142 :
Episode−ex「ネヴァー・レット・ゴー」:
scene 1 「merry X‘mas for・・」
悲しい事があっても、この時期は何となく浮き足立つ。
それもその筈、今日はクリスマス。
スワンさんから小さなクリスマスツリーを借りて飾って雰囲気は出てるかも。
勤務が終わったわたしとジャスミンは部屋で女二人の鍋パーティをやっていた。
材料を切って入れるだけだから、わたしでも出来るかと思ってたけど悪戦苦闘した。
習ってくるべきだったかな?
「ウメコ、指切っちゃうよ」
「手出ししないでよ、あたしにだって出来るんだから」
わたしを尻目に結局、殆どの下ごしらえはジャスミンがやってくれた。
「お味はいかが?」
「うぐ、あふっ、うっ」
口の中に入れた鶏肉団子がとても熱くてちゃんと喋れないわたしの頬を、ジャスミンは優しく突っつく。
一週間ほど前、わたしはセンさんに振られた。
『ウメコとセンさんは恋人同士』
周囲からはそんなふうに見られてたし、実際そうだった。
でもわたしの好きになったセンさんと実際のセンさんは違ってた。
わたしと居てもいつも楽しくなさそうにしてて、いつもはぐらかされてた。
センさんのもともとのヌボーッとした性格だったのかもしれないし、わたしが妹ぐらいにしか思われていなかったのかもしれない。
それでもあの人を信じ続けた。
でもダメだった。
―別れよう―
たった五文字がクリスマスプレゼントになった。
立ち直りが早くてポジティブシンキングなのはわたしの取り得だけど、失恋は別。
それから何日間か、勤務を笑顔でこなした後でジャスミンの部屋に押しかけては抱き締められて泣いてた。
ジャスミンは何も言わないで手袋を取って、黙って抱き締めてくれた。
ありきたりな慰めの言葉なんて欲しくもなくて、ジャスミンもそんなわたしの気持ちを察してくれてて、泣いている妹を慰めるお姉ちゃんみたいに抱き締めて慰めてくれた。
わたしもわたしで温もりが欲しくて、ジャスミンに抱き締められたり頭を撫でられたりするのが癒しのように感じていた。
「おいひい」
「よかった、まりか嬉しい・・って、また思い出したの?迷える子羊よ、たくさんお食べ!」
「ちょっとねぇ、白菜とネギばっかり入れないでよ!!」
湯気が目に染みたのと肉団子の味付けがとっても美味しかったのと、優しさが嬉しくってまたじわっと視界が滲んでた。
我ながら泣き虫。
それからちょっとして、立ち直れてた。いや、立ち直れてたつもりでいた。
年越しも一緒に過ごしてて、二人でパトロールの帰りに初詣に出かけたり、ブリーフィングルームでおせちの重箱を囲んでお雑煮を食べたりした。
それまで友情だと思っていた想いも変わっていた。
センさんに抱いていた気持ちと同じ気持ちだ。
わたしの気持ちは知らないうちにジャスミンでいっぱいになってた。
女の子同士だからどうだ、とかってためらいは無かった。
そんなものはわたしにとっては野暮な事で、好きになったものは仕方ない。
ていうか、捜査の時も遊んだりする時も一緒に居過ぎてたから気付くのが遅かったかも知れないなー、自分の気持ちに。
でもそれで終わりだと思ってた。
片想いで終わって新しい人を好きになるんだ、って。
暫くして遅れたクリスマスプレゼントとお年玉をいっぺんに貰ったような出来事がやってくるなんて思いもしなかった。
scene 1 fin
イイ!
146 :
Episode−ex「ネヴァー・レット・ゴー」:2006/07/13(木) 07:50:55 ID:KOytlZ5x
scene 2 「don‘t let me go」
ピピッと音が鳴った。
体温計は38度5分を表示してた。
やっちゃった。
最近勤務が忙しくって、体調管理がちゃんと出来てなかったんだと思う。
昨日の夜から身体が熱くて、何となく風邪引きそうな感じはしてた。
ぬるめのお湯に浸かるようなことしなきゃよかった・・なんて考えても仕方ない。
とにかく休んだりするのは嫌だし、休むに休めない。
一日でも顔を見れないのが嫌だったから。
熱くなった身体をベッドから起こして制服に着替えた後、火照った顔を化粧で隠して気合を入れて部屋を後にした。
パチンッ、という音が耳に入った。
ブリーフィングルームの自動ドアが開いてからわたしの目に入ってきたのは、センさんを打ったジャスミン、ジャスミンに打たれたセンさんだった。
「・・気は済んだ?」
「センちゃんの事、微妙にじゃなくて激しく見損なった。『ウメコを泣かせない』って約束したのに・・」
二人ともわたしに気付いてなかった。
何が起こったのか判らなかったけど、わたしの事での言い争いだというのはおぼろげに分かった。
後姿しか見えないジャスミンの肩と声は少し震えてた。
「振ったセンちゃんはいいかも知れないけど、ウメコがどんなに悲しんだと思う?どれだけ沢山泣いたか分かる?泣かせたら仲間でも、友達でも絶対に許さない・・ウメコの事が好きだから。ずっと好きだったから・・」
そう言った後、少しだけ黙った。
黙ってた時間がとても長く感じた。
ジャスミンがわたしと同じ想いでいてくれた事を受け止める事が出来なかった。
二人が言い争ってるのが悲しくてショックで、いつものわたしだったら泣いて止めてたかも知れない。
でも、そんな元気なかった。
疲れで熱くなった身体がもっと熱くなるように感じて、目の前の景色が遠退いた。
「あ・・」
目を覚ましたのはベッドの上。
倒れて意識を失ったわたしはメディカルセンターに運ばれてた。
ふと見ると、点滴のパックがぶら下がってる。
重くなってた身体が軽い代わりに右腕がチクチクしてて、左の掌はじんわりと温かい。
「気付いた?ウメコ」
「御免あそばせ。嫌なもの見せちゃったね」
ジャスミンはそう言って私の左手首を素手で優しく握ってくれてた。
側にはセンさんも居て、二人ともさっきのケンカが嘘のように優しい表情でわたしを見てくれてる。
「注射で泣いたりしなかった?いい子だね」
「泣きませんよ〜だ!」
いつものようにジャスミンはわたしをからかって、わたしも答える。
他愛も無いいつものわたし達のやり取りを見た後、センさんはフッと一回笑って後ろを向いた。
一言話し掛けたかった。
でももう言葉なんて思いつかない。
優しい言葉も、酷い言葉も。
ジャスミンはセンさんに目を向けた。
少し目元が赤くなってた。
「センちゃん」
「なに?」
「さっきはごめんね。」
「いいよ。ジャスミン」
「・・何じゃらほい?」
「ウメコの事、頼んだよ。傍に居てね。・・・・寂しがりだから絶対に離しちゃダメだよ?」
センさんが笑っていたのか泣いてたのかも分かんなかった。
背中越しに一言だけ言って、鳴りはじめたライセンスのエマージェンシーコールに導かれるように出ていった。
やっぱり、まだ心の何処かにセンさんが居たんだ。
振り切って立ち直った筈なのに。
センさんの後ろ姿を見ても何も感じなかったのに。
それまでわたしの手をそっと握ってくれてたジャスミンが、泣きながら力を込めて握ると涙が止め処なく溢れた。
本当にこれで最後だって思った。
本当に大切な人に巡り会わせてくれたセンさんに感謝の気持ちでいっぱいになった。
「ジャスミン、痛いよ」
「凄い顔してるよ。お岩さんみたい」
化粧の落ちた顔で鼻をすすりながら涙を隠すようにおどけ合った後、わたしの気持ちを読み取ってたジャスミンはもう片方の手でわたしの頬の涙を拭いながら泣き声で続けた。
「センちゃんの後継ぐね。その代わり絶対に離れないし、寂しくさせたりしないから・・」
泣きながら頷いて、想いを込めながら手をギュッと握り返した。
363 :Mr.名無しさん :2006/07/10(月) 07:56:48
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.|| ギシギシ・・・
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___ _/ S.P.D / ..|| \ ::::::::::::::: / / ヾ
|\ \/____/\....|| \ :::::::::::: 〃 ジャスミン、気持ちいい?ね・・
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\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ \.\::::::::::::: ウメコ、あん、やあ・・
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(__________ン
152 :
Episode−ex「ネヴァー・レット・ゴー」:2006/07/16(日) 12:16:41 ID:cESUyqS8
scene 3 「I love you」
点滴で熱は引いたけど、結局次の日まで半強制的な休養になった。
さっきまでたくさん泣いて、どことなくユラユラしてた気持ちも今度こそ軽くなってたって実感できてる。
心の痛みと引き換えに残ったのは右腕の点滴の痕と強く握られた左手のアザ、そして包まれてるような感じの温かさ。
まだ感触が残ってる掌から、温もりが体じゅうに広がっていくように感じた。
パジャマに着替えてベッドに入って、安心した気持ちと泣き疲れでウトウトし始めた時、部屋の中にインターホンと聞き慣れた声が響いた。
【ウメコ・・入っていい?】
その瞬間パッと意識が覚醒して、玄関にインターホンの主を迎えに行った。
ジャスミンは勤務を終えたその足で来てくれた。
一緒に泣いてたからちょっぴり鼻声だった。
「もう大丈夫?」
「うん・・だいじょうV!」
「まねっこだ」
ジャスミンはそう言ってわたしの頭を撫でて、部屋に上がった。
素手だったのがとても嬉しくてたまらなかった。
「おじや作ってあげる・・ってウメコ、部屋掃除しなきゃね。相変わらず散らかってるし」
「余計なお世話よ!でもなんかごめんっていうか、ありがと・・」
制服のままキッチンに向かって、持ってきた材料を並べてゴハンの準備をはじめてくれてるジャスミンになぜだか急に申し訳なくなって、憎まれ口の後でお礼のような謝罪のような事を言ってた。
本当は『一緒に居てくれて、ありがとう。大好きだよ、これからも宜しくね』って言いたかったけど、照れ臭かった。
「ん?それは言わない約束でしょ、おっかさん。それに・・」
「それに?」
ちょっと間を置いてジャスミンは一回だけ深呼吸して言った。
「私たち、スーパークールでパーフェクトなステディだよ?少々の事で謝るなんてしないの!アンダースタンド?」
いつもみたいに昭和の流行語でおどけてみても、ホージーさんみたいに英単語を並べてみても、真っ赤になった顔が全て物語ってる。
こんなふうなジャスミン、はじめて見た。
真っ赤になってはにかむのがとっても可愛くて、わたしは後ろから抱きついた。
「ウメコ、ちょっと止めて、指切っちゃうよ!」
二人で夕食を済ませて後片付けをして一緒にハーブティーを煎れてたとき、指先がちょっとだけ触れた。
ブリーフィングルームでの一言と、メディカルセンターでのことを思い出してた。
熱でボンヤリしててよく聞き取れなかった一言をもう一回、聞きたかった。
吐き出すような苦しい感じじゃなくて、わたしに、わたしだけにその言葉を言ってほしくて。
ハーブティーの入ったカップをテーブルに置くのと同時にジャスミンは『待っていた言葉』を言ってくれた。
おどけるわけでなく、ただ一言、二文字を言ってくれた後、笑いながら続けた。
「アジャパ。なんて顔してるの?さっき抱きついたり触れてくれたりした時、しっかり伝わってたよ。正直過ぎるよ。でも、そんなウメコが大好き」
泣きたいような笑いたいような、とにかく変な顔になってるのは自分でも分かった。
ジャスミンはわたしに優しく微笑んでくれて、キスの距離まで顔を近づけてきた。
「今度はウメコの番だよ?」
わたしはそう言い終わらないジャスミンの唇の温度を確かめてた。
キスって言うより、軽いタッチ。
何かのおまじないみたいに、唇に精一杯の「好き」を込めてそっと合わせた。
今度はジャスミンが同じようにわたしに触れてくれる。
二度触れた。
初めてのキス。
「なんか変な感じ」
「うん。自分にチューしてるみたい」
「怖くない?」
「大丈夫だよ。」
「・・・ジャスミン」
「ん?」
「・・・わたしの事好き?」
「うん!大好きだよ。」
女の子同士でキスするのなんて初めてで、お互い緊張して妙な会話しか出来ない。
でもそれが楽しくって、顔を見合わせて少しだけ笑って、もう一回キスした。
今度はちゃんとしたキスだ。
私のほうから舌を入れて絡めた。
ジャスミンは柔らかくて甘くて熱い舌を絡め返してくる。
ふわっ、と縺れた髪の毛からシャンプーの匂いがした。
それだけの事が我慢できないくらい愛おしくて泣き出しそうになって、首筋に腕を強く巻きつけて抱き締めてた。
「すごくいい匂いする」
唇を離してから、思い出したようにそう言ってた。
「どうせ汗まみれになっちゃうよ。ウメコみたいに」
「もう、ばか!!」
膨れるわたしはパジャマのボタンをゆっくり外されて、ズボンも脱がされて下着姿になった。
ジャスミンも制服のジャケットとスカート、アンダーを脱いでいってわたしと同じ姿になった。
・・・・なんで恥ずかしいんだろ。
一緒にお風呂入ったり、背中流し合ったりしたことは何度もあるから裸は見慣れてるはずなのに、とっても恥ずかしい。
「・・・・よござんすよ、ウメコ。一緒にスッポンポンになろ。」
ブラのホックに手を掛けて脱ぎあぐねてるわたしをリードするように、ジャスミンは微笑んで言ってくれた。
スッポンポンなんて言い方やめてよ。
目が合った。
ふざけてたのが真面目になる。
裸になったジャスミンの白い肌は赤かった。
抱き寄せたらとっても熱くて、ボディシャンプーの匂いにふんわりと優しく包まれた。
わたしはエスパーじゃないけど、緊張を隠したくておどけてるジャスミンの気持ちが震える肌から伝わってくるように感じた。
わたしより少しだけ大きな胸の奥が高鳴ってる。
みんなの前でクールに振る舞ってても、可愛い女の子なんだな。
もう喋るのも嫌だからキスしてた。
少し大胆になって、舌を出して絡めたり吸い合ったりする。
興奮して熱くなった唾液が滴り落ちて、露わになった肌に落ちた。
「先手必勝、ってね・・・」
悪戯っ子みたいにそういってニッと笑ったジャスミンは、首筋にキスの雨を落としてきた。
「んっ・・・」
細い指が這いまわって、胸を触ってくる。
首にキスしてた唇は、胸の突起に落ちていってる。
ペロンと舐められて力が抜けて、その場に崩れた。
「気持ちいい?」
ジャスミンの問いに、わたしは子供みたいに頷いてた。
愛してくれる目の前の人に失礼だからもう比べたくはないけど、『初めて』なのにセンさんよりもわたしを知り尽くしてくれてる感じ。
わたしの考えも恥ずかしさも感じるところも、全部を読み取られて愛される。
自然にわたしは床の上に横たわってて、ジャスミンは猫のように擦り寄って重なりながらキスしてくれる。
おへその辺りから、フレンチキスはディープキスに変わってた。
「ジャスミ、・・・んっ、あぁぁん・・・ふぁっ」
「いい匂い・・」
おへそやその周りを、まるでアイスキャンデーを舐めるみたいに舐め回されてた。
時折意地悪するように鼻をクンクン鳴らしてくる。
「キスしていい?」
「うん。」
「こっちだよ・・・?」
「・・わかってる」
わたしのお腹を唾液で汚した後、身体をゆっくり下ろしながら両足を広げて、濡れた場所に顔を近づけて口付けてきた。
「やぁっ、もぉ・・・きたないからなめちゃや、だ・・・」
こんな事言ってても本当は気持ちよくって、吐息を漏らして舌を動かしているジャスミンの頭を押え付けてた。
入り口をキスされてから指で押し広げられて、舌先を中に挿し込まれて掻き回されるように舐められた後、尖った部分を強く吸われた。
ジャスミンの唾液とわたしのが混ざってるのが、音と匂いで分かった。
「あんっ、あ・・・・やああん!!」
無意識のうちに凄い声が出てて、頭が真っ白になってた。
顔を上げて、口元を拭ってるジャスミンが視界に入ってる。
足を広げたまま横たわって、ぼんやりとしてるわたしに覆い被さってきた。
頭がまだふわふわしててはっきりしない。
でも、重なりながら『熱くなった場所』が太腿のあたりに触れてた。
とても濡れてる。
「初めてだから、優しくしてね」って、独特の言い回しが耳に入ってくる。
おねだりするような表情のジャスミンは、おどけてすましてるいつもとは別人みたいに切なくて今にも泣きそうだった。
「あ、ごめ・・」
唇で唇を突付く。
啄むように突付き合いながら、いつのまにか身体を起こして、後ろに回ってた。
髪の毛に隠れてるうなじにキスしたくて。
「あ・・・ぁんっ」
シャンプーにちょっと汗の匂いがする髪の毛を掻き分けて、押し当てるように少し歯を立てた。
はじめて聞く声はいつもの声よりも少し高くて、鼻に掛かってて甘ったるくて・・わたしより可愛い声。
―もっと、聞かせて―
唇で肩に触れて、後ろから胸に手をかけてからちょっと強く揉んだ。
ツンと立った部分を指で摘んで回すように動かしながら、背中を上下に往復するように唇と舌で代わる代わるキスした。
「あん、ああぁっ、きゃぁぅ・・・意地悪・・・んっ」
知らないうちに背中はわたしの唾液でベトベトになってた。
意地悪したつもりじゃないんだよ?
両膝を立てたジャスミンは、わたしにお尻を突き出してきた。
両方のお尻に、一回ずつ唇で触れてから谷間に顔を埋めて、女の子の場所にキスした。
石鹸の匂いと汗の匂いと、蜜の匂いと可愛い声に興奮して何も考えられない。
胸から手を離して、今度は手を握ってた。
「あっ・・あ、あぁっ・・やぁん、だめ、っやぁ・・」
拒否なんてしても、身体をくねらせながら仰け反っても、女の子の場所が「辞めないで続けて」って、私に教えてくれてるみたいに濡れてる。
膨れた珠を舌で触って、一枚ずつの感触を確かめた。
それだけじゃ足りない。
全部欲しい、何もかも。
(ジャスミンはわたしだけのものだよ、わたしもジャスミンだけのものだよ)って、繋いでる手に込めた。
こもった声を上げながらヒクヒクした後ろのすぼまりも、白くなった蜜の滴れてる太腿も、足首も、全部にキスした。
キスなんてキレイなものじゃなかったと思う。
舌と唇で、自分の匂いを付けるようにジャスミンを貪る。
膝立ちになってた身体は泣き声を上げて何回か大きく震えて、崩れていった。
少し呼吸をおいてから導き合った。
溶けて熱を帯びた部分を重ねるようにして動いた。
クチュクチュと音がする中でお互いの名前を呼びながらの行為は儀式みたいだった。
ちょっとずつ我慢できなくなっていって、尖ってるところがぶつかる度に声が上がる。
火傷しそうに熱くなったあと、身体が宙を舞うような感覚の中でわたし達は『一つ』になった。
「ね、ウメコ。私髪切るよ?」
「へ?」
間抜けな返事しか出来なかった。
シャワーを浴びた後ベッドに入ってから暫くして、ジャスミンはわたしに言った。
長い二つ分けのストレートヘアが好きだったから、ちょっとビックリした。
「何で??」
「ウメコと新しい気持ちで向き合いたいからだよ。髪なんてまた伸びるし。それに・・」
「それに?」
ジャスミンは黙ってから、フッと笑ってから続けた。
「キスしやすいように、うなじよく見えるようにしとかないと、ね〜〜。」
ウインクしてからキスされた。
恥ずかしくなって、わたしはジャスミンの乳房に顔を埋めて話題を変えた。
「明日休みだね」
「うん、私も休み」
「どっか行こう」
「ウメコ、病欠扱いでしょ?だめだよ。明日は一日面倒見てあげる。何処にも行かないからね。美味しいもん作ってあげるからゆっくり休んで、ね・・・」
『何処にも行かないからね』っていう彼女の一言が、心の中に沁みていく。
センさんのクリスマスプレゼントとすりかわっていくようで安心しちゃった。
そっとスタンドの灯りを消して、眠りに就く前にもう一回強く抱き合った。
epilogue 「come go with me」
冬の陽射しが眩しくなる、少し暖かな時期になった。
ジャスミンとわたしはスワンさんの研究室にお邪魔していた。
ジャスミンがスワンさんに大事な話があるからって、くっ付いてきたんだけど。
「そう、良かったわね。センちゃんの事も吹っ切れたみたいで」
「はい!もう元気バリバリです。すごく大切な人もいるし・・・」
「ふ〜〜〜〜〜〜〜〜ん。ねぇ、ところでどうしたの?その手」
煎れてもらったコーヒーを飲んでるわたしの絆創膏だらけの手を見て、スワンさんはニコニコしながら言った。
今わたしはジャスミンに料理を教えてもらってて、その手始めに野菜の皮をむく練習をしている。
もっとも習いたての今は、野菜の皮をむくより自分の手の皮をむいてしまう事が多いけど。
「好きな人に尽くしてあげたいって、その気持ちステキよ。ああ、そういえばもうすぐバレンタインデーね。ウメコは隣に居る大切な人に何か拵えてあげたいのかしら?」
「はい、ラブラブなお年頃ですから!わたし、大好きなジャスミンにチョコレート作ってあげたくて・・・」
・・・・・・しまった。
誘導尋問に見事に引っかかってた。
隣に居る『大切な人』はというと、顔を真っ赤にしながら俯き加減になってる。
そんなわたし達にスワンさんはお見通し、というような顔でクスッと笑った。
「あのね、ワタシあなた達より長く生きてるぶん人生経験豊富なのよ?付き合ってる事が見抜けないとお思い?だいたいココに入ってきた時から目配せし合ってるんだもの。ごちそうさまでした!パトロール言ってらっしゃい」
言い終わるなりわたし達は頭を小突かれてた。
研究室を後にしてからマシンドーベルマンの格納庫に向かう途中、自分のドジさ加減が嫌になったわたしは謝ってた。
「あ・・・ごめんね、ジャスミ・・」
「ありがとさ〜ん。」
へ?
呆気に取られるわたしの横で、彼女は嬉しそうに続けた。
「大事な話、全部ウメコが話してくれてよかった。スワンさんには私達のこと知ってもらいたかったんだけど、どう切り出そうか分かんなかったんだ。感謝感激雨アラレ」
「え・・じゃわたしが言うの待ってたって事?ずるい!!っていうか考えてること一緒だったら言ってくれなきゃ・・・」
彼女はムクレるわたしに顔を近づけて、頬っぺたにキスしてくれてから手袋を取って、わたしの手を取った。
・・・もう、怒る気失せちゃったよ。
キスしてくれたし、ま、いっか!
「チョコレート楽しみだな。行こう、相棒!」
「あっ、こら待って!相棒って言うな!」
もう友達じゃなくなった相棒は、ちょっと大胆になってた。
彼女とわたしは、手を繋ぎ合って駆け出した。
fin