434 :
魔人:
むかしむかしあるところに、なまえのないかいぶつがいました。
かいぶつは、なまえがほしくてほしくてしかたありませんでした。
そこでかいぶつはたびにでて、なまえをさがすことにしました。
でもせかいはひろいので、かいぶつはふたつにわかれてたびにでました。
いっぴきはひがしへ、もういっぴきはにしへ。
ひがしへいったかいぶつは、むらをみつけました。
むらのいりぐちにはかじやがいました。
「かじやのおじさん、ぼくにあなたのなまえをください」
「なまえなんて、あげあれるものか」
「なまえをくれたら、おれいにおじさんのなかにはいって、ちからをつよくしてあげるよ」
「ほんとうか、ちからがつよくなるなら、なまえをあげよう」
かいぶつはかじやのなかにはいっていきました。
かいぶつはかじやのオットーになりました。
オットーはむらいちばんのちからもち。でも、あるひ、
「ぼくをみてぼくをみて、ぼくのなかのかいぶつがこんなにおおきくなったよ」
バリバリグシャグシャバキバキゴクン。
おなかのすいたかいぶつは、オットーをなかからたべてしまいました。
かいぶつは、また、なまえのないかいぶつにぎゃくもどり。
くつやのハンスのなかにはいっても、
バリバリグシャグシャバキバキゴクン。
また、なまえのないかいぶつにぎゃくもどり。
かりうどのトマスのなかにはいっても、
バリバリグシャグシャバキバキゴクン。
やっぱり、なまえのないかいぶつにぎゃくもどり。