>>353続き
「ねえ、って何だよぉ?」
「かおりさんて、ホントにお姉ちゃんのこと、好きだし」
「ばばば、ば、馬鹿、ななな、なな、何言って……!」
「あはは、違うよー。そういう意味じゃないよ。……多分」
「多分って、そんなおぞましい事言うなよー」
「でもお姉ちゃんだって、かおりさんのこと嫌いじゃないでしょ?」
「う……、あ、まあ……それは」
「準優勝とった時だって、『少しは喜ばせてやらないと』って言ってたし」
「ま、そりゃあ……3年間何の成果もないってのもアレだし」
「うん。そういう優しいところが、お姉ちゃんの良いところだしね」
「……何か、あんたが言うと嫌味に聞こえるんだけど?」
「ごめんごめん。でもだから、かおりさんもそんなお姉ちゃんが好きなんだと
思うよ」
>>354続き
「……」
「それに、耕一お兄ちゃんも、ね♪」
「!!!? こ、こここっ、耕一は、か、か、関係、ないだろっ!!?」
「ふふふっ。いいなあ。4月からは一緒の大学でキャンパスライフかあ……」
「は、初音っっ!!」
「ひゃん! あ、あたし夕飯の支度があるんだった」
「全く……」
「あ、でもね、お姉ちゃん」
「ん?」
「幸せにならなくちゃ、ダメだよ。もう……4人は女の子泣かせちゃってるんだから」
「4人? ……あ!」
「今日は肉じゃがだよー」
「初音……」
「意地悪言ってごめんね。それじゃっ」
「うん、ありがと……それから、ごめんな」
「それは言わないお約束だよ」
「ん、さてと。じゃあひとつあたしも手伝いますかね」
遠ざかってゆく足音。
翳りゆく日差しの中で、”青春の一記録”がぱたん、と閉じられた。
終わってしまえ