お母さんが交通事故に遭った。
わたしと祐一が病院に駆けつけたときには、お母さんは手術中だった。
・・・ようやく手術が終わったとき、外は真っ暗になっていた。
手術後にお医者さんの説明を受けたが、わたしには最初の言葉だけで十分だった。
「水瀬さん・・・。お母さんは非常に危険な状態です。覚悟はしておいて下さい」
「では、今回の交通事故による人体の損傷の程度についてご説明・・・」
その後、お医者さんが続けた言葉は、わたしの耳には入らない・・・。
お医者さんが言う。「・・・今、お母さんはですね、手術後そのままICUに入っています。危険な状態
が続いていますから、今はご家族でも面会できません。・・・お母さんの頑張りを今は信じましょう」
・・・そんな話しで、説明は終わった。
看護婦さんにはこう言われた。
「当病院は完全看護の体制を敷いていますから、看護は不要です。・・・ご家族の宿泊する場所もない
んですよ」
ずっとお母さんの側につきそっていたいのに、そんな言葉だけで病院を追い返された。
2人で家に帰ってきた。でも、家にいても、何もすることなんてできない。
何も考えたくない、でも、ただ一つのことだけを祈る。「お母さん、死なないで・・・」
夜、祐一が心配してドアを叩いても、わたしはドアを開けたくなかった。
翌日、学校を休んだ。病院にも行きたくないから、行かない・・・。
学校を休んだおかげで、いつまでもつづくように思われる時間と向き合うこととなった。
そして、その中でわたしは一つの結論に達した、「お母さんは死んじゃうんだ」って・・・。
その夜、祐一がドアを叩いた。「名雪、ドアを開けてくれ・・・」
・・・ドアを開ける。
「名雪、きっと秋子さんは大丈夫だよ・・・元気になるよ・・・」
こんなとき、とりあえずみんなそう言うんだよね・・・お決まりの、意味の無い励まし。
そんなことを言うんだね、祐一・・・別にいいけど。
「一人にしておいて・・・」
「だめだっ、今の名雪をほっとくなんてできない。今日は一緒にいるからなっ!」
好きにすればいいよ・・・。
祐一が一生懸命つくった晩御飯・・・。ちょっと、悪いかなと思って口にしてみたけど・・・もどした。
「ご、ごめんな。まずくて・・・」そんなことはない、ただ気持ちがわるいだけ。
「ちょっと、横になるね」と言って、わたしはソファーに横になった。
・・・・・・。
「名雪、起きろよ」いつのまにか寝ていたみたい。
「うん」
「名雪、良かったら、今日は一階で布団を並べて寝ないか?子供の時みたいに」
「・・・いいよ」そうしたいなら、してあげる・・・。
「明かりは付けておこうか、悪い夢をみないように。眠れないなら消すから、言ってくれよな」
布団に入って、祐一と並んで寝る。特に感慨はない。
思うことは、「この家にお母さんがいないこと、お母さんは死んじゃうってこと、お母さんがいなくな
ったら、わたしはどうしようもないこと、・・・でも、わたしには何もできないってこと」
「名雪、起きてるか」祐一も、まだ起きていたようだ。
「・・・」
「そっちの布団に行っていいか?」
「・・・」
祐一がこっちの布団に来た。
「名雪、俺がいるから・・・何があってもお前を守るから」
そう言って、祐一がキスをしてきた。
「ん、・・・んんっ・・・」ぬめっとした感触、嫌・・・。
「!」祐一の手がわたしの胸に・・・触れた?
「祐一、止めてっ!」
何を考えてるんだろう・・・。わたしのお母さんが死につつあるというのに。
「こんなときでも、セックスしたいわけ・・・ふざけないで」
「・・・ち、ちがうって」
わたしは、自分の中にある鬱屈した怒りを祐一に向ける。
「わたしを抱くことしか考えてないんだっ・・・」
「名雪っ・・・」
「・・・抱きたいなら、抱かせてあげるよ?」
「・・・名雪、そんなつもりじゃないって。悪かった」
「お母さんが死にそうなのに、祐一には関係無いんだねっ。ううん、祐一はお母さんが死んだって悲し
くないんだよ」
「いいかげんにしろよ、ものには限度があるぞ」
怒りをこらえた祐一の物言い。それがまた癪にさわる、あなたが悪いのに・・・。
「今、わたしのお母さんが死にそうなのに、わたしとセックスがしたいの、祐一?」
祐一は起き上がり、わたしのパジャマを引っ張って、わたしをも起きあがらせた。
そして・・・パンッ、祐一の平手打ち。
祐一が・・・わたしをぶった。許せない。
「殴ればいいってもんじゃないよっ」
パンッ。また平手打ち・・・暴力をふるうなんて、ひどいっ。
「お母さんのことなんて、どうでもいいって思ってるくせにっ」
祐一が、わたしの体の上に馬のりになった・・・。
ゴンッ・・・。
こぶしで顔を殴られる。口の中は、鉄錆びの味が広がる。
「一回したからって、いい気になってっ・・・」
ゴンッ・・・。今度は、鼻血が出たみたい。
わたしは逃げようとしてもがく。でも、祐一の下で、もがいてももがいても、逃げられない。
「祐一なんか・・・嫌・・・いっ」
痛い・・・、怖い・・・、意地をはって、精一杯言い返した。だって、わたしが言えば、祐一はやめて
くれるはず・・・。
しかし、祐一はわたしを殴りつづける。
ゴン。パンッ。ゴキッ。パシッ・・・。
頬が熱い、血の味がする口の中、目を開けていると飛んでくる祐一の手が恐ろしい・・・。
「痛い、いたい、いたい・・・、怖い、怖い、殺されちゃうよぅ・・・。」
わたしの心の中は恐れと苦痛でいっぱいになった。
あ、祐一が立ちあがった、終わったんだ・・・。
わたしはやっとのこと、口を開く「ゆういち、ひどい・・・」
「まだわかってないのか」いつもの祐一ではない、別人のような口調。
ドスッ・・・祐一が、わたしの胸を蹴る、手加減なしで。
ボクッ・・・腹部を蹴る、手加減なしで。
「ぐぅ・・・うぅっ・・・うっ、うっ・・・ぐすん」
その痛みにたまらず、わたしはうめき、嗚咽する。
ここでようやく、わたしは理解した。
「祐一に逆らうと、痛い目に会う。祐一はわたしを許す気なんてないんだ・・・」
「ハァッ、ハァッ」荒い祐一の息遣い。
・・・ブチブチッ。パジャマの上が乱暴に開かれボタンが弾ける、ブラジャーが剥ぎ取られる。
ズボンとパンティが一緒に下ろされる。
わたしはもう動く気力は無い。ただ、天井を見て・・・痛さと悲しさに浸って涙を流す。
祐一がわたしの胸を舐め始めた。
丹念に胸、お腹を・・・祐一の舌が舐めまわしていく。
わたしはこんなことになって悲しいのに、とても痛くて、とても怖いのに・・・だけど、気持ち良い。
「あ・・・ああっ・・・くっ・・・」
涙を流しているわたしに、気持ち良いことだけが伝わってくる・・・。
わたしの脚を大きく左右に広げる祐一。
にちゃっ、にちゃっ・・・。
暴力とは打って変わって、丁寧な舌使いをわたしに与える祐一。
まわりを舐められ、大事な粒を舌は幾度となく往復する・・・。
「ふぅん・・・クスン・・・いっ・・・ひっ」
わたしの悲しみの涙は、気持ち良さへのすすり泣きに代わってしまっていた・・・。
にゅるっ・・・突然舌が、わたしのあそこに入ってきて、わたしをかきまわす。
「あうぅ・・・う・・・うぅ・・・んんっ」
き、気持ちがいいよぅ・・・。
「さてと」祐一がわたしから離れた。
「・・・まったくすけべだよ、お前は。もう準備万端だよ、膨らんで、大きく口を開けて・・・あははっ」
わたしは、くやしくて、せつなくて唇をかむ。
あ、入れられちゃう・・・。
「い、嫌・・・」・・・好きな人に「無理やりされる」なんて嫌だよ。
でも、そんなことにお構いなく、わたしのアソコはぐっしょり濡れていた。
なにかの本に、バターにバターナイフを入れるって、表現があった・・・。
そんなことをぼんやりとした頭で、思いついてしまう。
「んっ」・・・まるで待っていたかのように、わたしは祐一をスムーズに受け入れていた。
うぅ・・・わたしの中で固い祐一がはねまわる。
「あっ・・・」
「感じてるのか、嫌だとか言っといて・・・ハァハァ、勝手だよオマエは・・・ハァハァ」
「ち、ちが・・・う・・・いい・・・アッ・・・ど、どうして」
「いけよ・・・ほら、嫌なヤツに犯されて」
祐一の動きが激しくなる・・・。
「・・・んっ・・・んーっ」わたしの体が、小刻みにブルブルと震える。
いやらしいわたしの体は、のぼりつめてしまった。
でも、祐一はまだ達していない。
「よし、今度は後ろからだ」
「・・・」
「返事はどうした?え?」
ゴッ。こぶしで頬を殴られる・・・
わたしは、仕方なく・・・コクリとうなずいた。
「うっ、うっ・・・」怯えるわたしは、また涙を流し始めていた。
「手をついて、尻を上げろ」
しくしく泣きながら・・・わたしは布団にひじをつき、膝をつく。
「もっと高くしろよ」パシーン。
お尻を思いきりぶたれる。
・・・わたしはできるだけ、大事ところがあらわになるように努力する。
「うっ・・・うっ・・・しくしく」
・・・泣くことに夢中になってしまっているわたしがいるような気がする。
泣くって・・・気持ちがいいのかな・・・。ううん、そんなわけ・・・ない。
「ひゃうっ・・・」
不意に、祐一が後ろから入ってくる。
後ろを向いているから、自分がどうされるかわからない。まるで自分が無力な者になったような気がし
て、後ろからって・・・とても心地がいい・・・。
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
出し入れされるたびに、わたしはこらえきれず声を出してしまう。
「ほら、もっと声を出せよ。もっと抵抗しろよ、こんなセックス嫌だって」
祐一がわたしの胸を揉みしだく、乳首を指でなんどもなんども弾いたり、挟んだり。
「んっ・・・やめて・・・だめぇ・・・」
入れられたままのわたしのアソコをもてあそぶ。
くちゅっくちゅ・・・。
「うぅー・・・」
敏感な粒を刺激されて、わたしははしたなくよだれまで垂らしてしまう。
そこから手を離して、わたしの両腹をもつと、祐一は思いきり身勝手に動きだした・・・。
「ほら、またいけよ。自分だけ・・・ハァハァ」
「ひぃっ・・・ぐ・・・う・・・」
わたしは声も出せない・・・身勝手な動きなのに、その動きさえとてもいい・・・。
「ハァハァ・・・ほらいきたいんだろっ」
「ち・・・ちがう・・・んっ・・・いやぁ・・・いっ・・・」
・・・また、わたしだけ、いかされてしまう。
「ハァハァ・・・ハァハァ・・・」わたしは力なく突っ伏していた。
もう、自分がわからない・・・悲しいの、わたし?
もしかして・・・うれしいんじゃないの、名雪?
ぐったりとしているわたしの枕元に、祐一がちゃぶ台を持ってきて、腰をかけた・・・。
そして、わたしの髪を引っ張りあげて言った。
「舐めろよ」
「・・・」
バシッ。平手打ちされた頬がまた熱くなった。
「返事は?」
「・・・」
バシッ。い、いたい、涙が出てくる・・・。でも、この気持ち・・・。
バシイッ、もう一度叩かれたとき・・・わたしは「はい」と返事をした。
だって・・・わたし、気づいたから。
暴力に従うって幸せだよ、無力なわたし、怯えるわたしになれるから。他に、何も考えなくていいんだ、って。
泣くって気持ち良いから、何も考えなくてすむ、って。
セックスしていると気持ち良いから、不安に苛まれる(さいなまれる)ことはないよ、って。
・・・・・・。
わたしの愛液でグチャグチャの祐一。わたしはそれを、子猫がミルクを舐めるように丹念に舐めまわす。
「液を全部舐め取るつもりでしろよ」
「はい」ぴちゃぴちゃ・・・ぴちゃ・・・。
「袋も口に入れながら舐めろよ」
「はい」もぐもぐ・・・ぷはぁ・・・もぐもぐ。
こんなことをするのは生まれて初めて。昨日までのわたしなら、とてもできない行為・・・でも、平気だよ。
「今度は、先のほうを念入りにしゃぶれ」
「はい」チュパチュパ・・・ぴちゃぴちゃ。
汚いなんて全然思わない。この人の言うことに従えばいい、尽くしたい。
「うまいよ、お前は。どこかでしたことあるんじゃないか?」
「・・・・・・」
侮辱の言葉さえ、どきどきする・・・。
「んっ・・・、そろそろ出すから咥えろ」
わたしは言われたとおりに咥える。そして、雑誌でよんだ知識をもとに、頭を前後に動かす。
くちゅ、くちゅ、くちゅ・・・。
「うっ・・・げぇ・・・」
ときどき、のどの奥に当たってむせる。でも、これはきっと、いけないわたしへの罰・・・。
「出るぞ、全部飲めよ」
当然、わたしは全部を飲み干すつもり・・・。
「ううっ・・・」祐一がうめく。
頭を止めて・・・、ごくっ、ごくっ、ごくんっ。これは、わたしが初めて知る服従の味、そんな気がした。
「最後まで舐めとってきれいにするんだぞ」
「はい」ぺちゃぺちゃっ・・・。
行為に没頭しながら、わたしは思っていた。
(もう、悲しくない・・・、わたしもう大丈夫だよ・・・)
出が悪くなってからは、吸い出すように舐め取ることもしてみたよ。
チュウ・・・チュウ・・・ぺちゃぺちゃっ・・・。
「くっ・・・」声を出す祐一・・・。あっ、わたし、うれしい。
そして、祐一から出てくるものがなくなるまで、わたしは舐めつづけた。
全てが終わった後、わたしたちは布団に横たわって、ただじっとして荒い息をはいていた。
長い沈黙のあと、祐一が先に口を開いた。
「なゆき・・・」
「・・・ゆういち」
「ごめん・・・」
「あやまらなくていいんだよ、祐一は・・・」
「・・・・・・」
「ね、祐一」
「ん・・・?」
「お母さんが、いなくなっちゃったら」
「・・・・・・」
「わたしを、もっといじめてくれる?ね、もっと気持ち良くしてくれる?」
「なゆき・・・」
「そして、わたしを・・・支配してくれる?」
「・・・名雪はそれで良いのか?」
「うん、今日わかったの・・・。そうすればお母さんのこと忘れていられるんだよ。
・・・そうしてくれないとわたし、もうダメなんだよ」
「・・・・・・」
「・・・約束、だよ」
「・・・・・・」
「なあ、名雪・・・奇跡でも起きればいいのにな」
「祐一、起きないんだよ。奇跡なんて・・・」