■SS投稿スレcheese3

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ぬみゅ、ぷちゅっ…ちゅ、くちゅ、ちゅっ…
 にわかに発情期を迎えた二人の唇の中で、柔らかな舌どうしが先を欲張って
交尾にふける。ざらざらとした表側を擦り寄せながら絡まり、もつれ合うだけでも
お互いあごが震えるほどに心地良い。
 それに合わせて、生ぬるい唾液もゆっくりと攪拌されてゆくのだが…男と女の
フェロモンが作用しあうこともあって、少しずつとろみがかってきた。夢中で
くねり、のたうつ舌もまるでシロップ漬けにされてしまったかのようだ。
「んっ、んんっ…ん…」
「んぅ、んんぅ…んむ、んっ…んくっ…」
 枕に頭をもたげ、ゆったりと横臥したまま…和樹も瑞希も時間を忘れて甘露の
ごときディープキスを満喫する。ぴっちりと重なった唇は、時折モジモジ動いて
重ね具合を整えるのみで睦言のひとつも出て来ない。湿っぽくなりつつある寝室に
響くのは、変声期を迎える前のように初々しい二人の鼻声、それと口内に溜まって
きた甘ったるい唾液を嚥下する音だけだ。
ちゅ、むちゅ…ちゅぱ…れる、るっ…
「はぁ、はぁ、はぁ…」
「ふぅ、ふぅ、ふぅ…」
 いかに恥じらって呼吸を止めていたとしても、興奮で鼓動を高鳴らす身体は
自ずと酸素を要求してくる。密やかな鼻息だけでは呼吸が持たなくなると、二人は
暗黙のタイミングで唇を離し、舌先でじゃれ合いつつ深呼吸を繰り返した。ほわ
ほわと互いの吐息が降りかかってはくるものの、目くるめくほどに舌を絡めた
口内では新鮮な外気がすこぶる涼やかに感じられる。
「瑞希…ほら、ばんざいして…オレの首に…そうそう…」
「んんぅ…あんまり変なことしないでよ…?」
「まだ変なことできるトコまで手が届かねえよっ…」
「ああん…バカ…んっ、んふっ…」
ちゅっ…ちゅっ、ちゅっ…さわさわ…こしょこしょっ…
 過敏な薄膜を触れ合わせたままで和樹が促すと、瑞希は素直に両手を伸ばして
彼の首にすがりついた。そうする間にも瑞希の唇は焦れるらしく、ついばむように
して和樹にキスをねだってゆく。
 そんな瑞希にますます愛おしさを募らせた和樹は、無防備となった姿勢に怯える
彼女をからかいつつ…うなじを押さえ込んでいた右手を翻し、すべらかな首筋を
指先でなぞった。瞬間、瑞希はかわいいさえずりを和樹に口移ししてしまう。
 和樹の右手はひとしきり恋人の首筋にいたずらすると、やがてその攻撃範囲を
拡大すべく下降を始めた。
 まずテニスで培われた筋肉を纏う肩に触れ、じっとりと汗ばむわきをなぞり…
そっと自分達の隙間に右手を忍ばせる。それはまさに一瞬の早業であり、瑞希の
乳房はすっぽりと掌に包み込まれることとなった。
もみゅっ…もみゅっ、もみゅっ、もみゅっ…
「んんっ…ぷぁ、あんっ…!あ、ふぁ…う…ううっ…」
「ふふっ…いいなぁ、瑞希の胸って…揉むたんびに感動しちまうっ…」
「そ、そんなに好き…?あたしのむね…」
「ああ、もう最高だよ…こんなに大っきいくせして、固すぎず、柔らかすぎず…
もう一晩中でも揉んでいたいくらいだ…」
 見事な発育ぶりを示す女性の象徴に触れられて、瑞希はキスを中断してまで
声を震わせた。乳房も唇に負けないだけ、性感帯として過敏であるのだ。大きく
広げられた手の平で愛撫されては、キス以上に高ぶってしまうのは仕方のない
ことである。
 恥じらいの中、怪訝そうに問いかける瑞希に和樹が答えたとおり…彼女の乳房は
絶妙なまでの揉み心地を秘めている。強くわしづかめば、まるで指の隙間から
溢れて逃げ出してしまいそうなほどに柔らかく…しかしアンダーバストから円を
描くように押しこねると、たちまちみっしりとした弾力が生まれてくるのだ。
おかげで揉んでも揉んでも…否、揉めば揉むほど右手は魅惑されたかのように
引き剥がせなくなってしまう。艶やかな柔肌が有する手触りの良さもあり、指先
から吸い付いてゆくようだ。
 そして…和樹を魅惑してやまない理由はもうひとつ存在している。
もんみゅ、もんみゅ、もんみゅっ…きゅっ、きゅっ…
「あん、あん、あんっ…あ、やっ…!挟んじゃだめっ…!」
「瑞希って、ホントに感じやすいのな…乳首、ツンツンにしちゃって…」
「いっ、いちいち言わなくていいっ!そんなことっ…」
 和樹は中指と薬指の間に導き入れていた乳首の変化を悟ると、指先を揃えるように
してその屹立を挟み込んだ。瑞希は穏やかに繰り返していたよがり声を鋭く弾ませ、
かぶりを振ってまでむずがる。
 乳房の感度を如実に示す萌梅色の乳首も、和樹がすこぶるつきで気に入っている
ポイントだ。少しいじわるしただけで威嚇するようにしこるのだが、それに合わせて
慎ましやかな乳輪もふんわりと隆起する辺りは実に微笑ましい。
 とはいえ瑞希本人にしてみれば、愛しい和樹に触れられたためとはいえ、過敏に
反応してしまう身体がたまらなく恥ずかしいのだ。同じ枕の上で報告などされては
羞恥もまたひとしおである。たちまちいてもたってもいられなくなり、瑞希は
真っ赤に火照った顔を枕にうずめてしまう。
「ありゃ?もうキスさせてくんないのかよ?」
「キスなんてできないわよぉ…こんな、恥ずかしいのに…」
「ふうん。じゃあ…他のトコにキスしてやるよっ。」
「あ、ちょっ…ううんっ…!!あ、やっ…だめ…跡、残さないで…」
ちゅっ…ちゅっ、ちゅっ…ちゅうっ…
 あれだけ欲張りになっていた唇を隠されてしまい、やや拍子抜けの感も否めない
和樹であったが…ふと悪ガキ然とした笑みを浮かべるなり、瑞希の腕の中から
するりと頭を引き抜いてしまった。その意図に気付いた瑞希はすぐさま枕から
顔を上げたのだが、時すでに遅く…和樹は早速首筋から胸元へとキスの雨霰を
降らせてゆく。キスマークが残るのを怖れる瑞希はくすぐったさも相俟って、
たちまち抗う声を半ベソのものにしてしまう。
 そんな哀願を聞き流しながら、和樹は瑞希の身体を仰向けにして…鎖骨から胸元に
かけてまんべんなくキスを乱射する。火照った肌にもわかるほど、ちらほらと赤い
花が咲いてしまうのは和樹の瑞希に対する愛欲の強さ故だ。
 右へ行き、左へ行き…やがて乳房の谷間へと唇を進めていったところで、突然
瑞希は和樹の髪に指をうずめるようにして彼の抱擁を制止させた。
「だ、だめぇ…そこ、きっと汗くさい…!和樹、お願い…そこはイヤ…」
「…ホントだ、汗でびっちょり…。あせもになる前に舐め取ってやるよ。」
「ば、バカッ…!あっ、そんな…うっ、うふうんっ…!!」
ぺちゃ、ぺちょ、ぺちょ…ふみゅ、ふみゅっ…
 瑞希の女心をあえて思いやることなく、和樹は彼女の乳房の谷間に顔をうずめて
谷底に舌を這わせる。大きく広げられた舌で谷底をなぞられるたびに、瑞希は
激しくかぶりを振ってよがった。こみ上げる情欲で熱く火照る身体は、もう背中が
シーツから浮き上がりかけている。
 横から瑞希に寄りかかっている和樹は、露となって溜まっている汗を舐め取り、
谷底にぴっちりと唇を押し当ててから…そのどさくさに紛れて彼女の乳房を寄せ
上げた。両手にわしづかんだ乳房で繰り返し顔を挟み込ませては、そのぬくもりと
柔らかみを堪能する。ふんわりとした外圧は思わず笑みがこぼれるほどに素晴らしい。
「あああっ…すっげえ気持ちいいっ!さすがは96…余裕たっぷりだな…」
「そっ、そんなに無いっ!やめっ…もうやめなさいよっ!スケベッ!ヘンタイッ!」
「いてっ!こらっ、かっ、髪を引っ張るな!」
 乳房の中ですっかりご満悦の和樹は、何気ないつもりでそんな戯れ言を口にした。
その途端に瑞希は憤慨したようになり、グイグイと和樹の髪を引っ張ってまで
彼にいたずらを中断させる。
 和樹もこれにはたまらず、慌てて乳房の谷間から顔を上げたのだが…その視線の
先では、瑞希がすねたようにして瞳を潤ませていた。とはいえその潤みは恍惚が
もたらしたものではないようで、いじめられたことによる悔し涙のような危なっ
かしさが漂ってきている。
「もうっ…それされるの、恥ずかしいんだからねっ?あたし、自分の胸にコンプ
レックス持ってるんだから…知ってるくせに…」
 そうつぶやくと、瑞希は両手で乳房を覆い隠し…唇を噛み締めて視線をそらした。
その深刻な雰囲気に和樹は言葉を失ってしまう。
 確かに、瑞希は発育の良すぎる自身の乳房に劣等感を抱いている。スポーツを
するには邪魔だし、意味もなく肩がこるし、冬場は冷えるし…なにより夏場には
異性からの好奇の視線が集中してきて、それがたまらなく嫌だった。同性が聞いたら
嫉妬するかもしれないが、これはこれで胸の大きい女性には切実な悩みなのである。
 和樹もその事情は瑞希自身から聞かされて、知っているはずだった。ただ今は
成り行き上、つい夢中になってしまったのだ。思春期のように欲張ってしまった
ことが、今さらながら悔やまれる。
「…悪い。知ってたはずなのに、調子に乗っちまって…。ちゃんと断ってから
するんだったよ。」
「そう言って、いつも忘れちゃうくせに…」
「わかったって、今度からはホントに気を付けるから…」
「あ、すぐまたそうやって誤魔化そうとする…ん…」
ちゅっ…
 和樹は四つん這いで顔を近づけると、唇に精一杯の思いやりを込めながら瑞希に
口づけた。その想いは薄膜ごしに伝わったようで、非難の声をあげた瑞希も、
優しく唇をたわませてもらった後にはもうそれ以上責め立てようとはしなかった。
 お互い長い付き合いなのだから、キスでならどれくらいでも意志の疎通が可能だ。
ゴメンの一言と、ささやかなキスで…どんなケンカも仲直りができる。
「…でも、触るくらいならいつでもオッケエってことにしといてくれよな?」
「いつでもってわけにはいかないわよ…こんなときだけ…」
「ああ、こんなときだけでいい…こんなときだけでいいから…瑞希…」
「あ…う、うん…」
 小声でおしゃべりを交わしつつ、和樹はさりげなく瑞希の脚の間に腰を進み入れた。
驚いたように両手で股間を覆った瑞希であったが、すぐさま観念して立て膝の両脚を
大きく開き、彼のための場所を用意する。髪を引っ張ってまでわがままを通したのだ
から、今度は彼の望みを受け入れなければならないと思うのである。
 それでも、和樹にはまだ瑞希とつながるつもりがなかった。ひとまず瑞希の脚の
間から腹ばいでのしかかると、シーツに両膝をついて背中を抱き…
ちゅっ…
「ああんっ!」
 舌を差し入れながら、彼女のへそにそっと口づける。それだけで瑞希は腹筋を
引き締め、身震いしながら甲高く鳴いた。両手はきつくシーツをつかみ、もどか
しいような快感の責め苦に耐えようとする。
ちゅっ…ちゅぴ、ちゅっ、ちゅっ…ぺろっ、ぺろっ…ちゅぴ、ちゅぴ…
「ふぁあ…あんっ!あんっ!や、ふぁ…くふっ!うふんっ!」
 和樹の舌先はへその穴をまさぐり、丁寧に掃除してくれるようであった。
 とはいえその小刻みな刺激は愛撫以外のなにものでもない。瑞希はもはや為す術
なく背中を浮かし、かわいい声で何度も何度も悶え鳴いてしまう。のけぞるように
身じろぎすれば、丸まると実ったドーム型の乳房もたぽんたぽん弾んで回る。
「瑞希…そろそろ、こっちも…」
「はあ、はあ、はあ…うん…でも、濡れてきてるから恥ずかしい…」
「あれ?普段そんなこと言わないのに…どうしたんだよ?今日の瑞希、なんだか
はにかみ屋さんだねえ?」
「…はにかみ屋でもなんでもいいから、できるだけ見ないようにして…お願い…」
 そう言いながらも、瑞希は和樹の求めに応じてゆっくりと両脚を…次いで腰を
浮かせ、M字開脚の体勢をとった。主人に媚びて腹を見せる子犬さながらに、
瑞希もあるがままを愛しい和樹にさらけ出してしまう。
 菱形できれいに生え揃った濃いめの性毛も…
 なだらかに隆起している、柔らかみでいっぱいの恥丘も…
 発情の血潮で肥大し、少しだけはみ出て来ている濃桃肉も…
 その合わせ目で小さく突出している女芯も、なにもかも…。
 和樹は腹ばいのままで後ずさり、開脚を強いるよう太ももに両手をかけながら
瑞希の恥部を眺め回した。M字開脚に合わせて丸見えとなった瑞希の真央からは、
汗の匂いに混じって独特の女臭さがぷんぷんと立ちこめてくる。思春期の少年には
絶対に嗅がせられない危険に満ちた匂いだ。
 そのすえたような雌臭さに思わず和樹もそそのかされ、シーツとへその隙間で
ペニスを固く固くいきり立たせてしまった。ちらりと視線を上げれば、そこには
火照る頬を両手で包み込んだ瑞希が気恥ずかしそうに様子を伺っている。。
…かわいい…コイツ、こんなにかわいかったっけ…?
 今まで覚えていられないくらい身体を重ねてきているが、それでも和樹は初々しい
瑞希の姿にあてられ、沸々と愛欲をたぎらせてしまう。ひいき目ももちろんあろうが、
今夜のセックスは特別なものになるような気がしてならない。
ぷちゅっ…ちゅっ、ちゅっ…
「はぁんっ…!!あっ、いやっ…そんな、そんなぁ…は、恥ずかしいっ…!」
 和樹は両手の親指で瑞希の秘裂を開き、奥の奥まで丸見えにしてから恥丘に
鼻先を押しつけ…女芯に口づけた。春の日差しのように身体中すみずみまで拡がる
暖かな快感と、今にも泣きだしてしまいそうなほどの羞恥に灼かれ、瑞希はつま先を
ピクピク奮わせて悶える。
ちゅっ、ちゅうっ…ちゅっ、ちゅっ…れる、れるっ…
「あんっ、あ、はぁあ…んっ、ひぅ…!そ、そこ…そこ好き…好きぃ…」
「すげえな…瑞希お前、今日はホントにどうしたんだよ。びちょびちょになってきて
るぜ…?もうなんか…白っぽくなってきてるし…」
 普段以上の高ぶりを示している瑞希に気遣うことなく、和樹は唇と舌による
ねちっこい愛撫を重ねてゆく。否、愛欲のままに重ねてしまう、というのが正しい
だろう。ツン…と突出している女芯に口づけたまま、乳飲み子のようにむしゃ
ぶり付いては…何度も何度も口づけて、舌先で慰める。
 そうこうしている間にも、瑞希がしとどに溢れさせる愛液はサラサラの無味無色
から、ぬめりけと酸味を増した淡い白濁へと変わってきた。これは瑞希の身体が
和樹との結合を切望してきた証である。見ようによっては、分泌過剰となった
フェロモンが愛液の中で濃縮されてきたふうに見えなくもない。
 和樹もこの愛液を味わい、飲み込んでしまうと…まるで催淫効果でもあるかの
ように情欲が燃え上がってくる。勃起しきりのペニスはシーツに押しつけられた
まま、次第に熱い逸り水を先端から滲ませてきた。身じろぎするたびにヌルヌルと
ぬめるため、せつないほどの射精欲がペニスの根本奥深くで渦巻いてくる。
 そんな和樹よりも、やはり愛撫を施されている瑞希の方が痴態は激しい。
 日頃からスポーツを嗜んでいるため、活性化されている瑞希の身体は比較的
感度が高い。それは性感においても同様であり、とりわけクリトリスは一番刺激を
受けやすく、ある意味デリケートな性感帯である。
 それでいながら、こうして薄皮をめくってもらって愛撫してもらうのがお気に
入りであるのだからなんとも欲張りなものだ。和樹に口づけられ、舌先で押し
転がされるだけでも絶頂に達してしまいそうである。まぶたの端からは、早くも
感涙が一粒こめかみへと伝い落ちていたりする。
ちゅぷ、ちゅっ…れるっ、れるっ…ぬちゅ、ぷちゅっ…
 その舌の動きはさらにエスカレートし、微かに処女膜の名残を見せる膣口へと
進行していった。和樹は儚げな粘膜の縁取りを優しく舌先で愛でながら、ぷっちゅりと
キスして愛液をすすり…そのままディープキスよろしく舌を挿入してゆく。
「だ、だめっ!舌入れちゃだめぇ…!!そんな、広げられてるのに…だ、だめって
言ってるっ…そんな、やっ、あ、浅いとこぉ…!!」
 ぐり、ぐり、ぐり、と尖らせた舌先で入り口付近の襞に挨拶すると、瑞希は
オタオタとつま先で虚空を掻きながらよがり鳴いた。無我夢中のさえずりにあわせ、
ぬめる華筒は柔軟にくねって和樹の舌を締め付ける。身体が舌を来るべきものと
錯覚しているのだ。
 待ち焦がれている快感の訪れに、性に関しては慎ましやかな瑞希も声を上擦らせ、
ポロポロ感涙をこぼして身悶えするが…それでもまだ和樹は彼女を解放しようと
しない。真っ直ぐに舌を往復させて、瑞希が本当に堪えきれなくなる瞬間を待ち
続ける。
ぬちゅっ…ぬちゅっ…ぬちゅっ…ぬみっ、ぬみっ…
「みずき…ぷぁ、みずきっ…んんっ…」
「か、かずき、待って!待ってぇ…!ちゃんと欲しい、ちゃんとぉ…!」
「ん…?ちゃんとほしい?したくなってきた…?」
「…うん…したい…かずきと、エッチしたい…!」
 そして…ついにその瞬間は訪れた。瑞希の美徳は愛欲にねじ伏せられてしまった
のだ。瑞希は和樹のわざとらしい問いかけにも、きゅっと目をつむったまま確かな
口調でそう願う。羞恥に満ちた表情はすっかり泣きベソだ。
「よぉし、じゃあ…しようぜ?」
「うん…」
「いっぱい…いっぱいしような…朝までだって…」
「うん、うんっ…ん…」
 和樹はあらためて身を起こすと、仰向けの瑞希の上で四つん這いとなり、小さく
キスして愛撫の余韻をなだめた。瑞希も素直に応じ、そのまま和樹の背中に両手を
回して強く抱き寄せる。
 それに逆らうことなく、和樹がシーツに両肘を突き、瑞希に寄りかかるように
腹ばいになると…愛欲に満ちて怒張したペニスが、ふみゅっと彼女の恥丘を押圧した。
固い性毛どうしがチクチクと触れ合ってくすぐったい。
「…ヤケに積極的だねぇ…ゴム着けるまで待てないのかよ?」
「だったら、早く着けなさいよぉ…ねえ、早くぅ…」
「そうせかすなって…えっと…あれ?も、もしかして…切らしてるってか…?」
 和樹はベッドラックに右手を伸ばし、手探りでスキンの小箱を取ろうとしたのだが…
いつもの場所からも、どこからもその手応えは感じられない。慌てて顔を上げて
そこらじゅうを見回したものの、どうやら先日で使い切ってしまったらしく…
無情にもお目当ての小箱は見当たらなかった。
はふぅ…
 和樹はたちまち愕然となり、深々と溜息を吐いた。やり場を失った愛欲が、
突然重い荷物のように感じられ…瑞希にまるまるのしかかってしまう。
「…どうしたの?ちょっと、重い…」
「…なんでこんな時にゴムが無くなってるかねぇ…」
「無くなってる?じゃあ、こないだで使い切っちゃったんだ…」
「たぶんな…くそ…あーもう、ついてねえなぁ…!」
 そう毒づきながら、和樹は苛立ち任せで瑞希に頬摺りした。乱暴なだけの抱擁は
無神経な八つ当たりそのものであるが、高ぶりきった今ではもう大人げなさを
抑えきることができそうにない。
 このまま我を通してしまいたい欲望もあるが、そこまで瑞希をないがしろして
いいはずもない。できるわけもない。
 まさにないづくしであった。和樹の胸はもどかしさでひどくさざめき立つ。
言いようもない悔しさで、思わず唇を噛み締めてしまうほどだ。
ぎゅっ…ぬちゅ、ぬちゅ…
「わっ…み、瑞希…?」
 そんな和樹のわだかまりをなだめてくれたのは瑞希の右手であった。そっと
自分達の隙間に右手を滑り込ませ、たくましく勃起したままのペニスをしごいて
再び和樹を奮い立たせようとする。
「ホントはゴム着けてほしいけど…そろそろ生理、始まる頃だから…いいよ、その
ままでも…たぶん、大丈夫…。それに、あたしだってもう…」
「瑞希、お前…」
「そっ、その代わり…もしそうなっちゃったら、あたしのこと…」
「そりゃあもちろん…じゃあ、ホントにいいんだな?その…色んな意味で…」
「う、うん…いい…いいよ…あんたがいいんなら…」
 そこまで言ってから、二人は照れながらももう一度キスして…暗黙の約束を
交わした。これでもう戸惑いや躊躇いは無い。本気で愛し合うのみだ。それこそ
恋人としてだけでなく、結ばれた夫婦のように…。
「入るぞ…?」
「うんっ…」
 ささやくような確認に続けて、和樹は右手にしたペニスの切っ先をクリトリスに
あてがった。そのままバターに熱いナイフを差し入れるように、ゆっくりと裂け目を
割り開いて…小さなくぼみへと下降させてゆく。
ぬち…ぬみっ…ぬぷ、ぬっ、ぬぬっ…ぬぶぷぷっ…
「くっ、ふぅうっ…あっ、はああんっ!!」
 ツヤツヤのパンパンに膨張した亀頭が膣口を押し広げ、奥深く没入してきた
瞬間…瑞希は切望が叶えられた悦びに感涙を散らしてよがり鳴いた。