■SS投稿スレcheese3

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709幸せな日々(その1)
専業主婦になって早3年、赤ちゃんはまだできないけど、お母さんと祐一とわたしの3人の暮らしは
幸せでいっぱい・・・。

今日お母さんは旅行でいない、だから祐一とわたし二人だけの晩御飯だ。
最近、祐一がかまってくれない・・・、ちがうちがう、祐一が元気無いから元気づけてあげなくちゃ。
お仕事が忙しいから疲れてるんだね。平日は残業、今日だって土曜なのに出勤してるし、日曜日は接待
ゴルフ・・・。
だから、うんとおいしいものを作らなきゃ。

「ただいま」あ、祐一が帰ってきた。
まず、あのセリフを言って祐一を和ませよう。小走りに玄関まで走る。
「お帰り、祐一。ご飯にする?お風呂にする?それとも・・・わ、た、し?」
「・・・熱でもあるのか、名雪?」
うぅっ・・・、冷静に返されたよ。
「う、ないよ・・・」
「ご飯にしよう、ご飯。・・・でも、あんまりお腹空いてないんだ」

今日は、特製の牛丼なんだ、その名も名雪スペシャル。隠し味には高級ワインが入ってるんだ、えへん。
「今日は、牛丼だよっ、祐一」
「あ、お土産に牛丼買ってきたのに・・・。それに、俺、昼間食べたんだよ」
「あ、しまった。今日は牛丼の日だったよ・・・」
「何だ、それ?」
「えへへ、祐一のお土産にはローテーションがあるんだよ。「土曜・牛丼、日曜・タイヤキ」、でその
翌週が「土曜・肉まん、日曜・アイスクリーム」
「うっ・・・」
「うん、わたし発見したんだよ、うふふ」
「そ、そうだっけか・・・あははは・・・」
710幸せな日々(その1):2001/05/03(木) 02:15
「じゃあ、食べられるだけ食べてね」
「う、うん・・・」
・・・あまり、祐一は食べてくれなかった。心配だよ、お仕事タイヘンなのに。

「はい、お茶」祐一ったら、疲れているみたい。
あ、祐一の携帯が・・・。
「だれから、祐一?」
「わあっ、し、仕事関係の人からメールだよ・・・」
わたしが、覗き込むと隠す祐一。
「み、見るなって」
「ケチっ〜・・・見ないですよ〜だっ」
見ちゃったもん、「はちみつくまさん」だって。祐一、子供みたいなかわいいメール、くすっ。

「そろそろ、お風呂に入るよ。俺」
「ね、わたしもいっしょに入りたい・・・」
「悪い、今日は疲れててさ・・・」
ううん、祐一を困らせる気はないよ。
「うん、そうだね。止めておくね・・・」
「わるい、名雪」
いいんだよ、祐一・・・ちょっと寂しいけど。
祐一の着替えを手伝いながら、そんな話しをしていたら・・・。
「わ、祐一。口紅がYシャツについてるよ・・・」
「ぐはぁ・・・。あ、今日は満員電車に乗ったからなあ・・・」
「会社までバスだよ〜、祐一は」
「・・・うう・・・他社へ届け物があったんだ。そ、そのときだ、きっと」
「わあー、首筋にあざもあるよ。痛くない?」
「ええ・・・っと、そう、どこかにぶつかったんだ。ちょっと痛いけど大丈夫」
711幸せな日々(その3):2001/05/03(木) 02:17
タイヘンだったんだね、祐一。今日もお仕事ご苦労様でした・・・。

あ、電話だ。
「はい、相沢です」
「・・・うぐぅ」チンッ・・・切れちゃった。
なんだろう、間違い電話かな?今、あゆちゃんみたいな口癖が流行ってるのかな。
そういえば、昨日は「あうーっ・・・」って間違い電話もあったっけ。
「名雪〜、石鹸とって〜っ」
あ、はいはい。セッケン、セッケンっと・・・。
「ねえねえ、祐一。今間違い電話があったの」
「ふ〜ん」
「『うぐぅ』だって、おもしろい間違い電話だよねー」
「・・・うぐぅ」
わ、祐一まで真似してる、おもしろ〜い。

祐一がお風呂から上がってきた。
「あ、名雪。俺、明日、接待ゴルフだから」
「ええー、またなの・・・。たまには休んでよ、祐一。過労死しちゃうよっ!」
「だって、仕事なんだから、仕方がないじゃないか・・・」
そうだよね・・・わたしのために働いてるんだよね。
「ごめんなさい・・・」
「いや・・・いいよ。俺の言い方が悪かった」
「お土産は、タイヤキ?」
「あ、ああ・・・タイヤキかな・・・」
712幸せな日々(その4):2001/05/03(木) 02:17
あ、そうだ。
「そういえば、祐一。先週の日曜日、隣町の駅の近く行った?」
「い、いや行かないけど・・・どうして?」
「今日、香里の家に遊びに行ったんだけど・・・、先週ホテル街で祐一に似た人を見たんだって」
「・・・そ、それは・・・世界には、それぞれ3人そっくりな人がいるっていうから、その人だと思うぞ」
「わ、そうなの・・・。祐一のそっくりさんがあと2人もいるんだ。会ってみたいよ、くすっ」
「あは、はは、はは・・・」
「でね、栞ちゃんにも会ったんだけど。栞ちゃんたら、わたしのことを睨んで『名雪さん、嫌いです』って
言うんだよ。わたし、栞ちゃんに悪いことしたのかなあ・・・?」
「わ、わからないな・・・、俺には」
「そうだよね、祐一のせいじゃないもんね。嫌な話してごめんね」
「・・・・・・」
「そろそろ寝よ、祐一。明日もお仕事だもんね・・・」

布団を2つ敷いた部屋で、祐一に話しかけた。
「祐一、そっちの布団に行って良い?」
・・・寝ちゃったんだ。一緒の布団に入れてね、もぞもぞ・・・。
祐一の寝顔に、わたしは話しかけた。
「ね、祐一、わたし幸せだよ。でも、もう少しひまになるといいね」
「・・・でも、浮気だけはしちゃいや・・・だよ・・・くー」