■SS投稿スレcheese3

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 瑞希の身震いを間近で感じながら、和樹は引力に身を委ねてゆっくりとペニスを
挿入してゆく。痛々しいほどに漲った先端は発情の潤滑油にぬめりつつ、襞の群を
容赦なく掻き分けていった。
ぬるっ、ぬっ、ぷぢゅっ…ぬぷ、ぷっ、ぬんっ…
「きゃうっ…!」
「…っと、痛かったか?」
 男の先端と女の深奥が、無粋なゴムの薄膜を隔てることなく触れ合ったとき…
瑞希は汗ばんだ尻を微震させて悲鳴をあげた。恋人の鋭い反応に、和樹は一も二も
なくそう問いかける。
 しかし瑞希は苦痛を訴えることなく、それどころかしかめっ面から緊張を解き、
にっこりと微笑みかけてきた。小さく息を吐いて余裕を取り戻し、潤んだ瞳のままで
真っ直ぐ見つめ返してくる。
「…ううん、そうじゃない…そうじゃないよ…いま…今ね、その…」
「ははっ、わかった…お前ってここ、大好きだもんな。」
「だ、大好きってことないけど…あん…あ、ずるい…ん、んぅ…」
 はにかんで言葉を濁す瑞希に微笑みかけながら、和樹はそっと腰をグラインドさせた。
緩やかな振動によって、亀頭が彼女の子宮口をぐりぐり押圧する。
 和樹のペニスはそれなりにたくましく、全長は瑞希の手で二握りと少しの余裕がある。
小舟がそよ風に揺らぐほどの動きでも、興奮で怒張する亀頭は容易く彼女の性感帯を
刺激できるのだ。
 過敏な深奥を攻められた瑞希はたちまち平静を失い、思わず不平を漏らしてしまうが…
その声はすっかりご満悦といった様子だ。華筒もペニスをもてなすように、ネットリと
すがりついてゆく。
「瑞希、ほら、枕…もうちょっと腰…そうそう、この辺でいいか?」
「…うん、ありがと。ね、和樹…キスして…」
「ああ…」
 和樹は愛用のでか枕を引き寄せると、浮かせたままとなっている瑞希の腰にあてがった。
これだけでもずいぶんと楽になったようで、瑞希は安堵の息を吐きながら小声で
おねだりしてくる。もちろん和樹はそれを拒まない。
ちゅっ…ちゅ、ちゅっ…ちゅむっ…ちゅちゅっ、ちゅうっ…
 和樹は左手で上体を支えると、右手で瑞希のうなじを撫でながら愛おしむように
唇をついばんだ。甘噛みして、吸い付いて、何度もたわませるごとに鼓動は高鳴り、
興奮の血潮を身体中へと巡らせる。
 瑞希も重ね合う薄膜からささやかな水音を立て、和樹の抱擁に夢中で応えてゆく。
 瑞希は和樹よりもずっとキス好きだ。浮かせていた腰を枕に預け、リラックス
できたこともあり…和樹さえ何も言わなければ、このまま朝まででもキスを楽しんで
いることだろう。
 そもそも、唇は男女の別無く性感帯だ。だからこうして裸で、繋がったままキスを
交わしていると…その暖かな幸福感は性感帯どうしをリンクさせ、さらなる愛欲を
喚起してゆく。
 現に瑞希は両手で和樹の頭を抱き込み、キスを中断させまいとしている。甘えんぼ
そのものの鼻声も、先程から途絶えることがない。
 こうして瑞希は恋人とのランデブーを堪能しているのだが…一方で男性である
和樹には、そこまでの余裕は持ち合わせがなかった。
 ねちっこいキスを重ねているだけあって、勃起しきりのペニスは瑞希の華筒を
キツキツに押し広げていきり立っている。せつなく胸を苛む愛欲は、もはや劣情と
蔑まれるほどに高ぶっているのだ。
 なりふりかまわず、最愛の恋人を…目の前の瑞希を犯したい…。
 そんな薄暗い欲望すら抱いてしまうほど、和樹の男心は焦れているのである。
ちゅ、ちゅむっ…ちゅぱっ…
「あんっ…や、もっとぉ…」
「…瑞希、そろそろいいだろ?キスはもうお預け…」
「やだぁ…だったら、キスしたまま…キスしたまま、して…」
「ったく、しょおがねえヤツだな、もう…」
「ん…ごめん…ごめんね、和樹…んんっ…」
 愛欲を堰き止められなくなった和樹は、顔を背けるようにしてキスを中断すると、
苦し紛れのような声でそう願い出た。息遣いには思春期のような焦燥すら感じ取る
ことができる。
 そんな和樹をさらに焦らすつもりか、それとも己の欲求のためにか、瑞希はキスの
維持を条件として和樹の願いを了承した。頭を抱いていた右手ですりすり首筋を
撫でるのは、慎ましい瑞希が彼女なりに媚び、急かしている証拠だ。詫びの言葉も
おざなりであり、条件を呑んでくれる和樹の唇をすぐにまた求めてゆく。
 しかし、そんな瑞希に非は存在しない。非があるとすれば、二人きりの時間を
積極的に工面しなかった和樹のほうにこそであろう。それだけ瑞希は寂しがり屋に
なっていたのだし、そのぶん甘えんぼになってしまうのだ。
ぬるっ…ぬんっ、ぬんっ、ぬんっ…
「んっ、んっ、んっ…ん、あっ、あんっ…あ、ふぅ…」
 やがて和樹は唇を重ねたまま、身じろぎ程度の動きでグラインド開始した。二人の
結合部からは、精製したての愛液が滲み出て瑞希の会陰へと伝い落ちてゆく。腰の下に
据えた枕がベトベトになるのも時間の問題であろう。
 とはいえその動きは緩慢であり、とうていピストン運動とは呼べないものである。
それでも繰り返し子宮口を小突かれる瑞希には、必要にして十分な動きであるようだ。
比較的感度が鈍い膣内にありながら、特別過敏になっている深奥から快感の波紋が
拡がると…瑞希はたまらずにキスをやめ、上擦り声の乗った吐息を漏らし始める。
 そのよがり様に偽りはないようで、瑞希の膣壁は和樹が突き込むごとに艶めかしく
くねり、ペニスの剣呑な形に添ってすがりついてくるのだ。その無言の要求は、まるで
ペニスを挑発するかのようであり…和樹は湧き上がる情欲に背筋を震わせながら、
少しずつ呼吸を熱くしてゆく。
ぬぷっ、ぬっぶ、ぬぷっ、ぬぷんっ…ずぶっ、ぢゅぷ、ずぷっ…
「ふぁ、あっ!あんっ!そ、そこ…その辺っ…!」
「この辺、だよな…?お前って、奥も…浅いとこも好きだもんな…」
「好き、好きぃ…あ、浅いとこ、ん、そ、そぉ…もっと、もっとほしい…」
 和樹が乾いた唇を舌なめずりで潤し、少しずつピストン運動の振幅を大きくして
ゆくと…やおら瑞希はつま先を震わせてよがり鳴いた。高ぶりも相当なものがある
ようで、本能の命ずるまま両手で和樹を抱き締めてしまう。その情熱的な力は和樹の
背中に爪を立てんばかりだ。
 実際に瑞希がよがるとおりで、彼女は膣の入り口付近にも過敏な部分を有している。
 彼女の膣内に指を差し入れればわかるはずだが、入って少しのところのへそ側に…
微かに隆起したしこりのような部分がある。一般にGスポットと呼ばれる部分だ。
人によってその存在はまちまちであるらしいが、瑞希は紛れもなくここから性感を
見出すことができるのである。
 これは余談になるが、二人が付き合い始めて間もない頃…瑞希は好奇心旺盛な
和樹にすぐさまこの部分を発見され、哀願も聞きいれてもらえず執拗に攻められ
たことがある。
 どこか浮揚感すら伴う大きな快感に当時の瑞希は怯えきって、泣きベソになって
嫌がったのだが…そのうち意識が閃光に飲み込まれてしまい、男の子のように激しく
達してしまった。そのときに初めて…俗にいう「潮噴き」を経験したのだが、それを
知ったのは、意識を取り戻した後で和樹に教えてもらってのことだ。
 初めて目の当たりにした潮噴きに興奮して、大人げなくはしゃいでいた和樹も…
今では瑞希の身体をすみからすみまで熟知している。吐息、声、しぐさ…それらから
セックスのリズムを的確に把握し、二人で高みに登り詰める術をわきまえている。
ぬるっ、ぬるっ、ぬるっ…ぬぶぶぷっ、ぬん、ぬんっ…ぐり、ぐり…
「あっ!はぁ、あんっ!あ、ふぅ…う、ううっ…!あっ、はぁあっ…!!」
 腰を引いて入り口付近を攻めては、深く突き込んで深奥をえぐる…そんな変化に
富んだ和樹の動きで、瑞希は確実に高揚をきたしていた。汗の浮いた頬は真っ赤に
火照り、細まった瞳は感涙に潤んで…まるで悦びを持て余しているようにも見える。
なによりこの切羽詰まった鳴き声は、演技では表現できない本物のあえぎ声だ。
「ご機嫌だねえ…どうだ、気持ちよくなれそうか…?」
「うん、うんっ…かずきも、どう…?気持ちいい…?」
「ああ…ははは、なんか…いますぐにでも終わっちまいそう…」
 瑞希のささやかな問いかけに、和樹は苦笑半分で弱音を吐く。セックスでこその
快感に身を酔わせているのは、なにも瑞希だけではないのだ。
 瑞希のよがりに呼応して、和樹は少しずつグラインドのピッチを早めてきている。
それは瑞希をさらなる高みに導くためでもあり、身体が本能の命ずるままに快感を
欲張ってしまうためでもあるのだ。射精する心地よさはマスターベーションで再現
できたとしても、異性と交わる悦びまでは決して代償できないのである。
 なにより、ペンを握るよりもずっと長い付き合いの右手であっても…瑞希の
瑞々しさに満ちた身体には遠く及ばない。後者の方がはるかに気持ちいい。
 粘度の少ない愛液でヌルンヌルンに濡れそぼるペニスは、和樹のサイズより少し
狭めの華筒にすっぽりしゃぶりつかれているのだ。そのしゃぶりつきに逆らうごとく
ピストン運動を繰り出すと、背の高い襞の群はネットリとくびれに絡まりついてくる。
突き込むと素直に受け入れ、引き戻そうとすると一斉にすがりついてくる貪欲さは、
瑞希の貞淑な性格と相反していて実にいやらしい。
 なまじっかコンドームを着けていないだけあって、その感触は普段とはまるきり
別の物だ。瑞希のぬくもり、ぬめり、襞のひとつひとつが直接中枢に作用してくる
ようであり…和樹は為す術もなく瑞希の膣内に逸り水を滲ませてゆく。
 そんなピストン運動だけでも達するには十分であるというのに、目から耳から
興奮の材料は間断なく飛び込んでくる。
ぶっちゅ、ぶっちゅ、ぶっちゅ…たぽん、たぽん、たぽん…
「あんっ!あっ、あひ、あひっ…ひぁ、ひっ、いっ!いいっ!いいよぉ…!」
「はあっ、はあっ…瑞希…瑞希っ…!」
「んっ!あ、お、奥も…あんっ!だめ、だめえっ!あひ、あっ、あふぅっ!!」
 和樹が深くペニスを突き入れるたび、瑞希の火照った柔肌は滑らかに波打ち…
豊満の二文字を堂々と冠する美しい乳房も左右対称に円を描く。その動きを眺めて
いるだけでも、和樹の男心はひどく煽られ…さらに彼女を攻め立てたくなるのだ。
 美しい女を思うがままに抱きたいという衝動は、一般の男であれば誰でも持ち
合わせがあって不思議ではない。今の和樹を責める権利など誰にもないだろう。
その権利を有する者がいるとするならば、それは瑞希の両親ぐらいであろうか。
 その両親が聞いたら卒倒するような熱っぽい嬌声も、しとどに濡れてぬかるむ
音も、肌が打ち合う音も、絶え絶えな息遣いも…瑞希の恋人である和樹にとっては、
すべて愛欲の活力源となる。本能も無意識下に和樹を欲張らせ、子孫を残すための
プログラムを着々と進めていった。ペニスもぬかるむ膣内で剛直を極め、堪えようも
ないほどの射精欲を募らせてくる。
「あ、か、かずき…かずきぃ…!だ、だめっ、もうだめ…激しすぎるよぉ…」
「はあっ、はあっ、はあっ…くっ…ん…ふぅ…ふぅ…」
「え…か、和樹…?」
「へへへ…ちょ、ちょっと休憩っ…。まだ終わりたくないからなっ。」
 しかし和樹は理性を振り絞って本能に逆らい、あれだけ激しかったピストン運動を
ぴたりと中断させた。きょとんとなって見上げてくる瑞希にも、どこかせつなそうに
しながらおどけてみせる。
 和樹は絶頂を目の前にしながら、自らの本能におあずけをくわせたのだ。射精寸前の
過敏さを保ったままで、危険極まりないペニスは…瑞希の子宮口に先端を押し当てたた
まま、射精させてもらえなかった悔し涙のように逸り水を漏らしている。
…このまま終わってしまうのは、あまりに早すぎる…。
 和樹はそう感じていた。久しぶりの水入らずなのだから、まだまだ瑞希とイチャ
イチャしていたい。まだまだ瑞希とのセックスを楽しんでいたい。何度も挑むよりは、
一度に思いの丈のすべてを込めたい…。
 和樹は瑞希の額から汗で貼り付いている前髪を退けてやり、ゆっくりと膝立ちの
姿勢に戻る。気付けばお互い屈曲位になるほど燃えていた。瑞希がしたたかに
よがっていたのも納得がいく。
 膝立ちの脚を開いて微妙に高さを合わせてから、和樹はそっと瑞希の両膝に手を
添えた。M字開脚状態の瑞希は荒ぶった呼吸で乳房を揺らしているが、別段恥じらう
ことはない。真上から突き込まれていた余韻で意識が朦朧としているのだ。
「しっかし、生ってこんなによかったんだなぁ…」
「そっか、ゴム付けてないんだっけ…でも、これが本当のセックスなのよ?」
「ははは、そうだよな…ホントに子供つくるようなセックスなんだよな…」
「う、うん…そうだよね…」
 一糸纏わぬ姿で繋がっている二人は、見つめ合ったまま何気ないつもりで戯れ言を
交わした。しかしその言葉の意味を認識した途端、思わぬ照れくささと愛おしさが胸いっぱいに
こみ上げてきて…二人とも思わず押し黙ってしまう。
 和樹も、瑞希も、ただじっと…スタンドの暖かな明かりに照らし出された互いの
顔を見つめていた。深く繋がっている部分で、それぞれのぬくもりを感じている
だけでも歓喜で表情が和む。
「子供、できちまったら…産んでくれるよな?」
「そろそろ生理、始まる頃だから…多分できないと思うけど、産んでもいいの?
赤ちゃんできちゃったら、あたし…産んでもいいの?」
「…そんときゃ一緒に育てるんだからなっ。オレに押しつけて雲隠れすんなよ?」
「バカッ…そんなことするわけないじゃない…。あんたにはちゃあんと養ってもらう
んだからねっ。二人ぶん…三人ぶん…ううん、四人ぶん…?」
「おいおい、何人子供作ろうってんだよっ?」
「ふふふっ…!」
 そんな甘やかな妄想をささやき合い、二人は声を出して笑った。幸せの手触りを
確かめることができたような気がして、たまらなく胸が熱い。吐息はもう、その
ひとつひとつが熱っぽい嘆息になってゆく。
「和樹、好きだよ…大好き…。あたし、ずうっとあんたのことが好きだから…」
「オレも同じだよ。ずうっと瑞希と一緒にいたいし…一緒にいてほしい。」
「…なんかそれ、ずるくない?」
「よっ、と…なにがずるいってんだよ?」
 瑞希は高ぶる想いに駆られるまま、真っ直ぐに和樹の瞳を見つめて告白した。
和樹もそれに倣うように、真摯な眼差しを送りながら答える。
 しかし瑞希は彼の言葉に口許をとがらせ、すねたような口調で不平を漏らしてきた。
和樹は彼女の腰から枕を抜き取りつつ、膝立ちとなっていた両脚を右、左の順に
投げ出して問い返す。ずるい、と言われても思い当たるふしが無いのだ。
「だって、ずるいじゃない…あたしあんたに対する気持ち、ちゃんと言ったよ?
だから、あんただって…あたしのこと、どう思ってるのか…」
「さっき言ったじゃんかよ、ずうっと一緒にいてほしいって…」
「そうじゃなくって…もっとちゃんと言ってほしいのっ…」
「ちゃんとって…そっか、わかったわかった!だったら瑞希、こっち来いよ!」
「え?あ…よいしょ、っと…んぅ…」
 らしくもない歯切れの悪さでモジモジと視線を逸らす瑞希に、和樹は一瞬当惑
したものの…すぐに彼女の望んでいる一言に気付くことができた。黒板の問題を
解くことができた小学生のようにニカッと微笑み、恥じらう瑞希に両手を差し伸べる。
 瑞希もその両手の意味を問うような無粋な真似はしない。しおらしくつかまって
引き起こしてもらい、微妙に腰の位置を整えて体育座りとなる。
 互いにベストポジションを決定すると、これで二人は対面座位の体勢だ。この体位は
動きこそ少ないものの、楽な姿勢で甘えられるから瑞希はけっこう気に入っている。
あぐらをかいた和樹に抱っこされている感じがたまらなく嬉しいのだ。
「…今さら言わなくてもいいだろ?お前だってわかってるくせに…」
「だめっ、ちゃんと言ってほしいのっ…。そりゃああんたの気持ち、わかってる
つもりだけど…それでも、ちゃんと言葉にしてほしいときだってあるんだから…」
「わかったよ…瑞希、好きだぜ?」
「うん…んっ…」
ちゅっ…
 わざと一回焦らしてから、和樹はぴっちりと唇を塞ぎ…瑞希に告白を口移しした。
その返事を待つこともなく、小首を傾げて密着に角度を付ける。瑞希も待ち焦がれて
いた抱擁に鼻息を漏らし、和樹の首に両腕を絡めてすがりついた。
ちゅっ、ちゅっ…くちゅ、ぬみゅっ…ぷちゅ、くちゅ…
 しばしお気に入りの重なり具合で吸い付きあい、やがて阿吽のタイミングで舌先を
滑り込ませてゆく。和樹も瑞希も、お互い美食家を自認するほど舌が肥えているが…
その舌はディープキスも大の好物だ。じっくり味わうように絡め合わせてから、
ザラつく舌の腹どうしを摺り合わせて唾液を攪拌する。
「んっ、んんっ…ん…すふ、すふ、すふ…」
「すぅ、すぅ、すぅ…んっ…んんぅ…んっ…」
 二人は目を伏せたまま抱き締め合い、時折熱い鼻息を漏らして接吻欲の充足に浸る。
特に瑞希はご機嫌で、先程から鼻にかかった猫撫で声が止まらない。
 それもそのはずであり…和樹はディープキスするだけでなく、背中に回した右手で
瑞希の髪に手ぐしを入れているのである。
 普段この長い髪はサイドポニーに結わえられているのだが、当然今は就寝前である
から下ろされている。湯上がりということもあって、その艶やかさは格別であり…
彼女が手入れを怠っていないことは瞭然だ。
 その髪は恋人である和樹に触れられることで、立派な性感帯へと変化するので
ある。うなじの辺りに触れられ、そこから指を沈めつつ毛先まで撫でられると…
くすぐったいほどに胸が踊る。ディープキスがねちっこくなるのも仕方のないことだ。
もみゅっ…もみっ、もみっ…さわっ…なでなで、なでなで…
「う、ふぅん…んっ…んふっ…」
 そのうち和樹は髪への愛撫を終えると…アンダーバストから持ち上げるようにして、
瑞希の左の乳房を右手に包み込んだ。大きく広げた手の平いっぱいに柔らかみを
揉み込みつつ、背中を抱き寄せていた左手で尻を撫でる。瑞希はたちまち腕の中で
ゾクゾクッと身震いし、愛くるしい鼻声を弾ませてきた。
ちゅ、くちゅ…ちゅ、ぷぁ…ひゅじゅっ、んくっ…
「はぁ、はぁ…瑞希、好きだぜ…」
「うん…ん、嬉しい…あたしも好き…好きぃ…」
 舌を絡めたまま、強引にディープキスを終えた二人は…混ざり合った唾液をこぼさぬ
よう音立ててすすり、小さく喉を鳴らす。火照った吐息で告白を交わすが、その鼻先に
ふりかかってくる歯磨き粉の匂いすら、今はなんとなく嬉しい。
もんみゅ、もんみゅ、もんみゅ、もんみゅ…
「ふふっ…好きだぜ…ホントに好きだ…好きだから、やめらんねぇ…」
「ふぅ、ふぁ…な、なにそれ…あたしと、む、胸と…どっちが好きなのよ…」
「お前の胸だから好きなんだよっ…」
「んぅ…すぐそんな言い方するんだから…」
 みっしりとした質量を秘める瑞希の乳房を揉みこねながら、和樹は逸るような
口調で告白を続けた。余裕たっぷりの揉み応えに右手も感動してか、五本の指は
先を争うように動いて休むことがない。少しでも気を抜けば、手荒に揉みしだいて
しまいそうなくらい誘惑的だ。
 そんな和樹の言葉と態度に、瑞希はふてくされて唇を噛み締めるが…それでも
心地よさそうな鼻声は止まらない。むしろ口を閉ざしてよがれなくなったぶん
焦れったさが募るようで、瑞希は両手両脚で和樹に抱きついてゆく。
きゅんっ…きゅんっ…きゅんっ…
「んっ…ふ、くふっ…!んっ、く…んっ!んんんっ…!!」
「どぉしたんだよ…気持ちいいんなら、声出せばいいじゃん…」
「い、いや、出さないっ…今、声出したら…欲張りになっちゃう…!」
 和樹の労りも突っぱねて、瑞希は頑なに声を出すまいと努める。
 太々としたペニスが食い込んだままの華筒は、和樹に乳房を揉みこねられるごとに
せつなくうずき、いやらしく締め付けて求めるのだ。ここで声を漏らしてしまえば、
よがり鳴く爽快感に抗えなくなるのは目に見えている。自ら腰を振りかねない。
そんなはしたない姿だけは和樹に見せたくなかった。
 しかし…そんな努力も燃え盛る愛欲の前にはただの徒労でしかない。
…ぬちっ…きゅ、きゅっ…くりくり、くにゅ、くにゅっ…
 こみ上げてくる情欲に屈服した瑞希は、精一杯の力ですがりついていた右手を
股間に忍ばせ…過敏を極めたクリトリスを慰めにかかった。ツン、としこっている
女芯を指先でつまみ、強く押圧して手っ取り早く快感を求める。
「ん…ん、んぅ…あっ、あん…うっ…はぁ、はぁ、はぁあっ…」
 乳房への愛撫とマスターベーションによる相乗効果は大きく、うつむいたままの
瑞希は吐息を上擦らせて身震いした。心中、声を上げてしまったことにほぞを噛むが
もう遅い。よがればよがるだけ胸の内圧は高まり、左手も、両脚も、華筒も…和樹への
すがりつきを強くしてゆく。ここでまたキスされたりしたら、愛しさのままにもう一度
告白を繰り返してしまうだろう。
 そんな瑞希の別人のように悩ましいさえずりは、当然和樹の耳に届いている。先程の
強がりを聞いているだけに失笑を禁じ得ないが、それでもその官能的な響きの前に、
ペニスは萎縮することを知らない。もっとも、きつく抱き締め合って、ディープキスを
交わして、乳房をもみくちゃにして…そのうえで恍惚たるさえずりを聞かされている
わけだから、これで反応できなければただの腑抜けであろう。
ぎゅっ…
 和樹は乳房への愛撫を終えると、瑞希の身体を強く押し抱いた。うつむいている
横顔に頬摺りしつつ、彼女の耳元に唇を寄せる。
「結局、欲張りになってるじゃんかよっ…。どーする?そろそろ続き…始める?」
「うん…して…」
「へへへ…なんだよ、かわいいじゃねーかよ、瑞希っ…」
「あ、んぅ…」
 照れくさそうにささやいてから、和樹はあぐらをかいていた両脚を投げ出し、瑞希を
腕の中から解放した。密着の解かれた胸元からは興奮の汗がほわりと揮発し、二人の
過剰な火照りを冷ましてゆく。
 瑞希は背後に両手を突き、ゆっくりと仰向けになるが…その間ずっと、上目遣いで
和樹を見つめていたりする。これは言葉に出して求めたことと、かわいいと言われた
ことが単純に照れくさいためだ。横たわった弾みで、迫力ある乳房がたぽんと揺れ
ると…なんとなく両手で覆い隠したりもする。
 恋人のささやかな恥じらいに目を細めつつ、和樹は瑞希の左脚を高く上げさせると…
そのままストレッチよろしく反時計方向に倒した。自身も同時に膝を曲げ、シーツに
へたりこんだあひる座りとなる。
「瑞希…オレ、最後まで抜かないからな。そのままゆっくりよつんばいになってくれ。」
「う、うん…」
 和樹がそう宣言して促すと、瑞希は二つ返事でうなづく。しかし、その表情は
どこか気乗りしない様子の薄曇りだ。
 和樹は深い結合を維持したまま、瑞希に後背位の体勢を取らせようとしているのだが…
実は瑞希は、あまり後背位が好きではない。男性側に一方的な主導権のある後背位
では、女性の側からは抱きつくこともキスすることもできないからだ。
 それになにより、肛門が丸見えになってしまうことが瑞希の中で最も大きな躊躇い
になっている。陰部を見られることにも抵抗があるというのに、不浄の部分まで
見られてしまうとあっては、羞恥のあまりに失神しそうなくらいだ。
「今まで何度も言ってるけど…あたし、バックってあんまり好きじゃないのよ…?」
「じゃあ、ダメか…?」
「だ、ダメとは言わないけど…できるだけ、してほしくないな…なんて…」
「でも…ほら、そう言いながらもよつんばいになってくれるじゃん。オレ、そんな
健気な瑞希が大好きだぜ?いつもわがまま聞いてくれてサンキューなっ。」