葉鍵聖戦 3rd Period

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113霧島聖@決戦(21)
「きりしま、ねえ……」
「もう、喋るな。傷口に障るぞ」
「だって、俺……俺は取り返しのつかないことを……」
 今にも泣き出しそうな北川君の頬を、私は力の限り引っ叩いてやった。
「甘ったれるのもいい加減にしたまえ!」
「…………」
 北川君はびくっと震えて、肩を小さくさせた。
(まったく、出来の悪い弟を持ったような気分だよ)
 それは口には出さないで――言う。
「みんな君の帰りを待っていたんだ……これいじょう我侭を言うようなら問答無用で連れ帰るぞ!」
「…………」
 北川君は何も言わないで、逃げるような……縋るような視線を――佐藤君に送った。
 彼もまた、何も言わないで、ただ……笑って頷く。
「今度は僕の勝ちだよ」
「ああ、貸しにしといてやるよ……」
 そう言って、二人は握手を交わそうと、手を差し出しあった――ところで。
 パーン!
 風船が割れるよりも小さな破裂音――銃声が鳴り響いた。
「北川……?」
 私と北川君の目の前で、北川君の頭部は何者かに撃ち抜かれていた。