01/31(木) 01:08:24 ID:Z03sL3Mj
>>256
偶然に見せかけて千里の詰め物(二重)を取ろうとしてる可符香
259名無しさん@秘密の花園:2008/01/31(木) 13:08:17 ID:qCthIHmw
晴美×ミッチー
260名無しさん@秘密の花園:2008/01/31(木) 16:58:02 ID:OwHu/cHs
可符香って誰とでも絡めそうだね
261名無しさん@秘密の花園:2008/01/31(木) 17:35:20 ID:7DkA+bux
262名無しさん@秘密の花園:2008/02/01(金) 02:29:23 ID:sQJlYutm
いいねいいね
ハルチリもいいけどマトキリもメジャーになるといいな。
いけないオフエアバトルとか見てみたい。
263名無しさん@秘密の花園:2008/02/01(金) 06:17:34 ID:1LF1doLY
GJ!!

まときり大好きですww
264名無しさん@秘密の花園:2008/02/02(土) 03:10:50 ID:jEYI5SMq
にょんたか!
265橋は落ちた:2008/02/03(日) 07:03:45 ID:hCe73c4t
にょんたか!
空気を読まずに藤吉×千里投下です。
藤吉さんが千里を襲っていますので嫌いな方は御注意下さい。
そして長くなってしまいました、申し訳ありません。

266橋は落ちた:2008/02/03(日) 07:04:08 ID:hCe73c4t
 口付けた首筋は白くて柔らかくて、そしてとんでもなく甘い味がしたもんだから
これは本当に人の肌かと咄嗟に疑った。そんな自分に藤吉は、ふふ、肌に唇を押し
当てたまま声を立てて笑う。確実に人間のものでしかない肌は当然本当は塩の味し
かしないのに、砂糖菓子みたいだなんて、馬鹿みたいだなあ。笑う藤吉の声
は鈴を転がすような軽やかな声だったのに、触れる少女の強張った呼吸の気配が届
く、まるで怪物を見たみたいに。ふるふる震える華奢な体。ひい、小鳥が囀るよう
な小さな悲鳴でも挙げてしまいそう。普段は整然とした論理だけを携えて毅然と立
つだけの少女の子供みたいな様が愛おしくてしょうがなくて、その唇の形のまま、
首筋に添って移動させると、長く美しい髪に隠れた耳朶にたどり着いた。それを優
しく噛んで舌を這わす。すると、うう、濡れた感触が気持ち悪かったのかとうとう
泣きそうな声が藤吉の鼓膜を打った。それはどうにも哀憫を誘う、何かとほうもな
い恐ろしいものに怯える子供の声であり、常人なら咄嗟に優しくあやして安心させ
てやりたくなるようなトーンであったのに、藤吉に行為をやめるような意志は少し
も沸いてこない。いっそ加熱する嗜虐感に眼鏡越しの大きな目を眇める。それを、
今起こっている事を理解し耐えるのに必死で前だけ見て目を見開く千里が見ないで
済んだ事は幸いだった。
 藤吉の目は甚振る対象を見つけた肉食獣の妖しさを秘めて瞬いている。
267橋は落ちた:2008/02/03(日) 07:05:46 ID:hCe73c4t
「ちーり、どうしたの」
 耳元に毒を流し込まれるように囁かれる声は甘い。それはいつもの藤吉の低く落
ち着いた声よりも大分熱を込めたつやめいたものではあったが、決して千里を怯え
させるような非情のトーンではない。しかし千里は呼ばれた己の名にびくりと身を
震わせた。怖い。蒼ざめて色あせた唇から震える呼吸が吐き出されるのを止める事
ができない。蛇に竦まれた蛙のように、凝然と固まる己が無様で溜まらないが、怖
くて仕方がないのだ。今の状況とのギャップが千里を否応なくそうさせるのだ。
「はる、み」
 どうしたって、こんなことして、なんでそんなこといえるの。心の叫びがどうして
も唇から飛び出せないのは友人であるはずの少女に耳と一緒に声が食われてしまった
からなのか。かたかたと追い詰められた子兎じみて震える手首は己を抱きしめる事も
させてもらえず、座らされている椅子の後ろに強固に技法的に縛り付けられて、千里
は少しも逃げられない。目の前に広がる見慣れた部屋で、見慣れた友人に何をされて
いるのか。抱きしめられて、熱い舌で肌を舐められてている。言葉にすれば実に簡単
なことであったが、千里にとって受け入れがたいことで、なのに肩に置かれた熱い手
や、耳に触れる濡れた呼吸はどこまでも現実だから千里は心さえ何処にも逃げられず
に途方もない空間に一人で置き去り。なんでこんなことに。いつもの通りに藤吉に家
に遊びに誘われて、書き上げた同人誌を渡されて評価を乞われて、そのお礼にって、
紅茶、入れてくれて。そして襲われた眠気の後、千里にしてみたら数瞬の暗闇の果て
に待っていたのは受容しがたいこんな現実。藤吉がいつも使ってた椅子の上で、藤吉
がいつも使ってたデスクのパソコンの前で、千里は制服のまま縛り付けられ、目の前
で自分を抱きしめるような格好で前かがみに立つ藤吉に、なでられ肌を弄ばされてい
る。
268橋は落ちた:2008/02/03(日) 07:06:41 ID:hCe73c4t
なんで、こんな。か細く友人の名前を吐いた千里に、藤吉は一旦弄っていた耳から唇
を離す。千里を覗き込むように視界に現れた藤吉の微笑みはとてつもなく優しい。い
ま千里を混乱の只中に陥れているのは彼女だと言うのに、何の害意も見受けられない。しかし千里は抽象的でありながら絶対的な違和感にめまいを覚えた。眼鏡の奥で愉悦
の細められる藤吉の瞳は穏やかだ。なのに。
 この感覚には覚えがある。藤吉の持つ同人誌の中で珠に見つめる性を匂わせる描写
を見たときに感じるような。楚楚としているわけではないのに、趣味に行き過ぎてと
んと色的なものを感じさせる事のなかった藤吉。なのに今に至って、その瞳には欲望
に燃えたきらめきを見つけて、千里は戸惑う。
 しかもそれが一心に自分に向けられているのは、何故。
 恐怖にも近い困惑に声も出せない千里を見やって、藤吉はたおやかに笑う。年端も
行かぬ少女の癖にその微笑は色を知ったおんなのように艶やかだ。男を誘う女の微笑
だ。潔癖な千里でもそれくらいはわかる。だから、彼女が怖い。その微笑が自分に向
けられているのが怖い。藤吉は友達なのに、その性的なにおいを隠そうともしない笑
みが得体が知れないのだ。どうしてそんな風に笑うの。私に向かって笑い掛けるの。
理解できないと言うことは混沌である。混沌は美しくない。それはもっとも千里が嫌
うところだ。しかし普段なら毅然と相手をにらめつけてきっちりとした説明を求めら
れるのに、強張って固まる千里はその方法さえ忘れてしまっている。ただただ年端も
いかぬ童のように、無力に藤吉を見つめるだけ。
269橋は落ちた:2008/02/03(日) 07:10:16 ID:hCe73c4t
 蒼ざめた頬に藤吉の唇が押し当てられる。それに千里はまた震える。や、小さい悲鳴
。大きく張られた千里の瞳からは、ぽろり、涙さえ零れそうで、なのに藤吉は慰める事
すらしない。笑ってその頬をまた舐める。ぺろり、化け物が捕えた子供の味を見るよう
に。
「千里、可愛いー・・・」
 夢見がちに囁かれた声は恍惚をはらんで甘ったるい。それから逃げるように身を捩っれ
ば、肩を抑えられた。だめ、かすれた声で囁かれ、どうしよう、千里は本当に現実は現実
でしかないのだと思う。何でこんな事されているの。晴美なんのつもりなの。そう問いた
い。問いたいのに、問うて答えを得てしまえば取り返しのつかないことに成ってしまいそ
うな恐怖が、予感が千里の唇を強張らせる。その予感の輪郭すら明確に思い描くのは怖く
て怖くて仕方ない。今まで培ってきた大事な友情。それが何か、とてつもなく千里が受容
しがたい何かに化けてしまいそうで。
 どうしよう。肩をつかんでいた藤吉の掌が、そっと千里の太腿まで落とされる。女子高
生にしては長いスカートに隠れる白い太腿をなでて、その仕草はどうしたって千里の奥を
探るような仕草で、背中に走った電気に千里は身を震わせる。「ひ、」それが急に意図せ
ぬところを触られた驚きだけじゃなくて、皮膚の薄いところをなでられる快楽に、似たも
のであったので。そんな感覚を友達に(千里はまだそれを頑なに信じている。信じようと
している)覚えてしまった自分と、自分にそんな感覚を意図的に覚えさせる彼女に、千里
は泣きそうになる。頭の中でどんどん膨らんでくる知りたくもない予感が千里をふみつぶ
してしまいそうで、「やめてやめなさいはるみ」漸く出てきた言葉はいかにも陳腐な台詞
だった。なのに千里はおまじないを唱えるように必死で唱える。「やめて、お願い」だけ
ど晴美は恐怖に潤む千里の顔がお気に入りらしい。
270橋は落ちた:2008/02/03(日) 07:12:04 ID:hCe73c4t
「気持ちよかったの、千里?」
 そうまた言葉を紡がれて、上ずった声を聞かれていた恥かしさに千里の頬は朱に染まる
。首を弱弱しく振る千里に藤吉はまた微笑んで、身を屈める。強張って汗ばむ千里の足を
ゆっくり開いてその間に顔を埋めた。どんな人間でも内腿は白いと言うが、千里の太腿は
近めで見たって肌理が細かくて目の悪い藤吉にも美しいと知れる。何をされるのだと、抵
抗も忘れて怯えきった瞳で藤吉を見下ろす千里の目を一回だけにっこり笑って見上げてか
ら、唇を寄せた。甘い肌へ。ちゅ、ちゅ、わざと音を立てて押し当てる唇に、ひ、ぁ、千
里の喉から高い声が漏れた。それは悲鳴でありながら、どこか熱を持ったさっきと同じ甘
い声だったから、藤吉は笑いが抑えられない。可愛いなあ。
 白い肌を吸い上げる。すると流石に千里も我に返ったのか。「ひぃ」上がる悲鳴と一緒
に声が落ちてくる。
「ど、して、なんなの、」
 やめて、恐怖に震えた声。続けられた言葉と一緒にがたがたと椅子が揺れて、身を捩っ
て藤吉から逃げようと無為な努力をしている。何とか閉じようとする白い腿に頬をつけて
上を覗けば、子供みたいにいやいやと首を振る千里が見えた。噛み締められた唇が白い。
血が出そうなほど。それは千里の拒絶を示していて、そんなに嫌なら私を蹴り飛ばして大
声を上げればいいのに。しかし藤吉は千里がそれをできないことを知っているので、怯え
る千里を笑んで見上げたまま、中途半端に篭る足の力を容易く受け流すだけでいい。
 だてに親友を長くやっていたわけではない。クラスメイトに粘着質と揶揄された千里は
、つまり自分の領域に入ったものに対して拒絶と言うことが出来ないのだ。マリアを温か
く保護してそれを突き放さなかったように、長い間親友の座にいた自分を敵として徹底的
に拒絶するなんて千里には考えも付かないのだ。だからまだ藤吉を信じて、何時か藤吉が
冗談だと笑ってくれる瞬間を期待している。こんなにされてまで。それを知っている。
 藤吉は、彼女のその強さとも弱さとも表現できないところにつけ込んだ。それは卑怯な
やり方ではあったが、実に身のある賭けであった。そして藤吉はその賭けにかったのだ。
不条理に怯える千里の瞳は、今だ藤吉を信じている。藤吉は勝ったのだ。戦勝品は目の前
で何処にも逃げられずに震えている。藤吉のそばから何処にもいけずに。
271橋は落ちた:2008/02/03(日) 07:13:05 ID:hCe73c4t


(冗談って、言って上げられればよかったのにね。)
 強張って凍える瞳に、声にはだなさいがそう思った。本当に。貴女の、親友のままでい
てあげたかったのだけど。やだいや、無為に呻き続ける千里は自分の恐怖と戦うのに必死
だったから、その瞬間藤吉の目に瞬いた暗い光に気付かない。はるみどうして、子供がむ
ずがるように上がった声は何とも言えず愛らしくて、抱きしめて上げたいくらい弱い。可
愛くて溜まらなくてそっと足を、今度は慈しみを持ってなでる。優しく優しく、壊れかけ
の硝子細工に触れるように、千里は、もうやめてやめなさい、呟くのみで、藤吉の掌に徹
底的に怯えている。もはやもう藤吉がなにをしたって、千里は怯え続けるのだ。
 はるみ、あの頑固で融通が利かなくて、だけど本当に愛らしかった微笑と己を呼ぶ声は
もう二度と手に入らない。それを思うと、少しだけ悲しかった。だけどもう、藤吉は引き
返せない。事態は臨界点を突破した。
272橋は落ちた:2008/02/03(日) 07:14:08 ID:hCe73c4t
 私はこの子に酷い事をしている。そしてこれから、もっと酷い事をするんだなあ。湧い
た感情は子供の頃大切にしていたガラクタをゴミ箱に入れてしまうような何ともいえない
悲しさではあったけれど、それ以上に彼女を得る喜びが藤吉を支配している。
 いつから友人に対しての愛しさだけではすまなくなったのか、その切欠を藤吉は覚えて
いない。気が付けば千里の姿をいつも追っていた己の眼球は布に隠されたその肌の白さ、
体のラインまで夢想し始め、そして止まらなくなった。親友にとんでもない感情を抱いて
しまった。肌に触れたくてしようがなくて、きついその視線で自分だけを見て欲しくて仕
様がなくて、それは酷く浅ましい感情の形だった。だけどまごうことのない、恋だった。
だけどその恋は叶うべきものではないのだ。千里が藤吉を見る目はどこまでいってもただ
心を許せる友人に対するもので、いつまでたっても藤吉が望むものになるはずがない。そ
れを知っていた。
 知っていた。なのに、どうしても捨てる事ができなかった恋情は日の目を見ることも出
来ず心底でどろどろと腐りきり、気付けばどうしようもないモンスターに化けていた。化
け物は囁いた。欲しいものを得る為にはなにをすればいいのか。どうしようもない現実を
打破するには。何か決定的に大切なものを壊してしまうと知りながら、その囁きはどうし
ようもなく甘い。千里が手の中に入るのだと囁かれれば、無様な恋情に足を絡められた藤
吉にはもう、抗う術はなく。
273橋は落ちた:2008/02/03(日) 07:14:45 ID:hCe73c4t



 そうして選んでしまったのだ。事態から逃げられないのは怯える千里だって同じで、
ただ異なる所は、藤吉はもう引き返すつもりはない。悲しみは一瞬で藤吉の表情から掻き
消え、其処に残ったのは愉悦の微笑。欲しいものを手に入れる子供のような無邪気で、女
を抱く男のように艶やかない微笑で、千里を見上げる。

「何って、千里は賢いんだから分かるでしょう」

 藤吉はもう、引き返さない。ぬるま湯に浸かるように心地よくて優しかった親友として
の位置。其処へ引き戻るための橋はとうに落ちた。
 藤吉はもう決めてしまった。(私は、)藤吉は、手に入れるのだ。

「私は今から千里を犯すんだよ」

 もっとも卑怯で、そうしてもっとも確実なやり方で。
274橋は落ちた:2008/02/03(日) 07:16:01 ID:hCe73c4t



 はる、み、強張った声。藤吉は笑う。とてつもなく尊い物を捨てると決めてしまった微
笑で。何かを諦めて何かを得てしまった危うい微笑で。「私達、友達じゃなかったの、」
泣きそうな千里の声。これから沢山得られるだろうその泣声を聞きながら、ああ、そうだ。大事な事を言い忘れたんだっけと藤吉は思い出す。「とっくの昔から友達なんかじゃない
よ」笑って告げた言葉に千里は可愛そうなほど表情を凍らせる。絶望と言っても過言では
ないほど可憐な表情が強張った様をじっと見上げて、藤吉は微笑んだまま、言葉を続ける。
 橋はもう、落ちたのだ。
「私、ずっと前から千里のことが」

 ごめんね、千里、私はこれからあなたを手に入れる。




橋は落ちた・終
275橋は落ちた:2008/02/03(日) 07:33:25 ID:+55b1o3b

以上です。さるさんに捕まったので慌てて携帯から失礼します。
予想以上に長くなりました…!すみません。
趣味に生きる眼鏡っこが堅物少女をどうこうするのが好きです。
書き上げたら別人たちで、次の投稿を許していただけるのなら、ともかくキャラを頑張ってつかみたいです…
あと誤字すみません…!見直したつもりだったのですが…!
読んで下さった方居られたら本当に有り難う御座いました。
藤千万歳。二人ともかわいいです。
276名無しさん@秘密の花園:2008/02/03(日) 11:04:29 ID:OK8KEx/r
もしかしてエロパロで百合スレに投下するって言ってた人ですか?
ちょっと改行が読みにくいけど、コレは良い。むちゃくちゃ良い。
それも今までこのスレになかったパターンのハルチリだったりで、もうたまりません!
藤吉さんの情感が込められまくりで、ほんとドキドキもんでした。
良ければまた、別の話でもコレの続きでもお願いします。
277265:2008/02/03(日) 13:44:16 ID:hCe73c4t
>>276
コメント有難う御座います。
そうです私です。もしかして此処を教えて下さった方でしょうか?
もしそうなら助かりました。重ねて有難う御座いました。
改行は失敗もしくさってなんかもうすみませんでした・・・!
もう少し改行までを長くして投稿したら少しは読みやすくなるでしょうか・・・ううむ。
楽しんで頂けた様で幸いです。ハルチリは色んなパターンが思い描けて素敵な百合ですよね!
続きを書けたらまた投下させて頂くので、読んで頂ければ有難いです・・・!
278名無しさん@秘密の花園:2008/02/04(月) 00:51:52 ID:DcXEjvnd
友達だからと油断しまくりの千里を晴美が犯すって図式は萌えるなぁ
279名無しさん@秘密の花園:2008/02/04(月) 04:39:22 ID:WoHBfemX
「千里、可愛いー・・・」がすごいツボ
280名無しさん@秘密の花園:2008/02/05(火) 03:57:52 ID:YjZzY9bP
>>277
教えたのは自分じゃないです。
改行は、今回のみたいに等間隔で横揃えるのでも、普通に句点でするのでも良いと思います。
2ヶ所改行入れ忘れてたのか、2行分が横に並んで突き抜けてるのがあっただけなんで、まあ今のスタイルで充分だと。
281名無しさん@秘密の花園:2008/02/05(火) 22:58:36 ID:MHxoUaDU
バレンタインまで投下控えようと思ったのですが
珍しくどうしても、えろが書きたくなってしまったので勢いで投下行きます。
いつものノリのハルチリで、甘くてえろいです。今回かなり甘くしすぎた、かも。
282DIAMOND JEALOUSY:2008/02/05(火) 23:02:10 ID:MHxoUaDU
「今度の日曜日空いてる?」
「まぁ、空いてるといえば空いてるけど」
突然の誘いに少し期待を寄せる千里。

「イベント一緒にいこっか?」
「…嫌よ」
少しの期待は見事に吹っ飛ばされた。


晴美と千里はいつものように、昼食を一緒に食べ
昼休みを談笑の時間へと当てていた。

そこへクラスメイトの久藤准が姿を見せる。

「藤吉さん」
「どうしたのー?」
「これ、この間貸してくれた本」
そう言って准は晴美の机にハードカバーの本を置いた。

「え?もう読んだの?」
「うん、面白くってついつい一気に読んじゃった」
晴美の言葉に准は照れたように笑う。

「ほんと、好きだよねぇ」
にっと笑いながら晴美は准を見つめる。
「すごく面白かったよ、特に第5章の辺りからがね」
「あ、やっぱり?久藤くん気に入りそうな展開だもんねぇ」
そう言いながら笑い合う2人。

そんな2人を千里は複雑な面持ちで見ていた。
283DIAMOND JEALOUSY:2008/02/05(火) 23:04:57 ID:MHxoUaDU
「またいい本があったら教えてよ」
「うん、あたしもまた貸してね」
晴美がそう言うと、准はにこっと笑顔を返し
いつもの仲間の元へと帰っていった。

「…随分仲いいみたいね」
「うん、久藤くんとはよく本の貸し借りするしねー」
そう言って晴美は、戻ってきた本を鞄へとしまう。

「それはそれは」
「なに?どうしたの?」
「何でもないわよ」
胸に苛立った気持ちが渦巻いた千里はふいとそっぽを向く。

「で、日曜日」
「だから行かないわよ!」
千里のアピールも虚しく、晴美のイベントへの思いにかき消されてしまった。


昼休みが終わっても千里のもやもやは消えない。
授業にも身が入らないし、気持ちも落ち着かない。
ちらりと晴美の方を見やると、机に伏せてじっと動いていなかった。
目を凝らしてみると、規則正しく背中が上下している。

また寝てる…。
人の気も知らないで…。

千里の苛立ちは更に倍になった。
284DIAMOND JEALOUSY:2008/02/05(火) 23:07:40 ID:MHxoUaDU
放課後になっても苛立ちは消えない。
それどころかその苛立ちの火を消すように
別の感情が湧き上がってきて、千里の気持ちは急に落ち込んだ。

「千里ー」
向こうから晴美が帰る準備を終えて、てくてくとこちらに向かってくる。

「帰ろ?」
千里の気持ちをこれっぽっちも知らない晴美はいつも通りの対応だった。
が、千里の方はいつもとは違う。

「…今日家、行ってもいい?」
言ってる事はいつものそれと変わらないはずなのに
まるで別人みたいなトーンだったので、晴美はふと疑問を感じる。

「いいよ?」
晴美の許可の言葉を聞いた千里は
嬉しそうと言うより、何故だか艶っぽい表情に見えた。

「千里?どうかした?」
晴美が顔を覗き込むと、千里はふるふると首を振る。

「な、何でもないわ…」

口ではそういうもののどう考えても様子がおかしい。
それは一緒に下校している時にも感じていた。

いつもなら並んで歩く2人には少しの距離を保っているはずが
今日はその間がいつもよりも狭い。
それも晴美から寄っている訳じゃなくて、千里の方から距離を詰めているようだった。
それ以外にも歩きながらさり気なく手を触れさせるようにしたりしている。
285DIAMOND JEALOUSY:2008/02/05(火) 23:11:04 ID:MHxoUaDU
「千里?」
「な、何?」
名前を呼ばれただけでも千里はびくりと身体を震わせる。

「何かおかしいよ?」
「そんなこと、ないわよ…」
そう言って俯く千里は明らかに様子がおかしい。

「調子悪いなら家来なくても」
「それは嫌!」
千里が突然大きな声を上げたので、今度は晴美がびくっと身体を震わせた。

「大丈夫ならいいんだけど…」
そう言いながら晴美は自分が何かしでかしたんじゃなかろうかと
自分の胸に聞いてみたが、それらしい心当たりは無かった。


2人そろって晴美の家に到着したが、家族は不在のようで鍵がかけられている。
ポケットから家の鍵を取り出して扉を開けると、晴美は千里を家に招き入れた。

千里を待たせるのと荷物を置くために1度は自分の部屋に入った晴美だったが
すぐに立ち上がって、キッチンの方へと足を向けようと動き出した。
が、すぐにそれも止まる事になる。

制服が引っ張られる違和感を感じ
足を止めてその方向へと振り返ると
俯いたままの千里が晴美の制服を掴んでいた。
286DIAMOND JEALOUSY:2008/02/05(火) 23:13:09 ID:MHxoUaDU
「千…里?」
「…離れないで」
小さな小さな声で呟く。
やはり様子のおかしい千里に晴美は掴まれていた制服をそっと離させる。

「ん、わかった」
そうして千里をベッドの淵に座らせた。

「何か聞いて欲しい事があるの?」
千里の長い髪を撫でながら、晴美は優しく問いかける。
その言葉にこくりと頷く千里。
それを確認した晴美は千里の隣に座った。

「今日様子がおかしいのもそのせい?」
晴美の言葉に千里は俯きながら小さく首を縦に振る。

「こんな事言ったら笑うかもしれないけど…」
「ん?」
「今日久藤くんと喋ってたのを見てたらね、なんだかちょっと…」
そう言って千里は言葉を濁した。

「千里?」
「久藤くんに取られるんじゃないかなって、思って…」
千里の言葉に晴美は目を丸くした。

「え、久藤くんが?」
「だって、よく本の話で盛り上がってたりするし、それに久藤くんモテるから…」
そう言って千里はますます俯いてしまう。

「それで妬いちゃったんだ?」
晴美の言葉に千里はこくりと頷いた。
287DIAMOND JEALOUSY:2008/02/05(火) 23:15:08 ID:MHxoUaDU
「大丈夫、心配しなくてもあたしは千里しか見てないよ」
そう言って俯く千里の頭を撫でる。

「千里以外の人を好きになるなんて、そんな事ある訳ないから」
「本当に?」
俯いたままの千里の言葉。
その言葉に晴美は千里の顎をくいと持ち上げた。

「…っ…!」
「ほら、ちゃんと千里だけ見てる」
晴美の眼差しは真っ直ぐに千里だけを捕らえる。

「はる、み…」
泣き出しそうな千里の表情が晴美を切ない気持ちにさせた。
そんな千里の身体をきゅっと抱きしめる。
そして耳元で小さく囁いた。

「千里が1番だから、ね?」
その言葉に千里は晴美をぎゅっと抱きしめ返した。

しばらくそうしていたが、不意に千里が晴美の身体を離す。

「じゃあ…」
「ん?」
「私が1番って証拠見せて…?」
顔を真っ赤にした千里の精一杯の言葉。
その言葉に晴美は千里に口付ける。
いつものように触れるだけのキスから、深く深いキスへと変わっていく。

「ふっ…ん…」
晴美の背中に回された千里の手が更なる刺激を求め、力が篭った。
288DIAMOND JEALOUSY:2008/02/05(火) 23:17:46 ID:MHxoUaDU
その動きを合図に晴美は制服のスカーフを解いて、前を肌蹴させる。
そのままベッドへと千里の身体を沈めると、その上に重なった。
首筋に唇を這わせると、千里の身体がぴくりと反応する。
空いてる手で脇腹辺りをなぞると、くすぐったそうに身を捩った。

「気持ちいいの?」
「んっ…」
千里はこくこくと首を振りながら、返事らしきものを返す。
上半身を確かめるように触れながら、下着を捲し上げた。

外気に晒されたそこは自身を主張するかのように、硬く腫れている。

「まだ触っても無いのに」
くすくすと笑うと、千里は顔を赤くした。
その部分に唇を寄せて、ぺろりと一舐めすると千里の身体がまた跳ねる。

「…ぁ…っん…」
相変わらず感じやすいよね、と言いたかったが
今日はあまり茶化すのも良くないと思い、晴美はその言葉を飲み込んだ。

何度もそこを舐めているうちに、たまらず千里は腰を浮かせ始める。
それを見た晴美はいったん動きを止め、スカートへと手を掛けた。
ホックを外してファスナーを下ろすと、一気に剥ぎ取る。
薄いブルーのショーツが晴美の眼前に晒された。
そして右膝の裏に手を添えて、ぐいと上半身の方へ押しやると
その内腿に唇を這わせた。

「あっ…やぁっ…」
確かめるみたいに唇を這わせながら、徐々に奥へと進んでいく。
空いているほうの手でショーツの上から、触れてもらうのを待ち望んでいるその場所を指でなぞる。
289DIAMOND JEALOUSY:2008/02/05(火) 23:19:18 ID:MHxoUaDU
「あっ!…ん…っは…」
「上からでもわかるくらい濡れてるよ?」
「はるっ、も…ぉ…」
潤んだ目で必死に懇願する千里。
もちろん晴美には千里が何を欲しがっているのかもわかってる。

持ち上げていた右足を一旦下ろすとそのショーツに手をかけ取り払う。
反射的に膝を閉じるのを止めさせ、ゆっくりと開いた。

「ちゃんと脚開いててよ?」
「っ…?」
何をされるのかがわからない千里は潤んだ目のまま頭に疑問符を浮かべていた。
そんな事はお構い無しに、晴美は千里の脚の間に顔を近づける。

「やっ!?」
ようやく何をされるのかがわかった千里は、脚を閉じようとするが
晴美の手によって阻止される。
そのまま待ち望んでいるそこへ舌を這わせた。
ぴちゃぴちゃと卑猥な水音が千里の耳にも入る。

「あっ、やぁ…はるっ…んんっ」
舌がそこを支配していく感覚に、千里の頭はどうにかなりそうだった。
激しい快楽の波が押し寄せてくる。

「すっごい濡れてる」
楽しそうな晴美の声色に、千里の心に羞恥心が生まれる。
しかし身体は正直に快楽を求めていた。
晴美の頭をそこに押し付けるように千里の腕に力が篭る。
何度も何度も押し寄せる快感が千里の身体を震わせた。
先程まで閉じようとしていた脚は、完全に自分から開いてしまい
晴美が手を添える必要も無くなる。
290DIAMOND JEALOUSY:2008/02/05(火) 23:22:47 ID:MHxoUaDU
「もう入れてもいい?」

晴美の声が頭へダイレクトに響く。
もう声も出せないくらいの快感に包まれた千里は
こくこくと頷くだけしか出来ない。

「じゃ、いくよ…」
ゆっくりと千里の中へと指を沈めていく。
十分に焦らされたそこはなんのためらいも無く晴美の指を飲み込んだ。

「っあ!んっ、はぁん…」
ゆっくりと押し進められていく指にだけ千里の神経が集中する。
痛がる様子を見せないのを確認すると、晴美はその指をゆっくりと動かした。
くちゅくちゅという音がまた大きくなる。

「はぁっ…んんっ、もっ、あぁ…」
「我慢しないでいいから…」
その言葉に千里はうっすらと目を開き、晴美に向かって手を伸ばした。
千里が晴美の身体にしがみつけるように、晴美も身体の位置を低く保つ。
背中に回された腕がどんどん力を増していく。
それと同時に晴美の指の動きもどんどん早くなった。

「あっ、あぁ、はる…みっ…!」
「…千里だけ、見てるから」
その言葉に千里は少し微笑んだが、すぐに顔をしかめた。

「もっ、やぁあああ…っ!?」
びくびくと身体を震わせ、快楽の頂点へと昇りついたらしい。
291DIAMOND JEALOUSY:2008/02/05(火) 23:24:22 ID:MHxoUaDU
「大丈夫…?」
はぁはぁと荒い息を吐きながら、ぐったりと力の抜けた千里の身体をきゅっと抱きしめた。
「ん…」
小さく返事をしながら、今ある精一杯の力で千里は晴美を抱きしめ返す。

「…ごめん」
「なんで千里が謝るの?」
「だって…」
恥ずかしそうに晴美の肩口に顔を埋める千里。
そんな千里を慰めるみたいに、晴美は優しく撫でた。

「何か…ヤキモチとか、みっともないなって…思って…」
「そんな事ないよ」
ぎゅっとしがみ付いてくる千里を身体で感じながら晴美はゆっくりと呟く。

「ヤキモチ妬かれるのも嬉しいし」
その言葉に千里は恥ずかしそうに苦い顔をする。

「千里のこんな可愛いところも見れたしね」
くすくすと笑うと、千里は晴美の背中をポカポカと叩く。

「もう、あんまり言わないで…恥ずかしいから…」
「だって千里、めちゃめちゃ可愛かったんだもん」
ヤキモチを妬く千里に、すっかりデレデレになってしまった晴美の声。
292DAIAMOND JEALOUSY:2008/02/05(火) 23:33:27 ID:5fsW+dMG
「…バカ」
「バカでもなんでもいいよ、あー、もー幸せ」
そう言って晴美はぎゅむっと千里を抱きしめる。
そして、ゆっくりと言い聞かせるみたいに千里の耳元でそっと囁く。

「あたしは千里しか見てないから、そんな心配しなくていいんだよ」
「…うん」
「でも、たまにはこんな風に妬いてくれるのも嬉しいかな。むしろ妬いて?」
晴美の言葉に千里は複雑ながらも、嬉しい気持ちでいっぱいになった。


「…あなたが八方美人だから悪いのよ」
晴美の腕の中で、千里は真っ赤になった顔を隠しながら呟いた。
「そういうところも、全部まとめて可愛いよ、ね?」
満足そうに笑う晴美の声を聞きながら、千里はゆっくりと目を閉じた。



―END―


293あとがき。:2008/02/05(火) 23:39:57 ID:5fsW+dMG
連投規制に引っかかって大変でしたが、携帯使って何とか書き込めました、ふー。
とりあえずヤキモチ妬く千里と、太腿舐めるとこが書きたかっただけですすいません。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
あと毎回GJくださる方々、ありがとうございます。
その言葉が励みになります。

次回はきっちりバレンタインにいつもの3種類のカップリング落とさせてもらいますんで
よければそちらもよろしくお願いします。
294名無しさん@秘密の花園:2008/02/06(水) 07:32:42 ID:kL0tXOl8
出来たら他のカップルのラブラブエッチも見てみたい!なんて…
295名無しさん@秘密の花園:2008/02/06(水) 10:07:49 ID:fdJ5XX2d
>>293
GJ!!!
296名無しさん@秘密の花園:2008/02/06(水) 20:34:52 ID:2vkMLA6U
甘ぁ!
ブーたれる千里をへとへとになるまで愛してあげる藤吉さん、まさに理想…
バレンタインネタも楽しみにしてます
297名無しさん@秘密の花園:2008/02/06(水) 21:00:10 ID:FWGU3h1K
千里が晴美にコミケの感想をハートマーク入りの手紙にして送っていた件について
298名無しさん@秘密の花園:2008/02/06(水) 23:17:06 ID:nIxozSru
手紙にハートマーク使うなんて可愛すぎる。女の子なら普通にすることだが、だからこそ
それにしても、内容が気になる
299名無しさん@秘密の花園:2008/02/07(木) 00:11:17 ID:rH6fkRYh
あの手紙ドクロマークも含まれてるらしいぞ、気を失うほどリアルな…何書いてたんだろ
それがむしろ萌えるのがハルチリクオリティ

>>293
良いなぁ、太股ぺろぺろは…焦らしも混ざって、大事にしながら愛してる感じで
300名無しさん@秘密の花園:2008/02/07(木) 06:25:48 ID:pQKP7PJI
可符香がカエレを羽交い締めにしていたシーンもあったな…イイ。
301名無しさん@秘密の花園:2008/02/07(木) 20:57:40 ID:Nd06T4eD
>>300
千里のハートマークにも萌えたけど、そっちにも萌えた。
今週のカエレは美しすぎる。
302名無しさん@秘密の花園:2008/02/08(金) 23:47:25 ID:V50e18rl
691 :以上、自作自演でした。 :2008/02/07(木) 19:28:48
あびるちゃんの腕の中は暖かかった
私を優しく、大きく、揺り籠のように包んでくれた。
自分より大きな動物と接するときでも
母親のような優しさをもつ彼女は
世界の全てをも包みこんでしまうような包容力を感じさせた。
冷静そうな感じの中に温かさを宿す瞳は私に微笑みかけ
長身の体は私を安心させてくれた
守られていることを心の底から実感できた

・・奈美ちゃんは今のままでいいんだよ・・・
彼女は優しく言葉をかけてくれた
いつもクールな彼女に憧れを抱いてきた 
でも自分はこんなふうになれないとわかっていた
だから彼女は誰よりも輝いてみえた
いつしかその憧れは彼女から愛されたいという特別な感情に変わっていった

そして今、その想いはかない、彼女の腕に抱かれている
心の底から幸せだった
涙がでた 彼女の胸で泣きじゃくった
そんな私を落ちつかせようと、あびるちゃんは髪を優しく撫でてくれた

693 :以上、自作自演でした。 :2008/02/07(木) 19:45:33
>>691
奈美があびるに可愛がられてる姿って絵になるよな

奈美はあびるとカエレ、甘えてみるならどっちがいい?



勝手に転載スマソ。原作でもよく絡んでるし、あびる×奈美好きな人多いみたいだけど
このスレで語られることって少ないよね。
303名無しさん@秘密の花園:2008/02/10(日) 01:18:30 ID:e16wVsfK
屋上で叫んだがばっかりに の続き期待しています
304名無しさん@秘密の花園:2008/02/11(月) 18:57:53 ID:vKdpTRU8
霧とまといのどうでもいい話を投下、ほんとうにどうでもいいなこれ。
305みんなで美味しく食べましょう:2008/02/11(月) 19:00:33 ID:vKdpTRU8
今日も寒い一日がそろそろ暮れる冬の日。

「冬将軍、今年は絶好調だねえ…」

と、さっきまでたった一人でボンヤリと座ったまま、そんな下らない思考に耽っていた私、でもハッと気がつくと背後を取られていた。

「ふふ」

そうして易々と私に近づき、背中におぶさるようにしてもたれている常月まといが耳元で笑う。

「あのね」

「何?」

「いつまでそうしているの?」

「…うーん… 私がこうしているのいや?」

ああ、もう、なんで一瞬返事につまるようなこと言うかしら、全く彼女は油断がならない。

「べ、べつにいやじゃないけど」

放課後の宿直室、石油ストーブの上に置いたヤカンから規則的に吹き出す湯気、そのかすかな囁き以外、この部屋のなんと静かなこと。

「だって霧ちゃんの背中暖かいもの… 」

彼女はますます私の背中に身体を密着させて、そして肩に頬を乗せて背後から私を見つめる。

なんて大きく綺麗な瞳。

「白いなあ」
306意地悪な瞳:2008/02/11(月) 19:02:26 ID:vKdpTRU8
そう言って彼女、常月まといの指が私の頬にそっと触れる、瞬間私の身体が硬くなるのはそうされるのがいやだからじゃない。

私は引き籠もりの小森霧、家だろうが学校だろうが一箇所にこもって過ごす問題児、元来人とふれあうのは余り得意じゃない。
それなのに彼女ときたらあっという間に射程距離に飛び込んできてしまった。

「まといって… 人の背後を取るのが上手… 」

その私の言葉に「白いくてスベスベ… 」と言いながら、繰り返し私の頬を、うなじを、額をその細長い人差し指で
、絶妙の力加減で撫で回していた、彼女の動きが不意に止まる。

「そうよ」

肩に顔を預けて私を見つめるまといの瞳がギラリと光る、形の良い薄紅色の唇が笑みの形に歪む、知ってる。

この表情、彼女は今少し怒ってる。

「私は愛の濃い女、誰も私から逃げられない、まして一日中うずくまっているお人形さんなんか… 」

彼女の両手が素早く動いて私の被っている毛布の隙間から差し込まれる。
私が声を上げたときにはもう、その両手の平に私の胸が被われてしまう。
307意地悪な瞳:2008/02/11(月) 19:03:20 ID:vKdpTRU8
「ほうら、あっというまにこの通り… 」

「や、やめて… 誰か来たら… 」

「大丈夫よ、霧、誰が来たって大丈夫… 私はね… 」

ふう、と、まといが私の耳に息を吹きかける。ついに私の身体は大きく震え小さく声まで上げてしまう。

「貴方は平気じゃないのかしら… ねえ霧… 」

まといの両手がジャージの上から私の胸のふくらみをそっと撫でるように触れる。
もうそれだけで私は顔を仰け反らせまた声を上げてしまう。

「霧ちゃんはどう、はずかしい? ねえ、霧ちゃん、どう? ねえ、ねえ」

そう何度も尋ねるまとい、その間も彼女の手は私の胸をまさぐり、そのうえで息を唇を、そして舌を 私のうなじに這わせるのだ。

「ねえ、答えてよ、ねええ、きぃりぃちゃあああん」
308意地悪な瞳:2008/02/11(月) 19:04:33 ID:vKdpTRU8
「もう、ああん、やだあ… ああ!」

パタリ。

私はもう耐えられないとばかり前のめりに畳の上に倒れ込む。
同時に羽織っていた毛布が広がり落ちて、ジャージの上下がずれた、見るも無惨な私の姿がさらけ出される。

俯せのままでピクリとも動かず顔も上げない私は、その無防備な背中に、まといの視線が、
彼女のギラギラした輝きを帯びた瞳が向けられているのを感じていた。

「…霧ちゃん?」

身動き一つしない私を彼女は嬉しそうに、意地悪な笑顔で見つめていたけど(見なくても雰囲気で判る、
うう、いつの間にか判るようになってしまった) 、少々不安になって来たらしい。

「…うう」

私が小さくうめき声をあげると、うつぶせている顔を彼女が覗き込んでくる。
その視線を避けるように覗き込むまといから顔を背ける私。
309意地悪な瞳:2008/02/11(月) 19:05:17 ID:vKdpTRU8
き、霧ちゃん、ごめんね…」

彼女は少し慌てたようにそう言いながら乱れた私のジャージを直そうと手を伸ばす。

むずんぱ!

すかさずその手を掴んで私は彼女を畳の上に引き倒してしまう。

「きゃあ!」

綺麗な柄の袴姿、ストーカー(彼女はそう呼ばれるのを嫌うけど)少女、常月まといが私の眼前に横たわる。

「引き籠もりをなめんナよ 」

きょとんと、ビックリしたような目で私を見つめるまとい。

(もう、なんでそうまっすぐ見るの… )
310意地悪な瞳:2008/02/11(月) 19:07:05 ID:vKdpTRU8
反撃に成功したのも束の間、私の頬が熱を帯びる。顔が赤く染まっているのが自分でも判る。

「ごめんね… 」

火照った頬に彼女の手が触れてその冷たさが心地良い、そしてそれだけでまた腰のあたりの力が抜けそうになる不甲斐ない私。

「もう、意地悪したらいやだからね… 」

横たわる彼女の唇に私はそっと口付ける、立場が逆転したはずなのにまといの、彼女の腕が背中に回されると、抵抗力がまた消えていく。

「ああ、霧ちゃんほんとに白い… その上すぐ赤くなるから紅白のお餅みたい… 」

そう言ってにっこりと微笑むまとい、なんて可愛い、そして憎らしい笑顔。そしてなんという憎まれ口!

「いじわる… 」
「うふふふ」

怒った私は彼女に覆い被さり、彼女はそんな私を抱きしめる。そして唇を重ねお互いに頬をすりつけて、やがてクスクスと笑いあう。

ずっと湯気を上げているヤカンの囁きをその笑い声がかき消していく。

私は小森霧、学校引き籠もり。人づきあいは少し苦手、でも私を抱きしめるまといの暖かさはたぶん苦手じゃないかも知れない。
311名無しさん@秘密の花園:2008/02/11(月) 19:10:23 ID:vKdpTRU8
以上でした。心底どうでもいい話ですいません。原作では先生を取り合って修羅場を演じる彼女たちですが、
私の脳内ではこんな感じで(病気だ、我ながら)。一回目の投下の時、タイトルを間違えました。
すいません。
312名無しさん@秘密の花園:2008/02/11(月) 20:07:52 ID:NJRXGdTu
タイトルが!?霧とまといと書かれてるのに、ついにみんなで千里をたべちゃうアレの本番が…と思ってしまいました

まといかわいー、霧が学校のどこで寝ても、朝起きたらまといがいつのまにか一緒に寝てるとかだったら良いなw
313名無しさん@秘密の花園:2008/02/11(月) 23:18:41 ID:rgWQBK8x
>>311
まときりktkr!
もう全俺が感動の涙ですよ。GJ!
314名無しさん@秘密の花園:2008/02/14(木) 16:20:06 ID:q5INWhxH
以前予告してたバレンタインをネタにしたSSを投下させてもらいます。
今回も前回のクリスマスの時みたいに3種類書いてますが
全部を投下出来ないので、とりあえず晴美×千里を。
よろしければお付き合いください。

315Happy Valentine -Bitter-:2008/02/14(木) 16:22:25 ID:nWQqcO/y
今日は2月14日。
世間でも騒がれてる日、バレンタインデー。
好きな女の子が好きな男の子にチョコレートを送る、言わずもがなな行事である。
最近は友達同士で交換したり
自分のためにチョコを買ったりする人も増えているらしいが。


生徒達が登校し始めて賑やかになる玄関。
その中に晴美もいて、靴を履き替えようと上履きを取り出すと
靴箱から小さな箱が2つ転がり落ちた。
ひょいとそれを拾い上げると、後ろから嬉々とした声が聞こえる。

「晴美ちゃんはモテるんですね」
その声にくるりと後ろを振り向くと、そこには可符香が立っていた。
「これって喜んでいいのかなぁ?」
「1個も貰えない男子もいるんですから、喜ぶところですよ」
そう言って可符香はにっこりと笑った。

これも今年に限った事でなく、数こそ少ないものの
何故か女子である晴美がチョコレートを貰うのは恒例になっていた。
直接貰うものあれば、こんな風に靴箱に入れられていたり。

「まぁ、悪い気はしないけど…」
そう呟くと、可符香が何かに気付いたらしくぴょこっとつま先立ちをする。

「おはよう、千里ちゃん」
可符香の声に振り向くと、そこには同じクラスで、晴美の彼女でもある千里が登校してきた。
316Happy Valentine -Bitter-:2008/02/14(木) 16:24:43 ID:nWQqcO/y
「おはよう」
挨拶を返した千里は晴美の方を見やり、そのまま手に握られている箱に視線を落とした。

「今年もなの?」
「そうみたい」
苦笑いをする晴美に千里はふいと目を逸らす。

「せいぜい虫歯にならないように気をつける事ね」
そう言って千里はさっさと晴美の横をすり抜けて行った。
そんな千里を見送る2人。

「千里ちゃんご機嫌斜めですか?」
千里の後姿を見ながら可符香は頭に疑問符を浮かべる。

「そうみたいだね」
今日1日がとても長い1日になるであろう事を想像して
晴美は心の中が少し重くなった。

「可符香ちゃんも誰かにチョコあげるの?」
「もちろんですよー♪」
そう言って可符香は嬉しそうに笑ったかと思うと
遠くに誰かを見つけたらしく、晴美に別れを告げるとぱたぱたと走っていった。

「さて…機嫌を損ねたお姫様をどうしますかね」
ぽつりと呟いて、あまり気乗りしない自分を教室へと進める。


教室に入って、自分の席に着いて机の中を探るとまた1つ。
千里がこっちを見ている視線を感じたが
気付かない振りをして、さっさと鞄にその箱をしまい込んだ。
317Happy Valentine -Bitter-:2008/02/14(木) 16:27:00 ID:nWQqcO/y
…バレンタインなんて、ろくでもないな。

心の中で叫んで机に突っ伏す。
その机の前に誰かが来た気配を感じ
顔を上げるとそこに小節あびるが立っていた。

「おはよう」
「おはよ、あびるちゃん」
挨拶をした後、あびるは机の上に小さな包みを置いた。

「今日バレンタインだから」
「あぁ、ありがとう」
あびるは毎年へ組女子にチョコレートを作ってくれる。
いわゆる友チョコってやつだ。

「今年は何に作ったの?」
「今年はトリュフにしてみた」
しかも毎年バリエーションを変えてくれる、なんともマメなバレンタインだった。

「あびるちゃんの作るチョコレート美味しいから嬉しいよ」
そう言って晴美が笑うと、あびるも微笑む。

「でもね」
「ん?」
「さっきから痛いくらいに背中に視線を感じるんだけど」
あびるが言ってるのは千里の事だろう。
その言葉に晴美も苦い顔を見せる。

「あぁ…ちょっといろいろあってね…」
「そう、藤吉さんも大変ね」
同情の言葉を掛けるあびるに晴美は引き攣った顔を言葉代わりに返した。
318Happy Valentine -Bitter-:2008/02/14(木) 16:29:38 ID:nWQqcO/y
そんな会話の合間にピリリリ、と携帯が鳴る。
晴美のではなく、あびるの携帯だった。
ポケットから携帯を取り出して、ディスプレイにさっと目を通す。
その顔が少し緩んだように見えた。

「じゃあ、他の人にも配ってくるから」
「うん、ありがとうね」
席を離れるあびるの背中を見送った。

あびるちゃんはみんなにチョコレートくれるけど、誰か特別な人はいないのかな?
さっきのメールの相手がそうなのかも。
あんまり表情変えないのに、あの時はしっかりわかったもんね。
最近芽留ちゃんと仲良しみたいだけど、やっぱりそうなのかな?

そんな考えを巡らせていると、授業の開始を告げるチャイムが鳴った。
長い、長い1日は始まったばかりだ。

その後も千里は晴美を意識して避けているようで
会話らしい会話もほとんど無かった。

全くいつまで拗ねてるんだか…。
晴美の方にも若干の苛立ちが募り始める。


そんな気持ちもピークを迎え始めた頃、長かった1日がようやく終わった。
いつもなら一緒に帰るために待っててくれる千里が
帰る支度をしてさっさと教室を出て行ってしまう。

晴美も急いで荷物をまとめると、まだ機嫌を損ねたままの千里を追いかけた。
そんな千里は晴美には気も使わずに、すたすたと歩いていく。
玄関に来ても相変わらず話もしてくれない。
319Happy Valentine -Bitter-:2008/02/14(木) 16:36:19 ID:nWQqcO/y
いい加減機嫌直してくれないかなぁ…。

そんな事を思いながら、靴箱へ手を掛けると
朝と同じように小さな箱が転がり落ちる。
その物音に千里はちらりと晴美の方を見やった。

「まただよ…」
溜息をひとつ吐いて、晴美は落ちた箱に視線を落とす。
「チョコなんてひとつで十分なのにさ」
拾い上げた箱をカタカタと振って、千里を見た。
「でしょ?」
晴美の念押しにも黙ったままの千里。

「よかったじゃない、あなた甘いもの好きなんだし」
ぶっきらぼうにそう言って、千里は下駄箱から取り出した靴を足元へ落とす。
靴を履き替えようとしたその時、右腕が引っ張られた。
もちろん犯人は、1人しかいない。
千里は犯人である晴美の方を見る。

「離してよ」
「わかってないなぁ」
そう言って晴美は千里を靴箱へもたれさせるように前に回り込んだ。
千里の背中にどすんと衝撃が伝わる。
「ちょ、っと」
千里が晴美を押しのけようとしても、それをしっかりと押さえ込んで
晴美は千里に顔を近付ける。

「千里のは?」
「は?」
「確かに甘いもの好きだけど、本当に欲しいのまだもらってない」
晴美の言葉に千里は自分の鞄の中に入っているそれを思い浮かべた。
320Happy Valentine -Bitter-:2008/02/14(木) 16:41:44 ID:nWQqcO/y
「だって、他の人からいっぱいもらってるしっ…」
嫉妬心をあらわにした千里の言葉に、晴美はむっとした表情を浮かべた。
「じゃあ、無理矢理でももらうよ」
そう言って晴美はセーラー服の裾から手を入れる。

「ちょっ!?なに、し…っ…ぁ」
晴美の手が肌に触れて、その冷たさにぴくりと身体を震わせた。
「やだ、やめて、よ」
拒否の言葉を口にし、制服の中から晴美の手を追い出そうとする。
「くれるまで止めない」
そう言って晴美は脇腹の辺りを撫で上げる。

「やっ!?」
快感に近いくすぐったさが身体を走り抜けた。
それに加えて、首筋に唇を這わされる。
「渡すからっ…チョコ、渡すから…だからっ…」
泣きそうな千里の声を聞いた晴美は千里の身体を開放する。

「はい」
身体を離した瞬間に、晴美は千里に向かって手を差し出した。
その行動を見た千里は頭にきてしまった。
「バカっ!」
ばちん!
声と共に放たれた平手打ちは綺麗に晴美にヒットする。

「いったぁー…」
頬を押さえながら、顔をしかめる晴美。
「最低よ!」
玄関に声が響き渡った。
「だって千里が悪いんだもん」
むっとした顔で千里を睨む。
321Happy Valentine -Bitter-:2008/02/14(木) 16:46:46 ID:nWQqcO/y
「どうしてそうなるのよ!」
「だって、いちいち気にしすぎなんだもん」
そう言って、晴美は先程靴箱から転げ落ちたチョコレートの事を指した。

「他の人にいっぱいチョコ貰ってるからって、ヤキモチ妬くなんてさ」
「や、妬いてなんか…っ…」
晴美の指摘が図星だったようで、千里はふいと顔を逸らした。
「まぁ、妬いてくれるのは嬉しいけどね」
「だから妬いてな…」
千里が言葉を言い終わらないうちに、晴美がすっと近付く。
「妬かれて嬉しくない恋人はいないもん」
にっこりと見せる笑顔に千里の胸が鳴る。

あなたはずるい。
大きく、大きく変わる表情が
こんなにも好きな気持ちを揺さぶるのだから。

「さっきはちょっと強引だったね、ごめん」
よしよしと頭を撫でられて、千里はしゅんと俯いた。
「わ、私も、叩いたりしてごめん…」
「いーよ、気にしてないから」
まだ少し赤みが残るその頬にそっと触れてみる。
頬に触れたその手を晴美が優しく捕まえた。
はっとした表情の千里と視線がぶつかる。

「妬いて拗ねちゃうくらい、あたしが好きなんだよね?」
その言葉に晴美の腫れた頬とは比べ物にならないくらい
頬を赤らめて、千里はぱくぱくと口を動かす。

「…そうじゃなかったらこんな事にはならないでしょ…」
千里のぽつりと呟いた言葉に、満足そうな表情を見せる晴美。
322Happy Valentine -Bitter-:2008/02/14(木) 16:52:07 ID:nWQqcO/y
「チョコ無くてもその言葉が聞けたからいっかなー」
「…欲しい欲しいって言っといてそれはないでしょ」
千里の言葉に晴美はすぐに言葉を訂正する。
「もちろんチョコレートは貰うよ?」
そう言ってにやりと笑った晴美は千里の顎に手をかけて、くいと持ち上げた。

「これから千里と一緒に、ね?」
「…え?」
一瞬聞き間違えたかと思い、千里は晴美に向かって疑問の声を投げる。
すると晴美はにっこりと微笑んで、また同じ事を繰り返す。

「チョコレートと一緒に千里も貰うって言ったんだけど?」
「はぁ!?」
何気にすごい事をさらっと言ってのけた晴美に千里は大きな声を上げる。
「さっきの仲直りも兼ねてさ」
「…っ…」
そう言いながら晴美は戸惑う千里の手を引いた。

「…ホワイトデーはきっちり3倍返しにしてもらうからね」
「もちろん3倍でも4倍でも、もう嫌だって言うくらい返すよ」
「…何で返すつもりよ」
「さぁ、なんでしょう?」
とぼけてみせる晴美が憎らしかったが
頬に集中した熱がじわじわと体全体へ伝わっていく千里には反論の言葉が出せなかった。

なんだか上手く丸め込まれてしまったのは釈然としなかったが
しかしそれ以上に千里の心を満たしていたのは晴美の言葉とその手のあたたかさと
それも含めて今年も傍に晴美がいてくれる事、それだけで十分に幸せだった。


―END―
323あとがき。:2008/02/14(木) 16:54:47 ID:nWQqcO/y
お付き合いありがとうございました。
『苦くて、甘くて、純粋』なバレンタインをテーマに3本書いてみました。
今回は少々オリジナル設定を詰めてる(要するにキャラの捏造ですが)部分があり
自分的にも「これはアウト、か、も…?」とびくびくしてます。(特にあびる×芽留が…)

晴美×千里以外も読みたいぞ!という奇特な方はこちらもどうぞ。
Happy Valentine -Sweet-(可符香×カエレ)
ttp://sky.geocities.jp/gk_luck/novel/vday-kk.htm

Happy Valentine -Pure-(あびる×芽留)
ttp://sky.geocities.jp/gk_luck/novel/vday-am.htm


こんなものですが楽しんでいただければこれ幸いです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
324名無しさん@秘密の花園:2008/02/14(木) 19:00:27 ID:Tuca1S8D
あ、甘い…甘すぎる!
妬いてる千里が可愛すぎます!
やっぱこの幼なじみコンビは鉄板ですね!
他の二作も後で読ませてもらいます
GJでした!
325名無しさん@秘密の花園:2008/02/14(木) 23:52:24 ID:osh5jvvi
待ってました、またも三本立て!
ハルチリは言うまでもありませんが、ちょっとカエレがツボってきた
326名無しさん@秘密の花園:2008/02/16(土) 12:09:39 ID:qaF/Nhqk
今更ながらGJです!
藤吉さんはなんか本当にモテそうだw
327323:2008/02/16(土) 21:24:38 ID:T0tyaeBr
バレンタインSSにGJくださった方々ありがとうございます。
拍手でコメントくださった方も、拍手のみの方もたくさんで嬉しかったです。
(変な絵付きですいませんでした…>拍手)
ハルチリ以外にも興味を持ってくださる方が増えて、正に計画通げふんげふん。
次はあび千里、あび芽留辺りを投下できたらなーと思ってます。
その時はまたよろしくお願いします。本当にありがとうございました。
328名無しさん@秘密の花園:2008/02/16(土) 21:44:17 ID:6UrWS6/Y
本当にGJです!!
あび千里もあび芽留も
楽しみに待ってますww
329名無しさん@秘密の花園:2008/02/18(月) 15:47:10 ID:dwgDtWtO
GJ!
お陰で可符カエに目覚めた
330名無しさん@秘密の花園:2008/02/21(木) 07:20:09 ID:YtphztoY
カエレ可愛いな…ちょっとずつ進展してるのがまたイイ!
可符香にだけは奥手なんだもんな〜
331名無しさん@秘密の花園:2008/02/21(木) 20:25:56 ID:8J/3Op1L
なんとなく後発組3人が仲良いと思うんだ
加賀さんに好意をもった三珠が尻に指す棒で狙ってそこを
大草さんが頭撫でながら宥めて、ションぼらしてる三珠に謝りまくる
加賀さんとか
いや俺の妄想を聞いて欲しかっただけだ
332名無しさん@秘密の花園:2008/02/21(木) 21:42:42 ID:F+M/ybUI
>>331
激しく同意。
エンディングでも3人一緒だし、大草さんが上手くまとめてくれてほのぼのした雰囲気になりそう。
333名無しさん@秘密の花園:2008/02/22(金) 23:06:18 ID:holMJqu9
一週間投下がないだけで
禁断症状がでる自分に絶望した…
だれかいませんか??
334名無しさん@秘密の花園:2008/02/22(金) 23:57:01 ID:vyJbgsGd
リリキュアでは無理ですかそうですか。
335名無しさん@秘密の花園:2008/02/24(日) 15:47:47 ID:cygXJDXm
誰か投下するかなと様子を見てたんですが、投下する人がいないっぽいので
前回投下からあんまり期間空いてないけど投下いかせてもらいます。
今回はあび千里で、やっぱり切ない感じです。
(どうしてもそういうネタしか浮ばなくて…すいません)
ではよければお付き合いください。
336Lucy:2008/02/24(日) 15:50:08 ID:mr5jciqH
あなたは毎朝、1番に登校している。
乱れに乱れた机が気に入らないから
朝1番、誰もいない教室の机を綺麗に整頓するのが日課なんだよね。
だから私は、2番目を狙って登校しているんだ。
3番目の誰かが来るまでの間、あなたとの時間を共有できるから。

「どうして、みんなきっちり並べないのかしらね」
愚痴をこぼしながら、千里は机をきっちりと整頓していく。

「自分は真っ直ぐのつもりでもずれてる事ってあるからね」
教壇の上に立ちながら、あびるは整頓されていく机を見つめていた。
毎朝の積み重ねという事もあるだろうけど、その動きはとても的確で素早いものだ。

「きちんとした環境で授業を受ける、これは常識でしょ?」
よいしょっと机を持ち上げながら、教壇の上にいるあびるに愚痴を向ける。

「私が机をきっちり並べてる事は、誰も知らないでしょうね」
「そんな事ないよ」
即答したあびるに千里は視線を向けた。

「あたしは知ってる」
ね?と同意を求めるあびるに千里はふっと笑みをこぼした。
「それもそうね」
千里が笑ったのに合わせて、あびるも笑みがこぼれる。


あなたが笑っていれば、あたしも幸せなの。
だからずっと笑っていてくれればいいって思ってる。

でも、あなたは…。
337Lucy:2008/02/24(日) 15:52:39 ID:mr5jciqH
机を綺麗に並べ終わった頃、他の生徒達がぞくぞくと登校してきた。
授業が始まるまでの時間を個々思い通りに過ごす。
だんだんと予鈴がなる時間が近付くと廊下を慌しく駆け抜ける足音が増えてくる。
生徒達は遅刻をしまいと、教室へ走るのだ。

「はい、間に合った」
他の生徒達が息も切れ切れに滑り込んでくるのに対し
藤吉晴美は息ひとつ乱さずに、計ったかのようにぴったり3分前に滑り込んでくる。
それも毎朝。

「ちょっと晴美!」
「あ、おはよ」
晴美が登校してくるなり、千里はいきなり晴美に食って掛かった。

「もう少し余裕を持って登校できないの!」
「でも間に合ってるよ?」
声を荒げる千里とは対照的に、晴美は落ち着いている。

「間に合ってるとかそういう問題じゃないわよ!」
「まぁまぁ、そんな大きな声出さなくても」
興奮する千里を落ち着かせようとする晴美だったが
千里の手がスカーフに伸びて、ぐいと引っ張られる。

「わっ!」
「ギリギリだから曲がってるのよ」
そう言って千里は素早く晴美のスカーフの乱れを直す。

「あ、ごめん」
「謝るくらいなら、早めに登校する事ね」
そう言って千里はくるっと晴美を席の方へ向かせ、その背中をぽんと叩いた。
338Lucy:2008/02/24(日) 15:55:30 ID:mr5jciqH
「千里ちゃんは晴美ちゃんの世話焼くの好きだよね」
その様子を見ていた可符香がからかうように言って笑う。
可符香の言葉に千里はほんの少し頬を染めた。

「み、見ててイライラするからよっ…」
ふいと、そっぽを向きながらそう言ったが
少し遠くからその様子を見ていたあびるの目にも
その姿はだらしの無い恋人に世話を焼く風にしか見えない。

あなたの心には、あの人しか入れないの?

そんな事を思い、あびるは無意識に唇を噛んだ。





「ちょっといい?」
休み時間に千里があびるの元を訪ねてきた。
珍しい事もあるものだと、少しの驚きと喜びを胸にあびるは千里を見る。

「どうかしたの?」
「ここの問題がわからなくて、教えて欲しいなって思ったんだけど…」
いい?と様子を伺うような視線が向けられた。
もちろん断る理由もないし、何より千里が自分を頼ってくれる事が嬉しかった。
「いいよ」
軽く微笑み返して、あびるは千里に解き方を教え始める。
339Lucy:2008/02/24(日) 15:59:38 ID:mr5jciqH
「ここが、こうなるから…」
「あ、じゃあこれはこう?」
「そうそう」
理解の早い千里に教える手間は掛からないが
このまま時間が止まればいいと、あびるは強く思った。

「なるほど、ここで躓いてたのね」
「ここはちょっとわかりにくいから仕方ないよ」
「でもお陰でわかるようになったわ、ありがとう」
そう言って千里は微笑んだ。

その笑顔を、自分のものに出来たなら…。
あなたの笑顔を見る度に何度想ったろう事が心に溢れ出す。

「…あのさ」
「何?」
「千里ちゃんって」「ちーりー」
あびるが口を開いたと同時に、向こうの方から千里を呼びかける声がした。
2人同時に声のする方向を見ると、晴美がこちらに向かって歩いてきている。

「どうしたのよ」
こちらへと向かってきた晴美を見ると、手にはノートが握られている。

「お願い!課題のノート見せて?」
手を合わせて頼み込んだかと思うと、少し顔を上げてにへっと笑う晴美。
そんな晴美の様子に千里は溜め息を吐いた。

「少しは自力でやったらどうなの」
「そんな事言わずにさー」
そう言ってニヤリと笑みを見せると、千里の髪をさらっと撫でた。
ごく自然に、千里の髪を触る晴美を見たあびるの胸に小さなもやが渦巻く。
340Lucy:2008/02/24(日) 16:04:02 ID:mr5jciqH
「自分でやりなさい」
「えー」
あなたの為にならないのよ、と言って千里は晴美の頼みを撥ね退けた。
むっ、と顔をしかめた晴美だったが、すぐににやりと笑みを浮かべる。

「何よ、そのか、お…っ!?」
千里が言い終わらないうちに、晴美はぐいとその肩を引き寄せる。
そして素早く唇を千里の耳に寄せ、何かを囁いた。

「…よ?」
「っ!?」
晴美が何を囁いたかはあびるには聞こえなかったが
千里の表情から大体の台詞は想像出来る。
囁かれたであろう台詞を予想して、あびるの胸のもやがまた大きくなった。

「いっ、いい加減にしなさい!」
千里がばしっと晴美の腕を叩くと、晴美はごめんごめんと笑う。

「ちょっとくらい自力でやってからなら、解き方は教えるわ」
だからさっさと取り掛かりなさい、と晴美に席へと戻るよう促した。
「はいはい」
そう言って晴美はひらひらと手を振りながら自分の席へと戻っていった。

そんな晴美を千里はむっとした顔で見送りながらも
その表情は何とも言えない優しさを含んでいた。

その表情が、
自分に向けられる事のないその表情が、あびるの胸を締め付ける。
そんな胸の痛みを取り払うように、あびるはシャープペンを強く握り締めた。
341Lucy:2008/02/24(日) 16:08:28 ID:mr5jciqH
「ほんと、少しは自分でやって欲しいわ」
溜め息混じりの千里の言葉をあびるはノートに目を落としながら聞いた。
その言葉だって本気で呆れてる風には聞こえないのだ。

「ほんと仲いいよね」
特に書く事でも無いのに、意味の無い文字列を書きながら
あびるはどうにかなりそうな気持ちを抑え付けるのに必死だった。
「まぁ、付き合い長いしね」
そう言って千里はふっと目を細めた。

あぁ、この顔だ。
自分には見せない、この顔。
どんなにあなたと仲良くなっても、
どんなにあなたを好きになっても、その表情が自分に向けられる事はない。
自分が詰めれる距離はここまでなんだ。
あの人みたいに髪に触れる事も、耳元で囁く事も、自分には出来ない。
これ以上は進めないんだ。


「あ」
思い出したように千里が声を上げる。
「さっき晴美が来る前に、何か言おうとしてたわよね?」
そう言って千里はあびるをじっと見た。

「え、っと…」
あの時、私は何を言おうとしたんだっけ…?
記憶を巻き戻せば、いろんな言葉が溢れていっぱいになる。
まとまらない言葉の中で、はっきりしている事がひとつあった。
342Lucy:2008/02/24(日) 16:12:44 ID:mr5jciqH
私は、あなたが好き。

あなたの1番になりたい。
私の事どう思ってる?って聞きたかったんだよ。


「え、っとね、何だっけな…忘れちゃった」
その言葉に千里はきょとんとあびるを見つめた。
「忘れたなら仕方ないわね、まぁその内思い出すんじゃない?」
「そうだね、でも忘れるって事は大したことじゃないんだよ、きっと」
そう言ってあびるは笑った。悲しい笑顔で笑った。
でも千里はそれには気付かなかったようだった。


あなたが笑っていれば幸せで
あなたの笑顔が自分を幸せにしてくれる。
だからあなたにはいつも笑顔でいて欲しい。
その為には1番の人と一緒にいるのがいいよね。

でも、あなたの1番は自分じゃない。
あなたの心のドアの向こうには、自分じゃない1番のひとが笑って立っている。
そのドアの前で待っててもいい?
ずっと、ずっと、ずっと待っててもいいかな。

もう自分に出来る事は何もないってわかってても、私はあなたを待ち続けるよ。
例えそのドアから2人が一緒に出てきたとしても、ね…。



―END―
343あとがき。:2008/02/24(日) 16:18:58 ID:mr5jciqH
という、ちょっと切ないあび千里でした。
どうしても成就しないあびるさんの恋です。
(基本的にハルチリ、あび芽留派なのでね…)


今回はターンテーブルと鍵盤を叩くゲームに収録されている同名の曲の日本語訳が
あび千里のイメージにぴったりだ!と思って、珍しく歌詞から連想した話になっています。
興味のある方は歌詞と照らし合わせて読んでみてはいかがでしょうか?
(ラストの方は歌詞と若干違いますけども)

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
また何かネタが浮かべば投下させてもらいます。
344名無しさん@秘密の花園:2008/02/24(日) 22:34:26 ID:N5/iGFhr
ここまで自然なイチャつきを目前で見せられるあびるせつな…
でも、あびるには悪いけど凄く良い、百合横恋慕大好きですGJ
345名無しさん@秘密の花園:2008/02/24(日) 23:54:03 ID:AAPX5a3m
見ながらつい「切ねぇ…」と言ってしまいました。

あまりに悲しすぎるので、次回のあびる話は「smile」をもとに作って欲しいです。
346名無しさん@秘密の花園:2008/02/26(火) 08:59:50 ID:xR123QzY
千里ちゃんがマリアにだけ甘くて萌えた
347名無しさん@秘密の花園:2008/02/27(水) 21:43:43 ID:5/2KqB92
アレは萌えますね
しかし漫画メガネには意外と厳しいね
348名無しさん@秘密の花園:2008/02/27(水) 22:17:17 ID:tz/P+49f
守りたい設定が消えた後も、マリアの面倒を見てるのって千里ちゃんくらいだしね
でも、原作だと甘いって言うより、部下として信頼してるとかそんな感じがする
349名無しさん@秘密の花園:2008/02/28(木) 00:08:09 ID:aF7n71/J
>>347
長いつきあいがある故の気安さ、かな?
350名無しさん@秘密の花園:2008/02/28(木) 16:13:20 ID:G+0aFPZc
漫画だとマ太郎よりもめるめるの方が守りたくなる
351名無しさん@秘密の花園:2008/02/28(木) 17:57:55 ID:AT3TLJaV
大草加賀いいですねー
352名無しさん@秘密の花園:2008/02/29(金) 16:52:47 ID:XXJAbrcA
運動部に引っ張られる藤吉さんを見てやっぱり女の子にモテるんだねって思った
353名無しさん@秘密の花園:2008/03/02(日) 06:11:24 ID:44HP0KIe
かわいこちゃんってwww
354名無しさん@秘密の花園:2008/03/04(火) 14:50:42 ID:7LPg64Us
カフカ×奈美の続き読みたい・・・
どうか頑張ってください職人さん
355名無しさん@秘密の花園:2008/03/05(水) 20:44:53 ID:+ZiUdNwx
前回投下した人でないけど
可符香×奈美ネタが浮かんだんですが投下しても大丈夫でしょうかね?
突発で浮かんだ上にえろくもないし、ちょい短めの話ですが…
356名無しさん@秘密の花園:2008/03/05(水) 20:47:17 ID:WvfN+bW5
駄目な理由がないよ、百合スレは百合であれば短くてもえろくなくても問題なし
357名無しさん@秘密の花園:2008/03/05(水) 20:59:43 ID:BRtwPzv1
>>356
温かいお言葉ありがとうございます。
前回投下してる人を待ってるのなら
他のネタはお呼びでないかなと思ってたのですが
お言葉に甘えて投下させてもらいます。

正直×で表記するよりは&の方が合いそう?な話ですが
よろしければお付き合いください。

358You Really Got Me:2008/03/05(水) 21:02:12 ID:+ZiUdNwx
朝7時、目覚ましがうるさく鳴り響く。
特に遅くもなく、早くもない普通の起床時間。

そこから10分ほど普通に二度寝をして
母親に「いつまで寝てるの」と起こされ
目をこすりながら、制服に着替え1階へと降りる。
顔を洗うために洗面所へ足を向ければ眠そうな顔が鏡に映り込んだ。

顔を洗ってからリビングへ行くと
テーブルにはトーストとハムエッグが用意されていて
それをぼーっと食べながら、朝のワイドショーを見る。

番組が星占いの時間に差し掛かる頃にようやく頭も冴えてきて
ワイドショーのキャスターが番組の終わりを告げるのを聞いてから家を出る。

至ってごくごく普通の毎日。


「あちゃー、今日の運勢は最下位か」
テレビが告げる結果を見た奈美は少々落ち込み気味に呟いた。
いくら当たらないと言えども、最下位と告げられれば
多少は落ち込むものだろう。…普通は。
359You Really Got Me:2008/03/05(水) 21:08:32 ID:+ZiUdNwx
しかし最下位には救済処置としてか
ワンポイントアドバイスがついてくるのがどの番組の星占いでも定石だ。
一応そこまでを確認してから、足を玄関へと向ける。

「ま、こんなの気休め程度だけどねー」
そう呟いて、靴を履くといってきますと告げ、家を出た。




学校までの道のりは遠くもなければ近くもない
至って普通の通学時間だった。
今日は少し寒いな、なんて思いながら、てくてくと歩いていく。
早くあたたかくなればいいのに、と思いつつも
自分が花粉症である事を思うと、若干春の訪れを遠慮したい気持ちもあったりして。

学校に着いて、靴を履き替えると、教室を目指して歩き出した。
廊下を歩いていると後ろからぱたぱたと足音が近付く。
その目的はどうやら自分にあるらしい。
だんだんと近付く足音が、隣までに来たかと思うとぽん、っと肩を叩かれる。

「奈美ちゃん、おはよう」
その声は正直あまり聞きたくない声だった。

声の主は同じクラスの風浦可符香だったからだ。
何事もポジティブに捕らえては
クラスをあらぬ方向へと暴走させる事もしばしばで
何を考えているのかよくわからない。
本音を言うとあまり関わりたくない人物である。
360You Really Got Me:2008/03/05(水) 21:13:29 ID:+ZiUdNwx
「お、おはよう」
奈美は出来るだけ表情を表に出さないようにと意識して
逆に引きつった笑顔を可符香に向けた。

「奈美ちゃん、普通に時間通りだね」
そう言ってにっと可符香が笑う。

かちん。

その言葉を聞いた奈美の頭に軽い衝撃が走る。
普通に時間通りって…別に普通はいらなくない?
何かにつけて普通、普通って…
この普通扱いされるトラウマだって、そもそもはこの可符香が植え付けたのだ。


あれは忘れもしない幼稚園の頃。
先生の言葉に他の友達とは仲良しだと答えたのに
自分の時だけにっこりと作った笑顔で
「普通」と言い放ったあの時の事。
以来「普通」扱いされる事が、苦痛で苦痛で仕方なくなってしまった。
ずっと忘れる事の出来ない悪夢のような思い出。

「どうして…」
「え?」
「どうして何かにつけて、普通普通って言うのよ…」
奈美の言葉に可符香は一瞬きょとんとした表情を浮かべたが
すぐににこりと笑ってこう言った。

「だって、奈美ちゃん普通なんだもん」
361You Really Got Me:2008/03/05(水) 21:19:06 ID:+ZiUdNwx
ぴしっ。


再び走った衝撃が、先程の衝撃部分に重なり、頭に亀裂が走ったように思えた。
その瞬間、奈美の脳裏に今朝の星占いの結果が過ぎる。

…あぁ今日の星占いはしっかり当たってる。

1番を取った時には大していい事もない割に
最下位の運の悪さはしっかりと的中する。
なんだこの理不尽な結果は。

「普通普通って、もう聞き飽きたわよ!こんな…普通な自分なんか、大っ嫌い!」
奈美の声が廊下を響かせる。
その声にさっきとは違う意味できょとんと目を丸くした。
奈美が突然叫んだ事に驚いたようだ。
そんな可符香を奈美はきっ、と睨む。

「あの時、可符香ちゃんがあんな事言わなかったら…」
こんなにも普通を気にせずに生きてこれたのに。
奈美の放った言葉に可符香は少しばかり表情を曇らせた。

「そっか」
「何が、そっか、よ」
その意味を持たない納得の言葉が奈美を更に苛立たせる。

「あの時の事、私ずっと…」
奈美を言葉を遮るように可符香が手を伸ばしてくる。
突然身体を引き寄せられたかと思うと、そのままそっと身体を包み込まれた。
ふわりと甘い香りがする。
あぁ、この香り。
あの頃と変わらない、彼女の香り。
嫌いだったはずなのに、ひどく懐かしい気がした。
362You Really Got Me:2008/03/05(水) 21:26:55 ID:+ZiUdNwx
「ごめんね」

きゅっと抱きしめられたまま、聞こえる可符香の声。
耳をなぞったその声はとても澄んだ色で
あの時言われたのと同じくらいに深く身体に染みる。
しかしあの時と違うのは、その言葉が心を傷つけるものではなかった事。

「あの時はごめんね」
再び声が耳をなぞったかと思うと
甘い香りと一緒に可符香の身体が引いていった。

ゆっくりと奈美が顔を上げると、微かに笑う顔が見える。
あの頃見せた、いかにも作ったような笑顔ではなくて
心から微笑ったような、もっとやわらかで、優しい顔だった。
ああ、こんな表情も出来るんだ。
その表情に見入ってしまうほど、可符香の微笑みは奈美の心を惹きつけた。

「ほら、早く行かないと遅刻しちゃうよ」
そう言って可符香はぱたぱたと教室へと走っていく。
その後ろ姿を見送りながら、朝テレビで見た星占いの結果が頭によみがえる。

『本音でぶつかれば、相手の違う一面が見えるかも?』


「…たまには当たっちゃったりするんだね」
あの頃も、今も…やっぱり可符香ちゃんってよくわからないなぁ…。
でも、なんでこんなに胸がどきどきするんだろ?

奈美のその気持ちが「何か」に気付く日は近い、のかもしれない。



―END―
363あとがき。:2008/03/05(水) 21:35:37 ID:+ZiUdNwx
ここまでお付き合いいただいてありがとうございました。
書いたことのないカップリングで、いろいろ試行錯誤でしたがいい勉強になった気がしますw
ちなみにYou Really Got Me=「あなたは本当によくわからない」という意味でタイトルを付けました。

次回は、ホワイトデーにいつものあれの3本立てでいかせてもらいます。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。


>>345
今更のレスなんですが個人的にも
次回は是非「smile」であびるさん話を書いてみたいです。
これはあび芽留とかでもいいんでしょうか?
それともやっぱりあび千里の方がいいのかな…
364名無しさん@秘密の花園:2008/03/05(水) 23:23:26 ID:WvfN+bW5
普段いじられてるキャラが、不意に優しくされちゃう
いいですね、すごく…そのまま惚れろw
365名無しさん@秘密の花園:2008/03/05(水) 23:42:43 ID:bvi/tcAu
ふおおおお!!新作が投下されている!GJ!

>>363
>>345ですが、レス書いた時イメージしたのはあび×芽留です。
でも難しいかもしんない。
366名無しさん@秘密の花園:2008/03/06(木) 19:54:01 ID:UlMzYDXI
ええい、倫はまだか
367名無しさん@秘密の花園:2008/03/07(金) 01:13:32 ID:foEyERHR
可符香かわいいよ可符香
368名無しさん@秘密の花園:2008/03/07(金) 08:29:03 ID:iJP5VJMS
これは可符香×倫の流れだな
369名無しさん@秘密の花園:2008/03/07(金) 21:59:11 ID:3K6Njjs7
職人さんたち帰ってきてー
370名無しさん@秘密の花園:2008/03/08(土) 02:00:49 ID:mDiVb6Ea
ヤバいw
頭の中で晴美×倫と晴美×千里が渦巻いてるww
晴倫は晴美レイプ気味だしはるちりは千里の嫉妬→自慰モードだし腐ってるわ俺w
371名無しさん@秘密の花園:2008/03/08(土) 07:52:15 ID:UBNG9r2e
ハルチリ/チリハル好きは
今週号でまたネタ増えたから羨ましいな
クメタン分かってやってるよな絶対
372名無しさん@秘密の花園:2008/03/08(土) 09:44:09 ID:XfWA0TvO
元々百合を追っかけてたから脳内フィルターのダメっぷりには自信があるけど
本誌やアニメでちょろっと会話したりしただけで
すぐに脳内が百合へと結び付ける辺り相当ハマってるなぁと思うww
確かにハルチリが一歩出てる感じはあるけど絶望百合はこれ!と言ったカップリングが決まってないから
無限の可能性があるのが妄想のしがいがあって楽しいなぁ。
今は決まったカップリングしか書いてないけど、もっと他のカップリングにも目を向けたいしな。
あー、へ組大好き過ぎる。
373名無しさん@秘密の花園:2008/03/09(日) 21:47:22 ID:XqHfZnsL
先々週の花より団子の回のオチ直前の「おはよ、千…」ですら萌えてしまったよ…
「おはよう」じゃなくて、「おはよ」なとこがまた…
374名無しさん@秘密の花園:2008/03/11(火) 09:55:14 ID:hM5IK6bC
第10話はハルチリスキーには、
たまらんかったというのに、この過疎っぷり。
375名無しさん@秘密の花園:2008/03/11(火) 10:51:55 ID:+K0W/fQL
地区によって放送時間の違いがあるからまだ見てない人もいるんじゃないか?
と言ってみるテスト。
自分の地区は昨日放送で、録画してるからまだ見てない。

あとハルチリスキーが他カプに分散して人口が減ったとかね。
376名無しさん@秘密の花園:2008/03/11(火) 13:19:03 ID:fn7Yx1mT
>>374
原作のネタだからじゃない?
377名無しさん@秘密の花園:2008/03/11(火) 15:04:10 ID:V9IeV66A
他カプはともかく、ハルチリに関してはアニメ漫画共にキャラスレが結構百合トーク容認してる感じなんで
そっちでやっちゃってる
378名無しさん@秘密の花園:2008/03/11(火) 15:43:44 ID:+K0W/fQL
>>377
最近過疎ってるなと思ってた背景にはそれがあったのか…

投下して盛り上げていくべきなんだろうけど
同じ人ばっかりが投下してよいものかと気が引ける…
379名無しさん@秘密の花園:2008/03/11(火) 16:04:50 ID:V9IeV66A
ジャンルとして確立されてきたら、こういうスレよりもHPやブログに舞台移すようになる、ってのもあるかと
改蔵サーチあるし
今、書いてたり…でも、出来るのは早くて明日以降かなあ
投下できるんならしちゃったほうがスレ的にも、個人的にも良いかと
380名無しさん@秘密の花園:2008/03/11(火) 16:17:54 ID:+K0W/fQL
自分も移行しつつあるけど、ここへの投下は続けていきたいと思ってるんですがね
でもHPあるならそっちでやれって言われそうな予感が。

イベントに合わせて書いてるものだとその当日に投下したいって気持ちになるから
完成してても投下が先延ばしになってしまうんですよね、あと3日が長い…

>>379さんのお話期待して待ってます!
381名無しさん@秘密の花園:2008/03/11(火) 18:02:53 ID:mbO3Y1iA
>HPあるならそっちでやれ
大丈夫、有り得ないからw
やっぱHPまで行く手間(自分は携帯だし)を考えたらスレに出して欲しいですよ。

何より、そんなことしたら過疎る
382名無しさん@秘密の花園:2008/03/11(火) 21:59:01 ID:hIWz4OLx
じゃあハルチリ、チリハルについて語ろうか
この二人の魅力はお互いの人となりを芯から分かり合っていそうな所ですね
383名無しさん@秘密の花園:2008/03/11(火) 22:26:16 ID:41G2BI0W
お話中申し訳ありませんが、失礼してちょっと芽留×あびるを投下させてもらいますね。
ぺらぺら喋る芽留ちゃんに違和感を感じる人にはごめんなさい。
一度書いてみたかったんです。
途中までなんですがそんなに間を開けずに続きを投下できるよう努力しますからお許しを…
384おしゃべりな彼女:2008/03/11(火) 22:27:28 ID:41G2BI0W
おいこら」

放課後の廊下、帰宅するため校舎の玄関に向かっていた時、いきなり背後から乱暴な言葉を浴びせかけられて、
小節あびるは立ち止まり振り向いた。だが、視線の向こうには誰もいない。

「下だ!腹立つなあ!」

その声に視線を落とすとそこには小柄なクラスメート、音無芽留が仁王立ちしていた。

「いま、ひょっとして芽留ちゃんが言ったの?」

普段滅多に驚いたりしないあびるだが、困惑半分で思わず芽留にそう訪ねる。

「俺以外にだれがいるんだよ、ボケ!」

芽留のその容姿からは想像しにくいハスキーボイスと、それ以上に想像しにくい毒舌、
しかしいつものメールによるそれを考えれば確かに彼女らしい言葉遣いだ。

「芽留ちゃん、話せるようになったのね…」

音無芽留がぺらぺら喋ることに驚くよりも感心が先に立ち、あびるは何だかしみじみとした口調でそう呟いた。
385おしゃべりな彼女:2008/03/11(火) 22:29:02 ID:41G2BI0W
何を感心してんだよ!」

あびるの雰囲気に芽留はその頬を紅潮させて叫ぶ、
その乱暴な叫び声にも腹が立つよりもますます、ある種の感動すら覚えてしまうあびる。

「…ごめんなさい、で、私に何か用?」

淡々とした口調で訪ねるあびるに向けて、ビシッと右手の人差し指を突きつける芽留。
あの他人と満足に会話も出来無い芽留が真っ正面から自分を見つめて、携帯電話のメールではない肉声で自分と相対している。

そんな風に考えるとあびるは何故か判らないが、胸の奥に小さな火がポンと燃えるような熱を感じた。

「用があるから呼び止めた2決まっているだろうが!」

「はいはい」

これが他の人間ならとっくに怒っているだろうが、相変わらず冷静に受け答えするあびる。
その様子に芽留はコホンと一回咳払いして「…つまりだな…」と、少々照れくさそうな様子で言い継ぐと、あびるの包帯を巻かれた腕を小さな手で掴む。
386おしゃべりな彼女:2008/03/11(火) 22:30:14 ID:41G2BI0W
「話があるから付き合え!」

あびるは乱暴な言葉と乱暴な態度のクラスメートをジッと見つめて「いいわ」と一言答える。
同時に踵を返すと芽留はあびるの手を取ったまま、スタスタと玄関とは反対側の廊下の奥に向かっていく。

「何処へいくの?」

抵抗も抗議もしない相変わらず抑揚のない様子で先に歩く芽留に尋ねるあびる。
だが等の芽留は「すぐ判るから黙ってこい!」と、ぶっきらぼうに言い放つ。あびるはそれでも芽留が自分に少し気遣っているのを感じていた。

何故なら芽留があびるの包帯とテーピングだらけの手を取ったとき、その言葉や態度とは裏腹に、
あくまでも彼女が痛みを感じたりしないようそっと握ったのを感じたから。

(不思議…私楽しく感じてる… 乱暴に拉致され掛けているのに… ぺらぺら喋る芽留ちゃんが何だか…)
387おしゃべりな彼女:2008/03/11(火) 22:33:22 ID:41G2BI0W
やがて校舎の南東にある保健室にたどり着くと芽留はさっさとドアを開けて中に入る。手を引かれるままにあびるもその後に続いた。

中は無人で静まりかえっている。そういえば今日は校医の先生が研修だかで午後はいないと、学校の事務から張り紙があったのをあびるは思い出していた。

「まあ、座れ!」

ズンズンと部屋の奥、カーテンが半分引かれたベッドがある場所に連れてこられ、あびるは芽留に促されるまま、そっと素直にベッドの上に腰を掛けた。

芽留よりだいぶ長身なあびるが座ったことにより、二人の視線はほぼ対等な位置に落ち着いた。

「あのな…」
388おしゃべりな彼女:2008/03/11(火) 22:34:45 ID:41G2BI0W
さっきまでの、あびるが小気味良いとさえ感じた芽留がここに来て少し言いよどむ、その様子、
頬を紅潮させギロリと虚空を睨んで腕組みする華奢なクラスメートを、あびるは小首を傾げて見つめる。

「おまえ、俺のこと嫌いか…」

少々意外な芽留の言葉に驚きに露出している片目を見開くあびる、そうして自分を凝視する包帯だらけだが、
クラスでも美人の部類に入る彼女を、少しばつの悪そうな顔で見返すと、一気に踏み出してその小さな顔を近づけた。

「俺は… あびるが好きなんだ!」

「それ、友達としてという意味じゃないのね」

叫ぶような芽留にあくまでも冷静な声で尋ねるあびる、その問いかけに目の前の白い小さな顔がますます赤くなるが、
大きな瞳だけは挑むように視線を外さない。

「俺がみんなからあんまり好かれていないのは知ってる。ちびのくせに口が悪いし誰彼かまわず毒舌メール送りつけるし… 
その俺… しかも女にこんなこと言われてキモイ奴と思うだろうけど… せっかく喋れるようになったからどうしても言いたかったんだ…」

まるで振り絞るようにそう言った芽留はもう、首筋まで真っ赤に染めて俯いた。

「ごめん、忘れてくれ… キモイこと言ってすまな…」
389おしゃべりな彼女:2008/03/11(火) 22:35:38 ID:41G2BI0W
シュル!微かな衣擦れのような音を立てて歩み去ろうとした芽留の、その細い手首に阿比留の投げた包帯が巻き付いた。
そしてそのままたぐり寄せられた小柄な身体が一気にあびるの両腕の中に落ちる。

「び、ビックリするだろ!」

心底驚いた声で叫ぶ芽留を腕の中に抱え込んでしまったあびるは、包帯の巻かれた両腕を驚くほどの力で回して芽留の動きを封じた。

「…一方的に告白されて、一方的に立ち去られたら私はどうすればいいの…」

芽留の小さな柔らかい耳に唇を近づけて囁くように言うあびる、その言葉に抱えられた身体から力を抜いていく芽留。

「ごめん…」

「私のこと好きなのね…」

「じゃあ、きっと私もそうだわ」

「えっ?」

「さっき貴方に手を引かれているとき、ううん、それより前に面と向かって私に呼びかけた貴方を見たときね…」

「うん?」

芽留は抱え込まれたままであびるの顔を見つめた。包帯で半分隠れているあびるの顔もすこし赤い。

「胸の奥が熱くなったの… どうしてだか判らなかったけど、いま判った… 」

その後は二人ただ見つめ合うだけで黙っていた。そうして気がつくとあびると芽留の唇は自然に重なり合い、徐々に身体が傾いてベッドの上に倒れ込んで行った。
390名無しさん@秘密の花園:2008/03/11(火) 22:37:09 ID:41G2BI0W
と、いうわけでここまでです。
また早い段階で終わりまで投下できるよう何とか…
すいません。
391名無しさん@秘密の花園:2008/03/12(水) 00:09:54 ID:DBBM7ICr
イイヨーイイヨー
芽留ってやっぱりツンデレぽいよね。
メールじゃなくて会話にすると特に。

続き頑張って下さい
392名無しさん@秘密の花園:2008/03/12(水) 21:20:15 ID:CAdTpGve
GJ。続き待ってますよー
393名無しさん@秘密の花園:2008/03/13(木) 21:41:01 ID:TTFr+1Bq
続きマダー(AA略
394名無しさん@秘密の花園:2008/03/14(金) 00:55:00 ID:BgF+zUmc
あび芽留の続きを期待されてるところ割り込み申し訳ないです。
日付変わってすぐですが、今日はホワイトデーなので
あびる×芽留のホワイトデーネタを投下させてもらいます。
相変わらず甘ったるい話ですが、よければお付き合いください。

3950314:2008/03/14(金) 00:59:34 ID:1MKu/efF
芽留は教室へと入った途端頭を抱えた。

今日がホワイトデーだという事を
ついさっき気付いたからだった。


朝登校してくると、廊下の端っこで
「バレンタインはありがとう」なんて言いながら
お返しを返す姿が目に入った瞬間
芽留の頭は真っ白になった。


今日がホワイトデーという事をすっかり忘れていたので
もちろん準備なんかしている訳もない。

しまった、と思うも時既に遅し。
どうしたものかと、鞄の中から財布を取り出して中身を確認する。

1000円札が1枚と100円玉が2枚
500円玉と50円玉と10円玉は見当たらなくて
5円が1枚と1円玉が2枚の、計1207円。

・・・終わってる。

普段からあまり寄り道をしない芽留の財布の中身は
決してたくさん入っているとは言えないものだった。

予想通りの中身に、芽留はがっくりと肩を落とす。
そしてうーんと考え込んだ。
3960314:2008/03/14(金) 01:02:00 ID:1MKu/efF
というかそもそも何を渡せばいいんだ?
普段からアイツにはいろいろしてもらってるけど
こっちから何かをする事はほとんど無くて
アイツが好きなものっつったら…
っつったら…


しっぽ?

いや、しっぽは買えないだろ。


心の中で突っ込みを入れてみるものの
何一つ解決しないこの状況に、芽留はますます頭を抱えた。

そもそも人に何かをあげる、なんて事自体が珍しい芽留にとっては
プレゼントを選ぶという事が既に難題だった。

ぐるぐると回る考えが、何周したかわからない頃
突然、空から降ってきたように名案が浮かぶ。


本人に聞けばいいじゃないか。


聞けば早い事に気付いた芽留はすっと席を立つと
てくてくとあびるの元へと向かう。

近付いてきた芽留に気付いたあびるはにこりと微笑む。
その表情を見ながら芽留は携帯を取り出し、文字を打ち込んだ。
3970314:2008/03/14(金) 01:05:47 ID:1MKu/efF
『今日あれだよな?』
ずいと目の前に突き付けた携帯のディスプレイに映し出された文字。
「あれって、何?」
あびるが首を傾げると芽留は困ったような表情をした。


『あれはあれだろ』
「それじゃわからないよ」
あびるの言葉に芽留はむっと、眉間に皺を寄せた。

あびるには映し出されその文字列も芽留の表情の意味もわかっていたが
敢えて気付かない振りをしてみる。

『だから、あれだ。今日3月14日だろ』
照れたような表情の割にじとっとした目のギャップが面白くて
ついついあびるは吹き出してしまった。

『何笑ってんだよ』
「いや、芽留ちゃんの表情が面白いなって」
くすくすと笑うあびるに相当恥ずかしかったのか
素早く携帯をつつき回すと、ディスプレイを見せずにメールを送信する。

スカートのポケットの中が震えるのを感じて
あびるが携帯を取り出すと、それを見た芽留は背中を向けて行ってしまった。
携帯の画面に映し出された文面を見て、ああ、やっぱりとあびるは1人納得する。

『帰りまでにアレのお返し考えとけ』
その予想通りの文面にまた顔が緩んでしまうのがわかる。
あびるも芽留ほどの早さではないが
すぐにメールの返信をして、パチンと携帯を畳むと
遠くでこそこそっとメールを確認する芽留の姿が見えた。
3980314:2008/03/14(金) 01:10:18 ID:1MKu/efF
あの質問をしてきた時点でこうなる事は予想出来ていたが
お返しを考えろと言われると、なかなか思い付かないもので。
授業を受けながら、あれはどうだ、これはどうだと考えてみるものの
どれもこれもピンと来るものではない。

誕生日プレゼントにしてもそうだが
「何が欲しい?」って聞かれたものをもらう事は
欲しいものを宣言している以上、外れを引く事はないのだが
中身がわかってしまっているものを貰うというのも
それはそれで淋しいものだと、あびるは思った。

黒板の内容を書き写しながら
合間に欲しいものを考えてみるが、特に思い付くものもなく
無意識にシャープペンシルの先をコツコツとノートに当てながらふむ、と考え込む。

そんな、いきなり欲しいものって言われてもねぇ…
芽留ちゃんがくれるならなんでもいいんだけどな。
と言うか芽留ちゃんがいてくれるだけでいいんだけど…


あ。


そうか、この手があった。
頭に浮かんだものはあびるがある意味欲しいものにぴったり当てはまる。
よし、これなら。心の中でにやりと笑った。
さっき以上に面白い反応をするんだろうな…
なんて思いながら、あびるはにやけそうになる顔を堪えた。

さて、彼女はどんな顔をするのだろう…?
3990314:2008/03/14(金) 01:16:00 ID:1MKu/efF
放課後、帰る準備をしていると、後ろからぺたぺたと近付く足音。
その足音が少しだけあびるの席を通り過ぎて
前の席の、生徒が既に帰ってしまったその席に、芽留がちょこんと座った。

『欲しいもの決まったか?』
あらかじめ打ち込んだあった携帯を向けながら
期待と不安が混じった目もこちらに向けている。

『あんまり高いものは無理だからな』
追加で打たれた文字にあびるはふわりと微笑んだ。
「大丈夫、時間もお金もかからないよ」
あびるの言葉に芽留の目はきょとんとしたものに変わる。

「じゃあ今から言う通りにしてね」
そう言うと芽留は不思議そうな表情を浮かべながらこくりと頷いた。
「まず、目をつぶってくれる?」
あびるの注文に芽留はぎゅっと目を閉じる。
そんなにしっかり閉じなくてもと思ったが
とりあえずそのままの姿勢を保ってもらう。

「次はちょっとだけ顔上げてもらっていいかな」
目を閉じたままの芽留は少しだけ顔を上げた。
「そうそう、じゃあしばらくそうしててね」
あびるの言葉に芽留はぴたりと動きを止めたものの
あびるが欲しがっているものが全く読めないので少々不安になる。

いつまでこうしてればいいんだ…
そう思ったと同時に肩に手が置かれた。
もちろんその手の主は目の前にいるあびるだ。
何が起こるのか、不安が心を支配し始めた瞬間だった。
4000314:2008/03/14(金) 01:20:07 ID:1MKu/efF
ちゅ。


小さな音と、頬にやわらかくて、あたたかな感触。
閉じていた目がその瞬間ぱちりと開く。
目を開けたその光景は一瞬では今の状況を判断出来なかった。

目を閉じる前にはあびるの上半身が見えていたのに
今は耳の後ろの辺りしか見えなくて
目すらも見えないほど近くにあびるがいる。

どう…なってるんだ?
芽留の頭の中がぐるぐると回る。
さっきまで距離を保っていたはずなのに
いつのまにかこんなに近くにいて
それで、頬に感じるこのやわらかい感触、は?

ますますとぐるぐる回る頭の中に、芽留は目まで回りそうになる。
徐々に今の状況が理解出来始めた頃、すっとあびるが離れていった。

「あれ」
身体を引いたあびるが既に目を開けていた芽留に少し驚いたように声を上げる。
「ちゃんと目閉じてなきゃ駄目だよ」
あびるの言葉にも芽留は硬直したまま、目を真ん丸にして瞬きすらしない。

「芽留ちゃん?」
あびるが呼び掛けると芽留は思い出したようにぱちぱち瞬きをする。
そしてすぐに携帯を取り出し、大急ぎで文字を打ち出した。
4010314:2008/03/14(金) 01:24:46 ID:1MKu/efF
『おま、何やってんだ!?』
「何って、ほっぺにキスしただけだよ」
『そんなさらっと言うなよ!』
必死に文字を打ち込む芽留の顔は真っ赤になっていて
ぎゅっと携帯を握り締めながらぷるぷると震えていた。

「嫌だった?」
俯き加減の芽留の顔を覗き込むように、あびるが顔を近づけると
まるで反発する磁石みたいに、芽留がぱっと身を引く。

「そんな驚かなくても、もうしないよ」
そう言ってあびるが少しだけ残念そうに微笑うと
芽留はむーっと唸りながら、携帯を握り直して文字を打ち始めた。

『い、いきなりだから、びっくりしただけだ。べ、別に…』
そこまでで文章は切れていた。

「別に、何?」
じっと芽留を見つめて、反応を伺ってみると
一旦引いた顔の赤さがまた戻ってくる。

『何だっていいだろ!もう帰るぞ!』
そう打ち込んだ携帯を見せ付けて、芽留は席を立った。

ほんと素直じゃないなぁ。
背を向けた芽留にくすくすと笑うと、その声に気付いたのか
芽留がくるりと振り返る。
恨めしそうにこちらを見る表情すらおかしくて
あびるは笑いを堪えるのに必死だった。
4020314:2008/03/14(金) 01:31:10 ID:1MKu/efF
「もうひとつお願いがあるんだけど」
あびるの言葉に、芽留はぴくりと身体を緊張させる。
「そんな身構えなくても」
芽留の態度に、あびるは少々困った表情を見せた。

『…なんだよ、お願いって』
しぶしぶ打ったような芽留の文字が目に入る。

「ん、手繋いで帰りたいなって」
そう言ってにこりと微笑んだあびるをじっと睨む芽留。

「さっき、あんな事したからダメかな?」
そう言ってあびるは自嘲する様に笑った。
そしてちらりと芽留の方を見ると
やはりむーっとあびるを睨んでいたが
ぺたぺたとあびるに近付くと、すっと手を伸ばしてくる。
あれ、と思っている間に、芽留の小さな手があびるの手を捕まえた。

これでいいんだろ、と言わんばかりの芽留の表情が目に入る。
芽留の行動に少し驚いたあびるだったが、その手をきゅっと握り返した。


「…うん、これで十分、十分すぎるよ」
顔を真っ赤にした芽留を見ながら、あびるは笑った。



―END―
403あとがき。:2008/03/14(金) 01:38:13 ID:BgF+zUmc
という感じのホワイトデーネタあび芽留でした。
慣れない環境からの投下なので行間が意図したところに表れてないのが…orz

芽留はツンデレ、これはガチだと思ってますww

実は小ネタでハルチリと可符香×カエレがあるのですが
ちょっと時間を置かないと規制かかっちゃいそうなので
今日中改めて投下させてもらおうかと考えてます。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
404名無しさん@秘密の花園:2008/03/14(金) 08:27:31 ID:FcQaY3ft
超乙。
なんかもう、いい意味でむず痒すぎますね。
ニヤけが止まんないですw

可符香×カエレも楽しみにしてます。頑張って下さい!
405名無しさん@秘密の花園:2008/03/14(金) 08:38:03 ID:xsPZrTXj
『勘違いするな、これは乙じゃなく髪型で遊んでみただけだ』
「いやだなあ、これは乙じゃなくただのしっぽです」
406名無しさん@秘密の花園:2008/03/14(金) 17:17:35 ID:XFpJkFse
あび芽留にGJありがとうございました。
連投で恐縮ですが、続きまして小ネタのハルチリと可符香×カエレ投下させてもらいます。
短い話ではありますが、ホワイトデーを意識した作りになってますので
よろしければお付き合い下さい。

40714.March:2008/03/14(金) 17:21:01 ID:XFpJkFse
「はい」
ずいと可符香目の前に突き付けられたのはリボンの付いた小さな包みだった。

「なんですか?これ」
突然のカエレからの贈り物に可符香は首を傾げる。
「何って…今日ホワイトデーでしょ」
そう言ってカエレはむっとした表情を見せた。

「あ。そうでしたね」
「そうでしたね。って…」
意外にも興味を示さない可符香にカエレはイライラを募らせる。

「まだわかんないの?…バレンタインのお返しなんだけど」
痺れを切らしたカエレは自分からプレゼントの正体を明かしてしまった。
しかし可符香の表情は未だにはっきりとしない。
むしろお返しに対して疑問を抱いているような表情だった。
その様子にカエレも疑問を感じざるを得ない。
うーん、と考え込む可符香は何か言いたげなようだ。

「何か言いたい事あるなら言いなさいよ」
カエレの言葉に可符香はゆっくりと口を開いた。

「あー、あのですね」
「何よ」
「バレンタインはチョコレートを交換しましたよね?」
可符香の言葉の意味がわからなくて
カエレは腕組みをしたまま可符香をじいっと睨んだ。
40814.March:2008/03/14(金) 17:24:52 ID:XFpJkFse
「遠回しな言い方ね、結論を言いなさい結論を」
その言葉に可符香はふむと1人頷き、ぴっと人差し指を立てた。

「交換なら一方的に貰った訳じゃないからお返しは必要ないんじゃな」
「それ返しなさい」
そう言って可符香の言葉が終わる前にカエレが包みに手を伸ばしたが
それを可符香はひょいとかわす。

「わざわざ準備してくれたんですねぇ」
「ち、違っ…」
照れるカエレを見ながら可符香は包みをひらひらと振って見せる。

「カエレちゃんの気持ちはしっかり受け取りましたよ」
にっこりと、いつにも増してとびきりの笑顔を見せる。
いつも以上に嬉しそうな様子を見せる可符香に
本来ならお返しをあげなくてもよかったはずのカエレだったが
その笑顔を見てぽつりと呟いた。

「…ま、渡してよかったかしらね」
「何か言いましたか?」
聞き取れなかった言葉を確認しようと
ふと顔を上げた可符香の頭にぺしっと一発。

「何でもないわよ」
「でもカエレちゃん、何だか嬉しそ」
「うるさいわね」
そう言ってカエレは可符香の頭に置いた手をぐっと下げる。
40914.March:2008/03/14(金) 17:27:15 ID:XFpJkFse
今の表情は自分でもわかるくらい緩んでる。
でもそれをこの子に指摘されるのは癪だ。

照れ隠しに可符香の頭をぐりぐりと撫で付けながら
カエレは可符香の頭の上から、いつもよりも穏やかな声で言った。

「大事にしなさいよ?」
「もちろんです!」
カエレに俯かされた可符香のくぐもっていたけれど
嬉しさを抑えられない、はっきりとした返事が聞こえた。



―END―
4103月14日:2008/03/14(金) 17:29:38 ID:XFpJkFse
晴美の唇が千里の首筋に押し当てられる。
ちゅ、と小さく音を立て何度も押し当てられたかと思えば
時折唇を離し、首筋を舐める。

「何なの、よ」
もどかしさを含ませた千里の声が晴美の耳に届く。
「なにが?」
とぼけるみたいに言う晴美の声。
今はいつも以上に憎らしい。
しかしするりと身体を滑る指に、身体はきっちりと反応してしまう。

「いつまで、そうしてる、のよ」
晴美の制服をぎゅっと握りしめた千里が俯きながら。
「いや、バレンタインの時にホワイトデーは3倍返しにするって言ったから」
追い詰められた千里とは対照的に
余裕たっぷりの晴美はそう言って、千里の耳元に唇を寄せるとぺろりと一舐めする。
ぴくり、と千里の身体が跳ねた。

「これの、何が3倍返しにな、るのよ」
「いつもより3倍長い時間かけてるよ」
だから3倍返し。
そう言って晴美はふっと耳に息を吹き掛ける。
その行動に千里はきゅっと身を縮こまらせると、不満気たっぷりの顔で晴美を睨んだ。

「…3倍の時間をかけられてるこっちの身にもなりなさいよ」
その言葉に晴美は、ぴたりと動きを止めた。
そしてほんの少し考え込んだ後、にやにやしながら千里の顔を眺める。
4113月14日:2008/03/14(金) 17:32:45 ID:XFpJkFse
「それって、焦らされるのが嫌って事?」
「なっ…!?」
晴美の言葉に、千里は慌てふためく。

「欲しいなら素直に言えばいいのに」
その言葉に千里はふいと顔を逸らしてしまった。
しかし晴美は千里の顎を捕まえてこっちを向かせる。

「我慢できない?」
添えた手の親指が千里の唇を割り、口の中へ滑り込む。
「ふ…」
その行動に首を振って逃れた千里に、晴美はにやりと微笑んだ。
「嫌なの?」
目を逸らしたまま何も言わない千里だったが
すっと晴美の手を取ると、その指先を軽く噛んでからちゅっと吸い付いた。

「ホントに素直じゃないね」
「…うるさいわね」
くすくすと笑う晴美に顔を見られないようにか、千里は晴美の胸に顔を埋める。
そんな千里の背中を晴美は軽くぽんぽんと叩いた。

「明日起きれなくなっても知らないよ?」
「お生憎様、明日は土曜日よ」
そう言って千里は少しばかり得意気な顔を見せる。

なるほど、そういう事ね。
そっちがそのつもりなら、こっちだって遠慮はしない。

「じゃ今日は時間3倍じゃなくて、回数3倍でいくからね」
そう言って晴美は千里の唇を少し強引に奪った。



―END―
412あとがき。:2008/03/14(金) 17:38:08 ID:XFpJkFse
と、いう感じでハルチリと可符香×カエレのホワイトデー小ネタ投下させていただきました。
本来なら3本とも通常通りの長さでいくぜ!と思ってたのですが
書いてる時間が思ったよりも取れなくてですね…
じゃあ今回は個人的にブームのあび芽留を通常の長さで
残り2つは小ネタでいこうという結論になりました。

しばらくイベントらしいイベントも無いので
ストックしているSSを投下しつつ
桜ネタでまた3種類書けたらなと思ってます。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
413おしゃべりな?彼女:2008/03/14(金) 17:43:38 ID:TqV+8O2H
続きが出来ましたのでどさくさに紛れて投下しておきます、
内容がいつにもましてグダグダです、すいません。


414おしゃべりな?彼女:2008/03/14(金) 17:44:08 ID:TqV+8O2H
しばらくの間、芽留とあびるはベッドに向かい合って横たわり、お互いの顔をじっと見つめ合っていた。

自分の気落ちを伝えることが出来た芽留だが、あびるに見つめられていると段々気恥ずかしさ増してきたのか、ふと視線を反らしてしまう。

その仕草にあびるは少し意地悪く微笑むと包帯だらけの右手を伸ばし、いまだに赤みを帯びた芽留の頬に触れた。
その途端目の前の小柄な身体がそれと判るほど震えた。

何も言わない芽留、その頬をスリスリと楽しそうに撫でるあびる、やがて耐えきれなくなったのか、
くるりと寝返りを打ち小さな背中をむけてしまっても、あびるはにじり寄って尚も柔らかい頬を撫で回す。

「くすぐったい、や、やめろ!」

堪えきれずにあびるの右手を掴む芽留、だがその時「痛い!」とあびるが小さく叫ぶと手を離して、慌てて振り返る。
415おしゃべりな?彼女:2008/03/14(金) 17:45:02 ID:TqV+8O2H
「痛い、痛い、クスン…」

「あ… あびる… 大丈夫か…」

顔を両手で被ったままのあびるに芽留は心配そうな声いうと、上半身を起こして阿比留の側に寄ろうとしたが、
その瞬間白い包帯が芽留の両手に、身体に巻き付いて引っ張られ、彼女の小柄な身体はまたあびるの腕の中に落ちる。

「な!何すんだ!この妖怪包帯女!」

「ふふふ、どうせ私は時代遅れの包帯女…」

易々と芽留を抱え込むとくるりと身体を起こして彼女の華奢な身体を下敷きにして、あびるは唯一露出している右目をギラリと輝かせる。

「ああ、哀しい、好きだと言ってくれたのに… こんな邪険に扱われてしまうなんて… その上で包帯女とののしられて、ああ、痛い、痛い、心が痛い」

普段ほとんど冷静で言葉少なな彼女が、自分を見下ろして唄うようにそう言うのに驚いた芽留は、混乱しながら口をパクパクさせるばかり。
さっきまでの饒舌な彼女が、不意に普段の彼女に戻ったように。

「… わるかった、俺が悪かったから… 謝るから… 解いて… 」

両腕を交差する形で拘束されてベッドに縛り付けられるようになっている芽留は、そう言うとまたジタバタと身体を動かす。心なしかその眼に涙がにじむ。

「痛いわ、ああ、芽留… 心が痛い、傷が痛い… この痛みを癒すためには… 」

芽留の言葉を無視するかのように尚もそう言い継ぐあびるは、形の良い唇を笑みの形に歪ませて同時に淡いピンク色の舌をチラリと覗かせた。

その何だか獣じみた仕草に(こいつ、こんなだったっけ)と、芽留は背筋を寒くさせて身構えたが、あっという間に覆い被さってきたあびるにその花片のような唇を奪われる。

唇から伝わる熱に翻弄されて、芽留のそれが瞬間ゆるむと、あびるの舌が、芽留の舌を絡め取り、同時に強く吸いつけた。

「むー!うんん、ふう… ふ…」

416おしゃべりな?彼女:2008/03/14(金) 17:46:29 ID:TqV+8O2H
二人以外誰もいない保健室の奥、白いシーツで被われたベッドの上に縛り付けられたような格好の芽留。
強引なあびるの口づけに呼吸が止まりそうになり思わず呻く。

彼女の小さな身体を、思うさま引き裂き貪ろうかとでもいうような形で覆い被さり、
あびるは今や芽留の両頬を両手で抱え込んだまま、なおもその柔らかい唇と口腔を味わいつくす。

舌と舌、唇と唇がこね合わされ、ジタバタと身体を捩っていた芽留もやがて徐々に力が抜けたようになり、
その白い頬に幾筋も涙の後を引きながら、あびるの執拗な口づけに答えるように唇を開き注がれる唾液を飲み下していく。

「はあ… 」

しばらくして、満足げなため息を漏らしてあびるがゆっくりと上体を起こし、蹂躙していた芽留の唇から自らのそれを離す。
銀色に輝く唾液の糸がその間に流れ消えるのを微笑みを浮かべて認めると、まだ荒い呼吸を繰り返す芽留の涙に濡れた頬を撫で上げる。

「芽留…」

「ぐす… おまえやっぱり俺のこと怒ってたんだな… ぐす…」

グッタリと仰向けに横たわる芽留から、一体どういう仕組みなのか。阿比留の包帯がスルスルと抜き取られていく。
だが拘束が解けた後でも激しい口づけの後の脱力感で芽留は動くことが出来ないでいた。

「どうして?」

「おれが前にメールでおまえのこと… だから…」

417おしゃべりな?彼女:2008/03/14(金) 17:47:28 ID:TqV+8O2H
「だから… なあに…」

「俺がおまえのこと… 好きだって… 利用して、復讐… 」

涙混じりの声でそう言い継ぐ芽留を見下ろしながら、あびるは再び微笑みながら、包帯だらけの両手を器用に動かし、
芽留の制服のタイを、ボタンを次々に外して、彼女の申し訳程度のふくらみを被う可愛らしいデザインのブラを露わにする。

だがその間も芽留はまるで諦めたように身動ぎ一つせずされるがままになっていた。
そして「いいよ、あびるの気が済むようにすればいい」と、言いながらも恥ずかしさから片手で自分の両目を被うようにする。

「…ひどいなあ…」

そう言いながらあびるは、芽留のむき出しの小さな肩に長い指を這わせ、そしてその途端に又ピクリと反応するの少女の感じやすさを楽しんだ。

「私、嘘は言ってないわ、貴方に告白されて嬉しかった、貴方を好きだという気持ちに偽りはない…」

「きっと芽留ちゃん、私のことこう思ってたんでしょ、父親に暴力震われても耐えてるだけのDV疑惑の鈍くさい女だって…」

「そ、そんなこと!」

芽留は顔を被っていた腕を動かしてあびるを見ると、そこには幾重にも巻かれた包帯や傷を覆う絆創膏で飾られただけの、
豊かな胸の裸の上半身があった。さらに最後に残ったスカートすら取り去ろうとしている様子も飛び込んできた。

「な、な、な、何してんだ!」

仰天した芽留が身体を起こそうとするが、その前にスカートを脱いでしまい、もはや身につけているのは包帯と絆創膏と傷テープ、
それに淡いブルーのショーツだけになったあびるにまたベッドに押し倒されてしまう。
418おしゃべりな?彼女:2008/03/14(金) 17:48:22 ID:TqV+8O2H
「やめろ!いくら何でも、物には順序があ…」

「大丈夫、さっきもうキスしたから… さあ恋人同士先に進みましょう」

あびるのあまりの積極さに受け身一方の芽留、そこにいつものあびるの冷静な状況説明口調で言われて反論もままならない。

「私、怪我が多いせいで受け身な、そう、どっちかというとMっぽい印象を受けるかもしれないけど、本当はね」

「おまえ、立派なSだ!」

「大当たり」

「ひー、やめろお!助けて…」

「うふふ、やめない、助けない!」

「な、あびる、マジ止めろ!怪我に触るから… 痛いから!」

怯えた顔を向けて芽留は取りあえずあびるを落ち着かせようとする。彼女が自分を偽りなく好きだと言ってくれたのは嬉しいが、
告白したその日にここまでことが進まなくても良いじゃないかと。動転しながらそう思っていた。
419おしゃべりな?彼女:2008/03/14(金) 17:49:36 ID:TqV+8O2H
音無芽留はそのいつもの態度や毒舌メールとは裏腹に、これで結構恋に恋する乙女でもあるから。まあ、この年頃の少女は多かれ少なかれそうだけど。

「ほら、それよりももっとこう… デートしたり… お互いのことを話し合って、あっ!あん!やだ! ぶ、ブラ外すな! いやあ!そんなとこ噛んじゃだめ!」

「怪我なら大丈夫、私痛みには強いから… そうね、デートしましょうね、沢山… お互いのこともうんとはなしましょう… そして…」

「そして?」

ブラどころかすでにスカートも引き下ろされた芽留は、そのままショーツを脱がそうとすあびるの手を必死に払いながら聞き返す。

「たくさん愛し合いましょう…」

そう言いながらあびるがまたニッコリと笑う。普段ポーカーフェイスの彼女が滅多に見せない笑顔、だがそれは、
確かに愛情がこもっているように見えるその表情は、今の芽留には別の物に映っていた。

そう、それはまるでとびきりの獲物を捕まえた虎かライオンの顔だった。

あー こらあ! パンツ脱がすなあ! あん、だめえ!そんなとこ指でぇ!」

芽留の平らな胸をあびるの舌がなぞり上げ、小さなピンク色の突起を吸い上げる。
あっさりと割開かれた細い両足に易々と侵入した腕が動く度、華奢な身体が跳ね、ハスキーな喘ぎ声があがる。

「芽留、好きよ!ああ、出来ればこのままずっと… どこかに閉じこめて… 」

「お、俺も好きだけど、何か違う! 考えてたのと違う!」

「大丈夫、すぐ慣れるから、慣らしてあげる、私得意だから…」

「ひー!」
420おしゃべりな?彼女:2008/03/14(金) 17:50:16 ID:TqV+8O2H
あびるの繰り出す執拗な愛撫に翻弄されながら、芽留はもはや悲鳴を上げるので精一杯だった。

芽留の恋は叶ったのか、たぶん叶ったのだろう。そしてその一部始終を保健室の天井裏から見ていた、
褐色の影がベッドの上でもつれ合う二人に最後のいちべつを投げて音もなく立ち去った。

校舎の北側、人気のない裏手の狭い庭に立っているのは風浦可符香、そこに小柄な褐色の肌の少女が走り寄る。

「可符香!見てきたョ!」

関内マリア太郎、ことマ太郎が元気な声で叫ぶ。それに笑顔で「ごくろうさま、で、どうでした」と尋ねる可符香。

「大丈夫、メルとあびる話してた!メールじゃなくて!」

「そうですか、じゃあ、芽留ちゃんに掛けた暗示上手く効いたんですね」

「話せるようになって、好きだったあびるとも仲良くなれて良かったな!メル」

「ただ少し心配があるとすれば、あんまり強いショックを受けると暗示がとけてしまうかも」

421おしゃべりな?彼女:2008/03/14(金) 17:51:11 ID:TqV+8O2H
可符香の言葉にマリアは少し不安げな顔になり「じゃあ、また喋れないメルに戻るのか」と、可符香に尋ねる。

「うーんでも、あびるちゃんと仲良く慣れたし、芽留ちゃんも少しずつ変わっていくかもしれないし、マリアそんなに心配しなくても大丈夫ですよ」

「そうか、マリア嬉しい」

満面の笑みでそう言うマリアを微笑んでみる可符香。

偶然?芽留のあびるへの思い、それを言葉で、メールではなく直接伝えたいという彼女の気持ちを知った可符香は、
持ち前の心の隙間につけ込む巧みさで最初は激しく警戒していた芽留を安心させて、得意の暗示を掛けたのだった。

その意図がクラスメートを思う善意か、それとも別の何かかまでは判らないが。

「やだなあ、そんなの善意に決まってるじゃないですか」

「可符香、誰と話してる?」

「何でもないわ、帰ろうマ太郎、ハンバーガー奢ってあげるね」

「やったあ可符香大好き!」

可符香の言葉に嬉しそうに抱きついて叫ぶマリア。そのまま二人は校舎を後にする。

後日、果たして可符香の言葉通り芽留の暗示は残念ながら解けてしまったようだ。彼女はまたメールのみにて会話を、
それも例の毒舌で行うだけだ。しかしその傍らに常に小節あびるが寄り添うにようにいることが、クラスの他の生徒に意外な驚きを保って迎えられた。

そしてその中の数人は時折、芽留が何だか疲れているような顔をしていることを不思議に思った。そして同時にあびるが妙にツヤツヤしていることも。

今日もあびるから放課後のお誘いのメールが携帯に届く、その文面を見て音無芽留は少しため息をつく。

放課後にはまたあびるから獰猛と行っても良いような愛情表現を受けるのだろうと、でも音無芽留はもう小節あびるから離れられない。

彼女の言葉を借りるなら、まさしく自分は慣らされて行っているのだろう、でも今では自分を変えていくあびるを、
何より自分を愛してくれるあびるの気持ちと自分のそれに嘘はないと思うから。

それだけは音無芽留自身のの毒舌を持ってしても、否定しようもないことだった。
422名無しさん@秘密の花園:2008/03/14(金) 17:52:41 ID:TqV+8O2H
と言うわけで何とかおわらせました。
ひどい出来ですが、枯れ木も山の賑わいと言うことで一つ。
おじゃましました。
423名無しさん@秘密の花園:2008/03/14(金) 21:27:14 ID:Q+POuriZ
GJ!強引さや戸惑いがありつつも相思相愛なのがいいですね。あび芽留いいなぁ
424名無しさん@秘密の花園:2008/03/14(金) 22:33:33 ID:ispHT1r1
妙にマッチするメルアビや可符香×カエレの意外な安定感に驚く
そして、王道ハルチリに死角無しッッッ
GJです、とても楽しみながら読ませていただきました、ありがとうございます
425名無しさん@秘密の花園:2008/03/14(金) 23:11:01 ID:qp16lwZq
GJ!!!
萌えすぎて呼吸困難になりました
426名無しさん@秘密の花園:2008/03/15(土) 08:08:21 ID:m6s8cD2x
あびめるもいいねー、芽留ちゃんに触らせるとかもたのしそ
傷のある綺麗な肌に、おずおずと触れたり

>>412
回数三倍でいくからね、って生々しすぎますよ藤吉さんw
呆れながらも、ちょっと嬉しそうな千里が目に浮かぶ
427名無しさん@秘密の花園:2008/03/16(日) 21:06:16 ID:FxB3R6k+
あびるにベタ惚れて身体中に包帯を巻き出したり、
芽留にベタ惚れてエロスなメールを連投したり、
カエレにベタ惚れてパンツ見せスタイルでつきまとったり、
千里にベタ惚れて真ん中わけ髪型で登校したり、
藤吉に惚れて修羅場にベタ塗りやトーン貼りを買って出るまといとか妄想していたら、
なんか日曜日が終わってしまった。
428名無しさん@秘密の花園:2008/03/16(日) 21:27:27 ID:dqNM9V1D
充実した休日をすごしやがって、ずるいゾ
429名無しさん@秘密の花園:2008/03/16(日) 22:48:33 ID:kdvvP1RM
可符香をストーキングしていたはずが、気がついたら逆に背後を取られてあっさり捕まりあれこれと
430名無しさん@秘密の花園:2008/03/16(日) 23:37:32 ID:8eqFB86Y
隣の女子大生は常月さんを釣るための罠
オンエアされないバトルに乗り込んできたところを捕獲して
「こうでもしないと、まといちゃんと2人っきりになれないんだもん」
431名無しさん@秘密の花園:2008/03/17(月) 00:22:52 ID:lHQVi6ev
最近ハルチリ前提(というか千里→晴美)の晴美&あびるに萌えるw
運動神経抜群と運動音痴ってなんかいい
体育の時間とかそれでなくても普通のことあるごとに、ウンチゆえに失敗するあびるを横目で「危ないなぁ」とか気にしてて、運動神経がいいゆえにサラっとフォローしてる晴美
晴美にその気がないのはわかるけど、自分に対してもその気がない(ように勘違いしてる)んで、ヤキモキしてる千里
千里の晴美への気持ちも晴美の千里への気持ちも知ってて、その手のこと(自分のこと含め)を晴美と話してたりもするけど、千里の誤解は解かないあびる
ちなみに晴美&あびるは耳としっぽを通じて「藤吉」「小節」って呼び合うある意味「こころのとも」
って感じ
432名無しさん@秘密の花園:2008/03/17(月) 01:19:33 ID:k10BFkdr
なんですかそれは
鼻血が出た
433名無しさん@秘密の花園:2008/03/17(月) 21:45:27 ID:jOYKSxaF
晴美への態度だけはきっちりできないわけだな
434名無しさん@秘密の花園:2008/03/17(月) 23:17:51 ID:WFxE8hyR
さぁ早くそれを文章にするんだ
435名無しさん@秘密の花園:2008/03/19(水) 12:00:36 ID:TK/g0kmi
436名無しさん@秘密の花園:2008/03/19(水) 21:32:30 ID:IiSkMM8s
全座連カップリングか
メガミなんたらのピンナップ?
437名無しさん@秘密の花園:2008/03/19(水) 21:49:49 ID:H4b2x/nT
>>379で言ってたのがやっと完成
カゼひいたり、うまくいかなかったりでだだ遅れ、力もないのに投下予告なんてしないほうがいいですね

初投下です
チリハルかハルチリかは、自分にはどっちかわからない、何て言うんでしょうかこういうのは
438最後の五月バレ:2008/03/19(水) 21:50:48 ID:H4b2x/nT
五月、快晴、五月晴れ。
新生活に合わせて形成された、様々なメッキが剥がれる頃。
薄っぺらい嘘の自分は脆く崩れ、隠していた中身が暴かれる。
そんな中、藤吉晴美もまた五月バレを果たす。
彼女が隠していたのは、文系とは思えぬ運動能力。
驚異的身体能力がバレた晴美は、運動部の強引な勧誘を受け、
拉致さながらに教室から連れ出されていった。
439最後の五月バレ:2008/03/19(水) 21:51:40 ID:H4b2x/nT
「もー凄かったよ、藤吉さん。噂に違わぬ実力!」
「まあその…ありがとうございます…」
とりあえずの体験入部を終え、部室で制服に着替える。
その間も勧誘は続いたが、私に入部する気はさらさらなかった。

「100メートルを12秒、どころじゃないじゃない」
「いえいえいえいえ、私はただのまんがめがねですから!」
「やっぱり入ってくれないの?」
「すいません、他にやりたいことがあるんで」
私をさらって、ムリヤリ体験入部させたショートカットの人が、
もったいないなー、と心底残念そうに呟いた。
と、そのとき、携帯が震えて、メールの着信を報せる。
携帯を手にして確認してみると、千里からのメールだった。
440最後の五月バレ:2008/03/19(水) 21:52:38 ID:H4b2x/nT
「ちりー」
校門で私を待ってくれていた千里に声をかけると、
千里はちょっとだけ不機嫌そうな顔で、遅い、と文句を言った。
「ごめんごめん、じゃ、帰ろ」
そう言いながら、千里の手を引く。
「というか千里、刑事さんに連れてかれたって聞いたんだけど?」
「ああ、意外とあっけないものだったわ」
「あっけない?」
「……藤吉さん!」
千里の手を引いて、駅に向かって歩き始めたところで、
後ろの方から声をかけられた、声の主は運動部のあの人だ。

「明日、もう一回だけ来てくれる?それで駄目なら諦めるから」
「んー……明日だけですよ」
正直気乗りはしないが、それで諦めてくれるならいいか、
そう思って私は明日もう一度だけ、と約束した。
ただ、そのときの彼女の顔が、何か含みのあるような笑顔が、
少しだけ気になった。
441最後の五月バレ:2008/03/19(水) 21:53:38 ID:H4b2x/nT
翌日、もう一日だけ、と言われた体験入部も難なく終わり、
私は制服に着替えて、部室の長いすに腰掛けていた。
「それで……やっぱり駄目?」
「ええ、すみませんけど」
「そっか……」
私の隣に腰掛けた彼女が、ため息を吐いた。

「残念だなあ、藤吉さんあんなにすごいのに…」
「いえ、そんな」
「それに、かわいいし…」
ずい、と顔を近づけて、息がかかるほど近くで。
「スタイルもいいし…」
今度は、首越しに肩に手を回して、私を抱き寄せながら。
「ほんと……綺麗……」
誰に聞かせるでもなく呟いて、彼女はその唇を私の唇に重ねた。
442最後の五月バレ:2008/03/19(水) 21:54:38 ID:H4b2x/nT
突然の事態に混乱して、身動き一つ取れない。
次第に晴れてきた頭で、自分がキスをされている事を理解し、
彼女を押しのけて、身を引いた。
「っ……な、何するんですか!?」
「嫌?」
「嫌……ってこんな、いきなり……それも女…同士、で…」
「女同士……ね」
くすくすと意地悪く笑いながら、彼女が言う。
「でも、あなただって好きなんでしょ?」
「好き、って」
「女の子。千里さんだっけ?昨日の子」
心臓が大きく跳ねた。
443最後の五月バレ:2008/03/19(水) 21:55:38 ID:H4b2x/nT
「……千里が……どうしたんですか?」
「だから、好きなんでしょ?友達としてなんかじゃなく」
ばくばくと、鼓動がうるさいくらいに鳴り響いていた。
「なんとなく……ね。そうなんじゃないかなー、って」
それでも彼女の声は、そんな音にかき消されることなどなく、
気味が悪いくらいクリアに、私の耳に届く。
「でも、図星だったみたいね……その反応」
優しく微笑みながら、彼女は私との距離を詰める。

「だけどね……」
私の頬に手を当てて、耳元で囁く。
「あの子は無理だよ……すっごく真面目そうだし、
 きっと女の子同士の恋愛なんて、考えたこともないよ」
その言葉に、びくっと身を震わせてしまった。
「そんなこと、言われなくても分かってるか」
「……」
彼女の顔に喜色が浮かぶ。
きっと私の反応は、この上なく彼女の望み通りだったのだろう。
444最後の五月バレ:2008/03/19(水) 21:56:39 ID:H4b2x/nT
オタクであること。
同人誌を描いていること。
ボーイズラブが好きなこと。
兄が、萌々木アニメーション不登校であること。
そして、今回の発端である身体能力。
どれも秘密にしていたことで、どれも既にバレていることだ。

その中で一際隠していた事が、千里を好きなことが、
そして、その想いに苦しんでいることまでも暴かれた。
そう、彼女の言う通りだ。
私にとって千里と過ごす時間は、他の何よりも幸福で、
そして、何よりも切ない。
445最後の五月バレ:2008/03/19(水) 21:57:44 ID:H4b2x/nT
しばらくの間、彼女は何も話さずに、じっと私を見ていた。
私の動揺が、戸惑いが、全身に広がっていくのを観察していた。

「辛いよね、そんな関係……でもね、私なら」
優しい声で。
「あなたのして欲しいこと、何でもしてあげるし、
 あなたがしたいこと、何でもさせてあげる」
少しずつ、私の逃げ場をなくしていく。
「部活の勧誘なんかじゃないよ。
 私はね、一人の女の子として、あなたが欲しいの」
首筋にくちづけをしながら、彼女は甘く囁き、
私を押し倒して、その上に覆いかぶさった。

「千里は……」
「無理だよ」
「千里……」
視界がぼやけて、涙がこぼれた。
「ちりぃ……」
頬を伝う涙が舐め取られる。
「大丈夫。忘れさせてあげるから」
彼女が顔を近づける。
446最後の五月バレ:2008/03/19(水) 21:58:38 ID:H4b2x/nT
最初の突然のキスとは違った。
わざと抵抗出来るような余地を残している。
だからこそ、これを受け入れてしまえば、後戻りは出来ない。
それなのに、体は動かない。
怖い……それもある。
だけどそれ以上に、例えここで抵抗したとしても、
千里が手に入るわけではないという思いが、
私から抵抗する力を奪ってしまっていた。

私の恋は、私と千里、そのどちらでもなく、
この人の手によって終わらせられるのか。
瞳に涙を浮かべながらも、どこか冷めた頭でそんな事を考えて、
私は目を瞑り、彼女に身をまかせてしまった。

だが、その直後にゴッと鈍い音がして、
私の上にあった重さが消えた。
目を開けると、彼女は目を回して床に転がっていて、
私のすぐ横には千里の姿があった。
447最後の五月バレ:2008/03/19(水) 21:59:45 ID:H4b2x/nT
「気絶させただけよ」
「……ちり」
「なんとなく嫌な予感がしてね……メールの返事もこないし」
「……ひっ……ひん」
「ほら、もう大丈夫だから」
千里が私を起こして、ハンカチで顔を拭いてくれた。

「ひどいことするのね」
確かな嫌悪感を込めて、千里が言う。
もちろんその言葉は、床で眠るあの人に向けられたものだ。
そして、私を大切に想う故に言ってくれたことだ。
だけど同時に、その言葉は私の胸にも突き刺さった。

「ごめん……ごめんね、千里」
「別に、あなたが謝らなくても」
「そうじゃないの」
ぐい、と両手で千里を押して離れる。
「晴美?」
怪訝そうに、千里は小首をかしげた。
448最後の五月バレ:2008/03/19(水) 22:00:55 ID:H4b2x/nT
「私もね、あの人と同じ……女なのに、女の子が好き……
 千里のことだよ」
おかしくもないのに口元が歪み、誤魔化すような笑顔を作った。
「それって……」
千里の顔が、薄く朱に染まった。
だけど、その顔もすぐにまた別の色を見せることになる。
「……同じことしてた。千里が好きで、千里が欲しくて、
 寝てる千里にね、勝手にキスしたり……触ったり……」
千里の顔から、サッと血の気が引いた。
考えたこともないだろう、こんな風に想われていたこと、
ましてや、知らぬ間に私に襲われていたことなど。

「気持ち悪いよね。ごめん……ごめんなさい」
「……」
ぼろぼろと涙が溢れて止まらなかった。
あの人に、私は自分の姿を見てしまった。
抵抗できないまま触られる、その怖さと気持ち悪さを受けて、
ずっと抱えていた罪悪感が噴き出した。
隣で安心しきって眠る友人の体に、己の欲のまま触れる私は、
あの人よりずっとひどい事をしていたんだ。
449最後の五月バレ:2008/03/19(水) 22:01:49 ID:H4b2x/nT
「……晴美」
ぐすぐすと泣きじゃくる私を、千里が抱きしめた。
「いいよ、もういいから。泣かないで」
「でも、でも私、千里を」
「落ち着いて、大丈夫だから」
「うぅ……ちりぃ」
その優しさに甘えて、私は千里の胸の中で泣いた。
千里は両手で私の頭を抱えて、私が泣きやむのを待ってくれた。

「落ち着いた?」
「うん。ごめん千里、私……」
「いいのよ。さ、帰ろう」
千里が私の手を握る。
「……いいの?」
千里は何も言わず、にこりと柔らかく微笑んで私の手を引いた。
450最後の五月バレ:2008/03/19(水) 22:02:47 ID:H4b2x/nT
どこをどう歩いたのかは、よく覚えていない。
私は、ずっと手を引いて前を歩く千里の足元だけを見ていたから。

「晴美」
千里に声をかけられて、顔を上げる。
目の前にあったのは、自分の家の次に良く見知った千里の家。
「泊まっていきなさい」
少し強引に、千里は私を家の中へと招き入れた。


千里の家でご飯を食べて、一緒にテレビを見て、
お風呂にも入らせてもらった。
用意してくれたパジャマに着替えて部屋に戻ると、
先にお風呂に入ってパジャマに着替えていた千里が、
ベッドに腰掛けて私を待っていた。
「ほら、こっち」
ぽんぽん、と千里がシーツを叩いて私を呼ぶ。
千里に従って、私は千里の横に腰掛けた。
451最後の五月バレ:2008/03/19(水) 22:03:46 ID:H4b2x/nT
「お風呂、どうだった?」
「気持ち良かったよ」
「そう。良かった」
そう言いながら、千里が私の頬にキスをした。

「……千里?」
千里が、ふふっと笑って私を押し倒し、その上にのしかかった。
私を見下ろす千里は、優しく微笑みながら、
私と千里のパジャマのボタンを、一つずつ丁寧に外していった。
千里が私の頬を両手で挟んで、今度は唇にキスをする。
千里の唇の感触、お互いブラを付けていなかったため、
直接肌が触れ合うことになった胸と胸。
どちらも、眠る千里の体に勝手に触れていたときとは、
比べ物にならないほどに気持ちがいい。
452最後の五月バレ:2008/03/19(水) 22:04:40 ID:H4b2x/nT
「やっぱりおっきいね……晴美の」
むにゅむにゅと胸を揉みながら千里。
「いいなあ、うらやましい」
ちゅ、と先端に吸いつかれて、声が漏れた。
千里に口の中で、ころころと転がされる。
すごく、すごく気持ちがいい。
千里にこんな事をしてもらえるなんて……
私の胸の中は、嬉しさで一杯になる。
だけど……

「……ひっ……っく……うぅっ」
「え?何で泣いて……ごめん、痛かった?」
ボロボロと涙がこぼれた。
もうこれ以上、千里を困らすようなことなんてしたくないのに
涙は止まらなかった。
453最後の五月バレ:2008/03/19(水) 22:05:39 ID:H4b2x/nT
「千里……いいよ、無理しなくて」
ぴし、と千里の動きが止まる。
「千里は、私のこと友達としてしか見れないんでしょ?
 いいんだよ、こんなことしなくても……でも、ありがとう」
千里は優しい。
私の感じている負い目を払ってあげようと、
そう思って、こんな事をしてくれているんだ。
もちろん嬉しい。だけど、それが分かってしまうからこそ
千里の優しさに甘えることが出来ない。
友達のために恋人の真似をする、なんてことを
千里にさせたくはなかった。
優しい千里は、きっとそんな真似事を
私のためにずっと続けることだって、してしまえるのだろう。
454最後の五月バレ:2008/03/19(水) 22:07:24 ID:H4b2x/nT
「ごめん。私、急ぎすぎてたみたい」
千里に、ぎゅっと強く抱きしめられた。
「あの人が晴美にあんな事してるの見て、ひどい、って思った。
 晴美も私にそういうことしてたって聞いて、ショックだった。
 でもね、晴美なら……晴美にだったら……」
「千里……」
「……ごめん、まだうまく言えない。考えた事、なかったから」
「うん」
「待ってて……ちゃんと言えるようになるまで」
「うん……ありがとう」


それから数日、私と千里は何事もなかったかのように、
それまで通りの仲の良い友人として、日々を過ごした。
不意に意識してしまうことはあったけど、
あくまでいつも通りに二人で過ごして、千里の返事を待った……
455最後の五月バレ:2008/03/19(水) 22:08:37 ID:H4b2x/nT
ガタゴトと揺れる電車の中は、真っ赤な夕日に照らされていた。
車両内に他の人の姿はなく、そこは私と千里だけの空間だった。

学校帰りに買った漫画を、広げて読む私に千里が言う。
「ほんと好きよね」
「まあね」
千里は、私の漫画を覗きこんだ後、ちらちらと周囲を見回した。
「ね、晴美」
とんとん、と肩を叩く千里。
ん?、と振り向くと、唇に柔らかい感触が触れた。
ほんの一瞬で、触れ合った唇はすぐに離される。
456最後の五月バレ:2008/03/19(水) 22:09:49 ID:H4b2x/nT
「えっとね……返事……私……」
下を向いて、朱に染まった顔を隠すように、ぽそぽそと言う千里。
軽く、ほんの一瞬だけ触れたキスの余韻を確かめるように、
そっと指を自分の唇に当ててみると、その仕草に千里が照れた。

「千里、ありがと」
姿勢を正し、千里が立ちあがった。
ちょうど、電車が私達の目的の駅に着く頃だった。
「ほら、晴美」
千里の伸ばした手を、ぎゅっと握って立ちあがる。
「ニヤニヤしないでよ」
「無理だよ、無理だって……えへへへ」
千里に、気持ち悪い、なんて言われても、
私の顔に張り付いたニヤケ面は、しばらく取れそうになかった。
457名無しさん@秘密の花園:2008/03/19(水) 22:11:12 ID:H4b2x/nT
圧倒的にチリハルより、ハルチリ派ですが
どっちも余裕がないときは、チリハルみたいな、ね

なんだかすごい手間どっちゃいました。百合は難しいですね、でも楽しかった
458名無しさん@秘密の花園:2008/03/19(水) 22:25:29 ID:kfwtuA+J
ほほえましすぐるGJ!
この二人いいわー
459名無しさん@秘密の花園:2008/03/19(水) 22:38:27 ID:m2Ma54iy
よすぎ
今までこのスレに投下されたハルチリSSのプロローグはこれだな
460名無しさん@秘密の花園:2008/03/19(水) 23:16:42 ID:jS2tTwNa
GJっ……
ただただGJっ……

このスレのおかげで晴美が好きになった。
メガネっ娘属性はないのに
461名無しさん@秘密の花園:2008/03/20(木) 00:24:35 ID:ZNj6bj6c
最高でした
陸上部の先輩もいい味出してました
ハルチリもチリハルも大好きです
462名無しさん@秘密の花園:2008/03/20(木) 10:45:04 ID:67tWXTXm
やっぱり陸上部ですかね、あの人
自分のイメージもそうなんですが、よくわからないから運動部とかボヤかした言い方にしたけど
どうせパロディだし、運動部って表現がなんかバカみたいなんで陸上部ってことにします

保管庫の人、迷惑かけてすみませんが
>>438>>440の運動部、っての保管するとき陸上部に修正しといてください、お願いします
463まとめ:2008/03/20(木) 12:28:30 ID:hzJwXH+X
>>462
おkです。
あと、カップリング表記はどうすればいいんでしょうか?
とりあえず今は未分類に入れておきますね。
464名無しさん@秘密の花園:2008/03/20(木) 17:47:42 ID:67tWXTXm
>>463
千里×晴美でいいのかな、すぐ逆転しそうだけど

あと、レスとレスの間には、一行改行あるイメージだったんで申し訳ないんですが、入れといてもらえますか?
次からは、投下するとき、最後の行に自分で入れておきます。ごめんなさい
465名無しさん@秘密の花園:2008/03/20(木) 22:42:41 ID:DBL7P9Es
>>427-430
まといかわいいよまとい
たかし→先生への乗り換えも実にあっさりしてたのだから
何かきっかけがあって「告られた」と思ったらと…妄想しちゃうさ
466名無しさん@秘密の花園:2008/03/21(金) 02:26:08 ID:zqnMsWkk
>>456
最高すぎてスタンディング拍手した
こういう片方ノンケな話が好きだと気づいた
467名無しさん@秘密の花園:2008/03/22(土) 19:52:44 ID:DqdH4MOW
安心感のある空気だ
晴美と千里は千里←晴美なんでしょうね
晴美は千里が好きで好きで仕方がなく、千里は晴美が可愛くて可愛くて仕方がない
468名無しさん@秘密の花園:2008/03/23(日) 06:10:50 ID:3qsXyTIf
あび×加賀推奨
469名無しさん@秘密の花園:2008/03/23(日) 10:33:24 ID:ifIM+Xx9
ちょうど時期的に合うハルチリネタが浮かんだので、さらっと投下させてもらいます。
さらっとという割にちょっとヘビーな内容かもしれません(あいたた…)
えろはないけど、暗くてちょっと病んでる感じですが
それでもよろしければ最後までお付き合いください。


470リグレット:2008/03/23(日) 10:36:06 ID:MHI3p6he
「っあ…っ!」
控え目に絞り出された声とぎゅっと抱き締められる腕の強さを感じながらも
頭の中では全く別の事を考えていた。
はあはあ、と荒い呼吸を繰り返す身体をそっとシーツの上に横たえたが
その腕が身体を離す事を許さなかった。

「…は、るみ」
吐息に交じる名前は自分の名前ではないような気さえする。
引き寄せられた腕に自分の手を添えると千里は満足そうに微笑んだ。
そのまま寄り添うようにぴったりと身体をくっつけると
子猫のように晴美の身体にすり寄ってくる。

「どうしたの?」
「…あなた、何か違う事に気を取られてるでしょ」
千里の言葉が胸にちくりと痛みを与えてくる。

「どうしてそう思うの?」
長い髪を梳きながら、晴美が目を細めると
千里はゆっくりと目を閉じた。
「最近手が荒いのよ」
気付かないとでも思った?と言いたげな表情が晴美の心を締め付ける。

「あたしが何か気を取られてるって、例えば?」
締め付けられる心は思ったよりも冷静を保っていた。
「そうね…例え、ば…」
そこまでで千里の言葉が途切れる。
しばらくの沈黙が晴美の鼓動を少しだけ早めた。
ぴったりとくっついている千里に
それがばれる事が怖くて、身体を離してしまいたかった。

「…何だか眠くなってきたから、続きはま、た…」
その言葉は本当だったのか、それとも晴美に猶予を与えたのか
どちらにしろ晴美の心は落ち着く事はなかった。
471リグレット:2008/03/23(日) 10:39:47 ID:MHI3p6he
「…疲れさせちゃったね」
いつもと同じトーンの声で言って
千里の背中をきゅっと抱きしめる。
その行動に千里は今以上に、晴美に身体を寄せた。

多分、気付かれてる。晴美はそう悟った。
千里は気付いているけど、敢えて気付かない振りをしているんだ。
幼馴染みから始まったあたしたちは
中学を卒業する少し前から周りの友達とは違う、特別な関係を結んだ。

自分の趣味である同人の世界では同性同士がくっつく事はよくある話なので
女同士だからとかそういう事はあまり気にならなかったが
千里が自分へそんな感情を持っていた事には大変驚いたのを覚えている。

そうして始まった恋はいつしか隣に相手がいる事が当たり前になった。
花火にクリスマスに初詣にバレンタイン…
様々なイベントでも側にいたのはやっぱり千里であり、晴美であった。

だが付き合いが進んでいく内に晴美はその関係に恐怖を感じていた。
付き合い始めた頃はどちらかといえば千里からの想いの方が強かったのだが
今は晴美の想いの方がより強いものへ変わっていった。

その感情は愛情と呼ぶには少し重いように思う。
時には嫉妬に狂い、そのやるせない想いを八つ当たりでぶつけてしまうほど
晴美の千里への愛情は屈折し切っていた。

―このまま、千里に依存し続けては駄目だ。
何度も思ったが、千里の、自分にしか見せないその優しさに
甘えてしまい、側を離れる事がままならない。
締め付けられる胸とぐるぐると回る思考が
晴美をどうしようもなく切ない気持ちにさせる。
隣ですやすやと眠る千里をぎゅっと抱きしめて、晴美はある決心をした。


472リグレット:2008/03/23(日) 10:45:42 ID:MHI3p6he
「卒業式が終わったら話したい事があるんだ」

卒業式の当日。
今日で2人揃ってこの通学路を歩くのも最後のその日に
晴美はぽつりと呟くように言った。
「わかったわ」
少しの沈黙の後、落ち着き払った千里の声が逆に晴美の気持ちをざわつかせた。

卒業式の最中もずっと頭は言いたい事をまとめるのに必死だった。
校長や来賓が話をしていても
周りがしくしくと泣いていようが、気にすら止める事もなかった。
晴美の目は、壇上に登る人ではなく
前方に座る千里の後ろ姿だけしか、捕らえていなかった。

式が終わり、皆が一斉に散っていく。
写真を取ったり、雑談をしたり
この後ぱーっと騒ぐであろう生徒達をたしなめる先生の姿も見える。

そんな中、晴美は千里を連れて
普段からほとんど人の通らない屋上へ続く階段へと誘った。

「卒業おめでとう」
「あなたもね」
笑みを浮かべながら互いに卒業を祝う言葉は軽い牽制。
お互いの顔から徐々に笑みが消えてゆく。

「大事な話があるんでしょう」
先に仕掛けたのは千里だった。
やはり気付いているのだろうと、晴美は小さく頷いた。

頭の中がぐるぐると落ち着かない。
言いたい事はちゃんと整理したはずなのに
まだためらうのか、と自分が情けなくなって
悲しい気持ちより、自分を嘲笑いたい気持ちでいっぱいになる。

晴美が言葉を切り出さなくても、千里は急かす事をしなかった。
千里なりの優しさだと感じたが、今は急かしてくれた方がよっぽど気楽だった。
あまりに喉が乾いて、千里の名前を呼んだ時に掠れた声が出る。
気持ちを切り換えるように咳払いをした後
晴美はゆっくりと、愛しいその人を呼んだ。
473リグレット:2008/03/23(日) 10:47:46 ID:MHI3p6he
「千里」
晴美の呼び掛けに千里はくっと身を固くした。

「あたし、千里の事大好きだよ」
「うん」
2人以外誰もいないこの場所に聞こえる震える晴美の声。
千里はその言葉を噛み締める様に聞いた。

「大好きすぎてどうにかなりそうなくらい、千里がす、き…」
そう言った後、急に目眩の様な感覚が襲って来て、晴美は額に手を当てた。
「でも、このままじゃダメになっちゃ、うのが自分で、もわかっ、てるから」
そう言い終えてから、額に当てた手をゆっくりと離す。

「だから、」


自分でも驚くほどはっきりとその言葉を口に出した。
その瞬間2人の時間が止まって
まるで氷の中に閉じ込められたようなそんな感覚だった。
晴美はまっすぐ千里を見つめ、千里もまっすぐに晴美を見つめた。
微動だにしないその表情に変化が出るのをお互いが伺っているようだった。

時間にすれば1分、いや30秒も経っていなかったであろうが
その時間が恐ろしく長いものに感じられる。

そんな重苦しい沈黙を先に破ったのは千里の方だった。

「辛かったでしょう」
その言葉に晴美は弾かれたみたいに千里を見た。
「あなたがそんな顔をして言う事ですもの」
その時初めて自分の頬に水滴が伝っていた事に気付いた。
指でそっとなぞってみる。
それは紛れもなく、涙だった。
474リグレット:2008/03/23(日) 10:53:48 ID:MHI3p6he
それを涙だと自覚した瞬間、晴美の目の前が一気に滲んだ。
ぽたり、ぽたりと足元に涙が落ちていく。
堰を切ったように溢れて止まらない。
涙と共に漏れ出る嗚咽をなんとかして抑えようとする。

「苦しかったでしょうね」
晴美の涙に心を痛めた千里もまた泣き出しそうな顔をしていた。
だが涙の雫を零すまいと、必死に耐える表情がまた晴美の頬を濡らす。
晴美は口元を押さえたまま何も言わなかった。
しかし千里の表情から、晴美はある事を確信していた。
それは、あまりにも幼稚で、稚拙な我儘故の感情。

「今まで、苦しめてごめんなさい」
そう言って千里は優しく笑った。
ああ、どうしてこの人はこんなに優しいのだろう。
だから、それが、自分をどうしようもなくさせるのだ。


「私も、あなたが、晴美が大好きよ」


その言葉を聞いた時
心の中に安堵の気持ちが溢れ出した。
その言葉こそが、晴美が最も望んだ言葉だったのだ。
幼稚で稚拙な、それでいて見せ掛けの罪悪感を含んだ感情と共に
晴美は心の中でにやり、と笑った。

「ち、り…」
ぐっと手を握り締めた割には弱々しい声。
だがそれも千里の気を引くには十分だという事を知っている。
しかし晴美のその考えは意外な形で破られる事となった。

「あなたが決めた事だもの、仕方ないわ」
475リグレット:2008/03/23(日) 10:59:45 ID:MHI3p6he
あ、れ…?

いつもみたいに大丈夫だと目を見てくれないの?
いつもみたいに優しい言葉を掛けてくれないの?
いつもみたいにぎゅっと抱きしめてくれないの?


あまりにも淡々と言う千里に、晴美は逆に怖さを覚えた。
いつもなら、優しく慰めてくれるはず、なのに。

自分の欲しい言葉が出てこなかった事に
晴美は呆然と立ち尽くした。
いつもの千里ならもっと、もっとあたしを救おうとするはず。
そんな突き放すみたいな言葉言わないはずなのに。
別の意味で混乱している晴美に
追い討ちを掛けるような千里の言葉がざくりと身を切った。


「春からは別々の道を行くけど、頑張ってね」


そう言って千里はすれ違いざまに、晴美の肩をぽんと叩いて行ってしまった。
その肩に与えられた衝撃が、金鎚で殴られたかと思うほど重かった。
愕然と立ち尽くす晴美はぶるっと身体を揺すって、自分を取り戻そうと試みた。
しかし手足が、身体全体が固まって思うように動かない。

だめだ、このまま千里を行かせる訳にはいかない。
今ならまだ、まだ間に合う。

そう思って晴美が言う事を聞かない身体を
なんとかして後ろへ向けようとした瞬間
背中に千里の声が飛んできた。

「そのままで、聞いて」
千里のぴりっと張り詰めた声に、晴美の身体は再び固まってしまった。
恐らく晴美が振り返るであろう事を予想しての先手だろう。
476リグレット:2008/03/23(日) 11:09:22 ID:MHI3p6he
「1つだけあなたの嫌いなところ言ってもいいかな」
千里の言葉を後ろを向いたまま晴美はその背中に受け止める。


「言った後に、後悔したような顔して、勝ち誇った顔するところ、嫌いよ」


その言葉と共に千里の足音が遠くなっていった。
晴美の、後ろを振り返る気持ちやまだ間に合うなんて気持ちは
その言葉に打ちのめされてすっかりと消え失せてしまった。

千里もまた別の意味で晴美との関係は
晴美を駄目にしてしまう事を悟っていたのだろう。
だから敢えて突き放すような言葉を投げたのかもしれない。

それを除外したとしても
晴美の千里に対する愛情は、愛情なんかではなかった。
何か思い通りにならない事があれば、我儘を吐き出し
自分の思い通りになるように、千里を操っていたに過ぎない。
そんな晴美に、千里も愛想を尽かせたのだ。
いつまでもこんな関係は嫌だと、本当はそう思っていたのかもしれない。

あの涙や、弱々しい声も
あの日、どうやれば千里の気を惹けるかと考えた結論である
自分から別れ話を切り出してみれば
必死に引き止めようとするという浅はかな考えも、千里は全てお見通しだったのだ。

あまりにもあっけない終わりに晴美は愕然を通り越し、今の自分が滑稽で仕方なかった。
自分で蒔いた種がぽんぽんと芽を出して
自分をがんじがらめに縛り付けてしまった事が今更可笑しくて笑いがこみ上げる。

晴美は1人取り残されたその場所でくつくつと笑った。
虚で塗りたくっても、屈折していても、幸せは幸せであったのに
それを自分の手で砕いた事に、今度は純粋に後悔だけを抱きながら…



―END―

477あとがき。:2008/03/23(日) 11:21:43 ID:MHI3p6he
という感じのハルチリ(チリハル?)でしたが、いかがだったでしょうか?
春は出会いと別れの季節とよく言われますが
今回はその別れをテーマに、あと時期が卒業だったのでその辺りも意識して
普段あまり書かない暗くて、病んでるお話を書かせてもらいました。
ハルチリハルチリ言ってるけど、精神的に攻めるのは千里の方がいいかもしれない
とゆー一種の新たな設定から生まれたので、いつもより千里が数段大人です。
(その対比が面白かったので、藤吉はおもっきり子供にしてみました)
これは突発的に書いたのでいつも書いてるハルチリの関係がここで終わるってことじゃないですよ。
次回は楓→可符香×カエレなんてものを投下しようと考えてるのは内緒です。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました、毎回長々とすいません…


以下チラシの裏。
個人的で申し訳ないですが、このSSは437さんが書かれたSSが始まりなら
こういう形で終わるケースはどうだろう?という、若干リスペクト気味に書きました。
でも437さんのハルチリはこんな別れにはならない、はず。
勝手にリスペクトしてすいませんでしたぁああああ!
478まとめ:2008/03/23(日) 17:23:59 ID:3thm+vU/
>>464
返事が遅れてしまってすいません
修正しておきました。
479名無しさん@秘密の花園:2008/03/23(日) 20:33:24 ID:4I0W+YZh
>>478
手間かけさせてすみません。ありがとうございました
>>477
リスペクトなんて恐れ多い、こちらがさせてもらってる側です
ああでも、こうはなりそうにないですね、うちの二人はw
こういう切なげな話や、「橋は落ちた」みたいなのも書いてみたいんですけど芸風が狭くてね…
とりあえず前回ので入りきらなかった、らぶらぶちゅっちゅを書くのが当面の目標
480名無しさん@秘密の花園:2008/03/23(日) 22:49:49 ID:lG814iUb
あまり連続して同じカップリングが続くのも、さらには先のお二人の素晴らしい作品の後で
初めての自分の駄文を投下するのは大変恐縮なのですが、よかったらお付き合い下さい…
少し変則でハル×チリに奈美を絡ませてみました。
少々輪姦っぽくもあるので苦手な方ごめんなさい。
あと甘々にキャラ改変(特に千里)もごめんなさい…

ではどうぞ↓
481エキストラ:2008/03/23(日) 22:54:16 ID:lG814iUb
―3月。

終業式を終えた日塔奈美はそそくさと家路に着く。
時刻はまだお昼前だ。
まだ肌寒さは残るものの、日毎に増してくる春の匂いに小さなときめきを覚える。
弱いながらも雲間から降り注ぐ温かな陽光につい嬉しくなって、家路につく足がちょっと軽くなった気がした。
明日からの春休みの計画なんかをぼんやり考えながら家を目指す。

「あっ」

楽しげな春休みの妄想にニヤついていた奈美の表情が唐突に現実に引き戻される。
「忘れ物だ…」
我ながらなんとベタなんだと苦笑いしながらも、来た道を引き返す。
482エキストラ:2008/03/23(日) 22:55:18 ID:lG814iUb
「忘れ物だ…」
我ながらなんとベタなんだと苦笑いしながらも、来た道を引き返す。
先程とはうって変わって、時折冷たい風が吹き、過ぎ去る冬を惜しむ様に、季節が寒々しい表情を見せ付ける。
途端に重くなった足を急かして再び校門をくぐり、校舎の中に入る。
静まり返った校舎はどうにも他人行儀な気がして居心地が悪い。
言い表しがたい感覚を振り切る様に足早に廊下を歩き、やがて見慣れた2年へ組の教室に辿り着く。
どうせ春からもお世話になる教室。
嬉しいような悲しいような…
そんな小さなため息と共にそのドアを開けようと伸ばした奈美の手が止まる。
483エキストラ:2008/03/23(日) 22:56:11 ID:lG814iUb

声が聞こえたような気がした。まだ誰か残ってるのだろうか?
半開きになっていたドアに吸い寄せられる様に、その隙間からそっと教室の中を覗き見る。
静まりかえった教室、昼下がりの柔らかな光に包まれて、見慣れた空間がなんだかすごく不思議に思えた。
中を見渡すと、教室の隅にセーラー服を着た影が二つ、クラスメイトの木津千里と藤吉晴美だ。
幼なじみの彼女達はいつも一緒に下校しているけど、教室に残って何をしているのだろう?

「んんっ!」

その声に思わずビクッとなる。
普段教室に響く事の無い、欲望に溺れたような甘い声。
484エキストラ:2008/03/23(日) 22:57:06 ID:lG814iUb
「もうっ、少しは我慢しなきゃだめじゃない」
「だ、だってぇ…んっ」
藤吉さんが千里ちゃんの耳に軽く噛み付く。
その度千里ちゃんの口元から、抑え切らなかった甘い吐息が漏れる。
えっ、二人とも何やってるの?
信じ難い光景に動けず立ち尽くすも、息を殺してついつい見入ってしまう。
「可愛い…千里のおっぱい…」
制服越しに藤吉さんが千里ちゃんの胸を触る。
「やっ、そこっ、だめぇ…」
「んふふー、千里はおっぱい弄られるの大好きだもんねー♪」
「そんな事な、いぃあっ、んぁ…んん!」
「ふふ、いいよ。いっぱい気持ちよくしてあげる…」
そういうと藤吉さんは胸に手を触れたまま、千里ちゃんの耳に舌を這わせる。
485エキストラ:2008/03/23(日) 22:57:59 ID:lG814iUb
「あっ、んぁっ!やだぁ…」
千里ちゃんが身をよじって抵抗する。
「全然嫌じゃないくせに…、素直にしないとやめちゃうよ?いいの?」
千里ちゃんがフルフルと首を横に振る。
恥ずかしそうにする千里ちゃんに、藤吉さんはクスリと笑って頬にキスをする。
「いいよ…、千里の恥ずかしいとこも可愛いとこも、私が全部見ててあげるから…」
そう言って制服の裾から手を入れ、器用に下着をずらして直接膨らみを刺激する。
「あっ、はっ…あんっ」
「気持ちいい?」
「んっ…そこっ、いいのぉ…」
「素直で可愛い…、次はどうして欲しい?」
「キス、いっぱい…キスして欲しいのぉ…」
千里ちゃんがおもいっきり甘えた声でおねだりする。
486エキストラ:2008/03/23(日) 22:59:13 ID:lG814iUb
「いいよ、私がいっぱい千里の唇奪ってあげる♪」
そう言って藤吉さんが唇を押し当てる。
「んっ!…んふっ、ふぁ…はっ…あ…ちゅ…は…」
千里ちゃんは藤吉さんの首に細くて白い腕を絡めて、必死に藤吉さんの唇に吸い付く。
誰もいない教室に甘い声と湿った音がいやらしく響く。
「ふ…二人共教室で…なんて…」
初めて見る女の子同士の絡み、二人のいつもと全然違う表情。
藤吉さんもそうだけど、何より千里ちゃんの表情に驚いた。
いつもの少しきつめの表情とは違う、まるで甘えん坊の子供みたいな…
そんな事を考えながらも、二人の行為から目を離す事ができないでいた。

「ぴろりぴれぱら♪」

静まり返った廊下に突然機械的な音が鳴り響く。
「しまった!携帯…!!」
487エキストラ:2008/03/23(日) 23:00:03 ID:lG814iUb
二人の視線が同時に私に集まる。
「…奈美…ちゃん?」
藤吉さんに名前を呼ばれ思わず苦笑いする。
「あっ…あの…」
続いて固まっていた千里ちゃんの顔が一気に青ざめる。
「ななな、なんで奈美ちゃんが!」
「えっ?いや、その、わ、忘れ物を…」
それを聞いた二人は声を揃えて

「「普通…」」

「ふ、普通って言うな!!」
いつも通り抗議する。
488エキストラ:2008/03/23(日) 23:00:47 ID:lG814iUb
「い、いつから見てたのよ!」
「えっと…キ、キスする少し前…かな…」
「っ…!!」
さっきまで真っ青だった千里ちゃんの顔が一転して真っ赤になり俯いてしまう。
「その…見るつもりはなかったんだけどさ…」
「だ、誰にも言わないでよ…」
俯いたままの千里ちゃんが言った。
「う、うん、誰にも言わないよ…」
言ったら何をされるか分からないし…
そこからしばらく続いた沈黙、なんだか居心地が悪くなって、
「じゃ、じゃあ私忘れ物取ってさっさと帰るね!」
と言い、そそくさと教室に入り自分の机に向かおうとする。
489エキストラ:2008/03/23(日) 23:01:45 ID:lG814iUb
「んっ!」

すると黙っていた藤吉さんが突然千里ちゃんの唇を奪う。
千里ちゃんが目を丸くして驚いて、藤吉さんを引き離す。
「ふ、藤吉さん…?」
「晴美!な、何するのよ!奈美ちゃんが見てるのに…ひゃっ!」
すると今度は再び千里ちゃんの胸を揉み始める。
藤吉さんが私の方を見て口を開く。
「奈美ちゃん…私達がしてるの見て、どう思った?」
「…え?」
あまりに急な質問に慌てる。
490エキストラ:2008/03/23(日) 23:02:38 ID:lG814iUb
「あっ、えっと…」
「女の子同士なんて、変…、気持ち悪いって思った?」
「そ、そんな事…」
首を横に振る。
「じゃあ、見てる時どう思った?」
「いやっ、その…」
「ドキドキした?」
「う、うん…」
まるで誘導されているかの様に私はその結論に至らされた。
なおも藤吉さんは千里ちゃんへの愛撫を続ける。
行為への興味を肯定させられた私は、二人の姿に釘付けになる。
「やぁ、だめ、奈美ちゃ…見ちゃ…」
すっかり先程の快楽を呼び戻された千里ちゃんが、涙声で懇願する。
「いいよ奈美ちゃん、もっと近くで見てあげて」
藤吉さんが不敵な笑みを浮かべながら、まるで逆の事を告げる。
私は迷う事なく彼女の言う事に従う。
491エキストラ:2008/03/23(日) 23:03:33 ID:lG814iUb
「ほら、千里のエッチな顔奈美ちゃんに見られてるよ」
「〜〜〜〜」
千里ちゃんは顔を真っ赤にして私から顔を背ける。
しかし藤吉さんが頬に手で触れ、私のほうに顔を向けさせる。
「だーめ、今日は奈美ちゃんに千里のエッチな所いっぱい見てもらうんだから」
「そんなぁ…あっ」
ふいに千里ちゃんの制服からスカーフが抜き取られ、制服の前をはだけさせる。
「やっ、だめ!」
「いいじゃない、減るもんじゃないし♪」
抵抗虚しく私の前に千里ちゃんの白い肌があらわになる。
「奈美ちゃん、千里のおっぱい見るの初めて?」
「う、うん…」
「千里、いつぞやの温泉の時もずっと隠してたもんね♪
どう?千里のおっぱいは」
そう言われてまじまじと千里ちゃんの体を眺める。
492エキストラ:2008/03/23(日) 23:04:19 ID:lG814iUb
胸の膨らみこそ小さいが、腰までのラインがとても綺麗で、
無駄の無い引き締まったお腹に、可愛らしいおへそが何だかいやらしかった。
「千里ちゃんのおっぱい、小さいけど、すごく綺麗…」
千里ちゃんがギュッと目を閉じて恥ずかしがる。
「ふふ、小さいけど…その代わりね」
藤吉さんの指が千里ちゃんの胸を軽く指でなぞる。
「ぃひゃっ!」
不意打ちに千里ちゃんの体がビクッとなる。
「すっごく感じやすいんだよねぇ♪」
そのまま手で包み混むように愛撫していく。
「あっ、はぁ…んぅ、あんっ」
千里ちゃんが甘い声を漏らす。
その声を聞いてるだけでドキドキしてしまう。
「奈美ちゃんも触ってあげて」
そう言うと藤吉さんは左手をどけて、千里ちゃんの右胸を空け渡す。
493エキストラ:2008/03/23(日) 23:05:03 ID:lG814iUb
私は言われるがまま千里ちゃんの胸に手を伸ばす。
「ひぅっ、奈美ちゃんだめっ!」
千里ちゃんの胸は見た目よりずっと柔らかくて、私の手の平に吸い付いてくるみたいだった。
「やぁ…こんなの…ダメなの…に…んぁっ!」
私の拙い愛撫に千里ちゃんは嬉しいくらいに反応してくれる。
「あっあっ、んんっ、だめ…あんっ!」
二人に乳房を弄ばれ、とめどなく甘い声を溢れさせる。
すると藤吉さんが千里ちゃんのスカートをめくり上げる。
「ねぇ奈美ちゃん、今度はここ、触ってみて」
「いやっ、そこダメぇ!」
私は躊躇する事無く千里ちゃんのそこを下着の上からなぞる。
「んんぅっ!」
「わ…、すごい…」
千里ちゃんのそこは下着の上からでもはっきり分かるほどに濡れていて、
指でなぞる度湿った音をあげる。
もう下着はお尻の方までぐっしょりだ。
494エキストラ:2008/03/23(日) 23:05:47 ID:lG814iUb
「すごいでしょ?千里はおっぱいでこんなに感じちゃうの」
「やぁ…恥ずかしいよぉ…」
「じゃあもっと恥ずかしくしてあげる♪」
そう言うと藤吉さんは千里ちゃんの下着とスカートを一気に脱がす。
千里ちゃんは必死に手で隠そうとするが、藤吉さんに押さえつけられ足を開かされる。
「ほら…奈美ちゃん見て、すごいでしょ?」
千里ちゃんのそこはとても綺麗で、まだ毛は生えていないようだった。
下着の上からでも確認出来たけどすごく濡れていて、私は思わず息を飲む。
「今日はいつもより濡れてるね、奈美ちゃんに見られて興奮しちゃったの?」
「ち、がうぅ…そんなこと…」
「ふふ、でもこれならほぐさなくてもいいね」
そう言うと藤吉さんは千里ちゃんのそこに中指を 這わせる。
「いっ、ダメっ!」
「入れるよ…」
濡れそぼった千里ちゃんのそこは、藤吉さんの指をあっさりと飲み込んだ。
495エキストラ:2008/03/23(日) 23:06:44 ID:lG814iUb
「あっ、くぅぅ…」
「すごい締め付け…、それに熱いよ」
「は、ぁうぅ…」
千里ちゃんはもう意識が飛んでいるのか、体をビクビクと反応するだけだった。
その様子にしばらく見入っていた私に藤吉さんが声をかける。
「奈美ちゃん、千里のことイかせるの手伝って」
「う、うん…」
そう言うと私は再び千里ちゃんの胸を愛撫し始める。
「今度は、お口も使ってあげてね」
言われるまま舌を伸ばして、千里ちゃんの胸に吸い付く。
「んっああんっ!な、みちゃ…やめてぇ…」
「ふふ…奈美ちゃんすごくエッチ…、じゃあ千里…指動かすよ」
胸を愛撫したまま藤吉さんは千里ちゃんの中に差し入れた指をゆっくりと動かす。
「ひあっ!あんっ…や、ダ…メ…壊れちゃうよぉ…」
三点からの強い刺激に、ぽろぽろ涙を流して反応する。
「いいよ、イって。私と奈美ちゃんがちゃんと見ててあげるから…」
「んぁっ、あっ、イ…くぅ…ぁあんっ!」
496エキストラ:2008/03/23(日) 23:07:27 ID:lG814iUb
千里ちゃんの体が大きく跳ねる。イっちゃったみたい…。
私は千里ちゃんから体を離す。
「はぁ…あっ…は…んっ…」
「千里」
大きく肩で息をして、恍惚の表情で絶頂の余韻に浸っていた千里ちゃんに、藤吉さんがキスをする。
千里ちゃんは目を閉じてそれを受け入れた。
「んっ、はる、み…」
お互いに舌を絡ませ、その水音と甘い声で私にその姿を見せ付ける二人。
「気持ち良さそう…」
そんな事を考えて、つい物欲しそうにしてしまう。
やがて唇を離した藤吉さんが私のその様子に気付くと、私の唇に指を当てた。
「…!」
「ごめん…、キスは、ダメ…ね?」
薄く頬を染めて、照れ臭そうに言った。
途端に自分が恥ずかしくなる。
497エキストラ:2008/03/23(日) 23:08:07 ID:lG814iUb
「ご、ごめん…」
「ん、いいのいいの、千里、すっごく可愛かったもんねぇ」
「…うん、千里ちゃんがあんなにしおらしくなるなんてビックリしちゃった」
「でしょ?普段もこれくらいしおらしいと助かるんだけどな〜」
「よ、余計なお世話よ!」
乱れた服を直しながら千里ちゃんが言った。
でもその頬はまだ微かに蒸気している。
「奈美ちゃん」
「ん?」
「また今度一緒にしよっか?」
「えっ?」
さっきまでの行為が頭の中をグルグル回る。
あのドキドキをまた味わえるなら…。
でも…
498エキストラ:2008/03/23(日) 23:08:52 ID:lG814iUb
「んー、でもやめておこうかな」
「え、なんで?」
「だって…、あんまり二人を邪魔しちゃ悪いからさ
やっぱり二人っきりの方が幸せそうだもん」
千里ちゃんが振り向きもせず顔を真っ赤にする。
「そっか…、よかったね千里、これでまた私を独り占めできるよ♪」
「べ、別にそんなんじゃ!」
「ふーん、じゃあ千里は今日みたいに奈美ちゃんと二人で攻められるのが良いんだ〜
千里エッチ〜♪」
「そういう意味じゃない!」
必死に否定する千里ちゃんを、手慣れた様子でたしなめる藤吉さん。
私はそんな二人を眺めながら微笑ましく思った。
ふと外を眺めると、校庭の桜の木の蕾が僅かではあるが花を咲かせていた。
春休みにみんなでお花見なんてのも悪くないかな。

春はまだこれからだ。
499あとがき:2008/03/23(日) 23:28:40 ID:lG814iUb
いきなりミスった…orz
>>482冒頭の被った部分はカットしてください…>まとめブログ管理人様
一応カップリングは「晴美×千里+奈美」って事でよろしいでしょうか?

↑でも書きましたが前のお二人(もちろん他の職人さんも)が素晴らし過ぎて、
自分の欲望垂れ流しを投下して良いものか迷ったのですが、
何事も初めは勢いが大事と思い切って投下させていただきました。
いかがたったでしょうか…
初めてながら変則的なパターンで苦労しましたが、精進してまたなにか書けたらなと思います。
長々とお付き合い頂きありがとうございますm(__)m
500名無しさん@秘密の花園:2008/03/24(月) 18:42:35 ID:mmDm3QWs
GJ!
どっちも晴美ちゃんが良いよー
愛されてるか不安で、わがまましすぎて全部壊しちゃうのも
可愛い千里を自慢したくてしょうがないのも
もちろん千里と奈美も
あと、なんか奈美の立ち位置がツボった…複数百合も良いよね
501名無しさん@秘密の花園:2008/03/24(月) 23:55:23 ID:r+x0IxJx
ご両人共GJ!たまにはビターな話もいいもんですな…
でもやっぱ切ない…

晴美いいなぁ
完全に千里と奈美を手玉に取ってる感じw
それでもキスは譲れないところに千里への愛を感じて萌えた…
502名無しさん@秘密の花園:2008/03/25(火) 03:20:08 ID:bQmwg2lf
千里かわええ
503名無しさん@秘密の花園:2008/03/25(火) 23:57:23 ID:cNxYDLf0
愛ちゃん総受けは?
504名無しさん@秘密の花園:2008/03/26(水) 01:11:27 ID:e+AFAfwE
あびる×愛ちゃんからはじめようか!
505名無しさん@秘密の花園:2008/03/26(水) 14:57:06 ID:IXXWMiBa
あびると愛ちゃんの接点ってなんかあったかな
102話の扉で愛ちゃんピッチャー、あびるキャッチャーとかやってたけど
あれ大草さんがキャッチャーだったら良かったなあ、大草さん×愛ちゃんで…
残念ながら大草さんは、ビール売ってらっしゃる
506名無しさん@秘密の花園:2008/03/26(水) 16:19:14 ID:l/Wf+zoO
>>505
先週のアニメで
愛の束ねた後ろ髪がピョコピョコ動くのをあびるが狙っていた
507名無しさん@秘密の花園:2008/03/26(水) 16:33:58 ID:j05AbB+2
>>505
後藤(強)と後藤(弱)じゃない?
508名無しさん@秘密の花園:2008/03/27(木) 15:30:33 ID:yet9KHNs
>>506
その流れで行くとこんな感じかなあ

「すいません、すいません、私が悪いんです!私の髪型が変だから!」

重度の加害妄想少女、加賀愛は彼女が動く度にピョコピョコ動く後ろ髪を、クラスメートのDV疑惑少女、小節あびるに掴まれて必死に謝っていた。

「許さない…」

「えっ!」

「こんな、こんな可愛いシッポみたいな… それがいつも私の目の前でピョコンと跳ねて… もう私我慢できない… 」

そのまま愛の束ねた後ろ髪をぐいと引いて、自分の手元に彼女を抱き寄せてしまうと、あびるは怯えている愛の顔をじっと見つめた。

「だから、今日から加賀ちゃんは私の物にする」

そのままあびるが愛の唇に自らの唇を重ねてしまうと、包帯だらけの両腕で、けが人とは思えない力で愛を抱きしめる。

そして彼女がまたいつもの「すみません」を連発しようとして、少し開いた唇に阿比留の舌が容赦なく入り込んで行く。
そのまま愛の舌を絡め取ると、まるでそこだけ独立した生き物のような動きをして柔らかい口腔を蹂躙し始めた。

みたいなw
509名無しさん@秘密の花園:2008/03/27(木) 16:08:19 ID:25sC4F63
なかなかステキじゃないか。
510名無しさん@秘密の花園:2008/03/27(木) 16:57:51 ID:89Jh7kZw
あびるは「むらむらしてやった。しっぽなら何でも良かった」的な扱いが多いな
511名無しさん@秘密の花園:2008/03/27(木) 19:53:17 ID:6EQKw81h
>>508
さらに先に進もうとすると、突然着信が

ピシッ、と固まるあびる
恐る恐る携帯のディスプレイを見ると…

『なにしてやがる…この、しっぽフェチ女』

あびるが振り返ると、そこには見なれたツインテールの少女

顔は怒りで真っ赤になり、目にはうっすら涙が浮かんでいる
手には彼女の必需品である携帯が握られ、その手がわなわな震える度に『しっぽ』のストラップが揺れた

「め、芽留…ちゃん?」



とか、浮かんできた
512名無しさん@秘密の花園:2008/03/27(木) 20:27:12 ID:8Olg5fts
てめーは俺を萌えさせた
513名無しさん@秘密の花園:2008/03/28(金) 05:22:22 ID:OSKbNeRM
>>511
…しまった。

目の前で怒りとやるせなさに震える芽留を見たあびるは必死に弁解しようとする。

「いやっ…あのね、これは…その」
『言い訳なんか聞きたくねーよ』
ディスプレイに浮かぶ文字は怒りそのものだった。

『オマエ、しっぽなら何でもいいんだな
オレに優しくしてくれるのもしっぽ目当てだったからか』

芽留の思いをぶちまけたメッセージを見て、あびるははっと我に返る。
芽留を傷付けてしまった事に急激な罪悪感が胸を支配した。

ぐっと唇を噛み締めて、その場を立ち去ろうとした芽留だったが
左腕に引っ張られる様な感覚を感じて動きを止める。
腕に目を向けると、包帯を巻いた手がしっかりと腕を掴まえていた。


あび芽留好きなので便乗させてもらいました!
このまま1本の話になる事を祈るww
514名無しさん@秘密の花園:2008/03/28(金) 07:26:48 ID:EaqQU7pn
大いなる期待。
とりあえず加賀さんが放置されっぱなのが気になったり
515名無しさん@秘密の花園:2008/03/28(金) 09:15:22 ID:1yRGBzya
>>513
芽留は捕まえられた腕をぶんぶんと振ってみたが
あびるの手は簡単に離れそうにない。

『離せよ』
空いている右手で携帯に文字を打ち込む。
「嫌だ、って言ったら?」
あびるがぎゅっと手に力を込める。

きっとあびるを睨み付けた芽留は携帯を握り締め
強く、強く文字を打った。

オマエなんか…

オマエなんか…

大っ嫌いだ。と打とうとするのに指が動いてくれない。
芽留の指は頑なにその文字を打つことを拒否していた。

くそっ…!
無理矢理でも振り払おうと手を振り上げた瞬間
あびるの後ろに隠れていた人物が叫び出した。


「や、やめてください!」

愛があまりにも大きな声を上げたものだから
芽留だけでなくあびるもびっくりして、芽留から腕を離してしまった。
腕が離れても、芽留は逃げようとはしなかった。
普段大人しいクラスメートの変貌にその場を離れる事が出来なかった、というのが正解だろう。

「わ、私が、悪いんです…私のせいで…お2人を喧嘩させてしまって…すいません、本当にすいません!」
声を震わせながら必死に自分の責任だと主張する愛。
その姿にあびるも芽留もどうしていいのかわからずに、呆然と立ち尽くす。


加賀さんを放置する流れを作ってしまった事を反省して
加賀さんに戻ってきてもらいました、誰か続きを!
516名無しさん@秘密の花園:2008/03/28(金) 09:31:52 ID:4O0SsLZW
さ…さんp
いや、なんでもない…
517名無しさん@秘密の花園:2008/03/28(金) 18:01:08 ID:YqRQKTEF
>>515

508です、まさか続きを書く人がいるとは思いませんでしたw

必死に謝り続ける愛に自然とばつの悪そうな表情をお互いに見交わす芽留とあびる。

『おまえのせいだぞ!どうすんだよ!』

芽留の電光石火のキー操作で非難されるあびる、思わず「ううっ」とたじろいで相変わらず謝罪を繰り返している
愛と怒りと困惑の入り交じった表情の芽留を交互に見て苦笑いを浮かべる。

むんずぱ!

無言でまた愛の細い身体を抱きしめるあびる、その様子をまた顔を真っ赤に染めてツインテールを逆立たせ驚愕の
表情で見つめる芽留。

『お、おま…』

芽留がまた怒りのメッセージを入れようとした途端、シュルと衣擦れの音がしてその小柄な身体に阿比留の包帯が巻きついた。

『な、なな…』

携帯を取り落としそうになりながらよろめく芽留は、そのままあびるの元に引き寄せられてしまう。

そして愛と供にあびるの包帯だらけの腕に抱えられる。

驚く二人があびるを見上げると「ごめん!全部私のせいだよね… 愛ちゃん、芽留… どんな罰でも受けるからゆるして!」と、
叫んで頭を下げる長身の包帯少女。芽留は『ごめんですむか』とキーを打ちそうになるが、不意に隣の愛が、
驚いて呆然としていた彼女がクスクスと笑い出すのを見てその指が止まる。

まだ続けたほうがいいかね。誰か続けてくれるなら大歓迎ですが
518名無しさん@秘密の花園:2008/03/29(土) 04:07:29 ID:K4vF7pry
>>517
おおお、続きGJ
オチまで考えてあるのなら、そのまま投下して完結させるのもアリかと。
誰かが書くだろう、ってな感じで放置しちゃうと他の人が書き込みにくいかもだし。
519名無しさん@秘密の花園:2008/03/30(日) 01:21:47 ID:MNCfUC86
>>518
それは責任持って腹を切れってことですねw
今、刀研ぐのを忘れてて切れ味が…
取り敢えず、切れ切れの投下ならなんとか。だから他の話を投下する方は、どうぞご遠慮なく。もし、投下の邪魔をしていたらお詫びします。

急に笑い出した愛を思わず同時に見た芽留とあびる、そのままふと視線があう芽留は怒った手前何だか気まずい。
しかし、これは阿比留の浮気が原因なのだ、だから私はもっと毅然とした態度でいて良いのだと慌てて思い直した。

『笑っている場合じゃないぞ!おまえキ、キスされたんだぞ!無理矢理に!このシッポ好きの変態に!』

画面に表示したメッセージを愛に向かって突きつける芽留、しかし愛はそれを読んでも少し複雑な表情で笑っていた。

「小節さんがシッポが好きなのは知ってました。でも、それよりも小節さん、音無さんが好きなんですね」

『な、な、な、何いってんだ!こ、こんな奴、俺は俺は…』

芽留の会話の道具である携帯画面は彼女の動揺すら、忠実に表している。

『こ、こんな浮気な奴、もう、もう知らん!』

愛に図星を付かれた芽留は怒りの焦点がぶれだして、顔をまた真っ赤に染めて彼女をを困った顔で見下ろしているあびると、
まだ困ったような笑顔で自分を見ている愛の視線を前に、段々怒りよりも困惑が強くなっていく。

「ともかく、私が隙だらけだから悪いんです、ごめんなさい、芽留さん」

その愛のいつものパニックに陥った謝罪とはちがう、落ち着いた言葉に芽留、そしてなによりあびるはますます心が痛くなる。



520名無しさん@秘密の花園:2008/03/30(日) 01:22:07 ID:MNCfUC86
取り敢えずここまでで今夜はお許しを
521名無しさん@秘密の花園:2008/03/30(日) 17:59:42 ID:kWkbLjYr
リレーに割り込んで悪いですが、>>456の続き
千里×晴美で、えっち

ハルチリ派だったのに書いてるうちにチリハルになってたのは、自分でも不思議
522五月バレのその後に:2008/03/30(日) 18:00:53 ID:kWkbLjYr
「千里の、ひと口ちょうだい」
「はい」
ぱくっと、千里の持つクレープにかぶりつく。
口の中にカスタードの甘さが広がった。
「お返し」
「……うん」
辺りを見回してから、千里が私のクレープを口にした。
こんなことは昔からやっていることなのに、周囲を気にして、
千里はなんとも照れた様子だ。
それはきっと、私達の関係がつい先日変化したせいなのだろう。


長い親友としての期間を経て、私と千里は恋人になった。
とても綺麗な形とは言えないけど、私は想いを千里に伝え、
千里はそんな私を受け入れてくれた。
嬉しかった。今でも、まだ信じられないくらい。

523五月バレのその後に:2008/03/30(日) 18:01:41 ID:kWkbLjYr
いつも通りの帰り道。
千里とおしゃべりをしながら帰る、いつもの道。
そういえば明日は祝日だった。
千里と、どこか行こうかな。
そんな事を考えながら、クレープを頬張っていた私に
千里が話しかけた。
「ね、晴美……今日、うちに泊まっていかない?」
クレープを飲み込み、千里の言葉を反芻する。
――今日、うちに泊まっていかない?
そう言った……んだよね?

千里の家に泊まったことは、何度もある。
ただ、それはどれも私達が友人だったときの話で、
恋人という関係になってからは初めてのことだった。
というわけで、なんというか……期待してしまう。
524五月バレのその後に:2008/03/30(日) 18:02:35 ID:kWkbLjYr
「それは……」
「なに?」
平静を保った風な千里だが、どこか落ち着かない。
これは、そういうこと、でいいのだろうか。

「んん……あのね、ちょっと耳」
「うん?」
千里の耳に顔を近づけて、ぽそぽそと小さな声で尋ねる。
「えっとね……その、えっちなこと……して……いいのかな?」
耳元で囁いた途端、千里は顔を赤くした。
「ご、ごめん。今の忘れて」
「……いいの」
その言葉が信じられなくて、自分の耳を疑った。
525五月バレのその後に:2008/03/30(日) 18:03:39 ID:kWkbLjYr
「えーっと」
「……いいの。ていうか、こんな所でそんな話しないでよ」
千里が、恥ずかしそうに顔を背けた。
「いいのか……」
「……」
「いいんだ……」
「……」
「いいんだよ……ね?」
「……」
千里が無言のまま、私の手の甲をつねった。

526五月バレのその後に:2008/03/30(日) 18:04:39 ID:kWkbLjYr
「お風呂、ありがと」
「うん」
お風呂からあがって千里の部屋に戻ると、
パジャマ姿の千里が、ベッドの中央に座って私を待っていた。
なんだか、あの日の事を思い出す。
そういえばこのパジャマも、千里が着ているパジャマも、
どちらもあの日着ていたのと同じものだ。

「……」
「どうしたの?」
「あの日みたいに誘ってくれるのかなー……って」
私の発言に少し顔を赤くした千里は、一呼吸おいた後、
ぽんぽん、と目の前のシーツを叩いて私を呼んだ。
527五月バレのその後に:2008/03/30(日) 18:05:35 ID:kWkbLjYr
正面に座った私を、千里が抱きしめた。
息がかかるほどのすぐ近くに、千里の顔がある。
なんだかいつもよりも千里が綺麗に見えて、すごくドキドキする。
「んっ……」
私の不安を取り除くように、千里が優しくキスをしてくれた。

「脱がすわよ」
「うん」
綺麗な千里の指に、ボタンを一つ一つ外されて、
パジャマの上を脱がされた私は、千里の前に裸の上半身を晒した。
千里が両手のひらで、私の胸を下から支えるように持ち上げる。
「重い……」
「え、ごめっ……ぅん」
むにゅむにゅ、と千里に胸を揉まれる。
その感覚は、ゾクゾクとした痺れをもたらしながら、
脳へと伝わっていき、千里から与えられる快感に私は溺れていく。
528五月バレのその後に:2008/03/30(日) 18:06:54 ID:kWkbLjYr
「あっ……ちり……んん……」
「きもちいい?」
「うん……うん」
「よかった」
小さく舌を出して、千里が私の胸の先端を舐めた。
「っや……ぁぁ」
「晴美、かわいい」
起伏に沿って、ぺろぺろと千里の舌になぞられて、
唾液でべとべとになった私の乳首を、千里がきゅっとつまんだ。
「やあっ……だめ……うぅ……ん」
ぷるぷると身を震わせる私の唇を、千里の唇が塞いだ。

「……ん……はぁ、はぁ、千里……」
「なあに?」
「千里の、も……」
「うん、わかった」
529五月バレのその後に:2008/03/30(日) 18:07:56 ID:kWkbLjYr
千里が服を脱いで、小ぶりだけどとても綺麗な胸が顔を出した。
「うわ……」
ドキドキする。ひどく興奮する。きっと、それは千里も同じ。
千里は顔を朱に染めて、ちょっと落ち着かない様子だった。

「触っていい?」
「うん」
おずおずと指を伸ばして、千里の胸にそっと触れる。
千里の胸は、小さいながらもとても柔らかで、
触れた指が吸い込まれてしまいそうな感覚を覚えた。
530五月バレのその後に:2008/03/30(日) 18:08:45 ID:kWkbLjYr
一本から二本、二本から三本。
胸に触れる指を少しずつ増やして、千里の胸を手のひらで包む。
まだ触れただけだというのに、千里は手で口元を押さえて、
今にも漏れ出しそうな声を抑えているようだった。
どうやら、千里はとても感じやすいらしい。
試しに、ほんの少しだけ千里の小さな胸を揉んでみると、
千里が、「や」と小さく声を漏らした。
そして、試すつもりだった私の方も、その感触と、
千里の声にやられて、クラクラしてしまう。
531五月バレのその後に:2008/03/30(日) 18:09:41 ID:kWkbLjYr
「ちっちゃいでしょ?こんなのでいいの?
 晴美の方が、ずっと良いの持ってるじゃない」
甘い吐息の混じった声で、照れ隠しか千里がそんな事を言う。
「ううん、千里のおっぱい……ちっちゃいけど」
ふにゅふにゅと千里の胸を揉みながら。
「すっごくキレイ……それに、私のよりずっと柔らかいよ」
「あっ……んんっ」
「っ……ちり……触ってるだけで……私……」
好きな人の胸なのだから、特別なのだろうとは思う。
だからといって、まさか自分自身も女であるくせに、
胸を揉んで感動する、なんてことになるとは思ってもみなかった。
532五月バレのその後に:2008/03/30(日) 18:10:42 ID:kWkbLjYr
「ああー、でも、反則だよこれは」
顔を近づけて、千里の胸をはむっと口に含んだ。
唇と舌に触れる感触は、やっぱり信じられないくらい柔らかくて、
私は夢中になって、千里の胸の上で口を動かした。

「あっ……はぁ……はあ……」
ふと顔を上げると、千里は目尻に涙を貯めて唇をきゅっと結び、
シーツを硬く掴んで、ふるふると震えていた。
もはや座っている事すら辛そうな千里をベッドに寝かせて、
今度は特に敏感な場所、その胸のピンク色のつぼみを口に含んで、
ころころと舌で転がした。
「っっ!は……はるみ、もうちょっと……優しく……」
言われて、転がすのはやめて、舌の先で撫でるようにすると、
次第に千里の息遣いは、しっかりと甘さを含んだままで、
深く穏やかなものになっていった。
533五月バレのその後に:2008/03/30(日) 18:11:41 ID:kWkbLjYr
「ねえ、千里?」
「ふう……ん?」
「こっちも……いい?」
指を千里のおへその少し下辺りに添えて尋ねる。
「……うん」
緊張して口内に溜まった唾を飲み込み、
千里のズボンと下着に手をかけて脱がした。

「かわいい……」
千里のそこを目にした瞬間、思わず声が漏れていた。
吸い寄せられるように、私が指を千里の割れ目に沿わせると、
少しだけ濡れていたそこが、ちゅっと小さな水音を立てた。
私が、入り口付近で、前後に指を動かすたびに、
千里は身を震わせて、小さな声を漏らす。
534五月バレのその後に:2008/03/30(日) 18:12:36 ID:kWkbLjYr
「大丈夫?」
「きもち……いい」
何度も刺激しているうちに、次第に千里のそこもほぐれてきた。
しっかりと濡れてきたそこに、指をちょっとだけ入れてみる。
「あっ……」
「入れるよ?」
「うん」

つぷ、と千里の中へと指を差し込む。
熱くきゅうきゅうと締め付ける千里の中をほぐしながら、
指を奥の方へと進ませていく。
「んっ!あっ……やぁ……」
ある程度指を進ませた所で、動きを止めて、
少し千里が落ち着くのを待ってから、指を前後に動かし始めた。
535五月バレのその後に:2008/03/30(日) 18:13:40 ID:kWkbLjYr
ぐちゅぐちゅと水音をたてながら、指を動かし続けていると、
苦しそうだった千里の顔にも、少しずつ快感の色が混じっていく。
はぁはぁと息を荒げる千里は、時折囁くように私の名前を呟いて、
その度に私は、とんでもなく幸せな気持ちになった。

「はるみ……」
千里が哀願するように、潤んだ瞳を私に向けた。
全身に汗をにじませて、膝をがくがくと震わせる千里は、
もはや限界が近いようだった。
536五月バレのその後に:2008/03/30(日) 18:14:41 ID:kWkbLjYr
千里のお願いに応えて、指は動かしたまま、舌を使って
ぷくりと膨れた千里の最も敏感な所を舐めた。
「ひっ!?そこっ……だめぇ……やだ、やだっ……」
体を大きく反らせて、千里が絶頂を迎えた。
涙をこぼしながら、甘ったるい息を漏らす千里が、
可愛くて可愛くて、見ているだけで、どんどんたかぶってしまう。

「そんなにココ、よかったの?」
「ひゃっ」
絶頂の余韻の残る千里の体に触れて、敏感な突起を
指で軽く押しながら、ちょん、と舌でつついてみた。
「はぁ……千里……」
びちゃびちゃに濡れた千里のそこにキスをする。
間近で吸い込んだ千里の匂いは、鼻腔をくすぐり、
脳を揺らし、私をどんどんこの子に夢中にさせる。
537五月バレのその後に:2008/03/30(日) 18:15:36 ID:kWkbLjYr
「ちり、すき、だいすき」
ぐったりと脱力して、ベッドに沈み込んだ千里の体に浮かんだ
汗を舐めとるように、千里の全身にキスをする。
「晴美」
千里に呼ばれて顔を近づけると、千里が私を抱きしめて、
強引に私の唇を奪った。

一度唇は離されたが、すぐに角度を変えてまた重ね合い、
今度は千里の舌が私の唇を割って中へ入ってきた。
(うわ、ちり……)
絡み合う舌が気持ち良くて、私は何も考えられなくなってしまう。
538五月バレのその後に:2008/03/30(日) 18:16:53 ID:kWkbLjYr
千里が唇を離すと、まるで私の気持ちを代弁するかのように、
唾液が名残惜しそうに糸をひいた。
「……はぁ。今度は、私がしてあげるね」
「うん……」

膝を立てて脚を開く。その向こう側に千里が座った。
「濡れてる、ね」
屈んで、私の脚の間に頭を入れて、軽くキスをしながら言った。
ぴりっと全身に走った電気に、少しだけ不安を感じてしまう。
539五月バレのその後に:2008/03/30(日) 18:18:01 ID:kWkbLjYr
千里の指が私のそこに触れて、左右に割れ目を広げた。
自分の中を千里に見られて、そのあまりの恥ずかしさに
おかしくなってしまいそうだ。
だけど、それと同時に、こうやって千里の前に自分の全てを
さらけ出して、完全に身を任せてしまっているような感覚が、
なぜだかとても心地良かった。
(うぅ……見られて気持ちいいなんて、ちょっと変態っぽい……?)

互いに高めあう羞恥心と快感に翻弄され、顔を横に向けて、
ぎゅっと目を瞑った。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、くす、と小さく笑って、
千里が私の中へと舌を侵入させた。
540五月バレのその後に:2008/03/30(日) 18:18:50 ID:kWkbLjYr
くちゅくちゅと音を立てて、千里の舌が私の中で動いている。
そのあまりの気持ち良さに、ひぇ、なんて変な声をあげてしまった。
千里の舌から与えられる快感に、全身が弛緩していく。
思考もぼやけはじめ、夢の中にでもいるかのような錯覚を覚えた。

「ココ……気持ち良かった。晴美にもしてあげるね」
「あぁっ!?んっ……そ、れ」
私がしたように、千里が指で私の中を掻き回しながら、
舌を使って私の突起を刺激した。
気が狂ってしまいそうな強烈な快感が、波となって押し寄せて、
視界にチカチカと星が瞬き、私は絶頂を迎えた。
541五月バレのその後に:2008/03/30(日) 18:19:43 ID:kWkbLjYr
「あ、はぁ……いっちゃ……った」
余韻に浸って震える私の横に千里が寝転んで、優しく微笑み、
そっと私の頬を撫でて、おでこにキスをした。
「ちりぃ……」
「あっ……ん、もう……」
千里に抱きついて、赤子のように胸に吸いついた。
千里は、そんな私の頭を抱えて、優しく撫でてくれた。

「ちり……だいすき」
「私もよ……大好き」
私は、また千里の胸に顔を埋める。
そこは、とても暖かくて、心地良くて……

542五月バレのその後に:2008/03/30(日) 18:20:36 ID:kWkbLjYr
「う……ん?」
「あ、おはよ、晴美」
目が覚めると、そこはいつも通りの千里の部屋。
千里は、テーブルでお茶と一緒に本を読んでいた。
その光景が、あまりに普段通り過ぎて、まるで昨日のことは、
夢だったんじゃないか、とさえ思ってしまう。
だけど、そんなことはありえない。
もし、そうだとしたら、恋人の家とはいえ、何もないのに
全裸で寝ていた私は、とんでもない痴女だ。
543五月バレのその後に:2008/03/30(日) 18:21:44 ID:kWkbLjYr
「お風呂、沸いてるよ」
「千里は、もう入ったの?」
「あなたが寝てるうちにね」
「そっか」
私の顔を見て、千里がくすっと笑った。

「一緒に入りたい?」
「いいの?」
「ええ、きっちりキレイにしてあげるわよ」
「ふふ、えへへへ」
「もう、またそんな顔して……」
そう言って千里が少し困った顔をする。
だけど、そう言う千里も、さすがに私ほどではなかったけれど、
少しだけニヤついた顔になっていた。
544名無しさん@秘密の花園:2008/03/30(日) 18:23:38 ID:kWkbLjYr
前のエピソードから考えた結果、千里×晴美に落ち着きました
イメージとしては、従順で甘えんぼな忠犬とその飼い主
どっちもそのつもりなんで、全ての決定権が千里にあって覆ることもないけど
飼い主の方、触られるのにすごく弱い、とかそんな感じ
545名無しさん@秘密の花園:2008/04/01(火) 00:52:30 ID:aTS/PzXQ
あびる受け激しく希望
546できない(上):2008/04/01(火) 18:07:21 ID:KCYzBQ1o
 ここ最近の三珠真夜の「ある」行動に加賀愛は頭を悩ましていた。
だがそれを説明する前にまず、今から一ヶ月前の話をしなければならない。

三珠真夜は素行が悪く、たくさんの人に意地悪という名の危害を加えてきた。
それは2のへ組のクラスメイト達も被害を受けていたし、加賀愛も例外ではなかった。
しかし殆どの人は誰も被害を受けても真夜の責任と思う人間はいなく、違う人の責任と思うことが殆どだった。
だが愛の場合、被害を受けても被害を受けたのは自分が悪いからという、彼女独特の加害妄想で真夜に必死で謝罪をした。
それは真夜にとって意外な反応であったし、同時に愛が真夜の意地悪を認めたという、
他の人が気付いてくれなかったことを愛だけが気付いたことへの嬉しさも一緒に湧き上がってきた。
それからというもの、真夜の意地悪の標的を向けて頻繁に意地悪をした。
初めのうちは本当に可愛らしい些細なものだったが、それは徐々に派手さを増していって金属バッドで殴られかけたときもあった。
後ろに気配を感じて振り返ったら、真夜が愛の頭目掛けてバッドを振りかぶろうとしたときは、愛は一瞬死を覚悟した。
いくら加害妄想少女とはいえ、いくら頭を悩ませても真夜に対して何かをしたということが思い浮かばなかった。
愛は意を決して本人に問い詰めてみることにした。
547できない(上):2008/04/01(火) 18:08:49 ID:KCYzBQ1o
ある日の放課後、愛は人気のない学校の裏まで真夜を連れてきた。もう学校にも生徒はほとんどいないので、もしここで真夜に襲われたら助けを呼ぶことができないことに気付いたのは後になってだが・・・。
愛は自分よりも少し背の低い真夜を見ていた。真夜の狐のような目は愛の目を見つめて離さなかった。
愛はだんだん怖じつけづいてきたが、ここで理由を確かめないと後々恐ろしいことになると思った、愛は震える声で真夜に聞いてみた。
「真夜さん・・・わ、私の悪いところがあったら言って欲しいんです・・・?
 私が悪いから真夜さんをお怒りにさせていると思うので、話してもらえれば、私、ちゃんと直しますから・・・」
真夜はすぐに答えなかった。だが一呼吸置いて、真夜は静かに言った。
「あなたの悪いところなんてない」
「じゃ、じゃあ・・・どうして今まで・・・」
548できない(上):2008/04/01(火) 18:10:02 ID:KCYzBQ1o
真夜はじっと愛を見つめていた。
「私、好きなものには、いたずらしたくなる」
最初、愛は意味を理解できなかった。
「そ、それって、どういこうことですか・・・?」
「私はあなたを愛している」
そういうと小さな真夜の手が愛の体を抱きしめた。愛の頭はパニックになった。
真夜から嫌われているという考えを持っていたのに、まさか嫌いではなく、好き、愛していると言われるとは思ってもいなかった。
愛は顔を真っ赤にさせながら首を横に振った。
「そ、そんな!私みたいなものが好きなんて!そんな・・・」
「私、あなたの返事が聞きたい」
549できない(上):2008/04/01(火) 18:11:35 ID:KCYzBQ1o
真夜は表情を変えず、短く聞いた。
その時、愛の心の中で二つ考えが思い浮かんだ。
一つは自分みたいなものが好くことの、真夜に対してとても申し訳ない気持ち。
そして、もう一つ。愛は全てに対して謝罪の気持ちを持って生きてきた。
誰かが言ったわけでもないのに、全てを自分のせいにしてきた。
だから愛は、自分は誰からも好かれていなく、むしろ嫌われていると思って生きてきた。
そんな愛にとって自分を好いてくれるといった人は真夜は初めてで、心の中では本当に嬉しいという感情でいっぱいになった。
そして素直に思った。
「わ、私は・・・う、嬉しいです!」
それを聞くと真夜は軽く微笑んだ。愛も顔を真っ赤にさせながらも笑顔で返して、愛も真夜を抱きしめた。
550名無しさん@秘密の花園:2008/04/01(火) 18:15:22 ID:KCYzBQ1o
そんなに長い話でもないですが、3つぐらいに分けて小出しします。
初めてなんで読みにくいところがあるかもしれませんが、
大目に見てもらったら嬉しいです。

さて、真夜×愛に需要があるのか・・・
551名無しさん@秘密の花園:2008/04/01(火) 20:09:04 ID:levKUZZQ
アリアリ!アリアリアリアリ!
552名無しさん@秘密の花園:2008/04/01(火) 21:38:13 ID:Ob6T3zqj
フィーバー!
553名無しさん@秘密の花園:2008/04/01(火) 22:02:36 ID:qUyIFTFe
アリと言わざるをえない
554名無しさん@秘密の花園:2008/04/02(水) 00:00:15 ID:h2ABJm+w
うおおおおお!!!

い、いかん。興奮してしまった。
ともかくも超GJ
555名無しさん@秘密の花園:2008/04/02(水) 22:04:21 ID:vPTtHln6
最近投下が増えてこのスレも盛り上がってきてるみたいで喜ばしい事です。
みなさんの創作意欲に触発されて、自分も投下させてもらいます。

今回は「桜」をテーマに、いつもの3カップリングでまとめてみました。
クリスマスやバレンタインと違って期限がないので一気に投下、ではなく
様子を見ながら、2、3日ペースで3本投下させてもらう予定です。
今回は可符香×カエレで桜にまつわる話です。
よろしければしばしお付き合いください。

556華爛漫〜Flowers〜:2008/04/02(水) 22:08:24 ID:vPTtHln6
その存在は、そこに在るだけで場の雰囲気ががらりと変わる。


ムードメーカーなんて言葉があるけれど
そんな言葉じゃ足りないほどの人物を、自分は知っている。


新学期が始まってすぐの席は、窓側の後ろから2番目の席だった。
退屈な授業の合間に、窓の外へ視線を送りその景色を眺める。
教室の窓から見える景色なんて言っても
そうそう変わり映えもしないし、大して面白くも無いのだが
この時期に限ってはこの場所がいい場所だ、とカエレは思った。

校庭の一角に固まる、淡いピンクの光景。
窓から見える校庭の桜はこれでもかと咲き乱れていて
その淡い色がまぶしいほど目に飛び込んでくる。
ひらりと風に舞う桜が散るのを見つめては、どこか切なくなる。

「桜…ね」

咲き乱れる桜を見ながら、カエレがぽつりと呟いた。
自分のいた国ではほとんど見ることの無かったせいか
この花が咲き始めると何故か心が惹かれる。
この国に来て、もう何度も見ているはずなのに、だ。
見ていると心が落ち着くというか、安心するというか
日本人でもない自分が柄でもないな、と思いながら自分を笑った。

「何見てるんですか?」
声と共に、頭が少し重くなる。
「その質問はそこからどいてから答えるわ」
その言葉に、むぅと唸った可符香はしぶしぶカエレの頭に乗せた腕を下ろした。
557華爛漫〜Flowers〜:2008/04/02(水) 22:13:31 ID:vPTtHln6
「いいじゃないですかー」
ちょっとくらいは、と言いながら可符香はカエレの前の空いている席へ座った。
「重いし、邪魔」
可符香と視線を合わせずにしれっと言ってのけると
その視線の先を可符香も追いかける。

「あ、桜を見てたんですねー」
窓の外の桜を見ながら、可符香が笑う。
その笑顔にカエレは一瞬、頭の中がぐらついた。
何だろう、何かに似ている、この感覚は。

窓の外を見つめていた可符香が、ゆっくりと
ゆっくりとこちらを向いた。
ほんの数秒の動きが、とても長く感じる。


目が合った瞬間、にこりと笑った可符香に
背筋を何かがぞくりと走り抜けた。
その言葉にし難い感覚にカエレは無意識にあ、と小さく掠れた声を上げると
可符香はゆっくりと笑みを消していく。
笑みが完全に消え去った後、今度は唇が軽やかに動き始めた。


「桜が何故あんなに綺麗な色で咲くと思いますか?」
可符香の、少し冷たい声がカエレの耳を通る。
目の前の可符香の虚ろな、ガラス玉のような目にカエレが映り込む。
時が止まったみたいに、重い空気が圧し掛かった。
その感覚にごくり、と息を呑むと、可符香はにい、と口角を上げて目を細める。


「桜の木の下には、死体が埋まってるから」


どくん。
可符香の言葉にカエレの鼓動がこれでもかというほど跳ねた。
558華爛漫〜Flowers〜:2008/04/02(水) 22:22:46 ID:vPTtHln6
「そ…それ、は…どう、いう」
血の気の引いたカエレに気付いた可符香は目を閉じる。
再び目が開かれた時、今度はいつもの笑顔を見せた。

「って、小説の一説なんですけどね」
にこにこと笑いながら言う可符香に、カエレは一気に身体の力が抜けた。
死体が埋まってるとか、そんな事よりも
可符香が見せたその背筋が凍るような視線に感じたものが
自分の中でも形容し難い感情だったからだ。

あの表情を見た自分は体全体が震え上がるほどの大きな戦慄が駆け巡るのを、感じた。
しかしそれは恐怖とはまた違った感情。

そうだ。
この感覚は、あれ、に目を奪われるのと同じ感覚だ。

無意識にちらりと窓の外の桜達を見た。
さっきと変わらずまぶしく煌く、桜の木々達だったが
何本も植わっている桜が束になってもこの子には敵わない、とカエレは強く心に思った。
再び視線を可符香へ戻すと、深く、深い溜め息を吐く。

「怖かったですか?」
「…ある意味ね」
カエレの言葉の意図には気付かなかったらしく、冗談ですよ、と笑い飛ばした。

「でも、私はこう思うんです」
そう言って可符香は肘を突いて、両手の指を絡ませたその上に顎を乗せた。

「あの桜達の綺麗な色は、みんなの恋する気持ちなんじゃないかなって」
そう言ってきらきらした笑顔で笑う。
「…何それ」
「春は出会いの季節ですから、恋の季節ですよ」
ぴこっと立てた人差し指がくるくると円を書く。

「桃色ガブリエルも今年は去年よりも綺麗な色ですよ」
「ガブリ、エル?」
聞きなれない言葉にカエレが聞き返すと、可符香はぐっと身を乗り出した。
559華爛漫〜Flowers〜:2008/04/02(水) 22:27:04 ID:vPTtHln6
「通学途中に桜がたくさんあるでしょう、あれの一番大きなのが桃色ガブリエルですよ」
「はぁ…」
嬉しそうに笑う可符香は、さっき見せたような戦慄の姿は見えない。
溜め息を吐きながら窓の外を見やると、桜が風に揺れて花びらを散らしていた。

「今年の桃色ガブリエルがあれだけ綺麗なのは」
その何気ない可符香の言葉にカエレが不意にそちらへ顔を向ける。

「去年よりもカエレちゃんのことすきになったから、ですよ」
「…はいはい」
そう言ってカエレはまた窓の外を見た。

「もー、どうしていつもそうやってはぐらかすんですかぁ」
「あなたがいつもいつもしつこいからでしょう」
「だって、だって…」
その言葉に可符香は語尾を濁し、ずるずると机へと突っ伏した。

「何よ」
「だって、すき、なんですもん」
語尾をうにゃうにゃと濁しながらの言葉はくぐもってよく聞こえない。
やれやれ、と呆れつつも、拗ねた可符香がきゅう、と机に突っ伏してるのを見て
カエレは無意識に可符香の頭へと手を伸ばす。
その手をゆっくりと近付けて
もう少しで頭に触れるところで、突然可符香が身体を起こした。

「そうだ!」
驚いたカエレは手を返して顔の前辺りでぴたりと止め、同時に動きもフリーズさせた。

「どうしたんですか?その手」
可符香に指摘されて、カエレは目だけを自分の手へと視線を移す。
そしてすぐに何かをかき消すように手を降った。
「な、んでもないわ、よ…」
頭に疑問符を浮かべた可符香だったがすぐに話を切り換える。

「今日の帰りに見に行きましょう」
何を?と聞かなかったが、おそらくその時の自分はそういう顔をしていたのだろう。
間髪を入れずに可符香が続ける。
「桃色ガブリエルですよ」
そう言って可符香はにっこりと笑った。
560華爛漫〜Flowers〜:2008/04/02(水) 22:37:10 ID:vPTtHln6
「どうせ帰り道ですしねー」
可符香の言葉は耳に膜が張ったみたいにぼんやりとしか
いやもうほとんど聞こえてなかったような気がする。

カエレの身体を駆け巡る感覚が今までにないほど
強くて、大きくて、それでいて熱い、
言葉にするにはあまりにも難しい感覚だった。

「カエレちゃん?」
目の前でひらひらと手を振る動作が見えて
カエレはようやくその感覚から開放された事に気付いた。

「あ…」
「大丈夫ですか?具合悪いとかですか?」
心配そうに顔を見つめてくるその表情は泣きそうで
カエレは思わず顔を逸らした。

「大丈夫よ、何でもないわ」
「じゃあ、今日の帰りに見に行きましょうね」
さっきとは打って変わって、満面の笑み。


…よくもまぁこんなにもころころと表情を変えるものだ。
その笑顔、泣き顔、全ての表情が心を捕らえて離さない。
咲き乱れる桜なんかよりも、よっぽど趣きがある。


目の前の彼女は、あの桜達を見ている時の
何ともいえない胸を満たしていく感じに似ていて
そして何故だか目の離せない、そんな存在へと
カエレの心の中でその姿を変えていっていた。
何時の間にか彼女の表情に、彼女自身にどんどん惹かれている自分がいるのだ。


そう、彼女は、可符香は四季が移り変わっていっても
1年中散る事がなく、いつだって咲き誇ってる、特別な『桜』みたいな人。


そんな彼女は今日も桜満開。



―END―
561あとがき。:2008/04/02(水) 22:42:00 ID:vPTtHln6
桜をテーマに話を書いてみよう企画・第一弾の
可符香×カエレでしたがいかがだったでしょうか?
桜の魅せるいろんな姿が可符香に通ずるなぁなんて思って書いてみた話です。
あとは「桜の下に死体が埋まってる」のセリフを言わせたかったってのも理由だったり。

あとあびる×芽留と晴美×千里の桜ネタもあるので
様子をみてこっそり投下させてもらおうかと思っています。
もしよければそちらも見ていただけたら嬉しいな、なんて。

それではここまでお付き合いいただきありがとうございました!
562名無しさん@秘密の花園:2008/04/03(木) 00:21:28 ID:GmWRL6iB
繊細で流麗な文章に、溜め息が漏れてしまいます。
桜の淡い色と、カエレの淡い恋心が重ねられていて素敵ですね。
胸を打つ作品を有り難うございました。
次回作品も期待させて頂きます。
563名無しさん@秘密の花園:2008/04/04(金) 00:19:56 ID:CKVur2mQ
同じく期待

そして毎回タイトルに音ゲ曲名が入ってるんだなw
564名無しさん@秘密の花園:2008/04/04(金) 00:25:30 ID:Br5HkTc/
激しくGJ!!
最近カフカエフィーバーでヤバい
565できない(中):2008/04/04(金) 19:02:34 ID:mRbXCSNl
 「加賀愛」と「三珠真夜」。例の告白があった後から、クラスでは彼女達が2人でいる光景をよく見かけることになった。
それを見ていたクラスメイト達は全く真逆の性格の2人が一緒にいることを不思議がっていたが、当の本人達は仲良くやっていた。
 
 2人は世間一般で言う「交際」を始めた。
だがそういっても何かするわけでもなく、一緒にお弁当を食べたり、一緒に手をつないで帰ったり、と
ただ仲のいい友達同士の普通の学校生活を送っているようにしか見えなかったが、
本人達、特に愛はそれだけできちんとした交際の形を送れていると思っていた。
2人の交際が始まってから、愛に変化が見られた。
以前は落ち着きがなく常に誰かの邪魔にならないようにおろおろしていたが、
今はとてもにこにこしながら真夜のそばにいた。
だが真夜の方は依然として口数は少なく、表情もあまり変える事はなかった。
だがそれはもともとの真夜の性格であることは愛もわかっていたし、不満に思うようなことはなかった。
ただ2人で仲良くいれることが愛にとっては嬉しかったし、真夜も口では言わないが、心の中ではそう思っていた。
566できない(中):2008/04/04(金) 19:04:02 ID:mRbXCSNl
 だがあの事件があったのは、告白があってからきっちり3週間後のことだった。
いつもと同じ超ネガティブ教師の慌しい授業が終わり、登下校を促すためのチャイムが鳴った。
窓の外の真っ赤な太陽は教室内を照らして、もうすぐに町の中に消えてしまいそうだった。
2のへ組の生徒達は皆各自で帰ろうとしていた。愛も同じように真夜と一緒に帰るため、真夜の机の方へ向かった。
「真夜さん、帰りましょう」
それを聞いた真夜は顔を愛の方へ向けたが、自分の席から動こうとしなかった。
「どうしたんですか?」
そう言うと真夜はすっと立ち上がって、愛の手をぎゅっと握り締めた。
「ついてきて欲しい」
そう言うと真夜はそのまま愛を引っ張りながら教室を出てしまった。
有無を言えずに引っ張られている愛は少し不安になってきた。
(ど、どうしよう・・・私、真夜さんに何かしてしてしまったんだわ・・・
 せっかく仲良くなれたのに、あぁ、どうしよう・・・)
治ったと思っていた愛の加害妄想がまた愛の頭の中でぐるぐる周り始めた。
その間に真夜は何も言わずに、ずんずんと廊下を歩いていった。
567できない(中):2008/04/04(金) 19:06:06 ID:mRbXCSNl
 真夜が立ち止まった場所は、女子トイレの中だった。
トイレの中には人はいなく2人だけしかいなく、向かい合っていた。
連れてこられたのは良いが、何も喋らない真夜に愛は不安を感じた。
「あの・・・真夜さん・・・私、また何かしてしまいましたか・・・?」
そう聞くと返事は返ってこなかったが、行動が返ってきた。
真夜は愛の肩を持ち、愛の後ろの方の壁に押されて、二人はとても密着した状態で壁の方にもたれ掛った。
真夜は愛の顔に自分の顔をぐいっと近づけた。愛はいきなりのことに驚いたが、
それよりも当たりそうなくらいに近づいた真夜のじっと愛の目をみている視線に恥ずかしさのほうが大きかった。
「あ、あの・・ま、真夜さん・・どうかしましたか・・・?」
そこからの行動は一瞬のことだった。真夜は顔をそっと愛の方に更に近づけ、唇と唇を合わせた。
あまりにも突然のことに愛は身動きができなかった。愛は驚きと恥ずかしさで顔を赤らめた。
「ん!んんんっっ・・・」
愛は真夜から逃げようとしたが、真夜の腕が愛を抱きしめ離そうとしなかった。
(真夜さんにキスされてる・・・真夜さんにキスされてる・・・)
唇と唇が触れ合っているだけのキスから、真夜は徐々に愛の口に舌を入れて、
下同士を絡めていった。それはとてもゆっくりで、抵抗できない愛はなすがままに受け止めた。
2人にとってはとても長く感じられたキスがよるやく終わった。
いつもは無表情の真夜も少し顔を赤らめていたが、愛はそれ以上に真っ赤になっていた。
「そ、そんな真夜さん!!いきなりだなんて!」
さすがの愛も語調を強くして言った。
「嫌だった?」
だが真夜はいつもどおりの声のトーンで返ってきた。
突然のことだったが真夜のことが好きな愛にとっては嫌なものだったとは到底思えなかった。
「私は!そ、その・・・い、嫌じゃありませんけど・・・」
「そう、良かった」
そういうと真夜の顔が少し緩んだ。愛もその顔を見ると笑みがこぼれた。
568できない(中):2008/04/04(金) 19:06:48 ID:mRbXCSNl
穏やかな時間が一瞬流れたが、真夜はすぐに行動に移った。
真夜は愛の制服の中に手を突っ込んできた。
「な、何をするんですか・・・!」
愛はすぐさま真夜の手を止めて、抵抗した。
「あなたを抱く」
そう言って愛の手を振りほどこうとして侵入を続けた。
「ま、真夜さん!そ、それだけは駄目です!」
だが真夜は聞く耳持たず、腕の侵入を続け胸に触れようとした
「お願いします!そ、それだけは!」
569できない(中):2008/04/04(金) 19:08:36 ID:mRbXCSNl
2のへ組の生徒、「木津千里」と「藤吉晴美」は登下校の道を2人仲良く帰っていたが、
途中で晴美が学校に自作同人誌の原稿を忘れたことに気付いた。
きっちりしていない!、と幼馴染の千里になじられるも、晴美は学校まで取りに戻った。
もう学校内には生徒がほとんど生徒がいなく、非常にがらんとした様な印象を受けた。
晴美が教室に向かう際に、女子トイレの方で何か騒ぎあっているのが聞こえた。
興味本位で女子トイレの方を覗いてみた。するとクラスメイトの加賀愛と三珠真夜が2人で抱き合っているではないか。
2人がここ最近仲が良いのは知っていたが、放課後に人目を盗んで抱き合うまでの仲だった、と晴美は思った。
だが少し普通と様子が違うようで、愛のほうは必死に真夜から逃れようとしているように見えた。
晴美は見て見ぬ振りをしようかと迷ったが、声をかけてみた。
570できない(中):2008/04/04(金) 19:10:36 ID:mRbXCSNl
「え、え・・・っと、何してるの・・・?こんなところ2人で」
いきなりの晴美の登場に愛も真夜も驚いた。もしかしたらキスの所も見られたかもしれない。
そういう考えが2人の脳裏を過ぎった。
「ち、違うんです!別に私達は何も・・・!」
愛は必死で否定した。すると真夜もこれ以上は続けられないとみて、愛の体を離した。
「ま、真夜さん・・・」
そして真夜はすぐに晴美の脇のを抜けて、立ち去ってしまった。
ずっとこのままでいるわけもなく、愛は乱れた制服を正して晴美に礼をして、逃げるようにして去った。
晴美は引きとめようとしたが、すぐさま愛もどこかに行ってしまった。
愛は走りながら、さっきの出来事を思い出して顔を赤らめた。唇はまだ真夜の感触を覚えていた。

 それからというもの、真夜は毎日愛にキスを迫った。
愛もそれに対しては答えたが、体を求められそうになると愛は必死で抵抗した。だが愛の抵抗も真夜に適わなかったが、
いつも危なくなりそうになると、誰か人が来たりするなどで最後までいたらなかったりする。けどそれもたまたま運が良かっただけで、
いつ襲われるかわからない。愛はまた以前のように真夜に対してビクビクし始めた。
(どうしよう・・・一回でも許してしまったら、主導権を真夜さんに握られて、毎日襲われるかも・・・)
別に愛は真夜と体を重ね合わせることは抵抗は無かったが、
真夜の性格上ベッドの上で恐ろしいことをされるのではないかということに対する恐怖があった。
愛はどうするか頭を悩ませた。だれかに相談するにしても、こんなこと誰に相談できる人など・・・と思ったとき、一人思い浮かんだ人物がいた。
571名無しさん@秘密の花園:2008/04/04(金) 19:15:03 ID:mRbXCSNl
思っている以上に書くというのが大変なことに気付きました・・・
自分の文で四苦八苦していますが、上のカフカエやハルチリの文はうまいなあと
感嘆させられています。まあ追いつけるように、日々精進したいと・・・

思った以上に長くなりました。次でおわりですので。
次はカフカエ書きたいな・・・
572名無しさん@秘密の花園:2008/04/04(金) 23:28:13 ID:fcez6fTr
凄い!
興奮しつつ、続きを待ってます。頑張って!
573名無しさん@秘密の花園:2008/04/04(金) 23:51:58 ID:d0g6d5rc
良いですね
流石です
574名無しさん@秘密の花園:2008/04/05(土) 11:14:13 ID:GPcKFf4+
「桜」をテーマに、いつもの3カップリングでまとめてみました。 第2弾です。
今回の主人公たちはあびる×芽留です。
相変わらずだらだらでいちゃいちゃの甘いものですが
よろしければしばしお付き合いください。

575FLOWERS for DEAR:2008/04/05(土) 11:20:19 ID:GPcKFf4+
しとしとと降り続ける雨。
空はどんよりと曇り、辺りは薄暗い。
雨のせいで人の姿もほとんど見られなかった。

「よく降るね」
どんよりとした空を見上げながら、あびるがぽつりと呟いた。
決して独り言ではない。
隣で携帯を握り締めるその人に向かっての言葉。

あびるの隣には芽留が並んで歩いていて、あびるの差す傘にちょんと収まっていた。
鞄を持ちながら傘を差して、携帯を打つ事が不可能なので
雨の日の帰りはあびるが芽留を傘に入れてやるのがお決まりになっていた。
…それもあびるの腕が怪我をしていない時に限っての話だが。
それでも最近はあまり酷い怪我をしなくなった。

以前腕を折って、それが治り切る前に今度は足を折った事があったのだが
その時の芽留がなんとも言えない心配そうな表情をしていたのが頭から離れなくて
なるべく怪我をしないように
動物達のしっぽを引っ張るように心掛けるようになったからだ。

「最近ずっと雨だね」
開いた傘の端からぽたぽたと滴が流れ落ちる。
その滴が芽留を濡らさぬ様に、あびるは傘を持つ手を少し自分の方へと傾けた。
傘に溜まっていた水が、一気に地面へ落ちる。

その滴が落ちるのを見た芽留は
ちらりと傘越しに空を見てから、すぐに携帯へと視線を移す。

『せっかくの桜が散るな』
そう打ち込まれた携帯をあびるにちらっとだけ見せた。
その文字が芽留にしては珍しい言葉だったのであびるは少し驚いた。

「芽留ちゃん桜好きなの?」
あびるの言葉に芽留ははっとした表情をして、ふるふると首を振る。
『別にそんなんじゃねーよ』
携帯にはそう打ち込まれていたが、あびるにはそれが嘘だという事に気付いた。
「私は好きだな」
あびるの言葉に小首を傾げる芽留。
「ん?ああ、桜の話ね」
あびるがそう言うと芽留は安心したかのようにふぅ、と息を吐いた。
576FLOWERS for DEAR:2008/04/05(土) 11:24:51 ID:GPcKFf4+
「何、今の溜め息」
その様子がおかしくてくすくすと笑ってしまう。
芽留はむーっと顔を膨らませて抗議の目をあびるに向けた。

「ごめん、ごめん」
今両手が塞がっていなければ、芽留の頭を撫でたであろうあびるは
拗ねる芽留を言葉でなだめて、相変わらず灰色の空を見上げた。

それと同時に芽留がふと足を止める。
それに気付かなかったあびるは数歩先を歩いてしまい
芽留への雨粒をかばっていた傘が取り払われてしまった。
空から落ちる滴が芽留の身体を少しだけ濡らす。

「あ…」
急いで足を止め、数歩後ろで立ち止まる芽留の元へと足を戻す。
自分を濡らす雨粒なんか気にしていない芽留は
その視線を斜め上へと固定したまま、神妙な表情を浮かべる。


視線の先には、桜。


足元に作り出された水溜まりには
雨粒に落とされたであろう花びらがたくさん散っていて
今もなお、時折はらりと落ちる花びらが水溜まりへ吸い寄せられる。
それを見た芽留は表向きいつもと変わらない様子だったが
その裏で何とも言えない歯痒そうな表情を秘めていた。

「大丈夫だよ」
そんな芽留を見ていたあびるがぽつりと呟いた。
その声を聞いて芽留はふい、とあびるに目をやる。

「まだたくさん咲いてるし、雨もずっとは続かないよ」
そう言ってやわらかく微笑むあびるを
芽留はぴたりと微動だにせずじっと見つめた。

「芽留ちゃん、桜好きなんでしょう」
だからそんなに心配してる。
「優しいんだね」
あびるの言葉に芽留は携帯に文字を打とうと
自分の胸の前に引き上げたが
少し考え込んでから、その手を下ろしてしまった。
577FLOWERS for DEAR:2008/04/05(土) 11:27:54 ID:GPcKFf4+
「私が神様だったら絶対雨なんか降らせないのにな」

その言葉に芽留は弾かれたみたいにあびるを見た。
「だって芽留ちゃんの悲しそうな顔なんて見たくないもんね」
そう言って微笑むあびるをしばらく見つめた後
芽留は目を細め、怪訝そうな表情を見せる。

「あれ?なんか怒ってる?」
芽留の表情の意味がわからないあびるが尋ねると
芽留はすぐさま携帯へ文字を打ち込む。

『オマエが神様だったら、職権乱用でしっぽ引っ張り放題だな』
その文面が何故だか妙に面白くてあびるは吹き出してしまった。

「確かにそうかもね」
そう言って再び傘に溜まった水を払い落とす。
納得するなよ!と言いたげな芽留の表情を見てまた吹き出す。
何度も笑いを堪えられないあびるに芽留は面白くないといった顔をした。
その表情を見て、今度はあびるが目を細めてにやりと笑う。

「あれでしょ?」
何が?という表情で答えを返した芽留にあびるは言葉を続けた。
「それって他のしっぽへのヤキモチじゃない?」
その言葉に芽留は、はぅっと小さく声を上げてあびるを睨んだ。

「あれ、図星かな?」
からかうみたいに言うと芽留はふいとそっぽを向く。
どうやら拗ねてしまったようだ。

「だってさ、いくらなんでもそこまでしないよ」
『いや、オマエならやりかねない』
芽留の気持ちが打ち込まれた携帯を見て、あびるは目を細めた。

「だって」
そう言ってあびるは鞄を無理矢理傘と一緒に持ち
空けた手を芽留の頭へ持っていった。
そして綺麗に手入れされているツインテールの片方に指を通す。

「これがあれば幸せだもの」
一束持ち上げられた髪がさらりと指からこぼれ落ちる。
ね?と首を傾げるあびるをきょとんと見つめていた芽留の顔がだんだんと赤みを増していく。
578FLOWERS for DEAR:2008/04/05(土) 11:31:48 ID:GPcKFf4+
「芽留ちゃん、ほっぺが桜みたいだよ」
そう言ってちょんと芽留の頬をつつくと
芽留はうーっと唸りながら、あびるを睨んだが
そしてそのままゆっくりと俯く。

反撃してこない芽留を不思議に思い様子を伺っていると
芽留はゆっくりと桜の方を見やり、やはり鬱屈な表情を浮かべた。

「大丈夫だよ」
そう言ってあびるは芽留の気持ちを引っ張り上げる。
「晴れたら一緒に見ようね」
その言葉に桜を見たまま、芽留はこくりと頷いた。
へ組みんな誘ってお花見もいいね、と言うとうるさいのは嫌だと芽留が主張する。

「またそんな事…本当は淋しがり屋さんなのに」
あびるの言葉にばっと振り返った芽留は今度こそ文字を打ち込んだ。
『うるせーよ!』
「ほらほら、顔真っ赤だよ」
からかうように言うと、芽留は拗ねてふいとそっぽを向く。

「ごめんごめん」
怒らないでよ、可愛い顔が台無しだよと言うと
即座に文字を打ち込んで、あびるへと突き付けた。

『…よくそんな事言えるな、バカじゃねーの』
携帯に映し出された文字は無機質なものだったが
それが心底うざったいと思っているとは思えなかった。
芽留の態度がそれを物語っていたからだ。

「明日と明後日は晴れるといいね」
せっかくの休みなんだから。
あびるの言葉に、芽留はしっかりと頷いた。
やはりまだ不安げな表情を残していたものの
いつまでもここにとどまる訳にはいかないと、芽留はゆっくりと歩き出した。
それに合わせてあびるも並んで歩き出す。


心なしか雨足がほんの少し弱くなった気がした。


―――
579FLOWERS for DEAR:2008/04/05(土) 11:40:06 ID:GPcKFf4+
次の日、窓から差し込む光で目が覚める。
まだ気だるさの残る身体をゆっくりと起こして
カーテンを開くと、太陽の光が眩しかった。
昨日とは打って変わって、雲ひとつない空が広がっている。
空の青さが起き抜けの目に眩しかった。

「…晴れた」
芽留はきっと喜んでいるだろうなと、1人想像していると
ベッドサイドに置かれていた携帯が震える。
折りたたまれていた携帯を開くと
『新着メール 1件』の文字。

ボタンを押す前から、メールの主はわかっている。
確信を込めてボタンを押すと、やはり予想通りの人物だった。


『今日は桜が綺麗だぞ』

そのメッセージと一緒に送られて来たのは
昨日、雨の中2人で見上げた、あの桜だった。
鮮やかに咲き誇った綺麗な色が、携帯の写真からでも十分にわかる。

よかったね、と返信をしようとした途端、再び携帯が震えた。
あれ?と思ってメールの中身を覗くと

『オマエが神懸りな力を使ったなんて思っちゃいないけど
 それでも、今日が晴れた事には違いない。』

そこから少し長めに改行が続いて、もう一文。


『励ましてくれて、ありがとうな。』


そのメッセージを見ていたあびるは自然に顔がにやけていた。
「素直じゃないなぁ、ほんと」
携帯に向かって、くすくすと笑う。

携帯の向こうで拗ねたような、照れたような芽留の顔が容易に想像できた。
でも、今は想像の顔じゃなくて、その顔を直接見に行きたいと強く思う。

携帯を握り直すと、すぐに文章を完成させて
あの木の下で幸せそうに桜を眺めるであろう芽留へ向けて送信する。
そして急いで支度を始めて、家を飛び出した。


『今すぐ行くから、約束通り一緒に見ようね』

桜の下であびるからのメールを確認した芽留は
これからここに来るであろう人を思い浮かべ、1人こっそりと微笑んだ。



―END―
580あとがき。:2008/04/05(土) 11:46:39 ID:GPcKFf4+
桜をテーマに話を書いてみよう企画・第二弾の
あびる×芽留でしたがいかがだったでしょうか?
会話のさせ方が難しいので、会話部分がくどくなりがちで
毎回毎回反省ばかりの作品に仕上がってしまうのが大変申し訳ないで、す…。
推しカップリングなのに…もっとうまく書けるように精進せねば…orz

残りは晴美×千里の桜ネタがあるので
これも様子を見てこっそり投下させてもらおうかと思っています。
もしよければそちらも見ていただけたら嬉しいな、なんて。

それではここまでお付き合いいただきありがとうございました!

>>563
これが自分のこだわりですwイベント事はたまに例外もありますが。
いつもそれっぽい意味とか探して、ついつい付けてしまうのですw
わかってくださる方がいて嬉しいです、にゃまり。
581名無しさん@秘密の花園:2008/04/05(土) 12:36:51 ID:lJ+U7UfB
素晴らしいSSに感謝!

音ゲーといえば、前リクエストされてたsmileも待ってるぜぇ。
582名無しさん@秘密の花園:2008/04/05(土) 17:34:02 ID:QUkkYqO+
あなたのSSはいつも楽しみにしてます!
応援してますんで、期待して待ってます!
583名無しさん@秘密の花園:2008/04/06(日) 12:35:46 ID:5dQT6D18
>>477
氏の楓→カフカ×カエレっていうのがとても気になる……!
まだかなまだかなー
584できない(下):2008/04/06(日) 14:46:30 ID:pH5ch/W/
「・・・で、私に相談してくれたわけと・・・」
ある日の放課後、教室には加賀愛と藤吉晴美がいた。
「はい・・・もう晴海さんにしか相談できなくって・・・」
愛はうなだれるように言った。
「それは別にいいんだけど、何で私なの?
 2人がいちゃついてるところは見ちゃったから?」
「そんな!いちゃついてただなんて・・・」
愛は短く縛った後ろ髪を振って否定した。
「あの・・・晴美さんは千里さんと付き合っていらっしゃるから、
 こういう時どうすればいいか知ってると思いまして・・・」
「あぁ、なるほど!」
晴美は相槌をうったが、顔を真っ赤にしながら身を乗り出して、声を張り上げた。
「な!何でそのこと知ってるの!!?」
「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
それから愛は晴美をなだめるのに必死になった。やっと、落ち着きを取り戻したかと思うと、晴美は机に力無く倒れこんだ。
「ねえ・・・私達が付き合ってるって、ほかの人も知ってるの?」
晴美は力なく聞いた。
「恐らく、皆さん知ってると思いますけど・・・」
それを聞くと晴美はもう何も言わず、机に突っ伏して動かなくなった。
「あ、あの晴美さん・・・それで・・・」
愛は自分がどうすればいいかを聞いた。晴美はようやく顔を挙げた。
「あ、そうだった・・・で、何の話だっけ・・・?」
晴美はまだショックで頭がぼんやりしていた。
「だから、どうしたら私が真夜に襲われずにすむかということなんですけど・・・」
「そうだったよね。・・・それはね、愛ちゃん!」
585できない(下):2008/04/06(日) 14:48:02 ID:pH5ch/W/
「あ、あの真夜さん・・・今日、私の家に来ませんか?」
2人で帰り道を歩いているときに、愛が真夜に聞いてみた。真夜は黙って頭を立てに振った。
「あ、ありがとうございます!」
それから愛は真夜の手を握って、自分の家の方に案内した。
愛が真夜を引っ張っていったが、その時真夜は愛の顔を見ることができなかったが、愛の顔は真っ赤になっていた。
それから愛は自分の家につくまで、ずっと晴美からの助言を頭の中でシュミレートして、恥ずかしさで倒れそうになっていた。

「だからね、愛ちゃん!やられるまえにやっちゃうしかないの!」
「えーっと・・・晴美さん。それはどういう・・・」
愛はぽかんとしていた。すると晴美は愛にぐいっと近づいた。
「いい、愛ちゃん!愛ちゃんはどう見ても「受け」でしょ!この世にね、誘い攻めっていうものがあるの。
 それと同じで、真夜ちゃんから襲われる前に自分から「攻め」て襲えばいいの!わかる!?」
晴美の「受け」や「攻め」という言葉は愛にとってなじみの無い言葉だったが、だいたいの考えはわかった。
「つ、つまり・・・私が真夜さんにされたようなことを私からしろと・・・」
「そういうこと」
愛はがっくり肩を落とした。真夜を前にしただけでも、
愛はまだドキドキするのに自分から襲うことだど、全く自信がなかった。
「そ、そんなの私は無理です!」
「けどそうしないと襲われちゃうよ」
晴美はにやまりと笑った。
確かに愛は、今までの真夜の行動を見ていると、もう襲われるのは時間の問題だと思っていたからだ。
「大丈夫、愛ちゃん!私が応援してあげるから」
晴美はそう言って愛の背中を叩いたが、愛は不安を拭いきれなかった。
「それを千里さんにしたら、上手く言ったんですか?」
「そのことは言っちゃ駄目!!!」
その後、晴美が暴れたのは後の話。
586できない(下):2008/04/06(日) 14:49:01 ID:pH5ch/W/
「ここが私の部屋です」
愛は真夜を部屋に招き入れて、適当な所に座らせた。真夜は部屋を見回したが、家具が少なく、質素な印象を受けた。
「ジュ、ジュースでも持ってくるので、ま、待っててくださいね!」
愛の慌て具合にやや疑問に思いながらも、真夜は黙って部屋から出て行った愛の帰りを待った。
愛は心が張り裂けそうなくらいドキドキした。これからのことを思うと緊張と不安で胸いっぱいになった。
だけどやるしかないと気合を入れ、愛は闘志を燃やした。

お盆にジュースを置いて、再び愛は部屋に来た。その様子を真夜は黙ってじっと見ていた。
愛は真夜の前にジュースを置くと、俊敏な動きで真夜は黙ってそれを持って一気に飲み干した。
愛は自分の心が見透かされているようでどきどきしたがやるしかないと決意した。
「あ、あの・・・真夜さん。ちょっとベッドに座ってくれませんか?」
顔を赤らめた愛がそう言って、ベッドに座った。すると真夜も愛の隣に腰掛けた。
一瞬、静かな時間が流れた。真夜は愛の方を見ていたが、愛は緊張で見ることができなかった。一呼吸・・・
「ま、真夜さん!!!」
愛は真夜の肩を掴んで、一気にベッドに押し倒した。そうしてすぐに真夜にキスをした。
愛の頭は緊張と興奮で頭がいっぱいで、キスをしたのはいいがそのまま動けなくなってしまった。
587できない(下):2008/04/06(日) 14:50:03 ID:pH5ch/W/
真夜はびっくりした様子を見せたが、すぐさま今の自分の状況を理解した。
愛に突然キスされた。これは今まで断られ続けられたことのOKサインではないかと。
そう思うと、真夜は無性に愛に意地悪をしたくなった。
愛はずっと目を瞑っていたが、少し落ち着いて真夜を見ることができた。
真夜は目つきの悪い目で、じーっと愛を見つめていた。
愛は罪悪感を覚え、すぐにキスを止めてしまった。
「ご、ごめんなさい!やっぱり、私のような人間が、こんなおおそれたことを・・・
本当にごめんなさい!ごめんなさい!」
それをいうと、真夜の手が愛の首元に伸びた。そうしてその手が愛の顔を真夜の口元に持っていった。
「んんんんっっ・・・」
今度は真夜の順番で、ゆっくりと舌を絡めていった。
すると愛の頭はだんだんぼーっとしてきた。
ゆっくりと時間をかけたキスは愛の思考を奪っていった。
キスを終えると、愛は体中の力が抜けてベッドに倒れこんだ。
すると今度は真夜が愛の上に立った。愛は必死で抵抗しようとしたが、全く体に力が入らなかった。
愛を見下ろして真夜は言った。
「責任は取ってもらう」
「ご、ご、ご、ご、ごめんなさい!!!」

それから数時間後、疲れ果てた愛はベッドに横たわっていた。
制服は乱れ、ベッドのシーツはくしゃくしゃになっていた。激しかった・・・、記憶があいまいにしか覚えていなかった、
愛はそれくらいのことしか覚えていなかった。けど真夜さんは優しかったなあ、などとも思っていた。
これからどうしよう、愛はそんなことを考えていると真夜は愛を抱きしめながら言った。
「愛、愛している」
それを聞くと愛も真夜の方を振り返って言った。
「私も真夜さんが大好きです・・・」
そう言うと愛も真夜を抱きしめた。
588できない(下):2008/04/06(日) 14:50:28 ID:pH5ch/W/
それから数日、加賀愛は平穏な日々を過ごした。
愛も真夜もいつも通りの学校生活を送っていた。真夜はあの日から、一度も愛を求めようとはしなかった。
愛は自分の過度の思いすぎだったんだなあ、と思っていた。
だがある日、今度は真夜が愛を自分の家に招いた。
愛は何の疑問を持たず真夜の家に行ってしまった。
「待っててほしい」
そう言われて愛は真夜の部屋で待っていた。
それから数分後、再び真夜がやってきたとき、両手一杯に見たことのないような道具がたくさん。
真夜は少し微笑みながらゆっくりと愛に歩み寄っていった。
愛はこれから何をされるかおおよその予測がついた。
声にならない悲鳴をあげながらも、今日は帰れそうにないなとぼんやり思った。
589名無しさん@秘密の花園:2008/04/06(日) 14:53:23 ID:pH5ch/W/
お、終わった!SSを書くのって、大変なんだなあとわかりました。
ここまで読んでくれた人は本当にありがとうございます。

これで終わりにしないでまだまだ書きますので、そのときはどうぞよろしくお願いします。

これで真夜愛がはやりますように・・・
590名無しさん@秘密の花園:2008/04/06(日) 23:01:44 ID:jAX91Mf2
良いねーこの二人、特に真夜ちゃんが可愛い
晴美ちゃんに相談するっての面白い、どうせなら千里にも相談して欲しかった、答えられそうにないからこそ聞きたいw
591名無しさん@秘密の花園:2008/04/07(月) 08:32:39 ID:2qB0TqLU
ちょっと質問なんですが
原作であびるとカエレがからんでるシーン
ってありましたっけ?
592名無しさん@秘密の花園:2008/04/07(月) 13:09:01 ID:oilEgc3H
そらもういたるところに。
593名無しさん@秘密の花園:2008/04/07(月) 13:09:42 ID:oilEgc3H
誤爆です。
594名無しさん@秘密の花園:2008/04/07(月) 16:21:27 ID:bVhyNudX
素敵な作品ばかりで恐れ多いのですが、どうしても書きたくなってしまったので投下致します。
晴美視点で晴千里晴、仲がちょびっと進展したばかりの頃な時間設定で、甘くもえっちくもありません。
晴美がひたすらもやもやしてます。
595メガネのうさぎさん:2008/04/07(月) 16:23:16 ID:bVhyNudX


きっちりしてよ。

そういう時こそきっちりしてよ。
ざがんと本が椅子に引っかかって、そのまま騒がしくパイプを滑る音を聞きながら指の力を強めた。彼女は目をまん丸くして、たったいま掴まれた左腕を宙に留める。
青いセーラーが橙に縁取られて、微かな風に揺らめく。鼻から思い切り風を吸い込めば夕暮れの香り、どうにも寂しい香り。ああ、寂しいんだよ、千里。私寂しいんだよ。ここらへんがすごく。
そのここらへん、は例えば素敵な(架空の)殿方達との素敵な(空想上の)生活なんかじゃあ埋まらない。
596メガネのうさぎさん:2008/04/07(月) 16:24:37 ID:bVhyNudX

 …ねえ晴美、完全下校過ぎちゃうわ。先生に予定表、渡しに行かなくちゃ。
はっとなって、いつもの調子でなめらかに話し出した彼女にのろのろと顔を上げると、その瞳には情けない私の顔がおさまった。
どうしたの、とでも言いたげな、困っているような瞳は私を捕えて逃してくれそうにない。私だってわからない。手が勝手に、なんてどんな漫画だろう。
そうせずにいられないほど私は何を思ってるんだろう。何を寂しがっているんだろう。
もちろん、知ってる。

597メガネのうさぎさん:2008/04/07(月) 16:27:23 ID:bVhyNudX

窓の外、飛行機が過ぎ去ってようやく、ふらふら彼女の視線は泳いで、私のうしろの、どこか向こうの方を見た。
夕暮れの埃っぽい教室の窓際で、私はどんどん嫌な空気を吸い込んで重くなる。彼女の手の予定表がちらとなびく。何を見てるの。そこに、教壇に立つ先生でも見えてるの。
先生、先生、って、私達、最近遊ぶ回数ちょっと減った。気付いてる?私は力込めすぎて震えてることに気付いたよ。気付いてる?

二本目の飛行機は低空飛行だった。ゴゴウと赤い雲をわっていく。眼鏡の向こうで、彼女の目に私が戻っていく。
「…きっちりしないと、いけないから。」

598メガネのうさぎさん:2008/04/07(月) 16:32:31 ID:bVhyNudX
ああ、逃げさせてよ。
今度は鞄が重そうに落ちる音がした。金属音、続いて下校のチャイムががんがん耳を、赤く染まる目見開いた彼女の複雑な顔が視界の端を通過する。
きっちりだろう。きっちりしてるんだろう。
ぐっと近づいた距離で彼女の髪に私の頬を滑らせて、半々、こいつはきっちり先生と私両方を想ってるのだろうかなんて本気で、本気で私は怖いんだよ。
千里、私、千里が好きだって言ってくれて嬉しかったんだよ。本読んでたってこればっかりは感じない、そんな感情。
どこに行っちゃうの。
予定表とやらが彼女の左手から抜け出して飛んでいった。
散っていく花びらみたいにひらりひらり空中を踊る。私も踊らされてたんだろうか。
この距離は嘘ですか。拒否がないのも嘘ですか。そうですか。おかしいね。私ってこんなんだっけ。馬鹿みたいだね。ねえ、千里。寂しいんだよ。千里。寂しいよ。
きっちりしてよ。

599メガネのうさぎさん:2008/04/07(月) 16:34:16 ID:bVhyNudX

鳴り終えたチャイムに、六時二分の針が合図した。
私にきつく抱かれたままの彼女は置いた顎、肩の上で私の名前を呟いた。顎が私の肩を震わせる。
ぱさりぱさりと橙の黒髪が肩を流れて体が引きはがされたと思ったら、彼女は私の不規則だった呼吸を一瞬、本当に一瞬止めた。夕日が眩しい。赤い目。

「好きよ。」

じりじり半身が焼かれてく。飛行機がまた駆けていく。
呼吸なんてどうでも良かった。どうせ上手く呼吸出来ないから、もっと止めてよ、私を止めてよ。
何その顔、離れないでよ。離れないでよ、離れないでよ離れないでよ。ほら、視界がぼやけていく。
 きっちりしなきゃ、って、私の性なの。あなたが一番知ってるはずでしょ。先生とあなたは違うのよ。晴美。

夕暮れの埃っぽい教室の窓際で、私はどんどん彼女の匂いを吸い込んで軽くなる。なんて単純な体なんだろう。単純で、難しい。

知ってたよ。

六時五分の針が合図する。


600名無しさん@秘密の花園:2008/04/07(月) 16:35:17 ID:bVhyNudX
以上です。
失礼しました。
601名無しさん@秘密の花園:2008/04/07(月) 19:12:25 ID:qoWTPVUB
いいですね。すごく叙情的で。
頭の中で夕日の照らされる2人の絵が見えるようです。

私も負けないように書きましたんで、どうか見てやってください。
602あえて抵抗しない:2008/04/07(月) 19:13:21 ID:qoWTPVUB
「カエレちゃん、カエレちゃん!私、凄い大発見をしたんですよ!!」
「ど、どうしたのよ!?いったい・・・」

     あえて抵抗しない

 穏やかな春の日、と言うのは世間一般の学生が使う言葉で、私の場合はまったく穏やかではなかった。
春休みから始業式まで落ち着いた日などなく、結局毎日のようにお騒がせの教師とクラスメイト達に振り回されていた。
まあ、私も皆と同じように楽しんでたんだけどね・・・
けどようやくそれも一段落して、ようやくいつもの授業風景を取り戻していった。

 窓の外から見える桜はとても美しく、私はいつもそれに見入らされてしまう。
少し開いた窓から流れてくる風はとても心地よい穏やかさで私は風に包まれてしまうと、ついうとうとしてしまう。
このまま眠ってしまおうか、いや頑張って授業を受けようか。そんな二つの葛藤が私の中で授業が終わるまで戦い続ける。

 授業が終わって、昼食の時間になる。友達同士、一緒に仲良くお弁当を食べる時間だ。
私は終わりのチャイムが鳴ると、自分から席を動かそうとしない。何故ならチャイムと同時に私の前にすぐ飛んでくる人物がいる。
「カエレちゃん!一緒にお弁当、食べましょう!」
ぴんと一箇所だけはねている髪の毛。にこにこと笑っている顔に陽気な声。
風浦可符香だ。クラスメイト、友達・・・親友・・・それ以上?
603あえて抵抗しない:2008/04/07(月) 19:13:58 ID:qoWTPVUB
 カフカは私の前に座って、ハンカチで包んだお弁当を開けた。
お弁当は非常に色とりどりでバランスがよく、とてもおいしそうだった。
「あなたが作ったの?」
「そうです。早起きして作ったんですよ!」
「おいしそうじゃない」
そう言うと、カフカは何故か少し顔を赤くして笑った。何照れてんのよ・・・
「何か食べます?」
「私はいいわよ。自分で食べて」
そう言うと、今度は悲しそうな顔をして私の目を見た。本当に喜怒哀楽が激しい子だ。
悲しい顔はあなたには似合わないのよ!
「わかった、わかった。じゃあそこのウインナー頂戴」
「わかりました」
カフカはタコ形のウインナーをお箸でつまんで私の目の前に・・・
「はい!あーんしてください・・・」
「ちょっと!自分で食べれるわよ!?」
「いいじゃないですか、私とカエレちゃんの仲なんだから・・・
 それともやっぱり食べるのが嫌なんですか・・・?」
そう言うとカフカは目を潤ました。
その顔を可愛いと思ってしまう私は、こいつの策略に引っ掛かってるんだろうな・・・
「わかったわよ、まったく」
「それじゃあ、あーん!」
そうしてウインナーを私の口の中まで持ってきた。
「おいしいですか?」
「まあ、いけるわね」
そういうと、またカフカはでれでれと笑い出した。
604あえて抵抗しない:2008/04/07(月) 19:14:31 ID:qoWTPVUB
「カエレちゃん、カエレちゃん!私、凄い大発見をしたんですよ!!」
「ど、どうしたのよ!?いったい・・・」
お弁当を食べ終わって一息ついた時、いきなり私の目の前に顔を近づけて言った。
近い、近い・・・
「実はですね・・・」
そう言うと、カフカは自分のバッグから何かの雑誌を持ってきた。
「これなんですよ」
「ええっと、何々。「あらゆる人を思いのまま!!ポロロッカ式催眠術を大公開!!!」って何よ!これ!?」
何とも胡散臭い煽り文が書かれてある雑誌だった。そういう変な物が好きそうなカフカならいかにも引っ掛かりそうである。
「この催眠術をカエレちゃんに試してみたいと思いまして・・・」
「私はしないわよ!こんな胡散臭いの!!」
私は断ったのに、カフカはまったく人の話を聞かないで自分のバッグからまた何かを持ってきた。
「使う道具はこれなんですよ!」
「人の話を聞きなさいよ、あんた・・・」
カフカの手に握られていたものは、5円玉に糸をくくりつけた代物だった。
いくら帰国子女の私だって、それが何なのかわかる。最も古典的な催眠術の道具だ。
私はそれを見て呆れ返ってしまった。
「で・・・それで私に催眠術をかけるの?」
「そうです!何ていったって「ポロロッカ式催眠術」ですから!」
カフカがとても自慢げに私に言うものだから、断ってやるのが可愛そうに思えてきた。
「わかったわよ。早くしなさい」
「ええ!?いいんですか?」
「いいから!!」
そう言うと、カフカは雑誌を片手に糸を垂らして、五円玉を揺らした。
「この五円玉を見ていてくださいね。」
「はいはい・・・」
それからカフカはやや声のトーンを低くして、五円玉を揺らしながら何か呟いた。
「カエレちゃんが私の犬になりますように、カエレちゃんが私の犬になりますような、
カエレちゃんが私の・・・」
「あなた、いったい何をいってるの!」
するとカフカは手を振って答えた。
「嫌だな、冗談に決まってるじゃないですか」
だが、呪文を唱えてるカフカの目は本気だった。
605あえて抵抗しない:2008/04/07(月) 19:15:34 ID:qoWTPVUB
「最初はやっぱり眠くなるですよね」
「なんでもいいから早くしなさい」
そしてまたカフカは再び5円玉を揺らした。
「あなたはだんだん眠くなる〜、あなたはだんだん眠くなる〜
 あなたはだんだん眠くなる〜」
はっきり言って眠たくなるわけがない。だが私はそれに応じてやることにした。
回数を増すごとに、少しずつ目蓋を閉じていき、最後は寝息を立てる真似をした。
するとカフカも私の変化に気付いた。
「カエレちゃん、もしかして眠っちゃったんですか?」
そういって私の顔をじろじろと見つめていた。
「本当の、本当に眠っちゃったんですか?」
私はカフカに起こされたら、引っ掛かった真似をしてあげようと思った。

私の唇に何か違和感を感じた。何か熱を感じた。
それから何故かはっきりとカフカの匂いを感じた。何だろうと、私は少し目蓋を開けた。
目の前には目を瞑っているカフカがはっきりと・・・
その時、私の体温は一気に急上昇した。
今の状況を理解するのに時間はいらなかった。
私は今カフカにキスをされている。
確かに彼女が私に好意を持ってたのは一目瞭然だし、私もそういう気が無かったといえば嘘になる。
だけどいきなりのキスとは・・・
ここで一気にカフカを跳ね除けることはできるが、私はあえてしなかった。
彼女とのキスは心地よかったし、嫌ではなかったからである。
606あえて抵抗しない:2008/04/07(月) 19:16:34 ID:qoWTPVUB
 それから数十秒、キスは続いた。
離れてからも私は自分の体が熱くなっていることがわかった。
今から目を開けて、言ってやろう。私もあなたのことが・・・
そう思った瞬間、今度は胸に違和感を感じた。
私は目を開いた。カフカが私の胸を鷲掴みにしているのが見えた。
「あんた、何やってるの!!訴えるわよ!!!」
私は大声で叫んでしまって、カフカがすぐに後ろにおののいた。
「あれ?起きてたんですか?」
「あたりまえでしょうが!!」
カフカは少し頬を桃色に染めていたが、私は多分真っ赤だっただろう。
「あんたね!いったいどういうつもりなの!!
 そんな・・・いきなり・・・き、キスなんて・・・」
私はそうカフカに言ってた時、ふと周りの視線が気になった。
みんなが顔を真っ赤にしながら、私たちの方に視線を向けていたのだ。
今が昼休みでクラスにたくさん人がいることを忘れていた。
私は体が更に熱を帯びていくのを感じて、カフカの手を握り締め教室から飛び出した。

私は何処に行くあてもなかったのに、ひたすら廊下をカフカを引っ張りながら、足を速めて歩いた。
私は頭が恥ずかしさのあまり真っ白で何も考えれなかった。
するとカフカが私に私の力ない声で言った。
「カエレちゃん、やっぱり怒ってますか・・・?」
私は何も答えなかった。
「わ、私、謝ります。だから嫌わないんでほしいんです。カエレちゃんのこと、私、大好きだから・・・」
私は歩くのを止め、カフカの方に振り向いた。彼女は泣きそうな顔をしていた。
「カ、カエレちゃん・・・」
「いいわよ!謝らなくて!」
私は彼女の悲しげな顔を見たくは無かった。
「い、いいわよ・・・私も・・その・・・嫌じゃなかったし・・・」
「え・・・い、今なんて・・・」
私は恥を押し殺して言った。
「だから!私もあなたが好きなのよ!!」

 廊下は静かだった。とても静かで逆に耳が痛くなりそうだった。
2人とも何も話せなかった。どちらも何か言い出せなかった。
するとカフカの目からぼろぼろと涙がこぼれた。
「ほ、本当に・・・?」
私は黙って首を縦に振った。
それからカフカは泣きながら、私に飛びついてきた。
「カエレちゃん・・・私、私・・・・」
「いいわよ・・・泣かないで・・・」
私はカフカの頭を撫でながらいった。

それからどれくらいたったか私は覚えてない。
けど時間がかかって、ようやくカフカは泣き止んだ。
目には涙の後がはっきりと残っていたけど、またいつものように笑った。
私もその顔に応じるように笑った。
すると授業を告げるチャイムが鳴って、私たちは大急ぎで教室に走った。
私たちはしっかり手を繋ぎながら・・・
607あえて抵抗しない:2008/04/07(月) 19:26:26 ID:qoWTPVUB
冒頭の春の模写は、華爛漫〜Flowers〜を、パクっ・・・
インスパイアされた感じです。というか全体的に何ですが・・・

当初はカフカを泣かせるまでいかなかったんですが、テンションで書いたらなってしまった・・・
こういうカフカも、ありなのかな?
最後のあたりはカエカフですけど、一応このSSはカフカエなので。
608名無しさん@秘密の花園:2008/04/07(月) 22:04:25 ID:CsmgPHWc
>>600
わがままっ子な藤吉がたまりません。
淋しがりと夕日で染まる赤い目がうさぎに掛かるところがまた上手い・・・
こういう文章を書けるのが素敵で羨ましいです。

>>607
カフカエきたぁああああああ!
ずっと自家発電だったカフカエが見れるとは、何たる幸せ・・・!
可符香可愛いよ可符香、アリアリ。


あと気になるレスにちょこっとお返事。
>>581
そのネタすっかり忘れてま、した・・・
指摘されて思い出して、只今執筆中です、しばしお待ちを!

>>583
ええと、その話は桜ネタのハルチリを投下し終えてから
投下しようと思ってますんで、もう少しお待ち下さい><

しかし2つともさらっと出ただけなのに覚えてて下さる方がいるとは・・・

あと投下時にGJくださる方、本当に有難うございます。
これを励みに頑張らせてもらってますんで!
最近スレの方も活性化してるので、自分も精進したいと思う次第です。

609芽留ちゃんからの10の言葉:2008/04/08(火) 07:24:26 ID:9QOt2yVa
@オレとオマエが普段同じトコに居られる時間は基本少しだけだ
まずそれは覚えとけよ。
Aオレがオマエに何をしてほしいかなるべく気づけ!
オレもオマエが俺に何したいか…なるべく考える。
Bオレを信用しろ、一応、嘘は吐かねー方だ
ただしオレは容赦なく疑う
Cたまにムカついたり呆れるだろーが
…見捨てんな
オメーには他の時間や別のヤツとのつき合いもあるだろーが
…オレには…お前しかいない
Dオレから言葉はかけねーけど、オマエの言葉は全部聞いてるって忘れんな。
ヘンなコト言いやがったらぶっ殺すからな!
Eそしてお前がオレにした事も全部覚えてんのも忘れるなよ…
Fオレはオマエより少し『少し』だけ小さい
でも、だからって必ずしも何もできねーわけじゃねぇ!
Gオマエにはオレ以外のヤツもきっといるだろ
いつか気の迷いだと気づいたら、そこでおわりだ
…ま、ただのクラスメイトに戻るだけだけどな。
Hでも、もし、もしも…まだこれからもオレとどうしても一緒にいたいってんなら
…ま、好きにしろ。
I後、これはついでみたいなモンだ、あんまり気にすんな
ヒマなら見とけ






オレはオマエに好きと言われるとうれしい
オマエの隣に居られると楽しい
オマエの温かさに触れられるのが、オマエの声が聴けるのが
一緒に過ごす時間がすごく幸せ…

…私はあなたを愛してます
610名無しさん@秘密の花園:2008/04/08(火) 07:31:00 ID:9QOt2yVa
と、小ネタでした
元ネタをみて涙ぐみながら「これ芽留ちゃんでできないかな」とか思ってやってみました

ちなみに誰に対してかはちょっとあやふやにしてますので、相手はお好みでご想像下さい
611名無しさん@秘密の花園:2008/04/08(火) 07:45:49 ID:GwmJftLo
こそばゆいような、感動的なような

まあつまりGJってことですよ
612なんとなく夢を:2008/04/08(火) 23:09:45 ID:W2LpFXzL
 どうも皆さん、こんにちは!藤吉晴美です。
突然ですが、皆さんは酔うと性格が変わるという人を見たことはあるでしょうか。
普段はクールなあの子が酔うと急に甘えだしたり、いつも優しそうな子が突然暴れだしたり。
よく二次元の世界の中ではこういう設定はよくあって、
まあ私も飲酒ネタを使って話を書いたりすることはよくあるんですが、
実世界で言うとそういうことは殆どなかったりします。
と言っても、まあ私は高校生だからお酒を飲むということはないんですがねぇ・・・

 私が何故今こんな話をしているのかと言うと、まあそれには訳があるんです。
それは今私の隣で私に頬ずりをしている彼女。
私の小さい頃からの親友「木津千里」に関係してくることなんです。
千里は何事もきっちりしていなくてはいけないという考えの持ち主で
長い間千里と一緒いますけど、彼女がだらけている姿なんて見たことがないと言ってもいいくらい。
(いつか夢でだらけまくりの千里を見たことがあったけど、あれは可愛かったな・・・)

 まあ現状を簡単に話すと間違ってお酒を飲んでしまった千里がいきなり甘えだした、ということです。
お酒を出してしまったのは私なんですけど、ジュース感覚で千里がぐびぐび飲んでいたのはどういうことなんでしょうかね。
今のお酒はジュースみたいでおいしいと聞くことはあるんですけど、普通一口飲んだだけでわかるような・・・
しかしまさか千里が酔うとこんなキャラになるとは・・・
「はぁるみ〜♪」
613なんとなく夢を:2008/04/08(火) 23:10:14 ID:W2LpFXzL
 もうすぐ春休みが終わりそうな時期に私は宿題というものを全くしていなかった。
だいたいなんで春休みに宿題なんてあるんだろうか・・・と嘆きたいのだが、全く手をつけていなかった私が悪い。
そのことを千里に言ったら烈火の如く怒り出し、私の家で泊り込みで宿題を終わらせることになった。
千里のスパルタっぷりはひどく朝から晩まで休憩なしで勉強させられて、体も心もくたくた。
夜中の十二時になってようやく宿題から開放された私はすぐに倒れてしまった。
「何よ、晴美。これくらいの勉強でダウンしちゃうなんてだらしない!」
「私は長時間勉強するように体は出来てないの。長い間集中するのは同人誌を書くときだけ」
千里はあきれた顔をしてた。

 私は冷蔵庫からジュースを持ってきて二人で飲んだ。
あの時きちんと缶の表記を見なかった私が悪かった。
一口飲んでとき、私は味にすぐ違和感を感じたが
千里は表情一つ変えずぐびぐび飲んでたので、疑問には思ったが私は何もいわなかった。
614なんとなく夢を:2008/04/08(火) 23:10:39 ID:W2LpFXzL
それから数十分後、千里の顔は見る見る赤くなりだした。
「あれ?千里、顔が赤いよ?」
「そうかしら?」
私は最初は何とも思わず、ベッドの上で漫画を読むことに集中していた。
するといきなり千里が私に抱きついてきた。
「ちょ!どうしたのよ、いったい!?」
千里の目はあの時完全に据わっていた。
「はるみ〜、あなた本当に可愛いわね〜」
そう言うと千里は私に頬ずりをしてきた。
「え、なに!どうしたの!?」
「可愛いわ〜」
私は上から覆い被さられ抱きしめらて、身動きが出来なかった。
そしてしきりに可愛い、可愛いという千里から抵抗しようと躍起になっていた。

「あなたねぇ!?何でこんなに胸が大きいのよ!?
 私なんて、いっつもそのことで悩んでいるのよ!?
 あなたの!そ、その、胸!・・・・・可愛いわ〜」
千里は私の胸に顔を埋めてきた。
「千里!おかしいよ!いつもの千里じゃないよ!?」
すると今度は千里が私の唇目掛けて・・・
「ん〜」
「ちょっと、それは駄目!駄目!!駄目!!!」
そういうと私は千里を跳ね除けた。

「どうしたのいったい!?いつもきっちりの千里がどうしたの?
 なんで、そんな・・・キスしようだなんて・・・」
すると千里は潤んだ目で私を見た。
「しょうがないじゃない!好きなんだから!!私は中学生の時からあなたが好きなのよ!?
 それなのに私に構わず訳のわからない漫画やアニメにはまって!?
 私は、何も言わなかったけど・・・ずっと・・・」
それから千里は泣き出した。私は千里が泣き出すところなんて見たことが無かった。
私は顔を真っ赤にしながら混乱していた。
はっきり言って、私は千里のことが好きだ。愛してる。
けど千里は糸色先生に夢中になってたから、私は叶わぬ恋だと腹をくくっていた。
だけどどうしたことだろう。あの千里から私に告白なんて・・・
615なんとなく夢を:2008/04/08(火) 23:11:10 ID:W2LpFXzL
「千里の方もずるいよ・・・」
「え?」
千里は泣くのを止めて私の方を見た。
「千里は・・・先生のことをいっつも追い掛け回してて・・・
 私も・・・つらかったんだよ!
 私、何も言わなかったけど・・・私も千里のことが大好きなんだから!!」
そう言うと私は涙が出てきた。

「本当に・・・?」
私は黙って首を立てに振った。
「千里・・・大好き」
そう言って私は千里を抱きしめた。
「ずっと、ずっと好きだったから・・・」

それから私たちはキスをした。2人とも泣いてた。
今思えば顔から火が出るくらい恥ずかしいが、若気の至りだ。許してもらおう。
それからのことは・・・まあ察して欲しい。
私が言えるのは・・・千里はベッドの上でも可愛かったということだ。

 朝、私の方が先に目を覚ました。
隣で千里はすやすやと寝ていた。その寝顔は本当に可愛くて、抱きしめたくてしかたがなかった。
「千里、起きて。朝だよ」
そう言うと、千里は目を擦って起きた。最初はぽかんとしていたが、すぐ千里はこの状況を理解した。
同じベッドで2人。2人とも裸・・・
「いや〜〜!!!」
突然の叫び声とともに私はベッドから蹴りだされた。
「どうしたの!?いったい!」
千里はシートで体を隠しながら言った。
「どうしたのって・・・何よ、これ!?
 どうして私も晴美も裸なのよ!?」
「え、昨日のこと覚えてないの?」
千里は頭を抱えて考え出した。すると突然何かひらめいた表情をして、
顔が赤くなりだした。
「いや・・・その・・・・昨日は・・・・」
「あんなに楽しかった夜のことも忘れちゃったの?」
千里が投げた枕が私の顔にクリーンヒットした。

「と、ともかく!!ここまでしたからにはきちんと責任を取りなさいよ!!」
全身真っ赤にしながら千里が言った。
「わかってるよ」
私は嬉しくてしかたがなかった。

 後の話だが私が千里のお酒を飲ましていたことがばれて
私は死ぬほど怒られた。わざとじゃないんだけどなあ・・・
616名無しさん@秘密の花園:2008/04/08(火) 23:13:53 ID:W2LpFXzL
連投です。すいません。

王道ハルチリで酔いネタを使ってみましたけど、う〜ん勢いだけで書いて
うまく使えてませんね・・・・
今度からもっと推敲して書かなくては・・・

ある程度自分の好きなCPは書いてしまった。
次から何を書くか迷うな・・・
617名無しさん@秘密の花園:2008/04/08(火) 23:57:50 ID:glGTf86p
GJ
こりゃかわいい……堅物の千里だからこそ酔いネタが効くなぁ

最近、このスレは晴美攻めより千里攻めがブームですか?w
618名無しさん@秘密の花園:2008/04/09(水) 06:14:40 ID:gCyvsspR
酔っ払い千里が可愛い…!
これ反則ですよ、これは一度書いたみたいネタだww

このスレが千里攻めブーム?な中恐縮ですが、自分は晴美攻めを1つ投下させてもらいます。
(と言ってもどっちが攻めか曖昧な感じですが)
ええと、桜ネタ第三弾、今回でラストの晴美×千里です。
よければお付き合いください。

619花吹雪〜NIGHT LIMITED〜:2008/04/09(水) 06:22:16 ID:gCyvsspR
机に置いていた電話が震え出したのに気付いた。

「うん?」
こんな時間に誰だろうとディスプレイを見ると
そこには晴美の名前が浮かび上がっている。
何かあったのかと、急いで携帯を開き通話ボタンを押した。

「もしもし?」
「あ、千里。よかったー、電話出てくれて」
その声から電話の向こうで胸を撫で下ろした晴美の姿が目に浮かぶ。

「どうしたのよ?」
「今家の前にいるんだけどさ」
「はっ?」
さらっと言ってのけた晴美に千里は驚いた。

「何でこんな時間に…」
「えっと…ちょっと一緒に行きたい場所があって」
こんな時間から?
話しながら部屋の時計を見るともう9時に近い時間だ。

「ちょっと待ってて、すぐ行くから」
そう言って電話を切ると、支度もそこそこに千里は家を飛び出した。
もうすぐ春だというのにこの時間はまだまだ冷える。
外気の温度は部屋の中よりも随分と低くて、思わず身震いをしてしまう。

1階に降りると中庭の辺りに自転車に乗ったままの晴美が待っていた。
手を上げてにっと笑う晴美を見て、千里は怪訝そうな顔をする。

「こんな時間に連絡もなしに来るって事は、さぞかし大事な事なんでしょうね?」
皮肉を込めた千里の言葉に晴美は苦い笑いを浮かべる。

「まぁ、大事っちゃー大事だと思うよ?」
そう言って晴美はどことなく不安げな顔で千里の様子を伺った。
「まぁいいわ…で、どこに行くつもりなの?」
その言葉に晴美は自転車を後ろに向けてから千里を見る。

「後ろ乗って」
「ちょっと、どこ行くか説明くらいしなさいよ」
「行きながら説明するから」
さぁ、乗った乗ったと後ろの荷台をぽんぽんと叩く晴美に
しぶしぶながらも千里はそこへ座った。
620花吹雪〜NIGHT LIMITED〜:2008/04/09(水) 06:30:57 ID:gCyvsspR
「しっかり捕まっててよ?」
そう言って晴美はペダルを踏み出す。
ゆっくりと自転車が動き出した。
動き出す自転車の反動で少しバランスを崩しそうになった千里は
晴美の服をきゅっと捕まえて、流れる景色を眺める。

自転車が風を切って進んでいく中
先程感じた寒さよりも更に冷たさを増した事に
千里は無意識に晴美に身体を寄せた。

「ねぇ、どこへ行くのよ」
「千里とならどこまでも行きたいかな」
茶化す晴美の背中を千里がばしっと叩く。

「いてっ」
「真面目に答えなさい」
少し怒った千里の声に晴美はむぅと唸ってから、ぽつりと言った。

「…桜、見に行きたいなって」
「え…?」
少しトーンを落とした声だったが、千里の耳にはちゃんと届いていた。

「ほら、もうすぐ桜の季節終わるしちゃんと見たいなって」
そう言って晴美はペダルをぐっと踏み締める。
―まるで照れているのを誤魔化すみたいに。


これは、要するにデートというものなのかな…?

思えば普段からデートらしいデートをした記憶がない。
いつもお互いの家を行き来するくらいで
こんな風に2人で外へ出た事はあまり記憶になかった。
そう思うと何だか嬉しいやら恥ずかしいやらで、千里の胸はいっぱいになる。

千里の家から一番近い公園まで10分とかからない距離だったが
心持ち早めにペダルをこぐ晴美の背中に頭をくっつけながら、小さく呟いた。

「…もっとゆっくりでもいいのよ」
照れ故にあまり大きな声で言えなかった千里の言葉は
風にかき消されて溶けてしまった。
621花吹雪〜NIGHT LIMITED〜:2008/04/09(水) 06:36:06 ID:gCyvsspR
「ほら、もう見えてきたよ」
晴美の声に顔を上げると、まだ少し遠かったが確かに桜が見え始める。
公園の照明が桜達を照らしていて
ぼんやりと浮かぶ薄桃色はどこか幻想的だった。

公園の入り口の方に回って、自転車を止めて中へ入ると
何十本と植えられた桜が2人を出迎えた。

「うっわー…」
一面に咲き乱れる桜を見て晴美は思わず感嘆の声を漏らす。
もちろん千里もその光景にはただただ溜め息を吐くだけだ。
流石にこの時間帯公園には人はなく、自分達だけで桜を独占出来た。

風が吹いて、千里の髪がなびく。
同時に桜の枝々も揺れた。
花びらが風に舞い上がる。
スローモーションみたい見えたそれは
一コマ一コマがはっきりと、目に、頭に、心に焼き付いた。

風に揺れる桜の前に佇む千里は晴美が知らない別人みたいに思えた。
くるりと振り返った千里は晴美が自分を呆然と見つめている事に気付く。

「どうかしたの?」
千里の声ではっと我に返った晴美は少しばかり慌てたがすぐに笑みを返す。
「綺麗だったから見とれちゃった」
その言葉に千里は照れたみたいな表情を浮かべたが、すぐに桜を指差した。

「これ、がでしょ?」
「ん、両方」
今度こそ千里の顔に紅が差す。
目をきょろきょろさせて落ち着かない様子だった。

「そゆ事言われるのって照れる?」
「そりゃ、まぁ…」
桜の木の下で言葉を濁す千里の傍に寄ると
内緒話をするみたいに晴美は千里に顔を寄せる。

「綺麗って言うよりは、可愛いに近いかな」
そういうトコロが。と付け加えると千里はむっと眉を寄せた。
「…うるさいわね」
くつくつと笑う晴美に少しばかり腹を立てた千里はふいとそっぽを向く。
622花吹雪〜NIGHT LIMITED〜:2008/04/09(水) 06:40:29 ID:gCyvsspR
「ちーり」
怒らないでよ、と晴美が肩を掴まえて
こっちを向かせると、ゆっくりと顔を近付けた。
「はる…」
千里が名前を呼ぶ前にその唇を塞いでしまう。

桜たちに囲まれたこの場所で
2人は甘く、溶ける様な口付けを交わした。
ゆっくりと離れる唇に切なさすら感じる。

「桜の味がする」
「…する訳ないでしょ」
「え、いつも甘いよ?」
千里とのキスは。と言ったら、頬をつままれた。

「お、もしろくもなんともないわよ」
ぴん、と離された頬がじんじんする。
「満開の桜の下でキスなんてロマンチックじゃない?」
そう言って笑うと千里はむっと唸った。

「そーゆーのが好きなんでしょ」
「じゃあわざわざこれを演出する為に誘ったって訳?」
千里の言葉に晴美はにっと笑う。

「純粋に千里と桜見たかっただけだよ」
晴美が言葉を言い終えたと同時に少し強めの風が吹いて
さぁっと桜たちが一斉に揺れる。
振り落とされた花びらたちが再びふわりと舞い上がった。

「綺麗だね」
花びらを見つめながら、目を細める晴美に千里の胸が高鳴る。
「…そうね」
「あれ、怒ってる?」
晴美が千里の顔を覗き込むと、いきなり千里が抱き付いてきた。

「わっ!?」
飛び込んできた千里をしっかりと受け止め、支える。
「どうしたの?」
「…嬉しかったの」
その言葉の意味が理解出来ず、晴美は頭に疑問符を浮かべる。
すると千里はその答えを明かし始めた。
623花吹雪〜NIGHT LIMITED〜:2008/04/09(水) 06:46:53 ID:gCyvsspR
「何だかデートみたいだったから」
千里の言葉を聞いて晴美はぎゅっと千里を抱きしめる。
「そっか」
そう言えば千里と出掛けるなんて事あまりなかったもんね。
これからはもっといろんな場所へ行くべきなのかと思った。
今後の2人に必要なのは、思い出を作る事なのかもしれない。

そんな事を思いながら晴美は千里の身体をゆっくりと離すと、その頬を指でなぞった。
指先に伝わってくる少しの冷たさが、千里の身体が冷えた事を知らせる。

「あんまり長く居ると風邪ひいちゃうね」
名残惜しいけどそろそろ帰ろうと千里を促した。
こくりと頷いた千里と手を繋ぎながら、公園の入口までゆっくりと歩き出す。

「また来年も」
「うん?」
「一緒に見れるといいわね」
そう言って千里は少し立ち止まって振り返り、桜を眺める。

「うん、絶対一緒に」
そう呟いた晴美は繋いだ手を強く握り締めた。

ここへ来た時と同じように千里を後ろに乗せて
千里の家へと向かって自転車をこぎ出す。

「晴美」
「なに?」
「もっとゆっくりでお願い」
そう言って千里は晴美の身体に腕を回す。
「ん、わかった」
千里の注文通り、晴美はゆっくり、ゆっくりとペダルに力を入れた。

「今日、ね」
「ん?」
「うちに泊まっていかない?」
千里の誘いに少し驚いた晴美だったが、すぐに頷いた。

「冷えた身体、あっためてあげる」
「…バカ」
そう言った千里だったがすぐに晴美に回した腕に力をこめる。

「…でも、いいわ」
今日は最後の最後まで幸せにさせてよ。


頭の中を、心の中を
あの花吹雪の中で微笑んだあなたでわたしをいっぱいにしてよ。
ずっとずっと夢中にさせてよ。


そんな事を思いながら、千里は晴美にぴったりと身を寄せた。



―END―
624あとがき。:2008/04/09(水) 06:51:33 ID:gCyvsspR
桜をテーマに話を書いてみよう企画・第三弾の
晴美×千里でしたがいかがだったでしょうか?
相変わらずいちゃいちゃで糖分高めな話で何の捻りもなくてすいません。
今回のサブテーマは「夜桜花見デート」だったので、それが書けて楽しかったです。

今後は前々から言ってた楓→可符香×カエレやらあび芽留やら
新たなカップリングに挑戦したり
あと、久々にえろも書きたいなと思ってたりします。

ここまでお付き合いいただきありがとうございましたー。
625名無しさん@秘密の花園:2008/04/09(水) 09:06:35 ID:3MEmV1sX
三つともGJとしか言えない出来に感動です。
お疲れ様でした。
次も期待してます!
626名無しさん@秘密の花園:2008/04/09(水) 21:43:39 ID:P3yj85Xk
超GJです
627アメノアオト:2008/04/09(水) 21:48:06 ID:J21wexvt
初投下です

デキてるのに同性に恋してる罪悪感を常に抱えてる感じのハルチリです。




今日も今日とて少女が二人、雨の垂れ布を駆け回る。
しとどに濡れる制服は絹のよな柔肌に張り付いて、肌着の色まで透け見える。



――――

「もう!晴美が今日は傘はいらないって言うから!」
「ええっ私の所為なの?!しょうがないなあ、今お風呂入れてくるから暖まってよ。原稿手伝ってもらうのはそれからでいいや」
「じゃあお言葉に甘えさせてもらうわ。」

二人がセーラー服の裾を絞ると、玄関に小さな水溜まりが出来る。
ついでに千里は艶やかな長い髪を一掴みにすると同じように絞った。
水滴が跳ね、ただでさえ白い項が冷気のせいで青白く発光しているかのようだった。

「先に私の部屋いってて。ちょっとタオルと、お風呂用意してくる」

晴美が二階を指さすと、千里は投げだしてあった二人分の学生鞄を拾う。
玄関は外に比べれば風雨に晒されないだけマシだったけれど、濡れたシャツがみるみるうちに体温を奪っているのは明かだった。
晴美の家族はそろって不在で、外は奇妙な程薄暗いのに明かり一つついていないことも寒さの原因かもしれない。
千里は一つ身震いすると、二階への階段を上った。


(ああ、どうしよう。)

千里は今更ながら困難に気付く。
ぽたりぽたりと水滴が垂れ、フローリングの床に座ることもままならない。
これなら晴美と一緒に洗面所に直行したほうがよかったんじゃないかと、せめてと汚れた靴下を脱いだ。
ぐっしょり蒸れた靴下から解放される。裸足が心地よかった。
いつもならばベッドに腰掛け待つけれど今日はそうもいかない。
ひたりひたりと裸足で歩き回るうちに、晴美がバスタオルを持って戻ってきた。
628アメノアオト2:2008/04/09(水) 21:50:58 ID:J21wexvt
「やだ、座ってればよかったのに」
「だって、濡れてるし。」
「えー、いいのに、ほら」

晴美はあっさりと綺麗に調えてあるベッドに腰掛け、ぽんぽん、と隣を叩いて千里を呼んだ。
千里はほんの少しだけ眉を顰めると小さな声でお邪魔するわ、と呟いて晴美の隣に腰を下ろした。

「もー散々だったねぇ」

晴美がバスタオルに顔を埋めて気持ち良さそうな溜息をついた。雨も疲れも吸収するふわふわのバスタオルを、千里も真似してぎゅっと抱きしめた。
ざあざあと、雨の音がする。重く引かれたカーテンの向う側から。さっきまで耳元で聞いていた叩きつけられるような音は、今は心地よい静かなメロディになっていた。

「なんだか暖まったら眠くなっちゃった……。千里ぃ、先お風呂入っていいよぅ」

長い髪に丁寧にタオルを当て、水気をぬぐい取っていた千里に、晴美が今にも眠りに落ちそうな力の入らない声で寄りかかった。

「どうして貴女ってそんなにだらしないの!このまま寝たら風邪ひくわよ絶対に!」

ほら、と自分にしなだれ掛かる晴美を肩を掴んで揺り起こす。
下着までぐっしょり濡れた制服のまま寝るなんて、健康にいいはずがない。

「んー寝かせてよぉ、わたし昨日も原稿で徹夜だったんだから……」
「起きなさいよー!」

肩をゆするたびにふらりふらりと人形のように黒髪が揺れて、雫が滴る。
千里の肩にもたれていた晴美は睡魔に負けて力が抜けたのか、預ける重みを益々増して、二人はずるずると皺一つなかったベッドに崩れ落ちた。

「ちょ、ちょっと晴美。何やってんのよ」

完全に押し倒された形になった千里は、晴美の重みを感じながら天井を仰いだ。
返事を求めない呟きは、締め切りに追われてここ数日まともに寝てない晴美に、てっきり寝てしまったのだろうと推測したからである。
しかし、ふと視線を降ろすと胸の上にのし掛かる晴美がはっきりと、冷涼な声で囁いた。

「ごめん」

その張り詰めた声に多少の違和を感じ千里は胸の上にのし掛かる晴美に視線を降ろした。
629アメノアオト3:2008/04/09(水) 21:53:51 ID:J21wexvt
「起きてるなら上から降りてよ。」
「ごめん、なんか、眼が醒めた」
「じゃあ降りてったら。」
「ごめん」

それきり晴美は何も言わない。
互いの制服が張り付き寒さはますますひどくなる。
触れたところだけが妙に暖かく、千里も無理に晴美をどかす気にはなれなかった。
晴美を起こそうと伸ばした腕はやり場がなく、ベッドにそっと降ろした。
触れてしまうのがもったいないほど、雨の匂いがまとわりつく。
ほんの少しでも動いたら消えてしまいそうな熱と共に。

「風邪ひいちゃう。ね、一緒にお風呂入りましょ。」

くっついた心臓を中心にどんどん熱くなる。晴美の髪が千里の喉をくすぐり、雨に溶けた埃の匂いがした。

「やだ、このままがいい」
「晴美、我が儘いわないで。一緒にお風呂入って、暖まってからこういうこと、しよ?」

千里が宥めるように髪を梳いても晴美はいやだというだけだった。

「だって、一度離れたら、もうこうして触れることは出来なくなっちゃう……これは今だけなんだから……」
630アメノアオト4:2008/04/09(水) 21:54:14 ID:J21wexvt
どくんどくんと心臓が痛い程煩い。
窓を叩きつける雨の音すら聞こえない。確かに、動いてしまったらもったいない。
日常を割る偶然の接触。それはきっと儚いほどふしだらな。

ベッドの上で触れ合って雨に濡れた熱をわけあって、そんなの意図すればあっさりと手に入るような事だけれど。

二人は正統な理由無しで触れ合うことを酷く恐れていた。
誰に弁解するわけでもない、誰か見ている人がいるわけでもない、それでも、自分たちが漠然と何かを裏切っている、言い訳が欲しかった。

「それなら、お風呂にお湯が溜まるまでよ。」
「うん、ありがと、千里」

静まりかえった部屋で、互いの心臓の鼓動とさやかな息づかいしか聞こえない。ほんの少しでも動きたくない。
緩やかに流れいつか記憶の彼方へ消えていく学生生活の中で、ほんの一瞬でもこうして確かに触れ合った奇跡のような時間があったのならば、それだけで幸せだった。

「もう、いいよ」
「もういいの?」
「うん、もう平気。千里とお風呂って初めてだね。楽しみ」
「へ、変なことしないでよ!」
「えへへー覚悟しててね!」




ざあざあと、雨の音が聞こえた。

631名無しさん@秘密の花園:2008/04/09(水) 21:55:18 ID:J21wexvt
おわりです。一部改行変なとこ在りました。ごめんなさい。
632名無しさん@秘密の花園:2008/04/09(水) 23:42:51 ID:+te7OKHd
おお、これはどちらもいい空気だー
肌寒い感じが余計に体温を感じさせると言うか……
633名無しさん@秘密の花園:2008/04/10(木) 14:03:05 ID:1ZCcfjRU
雰囲気がいいねぇ
がんがん攻めるのよりこういったぎこちない方が好みだ
634名無しさん@秘密の花園:2008/04/10(木) 21:59:53 ID:IVpDgFU/
酔いネタに桜と雨が作る空気に、とこんなの連続で見せられちゃたまりませんね、幸せです。

千里×晴美
ちょっとプレイじみてますが、痛かったりひどかったりはしません。
もう三月も過ぎてますが、春休みのイメージです。
635三月ウサギ:2008/04/10(木) 22:01:43 ID:IVpDgFU/
三月下旬。
冬の寒さも過ぎ、暖かくなってきた頃。
千里の部屋に、二人の少女の姿があった。
その部屋の主である木津千里と、彼女の親友であった藤吉晴美。
千里は微笑みながらベッドに座り、その正面に顔を紅潮させた晴美が
シーツを握り締めながら、枕に噛り付くようにして、腰を高く上げ、
その濡れそぼった秘所を千里に向けていた。

「千里っ、千里……ま、た……っ」
「うん?イっちゃうのね。はいはい」
晴美に哀願されて、千里が晴美の中に挿し込んでいた指の動きを激し
くすると、その快感に晴美が啼いて悦んだ。
する側される側としての違い以上に、二人には明確な差がある。
千里の指に悶える晴美は、眼鏡以外に何も身に着けていない、まった
くの全裸であるのに対し、少々乱れている部分もあるが、千里の方は
しっかりと服を着こんでいる。
それは、二人の関係を、そして立場の違いを表していた。

仲が良いとはいえ、あくまで親友としての範囲であったはずの千里と
晴美が、このようなあたかもペットとその主人のような関係を築いた
のは、つい最近のことだった。
636三月ウサギ:2008/04/10(木) 22:02:35 ID:IVpDgFU/
――数日前。

放課後の教室に、二人の少女の姿があった。
その二人は、やはり木津千里と、藤吉晴美である。
誰もいなくなった教室で、晴美は千里のスカートに手を入れていた。
その手は、さらに下着の中へと潜り込んで、千里の敏感な部分を指で
刺激している。

「晴美……駄目だ……って、誰か、っん……来ちゃったら」
艶の混じった吐息を漏らしながら、千里が言う。
「そうだね、そのときは……」
くすりと意地悪く笑って、晴美が千里の唇を奪う。
「私の千里はこんなにかわいいんだよ、って自慢しようかなぁ」
「バ、カ……」

「そろそろかなー?ほら、千里」
晴美が、下を向いていた千里のあごに手をやって、くいとその顔を自
分の方へ向けさせた。
「千里のイっちゃうところ、見せてね」
「う……っん」
羞恥と快感に千里が身を震わせる。
最高潮に達した千里が、びくっと体を跳ねさせた瞬間、その光景は白
く霞がかかったように消えていった。
637三月ウサギ:2008/04/10(木) 22:04:08 ID:IVpDgFU/
「っあ……千里……」
ベッドに横向きの姿勢で寝転がっている晴美が、甘い吐息と共に、千
里の名を呟いた。
「また……しちゃった……はぁ……ごめんね、千里」
絶頂の余韻を感じながらも、晴美は罪悪感から自己嫌悪する。
じっと指を見ると、それは自身の愛液でべっとりと濡れていた。
「……ごめん」

千里と晴美は親友だ。
しかし、晴美は千里に対してそれ以上の感情を持ってしまっていた。
それは、一緒に過ごしていたり仲良くしていたからといって、そのま
ま順に進展してなれるものではない。
友達と恋人、それも同姓同士となれば、その溝は大きく深い。

千里が好き。
そう言えれば、どんなに楽だろうか。
だけど、その一言で今の関係すら壊れてしまうかもしれない。
それが恐ろしくて、晴美にその想いを口にすることは出来なかった。
それなのに、晴美の千里を想う気持ちだけが、膨らみ続けていく。
時折、千里が欲しいという気持ちが、どうしようもないくらいに高ま
ってしまった晴美は、こうして千里を想って自身を慰めていた。
638三月ウサギ:2008/04/10(木) 22:05:34 ID:IVpDgFU/
「きもちよかった……」
晴美が呟く。
彼女がそのように言うのは、自分は今の行為で満足したのだ、と自分
自身に言い聞かせるためだ。
しかし、それも所詮一時しのぎでしかない。
感情を自分の奥に押し込んだだけだ。
焦燥が空しさに変わっただけだ。
何が解消されたわけでもなし。
むしろ、その行為の際に想像する自分と千里との情事は、回を増すご
とにエスカレートしてしまっていた。
現実では、キスどころか、好きだと言ったことすらないというのに。
だからといって、今の晴美にはこの行為で満足する以外に術はない。

「はぁ……」
ため息を吐いた晴美は、目を緩く閉じて寝転がる。
だが、そこで晴美が違和感を感じた。
転がったとき、視界の端に何かが見えた気がした。
彼女の良く知る何かが……
まさか、気のせいであって欲しいと願って視線を自分の足の方へと向
けると、口を半開きにして目を見開いた千里が、まさに信じられない
ものを見てしまったといった様子の千里が、そこに居た。
639三月ウサギ:2008/04/10(木) 22:06:35 ID:IVpDgFU/
「えっ?なんで……うそ!?うそ、うそ、うそでしょ!?」
突然の千里の登場に、錯乱気味の晴美が、シーツで自分の体を隠す。
「なんで!?なんでっ……千里が!?」
「……おばさんが……開けてくれて」
「っ……」
晴美は、今にも泣き出しそうな顔で目を回している。

例えばこれが、千里でなく他の家族が自分に用があったのなら、部屋
の外から大声で自分の名を呼ばれるだろうから、気づけたはずだ。
さらに、晴美が自慰の音を誤魔化すために、少々大きめの音量で音楽
を流していたのが災いした。
などと、今更後悔してももう遅い。
おかげで、晴美は千里が来ていた事に気づかずに、とんでもない場面
を千里に見られてしまった。
640三月ウサギ:2008/04/10(木) 22:07:33 ID:IVpDgFU/
「……晴美」
「ぁ……」
しばらくお互い黙ったままであったが、その沈黙を千里が破った。
「何……してたの?」
「え……う……」
「……」
千里がゆっくりとした足取りで、無言のまま晴美の元へ歩み寄る。
晴美は恐怖に支配されて、ただただ震えるばかりだ。

「何してた、なんて……」
「っや……許して……」
千里が晴美の体を被うシーツを掴んで。
「そんなの、聞くまでもないか」
「お願い……お願いだから」
晴美の言葉など意に介さず、千里がシーツを剥ぎ取ると、衣服をずら
して胸と秘所をあらわにした晴美の姿が、再び千里の瞳に映った。
「まあ、見たまま……だよね」
「やだ、やだぁ……」
ぽろぽろと涙をこぼしながら、晴美は体を丸めて両手を使い、必死に
その体を隠そうとしている。
641三月ウサギ:2008/04/10(木) 22:08:33 ID:IVpDgFU/
「もう、何してた……なんて聞かないよ」
「……へ?」
見逃してくれるの、と晴美が千里の方へと視線を向ける。
千里は、にこりと微笑むと、優しく抱き寄せるように晴美の背中に手
を回して、顔を晴美の目の前にまで近づけた。
「何考えてたの?」
それこそ言えはしない。
グラグラと晴美の視界が揺れる。
このまま気絶でもしてしまえたら、どんなに楽だろう。

「答えられないの?」
「う……あ……」
ぶるぶる震える晴美の瞳をじっと見つめながら、千里は秘所を隠して
いた晴美の手を押しのけ、指で晴美の敏感な部分に触れた。
「ひゃっ!?」
「さっき聞こえちゃった……千里、って」
千里の尋問が核心に迫る。
「私のこと、考えてたんだ?」
千里の言葉に、まるで鈍器で殴られたような衝撃を受け、晴美の全身
から力が抜けていった。
力なく横たわる晴美は、まるで糸の切れた操り人形のようだ。
642三月ウサギ:2008/04/10(木) 22:09:33 ID:IVpDgFU/
「晴美は、私のこと考えて、こんなことしちゃうんだね」
晴美の中に、指を挿し込みながら千里が言う。
「あっ……んん、ごめ……」
「ちゃんと答えて」
「ごめん……千里のこと……んっ」
「そっか……」
口を閉ざし、千里はしばらくの間無言で晴美の体を責め続ける。
千里に嫌われたのか、怒っているのか、それすらもわからないあまり
にも不安定な状態に置かれた晴美は、それでも千里から与えられる快
感だけはしっかりと感じてしまい、入り混じる感情に翻弄されて、自
分が置かれている状況にまるで現実感を感じられない。
次第に晴美の思考は麻痺していき、ただただ千里から与えられる快感
だけが残った。

「ふ……ん……千里ぃ」
「ねえ晴美、私にどんなことしたの?それともされる方?」
「え……それ、は……」
「答えないなら……やめちゃうよ?」
千里が指の動きをぴたりと止める。
「や…………言うから、お願い……」
「うん。いい子ね」
「教室で……ね……」
643三月ウサギ:2008/04/10(木) 22:10:36 ID:IVpDgFU/
「はぁ……はぁ……はぁ」
疲れきった晴美は、虚ろな目で天井を見上げていた。
千里が、晴美の愛液でべとべとになった指を晴美の唇に触れさせると
その指を晴美が咥え、吸いついた。
「……っぷ……千里……キス、して……」
指を離して、震える唇で晴美が言う。
「キス……ね」
数枚重ねたティッシュで、濡れそぼった晴美の秘所を拭きながら、千
里は少し考える。

「そうね、晴美がいい子にしてたら、してあげようかな」
「いい子、に……?」
「ええ、できる?」
「うん……わかった」
「よしよし。その調子よ」
晴美の髪を優しく撫でて、千里が晴美の頬に軽くくちづけをした……

644三月ウサギ:2008/04/10(木) 22:11:36 ID:IVpDgFU/
風呂からあがった千里が部屋に戻ると、ベッドの上では晴美が穏やか
な寝息をたてて眠っていた。
晴美を起こさぬように、千里がそろそろと近づき、その隣に座る。
「寝てる……よね?」
小さな声で呟いた後、千里の唇が晴美の唇に触れた。
「……は……あ」
千里がため息を漏らす。
(今日もかわいかったな……晴美)
いまだ晴美が頼んでもキスをしてあげていなかった千里だが、こうし
て晴美が疲れて眠りこけているうちに、何度かその唇を奪っていた。

数日前、晴美の自慰を見てしまったときは、とにかく驚いた。
千里自身も心の奥底で、晴美に友情とはまた別の好意を抱いていたの
だが、晴美のように体を重ねたいとまでは、思ってはいなかった。
しかし、あまりに扇情的な姿の晴美を見てしまったとき、千里の中の
何かが弾けてしまった。
吸い寄せられるようにふらふらと晴美に近づき、体に触れ、気づけば
あたかも主従のような関係を築いてしまっていた。
645三月ウサギ:2008/04/10(木) 22:13:01 ID:IVpDgFU/
通るはずであったいくつもの段階を飛び越え、さらにどこか歪んだ形
で結ばれてしまっている今の状態。
それゆえに、気持ちの整理がついていなかった千里は、今の状況に甘
えてしまって、その一歩を踏み出せずにいた。
(ごめんね晴美、ちゃんと言うからね……好きだ、って)
焦ることはない、晴美の気持ちは自分に向いているのだ。
千里が自身に言い聞かせる。

だが、そこに誤算があった。
眠る晴美に対して千里がしている事は、とうに晴美に知られていた。
千里もまた、晴美を求めている、既にどうしようもない程に。
それを晴美は理解しているのだ。

例えばここで、急に目を覚まして
「やっぱり千里も私のことが大好きなんだね」
なんて言えば、たやすく甘い恋人同士になれるだろう。
それとも、そのまま今度はこちらが押し倒して、逆に千里の事をかわ
いがってあげようか、うんそれもいい。
そして、もちろん千里に告白されるのも。
三つの未来を思い描く晴美。
どれも魅力的だ。だが、今はこの関係を楽しもう。
眠ったふりをしながら、従順なはずの子ウサギが、ほくそ笑む。

――ねえ千里、いつまでも迷ってたら、噛みついちゃうよ?
646名無しさん@秘密の花園:2008/04/10(木) 22:16:38 ID:IVpDgFU/
なんというか、藤吉スレ定番ネタを下敷きにしたSSでした。
最近そんな絵も描かれたようですね。

もう投下してしまった後なんで、いまさらなんですが>>522からのは蛇足でした。
作者が急ぎすぎた感があります。
お手数ですが、まとめの管理人様、>>522のは削除してもらえますか?
もう、アレは無かったことにしてしまいたい。
あと、>>635>>636の最後は2行改行のミスです、ごめんなさい。

さらにリレーまで途切れさせてしまったようで、もうほんとすいません。
647名無しさん@秘密の花園:2008/04/10(木) 23:41:32 ID:RLMzAK6W
加害妄想の上にクーリングオフですか!

それはそうと、今回のは素晴らしい出来でしたよ。別に前のがよくなかったわけじゃないですけど
648やさしい動物(上):2008/04/11(金) 21:10:28 ID:HnOIqoZw
「きゃっ!」
 どてっ、と勢いのいい音を立てて私は廊下にこけた。
倒れる瞬間、反射的に顔は手で守ったが、堅い廊下に体を打ちつけてしまったので
体中に痛みが走った。
ただでさえ体中怪我だらけの私だ。はっきり言って泣きそうになるくらい痛かった。
何も無いところで転んでしまう私の運動音痴っぷりに、自分自身に腹が立った。

 いつまでも倒れているわけにもいかなかったので、私は体を起こした。
体の包帯が解けて、私はミイラ男(女?)のような姿になっていた。
包帯が無くなって晒された素肌からはせっかく治りかけた傷から血が滲んでいるのが見えた。
 私は廊下を見渡した。今は放課後で生徒が誰もいなかった。
よかった。尻餅をついて、体中生傷だらけの包帯マンの姿を見られる訳にはいかなかった。
それから私は体に包帯を再び巻き始めた。一つ一つゆっくりとゆっくりと・・・

「あびるちゃん・・・?」

 クラスメイトの木津千里が階段から降りてきたのが見えた。
千里ちゃんは慌てた顔をして私の方に近づいてきた。
「あびるちゃん、どうしたの?こんなところで・・・」
驚くのも無理は無い。学校の廊下でミイラ女がいるのだ。
「いや・・・転んじゃったら包帯がほつれちゃって・・・」
千里ちゃんは呆れ顔をして、私の足に包帯を巻いていった。
「いいよ、千里ちゃん。一人で出来るから・・・」
「クラスメイトがこんな様子なのにほっとけないでしょ!」
それからてきぱきと手際よく包帯を巻いていってくれた。
流石千里ちゃん。彼女の世話焼きに私はとても感謝した。
それと同時に千里ちゃんが晴美ちゃんにいつもこういう世話を焼いているのかと思うと、心の中で少し嫉妬心が湧き上がった。
2人が付き合ってるのは周知の事実だ。わかっているけど今でも悔しい。
私が千里ちゃんと付き合いたかっ・・・

649やさしい動物(上):2008/04/11(金) 21:11:04 ID:HnOIqoZw
「どうしたの?私の顔に何かついてる?」
知らない間に私は彼女の顔をずっとみつめていたようだ。
「ううん、何でもないよ」
「そう、それなら別にいいけど・・・」
もう私の足の包帯は巻き終わっていた。
「あなたね、もうちょっと自分の体を大事にしなさいよ!
 気付いたらまた傷が増えてるんだもの・・・」
「うん、気をつける」
千里ちゃんが私の変化に気付いてくれてることを知って、ちょっぴり嬉しかった。

 今度は手の方に取り掛かってくれた。
私は自分の手首に三本の深い傷があることに気付いた。
これは動物園のトラに抱きついたら思いっきり引っ掻かれたときの傷だ。
もうちょっと深かったら完全に血管を切られていた、ってお医者さんの怒られたのを思い出した。
千里ちゃんがその傷を見たとき、何故か一瞬手が止まったのに気付いた。
「千里ちゃん・・・どうしたの?」
「え!?う、ううん・・・なんでもないの!?」
そう言って再び作業が始まった。千里ちゃんの顔色が少し暗くなっていた。何でだろう?
650やさしい動物(上):2008/04/11(金) 21:11:39 ID:HnOIqoZw
「千里ちゃん、ありがとう」
「いいわよ、これくらい」
すっかり包帯が元通りになった。もうすっかり暗くなっていった。
「もうお遅くなっちゃったね」
「そうね・・・」
千里ちゃんからの反応が薄い。私は千里ちゃんに悪いことをしたのかな。
「千里ちゃんごめんね。私がドジしちゃったからこんな遅くまで引き止めて・・・」
「何であびるちゃんが謝るのよ」
やっぱり千里ちゃんの反応は薄かった。
すると一呼吸おいて、彼女は思い切った様子で私の方を向いた。
「ねえあびるちゃん!最近思い悩んだりしてることとかない?
 私でよければ何時でも相談になるわよ」
「ど、どうしたの、千里ちゃん!?何にないよ」
いきなりの質問に私は驚いた。何か私変なこと言ったっけな?
「嘘よ!だってあなたはその」

「ちぃり〜〜〜♪」

いきなりの声の主は晴美ちゃんだった。笑顔の彼女が廊下の奥の方から走ってきた。
「いや〜ごめんね、遅くなって!図書館で友達と話し込んでたら長くなっちゃって・・・」
晴美ちゃんは少しおかしい千里ちゃんの様子に疑問をもった。
「あれ?2人でこんなところで何してるの・・・」
「別に何でもないわよ!行くわよ、晴美!」
そう言うと千里ちゃんは晴美ちゃんの襟元を掴んで歩いていった。
晴美ちゃんを引きずりながら、私の方に振り向いた。
「それじゃあまたね、あびるちゃん」
「うん、また。晴美ちゃんもね」

「ねぇ千里?どうしたの?怒ってるの?」
私はずっと考え事をしていた。
包帯を巻いているときに見えた、手首の傷。
あれはどう見ても自傷、リストカットの傷だった。
あの真面目な彼女がリストカットなんてしていることに驚いた。
けどそういう子だからこそ、自傷に走ってしまうのかもしれない。
普段の学校生活を見て、学校での問題はないはず。
友達もたくさんいるし、勉強もできる。
だったら多分家の問題だ。確かにあびるちゃんの傷はお父さんのDVって言う噂も聞いたことがある。
もしかしてそれに耐えかねて、自分で自分を傷つけているのかも・・・
「千里〜どうしてなにも言ってくれないの〜」
甘えた声を出しながら、隣でずっと私の体を揺らす晴美がうっとおしい・・・
「ねえ、晴美。最近あびるちゃんに変な所無かった?」
「ん?別に無いと思うけどどうして・・・」
やっぱり家の問題だ。私はそう決めて、彼女に対して何をしてあげられるかを考え始めた。
「も、もしかして2人で何かあったの!?ねえ、千里!何で何も答えてくれないの〜」
651やさしい動物(上):2008/04/11(金) 21:12:27 ID:HnOIqoZw
 今は授業中。いつも通りに授業が進んでいる中、一つだけ違和感を感じた。
私の後ろから感じる視線。今朝から私は千里ちゃんからの視線を浴び続けている。
昨日から千里ちゃんの私に対する様子は少し変だ。
もしかして私は惚れられているのか・・・・まさかねえ・・・・

 授業が終わり、昼食の時間だ。いつもなら私は芽留ちゃんと一緒にお弁当を食べる。
その日もいつも通りそうなる、筈だった。だけど授業が終わるとすぐに千里ちゃんが私の方に飛んできた。
「ねえあびるちゃん!!今日、一緒にお弁当食べない!?」
「う、うん、いいけど。芽留ちゃんも一緒にだよ・・・」

 机一つに私、千里ちゃん、芽留ちゃん、晴美ちゃん。
静かな食事風景。誰も口火を切ろうとしなかった。
食事の最中、私は千里ちゃんの目線を痛いほど受け続けた。
それを横目で見ていた晴美ちゃんは何かそわそわしていた。
そしてメールの着信音・・・
(あの女、いつもと様子が変じゃねえか?)
私は芽留ちゃんに同意した。

「ねえ千里ちゃん、昨日私に何か言いかけたよね。何だったの?」
私が口火を切った。すると千里ちゃんは周りを見回した。
「ここじゃあ、少し言えないわ。2人だけになったら話しをしましょう」
また四人はしーんとなった。
だけど実はこのとき私は恥ずかしい妄想をしていた。
みんなの前では言えない+2人だけ
     =実は私あびるちゃんのことを・・・
自分の妄想に私は悶えそうになった。何で私、こんな恥ずかしいこと考えてるんだろう。
実はこの時、晴美ちゃんの顔が真っ青になってた。
彼女も私と同じことを考えていたのだろうか。私は優越感を覚えた。
652やさしい動物(上):2008/04/11(金) 21:13:21 ID:HnOIqoZw
「ねえ真夜さん、今度のお休み何処か行きます?」
「うん」
食事を終えた私と真夜さんとで休日の過ごし方について話し合っていた。
「けどお家はやめてくださいね。もうこの前みたいな事は・・・」
「そう・・・」
真夜さんは少しがっかりしたような顔に、私は可愛さを覚えた。
やっぱり真夜さんは可愛いな・・・・
と、そんなことを思っていたらいきなり晴美さんが2人の間に入ってきて、私のほうに泣きついてきた。
本当に突然で、私たちは目を丸くした。
「愛ちゃん!!!千里があびるちゃんに告白しそうなの!!
 私というものがありながらよ!!どうしよう〜!!!」
晴美さんは凄い力で私に抱きついてきた。
「お、落ち着いてください!晴海さん!!い、痛いです!!」
晴美さんは私の声が耳に入っていなく、私は凄い力でぐらぐらと体を揺らされた。
「愛ちゃん!助けて〜!!」
ボコッ!!
真夜さんの拳が晴美さんの頭部を強打し、地面に倒れた。
一瞬のことで声も出なかった。晴美さんも私も。
「私の愛に何をする」
「真夜さん、そ、それはやりすぎじゃあ・・・」
失神した晴美さんは小さな声で千里さんの名前を呼んでいました。
いったいなにが・・・
653名無しさん@秘密の花園:2008/04/11(金) 21:16:15 ID:HnOIqoZw
あびちりです。上下です。

最近スレが活性化して嬉しいですね。
もっと普及しますように・・・
654名無しさん@秘密の花園:2008/04/11(金) 23:50:50 ID:X9GhEOXz
GJGJ!横恋慕とカンチガイ大好き、下も楽しみ

最近毎日のように投下あって素晴らしい、もうちょっと読んでるほうも反応あったらちゃんと活性化しそう
いや、反応薄いとまた書かれなくなりますよ、マジで
今は職人が増える好機だと思うんで、良いと思ったらきっちり言っといた方が……そもそもスレ人口自体が少ないかもしれんけど
655名無しさん@秘密の花園:2008/04/12(土) 00:41:48 ID:tpUbkUjE
>>654
このスレに投下させてもらってる1人ですが
感想はあればやはり嬉しいですが、無くても投下は続けるつもりですよ。
書きたいネタはまだまだありますからw

まぁ人によって好きなカップリングが違うし
感想がうまく表せない人もいてると思いますんでなんともですが…
あと投下が続くと1つ前の話には感想書き込みにくかったりね。
なるべく被らないように空けて投下するように心掛けてますが…。

書き込むまでに至らないまとめの拍手とかクリックしてみるのもいいかも。

656名無しさん@秘密の花園:2008/04/12(土) 00:46:12 ID:g70H/tXc
やっべえwktkが止まらねえ。
あび×千里だけじゃなく、何気に以前の真夜×愛が反映されてるのが良いですね。
続き待ってます!
657名無しさん@秘密の花園:2008/04/12(土) 01:44:23 ID:nwC+1F6X
しかし、千里はなんでこんなにモテるんだろうww
658名無しさん@秘密の花園:2008/04/12(土) 05:19:06 ID:1k2PDmzJ
>>657
可符香「それはやっぱり千里ちゃんがかわいいからですよ!」

愛「私はどちらかと言うと千里さんって凛々しい方だと思いま…はっ
すいません!私などが反論してしまって!すいませんすいま(ry」


あびる「ふふ、甘いわ二人とも」
晴美「ふっふっふ…その通り激甘ね
…まぁ千里の唇はもっと甘いけど」ニャマリ
あびる「…髪だって、瞳だって、言葉だって」
晴美「指の一本一本も、小振りな胸も、乱れた息遣いも…」
(中略)
晴美「つまり、押し倒して良し!」
あびる「押し倒されて良し…」

可符香「さすが千里ちゃん、こんなに色んなニーズに答えられるとは」
愛「ぁ…ぁの、その…私には会話のハードルが高すぎます…」



千里「……」

マ太郎「マリアニ イツモヤサシクシテクレテ ナンダカ オネーチャンミタイデ
マリア チリノコトダイスキ!」
千里「…ありがとう、マリア、私もマリア大好きよ
さぁ、帰りましょう途中でジュースでも買ってあげる」
マ太郎「ウン!」
659名無しさん@秘密の花園:2008/04/12(土) 11:29:50 ID:+hXPgREJ
スタイル良いのが多い中、一人だけ貧相呼ばわりだし、打たれ弱いからみんな襲いたくなるんだろうなぁ
>>653
相談されてた方が、今度は相談してるんですかね?w
百合っ子が百合っ子に相談するのってなんか良い
>>655
同じく、投下するものの一人。あんまこういうのは言わないほうがいいんだろうけど
素人が文章書いてるわけですから、やっぱ書いたものに自信は無いんですよね
評価受けて完成、みたいなもんで
最近まとめの方の拍手が微増してるような気もしますから、投下増の影響はあるんでしょうね
もちろん拍手も嬉しいんですが、こっちが本体なわけだし、次に繋がる燃料として見たら、
スレでの感想:拍手は、6:1(自分内)くらいですかねえ、やっぱレスもらえるのは圧倒的
なんというか、他に書いてくれる人と読んでくれる人がいるから出来るわけで、一人じゃ書けないんですよねえ
アップローダーじゃなくて掲示板ですもの

ああ、ひどい誘い受け…
660名無しさん@秘密の花園:2008/04/12(土) 11:37:56 ID:+hXPgREJ
アップローダーじゃなくて、ってのは何か違った

掲示板ですもの
661名無しさん@秘密の花園:2008/04/12(土) 13:44:02 ID:tpUbkUjE
>>659
だらだら論議するのは申し訳ないと思いながらこんな機会もないのでちょっと戯言を。

自分も素人ですから自信は皆無ですが書いて投下する以上
自信を持ってお届けしないと見てる人にも申し訳ないっていう気持ちがあります。
自分が納得出来ない作品にGJ貰っても複雑ですからね。
まぁそんな自信作に感想が付かないのも確かにショックですが…
でも感想で自信が付くから感想欲しいってのもちょっと違う気が…

感想の有無の感じ方は職人さんによりけりなんでしょうけど
作品を発表出来る場所があるだけで自分は幸せです。
それに感想が戴けるなんて願ってもないってのは自分の考えであって
他の職人さんはそうでないというのを改めて感じました。

本当訳分かんない文ですいません。
でもこれは今後の投下を見直すいい機会かも知れませんね。

662名無しさん@秘密の花園:2008/04/12(土) 14:11:48 ID:ro00FfY+
感想はどう書いていいか分からんから
作者とおぼしき人のサイト・ブログにいって
コソーリ拍手することにしてる
663名無しさん@秘密の花園:2008/04/12(土) 15:29:28 ID:03ff/Gfl
>>662
凄いな、良く見極められるね。そう言うの全然だめだ。
この前も絶望先生のサイト探してメンタルクリニックのサイトに逝ってしまった
しかしこの頃GJな投下が多いなあ、前のスレッドは途中まで過疎ってたのにね。
職人さんたちに感謝
664名無しさん@秘密の花園:2008/04/12(土) 15:30:32 ID:ro00FfY+
見極めるというか、絶望サーチから
たどってたら普通に見つかっただけだよ
665名無しさん@秘密の花園:2008/04/12(土) 20:16:58 ID:+aIHIGWi
今までも見てたけど、なかなか感想が書けんかったから、この機にまとめて失礼します。
なんというか、職人さんGJ!としか言いようがない。応援してますよ。
スレが活性化するのは良い事です。
666名無しさん@秘密の花園:2008/04/12(土) 20:59:12 ID:+hXPgREJ
>>661
でもほら、場所があるから幸せ、でしょ?
同じく、ここで自分が書いてもいいのか不安、なんですよ、スペースを借りてるようなものだから
ええ、あんまり言わないほうがいいんです、こういうことは…まあ機会です、そんな話はこれで終わり
667名無しさん@秘密の花園:2008/04/12(土) 21:10:35 ID:+VFiKQU3
>>663
たどり着いた先ワロタ
絶/望/LinkにGLのカテゴリがあるのでその辺りを辿ってみると
ここのスレに投下している人達や
好みのカプ見かけるかもしれない、と言ってみる。
668名無しさん@秘密の花園:2008/04/12(土) 22:00:16 ID:03ff/Gfl
>>667
そう言う便利な物があるのか。感謝
自分の物知らずには呆れる、い、いや、決して馬鹿じゃないんだ。
自信ないけどw
669名無しさん@秘密の花園:2008/04/12(土) 22:02:57 ID:mfHYxT0f
ここはいつきても更新されてるなあ
670名無しさん@秘密の花園:2008/04/12(土) 23:45:17 ID:FSSo8gMA
>>427を見て思ったんだが、まといが奈美にベタ惚れしたらどうなるんだろ? 
671名無しさん@秘密の花園:2008/04/13(日) 00:34:27 ID:MqUNbCpT
>>670
びっくりした、やぁ俺w

>>427を見て色々考えていくうちに、なんかツボってまさに今、まと奈美で書いてるトコですよw
672名無しさん@秘密の花園:2008/04/13(日) 00:41:27 ID:9XV7CWM5
>>670
1.普通にふるまう
2.真似するところが何もなくて、恋愛は相手に合わせることじゃないと気付く

>>671
超期待してます。ネタ潰なんてしてないヨ!
673名無しさん@秘密の花園:2008/04/13(日) 00:59:32 ID:ZXQRRdwd
先生から女の子に乗り換えても、和服着てて欲しいからどうせなら倫に惚れて欲しいなあw
674名無しさん@秘密の花園:2008/04/13(日) 01:12:34 ID:F11MgYzE
お嬢様とその侍女にしか見えないけど実は、な仲っていいね。
675名無しさん@秘密の花園:2008/04/13(日) 01:47:11 ID:RNguAXI3
そういえば倫ネタって全然無いなあ。
どんな状況があるだろうか、あまり生徒として接点ないかな。
知恵先生に襲われるとか。
676名無しさん@秘密の花園:2008/04/13(日) 02:06:26 ID:ZXQRRdwd
倫ちゃんは超然としてるところがあるので、女の子同士とか気にしなさそうな感じが良い
677名無しさん@秘密の花園:2008/04/13(日) 18:36:33 ID:yNGAYaFf
ハルチリを面白そうに観察する倫様
678名無しさん@秘密の花園:2008/04/13(日) 19:27:13 ID:ZXQRRdwd
自分も書いてみたくなったんで、倫でもまといでもありませんが一本やってみました。
晴美と千里で、先生に惚れてる千里に片想いしてる晴美ちゃんの話です。
かなり短めで、一方通行の恋愛感情なので仲の進展もないです。
さらに悲恋っぽいです。それでも良ければどうぞ。
679二人の間:2008/04/13(日) 19:29:39 ID:ZXQRRdwd
「う〜」
「…はい、買って来たよ」
「ありがと…」

ベッドで苦しそうに唸る千里に、冷却用のシートとペットボトルを渡した。

今日の千里は、朝からずっと風邪から来る熱でフラフラしていた。
なのに今日も千里は、先生の半ば気まぐれの課外授業に文句を言いながらも真っ先について行った。
熱でふらつく体にムチを打ち、さらに体調は悪化する一方だというのに千里は最後まで先生につきあっていた。
おかげで千里は今はもう、無理がたたってベッドから動くこともできない。
おでこに貼ったシートを新しいのと交換して、ペットボトルのドリンクを一口飲んで、千里が目を閉じた。

「無理しすぎよ」
「授業には、ちゃんと出ないとダメじゃない」
「そりゃそうかもしれないけど、無茶だって…やっぱり、先生だから?」
「何よ、先生だから…って」

千里が薄く目を開けて、ちらりと私の方を見た。
680二人の間:2008/04/13(日) 19:31:38 ID:ZXQRRdwd
「いつも追っかけてるじゃない、先生、先生…って」

言ってから、ちょっと今のはイヤミな言い方だったなと後悔する。

「それは、先生が…」
「先生が?」
「ハッキリしないから…責任、とってもらわないと」
「責任…ね」

ため息を吐いた。

千里の言う、責任…何度も聞いた。
保健室で目を覚ますと、千里は先生に抱かれていた…ただそれだけの話。
それ以上の意味なんて持っていそうにない。
第一、千里も先生も何も覚えていないんだ。どう考えても二人の間には何もなかったんだろう。
なのに千里はその一件を理由に先生に交際を迫っている。
まったく先生もいい迷惑だよね。

考えているうちに、千里は眠りについていた。
681二人の間:2008/04/13(日) 19:33:05 ID:ZXQRRdwd
千里の寝顔を見ていると、まるで怒りのような感情がふつふつと湧き上がってきた。

責任…抱かれて眠っていたから…そんなことでいいの?
そんなことくらい、今、私だってできる。
…ここで千里を襲いでもしたら、責任を取ってって私の事も追いかけてくれるの?
もしそうなら…

…バカな事を考えた。
責任がどうしただなんて千里が言うのは、ただの照れ隠しだってくらい知ってる。
わかってるよ。そんなの関係なしに千里は先生のことが好きなんだって。
言えばいいじゃない。先生のことが好きなんだって。
私は応援してるんだからね。
千里が先生と幸せになれるようにって。
それでちゃんと、私にも千里のこと諦めさせてよ…
682二人の間:2008/04/13(日) 19:35:18 ID:ZXQRRdwd
帰り道。
やっぱり考えるのは千里のこと。
もし千里が先生にこっぴどく振られたら、そうしたら私が…
つい浮かべてしまったひどい考えを振り払う。
そうだよ、私が悪いんだ。勝手に思い込んでいた私が。
千里と私はいつも一緒で、私は千里のことが大好きで、きっと千里も…って思ってた。
だけど、いつのまにか千里は私達のクラスの担任の先生を好きになっていた。
ショックだった。
いつか千里に告白されて、恋人同士になれる。
そんな根拠のない幻想を当然のように信じていた自分を呪った。

「きっと、マンガの読みすぎよね…」

口元を歪ませて自嘲した。

本当にどうすればいいんだろう?どうすればよかったんだろう?
すぐ近くに居たのに、すぐ近くに居るのに、私と千里の間にはとてもとても大きな隔たりがある。
683名無しさん@秘密の花園:2008/04/13(日) 19:38:57 ID:ZXQRRdwd
これで終わりです。
百合スレ的に、男に惚れてる状態ってもしかしてアウトなのかな?
では、失礼しました。
684名無しさん@秘密の花園:2008/04/13(日) 19:44:08 ID:p6MAWjlm
私は全然おk
685名無しさん@秘密の花園:2008/04/13(日) 19:51:49 ID:ayi38OuB
私も全然おk

むしろGJ!こういう話もいいな
686名無しさん@秘密の花園:2008/04/13(日) 23:23:03 ID:1Vpnneww
障害がある方が燃える
687名無しさん@秘密の花園:2008/04/13(日) 23:26:46 ID:TOc44R27
せつなさがステキだなぁ。
とりあえずGJ!
688名無しさん@秘密の花園:2008/04/14(月) 13:24:19 ID:bKRUh8go
なんだかモヤモヤしてたので思い切って書いてみました。
まと×霧で短編です。エロ描写は殆どないですが…
あと、上のほうでも話題に上がっていましたが、二人とも糸色先生に惚れているのが前提となっています。
色々とベタな展開ではありますが、よろしければどうぞ。
689親友 1/4:2008/04/14(月) 13:25:41 ID:bKRUh8go
「すっかり熱は下がったね」
平熱を示す体温計の数値を見て、霧は満足そうに頷いた。
反面、まといは掛け布団から顔を覗かせ、ばつの悪そうな表情をする。
まといは今日一日、高熱を出し寝込んでいた。
それをまさか、恋敵に看病してもらうことになろうとは、思ってもいなかったからだ。

「意外に大人しくしてくれてたから、早く直ったのかもね」
「……」
本来であれば、まといのプライドが許さない事態であるべきだ。
しかし、霧という少女から受ける施しが、まといには、案外悪くなく感じられた。
母性本能というものなのか。自らを世話してくれる霧は、正に母親を感じさせた。
そうすると、急にこの引き篭もりの少女に対し、感謝の念と、愛情がこみ上げてくる。
まといはジーっと霧を見つめる。

「…ありがとう」
「へっ?」
予期していなかったまといからの謝辞に、霧は目をキョトンとさせた。
「あなたのお陰で、すっかり良くなったわ。本当に、ありがとう」
まといは、寝ながらではあるが頭を下げる。その顔は、熱でもあるのではないかというくらい紅くなっていた。

そんな、急にしおらしくなったまといに、霧も思わず見惚れてしまっていた。
普段の憎たらしい態度のストーカー少女はどこへやら。
風邪で弱々しくなったまといの姿は、霧の庇護欲に火を付けた。
結果、自分でも思っていなかったほど、看病に熱心していた。
そして布団の中で恥ずかしそうにしているまといの姿は、一層霧に愛おしさを与える。
「良いんだよ。ちゃんと分かってくれれば、それで」
なんだかこちらも急に恥ずかしくなってしまった―霧は紅潮しながら礼を返した。
690親友 2/4:2008/04/14(月) 13:26:41 ID:bKRUh8go
それからは無言。普段は憎まれ口を叩き合う間柄だったのが、
急に話しかけづらくなってしまった。
続く静寂――時計の針の音と、二人の呼吸音と互いの胸の鼓動だけが室内に響く。
そんな静寂を打ち破ったのは、まといの一言だった。

「あなたって、本当に可愛いわね」
「え…? 別に、そんなことないよ」
「ううん。それに私もこれだけ可愛かったら、先生、振り向いてくれるのかな…」
まといはもの悲しげに言う。
「えっ?」
霧は思わずまといを見つめる。まといは上体を起こし、続ける。
「あなたはいつも先生に気にかけてもらえる…それがとても羨ましくて、憎らしくて…
 きっと、私じゃあなたに勝つこなんて出来ないだなって…」
まといは自傷気味に語る。目には涙が浮かび上がっていた。

「私も…羨ましいよ、あなたのこと」
「…?」
今度は、霧がまといに語りかける。
「だって、あなたはいつも先生と一緒にいる。きっと、私の知らないような表情や仕草も見たことがあると思う。
 引き篭もりの私には出来ないことだから、とても羨ましいよ。それに…」
「…それに?」
「あなた、とっても綺麗だよ。憎らしいほどにね」

再び静寂――が、すぐにそれは終わりを告げる。
「…ッア、アハハハッ」
まといが笑い出す。
「ハハハッ、ごめんなさい、急に変なこと言い出しちゃって…ハハハ、なんだか馬鹿みたいね」
まといは謝るが、先程までの辛気臭さが抜けきった、気持ちのいい笑顔だった。
691親友 3/4:2008/04/14(月) 13:27:40 ID:bKRUh8go
「ヘヘヘ、そうだね。なんだかおかしい…フフッ」
霧もつられて笑い出す。そしてまといに問いかける。
「ねぇ、今からあなたのこと、『まとい』って呼んでもいいかな?」
まといがそれに答える。
「それじゃあ、私は『霧』って呼べばいいのね?」
互いに見つめ合う。今までの憎まれあいのものとは全く違う視線。
「―まとい」
「―霧」
そして、二人は口付け合った。


しばらくの後、二人は一つの布団に潜り込んでいた。
「具合はもう良いの?」
「お陰さまで大丈夫よ。フフ、女の子同士で寝るのなんて初めて」
「女の子同士かぁ…これって、私たちが友達ってことだよね?」
「友達…。うん、そういうことになるのかな」
「友達…まといが最初の親友…だよ」
「私も霧が最初の親友。
 でも、先生の事はこれとは別だか忘れないでね。先生には私に振り向いてもらうんだから」
「私だって負けないよ……それじゃあ、早く良くなって、先生に付きまとわないと」
「うーん…本当はすぐにでもそうしたいところなんだけど、今日は霧に付き合うわ。
 先生の行動は盗聴器でなんとかしてるしね」
「…相変わらずね、まとい…」
「そうよ、私は愛の重い女。そして…」
「へ…キャっ!」
「友情だって重いんだから」
「あ…そんな…駄目……んっ…」

こうして、夜は更けていった。
692親友 4/4:2008/04/14(月) 13:28:54 ID:bKRUh8go
夜。
懐中電灯の灯りが、廊下を照らす。その光源に糸色望と交がいた。
「全く…もう遅いから寝てなさいとあれ程言ったのに、お前ときたら…」
望は、自らの膝程の高さにいる交に愚痴をこぼす。
「しょうがないだろ。俺だって2人の様子が気になるんだ。
 …あの二人が一緒にいるなんて、大丈夫かなぁ」

そんな問答を繰り返すうちに、宿直室へと到着する二人。
「小森さん、常月さん。失礼しますよ」
そう言って扉を開ける望。懐中電灯を中に向ける。
「おい、大丈夫そうか?」
交が不安げに望を見上げた。そんな交に、望は微笑みを返す。
「安心しなさい、交。あんなに仲良さそうに眠っていますよ」
望が灯りで指示した先には、抱き合いながら眠る霧とまといの姿があった。

〜了〜
693あとがき:2008/04/14(月) 13:30:18 ID:bKRUh8go
お粗末様でした。

個人的解釈として、霧とまといは同性間での付き合いっていうのをあまり経験したことが無いんじゃないかなぁと。
だから、同性間での恋愛っていうことに気付かないで、本人達は友達として付き合っている。
でもやってることは恋人そのもの…ってシチュが萌えです。分かりづらかったら申し訳ありません。
個人的にはまと霧の絡みがもっと増えてくれればなぁ、と思う次第であります。

それでは、失礼致します。
694名無しさん@秘密の花園:2008/04/14(月) 13:58:50 ID:Qu2UBXPO
甘〜いSS乙です

話題にこそ出るものの、なかなかまとい×霧はないので嬉しい限りです。
これからも頑張って!
695名無しさん@秘密の花園:2008/04/14(月) 23:01:10 ID:QMMqjd6F
GJでした
生活空間が同じだから、一緒に家事とかしてたら面白いんだけど
そのへんどうなんだろう?まといはやっぱ居るだけで何もしないのか
696名無しさん@秘密の花園:2008/04/14(月) 23:10:12 ID:hJXG/SIx
先生のストーカーでいろんなとこに隠れるまとい。
霧の被った毛布の中に隠れたりするかもしれない。
先生が眼の前にいるのに、中でいろんなことをしちゃったりするかも。
必死で平静を装う霧。
697名無しさん@秘密の花園:2008/04/14(月) 23:22:50 ID:VS/5Rix8
まときりは二人とも先生に惚れてるから、触れあったりはするけど
恋愛まではいかないんじゃないかってイメージしてる
おいしいような残念なような
698名無しさん@秘密の花園:2008/04/15(火) 17:02:25 ID:prV7lwh+
>>695
一緒に家事する場面は無さそう。
でも、十三集収録予定の話の中に外出しようとしている先生のマントを用意する描写があった、はず。
しかしそのマントを洗濯したのは霧だと考えられる。
699名無しさん@秘密の花園:2008/04/15(火) 19:16:12 ID:2La8afXJ
ええと、投下がかぶるのが申し訳なくて様子を見てきましたが
ラッシュが大分落ち着いてきたので、1つ投下させてもらいます。

>>477あたりでちょろっと予告してた楓→可符香×カエレの話をば。
今回はちょっと勝手に設定してしまったので
カエレから楓への変化とかその辺りはいつも以上の捏造です。
それでもよければしばしお付き合いください。

700HARMONY:2008/04/15(火) 19:18:04 ID:2La8afXJ
ポジティブ少女こと風浦可符香はまるで猪の様な勢いで
ひたすら廊下を行ったり来たりしていた。
手にはモップを持ち、廊下の端から端まで
行ったり来たりを繰り返して廊下を磨き上げていく。

その鬼気迫る勢いの可符香をクラスメートである木津千里が
表情を硬くしながら見つめ、すぐ傍にいる、同じくクラスメートの藤吉晴美に話しかけた。

「ねぇ」
「んー?」
「何で可符香さんはあんな勢いで掃除してるの?」
千里がちらりと目を見やった先には、もう可符香は居なくて
反対側の端へ叫びながら猛ダッシュする後姿が見える。

「あー、多分」
晴美が千里の疑問へ返答をしようと口を開いた瞬間
千里の後ろから可符香がひょこっと現れる。

「千里ちゃん!そーじ終わったからね!」

耳の傍で大きな声を上げられた千里は
反射的に片耳に手を当てながら、身を捩る。

「そんな大きな声出さなくてもわかるわよ!」
「じゃ、またね!」
千里の言葉もろくに耳に入れず、掃除の邪魔にならないように
廊下の端っこにおいてあった鞄をひっ捕まえて、可符香は廊下を走っていった。

唖然とする千里とその横でひらひらと手を振る晴美だけが
その理由をなんとなくわかっているようだった。

「可符香ちゃんも案外乙女なところあるんだね」
「どういういう意味よ?」
自分には意味がわからず、晴美がもったいぶった言い方をする事に
千里は少し苛立った様子を見せる。

「はいはい、イライラしないの」
ぽんぽんと千里の頭を叩きながら、晴美はにこっと笑う。
その姿はまるで子供をあやす様な風だった。

「いいから、理由を聞かせなさい、理由を」
「ああ、それはね…」
701HARMONY:2008/04/15(火) 19:20:19 ID:2La8afXJ
自分が出来うる限りの早さで掃除を終わらせた可符香は
一旦自分のクラスである2のへの教室へと向かった。
扉に手を掛けて引いてみたが、教室にはしっかりと鍵が掛けられている。
窓からひょこっと中を覗いてみるが、もちろん中には誰も居ない。

「ここじゃない、か…」
一言呟いてから、すぐに方向転換をして
きょろきょろとお目当ての人を探しながら
廊下を歩き、階段を下り、とうとう靴箱にまで辿り着いた。

「もう帰っちゃったかなぁ」
この段階でも姿の見えない探し人に、可符香は肩を落とす。
仕方ないな、と諦めて独り淋しく帰宅しようと
自分の靴が収められている靴箱の辺りで
ようやく探していた人物を視界に入れることが出来た。
足元に鞄を置いて、真っ直ぐ、その人物は立っていた。

探していた人とは同じクラスであり、そして可符香の想い人の木村カエレその人だった。
ぱちり、と一度瞬きをした後、可符香は自分の頬が緩んでいくのを感じる。


「カエレちゃ」
名前を呼びかけて、ふと動きを止めた。
目の前にいるのは確かにカエレなのだが、いつもとどこか様子が違う。
いつものぴりっとした空気のオーラはなくて
まるで花が咲いているようなやわらかな空気を作り出している。
可符香にはそれが何を意味するのか、すぐにわかった。


彼女は今「カエレ」ではなく「楓」だという事に。

702HARMONY:2008/04/15(火) 19:22:15 ID:2La8afXJ
人格バイリンガルとか言われているらしいが
簡単に言うと多重人格というものらしい。
ストレスや混乱がピークに達すると瞬間に人格が入れ替わる。
その人格の種類は様々らしいが
よく現れるのは大和撫子な性格である「木村楓」だった。

今回の入れ替わりは何が原因なのかはわからなかったが
可符香はゆっくりと、カエレもとい楓に近付いた。
その足音を感じ取った楓が顔を上げる。

「楓ちゃんだね」
お久し振り。と可符香がにっこりと笑うと、楓は恥ずかしそうに俯いた。
「最後に出て来たのはいつだったっけ?」
うーん、と記憶を辿る可符香を見ていた楓は
もじもじと恥ずかしそうに俯くだけだった。

「待たせちゃってごめんね」
本来ならカエレに向けた言葉で今、表に出ている楓には無関係なのだが
待たせた事には変わりないと思い、可符香は一言謝り、ぺこりと頭を下げた。



「2人って大体一緒に帰るけど、掃除当番とかある時は
可符香ちゃんは待つけど、カエレちゃんはさっさと帰っちゃうんだよね」
「だから、出来るだけ早く掃除を終わらせて、一緒に帰るって事?」
「そう、そういう事」
晴美の説明に、なるほどと千里が頷く。

「まぁでも最近は、何だかんだ言いつつも可符香ちゃんの事待ってるみたいだけどね」
「そうなの?」
「熱心なアプローチが実ったってとこかな」
にゃまり。という効果音が似合いそうな笑みを浮かべる晴美に、千里が怪訝そうな顔をする。

「いいから、私達もさっさと帰るわよ」
「千里は先に帰るなんてしないもんね、あたしの事好きだから待ってるでしょ?」
「なっ!?」
図星だ、と笑う晴美の背中にばしっと一発、千里の手の平が飛んだ。

703HARMONY:2008/04/15(火) 19:24:56 ID:2La8afXJ
「カエレちゃん、待つの嫌いなんです」
10分経ってもこなかったら帰る、って言うんですよ。
と言いながら可符香はへらへらと笑った。

「だから出来る限り早く終わらせて、カエレちゃんを待たせないように、頑張ってます」
ぴっと指を立ててみせると、楓は少し驚いたような表情を見せた。
「すみません…人格が入れ替わっている時の記憶はあまり無くて…」
そんな我儘を言っていたなんて、と楓は言葉を濁した。

「気にしなくて大丈夫だよ、私がそうしたいだけだから」
ひらひらと手を振ると少し安心したのか、楓はふうと息を吐いた。

「あの…風浦さん…」
「なぁに?」
可符香がくりっと大きな目を楓に向けると、目が合った楓は慌てて俯いてしまう。

「どうしたの?」
身を屈めて楓の顔を覗き込むと、慌ててそっぽを向いてしまった。
派手な外見に似合わない大和撫子の後ろ姿を見ながら、可符香はふむと考え込む。
何か伝えたい事があるらしいのは、わかるのだが内容までは掴めない。

カエレとの付き合いはそれなりに長いのだが
楓との付き合いは無い等しい上に性格が真逆となると
流石の可符香も少しばかり対応に困った。

さて、どうしましょう?

ちらちらとこちらの様子を伺う楓は怯えた小動物のようで
やだなぁ、そんな取って食べたりなんかしませんよ。
なんて事を思いながら楓に一歩近付いた。
そしてびくりと身体を強張らせた楓の手を捕まえる。
その行動に驚いた楓は目を見開いて、きょとんと可符香を見つめた。

緊張のせいで少し冷たくなった楓の手をきゅっと握ると
「一緒に帰りましょう」
と、可符香はにっこりと笑いかけた。

「ふう、らさん」
「ん?」
楓の呼び掛けに可符香がこくんと首を傾げると楓の頬に少し紅が差すのがわかった。

「いつも…別の…私が、風浦さんに…ご迷惑をおかけして…申し訳ないです」
「え、そんなの気にしなくていいよ」
可符香が笑うと、楓が言葉を続ける。

「違うんです…その、私も含めた、木村カエレという人は…」
「カエレちゃんが?」
これはなにか重要な話の気がする、とピンと来た可符香は
顔から笑みを消して、真剣に楓の話を聞く体勢に入る。

「さっき、入れ替わったときの記憶は、あまり覚えていないといいましたが
 ものすごく強く心に想う思いは、他の人格へと伝わる事があるのです」
その言葉に可符香は少しばかり驚いた。
704HARMONY:2008/04/15(火) 19:26:53 ID:2La8afXJ
「今日人格が入れ替わってしまったのは…
カエレさんが激しく『ある事』に葛藤してしまったからなんです…」
「ある…事…?」
「その事はカエレさんにとって、心を占める割合がとても大きく、私にも伝わるほど…」
楓の話を聞く可符香は少々頭がこんがらがっていた。

ええと、カエレちゃんと楓ちゃんは同じ気持ちで、いや違うな…ええと…
上手く整理できないでいたが、楓の言葉はまだ続いている。

「そして、今日風浦さんを待っている時に、その葛藤が私とカエレさんを入れ替えたのです…」
「えっと、じゃあ楓ちゃんは、カエレちゃんの気持ちを知っているって事ですか…?」
可符香の言葉に、楓は弾かれたように可符香を見つめた。
そしてゆっくりと頷く。

「ええ、私も心が痛むほどに…」
「それって…どんな想いなの…?」
可符香がじいと楓を見つめると、楓はふるふると首を振った。

「今、また自分の心が葛藤しているみたいです…この事を言えばただじゃおかないと…」
おそらくカエレがその想いを言わせないように、楓に釘を刺しているようだ。
「もう少しすれば私とカエレさんが入れ替わってしまうと思いますが…
私、カエレさん、他の人格の方々も…貴女が…」
楓の言葉に、可符香はふっと笑った。
そして、人差し指を楓の唇の前に持っていく。

「ふ、うらさん…?」
「うん、わかったよ。みんなの気持ちはちゃんとわかったから」
にっこりと笑うと、それに釣られて楓もやわらかく微笑んだ。

「それにその言葉は、やっぱりカエレちゃんから欲しいです」
我儘でごめんなさい、と言うと楓はふるふると首を振った。

「いえ、きっとその方が、私達にとっても良いことだと思いますから…」
楓の微笑みはどこか淋しさを含んでいたように見えた。
その意味になんとなく気付いた可符香だったが
そこはさらっと流すべきところだという事を感じ取り、敢えて気付かない振りをした。

「では、そろそろ…またお会いできたら、いいですね」
「うん、またね」
にっこりと可符香が笑いかけると、チャイムが校内に鳴り響いた。

705HARMONY:2008/04/15(火) 19:29:22 ID:2La8afXJ
「…あれ、私…」
チャイムが鳴り終ったと同時に、楓からカエレへと入れ替わったようだった。
先程まで楓とコンタクトを取っていた事を悟られまいと
可符香は声を上げて、ずいとカエレに迫った。

「そーじ、ちゃんと終わりましたよ!」
その声と、迫り来る可符香にびっくりしてカエレは少々後ずさりをした。

「あ、あなた何時の間に…?」
「え、さっきですよ?」
気付かなかったんですか?
そう言って可符香はきょとんとした顔を向ける。

はぁ、と溜め息をひとつ吐いて、カエレは自分の額に手をやった。
何か夢を見ていた感覚に近い気がする…

「ねぇ」
「なんですか?」
「私、人格が入れ替わっていたような気がするんだけど」
そう言ってカエレは可符香を問いただすような目でじっと見つめた。
カエレの方はさっきの事をあまりよくは覚えていないらしい。
本当の事を話すかどうかを迷った可符香だったが、すぐににこりと笑顔を見せる。

「そんなに見つめちゃ照れるじゃないですかぁ」
「ち、違うわよ!」
声を上げたカエレの頬がみるみる染まっていく。

「だから、人格が!」
「もっと見つめてくれるんですか?」
すっと顔を近付けてくる可符香に耐えれなくなったのか
カエレはその額を揃えた4本の指で押し返した。

「あぅ」
「…帰るわよ」
自分の靴箱から靴を取り出し、履き替えたカエレはカツカツと先を歩く。

「あぁ、待ってくださーい」
慌てた可符香も靴を履き替えて、ぱたぱたとカエレの後を追う。


先を歩きながらも可符香を待ってくれている、その背中を追いかけた。



―END―
706あとがき。:2008/04/15(火) 19:37:36 ID:2La8afXJ
楓→可符香×カエレというなんともとんでもな話でしたがいかがでしょうか?
元々この話は自分がやらせてもらっていたブログで受けたリクエストだったので
百合スレには投下しまいと思っていたのですが
可符香×カエレのストーリーを一段落着けるためには不可欠だと思い
リクエストしてくれた方に了承を得て投下させてもらった次第です。
おそらく次くらいでこの2人に関係もひとまず落ち着くかと思います。


オフの方でばたばたしてたのが、そろそろ落ち着きそうなので
これからまた投下の方をぼちぼちしていきたいなと思っております。
でも最近職人さん多いので、過疎ったら救済で投下みたいな方がいいのかも…
次はえろを、晴あびかハルチリかでやりたいなと思ってたり。
その後はあび芽留とかカフカエとか、正直ストックありすぎてどれから投下してよいのやら…w

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
おっと、気付けばこのスレも462kb超えてますね。
そろそろ次スレの準備を考えた方がいいのかも…
707名無しさん@秘密の花園:2008/04/15(火) 20:23:56 ID:P+czh47L
GJでした
なんか本人より先に家族に付き合うことを許可されたようなw
別に過疎るまで待たなくても、やりやすいペースでの投下でいいんじゃないかと思います
708名無しさん@秘密の花園:2008/04/15(火) 23:39:11 ID:GbRbOjbb
GJ。っても、もうHPの方で見てたんですがねw
この後がハルあび、ハルチリ、あびメル、となるとこのカフカエの次ってずいぶん先なのか…
でもハルあびとハルチリのえろもすごい見たい
709名無しさん@秘密の花園:2008/04/16(水) 07:10:04 ID:pu/S3tah
楓の切なさに胸キュソしました。続きが待ち遠し過ぎる…
710名無しさん@秘密の花園:2008/04/16(水) 17:46:00 ID:lfF2lsJc
晴美の趣味に対するツッコミをまるで容赦しない千里が結構好き
711名無しさん@秘密の花園:2008/04/16(水) 23:10:02 ID:OQvBVgYP
やおいネタだとついて行けないから、千里は晴美の腐趣味をつついて正常に戻そうとしている
昔みたいに二人で一緒にぺちゃくちゃ喋りながら、マンガ読みたい…なんて思ってる
という萌え設定に自然に進化した
712名無しさん@秘密の花園:2008/04/17(木) 20:21:13 ID:WI+ZmxHj
前回投下して、そんなに間も空いてないんですが
ちょろっとネタが思い付いたのでちょっくら投下いきます。

いつもの3カプ+奈美です。
自分の書く話に奈美があまり出てこないなぁと思い考えてみました。
小ネタですが、よろしければお付き合いください。

713Usual Days:2008/04/17(木) 20:24:35 ID:WI+ZmxHj
昼休みにみんなでお弁当を食べていた時の事。
千里は自分の隣に座っていた晴美の口元に付いているご飯粒に気付いた。
楽しそうに笑う当の本人はどうやら気付いていないようだ。

「ほら、付いてるわよ」
そう言って千里が晴美の口の横に付いていたご飯粒を取ってやる。

「ん?あぁ、ありがと」
「本当だらしないんだから」
そんなやり取りを見ていた奈美がくすくすと笑う。
その笑い声に晴美と千里が同時に奈美を見た。

「何だか藤吉さんと千里ちゃんってカップルみたいだね」
「「「!?」」」
その言葉に晴美と千里とカエレが言葉を失った。
そんな中、可符香だけがへらへらと笑っている。

「やだなぁ、奈美ちゃん。この2人は本物のカッ」「ほら、これあげるからこっち向きなさい」
可符香の言葉を遮る様に声を被せたカエレは
その肩を掴まえて自分の方に向き直らせた。
目の前に差し出されたミートボールをきょとんと見つめていた可符香だったが
すぐににこにこと笑顔を見せると嬉しそうに食い付く。

「わー、今日はカエレちゃんが優しいー」
いつもと違う待遇の良さに可符香はとても嬉しそうだった。
しかし奈美は遮られた可符香の言葉が気になっているようだ。

「え?なになに?風浦さんが何か言い掛けたような気がしたんだけど…」
「な、何でもないわよ、ね?」
「う、うん、何でもないよ、あはははは…」
苦笑いしながら千里が肘で晴美を小突いたのを合図に
少々引きつった笑顔で晴美も笑った。
714Usual Days:2008/04/17(木) 20:28:01 ID:WI+ZmxHj
そんなやり取りを横で見ていたのは、無口2人組。

『コイツらメシ食う時もうるせーな』
口をもぐもぐ動かしながらメールを打つ芽留をあびるがちらりと見る。

「口の中のもの飲み込んでからメールするって約束でしょ?」
その言葉に芽留はぐぐっと口の中のものを飲み込んだ。
そんな芽留の口元に付いているケチャップに気付き
あびるがそれを指でそっと拭ってやる。

「ほら、芽留ちゃんも付いてるよ、人の事言えない言えない」
その言葉に芽留は照れたように目線を泳がせた。
芽留の手元にあるお弁当箱を見ると、野菜類が綺麗に避けられている。

「あ、野菜もちゃんと食べなきゃダメだよ?」
そう言って笑うあびるに、今度は恨めしそうな表情を浮かべる芽留。


そんなみんなのやり取りを見ながら
こんな普通の日常も悪くないな、なんて思いながら奈美は卵焼きを口へと運んだ。

一風変わったクラスメイトもたくさん居るけど
なんだかんだでこのクラスは楽しいと思う。

もぐもぐと口を動かしながら、奈美の頭にふとある考えが浮かんだ。
急いで卵焼きを飲み込んだ奈美がみんなに向けて提案をする。


「ねぇ、今度のゴールデンウイークにみんなで遊びに行かない?」




―END―

715あとがき。:2008/04/17(木) 20:34:53 ID:WI+ZmxHj
ほぼ即興で浮かんだネタでしたがいかがだったでしょうか?
個性がない分使いにくいかと思っていた奈美ですが
ある意味では使いやすいキャラなのかな、なんて書いてて思いましたw
ちなみに奈美は他のみんなが付き合ってる事ももちろん知りません。

>>708
この話の続きは、GWに絡めて完結させようと思ってるので
遅くても早くてもGW後には必ず投下します。
まぁどっちにしろちょっと間空きますけどね…
ちなみにこのネタがそれの伏線になってたりします。
(だから他の話よりも先に落としました)

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
次回もまたよろしくお願いします。

まとめの方へ。
保管庫入れるときは「オールキャラ」って表記にしてもらえるとありがたいです。
716名無しさん@秘密の花園:2008/04/17(木) 23:41:16 ID:SMu9+cAo
可符香が初期可符香っぽくてカワイイ
717名無しさん@秘密の花園:2008/04/18(金) 02:16:34 ID:ySKUzw0e
予告編ですか。GWが楽しみです。
奈美の貞操の危機……じゃないかw
718名無しさん@秘密の花園:2008/04/18(金) 06:51:01 ID:mn9tj2X6
なみ平も誰かとカップルになればいいじゃない
愛、倫、大草さん、まとい、霧、真夜、智恵先生、マ太郎だれがいいかな?
719名無しさん@秘密の花園:2008/04/18(金) 16:05:20 ID:+EF8rFsx
僕はマ太郎

千里とマ太郎もいいと思う
720名無しさん@秘密の花園:2008/04/18(金) 16:47:22 ID:JbMsbkPh
奈美の真似した結果ごく普通になってるまといが見たい
721名無しさん@秘密の花園:2008/04/18(金) 18:05:07 ID:BKeL6h9f
ここは絶望初期案の小森ちゃんで
722名無しさん@秘密の花園:2008/04/18(金) 18:22:23 ID:Tw98szmF
むしろ奈美の真似しようとして必死で普通になろうとしているんだけどどこかズレてしまって涙目になってるまといが見たい。
723名無しさん@秘密の花園:2008/04/18(金) 18:56:03 ID:M+u/vbjX
奈美は弱者だからお相手は強い娘さんが良い
この話だとカフカは無理だけど、カフカとかあと倫なんかが
724名無しさん@秘密の花園:2008/04/18(金) 20:12:35 ID:ACYSplds
>>718->>721
この辺の話をまとめるとこういうことですか。

725トライ・ユーロ・ファンタジア:2008/04/18(金) 20:19:00 ID:ACYSplds
放課後の教室。
黒板とまといの間に挟まれた奈美はただただたじろぐばかりだった。


「あ、あの、常月さん?」
「なぁに?」
「もう授業終わったし、その、帰りたいなーなんて」
思ったりしちゃったりするんだけど。
と言い終わる前に、まといの手がばしっと黒板へ突かれた。
その手を横目でちらりと見た奈美は
引きつった笑いを浮かべながら足元へ視線を送る。

「あははは…これは、何かの冗だ」
そう言い掛けた途端に黒板に突いていた手が奈美へと近付いた。
その動きに奈美は口をつぐむ。

「日塔さんって普通にカワイイわよね」
まといの言葉にいつもならお決まりの台詞を返すのだが
今回ばかりはそうもいかない。
何か言うか、あるいは何かすれば逆に何をされるかわからないからだ。

まといの手がするりと奈美の顎を滑る。
ひっ、と小さく声を上げると嬉しそうにまといが微笑み、顔を近付けた。
思わずぎゅっと目をつぶってしまい、自ら誘うような格好になった事を後悔した。
くいと顎を持ち上げられて、びくりと身体を震わせたその瞬間…

ガラッと教室の扉が開く。
2人揃って扉の方を見ると、そこには学校引き籠もりの生徒である小森霧が立っていた。

「小森ちゃん!?」
意外な訪問者に奈美が喜びの声を上げたが、それと対照的にまといは舌打ちをする。

ずかずかと歩いてきた霧はまといの手を払った。
そしてまといを睨み付ける。

「何してるの」
その言葉を聞いた奈美は助かったと胸を撫で下ろす。

が、それも束の間、何故か自分の腕に霧の腕が絡み付いてきた。
726トライ・ユーロ・ファンタジア:2008/04/18(金) 20:28:57 ID:ACYSplds
「奈美ちゃんは渡さないからね」
「えええええ!?」
突然の事に奈美はまといに迫られた以上に驚いた。

「あ、あの、小森ちゃ」
「もう大丈夫だからね」
そう言って霧がにっこりと笑う。

いやいや、何が大丈夫なのかがわからないから!
そう突っ込みたかったが、頭が、言葉が着いていかない。

ええと、もしかして、もしかしなくてもピンチ?

誰でもいいから助けて!と強く願った瞬間
特徴のある、聞き慣れた声が耳に入ってきた。


「お?何ヤッテんダ?」

声のする方を向くとそこには関内・マリア・太郎
通称マ太郎がじっとこちらを見つめている。

「マ太郎!」
再び現れた救世主?に奈美はすがるような思いで名前を呼んだ。
奈美が自分を呼ぶ声に嬉しそうに笑ったマリアはとてとてと奈美の方へ近付いてくる。

奈美が2人に囲まれ、泣きそうな顔をしているのを見たマリアは
きょとんとした顔で奈美に問いかける。

「2人トモ、ナミがスキなのカ?」

いや、ええと、今はそんなのんきな事を言ってる場合じゃないんだけどね。
どこか的外れな救世主に、奈美は気持ちをやきもきさせた。

が、更に予想外の展開が奈美を襲う。
いきなりマリアが奈美に抱き付いてきたのだ。
そしてにっこりと笑い、奈美を巡って争っていた2人に言葉を向けた。

727トライ・ユーロ・ファンタジア:2008/04/18(金) 20:36:54 ID:ACYSplds
「デモ、マリアだっテ、ナミのコトスキだゾ!」

その言葉に奈美は頭が真っ白になる。
マリアの言う『スキ』はこの2人のとは意味合いが違うというのはわかっていたが
その2人はその意味には気付かなかったようだ。

その『スキ』という言葉にまといと霧が過剰に反応を見せる。


「あ、マ太郎ずるいよ」
「そういうあなたこそいきなり現れて、邪魔しないで!」
「ナミもマリアのコトスキカ?」

ますます事態はややこしいことになり
ぎゃーぎゃー喚く3人を前に奈美は頭を抱えた。


あぁ、もう!こうなったら…


「ごめん!今日は用事があるの!」
奈美が大きな声を上げると、3人がしん、と静かになった。
その一瞬の隙を突いて、マ太郎の腕からすり抜け
霧の手を振り払った奈美は一目散に教室から逃げ出した。

「あ」
「オ?」
「逃がすものですか!」
奈美から少し遅れた3人が教室を飛び出し、逃げる奈美を一斉に追いかける。

「ずっとあなたの傍にいさせてー!」
「私だったら、おいしいお弁当作ってあげれるから!」
「マリア、ナミのコト、ダイスキだゾ!」

「いやぁああああ!もう勘弁してぇええ」


プロポーズとも取れる言葉達と共に
奈美の声が放課後の運動場に響き渡った。




―END―

728あとがき。:2008/04/18(金) 20:40:54 ID:ACYSplds
うあ、アンカーミスった…orz
小ネタばっかり投下してすいません。
皆さんの話を見てたら、ついついネタが…
前回以上の即興で書いたので意味不明な部分もあるかもしれません。


個人的には初期設定の霧×奈美がいいなと思ってたんですが
マリア×奈美ってのもいいかもしれないなと思いました。

自分の中で奈美は総受けに確定した予感w

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
729名無しさん@秘密の花園:2008/04/18(金) 22:33:03 ID:M+u/vbjX
奈美は襲われる側でしょうね、普通に
730名無しさん@秘密の花園:2008/04/19(土) 03:04:30 ID:8EVc7H+L
波平総受け・・・
ありありありありあり
731名無しさん@秘密の花園:2008/04/19(土) 12:30:21 ID:jUgXHcfa
攻めはマスオか
732名無しさん@秘密の花園:2008/04/19(土) 12:48:58 ID:rbRc09fB
ノリスケという選択肢もある
733名無しさん@秘密の花園:2008/04/19(土) 13:44:11 ID:iy+J6o/w
次スレってどれくらいで立てるの?
490kくらい?保管庫も入れたテンプレ作らないとな・・・
734Another Morning:2008/04/19(土) 21:52:12 ID:vj0fZFYq
 とある休日。休みの日の町は人通りが激しく、道路にも車が絶えず往来していた。
たくさんの人たちが歩道を忙しく歩く中、一人の男に注目してみる。その男の名は糸色望。
職業は教員で、少しネガティブな性格を持ち合わせているが、他はいたって普通の先生である。
望は快晴の青空の下、あてもなくぶらぶらと散歩をしていた。
だがただ男が一人歩いている訳ではなかった。
彼が歩くにつれて、彼の後方で一つの人影が動く。
そして彼が止まると、その人影も行動を停止し物陰から彼の様子を見つめている。
その人影、彼女の名前は常月まとい。
一度ほれ込んだ人は常に一緒に行動を共にしたいという欲求から
ストーカーまがいの行動をしてしまう厄介な性格の持ち主である。
今日もいつもの様に、担任の望を影ながら追いかけていた。
初め、望もまといの性格には難色を示していたが、人間何事も慣れである。
一度から二度。二度から三度。三度から四度、と回数を重ねるごとに望もまといのことを意識しなくなっていった。
だから今日も彼女に付きまとわれていても、いつものことだと思ってしまっていた。

 望は横断歩道を渡っていた。今までの行動パターンから言うと、まといも当然のように望の後ろの方からついていった。
だがこの世の中にはルールを守れない人間がいる。ある一つの乗用車が結構なスピードで横断歩道に突っ込んできた。
普通の一般人なら危機を感じて避けることも出来たかもしれないが、肝心のまといは望に夢中。
車のことなど目にもくれず、望の後ろを歩いていたから、彼女は自分の体から後10数メートルの地点から鳴った
クラクションの音で彼女は気がついたがもはや手遅れ。避けるにも突然のことに、体が硬直してしまった。

「きゃっ!!」
その場に居合わせた人々、誰もが最悪な結果を想像して目を背けた。
だがその時、誰かが飛び出してまといの体を抱き、そのまま車の来ない歩道側に跳んだ。
あわやの大惨事を免れて、誰もが胸を撫で下ろした。
しかしとても危険な状況にいたまといは恐怖で体が震え、声を発することが出来なかった。
 さて、このとき誰が彼女を助けたのだろうか。それは彼女のクラスメイト、藤吉晴美だった。
たまたま買い物に来ていた晴美は、偶然見かけたまといがとても危ない状況だったため、
まず体が勝手に動いてしまった。
彼女の趣味はとても文化的だが、一見運動を好んでするようには見えないが、
見かけとは違い、校内でもトップクラスの運動能力を持っていた。
そのため彼女の俊敏さがまといを助けることになった。
735Another Morning:2008/04/19(土) 21:52:38 ID:vj0fZFYq
 今まといは晴美の腕の中でぶるぶると震えている。
彼女は自分の軽率な行動を恥じ、一歩間違えたらという恐怖感で一杯だった。
そこで晴美は一喝。
「まといちゃん!なにバカなことをしてるのよ!!
 本当に危ないところだったんだからね!!」
「ご・・・ごめんなさい・・・」
それからまといは泣き出して、きつく晴美を抱きしめた。
晴美はまといの頭をゆっくりと撫ぜた。
「先生の夢中になるのはいいけど・・・・
 ちゃんと自分のことも大事にしてね」
「う・・うん・・・」

 それから少しして、騒ぎを聞きつけた望が2人のもとに駆け寄ってきた。
「だ、大丈夫ですか!?2人とも!」
晴美は望が来たのを確認して、まといに言った。
「まといちゃん、先生が来たよ。
 もう大丈夫だから、そろそろ行こう」
しかしまといは晴美の体を掴んで離さない。
「ま、まといちゃん・・・皆見てるし、もう離してくれないかな・・・」
「ご、ごめんなさい!」
まといは体を晴美から離した。まといは泣き止んでいたが、まだ目には涙の後が見えた。
そしてなぜかほんのりと頬を桃色に染めていた。
それからまといはずっと尊い目つきで晴美を見ていて、望が掛けてくる言葉は一切耳に入っていなかった。

それから話は翌日になる。天候は晴れの平日。お日様がとても眩しい日のことだった。
毎朝、晴美は千里に連れられて学校にやって来る。
毎日きっちりとした時間に千里は晴美の家にやってきて、晴美はまだ眠たい目をこすりながらも千里に連れられる。
「あなたね!そんなに眠たいのなら、もっと早くに寝なさいよ!
 いつも夜中までくだらない漫画を書いてるから、授業中に居眠りするのよ」
「うう・・・今は時間がないから睡眠時間を削って頑張ってるのに・・・」
晴美は大きなあくびを出しながら答えた。
「千里枕なら私の睡眠不足も一発で回復すると思うんだけどな〜」
「・・・馬鹿」
そう言って晴美は千里の体に軽く抱きついた。彼女達にとってはこれくらいのスキンシップは当たり前であった。
736Another Morning:2008/04/19(土) 21:53:08 ID:vj0fZFYq
 彼女達の学校。長い歴史を持つ木造校舎で、とても古い印象を受ける。
中もそれは古い作りになっていたが、ある程度過ごしてしまえばもう慣れっこになってしまっていた。
2人は自分達のクラス、2のへ組の扉を開けた。いつもなら誰もよりも早く学校に着いて、
教室には誰もいなかったが今日は一人先客がいた。
朝の光を背に浴びながら、2人の方を見つめている。
「ま、まといちゃん!」
それはクラスメイトの常月まといだった。いつもなら担任の望が教室に入ってきたとき、
後ろの方からついてくるときに初め彼女が登校していることを確認する。
だが今日に限っては早朝に一人だけでいるなんて、とても珍しいことだった。
更に彼女は制服を着ていることにも驚いた。いつもの和服が慣れっこになっていた
2人は、何か奇妙な印象を受けた。
「ど、どうしたの?こんな朝早くから一人で?」
「晴美ちゃんに早く会いたくて・・・」
そう言うとまといは少し視線をずらし、頬を染めた。
晴美は何かどういうことになっているのかわからなかった。
だがいつもと違う状況に千里は眉を顰めた。
「晴美!どういうことなのかきっちりと説明してもらうわよ!」
「わ、私だって知らないわよ!」

 そのうち教室に人が少しずつ集まっていった。
ゆっくり問いただすつもりでいた千里だが、人が集まってきたので仕方なしに最後まで理由を聞けずじまいになっていた。
まといは晴美の顔を見ながら微笑んで、自分の席へと戻っていった。
晴美はあの笑みに嫌な予感が脳裏をよぎった。
それから朝礼、授業、昼食、とごく一般的な学校生活が始まっていった。
ただ授業中に晴美は常に後方から痛い視線を感じた。まといだ。
それは授業中でも人と話していてもトイレに行っても、物陰の方からまといが晴美を凝視しているのだ。
晴美がまといに目を合わせると、にこっと微笑んでこちらに手を振るだけだった。
だが事態はそれだけでもなく、今日一連の行動を疑う千里の視線もあった。
まといと千里、今日は晴美にとってとても気まずい一日になった。
737Another Morning:2008/04/19(土) 21:53:32 ID:vj0fZFYq
 太陽が役目を終えて、地平線から消えようとしていた夕方頃。
二つの長い影がアスファルトの道で動いていた。晴美と千里が帰り道をとぼとぼと歩いていた。
いつもの楽しい下校と違い2人の間に会話は一切なく、晴美はこの気まずい空気に耐え切れなくなっていた。
無言・・・だが最初にその静寂を破ったのは千里だった。
「今日、ずっとまといちゃん、あなたのこと見てたわね・・・」
「そ、そうだね・・・・」
「本当は何かあったんでしょ?」
鋭いところを着かれた晴美はぎくりとしたが、今回の一連の行動に晴美自身は非を感じてはいないので
晴美は千里に正直に先日のことを全て話した。
「ふーん・・・」
「信じてないの?千里・・・」
「いえ、まあ誰にでもいい顔をするあなたの性格なら仕方がないわね・・・」
「どういうことよ・・・それ」
何だか棘のある千里の言い方に晴美は眉をひそめた。
「その・・・あなたは気があるの?まといちゃんに」
「私には千里がいるのに、何でまといちゃんを好きになるのよ」
そういうと千里は安堵したような顔をした。
「まあまといちゃんの性格なら、またすぐに違う人の所に行くと思うから
 あんまり心配しないでいいんじゃない」
「やっぱり心配してたんだ。千里は可愛いね〜」
「う、うるさいわよ!」

「あ・・・コーヒーです」
「ありがとう」
 晴美は自分の部屋の椅子に座って、一息をついた。
今日は大変だったけど、家に帰ればやっぱり落ち着く。晴美はコーヒーをすすりながら思った。
見慣れた部屋。見慣れた家具に見慣れた机。一ついつもと違うところがあるとするのなら、それはまといがいることだろう。

「な、なんでまといちゃんがいるの!!?」
 晴美は思わず大声で叫んでしまった。
いつもの部屋に、ベッドの上に座っているまといの姿に驚いてしまった。
「そ、それは・・・好きな人とはずっと一緒にいたいと思うでしょ・・・」
「いつから私達は恋人同士なのよ・・・」
晴美はがっくりと肩を落とした。
「どうやってこの部屋に入ってこれたの?」
「窓の鍵が閉まってなかったのでそこから」
ここは二階である。恋愛のことなると恐ろしく行動派になるまといに恐れをなした。
「晴美ちゃん、いい匂い・・・」
「私のベッドで何してたの!!」
738Another Morning:2008/04/19(土) 21:54:07 ID:vj0fZFYq
「私は別にまといちゃんのことが嫌いじゃないのよ。
 けど私にはそれより好きな人がいて・・・」
「千里ちゃん?」
 晴美は確信をつかれて、少し顔を赤らめた。
「まあ・・・そう・・・」
「大丈夫よ。私は千里ちゃんよりあなたを大事にするわ。
 BL趣味も合わせるし・・・」
「いや・・・そういう問題では・・・」

するとまといの体が小刻みに揺れ始め、顔をとっさに隠した。
悪いことをした、晴美はとっさにそう思った。
「な、泣かないでよ、まといちゃん。
 ね、まず2人友達関係から始めようよ!それなら・・・」
「晴美ちゃん・・・」
 まといはゆっくりと晴美の方に歩み寄って言った。顔を涙で濡らしながら。
「私、先日のこと、本当にあなたに感謝しているの・・・
 それで何かあなたの為に何かしてあげたいの・・・」
 そう言いながらまといは晴美の方に抱きついてきた。
その時、晴美の方に変化が起きた。急に体がかっと熱くなったのだ。
急な体の火照りに驚いたとともに、急にまといのことがとても愛おしくなってきたのだ。
まといの甘い匂いが晴美の頭を刺激した。
(体が熱い・・・どうしたんだろ、私・・・)
「晴美ちゃん・・・どうしたの?ぼーっとして」
「えっ!?い、いや!なんでもないよ!」
ぼーっとしている晴美の目の前にまといが急に顔を出して、さっと晴美は目を背けた。
まといは晴美の変化を見過ごしていなかった。まといは差し出したコーヒーの中に
薬を盛っていた。何の薬かは・・・

「ねえ晴美ちゃん。キスしない・・・?」
「え、ええっと・・・ええ!!だ、駄目だよ!そんなの・・・」
まといとしてはこの機を逃す手は無かった。
晴美も自分の体の火照りで拒むことが出来なかった。むしろ望んでいた。
すっとまといは目を瞑り、晴美のキスを待った。
(まといちゃん、こんなに可愛いんだ・・・私も・・・)
晴美は頭の中で必死に葛藤していた。だが晴美は背徳感を感じながらも本能に従ってしまった。
(ごめん・・・千里・・・)
晴美の唇が徐々にまといの方へ・・・

「晴美、この前貸したノートなんだけど・・・」
 突然の物音と千里の声。晴美は一瞬で体が凍って動かなくなってしまった。
最初、千里は今の現状に理解が出来なかった。目を丸くして。
部屋には嫌な沈黙が流れた。2人だけで密着しあっている2人。
千里の導き出した答えは一つ。
「は、晴美!やっぱりあなた、まといちゃんのことが好きだったのね!」
「ち、違うわよ!これには訳が・・・」
「訳ってこんな状況を見て何が訳よ!もう・・・大っ嫌いよ!!」
そう言ってすぐさま千里は帰っていった。晴美はすぐに追いかけていった。
2人とも突然のことで感情が高ぶっていた。
だが、ただ一人。まといだけは一人になった部屋で、驚くこともなくにやりと小さな笑みをこぼした。
739名無しさん@秘密の花園:2008/04/19(土) 21:56:40 ID:vj0fZFYq
いつぞやの、まといネタで一度書いてみたいと思いました。
基本的にまといは書きやすいですね。
次は晴美じゃなくて、違うキャラクターでもいいな。

しかし自分の作品は全て千里と晴美が出来ている設定なのは何故だろうか・・・
740名無しさん@秘密の花園:2008/04/19(土) 22:42:45 ID:rbRc09fB
まとい総攻めですね。わかります。
741671:2008/04/19(土) 23:59:56 ID:0f8ftDzn
ども>>671です。
もうすぐ新スレの時期ですが
遅筆故に、こんなギリギリになってしまいました
以前言ってた、まとい×奈美 がとりあえずの形になってきたので投下させていただきます。


742『ある晴れた月曜日の昼に』:2008/04/20(日) 00:06:37 ID:HjRIbURw
「どうやら他に誰もいないみたいね」
「あ、良かった
じゃあ私たちで貸し切りだ〜」

昼休み、久しぶりにいい天気だから私とまといちゃんは一緒にお弁当を持って屋上へ来た
さすがに教室は…ね

みんなに説明するの大変そうだしね
…私たちが恋人になった事




「なんかまといちゃんのお弁当…いつもブロッコリー多いけど、好きなの?」
「ええ、とゆうか家族みんなね
奈美さんの家じゃブロッコリー鍋とかしない?」
「鍋?! いや、さすがに鍋は…」
「今度ご馳走するわ」
一体どんなものなんだろう、ブロッコリー鍋…
「あはは…楽しみにしておきます。」

743『ある晴れた月曜日の昼に』:2008/04/20(日) 00:16:19 ID:HjRIbURw
改めて思うけど、
まといちゃんが自分と同じ制服姿で
こうして一緒に話してたり、一緒にお昼を食べたりなんて
ちょっと前は考えられなかった事だよね、今も少し信じられないかも

「まといちゃん、あ〜ん」
「あむ…ムグムグ」
「どうかな?ちょっと早起きして挑戦してみたんだけど…」
「…普通かしら」
「ぬあ?!」
「…ふふっ嘘、美味しい卵焼き」
「もう、ひどいよ〜」
「ふふふ…ごめんなさい」
ベタだけど一度やってみたかったんだよね、こうゆうの
なんかバカップルの気持ちもわかるかもしれない…なんて


―あの日、私達は気持ちのままにお互いを受け入れられた
だからなのか、まといちゃんは私の後じゃなくて隣に居てくれてる
手を握っていれれば、まといちゃんがわざわざストーカー少女になる必要もないし

そうやって隣に居させてくれるのが純粋にうれしかった…

744『ある晴れた月曜日の昼に』:2008/04/20(日) 00:26:41 ID:HjRIbURw
もちろんそれはうれしいんだけど…
私にはまといちゃんにまだちょっと気掛かりな事があるのだ

今日ここに来ようと言ったのはその為でもあった

「ねぇ、まといちゃん…じつは、ちょt「奈美さん、あ〜ん」
「あむ…ムグムグ…あ、まといちゃんの卵焼きなんかホッとする味」
「良かった「って、そうじゃなくて。」
つい出されたから食べてしまった

もうちょっと味わいたい気分だけど、今は
「じつは聞きたいことが…「あ、口にご飯粒が…ほら」ヒョイ、パクッ
「あ、ありがと…じゃなくて!」
出来れば、その…手じゃなくて、直接が良かったなぁ…でなくて。

む〜肝心な話が避けられてしまう…
じゃあ、そうゆう事なら考えがある

「ねぇ、まといちゃん」
「え、なに奈美さ…んっ…」
まといちゃんが話を逸らさないうちに、先にまといちゃんの唇を塞いだ


唇を軽く重ねるだけのキス
でも、時間を切り取るように、互いの体温が感じられるようにゆっくりと…


それは、私からは二度目で、
告白してからちょっと久しぶりのキスだった―、
745671:2008/04/20(日) 00:43:30 ID:HjRIbURw
と、とりあえず今回はここまで です。

携帯からちくちくやってるのでまだるっこしくて、すいません。
ちょっと書きはじめたら、本格的にこの二人のカプが気に入ってきてしまいました。

ので>>742-744は急遽、プロローグみたいなモノになりました。
なのでこの設定では、すでに二人が付き合ってちょっと経ったくらい辺りになります

なので、次からはここまでの経緯っぽいのを前後編…くらいで書けたらと予定中です
また遅くなりそうですが(汗)


では、ここまでありがとうございました。
746名無しさん@秘密の花園:2008/04/20(日) 01:31:13 ID:s57eClwP
目を離していた間に、まといカップリングの話が二つも!

×晴美の話は悪女っぽくていいですね。ドロドロしたのは少ないから新鮮です。

×奈美のは反対に甘々でナイス。甘すぎて描写がなんかこっぱずかしいw。

どっちも続きを待ってます
747戯曲「二人」:2008/04/20(日) 10:01:37 ID:JKWFq5nU
設定@今はカエレの家
  Aカフカはお泊り
  B相思相愛
748戯曲「二人」:2008/04/20(日) 10:02:46 ID:JKWFq5nU
[話1]
舞台:カエレの部屋。ベッドの上に座る2人。

「あなた何でそんなに、にやついてるのよ」
「だってカエレちゃんと一緒に一夜を過ごせるなんて、とっても嬉しいじゃないですか」
「ま、まぎらわしいことを言わないでよ!まったく・・・」

「ねえカエレちゃん」
「何?」
カエレの方に体を向けるカフカ。
「私はカエレちゃんのことを大好きなんですけれど、カエレちゃんはどうなんですか?」
「な、なによ、今更改まって・・・」
紅潮するカエレ。
「いや、カエレちゃんからその言葉を聞いたことがなくって」
「ええっと・・・いや・・・その・・・」
それから十秒間の静寂。やや視線を逸らすカエレ。
「わ、私も・・・好きよ・・・あなたのこと・・」

沈黙十秒間。カフカは目を丸くしたまま静止。カエレは更に紅潮。
「ちょ、ちょっと待って!い、今の・・・やっぱり忘れて!」
笑顔になるカフカ。
「やっぱりカエレちゃんも私のことが好きなんだ〜」
「い、言わないでよ!そんなこと!今言って私も恥ずかしいんだから・・・」
「恥ずかしがってるカエレちゃんも可愛いですね〜」
「う、うるさい!訴えるわよ!」
枕を投げるカエレ。笑って受け止めるカフカ。
749戯曲「二人」:2008/04/20(日) 10:03:51 ID:JKWFq5nU

暗転

(すいません・・・話1にこれを入れ忘れました。
 保管の場合は、これも入れてください)
750戯曲「二人」:2008/04/20(日) 10:05:18 ID:JKWFq5nU
[話2]
舞台:カエレ宅のお風呂。シャワーを浴びるカエレ。風呂の中に入っているカフカ。

「な、なんで一緒にお風呂なんて入らなきゃいけないのよ」
「いいじゃないですか。2人とも相思相愛なんだから〜」
「そのことはもう言うな!」

シャワーの音。凝視するカフカ。
「な、何見てるのよあなた・・・」
「いや〜やっぱりカエレちゃんはスタイルがいいなって」
恥ずかしがり胸を隠すカエレ。
「その言い方、親父みたいよ」
「えっへへへへへへ」
「その笑い方も・・・」

風呂から出てカエレの後方に近づくカフカ。
「背中流しますね」
「いいわよ、そんなの」
「いいからいいから、遠慮せずに」
「遠慮じゃないわよ・・・」
スポンジでカエレの背中を擦るカフカ。
首もとの顔を近づけるカフカ。
「やっぱりカエレちゃんはいい匂いがしますね」
「何してるの!あなた!!」
慌てるカエレ。
「胸も大きいし・・・」
手をカエレの胸の方へ持っていく。

風呂のドアから2人の動くシルエット。
「ど、何処触ってるのよ!あなた!離しなさい・・・」
「やっぱり大きいですね〜」
「触るな!そして揉むな!!」
「へへへへへ」

暗転
751戯曲「二人」:2008/04/20(日) 10:06:26 ID:JKWFq5nU
[パターン3]
舞台:カエレの部屋。ベッドで横になるカフカ。扉から入ってくるカエレから。
「ジュースよ」
お盆の上に二つのコップを持ってくるカエレ。
横になっているのに気付く。
お盆を机の上に置き、カフカに近づく。
「眠ってる・・・?」
カフカ、すやすやといびきをかく。
「それゃあ、あんなにはしゃいだからね・・・」
何かを思い出すような表情のカエレ。

「可愛いわね・・・」
静かにもらすカエレ。手でカフカの髪を撫でる。
「カエレちゃん・・・」
小さく寝言を言う。少し笑うカエレ。
視線をカフカの唇へ。
「まあ、一回くらいは・・・」
カフカの唇の方へ自分の唇持っていくカエレ。

触れるか触れないかくらいの所で、一瞬にして目を開くカフカ。
沈黙五秒間。
「なにしてるんですか?」
「えっ!い、いや・・・その・・・な、なんでも・・・」
退き焦るカエレ。現状を理解した顔をするカフカ。笑顔になる。
「なぁんだ〜やっぱりカエレちゃんも私とキスしたかったんだ」
「ち、違うわよ!そ、そういうことじゃ・・」
「じゃあいいですよ。今しても」
キスをねだるカフカ。顔を真っ赤にしながら怒るカエレ。
「も、もう寝るわよ!」
「ええ〜キスはまだじゃないですか・・・」
「うるさい!もう寝るの!」

舞台少し暗くなる。体と顔は少し見えないくらい。
ベッドに入り込んでカエレ。
「じゃあ今続きをしましょうよ」
「え!?」
「お互い顔も見えないですし、これなら恥ずかしくないでしょ」
「私はそういうつもりでいたんじゃないのよ!」

カエレそっぽを向く。沈黙五秒。
「ねえカエレちゃん」
「ん?」
振り向くカエレ。
「んっっ!!」
驚いた声のカエレ。そして静寂。

暗転
752名無しさん@秘密の花園:2008/04/20(日) 10:07:44 ID:JKWFq5nU
カフカエです。バカップル的なものを書いてみたくて・・・
基本的にカエレはツンデレで。
753名無しさん@秘密の花園:2008/04/20(日) 10:10:13 ID:JKWFq5nU
あ、また訂正です。[パターン3]じゃなくて[話3]で。
本当に何度もすいません。
754名無しさん@秘密の花園:2008/04/20(日) 10:41:44 ID:ZkWSMUM1
容量ヤバそうなので立ててきました。
テンプレとかは思いつきです、すいません。
http://babiru.bbspink.com/test/read.cgi/lesbian/1208655600/
755名無しさん@秘密の花園:2008/04/20(日) 12:37:13 ID:IzdgwxoN
>>752
カフカエあまあまたまりません!!!
こういうのを待っていた!!本当にありがとう!
756名無しさん@秘密の花園:2008/04/20(日) 15:45:49 ID:okHf4gWd
スレ立て乙です

3つも来てたー 良いよ良いよGJ
ところで、>>734は続くんですかね?この後の藤吉まとい千里が気になる
757名無しさん@秘密の花園:2008/04/20(日) 19:22:40 ID:JKWFq5nU
>>756
続きそうな話の展開にしてしまったのですが、先は今のところ考えておりません。
すぐに、とは言えませんが、気長に待っていてくれたら嬉しいです。
758名無しさん@秘密の花園:2008/04/21(月) 13:25:42 ID:htiwAdR6
新スレ立ったからここ埋めた方がいいのかな

せっかくだし皆さんの好きなカプ主張で埋めるとか?ww
759名無しさん@秘密の花園:2008/04/21(月) 14:35:56 ID:JnByRTo/
ハルチリで千里がノンケなのが好き
これはカプというよりシチュ?
760名無しさん@秘密の花園:2008/04/21(月) 17:29:27 ID:htiwAdR6
>>759
個人的にはシチュではなくて、カプだと思いますよ。
スレでもちらほら見かけますが
ハルチリで千里がノンケっての好きな人って多いですよね。
761名無しさん@秘密の花園:2008/04/21(月) 21:25:56 ID:N67v++7V
じゃあハルチリなんだけど、千里は百合っ子、晴美はノンケで
ふざけてじゃれついてくる晴美に、軽い気持ちでキスされたときの千里とかいうちょっと新しいパターンを提唱
あ、ちょっと良いw
762名無しさん@秘密の花園:2008/04/21(月) 22:17:05 ID:zCMkHQ/k
>>761
「あれ千里、顔真っ赤だよ?
…そんなに私が好き?」
「うなっ!?な、なに言っ…」
「ゴメンゴメン、冗談だってば怒んないでよ〜
ま、漫画じゃあるまいしそんな事簡単に無いよね〜」

「……そうよ…そんなのあるわけ無いじゃないの…バカ」
「はいはいど〜せ私は漫画馬鹿ですよ〜」




なるほど確かに
763名無しさん@秘密の花園:2008/04/22(火) 00:10:35 ID:Og5uMqsn
ハルチリかチリハルかまとハルかハルナミかあびハルかチエハルかカフハルかカエハルがいいな
要するに、晴美が入ってたら何でもいい
でも一押しはハルチリかチリハル
764名無しさん@秘密の花園:2008/04/22(火) 01:55:00 ID:TNpxVhMV
>>759
すきだな
そういうの

765名無しさん@秘密の花園:2008/04/22(火) 02:39:29 ID:BLDtjuAI
>>763
ハルチリはともかくとしても
それ以外はほとんどが晴美受けなのに
奈美にだけ攻めだww

個人的には最近あびる受けがブームなので
晴あび、カフあび辺りが気になるところ。
766名無しさん@秘密の花園:2008/04/22(火) 19:35:58 ID:4ij8h0vM
奈美受け好きの私としては、
霧×奈美、まとい×奈美、あびる×奈美、カエレ×奈美、
芽留×奈美、マリア×奈美とか見てみたい。
特にあびるは原作での絡みも多いのにこのスレでは見たことが無いね。

前スレに投下されていた真夜×奈美+カフカの話が保管庫に無いけど
また読んでみたいなあ。
767名無しさん@秘密の花園:2008/04/23(水) 04:09:21 ID:qFGy00nr
百合スレではそれほど出演してないからこれといった形のない奈美だけど
どうにもみんなのイメージは、千里ばりもしくはそれ以上の受けか、傍観者といったところなのか
いわば無力?
768名無しさん@秘密の花園:2008/04/23(水) 09:21:29 ID:p51ri2Ob
この二人はネギまの時から百合疑惑(アニメ、漫画では確定)があるから想像しやすい。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2185798
769名無しさん@秘密の花園:2008/04/23(水) 12:02:40 ID:i/g7nteD
>>767
個人的には万能型かなぁ

攻めにも受けにできるし、第三者にもできるし
770名無しさん@秘密の花園:2008/04/23(水) 13:10:38 ID:E7nKtH/y
>>767
自分は総受け派かな。
第三者にも出来るけど、攻めは想像できない…w
今まで扱いにくいなと思ってたけど実はいろいろ使えると思い直してからは
ちょこちょこ登場させれるようになりました。
771名無しさん@秘密の花園:2008/04/23(水) 13:29:12 ID:YTJttgvG
受け度の高さは個人的には
奈美>千里>倫
だと思う



男性も入れるなら望の方が上だけどなw
772名無しさん@秘密の花園:2008/04/23(水) 14:08:30 ID:E7nKtH/y
>>771
おー、倫をそこに持ってくるんですか…
個人的には倫は攻め寄りだと思ってるけど
ってかまだ百合ネタに使えるほど妄想がついていかない…


スレ違いかもだけど、最後の一文に激しく同意ww
773名無しさん@秘密の花園:2008/04/23(水) 16:02:32 ID:ZVXRkeRm
こういう話してると妄想が膨らんでいいねぇ、なんか書けそう
>>762みたいなのやってみたくなったよ
774名無しさん@秘密の花園:2008/04/23(水) 16:53:05 ID:E7nKtH/y
>>773
是非その妄想を文に!
このスレも最近は読み手が書き手に回る事も多くなったし
新しい職人さんの参入はスレも盛り上がると思うんで。
775名無しさん@秘密の花園:2008/04/23(水) 21:45:38 ID:ZVXRkeRm
残念ながら新しくないんですがねw
まとい霧、まとい奈美、まとい千里晴美、GW、>>652の下
と、次スレに続いてく話がたくさんあって楽しみ
776普通の出来事1
「あれ、奈美ちゃん?」
 コンビニの店内の雑誌棚の前、私が漫画雑誌を立ち読みしていると突然聞き
覚えのある声がした。学校ではいつものように先生を原因とした大騒ぎがあり、
ちょっと疲れて家に帰る途中、一人でのんびり寄り道するのもいつもの楽しみ
だった。
 かなり慌てて手にしていた雑誌を棚に戻した。心の準備ができていなかった上
に、はっきり人に言ったことはないけれど、声の主がクラスの友達の中では一番
苦手としている風浦さんだったからだ。
 「風浦さん? 帰り道ってこっちの方だったっけ?」
 「ちょっと買うものがあってこっちにきたんだよ」
 風浦さんの手にはちょっと大き目の紙袋が握られている。何が入っているのか
良くわからなかったし、何を買ったか聞くのも怖い気がした。
 「良かったお茶でも飲んでいこっか」
 「うん、いいよ」
 口ではこう答えたものの、内心はかなり億劫だった。誰か他に友達がいればそう
でもないのだが、二人きりで話すのはなんだか気が進まなかった。
 風浦さんとは、今のクラスでは一番古い友達ということになる。と言っても幼稚
園が一緒だっただけで、小学校・中学校と別々に来て、高校でまた一緒になったの
で、ずいぶん間が空いた「古い友達」ではあるのだけれど。さらに高校での彼女か
つて幼稚園の時に一緒だった赤木さんと同一人物であることに気づくのにも時間が
掛かった。何故名前が違っているのかも調べていないし、理由を聞いたこともない。
 避けているのだ。否定しようもなく。あの幼稚園の一件があった後に。仲が悪い
というわけでもないし、クラスでは普通に話す。でも私の中ではどこか警戒する対
象であり、誰かを交えず、二人で話すことはほとんどなかった。