冬スポのアスリートについて語るスレです
・sage厳守
・嵐はスルーで
※人物やレス中での名前表記、固有名詞などは平仮名、片仮名や半角スペース、スラッシュ等
使うなど皆様の判断でお願いします
※ここに書かれているSSは妄想の産物で、全てフィクションです
実在の人物・事柄とは関係ありません
マターリ進行で行きましょう
>>1 乙です。こちらでも引き続きマターリやりましょうw
早く姐さんのじゃんく見たい!!
>>1スレ立て乙!
新スレできてうれしいよ!
また小ネタでも投下させてもらいます
小ネタをひとつ…
マオちゃん、鱈ソワコーチの許へ行くの巻
マオ「おねーちゃん、鱈ソワコーチってすっごく厳しいんでしょー」
マイ「そうらしいわね。でもそれが金メダルを獲るためには必要なのよ。
しーちゃんだって、その厳しい指導があって伸びることができたのよ」
マオ「そっかー、だからしーちゃんも厳しいんだね。昨日、ミキちゃんの部屋の前を通ったら
『しーちゃん、いやぁ、お願いもう許してぇ〜、ああ〜ん』
って苦しそうな声がしてたの。きっとすっごく厳しい夜の特訓をしてたんだよ」
マイ(マオ〜そんなエロ特訓は鱈ソワに関係ないよぉぉぉ〜……。・゚・(ノД`)・゚・。)
失礼しました。
7月には夢on氷の放送もあるので久々に楽しみっす。
GJ!と言いたいところですが
これ、ネタ的にはしー○きだと思うんだけど・・・
>>7 GJっす!まおまおのボケカワエエ (´∀`)
内容的にはしー○きなんだけど
こーゆーゲストっぽいのもたまにはイインジャマイカ?あっちのスレはほとんど動いてないし
このくらいのなら全然OKだと思うな
それより旧スレ埋めちゃいたいな。ネタがあればな〜
11 :
小ネタです:2007/07/05(木) 22:07:07 ID:XFqqZwiE
よく読み返してみると内容はしー○きになってしまうな。スマソ
あまり考えずに投下してしまった。
あんまりこの二人が主役じゃなくてちょこっとラヴするくらいならおk
なのかな?
じやんくみますた!
姐さんカワユス
髪型もなんか巻き巻きしてていつもとふいんき違ってたね。
筋肉美の写真もすごかったっす。
でも「口ーラースケートじゃ、そんなの着ないから」
と脱がせたい木新をバッサリ斬ったのはワロタ。
腹筋も割れてるの見たかったのに残念だわw
あと昼間フイギユアの番組やってたから、録画しといたら
臭造とリナちゃんという氷ダンスの人が出ておった。
シズゥの話をしていて、シズゥは後輩にもよく話しかけてくれる人だそうだ。
外見はクールビューチーだけど、フレンドリーなんだろな。
>>13 録画しといたジャンクみますた!久々の姐さん不足を解消w
やっぱり筋肉すごいな。あの太腿…。今度は女性アスリート特集に
出て欲しい!来週はオダくんが出るみたいだね
せーこ会長スゴスですな。
五合目で何もしないで酸欠になった漏れは
きっと倒れても会長に放置プレイされてしまいまつ。
それと表彰式でのアドリブGJ!
これヌースにはなってたけど映像で見たのは初めてだた。
なんか先輩後輩のいい関係って感じでヨカッタ。
7/17はDOIの放送がありますな。
シズゥがゲストだからすぐりんやミキTにどうからむかがwktk
同じ日にんHKBShiで姐さんが寺修行する番組がありまつ。
お寺に泊まって山岳修行をするらしいのですが
姐さんの場合普段のトレーニングが山岳修行みたいだがw
でもうちはBShi見られないんだよぉぉ(´;ω;`)
うちもBS見られ茄子…orz
誰かうpしてくれないかな〜
D○I、朝打姉妹ご欠席のお知らせが…(´;ω;`)
三木ちゃんと仲良さそうなんで、三人がきゃっきゃしている所とか
見たかったんだすが…残念
土井は見に行けないけど、放送を楽しみにしていたのに残念じゃ
その分、シズゥがゲストで萌え解説してくれるのを期待
>>17 んhkのHP見てきた
姐さんの修行も気になるけど、三波のよーこの尼修業ってのも気になりました。
なんか、妄想とは対極の世界だけどねw
シズゥはゲスト解説だけなのかな?是非滑りもみたいんだが…
前スレの岡×大のつづき期待待ちw
22日のジャンクはゆかりん出るらしいね!これまた楽しみだ
姐さんの尼修行見れた人いたら内容ヨロ〜!
20だけど↑の尼修行は別の人だなwwwスマソ
尼修行も見てみたい気するけど…絶倫の姐さんに
性欲禁止は不可能か(・∀・)
ということで小ネタ
大「オカザキさん尼修行なんて出来るんですか?」
岡「出来るよ〜。山菜料理食べて、座禅組んで…」
大「座禅の時に瞑想するんですよ?」
岡「え…?瞑想…(サユリのお尻とか、太腿を思い浮かべれば良いのかな(*´Д`) ハァハァ)」
大「…。(コイツ…絶対瞑想じゃなくて、変な想像するよな…。今もニヤニヤしてるし)オカザキさん?」
岡「は、はいΣ(゚Д゚;)別にサユリの変な想像なんてしてないってば!!」
大「…。(やっぱりコイツに禁欲生活は無理だ…orz )」
>>23 姐さんワロタ
それじゃ瞑想じゃなくて妄想だっつーのw
O菅タン、あの木の棒みたいのでビシッと喝をいれてくれw
前スレ途中の職人様〜
続きを私も待っております!
だってあのままじゃ悶々…www
なーんか旧スレ…orz
ここの職人さんって専スレの二人のSS書いたりしてんの?
今日のジャソク、オダくんが女子選手のこと話すみたいで
録画しておこう。
しかし台風来てD○I行く人大丈夫かな。
28 :
小ネタです:2007/07/15(日) 22:18:15 ID:+krOMT1b
※セーコ会長が10kgの重りのついたベストを着てトレーニングしてた、というお話を聞きまして
ぜんぜん百合っぽくないよw
ヌース映像だとフィギュアの選手は連盟のお揃いのジャケットでいることが多いよね。
スピスケやショートにはないのかな???
じゃんく終わりに近いとこしか見れなかった…
オダくん女子選手の話してた?!
来週の予告にユカリンきたね!カワエエ〜
30 :
小ネタです:2007/07/15(日) 22:19:02 ID:+krOMT1b
スピスケ組 ジャケットを新調するの巻
大「わあ、これが連盟から新しく支給されたジャケットですね('◇')」
岡「そう、フィギュア組がお揃いのジャケット着てて、うらやましくて会長にお願いしたら作ってくれたんだよ」
大「じゃ、さっそく着てみよ……うっ…なんかこれ重い…(ー'`ー;)」
岡「あ、これセーコ会長のアイデアで50kgの重り入ってるんだよ( ^▽^)」
大「(いくらなんでも重過ぎだよ…(−−;))…ちょ、ちょっと脱いでもいいですか 」
岡「あ、大変そうだから脱がせてあげるねっ(はぁと)」
大「…こ、こら!どこまで脱がせてんですかっっ!」
おぉw久し振りにリアルタイム遭遇!
姐さんすかさず他の服まで脱がせるのかwさすがだ
32 :
小ネタです:2007/07/15(日) 22:31:54 ID:+krOMT1b
おお、リアルタイムktkr
>>29(^ー^)─∀☆∀─(^ー^)
じゃんくはオダくんが
周りが綺麗な女子ばっかでうらやましいってよく言われるけど、
イケメンもいっぱいいるからくっつく人も多いって言ってました。
もちろん誰とは言ってないけど。
でもおなご同士でもくっついているのさ、と妄想しておきますたww
来週のユカリン楽しみ(*´∀`*)
>>30 姐さんGJだなw
会長は本気でそんなジャケット作りそうww
うちの方ではDOIはまだ放送ないんだが
姐さんの修行はみますた。うpはできませんが…スマソ
山のお寺の宿坊に1泊するというものでした
山道を登って崖に立てられた奥の院を目指すのですが、一般にも開放されているので
険しいながらも姐さんは難なく登ってました
途中、落ちたら命はなさそうな手すりも何もない高い所の縁側に座ってましたが、
平気で足をぶらぶらさせて楽しそうにしてました
姐さんは高所恐怖症ではないことが判明w
夜は宿坊で仏様の絵を描く写仏をしてました
姐さんが選んだのは不動明王。オーラの影響かな???
最後に書く願い事はさんざん迷っていたようですが、『みんなが幸せになれますように』
住職とお話していたのですが、自分は弱いところは見せたくない性格だそうです
多分、一度見せるとガタガタと崩れるように弱くなりそうだから、だそうな
どうしても、練習、試合と気を抜くことがあまりできないタイプらしい
もしかしたら内心は甘えたの性格なのかも…
少し疲れているのかも、と珍しく言ってました
次の日の朝、座禅を組んでいる姿がかっこよかった
1泊なので修行と言うより気持ちをリフレッシュする旅って感じだったです
と、見ていてすがすがしくなったわけですが
偶然検索していたら姐さんのガンダムコスプレがww
藤Qの新アトラクションのイベントでした
芸の幅がひろいですな
>>32さんGJ!
ノリ過ぎな姐さんがかわええw
>>33さん
私も見られなかったのでありがとう!
んHKで再放送しないかな〜
前スレの826まで書いたものですが、エロ展開に苦戦中ww
なんとなく逃避して書いたものを投下します
36 :
『光の庭』:2007/07/18(水) 01:16:37 ID:J61WqHx/
**注意書き!**
*かなり長編なりそうです
基本的には荒×村かな?
でも、あまり百合っぽくないし、エロはないです
で、ちょっとSFっぽい
読むのマンドクセ(゚听) の方はこの名前のレスはスルーしてくださいスマソ
*ニワカで科学的知識の乏しい頭で書いてます
矛盾するところが多々あり、ツッコミどころ満載と思われますが生温く読んでください
なんか思いつきで書いてたら、だらだらになってしまいました
マターリと書きながら、826の続きも投下します
もちろん、他の職人様の投下も待っております
かなり長くなってしまいますのでぶった切ってください!!
37 :
『光の庭』:2007/07/18(水) 01:18:25 ID:J61WqHx/
コクリツ、スポーツ、フロンティア、ナントカ、研究所、にバスは着いた。
緑の中に忽然と現れたそれは、綺麗だけど無機質な白い建物で、クリスタルキューブのような窓が所々にはめ込まれていた。
かっちりとした直方体の近未来的なこの建物の前に立つと、どこか知らない遠くの惑星に連れてこられたような奇妙な気分だった。
「はぁ〜、ここがこれから4日間世話になる所かぁ」
バスから降りるとさっきまで眠そうにしていたよっちゃんはうーんと手を上げて伸びをした。
バスは早朝に東京を出てから3時間かけてここへ着いたのだ。
「なんかすごいところだね〜」
「そうね〜」
ミキとマイは口を開けて建物を見上げていた。
「マオちゃん初めて?」
「うん、向こうのセンターには何度か来たことあるけど、ここは初めて」
さっきバスで通りすぎた所に、ここより大きなスポーツトレーニングセンターがある。
グラウンドやプールなど様々なスポーツ施設があり、様々なアスリート達がトレーニングの為に使用する施設だ。
私達も何度かそこを利用して、合宿やトレーニングをしたことがある。
けっこう広大な敷地だったが、そのさらに奥にこんな立派な施設があるのは知らなかった。
そしてこの研究所の先には特に建物も道もなく、三方は大きな森に囲まれるように建っていた。
38 :
『光の庭』:2007/07/18(水) 01:20:37 ID:J61WqHx/
――――私達が呼び出されたのは一ヶ月前だった。
私とよっちゃん、それにフミエちゃん、ユカリちゃん、マイちゃんやミキやマオちゃん、の7人が急遽集められ、
ある施設に行き、そこで4日間滞在することを伝えられた。
合宿とは違うそれはフィギュアスケート選手サポートの、国が始めたプロジェクトの為だった。
将来に向けて、もっと科学的にフィギュアスケートを研究して、
技術向上や選手の体調管理などに役立てていこうとするものらしい。
そのために、その研究所で私たちに4日間生活してもらって、様々なデータを採らせて欲しいということだった。
始めるにあたってより多くの選手のデータが必要で、すでにプロ転向した私やよっちゃんまで招集がかけられた。
せっかく盛り上がったフィギュアの人気を少しでも高めたい。それを国ぐるみで応援してくれる。
それを聞いた私は胸がわくわくしていた。
未来を担うフィギュアスケーターの為に役立つことが出来るなら、と私達はすぐに了承した。
39 :
『光の庭』:2007/07/18(水) 01:22:14 ID:J61WqHx/
そして
私達はバスに乗ってこの高原の地にやってきたのだった。
玄関へ向うと、スーツを着たすらっとした長身の女の人が迎えてくれた。
眼鏡越しに見える目の綺麗な知的な美人で、まだ三十代後半ぐらいに見える若々しい感じのする人だ。
ほんとのクールビューティーって言うのはこういう人だ。
「はじめまして。ようこそいらっしゃいました。私は等研究所の所長で三上と申します。
この研究所はスポーツだけでなく、医学や、人間工学など様々な分野の為に役立っています」
所長の後ろには何人かのスタッフもきちんと並んで控えている。
なんだかえらく仰々しく迎えられてしまって、照れくさい気分だった。
「新しく始まりますアスリートサポートプロジェクトのため、
皆さんにはこちらで4日間生活をしていただいて様々なデータを取らせていただくことになります。
皆さんのデータはそれぞれ還元されて、成績の向上に役立つとともに、未来の選手達への貴重な財産となるでしょう。
皆さんのご協力には大変感謝しております」
40 :
『光の庭』:2007/07/18(水) 01:23:19 ID:J61WqHx/
他の仲間達をちらりと見ると、一応真面目そう顔でみんな聞いている。
それがなんだか可笑しくて、笑いそうになる顔を私も唇を結び、必死に抑えていた。
「荒 川さん」
「はひっ」
急に呼ばれて声が裏返ってしまった。
みんなが一斉にぷーっと吹き出してクスクスと下を向いて笑っている。
多分みんな我慢してたんだろうな、、、でも名前を呼ばれた私はそのまま真面目顔で所長の方を向いた。
「荒 川選手は特別にお願いして7日間こちらにいることになっていますが、ご存知ですよね」
荒 川選手、と言う言葉が妙に懐かしかった。
「はい、知っています。大丈夫です」
特に金メダリストとなった私のデータを多く欲しい、と言うのは事前に聞いていた。
競技から離れた私が自分の技術やデータを日本のフィギュア界の為に惜しむ理由はない。
ミキやマオちゃんや他の後輩達に役立てるなら、喜んで協力するつもりでいた。
「こちらの生活では食事、睡眠、運動制限などご不便をかけますがよろしくお願いいたします」
私達は丁重に建物の中へ案内された。
、、、とこんな感じです。。。。
>>34さん
姐さんががんだむコスプレって????
思わずけんさくしてしまいましたよ
最近のがんだむはわかりませんが連邦軍っぽいのをきてますね
マ チルダさんかな?
それならシズゥはセ イラさんで
フミィにはラ ラァをお願いしたいww
42 :
『光の庭』:2007/07/19(木) 23:03:16 ID:Uc+nu5Mu
「わあ〜」
建物の内部も白を基調にした大理石のような壁で囲まれていたが、すぐに私達の目に入ったのは、目の前に広がる大きな緑の中庭だった。
ガラスで囲まれていたが、白樺やコナラやいろいろな樹木も生えていて、上からは光が降り注ぎ、小さな野生の花も咲いていた。
まるで白い空間の中に森が切り取られてここに置かれているようだった。
「すごい、綺麗〜」
マオちゃんがととと〜っと真っ直ぐにガラスに走り寄り、あどけない笑顔で振り返った。
「ここ、入れるんですか?」
「ええ、時間によりますけど、開いていれば入れますよ。遊歩道もあります」
よく見ると、木製のチップを敷いたような細い遊歩道が奥に伸びていた。
「わあ、後で見に来よう!」
マオちゃんとミキは手を合わせて喜んだ。
それを見ている所長の顔は無邪気な子供を見守るようにやさしく微笑んでいた。
所長だなんてきっと何時でも冷静で理知的な性格の持ち主だと思うけど、悪い人じゃなさそうだと安心した。
私達はさらに建物の奥へと案内された。
43 :
『光の庭』:2007/07/19(木) 23:05:40 ID:Uc+nu5Mu
「フミ、、村 主選手も明々後日来る予定なんですよね」
歩きながらユカリちゃんが所長に尋ねた。
「ええ、村 主選手は今海外と聞いていますので、明々後日来所する予定です。皆さんと日程がずれますね」
「じゃあ、最後の3日間はしーちゃんとフミエちゃん二人っきりでラブラブやん!!」
よっちゃんが私の方を振り返ってニタニタと笑った。
最近、ぎこちないながら親しくなりつつある私達のことをよっちゃんはよくからかっている。
確かに、、、昔はとっつきにくい人だと思っていた。
でもそれが繊細で不器用で一途な彼女の魅力だと気づいたのはいつからだろう。
リンクでは年上らしく凛々しく見えるのに、普段の生活ではおっちょこちょいで頼りなくて、守ってあげたくなる彼女。
今は彼女をもっとたくさん知りたい。
彼女から出る言葉をもっとたくさんこの耳で聞いてみたいと思う。
ふっとガラス越しの中庭を見ながら、彼女とそこを散歩する自分を想像した。
44 :
『光の庭』:2007/07/19(木) 23:07:15 ID:Uc+nu5Mu
エレベーターの前に着くと所長は後ろにいた白衣の女性を紹介した。
「申し訳ありませんが、私は他の業務がありますので、後はこちらの八重樫が案内いたします」
長身の陰に隠れていたのでよくわからなかったが、小柄な女の人が一緒に歩いていたのだ。
「八重樫と申します。宿泊や生活の担当をいたしますのでよろしくお願いします」
八重樫さんは柔和な笑顔の人で科学者というイメージはあまりしなかった。
「それじゃあ、八重樫さん、後はよろしくね」
長身の所長は私達に一礼すると、くるりと身を翻し白い廊下を歩いていった。
八重樫さんはエレベーターで私達を5階に案内した。
「ここが皆さんの宿泊していただく最上階のフロアになります。シングルのお部屋になっています」
その中の一室のドアを開け、八重樫さんはいろいろと説明してくれた。
その後、今日のスケジュールや注意事項などを説明されて、何かあったら部屋の内線電話を使うように言われた。
45 :
『光の庭』:2007/07/19(木) 23:08:44 ID:Uc+nu5Mu
八重樫さんと別れた後、私達はそれぞれ荷物を置くために部屋に入った。
部屋はホテルのシングルルームのようだった。
冷蔵庫はないが、ベッド、机、クローゼット、ユニットバスがついているシンプルな内装の部屋だ。
ただ、いろいろなアスリートが利用するためか、普通のシングルより家具が大きくてゆとりがあった。
一週間宿泊するとは言え、服はここでは決められたものを着用することになっているし、
大体の必要品は揃えてある、と聞いていたので、あまり旅の荷物は持ってきていなかった。
ただ枕は自分のじゃないと眠れないのでそれを引っ張り出して、ベッドに置いた。
愛用している枕を撫でながらこれから暮らす一週間に思いを馳せた。
いったいどんな生活をするのか想像もつかない。
46 :
『光の庭』:2007/07/19(木) 23:09:42 ID:Uc+nu5Mu
カーテンを開けるとかなり窓は頑丈な二重ガラスになっている。
冬はきっと一面の雪景色だ、なんて想像しながら窓を開けた。
今は初夏で外の景色は緑の森が続き、遠くに山並みが見えて、爽やかな空気を感じた。
自然が一杯なリゾートと言われればそうだけど、そんな気分でもいられない。
私達はここへスケートシューズを持ってくるように指示されていた。
こんなところにリンクがあるのかな、、、隣のトレーニングセンターにはプールはあったけどリンクはなかった気がする。
そしてここはトレーニングセンターとは雰囲気がまるで違う。
研究所なんてお堅い施設だからだろうか。
周りにいるスタッフが見知ったコーチやトレーナーではなく科学者だからだろうか。
旅慣れている私でも一人この部屋にいると張り詰めた空気を感じていた。
47 :
『光の庭』:2007/07/19(木) 23:11:28 ID:Uc+nu5Mu
「ねえ、しーちゃん、荷物置いた?」
しばらくしてノックの音とともにドアが開き、ミキが顔を覗かせた。
「よっちゃんがランチまでヒマだから、ラウンジでおしゃべりでもしようって」
説明では昼食までは自由と言うことだったので、まだ2時間くらいある。
一人で部屋でぼーっとしていてもつまらないし、勝手に他の階へは行けないので、うん、と返事をして部屋を出た。
同じフロアにラウンジがあってそこにはソファーやテーブルが置いてあった。
集まったみんなの顔を見ると、再び全身がほっとする。
普通の合宿とは違うわけで、妙な緊張感を感じていたけれど、親しい仲間と一緒なのは心強かった。
厳しかったけれど楽しかったアマチュア時代に戻った気分もした。
「あ、そういえば、ここ飲み物飲めるって言ってたけど」
世話好きなよっちゃんが辺りを探し始めた。
「あ、ここにあったよ〜」
ドリンクサーバーを見つけてよっちゃんは手を振っていた。
「さすがにお酒はないなぁ〜」
48 :
『光の庭』:2007/07/19(木) 23:13:35 ID:Uc+nu5Mu
ドリンクサーバーではいろいろな飲み物がセルフサービスで飲めるようになっていた。
笑いながら、よっちゃんはアイスコーヒーを手にした。
その横でユカリちゃんがアイスティーを半分入れた紙コップにオレンジジュースを入れようとしていた。
「わっ、なに、ユカリン、そんなんいれんの?」
「ええ〜、これ美味しいよ。今名古屋で流行ってんの」
「ミキ、ほんまかいな」
「ああ、そういうの好きな人いるね〜」
ミキは当たり前の顔をして、自分のコップにコーヒーとたっぷりのミルクを入れて一口飲んで
「ん、まあまあかな」
とぺロリと舌を出した。
喫茶店の娘ゆえ、ミキは飲み物に関しては結構うるさい。
「これも美味しいから。よっちゃん飲んでみる?」
「いやや〜、それは堪忍してぇ」
ユカリちゃんにアイスティーオレンジジュース割りのコップを押し付けられてよっちゃんは大げさに首を振って、顔をしかめた。
それを見たみんなはどっと笑った。
おお〜!長編すか。なにやらミステリアスな感じ。楽しみにしてまつ。
前スレのもマターリ待ってまつ。
乙です!何やら楽しそうな研究所ですなw
ヨシオは相変わらずユカリンに苛められてんのねwワロス
フミィとシズゥが二人きりになる時が待ち遠しい(*´Д`) ハァハァ
自分も早く新スレで荒×村SS書きたいな〜(最近ネタが思いつかんorz )
長編は切れ切れなので読みにくいとは思いますが
ちょっとした暇つぶしにしていただけたら幸いですww
明日はD0Iのフミィやゆかりんが見られる!
シズゥのゲストも楽しみです〜
明日はじゃんくにユカリソですな
Sスケ男性陣も出るらしいので、姐さんやO菅タンの
裏話も聞ければいいねw
53 :
『光の庭』:2007/07/22(日) 00:59:10 ID:Cp1w6vYE
>>48の続き
ソファーに座り、紙コップを手にしながら、みんなでおしゃべりを始めた。
「よっちゃんは、ここに来たことあるんでしょ」
「ああ、ソルトの後に、やっぱりデータ採るって言ってフミエちゃんやタケシさんや竹 内さんと一緒にな」
「そんなのあったんだ」
「で、簡単な体力測定の結果とかはもらったんだけど、その後なんもなく、、」
「へえ」
「まだこの建物も半分も出来てなくて、、、そのデータはどっか行っちゃったらしいんやけど」
「えー、そんなぁ」
「でもなあ、日帰りやったし、たいしたことやってなかったから、、」
よっちゃんは一生懸命思い出そうとしているみたいだったが、建物もなんとなく違うような、、と首を傾げていた。
「ここじゃなかったんじゃない?」
「いやぁ、確かトレーニングセンターのとこ通った記憶があるねん。そんでやっぱり白い建物で、、、。
でもこんな綺麗な中庭なかったような気がするわ」
そう言ってよっちゃんは記憶をたどる様に横を向いた。ここからは廊下を通して吹き抜けの部分が見える。
中の樹木はここまで届いていないようで上から降り注ぐ明るい光と向かいの部屋がライトコートを挟んで見えた。
54 :
『光の庭』:2007/07/22(日) 01:02:01 ID:Cp1w6vYE
「それで、どんなことしたの?」
「、、、、、なんでかあんまり憶えてへんのや。まあ、健康診断と体力測定みたいなことしたような、、」
「じゃあ、バーベル持ち上げたり?」
「よっちゃん、それ得意じゃん」
「いや、マオちゃんには負けるって」
「ふふふ、マオは力持ちだよね」
「マオ、力こぶできるよ、ほら」
「すごーい。今度私をお姫様抱っこして〜!!」
女の子同士の会話は楽しくて、海外のツアーでも女の子達とのおしゃべりは心の支えだった。
初めての研究所暮らしでも皆といれば、なんとかなりそうだ。
「それにしても携帯もダメじゃあ、なんかつまんないね。メールも出来ないし」
「テレフォンカードなんて久しぶりに見たよ」
ミキがポケットから可愛い子犬のテレフォンカードを出してひらひらさせた。
ここの研究所では精密機器がたくさんあるので携帯、パソコン、ゲームの類は持ち込みは禁止、バスの中で回収されていた。
外部との電話は公衆電話を使うように指示されて私達にはテレフォンカードが渡されていた。
55 :
『光の庭』:2007/07/22(日) 01:03:09 ID:Cp1w6vYE
「おー、カワイコちゃん達が揃ってるねえ!!」
不意に廊下の方から、突然明るい呼び声が聞こえてきた。
「あ、岡 崎さんだ」
マオがにっこりと笑って、尻尾のようにぱたぱたと手を振った。
薄い緑の服を来たその人達も手を振って近づいてきた。
「お久しぶりです」
「スピードの皆さんも来てたんですね」
私達は揃って立ち上がり挨拶をした。
スピードスケートの選手岡 崎さんが笑顔で答え、後ろでは吉 井さんがペコリと頭を下げた。
スピードの選手たちとは会うことは少ないが、オリン ピックやいろいろなイベントで何度か話した事はある。
年長の岡 崎さんは連盟でも主将のような存在で、みんな直接話した事はなくてもよく知っている。
「うん、私達は3日前から。噂には聞いていたけどフィギュアでもサポートプロジェクト始めるんだ」
アスリートサポートプロジェクト、、、そうそんな名前がついていたっけ。
確かスピードスケートやジャンプ、水泳などフィギュアよりも以前からそういうプロジェクトを組んでいる競技があると聞いた。
56 :
『光の庭』:2007/07/22(日) 01:04:10 ID:Cp1w6vYE
「岡 崎さんたちは何をしてたんですか?」
「今日は計測やってこれからお昼食べるの、、と、村 主さんの姿が見えないね」
岡 崎さんは一人一人の顔を見回して首をかしげた。
「フミエさんは海外に行ってて、ここに来るのは明々後日なんですよ」
マオがてきぱきと答えたのを見て岡 崎はふっと微笑んだ。
「、、、、そうか、、まあ、村 主さんはそんなに急がなくてもいいかもね」
「、、、?」
みんなには聞こえなかったようだが私にはそんなつぶやきが聞こえた気がした。
「あ、こんにちは」
廊下を同じ服を着て歩いていた人がこっちに気づいて小走りに来た。
「久しぶり」
大 菅さんはユカリちゃんを見つけると小さく手を振り、ユカリちゃんも笑顔で会釈した。
「フィギュアも今日からなんだって」
岡 崎さんがそう振り返ると大 菅さんは声のトーンを落として
「そうですか、、、フィギュアもとうとう実験材料の仲間入りってことですね」
ぽつりと言った。
「大 菅、そういう言い方はよくないよ」
「すみません」
岡 崎さんにたしなめられ、大 菅さんは慌てて頭を下げた。
57 :
『光の庭』:2007/07/22(日) 01:05:07 ID:Cp1w6vYE
「まあ、確かに血は採られるわ、尿は採られるわ、食事は制限されるわでモルモットみたいだけどね」
岡 崎さんが豪快に笑って頭をかくとみんなは一斉に笑った。
「ねえ、岡 崎さん、血を採ったりする時痛くないですか?たくさん採られちゃったりするの?」
不安になったのかマオちゃんは岡 崎さんにたずねた。
「まあ、健康診断みたいなものだから、貧血になるほど採ったりしないから大丈夫。さてはマオちゃんお注射嫌いかな〜?」
「平気ですっ。マオはもう子供じゃないですから」
マオちゃんは口を尖らせて胸をはった。
それを聞いた大 菅さんは悪戯っぽい顔で吉 井さんに振り返った。
「だって。吉 井、おまえの方が子供だな」
「私の苦手は注射だけです!後は平気ですもん!」
「この子さあ、採血する度に『なるべく絶対に痛くしないでくださぁい』って涙目で言うんだよ」
「痛くない方が良いに決まってるじゃないですかぁ」
二人のやり取りに私達もくすくすと笑った。
全く違う競技のアスリートでもリンクを降りたら、私達と変わらない普通の女の子の表情だ。
58 :
『光の庭』:2007/07/22(日) 01:06:46 ID:Cp1w6vYE
岡 崎さんも二人と一緒に笑っていたが
「そろそろ、時間だよ」
と腕についた大きなリストバンドのようなものを見て声をかけた。
「あ、ホントだ。じゃあ、私達はこれで」
2人も自分のリストバンドを見て頭を下げた。
「それ、なんですか?」
ミキが不思議そうに覗き込むと吉 井さんがリストバンドについている小さな液晶画面を見せた。
「ああ、時計になってるんですけど、ICチップも入っててバイタルも把握できるんですよ」
「バイタル?」
「えーと、心拍数や体温のことです」
画面にはデジタル時計のように、いくつかの数字が表示されて点滅していた。
フィギュアの皆は興味深くそれを覗き込もうと顔を寄せた。
「一日のリズムが記録されるんですよ。多分皆さんも明日からもらうんじゃないかな」
「すごーい」
「ハイテクやなー」
それじゃ、と3人は軽い会釈をして廊下へ去っていった。
59 :
『光の庭』:2007/07/22(日) 01:07:59 ID:Cp1w6vYE
「近くで見たらスピードの皆さんってなんか、女の人だけどかっこいいですね〜」
マイはしばらく後ろ姿を追っていた。
確かに彼女達の動作はアスリートらしく機敏で颯爽としていた。
「服に隠れてたけど、凄い筋肉してたもんな」
よっちゃんも感心したように頷いた。
「ところでユカリン、大 菅さんと仲良いのん?」
「あ、ああ、前にアジア 大会で一緒だったから。大 菅さんはフミエちゃんとも仲良いの。すっごく元気な人で、、、」
ユカリちゃんはそう言って飲み物を口にした。
よっちゃんはその中味にまだ目を丸くしながら、含みのあるユカリちゃんの表情を気にして横に座った。
「でも、、、なんか今日は、、いつもと違うような、、、」
ユカリちゃんはそう言って、アイスティーオレンジジュース割りをまた一口飲んだ。
ユカリちゃんと同じことが私も気にかかっていた。
岡 崎さん達のことをそれほど詳しく知っているわけではない。
けれども、今日の彼女達の雰囲気は親しそうにしながらも、どこか一線を引いているような気がしてならなかった。
「しんどい食事制限でもしとるんかなぁ〜、確かにちょっと疲れた顔してたね」
「ええ〜、もしかして私達もそういうのやるの?デザートとか食べちゃだめなのぉ?」
「まあ、いつもの合宿だってそんなに甘い物出ないじゃない」
「ダメって言われると余計に食べたくなっちゃうよ!」
何もなかったようにみんながしゃべり続けるのを聞きながら、私はさっきまであの3人が立っていた場所を見つめていた。
まるで風が通り過ぎた後のような不思議な余韻が残っていた。
ドキドキ・・・
ミステリアスですな
長編乙!
意味ありげなスピスケ組の登場が気になりまつ。
シズゥは無事にフミィに会えるのかしら?続きwktk
イイねイイね〜w
姐さん達の登場で一体どうなるのやら。つづき気になる〜
じゃんくのゆかりんかわええな
清楚でおっとりしてて、でもキスクラでプレゼントごそごそやっちゃう
無防備さがいい!w
ここではほとんど出ませんが氷ホッケーの人もかわいかった
激しいヌポーツなのになんか大人しめで意外だ
氷ホッケーはゴーリーでもちょっとクールでかわええのがいたな
名前忘れたけど…
シズゥはホッケー選手にならないかって言われたことあるらしいんだけど
ガンガンいっちゃうタイプなんでしょうか
私の中では結構受け身なんだけどな〜
>>63 ゆかりん、しっかりしているようで何気に天然はいってるよねw
>シズゥはホッケー選手にならないかって言われたことあるらしいんだけど
>ガンガンいっちゃうタイプなんでしょうか
シズゥは滑りのスピードと体格wを見込まれたんだと思われw
ガンガン…はどうなんでしょうか。本人にモチベ次第だね。
火がつくまではのほほーんだけど、一旦その気になったら誰も止められない、みたいな。
いいね〜w
ふだんはのほほんなシズゥがいったん火がつくと炎のよーに燃え上がる…
そんなシズゥに萌えですわ。
知らない間にフミィに恋しちゃてるシズゥ。
自分の気持ちに気づいた途端、恋心に胸を焦がして身悶えるのですわ。
そんな気持ちも知らずにお友達になりたくて、
恥かしがりやのフミィがモジモジしながら話しかけたりするんですの。
もーそーが広がるわぁ.*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*☆
>>65 ちょwwwそれでSS書いてくれ
じゃんくのユカリン可愛かったなー(*´Д`) ハァハァ
谷口においしいところはもっていかれたがw
ということで、小ネタを少々。
あの放送を見てヨシオから電話…。
恩「ゆゆゆゆゆかりんッ!!!」
中「ん〜?なによぉ(相変わらず鼻息荒いんですけどw)」
恩「じゃんく見たでッッ!!」
中「あ…そうなの?で?」←冷めてるw
恩「あ〜…(*´Д`) ハァハァ」←思い出して一人でニヤけてる
中「よっちゃん?!」
恩「……。」←電話してるの忘れてじゃんくを巻き戻ししまくり
中「ちょ!(また筋トレのやりすぎで寝てるんじゃ(゚Д゚#)ゴルァ!! )」
恩「むふふ…。」←電話した事もすっかり忘れてる
中「(ガチャ!)」←相手にしてられないので電話切った
>>67 ヨシオ、かわいい!なんか一人から回りしてるけどw
怒ったユカリソのキュートな顔が思い浮かぶな
ジャンクのユカリソは笑顔がよかったね!
千田みつおゲーム、、、久々に思い出したよw
69 :
『光の庭』:2007/07/25(水) 00:15:00 ID:T0ZN9HF3
>>59の続き
おしゃべりをしていると時間のたつのは早いものであっという間に昼食の時間になった。
来た早々遅刻するのも気が引けるので私達は食堂へと急いで向った。
食堂は広々としていて、木のテーブルやカウンターのあるナチュラルなカフェテリア風になっている。
岡 崎さん達の姿は既になく、この時間は他に食事をしている人はいないようだ。
ランチはセットでいくつか選べるようになっていて、みんな真剣な顔で見本のメニューを見比べていた。
「夜は食べられないんだよね」
「そう、これ食べたら後はダメ。飲み物も6時までしか飲めないよ」
明日は細かい健康診断があるので、夜の飲食は禁止されていた。
今日の食事はこれで終わりなのでメニューを選ぶ目もますます鋭くなる。
さんざん迷った挙句、私はお魚をメインにした和風のランチセットにした。
食事は海外でもあまり困ったことはないが、やっぱり日本食を食べるとほっとする。
「いや〜、我々も年をとりましたなぁ」
同じメニューをトレーに乗せたよっちゃんがオヤジくさく笑った。
テーブルにつくとミキやマオちゃんはヒレカツにエビフライの結構ボリュームのありそうなセットを選んでいた。
「あ〜あ、ミソカツ食べたいな」
「やだ、マオ、そんなこと言うとミキだって食べたくなっちゃうよ」
「ねえ、そっちのエビフライの方が大きくない?」
「カツはそっちの方が大きいよ」
二人はまるで食べ盛りの兄弟みたいだ。一緒に手を合わせていただきます、をして食事を始めた。
70 :
『光の庭』:2007/07/25(水) 00:16:47 ID:T0ZN9HF3
食堂は私達だけだったが、しばらくして端っこの席に何人かが入れ替わりやってきた。
白衣を着ていたり着ていなかったりするが、皆IDカードを下げているからここの職員のようだ。
私達に気づくとこちらをちらちら見たりしているが、声をかけたりはしない。
食堂の広さの割には利用する人間は少なそうだ。
まあ、アスリートの団体が来ればこのくらいの席は必要なのかもしれない。
「ねえ、このゼリーすごく美味しい!」
すでにデザートに突入しているミキが、みんなのセットについている小さなフルーツとゼリーのカップを持って声をあげた。
「ほんとー?」
まだご飯を食べている途中のユカリもつられて一口だけゼリーを掬った。
「ほんとだ、美味しいね」
「そうでしょー?」
何故かミキが自慢げに言うのでみんなで笑った。
こうしてみんなと食べる時間は楽しくて幸せを実感する。
この後大盛りアイスクリームをフミエちゃんと食べられたらもっと幸せになれるのにな〜などど考えながら、窓の外の緑を眺めた。
71 :
『光の庭』:2007/07/25(水) 00:18:09 ID:T0ZN9HF3
食事を終えて、少しまた部屋でのんびりしていると3時になった。
1階のロビーにまた集合することになっている。
私達はぞろぞろと部屋を出て、エレベーターに乗り込んだ。
これから八重樫さんがこの施設を案内してくれる予定になっている。
1階のロビーでは既に彼女が待っていた。
食堂はいかがでしたか?などと優しく声をかけてくれて、私達は後をついて白い廊下を歩き始めた。
1階は事務関連のフロアなのであまり私達は利用することはなさそうだ。
とにかく全面白く磨かれた大理石の壁と廊下で灯りがなくても明るく感じた。
やはり建物の真ん中にこの大きな中庭があるせいかもしれない。
「後でもう一度1階に戻りますので、その時にこのライトコートを散策なさってください」
八重樫さんが振り返ってそう言うと、マオちゃんとミキはわあ、と声をあげうれしそうに手を取り合った。
「あの〜、うちは前にここへ来た事あるみたい、、なんですけど、、ここ建て替えました、、?」
よっちゃんは鼻の頭をかきながら八重樫さんに遠慮がちに訊ねた。
「ああ、恩 田選手は、、こちらに一度いらしてますね。
私もその時は居りませんので詳しくはわかりませんが、、、まだ仮設の時期だったんじゃないでしょうか」
ちょっと困った顔で八重樫さんは答えた。確かに数年前なのでスタッフもいろいろ変わっているかもしれない。
72 :
『光の庭』:2007/07/25(水) 00:19:15 ID:T0ZN9HF3
「そうですか、、、仮設かぁ、、それでなんか違く感じたのかもしれへんなぁ」
よっちゃんはまた鼻の頭をぽりぽりかいて、緑の中庭を振り返った。
歩いてガラス越しにみる中庭は見れば見るほど建物の内部とは思えないくらい緑が豊かだった。
5階とは違い、緑に隠れて向かいの廊下を見ることはできない。
「ユカリン、後で手ぇつないで、ここデートしような。ロマンチックやん」
「やだぁ、私は王子様と歩きたいもん」
「まったくぅ〜、このツンデレラめが」
よっちゃんとユカリちゃんは肩をつつきながら、並んで歩いていった。
下草の葉がキラキラ揺れて光っている。
フミエちゃんが来たら思い切って私も誘ってみようかな、、。
我ながらよっちゃんと同じ魂胆か、と一人でニヤニヤする私をマイが不思議そうな顔で見ていた。
73 :
『光の庭』:2007/07/25(水) 00:20:53 ID:T0ZN9HF3
エレベーターで上がり、2階、3階、4階と案内される。
私達が明日、健康診断するのは2階の医学的研究施設だ。いろいろな検査をしたり診察を受けたりする。
3階にも生化学実験室、生理学実験室、なんとか力学実験室、、、よくわからないがいろいろな実験室や
トレーニング機器を置いた計測室、検査室がある。
4階も、また難しいなんとか心理学実験室、カウンセリング室、研修室、、、などを案内された。
「今、スピードの選手もいますよね」
4階をだいたい廻った時、ユカリちゃんが八重樫さんに尋ねた。
「ええ、そうです。今は、、、短距離の女子選手がいらしてます」
「岡 崎さん達ですよね」
「そうです。3名ほど参加していますね」
「他の競技の選手はいないんですか」
「今はスピードとフィギュアの皆さんだけです」
「そう言えば、岡 崎さん達どこにいるんやろ」
「そうですね〜、ちょっと今はわかりませんが」
多分、中を見られなかったどこかの部屋にいるのだろう。
「あのー、八重樫さん。すごーくおなか空かせたり、たくさん血を採られる検査とかありますか」
唐突にマオちゃんが眉をひそめて、八重樫さんの顔を窺った。
よっぽどそれが気になるらしい。その子供っぽい率直な物言いに皆の表情が緩んだ。
「いえ、普通の健康診断の範囲ですよ。ただ運動負荷をかける検査とかは頑張っていただかないと困るのですが」
八重樫さんは心配そうなマオちゃんに優しく微笑みかけた。
「あ〜、そっかー、運動なら頑張ります!」
そうマオちゃんがけろっと返事をしたものだから、またみんなで笑った。
74 :
『光の庭』:2007/07/25(水) 00:22:13 ID:T0ZN9HF3
「5階は先ほど説明しましたので地下へご案内します」
私達はエレベーターにまた乗って、今度は一気に地下へ降りた。
「地下1階は資料室、機械室で皆さんがいらっしゃることはないので省略いたします」
エレベーターの表示もそう書いてあった。
そして地下2階の表示には『大実験場 小実験場』と書いてある。
実験場、、、というからには実験室よりも大きいのだろうか。
地下2階へ向う八重樫さんの横顔はなんだか自慢気に口角があがっているようで、何かがありそうだ。
不安と期待の予感がして私の鼓動が地下に向う重力とともに次第に早くなる。
「こちらが地下2階の実験場です」
75 :
『光の庭』:2007/07/25(水) 00:23:15 ID:T0ZN9HF3
降りるとそこも白い廊下が続いていた。
造りは同じようなのだが今までの階と明るさが違い、人口的な光だけが私達を迎えた。
それに地下らしく壁の圧迫感も地上階とはまるで違う。
空調のきいた廊下に足音も長く硬い音でコツーンコツーンと響いていく。
八重樫さんはL−1と書かれた大きな扉の前に聞くと、脇の読み取り機にカードキーを入れ、さらにインターフォンのように
「フィギュア選手の方をお連れしました」
と声をかけた。
しばらくして、ガコン、と重そうに分厚い扉が開いて、もうひとつ大きな扉が目の前に立ちはだかった。
今までもカードキーを使って案内される部屋もあったが、物理的にも厳重に管理されているらしいここに、私たちは緊張して息を飲んだ。
もう一度カードキーを入れ、八重樫さんが手のひらをかざすとその扉も開いた。
「どうぞ」
みんな緊張した面持ちで彼女の後についていく。
そして目の前に広がった光景に私達は声をあげることもできずに立ちすくんでしまった。
なんかドキドキの展開ですな。
長編GJっす。
私はサ力ーオタではないですが、今日は…orz
でも、延山にはミキちゃんまおまおも来るみたいだし、久々にヌッポンに
みんな集まるみたいでつね。
TVでやらないかな。
77 :
『光の庭』:2007/07/28(土) 10:21:41 ID:lwsuw4LB
「、、、すごい、、」
ようやくマオちゃんが口を開き、そこへ走り寄った。
そこには地下というのに、私達がよく何知っている広さのスケートリンクがあった。
もちろん客席はないが、天井の高さも充分で、すでに青白い氷が薄く張ってある。
地下にこれだけ大規模なリンクがあるなんて、目の前にあるのに信じられなかった。
「ここは正規の競技も出来るサイズのリンクなんですよ」
八重樫さんの顔は誇らし気だった。
「このリンクは氷温、気温も管理は勿論、照明や氷の質もいろいろ対応できるようになっています。
フェンスや天井にはカメラがついていて皆さんの演技をいろいろな角度から分析できるようになっています」
マオちゃんに続いて私達もリンクへ歩み寄った。
「氷の下にもセンサーがあって圧力や軌道も計測できるんですよ。このリンクはフィギュアの為のリンクです」
78 :
『光の庭』:2007/07/28(土) 10:22:28 ID:lwsuw4LB
よく見るとリンクは透明な強化プラスチックのようなフェンスに囲まれている。
そしていくつものカメラやセンサーが配置されていて観客の代わりに私達を見つめるのだ。
「本当は、もっとリンクは広いんですよ」
八重樫さんはリンクを見渡して言った。
確かに天井を見るともっと奥までありそうだった。
「スピードスケートでも利用できるように設計されているんです」
「ええ〜!!」
私達は思わず声を上げて驚いてしまった。
スピードスケートの試合はほとんど見たことはないが、確かフィギュアやアイスホッケーのリンクよりもかなり広いはずだ。
「すっごいなぁ〜」
「ちゃんと1周400mのコースなんですよ。つい昨日まではそうでしたから、今はフィギュア用に調整中なんです。
何しろフィギュアは初めてなので、、、いろいろと試行錯誤していますので、皆さんのご協力が必要になると思います」
きっとあの3人もここで滑ったのだろう、、、この地下深いリンクで、いったいどんな表情でどんな気持ちで。
さっき会った岡 崎さん達の顔が思い浮かんだ。
「他にも擬似的ですけど、スキーのジャンプやアルペン競技にもここの部屋が使われるんですよ」
「ええっ、雪も降るの?!ここに!」
私達は天井を見上げた。いろいろな機械が見えるが何の為の装置かはわからない。
「ジャンプ台は造ることは出来ませんが、風を起こして短い助走で飛べるようになっているんです。それに雪も降りますよ」
まるでSF映画の世界だ。
その壮大さに私はしばらく頭がくらくらしてしまった。
79 :
『光の庭』:2007/07/28(土) 10:23:28 ID:lwsuw4LB
実験場の見学を終えた後、皆はしばらく呆けた様に黙っていた。
あれが現実にあるものとは、頭がまだ上手く認識できないでいる。
八重樫さんはそんな私達に温かく
「皆さんがあのリンクで滑ってくださるのをスタッフも楽しみにしていたんですよ」
と声をかけてくれた。
その壮大な計画に参加する緊張感が私達の身を引き締めた。
エレベーターが1階に戻り、ドアが左右に開くと、またあの中庭の光が目に飛び込んできた。
リンクを照らす照明とはまったく違う空から降り注ぐ太陽の光に、私達は一瞬目を細めた。
そして気持ちが解凍されたみたいにほぐれて私達はようやく互いの顔を見て微笑みあった。
「なんや、すごいもん見た気がするわ」
「ねえ、この下にあんなリンクがあるなんて」
「ミキ、ちゃんと滑れるかなあ」
皆それぞれ感動したようで足元の白く磨かれた床を見つめながら、次々に口を開いた。
そして今見てきたことが本当のことだったのかお互いに確かめるみたいに顔を見合わせた。
「明日はメディカルチェックですので7時に5階のラウンジに集合してください。
それまでは外出はできませんが飲食以外はご自由です。こちらに注意事項が書いてありますのでご覧になってください」
八重樫さんはプリントを手渡し、私たちの顔を一人一人見渡して、にっこりと微笑んだ。
「あの、この中庭を散歩してもいいですか?」
「はい、どうぞ。1階と5階は結構ですよ。ライトコートの入口はあちらです」
80 :
『光の庭』:2007/07/28(土) 10:24:27 ID:lwsuw4LB
八重樫さんと別れると私達はガラスのドアを開け、中庭の緑の中に入った。
館内の調整された空気とは違う、草木の香りや風の流れが私達を包み込んだ。
「わあ〜、すごいなあ。ほんとに森の中みたいだね」
外から見ると水槽の中に作られた林みたいだったが、中に入ると緑に覆われて結構な広さに感じられた。
植物園やテーマパークみたいかなと思っていたが、それとも違う。
けして大きくはない樹木だが、自然に配置されていて、建物の中ということをつい忘れそうになるくらい心地いい。
上を見上げると天井は開閉式の天蓋のような物があり、今はそれが開いていて青い空と流れる雲が緑の隙間から見える。
そして私達がいた5階のガラスが太陽の光を反射しているのも見えた。
不思議な空間、、、、。
「ああ、やっぱり緑の中は気持ちええなぁ」
よっちゃんがうーんと腕を伸ばす横でユカリちゃんはにこにこと嬉しそうに微笑んでいる。
「ねえ、マイ、ここにテントウムシがいるよ!」
「えーマオにも見せて」
「本当だ〜、あの天井から飛んで来たのかな」
ミキとマオちゃんとマイは頭をこすりつけるように、その葉っぱを見つめていた。
81 :
『光の庭』:2007/07/28(土) 10:25:50 ID:lwsuw4LB
私は5人の後を少し遅れて歩いていた。
色々な木の葉が重なりあうようにして、この遊歩道に様々な光と影を落としていた。
いつだったか、合宿中のオフ日にみんなで高原にピクニックに行ったりしたことを思い出した。
あの時はミキが自分で作ったヘンテコな歌をみんなに無理やり歌わせて歩いたりして面白かったなあ、、、。
ライバルだけど、皆同じ目標に向かう仲間達だった。もうあんな合宿に自分が参加することはないだろう。
しばらく歩いていくと、真ん中に小さな池があらわれた。
「わー、池もあるんだねぇ〜」
「お魚いるかな」
マオちゃんとミキが池の淵に行き、水中を覗き込む。
私達はそばにあったベンチに腰を下ろして、しばらくその池をながめていた。
池の真ん中辺りから、水は沸き立たせているように盛り上がり、こぽこぽと心地よい涼しげな音を立てていた。
82 :
『光の庭』:2007/07/28(土) 10:26:49 ID:lwsuw4LB
水面を小さな波が揺らしている。
その波の揺らめきを見ているうちにリンクに舞う彼女を思い出していた。
私よりも華奢で儚げな彼女が、鋭いジャンプをして、リンクの上を飛ぶようにステップを踏む。
細く折れそうな体なのに、時々こちらが気押されるような強い光を放つ。
煌く水面を、薄い羽を纏った妖精のように小さくなった彼女が滑っているのが見える。
彼女はちらちらと、私を誘うような視線を送ってくる。
「一緒に滑りましょう」
唇は開いていないがそう囁いているような気がする。
ああ、でもそこには行かれない。私がそんな水の上に行ったら落ちてしまうだろう。
83 :
『光の庭』:2007/07/28(土) 10:27:45 ID:lwsuw4LB
「しーちゃん、やだ、うたた寝しちゃったの?」
隣にいるマイにつつかれて、私ははっと頭を上げた。
いつの間にかうとうとしてしまったらしい。
「はははー、しーちゃん、よだれたらしてたよぉ」
ミキが大きく口を開けて、ウーパールーパーみたいな笑顔で私の肩をたたいた。
げっ!と、慌てて口元を押さえたけど、濡れてない。
「もー、ミキったら、変なこと言わないでよ〜」
ミキは舌を出して悪戯っぽくウインクをした。
まさか、フミエちゃんのこと考えていてよだれをたらしてたなんて、知られたらこの場に居られなくなるほど恥かしい。
いや、たらしてないもんね、まだ、うん。
なんてことを考えてたら、隣のマイが
「しーちゃん、疲れてるんじゃないの?部屋に帰ってお昼寝したら?」
と心配そうに声をかけてくれた。
84 :
『光の庭』:2007/07/28(土) 10:28:21 ID:lwsuw4LB
確かに、ここへ来てから眠気を軽く感じていた気がする。
「そうや、しーちゃんは昨日も忙しかったんだしなぁ。どうせ今日はこのまま予定もないし、部屋に帰って昼寝したらええやん」
よっちゃんにもそう言われるとだんだん本格的に眠くなってきてしまった。
「んー、じゃあ、私、部屋に行ってるね」
眠い目を擦りながら皆に小さく手を振った。
「ねえ、また後でラウンジでおしゃべりしようね」
緑の葉の向こうでミキがぴょんぴょん飛び跳ねて、大きく手を振っている。
みんなの髪に上からの明るい陽射しが降り注いで光の輪っかを作っていた。
続きktkr
みきとまおカワユス
そういえば、隅だ川の花火コンクールでみきちゃんをイメージした花火が優勝してますた。
花火で4回転?や雪の結晶をイメージしてて綺麗だた…
86 :
『光の庭』:2007/07/30(月) 22:55:27 ID:U4nmd18F
>>84の続き
一人エレベーターに乗り、5階のボタンを押す。
フロア表示の『B2F 大実験場 小実験場』の文字が目に留まった。
なんだか、不思議な一日だった。
スケートとはあまり関係のないような研究所に来て、でもスケーターでなければ見られないものを見せてもらったのだ。
いったい明日からどんなことをするんだろう。
エレベーターが5階に着き、私はちょっと迷いながら自分の部屋番号を探した。
真っ白な大理石の壁で覆われている他のフロアと違って、床にはカーペットが敷いてあり部屋のドアも明るい木目調になっている。
無機質な他の階とは違う造りになっていて少しだけほっとする。
私は部屋番号を確かめ、ポケットからキーを出してロックを開けた。
おなじみの枕がすぐ目に飛び込んできた。
私は乱暴に靴を脱ぎ捨て、ごろりとベッドの上に転がり枕に頭を乗せた。
両手を広げ、大きく息を吐くと目を閉じた。
何時間くらい眠れるかな、、、、超多忙だった去年のことを思い出した。
そして瞼と手足が急激に重くなり、私は眠りの世界に落ちていった。
87 :
『光の庭』:2007/07/30(月) 22:56:35 ID:U4nmd18F
―――夢を見た。
いつのショーの時だったろう。
皆、打ち上げの二次会へ行くといって街へ繰り出し、次の日も仕事がある私とフミエちゃんは二人だけでホテルへ帰ることになった。
涼しい夜風が心地いい。
タクシーに乗ろうかなんて二人とも言わず、そのまま煉瓦の歩道を並んで歩いて帰った。
時折通る車のライトに照らされながら、私達は久しぶりに二人きりで話した。
さっきのお店のこと、仕事のこと、アロマとティラミスのこと、、、とりとめのない話をしていた。
なんか、新しいことがしたいな、と何気なく言うと、
「恋はしないの?」
とフミエちゃんは意外なことを言った。
「うーん、恋、ねぇ、、今はこれからのことが精一杯でそこまではできないなぁ」
私はなんて答えたらいいかわからなくて、あまり考えずにそう言ってしまった。
「ふふふ、まあ、シズカちゃんなら、恋してくれる人いっぱいいそうだもんね」
またまた意外なことを言われて私はなんとなく照れ笑いをした。
88 :
『光の庭』:2007/07/30(月) 22:57:21 ID:U4nmd18F
「フミエちゃんは?私、よくニコライに恋をしろって言われてたよ。
まあ、冗談かも知れないけど、その方が表現力が豊かになるって」
「、、、恋ねえ、確かにみんな無責任にそう言うよね。でもそんなスケートの為の恋なんて、、、」
フミエちゃんは困った顔で、それでもなんだか楽しそうに笑った。
今まで二人でそんな話もしなかったからかもしれない。今夜の彼女の笑顔はとても魅力的だった。
「そうだよね、、、私も本当の恋がしたいなぁ」
私は手にしたバッグを大きく振りかぶって宙を仰いだ。
「私は、、、、シズカちゃんのことが好き」
星空を眺めている私の耳にその声は飛び込んできた。
私の心臓がドンッと何かに打ち抜かれたように大きく鳴った。
89 :
『光の庭』:2007/07/30(月) 22:58:20 ID:U4nmd18F
はっと目が覚めた、、、、。
見慣れない部屋、、、、。そうだ、ここは研究所の中の部屋だ。
そうだ、確か皆と別れた後、昼寝をしていたんだっけ。
ベッドの上で私は大きく深呼吸をすると額に手を当てた。
なんか、リアルな夢だったな、、っていうか途中までは本当にあったことなんだ。
ただし最後のあのフミエちゃんの言葉を除いては、、、。
あの時はお互い早くいい男が現れないかね〜と冗談っぽく笑ってその話が終わったはずだった。
それにしてもよくもあんなに服や髪型や小物まで憶えていたものだ。
目を閉じると今でもはっきりフミエちゃんの姿が目に浮かぶ。
けれど、私のことを好き、、と言った時の顔は思い出せない。暗闇にまたたく星空しか見えてなかった。
夢に続きがあったなら、私はその言葉になんて返事をしていたのだろう。
ニコライがしろと言った恋とは、、、、きっと違う。
まだ、痛いくらい鼓動を打つ胸にぎゅっと拳を当てながら、目を閉じる。
喉は冷たい水を欲してカラカラに渇いていた。
時計を見ると5時半過ぎだった。
まだみんなラウンジいるだろうか、私はベッドから起き上がると大きく伸びをして、髪の毛を整えた。
90 :
『光の庭』:2007/07/30(月) 22:59:21 ID:U4nmd18F
ラウンジに行ってみると、案の定みんなさっきと同じようにソファーに座りおしゃべりをしていた。
「おー、しーちゃん、セーフ!」
私に気がついたよっちゃんが顔を上げて手を振った。
「まだ、6時前だもんな。ジュース飲めるで」
「うん、寝てたら喉かわいちゃって」
私はサーバーに行き、アイスティーを淹れるとマイの横の開いているソファーに座った。
「しーちゃん、よく眠れた?」
「うん、結構眠っちゃったよ。みんなはずっとここに?」
「あの後、ちょっと中庭でお散歩して部屋に帰ったんだけど、やっぱりまたここに集まっちゃった」
9時に就寝の予定になっているが、それまではまだ自由時間だった。
ラウンジには大きな液晶テレビが置いてあるが、誰も見たいと言わない。
おしゃべりをした方が私達にはずっと楽しい。
よく男子からは、よくそんなにしゃべって飽きないなぁ、とか何かもっと他にやることないの、とか
からかわれるけど、こういう結論の出ない楽しさって言うのはきっと女の子だけの特権なんだ。
すぐに答えを求める男子どもにはわかんないだろう、、、。
やがて6時を過ぎ、ライトコートや窓から入っていた陽の光も傾き、館内も暗くなり始めた。
そう思った頃、ぱぱっ、と号令をかけられた様に次々に廊下の照明が点いた。
私達は顔を突き合わせてまだおしゃべりを続けていた。
91 :
『光の庭』:2007/07/30(月) 23:00:18 ID:U4nmd18F
「―――でね、真夜中にそのリンクで練習してると見たことのないかわいい小さな女の子がいつのまにか一緒に滑ってんの、、」
まだ7時だというのに、よっちゃんが合宿でよくやるお決まりの怪談話を始めた。
ご丁寧にラウンジの灯りを落として、かなり顔をつくってから話を切り出した。
ミキとマオちゃんは肩を寄せ合いながら、よっちゃんの方へ真剣な顔を向けている。
「で、その女の子は『お姉さん、スケート上手ね。私にも教えて』って言うんやって。
夜中なのにおかしいなと思いながら、その子は女の子があんまりかわいいから一緒に滑ってあげたんや。
だけど、いつまでもいつまでもその子が手を離してくれないんよ、、」
「ええ〜、やだぁ」
「怖いなぁ」
「それで、だんだん自分も疲れてきてやめたくなってきたんやけど、体が勝手に動いて止まんないの」
「、、、、」
「いやぁ」
これ、似たような話前に聞いたような、、でも、こういう時のよっちゃんって結構迫力あるなぁ、とちょっと感心しながら聞いていた。
くりくりした目を輝かせながら、表情をたっぷりに話すし、周りが広くて静かだからよけいによっちゃんの声が耳に入ってくる。
ユカリちゃんもマイも綺麗な眉をしかめながら聞き入っていた。
「誰か止めて〜、って言いたいけど声が出ないねん。手を引っ張りながら女の子はうれしそうにいつまでもくるくる回ってる、、、」
92 :
『光の庭』:2007/07/30(月) 23:01:01 ID:U4nmd18F
「で、次の朝、スケート場の係の人がリンクに行ってみると、その子はリンクの氷に閉じ込められて死んでいたんだって。
でも、その顔は楽しそうに笑ってたんだって、、、」
「きゃー」
「やだー怖いー!もう一人で練習できないよー」
「怖いですぅ〜」
「やだ、もうそれ、ほんとの話?どこのリンクよ!」
ユカリちゃんとマイちゃんまで本気で怖がるのが可笑しかった。
ヨシオったら名演技だな〜、今度怪談アイスショーなんてやってみたらどうかしら、と思ったらめちゃくちゃ笑えてきた。
「あー、しーちゃん、笑ってるー!」
「だって、これ前に聞いたことあるよ、みんながあんまり怖がるからさ」
私が、つい声をたてて笑ってしまったら、今度はみんなの視線がこっちに集中してきてしまった。
「ねえねえ、しーちゃん、今のよっちゃんの作り話だよねっ」
「怖いです〜、もうマオ一人で部屋に帰るの嫌です〜」
マオちゃんとミキに腕をぐいぐい引っ張られてしまった。
「でへへへ。ま、一人で真夜中にリンクに行かなきゃええやん。一人の時しかその女の子出ないねんから」
よっちゃんはそんな私の方を呑気に眺めながら、ソファの背にゆっくりと寄りかかって笑った。
93 :
『光の庭』:2007/07/30(月) 23:02:02 ID:U4nmd18F
「もう、やだぁ。ねえマイ、トイレ行く時一緒に行こ」
「だって、トイレは自分の部屋についてるじゃない」
「マオも一人でお風呂入るのやだぁ」
「も〜、ユニットバスなんだから二人で入れないよ」
「やあねぇ、二人とも。ここはスケート場じゃないんだから幽霊なんか出ないわよ」
「でも、リンクはあるじゃん!」
「そうだよ、リンクのゆーれー出るかも!」
あ、まあ確かにそうか、、。
あんまりミキとマオちゃんが怖がるから、慰めようとして言ったのに、二人が一斉に私を反撃してきてたじろいでしまった。
「もう、よっちゃんたら、なんとか言ってよ!」
「ははは、ゴメンゴメン。嘘やで、あんな話。第一、ここのリンクはうちらが初めて滑るんやで」
よっちゃんがそう言うと二人はようやく私の腕を放して座りなおした。
94 :
『光の庭』:2007/07/30(月) 23:02:43 ID:U4nmd18F
「でも、岡 崎さん達がもう滑ってるよ」
それでもマオちゃんはからかわれたのがまだ不服だったのか、珍しく口を尖らせてよっちゃんに反論した。
「でもフィギュアのリンクでは初めてやん」
「、、、、私達が滑ってる時にスピードの幽霊が出たらどうしよう」
マオちゃんが結構真面目な顔をしてそう言ったものだから、みんなは吹きだしてしまった。
「あははは!なにそれ、スピードスケーターの幽霊って〜」
「さすがにそれはないでしょ」
「早すぎて、あっという間にどこかに行っちゃうよ!」
さすがにその発想は突拍子もなさすぎて、みんなは笑い転げてマオちゃんに向って口々に言った。
95 :
『光の庭』:2007/07/30(月) 23:03:37 ID:U4nmd18F
「でもな、ここもなんか曰くありそうやて」
ひとしきり笑い終わった後、よっちゃんが声を潜め、身を乗り出して話し始めた。
ああいう時の目は何かまたくだらない作り話でも企んでいる時の目だ。
今度は、ユカリちゃんも気づいているのか口元がにやけながらも、周りに合わせて耳を傾けている。
「なになに」
「ここ、国立のスポーツ研究所やろ。なんでもここに秘密の研究施設があって優秀なアスリート作るためにクローン人間作ってるとか、、」
、、、よっちゃんにしては珍しくなんというか、科学的な?ちょっと手の込んだ冗談だなぁ、と耳に引っ掛かった。
私もその話の続きを聞きたくて、よっちゃんにわかる様に大げさに頷いて見せた。
「クローン人間ってなに?」
ミキがたずねると
「ま、その人と同じ遺伝子を持ったコピー人間みたいなもんやな」
とよっちゃんはもっともらしい顔で答えた。
96 :
『光の庭』:2007/07/30(月) 23:04:20 ID:U4nmd18F
「コピー人間、、、」
「優秀な遺伝を持った人間を人工的に作るってことや。双子みたいに」
「ええ〜、そんなことできるの」
「そう、だから、クローンマオとかクローンミキとか作るために私ら呼び出されたんやでぇぇぇ〜〜」
よっちゃんたら、またあの顔と地獄の底からわいてくるような声で二人を脅しにかかる。
「いやー!!気味悪い〜」
「えーマジ?マジなのぉ?!」
また、こんな作り話で怖がっている二人である。
「こら、へんな話で未成年を怖がらせちゃいけません!」
さすがにこれは他のメンバーには通じない。よっちゃんはユカリちゃんにポカリと頭を叩かれた。
叩かれたよっちゃんはなんだかうれしそうだった。
97 :
『光の庭』:2007/07/30(月) 23:05:11 ID:U4nmd18F
「みんな、どうしたの?電気も点けないで」
急に頭の上から声がして、みんなはぎくっとして一斉に振り返った。
廊下の方に3つの影が立っていた。
「ああ、良かった。岡 崎さん達だったのかぁ〜」
マオちゃんが胸を撫で下ろして、肩を下げた。
岡 崎さん達3人は今度は揃いのTシャツとスパッツの姿で現れた。
「ああ、みんな今日は初日だから、晩御飯なしだったね」
「岡 崎さん達は、今夕食が終わったところですか?」
「うん、そうだよ。あとは9時まで自由時間」
時刻は8時になろうとしていた。
これから先にどうなるのか…楽しみだな!
というか、怪談話にちょっとビビッてしまったよw
今、フジQのサイト見てきたら姐さんの写真があやすぃコスプレにw
しかも合宿にO菅タンも来てるんだね!渡邊ちゃんと相部屋みたいだが…
前スレの岡×大とダブらせて勝手に妄想しときます(*´Д`) ハァハァ
長編続きを楽しみにしてます!
なんかミステリアスでドキドキしちゃいます。
でもヨシオの怪談アイスショーとスピードの幽霊がツボったw
101 :
『光の庭』:2007/08/04(土) 16:21:18 ID:jcBIP3uW
>>97の続き
「少し、一緒にいてもいい?昨日まで私達3人だけだったから寂しかったんだよね」
岡 崎さんが身を傾けて尋ねてきた。
どうぞどうぞ、と席をつめると大きなテーブルを囲んで3人は一緒に座った。
大 菅さんはユカリちゃんの隣に座り、またにこりと目配せをした。
よっちゃんはそれを横目にちらっと見ながら照明のスイッチを入れた。
私の席からは並んだ3人の姿が揃って見えた。
昼に見た緑のだぼだばとした服と違い、Tシャツやスパッツからは筋肉質の手足が伸びていた。
噂の下半身は間近で見るとさすがに迫力がある。こういう脚は見たことがない。
それでいて引き締まった上半身は意外に細くて、指先も爪も綺麗に整えられていて、女の子らしさが漂う。
アスリートらしい凛々しい瞳と爽やかな笑顔が、中性的というか両性的な魅力で思わず私も胸がどきどきしてしまった。
女子フィギュアスケーターでもそういう選手は居るが、同じスケーターでも全く違う。
彼女達の早く滑る為に特化された身体はしなやかな野生動物のようだった。
102 :
『光の庭』:2007/08/04(土) 16:22:37 ID:jcBIP3uW
「スピードスケートの皆さんってかっこいいですね」
マオちゃんに突然言われて、3人は目をぱちぱちさせた。
「すっごい筋肉でかっこいいです」
「ははは、ありがとう。フィギュア選手も華やかで綺麗でかっこいいよ」
「岡 崎さんも綺麗でかっこいいです。女の子にももてそう」
どことなくズレたマオちゃんの褒め言葉に両隣の二人もけらけらと笑った。
「あ、大 菅さんも吉 井さんもかっこいいです」
マオちゃんが二人の顔を見て、手をポンと叩いた。
「浅 田さんもかっこいいよ」
大 菅さんがそう言ってウインクすると、マオちゃんの頬がふわっと薔薇色に染まった。
「この間、私ショーを生で見たんだけどすっごく迫力あって素敵だったもの」
「ああ、そうなんですか」
「わー、うれしいなあ」
大 菅さんの言葉にみんなの顔がぱっと明るくなった。
「うん、フミエちゃんに招待されて。華やかで優雅で、、夢を見せてもらってるみたいだったなぁ」
「ぜひ、また見に来てください。私もスピード スケート応援しに行きます」
「私もスピードを生観戦したいな」
「うん、見に来てね。そしたら男子なんかものすごく喜ぶよ」
かっこいい3人を目の前にしてみんなちょっと興奮気味で膝を寄せた。
103 :
『光の庭』:2007/08/04(土) 16:23:48 ID:jcBIP3uW
「そういえば、岡 崎さん達は地下のリンクで滑りましたか」
ユカリちゃんが尋ねると3人は一瞬顔を見合わせた。
「あ、もう地下のリンク見た?」
「ええ、びっくりしましたよ、あんなのがこの地下にあるなんて」
「昨日からフィギュア用の準備してるみたいね。でも、まだその隣にスピード用の氷が残ってて私達もまだやる予定だよ」
「へーえ」
「ははは、お互い見えないだろうけど、みんなが花のような素敵な演技をしてる隣で、私達が鬼のような顔でダッシュ実験してるかもね」
あの昼間見た光景といい、岡 崎さんの言う光景といい、まだ現実ではないような不思議な感覚がした。
「こういうスピードの研究って前からしてるんですか?」
吉 井さんと大 菅さんはマイの質問に岡 崎さんの顔を振り返った。
当然この中では一番年長でよく知っているはずだからだが、二人に同時に振り返られて岡 崎さんは苦笑した。
「まあ、私の知ってる範囲では、長野の後くらいからだね」
そう言った岡 崎さんの穏やかな表情に、私の中に9年前の自分の過去がよぎる。
あの時、私はまだ高校生で、でも自国開催のオリン ピックと言うこともあり、
周りから実績以上に天才少女などと囃し立てられ、その重圧に苦しんでいた。
そして私と1枠を争ったフミエちゃんが出場できなかったこと、、、。
私にとっては遠い過去のようだが、彼女の表情はまるで昨日のことを話しているみたいだった。
104 :
『光の庭』:2007/08/04(土) 16:24:44 ID:jcBIP3uW
「長野、かぁ、、。私中学生だったな」
「私も中学生で見に行きましたもん」
「マオは、、、いくつだったっけ」
「長野の頃は七つくらいじゃない?七五三やった後だったかしら」
その言葉にああ〜!と岡 崎はがくっとこけたふりをして大笑いした。
「ははは、七五三か、、」
「でも、もうスケートは始めてたよ」
「私もテレビでしーちゃんの演技見てたんだよね〜、高校生なのに一人でオリン ピック出てスゴイなって」
ミキは私をキラキラとした目で見上げていた。
改めて人前で言われると恥かしい。本当にあの頃の私はいろいろなものに戸惑い、悩んでいた。
周囲との考え方の違い、マスコミとの接し方、普通の女の子とのしての自分自身だって見失いかけていた、、、。
私は話題を変えようと話を振った。
「スピードって、そんな頃からいろいろ研究されてるんですね」
「もちろん、ここはまだなかったけれど、ずっと前からそれぞれ選手自身も含めて個人的には研究されてきたんだよ。
私達日本人はどうしても欧米の選手と比べて体格も筋肉も不利に出来てるから」
「でもスピード スケートって昔からたくさんの選手がメダル取ってるし、日本の得意種目じゃないですか」
連盟やいろいろなオリン ピック施設にある表彰状や功労を讃えた掲示を思い出していた。
105 :
『光の庭』:2007/08/04(土) 16:25:25 ID:jcBIP3uW
「それはね、その不利な条件を技術や肉体改造を行って克服してきたからなの。
先輩達が自分の身体を実験台にした試行錯誤の上に成り立っているの」
「すご、、い」
「スピードスケーターって見かけによらず分析好きでマニアックな人が多いんだよ」
「だから選手自身もこうした研究に割りと積極的なんで、早くから体制が出来てたみたいです」
連綿と続くスケーター達の想い、、を想像すると感慨深かった。
「一人一人が常に哲学者であり、科学者であり、体現者であれとよく言われますよね」
吉 井さんも二人の先輩の言葉に神妙に頷いていた。
「お、吉 井、いい言葉覚えてるなぁ〜」
大 菅さんが隣の吉 井さんをヘッドロックして髪をくしゃくしゃにかき混ぜた。
されている彼女もうれしそうにしていて、先輩後輩の微笑ましい光景の中にも胸が熱くなる想いがした。
私達もそうした未来のスケーターの為にこうしてここにいるのだ。
そしてこれはその始まり。
みんなの顔はただ笑っているだったけれど、何も言わなくてもそんな使命感と誇りを感じているようだった。
106 :
『光の庭』:2007/08/04(土) 16:26:37 ID:jcBIP3uW
「みんな、こういう実験なんて慣れてないだろうけど、頑張ってね。君達に未来がかかってるよ」
岡崎さんの瞳が、力強く輝いて私達を見つめた。
「ああ、緊張します」
「ねえ、ドキドキしちゃう」
「私も今回初めてなんで、もうびっくりすることばっかりで」
私達の言葉に吉 井さんも同調するように声を上げた。
「いつもトレセンでやってる事とはまったく違うんで、もうすごいです。だってもうホントにまっぱで、、、」
「バカ、吉 井!」
大 菅さんが顔を赤くしながら、バシンッとものすごい音をたてて吉 井さんの口を塞いだ。
「、、、、」
あまりの勢いのすごさと、目の前の人達が裸、、、になっているところを想像してしまったのとで、私達は一瞬固まってしまった。
「ははは、フィギュアはそんなことしないから大丈夫だよ」
岡 崎さんは平然とした表情から手を振りながら笑った。
107 :
『光の庭』:2007/08/04(土) 16:27:37 ID:jcBIP3uW
「、、、そんな裸で、、やるんですか」
「いや、私達だけだよ。特別な計測だけ。スタッフも女性しかいないし。だからここではいつも男子とは日程別なんだよ」
そう言われれば、フィギュア男子も私達と違う日程で後からここに来ることになっている。
「だ、大丈夫かなぁ」
「あ、あ、アレは特別な計測で、フィギュアには関係ないから。ね、岡 崎さん」
顔を赤らめたまま、大 菅さんが慌てたように首を振った。
「でもねぇ、全身タイツで滑ったりはフィギュアもするかも。あれ布一枚で身体の線はばっちり出ちゃうんだよ〜。まあ、私達は慣れてるけど」
「なあんだ。それくらいならミキも全然平気だ」
岡 崎さんの冗談めかした声にミキが背伸びをして笑った。
まあ、そのくらいなら、ここに居る全員が慣れている。
吉 井さんも叩かれた鼻を押さえながら、大 菅さんもちょっとすまなそうにその頭を撫でながら一緒に笑った。
108 :
『光の庭』:2007/08/04(土) 16:28:22 ID:jcBIP3uW
8時半になり、私達はそろそろ部屋に戻ることにした。
岡 崎さん達は反対側の廊下へ歩いていった。
「岡 崎さん達の部屋はそちらですか」
「そう、、ライトコートを挟んで反対側の部屋だよ」
岡 崎さんはガラス窓を通して見える反対側に並んだドアを指して手を振った。
私達とはちょっと離れた部屋なんだな、とそれを見つめていると
「明日のためにゆっくり休んでね。おやすみ」
「おやすみなさい」
3人の言葉がしんとした廊下にやさしい声で響き渡った。
109 :
『光の庭』:2007/08/04(土) 16:29:48 ID:jcBIP3uW
部屋に戻り、熱いシャワーを浴びると気分もさっぱりした。
合宿の時はみんなで大浴場に入ったりして、かなり賑やかで楽しいけど、こうして一人ぼんやりとするのも嫌いではない。
備え付けのパジャマはノリがききすぎてゴワゴワした。
でもみんな、同じパジャマで眠るんだろうな、、と思うとまた自然に笑みがこぼれる。
髪を乾かして、ベッドに座り、軽くストレッチをしながら、ぼんやりと窓の外を眺めた。
夜の高原の風は、澄んでいて寒いくらいだ。遠くに星の瞬くのが見える。
よっちゃんったら、星を眺めたまま窓を開けっぱなしで寝なきゃいいけど、、、。
彼女と遠征で同室だった時、夜遅くまで星を眺めていたのを思い出す。
ああ、見えて結構乙女チックな趣味があるんだから、、。
「ヨシエちゃんはロマンチストなのよ」
翌日、呆れて愚痴を言った私にフミエちゃんがそう微笑んでいたことも思い出した。
110 :
『光の庭』:2007/08/04(土) 16:30:42 ID:jcBIP3uW
私も星空を見て彼女に想いを馳せた。
遠く静かに瞬く光はフミエちゃんの笑顔のようだった。
また一緒に星空の下を二人で歩いてみたい。
今ならずっと星を眺めていたよっちゃんの気持ちが少しわかる。
しばらくして部屋にオルゴールのようなゆったりとした音楽が流れてきた。
時計を見ると丁度9時だ。消灯時間の合図だろう。
私は素直にベッドに潜り込んで目を閉じた。
111 :
『光の庭』:2007/08/04(土) 16:31:24 ID:jcBIP3uW
―――地下のリンクで滑っていた。
でも滑っているのは、まだ若い高校生くらいの私。
ジャンプ、ステップ、スピン、、、どれもまだ未完成だが、我ながらジュニアしてはよくやってるなあ、と他人事のように見つめている。
指示するコーチの言葉にひとつひとつ頷いて、すぐに実行しようとする。
なんて言うか一生懸命さがひしひしと伝わってきて、気恥ずかしくなるくらいだった。
やがて私が滑り終えて、リンクから上がると入れ替わりに彼女がリンクへと滑りだしていた。
か細い身体のどこにエネルギーを秘めているのか、リンクに立つと一生懸命さ以上のオーラみたいなものが彼女にはあった。
年齢もひとつしか違わないのに。
それを若い私は複雑な表情で凝視していた。
「シズカちゃん」
確かにはっきりとした声で呼ばれて、私はびくりと起き上がった。
ここは研究所の部屋の中。
そしてベッドの横には―――
フミエちゃんが立っていた。
うぉぉ!ナンだその気になる最後はw
続きが気になりまくりです!!
続き来たね
なんか謎が深くなって楽しみでつ
114 :
名無しさん@秘密の花園:2007/08/04(土) 23:52:06 ID:jcBIP3uW
早速のレスありがとうございます
いろいろと考えがバラバラになりそうになりながら、書いているので
自分でもどうなるのかわからなかったりしますw
姐さんの公式見ました
がんだむコスですね
イベントの時だけじゃなくていつもあれでお迎えしてくれたら、私もフジ9毎日でも行くのにw
O菅タンは綿鍋ちゃんと同室なのかー
姐さんとO菅タン両方の後輩で二人の間で板ばさみになる綿鍋ちゃん、、、
てのもいいかもw
そういや前スレ岡×大のも未完でした
こっちもなんとかしなくては
115 :
826の続き:2007/08/07(火) 01:36:01 ID:z3yaVF9t
だいぶ間が開きましたが前スレの続きです
岡×大でちょっとエロいので注意
「本当にサユリのこと抱きしめたいんだけどさ、今はこうして離れているからサユリの手で抱きしめて欲しいんだ」
サユリは携帯をベッドに置き、上から耳で押さえるようにして両腕を伸ばし、自分を抱きしめながらこくりと頷いた。
「わかってます。だから私もこうして岡 崎さんのこと、、考えていますから」
今までたった一人の女の子だったという状況がそう言わせるのか、サユリはいつもの衒いもなく、返事をした。
自分は甘えているのだろうか。
他人に依存するなんてアスリートらしからぬ考えだと思う。ましてや声の主は自分の競う相手なのだ。
そして、練習の時も試合の時も、嫌というほど一緒にいるのに、私達は遠い。
けれどもこうして二人きりの時はこんなに近く強く感じられる。
たとえ声だけでも、二人の間が地球の裏と表くらい遠く離れていても。
、、、彼女が自分を求めていると思うと身体がどうしようもなく反応してしまう。
身体の反応は自分の気持ちへと直結する。
「、、、私は眠る前にいつも岡 崎さんの事を考えています。
リンクであなたと競うことも、泣きそうな私を叱ってくれることも、その手でやさしく髪を撫でてくれることも、、、」
どうしてだろう。今夜は隠してあるはずの言葉がぽろぽろとこぼれてしまう。
携帯電話の小さい通話口に一生懸命に話す自分の言葉に、今度は産毛がざわざわと逆立つ。
肌は彼女を求めて、敏感になっている。
「どうしたの。今日は素直だね」
大人びた声で彼女は静かに笑った。
「あ、ああ、なんか今日はおかしくなっちゃってるかもしれません。ごめんなさい」
サユリは髪をかきあげ、目を閉じた。
「ふふ、確かにいつものサユリらしくないけど、そんなサユリも可愛いよ」
可愛い、可愛いとトモミが耳元で囁く声は呪文のようだ。
サユリはその呪文に縛られたかの様に心も身体も動けなくなる。
「今日は、もっと二人でおかしくなろうよ」
「、、、、」
再び密やかな妖しい声が響いて、サユリの身体全体がビクンと動いた。
「おかしく、、、って、、?」
「理性をとっぱらっちゃって、本能の赴くままにケモノよーにだね〜」
打って変わって酔っ払ったようないい加減な声がした。
「もうっ、何言っちゃってんですか!」
「身体も素直になろって言ってるんだよ」
と、言われてもこれからどんな事をしかけてくるかわからない。
「でも、、やっぱり、、それってきっと恥かしいことでしょ」
「大丈夫。誰もいないんでしょう?二人っきりならいつも恥かしくないじゃん」
「、、、そんな、二人だけの時だって私はいつも恥かしいですよ」
サユリはもう一度頭を振り、そろそろと部屋を見渡した。
サイドランプに照らされた向こうの暗がりには誰もいないベッドがある。
「ふふふ、まあ、そんな恥かしがるサユリも可愛いけどね。
それでもすっごく気持ちよさそうな声を出すサユリがまたいいんだけど」
思わず、ぼんっと音を立てて顔から火が出たような気がした。
「お、お、岡 崎さんっ、ほんとにそこは誰もいないんでしょうね!そんなこと誰かに聞かれたら、、!」
「ふふふ、大丈夫。こっちにも誰もいないよ。だから今は二人だけ」
「だからって、そんなこと言わないでくださいっ!」
「いいじゃん、またあんな声聞きたいな。いつもはハスキーなサユリちゃんがあんな色っぽい声出すんだから、、」
「も、も、もうっ!」
「だって明日からみんな来ちゃうんでしょ。二人っきりになるのは今夜だけだよ」
確かにこの昂ぶった気持ちに収まりをつけるのは一人ではできなさそうだった。
電話が繋ぐ彼女との二人っきりの会話はいつもと違う非日常的な気分にさせる。
「気持ちではね、今サユリのことぎゅっと抱きしめてるんだ。逃げられないくらいにね」
トモミの腕にぎゅっと抱きしめられている自分を想像する。
「私は逃げ出したりしませんよ」
「じゃあ、さっきの続きをしよ。もう少しサユリのおっぱいを可愛がりたいなぁ」
随分とカワイコぶった声でオヤジっぽい言葉を吐いてくる。
さっきまで素直になれそうないい雰囲気だったのに、、、
とサユリはため息もついたが、これもトモミらしいと声を立てずに通話口で笑った。
「サユリのおっぱいってさ、小ぶりでちょうど揉んで大きくさせたくなっちゃう」
「も、もう、バカ!」
サユリは思わずTシャツの上から胸に乗せた手にぎゅっと力を入れた。
「それでいて、、感じやすいんだよね」
「も、もう、、」
さっきよりも大胆な言葉にサユリはベッドの上でころんと転がった。
無意識に手はTシャツに潜り込み、胸を探っていた。
「ん、サユリのおっぱいって気持ちいい、、」
突然、トモミの色っぽい声が耳に飛び込んできて、サユリの全身がぎゅっと縮まる。
すっかりトモミも想像を膨らませて、その世界に入り込んでいるらしい。
低く落とした声が、表情が見えない分余計に切なくサユリの想像をくすぐる。
「あっ」
電話の向こうのちゅっという音に反応してサユリも思わず声をたてた。
「ん、サユリも感じているのね。私も、、すっごく、、」
なにより、彼女の乱れた息と言葉がサユリの欲情にじわじわと根を這わすように入り込んでくる。
熱い吐息をともなった声は身体の芯をじりじりと刺激した。
「もっと、、違うところもキスしていい?」
「ち、違うところって、、、」
「サユリのおへその横のほくろが可愛いんだよね」
「やだ、、、そんなとこ、、」
そう言いながらサユリは胸から自分の手を落とし、お腹の部分を隠すように覆った。
ちゅっ、ちゅっと何回もキスをする音がする。
自分の手のひらで隠したはずのおへそが、かなりこそばゆい。
「腹筋が、ぴくぴく感じちゃってる」
確かに耳から入る刺激で腹筋は時折、ビクンビクンと不規則に反応していた。
「ほ、ほんとに、どっかから見てるんじゃないでしょうね」
「ふふっ、サユリの身体の反応はお見通しなんだよ〜」
明るくからかう声に、サユリは眉をひそめ、もう一度部屋を見回した。
「あ、あの、、灯り、消して、くる」
「ふふふ、消したってサユリの身体のことはわかっちゃうよ」
サユリはそれには返事をせずに、さっとベッドから起き上がり照明のスイッチを押した。
久々のエロキテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
興奮しますたw長編もこっちも楽しみにしてます!
イイヨイイヨGJ!次の展開が楽しみだ!
またしてもいいところで寸止めとは…ハァハァ
続き待ってまつ。
シズゥって左目の下にほくろあったっけ?
今日もせんだい放送にシズゥ出てたよ!確認したら今日はほくろなかった
すぽるたんの時は書いたのかな?顔の感じが変わって、目の下にほくろあると
いつもに増してセクシーでした(*´Д`) ハァハァ
それと、COIせんだいにフミィの追加が決まってから、CMでフミィverがよく流れるw
最後にバキューンでCMが終わるのが(・∀・)イイ!!
千台いいなあ〜。
シズゥのほくろは気がつかなかったけどフミィの胸元のほくろは色っぽいよね〜!
132 :
『光の庭』:2007/08/16(木) 23:50:15 ID:AF2Yc0HZ
>>111の続き
「、、、フ、フミエちゃん、、?」
部屋の仄かな灯りにフミエちゃんの姿が浮かんでいた。
「ど、どうして、ここに、、?」
驚きのあまり、喉が乾き、粘膜が張り付きそうになりながら、私は彼女に声をかけた。
「ずっと待ってた、、、」
声ははっきりしていたが、潤んだ寂しそうな瞳でフミエちゃんは言った。
133 :
『光の庭』:2007/08/16(木) 23:50:57 ID:AF2Yc0HZ
「私、、、」
フミエちゃんはベッドに腰を下ろし、私のすぐ横に座ってこちらに顔を向けた。
私はどうしたらいいかわからずに、黙ってその顔を見つめていた。
背中に冷や汗がつたう。
ほっそりとした身体は陰影を伴い、確かに実体のようだった。
シーツについた手がその重みでしわを作っている。
私はそれらを確認しながら、金縛りにあったように身体がすくんで動けない。
フミエちゃんは瞳を閉じると私にゆっくりと顔を近づけてきた。
ああ、これって、、まさか、、、。
そう思う間もなく私の唇と彼女の唇は重なった。
134 :
『光の庭』:2007/08/16(木) 23:51:40 ID:AF2Yc0HZ
―――気がつくと、、夜が明けようとしていた。
カーテンの隙間から、朝焼けの色がのぞいている。
あのまま、私は眠ってしまったのだ。
と、言うより眠っているから夢を見たのか、、、。
パジャマの中の身体はうっすらと汗をかいていた。
夢にしては、妙に生々しい感触が残っている気がして唇を指でなぞった。
柔らかでしっとりとした艶かしい感触、、、。
あんな夢をどうしてここで見てしまったのだろう。
もしかしたら、、これって欲求不満の夢なの?
フミエちゃんの夢を見続けるなんて、、、しかも、フミエちゃんがあんな、ありえない、、、。
思い出すだけで、頬が熱くなる。
私は一人ベッドの上で、胡坐をかいて、髪の毛をぐしゃぐしゃと手でかき混ぜた。
135 :
『光の庭』:2007/08/16(木) 23:52:30 ID:AF2Yc0HZ
結局、そのまま寝付けなくて、私はシャワーを浴びて指定された服に着替え、7時前にラウンジに向った。
ラウンジにはすでにユカリちゃんとよっちゃんがソファーに座って待っていた。
「どう、しーちゃん眠れた?」
「ん〜、まあね、、、」
就寝時間が早かったせいか、あんな風に起きても、それ程眠気は残っていない。
「うちはなかなか寝つけんかったわ」
「私も、、いつもより寝るのが早かったから」
やがて、ミキやマイ、マオちゃん達がおはようございまーすと元気に現われた。
改めてみると当たり前なのだが、みんな同じ緑色のぶかぶかの服を着ていた。
昨日、スピードの選手達が着ていたのと同じ服だ。
「なんや、みんな同じかっこして囚人みたいやな」
よっちゃんのつぶやきにみんながどっと笑った。
136 :
『光の庭』:2007/08/16(木) 23:53:25 ID:AF2Yc0HZ
「ははは、私だったらなんの罪で刑務所に入ってるんだろ」
「アイスクリーム大食いの罪やな」
「じゃあ、私は?」
「んん〜、ユカリンは、、、ツンデレの罪やな。ほんとはうちのことが好きなのに、意地悪してしまうと、、」
と言いかけて、またもやよっちゃんはユカリちゃんに後頭部をぺしっとはたかれた。
めちゃくちゃ気持ちのいい音がラウンジに響き渡った。
それにしてもアイスクリーム大食いって罪になるのかな。
好きなのにわざと意地悪してしまうのは、、、、罪だよなぁ〜。
さらによっちゃんのほっぺたをむにょむにょするユカリちゃんを見てそう思った。
137 :
『光の庭』:2007/08/16(木) 23:54:07 ID:AF2Yc0HZ
「おはようございます」
7時になり、八重樫さんがファイルを抱えてやってきた。
「昨日は良く眠れましたか?」
相変わらず私達ににこやかに話しかけながら、2階へと案内された。
いよいよこのプロジェクトの始まりになる健康診断だ。
メディカルチェックはよくやることだが、今日は特に項目も多いらしい。
身長、体重、視力、聴力、血圧、採血、、、いつもより細かく検査しているみたいだった。
「ねえ、マオ身長伸びた〜?」
「うん、またちょっと伸びたよ」
「ユカリちゃんの視力どう?」
「最近、目の使いすぎかも、、、」
すぐに結果がわかる検査には一喜一憂しながら、私達は言われた通りのコースで検査を進めていった。
138 :
『光の庭』:2007/08/16(木) 23:54:49 ID:AF2Yc0HZ
「ああ、血ぃ採るの苦手やねん」
隣にいるよっちゃんはしぶーい顔をしていたが、意を決したように、ずいっと腕を伸ばした。
私も少し緊張して、その隣で腕を置き、採血の様子をじっと見つめていた。
赤く濃い色の血が何本も試験管に流れていく、、、。
私は自分の血液の行く先をぼんやりと考えていた。
ふと、よっちゃんを見ると顔を横に向けて、さらに手のひらで目を覆っている。
その向こうのマオちゃんは採血する人と何やら話をしながら、結構平気そうにしている。
対照的な二人の様子が可笑しい。
139 :
『光の庭』:2007/08/16(木) 23:56:23 ID:AF2Yc0HZ
その後、全身のCTや超音波の検査をした。
午前中の検査が終わると食堂へ行って昼食をとるよう指示が出された。
一人ずつ順番に終わるので、私も一人エレベーターに乗り5階へ向った。
すでに1時を回っていて、私のお腹もかなり空いてきていた。
食堂に行くと、みんなは既に席についていて食事をしている途中だった。
「おー、しーちゃんが一番最後やったな」
よっちゃんへの返事もそこそこにカウンターに行き、決められたランチをトレーに乗せてもらった。
「あー、お腹空いたぁ〜」
みんなと一緒のテーブルにつき、手を合わせると私は早速ランチを頬ばった。
今日の昼食は皆同じメニューだ。
「結構いろんなことやったけど、午後もあるんだよね」
「そう、なんか肺活量とか、心電図とか言ってたな」
140 :
『光の庭』:2007/08/16(木) 23:57:04 ID:AF2Yc0HZ
自分の健康状態を知るのは、プロになった今でも重要なことだ。
普段やらない検査もあるから、いったいどんな結果が出るだろうと、好奇心もわいてきている。
「ミキ、体脂肪が減ってうれしいんだけどさ、筋肉目立ってきちゃうんだよね」
「いいやん、筋肉はあった方がええよ」
「でもあんまりムキムキはやだ〜」
「綺麗にスマートでいい筋肉だといいよね」
一斉にみんなの視線が私に向けられた。
「しーちゃん、うらやましー。ムッキムキじゃないいい筋肉してるし」
「筋トレしとらんのになんであんなんジャンプできんのか、ほんまにうらやましいわぁ」
「アイスクリームや甘い物あんなに食べてんのに、太らないし」
次々と私に勝手な言葉を投げてくるので、私はすました顔でランチを頬ばった。
「しーちゃんの胃袋の秘密が今回の検査でわかるかも知れんな」
よっちゃんがいやらしい目をして私の脇腹をつついた。
141 :
『光の庭』:2007/08/16(木) 23:57:51 ID:AF2Yc0HZ
午後は少し間をおいて、再びいろいろな検査。
もう一度、食後の血液検査、肺活量、心電図、、、色々な検査を終え
やっと夕食の時間になった。
検査が終わって、私達はいったん部屋に戻り、部屋着に着替えた。
食堂に行くと、またもや皆お揃いの格好なので思わず笑ってしまう。
「よっ、囚人1号も来て、全員揃ったね」
よっちゃんが私を見つけると手を上げて呼んだ。
「誰が囚人1号よ。自分の方が先にここに来たんでしょ」
「ああ〜、そんなら、フミエちゃんが1号やわ」
それを聞いて笑いながら、昨日の不思議な夢を思い出した。
フミエちゃんが来るのは明後日だ。
こうして、みんなと同じ格好して、食事するんだろうな、、、。
うれしいけど、あんな夢を見た後だから気恥ずかしい。
そして最後の3日間は二人っきりなのだ。
142 :
『光の庭』:2007/08/16(木) 23:58:36 ID:AF2Yc0HZ
「どうしたの?しーちゃん、一人でなんかにやけて赤くなってる〜」
目の前の食事を食べる手が止まっていて、すかさずミキに指摘されてしまった。
「なに、しーちゃん、ミキの服の下の生乳想像してんの?やらしいなぁ!」
「やだ、ミキ、ちゃんとブラしてるよ!よっちゃん、ノーブラなの?!」
よっちゃんにからかわれて、ミキがはっと胸を押さえた。
「えーやん、ここ女の子だけなんやし、たまにはノーブラーデーもいいやん」
スプーンを咥えながらあっさりとよっちゃんは言い放った。
確かに、、、、今日は検査の日だったのでずっとブラはしていなかった。
、、、、私も、、つい忘れてしまっていた。
「ほら、うちの胸、さわってもいいよ」
よっちゃんがそう迫ると、またもやユカリちゃんにポカリと頭を叩かれていた。
143 :
『光の庭』:2007/08/16(木) 23:59:29 ID:AF2Yc0HZ
やがて、人の来る気配がして、私はどっきりして反射的に胸を押さえてしまった。
岡 崎さん達がやってきて、カウンターに夕食を取りに来たのだった。
3人はトレーを手にして私達のとなりのテーブルについた。
「ああ、やっと食事が一緒になったね」
席に着くと岡 崎さんがにこやかに声をかけた。今日は彼女達も私達と同じ部屋着だ。
「皆さん、同じメニューなんですね」
3人は同じペペロンチーノのようなものをトレーに乗せていた。
私達は洋食和食の二種類のメニューから選べたが、ペペロンチーノはなかった。
「あはは、今日から炭水化物ばっかし」
「うどん、パン、パスタ、、これから3日はそう」
「そういう検査してるから、仕方ないんです」
「裸になったり、食事制限あったり大変ですねぇ」
マオちゃんが思わず口にした言葉に、3人は苦笑いをした。
マイが隣で恥かしそうにマオちゃんの肩をつついた。
144 :
『光の庭』:2007/08/17(金) 00:00:12 ID:AF2Yc0HZ
彼女達は気にする風もなく、むしろ面白がりながら、和やかに皆で食事をした。
普段、会うことのない選手たちとの食事は単調なこの空間ではとても楽しい。
彼女達は体育会系だと自分で言っているとおり、話し方もさっぱりしていて、明るい声でよく笑う。
一番、年下の吉 井さんがおっとりしながらも丁寧に答え、年長の岡 崎さんも見守るように語りかける。
同じアスリートだけれど、フィギュアは先輩後輩の垣根があまりないので新鮮だった。
「村 主さん、来るのは明後日かあ」
岡 崎さんが食事を終えて、ゆっくりと背伸びをした。
145 :
『光の庭』:2007/08/17(金) 00:00:57 ID:AF2Yc0HZ
「そうです、フミエさんは私達の1号です」
マオちゃんがそんなことを言うもんだから、私達はまた慌てた。
「1号、、?」
「い、いや、、前にフミエちゃんも、ここに来たって言ってたから、、」
よっちゃんがあたふたして気まずそうに頭をかいた。
「ああ、そうね、、」
すると岡 崎さんは手を上に上げたまま、見たことのない静かな瞳をして風に吹かれているようにつぶやいた。
何故だか、その瞳は私の胸をドキドキさせた。
ども、とっちらばっちゃってすみません
読みにくいかとは思いますが、長くてもよければお付き合いください
シズゥの放送録画を間違えて見られなかった残念です、、、、
C0Iもある杜の都うらやましいな〜
旅行では指をくわえて通り過ぎましたw
>>146 リアルタイムGJ!どちらも楽しみに読ませてもらってます。
C0Iせんだいは短いけど放送もあるみたいです。楽しみ〜w
まだ席に余裕があるみたいなので、
>>146も来てみては?!
そういう自分は多分仕事だろうなーorz
148 :
名無しさん@秘密の花園:2007/08/18(土) 05:25:54 ID:o0o5XjnU
保守
ageなくても保守できるだろ
長編ktkr!
夢のフミィが気になるな〜。
あとミキの生乳に思わず鼻ぢがでそうになりましたよw
FOIは見に行けなかったけど、明日の日照れのりあるたいむにちょこっと紹介
されるみたいなんで要ちぇきだ!!
151 :
『光の庭』:2007/08/21(火) 21:32:00 ID:8XAIY3Gs
>>145の続き
「そう、よっちゃんがみんなお揃いの服を着て、なんだか囚人1号みたいだって言うから」
ミキまでそんなことを口走り、よっちゃんはさらに慌てて、ミキの口を塞ごうとした。
3人はお互いの顔を見合わせ、ぷっと吹きだすと大きな口を開けて、からからと笑った。
その表情は気を悪くさせた感じではなかったので、私達はほっとした。
「ははは、それなら私達の方が、囚人っぽいな」
「ううーん、それじゃあ私達は何の罪でここにいるんでしょうね」
「スピード違反?!」
3人がぴったりと声を合わせてそう言ったので、私達もつられてどっと笑った。
ミキはよっちゃんに、マオちゃんはマイにまだ押さえられたままで、一緒に笑っていた。
152 :
『光の庭』:2007/08/21(火) 21:32:50 ID:8XAIY3Gs
やがて岡 崎さん達は食事を終え、しばらくするとリストバンドを見てから、トレーを片付けはじめた。
「それじゃあ、おやすみ」
岡 崎さんはそう言って、席を立ったが時刻はまだ7時にもなっていない。
「岡 崎さん達はもうおやすみですか?」
「いや、これからまだ計測が残ってるんだ。多分、、、今日はもう会えないから」
「そうなんですか」
「うん、じゃあね」
さっきの話だと彼女達は今日これからも、いろいろな運動に関する計測や実験をしなくてはいけないらしい。
去っていく姿に手を振りながら、フィギュアだったらどんなことをするんだろう、と皆でいろいろと話しはじめた。
153 :
『光の庭』:2007/08/21(火) 21:33:56 ID:8XAIY3Gs
ラウンジに集合する時間になった。
いつものようにソファーで待っていると八重樫さんがやってきて、みんなに赤いリストバンドを配り始めた。
あの岡 崎さん達がしているのと同じような物だ。
「こちらはこれから皆さんに付けていただくリストバンドです。液晶画面が時計になっていますが、
他にも体温、血圧、心拍数などが一日の状態が記録されていきます。横のボタンを押すと、表示が変わります」
みんなはそれを腕に付け、八重樫さんの言うとおりの操作をした。
「ICチップが入っていますので、防水加工してありますが、洗面やお風呂では外してくださいね」
「寝る時は、、、外すんですか?」
「できれば、一日の変化を知りたいので、就寝の際も付けていただけると助かりますね。
でも、気になるようでしたら、外されてもかまいませんよ」
みんなは自分の腕に付けたリストバンドを珍しそうにあれこれして見ていた。
「もし、故障かなと思いましたら内線電話で御連絡ください」
八重樫さんは明日の予定のプリントを配り、それではまた9時におやすみになってください、と
静かにお辞儀をして去って行った。
154 :
『光の庭』:2007/08/21(火) 21:34:50 ID:8XAIY3Gs
私達はソファーに座りながら、まだそれぞれのリストバンドをいじっていた。
時刻と横に小さく心拍数、体温を現す数値があり小さなハートマークが点滅する。
脈拍のリズム。これが私の鼓動、、、。
「今日は、私ちょっと手紙を書きたいから」
しばらくしてユカリちゃんはソファーから立ち上がった。
「ユカリン、もう行っちゃうのん?」
よっちゃんが名残惜しそうにユカリちゃんを見上げた。
「ん、たまにはゆっくり手紙なんて書いてみようかと思ったりして」
「寝る前に部屋に行ってもいい?」
「うん、いいよ」
それを聞くと安心したようによっちゃんは手を振った。
「おやすみなさい」
ユカリちゃんはゆっくりと歩いていった。赤いリストバンドがゆらゆらと揺れて去っていく。
155 :
『光の庭』:2007/08/21(火) 21:35:56 ID:8XAIY3Gs
「手紙、、ね、いいね。最近メールしかしてないから」
マイがほっとつぶやいた。
「手書きっていいよね」
「そう言えば、今はレポートもパソコンで作っちゃうもんね。海外からでも一瞬で送れて便利だけどね」
「そうだよね」
「はあ、時代やなあ。うちらの頃はまだレポートは手書きやわ。教授が手書き派やったし」
「でも、、、」
ミキが突然夢見るような瞳でつぶやいた。
「ミキは告白されるなら、メールじゃなくて、ラブレターがいいな。電話じゃなくて、直接会って、その人の声で聞いてみたいな」
今ドキの、メールがないと生きていけない〜、なんて騒いでいるミキの意外な言葉だった。
「意外やなあ、ミキがそんなん言うなんて」
「だって、重さが違うじゃん。ま、メールも携帯もいいけど」
「って、言う割にはしょっちゅう彼氏にメールしてるよね」
「だから、、特別な時は、だよ」
よっちゃんとマイに挟まれて、ミキは少し大人っぽく笑った。
「でも、、寂しいとつい、すぐメールになっちゃうんだけどね」
156 :
『光の庭』:2007/08/21(火) 21:37:11 ID:8XAIY3Gs
それからみんなも部屋に戻り、私も一人ベッドに寝そべってさっきもらった予定表を読んでいた。
明日からは皆スケジュールが別々でいよいよ地下のリンクで滑ることになる。
私は日程に余裕があるのでリンクで滑るのはまだ先だ。
上の階で計測をしたり、実験をしたりする予定が続く。
ベッドに転がりながら、無意識にふうーっと大きく息をつく。
プロになっても、体調管理はしているので、それほど体力は落ちた気はしない。
でも競技用の身体ではなくなっているだろう、、と私は感じていた。
いや、、身体というよりやはり意識、、か。
生活の中に試合の日程が自然に刷り込まれていた日々。
休養も、リフレッシュするのも、やっぱり競技の為、、という気持ちが常に頭の中に残っていた。
なんだか、、結果を知るのが怖い。
私はオリン ピックのゴールドメダリストにはなったけれども、後輩たちの目標に足りえるだろうか。
ミキは、よく「しーちゃんだって頑張ったんだから、、ミキも頑張る」と言ってくれる。
プロになった今でも「荒 川さんは私達の目標です」と多くの後輩達が言ってくれる。
でも、、私だってクワンやユカさんに憧れてきた、、、。
なんだか合わせ鏡の真ん中にいるような不思議な気持ちだった。
157 :
『光の庭』:2007/08/21(火) 21:38:00 ID:8XAIY3Gs
9時を過ぎても、今日はなんだか寝付けなかった。
温かい紅茶でも飲もうかな、、とそっと部屋を出て廊下を歩いた。
廊下の隅の方から何やらぼそぼそと話し声がする。
通りがかりに覗いてみると、公衆電話の薄明りにミキの姿があった。
受話器を大事そうに抱え、なにやら密やかな女の子らしい声で話をしていた。
多分、相手は彼氏なのだろう、と彼女の様子からわかる。
内容は聞く気もないが、ミキの甘えているような信頼しているような、愛らしい横顔に見とれてしまった。
あんな風に素直に自分の気持ちを表せるのは、、、羨ましい。
ミキにも、そして見えない相手にも、、。
なんだか世界中の恋人同士を羨ましく思ってしまう。
と、ミキが私に気づいて、こちらを振り向くと声をたてずに人差し指を唇に当て、ウインクをした。
もう就寝時間を過ぎているので、内緒にして、と言う事なのだろう。
その姿さえ、妙に愛くるしくて、小憎らしいくらいだ。
私も片目をつぶって見せて、その場を通り過ぎた。
158 :
『光の庭』:2007/08/21(火) 21:38:58 ID:8XAIY3Gs
暗いラウンジのソファーに座り、ティーバッグで淹れた紅茶を一口飲んだ。
このドリンクサーバー何時まで使えるんだろう、、、。
もしかしたら、まだ岡 崎さん達はまだ計測が終わっていないのかな。
ライトコートの向こう側の廊下を見ても、何の気配もない。
窓の外は明かりもなく、月の光に黒い森が浮かび上がる。
時々、樹木が風に揺れているようだが音は聞こえない。
ミキは遠く離れた恋人とまだ話をしているのだろうか。
よっちゃんはユカリちゃんの部屋に行って、二人だけのひとときを楽しんでいるのだろうか。
静かな夜だった。
部屋に帰る途中、公衆電話を通りがかると、ミキの姿はもうなかった。
159 :
『光の庭』:2007/08/21(火) 21:41:42 ID:8XAIY3Gs
部屋に帰り、ベッドの潜り込む前になんとなくスケートシューズを引っ張り出してきてベッドの脇に置いた。
明日はこのシューズを履く予定はないが、なんとなく傍に置いておきたかったのだ。
枕に思いっきり顔を押し付けて目を閉じた。
今日も彼女は夢に来てくれるだろうか、、、。
一人になると彼女を待っている自分がいる。
でも、、、あれは夢なんだから、結局は自分が作り出した幻影かもしれない。
それでも、
私はフミエちゃんに逢うことを願いながら眠った。
160 :
『光の庭』:2007/08/21(火) 21:42:12 ID:8XAIY3Gs
―――私はあの中庭にいる。
月の光が青く冷たく私の肩に降り注ぐ。
足元の緑の草の中に、何か白く光る物がある。
それは白い箱のようなものだった。
真ん中に四角く繰り抜かれている、、。そして所々にある、ガラスのキューブ。
そうだ、これはこの研究所のミニチュアだ、、。
私はそっとそれを手にした。
真ん中の中庭の部分に何かが見えた。
覗き込むと、まるでレンズの焦点が合ったみたいにそれがクローズアップされた。
161 :
『光の庭』:2007/08/21(火) 21:42:54 ID:8XAIY3Gs
―――!
なんとそれは、私だった。
小さな私が小さな中庭で白い箱を手にして立っている。
その私が、はっと髪を揺らしこちらを見上げた。
小さな瞳と目が合い、私は驚いて叫び声をあげ、箱を落として、その場から逃げ出した。
、、、、走っても走っても、森は続く。
裸足の足は夜露で濡れ、薄く鋭い葉が足首に傷をつける。
まるで本物の深い夜の森に迷い込んでしまったかのように、出口が見えない。
162 :
『光の庭』:2007/08/21(火) 21:43:37 ID:8XAIY3Gs
森の闇に食べられてしまいそうな気がして私は恐ろしくなった。
助けを呼ぶ声も出ず、どこへ行ったらいいのかわからない。
私は心細さと怖さで、子供のように瞳からあふれる涙をぬぐいながら走り続けた。
やがて息が続かなくなり、足がもつれて、大きな根につまづき、体が宙に投げ出された。
地面に打ちつけられる、と思った瞬間、温かい腕が私を抱きとめてくれた。
そのままぎゅっと抱きすくめられた私はその人の顔を見ることはできない。
その腕は私を抱いたまま、すうーっと森から私を救い上げてくれた。
163 :
『光の庭』:2007/08/21(火) 21:44:51 ID:8XAIY3Gs
そっと目を開けると、夜は明けようとしていた。
窓から少しワイン色に染まった空が見えた。
森はすでに眠りから目覚めようとしていた。
―――昨日と同じくらいの時間か、、、。
、、、あれは、、誰だったのだろう、、。
フミエちゃん、、、なのだろうか、、。
でも、、、なんだか人間ではないような、、不思議な、、。
身体を起こすと、枕が濡れ、自分の頬にも涙の跡があった。
足元のシューズをぎゅっと胸に抱きしめて鏡の前に行き、暗がりに浮かぶ自分の顔を見た。
「作り笑顔なんてできません」
そう言って泣いていたあの頃の自分の顔とよく似ている。
私は冷たい水で思いっきり顔を洗った。
>>147 せんだい放送見られるんですね。うらやまし〜
COI行きたいんだけど、ここからは遠いです、、、、
>>150 りあるたいむ、録画したんだけど飛行機事故のせいか録れてなかったorz
うちの地方だけ????
>>164 謎が深まるばかりですなー。先が読めなくてドキドキです!
りあるたいむはこっちではローカル番組やってて…orz あれって関東だけ?
荒×村を書いてたんだけど、全然進まなくて投下できないよー。・゚・(ノД`)・゚・。
頑張って区切りが良くなったら落としに来たいと思います!
166 :
『光の庭』:2007/08/22(水) 23:03:42 ID:FWJsBVrK
>>163の続き
朝になり、いつもようにシャワーを浴びてから私は食堂へ行った。
今日からは一人一人別のスケジュールなので、多分他のみんなはもう食事が終わっているのだろう。
私は8時に朝食を摂るように指示されていたので、テーブルに着き、出されたメニューを口にする。
他の誰もいない静かな朝食の時間を過ごした。
この後、所長と会うことになっている。
それを考えると緊張してしまう。出されたメニューは残らず食べたが味があんまりしなかった。
時間になり、八重樫さんが私を迎えに来た。
相変わらずの優しい笑顔が、今日は何故か私の気持ちを不安へと煽る。
「他のみんなはどうですか?」
私はその緊張を悟られないように、八重樫さんに話しかけた。
「皆さん、順調ですよ。今日はいよいよ、中 野選手と安 藤選手にはリンクで滑ってもらっています」
あのリンクで、ユカリちゃんとミキが滑っているのか、、、私は思わず足元を見つめた。
167 :
『光の庭』:2007/08/22(水) 23:04:23 ID:FWJsBVrK
ミーティングルームの一室に案内された。
「申し訳ありませんが、所長が来るまでしばらくお待ちください」
八重樫さんはそう言って一礼するとその部屋から去っていった。
一人残された私は部屋を見回してみた。
私の前にはテーブルと椅子があり、部屋はグレーとパステルの柔らかい色調に統一されていた。
窓からは森の緑が少し見える。
そしてカーテンが遮光用なのか厚いものと普通のものと薄いものと、、三重になっているのが目に付いた。
不思議に思っていると、奥のドアが開き、所長ともう一人のスタッフが部屋に入ってきた。
「お待たせしました」
そう言ってゆっくり椅子に座ると所長はにっこりと笑って私を見た。
間近でで見ると、改めてキレイな大人の人だな、、、と見とれてしまった。
「どうですか、この研究所内の生活は」
「はい、不便もなく快適です」
彼女は当たり障りのない会話から始めた。
私もそれに機械的に答えていた。
ここへ来てから見るフミエちゃんの夢のことを気にしながら、気づかれないように。
168 :
『光の庭』:2007/08/22(水) 23:05:24 ID:FWJsBVrK
もう一人のスタッフは椅子に座らず、そのまま私達の会話にも入らず立っている。
「、、、事前にお話を聞いているとは思いますが」
やがて、所長は指を組みなおし、話を切り出した。
「、、はい」
「荒川、、さんには、サポートプログラムとは別に、アナザープロジェクトにご協力していただけるよう要望を出していたんです」
ここに来る前に、私だけに特別なスケジュールが組まれているのは知っていた。
詳細は聞かされていなかったが、他の選手にはその事を内密にして欲しい、と言われていた。
「、、、はい。ただ、、、私にはよくわからないんです。私の演技をデータ化して残しておきたいとか」
「そうです。荒川さんの素晴らしい演技をデータ上に半永久的に残しておこうというものです」
確かに聞いた話ではそういう内容だった。
しかし、具体的に何をするのかは知らされていないのと、他の選手には秘密だと言うことが私を警戒させた。
「、、、それは、、必要なことでしょうか。私なんかよりも優れた演技をする選手はたくさんいます」
「そうですね。フィギュアスケートという競技は採点競技なので、皆が荒川さんの演技をすれば勝てるという訳ではありません。
それぞれの個性が大事ですし、その時々の傾向というものもあります」
所長は落ち着いた声で少し身を乗り出した。
169 :
『光の庭』:2007/08/22(水) 23:06:11 ID:FWJsBVrK
「だからこそ、私どもは荒川さんの総合的なデータが重要と判断しました。身体能力も含め、メンタル面でも注目しています」
「、、、メンタル、、、」
「例えば、、オリンピックや主要な大会での気持ちのコントロールや普段のモチベーションの維持の仕方など、
少しお話を伺いたいのと、心理的要因が身体にどうのような影響をするのか、、を知りたいのです」
メンタル、をどうデータ化するのか、、、検討もつかない。
「あまり、、参考にならないと思います。私は他の選手の手本になるようなことはないですし、、」
私は決してメンタルの強い方ではないと思う。
クールビューティーなんて言われて、皆に伝わらないだけで、私はいつも悩み苦しんでいた。
私の技術や練習方法が後輩達の参考になるなら、いくらでも協力できるが、メンタルの部分はあまり参考にはならないだろう。
人は皆、一人一人、気持ちの持ちようがちがうからだ。メンタルまで科学的に分析するというのは私の気持ちにはそぐわない。
私は黙り込んだ。
170 :
『光の庭』:2007/08/22(水) 23:07:45 ID:FWJsBVrK
「もちろん、荒 川さんが嫌ならば無理にこのプロジェクトに参加することはないんですよ。強制ではありませんから」
「他の選手にはこのプロジェクトの予定はあるんですか」
「フィギュアでは荒 川さんだけです。他の選手の予定はありません」
「、、もう一日、、考えさせてください」
「どうぞ、ゆっくりお考えになってください」
彼女は私のそうした言葉にも一切嫌な顔をせず、終始穏やかな顔で対応してくれた。
取りあえず、私のスケジュールは2日後までは決まっていた。
その日以降は私の返事次第で変わるのだろう。
、、、でも、私はこのプロジェクトには参加しない、という気持ちに傾いていた。
171 :
『光の庭』:2007/08/22(水) 23:08:27 ID:FWJsBVrK
「荒 川さんはこれからフィジカルチェックですね」
「はい。でも、、ちょっと緊張します」
部屋を出て、所長と廊下を歩きながら少し会話をした。
にこやかに話を続けたが、彼女はあのプロジェクトの事は一切口にしなかった。
「それでは、いい結果が出るよう期待しています」
所長はそう言って去り、付いていたスタッフも後からゆっくりと頭を下げて後をついてった。
いい結果、、それはこれからする計測のこと?プロジェクトのこと、、?
私は頬っぺたをぽりぽりと指でかきながら、ドアを開け、体力測定をするべく部屋に入った。
172 :
『光の庭』:2007/08/22(水) 23:13:10 ID:FWJsBVrK
Tシャツとスパッツに着替え、軽く準備運動をした後、運動系の計測が始まった。
光に反応してジャンプをしたり、目を閉じて片足立ちをしたり、、、敏捷性や平衡感覚、瞬発力の測定だ。
見ていてくれるスタッフの人に時々励まされたりしながら、私はちょっとゲーム感覚でそれらの計測をこなしていった。
マオちゃんとかこういうの好きそうだな、なんて思いながら久しぶりに汗をかいたらやっぱり体が軽くなってきた。
なんのかんの言っても私も体育会系なんだろうな。体は動かしていないと調子が出ない。
いくつかの計測を終え、昼食の時間になった。
午後は私のちょっと苦手な筋力系の測定の予定だ。
私が汗をタオルで押さえながら廊下に出ると、岡 崎さんと大 菅さんがちょっと早足で歩いてきた。
173 :
『光の庭』:2007/08/22(水) 23:13:52 ID:FWJsBVrK
「どうしたんですか?」
二人の様子が気になったので話しかけると、岡 崎さんは少しスピードを落として振り返った。
「ああ、ちょっとね、吉 井が計測中に具合が悪くなったみたいなんでちょっとお見舞い」
「あいつ本当にぶっ倒れるまでやっちゃうから、、、」
「大したことないと思うんだけど、顔を見たくって」
私も心配になったので、二人の後をついていった。
岡 崎さんがドアをノックして開けると、白い布の衝立が目に入った。
「大丈夫ですか、吉 井は」
そして静かに衝立の向こうに歩きながら声をかけた。
174 :
『光の庭』:2007/08/22(水) 23:14:34 ID:FWJsBVrK
「ああ〜、すみません、、、あ、荒 川さんまで、、」
そこには簡素なベッドの上で横たわっている吉 井さんの姿があった。
彼女は私達にに気がつくと額に手を乗せてうっすらと笑顔を見せた。
「吉 井は加減知らないからな」
「どうですか」
「一時的に貧血になったみたいですね。もう少し休んだ方がいいですね」
ベッドの脇にいた白衣の女性が私達に答えた。
「ああ〜情けないなぁ〜、このこともぜーんぶ、データに残るんでしょう?」
吉 井さんは眉毛をハの字に下げてその女性の方を向くと、彼女は苦笑いをしながら頷いた。
「今日の食事はレバニラパスタにでもしてもらいなよ」
皆が笑って、吉 井さんの頬にも紅みが戻ってきているようだった。
175 :
『光の庭』:2007/08/22(水) 23:15:15 ID:FWJsBVrK
私達はその後、すぐに廊下へと出た。
「まあ、あのくらいしゃべれるなら大丈夫」
歩きながら、驚くくらいあっさりとした顔で岡 崎さんが言った。
「そんなにハードな計測をしてるんですか」
倒れるくらいまでの計測なんてあるのかと私が尋ねると
「ははは、いつものトレーニングの方に比べたらなんでもないよ。ぶっ倒れたり、気を失ったりはよくある事だから」
けろりとした声で返事が返ってきた。
「でも、、体調が少し良くなかったのかなぁ、低酸素の実験だったし」
大 菅さんがちょっと首をひねった。
「低酸素、、、ですか」
「空気の薄い条件でやってる計測だったからね」
「朝から徐々に慣らしていってたんですけど、あの子は結構ぎりぎりまで我慢しちゃうから」
「私達もそれぞれ違うことやってたからね、気づいてあげられなかった」
「明日の心理に響かなきゃいいけど」
「ま、大丈夫っしょ。吉 井はああ見えて、切り替え早いし」
176 :
『光の庭』:2007/08/22(水) 23:16:16 ID:FWJsBVrK
低酸素下の計測、心理のメニュー、、、岡崎さん達は私達よりも早くからここに来ていた。
地下のリンクも既に使い、様々な計測や実験を私達よりも多くこなしているようだ。
「スピードの皆さんは長いんですね」
「あ、ああ、することがたくさんあるからね。、、、、それに私達の方がきっと罪は重いんだよ」
「?」
私の目を丸くした顔を見ると岡崎さんが微笑んだ。
ああ、よっちゃんの言ってた囚人1号のことか、、、。
廊下の横のガラスで囲われた森、白い壁で囲まれた長い廊下、外出を許されていない私達。
、、、なんだか本当に囚われの身になった気がしてきた。
「それじゃあ、おつとめに戻ろっか」
2人は手を振ってまた早足で歩き出し、私は食堂の方へ向かった。
>>165 荒×村、ぜひ投下してください!!
気長に待ってます!最近フミィ不足だ〜
164へ自己レス
やっぱり、りあるたいむは事故のため放送しなかったみたいorz
いつか放送するのかな、、、、
>>177 長編GJ!
謎のプロジェクト?が出てきたねぇ。
ミステリアスな展開にwktkだ。
朝ぼーっとテレビ見てたらミキちゃんとマオマオの特集をしてますた。
小さい頃の写真とかあって二人ともかわええなとちょこっと萌え。
二人と一緒に居るとこが仲良くて無邪気にいちゃこらしてるとこを想像してしまった。
最近のマオマオのすくすく伸び具合を見てるとつい
「可愛い妹分でいいライバルとしか思ってなかった幼馴染に
気がついたら真剣な顔で押し倒されててびっくりのミキさん」
とかそんな2人だったら可愛くて萌えるなぁとか思ってしまってごめんなさい
>>180 イイ!
maomaoは結構力持ちだからmikiも抵抗できないよw
ミキマオに萌萌してたら某スレにミキマイのカップルのような写真が・・
朋姐さん男性会社員とケコーン・・・
現実と妄想は区別しなきゃいけないと思いつつも、
やっぱりショックだねぇ。
185 :
名無しさん@秘密の花園:2007/08/27(月) 19:32:14 ID:plPAWHnD
ワロス
姐さん…orz
あんな綺麗なんだから男はほっとかないわな
ま、妄想は妄想で楽しみましょうw
朋美さんケコーンorz
やふーに姐さんの記者会見動画きてる
姐さん婚約オメ!
現役続行みたいでうれしいよ
ここはひとつこんにゃくしゃの目を盗んで浮気しちゃうという妄想を
してしまったわたくしをお許しくださいw
190 :
『光の庭』:2007/08/29(水) 00:57:41 ID:vi3N21mi
>>176の続き
軽めの昼食を済ませ、午後は苦手な筋力系の測定だったけれど、かなりいい結果だったと褒められた。
中でも持続力と柔軟性は素晴らしい、と言われ、私も素直にうれしかった。
よっちゃんに会ったら自慢してやろーと思いながら、私はエレベーターに乗った。
すると、すでに吉 井さんが乗っていて私を見ると慌ててぺこりとお辞儀をした。
「さっきは荒 川さんにまでご心配をおかけして申し訳ありません」
「ううん、そんなこと、、、それにしても、もう大丈夫なんですか」
「はい、少し休んで点滴を受けたから大丈夫です。ちょうど、今日の午後は休息時間なので」
「そう、じゃあ、ゆっくり休めて良かったですね」
にっこりと頷いた吉 井さんの顔色は悪そうには見えなかったので、私もほっとした。
191 :
『光の庭』:2007/08/29(水) 00:58:44 ID:vi3N21mi
「岡 崎さんと大 菅さんは?」
「お二人ともお部屋にいるんじゃないかな。本を読んだりお休みしてると思います。さっき中庭には居なかったから」
話を聞くと、スピードの方も一人ずつ別々のスケジュールで測定が行われているらしい。
「ま、待ってよ。それ違うってば」
「なにが違うの!」
5階に着き、私達がエレベーターを降りると誰かが言い争いをしているような声が聞こえた。
「じゃ、なんでユカリン、大 菅さんの部屋に居たのん?」
「あ、あれは大 菅さんが、、、」
「やっぱり!大 菅さんが誘ったんやね」
「ちょっと、話をちゃんと聞いてよ。なんでそんなによっちゃんが怒るのよ」
「別に怒ってへんがな!」
192 :
『光の庭』:2007/08/29(水) 00:59:27 ID:vi3N21mi
よっちゃんとユカリちゃんの声だ。
心配になった私達は、顔を見合わせると、声の方へ走り寄った。
よっちゃんとユカリちゃんは私達に気づかないまま言い争いを続けていて、その脇で大 菅さんが困った顔で立ちつくしている。
「でも、なんで二人が抱き合ってたの!!」
よっちゃんの言葉に、えっ??となった私達は思わず足を止めて大 菅さんを見た。
私達に気づいた大 菅さんは慌ててこっちに向かって首を振った。
「あ、あれは私がお姫様抱っこしてってふざけて言ったから、、、」
ユカリちゃんが少し顔を赤くして、口ごもりながら言った。
193 :
『光の庭』:2007/08/29(水) 01:00:10 ID:vi3N21mi
「なぁんだ。それなら私と大 菅さんもよくやりますよ。おんぶしたり、抱っこしてスクワットしたり」
突然降って来たように、吉 井さんのおっとりした声が二人の間に割って入った。
よっちゃんとユカリちゃんがようやく私達に気がつき、口を開けて固まった表情で振り返った。
「や、やだ、しーちゃん達、、」
ユカリちゃんがますます顔を赤くして、恥かしそうに唇に手をあてた。
よっちゃんは、眉毛を下げて、唇をきゅっと結ぶと瞳を揺らして決まり悪そうに顔を逸らせた。
194 :
『光の庭』:2007/08/29(水) 01:01:29 ID:vi3N21mi
「ねえ、よっちゃん、大 菅さんにちゃんと謝って」
そう言ってユカリちゃんの手が肩に触れると、よっちゃんは反射的に払いのけるようにぱっと身を翻した。
その勢いで、大 菅さんが持っていた本のようなものがばしっとよっちゃんの手の甲に当り、床へと投げ出されてしまった。
皆があっ、と瞬間凍りついたが、よっちゃんは顔を伏せたまま私達の前から無言で走り去った。
私の前を通り過ぎた時、くしゃっとなったよっちゃんの瞳に涙が浮かんだのが一瞬見えた。
「待ってよ、よっちゃん!」
ユカリちゃんはよっちゃんを追いかけようとしたが、大 菅さんを気にして足を止め、振り返った。
大 菅さんが黙って頷くと、ユカリちゃんはぴょこんと頭を下げて走っていった。
195 :
『光の庭』:2007/08/29(水) 01:02:33 ID:vi3N21mi
残された大 菅さんは黙ったまま、床に落ちた本をゆっくりと拾った。
「ご、ごめんなさい、、」
私はどうしていいかわからないまま、それだけしか言えなかった。
「、、ううん。荒 川さんがあやまることないよ」
「それ、、」
「ああ、これね。ここにいると一人で部屋にいることが多いから、つい写真なんか持ってきてね、眺めたりするの。
これ、前に中 野さんと村 主さんと一緒に撮った写真。中 野さんに見せようと思って」
それはいくつもの写真が入れられている小さなアルバムだった。
大 菅さんはそれを広げて見せてくれた。
多分、アジア 大会の時なのだろうか、3人が笑顔でピースサインをしている写真があった。
大 菅さんは静かにその写真を指で撫でていた。
196 :
『光の庭』:2007/08/29(水) 01:03:30 ID:vi3N21mi
「、、、恩 田さんが何を勘違いしたかわかりませんが、今の態度はいけないと思います。私、抗議してきます」
その横顔を黙って見ていた吉 井さんが毅然とした顔つきに変わり、そう言った。
普段は温和そうな彼女が怒る気持ちはわかる。よっちゃんをよく知っている私でもあんな態度は解せなかった。
「いいから、吉 井」
大 菅さんは低い声でそれを制した。
「でも、、、」
「ほんとにいいんだ」
それから大 菅さんは私に顔を向けた。
「あとで、、、恩 田さんに気にしないでって、言っておいてください」
そう言って微笑んでくれたがその顔は、あの最初の時に感じたどこか私達と線を引くような距離感を漂わせていた。
岡×大も書いているものですが、姐さんのニュースにはびっくり
ちょっぴりorzになりましたが、姐さんが幸せになるなら祝福しちゃおうという気になりました
でもこれからも186さんや189さんのように妄想で遊ばせてもらいましょw
テレビで流れたシズゥの姐さんへ祝福コメント
「あの笑顔は大好きなので一人のものにならないでほしい」
みたいなこと言ってたので萌えました
>>197 長編乙です!!疲れて帰った時にSSきてると生き返るぜ〜w
ますます謎が深まるばっかりで、つづきが待ち遠しい!
シズゥが姐さんのコメントにそんなことをΣ(゚Д゚;)是非見たかったな…
今朝のニュースでは、祝福の他に自分(シズゥ)には縁のない話だ
みたいなこと言ってたよ。
197は記事があったのでこちら
tp://www.news24.jp/91743.html
動画がなくて残念だけど
そういえば姐さんは会見でお相手を「男気のある人」って言ってたけど
姐さんより男気のある人ってどんだけ〜なんだろw
ちなみに姐さんは他の選手からも『ねえさん』とほんとに呼ばれているのだな
トリノの男子選手で尊敬する人物は?の質問に「ともみ姉さん」と書いてた人がいたw
O菅タンもねえさんと呼んでるらしいw
>>197 >あの笑顔は大好きなので一人のものにならないでほしい
何!!そのコメント!!萌えすぎる!
シズゥは「26だけど彼氏いない」と言ってたな〜
もう、妄想しちゃうよっw
フミィはどうすんのよ!
姐さんはねえさん…ワロタ
姐さんはトリノの時、男子にも気合をいれちゃる!って言ってたからな。
年下の男子どもをびびらせてんのかw
それから今夜の報捨てでシズゥがミキちゃんのショーをレポするみたい。
必見だね!
報捨よかった。
ミキちゃんお手製のボルシチを「おいしいよ」と食べるシズゥ。
見守るミキちゃん。
新婚夫婦みたいだった(*´Д`)
久々に荒村落とします。
今回はエロにいくのか、コメディになるのかまったく想像ができんw
しかもかなり遅筆なので気長にお待ちいただきたいと…。
確かC0Iべっぷってフミィも参加してたよね?記憶が曖昧なので違ってたらスマソ
温泉地でのアイスショーも無事に終わり、出演したスケーター達は
それぞれプライベートタイムを過ごす事になった。
せっかく温泉地に来ているのだからと、私はレナちゃんと温泉に行く
約束をした。ホテルに一旦帰り、着替えを準備してさぁ出発!!
今回のショーには日本人スケーターも何人か来ている。
その中にあの人もいる…。
ずっとライバル同士で、ほとんど口も利いたこともないあの人が
最近は少しずつ私にも声をかけてくれるようになってきた。
私もそれに応えようとはしているが、どうにも上手く喋れない…。
変に構えてしまって…。きっと顔も引きつっているかもしれない。
あの人とは練習するリンクが同じで、たまに同じ時間にリンクにいる
のを見かけることがあったが、お互いに黙々と練習をこなすだけで
声をかける事はなかった。
いつからだろう…?
練習するあの人を目で追っている自分に気が付いたのは…。
練習で見せる彼女の表情の変化を見ていると、胸の中が
キュンとして温かくなる。
私はあの人が好きなのか…?!
自問自答を繰り返すうちにも、あの人への想いは強くなるばかりだ。
けれど、私は自分の気持ちを誤魔化すことに必死になっていた。
まさか同性でライバルだったあの人を好きになるはずはないと…。
ホテルのロビーでレナちゃんを待つ間、私の頭の中はあの人の事で
いっぱいだった。
私が温泉に行っている間に、あの人はどこで何をしているのだろう…?
もしホテルの部屋にいるのなら誘ってみようか…?私の誘いにあの人は
困った顔をするだろうか…?あぁ、どうしょう…。
「しーちゃん?お待たせ〜。どうしたの?怖い顔してw」
「え…?怖い顔してた?」
「うん。眉間に皺を寄せて…。考え事?」
「あ〜。考え事っていうか…。何でもないよ!さ、行こう。」
私達が行った温泉には、ちょうど良い事に他のお客さんは誰もいない
貸し切り状態だった。
温泉に浸かりながら二人で今日の公演の話をあれこれしているうちに
浴場のドアがガラガラと開き、湯煙の中に人影が現れた。
私達はその人影に背を向けてお喋りを続けた。
私達の話は公演の話からプライベートのくだらない話へと変わり
時間が経つのも忘れるくらいだった。
「ちょっとのぼせてきたな〜。私出て休むね!」
「私はまだいても良いの?」
「良いよ〜。クールダウンしたらまた来るね」
「了解!」
レナちゃんは赤らんだ顔を仰ぐ仕草をしながら脱場へと歩き出した。
私はお湯に浸かりながら、窓から見える景色を眺めていた。
そういえば、さっき入ってきた人はまだお湯に浸かってないなぁ…。
そんなことを考えながら洗い場の方へ目をやったら、ちょうど私の目線に
誰かがこちらに歩いてくる足元が見えた。
私はまた窓のほうに向き返り、両手でお湯を掬い顔にバシャバシャとかけた。
ポチャン…と足先からお湯に浸かる音が聞こえ、自然と音の方へと目が向く。
湯煙が立ち昇る中、髪の毛をアップにしたちょっと小柄な女性の後姿を確認できた。
ぼんやりした視界の中でもうなじが綺麗だということがわかる。
その女性はしばらく肩や首の辺りにお湯を馴染ませるようにかけていたが
やがてそれが終わると、ゆっくりと窓の方へ向きを変え始めた。
私はまた両手でお湯を掬い顔にバシャバシャとかけた。
私の両手が顔から外れると、その女性が「あ…」と小さな声を上げた。
湯煙で視界が悪いはずなのに、私の視界は湯煙がないかのように
鮮明にその女性を捕らえた。
私達の間には一瞬静寂が流れ、彼女の声がその沈黙をゆっくりと破いた。
「シズカちゃんだったんだ…?」
「あ、うん…。レナちゃんと来てて…。」
「そう。今日はお疲れ様。」
「あ…お疲れ様…。」
「ショーの後に温泉に入れるなんて贅沢よね〜」
「そ、そうだね…。私なんか1時間近く浸かってるよ。はは…。」
フミエさんの顔をまともに見れない…。
というか、目線をどこにやったら良いのか…。それを誤魔化すかのように
何度も顔にお湯をかける私の顔が赤いのは、のぼせているからではない。
心臓が今にも胸を突き破りそうに動いていることを彼女に悟られてはいけない。
必死に話題を考えるが、頭がうまく起動しない…。
そんな事を考えているうちに、二人の間にはまた沈黙がたち込めた。
まるでこの湯煙が二人の沈黙の色のようにだんだんと濃くなっていく。
本当はもっと話したい…。彼女のことをもっと知りたいのに…。
こんなにドキドキして話せないなんて、バカみたい…。
「シズカちゃん?顔が真っ赤だけど大丈夫?」
「……。」
「のぼせてるんじゃない?お湯から出たほうが…」
「あ…そうね……。」
頭がクラクラする…。
私はお湯から出ようと立ち上がろうとしたが、全身から力が抜けてしまうような
脱力感に襲われた。
「シ、シズカちゃん!?」
私は意識を失ってしまったようだ…。
【つづく】
>>203 新作キタ━━━(゜∀゜)━━━!!
GJです!続きがwktk
ま、まさかフミィがこの後あんなことやこんなことを…?w
報捨番組表見て慌てて録画した
シズゥに会った時のミキちゃんの笑顔がカワユス
手料理を食べさせてあげてるのもヨカッタ
ミキちゃんはルームシェアしてるみたいだけど誰となのかな
相手の子が裏山〜
214 :
『光の庭』:2007/09/01(土) 00:50:17 ID:FHjbcISC
>>196の続き
二人と別れ、私は時間を置いてからよっちゃんの部屋のドアをノックした。
「、、よっちゃん、、いる、、?」
中からぼそっと返事がしたのを確認して、私はそーっとドアを開けた。
部屋の中にはベッドに突っ伏したよっちゃんの姿があった。
「、、、よっちゃん」
「うち、、どーしてあんな風に言ってしまったんやろ」
私がベッドの脇の椅子に座るとよっちゃんは顔を伏せたまま、小さな声で言った。
215 :
『光の庭』:2007/09/01(土) 00:52:01 ID:FHjbcISC
「なんや、ユカリンと大 菅さんが二人だけで仲良う話してるの見たら、つい、、」
拗ねた子供のようによっちゃんはそのままの格好で話を続けた。
「うちの知らないとこでユカリンと大 菅さんが仲良うしてると思うと、寂しくなっちゃったんや」
「大丈夫だよ、大 菅さん、怒ってなかったし」
「でも、ユカリンにも、、みんなにも嫌な思いをさせちゃって、、」
あの後、ユカリちゃんにもいろいろ言われたんだろうな、、、、。
よっちゃんらしくないか細い声を聞きながら、私は椅子の背もたれに寄りかかった。
こんな時のよっちゃんの背中は彼女の明るさとは反比例して、繊細で触れるのをためらわせるほどだ。
216 :
『光の庭』:2007/09/01(土) 00:52:51 ID:FHjbcISC
「うち、、、ほんまにアホやわ」
「でもさ、みんなよっちゃんのこと好きだよ。照れ屋で、おっちょこちょいで、それでいて正直な
、、、そんなよっちゃんがみんな大好きなんだよ」
「なんや、、、しーちゃん、ほめてんのか、けなしてんのかわからんなぁ」
よっちゃんは、赤くなった目をごしごしこすりながら、むっくりと起き上がって泣きそうな顔で笑ってみせた。
「、、、、大 菅さんと、、ユカリンにあやまらんといけないな、、、」
そう言ってよっちゃんは私の方へ顔を上げた。
そして濡れていた大きな瞳を長い睫毛でゆっくりと伏せた。
―――競技者にしては純粋すぎる、、、以前私の耳に偶然入ったよっちゃんに対する評価だった。
217 :
『光の庭』:2007/09/01(土) 00:53:33 ID:FHjbcISC
感覚を研ぎ澄まし、表現力に心をこめて滑ることは私達の演技には重要なことだ。
けれどもそれだけでは試合に勝つことはできない。
牽制や駆け引き、、、リンクの外での様々な要素が勝つためには必要になることもある。
友人として、とても魅力的な彼女の性格が競技者として不利になることもあるのだ。
順位をつけたり、枠を争ったり、、、時としてそれは私達の意図でなく競わされる。
かつては私とフミエちゃんも。
そして、ここに来たのだってみんながそういう世界で戦っていく為、、、、。
218 :
『光の庭』:2007/09/01(土) 00:54:31 ID:FHjbcISC
「しーちゃんにも迷惑かけてごめんな」
はっと我に返ると、もうよっちゃんはベッドから立ち上がっていて、ぼんやりとしていた私を見下ろしていた。
「大 菅さん、、、部屋におるかなぁ、、」
それからよっちゃんは気恥ずかしそうにつぶやいた。
「うん、いると思うよ。午後はお休みだって吉 井さんが言ってたから」
「、、、うち、、ちゃんとあやまってくるわ」
すぐにそういう行動をするところが私がよっちゃんを好きなところだ。
「一緒に行ってあげようか」
まるで小学生の女の子の付き合いみたいなことを私が言うと
「よしてや、そんなん余計恥かしいわ」
よっちゃんは苦笑いの混じった、でもちょっとうれしそうな複雑な顔をして笑った。
219 :
『光の庭』:2007/09/01(土) 00:55:44 ID:FHjbcISC
二人で廊下に出て歩いていくと、ラウンジのソファーに誰かが座って一人で何かを飲んでいる姿が目に入った。
大 菅さんだった。
すぐによっちゃんが近づいていって、その気配に彼女は振り返った。
「あ、あの、大 菅さん、さっきはごめんなさい」
「ああ、そんなこと、、、」
よっちゃんが深々と頭を下げて謝ると、大 菅さんはコップを口から離して笑顔で大きく首を振った。
さっぱりとした明るい表情を見て私もほっとした。
「それより、中 野さんって、、、恩 田さんのことすごく好きなんだね」
突然、大 菅さんから予期しない言葉をかけられてよっちゃんは大きな目を見開いて、カクンと固まってしまった。
「、、えっ、あっ、うっ、、いや、、あのそれ、どういう、、意味で、、」
ユカリちゃんのことを指摘されて、途端に挙動不審になってしまうよっちゃんである。
220 :
『光の庭』:2007/09/01(土) 00:59:00 ID:FHjbcISC
「さっき二人で話しても恩 田さんの話ばっかり」
「えっ、ユカリン、、やっ、ユ、カ、、さん、、あ、ユカリさんがですか?」
「うん、恩 田さんと一緒だといっつも楽しいって」
「、、、ほんまにそんなんこと言うてたんですか」
「うん、中 野さんのこと、私がお姫様抱っこしちゃったけど、きっと本当は恩 田さんにされたいんじゃない?」
そんなことを言われてよっちゃんは、顔を赤くして口をぱくぱくさせていた。
やっぱり正直すぎるんだよな、、、。からかわれているよっちゃんには悪いけどこういう時ってすごく可愛い。
それを見た大 菅さんもけらけらと大きな声で笑い出した。
221 :
『光の庭』:2007/09/01(土) 00:59:48 ID:FHjbcISC
「も、もう、大 菅さんなんちゅうこと言い出すんですか!」
大 菅さんはごめんね、と言いながらますます笑い、よっちゃんも笑った。
すっごく元気で明るい人だよ、ユカリちゃんがそう言っていたのを思い出した。
それでもって結構お茶目な人なんだ。
二人のやり取りを見ているとなんだか微笑ましい気分になった。
222 :
『光の庭』:2007/09/01(土) 01:01:03 ID:FHjbcISC
よっちゃんと大 菅さんはいつのまにか並んでソファーに座りながら、おしゃべりを始めていた。
すっかり打ち解けた二人の話を私は傍で聞いていた。
「ねえ、荒 川さん。フミエちゃんを抱き上げたこと、ある?」
唐突に大 菅さんから声をかけられて、今度は私が自分でも驚くぐらいガクン、と身体が反応した。
「え、、、」
私が目を瞬かせている間に、二人は話を続けた。
223 :
『光の庭』:2007/09/01(土) 01:01:53 ID:FHjbcISC
「この間、フミエちゃんのこともちょっと抱き上げてみたらさ、軽くて吃驚しちゃった」
「でもうちらも結構筋肉あるから、見た目より結構重いでしょ」
「うん、でもやっぱり違うんだな〜、飛ぶための筋肉なのかな。なんだか抱きかかえられるの慣れてる感じがして」
「はっはっは。そうやな、ショーとかだと男子に支えられる振り付けあるしな」
「わー、いいなー。うらやましいなぁ、ほんとにふわっとして背中に羽根がついてるみたいだもんね」
そう、、、フミエちゃんって華奢だけど、凛々しくて、たおやかで天使みたいなんだよ。
私はリンクに舞うあの目を惹きつけて放さない彼女の姿を思い、心の中でつぶやいていた。
224 :
『光の庭』:2007/09/01(土) 01:03:05 ID:FHjbcISC
「あれ、ほんとは抱き上げられる方も大変なんやで。半分は女子の力やからな」
「あはは、エレガントに見えるけど大変なんだ」
「そうやで〜、それにペアだと大抵女子の方が気が強いねん」
二人は悪戯っぽい顔を見合わせて大笑いした。
話に盛り上がっている二人を見ていた私はほっとしつつも、
何故時々大 菅さんが身の引くような印象を感じるのだろう、と不思議な気持ちにとらわれていた。
>>203 荒村新作楽しみです〜
好きだという気持ちに戸惑うシズゥが可愛いよ〜
続きも楽しみだなぁ
C0Iにはフミィも出るんだよね
見にいける人が羨ましい、、、
フミィとシズゥの(ちょっとぎこちない?w)絡みが激しく見てみたい!!
報捨のミキちゃんカバエエ。
なんか家に置いておきたい感じだった。
フィギュアはいろんな選手のスキンシップがイパーイカワユスで萌えるなー。
スピードはあんまりいちゃいちゃしないのだけど時々ハグしてたり
ハイタッチしてたりしてそれはそれで萌えまつよ。
荒村作者様、長編作者様、GJ!!
悶々シズゥもちょっと拗ねてるonちゃんもいいねー。
今日と明日C0Iせんだいだね!フミィとシズゥは仲良くやってるだろうかw
荒「(あー。せっかく地元だし、フミエさんに美味しい牛タンでも食べさせたいなー
でも、どうやって誘えば…モジモジ)」
シズゥが誘えなくて悶々してるのに、全然気づかないでテケと一緒に牛タン屋に
行ってしまうフミィしか想像できんwww
村「美味しい〜!(シズカちゃん、地元だったら私に美味しいお店教えてくれればいいのに(゚Д゚#)ゴルァ!! )」
牛タン屋さんにて
荒「もぐもぐ(フミエさんが私のこと、スキ、キライ、スキ、キライ、スキ…)」
村「もぐもぐ(シズカちゃんったら、一枚一枚真剣な顔して食べてるわ。かわいい!)」
こんな感じで二人黙ったまま隣同士で食べてたらかわいいねw
>>228,229
モジモジシズゥとテンネンネンフミィ
カワエエ(*´д`)
231 :
『光の庭』:2007/09/05(水) 23:41:20 ID:iumxdrKf
>>224の続き
ぱたぱたと近づいてくる足音がして、私たちは顔を向けた。
ユカリちゃんとマイがラウンジにやってきたところだった。
「もうっ、、、!」
よっちゃんと大 菅さんが並んで座っているのを見つけると、ユカリちゃんは駆け寄ってきて
呆れた声を出して後ろからよっちゃんの両肩をつかんだ。
『心配したんだから〜』と『良かった〜』という心の声が聞こえてきそうな表情だ。
よっちゃんは照れながらくすぐったそうに肩をすくめた。
232 :
『光の庭』:2007/09/05(水) 23:42:06 ID:iumxdrKf
「ユカリン、もうリンクで滑ったの?」
背後から覆いかぶさるように立つユカリちゃんによっちゃんが真上にうんと顔を反らして尋ねた。
「うん、軽くね。ウォーミングアップ程度だけど。なかなか滑りやすいリンクだったよ」
「へえ〜」
「私は夕食後に本格的に滑ることになってるの。ミキちゃんは多分もう終わってると思うけど」
大 菅さんも興味深そうにユカリちゃんの話を聞いていたが、はっとリストバンド見るなり立ち上がった。
「あ、ごめん。私、夕食の時間だった!」
「え、もう?」
私も慌ててリストバンドを見た。デジタル時計は5時を過ぎたところだった。
233 :
『光の庭』:2007/09/05(水) 23:42:50 ID:iumxdrKf
「まだ、5時過ぎたばっかりやで」
「私も夕食後に計測があるから、今日は早めなんだ」
大 菅さんはそう言ってテーブルにあったコップを手にすると、てきぱきと片付け始めた。
「じゃあね、また明日会えたら」
そして涼しげな笑顔を見せると、部屋着を翻し、あっという間に廊下の向こうへ去っていった。
234 :
『光の庭』:2007/09/05(水) 23:43:38 ID:iumxdrKf
「、、、、しーちゃん、大 菅さんがフミエちゃん抱き上げたって言うてドキッとしたやろ」
姿が見えなくなってから、よっちゃんがニヤリと視線を向けて来た。
「べ、別に、、ドキッとなんかしてないよ。大 菅さんとフミエちゃんは前から仲がいいんでしょ」
さっきのことを大 菅さんに気づかれてしまったかな、、と考えると、鼻がひくひく動いてしまいそうだった。
「うちは、照れ屋でおっちょこちょいで、しょ〜じきなしーちゃんが好きやで」
よっちゃんはどんぐりのような瞳をさらにくりくりさせたしたり顔で私を見あげた。
235 :
『光の庭』:2007/09/05(水) 23:44:32 ID:iumxdrKf
「えー、何の話〜?」
「しーちゃん、なんか頬っぺた赤いよ」
ユカリちゃんとマイが一緒に顔を突っ込んできた。
「そんなことないよ」
両手で押さえるとほんのり熱っぽい気がしたけど、わざとすました顔を見せた。
あー、こんな時こそホントのクールビューティーになりたいよ、、。
「まあ、明日が楽しみやね」
よっちゃんがそう言うとユカリちゃんとマイは顔を見合わせた。
236 :
『光の庭』:2007/09/05(水) 23:45:15 ID:iumxdrKf
「はははっ、しーちゃん、フミエちゃんと会うの照れくさいんでしょ」
「みんなでいるとなんでもないのに、二人っきりだとなんかぎこちないんだよねえ」
「そんなことないってば!」
二人に思いっきり指摘されて、勝手に手足がぱたぱた動いてしまった。
「どれ、リストバンド見せてみ。心拍数上がってるから」
「見たい見たい!」
よっちゃんが私の腕をつかみ、私の上にみんなが乗りかかってキャーキャー笑った。
そしてソファーの上で子犬みたいに転がって大笑いをした。
237 :
『光の庭』:2007/09/05(水) 23:46:17 ID:iumxdrKf
アスリートとして戦う私達はこうしての子供のようによくふざけ合う。
年齢の割にこんなにはしゃいでいる姿は傍から見れば幼稚に映るかもしれない。
けれどもそれは、私達が普通の女の子が経験することのない緊張の中で競い合っているからだ。
そんな毎日の中で、無防備で笑い合えることは幸せだった。
きつい練習に耐えられなくてかっこ悪い姿も、悔しさで涙する姿も互いに知っている。
たとえリンクの上ではお互いライバルで居ようとも、いろいろな気持ちを共有できる大切な仲間なのだ。
3人を腕に抱えながら笑い疲れた私は天井を見上げた。
ここには居ないもう一人の人を思い浮かべながら。
長編乙!
荒×村にO菅タンが参戦してくるのでしょーか??w
今後の進展が気になりまつね。
シズゥと絡まりあうonちゃん達カワユス
女の子同士がキャーキャー言って転げまわるのって萌えだわ。
光の庭様GJっす!純粋すぎるオンちゃんがイイ!!
それと転げまわる女の子たちっていーよねーっ
荒村、千代COIの二人どっちももかわえーw
ちょっとすれ違う二人に萌えるww
シズゥの公式によると千代の時にわんこのおたんじょーびをお祝いしたようで
フミィとかもおめでとーとかしたのかな〜想像すると和むわぁ(n´∀`)η゚・*:.。.
姐さんの公式によると日曜にラジオに出るみたい
思いっきりノロケられたらちょっと凹むかw
でも脳内変換してしまおう!!
おっと書き忘れたが姐さん、今日お誕生日なのだな
おめでとー!!
遅くなりましたが、姐さんバースデーでしたかオメ。゚+.ヽ(´∀`*)ノ ゚+.゚
残念ながらラジオは聞けなかったけどっていうか家にラジオがない〜
途中で送信スマソ
しかし、調べてみるとフィギュアスケーターは12月生まれが多いね。
シズゥ、フミィ、神酒ちゃん、onちゃん…誕生日でもスケーターとして忙しそうだ。
シズゥの課外授業は見られなかったけど、今夜の再放送は忘れずに録画しなくちゃ!
先生っぷりが早く見てみたいよ。
ああ〜姐さんのラジオ聞き忘れた〜!
誰か聞いた人いる?
同じくラジオ忘れてた〜orz
今日の番組は内容はいまいちだったが、シズゥの「どんだけぇ〜」可愛すぎる!
あれだけでGGGJとしようw
姐さんのラジオ、私も仕事しながら聞いてたんでうろ覚えですが
姐さんは長野の頃から最近の若いもんはなっとらーん!!と苦言を言っていた。
遊びやファッションにうつつを抜かして、ハンパな気持ちで競技に臨んで結果が出せなかったと言ってめそめそすんな!と思っていたらしい。
こういうのトリノの時も言ってたな。
彼との出会いは彼が長野に出張していて、姐さんが長野でお世話になってる人がたまたま呼んでくれて会ったとのこと。
初対面だけどどこかで会ったような気がするような人だったらしいが、シャイな人でほとんど話をしなかったそうだ。
姐さんは上司の人とばっかりお話をしていて逆に印象に残り、「かわいいな」と思ったらしい。
でもごくごくふつーの出会いだったそうだ。
もし、これがトリノ前やソルト後ならこの彼に出会っても結婚は考えなかったと言ってました。
というわけでタイミングって重要なのね。
でも話を聞くとまるでお見合いみたいw
姐さんに合いそうな人を紹介してくれたみたいな気がするな。旦那になる人はめられたかwww
(いや、でもすっごく幸せな人だよね〜汗)
あと、最近中国勢が台頭してきてハングリー精神の欠けた日本はもうダメなのかという質問に対しては
例え恵まれた環境にあっても、それに感謝をしつつ、自分を律して志を持っていれば大丈夫!
となかなか奥のふかーい話をしていました。
DJの胃獣印も姐さんのお言葉に感銘を受けた様子でありました。
水十のシズゥ、可愛かったよね!
シズゥのどんだけ〜が聞けるとはww
シッコちゃんの華麗なる滑りに手を叩いてたのもカワユス
248 :
『光の庭』:2007/09/14(金) 00:20:41 ID:JjSUtBUY
>>237の続き
ふざけ合っているうちに5時半になり、ユカリちゃんが食堂に行くといって席を立ち、6時になると私達も食堂に向かった。
しばらくしてこれから残りの計測をする、と言うマイがテーブルを離れ、またよっちゃんと二人になった。
既に競技者ではない私達のスケジュールは他の選手達とは違う。
慌しく皆は決められた予定をこなしていかなければならない。
食後のコーヒーを飲んでいるとミキが夕食を持って私達のテーブルにやってきた。
「あああああ〜、疲れたあああ〜〜」
ゾンビの雄たけびのような声をあげ、テーブルにトレーを乗せると自分も崩れるように滑り込んできた。
249 :
『光の庭』:2007/09/14(金) 00:21:52 ID:JjSUtBUY
「お、ミキお疲れ〜」
「もう、へろへろだよ〜。地下でジャンプだけじゃなくって、ステップやスピンも何度もやらされるしさぁ」
「ふっふっふ、どう、まっぱだった?」
「ちがうよー、まっぱじゃないけどさ、全身黒いタイツでなんか白いマークいっぱいつけて滑るの。
で、ジャンプでもなんでもスタッフの人がいいって言うまで何度も何度もやり直しなんだよ」
250 :
『光の庭』:2007/09/14(金) 00:22:31 ID:JjSUtBUY
普段のトレーニングでもひとつひとつの演技を確認する為、何度も同じ練習することはいつもある。
しかし、ここにはそれを指導してくれるコーチはいない。
慣れない人々と環境の中で注文をつけられながら滑るのは、さぞ大変だろうと想像はすぐにできた。
その他にも、いくつかブレードを代えての計測、照明や音響の変化に対する反応を見たり、、、
と本当に自分が実験材料にされてるみたいだ、とミキは疲れた顔でため息をついた。
251 :
『光の庭』:2007/09/14(金) 00:23:33 ID:JjSUtBUY
けれども、目の前の夕食を食べ始めるとだんだん元気になったようだ。
自分の技術が向上しているのに気づいたこと、4回転が成功して思わず周りから拍手がおこったこと、、。
ミキは目を輝かせながら、未知の経験を私達に報告をした。
大変だった、と言いながら生き生きと語るミキの表情に、私もうれしくなって何度もうなづいて感心した。
やっぱり若いんだな、まだまだ伸び盛りなんだなぁと思うと屈託のなく笑うミキの顔が眩しく見えた。
ミキの話によると、この様々なデータは本人はもちろん、連盟やコーチの許にも送られて、
さらに運動力学や生理学の専門家にも研究をされるらしい。
ここまでくると、私達にはちょっと想像のつかないことになる。
252 :
『光の庭』:2007/09/14(金) 00:24:27 ID:JjSUtBUY
「なんや、むずかしい話やな」
「うん、ミキにもよくわからない。だって自分でもわからない力でジャンプが飛べちゃうこともあるもんね」
「同じようにやっても上手く飛べる時と飛べへん時もあるしな。不思議やもんな」
いろいろな研究をされて、実戦にそれが生かされるのはいいことだと思う。
でも、それだけでギチギチに固められた正確無比なスケーターが勝ったしてもぞっとしない話だ。
演技する方も見る方もそれはきっと科学的には見えない力で結ばれているから、、、。
こういう場所に来ているのに、こんなことを再認識しているのは不思議で、でもそれはいい気分だった。
実験材料にされてる〜とぼやきながらスプーンで次々と夕食を頬張るミキの笑顔は明るくて頼もしい。
253 :
『光の庭』:2007/09/14(金) 00:25:19 ID:JjSUtBUY
早朝に地下のリンクで滑る予定のよっちゃんは、早めに寝ると言って、部屋に戻っていった。
私の明日の予定は、体調管理のための食事や生活のアドバイスを受ける比較的のんびりとしたスケジュールになっていた。
「明日、フミエさん来るんだよね〜。会えるかなぁ」
ミキは紅茶を一口飲むと、頬に手をあててつぶやいた。
そうだ、ミキ達は明日がここに滞在する最終日なのだ。
もちろん予定があるからフミエちゃんが来た時に会えるかどうかはわからない。
254 :
『光の庭』:2007/09/14(金) 00:26:01 ID:JjSUtBUY
「しばらく会ってないからゆっくりお話したいんだけどな」
いろいろと離れたところで暮らす私達はメールや電話で互いに繋がりを確かめる。
時には広大な海を超えて、朝と夜を迎えて、氷の上と布団の中に居ても。
でも、ここには携帯もパソコンもない。彼女と長い間連絡を取れていない気がした。
255 :
『光の庭』:2007/09/14(金) 00:27:16 ID:JjSUtBUY
「しーちゃん、電話とかしてる?」
ミキに不意に聞かれ、私はあっと声を上げた。
「ううん、してない。時差のこともあるし、、、」
するとミキは目を丸くして、カップから手を放し、テーブルをたん、と叩いた。
「時差〜?って、ここ今、日本だよ。おとーさんやおかーさんに電話した?ティラちゃんやアロマちゃんのこととか」
私はまたあっと声を立てた。
頭の中ではすっかりフミエちゃんのことを考えていたからだ。
256 :
『光の庭』:2007/09/14(金) 00:28:29 ID:JjSUtBUY
「い、いやあ、ティラミスもアロマもこの間会ったばっかりだもん」
頭をかきかき言うと、ミキは俯いてくすくす笑った。
「もう、フミエさんのこと考えてたんでしょ。まあ、久しぶりに会えるんだもんね」
とミキにもすっかり見透かされてしまった。
「そういえば、ミコちゃんはどう?」
「元気元気〜!この間も電話に出してもらったら、フンフンものすごい鼻息してたんだよ!」
無邪気に楽しそうに話すミキを見ると、私に妹がいたらこんな感じだったろうな、といつも思う。
話す事は尽きなかった。
257 :
『光の庭』:2007/09/14(金) 00:29:14 ID:JjSUtBUY
そんな訳ですっかり長居をしてしまった。
部屋へ帰る途中
「今日は疲れたから、もう一度ゆっくりバスタブに浸かって寝ようっと」
ミキはそう言って、なんともチャーミングな大あくびをして、私におやすみなさい、と手を振った。
ラウンジにも誰もいない。
私も部屋に帰ってゆっくりしよう、、、と自分の部屋に戻り、ベッドの上に転がった。
見上げた天井がサイドランプの灯りでぼんやりとスクリーンのように私の心のうちを浮かび上がらせる。
258 :
『光の庭』:2007/09/14(金) 00:30:14 ID:JjSUtBUY
明日、、、なんと言って断ろう。
私は例のプロジェクトの事を考えた。
それにしてもメンタルな部分をなぜ、記録に残そうとするのだろう。
確かにメンタルなことが試合で重要な作用をするのは解っている。
日本人初のフィギュアの金 メダリストの私。
今までも様々なメディアでオリン ピックチャンピオンになるまでの気持ちを聞かれて答えてきた。
それを、、なぜ、、今、、どうして、、、?
259 :
『光の庭』:2007/09/14(金) 00:30:55 ID:JjSUtBUY
目を閉じた。
―――あの時、フリーの演技を終えて、観客の歓喜の声と拍手に包み込まれ、今までにない高揚感を私は感じていた。
その興奮の収まらないリンクに入れ違いで入った彼女、、、。
なぜか所長と彼女の顔が同時に目の前に浮かんだ。
私は明日、、なんて言ったらいいのだろう。
シャワーも浴びずに私はそのままベッドの上で眠りに落ちてしまった。
キテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
とうとうフミィが研究所にやってくるのですな!wktk
>>246 ラジオ情報ありがdでした!結構真面目な話をしてますね、姐さんはw
シャイな人が好きなのかーこれは意外でした
日曜日はO菅タンがじゃんくに出ますね
シーズン前だからみんないろいろ出るのかな?
スピスケの試合自体があまりTVでやってくれないのでこういうのは貴重だね
シズゥのVSシッコ、、、といっても一方的にけしかけられたけど
シズゥの反応がかわいかった!!
シズゥとシッコの絡み、、、、想像したけどやっぱり萌えられないww
C0Iせんだい最高だったwローカル局なのにシズゥ関係はGJ杉!
フミィがインタブで「やっぱぁー、せんだいはぁ〜、有名スケーターを多く排出しているのでぇ〜」
って言ってたぞ。あえて「有名スケーター」とシズゥの名を伏せるなんてw
シズゥもズンズンに「シーズン前のスグリ選手の演技も見れて…」って言われて
ウンウンってうなずいてただけだったw
この二人…本当お互いのことになるとコメント少な杉。
ま、そのギクシャク感が良いんだがw
うらやましいぞ、せんだい!!
それにしても相変わらず二人の関係はびみょーだったんすねw
不自然なくらいお互いのことを言わない二人…
かえってもーそーがふくらんでしまうぜwww
だ が そ れ が い い
きっとね、二人は名前を口にするだけでも照れてしまうんですよ
そう妄想しましょww
>>204-212つづき
私が目を開けると、レナちゃんとフミエさんが心配そうに
覗き込んでいる顔が見えた。
「しーちゃん気が付いた?」
「ん…。私…。」
「しーちゃんのぼせちゃって、フミエちゃんがここまで運んでくれたんだよ」
「え?!」
「シズカちゃん大丈夫?」
「え…っと…。うん…。運んでくれたって…。」
「肩を貸しただけよ。シズカちゃん隋分長く入ってたみたいね?」
「あ…うん。」
フミエさんの肩を借りてココまで来たのか…。
お風呂に入ってたんだから、もちろん肌と肌が触れ合って…。って、全然記憶がないorz
「しーちゃん!鼻血www」
「えΣ(゚Д゚;)ちょ…!嘘でしょ!!」
想像して鼻血を出すなんて…私としたことが…orz
レナちゃんがティッシュで鼻に詰めるやつを作ってくれたので、仕方なしに鼻に詰めて
しばらく脱場で横になっていた。
こんな恥ずかしい姿をフミエさんに見られるなんて…。あぁ…。
「しーちゃん鼻血出すなんてw変な想像でもしたんでしょ〜w」
「なっ!へ、変な想像って何よΣ(゚Д゚;)」
「フミエちゃんの裸とか〜w」
レナちゃん?!冗談で言ってるんだろうけど、洒落になんないからッ…。
「この後どうする?観光に行けるの?」
「ん〜。ってか、フミエさんは?」
「何か、携帯に電話来てたみたいだから、もう出たんじゃない?」
「そうなんだorz 」
「で、どうするの?」
「少しホテルで休もうかな…。(また鼻血出たら困るし)」
「了解!じゃあ、私はジョンと遊んであげるかw」
レナちゃんは早速旦那さんに電話し、私は一人でホテルへと戻ることにした。
ホテルまでとぼとぼと歩いている間、お風呂での事が頭を過ぎる…。
フミエさんと、もっとショーのこととか話せば良かったとか…。
プライベートの話をするには良いチャンスだったのにとか…。
何で、本人を目の前にすると喋れないんだろ…。ヘタレな自分にガッカリするorz
こんな事を考えているうちに、いつの間にかホテルの自分の部屋の前まで来ていた。
キーを差込み、ドアを押して部屋に入り込む…。
まだ昼間と言うこともあって部屋の中は明るい。
ベットに腰掛けながら冷蔵庫に手を伸ばし、冷えた缶ビールを手にした。
長湯したせいか、物凄く喉が渇いている。早速缶を開け、口を付けた途端に
一気に飲み干してしまった。またすぐに私の手は冷蔵庫に伸びていき、
2本、3本とビールを飲み干していく。
疲れているせいか段々と目が回ってきて私はベットへと倒れこんだ。
目を瞑ると心地良い波が押し寄せてくる…。
うとうとしかけたその時、部屋をノックする音が聞こえた気がした。
夢でも見たのか…?と起き上がってドアの方に目をやる。
―トントン!―
やはり夢ではなかったようだ。
私は思い腰を上げ、ドアの方へと歩き出した。
ドアの覗き穴から廊下を覗いてみる…。あれ…誰もいないな…?
―トントン!―
「はい?」
「あ…シズカちゃん?ゴメン…もしかして寝てたぁ?」
「フ…フミエさん?!」
慌ててドアを開けると、髪を下ろした彼女がたくさんの果物を持って立っていた。
「それ…どうしたの?」
「ファンに貰ったんだけど…良かったら食べないかなぁと思って…。それに…」
「え?」
「さっき、お風呂で…。大丈夫かなぁと思って…。」
「(ドキ!)あ〜。あのさ、ここで話してるのもなんだし、部屋入れば?」
「えっとぉ…。良いの?」
「一緒に食べようよ」
「うん!」
自分でも驚くくらいに饒舌じゃない?!やっぱりお酒の力は凄いわw
フミエさんは私のハイテンションぶりにちょっと驚いたみたいだけど、
ここはお酒の力を借りて、二人の仲を縮めるチャンスよw
「フミエさんも飲む?」
「え…?シズカちゃん一人で飲んでたのぉ?」
「お風呂入ったから喉渇いちゃってw」
「お酒…好きなんだよね?」
「うん!」
「アイスとどっちが好き?w」
「う〜ん。やっぱアイスかな?」
「うふふ。そうだと思ったw」
「わかってて聞いたの〜?ヒドイなぁw」
「だってぇ、シズカちゃんって言ったらアイスでしょw」
「そうだけどwじゃあさ、フミエさんって言ったら何?」
「え〜?何だろう…。」
「彼氏いるの?」
「え…!な、何急にそんな…?え?え?」
「(ヤバイ…調子に乗りすぎたorz )」
「彼氏は〜寂しいけどいないの…。シズカちゃんは?モテるでしょ?」
「え?モテませんよ〜。」
「嘘だぁ!」
「本当に!ってか、彼氏はいないって事は…彼女はいたりなんか…する?」
「えΣ(゚Д゚;)シズカちゃんたらw何言ってんのよぉ。」
「はは…ッ。(ちょっと今引いたよねorz )」
「シズカちゃんは女の子のファンも多いもんね〜。」
「そうかなぁ?」
「女の子に告白された事ある?」
「あ〜。あるけど、全然知らない子とかにだから」
「そうなんだぁ!でも凄いね〜。シズカちゃん綺麗だけど格好良いしね」
「え〜(*´Д`) そんな事…(ちょw嬉しい…)」
「私が見ててそう思うんだから、ファンの子はメロメロになっちゃうよね」
「フミエさんが見て?!(それって…)」
「うん。シズカちゃん格好良いよ♪」
「…。(それって…)」
「ん?どうしたのぉ?」
「え〜と…(今のは…告白と…思っても…?)」
「???」
「フミエさんは、恋人とか…欲しくないの?」
「欲しいけどぉ〜出来ないんだもんorz 」
「出来ない訳ないじゃん!可愛いし」
「え…///」
「あ…(言っちゃった)」
「…。」
「…。」
「誰か良い人いないかなぁ…。」
「え〜と…いることは居るんだけどねぇ…。」
「誰?!」
「忙しくてなかなか会えないけど…メールとかはマメだよ!」
「うんうん!で…?」
「シャイだけど、フミエさんの為なら何でも頑張るし…」
「良いじゃない!歳は?」
「25歳でフミエさんの1個下」
「全然OKじゃない!見た目はどんな感じ?」←かなり食いついてるw
「え〜とぉ…。(私なんですがw)」
「写メとかないのぉ?」
「あのね…。(私ですよ〜って言いたい!)」
「その人彼女いないのぉ?」
「いないいない!フミエさんに一途だもん!」
「どんな人なのかなぁ〜。凄く気になるんだけどw」
あぁ〜。ここで「私なんだけど…」と言っても大丈夫だろうか?
でも…今を逃したら告白のチャンスなんてないよね?!
私はまた冷蔵庫に手を伸ばし、今度はワインを手にした。
【つづく】
つづき遅くなりやした…。
相変わらずヘタレなシズゥになってしまい話が全然進まないorz
づづきはワインの力を借りて…ビシっと…いけるかなぁ(;´∀`)
シズゥかわいすぎる・・・萌え!
お酒の力を借りると大胆になるシズゥかわいい!
ワインで告白しちゃうのか!!ドキドキ
切なくて早く続き読みたいっス!
281 :
『光の庭』:2007/09/20(木) 22:16:26 ID:kHjPKXcV
>>259の続き
―――「、、、雨?、、傘、、持ってきてたかな、、、」
音もしないのに私はふっと目を覚まして窓を見た。
外は暗くてよくわからないが、確かに窓に小さな水滴が無数に張り付いていた。
森は霧雨に隠されていた。時折霧の塊がゆっくりと海の底のように流されていく。
ああ、ここは研究所だったっけ。外なんか出ることないから傘なんて必要ない、、、。
少し汗ばんだ額の髪をかき上げてベッドの灯りを点けた。リストバンドを確認するともう1時を過ぎていた。
軽くシャワーを浴び、パジャマに着替えた後、改めて外を見る。
霧は森から湧いてきて時折渦を巻いていた。粒のひとつひとつは自由に浮遊しているようで、でも全体は龍のようにうねっていた。
まるで外界から閉ざされて彷徨う箱舟に乗っているような気分だった。
282 :
『光の庭』:2007/09/20(木) 22:17:21 ID:kHjPKXcV
「シズカちゃん」
振り向くと彼女が立っていた。
私は自分でも意外なくらい驚かなかった。
「フミエちゃん、来てくれたの?」
私がそう言うと、彼女はにっこりと微笑んでうなづいてくれた。
彼女に意思が伝わるのを感じた私は、それだけで喜びに胸が飛び跳ねてしまいそうだった。
それが自分の夢が作り出したフミエちゃんなのだとしても、、、。
283 :
『光の庭』:2007/09/20(木) 22:20:54 ID:kHjPKXcV
「私、、私ね、フミエちゃんのこと、いつも心の片隅にあったの。でもそれをなんて言っていいかわからなかったの」
私の唇は何かに急き立てられるように、フミエちゃんに懸命に話し始めた。
「周りはいろいろ言うけど、私はフミエちゃんと同じ場所に居ることだけで嬉しかった。
今でも、、、そんな気持ちでいてもいい?そういう気持ちでそばにいてもいい?」
自分でも何を言ってるのかわからない。
フミエちゃんの姿がまた夢に消えないうちに私は彼女に伝えたかった。
わけの分からないまま、胸の奥から熱いものがじわじわと込み上げてきて、瞳から涙が溢れそうになってくる。
感情をコントロールできない子供みたいだと自分でも思いながら。
284 :
『光の庭』:2007/09/20(木) 22:22:52 ID:kHjPKXcV
「うれしい、、、」
ベッドに座った私を優しい目で見つめると、フミエちゃんは細い腕を羽を広げるようにふわりと伸ばし、胸の中に包み込んでくれた。
甘い香りと柔らかで温かい感触、、、。私はそのまま彼女の胸に溶けていきたかった。
「シズカちゃん、私と一緒に来てくれる?」
私は頷き、彼女に手を引かれながら地面に足のつかないふわふわとした気持ちのまま部屋の外へ出た。
285 :
『光の庭』:2007/09/20(木) 22:25:26 ID:kHjPKXcV
非常灯の灯りが廊下を照らし、ガラス越しに中庭が闇に浮かぶ。
床を氷上を滑るように滑らかに歩いていく彼女に手を引かれて、私は黙ってついて行った。
絡めた指は柔らかくひんやりしていた。
いつのまにか私達はエレベーターに乗り、下の階へ降りていった。
こんな夜中に何処へ行くのかなんて、なんの不安も疑問も持たなかった。
やがて、エレベーターは止まり、ドアが開いてフミエちゃんが歩き出した。
私も彼女について足を踏み出すと、突然現れた真っ白い空間に思わず立ちすくんだ。
「フミエちゃん?」
気がつくと、フミエちゃんの姿はなくなっていた。
286 :
『光の庭』:2007/09/20(木) 22:26:37 ID:kHjPKXcV
慌てて振り返ると、そこはよく知ったエレベーターのドアではなく、ただの白い壁と白いドアだけだった。
ドアの周りには階を表す数字も、操作するボタンも何もない。
確かにこのエレベーターのドアから降りたはずなのに、、!
さっきまでの夢心地の気分からいっぺんに頭が覚めた。
焦った私はドアを叩いたり、壁を押したりしてみた。だけど何の反応もない。
287 :
『光の庭』:2007/09/20(木) 22:28:20 ID:kHjPKXcV
「ここは、いったい何処?」
廊下を見回しても、何の表示もなく、誰の気配もない。
通路は続いていたが、白を基調とした研究所の中でもこの真っ白い空間はなにか異様だった。
私の身体だけが白い紙に貼り付けられたように浮いている。
とにかく、、ここから出なくちゃ、、、。
とりあえず私は通路を進むことにした。
エレベーターはなくとも何処かに階段があるはずだ。
早くここから抜け出したい気持ちと得体の知らない違和感に私の足は中途半端な早歩きで廊下を歩き出していた。
288 :
『光の庭』:2007/09/20(木) 22:29:03 ID:kHjPKXcV
分かれ道にぶつかった。
右も左も真っ白い廊下が続くだけだ。本当にここは何の表示もない。
ここはいったいどんな場所なのか、、、。途方に暮れていると、右の廊下に白い人影が見えた。
私は急いでその人の方へ歩み寄った。
「!、、荒 川さん、、、」
その人は私の気配に気づいて振り向き、驚いた声を上げた。
岡 崎さんだった。
彼女は白衣のようなワンピースを着て、頭に包帯のようなものを巻き、両手首に白いリストバンドをつけ、首にも白いものが巻きついていた。
知った人に会えた私はほっとして近づいていったが、彼女の方は驚きと戸惑いで表情が強張っていた。
岡 崎さんのこんな顔は初めてだった。
>>277 お酒飲んでいつもと違うテンションの二人がいい!
実際二人っきりで飲んだらどうなるのかな〜
想像するとこっちがドキドキしてしまいそうだww
光の庭キターー
あぁいつも続きが楽しみでチェックしてしまいまつ
シズゥのハム式見るとおいすぃ〜もんを目の前にしてはしゃいどるのがカワエエのう。(´∀`)
こほりの上での堂々とした姿とのギャップがたまらん。
百合っぽくないけどよっちゃんと二人で丼前によだれ垂らしてる姿を想像したらますますカバエエよ。ハァハァ
>>277さん281さん
投下ありがとーございます。GJ!!!
鼻血出しちゃうシズゥ、ミステリアスな展開にはまっていくシズゥどっちも楽しみです!
続きが気になってねむれ茄子
SSドキドキしながら読んでまつ
夢のフミィと本物のフミィ一緒に現れることはあるのかな
これからの展開にwktkです
295 :
『光の庭』:2007/09/28(金) 22:35:55 ID:9+Da7jtk
>>288の続き
「、、、どうしてここに、、、」
ようやく彼女は口を開いたが、まだ信じられないといった顔で私を頭から爪先まで見ていた。
「あ、あの、、、フミエちゃんがここまでついて来てって、、」
岡 崎さんの様子に私の方も困惑して、ついさっきまで見ていた夢のことを口にしてしまった。
「―――村 主さんが?」
岡 崎さんの瞳の奥が鋭く光り、さっと顔色を変えて私を見つめ返した。
白刃を突き立てられたような迫力に思わず後ずさりすると、彼女は目を伏せ静かに顔を傾けた。
「でも、、村 主さんは明日にならないと来ないんじゃなかったの?」
「そう、、なんですけど、、」
私は答えに詰まってそれ以上何も言えなかった。
296 :
『光の庭』:2007/09/28(金) 22:36:42 ID:9+Da7jtk
「、、、、じゃあ、夢でも見ちゃったのかな」
しばらくの沈黙の後、ふっと息をついて腰に手を当てると岡 崎さんは本当の迷子に話しかけるように笑みを浮かべた。
あ、と自分の姿を見ると、ピンクのパジャマに裸足のまま、髪の毛もボサボサ、、。
この格好じゃあ、夢遊病と思われても仕方がない。
私は恥かしくなって頭に血が昇り、足の指をぎゅっと丸めて身を縮めた。
ただ、バスルームから出てつけた覚えがないのに、赤いリストバンドは私の左手首にちゃんとついていた。
「す、すみません。私きっと寝ぼけちゃったんです」
ドキドキしながら岡 崎さんの顔を窺うと、彼女は優しく頷いて目を細めた。
297 :
『光の庭』:2007/09/28(金) 22:37:35 ID:9+Da7jtk
「帰り道、、、わかんないよね?」
「はい」
「じゃ、ついてきて」
岡 崎さんは何事もなかったように手招きをして、廊下を歩き出した。
よく見ると頭に巻かれたのは包帯ではなく、白いヘアバンドになっていた。
首許もチョーカーのようになっていて、それぞれ小さな装置がついている。
リストバンドと同じ計測器のようなものなのかな、、。
298 :
『光の庭』:2007/09/28(金) 22:38:25 ID:9+Da7jtk
「岡 崎さんはここで何をしているんですか?」
「まあ、ね、いろいろ、、、」
「こんな真夜中にですか?」
「ん、、一日のいろんなデータを取らなきゃならなくてね、まあ、いろいろと、、」
私はつい気が緩んで話しかけてしまったが、岡 崎さんは曖昧な返事をして、ちょっと顔を曇らせた。
こんな所で年下の私がいろいろと質問するのは軽率で失礼だった、、、と自分の迂闊さに反省した。
299 :
『光の庭』:2007/09/28(金) 22:39:34 ID:9+Da7jtk
「―――ア、ラカワ、、シズ、、カ、、!」
突然息が詰まるような声で呼ばれ、顔を上げると今度は右の通路の隅に大 菅さんの姿が見えた。
まるで幽霊でも見たように、さっきの岡 崎さんよりさらに色を失った表情をしている。
そして彼女も同じ服装をして、ヘアバンドとチョーカーのようなものをして立ちすくんでいた。
「どうやら迷子になっちゃったらしくてね」
私が何も言えないでいると、代わりに岡 崎さんが落ち着いた声で答えてくれた。
300 :
『光の庭』:2007/09/28(金) 22:40:25 ID:9+Da7jtk
「迷子、、ですか、、?」
大 菅さんは眉をひそめ固い表情のまま、こっちに近づいてきた。
「今日は、私達だけだと聞いていますけど」
そして私を一瞥もせず、声を落として岡 崎さんの肩に顔を寄せた。
「ああ悪い、大 菅、私ちょっと時間なんだ。荒 川さんを出口のエレベーターまで案内してあげて」
岡 崎さんはそんな大 菅さんを落ち着かせるように背中を叩き、リストバンドを見るとゴメンと手を合わせて囁いた。
301 :
『光の庭』:2007/09/28(金) 22:41:28 ID:9+Da7jtk
「、、、、勝手にいいんですか」
「ま、だからこっそりとだよ」
怪訝そうな彼女に何か耳打ちをすると、大 菅さんは神妙に二、三度頷いてから私の方へ向き直った。
「頼むよ」
「わかりました」
岡 崎さんは私に向って大丈夫だから、と言う顔をして、もう一度念を押すように大 菅さんの肩を撫で、
軽く手を振り、足早に廊下の奥へ去っていった。
白い空間に溶け込んでいくように白い服を着た彼女の姿が消えていった。
残された私は、その場を動くことができなかった。
「こっちへ」
大 菅さんの呼ぶ声にはっとして、いつのまにか歩き出していた彼女の後を慌てて追いかけた。
302 :
『光の庭』:2007/09/28(金) 22:42:21 ID:9+Da7jtk
「、、、ごめんなさい。迷惑かけたみたいで、、」
しばらくは無言でついていったが、迷惑をかけているのは確実だったので私は小さく頭を下げた。
しかし彼女は唇を引き結び、緊張した顔のまま歩くのを止めない。
昼間の明るい笑顔を忘れてしまいそうな程、冷たく別人のような横顔だった。
大 菅さんの足音が止み、気づいた私も慌てて立ち止まった。
「靴、、、」
独り言のようにつぶやくと、彼女は私の足元をちらりと見やり、おもむろに自分の履いていた靴を脱ぎだした。
「足が、、冷えますからこれを履いてください。サイズが合うかどうかわからないけど」
大 菅さんは、屈みながらそれを差し出してくれた。
303 :
『光の庭』:2007/09/28(金) 22:43:23 ID:9+Da7jtk
「あ、あの、私は大丈夫です。それより大 菅さんが裸足になっちゃうじゃないですか」
「私はすぐに替えの靴を履きますから大丈夫です。岡 崎さんに無事あなたを届けるよう言われてますから」
抑揚のない声のまま彼女は膝をつき、そっと私の踵に手を触れた。
恥かしかったけれど、なんだか断れずにそのまま子供みたいに靴を履かせてもらってしまった。
それはよくあるルームシューズのような形で、不織布のような柔らかい素材で出来ていて軽かった。
「これ、使い捨ての靴なんです。履いたばかりだからそんなに汚れてないと思うけど」
「あ、ありがとう、、」
彼女は目を合わせずに言い、私も大 菅さんの素足に綺麗に塗られたペディキュアを見つめながら小さく頭を下げた。
素っ気ない態度と壊れ物を扱うような丁寧な物腰と、、、。
私はその奇妙なギャップに戸惑いを感じた。
304 :
『光の庭』:2007/09/28(金) 22:44:15 ID:9+Da7jtk
「、、、それにしても、、どうやってここに来られたんですか?ここは普通の通路では来られないし、パスがないと入れないはずなんですよ」
少し間をおいてから大 菅さんは前を向いたまま小声で言った。
何か、、、厳重な機密がここにはあるようだった。
同じサポートプロジェクトのアスリートとは言え許可されていない以上、ここでは私は来てはいけない部外者なのだ。
私は、スパイか何かに間違われてしまったのだろうか。
「それが、、いろいろ迷ってるうちにここへ来ちゃって、、、、」
まさかフミエちゃんについて来た、とは今の大 菅さんには言えなかった。
305 :
『光の庭』:2007/09/28(金) 22:45:07 ID:9+Da7jtk
「岡 崎さん以外に誰か会いましたか?」
「ううん、エレベーター降りたら真っ白い壁ばっかりで、、おろおろしてたら丁度岡 崎さんに会って、、」
「そうですか、、」
二人以外に誰にも会っていない、とわかると大 菅さんはすとんと肩を落とし、ようやくちらっと私を見てくれた。
表情は固いままだったが、さっきまでの刺々しい顔つきは薄れていた。
彼女の態度は自分達の機密が洩れるかもしれないと言う危惧ではなく、私が咎められることを心配してくれているのだと直感した。
306 :
『光の庭』:2007/09/28(金) 22:46:20 ID:9+Da7jtk
何の表示もない真っ白い廊下を迷いもせず彼女は歩いていった。
警戒心が幾分無くなったことに私も少し緊張が薄れ、改めて彼女の後姿を観察した。
白いワンピースだと思った服は後ろが紐になっていて首のところから腰の辺りまでいくつか結ばれていた。
割烹着みたいだな、と思った瞬間、結ばれた紐の間から彼女の背中とお尻の上部の白い肌がちらりと見えてどきっとした。
岡 崎さんと同じく、北海道生まれという彼女は出ている部分より背中も腰も白かった。
それより、、、下着を着ている気配がない。
この白衣の下は、裸なのだ。
裸で行う、特別な計測、と言う、いつだったか彼女達が話してくれたことを思い出した。
そしてこんな真夜中に秘密裡で行われている実験、、、、。
ヘアバンドやチョーカーについた機械の小さな光が時々瞬いている。
307 :
『光の庭』:2007/09/28(金) 22:47:04 ID:9+Da7jtk
ここにいる大 菅さんは、、―――本物の大 菅さんなのだろうか。
よっちゃんが冗談で言っていた幽霊やクローン人間やサイボーグなんて可笑しな考えが頭に浮かんできてしまった。
まさか、、とは思うけど喉がはりつき、指先が冷たくなってくる。
私は自分の赤いリストバンドに目を落とした。
液晶に心拍数を示すハートマークは平静時よりかなり早く点滅している。
長くなりましてすみません
やっと中盤になってきたかなww
もう少しお付き合いください
昨日職場であちゃひ新聞読んでたら、シズゥの愛犬が載ってました
かわいい〜!
シズゥもこの子たちを養っていかなくちゃみたいなこと言ってて
シズゥに溺愛されてる二匹がうらやましかったっす〜!!
>>308 長編乙です!かなり読み応えあって、毎回ドキドキしながら読んでまつw
つづきはマターリ待ってます( ´・ω・`)_且~~
>>308 投下お待ちしてますた!
ますますミステリアスになってきましたね。
鍵を握る姐さんとO菅タン…。
シズゥとフミィはどうなっちゃうのかドキドキしてまつ。
シズフミでケコーンすりゃいいのに
壮観'sジェネレータをやってみたら
シズゥとフミィはコンビになってしまった。何コンビ?w
他にはonちゃんとユカリソは元恋人
onちゃんとフミィはコスプレ仲間…汗
なんのコスプレしてんのか見てみたいwww
もうすぐ日※対抗ですなぁ
久しぶりにフミィの演技が見られるのはもちろん
シズゥがどんなコメントするのか楽しみ!
インタビューとかあるといいけど…ひそかに萌えてます
314 :
『光の庭』:2007/10/03(水) 00:09:38 ID:oZWhlg4s
>>307の続き
そんなことを想像しているなんて、彼女は思ってもみないだろう。
廊下を曲がる度に、大 菅さんはさりげなく私の方を振り返るようになった。
おそらく私が再び迷子にならないように。
そんな彼女のさらさらと揺れる髪や、耳にあるいくつかのピアスの跡がすぐ後ろにいる私の目に入った。
トレーニングで日に焼けたのか、服から伸びた腕は外側が赤い。
315 :
『光の庭』:2007/10/03(水) 00:10:19 ID:oZWhlg4s
「ここが、他の階に行けるエレベーターです」
彼女は廊下の隅で立ち止まった。壁の一部がドアのようになっている。
それはさっき私が降りたエレベーターと見た目は同じで階の表示もボタンもなかった。
「さっきのエレベーターと同じ?」
「さっき、、、?ああ、あれはここへ来るだけのエレベーターですよ。ここでは降車用と乗車用は別だから」
そう言った後、大 菅さんはあっと言う顔で口に手を当てた。
「あ、ありがとう。余計なこと聞いてごめんなさい」
私がそう言うと、彼女は決まり悪そうに眉を下げ、ちょっとだけ唇の端に微笑みを浮かべた。
部外者の私にも思わず丁寧に答えてしまった彼女は、―――ロボットでも、幽霊でもない。
316 :
『光の庭』:2007/10/03(水) 00:11:00 ID:oZWhlg4s
でもそれは一瞬で、大 菅さんは自戒するようにきっと顔を引き締め、ドアの横の壁にそっと手を当てた。
するとボタンも何もない白い大理石の壁が内部から緑色に柔かな光を放った。
どんな仕掛けになっているか不思議に思っていると、彼女はそのままドアの方へ向き直った。
しばらくして上部の壁も白く点滅して、音もなくドアが開いた。
317 :
『光の庭』:2007/10/03(水) 00:12:31 ID:oZWhlg4s
「、、、、ここに来たことは誰にも言わない方がいいです。その靴は部屋の外のゴミ箱に捨ててください」
大 菅さんは手でドアを押さえながら、私を見据えて迫るような低い声で言った。
私も無言で頷いた。
「、、これで他の階に行けますから」
私に乗るように促すと後からついてきて5階のボタンを押してくれた。
「じゃあ、また明日」
そして軽く一礼をして、彼女はエレベーターから降りた。
締まりかけたドア越しに見た大 菅さんは安堵したような微笑みを浮かべて、私に小さく手を振った。
318 :
『光の庭』:2007/10/03(水) 00:13:12 ID:oZWhlg4s
目の前のドアが閉まり視界から彼女の姿が消え、エレベーターはゆっくりと動き始めた。
上昇する重力を感じる。
エレベーターの内部はいつも乗っているのと一見変わった所はなさそうだった。
フロア表示も階を示すデジタル文字も、、、ここで何基か乗ったエレベーターと同じだ。
やがて1階を過ぎ、2階、3階、、、5階に着いてドアが開いた。
降りようと一歩を踏み出した時、私ははっと思いついてもう一度エレベーターに戻り、地下2階のボタンを押した。
ドアが誰も降ろさずに閉まると、今度はぐんぐんと下降する重力を感じた。
私の心臓が締め付けられてドキドキする。
地下2階に着き、私は息を飲み込んで『開』のボタンを押したまま身を乗り出して外の様子を窺った。
319 :
『光の庭』:2007/10/03(水) 00:13:57 ID:oZWhlg4s
そこには白い廊下が続いていたが、さっきとは雰囲気がちがっていた。
あちこちに扉があるし、実験場へ続く案内も貼られていた。
初日に案内されたフロアだ。この階ではなかった、、、。
私はもう一度エレベーターに乗り、今度は地下1階のボタンを押した。
この階は資料室、機械室になっていて私達は案内されていない、、、。この階だったのか。
すぐにエレベーターが止まり、私はまた息を潜め、『開』のボタンを押して外の様子を覗いた。
この階は白い大理石の壁ではなく、普通の白いペンキで塗られた壁になっていた。
何か、機械や装置を表す記号や数字が所々に書いてある。
やっぱり、機械室か、、。当然、ここのフロアでもない。
320 :
『光の庭』:2007/10/03(水) 00:14:39 ID:oZWhlg4s
私はため息をついて、エレベーターに戻り、壁に寄りかかった。
好奇心はあったが、あの空間に戻ることがなくて、どこかほっとしていた。
多分、あのフロアは地下にあるはずなのだが、普通のエレベーターでは行かれないし、行くとしても大 菅さんの言ったとおり
何かパスのような物や特別な操作をしないと、たどり着けないようになっているのだ。
表示もされていない、秘密のフロア、、、、。
私達フィギュアスケーターには関係のない特別な実験をしているのだろうか。
エレベーターは1階に着き、ドアが開いたので、私は何の気もなしに降りてしまった。
321 :
『光の庭』:2007/10/03(水) 00:15:20 ID:oZWhlg4s
目の前にはあの中庭が見えた。
真夜中というのに何故か明るい。
ガラスの側に寄って見上げると、天蓋が開いていて、満月の光がちょうど真上から降り注いでいた。
もう、霧雨は晴れたんだ。月の光って、こんなに明るいんだ、、、。
風の気配を感じて歩いていくと、なんと中庭に出るドアが開いていた。
私は心地よい風に当りたくて、すんなりと中庭へ入ってしまった。
月の光に照らされて、昼間生き生きとしていた緑の葉は夜は幻想的な青白い雫を纏い、私の周りでかすかに揺れていた。
、、、フミエちゃんは、、何故私を連れて行ったのだろう、、。
手のひらに降り注ぐ光を受け止めながら、私はさっきまでのことを思い返していた。
322 :
『光の庭』:2007/10/03(水) 00:16:13 ID:oZWhlg4s
今のもまさか、、夢、、?
でも、、、確かにあのフミエちゃんに連れられてあそこへたどり着いた。夢ではない。
こうしていてもはっきりと二人の姿が思い出せる。そして私の足は見たことのない柔かなシューズを履いている。
多分、岡 崎さんも大 菅さんも今夜のことは知らないふりをするだろう。
ただ、あの時、フミエちゃんの名前を聞いた時の岡 崎さんの表情が気になった。
彼女は何かを知っている、、。
でもそれを絶対に言うことはないと、わかっている。それにはどんな意味があるのだろう。
明日は本物のフミエちゃんが来る日だ。
もう、あんな夢を見ることもない、、、。なんとなくそんな気がした。
考えても考えても納得する答えを見つけられそうもない。
少し冷えてきた自分の肩を抱いて、私は中庭を後にした。
323 :
『光の庭』:2007/10/03(水) 00:16:58 ID:oZWhlg4s
―――『フィギュアでは荒 川さんだけです』
重いガラスのドアに手をかけた時、不意にあの時の所長の言葉が頭をかすめた。
フィギュアでは、と所長は言った。
では、他の競技では?フィギュアより前からここ来ていたという、ジャンプやスピードの選手達は?
もしかしたら、あのフロアで岡 崎さん達がしていたのは、、、例のプロジェクト、、?
いろいろな事が私の頭を電流のように一気に駆け巡り、胸の鼓動が急激に早く鳴り始めた。
フミエちゃんが私をあの場所に呼んだのは、アナザープロジェクトに参加させたいからなのか―――!
私の全身の産毛が逆立った。
324 :
『光の庭』:2007/10/03(水) 00:17:39 ID:oZWhlg4s
5
階に戻り、私は暗いラウンジのサーバーで水を飲んだ。
冷たい感覚が喉から胸へ落ちていく。私の身体はまだ脈を早く打ちながら、肩を上下に揺らしている。
窓には絵画のように静かな夜の森が張り付いていた。
爪先に自然と力が入った。見えないこの地下に何かがある。
何かがこの足の下で、、、。そして足には大 菅さんが履かせてくれた柔らかな靴。
私は彼女に言われたとおり、その靴を脱ぎ、廊下の隅のゴミ箱に落とした。
325 :
『光の庭』:2007/10/03(水) 00:18:20 ID:oZWhlg4s
部屋に帰ってベッドに潜り込んだが、とても眠れそうにない。
誰にも言えない、聞くことが出来ない。
明日来るフミエちゃんにも当然言えないことだった。
確かめるには、アナザープロジェクトへ参加するしかないだろう。
アスリートの為のプロジェクトなのだから、私の身体が危険に晒されることなんてないはずだ。
けれど、無意識の自分が、あれにかかわるなと警告している気がする。
あの夢の中の森の闇のように何かに囚われてしまうのだろうか。
326 :
『光の庭』:2007/10/03(水) 00:19:01 ID:oZWhlg4s
夢―――
そうだ、あれは私が勝手に見た夢のはずだった。
だって本当のフミエちゃんはここにはいないはずなんだから、、、。
きっと偶然だ。偶然、私があんな所に迷い込んでしまっただけ。
私はそう、思い込むことにして私はぎゅっと枕を抱きしめた。
ドキドキ・・・
しーふみ抜きにして普通の読み物としても十分楽しめますよ〜
ミステリアスで先が読めません
続き超期待
本当にこの先どうなることやら…
光の庭は萌え抜きでも全然おkだね。毎回つづきを楽しみにしておりますw
というか、自分も荒村のつづき書かないと… 全然進みませぬorz
誰か助けて〜!!
長編GJですよーーー!
荒村じゃないけどO菅タンがひざまづいてシズゥの裸足に靴はかせてる図に萌えたっ!
シズゥとフミィはどーなるのか楽しみです!
もうひとつの荒村作者様もマターリ待ってます
日※で萌えポイントためて下さいwww
今日の放送録画失敗したorz
帰宅したのが8時過ぎだったから、最初の方わからないんだけど
シズゥがフミィにコメントとかあった?
後、フラガールにユカリン出てたなwマジ似てる
シズゥったらフミィに特にコメントありませんでした
もうっ恥ずかしがりやさんなんだから!!w
それにしても日本勢は転倒が多くて冷や冷やした
シーズン初めなんでやっぱり怪我が心配だょ
特に幹ちゃん・・・大丈夫かな〜どうしても女王として注目されちゃうから大変だと思うけど
今シーズンもいろんなことに挑戦して欲しいな
セクスィー路線はひそかに楽しみ!
最近、萌えるネタが少なすぎる・・・
そろそろ皆さんシーズン本番だからTVとか出てる暇ないんだろうな〜orz
とりあえずテツ子の部屋のシズゥが楽しみw
333 :
『光の庭』:2007/10/11(木) 23:16:15 ID:jKqXv9Vf
>>326の続き
枕に顔をうずめたまま、朝を迎えてしまった。結局気持ちが高ぶって殆ど眠れなかった。
でも幸いなことに今日のスケジュールは比較的体力を使わない講義中心のものだ。
何とか気持ちを切り替えて、明日からのリンクに臨まないと、、、。
でも、考えれば考えるほど、私の頭の中は混乱していた。
このまま知らないままでここを去って行くのがいいのか。それとも未知のプロジェクトに参加して心に引っかかった謎を解くべきなのか。
、、、、フミエちゃんとアナザープロジェクト。
ただの気のせいかもしれないものに、どうして私は翻弄されているんだろう。
頭はもやもやしているのに胸はどきどきしていた。
アンバランスな頭と体を引きずるようにして食堂に向かった。
いつものテーブルにはすでにマイとミキとユカリちゃんが居て、もう朝食を食べていた。
334 :
『光の庭』:2007/10/11(木) 23:16:59 ID:jKqXv9Vf
「あー、しーちゃん、おはよーーー!」
朝から明るいミキの声を聞くと体がほっとして自然に顔がほころぶ。
ミキは人を元気にさせる才能があるみたいだ、と改めて感心して感謝した。
「ここでこうして朝ごはん食べるのも最後ね」
「よっちゃんはもう滑り終わったかな」
「フミエさん何時頃来るのかなぁ」
たわいもないおしゃべりと笑顔の輪の中に、私もトレーを持ってきて加わった。
けれども皆に囲まれながら、話の内容も食事の味もうわの空だった。
335 :
『光の庭』:2007/10/11(木) 23:18:22 ID:jKqXv9Vf
「ねえ、しーちゃん、なんかぼーっとしてるよ」
ミキの声に気がつくと、スプーンは空中に止まったまま、掬ったスープがぽたぽたとこぼれていた。
「あ、ああ、なんだか昨日眠れなくって」
思わず考えていた事が口をついて出てしまった。
「やだなぁ〜、しーちゃん、フミエさんと二人っきりになるからって緊張しちゃってるんじゃない」
「そんなことないって」
私は力なくスプーンを振った。
そうだ、今日はフミエちゃんもここに来るんだった、、、。
緊張どころか私は他人事のようにそれをぼんやりと思い返していた。
336 :
『光の庭』:2007/10/11(木) 23:19:08 ID:jKqXv9Vf
「ほら、しーちゃん、ほっぺたにジャムがついてるよ」
横にいたミキの手が伸びて、世話を焼くおかあさんのように私の唇の横を紙ナプキンでごしごしと擦った。
「ほんとに、しーちゃんったら考え事始めちゃうとお子ちゃまみたいになっちゃうんだから」
そして、ジャムのついたナプキンを丁寧にたたんでから私を覗き込んだ。
「しーちゃんってさ、普段はすっごくフツーだよね」
ミキは大きな瞳で私を観察するようにじーっと見つめてしばらくしてから呟いた。
「試合中はオーラがすごいけど、普段はごくフツーの女の子、、いやいや綺麗なお姉さんって感じ」
「な、なによ、そんな急に」
「でも、オリン ピックの金メダリスト。世界で一番美しいスケーターなんだよね」
337 :
『光の庭』:2007/10/11(木) 23:19:50 ID:jKqXv9Vf
突然ミキは私に向かってこんなことを言う。
話の流れとは関係なく唐突でびっくりするけど、まあ、そこが率直で無邪気なミキらしい所だ。
「ミキだって金メダリストじゃない」
「オリン ピックは全然違うよ。今でも自分があの場にいたなんて信じらんない。
でもしーちゃんとフミエさんはオリン ピックのリンクに居るのが当たり前のように自然に見えたよ」
試合のリンクに2人がいるのが当たり前で自然、、、。ミキは本当に時々面白いことを言う。
どちらかと言うといつも張り詰めた感じがするのだけど、、、でもあの距離感は実は嫌ではなかった。
彼女に見つめられると、彼女を見つめていると、足元から感じる氷の冷たさとは逆に私の身体にはふつふつと熱い血が沸き起こってくる。
敵対心とも違うあれは不思議な感覚、、、。
競技を離れている私の頭に、一瞬過去が蘇ってきて胸がドキドキした。
338 :
『光の庭』:2007/10/11(木) 23:20:54 ID:jKqXv9Vf
「しーちゃんはいつあのリンクで滑るの?」
マイに尋ねられて私ははっと我に返った。
「あ、えーと、確か明日から。今日は日頃の食事の管理とかの講義だったかな」
「ふふふ、プロも体調管理が大変だもんね」
「アイスクリーム食べ過ぎないようにとか、アイスクリーム食べ過ぎないようにとか〜?」
ミキがにじり寄ってきて、いたずらっぽい目をして私の肩に顎を乗せた。
「現役のミキちゃんはもっと我慢しなくちゃでしょ〜。
アイスクリーム食べ過ぎないようにとかケーキ食べ過ぎないようにとか焼肉食べ過ぎないよーにとか」
頬っぺたを突っつくとミキは「しーちゃんの意地悪〜、そんなこと言うとまた食べたくなっちゃうじゃん!」とふくれた。
339 :
『光の庭』:2007/10/11(木) 23:22:02 ID:jKqXv9Vf
笑顔で朝食を終えると現役の選手たちは自分のスケジュールのために散らばって行った。
私はその背中を見送ってから紅茶を飲み、ゆっくりと食堂を後にした。
一人机を前に講義を受けながら、ぼんやりと考えていた。
もし岡 崎さん達と会ったらどんな顔をすればいいんだろう、、、。
そんな調子でずっと落ち着かなかったけれど、廊下でも彼女達を見かけることはなかった。
午前中の講義を終えて、部屋の外に出てるとなんだか暗い。
時刻はもうすぐお昼になろうとしているのに、灰色に暗く覆われた空の色がガラスの向こうの遠くまで広がっていた。
ガラス窓にいくつもの雫が流れていた。昨日の霧雨とは違ってはっきりとした大粒の雨。
私はもらったプリントを抱えて自分の部屋へと歩いて行った。
すると柱の向こうから女の子の話し声が聞こえてきた。
その中の一人の楽しそうな声は私の耳に真っ直ぐに届いてくる。
340 :
『光の庭』:2007/10/11(木) 23:22:46 ID:jKqXv9Vf
フミエちゃんの声だ―――。
思わず走り寄りそうになりながら、私は彼女が他の誰かと談笑をしているのに気づき、足を止めた。
トレーニングウエア姿の岡 崎さんと大 菅さんが、フミエちゃんを囲んで楽しそうに歩いていた。
隙間から見えるフミエちゃんは今まで見たことのない笑顔でしゃべっている。
そういえばフミエちゃんって他の競技の友達が多かったな、、と改めて思い出した。
確かに私よりもあの2人のことをフミエちゃんは良く知っている。
久しぶりに会えて真っ先に話しかけたいと思い込んでいた私は、なんだか3人の間に割って入ることができなかった。
2人の話しかけている表情は自然で楽しそうで、それに頷くフミエちゃんの顔も生き生きとしていた。
341 :
『光の庭』:2007/10/11(木) 23:23:30 ID:jKqXv9Vf
「あー、そう言えばこの間の大会の写真持ってきたんだよ、見る?」
「うん、見たいな」
「後で部屋に来て。もう中 野さんには見せたんだ」
「はっはっはー、あれねー、大 菅のすごいでっかい口」
「あの後食べ過ぎて気持ち悪くなっちゃったんだよね、ははは」
「いろいろ大変だったけどねぇ、ああいう大会はいろんな競技の人に会えるからいい思い出だよね」
楽しそうな3人を見ているだけで、なんだか胸の奥がちりちりと焼きつきそうだった。
これは私の子供っぽいジェラシーなのか。
これじゃ、よっちゃんと同じ、、、と自分でもわかっているのに、心に黒い雲がかかったようになる。
342 :
『光の庭』:2007/10/11(木) 23:24:59 ID:jKqXv9Vf
「あ、シズカちゃん!」
私に気づいたフミエちゃんがこっちを向いて大きく手を振った。
続いて岡 崎さんと大 菅さんが同時に振り返った。
瞬間、2人が突き刺すような視線を投げた気がして、私は強張った笑顔を作りながら、3人の方へ歩み寄った。
「すっごく久しぶり。みんな元気だった?」
私を見上げる黒い瞳には屈託がない。昨日帰国したばかりのはずなのにフミエちゃんは疲れを見せずに微笑んでいた。
「うん、みんなフミエちゃんに会いたがってたよ」
「でも今日でみんな帰っちゃうんでしょ。すれ違いなんて私ったら運がないよ」
「うん、でも私はもう少しいるから」
「ああ、なら良かった。岡 崎さんもサユリちゃんもいるし寂しくないな」
フミエちゃんからはどことなくひんやりとした外の空気の匂いがした。
そしてその柔らかい雰囲気が懐かしくて私はしばらく彼女の顔を見つめていた。
343 :
『光の庭』:2007/10/11(木) 23:26:01 ID:jKqXv9Vf
「荒 川さん、『村 主さんがここに来るのは初めて』なんですって」
不意に岡 崎さんの言葉が私の横から飛び込んできた。
「ああ、でもだいぶ前にねぇ、ヨシエちゃん達と体力測定で来たんだけど、、建物とか変わっちゃったみたいね」
フミエちゃんはその言葉に素直に頷いて不思議そうに辺りを見回した。
そうだ、初めてここに来た時、よっちゃんもそんなことを言っていた。
「そうかもね、だから『ここの事は村 主さんは全然知らない』んだよね」
「そうなの、さっきいろいろ説明してもらったんだけど迷子になりそう」
フミエちゃんはあどけない顔をして眉を下げて笑うだけだったが、岡 崎さんの言葉はひとつひとつ私を牽制してくるようだった。
344 :
『光の庭』:2007/10/11(木) 23:26:56 ID:jKqXv9Vf
「日本に来たばっかりでここに来て疲れたでしょ。荷物を置きに行こ」
大 菅さんがそう言って持っていたフミエちゃんのバッグをちらっと見せた。
「ああ、ゴメンね、サユリちゃんに私のバッグ持たせたままで」
「いいって。部屋まで持って行ってあげるよ」
「ありがと。じゃ、シズカちゃん、また後でね」
そう言ってにっこり微笑むとフミエちゃんは見慣れないマスコットのついたキャリーを引いて、大 菅さんと廊下を歩いて行った。
345 :
『光の庭』:2007/10/11(木) 23:27:44 ID:jKqXv9Vf
「荒 川さん、、、今言ったことは本当だ。あなたは昨日夢を見たんだろうね」
ぼうっと2人の後姿を見つめていた私のすぐ傍に、いつのまにか岡 崎さんが来て静かに言った。
「そして大 菅も私も多分、夢を見たんだろう」
岡 崎さんの視線は私より低いところにあるはずなのに、言葉は大きな影になって私の胸に圧し掛かってきた。
それは、はっきりと私との間に見えない境界線を引こうとしている。
それだけではない、フミエちゃんと私との間にも、、、、。
346 :
『光の庭』:2007/10/11(木) 23:28:25 ID:jKqXv9Vf
私の身体の奥から何かが込み上げてくる。それはマグマのように熱くて炭火のようにじわじわと私の胸を焦がしていた。
まるで岡 崎さん達は手品師のように黒い布でフミエちゃんを私から隠そうとしている気がした。
「岡 崎さん、あなたは何をご存知なんですか。何かを隠してる」
私の心の中は彼女を問い詰めようとして叫び出しそうだった。その相手が十も年上で尊敬している人でも。
冷静になろうとして掌を握り締めて岡 崎さんの顔を見据えたけれど、声は小さくかすかに震えていた。
347 :
名無しさん@秘密の花園:2007/10/11(木) 23:34:15 ID:jKqXv9Vf
>>332 シズゥがテシコの部屋にでるんだね!
テシコが暴走して萌えネタ引き出してくれるといいよねw
今の時期はみんなトレーニングしてるんだろうね
フィギュア組も日※戦のミスの修正したりして忙しそうだよね〜
それまで萌え妄想をどんどん膨らましておくんだ!!!
ごめんageてしまったorz
>>347 とうとうフミィが研究所にやってきましたか!
姐さんたちの謎な発言が気になる…。
透過GJっすーー!!
なんかdkdkしてきた。シズゥとフミィはどーなるの?!
続きも待ってまつ。
テシ子は興奮すると暴走するからなあ・・・萌ネタ期待だw
シズゥがわんこ連れてきて親バカぶりを見せてくれたらいいな〜。
Jヌポ見ますた!女の子組のやりとりがなんかカワユス
まおまおと幹ちゃんが無邪気にクマークマーで盛り上がってて試合中とは全然違う表情がえかった
こんな二人をシズゥとフミィが「しょーがないわねぇ〜」って感じで見守ってたらイイ!
352 :
『光の庭』:2007/10/20(土) 23:03:07 ID:rSYk12g6
>>346の続き
岡 崎さんは黙って私を見据えたままだった。動揺もせず、私がもっと問い詰めてくるのを待っているように。
「アナザープロジェクトとは、、、いったいなんですか」
頬に血が上っているのがわかる。でも彼女の答えを聞くには冷静さが必要だ。
私は小さく深呼吸をしてもう一度尋ねた。
「それは私より所長に聞いた方がいいでしょう」
それだけ言って、岡 崎さんは体の向きを変えようとした。
「じゃあ、昨日のあの事は、、やっぱり、、、!」
「、、、誘導尋問に引っかかっちゃったかな。じゃあまた後で」
追いすがる私に、岡 崎さんは口角をきゅっと上げ、余裕のある顔を見せて立ち去った。
353 :
『光の庭』:2007/10/20(土) 23:04:01 ID:rSYk12g6
アナザープロジェクトもそうだけど、私はフミエちゃんのことを聞きたかった。
けれども私はそれ以上岡 崎さんに聞くことはできなかった。
多分、私が聞きたいことを彼女を分かっている筈だ。
そうでなければわざわざフミエちゃんのいる前で私にあんな言葉を投げないだろう。
354 :
『光の庭』:2007/10/20(土) 23:04:43 ID:rSYk12g6
フィギュアでは私だけというアナザープロジェクト。
そのアナザープロジェクトにすでに参加している彼女達とフミエちゃんの関係、、、。
自分だけが見た幻影だと思っていたものが、次第に形を現してゆく。
アナザープロジェクトに参加すれば黒い布の向こうに行けるのだろうか。
そして私の知らなかったフミエちゃんのことがわかるのだろうか。
きっと、大丈夫、何があっても、、、。誰の為でもなく私はつぶやいていた。
355 :
『光の庭』:2007/10/20(土) 23:05:51 ID:rSYk12g6
気持ちは決まった―――。
途端に肩の力が抜けて、腹が減っては戦はできぬ、なんて古めかしい諺まで浮かんできた。
さっきまでのもやもやを振り切りたくて、私は食堂に急いだ。
いつだったか、、、フミエちゃんがこんなことをしてくれた。
あの時、私は原因のわからないスランプに落ち込んでしまって何もしたくない、何も食べたくない、、、と私は部屋に閉じこもっていた。
ミキもユカリちゃんもよっちゃんも心配していたようだけど、見守るだけで私をそっとしておいてくれた。
すると、フミエちゃんが急に部屋に入ってきておむすびを無言でぐいっと私に差し出したのだ。
海外で、お米なんて売ってなさそうな場所なのにどこから持ってきたんだろう、、、。
魔法の様に差し出されたそれを、フミエちゃんのきりっとした顔とを交互に見比べて、私はあっけにとられてしまった。
356 :
『光の庭』:2007/10/20(土) 23:06:33 ID:rSYk12g6
「お米食べるとね、力がつくよ。日本人だもん」
真剣なのかおどけて言っているのか、わからない顔で微笑んで小さなおむすびを私の掌に乗せてくれた。
それはちょっとしょっぱくて、でも優しい懐かしい味がした。
フミエちゃんの前でひたすらおむすびを食べている私、、、。
ひどく落ち込んでいたのに、その状況がなんだか可笑しくて2人で声を立てて笑った。
心の錘が急にぽろぽろと落ちていくように軽くなっていった。
私達はいつもどこかそんな所のある2人だった。遠い空から隕石のように降ってくる彼女。
少し離れた所に居て、いつもは見えないのにフミエちゃんの優しさは突然降ってくる。
今度は見えないフミエちゃんの秘密を私が探しに行くんだ、、、、。
357 :
『光の庭』:2007/10/20(土) 23:07:20 ID:rSYk12g6
食堂では、みんながもう昼食を食べ始めていた。
いつもより、席が一つ多い、、、。フミエちゃんがすっかりみんなと一緒の部屋着に着替えてそこに居た。
「しーちゃん、これで囚人が揃うたで」
よっちゃんが私に向かって手を振った。
「なあに、囚人って」
「いや、ほら、なんかここお揃いの服着て囚人みたいやろ。外にも勝手に出られへんし」
「そ、だから私達囚人なんだって。しかもフミエさんが1号なんだよ」
「そう、まあうちらは無事刑期が済んで今日シャバに出られるんやけど」
「もうやだなぁ、ヨシエちゃんたら〜」
前から横からミキとよっちゃんにからかわれてフミエちゃんはぷっと吹き出して首を振った。
358 :
『光の庭』:2007/10/20(土) 23:09:11 ID:rSYk12g6
「ちゃんとした和食、久しぶりだなあ」
フミエちゃんは和風ランチを目の前にしてすごく嬉しそうだ。
「フミエさん、ここのエビフライおいしいですよぉ、マオのあげます」
「ええ〜、いいわよ、マオちゃん」
「じゃあ、ミキはこのフライドポテトをあげますね。ハーブの味がしてすっごくおいしいの」
「ははは、フミエちゃんすごい盛り合わせになっちゃたね」
「でも今日は夕食抜きだからたくさん食べといた方がいいよ」
「ふふふ、ありがとう。それにしても豪華すぎるわぁ」
フミエちゃんはてんこ盛りのお皿を目の前にして、終始笑顔だった。
和やかな雰囲気の中にも少し張り詰めた自分の気持ちに、私は懐かしさを感じていた。
続きktkr
GJです〜〜!!!
フミィは来週「女神のショウブしょく」と「たいいいいいくの時間」という番組に出るらしいですな。
なにげにTV出たりするから気を抜けないわw
スピン対決楽しみだ!!
投下ありがとうございます!
日々の励みになります!
光の庭様、GJ!
ドキドキシーンとナゴナゴシーンが対照的で毎回楽しく読んでまつ
いよいよ冬ツーズソだね
362 :
『光の庭』:2007/10/24(水) 14:39:58 ID:scKWd8W2
>>358の続き
笑いの絶えない輪の中で、薄いベールのスクリーンを見るように私はみんなの顔を眺めていた。
同じテーブルに居るのに遠く隔たれているように声が遅れて届いてくる。
「じゃあ、しーちゃん、うちら最後のお勤めしに行くわ」
時間をかけた昼食を終えて、最後のスケジュールのためにみんなが席を立ち、私達だけが食堂に残った。
「シズカちゃんは今日はこれから何があるの?」
フミエちゃんはカフェオレを飲みながら、私にゆっくりと話しかけた。
「ん、、これから所長とちょっと話があって、、、」
「ああ、あの背の高い綺麗な人ね」
フミエちゃんはカフェオレのいい香りに包まれて無邪気に微笑んで頷いた。
「、、、?!}
しばらくして彼女は急に驚いた顔で目を丸くした。
「シズカちゃん、、?」
363 :
『光の庭』:2007/10/24(水) 14:41:02 ID:scKWd8W2
はっとすると、自分がフミエちゃんの頬に手を伸ばして触れていたのに気がついた。
「あっ、ごめん、、」
人肌を指先に感じて、びっくりした私は慌てて手を引っ込めた。
すると彼女はくすぐったそうに私が触れていたところを指でなぞってくすくす笑った。
「ふふふ、、突然なにするかと思ったら、、、。私をティラミスちゃんかアロマちゃんと間違えたの?」
あどけない言葉に私は気恥ずかしくなって思わず目を逸らしてしまった。
「いやっ、ほんとに、、ぼーっとしちゃってごめん、、、」
私ったらこんな時になにやってるんだろ、フミエちゃんに変に思われたかな、、、、。
本物の彼女を目の前にしているのに、夢の癖が抜けてないのかも、、。
自分の頬が燃える様に熱くなる。
そんな私の気持ちを知ってか知らずかフミエちゃんは軽く受け流すとそのままのんびりと会話を続けた。
364 :
『光の庭』:2007/10/24(水) 14:41:47 ID:scKWd8W2
「所長のお話が終わったら、また後でね」
廊下の真ん中で私達は別れた。フミエちゃんはさっきのことはまるで気に留めていない様子で手を振った。
後姿が部屋に消えるのを見届けてから、私は歩き出した。
岡 崎さんと、大 菅さんと、、それから吉 井さんもか、、?
そして、アナザープロジェクトとフミエちゃんと、、、私。
昨日の白いフロアのことがちらちらと頭をよぎり、未知のことへ踏み出そうとする緊張が胸を締め付ける。
この間と同じ部屋の前で私は足を止めた。リストバンドを見ると指定された時間より3分ほど早い。
息をつめてノックをすると、中から返事が聞こえた。
切れ切れですみません
おまけに遅筆で、、、、
>>359さん、情報をありがとー
たいいいいいいいいいくの時間、フミィは再来週みたいですね
録画したの見たけど予告だけだった
でもロナウじーにょのちょっとやる気のなさそうなストラックアウト?が笑えた
フミィのスピン対決楽しみ!
女神の〜は今週だね
フミィは何が好きなんだろ
ちなみにこの番組の第一回は姐さんだったな
トムヤムクンだか香辛料が好きとか言ってたっけ
ユカリソも出てて、鳥のようにジャンプ飛びたくて鶏のなんかだったような、、、、
さすがはあすりーとの皆さん、食事には気を使っているんだな〜
哲この部屋見ますた。
シズゥがちょっと緊張気味だったような気もしましたが
哲こがきれい〜、ばーびーみたいとやたら言ってたね。
姐さんの時みたく暴走することはなかったけどw
哲こも少し疲れ気味だったのかしらん。
何気にミキちゃんのこと突っ込んでてシズゥがちょっと戸惑ってたのに萌え
ですた。
今週末からフィギアもヌピードもシーズン本番だぬ。
>>365 女神の〜って全国放送じゃないよね?orz
見たら感想聞かせてくれ!
>>366 今、録画してたテツ子の部屋見終わったw
何か髪の毛が黒いと感じ違うね。喋りも落ち着いた感じだったし
G P Sの解説で今回こそはフミィへ熱いコメントして欲しいな〜
鉄子、シズゥの美しさに感激してたみたいだけど最後、思いっきり幹ちゃんのこと言ってたねw
クールビューチーなお姿におちゃめなネイルがかわいい
姐さんの時もネイル褒めてたけど、シズゥのドーナツやら骨のネイルがめちゃキュートでした!!
>>367 女神〜は豚の角煮がすぐりんの勝負食みたい
豚を食べると調子がいいんだって
角煮とはちょっと意外なきがするけど
あとひじきはほぼ毎日食べるらしい
貧血にならないようにあと鉄分補給は重要らしいです
番組はテレ麻のホムペがあるから見てね
ただ姐さんとユカリソのバックナンバーが見られなくて残念
古い順に消されちゃうみたいなので
>>368 d!豚の角煮か〜。うまいよねw後でHP見てみます。
今夜はゲトスポ!!見れる地域の人はチェックだね
すぴスケ全ぬほん吉井タソ優勝オメ
いんたぶーで「初優勝ですね」と言われて「初優勝ですか〜知らなかったです〜ありがとうございます〜」
と相変わらずほんわかしてて周りからも笑い声がおこったりしてかわいかったっす
姐さんはこんにゃく指輪が飛んでっちゃうと大変!ってことで違う指輪をしていたそうな
バンクーばーまでは別居らしいから、おんにゃの子とももう浮気しほうだ以下ry
シズゥのフミィへの熱烈解説キボン
幹ちゃん、逆転はできなかったけどまずまずの出だしでよかった。
まだシーズン始まったばかりだもんね。徐々に調子を上げてくれそうで楽しみ。
ゲトスポの2人で街を歩いてるのがなんかかわええ(人´∀`)
テレ麻はいろいろ出してくるから要ちぇきだな
明日はフミィのスピン対決・・・どんなことするのかドキドキw
フミィのスピン対決見た!
負けちゃってリベンジしたい〜と悔しがるフミィかわいい!!
あとお姉ちゃんを応援するチカちゃんもちらっと写った。ああ姉妹愛・・・w
しかしこんな勝負も真面目にやるフミィに萌え。
でも30秒スピンしつづけるのも大変なんだな〜〜(@。@)
サイドランプのほのかな灯りが残る。
サユリは隠れるようにベッドに滑り込み、慌てて毛布をかぶった。
ごそごそと鼻の頭まで毛布に隠して、携帯を握りしめ、そっと耳を澄ました。
部屋が暗くなると、耳もとの声に嫌でも集中してしまう。
恥かしいから灯りを消したはずなのに、サユリの身体はますます敏感に反応してしまいそうだった。
毛布にもぐりこんで身体を丸めながらサユリはもぞもぞと腿を擦り合わせていた。
「ふふふ、うんと感じてきた、、?」
「そ、そんなこと、、、、」
「じゃあ、そのまま右手でね、お腹をやさしく撫でるのよ」
左腕で胸を抱きしめたまま、サユリはおずおずと言われたとおりに右手を伸ばした。
トモミの手はいつもやさしく柔らかく自分を愛撫する。それを思い出しながら自分の手を滑らせるとくすぐったいなかにもじんわりとした快感がひろがる。
「あ、あの、、、でもちょっとくすぐったい、、、」
本当はくすぐったい感覚よりも違う感覚をサユリは感じてきたのだが、強がってそう言ってしまう。
このままじゃ、ほんとに感じてしまって、もっといけないことをしてしまいそうになる。
サユリはなんとかこの場面を切り替えようと、受話器に口を向けた。
「あの!」
「なに?」
「あの、私ばっかりずるいじゃないですか!」
「、、、?」
「あ、あの、お、岡 崎さんも、、い、一緒にや、や、やってみてくださいよ!」
そんなことできるわけない、と言うに決まってる。そう思って肩で息をつきながら返事を待っていると
「、、、わかったわ」
妙に色っぽいトモミの声がした。
予想外の反応に驚いてサユリが耳をそば立てていると、受話器の向こうからなにやらするすると衣擦れの音がした。
「私も、、、今パジャマを脱いだから」
低い声でそう言うと、熱のこもったトモミの息遣いが聞こえてきた。
トモミの露わになった下半身を想像してサユリの心臓がドキンと音を立てて鳴った。
ヤ、ヤバイ、、。この状況から逃れようと言ったのに、ますます妖しい状況にはまっていく。
「さっきから、、私も、、なんだか、ヘンなの。熱く、、なってきちゃった、、、」
ちょっと苦しそうなトモミの息がふうっと耳に響いて、驚いたサユリは、んんっと鼻にかかった声を出してしまった。
「サユリも感じてるのね?」
唇を結んで、見えてもいないのにサユリは懸命に首を振った。
腿をぎゅっと閉じ、いつのまにか左手はまた自分の胸をもみしだいていた。
「私も、、、感じてるよ」
ごそごそと何かがうごめく音とトモミの熱い吐息まじりの甘い声。
耳から入る刺激にサユリの身体がどうしようもなく反応しはじめてしまった。
受話器の向こうからまたちゅっと小さなキスの音がした。
「これは、、サユリの首から背中にしてるキス。ほら、だんだんお尻の方に、、」
ちゅっ、ちゅっ、と湿ったキスの音が何度も続く。
サユリは思い出していた。
うなじから背骨をだどっていくあのトモミのキス。
彼女の柔らかい髪がふわふわと同時に背中を撫でて、サユリに痺れるような快感を走らせる。
「あ、、あ、あん、やめてください。だめ」
思い出してはいけない。
声を必死に抑えながら、サユリは受話器に訴えた。
「ねえ、サユリ、いつものように私にキスしてよ。私のここに、、、」
いつものように、、、。
そうだ、こんな風に背中を攻められた後、いつもサユリはトモミの内腿の付け根を軽く噛むようなキスをする。
白くて、逞しくて、滑らかで、愛し合う時は柔らかくなるトモミの腿の内側、、、。
そしてそこに赤く跡をつけると、、、それから、、、。
「、、や、だめです。もう、、、」
その先を想像すると、毛布の中で真っ赤になったサユリは腿を擦り合わせ身を捩っていた。
「うふふ、じゃあ、私の言うとおりに指を動かしてね」
トモミの声は少し優越感を取り戻しているようだった。
「指を、、そのまま下ろして、あそこを下着の上からそっとなぞってみて」
頭の中でその言葉を繰り返すだけで、めちゃめちゃ恥かしい。
けれども、催眠術にかけられたようにサユリの身体は逆らえなかった。
自分の中指がそーっと脚の間に割り入っていく。
「そう、スリットにそって何度も、、」
言われたとおりに指がそこをなぞる。
布越しのもどかしい感触がそこを擦りあげるとびくびくと痺れるような刺激が襲ってくる。
「あ、あっ」
動揺して力が入ってしまうと、一番敏感な部分に電気のような快感が走って思わず声をあげてしまった。
身体中の血が熱く逆流して自分の身体をみるみる染めていくのがわかった。
右手は何度も恥かしい所を往復し、左手は自分の乳房をつかんでいた。
毛布にもぐりこんで隠れているとは言え、この姿を自分でも想像すると恥かしさで気絶しそうになる。
「そう、、もっと、感じるところをなぞって、、」
また興奮してきたのか、トモミの声は上ずって、時々喉を鳴らしている。
「はぁ、はぁ、、私も感じてきちゃう、サユリ、、、もっと、もっと、、」
でも受話器の向こうのトモミの艶かしい声を聞くと自分の欲情を止められない。
「ふっ、ああ、、」
毛布に包まれた息苦しい空間で、サユリは小さく嬌声をあげはじめた。
「ね、、サユリ、濡れてきた、、?」
声を潜めたトモミになにか違う段階が来そうな予感がして、サユリは一瞬手を止めた。
「、、、濡れてなんか、、ない」
脚の間にある指先には布越しでもしっかりわかるほど、熱く湿っている感覚がある。
今までの状況からすると、濡れていないなんてことはあからさまに嘘だとわかってしまいそうだが、
サユリは自分を落ち着けるように肩で息をつきながら、受話器の向こうにそう答えた。
「濡れてない、、?うふふ、じゃあもっと感じさせてあげる。、、下着の中に指を入れて、、、」
さらなる命令に反応して右手の指先にびくんと力がはいる。
その刺激にはっと声を漏らしながらも、サユリはぐっと息を飲んで慌てて指を引き抜いた。
「、、そんなの、絶対だめ」
このまま直に指で触れば、すぐにでも達してしまいそうなのは目に見えている。
いくら見えていないとは言え、トモミの前で自分の自慰行為で、イってしまうなんて、さすがにできない。
そんなことをすれば二度と顔を見られないし、今度こそ恥かしさで死にそうだった。
「お願い。そんなことできないよ」
受話器を両手で持ち、サユリは真っ赤になって泣きそうな顔で懇願した。
「いいの?このまま最後まで、イカないで終われる、、?」
「う、、、でも、、、」
確かに快感をもたらす指が離れて、サユリの腰は未練がましくもぞもぞと動いていた。
受話器を握り締めながら、サユリは自分の中でまだ燻り続けている欲情に苛まされていた。
そこからじわじわと妖しい感覚が、手を指を侵略して、いけない方向へ導こうとしている。
「うふふ、、大丈夫、、、私がサユリをイかせてあげる。ね、もう一度、、指を、、、」
トモミの言葉が耳元で囁かれると、受話器を握る手の力がだんだん抜けていってしまいそうだった。
「いや、だ、だめだって、、!」
唇はなんとかそう言っても、身体の奥からは淫らな蜜が溢れ、指はそれをかき出そうとしている。
どうしよう、、もう、このまま、、、。
サユリがもう一度ぎゅっと目をつぶり唾を飲み込んだ時、バタン!とドアの開く音がした。
「きゃああっっっ!!」
びっくりしたサユリはベッドの上で飛び上がって身を縮め、毛布に頭を突っ込んだ。
その後、何も反応がないことを不思議に思いながら、恐る恐る顔を出した。
「はろー」
そこには廊下の照明を背に、見慣れたシルエットの影が立っていた。
「お、お、オカザキさん、どっ、どっ、どっ、どうしてここに、、!」
ボストンバッグをリュックのように背負って、帽子を斜めに被り、左手にコロコロを、右手には携帯電話を持ったトモミの姿があった。
「へっへっへ〜、サユリちゃんに会いたくて、早く来ちゃった」
よく見ると他にもいろんな物をぶら下げて、いたずらな中学生のような格好で笑っている。
「か、か、鍵は、、、」
「えへっ、管理人さんからマスターキー借りといたんだよね〜」
さすがは大のベテラン、年の功?である。トモミはうれしそうにマスターキーをじゃらじゃらと振って見せた。
最初から狙ってたのかよ、、!サユリは口を開けたまま、その得意気な顔を見上げた。
「だってねぇ、あんな声聞かせられちゃったら、行くっきゃないっしょっ!」
荷物を放り投げるとトモミはベッドの勢いよく飛び込んできた。
「ほほう、ちゃんと言うとおりにしてるねえ」
そして有無を言わさず毛布を剥ぎ取り、サユリの姿を確かめると満足そうにニヤニヤした。
「こ、これは違いますっ!」
サユリは毛布を取り返すとそれにくるまってぷいっと背を向けた。少し身体は冷静さを取り戻していた。
「ふふふ、我慢しなくたっていいんだよ。ちゃんと私がここに来たんだから。もうこれも要らないでしょ」
トモミは背中から抱きしめるとサユリが握っていた携帯を奪い取り、床に転がした。
いつもの甘く優しい香りがサユリを包む。
「信じらんない!そんなことして騙してたなんて!」
サユリは思いっきり怒った口調で言ってみせたが、顔は見えないように壁を向いたまま笑っていた。
「ごめんごめん、ご機嫌なおしてよ」
本気で謝っているのか、それともからかっているのか。
振り返るとトモミがやさしく頬を両手で包み、にっこりと微笑んでいた。
その余裕がやっぱり憎らしくてサユリがきゅっと唇を結ぶと、トモミはできたえくぼをペロッと舐めて笑った。
そして二人は睫毛を触れ合わせて、一つの毛布にくるまって気が遠くなるような大人のキスをした。
だいぶ間が開いてしまいましたが、こっちはなんとか完結、、、??
エロいのって難しいんだわww
『光の庭』はもうちょっとかかりそうです、すみません、、、。
エロキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
GJですた(*´Д`) ハァハァいたずら姐さんイイ!O菅タンもかわゆすwww
GGGGGGJ〜〜〜!
いぢわる姐さんとエ口スイッチ入ったO菅タソがたまらん(*´Д`)ハァハァ
『光の庭』も楽しみしてまつ(´∀`)
>>372 街中を歩くふたりかわいかった!あの完全版の放送してくれないかな
ユカリン2位おめ!!TV見れなかったけど、今日のゲトスポで少しは見れるかな?
ユカリンのファンページに恩ちゃんの写真があったけど、あっちに観に行ってたみたいだね
ツーショットじゃなかったけど、二人とも良い笑顔だったよ。
まおまお、ゆかりんわんつーフィニッシュオメ!!
ファイナルが楽しみになってきたです
シズゥも解説お疲れ様です〜!
来週はフミィへの解説ですな。番組の最後にフミィの名を言う時、ちょっと詰まったのに萌w
ギコチナイ解説してくれるんだろうか?www
今夜のゲトスポはフミィの特集だね
絆って誰とだろう〜〜?
>>374 よう つべにあがってるよ。負けず嫌いなフミィはカワエエ
>>392 エロイのキタ━━━━。゚+.ヽ(´∀`*)ノ ゚+.゚━━━━!!
この続きを想像すると・・・(*´Д`)'`ァ'`ァ
ケトスポはやはりチカちゃんかw仲良いよな〜
「チカーアイラビュー」3連発にはワロタがwww
ユカリンとこもマオちゃんとこも仲良し姉妹でいいね
リアルで枚ちゃんに東京で会った事あるけどかなり可愛かった(*^_^*)
友達想いで優しいよ。マおちゃんの事も親のように心配してた。
フィ ギュアブームにはかなりな冷静な考えだったヶど。。
来週は中 国だね。美紀ちーも今度の日本での戦いがんばってほしい!
402 :
名無しさん@秘密の花園:2007/11/06(火) 12:33:46 ID:Buf+OZUQ
恩ちゃん、ゆかりんとカナダで無事に会えたかな!光の庭続き楽しみたけど他カプッルSSも楽しみ
403 :
sage:2007/11/06(火) 12:45:07 ID:Buf+OZUQ
あげちゃってすいません
ONちゃん、きゃなだまで応援しに行ったの??
ユカリソの為だったらめっちゃ萌える〜!!
ああだからユカ林はトリポーあくせるを決める事ができたんだな
ユカリソの3Aには涙が出ました
フミーにも涙が出ました
フミィのFP結構好きかも。あれでSPが良ければと思うけど、
今回は全日本に向けてガンガってほしい。
シズゥの解説も良かったな〜(*´Д`) ハァハァ「あぁっ!」と取り乱さないとこがまた(・∀・)イイ!!
本当は取り乱して欲しいけどw
>>404 恩ちゃんはユカリンの為にカナダに行ったんだよwそう妄想しておこう
シズゥのフミィ解説、やっぱ一見冷静さを保ってたほうが萌えるなw
でも机の下では手をがっちり握ってお祈りポーズ。
演技が終わっても、何気に視線だけはフミィを気にして〜なんて妄想しちゃうよっ(*´Д`) ハァハァ
でも露杯はシズゥ解説じゃないんだよな〜残念だゎ。
相思相愛だな
フミシズ
フミィは相変わらず妹さんとラブラブな模様
シズゥはやきもちをやいてるに違いない
412 :
ふみえ:2007/11/13(火) 23:03:05 ID:8tIzJSeu
静香ちゃん、チカは大切な妹だからそんなに嫉妬しなくても・・・
しばらくぶりの小ネタです。
以下百合っぽくもなんともないんだけど書いてみました。
414 :
小ネタです1:2007/11/16(金) 00:11:44 ID:GCulR06D
シズ「スリスリ(((((((*^o^*)ねえ、チカちゃん、フミエちゃんの好きな物ってなぁに〜?」
チカ(え〜、なんだろー?シズカちゃんたら、おねーちゃんから直接聞けばいいのに…(・・?))
「そーですねえ、豚の角煮なんか大好きで、それ食べると調子いいんですよぉ」
シズ(よっしゃーっ!!('∀'+))
415 :
小ネタです2:2007/11/16(金) 00:12:30 ID:GCulR06D
シズ「ふーみーえーちゃん!(*^▽^*)」
フミ「あ、シズカちゃん(゜▽゜*)」
シズ「連戦大変だね〜、今度のロツア杯、私は解説できないんだけど…」
フミ「うん…」(でもシズカちゃんの解説だといつもより余計にドキドキしちゃうからなぁ(´〜`;ゞ)
シズ「代わりに、これ作ってきたの!良かったら食べて〜」
フミ「わ!(わわわわ…豚の角煮…じゃなかった豚の丸ごと煮だわ…(゜0゜*))あ、あ、ありがとー」
シズ「じゃ、一緒に食べよっか(*^^*)」
フミ「うん(*^^*)」
416 :
小ネタです3:2007/11/16(金) 00:14:08 ID:GCulR06D
数分後―――――
もぐもぐもぐ…
フミ(……って言うかシズカちゃんひとりでほとんど食べてるやん!!( ;◇;))
がんばれフミィ!!!
(おそまつ)
今週はフランヌ杯だねえ。
ヌピスケはカル狩ー。よすぃちゃんががんがってるみたいだけど
姐さんもシングル最後の?レースだがんがれ〜!!!
今日は仕事先で姐さんのポスター見てちょっとキョドりましたw
なんか公共のやつっぽくって、こっちを鋭い目で見つめていてドキドキしちまったぜww
>>417 小ネタ乙!また何か思いついたら書いてくだされ
今日はマオちゃん勝てて良かったね!
スピスケはTVでレースやんないのかなぁ…。レースも見たいが絡みが見たいw
まおまお優勝オメ!
最初のジャンプ失敗にハラハラしたけどよく立ち直ったね〜
だんだん大人になったってことかしら・・・
おねーさんちょっぴりさびしくなっちゃったよww
すぴ助はマイナーのせいか殆どヌースでもやらないからな〜
クリスマス位にやる国内の試合は去年もやったから今年も放送すかもしれないね
※リカでは姐さんとO菅タンは久しぶりの同室だっようで盛り上がったらしいww
あと冬スポではないが、TVで見たお具塩にちょこっと萌〜
>>420 姐さん、O菅タンとの愛部屋が久し振りってw
またまたぁ〜いつもイチャイチャ(ryと思ってしまったよwww
しかも「どんだけぇ〜」を使ってるのはシズゥの影響かと(*´Д`) ハァハァ
あぁ…妄想脳だなw
422 :
小ネタです:2007/11/21(水) 15:05:04 ID:cYwFwNww
マイとマオとミキはれんめーの廊下で、でっかくマル秘と書かれた手帳を拾った。
真「あーマル秘の手帳だ〜」
美「うーん、誰のだろ〜」
舞「一応、れんめーの落し物箱に入れときましょ」
真「あ、でも中に名前書いてあるかも…??なんだろ?S.A☆☆☆F.S☆☆☆Y.O☆☆って…」
美「ああああああ!これ、もしかしたら今話題の!ミツュランじゃない?」
真「えええ、じゃあ、これレストランの格づけの☆ってこと〜?」
美「そうだよ!これ秘密調査員の手帳なんだよ!」
舞「でも、なんでれんめーの廊下に落ちてるのかしら?あ…裏表紙になんか書いてある
To momi Oka zaki…これヌピヌケのオカザキさんのだわ」
美「え〜、じゃあオカザキさんってミツュランの秘密調査員だったんだあ〜」
真「え〜すごーい!今度オカザキさんに一緒にお食事連れてってもらおうっかなぁ!('∀'*)♪」
舞(…S.A…Shizu ka Ara kawa?F.S…Fumi…って、コレってもしかして…!!
マオ〜お食事行くと自分も味見されちゃうよ〜!!!。゜(゜´Д`゜)゜。)
423 :
小ネタです:2007/11/21(水) 15:14:33 ID:cYwFwNww
>>420、421
同室、愛部屋…妄想が止まらねぇぇぇぇ〜
ちゃんと一つのベッドに寝たんだろうな(*´Д`) ハァハァ
たいいいいいくの時間のシズゥもキレイだた(*´Д`) ハァハァ
>>423 GJ!味見ランキング手帳ワロスwww
こと細かい味見の内容も読みたい!!!
425 :
『光の庭』:2007/11/23(金) 02:24:28 ID:1LHVP4Gk
>>364の続き
ノブを回し、呼吸を整えて部屋に入ると、この間と同じ机には沢山の資料らしきものが広げられていた。
そして所長がすでに座っていて、あのスタッフと二人で顔を突き合わせていたところだった。
私が部屋に入り前へ進むと、二人はてきぱきと机を整理し、席を立って迎えてくれた。
「度々、お呼び立てして申し訳ありません」
所長はいくつかの資料を机に残したまま、相変わらず穏やかな口調で丁寧に一礼した。
「あの、、」
私は決心が揺らぐのが嫌で、座ると同時に自分から早々に話を切り出した。
「アナザープロジェクトのことなんですが」
426 :
『光の庭』:2007/11/23(金) 02:25:52 ID:1LHVP4Gk
二人は同時に視線を向けた。
「詳しく教えてほしいんです。私もできるなら協力したいと思っているんです。
でも、、具体的にわからないと不安で、、、。
競技から離れている私のメンタルな部分は、多分ここにいる選手達とはもう違います。
何故、今私を必要としているんでしょうか。いったいアナザープロジェクトとはどんな目的があるのですか」
私は一方的に畳み掛けるように身を乗り出した。
427 :
『光の庭』:2007/11/23(金) 02:27:20 ID:1LHVP4Gk
「、、、、そうですね、、、ただデータ上に荒川さんの演技を残す、ということだけはわかりにくいかもしれませんね」
所長は黙って聞いていたが、しばらくして口を開き、白く長い指を組んで、どう言おうか考えているようだった。
彼女の表情は研ぎ澄まされたようになり、あんなに問い詰めておきながら、私はついその彫刻のような美しさに見とれてしまった。
「そして、なぜそれが必要であることも、、説明しなければいけませんね」
私は我に返ってぐっと息を呑んだ。
428 :
『光の庭』:2007/11/23(金) 02:29:04 ID:1LHVP4Gk
「物理的、力学的、様々な視点から、モデルとしてデータを残す、と言うことは他の選手の皆さんもしていただいています。
アナザープロジェクトではさらに個人的な要素を入れた詳細なモデルを作ることになります」
「それが、、メンタルな部分ということですか」
「、、、さらに細かく言えば、それだけではありませんが」
「、、、、、」
「皆さんがそれまでの長く厳しいトレーニングの成果を、試合という短い時間で出さなければいけない、ということはメンタルの強さが重要な鍵になると思うのです。
特に、、、オリン ピックは4年という長い間隔がありますからね、、、モチベーションをどう保つのか、高い意識が要求されるでしょう」
私は初めてオリン ピック出てからの8年間、という数字を思い出し目を伏せた。
429 :
『光の庭』:2007/11/23(金) 02:30:22 ID:1LHVP4Gk
「荒 川さん、、、あなたは特にジュニアの頃から素晴らしい才能をお持ちだと我々も知っています。それ故に幼い頃から注目されて、大変だったでしょう。
コーチにもご家族にも言えなかったことは沢山あるでしょう。でも、それを胸に秘めたままあなたは世界の頂点に立った」
、、、、長 野、ソルト レイク、世界 選手権、、、氷の上以外のことだって、、誰にも言えない心の葛藤。
脳裏にフミエちゃんの姿が浮かんできたが、私はそれを慌てて胸の奥にしまいこんだ。
「でも、それをどうやってデータとして残すんですか?」
「、、、デリケートな問題なので難しいのですが、、、その場にいた精神状態を思い出してもらってデータ上に再現すると言う事です」
そう、言われてもなかなか図が思い浮かばない。私のスケートに対する思いを、試合に対する気持ちを、再現するなんて。
430 :
『光の庭』:2007/11/23(金) 02:31:37 ID:1LHVP4Gk
「、、、、勿論、人の心を再現することは出来ません。具体的には影響される心拍数や身体の緊張度などを再現する事ですね」
そうなのか、、、でもそんなことをどうやって、、?
私がまだわからなくて首をかしげていると、所長は
「こちらは心理学や運動神経学、、、それにアナザープロジェクトチーフの十河です」
隣で立っていた白衣の女性を紹介した。
431 :
『光の庭』:2007/11/23(金) 02:32:52 ID:1LHVP4Gk
そごうさん、、、なんかデパートみたい、、と思いつつ、今まで傍にいることを意識していなかったことに驚いた。
前もそうだったが、彼女はまるで部屋の物の一部のように静かに気配を感じさせることなく居たのだ。
しかし所長に紹介されると、彼女は私達の机に寄ってきて一礼して、初めて口を開いた。
「十河と申します。当研究所のアナザープロジェクトの担当です」
彼女は所長よりやや小柄だが、すらっとした理知的な目をしてきれいな声の女性だった。
ここの女性は科学者だろうけど、それを感じさせないとげとげしさのない温和そうな人ばかりだ。
、、、だけど、、この人が例のアナザープロジェクトのチーフなのか。私はさりげなくその人を頭から爪先まで観察した。
432 :
『光の庭』:2007/11/23(金) 02:35:02 ID:1LHVP4Gk
「荒 川さんが不安になるお気持ちはわかります。それでも後進の為に協力したいという考えに私達は感動しています」
なんだか仰々しい物言いに私はとまどってしまった。
勿論そういう意識もあるのだけど、なにより私は知りたかったのだ。フミエちゃんのこと。アナザープロジェクトのこと。
「ごくごく内密にしたことで、脅かしているようで申し訳ないと思っています。ただいろいろとプライバシーの問題等ありますから、、、」
まあ、確かにそうだろうな、、そういう部分もあって仕方がない、と私もそれは判っていた。
433 :
『光の庭』:2007/11/23(金) 02:36:21 ID:1LHVP4Gk
「あの、、思い出すって言っても、完璧にその時の演技をするのは不可能だと思います。いったいどうやって、、?」
「、、、、まず、詳細に身体のデータを取らせていただきます。生理学的な部分もです。
メンタルな部分ですが、それは担当の私と話し合って、どうデータをどこまで組み込むかを決めます」
「話し合って?」
「できるだけ、過去の状況を思い出してもらうのですが、心理学的な方法も使ったりします」
「、、、、、」
「アナザープロジェクトに参加されたからと言ってすぐに我々のことを信頼してください、と言いません。
荒川さんが嫌だと思ったことは無理にする必要はないんです」
「でも、、それじゃあ、正確なデータではないのでは、、?」
434 :
『光の庭』:2007/11/23(金) 02:39:11 ID:1LHVP4Gk
すると彼女はにっこりと笑い、およそ科学者っぽくないどことなく愛らしい顔で答えた。
「我々の目的は正確なデータの保存ではありません。勿論データの正確さは重要ですが、でもそれは指針でしかないのです。
どうすれば選手の皆さんが最高の舞台で、最上のパフォーマンスを発揮できるかは、皆さんと一緒に研究していきたいと思っています」
常套句、なのかも知れないけれど、それは決して私を丸め込もうとする言い方ではなかった。
理想を語る輝きが彼女に笑顔にはあった。
「これからの荒 川さん自身にもお役に立てればいいと思います。競技をやめてもスケートを続けているあなたの」
そして彼女の瞳は強く誰かを思い起こさせた。
、、、スケートを続けている限り、離れていても繋がっている彼女の。氷の上、細いブレードで凛と立つ彼女の瞳を。
私はどのくらいの間だろう、思いを馳せていた。
やっぱり一歩前に足を踏み出そう、そんな気持ちを再確認した。
435 :
『光の庭』:2007/11/23(金) 02:40:58 ID:1LHVP4Gk
「わかりました。私もできる範囲でアナザープロジェクトに協力します」
私がそう言うと、所長と十河さんはほっとした顔で手を差し伸べ、宜しくお願いします、と私達は握手をした。
同時に二人のスピード スケーターの視線が頭をかすめ、胸がズキンと痛んだ。
―――大丈夫、何があっても、、、私はフミエちゃんを見失ったりしない。
私は左手をぎゅっと握り締めた。
今日からロツア、、、、ドキドキするな〜
そんな中
>>423さんのマル秘手帳、笑かしてもらいやした
Y.OってONちゃんかいな?!姐さん手を出しすぎw
しかも星が一個少ないなんて怒られそうですwww
>>436 長編乙!待ってたよ。いよいよアナザープロジェクトの全貌が
明らかになるのか?!ドキドキ…楽しみだぁ
シズゥのバーテン写真見た人ノシ
あれすげーハマっててツボだw本当綺麗になったよな〜(*´Д`) ハァハァ
光の庭様毎回楽しみしてまつ
シズゥはどーなるんでしょ…
路杯、フミィは大きな失敗なく今度は振りーだね
まだ放送見られないからdkdkだよ〜
ミツュラン、タイムリーネタGJ!
取材拒否とかできなさそ〜ww
小ネタ、光の庭、ミツランネタGJGJGJGJ!楽しませてもらってます
フィギャは接戦で楽しいな。床りんおめ!ふみぃお疲れ!
来週はしずぅの故郷で美が出場だー頑張れー
姐さんのケコーン式の写真出てたね。綺麗だった!
O菅タン達も式に参加したんだろうか?!
そしてユカリン2位オメ!GPFもガンガレ〜〜〜
姐さんのケコーン式、ヌースで見たけどきれーだったな。
リソクで、なんてどーなるかと思ってたけど天気も良くてなんかほのぼのしてますたわ。
無事Qの人の企画らしいけどGJ!ちゃんとヌラップはいてるとこが姐さんらしいw
ヌピヌケのえんせー組は海外行っちゃってるし、国内も試合があったみたいなんでヌピヌケ仲間のお祝いは後でやるんでしょーね。
姐さん自身も式の2日後には海外組に合流するらしいから忙しいよな。
今後ともダソナをほっておいてがんがってほすぃwww
O菅タンは姐さんの前撮りしたドレヌ写真を貰って喜んでるみたいでつよ。
ハム式のシズゥ見たよぉノシ
バーテンカコヨス!!
あんなんでカクテル出されたら…(*´ェ`*)
444 :
『光の庭』:2007/11/27(火) 00:58:58 ID:1/DsjpY5
>>435の続き
それから少し私の今の状況を話した後、私と所長は二人で部屋を出た。
「もうすぐ、第一陣のフィギュアの皆さんがお帰りになる時間です。お見送りに行きますか?」
所長が優しく声をかけてくれた。
そうだ、もうミキもよっちゃんもみんなここから帰っちゃうんだ、、、、。
私は来た時の賑やかさを思い出し、寂しい気分になった。
リストバンドを見るともうすぐ3時になるところだった。
「ええ、でも講義が3時からあるので」
みんなに会いたかったけど、ここではそんなこと言ってはいられない。
445 :
『光の庭』:2007/11/27(火) 01:00:03 ID:1/DsjpY5
「これから、荒 川さんのスケジュールを変更することになります。今日の講義は1時間遅れになりますよ」
「時間があるのなら、みんなを送りたいです」
「では一緒にお見送りしましょう」
「はい」
それは私がアナザープロジェクトに参加するからなのだろう。知らされている予定がこれからいろいろ変わるかもしれない。
私達は1階に行く為にエレベーターに乗った。
446 :
『光の庭』:2007/11/27(火) 01:01:44 ID:1/DsjpY5
「、、、アナザープロジェクトは、、あなたに辛いことを思い出させるかもしれません」
二人きりになったエレベーターの中、所長はぽつりと言った。
「思い出したくなくても、、思い出してしまうことはいつもありますものね」
地上に近づく重力を感じながら私はその横顔を見た。科学者から離れた少しうつろな表情だった。
「でも、辛いことは悪いことばかりじゃないです。私にいろいろなことを教えてくれましたから」
、、、今でも辛かった日々は私の胸の痛みを呼び覚ます。けれども今は自分の為に必要だったんだって思えてくる。
私が強くなる為に必要だったんだって、、、。
「優等生的発言って思われるかもしれないですけど、本当にそう思うんです」
所長を見上げた私の顔はちゃんと微笑んでいただろうか。眼鏡の奥の瞳は優しく頷いて、また凛とした表情で前を向いた。
447 :
『光の庭』:2007/11/27(火) 01:02:28 ID:1/DsjpY5
玄関に向かうと人だかりが出来ていて、わいわいと明るい聞き慣れた声がしていた。
私は所長より前に出て、足早にそこに近づいた。
「あー、しーちゃん!」
ミキの声に皆がこっちを振り返った。
「ああ、間に合ったなぁ」
「良かったね、ミキちゃん」
「出発する前に会いたくて部屋を探したんだけど、居なかったからもう会えないかと思っちゃったよ〜」
ミキは持っていたバッグを下ろして、私の腕に子犬のように飛びついてきた。
448 :
『光の庭』:2007/11/27(火) 01:03:26 ID:1/DsjpY5
「またしばらく会えなくなっちゃうからねえ」
みんなはすっかり私服に着替えて、それぞれ荷物を持ち、出発の準備が出来ていた。
海外へ国内へ、、それぞれ遠く離れた拠点に戻るから私達がこうして揃うのはまただいぶ先になってしまうだろう。
私はひとりひとりの顔をしみじみと眺めた。選手としてではない、友人としてのみんなの顔、、、。
白衣の列の中に私と同じ部屋着をきた二人が目に入った。
フミエちゃんと大 菅さんが並んで立っていた。二人は先にここに見送りに来ていたようだ。
マイとマオちゃんと何か楽しそうに話している。
「今度絶対、そのケーキ屋さんにみんなで行こ」
「ふふふ、シーズンが終わったらね」
「大 菅さんも忘れないでね」
「うん、楽しみにしてるよ」
マイもマオちゃんもすっかり大 菅さんとも仲良くなったみたいだけど、大 菅さんが必要以上にぴったりとフミエちゃんにくっついていて
妙に気になってしまった。
449 :
『光の庭』:2007/11/27(火) 01:04:31 ID:1/DsjpY5
「しーちゃん、後でフミエちゃんとの話聞かせてな」
よっちゃんが意味深な顔をして私のわき腹をつついて、あの二人を横目でちらりと見た。
「別に報告するようなことなんてないよ」
「はははっ、まあ、気をつけてや。トンビに油揚げさらわれんようにな」
「何言ってんの。オヤジくさいなあ」
すると、いつのまにか後ろにいたユカリちゃんが、絶妙のタイミングでぺしっとよっちゃんの後頭部をはたいた。
よっちゃんはわざとらしくユカリちゃんの方によろけて舌を出して笑った。
450 :
『光の庭』:2007/11/27(火) 15:15:49 ID:1/DsjpY5
雨の降りしきる中、バスがロータリーを回り、玄関脇に着いた。
「こちらの研究が皆さんの未来に必ず役立てるように我々も尽力することをお約束します。心より皆さんのご活躍をお祈りしています」
所長が挨拶を述べ、深々と頭を下げた。
「ありがとうございます。選手達も皆さんのような方に支えられて、心強いと思います」
代表してよっちゃんがきりっとした顔でそう言い、みんなもお礼を言いながらバスに乗り込んでいった。
「みんなー、またねー」
フミエちゃんが大きな声で手を振ると、バスはゆっくり水の撥ねる音を巻き込みながら雨の中へ走り出した。
水滴がついて曇る窓ガラス越しにみんなは手を振り続けていた。
451 :
『光の庭』:2007/11/27(火) 15:17:01 ID:1/DsjpY5
雨と木の匂いの混じった外の風を久しぶりに感じながら、バスが見えなくなるまで送って、私達はスタッフとともに研究所の中に戻った。
「みんな行っちゃったね。でも少しだけどお話が出来て良かった」
「うん」
廊下でスタッフ達と別れ、フミエちゃんが私のすぐ隣に並んだ。大 菅さんは少し後を歩いてくる。
「そう言えば、岡 崎さんと吉 井さんは?」
フミエちゃんが後ろを振り返り、私も大 菅さんと目が合った。
「岡 崎さんも吉 井も計測中だからお見送りできなくて残念って、言ってたよ」
いつもと変わらない様子で彼女は答えた。
452 :
『光の庭』:2007/11/27(火) 15:17:51 ID:1/DsjpY5
「サユリちゃんは?」
「私は夕方から計測なの」
「そっかー、シズカちゃんは?」
私は1時間の講義のはずだけど、その後の予定はまだわからない。
「私はこれから講義があって、、、」
「そう、、じゃあ、私は部屋でゆっくりしようかな。夕食もないし」
3人でエレベーターに乗り、そのまま上の階へ向かった。少しの間、私達は無言でデジタル表示を見つめていた。
「それじゃ、私はここで降りるから」
3階のドアが開き、大 菅さんはそう言って、フミエちゃんと指を少し絡めるような仕草をして、降りた。
その横顔が何となく色っぽく見えてドキッとした。
453 :
『光の庭』:2007/11/27(火) 15:18:56 ID:1/DsjpY5
「大 菅さんと、、、仲いいんだね」
思わず口にしてしまうと、フミエちゃんは真っ黒い瞳で私を見上げて
「うん、私とサユリちゃんとショートの神 野ユカちゃんは同い年ってわかってすごく仲良くなったの。
そう言えば、ユカちゃんとはしばらく会ってないなぁ。ユカちゃんもとっても面白い子なんだよ」
笑顔で、小さく伸びをした。
、、、急にこんなこと聞いて変に思われちゃったかな、、、私は勝手に恥ずかしくなって再びデジタル表示へ目を向けた。
454 :
『光の庭』:2007/11/27(火) 15:20:20 ID:1/DsjpY5
5階に着いて、私達はまた並んで歩いた。
ミキ達がいなくなったせいか、いつもより長く静かでひんやりと感じる。
「じゃあ、また後で」
部屋の前でフミエちゃんが立ち止まった。
「うん、、後で会えるかどうかわからないけど」
あ、なんだか、、、冷たい言い方だったかな、、、。
でもアナザープロジェクトのことでどんな予定になるのかまだわからなかったから、私はそう答えた。
フミエちゃんは、はにかむ様に小さく「うん、会えたら」と言って部屋に入っていった。
455 :
『光の庭』:2007/11/27(火) 15:21:47 ID:1/DsjpY5
夢の中のフミエちゃんにはあんなに話しかけたのに、やっぱり本物のフミエちゃんの前だとうまく言葉が出てこない。
それでも、、、本物のフミエちゃんの方が私には魅力的だ。一緒にいられるだけでこんなにドキドキするんだから、、、。
いつもは明るい中庭は今日は覆われているのか暗かった。
少し雨にぬれた木の葉が頼りなく揺れている。
私はそれを横に見ながら、講義に必要なプリントを取りに自分の部屋へ急いだ。
まだつづくです。
姐さんのうえでんぐどれす、綺麗だったね〜
りんくでお披露目とはさすがです。いつまでもお幸せに〜
でも、けつこんされても妄想は続いちゃうですよw
シズゥのばーてんだーも素敵だね
どんなカクテルなのかちょっと飲んでみたいな
フミィにかっこよく作ってあげてる姿を想像して萌えました!!
続きktkr
シズゥのライバルはO菅タンなのか?ますます楽しみです〜
光の庭さんGJ!先が読めないから毎回ドキドキですわw
明日はんHKでシズゥがいっぱい(*´Д`) ハァハァ
12月もTV出演が結構あるから楽しみだな〜
幹ちゃんんHケー杯残念だったね
後米ちゃんも具合悪そうで痛々しかった
全ぬほんではみんなが笑顔を見せてくれるといいな
φナルはゆかりん、まおまおがんがってほしぃ!シズゥの貝説また聞けるのが楽しみ
にしてもシズゥ忙しすぎるな〜
460 :
『光の庭』:2007/12/04(火) 23:46:47 ID:i+wSpmaD
>>455の続き
講義の時間、私は椅子に座り、説明を聞きながら大画面のモニターを見ていた。
でも頭の中では大 菅さんの横顔を思い出していた。
よっちゃんがやきもちを妬いた気持ちがこういうことなのかとため息をついた。
ユカリちゃんの時は気にならなかったのに、フミエちゃんのことになると、些細なことでも気になって動揺してしまう。
でもフミエちゃんに対する彼女はどこか違うような気がして。
なにか一枚の薄紙でくるまれているようなもどかしい感覚、、、。
461 :
『光の庭』:2007/12/04(火) 23:47:29 ID:i+wSpmaD
講義は1時間弱で終わり、部屋を出る間際、夕食は食べずに8時に1階に来るように、と声をかけられた。
いよいよアナザープロジェクトの始まり、、、。
私は意識して平静な声で「わかりました」と返事をした。
8時なら、少しフミエちゃんに会えるかも。
私は不安な気持ちの中でフミエちゃんの顔を思い浮かべた。
でも、、なんだか会わない方がいいような気もする、、、。
自分は、まだ迷っている。こんなの金メダリストのメンタルじゃないな、と心の中で苦笑した。
462 :
『光の庭』:2007/12/04(火) 23:48:23 ID:i+wSpmaD
エレベーターは5階に着き、降りるとそこは自分達の部屋と反対の廊下だった。
まあ、遠回りだけど急いでるわけでもないし、、、私は気にもせずに歩き始めた。
外は相変わらず雨が降っていて、どんよりと曇っていた。
今頃、バスは高速道路を走っているだろう。空いていれば宵のうちには東京に着く。
そこからまた皆は離れ離れになって戻っていくのだ。
この広い森の向こうには街があって、日々の日常がある。
463 :
『光の庭』:2007/12/04(火) 23:49:06 ID:i+wSpmaD
静かな廊下を私は一人歩いていた。
すると観葉植物が置かれた建物の角らしき所にかかろうとした時、なにか女性の小さな話し声が聞こえた。
廊下からは死角のようになっていて姿はみえないけれど、その声には聞き覚えがあった。
岡 崎さんだ―――。
そして短い返事をしているのは大 菅さんの声。
なんだか立ち入ってはいけないような気配を感じて、私はとっさに大きな柱の影に身を隠してしまった。
464 :
『光の庭』:2007/12/04(火) 23:49:57 ID:i+wSpmaD
それでも私は気になって、そっと二人の姿を覗いてみた。
観葉植物があって、良くは見えないが、二人とも真剣な表情で窓辺に佇んでいる。
ただの雑談という雰囲気ではない、張り詰めた空気がその小さな空間には漂っていた。
私は心臓の音が聞こえやしないかと思うくらいドキドキしていた。
それでもそこから離れることはできなかった。
465 :
『光の庭』:2007/12/04(火) 23:52:40 ID:i+wSpmaD
「中 野、、さんとちょっと話をしましたけど、特に変わったことはなかったみたいです」
「、、、、、昨日、本格的にフィギュアのデータを入力したそうだよ。問題はないらしい」
「そうですか」
「彼女が今日来たけど、今のところ大丈夫みたいね」
「そのようですね」
「彼女が元気そうで私も安心したよ」
「私もです」
二人は向かい合っているのに目線は交わすことなく、窓の外の遠くを見ていた。
いつもとは違う、どことなくよそよそしい二人の距離。聞こえないはずの冷たい雨の音が聞こえてきそうだった。
466 :
『光の庭』:2007/12/04(火) 23:53:22 ID:i+wSpmaD
今日来た彼女、と言うのは多分フミエちゃんのこと、、、。それにしても、フィギュアのデータって?
何故この二人がフィギュアのデータを話題にするんだろう。私は息を殺して耳を欹てた。
「昨日の件で何か聞かれましたか」
「うん、そっちは」
「はい、、でもあまり深くは聞かれませんでしたけど、もしかしたらあれは意図的に、、?」
「それはないと思う。スタッフも知らなかったみたいだから」
「じゃあ、トリカゴには、本当に迷い込んできただけってことですか」
「単なる偶然にしてもね、必然って事もある、、、。大 菅、多分荒 川さんは来るよ」
自分の名を出され、ドクン、と大きく心臓の音が響いて、身体が硬直した。
大 菅さんは、はっと顔を上げ、岡 崎さんに一歩近づいた。
467 :
『光の庭』:2007/12/04(火) 23:54:26 ID:i+wSpmaD
「、、、まさか、昨日の事ばらしちゃったんですか!」
「一言も言ってはいないよ。でもわかっちゃうもんだよ、私らごときでごまかせるもんじゃない」
「岡 崎さんは反対ではないんですか」
「もう、上からもゴーサインが出てる。念のため三重のバックアップを東京に取ってあるらしいし、設備も前とはちがうしね。
あとは荒 川さんが了承すれば、私達がとやかく言うことはできないでしょ」
「、、、他の人にはわからないんですよ。前の事だって、、、」
大 菅さんは首を振って詰め寄ったが、それ以上は言葉を続けずに岡 崎さんの横顔を見つめていた。
「彼女と私達では事情が違う。彼女はもう競技者ではないし、こことしてはデータが欲しいだけなんだ。
彼女に余計な負荷がかかることはしないだろうし、アナザーに迷うこともない。それに、今回は慎重に事を進めると聞いている」
468 :
『光の庭』:2007/12/04(火) 23:55:08 ID:i+wSpmaD
「、、、、フミエちゃんは、どうなるんですか」
フミエちゃん、、そう尋ねる大 菅さんは低い声だったが、瞳には抑えきれない感情が宿っていた。
「彼女はまだ現役の競技者だし、他の選手と同じように計測するだけだよ。トリカゴには来ない」
「、、、私が知りたいのは、あのフミエちゃんのことです」
私の背筋に何かを予期させる冷たいものが走った。あのフミエちゃん、、、?
すると、それまで窓の向こうを見ていた岡 崎さんの顔が険しくなり、静かで、でも厳しい口調で振り返った。
「大 菅、おまえ、いつからあんなものにひきずられるようになったんだ?」
「岡 崎さんは冷たすぎます」
大 菅さんの目は怯むことなく岡 崎さんを見据えていた。
469 :
『光の庭』:2007/12/04(火) 23:56:54 ID:i+wSpmaD
「あれは村 主さんじゃない」
「、、、、、」
「昼間、ここに来た、あの彼女だけが、村 主さんなんだよ。思い違いをしてはいけない」
岡 崎さんの声は何か重大な宣告をするようにしんと鉛色に包まれた空間に響いた。
なるで何かを突き刺されたかのように大 菅さんの表情が固まって目の輝きが消えていく。
「、、、、、わかってます。わかっ、、て、、、」
そして搾り出すような言葉さえ失うと、大 菅さんの瞳にみるみる涙が盛り上がってくる。
「、、、、、さ、もう行こう。そろそろ吉 井も目を覚ます時間だ」
岡 崎さんは目を伏せ、そっと彼女の髪を撫でながら優しく包み込むように肩を抱いて歩き出した。
素直に寄りかかった大 菅さんの頬をひとすじの涙が伝っていった。
うう〜、考えているうちにちょっとヘヴィな展開になるかも、、、、
>>459 n杯の幹ちゃんはほんとはらはらしました
シズゥの声も心配そうだったし
肩のこともあるから、あまり無理しないで休めるといいんだけど
ふぁいなるはゆかりん、まおまおを楽しみにしております
臭増、あんまし暑苦しくなるなよと言いたいw
あ、470はID変わってるけど『光の庭』者でした
ヘヴィっていうのは妄想話のことです
来週シズゥはたいいいいいいいいくの時間に出るみたいですよ
フミィの屈辱?をはらすべく何に挑戦するのか楽しみ!
続き乙です
うがあぁぁ〜気になるううう〜
なにこの展開w
ミステリーですね
更新楽しみに待ってます
光の庭様投下ありがとー
毎回ドチドチしながら読んでまつ
ヘビィな展開が気になりまつができればハッピーエンドになってほしぃ…
でもすごくおもしろくて続きが早く読みたくなりまつ!
『光の庭』者です
感想聞けるとうれしいです
ありがとー
>>473 最初はヌピヌケの方たちはちょっかい出す程度だったんです〜
長くなっていろいろ話を膨らませていったら、結構重要な役回りになってしまいましたw
私もなるべくハッピーエンドにしたいです〜
12月はシズゥがあちこちTVで見られそうでうれしいな♪
特に家御飯とかgooタン楽しみ
うち御飯、シズゥのエプロン姿がかっこよかった〜(´∀`*)
でもできればもっと可愛いフリフリエプロン着せたかったりして。
お料理も好きみたいで、フミィと2人並んでキッチンに立ってたりするのを想像してしまう。
スケールできっちり計るフミィの横でガッと大ざっぱに材料を入れてかき混ぜちゃうシズゥw
でもできた料理を2人で食べながら
「でも2人で食べると何でもおいしいね(*´∀`*)」なんて言ってたら萌えころがりまつ。
『光の庭』様
長編これからも楽しみにしてます!!!
476 :
『光の庭』:2007/12/13(木) 00:17:53 ID:sO4P+R8p
>>469の続き
二人が去って、誰も居なくなった廊下に私は立ちすくんでいた。
なぜ、大 菅さんは泣いているの?
もしかしたら、、、あのフミエちゃんのため、、、?
トリカゴ、、アナザー、、前の事、、あのフミエちゃん、、、。
謎めいた言葉が、長く暗い廊下にガラスの破片のように散らばっている。
477 :
『光の庭』:2007/12/13(木) 00:18:40 ID:sO4P+R8p
彼女達とは逆方向に廊下を歩き、ようやく自分の部屋に着いた。
アナザープロジェクトとは、、私のメンタルなデータをも記録として残すこと。
でも、それがどうして大 菅さんを泣かせることになるのだろう、、、。
枕を抱き寄せて、私はベッドの上で目を閉じた。
『あんなもの』
岡 崎さんの言葉が抜けない棘のように私の心臓に突き刺さり、大 菅さんの涙が自分で泣いたように胸の奥に伝わり沁みている。
そんな私を誰かの手がやさしく撫でてくれる気がした。
、、、フミエちゃんなの、、、?
478 :
『光の庭』:2007/12/13(木) 00:19:24 ID:sO4P+R8p
―――はっと目が覚めた。
いつのまにか私は眠り込んでしまったらしい。
慌ててリストバンドを見ると7時になるところだった。
窓の外を見ると雨は止んでいて、暗くなった空に名残の雲が流れて月を見え隠れさせていた。
「会えたら」
はにかんだ、でもいつまでも待っているような声を思い出し、私はやっぱり会いたくなってフミエちゃんの部屋に向かった。
479 :
『光の庭』:2007/12/13(木) 00:20:48 ID:sO4P+R8p
ドアをノックすると、声がしてフミエちゃんが顔を出した。
私を見ると、ぱっと笑顔になったが「大丈夫なの?」と目を丸くした。
「うん、また8時から計測があるんだけど」
私は喉にひっかかったアナザープロジェクトのことをぐっと飲み込んだ。
「でも、、その前にフミエちゃんに会いたくて」
私にとっては告白に近い言葉だったけれど、フミエちゃんはただにこにこして手招きした。
これから起こる事の不安を彼女は知らない。
480 :
『光の庭』:2007/12/13(木) 00:22:17 ID:sO4P+R8p
「夜遅くにも計測があるなんて大変なのね」
机にはランプがつき、読みかけの本が置いてあった。
フミエちゃんは椅子をこっちに差し出して、自分はベッドに座って私を見上げた。
この間会った時よりも、幾分細くなった輪郭、、。
照明に浮かび上がったフミエちゃんの姿を私はじっと見つめていた。
「シズカちゃん、、?」
その言葉には答えず、私は無言でフミエちゃんを抱きしめ、細い肩に顔をうずめていた。
481 :
『光の庭』:2007/12/13(木) 00:22:58 ID:sO4P+R8p
「シズカちゃん、、どうしたの?」
心配そうな声が耳元で聞こえた。
「、、、お願い、、どこにも行かないで」
私の口が勝手にそう漏らした。だだっ子のように情けない声で。
「どこにも行っちゃ嫌だ。お願いだから私を置いて行かないで」
自分でもわけがわからないけれど、私はフミエちゃんにしがみついていた。
482 :
『光の庭』:2007/12/13(木) 00:23:40 ID:sO4P+R8p
最初は驚いていた彼女の身体が和らいで、私の言葉を聞くと優しく背中に腕を伸ばした。
「大丈夫だよ、私はどこにも行ったりしないから」
フミエちゃんは自分の体温を私にくれるように、ぎゅっと抱いていてくれた。
フミエちゃんの甘やかな息遣い、細くしなやかな身体、支えてくれる温かい腕。
483 :
『光の庭』:2007/12/13(木) 00:24:31 ID:sO4P+R8p
「あ、あの、、ごめんね、、私、、なんだかすっごく不安で、、、」
私はフミエちゃんからそっと離れながら、この気持ちをどう説明していいかわからなかった。
なぜだろう、、、顔を見たらフミエちゃんが遠くなってしまいそうな気がしたのだ。
「ううん。わざわざ会いにきてくれてうれしかった。
、、、、私もね、こんな所に来てすごくドキドキしてるの。私に何ができるんだろうって。
でも、みんなが一生懸命がんばったって聞いたし、シズカちゃんもいてくれるから、、、」
フミエちゃんはさっきの理由も聞かずに微笑んでくれる。
484 :
『光の庭』:2007/12/13(木) 00:25:12 ID:sO4P+R8p
「私も、、フミエちゃんが来てくれてよかった」
そう言うと、フミエちゃんは「どういたしまして」とおどけて笑った。
それから私達は、はにかみながら少しずついつものように話を始めた。
ミキがおいしいスペシャルボルシチの作り方を熱心に教えてくれた話や
よっちゃんが大容量のデコメールを送りつけてユカリちゃんに怒られたこと、、、。
485 :
『光の庭』:2007/12/13(木) 00:26:35 ID:sO4P+R8p
「あ、ごめんね、そろそろ時間なの。また、、明日、、」
名残惜しいけど、リストバンドを見るともう8時近くになっていた。
もう大丈夫、私は心の中でそうつぶやき、椅子から立ち上がろうとした。
「あの!」
その時、私の指にフミエちゃんの指が絡みついてきて、ぎゅっと握った。
「あの、、計測、、がんばってね」
少し間をおいてフミエちゃんが言った。
黒い瞳が湖のように潤んで私を見上げている、、、。あの時みたいに、、、。
喉が鳴って、私の足が動かなくなった。
486 :
『光の庭』:2007/12/13(木) 00:28:48 ID:sO4P+R8p
「、、、う、うん」
我に返って返事をすると、フミエちゃんは指をほどいて、そのまま手を振った。
私も頷いて足早に廊下を出た。
―――、、一瞬、あのキスを思い出した。
ううん、私がキスをしたかったのかもしれない―――。
さっきまで部屋で二人っきりだったことを思うと、なぜか頬が熱くなった。
でも、相手の気持ちも確かめずに衝動的なことをしてフミエちゃんに嫌われたくない。
これはあの夢とは違うんだ。
思いとどまったことにほっとした。
487 :
『光の庭』:2007/12/13(木) 00:33:00 ID:sO4P+R8p
深呼吸をして、冷えた夜の空気を吸い込んだ。私はエレベーターに乗り、1階についた。
既に所長と十河さんが私を待っていた。
「お待たせしました」
「いいえ、まだ8時前ですから、、それではご案内します」
白衣を着た二人は暗い中庭を背景にして、どこか違う世界からやってきたように見える。
でもいつもと同じ穏やかな表情で迎えられ、私は囲まれるように一緒に歩いていった。
488 :
『光の庭』:2007/12/13(木) 00:34:20 ID:sO4P+R8p
さっき降りてきたのとは違うエレベーターの前で私達は止まった。
「このエレベーターは専用階用のエレベーターです。プレートの枠が金色になっているでしょう」
特にエレベーターのボタンのプレートなんて気にしてなかったけど、確かにこのプレートの枠は金色になっていた。
ドアが開き、私達が乗り込むと、所長は手をかざした後、階のボタンを何回かリズミカルに押した。
「アナザープロジェクトの計測は専用階で行われています。その階に止まるためには特別な操作が必要です。
荒川さんには後ほど説明しますので、、、」
十河さんが言うと、所長がゆっくりと振り返り、真剣な表情で私を見つめた。
489 :
『光の庭』:2007/12/13(木) 00:35:09 ID:sO4P+R8p
「アナザープロジェクトのことは一切口外しないことを約束してください。
たとえ、ご家族やコーチや他の選手達にもです。必要な事柄はこちらからコーチや連盟に連絡いたします」
「、、、、、」
昼間見せてもらった資料にもそう書いてあった。
家族にも秘密、、、。いつも私を見守ってくれている優しい父や母の顔が思い浮かび、私は緊張して所長の眼鏡の奥を覗き込んだ。
「ただし、ご本人にはいつでも情報を開示しています。疑問や質問があればいつでもお受けしますよ」
優しげな声を聞きながら、自分の顔が強張っているのがわかる。
疑問や質問なんて今ですらありすぎる。でも、もう後には戻れない。
エレベーターが停止して、ゆっくりと目の前のドアが開き、私はその真っ白い空間に目を細めた。
「こちらは、、特別なフロアです。地下1階と2階の間にあります。
アナザープロジェクト専用階ですので、関係者以外は立ち入り禁止をなっています」
490 :
『光の庭』:2007/12/13(木) 00:35:54 ID:sO4P+R8p
あの空間だ―――。過剰なまでに白い、何の説明もないフロア。
私はその白さにまだ目が慣れないまま、足を踏み出した。
「こちらにはあのエレベーターでしか来ることができませんが、他の階に行くには別のエレベーターを使います。
おいおいその辺はご説明しますので、まずはこちらへ」
二人に連れられて、私はそろそろとその後ろを付いていった。
磨き上げられた白い床に私達の足音だけが響く。
どこかで岡 崎さんや大 菅さんに会いそうな気がしたが、他に人が居る気配がしなかった。
491 :
『光の庭』:2007/12/13(木) 00:37:57 ID:sO4P+R8p
「こちらがロッカールームです」
案内された所は少し狭い小部屋だった。病院のような長椅子が置いてある。
「ここへ来ましたら、まずここで着替えをしてください。指定されたロッカーに上着があります。この服の下には何も着けずにお着替えください。
失礼かと思いますが下着も脱いでください。こちらのフロアは女性スタッフのみですので、、、。
上着はエプロンのように袖を通して、後ろを紐で結びます。
それと下に布製の使い捨ての靴がありますので、そちらも履き替えてください」
あの二人の姿と同じ、、、?
十河さんの説明に頷きながら、昨日のことを思い出した。
「お名前のプレートの部分がボタンになっていますので、押してみてください」
示された壁には沢山のプレートが整然と並んでいた。
492 :
『光の庭』:2007/12/13(木) 00:38:51 ID:sO4P+R8p
S wimming 『R eiko N AKAMURA』『A ya T ERAKAWA』『A i S HIBATA』、、、
M arathon 『N aoko T AKAHASHI』 『M izuki N OGUCHI』、、、
、
、
、
いろいろな競技のアスリートの名が目に入った。どの選手も名前を聞いたことのある人ばかりだ。
このプロジェクトはウインタースポーツだけではないらしい。
C rossc ountry S kiing 『N obuko F UKUDA』 『M adoka N ATSUMI』、、、
F reestyle S kiing 『T ae S ATOYA』 『A iko U EMURA』、、、
、
、
S peed S kating『T omomi O KAZAKI』『S ayuri O SUGA(S)』『S ayuri Y OSHII』、、、
岡 崎さんの名前が目に入った。大 菅さん、吉 井さん、、他にもスピードの選手達の名前が続く。
そして一番最後に
Figure Skating 『S hizuka A RAKAWA』
私の名前があった。
作者タン乙
ミステリーも佳境にはいってきますたね
ドキドキしながら読ませていただいてます
次回更新も楽しみに待ってます
光の庭様、投下ありがとー。
姐さんはゼンヌホンヌプリントも欠場ということでちょっと心配ですな〜。
O菅タソも寂しがるね。
でもじっくり治してこれからもベテランの底力を見せて欲しいっす。
フィギャーふぁい鳴るはマオマオの底力をみますた。
あのまま崩れちゃうかと思いきや、すぐに立ちなおすところはすごいっすね。
幹ちゃんもフミィも負けてられないだろうからゼンヌホンもdkdkだぬ。
規制解除
おっと!スマンw
ずーっと、ぷろばいだー規制で書き込めんかったorz
光の庭さんGJ!つづき楽しみにしてまつ
今日はすOIがあるね。フミィについてのシズゥのコメントが聞きたい!!
で、明日はぐータンか。どんな話がでるのかwktkだ
幹ちゃん、お誕生日なのねオメ!
やっとはたちなんだね〜お酒も解禁だ!!!
遅くなりましたがONちゃんもお誕生日でしたね。ユカリソやシズゥにお祝いしてもらったかな?
こちらはお酒が強そうwww
gooタン見ますた!
牧子姐さんがぐいぐい引き出してくれるのが面白かった
シズゥはわりと受け身なんだね
普段はあまり表に出せないけど萌えスイッチ入っちゃっうとこ見てみたい!
なんか↑のシズフミの温泉のSSが頭に浮かんだ
作者様、お元気かな〜?
>>498 いますよ〜ノシ
温泉SSほったらかしでスマンorz 続きが思いつかない…
最近は書きたくても睡魔に勝てないんだよーつД`)
つーか、仕事いそがし杉…
ここのSS読んで癒されてますよ。光の庭さんいつもdです!つづきマターリ待ってまつ
おお、作者様だ〜('∇'*)
お忙しいようなんでマターリ待ってまつ。
私もここのSSで癒されてます!!光の庭も温泉SSも続き楽しみにしてます〜!!
最近シズゥの怒涛のTV出演もウレシ杉〜
501 :
『光の庭』:2007/12/24(月) 00:45:19 ID:gjX1Ri0Q
>>492の続き
私が息を飲んで慎重にプレートのボタン押すと、小さく機械音がして目の前のロッカーの扉がカタンと開いた。
中を覗くと、白い服と靴がビニール袋にパッキングされて置いてあった。
「それでは後は十河が外でお待ちしますので」
所長がそう言い2人が外に出てしまうと、ロッカールームでひとりぼっちになった私はこの白い部屋をぐるりと見回した。
装飾の殆どないシンプルな部屋。ロッカー横の全身を映すことのできる鏡だけがやけに目立つ。
私は横目でそれを見ながら黙々と服を脱ぎ始めた。
ロッカールームや衣装の採寸の時とか、裸で着替えることに私達はそれ程抵抗はない。
特に外国の選手達は大胆で、堂々と裸のまま歩き回ったり、おしゃべりしたりする。
試合前は殺伐としていたり、ショーの前は賑やかだったりいろいろだ。
502 :
『光の庭』:2007/12/24(月) 00:46:09 ID:gjX1Ri0Q
私はリストバンドをはずし、上着を脱いで、言われたとおりブラもはずした。
天井の照明の下、自分の胸をしみじみと見た。また痩せて少し小さくなったかな、、、。
外気にさらされて、皮膚にわずかに鳥肌が立ち、胸の先もきゅっと固くなる。
壁にある鏡に映った自分の姿を確認してみた。首から肩の線、うんと延ばした背筋、腕、指の先。
普段も身体はこうしてチェックしているけど、今日はスタッフの人にいろいろ見られるんだろうな、、、。
覚悟はできているけれど、恥ずかしい気持ちより、科学的な眼で見られることがかなり緊張する。
503 :
『光の庭』:2007/12/24(月) 00:46:51 ID:gjX1Ri0Q
袋から取り出した上着はさらりとしたエプロンのようになっていて、意外と柔らかい。
あの時の2人の姿を思い出しながら、両腕を通し、後ろに手を回して順に紐で結んでいく。
鏡で見ると、やっぱり背中や脇がちらちら見える。そう、確かこんな格好だった。
そして置いてあったゴムで髪を束ねて結わえた。
エプロン姿を確認すると、私は思い切ってショーツを脱いで爪先からはずし、たたんでおいた部屋着の中にさっと挿し入れた。
そういえば、下着は指定されたものではない。この雰囲気に不似合いなレースがなんだか恥ずかしくてブラも一緒に中にしまい込んだ。
靴を履く時、踵に触れた大 菅さんの指の感触を思い出した。そしてあの冷たく硬い横顔も、、、。
鏡の前に立った私の姿は、白一色で、どこか無機質で彼女達に驚くほどよく似ていた。
私はもう一度深呼吸をして、ドアを開けて外へ出た。
504 :
『光の庭』:2007/12/24(月) 00:48:00 ID:gjX1Ri0Q
「お待たせしました」
「いえ、サイズは大丈夫でしたか?」
「はい」
十河さんは私を一通り見ると「ではこちらへ」と通路の先へ案内してくれた。
角を曲がり私もそれに続くと、通路の脇に私と同じ姿をした人が立っていた。
「岡 崎さん、、、」
「やあ、やっぱりここへ来ちゃったか」
岡 崎さんは私を見ると、笑みを浮かべた。
「私達がここで他の競技の選手と会う事はない。同じ競技の大 菅達とだってほとんど別行動だけどね。
でも荒 川さんに会わせると言うことは、、、私と話をさせたいのかしら」
私を見た後、十河さんの顔を窺っていたずらっぽくそう言った。
505 :
『光の庭』:2007/12/24(月) 00:49:07 ID:gjX1Ri0Q
「恐れ入ります」
彼女は小さく頭を下げた。
「荒 川さんは初めてのフィギュアの方ということで非常に緊張なさっています。しばらくの間お願いできますでしょうか」
「私なんかでいいの?」
「荒 川さんは、、多分岡 崎さんの方がいろいろと話しやすいでしょうから」
「余計なことをしゃべるかもしれないけど?」
「、、、まさか岡 崎さんが、そのような」
「そう、、、じゃあ、私で良ければ」
岡 崎さんが頷いたのを確認すると十河さんが私に向き直った。
「それでは荒 川さん、準備が済み次第お呼びいたしますので、しばらくここでお待ちください」
慣れたような2人の会話をただ聞いていた私は、はい、と返事をして呆然と十河さんの後ろ姿を見送った。
突然、岡 崎さんと二人っきりにされて、何を話していいのか思いつかない。
506 :
『光の庭』:2007/12/24(月) 00:50:00 ID:gjX1Ri0Q
「まあ、あまり怖がることはないわよ」
岡 崎さんは少し明るい声で言った。ここへ迷い込んだ私を寝ぼけちゃったのかなと笑った時のように。
「あの、、これからどんなことをするんですか?」
「えーと、まずは精密に身体計測をすると思うよ。お湯のシャワーを浴びて、エアシャワーを浴びて
ぴっかぴかにして、、、もちろん全身裸でね」
「、、、、、」
「でも、、、荒 川さんは期間が短いし、どこまで詳細に取るかはわからないな。
恥ずかしいかもしれないけど、ここは女性しかいないから大丈夫。でもねえ、今だって足元からスースーするでしょ」
確かに下着を着けていないと慣れなくて心許ない。
でも、岡 崎さんだってきっと同じ格好のはず、、、なんだかすごく照れくさかった。
507 :
『光の庭』:2007/12/24(月) 00:52:24 ID:gjX1Ri0Q
「ここに来た何人かの名前をロッカールームで見たでしょう」
「ええ、、、それにしてもスピードの選手は結構居るんですね」
「まあ、この間も言ったとおり、私達は昔からのデータが割りと揃ってるから、、、いろいろとやりやすいんだろうね。
でも気がついた?ロング トラックの選手はいてもショートの選手はいないでしょう」
「そういえば、、、」
「このアナザープログラムは個人競技を主としたものなの。しかもどちらかと言うと記録系ね。
ショートは技術や身体能力も大切だけど、選手同士の相性や戦略が重要になってくる。相対的に勝ち負けを決めるものだから。
それと、同じ氷の上でも団体競技であるアイス ホッケーやカー リングも別」
508 :
『光の庭』:2007/12/24(月) 00:54:10 ID:gjX1Ri0Q
私はプレートの名前を思い返した。確かにソフト ボールやバ レーなど球技の選手の名はなく、対戦形式の柔 道やレス リングもなかった。
ならば、、、審判員が決めるフィギュアは、、、。
「採点競技っていうのもなかなか難しいだろうね。人によってそれぞれ違うなんて。
でも私はトリノで見たあなたの演技は忘れられないな。金 メダルにふさわしい演技だったと思うよ」
トリノ―――。私は確かにあの場にいてオリン ピックの金 メダルと言うスケーターとして最高の栄誉に輝いた。
主将の岡 崎さんもパ ラヴェーラまで祝福をしに来てくれた。あの時、彼女はメダルに届かなかった4位。そして、彼女も、、、、。
タイムならば、負けたとしても納得はできるだろう。敗因は明らかだから。
でも、自分が最高の演技をしても、それを認めてもらえなかったら、、、。
フィギュアでは間々あることなのだ。それがオリン ピックという世界が注目する大舞台なら尚更。
それを知っても尚、私達が求めるものとは、、、、。
509 :
『光の庭』:2007/12/24(月) 00:56:57 ID:gjX1Ri0Q
不意に通路の先に誰かの気配を感じ、私は顔を上げた。
そこには大 菅さんが、立っていた。
彼女は手を握り締め、はっきりとわかる敵意に満ちた瞳で私を見据えていた。
「小鳥が、、、、金メダルを下げて鳥籠に戻ってきた」
低い声でそれだけ言うと、拳をさらに硬く握り締めた。
「大 菅!」
岡 崎さんにたしなめられても、彼女はぷいっとすねた子供のように横を向いて、何も言わずに脇の通路へ走っていった。
510 :
『光の庭』:2007/12/24(月) 00:58:01 ID:gjX1Ri0Q
「、、、、あまりあの子を悪く思わないでやって」
岡 崎さんは大 菅さんの行方を気にしながらぽつりと言った。
「、、、あの子もあの子なりにあなたのことを心配しているのよ」
怒る気持ちにはなれなかった。あの涙を見たせいかもしれない。
大 菅さんの瞳は単純な怒りや妬みではなく、どこか行き場のない思いをぶつけてくるような瞳だった。
まだまだ続くです
年内には終わりそうもないですねw
これからヌピヌケのTV放送あるみたいなんだけど、、もはや酔いが回ってきて眠いですzzz
姐さんの雄姿が見られなくて残念だったけど、みんな良い年越しができるようにがんばって欲しいです
ひぃギュアは明後日からだったっけ?ああ忘れないようにチェックしなくっちゃ!
>>499様
私も癒されてます〜ぜひ続き読みたいのでまたーり待っております
お仕事がんばってください
私も年末目が回りそうです@@@@
投下GJ!いいクリスマツプレゼントだたYO
相変わらずミステリアスな展開、来年も期待してよかですかw
全ぬほんのヌプリントは録画で見ますた。姐さん欠場で残念だわ。
でも去年映像見れて、の姐さん優勝の陰でよすぃちゃん泣いてたのね。
その前はよすぃちゃんが優勝して
逆転された姐さんが試合の後泣きながら滑ってたらしいし
ヌピヌケは結構ライバル心のむきだしにするのが萌えポイントかな。
優勝しても千bでまたしもベテランたばたさんに負けてしまって
泣いていたよすぃちゃんがかわええ。
抱いて背中さすってたの、おねーさんか誰かかな。
でもって肩で風切ってたたばたさんがあまりにも男前すぐるww
光の庭様、ふぃぎゅあーは明日からでつよ!
オダくんが出ないからかなり寂しいけど、久しぶりにフミィが見れるんでキドキドですわ。
シズゥの※ントが楽しみ〜。
>>511 ミステリアスktkr
O菅タンの言葉が謎だな…。
>>512 確かにライバル心むきだしは萌えるなw
シズゥとフミィもそんな感じだったしね。全 日 本で萌えコメント期待!!
全ぬほん、みんな気迫あふれる演技で見てて心臓が痛かった
フミィは振りーはちょっと残念だったけどショー戸ではキヌクラの笑顔が見れて良かった
最終かっそーの幹ちゃんにも感動したし、ユカリソの気合も良かった
全ぬほんはドラマ多いね〜
相変わらずシズゥはきっとフミィの演技中は言葉も出ないほど見入ってたんだな、きっと
>>514 シズゥはフミィへのコメントは何かどぎまぎしてるよねw
聞いてるこっちまで緊張するわ
ユカリソは最後泣いてたねー。恩ちゃんも見に来てたのかな?
ホテルへ帰ってから、いつもはツンデレなユカリソが、激しく恩ちゃんに甘えた…
んだったら萌える〜〜(*´Д`) ハァハァ
シズゥバーヌデーおめ!
きっとみんなにお祝いしてもらってるかな?
フミィがこっそり名無しでプレゼント渡してるの妄想して萌え(´∀`)
フミィはぴバーヌディー!
シズゥとは2日だけ同い年なんだよね
来年もまたハラハラドキドキさせてください(≧▽≦)
冬ヌポの皆さんが怪我なく活躍できるといいな
こっそりと陰から萌えさせてもらいますw
シズゥとフミィは12月30日に真ん中バースデーするのかな?
519 :
AGE:2008/01/05(土) 00:29:29 ID:Mmrrd5K6
あ
今年も冬ヌポで萌えさせてもらいます
またーりといきましょうね('-^*)
遅くなりましたがあけおめ!
仕事も始まりましたがここんとこ体調悪くてツライな〜なんて思ってましたが
幹ティと朝田ツマイのはれ着姿に癒されました
みんな美すぃぃ〜(n´∀`)η
幹ティももうせーじん二十歳なんだねリソク離れると着物着てもまだあどけないなあ
まいまいは大人っぽくて素敵だしまおまおもカワユス
ヌピヌケの皆さんの着物姿もちょっと見てみたいな
522 :
小ネタです:2008/01/11(金) 16:12:54 ID:Bw2X5sGT
久しぶりの投下の小ネタです。
クリスマスに姪っ子に買ってあげた「ぐ りとぐ ら」の絵本を見てたら思いついた小ネタを。
有名な絵本ですが興味ない方はヌルーしてください。
良い子のためのエロなしでつw
ぐりとあらは とてもなかよしのスケーターです
あるひ ぐりとあらはどんぐりをひろいにもりにでかけました
わたしたちのなまえは ぐりとあら
このよでいちばん好きなのは スケートすることたべること
ぐりあら ぐりあら
ぐりとあらがうたいながらもりへいくと
みちのまんなかに とてもおおきなたまごがおちていました
「まあ、とてもおおきなたまごだわ」
とぐりがいいました
「これならおつきさまぐらいのめだまやきができるわ」
とあらがいいました
「きっとわたしたちのベッドよりも あつくてふわふわのたまごやきができるわ」
とぐりもいいました
「それよりプリンがいいわ。ひとばんじゅうたべてもたべきれないほどおおきなプリンができるわ」
とあらがいうと
「それがいい」
とぐりがぽんとてをたたきました
ふたりでおなべとぎゅうにゅうとさとうをもってきてつくることにしました
おなべでにて ひやしてかためると おおきくてきいろいおいしそうなプリンができました
「まあ、とてもおいしそうなプリンができたわ」
ふたりはこえをあげてよろこびました
「いただきまーす」とスプーンをもったところでぐりがさけびました
「あ、わたしバンクーバーまでプリンをたべるのをがまんしているんだった!」
「…え、なにかいった?」
きがついたときにはもうおさらにはプリンはなく まんぞくそうにほほえむあらのすがたがあったのでした
がんばれぐり!!!
(おそまつ)
なんかいつもシズゥがオチだw
でも、シズゥはショー連続で忙しそうだね。こんなくだらないの書いちゃってごめんよシズゥ
>>521 ヌピヌケ選手の晴れ着ははなかなかないよねぇ。
色白の多いし着物も割と似合いそうだ。姐さんはケコーン式で着物きたのかな???
>>527 小ネタさん乙!!
シズゥとフミィだと、シズゥがオチになりやすいよなw
今年一発目のSSで和んだよ。
シズゥは本当忙しそう…。こんなんじゃ姐さんと浮気する暇も(ry
姐さんがケコーンしちゃったから、何となく荒岡の妄想が膨らまなくなったorz
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! って思えるきっかけがあればなぁ…
>>527 小ネタ様GJっす!
ぐ り ぐ らシリーズ懐かしくて好きだわ
わたしたちのベッドってのに激しく妄想してしまったww
まおまいやシズゥみきたちの着物姿はヌテキだよね〜
ヌピヌケさんたちショットはあまりないだろうけど
無事Qさんとこに姐さんのはないが他のセンツュ達のはあったような
あとヌホンで行なわれたツョートとらつくの大会のバンケットではヌホン女子たちは着物姿で参加したらすぃ
今年はまた大きな大会があるからヌピヌケの女子もやればいーのにねっ
>>528 妄想力を膨らませてがんがってください!!
荒岡を楽しみにしてます!!
姐さんはケコーンしても別居だから、やりたい放d(ry
>>528様
ケコーンしてもここは妄想世界ですからw
気長に荒岡楽しみにしてます
姐さんに関しては最近ネタありませんねえ
まあじっくり故障を治してほしいな
荒岡ではないけど、鳥野前
フミィが全ヌホンで逆転優勝したのを、テレビで見て感動した姐さんはその日の夜「鳥野で会おうよ」とメールを送って
「フミエちゃんの気持ちが入っていて感動した。うれしかった」
自分の大豹ケテーイ前に記者達に興奮気味に話したそうだ
シズゥと姐さんでフミィを取り合い、、、ってのもいいかもw
姐さんネタではないが
タバタさんのぶろ ぐで甘えるよすぃちゃんがカワエエ
久しぶりに書いてみますた。
荒村岡のSSでつ。
題が思いつきませんでしたorz
薄いカーテン越しの陽の光に目を細めながら、私はぬくぬくした毛布から腕をのばした。
「…ん〜…眠っちゃったんだ、私…今何時?」
「ふふふ…起きた?まだ3時だよ」
近くで女の人の声で返事が返ってきた。
「きっと疲れてたんだよ。昨日も夜遅くまで練習してたんでしょ」
ブラウスだけを羽織って素足を出したトモミちゃんがミネラルウォーターを片手に笑いながら立っていた。
「トモミちゃんだって」
「私は昨日は早めにトレーニングを切り上げて待ってたんだよ。フミエちゃんが来るんじゃないかと思って」
そう言って私が寝ているベッドにすとんと座ると持っていたボトルをぐいっと飲んだ。
ボトルの中の水がきらきらと光りながら彼女の喉に注ぎ込まれていく。
ここは彼女が泊まっているホテルの部屋。
今夜はここで連 盟のパーティーがあるから彼女は前の日から泊まっている。
電話をかけて押しかけたのは私。
「まさか昼間っからこんなことするなんて思ってもみなかったけど」
「……私そんなつもりじゃ…」
「じゃあ、私と会って他に何をするつもりだったの?」
……私とトモミちゃんはいつからか身体を重ねあう仲になった。
恋人同士ではないけれど。
泣きながら胸に飛び込んだ私を彼女は慣れた様子でキスをして愛撫してくれた。
トモミちゃんの甘い香り、滑らかな肌、温かい体温。
彼女の指や唇は私の身体をやさしく溶かしてくれた。
その時だけは胸の痛みが消えていく気がした。
そして初めての経験に私は夢中になって溺れてしまった。
恋人でもないのに、こんなことしちゃいけないってわかってるのに。
普段会う時は、いつもどおり友人の2人。
でも私が2人だけで逢いたいと連絡すると暗黙の了解みたいに身体を重ねあった。
「別に…ただ顔を見たかっただけよ」
「でも…もうそれだけじゃ…ダメなんでしょう?」
トモミちゃんは私を抱き寄せると髪を撫でながら耳元で囁いた。
顔を背けながら、彼女の腕にすっぽりと収まってしまう私。
「だいぶ慣れてきたじゃない、キスも上手くなったし」
「もうっ、変なこと言わないでっ」
にやにやといやらしい目でからかうから、私は慌てて離れて毛布にもぐりこんだ。
トモミちゃんって最初から慣れてるみたいだけど、女の子同士の経験って昔からあるのかな…?
なんだか不思議だった。
違和感がなさすぎて。
私はそーっと顔を出してトモミちゃんに聞いてみた。
「…キスに上手とか下手とかってあるの?」
「ははは、ごめん。変な言い方だった。キスに上手も下手もないよ。
うんと気持ちがこもってて、うんと感じてくれればそれが最高」
トモミちゃんはけらけら笑うと、私の頬っぺたに軽くチュッとキスをした。
彼女にキスされるとそこだけがぱっと熱くなって頭がくらくらしちゃう。
ハグしたりキスしたり、外国の友人たちとは普通に交わせるのにトモミちゃんのキスは特別。
でも、これは恋とは違うんだ。
「…もう、帰らなくっちゃ」
彼女の腕からするりと抜け、私は裸のままだったからシーツを巻きつけてベッドから立ち上がった。
「シャワー浴びていったら?」
「……」
「私の香水の匂い、そのままじゃまずいでしょ」
私はビクンと身体をすくめた。
「今夜…あの人も来るんだってね、知ってた?」
トモミちゃんの瞳が深く沈んだ色になって私を見つめた。
いつもの笑顔がじゃない、やるせない微笑み。
とたんに罪悪感が私の中を駆け巡る。
トモミちゃんに対して。
自分の心に対して。
「……ごめんね、別に隠してたわけじゃないんだけど」
「ふふふ、隠したってわかるよ。私とこういうことする時ってさ、いつもそうだもの」
「……」
トモミちゃんは私の秘めた思いを知っている。
それを知った上で私を抱いてくれている。
ずっと心の奥で思い続けている、叶わない恋の相手。
「いいのよ、気にしないで。私があの人の代わりだってことは最初からわかってたことなんだから。
束縛したいとか、束縛されたいとか、恋愛感情でこういう関係になったわけじゃないもの。
ただフミエちゃんが私を頼ってくれるってだけで、すっごくうれしいんだ」、
トモミちゃんの腕が背後からシーツごと私の身体を抱きしめた。
首筋にかかるせつない甘い吐息が熱い。
「一緒にシャワー浴びようか」
私が返事をする前に彼女は手を引いて私をバスルームに連れて行った。
叩きつけるどしゃ降りみたいな音の中、私たちは裸で抱き合っていた。
白くて逞しくて、それでいて女らしいトモミちゃんの身体。
香りはシャワーで消すことはできても、この感触はまた当分私の中から消えそうもない。
そんな思いを胸に抱えて、今晩トモミちゃんとあの人に会わなくちゃいけないなんて。
私は神様に背くことをしている。
はやく夢から覚めなくちゃ。
あの人のこと、この人のこと、こんな気持ち…。
ドレッサーの前に座って髪を乾かしていると、トモミちゃんがバスタオルを巻いて出てきた。
こうして見ると、やっぱり美人だし女としてもずいぶん色っぽいなぁ…。
「ねえ、トモミちゃんて好きな人いないの?」
「うふ、今私の好きな人はフミエちゃん」
髪の毛をごしごし擦りながら、鏡越しににやっと笑い返してきた。
「もう、冗談ばっかり。トモミちゃんて男の人にもてるじゃない」
「でもさあ、男の人って私の正体知ると結構離れていっちゃうんだよねえ。
私もそんなに猫かぶることなんてできないしさ。フミエちゃんみたいな私を癒してくれる可愛い子が好きっ」
彼女は笑ってくしゃくしゃな髪の毛のまま私に抱きついてきた。
「……私、ちっとも癒してなんかいない。トモミちゃんに甘えてるだけ」
「ううん、いいの。もっと甘えて。これはいけないことを教えた私の責任」
トモミちゃんは私の髪に顔を潜らせて、子犬を可愛がるみたいに何度もキスをした。
「……それより…今夜、大丈夫?」
「……うん、周りに大勢の人がいるから…きっと平気」
急にトモミちゃんは心配そうな声になって私を覗き込んだ。
たぶん今夜のパーティーは沢山の人がいるからあの人と言葉を交わすのはほんの少し。
会えるのは苦しいけれど、やっぱりどこかうれしい。
あの人の笑顔を見て声を聞けて、一緒にいられるって思うだけでこんなに胸がどきどきする。
「…あの人、またきれいになったね。フミエちゃんもあの人も会うたびにどんどんきれいになるね」
鏡に映った私の頬は少し紅くなっていた。
トモミちゃんはやさしい目をして私の頭を何度も撫でてくれた。
頬がもっと熱っぽくなってくる。
「もし…良かったらパーティーの後、ここへ来ない?私まだここにいるから」
「……」
部屋を出る前、トモミちゃんはやさしい目で私を見つめて言った。
……今夜、あの人に会えばあの人の顔を見たら、恋する思いはもっと強くなる。
そんな気持ちを抱いたままトモミちゃんに会うなんて、いけないこと。
でも……絶対逢わないって言えない私。
「……私はフミエちゃんに付き合うよ。フミエちゃんが飽きるまでずっと一緒にいてあげる」
抱きしめられながら、私の目からは涙が溢れてくる。
トモミちゃんは涙を指でそっと拭ってくれて、やさしいキスをしてくれた。
優しくされればされるほど私の罪は重くなる。
わかっているくせにやめられない。
ぜんぶ自分のせいなのに。
私にしか終わらせることができないのに。
華やかなパーティー会場。
あの人が好きな花の形をしたピアスとトモミちゃんの好きな色のドレス。
結局そんな格好を選んできてしまった。
楽しそうに笑うあの人に見とれながら、ウインクするトモミちゃんに手を振る私。
いっそのことシャンパンの泡になってしまいたい…そしてあの人の胸に溶けていけたらいいのに。
……でもそれもきっと罪なこと。
私はグラスに唇をつけると、金色のアルコールを自分の胸に流し込んだ。
(おしまい)
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!
GGGGGGGGGJですぅぅぅぅ!
フミィのあの人はシズゥだよね?
姐さんの「飽きるまでずっと一緒にいてあげる」がせつなくていい!泣けるわ。・゚・(ノД`)・゚・。
>>531様
せつないの好きです、フミィのゆれる心に萌え
世界ヌプリントO菅タン体調不良で欠場とはちょっと心配
姐さんも今季はお休みかな?にゃがのの大会には出たいと言ってましたけど
よすぃちゃん他皆さんもちょっとお疲れのようで奮わなかったみたいですね、残念
これからTVあるけど録画して寝るです
あとモーグノレのI子ちゃんも負傷したみたいでこちらも心配だわ〜
ふゅヌポは怪我すること多いからなあ
シズゥは相変わらず忙しいけどほんのちょっと幹ちゃんとの逢瀬を楽しんだようで
コソビニでごっそり食料買い込んで二人でホテルに向かったうらしい、、、怪し過ぎる!w
フミィも入れてあげてください!!
と3月のにゃがのではシズフミが一緒に出るみたいですね
見に行きたいけど、ちょうど仕事が忙しい時期だよorz
くやしいから今から妄想しちゃうぞ〜〜!!!
>>541 いいねーいいねー!
シズゥに想いを寄せていながら、姐さんに抱かれるフミィ…
久々に萌えさせていただきますたw
タマラン!GJ!!久々に来てよかた!!ありがとう!!
531です
レスいただいてありがとー(^0^)
最近フミィのヌースがないので書いてみますた。
よん鯛陸までヌースはおあずけかなぁ…
でもにゃがののシズゥとの競演は今から妄想してwktk!
80年仲良し3人組wの小品を書いてみました。
あまり百合風味はありませんが。
たまたま合った3人のオフ。
フミエとサユリとユカはドライブの約束をして駅で待ち合わせた。
今日はフミエの車でお出かけなのだ。
「お、これがすぐりんのマイカーやね。なかなかかわええなぁ〜、お?これは…」
ジャンケンをして、ユカが隣に座ることになったが、助手席のクッションに気がついた。
それは大きな女の子の形をしたクッションで胸の所に『C・H・I・K・A(はぁと)』とでっかくアップリケがしてあった。
「はは〜ん、ここ、チカちゃんの特等席っていうわけや。ええのん?うちが座って」
ユカがにやにやとフミエをのぞくとフミエは慌てて
「い、いいのよっ!こ、これは、後ろに置いといてっ!( // ∇ // )」
と真っ赤な顔をして後ろにいるサユリにクッションを押し付けた。
どうやら、いつもそこに置いてあるのをしまい忘れていたようだ。
「相変わらず、シスコンやなぁ〜」
「も、もうっ、出発するわよ!」
「お、おおお〜っと!((((◎o◎)」
フミエはユカがシートベルトを締め終わらないうちにアクセルを踏んで車を走らせた。
「まぁあんなん助手席にあるようじゃ、すぐりんもまだカレシできんってことやな」
「……も、もうっ、ユカちゃんったら…」
「チカちゃんが彼氏連れてきたら、すぐりんもちょっとは彼氏つくる気出てくるかもね」
後ろからサユリも顔を出した。
「へ、ヘンなこと言わないでよ」
フミエは真っ直ぐハンドルをにぎったまま鼻をひくひくした。
「べ、別にチカが彼氏を連れてきても私は私よ。2人こそどーなのよ」
「え?うちら〜?」
「ははは、うちらはうちらでちょー愛し合ってますから」
「そ、この間もカナダで愛を確かめあったし、ねっゆかりん!」
「そ、さゆりん!」
後ろからサユリがユカに抱きついて2人でニヤッと顔を合わせた。
「ナンだったら、今度はすぐりんも一緒に3人で愛を確かめあってもいいんだよ」
「……ま、またぁ〜」
「うんにゃ、4人でもいいかな」
そう言ってサユリはチカちゃんクッションを映画のようにポーズをつけて抱いて唇をむにゅ〜と突き出した。
「あっあっあっ、それはだめぇぇぇぇ〜!!!!!」
「わわわっっ!す、すぐりん、ハンドルハンドル!!」
ミラーごしにそれを見たフミエは大声を出して、手をばたばたして飛び上がった。
途端に車体が大きく揺れて2人はあせった。
「はぁ〜あかん。すぐりんチカちゃんのことになると夢中になってしまうからなぁ」
「いやあ、わかるよぉ〜わかる。妹っていうのはいくつになっても可愛いもんだからねぇ」
「なんや、さゆりんもシスコンかいな」
「でもすぐりんには負けるよ。TVの前であいらびゅー連発するなんてできないよ」
「もう、チカのことはそれぐらいにしてよぉ。今日これからどこ行くの?」
フミエはまだ顔を赤くしながら、口を尖らせた。
「うち、ロマンチックに海が見たいなぁ」
「海〜?」
「水着もってないよ」
「うはは、さゆりんすぐ脱ぎたがる。自慢の太股そんなに見せたいんか」
「泳ぐにはまだ早いよぉ」
「えーっとね、砂浜を裸足で走って追いかけっこしたい」
「……ユカ、それ何10年前の恋愛ドラマよ」
「しかも女の子同士だし」
「ええやん、乙女チックに波を数えてみたいんや。最近海見てへんから」
「まあ、潮風に吹かれるのもたまにはいいでしょ」
「そうね、氷ばっかじゃなくたまには溶けてる水も見たいわ、行きましょっ」
なんだか夢見る乙女モードに入っているユカにフミエとサユリも笑いながらうなづいた。
ランチはフミエおすすめの海沿いの小さなイタリアンレストランに入った。
「今日はチカちゃんと一緒じゃないの?」
日に焼けたイケメンの店長がフミエに声をかけた。
「なんや、ここチカちゃんとデートコースか」
席に着くとユカとサユリはフミエにこそこそと肩をつついた。
「ねえ、あの人結構イイじゃん」
「ふふふ、ダメよ。あの店長さんもう結婚してて2人の子持ちだもん」
「えー、うっそー!!」
「でもちゃんとリサーチしたんや」
「リサーチって…そんなんじゃないけど、たまに奥さんと子供もお店に顔出すんだよ」
「なあんだ」
「つきあえば美味しいもんいっつも食べさせてもらえそうなのになぁ」
けらけらと笑いあうと3人はパスタの大盛りを注文した。
サービスにデザートをもらってさらにご機嫌になった。
海が見えるテラスでのんびりとおしゃべりをした後、砂浜に降りて歩いた。
「おー、海や、海やで〜」
履いていたサンダルをばばっと脱ぐとユカが手を広げて波の方へダッシュで走っていった。
「なんか乙女チックにしたいって言ってなかったっけ?」
「ふふふっ、ユカちゃん子供みたいだねぇ、でも可愛い」
2人はくすくす笑いながらユカの後を追って裸足になった。
「きゃー、つめたーい!!」
「でも気持ちいいよ」
「わー大きい波がキタ━━(゚∀゚)━━!!!」
3人でばしゃばしゃ水しぶきをあげ、波と追いかけっこしたり、三角関係昼メロごっこをしたりしてしばらく遊んだ後
疲れて砂浜に転がった大きな流木に腰掛けた。
平日の昼下がりで海にはあまり人がいなかった。
それでも何人かのサーファーが波の向こうに見えたり隠れたりしていた。
「今度、サーフィンやらない?」
「えー、うちできへんよ」
「私が教えてあげるよ」
「サユリちゃん、なんでもできるね」
「あかんわ、うち…実は…」
「……もしかして、カナヅチ?」
「……プールはいいねん、波があると酔ってしまうねん」
「ははは、酔い止め飲ませてあげるよ」
海を眺めながら話をしていると、なにやら後ろに気配がした。
「君たち、女の子だけで来てるの?良かったらこっちに来ない?」
振り向くと、やたらに黒く日に焼けた男3人がにやけた顔でこっちを見ていた。
はっきり言って顔もアレだが、全体的に軽薄そうな雰囲気が漂っていた。
「ごめんね、私たちデート中なの」
サユリが右からフミエの腕に抱きつくと
「そーゆーこと!」
左からはユカがフミエの腕に抱きついてちらっと舌を出した。
でも男たちは返事を聞かなかったようにニヤニヤといやらしい薄笑いを浮かべながら近づいてきた。
「なーに、言ってんだよ。女だけで海に来るなんて男目当てだろ」
「俺、こいつでいいや」
1人の男がフミエの腕を強引につかんで引き寄せた。
きゃあっと声をあげ、フミエはびっくりして男の方へよろけてしまった。
おびえたフミエの顔を見たサユリの目が一瞬にして鋭くなり、無言のまま立ち上がるとその手首をつかみ、あっという間に捩じ上げた。
「痛てててっ、なにすんだ!この馬鹿力女!」
思いもよらない反撃とその力の強さに男は声を荒げてサユリに振り返った。
しかし真っ直ぐなサユリの眼力に威圧されると、口を開けて慌ててフミエを放した。
ユカがすぐにフミエを抱き寄せると、サユリは2人をかばいながら身をかまえた。
「どう?やる気あんの?あたし強いよ」
ドスの聞いた声で睨まれると男は何も言えずにそのまま後ずさりして連れの2人と決まり悪そうに顔を見合わせた。
「ふん、おまえみたいな可愛げのない女なんか相手にするかよっ!」
男たちは捨て台詞を吐いて、そそくさとその場から逃げていった。
「はぁぁぁ〜、怖かったぁ〜」
男たちの姿が見えなくなるのを確認するとサユリはふらふらと砂の上にへたりこんだ。
「ちょっと、サユリちゃん大丈夫?」
「いやあ、かっこ良かったで〜」
フミエとユカが手を差し伸べて心配そうに顔をのぞきこんだ。
「はー、でも心臓はバクバクしてた」
サユリは胸に手を当ててほっとした脱力した笑顔を見せた。
「さゆりんの目力にあいつらびびってたで」
「いくら私でも1対3じゃきついよ」
「まあ、けなげにひとりでうちらのことも守ろうとしてくれたん?こー見えてもうちもそれなりに強いんよ。うちのトレーナーさん格闘家やから」
ユカはそう言って様になってないファイティングポーズをした。
「ははは、たよりになるよ」
「わ、わ、わ、私だっていざとなったら…」
「え?すぐりんが?」
2人がよく見ると、いつのまにかフミエがさっき座っていた2mはある巨大な流木を後手に引きずっていた。
「うははは〜、すぐりん、それ使わなくてよかったね」
「すぐりんがそれで大暴れしたら明日の一面トップやな。『フィ ギュアの村 主、流木スピンで暴漢をなぎ倒す』!!!」
流木を囲んで3人は大爆笑をした。
防波堤に上がってフェンスに寄りかかりながら、3人はまた海を見ていた。
「……私、やっぱり可愛くないのかなぁ…」
フェンスにあごを乗せて、サユリがぽつりとつぶやいた。
「やっぱさ、男って守ってあげたくなるような可愛い子が好きなのかなぁ…」
「うちはああいう正義感の強いさゆりんが好きや」
「でもさ…やっぱりか弱い方が女の子らしいよね…」
「なに言うてんのん、あんな奴のことなんか気にせんでええよ。うちは200kgのバーベル上げるさゆりんが好きやねん」
「もうっ、190kgだってば……ってやっぱ馬鹿力女か…」
ちょっと頬をふくらませたが、それをすぐしぼめてサユリは波を見てため息をついた。
「……可愛いよ」
それまで黙っていたフミエが静かに言った。
「そんなユカちゃんとサユリちゃんは一番可愛いよ」
そう言ってフミエはふわ〜っと両手を手を広げ、サユリとユカを後ろからむぎゅ〜っと抱きしめた。
3人はひとつのかたまりになったまま、頬をよせ合って微笑んだ。
いつのまにか海はオレンジ色に染まりさっきまでいたサーファーも数少なくなっていた。
「そうやっ、うちらでちゃーりーずエンジェルでもやる?世の男どもからか弱き乙女を守るスーパーヒロインってどうよ?」
ユカがぽんと手をたたいた。
「ははは、誰がチャーリーなのさ」
「あはは、セーコ会長とかJ○Cの会長とか?」
「ははっ、嫌だそんなの!絶対ゆーこと聞かないよ!!」
「うん、じゃあ誰にも命令されることないエンジェルになろう!」
「それがいい!」
3人は声を揃えて笑い、そうしてまた遠い水平線を見つめた。
少し冷たくなった潮風がやさしく3人の髪をはためかせていた。
(おしまい)
3人ともかわええ〜〜GJ!
なんかほのぼのしちゃいました!
80年組また書いてください!!
>>547 乙です!何か癒されたぁ
また思いついたら投下待ってます
長 野M O I って全国放送ないのかな?
久々に荒村一緒にショーだよね。
二人でコメントとかあったら物凄く萌えるんだが(*´Д`) ハァハァ
にゃがののM○I、地元では放送あるみたいだけど
全国放送してほしいよね 1○周年記念だし
シズゥとフミィのぎこちない絡みは是非見てみたいw
567 :
『光の庭』:2008/02/14(木) 00:04:18 ID:0bpguyaX
>>510の続き
彼女の思いはどこから生まれてどこへ行くのだろう。
隣にいる岡 崎さんもしばらく黙ったまま彼女の去った無機質な白い廊下を見つめていた。
追いかけてはいけない、、、、そんな顔だった。
それにしても、鳥籠に戻ってきた小鳥って、、、私のことなのだろうか。
「トリカゴ、、っていったいなんですか?」
岡 崎さんは、はっとしたように私に振り返った。
「ああ、それはね、私達が勝手にここのことをそう呼んでるだけ。でも閉じ込められたりするわけじゃないから」
彼女はすぐに穏やかな表情に戻り、私に答えた。
568 :
『光の庭』:2008/02/14(木) 00:05:27 ID:0bpguyaX
「、、、、」
「心配しなくても大丈夫よ。ここから出られなくなるなんてことはないんだから、私達はね。
なんで鳥籠って言うかは最初の精密測定をすればわかるよ」
「精密、、測定、、」
「そう、例のまっ裸でやるって言った測定。籠の鳥と言うか、まな板の鯉と言うか、、、。、
産毛まで計測できちゃうくらいの精密にできるらしいんだけど。まあ、やっぱりちょっと恥ずかしいよね。
吉 井なんてもう、どーにでもしてくださいっ!どこまでも計っちゃってください!って十河さんに言ったらしいよ」
思わず、あのおっとりした吉 井さんが叫んでる姿を想像してしまった。
「ははっ、ここに来て初めて笑った顔を見た。荒 川さんの困ったような笑い顔はとってもかわいい」
そう言って岡 崎さんの明るく笑う声につられて私も声を出してさらに笑ってしまった。
そうだ、私達はここへ来た以上覚悟を決めた籠の鳥なのだ。
岡 崎さんと話していると少しずつ不安が溶けていく気がする。
無機質で真っ白い世界にいる私達二人の笑い声がしばらく通路に響いていた。
569 :
『光の庭』:2008/02/14(木) 00:06:42 ID:XhM58dpj
「でも、なぜわざわざ夜に計測するんでしょうか」
私が白い壁を見回して言うと、岡 崎さんは再び真顔になった。
「ここの機械はとても緻密で繊細で、日中では、磁場とか電波とか、、、私には全然わからないけど、いろいろなものに影響されやすいらしい。
だから地下で夜にする必要があるんだって。
目には見えなくても、私達の周りには常に自然の様々な現象が起こっているってわけ。
、、、フィギュアは屋外ってことは殆どないだろうけど、それでも温度や気圧がスケートに影響することは感じているでしょう。
リンクに乗るとそれはすごく良くわかる。不思議なことだね」
同じリンクでも、外の天気、場所による温度差、観客の数、様々な条件でコンディションは違ってくる。
私達よりも薄いブレードで100分の1秒を争うスピードの選手はさらに敏感になっているのだろう。
「機械の都合に合わせてこっちが動かなくちゃいけないってのは、ちょっと癪にさわるけどもね」
岡 崎さんは腕組みをして、おどけて頬をふくらませた。
570 :
『光の庭』:2008/02/14(木) 00:07:08 ID:XhM58dpj
「それでも、人間の感覚はとても機械では追いきれるものではないから」
「でも、、、ここではメンタルな部分も計測するって聞きました」
私は思い切って一番気がかりなことを尋ねた。
「メンタルって言ったって本当に表面的な計測だけだよ。緊張は身体を硬くしてしまうけれど、あんまりリラックスしすぎてもいい結果にはならない。
そこの所の加減をいろいろと探ってるんだよね」
「、、、、」
「冷静に客観的に自分を見て判断できるように、、、ましてや私達は不安定な氷の上で瞬時にたった一人で判断を下さなくてはいけないから」
冷静に客観的に見つめること。
アナザーとは、別の、もう一つの自分を確認するためのものだろうか?
571 :
『光の庭』:2008/02/14(木) 00:08:16 ID:XhM58dpj
だけど、自分の心を無遠慮に探られそうで怖い。私のうんと深い所にあるものは絶対に知られたくない。
親しい人にも、そして、、彼女にも伝えたことはない、私の思い。
それは私の支えで私だけの秘密。
「自分の、、、心の中にある他人に見せたくない部分にも触れられるのでしょうか」
「、、、、人の心の内は、そう簡単にわかるものではないよ。
専門家の十河さんだって、閉じられた心を無理やり開くことはできないって言ってた。
ここではメンタルな実験や計測は行なわれているけれど、それだって目に見えたり、数値に表れたり、言葉にできたりするものだけ」
「、、、、」
一息つくと岡 崎さんは急に耳打ちをしてきた。
「ふふふっ、だってさ、内緒で男の人と付き合ってた時にここに来たけど、全然バレなかったもんね。
恋してますね、やっぱり女の子なんですねぇ、なんて指摘されると思ったのにさ。恋愛をすると身体にどんな影響がでるのかも興味あったりしたのに」
572 :
『光の庭』:2008/02/14(木) 00:09:32 ID:XhM58dpj
突然のぶっちゃけ話に私がなんと言ったらいいか困っていると、岡 崎さんはいたずらっぽく笑った。
そして大きく息を吸ってゆっくりと口を開いた。
「、、ここはね、、、ずっと前からいろいろな実験が試されてきた。
例えば、火事場の馬鹿力っていう言葉があるけど、選手が意識的にそれを出す方法とか、
体が発するSOSを無視してどれだけ過酷なトレーニングができるのかとか、
集中力を高める為に自ら催眠状態をつくることができるのかとか、、、。
思えば、無茶で滑稽でありえないことばかりだけれど、ここは、そんな馬鹿みたいな常識外のことにも付き合ってくれる所だったんだよ」
岡 崎さんの瞳は真っ白な廊下を見つめていて、遠い過去を辿っていくようでもあった。
「もちろん、今はそんなことは全くないけどね。ちゃんと科学的に根拠があって有効で安全な研究をしてるから全然心配ないよ。
でもまあ、、肉体と精神の限界に挑戦しようとするのはアスリートの本能みたいなものだからね」
優しい笑顔の下にはおそらく途方もない闘志と情熱がある。
、、、私は、、フミエちゃんのことを思い出していた。
573 :
『光の庭』:2008/02/14(木) 00:11:10 ID:XhM58dpj
「、、、私は、、、精神的にちっとも大人じゃないし、スケートに対しても真面目ではなかったこともあるんです。
周りの人に流されながらやってた時期もあるし、、、。
世界 選手権で優勝した時だって、これでスケートをやめることができるんだって、そんな風に考えていたんです」
「でも、あなたはそこでやめずにトリノまできたじゃない」
「、、、、やめさせてもらえなかったんです。周りの人はもう次のオリン ピックのことを考えていましたから」
「次のオリン ピックを目指したくても、いろいろな事情でやめなくてはいけない選手達も沢山いる」
「その通りです。だから私は、、とてもここに記録として残してもらえるようなメンタルの持ち主ではないんです」
つい、口にしてしまった。アスリートらしくない弱気な奴と思われてしまっただろう。
でも
「本当に、、見習うべきなのは、、、」
「荒 川さん」
私ははっと顔を上げた。
574 :
『光の庭』:2008/02/14(木) 00:12:23 ID:XhM58dpj
「、、、あなたは本当に優しい人だね。自分よりも周りの人に気遣ってしまう人らしい。
でもね、誰にだって弱くて情けない心はあるもの。そういう荒 川さんが金 メダルを獲ったってことが意味があるのよ」
「、、、、、」
「人間だからね、、、金 メダリストになれるのは人間だけなんだよ。そしてそれにあこがれるのも生身の身体と心を持つ人間だからだよ」
「、、、、、」
「目には見えなくても、それとは気づかないうちに私達は強く繋がっている、、、以前村 主さんがあなたのことをそう言っていた」
「フミエちゃんが、、、」
「あなたが私を引っ張ってくれている、とも言っていたよ」
岡 崎さんにそんなことを話していたなんて、、、。
うれしい気持ちと面映い気持ちが一緒にこみ上げてきた。
575 :
『光の庭』:2008/02/14(木) 00:13:45 ID:XhM58dpj
「荒 川さん、お待たせしました。準備ができましたので」
驚いて振り返ると十河さんが書類を持ち、こっちへ歩いてきたのが目に入った。
「岡 崎さんもお時間を取らせてしまい、申し訳ありません」
「私は、、もう一度チェックして終わりかな」
「はい、またあの部屋へいらして下さい」
岡 崎さんは十河さんに頷き、白いリストバンドをちらっと見てから、私の肩に手をかけた。
「自信を持っていきなさい。あなたのスケートしている姿はとっても素敵だから」
まるでニコ ライのようにそう言って手を振り、廊下を歩いていった。
ども、久々の投下でした
いよいよよん様大陸ですね〜
なんかドキドキしてしまうわ
みんながんがってほしいです〜
お待ちしておりましたよ 光の庭様〜
どんどん引き込まれていきます
続きが待ち遠しいですが無理のないペースでこれからもお願いします〜
光の庭様投下ありがとー
姐さんとシズゥの会話もいいっす
続きも楽しみでつ
579 :
『光の庭』:2008/02/19(火) 15:58:38 ID:Jtt/RIYm
>>575の続き
岡 崎さんの笑顔を見ていると、温かい勇気が沸いてくる。そしてフミエちゃんが言ってくれた言葉、、、。
ありがとう、と胸の中でつぶやきながら後姿を見送った。
「荒 川さん、こちらへどうぞ」
私は頷き、大きく息を吸い込んで、十河さんの後についていった。
しばらく行くと、さっきのロッカールームに似た部屋に案内された。
部屋の向こうにはもう一つドアがあり、小窓からまた奥に続くドアが見えた。
「精密測定のために、こちらで服を全部お脱ぎになってください。何度かシャワーを浴びて測定室に入っていただきます。
髪は備え付けのシャワーキャップにまとめて下さい。奥のドアに入ると音声でご案内いたします」
私はまた一人、部屋に残された。いよいよ一糸まとわぬ姿での計測が始まるんだ。
なるべく、何も考えないようにさっさと白衣を脱ぎ、シャワーキャップに結んだ髪の毛を押し込んだ。
ドアをあけると、すぐ正面に次の部屋に通じるドアが見えた。
580 :
『光の庭』:2008/02/19(火) 17:18:33 ID:Jtt/RIYm
「荒川さん、そのまま次のお部屋にお入りください」
天井から音声が聞こえて、ちょっと吃驚した。
そうだ、ちょうど健康診断のレントゲン検査をしている時と同じだ。カメラがどこにあるのかはわからないけど、向こうには私が見えているらしい。
私は黙って頷いて、ドアの前に立つと、今度は自動で扉が横にスライドした。
また小さな部屋になっている。
「お湯のシャワーが出ます。両手を左右に広げてお待ちください」
私は大人しく指示通りにした。
すると前後左右から勢いよくお湯が吹き出て、私の全身を洗い流した。
少し強めで、突然のことに驚いたけど、しばらくすると適温でマッサージされている様に心地良くなった。
石鹸の香りもほのかに湯気に混じっている。
581 :
『光の庭』:2008/02/19(火) 17:19:22 ID:Jtt/RIYm
「次に右へ90度向いてください」
他にも次々と指示があって、私は言うがままに動いていった。
その後、何回か部屋を通り過ぎる度にシャワーを浴び、最後にキャップを脱いで温風のエアシャワーをかけられた。
、、、そう言えば、アイス工場を見学させてもらった時もこんな風にされたっけ。勿論あの時は工場の制服を着てたけど、、、、。
そんなことを思い出しながら、私の肌はみるみる乾かされていった。
まるでSF映画に出てきそうな人間洗濯機に入っているみたいだ。
582 :
『光の庭』:2008/02/19(火) 17:19:52 ID:Jtt/RIYm
「それでは測定室にお入りください」
息をのみ、おそるおそる測定室と呼ばれる部屋に入った。
そこは天井がドームのようになっていて、さっきまでの部屋より広い。
そして目の前には全身を映す細長い鏡があった。私は改めて全裸の自分と対峙をした。
温かくもない寒くもない空気が私を包み、首筋の後れ毛にかすかに空調の流れを感じる。
鏡に映る私は緊張しながらも、どこか他人事のような顔をしていた。
「足元にマークがあります。それから正面の鏡のラインの真中にくるように、位置についてください」
床を見ると足形が書いてあり、その位置に足を乗せ、鏡の線を鼻とお臍に合わせて背筋を伸ばした。
「そうです。もう少し顎を上げて、、、そのままの姿勢でしばらく動かないでください。測定を開始します」
583 :
『光の庭』:2008/02/19(火) 17:20:21 ID:Jtt/RIYm
私はぴたりと息を止め、人形のようにそのまま静止した。
クククク、、、と、かすかな機械のうねる音がして、天井から何条もの光の線がレーザーのように真っ直ぐに降りてきた。
「そのまま、動かないで下さい。横の角度の測定も続けます」
、、、、なるほど、これが鳥籠と言う訳か、、、、。
それらの光線はまるでケージのように私を囲み、部屋の壁を、床を、私の身体の上を走る。微動だにできない私は、鳥籠の中にあるおもちゃの小鳥だ。
「瞬きはなさっても結構です。今度は両手を上にあげてください」
何回も縦横無尽に光線が部屋中を行き交った。
いろいろなポーズを指示されて、その度に私の肌にはストライプの曲線が描かれていく。
足を高く上げたり、体を反らしたり、、、まるでアーティステックな作品になったような気分になる。
「お疲れ様でした。計測が終わりました。ドアから出て先ほどの白衣にお着替えください」
緊張から開放されて、どっと力が抜けた。
出口のドアが開き、計測室を出ると、そこは裸になった最初の部屋だった。
584 :
『光の庭』:2008/02/19(火) 17:21:04 ID:Jtt/RIYm
再びエプロン白衣を着て外へ出ると、十河さんが待っていた。
「荒 川さん、お疲れ様でした。とても計測がスムーズに済みました。さすがはフィギュア スケーターですね」
感心した様子で声をかけられても、あの計測のことが現実ではないような気がして、私はまだ頭の中がぼうっとしたままだった。
「そう、、ですか?」
「アスリートの中にはじっとしているのが苦手な方もいます。
荒 川さんはぴたりと静止状態が長く続くので、とてもやりやすかったですよ」
産毛まで計る精密な、と言う岡 崎さんの言葉を思い出し、全裸だった自分のデータのことを考えると赤面してしまう。
産毛っていうか、、その、、いろんなポーズでいろいろな部分も計測されている訳で、、、。
「こ、これって、、、裸のデータを取ってどうするんですか」
「明日はリンクで滑走していただくのですが、そのデータと重ね合わせて、より正確なモデルを作る資料になります」
「あ、あの、、まさか、、裸でスケートするのを残すわけじゃないですよね」
私は真面目に心配して聞いたのだが、十河さんは目を丸くして、くすっと笑った。
「大丈夫です。データで残すのは勿論、衣装をつけた荒 川さんですよ」
十河さんの笑い顔を見て、変な質問をしてしまったなぁ、とますます恥ずかしくなってしまった。
585 :
『光の庭』:2008/02/19(火) 17:21:40 ID:Jtt/RIYm
「ここでの検査はこれで終わりです。夕食抜きでお疲れでしょう。軽い夜食をご用意していますので、お着替えになってどうぞ」
最初の部屋に戻り、部屋着に着替えた。
、、、やっぱり下着をつけるとほっとする。
ランドリーボックスに白衣を入れ、専用の靴をダストボックスに入れる時、大 菅さんの横顔が頭を掠めた。
初めてここで会った時、エレベーターで別れた時、そしてアナザープロジェクトの一員として来た私をじっと見据えた瞳。
昼間の大 菅さんと、ここでの彼女の違いを思うと、何か不穏な予感がしてしまう。
私はため息をつき、赤いリストバンドをつけた。
見るとすでに時刻は12時になろうとしていた。
586 :
『光の庭』:2008/02/22(金) 00:14:29 ID:ZY7kK+DD
「、、、食事はとらなくてはいけませんか」
「いえ、無理にとる必要はありません。ただ、空腹だと眠れないことが多いですから。
明日もありますし、よく睡眠をとられた方が体も楽になりますよ、食事も消化の良いものですし」
廊下を歩きながら尋ねると、十河さんから親身な面持ちで返事が返ってきた。
深夜に食事をとることは選手時代にはあまりなかった。
何より今日の予定が終わったとはいえ、まだこのフロアに慣れない緊張状態では食欲があまり沸かない。
587 :
『光の庭』:2008/02/22(金) 00:17:11 ID:ZY7kK+DD
十河さんに連れられて、入った部屋は、白木のテーブルと柔らかい椅子のある部屋だった。
野の花が描かれたパステル画と観葉植物や、かわいい犬の置物、、、、。
今まで無機質な真っ白い廊下や、最新式の病院のような所ばかりだったから、かえってここが不思議な空間に思える。
「温かいハーブティーか紅茶はいかがですか?ホットミルクもご用意できますよ」
「あ、、、じゃあ、紅茶を、、、」
さっきまで何も口にしたくなったのに、急に温かい飲み物が欲しくなった。
しばらくして、十河さんはポットとカップを2つ、それにお皿にクッキーのようなものをトレーで運んできてくれた。
「今日は緊張なさったでしょう。お疲れ様でした」
穏やかな表情で、目の前でポットから紅茶を注いで私に勧めてくれた。
そして自分も正面に座り、一緒に紅茶を飲んだ。丁寧に淹れられたとわかるいい香りがした。
588 :
『光の庭』:2008/02/22(金) 00:17:49 ID:ZY7kK+DD
「どうぞ、これも食べてみてください。栄養士の方と相談して作ってみたんですけど」
せっかくなので、そのクッキーをひとつもらうことにした。
カロリー メイトみたいなものなのかな、、、それはほんのり甘くしっとりとして、口の中で溶けていった。
「おいしいです」
「良かった。私、ほんとは甘いものが大好きで、アスリートの皆さんがどんなおやつが好きなのかもすごく興味があるんです。特に女の子には」
彼女はおいしいと聞いた瞬間、ぱっとうれしそうな顔をした。
こんな秘密のプロジェクトのチーフという重責のある十河さんだって、きっとプライベートは私達と変わらないお菓子好きの女性なんだ。
なんだか急に親しみがわいて、私は少し肩の力が抜けた。
589 :
『光の庭』:2008/02/22(金) 00:18:44 ID:ZY7kK+DD
「岡 崎さんもおいしいと言ってくださって、さっきも5つも召し上がったんですよ」
十河さんから他の選手のことが話題になるのは意外だった。
「、、、、どうして、さっきは岡 崎さんに会わせてくれたのですか。アナザープロジェクトで他の選手と会う事はほとんどないと聞きました」
「実は岡 崎さんは、このアナザープロジェクトよりずっと以前からこの研究所に関わっているんです。
私よりもずっとこの研究所のことをご存知ですし、先輩のような方なんですよ」
「、、、信頼されているんですね」
「ええ、アスリートとしては勿論、人柄も見習いたい部分は沢山あります。
私はこういう立場ですから選手の皆さんとの距離感には、いろいろと難しい部分はあるのですけど、
彼女はいつも両方の視点に立って考えてくださっているので、とても助かります」
トリノでの主将に彼女が決まった時、みんなが似合ってるなぁ、と言っていたのを思い出した。
アスリートとしての実力も、明るく人に対しての対応も、遠くから見ていても頼もしかった。
と、同時に、大 菅さんと話していたあの静かで厳しい横顔も。
590 :
『光の庭』:2008/02/22(金) 00:21:30 ID:ZY7kK+DD
結局、十河さんと話をしながら、例のクッキーを3つともたいらげてしまった。
私は十河さんに連れられて、一緒に1階に行くことになった。
「こちらが乗車用のエレベーターです。他の階に行く時はこちらをお使いください。掌のデータを照合して動くようになっています」
私達はあのボタンのないエレベーターの前に来た。
言われたとおりに手を置くと、壁の部分があの時と同じように緑色の光を放った。
そうか、あれは大 菅さんの掌に反応したのか、、、。どうやら私のデータも既に登録されているようだった。
591 :
『光の庭』:2008/02/22(金) 00:22:07 ID:ZY7kK+DD
エレベーターに乗り、私達は地上へと向かった。
1階に降り立つと目の前に、中庭の森が広がっていた。
やっぱりあの夜のように、月の光をほのかに受けながら、木々達はひっそりとそこにあった。
「申し訳ありません。ちょっとこちらへ立ち寄っていただけますか」
私は中庭を横目に見ながら、先を行く十河さんの後をついて行った。
592 :
『光の庭』:2008/02/22(金) 00:22:37 ID:ZY7kK+DD
1階のある部屋に行くと、リストバンドをはずすように言われたので、十河さんに渡した。
「アナザープロジェクトのタグを入れました。それがIDパスになりますので、あのフロアに行く時はこのリストバンドを忘れないでください」
奥の部屋から戻ってきた十河さんにまたリストバンドを渡された。見た目は今までのと変わりはない。
「今日はお疲れ様でした。明日は9時に八重樫がラウンジにお迎えにあがります。軽くウォーミングアップをなさってお待ちくださいね」
、、、明日はあのリンクで滑る予定になっている。久しぶりの氷の上を思うと、スケートを忘れている気がしてドキドキする。
十河さんと別れ、私はまた中庭を横に見ながら廊下を歩いていた。
593 :
『光の庭』:2008/02/22(金) 00:23:33 ID:ZY7kK+DD
ふと、森の中になにか気配を感じた。
それは、木々の向こうで良くは見えないが、淡く光っているような2つの影がくっついて重なっているように見えた。
―――フミエちゃん、、?!
それは、人のような形をしていたが、人ではない気がした。
あの夢に現れるフミエちゃんかもしれない。
私は慌てて中庭の入り口を探し、ガラスのドアを開けると、急いで影が見えたあたりを探した。
水の流れる音がする。あの池のそばか、、、。あせって飛び出したら、フミエちゃんは消えてしまうかもしれない。
私は逸る足に言い聞かせながら、木々の間の闇に目を凝らしてゆっくりと歩いた。
池の水のきらめきが見え、誰かが前のベンチに座っているのが見えた。
それは淡い光を纏いながら、どこか現実には存在していないような不思議な感覚だった。
近づくと、その人はふっと顔を上げ、何も言わずに私を見つめ返した。
594 :
『光の庭』:2008/02/22(金) 00:25:22 ID:ZY7kK+DD
、、、大 菅さん、、、。
私を見上げた顔は確かに彼女だったが、いつもの快活でアスリートらしい彼女とは違っていた。
迷子の子どものようにうつろな表情で、黙って私を見つめているだけだった。
「、、大 菅さん、、、」
「、、、、荒 川さん、、、あなたはどうして鳥籠に来てしまったのですか」
彼女は唐突にそう言ったが声は弱々しくて、岡 崎さんの前で泣いていた時と同じ瞳だった。
595 :
『光の庭』:2008/02/22(金) 00:25:54 ID:ZY7kK+DD
「、、、それは、、私が必要とされていたから。私のデータが後輩達の為になると思ったからよ」
さっきアナザープロジェクトのフロアで会った時の鋭い視線とは、まるで逆の儚げな表情に戸惑いながら、私は心を落ち着けて答えた。
「、、、あなたには鳥籠に来てほしくなかった。もちろん私に、そんな権利も権限もないけど、、、」
「どうして、、、大 菅さんはそんなに反対するんですか?」
「傷つくのを見たくないから」
彼女は目を逸らし、息をついた。
596 :
『光の庭』:2008/02/22(金) 01:29:30 ID:ZY7kK+DD
「、、、あそこで行われていることを知っていますか」
「それぞれの選手の身体的、技術的、、心理的データの集約」
「、、、心理的にもデータを採られるんですよ。つまり心にも踏み込んでこられるってことです」
「でも、、心の中には入り込めないって岡 崎さんは言っていました」
「確かに、、心の奥には誰も入ることはできない。、、けれども、心があまりにも激しく求めているとそれが溢れてしまうことがある」
彼女は思い詰めた表情で、揺らめく水面を見ていた。
儚げに見えたその横顔には、何かを思う強い感情が押し込められていた。
597 :
『光の庭』:2008/02/22(金) 01:32:51 ID:ZY7kK+DD
「、、、あの人達には見えていない。感じることができないから。、、、あなたにだってわかるはずはないんだ、なのに、、、」
それは、、フミエちゃんのことなの、、、?
あの時の涙の意味を思い、私の胸はつぶれそうで苦しくなる。
大 菅さんはフミエちゃんのことをどう思っているの、、?
胸の中には言葉がいっぱいなのに、唇からそれが出てこない。
「、、、おやすみなさい」
私の目の前を、ふわりと風のように大 菅さんが通り過ぎていった。
水の湧く音が聞こえ、はっと気づくと、もう彼女の姿は見えなくなっていた。
よん大陸も終わりましたが、フミィは心残りの結果になったみたいですね
でもまたすぐ練習を始めるところがフミィらしい
地下ちゃんと一緒だったみたいから、また気持ちを切り替えてがんがってほしいな
3月のシズゥと一緒のにゃがのはTV放送あるみたいで楽しみ!!
光の庭様、ますますミステリアスな展開になってきましたね!
シズゥはどーなるんでしょ…次も楽しみにしてまつ
更新キテター!!!
シズゥの心の動きの描写がとても丁寧で引き込まれてしまいます。
いよいよ核心に近づいてきた?のかな?
これだけの長編を投下するのはマジで大変だと思いますが
更新楽しみにしてるんで、御自分のペースで頑張ってください。
話はそれますが、ふいぎゆあの選手はヌピードの、
ヌピードの選手はふいぎゆあの靴で滑れるのでしょうか????
いや、ヌピードとふいぎゆあの人が
どっかのリンクでヌケートデートしたらどうなるのかなとももってww
あとリンクで鬼ごっこしたらどっちが勝つんでしょ????
>>601 >話はそれますが、ふいぎゆあの選手はヌピードの、
>ヌピードの選手はふいぎゆあの靴で滑れるのでしょうか????
これは無理みたいだよ。
前に日テ レかなんかの番組で検証してた。
ヌグリンの妹のチ カたんとヌピードの選手が靴交換して滑っ てたけど
お互いに「無理〜」とw
やっぱり全然感覚が違うそうな
私も見たょ!!<地下タンの番組
ヌピードの靴を履き、初心者のように滑れなくなってしまって
「クツジョクなんですけどぉぉぉ」って言ってた地下タンカワユス
ヌピードの選手(知らない男の選手)もふぃぎゃの靴ではヌッコロンでた。
ブレードの構造や薄さが違うらすぃ〜
でもO菅タンよすぃタンはトレーニングでふぃぎゃをしているので
そこそこ滑れるんじゃまいかな。
ヌピードの靴をはかされて
シズゥ「ぁぁ〜ん、待ってぇぇ〜(ToT)/」
姐さん「ここまでついて来られたらアイス買ってあげるよ(・∀・)ニヤニヤ」
なんて妄想してしまふw
でも鬼ごっこだと断然ふぃぎゃの方が有利だと思ふ
稲ばうぁーや急な方向転換とか嫉妬ヌピンとかで軽くかわされちゃいそ。
604 :
『光の庭』:2008/02/29(金) 01:29:45 ID:PEHZOLZZ
>>597の続き
部屋に帰っても、私の心はまだあの中庭で立ちすくんでいる。
大 菅さんの今にも消えてしまいそうな姿といつまでも耳に残る声。
あなたはあのフロアで何を言いたかったの?
傷ついてしまうのは、いったい誰?
605 :
『光の庭』:2008/02/29(金) 01:31:12 ID:PEHZOLZZ
―――あの中庭の森で、二つの影は一つになっていた。
二人はあのフロアの白衣の姿で抱き合っていた。
フミエちゃんは、大 菅さんの腕に包まれて、胸にうっとりとした顔を埋めている。
優しく大 菅さんが髪を撫でると、フミエちゃんは熱く潤んだ瞳で彼女を見上げて、ゆっくりと首筋に腕を絡ませた。
二人は頬を寄せ合い、傍にいる私のことなど目に入らないように、更にきつく抱き合っていた。
やがて、二つの赤い唇が何かを呟きながら近づいていった。
―――やめて、、!
声にならない私の叫びと同時に、がくんと足元が消えて、奈落へ落ちていく気がした。
606 :
『光の庭』:2008/02/29(金) 01:33:44 ID:PEHZOLZZ
「、、また、、夢、、、」
気がつくと、枕を抱きしめて私はベッドの中にいた。
瞬きをすると、睫毛の触れた先から涙がぽろりと頬を伝うのがわかった。
私は、、、フミエちゃんにとってフィギュア スケーターとしての好敵手、という存在だけかもしれない。
それは、他の人から見たら冷たいと思われるほど、見えなくて強い絆だった。
だけど、、、いつのまにか私はそれ以上のものを彼女に求めてしまっているのだ。
だから、スケートからフミエちゃんから逃げるように男の人と付き合ったこともある。でも、何かが違っていた。
私はどうしようもなくフミエちゃんに、心を惹かれている。
、、、、溢れてしまう想い、、、、それは彼女も同じなのだろうか、、、。
607 :
『光の庭』:2008/02/29(金) 01:34:28 ID:PEHZOLZZ
椅子の上に置いてあるスケートシューズが目に入った。
私はエッジケースを外し、手に取ってそれを見つめた。
月の光を反射して、銀の刃が何かを切り裂こうとするように冷たく光る。
明日は、トリノの演技を再現する予定だ。
フミエちゃんと大 菅さんと岡 崎さんがいたトリノ、、、、。
でもあの時は、こんな気持ちじゃなかった。
空にはどこの国から見ても同じに見える月だけが、浮かんでいた。
608 :
『光の庭』:2008/02/29(金) 01:35:05 ID:PEHZOLZZ
朝食前にトレーニングルームに行くと誰かがコースを走っているのが目に入った。
「おはようございます、荒 川さん」
彼女は跳ねる様に私に近づくと、人懐こい笑顔で頭をぴょこんと下げた。
「あ、おはようございます、吉 井さん」
「今日は朝からトレーニングですか?」
「ええ、今日はリンクで滑るから、ウォーミングアップをしようと思って、、、」
あ、言っちゃまずかったかな、と思わず口に手を当てた。
609 :
『光の庭』:2008/02/29(金) 01:35:34 ID:PEHZOLZZ
「ああ、そう言えば、一昨日もフィギュアの方が滑ってらっしゃいましたよね。私ももっと見たかったけど実験中だったから」
吉 井さんの方は全然気にしない様子で息を弾ませながら言った。
「ぜひ、荒 川さんの滑っているのも見たいんですけど、私は今日はリンクにいないから、残念です」
そう言ってまた笑顔で頭を下げると、走り出してコースに戻っていった。
岡 崎さんと大 菅さんは、ここにはいないようだ。
私はほっとして、マットの上でストレッチを始めた。
610 :
『光の庭』:2008/02/29(金) 01:37:49 ID:PEHZOLZZ
身体を隅々まで伸ばすと気持ちも伸びていく。軽くランニングをして汗をかくと、気持ちがすっきりする。
そろそろシャワーを浴びて朝ごはんを食べようかな、と思った時、吉 井さんが隣のマットに入ってきた。
「私はこれでお先に失礼します」
「はい、お疲れ様でした、、、ってまだ朝ですよね。荒 川さんはこれからリンクに行くんですもんね」
吉 井さんは照れ笑いをしながら、床に足を伸ばした。
「、、、岡 崎さんや大 菅さんは一緒じゃないんですか?」
「ええ、お二人とも昨日は遅かったので、9時くらいからここにいらっしゃると思います。私もお昼にならないと会えないんですよ」
彼女は一旦身体を止めて、丁寧に答えてくれた。
ちょうど、すれ違いか、、、。
私は、肩の力が抜けた気がして、吉 井さんに手を振りつつトレーニングルームを出た。
611 :
『光の庭』:2008/02/29(金) 01:38:57 ID:PEHZOLZZ
朝食は、一人で軽めに済ませた。
もう、フミエちゃんは検査を始めているだろう。
トリノの朝は、いろいろな人が行きかい、活気があった。
そんな中で私は、当日もどこか落ち着いていたことを思い出した。
あまり自分の気持ちを顔に出すことがない、と言われていた私だけど、あの時は自然に笑顔が出ていた気がする。
窓から見える木々の緑は爽やかで、私はカフェオレを飲みながら、そんなことを思い出していた。
612 :
『光の庭』:2008/02/29(金) 01:39:40 ID:PEHZOLZZ
時間になり、私はスケートシューズを持って八重樫さんと地下のリンクへ向かった。
軽い挨拶など交わしながら、エレベーターに乗り込むとだんだんと緊張してきて、自然に背筋が伸びてくる。
地下2階に着き、あの重い扉が開く。
ふわ〜っと氷の匂いのする風が頬をなで、目の前に広がった光景に改めて驚嘆する。
フィギュアの為の地下のリンク、、、、。
所長と十河さんが迎えてくれた。
「おはようございます」
「今日はこちらのリンクで滑っていただきます。よろしくお願いします」
613 :
『光の庭』:2008/02/29(金) 01:40:35 ID:PEHZOLZZ
今日の予定はトリノの時のショートとフリーの演技を記録すること。
、、、アナザープログラムとしては、その時の気持ちも再現すると言う話だったけど、、、。
「まずは、演技を再現していただきます。気持ちはまだ準備できていらっしゃらないと思いますので、
とにかく形を再現することを優先していただきます」
私は髪をポニーテールに結って、黒のぴったりした上下に着替えた。
ミキ達が話していた通り、それには白い点が沢山ついている。
これがマーカーになって、リンクのカメラが追うことになるのだ。
軽くウォーミングアップをして、気持ちを演技の集中に切り替えた。
競技前の練習を思い出す。私は頭の中でニコ ライコーチの言葉を繰り返していた。
あ、、なんかアク禁で間が空いてしまいました
3月になるとわーる度やら距離ベツがありますね
それから明日はにゃがのの10しうねんも!! シズフミが出るんだよね楽しみ〜!!!
>>603 前にどっかにその番組の地下ちゃんの動画があったんだけど、、忘れた、、、
「屈辱〜」って言ってたのが可愛かったよね
O菅タンよしぃタンのふぃぎあも見てみたいなあ
姐さんはヶコーン式でもヌピード用を履いてたんだよね
ヌピヌケの脚力でジャンプしたら、ものすごく飛べそう〜目が回っちゃいそうだけど
鬼ごっこだと姐さんとシズゥが逆になるのだな、きっとww
あとふゆヌポ話題で遅くなりましたが
わーるど杯I子タン優勝、夏未サンひょうしょー台オメ!!!!
特に黒肝は鳥野の時の服打サンとのコンビも良かったけど、ヌホン女子としては快挙!!
ばんくばーはもう少し先だけど楽しみがまた増えました
光の庭様、投下ありがとー!
シズフミどーなるのかdkdk…O菅タンとバトルなんでしょうか!?
ナーガノではシズフミが競演だね
萌ネタあるとイイナー
光の庭さん、毎回ありがd!
いつも楽しみにしてますよ。
シズゥとフミィの競演はどうだったんだろか…。
相変わらずぎこちない二人かなw
マオ総受け妄想がとまらないよー
好意をよせられてもおにぶちんなマオかわゆす
そんな危なげなマオにあわあわするマイもかわゆす
フミィやまおまおは恋愛には確かに天然なイメージがw
そんでもって姉や妹があわあわして世話を焼くのだな
ナガーノの放送みますた!
相変わらずシズゥはきれいかった〜
10年前のシズゥういういしいいいい!
フミィのせるブロック団子も小悪魔っぷりがキュートだた
テレビでは二人のカラミはほとんど茄子!だったけれどそれはまた脳内で補完しとこうw
ヌピヌケも録画みたけどやっぱり姐さんがいないとサミシス(´・ω・`)
よすぃちゃんはおしかったね
O菅タンも怪我で今シーズン大変だったから姐さんと温泉でも行ってゆっくり治すといいよ
あと百合じゃないけどジョージがジョーズにボーズになってたのにはビックリしますた
来週はじやんくにユカリソと7タン登場でつね!
わーるどももうすぐだ〜〜!!!
620 :
『光の庭』:2008/03/13(木) 01:50:06 ID:LMQ37fbC
>>613の続き
1回目の演技が終わり、私はスタッフに呼ばれ、また採血をされて呼吸を計った後、モニターを確認した。
さっきの私が、いろいろな角度から映っている。
、、、うん、ジャンプは高くてなかなか良かった。でもステップの入りが早すぎたかなぁ、、、、。
そんなことを考えながら見ていると、隣にいた十河さんがにっこり笑った。
「私は、、フィギュアのことはわかりませんが、前に見せていただいたトリノの演技よりものびのびなさっていますね」
あ、そうだ、、、今はあの時を再現するのが最優先だった。ちょっと飛ばしすぎたかもしれない。
「すみません。オリン ピックの舞台というのはやっぱり特別で、それを正確に再現するのは難しいんです」
「そうでしょうね。でもプロになられた荒 川さんが、今も充実していることが映像からも良くわかります。とても素晴らしい事だと思いますよ」
私は照れくさくなって、頭を下げた。
「どうぞ、恐縮なさらないでください。これはあくまでも参考ですから」
621 :
『光の庭』:2008/03/13(木) 01:51:08 ID:LMQ37fbC
ここでの初めての滑走は意外にもスムーズに進み、予定より早く終わった。
これでいいのかな、、、、。
あまりにもあっけなくて、アナザープロジェクトの事で緊張していた私も気が抜けるくらいだった。
「順調でしたので、予定が早まってしまいましたね。
昼食をお取りになりましたら、少しお休みになってください。3時にまたラウンジにお迎えに行きます」
「、、、それは、、十河さんがいらっしゃるのですか?」
「そうです。また昨日のフロアに来ていただきます」
十河さんは重みのある声で言うと、私に小さく頷いた。
、、、、いよいよ、、本題の心理か、、、。
私は平静を保った顔をしながら、リンクを出ようとした。
ふと、機器の向こうのガラス窓に黒い人影が見えた。
それは、すっと流れるように消えたかと思うと、再び正面に現れた。
622 :
『光の庭』:2008/03/13(木) 01:52:03 ID:LMQ37fbC
、、、あれは滑っているのだ。その姿からスピード スケートの選手だとわかった。
岡 崎さんか、、いや、大 菅さん、それとも吉 井さん、、?
何重ものガラス越しでスーツに頭からすっぽりと覆われ、サングラスをしているのでよくわからない。
、、、岡 崎さんだ、多分。
そう、判った途端、その人は顔を上げ、こっちをちらりと見た。
一瞬、目が合った気がするけど、サングラスでよくわからない。
彼女は再び前を見つめ、スタートに集中しているようだ。
深呼吸をして、唇を引き結び、祈るような面持ちで深く沈んだ姿勢になる。
音はしないが、見ているこっちにも張り詰めた空気は伝わってきて、思わず力が入ってしまう。
623 :
『光の庭』:2008/03/13(木) 01:53:41 ID:LMQ37fbC
「荒 川さん」
十河さんに声をかけられ、はっとした。
「あ、すみません、つい気になって、、、」
「ああ、スピードの選手ですね。あれは岡 崎さんかな」
彼女はあっさりと言って歩き出し、私はその後を追った。
すると突然、くるりと振り返った。
「そう言えば、荒 川さんはトリノの時、どんなお食事をなさいましたか?」
唐突な質問に、私は何も思い浮かばなくて目をぱちぱちさせた。
624 :
『光の庭』:2008/03/13(木) 01:54:39 ID:LMQ37fbC
「えっ、えっと、、、あ、そうですね、イタリアンも良かったんですけど、やっぱり日本食を食べました。
あっ、それからジェラートは食べました。大好きなので」
十河さんはにっこりするのを見て、またなんか変な事口走ってしまったかな、と頬っぺたをかいた。
「そうですか。では食堂に連絡してお昼にジェラートを出してもらいましょう。本場イタリアの味とは違うかもしれませんが」
「ええ、ほんとですか!」
思わず上ずった声を出してしまい、十河さんがまたくすっと笑った。
625 :
『光の庭』:2008/03/13(木) 01:57:07 ID:LMQ37fbC
食堂には相変わらず誰もいなかった。
もっともまだ11時を過ぎたばかりだからだけど、心理の時間まで余裕を持ちたかった私は早めにランチをとる事にした。
「荒 川さん、アイスクリームのオーダーが来ていますのでどうぞ」
ランチを食べ終わり、トレーを片付け口に持っていくと、声をかけられた。
「ありがとうございます。メニューにはなかったから、ここでアイスを食べられるとは思いませんでした」
カップに盛られたクリーム色のバニラアイスを目の前にして、私はハイテンション気味に返事をした。
「普段はお出ししていないんですが、昨日オーダーが来まして、、、、。
イタリアンジェラート風に作ってみたんですけど、アイスクリーム通の荒 川さんにお口にあうかどうか」
白いキャップをかぶった、私とあまり変わらないくらいの年齢の係の人が微笑んだ。
私がアイスクリーム好きという事は、どうやらここにまで伝わっているらしい。
626 :
『光の庭』:2008/03/13(木) 01:58:28 ID:LMQ37fbC
アイスと聞いて、私が断る事もないと、十河さんもわかっていたのだろう。
なんだか、ごほうびにつられて頑張る単純な子どもみたいだ、と苦笑しながらスプーンで白いそれを掬った。
久しぶりに食べる甘く冷たい味はとっても美味しかった。舌に乗せると、とろりと溶けて喉を伝わっていく。
トリノのジェラートとはまったく同じというわけではないけど、久しぶりのアイスを私は大切に味わった。
あの時のように。
、、、、あの試合までの時間を私はまだ鮮明に覚えている。
結果がどうあれ、悔いのない時間を過ごそうと思っていたトリノの時間、、、。
627 :
『光の庭』:2008/03/13(木) 22:41:48 ID:LMQ37fbC
記者会見や練習、公式の場以外では私とフミエちゃんはほとんど会わなかったような気がする。
程よい緊張感がありながら、私は素直にオリンピ ックの空気を満喫しようとしていた。
見えなくても、私達は一緒だ、、、。そんな気持ちが知らず知らずにリラックスさせてくれたのかもしれない。
自分の国にいながら一人ぼっちだった初めての五 輪、、、。
その時よりも私ははるかに勇気づけられていた。
甘く冷たい味にあの時に見た白い山並みを思い出しながら、スプーンを銜えた。
628 :
『光の庭』:2008/03/13(木) 22:43:12 ID:LMQ37fbC
「あ、荒 川さんもちょうどお昼?」
声に振り向くと、トレーを持った岡 崎さんが立っていた。
「ええ、でももう食べ終わっちゃって。今日は早く来てしまったんです」
「あ、アイス食べてるんだ、いいなぁ〜」
「あの、一人ですみません。十河さんが特別にオーダーしてくれて、、、」
「ああ、気にしないで、ごめんごめん。どうせ私達は炭水化物期間だから食べられないし。ここに座ってもいい?」
「はい、どうぞ。、、、今日は、うどんですか」
「そう、でも結構量があるでしょ。一応食べきらないといけないんだよ」
629 :
『光の庭』:2008/03/13(木) 22:43:47 ID:LMQ37fbC
岡 崎さんはにこにこして正面に座った。
器いっぱいに盛られたきつねうどんがゆらゆらと湯気をたてている。
そして、いただきまーすと手を合わせると、美味しそうに食べ始めた。
後から大 菅さんも来るかもしれないと思うと、気になったけれど、彼女は姿を現さなかった。
岡 崎さんは時々好きな食べ物の話なんかをしながら、うどんをつるつるとたいらげていった。
630 :
『光の庭』:2008/03/13(木) 22:44:42 ID:LMQ37fbC
「、、あの、、そう言えば、午前中リンクにいらっしゃいましたよね?」
私の言葉に、岡 崎さんの手がぴたっと止まった。
言ってはいけなかったのかと、心臓が縮まった。
「あの地下のリンク、、、?」
岡 崎さんは不可解そうに顔を上げた。
あの時、確かに目が合ったと思ったのに違うのか、、。
「そうです、、」
私が小さな声で返事をすると、岡 崎さんはずずっと残った汁を飲んで、器をテーブルにとん、と置いた。
631 :
『光の庭』:2008/03/13(木) 22:45:37 ID:LMQ37fbC
「ああ、それね、、、荒 川さん、きっとそれは私のanotherだよ、anotherTomomi」
「、、、アナザー、、、トモミ、、、、?」
「そう、あれがアナザープロジェクトの根幹ってことかな」
岡 崎さんはぺろりと唇をなめて、そのまま空を睨んでいた。
アナザープロジェクトの根幹、、、。
632 :
『光の庭』:2008/03/13(木) 22:46:32 ID:LMQ37fbC
「荒 川さん、午後からの予定は?」
岡 崎さんはトレーを持って席を立ち、私に振り返った。
「あ、、3時から十河さんと、、」
「じゃあ、、これから私の部屋に来ない?」
岡 崎さんは鳶色の静かな目で私を見下ろしていた。
ヌピスケはシーズンがもう終わったのかな?
お疲れ様でした
姐さんもO菅タンも怪我に泣いたシーズンだったね
オフでゆっくり疲れをとってもらいたいです
いや、その間にこっちはいろいろ妄想しちゃいますからっw
フィギァはいよいよワーノレドだね
シズゥのコメントに期待
いろいろレポしてほしいな
それからちょっと遅くなったけどI子ちゃんすごっっ!!
黄色美部だけでもすごいけど年間通してのゆーしょーってスゴイ!!
夏未さんといい、雪組はなかなか元気だね
そういや前I子×妙さんの書いてたんだけど、、、どっかいってしまったorz
じゃんくにユカリソ出るんですね、こっちも楽しみ!!
続きktkr
ありがとうございます!毎回楽しみにしてるよ〜
今回は少し核心部分に触れたような・・・?
I子ちゃんはすごいっすね
鳥乃のオワタ時にある番組の中でシズゥの金メ ダ ル演技のVTRを彼女が見てるっていう場面があって
「ここまで完成度を上げないと(金を)獲れないんだなぁ・・・」と
呟いてたのが印象的ですた
そのあとエ ア中心からの脱却を図って今回の結果だね
I子×妙さんも読みたいー
見つかったら是非うpをw
自分が想像する二人はヤサグレたw妙姐さんをI子ちゃんが健気に支える、みたいな感じかな
投下ありがとー!
ますますミステリアスで続き気になりまつ!
わ〜るども近づいてきてwktkですぅ〜じゃんくの情報もありがとございます!!
『光の庭』者です
レスをいただきうれしいです
634さん、スルドイ!書いてた潜るモノはそんな感じです
発掘しましたら投下したいです
なんたってI子ちゃん5連しょーです!すごいなー
このままbankooバーまで突っ走ってほしいです
そういえばI子ちゃんってフミィとも仲いいんですよね
でも、、、なんか二人が一緒にいる図が思い浮かばない、、、、
二人ともものすごく頑張り屋なところは似てるとおもうんだけど
光の庭さん毎度オツです!!
姐さんの部屋に呼ばれたシズゥは一体どうなることやら…。
また新たな真実を知ることになるのかな?
今日はジャンクにユカリソ出てましたね。
必死に彼氏募集アピールワロスwwwヨシオに(゚Д゚#)ゴルァ!!されてほすぃ
長 野の放送録画はしたけど未だに再生できず…orz
何このアホみたいな忙しさ…。ここだけが癒しでつ
ユカリソはシンデレだからわざと彼氏募集してヨシオをドキドキさせたんんだよきっとw
しかし7の天然っぷりもよかった。
ほっしやんに行く流れもGJ!
I子ちゃんもヌースで見たけど、うれしそうだた〜〜!
今までの努力が報われてほんとによかったなあ
やさぐれた妙さんが
「あたしはもう顔を出せないけど、I子よくやったね」
柱の陰からとこっそり見つめてるっていう妄想をしてしまいますた・・・
ネ申野タン…orz
この間、どん底から這い上がってきたネ申野タンの話を見たばっかりだったので
余計に残念だょ
でもまたドSコーチになって戻ってきてくれることをお祈りしてます
お疲れ様でした
80年組シリーズ結構好きだったのにな
フミィやO菅タンにはまだがんがってほすぃ〜
シーズンなのにあんまネタないねぇ…
休みに鳥野周辺のDVDでも見直すかw
シズゥのソロ悶流見ますた!
いろんな表情のシズゥが見れて良かった!
ホテルのツインの部屋にフミィが尋ねてきたり
バーテンダーシズゥのカクテルを貰うフミィを妄想してハァハァww
642 :
『光の庭』:2008/04/12(土) 01:24:40 ID:U77SDoaN
>>632の続き
私は息を飲み込んで頷いた。
「じゃあ、部屋で待ってるから。せっかくのアイスクリームを味わってから来てね。私の部屋はA101だから」
岡 崎さんはゆっくりと背を向けて、食堂から立ち去っていた。
彼女の表情のひとつひとつを思い返しながら私は頷いたことを少し後悔していた。
もしかしたら私は岡 崎さんの話を聞かない方がいいのかもしれない。
午後の心理に影響するのは間違いなさそうだった。
さっき見たanotherTomomiと呼ばれたもの。目の前でうどんを食べていた岡 崎さん。
二つの奇妙な存在が私を混乱させる。
643 :
『光の庭』:2008/04/12(土) 01:25:34 ID:U77SDoaN
でも、、、私は覚悟を決めたはずじゃないか。
アナザープロジェクトはこれからのフィギュアのためだけじゃない。多分、自分自身を知るための何かだ。
私が強くなるための。
フミエちゃんに対しても恥ずかしくない自分でいるために、、、。
私はアイスクリームを口の中に放り込んだ。
トリノのあの時のように。
自分の気持ちにエネルギーを注ぎ込むように。
644 :
『光の庭』:2008/04/12(土) 01:29:14 ID:U77SDoaN
ガラス越しに階下に森の緑を見ながら、いつもと反対側の廊下を歩いていると、あの時を思い出す。
雨の森を背景にした岡 崎さんと大 菅さんの、あの不思議なやり取り、、、。
大 菅さんの涙はまだ私の胸の中に強く残っている。
そんなことをぼんやり考えながら歩いていくと『A101』の文字が目に入った。
ここが岡 崎さんの部屋、、、。
私はチャイムを鳴らして、返事を待った。
しばらくして、岡 崎さんがゆっくりとドアを開けて顔を出した。
「意外とすぐに来たね。どうぞ中に入って」
645 :
『光の庭』:2008/04/12(土) 01:29:53 ID:U77SDoaN
招かれて入ると、部屋の造りは私達のとほとんど変わりないのに、なにかしら雰囲気が違うのを感じた。
岡 崎さんがドアを閉めると密閉されたような、どしっとした空気が私の体を押した。
「どうぞ、座って。今日はこの部屋は『普通』になっているから」
岡 崎さんは椅子を出しながらそう言った。
「普通に、、?」
「ああ、この間まで酸素濃度や気圧を低く設定してたんだ」
そして部屋の壁にあるデジタル文字が書かれたパネルに指を添えて確認した。
それは私達の部屋にはないもので、いくつもスイッチやボタンがついていた。
そう言えば、、低酸素の実験もしてるって言ってたっけ、、、。
この部屋にはそういう設備もついているんだ。
私はその数値をじっと見つめていた。
646 :
『光の庭』:2008/04/12(土) 01:30:32 ID:U77SDoaN
「まあ、座ってちょうだい。どう?アナザープロジェクトで何か困るようなことはあった?」
「いえ、、まだ始まったばかりなので、、。確かにあの精密計測は恥ずかしかったけれど、、でも大丈夫です」
座って岡 崎さんの顔を見ると、彼女はいつもの優しげな笑顔で頷いていた。
「じゃあ、順調にいってるのね」
「はい、、、」
彼女は窓辺に、遠くの森を背景にして立っていた。
「あ、あの、、さっきおっしゃっていたアナザートモミさんって言うのは、、?」
私が少し身を乗り出して尋ねると、彼女はしばらく視線をどこかに集中して考え込んでから、口を開いた。
647 :
『光の庭』:2008/04/12(土) 01:31:18 ID:U77SDoaN
「、、、、コンピューター上で私と同じデータをもったスケーターが存在する、それがanotherTomomi。
さっき荒 川さんが見たっていうのは多分それだよ」
「、、、コンピューター上、、、?」
「そう、CGのようにバーチャルな存在と言うこと」
「そんな、、でも、、あれはまるで、、、」
そう、あれはまるで現実にそこに『居る』存在感だった。
スタート前の緊張感、全身にみなぎる筋肉の動き、唇を結んだ真剣な表情。氷の削る音、息遣いさえ聞こえてきそうだった。
そして何より、私に気づいて目を合わせたはずだ。気のせいではない。
648 :
『光の庭』:2008/04/12(土) 01:32:16 ID:U77SDoaN
「、、、あれがCGなんですか?あれは本物の人間みたいでした。本当に、岡 崎さんがそこにいるような、、、」
「、、、そうだね、知らない人はびっくりするだろうね。
ふふふ、、顔を見た?そりゃもう、鏡を見てるより似てるのよ、、、もう最悪っっ!」
岡 崎さんは吐き捨てるように、ふっと笑いながら、ベッドの上にどんっと座り込んだ。
「勿論、、それだけじゃない、、、。選手一人一人の身体の特徴、組成、、それこそ遺伝子レベルで様々なデータに組み込んである。
どんなトレーニングをすると効果的なのか、骨格や体型の上でどんなフォームで滑るのがいいのか。
、、、、そしてどんなメンタル状況が試合にとって最良なのかを調べる為にね」
「、、、メンタル、、、もですか」
「、、一応ね、気質や性格もデータに組み込まれているらしいんだけどね、、、まあどこまでそれが本当かはわからないけど、
でもanotherTomomiちゃんもずいぶんと負けず嫌いの頑固者らしいよ」
649 :
『光の庭』:2008/04/12(土) 01:35:00 ID:U77SDoaN
「、、、アナザー、、プロジェクトって、、、いったい、、」
「、、、私はね、それと同走したことがある。
客観的に、、自分を分析するためとは言うけれど、本人からして見れば、、やっぱり複雑なんだよ。
あれはデータを変えるだけで、完璧な滑りをする。オカザキ トモミが持つポテンシャルを最大限生かした滑り。
失うものも目指すものも何もない。それを理想と言われてもね、、、。ただ、私達はそれを超えようとする強い意志が要求される」
自分のanotherと勝負をする。恐らくそれはいろいろなことを目の前に突きつけられると言うことだ。
「、、、anotherには、個人情報やプライバシーの問題、倫理的な問題がある、、、、だからここのことは内密なんだよ。
無論、anotherを拒否する選手もいる」
「、、、、、」
「、、、アナザープロジェクトに最初に関わったのは実は私達スピード スケーターだったんだよ。
ずっと以前から、、サラエボ、、いや、もうサッポロ辺りからか、、個人単位で大学やいろいろな研究室で私達の先輩は実験、実践されてきた。
そういう情報が蓄積されていって今のアナザープロジェクトの前身ができたって聞いてる。
、、、、前にも言ったでしょう、、、私達の方が罪は重いって、、、」
650 :
『光の庭』:2008/04/12(土) 01:37:55 ID:U77SDoaN
細く長いため息をついて岡 崎さんは目を伏せた。硬いけれど、憂いを含んだその顔はなんとなく美しかった。
私はそれに見とれながら、何か不穏な想いが心の中に沸き起こってくるのを感じていた。
あれだけ一線を引いていたように見せていた彼女が何故、急に饒舌にアナザープロジェクトのことを私に語るのか。
プロジェクトの一員として受け入れられているとしても、どこか引っかかる。
私がこれから十河さんに合うことを知った上で、彼女は語っているのだ。
私にいろいろと教えることで、何か違うことから目を逸らせようとしているような、、または遠回りに探りを入れているような、、。
岡 崎さんはそんな私の気持ちを察知したようにこっちを見て、首を振った。
「ああ、大げさなことを言って不安にさせたようだね。ごめん。
フィギュアで、ましてやプロになった荒 川さんにそこまでのことはしないと思うよ。
こういうデータは1年やそこらでは出せないものだし、荒 川さんの場合は単純にお手本としての演技を残すためのアナザープロジェクトだと思うよ。
金 メダリストの模範演技をしてもらうだけだと思うから、あんまり心配することはないよ」
651 :
『光の庭』:2008/04/12(土) 01:39:07 ID:U77SDoaN
岡 崎さんの言葉に嘘は感じられなかった。けれども、なにか気になる、、、。
はっと、胸に痛みのような予感が走って、私は顔を上げた。
「、、、もしかしたら、、大 菅さんに何かありましたか?」
大 菅さんの名を聞いた瞬間、彼女の目が鋭くなった。
「、、、昨日、、あの後、大 菅に会った?」
「いえ、、あ、あの、、はい」
気押されてとまどったが、私がそう言うと、岡 崎さんはすとんと肩を落とした。
「そっか、、」
更新きたーーーーー
待ってましたよお!
普通のミステリーとして読んでも面白いっす
シズゥの運命やいかに!?
続きktkr毎回楽しみです〜!
謎がだんだん明らかになってくのね!
フミィとシズゥはどーなるかちょっとドキドキ
作者様毎度ありがとーございやす!
ちょとここの話題からそれるけど
姐さん製菓らんなーになってとるんだな
いろいろヌースとか見とると心配になってしまう
ふゅ関係だとツョートのてっしーとかもだけど
姐さんみたいなツンボルアヌリートだとなかなか断れないだろう品
無事に終わってほしいと思ふ
655 :
『光の庭』:2008/04/22(火) 01:02:13 ID:GWKEq+6W
>>651の続き
あの、、大 菅さんにやっぱり何か、、、」
「今日、、あの子の予定は変更になった。気持ちが乱れたままで氷に乗ると、事故になりかねないからね」
そう言って岡 崎さんは唇を結んで、足元に目を落とした。
、、、、あの時の大 菅さんの表情がまた蘇る。確かに尋常ではない彼女の様子、、、。
「、、、それは、、、私が鳥籠に来たせいでしょうか。大 菅さんは私に来てほしくなかったって言っていました。
そうすれば、誰かが傷ついてしまうからだって、、、」
そしてそれは、フミエちゃんに関わることなのですか、、、と私が心の中で続けた時、
頭にふわりと優しく温かい感触がして、気がつくと岡 崎さんが私の傍に立っていた。
「、、、みんな優しいなあ、、優しすぎるよ。アスリートはもっとエゴイストでいいのに、、、、」
岡 崎さんはそうつぶやいて、私の髪に手を置いてそのまま何度も優しく撫でてくれた。
656 :
『光の庭』:2008/04/22(火) 01:03:06 ID:GWKEq+6W
そう、、もし、アナザープロジェクトの途中で少しでも異変を感じたなら、すぐに心を閉じなさい」
「、、、、?」
唐突に頭の上から降ってきた言葉を、私はすぐに理解できずに彼女の顔を見上げた。
「ああ、心を閉じるって感じじゃないな、、、。うまく口では言えないんだけど」
岡 崎さんはもどかしそうに首を振り、私を撫でていた手を今度は自分の髪に入れてくしゃくしゃした。
「、、、意識を向こうからこっちに戻すというか、、、。うーん、なんて言ったらいいんだろ。
とにかくすぐ中止するように十河さんに言うんだよ」
「、、、?どういうことでしょう?」
「なんて言うかー、まあ、無理する必要ないってこと。あなたのアナザーに関しては」
「、、、、、」
「荒川さんって、なんだか頼まれると無理してがんばっちゃいそうだから」
657 :
『光の庭』:2008/04/22(火) 01:04:29 ID:GWKEq+6W
「、、、私は、、そんなにがんばり屋じゃないです。フミエちゃんに比べたら、、、」
思わずフミエちゃんの名前が口をついてしまって、私はあっと手で押さえた。
頬にぱっと血が上っていくのがわかる。
岡 崎さんは、それをわかって微笑んだように見えた。
「、、、その村 主さんが言っていたんだよ。
自分にはないものを荒 川さんは持っている。だから、きっとあなたの抱えている悩みや苦しみは自分のとは違うだろう。
周りが思っている以上に、荒 川さんは頑張りすぎてしまうって」
「、、、、」
「anotherは私達にとって鏡のような存在だけど、本当に心がわかり合えるのは競い合う者同士かもしれない。
言葉を交わさなくても、顔を合わせる時間が短くても、、一緒に氷に乗ると相手の気持ちがなんとなくわかったりしてね」
658 :
『光の庭』:2008/04/22(火) 01:05:41 ID:GWKEq+6W
岡 崎さんにも同じような経験があるのだろう。ライバルと呼ばれたいろいろな選手達との葛藤。
、、、、けれど、私の想いはもっと熱く、もっと深い、胸が焦がれるような想いだ。
私はフミエちゃんに恋をしている。無性に抱きしめたくなるほど、そして彼女を独り占めしたくなるほどに。
時々自分でも制御できないくらいの衝動にかられるこの想いを岡 崎さんは知らない。
「ただの仲良しじゃない何かがあるんだよね。前に村 主さんが言ってたみたいに。
、、、、いい?本当に無理はしないでね。あなたがこのプロジェクトで怪我をするようなことがあれば、その村 主さんが一番悲しむよ」
岡 崎さんはポンポンと私の肩をたたいた。
はっと我に返った。つい喉の奥からフミエちゃんが好きなんです、と言ってしまいそうだったと気がついた。
身体から少し熱が抜けて、私はため息をついた。
「大丈夫です。私は結構いい加減な人間なんです。、、、トリノの時だって、緊張はしてましたけど無茶はしてなかったです」
「そうね、そう言えば、あの時の荒 川さんは見ていても、落ち着いていたのがよくわかったよ。
、、、、そう、あの時のように自分を見失わなければアナザープロジェクトも大丈夫だよ」
冷静に戻った私は、こくんと頷いた。
659 :
『光の庭』:2008/04/22(火) 01:06:52 ID:GWKEq+6W
「せっかく後進のためになろうとしている荒 川さんを不安にさせるつもりはないんだ。脅かすようなことを言ってごめん」
「、、いえ、お話を聞きたかったのは私の方なんです。、、、それより、大 菅さんは本当に大丈夫なんでしょうか」
やっぱり気にかかっている大 菅さんのことを尋ねると、岡 崎さんのふっと優しい目になった。
「あの子にはあの子の、越えなければならないことがある。あなたが鳥籠に来ても来なくてもね」
「、、、、、」
もしかしたら、、、大 菅さんもフミエちゃんのこと、、、。
岡 崎さんの目は優しかったけれど、それ以上のことは聞くことはできなかった。
続きktkr
まだ謎がありそうやね続きも楽しみにしてます
製菓なんだか大変なりそうだねぇ〜ほんと何事もなく終われるといいね〜ナモナモ
姐さん欄ナー乙でした
いろいろ神経使ったと思うけどがんがって笑顔で走って種
ヌースでちょっとだけお姿を見ました
髪切ってふっくらしてなんか可愛かった
おーじ氷世界はシズゥとフミィが出るってんで萌ネタあるかなと思ってたけど
フミィはかなり体調悪かったみたいね
フミィ大丈夫?とは面と向かって言えずに陰でオロオロしてるシズゥをもーそーしてしまいました
でもがんがりやさんはいいけどあんまり無理しないでねフミィ
今回はいづれも仕事で見に行けずショボボボボボな私です
662 :
『光の庭』:2008/05/01(木) 01:53:22 ID:H9uUszaK
>>659の続き
自分の部屋に戻る途中、私は気持ちを整理しようと考えてながら歩いていた。
私のアナザープロジェクトが単に後進の為の研究目的なら、競技が違う大 菅さんを悲しませることはないはずだ。
、、、もし、大 菅さんがフミエちゃんを好きなら、、、
このプロジェクトに参加するべきなのは私ではなくフミエちゃんなのだ、とそう、私に言いたいのだろうか。
ガラスに囲まれた中庭に目をやりながら、いくつかのここでの記憶を辿った。
663 :
『光の庭』:2008/05/01(木) 01:54:12 ID:H9uUszaK
私に「フミエちゃんを抱き上げたことある?」と明るく笑っていた大 菅さん。
みんなとはすれ違いだけど、私もいるなら良かったと微笑んだフミエちゃん。
フミエちゃんはどうなるんですか、と岡 崎さんに泣いて詰め寄っていた大 菅さん。
どこにも行かないから大丈夫、、、そう言って私を抱きしめてくれたフミエちゃん。
心の奥は誰にも入れない、でも激しく求めていると溢れてしまうことがある、、、強く訴える瞳をしていても、どこか儚げだった大 菅さん、、、。
きらきらと光に揺れる緑を見つめていると、いろいろな事が頭の中をぐるぐると回って、渦のように中庭へ引き込まれそうになる。
眩暈がして、おでこをガラスの壁に押し当てて目を閉じた。
ひんやりとした氷に似た感覚が伝わってくる。
664 :
『光の庭』:2008/05/01(木) 01:55:02 ID:H9uUszaK
「、、、たとえ、どんなことがあっても私はフミエちゃんが好き、、、」
私は、まるで自分に言い聞かせるように呟いていた。
ガラスが吐息で小さく曇る。私は指でそれをなぞった。
そう、たとえ叶わない恋でも、フミエちゃんが他の人を好きでも、私はずっと、、、。
心の中で言い聞かせていたはずだけど、閉じた目には自然に涙がこみ上げてきてしまう。
665 :
『光の庭』:2008/05/01(木) 01:55:41 ID:H9uUszaK
―――泣きながらでもいい、滑ることをやめてはだめだ―――
昔、厳しい練習で倒れた私を叱咤したコーチの言葉が耳の奥で響く。
そうだ、この気持ちを私は信じるしかない。フミエちゃんが好きなことに変わりがないんだから。
しっかりしなさい、アラ カワ シズカ!
ガラスの壁からゆっくりと体を離すと私は、自分の頬っぺたをペシペシ叩いた。
666 :
『光の庭』:2008/05/01(木) 01:56:53 ID:H9uUszaK
熱いシャワーを浴び、替えの部屋着に袖を通すと時刻はもう2時30分を過ぎていた。
閉鎖的な部屋に居ても、いろいろ考え込みそうだったから、私はコーヒーでも飲もうとラウンジに向かった。
ラウンジには誰もいなくて、照明も落とされていた。
私はコーヒーを片手にテレビの正面のソファに身を沈めた。
何も写されていない大きな画面を見ながらコーヒーを口にして、ほろ苦い香りをしばらく味わった。
ぼんやりとしていると、気配を感じて私は振り返った。
667 :
『光の庭』:2008/05/01(木) 01:57:14 ID:H9uUszaK
「ずいぶん、早くいらしたんですね」
いつもよりあどけない声で十河さんが話しかけてきた。
「、、、ええ、一人だと時間をもてあましてしまって」
それに、一人でいると余計なことまで考えてしまいそうだったから。
「では、準備がよろしければ参りましょうか」
十河さんは微笑んで、ふわりと白衣の裾をひるがして私を呼んだ。
私は彼女に気取られまいと、さっと立ち上がり、コップをゴミ箱に落とした。
668 :
『光の庭』:2008/05/01(木) 01:57:39 ID:H9uUszaK
エレベーターへ行く途中、ライトコートを通して、下の階にいるフミエちゃんが目に入った。
思わず声を出しそうになったが、真剣な顔で次の部屋へ歩いていく姿を見て、私もふっと息を吐いて肩の力を抜く。
フミエちゃんだって一生懸命なんだ。私だって、、、。
顔を上げて、十河さんの白衣の背中を追った。
エレベーターに乗ると、十河さんは雑談まじりに午前中の事を尋ねてきた。
私はそれを軽く受けるそぶりをしながら、彼女がもう気持ちを探ろうとしているのではないかと緊張していた。
でも、心理のプロの彼女はそんなことはお見通しかもしれない。
私は慎重に言葉を選び、話していた。
669 :
『光の庭』:2008/05/01(木) 02:00:33 ID:H9uUszaK
やがてエレベーターは止まり、外へ出た私はあっと声を上げた。
「あ、あの、、ここは、、リンクの階、、ですよね」
ここは確か午前中に来たあの実験場のある地下2階の通路だ。
「はい、アナザープロジェクトのフロアに行く前にお見せしたいものがありまして、、、」
十河さんは軽やかに歩いていく。
そしてL−1の厳重な扉が開き、また冷たい氷の空気が私を包んだ。朝と同じリンク、、、、。
「それでは準備をお願いします」
十河さんは少し離れたブースに向かって手を上げ、声をかけた。
聞こえないはずの距離だったがブースの中にいる係りの人は頷いた。
よく見ると十河さんの胸にはピンマイクのようなものがある。
そんなことを思っていると、照明がふっと落ちてリンクはたちまち暗転した。
何が始まるのだろう、、、。暗いリンクはショーの時とは全く違う雰囲気で、ドキドキしながら私の目はリンクを凝視した。
とここまでです
私のお休みもやっと始まったのですがツンヨコに行かれないよーーーー!
せっかくシズフミの競演だというのに、、、
こうなったら思いっきり萌妄想してやるううう
>>661 地下タン風呂具みるとフミィは体調悪かったみたいね
でも徐々に良くなってきてるみたいだから後半もがんがれ〜
それにしても相変わらず地下あいらびゅーなのね
シズゥとの絡みもみたいのにw
それと姐さんホント乙だったね
職場のTVでハラハラしながら見てました
やるまでいろいろ悩んだかもしれないけど笑顔でよくがんがった!
欄ナーの皆さんはバスで移動だったらしいので
宅急のIちゃんとかに手を出したりしなかったのだろーか
セーコ快調も一緒だったから大人しくしてたんだろーかw
でも久しぶりにお顔が見られてうれしかったなあ
光の庭さん今回もありがとうございまつ。
いろいろ悩むシズゥが切なくてかゎぃぃょ。毎回ミステリアスで続きが気になる〜〜
672 :
『光の庭』:2008/05/09(金) 16:46:57 ID:zZbinLzj
>>669の続き
リンクの中央にスポットライトがあたり、誰か立っているのが見えた。
見慣れたシルエット、見慣れたコスチューム、、、、。
私はそれを確認すると、はっと息がつまり、体が硬直してしまった。
それはト リノのフリーの演技をする前の私にそっくりだ。
顔まではよくわからないけど、何度もTVやビデオ映像で見たことのある、、、。
でも目の前にあるそれは映像ではない。
リンクの中央に確実に『居る』荒 川 静 香の姿をした、スケーター。
やがてスポットライトから光はどんどん広がり、リンク全体が見えるようになって、私はまた目を疑った。
673 :
『光の庭』:2008/05/09(金) 16:47:32 ID:zZbinLzj
リンクに散りばめられたto ri no 20 06のロゴ、五 輪のマーク、国旗、passion lives hereの文字。
―――これは、ト リノのパラ ヴェーラの会場、、、!
それだけではない。客席には大勢の観衆が声もなく、リンクの中央に佇む選手を見つめている。
さっきまではただの実験用のリンクだったはずなのに、オリン ピックの競技場になっている。
私の周りだけがぼんやりと暗い。でも照明に浮かび上がったのは、あの場面と同じ光景だ。
いったいどうなっているの、、、と思う間もなく、静まり返ったリンクにあの音楽が響きわたった。
私のフリーの曲、『ト ゥーラン ドット』、、!
今でもこの曲がかかると自然に身体が反応してしまうが、リンク上の選手もすっと動作に入り、私の目は釘付けになった。
674 :
『光の庭』:2008/05/09(金) 16:48:23 ID:zZbinLzj
自宅で、テレビ局の番組の中で、招かれたイベント会場で、、、いつも画面の中でしか見られないトリノでの演技。
それが今、目の前で実際に行なわれている。
その選手はフィギュアスケーターにしてはやや長身で、スタイルもどこもかしこも私に良く似ていた。
そしてあの時の演技を忠実に再現しているのだ。
あれは、誰?
プロの中でもアマチュアでもそう簡単にあの演技を再現はできる人はいないと、私は自負している。
いったいこの選手は何者なのだろう、、。
私は瞬きすら忘れて、リンクの彼女を追う、、、そうだ、この後、この場所に一番近づくはず、、。
そう思った時には、冷ややかな風と共にすーっと彼女の背中がバックで近づいてきた。
私はこれまでにないくらい心拍数が上がり、自分がどこにいるのかわからなくなってしまうほど緊張した。
あの選手が目の前へと滑ってくる、、、、。
―――!
675 :
『光の庭』:2008/05/09(金) 16:49:14 ID:zZbinLzj
音も無く、あっと言う間の速度でそれは通り過ぎていった。
でもその一瞬の横顔が、フラッシュのように強く網膜に焼きつき、私の身体を金縛りのように凍らせた。
あれは、、、私、、、。
画面の中で何度も見たトリノの荒 川 静 香、、、、!
よく似た人とか、物真似とかそういうものじゃない、、、まぎれもないリンクで滑るスケーター荒 川 静 香だ、、、。
リンクの音楽は止まらず、滑る彼女もそのまま演技を続けている。
、、、、、ここにいる私は、、、誰?
こうして見つめているだけの私は誰だというの、、、?
演技しているスケーターの姿が霞んでどんどん遠くなる。
676 :
『光の庭』:2008/05/09(金) 16:50:45 ID:zZbinLzj
―――「大丈夫ですか?荒 川さん」
荒、、川、、そうだよね、やっぱり私が荒 川 静 香でいいんだ、、、。
誰かが私の背中を支えてくれている、、、。
気がつくと私は傍の手すりに力なくよりかかっていた。
「申し訳ありません。驚かせてしまったようですね。落ち着いて見えたのでこちらにご案内したのですが、、、」
十河さんが心配そうにこっちを覗き込んでいる。
いつのまにか天井の照明が点いて明るくなっていて、実験用の様々な機器が囲む静かなリンクに戻っていた。
「いえ、大丈夫です。ちょっと吃驚しただけです。もう平気です」
私はおでこに手を当てて、おどけた様に笑って見せた。でも手に血の気がまだ通っていない。
横目で見た氷の上にはもう誰も居なかった。
677 :
『光の庭』:2008/05/09(金) 16:51:41 ID:zZbinLzj
「、、あれは、、、私、、ですか、、?」
「、、、そうです。アナザープロジェクトのデータを基にした荒 川選手の映像です」
そう答えてくれた十河さんの表情が冷静すぎて怖い。
少しずつ、今日のここまでのことが頭の中で回っていた。さっき会った岡 崎さんの顔が浮かんだ。
「anotherShizuka、、、」
口からこぼれた言葉が声になったかどうかはわからない。
「あれは、荒 川さんの計測データとトリノで撮られた様々な映像を解析して作られたものです。
、、まだ、、試作品とも言えるものですが、、、。
でも、やはりご本人が演技をなさっているのとは比べ物になりませんね。朝の荒 川さんを実際に拝見して痛感しました」
十河さんはそう言ったが、今のあれは私に衝撃を与えるに十分だった。
「、、、、あれが、、コンピューターで作ったCGと言うのですか」
「ええ、簡単に言えばそうです。でも、、もっと複雑で、高度な技術を駆使されているものです。勿論これも企業秘密ですけど」
彼女は唇に指を当てて微笑んだ。
ついにアナザーシズゥktkr
更新乙です。これにフミィがどう絡んでくるのか楽しみです
投下北ーーーーーーー
ますますミステリアスでドキドキです
あなざーシズゥと本物シズゥどーなっちゃうの???
次回のジャソクはゅかりんでますねヤター
また浜ちゃんにいろいろつっこまれるのを期待してるw
久しぶりに投下します。
安×村ですが○ー○き要素もありますのでダメな方は飛ばしてください。
↓
『フ/ミ/エさんの受難』
腕の中で子猫がしがみついて泣いてる。
もとい、子猫のようにやわらかく子猫のように可愛いらしいス/ケ/ー/トの後輩であるところのミ/キちゃん。
たまーに年に1、2回こういうシチュエーションはあるんだけど、今日のは特に深刻らしい。
だってもう夜中の12時よ。
こんな時間に目を真っ赤にしちゃって。
それに彼女から漂うアルコールの匂い…かなり酔ってるみたい。
いつのまにかお酒飲める大人になっちゃったんだなぁ〜ミ/キちゃん。
無邪気であどけない存在だったのに、もう子供じゃないんだ身体だって…
私にぴったりと触れるやわらかではりのある肌、それに胸のふくらみ…。
こんな状況で私が男の人だったら、もう襲っちゃってるよっ!
ちょうどソファにいるこの体勢はそういう流れになりそうだし。
いやいや、そんなことを考えてる場合じゃない。
いつもよりこれは話がややこしそうだわ。
不純なこと考えてちゃだめよ、フ/ミ/エ。
ミ/キちゃんにあんなことやこんなことするなんて妄想しちゃ…。
あ〜、ややこしや〜ややこしや〜。
「…だって…だって、し/ーちゃんが『もう自由でいていいよ、勝手にすれば?ミキの好きなすればいい』なんて言うから…」
しゃくりして大きな目に涙をいっぱいためてミ/キちゃんはわっと私に抱きついてきた。
あああ、あのお…だから〜…む、胸くっつきすぎだよお、心臓同士もくっついちゃいそう。
ミ/キちゃんのドキドキが私のドキドキと重なって聞こえる。
「でもね〜無茶したらダメよ。こんな夜遅くまで酔っ払って1人で出歩くなんて」
いつもラブラブな2人だけど、いったんケンカすると両方とも意地っ張りになっちゃうんだよねぇ。
「いいんですっ!!もうどうなったって。
どーせしーちゃんはミ/キのことなんてこれっぽっちも考えてくれないんだから」
「そんなことないでしょ。いつも後でシ/ズ/カちゃん、真っ青な顔してミ/キちゃんのこと探し回ってるんだから」
「でもミ/キの前ではそんな顔しないもん。
見つけてくれたって『あ、そこにいたんだ』って。それだけですよっ、それだけっ!」
「……そりゃまあね、ケンカしたばっかりだと照れくさいのよ、シ/ズ/カちゃんは」
素っ気ないふりをしながらミ/キちゃんのことが気になってしょうがない顔。
傍から見ている私には、こんなことは他愛もないほほえましいことに思えるんだけど。
当のミ/キちゃんにとってはそれは深刻な問題らしい。
「ふ〜ん、フ/ミ/エさんはし/ーちゃんのことよ〜くわかってるんだぁ」
私の鼻先に濡れた色っぽい目をぐーっと近づけて、ミ/キちゃんが私の上にのしかかってきた。
あ…目がすわってる…それにこの角度からだと胸の谷間が丸見えだよぉ〜。
「……フ/ミ/エさん、ミ/キを抱いて」
……!!一瞬、目の前が真っ白になってフラッシュみたいにチカチカした。
えっ、ちょっ、ちょっとと今なんて言ったの?なんか…すごいこと言わなかった???
「あ、あ、あのミ/キちゃん?」
「ミ/キのことも知ってほしいの。身体の隅から隅まで…全部」
アルコールの混じった甘い息が鼻をくすぐる。
ミ/キちゃんの唇からこぼれた言葉は私の心臓をぎゅっとわしづかみにした。
こ、これって…どっどーいう意味????
「お願い抱いて。フ/ミ/エさんがしてくれなきゃ…ミ/キ、誰か知らない男の人に抱かれちゃうよ」
「ま、待って、ちょっと待ちなさい」
今日のミ/キちゃんはお酒のせいか普通じゃない。
今までシ/ズ/カちゃんと喧嘩して泣いているミ/キちゃんを慰めた時は、ふつーのカワイイ後輩だった。
でも今夜のミ/キちゃんは違う。
大人っぽくて色っぽくて危うくて…。
知らない男の所へ行く、と言えば本当に行っちゃいそうだ。
それだけは絶対ダメ。
シ/ズ/カちゃんに会わせる顔がない。
ましてやミ/キちゃんにそんな後悔する傷がつく、そういう事を絶対にしてほしくない。
「だめよ、ミ/キちゃん。今日はうちに泊まっていって。ここから出ちゃダメ」
私は慌てて、ミ/キちゃんの袖をつかんだ。
「じゃあ…ミ/キのこと抱いてください」
「だ、抱いてって言ったって…」
私は倒れこんできたミ/キちゃんの身体を受け止めて、ぎゅっと抱きしめたけど…
こ、こーゆーことじゃないよね、きっと。
「こーゆーことですよ」
ミ/キちゃんは私の手を取って、自分の胸のふくらみに押し付けた。
わ…大きくて…やわらかい…。
自分の胸にはない手のひらいっぱいの感触…。
私はいつのまにかミ/キちゃんの胸を思いっきり包み込んでいた。
「あっ、ちょっと、ごめん。わ、私…こんなことできないし、知らな…」
慌てて手を引っ込めようとしたけど、今度はあっという間に唇を塞がれた。
「んっ…」
目の前が真っ暗になって何が起きたのかわからなかった。
そーっと目を開けるとミキちゃんの瞼が見えた。その表情がどっきりする程色っぽくてしてぞくぞくした。
そして唇に伝わる温かくてふわふわした感触。
マシュマロみたいっていうけどホントなんだぁ…
その間からするりと柔らかくてぬるっとした舌が滑り込んでくる。
私はびっくりしてぎゅっとミ/キちゃんの胸をつかんでしまった。
女の子ってどこもかしこも甘くて柔らかくてあったかい。
……んんん、なんだか変な気持ちになっちゃう。頭が綿菓子に包まれて身体がクリームみたいに溶けちゃいそう…。
今までに経験したことのない密着度と自分でも触れたことのない胸の奥をくすぐられたような感覚。
「ダメよ、ミ/キちゃん。こんなことしちゃ…」
一生懸命言い聞かせようとしたけど、ミ/キちゃんの身体は離れないし頭に血が上ってそれ以上言葉が出てこない。
「…あの…ね…」
「お願い…フ/ミ/エさん、ミ/キのこと抱いて」
「だ…から…わ、私どうしたらいいか…」
「どうしたらいいか知ってるくせに」
私の上にまたがって、ミ/キちゃんはめちゃくちゃ色っぽい目でにやりと笑って私の頬を包み込んだ。
「……ねぇ、知ってるんでしょう。女の子同士がどうやって愛し合うか…」
「………」
実はこの世界には同性同士のカップルが結構いて、
ロッカールームや部屋で愛し合う場面にばったり出くわすことがある。
……しかも、外国人ってのはかなーり大胆で私が見ている前でもへーきでキスをしたり抱き合ったりしてするし、
おまけにこっちを見て『join us!』なんて誘ってきたりして、
私は驚きのあまり飛び上がって壁にぶち当たったこともあった。
(おかげで横/浜の駅ビル『ジョイ茄子』にしばらく行きづらかった)
でもこの2人は2人だけのはずだ、こーゆーことするの。
「だ、ダメよ。こんなことしたらシ/ズ/カちゃんに…」
確実にぬっころされるよ、私が。
「……ふっ、平気だよ、2人だけの秘密にしとけば。
冷たくするし/ーちゃんへの罰だよ。それに今日、チ/カちゃん…いないでしょ」
も、もしかして…今日ここへ来たのは確信犯…??
ミ/キちゃんは着ていた上着をするりと脱いだ。
キャラクターの描かれたかわいいタンクトップと豊満な胸の谷間が目に飛び込んできた。
「フ/ミ/エさん、好きだよ」
ミ/キちゃんはもう一度囁いて、キスをしてきた。
さっきより抵抗なくそれを受け入れてる自分。
……だって…想像してた以上に気持ちいい…。
自分の腕がミ/キちゃんの首に巻きついて、舌もミ/キちゃんのと思いっきり絡み合う。
アルコールがまだ残っているのかな…なんだかこっちまで酔ってきそう…。
年下の子にこんなことされてると思うと、余計にクラクラしちゃうのはどーしてなんだろ。
シ/ズ/カちゃんったら毎回こんな気持ちいいことしてるのかしら。
「フ/ミ/エさん、かわいい」
小悪魔な笑顔を見せて、ミ/キちゃんは首筋に唇を寄せた。
熱い息がかかって、背筋がぞくぞくする。
おまけにいつのまにかTシャツの裾から、手を差し込まれてブラを外しはじめてる。
……か、神様ぁぁぁ!
ちょ、ちょっとシ/ズ/カちゃん、こーゆーこと教えちゃってるわけ?!ミ/キちゃん、つい最近まで未成年だよぉ〜!
とツッコミを入れつつ、そうじゃないよね〜こういうのって愛ゆえに自然に求めあちゃうものなのよね〜
となんだか納得している自分がいる。
否、納得してる場合じゃないだろ、フ/ミ/エ。
「あ、ダメよ。そ、そこは…わ、私ミ/キちゃんよりうんと小さいから恥ずかしいっ!」
うっ…コンプレックスだったことが口から出ちゃった。
でもさっ、べ、別にきょぬーなんてうらやましくないんだからねっ
そりゃあ夏服を着た時、ミ/キちゃんとかチ/カとか比べられちゃうとあれだけど…。
「う…ん、フ/ミ/エさん…やっぱりかわいいよ」
あま〜い声で耳をくすぐりながら、ミ/キちゃんは私の胸をそっと撫ではじめた。
胸の先端が手のひらで転がされて、電流みたいな刺激が私を襲う。
ま、まずいよぉ〜…ほんとにこれ以上何かされたら…どーにかなっちゃうよ…。
ミ/キちゃんの細やかな動きに弄ばれて私の意識はどこかへ行っちゃいそうだった。
>>681 久々の投下乙です!!
いいところで終わってますが、続きはあるのかなー?
あるなら、楽しみに待ってます
♪ちゃらーらちゃららららーららーらら…
突然、走れトロイカのメロディーが部屋に響き渡った。
びっくりした私達はがばっとソファーから起き上がった。
テーブルの上に置かれた私の携帯が光ってる。
私は慌ててTシャツを下げて、携帯を手に取った。
「もしもし」
『………』
……電話の相手は何も言わない。私は画面で相手を確認した。
黙ってたってバレバレなんですけど。
『………』
「………」
こっちも無言でそのままミ/キちゃんに携帯を渡した。
きょとんとした顔でミ/キちゃんはそれを受け取った。
「……もしもし?」
『……あ…』
電話の声にミ/キちゃんの手がびくっと震えた。
『……もしかして…ミ/キ?』
「……う、うん」
『……今フ/ミ/エちゃんのとこにいるんだ』
「……ん」
『そう…やっぱりそうだったんだ、ああ安心した』
「……あの…心配してくれてた…?」
『うん…あのさ…さっきはちょっと言い過ぎた、ごめん』
「ううん、こっちこそごめんね。ミ/キもわがままだったから」
『……ミ/キの気持ち…考える余裕なかったんだ。ごめんね」
……良く聞こえないけどそんな感じの会話でしょ、たぶん。
さっき私に噛み付こうとした小悪魔は、今は叱られた子犬みたいに神妙にしていた。
黒いハート型の槍の付いた尻尾は力なく揺れて
蝙蝠の羽みたいにとんがった耳はしょんぼりとたれさがってる。
やがてミ/キちゃんが電話を私に返してきた。
「……うん…うん、わかったよ。ふふふ、もううちの前に来てるんだ」
どうやらシ/ズ/カちゃんはミ/キちゃんが私の所にいると踏んで、もうここまで迎えに来てるらしい。
カーテンを開けるとすぐ下の道路にシ/ズ/カちゃんの車が止まっているのが見えた。
電話を閉じてミ/キちゃんの姿を探すと、既にミ/キちゃんはジャケットを羽織ってバッグを手にしていた。
し/ーちゃんが迎えに来てるからって変わり身はやっ!!!
でもそんなミ/キちゃんがうんといじらしくて可愛らしかった。
「下まで送ろうか」
「ううん、ありがとフ/ミ/エさん。もうミ/キ大丈夫だから」
ミ/キちゃんはそう言って恥ずかしそうにうつむいた。
まっ、私だって野暮なことはいたしませんわ。
「じゃあまた明日。8時集合、遅れないでね」
私は先輩ぶってエヘンと咳払いをした。
「はい、わかりました。……おやすみなさい」
私のほっぺたにチュッと赤い印をつけて、とびきりの笑顔で可愛い小悪魔は去っていった。
……はぁぁ〜やれやれ。
……おかげでその夜はなかなか眠れなかった。
もし……あのままシ/ズ/カちゃんが電話をしてこなかったら…
いや電話をかけてきても、そーゆーことで盛り上がってる最中だったら…
……あ〜今頃ミ/キちゃんたらシ/ズ/カちゃんと……あぁぁぁ〜考えちゃダメよぉ〜眠れなくなっちゃうぅぅ
……明日の練習は寝不足だな、こりゃ。
************************************
次の日、案の定寝不足だった。
おまけにリンクはいつもより寒くて鼻水出っぱなしだわ。持ってきたティッシュ使い切っちゃった。
ったくぅ、今日はちょっと冷やしすぎてねーか??リンクの空調係は誰だよゴルァアア!!!
「フ・ミ・エさ〜ん」
すーっとミ/キちゃんが寄ってきてそっとティッシュを手渡してくれた。
おっ、気が利くわね〜ミ/キちゃんありがとーあいらびゅー(はぁと)!!
ミ/キちゃんはウインクをしてまたすーっと滑っていった。
鼻を思い切りかんですっきりしてミ/キちゃんに手を振ったら、ミ/キちゃんはなんかジェスチャーで指差ししてる。
ん?なに?ティッシュを見ろってこと??
ティッシュを広げてみたら、そこには
『フ/ミ/エさんきのうはありがとう。つづきはまたこんどしようね(はぁと)』
……と書いてあった。
……つづきって……つづきって……昨日のつづきって……。
今度は鼻血が出てしまってやっぱりティッシュが足りないフ/ミ/エさんなのでした。
おしまい
697 :
受難:2008/05/24(土) 14:48:19 ID:wucFbu+2
>>690さん
さっそくのレスありがとー
連投規制ですぐに続きを投下できませんでした〜
アク金終わったばかりでつい書きすぎました。
光の庭さんにもレスできなかったでつが毎回楽しみにしてますよぉ!
今度の日曜のジャソクは休みだけど次はいつかな?
ユカリソを早く見たいよ!!!
おおおおおぉぉ!!
新作キテルーーー!!
すんばらしい小悪魔っぷりですねw>ミ キたん
フ ミ エさん乙w
とってもカワイイ作品でなごみました
投下ありがとうございました
>>697 最後のオチがワロスwww
また思いついたら投下待ってます!!
ジャンクは今週だったとオモ。
最近の前髪あるユカリソがカワエエ(*´Д`) ハァハァ
ジャンク収録は髪を切る前だと某ブログに書いてあったよ
>>699 ユカリソのジャソク見逃すところでした!d
もしよろしければそのブログのヒントも教えてくさい。。。。
『受難』は地下ちゃんブログでロツアのティッシュは堅くてスグリソが困ってるっぽいことが
書いてあったんでそれから思いついて書いてしまいましたw
ぁぁ〜鼻セレブ送ってあげたいょwww
>>700 つヒント…名前で検索すればすぐに出てくるよ
わからなければ公式のリンクをみるべしm9(`・ω・´)
ジャンク楽しみだな。ユカリンの指輪の送り主についてやるみたいだけど
萌え度高めを期待したい!!そして妄想したい…w
>>701 さっそく見てきますたdd
ジャソクの天然お嬢キャラが今から楽しみでつ。
まだ早いけどペキソではシズゥがキャスターをするそうでつね。
あの緊張気味の----読みがまた見られるんでしょうか。
SS作者さんたち元気かな?
作者様、私も気長に待ってますノシ
自分も投下できればいいんだけど
705 :
『光の庭』:2008/07/05(土) 23:38:15 ID:3/zaSNay
「、、、、、」
「これからまたアナザープロジェクトの検査に入りますが、ご気分は大丈夫ですか?」
十河さんには、アナザーは慣れた当たり前の存在だ。けれど、私の頭の中は差し出された事実に混乱していた。
彼女に支えられたまま、私はゆっくりとベンチに座った。
「、、はい、大丈夫です、、」
つとめて口角を上げて見せたが、表情が強張っているのが自分でもわかる。
手を動かそうとしてもまだ血の気が戻ってこない。
―――anotherShizuka。あれが、このプロジェクトに記録される私のデータなのか。
まるで自分の幽霊にでも出会ったようだった。私の心とは別に存在する私の姿をしたもの。
鏡を見るのとはまるで違う。奇妙な存在感。
706 :
『光の庭』:2008/07/05(土) 23:39:15 ID:3/zaSNay
「、、、本当に大丈夫ですか。あの、、少し休憩を取りましょうか」
再び十河さんの心配そうな顔が私を覆った。
「いいえ、もう大丈夫です。ご心配をかけてすみません」
ここまで来て、こんなことで怯むなんて情けない。意地っ張りな私の口がそう言った。
「お時間はまだ余裕がありますから」
「いいえ、本当に大丈夫です。次の検査に行きましょう」
私は膝をぽんぽんと叩き、ぐっと力を入れて立ち上がった。
「、、、、わかりました。それではアナザープロジェクトのフロアに参りましょう」
十河さんはしばらく私の目を見据え、頷いた。
「荒 川選手をフロアにご案内します。実験はそのまま続けてください」
彼女は胸のマイクに伝えると、私の背中にそっと手を添えて歩き出した。
私はリンクを振り返ることなく、廊下へ向かった。
実験場のドアが、ガコン、と重くゆっくりと閉じる音を背中で聞いた。
707 :
『光の庭』:2008/07/05(土) 23:40:23 ID:3/zaSNay
エレベーターに乗り、私達は黙ったまま、あのフロアに着いた。
ドアが開き、あの真っ白い空間が予想以上に眩しくて、私は思わず目がくらんでしまった。
少し足取りが遅れたのを見て、十河さんがもう一度「やはり少し時間を空けたほうが」と心配そうに振り返った。
「大丈夫です。あれを見て少し緊張しましたけど、その方が気合が入りますから」
意地だけじゃない、この緊張感を保っていた方が、よりアナザープロジェクトの核心に近づける気がした。
それが謎に近づく鍵になるかもしれない、、そんな予感がする。
十河さんは、そうですか、と念を押すようにつぶやいただけで、その後は何も言わずに並んで歩いた。
708 :
『光の庭』:2008/07/05(土) 23:46:09 ID:3/zaSNay
ロッカールームに行き、また裸になって白衣に着替えるように言われた。
相変わらず、下着をつけないのは落ち着かない。そして今日用意された白衣は前で開くようになっているタイプのものだ。
いくらここが女性しか居ないとは言え、なんだか胸がぶかぶかするのは恥ずかしいなあ、、、。
鏡の前で、思わず自分の胸元をちらちら開けたり閉じたりした。
そんなことで気を紛らわせている自分に苦笑した。それでも、私は少しずつ冷静さを取り戻してきていた。
十河さんに連れられて、だいぶ廊下を歩いた。
なんだかぐるぐる回って、かなり離れた所へ来た気がする。
突き当たりの部屋の前で十河さんが掌を置き、IDカードを差し込むと緑のランプが光り、ドアが開いた。
そこには小さなテーブルとソファ、それに天蓋のようなものがあるベッドが置かれていた。
奥には窓のついた仕切りがあり、すでにもう一人女性のスタッフが機械の前に座っていた。
「荒 川 静 香選手をお連れしました」
十河さんの言葉に彼女は何か確認するような操作をして、私を見ると立ち上がり、一礼をした。
二人の所作はまるで何かの儀式のように整然としていた。
709 :
『光の庭』:2008/07/05(土) 23:47:03 ID:3/zaSNay
「あちらは、機器をサポートしてくれるスタッフです。検査中は窓は閉めますのであまり意識なさらないでください」
私は彼女に会釈をして、それから自分が横たわるベッドをそうっと観察した。
清潔なシーツと寝心地がよさそうなマット。
「あの、、ここに寝るんですか?」
「そうです。まずは横たわっていただいて安静時のデータを採ります。
こちらの部屋は女性のアスリートのみの使用ですので、どうぞリラックスしてください」
確かに部屋は淡いピンクと小花柄のボーダーが入った壁紙で、甘めの優しい雰囲気だ。
私はシーツの上に手を置き、慎重にベッドに身を横たえた。枕の位置はまあまあいいかな。
そして仰向けになると、テントみたいに覆われているのが正面に見えた。
私は閉所恐怖症ではないにしても、狭い所がちょっと苦手なんだけどなあ、、、。
710 :
『光の庭』:2008/07/05(土) 23:48:06 ID:3/zaSNay
ぼんやりしていると、どこからか何かハーブのようないい香りが鼻をくすぐった。
「あ、、、なんだかいい香りがします」
「気分を和らげるためにエッセンシャルオイルを使っています。もし香りがお嫌いなら止めることもできますが」
「いいえ、とってもいい香りです」
測定のことを考えなければ、ここはまるでエステサロンみたいな感じだ。
「それではこれから電位、脳波などのデータを採らせていただきます。ちょっと冷たいですよ」
十河さんは私の手足にジェルのようなものを塗り、バンドを巻きつけた。
そしてコードの付いたシールをぺたぺたと身体中に貼り付けた。
「少し、、胸元を失礼します」
さっと白衣の前を広げられた。
恥ずかしがる暇なく、私の胸にてきぱきとシールが貼られていく。
科学者だから、こういうのなんて機械的にしてるんだろうな。
十河さんに胸を直接触れられるのは恥ずかしかったけど、私は人形のようにされるがままになっていた。
711 :
『光の庭』:2008/07/05(土) 23:48:48 ID:3/zaSNay
あっという間にそれは終わり、また丁寧に白衣を整えられた。
その後髪の中にもシールは貼られて、私は全身をコードにつながれたロボットみたいになった。
「ちょっと頭を起こしてください」
頭をくっと持ち上げると、十河さんはヘアバンドみたいなものを私の額に被せた。
、、、もしかして、これはあの時、岡 崎さん達がしていたのと同じ、、、?
「ご気分はどうですか」
「はい、大丈夫です」
「それではこのスイッチをお持ちください」
私は右手に小さなボタンのついたものを渡された。
「もし、ご気分がすぐれなかったり、何かありましたらこのスイッチを押してください。すぐに測定を中止致します」
712 :
『光の庭』:2008/07/05(土) 23:49:34 ID:3/zaSNay
岡 崎さんの言葉を思い出した。
何かあったらすぐに中止するように。意識を戻すように。
これがそのスイッチなんだ、、、。私の握る手に力がこもる。
「それでは、私はあちらの部屋に参りますが、このままでお待ちください」
「わかりました」
そう言って十河さんもスタッフのいる仕切りの向こうに行き、私はこちら側で一人になった。
713 :
『光の庭』:2008/07/05(土) 23:53:40 ID:3/zaSNay
「荒 川さん、どうぞ気持ちと体を楽になさってくださいね。眠ってもかまいません。
、、、、それではお部屋を暗くして、安静時のデータを採らせていただきます」
「、、はい」
仕切りの窓は厚いカーテンに覆われて向こうの部屋は見えなくなった。
そして、すうっと灯りが落とされて部屋は真っ暗になった。
目を開けているのか閉じているのかわからなくなるほどの暗闇。
「深呼吸をして、体の力を抜いて下さい。そう、、ゆっくりでいいです、、、」
機械を通した十河さんの声は、催眠術師のように不思議と耳の奥へ、頭の奥へと入り込んでくる。
手足がゆっくりと重くなって、だんだん眠くなってきてしまった。
このまま、、、眠ってもいいのだけど、、眠ってはいけないような気がする、、、、。
でも私の意識はどんどんと深い海に潜っていくように静かに眠りに落ちていった。
受難かなり楽しかったです!み/きちゃん絡み最高!!
ジョイ茄子に大爆笑したwwwwww!海外の選手はオープンな人多そう。テニスとゴルフ界はビアソ率高いんだって
ふぃぎゃーはどうなんだろう
>光の庭さん、長編オツです!毎回楽しみに読んでますよ〜
今日のじゃんくにO菅タンとまりりん来てたね
O菅タンのネックレスの話や、♂後輩に「お前」って言われるのが
ドキッとするという話を勝手に姐さんで妄想しときましたw
ということで、久々に岡×大で小ネタ投下します!
一緒にじゃんく観賞中…。
岡「ほぉー(ニヤニヤ)」
大「何一人でニヤニヤしてるんですかッ!」
岡「やけに”私にもらった”ネックレスの事強調してるなぁと思ってw」
大「いや…だから…!そんなことないですって!(照)」
岡「よしよしwサユリはその素直じゃないところが可愛いんだわ」
いつのまにかトモミの腕の中にすっぽりと納まっているサユリ…。
大「…。」
岡「(耳元で)お前さぁ〜本当可愛いよw」
大「あ…///(ドキドキ)」 ←まんまとTVで言った事を実行された。
岡「髪も切って、首筋がだいぶすっきりしたねぇ〜(首にチュッ)」
大「あぁ…だめッ…」
岡「はいはい。じゃ、ベット行くよ〜(お姫様ダッコ)」
大「いやぁ〜!!」 ←といいつつ期待しているサユリ
こんな妄想をしつつ、じゃんく見てたw
ユカリンの時もヨシオとの小ネタ思いついてたんだが忘れちまったorz
おお〜さっそくの岡大投下ありがとー!
ジャソク見たすぐ後なんで、思わずもーそーしてニヤニヤですよ!
ヌケート勝負の時は容赦ないのにエロ攻められるとあっとー的に弱いO菅タンがかわいいなあ
見た目は勝気っぽいSなのに中身はM
スグリソはそれが逆っぽいwww
来週はよすぃちゃんですね!こっちもコイバナっぽいからもーそーしちゃいます!
岡×大カワエエ〜(*^(ェ)^*)
光の庭もますますミステリアスに!!!気になります
SS作者様方ありがとうございます!!!
随分スレ下がってるけどageなくて平気かな?どれくらいで落ちるんだっけ?
上げなくても書き込みあれば落ちないよ
あと、百合板はなかなかおちないw
あの〜。荒村+恩中の会話風のSSって投下したっけ?
ちなみにダブルデートってやつ。
PCリカバリーして復元したら出てきたw書きかけで結末も書いてないんだけど
(しかも2年位前に書いて、先が書けなくて挫折したやつ)
需要あるそうなら書き直しながら投下しようかと…。
722様、是非ものです!!!
お待ちしてます
>>723.724
じゃ、結末は期待しないで…ということで見直し作業してみるわw
相当前のなので話もずれてるしね。あんま期待せず待っててくれ!
726 :
『光の庭』:2008/08/02(土) 23:28:18 ID:0nwJaSSg
>>713の続き
意識がぽっかりと暗闇に浮いている。
夢を見る途中のようにふわふわとしている、、、。
手足が重くて動かない。体は眠ってしまったようだ。
目を凝らしても、行き先のわからない深い闇。どこかに光を見つけようとしても何も見えない。
代わりに耳にはいろいろな音が聞こえてきた。
砂浜に静かに打ち寄せる波の音、テレビの砂嵐のような音、不規則に聞こえる雨の雫の落ちる音、、、、。
いろいろな音が一斉にオルゴールのように鳴り響いて私の意識を取り囲む。
浮き上がっていくのか、落ちていくのか、わからなくなる不安定な感覚。
私達フィギュアスケーターの空間認知能力は、かなり鍛えられているはずのなのに、、、、。
戸惑いながらもどうすることもできなくて、私はただ暗闇に漂っていた。
727 :
『光の庭』:2008/08/02(土) 23:47:56 ID:0nwJaSSg
―――、、、、、なにか見えてきた。
スケートリンクだ。でも何かが違う。なんとなく周りが古めかしいような、、、。
そうだ、これ私がまだ小さい頃に通っていたリンクだ。
あどけない顔をした子ども達がお行儀良く並んで滑っている。あれは私、、。
そうだ、あの服を着てよく教室に通っていたっけ。
お母さんもいる。さすがに若いなあ、、。
幼い頃はジャンプやスピンがどんどん上手になって、お母さんやお父さんが喜んでくれるのがとても嬉しかった。
なかなか出来なかった事が、何度も何度も練習をして出来るようになった時。
体が明るい光に包まれたような、あの喜びは忘れることはない。
それから級も上がって、試合に出るようになって、、、。
見知らぬ大勢の人に見つめられながら、私は滑るようになった。
遠い地方の子達とも試合で顔を合わせるようになった。
私が競技で勝ちつづけると、大人達も関わってくるようになった。
新聞やテレビの人、連盟の人、、、。
そして私は日本だけでなく、世界を舞台に競技をするようになっていった。
いろいろな合宿や遠征に行って、、、そうだ、それでユカさんやジュンコさんやよっちゃんやミキや、、いろんな先輩や友人に出会った。
そうして私の生活はだんだんスケートに占められていく、、、。
728 :
『光の庭』:2008/08/02(土) 23:48:59 ID:0nwJaSSg
『スケートが嫌になったのですか?』
十河さんの声が急に聞こえてきて、私はドキッとして振り返った。
そうだ、ここはあの研究所のベッドの上。私は計測中だったんだ。
でも、我に返ったのに、私の意識はまだあの闇の中だった。
私はどうやら夢を見ているらしい、、、。
「スケートは、、嫌いじゃなかったです。でも、スケート以外の事ができなくなって私はそれが少し寂しかったです」
私は見えない十河さんに向かって素直にそう答えていた。
、、、、スケート選手としての私しか見てくれない人が多くなった。
『アイス ドール』そう呼ばれていた私。あまり表情を作る事をしない私につけられた呼び名だった。
『アイス ドールなんて、作り笑いを浮かべながら演技をする、そういう選手の方がよっぽどお人形さんみたいじゃない』
そう思っていたあの頃の自分。
表面上は仲良くしても、陰では私に意地悪をしてくる選手も居た。それなのにリンクでは媚を売るような演技。
だから余計に反発して、氷上で笑顔も出せない時もあった。
スケートは嫌いじゃないけど、本当の私を自分でも見失いそうで怖かった。
729 :
『光の庭』:2008/08/02(土) 23:49:46 ID:0nwJaSSg
、、、、、そして、、フミエちゃんと巡り合ったんだ。
普段はあまり一緒になることもないし、プライベートな事は良く知らない、でも氷の上ではどうしても気になってしまう。
何故、彼女はあんなに一生懸命なんだろう、何故、彼女はあんなにスケートが好きなんだろう。
日本で、世界で、リンクの上でいつも私達は競い合った。
同世代で競い合う私達を、世間では因縁のライバルと呼んだ。
スケーティングも性格も対照的な二人。皆はそう考えているようだった。
でも私はもっと、彼女に近くなりたかった。
もっとフミエちゃんのことを知りたい、もっとあなたを確かめたい、、、、。
その一途な瞳はいったい何を見つめているの?
730 :
『光の庭』:2008/08/02(土) 23:50:40 ID:0nwJaSSg
『負けてはいけない』
誰かが私の耳元で囁く。
あの子に近づいては駄目。あの子はあなたの敵。
あなたはあの子に勝つためにここまで来たのだから。それがあなたの存在の意味。
フミエちゃんに近づこうとすると、見えない力に引っ張られて私は動くことができない。
確かに、選手としてはリンクで競い合っていた。そういう関係。
どちらかが負ければ、代表に残れない。そういう試合も沢山あった。
だけど心では繋がっていたい。ずっと深く強く、、、。
でも、、、それを何かが許してはくれない。
フミエちゃんのことを考えた時から、急に胸が苦しくなって、ぎしぎしと音を立てて軋んだ。
胸の真ん中が痛くて、心が真っ二つに引き裂かれそうになる。
指先もつま先も、冷たく凍りついて動けない。
辺りの闇が黒い霧になって、私に絡み付いていた。顔も覆われたら息も出来なくなる、、、!
とてつもない恐怖に駆られながら、私は叫び声すら上げられない。
731 :
『光の庭』:2008/08/02(土) 23:52:41 ID:0nwJaSSg
「、、、、荒 川さん、荒 川さん!」
「―――!」
はっと瞼をあけると、薄桃色の天井が目に入った。
十河さんがベッドのすぐ横に座って私の肩に手を乗せていた。
「、、、あ、、、」
目を向けると十河さんは、私の腕をさすり、手を握ってほっとした顔をした。
「気がついてよかった。大丈夫ですか」
「、、、、、」
頭が朦朧としたまま、何が起こったのか知りたくて私は起き上がろうとした。
「無理をなさらないで、、ゆっくり起き上がってください」
身体に繋がれていた沢山のコードは全部外されていた。
全身に汗をびっちょりかいていて、肌に白衣が張り付いた。
732 :
『光の庭』:2008/08/02(土) 23:53:14 ID:0nwJaSSg
「これをどうぞ」
スタッフの人が、紙コップに入れたお水を持ってきてくれたので、私はそれを一気に飲み干した。
喉はからからに渇いていた。
「、、さあ、もう少し横になってください」
言われたとおりにまたベッドに横たわった。
いったいあの痛みはなんだったの、、、、わけもわからず放心状態でしばらくそのままでいた。
十河さんは冷たくしたタオルで私の額や首筋を拭ってくれた。
「わ、、私、、なにか、、、」
「波形の乱れを確認しましたのですぐに測定を中止したのですが、荒 川さんがなかなかお目覚めにならなかったもので、、、」
「、、、、」
ひんやりと優しく触れるタオルが気持ちいい。私はふうっと息をついてもう一度天井を見た。
733 :
『光の庭』:2008/08/02(土) 23:54:06 ID:0nwJaSSg
「、、、、、夢を、、見ていたんです」
「、、夢、、、ですか」
「最初は、、小さい頃の夢だったんです。スケートを始めた頃の。それから試合に出て、いろんな事を思い出して、、、」
「、、、きっと辛いことを思い出させてしまったんですね」
「いいえ、辛いことは平気なんです。スケートは辛くはなかったんです。ただ、、、、」
あの思いを言葉にしようとすると、じわじわと悲しさが込み上げてきた。天井のラインが歪んだ。
「私、、自分の心の弱さを思い出して悲しくなってしまったんです。、、、ごめんなさい、ちっとも役に立てなくて、、、」
涙が止め処もなく溢れ、私の頬を伝って流れていった。
、、、あの時、私はフミエちゃんのそばに行きたかった。
たとえ、心が引き裂かれたとしても。
でも、、行けなかった。
「、、これじゃあ、アナザープロジェクト失格ですよね」
子供みたいに涙を止めることができない。
拭っても拭っても涙は溢れてきて、顔中ぐしょぐしょになった。
734 :
『光の庭』:2008/08/02(土) 23:55:16 ID:0nwJaSSg
「、、、荒 川さん、、感情を出すことは決してマイナスではありません。むしろ、自分の心と向き合うことができるチャンスです。
どうぞ、その気持ちを大切になさってください」
十河さんの言葉が温かく胸に沁みた。
渡されたタオルで涙を拭いて、私は震えながら深呼吸をして息を整えようとした。
、、、これは、、私のフミエちゃんに対する想い、、、、、。
スケートのことではない、こんなことは十河さんには言えない、、、。
「、、、少し休憩を取りましょう。もう、、7時を過ぎていますし」
十河さんが腕時計を見て、そう言った。
もうそんなに時間が過ぎていたのか、、、。
あの夢はそれほど長くは感じてはいなかったけど、、、。
735 :
『光の庭』:2008/08/02(土) 23:55:54 ID:0nwJaSSg
窓の向こうの部屋ではスタッフと十河さんが話をしている。
ようやく涙が止まり、汗で張り付いた前髪をかき上げながら、私は上体を起こして辺りを見回した。
部屋には時計はなく、ベッドの脇には沢山のコードが散らばったままだ。
「大丈夫ですか、荒 川さん」
立ち上がろうとした私を見て、十河さんが慌てて戻ってきた。
「ええ、もう大丈夫です」
最初はふらついたけど、私は立ち上がった。なんとなく、現実に戻ってきた実感が欲しかった。
立ち上がると私は指先を見つめた。大丈夫、私の思い通りに指も動く。
「、、、一度、お部屋に戻ってゆっくりなさってください。、、、歩けますか?」
「はい」
「汗をだいぶかいているようですね。どうぞロッカールームの奥のシャワーをお使いください」
「はい、ありがとうございます」
タオルで腫れぼったい瞼を押さえながら私は頷いた。
汗と言うより涙で全身が濡れてるみたいだった。
725さんの間にちょこっと書かせていただきました。
ダブルデートのお話、楽しみにしてます!
ぺ禁ももうすぐですな〜シズゥがキャスターで出るから楽しみだわ
シズゥ、夏のあ すりぃとに浮気しちゃダメだよん!!
おお、更新されてる!!『光の庭』さんありがとうございます!!
やっぱりフミィとの関係がシズゥの深層心理の核になってるんですねえ
続き楽しみです
続きキテタ−ー\(^_^)/
謎めいてるけどせつないのがいいっす
続きが楽しみだょ
スグリさんとしーちゃん。
何だか最近、あの二人がおかしい…。
先日、あの二人がいる更衣室に行った時の事だ。
私が部屋に入るなり二人は急に話をやめ、素っ気ない態度を
とり始めた。スグリさんは顔が赤く、私の方を向こうともしない。
しーちゃんは慌てたように私に話しかけ、その場を誤魔化して
いるようだった。
私はおかしいと思いつつも、その場は気付かないふりをして
あんまり頼りにならない恋人のよっちゃんに相談する事にした。
中「(RRR…)あ、よっちゃん?ゆかり」
恩「おぅ!愛しのユカリン!!どうしたん?」
中「ねぇ…」
恩「何?あたしの声聞きたくて電話してきたん(ニヤ)」
中「…。(始まった…)」
恩「ウソウソ!ほんまにどうしたん?」
中「あのね…よっちゃんさぁ。何か知らない?」
恩「だから何のことやねん」
中「スグリさんとしーちゃんの事…」
恩「は???」
中「何かこの頃変なのよ〜。怪しいって言うか…二人ってもしかして…」
恩「え???」
中「…(知らないんだ…)」
恩「あのなぁ?今度の週末ゆかりんに会いに行ってもええ?」
中「どしたの?急に」
恩「え?会いたいから行くだけやけど…ダメやった?」
中「…///」
恩「ユカリン?聞いとる?」
中「あ…うん。来てくれるんだ///」
恩「そろそろあたしの事が恋しいやろうと思ってなw」
中「…ばっかじゃないのw」
恩「でた〜!照れ隠しwカワエエな〜」
中「もう!切るね…」
恩「はいはい。じゃ、週末そっちに着いたら電話するわ!」
よっちゃんが来る事は嬉しいけど、いつも素直に嬉しいと言えない私って
本当に可愛くないよね…。好きなのに意地悪とかしちゃうし…。
週末に会ったら、たまには素直に”好き”とか言ってみようかな?
―――週末にヨシオがやって来た―――
恩「なぁ?今日はホテルに一緒に泊まらへん?」
中「え…」
恩「いっつも、ユカリンのお姉さん追い出しちゃって悪いし。
しーちゃんのとこに部屋取ってもらってん」
中「そうなの?」
恩「たまには…贅沢してもいいやろ?」
中「うん…」
恩「夜にしーちゃんと飲む約束してるから、練習でスグリさんに会ったら
ユカリン誘ってみてや?」
中「え?!」
恩「あの二人呼ばな!怪しいかわからへんで(ニヤ)」
中「うん。(この前の話覚えててくれたんだ…)」
恩「しーちゃんの部屋で飲むからってちゃんと言うんやでw」
中「わかったぁ!(よっちゃん何か作戦でもあるのかな?)」
よっちゃんは一人でホテルの部屋に残り、私が練習に行っている間に
お酒の買出しをしてくれる事になった。
リンクにはスグリさんしかいなかった。
練習後に先に帰られないように急いで着替えてスグリさんを待っていた。
中「あ…お疲れ様です」
村「お疲れ様〜。まだ帰らなかったんだぁ?」
中「はい。…あの、スグリさん夜って何か予定ありますか?」
村「え?」
中「今日よっちゃんがこっち来てて…皆で一緒に飲まないかって」
村「へ〜。たまには良いかもね」
中「じゃあ、大丈夫ですか?」
村「うん!ドコで飲むの?」
中「あ…しーちゃんの部屋なんですけど」
村「(ビクッ!)そ、そうなの?」
中「よっちゃんもプ○ンスに部屋とってもらったみたいで」
村「あ…そうなんだ(シズカちゃんに電話しなきゃ!)」
中「???」
村「私着替えるから…玄関で待っててもらえる?」
中「はい!」
さっき…しーちゃんの部屋で飲むって言った時のスグリさんの顔!
絶対動揺してたように見えたんだけどw
やっぱりあの二人…あやしいわ。
その頃、更衣室では…。
村「(RRR…)」
荒「フミエさん?練習終わったの?」
村「シシシシシズカちゃん!!」
荒「どうしたのよ〜w」
村「今日の飲み会の話知ってたの?!」
荒「え?飲み会?」
村「よっちゃんとユカリちゃんと四人で飲むって…」
荒「え!!四人で?」
村「知らなかったの?」
荒「私はてっきり三人で飲むのかと…フミエさんも誘われたの?!」
村「うん…どうしょ〜!あの二人、私達の事知らないのよねぇ?」
荒「う、うん…。」
村「何か緊張するね〜隠し通せるかしら…」
荒「だ、大丈夫じゃ…ない?(ポーカーフェイスしかないわね)」
村「そうかなぁ?でも…」
荒「何?」
村「シズカちゃんに今日会えると思ってなかったから…嬉しい///」
荒「あ〜うん(デレデレ)私も…」
村「もう少ししたらユカリちゃんと出発するけど、大丈夫?」
荒「うん。待ってるね」
電話を切ってすぐ、シズカはヨシオの部屋に乗り込んで行った。
荒「(トントン!)」
恩「はぁーい!…おっ!しーちゃん!お疲れ〜」
荒「あ、お疲れ。(冷静に…ね…)ちょっといい?」
恩「うん。あ、さっきユカリンから電話あってん。」
荒「そう。…なんて?」
恩「あ〜何かなぁ?リンクでスグリさんに会ったから誘ったらしいで?」
荒「…。(何かワザとらしい…)」
恩「別に四人でもええやろ?それとも…(何かしーちゃん怖いわ)」
荒「何よ〜」
恩「スグリさん呼んじゃまずかった?(ニヤ)」
荒「え…(まずい訳ないじゃない!ってか、会いたいし)」
恩「四人で飲むなんて滅多にない事なんやから〜楽しもうや♪」
荒「う、うん…(はぁ〜フミエさんに会えるのは嬉しいけど複雑だわorz)」
恩「じゃ、そろそろしーちゃんの部屋行って準備しますか!」
荒「ちょ…っと待ってくれるかな〜。片付けしてなかったわ
(部屋にあるフミエさんとの証拠物を隠さなきゃ!!)」
恩「10分もあれば終わる?」
荒「終わったら電話するから。あ、お酒とか半分持ってくね」
急いで部屋に戻ったシズカは、スグリと付き合っている証拠のあらゆる物を
隠さなければならなかった。
荒「もう…ヨシオの奴〜。やっぱり何か魂胆ありそうな顔してたわね…。
証拠は徹底的に隠さねば!!」
【つづく】
とりあえずここまで〜( ´ー`)y−~~
相当前に書いたから話はズレズレですがwwwご勘弁を
夏季おりんぴっくも盛り上がってますね!あまりTV観れてないけど…
今度まりりんがうたばんに出るとか?なぜに歌番組?!謎だ
ダブルデート続きが楽しみ!(≧▽≦)
フミィとシズゥの慌てっぷりがカワエエ!
おおぅ!
シズフミにからむ0Nちゃんw
どうなるのか続きが早く読みたいぃ!
751 :
光の庭:2008/08/31(日) 23:44:52 ID:BKxZTg7W
>>736の続き
「今日の予定は確か、まだ実験と測定をする予定でしたよね」
「ええ、でも、、無理は良くありません。間を空けて気持ちを切り替えた方が良いでしょう」
十河さんは穏やかで、冷静な声で言った。
異変を感じたら心を閉じなさい―――
まるでこうなることがわかっていたような岡 崎さんの憂えた瞳。
アナザープロジェクトに関わる人は、なにかしらああいう経験するのだろうか。
自分の中にある底知れない何かと対峙するあの奇妙な感覚、、、。
怪我やアクシデント、競技相手、マスコミからの批判、、、私達には恐れるものが沢山ある。
でも、それとは全く違う恐さだった。
自分の心から生まれた弱さや醜さに、意識を飲み込まれてしまいそうな恐ろしさ、、、。
752 :
光の庭:2008/08/31(日) 23:46:14 ID:BKxZTg7W
「また11時にお迎えに上がります。ご様子を拝見して、それから決めましょう」
十河さんはそう言い、窓の向こうでスタッフにその旨を伝えたようだ。
その横顔が珍しく眉を顰め、難しい表情をしていたのが気になった。
今日は8時に夕食を取り、また9時半からここへ来る予定になっていたはずだ。
スケジュールが狂ってしまうなと思ったけれど、私は自分の体が早急に休息を欲しているのを感じていた。
全身が鉛が張り付いたように重く、手足ものろのろとしか動けない。
夕食は食べられるかどうかわからない、と私が言うと十河さんは
「無理食べなくても結構ですよ。後で夜食も用意できますから」
といつも通りの優しい声で手を貸してくれた。
通路を2人で歩きながら、彼女は時々心配そうに私を見た。
部屋まで送ると言ってくれたけど、私は一人で大丈夫です、とロッカールームで別れた。
753 :
光の庭:2008/08/31(日) 23:47:21 ID:BKxZTg7W
ロッカールームのネームプレートには大勢のアスリート達の名を刻まれている。
その数だけ、この研究所にはanotherがいるということ。
私はその中の一人。
整然と並んだそれはなんだか墓標みたいだ、、、、。
いやいや、縁起でもない。ここに名を連ねるのは名誉なことなんだから。
ネガティブな気分になっている自分に首を振った。
私は金メダリストというアスリート最高の幸せに恵まれて、ここに来たんだから、、、。
シャワーを浴び、乗車用のエレベーターに乗って5階の部屋に帰ると、即効でベッドの上に身を投げ出して目を閉じた。
今はとにかく休みたい、、、休まなくっちゃ、、、。
疲れていた私はすぐに深い眠りに落ちていった。
754 :
光の庭:2008/08/31(日) 23:48:33 ID:BKxZTg7W
夢を見る事もなく私は泥のようにぐったりと眠ってしまった。
目が覚めてリストバンドを見ると、9時を回っていた。
窓に外には青白い光に照らされた森があった。
夜の森は相変わらず、幻想的で美しい風景だった。
、、、単なる夢だったんだ、あれは、、、。
昔も練習の辛い時や、重圧のかかった試合の前には苦しい夢を見ることはよくあった。
けれども経験をつんだ年齢になると、たとえ不吉な予感のする夢を見ても、うまく気持ちを切り替えてきたはずだった。
そして氷の上では、、、あの人の真剣な横顔を見るたびに。
自身の未熟さや恐れから見る悪夢は、彼女と一緒にいるとそれは張り詰めた心地よい緊張感に変わっていった。
今だって、こうして同じ屋根の下にいる。フミエちゃんが。
755 :
光の庭:2008/08/31(日) 23:48:55 ID:BKxZTg7W
ずっと感じていたのに、思い知った。
私がこうしてここにいるのはフミエちゃんがいてくれたからなんだ。
あなたと同じリンクいられたから、私はここまで来たんだ。
anotherShizukaにはない、この想い。
それがあるから、私は迷わない。
私は窓ガラスにそっと手を当てた。
そうだ、あの中庭に行ってみよう。
11時までにはまだ時間があるし、私は、、、月の光を浴びたかった。
静かで、凛としたあの人のような月の光に包まれたい。
756 :
光の庭:2008/08/31(日) 23:50:23 ID:BKxZTg7W
廊下に出て、エレベーターに向かう途中、フミエちゃんの部屋の前を通りかかった。
この時間ならもう眠っているだろう。
柔らかな頬の輪郭がふんわりとシーツに埋まる愛らしい寝顔。
同室だった時、こっそりとその寝顔を盗み見て、ドキドキしたのを覚えている。
無防備な彼女の寝顔を独占できたあの幸福感。
、、、あの気持ちを私はなんと理解していいかわからなかった。
それは私の小さな宝物のような時間だった。
『おやすみなさい、フミエちゃん。そして安らかないい夢を、、、』
私は祈りながら、部屋のドアの前を通り過ぎた。
757 :
光の庭:2008/08/31(日) 23:51:00 ID:BKxZTg7W
、、、、、いつのまにか反対側の廊下を歩いていた。
岡 崎さんや大 菅さん達がいる部屋の方だ。
、、、そう、、この廊下の角で、、2人の会話を聞いたんだ。
アナザープロジェクトのフロアに関する謎めいた2人の様子、、、。
観葉植物の陰に誰かが佇んでいるのに気づき、私は足を止めた。
私の気配に気づかないのか、その人は窓にもたれ、じっと遠い月を見つめていた。
光の庭です
すみません、アンカー間違えました
>>735でした
仮名ザワ公演も良かったみたいですね!!
シズゥとフミィ、相変わらずぎこちない2人だったのかしら??
萌えます
GJです!
またいいところで切りますねえ・・・早く続きが読みたいです!
>>747つづき
スグリさんが途中で買い物するって言うから付き合う事にした。
中「スグリさんってしーちゃんの部屋に行った事あるんですか?」
村「(ドキっ!)え…何で?」
中「(また動揺したw)あ、ただ。どうなのかなーと思って」
村「…あのホテルはよく皆も行くじゃない(汗)」
中「そうですけどwプライベートとかで〜遊んだりするのかなぁと思って」
村「…(誤魔化すしかないわ!)あ!!これ美味しそう〜」
中「(話逸らしたw絶対あやしいよコレ)」
村「シズカちゃんコレ好きだから買わないとね!」
中「え?」
村「あ〜…(まずい…orz)」
中「そうなんですか?(ニヤ)」
村「え〜っとぉ…よっちゃんは〜何が好きなのかなぁ?(汗)」
中「何でも食べますよw」
村「そ、そう…」
スグリさんってばしーちゃんの話になると途端に挙動不審になるから面白いw
しーちゃんはどっちかというとポーカーフェイスだからわかりにくいんだけど。
今夜の飲み会でお酒が入ってからが楽しみになってきたな!
その頃、証拠物を隠し終えたシズカの部屋では…。
恩「おっそいな〜。ユカリン何しとんのやろ〜」
荒「(フミエさん遅いな〜)」
恩「しーちゃんさぁ、スグリさんと飲んだ事あんの?」
荒「え…まぁ…」
恩「二人で?(ニヤ)」
荒「え!!」
恩「何そんなに驚いてんのw」
荒「ヨシオが急にそんな事聞くからでしょ!」
恩「そんな事って〜?別に変な事ちゃうやんw」
荒「…(さっきからニヤニヤして何なのよ)」
恩「結構、仲良いんだね〜スグリさんとw」
荒「仲良いっていうか…(これ以上突っ込むなよ)」
恩「あ〜!ユカリンに早く会いたいなぁ。しーちゃん達いるのにラブラブしたら
ゴメンなw我慢できひんかもしれん(ニヤニヤ)」
荒「勝手にラブラブして下さい。(どうせ、ユカリンはさせないだろうけどw)」
恩「ほんまに?!いいの?」
荒「どうぞ。でも…度が過ぎるのはダメよ?(フミエさん照れちゃうから)」
恩「しーちゃん達もウチらにお構いナシにイチャイチャしてもええよw」
荒「なっ…!何言ってんのよ〜(汗)」
恩「ウチらを見てたらしたくなるかも知れんやんw」
荒「(確かに…)」
そうこうしているうちに、スグリとユカりんが帰ってきた。
恩「おぉ!ユカリンお帰り〜(デレ)スグリさんもお疲れっす!」
中「ただいま〜。よっちゃんコレ持ってよ!」
村「ごめんね〜いっぱい買って来ちゃったぁ」
荒「何買ってきたの?(ポーカーフェイス)」
村「あ…(シズカちゃん///)」
中「スグリさんが〜選んだんですよw」
荒「へぇ〜。美味しそうだね!」
恩「しーちゃん好きそうなのばっかやんw塩辛やろ〜?ホルモンやろ〜ww」
荒「ちょ…!アイスもあるじゃない!!」
恩「(だから〜全部あんた好みやんw)」
荒「じゃあ…とりあえず冷蔵庫に入れとこうか。…ヨシオ!」
恩「えぇー!ユカリンと…まだ…」
中「まだって…何よ?ほら!はやく手伝っておいで」
恩「はーい(´・ω・`)ショボーン」
村「(ユカリちゃんwさすがツンデレね)」
荒「あ〜。…スグリさんとユカリン適当に座っててね」
中「はぁーい!えぇと…」
村「どうしたの?」
中「ここに座っちゃって良いですかねぇ」
そこはシズカがいつも座る指定席だった。
村「!!えぇ〜っとぉ…ユカリちゃんとよっちゃんは、そっちのソファの方が…」
中「??別によっちゃんと一緒に座らなくてもw」
村「え!良いのよ〜遠慮しなくて」
中「遠慮してませんよ〜wそれに、隣りに座ると危険ですからwww」
恩「ユカリン〜聞こえたで〜!」
中「だから?本当に危険だもんw」
恩「…orz」
荒「(早速始まったわねw)」
中「私、スグリさんの隣りで(ユカリンSmile)」
恩「…orz」
荒「まぁまぁ。せっかくヨシオが来てるんだからさ〜隣りに座ってあげなよ」
村「そ、そうよ〜(私もシズカちゃんの隣りに座りたいしぃ)」
恩「ユカリン…(´・ω・`)」
中「もぉ!わかりましたよ〜。じゃあ、よっちゃんワイン注いで?」
恩「うんッ!(デレ)」
荒「フミエさんは…(やばッ!名前で呼んじゃったorz)」
村「なぁに?」 ←自然体な人w
荒「何飲む?ヨシオがいっぱいお酒買ってきたから何でもあるよwv」
村「ん〜〜〜じゃあ、最初はビール貰おうかなッ」
中・恩「(ニヤニヤ)」
荒「!?何二人でニヤニヤしてんのよ〜(もしかして怪しまれてる?)」
恩「べっつに〜なぁ?ユカリンw」
中「ねぇ〜(ヨシオの方を向いて思いっきりユカリンSmile)」
恩「ちょ…今の顔可愛すぎッ!ん〜〜〜ッ」
中「何ソレ?変な顔www」
恩「…orz」
お酒もたいぶ進み、皆リラックスしてきていた。
恩「あ〜!もうコレないやん!しーちゃん追加ぁ〜」
荒「ヨシオ飲み過ぎじゃない?大丈夫?」
中「(本当よ!まだ核心に全然触れてないじゃない)」
村「こっちもお酒なくなりましたぁ〜♪」
荒「…(フミエさん?!もしかして酔ってる?)」
恩「スグリさんのも追加ぁ!!ねぇ〜?」
村「ねぇ〜ッ」
荒「本当に大丈夫?今日って何で来たの?」
村「え〜?車だよぉ」
荒「え…じゃあ…あの…帰り…は?」
恩「しーちゃんとこに泊まればいいじゃーんw」
荒「え!!(それは別に構わない…むしろ泊まって欲しいけど)」
村「シズカちゃん!泊まっても…いいかなー!!あははッ!」
荒「ちょ…(酔ってるフミエさんカワエエ… )」
中「この二人、酔っ払いですね〜w」
荒「ユカリンは酔ってないの?」
中「しーちゃんこそ〜(ここで酔ったら真相が…)」
荒「はは…っ(私まで酔ったらバレるじゃない)」
中「ははは…っ。じゃあ、私達ももっと飲んじゃいますか!」
荒「そ、そうね…」
ヨシオとスグリは酔っ払いモード全開だった。
恩「なぁなぁ?なんかゲームせぇへん?」
荒「ゲームって…何よ?TVゲームとかないからね!」
恩「ん〜皆で出来るゲームって言ったら…(ニヤ)あれしかないやんw」
村「なぁに〜?」
恩「王様!ゲ〜〜ム!!」
村「うわぁ〜!私、王様ゲームやってみたかったんだぁ!!」
恩「ユカリンとしーちゃんは?」
荒「それは…ちょっと…マズイのでは…(ボソっ)」
中「(あ…しーちゃん動揺してる?w)」
恩「しーちゃんボゾボソって…やるの?やらないの?」
荒「あ…やりま…すorz」
中「私もOKでーす!」
恩「じゃあ…いくで?王lだーれだッ!」
村「あ…はいはいはい!!わたしぃ〜w」
荒「(ちょ…フミエさん…)」
うわw萌え展開wwこっちも早く続き読みたいww
連投規制で引っかかったorz
もう少し続くはずだったが・・・次回に繰越でw
更新がいぱーいでうれしーーー!
ミステリアスなシズゥとなんかコメディタッチのシズゥどっちも楽しみです!!
酔っ払いフミィが気になりますねえwww
773 :
光の庭:2008/09/25(木) 01:22:18 ID:xOjc3hj6
>>757の続き
「荒 川さん、あなたは何の為にスケートを続けているのですか」
振り向きもせずにその人は私の名を呼んだ。
突然名指しされた事に驚いて、喉がヒュッと鳴って足がすくんだ。
月の光に浮かび上がる大 菅さんの横顔は青白く瞳の色は暗い、、、まるで心の闇に臨んでいるかのように。
ただならぬ様相に私の身体は反射的に硬直した。
地下のフロアで会った時も、、中庭で会った時も、、いつものと明るい彼女とは全く違う。
いったい何が彼女をそうさせるのだろう。
、、、、なんて答えたらいいのかわからない。
彼女は正気で、真剣に私に問いかけているのだろうか。
私は言葉を返すことができなかった。
774 :
光の庭:2008/09/25(木) 01:23:27 ID:xOjc3hj6
「私は、、、何の為にスケートをするのかを考えてしまうことがあります。
昔は、ただただ早く滑ることが楽しかったし、周りの皆も期待してくれてそれに応えられることが大切で心の支えでした」
ゆっくりと静かな声で言葉が一つ一つがはっきりと耳に入ってくる。
「、、、でも、それだけじゃないんです。たとえ話でなく、本当に血を吐き、全身が痙攣するような厳しい練習を何故するのか。
それは自分を証明したいからなんです」
「、、、、、」
「、、、私は、、スケーターとしての自分を胸に刻みたいんです。後悔しない自分の姿を証として残したい、、」
異様な気配を漂わせながらも、その言葉は謙虚で真摯で一途に胸に響く。
辛い時、苦しい時、私も自分に問いかけていた。
同じ氷の上で滑る競技でも、スピードの彼女とフィギュアの私とでは違う。そして同じだ。
775 :
光の庭:2008/09/25(木) 01:24:25 ID:xOjc3hj6
「荒 川さん」
彼女は振り返り、私を真っ直ぐ見つめた。
「あなたは、、自分のanotherに会ったことがありますか?」
でもすぐに目は伏せられ、言葉が続いた。
「、、、私は、、anotherと向かい合う勇気はないんです。、、、私自身を否定される気がして」
、、、確かに、、自分のanotherを見せられた時の驚きは、自分の存在を見失いそうなくらいの衝撃だった。
ずっと前からプロジェクトに参加している彼女達だって慣れるという事はないのかもしれない。
だけど、、それを越えなくてはならないのがアナザープロジェクトのはずだ。
私は彼女を勇気づけたくて、顔を上げた。
「、、、私も、、自分のanotherを見た時はショックでした。完璧なデータとして残せるのなら、私自身は必要がない気がして、、、。
でも、それは違う。anotherを越える心の強さが私達にはあると思います。きっと、、、」
776 :
光の庭:2008/09/25(木) 01:30:52 ID:xOjc3hj6
「簡単に言うんですね」
低く凄みのある声で彼女は私の言葉を遮った。
「anotherがどんなものなのか、あなたにはまだわかっていない。荒 川さんはanotherと一緒に滑ったことがありますか?」
刃を突き付けるような口調に気押されて、息を呑んだ。
「、、、、いいえ、、私は、、、まだ未完成というanotherを見ただけです」
「、、、私達スピード スケーターの中でも余程強いメンタルの持ち主でないとanotherと同走させないと聞いています。
実際に同走したのは女子では岡 崎さんだけです」
「、、、、、」
アナザープロジェクトにはスピード スケーターがあれだけ登録されているのに岡 崎さんだけなんて、、、。
777 :
光の庭:2008/09/25(木) 01:31:34 ID:xOjc3hj6
「、、あ、あの、、大 菅さんは、、、」
「、、、リンクでそれが滑っているのを間近で見たことはあります。それだけでも、、私はとても恐ろしかった。
もう二度とスケートが出来なくなってしまいそうなくらいに」
またあの横顔が頭をかすめる。anothrShizukaの雑念のない澄ました横顔。
「、、あの岡 崎さんですら、初めてanotherと同走した後、3日間部屋に閉じこもって出てこなかったそうですから」
「、、、、、、」
「、、、、岡 崎さんが、、私に話してくれたことがあります。
anotherTomomiはスタート前、岡 崎さんの方を見てニヤリと笑ったそうですよ」
背筋にぞくっと冷気が駆け上がった。
、、、、地下のフロアで見たanotherTomomi。
サングラスの下にあった視線を思い返す。
ただのデータから出来た存在のはずなのに、まるでそれ自体の意思があるかのようなあの眼差し。
、、、anotherって、、、、。
778 :
光の庭:2008/09/25(木) 01:32:44 ID:xOjc3hj6
「、、、、あなたはアナザープロジェクトのことを何も知らない。この研究所のこと、anotherのこと、、、」
月の光が彼女の顔に一層冴えて、彫刻のように濃い陰影を落としていた。
普段はアスリートらしい、明るくて活発で笑顔の似合う彼女。
でも、アナザープロジェクトに私が関わると知ってからは彼女はどことなく不自然な表情を見せるようになった。
そしてそんな彼女の背後にちらちらとのぞくフミエちゃんの影、、、、。
「、、、大 菅さんは以前、私に鳥籠に来てほしくないって言いました。アナザープロジェクトに参加してほしくないって、、、。
それは何故なんですか?フィギュアのアナザープロジェクトのことはあなたには良くわからないはずです。
、、、でも、あなたはそれをひどく気にしていた。いったいどうして、、?」
「、、、、あなたが、、ちっともわかろうとしないからよ。、、、フミエちゃんのことも」
フミエちゃんの名が彼女の口から出て、心臓が止まるくらい身体が硬くなった。
そしてその瞬間、彼女の瞳が漣のように揺れるのを見て、私の胸にきゅっと衝動が走る。
779 :
光の庭:2008/09/25(木) 01:34:41 ID:xOjc3hj6
「どうして、、フミエちゃんの名前が出てくるんですか。
もしかして、、大 菅さんは私がフミエちゃんのことを嫌っているって思っているんでしょう、、?」
自分でもはっとするくらい強い口調で私は言った。せめて、彼女には誤解されたくない。
大 菅さんは目を落とし唇を噛むと、力なく首を振った。
「ちがう、、、。でも、そうだったら良かったのに。、、ただのライバル同士で、お互いに嫌いだったら良かったのに」
「、、、、、大 菅さん、、、」
「、、、私にとって、、フミエちゃんは大切な人なんです。
荒 川さん、、私はね、ソルト レイクの前までは、怖いものなんてなかった。
ジュニアの世界記録だって何度も塗りかえたし、シニアの世界に入っても先輩である岡 崎さんや、世界記録だって越えられると思っていた。
、、、、でも、、初めてオリン ピックに出た時に重圧に負けて惨敗してしまったんです。
自信もプライドも粉々に砕け散って、スケートをすることも、リンクに入ることすら出来なくなってしまった。
、、、、そんな私を、、フミエちゃんが、、励ましてくれた。
ただの慰めや言葉の同情なんかじゃなく、フミエちゃんの真っ直ぐで一途な心が私を立ち直らせてくれたんです」
780 :
光の庭:2008/09/25(木) 01:35:21 ID:xOjc3hj6
月の光を背にいつのまにか大 菅さんの影が私を覆うように迫っていた。
でも、、不思議と怖くはなかった。
彼女が私に敵意を向けているのは感じても、フミエちゃんを語る瞳は真剣で悲しそうで切ない。
「、、、同い年で、、競技はちがっていても、、私達は、、友達、、、。
そう、、、きっとフミエちゃんはそう思っているんです。、、、でも私は違う。
、、、私の中ではもっともっと大きな存在なんです。、、、私は、、フミエちゃんのことが好きなんです」
781 :
光の庭:2008/09/25(木) 01:37:58 ID:xOjc3hj6
『フミエちゃんのことが好き』
私以外の人の声でそんな言葉を聞くなんて、、、。
全身が心臓になったみたいに、大きく脈を打って、指先も膝も震えてくる。
目の前にいる彼女の瞳には涙が溢れ、頬を伝って流れていた。
「、、、でも、、、そんなこと迷惑だって、、私は知っているんです。
だから、、友達でいられるだけでいい。こんな気持ち、私だけの秘密にしておけばいいんだから」
彼女の言葉が肌を突き抜けて、私の身体の深い所にまで共鳴してくる。
、、、、彼女の想いは私と同じ、、、、。
「、、、、、そんな時、、あの人が私の前に現れてくれた」
「あの人、、、?」
782 :
光の庭:2008/09/25(木) 01:38:40 ID:xOjc3hj6
取り憑かれたように、大 菅さんはふっとライトコートの方へ歩き出した。
そして、悲しそうに中庭の森をじっと見つめ、ガラスにもたれかかった。
彼女の髪が乱れて頬にかかり、その横顔の大半を隠している。
「anotherFumie、、、、」
―――anotherFumie
唇の動きでそうわかった時、頭の中に電気が走って、意識が凍り付いた。
、、、なにかが、私に訴えている。でも私自身にはそれがまるでわからない。
それは重大なことのなずなのに、いきなりシャットオフされたように私の思考回路と身体は動けなくなった。
投下ktkr!
とうとう秘密に近づいてきましたね。あなざーフミィ!
やっぱりO菅タンもライバルとは…
でも切なくて萌です。
加速してきたwもどかしいわぁ。早く全部読みたい!
光の庭です
規制で投下できなかったです
書いているうちに自分でもややこしくなってしまいました、、、
遅筆でかなりの長文なのにおつきあいいただいてありがとうございます
もうすぐふゅヌポもツーズンですねえ
それまでには終わるかなーとちょっと心配ですw
786 :
『光の庭』:2008/10/03(金) 21:46:34 ID:w7Re0vNk
>>782の続き
、、、、パタパタと足音が反響しながら近づいてくる。
私ははっとして、我に返った。
「大 菅さん、ここにいらしてたんですか」
暗い廊下から現れたのは、吉 井さんだった。早足で来たのか肩が上下に揺れていた。
「さきほどからスタットコールしていたそうなんですが、お部屋にもいらっしゃらないって、、、。十河さんが探していたんです」
近づいた彼女は視界に私を見つけると、あっと声をあげた。
「、、、、そうか、ごめん」
大 菅さんはリストバンドを見てから、うつむき加減で吉 井さんに振り返った。
「あ、あの、、、」
吉 井さんはどうしてここにいるの?という顔で口を開けたまま、私を見ていた。
「荒 川さんと話をしていて、コールに気がつかなかった。ごめんね、すぐ行こう」
大 菅さんは何もなかったように冷静な表情で私に会釈すると、くるりと身を翻して廊下に歩いていった。
「あ、あの、それでは失礼します、荒 川さん」
吉 井さんはぺこりと頭を下げ、慌てて大 菅さんの後を追った。
787 :
『光の庭』:2008/10/03(金) 21:49:11 ID:w7Re0vNk
あっという間に私は取り残されてしまった。
暗い廊下に2人の後ろ姿は吸い込まれていった。
『フミエちゃんのことが好き』
立ちつくす私の耳に残ったのは彼女の声。
それは、、、私の口から私の言葉で言いたかったはずなのに。
『友達でいられるだけでいい。こんな気持ち、私だけの秘密にしておけばいい』
繰り返し耳の奥で響く声。
胸の奥から涙は溢れ、頬を濡らして流れていく。
止めることも受けとめることもできずに、それは降り始めた雨のようにぽつりぽつりと床に落ちた。
788 :
『光の庭』:2008/10/03(金) 21:51:29 ID:w7Re0vNk
どのくらいあそこに居たのだろう。
私は夢遊病のように彷徨いながら、自分の部屋に帰ったらしい。
枕の感触が妙に柔らかくて懐かしかった。
ノックの音がして誰かが呼ぶ声がした。もうすぐ11時になる、、十河さんだ。
私は涙の跡がついてやしないかとタオルでごしごし顔を拭きながら、ベッドから起き上がった。
ドアを開くとそこには八重樫さんの姿があった。
「お休み中失礼致します。お加減はいかがですか」
丁重な仕草で心配そうに彼女は私を窺った。
「、、、もう、大丈夫です。でも、、少しまだ気持ちの整理ができていなくて、、、」
あの測定中のことより、今はさっきのことで頭がいっぱいだった。
789 :
『光の庭』:2008/10/03(金) 21:52:34 ID:w7Re0vNk
「そうですか、、、実は11時に十河が伺うことになっていたのですが、ちょっと機械のトラブルがありまして」
「、、、、、」
「ですから、予定を延期したいと思っているんです」
「、、、延期、、、」
「ええ、他の皆さんにもお伝えしたのですが、日程を延ばしてくれるようにお願いしている所なんです」
八重樫さんは珍しく少し早口だった。
「幸い、皆さんのスケジュールの調整はできています。ご本人に了承を頂きたいと思いまして」
このプロジェクトの後、私は久しぶりに家族でのんびりと過ごす予定だった。
でも、、、ここのことをこのままにして、帰るわけにはいかなかった。
「わかりました。他のスケジュールに迷惑にならないのなら私はかまいません」
ありがとうございます、また明日の朝説明に伺います、と深々と頭を下げ八重樫さんはせわしなく去っていった。
790 :
『光の庭』:2008/10/03(金) 21:55:53 ID:w7Re0vNk
結局、、今日の測定はなしか、、。
、、、大 菅さんが呼び出されたのもそのせいだったのかな、、、。
私は、力が抜けてベッドに座り込んだ。
でも、一人になるとまた胸が切なくて苦しくなる。
彼女の唇はそう言っていた。anotherFumie、、、。
でも、フィギュアではアナザープロジェクトに参加するのは私だけだと所長は言っていた。
ならばanotherFumieはどうして存在するの?
―――フミエちゃんは、どうなるんですか?―――あれは村 主さんじゃない。―――前の事だって。
791 :
『光の庭』:2008/10/03(金) 21:56:44 ID:w7Re0vNk
そう、以前フミエちゃん達はここへ来たはず、、、昔あったという研究所へ、、。
けれど、それを皆よく覚えていない。
フミエちゃんだけじゃない。よっちゃんだって、ここに来たことがある気がするってぼんやりと言っていただけだった。
どうしてそんなに忘れてしまうの?
anotherFumieなんて本当に存在するの?フィギュアのデータのはずのanotherをなぜ大 菅さんが知っているの?
その人の形、そのままのanother。
不意に夜気を含んだ風が首筋の髪をなびかせた。
どうやら私は窓を開けていたらしい。
細く開いた隙間からカーテンを揺らし、風は部屋の中をくるりと舞った。
792 :
『光の庭』:2008/10/03(金) 21:57:52 ID:w7Re0vNk
―――!
月明かりに浮かび上がる窓辺を見て、私の目の奥にに何かが蘇ってきた。
ここに来た時から夢に出てきていたフミエちゃん、、、私を鳥籠のフロアまで連れて行ったこともあった。
、、夢にしてはリアルな感覚、、まさか、、、、?!
泣きたくなるような胸騒ぎを覚えて、私は外に飛び出した。
廊下に出ると、岡 崎さんがラウンジの辺りに立っているのが見えた。
彼女は腕組みをして、ライトコート側の壁にもたれかかり、深く考え込んだ顔でガラス越しの下の階の様子を見つめていた。
793 :
『光の庭』:2008/10/03(金) 21:59:16 ID:w7Re0vNk
「岡 崎さん!」
私は慌てて走り寄った。
「ああ、荒 川さん、、、」
彼女は私の様子に動じることもなくゆっくりとこちらに顔を向けた。
「もう聞いた?、、どうやらシステムが調子悪くなっちゃって予定が狂っちゃったみたいね」
そう言って持っていたカップに口をつけ、また下の階に視線を落とした。
「朝まではこの階を出られないらしいよ。こんなこと、めったにないんだけどね、、、。
まあ、行く宛もないし、あんまり心配しなくてもいいけどね」
微笑みを向けて安心させようとする岡 崎さんの優しさに、私は少し躊躇した。
でも、anotherFumieのことを聞くには彼女しかいない。
794 :
『光の庭』:2008/10/03(金) 22:01:07 ID:w7Re0vNk
「お願いです。教えてほしいんです。anotherFumieのこと。岡 崎さんや大 菅さんはずっと前から知っているんでしょう。
、、、、私、、、フミエちゃんが来る前から、何度もここでフミエちゃんに会っているんです。
あの初めて鳥籠に行った時だって、、。最初は夢か幻を見てるんだと思ってた。でも、、あれはきっと、、、」
私は思わず腕をつかんですがるように詰め寄っていた。
岡 崎さんは驚いて瞳を大きくして、私の顔を注意深く見つめた。
見つめながらさっきの微笑みが静かに消えていく。
そして私の確信を読み取ると怖いくらい神妙な顔になって肩に手をおいた。
「、、、、another、、Fumie、、、anotherFumieは、、、存在はしていないんだ。データ上はね、、、」
彼女は無言で私をソファの方へ誘い、ゆっくりとそこに身を沈めた。
私もそれに続いて、彼女の隣へと少し間を開けて座った。
音もなくカップがテーブルに置かれ、時間が止まったように沈黙が続く。
岡 崎さんは指を組んで、一点を見つめながら重く口を開いた。
うぉー!つづきが激しく気になる!!
作者さんオツです
読ませるなあ。
乙です。続き楽しみにしてます。
797 :
『光の庭』:2008/10/04(土) 23:20:00 ID:T9U1Jl4M
>>794の続き
「、、、、、あの子が、、、一番最初に見つけたんだよ」
「、、、、、」
「研究のためにデータ上に自分のコピーを作り出す。身体能力、心理状態も含めた極めて本人に近いコピー、、それがanother。
それらは、スポーツだけなく、医学や人間工学などいろいろな分野で活かされるために開発された。
本来はデータだけのモノなんだ。メンタルなデータが必要なだけだったんだよ。
私たちのハートやスピリット、、、、そう、心までコピーすることなんて出来はしないんだから」
ため息をつき、部屋で話してくれた時よりも遣りきれない表情で、誰もいない向かいのソファをじっと見つめている。
「、、、まだ、前の研究所だった時、、試験的にフィギュアのアナザープロジェクトが実施されたことがあった。
なんでも連盟の強い要望があったかららしい。
その時に来たのはソルトの代表選手達、、、、だから村 主さんだけじゃなくて恩 田さんだって来ている」
「、、、、、」
「、、、最初は簡単な実験程度のものだったと思う。私たちのだってまだロボットのようなanotherでしかなかったし。
でもanotherFumieだけは違っていた。彼女はまるで意思があるかのように、コンピューターを抜け出して存在するようになってしまった」
798 :
『光の庭』:2008/10/04(土) 23:22:29 ID:T9U1Jl4M
anotherがコンピューターを抜け出す、、?そんなことがあるのだろうか。
確かに、私がanotherFumieに会ったのは鳥籠のフロアではなかった。
「彼女が抜け出すようになってから、研究所内ではいくつかの不思議な事が起こった。
誰もいない部屋に人影を見たっていう人もいるし、実験中に隣に人の気配がしたって人もいた。
妖精を見たって言う人もいたし、ただの光の玉って言う人もいた。
、、、私には、村 主さんの姿が見えたこともある。勿論そんな事、他の人達には言えなかったけどね、、。
そのうち、研究所には幽霊が出るって言う噂まで出始めてね」
「、、、、、」
「なかなか、研究所の人達には信じてはもらえなかった。そんな非科学的なことはあるはずはないって。
管理された装置の中でしか、anotherは存在しないのだから。
、、、anotherFumieの気配を感じることが出来るのはanotherを持つアスリートだけ、、、」
脳裡にanotherShizukaの姿が、anotherTomomiの顔がふっと浮かんで通り過ぎた。そしてまだ見ていないanotherSayuri、、、。
799 :
『光の庭』:2008/10/04(土) 23:24:23 ID:T9U1Jl4M
「、、、その後も、不思議な出来事は、私たちの証言と一致していた。それでようやくここの人達も存在を意識するようになった。
特にフィギュアに関してのデータを入れる度、トラブルが起きたり、機械の故障、小火までもが起きるようになってね、、、
そして、、、、あの事故が起きた、、、」
「、、、事故、、?」
「大きな爆発ではなかったけど、建物が一部壊れて、今までのデータが全部消失してしまったんだよ。
フィギュアだけでなく、そこにあった全部の、、、。幸い怪我をした人は誰もいなかったけどね」
「、、、、、、」
「、、、そんな事が公けになれば、ここの存続危機になる。だから内密に処理をされたらしい。建物もいつの間にか変わってた。
、、、そして、、その爆発事故の日、、大 菅は研究所のその場所にいた。かすり傷ひとつ負わなかったけど現場に倒れていたそうだ」
800 :
『光の庭』:2008/10/04(土) 23:26:14 ID:T9U1Jl4M
「、、、、、その日、、岡 崎さんは、、、いらっしゃらなかったんですか」
「その時、ここでプロジェクトに参加していたのは、あの子だけ。anotherを2つ持っているのは現役ではあの子だけだからね」
そうか、ロッカーで見た『S ayuri O SUGA(S)』はスケートのS、、、。
『S ayuri O SUGA(C)』もあるはずなんだ。CyclingのC、、、。
「そのせいか、前からよくあの子は敏感にanotherFumieを感じとっていた。村 主さんの姿が見えたのは私と大 菅だけだ。
、、、、、でも、あの日にあった事を大 菅は決して語ろうとしなかった。誰に聞かれてもその時のことは覚えていないと言った。
でも、私にはわかる。あの子がその場で、何かを見て感じたのは確かだ。
だけど、、、私もあまり問い詰めることはできなかった。
そしてあの時から、あの子はここに来るとよく中庭で考え込んだ顔をしていた」
801 :
『光の庭』:2008/10/04(土) 23:28:43 ID:T9U1Jl4M
、、、、anotherFumieを敏感に感じとるのは彼女がanotherを2つ持っているからだけじゃない。
きっと彼女がフミエちゃんを強く想う気持ちが、anotherFumieを感じているのかもしれない、、、、。
「、、、私は、、あの事故がanotherFumieが起こしたとは思いたくない。
でも、それから私にはanotherFumieの気配が感じられなくなってしまった。
いや、多分、あの子以外には、、、もう誰にも見えなくなってしまったんだよ」
岡 崎さんは手を組んだまま、祈るように額を押し当てた。
802 :
『光の庭』:2008/10/04(土) 23:30:02 ID:T9U1Jl4M
「、、、最初は、、あの子が心の拠り所にするなら、それでもいいと私は思っていた。
あれ以来、ここでは不可思議なトラブルは起こらなかったし、実際の村 主さんに会っている時も大 菅は普通の友達のようで変りはなかった」
「、、、、、」
「その代わり、あの子はanotherFumieに心を傾けていた。、、、anotherFumieは私たちに何かを語りかけてくるわけじゃない。
、、、でも、村 主さんのスケートに対する純粋で情熱的な気持ちが形になって現れたように私には思えたよ。
きっとあの子にとってもそれは宝物のような大切な存在だったんだと思う。
だけどあの子はそれに捕らわれすぎた。、、、まるで片想いで恋い焦がれているかのように。
、、、でも、、あれは村 主さんじゃない。現実のものではないんだ。幻のようなものなんだから、、、、」
、、、、胸が締め付けられる。、、、、岡 崎さんは大 菅さんの本当の気持ちまでは知らない。
好きという気持ちを押し殺して、友達であろうとする切ない想いを、、、。
そして、彼女がanotherに救いを求めていたのを。
光の庭です
規制で切れてしまいました〜が、今回は話が進んだのではないかと思ってます
でもいろいろ書いているうちに話が変わってしまっている〜〜@@
レスいただくとうれしいです!もう少しおつきあいくださいませ
そう言えばこの間のTVのフミィ、かわいかったなあ
何事も一生懸命やるのはフミィらしいですね
今ツーズソもdkdkですわ
連続更新乙です!
なんか切ない展開になりそうでドキドキだなあ。
また続きが楽しみにしてます!
>>769つづき
恩「スグリさんか〜(ニヤ)命令の仕方わかる?」
村「えぇ〜とぉ…○番と○番が〜キス!とかで良いのぉ?」
恩「まぁ、そんなもんやなwもっと凄い命令でもええよ〜www」
村「え〜〜やぁだぁ!よっちゃんたらw」
荒「(ヨシオ…デレデレしすぎ!)」
ヨシオがスグリにデレデレしているのを見たユカリンは、皆に気付かれないように
ヨシオの足を踏みつけていた…。
恩「(ユ…ユカリン?)」
中「(しらな〜い!ふんッ!)」
恩「な、なぁ?ユカリン…?」
中「スグリさ〜ん、早く命令お願いしま〜す(Smile)」
恩「…orz」
村「じゃあ、命令いくわよ〜!2番が〜3番に…1分間小鳥キッスw」
荒「(ちょ…小鳥キッスって…www)」
恩「2番と3番!起立…」
中荒「……(黙って起立)」
恩「ええぇぇぇぇ!!!何でユカリンヽ(`Д´)ノ 」
村「(何でシズカちゃんが…orz)」
荒「(あ〜何でこうなるのよ〜…フミエさんに他の子とキスしてるの見られるんて)」
中「(ど、どうしょ〜…私3番なんだけど…ドキドキ)」
恩「で、2番はどっち…?」
荒「…はぃ…」
恩「ええぇぇぇぇ!!!よりによって…」
荒「よりによってって何よ〜!(覚悟を決めて、ワイン一気飲み)」
中「(同じくワインを一気飲み)」
荒「じゃあ本当に…いいのね?ゲーム…だもんね?」
恩「。・゚・(ノД`)・゚・。」
荒「…ユカリン…こっちにおいで(覚悟を決めた)」
中「あ…はぃ///」
村「(ゴクっ…)」
シズカとユカリは覚悟を決めて同じソファに座りなおした。
同じソファに座ったシズカとユカリンは、緊張してまだお互いの顔を見れないでいた。
一方、向かい側に座っているヨシオとスグリは、自分の彼女が他の人とキスすると
いう緊急事態に、さっきまでの酔いがすっかり覚めていた。
荒「…じゃあ…そろそろしますか?(またワインを一気飲み)」
中「…(ドキドキ…実はよっちゃん以外のキスって初めて…)」
恩村「(ゴクッ!)」
荒「ちょ…そこの二人!!黙って見てるのやめてよ」
恩「だって〜・゜・(ノД`;)・゜・」
荒「もぉー!ガタガタ言わないの!王様の命令は絶対よ!!」←いつの間にか気合十分w
中「(しーちゃん…今の台詞ハマりすぎw)」
荒「ユカリン…覚悟はいい?」
中「は…ぃ…(何か逆らえない雰囲気…)」
シズカとユカリンはソファの上に乗り向かい合わせに座った。
村「…(ドキドキ)」
恩「…(泣)」
荒「ユカリンもっとこっちに来て」
中「あ…はい…(ヤバい…目がマジだ!)」
荒「…チュッ…チュッ…チュ…」
中「(あ…///)」
急に始まったシズカとユカリンのキスを目の当たりにしてヨシオは絶句していた。
一方、純粋なスグリは見たくないと思ってか、手で顔を覆っていた。
が、指の間からはしっかり二人のキスを凝視していた。
中「ん…(こんな間近でしーちゃん見たの初めて…///)」
荒「…チュッ…チュッ…チュ…」
村恩「…。」
荒「(ユカリン…目がトロんてなってきてるわ…)」
中「んんッ…///(ヤバい…何か良い気分になってきた)」
恩「ああぁぁぁ〜・゜・(ノД`;)・゜・もういいって!」
村「…。(1分までもう少し…ドキドキ…)」
荒「(もしかしてユカリン感じちゃってる?w)」
村「…はい!終了〜!!」
荒「へ?もう…?」
村「シズカちゃん…もうって…(怒)」
恩「…orz」
中「…(キスの余韻に浸ってボーっとしてる)」
恩「ユカリン…」
中「はっ!な、何?」
恩「はよこっち来てや…・゜・(ノД`;)・゜・」
中「う、うん…(ヤバい…感じちゃった///)」
恩「あんなにチュウチュウしよってからに!」
荒「何よ〜!命令なんだから仕方ないでしょ!」
恩「あたしが消毒しちゃる!!ん〜〜〜」
中「ちょっと!こんな所でなに?」
恩「だから…消毒のチュウ!」
荒「ヨシオ〜消毒って…」
中「こんな人前で…出来るわけないでしょ!」
ツンデレのユカリンはしっかり消毒のチュウを拒んでいた。
ユカリンとのキスで気分が良くなったシズカは手酌でワインを飲んでいた。
荒「ヨシオ〜?もうお酒ないんだけど」
恩「え…ってか、一人で1本空けたん?」
荒「1本なんてすぐよ〜w」
村「…。」 ←シズカとユカリンのキスが脳内リピート中w
荒「ねぇ、ジャンケンで負けた人がお酒買ってくるのは?」
恩「ジャンケンしなくてもええよ。あたしとユカリンが行って来るから」
中「え…」
恩「ほな行くで!ユカリン!!」
中「う、うん…(強引なんだから)」
ヨシオとユカリンが買い物に出かけて、部屋にはシズカとスグリだけになった。
荒「ふぅ〜!」
村「…。」
荒「どうしたの?さっきから…無言だよねぇ」
村「あ、うん…。」
荒「???」
村「さっきの…キス…」
荒「え!?あの…あれは…ゲームでして…(汗)」
村「私があんな命令しちゃったから仕方ないんだけど…」
荒「…気にしてる…よね?」
村「…初めてだもん。シズカちゃんが…他の人とキスしてるの見たの」
荒「フミエさん…」
村「(抱きついた)」
荒「(ちょ…いきなり?)フミエさんもしたかった?」
村「え…///」
荒「邪魔者もいなくなったし…しようか?」
村「…///」
シズカはスグリの顔を覗き込んで、軽くキスをした。
村「ん…///」
荒「ヨシオ達、まだまだ帰って来ないよ?」
村「シズカちゃん…(チュッ!)」
荒「おぉ!(可愛いんだからw)」
村「ユカリちゃんにしたより…いっぱいして///」
荒「わ、わかり…ました(ニヤニヤ)」
その頃、ヨシオとユカリンは…。
中「ねぇ?買い物に行くんじゃないの?」
恩「…。」
中「よっちゃん聞いてる?」
恩「…買い物に行く前に部屋に忘れ物!」
中「そうなの…??」
恩「ユカリン…」
中「んー?…あっ///ちょっとぉ〜」 壁に押し付けられた。
恩「…(見つめてる)」
中「な、何?(ドキドキ)」
恩「(ブチュ〜〜!!)」
中「ん〜!!!」
恩「…よしッ!消毒完了(ニヤ)」
中「もう…バカ///」
こちらも甘いキスをかましていた。
【つづく】
いい!いい〜!
SSの神様ありがとう!!1!
ダブルデート乙!
たまらんwwやはり嫉妬はいいスパイスになりますね〜w
2組のバカップルがええですのう
つづいちゃうんですねっ楽しみ!
フミィのジェラシーがかわええ!
2デートにレスどうもです!
なかなか投下できずにスマンorz時間がもっとほすぃ…
スレチだが、職場にシズゥに雰囲気が似たスレンダーミセスがいるのを発見!!
階が違うし接点もあまりないもんだから、エレベーターで偶然一緒になりきょどったw
今日はたまたま仕事で被ったんだけど、変に緊張して目見れない自分…ヘタレすぎorz
光の庭はミステリアスでとても素敵だし、ダブルデートは面白いしこのスレ大好き!
ダブルデートでシズゥとヨシオのキスシーンが見たくなってきたw
>>819 職場を交代して下さいm(_ _)m
いよいよツーズソ始まりまつね
報捨てでミキちゃんの特集やってたけどフミィもちらっと映りました
茂呂祖父コーツに泣かされたミキちゃんを後でこそっと慰めるフミィ…
てな妄想がひろがってしましましたよ!
ヌピードの方も始まりまつが
SSのせいか0菅タソがなんだか気になって仕方のない漏れなのだw
さっき何気にテレビ見てたら姐さん滑ってた。3位だったんだね!オメ
「(旦那とは)東京と長野で寂しい思いをさせてるので…」を
「(サユリとはorシズカとは)」に置き換えて聞いといたw
今週からふぃぎゃーも始まるしいよいよシーズンですなぁ
助雨が始まってふゅヌポツーズソ到来って感じだね
幹ちゃんもユカリソもまだまだこれからだし楽しみにしてます!
シズゥの開設もさすが選手の気持ちを良くわかってるな〜って感じですた
ジャソプが成功して声が上ずっちゃたりするのがかわういですな
助仮名はむどりさんなんだよね〜
シズゥのフミィへのぎこちない愛の開設聞きたいのにw
ヌピードは姐さんフカーツよすぃちゃん好調って感じですが
O菅タンも負けてはいないと思いますのでまずは前半戦楽しみだす
姐さんもまたO菅タンと一緒に転戦でうれしいことでしょうw
昨日はO菅タン姉妹バーヌデーだったのねおめでとー
姐さんからいろいろお祝いしてもらっちゃってくださいww
シーヅン始まりましたが、ちょっとここで
ガクエンモノSS
聖・芬牛亜学院(せんとふぃぎゅあがくいん)と素被威度学園(すぴいどがくえん)が舞台
どちら寮生活でふ!
出てくるキャラがちょっと違うかもしれませんがご容赦
エロはないけど百合風味…少しアリ…?
お口に合わない方はスルーでヨロ
825 :
氷園天国1:2008/10/29(水) 12:33:09 ID:mYiJrNv5
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
街の繁華街。
黒いレーシングスーツを身に纏ったやたらに太股の発達した2人が路地でたこ焼を頬ばっていた。
「もぐもぐ…今日のト/ラ/イ/ア/ルは40秒切らなかったから、あんたのおごりだよ」
「……わかりましたよ…でも姐さん人のおごりだと良く食べますね。それで8皿目…」
2人は青海苔を泥棒髭みたいにくっつけて食べていたが、1人の手がふと止まった。
「ん…?」
「どーした?」
「……なんか芬牛亜学院のせーふくの子がいたような」
「芬牛亜学院の子が?」
2人がひょいと向かいの路地を見ると3人の男達が制服姿の女の子を囲んで歩いていた。
「まずいですよ、姐さん。あれタチの悪いナンパ男どもですよ。なんかあの女の子も様子が変だし…」
「……そっか〜、んじゃ行くよ」
2人は残りのたこ焼を一気に口に入れると男達を追った。
826 :
氷園天国2:2008/10/29(水) 12:35:17 ID:mYiJrNv5
「ちょっと、待ちな」
「あんだよ」
男達は振り返り、めんどくさそうに振り返った。
女の子は男の腕にぐったりともたれ掛かっている。
「その子、私達の連れなのよ」
「何言ってんだよ。こいつは1人で寂しいから俺達に遊んでほしいって言ってきたんだぜ。てめーらにかんけーねーだろ」
「関係なくないんだよ!いいからその子をこっちによこせ!」
「うるせーな!へっ、自分らがかまってもらえねーからすねてんのか」
「ネエちゃんたちも俺達と遊ぶかい?ずっげー気持ち良くしてやるからさ」
「もう、すっげー気持ち悪いんだよっ!」
馴れ馴れしくかけられた手を振り払うと、その男に思いっきり平手打ちが飛んだ。
827 :
氷園天国3:2008/10/29(水) 12:37:19 ID:mYiJrNv5
「なんだと、このアマ!」
男がつかみかかろうとすると、突然目にも止まらない速さでシュッと風が通り過ぎる気配がした。
「わわわわわわわ!なんだよこれ!」
なにかスースーする胸元を見ると、上着やシャツがざっくりと切られ、赤い真一文字の筋が肌にうきあがっていた。
顔を上げると目の前の1人は今にも蹴りを繰り出しそうにかまえ、もう1人の手には恐ろしく鋭い銀の刃がギラリと光っていた。
「ヤ、ヤバイっすよ」
2人の顔を見てはっとなった1人がいきり立っている男の腕をつかんで止めた。
「な、なんだよ。ただの女だろ」
「ただの女じゃねえんだよ。こいつら素被威度学園のス/ケ/ー/ト番長、略してス/ケ番岡/崎と大/菅ですよ」
「なにっ?素被威度の…」
「こいつらとやりあってタマ蹴られて再起不能になった奴は数百人だって…」
男達はぞっとして目の前にある強靭な太股を見て顔を見合わせ、捕まえていた女の子をそーっと下ろした。
「お、おい、行こうぜ」
「ちっ、てめえらみたいな化けモンと遊んでる暇ねえよ!」
男達はビビりながら捨て台詞を吐いて去っていった。
大/菅がそばにあった空き缶を蹴飛ばすと、カコーンと男の後頭部にクリーンヒットして男達は悲鳴をあげ、大慌てで逃げていった。
828 :
氷園天国4:2008/10/29(水) 12:40:28 ID:mYiJrNv5
大笑いをした後、大/菅は座っている女の子の顔見て岡/崎に言った。
「あ〜、やっぱそうだ。この子、芬牛亜学院で評判の安/藤/ミ/キって子ですよ」
ミ/キは真っ赤な顔して、目を閉じてくたっとしていた。
「ふ〜ん、なかなか可愛いねえ!食べちゃいたい」
「も〜姐さんったら、例の悪い癖出さないで下さいよぉ!この子あっちのアイドルみたいな子だからなんかあったらヤバイですよお」
「はっはっは、冗談だってば。でもなんでそんな子がこんな時間にこんなとこにいるのかねえ」
「さあ…なんか酔っ払っちゃってるみたいですね」
「仕方ない、送っていってやるか。大/菅、あんたその子を後ろに乗せてってやりな」
「ええええ〜!これから行くんですかあ!あの学院に」
「だってこの子、寮生でしょ」
「宅急便かなんかで着払いで送りつけてやればいいんですよぉ。私あの学院お固くて苦手なんですよ」
大/菅は頬っぺたを膨らませて文句を言った。
829 :
氷園天国5:2008/10/29(水) 12:41:36 ID:mYiJrNv5
「まあまあ、ここで助けたのも何か縁でしょ。つきあっておやりよ」
「はぁ〜い、わかりましたぁ。あんた立てる?」
「……うぅぅ〜ん、わ、わたし…どーして…ここに…あ…お、おねーさまたちは…」
揺さぶられてミ/キはうつろな目を開け、2人の顔を見た。
「いいから、ささっと立ちな。ちゃんと捕まってるんだよ。落ちたら置いてくからね」
大/菅はミ/キをかついでバイクの後ろに乗せると、自分もバイクにまたがった。
ミ/キは意外にもしっかりと子供みたいにぎゅっとしがみついてきた。
(け、結構胸あるなあ…)
背中の感触にドキドキしながら、2人はバイクを走らせ、丘の上の芬牛亜学院へと向かった。
830 :
氷園天国6:2008/10/29(水) 12:44:29 ID:mYiJrNv5
雷のような排気音を立てて、バイクが芬牛亜学院の寮の玄関に止まった。
玄関に灯りがつき、中からパジャマにカーデガンを羽織ったフ/ミ/エが出てきた。
「あなたは…」
黒いレーシングスーツ姿の2人がメットをはずしふわりと髪の毛が舞った。
「あんた、監督生?この子、ここの学院の子でしょ。届けにきてやったわよ」
岡/崎がそう言うと大/菅が後ろに乗せていた女の子を抱えて、フ/ミ/エに渡した。
慌ててそれを抱きとめると、顔を見たフ/ミ/エは驚いて声をあげた。
「まあ、ミ/キ!いないと思っていたら…それにこれは…」
「んじゃ、私たちはこれで」
「ちょっとお待ちなさい。貴方たち、ミ/キにこんなにお酒飲ませるなんて…!」
立ち去ろうとする岡/崎達をフ/ミ/エが止めた。
「ジョーダンじゃねーぞ!うちらはこいつを助けてやったんだからな!」
大/菅が顔を突っ込んでフ/ミ/エに唇を尖らせて言った。
831 :
氷園天国7:2008/10/29(水) 12:46:24 ID:mYiJrNv5
「どうしたの、何の騒ぎ?」
「ああ、シ/ズ/カ…」
薄いラベンダー色のネグリジェ、羽や刺繍やスパンコールの付いたやたらゴージャスなガウンを羽織った一人の女性が玄関に出てきた。
フ/ミ/エは困った顔で振り返りシ/ズ/カは外に立っている2人を見つけた。
「あら、あなたは…」
「荒/川さん、お久しぶり」
岡/崎は何事もないように平然と言った。
「ごきげんよう…岡/崎さん。こんな時間になんの御用?」
「可愛い迷子のお届けモノだよ」
フ/ミ/エに抱かれている制服姿の女の子を見て、悠然としていたシ/ズ/カの表情が驚いて慌てたようになった。
「まあ、ミ/キなの?!」
「……なにがあったかは知らないけど、あんまり責めないでやってね、まだ子どもなんだからさ。大/菅、引き上げるよ」
大/菅はまだ何か言いたそうにしていたが、2、3度振り返ると何も言わずに岡/崎の背中に小走りでついて言った。
832 :
氷園天国8:2008/10/29(水) 12:47:43 ID:mYiJrNv5
「なんだよぉ、せっかく親切に送ってやったのにさ、お礼一つ言わないでさ…」
メットをかぶりながら大/菅がまた唇を尖らせた。
「まあ夜中だしさ、あんまり騒ぎになるのもマズイっしょ」
「……」
「……まっすぐに帰らずにちょっと飛ばしに行くか」
「うん、いいですねえ!そうこなくっちゃ!」
ご機嫌が戻った返事に岡/崎も微笑みながらメットをかぶり、2人はバイクで学院を後にした。
(つづく…?!)
>>832 ちょwwwスケ番の姐さんとO菅タンワロス
つづき楽しみにしてます!
ガクエンモノktkr!o(^▽^)o
お超夫人っぽいシズゥも
委員超っぽいフミィもいいねw
続きタノシミ!
フミィ2位オメ!
見てないけどザンプは失敗なかったみたいで
今シーズソがんがってほすい!!
それでは氷園天国の続きです!
836 :
氷園天国9:2008/11/02(日) 13:50:03 ID:Ce78ZSDS
遠ざかるバイクの音が消えるまで、シ/ズ/カとフ/ミ/エはその場に立ち尽くしていた。
「どうする?シ/ズ/カ」
また静寂が戻った寮の玄関で、ミキを抱えたままフ/ミ/エがシ/ズ/カに言った。
フ/ミ/エの肩に頭を乗せ、ミ/キは真っ赤な顔で本格的に眠ってしまっているようだった。
「そうね…このまま一人にするのは心配だわ。今日は私の部屋に連れて行きましょう」
顔にかかった髪をかきあげてやりながらシ/ズ/カはやさしい声で言った。
2人はミ/キをこわれものを扱うようにそっと抱えながら、寮の中に連れて帰った。
837 :
氷園天国10:2008/11/02(日) 13:51:48 ID:Ce78ZSDS
芬牛亜学院は伝統があり、寮や校舎も見た目は古いが手入れが行き届き洋風の縦長の窓が並びクラシックで趣のある建物だった。
学院の生徒はこの寮で暮らし、校内にあるリンクや運動場、学院を取り囲む森などでトレーニングをして過ごす。
休日や放課後から夕方の自由時間は麓の街などでショッピングやお茶などをするのは認められているが、
門限は夕食の始まる7時まで、無断外泊は厳禁、その他立ち居振る舞いにも品位を求められる規律の厳しい校風として知られる。
生徒会長は女王(クィーン)と呼ばれ、ゴージャスな個室などいろいろな特権が認められており生徒達の憧れの的だ。
シ/ズ/カはここ数年で稀代まれに見るクィーンとして生徒は勿論、先生からも一目置かれる存在だ。
838 :
氷園天国11:2008/11/02(日) 13:52:33 ID:Ce78ZSDS
シ/ズ/カは自分のベッドにミ/キを寝かせ、そっとジャケットを脱がせた。
「後は私がやるわ。フ/ミ/エにも心配をかけたわね、今日は休んで」
「そう…それじゃあ何かあったらすぐ呼んでね。おやすみなさい」
パタンとドアが閉まり、2人きりになった部屋でシ/ズ/カはミ/キを着替えさせようとボタンを外しはじめた。
「うぅ…ん」
口から漏れる息と体から立ち上るアルコールの匂い…。
(サボりたいとか遊びたいからとかそんな気持ちでこんなことをするような子じゃない…いったい何があったの…?)
心配だが、あの岡/崎が言ったようにあまり問い詰めるのは良くない気がする…。
シ/ズ/カは黙ってミ/キの服を脱がせ、自分の薔薇色のネグリジェに着替えさせた。
839 :
氷園天国12:2008/11/02(日) 13:53:41 ID:Ce78ZSDS
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
――――翌日。こちらは素被威度学園。
練習用リンクの窓に生徒達が群がっている。
「わあ、すごーいゴージャスなくるまー!!」「何?何?誰が来るの?芸能人?」「あっ誰か出てきたよっ!」
「うわ、あれ本物の毛皮?」「女優かな??」「おー美人じゃーん!でもどっかで見た事あるなあ〜」
「あー!!あれ、芬牛亜学院のクィーン荒/川/シ/ズ/カだよ!!」「えーあれが!」「なんでうちに来るの?」
「え、あたし見た事ない〜っ、見せて見せて!」「見たい見たい!」「おい、バカ、押すなって」
840 :
氷園天国13:2008/11/02(日) 13:54:45 ID:Ce78ZSDS
そこへバッグを肩にひっかけて、大/菅がのん気に口笛を吹きながらやってきた。
「ん〜?なんの騒ぎだよ」
「あ、大/菅先輩〜!知ってましたか!あの芬牛亜学院のクィーン荒/川/シ/ズ/カがうちの学園に来たんですよぉ!」
「荒/川/シ/ズ/カ〜?」
群がる後輩達をかきわけ窓から覗くと、玄関前に黒いリムジンが止まっていた。
「……」
「お〜〜〜すがせんぱああああい〜〜!」
入り口から吉/井が手を振りながら走ってきた。
841 :
氷園天国14:2008/11/02(日) 13:55:19 ID:Ce78ZSDS
「あのぉー、ト/モ/ミ姐さんが今日はちょっとお客さんが来てるんで、練習を見るの先輩にお願いしたいって…」
「………」
大/菅は腕組みをして少し考えてから、ポンッと吉/井にバッグを投げた。
「吉/井!今日はおまえに練習まかせっから、ビシッと頼むぜ!」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ、せんぱーい!!」
バッグを持たされてあたふたしながら吉/井が慌てて声をかけても、大/菅はダッシュで走り去った後だった。
842 :
氷園天国15:2008/11/02(日) 13:57:08 ID:Ce78ZSDS
――――
「……昨日はありがとうございました。私達もとても心配していたんです。でもお陰で大事にはなりませんでしたわ。本当になんてお礼を言ったらいいか…」
「んにゃ、そんなにお固いお礼なんてしなさんな。それであのミ/キちゃんって子は?」
「今日は具合が悪くて…それでも本人は練習に出たいって言い張ったのですけど、今は寮で休ませています」
「まっ、あれじゃあ今日は二日酔いで使いもんにならないだろうな」
「ミ/キは…本当にあんな事するような子じゃないんです。…でも本人が理由を言ってくれるまではそっとしておこうと思っています」
「……自分の置かれてる状況をなんとなく不満に感じるってことは誰にでもあるもんさ。あんたにも覚えがあるだろう?」
「………」
843 :
氷園天国16:2008/11/02(日) 13:59:29 ID:Ce78ZSDS
「しっつれいしまーっす!!」
バタン!と少々乱暴に応接室のドアが開き、大/菅がお盆を持ってドカドカと入ってきた。
「ソチャですが、ドーゾッ!!!」
特攻だの勝負上等だの太文字で書かれた分厚い湯呑みに山盛りのブッカキチョコの皿がシ/ズ/カと岡/崎の目の前にドン!と置かれた。
湯呑みの番茶からは熱々の湯気がもうもうと立っている。
「…大/菅、おまえには練習見とけって言ったはずだよ」
岡/崎が目を丸くして言った。大/菅はむすっとした顔で立っている。
「あ、貴方は…昨日の…」
シ/ズ/カは立ち上がって大/菅の手を両手で握った。
「?!?!?」
「昨日はミ/キを助けてくださって本当にありがとうございました。あの子は私のかけがえのない存在ですの。私からも心からお礼を申し上げますわ」
思いがけないシ/ズ/カの行動に大/菅はドギマギして固まってしまった。
「う…いや…あのお、え〜とぉ…」
シ/ズ/カの圧倒的なオーラに頭が真っ白になってしまい、言いたかった文句はどこかへすっ飛んでしまった。
844 :
氷園天国17:2008/11/02(日) 14:03:17 ID:Ce78ZSDS
「はぁぁ〜〜、ナニモンなんだよ、あの女…」
シ/ズ/カが去った後、大/菅はどっと緊張がほどけてため息をついた。
「はっはっは、おまえらしくないねえ。どーする?この招待状」
岡/崎が薔薇の香りのする芬牛亜学院の封印をされた煌びやかな封筒をピラピラさせた。
「それって私達を学院のお茶会って招待したいっていう…?」
「そう」
「お茶会って…なんか堅苦しい気がしてなんだかなあ」
「あ、そう。じゃ、私一人で行ってこようかな。美味しいお菓子もあるみたいだし。大/菅はビビッて欠席っと…」
「なっ!なぁ〜に言ってるんですかあ!私がンなことあるわけないっしょ!!!」
「でも荒/川/シ/ズ/カの前で何も喋られなかったじゃん」
「ちょ、ちょっと想定外だっただけでっ、あんなヤツどーってことないですよっ」
(そ、それにしても荒/川/シ/ズ/カのヤツ…あれだけのブッカキチョコあっという間に一人で食っちまうなんて…)
テーブルの上にある空っぽのお皿を見て、さすがの大/菅もちょっとビビっていた…?
(つづく…!)
おおお、続きktkr
シズゥのキャラ設定が妖しすぎますwww
お 蝶 夫 人キャラでありながら大食いwww
・・・本人まんまやん
更新のんびりと待っております
地下タンばーすでーオメ!
フミィから生あいらびゅー言われたかな('-^*)
ガクエンモノいいねー
にょおうさまキャラなのにバカ食いシズゥってw
お茶会もタノシミだわww
イベント終了後、シズゥと姐さんへの囲み取材ktkr
主催人「今日はお二人ともお疲れでしょうから、ホテルをご用意してあります」
二 人「(ktkr!!)」
公の仕事だから彼女にも問い詰められず…燃え上がる二人
とかだったら最高萌えるw
おお〜なんかホント夢の競演だね〜!!
一緒にすべったりするのかな〜?
見てみたいけど遠いし平日なんだね・゚・(ノД`)・゚・
多分ヌースでやりそうだから映像を期待してまつ!
勿論その後のことは激しくモーソーして萌えるぜい!
ではガクエンモノつづきドゾー
852 :
氷園天国18:2008/11/09(日) 14:42:28 ID:dzXv8yy/
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
――――お茶会当日。
芬牛亜学院のお迎えのリムジンに岡/崎と大/菅は乗っていた。
ふかふかの後部座席で大/菅は落ちつかない様子で膝をもぞもぞさせている。
「久しぶりのせーふくですねえ」
2人は学園の制服であるセーラー服を着ている。
無理して想像していただくと…そうまるでコ○プレなのだが…似合っているかどうかはさらに言及できまい。
「そうだなあ、いつもはジャージだからね」
学園の生徒達は校内でもほとんどジャージやら練習着で過ごす。
大/菅ですら岡/崎の制服姿を見るのはめったにないことだ。
853 :
氷園天国19:2008/11/09(日) 14:43:25 ID:dzXv8yy/
「なんか久しぶりだと股がスースーして落ちつかねえっていうか、なんつーか」
ちらっと見た岡/崎の横顔はいつになく真面目っぽくてそれが余計に落ちつかない。
「別にせーふくじゃなくても良かったんじゃないすか?」
「一応これ正式な招待状らしいからな。ま、理事長の手前もあるし」
岡/崎はそれを指に挟んで胸元からぴらっと覗かせた。
「はははっ、さすがの姐さんも理事長には頭が上がらないってことですね。
でも…知らなかったな、あんなお嬢学校の芬牛亜学院とうちが姉妹校だったなんて」
実は聖・芬牛亜学院と素被威度学園の理事長は同じなのである。
「もうひとつ、将戸虎筑学舎ってのもそうなんだよ」
「へーえ、まあ将戸虎筑の奴らならわかりますけどね」
窓から見える景色はどんどん丘を登っていき、やがて森を抜けて芬牛亜学院の正面玄関に着いた。
854 :
氷園天国20:2008/11/09(日) 14:44:43 ID:dzXv8yy/
運転手がドアを開け、2人は車を降りた。
するとつむじ風のようなスピンが近づいてきて、大/菅の正面でピタッと止まった。
「貴方、制服が乱れていますわよ」
あれだけ回転していたのに目が回ることも無く、彼女は指先で大/菅の胸のスカーフをぴっぴっと直した。
「わっ、出た!!おまえはこの間の監督生の…」
「村/主/フ/ミ/エと申します」
フ/ミ/エは姿勢良く深々とお辞儀をした。
「え?クスグリ?ははっ、真面目な顔をして面白い名前だなあ」
「クスグリじゃありません!す・ぐ・りです!」
「え?モグリ?」
「モグリじゃありません!す・ぐ・り!」
フ/ミ/エはきっと大/菅をきっと睨んだ。
855 :
氷園天国21:2008/11/09(日) 14:45:32 ID:dzXv8yy/
(……どっちだっていいじゃん。やっぱ苦手だよお〜こーゆークソ真面目なヤツは…)
「ようこそいらっしゃいました。ト/モ/ミお姉様、サ/ユ/リお姉様」
フ/ミ/エの後ろからパタパタと可愛い女の子が走りよってきてちょこんとお辞儀をした。
「お、おまえ、あん時のガキんちょ?!」
明るい陽の光の下で見るミ/キは小麦色の幼さの残るあどけない顔をしていた。
「お招きありがとう。もうあんな無茶なことはしてないだろうね?」
岡/崎がそう言って頭を撫でるとミ/キはハニカミながらこくんと頷いた。
856 :
氷園天国22:2008/11/09(日) 14:46:03 ID:dzXv8yy/
すると岡/崎はミ/キの肩に手を回し、ニヤリと笑って耳打ちをした。
「ふふっ、この学院が窮屈になったらいつでもうちへおいで。いろいろ教えてやるからさ」
「もうっ、姐さんったら、またぁ!」
「いーじゃんいーじゃん。ミ/キちゃん可愛いしさ。うちはいつでも大歓迎」
「はいっ、ありがとうございます!」
ミ/キは無邪気な声と輝くような笑顔で返事をした。
857 :
氷園天国23:2008/11/09(日) 14:47:30 ID:dzXv8yy/
「ようこそ聖・芬牛亜学院へ。岡/崎さん、大/菅さん」
天上から響くような優雅な声と甘く上品な香りと共にシ/ズ/カが2人の前に現れた。
制服の上にクィーンの証である白いフワフワのファーの付いたケープを纏い、相変わらず優美な微笑みを湛えている。
「招待してくれてありがとう。荒/川さん」
「……(う〜相変わらず無意味に女王様オーラを出してくるヤツだぜ。気のせいか頭にティアラが見えるし…)」
「さあ、どうぞこちらへ」
シ/ズ/カは白くすらりとした指で手招きをした。
「今日は、お2人に私達の演技を見ていただきたいのですが、いかがですか?」
「演技?ってフ/ィ/ギ/ュ/アの?」
「うん、それはうれしいね、ぜひとも」
858 :
氷園天国24:2008/11/09(日) 14:48:27 ID:dzXv8yy/
「それではお姉様方、また後程お会いしましょう」
ミ/キはスカートをつまんでちょこんと膝をまげ、フ/ミ/エの少し頭を下げて去っていった。
「やっぱ…落ちつかないですよお、早いとこお菓子食って帰りましょうよ」
大/菅はスカートを引っ張って岡/崎にこそっと言った。
「ふっふっふ、たまにはこういう緊張も必要だよ。おまえの反応も面白いし…」
「ちぇっ…なんでこんな羽目になったんだろー」
美しい巻き髪が揺れるシ/ズ/カの後ろ姿を見ながら、大/菅は呟いた。
2人はシ/ズ/カの後を少し離れて歩いていたが、シ/ズ/カの歩いた後は薔薇のような甘い香りがして鼻をくすぐる。
859 :
氷園天国25:2008/11/09(日) 14:49:36 ID:dzXv8yy/
「あら、シ/ズ/カお姉様と一緒にいらっしゃる方は誰?」
「ああ、確か今日素被威度学園の方がお見えになるって聞いたわよ」
「素被威度学園?じゃあ、不良じゃないの!」「でも、なんだかワイルドで素敵じゃない」
「やだ、貴方ああいうタイプが好きなの?私は断然シ/ズ/カお姉様の方が素敵だと思うな」
「素被威度学園かあ、スカートで隠れてせっかくの太股見えないわねえ」
校舎の窓から何人か学院の生徒がこっそりと覗いている。
「あー、うちらは見世物パンダじゃねえっての」
気づいた大/菅が口を尖らせて小さい声で愚痴った。
「はははっ、どこの学校も女は好奇心旺盛ってことだよ」
岡/崎は笑いながら颯爽と歩いていく。
(…つづく!)
860 :
氷園天国26:2008/11/16(日) 11:49:07 ID:wmbAhUXv
シ/ズ/カに連れられて2人は学院のリンクに着いた。
「どうぞ、こちらにお座りになって。まもなく始まりますから少々お待ちくださいね」
2人はリンクの正面で良く見える席に案内された。
照明が暗くなり、やがてリンクの中央にスポットライトが当った。
そこには黒い網タイツに黒いショートパンツの衣装の女性がいた。
音楽が流れ、そのス/ケ/ー/タ/ーは身をくねらせながら色っぽく踊りだした。
「ああっ!あれ、あいつだ!」
セクシーに氷の上を舞うス/ケ/ー/タ/ーの顔を見て、思わず大/菅が声を上げた。
さっきの人懐こいあどけない少女とは見違えるほどの色っぽい身体のラインと動き。
髪をなびかせ、流し目を送るその顔は間違いなくミ/キだった。
制服姿とのギャップに驚きながら、2人はミ/キの舞に引きこまれていった。
861 :
氷園天国27:2008/11/16(日) 11:50:03 ID:wmbAhUXv
次は可愛いピエロの格好をしたス/ケ/ー/タ/ーだ。
「おー、あれはドングリだ!いいぞー!どんぐりん!」
大/菅がはしゃいで手を振るとフ/ミ/エはニッコリと微笑んだ。
(いつもと違って結構カワイイとこあるじゃん!)
フ/ミ/エはおどけた表情で、お手玉をしたりパントマイムをしたり。キュートなパフォーマンスを見せながら滑る。
他にも次々に可憐で美しいフ/ィ/ギ/ュ/アの演技が続く。
2人は時々歓声を上げながら喜んでいる。
862 :
氷園天国28:2008/11/16(日) 11:51:05 ID:wmbAhUXv
そしてリンクは暗闇に戻り、静かで荘厳な音楽が流れはじめた。
しなやかな風と共にシ/ズ/カが現れた。
リンクの空気が一転して何か神聖で厳かな雰囲気に包まれる。
羽のような布をなびかせながらシ/ズ/カは優雅に滑り出す。
まるで心を奪われてしまったかのように目が離せない。
2人は声を出すのも忘れ、ただリ/ン/クに舞う氷の女神に魅入っていた。
ジャンプをする度に、まるでダイヤモンドダストが彼女から放たれているような不思議な光に包まれる。
夢を見せられているような幻想的な時間だった。
863 :
氷園天国29:2008/11/16(日) 11:51:58 ID:wmbAhUXv
2人は学園の庭にある、ガラスで覆われた温室のような広いサンルームのテーブルに案内された。
窓からは手入れの行き届いた庭園そしてつる薔薇が見え、レンガを敷き詰められていてどこか英国風の雰囲気が漂う。
テーブルには庭からつんできたピンクやオレンジのシックな薔薇が飾ってあって日差しは天上の薄い布でやわらげてあった。
「紅茶は何になさいますか」
「へ?」
大/菅の隣で清楚な女子生徒がにこやかに微笑んだ。
「えーと、えーと…何って何?」
「今ならダージリンのセカンドフラッシュがお勧めですわ」
首をひねっている大/菅にシ/ズ/カが声をかけた。
「まあ、いいや。何でも!」
「ユ/カ/リ、皆さんにもそれをお願いね」
「かしこまりました」
清楚な女子生徒は丁寧にお辞儀すると、奥に消えて行った。
864 :
氷園天国30:2008/11/16(日) 11:53:08 ID:wmbAhUXv
テーブルにはシ/ズ/カとミ/キとフ/ミ/エが座っていたが、まだ席が空いている。
「今日はお忙しい中、来ていただいてありがとうございました」
「こちらこそ招待していただいて、それにあんなに素敵なショーを見せてもらって楽しかったよ」
岡/崎がそう言ってにこやかに微笑んだ。
「それにしても…おまえ、ほんとーにさっき編みタイツで踊ってたス/ケ/ー/タ/ーか?
こうして見ると全然、ガキんちょなのに不思議だよなぁ〜。氷の上ではすごく色っぽかったぜ」
出されたクッキーを口にくわえたまま大/菅が身を乗り出してミ/キの顔をまじまじと見た。
ミ/キは大きな目をぱちぱちして、それから恥ずかしそうに頷いた。
それからシ/ズ/カをはさんで座っているフ/ミ/エを見て
「おっ、それからどんぐりんもよかったぜ〜!いつもそんな真面目な顔してるから
どんなクソ真面目なス/ケ/ー/トするかと心配したけど見直したよ!すっごい楽しくて可笑しかった!」
「………」
褒めているのかけなしているのか良くわからないコメントに返事のしずらいフ/ミ/エだった。
865 :
氷園天国31:2008/11/16(日) 12:13:50 ID:wmbAhUXv
ユ/カ/リがクラシックな花模様のティーカップに丁寧に紅茶をいれ、辺りは温かく良い香りに包まれた。
「これは私の作ったお菓子です。良かったら召し上がってくださいね」
紅茶が皆に行き渡るとユ/カ/リは手作りのドーナツを出した。
それを見た大/菅はポンと手を叩いてユ/カ/リを見上げた。
「あ!思い出した!おまえ、さっき浮き輪みたいにくるくる回ってた奴だろ?」
「……あれは浮き輪じゃないですわ。ド/ー/ナ/ツ/ス/ピンと言うれっきとしたフ/ィ/ギ/ュ/アの技です(( ・`ω・´)キッ!)」
「!(…う…なんか一瞬物凄く殺気立った視線を感じたぞ。上品な顔してちょっと怖えぇかも…((;゚Д゚))ガクブル)」
866 :
氷園天国32:2008/11/16(日) 12:14:53 ID:wmbAhUXv
「ん…?」
「おわっ!おい、この机の下になんかいるぞ!」
2人の太股に何かさわさわとさぐる気配がして、大/菅はガタンと飛び跳ねて立ち上がった。
岡/崎がテーブルクロスをめくると一人の女の子が天真爛漫な笑みを浮かべてテーブルの下から出てきた。
「えへへ〜、マ/オついにス/ピ/ー/ド/ス/ケ/ー/タ/ーさんの太股さわっちゃったよ!」
「な、な、なんなんだよ!こいつは!うっ、げほっげほっ」
大/菅はびっくりしてクッキーを丸呑みしてしまいむせた。
「まあ、マ/オったらお客様に失礼なことをしては駄目ですよ
867 :
氷園天国33:2008/11/16(日) 12:15:37 ID:wmbAhUXv
「まあ、ええやんええやん、フ/ミ/エお姉はん。どやったマ/オ?うちとどっちがすごいん?」
後から目のくりくりしたちょっと筋肉質な女子生徒がやってきてフ/ミ/エの肩をたたいた。
「うーんとね、ヨ/シ/エお姉様よりやっぱス/ピ/ー/ドさんの方がすごかったよ!伝説のミ/ド/リお姉様くらいかも!」
「がははは!よっしゃ、今度うちとス/ク/ワ/ッ/ト対決しましょ、大/菅さん。あ、ユ/カ/リ/ンおかわりな(はぁと)」
ヨ/シ/エは豪快に笑いながらドカンと席に着き、紅茶を一気に飲み干してユ/カ/リにウインクした。
(…こ、こいつらもさっき滑ってたし、一応学院の生徒だよな…)
大/菅は慌てて紅茶でクッキーを流し込み、 息をついた。
868 :
氷園天国34:2008/11/16(日) 12:17:45 ID:wmbAhUXv
「あ〜、かわいいライオンさんみーっけ!」
一息ついてほーっとする大/菅の後ろ襟をぐいっと引っ張りながらめくり、マ/オが喜んだ。
なんと大/菅のセーラーの襟の裏にはアニマル柄…じゃなかった勇壮な猛獣の刺繍がしてあるのだ。
「(こら、急にひっぱんな!)うっ、けほけほ…えーっとね、これはライオンじゃなくてチーターのつもりなんだけど〜、地上最速の動物のね」
「こっちもいいなあ〜これは…ハトさんですかぁ?」
さらにマ/オは岡/崎の襟をぴらっとめくった。
「え〜っとあの、ハトさんってのはちょっと違って〜、これは最速で空を飛ぶハヤブサっていう鳥でね〜」
きょとんとしている岡/崎の顔色を見ながら、大/菅があせり気味に説明した。
「マ/オ、キリンさんも好きです。ゾウさんも好きです。でもエ/ア/ロの方がもっと好きです(はぁと!)」
869 :
氷園天国5:2008/11/16(日) 12:19:44 ID:wmbAhUXv
「ライオンと言えば私も昔ピ/ン/ク/パ/ン/サー演技したことあるのよ〜」
「あ、あのフ/ミ/エお姉はん、良かったで〜、猫ひ○しみたいでおもろかったわ」
「私は猫ひ○しより○木宏様が見たいわ!」
「マ/オ、鹿さんも好きだよっ!鹿せんべいおいしーよねっ」
「……」
(こいつら人の話聞いてんのか!!…い、いや、相手は世間知らずのお嬢とガキだ…こんなことで負けんなサ/ユ/リ!)
マ/オとユ/カ/リも加わり、なんとな〜く、ずれた会話をしながらもお茶会はなごやかに進んだのだった。
(つづく…!)
登場人物も増えてにぎやかになってきましたね!!
ドーナツと一瞬の殺気がツボでしたw
芬牛亜学院の天然パワーに押されてる姐さんたち大丈夫か!?
続きマターリとお待ちしております・・・
更新キテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
O菅タン最高ワロスwww
遊園地デートしたらしいじゃないかwww
二人で手を繋いで滑った映像見たい!!
姐さんたらなにげに遊園地デートしたりつりーに2人の名前をつけたり
やりたいホーダイじゃないすか!
いいぞもっとやれ!w
>>875dです!
いや2人で○ー○モコンビ結成したりしてやるじゃないですか!!w
おソロのマフラーと帽子がカワユス
「姐さんとお揃いにしたい!」と思って
狩意佐波でぷー真好きのシズゥが買ってきたのかな?
877 :
氷園天国36:2008/11/25(火) 13:57:07 ID:mRYIWGGr
――――帰りのリムジン。
2人はまたふかふかの座席に乗って丘を下り、学園への帰路についた。
岡/崎の膝の上にはシ/ズ/カからお土産として渡された大きな包みが乗っている。
「はあ〜、お堅いお嬢学校と思ってましたけど、意外に個性的な生徒が沢山いましたねえ」
大/菅はどさっと座席に寄りかかり、肩をポンポンたたいて息をついた。
「ふふふ、なかなか面白い所だね」
「まっ、シーズン中はお互い別々の所へ遠征に行くだろうし、もうあんまり関わることもなさそうでやれやれですねえ」
「はははは、そりゃあわからないよ」
「ああいうお茶会とかなんとかフラッシュだのクラシック音楽がどーのだの、私には合わねーっすよ。
氷の上は何も考えずにビュンビュンぶっ飛ばした方が私らの性に合ってるつーか…」
「そうだな…私らにはそういう世界が合ってるな、きっと」
「……」
ちらっと見る岡/崎の横顔は、やっぱりどことなくいつもと違う気がして大/菅は仕方なかった。
しかしそんな予感を振り払うように大/菅は努めて明るく岡/崎に言った。
878 :
氷園天国37:2008/11/25(火) 13:57:38 ID:mRYIWGGr
「それにしても姐さん、女の子を助けて踊り見せられてご馳走になってお土産もらうなんて…浦島太郎みたいですねえ」
「あはは、そう言えばそうだなあ…、これ、もしかして開けたら白い煙が出てきて私ら一気に年を取っちゃうかもね」
いたずらっぽく笑って岡/崎は持っていた包みをずいっと大/菅に突き出した。
「わわわわ、や、やめてくださいよ〜!開いちゃったらどーするんですか!!」
大/菅は飛び上がって後ずさりしてドアにしがみついた。
「はははは、んなことあるわけないじゃん!」
「いや、あの荒/川/シ/ズ/カならやりそうな気がしますよ!なんか妖しいオーラを感じますもん!あいつはタダモンじゃないって!」
その反応に岡/崎は大笑いしながらもう一度大事そうにそれをかかえた。
大/菅はなんとか笑顔を作りながら、でも包みには近づかないようにちょっと離れて座りなおした。
879 :
氷園天国38:2008/11/25(火) 13:58:16 ID:mRYIWGGr
――――学院ではお茶当番の生徒達がおしゃべりをしながらお片づけをしている。
「お客さんが来ると楽しいよね〜今度はおっきなお尻さわらせてくれるかなぁ〜」
「でも…あの方達、やっぱり不良っぽくって怖いわ」
「(それを怖がらせてたんはユ/カ/リ/ンやが…(;^_^A)まあ太股は確かにすごいけど、悪人には見えへんけどな。それに悪い奴らからミ/キを助けたんやろ?」
「しっ、それオフレコよ。……でもミ/キ最近ちょっと元気ないのよね」
「んん〜なんか悩みごとでもあったんかな…」
「まあ、シ/ズ/カお姉様がついてるから大丈夫だとは思うけど…」
――――
「……ああ、フ/ィ/ギ/ュ/ア/ス/ケ/ー/トの崇高な精神があの方達にもわかってもらえたかしら…」
その頃フ/ミ/エは一人サンルームに残り、一番星にお祈りを捧げていた。
880 :
氷園天国39:2008/11/25(火) 13:59:27 ID:mRYIWGGr
――――学園に帰ると岡/崎と大/菅はシズカからもらった大きな包みをみんなの前に見せた。
『学園に帰るまで決して開けてはなりません。そして皆様の前で開けるように』
とシ/ズ/カのサインと薔薇の印が押してある。
「姐さん、やっぱ取り扱い危険物ですよ、これは」
大/菅は他の生徒達に携帯用酸素マスクを着用して半径5m以内に入らないように指示していた。
「大丈夫だよ、そんな大げさにしなくても〜」
「あああ、ちょちょちょっと!そそそれ、開けちゃったら…!」
岡/崎がバリバリと遠慮なく蓋を開けると中からモワワワ〜っと白い煙が大量に流れ出し、あっという間に辺りを霧のように包みこんだ。
881 :
氷園天国40:2008/11/25(火) 14:00:01 ID:mRYIWGGr
「全員マスクを装着〜!総員退避!そっこー離れろ!ト/モ/ミ姐さんト/モ/ミ姐さんっ!」
大/菅が果敢にも白い煙で見えなくなってしまった岡/崎の方へ飛び込んでいった。
「ああああっ!姐さんが姐さんが…!」
「大/菅先輩、どうなさったんですか!」
大/菅の叫び声に心配した後輩達も次々に飛び込み、大急ぎで煙を手ではらった。
882 :
氷園天国41:2008/11/25(火) 14:00:32 ID:mRYIWGGr
だんだんと煙が晴れるとそこには真っ白な髪の毛の岡/崎がぼーっと座りこんでいた。
ぱちぱちさせた睫毛までが白くなっている。
「ああっ!!!ト/モ/ミ姐さんが年をとってしまった!」
「馬鹿ねえ!もともといいトシ…あわわわわ」
岡/崎は声をした方をきっと睨むとプルプルと頭を振った。
すると氷の冷たいしぶきが飛び散って、元の髪色姿の岡/崎に戻った。
「う〜〜寒かったぁぁ〜!」
箱の中身は沢山のドライアイスとアイスクリームだった。
「わあ!アイスクリームだ〜!!」「おいしそー!」「私にもちょーだい!」
生徒達は喜んで酸素マスクを放り出し、わっとそれに群がった。
883 :
氷園天国42:2008/11/25(火) 14:01:18 ID:mRYIWGGr
「あぁぁ〜なんだよ、アイスクリームかよぉ〜驚かすなよまったく〜」
大/菅はペタンとへたりこんで、岡/崎の髪に少し残っている霜を落としてやった。
「荒/川/シ/ズ/カめ〜今度会ったらぜってーあいつの澄ました顔を驚かせてやるからな!」
「ふう〜っ、相変わらず悪戯好きな奴だなぁ…ほれおまえも食え」
岡/崎は笑いながらむくれた顔の大/菅の口にアイスクリームをほおりこんだ。
(もぐもぐもぐ…くっそーくやしいけれどめちゃくちゃウマイぞこのアイス!荒/川/シ/ズ/カ…やっぱりタダモンじゃないな…もぐもぐ)
884 :
氷園天国43:2008/11/25(火) 14:09:33 ID:mRYIWGGr
――――就寝時間も近づいた頃、ミ/キはシ/ズ/カの部屋に呼ばれていた。
ドレッサーに座りシ/ズ/カに丁寧にブラシで髪を梳かしてもらっている。
「あの、シ/ズ/カお姉様」
「ミ/キ……2人きりの時はし/ー/ち/ゃ/んでいいわよ」
シ/ズ/カの目はとびきりの優しい表情で鏡に映るミキを見た。
「ううん、シ/ズ/カお姉様…私…あの…その…この間のこと…」
「……言いたくなければ無理して言うことないのよ。素被威度学園の方達にはお礼もしたし、今日は疲れたでしょう。ゆっくりお休みなさい」
シ/ズ/カは優しく指で髪を撫でた。
それでもミ/キの表情は沈んでいたが、しばらくして思い切ったように顔を上げた。
「………あの、あのね…ミ/キ…クィーンのお世話役…辞めたいの」
「えっ」
鏡の中の視線がぱちんと合い、シ/ズ/カの手からブラシが落ちた。
885 :
氷園天国44:2008/11/25(火) 14:10:19 ID:mRYIWGGr
聖・芬牛亜学院のクィーンのお世話役といえば生徒達の羨望の的である。
優秀な成績であることの証では勿論クィーンの身近にいられる存在は全生徒の誰もが願う憧れの役なのだ。
今までそれを拒否した生徒はいない。
でも鏡の中のミ/キの目は真剣だった。
「……わ、私…ミ/キに何か嫌な思いさせたかしら?それとも…」
いつも冷静なシ/ズ/カが顔色を変えてミ/キの前に座り込んだ。
「ち、違うんです。シ/ズ/カお姉様のせいじゃないの。……あ!」
ミ/キはシ/ズ/カにしがみつくように抱きすくめられて驚いた。
「……ミ/キ…。私のことで嫌な思いをしたのなら何でも言って。私…決してあなたに無理をさせたくないの。
……でも…そばにいて頂戴。それが私のただ一つの我がまま…」
そう言ってシ/ズ/カは子供のようにミ/キの首筋に顔を埋めた。
886 :
氷園天国45:2008/11/25(火) 14:11:22 ID:mRYIWGGr
この学院のクィーンであるシ/ズ/カの緊張をミ/キは良くわかっている。
シ/ズ/カはクィーンとは言え下級生達にも優しくて偉そうな態度はとらないし、
同世代の生徒達にも親しみやすく驕った所もなく、よく笑いよく食べる普通の女子生徒みたいだった。
しかし公の場では女王としての立場を求められるシズカ。
そして完璧と言われるクィーンが自分にだけ見せる儚くて弱弱しい姿。
姉妹のようだといわれる2人が逆転したように、ミ/キにとってそんなシ/ズ/カは甘えたがりの可愛い妹のような気がする。
(私の前だけは素顔を見せてくれるし/ー/ち/ゃ/ん…)
そう思うとミキ/の胸は母性本能がキューンとつままれたようになってシ/ズ/カを抱きしめずにはいられない。
でも――――
シ/ズ/カの背中をそっと抱きしめながらミ/キは目を閉じた。
(つづく…!)
不治9のヌース見ましたあぁぁぁ〜
動画を見られましたありがとー
>>875 シズゥと姐さんのコンビいいよね
あの後2人でホテルに行って「寒かったねー」「じゃあ温めあおうか!」
なんつってムニャムニャしてしまう妄想…
でも実際は2人でお酒飲んで大はしゃぎしてたりしてw
>>887 更新乙!長編になってきましたなぁ〜
相変わらずO菅タンワロスwwwスケ番具合がツボだ
荒岡はフジQでペアルックだったね!
前日からホテルでにゃんにゃんして、終わってからも…(*´Д`) ハァハァ
ヌースでも手つなぎ見たよ!なんか萌えたわ(≧▽≦)
2年前から2人で一緒に何かしたいって話してたって言うエピもいいよね!
今日は振りーだね
シズゥの開設も楽しみだ!みんないい縁起ができますように(^人^)
工ぬhk杯見ました
ユカリソ演技良かったなー台独千もヌゴイ
シズゥの開設も一生懸命センツュの気持ちを伝えようとしてるのがえかった
フミィは残念だったけどファイナノレ行くみんなにはまたがんがってほしいっす
>>887 投下ありがとー!長編歓迎ですよん
O菅タソいいキャラだねw
ふゅヌポの枠を超えちゃいますが
tp://www.daily.co.jp/general/2008/11/19/0001574195.shtml
ってI子ちゃん何気に狙ってますね!
以前尾具塩に目をつけたりして油断なりませんよ!w
更新乙です!
シズゥはどんだけドライアイスをwO菅タンと姐さんのやりとりワロタ
ミ/キの世話役の行方も気になりなる。シズゥとはリアル感もあってィィ!
894 :
氷園天国46:2008/12/02(火) 14:18:10 ID:UmZ9lX3r
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
――――数日後。
夕暮れの繁華街の路地裏で大/菅はたこ焼をうれしそうに頬張りながら歩いていた。
ドンッ!
道の角で誰かにぶつかり、目から☆が手からたこ焼が飛んでいった。
「おいっこら!どこ見て歩いてんだよ!大事なたこ焼がぁぁ!」
見ると芬牛亜学院の生徒がおでこを痛そうに押さえて尻餅をついていた。
周りには裸の男女が抱き合った雑誌や古そうな洋書が散らばっている。
「あ、おまえは芬牛亜学院の…!」
「あ…貴方は…」
大/菅とフ/ミ/エはそれぞれ鼻とおでこを押さえたまま顔を見合わせた。
895 :
氷園天国47:2008/12/02(火) 14:18:53 ID:UmZ9lX3r
「おっ、真面目な監督生さんでもこんなエロ本読むんだねえ〜しかも洋モノ!」
大/菅が散らばった本を見てニヤニヤして言うと、フ/ミ/エは真っ赤な顔をしながら本を拾い始めた。
「ええええええええエロ本だなんて!なんてはしたない言葉を…!これはええええエロ本なんかじゃありませんっ!
ばばばバレエの本ですわ!そそそれをそんなエロ視線で見るなんて!これはげげげ芸術です!
たたたタイツのモッコリ具合とかここ腰の密着度とか、そんなエロいエロいエロ本なんかと一緒にしないでください」
確かによーく見るとそれは裸ではなくベージュのバレエ衣装を着た男女の表紙だった。
896 :
氷園天国48:2008/12/02(火) 14:19:33 ID:UmZ9lX3r
「……あっそ(ちぇっ紛らわしいぜっ)しかし街で会うとは奇遇だなあ」
大/菅は拾うのを手伝ってやりながらフ/ミ/エの顔をしみじみ見た。
「こここの先に古本屋さんがあるんです。そこに探してた本があるって聞いたから取りに来ただけです。
そうでもなかったら不健全なこんな所に来ることはないですわ」
フ/ミ/エは頬を赤くしたまま、顔を背けた。
確かにこの辺の路地は飲み屋やら風俗店やら何やら怪しげな店が迷路のように入り組んで建っている。
まだ早い時間とは言え、芬牛亜学院の生徒が来るような場所ではない。ましてやフ/ミ/エのような真面目な生徒は。
でもミ/キと会ったのもこの辺だった。
897 :
氷園天国49:2008/12/02(火) 14:20:07 ID:UmZ9lX3r
「…不健全でこんな所で悪かったな。私はここが気に入ってるんだ。確かにへんな奴らとか怪しい店とかもあるけどね。
おいしーたこ焼屋はあるし気のいい店もあるし…まあ、あんたみたいなお堅いお嬢さんが来ても場違いだろうよ」
潔癖症であらかさまに毛嫌いしているフ/ミ/エの顔を見て、大/菅はムッとして言った。
さすがにフ/ミ/エもあっと口に手を当てた後シュンとしてうつむいてしまった。
「………(´・ω・`)」
「…なななんだよ、そんな顔すんなよ。ほら、こっちへ来な。後ろに乗せて送って行ってやるからさ」
あせった大/菅はフ/ミ/エの手を引っ張り、心配そうに覗き込んだ。
898 :
氷園天国50:2008/12/02(火) 14:21:00 ID:UmZ9lX3r
「あ、あのっ大丈夫ですっ!まままだバスありますし、門限に間に合いますし、それに学院はバイク乗り入れ禁止ですっ!」
ビックリしたフ/ミ/エは慌てて手を引っ込め、頬を赤くして(フ/ミ/エにしては)早口で言った。
いつもどおりの反応に大/菅もなんだかホッとした。
「……そうか、まあいいや。この大通りまでくれば平気だろ。じゃあな」
「あ、あの…さっき…たこ焼…落としちゃって…」
手を振って去ろうとする大/菅にフ/ミ/エが声をかけた。
899 :
氷園天国51:2008/12/02(火) 14:21:51 ID:UmZ9lX3r
「へ?あのたこ焼?あそこのばーさん気まぐれで今日はあれが最後のたこ焼だったのさ。
あの店うまいけど、いつ開くかわかんねーし行ってみて開いてりゃラッキーの店だからな。
私らはいつでも学園抜け出して食いに行かれるから、気にしなくていいよ」
「……」
「あ〜そう言えば、この間のアイスすっごくうまかったっておたくの女王様に言っておいてくれな。
私らはもうあんまり会うこともないからさ。……じゃあな、イガグリ」
「あ、あ、あの…」
大/菅はフ/ミ/エの言葉を聞く間もなく風のように走っていってしまった。
(……きちんとごめんなさいって言えなかったわ…………それに私はイガグリじゃなくてす・ぐ・りなのに…)
フ/ミ/エは本を抱えながら大/菅の去っていった方をしばらく見つめていた。
(つづく…!)
投下乙ですぅ!
フミィったらもしかしてシンデレ?!
次回も楽しみにしてますね!
Φナルも近づいてきてdkdkだぁぁぁ
901 :
氷園天国52:2008/12/08(月) 00:19:52 ID:Kh81vw+B
――――素被威度学園の女子寮。就寝時間も過ぎ、深夜になろうとしていた。
大/菅がトイレに行く途中、なにげに窓の外を見ると暗闇の中に人影が見えた。
(!なんだ、痴漢か?この素被威度学園の女子寮に忍び込むとは命知らずな奴め。いっちょ懲らしめてやるか)
勢いよく玄関に飛び出してみると、そこに居たのは大きな荷物を抱えた芬牛亜学院の生徒だった。
「お、おまえ芬牛亜学院の安/藤/ミ/キ!」
しかしミ/キは返事をせずにじっとその場に立ちすくんでいる。
「な、なんでこんな時間にうちに来てんだよ!もう夜中だぜ」
「……お願いします。ミ/キをここにおいてください」
ミ/キはうつむいたまま、ぎゅっと大/菅のパジャマの裾を握って離さなかった。
(………な、なにがあったんだ?…)
902 :
氷園天国53:2008/12/08(月) 00:20:58 ID:Kh81vw+B
――――岡/崎の部屋。
シ/ズ/カが芬牛亜学院のクィーンなら岡/崎は泣く子も黙る素被威度学園の総番長…じゃなかった生徒会長なのである。
岡/崎の部屋は一番奥まった一人部屋で飾り気はないが広めの部屋だ。
何を聞いても黙ったまま自分から離れないミ/キに困った大/菅はためらいながら岡/崎のもとへ連れてきた。
とっとこハ/ム/太/郎のパジャマを着た岡/崎はぼさぼさ頭でベッドに胡坐をかいている。
「……どうしてこんな時間に一人でここへ来たんだい?」
「……」
「おい、姐さんが聞いてるんだ、何にも言わなきゃわかんねーだろーが」
「まあまあ大/菅、大きい声出すなって」
「……」
「…きっとあんたは黙って出てきたんだろう。荒/川さんや他のみんなが心配してるよ」
「そーだよ、この間だって私らが通りかからなかったらあの後とんでもないことになってたんだぜ。
おまえは世の中が危ない事だらけだってこと知らなさすぎるぞ!」
「……ごめんなさい」
ミ/キは目に涙をためて小さな声で言った。
903 :
氷園天国54:2008/12/08(月) 00:21:43 ID:Kh81vw+B
「……今日はもう遅いし、私から学院には連絡しておくから泊まっていきなさい」
「ちょちょっと、姐さん!こんな奴また送り返せばいいんですよぉ!」
「いやっ!帰らない!」
ミ/キは ベッドの上の岡/崎の腕にしがみついた。
「……お願い。ミ/キ…帰りたくない。なんでもしますからここへおいてください」
わっと胸にしがみついた女の子らしい柔らかな感触に、それまで難しい顔をしていた岡/崎の頬がぱっと赤くなった。
「わわわっ!ちょっと姐さん、何にやけてんですかぁ!」
途端に大/菅がぷっと頬を膨らませた。
904 :
氷園天国55:2008/12/08(月) 00:22:12 ID:Kh81vw+B
「え〜コホンコホン!(……だってすごく胸あるしいい匂いするんだもん)どんな理由があるにせよ人を心配させちゃだめだよ。
取りあえず学院には連絡してまた明日話を聞くから。大/菅、おまえの部屋空いてるだろ。今日はそこへ泊まりなさい」
「ええええ!私の部屋にですかぁ!」
「それともミ/キちゃん、私のベッドで一緒に寝る?くっついて寝れば全然OKだよ!」
岡/崎が自分のベッドをポンポン叩き、ニヤニヤしながら大/菅を見た。
「だだだだ駄目です!姐さんは危険すぎますっ!わかりました、私んところに寝かせますよ!」
大/菅は大慌ててミ/キを岡/崎から引きはがした。
905 :
氷園天国56:2008/12/08(月) 00:22:43 ID:Kh81vw+B
大/菅は自分の部屋にミ/キを連れて行った。
ドアを開けてはいるとミ/キは珍しそうに部屋を見回した。
革ジャンやバイクのメットが目に入ったが、意外にも花やかわいい絵も飾ってあってちょこっと女の子らしい雰囲気もある。
「…んだよ、あんまりじろじろ見んなよ、恥ずかしいじゃねーか」
大/菅が空いているベッドを整えながら言った。
「あ!」
ミ/キは声をあげ、枕元に置かれているス/ヌ/ー/ピ/ーの大きなぬいぐるみに駆け寄った。
「お、おい!それに触んなって!」
顔を赤くして大/菅が声を上げた。
906 :
氷園天国57:2008/12/08(月) 00:23:30 ID:Kh81vw+B
「ミ/キと一緒!」
するとミ/キは自分のバッグからひょいひょいと手品のように次々とス/ヌ/ー/ピ/ーを出してみせた。
「……ミ/キもス/ヌ/ー/ピ/ー大好きなの。遠征に行く時も必ず一緒なんだ」
(家出して来てんのにこんなに沢山連れて来てるのかよ!)
それでも、ずらっと並んだス/ヌ/ー/ピ/ー達と無邪気な子供のようなミ/キの顔につられて肩の力が抜けた。
「……そっかぁ…私も遠征に連れて行くんだぜ。荷物多いから小さいのしか連れて行けないんだけどな。
そいつはいつもお留守番で寂しい思いさせてるんだよなあ」
「ミ/キも…もっと大きなの部屋にある」
さっきまでの頑なな表情がやわらかな笑顔になったのを見て大/菅もホッとして笑った。
「ほら、出来たぞ。今日はここで寝な。うちの起床は5時だ。寝坊すんなよ」
「はい」
ミ/キは素直に返事をしてパジャマに着替え、ベッドに潜り込んだ。
(なんだか面倒なことになってきたなぁ〜…でもまぁいっか、一晩寝れば気が済んで帰るだろ)
ミ/キが寝たのを見て、大/菅も大あくびをして布団に頭を突っ込んで寝た。
(…つづく!)
ふぅぅ〜長編になってきましてスマソ
ヌピヌケの皆さんはきょうはchu国来週はぬっぽんですなあ
テレビもあるみたいだから楽しみ〜♪
ぐらんぷりんのφナルもあるからwktkしてテレビを見なくっちゃ!
ところで光の庭さんお元気ですか〜?
もしよければ氷園天国のこと気にしないで投下してくださいね
いろいろ思いつきでダラダラ書いてるものですから…
光の庭さんの投下も楽しみしてまつ!!!
更新乙です!
ミ/キちゃんどうしたんだ!?
続きが気になります!!
そろそろ容量がいっぱいになってきたね
誰か立てれる人いますか?
おおぅ容量イパーイなんだね〜
もう立てた方がいいかな?職人さんきてくれるといいけど
>911
乙です!
もう次スレですか〜これからも萌えていきますo(^▽^)o
913 :
名無しさん@秘密の花園:2008/12/17(水) 17:10:50 ID:CGkKXFNY
>>910 スレたてd!!
近いうちにダブルデートのつづき落としに行きますw
乙です
>>911 ダブルデートも気になってました!
またーり待ってます!
幹ちゃんonちゃんバーヌデーおめ!
ヌケーターは他にもシズゥやフミィ12月生まれが多いね
ツーズン中で忙しいだろうけどみんなでプレゼント交換会や小さなおたんじょー会
やってたら萌ゆるわ