あずまんが大王で百合萌え

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1名無しさん@秘密の花園
そこはかとない百合が魅力のあずまんが大王について語るスレです。

あずまんが大王2 懐かし漫画板
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/rcomic/1154248818/l50
あずまんが大王のエロいのないんかねぇ-11- エロパロ板
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1149219489/
2名無しさん@秘密の花園:2006/09/27(水) 21:00:52 ID:rZ7FHEeV
おらおら、WWF(World Wide Fund for Nature:世界自然保護基金)の
愛くるしいパンダ様が>>2ゲットだぜ! 頭が高いんだよ、ボケ!

.         ,:::-、       __     >1 クソスレ建ててんじゃねーよ。ビンスみてーに裁判で潰しちまうぞ。
    ,,r   〈:::::::::)    ィ::::::ヽ    >3 >>2ゲットも満足にできねーお前は、俺の着ぐるみ着てプラカード持ってろ(プ
  〃   ,::::;r‐'´       ヽ::ノ     >4 お前はカキフライのAAでも貼ってりゃいいんだよ、リア厨ヒッキー(プ
  ,'::;'   /::/  __            >5 汗臭いキモヲタデブは2ちゃんと一緒に人生終了させろ、バーカ。
.  l:::l   l::::l /:::::)   ,:::::、  ji     >6 いまさら>>2ゲット狙ってんじゃねーよ、タコ。すっトロいんだよ。
  |::::ヽ j::::l、ゝ‐′  ゙:;;:ノ ,j:l     >7 ラッキーセブンついでに教えてやるが、俺はストーンコールドが好きだぜ。
  }:::::::ヽ!::::::::ゝ、 <:::.ァ __ノ::;!     >8 知性のねーカキコだが、お前の人生の中で精一杯の自己表現かもな(プ
.  {::::::::::::::::::::::::::::`='=‐'´:::::::::/      >9 つーか、自作自演でこのスレ盛り上げて何が楽しいんだ?
  ';::::::::::::ト、::::::::::::::i^i::::::::::::/      >10-999 WWEなんか見てるヒマがあったら、俺に募金しろカスども。
.   `ー--' ヽ:::::::::::l l;;;;::::ノ       >1000 1000ゲットしたって、WWF時代の映像物に販売許可は出さねーよ。
        `ー-"
3名無しさん@秘密の花園:2006/09/27(水) 21:38:02 ID:GT84qraG
これももう古典だなぁ…
4名無しさん@秘密の花園:2006/09/27(水) 21:44:21 ID:e+vKBlBM
今読んでも面白いよね
5名無しさん@秘密の花園:2006/09/27(水) 21:49:38 ID:Gge6gGy8
百合ネタに興味なかった男を多数こっちへ走らせたという歴史的作品のひとつ
6名無しさん@秘密の花園:2006/09/27(水) 21:56:38 ID:Et72A7qn
最萌でも大阪は健闘してたよな
7名無しさん@秘密の花園:2006/09/27(水) 22:00:08 ID:tSLdVOsn
でも大阪は百合分が不足している。
よみともが十分すぎるほどに補ってるけど。
8名無しさん@秘密の花園:2006/09/27(水) 22:34:27 ID:WabXilwV
かおりんはガチ
9名無しさん@秘密の花園:2006/09/27(水) 23:56:43 ID:tSLdVOsn
榊さんと神楽もガチと考えて差し支えまい。

それと>>7なんて言ったけどよく考えたら大阪は智と同じ大学に行くからルームメイ(ry
10名無しさん@秘密の花園:2006/09/28(木) 00:10:39 ID:0J+kgOoO
あゆともの卒業後2人暮らしは基本だね

>>9
かおりんと神楽が駆け引きを繰り広げる中、当の榊さんが見てるのはちよやらともやら大阪やら、
って状況が個人的に好きw
11名無しさん@秘密の花園:2006/09/28(木) 00:21:45 ID:KtnPI2jl
榊×神楽が一番好きだなぁ
SS探しては読み漁ったっけ…結構いっぱいあったな
12名無しさん@秘密の花園:2006/09/28(木) 00:25:44 ID:rrPE/s3p
私も榊×神楽が好き♪
13名無しさん@秘密の花園:2006/09/28(木) 02:06:02 ID:FW2cyxq+
大阪×ちよがいい
14名無しさん@秘密の花園:2006/09/28(木) 02:23:52 ID:lj9W1Z8b
神楽さんは総受ですか?
15名無しさん@秘密の花園:2006/09/28(木) 03:57:48 ID:xPWSM+1w
攻←             →受

大阪>ちよ>よみ>榊>神楽

って感じじゃない?ともちゃんは特殊でジョーカーのようにどこにでも入れる、個人的には総受けのポジションが一番好き
ゆかりちゃんにゃもやかおりん千尋が加わってくるとまた変わってくるが
16名無しさん@秘密の花園:2006/09/28(木) 12:51:05 ID:GfPZSzIh
こんなスレができたんですね!
少数派でしょうが私は神楽→かおりんに片思いというシチュがツボです。
3年の時のクラス替えでかおりんがいない事に気づいた神楽の寂しそうな顔が印象的で。
他にも海で楽しそうに遊んでるかおりんをやさしく見つめる神楽とか、かおりんの頭にシャーペン刺しちゃう神楽とか。
いつも後ろの席で見てたのかなと思うと萌えます(´∀`*)
17名無しさん@秘密の花園:2006/09/28(木) 13:28:48 ID:k1ur4Tz9
私はマイナーな方かな。
ゆかりXにゃもや、榊Xかおりんが好きv(笑)
18名無しさん@秘密の花園:2006/09/28(木) 17:00:41 ID:lj9W1Z8b
ゆかり×神楽がみたいんだ。
19名無しさん@秘密の花園:2006/09/28(木) 22:18:45 ID:Kk6gB9ho
ちよ×よみ非エロ同人誌、持ってます。続編でないのかな? 出るって聞いた気がするが……
20名無しさん@秘密の花園:2006/09/29(金) 00:27:00 ID:vojmCSao
天然な榊さんに日々振り回される神楽。
もしくは神楽にぞっこんな榊さんとそれに戸惑いつつも受け入れてしまう神楽。

そんなシチュのさかぐらが好き。
21名無しさん@秘密の花園:2006/09/29(金) 02:08:00 ID:JOILqsEd
タイプが正反対のキャラによるカプが好きなんで、榊×智が好きだったり
たまに仲がよくないなんて言う人がいるがとんでもない、映る時いつもラヴラヴだよ
22名無しさん@秘密の花園:2006/09/29(金) 03:02:13 ID:BzTlQkld
神楽はね、黒沢先生が好きなんだよ

ゆかり×にゃも←神楽

これが自分の脳内では基本設定
23名無しさん@秘密の花園:2006/09/29(金) 18:29:03 ID:40rSIHgz
あずまんが懐かしいなあ…
よみともが人生初の百合萌えにして自分の青春でした
24名無しさん@秘密の花園:2006/09/29(金) 23:54:48 ID:LIQn1+oa
ともと榊が一夜を共にしたことに焦るかおりん→
二人を引き離そうとしてみるかおりん→
何故かともの方と結ばれてしまうかおりん

なんてね
25名無しさん@秘密の花園:2006/09/30(土) 21:25:39 ID:5wPxlE/H
ともちゃんはみんなのこと大好きってふいんきがしてるのがいい
本命はもちろんよみだがちよちゃん大阪榊さん、神楽ゆかりちゃんにゃも、かおりん千尋…
あ〜好きで好きで甘えたくなるんだな〜って
26名無しさん@秘密の花園:2006/09/30(土) 21:45:48 ID:Ogg1Aftv
アニメ19話で夜中によみの部屋に当然のように入ってくるともに驚愕した
全体的にアニメは百合っぽい場面がプラスされてた気がする
27名無しさん@秘密の花園:2006/09/30(土) 23:53:19 ID:2/iWEnjX
妄想でちよちゃんに押し倒されて赤くなる榊さんとか非常によかったね

あ、百合関係ない場面だけど、自分の指やアイスを舐めるのに顔を赤らめるのはどうなのよ榊さんw
28名無しさん@秘密の花園:2006/10/03(火) 05:00:41 ID:a1fa/A+7
神楽を取り合う榊さんと大阪がみたい。
29名無しさん@秘密の花園:2006/10/03(火) 08:37:38 ID:ClJQOcre
大阪×ともが最強
30名無しさん@秘密の花園:2006/10/03(火) 23:29:45 ID:oPuMeI22
ともを自分のものにしたいがよみとの10年以上の過ごした時間の差に苦悩する大阪なんていい
31名無しさん@秘密の花園:2006/10/04(水) 04:27:22 ID:FR56f2mR
>>30 妄想してたら変な方向へ進んでしまった

「正直言って、よみちゃんがねたましいわ…遺品返したところでともちゃん…絶対によみちゃんのことを忘れへんと思う。」

「…………」

「…忘れるとか…そういうのとはちょっとちゃうねん…よみちゃんはもうともちゃんの心の一部なんや…」

(大阪…)

「だけど私、なんとかやってくで。初めて会った日からともちゃんの中に、よみちゃんがいて…そんなともちゃんを私は好きになった。だから…」

「あなたもひっくるめて、ともちゃんをもらいます。」

(…………よみ…私が大阪に会えたこと、喜んでくれるわね。)

(中略)

「…………よみ…あんたの遺品、これからおばさまに返して来るよ。」

「あの…ともちゃん、それな…無理に返さなくても…」

「いいの。これでいいの。」

「…………」

「私…あなたに会えて本当に良かった」

「…さようならよみ…」

「ちょっと待てお前ら、勝手に殺すな!!」
32名無しさん@秘密の花園:2006/10/04(水) 09:08:28 ID:6a2iDMMb
めぞんかよ!w
そういえば響子さんと朱美さんのキスシーンとかあったなぁ
33名無しさん@秘密の花園:2006/10/05(木) 22:16:35 ID:cKwNy6Mg
       ,. ィ":.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.` ー 、
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   |:.:.|ゝ、_,      ,     ,'ノ:::|:|
   |:.i:|:,.-‐,ゝ、    _    .∠::::::::|:.!
   ';i:.|  i  ', 、. __ ,.  ´, ヽー;|:.|
   /`'!.  |  ヽ   /  }  i i  ', !;|
  ノ    .|   \_  ,ノ   | i.  i
 く´    .|   ,ィ´'∨´`ゝ  レ'  .ト 、
.  }     /`- ´く`ー-‐ヘ,シ'`ー!    }
 .〈`ヽ,,._ノ    ` '' ゛   .i    /
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34名無しさん@秘密の花園:2006/10/06(金) 00:58:35 ID:pul44Aq2
大阪って攻めなの?
35名無しさん@秘密の花園:2006/10/06(金) 01:40:20 ID:Zd5fOIHh
>>34
攻めっぽいな。
あのスロウな動きは対象を油断させるためのギミックで、多分凄いテクを持ってる。
36名無しさん@秘密の花園:2006/10/06(金) 23:58:02 ID:dteaisUL
気配を消して背後から襲う、とか得意そうだなあ
37名無しさん@秘密の花園:2006/10/07(土) 01:27:48 ID:MnYTHdXV
うーん、大阪攻めは無かったなぁ。
攻めはとにかくちよすけ。
あと、受けっぽいにゃもが酔っ払った瞬間攻めに転じるところを
想像しただけでもう・・・・・・
38名無しさん@秘密の花園:2006/10/10(火) 02:21:29 ID:R5IuAzJD
神楽は総受。
39名無しさん@秘密の花園:2006/10/11(水) 04:20:51 ID:C9U2GS62
神楽は途中からレギュラーになったので、グループに入る時どんな洗礼を受けたか考えると(;´Д`)ハァハァ
40名無しさん@秘密の花園:2006/10/12(木) 00:00:05 ID:wouX4lNn
「ちよちゃーん、今日泊まりに行っていいかー?」
「ええ、もちろんかまわないよ〜♪」
「おっ、いいねー。今日部活休みだからあたしも行っていい?」
「あ、私はかまいませんが…」
「え、あんた来るの?本当にいいのか?」
「?なんだよそれ?」

「…ちょ、ちょっとなんだよこれ!?///」
「だから本当にいいのか、って聞いただろ?」
「だ、だってそんな事一言も…あっ!!」
「ここまで来たら逃がしませんのだ〜、さー電気消しますよー♪」

「おはよ〜」
「わあっ!?な、なんだかおりんか〜…」
「どうしたの?そういえば最近みんなと仲良くなれたみたいねー」
41名無しさん@秘密の花園:2006/10/12(木) 03:23:21 ID:9siic3tB
何かキタ━━(゚∀゚)━━ッ!!!
42名無しさん@秘密の花園:2006/10/16(月) 21:17:56 ID:RKcr6Zeb
ここで千尋×かおりんへ
43名無しさん@秘密の花園:2006/10/18(水) 04:38:50 ID:QkOlZ+53
千尋はともが好きかも
44名無しさん@秘密の花園:2006/10/19(木) 01:32:43 ID:w9q51y2T
は?千尋はにゃもが好きなんだよ
45名無しさん@秘密の花園:2006/10/19(木) 03:34:51 ID:jihluYU6
いやいや千尋は神楽さんが 好きなんだって
46名無しさん@秘密の花園:2006/10/19(木) 03:38:47 ID:C79m/wWP
いやーちよちゃんだろう、最初に喋ってるし
きっと誰よりも先に目をつけたんだよ
47名無しさん@秘密の花園:2006/10/19(木) 17:09:11 ID:jihluYU6
じゃあ         千尋は、かおりんと、
智と、にゃもちゃんと、
神楽さんと、ちよちゃんが好きなんだね。
  気の多い娘だ。
48名無しさん@秘密の花園:2006/10/25(水) 18:50:48 ID:zRlLUcPS
2は千尋主役のギャルゲーとなります
49名無しさん@秘密の花園:2006/11/01(水) 02:18:12 ID:r8Ov8e71
和田×松田
50名無しさん@秘密の花園:2006/11/03(金) 13:00:43 ID:Pe9pDRXM
よみ×神楽
51名無しさん@秘密の花園:2006/11/13(月) 19:00:37 ID:8ccev9HL
榊×神楽×大阪
52名無しさん@秘密の花園:2006/11/17(金) 04:35:01 ID:ISXsstE6
ゆかり×神楽
53名無しさん@秘密の花園:2006/11/25(土) 03:04:04 ID:ErnhbfXG
よみ×神楽
54名無しさん@秘密の花園:2006/11/28(火) 03:42:43 ID:C/+Iunww
とも×神楽
55名無しさん@秘密の花園:2006/12/05(火) 00:19:58 ID:u/oVn8Gk
榊×とも
56名無しさん@秘密の花園:2006/12/08(金) 20:25:21 ID:FxNFj33f
榊さんはジャガー。
神楽は?
57名無しさん@秘密の花園:2006/12/08(金) 22:17:47 ID:uNSq25OK
ジャズマスター
58名無しさん@秘密の花園:2006/12/09(土) 17:12:34 ID:peqvjWEI
ともはムスタング
59名無しさん@秘密の花園:2006/12/18(月) 05:36:52 ID:uIWKfTLx
ちよちゃんがストラト、よみがテレキャス

大阪さんはレスポール
60名無しさん@秘密の花園:2006/12/27(水) 03:54:52 ID:I64VvtRD
かおりん×神楽
61名無しさん@秘密の花園:2007/01/07(日) 03:53:30 ID:GIUEKoTX
あげ
62名無しさん@秘密の花園:2007/01/16(火) 00:52:13 ID:TPSBR/du
   ./;;;\      /::::::::::::::::::::::: ヽ         /:::::;i:::::::::::::::::::::::::::
  /;;;;;;;;;;;; \    /::::/l;;/ |::::::::::::::丶      //!::;::::i l::::::::::::::::::::::;::'
  レvi'Vぅ、;;;;\   レ'ノ ―- /;;/、:::::::::\     /::/'トl、!i_ l::i!::::::::::::::/l::
    /   \;;;;;;\  (  U   6ノ:::::::::::::\ /::::::::| リr,:!=,`:ド;:::::::::/‐ソ
    \_  \;;;;;;;\ ヽr―┐   i´::::::::::::: /::ト;::|',i./ ,'0:::::::!.'、ヽ:/ i0::
      ,|    >、;;;i、\` 、ー' ∩ |:::::::::::: / |:::| ヽ! {  !:::::::::::i     l::::::
     / i__/  ゛y^\\ ∧∧∧∧/ /'、! (,l. ` ,.',、,、,、,'     ,',、、
    ,L i |:::::/ _/:::::::`i<    と  >./::::ヽ、 | l i´'`"     ,    `
    ,i:::\ |::/_/:::::::::/:::< 予  も   >:::::::::::::>! !l    , -─‐- .、
    |::〈::::::只:::::::::::V::::::::<     ス  >::::,. ‐  '、 i.l   !,. -─‐- 、! 
────────── <  感  レ  >───────────
/i   | /'lト、|l i.   /'リ_,.レ <    の  >冷静を装うよみにしても、
 ! ,、!|i'   \!  ム‐''   < !!!!     >テレビとはいえ濃厚なレズシ
 i,| ヽ!゙、   ノ゙'"ヽ、    /∨∨∨∨\ふと隣りに目を向けると、とも。
  i, i  `''''''" __`'─//;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\んだ瞳で見上げられると、否
 /ヽl       |   |/ /;;;;;/Al`、/AV;;;;;;|\…よみぃ」
./  ヽ ,    |  /\  レV '⌒  '⌒ レ;;;;|  \息が、ともの薄い唇から
     `''-、,_|/\:::::::\ (|  ┌‐┐  6);|/: \クリと来た。
  ,       /    \::::::::::\  L_./ /;;;/::::::/ \るよみの手に、とも
63名無しさん@秘密の花園:2007/01/21(日) 19:15:20 ID:BVVYlv4G
http://palpop.hp.infoseek.co.jp/(ともよみスレ系)
http://azudai.s35.xrea.com/(榊・神楽スレ系)
64名無しさん@秘密の花園:2007/01/27(土) 15:12:19 ID:UwvmqQ5B
大阪×ちよのほのぼの百合がみたい
65名無しさん@秘密の花園:2007/02/07(水) 14:04:52 ID:sRQndaNH
テスト
66名無しさん:2007/02/12(月) 21:23:56 ID:LSVPSnLD
ゆかり×にゃも  酔っ払ったにゃも→ゆかりのかたちで
67名無しさん@秘密の花園:2007/02/14(水) 22:32:34 ID:ucywtnTV
>>63
の中にいくつか書いたやつが(まだ規制されてるんかな)
68名無しさん@秘密の花園:2007/02/17(土) 20:34:43 ID:2G3wmSD/
規制?
69名無しさん@秘密の花園:2007/02/18(日) 17:10:29 ID:Hg6ust9l
>>68
失礼。以前、ここでアク禁に巻き込まれてたみたいだから、つい規制って書いちゃった。
今はSSを書いていたスレがなくなってしまったけど。
70名無しさん@秘密の花園:2007/02/18(日) 17:40:04 ID:Gxp70EXC
ニコニコで禅話見たよ。ところで榊とよみの直接会話するシーンってある?
71名無しさん@秘密の花園:2007/02/18(日) 18:07:32 ID:xqi+UGAR
原作だとゆかりがネコ拾ってきた時に「榊さんも抱いてみる?」
あとはともが別荘の鍵を投げた時に指示を出して羽交い絞めさせたり熊カレーを送りつけたり
アニメで増えたシーンがあるかは忘れた

まああんまり話してないね、智と榊はイメージに反して結構仲良くてよく2人でいたりするけど
72名無しさん@秘密の花園:2007/02/21(水) 00:25:40 ID:RMh2G5yH
神楽と暦が話すシーンも少ない
73名無しさん@秘密の花園:2007/02/21(水) 00:40:46 ID:e+tgPDXv
あの世界で誰と二人きりになっても違和感ないのが智だし。
74名無しさん@秘密の花園:2007/02/21(水) 00:47:46 ID:uDzTyaco
かおりんと榊ちゃんの関係に唯一割って入ったり、千尋やゆかりやにゃもとも仲良いし
みるちーやゆかちゃんとも面識あって、お父さんにもドンジャラで会った

実は木村の奥さんが出る話では全部一緒に出てたり、貴重な男子と会話するシーンもともちゃん
75名無しさん@秘密の花園:2007/02/21(水) 03:51:13 ID:/KBL6hJ0
元気だなぁ
76名無しさん@秘密の花園:2007/02/21(水) 11:49:13 ID:RMh2G5yH
主役が誰かと言われれば、やはり智だということか。
77名無しさん@秘密の花園:2007/02/21(水) 22:37:35 ID:AsW3iSg1
ともとちよがいない榊、大阪、暦、神楽の4人になると集まる図がまったく浮かばない
78名無しさん@秘密の花園:2007/02/21(水) 23:02:55 ID:Ryf3JrbM
智とちよの主人公論争がむかしあったような、なかったような。
登場回数はちよの方がおおいけど、存在感は智の方があるかな。
79名無しさん@秘密の花園:2007/02/21(水) 23:59:59 ID:uDzTyaco
静と動というか、やっぱり2人で主人公って感じがする。自分が大昔2chか外の掲示板かに書いた意見が、
前半は10歳児が高校にいるというちよちゃんの特異性で引っ張って、読者や登場人物が慣れて驚かなくなったとこで
自分から色々騒動を巻き起こすともが牽引していくことになったんではないかと。…百合話じゃないやこれw
80名無しさん@秘密の花園:2007/02/22(木) 00:10:08 ID:Z7haqjZR
今は亡きプロレスラーのクラッシャー・バンバン・ビガロ(だったと思う)が

「俺は相手が例えホウキでも、試合を成立させて観客を楽しませる自信がある」

って言ってたけど、智も相手が誰でも面白い話に出来るキャラだと思う。
81名無しさん@秘密の花園:2007/02/22(木) 02:39:28 ID:SZLPCSRm
確かに智であったら箒相手にも話が成立しそうだ。
82名無しさん@秘密の花園:2007/02/22(木) 12:01:18 ID:e0ZV7L8q
ぐるんぐるんぐる〜んと回してばかりで真面目にやらないともちゃんの前に怒った箒の妖精さんが現れて
83名無しさん@秘密の花園:2007/02/22(木) 22:43:42 ID:wepXUWWb
実はともとちよのガール・ミーツ・ガールストーリー
84名無しさん@秘密の花園:2007/02/22(木) 23:17:50 ID:NSnUO88D
んーぐるんぐるんとホウキを回すともちゃんか、
ひたすらちりとりにごみが入らずうしろに下がりまくる大阪か……
どっちが良い?
85名無しさん@秘密の花園:2007/02/23(金) 04:01:01 ID:KLlj/b89
ホウキを振り回して花瓶を割ってしまい、自己嫌悪で半泣きの神楽に一票
86名無しさん@秘密の花園:2007/02/23(金) 18:39:19 ID:D6kVlROu
ともちゃんが遊んでるとこを「真面目にやらなきゃだめ」と捕まえるけど、気付いたらネコグッズで一緒に遊んでいる榊さん
87名無しさん@秘密の花園:2007/02/23(金) 19:20:17 ID:xwe6gRh4
そして一緒に遊ぶ智。
88名無しさん@秘密の花園:2007/02/23(金) 23:41:41 ID:FBpikjIL
真面目なようで(いや基本真面目だけど)一緒に準備をさぼってたり、しゃっくりの解決策が上手くいかなかった時に
これ以上わからないとも認めず、投げやりになって人にうつすといいかげんな事を言う、榊ちゃんのそういうとこがかわいい
89名無しさん@秘密の花園:2007/02/24(土) 00:40:33 ID:FPe9zkn4
あずまんがでもっとも百合的描写といったら、大阪の舌を智がひっぱるところ。
普通はできん。
90名無しさん@秘密の花園:2007/02/24(土) 00:59:41 ID:x4KiAPKi
なんでかわからんけど、同じ話でともちゃんが大阪の耳を押さえて2人顔見合わせるとこに妙にエロさを感じたというかドキドキした
91名無しさん@秘密の花園:2007/02/24(土) 09:32:33 ID:FPe9zkn4
ねねここねねこを頭に載せた大阪が瞳をぱっちりとあけた時に、
榊さんが掌を、大阪の瞼の上にかざしたところとかに、榊さんが
大阪のことが可愛いと思っているような気がした。
92名無しさん@秘密の花園:2007/02/25(日) 12:07:02 ID:AZgbOGv+
神楽初登場らへんが好き
 
榊さんにまとわりついてる神楽さん可愛くて
 
かみねこ克服の話とか
93名無しさん@秘密の花園:2007/02/25(日) 20:50:56 ID:RTYnoUo+
「榊に寄ってくるネコはみんな追い払ってやるからな」という台詞は実は百合的なもの。
94名無しさん@秘密の花園:2007/02/25(日) 20:56:56 ID:1f8P968r
榊はネコの方がかわいいよ、ってか
95名無しさん@秘密の花園:2007/02/25(日) 21:18:17 ID:RTYnoUo+
いや、榊のネコは自分だけだというアピール。
96名無しさん@秘密の花園:2007/02/25(日) 21:26:30 ID:FaY+v8A5
うーん。榊と神楽、ともとよみ、大阪とちよ、ゆかり先生とにゃも先生
って1セットづつになっているのか。
ともとよみの相合傘はガチな気がす。
97名無しさん@秘密の花園:2007/02/25(日) 23:33:07 ID:AZgbOGv+
>>93
あそこで萌転んだ
 
>>96
大阪とちよちゃんも相合傘とかしてそう
傘忘れたちよちゃんに、大阪が「傘ってな〜〜云々」とか言いながら相合傘してたら萌えないこともない
98名無しさん@秘密の花園:2007/02/25(日) 23:53:28 ID:idl5v4gl
ともや大阪はフリースタイル
99名無しさん@秘密の花園:2007/02/26(月) 06:56:07 ID:hmG676In
>>96
ナイスID
100名無しさん@秘密の花園:2007/02/26(月) 06:58:17 ID:hmG676In
すまん、97の方だった。
101名無しさん@秘密の花園:2007/02/26(月) 20:01:19 ID:HU8nW3Gk
神楽さんのキャラソンが微妙にさかぐらっぽいなぁ、て思うのは気のせい…なのか?
自分じゃよくわからん
102名無しさん@秘密の花園:2007/02/27(火) 04:44:52 ID:oIzYF2Kz
どういう歌詞だっけ?
103名無しさん@秘密の花園:2007/02/27(火) 07:45:00 ID:rRS3UKGV
http://www.jtw.zaq.ne.jp/animesong/a/azumanga/asita.html
 
これで歌詞みれますかね?
さかぐらというか。神楽(→)榊っぽいな、と思ったんだけど
104名無しさん@秘密の花園:2007/02/27(火) 22:16:48 ID:oIzYF2Kz
おお、確かに。
これで榊とのことを連想しない方が無理。


しかし神楽がメタルギアのメイ・リンだったとは……思わぬ副作用だ……
105名無しさん@秘密の花園:2007/02/28(水) 19:19:05 ID:RabYR/mk
かおりんのその後が気になる
106名無しさん@秘密の花園:2007/03/01(木) 18:36:15 ID:dIAa6hHd
かおりんのキャラソンはガチ百合ソンっぽい
あと…にゃも先生とゆかり先生のもなかなか仲良い感が出てる…気がする。
107名無しさん@秘密の花園:2007/03/01(木) 19:25:53 ID:OaWPnNtw
アニメ9話の雲のシーンでちよと榊がくっついてるシーン
108名無しさん@秘密の花園:2007/03/01(木) 20:47:45 ID:HxHcb9ch
あらためて百合妄想しやすい漫画だな。
109名無しさん@秘密の花園:2007/03/01(木) 23:11:59 ID:cOhTCwck
男性が木村先生を除いて、ほとんどでないからなw
んでもって、メンバーはみんな仲がいいのに、意識的に恋愛要素排除してるし。
110名無しさん@秘密の花園:2007/03/01(木) 23:42:58 ID:qUa3ZzUv
4コマの新機軸と共に、女の娘だけでも生活が描けるという方向も示したというのは凄い
111名無しさん@秘密の花園:2007/03/02(金) 13:01:54 ID:elMCbvfw
>>110
よく言われてるけど、そういう4コマの元祖はあずまんが大王より
むしろももいろシスターズじゃないかな
112名無しさん@秘密の花園:2007/03/03(土) 22:13:05 ID:SXihWxow
そういう四コマ……と言われてもどういう四コマかわからんが、
独特のテンポと間によって織りなされる四コマという意味なら
むしろそちらの方が昔から多かったような気がする。
かりあげくんとか。
113名無しさん@秘密の花園:2007/03/04(日) 01:30:54 ID:3wGCDXNx
>>112
この作品に良く使われるフレーズが「独特のテンポと間」なんだが、
自分はそれよりも、キャラクター一人一人の強烈すぎる個性に特徴があると思う。
それが全員女子高生(ちよすけを含めて)だから百合な話にいくわけで。
114名無しさん@秘密の花園:2007/03/04(日) 09:20:23 ID:RBla222D
ある意味すごいのが
共学なのに名前のある男子生徒がでてこなかったことだろう
たとえそこにいても見向きもされねぇ
115名無しさん@秘密の花園:2007/03/04(日) 17:18:41 ID:v9fgnpWY
共学環境なのに三年間榊さん一筋のかおりんって素敵やん
116名無しさん@秘密の花園:2007/03/04(日) 17:48:57 ID:x8CRWek3
男子より榊さんの方が強いからなー、かおりん以外にもいっぱいいたりして
実際アニメじゃ後輩にキャーキャー言われてたし
117名無しさん@秘密の花園:2007/03/04(日) 22:22:50 ID:3wGCDXNx
>>116
バレンタインとかは誰よりもチョコ貰ってそうだな。
榊さんの困惑した顔が目に浮かぶようだ。
118名無しさん@秘密の花園:2007/03/05(月) 05:17:27 ID:8LYuPE3H
あずまんがの男子キャラは、おとうさんor木村のハードな二択しかない
119名無しさん@秘密の花園:2007/03/05(月) 13:40:53 ID:gvvIplOp
or忠吉さん
120名無しさん@秘密の花園:2007/03/05(月) 22:26:16 ID:+bFf7zbi
忠吉ってオスなの?
まあ名前からしてオスだが。
121名無しさん@秘密の花園:2007/03/05(月) 23:49:04 ID:fNdrczdX
忠吉とマヤーがオス、かみネコがメスのイメージ
ともちゃんの飼ってるクロが姿を見せてくれなかったのが残念、メスだといいなあ
122名無しさん@秘密の花園:2007/03/06(火) 01:39:07 ID:V1Jp9zj5
メスだといいなあ、じゃなくて絶対メスなんだよ
123名無しさん@秘密の花園:2007/03/06(火) 09:44:58 ID:IxQVp0cu
かみねこ…メス…







はぁはぁ
124名無しさん@秘密の花園:2007/03/06(火) 20:46:58 ID:+HJnjk0+
マヤーがメスと想像してもかなりハァハァできる

ヒザの上で丸くなって寝てるところとかもう
125名無しさん@秘密の花園:2007/03/06(火) 22:18:37 ID:kaEaXD4k
マヤーとかみネコで榊ちゃんの取り合いなワケですよ。
126名無しさん@秘密の花園:2007/03/07(水) 01:19:01 ID:RqYtpMTj
独占欲の強いマヤーに萌えた
127名無しさん@秘密の花園:2007/03/07(水) 23:58:04 ID:31GIwKV0
ともちゃんを流血させるほど引っかいたのも嫉妬か!

と思って読み返したら全然違う理由だったorz
128名無しさん@秘密の花園:2007/03/08(木) 00:35:57 ID:5bSXDVZp
>>127
あれは智がわるいw

榊さんが、大阪と絡んでるとこが好きだな。
海岸でのんびりするとことか、(全く違うこと考えていたけど)
教室で、ねねここねねこを頭に載せてるとことか。
129名無しさん@秘密の花園:2007/03/10(土) 18:01:30 ID:op1f3wPF
あずまんがの同人誌の中で百合的に安心して観られるものって少ないよね
130名無しさん@秘密の花園:2007/03/10(土) 22:13:11 ID:elDaUQ+T
>>129
あずまんがの同人誌って百合以外の絡みって
お父さんか木村先生しかない訳だが。
131名無しさん@秘密の花園:2007/03/11(日) 07:33:48 ID:FGMcp3Wb
>>130
名前のない男が相手だったり、ふたなりだったり、輪姦されたり。
いや、ホント、なぜかって思うくらい多いんだわ。
純粋な百合はかなり貴重になる。
132名無しさん@秘密の花園:2007/03/11(日) 09:39:39 ID:q2BOByGE
>>131
暇だから、あずまんがの同人誌を本棚の奥から探し出してきたw
んで、百合的描写のパターンはというと。(ギャグ、男がらみは除く)

大阪×ちよ
智×大阪
神楽×榊さん
にゃも先生×ゆかり先生 2
よみ×大阪
ちよ×榊さん  

だったw
133名無しさん@秘密の花園:2007/03/13(火) 04:44:08 ID:iJLG3M4y
そういえば、よつばとで百合萌えはしないの?
…微妙にスレ違いか
134名無しさん@秘密の花園:2007/03/13(火) 12:51:53 ID:p5YlE150
恵那×みうらにハァハァする
ツッコミが、喋る前に枕をぶん投げたり壁まで押したり次第に激しくなってるとことか

あさぎと虎子は、虎子が男に見えすぎるw初登場でビキニ着てたのはそのフォローだったんだろか
135名無しさん@秘密の花園:2007/03/13(火) 21:59:47 ID:W21c0yC7
>>133
よつばとはなかなか想像しずらいなあ。
やっぱり、恵那とみうら くらいかなあ。年齢差があるときついかも。

あずまんがだと誰でもできるんだが。
136名無しさん@秘密の花園:2007/03/14(水) 04:17:19 ID:V1rg5mDQ
いい雰囲気でみうらが告白するって瞬間に
タイミング悪く恵那が喋りだしたりとかいいな
例えば
『あ、あのさ恵n『そうそうこの間ね……って何?みうらちゃん』
『なんでもない……』
『?』
 
こんな感じ…とか
意味不でごめん
137名無しさん@秘密の花園:2007/03/14(水) 22:14:52 ID:zPNaQ1uW
>>136
みうらは物凄く奥手な気が。

「みうらちゃん…… 」
「何、恵那? 」
「きすしてみよっか」
「ええっ?」
「ふふっ、顔が真っ赤だよ」
「そ、それは暑いから、あ、汗かいたんだ」
「まだ3月なのに? 」
「いやその、そうだ。女同士だろ、まずいって」
「あのね。みうらちゃん。女の子とのキスってカウントされないんだよ」
「でも、だからって…… 」
「それとも、私の事嫌いなのかな? 」
「そんなことないっ。いや、でも」
「ふふ。だったら構わないんだ」
「うわっ、莫迦」

妙な事書いてしまった……orz
138名無しさん@秘密の花園:2007/03/14(水) 23:10:02 ID:V1rg5mDQ
>>137
うは萌すww
 
いやでも意外にみうらちゃんが告白ってのがさ
むしろ告白させるように仕向ける恵那とか
恵那みうならなんでもいい……w
139名無しさん@秘密の花園:2007/03/17(土) 20:51:16 ID:qBImkDK+
期待されてるかおりん
ttp://www.h4.dion.ne.jp/~baron/page094.html
140名無しさん@秘密の花園:2007/03/25(日) 09:28:08 ID:1YPvZmmo
風香×よつばでいいよ
年の差ネタは嫌いじゃない! 
よつばが成長(中学生くらい?)したら手出しちゃう風香
141名無しさん@秘密の花園:2007/03/25(日) 16:28:12 ID:uDW/WDnT
風香×しまうー

がいい。しまうーって誰?ってひとは電撃をみてくださいw
142名無しさん@秘密の花園:2007/03/28(水) 23:45:07 ID:2jWGssrz
やっぱり よみ×とも は基本だと思うわけですよ。


2年の夏、ちよちゃんの別荘での2日目の朝・・・私は体の上に何かが乗っているような感覚で目が覚めた。
それが何なのか確認するため枕もとの眼鏡を取ろうとしたが、どうもその必要はないようだ。
彼女は裸眼でも認識できるほど私に顔を近づけていた。
昨日一番早く寝たんだから、早く起きるのはわからんでもないが・・・だからって私まで起こさんでもいいのに。
はっきりとしない頭でそんなことを考えていると、私の唇を彼女の唇が塞いだ。
「・・・おい、誰かに気づかれたらどうするんだ?みんな隣で寝てるんだぞ。」
まだ私たち2人以外はみんな眠っているようだ。
「大丈夫だって!音立てなければ・・・外もまだ暗いし。」
お互いが耳元でやっと聞き取れる小声で話す。
確かに誰も起きる気配は無いが、なにもこんなとこで・・・と言い返そうとした途端、智はまた私の唇を塞いできた。
舌が入ってくる。しかし、このまま舌を絡ませたら結構な音が出るのではないだろうか。その音で気付かれはしないだろうか・・・。

キスの最中にこんなことを考えるのも変な話だが、私は行為の間もふと冷静になるときが何度かある。
夢中で私を求めてくれる智には少し失礼な話だし、申し訳なく感じるが・・・これも性格なのだろうか。
この時も、私は一生懸命舌を動かす智に罪悪感を感じて、智の求愛に応じることにした。
いや・・・実際は私も智を求めていたのだが。
143続き:2007/03/28(水) 23:45:41 ID:2jWGssrz
智の背中に両腕を回すと、彼女は私の左肩に頭を預けるようにしてよりかかってきた。
私は少し体をずらして、右手を智の胸に持っていく。
Tシャツの中に手を入れ、下着の上から触ろうと思ったが・・・少し悪戯心が芽生えた私は、直接下着の中に手を入れ先端を刺激した。
「あ・・・っ」
突然の刺激に驚いたのか、智の口から声が漏れる。
「おいおい、声出したらみんなが起きちゃうんじゃなかったのか?」
耳元でささやきながら右手をそのまま動かす。
智は何も言い返してはこないが、声が出るのを必死にこらえているようだ。
私の両方の二の腕をつかんでいる智の手のひらに、ぎゅっと力が入るのがわかった。
顔を覗き込んでやると、さっきまでの悪戯っぽい笑顔とはうってかわって顔を真っ赤にしている。
こんな顔を見せられて、彼女をいとおしいと感じない人間がいるのだろうか。
私は、右手を胸から下腹部へと下げていった。

と、そのとき、私の右側で何かが動いた気配がした。
144続き:2007/03/28(水) 23:46:28 ID:2jWGssrz
私の右側に眠っていたのは神楽だ。
昨日、智と二人で私を挟んで枕投げをしていたのをはっきりと覚えている。
起こしたか・・・気付かれただろうか・・・。
恐る恐る顔を右に向けると、神楽は向こうを向いていた。
眼鏡をかけていないし、眠っているかどうかはわからない。
しかし、万一起きていても神楽ならなんとか誤魔化せそうな気もする。
(いやー智の寝相が悪くってさあ)とか(昨日の仕返しにちょっと悪戯してやったんだ)とか・・・。
向こうも寝ぼけてるだろうし大丈夫かな、などと考えていると、

「よみ・・・どうしたの?」
私が右に向けた顔とは反対側から智の控えめな声がする。
あぁ、また私は智を放っておいて別の考え事をしてしまっていた。
彼女のまっすぐな目が、私の胸を少し締め付る。
返す言葉が見つからなくて、
「いや、なんでもない」
首を180度まわしてキスしてやると、彼女は幸せそうに笑った。
その顔を見ていると、この関係がバレることなど非常に些細なことのように感じ、動きが止まってしまっていた右腕を背中に回して彼女を強く抱きしめた。
145名無しさん@秘密の花園:2007/03/29(木) 00:39:28 ID:P4BnN+wC
かおりんという公式百合キャラがいるおかげで
他のキャラへの妄想も働きます


727 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2007/03/22(木) 23:49:29 ID:FFv37gQw

めくるめく百合世界の一端


    にゃも←―(半同棲)―→ゆかり
     ↑                    よみ
 (部活のついでに                ↑
    肉体指導)           (切っても切れない縁)
     ↓                     ↓
     神楽 ←(類は友を呼ぶ・胸の争い)→ とも
     |↑                    |↑
     ||                    ||
(憧れのライバル/           (いじりたい/
   数少ない話し相手)          子供じゃないです!)
     ||                    ||
     ↓|                    ↓|
     榊 ←―――(保護者的存在)―――ちよ←―┐
     └―――――‐(かわいがる) ――→┘ (ほんわか仲良し) 
     ↑                           |
     ├―――(不思議世界を共有)――→大阪 ←┘
     |
(実らない公認の想い)
     |
    かおりん
146名無しさん@秘密の花園:2007/03/29(木) 06:31:23 ID:356lGEv3
>>142-144
翌朝、榊の布団の中にもぐりこんでいる智を見て、激しく嫉妬する暦なわけですな。
147142:2007/03/30(金) 01:47:00 ID:vnrafs+A
お目汚し失礼。昨日から妄想が止まりません
個人的には神楽は純愛が好きです


私は今日の朝見たことを暦と智に尋ねるかどうか悩んでいた。

朝、早くに目が覚めると私の隣で寝ているはずの暦の布団が不自然に盛り上がっていた。
目を凝らすとどうも2人が重なっているようだ。上に乗っているのは・・・智だ。
智は去年のこの旅行で隣で寝ていた榊に抱きついたほどの寝相だ。
智のやつ、暦の方へ転がってきたんだな・・・と思った瞬間、二人の唇が重なった。

とっさに寝たふりをしたが、正直私はそんなに驚いてはいなかった。
普段から仲の良い二人だ。
表面上は冗談や悪戯や喧嘩ばかりだが、二人の間からは幼馴染や腐れ縁といったもの以上の何かが感じ取れた。
そのことを聞くのは簡単である。冷やかしてやろうかとも思う。
しかし私はもっと他に知りたいことがあった。
おそらく、二人の関係を確認した後すぐ質問するのがいいだろう。
こういうことはタイミングが大事である。
智に聞くべきか・・・。暦に聞くべきか・・・。
考えるまでも無く暦に聞くのが無難だと判断した私は、昼過ぎに暦を散歩に誘った。

148142:2007/03/30(金) 01:47:53 ID:vnrafs+A
外に出てすぐにでも話を振ろうと思っていたのだが・・・いざ聞くとなると意外と緊張するものである。
しばらくは他愛も無い話をしながら、砂浜までの道を下る。
やっとその質問をしたのは、暦が砂浜を引き返そうとしたときだった。
「・・・あのさ、今日の朝のことなんだけど」
暦はしばらく黙っていたが、少し笑って言った。
「そうか。やっぱり起きていたか」
どうやら暦も私が起きていたことに気付いていたようである。
「あのさ、なんていうか、・・・その、付き・・・合ってるわけ?」
言った自分の顔が熱くなっていくのがわかった。
「付き合ってるなんて改めて言われると恥ずかしいもんだな」
暦は悪戯っぽく笑っている。
私はこういうときでも冷静な暦をひどく大人っぽく感じた。
「みんなには話さなきゃと思ってたんだ。いい機会だし戻ったら発表するよ」
私の顔をしっかり見て受け答えする暦の目には、顔を真っ赤にした私が写っていたのだろうか。
「・・・あんまり気にするなよ。別に今までと変わりゃしないよ。それに気を使われたらこっちだってやりにくいんだ」
そんなことはわかっている。私だって子供じゃない。
私が聞きたいのはもっと別のことだ・・・。
「さぁ、戻ろうか。神楽。すぐ発表会だ」
戻ろうとする暦に、私はこのタイミングしかないと感じた。
「待ってくれ!相談に乗ってほしいことがあるんだ・・・」
「相談・・・?なんだこんなときに」
この気持ちを他人に打ち明けることができるとは夢にも思わなかった。
「私、榊が好きだ」
149名無しさん@秘密の花園:2007/03/30(金) 18:36:57 ID:hx/Smoyi
>>147-148
初々しく、そして素晴らしい。

今気づいたんだけど
ちよが「巨人好き」ってのは、暗に「大きな人」=榊さんが(ry
150名無しさん@秘密の花園:2007/03/30(金) 21:24:20 ID:o268axaw
>147-148
>智に聞くべきか・・・。暦に聞くべきか・・・。
>考えるまでも無く暦に聞くのが無難だと判断した私は、昼過ぎに暦を散歩に誘った。

さりげなく智に対する評価が酷いね、神楽。まあ正解だけど(w
神楽の相談に暦がどう答えるのか続きが楽しみです。

……しかし、この展開だとかおりん失恋ですか。むう。
151142:2007/03/30(金) 23:04:05 ID:rAL5NpKp
暦は少し驚いているようだったが、私は間を置かずに頭に浮かぶこと全てを口にした。
「その・・・よみととものことがあったから、影響されたとかいうんじゃないんだ。榊はずっとライバルで・・・憧れてて・・・
最近それだけじゃない別の感情に気付いたんだ・・・。
でも、女同士なんて変だと思って・・・ずっと考えないようにしてた。だけどよみが・・・ともとそういう経験のあるよみが
相談に乗ってくれれば・・・。聞いてくれるだけでもいいんだ。
・・・榊に伝わらなくてもいいんだ。よみに何か言ってもらえれば気持ちがすっきりするような気がして・・・」
暦は驚いた顔のまま聞いていたが、やがて穏やかな表情になって言った。
「私達は・・・女同士だから特別どうしてるってわけでもないんだ。普通の恋愛と変わらないと思ってる。だから経験があ
るって言ったって、月並みなアドバイスしかできないと思う・・・。“伝えないよりは伝えたほうがいい”とかさ」
この答えは少し予想外だった。それはどちらかというと智の口から出てきそうな答えだ。
「・・・ちょっと意外だな。よみはそういうのすごく気にしそうだからいろんな話も聞けると思ったのに」
暦の穏やかな笑顔は変わらない。
「ともやお前達を信頼してるからな」
「私達を信頼?」
「そう。そんなことくらいでどうにかなる仲間じゃないと思ってる。現に神楽、お前そんなに驚いてないだろう」
確かに、どちらかといえば驚きよりも祝福の気持ちが強い。
「榊もきっとそうだよ。お前の気持ちを受け入れるかどうかは別として・・・それを聞いてその後の関係が破綻するような
仲じゃない・・・。なら“伝えないよりは伝えたほうがいい”だろう?」
「月並み・・・だな!あはは、肝心なとこはうやむやじゃないかよ」
「それはお前の努力しだいだろう?まぁ協力はしてやるって」
言って歩き出すと、心が晴れわたるようだった。
152142:2007/03/30(金) 23:04:51 ID:rAL5NpKp
別荘に戻ると、そのまま智と暦の発表会が開かれた。
案の定、榊も大阪もさほど驚いていないようだった。
ちよちゃんだけは少しぽかんとしていたが、何かを感じ取った様子で、笑顔で
「おめでとうございます〜!」
と言った。あいかわらずよく出来た子だと思う。
「あ〜、でも私はちょっとそんな感じは気付いとったで?・・・あ、この感じはあれに似とるなぁ。バンド内でボーカルと
ギターが付き合いだした時のベースの気分。・・・なんや嬉しいような、うらやましいような」
「大阪何言ってんだよ?」
「・・・ところでいつ頃からなんや〜?」
「それはよみがー」
なんだか嬉しそうに説明する智を暦は静かに見守っていた。
153名無しさん@秘密の花園:2007/03/31(土) 15:21:07 ID:qZL4yUmT
イイハナシダナーw
154名無しさん@秘密の花園:2007/03/31(土) 17:54:27 ID:gpaB0l4L
いいはなしだ
現実ではなしえない2カップル/6人ができてしまう世界は清清しい

よくよく考えると気になること:
卒業式の後(アニメでは最終話)でかおりんが榊さんと写真撮る前に
大阪が一緒になってるんだけど……。

なぜ六人でなく二人なんだろう
155※142氏とは別の者です:2007/04/01(日) 03:24:40 ID:n6AZb/Vz

「ちよちゃん」
「なーんですか」
「……高い高い、していい?」
帰り道、後ろからあいつらの姿をじっと見て歩いていた。
ただののんびりとした風景のはずなのに、私の心は熱くなりっぱなしだ。
榊、顔が赤いのはどうしてなんだ。
子供のちよちゃんを持ち上げることくらい、恥ずかしくないだろ?
「はい。お願いします」
最初は普通にかわいいと思っていたこの笑顔も、今ではなあ。
いや、ちよちゃんが嫌いなんてことはないんだ。むしろ大好きだ。
「怖く、ないか」
「ええっ?そんなことないですよ」
「滝野さんの時」
「あ、ともちゃんはね、そういう人ですから」
修学旅行の話か。
智のアレも、きっとちよちゃんがかわいいからやってるんだと思うんだ。
いつも猫やぬいぐるみばっかり求めている榊にとってももちろん同じだろう。
「ともちゃんより高いです!榊さん、さすがですね」
当たり前だよなあ……二人とも楽しそうだ。
私は友達だから、いつも触れ合っているから、ここで声を掛けてもいいはずだよな。
だけど、声が出ない。少しも近づけない。
榊の顔と同じくらい、自分の顔も今赤くなっているのかもしれない。
きっと、智に胸のことを言われたときの何倍も何十倍も。
「やっぱり、かっこいいです」
……だめだよ、ちよちゃん。
ずっと見てきたけど、あいつは「かっこいい」よりも……
156名無しさん@秘密の花園:2007/04/01(日) 03:25:20 ID:n6AZb/Vz

「でも、ちよちゃんは」
ほら、やっぱり。かわいい方が好きなんだろ。
私なんか、かわいさなんてちっともない私なんかより。
「あれ、神楽さんどうしたんですか?」
「え、あわわわ、いや、あの」
何考えてるんだ、私!ここはいつもの帰り道だぞ。
最近、榊と一緒に帰るとこんなことばっかり。
「事故には気をつけてくださいよー?」
え、そんなに危ない動きをしてたかな。
「顔が、赤い」
いや、それはお前だっておんなじ、って。
ちょっと待て!なんで手を乗せてくるんだ?
「あ、熱も」
「熱ですか?た、体調にも気をつけなきゃですね」
――だめだ。
誰もまだ私の気持ちを知らない。
誰にもまだ、私の気持ちを知らせられない。
ああ、早くその手をどけてくれ。もう限界だ。
これ以上榊に近づいていると、おかしくなっちまう――
「さ、さかき」
いつも通り話しかければよかったのに。
不思議そうに私を見るお前の視線が痛い。
「あのさっ。ち、ちよちゃんが、ちよちゃんの番が終わったら、私も」
高い高いなんて、女子高生二人でやるもんじゃないぜ。
なのに、私ってば。
「そうですか。たまにはこういうのも楽しいですよ」
本当はそんなもんじゃだめなんだ。
もっと、ぎゅっと抱きしめてほしかったり……何考えてんだ、自分。
157名無しさん@秘密の花園:2007/04/01(日) 03:26:29 ID:n6AZb/Vz

それでも榊は言うとおりにしてくれた。
足を抱えて持ち上げられると、青空が少し近くなった。
でも、見上げている余裕なんてなかった。
自分の体を軽く支えている榊の顔が気になって気になって。
ちょっと前までこういう時はいつも「勝負だ」なんて言ってたし、
今でも逆にあいつを持ち上げて驚かせてやろうか、なんてちょっと考えている私だけど。
それは、止められない心の裏返しでしかないんだろうな。
――わかった。止めているからだめなんだ。思い切って伝えてみよう――
「ちょっと降ろしてくれ」
地面に足を着けて、私は榊の目をじっと見る。
ちよちゃんを上げていたときの赤い顔はもうない。
ただ見つめ返す黒い瞳があるだけ。
たった一つの言葉で、どんな結果になっても全部が済むんだ。
「好きだ」と言いさえすれば……。
――――気づいたら、私が榊を抱きしめていた。
恥ずかしいくらいに大きい自分の胸が、体格にちゃんと合った榊のと合わさってる。
「分かるか?榊、私は」
もうこのまま全部口に出してしまいそうな時に。
「神楽さん」
ちよちゃん!どうして泣いてるのさ。悔しいことでもあったのかよ?
「なんで、なんで早く言わないですかっ」
はやく、何を?
「『大人になりたくない』って、どういうことだったんですか!
 神楽さんは『就職とか結婚とかは考えてない』って言ってましたよね?」
「え、ああ、あんまり考えてないけど、それが」
「けっこん、とか……そういうことなんですね」
涙がぼろぼろと流れてる。もしかして、私が悪いのか?
「榊さんを好きな人がいるんですね」
いきなりの質問に答えられなかったけど、ちよちゃんはもう一度言ったんだ。
「好きな人がいるんですね」
158名無しさん@秘密の花園:2007/04/01(日) 03:27:42 ID:n6AZb/Vz

いきなりの質問に答えられなかったけど、ちよちゃんはもう一度言ったんだ。
「好きな人がいるんですね」
それでも、私はまだ本当のことをみんな言えなくて。
「いや、まあ。確か、かおりんとかが好きみたいな感じだけど」
「違います!神楽さんはどうなんですか」
お願いだ、頼む、泣きやんでくれ。
これ以上私に向かって叫ぶのはやめてくれ。
「かぐらさん!」
「ああ、好きだよ、好きなんだよ!私は榊が好きで好きでたまらないんだ!」
「……そうですか」
ちよちゃんが静かになった。
あれ、目が……プールを泳いでる時みたいだ。
塩素がしみてるのかな、違う、でもちょっとおかしい。
地面に水がぽたぽたと落ちてる。さっきのちよちゃんみたいに――
――涙、か?
「私も榊さんが好きなんですよ」
今度は笑顔だ。ちよちゃんはきっと、ふっ切れたんだ。
私の気持ちを聞いてくれてありがとう。
今までずっと悩んできたことが全部よくなりそうだ。
――もっと早く、言えばよかった――
「私は……どうすればいい」
声だ。私のでもちよちゃんのでもない声。
いつもは無表情のあいつの顔が変わっている。
私ももうふっ切れているんだ。堂々と口に出せばいいんだ。
「そうだ、とりあえず歩こうぜ。またちよちゃん家まで行くか?」
「いいですよ。行きましょうか」
「……うん」
三人が一緒に歩く。
二人が笑ってる。
一人は、そう、榊は――――。
159名無しさん@秘密の花園:2007/04/01(日) 23:46:43 ID:hQYRVMhg
なんか切ない
160名無しさん@秘密の花園:2007/04/02(月) 14:28:55 ID:K2XsxsZz

VIPより

460 名前: 貸金業経営(東京都)[] 投稿日:2007/04/02(月) 07:51:01.74 ID:8kBf5mXR0
あとアレだ、胸のことを指摘されるたんびに赤くなるアレ。
神楽の私服はズボンが多い印象があるが、
無意識に「女の子らしさ」を締め出そうとしているととれる。
同様に、胸のことを言われて「どうでもいいだろう」と
無理矢理はぐらかそうとするのもそうだ。
しかし逆に言えば、神楽本人こそが自分の内面にある
女の子の部分を誰よりも強く意識していると言える。
自分の心の中にある女の子の部分を直視して
いちいち赤面するなんて、これ以上の女の子らしさがあるだろうか!

469 名前: あおらー(神奈川県)[] 投稿日:2007/04/02(月) 08:40:17.08 ID:jxVGGTkJ0

(一部省略)

>>460の言うとおり、神楽は「カッコいいけど、もっとカッコよさに近づきたい女の子らしい女の子」
で、逆に榊さんは「カッコいいけど、かわいさに近づきたい、ある意味で女の子らしい女の子」となる。
「ある意味で」が重要なんだ。
ただ「自分がかわいらしくなりたい/かわいいペットや品物が欲しい」のではなく、
その上に「かわいい女の子=女の子らしい女の子そのものが欲しい」が加わっている。
ちよちゃんに対する妄想とか、マラソン大会の女の子の声援に対する返答とかいろいろあるが、
端的に言えば榊さんはロリコンだ。あんなに女の子を欲しがる女子高生もそうそういない。
そこで「カッコよさを求める女の子らしい女子高生」と「女の子らしさを求める女の子らしからぬ女子高生」ができる。
あとは……想像に任せる。
161名無しさん@秘密の花園:2007/04/03(火) 17:46:03 ID:BrJYLuJn
素晴らしい考察だ。その二人の組合せはもはや究極ということか。
162名無しさん@秘密の花園:2007/04/04(水) 01:27:50 ID:EgJh7Dre
「今日は私がよみやるから、よみが私ね!」
ともは私の部屋に上がりこむと突然妙なことを口走った。

その日はテストの最終日で、午前中に数学と英語の試験が終わると正午を待たずに下校となった。
学食でお昼を済ませ、いつもの6人で帰り道を歩く。
テストも終わったし明日からはしばらくのんびりできるなと他愛も無い会話をしていると
「これからよみん家言っていーい?」
ともが突然聞いてくる。
今日は金曜日だ。明日、明後日と休みで、することもない。
断る理由が無い私は二つ返事で了承した。
よくともは私の家に来る。
ただ、いつも学校で見せるような悪ふざけはしてこない。
雑誌や漫画を読んだりくだらない話をするだけだ。
ともの私に対する悪戯は、周りに笑ってくれる人がするからするのであって、別に私を困らせたいわけではない。
私はそう思っていたが、その日は少し違ったようだった。

両親が夜まで帰ってこないことを私に確認すると、ともは先に部屋に入っていった。
私が後から入ってドアを閉めると、振り向きながらともが言う。
「今日は私がよみやるから、よみが私ね!」
私が何言ってんだと聞くと、
「いっつも私がボケてあんたがツッコミじゃん?たまには入れ替わろうよ。」
なんて言っている。
「お前がツッコミなんかできんのかよ。そもそも私がボケなきゃ・・・。」
鞄を置きつつしゃべる私の横からともがメガネを奪う。
「何すんだよ!」
「いーからいーから。こういうのは形が大事なんだよ。」
言いながらともはフレームからレンズをはずしてしまったようだ。
163名無しさん@秘密の花園:2007/04/04(水) 01:28:32 ID:EgJh7Dre
この部屋の広さなら裸眼でもそれほど問題は無いが・・・。
伊達になった私のメガネをかけたともが言う。
「あとそのニーソックスも貸してよ。」
何を言っているんだこいつは・・・。
そう思ったが、ともは私の足に絡み付いてくる。
メガネを盗られてあきらめ気分な私は、ほぼ抵抗もできないままニーソックスを奪われてしまった。
「よし、だいぶよみに近づいたかな。」
わたしは裸眼で生足になっただけで、ともには近づいていないが・・・ともはもう満足しているようだ。
「とも、もういいだろ?早く返してくれよ。」
私が半ば呆れ気味に言うと、
「違う!私はともじゃないの!よみって呼んでくれなきゃ。“とも”、ボケてみてよ。ツッコむから!」
なんて言っている。
私がしばらく黙っていると、彼女は独り言を始めた。
「ツッコミ上手だよ〜。」
「カラオケは苦手だよ〜。」
「シュークリーム食べたいな〜。」
この光景はどこかで・・・。
あ、文化祭の出し物を考えていたときに『ちよちゃんショー』とか言ってちよちゃんの真似してたっけ。
などとしばらく傍観していた私だったが、
「あ〜あ、またダイエット失敗したよ〜。」
の一言でともに飛びかかっていた。
ベッドの上で馬乗りになってともからメガネを奪い返そうとすると、ともは私に鼻がくっつくぐらい顔を近づけてきた。
「“とも”、好きだよ。」
164名無しさん@秘密の花園:2007/04/04(水) 01:30:25 ID:EgJh7Dre
少し顔を離し、ともは続ける。
「もしもシリーズだよ!もし私がよみだったら。」
「もしともが・・・私だったら?」
「そう。私があんただったら。よみはともちゃんに告白しちゃいます。」
メガネはかけていないが、この距離ならともの真面目な表情はハッキリと見える。
ただ、見えなくともその語気から真剣さは伝わっただろうが・・・。
無言のままメガネを取り、レンズをはめ直してともの方を見る。
ともは少しバツの悪そうな笑顔でベッドに座っていた。
えへへと恥ずかしそうに頭をかくともが、私はたまらなく可愛く思えた。
「とも、好きだよ。」
そう。ともが私じゃなくても、私が私でも・・・よみはともちゃんに告白しちゃいます。
ともは驚いた表情だったが、やがて笑顔になって私に抱きついて、どちらともなくキスをした。
私は飛びついてきたともの体をベッドに戻し、覆いかぶさって今度はともの唇を舌でこじ開けた。
ともは私の舌を味わいながら幸せに浸っているようだ。
私が制服と下着をたくしあげてもともは抵抗しなかった。
165名無しさん@秘密の花園:2007/04/04(水) 01:31:15 ID:EgJh7Dre
ともの胸は私のより一回りか二回り小さかったが、敏感だった。
彼女も私の胸を下着の上から触っていてくれたが、私が少し先端を刺激するとその手は止まった。
私は、右手でともの左の胸を触り、左手は私の左胸にあてられたともの右手に添えた。
お互いの心臓の音が感じられる。
ともの足が絡みついてくる。
まだともが穿いたままのニーソックスの感触が私のふとももに伝わってくる。
そういえば私がさっきまで穿いてたのをそのまま穿いてるんだよな・・・などと考えると私は一層興奮した。
幸せと快感の波に溺れていると、ともの左手が私の下腹部を触った。
「よみ・・・」
弱々しくささやくとものスカートをめくり、手を添える。
すでに下着の上からでもわかるほど濡れていたともの割れ目に指を入れると、ともも同じように私の中に入ってきた。
私が指の動きを速めると、ともの指も同じように動く。
いつしか私達は、腰をくねらせ、胸をこすり合わせるように動いていた。
「よみ・・・キスして。」
こんな可愛い要求を誰が断れるだろうか。
重ねた唇からお互いの声が漏れる。
私はともに中指を入れたまま、親指でクリトリスを引っかいた。
ともは今までに無い大きな声を上げたが、指は私と同じ動きをした。
ともの中の私の中指が痛いほど締め付けられるのが感じられる。
と同時に私も、ともの指をきゅっと締め付けているのがわかった。

私達はしばらくぐったりしていたが、ともが私の手を握りながら言った。
「告白はよみからだよね。」
166名無しさん@秘密の花園:2007/04/05(木) 01:46:26 ID:hqNxe2zK
こういうこそばゆい甘甘なのはじっくり読みたいねえ。
もうちっと量があったなら、かなり身悶えしていたに違いない。
ともあれ二人の一足早い春の訪れ、楽しませてもらいました。
167名無しさん@秘密の花園:2007/04/07(土) 18:51:42 ID:QYWit1MK
 ともよみ!
          (^( ゚∀゚)^)
  ('(゚∀゚∩    )  /
   ヽ  〈   (_ノ_ノ
    ヽヽ_)     ともよみ!
168名無しさん@秘密の花園:2007/04/07(土) 19:24:48 ID:dnzvpikF
なんかエロパロを榊中心で
こっちをよみとも中心にした方がおもしろいかもwww
169名無しさん@秘密の花園:2007/04/07(土) 21:27:43 ID:kaCwZXG6
「あゆは今日休みなんだ?いいな〜!」
髪をとかしながら智ちゃんが聞いてくる。
私のことを大阪て呼ばんくなってからもうどれくらい経つやろ。
今が七月やから・・・まだ二ヶ月か、三ヶ月やなぁ。
「えへへ〜、ええやろ?そのかわり今日はおいしい夕飯作っといたるから。」
布団の中から答えた。
最初はかわりばんこて言うた給食当番も、今はほとんど私専門や。
最近はなかなか上手になってきたと思うねんけど・・・。
「ほんと?じゃあお好み焼きにして!あれおいしんだよ〜」
やっぱり。
初めは焦がしたりしとったけど、今では得意料理の一つやねん。
智ちゃんがおいしいて言うてくれたで頑張ったんやで。
「ええで〜。冷蔵庫にキャベツも残っとったし、卵も賞味期限切れそうやったでちょうどええわ。」
肝心なお好み焼きの素は買い溜めてあるし、お肉は・・・ベーコンでええか。
今日は買い物に行かんで済みそうや。
こういう日は一日中パジャマでおってもええなぁ。
あれ?今日は何曜日やったっけ。
「じゃあ、期待してるからね!」
鏡台からすくっと立ち上がって智ちゃんが振り向いた。
薄めやけど流行りの感じのお化粧。
ピンクのキャミソールに膝下までのタイトなデニム。
髪はショートカットのままやけど、高校のときよりも大人な智ちゃんは寝起きの私には少しまぶしかった。
私が体を起こしてベッドに座ると、智ちゃんは私にキスしてくれた。
小鳥がついばむような短いキスやったけど、
「えへへ〜」
自然と笑ってしまう。
今の顔はええ顔やろなと自分で思ってしまうのは変やろか。
そんな私の頭を智ちゃんはよしよしとなでてくれた。
やっぱりええ顔やったみたいや。
「いってきます」
「いってらっしゃい」
智ちゃんはもう一回キスしてくれた。
170名無しさん@秘密の花園:2007/04/07(土) 21:29:47 ID:kaCwZXG6
「いや〜、おいしかったよ。ごちそうさま!」
「ごちそうさま。今日は皿洗いは智ちゃんの番やで。」
「わかってるって。でもさ〜、ベーコンはどうなのよ?豚肉とか無かったの?」
「え〜、おいしかったって言うたやん。それにちょっと多めに入れたんやで。」
「いやいや、おいしかったんだけどさ、なんか珍しいかなと思って。普通に入れるもんなの?」
「普通も何も、好きなもんを入れるからお好み焼き言うんやで。」
智ちゃんも皿洗いくらいはしてくれる。
台所から
「じゃあ次はカレー入れよう。カレー」
なんて言いながらもきちっと皿を洗う智ちゃんをみとると、なんやお互いが少し大人になった気分や。
「智ちゃんてやー・・・ちょっと大人になったよなあ」
手を止めずに智ちゃんは言う。
「当たり前だろ〜。あんたも結構しっかりしてきたと思うよ」
そやろか。
高校のときは全然しっかりできんかったんやけどなぁ。
自分ではようわからん。
でも、私のことを一番わかってる智ちゃんが言うんやから間違いないやろ。
私はちょっと嬉しなった。
「そういえばさ、明日って暇?よみが遊びに来たいって言うんだけど」
明日?あ、今日は金曜日や。
「ええよ〜。よみちゃん久しぶりやなぁ。」
「よし!じゃあシュークリームでも買ってきてやるか!」
皿を洗い終わった智ちゃんはリビングに戻ってきながら笑顔で言った。
その嬉しそうな顔を見た瞬間、私の胸がちょっとだけチクっとなった気がした。
171名無しさん@秘密の花園:2007/04/07(土) 21:31:02 ID:kaCwZXG6
お昼過ぎによみちゃんが来た。
よみちゃんが私たちの部屋に来るのは始めてや。
ルームシェアし始めたて伝えてから、来たい来たいとは言うてたみたいやけど。
「お〜、結構広いじゃん。私のとこなんかこの半分くらいだよ」
よみちゃんは高校のときとあまり変わってなかった。
まぁ二、三ヶ月しか経ってないんやし、私も変わってへんか。
それによみちゃんは前から大人っぽい格好しとったからなぁ。
「田舎だからね〜。そんなに家賃も高くないんだよ」
「楽園やで〜。私たちの城」
部屋を一通り見たら智ちゃんが早速シュークリームを出してきた。
「よみは抹茶と普通のやつどっちがいい?」
お茶は私が淹れる。
紅茶なんてあらへんからシュークリームに緑茶なんやけど、ないよりましやろ。
「でもまさかこの組み合わせでルームシェアとはな。ちゃんと自炊してんのか?」
あ、智ちゃん言うてあげて。
私が料理結構上手になりました〜。
「うん。ほとんど大阪がしてくれるんだけどね」
172名無しさん@秘密の花園:2007/04/07(土) 21:32:26 ID:kaCwZXG6
え?
今なんて言うたん。
私、台所におって聞こえにくかったんかな。
「お茶淹れたで〜」
ともちゃんはもうシュークリームを食べ始めてた。
「本当かよ。想像つかないな〜。まぁ智よりは出来そうな気がするけど」
「なんだったら食べてけよ。お好み焼きうまいんだぜ!」
「え〜、昨日もお好み焼きやったやんか〜」
あ、抹茶が残ったんか。
抹茶シュークリームに緑茶て・・・洋食やろか和食やろか。
「いや、今日はやめとくよ。明日用事もあるし」
「お、日曜日に用事とは。デートですかにゃ〜」
「違うよバカ。実習だ実習」
日曜日に授業があるんか。
やっぱり大学生は大変やなぁ。
「休みの日に実習かよ。大学生は大変ですな〜」
・・・ん、おんなじこと考えとった。
「お前も大学生だろうが」
「ふん!我々はお前と違ってキャンパスライフを満喫しているのだ〜!な、大阪」
173名無しさん@秘密の花園:2007/04/07(土) 21:34:12 ID:kaCwZXG6
あ・・・やっぱり大阪て言うてる。
いや、ちゃうねん。わかってるねん。
智ちゃんは、よみちゃんには私らのことはまだ秘密にしとくつもりなんやろ。
それやったら大阪て呼ぶのも当たり前やんか。
わかってるねん。
私は子どもやない。それぐらいわかってるねんで。
「そやで〜。せっかくの大学生活を楽しまなあかん」
・・・うん。大丈夫や。
久しぶりによみちゃんに会えたのに私は何を考えとるんや。
もう大丈夫。大丈夫や。
「はぁ〜。そう言うと思ったよ。だいたい智は昔から――」
楽しそうに昔話をする智ちゃんとよみちゃんは、まるでその当時に戻っとるようやった。
私は久しぶりの昔話を楽しむ智ちゃんを、見ることしかできひんかった。
嬉しそうな智ちゃんを見とると私も嬉しなってくる。
ただ・・・心臓らへんがきゅってなる気がしたけど、考えんことにした。
昨日よみちゃんが来るって聞いたときより何倍も痛かったけど。
174名無しさん@秘密の花園:2007/04/07(土) 22:19:22 ID:kaCwZXG6
夕方、よみちゃんは
「また来るよ」
とだけ言ってあっさり帰っていった。
こんな時間なんやから、本当にご飯食べていったらよかったのに。
あれは彼氏ができたっていうのは図星かもしれへんなぁ。
「さて、夕飯何にしよっか。買い物行く?」
そやな・・・まだ冷蔵庫の中身は減ってないような気がするんやけど。
カレーぐらいやったら出来るんちゃうかな。
・・・あ、そうなるとお肉はまたベーコンか。
「え?あゆ、どうしたんだよ!?」
あ、智ちゃんもう私のこと名前で呼んでくれるねんな。
嬉しいわ〜。
ん?どうしたってどういうことや?
私なんかしたんか?
「どうしたの?何泣いてんだよ〜」
175名無しさん@秘密の花園:2007/04/07(土) 22:22:22 ID:kaCwZXG6
・・・泣いとんの?え?私が・・・?なんで・・・。
あ・・・泣いとるわ。
あかん。大丈夫なはずやのに。
胸がぎゅってするだけやねん。大丈夫やねん。
「・・・あ、私が大阪って言ったから・・・?あゆ・・・」
ちゃうねん。あかんねん。
泣くとこやないねん。わかってるねんで・・・。
「ちゃうねん。わかってるねん。よみちゃんにはまだ秘密やから大阪て言うのは当たり前やねん。わかってるねん」
「ごめん!ごめんな。」
「智ちゃんが悪いんやないねん。私が・・・勝手に・・・。泣くつもりやなかったのに・・・」
あかん。止まらへん。
しゃべればしゃべっただけ涙も出てくる。
私あんま泣かへんのに。
あかん。・・・もう大丈夫やないかも。
痛い痛い。胸がきゅってなるねん。わかってるねんけどなぁ・・・。
智ちゃん、ぎゅってして。
涙が止まれへんねん。悲しいわけやないのに。
なんや、いろんな物があふれてまう。ぎゅってして。
「ともぢゃん・・・ぎゅっでじて・・・」
智ちゃん・・・。
智ちゃんも泣いとんの?涙でよう見えへん・・・。
やわらかい。あったかいなぁ。
・・・あ、ちょっと大丈夫になったかもわからん。
智ちゃんの背中を腕でぎゅってしたら、胸が締め付けられてたんがとけてくみたいや・・・。
ごめんな。勝手に泣いてわがまま言うて。
せっかくしっかりしてきたのにな。
ああ、今私涙ですごい変な顔かも。
でもええねん。しばらくぎゅってしてもらっとこ・・・。
176名無しさん@秘密の花園:2007/04/07(土) 23:01:11 ID:kaCwZXG6
「あんな、わかってるねんで。ごめんな。智ちゃん」
どれぐらい経ったやろか。一時間ぐらいにも感じるし、十分ぐらいなんかもしれん。
私は落ち着いたけど、智ちゃんはぎゅってしてくれたままや。
「ごめんね。もう大阪って言わないよ・・・」
私の頭をよしよししてくれる。
「ちゃうねん。多分、もう大丈夫やから・・・。あんな・・・」
「・・・」
「よみちゃんが羨ましなってしもてん。智ちゃんと過去がきょう・・・共有できるやん。私、そういう人おらへんから・・・。
そんな無茶言うたらあかんのはわかってるねんけどやぁ・・・」
「そうか・・・」
あ、智ちゃんどこいくの。
携帯・・・。
「―――あ、よみ?」
え?よみちゃんに・・・。
あかんで!私とよみちゃんとどっちとるとか聞いてるわけやないねん。
あかん、やめ・・・
177名無しさん@秘密の花園:2007/04/07(土) 23:02:42 ID:kaCwZXG6
「私と大阪・・・いや、歩さぁ、今付き合ってんの」
・・・あ、ちごた。
「うん。え?詳しいことはまた次に話すよ。楽しみにしてて!じゃあ!」
智ちゃんは携帯にむかっていつもの明るい口調で話した。
「・・・ふぅ」
携帯を置いた智ちゃんは私のとこへ来てまたぎゅってしてくれた。
「私のファーストキス、あゆだよね。」
うん。私も初めてや。
「初めてエッチなことしたとき、あゆは痛い痛いって言ってたよね」
智ちゃんもちょっと痛そうやった。
「今度の誕生日は、何がほしい?」
え?まだまだ先やで。
「そういう“これから”をさ、私はあゆと共有していこうと思ってるわけよ」
あ・・・。
「ずっとず〜っと先まで共有していくつもり」
智ちゃん・・・。
「それに、あゆも・・・私と同じくらいよみと親友じゃん」
当たり前やと思ってたことやのに・・・やっぱりまだしっかりはできてないなぁ。
「智ちゃん・・・。」
「あ、また泣いてんな〜」
ちゃうねん。わかってるねん。
これは嬉しいときの涙やねん。

ちゃんとわかってるねんで。

〈終〉
178名無しさん@秘密の花園:2007/04/08(日) 00:02:15 ID:35Qn+Ioc
>>177
いい話、読ませていただきました。
大阪の微妙に揺れる心理状態が興味深かったです。
あゆともは大好きなので感慨もひとしおです。
179名無しさん@秘密の花園:2007/04/08(日) 08:11:29 ID:WrLShf2I
まいった。良作すぎます。
大阪の気持ちがイタイほど伝わってきたし、表現の仕方も面白いものばかり。
GJ。
180名無しさん@秘密の花園:2007/04/08(日) 10:39:28 ID:PGJPyjPr
すさまじい速度で良スレになっていく

供給の少ないあゆともに手をつけた点でもGJ
181142=162=169:2007/04/08(日) 14:34:05 ID:18sB3qHH
書き逃げの拙文なのに、そう言ってもらえるとありがたいです

よかったらリクエストください
自分の好きなのばっかだとシチュ(純愛)とカップリング(定番)が偏る気がします・・・
182名無しさん@秘密の花園:2007/04/08(日) 15:13:25 ID:PGJPyjPr
>>181様 お疲れ様です。功績を称えさせてください

あまり出ていないよみ×榊……いや、これは自分で書きます
ちよ×神楽で、オトナの身体を知ろうとするシチュをお書きくださると非常にうれしいです
183名無しさん@秘密の花園:2007/04/08(日) 23:15:33 ID:u/Kl+3I7
「大阪、そろそろ帰ろ」
「そやな〜。神楽ちゃんも一緒に帰らへん?」
今日はボンクラーズがそろった割には普通の勉強会だった。
「いや、私んち今日誰もいないんだ。で、帰り道で夕飯済ませちゃおうと思って。まだ早いだろ?」
「あ、じゃあ泊まっていったらどうですか?今日はうちも私一人なんですよ」
マヤーをなでながらちよちゃんが言う。
「いいの?悪いな」
「私も一人じゃ寂しいからありがたいです!」
よく考えたらちよちゃんの家に泊まるのは初めてだ。
別荘は毎年行ってるけど、なんか新鮮かも。
「じゃあ、夕飯の献立考えてきますね」
言ってちよちゃんは部屋を出て行った。
本当によくできた子だな・・・。
ある意味私なんかよりずっと大人なんじゃないだろうか。
私はまだ途中だった数式にペンを走らせた。
184名無しさん@秘密の花園:2007/04/08(日) 23:16:40 ID:u/Kl+3I7
「あ〜、ちよちゃんて料理も上手だよね」
「いや〜、お口にあってよかったです」
ちよちゃんはあごまで湯船につかっている。
ちよちゃんちのお風呂は思ったよりは大きくなかった。
鏡の前で体を洗っていると、なんとなく視線を感じる。
「・・・どうしたらそんなに大きくなるんですか?」
えっ!?
そんな・・・ストレートに・・・。
「榊さんやよみさんは背もおっきいからわかるんですけど・・・神楽さんはなんで・・・」
この子は純粋な気持ちで言ってるんだろうか。
ゆっくりちよちゃんのほうを見ると、ほぁ〜っとした顔でこっちを見ている。
どうやら他意はないようだ。
まて。私はちよちゃん相手に何恥ずかしがってるんだ。
笑って冗談のひとつでも返してやらないと・・・。
えっと、こういう時は何て言うんだったっけ。
考えがまとまらない私の後ろで、ちよちゃんが湯船から出る音がした。
185名無しさん@秘密の花園:2007/04/08(日) 23:17:58 ID:u/Kl+3I7
「あ、体洗う・・・うひゃぁ!!」
突然背中にぺとっと肌がくっつくのを感じる。
「神楽さん、ちょっとだけ触ってもいいですか?」
私の背中越しにちよちゃんは腕を出してくる。
「ちょ、ちょっとちよちゃん!待って待って!落ち着いて!」
ちよちゃんの小さな胸が私の背中に当たってるのがわかる。
「えへへ〜神楽さん♪」
いや、今は冗談じゃないって、ちよちゃん!
「可愛いです。神楽さん」
鏡越しに見るちよちゃんは、下ろした髪が妙に色っぽかった。
ふと、ちよちゃんの手が止まり、頬にやわらかいものがあたる。
顔が熱くなるのが自分でもわかる。
「ち、ちよちゃん!こういうのは好きな人同士が・・・」
「私神楽さん好きですよ?」
向き直って話す私に純粋な視線が落とされる・・・可愛い・・・。
「大好きですよ。えへへ」
あぁ、もうだめだ・・・。
私は私の中で理性の壁が崩れるのを感じた。
今日は・・・少しのぼせたかもしれない。

〈終〉


ちよちゃん難しいぃぃぃ
リクエスト聞いといて申し訳ないです
186182:2007/04/09(月) 00:45:03 ID:Ao7TvjXZ
>>183-185

ありがとうございます!
ちよちゃんが純粋さの裏に策略を隠していそうな感じといい
神楽の単純さといい、もうたまりません
187名無しさん@秘密の花園:2007/04/09(月) 01:52:25 ID:Ao7TvjXZ
かなり軽めのよみ×さかを。



「あ、榊じゃん。どした?」
彼女と積極的に話そうとしたきっかけは、決して良いものではなかった。
「君は……何をする、つもりなんだ」
「え、私?んー、なにって言われても」
私がよく知る五人の中でも二番目に常識的、もちろん一番はちよちゃんだが、
と思われた彼女、水原暦。
方向性が意外と似通っていて、逆に親交が薄かったのは仕方がないことかもしれない。
自分の性格上、そんなに多くの人とは関わっていられないのだ。
「面白いからやっちゃうのよね」
話は昼休みにまでさかのぼる。
しゃっくりをしていた春日さんに神楽が殴打を仕掛けたところからは直接見ていた。
結局ちよちゃんに移ったというべきかそうでないか、当然感染症でもないものが
人から人へ移ることはないのだが、放課後も心配で心配でたまらなかった。
比較的早くに治まったので経緯を聞いてみたところ、私の前にいる人が
原因だと知り、帰り際に聴取しに来た次第だ。
「で、何?言ってみな」
「いや、だから。あんまり、ああいう、事を、するのは」
やや高圧的な彼女の話し振りに対し、自分自身のゆっくりとした途切れ途切れの口調。
「それはともに言ってくれよ」
確かにそれはそうなのだが、神楽や滝野さんには明確な悪意が感じられない。
多少やり方や人付き合いが荒いからというようにだけ見えるのだ。
それに対して、
「別に中学校とかじゃ、こんなの普通だったし」
今回の行動には、意図や計略というものが感じられたのだ。
たとえそれが一時の思いつきだったとしても。

188名無しさん@秘密の花園:2007/04/09(月) 01:54:06 ID:Ao7TvjXZ


「わざわざ言いに来るほどでもないんじゃないの?」
「でも、あの、前も……吊り下げて」
「ん?あー、てるてるちよちゃんか。あれもともじゃん」
「隣にいるんだったら、止め」
私の言葉はここで意図せず中断された。
肩に両手を乗せてきて、目の前10cm以内に近づいた彼女の不敵な笑みにたじろいだからだ。
「へっへー。それで?あなたも止められなかったでしょう。知ってるよ」
「うっ」
痛いところを突かれた。あの時はどうしていいのか分からなかったのだ。
「まあでも、そういうところも好きだよ、榊」
顔を近づけたまま、一転して口調を変える彼女。何を言っているのだろうか。
「とりあえず、ありがと。榊さん」
呼び方が変わったことの意味も、感謝される理由も分からないでいた。
「こんなことだけど、話に来てくれて。ちょっと私からは話しかけづらくてさ」
位置関係が元に戻る。
理解しきれていない私に、彼女は別の話題を切り出した。
「動物とかが好きだって、本当?」
「うん」
「熊とかは?」
「好き」
「じゃあ今度、北海道に行けるようになったら土産に買っといてやるよ。いつかは分からないけど」
北海道、たしかにあの場所はキタキツネやエゾシカ、ヒグマのような
本州と違う形態のかわいい動物たちがいる。それもいいかもしれない。
「気長に待っててくれ」
それにしても、この人と私の接点は正直あまりないのだが。


189名無しさん@秘密の花園:2007/04/09(月) 01:54:38 ID:Ao7TvjXZ


「会話する機会がめったにないから、今のうちに一つ」
次は何が始まるのか。
「私は、『榊さん』に近づきたいと思っている。
 でも、『榊』が私に近づいてほしい、とも思っているんだ」
突拍子もない宣言に、ただただあっけに取られているしかなかった。
「ダイエット、始めてるんだ。成功してないけど」
いや、今の彼女は十分均整の取れたスタイルをしている。
「え、あんまり、適正以上に……減らしたら、だめだ」
「そう?でもね、適正じゃないのよ。もっと榊さんに近づかないと」
そう言っていた彼女の顔は、確かに本気だった。
「榊にはわからないかもしれないけれど、私は『榊さん』だけじゃなくて『榊』も好きになりたいんだ。
 だから、もう少し一緒に話そう」
両目を眼鏡越しに見つめながら語りかけている。
「今日最後だけど、これは冗談って思ってもいいよ。
 あんたが本気にしてくれるだなんて思ってないから」
「き、君は」
再び言葉が断ち切られたのは、唇に一瞬軽い圧力を感じたから。
「君はどうして」
「今ので分かるでしょ」
私に触れたのは、間違いなく同じ彼女の唇だった。
「じゃあね。予定あるから」
謎を残したまま、彼女は颯爽と去っていった。

それ以来私の見る目はある程度変わり、彼女とも多少は打ち解けて会話するようになったが、
ここで交わされた土産の約束が不本意な形で実現したあの日まで、発言の真意はわからないでいた。

〈とりあえず終〉

190名無しさん@秘密の花園:2007/04/09(月) 22:13:56 ID:Fu+oqWNK
ありゃいいとこで終わってしまったw
まあ妄想で補完しよう
191名無しさん@秘密の花園:2007/04/11(水) 00:53:17 ID:fYg4/W4C
のんびり待つ良作の春
192名無しさん@秘密の花園:2007/04/11(水) 00:55:46 ID:v58tOaEn
四巻104ページに萌えた人っている?
マヤーの登場に驚く榊にしがみつくちよすけが可愛くて。
193名無しさん@秘密の花園:2007/04/11(水) 06:28:29 ID:fYg4/W4C
マニアックだが理解できる
194名無しさん@秘密の花園:2007/04/11(水) 20:19:14 ID:Lo4kDOcE
>>192 おれもおれも
195名無しさん@秘密の花園:2007/04/11(水) 23:42:04 ID:Bgu1GtL7
今日、神楽が来る。
付き合い始めて一ヶ月。
デートは何回かしたけど、まだ一歩も進んでいない。
手をつなぐのさえ恥ずかしがる彼女。
そんな神楽が今日私の部屋に来る。
こんな状況、誰だって少しは期待するだろう?
外に出るわけじゃないけど、ちょっとだけお洒落した。
お化粧も少しした。
髪もいつもより丁寧に整えた。
香水は…マヤーが嫌がるから持っていない。
今日、神楽が家に来る。
196名無しさん@秘密の花園:2007/04/11(水) 23:42:38 ID:Bgu1GtL7

ピンポーン
独り暮らしを始めてからほとんど鳴ったことのないインターホン。
マヤーが外に出ないよう抱きかかえてドアを開ける。
「よう」
そこにはいつもと変わらない神楽が立っていた。
「いらっしゃい」
「お邪魔しま〜す。お、マヤー久しぶり!」
マヤーはにゃーとないて不思議そうな顔をしている。
神楽を覚えていないのだろうか。
それとも私を取られたと思って妬いているのだろうか。
玄関に鍵を閉め、彼女をリビングへ通す。
普段散らかしているわけではないが、今日は特別きれいにしてある。
お風呂や台所はもちろん、シーツについていたマヤーの毛も全部取った。
そんな私の努力とは裏腹に、神楽はテーブルの横に座ると早速何か言いながら鞄を探り始めた。
「…今日はマヤーに見せたいものが…えぇ〜っと」
厚めの生地のTシャツに、動きやすそうなジーンズ。
いつも通りの彼女に私は拍子抜けしてしまった。
気合いを入れすぎた自分が少し恥ずかしい。
お泊り用の荷物が入っているかもしれない大きめの鞄が唯一の救いだろうか。
「…あった!じゃーん!」
鞄から取り出した彼女の手にはカチューシャが握られていた。
ふわふわの耳のついたカチューシャが。
197名無しさん@秘密の花園:2007/04/11(水) 23:43:31 ID:Bgu1GtL7
「どう?榊?水泳部の新歓でゲームやって、当たったんだ〜」
彼女はいかにも得意そうにそれを見せてくる。
一体何をしようというのだろうか。
まさか。
「じゃーん!猫神楽だぞー!どうだマヤー!がー!」
彼女は両手を挙げ、がーがーと言っている。
マヤーは不思議そうな顔のまま彼女を見ていたが、やがて私のほうによって来た。
すると当然神楽も私のほうに向かってくるのだが・・・
「逃げても無駄だぞ〜。がー!」
うあ、か、可愛い。
だめだ・・・前から猫顔だとは思っていたけど・・・これは反則だ・・・。
「食べちゃうぞー!」
これはもう誘っているとしか・・・あ!
そうだ。神楽はふざけてる振りして私を誘ってるんだ・・・。
「がーがー!」
私が猫好きなのは知ってるし、絶対そうだ。
そうに決まってる・・・。
もうだめだ・・・。
神楽が悪いんだからな・・・そんな可愛い顔で誘うから・・・。
猫神楽・・・ねこにゃん・・・にゃんこ神楽・・・かぐにゃん・・・かぐにゃん!
「かぐにゃーん!」
198名無しさん@秘密の花園:2007/04/11(水) 23:44:55 ID:Bgu1GtL7
猫耳は本当に水泳部の歓迎会でもらったものだった。
当然、マヤーより榊に見て欲しかったんだけど・・・まぁ話題になればいいかな。
可愛いなんて言われたら嬉しいかもしれない。
そしたら榊にもつけてやろうかな。
「じゃーん!猫神楽だぞー!どうだマヤー!がー!」
私の頑張りはむなしく、マヤーは不思議そうな顔をしている。
あ、思ったより恥ずかしいなぁ。
榊がちょっと動揺してる。
うわ〜、すべっちゃったかな。
でも今やめたら不自然・・・
「かぐにゃーん!」
うあ!待って、榊!?
私は抵抗するまもなく榊に抱きかかえられていた。
ちょうどお姫様抱っこのような・・・榊の膝の上に横向きに私が座る形で。
私だって単身恋人の部屋に乗り込んだんだ。覚悟はできてる。
そのつもりで今日は宿泊セットも持ってきたんだけど・・・。
何か榊の様子がおかしい。
私を抱えて、ただずっと頭をなでている。
すごく幸せな状況だけど・・・何か・・・。
199名無しさん@秘密の花園:2007/04/11(水) 23:45:46 ID:Bgu1GtL7
あ、この榊の目はマヤーを見る時の目だ。
そういえば今かぐにゃんて・・・。
榊の顔が近づいてくる。
「待って!榊」
私はあわてて榊の手を振りほどいた。
「榊、今私じゃなくて“猫の私”にキスしようとしただろ」
私の言葉に榊は明らかに動揺してる。
「この展開は不本意・・・ではないけど・・・やっぱ初めてなんだしムードとかあるだろ?」
榊は正気に戻ったのだろうか。
振りほどかれた手を膝において下を向いてしまった。
やばい、少し言い過ぎたかもしれない。
「あ・・・言い過ぎたよ。もとはと言えば耳つけたのは私だしな。悪い」
私は頭のカチューシャを取ってテーブルに置いた。
「だって・・・あんまり可愛かったから・・・」
榊・・・。
なんで私はこうガサツなんだろうか・・・。
自分から猫耳つけといて文句言うなんて。
・・・でも今日は榊も暴走してたよな。
今度は私が榊を抱きしめてなでる。
「榊もすごく可愛かった」
榊の体がぴくんと震えたのがわかった。
体を離し目を合わせる。
しばらく見つめあっていると、榊が先に目を閉じた。
200名無しさん@秘密の花園:2007/04/11(水) 23:47:12 ID:Bgu1GtL7
私からしろってことだよな・・・。
失敗しないようにゆっくり唇を近づけて、触れたのがわかってから目を閉じる。
心臓が飛び出そうなくらい速く動いている。
真っ白になった頭の中に伝わってくるのは、榊の唇の感触だけだった。
一瞬にも永遠にも感じる幸せな時間。
私は唇が離れてもしばらく余韻に浸っていた。
榊もうっとりした表情で私を見ている。
キスの味は甘酸っぱいって言ったのは誰だろうか。
本当に、本当に甘酸っぱい。
「なんて言ったらいいかわかんないけど、すっげー幸せ」
それしか言えない。
幸せ以上の言葉が無いのがもどかしい。
「もうずっとこうしていたいよ・・・ずっと」
うんうんと頷く榊の肩に頭を預けると、彼女が耳元で何かささやいた。
「・・・今度は耳もつけて・・・」
私はふきだしてしまった。
普段冗談なんか言わないのに、この状況で言うなんて。
でもこれは私にしか見せない榊なんだろうな。
預けていた体を起こすと、恥ずかしそうな笑顔の榊がいた。
榊、あんたもめちゃくちゃ可愛いよ。

私は立ち上がり、テーブルにおいてあったカチューシャをつけた。
今度は榊の後ろにまわり、背中から彼女をぎゅっと抱きしめる。
「そんなこと言ってると、かぐにゃん噛みついちゃうぞ」
マヤーが不思議そうにこちらを見ている。
榊は顔を両手で覆ってうつむいてしまった。
私は彼女の震える肩を強く抱きながら、ほっぺに軽くキスをした。
201名無しさん@秘密の花園:2007/04/12(木) 19:51:16 ID:1n8ncFtZ
はわわわかぐにゃーんGJ
202名無しさん@秘密の花園:2007/04/13(金) 05:46:14 ID:KKbqYo90
かぐにゃーん!!!!11111!
203名無しさん@秘密の花園:2007/04/13(金) 19:46:34 ID:psliXxog
かぐにゃんGJ


ここで二巻のすっかりできあがったにゃもとゆかりの濃厚なのキボン
204名無しさん@秘密の花園:2007/04/13(金) 22:29:07 ID:+9iDEDvS
百合板にはすばらしい専属SS書きがいる!GJ!かぐにゃん!


>>727を書き換えてみた。この二人はかおりんを超えた百合の可能性を持っていると思うんだ。


  ┌――(ウホッ!いい女)―――その他女子
  ↓
  _
 |  | ←(少しでも近づきたい)――夜もライバル?―(猫顔ハァハァ)→神楽
 |  | ←(かっこいいです)――信頼と愛玩の間で――(かわいいなぁ)→ ちよ
 |  | ←(榊さん榊さん榊さん榊さん榊s)――――――――かおりん
 |榊|=================================================================
 |  | ←(狙っとるんよ)――不思議な世界――(攻めてくれそう)→大阪
 |  | ←(榊ちゃんの夜の能力を借りよう!)―――(思い切り主導して)→とも
 |  | ←(別にあんたのために撫でさせて(ry)
 |  |            ――最後は円満に――(撫でていいのか?)→かみねこ
 |  | ←―――4コマのネタにできないほど深い関係―――→よみ
 |  | ←――愛があれば天然記念物云々は無問題――→マヤー
   ̄

  _
 |  | ←(マインド?)――豊かな体躯どうしの激しいせめぎあい―(マインド!)→榊
 |  | ←(胸とハートをわしづかみ)――類は智を呼ぶ――(恥ずかしいだろぉ)→とも
 |神| ←(大人になるって)―――アニメ第19話参照――(女の子同士でも、なれるさ)→ちよ
 |  | ←(下半身の指導がまだよ!)――水着の下で繰り広げられる攻防
 |楽|                           ――(先生だからって、そんなところ)→にゃも
 |  | ←(よくも私の……)―――同じ相手をめぐって―――――(はうあ!)→かおりん
 |  | ――――――――ネ コ は 私 だ け だ !―――――――――→かみねこ達
 |  | ←―総受―――┐
   ̄            |
                └――大阪とかよみとか千尋とか水泳部の後輩とかその他女子
205名無しさん@秘密の花園:2007/04/14(土) 00:05:51 ID:aXuV/CXU
泥酔したみなもはゆかりの肩に担がれながら階段を上がっていた。
いつもゆかりを介抱する側にいるみなもは、自分のアルコールの許容量を見誤っていた。
気付いたら生徒たちはどこかへ行き、何を話したかも覚えていない。
ゆかりが何か言いながら自分を揺り起こしたところからしか記憶が無いのだ。
それにしてもいい気分だ、とみなもは思った。
酔っている自覚はないようである。
ゆかりに支えてもらわないと歩けないのだから酔っていないわけないのだが、それすらも曖昧になってしまっている。
「は〜、普段飲まないのに無茶するから・・・」
ゆかりが何か言っている。
言っているのはわかるが内容は頭に入っていない。
ただ声に反応してみなもはゆかりの方を見ていた。
――ゆかり・・・私を心配してくれるのね。
やはり内容は理解していないようである。
「ほらもう!ちゃんと歩きなさいよ」
みなもはじっとゆかりの顔を見ている。
――可愛いなぁ。ゆかり。私がいないと本当にだめなんだから。
  いっつも私の部屋に来てわがまま言って。でも追い出さないのは何でだと思う?
  朝毎日あんたを迎えに行くのは何でだと思う?
  私のベッドであんたが寝ちゃったとき、私が何考えてたかわかる?
  もう気付いてるんでしょ?ねぇ。
みなもは自分の体が熱くなってくるのを感じた。
それがアルコールによるものか、また何か別のものかはわからなかったが。
ゆかりはみなもを自分たちの部屋のベッドに放り込むと大きくため息をついた。
「?何じっと見てんのよ。吐かないうちにとっとと寝な」
ゆかりを見るみなもの目がしだいにとろんとしてくる。
「ゆかり、こっちきて」
みなもは起き上がってベッドに座った。
ちょこんと崩れた正座で自分の右側を指差しゆかりをうながす。
「何よ」
怪訝そうにはしているが、ゆかりは素直にそれに従った。
みなもの言うままにベッドに腰掛けたゆかりは、彼女の目が尋常ではないことに気付いた。
気付いた・・・が、そのときにはもう彼女の下敷きになっていた。
206名無しさん@秘密の花園:2007/04/14(土) 00:07:27 ID:aXuV/CXU
天井の電気がまぶしい。
逆光の中にみなもの顔があらわれる。
いつもの穏やかな笑顔は、目だけをうっとりと潤ませゆかりを見下ろしていた。
その手は怖いほど力が入って、振りほどけそうも無い。
「何すんのよ!にゃも!」
みなもは荒げた声を上げるゆかりの口に蓋でもするかのように、唇を奪った。
開いていた口を塞ぐように覆う。
キスというよりは噛み付いているかのような。
「んふふ」
嬉しそうな笑いを漏らし、ゆかりの唇に吸い付く。
ゆかりも体をねじり腕を振り、なんとか抜け出そうとするが、二人の唇はいっこうに離れない。
その目には次第に涙と諦めの色が浮かんできた。
ゆかりが抵抗しなくなると、みなもはその唇を解放した。
体を起こし馬乗りになる。
「にゃも・・・何なのよぅ・・・」
今にも泣き出しそうなゆかりを恍惚とした視線が見下ろしていた。
――ああ、なんて可愛いの!いつもはあんなにわがままなのに。
  キスされたくらいでこんな顔して・・・。
  ああ、ゆかり・・・ゆかり・・・。
  何で、何で。
「何で気付いてくれないのよ」
それだけ言ってみなもはまたゆかりの唇に食いついた。
207名無しさん@秘密の花園:2007/04/14(土) 00:09:36 ID:aXuV/CXU
舌で唇を犯しながら、両手で衣服を剥ぎ取る。
ゆかりは力なく腕を横たえ、目を閉じている。
脱がされた服は体に絡み、白い肌が露出する。
それはいつもの彼女からは想像も付かないような光景だった。
諦めているようにも見えるし、受け入れているようにも・・・放心しているようにも思える。
抵抗しなくなった彼女を思い通りにするのは簡単だった。
簡単だった・・・が、横たわる彼女を見ていると頭の中の何かがすっと溶けていく。
みなもは手を止め唇を離した。
ゆっくり顔を上げるが、ゆかりの顔が見えない。
彼女は自分が泣いていることに気づいた。
「ごめん、ごめんねゆかり・・・」
体はのしかかってはいるが、先ほどまでの力は無い。
「ゆかり・・・私、ゆかり、好きで・・・好きで、ごめん、ごめん」
涙と嗚咽で言葉にならない言葉が出る。
みなもの頭の中は罪悪感とゆかりへの想いでいっぱいだった。
自分のゆかりへの思いは本当だ。
本当だが、この手段は許されない。
何て事をしてしまったんだ。
みなもは強烈な吐き気と頭痛を感じた。
208名無しさん@秘密の花園:2007/04/14(土) 00:14:43 ID:aXuV/CXU
その時、絶望と自己嫌悪がうずまく彼女の頭を何かが包んだような気がした。
「にゃも、キスと告白の順序が逆だろーが」
白い、細い、柔らかいゆかりの手。
「驚かすなよ。強引過ぎるぞ」
ゆかりの口調から怒りは感じられない。
穏やかで、冗談でも言っているようだった。
みなもはさっきよりも大声で泣いている。
安心したのか、嬉しかったのか、それとも罪悪感が増したのか。
恐らく全てだろう。
「ごめん、ごめん・・・」
止まらない嗚咽の中、みなもはなんとか言葉を搾り出す。
「酒の力借りといてちゅーしかできないなんて情けないなぁ」
ゆかりの表情はいつもの得意げな笑顔に戻っていた。
胸で泣くみなもの頭を優しくなでている。
「あんたは私がいないと本当にだめなんだから・・・」
泣きじゃくるみなもを抱きながら、ゆかりは優しい笑顔を見せた。
それは普段みなもがゆかりに見せるような、優しい、温かい笑顔だった。

>>203
濃厚にできなかった・・・。申し訳ない(´・ω・`)
どうも一方的なのは書ききれないと言うか、単純にエロいのが下手なんですね
209名無しさん@秘密の花園:2007/04/14(土) 00:17:29 ID:GJEIuJ3q
おおっリアルタイムで読めた!!
GJ!!にゃもゆかもいいなぁーv
210203:2007/04/14(土) 01:36:01 ID:QLFcczfc
>>205-208
>濃厚にできなかった
それでも萌えたのには変わりないさ!!
超GJ!!やっぱゆかり×にゃもは萌えるよな〜
211名無しさん@秘密の花園:2007/04/14(土) 01:37:45 ID:2fWd8qys
ってかこのスレすごいよすごすぎだよぉ
212名無しさん@秘密の花園:2007/04/14(土) 09:28:54 ID:vT6OXZn9
ああ、このシチュゆかりとにゃもが逆だったらストライクゾーンど真ん中だったのに・・・
でもGJ!
213名無しさん@秘密の花園:2007/04/14(土) 09:57:26 ID:cPb05pDf
どこかのスレでゆかりちゃんの「結構一人でも生きていけるものよ」発言に対して
「実際、ゆかりちゃんはにゃも無しじゃ生きていけない」というレスを見た。

つまりGJ
214名無しさん@秘密の花園:2007/04/14(土) 13:22:45 ID:zBp+NY9Q
つかこれがちよちゃん別荘での出来事で
酔った勢いでエロ講義を行った後で、
他の部屋で生徒達が寝てると思うと・・・

んでこの事が終わった翌朝に
「黒崎先生!おはようございます」
と敬語を使われると思うと・・・・

GJ。
215名無しさん@秘密の花園:2007/04/14(土) 21:07:11 ID:vT6OXZn9
先生2人の熱いキスを生徒達が覗き見て、それに当てられてあんなことやこんなことを・・・
216>>215 いただきました:2007/04/14(土) 23:59:15 ID:dtZTRQkQ
「ゆかり先生にまかせといて大丈夫なのかよ」
神楽は泥酔したにゃも先生が心配なようだった。
私たちにとっては体育の担当、というよりはゆかりちゃんの友達という感覚だが、神楽は違う。
一年のときの担任な上に、水泳部の顧問だ。
親しいというよりは慕っている・・・ように見えた。
そんな先生があの状態だ。心配するのも無理はない。
よし、少し様子を見てきてやるか。
「見に行ってみようか」
私が立ち上がると神楽もあわてて付いてきた。
「私も行きてー!もうちょっとエロ話聞けるかもしんないしな!」
夜だと言うのにテンションの高い智が言う。
それを聞いて神楽がたじろいだ。
さっきの話のときも少し引いていたし、そういう話には弱いのかもしれない。
ちょっと確かめてみようかな。
「神楽、行かないのか?さっきの続き、気になるだろう」
わざと悪戯っぽく言ってみる。
「そ、そんなに大勢で行かなくてもいいだろ!ともとよみが行けば十分だよ!」
神楽は顔を赤らめて榊の隣に座り込んでしまった。
やっぱり、そのへんの話はかなり弱いらしい。
何かぶつぶつ言いながら榊にくっついている。
恥ずかしくていたたまれないのか、味方が欲しいのか。
なんにせよ、こういう事に関しては神楽が一番女の子っぽいのかもしれない。
「よみー、早くしろよー」
ドアを開けつつともが呼んでいる。
「ああ、悪い悪い」
私はにゃも先生の介抱と・・・話の続きのために智と二人で階段を上っていった。
217名無しさん@秘密の花園:2007/04/15(日) 00:00:18 ID:dtZTRQkQ
「にゃもちゃん意外とすごいんだなー」
階段を上りながら智が独り言のようにつぶやく。
私も同じ考えだ。
「大人ならあれぐらいは普通なんじゃないかな・・・わかんないけど」
こういうときに大人ぶりたいのは山々なのだが、今回ばかりは参考がないのでわからない。
「お、よみさん興奮しとりますかにゃ?ムラムラしてきたか?」
「何ぃ?お前だって興味津々のくせにー」
私達は顔を見あわせて笑った。
218名無しさん@秘密の花園:2007/04/15(日) 00:00:57 ID:d1MAKffZ
先生たちの部屋は階段を上がってすぐ左だ。
幸い、私たちの来る途中、転んだり吐いたりした形跡は無かった。
一応、部屋にはたどり着いたようである。
見ると、ドアは半開きの状態で、そこから明かりが漏れていた。
何気なく覗くと、ベッドが置いてある。
私たち六人は、一階の広い部屋に布団を敷いて寝ている。
二階は洋間なのだろうか、と思いながら部屋の反対側を見る。
そこにはもうひとつベッドが置いてあり、上にいるのは・・・。
・・・!!
私は思わずドアを閉めた。
奥までではなく、ガチャリと音がする直前で止めて手で押さえる。
「よみー、どうし・・・」
(しーっ!静かにしろ!)
智の口を左手で押さえる。
(なんなんだよー)
(いいか、絶対大声出すなよ。絶対だぞ。冷静にな・・・)
私は智に何度も念を押してドアを静かに開ける。
そこには折り重なった大人が二人いた。
その唇は、本人たちの体と同じように重なっている。
冷静になれ、と言ったが、私の頭の中は混乱していた。
どうやら智も同じようである。
驚きの声さえ上げず、口をあけている。
時折笑い声ともあえぎ声ともとれるような音が聞こえ、ベッドが揺れた。
私たち二人は、かなりの時間その光景に見入っていた。
219名無しさん@秘密の花園:2007/04/15(日) 00:02:38 ID:dtZTRQkQ
二人の唇が離れ、にゃも先生が体を起こした。
はっと我に返り、私はドアを閉める。
(よ、よみ、あれはどういうことだよ!)
(知らん!私に聞くな!)
本当にわからない。
にゃも先生がエロいのはともかく、この状況は全く理解できない。
さっきの話にもこんな内容は無かった。
というか、あったら部屋なんか覗いていないが。
・・・しかし、二人は非常に楽しそうに見えた。
とくににゃも先生は幸せを噛締めているような、そんな笑顔だった。
ゆかり先生は顔は見えなかったが、体をくねらせ、じゃれているように見えた。
いったい今のは何だったんだろうか・・・。
何か、胸に湧き上がるものがある。
(よみ・・・)
智が私の服のすそをくいくいと引っ張ってくる。
(ゆかりちゃんとにゃもちゃん、楽しそうだったよ)
顔が真っ赤だ。
おそらく私も真っ赤だろう。耳が熱いのがわかる。
(ああ、そんな感じがした)
いつの間にか私の手は、私を引っ張る智の手に重なっていた。
体も顔も真っ赤なのに、智の手はひんやりと冷たく心地よかった。
なんだろうか。この気持ちは。
智も同じような感覚なのだろうか。
彼女の瞳は潤み、口は少し開いている。
(よみ)
智の手にきゅっと力が入った。
私もそれを握り返す。
気付いたときには、二人は先生たちの向かいの部屋へと足を進めていた。

―――
>>215さん、いただきました。
もうちょっと書いたほうが収まりがいいのかな?
220名無しさん@秘密の花園:2007/04/15(日) 00:35:18 ID:1Dpd5de+
イイヨイイヨー
神楽と榊バージョンもあると嬉しい
221名無しさん@秘密の花園:2007/04/15(日) 17:59:36 ID:aeZpo3J9
暦と智が出ていって少し経つ。
ちよちゃんと大阪は寝てしまった。
神楽はずっと私の横でぶつぶつ言っている。
彼女は黒沢先生の話に少し動揺しているようだった。
私もちょっと意外に感じたが、神楽は特別だろう。
からかわれて赤くなった頬が女の子らしくてなんとも可愛い。
暦が意地悪言いたくなったのもよくわかる。
「神楽はそういう話は興味ないのか?」
私が聞くと、神楽の顔はさらに赤くなる。
「な…なんだよ、榊まで。お前の方こそどうなんだよ!」
ムキになっているところがまた可愛い。
「興味は…ある」
高校二年だ。普通そうだろう。
興味がある方が健全だ。
ところが神楽は「何だよ…」と言ってうつ向いてしまう。
この子は興味がない風をしているわけではなく、本当にこういう話には弱いようだ。
大きな胸とは裏腹に、幼い顔で恥ずかしがる神楽にいつもの元気はない。
私は自分が少しずつ彼女にもたれかかっていくのがわかった。
222名無しさん@秘密の花園:2007/04/15(日) 18:00:19 ID:aeZpo3J9
「何?重いよ、榊」
言いながらも彼女は私の腕をやんわりと掴んでくる。
私は彼女の背中に手を回した。
「本当に興味ないのか?」
神楽の肩がぐっとすくむ。
「なんだよ!しつこいなぁ!無いって言ってるだろ。バカ」
ぴったりとくっついた体から彼女の心音が伝わる。
何となくふわふわした気分だ。
いつも可愛らしい子だとは思っているが、今感じる彼女の可愛さは別のものだ。
これも黒沢先生の話の影響だろうか。
私は背中にまわしていた手を彼女の頭に置いて髪を撫でた。
ぐいと頭がこちらに向き、私を見上げる。
「榊…意地悪すんなよぅ…」
言いようのない甘い気持ちが私を襲う。
自分の中の気持ちが何であるか気付いたような気がした。
空いていた方の手で神楽を抱き寄せる。
抵抗はせず、体を私にすり寄せてくる。
やわらかくくねる体が愛しい。
「榊…」
うっとりと潤んだ瞳が私を見つめ、彼女の唇が名前を呼んだ。
その唇に吸い寄せられるように顔を近付け…
「何しとるんやー?」
223名無しさん@秘密の花園:2007/04/15(日) 18:01:05 ID:aeZpo3J9
私たちは反射的に体を離した。
振り向くと、上半身を起き上げて大阪が座っていた。
まさか、一部始終を…。
「お?よみちゃん達まだ戻ってないんか〜。ちょっと様子見てきたろかな」
大丈夫…のようだ。
多分今起きたんだろう。
ふらふらした足取りで廊下へ出ていく。
大阪が完全に見えなくなり、安心した私は神楽の方を向こうとした。
と、私の唇に何かが触れた。
「さ…榊がもたもたしてるから!」
それだけ言うと神楽は布団に潜ってしまった。
胸がきゅんと締め付けられる。
この気持ちは一時のものではない。今それを確信した。
私はぐっと目を閉じている彼女に近付いて、顔の両脇に手を置いた。
覆い被さるようにしてさっきよりも長いキスをする。
彼女は目を開けようとしなかったが、シーツの端をぎゅっと握っていた。

それから、悲鳴とともに暦と智が駆け下りてきた。
顔を真っ赤にした二人はしっかり手を握っていた。
224名無しさん@秘密の花園:2007/04/15(日) 18:08:02 ID:o0LRZlSV
>>221-223

今までので一番高揚感がある。GJとしか言いようがない。

SS書きの人、書くたびに文体が洗練されていくよね
225名無しさん@秘密の花園:2007/04/15(日) 18:10:50 ID:o0LRZlSV
間違えますた
「高揚感がかきたてられる」でした。

おわびします、そしてもう一度GJ
226名無しさん@秘密の花園:2007/04/15(日) 20:54:52 ID:1Dpd5de+
こうなったら大阪ちよも行くしか
227名無しさん@秘密の花園:2007/04/15(日) 22:12:19 ID:fGunE2WE
>>226
223氏でないけど行ってみる。
228名無しさん@秘密の花園:2007/04/15(日) 22:14:00 ID:fGunE2WE
 朝靄

 千にも届きそうな星達が瞬く深い夜が終幕に近づき、東の空の端が僅かに白み始めた頃……
「ん…… 」
 美浜ちよは目を覚ました。
 何度か瞬きを繰り返し、小さな身体を引き起こすが、時計の針はまだ暗くて見えない。
 目を凝らしてあたりを見渡すと、幾つかの布団の端から足や手がはみ出していて、それとともに
寝息が耳朶を叩いている。
 数度首を振って眠気を追い出すと、布団からゆっくりと起き上がり窓に向かって歩いていく。
 美浜家が所有する別荘の窓からは大海原を望むことができるが、まだ周囲は暗い。
 近海を行き交う幾つかの船舶の先端から瞬く光が見え ――
 すぐ傍で、セミロングの少女がぼんやりと海を眺めていた。

「大阪さん…… 」
「あーちよちゃん。おはようさん」
 大阪とよばれている少女は静かに微笑む。

 どくん……
 ちよの心臓が小さく動いた。いつもと変わらない穏やかな笑顔なのに。
「もう、起きたんですか」
 問いかける声が何故か掠れてしまう。
229名無しさん@秘密の花園:2007/04/15(日) 22:15:07 ID:fGunE2WE
 ちよは、吸い寄せられるように大阪の脇に座る。
「あはは、なんか眠れーへんくってなあ。あ、でもこれは早起きかもしれへん。早起きは
三文の得ってゆうねんで。ほんでも三文くらい貰ってもしょーがあらへんなあ」
 いつもどおりの、のんびりして不思議な親友の口調だったけど、ちよは顔を赤らめてうつむいて
しまった。
(どうしてなんだろう)
 心の中に生じた疑問に回答を見出そうと思考をめぐらし、豊富な知性はすぐに答えを出した。
脳裏には、昨夜の黒沢先生の話が鮮明に蘇っていた。
 したたかにお酒に酔って、はしゃいでいる先生はいつもの冷静で優しい先生ではなかったが、
彼女の刺激に満ちた話が、ちよのちょっとした好奇心と誘惑を芽生えさせて、瞬く間に押さえ
切れなくなってしまう。
「大阪さん。あの、その」
「なんや。ちよちゃん」
 こんな事言っていいのだろうか。心の中で激しく葛藤する。もしかしたら変に思われてしまう
かもしれない。でも、たぶん『大阪さん』なら許してくれると思う。

「あのっ、キスってどんな感じなんですか」
 言ってしまった。ちよは、飾り気の無いTシャツにプリントされた、にんじんの上に手を
下ろして、ため息をついた。
230名無しさん@秘密の花園:2007/04/15(日) 22:16:21 ID:fGunE2WE
 しばらくの間。大阪は、大きく瞼を見開きながら、二回りも小さい少女を見つめていたが、
やがて、ゆっくりとちよの頭の後ろに手を回す。
「大阪さん? 」
 優しい手付きに心地よさを覚えながらも、あたふたした声をあげた少女に、大阪は漆黒の
瞳を輝かせて、悪戯そうに耳元で呟く。
「ちよちゃんは、子供やからちょっと早いかもしれへんけどなあ。どないするん? 」
 子供という言葉に、無性に反発を感じて頬を膨らましながら、強い口調で言い放つ。
「私、子供なんかじゃありません」
「ほんなら経験してみる? 」
 大阪との距離はいつの間にか既に数センチ。ちよは小さく頷いた。

「ん……」
 前触れも無く唇が塞がれて、少しだけ湿ったやわらかい感触が届く。
「んんっ……」
 少しずつ周囲が明るくなり、闇が光に追い払われる中、二人の少女の喘ぎ声が部屋の端から
漏れる。そして、可愛らしい二つの唇が重ね合わせてから、きっかり1分後 ――

「ぷはっ」
 息をとめることに耐え切れなくなり、ちよは唇を離して大きく息を吐き出した。
 今までキスをしていた、目の前の同級生を見上げると、先程と同じ柔らかい微笑が
視界に映っている。
231名無しさん@秘密の花園:2007/04/15(日) 22:17:36 ID:fGunE2WE
 大阪は、ちよのお下げを興味深そうな瞳を浮かべたままいじっていたが、やがて小さく
ため息をついて感想を漏らした。
「今日は、私がタチでちよちゃんがネコやったなあ」

 華奢な腕を組みながら何度か頷く。
 言葉の意味が分からずに、ちよは首をひねって尋ねる。
「あの。タチって何ですか」
「あれえ、にゃも先生が昨日言ってたねんで」
「でも、大阪さんが大人になったら分かるって」
 少し頬を膨らましたちよに向かって、大阪は短い舌をほんの少しだけ出した。
「ちよちゃんはもう大人だから。もう、にゃも先生に聞いてもええねんで」

(終わり)
232名無しさん@秘密の花園:2007/04/15(日) 22:29:39 ID:o0LRZlSV
すげえwww
っちゅうかこのスレ最近神がかりすぎwww

エロパロで書いてきたばかりだけどこっちにも参加するwww
233名無しさん@秘密の花園:2007/04/15(日) 22:33:19 ID:4PfSHxJW
にゃもちゃんのおかげでこんな素敵なSSが見られるなんて…
最高にGJ!!



ゆかり×にゃもの学生時代も見てみたい
234142=162=169=183=195=205=216=221:2007/04/15(日) 22:46:07 ID:5X/tRJqI
>>228
スバラシス
ちよちゃん上手に書けるのは羨ましいです



あと、感想書いてくださる人ありがとうございます。
はげみになります
投下した後は反応が気になってちょくちょく見に来てしまうww
235227:2007/04/15(日) 22:58:35 ID:fGunE2WE
感想を頂けた方々に感謝。
この板では初めてのSSだったから、内心どきどきでした。

>>234
いつも楽しみにさせてもらっています。
236名無しさん@秘密の花園:2007/04/15(日) 23:01:02 ID:KqzDHhLn
うわわ、よみとも・さかぐら・ちよさかが一気に読めるなんて
これはGJどころじゃすまねぇ!超GJ!
237名無しさん@秘密の花園:2007/04/16(月) 01:46:39 ID:cqA7hX8G
>>232です、投下します
ちょっと他の方々のに比べて関係がヤバめなので注意


大人になったら分かる。
いや、大人になったんだから、教えてくれてもいいではないか。
あいまいなままでは済ませられない、はっきりとした答えが欲しい。
頭の回転が速い故、ちよにとっては歩の判然としない言葉が悩みの種となった。
「聞いてきます」
「あー。でもまだ子供やし」
「どっちなんですか」
歩は彼女のある種思春期的な感情に勘付いていない。
大人にはなりたくてなる、というよりも、なってしまう、というのが適切な語であると思っているからであろう。
なるのならしっかりとした大人になりたかったと、半分向こうの世界に行った頭の隅で常々考えているようだ。
一方でちよはそのまま廊下への扉を開き、共有された区間へ足を踏み入れようとする。
「にゃもちゃんはまだ寝とるんやない?」
「聞きたいものは聞きたいんです。大阪さんは寝ていてください!」
「なんやのー、そんな」
ほんの少しだが、やや深い喪失感が歩を襲う。
もしも遊びだけでやっていたら果たして先ほどまでの行為を積極的に仕掛けただろうか、否。
鈍い理解力の頭にも、ようやく交わしたものの意味が分かりはじめてきた。
歩にそれ以上の言葉は許されず、部屋どうしが再び仕切られる音がした。

238名無しさん@秘密の花園:2007/04/16(月) 01:47:24 ID:cqA7hX8G


恥ずかしいけれど、知識を多少なりとも掘り下げたい。
大人と認められるためには何において勝っている必要があるだろうか。
自分で言うのもなんだが、知性はほぼ完璧に備えているからよい。
古文で「おとなし」といえば思慮や分別、いや、これも前述のものに入るだろう。
では、身長、体力、例えば他にも大人らしさといえば、人を分け隔てなく愛することのできるやさしさか?
智の子供らしさがうるさくて感情的というところから来ていると考えると、逆に静かで理性的なところか。
そう考えを巡らせたうちに、ひとりでにある一室の前まで細い両足は進んでいた。
「あのー、すみません」
鍵が壁の奥で動き、隔てられた向こう側から返答の声がする。
「ちよ、ちゃん?」
呼びかけに応じる前に、ノブに手を掛けて押すが動かない。
「入っちゃ、だめ。私が出る」
いつも黙々としているとはいえ、あの人が何かを隠すようなことはしないはず。
ありもしないのは承知しているが、大人になるための秘密が存在しているのではないか。
目の前に現れたのは、ちよより一回りも二回りも大きな同級生。
発育のよさは日本人女子の平均を超え、体躯の実り方は二人の間では対照的であった。
夏は陽光が早く差し込み、消灯された空間を緩やかに照らし始める。
それでもまだ、休みの最中である彼女たちが起きることはあまりないだろう時間である。
榊はゆるやかに顔を下げ、いぶかしげに意図を尋ねる。
ちよはふと顔を上げ、率直な答えの代わりに質問を返す。
当初みなもに投げられるべき問いが彼女に向かったのは、
ちよにとっての大人としての条件と彼女の持つ性質が一致したからだろう。
いやむしろ、ちよは彼女が含んでいる性質こそが大人としての条件である、と定義づけていたに違いない。

239名無しさん@秘密の花園:2007/04/16(月) 01:48:10 ID:cqA7hX8G

「タチって、何ですか?」
「……太刀?」
「あ、いえ、違うんです、間違えました」
本来の、部屋を出て行ったときの目的がこんな所で蘇ってしまったようだ。
実際のところ、榊には別の質問を用意していたのであるが、優れた記憶力を恨むしかない。
まあ仕方ない、今さら聞くのもまた恥ずかしくなってしまうと、ちよはそのまま話を進めた。
「大阪さんが『タチとネコ』って言ってたんですよ」
「猫、か」
徐々に顔を赤らめる榊の口元は緩んでいたが、十数秒後に表情が一変した。
「やっぱり、駄目だ。ちよちゃんには」
昨日盛大に語られた教師二人の話を思い出したようだ。
「何かヒントをください。例えば、榊さんはどっちですか、とか」
長身の彼女は閉ざされた部屋に顔を向け、詰まりながらもこう答えた。
向こうにいる人はまだ起床してこないだろう、快楽の頂から帰ってくるまでは。
「今日は……タチ、なの、かな」
「分かりました!大人らしい方がタチなんですね」
「え、違うよ」
「私もタチになりたいです。もっと大人になりたいんです」
ちよの言葉に、おのずから自分の願望が含まれるようになった。
「君は、ネコの方が、良いんじゃないかな」
「ひどいですー!榊さんも私のことを馬鹿にしてるんですか?」
そう言われた彼女が、おもむろにひざを曲げて腰を下ろし、目をしっかり合わせる。
「いいんだ。子供とか大人とかじゃなくて、ちよちゃんはちよちゃんだからいい。
 君が思っている大人らしさよりも、今の君らしさの方が絶対にいい」
寡黙な少女には珍しく、長い台詞が発せられる。
「榊さん、かっこいいじゃないですか。いいなぁ」
純真さゆえの羨望、それもまたちよの良き子供らしさであった。

240名無しさん@秘密の花園:2007/04/16(月) 01:48:45 ID:cqA7hX8G


純真さゆえの羨望、それもまたちよの良き子供らしさであった。
しゃがみこんだ榊は視線を外そうとしない。
二人は窓のカーテンから漏れ出す光線により、ほのかな橙色に染まっている。
「なんだか、ずっと目を見られてると恥ずかしいですね」
「そ、そうだね」
途端に目を背けようとする榊に対してまた一言。
「でも、ちょっといいかな、とも思います」
互いに顔を探りつつ、再び位置関係を戻してゆく。
「本当に?」
「綺麗です……試していいですか?」
朝焼けの解放感がもたらす感情と、眠りからまだ抜けきれない二人を覆う幻夢的な感覚が
二人を別の次元へと導く。
榊の返答を待つまでもなく、先刻歩が主導していた行為に出る。
「え、待って、んむ」
肩に未成熟な両腕を掛け、まだまだ不足ぎみの力で上半身を引き込もうとする。
長い髪が乱れて小柄な全身に被さり、お下げは急な動きによって揺れる。
意図しなかった鮮烈な感触に、榊は思い出してしまった。
羞恥に満ちたあの友人をそのまま生の体にしてしまったこと。
拒否する態度の奥底に、自分を受け入れてくれようとする彼女の心性を見出してしまったこと。
友人を友人でなくし、より深い関係を生み出してしまったこと。
彼女は眠っている、いや、少なくともあの瞬間は気を失っていた。
あれほど自分が積極的になっていたのも、やはり並々ならぬ情を抱いていたから。
それを、今私の口を塞ぐこの子に分け与えてしまっていいのか、と強い自責の念に駆られる。
浅くとも深い体の繋がりは、先ほどの一分を既に超えていた。

241名無しさん@秘密の花園:2007/04/16(月) 01:49:35 ID:cqA7hX8G


いつになったら終わるだろうか。
早く終わらせないとまずい、でも、終わってほしくない。
目の前に立つ少女の満足そうに閉じられた瞼を見ると、「彼女」に対するものと同じ欲望を抱いてしまった。
このままだと本当に大変なことになる。
焦りを感じた榊は、強引に外したいとの思いを悟られぬように、できるだけゆっくりと口を引き離す。
「や、やっぱり、こんなの」
「ちよちゃん、なんやのー、あたしは練習やったんな」
期待どころか、ほんのわずかにも予想していなかった声。
振り向けば後ろには微笑みが。
「でもええんよ。あたしも榊ちゃんを狙っとった時期もあるしな」
「ち、違うんだ、これは」
強い動揺を抑えきれないなりたての大人に対し、戸惑いつつも全く否定しない純真な子供。
そして、崩れない笑みの奥に、深みの底に達した喪失感を伺わせる思春期最中の少女。
「ええんよ」
口数も少なめに歩が部屋に戻っていくのを、二人は呆然と見送るほかなかった。
榊はもう一度立ち上がり、視線をちよに向ける。
「やっぱり、ちよちゃんにはまだ駄目だ」
そう強く伝えると、今度は俯き、相手に聞き取れないほどの小声で言った。
「……神楽が、泣いてしまう」
「え、なんですか?」
「もう朝になる。とりあえず、部屋に戻るんだ」
厳然とした声で告げてちよを有無も言わさず返すと、扉を開けて自分も戻ってゆくと、
シーツを被せられて眠る「彼女」に近づいて言葉を漏らしだした。

242名無しさん@秘密の花園:2007/04/16(月) 01:50:24 ID:cqA7hX8G


「ごめん……ごめん。私のことを好きになったら、これからどうなるか分からないよ?
 ずっとこのままでいられるか、もう保証が持てないんだ……。私、どうしよう」
あどけない小柄な少女に口付けをされたことが問題なのではない。
それに強く抗えず、むしろ少しでも好ましくない感情を抱いてしまったことが責められるべき点なのだろう。
だが、言い終えた次の瞬間には、神楽に接吻を施していた、舌で口腔を犯すほどに深く。
もう少し言い寄られていたら本当に選べなくなってしまったかもしれないが、今は彼女を愛する。
粘膜を貪って顔を外すと、その刺激によってか神楽の両目が開く。
「あ、ありがとな。そんなに私を愛してくれるんだな」
自責の念がますます強まりつつも、榊はそのまま彼女を見つめていた。


その頃歩はといえば。
「はは。なんや私ってば、あんなに期待しよって」
「大丈夫ですか、大阪さん?」
「ええんよ、ええったら」
そう言いつつも、ちよとは目を合わせようとしない。
別に彼女を責めるでもなんでもなく、ただ空しさを感じるだけだった。
「で、結局、『ネコとタチ』の意味って何ですか?」
「ほんまなら教えてあげたいとも思うけどな、
 さっきのでちよちゃんはまだ子供やっておもたからな、できひん」
「うーん、まあ、榊さんも大阪さんもタチですけど、なんだか私もタチになれた気がします」
「それはよかったなあ」
空笑いが歩の口から漏れる。
望んでいたものが大きかった分、たった一瞬でも失ったものも大きい。

243名無しさん@秘密の花園:2007/04/16(月) 01:51:11 ID:cqA7hX8G


「ただ、キスの意味は分かりました。
 本当に、大好きな人にするものなんですね」
「せやなあ」
「大阪さんも榊さんも、私は大好きですよ」
天井をぼんやりと見つつ、いわゆる告白とは当たらずとも遠からずの表現に返答する。
「ほんなら、それでええか。ええな」
歩が少しずつ笑顔を取り戻しはじめる。
橙がより抜けた空の色に変わってゆく。
「ちよちゃんはまだ子供やもんな」
「違います!大人になりました!」
「あんな、子供ってのはな、きれいな心を持ってるって意味なんよ」
開き直った歩がまた続ける。
「知らんことはええことや、でも知りたいと思う気持ちもわかる」
「で、結局、大人と子供、どっちなんですか?」
雲一つなく刻々と移り変わる空に目を向けて言葉を紡いだ。
「きっとな、この空みたいに、それと榊ちゃんみたいにきれいな心をしとるから、
 私にとってはかわいい子供なんやな」
「やっぱり子供ですかー?」
「そうや、そう、榊ちゃんも子供なんや、まだ何も知らないから……」
知らぬが仏。
大人になりきれないちよにとっても、期待していた歩にとっても、眠りの底にいた神楽にとっても。
それぞれの望む相手を知ってしまった榊でさえ、できるだけ忘れようとしているのだから。

(おわり)

244名無しさん@秘密の花園:2007/04/16(月) 03:01:05 ID:EFDkaZ2N
最近このスレ凄いなぁ
>>237-243
GJ!
ただし、描写はいいんだけど途中で人間関係がちょっと混乱してしまった感じ
245名無しさん@秘密の花園:2007/04/16(月) 04:49:38 ID:cqA7hX8G
>>244

盲点だったんでkwsk
246名無しさん@秘密の花園:2007/04/16(月) 18:19:09 ID:GJgqJpHr
>>233さん
学生時代ではないですが・・・

―――
仮装競争でセーラー服を着るのを提案したのは教頭だった。
「谷崎先生達ならまだ通用するんじゃありませんか?」
教頭も冗談のつもりだったのだろうが、それをゆかりが真に受けしまったのだ。
ノリノリな彼女に反論できず、みなももしかたなく参加することにしたのである。
「お〜結構着られるもんね」
着替えには保健室の隣の、用途不明の小さな部屋が割り当てられた。
「今日持ってきといて入らなかったら恥ずかしいもんね〜」
家で試着してこなかったのだろうか。
無謀な彼女にみなもは呆れた。
「あ、にゃももいい感じね」
「でもなんかさすがに恥ずかしいわね」
みなもも照れてはいるが、まんざらでもなさそうだ。
さすがに女子高生と言うには無理があるが、二人ともそれなりに着こなしている。
「私普段スカートなんて穿かないから…」
みなもはスカートから覗く生足が気になるようだった。
水着の時はそれほど感じないのに、不思議なものだ。
しきりに裾を引っ張ったり、腰回りを気にしている。
「え〜、にゃも足綺麗じゃん」
ゆかりが近付いて言う。
彼女が言う通り、みなもの両脚は恥ずかしがるにはもったいないほど美しい。
単純なスタイルの良さに加えて、運動している分肉付きもいい。
「もうちょっと短くしちゃいなさいよ」
「嫌よ。あんたがすればいいじゃない」
みなもは誉められたのかからかわれたのかわからない変な気分になった。
247名無しさん@秘密の花園:2007/04/16(月) 18:20:34 ID:GJgqJpHr
競技までにはまだ時間がある。
みなもは椅子から立ち上がり、服と一緒に置いてある携帯を取ろうとした。
と、後ろから妙な視線を感じる。
振り向くとゆかりが頬杖をついて彼女の下半身を見つめていた。
「何よ」
「いや本当綺麗だな〜と思って」
あんまりさらっと言うので、みなもは少したじろいだ。
笑顔のゆかりが立ち上がる。
みなもは体ごと彼女の方を向けて後ずさった。
しかし、もともと小さな部屋だ。後ろに二歩さがって、背中に壁が当たる。
逃げ場を失ったみなもに笑顔のゆかりが近付いてきた。
「な…何なのよ」
何も答えないゆかりの顔がギリギリまで接近してくる。
瞬間、みなもは太股にひやっとしたものを感じた。
「いゃっ…!!」
違和感に悲鳴をあげようとするみなもの唇をゆかりが塞いだ。
彼女は左手をみなもの背中にまわし、空いた手で右の内股をまさぐっている。
「ん…」
ゆかりが離れ唇は解放されたが、手は止まらない。
「も〜、誰かに気付かれたらどうすんのよ」
優しく笑うゆかりにみなもは何も答えられない。
荒い息だけが彼女の唇から漏れる。
「お、興奮してんのか?にゃも?」
「そ…そんな」
そんなことない、と言おうとする唇をまたゆかりが塞ぐ。
今度ははさっきよりもずっと長く、舌のからまったキスだった。
ゆかりはみなもの口内の唾液を舐めとるように舌を動かしている。
強く抱きとめられた体の下では、二人の脚が絡まっていた。
248名無しさん@秘密の花園:2007/04/16(月) 18:23:29 ID:GJgqJpHr
唇が離れ、みなもが名残惜しそうにゆかりを見つめる。
ずっと太股だけを撫でられていた彼女の興奮は限定に達していた。
「にゃも、切ないの?」
耳もとで聞くゆかりにこくこくと頷く。
その反応に満足したのか、ゆかりは太股に当てていた手を少しずつ上へ這わせる。
みなもは唇を開いたままゆかりの背に両腕をまわそうとした。
「ゆかり…」
しかし、みなもの腕はゆかりを抱くことなく空を切る。
「やっぱやめた!今しちゃうとにゃも走れなくなっちゃうかもしれないし〜」
ゆかりは彼女に抱きしめられる前に、離れてしまっていた。
いつもと同じ明るい声言って、時計をみる。
「それに生徒の憧れの黒沢先生が制服着て欲情してるなんて知ったらみんなどう思うかにゃ〜?」
「ゆかりぃ…」
みなもは座り込んで今にも泣き出しそうな顔をしている。
「そんな顔してもだ〜め!でも…」
ゆかりの声が甘ったるいものに戻り、みなもに顔を近付けた。
「今日帰りにあんたの家寄るから、その格好で待ってたら考えてあげようかな」
ほっぺにキスして意地悪そうにみなもの頭を撫でた。

外からは仮装競争の参加者集合のアナウンスが聞こえている。
249233:2007/04/16(月) 19:03:25 ID:1Y94F/H2
246-248
お預けされたにゃもちゃんに萌えた…気になるので続きも是非!!
250名無しさん@秘密の花園:2007/04/16(月) 19:07:52 ID:r7SxVYvy
>>kwskの人
純じゃない榊さんも投げ出した大阪もいい
一夏のあやまちって言葉が合う

>>いつもの人
この人のSSを見てから
あまり好きでなかったゆかりが気になってしょうがない

仕事量が半端ないよね。いつ書いてるんだろう…
251234=246:2007/04/16(月) 21:58:27 ID:KN7ABKTz
今回、携帯で書く→PCに転送して書き込む
という手法を採用した結果、誤植の山を築いてしまいました(´・ω・`)
ひどいもんを投稿してしまって申し訳ありません。
今後気をつけます。
252名無しさん@秘密の花園:2007/04/16(月) 23:22:09 ID:cqA7hX8G


今日は学校が終わってから、帰り道が一緒の榊さんをそのまま家に呼んでみました。
明確な理由はありません、ただ呼んでまったりとした時間を過ごしてみたかったからです。
私の話をよく聞いてくれる人ですが、あまり自分から話そうとはしません。
いつも会話を主導するのは私からです。
でも、食卓で向かい合ったときに妙な単語を口にしました。ミステリーです。
「赤い」
「なんですか?」
「ちよちゃんは、トマトが好きか」
唐突な質問を気にしながらも首を縦に振ってみました。
「じゃあ……お赤飯、は?」
「好きですよ」
意味は今ひとつ分かりませんが、ほほえましい質問です。
榊さんのほおがいつのまにか新鮮なトマトのようになっていたのを見て、ちょっとひらめきました。
そういえば、お父さんから聞いたことがあったんです。勉強じゃなくて教養の領域ですが。
体が大人に、お母さんになれる体に一歩近づいた時にお祝いで出てくるらしいです。
私はまだまだですけど、必ずその時はやってくるはずです。楽しみにしています。
「おいしい」
「ありがとうございます」
私は、今日も遅く帰ってくるお父さんやお母さんのために作っておいたスパゲッティを巻き取りながら、
均一に染まった麺が榊さんの口に運ばれていくのを見つめています。
昼もお弁当を食べましたが、今日は人を呼んできたので特別です。
「やっぱり、ご飯は……ちゃんと噛んで食べるのが、いいな」
「食事に長く時間をかけるほど、よく成長するんじゃないでしょうか」
「消化」
「そうですね。まあはっきりとした統計は取れてませんけど、私も努力してます」
「体に負担をかけ過ぎずに、でも、ちよちゃんは小さい方が」
「子供じゃないですよ!」
「そうだね。『かわいい大人』とでも呼んでおこうか」

253名無しさん@秘密の花園:2007/04/16(月) 23:23:35 ID:cqA7hX8G


表情はあまり変えませんが、不思議なほどに話が弾みます。
学校で見せてくれるかっこいい姿とはまた別の榊さんです。
いえ、やっぱりかっこいいことには変わりないです。鋭い目に整った輪郭、男の人と同じくらいに締まった体の線。
それに、これは女の人らしいんですけど、ふくよかに突き出た胸。
見るたびに、この人こそが私の目指している大人なんだって気がしてくるんです。
かおりんさん、いえ、かおりさんが好きになっちゃう気持ちもちょっと分かります。
「ちよちゃん?」
「あっ、はい」
「大丈夫か」
「はい、ちょっと考え事を」
私のことを気遣ってくれるのも、また大人らしさだと思います。
それにしても、好きになる気持ちが分かるってことは、同じ気持ちを持っているってことなんですよね。
「好きなんですよね」
あ、つい思っていたことを口にしてしまいました。
榊さんが次に出す言葉はすぐに予想できましたが……。
「え、と。やっぱり、大丈夫なのか?」
「ナポリタンもたまにはいいですね」
「ちよちゃん?」
場を紛らわすために繕った会話が逆効果になってしまったようです。
ちょっと妙なことになってしまいました。ここはしばらく空気を鎮めておきましょう。
お昼にお弁当を食べたので、今はおやつという扱いです。
今日二度目のナポリタンですが、二人で食べているとまた違う味覚を楽しめます。
「榊さんも、お弁当作ってましたよね」
「まあ、うん」
「野菜の盛り付けがおいしそうでしたね。ところで、ご飯の上に書かれたあの模様は」
今度は榊さんが黙り込んでしまいました。
ただ、少しして小声でつぶやいた言葉を、私は聞き逃しませんでした。
「……ねここねこ」

254名無しさん@秘密の花園:2007/04/16(月) 23:24:38 ID:cqA7hX8G


会話をしながらしっかりと噛み続けていたせいか、二人とも食べ終わるのにけっこう時間がかかりました。
「デザート、用意してますからね」
冷蔵庫からパックに詰められたいちごを出して、洗いながら歌ってみたりします。
「作りましょう、作りましょう、さてさて何ができるかな?」
皿に果実を乗せてテーブルに戻ります。
「できましたー!」
榊さんが私をじっと見て、また顔をトマトみたいにしています。
「全くもう、かわいいな」
「そんなにかわいい方がいいですか?」
強いうなずきが見えました。大人らしくてかっこいい方がいいと思うんですけどねえ。
まあいいですね、それぞれの求めているものが合っていますから。
「さっぱりとしてますね」
「うん。甘い」
「ナポリタンのお口直しになりましたか」
「どっちも、ちよちゃんが……料理してくれたから、おいしかった」
「いちごは洗っただけですよ?」
そんなことを真顔で言われたら照れちゃいますよ。
でも、静かな榊さんはいつも本当のことを伝えてくれるから、やっぱり嬉しいです。
「ちょっとでも手が加わったら、それでいいんだ」
「ありがとうございます」

255名無しさん@秘密の花園:2007/04/16(月) 23:25:51 ID:cqA7hX8G


お礼をしたときに、急に榊さんの顔が近づいてきました。
「ねえ。あれ、やろうか」
あれ、ですか。二週間くらい前にこの食卓の上で試してみた、あれ、ですね。
最初は突然今までのより強くなって戸惑いましたが、
また一つ大人になれた気がして、それにたまらず感激して、そのまま受け入れていました。
榊さんがもっと顔を近づけてきます。
私はゆっくりと目をつぶって、口どうしが合わさるのを待ちます。
しばらくすると、私の中に舌が割り込んで絡み付いてきます。
ただいちごを食べているときよりも、ずっとずっと甘いです。
大人の味と温かさが伝わってきて不思議な気持ちになってきます。
でも、まだまだすぐに息が苦しくなってしまいます……精進ですね。
「おいしい」
「おいしいです」
唇を離した直後の榊さんは、さっきよりも更に大人びて、艶めいていました。
「もう少し先って、まだですか?」
「……え、それは、待って」
「赤飯でお祝いしてもらってから、ですね」
向かいの頬がまた熟した色に変わってきました。
榊さんが自分で聞いてきたのは、もしかしたらこの次のことを期待しているからかもしれません。
私もその日が来るまでゆっくりと待ちます。
でも、できればアメリカに行く日までにはあの成長を迎えていたいですね。
側にいられなくなったら寂しいですから。
とりあえず、今はゆったりとした幸福な雰囲気の中で過ごしていましょう。

(おわり)


256名無しさん@秘密の花園:2007/04/17(火) 00:03:01 ID:u0/diyKo
>>255
素晴らしいものを読ませてもらって、GJとしかいえない。
ちよすけの語りは凄くいい感じでした。
257名無しさん@秘密の花園:2007/04/17(火) 07:40:13 ID:hKlOU2VL
ただのvipperだと思ってたが…これはやばいな
ごめん、超GJ
258名無しさん@秘密の花園:2007/04/17(火) 21:51:36 ID:AhxZXs1U
二巻86ページの「ちよちゃん、結婚して」をみてから
にゃもちよが気になる今日この頃。マイナーだろうか?
259名無しさん@秘密の花園:2007/04/18(水) 00:30:18 ID:jC83mLoH
今日神楽ちゃんが遊びにくるらしい。
「あー、明日神楽が来るって言ってた!」
智ちゃんが思い出したんは昨日の晩御飯のときやった。
もう、そういうことはもっと早う言うて欲しいわ。
掃除とかせなあかんのに…。
「智ちゃん、いつ頃来るて言うてたん?」
「んー…午前中ぅ?」
まだ半分寝とる。
…でもなんで突然遊びにくることになったんやろか。
智ちゃんの言い方やと、神楽ちゃんの方から来るって言うたみたいやったけど。
「おー!ホットケーキ焼いたの?すげー」
粉があるから簡単にできるんやけど、智ちゃんは喜んでくれる。
「うめー」
私の料理をおいしそうに食べる智ちゃんを見とるのは最高に幸せや。
あ〜、ずっとこの笑顔を見とりたいなぁ…。
「なー、今日は何で神楽ちゃん来ることになったん?」
「ん?いや、なんか突然行っていいかって言われて…榊ちゃんと何かあったんじゃないの?」
神楽ちゃんは、榊ちゃんとのことを時々智ちゃんに相談しとるみたいやった。
一緒に住んどる私らと違って、なかなか先へ進めへんのやって。
「ごちそうさま!でももしそうだったらからかってやろうぜ」
「あかんて〜。神楽ちゃん泣いてまうで」
智ちゃんは笑いながら台所へお皿を持っていった。
前は当番制やった皿洗いを、最近は全部してくれる。
「ご飯つくってもらってるから」なんて言うとるけど、私は知ってんねん。
私がハンドクリーム買うてきた日からしてくれるようになったんやもん。
優しい智ちゃん。
「大好きやで」
「え?」
さて、今のうちに掃除をしてしまおかな。
260名無しさん@秘密の花園:2007/04/18(水) 00:31:26 ID:jC83mLoH
神楽ちゃんが来たのは午後になってからやった。
旅行用みたいな大きい鞄を持っとる。
「昼までに来るんじゃなかったっけ?」
「午後って言ったはずだけどなぁ…」
リビングでお茶を飲みながらお互いの近況について話す。
水泳の話とか、大学の話とか、…当然恋愛のことも。
榊ちゃんのことを話す神楽ちゃんは、恥ずかしがりながらも嬉しそうやった。
笑顔がいつもより可愛い。
私も智ちゃんのことを誰かに話しとるときは可愛くなっとるんやろか。
「でさ、明日榊とデートなんだよ…」
「ええな〜」
智ちゃん、私らもどっか行こよ。
「いや、いいんだけどさ…」
神楽ちゃんは下を向いてしもた。
「何だよ〜。デートなんか初めてじゃないだろ?私らも一緒に行くか?」
お!それは名案や。榊ちゃんとも久しぶりに…。
「いやそうじゃなくてさ…、あの・・・服、選んでくれないかな?」
「服?」
「うん…できるだけ可愛く…」
神楽ちゃんは持ってきた大きな鞄から何着も服を取り出した。
「それで、もしこの中に良いのがなかったら…お前らのやつ、貸してくれないかな」
261名無しさん@秘密の花園:2007/04/18(水) 00:32:17 ID:jC83mLoH
「でも、何で突然?」
――神楽ちゃんが言うには。
前から榊ちゃんが可愛いもん好きなのは知っとった。
で、この前冗談で猫耳つけてみたらいつも見れないような反応が見れたので、今回も驚かせたい。
・・・だいたいこんな感じや。
話しとる間神楽ちゃんはずっと恥ずかしそうやった。
智ちゃんは・・・時々笑ろてた。
「えー、でも無理して可愛らしくしなくてもいいと思うけどなあ」
一応真面目にアドバイスしとるなあ。
「別に無理してるわけじゃなくて・・・、榊が・・・」
・・・は!神楽ちゃん!
神楽ちゃんは榊ちゃんの喜ぶ顔が見たいんやね。
「智ちゃん!これは協力したらなあかん」
「何だよ突然・・・」
そうやねん。
こんな健気な女の子をほっとくわけにはいかん。
好きな人の喜ぶ顔はちょっとでも多く見たいねん。
「本当?ありがとう!」
神楽ちゃん、今の笑顔はすごい可愛いで。
その笑顔、明日榊ちゃんに見せられるようにしたるからな!
262名無しさん@秘密の花園:2007/04/18(水) 00:32:58 ID:jC83mLoH
とは言うても、神楽ちゃんの持ってきた服はTシャツとジーンズばっかりやった。
「んー、やっぱ私らの服出してくるか」
できるだけ可愛く・・・か。
「でも私は結構カジュアルなの好きだからな〜。やっぱあゆのやつかな」
女の子っぽくするんやとスカートははずせへんよなぁ。
「あー、これ着とけよ。一枚でも十分おしゃれだし」
「あかんて智ちゃん。もうちょっと真面目に選んであげやな」
下着姿の神楽ちゃんを、あーだこーだ言いながら着せ替える。
最後にはたんすの中のものはほとんど外に出とった。

結局ほぼ全部を試着して、私のピンクのワンピースを着ていくことになった。
袖の短い、襟のついたやつや。
縦にフリルが入ってて、腰にはリボンがついとる。
神楽ちゃんはすごい恥ずかしそうやったけど、満足そうやった。
「あとは髪の毛もきれいにしていかな。神楽ちゃん普段なんかつこてる?」
髪型は高校のときから変わってへん。
多分長いと泳ぐとき邪魔なんやろ。
「ううん。寝癖なおしてるだけ」
「じゃあ、ワックスだけでもつけとけよ。やり方教えてやるから」
こっからは智ちゃんのほうが得意や。
自分のワックスを鏡の前の神楽ちゃんの髪につけてあげとる。
私は出しっぱなしの洋服を片付けて・・・もう六時や。
「神楽ちゃん、ご飯食べてくやろ?」
「ああ、なんか悪いな・・・今度なんかお礼するよ」
鏡の中の神楽ちゃんが答える。
可愛い服着て、髪の毛整えてもらって・・・。
「結婚式みたいやね」
神楽ちゃんは「ありがとう」とだけ言うて目を閉じた。
263名無しさん@秘密の花園:2007/04/18(水) 00:35:41 ID:jC83mLoH
「大阪、料理すごい上手なんだなー!」
神楽ちゃんは普段の格好に戻っとる。
私のワンピースは鞄の中や。
「だろー?どんどん美味くなってくんだよ」
今日はまたお好み焼きや。
「でもお好み焼きにベーコンが入ってるのは初めて見た。美味いけど」
「バーカ。好きなもん入れるからお好み焼きって言うんだよ」
智ちゃんの笑顔は最高に可愛い。
私のこと話してくれとるからかな。
「でもさ、智も大阪に頼りっぱなしだと料理できないままなんじゃないの?」
私もたまには智ちゃんの料理食べたいかも。
「いいの!一生あゆに作ってもらうから」
!!
・・・智ちゃん。
胸がきゅんてなる。
今すぐにでも飛びついて、ありがとうって、大好きって言いたい。
・・・ええかな。
神楽ちゃんなら許してくれるかな。
264名無しさん@秘密の花園:2007/04/18(水) 00:36:58 ID:jC83mLoH
「ごちそうさま!ごめんな。遅くまでお邪魔して。大阪、服ありがと」
私の考えをよそに、神楽ちゃんは立ち上がった。
「あれ?もう帰んの?」
鞄を持って玄関へ歩き出してしまっとる。
「うん。今日は早く寝て・・・明日髪の毛整えなきゃいけないだろ?」
顔は赤いけどいつもの明るい笑顔や。
「うまくいくとええな」
「ありがとう。じゃあな!今日はホント世話になったよ」
扉ががちゃっと閉まる。
私は鍵をかけて、先に部屋に戻ろうとしとった智ちゃんの背中に飛びついた。
「うわ!びっくりした」
「えへへ」
腕を首に巻きつけて、頭を智ちゃんの肩に預ける。
「プロポーズやんね」
「・・・え?」
「ええよ。一生ご飯つくったげる」
そしたら、一生智ちゃんの笑顔を独り占めしたるねん。
265名無しさん@秘密の花園:2007/04/18(水) 01:02:23 ID:EfkDX2Pj
>>256 励みになります
>>257 VIPPERでもうしわけない、ありがとう

>>259-264 専属の人ktkr
いろんなカップリングやシチュエーションを書き分けられて素晴らしいと思います。本当に。



一行目の元ネタはアニメ19話です。


  最近またお見合い相手を持ってこられたりしたけど、正直男に興味が持てないのよね。
自立することの楽しさも大変さもわかると、だんだん親ってのがうるさく感じられてきちゃうのは仕方ないことなのかな。
水泳部にいても、男子の更衣室に行くことが恥ずかしいとか、生徒の裸に興味があるとか全然思えないの。
むしろ、神楽とか、あの子はかなりいい結果出してるけど、ああいう健気にがんばる娘を見てる方が気持ちいいのよ。
いやいや、別に変な意味じゃないのよ?ただ応援したくなって、ちょっと近づいて触れあいたくなって、みたいなね。
何の科目でも、公立でも私立でも教師は安泰だって言われてる。
で、みんなそれぞれ素敵な人を見つけて平和に人生を送るんだろう、って周りは思ってるみたい。
まあ、はっきり言っちゃうとやめてほしい。もっと自由に、もちろん自分で生活できるだけの労力はつぎ込むから、
恋愛とか趣味とかに関する日常を赤の他人に縛られず送っていきたいわ。
ゆかりとかは羨ましいわね。幼馴染として、たまにはそれ以上の関係でかな、ずっと側にいるけれど
あいつってば、全然先のこと考えなくて、何にでも猪突猛進って感じで。
確かに迷惑することも結構あるわ。でも、体育教師の私としてはその生活力を分けてほしいわね。
さて、そのゆかりが今日も今日とて居候だし、どうせ自炊しなきゃいけないから、今晩は何にしようかしら。
手近なところにじゃがいもが売ってるし、めんどくさいからカレーね、カレー。
自由もいいけれど、給料日がきつくっちゃしょうがない、我慢しかないわね。
  そう、最近また女の子が気に入っちゃったの。神楽と同じで健気、それに加えてとってもちっちゃい子。
もう可愛くって可愛くってしょうがない。しかも超高校級の天才で家事もしっかり一人でこなすなんて、言うことなしよ。
ゆかりのクラスだけど、体育の授業以外でも結構一緒になったりして、いろいろと話すことはできてる。


266名無しさん@秘密の花園:2007/04/18(水) 01:03:23 ID:EfkDX2Pj
「あ、黒沢先生。こんばんは」
えっ!そんなこと考えてたら、来た!?
まあいいわ。平静を保つことくらい簡単よ。仮にも勝負強いスポーツマンだしね。
「あらちよちゃん、おつかい?」
「今日は我が家の給食当番なんです。その材料を買いにきましたー」

「ちよちゃん、結婚して」
「へ?」
いけないいけない、うっかり口が滑っちゃったわ。こっちをじっと見てるわね。
さすがに本気だとは思わないだろうけど、注意しないと。
さて、気を取り直して。
「ちよちゃんは今日は何作るの?」
「えーと、空豆と豚肉の炒め物と、かぼちゃのサラダを作ります。あと何かスープかな」
これよ、これ。ついプロポーズしたくなる理由もわかるでしょ?
私の家に一時間でもいいから来てくれたら、ゆかりの分まで片付くのになあ。
ついでに先生の権限でいろいろと教えてもらったり頭を撫でてかわいがってみたり。
「黒沢先生はなんですか?」
えっ?
「ま、まだ決めてないのよ」
へへ、やっぱり私じゃちよちゃんに教師面できないわね。
カレーだけだなんて口が裂けても言えないし。
決めてない、なんだかんだ言っても、自分の人生もまだまだ決まってないわね。
さあ、次はどんな会話をしようかな……あれ、ちよちゃんじゃなくなってる。
手元を見たら、買うつもりのないものが入っている。
「あんたも!人のカゴにこっそりおやつを入れるとかじゃなくて!」
しかも高そうなのを。本当に幸せ者よねえ、こいつってば。
「いいじゃないのいいじゃないの、一緒に食べてのんびりと」
こういう風に言われると強く反論できない私も私ね。
もっとちよちゃんみたいにしっかりした人間になりたいな。かわいく、はさすがに無理だけど。
いいなあ、ちよちゃん。今度私の家に連れて行こう。
特別授業ね。お代はいらないわ、むしろ私が何万円でも払ってあげるから。
ああ、ちよちゃん。さっきの言葉は撤回しないわ、いつか結婚しようね。
267名無しさん@秘密の花園:2007/04/18(水) 01:04:36 ID:EfkDX2Pj


「何立ちどまってるのよ」
「ん?ちよちゃんのこと」
別に正直に言ってもおかしいとは思われないわよね。私たちの仲だし。
「あいつは渡さねぇ」
「あいつって、ひどい言い方じゃない?」
「我が組の頭脳は私自身の手で守る!」
こんな言い方でも、生徒一人一人をしっかり見守ってるのはわかるわ。
そうでなきゃ、教師なんてやっていけないもの。
「別荘もあるし」
あらら、まあ、ゆかりらしいわね。
資金面でも一切問題ないものね、あの子。ヒモになっちゃうかしら。
できればいろいろしてあげたいけど、実のところ勉強を教えるのは苦手で苦手で。
恥を晒したらどうしよう、って、ちよちゃんは何でも分かるんだからこんな心配しなくていいのよ。
あの子のことを考えてた途中で出会っちゃったばかりに、頭から離れないわ。
どうしよう。これは明日の学校がたまらない。
しかもプールの授業があるのよ、ピチピチの水着姿で決めたちよちゃんが
がんばってがんばって、本当に健気になって10mを越せるように泳ぐのよ。
手助けするのは私、それに多分神楽。
あのちっちゃな体に直接触れることができるのよ!分かる?
今までなら大したことなくやり過ごしてたかもしれないけど、これからはもうドキドキものね。

それにしてもこんなに私がちよちゃんの事を想い続けてるなんて。
もしかして、本当に惚れちゃったのかしら。

(妄想えんど)

268名無しさん@秘密の花園:2007/04/18(水) 21:07:55 ID:DuJdauw1
にゃもちよKtkr!!
ちよちゃんに片思いのにゃもちゃんに萌えた。
超GJ!!
269名無しさん@秘密の花園:2007/04/19(木) 01:00:12 ID:+tx7KP/B


「かおりん?」
私は今天文部の部室に呼び出されている。
というか、天文部にも部室があるんだな。 知らなかった。
「今日はね、お願いしたいことがあるの。神楽さん」
「神楽さん、なんて、馴れ馴れしく呼ばないでくれよ」
「いいえ、これでも尊敬してるのよ」
尊敬、か。 かおりんっていえば榊をずっと追っかけてる気がするけど、
あ、確かにいつも「榊さん」って呼んでるか、どうして私を?
「頼みも頼みだしね」
「なんだ、早く言えよ」
そう急かしたのに、かおりんは動かないで私をじっと見ている。
私の胸を……胸、だって?
「おい、そんなに見つめてるんじゃねえ!」
まだ止まってる。 目が同じ方向に向いてる。
超恥ずかしい、もっと、なんていうかさ、すっげー恥ずかしい。
「やっぱり、似てるわね」
「似て、」
「完全にあの人と同じじゃないけど」
出た、「あの人」。 かおりんの言葉にこの単語が出てきたら、
それは100%榊のことだ。 そんなに似てるか?
でもなあ、似てるって言われたらちょっとあいつの事が気になるなあ。
また勝負でも仕掛けてみるか。 今度は負けないぞ。
「これは榊さんの胸。 これは榊さんの足。 これは榊さんのウエスト」
意味不明な言葉がお経みたいに聞こえてくる。
だから、そんなにジロジロ人の体を見るなって……。
「初めての榊さんの触り心地」
気づいたら、制服の下に両手が入ってる。 マジでヤバイって。
まず顔が半端じゃない。半笑いで目線を全然動かさない。

270名無しさん@秘密の花園:2007/04/19(木) 01:01:08 ID:+tx7KP/B


「ちょ、やめろよかおりん」
「何ですか? 私の榊さん」
「さっきからサカキサカキって、何のために呼んできたんだ」
あれ、目が動いた。 不機嫌そうな表情をしてる。
「うるさいわね、練習よ。 イメージトレーニング」
「私でやるな」
「実践は大事なのよ? 分かったら黙ってて、想像に集中できないわ」
かおりんも結構ひどいなあ、一人でやってりゃいいのに。
「初めての相手は誰ですか」
もう知らない。 答えてやんねえよ。 勿論いないし必要ないけど。
「そうですか、私が初めてですか。 うれしいです」
あーあ、完全に自分の世界に行っちゃったよ。
って、何背中のホックに手えつけてんだ。 どう考えたってやりすぎだよ。
「私も榊さんが初めてです。 あなたのために貞操を守り抜いてきました」
テイソウ……? なんだっけ、手をつけられていない、ってちよちゃんから聞いたな。
「あなたに私のすべてを捧げますから、」
他人を使っておいて何を言う。
「私にも、あなたのすべてを味わわせてください」
いやっ、何してんだよぉ、手で直接揉むなよ。
胸が一番苦手なんだって、いくら友達でも、それはだめだってば。
「全部かっこいいのに、胸は豊かで女性的ですね」

271名無しさん@秘密の花園:2007/04/19(木) 01:01:59 ID:+tx7KP/B


触られるのも嫌だけど、大きさを言われるのはもっと嫌だ。
いいかげんにしてくれよ。 水泳の時なんて特に役に立たないんだから。
おい、待て、乳首を指で
「いい顔してますね」
「や、やめぇ、ろっ」
「息も声も熱いですよ。 もっと良くしてあげます」
だめ、つよすぎる、はやくとめて。
「榊さん」
わたしはさかきじゃない! かぐらだ!
「いいんですね、榊さん」
「ひゃ、はう、だまれ」
「そんな事言っちゃって、気持ちいいんでしょ?」
ひどいよ、ひどいよかおりん。
おまえが、さかきとつきあったら、あいつにもこんなことするのか?
ひどいよ。 わたしのさかきを……

「あなたを神楽さんみたいな人には渡せません」


……わたしの、さかき?


272名無しさん@秘密の花園:2007/04/19(木) 01:02:52 ID:+tx7KP/B


「あんな大雑把で頭の悪い人より、私のほうがいいですよね」
「くそっ、わたしにむかって、あ、んやあっ」
「榊さんは私のものです」
わたしの、さかき。
「この胸とか目つきとか運動能力とかは似てますけど、神楽さんが勝てるわけがありません」
どうして? こんなにひどいことをいわれているのに、くるしくなくなってきた。
「万能でかっこよくて、頭も切れて、私を守ってくれる」
「わたしを、まもって、さかき」
「榊さんは私の一番です!」
「いちばん、すきな、さかき」

「神楽さんもそう思うわよね?」
「え」
待て。 いきなり普通に話しかけてきた、しかも私自身に。
こんなに榊ばっかりのかおりんが、そんなにすぐ正気に戻れるか?
「やっぱり、そう思うのね」
「いや、そんなこと、榊の事なんて」
ヤバい。できるだけ勝負以外考えないようにしてたのに、こんな所で気づかれるなんて。
しかも、中途半端に動きをやめられた胸が感じすぎて熱い。
「まんまと引っかかったわね」
「違う」
「本当にいい表情しちゃって」
「違う! わざとだよ、ついだよ!」
かおりんには知られたくなかった。
別に他の人に知らせるつもりはなかったけど、かおりんとライバルにはなりたくない。
この年中榊のことを考えてばっかりいるやつと競ってたら、私もだめになる。

「まあ仕方ないわ。 あなたと違って、私と榊さんの間に共通点はないもの」
「だから、私はっ」
「隠してても、そのつもりがないと思ってても無駄よ。 態度でわかるわ。
 榊さんを一番愛してる私に、あなたのような人のことが何もわからないって言うの?」
私は何も言い返せなかった。
勝負でも最近の会話でも、何もない時でもいつも榊の事を意識してた。
あいつが猫ばっかり追っかけてて私の話を聞いてくれない時も、必死で話しかけてた。
「正直、神楽さんには勝てないかもね。 でも少しだけ分け前をちょうだい。
 何か私を満足させるもの、写真とか口のついたコップとかでもいいから」
かおりんが嫌いなわけじゃない。
でも、私が榊に対して正直になっちゃったらこうなるんだ、って考えると怖くて怖くて。
水泳にも勉強にも集中できなくなりそうなんだ。

「下校時間ね。 帰りましょう」
え、もうそんな時間か。 そういえば部活から着替えて教室に戻ってきたんだっけ。
「私の部は夜空の観察で延長していいことになってるけど、やめておくわ」
このまま続けていたところで何になったんだ?
「自分が空しくなってきちゃうからね。 さよなら」
「じゃ、じゃあな」
今日のかおりんを榊が知ったらどう思うだろう、いや、正直引くだろうな。
いつも見てて思うけど、あいつはあまり積極的じゃない。
私みたいなのと一緒にいられるのはどうしてだろう。
いや、自分から近寄っていったんだ。 やっぱり、あいつのことが気になってるんだな、私。
それにしても胸の変な感じが治まらない。誰か助けてくれ。
できれば榊に……って、かおりんの思考が写ってる、まずい。
考えれば考えるほどやつの策略にはまっていく。 私をどうするつもりなんだ、かおりん?

ああ、だめだ、今日は眠れない、榊のことを想ってしないと止められないよ。
本当に助けて、あいつのせいでおかしくなった私を。


(おわり)
274名無しさん@秘密の花園:2007/04/19(木) 01:16:02 ID:+tx7KP/B
しかしよくよくみるち>>142以前と以降で流れが変わってますね
たまには雑談してみましょうか


榊さんや神楽との絡みが少ないよみですが
どうやってあの辺り妄想しましょうかね?
榊さん×よみで熊カレーの復讐、なんて他愛のないネタもありますが。

ついでに過疎板なのであげます
275名無しさん@秘密の花園:2007/04/19(木) 01:21:51 ID:J1wCRZz6
かおりんひでーw
いや、いい意味で
276名無しさん@秘密の花園:2007/04/19(木) 03:51:14 ID:p6KqynVL
素晴らしい!!
277251=259:2007/04/19(木) 08:19:40 ID:U+ul43Yr
かおりんエロい
榊のこと思いながらひとりでする神楽を想像すると萌え死にます
>>274
マイナーなカップリングは、自分の好みが思い切り出そうで怖いです
どうやっても神楽総受けしか浮かばないw

あと自分的には259の続き書きたいんですけどエロ入ってないし反応薄いので迷ってます
278名無しさん@秘密の花園:2007/04/19(木) 17:31:23 ID:p6KqynVL
そこでゆかり×神楽と言ってみる。
279名無しさん@秘密の花園:2007/04/19(木) 17:40:49 ID:4BDbOnDo
にゃも×大阪は?
280名無しさん@秘密の花園:2007/04/19(木) 19:42:34 ID:KZBSeXif
逆にメジャーはなんだろう、と考えてみると

公式のかお→さか
二次創作の三強、よみともとさかぐら、にゃもゆか

その次に来るのが
ともかぐ、あゆちよ、さかちよ

意外と大阪絡みはマイナーかも
281名無しさん@秘密の花園:2007/04/19(木) 22:29:55 ID:+tx7KP/B
>>259

期待してます。
様々なカプが入り乱れる状況は大好きです。

誰か>>274
「よくよくみるち」に突っ込んでください
282名無しさん@秘密の花園:2007/04/19(木) 22:44:09 ID:/CcSrpvL
榊×神楽が超好みだけど
さり気なく、よみ×榊も好きなんで支援
283名無しさん@秘密の花園:2007/04/20(金) 00:47:30 ID:U/af5J99
>>280
大阪なら誰とでも絡めることができるかな。
一番好きなのが、大阪×とも だけど。
284名無しさん@秘密の花園:2007/04/20(金) 00:58:54 ID:f/1kRdSt


>>277さんの
>どうやっても神楽総受けしか浮かばないw
より、逆転ホームランやー




部活のない放課後は暇である。
しょうもない話を延々としたくなるものである。
しかし、どんな時でも周囲の人間に配慮はしなければならない。
「しっかしあんたって奴はホントに恵まれてますねぇ」
ある少女がもう一人の身なりに目を這わせている。
「いくら食べても太らないんでしょ? じゃあ、全部胸に行くってことだな」
「お前はいっつもいっつもそれだ」
「いいじゃん、神楽は胸で榊ちゃんと勝負するんだろ」
たしなめられた少女は顔面を充血させ声を荒げる。
「体力でも競走でも早食いでもなんでもいいけどな、胸だけは言うんじゃねえ!」
日課の水泳でかすかに焼けた皮膚からもわかる血流の変化。
単なる怒りか羞恥の感情かと問われれば、両方だと答えるほかない。
「もー、そろそろ自分が慣れたら? あんたも子供じゃないんだし」
ただし、この瞬間は怒りが勝っていた。
少なくとも彼女には言われたくないであろう内容の指摘をされ、神楽は顔を歪めた。
「とりあえず、ココは大人だけど」
智が先ほどにも述べていた相手の部位に手を触れようとした時――

285名無しさん@秘密の花園:2007/04/20(金) 00:59:55 ID:f/1kRdSt

――神楽は智の頬に平手を食らわせていた。
「馬鹿にするなよこの野郎」
「あはは、今日はまた挑戦的ですね。 悔しかったらその胸でタックルしてきなさい」
反省の色がない無邪気な少女に神楽は激高した。
何をすべきか考える前に、今度は拳がみぞおちに向かっていた。
大阪に同じようにした時とは違い、智は一瞬で気を失ったようだ。
「しまった……最近私もキレやすくなってるなあ」
他愛のない事を修羅場にしてしまった少女の側になじみの四人がやってくる。
「ともちゃん! どうしたんですか」
「とけとるー」
初めに二人の声が上がり、
「こりゃ重症だな」
また、倒れた方となじみの深い眼鏡の一人が冷静に言を発する。
ちよは神楽に問う。
「またやっちゃったんですか」
「いや、ちょっとな」
「暴力はだめですよ。 マハトマ=ガンジーです」
「誰だっけ」
「先週やったばかりだぞ」とは、眼鏡による締めの一言。
残りの一人は他より高い視点から、浮かぬ顔でただただ事件を黙して見ていた。
「責任は取れよ」
「わかってるって、よみ。 保健室連れてくからさ」
「一人だけやと思いやろ? 私もいくでー」
「いや、大阪はいい。 大丈夫」
神楽は即座に気絶した智を持ち上げて教室を出る。
廊下からは二人分の体重が掛かった速い足音がする。
「あのまま走るなんてさすが体力馬鹿だな」
「馬鹿だなんて、言っちゃいけない」
眼鏡に上から話しかける長身の一人は未だに表情を緩めずにいた。
286名無しさん@秘密の花園:2007/04/20(金) 01:01:03 ID:f/1kRdSt
ところが、神楽はその実保健室には向かわなかった。
代わりに足を運んだのはある女子化粧室。 衝動はまだ止まっていなかったのだ。
水泳部の着替えに使われる部室の近くにあるその場所は、
活動のない日には人の気がなくなる、と、走る少女は熟知していた。
人間の塊を抱きかかえたまま個室に進み入り鍵を掛けると、一度体を便器の上に休め、
最初にした平手打ちをもう一度智に放った。
「いたっ、やめて」
「起きたか」
「どこよ」
「トイレ」
「はあ」
「ああ」
「え」
呆然とした表情を浮かべる目の前の顔にまた一言。
「だから、トイレだよ」
「私は警察よ!峰○士子よ、逮捕するわ!」
「それは逮捕される側だろ」
「ほほう、あんたにしてはまともなツッコミですなあ」
衝動は加速する。
ありもしない余裕をかましていた智から、衣服を力ずくで剥ぎ取りにかかる。
「ボンクラーズ一味の神楽さんにこんなご趣味があろうとは」
身ぐるみを奪われながらも標的の態度は崩れない。
「今日はもう我慢ならねぇ。 いつも言われてきたことがどんなに嫌か、お前の身をもって知れ」
「神楽、こりゃ二日酔いだな。 もうちょっと休もうか」
呼ばれた少女は十数秒間返さず、沈黙の空間を作り出す。



「ともは胸がかわいいなあ。 ちっちゃいのに張りがあって、乳首もきれいな色で。
 これだったら榊と勝負できるぜ?」
「え、まじで、なにするつもり」
「こんなにいい形だったら、偽装しなくていいのにな、これ」
287名無しさん@秘密の花園:2007/04/20(金) 01:02:02 ID:f/1kRdSt

手には実際より大きめのブラジャーがひとつ。
「あは、成長に期待して、ってことよ」
「いつまで抵抗してられるか競うか」
脱ぎ捨てられた衣服が床に散らばる。
「声は出してもいいぞ、誰も来ないって知ってるからな」
「出すもんですか、かぐら、ぁ」
智は自分の宣言をそのまま覆してしまった。
通常の性格からかけ離れた積極的な神楽には、優越感の表情が浮かんでいた。
「やっぱ、やめよ、な、ひっ、神楽」
「ともの胸は本当におもしろいな。先をつねると固くなって、いじくってると声が出て。
 悔しいか? 悔しいんなら私にああいうことは言うなよ」
「あぅ、あい、しーぴい、おーの、おそろしさを、知らないわね、ひゃうん」
「嫌なんだよ、本当に」
執拗に両胸をこねくり回す神楽に普段の恥じらいは見られなかった。
「悔しいもんですか、受けて立つわよ」
智の調子付きやすい性格が自体を悪化させているのは明白である。
「だったら許さねえ。 さて、ここはまだ生えてないんだな」
「さては神楽、ふ、生えてる、ぅんだな」
「当たり前だろ。第二次性徴を迎えた奴のほとんどは生えてるぜ」
「さすが保体94点、やらし……いやあ、あ、え?」
「あんなに言っておきながら、ちゃんとここは用意してるんだな」
「だめ、そこまで、ひいっ」
言動に対する肉体の素直さが、神楽の抑えられない衝動にますます火をつける。
「もう一回言ってやろうか。
 とものここはきれいだな。まだ全然毛もなくて、下から見ると薄いピンクで、
 感じたらちゃんと汁も垂らし」
「やめ、やめてよぉ、もう、や」

288名無しさん@秘密の花園:2007/04/20(金) 01:03:06 ID:f/1kRdSt

一変して懇願を始めた少女をあざ笑う神楽。
「ほら、悔しいだろ」
ついに目を潤わせ、攻めに攻めた少女を見つめる智。
しかし、流れる涙は恐らく、秘所を直接刺激されたことへの快感による。
「分かったら胸の話とかはやめようぜ、な、とも」
「くっそー、神楽にこんなにされるとはな、負けないぞ」
「お前はもう負けだ。 思いっきり声出してたし」
「だから、そこまでするか、普通」
「私は勝負にこだわるんだ……ところで、このままだと苦しくないか?」
今まで虚を張ってきた裸の小娘が、抵抗なしにうなずく。
―― 完全に、堕ちたな。
「イカせてやるよ。 同じ女だし、どこですればいいかはちゃんとわかるんだ」
「さすが保体94点、胸の中にえろえろな思考が詰まってますねえ」
戯言を聞くまでもなく、股間にあてがっていた手を、指を二本割り込ませて動かす。
「それは二回目だぜ、もうちょっと反省が必要だな」
「あ、中に、いれえっ」
「普通に入ってったぜ? 家でしてるだろ」
「かぐら、ひゃう、ほんとうに、やらしい」
「でも、人にやってもらうのも良さそうだな」
「あひ、んあっ、そこ、いいよぉ」

神楽は智の内部を花弁の核とともに扱き続けた。
ただ緩んでいただけの智の顔が恍惚感に満ちてくる。
一分半ほど黙々と、しかし正確に敏感な場所を指で刺激していると、
隠されなかった喘ぎがとうとう絶頂に向かい大きくなる。
「ともってホントにおもしれえ、ここも乳首みたいに固くなってる」
「ひゃあ、もっと、ゆび、いれてぇ、あぅ、や」

289名無しさん@秘密の花園:2007/04/20(金) 01:04:30 ID:f/1kRdSt

「反省したか?」
「はんしぇい、しましゅ、もう、いひ、いきしょう、かぐら。
 もうギブアップ、だめえっ、ギブあ、あああああっ」
未発達で活発な体躯から力が抜ける。
智は一日に二度の失神を味わった。

「……片付いた」




翌日の朝。
「おひゃあ、神楽」
「おはよう。さあ、今日から何も言われないぜ」
「この巨乳おばかちゃんが」
「何だって? また昨日みたいにされたいか」

「されたい、むしろ大歓迎」
「……失敗した」

「榊ちゃんに同じこと言ったら、同じ風にやってくれるかな?」
「知るかー!」


(おしまい)


290名無しさん@秘密の花園:2007/04/20(金) 01:17:51 ID:f/1kRdSt
>>275-277 遅れましたが、ありがとうございます

素直に逆転させてみました
他に考えられるものとしては、ちよが攻めになるパターンとかえろそうです

次に書くとしたら、非エロです。
291名無しさん@秘密の花園:2007/04/20(金) 10:05:55 ID:JxsBSzI5
またずいぶんと変則的な物を・・・




いいぞもっとやれ!
292名無しさん@秘密の花園:2007/04/20(金) 14:12:30 ID:qGE4bPFQ
いいなーおもしろいGJだよ!
293エロの流れに乗って:2007/04/20(金) 17:47:37 ID:MhsbsVQP
「あ〜、やっぱ運動しなきゃダメかなぁ」
暦はベッドに倒れこんだ。
その日彼女は珍しく神楽を家によんでいた。
最近の神楽への話題といえば、ほとんどダイエットのことばかりだ。
「よみもスタイルいいじゃんか。私なんかよりずっと綺麗だよ」
言われても暦は嬉しそうな顔ひとつしない。
むしろ‘お世辞はいいよ’といった表情だ。
「私は神楽が理想なんだけどな…。引き締まったっていうか」
逆に神楽はあからさまに嬉しそうな顔をする。
照れてはいるが明るい笑顔だ。
「ほら、私のは筋肉の分もあるしさ。水泳してると自然についちゃって」
言いながら腕をまくってぐいぐい動かしてみせる。
自慢しているように見えなくもない。
「でもさ、あんまりついててもダメだろ?私なんか背筋とか女じゃねーって感じだし…」
神楽は腰をひねり、制服に手を入れてさすってみせる。
294名無しさん@秘密の花園:2007/04/20(金) 17:48:43 ID:MhsbsVQP
「…ちょっと触ってもいい?」
と暦が言ったのは、神楽が触ってくれといわんばかりだったからだ。
どうも体育会系の人間は、自分の体を見せびらかしたいところがあるようだ。
暦は返事より前に神楽の二の腕をつかんでいた。
「おぉ、かてぇ」
神楽も力を入れてみたりして、まんざらでもなさそうだ。
しばらく触ってから聞いてみる。
「背筋もいい?」
筋肉の感触が気に入ったのか、暦は抱きつくようにして神楽の背中に腕をまわした。
「おぉ!これは…すげぇ」
彼女の背中は、背骨を中心に両側に隆起していた。
ただ、鋼のように硬いというわけではなく、弾力のある柔らかい筋肉だ。
(これが水泳選手か…)
思いながら暦は自分の背中を触ってみる。
…まっ平らだ。
腕を神楽の背中に戻し、しばらくさする。
(これが理想なんだけどなぁ…。綺麗だなぁ…)
「おい、よみ。もういいんじゃないか?」
その声に反応して下を向いくと、神楽が少し恥ずかしそうに自分を見上げている。
その顔の下には美しい太股がふたつ並んでいた。
暦は自分の中に何かが沸き上がって来るのを感じ、片腕を背中から離した。
295名無しさん@秘密の花園:2007/04/20(金) 17:50:43 ID:MhsbsVQP
「うわ、どこ触ってんだよ!」
「いいじゃないか。さっきまで嬉しそうに触らせてたくせに」
暦の笑顔は悪戯っぽいものに変わっていた。
太股を撫でる指の動きもさっきまでとは違う。
「ちょっと…やめろよぉ…」
もう一方の手が制服の中に入り、神楽の息が荒くなる。
恥ずかしそうにしているものの、たいして抵抗はしない。
さっきの筋肉を見せられて、嫌がれば自分など簡単に振り払えることは想像できる。
暦は‘受け入れている’と判断した。
「綺麗だなぁ…」
指は執拗に彼女の太股と乳房を撫でるばかりで、肝心なところには触れてくれない。
「やめ…っ」
「やめてほしいのかよ?」
彼女の言葉は遮られ、暦の顔が近付いてきた。
「大丈夫、キスはしないよ。ファーストキスは榊にしてほしいんだろ?」
思わぬ言葉に神楽の体がびくっと震える。
「違…何言ってるんだよ!」
顔が真っ赤だ。
図星という表現がおかしいほど似合う。
(可愛いなぁ…こういう純粋さも私に足りないかなぁ)
考えながら、太股を撫でていた手を上半身に持っていき、両手で胸を刺激する。
「安心しろよ。大事なとこは私じゃなくて榊にしてほしいんだろ?」
意地悪な、しかし楽しそうな口調だ。
「神楽、自分でしてみな。私は上しか触んないからさ」
296名無しさん@秘密の花園:2007/04/20(金) 17:51:54 ID:MhsbsVQP
ついに胸の先端をいじり始めた暦の言葉に彼女は逆らえるはずもない。
耳に暦の舌と吐息を感じつつ、神楽の右手は太股の間へと吸い込まれていった。
すでに見て分かるほど濡れている彼女の下着の中で、小さな手が上下に動いている。
「ほら、いい子だね」
暦は耳に舌を這わせたまま言った。
その囁きが聞こえているのかいないのか、神楽は懸命に指を動かしている。
「神楽は指は入れない派なの?こすってばっかりじゃん」
答えは返ってこない。
見ると、目はうるんで口は中途半端に開いている。
「入れてみな…怖くないよ」
暦の手が下着の上から神楽の手に重なる。

「ちょっとだけ」
囁きとともに押し込まれた指は彼女に今までにない快楽を与えた。
「…!!」
声にならない声を発してベッドに倒れこむ神楽を、暦は追いかけなかった。
二人の体が離れる。
力なく倒れた神楽はそれでも指だけは動かしている。
「さ…榊ぃ、好きだよぉ…」
暦の存在を忘れたのか、それともどうでもよくなったのか、彼女は片想いの相手の名を呼び続けている。
「…失礼なやつだな」
ふっと笑って呟くと、暦は自分の下着の中に手を入れた。
297名無しさん@秘密の花園:2007/04/20(金) 17:52:48 ID:MhsbsVQP
指を離せば糸が引くほど、彼女のそこも濡れていた。
「神楽…綺麗だなぁ」
表情が次第に崩れ、指の動作にあわせて息が漏れる。
神楽を見下ろす目は潤いを含んでとろんとしていた。
「…さか…きぃ」
暦の下では神楽が口をぱくぱくさせて虚空を抱いている。
開いた口の中で、真っ赤な舌がしきりに動く。
頭の中では、彼女は榊に唇を犯されているのだろうか。
部屋には二人分の淫らな水音が響いていた。
(こんなに乱れて…。よっぽど榊が好きなんだな)
暦の頭の中に、この状況にはふさわしくない冷静で客観的な考えが浮かぶ。
さらに何かを思い付いたのか、彼女は神楽の耳に顔を近付け唇を動かした。

「好きだよ」
瞬間、神楽の体がびくんと跳ねた。
乱れた制服が彼女の体を絞めつけ、激しい呼吸音だけがその場を支配する。
「榊…」
力なく、しかし満足そうな笑顔で呟くと、神楽はベッドの上でぐったりしてしまった。

(明日は榊を呼ぶか…)
倒れた神楽を恍惚の表情で見下ろす暦の指は、まだ激しく上下していた。
298名無しさん@秘密の花園:2007/04/20(金) 20:56:09 ID:+89+1EDt
魔性の女だなw
299名無しさん@秘密の花園:2007/04/20(金) 21:02:10 ID:f/1kRdSt
よみきたあああ
しかも>>274を満たす形で!

おっきした
エロなしだと宣言したが、これはエロを書かざるをえない
300名無しさん@秘密の花園:2007/04/20(金) 22:25:44 ID:U/af5J99
>>297
GJ
なんかすごくえろいなあ。
よみは榊も食べちゃうのかw
301名無しさん@秘密の花園:2007/04/21(土) 15:26:15 ID:6505gO/V
アニメ9話また見てみた

やっぱ榊さんロリコンだよ
猫以外に視界に入ってるのが女の子しかいないwww

何よりも最後の妄想シーン激モエス
首筋に抱きついて離れないちよちゃん……笑い声聞いてるとちょっと気が触れそうだけど
302名無しさん@秘密の花園:2007/04/21(土) 20:58:34 ID:8aQz7GGY
>>301
あれは本当に萌えた。

丁度いい節目だから、ここで今まで来た作品を纏めてみる?
303名無しさん@秘密の花園:2007/04/21(土) 21:01:13 ID:AgVtqwop
榊さんは、ねねここねねこの話で、傷だらけの手で
大阪の瞼を閉じさせるシーンが少し百合っぽかった。

>>302
だいぶあるけど、さかのぼれば全部分かるな。
304名無しさん@秘密の花園:2007/04/22(日) 13:12:14 ID:OZqZgZ4N
榊は女の子が好きなんじゃないかと思うシーンが多いな


SSまとめ?
305名無しさん@秘密の花園:2007/04/22(日) 14:31:41 ID:xt2Ih0Nk
さかぐらが人気だけど

神楽→榊⇔ちよ
って感じがするんだよな
306名無しさん@秘密の花園:2007/04/22(日) 14:52:59 ID:OZqZgZ4N
どっかで
かおりんは榊の見てくれしか理解できてないから相手にされない
逆に榊はちよちゃんの見てくれしか理解できてない
ってのを見た
個人的にはかおりん→榊→ちよ→ただきち
307名無しさん@秘密の花園:2007/04/22(日) 16:29:51 ID:fw37fJZ8
>>298,299,300
ありがとうございます。
エロ下手なのでそう言ってもらえると嬉しいです。

流れぶった切って投下させてもらいます。
>>246-248の続きです。
エロ分は微妙ですが・・・
最近ゆかりちゃんが好きになってきました。
原作読んだときはむしろ嫌いだったのに・・・

―――
最近は日が短くなったのか、もう暗くなってきた。

体育祭は無事終わり・・・いや、無事じゃなかったか。
最後のリレーでゆかりが私にタックル仕掛けてきて。
でもまぁ、怪我も無かったし滞りなく競技も進んだ。
体育担当の教師としては責任も果たしたし、ひと段落ってところかな。
308名無しさん@秘密の花園:2007/04/22(日) 16:30:45 ID:fw37fJZ8
・・・なにより、仮装競走のときのことが尾を引かなくて良かった。
あのときは混乱もあっておかしな気分になっちゃったけど、もう大丈夫。
時間も経ったし、気持ちも落ち着いた。
少しどうかしてたかもね。
「ゆかり〜、帰るわよ」
あとはこいつを家まで送って・・・。
「あう〜、三連覇の夢が途絶えた〜。にゃものせいだからな」
「あんたのせいでしょ」
「やっぱあのときに走れなくしておくべきだったか」
まだ言ってる・・・本当に家に来るつもりなのかしら。
いやいや、何考えてんのよ私!
あれはほんの出来心で・・・
「あ、今日はここでいいや」
え?
「歩いてくからその辺でおろして〜」
あ、やっぱり来ないんだ。
当たり前よね。
さすがにもう冷めてるんだわ。
「にゃも」
「え?あ、待って。端に寄せるから」
「何残念そうな顔してんのよ」
「し・・・してないわよ」
「大丈夫だよ。シャワー浴びて着替えてくるだけだから」
いや、期待なんかしてないのよ。
歩いてくなんて珍しいからちょっと驚いただけ。
・・・って何自分に言い訳してんのよ、私。
「ちゃんと制服着てたらご褒美あげるからね」
309名無しさん@秘密の花園:2007/04/22(日) 16:31:51 ID:fw37fJZ8
何よ。
さっきみたいに思い通りになるとでも思ってるのかしら。
来たら冷たくあしらってやろうっと。
あ!昼間の復讐っていうのもいいかも。
“何で着てないのよ〜?うあ、何よ?”
“いつまでもいい気になってるとこうよ!”
“あ、にゃも・・・ん”
“ぷは・・・あんたがこの制服着るんなら続けてあげてもいいけど?”
“にゃものいじわる・・・”
・・・は!
何考えてるんだろ。一人で。
そもそもゆかりに欲情すること自体・・・。

・・・でも・・・。
・・・でもさっき私、あいつとキスしたんだわ。
唇が柔らかくて・・・私、してほしいって言ったんだ。
あ〜ぁ・・・なんか調子狂うな。
今から来るのに、どんな顔して待ってろっていうのよ。
310名無しさん@秘密の花園:2007/04/22(日) 16:32:44 ID:fw37fJZ8
あ、携帯・・・ゆかりから?
「もしもし。何よ」
「あ〜、にゃも?悪いんだけどさ、今日は行けないや」
「え、ちょっと・・・」
「ごめーん。また可愛がってあげるよ」
「ゆかり?」
切れた・・・。
何よ・・・自分から来るって言ったくせに・・・。
・・・ゆかり・・・。
ねぇ、ホントに来ないの?
寄るって言ったのに・・・。
違うの・・・ごめん、大丈夫なんかじゃない。
せつないよぅ・・・。
もう嘘つかないから・・・本当は来てほしいの・・・。
制服でも何でも着るから。
あ、今から着る!だからご褒美・・・。
ゆかり、ねぇゆかり・・・。
311名無しさん@秘密の花園:2007/04/22(日) 16:33:29 ID:fw37fJZ8
「うわ、何飛び出してきてんのよ」
え・・・?
「げ、泣いてやがる。お隣さんに気味悪がられるぞ」
ゆかり・・・?
「ゆかり!」
「うあ、抱きつくな!誰かに見られたらあんた部屋追い出されるだろ・・・とりあえず中に入れて・・・」

「うぅ〜・・・ゆかり・・・ずるいよぉ」
「も〜、悪かったよ。にゃもがそんなに発情してるとは思わなくてさ・・・」
「はつじょ・・・違う!」
「制服で部屋飛び出しといて何が違うんだよ」
制服・・・?
あ、電話のあと着替えたのか。覚えてないや。
「そんなにご褒美が欲しかったか〜。いい子だなぁ。にゃも」
あぁ、もっとぎゅっと・・・とろけそう。
「可愛いなぁ。よし、約束通りご褒美あげるぞ。何が欲しいんだ?」
「え?」
・・・意地悪・・・。
「ほら、ちゃんと言えるでしょ?」
「昼間の続きをしてほしいです・・・」
ゆかりってちょっとSなのかなぁ・・・。
「よし。ゆかりちゃん、素直なにゃもは好きだぞ。続きって言うと・・・こっからか」
「うぁ!ちょっと待って・・・いきなりは・・・」
「何だよ。続きって言ったじゃん。してほしくないのか?」
「・・・ちゅーもしてた」
「え?」
「ちゅーしながらだったでしょ・・・ん」
ゆかりの唇・・・昼間は無理やりだったけど、今はもう違う。
「ん・・・はぁ」
舌と指が同時に入って・・・。
あぁ、昼間の何倍も幸せ・・・。
312名無しさん@秘密の花園:2007/04/22(日) 16:34:18 ID:fw37fJZ8
「ねぇゆかり、こんなことするのは私の制服姿に興奮したから?」
「・・・」
「じゃあまた着ちゃおっかな・・・誘惑される?・・・えへへ」
「にゃもだから」
「え?」
「制服じゃなくてもにゃもには興奮すんの!」

「・・・そっか。私、素直なゆかりは好きだぞ」
313名無しさん@秘密の花園:2007/04/23(月) 00:01:43 ID:jN2nyeE2
>>307-312
続きktkr!!
幸せそうなにゃもちゃんにおっきした。GJ
314名無しさん@秘密の花園:2007/04/23(月) 12:44:49 ID:L3En1wNP
ちょっと、大阪×みなもを出します。
315名無しさん@秘密の花園:2007/04/23(月) 12:46:01 ID:L3En1wNP
No One Knows

 4月も末を迎えようとする日の黄昏時、ドアの横に備え付けられたチャイムが鳴った。
 黒沢みなもは読みかけの小説を置いてから、腰をあげて「はーい」と言いながら、
ドアを開けると、制服姿の少女が見上げていた。
「あっ、春日さん」

 春日歩―― ゆかりのクラスの子だ。あだ名は大阪と呼ばれている。
他のクラスの生徒ではあるが、夏休みには別荘で一緒に過ごす仲でもある。
「こんばんわー にゃも先生」
 小春日和のような微笑を浮かべ、大阪は軽くお辞儀をした。
「いらっしゃい。とにかく中に入って」
 みなもは、声のトーンを落として囁くと、一回り小柄な少女を部屋に招きいれた。

「どうして電話しなかったの?」
 居間にある、未だ片づけられていないこたつで幸せそうに、ぬくぬくしている
少女に問いかける。
「電話せーへんとあかへんの? 」
 きょとんとした顔で問い返された。
 ティーカップに熱いダージリンを注ぎながら、みなもは小さくため息をつく。
「私がいなかったら、あんたが困るじゃない」
「先生がおらへんかったら、また来るだけやで」
 白いカップの端に、形の整った唇をつけながら、大阪は言葉を続ける。
「電柱の傍で、恋人を待つ女ってのを、やってみたかったねん」
「そんなにいいものじゃないわよ」

 無意味な音声を流し続けるTVを眺めながら、みなもは首を振った。脳裏に過去の
嫌な経験が蘇ってくる。決して振り向いてくれない人の家を見上げるのは、とても
つらくて空しい事だった。
 暫くはお茶を楽しみながら、他愛のない雑談をする。他のクラスの生徒たちの
日常を聞くのは、教師として為にもなるし、大阪の話は純粋に楽しい。
316名無しさん@秘密の花園:2007/04/23(月) 12:47:16 ID:L3En1wNP
 小一時間程立った後、大阪は半ばはいずりながら近寄って甘えるような表情で
囁いた。
「にゃも先生、あれやってー 」
「あっ、いいわよ」
 期待がこもった大きな瞳を覗きながら、みなもは頷いた。

 脇に置いたペン立てから竹製の耳掻きを取り出す。正座になって、膝をぽんぽんと
二回叩いた。
「いらっしゃい」
 手招きすると、すぐに膝の上に頭をのせる。ふんわりとした感触が膝に伝わってくる。
「じっとするのよ」
 手慣れた手付きで、耳かきを差し入れる。

 先端が大阪の皮膚の上をこすると、華奢な身体が小さく震える。
「動いちゃ駄目っていっているでしょ」
 左手で頭を押さえながら、小さな垢を丁寧に取り始める。
「ん…… ちょっとくすぐったいねん」
 子猫みたいに、くぐもった声をだしながら、震えを何とか押さえようと堪える。
「はい。今度は逆よ」
 身体の向きを入れ替えると、ちょうど見上げるような体勢に変わり、大阪は
羨ましそうに呟いた。
317名無しさん@秘密の花園:2007/04/23(月) 12:48:30 ID:L3En1wNP
「にゃも先生はええなあ」
「どうして? 」
「胸が程よくあって…… うらやましいねん 」
「莫迦 」
 整った顔を赤らめながら、みなもはきちんと耳を、上に向けるように促した。
 耳掻きの先端を軽くなぞりながら、言葉を紡ぐ。
「あんたは、まだまだ成長途中だから、これから大きくなるかもしれないわ」
「にゃも先生。『かもっ』てひどいで」
「あはっ、ごめんね。でも、小さい方が好きなひともいるわよ」

 半ば慰めるような言葉には、大阪は納得していないようだ。
「クラスの男の子とかは、みんな榊さんの胸をみとるで」
「そうなの? 」
 確かにあの子の胸は反則的な大きさだわね、と思う。
「肩がこりそうだわね」
「そやな。ほんでも私はボインボインになりったかったんやー 」
 ちょっと古風な言い方に苦笑を浮かべながら、みなもは、耳掻きの先端の逆側に
くっついている綿毛を、少女の耳朶に入れて軽く指先を動かし始めた。

「終わったわよ」
 大阪の耳朶の傍に絡みそうになる黒髪をより分けながら言った。
「ありがとーなー にゃも先生」
 のんびりした声をあげながら礼を言うと、這い上がるようにしてみなもの首筋に
両手を絡み付かせて、おねだりする様に顔を近づけながら、瞼を閉じて柔らかそうな
唇を上に向けた。
318名無しさん@秘密の花園:2007/04/23(月) 12:49:53 ID:L3En1wNP
「しょうがないわねー 」
 みなもは、軽くため息をついてから、少女をぎゅっと抱き締めて唇を触れ合わせる。
「ん…… 」
 二人の唇が擦れ遭う度に、唇の端から声が漏れる。
 しばらくは軽いフレンチキスを愉しんだ後、大阪の口内に舌を差し入れる。
「んな…… にゃもへんへい? 」
 大阪は、矯声をあげて差し入れられた舌に絡みつかせる。ふたりの唾液が重なり
合って周囲にほんのりと甘い匂いが漂う。

「ん…… 」
 みなもは、大阪の舌の感触に愉悦を覚えながら、やや小さな口内の粘膜を丹念に
舐め取っていく。
「あ、あかんでえ」
 可愛らしい言葉で喘ぎながら、体育教師を強く抱きしめる。
 濃厚な口付けを重ねた後、みなもは囁いた。

「もうそろそろ、いいわよね」
「ええで…… にゃも先生」
 絡み付いた唇を一旦外すと、蛍光灯に照らされて怪しく光った唾液で造られた
糸の橋が、二人に生まれて途切れる。
 みなもの指先が軽やかに動き、大阪の制服のリボンは簡単に解かれ、制服がするりと
脱がされる。シンプルなレース地の下着も脱がしてしまうと、すこし容量不足で
だぶつき気味の白いブラが形を表わした。
319名無しさん@秘密の花園:2007/04/23(月) 12:50:55 ID:L3En1wNP
「ちゃんとサイズにあったものを買わないと駄目よ」
「それはそうなんやけど…… 」
 悲しそうな顔をみせる少女に、みなもは、罪悪感に包まれる。
「ごめんね。そういう意味でいったんじゃないの」
「ええで、許してあげるで」

 ちょっとだけ舌を伸ばして笑うと、今度はみなもの服を脱がしにかかる。
 流石に、慣れた手付きとはいかなかったが、それでも数分後には、みなもの上半身は
下着だけになる。
 大阪は満足げにうなずくと、みなものブラの布地ごしに唇をふくませた。
「んあ…… 」
 みなもは、いつになく積極的な大阪に驚きながらも声をあげてしまう。

「にゃも先生の胸ってやわらかいなあ」
 暫くはブラの上から、胸の感触を味わっていたが、やがて、もどかしくなってきた
のか、空いた両手で背中のホックをはずすと、形の良い乳房が姿を表わした。間髪を
入れずに、乳首に短い舌の先端をのせる。

「いやっ」
 少女のような声をあげながら、みなもは身体を震わす。普段は、主導権はみなもの側に
あるのだけど、今日の大阪はとても積極的だ。
 小さな動揺に付け込むように、大阪は乳首をほんの軽く噛んでみせる。
「んあっ」
 しびれる様な感触が、身体を駆け抜け悲鳴をあげる。
 動揺が収まらない体育教師を横目で見ながら、大阪は空いた手でジーンズのホック
だけを外して囁いた。
320名無しさん@秘密の花園:2007/04/23(月) 12:52:25 ID:L3En1wNP
「にゃも先生。脱いでー 」
「い、いいわよ」
 積極的な攻勢を続ける少女にたじろきながらも、素直にジーンズを脱ぎ捨てる。
「にゃも先生、今日の下着はえろすぎるで」
 少しだけ意地悪そうな声をあげる。黒い下着が白い素肌と明確なコントラストを描いていて、
とても蠱惑的だ。

「莫迦なこと言わない」
 むくれながらも、大阪のスカートを脱がしにかかる。なめらかな素肌と白い飾り気の
ない下着が、幼い体つきに合っていて、日常では見せる事の無い劣情をかきたてられる。
「へへー 」
 一方、大阪は、いつもと変わらないほんわかした笑顔を浮かべながら、みなもの
下着の中に指先を差し入れる。

「にゃも先生、もうぐしょぐしょやー 」
「し、仕方ないじゃない! 」
 顔を赤らめながらも、負けじと大阪の下着の中に、細長い指を差し入れる。
「そういうあんたも濡れているわよ」
「お互い様ってことやねんな 」
 のんびりした口調でいいながらも、ゆっくりと陰毛の中に隠された秘所を探りあてた。
「お豆さん。みつけたでー 」
 愛液で濡れた指先で、クリを摘むと、ねじるようにこすり上げる。
「ひゃうっ! 」

 急激に高まる快感に声をあげながら、みなもも、大阪の下着の中に入れた指先を、
かき回す。産毛程度しか生え揃っていないから探し当てるのは簡単だ。
「にゃ、にゃも先生、あかん、あかんでー 」
 みなもが指先を動かすたびに、大阪の壊れそうなくらいに華奢な身体が、小刻みに
震える。幾度も迫り来る快感から逃れようと、みなもの中に差し入れた指を更に激しく
揉みしだく。
321名無しさん@秘密の花園:2007/04/23(月) 12:53:38 ID:L3En1wNP
「んくぅ、だめ、だめよ…… 」
 少女のような可愛らしい悲鳴をあげながら、みなもは大声をあげた。隣の部屋に
聞こえそうだなという考えが一瞬だけ浮かんだが、大阪の悪魔のような正確さで
刻まれる快楽のステップに冷静な思考は吹き飛ばされる。

「ふあ、ああ、あくう…… 」
 激しい喘ぎ声をアパートの一室に響かせながら、教師と教え子は淫らに腰を
くねらしながら、お互いの大切な場所を激しくこすり合わせる。
「にゃもせんせー 一緒に、いく…… ねん」
 大阪は、豆だけでなく、膣壁も刺激し始める。
 急激に高まる快感に、みなもの脳裏は真っ白になってしまう。

「んあ、や…… んあっ、ああっ」
 次々と襲いかかる快楽の波に小刻みに身体を震わせながらも、大阪の秘められた
場所への執念深い愛撫はやめない。
「あかん。あっああっ 」

 みなもより一回りだけ小さい少女も絶頂が近いことを悟り、全身を震わせながら
無我夢中でみなもの唇にかぶりついた。
「んんっ、はうっ」
「んあっ…… んあああああっ」
 今日二度目のディープなキス。お互いの秘所への攻撃を続けながら貪るように
舌を絡みつかせながら指を激しく動かして―― 
 瞬く間に頂きに昇りつめ、弾けた。
322名無しさん@秘密の花園:2007/04/23(月) 12:55:42 ID:L3En1wNP
 大阪とみなもは、ゆっくりと快楽の波が引いていくのを感じながら、心地よい
余韻に浸っている。
 二人の秘所から噴き出した愛液によって、下着はもはや意味をなさないくらいに
濡れてしまい、全身からは出た汗は、床にしかれたカーペットの一部に跡をつけた。
 「今日は…… どっちが…… はやかったやろか」

 大阪は、余韻を愉しむように身体をあずけながら、汗に濡れた眉に手をあてながら
呟いた。
「ほとんど……、同時かしら」
 少しだけ苦笑を浮かべながら、乱れた大阪の黒髪を撫であげる。
「あー残念やー、通算成績はえっと、3敗1引分けやー 流石にゃも先生やで 」
「あんた。そんなこと考えてたの? 」
 相変わらずのマイペースな思考にあきれながらも、大阪にシャワーを浴びるように
促したが、少女は首を振った。

「もうそろそろ、帰らないとあかんねん」
「どうして? ゆっくりしていけばいいじゃない」
 少し、困惑した表情で言う。
「にゃも先生は、分かっておるようで、分かってえへん」
「どういう事かしら? 」
 彼女の問いには、はにかむような表情を向けただけで何も言わない。
323名無しさん@秘密の花園:2007/04/23(月) 12:57:42 ID:L3En1wNP
 大阪は、脱ぎ散らした制服を再び着て、数分後には鞄を持って立ち上がっていた。
 時計の針は8時を回っている。
「ほんならー またくるで」
「え、ええ。気を付けてね」
 やや毒気を抜かれた表情で、それでも玄関先までは付き添う。
 大阪はちょこんとお辞儀をすると、スカートの裾を微かに揺らしながら背中をみせ、
アパートの階段を下りていった。

 少女の姿が完全に消えてから、ドアを閉めたみなもは、首をかしげながら呟いた。
「一体、何を急いでいたのかしら? 」
 しかし、彼女の疑問は5分と経たないうちに明らかになる。
 みなもがゆっくりとする間もなく、再びチャイムが鳴り、同僚の英語教師が彼女を
誘っていた。
「にゃもー 焼き肉食べにいこー 」

 二人の関係は誰も知らない。知られてはいけない。

(終わり)
324名無しさん@秘密の花園:2007/04/23(月) 16:03:53 ID:ahLgQvyu
真昼間からなんちゅうもんを・・・
二人の馴れ初めも知りたいなぁ
325名無しさん@秘密の花園:2007/04/23(月) 16:14:35 ID:L3En1wNP
>>324
夜勤なのでスマン
このペアはお気に入りなのです。出会い編も、できればかきたいですね。
326名無しさん@秘密の花園:2007/04/23(月) 16:37:04 ID:vMqOYefj
これは甘いGJ!!
最近女教師多いな〜
327ねこのてしょうぶ 1:2007/04/23(月) 21:50:08 ID:8d8OfVBS
>>315-323
これはいい
大阪の攻めかつ受けっぷりも、にゃもの色っぽさも好きになってしまいます。

このスレにもまた新しい書き手さんがいらっしゃいましたね。
エロ素晴らしい作品を読ませていただき、ありがとうございました。



やっぱりベーシックな組み合わせ、そう、さかぐら直球も書きたくなりました。
ちょっとマニアック、後半エロです+一つ妄想設定を追加してます。そしてかなり長いです

=======================================================
「そろそろ慣れたけど、本当に猫とか多いよな」

部屋に入り、招かれた少女が一言。

「私と猫、どっちが好きかな、なんて」

余りにも陳腐と言えば陳腐な台詞回し。

「比べることに……意味を、見出しては、いけない」

無難な答えでやり過ごす空間の主。

「でもよ、たまに気になっちまうんだ。
 私を置いて野良ばっかり追ってるときにさ」
「ごめん」
「お前が何を考えてるかわかんねえけど、とりあえず私は悔しいし、
 馬鹿だからさ、あいつらとも勝負したくなっちまうんだ。
 猫は猫だし、私は私だって分かってるんだけど、わざと、や、つい」
328ねこのてしょうぶ 2:2007/04/23(月) 21:51:26 ID:8d8OfVBS

語る彼女を上から静かに見つめる少女は、在りし日を想起する。
今は別としても、道端に現れる小動物を追い払っていた行動に
それほどの目的があったかどうかを知ることはできない。
もしあの時、彼女の深層に既にその類の感情があったのだとしたら。
少しでも意を汲み取って早く応じるべきだっただろうか、と榊は憂えた。
だが、幸いにも憂慮は次の声により打ち消された。

「まあ、こうやって呼んでくれただけでも嬉しいけど」

事実、現在二人は意志を通わせ、内密に結ばれた存在となっている。
他愛無い嫉妬のふとした表出により、思いがけず
彼女の好意、否、より強く、愛慕の情を改めて伺い知ることができた。

「そういやあ、おととい噛まれた手は大丈夫か?」

高木から端麗に伸張した腕を掬い上げて神楽は問うた。
一つ前に彼女が目にした時、鮮やかな生気の液体を滲ませていた皮膚は、
不必要な痕跡を一切残さず回復を遂げようとしていた。

「まだちょっと切れてるけど、きれいだよなあ」
「そんなこと、ない」
「いや、きれいって言ったらきれいなんだからいいだろ」
「君の方が」

緩やかに掌が翻り、会話の対象が移る。
榊のしなやかに曲折する指が他方の手先に絡みつく。

329ねこのてしょうぶ 3:2007/04/23(月) 21:52:30 ID:8d8OfVBS

「あんまり見るなよ? ほら、カサカサだろ、塩素って結構肌に悪いらしいぜ」

謙遜を耳にしながらも、ただただ視点を下ろして爪の先端まで探る少女。

「見過ぎだって、恥ずかしいだろ、胸ほどじゃないけど」
「神楽の手」
「そんなに私の手が好きか」
「君がかわいいから、君の手も同じようにかわいい」

ささやきを受けた神楽の両頬に、かすかながらも血潮が集まる。

「榊、お前も結構変なこと言うなぁ」

落ち着いた面構えで手のひらを眺め続ける少女に、恥じらいの返答。

「……握って、いいか」

より強い結束を目論んでか否か、はにかむ少女に新たな提案がなされる。

「握る? 握力勝負か! それならやってやるぜ」
「君こそ、妙な考えを、口に出す」

特殊な雰囲気に耐え切れなかったのだろう、神楽は再び主導権を奪い
大雑把に傷ついた手を包んで力を掛けようとする。

「いいんだよ! とにかくやろうぜ、せーの」

些細な提案は結局競い合いに変わり、勝手な号令がかけられた。
330ねこのてしょうぶ 4:2007/04/23(月) 21:53:29 ID:8d8OfVBS

彼女が一所懸命に力を集中させるが、榊は受け流すようにして応じない。

「おい、本気でやれよぉ、なんか手加減されてるみたいじゃねえか」
「力は適切な所で使うものだ」
「お前がちゃんとやってくれないと、私が満足できないんだよ」

挑まれた一方は、しかし、きょとんとした表情を未だに変えなかった。

「とにかく、何でもいいから力を入れてくれ。 頼むぞ、せーの!」

再び開始された小さな争い。
双方が顔を見合わせ、視線を揺らさずに筋肉に荷重を加える。
今度は榊もある程度挑戦者の要求に反応しているようだ。

「そこまで君が言うなら、私は止めない」
「いいぞー、もっとやれ、マジでやってくれ」
「いいのか」
「遠慮すんなよ! 私も思いっきりやってやるぜ」
「そうか」
「負けないぞ、わたし、は、い、いてててて、負けない、いた」

調子付いた口調が突然うめきに変わり、反射的に勝者の力が解かれた。
対して取り乱した榊の声は、常時の落ち着きからは考えられないほどに震えたものであった。
また、もろくも崩れた神楽の嘆きも、負けず嫌いの彼女らしからず正直であった。
331ねこのてしょうぶ 5:2007/04/23(月) 21:54:20 ID:8d8OfVBS

「いや、これって、私も45キロ位行ってんのに、異常だろ」
「すまない、神楽が喜ぶなら答えなければ、と」
「いいんだけど、いいんだけどさ、これは予想外だよ、これで帰宅部なのか」
「ああ、申し訳ない、君を痛めつけようとは思わなかった」
「こんなに握力使うのって、剣道か何かくらいじゃないかよ」

問いかけられた少女は一瞬はっと目を見開き、その直後、きまり悪そうに俯いた。
その態度が、発言の内容が正しいということを明らかに証明していた。
しばらくして榊は赤らみつつも首を縦に下げた。

「あれ? 適当に言ったんだけど、もしかして当たってる?」
「……どうして」
「お前って着物合わせてくれるし、髪も和風に結えるじゃん」

いい加減な推量だが、確かに今時の女子高生ではそこまで多くないのかもしれない。

「なんで私にまで秘密にしてるんだよ、 お前との仲だろ」
「知らなくて、いいよ」

垂れたままの頭を上げようとせず、榊はか細い声で返す。
神楽は相手の心情を考えずに質問を浴びせる。

「何級とか?」

問われた相手は微動だにせず口も開かない。

「お? 榊なら何段とかかもしれないな、どっちだ」

だんまりを決め込む大きな恋人の前で、いかにも興味津々な少女がいた。
332ねこのてしょうぶ 6:2007/04/23(月) 21:55:20 ID:8d8OfVBS

「おーい、聞いてんのか、早く教えろよ」

だがそれでもよほど恥ずかしいのか、自発的に行っているのではないのだろうか、
期待された答えはひとつも発されることはなかった。

「くそ、私でもダメか。 まあ、さすが榊だな、一本取られた。でも今度は負けないぜ」

そう言いつつ、一向に詳細を語らない少女に対し不服そうに面を作りながらも、
彼女の運動能力、素養の飛びぬけた高さを知ったことで、すぐ喜びの顔をあらわにした。
一方で、真の姿をひとつ明かされてしまった寡黙で剛健な少女は未だに内気のまま、

「勝負が、そんなに、楽しいか」

と、他方の核心を突くような疑問を呈する。
それでも神楽は臆することなく、ただ一言で、それ以上必要のない説明を済ませた。

「お前となら」

普段はこの時点で微笑む榊だが、今回は納得することなく反論に打って出る。

「そうか。 私は、こんな事するよりも……かわいいものを、守っていたい」
「ふーん、じゃあ私は?」
「君も」
「かわいいだけは嫌いだ」

神楽の瞳はまっすぐ、黒髪の麗しい少女の目を凝視していた。

333ねこのてしょうぶ 7:2007/04/23(月) 21:57:30 ID:8d8OfVBS
「かわいいだけじゃ嫌だ。 好きだ、って」
「好きだよ」
「まだまだ、もっと言ってくれ。 好きでも足りねえみたいだ」
「愛している。 私は神楽をこの上なく愛している」
「猫より?」
「ああ」

二人が親密を超えた交際を始めてから幾度ともなく交わされた告白の嵐。
神楽が主導する場合、必ず猫や何やらとの比較になるのもお決まりであった。
それでも飽きずに榊が二つ返事をするのは、要領を得ない比較の底に健気さと独占欲を感じ取るから。

「剣道かあ。 お前が一本取るのも見たいぜ」
「それは、多分、駄目だ」
「どうしてだよ、やっぱり私じゃ無理なわけがあるのか? ガサツだから?」
「家が、まだ、許してくれないと、思う」
「い、いえか。 榊んとこって本当に凄そうだな。 わかった、良くなったら見せろよ」

要求された少女は、淡々としたうなずきで従った。

「いいな、約束だぞ。 お前のビシッと決まった姿を、な」

強い願いに、ようやく榊の笑顔が戻ってきた。

「そう、榊、それでいいんだ。 もう一回、手貸せよ」

神楽も陽気な表情を見せ、一度は自分を打ち負かした掌を求めて一握りさせる。

「あ、本当にここまで筋肉ついてるな」
「そんな」
「私も勝てないな、こんなに堅いんじゃ。 だから榊は強いんだな」
「強いより、かわいい方が、好き」
「いいんだよ、私はかっこいいお前が好きなんだから。 こっちも、また触ってみるか?」
334ねこのてしょうぶ 8:2007/04/23(月) 21:58:51 ID:8d8OfVBS
恥らう中にも自分の主張を曲げない少女に手を差し出す神楽。
すると少女は甲を凝視して、親指を中に入れて拳を作るように言った。
神楽が同意し行動に移るのを見て取ると、
彼女は固められた手にできた隆起を撫で回したり軽く押したりして遊びだした。

「肉球」
「にくきゅー?」

急な発語に戸惑い、軽い疑問文が投げ返される。

「そう、肉球」
「へえ、やっぱり猫好きだよなあお前」
「ああ、神楽、かわいい」

穏やかな微笑はいつしか偏執的な欲望を孕んでいた。
ゆったりと流れる雰囲気の中、またもや話題転換がなされる。

「そうだ、私が猫らしくなったら最強だろ、いいアイデア!」

傷口を残しながらも輝きを保つ榊の手に、一途な体育少女の開いた唇が近づく。
細く生々しい裂け目に体温を持った舌先があてがわれる。

「お前がしてほしいように、猫みたいに舐めてやるぜ」
「温かい……刺激が、強い、けど、いい」

表皮が削られ、神経が晒された部位に意図的な感触が作用する。
痛覚に訴えかけるざらついた粘膜が、榊の内に潜む欲求を煽動する。
一匹の愛しげな獣と化しつつある少女は、彼女の飼い主によりよく仕えんとして
赤く開いた箇所だけでなく、治癒を終えた周囲にも唾液を広げてゆく。

「榊のその顔、大好きだよ。 今が一番きれい」
335ねこのてしょうぶ 9:2007/04/23(月) 21:59:59 ID:8d8OfVBS

恍惚した様で手を引き渡している少女に向かって神楽が素直に語りかける。
程よく湿潤な表皮にますます水分が加えられ、従順な猫の頭部がますます上に滑り込む。

「何度も引っかかれてるのに、全然跡もないし真っ白」

艶やかで、かつ謙虚な肢体を褒め称えつつ、愛しき小動物は舌を回しつづける。
口元がおもむろに手先から胴体との分岐点へ、さらにふくよかな胸部へと向かう。
しかし、なし崩しで行為に移ろうとする猫を飼い主は一旦制止した。

「このままじゃ、だめ」
「え、別に慣れてるだろ?」
「今日はやめて、ほら、私の親を、見ただろう」

扉の外ではかすかな足音がしている。
この状態で始めてしまったら、自室に近づかれた時の対応を取れない。

「たまには楽しもうぜ、女同士、別に誰にも怪しまれないだろ」
「いや、それは……声が」
「ずっと閉じててやるよ」

神楽は飼い主の部屋に入った時から立ったままであった。
一方、長身の榊は視点を猫の顔に近づけるため、学習机の椅子に腰掛けていた。

「私の口で」

猫になるとは言いながらも、実際、現時点では神楽が榊を飼っていると見受けられる。
336ねこのてしょうぶ 10:2007/04/23(月) 22:00:55 ID:8d8OfVBS
「今日はベッドじゃなくて、このままやってみるか。 面白そう」
「そんな」
「大丈夫、右手で支えてやるから」

当惑しつつも、主導する獣に人形のごとく従属し、姿勢を整えんとする家の住人。

「お前も乗り気じゃん」
「違う」
「だから、いいんだって。そんなお前も好きなんだからさ」

限定された空間の片隅に席が一つ。
榊は背もたれを自らの右側になるようにして座面に腰を置く。
一方、彼女のやんちゃな飼い猫は、先ほど言ったとおりに肩甲骨を右腕で引き上げる。

「力は抜かないから、安心しろ」
「服は」
「左手で脱がせてやるって。 大丈夫だよ」

首より上は強靭な筋力によって支えられつつも、あでやかに伸びる黒髪は床まで垂れている。

「本当に、このまま」
「ああ。 榊は楽にしてろ、気持ちいいところは毎日ので知ってる」

不安げな表情を取り去らない主人をなだめながら、着々と衣装に手を掛けてゆく。
まずは上半身。 会話を続けるうちに、胸だけが覆われるようになった。
神楽はふと腕を止め、急峻な二つの丘、その谷間や頂上までを調べる。

「このブラ、バネとかそういうの入ってないよな。
 それなのによ、なんでこんなにきれいな張り方してるんだ。 すっげえ羨ましい。
 で……こう、外しても、垂れてこないし」

337ねこのてしょうぶ 11:2007/04/23(月) 22:02:39 ID:8d8OfVBS

「あんまり、言わないで」
「榊って全身きれいだし、いるものが全部あるのにいらないものは何もないしさ」
「身長も、胸も、必要ない」
「お前がいるかいらねえかの話じゃねえよ、私が好きだから必要なんだ」

あまりに直接的な表現にはにかみながら、首を上げしきりに扉に目を向ける下の少女。
少し前に彼女がつぶやいた通り、部屋の外には親がいる。
多少も気にせずに手先での愛撫を始める悪戯好きの猫。
その時である、ちょうど良い頃合とでも言うべき戸の音が、玄関から壁全体に響き渡った。
神楽の体重を半分ほど預かる少女は、部屋に入る前の会話を思い出した。
曰く、あと十数分か数十分で晩の食材を買い出しに行く、と。

「あれ、出たんじゃねえか? なんだ、これなら」

心配の種は消え去った、神楽にとっては当然ながら、今まで消極的だった榊にとっても。
飼い主が飼い主らしい行動に出るのは次の瞬間である。
無抵抗に椅子から垂れていた両手で上に被さる背中を包み込み、
背筋を駆使して自ら率先した口付けを行う。
最初に声を漏らさない手段として提案したその猫は、予想もしない逆襲にたじろぐ。
寡黙で慎重な普段の彼女からはうかがい知れないほどの勢いで強引に服を剥ぎ取る。
一分もしないうちに、榊と神楽はそれぞれ同じく下半身の衣類を残すのみとなった。
呼吸を奪われた迂闊な猫の鼻から、熱気を持った息が吐き出される。
動きだした主人は、手を懸命に嘗め回していた小動物の舌に自身のそれを絡める。
思わず口腔を犯された相手は、行き場のない息を鼻腔からのこもった発音に変える。
榊が唇を離すと、力の抜けた猫との間に粘液の糸が引き伸ばされた。

「待てよ、お前、こんな時に勝負かよ」
「君は、正直すぎる」

急な発言の真意をつかめず、神楽の動きと思考が停止する。
338ねこのてしょうぶ 12:2007/04/23(月) 22:03:44 ID:8d8OfVBS

「正直すぎるよ。
 胸や腕を、じっくりと見て……わざわざ、一つ一つ口に出して。
 当たってると、思ったら、何も考えずに、剣道だ、とか、言ったりする。
 でも、それは、悪くない。 むしろ、それでこそ、君だ。
 君の、正直さが……かわいさを、より増すんだ」

いかなる時よりも冗長な少女の言葉はしかし、慌てた子猫をなだめることとなった。

「そっか、いや、ありがとよ。 正直に受け取ってお、あわっ?」

完全に気を許した飼い猫に、先ほどまでの所業に対するしつけが始まる。

「まず、君の胸は、きれいに整っている。 支えがなくても、十分に、張りを、保っている」

指摘した実りの先端に伸びやかな指たちを進め、突端部を挟んでこねる。
さらに榊は、頭を従順な猫の肩上に近づけ、分泌された塩分を掬い取り意図的に告げる。

「首筋から、流れ出る汗、これは、君自身の、濃い、味がする」
「待て、やっ、乳首まわしながら、へんなこと、言うな」
「それに、手も、筋肉と脂肪が、ほどよく、調和している。 理想的な、美しさだ」
「榊、おまえ、おかしいよぉ」
「何を。 君が、言ったようなことを、そのまま」

頬や耳の裏から、指先で刺激している胸まで丁寧に舌を這わせる様は、
まるで猫同士のとりとめもないじゃれ合いである。

「ひゃ、反対のほうを、しゃぶるな、ずるいよ、またお前が勝つにゃんて」

攻める少女の猫好きに感化されたか、あるいは単に呂律が回らなくなったか、
愛玩される小動物がまさに猫の言葉遣いとなる。
339ねこのてしょうぶ 13:2007/04/23(月) 22:04:37 ID:8d8OfVBS

「ずるいよっ、おまあ、おまえが、かちっぱなし」
「勝負に、そこまで、意味は、あるか」
「榊に、さかきにぃ、あう、勝ちたいんだよ」
「私と君が良ければ、それで構わない。
 私は既に良くなっている。 そして君も、そのうち良くなるはずだ」

この言葉をもって、調教を施す主人は再び寡黙さを取り戻す。
学習机に付属した椅子は不自然な体勢で二人を支える。
完全に榊の手中に収まった神楽も、嬌声を上げながらも
失った攻勢を取り戻そうとして、背後に回した右腕の力を解かない。
また、彼女の下敷きとなった大きな少女は、背もたれのある側の手で上の体を揉みしだき、
反対の左腕を机の上面に伸ばして力を加え、姿勢を安定させている。

「やめ、にゃめすぎだよ、んあぁ、そっちも、もむにゃあ」

猫なで声を発しつつも、やはり神楽はあきらめていなかった。
左手が余っている。
無駄にぶらつかせずに有効活用しなければ。
そうとっさに発案し、必死に榊の、まだ着衣された下腹部に手を伸ばす。
黙々と胸やその周囲に頭を近づけて刺激を加える少女の視界にはそれが見えなかった。
腰と衣服の境目から指を入れるが、このままではあいにく身長差で奥に届かない。
そこで、神楽は思い切って右腕を持ち上げ、更に体そのものを下に動かす。
応じるように、榊の上半身全体が、力を十分に持った腹筋によって起こされる。
手先が下着を越して秘められた場所に到着し、剛直な指が予告なしに愛撫を加える。

「やっぱりここは私が勝つ!」
「ん、かぐら、まだ、勝負に、っ」
「パンツの下で、動かしづらいけど、気持ちいいだろ」
340ねこのてしょうぶ 14:2007/04/23(月) 22:05:30 ID:8d8OfVBS
まずは神経の集中する核から。

「ふ、はあ、君は、自分に、く、正直だ」
「負け惜しみ、やぅ、いうんじゃ、にぇーぞ」

胸が遠ざかる体勢になってもまだ、意表を突かれた榊は執拗に手と口をあてがう。
負け惜しみ、と吐き捨てた猫は、しかし自分の不用意さに気づいていなかった。

「そのうち、君も、快感を、感じるだろう」

体格が大きければ腕も長い。 その上、机の上にやはり左手が残っている。
言葉とともに、上半身と同じ要領で下半身の服装を易々と下ろす冷静な飼い主。

「え、うそだろ、ひ、しゃかき、や」
「詰めが、あ、甘い」
「やぁっ、ひどいよ、また、まけちゃうよぉ」
「神楽、かわいいよ、ふあ、かわいいっ」

榊は下半身に服を残したまま、一方神楽はとうとう全裸で、
それぞれの陰所をそれぞれの力と技で操る。
おのおのの左手の間から、快感による分泌液が溢れ漏れ出す。

「さかき、ひあ、ひどい、でも」
「ああ、かわいい、かわいいよ、んむぅ」
「でも、やっぱり、いいよぉ」
対等な攻守関係となりつつも、唯一残った下半身の服がふと邪魔だと感じた榊。
ほんのわずかに動きをやめ、神楽を上にしたまま自分の着衣をしっかりと下ろす。
これで何の問題もない。

「え、どうしたんだよ、急に」
「……なんでもない、続けよう」
341ねこのてしょうぶ 15:2007/04/23(月) 22:07:16 ID:8d8OfVBS

限定された領域内で、常々とは違った体位で行為は止まらずになされる。
人間としての本質的な姿を現した二人。

「ぁ、さかき、きす、してぇ」

積極的に求め合う中で、再び口腔内で体温が交わされる。
背の高さを補うために下の少女は体を曲げる。
双方とも、核と入り口のみに止めていた指での蹂躙を段々と胎内へ進めてゆく。
一本、二本と。
二つの粘膜を互いに侵食しあう二人は、既に艶かしい獣と化していた。
喉に喘ぎを掛けながら、潤滑液に浸った内部で指を摩擦させる。
加速度的に間隔を縮める呼吸に耐え切れず唇が離れる。
包み隠しのない情欲の声が漏れ出し、共に絶頂が近いことを知らせる。

「さかきぃ、はぁ、ぅん、いいよ、すごく、いい」
「もう、かわいいな、きみはぁっ、ん、だいす、き」
「わたしも、さかき、はう、あ、だいすきぃ」

極限の快感に興じた神楽が、榊に密着した全身を上で前後運動させる。
四つの乳房、その先端の突起が強く擦れ合う。

「あうぅ、これ、すごい、さかきもっ、いいだろお」
「いいよ、とてもっ、いい、んあ、かぐら、いきそうな、かお、してる」

表情をつかさどる筋肉は緩みきり、目の焦点も合っていない。

「ん、わたし、もう、ほんとに、いきそうだ、さかきぃ、くあ、いい、
 もう、だめ、あ、ひゃ、はああう、ん」

痙攣の中で、愛しい小猫の体躯が榊に全ての重量を預けた。
342ねこのてしょうぶ 16:2007/04/23(月) 22:08:14 ID:8d8OfVBS
「結局、君は……勝っていない、それでいい」

一歩手前で途切れた悦楽に耐え、先に達してしまった不躾な少女を持ち上げる主人。
不安定さの上に打ち立てられた二人の行為は、そのまま現在の関係を示唆していた。
親友という言葉では決して満たされない許されざる情愛。

「動かない、かな、次は」

正気を取り戻すには程遠い上の体に、聞く耳を持てないと知りつつも一言。

「ちゃんと、寝るところで、しようか」

操り人形となった相手の身を持ち前の体力で抱え、興じる場所であった椅子から離す。

「ただいまー、早かったでしょう」

頂点にたどり着いていない少女が、壁に隔てられた下の名を呼ぶ声をふと聞く。

「神楽さんの勉強、手伝ってあげてるかしら?」
「大丈夫」

学習机は有効に使われていないが、それは試行錯誤の習熟活動である。
部屋の主は飼いならしと表現し、愛しき猫は勝負だと言って聞かないだろう。
考えは違っていても、根底に流れる恋慕と情欲は通じている。

「後は任せたわよ、手合わせの予定を考えなくちゃいけないから」

完璧な身体比を持つ外見にたくましい力を与えてきた武道。

「とりあえず、来週の日曜も師範さんと、ね。 気を引き締めなさい」

そう残して、鍵のかかった扉の前から親が消えるのを見計らい、寝台の上で神楽にささやく少女。
343ねこのてしょうぶ 17:2007/04/23(月) 22:14:36 ID:8d8OfVBS

「強くて、何に、なるのかな?」

快感の対岸から未だ帰り着かず、汗を染み渡らせている全身。

「君は、どう思う」

強靭さと淫靡さをたたえた体が眠るべき所で横になっている。
行為の結果にもかかわらず、愚直な飼い猫は勝利でもしたかのような笑みを浮かべていた。

「次は、私が……君の、猫になろう」



(おわりですよ)


==============================================================

今回はセリフと地の文を改行で分けてみました。


344名無しさん@秘密の花園:2007/04/23(月) 22:28:22 ID:8d8OfVBS

ついでにレス番をまとめてみます。間違ってたらごめんなさい、指摘ください。

>>142様のSS: >142-144、>147-148、>151-152、>162-165、>169-177、
          >183-185、>195-200、>205-208、>216-219、>221-223、
          >246-248、>259-264、>293-297、>307-312

他の方々のSS(どのレスが同一の方か否か、までは分かりません):
>155-158様、>228-231様、>315-323様


拙文:>187-189、>237-243、>252-255、>265-267、>269-273、
    >284-289、>327-343

アンカーが多すぎると警告されそうなので、一応このような書式にしてみました。
345名無しさん@秘密の花園:2007/04/23(月) 23:01:34 ID:9GPcU664
あ、ああああ甘〜い!!そしてエロい!
さかぐらの魅力が大いに引き出された良いSSをありがとう
346142:2007/04/23(月) 23:17:29 ID:AXnC4HgB
さかぐら好きにはたまらんです!
やっぱ純愛+エロはきゅんときますな

>>344さん
まとめてもらってありがとうございます。
私のは間違いないです。
・・・ただ、今見ると書き直したくなるものばっかだ・・・。
347名無しさん@秘密の花園:2007/04/24(火) 00:42:42 ID:PhG8eMjc
四コマ最萌え、今日は榊さんとともちゃんです
悩みますが、百合度の濃さで榊さんに一票入れてきます

http://book.geocities.jp/yonkomasaimoe/

百合板住人が支援したら内容が偏りそうw
348227:2007/04/24(火) 08:19:40 ID:mCE0AQRb
>>344
甘々なさかぐらの話、興味深く読ませて頂きました。
そして、レス番まとめお疲れ様です。

私が書いた話は、>>228-231「朝靄」 >>315-323「No One Knows」
の2つです。もう少し柔らかい文章が書ければ良いのですが。
349名無しさん@秘密の花園:2007/04/24(火) 16:24:43 ID:QxIs8Zwz
目覚めると、そこはいつもの教室だった。
「おはよう、榊さん」
目の前には見知った友人がひとり、自分を見下ろすように立っていた。
…体が痛い…。
腕も動かないし…椅子にでも座らされているのか?
「ごめんなさい、榊さんのはあんまりきつくしてないつもりなんですけど」
え…?
これは…ガムテープか?
後ろにまわされた手首と、足首にも。
「痛いんですか?ごめんなさい…。でも、榊さんが悪いんだもん。我慢できますよね」
…どういうことだ。
すらすら話す彼女の目は変に濁っている。
350名無しさん@秘密の花園:2007/04/24(火) 16:26:28 ID:QxIs8Zwz
待てよ…。
榊さんの‘は’きつくしなかった…?
まさか…。
「…神楽!」
「…ん、え?…あぁ」
今気が付いたのか。
「…何だこれ?…かおりん?」
「おはよ」
彼女は不気味に笑っている。
「おい!どういうことだ?これ取れよ!」
「待て!」
私は目の前の少女の手にカッターナイフが握られているのを見止めた。
「落ち着け…神楽」
とにかく尋常じゃない。
状況も…彼女の表情も。
「さすが榊さん。立場をわかってる」
「…何でこんなことしたんだ?訳を話してくれ」
…私は言いながら自分がおかしくなった。
これから彼女が話すであろう理由なら私が一番よく知っている。
隣に神楽がいるのだから間違いない。
「あら、榊さん。訳を話せだなんて野暮なこと…まぁいいわ。神楽も説明してほしいだろうし」
「…どういうことだよ」
351名無しさん@秘密の花園:2007/04/24(火) 16:27:16 ID:QxIs8Zwz
「ねぇ、私達もうすぐ卒業よね…もうみんなと会えなくなっちゃって…寂しいわ」
彼女は神楽に向かって話している。
「榊さんとも」
「…」
「榊さんとも会えなくなっちゃうの。ずっと三年間憧れてたのに…。…ねぇ、あんたならどうする?」
神楽の顔色が変わっていく。
「…告白…するわよね」
「…」
「想いが叶わなくたっていいわ!伝えるっていう過程が大切なんですもの。
卒業を前にして憧れだった人に告白する女子高生…儚いけど、それって美しいでしょ?」
私はうつ向くことしかできない。
「それに定番」
まるで用意していたかのように溢れる台詞は異様なリズム感を持っている。
「私ね…榊さんに告白したのよ。そしたら好きな人がいるんですって。…少し驚いた。イメージと違うし…。
でもね、仕方ないの。気持ちを伝えられただけでよかった」
「やめて…」
「ただ、その好きな人…」
「やめてくれ・・・」
352名無しさん@秘密の花園:2007/04/24(火) 16:28:28 ID:QxIs8Zwz
「あんたなんだって。…ずっと前から付き合ってるんだって」
「いや、隠してたのは悪かったよ。だから落ち着けって…」
神楽の軽い口調に少女の表情は一変する。
「うるさい!あんたずっと私を笑ってたんだわ…。私が榊さんのこと好きなの知ってて…
それを見て‘榊は私のものなのに、バカなやつ’って思ってたんでしょ!?」
「違…」
「黙れ!今あんたに発言する権利はないの!まだわかってないみたいね…」
「やめろ!神楽は関係ない…」
「…榊さん。…優しいんですね。でも・・・でも、なんで神楽にだけ優しいんですか?ずるいじゃないですか…」
「…」
「だからね、今日はちょっとだけわけてもらおうと思って」
「何を…」
「あ〜、大丈夫ですよ!これはガムテープ切るのに使っただけですから」
そんなもの使わなくたって手で十分切れるはずだが。
「使うのは…これ!」
変に明るい彼女の口調と共に鞄から出されたそれ。
リモコンのようなものにコードがついていて…先端には親指くらいのピンク色の物体。
353名無しさん@秘密の花園:2007/04/24(火) 16:29:57 ID:QxIs8Zwz
「どうするつもりだ」
「いやん、榊さんにはこんなもの使いませんよ」
…まさか。
「な…何すんだよ!」
「あんた、まだ何で自分がここにいるかわかんないわけ?榊さんと楽しむだけならあんたなんか連れてこないわよ」
「待て!」
「きゃ〜!意外と可愛い下着ね。ほら、しっかり足開かないと入らないじゃない」
「や…めろ」
「よし!これでいいかな?スイッチオン♪っと」
「ぅあ…っく!」
「あんたはそこでそうやってしてなさい。…さて、榊さぁん」
「本当にやめてくれ…」
「どうしたんですか?大丈夫、悪いようにはしませんから」
「せめて神楽だけは…」
「あ、もうキスはしたんですか?神楽と。だいぶ前から付き合ってるんですよね?
…さすがにしてないってことはないか」
彼女の耳に私の声は聞こえていないようだった。
「したんですか?」
そのかわりに顔が近付いてくる。
「まぁどっちでもいいんですけど」
354名無しさん@秘密の花園:2007/04/24(火) 16:30:42 ID:QxIs8Zwz
唇に妙に乾いた、柔らかい感触が広がる。
「あぁ…これが榊さんの唇なんですね。…神楽、見た?」
荒い息遣いだけが聞こえる。
「これで榊さんはあんただけのものじゃないわ…。よく見てなさい。
私が榊さんとするとこ見て…好きなだけ感じていいから」
彼女の右手は、既に下着の中で自分を慰めている。
「あぁ…榊さんの舌ぁ…」
唇をこじ開けられるのを拒むことはできなかった。
「やめ…」
彼女は夢中で私の舌に吸い付いてくる。
「榊さん…榊さん…」
太股の間では、音が漏れるほど激しく指が動いていた。
隣から悲鳴にも似た泣声が聞こえる。
「神楽を離してあげて…」
言葉は届かない。
「榊さん、こっちは?もう神楽としましたか?」
私は何で抵抗しないんだろう。
「もしかして初めてですか?だったら嬉しいな」
大切な人が隣で涙を流して苦しんでるのに。
「神楽、榊さんとはもうしたの?どうせまだなんでしょ?」
私のせいで…。
「答えなさいよ」
「…」
「気持ち良すぎて声も出ないの?」
「…にしろ」
「え?」
「好きにしろ!キスでもなんでも…したけりゃしろ!」
神楽…。
「あら…それは良かった。榊さん、神楽もああ言ってますよ」
ごめん…神楽。
355名無しさん@秘密の花園:2007/04/24(火) 16:31:17 ID:QxIs8Zwz
「おい」
「…何よ?今更…」
「してもいいけど…そいつは榊じゃないだろ」
「…?」
「いくら思い通りにできても…そこでぐったりしてるのは…少なくともかおりんの憧れてる榊じゃない」
少女の表情が変わる。
「何言ってんの?」
「お前が一番よくわかってるだろ!榊はなぁ…、毅然としてて、いつも冷静で、
凛としてて、綺麗で、つかみどころがなくて…何考えてるかわかんないとこもあるけど…
でも綺麗で、可愛いとこもあって」
「やめて!」
「人質とって、ぐるぐるまきにして、脅して好きなようにできる榊はかおりんの憧れてる榊じゃない!」
「黙れ!!!」
「神楽!」
「榊さん…」
「…」
「なんで神楽ばっかり呼ぶんですか?」
泣いている。
「こんなに…こんなに好きなのに…」
356名無しさん@秘密の花園:2007/04/24(火) 16:32:25 ID:QxIs8Zwz
私は…。
「…」
「…」
「ごめん…かおりん」
「謝らないで!謝ったって何にも…」
「……私が謝りたいのは…告白されたときのこと。」
「…え?」
「あのとき私は…好きな人がいるなんて言う前に…言わなきゃいけないことがあった」
「…」
「私を好きになってくれて、ありがとう。嬉しかった」
357名無しさん@秘密の花園:2007/04/24(火) 16:33:24 ID:QxIs8Zwz
「榊さん…!」
私は被害者じゃない。
「かおりんも同じように私を好きになってくれたんだ。その気持ちを大切にしなきゃいけない」

これほど自分の口下手を恨んだこともない。

「う…さか…さん…私…」
私の責任を…。
「それでね、かおりん。もうひとり私を好きになってくれた人が横で泣いてるんだ。
…私、彼女の涙をふいてあげなきゃいけない」

「…う…ごめ…なさい…」

彼女は私の手足のテープを震えるカッターで解くと、その場に泣き崩れてしまった。
「神楽!…大丈夫か?」
「…うるせー。泣いてんじゃねーよ」

いつもの教室には三人分の嗚咽が響いている。
かおりんへの言葉は、状況を脱するために思い付いただけなのか、本当の気持ちなのかは自分でもわからない。
ただ、私の胸と床にうずくまって泣く二人の少女の心の傷は…。
きっと私が癒さなければならないんだろう。
そう感じた。
358名無しさん@秘密の花園:2007/04/24(火) 16:53:59 ID:so28WYpN
((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル
359名無しさん@秘密の花園:2007/04/24(火) 22:20:46 ID:iR7BWiVe
またずいぶんとすげー物が
だれかかおりんを幸せにしてやってくれ
360名無しさん@秘密の花園:2007/04/24(火) 22:27:44 ID:PhG8eMjc
>>269にしろ>>349にしろ

なぜかおりんは報われない……(´・ω・`)


http://etc6.2ch.net/test/read.cgi/vote/1176736370/
http://book.geocities.jp/yonkomasaimoe/
榊さんが優勢だよ

ちなみに携帯でも投票できる、むしろ携帯の方が早いよ
361142:2007/04/24(火) 22:37:24 ID:QxIs8Zwz
かおりん好きな人申し訳ないっす
たまにはラブラブなの以外もかこうかなと思いまして
362227:2007/04/24(火) 22:52:29 ID:mCE0AQRb
>>361氏、緊迫感のある展開にはらはらしながら読ませてもらいました。

>>315-323で書いた、大阪×みなもの続編を出します。
363227:2007/04/24(火) 22:54:01 ID:mCE0AQRb
「First Contact」

 初めてあの子を意識したのはいつだったかしら。
 アパートの居間で、みかんの皮を丁寧に剥いている少女の気配を感じつつ、
黒沢みなもは、台所で皿を洗いながら尋ねた。
「ねえ。あんたと最初に会ったのっていつかしら」

「へ? 」
 皆から大阪と呼ばれている女子高生は、軽く首をかしげる。
「にゃも先生は、最初から知っていたで」
 みなもは、最後のマグカップを洗い終え、濡れた両手を白いタオルで拭きながら、
季節外れになりかかった、こたつが置いてある居間に戻って、腰を下ろした。
「そっか。『春日さん』は、最初から私を知っているか」
「にゃも先生も妙な事ゆーなあ。体育の先生やから知ってて当たり前やと思うねんで」
 少女は苦笑しながら言葉を続ける。

「なんでにゃも先生は、私の事を『大阪』っていわへんの? 」
 意外な方向からの質問に、みなもは戸惑った。
「どうしてかしら。何となく大阪って言いにくいの。ゆかりは平気でいうけど、生徒を
あだ名で呼ぶのは少し抵抗があるわ 」
「私は構わへんで。ホンマは和歌山生まれなんやけどな」
 大阪はやんわりと微笑みながら、綺麗に、すじまで剥かれたみかんを差し出した。
「あ、ありがと」
 口の中に一房だけ放り込むと、ほんのりとした甘さと、微かな酸っぱさが拡がった。
364名無しさん@秘密の花園:2007/04/24(火) 22:55:34 ID:mCE0AQRb
「なんで、そんなこと聞くのん? 」
 大阪は興味津々といった表情で、大きな瞳を体育教師に向ける。セミロングが
微かに揺れて、こたつの端を柔らかく撫でていく。
 みなもは、ゆっくりと手を伸ばして、大阪の頭を撫でる。指の間をさらさらな
黒髪が流れて行く。

 体育教師はゆっくりと近づいて、少女に身体を寄せた。
「にゃも先生? 」
「膝の上に頭を載せていいかしら? 少し考えたいの」
「ええけど。ほんでも珍しいなあ」

 潜り込んだこたつから、少しだけ姿勢をずらして、恋人の為にスペースを作る。
 黒沢みなもは、少女の膝の上に頭を載せて見上げると、制服姿の教え子の、
ほんのりとした甘い匂いが鼻腔をくすぐった。

 暫くは、無言ながらも心地よい時間が過ぎていく。大阪は微かにほほえんだままで
何も言わない。
 みなもは、瞼をとじて思考の泉に身を委ね、時計の秒針が五回程回った頃、記憶
の糸を手元にたぐり寄せた。

「初めて意識したのは。そうね 」
 制服のリボンを指先で弄びながら、話を始める。
「あんたが、ここに転校して間もない頃だったかしら。体育のバレーの授業で、
ちよちゃんとパスの練習をしていたでしょう」
「あったかもしれへん」
 大阪も微かに記憶が残っていたようだ。
365名無しさん@秘密の花園:2007/04/24(火) 22:57:30 ID:mCE0AQRb
「その時。二人ともパスができなくて『なんだかなー』って思ったの」
「結構、ひどいなあ」
「ううん。言いたい事はそうじゃないの。ちよちゃんって、飛び級で高校に来る
くらい、成績はずば抜けているし、性格も素直でいい子なんだけど、体力は年相応の
小学生の女の子でしょ。初めから体育の授業についてくるのは難しいなって分かって
いたわ」
「そやなー」
 みなもの整った顔を見下ろしながら、大阪は頷いた。
「でも、あんたがちよちゃんを誘ってくれて、彼女とほとんど同じレベルだったから
安心したの」
「これはホンマにひどいで」
 大阪は、ほっぺたを風船のように膨らました。

「ごめんごめん。でも、その頃から何となく意識するようになったのよ」
「全然知らへんかった」
 大阪は驚きを隠さずに言うと、体育教師の口元にみかんをもう一房を差し入れる。
366名無しさん@秘密の花園:2007/04/24(火) 22:59:05 ID:mCE0AQRb
「あんたはどうなの? 」
「そやな…… 最初は普通の優しい先生やなあと、おもてたんやけど、にゃも先生を
良く知るようになったのは、ちよちゃんの別荘の時やな」
「そうだったの? 」

「あん時、ゆかり先生に男の人から振られた事、言われて落ち込んでたやろ 」
「そ、そんな事もあったわね」
 過去の記憶が蘇って、心の何処かがチクリと痛む。
「変な言い方なんやけどな。ずーんと落ち込んだ先生がちょっと新鮮だったんや 」
「落ち込んでいる私が? 」

「にゃも先生は、体育の授業の時は、いつもかっこええか、優しいかどちらかやねん。
先生でもあんな顔すんのやなーって、おもたねん」
 少女の話を聞き終えて、みなもは軽くため息をついた。

「結局、『塞翁が馬』ってことなのね」
「えーと? 」
 ことわざの意味を把握できずに考え込む、少女に向かってくすりと微笑む。

「あの人と別れたから、あんたと出会えたのよ」
「あっ、そやな。流石にゃも先生や」
 大阪は、全てを吸い込んでしまうような魅力的な笑顔を見せて、みなもの
首筋に腕を回した。
 制服ごしに膝の上の感触を楽しんでいたみなもも、少女の求めに応える為に
しなやかな身体を起こして、柔らかい唇をゆっくりと塞いだ。
 
(終わり)
367名無しさん@秘密の花園:2007/04/24(火) 23:30:16 ID:PhG8eMjc

この意外なカップリングで誰がここまで甘くできただろうと思いました
Great Jobです


個性豊かなSS書きが三人かー。幸せだなー。
368名無しさん@秘密の花園:2007/04/25(水) 12:25:39 ID:zo4QL5hD
GJ
珍しいカップリングにはキャラへの愛が感じられる


まとめサイトとかはつくらんのか?
369名無しさん@秘密の花園:2007/04/26(木) 23:49:12 ID:oq2DknIY
確かに
370名無しさん@秘密の花園:2007/04/27(金) 02:49:52 ID:r/0kVmAh
ニコニコで見てみましたが
どうやらアニメは百合分が漫画より濃いようです

ってことで榊さん好きの私から

さかぐら:10、11話
さかちよ:9話(特に最後)、23話
かおさか:かおりんが出てるもののほとんど、特に8話
371名無しさん@秘密の花園:2007/04/27(金) 09:16:09 ID:JRzgRoMO
俺は3年の体育祭のリレー前のシーンが好き
暦に智ちゃんが後ろから飛び付いて、会話が終わるまでずっと離れない

智ちゃんは暦が大好きなんだ(;´Д`)ハァハァ
372名無しさん@秘密の花園:2007/04/28(土) 17:26:35 ID:HDGXloJa
それはいい百合だな
373名無しさん@秘密の花園:2007/04/28(土) 17:52:35 ID:vz7I1QG4
やっぱまとめサイトは書いてる人の許可いるよね?
374名無しさん@秘密の花園:2007/04/28(土) 18:37:14 ID:l8jwlxGh
百合っぽいシーンといえば、クラス替えの時、大阪だけ名簿になくて
(実際は本名でなくて「大阪」で載っているわけだが)泣きながら、ちよすけに
抱き付いて、慰められている場面を思い出した。

>>373
まあ、普通に考えればいると思うけど。
375名無しさん@秘密の花園:2007/04/28(土) 18:48:58 ID:ioc3Ex8C
もし作るんなら今時ならwiki使えば、作者本人とか、誰か気付いた人が入れられるからいいんでない
アニサロやエロパロのように普通のHPだと管理者がいなくなると困るから

>>371-372
智ちゃんはやりたい放題なようで、よみだけでなくみんなで一緒にいる事に誰よりもこだわってるような感じがして好き
376327:2007/04/28(土) 19:50:04 ID:X1vpuqLB
wikiでも何でも、私は全くかまいません

よみともと言えば19話
あれはいい、全百合シーンの中で最も和む。 ちよと神楽の絡みもいい。

しかしにゃもの百合っぽくなさがなあ……
ゆかりは少し寂しがってるのに
377142:2007/04/28(土) 21:43:29 ID:uGW5UJSO
私は詳しいことは良くわかりませんが、まとめていただけるだけでも光栄です。


アニメは全キャラ名前を呼び合うシーンが多いのがいいですね
ともがよみよみ言ってたり
神楽が榊!って言ってたり
にゃもがゆかりぃって言ってるだけで激萌えです
378227:2007/04/28(土) 22:17:56 ID:l8jwlxGh
今から、ゆかり×にゃもを出します。
(連投規制に引っかかったらご支援お願いします)

PS
>>367-368氏、ご感想を頂きありがとうございました。
379名無しさん@秘密の花園:2007/04/28(土) 22:19:06 ID:l8jwlxGh
 黒沢みなもが、まだ高校生であった頃。
「みなも先輩、あの、その…… これっ受け取ってください」
「え…… 」
 目の前にいる、小柄であどけなさが充分に残っている下級生から、おずおずといった
調子で差し出された手紙を、みなもの指先が受け取った。
 しかし、直後に、極度の緊張に耐えられなくなったのか、少女はスカートの裾を
大きく翻して走り去ってしまった。

「やれやれ」
 小さなため息をつきながら、慎重に封を切る。
 可愛らしい字体で、熱い、熱すぎる想いが綴られている。

「にゃも先輩はもてますなー 」
「なっ! 」
 唐突に、背後から覗き込まれてびくんと震える。
「驚かせないでよ。ゆかり」
 眉をひそめながらため息をつくと、読んでいた手紙をさり気なく後ろ手に隠す。
「今月に入って何通目かにゃ? 」
「…… 3通目、かな」
 戸惑いの表情を消せずに答えると、

「なんでにゃもばっかりもてんだよー 」
 頬を膨らまして、ゆかりは机に座って両足をばたばたさせた。
 小さな子供みたいな仕草に、苦笑が漏れる。
380名無しさん@秘密の花園:2007/04/28(土) 22:20:45 ID:l8jwlxGh
「まったく、焼餅焼きなんだから」
 みなもが通っている高校は、当時は女子高である。
 よって、共学なら恋愛感情を向けられるべき、男子がおらず、『男性的』な役割を
求められる生徒が少なからず存在する。

 その中でもみなもは、整った顔立ち、抜群の運動神経、クラスメイトや部活の後輩への
面倒見の良さという、幾つかの要素があいまって、同級生のみならず下級生にもかなり
人気があった。
 今日みたいに直接ラブレターを渡されたることも少なくないが、三日に一度は、
家庭科の授業や自宅で作られたと思われる、お菓子を貰ったりする。

 しかし、ゆかりにとっては、みなもが同性からもてることが、お気に召さないようで。
「女子高っていう狭い場所で、擬似恋愛に嵌っているだけね」
 一刀両断に先程の少女の行動を、切り捨ててしまった。

「そうかしら? 」
「そうよ。今はにゃもにお熱をあげているあの子も、卒業すればすぐに忘れちゃうわ。
せいぜい青春のいい想い出にするくらいね」
「そんなこと…… ないわ」
 極めてシニカルな意見に、反論しようとするが、良い言葉が浮かばない。

(確かにゆかりが言う通りかもしれない。今、いろいろプレゼントしてくれる子の何人が、
大人になった時、私の事を覚えてくれるのだろう? )
381名無しさん@秘密の花園:2007/04/28(土) 22:21:48 ID:l8jwlxGh
「でも、私だっていい線いっていると思うのにね」
 みなもの思考は沈んだ方向に向かっていたが、ゆかりは、ゆるいウエーブが
かかった長い黒髪を右手でかきわけながら、胸を反らしてふふんと笑ってみせる。

「あんたは、黙っていればね」
 事実、谷崎ゆかりは、顔立ちだけならば、長い黒髪が綺麗な正統派の美少女なのだ。
 容赦ない毒舌と、6時間中4時間は睡眠についやすような怠惰な日常生活を正せば、
相当もてるはずなんだけど。それでいて英語の成績は学年でトップクラスであるのは
不思議で仕方がないが。

「にゃも。あんたは、真面目すぎるとこが欠点ね 」
 ゆかりはスカートの裾が捲れ上がるのを気にせずに、教室の机に腰掛けながら、
言葉を続ける。
「カッコつけても疲れるだけよ」
「そうかもしれないけど」
 ゆかりみたいなリラックスした生き方は、自分にはできないということを知っていた。
 だらしなさという欠点に対して、あれこれと口煩くおせっかいを焼いてしまうのは、
嫉妬交じりの羨望があるのかもしれない。
382名無しさん@秘密の花園:2007/04/28(土) 22:22:43 ID:l8jwlxGh
「でも、やってもいいかな 」
 唐突に、野性的といっても良い瞳が、みなもの均整のとれた肢体を捉えた。
「何を? 」
 脳から激しい警告音が鳴るが、肝心の身体が反応しない。
「擬似恋愛ってやつを」
 ゆかりは囀るように呟くと、猫のように素早く迫る。

「ゆ、ゆかり!? 」
 瞬きする暇もなく、みなもの唇は初めて塞がれてしまった。

「ん…… 」
 みなもは、親友の弾力性のある唇の感触がダイレクトに伝わり、くぐもった声をあげる。
 同時に、背中と首筋に巻きつかれるように腕を回され、制服越しにゆかりの体温が
伝わる。
「んんっ」
 セーラーの真ん中を指先でひっかかれて、びくんと震える。
「にゃもってあったかいね」
 唇を一旦、離して耳元で囁く。
「駄目よ。こんなところで」
 彼女達が学んでいる教室は、他の生徒達は帰宅しており、今は二人の他は誰も
いない。
 しかし、教職員や、用務員、忘れ物を取りに来る生徒がいつくるか、分からない。
 キスをしているところを見つかったら只で済むはずは無い。
383名無しさん@秘密の花園:2007/04/28(土) 22:23:49 ID:l8jwlxGh
「だから燃えちゃうのよ」
 にやり、と含み笑いを漏らしながら、ゆっくりと、身体を押し倒す。
 衣擦れの音とともに、うっすらとしたホコリが宙に舞い、みなもは軽く咳き込んだ。
「ゆかり、やめなさいって」
 焦りながら説得を続けるが、身体に全くといってよい程、力が入らない。
「ふふ。にゃもったら可愛いなあ、ほんとは期待しているくせに〜 」
 ゆかりは、覆い被さる態勢を確保してから、みなもの制服の胸にある細い紐に手を
かけてしゅるりと抜き取る。
 胸元がゆるみ、端からは純白の下着が覗く。

「いい子だから、脱ぎ脱ぎしましょうねー 」
 恥ずかしさに顔を真っ赤にした少女を横目で覗きながら、制服の裾を捲くり上げる。
「ほんとに、冗談やめてよ。ゆかり」

 半ば涙目になって説得を試みるが、ほとんどなすがままだ。
 時計の秒針が半周する間もなく、脱がされた制服は脇にのけられ、抜けるような白い
素肌と、飾り気の無い白いブラが露になる。
「にゃもが駄目なのは、ここが教室だから? それとも私が相手じゃご不満? 」
 からかうようでどこか真剣な口調で問われる。

「誰かに見られたらどうするのよ 」
 羞恥に震えながら、にゃもは睨みつけるようにして小声で叱る。しかし。
「私と、えっちいことするのはオッケーなんだ」
「莫迦! 」
 当たり前じゃない、という言葉を辛うじてのみこんだが、既に抵抗する気力は
あらかた喪われていた。
384名無しさん@秘密の花園:2007/04/28(土) 22:24:43 ID:l8jwlxGh
 ゆかりは、親友が抗わないことに満足して頷くと、ゆっくりと陶磁器のように
滑らかな腹部をさすっていく。

「んんっ」
 くすぐったさに身体をよじるみなもの、露になった白いブラに口をふくませる。
「んあっ」
 みなもの右胸の中心に強い刺激が奔り、高い悲鳴があがる。
「にゃものは形が綺麗だねー 」
 空いた手が後ろにまわり、背中のホックは簡単に外され、飾り気の無いそれは緊張感を
喪い床の上に垂れ下がる。代わりに張りがある乳房が、春の空気に直に晒された。

 ふくらみの頂上にある赤みを帯びた突起はつんと立って、羞恥のあまり、両手で顔を
隠した。

「にゃもー 顔を隠しても意味無いよ」
 苦笑を浮かべながら、赤みを帯びた乳首に唇を這わせていく。
「ん…… んあっ」
 ゆかりは、少女の喘ぎ声を確認してから、上半身で最も敏感な部分を軽く噛む。
「ひゃん」
 みなもの身体に痺れるような痛覚と快感が迸り、首筋にすがりつく。
「んっ…… んあっ」
 ゆかりの舌が、乳首とその周辺をゆっくりとこね回すように舐め取っていく。
「もう…… やめっ、くっ、あああん」
 悲鳴をあげながらも、無上の快感に溺れていく己を、脳の片隅に残っている冷静な
部位が信じられない思いでみつめている。
「にゃもって、とてもイイ反応するんだね」
 ゆかりは、興奮を押さえられなくなったのか、自らの制服を脱ぎ捨てて、親友の
身体に抱きつく。熱い体温がダイレクトに伝わる。
385名無しさん@秘密の花園:2007/04/28(土) 22:25:58 ID:l8jwlxGh
「もう、やめられないね」
 小さく呟くと腹部から下腹部に指先を這わせると同時に、スカートのホックも
外してしまう。

「ゆかり!? 」
 みなもは、これから起こるであろう行為に、九割の不安と一割の期待を込めた視線を
注ぐ。
 一方、ゆかりは、教室の床に落ちたスカートには目もくれず、白い下着の上に
指先を伸ばした。

「もうびしょびしょね。興奮しているのかにゃ? 」
「ばか言わないで! 」
 羞恥に震える親友の表情を愉しみながら、下着をゆっくりと上から下へとなぞっていく。
「んっ、や、ひゃっ…… んあ」
 クロッチの上から強く刺激されて、みなもは大きく身体を捩る。
「そこが敏感なのね」
 楕円を描くように、濡れっぱなしになった下着の中心部を丹念に愛撫する。
「んあっ…… くぅ…… くうっ」
 嬌声をあげながら、みなもは、必死に肩にしがみついた。
 ゆかりは、快感で震えている少女に顔を近づけて、再び唇を塞ぐ。
 今度は舌を深く喉奥まで差し込む、とてもディープなキス。

(ゆかり…… どこでこんなこと覚えたの? )

 微かに残った理性が、疑問を浮かべながらも、ゆかりの舌が激しく絡み付き、
無上の快感に流されていく。
386名無しさん@秘密の花園:2007/04/28(土) 22:27:06 ID:l8jwlxGh
「…… んぐ…… んんっ」
 夕焼けで赤く染まった教室の一角からは、くぐもった女子生徒の喘ぎ声が響いて
いる。しかし、今のところは誰にも聞かれてはいない。
 ゆっくりと西に沈みつつある太陽は、一瞬毎に光を喪い、影法師が限界まで長く
伸びた後に薄れて消えていく。

「ぷはっ」
 みなもは、長くて濃厚なキスからようやく開放されて、大きく息を吐き出した。
 しかし、休む暇もなく最後の鎧がいとも簡単に抜き取られてしまう。
「ゆかりぃ、そこだけはやめてっ」
「何を今更」
 肩を一瞬だけ竦めたゆかりは、涙交じりの哀願にはまったく耳を貸さずに、
露になった秘所を覗き込んだ。

「にゃもって、もう大人なんだ 」
 自分自身も覗くことが少ない、綺麗に生え揃った陰部を覆う茂みを凝視されて、
甲高い悲鳴をあげる。

「ゆかりの莫迦、変態、エッチ! 」
 泣きそうな顔になってぽかぽか叩くが、ゆかりは躊躇無く露になった股間に
顔を埋める。

「あんた、なんてことするのよぉ 」
「にゃもの大切なとこってどこかなー 」
 抗議を無視すると、茂みの中を無遠慮に探り始める。
「みっけ」
 楽しそうに囁いて、溢れた愛液に浮かんでいる膨らんだ突起部に舌端をあてる。
「んあっ! 」
 体中に激しい電流が奔り、みなもは激しく腰を振って逃れようとするが、がっちり
と身体を固定されて逃げられない。
387名無しさん@秘密の花園:2007/04/28(土) 22:28:06 ID:l8jwlxGh
「だめっ、だめよ。ゆかり、そこだけはやめてっ! 」
 激しく喘ぎながら何度も首を横に振る。
 誰にも見られた事がない大切な所を、一番の親友に舐められているという、極めて
異常な状況が、みなもの理性を完全に吹き飛ばし、混乱と倒錯した喜びが交互に
襲いかかる。

「ひゃん。あうっ…… ゆかりぃ…… そこは…… やあっ」
 途切れ途切れに抗う声が聞えるが、激しく腰をふってよがる姿は、傍から見ると
無上の快楽に耽っているようにしか見えない。

 ゆかりは、嬌声がもっと聞きたくなって、舌の動きを少しずつ早めていく。
 ぐしょぐしょに濡れたアソコから流れ落ちた愛液が、教室の床に零れ落ち、
その度に少女の甘い喘ぎ声が教室中に響き渡る。
 激しい秘所への強い愛撫は、悦楽の階段を幾度も激しく昇降していたみなもに
とって、限界を超えていた。

「いくっ…… いっちゃう…… んああああああっっ」
 目の前に幾つもの星を飛ばしながら、みなもは大きくしなやかな身体を仰け
反らして、最大級の快感に小刻みに震えて、硬直する。

 絶頂を越えた刹那、全身の筋肉が一気に弛緩する。半ば寝そべっていた教室の
床に崩れるように倒れこんだ。
388名無しさん@秘密の花園:2007/04/28(土) 22:29:00 ID:l8jwlxGh
「にゃも。すごかったね」
 親友が、初めての絶頂を迎えたことに深い満足を覚えて、脱力しているみなもの
瞼の下にある、頬の涙をすくい採る。
 ゆかりの口の中に塩辛い味がゆっくりと拡がった。

「ゆかりの…… ばか 」
「ごめんね。にゃも」
 ゆかりは、珍しく素直に謝罪の言葉を口にした。それから、ゆっくりとみなもの
渇いた唇を湿らせる。

「ほんとに…… ばかね…… 」
 軽く触れるだけのキスはとても気持ちよくて、先ほどまでの荒々しい責めは幻
とすら思えてしまう。
「許してなんか、あげないから」
 睨みつけながら、ゆかりの胸の辺りをまさぐる。
「にゃも。くすぐったいよー 」
「あんた、結構育っているのね」
「馬鹿」
 体を捩らせながら、泣き笑い表情を浮かべた時、廊下の奥から足音が聞えた。
389名無しさん@秘密の花園:2007/04/28(土) 22:29:55 ID:l8jwlxGh
「誰か来るよ! 」

 顔を見合わせ、真っ青になった。ゆかりは制服を脱ぎ捨てていたし、みなもに
いたっては半裸どころか、全裸に近い。
 弾ける様に、周囲に散乱した制服をかき集めて、机の影に隠れる。

(みつかりませんように! みつかりませんように! どうかみつかりませんように! )
 心の中で必死に3回祈る。心臓が跳ね上がるように激しく動いてひどく痛い。
(もし、こんなところをみつかったら)
 間違いなく退学処分だ。
 首尾よく転校しても、世間から後ろ指をさされる日々に怯えながら生活する
ことになる。
 なんといっても激怒した親によって、二人は有無をいわさず引き離される。
 世の中に絶望して、いつかゆかりと示し合わして家出して、あても金も無く
知らない街を彷徨って、最後は二人揃って……

 最悪の想像を浮かべながら、ゆかりの手を握り締めると、軽く握り返される。
 彼女の掌も汗でじっとりと濡れていた。

 近づいてきた足音がぱたりととまった。やや重い音を響かせながら入り口のドアが
開き、人影があらわれる。
「後藤だ」
 ゆかりがぼそっと呟いた。
390名無しさん@秘密の花園:2007/04/28(土) 22:30:59 ID:l8jwlxGh
 かなり几帳面で真面目な中年教師。みなもは縮めた身体を更に小さくする。
 暫くは無言で立ち止まっていた教師が、不審な雰囲気を感じ取ったのか、低い声で
言った。
「誰かいるのか? 」
 もちろん、みなもは返事などできるはずもなく、ただ身体を固くするばかりだ。
 先刻の淫靡な宴と、その後の甘いゆったりとした時間が、既に遠い過去に思える。
 教室の黒板の右上に据え置かれた時計の音が、不気味な程に正確なステップを
刻む。

「猫でもいるのか」
 暫くしてから、後藤という名の教師は呟くように言った。その時 ――
「にゃあ」
 みなもは仰天した。
 何故なら、ゆかりの唇が確かに動いたから。

(なんてことするのよ! )
 心の中で絶叫して、握っていた掌を強く握り締める。
(もう、駄目っ! )
 絶望に打ちひしがれたみなもの瞳が、恐怖の色に染まる。

 しかし、後藤教諭は小さな苦笑を浮かべながら。
「猫、いや…… 子猫だな」
 と、言い聞かせるように呟き、ぽりぽりと頭をかきながら、教室から出て
ゆっくりと遠ざかっていった。
391名無しさん@秘密の花園:2007/04/28(土) 22:32:06 ID:l8jwlxGh
 思わぬ闖入者の足音が完全に消え去ってから、みなもは飛びつくようにして胸元に
集めた下着と制服を身に付ける。一方、ゆかりはのんびりと制服を着る。
 ようやく二人が普段の制服姿に戻った時、みなもは思いっきり睨み付けた。
「あんた、なんで声をだすのよ! 」
 しかし、ゆかりは、普段の皮肉めいた笑みを浮かべて呟いた。
「後藤の奴、気づいていたわよ」
「えっ…… 」
「けど、見逃してくれた」
 あの真面目一本槍の後藤先生が?
 みなもは呆然とした表情をしながら立ちつくした。

「でも。なんで? 」
「猫がいたことにしたかったんでしょ」
 ゆかりのやや意味不明な言い方に、戸惑いながら考え込む。
 担任でもない後藤先生が私たちを咎めても、彼には直接の責任は及ばない。
 いや、むしろ見逃した方が、罪が多いとすらいえる。

「まさか、私たちの将来を考えてくれたの? 」
「さあ…… どうだかね」
 ゆかりは、ほんの少しだけ首をかしげながら、
「もう遅いし帰ろーよ。にゃも」
 とだけ言って。左手を差し出してくる。
 右手を伸ばして手をつなぎ、すっかりと暗くなった教室を後にする。最終下校を
促すどこか切なげな外国音楽が、二人の耳朶を柔らかく擽る。
 窓の外には沈んだ太陽の名残と、宵の明星をはじめとする、いくつかの一等星が
瞬き始めている。

 みなもは、自分より少しだけひんやりとした親友の掌を少しだけ強く握りしめながら、
心の中で小さな意志が芽生えた事を知った。
 将来、学校の教師になりたいということを。

(終わり)
392142:2007/04/28(土) 22:50:55 ID:uGW5UJSO
素晴らしい!!
最近ゆかり萌えなのでたまらんです
393327:2007/04/28(土) 22:56:38 ID:X1vpuqLB
高校時代キター!
このスレと最近のSSを見てからゆかりが好きでたまらない私です

やっぱりにゃもゆかりはいいですなあ。
394名無しさん@秘密の花園:2007/04/28(土) 23:18:00 ID:X1vpuqLB

かおりんの想いはまだ実らない
今回はモノローグ

================================================================================


私が三年間あの高校にいて、あの方と共に過ごしたことで、学んだことはたくさんありますが、
今日はこの掲示板にいるお姉さま方にとって役に立つお話をひとつしましょう。

北風と太陽、ご存知ですか? イソップ童話、子供の時に私も聞かされましたが。
話のあらすじ、ここのお姉さま方は覚えてますよね?

冬を迎えようとする日、ある所に上着を羽織った旅人がいました。
北風と太陽は力比べをするために、どちらが先にその上着を脱がせられるか競い合いました。
北風は旅人に向かって強く息を吹きかけますが、どんなに力を込めても上着を手放そうとしません。
それどころか、寒がって余計に上着を被りこんでしまいました。
一方、太陽は暖かい光で旅人を包み込みました。
すると彼は気温が緩やかになったのを感じ、すぐに服を脱ぎはじめました。
北風は、何もかも力ずくで解決しようとしていた自分を反省しました。

確か、こんな話だったはずです。
何を言いたいか、ですって? あらお姉さま方、よく経験してるんじゃないですか?
そう、恋する人に向かって、ただ直接的に、強引に攻めても実りはない、ということです。

私はずっとあの方のことを想ってきました。
自分を頭一つ以上出し抜く背の高さ、きりっとした目元に他人を威圧する視線、
体育祭での勇姿、ええ、あの方はどの男子よりも徒競走では速かったものです、
常に黙っていて真剣に何かを考えていそうな様子。
395名無しさん@秘密の花園:2007/04/28(土) 23:18:41 ID:X1vpuqLB

私はずっと、あの方に気持ちが伝わるように接してきました。
でも、願いは叶わなかったのです。
二人でいる時間、一時の満足感を得られたことは沢山ありますが、
ほのかに甘い関係を長く続けることはできませんでした。

卒業の日、二人だけの写真を撮ってもらって、それでも不安な気持ちでいっぱいで。
このままだとずっと会えなくなる、その事が心に詰まって、意を決して告白したんです。
ここまで書いたんですから、結果は…… 分かりますよね? あはは。
嫌われたわけじゃないです。ただ、深いつながりにはなれませんでしたよ。

あの方はもう、愛し合う相手を私以外に見つけていたんです。

その人も私と同じようにあの方を狙っていたようです。
でも、最初の条件と経過は大きく違いました。
彼女は、あの方の次に速く走れて、運動能力も全体的に高いものでした。
筋肉質で強そうな、それでいて豊かな肉体と男勝りの性格も持ち合わせ、
愛しのあの方と学校での人気を分かち合っていました。
誰にも恋する心は負けないと気張っていた私でも、彼女の性質を越せはしませんでした。
彼女はあの人や私と、もともと別のクラスで、入学したての頃、
体育祭の学級対抗リレーや100m走の時は一番で名高いあの方にいつも敵対心を持っていたようです。
競い合いを傍で見ていた私も、二人はただのライバル同士でそれ以上にはならないと思っていました。

それなのに、二年生になってその人が一緒の組になってからというもの。
二人が仲良さそうに帰路を共にしているのを見るようになりました。
大丈夫、女同士で深くはならない、そう自分を信じ込ませながらも、気になって仕方がありませんでした。
私自身が女性に恋をしているのに、なんとも滑稽な話です。
来る日も来る日も私はあの方を、あの方のために、間違えました……私のために、追いかけていました。
それは同時に、私の想いを打ち破ろうとする彼女を尾行することにもなりました。
396名無しさん@秘密の花園:2007/04/28(土) 23:19:29 ID:X1vpuqLB

二人から特別な話を聞くことはありませんでした。
ごくごく日常的な会話、友人らしいおしゃべりがされているだけで、
あとは、「その人」が私の最愛の方に他愛もない勝負を仕掛けているだけでした。

私は彼女を見くびっていました。
なんだ、この程度ならあの方を力ずくで得ることもできる、と。

ここで話は卒業式の日に戻ります。
あの方は私が決死で想いを伝えた後、冷徹でりりしい顔を変えずに言ったのです。

「かわいい人がそばにいるんだ」と。

あの方が教室に首を向けると、そこには泣いている彼女の姿が。
黒板の前で、先生が彼女に面と向かって「大事な思い出をあなたは持ち帰っている」と言った後のことです。
二人の蜜月を知ったばかりで放心状態になった私は、彼女に対してこう思うほかありませんでした。

良かったですね、うれし泣きできるほどの思い出があって。
私には、この人の存在以外に素晴らしい記憶はありません。
「私の愛するこの人」が消え去ってしまった瞬間、この学校に関する記憶はすべて無意味になってしまいます。
この人を求めているのはあなたではなく、私なんです。 早く返してください、と。
あの方の声が私をあしらうものではなく、終始優しかったことが唯一の救いでした。

要約すれば、いえ、要約なんてする必要もないのですが、私は青春を失いました。
私を奪った彼女は二年生からあの方と級を共にしていました。
一方、私自身は三年目で級を分かち合ってしまいました。
それでも二年間という期間は変わらないのに、あまつさえ心に秘めた思いは私のほうが上なのに、
どうして彼女が最後には勝ったのでしょうか。
397名無しさん@秘密の花園:2007/04/28(土) 23:23:53 ID:X1vpuqLB

そう、その理由を説明するために、私は初めに「北風と太陽」を例に出したんです。
他の生徒から、私も含めてですが、いつも異常なほど注目されていたあの方は、
何の変哲もない日常を語り合える人が欲しかったのでしょう。
私は自分の思いを強引に、しかも直接的にしか伝えられなかった北風。
一方その人は、とりとめもない、何の特別な意図もない会話であの方を引きとめ、
ゆっくりと孤高で守りの固い心を太陽のように溶かして、解かしていったんですね、きっと。
最近、精神の安定が戻ってきてからやっとそう思えるようになりました。

実際に私の憶測が当たっているかはわかりません。
でも、反省はできました。
恋人になる前に友達になること、人を想う時にはそれが一番大事だって。
猛烈な北風は心に暗い空を呼び、緩やかな太陽はまぶしい愛の光をもたらします。
私は太陽になれるよう、ゆっくりとゆっくりと、好きな人と親しくなれるように心がけたいです。

お姉さま方、私の下らない話を聞いてくださってありがとうございました。
実は明日、またあの方に告白するつもりなんです。
あの方はある大学の獣医学科に通っています。
二週間かけて後を追い、あの方の家と帰り道を知ることができました。

一生懸命道の途中で待って、時が来たら言うつもりです。

「私と、友達になりませんか」と。

(おしまい)
398227:2007/04/29(日) 10:31:11 ID:rhgw+xpC
>>394-397
お疲れ様です。
かおりんの独白を、興味深く拝見させてもらいました。
淡々とした口調ながら、報われない恋に激しく心を揺らす彼女に
とても切ない気分にさせられました。

>>392-393
ありがとうございます。ゆかり、にゃもの絡みは多分初めてだったので
自分にとっては新鮮でした。


サイトの件については、(もし、作りたいと言う方がおられたとして)
一定期間管理して頂けるのであれば、載せて頂きたいと思います。
wikiについては、今後考えが変わるかもしれませんが、
今のところは、使う予定はありません。

399名無しさん@秘密の花園:2007/04/29(日) 12:45:50 ID:uEBo/qKN
押してダメなら押し通せ。それがかおりんクオリティ。
400名無しさん@秘密の花園:2007/04/29(日) 15:08:15 ID:4+6UEYSP
>>399

押してダメなら返してください。 それがちよクオリティ。
押してダメなら手を広げたら速いんちゃうん? それが大阪クオリティ。
押してダメなら勝負だぜ。 それが神楽クオリティ。
押してダメならリミッター解除。 それがよみクオリティ。
押してダメならラストスパート。それがともクオリティ。
押してダメならそのまま撫でろ。 それが榊さんクオリティ。

押してダメなら自分を信じて。 それがゆかりクオリティ。
押してダメならえろえろよー。 それがにゃもクオリティ。
401名無しさん@秘密の花園:2007/04/29(日) 21:59:26 ID:zHSpVa7X
なんだかよくわからんが…そうか
402327:2007/04/29(日) 23:12:35 ID:4+6UEYSP
よくよく考えると、フォークダンスで男子側に回されてる榊さんは
男に触れてないんだよなぁ

>>398-399
ありがとうございました

>>401 変なレスを書き込んですみません
飲みすぎて酔ってました
今でも頭がうまく働きません
榊さんと神楽絡みの妄想しか浮かんでこないんです
403227:2007/04/30(月) 00:40:00 ID:vYFA5ojZ
今から、大阪×木村先生の奥さんを投入します。
404名無しさん@秘密の花園:2007/04/30(月) 00:42:11 ID:vYFA5ojZ
(Sick Bay)

 初夏の日差しが、学校の壁沿いに植えられた樹木を包む濃緑色の葉達を鮮やかに
照らしている頃、温厚そうな雰囲気を纏う女性が、校舎の出入り口から校庭へ出よう
と歩いていた。
 同じ時刻、肩のあたりまで黒髪を伸ばした少女が、セーラーの裾を翻しながら、
校庭から出入り口に駆け込んでくる。
 急速に近づく両者だったが、林立する下駄箱が死角になって、お互いの存在に
気づかないまま、校舎と校庭の境界線でまともに衝突した。

「うう…… 」
「う」
 ダメージが比較的少なかった少女が、頭をかかえながらなんとか立ち上がる。
そして、倒れこんだままの女性の掌を取ると、相手も腰をあげることができた。
「だいじょうぶですかー あっ」
「ありがとう」
 ゆるいウエーブがかかっている長髪を、僅かに揺らしながら礼を述べた。
405名無しさん@秘密の花園:2007/04/30(月) 00:43:29 ID:vYFA5ojZ
「あの〜 木村先生の奥さんです?」
「そうよ。ごめんなさいね。貴方痛くなかった? 」
「私は大丈夫なんですけど。奥さんはどうなんですか」
 丁寧な言葉遣いのまま、木村先生の奥さんの瞳を覗きこんだ。
「大丈夫。心配しないで。それから私に敬語を使わなくてもいいのよ」
 子持ちの女性とは思えないほどの、鈴の鳴るような可愛らしい声が
少女の耳に届いた。

 しかし、大阪と呼ばれる少女は、気がかりな事を見つけて心配げに尋ねる。
「ちょっと顔色が良くないと思うんやけど」
「そうかしら…… 」
 幾分、火照った顔に頬をあてて、困った表情を浮かべる。
「少し休んでいくとええよ」
「でも…… 」
 軽く首を振ろうとしたが、自分の調子の悪さは自覚していたようで、彼女は
素直に少女の後に従った。
406名無しさん@秘密の花園:2007/04/30(月) 00:44:30 ID:vYFA5ojZ
 灰色がかった白を基調とした、学校では特別な空間、保健室。
 木製の扉を軋んだ音を立てながら開けて、頭を抑えた女性を椅子に座らせると、
大阪は戸棚から慣れた手付きで市販薬を取り出した。

「半分が優しさでできているのにするでー 」

 大阪は、水を満たしたコップと錠剤を渡す。
「ありがとう」
 頬にかかった髪を軽くかきあげながら、彼女はやや大きめな錠剤を、水と一緒に
飲み込んだ。
「しばらく、やすんでいくとええよ」
「ごめんなさいね。でも、貴方はだいじょうなの? 」
 時間は九時半をまわっていた。当然、学校の授業は始まっているのだけど、
大阪は軽く首を振った。

「困っている人がおったら、助けなあかん 」
 遅刻という、多くの生徒が動揺する事態には、大阪はあまり頓着していない。
 もっとも、真面目そうな雰囲気を持っている少女ではあるが、実は寝坊による
遅刻が結構多い。ある意味で開き直っているといえるかもしれない。
407名無しさん@秘密の花園:2007/04/30(月) 00:45:39 ID:vYFA5ojZ
 木村先生の奥さんは、暫くの間、時々眉をしかめながら横になっていた。
 しかし、渡された市販薬はかなりの即効性があり、三十分もしないうちに
ずいぶんと具合が良くなってくる。
 そして、時計の針が十時を回る頃にはベッドから身体を起こした。
「ありがとう。だいぶ落ち着いたわ」
「よかったで。ほんでも…… 」
「どうしたのかしら? 」
 大阪は指先をあごに当てたまま首を捻ると、真剣な顔つきで尋ねる。
「なんか心配事でもあるのん? 」

「あっ、あの、大した事ないわ」
 何故か、顔を真っ赤にして木村先生の奥さんは大きく首を振った。
「どないしたん? 」
 動揺をはっきりみせてしまい、更に心配そうにみつめてくる。
「えっと、その、あのね」
 その場しのぎの言葉でごまかすことは簡単だ。しかし、とても優しくしてくれた
少女に嘘をつくことに対して、猛烈な罪悪感がわきあがってしまう。
 最終的には、この子なら誰にも言わないだろうという、確信めいた直感が彼女の
背中を押した。
408名無しさん@秘密の花園:2007/04/30(月) 00:46:36 ID:vYFA5ojZ
「他の子には内緒にしてくれる? 」
「ええよ」
 あっさりと大阪は頷き、余計な言葉を挟まずに静かに待つ。
 木村先生は大きく息を吸うと、ゆっくりと話し始めた。

「私ったら駄目ね。またお寝坊しちゃって、主人にお弁当を届けにきたんだけど」
 てへっと、小さく舌を出す仕草は、少女のような可憐な雰囲気すら垣間見える。
「お弁当は渡せたん? 」
「ええ。あの人、職員室にいたわ」
 なおも逡巡していたが、ついに決心して重い言葉が紡がれる。
「最近、夜がご無沙汰なの…… 」

「え!? 」
 きょとんとしている少女を傍目に、奥さんはぽつりと語りだす。
「あの人、最近帰りがとても遅いのよ。帰ってもいろいろと、お仕事を持ち帰って
いてね。ほら、新年度になって三年生の担任になったでしょう。だから生徒さん
たちの進路の事とかいろいろ忙しくって、だから…… 」
「あー そうゆうことなんや」

 ようやく納得することができて、腕を組みながら何度も頷く。
「木村先生も大変やなあ」
「あの人の事、大好きなのに。何もしてあげられなくて。それなのにこんなエッチ
ことばっかり考えている自分が情け無くって」
 辛そうな表情で告白すると同時に深いため息をつく。憂色が濃くなった彼女の顔は
かなり艶かしい。
 大阪には、『あの』木村先生を愛する奥さんの心情は良く分からなかったが、
深く悩んでいる事は、正しく理解することができた。
409名無しさん@秘密の花園:2007/04/30(月) 00:47:38 ID:vYFA5ojZ
 なおも暫くの間、大阪は沈黙を保っていたが、急にぽんっと両手を叩いた。
「そや! ええこと思いついたで! 」
 黒曜石のような瞳を爛々と輝かす。
「えっ? 」 
 戸惑っている奥さんにむけて、満面の笑みを浮かべながら近づくと、白い
ベッドに腰掛ける。
「私がかわりに、なぐさめたる! 」
「あ、あの? 」
 戸惑った表情を浮かべて、小首をかしげた女性の首筋に腕をのばして絡めると、
温かい体温が直に伝わる。

「キス…… してもいいのん? 」
 上目遣いであどけない表情に、少しだけ期待を込めた表情で見つめる。
「ええ…… 」
 何か不思議な魔法をかけられたように、反射的に頷いてしまう。

「ほな、いくでー 」
 大阪はゆっくりと小ぶりな唇を閉ざして、木村先生の奥さんの口元を塞ぐ。
「ん…… 」
 微かにくぐもった声が漏れる。小さな息遣いとともに、柔らかい唇が少しずつ
動いていき、むずがゆい感触が身体を震わす。
 大阪は、暫くは軽い口付けを愉しんでいたが、やがて満足できなくなって、
ゆっくりと唇の間に短い舌を割り込ませる。
410名無しさん@秘密の花園:2007/04/30(月) 00:48:44 ID:vYFA5ojZ
「んんっ! 」
 木村先生の奥さんは、驚いて大きく瞼を開いたが、少女の舌の動きは絶妙で
蕩ける様な快感が、彼女の理性を痺れさせる。
「ん…… んあっ…… 」
 シーツの裾をぎゅっと握り締め、深いディープキスをなんとか受け入れる。
 相手が同性で、もしかしたら、愛する夫の教え子かもしれないという、
かなり倒錯した状況に戸惑い、混乱し、身をまかせるままになってしまっている。
 一方、大阪の舌は確実に、頬の裏側や歯茎のあたりまでを丹念に舐め取っていく。

「くう…… んあっ」
 大阪は十分に愉しんだ後、ゆっくりと顔を離して、小さく舌を出した。
「残念やけど…… これ以上はあかんねん」

 キスだけで身を引いた少女にほっと胸をなでおろしながら、彼女は少しだけ
寂しさも感じてしまい。思いがけない言葉が口から漏れる。
「私から、貴方にお願いがあるわ」
「なんや? 」
「少しだけ一緒にベッドに入って欲しいの」
「ええよ」
 快諾した大阪が、木村先生の奥さんが横になっていたシーツにもぐりこむと、
体温で既に温かくなっている。
 少女が掌をのばして手を握ると、軽く握り返された。
411名無しさん@秘密の花園:2007/04/30(月) 00:49:59 ID:vYFA5ojZ
「なあなあ。奥さんってやー いつも木村先生とこんな感じで寝てるん? 」
「ええ、そうね。でも最近はあのひと、疲れてすぐ眠ってしまうの 」
「結婚して良かったとおもてるん? 」
 大阪は、白い天井に嵌め込まれた蛍光灯を見上げながら尋ねる。
「もちろんよ。すごく幸せで怖いくらい」

 新婚さんみたいな言い方に、大阪は羨ましそうな表情で呟いた。
「私も、いつか結婚できるんやろか」
「あなたはとっても魅力的だから、きっといい人があらわれるわ」
 制服姿の少女を横目でみながら、木村先生の奥さんはやんわりと微笑む。

「ごめんなさいね。申し訳ないけど、ちょっと疲れたから、少しお休みさせて
いただくわ」
「ええで。私がつきそったるねん」
 のんびりとした声に安心したのか、穏やかな微笑を浮かべたまま、彼女は
ゆっくりと瞼を閉じた。

 三時間目の終了後、保険体育を担当する黒沢教諭が、保健室のベッドで隣の
クラスの女子生徒と古文を担当する教師の妻が、手を繋いだまま熟睡している
姿を発見して、しばし呆然とした後、頭をかかえながら起こした。
 目を覚ました木村先生の奥さんに、大阪への感謝と絶賛を、熱い口調で語られた
為に、連絡を受けて来た担任の谷崎教諭も、遅刻と無断欠席という二重の
違反を犯した少女を責める事はできなくなってしまった。

 教師二人がその夜飲みに行った居酒屋で、あの倒錯的な状況の分析に二時間を
費やした挙句、納得のいく答えが見つからずに酷い悪酔いしたのは余談である。

(終わり)
412327:2007/04/30(月) 00:58:00 ID:2EC6zjsV
>>404-411

徹夜でSS書いてた甲斐があった……

もうね、素晴らしいとしか言えなくて。
カップリングとかそういうの抜きにしても、
どうしてこんなに美しい文章表現とか
妄想しやすいシチュとか書けるのかな、と。

GJでは言い足りません
413227:2007/04/30(月) 01:13:33 ID:vYFA5ojZ
大阪を書くのが一番好きだったり。彼女は誰とも相性がいい気がします。

>>412
そこまでの評価を頂くと、なんだかもう適切な言葉を返す事ができません。
ただ感謝あるのみです。
414名無しさん@秘密の花園:2007/04/30(月) 03:02:45 ID:WGDvweAi
>>227さん
GJ
いつも完成度高いです
次に投下するのためらっちゃいます(´・ω・`)


>>169>>195>>259
と続けてるつもりです
――
今日は私があの子を迎えに行く日。
デートの理由はたいしたことじゃない。
アルバイトのお給料も入ったし、おいしいものでも食べに行こう。
そんな軽い気持ち。
当たり前のデート。

でも彼女は、神楽は少し違ったようだった。
415名無しさん@秘密の花園:2007/04/30(月) 03:03:32 ID:WGDvweAi
よく晴れた、絶好のお出かけ日和。
インターホンを押すと、少し間をおいてなぜか恥ずかしそうな神楽が顔を覗かせた。
「やあ」
「・・・おっす」
可愛らしい笑顔だが、いつもと何かが違う。
「・・・髪。何かつけてる?」
「あ、やっぱわかる?へへ・・・」
整えられた前髪を引っ張りながら、彼女は照れた。
覗いた腕は、健康的にこんがりと日焼けしている。

ただ、違和感はそれだけではない気がする。
「今日は何か違う・・・?」
問いかけに、観念したような顔を浮かべ、
「・・・榊、笑うなよ」
彼女は少しずつ玄関の扉を開いた。
416名無しさん@秘密の花園:2007/04/30(月) 03:04:12 ID:WGDvweAi
古びたアパートの、埃っぽい緑の扉が、そのときだけは花束を包む高級な木箱のように。
現れた彼女はピンクのワンピースに身を包み、頬を紅く染めていた。
「神楽・・・」
着慣れない感じで立っていても・・・きっとどんな花にも見劣りしない華やかさ。
恋心に染められた色眼鏡で見なくとも、彼女の美しさは私を虜にしただろう。

「・・・やっぱ似合わない?」
「そ・・・そんなことない!」
自分でも驚くほどの大声をあげて、私は彼女に飛びついていた。
真っ赤な顔がさらに赤く染まる。
「ちょ・・・っと榊、効果ありすぎ・・・」
きゅっと彼女を抱きしめていると、胸には嬉しさと下心の両方が湧き上がってくる。
・・・今日は部屋でいちゃいちゃするのも悪くないかもしれない。
「榊・・・」
あ、でも、こんな可愛い子を連れて街を歩けたらどんなに幸せだろうか。

「おい、榊!苦しいって」
「あ・・・ごめん」
彼女の声にはっとして腕を解く。
「いや、でも嬉しいよ。そんな喜んでくれて」

改めて見る彼女の姿は形容しようのない美しさを保っていた。
417名無しさん@秘密の花園:2007/04/30(月) 03:04:53 ID:WGDvweAi
この服は春日さんに借りたものらしい。
髪もお化粧も昨日おしえてもらったそうだ。

「でさ、榊・・・それはいいんだけど」
彼女は舌を出して笑っている。
「靴、スニーカーしかねぇのに気付いた」
おどけて言う神楽の足元には、確かに2、3足の動きやすそうな靴が散らばっている。
「せっかくいいの貸してもらったのに」

「買いに行こう」
「え?」
「今から買いに行こう!とりあえずこれ履いて」
私は、白いコンバースを彼女に履かせて手を引っ張った。
「え?いいよ!待てって榊!」
神楽は鍵をかけながら狼狽している。

「榊!いいって!悪いよ」
私が靴を買おうと言ったのは、昨日から私のために準備してくれた神楽に・・・何かしてあげなきゃと感じたからだ。
それに・・・かっこいいところも見せたかった。
「こういう時は黙って恋人の好意に甘えるほうが可愛いぞ」
「な・・・っ」
「そのかわり、レストランはとりやめ。今日はうちに帰って夕飯は手作りだ」
これが、私に言えるかっこいい台詞の限界だったが・・・。
「榊・・・ありがと」
彼女の心は、そんなチープな甘言にも簡単につられてしまうほど純粋だった。
418名無しさん@秘密の花園:2007/04/30(月) 03:05:30 ID:WGDvweAi
色とりどりのお洒落な靴が並ぶ、ありきたりだけど清潔なお店。
少し値段が張るかもしれないけど、神楽のためなら投資なんか惜しくない。

「サンダル・・・あ、ミュールっていうのか。こんなのの方がいいかな」
新しい靴を買う、というのは何故かわくわくするものだ。
神楽も嬉しそうに見上げている。
「夏だし・・・せっかくだから可愛いのにすれば?」
目を輝かせて浮かれる神楽を見守っていると、なんとも言えない幸せを感じた。
今までならこんなとこに連れてきても困った顔をするだけだっただろう。
それが私のために可愛い服を選んでくれて・・・靴も欲しがってる。
「これなんかこの服にあうと思わねーか?」
振り向いて首をかしげる姿はまるでお人形だ。
「服は返すんだろ?色あわせちゃっていいのか?」
私、にやにやしてるんだろうな・・・。
いや、こんな彼女を前にして顔がほころばないほうがおかしいのか。
「うん。でも、おんなじ様なやつ、買おうかと思ってるんだ」

おお・・・私もおしゃれ、しないとな。
「榊も喜んでくれたし・・・。たまには可愛いって言われるのも悪くねぇ」
笑顔はとても満足げだ。
「・・・いつだって可愛い。でも、今日は特に可愛い」
彼女を形容するにはいくら言葉を使っても足りないようにも思える。
ただ、こんなことしか言えないのが悔しい。

神楽は、へたくそな私の褒め言葉に「恥ずかしいよ」とだけ言って、靴に目を戻した。
419名無しさん@秘密の花園:2007/04/30(月) 03:06:01 ID:WGDvweAi
「よし、これにする!」
彼女は、こざっぱりした白のミュールを差し出した。
「ヒールなんて初めてだから、うまく履けるかわかんないけど」
ちらちら見える値札に書かれた数字は、思っていたよりずっと安い。
「すぐ慣れるさ」
ただ、見渡すと、周りの商品も同じような値段だ。
そもそも、ミュールそのものがそんなに高くないのかもしれない。
「神楽、サイズは?」
「あ、そっか」
彼女は立ったまま靴を脱ごうとする。
「待って」
私がいた椅子に反転する形で彼女を座らせて、その横に跪く。
「足、上げて」

「じ・・・自分でできるって」
「・・・いいから」
強引な私に観念したのか、彼女は右足を上げた。
それを膝に乗せて、持っていたミュールを履かせてみる。
恥ずかしそうにしていた彼女も、サイズがぴったりだとわかると笑みがこぼれた。
「シンデレラ・・・」
420名無しさん@秘密の花園:2007/04/30(月) 03:06:33 ID:WGDvweAi
「え?」
そう。彼女はシンデレラ。
普段着ないドレスを着て、私を虜にする。
靴を選んで、サイズもぴったり。
魔法使いはいないけど、彼女はシンデレラ。

じゃあ、私が王子様か・・・。

「・・・幸せにしてあげないとな」


店を出て早速買った靴を履く彼女は、やっぱりバランスがとりにくそうだった。
「大丈夫か?」
「おとと・・・」
ぎゅっと私の腕にしがみついて歩く。
「やっぱ慣れるまでは難しいかも」
歩くたびにカツカツ聞こえる音が心地よかった。

「かぼちゃの馬車を用意してくれよ。王子様」

「聞こえてたのか」
見下ろすと、ヒールで少し高くなった彼女の唇が触れた。
「えへへ・・・幸せにしろよ」
私の腕はさっきよりぎゅっと握られている。

まだ太陽は高い位置にあるようだ。
余ったお金でドレスを買ってあげようかな。
十二時になっても消えないドレスを。
421名無しさん@秘密の花園:2007/04/30(月) 09:38:50 ID:vYFA5ojZ
>>415-420
とっても甘々なお話ごちそうさまでした。
カッコよすぎる榊さんと、可愛すぎる神楽がとても良かったです。

>>414さん
感想ありがとうございます。
ただ、ケアレスミスが数ヶ所あったので、精進したいと思います。
422名無しさん@秘密の花園:2007/04/30(月) 10:21:17 ID:J0oDvN8W
可愛い神楽に素でキザになってる榊さんがいい!
読んでて思わずにやけそうになりました
423名無しさん@秘密の花園:2007/04/30(月) 13:41:25 ID:PHkDqtDO
こっちはにやけっぱなし…あぁあ可愛い神楽さんっ!!かっこいいよ榊さん!!
424名無しさん@秘密の花園:2007/04/30(月) 13:42:06 ID:Pxh+y43I
ぼかぁ、幸せにだなぁ
425227:2007/05/01(火) 14:15:07 ID:1OKs8sgo
これから、智×大阪を投入いたします。

426名無しさん@秘密の花園:2007/05/01(火) 14:16:28 ID:1OKs8sgo
(五月の恋人たち)

 太陽が南中線を過ぎて程無い頃、同じくらいの背の二人の少女達が、駅前の通りを
歩いていく。
 今日はGWのまっただ中。天気も見事な五月晴れということで、すれ違う人が多い。
 滝野智はショートカットに帽子、Tシャツにジーンズという、動きやすい格好、
一方、春日歩はワンピースに麦わら帽子という、少し大人しめで清楚な雰囲気を
漂わせている。

 二人が談笑しながら、駅に程近い、お店を通りかかった時――
『本日開店1周年記念につき、カップル様限定に、大型パフェをプレゼント! 』
 という広告が、出入り口の隣に備え付けられた看板に書かれていた。
「おおっ、大阪、これ見て」
 プレゼントという言葉に惹かれたのか、智は看板の後ろにあるショーウインドーを
幸せそうな表情で見つめる。

 大阪と呼ばれる少女も看板を覗きこむが、残念そうに首を振った。
「でも、カップルじゃないとあかんねん」
「だって、私たちカップルじゃん」
 何の衒いもなく言い放った。
427名無しさん@秘密の花園:2007/05/01(火) 14:18:12 ID:1OKs8sgo
 二人が同じ大学に入り、共同でワンルームマンションを借りて、同じ部屋で生活し、
夏には恋人同士となった。それから、既に一年近くが経過している。
「あかん。あかん。普通カップルってゆーたら、男女のカップルやでー 」
 普段ぼんやりしていながら、奇妙なところで冷静な少女に、智はぷうっと頬を
膨らました。

「わ、分かってるって 」
 言いながらも、未練たらたらで物欲しげにパフェの模型を見ている少女を
眺めながら、大阪は、腕組みをして考え込んだ。
「ほんでも、あのパフェは惜しいなあ。そや! 」
 恋人の顔をじっーと見つめて、うんうんと頷く。
「どしたの? 」
 智は、不思議そうに尋ねた。
 少女の全身をじっくりと眺めてから、大阪ははっきりとした口調で言った。
「ともちゃんが、男役をやればええねん」
428名無しさん@秘密の花園:2007/05/01(火) 14:19:39 ID:1OKs8sgo
「えー 」
 智の口から不満そうな声があがる。
「何で、私が男役やらないといけないんだよー 」
 しかし、大阪はのんびりとした微笑を崩さず、
「ともちゃん。無料のパフェ、食べたくないのん? 」
と、子悪魔めいた表情で尋ねる。

「うぐっ」
 クラスメイトであった高校時代もふくめて、丸四年も親密に付き合えば、お互いの
性格なんかは知り尽くされている。
 GWの前半にマジカルランドに遊びに出かけ、懐具合がいささか寂しい彼女に
とって、あの豪華なパフェが無料というのは、かなり美味しい話だ。
 定価は1800円とかなり高額なだけに、余計無視することにためらいを覚える。

「だったら、大阪が男役やれば…… 無理か」
 言いかけて瞬時にあきらめる。ワンピース姿の男子なんて想像するだけで恐ろしい。
 一方の、智はパンツルックでショートカット、おまけに帽子付き。なんとかごまかせ
ない事もなさそうだ。

「よっしゃあ。ともちゃんの演技力をみせてやるっ」
「流石や。女の鏡やでー 」
 いささか怪しげな造語で褒められたが、智は上機嫌に宣言した。
「今から大阪の彼氏になるから 」
「はや」

 帽子を深くかぶりなおして、胸をぐんと張り、彼女役になった大阪の掌を握り
締めて、店内に足を踏み入れた。
429名無しさん@秘密の花園:2007/05/01(火) 14:21:03 ID:1OKs8sgo
 重々しい木製のドアを開けると、からんころんと、いささか古めかしい呼び鈴が
彼女達を出迎える。落ち着いた雰囲気の店内を見渡すと、ほとんどの席がカップルで
埋まっている。

「いらっしゃいませ。お客様」
 本来の意味での給仕姿の女性が、大きなひだ付きのエプロンの裾を摘みながら
お辞儀をする。
「2名様ですね。ただいまご案内いたします」
 微笑んだまま彼女は、2階の窓際の席まで案内する。上の階もほぼ満席で
かなりの盛況だ。
「みんなあのパフェが目当てなんやろかー 」

「そうだな」
 席に着いた彼女達に、店員はメニューを渡しながら言った。
「ご注文がお決まりになられる頃に伺います」
 優雅な礼とともに去ろうとするが、大阪は、早速呼び止める。
「あのー すみません」
「はい」
 ゆるいウエーブのかかった、温和な感じの店員が、微笑を浮かべたまま答える。
「カップル用の無料パフェって、まだあるのですか? 」
 大阪の直線的な質問に、智はどきりとした。ここが勝負どころだ。
 智が声を出すと流石に女性である事がばれてしまうので、帽子を深くかぶりながら、
少しだけ視線を落とす。
430名無しさん@秘密の花園:2007/05/01(火) 14:23:57 ID:1OKs8sgo
「ええ。ございます! 」
 朗らかに言うと、彼女はエプロンのポケットから一枚の用紙を取り出し、机の上に
丁寧に置いた。
「カップルパフェをご注文された方には、こちらの用紙にお名前のご記入をお願い
しております」

 ちょっとした心理的なプレッシャーだな。と、智は思う。
 なりすましの小心者の偽カップルだったら、この時点で撤退を試みるかもしれない。
「わかりましたー 」
 しかし、大阪は意外と度胸が据わっており、普段と全く同じ口調で受け取ると、
春日歩、滝野智とさらさらと書いて渡す。
「かすがあゆむ様と、たきの…… とも様」でよろしいですか? 」
「そやで」
「ありがとうございます」
 優雅にお辞儀をして、店員は離れていった。
431名無しさん@秘密の花園:2007/05/01(火) 14:26:03 ID:1OKs8sgo
 彼女の姿が完全に見えなくなってから、智は大きくため息をついた。
「あー なんか疲れたよ」
「智ちゃん。ホンマにお疲れ様や」

 大阪は、両手をあごにつけながら微笑んだ。
「私は何もしてないけどな。でも案外上手くいったね」
「智ちゃんは、宝塚いっても通用するかもしれへんで」
「こらっ 私は男っぽくなんかないぞー 」
 軽く怒って見せた後、尋ねる。
「大阪にいた時、宝塚いったことあんの? 」

「あー 残念やけどあらへん」
「そんなら、今度行ってみない? なんか面白そう」
 わくわくした表情をおもてに出して提案する。
「そやなー 私もトップスターに憧れた事もあるねん」
「大阪には無理だなー 」
「えー それはひどいで」
 他愛の無い会話をしていると、先程と同じ店員がお盆の上に盛大なパフェを
持参してきた。
432名無しさん@秘密の花園:2007/05/01(火) 14:27:33 ID:1OKs8sgo
「お待たせいたしました」
 大型パフェを目の前にして、ふたりは歓声をあげた。
 重量感のある大きなガラスの中は、チョコクリームがたっぷりと入っており、
上には大きなバニラアイスが乗っている。更に数々の果物 ―― オレンジ、梨、
メロン、リンゴ、さくらんぼ、キュウイが乗っかり、最上段には板チョコが突き
立てられている。

「うわー、大阪、みてみて」
 板チョコをのぞくと、描かれたハートマークの中に、ローマ字で『 Tomo & Ayumu 』
と書かれている。
「うわー ちょっと『きざ』やねん」
「かなり古いぞ、大阪。でもちょっと嬉しいな」

「でも、どうやって食べればええんやろう」
 メッセージ入りの板チョコは1枚しかない。せっかくのチョコを割ってしまうのは、
少し躊躇われる。
433名無しさん@秘密の花園:2007/05/01(火) 14:28:48 ID:1OKs8sgo
「そうだ。一緒に食べよう」
 智は指を上にあげて、脳裏に閃いた言葉を口にした。

「それって、めっちゃ恥ずかしいで? 」
 大阪は頬を赤らめて周囲を見渡した。しかし、近くにいる客は自分達の話に
熱中していて、周りをみている様子はない。
「でも、誰もみてへんのといっしょやな 」
「そうだろ」
 智は、板チョコの端を摘み上げた。

「私こっち側だから、大阪は逆ねー 」
「なんか、ポッキーゲームみたいやな 」
 大阪が呟き、智がくわえた板チョコの逆側に唇を付ける。
(うわー 大阪が目の前だ)
 普段、みなれているはずの少女も、真っ昼間からドアップで見つめられると、
なんだか凄く照れくさい気分に襲われる。
434名無しさん@秘密の花園:2007/05/01(火) 14:30:20 ID:1OKs8sgo
「んん…… 」
 小さくえづきながらゆっくりと距離を近づける。
(すごく恥ずかしい…… )
 大阪との距離が縮まるにつれて、脈拍が急上昇する。
(ともちゃん。これはやばいねんで)

 それでも、少しずつチョコレートは削られて、お互いの距離が3センチを切ると、
流石に大阪も、緊張と戸惑いで動けなくなる。
 ちらりと周囲をみると、いくつかのカップルがこちらの方を向いている。
(これは羞恥プレイやねん)
 あんまり時間がをかけると、もっと注目を集めてしまうことになりそうだ。
 大阪は決意を固めて、思い切って唇を動かした。同時に智も前に動かし、二人の
唇が合わさった。

(柔らかい)
 人目のつかない所では、慣れているはずのキスでも、場所が違うとこうまで
興奮するのかと思いながら、大阪の張りの良い唇の感触を、味わっていたが、
流石にあまりの恥ずかしさに、十秒ほどしかもたずに唇を離して、顔を両手で隠した。

「大阪、これって恥ずかしすぎるよ」
 周囲に座っているカップルの幾つかは、「彼女たち」の行為に気づいていて、妙に
生暖かい視線が集中していた。口付けが終わった後も、羞恥心は中々おさまらず、
お互いの顔をまともに見ることができない。
「私もや…… 」
 大阪は、首筋まで真っ赤になりながら、意味も無くハンカチを拡げたり、閉じたり
している。
435名無しさん@秘密の花園:2007/05/01(火) 14:31:48 ID:1OKs8sgo
「ま、まあ。後は普通に食おうぜ! 」
 それでも、なんとか羞恥心を振り切った智が言うと、二人はジャンボサイズと
呼んでもさしつかえないほどの、大きな山を崩し始めた。

「おなかぽんぽんやー 」
 小一時間程パフェと格闘した後、大阪は、可愛らしい声で自分のほとんど
でっぱっていないお腹を叩く。
「大阪、4分の1も食べてないぞ」
「ごめんなあ、ともちゃん」
 素直に謝られると、これ以上は追求できない。仕方ないなーと呟き、残りのパフェを
頑張って口に入れていく。

「ふー ようやく食べた! 」
 ようやく、全てを片づけた智は、膨れたおなかを押さえながら、満足そうに息を吐いた。
「ともちゃん。ほんまにお疲れ様やー 」
 曇りの無い笑顔でねぎらわれると、苦闘の跡(といっても、ジャンボパフェを制覇
しただけだが)も、あっさり消えてしまうようで、笑ってしまう。
436名無しさん@秘密の花園:2007/05/01(火) 14:35:10 ID:1OKs8sgo
 雑談を再開して暫く経った後 ――
「なあなあ、ともちゃんてやー 私のどこが好きなん? 」
 白いワンピースに包まれた少女が、こくんと首を傾けながら何気ない調子で尋ねた。
「そりゃ。おまえ、なんていうか 」
 真正面から言われると、何だか、とてもむず痒い気持ちになってしまう。
「守ってあげなきゃと思うわけよ。危なっかしいからな」
「そうなん? だいぶしっかりしてきたと思うねんけどなー 」
「いやいや。まだまだだね」
「ほんなら、ずっとこの先も守ってくれるん? 」

 智は、さりげなく重大な事を恋人に聞かれて、戸惑ってしまう。
 確かに半ば自由人として、のんびりしている大学生の間はこのままでいいだろう。
 でもそれからは? 社会人になっても彼女と一緒にいられるのだろうか?
 何も言えずに動けない智に、大阪は少しだけ寂しそうな口調でやんわりといった。

「ごめんなー ともちゃん。変な事ゆーてもーて」
「それは、いいんだけど」
 更に少しだけ考えた後、智はゆっくりと口を開いた。
437名無しさん@秘密の花園:2007/05/01(火) 14:36:30 ID:1OKs8sgo
「ごめんね、卒業したらどうなるか分からないよ。でもさ、大学にいる間は大阪を
愛する事を誓うよ」

「ほんま? 」
 大阪の顔に喜色が広がる。彼女も現状認識ができない程、お子様ではない。
決してあなどってはいけない存在なのだ。
「うん。あと三年間、大阪が悲しめば私も哀しむ。大阪が喜べば一緒に歓ぶ。そして、
大阪が危機に陥る事があれば全力で助ける」
 智はきっぱりといった。

 大阪も、智といつかは離れ離れになることは直感的に知っている。この国は同性
同士という形の愛情には拒絶的な反応を示されることが、多い事は分かっていた。

「ほんなら、私も誓うでー 在学中はともちゃんを全力で支えてあげるで。ほんで、
ともちゃんが辛いとは一緒に泣くし、ともちゃんが楽しいときは、いっしょにわろて
あげるねん」
 大阪もゆっくりとした口調で断言し、混じり気のない笑顔を恋人に向けた。
438名無しさん@秘密の花園:2007/05/01(火) 14:37:46 ID:1OKs8sgo
 暫くお互いの瞳を見つめあった後で、智は微笑を浮かべて言った。
「そろそろ出よっか」
 腕時計を眺めると、既に三時を回っていた。
「そやな」
 二人は立ち上がった。大阪は、半透明の伝票入れの中から、紙製の封筒を摘み
上げる。
 表面には板チョコと同じように、しかし漢字で、「春日歩様 滝野智様」
と書かれている。
「なんやろう? 」
「無料パフェの証明書みたいなものじゃないかな」

 案の定、一階に下りてレジの店員に呈示すると、あっさりと通してくれた。
「ありがとうございました。またのお越しを」
 朗らかな女性店員の声が、彼女たちの後を追うように届いた。
「ええ。お店やったなー 」
「そだな」
「また、行ってみてもええかもしれん」
「今度は無料じゃないけどな」
「そやな 」
439名無しさん@秘密の花園:2007/05/01(火) 14:40:14 ID:1OKs8sgo
 太陽がだいぶ西に傾いたとはいえ、陽の長い五月では十分に明るい。爽やかな風が
頬を撫でて、黒髪を心地よく揺らす。
「そや。この封筒の中に何か入っていると思うで」
 唐突に言ってから立ち止まり、薄桃色のポシェットからカードを取り出して、
封を開ける。
 中には「弊店をご利用いただきましてありがとうございます」という定型的な
挨拶文の下の余白に、手書きのペンで『お幸せに。かわいいお嬢様方へ』と
書かれていた。

「あちゃー 思いっきりばれてたんだな」
 智は力なくうなだれた。
「あはは。店員さんに…… 一本とられてもた…… あはははっ」
 大阪の方は、よっぽど可笑しかったのか肩を震わせながら、お腹を押さえて
路上にしゃがみこんでしまっている。
 笑いを止めることができない、恋人の姿に苦笑しながら、智は背中を軽く
さすってあげることに決めた。

(終わり)
440名無しさん@秘密の花園:2007/05/01(火) 14:51:47 ID:4MMVqpwE
GJ!!
切なすぎる…。

関西の方じゃないですよね?
441名無しさん@秘密の花園:2007/05/01(火) 15:00:30 ID:1OKs8sgo
>>440
ありがとう。
残念ながら違います。
関西の方に下宿してたことはありますけど。
442名無しさん@秘密の花園:2007/05/01(火) 21:22:15 ID:/JiMiI35
毎回毎回
感情と合わせてしっかりと描かれる叙景的な部分が気に入っています
加えて、「女の子の風景」を書ききれる筆力が素晴らしいです
443名無しさん@秘密の花園:2007/05/02(水) 00:03:03 ID:/A6tKeQO
木村先生の事でストレスが溜まっているかおりんを榊さんが慰めてあげるといいよ。
444名無しさん@秘密の花園:2007/05/02(水) 06:33:58 ID:rMzg0VCV
読んでて思ったけど、智も歩も男女両対応の名前だな
445名無しさん@秘密の花園:2007/05/02(水) 11:43:07 ID:ZVWP2ZK7
>>421-424
ありがとうございます。
やっぱ純愛は書いてて楽しいです。

>>426
442さんの言うとおり、“書き方”が素晴らしいです。
あと、見え隠れする現実が切なすぎて胸が痛いです。


>>443
ネタ泥棒します。
榊×かおりん投下
446名無しさん@秘密の花園:2007/05/02(水) 11:43:44 ID:ZVWP2ZK7
「木村に気に入られただけならまだしも・・・いや、よくないけど」
次の言葉はだいたい予想できる。
「榊さんと別のクラスなんて・・・」
肩を落とす彼女の顔は今にも泣き出しそうだった。
受験で大変な年の担任が木村だなんて、想像しただけでも寒気がする。
その上気に入られるなんて・・・。
「よみ・・・もう学校来たくないよ」
「おいおい、そんなこと言うなよ」
ついに泣き出した彼女の悲痛な叫びを、私は月並みな言葉で慰めることしかできない。
「大丈夫だよ。すぐ慣れるから」
かわいそうだとは思う・・・思うが、当事者でない私ができることなんてたかが知れている。

「うぅ・・・・・・榊さん・・・」
私の冷めた慰めなんかより、この子には榊の一言が何より力になるんだろう。

仕方ない。
「とりあえずここで待ってろ」
昼休みはまだ始まったばかり・・・。
「すぐ戻る!」

はぁ・・・世話の焼けるやつだなぁ。
447名無しさん@秘密の花園:2007/05/02(水) 11:44:51 ID:ZVWP2ZK7
榊に事情を話すと、彼女は何も言わずに頷いた。
「体育館のとこ。待たせてあるから・・・」
うんと言って私に付いて来る彼女の表情は、いつもと変わらないものだった。

こいつはかおりんの気持ちに気付いているんだろうか。

あんなあからさまな態度取られて、気付かないやつがいるのかとは思う。
ただ・・・それは相手が異性ならばの話で。
榊にしてみれば、彼女にあこがれる女の子の中の一人くらいにしか感じていないのかもしれない。
「榊、・・・かおりんの気持ちには・・・」
あいつは、この後の状況によっては告白さえしかねない。
榊に嫌われるようなことがあったら本当に学校に・・・。
「・・・それなりに」
「?」
「大丈夫だ。心配要らない」
448名無しさん@秘密の花園:2007/05/02(水) 11:45:31 ID:ZVWP2ZK7
かおりんはさっきまでの姿でそこに立っていた。
さすがにもう涙は止まっていたが、ぐったりした表情は変わらない。
・・・いや、前言撤回。
「お待たせ」
榊を見た途端、彼女の顔に健康的な血色が戻る。
「さ・・・榊さん!」
両手を胸に握って縮こまる姿はいかにも女の子だ。
いつもと変わらない姿で立っている榊の横でもじもじしている彼女を見ていると、本当に告白の一場面のように思える。

「榊さん、クラス変わっちゃって・・・あの・・・」
かおりんの目に再び涙が浮かぶ。
榊の前でも取り乱してしまうなんて・・・。
彼女の心労は想像以上だったのかもしれない。
正直、榊に会わせたくらいで癒えるものなのだろうか。
そう思った。
・・・思った。
眼前に広がる光景を目にするまでは。
449名無しさん@秘密の花園:2007/05/02(水) 11:46:28 ID:ZVWP2ZK7
「泣かないで・・・」
榊は赤い顔で泣いている少女を抱きしめていた。
とても自然な動きで・・・まるでハンカチか何かがふわりと覆いかぶさるように。
「さか・・・さん・・・」
彼女はまだ何が起きたかわかっていない。
口をぱくぱくさせて震える少女の背中を、さっきよりも強い力が抱きとめる。

「大丈夫だから」
憧れの人の一言に、少女は胸に当てていた両腕を邪魔に感じたようだ。
少しでも体を密着させようと握った手のひらを解き、榊の背中の向こうでもう一度握りなおす。
豊満な胸に埋まった少女の顔は、私のほうからはもう見えない。
真っ赤に染まった耳だけが、彼女の幸せを知らせている。
450名無しさん@秘密の花園:2007/05/02(水) 11:48:11 ID:ZVWP2ZK7
「来たくないなんて言っちゃだめだ」
榊は・・・かおりんを慰めるためにこうしたのだろうか。
「私は毎日学校に来る」
この抱擁は・・・同情の抱擁なんだろうか。
「だから、かおりんも・・・」
ここからでは表情は見えないが、かおりんは泣いているようだった。
彼女の手のひらには榊の制服が強く握られている。
「つらくなったらいつでもおいで。・・・私にできることは少ないかもしれないけど」
二人の体が離れ、真っ赤な目で榊を見上げる少女の顔が現れる。
「榊さん・・・ありがとうございます」
震える声を振り絞る。
と、彼女の顔が再び何かで隠された。

少女の顔を覆ったのは、美しい、黒い長髪だった。

・・・榊のかおりんへの気持ちは・・・同情なんかではないんだろう。
鈍感と言うか、つかみどころの無いやつだと思ってたけど。
本当は一番敏感で、周りのことを良く見てるのかもしれない。

離れた唇を名残惜しそうに触るかおりんの笑顔がその証拠だろう。

でも・・・やり方が不器用なんだよなぁ。
本当に、世話の焼けるやつらだよ。

二人がこちらを見て笑っている。
私は、自分の顔が彼女たちよりも赤くなっていることに気付いた。
451227:2007/05/02(水) 16:28:41 ID:ZLGCqcVb
感想を頂いた方、読んで頂いた方に、改めて感謝いたします。

>>442>>444-445
風景を書くことが好きなのかもしれません。
甘い話にしようと思うのに、何故かシリアスになってしまいますね……
あと、少しだけ変わった(でも印象に残ってしまう)名前のキャラが
多いような気がします。

>>450
いつもお疲れ様です。
相変わらず、榊さんは不器用でカッコいいですが、今回はかおりんが
とてもかわいいですね。
普段は、あまり報われないキャラなので、良い目にあうシーンを見ると、
嬉しいものがあります。

452227:2007/05/03(木) 05:35:15 ID:NtSNXypz
榊×大阪 を投入します。
453名無しさん@秘密の花園:2007/05/03(木) 05:36:33 ID:NtSNXypz
(本当の自分)

 五月も下旬に近づき、梅雨の前触れを思わせる雨が朝方から降り続いている。
 厚い灰色の雲から落ちてくる無数の雨粒が、教室の窓ガラスに断続的に衝突し、
涙滴状に形を変えて流れ落ちていく。

 最後の授業が終わった後、榊は教室の窓から降りしきる雨を眺めているが、
彼女の整った口元からは深いため息しか漏れてこない。
 榊を憂鬱にさせている原因は、机の上に置かれている手紙だ。
 いずれも彼女宛のラブレターで、下駄箱の中に置かれていた物もあるし、
勇気を振り絞って直接渡された物もある。
 しかし、憧憬と恋心が凝縮された「それ」は、あまり外向的ではない彼女を
憂鬱にさせるものでしかなかった。

 既に、榊を除く全員が帰宅するか、部活動に参加する為に教室を後にしている。
 暫くは、手紙を無言で眺めていたが、やがて、渡された手紙を丁寧に折りたたみ
はじめる。
 いくら望まない恋文とはいえ、思いを寄せてくれた少女達が渡されたものを粗末に
扱うことは、彼女の性格と矜持が許さなかった。

 黒板の脇に備え付けられた時計を見ると、針が一直線になっていた。
 彼女が立ち上がろうとした時、教室の引き戸が、がらがらと音を立てながら開いて、
制服を着た少女が入ってきた。
454名無しさん@秘密の花園:2007/05/03(木) 05:37:48 ID:NtSNXypz
「あかん。忘れ物をしてもーたん」
 独り言にしては大きな声で言いながら、少し危なっかしい足取りで、やや離れた机に
たどり着く。
「あったで」
 歓声をあげて『かばん』を嬉しそうに抱えた少女は、ようやく教室の端で座っている
榊の存在に気づいて、
「あれえ、榊ちゃんやー まだおったん? 」
と言った。

 窓の外のどんよりとした鉛色の曇が少しずつ暗度を増している。
「榊ちゃん。何やってんのー 」
「…… 」
 無言のまま、封筒には戻されたものの、机上に置かれたままにされた手紙に視線を
落とす。
455名無しさん@秘密の花園:2007/05/03(木) 05:38:50 ID:NtSNXypz
「うわあ。榊ちゃんって、ホンマもてるんやなあ」
 ラブレターを見た大阪は、感嘆の声をあげたが、榊は物憂げな表情のままだ。
「どないしたん? 」
 仲の良いクラスメイトが、憂色を漂わせていることに気づき、大阪は隣の
椅子を近くに寄せて座った。
 榊は、不思議そうな顔をしている少女に尋ねる。
「少し…… 話をしてもいいかな」
「榊ちゃんの話って珍しいなあ。ええで。どんだけでも聞いてあげるで」
 柔かく微笑んで頷くと、半ば呟くように話し始めた。

 ―― 彼女たちは、自分の凛々しさや格好良さに憧れたというけれど、内向的な性格
 である本当の自分は、誰もみてはくれない ――

 暫く、大阪は独白めいた悩みを黙って聞いていたが、一通りの話が終わると普段と
変わらない口調で尋ねる。
「つまり、榊ちゃんの本当の姿を知らないのに、好意を寄せられても困るってわけや」
 榊はこくりと頷いた。
456名無しさん@秘密の花園:2007/05/03(木) 05:40:13 ID:NtSNXypz
 しかし大阪は、彼女にしては珍しく苦笑を浮かべて両肩を竦めてみせた。
「ほんでもなー 半分は榊ちゃんに責任があるで」
「どうして? 」
 少女の口から出された意外な言葉に、榊は驚いて尋ねる。
 彼女なら全面的に同意してくれると思ったのに……

「榊ちゃんは、かっこええ自分しか人にみせようとせーへんやん」
「私が? 」
 少し納得いかない表情で尋ねる。
「そやで」
「よく、分からないな」
「そやな…… 例えばちよちゃんに、格好悪いとこ見せたくないやろ? 」
 二つのお下げがとても可愛い、飛び級をした高校生の笑顔が脳裏に浮かぶ。
「そうかもしれない」

「そやで。ほんでも榊ちゃんは、とってもかわええのになあ」
「えっ!? 」
 大阪の意外すぎる言葉に戸惑う。今まで、他人からかっこいいと言われた
事はあっても、かわいいと言われた事がなかった。
「どうしてそう思う? 」
 榊は、驚きを隠せずに尋ねる。

「うーん。なんでやろ。言葉にしにくいなあ。ほんでも証明してあげてもええで」
 どうやって証明をするつもりなのかは、全く分からないが、小さく頷くと、
大阪は立ち上がり、ゆっくりとした歩調で背後に回った。
457名無しさん@秘密の花園:2007/05/03(木) 05:41:39 ID:NtSNXypz
「…… なに? 」
 榊のセーラーの後ろに近づくと、彼女の両肩に手を置く。
 少しだけ温かい掌の感触が伝わった。
「あの…… 」
 榊は、クラスメイトの不可解な行為に戸惑うが、
「榊ちゃん、いくで」
と、のんびりとした笑顔を浮かべたまま、大阪はゆっくりと榊の肩を揉み始めた。

「かなり、こってるねんなー 」
 指先を動かしながら、ゆっくりと両肩をほぐしていく。
 最初は驚いて身体を固くしていたが、少しずつ慣れていき、緊張感も緩んでいく。
「へへー 」
 大阪はあどけない顔で悪戯そうに笑うと、肩から手を離して体を半回転させて、
榊の正面に回りこんだ。

「春日…… さん? 」
 榊は、真正面から大きな瞳で見据えられ、戸惑った声を出す。
 ここまで無遠慮、かつ大胆に近づいてくる人はいない。
「榊ちゃん。キスするで」
「えっ…… あの」
 衝撃的な宣言にもかかわらず、明確に断れないまま、あっさりと唇を許して
しまう。
 榊は、瞬きをするだけで、ほとんど動けない。
「んっ…… 」
 柔らかい唇の感触がダイレクトに伝わり、喘ぎ声が漏れ出してしまう。
 一方、大阪は反応を確認しながら、小ぶりの唇を丁寧に動かしていく。
458名無しさん@秘密の花園:2007/05/03(木) 05:43:06 ID:NtSNXypz
 二人の女子高生は、学校の教室で背徳的な口付けを交わしているが、絶え間なく
降りしきる雨音が、衣擦れの音と小さな喘ぎ声をかき消してしまっている。

「んぐっ」
 ひとしきり唇の表面を味わった後、大阪は、ゆっくりと舌を差し込んでいく。
「えっ…… 」
 榊の口内に異質な感触が拡がり、彼女は困惑する。
(どうして? )
 普段は、温和でのんびりしている少女の、大胆すぎる攻撃が信じられない。
 混乱した彼女を見透かしたように、大阪の舌が、絡みつき、口内のいたるところを
蹂躙していく。
(だめだ…… そんなことをしては)
 大阪の激しい愛撫によって、榊の厚い理性の皮は一枚ずつ捲られていく。

「んく…… んあっ…… 」
 しかし、大阪の舌の動きは止まらない。
 淫らなあえぎ声をあげる度に、榊を戒める幾重にも張り巡らされた重い鎖が次々と
取り払われる。
(やめないと…… これ以上は無理だ)
 榊の内心から、大きな鎌を持ったどす黒い欲望が急速に膨らんで、理性は急速に
消え去っていく。
 そして、自分の行為に夢中になってしまった大阪が、ディープキスを終えた後、
豊かな双丘に顔をうずめた時に、榊の本能が持つ暗闇が、完全に解き放たれて
しまった。
459名無しさん@秘密の花園:2007/05/03(木) 05:44:13 ID:NtSNXypz
 がたん――
 椅子が倒される音が、教室中に響き渡り、榊の胸に顔を埋めていた大阪は、
乱暴に突き放される。
 榊は、猛禽のような鋭い目つきになって立ち上がると、床に倒れて起き上がろうと
もがく大阪を、獲物をとるような素早さで捉えて、強い力で床にねじ伏せる。
 乱暴に押さえつけられた大阪のスカートは大きく捲れ上がり、透き通るような
白く細い太腿が、無防備に晒された。

「榊ちゃん!? 」
 呆然とした表情で、見つめている少女に向けて、被告人に有罪を宣告する裁判官の
ような冷たい表情で言い放つ。
「悪い子猫にはおしおきが必要だ」

「ほんでも、榊ちゃんは猫好きやないの…… いややっ」
 必死に抗う少女の制服を掴み、問答無用に脱がしにかかる。
 混乱状態から抜け出せない少女が、事実上、何も抗うことができないまま、彼女を
優しく包みこむはずの制服は剥ぎ取られて、無残に床に捨てられる。
 大阪の上半身はあっという間に、白い飾り気の無いブラだけになってしまった。

「全然、ブラのサイズあってないね」
「ホンマに酷いで」
 無情な言葉を吐き出す榊に、大阪は顔を赤くして抗議するが、数秒後には残された
白いブラも、あっさりと剥ぎ取られてしまう。
「いや…… 」
 尚も抵抗する大阪を押さえつけ、無防備になった、ささやかに膨らみを帯びた
胸の頂きに、舌の先端を載せて押しつぶす。
460名無しさん@秘密の花園:2007/05/03(木) 05:45:47 ID:NtSNXypz
「痛っ、やめて、いややっ! 」
 絹を切り裂くような悲鳴を完全に無視するとともに、右手が大阪のスカートの
ホックをぱちんと弾く。
「さ、榊ちゃん!? 」
 スカートが引きずり下ろされ、白い無地の下着が、ひんやりとした空気に晒されて
しまい、太腿をぎゅっと締める。

「春日…… 挑発する君が悪い」
 榊は、一切の反論許さない冷ややかな口調で言うと、下着の中に傷だらけの手を
もぐりこませる。
「あ、あかんて…… 」
「ほとんど生えてないな」
 言いながら、未だ産毛程度しか生えていない秘所を執拗に揉み解していく。

「ひゃん、あかんって…… ホンマに…… あかんっ」
 つんと上を向いた乳首と、僅かな膨んだ乳房を丹念に舐められながら、秘められた
場所も激しく揉みしだかれて、大阪は、激しく首を振ってよがりまくる。
 彼女の大事な部分からは、粘り気のある液体が漏れ出していた。
461名無しさん@秘密の花園:2007/05/03(木) 05:47:09 ID:NtSNXypz
「だいぶ、濡れてきた」
 榊は淡々とした口調で事実を述べる。
 羞恥で首筋まで赤く染まった大阪を見ながら、全身が汗まみれになった少女の、
膨張した豆を摘みあげると、親指と人差し指を使ってこすり合わせる。

「んあああっ、あ、あかん、いやああああっ」
 あまりにもダイレクトな刺激に、大阪は、ガラス細工のような華奢な肢体を震わせて
悲鳴を上げた。
「んあっ、嫌や…… んああああっ」
 激しすぎる愛撫から何とか逃れようと、懸命に身体を捩るが、圧倒的な体格差と
体力差がある為、動くことはできない。

 大阪は、セミロングの黒髪を激しく振り乱しながら、床に散らばった制服の端を
ぎゅっと掴んで、快感と呼ぶには強烈すぎる刺激にひたすら耐えている。
 一方、榊は、水揚げされた生きのいい魚のように跳ねる少女の身体を散々愉しんだ後、
桜色をした乳首からようやく唇を離した。
 そして、ゆっくりと唇を下に這わせながら、滑らかな素肌に唾液の跡をつける。

「やめてっ、ホンマにそこは、あかんねん…… 」
 大阪は、くすぐったさに悲鳴をあげながらじたばたと暴れるが、がっちりと押さえ
つけられてしまっている。
 同時に、榊の手によって、少女を守る最後の白い防壁も容赦なく脱ぎ取られてしまい、
大事な部分が、まともに他人の目に晒された。
462名無しさん@秘密の花園:2007/05/03(木) 05:48:22 ID:NtSNXypz
「ちょっと、すっぱいな…… 」
 秘所からとめどなく溢れ出る液体を味わう為に、膨らんだ場所に舌を差し入れる。
「さかき…… ちゃん。そこはあかん、ホンマにあかんで! 」
 猛烈な羞恥心に耐えながら、尚も抵抗を試みるが、下半身の奥から波状的に襲い掛かる
強烈な愛撫が、大阪の脳を混乱させて、まともな思考ができなくなっている。
「んあああっ…… いっちゃう、いっちゃうで…… 」

 体の奥から芽生えた最大級の悦楽が、急速に成長して爆発し、大阪の汗まみれの
裸体が、海老のように幾度も跳ねる。
 榊は、少女の刺激的な喘ぎ声に呼応するように、舌を激しく動かし、少女を確実な
絶頂へと導いていく。そして――

「やああっ、んあああああああああっっつ! 」

 ひときわ大きな叫び声をあげて、大阪は全身を硬直させる。
 未成熟な身体から、間歇泉のように潮が勢いよく噴出して、榊の大きな掌を濡らし、
更に、掃除したばかりの教室の床に卑猥な跡を撒き散らしていく。
 幾度も噴出した後、大阪は糸が切れた操り人形のように崩れ落ち、自らの秘所
から溢れた愛液と、激しく噴き出した潮によってつくられた水溜りに倒れ込み、
意識を失った。
463名無しさん@秘密の花園:2007/05/03(木) 05:50:00 ID:NtSNXypz
 大阪は夢を見た。元首相にどこか似ている猫のような物体が宙に浮かんで、
彼女を見下ろしながら、『ほしいものはなんだい? 』と、問いかけてくる。
 夢の中で大阪は『榊ちゃん』と答えた。
 猫は『ならば赤いものを探すんだ』と言って、空の彼方へ飛び去ってしまった。

 猫が上空から完全に消えたと思った直後に、大阪は瞼を開いた。

 天井は灰色がかった白で、周囲の壁も同色だ。医薬品の刺激臭が微かに鼻腔を
くすぐる。
 人の気配を感じて顔を横に向けると、長身の少女が心配げに見つめている。
「あー 榊ちゃんや」
「良かった。気づいた…… 」
 ほっと胸をなで下ろした後、榊は大阪に向けて深く頭を下げた。

「ごめんなさい。許してくれないかもしれないけど…… 本当にごめんなさい」
 大阪は、事態が分からず、必死に謝っている彼女を無言で見つめていたが、
暫くすると、少しずつ過去の記憶が蘇ってくる。
464名無しさん@秘密の花園:2007/05/03(木) 05:51:59 ID:NtSNXypz
 しかし、大阪はベッドに体を横たえたまま、落ち着いた口調で言った。
「あれは、ええねん」
「どうして…… あんなに酷いことを君にしたのに」
 榊は、憔悴しきった表情を浮かべながら、珍しく多くの言葉を費やしている。
「私が榊ちゃんを誘ったから仕方あらへん」
「でも、私は無理やり」
「ちゃうねんよ」
 大阪は、泣きそうな顔で謝る長身の少女に対して、穏やかな口調で告げる。
「確かにびっくりしたけどええねん。私、榊ちゃんの事好きやから。だから
ええねん」

 榊は、何気ない告白に驚くが、反射的に言葉を紡いでいた。
「責任はとるから…… 」

「おっと。それはあかへんでえ」
 しかし、大阪は首を横に振った。
「榊ちゃん。今は私に負い目があるから、返事はせんとって。ほんで、落ち着いたら
あらためて答えをくれればええよ」

 少女があっさりと口にした言葉は、榊にとってはかなり衝撃的だった。
 おっとりしている人だと思っていたけれど、明哲さには感心するしかなかった。
「分かった」
 榊は、喉の奥から搾り出すような声を出して頷いた。
 彼女の返事に満足げに頷いた後、大阪は、思い出したように口を開く。
465名無しさん@秘密の花園:2007/05/03(木) 05:53:29 ID:NtSNXypz
「私、夢を見たんよ」
「どんな夢? 」
「なんか、目が細い妙な形の猫がおって、『赤いものを探すんだ』ってゆうとったんや」
「それはお父さんだ」
「お父さん? 」
 不思議そうな顔つきで、大阪は、涙の跡が未だに大きく残る少女の瞳を覗き込む。

 榊は、以前見た夢の中に同じような猫があらわれ、『夕食に赤いものが入っているが
遠慮しないでください』と、言われたことを伝えた。

「赤いものってなんやろ? 」
「よく分からない」
 榊は、少し困惑して、首を横に振った。

 しかし、上半身をゆっくりと起こした大阪は、瞳を輝かせながら歓声をあげる。
「ほんでもやー 私はとっても嬉しいで」
「どうして? 」
「私と榊ちゃんは、夢の世界でも繋がっとる事がわかったんや。なんやかメルヘンと
思わへん? 」
 太陽の恵みを十分に受けて育った向日葵のような、満面の笑顔を向ける。
「そうだね」
 榊も憑き物が落ちたような、穏やかな表情で微笑んだ。
466名無しさん@秘密の花園:2007/05/03(木) 05:55:51 ID:NtSNXypz
「そう、それや! 」

 その時、大阪は人差し指を天井に向けて嬉しそうに叫んだ。
「な、なに? 」
「今の榊ちゃんの顔が、本当の榊ちゃんなんや! 」

 はっとして、胸に右手をあてた榊に向かって軽く微笑むと、大阪はベッドから
足を下ろして、軽やかに立ち上がる。
「榊ちゃん、今日はいっしょに帰ってもええ? 」
「ああ。いいよ」

 快諾した榊と一緒に、保健室を後にする。
 既に周囲は暗闇に包まれていたが、朝から続いていた雨はあがっていた。
 途切れはじめた雲から覗いた月光が、ところどころに残っている水溜りを弾きながら
家路に向かう少女達の後ろに、淡い影をつくっていた。

(終わり)
467名無しさん@秘密の花園:2007/05/03(木) 09:22:23 ID:mPLCcBtR
赤い者はお赤飯だと思うんだ
468名無しさん@秘密の花園:2007/05/03(木) 10:30:19 ID:z/VzhnKL
なんか後半怖い
469名無しさん@秘密の花園:2007/05/03(木) 15:17:12 ID:BLsjw7Ko
ブレーキが壊れたダンプカー((((;゚Д゚)))ガクガクブルブル
470名無しさん@秘密の花園:2007/05/04(金) 23:50:23 ID:hiwjenlM
GWでみなさんお出かけ中ですかね?

榊×神楽いきます
短め、エロなしですが
471名無しさん@秘密の花園:2007/05/04(金) 23:51:23 ID:hiwjenlM
3月も終わりに近づいたある日。
「…来てくれたんだ」
通勤ラッシュの終わりかけた駅前に、二人の少女が立っていた。

「我慢できなくて…迷惑だったかな?」
「…ううん。すごく嬉しい」
春休みとあって、平日にしては人通りが多い。
皆、この陽気にじっとしていられなかったのだろう。
「誰にも教えてないなんて水臭いぜ」
少女は不機嫌そうな顔をする。
「…みんな忙しいと思って。独り暮らしの準備とか」
「私は実家だっつーの」
そっぽを向いてふくれてしまった少女に、彼女はごめんと小さく呟いた。
472名無しさん@秘密の花園:2007/05/04(金) 23:52:05 ID:hiwjenlM
出発まではまだまだある。
まだまだあるが…。
その時が来てしまえば、電車は彼女を乗せて遠くへ行ってしまうのだろう。
週末だからって簡単には訪れることのできない、田舎の大学。
次に会えるのはいつかわからない。

二人の時間が少しずつ減っていっている…そんな雰囲気が少女に口を開かせた。
「いつ帰ってこれるんだよ」
遠くを見たまま尋ねる。
「落ち着けば」
答える彼女は穏やかに微笑んでいた。

「…そうか」
少し呆れたようなため息をついて、少女はうつ向いてしまった。

こんな晴れた日に、こんな湿った空気を帯びた場所があるだろうか。
旅立ちを祝うためにここに来たはずなのに。
会えなくなるわけじゃないとわかってるのに。
こんなに寂しいのは、彼女を信じていないから…?
…いいえ、きっと大切に思うから。
473名無しさん@秘密の花園:2007/05/04(金) 23:52:51 ID:hiwjenlM
「榊…」
顔をあげた少女の目に映った世界は、涙でぼやけていただろう。
「寂しいよぅ…」
言うつもりではなかった言葉が口をつく。
昨日出尽くしたはずの涙も、どこからか、あふれてくる。
「嫌だよ…榊…」
愛しい人に向かってふらふらと歩きだした少女を、長く白い腕が抱きとめた。

「うぇ・・・榊…さか…きぃ…」
「よしよし・・・」
「私のこと・・・うっ、忘れんなよ・・・」

少女は自分で、馬鹿なこと言っているな、と思った。

「・・・行かないでよ・・・。榊ぃ・・・。」

でも、今日は感情的になりたかった。

「マヤーが・・・羨ましいよぅ。・・・私も、榊と、・・・一緒にいたい・・・う・・・ひくっ」
「大丈夫・・・。すぐ戻ってくる」
「嫌だ!明日も・・・榊と・・・うあ・・・うぅ・・・」

泣きじゃくって甘えたかった。

「好きだから・・・さがき・・・ずぎだよ・・・あうぅ・・・」
「・・・わかってる。私も大好きだよ」

嗚咽と涙でぐちゃぐちゃになった少女は、もう何を言っているのか自分でもわからなかった。
もうすぐ来るであろう別れに備えて、大好きな人を両腕で固く抱くのが精一杯だった。
474名無しさん@秘密の花園:2007/05/04(金) 23:53:49 ID:hiwjenlM
長身の彼女は、人目を気にしながらも…確実な幸せと、切ない感傷に浸っていた。
「ありがとう…。こんなに可愛い子に待たれてちゃあ…」
真っ赤な目が見上げる。
「早く帰ってこないとな」
穏やかな日の光の射す春先の駅前で。
涙を流す二人の表情は、やっと季節に見合うものになっていた。


「もう行かなくちゃ」
向けられた笑顔に、少女も最後ばかりは涙を見せるべきでないと判断したのだろう。
「・・・帰ってくるときは連絡しろよ」
笑ってみせる。
彼女はうん、と頷くと、もう一度顔を近づけた。
「じゃあまた!」
「ああ」
いつもの笑顔に戻った少女は、小さくなる後姿をずっと見つめていた。

彼女の匂いと唇の感触だけが、まだ少し残っていた。
475名無しさん@秘密の花園:2007/05/05(土) 00:20:54 ID:fI6zrWad
この二人のカプはやっぱりしっくりくるねぇ
476名無しさん@秘密の花園:2007/05/05(土) 01:15:38 ID:/mW0OlBp
榊さんだから神楽もここまで甘えれるんだろうな
もう一緒に住んじゃえばいいのに
477名無しさん@秘密の花園:2007/05/05(土) 03:35:27 ID:cUCTrq+u
あぁ…じんわりと染み渡るきゅんきゅんさ
やっぱりさかぐら好きだなぁ
もう一緒に住んじゃやぁいいよ
478名無しさん@秘密の花園:2007/05/05(土) 09:23:32 ID:qNEc3M6T
GJ
榊、神楽はいいね
479227:2007/05/05(土) 11:42:42 ID:KdrO7kCz
とも×よみを出します。(エロ無しで軽く)
480名無しさん@秘密の花園:2007/05/05(土) 11:43:27 ID:KdrO7kCz
(Separation)

 受験という人生でおそらく最初の大きなハードルを乗り越えた、仲間たちはそれぞれ
違う道を歩み始める。
 榊は志望した獣医関係の学校へ。神楽は体育大学へ。ちよちゃんは見聞を広める
為にアメリカに留学する。良き教師と、素晴らしい仲間達に囲まれた、楽しい高校生活
は終わりを迎え、みんな、翼を広げて未知なる大空へと羽ばたこうとしている。
 そして、残りの3名も志望する大学に合格し、新生活への準備を急いでいる。

 大学の入学式を翌々日に控えた。ソメイヨシノが満開になった4月上旬のある日。
 最後と思われる寒気の名残が遠ざかり、温かな風が心地よく感じられる夜半過ぎ、
智は、荷作りを終えてほっと一息ついていると、扉の傍でよみが立っていた。
「よおっ」
 軽く右手をあげると、智より一回り背の高い、理知的な印象を伺える少女は
辺りを見渡しながら尋ねた。
「もう引越しの準備は終わったのか? 」
「うん。後はもう明日来る宅急便のトラックに荷物をいれるだけ 」
 いつもは、物であふれている賑やかな部屋は、既に梱包の終えたダンボールの箱
だけが積まれる状態になっている。

「いよいよ明日か」
「もう入学式が近いから」
 引越しの準備で疲れたのか、智は大きく伸びをした。生まれてからずっと過ごした
この部屋と、例え一時にしてもお別れとなると、普段は、快活そのものの少女に
とっても、少ししんみりしてしまう。
 暦は、眠気を振り払うように首筋に手を当てた少女を眺めながら言った。
「下宿先に大阪も来るのか? 」
「そうだよ」
「そっか」
481名無しさん@秘密の花園:2007/05/05(土) 11:44:47 ID:KdrO7kCz
 大阪と智は同じ大学に入る。
 一方、暦は別の―― 難易度がより高い大学へ進む。三年間でより開いた学力差の
結果であるが、自分達の選択の結果でもある。
 小学校の1年生の時から同じクラスになって以来、親しい友達になって、よく遊びに
きていた部屋が、がらんとなってしまって、いや違う。大好きな智が遠くに行って
しまう事がとても、寂しい……

「智、たまには遊びに戻ってきな」
「うん。暦も下宿先に遊びにこいよ。大阪ともども歓迎するぜ」
「…… ああ」
 暦は物凄く複雑な表情で、少女の元気な言葉を聞いた。そして、急にどうしようも
なく強い不安感に襲われる。

 まさか…… まさかね。そんな事はありえない。
 自分が勝手に描いた不吉な想像を振り払おうと大きく頭を振る。
 大阪と智が一緒の部屋で過ごすだけ―― それ以上のことは何も起こらない。
起こるはずがない。
 第一、のんびりして、マイペースな大阪が『そんな事』を考えるとは思えない。
 必死で脳裏に浮べた想像を振り払うと、いつもの冷静な彼女からは信じられない
ような、震えた小声で言った。
482名無しさん@秘密の花園:2007/05/05(土) 11:46:05 ID:KdrO7kCz
「とも、私…… 」
「何? 」
 智は、不安げに自分を見つめる友人の異変に気づいて、真剣な表情になって、動揺
している顔をみつめる。
「私、ともと会えて良かったと思っている」
「急に真面目になっちゃって、どうしたんだ? 」
 ショートの少女は、いつもの暦とは思えない言葉に驚いて、首をかしげている。
「だって…… ともと離れたら…… 二度と会えなくなるような気がして」
「おいおい、よみ? 」
 急に眼鏡が曇って、視界が閉ざされる。瞼の奥から涙が溢れてとまらない。
 駄目だ。こんな情けないところを、ともに見せたくない――

「泣いてるの? 」
 優しく聞かれて、こくんと頷く。
 床にへたりこむように座って、よみはしゃくりあげながら呟いた。
「離れたくない」
 智は、苦笑して暦の横に寄り添うように座って、軽く肩に腕を回す。
「心配すんなって」
 駄々っ子のように泣きじゃくる少女をあやしながら、長い綺麗な髪をいじる。
483名無しさん@秘密の花園:2007/05/05(土) 11:47:26 ID:KdrO7kCz
「どこにいっても、いつでも一緒だよ」
 智は、暦が小さく頷くのを確認してから、言葉を続ける。
「よみは、私の一番の腐れ縁で幼馴染みだから、場所は離れても心は繋がっているのだ」
「ああ。そうだな」
 親友の温かい言葉に、ようやく涙を止める事ができた。
 しかし、それ以上の想いを口にすることができない。

(私は変なのだろうか。智を恋人にしたいなんて――
 誰にも渡したくない。どうして大阪と一緒に住むの? なんて事を、思う事自体が
 おかしいのだろうか。同性なのに、恋心を抱く自分はどうかしちゃっているのか。
 もし、そんな目で見られているとしたら、智は軽蔑するのか? )

 無限ループのように思考が回り、決定的な一言がいえない。前に踏み出せない。
「ねえ…… よみ」
 激しく懊脳する親友を心配げに見つめていた智は、頭を優しく撫でて、安心させる
ように微笑む。
「今日は泊まっていけよ。一階でお布団敷くからさ…… いっしょに寝よう」
「ありがと」
 暦は、素直に感謝の言葉を口に出すことができた。
 いつもは憎まれ口ばっかり叩く智に、突っ込みばっかり入れていたのに、今日は
とても優しかったから。

 恋心は伝えられなくても、心の深い部分では繋がっている。
 それ以上は、思い悩んでいても仕方がないことを暦は悟って、智の部屋を後にする。
 もう、おそらくは、4年間は眺める事が無くなるであろう、空気のように違和感が
なくて、大切な想い出がたくさん詰まった温かい場所を。

(終わり)
484名無しさん@秘密の花園:2007/05/05(土) 12:10:52 ID:fI6zrWad
この後大阪×智の展開になったとしたら・・・
別の人のSSだろうけどなんか気になるな
485名無しさん@秘密の花園:2007/05/05(土) 18:06:28 ID:WCbfY8Pj
別スレの台風のアレか?
それともアレか?
486名無しさん@秘密の花園:2007/05/05(土) 23:18:48 ID:KdrO7kCz
GWという望外な長期休暇を得て、大好きなあずまんがの話を書けたことは
本当に幸せでした。読んでくれた方、感想を頂けた方、ありがとう。

>>484-485
遥か昔、(あずまんがcollege)という題名で、智と大阪が同じ部屋で
下宿する話を書いた事があります。今回はその直前の話です。
また、同時期に行われていたリレー小説「台風クラブ」には参加していましたが、
繋がりはありません。
487名無しさん@秘密の花園:2007/05/06(日) 06:02:10 ID:EFWx1CGn
480-483
せつない…
想いが通じてるのに通じきってるかは断定できず、かつ別れに繋がっているのが何とも。

そういえばエロパロの方は落ちたのかな?
488名無しさん@秘密の花園:2007/05/06(日) 07:01:24 ID:LQM5h6tk
>>487
落ちてないまだある
まぁ、すげぇ過疎ってるけどな
489名無しさん@秘密の花園:2007/05/06(日) 10:14:50 ID:+bxgWYkq
501キロ行ってもう書き込めなくなった
新スレは立ってない
だがもうこっちがあればいいかも
490名無しさん@秘密の花園:2007/05/06(日) 12:48:18 ID:1k7okNoK
まとめwikiつくりました
作者様方よろしかったでしょうか?

http://www33.atwiki.jp/azumangadeyurimoe/

編集は
ユーザー名:azumangadeyurimoe
パスワード:azuyuri
です。
491名無しさん@秘密の花園:2007/05/06(日) 13:19:28 ID:R53vDmen
>>490さんへ
227ですが、編集の為のパスワードが公開されている為、wikiに乗せた
文章に対しては、責任を負うことができません。
492名無しさん@秘密の花園:2007/05/06(日) 13:35:42 ID:zgHcjF2S
こういうのって投稿は自由にできた方がいいけど、内容編集は
自由に出来たらまずいような気がする
493名無しさん@秘密の花園:2007/05/06(日) 14:05:54 ID:1k7okNoK
申し訳ありません
パスワード変更させていただきました
494名無しさん@秘密の花園:2007/05/06(日) 18:28:33 ID:EFWx1CGn
>>489
ここでは投下できないSSができたら立ててみようか
495名無しさん@秘密の花園:2007/05/08(火) 18:17:12 ID:VhCoB1qJ
>>490さん
お疲れ様です
wikiのことはまったくわかりませんが・・・。
まとまると恥ずかしいです。

>>475-478
ありがとうございます。励みになります。
さかぐらは書いてて楽しいです!
ホントはよみが好きなんですが、最近神楽も萌えで・・・
浮気してしまいそうー!

と、いうわけで、この暑いのにこのネタはどうかと思いますが、よみ×ともです
496名無しさん@秘密の花園:2007/05/08(火) 18:18:00 ID:VhCoB1qJ
「おいっす」
「来たのか」

「さみぃー」
「お前、寒いなら自分の部屋でじっとしてろよ。帰りはもっと寒いだろ」
「何だよ。せっかく来てやったのに」
「・・・相手はしないぞ」
「いいもーん。・・・あれ?何やってんの?宿題?」
「あぁ」
「えー、土日にやればいいじゃん」
「いいんだよ。気が済まないの」
「ふーん。・・・真面目」
「お前土日にやるって言ったからには見せてやんねーからな」
「ちょ、ちょっと暦さん?」
「知らん」
497名無しさん@秘密の花園:2007/05/08(火) 18:18:36 ID:VhCoB1qJ
「ふわぁー!あったけぇ」
「ん・・・おい!ベッドに入るなよ!」
「いいじゃんさー。この部屋ヒーターないから寒ぃんだよ」
「だからって・・・」
「うぅー、よみの匂いがする」
「なっ・・・」
「んふふ。・・・シャンプー変えた?なんちって」
「布団入るなら来なくてもいいじゃ・・・」
「家でじっとしてるよりさ、こっちのほうが落ち着くんだよね」
「・・・」
「いいよ。構わなくても。よみが寝るまでに暖めといたげる」
「寝るなよ」
「固いこというなよ〜。明日休みじゃん」
「私が寝るとこがなくなるだろうが」
「・・・」
「・・・」
「一緒に寝ればいいじゃん」
「ばっ・・・何言ってんだよ!」
「えー、昔はよくお泊りしたじゃん」
「それは・・・」
「もう寒くて帰れないよ」
「知らん!帰れ!」
「そう言うなよよみぃ〜。ほら、宿題の手が止まっちゃってるよ?」
「もういい。土日にする」
「ほら。じゃあ一緒に寝ようぜ」
「・・・じゃあって何だよ」
「いーじゃん、よみ。おいで」
「・・・」
「あったかいよ?」
498名無しさん@秘密の花園:2007/05/08(火) 18:19:28 ID:VhCoB1qJ
「ほら、枕ひとつしかないんだからもっとこっちおいでよ」
「・・・」
「何だよ。照れてんのか?可愛いな」
「・・・照れてねーよ」
「じゃあ私が・・・」
「おい・・・あんまくっつく・・・」
「うわ!手ぇ冷たいな!あんた冷え性?」
「お前、すごいあったかいな」
「・・・さすってあげる」
「いいよ・・・寒くないし」
「何言ってんだよ。・・・うわ、やっぱすごい冷たいじゃん」
「・・・」
「ほらほら、だんだんマシになってきたでしょ?」
「うん・・・」
「よみ、やっぱ照れてるだろ?可愛くなってんじゃねーよ」
「やめろよ・・・」
「・・・ん」
「?」
「・・・本物のよみの匂いがする」
「・・・バカ」
499名無しさん@秘密の花園:2007/05/08(火) 18:20:07 ID:VhCoB1qJ
「ねぇ、やっぱまだ寒くない?」
「そう?」
「うん。・・・背中らへんが」
「だって掛け布団がちっちゃいから・・・」
「関係ないって。この隙間が寒い」
「・・・そんなに言うなら出ろよな」
「違うって!そうじゃなくてさぁ」
「・・・?」
「なぁ?よみ」
「ちょっと、どこ触って・・・」
「ぎゅってしてもいい?」
500名無しさん@秘密の花園:2007/05/08(火) 18:20:58 ID:VhCoB1qJ
「眼鏡はずしちゃって・・・見えるの?」
「こんだけ近かったらな」
「ふーん、そかそか・・・お、足も冷たい」
「・・・い・・・いいよ。さすらなくても」
「だって寒いでしょ?」
「そうだけど・・・何か変だよ」
「変って・・・何が?」
「・・・わかんないけど・・・」
「・・・大丈夫。それが普通だって」
「え・・・?」
「どきどきするんでしょ?」
「う・・・うるさいな」
「恥ずかしがるなよ・・・ほら」
「・・・」
「私もどきどきしてる」
「・・・智」
「ん?どした?」
「・・・もうちょっと」
「え?」
「もうちょっとぎゅってして」
「・・・ん」
501名無しさん@秘密の花園:2007/05/08(火) 18:22:10 ID:VhCoB1qJ
「なんかさ、すごい幸せだよ」
「・・・そう?私はどきどきしちゃって・・・」
「よみは意外と純粋だな。・・・よしよし」
「・・・ねぇ?」
「ん?」
「・・・ん」



「・・・んむ」
「・・・」
「・・・ぷは」
「は・・・えへへ」
「へへ・・・あのさ、やっぱ幸せかも」
「だろ?」
「うん。・・・しばらくこうしててもいい?・・・智の胸あったかい」
「いいよ。頭なでててあげる」


「よみ・・・?」
「・・・ん」
「・・・はぁ、寝るなって言ったのどっちだよ」

「・・・明日、楽しみにしてるよ」
502名無しさん@秘密の花園:2007/05/08(火) 20:26:15 ID:dVNZGjpL
甘すぎて口の中が虫歯だらけになりました
503名無しさん@秘密の花園:2007/05/08(火) 21:29:54 ID:yY0rR5d1
アニメのオリジナル話の後にこんな展開があったに決まってる
もう決定、異論は認めない
504名無しさん@秘密の花園:2007/05/08(火) 21:51:29 ID:KoRUe/Bx
エロパロの方はもう終了か…
思えば結構続いたもんだ…
505名無しさん@秘密の花園:2007/05/08(火) 22:03:40 ID:XdqRnLE7
これは想像力を刺激するイイよみともだ!GJ!
506名無しさん@秘密の花園:2007/05/09(水) 05:14:35 ID:S/wE/zui
>>504
気が向いた時にまた立てればいいさ
507名無しさん@秘密の花園:2007/05/09(水) 21:27:05 ID:f2vXDFkF
>>502,503,505
ありがとうございます。
セリフだけにしてみましたがいかがでしょうか?

最近SS投稿が中心になってしまいましたが・・・。
さすがにネタが辛くなってきましたね(笑
ageてみます。
508名無しさん@秘密の花園:2007/05/10(木) 23:04:14 ID:s8ZMd0nB
それじゃあ、さかぐらの初同棲話なんてリクエストさせて貰おうかな
509名無しさん@秘密の花園:2007/05/11(金) 00:16:13 ID:83jGKpPt
にゃもちよの結婚式なんていかがでしょう?
510名無しさん@秘密の花園:2007/05/11(金) 19:03:52 ID:3hwhOmry
ゆかり×神楽でゆかりの片想いてのはどうだ?
511名無しさん@秘密の花園:2007/05/11(金) 19:15:05 ID:uU6ClaUZ
>>510
状況がよくわからんのだが…
512名無しさん@秘密の花園:2007/05/11(金) 19:37:07 ID:XcZbnY3y
二年のクラス替えとかか

性格上、片想いなら逆の にゃも×榊 の方が妄想しやすい
513名無しさん@秘密の花園:2007/05/12(土) 00:49:01 ID:Fr8cFfsR
おお。ネタが次々と


>>508さんの同棲話で。
序章と言うことで書いてみました。
甘みもエロみも少ないかもしれないです。
514名無しさん@秘密の花園:2007/05/12(土) 00:49:51 ID:Fr8cFfsR
「神楽!受かったよ」
声の主は、電話でもわかるほど興奮していた。
「おめでとう!」
「ありがとう…ありがとう」
いつもは見せない震えた声をあげる彼女は、泣いていたのかもしれない。

「じゃあ、いろいろ決まったらまた連絡する!」
浮かれる彼女に、私は言おうとした言葉を飲み込んだ。

また…後でもいいや。
今度デートにでも誘って、そのときに言おう。
「ああ。また電話するよ」
受話器を置いた私は、彼女が合格した安堵と…タイミングを逃した後悔で小さくため息をついた。
515名無しさん@秘密の花園:2007/05/12(土) 00:50:26 ID:Fr8cFfsR
それからしばらくは、入学の手続きやら何やらで忙しい日が続いた。
お互いのスケジュールと相談しながらやっと約束を取り付けたのは、合格発表から一週間後のことだ。

穏やかな日差しの、よく晴れた春の日。
いつもの喫茶店には、すでに榊の姿があった。
「よう。久しぶり」
「久しぶり」
忙しい日が続いたせいか、なんだかしばらく会っていないように感じる。
「おめでと」
私は榊と向かいあって窓側の席についた。
「ありがとう」
控えめに笑う榊だったが、その喜びようは嫌でも伝わってくる。
凛とした顔立ちに子どもっぽい表情が重なって、なんとも言えない美しさを醸し出していた。
「良かったな。第一志望」
「・・・神楽だって」
やってきた店員に、アイスコーヒーを注文する。
「私はさ・・・。水泳やれればどこでもよかったんだ」
「それでも。おめでとう」
516名無しさん@秘密の花園:2007/05/12(土) 00:51:39 ID:Fr8cFfsR
何となくゆったりとした沈黙に、私は話を切り出せずにいた。
昨日一人で練習したが、どうも役に立ちそうに無い。
こういう時は会話の勢いでさらっと言ってしまいたいのだが・・・。
「大学さ、結構近くだよね?」
「ああ」
なるべく不自然にならないように気をつけて話す。
「マヤーと住めるようなとこ、見つかった?」
「うん、今探してる」
たった一言言うだけに、信じられないくらい緊張している。
言ってしまえば楽になるのはわかっているのだが。
「でもなかなかペット可で家賃の安いところは・・・」
このまま話しを続けても、言えずに終わるのは目に見えていた。
もうタイミングなんかどうでもいい。
今だ!言え、私!
「榊!・・・一緒に・・・住まないか?」
517名無しさん@秘密の花園:2007/05/12(土) 00:52:26 ID:Fr8cFfsR
しばらく、妙な沈黙が続いた。
ぎこちない笑顔の私と、時が止まったかのような雰囲気。
ただ、さっきまでよりはずっと気が楽だった。

「いや、お互い大学も近いしさ。家賃も半分じゃん?・・・あはは」
言ってしまえば・・・あとは榊が喜ぶ姿を見ればいい。
きっと顔を真っ赤にして頷くに違いない。
何なら今から部屋を探しに行ってもいい。
だって恋人との同棲を喜ばない人間なんて・・・。

「神楽」
「お、おう?」
私が見つめた榊の表情は・・・
「少し、考えさせてくれないか?」
さっきまでとはうってかわって真っ暗に曇ってしまっていた。

「嬉しい。嬉しいけど、そんなに簡単なことじゃない・・・」
考えもしなかった答えに呆然とする私をよそに、榊は続ける。
「神楽、私は神楽のこと大好きだけど・・・大好きだからこそ考えなきゃいけないことがあると思う」
彼女の表情は暗かったが、口調は穏やかなままだった。
「だから・・・」
「あ、いや、あの・・・突然でさ、悪かったよ」
私は急にいたたまれなくなって、席を立った。
「考えが固まったら連絡くれよ!無理にとは言わないからさ・・・」
榊はまだ何か言いたそうだったが・・・これ以上は、この場にいれそうになかった。
「待ってる!」
最後だけは明るく笑顔がつくれた。
・・・昨日の練習のおかげかもしれない。
518名無しさん@秘密の花園:2007/05/12(土) 00:53:31 ID:Fr8cFfsR
家に着くまでにあふれ出した涙は、帰るころには止まらなくなっていた。
同棲だなんて、浮かれすぎていたのかもしれない。
榊に嫌われたかな。
重いとか暴走してるとか思われたのかな。
迷惑なやつだって思われたかもしれない。
だいたいいつもそうだ。
好きになったのも私。
デートに誘うのも私。
泣くのも、怒るのも、嫉妬するのも私。
本当は榊は私のことなんかそんなに好きじゃないのかもしれない。
・・・そんな負のスパイラルが頭の中を駆け巡る。
そして榊の愛情を疑ってしまった自分に腹が立って、また涙が出てくる。
その日、涙が止まることはなかった。
519名無しさん@秘密の花園:2007/05/12(土) 00:54:37 ID:Fr8cFfsR
次の日私は、ベッドの中でうずくまっていた。
何も考えたくは無かった。

その次の日、私は電話を待っていた。
気持ちはだいぶ落ち着いた。

私だって、同棲することが簡単なことだとは思っていない。
色んな問題が出てくるのはわかっている。
でも榊となら、きっとうまくやれるはずだと信じている。
そう思ったからこそ話を切り出したんだ。
榊もわかってくれる。
きっと。大丈夫。

その次の日には、電話がかかってくるような気がした。
私は、榊を信じなきゃと半ば盲目的に自分に言い聞かせた。
ただ、不安は無かった。
よくわからない根拠が、私の中に芽生え始めていたから。
520名無しさん@秘密の花園:2007/05/12(土) 00:55:19 ID:Fr8cFfsR
電話が鳴ったのは、その日の夜のことだった。
「もしもし」
心臓が痛い。
痛いけど榊を信じなきゃと思うと、痛みは少し和らいだ。
「榊だけど・・・この前はごめん」
受話器の向こうから聞こえる声は、いつもと変わらない。
「謝るなよ」
謝りたいのはこっちなのに。
「・・・あの」「・・・えと」
声が重なる。
一瞬の沈黙の後、少し早く榊が話し始めた。

「一緒に住むにはいろんな問題があると思う。この前もそう思ったし、今も思ってる。
・・・でも、やっぱり神楽のことは大好きで・・・。えと・・・それで・・・。
ちょっとぐらいの問題は二人で乗り越えていけると・・・思ったんだ・・・」
「・・・」
「迷惑・・・かけるけど・・・。一緒に住んでくれないか」
すごく早口なその言葉は、それでも私の胸に痛いほど響いた。
521名無しさん@秘密の花園:2007/05/12(土) 00:56:11 ID:Fr8cFfsR
「お・・・せーよ」
「・・・え?」
「おぜえよ!・・・うっ・・・・・・こいびとながせてんじゃ・・・ねー・・・ひぐっ」
榊を信じてたはずなのに。
「ごめん・・・ごめんね・・・。でも・・・私も・・・神楽に嫌われたかと・・・思った・・・」
榊も泣いてる。
嫌いになるわけねーのに。
「・・・うぅ・・・」
あふれる涙は、うれし涙ということにしておこうか。
それから私達は、お互いの泣き声を聞いてしばらく泣いていた。


「あのさ、私、榊に謝らなきゃいけないことがある」
「?」
「この前のアイスコーヒー代、払ってなかったろ?」
四月になれば受話器を通さなくても毎日一緒にいられることはわかっていたが・・・どうしても電話を切ることはできなかった。

榊の笑う声が、どこか新鮮に聞こえた。

《おわり》
522名無しさん@秘密の花園:2007/05/12(土) 01:20:02 ID:NDVnh1P9
おお、新婚…じゃなくて同棲生活スタートか
確かに色々大変だろうけど頑張って乗り切ってくれ
期待してます
523名無しさん@秘密の花園:2007/05/12(土) 19:13:07 ID:QzMeYQcU
さかぐらの同棲ものは初めてか。
仄めかすのなら前にもあった気がするが。
524名無しさん@秘密の花園:2007/05/13(日) 01:28:05 ID:pFtBt3VU
厳密に言えばこのスレでは初だけど。
エロパロで二人が同棲する話があった
525名無しさん@秘密の花園:2007/05/14(月) 00:38:05 ID:k4Li5m8g
>>524
エロパロは見てなかったので、話がかぶってないか心配です。

よみ×ともいきます。
オーソドックスなのが続いたので、次回は>>509-512あたりのネタに挑戦しようかなと思います。
526名無しさん@秘密の花園:2007/05/14(月) 00:45:58 ID:k4Li5m8g
その日の教室は、いつもより少し静かだった。
「あれ?智は?」
騒ぎの中心にいるはずの姿が見えない。
「あ、今日は熱でお休みだって先生が言ってましたよ」
「熱?」

暦が驚くにはわけがある。
小学校から今まで、彼女の病欠は数えるほどしかない。
だいたい、少しくらいの病気は元気でカバーするような人間だ。
風邪をひいたくらいでは、なかなか学校を休んだりはしない。

・・・しかし、それだけに、彼女が欠席するときは相当ひどいときでもある。
「帰りにお見舞いに行きましょうか」
「いや、大丈夫だろ。ズル休みかもしれないしな」
今すぐにでも行って看病してやりたい気持ちを抑えて、暦はつぶやいた。



放課後、暦は誰よりも先に教室を飛び出していた。
今日は一日がひどく長く感じられた。
授業中は、智のことが心配で何も頭に入らなかったような気がする。
校門を出ると、暦の足は自然と智の家へ向いた。
(大丈夫かな・・・智)


夕方、日が沈むまでにはまだ早い。
彼女の家が少し遠くに見えた頃、暦は走り出していた。
527名無しさん@秘密の花園:2007/05/14(月) 00:46:47 ID:k4Li5m8g
「智。大丈夫か?」
彼女の部屋は、閉め切ったカーテンで真っ暗だった。
「よみ・・・?来てくれたの?」
智が起きている事を確認してから明かりをつける。
「ん〜・・・まぶしいよ」
蛍光灯に照らされた彼女の顔色は、案の定普段のものとは全く違う。
青い顔とぼさぼさままの髪が、病人らしさをより一層際立てていた。
「熱、まだだいぶあるの?」
ベッドに腰掛け、智の額に手を当てる。
当てられた手がひんやりと気持ちよかったのか、うつろな目はゆっくり閉じられた。
「朝よりは下がったと思う・・・」
けだるそうに言う彼女のおでこから手が離れ、今度は固いものが当たる。
少し驚いて目を開けると、智の目の前には眼鏡をかけた少女の顔がいっぱいに広がっていた。
「うーん・・・あんまわかんないや」
額をあわせたまま笑う。
「風邪、うつっちゃうよ」
呆れたように笑う智は、それでも少し嬉しそうだった。
「うつせよ」
頭をずらし、耳元で囁く。
「うつせば治るって言うじゃん。智のつらいのが治るなら、変わってあげてもいいよ」
暦はそのまま肩に頭を預けると、左腕を智の首の下に回した。
「よみのほっぺ、冷たくて気持ちいい・・・」
声は力ないが、頬をぐっと暦の方へ摺り寄せてくる。
暦は彼女の背中に右腕を回すと、いつもより強い力で抱きしめた。
528名無しさん@秘密の花園:2007/05/14(月) 00:47:54 ID:k4Li5m8g
「よみ、そこのタオル取ってくれない?おでこにのせるから」
ベッドの横には、洗面器につけられたハンドタオルが何枚かあった。
暦はそれをしぼり、一度綺麗にたたむ。
「汗、拭いてやるよ。暑いだろ?」
覆いかぶさって掛け布団を取ろうとすると、智は少したじろいだ。
シーツの端をぎゅっと握って布団がめくれないようにしている。
「どうしたんだよ?べたべたのままじゃ気持ち悪いだろ」
暦は既に額や頬の汗を拭き始めている。
「・・・お風呂、入ってないから。昨日。・・・だるくて」
目をそらしながら小さな声で言う。
「いいよ別に。今更何恥ずかしがってんだよ」
軽く笑いながら、暦の手は首元まで下がってきていた。
「ほら、布団離して」
強引に引っ張ろうとするが、智は手を離そうとしない。
暦はふうとため息をついて、智の額を包むように優しくなでた。
「・・・バカ。こういうときは、甘えればいいんだよ」
言い終わると同時に、柔らかく噛み付くようなキスをする。
握った手のひらに軽く触れてやると、彼女はシーツから手を離した。
529名無しさん@秘密の花園:2007/05/14(月) 00:49:00 ID:k4Li5m8g
「ボタンはずすよ」
「・・・あんまり顔近づけないでよ」
露になった上半身は、予想以上に熱く湿っていた。
熱は多少引いたとはいえ、かなりつらそうである。
暦は左手を彼女の額に置き、右手で汗を拭ってやった。
今水に浸けたタオルがすぐに熱を帯びてくるのがわかる。
「どう?マシになった?」
智はよほど気持ちよかったのか、目を閉じて動かなくなってしまった。
深めの息だけが聞こえる。
「ほらね。やっぱ気持ち悪かったんだろ?」
返答の無い彼女の額を、暦は優しくなでてやる。
その表情は、看病されている智よりずっと幸せそうだった。

「お大事に」
なでていた手をそっと離すと、暦は智の額に軽くキスをした。
本当なら付きっ切りで彼女を看病したいところだが、そうもいかない。
眠ってしまった智を起こさないように、新しいタオルをのせる。
「じゃあな」
暦が名残惜しそうに出て行った後の部屋には、幸せそうな寝顔の少女だけが残されていた。


「おっはよー!」
「あ、智ちゃん。治ったんですね」
「ん?あぁ。まだちょっとだるいけどね。・・・あれ?よみは?」
「今度はよみさんがダウンしちゃったんですよー。最近風邪が流行ってるみたいで・・・」
智は、心配そうなちよちゃんをよそに、ため息混じりに笑っていた。
「帰りにお見舞いに行きましょうか・・・」

「いや、大丈夫だろ。ズル休みかもしれないしな」
530名無しさん@秘密の花園:2007/05/14(月) 21:40:26 ID:y2s9u6EK
なにげに酷い智の台詞に、むしろ愛を感じた
531名無しさん@秘密の花園:2007/05/15(火) 19:07:11 ID:hbLvZMFi
ラブラブなよみともGJ

最近勢いがなくなってきたか?
532名無しさん@秘密の花園:2007/05/15(火) 22:08:24 ID:bfDt+EHm
むしろGW前の勢いがありすぎた

それにしてもお二方に対してはGJと言っても言い切れません。
個々の感想レスをしたいのですが、あまりにも長くなり
スレの方々に迷惑となるので割愛させていただきます。 あしからずご了承ください。
533名無しさん@秘密の花園:2007/05/15(火) 22:09:10 ID:YBDPZZmV
最後のセリフは暦とリンクしてんだよな
よみとも(;´Д`)ハァハァ
534名無しさん@秘密の花園:2007/05/15(火) 23:36:59 ID:aDJfbRit
>>530-533
ありがとうございます。
読み返すと、すごく雑な文章の感じがして・・・慌てて書くとだめですね。
もっと長くて綺麗なのが理想なんですが。

>>532
感想やコメントがつくと、個人的にはすごく励みになります。
反応がないと、「やっちまった・・・」と思いますw
535532=327=(省略):2007/05/16(水) 00:47:57 ID:GExa4D/0

ということで、久しぶりに参加してみます。

自分が書くとどうにも榊さんから離れられません。
今回はさかちよです。 夢ネタです。
=======================================================



「榊さん。 あなたは本当の私を探してください。今のあなたには無理かもしれませんが」

小さな声の主はそう言うと、彼女の父、いや、語りかけられた少女が彼女の父だと
思い込んでいる物体と共に飛行し、ゆっくりと少女の視界から姿を消しはじめた。
少女、そう、榊と呼ばれた少女は彼女の姿を必死に追い、離れないように尽力した。
時既に遅く、晴天に輝く陽の光が照らす花畑の遠く先に、彼女と父らしき物体は隠れてしまった。

「待って、待って! ちよちゃん!」

榊は一ヶ月以上もの間、毎晩この不可思議な体験を通り抜け、夢だということをほのかに悟っていた。
それでも、少女がちよと呼んだ子供を、少女は常々幻想の中で追わずにはいられなかった。
たとえその子供が、今や全く彼女の前に現れえない存在だと知っていても。

「ちよちゃん、行かないで……」

外の世界では抜群の運動能力を誇り、高校では誰をも寄せ付けぬ走りを見せた榊も、
彼女自身が夜に入るこの空間においては、あらゆる存在に対して無力であった。
あえなく子供を逃してしまい、ただただ咲き続ける花に視線を落としながら彼女は呆然とする。
536名無しさん@秘密の花園:2007/05/16(水) 00:48:39 ID:GExa4D/0

「君は本当の猫を得た」

低い声が原野に響き渡るのを聞き、榊はふと顔を上げる。
いかなる動物とも形容しがたい姿を持ち、声だけが人間の男性そのものである物体が見えた。
先ほど消えていった一人と一体の片方、子供の父親であると自称する存在だ。

「お父、さん」
「だがな。 本当の猫こそが、求めていたものなのかね」

彼女が夢から覚めれば、一人暮らしの部屋には確かに猫、正確には多少種類が異なるが、
猫のような動物が歩き回っている。
高校を卒業する以前、榊は猫や犬などと戯れる夢を主に見ていた。
彼女がペットを飼えず、また猫から嫌われ触れられなかったことに対する欲求不満の代替かもしれない。
幼い頃から獣医を目指し、実際にとある大学の獣医学部に進学するきっかけになった理由の一つでもある。
だが、彼女があの小動物を手にして以降、それらに対する明確な夢を見ることはなくなった。

代わりに、三年間共に過ごしてきた子供と別れてからは、その子供を空想に描くことが頻繁となった。

「『かわいいもの』に縋ることで、奥深くにある欲望を押さえ込んできたのではないか」

鋭い質問を強い視線と共に突きつける子供の父に、榊は一言も返答できなかった。

「言ってみなさい。 正直になりなさい。 その方が私もすっきりするからね」
「わ、私……は」

言葉を詰まらせつつも紡ごうとする少女の体は、夢の中でも動揺で震えていた。
太陽の光が降り注ぐ中、野原に一人と一体、助け舟を出してくれる人間はいない。
榊は彼女の子供に対する想いを、彼女自身の口から伝えなければならなかった。
夢は時に現実よりもはるかに厳しい。 成り行きを見守る友人さえも存在しない。
537名無しさん@秘密の花園:2007/05/16(水) 00:49:25 ID:GExa4D/0

「私、あの、あなたの……む、娘、さんを、いただき……たい、です」

子供の父は微動だにせず、少女がなんとかして告げるのを見守っていた。
しばらくすると、彼は自らの形を粘土のように変え、その姿は段々とある子供の見た目に近づいていった。
――数十秒後そこには、榊が求めていた人間、美浜ちよの姿があった。

「さーかきさん。 呼びましたね?」
「ちよちゃん!」

父から娘へ変化する物体をただ言葉もなく見つめていた少女は、満面の笑みを浮かべるちよを目にしたとたん、
感極まって声を荒げ、幼い彼女のもとに駆け込み小さな体を胸元に抱きかかえた。

「久しぶりです」
「ああ、会いたかった、会いたかったよ……」

榊は幻の中で涙を流し、視界をぼんやりと霞ませていく。
愛すべき子供の全身を両腕に収めて喜びつつも、彼女はにわかにかすかな頭痛を感じ、
次に、自分の所在している原野が夜を迎え、星もなく暗転するのを体感した。
同時に、今抱いていた子供の体が、砂のように崩れていくのを見て、彼女は叫ばざるをえなかった。

「ちよちゃん? どこだ、ちよちゃん、ちよちゃん!」

闇夜に包まれた世界は変わらずとも、榊は五感がより鋭くなったことに気づいた。
彼女を迎えたのは咲き誇る花ではなく、常々目にしている部屋の壁や自分の体に掛かった毛布。
――夢はまたもや、幸せをつかみかけたところで断絶してしまった。


「ちよ、ちゃん」

「榊さん? どうしたんですか」
538名無しさん@秘密の花園:2007/05/16(水) 00:51:40 ID:GExa4D/0

再び名前を呼びかけられた少女は、たった今起こった事に腰を抜かし、声のする方をとっさに振り向いた。
儚い空想が後を引いているのかと一瞬思ったが、彼女の隣に、確かにあの子供が寝ていた。

「え、うそ、うそだ……い、つ」
「昨日からいましたけど、大丈夫ですか?」

榊は甲高い声を現実に聞いて、すぐに記憶を取り戻した。
そう、久々に、いや、最初の別れから二ヶ月足らずで帰ってきたちよを、彼女は家に泊めていたのだ。
別に日本では休日でもなんでもなく、ちよが留学するアメリカでもどうなのかは分からないが、
こうやってわざわざ戻って来られる時間があることからすると、恐らく長期の休みがあるのだろう。

「さっきから聞いてましたよ」
「何、を?」
「寝言です。ずっと私の名前を呼んでました。 榊さん、とってもかわいいです」

無邪気に発せられる言葉のうち、特に一つの形容詞に反応して急に態度を固くする榊。
だが、頭の冴える子供は、暗くて顔が見えなくとも彼女の様子を伺えるのだろうか、
明るい態度をそのままに、彼女の心を解きほぐしにかかった。

「なんだか、久しぶりに榊さんに会えて、しかも一緒に寝ていられるって思うと、眠りにつけません」
「……大丈夫?」
「向こうでも九時くらいに寝ちゃうのに、なんか変な感じです。 少し大人になったのかもしれません」

同じ毛布にくるまり、横を向いた少女に対して闇の中でも笑顔を返すちよに、
改めて榊は心をひかれた。

「かっこいいのに、優しくて、かわいいです」
「ちよちゃんの方が、かわいいよ」
「榊さんは、私のことを好きですか?」
539名無しさん@秘密の花園:2007/05/16(水) 00:52:24 ID:GExa4D/0
なおも素直な笑みを絶やさないちよに、榊は迷いなく答えた。

「好き、大好き」
「それは、どういう『好き』ですか?」

「……こんなこと、言ったら、変だけど……愛してる、恋人にしたい、っていう、好き」

何歳も年下の、しかも同性の子供にその種の情を覚えることに関しては罪悪感もあった。
しかし、他に得られなかったものを満たし、唯一ちよに対する欲求だけを満たせなくなったときに、
抑圧していた心の機構は壊れ、夢に幾度となく彼女を現す事となった。

「夢じゃなくて、よかった。 本当なんだね」
「喜んでもらえて嬉しいです。 私も、榊さんが好きですから。
 榊さんと同じ、ずっと一緒にいたい、二人でいたい、っていう『好き』です」
「ありがとう」

心の底から偽りなく出たちよの言葉は、まだ彼女があくまで子供である故のものかもしれない。
母性を求める感情や、普遍的な友情が交じり合っているかもしれない。
でなければ、同じ性別の人間に対するここまで深い好意を露にすることはないはずだ。

そうわずかに思いつつも、榊は甘い言葉を無抵抗に受け取った。
たとえ本来の恋愛感情をこの子供が知らなくとも、たった今の現実がまた夢の出来事であったとしても、
彼女にとってはほんのわずかなちよの挙動がすべて愛しく思えたからだ。
「このままじゃ、寝られなく……なるから、どうしようか」
「寝る前にちょっと、キス、しませんか」
「それも、久しぶり、だね」
「あと二日くらいは、榊さんの家にいられると思いますから。
 まだ何回かできますよ」
「そうか」
「えへへ。 すごく嬉しいです」
「……私も」
540名無しさん@秘密の花園:2007/05/16(水) 00:53:14 ID:GExa4D/0

少し続いた会話の後、電灯一つ付いていない場が静まる。
榊は緩やかに毛布から子供の体を引き寄せ、互いの顔が近づくようにする。
二人は共に微笑をたたえ、黙ったままさらに唇を寄せて……

……夢ではない、確実にそこにいると感じさせる体温が、双方の薄い皮膚に伝わった。

「おやすみ」
「おやすみなさい。 温かかったです」
「ちよちゃんも、温かかった」
「大人の感触、ですね」

子供の心を忘れない夢見る少女は、ちよの体を現実でも軽く抱きかかえた。
大人の体を目指す愛しげな子供は、全身に覆いかぶさる彼女を甘んじて受け入れた。

「いい夢、見ましょうね」
「そうだね。 かわいい、ちよちゃん」
「おやすみなさい。 かわいい榊さん」
「そんなこと、ないよ……おやすみ」
「おやすみなさい」

普段は言われることのない形容詞に照れながらも、榊は眠る間際になっても笑顔を崩さなかった。
彼女の飼い猫、いや、飼い猫のようなものは、延々と部屋の片隅で眠っていた。
その小動物が起きて、榊の体の上に飛び乗ってくる時でも、彼女は良い夢を見ているに違いない。
すべてが満たされた瞬間の幸せは何物にも代えがたいのだから。

現実にも、幻想にも愛し合う二人の少女と共に、夜は深深と更けてゆく。


(溶暗)
541名無しさん@秘密の花園:2007/05/16(水) 10:47:03 ID:A2FPpxPn
年下攻め下克上カップルは萌える
542名無しさん@秘密の花園:2007/05/16(水) 21:50:25 ID:hJzswMnC
ちよ>榊
逆は見たことがないな
543名無しさん@秘密の花園:2007/05/17(木) 16:14:09 ID:n91rZJzm
久しぶりにあずまんがを観て
10話のゆかりちゃんとかおりんの『なれるなれない!』に萌えた
ゆかかおもイケるかもしれない
 
そして改めてさかぐらに萌えた
544名無しさん@秘密の花園:2007/05/17(木) 23:16:51 ID:I3BJSJDo
お疲れ様です。
ちよちゃんの表現のうまさは脱帽です。
萌え死ぬ

>>510さんのネタ
ゆかり神楽を投下します
・・・ゆかりにゃもになってしまいましたが
545名無しさん@秘密の花園:2007/05/17(木) 23:17:35 ID:I3BJSJDo
「先生ぇ〜!」
「お、神楽」

「あの…ここわかんないんですけど」
「お前が質問とは珍しいな…どれどれ」

最近この子と接する機会が多い。

「えへへ、再試にかかると部活出られなくなっちゃうからさ…」
「ふむ、動機はどうあれ頑張るのはいいことだな」

初めは体育祭の戦闘要員のつもりだったんだけど。
この子を見てるといろんなことを思い出しちゃって…。
甘酸っぱい気持ちが押し寄せる。

「あぁ、そういうことか!」

そんな考えが伝わったのか…、この子も私になついてくれた。

「ありがと!先生」
「…ゆかりで…いいわよ」
「え?」

私は…。

「…ほとんど年も違わないんだからぁ〜!ゆっかりちゃんでいいわよ!!」
「おぉ!なんかかっこいい!」

…真っ直ぐな目に弱いんだから。
学生の頃から全然成長してないな。
546名無しさん@秘密の花園:2007/05/17(木) 23:18:23 ID:I3BJSJDo
「ゆかり〜」
「にゃも。どした?」
「英語、教えてよ。・・・あとできれば数学も」
「何ぃ?もうテスト明日だろ〜」
「えへへ。一応再試だけは避けたいからね・・・。先生に怒られちゃう」

「こことここ覚えとけば大丈夫よ」
「ありがとー!助かる」
「ったく・・・もっと早く言えよな」
「ごめんごめん。部活・・・忙しくて。本当はテスト前はやっちゃダメなんだけどさ」
「・・・スポーツ推薦かよ」
「・・・まぁね。できればだけど」
「ぐぁー!何で勉強できる私のほうが頑張らなきゃいけないのよ!絶対間違ってる!」
「あはは・・・」
「・・・」
「・・・ゆかりは・・・どこの大学受けるつもりなの?」
「え?・・・わっかんないわよ。これから考える」
547名無しさん@秘密の花園:2007/05/17(木) 23:19:48 ID:I3BJSJDo
「あのさ、私の受けるとこ英語科もあるんだ!ゆかり、英語得意だし・・・どうかなって」
「ん?ん〜、考慮には入れるけど。大学まで一緒ってのはどうなのよ」
「そっか。やっぱ・・・嫌よね」
「嫌じゃないけどさ・・・」
「・・・」
「何よ?」
「嫌じゃないなら・・・いいじゃない・・・」
「え?」
「大学入っても、勉強教えてよ・・・。ゆかり・・・。ぐすっ・・・」
「お、おい。どうしたんだよ!?」
「私・・・ゆかりがいないと・・・」
548名無しさん@秘密の花園:2007/05/17(木) 23:21:28 ID:I3BJSJDo
「ゆかり、どうしたのよ?ぼーっとして。テストつくったの?」
「にゃも」
「・・・ん?」
「神楽ってさ、部活ではどんな感じ?」
「…?何よ、いきなり。問題でも起きた?」
「いや、せっかく担任になったんだしさ。個人を知るのも教師のつとめーみたいな」
「ふぅん。珍しいのね」
「でさぁ、どうなのよ」
「どうって…あのままよ。素直で元気で…」
「…」
「ちよちゃん達と仲良いみたいだし。あんたもすぐ把握できるわよ」
「…そっか」
「どうしたのよ。…あんた何か変よ」
「なんでもにゃいよ〜。…ただちょっとだけ…」

…ちょっとだけ、若い頃のあんたに似てるなって。

「もう…五月病だなんて言わないでよ」
「違うよ!大丈夫だって…」

…ったく、どいつもこいつも鈍感なんだから。


「にゃも、今日飲み行こうぜ」
「またぁ?」
「いいじゃんよ〜。久しぶりに昔の話でもしようよ」

たまにはおごってやってもいいからさ。
549名無しさん@秘密の花園:2007/05/19(土) 00:34:56 ID:zHiuFfHs
ゆかぐらキテル。
本当に書いて頂いてありがとうございました。
550名無しさん@秘密の花園:2007/05/20(日) 00:36:18 ID:a9PQLqoN
むぅ、萌える前に終わってしまった感じ。
551名無しさん@秘密の花園:2007/05/20(日) 03:44:02 ID:R68vZOW9
このあと、にゃもにした事を神楽にもするに違いない。(;´Д`)ハァハァ
552名無しさん@秘密の花園:2007/05/20(日) 20:24:18 ID:dF16FVim
>>549-550
ありがとうございます。
んー、やっぱり変則で甘いのは難しいです。
どうしても普通っぽくなってしまう。
っていうか読み返すと百合分薄い。精進します。


また明日から一週間が始まってしまいます・・・。
土曜日カムバーック!!
よみともいきます。
553名無しさん@秘密の花園:2007/05/20(日) 20:25:48 ID:dF16FVim
「よみー、帰ろーぜ」
「…」
「お、おい。どうしたんだよ?」
「…」
「なぁ、一緒に帰ろうぜ」
「…やだ」
「なんでだよー!?あ、待てよ!」
「…」
「よみ!」
「…離せよ!」
「ど…どうしたんだよ…」
「一人で帰る」
「なんでだよ?寂しいだろ」
「…寂しいなら…」
「え?」
「寂しいなら神楽達と帰れよ!」
「な、何言ってんだよ」
「私のこと一日放っておいて…神楽達とばっかり…」
「な…」
「今日だけじゃないぞ!昨日も…お昼一緒に食べようと思ってたのに…。
そんなに神楽や大阪がいいなら…、あいつらと一緒に帰ればいいだろ!」
「ばっ…どうしたんだよ…」
「神楽といるほうが楽しいんだろ!私なんかぁ…」
554名無しさん@秘密の花園:2007/05/20(日) 20:27:18 ID:dF16FVim
「ちょ…ちょっと…」
「なんで…か…神楽…ばっか……うぇ…ばかぁ…」
「よ…よみ!?泣くなよ〜」
「だって…ともがぁ…あぅぅ…」
「ごめん!悪かったよ」
「うっ…うぅ…」
「明日は…いや毎日一緒にご飯食べよ?な?」
「…本当?」
「本当だよ!約束する」
「…」
「な?…よみ」
「……好きって」
「え?」
「好きって言えよ」
「えぇ!?」
「言ったら許してあげる」
「な…」
「…」
「…きだよ」
「ん?」
「大好きだよ。よみが一番」
「…」
「ほら、言ったぞ」
555名無しさん@秘密の花園:2007/05/20(日) 20:29:24 ID:dF16FVim
「…んふ」
「なんだよ…?」
「あはははははは!」
「な…お前…泣いてねぇな!この野郎!」
「はっ…あはは…はぁ〜。いやぁ、悪い悪い」
「この…こっちは真剣だったんだぞ!本当に…よみに嫌われたかと思って…。うあ!」
「嬉しかったよ。ありがとう」
「ちょっ…誰かに見られたら…」
「関係ねーよ。…私のこと大好きって言ったじゃん」
「それは…」
「それは?嘘だったのか?」
「…違うよ。違うけど…」
「じゃあいいだろ?……私も…」
「…?」
「私も大好きだよ」
「…」
「…」
「…」
「…。…んふふ…あはははは!あ…赤くなってやんの!」
「な!?」
「はは…ごめんごめん」
「もうよみなんて知らねー!バカ!」
「あ、おい!待てよ〜」
「うるせー!神楽と帰る!神楽ぁ〜!」
「とも〜、謝るよ!一緒に帰ろうよ〜」
《おわり》
556名無しさん@秘密の花園:2007/05/21(月) 01:22:41 ID:w+cXAyJP
>>552 GJです。 よみとも愛はいいですなあ。

急に思いついきました。
どうぶつ奇(ryが終わらないうちにSSを書いてみるテスト。

しかし、途中でニコニコにはまってしまいアウト。
結果的に私は全然番組を見ていません。
もう一時だ……。
======================================================

『猫がテレビに食いつく映像、一位は卓球でした!』

「た、卓球……」
またこの時間が始まったぜ。
私は最近、榊と言えばこの番組なんじゃないかっていう気がしてる。
なんていう名前だっけ、動物なんとか、まあ動物ばかり出てるから当たり前か、
あれだよ、あれ。
大学に入ってから日曜はけっこう私か榊の家で一緒にいるのが多いけど、
八時になるといつもチャンネルを替えないとダメなんだ。
で、今日は榊の家の方だな。 ぬいぐるみばっかりの部屋にもいいかげん慣れた。
マヤーも、いつも通り床の上を歩き回ってる。

「おーい、もうちょっとしたら替えてもいいか?」
「やめて」
「でも、あの選手の話が」
「次、犬だから」
まったく、少しはスポーツの番組も見せてくれよな。
私があこがれてる女子水泳のヤツが出てくるっていうのにさ。
で、今度はなんだ? 犬の一番好きな映像、まあいいや。
これは……なんで電柱を写してるんだろうな。
557名無しさん@秘密の花園:2007/05/21(月) 01:26:21 ID:w+cXAyJP

『電柱、犬なら一度はお世話になったことがありますよね』
犬が、電柱を使う、あ、そうか!

「あはは、そういやあ、いつも向こうの家の柱とか壁にひっかかってるよな」
調子に乗ってこんなことを言ったら、思いっきり榊ににらまれた。
集中しすぎだよ、まあ平日は勉強で忙しいみたいだし仕方ないか。
しっかし、榊もよくこんなにじっとテレビを見てられるよなあ。
暇だから、持ってきた野球の雑誌でも読むか。

『さて、第一位は……犬です! 他の犬が走り回ったりする映像です!』
「……犬さん、いいなあ」
番組が始まってからずっと釘付けになっている榊、こいつも犬みたいだ。
言っちゃ悪いけど。 いやさ、一緒にいるんだからさ、もうちょっと私も見てほしいんだよ。
この番組は一時間くらいだから、あと四十分くらい振り向いてくれないわけだ。
寂しい、超寂しい……他の言葉が思いつかないな、すっげー寂しい。
雑誌のページをめくって投球フォームとかを眺めてても、別に楽しいわけじゃないしな。
つまんねえ、このままじゃ。

「なあ、榊」
ちょっとつぶやいてみても、全然こっちに顔を向けない。
いくら日曜にしか見られる暇がないって言ってもさ、そんなに集中するのはおかしいぜ。
だってよ、私と榊が一日中一緒にいられるのも日曜くらいだろ?

肩をたたいてみる、反応なし。
雑誌のページをわざと音がするようにめくる、反応なし。
足をバタバタさせてうるさくしてみる、反応なし……。
悔しいから、なんでもいいや、とりあえず猫の鳴きまねでもしておくか。

558名無しさん@秘密の花園:2007/05/21(月) 01:28:14 ID:w+cXAyJP

「にゃー」
これだけじゃあまだまだ私を見たりはしない、やっぱり榊だしな。
だから、もう少し猫らしくやってみるんだ。
例えば、榊の顔に近づいて、舌を出して、こう、ぺろってほおをなめてやるとどうだろう。

「……神楽」
「おう、やっと気づいたか」
「見てる、から」
「見てる、って。 私は榊を見てるんだぜ?」
「え?」
まだまだ榊は人の気持ちに鈍い。
告白はちゃんとしてるし、絶対に私が寂しいとか分かりそうなはずなのに、
時々素で困った顔をされる。

「テレビなんか見てなくても、とりあえず、マヤーはいるだろ?」
「いる。 ひざの、上に」
「それに、私もいるだろ」
「ん……神楽がいて、何?」
もう! なんでこんなに気づかないんだよ!
座った榊の上にずっと乗ってられるマヤーがすごくうらやましい。

「見るな、チャンネル替えろっ!」
「ダメ。 日曜くらい」
「と、に、か、く。 テレビ見るんなら別のにしろよ!」
あ、嫌そうな顔。
無表情な榊がたまーに見せる顔の変化は、多分90パーセント以上猫や犬関係。
強引にリモコンでチャンネル替えてやろうか、いや、強引にってのは、榊にやるのがいいか。
559名無しさん@秘密の花園:2007/05/21(月) 01:29:18 ID:w+cXAyJP

「な……何を!?」
「動物との触れ合い方、一番はスキンシップ、なんだろ」
榊が先週言ってた通りに、思いっきり前から抱きついてやった。

「神楽、君は、動物じゃない」
「人間だって動物だぜー」
「いや、それは」
ここまですれば、さすがに私の方も見てくれる。
テクニックとかちゃんとしたやり方とかを全然知らない私は、勢いでやっていくしかない。
そのまま榊のでかい胸に頭を近づけて、谷間に顔をくっつけて甘える。

「にゃー、にゃあ」
「ま、全く、どうしたんだ、今日は」
「お前の一番好きな、猫のまね」
「そんなこと、されても」
「ここで問題にゃ。 私が一番好きなのは何だにゃー?」
「……運動」
うわ、即答しやがった。 鈍いっていうもんじゃねーぞ。
なんでだ、勉強に疲れてるから忘れてるのか、それとも素でこうなのか?
質問の仕方が悪いのかもしれないな。

「間違えたにゃ。 一番好きなのは、だ、れ、だ、にゃあ?」
これなら大丈夫だろうと思ってじっと榊の顔を見てみる。
だけど、期待した言葉はなかなか返ってこない。 マジで考え込んでるみたいだ。
このままだと、私が持ってた雑誌を見て、この選手か、とか言ってきそうだ。
しょうがない、答え、言ってやるよ、答え!
560名無しさん@秘密の花園:2007/05/21(月) 01:30:26 ID:w+cXAyJP

「正解は。 さ、か、き、お前だにゃあ」
「あの」
「何だにゃ?」
「その、しゃべり方は……君らしく、ない」
気に入らないか。 しかも全然うれしそうにしないし。
そんなにテレビが見られないのが嫌なのか。

「あ、そう。 そりゃあ残念でした」
「ありがとう。 待っていたよ」
「ん、何を?」

「ちゃんと、言って、くれるのを」

やっと笑顔になった榊と、今言われたばかりの言葉を聞いて……まさか、って思った。
頭の悪い私でもなんとなく分かる。 そう、榊はそこまで鈍くなかったんだ。
―― もしかして、私は、わざと待たされていた ――

「寂しかった、か?」
「くっそー、榊、すっごく寂しかったぜ!」
「それは、良かった」
榊はいつのまにかテレビの電源を切っていた。
ひざの上に乗ったマヤーをなでて下ろすと、笑顔のまま私のほうをじっと見つめる。

「もちろん、番組も、楽しいし、好きだ」
「そりゃ、分かってるよ」
「でも。
 君よりも、好きだ、と……私が、言うと、思った?」
「お、思ったぜ!」
焦りながらそう言うと、榊の顔はちょっと驚いたみたいになった。
561名無しさん@秘密の花園:2007/05/21(月) 01:31:45 ID:w+cXAyJP

「ごめん」
「そりゃあ思ったさ! あんなに、あんなに夢中になって見てるんだし!」
私は勢い余って、榊の肩を強くつかみながら大声でどなった。

「ごめん、ふふ」
「笑うなよ」
「……くっ、ふふふ、あははははは、はははっ」
「笑うな、何がそんなにおかしいっつーんだ!」
榊がこんなに大声で笑うだなんて、これは初めてだ。
私は逆に、その笑いが自分をバカにしているんだって思って、半分キレた感じになった。

「何がおかしいんだよ」
「はは、ああ、かわいいなあ。 神楽らしい。 素直な君で、本当に、良かった」
そう言われても、本当にそう思っているのかが分からなくて。
私は短刀直輸入、いや、間違えた、何だっけ、とりあえず正直に聞いてみた。

「じゃあ質問だ。 榊が一番好きなのは、誰なんだ」
「神楽。 誰って、聞かれたら」
うわ、即答しやがった。 恥ずかしい、って、もん、じゃ……。
しかも、さっきまで思いっきり笑ってたのに、いきなり真剣になって。

562名無しさん@秘密の花園:2007/05/21(月) 01:33:07 ID:w+cXAyJP

「本当にだな!? だったら、あのぬいぐるみよりも! あれよりも! あれよりも!
 ついでに、あのマヤーよりも!」
「神楽」
「何だよ」
「誰が、って聞いたじゃないか。
 それに、君は……ぬいぐるみでも、動物でも、ない」
「だからどうしたってんだよ。 今、今だよ。
 今、私が聞きたいのはさ、本当に私が一番好きなのか、ってことだぜ」
「人として、好きだ、愛している、という意味なら。 間違いなく、神楽だ」
その言葉を聞いた瞬間、テレビも猫も犬なんてのも、全部どうでもよくなった。
ちょっと心に浮かんだ恥ずかしさも一気に弾けた。
人としてじゃなくても好きなのか、ってことを知りたかったはずなのに、
人として、っていう言葉が、なんだかとてもうれしかったんだ。

「待たせて、ごめん。 好きだよ、神楽」
「さ、榊! 私も、好き、好きだぜっ!」

本当に優しい顔だな、今の榊は。 外ではあんまり笑ってくれないけど、
私の前ではもっとその表情を見せてほしいな。

「ごめんな……寂しかった?」
そう言って、榊は私に唇を合わせてくれた。
温かい感触に夢中になって、何分でも、何時間でも続けていたくなる。
私が榊の体を抱きしめると、あいつもぎゅっと抱きしめてくれた。

563名無しさん@秘密の花園:2007/05/21(月) 01:37:57 ID:w+cXAyJP

どうでもいいけど、マヤー、あと、そこらのぬいぐるみども、一応ごめんよ。
榊の思ってる「好き」ってのは、いろんな種類があるんだよな。
分かってたっちゃ分かってたけど、結構勘違いしてた。
私のことは私で、好きでいてくれるんだ、榊は。

それに、何よりも、私からも、ごめん、榊。
ありがとうな。

「大丈夫、寂しくなんてないぜ」
「どうして?」
「お前が、好きだって言ってくれたから」
私は榊を抱いたまま、じっと目を見つめて言った。
さっきくっつけたばかりの榊の口が、ゆっくりと動きだす。

「……そうか、ありがとう。
 それなら、もう一回、言ってあげるよ。 好きだ」
私は榊とまた唇を合わせた。

明日はまた月曜だ。
今日のうちに、一週間分の気持ちを通わせておかないとな。
テレビの電源も切れて静かになったことだし、もっと近づいててやる。

好きだぜ、榊。

(おしまいだよ)
564名無しさん@秘密の花園:2007/05/21(月) 02:19:08 ID:ofVg7Fb4
GJ!!
565名無しさん@秘密の花園:2007/05/21(月) 06:11:50 ID:0YMHJ4sp
よみともと
さかぐらは
王道だ
566名無しさん@秘密の花園:2007/05/21(月) 09:38:42 ID:XV633vIh
>>553
でもよみは途中までマジで妬いてたような気がしました。

>>556
付き合っててもやっぱり神楽は榊を自分に構わせようと奮闘してるのが
らしくて微笑ましかったです。心温まる良いお話でした。

そういや珍しくよみが智を、榊が神楽を振り回してる。
王道カップルGJ!!
567名無しさん@秘密の花園:2007/05/22(火) 02:04:00 ID:DHw7Cdez

ありがとうございました。

神楽単体 based on さかぐら。
ひさびさにえろえろで。 前回に比べてだいぶ文体変わってます。
============================================================

高校生活を謳歌している神楽は、仮にもうら若い少女なのであるが……
彼女の部屋は、どう考えても年頃の女性にふさわしいとは思えないものであった。
床にばらばらと放り出されたスポーツや自転車の書籍、
片隅に積まれて使った跡がなく、中身だけは新品さながらの参考書、
しっかりとハンガーに掛けられていてもいない普段着や水着の数々。

神楽は最近、この有り様を三日に一回ほど観察しては、その度に反省を試みていた。
「さてと、片付けよっかな」
……試みはするが、まともに達成したことは一度たりともなかった。
今日も今日とて、神楽は彼女の好む競技の記事を読みあさったり、
「片付けの準備運動」と称して単に体を温めるだけだったり、という程度の事しかしないだろう。

おや、どうやらこの時の彼女は違うようだ。
一連の動きを見るに、片付けに取り掛からないことはまた同じであるようだが、
彼女は、平常の時よりも長く視線を汚れた床に固定した後、部屋の中で何をするということもなく、
ただただそそくさと別の場所に足を運んでいった。

―― 片付けなんて、やっぱりどうでもいいや。
    それよりも、何日かしてないせいかな、下のほうが変な感じになってきやがった。
    ここじゃゴチャゴチャしてるし、どうしよう、トイレにでも行って済ませてくるか ――
568名無しさん@秘密の花園:2007/05/22(火) 02:05:02 ID:DHw7Cdez
現在、夜の二時。
ふくよかな胸としなやかな筋肉を持ちあわせた健康的な体育少女にとっては、未知の領域である。
未知の領域である、はずだ。

現在、家のとある場所。
健康的な体育少女にとっても、彼女の家族にとっても、周知の領域である。
なぜなら、男女問わず、ここは体の不要物を排出するのに毎日必要となる一室だから。

この時間に限っては、羞恥の領域ともなる。

神楽は自室と比べて数分の一しかない空間の扉をそっと開け閉めすると、
鍵を慎重にかけ、明かりを付けて、そこに鎮座した陶器のふたを開ける。
彼女の手には、つまめるほどに薄い一冊の本がある。
穴の開いた座席に神楽が静かに座り込むと、紙のまとまりが順々に指でめくられ、
しばらくしてあるページで動きが止まった。

この一室に神楽が足を運んだのは、本来の目的によるものではない。
芳香剤によって人工的に付けられた香りが漂う部屋の中で、
彼女は、たった今覗き込んでいる……アルバムの、ページに入った写真を利用するのだ。
もっと分かりやすく言えば、写真に描かれた一人の人間を利用する、ということだ。
神楽は、自分自身の声が漏れないよう、唇と歯に力を掛けはじめた。
他の誰にも、これから行うことを気づかれてはならないようだ。

神楽は、整っていない寝巻きの下半分を一気に取り去って、はいていた下着も太ももを通して外した。
腰より下の若々しい肌がむきだしになると、両足が開かれ、その間に片手が向かう。
一方の手はアルバム、もう一方は神楽自身の中心にある。

―― やっぱり今日も、なんだか眠れないんだ。
    これでお前に会うの、何回目かな。
    もちろんさ、昼は平日ならいつもいられるけど、
    夜も一緒にいてくれ、なんて言っても無理だよな。
    なあ、榊 ――
569名無しさん@秘密の花園:2007/05/22(火) 02:07:02 ID:DHw7Cdez

目の前にある写真に、応答があるはずもない無意味な語りかけをして、
神楽はためらいつつも、中心に触れた指を、軽く引っかくように動かす。
「ん、ふ……むぅ……」
声を出さないという制限を掛けているがゆえに、物を飲み込むような発音しかできない彼女。

神楽にとって、榊という少女はかつてライバルだった。
運動能力において男子の上位層をも凌駕する二人は、共に学校中で注目されてきた。
校内で催される様々な大会においては、特に競走で、一位と二位を分け合う存在であった。
神楽に直接問えば、今でもライバルである、と答えられるかもしれない。
しかし彼女の心中で、榊は……それより一つも二つも上の、憧れの人間、さらには恋愛対象、
果てには、性的欲求の相手として……働きはじめていた。

薄いページに挟まれた一枚の紙に写る少女がひとり。
それに対峙して、あられもない姿を見せ付けている少女もひとり。
神楽は、自分の気持ちいいところは自分が一番知っているんだ、と言わんばかりに、
ひたすら神経が集中している核を上下に擦りつづけた。
「く、はっ、さ……かき」
体育会系だからちょっとした忍耐も付いているはずだ、そう信じ込んでいても、
彼女の口からはふとした拍子に声が漏れ出てしまう。

心と肉体の底から望んでいる相手の、名前と共に。
570名無しさん@秘密の花園:2007/05/22(火) 02:09:15 ID:DHw7Cdez

―― そこがいい、榊、そこを、もっと。
    いつ見てもお前はカッコいいな、私なんかと比べらんないぜ。
    今すぐに写真じゃない榊を見たい。
    早く朝になって、一緒に勝負して楽しみたい。
    朝よ来い、夜よ消えろ。
    一人でしてるのは寂しいんだ、榊、お前に会いたい。
    ついでに、いつか私の気持ちを分かってくれたら、いきなりでいい、思いっきり押し倒してくれ。
    もっと、指でこするだけじゃなくて、中に入れて、口も使って、いろいろとやれよ。
    このどうしようもない体の熱さを、お前の体でなんとかしてくれ。
    榊がしてくれるんなら、全部気持ちいいんだよ ――

「さかき、が……シテ、ぜんぶ、んあ、キモチ……い、い」
とめどなく溢れる思いは、意図せず外部に、壁の向こうからは聞こえない音量で流れ出ていた。
脳の機能をすべて欲求に向けたことにより、自分で設けていた規制は本能に消し去られた。
「ひゃ、さかきぃ、そこ、そこだよ、そこ、だ!」
理性から遠くに行ってしまった彼女が声を抑えつづけることなど、不可能だった。
神楽の全身に薄い汗が這い、上半身は上着にまで水分が染み出しはじめていた。
指でかき回されている中心は、粘り気のある液体で刻々と満たされてゆき、
彼女が座っている便座の穴を通って、細い糸が伸び、その先から滴が垂れ続けている。
「あ、うぅ……いい、ずっと、いじって」
生ぬるい吐息の混じった声は、平常の、少年的だと言われる活発なそれに比べて、
格段に艶かしく、女性らしさを感じさせるものとなっていた。

どんなに行動や趣味が他の女子と変わっていても、神楽は誰よりも女らしい一面を持っていた。
たわわに実るぶどうの房から滴り落ちる果汁と言うべきか、
並外れて活発であり、男性的な趣向を持ったがゆえに育てられた女性的な肉体の豊かさ。
榊にも共通する部分は多々ある……もっとも、彼女の場合、精神に少年の要素はないが。
少女神楽は少年榊を求め、少年神楽は少女榊を求める。
神楽が同性の壁を越えて強い感情を持った理由は、恐らくそういう所にあるのだと思う。
571名無しさん@秘密の花園:2007/05/22(火) 02:10:46 ID:DHw7Cdez

「いいよ、さか……き、おまっ、え、ひゃ、さい、こう」
音量は小さいまま、情欲の塊から出たつぶやきと、熱を持った吐息を混ぜた声が発せられる。
手の動きは一定ではなく、神楽が期待しつづける相手である榊のことを妄想して変化が加わっている。
「ああ、もう……だめ、さか、きぃ……だめ、だ、はぁ、う」
アルバムの写真に向かって見開いていた目が急にまぶたをだらりと下げ、
両手両足の筋肉からは力が抜けたのか、明確な動きが見られなくなった。
顔面は汗に覆われ、頬が紅に染まりきったまま、眠る時の表情を見せた。
しばらくすると、床にことりと音を立てて、一冊の本が落下した。

どうやら、彼女は静かに絶頂を迎えることができたようだ。
理性も本能も完全に飛び、神楽は便座に座ったまま夢の世界へ向かった。

―― なんか音がするな。
    こっちに近づいてくる。
    母さんは全然夜に起きないみたいだから、この時間帯にトイレに来るのは親父か。
    あれ、そうだ。
    ここって、私の部屋じゃなくて、トイレなんだよな。
    今まで何をしてたんだっけ、そういや、榊を見ながら、なんだ。

    ……待てよ、ヤバいぞ、こりゃ!
    早く、親父が来る前に出ねえと!
    間に合うか、私? 大丈夫か、私 ――

神楽は持ち前の身体能力で下半身に服を戻し、かろうじて残っていた判断力と経験の応用で
水を流してごまかし、焦らずに、通常目的での使用を装って扉を開けた。

父親が向かう小さな空間に残ったのは、榊が写された一冊のアルバム。
自室に戻った神楽に残ったのは、溢れる液体が染み出した下着だった。


(おやすみなさい)
572名無しさん@秘密の花園:2007/05/22(火) 05:29:58 ID:IzYvytFM
水泳部がトイレで水芸とな
573名無しさん@秘密の花園:2007/05/22(火) 07:04:29 ID:ZHqUO2tw
百合に全く興味のなかった私をそっちに走らせたともとよみの罪は大きい
574名無しさん@秘密の花園:2007/05/22(火) 07:46:59 ID:5MrqzRCY
GJ
朝起きたらすぐに大事なアルバム回収をしてくれ
575名無しさん@秘密の花園:2007/05/23(水) 00:05:23 ID:UhUo10g7
エロ分補給GJ
やっぱ神楽はエロいですね。

ラブラブ投下します。
よみとも
576名無しさん@秘密の花園:2007/05/23(水) 00:06:07 ID:UhUo10g7
「ピカニャー可愛かったなぁ」
・・・もうすっかり暗くなってしまった。
さすがに、この時間になると寒い。
榊はまだ残るって言ってたけど、泊まるんだろうか。
「でもさ、西表島って沖縄だろ?寒いの大丈夫なのかな?」
「それはあれや。こたつがあるし」
久しぶりのちよちゃんちはすごく楽しかった。
智がひっかかれたから帰ったものの、あのままみんなで泊まっても良かったかもしれない。

「じゃあなー!また明日」
「ほなー」
「またな」
577名無しさん@秘密の花園:2007/05/23(水) 00:07:11 ID:UhUo10g7
大阪、神楽と別れたとたん、智は再び痛みを訴え始めた。
「あうー・・・痛いよぉ・・・」
「大丈夫か?血ぃ、止まりそう?」
彼女の手には、痛々しく包帯が巻かれている。
「わかんない。・・・でも痛い」
今にも泣きそうな目で苦痛を訴えてくる。
どうやら本気で痛いようだ。
「家帰ったら消毒しろよ。バイ菌がいるかもしれないから」
手をさすってやるが、それすらも痛そうだ。
「えぇ・・・今日家誰もいない・・・。今からよみんち寄るから消毒だけでもしてよ」
智は、痛がりながらも私の手を握り返してくる。
その言葉に冗談っぽさはなく、恥ずかしそうな笑顔が私を見上げていた。
いつもなら甘えんなと言ってやるところなんだけど・・・
「・・・特別だぞ」
手を離して頭をなでてやると、智は嬉しそうに体を摺り寄せてきた。
578名無しさん@秘密の花園:2007/05/23(水) 00:09:02 ID:3auVBvpX
「それ、しみる?」
私が傷口に消毒液を塗ろうとする直前になって、智が聞いてきた。
「んー、どうだろう・・・。もう結構時間がたってるから大丈夫じゃ・・・」
「痛い痛い!」
しゃべり終わる前に塗ってやると、彼女は身を反らせて痛がった。
こういうのはわかんないうちにやっちゃった方がいいと思うんだけどな・・・。
「もー、塗るときは言ってよね!」
訴えかける彼女の目には、涙が浮かんでいる。
相当痛かったのだろうか。
「悪い悪い・・・ほら、手ぇ出せよ。包帯巻くぞ」
そんなに深い傷ではないと思うが、かなり広い範囲に傷口が広がっているため、一応包帯を巻いておくことにした。
血の付いたガーゼを新しいものに変えている間に、智は座ったまますり寄ってきた。
私の横にやってきて、べったりと体重を預けてくる。
「よみ」
「ん?痛かったら言えよ」
「こういうときって傷口舐めてくれたりするんじゃないの?」
彼女は私の肩に頭を置いたまま、見上げるように話している。
「消毒してからじゃ遅いだろ。私にマキロン舐めろっていうのか?」
「・・・。じゃあ消毒前だったら舐めてくれたんだ」
普段は見せない色っぽい笑顔で私をからかう智は、ひどく大人っぽかった。
この笑顔を見るたびに・・・私は、
「バカ。・・・ほら、できたぞ」
なんでこいつと一緒にいるか、わかる気がするんだ。
579名無しさん@秘密の花園:2007/05/23(水) 00:10:13 ID:3auVBvpX
消毒が終わっても、智は右手を眺めていた。
握ったり開いたりして、痛みを確かめている。
「そんなに痛いか?」
「・・・少し」
彼女は小さくつぶやいて、傷ついた手を私の太ももの上に置いた。
「もう遅いぞ。帰ったほうがいいんじゃないのか?」
その手を持ち上げて、両手でさすってやる。
「泊まる。・・・こんな手じゃ、お風呂で体も洗えない」
・・・やっぱり。
ぶっきらぼうな、しかし甘えた様子で言い放った彼女の言葉は、私の予想通りだった。
多分、もう手は痛くないんだろう。
それに、もし本当でも、手が痛いから泊まるなんて高校生の言い分じゃない。
「よみ、いいでしょ?」
ただ・・・、そんなくだらない言い訳に頼ってまで、私と一緒にいたいという智の気持ちを嬉しいと思わないはずもなく、
「仕方ない。今日だけだぞ」
最高の笑顔で答えてしまう私は、幸せ者なんだろうか。
580名無しさん@秘密の花園:2007/05/23(水) 00:11:12 ID:3auVBvpX
「智、さっきはごめんね」
後ろから抱きしめてやると、彼女のシャンプーのいい香りがする。
「何が?」
「痛い目にあってよかったなんて言って」
「ああ、そんなことか」
彼女は呆れたように笑って、顔を振り向けた。
「よみ、私がマヤーにひっかかれたとき、一番びっくりしてたでしょ」
「・・・そうだったかな?」
「すぐ飛んできてくれて、心配してくれて・・・。だから、その後のことはどうでもいいんだ」
笑ってはいるが、まじめな口調だ。
「あんなによみに心配してもらえるんなら、もう一回ぐらいひっかかれてもいいかな」
彼女は体を完全にこちらに向けて、手を差して笑った。

「まぁ、もしその時は・・・舐めてやるよ」
頬に手を添えると、彼女はゆっくり瞳を閉じた。
怪我をしているはずの右手は、私の二の腕をぐっと掴んでいる。

・・・私もマヤーにひっかかれて、智に心配してもらおうかな。

《おわり》
581名無しさん@秘密の花園:2007/05/23(水) 00:34:50 ID:ZRqGHA2K
こう来たかー
GJです
582名無しさん@秘密の花園:2007/05/23(水) 14:42:24 ID:UkuVxwdV
よみにとってマヤーは泥棒ネコだったわけですな
583名無しさん@秘密の花園:2007/05/23(水) 20:10:22 ID:uJ5LseC0
マヤーGJ
584名無しさん@秘密の花園:2007/05/23(水) 22:46:25 ID:MJm1Ujht
>>581-583
ありがとうございます。
とにかくよみともは書いてて楽しいです。
あと、マヤーはメスだと思います。

調子に乗って今日も行きます。
ちょい変則ですが・・・。
585名無しさん@秘密の花園:2007/05/23(水) 22:48:13 ID:MJm1Ujht
「じゃあ先行っとるわー」
そう言って大阪はお風呂場へ行ってしまった。
私も早く用意して…と。

ちよちゃんちの別荘に来るのはこれが2回目だ。
去年のこともあって、だいたいのことは把握している。
お風呂場はこの廊下の突き当たりで…確かそれほど大きなものではない。
それでも、一年に何回かしか使わない別荘にしては豪華なものだ。
二人ぐらいなら余裕で同時に入れる広さだったと思う。
586名無しさん@秘密の花園:2007/05/23(水) 22:48:55 ID:MJm1Ujht
「大阪ー」
一応声をかけてみるが…返事はない。
電気はついてるんだけど…。
「入るぞー」
まぁ、遠慮することはないか。
小さめのタオルを一枚だけ持って…体重計…は後でいいや。
がらがらとガラス戸を開くと、湯気の中で体を洗う影がひとつあった。
「なんだ、返事くらいしろよなー」
私も体を洗おう。
今日は海で遊んだから…なんか砂っぽい感じがする。
幸い蛇口は二つあるし、隣で…ん?
「あれ?榊?」
「え?…あぁ」
眼鏡をかけていないとはいえ、直前まで気付かなかった。
そういや大阪にしては大きかったような…気もする。
「いや〜、大阪が先に行ってるって言うからさ、てっきり…」
「もう出ていった」
何!?早いな!
あいつ、いつもはスローなくせに…時々妙に素早いんだから…。
「早いな…。ちゃんと洗ったのかよ」
呟いてみるが、榊は黙々と体を洗っている。
考えてみれば、こいつと二人というのは初めてかもしれない。
別に取っ付きにくいとか思ってるわけじゃないんだけど…。
「…どうしたんだ?」
え?あ!私!?
なんかじろじろ見ちゃってたかな…。
「いや、何でもない…」
「…そうか」
587名無しさん@秘密の花園:2007/05/23(水) 22:51:20 ID:MJm1Ujht
長い髪を丁寧に洗う榊は、眼鏡をかけてこなかったことをもったいなく感じるほど綺麗だった。
スタイルのいい長身に、背筋の伸びた姿勢が美しい。
服を着ていないから、なおさらかもしれない。
…私ったら、何見とれてんだろ。
とっとと体洗ってしまおう。
うん、洗ってしまおう…。
…しまおうと思うんだけど…。
水を弾く白い肌と潤った黒い髪が、私の視線を離さなかった。
私も…髪は長いし、身長もある。
でも、榊のは…。
綺麗だな…。
588名無しさん@秘密の花園:2007/05/23(水) 22:52:58 ID:MJm1Ujht
「榊、髪触ってもいい?」
私は…、自分でも何を言っているかわからなかった。
榊をこんな風に思ったことなんてなかったのに。
「い、いや。一日中海で遊んでたから…痛んでないかな…とか…」
我ながら苦しい言い訳。
変なやつだと思われたかな。
普段只でさえ親しくないのに…。
「いいよ」
ほら、榊も呆れて…。
え?
「触ってみて。やっぱり痛むのかな?」
思いがけない返事に、私は固まってしまった。
彼女の言葉にしばらく返事ができない。
見つめあう静かな空間に、シャワーの音が煩わしかった。
「いいの?」
やっと出てきた一言とともに、私の左手は彼女の髪に吸い寄せられていく。
「どう?パサパサしてない?」
榊の髪はしっとりと重くて…露に濡れた草の葉のようだった。
肩越しに胸に覆っている髪に指を通すと、下から彼女の白い肌があらわれる。
「綺麗…」
うっとりとする私を、榊はどう思ったのだろうか。
彼女の穏やかな微笑みが自分に向けられたものだと気付くまで、私は髪を撫でていた。
589名無しさん@秘密の花園:2007/05/23(水) 22:54:07 ID:MJm1Ujht
「さ、榊の髪って綺麗だよね…」
榊に見られているとわかって、私はとっさにその場を取り繕おうとした。
彼女の髪から手を離す。
焦る私に、彼女はまだ笑顔を向けていた。
私、どんな顔してたんだろ…。
「水原の髪も、綺麗だ」
囁くように話す彼女は、言葉とともに私の髪を持ち上げた。
「そんな。榊のほうが…」
想像しなかった言葉に、胸がぎゅっとする。
うまく話せないし…頬は赤くなっていたかもしれない。
「私のとは違う…。鮮やかな色」
榊は、自分と私の髪を見比べて言った。
「あぁ…小さいときから茶色くってさ。今日は日を浴びたから余計かもしれない」
私も榊の髪をもう一度手に取る。
二人の間で長い髪が交差した。
「だから、黒いの憧れなんだ」
私は…、こんな気持ちになったのは初めてだ。
榊を特別に思ったこともない。
でも…、今は…。
自分の気持ちに素直にならないと損だと思ったんだ。
590名無しさん@秘密の花園:2007/05/23(水) 22:55:13 ID:MJm1Ujht
「え?ちょっと!?」
私は彼女の髪を離し、首もとに腕をまわしていた。

…自分でも何やっているかわからない。
ただ、腕に絡みつく髪が、少し冷たかった。


顔は見えないが、榊はそれほど驚いていないようだった。
声をあげたものの、私を突き放そうとはしない。
それどころか…。
彼女は…、私の肩を抱いてくれた。
「どうしたの?」
耳元で囁かれる声に、私は震えるしかなかった。
理由の無い涙がこみ上げてくる。
本当に…理由の無い涙が。
「水原…」
「暦って呼んで」
私は何とか涙をこらえると、彼女の言葉を遮って叫んでいた。
「暦って…。今だけ」
思ったこと全てを口にしていた。

…榊がどう思ったかは知らない。
知らないが、彼女は笑ってくれた。
私を肩から起こし、裸眼でもはっきりとわかる近さで笑って…。
それからの榊の表情はわからない。
私が彼女より先に目を閉じたから…。
一度こらえた涙は安堵とともに溢れ出し、重なった唇の上に流れ落ちていた。

「こよみ」
離れた唇が、ぼやけた視界の中でそう動いたのを感じて・・・やっぱり眼鏡をかけてくるべきだったと思った。
《おわり》
591名無しさん@秘密の花園:2007/05/23(水) 23:19:39 ID:23WJWnpM

これはGJと言うしかないでしょう!

>>581-583
本当は素直なよみとも。
SSを読むたびにこの二人の仲のよさに感心してしまいます。

>>585-590
よみさかきたあああああわわわわわあ

榊さんとよみ、それぞれの美しさに萌えられました。
正直、惚れました。



創作意欲が湧いてきまくりんぐ
592名無しさん@秘密の花園:2007/05/23(水) 23:33:38 ID:DavIkNOJ
よみさかって前から結構好きだったんだよな
なんかこのカプって大人っていうか、エロなくても妙にエロを感じる
593名無しさん@秘密の花園:2007/05/24(木) 04:10:57 ID:al6Vh4vk
あずまんが大王って基本的に凸凹カプばかりだから
こういうのって新鮮だよね
594名無しさん@秘密の花園:2007/05/24(木) 12:33:17 ID:z3+NOKMd
よみともはあらゆる意味で正反対
さかぐらは体つきと運動能力が共通、知能と身長は凸凹
ともかぐはその逆
さかちよは身長差が激しい

……

やっぱり、榊さんとよみが一番似てる
595名無しさん@秘密の花園:2007/05/24(木) 23:57:55 ID:xVwulVLN
攻め×攻めだからか常識人×常識人だからか
よみ×榊ってなんかドキドキする
596名無しさん@秘密の花園:2007/05/25(金) 04:17:08 ID:DfYbGM9P
原作での接点の無さは異常
597名無しさん@秘密の花園:2007/05/25(金) 23:21:17 ID:XQc/WYfj
捨て猫の回で「抱いてみる?」って聞いてみたのと
二年目の別荘の回で智を止めるよう指示しただけだもんな
598名無しさん@秘密の花園:2007/05/26(土) 01:41:09 ID:ScBKuHfc
よみ「榊さんも抱いてみる?」
榊「…………」(ぎゅっ)
よみ「いや、私じゃなくて」
599名無しさん@秘密の花園:2007/05/26(土) 11:18:15 ID:WKOavVM9
榊さんは猫とか夢(お父さん)関係以外は常識人のはずなんだけど……

なんだろう、どうもそっちの趣味がありそうな気がしてならない
600名無しさん@秘密の花園:2007/05/26(土) 12:46:15 ID:WKOavVM9
「身長差のある〜」スレにて

>19 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2006/08/27(日) 15:13:34 ID:kQUEDx6t
>私174彼女156
>ハグとキスは屈んでします

榊さんと神楽さん!
601585:2007/05/26(土) 23:40:06 ID:NcmOMKo0
みなさん感想ありがとうございます。
自分的にも新しい発見だったので、久々に満足しております。
やっぱ私は暦萌えでした。改めて気付きました。

デートとかも書きたいんですけど、最近煮詰まってしまってます・・・。
DVDでも見直します
602名無しさん@秘密の花園:2007/05/27(日) 20:50:08 ID:lv6kLLgn
>>597
熊カレーもあるな
603名無しさん@秘密の花園:2007/05/27(日) 21:43:01 ID:3rM7MG/Z
過疎なのであげ

よみさかいいなあ。
榊さん好きの自分から見ても静かでいいなあ。
604名無しさん@秘密の花園:2007/05/27(日) 22:04:16 ID:GGJNmrrZ

>静かでいいなあ。

静香もいいよ
605名無しさん@秘密の花園:2007/05/28(月) 01:12:26 ID:324FJwJD
なんだろう、熊カレーのお返しと称してよみとじゃれあう榊ちゃんを受信した
606591=567=……:2007/05/28(月) 22:57:01 ID:dINK4CVF
>>605を見て
十分以内にどれくらいSSが書けるか試してみよう、と思った。

「あの」
「ん? なんだ、榊」
「昨日、もらった……あれ」
「ああ。 カレーね」
「ちょっと、遠慮させて、ほしい」
「動物、好きじゃなかったか」
「食べるのは」
「え?」
「かわいい、動物は、食べられない」
「あ、そうか。 気に入らなかった?」
「そういう、わけじゃ、ない、けど」
「なんだかよく分からんが、ごめん」
「別に、食べるものは、他にも」
「なんだ?」
「水原を、いただきます」
「私を食う?
 ……おいおい、なに胸に手伸ばしてんだよ」
「君は、悪くない」
「は、はぁ?」
「ただ、私が、してみたいと……思った、それだけ」
「してみたいって、まっ、待ってくれ!
 そこを開いたらブラが見えるだろ、何考えてんだ、榊!」

―― 眼鏡がずり落ちそうな勢いで、私は榊の夜食にされた。
    実際、ずり落ちっぱなしだった。



結論:わけわかめ
607名無しさん@秘密の花園:2007/05/29(火) 00:55:54 ID:prxIJW2v
可愛い動物は食べられないとか言っといて暦は食べちゃうんですねw
この二人はなんか一緒にいるだけでお洒落な雰囲気が漂ってくる。

さかぐらいきます。
>>600ネタです
608名無しさん@秘密の花園:2007/05/29(火) 00:57:15 ID:prxIJW2v
「なぁ、榊はなんで部活しないの?」
神楽はベッドに転がって本を読んでいる。
「えと…体育会系は苦手で…」
「あぁ、前に聞いたな」
彼女のぼやっとした質問は、いつもならここで終わるのだが…。
「あのさ、体育会系がダメっていうのは…人間関係とか?」
興味のある顔がこちらを向いている。
…宿題、させてもらえそうにないな。
「人間関係…それもあるけど、いろんな意味で」
うまく説明できないのはいつものことだ。
「ふうん…」
「…でも、先輩後輩みたいなのは少し憧れるかもしれない」
「え?そうなんだ!?」
意外だったのか、興味を煽ったのか…彼女の目が一段と輝く。
「私、兄弟いないから」
「あ〜、妹欲しいのか?…それか可愛い後輩」
…そうだな…可愛い後輩か…。
「おい榊、何ぼーっとしてんだ?」
可愛い後輩…。
「榊!」
「えっ?あぁ…」
体育会系じゃなくてもいいから部活すればよかったかなぁ…。
609名無しさん@秘密の花園:2007/05/29(火) 00:58:13 ID:prxIJW2v
「どうしたんだよ榊ぃー。…あ」
やっと意識を戻した私をよそに、彼女は何かを思い付いたようだ。
可愛らしい笑顔に悪戯っぽさが加わり、こちらを見つめている。
「とりゃ!」
威勢のいい声とともにベッドから立ち上がると、そのままの勢いで私の胸に飛込んできた。
「榊せんぱぁい!」
驚く私を尻目に、彼女は小さく叫んだ。
背中に手を回して、胸に頬をすり寄せてくる。
「いつもかっこいい先輩、大好きですよ!」
「…」
「…どう?」
…宿題は明日にしよう。
「えへへ…やっとこっち向いてくれた」
見上げる笑顔は、私だけのものだ。
…もっと早く独り占めすればよかった。
「榊…?」
610名無しさん@秘密の花園:2007/05/29(火) 00:59:26 ID:prxIJW2v
「何?」
彼女は私の胸に顔を埋め、できるだけ体をくっつけようと身をよじらせる。
「私ね、背の高い榊が羨ましかったんだ。…泳ぐのも有利だし」
私たちがこういう関係になる前から、ずっと言っていたこと。
「でも、最近ちょっとだけ…ちっちゃくて良かったと思うことがあるんだ」
「…?」

「榊に抱き締めてもらえる」

胸に埋まった頭からは、真っ赤に染まった耳だけが覗いていた。

「こうやって甘えてるときが一番幸せだよ」
いつもは恥ずかしがって黙りこむ彼女が、今日は珍しく饒舌だ。
「暖かくてさ…」
髪を撫でてやると、神楽は猫のように首を動かす。
私はこの仕草が大好きだった。
611名無しさん@秘密の花園:2007/05/29(火) 01:00:25 ID:prxIJW2v
「…そうだ」
うっとりする私をよそに、彼女はまた何か思い付いたようだ。
ずるずると体を離すと、満足そうに笑いかけ…
「ほら…どう?」
私の頭をふわりと抱きかかえた。
「暖かいだろ…?」
「…うん」
愛らしい笑顔とは裏腹な、発育のいい胸の感触が伝わってくる。
暖かくて・・・安心できるような、そんな気分。
神楽の言う暖かさっていうのは…こういうことか…。
「よしよし。…こうしてると、榊も結構可愛いな」
撫でられた私は、猫みたいに頭を動かして神楽に抱きついていた。
「神楽は…部活ではいい先輩なんだろうな」
「え?」
「だってこんなに暖かい」
自分でも良くわからない理論に、神楽からも苦笑が漏れる。
ただ、上に立つものに求められるは安心や信頼や包容力を…今、彼女に感じた。

…でも、
「でも、私といるときは…」
そう。
私といるときくらいは。
「甘えればいい」
可愛い神楽でいてくれればいい。

立ち上がって抱きしめると、彼女は素直に私に体を預けてくれた。

彼女が首筋に腕を回して、めいっぱい背伸びをしたら…。
それは、キスの合図。
逆らうことのできない、甘い合図。
《おわり》
612名無しさん@秘密の花園:2007/05/29(火) 08:12:06 ID:vhULH8XP
すっごいツボなさかぐらで萌えまくった!!
何だかんだでやっぱり榊さんが甘えさせる立場なんだな
613名無しさん@秘密の花園:2007/05/29(火) 21:22:30 ID:EJ0CmcW1
バカップルめ!
614名無しさん@秘密の花園:2007/05/30(水) 02:12:05 ID:FasAn/dS

やっぱりさかぐら至上な自分にはたまりませんなあ。
「榊せんぱーい!」とか、本当に神楽がやりそうですからね。
GJです。

カップリングを問わず書ける能力、私も身につけたいです。
==========================================================

私は神楽と一緒に走っている。
ただひたすら一言もしゃべらずに、音もなくひっそりとした夜道を走り続ける。
忙しい勉強で動かせなくなっている体を慣らすのには最適だ。
体育会系が嫌いでも、運動することは悪くない。
健康のためには、どんな時でも怠けず、適度に汗をかく必要がある。

それに、神楽の一生懸命な姿をずっと見ていられるんだから、とても幸せなものだ。
鍛えられた体を磨き上げ、自分を先へと突き進める努力に共感するとともに、
変な話だけれど、彼女のかわいさと美しさに惹かれてしまう。
全身から発散される熱が、言い表せないほどに不思議な感情を呼び起こす。

ジョギングが普段の生活で一番集中していられる時だと、神楽はいつも言う。
目標が見えるからこそ、長い道を単調に走っていられるんだそうだ。
何十、何百メートル先を真っ直ぐ見つめて走る彼女を見ていると、本当によく分かる。

神楽は今、何も考えずに、自分自身を突破するために足を先に向かわせている。
こんな時に、彼女の口から漏れる吐息に魅力を感じてはいけない。
そう知っていても、速い間隔で繰り返される呼吸に、私の胸は高鳴らずにはいられない。
長く走るのには当然大量の酸素が必要だ、それだけなんだ。
彼女の喘ぎが、あの時の、体を重ね合わせる時のものに似ていると感じても。
私は雑念を捨てなければならない。
自分自身の奥底からあふれ出る感情、ひとことで言えば「かわいい」という思いが頭をよぎっても。
私はただ、この時ばかりはあの子の側にいる以上のことをしてはならない。
615名無しさん@秘密の花園:2007/05/30(水) 02:14:16 ID:FasAn/dS

あの子は時々、私に対して、宝の持ち腐れだとつぶやく。
互いに感情を分かち合うまで、何が宝なのだろうかと疑問に思っていた。
他人から羨まれていたとしても、自分が望まなければただの飾りに過ぎないだろう、と。
今は違う。
私のこの体が、この思いが、この存在が、すべてが彼女に望まれている。
理解されずに生きてきた十数年が、幸せに満たされるようになった。
あの子が宝だと思っているなら、私の体を欲しいと言うなら、いつでも分けてあげたい。
代わりに、彼女のすべてを、私が受け取りたい。
―― 神楽が愛してくれるなら、この大きいだけの体でも構わない。

何キロかを走り終えて、二十センチくらい下にあるあの子の顔に目を向ける。
一面に薄い汗が流れ、喘ぎはさっきよりも一段と激しくなっていた。
神楽が私を見上げても、大体同じように感じるのだろう。
でも、自分のように、かわいさやあの類の欲求を覚えてしまうほど汚れてはいないはず。
「ふぅ、終わったぜ」
「……うん」
達成感にあふれた表情を眺めていると、私も喜びを共有したくなる。
長距離はそこまで慣れていないから、同じペースを保つことに苦労する時もあるけれど、
この瞬間があるからこそ、ずっと走っていられる。
何ヶ月か続けてきて、だんだんと安定した速さを得られるようになってきた。
「あの。 帰ったら、何しようか」
「私はなんでもいいぜ」
「何でも……」
「ああ」
「本当、に?」
「いいけど」
私が次の言葉を口にした時、神楽はどう反応するだろうか。
今までは、二人で家にたどり着いた後になんとなく誘っていたから、まあ驚くとは思う。
616名無しさん@秘密の花園:2007/05/30(水) 02:32:38 ID:FasAn/dS

「ええ、と。 体も、熱いし」
「ん、まあ」
「思い切って、その。 ……して、みないか?」
「して、って……ま、まさか、帰ってすぐにやろうってのか!」
「うん」
「へ、変態だな! 榊は」
言い方はきつくても、態度ですぐに答えが分かる。
暗くても見えるほどに顔が赤くなっているのは、運動の直後だから、ということだけではないはず。

「そんなに、言われたらよ、私も……なんだか、熱くなってきちまった」
「良かった」
「おい、笑うなよな。 まったく」
「……笑ってる?」
「笑ってるぜ。 ずっと付き合ってんだからよ、バカでガサツな私でも気づくぜ?」

ようやく、人に対しても笑えるようになったんだな。
もしかしたら、神楽にしか見せることのできない笑顔かもしれないけれど。
別に構わない、だって、神楽さえいれば十分なんだから。

「ありがとう」
「何だ、いきなりだな」
「……ありがとう」
「まだ笑ってんのか? 榊がそういう顔してくれるのはすごくうれしいけど」
―― ありがとう、私と一緒にいてくれて。
今直接言うのは恥ずかしいから、帰った後……体を交わす時に、私の気持ちを伝えるよ。

ありがとう、毎日、君と過ごせることに。

(おわり)

617名無しさん@秘密の花園:2007/05/30(水) 02:43:21 ID:FasAn/dS
呼称対応表


     (呼ばれる人)

     ちよ     よみ     とも     大阪    榊     神楽
ちよ   \     よみさん   ともちゃん 大阪さん  榊さん   神楽さん
よみ ちよちゃん   \      とも     大阪     榊     神楽?
とも    〃      よみ      \     大阪   榊ちゃん   神楽
大阪   〃    よみちゃん ともちゃん   \   榊ちゃん  神楽ちゃん
榊     〃       ―      ―      ―     \    (神楽)
神楽   〃     よみ?    とも     大阪    榊     \

(呼ぶ人)


ちよちゃん:全員からちゃん付け。
大阪:全員にちゃん付け。
榊さん:
・ちよちゃん(と動物たち)以外、名前で呼ばない。 「神楽」と言ったのは多分アニメでの一回だけ。
・初期は神楽以外「榊さん」と呼んでいた。

よみと神楽:意外なことに、それぞれ名前を呼んでいる場面が見つからない。
618名無しさん@秘密の花園:2007/05/30(水) 05:14:06 ID:IeSJ8wmq
よみは人見知りする面がどこかにあるんじゃないか。
別に神楽と仲が悪いというわけではなくて、
そういう性格の面が表れてしまったと。
619名無しさん@秘密の花園:2007/05/30(水) 08:40:06 ID:cog/Nl5K
よみともは、“お前”ってよく言ってる
この二人やさかぐらは名前呼び合ってるだけでも萌えてしまうから困る
620名無しさん@秘密の花園:2007/05/30(水) 09:07:25 ID:yljwsKj+
神楽だけに見せる榊さんの笑顔、ってのがすごくイイ
作り手の愛が伝わってきて、俺も朝から活力もらいました
621名無しさん@秘密の花園:2007/05/31(木) 01:36:38 ID:vWM4VMeG
>>614
スポーツ少女二人はやっぱたまらんです。
榊さんがエロいんですよねー。
でも神楽さんもそれに応えちゃうんですよねー。
思いっきりストライク!!
萌え死ぬ


投下しますー
>>585の別バージョンということで。
シチュの使いまわしで申し訳ないですが、カップリング変更です。
エロ?いかな…?
622名無しさん@秘密の花園:2007/05/31(木) 01:37:21 ID:vWM4VMeG
「じゃあ先行っとるわー」
そう言って大阪はお風呂場へ行ってしまった。
私も早く用意して…と。

ちよちゃんちの別荘に来るのはこれが2回目だ。
去年のこともあって、だいたいのことは把握している。
お風呂場はこの廊下の突き当たりで…確かそれほど大きなものではない。
それでも、一年に何回かしか使わない別荘にしては豪華なものだ。
二人ぐらいなら余裕で同時に入れる広さだったと思う。
623名無しさん@秘密の花園:2007/05/31(木) 01:38:39 ID:vWM4VMeG
「大阪ー」
一応声をかけてみる。
「はーい」
風呂場に反響した、元気のいい返事が返ってきた。
小さめのタオルを一枚持って、体重計は…乗っておこうかな。
後で計ってどれくらい減るか計算しよっと。
…。
…増えてる。
なんでだよ…。
畜生…、今日遊んだぐらいじゃ落ちないのか…?
あ〜、なんか入るの嫌だなぁ…。
大阪なら何も言わないと思うけど…。
っていうか、ちょっと増えたぐらいで見た目には影響しないだろ!
大丈夫、気付かない…気付かない…。
「入るぞー」
扉をガラガラと開くと、湯船の端でとろけている大阪の姿が見えた。
「ええ湯やー」
私もとっとと体洗って、湯船で温まろう。
汗を…とにかく汗をかけばいくらかは体重も減るだろう。

二つある蛇口のうち、奥の方には、大阪のものと思われるタオルが置いてあった。
「これお前のか?」
「ん?…うん?」
聞いてんのかよ…。
まぁ、手前のを使えばいいか。
624名無しさん@秘密の花園:2007/05/31(木) 01:39:37 ID:vWM4VMeG
一日中砂浜で遊んだ体は、思ったよりも砂っぽくて気持悪かった。
特に髪はよく洗わないと…痛んでるかもしれないし。
確かシャンプーとリンスは置いてあったと思うんだけど…お。
「…うちのと一緒だ」
鏡の前に備え付けられたそれらは、私が普段使っているものと同じだった。
「お、私んちもそれやで〜」
私の独り言に反応して、後ろから声がかかる。
振り向くと、端にもたれていたはずの大阪は、いつのまにか私の真後ろに移動してきていた。
「えへへ」
湯船のへりに両腕で頬杖をついて笑っている。
大きな瞳から注がれる視線は、確実に私の背中を捉えていた。
「ええ眺めやなー」
響きわたる細い声は、冗談にしては柔らかい。
昼間散々水着姿を見られて、恥ずかしがる必要はないんだけど…
「…オヤジかよ」
変に意識してしまった私は、鏡に向かってそう返すのが精一杯だった。
やりにくいな…。
妙な静寂の中、大阪の悪戯っぽい笑い声だけが小さく響いていた。
625名無しさん@秘密の花園:2007/05/31(木) 01:40:49 ID:vWM4VMeG
私は最近、こいつは計算してボケてるんじゃないかと思うことがある。
天然なのは間違いないし、彼女のボケのほとんどは天然ボケだろう。
しかし、まれにだが、わざとおかしなことを言って、困っている私達を見て面白がっていることがあるように思う。
今のもその類ではないだろうか…。
試しに聞いてみるか…?

「…大阪、お前わかってやってるだろ」
…。
「へへ…。バレた?」
意外にもあっさりといい放ったその一言とともに、後ろで彼女が立ち上がる音がした。
「背中、流したろうか?」
私の横にちょこんとしゃがんだ彼女の手には、さっきまで隣の蛇口に置いてあったタオルが握られている。
「…なんなんだよ」
呆れる私を覗きこむ笑顔は、いつもと変わらない。
ただ、薄く紅い唇が、彼女の発する言葉にあわせて鮮やかに輝いた。
「よみちゃん、綺麗やから」
思いもよらない一言に、私は何かに縛られたかのように動けなくなった。
愛くるしい笑顔の中で、大きく開かれた瞳だけが真剣な光を帯ている。
その瞳を見つめていると、呼吸ができなくなりそうで…。
さしのべられた腕に抵抗できずに体を預ける私を、彼女は膝を立てて横から優しく抱いてくれた。
「綺麗やなぁ…。綺麗で、暖かくて、可愛くて…柔らかい」
笑いを含んだ声が耳元で聞こえる。
「や、柔らかいって…、ひぁっ!」
抗議する私の耳に、温かくざらざらしたものが触れた。
626名無しさん@秘密の花園:2007/05/31(木) 01:41:52 ID:vWM4VMeG
「みみもやらかひ」
唇に耳たぶを含んだまま話す彼女の息と、腕に押し付けられる小さな膨らみに冷静さを保っていられるはずもない。
体を捻り声を出し、なんとか彼女を引き剥がそうとするが、
「んふふ」
私を抱きとめる腕は、普段の彼女からは想像できないほど力強かった。
「あぅ…やめ…」
嫌がれば嫌がるほど、彼女は唇を強く噛む。
…いつしか私は、耳を這う舌の感触に震えながら、彼女にしがみついて息を乱していた。
「…はぁ…あぁ…」
鏡の中の私は、虚ろな目で大阪に身を預けている。
最初横から私を襲っていたはずの彼女は、いつの間にか正面に回りこんできていた。
「ん、こっちばっかやったから…反対側もせなあかんよな」
やっと耳を解放してくれた彼女は、やはりいつもと変わらない笑顔だった。
潤った唇が艶かしい。
うっとりと見とれる私をよそに、彼女は体を入れ替え、今にも逆側の耳に食いつこうとしている。
「違…」
口を開いた彼女をなんとか止めると、私は涙目で彼女に訴えていた。
まだ耳たぶには舌の感触が残っている。
…このまま反対の耳まで責められて、正気を保つ自信はない。
それに…
「へへ、うそうそ。わかっとるで」
彼女には何かが伝わったのだろうか。
私がなんとか発した言葉に、彼女は満足そうな表情をうかべ、
「こっちやんね」
さっきから開いたままになっている唇に食いついた。
627名無しさん@秘密の花園:2007/05/31(木) 01:42:57 ID:vWM4VMeG
細い腕が私の首に巻きつき、真っ黒なショートカットからは、私の髪と同じ匂いがする。
私は目を閉じるのも忘れ、口内を動き回る短めの舌の感触に溺れた。

大阪…可愛い…。
こんな近くで…。
私も可愛いって言ってくれて…そんで…えっと…。

お風呂場には似合わない、ねばっこい音が響き渡る。
さっきまで責められていた私の耳は、その音さえも快感と受け取った。
「ん…」
塞がれた唇の中で彼女の舌に応えると、いやらしい音はその激しさを増す。

今誰か入ってきたらどうすんだろ…?
あぅ…大阪…の舌…。
まぁ、いいや…。
なんか変な味…。

頭の中で行き場がなくなった快感は指先へと伝わり、彼女の白い腕を強く握り締めていた。
「あ…っぁ」
それでも彼女の舌は動きを緩めず、さらに増した快感は全身を駆け巡り…
真っ白になった頭の中に、追い討ちをかけるように集まった。


体に力が入らない。
私…髪、洗ったっけ?
ぼやけた視界には、黒髪の少女が見慣れた笑顔で映っていた。

「よみちゃん、舌もやらかいんやな」
耳元で囁かれた声に私の体がびくんと反応したのを、彼女は嬉しそうに見下ろしていた。
《おわり》
628名無しさん@秘密の花園:2007/05/31(木) 02:29:07 ID:QUyQFs1S
大阪攻めとは珍しい
629名無しさん@秘密の花園:2007/05/31(木) 05:40:12 ID:gDZqnRHD
なにぃこれで終わりだと?!
つ・づ・き!つ・づ?き!
630名無しさん@秘密の花園:2007/06/01(金) 04:37:45 ID:zfPi0Qw1
大阪は受攻自在である
631名無しさん@秘密の花園:2007/06/01(金) 04:41:04 ID:bqvpxJA0
大阪攻めは意外に多い
632名無しさん@秘密の花園:2007/06/01(金) 22:39:08 ID:wCj4BDlK
感想ありがとうございます。
お風呂ネタは妄想しやすいです。
あと、自分的には大阪攻めというよりは、よみ受け確定なのでこの形にしました。

>>490のまとめwikiにある私のSSにタイトルをつけたいのですが
勝手にやっちゃっていいんでしょうか?
どんなのがあるか整理したくなりまして…。


よみともいきます。
633名無しさん@秘密の花園:2007/06/01(金) 22:39:49 ID:wCj4BDlK
「あつー」
まだ七月だというのにこの暑さは何だろう。
「クーラーないの?」
「ない」
学生用の狭いアパートに人が二人もいればそれだけで気温が上がるわけだが…。
唯一の涼みは、小さめの扇風機から送られる生暖かい風だけだ。
氷でも舐めていたほうがよっぽどマシな気がする。
「うぇ〜…」
壊れたクーラー、風通しの悪い窓、地球温暖化。
暑苦しい原因はいろいろあるにせよ、一番問題なのは…。
「お前がくっついてるからだろ」
「え?」
私の太股の上に座り、べったりともたれかかった智は、とくに悪びれる様子もなさそうに振り向いた。
「なんだよ、どっかいけって言うのか?」
明らかに不満そうな彼女の顔には、汗が粒になって流れている。
「そうじゃないけどさ…。ほら、顔拭けよ」
さっきしぼってきた濡れタオルは、既にその心地よい冷たさを失っている。
智はむすっとした表情を崩さずに、無言でそれを受け取った。
ぐしぐしと顔や腕を拭いて、水分が飽和したタオルを私によこすと、
「じゃあさ、私が離れたら涼しくなんの?」
少しぶっきらぼうに言い放った。
「そりゃまぁ…」
彼女の不満の矛先がどこに向いているかわからない。
よし、と言って立ち上がる智を、私はぽかんと見上げることしかできなかった。
634名無しさん@秘密の花園:2007/06/01(金) 22:40:59 ID:wCj4BDlK
外からは蝉の鳴き声が聞こえる。
鳴りやまない騒音が、蒸し暑さに拍車をかけていた。
蝉って夕方には鳴きやむんだっけ…?
えと…アブラゼミ?

智が離れたことで、私はだいぶ涼しくなった。
彼女はフローリングの上で、麦茶を飲みながら携帯をいじっている。
この隙にシャワーでも浴びようかな。
「智、夕飯何がいい?」
「そーめん」
振り向かずに即答したところを見ると、反論は受け付けてくれなさそうだ。
まぁいいか、茹でるだけだし。
麺は前もらったやつがあったはずだし…、麺つゆは…あったと思うけど一応確認しとくか。

扉を開け放っているとはいえ、人がいない分台所は少し涼しかった。
特に床がひやっとして気持ちいい。
独り暮らし用の冷蔵庫を開けると、たくさんの飲み物と一緒に新品のめんつゆが一本。
よし、じゃあ今日はそうめんで決定っと。
「めんつゆあったよ」
リビングに戻ると、智は大の字になってフローリングに寝そべっていた。
635名無しさん@秘密の花園:2007/06/01(金) 22:42:44 ID:wCj4BDlK
「寒い」
がばと体を起こすと、智はこちらを向いてつぶやいた。
「え?」
「寒い寒い!」
さっき拭いたばかりの額に汗をにじませながら、唇を尖らせている。
「なんだよ・・・?寒い?」
再びベッドにもたれる私を首で追いながら、彼女は続けた。
「よみと離れても体は暑いままだけどさ…、寂しくなった」
反転させた体にあわせて四つんばいになると、じりじりとこちらに擦り寄ってくる。
胸元から下着が見えそうで、私は少し視線を外した。
「だから、心が寒い」
不服そうな顔を真っ赤に染めてつぶやくと、この暑い部屋には似つかぬロマンチックな雰囲気が私を包む。
いつもは大雑把な彼女がこんなことをいう時、
「しゃーない。…おいで」
私は淡白に答えることしかできない。
ずるずると太股の上に乗る彼女に、私は後ろから思いっきり体重を預けた。
腕を回して抱きしめると…、智の言うとおり。
暑いじゃなくて、温かい。
「よみ、ちゅー。しろ」
生暖かい吐息を重ねると、智の体が一瞬だけぶるっと震えた。

ムードを知らないアブラゼミが、まだ窓の外で鳴いている。
《おわり》
636名無しさん@秘密の花園:2007/06/01(金) 23:07:34 ID:fQzOBoby
甘々ですなぁ!(*´Д`)
智のワガママも甘えも全て受け止める暦。いいなぁ。
637名無しさん@秘密の花園:2007/06/01(金) 23:25:30 ID:DHn+Ztd0
今日もGJです

麺つゆとかアブラゼミとか、そういう具体的な描写がユリビドーを増幅させてくれます。
よみともは日常感があふれ出ていて、甘いです。
638名無しさん@秘密の花園:2007/06/02(土) 03:13:54 ID:yvnmrPzr
よみともは原作でも接点が多いから、妄想もやりやすくていいねぇ
639名無しさん@秘密の花園:2007/06/02(土) 20:21:33 ID:UeITOn88
極上の料理に蜂蜜をぶちまけるが如きSS。ごちそうさまでした。
640名無しさん@秘密の花園:2007/06/03(日) 17:22:41 ID:gQYeeTuy
よみともGJ

賑わわんなー
SS投下の頻度に対して閲覧者が少ないんだろか
こういうスレは書き込んでこそだろ
641名無しさん@秘密の花園:2007/06/03(日) 18:24:51 ID:b014cvrW
【日中韓朝】 女神プロジェクトって? 【済州島】
http://society6.2ch.net/test/read.cgi/korea/1175889512/l50
642名無しさん@秘密の花園:2007/06/03(日) 19:17:56 ID:dLOl5ogK
女神よりレズばばあの方がいいぞ
643名無しさん@秘密の花園:2007/06/03(日) 21:54:47 ID:lf5k8FxE
感想ありがとうございます。
やっぱり皆さん甘いのがすきなんですね。
私もですが。

あと、タイトルつけてきました。
識別のための簡単なものですが、これからもつけてきたいと思います。
>>633は“アブラゼミ”です。
ひねりが無いのは許してください。

よみさかいきます。
難しい。
クドくなりました。
もっと自然な風景が書きたかったんですけど…クドい。
644プリムラ・ポリアンサ:2007/06/03(日) 21:56:22 ID:lf5k8FxE
薄暗い部屋の原因は、閉めきったカーテンのせいだろうか。
昨日までの暑さが嘘のような涼しい土曜日。
風だけが通り抜ける昼過ぎの静かな空間は、二人で占領するには少し広すぎるのだろう。
彼女達は、モノクロの部屋に彩りを加えるかのように、寄り添って座っていた。
「水原?」
肩にもたれかかって目を閉じる少女は、呼ばれた方を向かずに瞼を上げる。
「…何?」
「あの花は…?初めて見た」
視線の先には、黒い小さな花瓶にささった桃色の花があった。
小さな花が集まって、丸い、可愛らしい花房をつくっている。
無機質な家具に囲まれ、棚の上で異彩を放つその花を見て、部屋の主は不思議そうな顔をしていた。
「誕生日にもらったんだ。…何ていったかな?」
何か他に気になることがあるのか、それとも本気で忘れてしまったのか…。
少女の瞳はどこか宙を見ている。
「忘れちゃった……。それより、」
ぐっと腕を引くと、何かを思い出したように不機嫌そうな顔を上に向ける。
「水原じゃなくて…」
「こよみ」
遮るように言い直すところをみると、今までも何度か同じことを言われたのだろう。
こよみと呼ばれた少女は、訂正に満足したのか、再び目を閉じてゆっくりと息をはいた。

背中を覆う黒と栗色の長髪は、二人が近付くにつれ絡み合い、その境界線を曖昧にする。
交わりあった部分は、どちらのものともとれない、淡い、優しい色をしていた。
645プリムラ・ポリアンサ:2007/06/03(日) 21:57:10 ID:lf5k8FxE
彼女達は、暇さえあればお互いの部屋でこうして過ごしている。
外で遊ぶことを嫌がっているわけではないが、今はこうして体温を感じ合うことが喜びだった。
「榊」
自分を姓で呼ばれることに抗議した少女は、それを忘れたのだろうか。
違和感なく彼女に名字で呼び掛けた。
…ただ、言われた榊も不満を見せるそぶりは無い。
暦に抱きつかれているのとは反対側の手で彼女の頬をそっと覆う。
薄赤く染まった少女の肌に、細く長い指が触れた瞬間、二人の間を青い風が通り抜けた。
桃色の花房は首を傾げるように揺れ、それを横目で見る榊の前髪もふわりと乱れる。
「…髪」
暦はなびいたカーテンから射す光に、少し眩しそうに目を細めると、榊の額にかかる髪を指先で撫でた。
一方は額へ、一方は頬へ…、少女達の間でお互いの白い腕が交差している。
「よそ見してんじゃねぇよ」
花へと向けられた視線に冗談ぽく囁きかけると、少女はその腕を榊の首の後ろへと回した。
646プリムラ・ポリアンサ:2007/06/03(日) 21:58:03 ID:lf5k8FxE
暦は榊と二人でいるときの、そのうっとりとするようなお洒落な雰囲気が好きだった。
彼女が自分のことをどう思っているか、口に出すことはほとんどない。
ただ、好きという言葉に乗せることができる愛情などたかがしれている…
彼女の笑顔が、指先が、唇が、自分に向いているだけで充分…
そんな歯が浮くような台詞さえも、今の暦には物足りない。
愛しい人と肌が触れているという事実が、彼女にとって全てだった。

そよ風の中で、二人の少女は寄り添ったまま動かない。
なびく髪の先だけが、この部屋の時が止まってはいないことを知らせていた。

「あ、思い出した」
肩越しに囁いた暦は、やけに嬉しそうな顔をしている。
「花の名前?」
「ううん…花言葉」
榊を抱き締める腕の力を緩め、うふっと笑う。
「いや、やっぱ教えない!」
擦り寄せた頬に幸せの色を浮かべる少女の隣で、小さな花が揺れている。

《おわり》
647名無しさん@秘密の花園:2007/06/03(日) 22:33:27 ID:KjAzvhJo
>>643 GJですっ!

タイトルがうまく文章を引き立てていることと、
榊さんに花が似合うと改めて確認できたことが嬉しいです。

私よりもはるかに投下頻度が高く、心惹かれる文章を書いていると思います。
精進したいです。
648それぞれのはじめて、大阪篇:2007/06/04(月) 00:54:03 ID:HVen7QYT
感想は>>637>>647で申し上げたので、ここでは割愛させていただきます。
申し訳ありません。

あゆちよ前段階、大阪片想い投下します。
======================================================

今日な、いつも通りちよちゃんと帰ったんや。
ほんでな、私、なんとなく、なんとなーくやで、言うてみたんよ。
「みんなって、彼氏おらんのかな」
まだ子供のちよちゃんに聞いても、知らんもんは知らんやろうけど、
私っておつむがしっかりせえへんからな、聞いてしもうたんや、つい。
「みんな?」
「あの、よみちゃんとか榊ちゃんとか」
ちよちゃんはまだ汚れとらんから、迷わずにこう答えおった。
「いるかもしれませんけど、ちゃんとした人たちですから。
 みんないつかは結婚して、幸せな家庭を築くんでしょうね」
せや、結婚や。
彼氏、語尾は上げても上げんでもええ、彼氏ってのは、
将来結婚するためにあるんやな。
「家庭かー、ほんなら、私もちよちゃんと一緒に……」
あれ、なんや?
今、おつむのどっから来よったか知らんことを口走った気がするわ。
「私ですか?」
あかん、ちよちゃん、あからさまにおかしな顔しとる。
「なんでもあらへん」
私が首を横に揺らしてもな、ちよちゃんのきれいな目ん玉はずっとこっちを見ておった。

649それぞれのはじめて、大阪篇:2007/06/04(月) 00:55:24 ID:HVen7QYT
全くいらん話をしてもうたわ、しゃあない、話題変えよ。
こういう時こそ、もっとしっかりせえへんとあかんのになあ。
「ちよちゃんは、好きな人おるの?」
あんまし変わってへんなあ、そう気づきよっても、もう遅かったんや。
「分かりません」
せやな、子供やからな、普通は分からんよ、当たり前やがな。
「ほな、た……タイプとか、あるんか?」
ちよちゃんは人差し指をあごに当てて、ちょっと考え事をしとったわ。
ほんで、しばらくして返ってきた答えがこれや。
「うーん。 そうですね、しっかりした、大人らしい人がいいですかね」

あかん、これはあかん!
ボケた私にとっては何となく、別にちよちゃんに好きになってもろーたりとか思うてへんけど、
雷さんにへそを取られるくらい痛い気分がするわ。
「ほ、ほんならや。 しっかりした、しっかりした、大人っぽいタイプの人間ってのを挙げてみぃ」
「大阪さん、どうしたんですか? 不安な事でもあったんですか」
ああ、あかん。
しっかりしておりたいのにちよちゃんに心配されるとか、ほんまもんのアホやわ。
「ええよ、ええ、気にせんでええよ、あの、え、あのな」
表現に使える言葉が足りひん。
今、私の中にぐるぐると巡り巡っておるこの感情ってもん……なんやろう。
「大人らしい、ですか。
 あ、すぐに思い浮かぶのは……」

ちよちゃんが次に出しよったのは、榊ちゃんの名前やった。
私が狙っとる人、ちゃうで、別にああいう意味で、
かおりちゃんみたいな意味で狙っとるんやない。
それやったら、私はちよちゃんを狙って、あ、間違うた。
また変な思考回路が組み込まれおったわ。
私の頭は、中身は空っぽやけど、ぐっちゃぐちゃに混乱しとった。
しっかりした人、大人らしい人、二つの言葉がずっと残っとってな、
どっちにも当てはまらん自分に、あかんって心の中で叱り付けたりしてみた。
650それぞれのはじめて、大阪篇:2007/06/04(月) 00:56:50 ID:HVen7QYT
ちよちゃんはついでにもう一発、追い討ちをかけてきたんや。
「榊さん、大事な時に優しく守ってくれますから」
「そ、そんな仲になっとったんか!」
「はい? そんな仲、って……それはまあ、友達ですから、ねえ」
さっきから私の考えがおかしくなっとんのは、きっと頭のネジが全部飛んでもうたからなんやね。
冷静にならんと、冷静に。
「あはは、せやな」
「大阪さんは?」

今度はちよちゃんの方から、不意打ちや。
私の好きな人、誰やろう。
そう思うたら、いつの間にかちよちゃんの方に目が行っとった。
なして? どないして?
今日の自分、夢の中におるんちゃうかな。
ちよちゃんは私とおんなじ女の子、しかもほんまなら同級生やない、小学生か中学生かそんくらいや。
これって、いわゆる……ロリコン、ってもんやないか。
よくニュースとかでおっちゃんが捕まっとる、あれや!
怖ぁ、まさか、私も犯罪者になってまうのん?
「大阪さん、おーさかさーん」
「え、な、なんや?」
動揺を止めきれん私は、何を聞かれたのかすっかり忘れておった。

「大阪さんの好きな人は誰ですか、答えてください」
ああ、なるほど、話はまだ続きやったな、でも、あかんわ。
「……教えへんで」
理由は聞かんといて、と心の中で付け加えながら、私はちよちゃんに言うたんや。
「ずるいですよ、私のだけ聞いて」
「ちよちゃんにはおらんのやろ? 私もおらんってことでええ」
この場は平和に済ませんとな。
ともちゃんみたいなんと違って、これ以上問い詰めたりはせえへんやろ。
「あの、それって。 ……いる、ってことですよね」
651それぞれのはじめて、大阪篇:2007/06/04(月) 00:58:35 ID:HVen7QYT

「へ、なして、なんでや」
「本当にいないんだったら、すぐにいないって言いますから」
私は、まったく、自分のアホさに絶望したわ。
ほんまにその通りや、最初からおらんって言うておけばええのに。
しゃあない、もう教えたる。
「ヒントだけ、な?」
「別にそれでもいいですから、教えてください」

くだらん冗談を楽しむように笑っとったちよちゃんが、
「ちいちゃくて、かわいくてな、しっかりとした……すぐ近くにいる、女の子」
この瞬間に、真ん丸の目を見開いて、驚いた顔をしよった。
あかん。
今日、ちよちゃんが好きだと初めて気づいて。
一時間もせんうちに、正直な気持ちを伝えることになったわ。
そう思うたんやけど。
「へえ、やっぱり大阪さんはすごいですね」
……あっけなく受け流されとるね、私。
「でも、私が聞いてるのは、好きな男の人の話ですよ」
せやな、やっぱり好きな人は男の子であらんとダメなんやろうなあ。
やっぱし、女の子はあかんのかなあ。
652それぞれのはじめて、大阪篇:2007/06/04(月) 01:00:30 ID:HVen7QYT

ようやく分かったで。
私は、改めて、しっかりせなあかん。
ちよちゃんは絶対に私のことを友達としか思うとらんけど、
しっかりとした人が好きやって言うんなら、ちよちゃんの望むようにならんと。
「大阪さん、いるんですか」
それにしても、なしてちよちゃんを好きになったんやろ。
かわええからかな、純粋やからかな、いつも一緒におるからかな、よくよく考えると分からへん。
今は、ちよちゃんやから、としか言えんわ。
「おおさかさん?」
「おらんよ」
「本当ですか?」
「今は、おらんよ」
ちよちゃんは、女の子やもん。
「なあ、ちよちゃん」
「はい」
大切な、友達やもん。
「このまま、ちよちゃんちにお邪魔してもええかな」
「いいですよ。 いつでも開いてますから」
せやから、友達から、一緒の友達から始めても、ええやろ?
「あー、ほんま、ありがとな」
「そんな、お礼を頂く必要はありませんよ」
のろまな私の歩きが、ほんのちょっとだけ速くなったみたいやった。

私はしっかりせんとあかん。
そのためにも、ちよちゃんと、しっかりと仲良しになっていかんとな。
しっかり、しっかり。


(おわり)
653名無しさん@秘密の花園:2007/06/04(月) 03:01:02 ID:oBoaYRUI
654名無しさん@秘密の花園:2007/06/04(月) 10:52:39 ID:o/f6nflI
ワンクリ詐欺か
655名無しさん@秘密の花園:2007/06/04(月) 19:07:53 ID:xfKt4c8/
>>643
やっぱよみさかってお洒落っていうか、大人な雰囲気でイイ!

>>648
大阪の心の動きがよく描かれててGJでした!
次もっていうか、毎回期待して待ってます
656名無しさん@秘密の花園:2007/06/04(月) 21:20:30 ID:s1QBeJQu
にゃもちよが見たい。
657名無しさん@秘密の花園:2007/06/04(月) 22:05:54 ID:stiuu10C
>>648
ちよちゃんを違和感なく書くのは見事の一言ですね。
これは続きもんですかね?
だとしたら期待大


思いつく間にどんどん投下してしまおうと思います。
出し惜しみイクナイ
すごいバカ話ですが…。
658猫バカ:2007/06/04(月) 22:08:49 ID:stiuu10C
大阪「あ、榊ちゃんと神楽ちゃん。おはよ〜」
榊 「おはよう」
神楽「おはよ!盛り上がってんな!何の話?」
智 「動物占いって知ってる?あれの話でさー、みんなを動物に例えたら何だろうなーって」
神楽「あぁ」
大阪「なー、神楽ちゃん。私はなんやと思う?」
神楽「ん?えと…、羊…とか?」
大阪「羊?羊かぁ…榊ちゃんはどう思う?」
榊 「猫」
よみ「あー、大阪が猫ってのはわかるかもしれないな。よく寝るし、目が大きいし」
智 「そういうよみは牛だよなー。食べて寝て食べて寝て…」
よみ「…お前」
ちよ「まぁまぁ…、よみさんは大人っぽいしカッコいいから鷹なんてどうですか?」
よみ「鷹か…」
智 「目付きも怖いしな!」
よみ「余計なこと言うな」
659猫バカ:2007/06/04(月) 22:10:19 ID:stiuu10C
大阪「あ、でも猫は私より神楽ちゃんやないかな?」
榊 「…うんうん」
神楽「え?私?泳げるやつがいいな…」
大阪「かえるとか?」
神楽「いや、かえるはちょっと…」
大阪「ちよちゃんはちっこくて可愛いからウサギとかかなぁ?耳もあるし」
榊 「ちよちゃんは…猫だ」
大阪「え?そうかな?…ほんなら智ちゃんは、いたずら好きの猿」
よみ「あー」
智 「あーって何だよ!もっと可愛いのにしろよ!」
榊 「…猫とか?」
大阪「んで榊ちゃんが…」
よみ「いや、ちょっと待て。気になることがあるんだが…。榊」
榊 「?」
よみ「私は何だと思う?」
榊 「栗毛で気分屋の…猫」
よみ「…お前猫しか知らんのか…?」
榊 「え…でも…」
大阪「あ、でも全員猫やったら面白いかもしれん」
智 「私シャム猫がいい〜!」
神楽「お前は野良にしとけよ…」
智 「何ぃ!?」
ちよ「野良は種類じゃないですよ…」

榊 (ぜ…全員猫!?)
660猫バカ:2007/06/04(月) 22:11:27 ID:stiuu10C
智 「榊ちゃん、よみがいじめるにゃあ」
よみ「違う!智が私の毛糸玉を盗ったんだにゃ!」
智 「だって…よみが…」
榊 「こらこら、ケンカしちゃダメだよ。毛糸玉もうひとつあげるから…」
智 「やったにゃ!もーらい!」
よみ「あ、一個ずつだにゃ!」
大阪「…すー……すー…」
神楽「にゃあ、榊。勝負するにゃ」
榊 「…?」
神楽「水泳にするにゃ!」
榊 「猫は泳げないんじゃ…?」
神楽「え?…?」
ちよ「榊さーん」
榊 「うあ…」
ちよ「だっこしてくださいにゃ」
榊 「…うん…、いいよ」
智 「あ、ずるいにゃ!私もだっこ!」
よみ「私が先!」
大阪「ん…ふわ…榊ちゃん…」
神楽「私も!だっこ…」

だっこして…榊…にゃ…だっこ…榊ちゃん…
私も…だっこ…にゃあ…だっこして…
榊…榊ちゃん?…榊さーん?

大阪「榊ちゃん、どないしたん?」
ちよ「…大丈夫ですか?」
榊 「……ぐはっ!」
智 「榊ちゃん鼻血!!大丈夫?」
よみ「ティ…ティッシュ持ってこい!」

《おわり》
661名無しさん@秘密の花園:2007/06/05(火) 04:17:33 ID:YZnC3nm4
本編でもありそうな感じがw
662名無しさん@秘密の花園:2007/06/05(火) 21:38:53 ID:N/9AcosI
やはり
さかきは
むっつりだ
663名無しさん@秘密の花園:2007/06/05(火) 22:19:24 ID:IjaX/320
榊にはみんなが猫耳尻尾付きに見えてるんだな、モエス
664名無しさん@秘密の花園:2007/06/06(水) 20:24:07 ID:Oxx11/Im
自分は攻めに回りたいという無意識の表れだな。
榊の全員猫化妄想は。
665名無しさん@秘密の花園:2007/06/06(水) 22:10:01 ID:VbsX2g90
榊さんの場合、逆もありそうだな
自分だけ猫とか
666名無しさん@秘密の花園:2007/06/06(水) 22:17:47 ID:WFw6evpf
バカな話に感想ありがとうございます。
こんなのもたまにはいいかなと思ったり・・・


一転してシリアスなのいきます。
よみともで
667I loved you:2007/06/06(水) 22:18:44 ID:WFw6evpf
最近、暑い日が続いている。
新しい生活にも慣れ、自分以外の忙しさにも気が回るようになった初夏のある日。

私、水原暦の初恋は、失恋という形で終わりを告げようとしていた。



最初は友情の延長だった。
周りにいる友人の中で、とりわけ自分をわかってくれる人。
一緒にいれば楽しいし、いなければ寂しい。
冗談の限度も知っていて、喧嘩も時間が解決してくれる。
彼女の笑顔は私を癒してくれたし、私も彼女に向けて最高の笑顔を振り撒いた。
そんな関係。

いつだったか…ずっと小さい頃に、
「よみは私のこと好き?」
そんな風なことを聞かれたことがある。
「好きだよ!」
当たり前のように答えた。

幼馴染みという、半ば強制的に離れることができない環境で生まれた、当然の感情のはずだった。
668I loved you:2007/06/06(水) 22:19:34 ID:WFw6evpf
ある日、それは突然起きた。
いつもの教室…多分冬のことだった。
他愛もない、くだらない話が繰り広げられている。
「ばっかでー。何でそうなるんだよ」
「えー、わからへん」
普段と変わらない会話。
私はその片隅に…、
ふと違和感を感じた。
「よみも何か言ってやれよー」
「…」
「あれ?よみ?…どうしたの?」
「…っえ?あぁ」
彼女が私以外の人間に、あんなに楽しそうに笑いかけている…。
今まで当たり前だったことに、何故か胸が痛くなった。
「何ぼーっとしてんだよ」
向けられた笑顔に、私はその痛みの正体をとらえる。
「変なのー」

嫉妬だった。

あの笑顔は、私だけに向けられたものではなかった。
彼女を癒せるのは私だけではなかった。
何がきっかけになったのかはわからない。
ただ、自分の笑顔がひきつっていることに気付いて…
その胸の痛みが恋愛感情であると知るのに、そう時間はかからなかった。
669I loved you:2007/06/06(水) 22:20:55 ID:WFw6evpf
だいたい、恋はハードルが多いほど燃えるというが…。
なってみて初めて気付く。
そんな格言が全くアテにならないということに。

前に並べられたハードルはあまりに高く、多すぎた。
私はそれに挑む前に見上げ、ため息をつき、諦めた。
自分のエゴで彼女に迷惑はかけられないと言い聞かせ…諦めた。
いつかは忘れると信じて…諦めた。
諦めた…はずだった。
はずだったのに…、気付くと私はまたスタートラインに立っていた。
高くそびえるハードルを見つめ、ため息をつき、諦めた…ふりをしていた。
そうしているうちに手遅れになる日がくると…。
その時が本当に諦めるときだと決めていた。
670I loved you:2007/06/06(水) 22:21:34 ID:WFw6evpf
そして、私は彼女への想いを秘めたまま、違う道へ進むことを決めた。
彼女を追うことは一般的に考えても普通ではなかったし、何より自分自身がそれを許さなかった。

…それからの日々は信じられないほど忙しく、余裕が持てる頃には既に卒業式が近付いていた。

式はとても感動的なものだった。
いつも通りの日常が、今ここで終わるんだ、と…。
彼女との別れを度外視しても、忘れられない青春の一ページとして私の心に刻まれた。

…いい三年間だった。
欠けがえのない友人と、先生と。
進路も問題なく決まった。
…恋もした。
置いていくにはもったいない思い出に感謝して、私は母校に別れを告げた。


新しい生活は、忙しいなりにうまくいった。
独り暮らしに不自由することはなかったし、友達もできた。
置いてきたはずの恋は…、
時々くる彼女からのメールに後ろ髪引かれたが、なんとか踏ん切りはつきそうだった。

落ち着いた日常。
そんな中、それは突然訪れた。
671I loved you:2007/06/06(水) 22:23:30 ID:WFw6evpf


From:とも
Sub:(non title)
本文:
久しぶり!
いきなりですが重大発表があります


彼氏ができました!
どうだ!参ったか!

672I loved you:2007/06/06(水) 22:24:52 ID:WFw6evpf
いつも通りの蒸し暑い夜だった。
見たい番組もなく、借りてきたCDを聴いてまどろんでいたとき…。
そのメールはきた。

疑うことのできない現実。
私は、彼女への想いをふっ切れてなどいなかったことを思い知らされた。
震える手の中でぼんやりと光る画面が、だんだんとかすれていく。
私が越えられなったハードルが、今、スタートラインごと消えていっている。
後悔した。
悔しかった。
悲しかった。
そしてなにより、羨ましかった。
彼女に愛してもらえる知らない男が。

心臓が握り潰されるように痛み、息ができない。
倒れこんだベッドのシーツを両手で突かむと、おしゃれのために伸ばしはじめたツメが、痛かった。
673I loved you:2007/06/06(水) 22:26:36 ID:WFw6evpf
私、お前のことずっと好きだったんだ。

普通にしてたからわかんなかっただろ?

手ぇ繋いだり、隣り合って歩いてたとき、ドキドキしてた。

どうやって想いを伝えようかとかさ…悩んで。

そんなとこでまごまごしてたんだ。

バカみたいだろ?

でもさ、お前は彼氏とこれから…私が夢見て、想像してたこと、簡単にしちゃうんだろうな。

キスも、デートも、エッチなことも…。
674I loved you:2007/06/06(水) 22:27:23 ID:WFw6evpf
もう遅い。
この言葉を、これほど強く思ったことはない。
私の前からは、越えるべきハードルも、踏み出すべき一歩も、
心を痛める笑顔も、甘酸っぱい悩みも、全て消えていったのだから。

私にチャンスはないんだ。

胸の痛みは収まらなかった。
涙も止まらなかった。
この涙と一緒に彼女への想いが溢れ出ていけばいいのに。

私の嗚咽をかき消すように、CDから声が聞こえている。
美しく響く、女性のボーカルだった。
675I loved you (おわり):2007/06/06(水) 22:28:16 ID:WFw6evpf


From:よみ
Sub:Re:
本文:
お前に先を越されると思わなかったよ
大事にしろよ


おめでとう

676名無しさん@秘密の花園:2007/06/06(水) 22:32:36 ID:VbsX2g90
>>666-675 リアルタイムで拝見しました。

もう、あなたのことを神とお呼びしてもよろしいですか。

今までの最高作だと思います。
それしか言えません。

この後に何か投下するの、気恥ずかしいなあ……。
677名無しさん@秘密の花園:2007/06/07(木) 11:09:30 ID:rHJLDChR
悲恋もたまにはいいよね
678名無しさん@秘密の花園:2007/06/07(木) 12:47:42 ID:bWWr4Eqs
よみガンガレ!!と思わずにはいられない
679名無しさん@秘密の花園:2007/06/07(木) 16:12:49 ID:cYCnMcqE
(TДT)ウワァァァン
震える指で返事のメール打ったんだな・・よみ・・
680名無しさん@秘密の花園:2007/06/08(金) 19:08:03 ID:rt31ZDeg
そして「卒業」のワンシーンに繋がる
681名無しさん@秘密の花園:2007/06/09(土) 20:08:22 ID:MBWdF7ar
>>666-675
よみのキャラソンが脳内で再生されてしまった…
682666:2007/06/09(土) 22:45:51 ID:nXPARe8I
みなさん感想ありがとうございます。
ベタかなと思ったんですが好評で何よりです。

>>676
いやいや。
自分では前のほうに書いた、あゆともベーコン話が一番うまくできたと思ってるんですが…。
みなさんはどうなんでしょうかね?

>>681
あれは名曲ですよね。
カップリングが百合っぽいのがまた…。

こういういい評価いただくと、次に何書いていいか悩みますね
こっそりageます
683名無しさん@秘密の花園:2007/06/10(日) 22:57:54 ID:+aOm+Mk6
今回もGJでした!
次回はまたあゆともがいいです!
684名無しさん@秘密の花園:2007/06/10(日) 23:56:33 ID:oWsW8fws
さかぐらによるヴァレンタインでの神楽奮闘記とか
逆に榊さんの方がそういうイベント疎そうし
>>682 GJです。
>>676で妙なことを書いてしまってすみません。

かなり長くなります。続きは一週間より先になるかもしれません。
>>666の設定を少しばかり拝借しましたが、今回はさかぐらです。

====================================================================

私はいつもと同じように、自分の部屋にいた。
一人と一匹になってからは、並べられたぬいぐるみの数も減っている気がする。
最近では、二人と一匹になるような事もしばしばある。
今日もそうだ。
床に座り込んでいる彼女も、いつも通り床にあぐらをかいて座っていたのだ。

私はただ、神楽の話を聞いていた。
 「なあ。 それでさ」
ただ、首を縦に振って、時々鼻で軽い返事をするだけだった。
 「この話、聞いたか?
  ―― ともに、彼氏ができたんだとよ」
ただただ、耳から入った音声を受け流すように、青空を泳ぐ雲たちを窓から眺めていた。
 「おい、榊」
 「良かった」

高校を卒業してしまい、一番大切だった人たちと離れ離れになった。
その代わり、三年間、六人で培ってきた結束がどこかに消えてしまう前に、
ちよちゃんのお父さん、私はそう信じている、彼は、幸せの使い……マヤーを贈ってくれた。
たった今、私のひざの上で丸まっている。
 「……良かった」
 「なんだ、さっきからボケっとしてんな。 聞いてんのか?」
太陽が厚い雲を隔てて見え隠れする空と、天使の猫にそれぞれ視線を送りつつ、
私は聴覚の対象をなんとか神楽の方に向けていた。
 「気に、しないで」

お父さんが贈ってくれたのは、マヤーだけではない。
唯一、時間にかき消されずに友情を交わしあえる人間が、私の隣にいる。
対話能力がなく、存在感の薄い自分は、中学まで周囲に理解されることがなかった。
もし誰かと友達になれたとしても、その人は私を憐れみや好奇心の目で見ているだろうと思っていた。
 「榊、最近おかしいぞ」

神楽 ―― この子は違ったし、今も違う。
もちろん、ちよちゃんや他の四人も本当に大切な友達になってくれたのだけれど、
彼女は、何も主張できなかった私の心に、最初から思い切って足を踏み入れてくれた。
 「もしかして、お前も誰かとできてたりするんじゃないか?」
自分自身のコミュニケーション不足を動物への依存で解消していた私にとって、
高校で知り合った五人は、初めてまともに心を通わせることができた人間であった。
その中でも、神楽は一番積極的に私との距離を縮めてきた。
他愛もない会話と、彼女が仕掛けてくる単純な勝負を繰り返す中で、
いつしか、互いの家を、互いの部屋を知るようになった。
 「ホントさー。 スタイルぶっちぎりで、顔もキレイだし、カッコいいしな、モテるだろ?」
 「知らない」

彼女は私に対して、話に耳を傾けていないと苛立っているかもしれないけれど、
本当はしっかり聞いている。
頭の中で答えが整理できない、ただそれだけのこと。
 「おーい、榊よぉ。 さっきからマヤーばっかり見てんじゃねえか、たまにはこっち向けよな」
 「あの、……神楽。
  君は、誰かから……告白、されたこと、あるか」
彼女は、問いに対して長くのどをうならせ、目を泳がせていた。
 「ああ。 まあ、あるっちゃあるな。
  部活の後輩に多かったぜ。 文化祭の時とかにはナンパもあったし」
飾り気のない答えは、良く言えば純粋、悪く言えば愚直なこの子らしいものだった。

 「榊はどうなんだ?」
彼女の問いかけに応じて、数年間の記憶を呼び起こしてみる。
 「……結構、手紙が。
  机の中に入ってたり、体育館の裏で渡されたり。 女の子も、多かった」
 「あはは、お前らしいぜ」
二人で向き合ったまま、しばらくの間、静寂が周りを包み込む。
昼も近づき、空腹になったマヤーの甘い鳴き声だけが部屋に響く。
次に出てきた言葉は、どちらもほとんど同じ時刻に聞こえた。
 「いいよ、って、言ったこと……ある?」
 「それで、付き合ったことはあんのかよ」
再び場が静かになって、
 「それはねえな」
 「ない」
等しい意味を持つ返事が交わされた。
また時が止まってしまわないかと心配になり、私は続きの会話を取り繕おうとした。
 「それなら。 今、好きな人は」




不安は……見事に、的中してしまった。
明るさと正直さを極めた性格の神楽も、この手の話題には弱いらしい。
―― もう少し、どんな話題でもいいから、話していたかった。
寂しさに襲われないように、彼女の声で心を満たしていたかったのに ――
ほんの少し、そう後悔を覚えた。
いたたまれない空気に私は耐えられず、
マヤーの食事を作るという口実のもと、静かに立ち上がり台所へ向かった。

この作業は、未だに試行錯誤の連続だ。
イリオモテヤマネコを個人的に飼ったことがある人はいないはずだ。
いや、いてはいけない。
本当は、私が軽々しく扱ってはならない存在だとは分かっているし、
軽々しく扱おうとも思ったこともない。
罪悪感は確実に、日に日に強くなっている。
ここ数ヶ月、夢に現れるちよちゃんのお父さんが、「自然へ返せ」と私を責めるようになった。
……そんなわけで、マヤーを誰の頼りもなく育てるのにはさすがに苦労が要る。
食生活がはっきりとしていないので、大学で文献を集め回り、
鳥のささ身や豚のひき肉を、家で育てた、農薬のまかれていない野草と混ぜることにした。
今のところ、あの子の体調に問題はない。

誰の頼りもなく、と言ったけれど、神楽は重要だった。
持ち前の体力と乗りの良さで、私の家に訪れるたび、マヤーの良い遊び相手になっていた。
ふと思うと、彼女とあの子は似ている気がする。
鋭いけれどよく見るとつぶらな目や、獲物を狙うようなすばしっこい動きは共通しているし、
どちらも野性的なものを感じる。

混ぜ合わせた生肉と草を皿に盛り、神楽のいる部屋に戻る。
少しくらい時間が経てば、彼女は暇を持て余して適当なところに寝転がるだろうと思っていた。
今日は違った。
私が部屋を出る前から、ずっと座り込んだまま。
うつむいて見えない彼女の顔を密かにのぞき込むと、
そこにはいつもの明るい表情も、私が猫の話を夢中でする時に見せる無関心な表情もなかった。
沈んだ目をしている。
私に視線を合わせようとしない。
口元が小さく、本当に小さく動いて、かすかに声が聞き取れた。
手に持っていた皿はマヤーのそばに、耳は神楽の口に寄せた。
「……だ」
できる限り明瞭に、彼女の漏らす言葉を拾い取ろうとした。
「……だめ、だめだ、だめ、なんだ」
確かに、そうとしか聞こえなかった。
ほんの数分間、何が神楽を変えたのだろうか。
―― まさか、自分が悪いことを言ってしまったのではないか。
思い当たるものがあった。
私が最後に発した一言 ―― 「好きな人は」。

もしかして、神楽にもその手の悩みがあるのか。
そうだとしたら、私は助けてあげなければいけない。
今まで、どれだけ彼女が支えになってくれたことだろう。
他の誰にも、彼女自身にも気づかれていないかもしれないけれど、
私の閉ざされた心を解いてくれたことに限りなく感謝している。
「大丈夫か」
声を掛けても、答えはなかった。
「何か、あるのなら」
「……」
「相談に、乗ろう」
「やめろよ」

不意に投げられる冷たい言葉。
私が神楽を軽くあしらうことは ――意図的にやっているわけではない、
自分に返答する能力が足りないから―― 時々あるけれども、
立場が逆になると、急に、見たことのない態度に対して戸惑いを隠せなくなった。
「どうして」
「うるせえ。 お前に言うことじゃないんだよ」
人間に近づかれて逃げようとする野良猫のように、神楽は目をそらしている。
「私と、君は、友達だ、だから」
慎重に単語を選ぶとすれば、
今の私たちは、友達よりも、むしろ親友と言った方が正しいかもしれない。
ただ、普通は女の人同士で使う表現ではない。
しかも、互いの家を一週間に何度も行き来しているのだから、親友でも言い足りない気がする。
そうだとしたら、他にどう言えばいいのだろう。

「話は、聞く」
「……お前だから、言えないんだ」
あまりにも意外な返答。
―― 私、だから?
    私に、隠し事?
    私だけに、何を? ――
疎外感よりも先に、果てしない不安が渦巻いた。
「お前じゃ、榊じゃ……一番、だめなんだ」
繰り返される拒否の声は、次第に震え上がっていた。
私を避け、窓に視線を送る。
純粋な瞳の輝きは、重苦しい空気を消し去ろうとする日の光を反射して、ますます強くなった。
「大丈夫。 私と神楽は、一番の、友達」
言葉にした瞬間、彼女は突然立ち上がり、私を正面から見据えた。
瞳に留まっていた輝きは、薄赤く色づいた肌を伝って、細い川筋を作っていた。
――彼女が流しているものが涙だと気づくのに、時間はかからなかった。

「だから!
 友達だから、お前が、友達だって思ってるから、言えないんだよ!」
沸点に達した人間の感情に、意を決して向き合う方法。
「そう、か。
 ……それでも、私は、教えてほしい」
「うるさい、何もしゃべんな!」
「大丈夫」
私は神楽に一歩詰め寄った。
「全部、どんな内容でも……聞く、用意がある」
言葉に合わせて肩に手を当ててあげると、彼女は少し落ち着きを取り戻した。

「さ、榊が、そう言うなら、話してやるよ」
声は一瞬途切れたが、すぐに次の内容を示した。
「でも。 これで、私が、友達じゃなくなっても、知らないからな」
好きな人はいるか、と、自分は尋ねたはず。
これから耳にすることになるのは、きっとその答え。
ゆっくりと、とらえ所のない寂しさが身をよぎりはじめる。
それでも、私は彼女を支えてあげないといけない。
「心配ない。 行けばいい」
泣くほどに苦しみを感じているなら、心の重荷を代わりに背負わなければいけない。
「想っている、人の、所に」
一方で、会話の流れを先読みして私が紡ぎだした言葉は、
神楽と共にいたい、という思いの裏返しでもあった。
「分かんねえのか?」
「もう少し、話を」
震える顔面が、真っすぐに私を見つめる。
「さかきが……榊が、そんな風に言うなら。 私は、ここにいなきゃ、だめなんだ」
正しい意味を理解するには、次の発言を待つ必要があった。
「おかしいか? まだ、分かってないのか?
 言ってやる、言ってやるよ。 私が、好きなのは」

次の瞬間、周りの時が一切動くのをやめた。
私の意識が、一点に――神楽そのものに、凝縮された。



「私が、好きなのは。
 ……榊、お前しか、いないんだよ」



何もかもが、解かれた。
彼女に対する意識の変化と、ふと感じた寂しさ、どちらの理由も分かった。
友達や親友でない関係、それに当てはまる単語も見つかった。


全身の力が抜け、私は床に座り込んだ。
薄く涙を流していた神楽が、唐突に上から笑いを込めて話した。
「ああ、おかしいだろうな。 意味不明だろ。
 私って、本当に馬鹿だな。 冗談だと思えよ。
 でもな、好きだってのは、しょうがないんだ」
解放感を味わっていた私は、言葉の上ではまだ冷静さを保っていた。

「どうして」
「……女じゃ、いけないよな。
 ついでに、別にお前を男だと思ってるってこともない。
 頭の悪い私と、ずっと一緒になって、支えになってくれた、ってことだよ」

「それは、私も」
「最初の運動会の時、すげー悔しかった。
 あの時から、榊を意識して水泳以外にもいろいろとやった。
 初めて会ったとき、私は勝負しかしなかったよな。
 けどさ、ちゃんと話を聞いて、帰り道にも付き合ってくれるお前は、超良い奴だと思った」
「別に、そんな」
「それに、水泳の公式戦も、運動会も、受験の時も応援してくれたろ。
 私が分からない所を教えてくれたり、ノートを貸してくれたり、
 トレーニングが苦しくなった時も、愚痴を聞いてくれたりさ」

想いを伝えたことで心を縛っていた鎖が切れたのか、
神楽は普段よりもはるかに多くの言葉を私に降らせてきた。

「一番初めに、榊んち来た時にはびっくりしたよ。
 ぬいぐるみだらけで、猫ばっかりだったもんな。
 けっこう意外だったけど、面白かった。
 榊も、私に猫の話、たくさんするようになったし」
彼女が一生懸命浮かべている笑顔は、けれども、表面上の物に過ぎないように見えた。
「お前さ、本当、もったいないって。
 すっごく良い奴なんだからさ、もうちょっと、他に友達作れよ?
 そしたら。 好きな人、できるかも、しれないだろ。 カッコいいんだし、な?」

そう。
明らかに、神楽は感情を隠している。
もしここで、私が想いを汲み取らなければ、
彼女は再び涙を流し、そのまま泣き崩れてしまうだろう。

けれども、心配はいらない。
神楽を泣かすことには、絶対にならない。
なぜなら、私も……。

「他には、いらない」
「お前も結構頑固だなぁ。 外に出れば、こんな私以外にもいろんな人がいるだろ」
「……君だけしか、好きになれない」
「えっ」

私は立ち上がる。
話を止めた神楽を抱き寄せ、頭を下げて身長差を詰め、耳元でささやく。
「その言葉を……待っていたと、今日、ようやく、気づいた」
返ってきたのは、当然の反応。
「うそ、だろ」
「今まで、寂しかった」
目を見開いた彼女を強く抱き締め、少し長く語った。
「ちよちゃんたちと過ごしていても、猫を追っていても、マヤーを見つけたあの時でも、
 何か、最後の何かが埋まらなかった、けれど」
次に来るのは、最も伝えたいこと。
「君といたおかげで、ようやく、心が満たされた」
自然と、彼女を包む腕の力が強くなる。
「本当に、良かった。 ……好きだよ」

ふと神楽の顔に目を向けると、予想に反して、再び涙が流れていた。
けれども、それは、笑顔と一緒に流れていたものだった。
ほんの少し前のと違って、全く飾り気のない、笑顔。
「あ、ありがとう、榊!」
声の震えも、不安ではなく、喜びからなのだろう。
「ありがとう、は……私が、言うこと」
「今、めちゃくちゃ、超、あのさ、すっげー、嬉しい」
どこまでも素直な言葉に、幸せを感じ取らずにはいられなかった。
感情に裏表のないこの神楽が、一番好きだ。
無表情を貫き通している自分とは正反対、だからこそ、心引かれるのかもしれない。
きっと私も、今ばかりは笑顔を浮かべているだろう。

神楽の輝く瞳を直視して、さらに顔を近づける。
彼女を抱く手は離れていない。
もう一度、私からの告白を繰り返して……。
「好きだよ」
――初めての、口付けをした。
触れていたのは、一秒を満たしているかいないか。
それでも、互いの愛情と充足感は確かめ合えた。
「私も。 すごく、好きだ、榊」
「良かった」
彼女の涙は途切れ、後には安らぎの表情だけが残っていた。

「……それなら、今日、友達……卒業、だ」

「そうだな!」
次の段階はただ一つ。
恋人、それ以外にはない。
互いに目をとらえて、求めあうかのように ――再び、唇を合わせた。
神楽自身の体温をいっぱいに受け取ると、
無垢な彼女が持ちつづける愛しさやかわいさがますます輝いて見えた。

「榊、あったかい」
「……神楽、も」





幸いな形で一件落着して。
私は空になったマヤーの食器を洗いに台所へ戻ろうとした。
いつの間にか、
すると、新しい流れを作るかのように、神楽が伝えた。
「ともの所にも、報告しに行こうぜ」
「別に……わざわざ」
そう言えば、滝野さんが付きあいはじめたとか何か、些細な話が、
ここまで大きなことになったのではないか。
「っつーか、あっちはもうお祝いムードみたいだぞ。
 大阪と二人で赤飯食べるらしい」
滝野さんと春日さんは、同じ大学に入っている。
お金のためだろうか、同じ部屋にも住んでいる。
赤飯という物の時代錯誤に不思議さを感じつつも、私も嬉しさは隠せなかった。
「本当に、良かった」
「一緒に行ってさ、今日の話もしてやろうぜ!」
「いや、それは。 さすがに」
「大丈夫! あいつらなら、別に女同士でも変だって思わないだろ!」

そう、これが、いつも通りの神楽。
私の近くについていてくれる、神楽。
私の心をほぐしてくれる、神楽。
私が一番好きな、神楽。

「君が、言いたいんなら……行こう、か」
「よし、決まった!」

至福の時。

――けれども、私と神楽、春日さんと滝野さん、海外に行ったちよちゃん。
関わりのある人の名前を順列してみたところで、気づいてしまった。

「どうせなら、よみも呼ぶか?」

気づいてしまった。
「待って。 携帯の、番号は」
「あ……ともに聞けば、分かるかもな」

水原、みずはら……こよみ、あの人とは、唯一連絡が取れていない。
メールアドレスも交換していないし、家の近くにも大学に入って以来寄っていない。

「あ、もしもし? 神楽だけど。
 あのさー、よみの番号って知らない?
 うん。 携帯の方。
 ……え? かからないって……本当かよ!
 ともなら何か知ってるだろーよ。
 何……全然、分からない? いつから」



晴れて友達を、さらには親友を卒業した私たちに。
思いも寄らない事件が起こったのは、二週間ほど後の話になる。


(「よみ・とも篇」につづく)
698おまけ:新ジャンル「舞台裏」:2007/06/11(月) 02:58:12 ID:m0tH+E8G
===表===

よみ 「あんまりくっつくな! 濡れる!」
とも  「だってー」
よみ 「くっつくな、歩きにく……」

大阪 「うひゃー!」
よみ・とも 「台風が、楽しいか?」
大阪 「ごめんなさい」

===裏===

神楽 「おい、榊、あんまりくっつくなよ」
榊   「……」
神楽 「自分の傘持ってんだろ、差したほうが」
榊   「怖い」
神楽 「は?」
榊   「……雷さん……怖い」
神楽 「そんなに?」
榊   「……」

神楽 「うがーっ!」



神楽 「さ、榊、大丈夫か!
     倒れるな! 濡れてる濡れてる!」
699おまけ:新ジャンル「舞台裏」:2007/06/11(月) 03:08:12 ID:m0tH+E8G
===表===
神楽「あー、ハラへったー。
    今日朝メシ食えなかったから。 寝坊してさぁ」

神楽「じゃーん!
    カツ丼セット、そば大盛り!」
よみ 「太るぞ」
神楽 「大丈夫大丈夫。
     私はいくら食べても太らないタイプなんだ」
よみ「じゃあカツ丼100杯(以下略」

===裏===

榊  「ああ……疲れた」
よみ 「大丈夫か?」
榊  「朝ごはんが、食べられなくて。 寝坊してしまったから」
よみ 「榊が、珍しいな」

榊 「私は、いくら食べても……疲れない、タイプなのに」
よみ「……疲れ、ない?」
700名無しさん@秘密の花園:2007/06/11(月) 04:32:30 ID:ST4ewhR5
おお、力作
続き楽しみにしてます
701名無しさん@秘密の花園:2007/06/11(月) 08:53:08 ID:+g73kkPH
これは並々ならぬ気合を感じ取れる大作
上手く言えないけど、なんつーか、すげえ…すっげー面白かった!!
702名無しさん@秘密の花園:2007/06/12(火) 16:53:44 ID:3Syj1H35
このクオリティでよみとも編書かれたら確実に萌え死ぬ
期待してます!!


一週間後と言うことで、ひとつはさんでもよろしいでしょうか?
かぶらないようにと、>>683さんで、あゆともいきますね

>>169の続きになります。
流れとしては、
>>169>>195>>259>>414→これ です。

ただ、別にどんな話だったか覚えて無くても大丈夫です
703ベーコン2:2007/06/12(火) 16:54:26 ID:3Syj1H35
「ねー、学祭どうする?行く?」
長かった夏休みは終ったけど、お休み気分はまだまだ抜けへん。
和らいできた暑さが唯一の救いの十月初め。
夕飯を片付けながらともちゃんが言った。
「えー、どうしょうな…」
私達の通う大学は、当然やけど学祭の間は授業がなくなる。
サークルやら学部やらで出しものをすれば、普段より忙しくなるんやろけど…
予定のない私らみたいな学生には、学祭の三日間…いや、水木金と開催されるわけやから…
土日も含めて都合五日間が連休ということになる。

私はお祭り大好きやし、高校のときも文化祭はすごい楽しみやった。
たこやき、焼きそば、喫茶店…、お化け屋敷は苦手やけど…祭って、雰囲気が好きやねん。
でも…
「行ってもええけど…、」
「…?」
せっかく五日もお休みなんやから、ともちゃんと二人で過ごしたいよなぁ…。
「行こっか?せっかくだし」
「ん?う〜ん…、えぇけど…」
こういうとき、思いっきり甘えれへん自分がちょっと悲しい。
さらっと、学祭よりともちゃんと一緒におりたいな…って言えたら…
ともちゃんも喜ぶんかなぁ。
「んー…どうしよう」
私の煮えきらん態度に呆れたんか、疲れたんか…
ともちゃんは、フローリングにばたっと倒れてしまった。
704ベーコン2:2007/06/12(火) 16:55:32 ID:3Syj1H35
開け放った窓から柔らかい風が入ってくる。
…涼しなったなぁ。
「…あ!」
「ん?どないしたん?」
「うちの高校の文化祭ってさぁ、次の水曜じゃない?それ行こーよ!」
あ、日程重なっとるんやったっけ。
「あれって私ら行ってもえーの?」
「去年神楽が、水泳部の先輩が来るって言ってたから…卒業生はいいんじゃない?」
高校か…。
ゆかり先生も、にゃも先生もおるし…。
「ええよ!…でも学祭は?」
ともちゃんは、仰向けのまま首だけこっちに向くと、
「水曜は文化祭デート。木金土日は…」
にやっと笑う。
「学祭なんかより、あゆと一緒にいたいかな」
705ベーコン2:2007/06/12(火) 16:56:24 ID:3Syj1H35

真っ青な空が少し低く感じる、秋晴れの平日。
半年ぶりに歩く母校への通学路は、高校生やった頃よりも、ちょっとだけ長く感じた。
「全然変わっとらんなぁ」
「…そりゃ一年も経ってないしな」
昨日の夜に選んだ、一番のお気に入りのワンピースが大人っぽい…と思う。
「私ら、大学生に見えとるかな?」
「…まぁ、私服だしなぁ」
別によく知った後輩がおるわけでもないんやけど、周りの視線を気にしてまう。
ちょっとでも大人に見られたいと言うか…。
大学生やし…。

「お、にゃもちゃんだ!にゃもちゃ〜ん」
え?あ、ほんまや。
「こんにちは。お久しぶりです」
「あら、珍しいじゃない。どうしたのよ?」
「学祭で講義がないんで、ぶらっと。…あ、ゆかりちゃん!おーい」

久しぶりとはいえ、たった半年。
変わったものなんかほとんどなかった。
学校も、先生も、…私達も。
706ベーコン2:2007/06/12(火) 16:57:50 ID:3Syj1H35
お昼は、どこも満席やった。
「入れそうにないなー。何か買って適当に食べるか」
「ほな、あれにしよ」

八個入りで200円…、激安のたこ焼き。
利益出るんかなぁ?
「どこで食べよっか?」
「うーん、教室は全部つことるしな…。外に出る?」
「校庭か…。あ!あそこがいいじゃん」
上に向いた人さし指は、天井を指しとる。
「…上…?」

「屋上」

粉っぽいたこ焼きは、値段通りの味やった。
「んー、あんましおいしくなかったな」

さすがに文化祭中とあって、屋上には私ら以外誰もおらんかった。
楽しそうな声が、遠くから聞こえる。
「高いとこで食べたらおいしいと思ったんだけどな…」
高いとこ…高いとこ…。
どっかで聞いたような…。
「あ!ともちゃん!」
「何だよ?急に」
思い出した。
「私な、前から行ってみたかったとこがあるねん」
真っ青な空を独り占めしとる私らより、もうちょっとだけ高い位置にある…
入り口の上の貯水槽のとこ。
「あそこが、この学校で一番高い」
707ベーコン2:2007/06/12(火) 16:58:47 ID:3Syj1H35
歩が指さしたのは、ここよりも少しだけ空に近い場所だった。
「なー、行ってみよ」
まったく…、高いとこが好きなのは何だったっけ?
煙?…と、馬鹿か。
「よし!行くか。私も馬鹿だしな」
「…?何言うてんの?」
「いいから!」
不思議そうな顔の歩を引っ張って、はしごを登る。
ほとんど使われていないのか、金属の軋む音が地味に怖い。
「…よいしょっと。お〜!高ぇ!」
2、3メートル上がっただけのはずなのに…、
その場所から見る景色は、さっきよりもずっと広く、大きく開けていた。
「う…。なんか怖いかもしれへん」
歩は、自分が言い出したくせに、私の袖を引っ張って離さない。
「ともちゃん、座っとこよ…」
彼女に促されて腰を下ろすと、よっぽど怖かったのか腕にぎゅっとしがみついてきた。
「何でこんなとこ来たいと思ったんだよ?」
「え…?なんやったっけな…?昔行きたいと思てたはずなんやけど…」
少し慣れてきたのか、落ち着いた口調で話している。
708ベーコン2:2007/06/12(火) 16:59:50 ID:3Syj1H35
「昔ねぇ…」
そうは言っても、一年も経っていないわけで…。
それでも、こんなにも懐かしく感じるのは、この半年が忙しすぎたからかもしれない。
「あんま覚えてないけど…でも、あゆとこんな風になるとは夢にも思わなかったよ」
大学受かって、一緒に暮らして、今日ここで二人でくっついて。
「まぁ、昔の私に言っても信じないだろうな」
「えへへ、そうなんや…」
肩に頭を預ける歩は、もう怖くないはずなのに、私に絡ませた腕の力を強めた。
「私はな、ずっとずっと前からともちゃんのこと好きやったよ」
告白の時に聞いた、でも何度聞いても胸が締め付けられる言葉。
青空をバックに笑う歩むは、そのままどこかへ飛んでいきそうなほど輝いている。
「そやから…昔の私に、ともちゃんに好きになってもらえるって言うたら驚くやろなぁ」

見下ろすと、だだっ広い屋上には申し訳程度の植木が置いてある。
…いつだったか…。
歩とちよちゃんと、あそこで寝ちゃったことがあったな…。

おい、滝野智!
お前は隣で寝てる春日歩のことを、他のなによりも大切だと思う日が来ます。
しっかり幸せにするように!

心の中で叫ぶと、どこからか「うっそだー」と笑う声が聞こえた。
709ベーコン2:2007/06/12(火) 17:00:19 ID:3Syj1H35
「よし、帰るか!」
「え?まだお昼やで?今日は文化祭デートちごたん?」

懐かしさはもう充分味わった。
この景色は、私の中のガラスケースにしまっておくことにしよう…。
こういうのは、時々取り出して眺めるくらいがちょうどいいんだから。
それよりも、今の私には、組み立てて磨かなきゃならないものがある。

「じゃあ、予定変更」

私が気付かない間にこの子が注いでくれた愛情を、過去に戻って汲み取ることはできない。
でも…、これからその分を取り戻すことはできると思うんだ。

「今から連休に入ります。日ごろの忙しさを忘れて、お家で仲良く過ごしましょう」


《おわり》
710名無しさん@秘密の花園:2007/06/12(火) 23:52:06 ID:1BZzl42G
GJ!!
このシリーズは最初からちゃんと覚えてるよ
711名無しさん@秘密の花園:2007/06/13(水) 20:43:23 ID:tM/thxiT
視点が急に変わったのにちと戸惑った。
智には似合わない文学的な心情に違和感。

相変わらずの甘々な雰囲気に身悶えしてしまう。
この辺りの機微には舌を巻く。

GJ
712685=……:2007/06/13(水) 23:26:13 ID:hBJ2vgUB
>>703様 毎度良い燃料を投下してくださってありがとうございます。

ただ、誠に申し訳ありませんが、今回は一つ。
>>706-707の間で、視点が急に大阪からともに移ったので、
「歩」という言葉が出た時に一瞬とまどってしまいました。
一人称の視点を変えるときには、何か区切り線やサブタイトルが必要かもしれません。

それでも、いちご味のかき氷を食べている時のようにほのかな甘さが感じられて、幸せになれました。
日常の風景を、想いを交えつつ和やかに表現する筆致には唸らされるものがあります。
ぐっどじょぶです。


かくいう私も、自分のミスに気づいてしまいました。

>>696 三行目:「いつの間にか、」は脳内で削除してください。
投稿前の確認に至らず申し訳ありません。
713703:2007/06/14(木) 08:43:41 ID:DWo4MbTV
皆様ご感想ありがとうございます。
読み返してみると>>712さんの言うようにすべきだったかなと感じます。
どうしても、青空バックで笑う大阪はすごく可愛いっていうのと、
大阪に告白させたかったというのでこういう形にしてしまいました。
やっぱ最後まで大阪視点で行くべきでしたかねぇ…
書いている分には違和感ありませんでしたので、まだまだ読み手の気持ちがわかってないなと気付かされます。

あと、しばらくエロ書いてないのと、カップリングが偏ってきた感じが自分の中であります。
ほっといたらよみともばっか書いてしまいそうで…。
714名無しさん@秘密の花園:2007/06/14(木) 20:59:32 ID:E9vJNbSu
>よみともばっか
私は一向に構わん!
715名無しさん@秘密の花園:2007/06/14(木) 21:56:49 ID:oOl1Y+05
私も一向にカマ湾!
716名無しさん@秘密の花園:2007/06/15(金) 00:02:40 ID:zlyzVGm4
自分も一向に構わん!
けど、そろそろ先生ズも見てみたいな
717名無しさん@秘密の花園:2007/06/15(金) 17:26:49 ID:4abNXDJf
>>716さんの…
ゆかりにゃも書きました。
軽いと言うか、雰囲気重視と言うか。
エロなし脱出失敗でした。

次こそは…エロいのを。
718ラッキープール、雨天決行:2007/06/15(金) 17:28:57 ID:4abNXDJf
「ちょっとゆかり!起きなさいよ」
「ん…?にゃも…?」
寝起きの目に、照りつける日射しが眩しい。
「ほら、もう終わったから帰るわよ」
「…帰る?」
生暖かい風の中にみなもの声が響き、ぼんやりした意識の中では、少しずつ状況が整理されていく。
青い空に白い雲。
水着のみなも。
塩素のにおい。
「…プール」
「何言ってんのよ…」
ゆかりは、閉じようとする目をこすって立ち上がると、めいっぱい伸びをした。
「さあ、シャワー浴びて」
部活の指導よりも、ゆかりのお守りに疲れたのか…、みなもは呆れた顔でため息をついた。
719ラッキープール、雨天決行:2007/06/15(金) 17:30:15 ID:4abNXDJf
更衣室の横に備え付けられたシャワーは、塩素を洗い流すためだけの簡易的なものだ。
温度の調節もできず、申し訳程度の薄い板が個々の空間を仕切っている。
「うわー冷たい…」
隣に入ったはずのゆかりは、不満そうな声とともにみなもの個室に顔を覗かせた。
「それで目ぇ覚ましなさいよ」
「何だよー。シャワーもにゃもも冷たいなぁ…」
「何よそれ…」
もう眠気はないのか饒舌になりはじめたゆかりは、じりじりとみなもの後ろに近付いてくる。
「こっち来たってお湯は出ないわよ」
背を向けて冷たい言葉であしらうが、その口調に厳しさはない。
甘えるゆかりに呆れた言葉を返すのは、二人の間の…お約束、のような。
それを感じとったゆかりも、みなもの首に腕をまわして湿った体を押し付ける。
「んー、やっぱスポーツしてるヤツの体は違うね」
「もう、帰ってからにしなさいよ…」
「えー、うち暑いじゃん」
多少遠慮があるのか、それとも大きな声を出す必要もないほど接近しているからか、二人は小声で話している。
ゆかりは背中に頬を押し当てると、
「にゃも〜、こっち向けよ〜」
精一杯の猫撫で声で囁いた。
720ラッキープール、雨天決行:2007/06/15(金) 17:31:07 ID:4abNXDJf
校庭の方から、生徒の笑い声が聞こえる。
ふと、水泳部の子達はもう帰ったのだろうか…と、みなもは思った。
「あの子達、もう帰ったかな」
問いかけるわけでもなく呟いて振り返ると、満足そうな笑顔がみなもを見上げている。
「鍵、あんたが持ってんでしょ?」
「うん」
「じゃあ、もう帰ったわよ。こんな暑い中わざわざ残ってる意味なんてないじゃない」
「…そうね」
普段通りの口調で会話を続けつつも、ゆかりは目を細め、腕を絡めてくる。
みなもはそれに応えるわけでもなく立っていたが、
お互いの呼吸が肌で感じられる距離まで顔が近付くと、やんわりとゆかりを抱き寄せた。
剥き出しのコンクリートに背中を預け、先に目を閉じたみなもの鼻に…、
何か冷たいものが当たった。
「…ん?」
「どした?」
「…雨」
見上げると、さっきまで真っ青だった空は薄暗い雲に覆われている。
きょとんとする二人の表情は、次第に大きくなる雨粒とともに歪んでいった。
「うわ、降ってきた…」
「しょうがない…とりあえず更衣室に避難しよっか」
721ラッキープール、雨天決行:2007/06/15(金) 17:31:47 ID:4abNXDJf
腕を解いて歩きだそうとするみなもの体を、強い力がコンクリートの壁に押し返す。
「何よ!?」
「いいじゃん、どうせ通り雨だよ!もう濡れてるんだし一緒だって」
ゆかりは、じゃれるように体をくねらせ、逃げようとする体を押さえ付ける。
変に楽しそうな、妙な笑顔を浮かべながら。
「ちょっと…」
「へへ」
そうしている間にも、本格的…どころではない激しさで雨は降り続いている。
この近さでも、小声ならかき消されてしまいそうだ。
「いい加減更衣室…」
雨の中。
突然の攻撃に、目を閉じる暇もなかった。
言葉を封じるように覆いかぶさった唇は、雨粒が入ることさえ拒むほど密着している。

その感触を味わう隙すら与えないほど激しく動く舌に、みなもは応えずにいられなかった。

とろんとした瞼を思い出したように閉じると、
強い雨音とは別に、内側から、粘っこい液体の絡まる音が聞こえた。


雨水は二人の体をつたい、摺り寄せる肌の隙間を埋める。
雨がやむまでこうしていたら…
流れる水とともに、とろけてしまうんではないだろうか。
そんな考えが…、すでにとろけ始めたみなもの頭の中にぼんやりと浮かんだ。
722ラッキープール、雨天決行:2007/06/15(金) 17:33:44 ID:4abNXDJf
「あうー、なんかだるい…。あ!」
助手席でゆかりが鞄の中をあさっている。
「これ持ってきたんだった」
「…運転中に余計なことしないでよ」
「じゃーん、ビール!」
プールサイドで飲むつもりだったのか…、ゆかりの手には銀色の缶が握られていた。
「うわ…、あんたねぇ」
「げ、なんかぬるくなってる…。にゃもにあげるよ」
みなもは、差し出された手を無視してアクセルを踏むと、
「バカ」
一言だけつぶやいた。

「あれ?どこ行くの?」
柔らかい陽射しが戻ってきた午後、みなもは、ゆかりの家とは反対にハンドルを切った。
「あんたんち、暑いんでしょ?」

《おわり》
723名無しさん@秘密の花園:2007/06/15(金) 17:49:58 ID:BsPzLj1R
これから当然ふたりきりで・・・
続き!続き!
724名無しさん@秘密の花園:2007/06/15(金) 22:23:58 ID:JLYYN345
続きを求めざるを得ない
725名無しさん@秘密の花園:2007/06/16(土) 00:38:01 ID:STKLptQ0
ここで終わっているのが、味わい深くていいじゃないか
良作GJGJ
726名無しさん@秘密の花園:2007/06/16(土) 04:11:04 ID:V5bJ0lrE
この二人の仲の良さは異常。
727716:2007/06/17(日) 00:19:12 ID:Vxkn+SyX
唐突な願いを聞いてくださってありがとうございます。
本当に仲良しだよね、ゆかりちゃんとにゃもちゃん。

そういえば、前ににゃもちよが出てたけど…結婚式ネタはどうだろう?
728名無しさん@秘密の花園:2007/06/19(火) 23:47:29 ID:UInjv0IP
皆様感想ありがとうございます。
雨の中でちゅーは前々から書いてみたかったので、好評で何よりです。

もっかいにゃもゆかりいきます。
別に続きと言うわけではないです。
…続きと思ってもらっても構わないんですけどね。
エロ主体で。クドいかな…?
でも、やっぱエロ苦手です。
表現と流れが難しくて…。
729カーテン閉めて:2007/06/19(火) 23:48:15 ID:UInjv0IP
「ううー、この枕はやっぱいいわ〜」
ゆかりは、家に来るなりベッドに倒れこむと、足をばたばたさせて幸せそうにもだえた。

窓の外では、梅雨とは思えない日射しがアスファルトに降り注いでいる。
そろそろ長袖の服は片付けてもいいかな…と感じるある日。
今日一日のなかで一番気温が上がっていると思われる昼過ぎに、彼女は来た。
この暑い中よく来る気になったな…とは思うが、でもやっぱり
「あんたに会いたくなった」
なんて言ってくれるんじゃないかと期待するのは、惚れた弱みなんだろうか。

「ねぇ、クーラーつけようよ」
「だめ。まだ6月よ?」
「いーじゃん、暑いよー」
長いこと友人をしてきた私達にとって…
その場の“雰囲気”はすごく大事なものだった。
だいたい恋人が家にきたら、することなんか決まってるもんでしょ?
玄関閉めたらすぐにでも抱きつきたいし、にゃあにゃあ言いながら何時間でもくっついていたい。
でも私達の場合、なんだか変に慣れちゃって…。
どちらかがそういう雰囲気をつくろうとしなければ、なんとなく時間が過ぎていくというのも珍しくなかった。
730カーテン閉めて:2007/06/19(火) 23:48:58 ID:UInjv0IP
「なんだよー、せっかく来たのにぃ」
そんなとき…、
雰囲気をつくってくれるのは、いつも彼女のほうだった。
「…うりゃ!」
「うわ!何よ!?」
窓を開けようとした私の背中に飛び付いて、笑っている。
「暑いだろ!ほらほら」
私をどさっとベッドに倒すと、思いきりくっついて唇を奪う。
少し動いたせいか、鼻孔から漏れる息がくすぐったかった。
「暑いので、続きはクーラーつけてからじゃないと嫌です」
離れる体を抱き戻そうとする私に、彼女はにやっと笑って変な口調で言い放った。
「…もう」
明るく…、しかしふざけている風でもなく。
彼女は私の思いを見透かして、甘い気持ちにさせてくれる。

今年初めてのエアコンのスイッチを入れると、お決まりの電子音が響いた。
ゆかりは私の手元にあるリモコンで温度だけ確認すると、
涼風が吹き注ぐのを待たずに私をベッドへ押し倒した。
731カーテン閉めて:2007/06/19(火) 23:50:27 ID:UInjv0IP
覆い被さったゆかりの髪からは、よく知ったシャンプーの香りがする。
「重くない?」
「ううん、体重かけちゃっていいよ」
耳元で囁くと、彼女は立てていた肘を首にまわして、頬を擦り寄せてくる。
私はこんな風に、べっとりと彼女の体重を感じているのが好きだった。
なんとなく支配されている感覚…。
好きなように唇を奪われて、体を撫でられて、
私の出来る抵抗といえば、口の中で自由に動く舌を柔らかく噛むくらい。
そんな主導権のない状況に幸せを覚えるのは、
彼女の愛情のお陰か、それともただ自分の性癖なのか…。
前者だと信じたいが、この恍惚とした気持ちを説明するにはそれだけでは足りそうにない。
「にゃもはMだね」
ゆかりとこういう関係になるずっと前…、学生の頃に言われた言葉が、ふと頭に浮かんだ。
732カーテン閉めて:2007/06/19(火) 23:51:47 ID:UInjv0IP
涼しくなり始めたベッドの上で、私は今日も腕だけを軽く彼女の背中にまわして身を委ねる。
既に下着姿のゆかりは、強く抱き締めれば痕がつきそうなほど華奢で真っ白だった。
そのくせ、いつもの悪戯な笑顔は崩さないまま相変わらず主導権を譲らず、
重なった唇からは粘度の高い水音を漏らしている。
「ん…」
ゆかりは腕を立てて私の唇を解放すると、とろんとした瞳をこちらに向けたまま、にやっと笑った。
「あのさ、この前本で読んだんだけど…」
少しずつ顔の距離を縮めながら甘い声で囁く。
濡れた唇が美しい。
「耳塞いでキスすると」
そこから先、彼女は何と言ったのだろうか。
私の耳は温かい手の平で塞がれてしまい、続きを話しているであろう唇の動きだけが瞼に映った。
733カーテン閉めて:2007/06/19(火) 23:54:11 ID:UInjv0IP
彼女はそのまま、食い付くように唇を重ねて舌を動かし始めた。
さっきよりはゆっくりと、口の中を確かめるように動き…。
「!!」
私は思わず目を開いてしまった。
外からの音を遮断されたことによって、口内で響く音が行き場を失って、耳の中で反響し始めたのだ。
生々しい音が、鼓膜ではなく骨を通って内側から聞こえる。
私はまるで脳を直接犯されているような感覚に、目を閉じるのも忘れて悶えた。

舌…柔らかい。
ゆかりの腕が二本で良かった。
この状態で体を撫でられたら…、多分それだけで意識が飛んでしまう。
…、あ
うあ、ヤバい。
今ちょっと飛んだかも。
ゆかり、どこも触ってないよね?
耳…塞いでるから…、えと…
…塞いだままじゃ触れないはずで、…あれ、
734カーテン閉めて:2007/06/19(火) 23:55:03 ID:UInjv0IP
耳を塞いでいたはずの手は既に頭の横にはなく、私の胸を覆う白い下着に伸びていた。
ペンやチョークを握ることにしか使わないはずの指が肌の上で滑るように動き、
私の意思とは別に小さな布きれがはぎ取られる。
慣れた手付きで進む一連の動作の間も、彼女の舌は止まらなかった。

手ぇ冷たいじゃん…、あんなに暑いって言ってたのに。
舌、んと、耳は塞がれてなくて…、もう音は大丈夫…
あ、目開けてるのは反則かな?
うあ、胸触って…冷た、

私は彼女の舌を咥えたまま声にならない悲鳴をあげていた。
さっきまで音に集中していた神経が、体を撫でられたことで全身に広がる。
ゆかりは左手を私の胸に添えたまま、体の中心に沿って右手を下げていった。
胸から腹、腹から腰に冷たい感触が伝わる。
私は、彼女がこれからとるであろう行動を想像するだけで、頭の中が真っ白になりそうだった。
735カーテン閉めて:2007/06/19(火) 23:56:23 ID:UInjv0IP
「すげー。耳塞いだのは効果絶大かにゃ」
満足そうに下着を脱がせながらゆかりがつぶやく。
腰を浮かすのさえままならなかった私は、
彼女に剥がれた下着をふともものあたりに引っ掛けたまま離れた唇の余韻に浸っていた。

もう、だめだ…
ゆかり…かわいい…
あ、うあ…指、
ぎゅって…、ぎゅってして
ゆかり、くっついて。
ぎゅってしとかないと…私…

彼女はもう一度唇を重ねると、期待の溢れる私の秘部へと指を伸ばした。
もう、耐えられそうに無い
ぼんやりした意識の中でそれだけは悟った私は、
これからくる恍惚の瞬間にできるだけ彼女と体を触れていようと、何とか体を抱き寄せた。

こんな欲望に埋もれた状況でも、少しでもゆかりを感じたいと思える自分は…、
いや、違うな。
ゆかりだからこそ感じていたい…というか、なんと言うか。
もうわかんない。
わかんないけど愛してるわ。大好きよ。ゆかり。
736カーテン閉めて:2007/06/19(火) 23:57:16 ID:UInjv0IP
私の意識は意味不明な思考の途中で切れ、耳の中には彼女の舌が動いた音とともに
「愛してる」
の声が聞こえたような気がした。


「ん…」
「お、やっと起きたか」
どれくらいの間寝てたんだろう。
声のするほうに向くと、いつもの笑顔のゆかりが腕枕をしてくれていた。
「う、寒ぃ」
いつのまにか冷房が効きすぎたのか、部屋は涼しいと言うよりも、寒い。
「消そっか。まだ6月だし」
「あんたがつけようって言ったんでしょ?」
まだぼんやりとした意識のまま、体を転がしてゆかりの上にのしかかる。
「もう、用も無いのに人ん家来て。好き勝手言って」
抱きしめた頭がぴくっと動き、笑いが漏れた。
「用も無い、はないだろ?」
「何でよ」

答えはわかっている。
でも、言って欲しかった。聞きたかった。

「会いたくなったから来た」

理想の答えのご褒美に、キスでもしてやろうかな。
たまには、上から体重をかけてやるのも悪くないかもしれない。

《おわり》
737名無しさん@秘密の花園:2007/06/20(水) 02:57:16 ID:xwHR8tkY
素晴らしい!GJ!
やはり甘々エロは良い。
738名無しさん@秘密の花園:2007/06/20(水) 11:12:51 ID:+KDE5pXq
素晴らしいです
739名無しさん@秘密の花園:2007/06/20(水) 22:43:49 ID:w+9hPpda
とうとうえろきたー! GJです
先生方はやっぱり大人だわ
あずまんがは18禁でも生々しさがなくていいなあ



久々にアニメ見た
二十四話の最後、榊さんとちよちゃんが一緒になって寝るシーンの台詞は萌えるぜ
740名無しさん@秘密の花園:2007/06/21(木) 19:00:27 ID:G2XP4KAm
感想ありがとうございます。
最近よつばと買いました。
あさぎ×虎子が激理想でヤバいです。
私の中で、虎子はあさぎのことすげー好きで、一緒にいるだけで嬉しいっていう設定に決まりました。

さて、エロはやっぱ苦手だと気付いたので、趣向を変えていきます。
例によって続き物を。
>>169>>195>>259>>414>>702→これ です。
すごい短いですけど…。たまにはこんなのも。
741アネモネ2.5 たまには一緒に:2007/06/21(木) 19:02:08 ID:G2XP4KAm
「じゃあ、頼んだよ。神楽」
「おう」
「いい子にしてるんだぞ、マヤー」
そう言うと、榊ちゃんは私の頭を撫でて出ていった。
だいがく?で、けんしゅう?…とにかくしばらく帰ってこないんだって。
「さて、マヤー。おいで」
で、私はこの子のとこに預けられたってわけ。
か…かぐ、かぐら?
よく家に遊びにくる女の子で、榊ちゃんの友達。
多分榊ちゃんは、私の次にこの子のことが好きだと思う。

「よし、とりあえずご飯にしようか」
お皿の上には、いつも私が食べているのと同じご飯がのっていた。
榊ちゃんが持ってきてくれたのかしら。
「おー、おいしそうに食べるなぁ」
…あげないよ。
「榊がいなくて寂しいか?ん?」
…ちょっとだけ。
「寂しそうだな…。私もだよ」
この子も榊ちゃんが好きらしい。
でも、ご飯の最中にはあんまり撫でないでほしいな。
742アネモネ2.5 たまには一緒に:2007/06/21(木) 19:02:57 ID:G2XP4KAm
「なぁ、マヤー。榊も一人のとき、お前に話しかけてるのか?」
うん。
「話してそうだよな〜。私よりも、お前との会話の方が多そうだ」
楽しそうに笑ってる。
この子の笑顔は、なんとなく他人とは思えない。
「私のこととか…話してんのかなぁ?」

「好きとか、言ってたりして」
かぐらは嬉しそうに笑うと、ベッドに倒れこんだ。
「好きなんて…、言ってもらったことあったかなぁ…」
ごちそうさま。
今日もおいしかった。
「おしゃれするようになってさ、可愛いとはよく言われるようになったけど…。
好きって言ってほしいなんて、子供っぽいかなぁ?マヤー、どう思う?」
私がベッドに飛び乗ると、かぐらはまた頭を撫でてくる。
…少し眠くなってきた。
「想ってくれてればいいんだろうけど…。でもやっぱ…、好きって言ってもらえたら…」
難しいことはわからない。
でも、私を撫でるかぐらの手の平は、ひんやりして気持ち良かった。
「好きだぜ。榊」
かぐらは私に向かって囁くと、変な声を出して転がった。
ひとしきりばたばたした後、天井を見上げてため息をつくと、
「今度、言ってみるか」
嬉しそうに呟いた。

なんか寂しそうで嬉しそうなこの子と、今日は一緒に寝てあげよう。
そう思った。

(おわり)
743名無しさん@秘密の花園:2007/06/22(金) 00:04:48 ID:HwrWwmp+
マヤーに本音を打ち明けて悶えてる神楽が可愛い
744名無しさん@秘密の花園:2007/06/22(金) 19:23:55 ID:rlqw3Z3D
マヤー視点いいな。そして神楽はやっぱり純情乙女だな。
745名無しさん@秘密の花園:2007/06/23(土) 22:16:16 ID:PUITi6Jn
マヤー視点気に入ってもらえてよかったです。
メス…ですよね。多分。

続きいきます。
ちょっと過疎ってますか?
甘分補給、できたらいいな。
746名無しさん@秘密の花園:2007/06/23(土) 22:19:20 ID:PUITi6Jn
マヤーが家に来て一週間。
本日夕方、榊が研修から帰ってくる。
普段、お互いの都合で会えない日が続くことは珍しいことじゃないし、
一週間顔をあわせないなんてのはザラだ。
でも、今回は長い夏休みで時間が余りきっていたからか、それとも最初から
『一週間帰ってこない』というルールのもとでの離れ離れだったからか、この日がすごく待ち遠しかった。
その上研修場所がなんとか畜産試験場とかいう携帯も繋がらない山奥だったから、
榊の声を聞くことさえ一週間ぶりだ。
多分今日榊は泊まっていく。
いや、泊まっていってもらう。
あいつがいない間に上がりきってしまったテンションを、このまま自分のなかに放っておけるわけがない。
今日は思いきり甘ったるい夜を過ごそう。
榊が疲れてるなら、くっついて寝るだけでも構わない。
とにかく。
この一週間、マヤー相手に散々練習した愛の告白を、今日してしまおう。
面と向かって言うことがどれほどの緊張を伴うか分からないが、
こういうことは先延ばしにしたって好転するわけがないんだから。
思い立ったが吉日…と言うほどでもないが、
「好き」
と言わなければ収まらないような、そんな気持ちが私の中にあった。
747名無しさん@秘密の花園:2007/06/23(土) 22:21:16 ID:PUITi6Jn
すっかりなついたマヤーを撫でながらテレビを見ていると、予定より早くチャイムが鳴った。
中々聞くことのないピンポーンという音が、今日に限って郵便なんてことはないだろう。
はいはいと言いながらマヤーを抱えてドアを開けると、そこには少し日焼けした榊がいた。

多分、最初はマヤーだろう。
元気にしてたかとか、悪戯しなかったかとか言って頭を撫でて、
それから私にありがとうって言うと思う。
なんてったってマヤーを引き取るのがメインの用事なわけだし、
こればっかりは嫉妬してもしかたない。
そんな風に考えながら、
「ほら、榊が帰ってきたよ」
マヤーを撫でる私の肩をぎゅうと抱いたのは、
日に焼けてもその可憐さを失わない、榊の美しい腕だった。
「ただいま」
耳元で囁かれる帰宅の挨拶に、ドアを閉めることも忘れてうっとりしてしまう。
あぁ、榊ってこんな匂いだったっけ。
マヤーを抱えていて抱き返せない腕の代わりに頬をめいっぱいすりよせると、
一週間分の心が埋まっていくような気がした。
「おかえり」
やっと言えた返事に、夕日に照らされた爽やかな笑顔が向けられる。
多分私の顔も、榊の顔を鏡に映したような笑顔だと思う。
榊の肩越しに光るオレンジ色の太陽の眩しさでも閉じなかった私の目も、
この笑顔を前にしてそのままでいられるはずがない。
自然に、でも期待を込めて瞼を下ろすと、久しぶりの甘酸っぱい感触が唇に広がった。
玄関先での情緒もムードも色気もない、舌も体も絡まない短いキスだったけど、
私の頭の中にお花を咲かせるには充分すぎるほどだった。
748名無しさん@秘密の花園:2007/06/23(土) 22:22:36 ID:PUITi6Jn
「…ちょっとだけだったけど、寂しかった」
ホントは夜、いい雰囲気になってから言おうと思ってたけど、予定変更。
今言っちゃおう。
「お待たせ、神楽」
そう、ドキドキしてても…。
喉から言葉が出てくるよりも先に心臓が飛び出てしまいそう。
たった三文字「すきだ」と、いや二文字で事足りる。
「すき」と。
「榊…、あの…」
「…?どうしたの?」
唇を離してから煮えきらないまま震えている私を榊は不思議そうな顔で見つめていたが、
やがて何かを悟ったように微笑んで私の肩をもう一度抱いた。
「そんな顔して…。よっぽど寂しかったんだ」
ちょっと違う…。
違うけど榊の腕の温かさは、速くなりすぎた私の鼓動を少しやわらげてくれた。
今なら…、言えるかも…
「榊…」
「大丈夫。これからしばらく泊まっていく」
「あの…」
「…好きだよ」
749名無しさん@秘密の花園:2007/06/23(土) 22:24:33 ID:PUITi6Jn
私より頭ひとつ高い、ちょうどおでこの上あたりから降ってきた突然の告白。
さっきのただいまと同じトーンでとても自然に言い放たれたその一言は、
玄関から吹き込む風に乗って私の心に軟着陸した。
知ってる?
ときめき。
今、ときめきをときめきって名づけた人は、すごいなと思った。
動けないとか頭空っぽとか、幸せが溢れるとか温かいとか気持ちいいとか
全部含めてときめき。
オレンジの夕日も古びたアパートの扉も玄関の段差も、それをもってしても埋まらない私たちの身長差も。
なんなら今この時間にこの目に映る何もかもを加えてあげてもいい。
みんな、私たちを彩るときめきの一部だった。
ふわふわする気持ちをなんとか現実に呼び戻して榊を見上げると、
さっきまでと変わらない爽やかな笑顔が降り注がれている。
「私が…言おうと思ってたのに」
とすっと体を預けると、肩から離れた榊の片手が頭を撫でてくれた。
「ありがとう」
私はちょっと離れてから榊にマヤーを手渡して、その勢いで榊の首に背伸びして抱きついた。
キスのかわりに頬をあわせて、吐息も聞こえるような位置で
「私も大好き」
予定は大幅に狂ったけど、口に出したこの言葉は榊の心まで届いただろうか。

時間を忘れてくっついていた私達は、にゃーと鳴くマヤーに促されて部屋に入った。
付き合い始めたばかりの初々しい気持ちがよみがえってきて、どうももじもじしてしまう。
「明日。デート、いこっか」
真っ赤な顔の榊も、私と同じ気持ちらしい。
うん。
今日は、早く寝よう。

《おわり》
750名無しさん@秘密の花園:2007/06/24(日) 08:47:05 ID:P64l+1Yo
さかぐらラッシュだな
751名無しさん@秘密の花園:2007/06/24(日) 09:22:08 ID:YNSZfn2s
いいな。甘いな
752名無しさん@秘密の花園:2007/06/25(月) 10:04:27 ID:UkOGcabc
いつまでも初々しい感じのさかぐら…これがイイんだ!
753名無しさん@秘密の花園:2007/06/30(土) 15:05:45 ID:pHkRvWZX
保守
754名無しさん@秘密の花園:2007/07/02(月) 05:17:28 ID:r1briUXo
榊さんは百合要素多いよね
755745:2007/07/02(月) 18:52:12 ID:PMocPQrt
久々に投稿します。
他のスレとかに投下してて(よつば、ハルヒとか)
さぼってたわけじゃないですよ

では、いきます
756745:2007/07/02(月) 18:52:49 ID:PMocPQrt
「もしもし?あ、神楽」
日曜日、予定のない休日。
暦のうけた電話の相手は、よく知った友人だった。
「え?今から?いいよ。…うん。待ってる」
用件だけを伝えたかのような短さで受話器を置く暦に、後ろから声がかかる。
「何て?」
「ん?今から来るって」
返された答えに無感動な表情をつくって「ふーん」と呟くと、智は目の前の駄菓子に手を伸ばした。

電話から一時間も経たないうちに、神楽は呼び鈴を押していた。
久々に来た暦の家をぼんやりと見上げていると、中からはいはいという声が聞こえ、ラフな格好の暦が現れた。
「突然悪い」
「いや、全然構わんよ。あがって」
促されて玄関をあがると、暦は「お茶持ってくるから先行っといて」と言って台所に消えた。
部屋の位置ははっきりとは覚えていなかったが、何枚か並んだ扉のひとつに“こよみ”と書かれたプレートが下げてある。
まぁ、確実だろう。
「お邪魔しまーす…」
誰に言うわけでもなくドアノブをまわすと、誰もいないはずの部屋から「どーぞ」と声が聞こえた。
「おいっす」
寝転がったまま神楽に向かって右手をあげている。
「…智」
「ん?」
意外そうな顔で扉の前に立ち尽くす神楽に、麦茶を持ってきた暦が後ろから声をかけた。
「どうした?…その辺適当に座っていいぞ」
「あ…あぁ」
思い出したようにそそくさと机の横に正座した神楽は、それでも驚きの表情を崩さない。
ぽかんとしているというか、あっけにとられたというか…
そんな顔で二人を交互に見比べている。
「…何かおかしいぞ?」
不審そうに笑う暦に、神楽は下を向いて黙ってしまった。
若干、顔が赤いような気がする。
757konnna:2007/07/02(月) 18:53:29 ID:PMocPQrt
「で、話したいことがあるってのは…。智がいちゃダメだった?」
麦茶のコップを傾けながら暦が聞く。
智はきょとんとしているが、もし出て行けといわれたら素直に出て行くのかは甚だ疑問だ。
「ううん。一緒に聞いてくれ」
下を向いたまま答える。
そして、何かを決心したかのように顔を上げ
「あの…さぁ!」
勢いよく言ったはいいが、その後が続かない。
また暦と智の顔を見比べながら、あの…とかその…とか言っている。
「何だよー。早く言えよ」
うじうじする神楽を見ているのがよっぽど楽しいのか、智は悪戯っぽく笑っている。
暦は普段どおりの表情を貫いていたが、何も言わない神楽に呆れたのか
「言わないと始まらないだろ」
なんて言いながら二杯目の麦茶を注いだ。

神楽は二人の視線を浴びていたたまれない表情を作っていたが、「そうだよな…私が持ちかけたんだもんな」
などと小さな声で呟いて、一旦天井を見上げてから、
「あの、友達と仲良くなるにはどうすればいいかなって、仲良くっていうか親密っていうか」
そこまで一息で言って、
「…お前らみたいに」
つけくわえた。
758こんな、そんな日:2007/07/02(月) 18:54:05 ID:PMocPQrt

切羽詰った口調で言い放たれた相談に、何秒かの間二人はぽかんとした同じ表情を作っていたが、
暦はすぐさま何かに気付いたようににやっと笑った。
智はぽかんとしたまま暦に説明を求める視線を送っている。
「榊か」
机の向こう側から体を乗り出して言われた言葉に、神楽の顔が真っ赤に染まっていく。
「な…何で」
わかったんだ?とは言わなかったが、これほど図星という単語が当てはまる表情も無いだろう。
智もやっと状況を理解したようで、「ははーん」などと言いながら顎に手を当ててうなずいている。
「榊ちゃんと今まで以上に仲良くなるにはどうしたらいいのか教えてほしいわけか」
ズバリ、その通りだ。
神楽も観念したようで、頬を赤らめながらもなんとか二人の質問に受け答えする用意はできたようだ。
状況を説明し始める。
「榊とは…一緒に帰ったりしてるけど、なかなか思ったようにいかなくて…。あいつが何考えてるかあんまりわからないんだ。
 私が喋ってるばっかで、もしかしたら迷惑なのかもしれないとか思うときもあるし…。
 お前らなら何かアドバイスくれるんじゃないかなと思って…。それで…」
二人を見つめる。
「よみの部屋に当たり前みたいに智がいたのはすごいびっくりした。…羨ましかったのかも」
少女は潤んだ瞳で切々と思いを語る。
お前らだけが頼りなんだ、と。
「うーん…でもさ、」
智が口を開く。
「私とよみはずっとちっちゃい頃から友達だから…あんま考えたこと無かったよ。なー?よみ」
言いながら、真面目な顔で何かを考えていた暦の肩に勢いよくしがみつく。
くっつかれた暦は、面倒くさそうな表情をつくって智の頭を鷲掴みにした。
「そうだな…。特別アドバイスって言われても…。ん?」
759こんな、そんな日:2007/07/02(月) 18:54:59 ID:PMocPQrt
机の向こうで、神楽が固まっていた。
その瞳にはじゃれあう二人の友人が映っている。
「あ、ふーん。そうかそうか」
智は驚いた顔のまま動かなくなった神楽を見て、何か気付いたようだ。
暦からずるずる離れると、
「よし、神楽。お前には練習が必要だ。ちょっとよみに抱きついてみろ」
「え!?」
「何!?」
両側から驚きの声が上がる。
「いや、習うより慣れろって言うだろ?神楽はうじうじしすぎだよ」
一理ある。
抱きつけ、というのは極論かもしれないが。
「だからさ、よみを榊ちゃんだと思って。髪も長いし。ほらほら!」
反論は認められないようだ。
智は立ち上がると、渋る神楽の背中を押して暦の正面まで移動させた。
最初驚いていた暦は、意外と普通の表情でその光景を見守っている。
「…いいのか?」
「え?うん、まぁ。智の言うことももっともな部分はあるし」
呆れたような笑顔で答える。
「練習だしな。いいぞ」
言って、神楽に向かって両手を広げた。
智は得意そうな表情で笑っている。
760こんな、そんな日:2007/07/02(月) 18:55:33 ID:PMocPQrt
とすん。
神楽は力なく崩れるように、暦の胸に倒れた。
暦は震える少女に優しい笑顔をむけ、その短い髪を撫でている。
「どう?」
真っ赤な耳だけ覗かせて胸に埋まる神楽に、上から声がかかった。
「あったかい…かも」
なんだよ。このやり取り。
暦は心の中で自分に突っ込みを入れて、智の顔を見上げた。
さっきまでの得意顔はどこへやら…。
腕を組んでアヒルみたいに唇を尖らせる智がいた。
761こんな、そんな日:2007/07/02(月) 18:56:06 ID:PMocPQrt
「ありがとう!もう恥ずかしくない…かもしれない」
暦の胸から飛び起きると、神楽は真っ赤な顔のまま二人に礼を言った。
効果があったかどうかはわからないが、満足そうに笑っている。
「あとは自分の気持ちだと思う…。頑張るよ!」
言いながら、竜巻みたいに部屋を出て行ってしまった。
いつまでもこの部屋にいるのは恥ずかしかったのかもしれないな…と暦は思った。

神楽が出て行ったのを確認してすぐ、麦茶のコップを傾ける暦の膝の上には別の少女が乗っかっていた。
「お前がやれって言ったんだろ?」
「…だって」
智はいかにも不満そうな顔を上げた。
神楽を引き剥がそうとしなかっただけ、よく我慢したほうだろう。
「ここは私の場所だもん」
潤んだ瞳で拗ねる智に、暦は卒倒しそうになった。
「ああ、お前の場所だ」
神楽のときよりずっと強く抱きしめてやると、暦の胸の中で、智の笑顔が戻ったような気がした。
「もう誰にも貸してやんねー」

《終わり》
762名無しさん@秘密の花園:2007/07/02(月) 19:09:06 ID:1oeCwfgI
リアルタイム投下ktkr!!
かぁぃぃなぁ〜
763名無しさん@秘密の花園:2007/07/02(月) 20:34:19 ID:yja94EOo
さかぐらかと思いきやよみともとは・・・GJ!
764名無しさん@秘密の花園:2007/07/04(水) 22:58:09 ID:xdF+raEb
どうも、感想ありがとうございます。

続けてよみともさかぐらmixで
季節はずれネタ投下します。
765チョコチョコショコラ:2007/07/04(水) 22:59:13 ID:xdF+raEb
「水原、今度の日曜日家にこないか?」
珍しく榊から誘いがあったのは、昼休みのことだった。
前の席の椅子を引っ張り出して私と向き合う形で座って、小さな弁当箱を開いている。
「え…いいけど、何で?」
カレンダーによれば春が近づいているらしいが、寒さが和らぐ気配はない。
来年は受験かと思うと、喜んで春を向かえる気分にもなれないが。
「チョコを…作ろうかと思って」
ああ、もうそんな時期か。
毎年むずがゆい空気をかもしながらも、たいしたことは起こらないイベントだが
…今年は忘れたでは済まされそうになかった。
「水原も作る?」
幼馴染みの明るい笑顔が頭に浮かぶ。
多分、榊の頭の中はショートカットのスポーツ少女でいっぱいだろう。
「あぁ。みんなで集まって作るのか?」
榊は長いこと噛んでいたおかずをやっと飲み込むと、
「いや…」
と言って私の斜め後ろを指差した。
振り返ると、先ほど私達の頭に浮かんだ少女二人が、こちらと同じ様に机を挟んでお昼を食べている。
「神楽の家で二人で作るって」
首を捻った私に榊が説明する。
「私達には内緒だそうだ」
766チョコチョコショコラ:2007/07/04(水) 23:00:09 ID:xdF+raEb
日曜日、朝早くから訪れた私を出迎えてくれたのは、エプロン姿の榊と整理された綺麗なキッチンだった。
早速私もエプロンをつけて『初めてでもできる!チョコレート20選』と銘打たれた本を広げた。
榊はどうもテキストなしで調理をはじめるらしく、すでにボウルやら泡立て器やらをテーブルに並べている。

今回の目標はとりあえず二つだ。
まずはチョコケーキ。
これはいつも仲良くしてもらっているみんな用。
丸いやつを一つ焼いて、切り分けて食べてもらおうという榊からの提案だ。
学校にまるまる一個ケーキを持っていくことなんて可能なのかと心配したが、
用意されたケーキ用の紙型は直径15センチくらいの小ぶりのものだった。
これに生地を流し込んで焼けば完成だそうだ。
そしてもう一つ。
ケーキを焼く間に、榊は神楽への、私は智への個人的なプレゼントを各々で作る。
「意外と忙しいかもな」
時計はまだ10時を過ぎたばかりだが、テーブルの上に並べられた材料の数々が私達を急かしていた。
767チョコチョコショコラ:2007/07/04(水) 23:01:13 ID:xdF+raEb
私の心配をよそに、お菓子づくりは着々と進んだ。
榊はいかにも得意そうな手付きで調理器具を扱い、私も…自分で言うのはなんだが、手際よくこなしていると思う。
わいわい言っているうちにケーキの生地はできあがり、
お昼を過ぎるころにはオーブンからチョコのいい香りが漂ってきていた。

「榊は何作ってんの?」
教本も見ずにボウルで何かをかき混ぜている。
「トリュフ」
短く答えた。
ケーキを作っているときはそうでもなかったが、別々の作業になると会話も少なくなる。
自分の手元に集中しているから…なのだろう。
「水原は?」
「ん?『生チョコ風ショコラ』」
テキストをそのまま読みあげる。
ショコラってチョコのことだよな…と疑問を抱く私の返事に、榊が「そう」と言うとまた沈黙が訪れた。
チョコを混ぜるカチャカチャという音だけがキッチンに響いている。
768チョコチョコショコラ:2007/07/04(水) 23:02:21 ID:xdF+raEb
「神楽とさぁ、うまくいってる?」
別に沈黙に耐えられなくなったわけではない。
こいつと二人っきりなんてなかなかないし、たまにはこういう話もいいだろう。
「まぁ」
榊はぼそっと言うと、少し考えるような仕草をして
「でも、私は表現するのが苦手だから…。神楽にどれくらい想いが伝わっているかはわからない」
続けて、顔をあげた。
「だから、こういう時くらいは、ちゃんとしてあげたい」
ゆっくりと、時間をかけて笑顔をつくる。
…幸せそうな顔しやがって。
「水原は?」
そのままの笑顔で榊が聞いてきた。
「いや、普段通りだよ。仲良くやってる」
「普段…は、いつも言い争ってるイメージ」
榊には珍しく、冗談っぽい口調で笑っている。
なんか…、静かでお洒落な会話だなと、ふと思う。
「そうでもないぞ。意外かもしれないけど、二人っきりの時はあいつおとなしいんだ」
私も思わず饒舌になる。
榊はちょっと驚いた顔をして
「神楽もそうだ」
私達は、普段元気なお互いの相方が膝の上でおとなしく甘えているのを想像して、
盛大に笑った。
769チョコチョコショコラ:2007/07/04(水) 23:03:40 ID:xdF+raEb
次の日、やはり変わらない寒さの中榊と一緒に登校すると、教室にはすでに智と神楽の姿があった。
こちらに気付くと、待ってましたとばかりに駆け寄ってくる。
「じゃーん!智ちゃん特製チョコレートだ!ありがたくいただけよ、よみ」
特別な日だというのに、いつもと変わらないテンションでピンク色の包みを差し出してきた。
嬉しそうな満面の笑みに、チョコより先に脳がとろけそうになったが、
平静を装って「ありがとう」と言って『生チョコ風ショコラ』を渡す。
智は変わらない笑顔で受け取ったそばから箱を開け、既にそのひとつをつまんでいた。
教室の奥では、神楽が真っ赤な顔で榊にチョコを渡している。
照れ隠しに言ってみようか。
「お前もあれくらい愛嬌があればな」
指差した先に智が首を向けると、
「…え?」
紅潮したショートカットの頭は、昨日「表現するのが苦手だ」と嘆いた少女の胸の中に埋もれていた。
抱きしめられた神楽は、耳を真っ赤にして体を預けている。
「おいおい、教室だぞ?」
固まる私をよそに、智はなんだか嬉しそうな顔をこちらに向けた。
「ふふん。暦さん、私にもうちょっと愛嬌があったら、ああやって抱き締めてくれるんですな?」
「え、いや…」
「よみー!」
飛び付く智の向こうで、二人の少女がこちらを向いて笑っている。
片手でチョコを持って、もう片方の手をぎゅっと繋いで。
770名無しさん@秘密の花園:2007/07/04(水) 23:07:29 ID:xdF+raEb
そろそろハードディスクに百合テキストがたまってきましたので、
思い切ってホームページにしてみました。

ここに投下したやつとあと他スレで書いたやつが何点か…です。
まとめみたいなもんです。
どうぞよろしくお願いします。

http://yellowlily.tutakazura.com/

771名無しさん@秘密の花園:2007/07/05(木) 11:04:23 ID:+l4ezzMJ
ほのぼのしていていいなぁ
季節感がアレだけどw
772名無しさん@秘密の花園:2007/07/05(木) 19:21:49 ID:gTdpgDLa
百合袋に貯まりますな
GJ!
773名無しさん@秘密の花園:2007/07/10(火) 22:05:09 ID:UmfTdjS1
応援せざるをえない
774名無しさん@秘密の花園:2007/07/13(金) 21:43:19 ID:gFIWcZXW
みなみ・ゆたかの関係を見るためだけにらきすたを読んでいる

なぜなら、榊・ちよにそっくりだから
アニメでの関係とか榊さんの妄想はガチだと思うんですよ
775名無しさん@秘密の花園:2007/07/14(土) 22:38:27 ID:kEJf+YSf
百合読者に妄想もされず、かおりんは薄幸だなあw
776名無しさん@秘密の花園:2007/07/14(土) 22:43:46 ID:+m1k2aM+
かおりんの前には神楽とちよちゃんという大いなる敵が……
777名無しさん@秘密の花園:2007/07/14(土) 22:56:28 ID:QME4X/LR
大阪→とも←よみ
     ↓
     ちよ
     ↑
神楽→ 榊 ←かおりん
778名無しさん@秘密の花園:2007/07/15(日) 18:08:55 ID:VOwP51Ky
>>777
とも→ちよの流れが難しいな。
どーゆー部分にそれを感じたんだ。
779名無しさん@秘密の花園:2007/07/15(日) 19:28:58 ID:9Pue8ojs
>>778 いじめるのも好意の裏返し、なのかも?

好意図 Ver.自分

よみ⇔とも←大阪
     |   ↑
     |   ↓
     |  ちよ
     |   ↑
     ↓   ↓
    神楽→ 榊 ←かおりん←千尋
     ↑
  黒沢先生⇔谷崎先生



ついでに 攻→受 図 Ver.自分

よみ→とも→大阪
     |   ↑
     |   ↓
     |  ちよ
     ↓   ↓
    神楽← 榊 ←かおりん←千尋
     ↑
  黒沢先生←谷崎先生
780名無しさん@秘密の花園:2007/07/16(月) 00:26:32 ID:hrkN5QcJ
気が早いかもしれんが、次スレはどうしよう?
781名無しさん@秘密の花園:2007/07/16(月) 06:31:10 ID:U1FO9nHv
>>779
独特だな。そして神楽は最強の受け。

>>780
ここがいっぱいになってからでも遅くないと思うが
782765:2007/07/18(水) 00:17:37 ID:fHbz/rKP
どうも、ごぶさたしております。
2週間ぶり?くらいです。
最近ハルヒばっか書いてました。申し訳ない。

よみともいきまっす。
やっぱ私の原点はよみともにあると改めて感じます。
783彼女の庭で、海水浴:2007/07/18(水) 00:20:00 ID:fHbz/rKP
「やった〜!やっと…終わった…」
鉛筆を放り出した智はだるくなった右腕の筋肉を伸ばしながら、床に倒れこんだ。

一日から順番に赤ペンでバツ印がつけられたカレンダーは、最後の31という枠を残して真っ赤に染まっている。
現在時刻は午後一時。
楽しかった夏休みも残り十二時間ほどとなったところで、やっと全ての課題の解答欄を埋め終えた智は、
夏休み最大で最後のこの大仕事の重要な貢献者に目をやった。
「お疲れ」
この部屋の主人であり、ここ数日自分の宿題を印刷技術が発達する前の新聞屋みたいな速度でコピーする智を見守っていた
眼鏡の少女は、頬杖をついたまま呆れたような安心したようなため息を漏らした。
「いやー、やればできるもんだね。意外と」
明るく笑う智にもう一度ため息をついてやりたいところだが…
毎年のことだ。何も言うまい。
暦はもたれていたベッドから立ち上がると、机の上に置いてあったプリントを手にとって
「大丈夫なのか?二学期が始まったらすぐテストだぞ?」
そんなことなどまるで頭に入っていないであろう適当少女に聞いた。
「なんとかなるよ」
案の定、彼女は本当にそう思っているかのような笑顔で答え、
出尽くしたため息を改めて漏らしてやろうかと思う暦を、力の抜けた手で指差して、
「それよりさ」
にやっと唇を上げて続けた。
「夏休み最後の一日を存分に味わおうではないか」
784彼女の庭で、海水浴:2007/07/18(水) 00:21:11 ID:fHbz/rKP
「いいよー!水出して」
Tシャツ姿の智に促され、これまた白いTシャツ一枚の暦が蛇口をひねると、
やや間があってから緑色のホースを通って水が流れ始めた。
「うひゃー!冷たい!」
勢いよく吹き出た透明の水を触って智がはしゃぐ。
見ると、少女二人の下半身は水着に着替えられており、暦の足元はビーチサンダル、智にいたっては裸足である。

「懐かしいなー」
暦は家の庭に引きずり出された直径2メートル弱ほどのビニールプールを眩しそうに眺めて呟いた。

ふくらはぎ程度の深さしかないそのプールはものの数分で水がいっぱいになり、
「やっほー!」
飛び込みが成立するとは思えない大きさながらも、智は勢いよくジャンプしてしぶきを巻き上げた。
「ほら!よみも来いよ。すげー気持ちいいよ!」
既に髪までびちゃびちゃの少女は、体に張り付いた真っ白い布地を気にすることもなく、
「うりゃ!」
と叫んでホース片手に目を細めて光景を見守っていた暦に向かって水をすくい投げた。
手のひらから放たれた水滴たちは、ゆるい放物線を描きながらスタイルのいい体を濡らす。
「うわ!やめろよー」
ホースを向けて反撃したが、濡れることを厭わない智はそれを奪い取ろうとして、暦の手首を掴んで振り回した。
二人の間で蛇みたいに動く管が四方に水を撒き散らし、いつしか少女たちは頭から足までずぶ濡れになっていた。
785彼女の庭で、海水浴:2007/07/18(水) 00:21:48 ID:fHbz/rKP
「ちっちゃいとき、毎年これで遊んでたよな」
ひとしきりはしゃいだ二人は、プールのヘリに頭を預け、濡れた体を水の中に沈めて空を見上げている。
暦は長い髪が水につかることも厭わず、狭い空間で触れ合った智の右手をぎゅっと握り締めた。
「このプール、昔はもっと大きかったよね」
冗談っぽく笑う智に、
「…私たちが大きくなったんだよ」
感傷に浸るみたいに、遠くを見つめて答えた。

「大人になったのかもな」

分厚い雲が太陽を隠し、二人の顔に影が落ちる。
浸かっている水が、少しぬるくなったように感じた。

「私は相変わらずあんたの宿題写してるけどね!」
ざぶん、と音を立てて上半身を起こした智は、濡れた髪を振って明るく笑い、
「よみも、そんなに変わってないぜ」
繋がれたままになっている右手に気付いて、また水中に体を戻した。
今度はプールのヘリじゃなく、暦の肩に頭を預けて。

太陽がまた顔を出した。
暦は空いた手のひらで光を遮り、智は暦にくっついたまま眩しそうに目を閉じた。

(おわり)
786名無しさん@秘密の花園:2007/07/18(水) 01:11:34 ID:eS5qYQe6
ほのぼのしているような、妖しい雰囲気に流されそうな
ほどよい微妙さですね
787名無しさん@秘密の花園:2007/07/18(水) 05:10:40 ID:ktAJZxvz
よみが入ると途端に減るプールの水
788名無しさん@秘密の花園:2007/07/18(水) 07:56:26 ID:UOpfvt87
お久しぶり、GJ

最初のころに比べてものすごく上達してる
三点リーダの多用がなくなって、とても読みやすくなった

夏休みが始まってすらいないのに、8/31が頭の中に浮かんできた
幼馴染の二人はやっぱり温かい関係だなあ
789名無しさん@秘密の花園:2007/07/22(日) 00:19:05 ID:d0FzdUI/
GJです
ニヤニヤが止まらない
790名無しさん@秘密の花園:2007/07/22(日) 18:50:47 ID:UARwkyDe
ふたばのゆり板でこんなレスを見たんだ

>無題 ゆりあき 07/07/21(土)00:32 No.528237
>> >回転防御SSを思い出した。
>> http://palpop.hp.infoseek.co.jp/MeetAgain.html

>> これだな
>> そういやともとよみもこなかがに関係が似てるな

>無題 ゆりあき 07/07/21(土)00:43 No.528239
>> >そういやともとよみもこなかがに関係が似てるな
>> はっきり言って、ゆたか×みなみは榊×ちよのパクリ
>> 犬飼ってるのがみなみの方だけど。


やっぱ似てるって思ってる人がいるのね……。
791名無しさん@秘密の花園:2007/07/23(月) 09:43:44 ID:iUF8Sggm
全然違うだろ
792名無しさん@秘密の花園:2007/07/23(月) 22:50:58 ID:NYuijc0F
最近のはよくわからないが、あずまんが以降同じような作品が続々出ていたからな
793名無しさん@秘密の花園:2007/07/24(火) 21:22:11 ID:32N7MVpU
ゆたか×みなみが榊×ちよ
これには同意

ただし、みなみは貧乳
794名無しさん@秘密の花園:2007/07/25(水) 00:40:00 ID:gicVhnqY
かがみ:よみ
つかさ:大阪
795名無しさん@秘密の花園:2007/07/28(土) 21:08:29 ID:QkXPGymj
伝言
余計なこと言うな
796名無しさん@秘密の花園:2007/07/28(土) 22:48:07 ID:2aYMdWv4
ゆたかがちよからの引用ってのは公式
797名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 01:04:46 ID:vogzavur
ちよと榊の絡みは少なそうで多い
798名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 17:27:29 ID:9qj9KYmR
>>796
公式なんだ
799名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 19:31:46 ID:QN0IxTHg
ちよちゃんは病弱じゃないし、ゆたかは金持ちじゃないけどね。
むしろみなみが金持ち。

あと、みさおが神楽っぽい
800名無しさん@秘密の花園:2007/08/02(木) 00:57:46 ID:JKV/xQG6
一時の加速っぷりはどこへやら

まあ百合板だし、この位でいいか
801名無しさん@秘密の花園:2007/08/04(土) 00:14:58 ID:4vTAB5fG
のんびりペースでいいだろう
802名無しさん@秘密の花園:2007/08/07(火) 15:51:00 ID:QLjSz3A+
らきすたの18話見てて

あ、本当に榊さんとちよちゃんだ
と思った。
803名無しさん@秘密の花園:2007/08/07(火) 19:34:49 ID:DSVnVy9h
似通うところがあるわけか
804名無しさん@秘密の花園:2007/08/10(金) 00:13:02 ID:1+RAvzNB
805名無しさん@秘密の花園:2007/08/10(金) 00:19:28 ID:YFhuqFfL
>>804

さかちよもありました
http://jp.youtube.com/watch?v=ZStiLUbcNqw

意外なことにさかぐらが見つからない
806名無しさん@秘密の花園:2007/08/10(金) 00:27:06 ID:DygEuLwp
さかぐらも見たいのにな
俺のさかぐら分が不足している
807名無しさん@秘密の花園:2007/08/10(金) 00:29:17 ID:1+RAvzNB
よみともは海外でも有名ようだが、さかぐらはさっぱりだな。
808名無しさん@秘密の花園:2007/08/10(金) 00:41:45 ID:YFhuqFfL
>>807
いやちょっと待て。
とりあえずYoutubeではよみともとさかちよが同じくらいあったが、
そもそもあずまんがのshoujo-ai自体が少ないぞ。
809名無しさん@秘密の花園:2007/08/10(金) 02:46:45 ID:SIPzTWzd
>>804
この人の作るMADは好きだ
初期作品の方が、掛け合いっぽさがあってよりいいけど(今のはプロモっぽいのが多い)
810名無しさん@秘密の花園:2007/08/10(金) 02:56:46 ID:SIPzTWzd
で、久々にこの人のMADを見たくなったので、ようつべの保管庫行ったら
見たいのが無くなってた
がっかりだ
811名無しさん@秘密の花園:2007/08/10(金) 19:50:39 ID:1+RAvzNB
>>810
保存しとけば良かったな。
ニコニコにも転載だか、自作だかのあずまんが百合madがあったが消えてしまっていた。
あとよみとものいじめの漫画があったサイトも消えてしまっていた。
残念だ・・・
812名無しさん@秘密の花園:2007/08/16(木) 00:55:25 ID:PsJwt/49
のんびりと

アニメオリジナルは、19話のにゃもゆかり以外は百合分が多いね
813名無しさん@秘密の花園:2007/08/20(月) 16:43:06 ID:Xh2y9CWb
三年目の別荘で怖い目を見たゆかりセンセ。
恐怖のあまり思わずにゃもちゃんに泣きついたりするといいよ
814名無しさん@秘密の花園:2007/08/20(月) 21:21:45 ID:CVDOkeWl
にゃも(計画通り!)
815名無しさん@秘密の花園:2007/08/23(木) 22:07:27 ID:pxyMAHCe
ゆかり(計画通り!)
816名無しさん@秘密の花園:2007/08/24(金) 01:20:59 ID:kDKl8Mk8
ちよ(計画通り!)
817名無しさん@秘密の花園
ちょwww大阪のあれは最初から仕組まれてた事だったのかww