「ねえ折原君、今日はこれから何処行く?」
「別に何処でもいいぜ」
「ホント♪ じゃあ、えーとねぇ…」
柚木と付き合い始めて、はや三ヶ月。
まさかこいつと付き合う事になるとは思わなかった。
まあ一緒にいて面白いといえば面白いが…。
「えーと、カラオケはこの前行ったし…ゲーセンは昨日行ったしって…うわっ!」
そんな事を思っていたら目の前の柚木が突如バランスを失う。
どうやら地面に転がっていた空き缶か何かに蹴躓いたようだ。
俺はすかさず柚木に手を伸ばす。
むにゅ!
(ん?)
俺は不可解な物体に手を触れる。
むにゅ。むにゅ。
何だろうか、これは?
「折原君、あのーーーー…」
そう呟く柚木に気付いた俺は自分の手の先を見る。
「…………」
「…………」
これってもしかして柚木の…胸!?
「うわっつ! ゴメン!」
俺はすかさず手を放し、柚木に謝罪の言葉を述べる。
柚木も気まずそうに俺の方を…。
「あんまり大きくなかったでしょ? ガッカリした?」
あれ?
照れてもなければ、気まずくもない。余裕の笑みで俺に語り掛ける。
(…全くこいつのペースにはいつも振り回されっぱなしだな)
そんな事を思っていたら。
「行き先決まったよ、いこっ!」
と、俺に話し掛けてくる。普段通りの会話になって一安心だ。
「で、何処いくんだ?」
「ウェディングドレス見に。責任取ってよね〜♪」
俺は思わず、ずっこけそうになる。
「あはは、冗談冗談」
と、言いながらもかすかに頬を染める柚木の姿が目の前にあった。