■SS投稿スレcheese3

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「ば、バカッ…!バックはもう、今日限りなんだからっ…もう絶対しないんだからっ!」
 瑞希は真っ赤になってそう言うものの…すでに二人は結合を維持したまま、正常位
から後背位の変更を終えている。
 瑞希と違って、和樹は後背位がお気に入りの体位だ。もちろん正常位も好きなのだが、
後背位ならではの、恋人を支配したかのような錯覚が理屈抜きに嬉しいのである。
特に尻を突き出すようなポーズが、普段勝ち気な瑞希がしおらしく屈服したように
見えて…それだけでも和樹の独占欲は深く満たされる。
 しかも正常位とは膣のカーブ方向も違っているため、感触自体も別物だ。背中を
反らしてもらえばそれなりに締め付けも増すし、楽な姿勢で深く突き込むことが
できるのも魅力のひとつであろう。繋がったまま体位を変える際の、ぬかるむ膣内で
ペニスが百八十度ねじられる感触もなかなかに悪くはない。
「そりゃあ残念だ。でも今日限りってんなら、目一杯楽しんどかないともったいない
よな…みず、きっ…!」
「ひんっ…!!」
 揶揄するような口調でそう言うと、和樹は瑞希の深奥に不意打ち同然の突きを
見舞った。ずんっ…と重い一撃で子宮を揺さぶられた瑞希は鋭い悲鳴をあげ、おとがい
をそらして強くのけぞる。
びくくくっ、びくくくっ…きゅ、きゅきゅっ…ぷぢ…
「うわっ…ちょ、瑞希…?」
「う、くっ…んっ…んんっ…ふぁ、はぁ…はぁ…はぁ…」
 次の瞬間、和樹は突き上げたままの子宮口が小躍りするのを亀頭に感じた。驚き半分
の呼びかけに答えることなく、瑞希はのけぞらせた裸身をゾクゾクさざめかせてくる。
 そのうち華筒の終点部分が亀頭をすっぽりくるんできて、やがてペニス全体を
ぴったりと締め付けてきた。弾みで結合部の隙間から愛液が染み出てくるが…これは
それだけ二人の相性が抜群であるという証拠だ。先端といわず、くびれといわず、
幹といわず…愛おしむようにネットリと絡まり付いてくる心地は、ただこうして
じっとしているだけでも射精を迎えてしまいそうである。
「おい瑞希…お前まさか、イッてる…?」
「ん…うん…さっきクリトリスいじってて、もうギリギリだったし…」
 和樹が経験に基づいて推察したとおり…瑞希は先程の一撃で登り詰めていた。その
余波で意識もぼやけているらしく、瑞希はてらうことなく和樹の問いかけに答えてしまう。
 登り詰めたとはいえ、失神するほどの法悦に飲み込まれたわけではない。あくまで
絶頂感は軽く、子宮口とクリトリスから身体のすみずみへと…暖かな快感が波紋の
ように拡がっているのみである。
それでも、いま瑞希の中枢を酔わせている絶頂感は、男性にしてみれば射精数回分の
快感を凝縮したような感覚だ。もし和樹が瑞希の感覚を分けてもらったとしたら、
きっとたちどころに感涙を散らして気絶することだろう。
「…続けられそうか?」
「いま来たの、ちっちゃいやつだから…まだ大丈夫…いいよ…」
「よぉし…じゃあ覚悟しろよぉ…?」
「あんっ…や、くすぐったいよぉ…」
さわっ…さわっ、さわっ…なでなで、なでなで…
 上擦り声を震わせながらも、瑞希はしっかりとよつんばいを維持しているので…
和樹は小さく舌なめずりひとつ、まず彼女の尻を両手で撫で回した。たちまち瑞希は
くすぐったそうに身をよじり、恥じらった表情で何度も振り返ってくる。
 スポーツを嗜んでいるため、瑞希の尻は程良く引き締まってまるまるとしている。
真上から見下ろせば、ちょうど逆さハート形をしているかわいらしいヒップだ。
それでいてザラつきのひとつもなく、どこまでもスベスベとしていて手触りも格別である。
無骨に筋肉質であるということもなく、適度に脂肪を帯びていて柔らかみも素晴らしい。
 美しくくびれたウエストから、幾分ぽってりしている太ももにかけてをひとしきり
撫で回して…ようやく和樹は瑞希の尻に両手をかけた。真上から指を立ててわしづかみ、
大人の色っぽさを湛えた後ろ姿と相対する。
ぬ、るるっ…ずぷっ、ずぷん、ずぷん…
「ふぁ…あんっ!あ、ふぅう…んくっ、あっ!あんっ!あんっ…!」
「くっ…なんか奥の方、エッチなカタチして…あ、すげぇ…いいっ…」
「な、なによ、変な声出して…かっこわるぅ…」
「うっ、うるせえっ…」
 後背位のフィット感をペニスに馴染ませようと、和樹は短いストロークで子宮口を
ノックしてみた。突き上げるというより押圧する程度の動きであったが、それだけ
でも瑞希はかぶりをふってよがり鳴く。いまだに遠のかない絶頂感が増幅されるのか、
子宮口はその鳴き声に同調し…くくくっ、くくくっ、と亀頭を包み込んだまま小刻みに
震えた。
 この奥まった空間こそ、達した女性が無意識に形成する精液のプールなのだが…
その部分から強引に亀頭を引き抜き、また押し込むときのささやかな抵抗感は和樹に
だらしない鼻声を出させてしまう。振り返って小馬鹿にしてくる瑞希の微笑にも
上手い反撃を寄こすことができない。
 なまじっか亀頭が漲ってくるぶん、くびれをくじられる感触は次第に大きくなって
きた。否、亀頭はすでにパンパンになるまで漲っているのだが、そのぶん感度が
増してきているのだ。狂おしいほどに募る射精欲は押し留めるのも一苦労であり、
和樹はせつない嘆息を止められなくなってしまう。
ずぶっ…ずぷっ、ずぷっ、ずぷっ…ぺた、ぺた、ぺた…
「はあっ、はあっ、はあっ…みずき…みずきっ、みずきっ…!」
「ううんっ!あ、ふっ…!ふぁ、あんっ!あうんっ!あうんっ…!!」
 セックスの悦びに魅入られた和樹は恋人の名を連呼しつつ、ピストン運動のテンポと
ストロークを少しずつ早く、大きくしていった。それに合わせて、ぬかるむ音や肌が
打ち合う音もボリュームを増してゆく。二人のよがる声もまた然りだ。
 和樹は瑞希以外の女性と交わった経験がないのだが、それでも十分と断言できる
ほど彼女の内側は素晴らしかった。夢中で腰をグラインドするたびに、勃起しきりの
ペニスは焦れったい快感を生み出して…ただでさえも愛液でいっぱいの膣内に、
たっぷりと逸り水を漏出してゆく。ジクン、ジクン…と染み出る心地だけでも
上擦り声を抑えられない。
 にもかかわらず、プリュプリュとした弾力を有する襞の群は搾乳するようにくねり、
和樹を高ぶらせようとするのだ。引き抜くときにはネットリとすがりつき、押し込む
ときにはぬめりながらも締め付けて…ペニス全体にくまなく射精を要求する。
 その艶めかしい反応に、男としての本能は逆らえるはずもなかった。和樹は瑞希の尻を
わしづかんだまま、華筒の奥深くへ何度も何度も亀頭を送り込む。
ふよん、ふよん、ふよん…ゆさっ、ゆさっ、ゆさっ…
 大胆なピストン運動に合わせて、瑞希の柔肌は尻から背中にかけていやらしく波打つ
のだが…その光景を真上から眺めているだけでも、和樹は愛欲の高まりを覚えてしまう。
萌えるという言葉は、まさに今の和樹のような心情こそ適切なのかもしれない。
「…瑞希、お前ってホントにスケベな身体してるよな…。胸の揺れる反動、先っちょに
伝わってくるぜ?」
「やだっ…もう、ヘンなこと言わないで…」
 和樹が感心しながらつぶやくとおり、よつんばいになっている瑞希の乳房はピストン
運動の弾みで激しく前後に揺さぶられ、その質量による反動を彼に伝えている。
瑞希は文字通りの美乳かつ巨乳の持ち主であるから、後背位で大胆に交わるとこういう
現象すら生ずるのだ。
「ほら、こうやって奥まで入れたまま動いたらもっとわかる…」
「や、やめっ…奥ばっかりダメッ…あっ!ひゃうっ…!!」
「わ、ととっ…おい瑞希、大丈夫かっ?」
「へ、平気…でも、ちょっとごめん…力、抜けちゃって…もうよつんばいになって
られないみたい…」
 調子に乗った和樹が悪ふざけした途端、瑞希はよつんばいの上体を支えきれなくなり、
肩からシーツへと突っ伏してしまった。柔らかなベッドの上であるから怪我こそしないが、
それでも和樹は真摯な声で安否を気遣う。
 それでも瑞希は視線だけで和樹を見上げ、過剰に心配させまいとおどけた様子で
微笑みかけてきた。殊勝な性格はベッドの上でも変わらない。
「バック、もうやめとくか?」
「ううん、このままでいいよ…ここでまた体位変えたら、その間に雰囲気変わっちゃう
と思うし…」
「そっか…だったら瑞希、ほら、枕抱いてろよ。少しでも楽だろ?」
「あ、うん…いしょ、っと…へへへ、ありがと。ごめんね?」
「そりゃあこっちのセリフだよっ。」
 わがままを許してもらっている和樹は色々と気を回し、先程重宝したでか枕を瑞希に
差し出した。大人三人が余裕で頭を並べられる愛用の枕は、さすがに抱き枕とまでは
いかないものの、それでも瑞希の上体を支えるには十分な大きさがある。
 瑞希はその枕にのしかかると、豊満な乳房をたわませて体勢を整えた。よつんばい
より尻を高く突き出す格好ではあるが、それでものけぞり気味の背中が窮屈と
いうことはない。互いを思いやって笑みを交わせば、これでもう愛欲は元通りだ。
ぬるるっ…ぬるっ、ぬるっ、ぬるっ…ぬぢゅぷっ…
「ずうっと奥ばっかりしてたからな、浅いところもしてやるよ。」
「あん…あん…あん…あ、いいよぉ…だ、だめっ…やだ、抜いちゃ…」
「抜かないって…ホントのギリギリ、入り口の辺りも…」
「ふぁあ…その辺でされたら、クリトリスにも…んっ、んぁ…ん…」
 和樹は愛液で濡れそぼる幹を膣内から引き抜き、膣の入り口付近の襞を亀頭のくびれで
引っ掻いてみた。Gスポットの辺りを擦っては、くびれが露出しそうな辺りで膣の内径を
広げるように動く。膣口付近には括約筋があるため、締め付けに関しては奥よりも強い。
 浅い結合での、くすぐるような緩慢な動きは和樹だけでなく瑞希にも余裕を与える
ようで…彼女は少し饒舌になってささやかによがる。時折枕に頬摺りしては、心地
よさそうに溜息を吐く姿はなんとも微笑ましい。
ぬっ、ぬぶぶぷぷっ…
「んあっ…あっ、んっ、んんんっ…!」
 そんな愛くるしい横顔も、深く挿入された途端…せつなげにしかめられてしまう。
声も切羽詰まった鼻声となり、枕を抱く手にもギュッと力がこもる。
 そのギャップが和樹の胸をワクワクと逸らせた。薄暗い嗜虐心が鎌首を持ち上げて
くると、和樹は瑞希の尻からさりげなく右手を滑らせる。
ぴとっ…
「ひゃっ…ちょ、和樹っ!どこ触ってんのよっ!?」
「え?自分でわかんねーのか?」
「そ、そうじゃなくって…おっ、怒るわよっ!?あっ、お、怒るって言ってるのにっ…!」
「そんなかわいい声で怒られても…もっと意地悪したくなるだけだぜ?」
「だっ、ダメッ!ダメよ、指入れちゃダメ…やだ、そんなとこ触らないで…!」
 丸見えにしている肛門を和樹の中指に触れられ、瑞希は湯気が出そうなほど顔面を
紅潮させて叫んだ。羞恥と憤慨がない交ぜになった面で、瞳いっぱいに潤みを湛えながら
不躾な恋人を睨み付ける。
 それでも和樹は怯むことなく、色素の濃いすぼまりを愛液のぬめりにまかせてクルクル
撫で回した。きゅっと指先に力を込めると、瑞希はたちまち威勢を失い…怒声を鳴き声に
して哀願してくる。
ぬるっ…ぬっ、ぬぐっ…ぐりぐり…ぐりぐり…
「ああっ!や、いや、入れないで!入れちゃ…だ、だめ…おしりの中、触らないで…!」
「じっとしてて、瑞希…このまま動きたいっ…」
「そ、そんな…も、もうやだぁ…恥ずかしくて、死んじゃいそう…!」
 しかし和樹は聞く耳を待たず、中指の第一関節をすぼまりの中に埋めてしまった。
しかもそのまま左右にひねり、きゅんきゅんと元気の良い締め付けを入念に触診する。
ほじくるように指先で引っ掻くと、膣口も連動して締まり上がり…ペニスをキツキツに
甘噛みしてきた。
 淫らな愛撫に瑞希はひどく恥じらい、枕に顔を埋めてイヤイヤするが…それでも
和樹の求めを断固として拒もうとはしない。
 瑞希は愛しい和樹に、あるがまますべてを捧げているのだ。獣のようなポーズを強い
られても、肛門の内側を確かめられても…それが信頼を寄せている和樹の望みなら
すべてに応えたくなるのである。
 この瑞希が抱いている感情は、決してにわかに芽生えたものではない。いくつもの
おしゃべりを交わし、デートを重ね、ケンカを重ね、唇を重ね、身体を重ね…心から
惚れ抜いた果てに生まれた女としての慈愛なのだ。愛しい男に尽くしたいと願う
気持ちは、決して自暴自棄でも、その場しのぎの安易な媚びでもないのである。
「大丈夫、もうこれ以上入れないから…な?」
こくん…
 瑞希は返事を寄こすことなく、唇を噛み締めたまま小さくうなづく。和樹はしお
らしい様子に目を細めると、よしよしとばかり左手で瑞希の尻を撫でた。じっとり
汗ばんでいる尾てい骨の辺りも、そっと手の甲で拭ってやる。
ぬっ、ぬるるるっ…ぬぶぷぷっ…ぬる、ぬるるるっ…ぬぶぷぷぢゅっ…
「あふぅんっ…!あっ、あっ…ふうんっ!はぁ、はぁ…あっ、ん、んんんっ…!」
 和樹は大きく腰を引いてから、真っ直ぐ奥まで突き入れ…ゆっくりではあるが、
目一杯のストロークのピストン運動を繰り出した。深い挿入感が子宮口から重く
響いてくるたびに、瑞希は火照った溜息を枕に吐きかける。陶酔に濡れる声は
甘ったるいことこの上なく、吐息のかかった部分は今にも桃色に染まりそうだ。
 実際、瑞希はもう頭の中にボンヤリと霞がかかってきている。乳白色に染まり
つつある意識では、もう和樹に対する愛しさだけが延々とループを繰り返していた。
肛門をぐりぐりほじられていても、その恥辱すら悦びに昇華されてゆく。押し寄せて
きている法悦の大波に震えるあごは、もう少しも嫌悪の情を声するつもりがなかった。
 そんな瑞希に負けないだけ、和樹もまた大きな快感を得ている。何度も何度も挿入を
やり直しているような、そんな贅沢なグラインドは当然しゃぶりつかれている時間も
長く…射精欲の高まりも強い。
 それでいながら視線を落とせば、そこには自分達の結合部が赤裸々となっているのだ。
 美しい白桃の中央部では、太々とした幹が儚げな膣口をいっぱいに押し広げ…
指でさえも窮屈な膣内を蹂躙している。処女膜の名残も、腰を突き出せば内側に引き
込まれ、逆に腰を引けばめくり出されて精製したての愛液を染み出してきた。もう
二人の太ももはもちろん、シーツに至るまでが白っぽい粘液でベトベトだ。
ずぶっ、ずぶっ、ずぶっ、ずぶっ…ぺち、ぺち、ぺち、ぺち…
「瑞希…みずきっ、みずきっ!!」
「あっ、あんっ!あんっ!ああん…っ!!や、来ちゃう!すごいの来ちゃうっ…!」
 猥褻な光景を目の当たりにし、和樹は思いも寄らないほどの愛欲で胸を焦がして
しまう。肛門を苛めていた中指を引き抜くと、両手で瑞希の腰を押さえ…怒濤の
勢いでピストン運動を始めた。リズミカルではあるものの、瑞希の大切な部分を
だめにしそうな猛々しさで、何度も何度も深奥を突き上げる。
 絶頂が近いのか、瑞希の華筒は今まで以上のフィット感でしゃぶりついてきた。
もはや本能に駆られたグラインドすら困難である。そのぶん下肢に力がこもると、
肌の打ち合う音もどんどん明瞭になってゆく。
 瑞希は髪を振り乱してイヤイヤしながら、背後から増幅されてゆく圧倒的な快感に
怯えていた。募る愛しさをなだめるため、よがり鳴きながら抱き締めている枕に
顔を埋める。唇がキスを恋しがってならないのだ。
…せつない…せつないよ、こんなの…身体が…はじけちゃいそう…
 瑞希はもう、身体中くまなく性感帯になったような心地であった。肌という肌は
もちろん、つま先からまつげに至るまで…どこに触れられても登り詰めてしまいそう
であるというのに、過敏な深奥を攻め立てられて意識が遠のく。もうひたすらに
気持ちいい。つらいほどに…もう死んでしまいたいくらいに気持ちいい。
 そして…その快感は理想的な形で瑞希を飲み込むこととなった。
「あっ!あっあっ…イクッ!イクイクッ…!!あっ…あぁ、すごいっ…あ、あっ、
死んじゃうっ…死んじゃう…ふ、ふぅ…ふぅう…うっ…」
きゅっ、きゅきゅきゅっ…きゅきゅきゅっ…ぷぢぢゅっ…
 にわかに下肢を緊張させ、突き出している腰をブルブル震わせた瞬間…瑞希は
感涙を散らして鳴いた。彼女は深奥への刺激でエクスタシーを迎えたのだ。
 殺到した法悦の波濤から精神を保護するため、意識が強制的に切断されると…
失神した身体は絶頂感のすべてを享受しつつ、その機能を始めた。子宮へと続く
小道が微かに拡がり、膣は精を求めてぴったりとペニスに吸い付いてゆく。
 その機能に誘発され…和樹も数瞬だけ遅れて限界を迎えた。
「あっ、ああっ…みずきっ!みずきっ…!!」
びゅるるっ!!
「くっ…!!」
びゅうっ!びゅうっ、びゅっ…
「うっ、う、くううっ…!」
 和樹は愛しい女の名を叫ぶと、彼女の奥深くに挿入したまま…まるで爆竹が爆ぜる
かのように激しく射精した。濃厚な一撃を見舞った瞬間、きつく閉ざしたまぶたに
思わず感涙が滲む。
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン…
「はあっ、はあっ、はあっ…あ…ん、んぅ…」
 勃起を極めたペニスは力強く脈動して、瑞希の子宮口にとめどなく精を浴びせた。
それこそ本気で彼女を身ごもらせるよう、なんの理性の干渉もなく…。
 忘我のひとときが嵐のように過ぎ去ってから、和樹は惚けた表情でゆっくりと
現実に引き戻された。満ち足りた深呼吸を繰り返して、うっとりと射精の余韻に浸る。
 我慢に我慢を強いていたぶん、その盛大さは和樹自身も驚くほどであった。勢いよく、
大量に噴出された生命液が深奥で溢れ返るため、亀頭の辺りがおもらしでもしたかの
ように熱い。久しぶりに味わった膣内射精の心地よさに、和樹はあごの震えを
抑えきれなくなってしまう。
…気持ちいい…こんな長い間イッてるみたいなの…初めてじゃねえか…?
 骨までとろけそうな夢心地に恍惚となり、和樹は瑞希の腰を押さえつけたまま、
いつまでもいつまでも甘ったるい溜息を重ねた。だらしないとなじられるかもしれ
ないが、今は男として生まれたことがひたすらに嬉しい。
 和樹も膣内射精自体は何度か経験があったが、それでもここまでの充足感や達成感を
得たのは初めてであった。熔け合ったかのような一体感があまりに心地良く、もうこの
ままずっと挿入していたいような身勝手すら湧いてくる。心ゆくまで射精して本懐を
遂げたはずのペニスも、ヌルンヌルンの膣内で萎縮することを知らない。余韻が染み
ついてしまったかのようだ。
 そんな和樹に思いきり精を注ぎ込まれた瑞希も…ぐったりと枕を抱き締め、女と
しての悦びにその身を酔わせていた。
 エクスタシーを迎えた瞬間の法悦はいまだに意識を朦朧とさせており、瑞希の
涙目はうつろなまま焦点が定まっていない。胸の中をいっぱいに満たしているのは、
和樹に対する愛しさと、気持ちいいという感覚だけである。他に何も考えられないし、
何もできない。身体は不規則な深呼吸を繰り返し、勃起したままの和樹を逃さぬよう
キツキツに締め上げるのみだ。
 瑞希が達した法悦の境地には、まさに桃源郷の享楽があった。キスやクリトリスで
登り詰めた高みとはまるきり比較にならない。男であれば精神崩壊を免れない快感の
大渦に中枢を灼かれ、身体中から心地の良い汗が出てくる。フワフワとした高揚感は、
スポーツを終えた後の爽快感にも酷似していた。
「みずき…」
「あっ…ん…んんっ…」
 とはいえ、いつまでも繋がったまま余韻に浸っているわけにはいかない。
 和樹は小声で呼びかけてから、両手で瑞希の尻を突き放すようにして…窮屈な
膣内からゆっくりとペニスを引き抜いていった。無意識下ではあるはずだが、力任せ
に締め付けているため抜き去るのも一苦労だ。
ぬるっ…ぬ、ぬぬぬっ…ぬるんっ…ぶっ、ぷぶっ…
 長大な幹が露出し、ツヤツヤの先端が抜け出た途端…瑞希の膣口からささやかな
空気音が漏れる。それと同時に、混ざり合った二人の雫が少しだけ飛沫いたのだが…
これは瑞希の締め付け具合が抜群であるためだ。情熱を心ゆくまで燃やしたピストンの
内部は、ほとんど密封状態になっていたのである。
…こんなちっちゃい穴に、全部入ってたんだよな…
 露わとなった瑞希の恥部を見て、和樹は生唾を飲み込みながらそう感心する。
 膣内から抜き去ったペニスは命の匂いをぷんぷんさせながら、まだ物足りないと
ばかりに伸び上がっているので…和樹はなんとなく右手でしごき、セックスの名残を
惜しんでみた。ふやけてしまいそうなくらいにヌルヌルであるため、普通のマスター
ベーションよりもずっと華筒をイメージすることができる。
「…っと、なにやってんだオレ…ほら瑞希、横になれよ…」
「うん…」
 ほかほかと湯気が出そうな瑞希の卑裂に心を奪われ、和樹は思わず右手の動きを
速くしていた。慌ててかぶりを振って我を取り戻し、ペチペチ尻を叩いて瑞希を促す。
少しずつ意識が回復してきた瑞希も言葉少なにうなづくと、そのままころんと
寝転がった。目を伏せてシーツに頬摺りひとつ、はふ…と安堵の溜息を吐く。
 そんな瑞希に枕をあてがってから、和樹はベッドラックに手を伸ばし、ティッシュ
ペーパーを数枚無造作にむしり取った。疲れ切った恋人へのアフターケアのためである。
さわっ、さわっ、さわっ…ひちょっ…
「…瑞希?」
 愛液でべちょべちょの太ももを拭い、愛し合った証が漏れ出てくる真央に辿り
着いたところで…瑞希は右手でそれを制してきた。和樹が何気なく見下ろすと、瑞希は
愛くるしい美少女の笑みでふるふるとかぶりを振る。
「もう、このままでいいから…ね、和樹…ぎゅってして…」
「…わかった。」
 そうねだられて断ることにはなんの意味も無い。和樹はティッシュの束をゴミ箱に
放ると、瑞希と向かい合うように並んで横たわった。枕の下端に右腕を忍ばせて腕枕を
用意すると、早速瑞希はすりすりと頬摺りしてお気に入りのポジションをまさぐる。
 瑞希が落ち着いたところで、和樹は右手で彼女の頭を…左手で腰を抱き寄せた。
瑞希は足元に追いやっていた毛布をつま先で引き寄せ、丁寧に覆いかけてから和樹に
すがりついてゆく。
 ぴったりと胸を寄り添わせ、前髪が触れ合ったところで…二人は幸せでいっぱいの
溜息を吐いた。愛し合った余韻と抱き合うぬくもりが融和し、疲れた身体に心地良い。
「…こんな感じ、なんだか素敵過ぎて…ちょっとごめん、泣けてきちゃった…」
「ふふ、それって嬉し泣き…だよな?言っとくけど、オレはこんな感じ嫌いじゃないぜ?」
「そ、そりゃああたしだって嫌いじゃない…てゆうかこんな感じ、すごく好きだけど…
ああん、なんか照れくさいよ…。照れくさいけど…でも、ずうっとこのままでいたい…」
「そうだな…。思いっきりエッチして、そのまま抱き合って寝るなんて…きっと恋人
どうしなら誰もが望むことなんだろうけど、それってつまり、最高だからだろうしな…」
 汗ばむ肌を寄せ合いながら、二人は幸福感に浮かされつつおしゃべりを楽しむ。
こうして素肌を重ねているだけでも、胸に満ちてくる愛しさで気持ちが和んだ。
 恥もなにもなく愛し合った後だけに、開放感も清々しいほどである。普段は照れ
くさくてできないことも、今だからこそ躊躇わずせがむことができる。瑞希は先程
から和樹の腕枕に頬摺りしきりだ。
「ねぇ和樹…眠くなるまで、もっと甘えていい…?」
「ああ、好きなだけ甘えればいい…。ずっとこうしててやるからさ。」
「えへへ…だったらもっと強く抱いて…それで、キスして…」
「おう…」
ちゅっ…ちゅっ、ちゅっ…
 思いのままにおねだりを続けるしおらしい瑞希に、和樹はますます惚れ込んでゆく。
無防備に差し出される唇を塞ぎ、ついばみ、たわませて…愛しさに比例する接吻欲を
互いになだめ合った。キスしたままつま先でもじゃれあって、二人自然なままに
長い脚を絡める。
「和樹…明日起きたら、一緒にシャワー浴びよう?それからご飯食べて…シーツとかの
洗濯も手伝ってほしいな…ね、いいでしょ?少しでも二人っきりでいたいし…」
「だったら…シャワーの前にもう一回って…ダメか?」
「…」
「瑞希…?もしかして、怒った?」
「…そんなこと、今から約束できないわよ…朝になってみなきゃ…」
ちゅっ…ちゅむ、ちゅむっ…ちゅっ…
 和樹の欲張りな申し出に即答することなく、瑞希は慎ましやかに言葉を選んだ。
 とはいえ少なからず惹かれるものがあるのか、瑞希はおしゃべりしながら積極的に
唇を押し当ててくる。今から約束できないと言いながら、今から和樹をその気にさせる
つもりであるかのようだ。寝付く前に第二ラウンドを挑んでいるようにもみえる。
 しかし和樹は、ようやく萎縮してきたペニスに再び愛欲を充填するようなことは
しなかった。腕枕している右手で瑞希の頭をかいぐりして、恥じらって舞い上がる
彼女を鎮める。
 朝までに体力気力を回復させておけば、もしそうなったとしてもあらためて全力で
挑むことができる。同棲しているわけだから、慌てる必要はどこにもない。愛し合う
きっかけはそこかしこで見つけることができるだろう。
「だったら…早く朝になるように、もう寝ようぜ?」
「う、うん…おやすみ、和樹…」
「おやすみ、瑞希…」
 夜の挨拶を交わしてしまえば、それで二人はすぐに夢うつつとなる。愛し合った
疲労感は実に心地良く、朝までぐっすりと眠れそうだ。
 惹かれ合っている恋人の胸に抱かれていればなおのことである。至上の安らぎに
包まれたまま、夢の中でもイチャイチャできるだろう。
 そんな期待を抱きながら、まどろみに落ちていった二人はやがて、静かに寝息を
立て始める。
 静まり返った室内では、消し忘れられたスタンドだけがほんわりと灯り…仲睦まじく
寄り添う二人を暖かく見守るのであった。