報告終わりというのも何なので、書きかけのSSもどきを放置して寝マス。
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とさりと、雪の落ちる音。
カーテン越しの優しい光。
しゅんしゅんと薬缶が湯気を吹く。
少しつんとする鼻に、何だか借り物の様な体の感覚。
布団とはもう丸一日のおつきあいだ。
「これがホントの鬼の霍乱ってやつかね」
ぽそりと呟く梓。その額にひんやりぺったりの感触が
押し当てられる。
「なかなか病人らしいことも言えるようになってきた
じゃねーか」
からかいつつ、煽っているような声は耕一のものだ。
口調とは裏腹に、タオルを扱う手つきは柔らかい。
「いいじゃんかよぉ……バカ」
拗ねたように呟く梓。涙腺がわずかに緩むのを感じる。
「はいはい。馬鹿で結構。ったく、病気の時ぐらいしおらし
くしてたっていいのにな」
応対する耕一も慣れたものである。
「とにかく、今日は一日ゆっくり寝てること! いいな?」
「ふゃい……」
声音はともかく、今度は素直な返事が出た。
春がまだ少し先の、そんなある日のことだった。