「いたたたた」
「佐祐理、大丈夫」
そう言って雪の上にへたり込むわたしに手を貸してくれる。
「う、うん。ありがとう、舞」
「佐祐理」
「なっ、なーに、舞?」
「委員のお仕事はもういいの?」
「あ、そ、それがね、すぐ終わっちゃったんだー」
「…そう」
「だ、だから急いで舞を追いかけてきたんだよーっ」
「……佐祐理」
「はっ、はいっ」
「それで、電柱にぶつかったの……」
「あ、あははーっ。慌てすぎて滑っちゃったんだーっ」
「気をつけないと」
「う、うん。ごめんね」
どうやら盗み聞きしていてことは、ばれていないらしい。
しかし、落ち着く暇も無くあの女の子の視線を感じ、そちらに目をやる。
表情ひとつ変えずに、わたしと舞を見ている。
見つめ合っていてもしょうがないので、一呼吸おいて話しかける。
「はじめまして。わたし、3年の倉田佐祐理といいます。あなたは1年生ですよねー?」
「はい、天野美汐といいます」
「天野さんですかー。あ、ところでまいとはどういったお知り合いなんですかー?」
「まい?」
「はぇ?この子のことですよーっ」
「お名前、まだ伺ってませんでしたので」
「あははーっ、そうだったんですかー。
この子は川澄舞といって、わたしは彼女の友達なんですー」
「はい」
「それで天野さんは舞とはー……」
「今、あったばかりです」